10: ◆IWuyJvzLOZKF[saga]
2014/12/27(土) 07:31:06.00 ID:HSj1W9VK0
「『もしもし、どちらさまですか?』」
だがそんな自嘲を吹き飛ばすように、上条の心臓は突如起こった異変にドキリと撥ねた。
真上。
電話に答えた上条自身の声が、何故か電話ボックスの上方から聞こえてくる。
思わず電話ボックスから飛び出た上条が見上げた先にいたのは……。
【ピー…、ピー…、ガガガッ】
一言で表すなら怪人。
人のような姿をした「何か」が、上条を見下ろすように宙に浮いている。
「だ、誰だ?」
学園都市では能力を応用して宙に浮ける人間がいてもおかしくない。
ただその妙な恰好や不気味な雰囲気といい、目の前にいる存在が人間だとはとても思えなかった。
まるでこちらを観察しているかのように爛々と光る怪人の目が、上条の身体を射竦めている。
【ピー……ガッ…、Q…!! ピーッガガッ】
その場から一歩も動けずにいた上条だったが、やがて怪人はまるで煙のように姿を消してしまう。
怪人が消えると操り糸が切れたように、上条はドッと地面に尻をついた。
「な、何だったんだ、今の? 幻?」
幻覚でも見ていたのだろうか?
しかし先ほどまで感じていた得体の知れないプレッシャーに、今も上条は動悸が収まらずにいる。
ただの幻覚ではなく確かに存在した現実によって、上条は言い得ぬ恐怖を覚えたのだった。
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