過去ログ - アニ「再会」
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24:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 23:49:51.61 ID:/uXU+UIh0

巣に戻るツバメの勢いで兵舎に引き返し、私服に着替えると、上官に気付かれないよう最高度の注意を払って抜け出した。

冗談じゃない。まだ日は高いってのに、夕方までむさくるしい制服のままじゃいられないでしょ。そりゃ、私服っていっても大したものは持っていないけれど。

以下略



25:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 23:53:42.92 ID:/uXU+UIh0


「いいや。良くもなく悪くもなしってところかな。……やっぱり肉はないね。挽肉入りのシチューが一番の高級料理とはね」

「サヤエンドウと大豆入りでしょ? 私それ好き」
以下略



26:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 23:57:16.56 ID:/uXU+UIh0

訓練兵を終えて駐屯兵団に入りはしたが、半年で除隊し実家に戻った。
父を早くに失くし、体の不自由な祖父と母を残したままにはできなかったのだと、釈明でもするような調子で彼は語った。

マリアが陥落したのは彼の除隊直後。私が返す言葉に詰まって目を泳がせているうちに、料理が来た。
以下略



27:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 00:00:54.07 ID:WqBWMs990


「お酒とか好き?」


以下略



28:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 00:15:58.79 ID:WqBWMs990

外は涼しく、星が綺麗に出ていた。

私たちは運河沿いの手すりにもたれ、夜空に黒々とした姿を屹立させるウォール・シーナを眺める。やがて壁の頂きにかがり火が灯った。

以下略



29:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 00:19:16.88 ID:WqBWMs990


「今は私服だし、どこか明るいところに行けばスケッチができると思ってね」

「あ、……そうだったね」
以下略



30:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 00:21:40.21 ID:WqBWMs990


「大昔の言い伝えにある、聖者の誕生日のお祝いを知ってる?」

「聖者の?」
以下略



31:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 00:25:55.37 ID:WqBWMs990

口をつぐんでいる彼に私は畳みかけていた。


「駄目? 先約でもある?」
以下略



32:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 00:29:20.85 ID:WqBWMs990

私がうつむいて、顔に上げられた彼の手を押さえると、それは静かに私の肩を通って離れていった。


「誤解しないで。あなたはとてもいい人」
以下略



33:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 22:43:47.87 ID:WqBWMs990



そしてあっという間に、第57回壁外調査の日がやってきた。

以下略



34:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 22:46:54.75 ID:WqBWMs990


グンタ・シュルツ。ひょっとしてこの名前も嘘だったりするの。

そりゃ、あんたが諜報任務を帯びてストヘス区に現れ、間抜け面を装って私に近づいたって考えれば辻褄が合うんだけどさ。
以下略



35:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 22:51:04.22 ID:WqBWMs990


そして今。

あれから途方もなく長い時間が流れた気がする。
以下略



36:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 22:55:46.54 ID:WqBWMs990


クリスタ。もう私は口がきけないけれど、心の耳があるのならそこで聞いて。


以下略



37:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 22:59:53.27 ID:WqBWMs990


「女王陛下のご退席!」


以下略



38:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 23:07:45.64 ID:WqBWMs990


「残念! 時間切れだ! 皆の衆、女型の巨人は人間に戻ることを拒否した! 女型の巨人は巨人として死ぬ!」


以下略



39:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 23:15:33.43 ID:WqBWMs990


皮の手袋が、乙女の柔らかい二の腕をつかむ。全身に鳥肌を立ててヒヨコみたいに震える。視界の隅を横切る、黒々とした鋸の表面。

左腕の付け根で火花が散った。火花は炎になって、私の左腕を包み込んでいく。
以下略



40:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 23:20:29.19 ID:WqBWMs990

目玉の奥まで突き刺さった釘は随分と不器用に掻き回され、一つだけ残っていた私の眼球はえぐり出された。


「ヒストリア女王弥栄(いやさか)!」
以下略



41:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 23:25:41.85 ID:WqBWMs990

どうして謝るの。

謝るのは私の方じゃないの。あんたらに迷惑ばかりかけてきたのに。
だからせめて、今の私が見えるんなら、そこで見ててよ。戦士としての最期を。
以下略



42:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 23:28:35.47 ID:WqBWMs990

女が悲鳴を上げている。あんたたちなぜそこにいるの? ほんとに、なぜ?

慈悲を乞えって? この期に及んで? 申し訳ないけど、それだけは、それだけはできない。

以下略



43:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 23:32:49.63 ID:WqBWMs990


いいんだよ…… それに今さら、言い訳はしないよ。

構わないよ。
以下略



44:名無しNIPPER[saga]
2014/12/25(木) 23:35:51.39 ID:WqBWMs990





以下略



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