過去ログ - クリスタ「ユミルを好きになるお話」ユミル「ほう」
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[saga]
2013/06/07(金) 01:28:11.75 ID:uskRd4wD0
恰好の的。壁にもきっと巨人が張り付ているはずだ。入り口からは3m級が侵入してきているかもしれない。
ミカサ――ミカサならどうしただろうか。この状況で、彼女は冷静にこの死体の山から使えるガスとナイフを探しせたかもしれない。
戦場においてカンの鋭い彼女なら、すぐに見つけられたかもしれない。
ふと、記憶の端に蘇る。最低限のガスで、巨人を鮮やかに三体撃退していた彼女の雄姿。人間とは思えない。
まるで踊っているみたいに、軽やかにしなやかに身体を捻らせて、鳥のように空中を駆けていた。
彼女の周りだけ、重力などないかのようにさえ思えた。
私の周りの人が、あいつがいれば大丈夫だってそんな話をしていたような気がする。
聞いただけで、頷きはしなかった。だって、その時、私の隣のユミルが―――、自分がやらないで誰がやるんだって鼻で笑っていて―――、そっちの方が印象に残っていた。
ズシン―――
身体が横に揺れる。
『クリスタ―――』
名前が呼ばれた。私の名前を知っているのか。今度の奇行種は、知能が高い。一人で勝てる相手じゃない。
怖いのに、自然と覚悟は決まっていた。今までも何度か思ったことだけれど、やっと解放される。
巨人と人類―――本来、どちらが生き残るべきなのか。私と私の兄妹達―――本来、どちらが生き残るべきなのか。
どうせ、間違って生まれたのだ。悪意に囲まれ、祝福もなくこの世に生を受けたのだ。
生きる意味があるのだろうか。利権のために飼い殺しに合うのと、巨人に食われるのならば――私は――。
ズシン―――
ズシン―――
「クリスタ!!!」
「きゃあ!?」
明るい世界に、私は視界を奪われた。くらっとして、こめかみを抑える。目の前では手の平が上下運動している。
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