過去ログ - ミュウツー『……これは、逆襲だ』
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5: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2013/07/13(土) 02:04:17.95 ID:G632siqIo
もうたくさんだった。
自分のことなど考えたくもなかった。
遠く離れたかった。
自分を切り刻んでデータを取るような連中からも、遠巻きに奇異の目を向けてくる連中からも。
ぴたぴたと静かな足音を立てて歩く。
湿り気の強い洞窟内の水辺には『本当の』野生のポケモンたちがいた。
息を潜め、ミュウツーの様子を伺っている。
結局ここの連中とは、意思の疎通すら叶わなかった。
ただ避けられた。
ただ畏れられた。
向こうにしても、ミュウツーの存在は理解不能だったに違いない。
気味が悪いと思われていたはずだ。
そうに決まっている。
ミュウツー(海の向こうにも陸があるという。そこまで行けば、あるいは……)
ミュウツー(できれば、ニンゲンもポケモンもいないところがいいのだが)
人間の監視のない小さな岸壁の裂け目から、這い出すように洞窟を出た。
外は、思いがけず冷たい風が吹いている。
洞窟の中からも、洞窟の外の茂みからも視線が突き刺さった。
そんな気がした。
視線が嫌だったのか、ただ風が寒かったのか。
誰かからの視線を遮るように、シーツを羽織る。
ふわりと浮き上がり、空を駆ける。
はじめはゆっくり、少しずつ速度を増す。
大小の陸地が眼下を過ぎていく。
突然、黒々とした大海原が広がった。
バタバタとシーツがはためく。
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