過去ログ - 新戸緋沙子「私は、お前のことが好きだ。幸平創真」
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7:++/ryOVR0
2015/03/14(土) 18:09:19.26 ID:++/ryOVR0
「む、出来たな。では試食といくか」
「おう」

完成した料理を一口含むと、思わず仰け反ってしまいそうな旨味が口の中に広がった。
共同で作ったものだが、メインは幸平創真によるものだ。
秋の選抜で2位に残ったから実力は確かだと知っていたが、これほどとはと思わず狼狽しそうになる。

「んー、まだまだだな」

しかし幸平創真は難しい顔をして言う。
こ、これでか?と思わず言ってしまいそうになるが、情けないのでそれは料理と一緒に飲み込むとした。

「……四宮先輩は、これ以上の物を作っていたのか?」
「あぁ、正直比べ物にならない。四宮先輩の専門分野ってのもあるけど、全く勝負にならねぇ……」

んー、と悩みながら料理を口に運ぶ幸平創真を見て、私は前とは違う胸のわだかまりを覚えていた。
私の死にも狂いの努力は、幸平創真にはまだまだ遥かに及ばないのか。

「幸平創真!」

立ち上がりバンッと机を叩くと、幸平創真はビクッとこちらを見上げる。

「復習だ!何故四宮先輩に届かないのか!私も一緒に考えるから、お前も付き合え!」
「え?いや、元々そのつもりだけど、いきなりどうしたんだお前」
「いいから!しっかりがっつりやるぞ!」

私は自分の悔しさを隠すのに精一杯で、それを誤魔化すように厳格な新戸緋沙子を繕った。
幸平創真はまだまだ先にいる。そしてその遥か先に私のいたい場所がある。

「???まぁ、いいや。なんか知らねぇけどやる気みたいだし。んじゃ、いっちょやるか新戸」

結局、昼から始まった幸平創真との料理の試作は、終わってみれば夜になるまで続いていた。

「ありがとよ新戸。今日はすげぇ助かった」
「気にするな。私も私のためにやっただけに過ぎない。私自身も勉強になった。礼を言う」

「送らなくて大丈夫か?」
「ん?あぁ、大丈夫だ。すぐそこだからな私の寮は」
「ん、そっか。じゃあまたな新戸」
「……あぁ、またな幸平創真」



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