16: ◆vE.eVxfJKU[saga]
2014/05/27(火) 23:36:25.88 ID:gXo1YtFl0
「あのっ!」
大きな声を出した
「あなたは?」
よかった、ちゃんと聞こえたみたい
これでそのままスルーやったら精神的にきつかったかも
「あ、私……」
――どうしよう、話しかけることだけ考えてて何を言おうか考えてなかった
と言うか、あなたは?って聞かれるあたり名前覚えてもらえてなかったんやね
ウチは口ごもる
2、3秒の時間のはずなのにウチにはすごく長い時間のように思えた
アイスブルーの瞳が真っ直ぐこっちを見つめてくる
この機会を逃すわけにはいかない
だから考えた
絢瀬さんはあなたは?って言った
――だったら、自分の名前を言えばいいんじゃないか
それがウチなりの答えだった
クラスでウチは、自分のことを『私』って言ってた
親の転勤で関西の方にいたせいで口調はすこし変わっていた
東京の高校だし、なるべく標準語を使うようにしていたんよ
でも、ある意味これが初めての自己紹介
本当の自分で絢瀬さんと知り合いたかった
だから、ウチは精一杯の笑顔で
「ウチ、東條希!」
本当の自分を知ってもらうために――
この時から自分のことを『私』から『ウチ』って言うようになったんよ
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