過去ログ - 阿良々木暦「ひなウルフ」
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4: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/12/11(木) 22:55:59.21 ID:ey41gLLW0

「いいっスよ、どこですか?」

「えっと――」

男の人が口にしたのは、ここ付近にある神社の名前だった。

「ああ、そこでしたらすぐでスよ」

説明も簡単な場所なので、口頭で道順を伝える。

「なんだ、すぐ近くじゃん」

「そうだな、急ぐぞ」

しかし、神社とは言え、地元民しか知らないような超マイナー神社だ。
長年近くにありながら何が祀られているのかもわからないくらいで、間違っても観光名所になるような場所ではない。
そんなところに何の用があるのか、想像もつかなかった。

あと、やっぱり金髪の美人さんは男でした。
髪も長かったから遠目では女に見えたんスけど、近くで見るとおっぱいありませんでしたし。
それにしても、かなりの美人だ。
プロポーションも抜群である。
二十歳になってちょっとお腹周りが気になって来た身としては羨ましい限りだ。

……最近原稿で強制引きこもりばっかりだったし、ちょっとはダイエット、しようっスかね。
おとめの体型は後悔してからじゃ遅いのだ。

「ありがとう、助かりました」

「ありがとな、お姉さん」

「…………」

変な二人組は、アタシの懊悩も知らずに神社の方角へと向かって行く。

……何だったんだろうか。
死線明けで幻覚でも見ているのかも知れない。
精神が限界を迎えると妖精さんや普段見えないものが見えるのはよくある話っス。
この間なんて修羅場の真っ最中にベレー帽を被ったおっちゃんが頭上に降臨したこともあるし。
修羅場あるあるその2っスね。

「ん……なんスか、これ……?」

まともにお風呂にも入っていない頭をがりがりと掻くと、ぱらぱらと何かが舞う。

「……灰?」

修羅場だったとは言え女子が到達してはいけない地点まで来てしまったか、と一瞬危惧するも、手のひらに付着していたのは、紛うことなく灰だった。

指先でこすると、ほろりと崩れてアイシャドウのように指先を灰色に彩る。
もちろん、周囲に火種がある訳でも、煙草を吸っている人がいる訳でもない。

「…………」

恐る恐るもう一度頭に触れてみるが、今度は何もなかった。
手を再度確認するも先ほどの灰色はなく、人生で飽きるほど見てきた自分の手だ。

……幻覚っスね。
間違いないっス。

そろそろ頭も悲鳴をあげ始めているようだし、帰ってお風呂に入って寝るとしましょうか。



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