3:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
2016/01/14(木) 20:32:59.69 ID:WSIzw0zAO
「もう、俺たちは自由だよ」
兄のいつものような笑顔の裏に秘められた狂気めいたものが恐ろしくてたまりませんでした。
「もう、戦わなくていいんだよ。お前は僕が守ってあげるから」
まるで舞台俳優のごとく、大袈裟な声で僕の心をダイレクトに突き刺すように
「これで 俺らはずっと一緒にいれるよ、大丈夫。今度から俺がお前を守るからさ」
兄は台本のようなありふれた台詞に、暴発しそうなほどごちゃ混ぜにした感情を乗せるように僕に放り投げる。
「だって お前は俺の玩具だもんな」
兄は怒っているのか 泣きそうなのか 悲しいのか 喜んでいるのか 楽しいのか わからないような笑顔でした。
いやそういえばもともと兄貴はこうやって笑っていたんでした。兄貴の感情の伴わない笑顔を、僕はただ気付かないふりをしてすごしていただけです。
それを察した時、両親はもう二度と僕らの前に帰ってこないのではないかと薄々気付いたのでした。
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