5:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 10:03:40.23 ID:BVZ5thB50
「福部先輩はどーなんですか?」
傍らに座っていた後輩、いずるが訊く。
「自分のことはわからないもんなんだよ」
6:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 10:04:22.97 ID:BVZ5thB50
「福部先輩はどーなんですか?」
傍らに座っていた後輩、いずるが訊く。
「自分のことはわからないもんなんだよ」
7:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 10:05:07.76 ID:BVZ5thB50
ふいにドアが開かれた。乱暴な。苛立ちをぶつけるかのような音が部室に響く。
「おまえたち、何をしている?」
初老の教師が大股開いてツカツカと歩みよってくる。
8:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 10:06:20.66 ID:BVZ5thB50
「知ってるさ福部、だがおまえは三年生のはずだろう。ここにいる必要はない」
「すみません。私が来るようにお願いしたんです」
いずるが立ち上がってこうべを垂れた。
9:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 10:06:51.98 ID:BVZ5thB50
「んー。なんとか騙せましたねー 教科書準備しててよかったー」
俺は別の個所が気になった。
「お前、教師にはきちんとした敬語なんだな」
10:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 10:08:13.14 ID:BVZ5thB50
三年時の文化祭はつつがなく終了した俺たちは
本来なら引退して家と学校の往復にいそしんでいなければならない。
それでも部室に入り浸れるのは、いずるに勉強を教えるという理由があるからだ。
11:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 10:08:54.86 ID:BVZ5thB50
「千反田先輩まだですかねー」
「何か用事でもあるのかい?」
「いえ。お菓子が食べたいので」
12:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 10:10:01.71 ID:BVZ5thB50
里志も携帯電話をいじくり始めたので俺はショルダーバッグから文庫本を取り出した。
草野球で無敵の主人公がプロ野球界に殴り込み、強打者達をクレバーな投球術で翻弄していく姿を描いたもの。
野球素人の俺から見てもかなり荒唐無稽な筋立てだが、これがすこぶる面白いのだ。
13:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 10:11:14.32 ID:BVZ5thB50
扉がゆっくりと遠慮がちに開く音が、沈黙を打ち破る。
「こんにちは。折木さん、福部さん、いずるさん」
言いながら、千反田えるが頭を下げる。
14:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 10:11:58.04 ID:BVZ5thB50
プライベートで出かけるときや部室の掃除といった限られた場面でしか見せなかったのだが
三年に進級してすぐの頃から、常時ポニーテールにするようになった。
まあ本人にも何か事情があるのだろう。俺は理由については突っつかなかった。
15:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 10:13:00.27 ID:BVZ5thB50
「どうしたんだい」
「あのですね。わたしから提案があるんです」
「ほうほう。それは」
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