過去ログ - 穂乃果「夏色のキセキ」
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15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/10/03(金) 23:03:57.71 ID:RJNWzUS1o
「......!!」

 瞬間、世界の全てがほんの一瞬の間に変容した、そう感じた。

 気がつくと彼女は見知らぬ部屋にいた。

 『気がつくと』というと少々語弊があるかもしれない、睡眠や気絶などによって意識が断絶した感覚は一切無かった、つい今の今まで神田明神の階段に座って希と並んで会話していた記憶が、感覚が間違いなくある。

 彼女は『常に気がついていた』にも関わらずこれだけの変化の過程を一切知覚することができなかった、あえて例えるなら『時間を消し飛ばされる』とこういう感覚なのかもしれない。

 だが今の彼女にそんなことを考える余裕などなく、とにかく自分の状況を把握することで精一杯だった。

 とにかく部屋をぐるりと見回す、四方は壁、頭上は電灯のぶら下がった天井、フローリングにカーペットを敷いた床、屋内であることは間違いないらしい、先ほどまで隣にいた希の姿はなく、少なくともこの部屋の中には彼女以外は誰もいないようだ。

 窓際にベッド、その反対の壁際には本棚、カーペットの上に置かれた足の低いテーブル、生活感溢れる脱ぎ散らかされた形跡の服、さっきまで読んでいましたと言わんばかりに開いた状態で伏してある漫画本。

 と、観察しているうちにどうやらこの部屋は『見知らぬ部屋』ではないらしい事に気づく、どこか見覚えのあるレイアウト、この部屋には以前足を踏み入れたことがあると記憶が告げる。

 極めつけにカーテンレールにハンガーで掛けられている、大きく「ほ」とだけ書かれた独特のセンスのシャツ、こんな逸品を着こなす人物は一人しか知らない。


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