20: ◆DFyQ72NN8s[saga]
2015/04/04(土) 06:23:36.69 ID:JO/9j/TF0
それからしばらくして、私が浅い眠りから目覚めると、そこにお姉ちゃんはいませんでした。
なんとなく、そんな気がしていたのは、やっぱり私たちが
どうしようもなく「似た者姉妹」だからなのでしょうか。
ベッドから起き上がって、立ち上がると、姿見に自分の顔が映ります。
一晩中泣き腫らして、酷い顔−−きっとお姉ちゃんも、
おんなじような顔で、ふたりで暮らしたこの家を出て行ったのでしょう。
私とお姉ちゃんは、最後の夜になってようやく、お互いの隠していた顔を見せ合ったのです。
酷くて、醜くて、赦されない想いを。
部屋を出ようとした時です。
ふと見ると、私の机の上に走り書きのようなメモがあるのに気づきました。
【行ってきます。唯】とだけ書かれた、涙で滲んで震えた文字。
きっと、眠ってる私を起こさないように、声を殺して泣きながら書いたのでしょう。
やっぱりお姉ちゃんは−−いつも、いつまでも、私のお姉ちゃんなのです。
そしてそれが、私たちの、昨日までの私たちからの卒業証書で−−私がそれを見つけたたった今、
私たちの卒業式は終わったのだという事に、気づきました。
「行ってらっしゃい……お姉ちゃん」
メモに滲んだ涙の跡に−−溢れた涙が、重なりました。
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