過去ログ - 【ガルパンSS】西住隊長は天才だから!凡人の気持ちなんてわかるわけがないですよ!
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名無しNIPPER
[saga]
2016/10/02(日) 22:08:26.71 ID:hsNhL/EX0
場所を港近く、海岸沿いにある公園に移し、ベンチに並んで腰かける。
港からここに来るまで2、3言葉を交わしたが、内容がもう思い出せないから、当たり障りのない、なんてことのない会話だったと思う。
ベンチに座ってからは、お互い一言もしゃべってはいない。西住隊長は、何度か口を開きかけ、
何かを話そうと、切り出そうとしているみたいだけれど、上手く言葉にならないようだ。
でも、さっき顔を合わせたときに感じた、翳りのようなものがより表情に表れていて。
だから私も、なぜ西住隊長が会いに来たのか、すでに察しはついていた。
「あの…。えっと」
また。彼女は何かを話そうとして、口を閉じ、顔をうつむける。
(早くこの人と別れたい。)
正直、久しぶりに会った先輩にこんな感情を抱いてしまうのは、少し。いやかなり嫌なやつだとは思う。
しかし、早く話を切り上げて、今すぐにでもここから立ち去りたかった私は、自ら話を切り出した。
「あの。西住隊長すみません。最近の私たちの対戦成績を見て、心配してきてくれたんですよね?みっともなくて、本当に嫌になります。」
私が口を開いたことで、少しほっとした表情でこちらをみた西住隊長は、ネガティブな私の発言を聞いて、とても悲しそうな表情となった。
そんな顔は見たく、させたくなかったのに。
その悔しさからか、恥ずかしさからか、返答を待たずに私は話し続ける。
「大洗女子学園の輝かしい戦績に、泥をぬっちゃいました。せっかく西住隊長から隊長を受け継いだのに。
私を信頼して、任せてくれたのに。全然、期待にも沿えずに。むしろ裏切ってしまっ」
「そんなことない!」
私の話をさえぎった大きな声に驚いてで彼女の方を向き、そして、その目に涙がたまっていることに今更気が付いた。
「そんなこと、ないよ…。」
同じ言葉を、今度は消え入りそうな声で繰り返す。
「澤さん、頑張ってるよ…。分かるよ。」
頑張っている。そうだ。がんばっている。でも。
「私、忙しくて試合を見にいけない時でも、大洗の試合内容は必ず見ているの。」
やめて。
「いつも惜しいところで負けちゃうけど、だから、分かるよ。」
やめてやめて。
「みんなのことを大切にして。戦場の隅々まで気を配れていて。そんな澤さんらしさが試合会場にいなくても伝わってくるの。」
やめてやめてやめて。
「まだ結果は出せていないかもしれないけれど。でも、いつかはきっと。」
「やめて!」
ドロドロと頭に渦巻いていた、けして声に出すまいとしていた言葉が、口からこぼれていた。
「やめてください!いつかなんて!私は、今勝たないといけないんです!後を託してくれた先輩方に。私を信じてついてきてくれるチームメイトたちに!
私は勝って、証明しないといけないんです!間違ってなかったって。信じてくれてありがとうって!西住隊長は、天才だから。勝って結果を残しているから!
いつかなんてそんなことが言えるんです!そのあなたの、天才の後を継いだ凡人の気持ちなんて。わかるわけがないですよ!
大洗はもう、大会2連覇の学校なんですよ!あなたのせいで!」
一度開いた口は、止まらない。頭の中ではもうずっと耳鳴りが響いていて、思考がぐちゃぐちゃで何を話しているのか、自分でもわからない。
ただ。去年、隊長を引き継いでからずっと抱えていた不安や申し訳なさや怒りや自分への失望が、ない交ぜになって口からあふれ出ていた。
「澤、さん。」
私の喚き散らす大声に対して、か細い、とても小さい声だったにも関わらず、その声ははっきりと聞こえた。
でも、その声色から想像できる、西住隊長の今の表情を見るのが怖くて。申し訳なさ過ぎて。
「…すみませんっ!」
投げつけるように言葉を発して、返事を聞かずにその場から駆け出した。
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