過去ログ - 穏乃「麻雀に、おかしなことはつきものだ」
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1: ◆k1tEJoGb4VEz[saga]
2014/04/04(金) 20:54:34.71 ID:ZO2+Qwfe0

   01

 新子憧と高鴨穏乃の関係は至極単純なものだ。
 親同士のコミュニティの元に生まれる、その子供同士の繋がり。

 ただでさえ狭い田舎町なので、その関係を数多く持っていた私だが、迷惑甚だしかった。
 大人同士の交流に子供を巻き込むなという思いもあったが、私は他人から与えられる人間関係というものが好きではなかったのである。

 例えば、友達の友達という言葉がある。
 それが私は苦手だ。例え友達の友達だとしても、自分にとっては知らない誰かでしかないのだから。
 それが勝手に私の中のコミュニティに割り込んできたら、まるで畑を荒らされるようで、気に食わないのだ。
 まあ、私のコミュニケーション能力に難があると言われてしまえばそれまでなのだが。

 話を戻そう、新子憧の話だ。

 彼女と始めて出会ったのは、小学校に入学して数ヶ月経ったころである。
 彼女の実家は神社で、和菓子屋であった私の家とは何かと交流があったらしい。
 そして、同年代の娘がいるとお互いに知った私と憧の両親は、私達を引き合わせた。

 一言でいってしまえば、私達の出会いは最悪なものだった。
 一発触発、親の都合で強制的に引き合わされた私達はお互い殺伐としていたのか、出会ってすぐに口喧嘩を始めた。

 握手は右手か左手か――という、些細なきっかけである。

 しかし当時、私達は小学生。
 そんな些細なきっかけでも小一時間は喧嘩できるほどの精強さがあるのだ。
 余談だが後から聞いた話によれば、左手による握手は相手に嫌いという意思を示すものらしい。ごめん憧。

 だが、険悪だった私達の関係に転機が訪れた。
 阿知賀こども麻雀クラブの存在である。
 当時、阿知賀女子学院の旧麻雀部部室にて開催されていたその集会に、彼女が私を誘ってくれたのだ。

「アンタだけほっとくのは可哀想だから。それだけ」

 と、そっぽを向いて告げた彼女に私は驚きを隠せなかった。
 人目を憚らず喧嘩をし合う間柄だ、決して良い感情は抱かれてなかっただろう。
 それでも私を無視しなかったのは彼女の人柄か、ただ誰かに言われただけなのか。

 どちらにせよ、それを機に私達の関係が変わっていったのは事実だ。
 相も変わらず喧嘩もしたが、一緒に学校に行ったり、麻雀教室の帰りに寄り道をしたり……着実に私達の関係は善きものへとシフトした。

 それから数年、またも転機が訪れる。

 麻雀教室に通うようになって、私には多くの友達ができた。
 いつからかそれは私の中で当たり前のことになっていて、麻雀教室は通い慣れた秘密基地のような認識だった。

 だから、なのだろう。
 その秘密基地がなくなる、という話を聞いた時、私は大きなショックを受けた。

 主催者であった赤土先生が、九州の実業団に入社することになったのだ。
 九州――阿知賀、奈良から遠く離れた地だ。
 当然、麻雀教室など続けられるはずもない。

 そしてその同時期には、私たちの中学進学が控えていた。
 私は阿知賀女子学院中等部へ、憧は阿田峯中学校へ。
 別れはいつだって避けがたく訪れる。だけどそれは一生のものではない。
 さよならは惜しいけれど、生きていれば、またいつか出会えるときが来るのだ。

 ただ、運が悪かったのは、二つの別れが重なってしまったことだろう。

 ――それから二年と半年、私達は未だ疎遠なままだった。


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2: ◆k1tEJoGb4VEz[saga]
2014/04/04(金) 20:55:40.38 ID:ZO2+Qwfe0

   02

 窓から射し込む夕陽が少しだけ眩しくて、私は目を細めた。
 一日の授業が全て終了して、今は放課後。
以下略



3: ◆k1tEJoGb4VEz[saga]
2014/04/04(金) 20:56:17.14 ID:ZO2+Qwfe0

「はい、穏乃ちゃん」

 マグカップを一つ手渡される。
 注がれた紅茶の鼻孔を刺激する良い香りが、部屋中に充満していた。
以下略



4: ◆k1tEJoGb4VEz[saga]
2014/04/04(金) 20:57:15.06 ID:ZO2+Qwfe0

「……ゴールデンウィーク」

 私にとっては、思い出したくもない地獄のような一週間である。
 が、あの一週間が少しでも玄さんのためになったというのなら、それは無視してはいけないことだと思う。
以下略



5: ◆k1tEJoGb4VEz[saga]
2014/04/04(金) 20:58:05.41 ID:ZO2+Qwfe0

「だ、だったら穏乃ちゃんだって可愛いよ!」

「えー、でも私って女っぽくないですよ。アンタは女としての自覚を持ちなさいって、良く母親に言われます」

以下略



6: ◆k1tEJoGb4VEz[saga]
2014/04/04(金) 21:06:21.58 ID:ZO2+Qwfe0

 部活動を終えて、私と玄さんは共に帰路についていた。
 夏に入ろうかという季節だが、この時間には太陽はすっかりその姿を消し、紺色の空が天を覆っている。

 他愛のない話を繰り返しながら、私達は自分の家に帰る。
以下略



7: ◆k1tEJoGb4VEz[saga]
2014/04/04(金) 21:08:22.24 ID:ZO2+Qwfe0

 うーむ、と私は思案する。
 どこか見覚えのある出で立ちだ。

 恐らくは同年代なのだろう。
以下略



8: ◆k1tEJoGb4VEz[saga]
2014/04/04(金) 21:12:06.43 ID:ZO2+Qwfe0

   03

 私は家に帰った。
 鞄を置いてシャワーを浴びて乾かして服を着替えてご飯を食べて、から――すぐに。
以下略



9: ◆k1tEJoGb4VEz[saga]
2014/04/04(金) 21:13:23.94 ID:ZO2+Qwfe0

「どうしたの? もう遅い時間だけど」

 不振がられている、というほどではないだろうが、若干警戒されている気がする。
 まあ隠す意味もないし、はっきり言ってしまおう。
以下略



10: ◆k1tEJoGb4VEz[saga]
2014/04/04(金) 21:15:09.63 ID:ZO2+Qwfe0

「穏乃ちゃん」

 拝殿の前で立ち止まった望さんに、私は呼び止められた。

以下略



11: ◆k1tEJoGb4VEz[saga]
2014/04/04(金) 21:17:18.61 ID:ZO2+Qwfe0

 本殿をこんなに間近でみるのは初めてだ。
 空気が刃のように研ぎ澄まされて、神聖な雰囲気である。

「ここまで来てだけど、触っても大丈夫だよな……?」
以下略



12:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/04/04(金) 21:18:26.98 ID:KlRhb5buo
勝手に吉野市民の駅前をロープウェイにしないでくれ………
乗り換え無しで阿倍野橋まで行けるのは吉野市民の誇りなんだよ……


13: ◆k1tEJoGb4VEz[saga]
2014/04/04(金) 21:19:20.37 ID:ZO2+Qwfe0

「あのさ、憧……」

 憧はどこからか持ってきたメモ帳にペンを走らせて、それを私に見せた。

以下略



14: ◆k1tEJoGb4VEz[saga]
2014/04/04(金) 21:22:16.06 ID:ZO2+Qwfe0
今日の投下は終わりです
こんな感じでだらだら続きます
>>12
ごめんなさい(土下座)


15:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/04/04(金) 21:23:57.09 ID:WiITMRzbo
おもしろそう


16:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/04/04(金) 21:25:04.41 ID:TPgBGXigo
おつおつ

ssの設定に地元民の誇りとか知らねーよ


17:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/04/04(金) 21:28:33.80 ID:zVZviNOz0
勉強不足ですまんのだが
何かとのクロスなんか?


18:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/04/04(金) 21:29:15.52 ID:vSNJLRQj0

スレタイワロタ


19:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/04/04(金) 21:33:37.28 ID:ukamT09+o
久しぶりの大作来たな……
めっちゃ期待


20:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/04/04(金) 21:59:59.94 ID:HlbTrdHK0

なんか比企谷みたいな阿良々木みたいな変な口調だな、スレタイが和との対比かと思った


21:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/04/04(金) 22:25:54.54 ID:kK1vdO4Fo
物語シリーズだろ
面白いよ期待!
関係ないけど
照なら
照「麻雀にお菓子はつきものだ」とかいいそう
以下略



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