過去ログ - ビッチ・2
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20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/20(水) 00:24:34.86 ID:23PR5ugqo

『君の不安の原因はわかったでしょ。それは前から自分でもわかってたと思うけど、結局
単純な話だったね。博人は怜菜に気持を持って行かれてしまってたんだよ。今、君の家庭
が安定しているのは、博人が怜菜の代わりに娘の奈緒のことを幸せにできるチャンスを得
て彼自身が落ちついたからでしょうね』

『あたしの不安の原因は結局それだったのね。博人君が本当にあたしのところに戻って来
たわけじゃないって、あたし自身がどこかで感じていたからなのか』

『そうだね。それでも割り切ればいいんじゃない? 博人は君と一生添い遂げてくれるよ。
仲のいい模範的な夫婦として』

『・・・・・・奈緒のために? あたしのことなんて好きじゃないけど。奈緒のために一生あた
しを好きな振りをしてくれるっていうこと?』

『うん。亡くなった怜菜の一人娘のためにね。だから聞かない方がいいって言ったじゃな
い。君はそれに気がついてしまったのだけど、これからどうするつもり?』

『頑張るしかないよ・・・・・・博人君は、結城先輩は絶対あたしのことが好きなはず。どんな
に時間がかかっても取り戻して見せるよ。怜菜と奈緒から博人君を』

 大学の頃、黙って麻季の髪を撫でて微笑んでいた博人の姿が一瞬だけ麻季の脳裏に浮か
んだ。

『そうか。そうだよね』

『辛いけど、気がつけてよかった。今夜も博人君が帰ってきたら笑顔で迎える』

『うん・・・・・・』

『何よ。まだ何かあるの』

『もう少しだけ気がついたことがある・・・・・・。ここから先は推理というか邪推というか、
まあ今となっては証明しようのない話なんだけど。どうする? 聞く?』

『・・・・・・そんな言い方されたら聞くしかなくなっちゃうじゃん。まあ、もうこれ以上ひど
い話はないとは思うけど』

『どうかな』

『さっさと言いなさいよ』

『突然の鈴木先輩との離婚、娘への奈緒という命名、そして怜菜の突然の死』

『うん・・・・・・』

『最初の二つには怜菜の明確な意図が込められていると思う』

『そうかもね。怜菜は博人君のことがすごく好きだったんだろうね。鈴木先輩の言ってい
たこともあながち嘘じゃないのかもね』

『そして怜菜の死だけは悲劇的な偶然だと、君も博人も鈴木先輩も疑っていないでし
ょ?』

『・・・・・・どういうこと?』

『偶然じゃなくて三つとも怜菜の意図が働いていたとしたら?』

『それって』

『そう。怜菜は意図的に鈴木先輩から自由になった。彼の浮気を責めることすらなく。そ
して意図的に自分の娘に奈緒人と一字違いの名前をつけた』

『そしてさ。最後はみんなが悲劇だって思っているけど、実はそれが彼女の意図的な死だ
ったとしたら?』

 それは想像力に溢れすぎていると自分でも認めていた麻季ですら考えたことがなかった
ことだった。

『自殺ってこと』

 麻季は心の声の非常識な推理に震える声で小さく応えた。


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