1:名無しNIPPER[saga]
2015/02/12(木) 19:47:14.82 ID:uTiPQ6RfO
2月14日。
少しだけ早起きをして、昨日のうちに作っておいたチョコレートの出来具合を確認する。なかなか上手い具合だった。あの子が好む塩梅だろう。
用意しておいた包装は去年と同じお店のものだけど、今年は少し大人っぽく。私もあの子も、もう中学生になって一年が経つ。
他の子用に作ったものと微妙に違うその特別なチョコレートを、慎重にたたみ包んでいく。でも何か物足りない気がした。
そういえばこの包みを買ったお店には、メッセージカードもいろいろ売っていたっけ。
チョコだけでは伝えきれない想いを書いたり、むしろメッセージが主役で、それを送る理由付けとしてチョコを添えたりする人もいるのだろう。
手持ちのメモに何か書いて挟もうか……そう思って、すぐやめた。なにせ朝は時間がないし、起きたてでうすらぼやりとした私の頭は何のアイデアも思い浮かんでくれない。それに今さらあの子に、何を書くことがある?
シンプルでいいのだ。余計な装飾も、余計な具もない、メッセージもないただの甘いチョコレート。
あの子が好きなこの味だけを、毎年この日に渡している。
櫻子もきっと、それだけを望んでいる。
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