過去ログ - 千秋「隠し味には、ありのままを」
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12:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/02/14(金) 22:35:05.14 ID:UFBD+olCo
「……Pさん。最後のチョコレートはどんな味だったか、訊いてもいいかしら?」
今日に至っては突然の話が多すぎる、と思ったが、こういう日は人を深くさせるのだろうと勝手に結論付けて、彼女の話に集中した。
最後のチョコレートは、千秋が直接手渡してくれたもので、そんな最後の物から感じたのは、ほろ苦さだった。
「そう……なるほど。隠し味が効いたのかもしれないわ」
「隠し味?」
「そう、隠し味。ありのままのね」
全く予想していない言葉が突如千秋の口から放たれた。
手作りだというのは理解していたが、どれもおいしいもので、最後のチョコレートだけは少しビターであった。
しかし、これもまた美味しいと感じたのでそういうものだと思っていたが……一体彼女はチョコレートに何をいれたのだろうか。
「え? 隠し味って何を――」
そういう風に言われると途端に気になってしまう。
後から聞き出すのは少し憚られる、とこの場で訊ねようとしたが、その瞬間、俺の口に彼女の綺麗な手が添えられた。
――千秋の顔が俺にぐっと近づく。
日常生活ではまずここまで近づくことはないだろう、という程に……吐息が感じられる程に、彼女は俺の胸元に寄ってきたのだ。
混乱する俺に、千秋は一方的に言い放つ。
「隠し味は、貴方に気づいてもらわなければ意味はないの。……ふふ、頑張ってね」
このままいけば唇が触れるのではないか――そんな危惧を他所に、千秋はそっと囁いてからそのまま事務所を去って行ってしまった。
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