14:名無しNIPPER[saga]
2016/02/11(木) 22:55:03.18 ID:n3AMBxtn0
「雪歩」小さな声で呼びかける。
数秒間固まったままだった雪歩は、やがてゆっくりと顔を上げた。
雪歩の顔がすごく近くに見える。距離は10cmもないだろう。
雪歩の大きな瞳から零れそうな涙も、この距離なら鮮明に見えた。月明かりに照らされた瞳はキラキラとしていて、まるで宝石のようだ。
ボクは――雪歩にキスをした。
頭で考えてした行動じゃなかった。まるで吸い込まれるみたいに、自然と体が動いていた。
付き合ったばかりだとか、女の子同士だとか、これがファーストキスだとか……そんな事は一切頭をよぎらなかった。
唇を重ねた瞬間、雪歩が一瞬体を震わせるのを感じたけれど、それからは静かにボクの口付けを受け入れてくれた。
その時間が数秒なのか数十秒なのか、それとももっと長い時間だったのかはわからない。だけど、それはとても幸せで満ち足りた時間だった。
時間が止まったかのように寄り添う二つの影。
そんなボク達を、月だけが静かに見下ろしていた。
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