過去ログ - 妹「こんなに」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/24(日) 20:58:34.60 ID:mvOgZccS0
姉「ただいま」

がちゃんと大きな音をたてて、姉が帰ってくる。
私はその音を聞こえない振りをして、リビングのソファーに身体を横たえ漫画の続きをめくった。
廊下を歩く姉の足音は、リビングの前を通り過ぎようとした。けれど、控えめにリビングの扉が開かれて、私は「ただいま」とお姉ちゃんが再度そう言うのを聞いた。

妹「……」

姉「……お母さんは?」

それでも答えない私に、姉は別の言葉を投げてよこした。
今度は完全に、私に向けた質問だった。
ちらり、とソファー越しに姉の顔を見てやった。姉は困ったような顔をして視線をうろうろ泳がせていて、私が見ているのに気が付くと、その視線は今度ははっきり私を捉えた。
私はそれを振り払うかのようにわざとらしく目を逸らすと、「知らない」とただそれだけを答えた。

姉「……そっか」

「おかえり」とも言わず、ぶっきらぼうに答えた私の返答、それなのに姉の表情は途端柔らかくなる。
それがまた、気に障る。
どうして、と思う。

姉「じゃあ、ご飯は私が作るから待っててね」

私は、答えない。けれど姉はもう私の返答がないのがわかって、というよりも、それに関しては絶対に異論を言わせないというようにすぐリビングの扉を閉めたのだった。
姉の足が、自身の部屋へ軽やかに向かうのを聞きながら、私は読んでいた漫画をパタンと閉じ投げ出すと、目をつむった。
詰めていた息が、一気に外へ吐き出された。

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