過去ログ - 梓「嵐の夜に」
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8:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/20(土) 22:56:43.48 ID:Ljuzcmhc0
☆☆☆


思い切って手紙を出したその翌日、約束した時間の五分前。グラウンドの端にある、大きな樹の下に足を運ぶと、もうすでに、その人は樹にもたれかかるようにして待ってくれていた。わたしの姿に気がついて小さく手を振る。わたしも振りかえす。沈みかけた太陽が長い影をつくっている。その影に隠れて表情がよく見えない。

「すみません、遅れてしまって」

「遅れてないよ。わたしが早く着いちゃっただけ」

影から踏み出した唯先輩の横顔を夕日が照らす。頬が赤く染まっている。わたしの頬もこんな風に赤くなっているのかな。それだったら都合がいい。いや、こんな状況になって恥ずかしがってることがバレようがバレまいが関係ない。さすがに唯先輩だってわたしが今からなにをしようとしているか、わかってるに決まってる。


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