過去ログ - 阿良々木暦「ひなウルフ」
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5: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/12/11(木) 23:03:49.30 ID:ey41gLLW0



002



軽快な足取りで、見慣れた街の路地裏を歩く。

もう夜も深く、しかも日曜日……いや、もう日付的には月曜日っスね。
ということもあってか人通りは少なく、明日は休みだからとはしゃぐサラリーマン達も、夜遊びを覚え始めた大学生も少ない。キャバクラの客引きのお兄さんと、今から出勤するのであろう水商売風のお姉さんがちらほら見えるくらいだ。
今日もお勤めご苦労様っス。

人目もあまりないこともあって、深夜に繁華街の路地裏を散歩するのが好きだ。

日付の変わった後の夜は、別世界のようだ。
太陽が隠れ闇に包まれることもあって、街は昼には見せない様相を曝け出す。
その中を何をするでもなく歩いていると、何か起こるんじゃないかという期待感と、こんな時間にという背徳感からか、何とも言えない気分になる。

今にも弾けそうな好奇心に呼応するかのように、強く鼓動を打ち続ける心臓。
文字通り飛んだり跳ねたりしまいたい欲求に駆られる程に身体が軽く感じるのは、気のせいではないのだろう。

「あはっ」

思わず笑みがこぼれる。
二十歳の、ましてや女の子が出歩く時間帯でないのは百も承知だ。
けれど、敢えてそうしているのは言わずもがな、誘っているからに決まっている。

そういえばここ三日ほど、まともに遊んでいない。
余談だけれど人は遊ばないと表情を忘れる事がある。
前、無茶なスケジュールを組んで二週間くらい部屋にこもりきりの時があったけれど、その後、上手く笑えなかったことがあるのだ。
修羅場あるあるその1っスね。
人間、何事も程々にこなさないといけないといういい教訓だったっス。

欠伸を噛み殺して空を仰ぐ。
仄かに下界を照らす月の光は、開き切ったコンタクト越しの瞳孔に明瞭な視界を与える。
月の光に愛されるような感覚は、まるで吸血鬼になったようだ。

きっと今のアタシはかなりひどい顔をしているのだろう。
発情期の猫のような顔を見られるのに抵抗がある訳ではないが、アタシの趣味を阻害する可能性がある限りは、そろそろ今夜の標的を決めてしまおう。
入稿も終えたことだし、向こう二日はオフだ。
とりあえず丸二日は遊び尽そう。
今なら隕石が落ちてきてもバットで打ち返せる気がする。



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