過去ログ - 苗木「あの日見た模擬刀の名前をボク達はまだ知らない」
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10: ◆Q0.xh6bENqjP[saga]
2013/08/27(火) 14:44:43.00 ID:ji3xJrOaP

舞園「……ごめんなさい」

苗木「えっ?」

舞園「私のせい……ですよね。私が最初にあんな事をして、コロシアイのきっかけを作ってしまったんですから」

苗木「…………」


それ自体を否定する事はできない。
確かに最初のあの事件。あそこからみんなの不安は一気に加速した。

それでも。


苗木「……舞園さんのした事は間違っていたんだと思う。でも、ボクはみんなが被害者だと思ってる。クロになった人もね」

舞園「どうして……ですか……」

苗木「元々、あんな状況に追い込まれなきゃ、あんな事は起きていなかったんだ。ボクはもう学園生活の記憶を取り戻している。みんなとの楽しい思い出を覚えている。
    だからハッキリと言える。みんなは敵なんかじゃなくて、仲間だったんだって。本当に悪いのはモノクマ…………いや、江ノ島さんだ」

舞園「…………」

苗木「でも、江ノ島さんだって何か別の道はあったはずだったんだ。現に一度絶望に堕ちた人達も、また元に戻ってきている。
    確かに彼女は他の人達とは明らかに違うレベルだっていうのは分かっているけど、それでも可能性はゼロではなかったはずなんだ」

舞園「……つまり、苗木君は誰も悪者にしたくないんですね。いえ、本当に憎むべきは絶望そのもの、という事でしょうか。苗木君らしいです」


まだ舞園さんの表情は晴れない。
そうだ、彼女は本来誰かに罪をなすりつけて誰かを殺すなんていう事をする人ではない。だからこそ、これだけ罪の意識に悩んでいるんだ。


舞園「ごめんなさい、すぐに言えなくて。私、怖かったんです。苗木君に罪を被せて桑田君を殺そうとした。その事実を口にしてしまえば、全てが壊れてしまいそうで。
    こんなの、ただ逃げているだけですよね。私がした事は何も変わらないのに、ただ苗木君の優しさに甘えて……また前みたいに接してくれるかもなんて思って……」

苗木「……ねぇ、舞園さん。あのダイイングメッセージはどういう気持ちで書いたのかな?」

舞園「えっ……それは……」

苗木「ただ自分を殺した桑田君を許せなかった……だけではないってボクは思っているんだ。ボクの部屋でキミが殺されたら、疑いがかかるのはボクだ。
    だから、助けようとしてくれたんじゃないのかな? キミは最後まで人を殺す事を、ボクに罪を被せる事を躊躇っていた。だから、最初の一撃も外してしまった」

舞園「そ、そんなの……私はどうとでも言えるじゃないですか……。本当はそんな事全然考えていなくても……第一、私は一度あなたを裏切っているんですよ……?」

苗木「それでも、ボクは舞園さんの事を信じるよ。何度裏切られても、ボクはキミを信じたい」


その言葉に、舞園さんは呆然とボクの事を見た。
ボクが何か訳の分からない事を口走ったかのように、中々その意味が頭の中に入ってこないかのように。

そして。


舞園「……っ……ぅぅ……ぁぁぁあああ…………!!」


ポロポロと、大粒の涙が彼女の頬を流れていった。
それは今までずっと押しとどめてきたものが一気に溢れた、そんな涙だった。


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