過去ログ - 垣根「君が教えてくれた花の名前は――」
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◆1yXtrQq8OHOj
[saga]
2012/11/19(月) 13:30:42.37 ID:di8qSD40o
「ほら、早くしろよ」
もう一歩近づく。
男は今度は明確に悲鳴とわかる声をあげた。
「早くしろ」
感情の一切こもっていない冷めた表情で男を見下ろす。
「わ、わかった――」
男が観念して喋り出そうとした時、青年の携帯電話が着信を告げた。
「残念、他のお仲間がもう吐いたようだぜ?」
携帯電話についたストラップを持ち、本体を男の前にちらつかせる。
「という事で……さようならだ」
青年の後方には翼。
天使のように真っ白な幻想的な翼。
ただ、それは天使の翼なんて美しいものではない、その翼は命を刈り取る凶器。
鬼畜、外道の道具である。
「ごめんな、でも俺もそのうちお前と同じような死に方をするからさ、お互い殺されても文句ない事しかやってねーんだ……しょうがねーよな」
動かなくなった男に一人語りかける。
月だけが彼を見ていた。
「次はもっとまともに生きろよ……これもお互いにだ」
男に背を向けると、汚れた翼で飛び立った。
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