過去ログ - 安部菜々「その先も、ずっとずーっとウサミン星
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8:名無しNIPPER[saga]
2016/02/14(日) 18:27:47.78 ID:mnHvmUBA0
「自分は中つ国が実在すると思っている」

 その人は、ナナをスカウトする時にそんなことを言いました。

「中つ国?」

「ミドルアースと言ったほうがよかったか?」

「あー、指輪物語!」

 中つ国とは、J・R・R・トールキンの作り出した物語の世界のことです。
 日本でも指輪物語と題されて実写絵画化され、そのハイファンタジーの世界の知名度は低くはありません。
 エルフとドワーフ、それにホビット。漫画やゲームでも使われるようなファンタジーの基礎となったその世界は、ナナも大好きでした。
 だけど、それはあくまで創作の世界のことです。トルーキンが持てる知識を総動員して作り出したその世界が如何に完成度が高くても、架空の物です。
 それが実在すると、プロデューサーさんは迷いなく言い切ります。

「……正気ですか?」

「正気だ」

 そう答える声と瞳は真剣そのものでした。今でも確かに覚えています。

「え、だって」

「物語を、信じていると言った方が正しいかな」

 戸惑うナナを前にして、プロデューサーさんは恥ずかしそうにしていました。

「と言うか、自分がその世界が存在するって信じたいの、かな」

「あー、分かります。ナナも信じたいものってあります」


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