過去ログ - クリスタ「ユミルを好きになるお話」ユミル「ほう」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 01:25:16.05 ID:uskRd4wD0
足を叩いてみた。


相変わらず鉛みたいで、わたしは目のふちが熱くなってくるのを感じた。ナイフの刃はすでに使い切ってしまっている。
同僚達のもすでに錆びきってしまっているだろう。使えるものもあるかもしれないが。


そうだ、そもそもガスが底を着いていたのだ。


ああ――


目が覚める前も、もしかしたら堂々巡りのように同じことを考えていたのかもしれない。
そうして、何もかも嫌になって脳みそが目の前の現実に付き合いきれなくなって、一度は別れを告げていたんじゃないだろうか。


一度は放棄した戦場に、なぜ、また私は戻ってきたのか。意識の有無などもはや今となっては、関係のないことなのかもしれないけれど。
最後の最後まで抗いたい、負けたくない、死にたくない。まさか自分がそんなことを?勝てるような相手じゃなくても?


違う――あいつらに会うために、食べられるために残りの人生を捧げるつもりなんてなかった。会いたいのは、もっと、別の―――。
巨人の殺し方を教わって、食事をするように肉をそぎ落として、仲間の血に塗れているけれど。


いつも、夢見ていた。誰か、たった一人でいい。
たった一人の私に出会うために、生まれてきた―――そんな人を、わたしは夢見ている。


でも、本当はわかっている。現実は残酷だと。そんな人はいないことも分かっている。


私は夢見ている。


それだけは分かっている。


だから、私は誰かのために死にたい。せめて私が犠牲になって、私が誰かの救いになれるように。ずっとずっと、それを人に求めていた。これだけ求めても、手に入らなかったようだけれど。


これだけ苦しんだのに、神様は与えてはくださらない。これじゃあ、希望なのか絶望なのか分からないじゃない。


ズシン――――


地響き。何メートル級の足音だろうか。20mくらいはあるかもしれない。右方、僅かに視界を転じるが何も見えはしない。
敵が来たらどうするか。そう、まずはこちらが優位な位置に着く必要がある。


ここは?



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