30: ◆2QfXBkV1Yr70[saga]
2016/07/02(土) 23:46:25.58 ID:Vy1QLemu0
周子「……お腹すいた」
情けなくても腹は減るもので、ため息しか生産していなくてもエネルギーはいる。んー、自分で言うのもなんだけどかなり辛辣だ。
あたしは痛みで疼く頭を抱えながら、布団からもぞもぞと出る。幸い、キッチンはすぐそばにある。キッチンはこれまた古いガスレンジ。冷蔵庫もかなり古い型で、ところどころ塗装が剥げている。ただどちらも丁寧につかわれているのか、油汚れとかはついていない。
周子「……すごい、土鍋や」
おかゆは土鍋の中にあった。しかも卵がゆだ。これは周子ちゃんポイントが高いですなぁ。
火を通す元気はないので、そのままお椀によそう。
周子「いただきます」
一口含むと、口の中に優しい旨みが広がる。お米は潰れきっておらず、かといって火が入っていないわけではない。卵も程よく固まっていて、艶やかな黄がお椀を彩る。昆布でだしを取っているのも京都出身の周子ちゃんを意識してなのか、なんとも憎い演出である。
あたしは夢中でおかゆをほおばる。一口、二口と手を動かすたびに、なんだか不思議と力が沸き踊るように感じた。おいしい料理は、人を元気にするんやなぁ、なんて。
一所懸命食べていたら、いつの間にか三回もおかわりしていた。おそるべし、Pさんのおかゆ……ただ、土鍋にはまだ半分残っていたので、一度火にかけてから、蓋をした。
周子「さて、と」
おかゆを食べると、あたしはそれなりに回復していた。お外に出れるほどじゃないけど、おうちの中が探索できるぐらい。
周子「あはは、家で一人残してるのが悪いんだよーっと」
あたしはそう呟きながら、昨日入れなかった場所に潜入捜査することにした。ここまで家が広いと、充実した成果を得られそうだ。
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