9: ◆IWuyJvzLOZKF[saga]
2014/12/27(土) 07:30:23.07 ID:HSj1W9VK0
「……不幸だ」
しかし何とか無事に一日を過ごせたという安堵も空しく、その日も上条の不幸は終わらなかった。
リリリリリリリリリリリリリリ
帰る途中で偶々見つけた電話ボックス。
そしてどう見ても無人である筈の電話ボックスで、公衆電話がしきりに鳴り続けている。
先ほどあんな話を聞いたばかりだ。
美琴との約束を律儀に果たす義理はないのだが、鳴り続ける電話が妙に気になって上条は恐る恐る電話ボックスへと近づいていく。
「公衆電話つっても番号が分かれば掛けられるよな? どうする、出た方がいいのか?」
辺りを再度確認するが人の気配はなく、その間も公衆電話は鳴り続けたままだった。
どうやらテレフォンカードも使えるらしいが、美琴の話にあった赤いテレフォンカードは見つからない。
その時点で離れても良かったものの、そもそも誰が公衆電話などに電話を掛けるのか?
恐らく天文的確率に等しいだろうが、誰かが助けを求めているという可能性はないのか?
(結局は偽善使い≪フォックスワード≫なんだよな)
そして無意識の内に受話器に手を伸ばしていた自分に、上条は苦笑いを浮かべる。
上条が電話に出ようとしたのは純粋な善意によるものではない。
この電話に出なかった時に起こり得る万が一の可能性を恐れたからだ。
何の解決にならないとしても、何かしたという慰めだけは欲しい。
それが今の上条の行動理由だった。
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