過去ログ - ていとくがこわれるはなし
1- 20
14:名無しNIPPER[saga]
2015/05/25(月) 09:12:46.78 ID:aSX0k2+n0

本当を言うとね、あの中で新米提督に選ばれるのは遠まわしの死刑宣告だったの。

机上で鎮守府の運営方法だけは知っていても、いざそこに着任するのは戦場を知らない雛鳥よ。

その人にとっては適所だと思って進軍した結果の轟沈なんて、それこそ当時はザラだったもの。

鎮守府近海で試験運用がてらに沈んでいる艦娘の数って知ってる?

……いいえ、ごめんなさい。これはアンタには関係ない話だったわ、忘れて。

その五隻から選ばれなかった他の艦娘は、そのまま艤装を外して海軍から抜ける予定になっているの。

もちろん艦娘としての記憶を綺麗さっぱり忘れて、手厚い給付金をもらって父母の元へ帰れるらしいわ。

まぁ……話ではそうなっているけれど、その辺りは曖昧なの。

だってそうでしょ? 記憶を無くしているから、向こうはこっちを忘れている。手紙なんて届く筈ない。

それとも軍事機密を遵守するために鬼籍に入れて故郷に戻してるかも知れないし、まぁその辺は知らないわ。

あんたが元帥にでも成ってから調べてみれば分かるんじゃない?


話がずれちゃったわね。 それで実際に選ばれた私は、一日だけ日を空けてアンタの居る鎮守府に配属されたわ。

あの日の夜ほどアンタを憎んだことは無かった。

もし選ばれずにいたらお母さんに会えたんじゃないかって。

辛かったことを全部なくして、新しい人生を始めることが出来たんじゃないかって。


アンタの元に来る前の日の晩。

たぶん私、今まで生きてきた中でも一番泣いたんじゃないかしら。
 


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
170Res/47.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice