6: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/11/30(水) 18:46:34.70 ID:7FZgc2Oz0
「白いもん。寒くて当然だよ」
「白は秋だよ、白秋。冬は黒、玄冬」
「えー、黒い雪はヤダなぁ」
「いやだから、黒いのは冬だよ」
意味のない会話を終えて、三十分後に待ち合わせ。準備は間に合うのと聞いてみると、フレデリカはよゆーよゆーと笑って答えた。その言い草はあまりに適当で、信用ならなかったけど、彼女は時間通りにやってきた。
化粧はしっかりされていた。緑色のロングコートと赤い長靴という出で立ちは、サンタクロースを彷彿とさせる。そんな感想を告げると、はぁいフレちゃんの笑顔をプレゼント、フレデリカはにっと微笑んだ。可愛らしいのに、どこか演技かかっている気がする。気づかないふりをして、ぼくはわざとらしく可愛いと褒めると、彼女はだよねと、ちょっとだけ寂しそうに応えた。
「じゃあ、行こうか」
「そうだねー。雪だるまにはなりたくないもんねー」
早朝なのもあって、道中はひと気がなく静かだった。公園に到着する頃には、雪は小降りになった。
公園は高低差を利用して作られており、最上部は街を見下ろせる展望エリアになっている。ぼくとフレデリカは決めたように展望エリアに足を運んだ。
ふたりで街を見下ろす。雲には切れ間ができていて、日が差し込む。どこまでも白く染まる街は、きらきら輝いていて綺麗だった。
「綺麗だねー! 街もお化粧するんだね。アタシも白塗りにしたほうがいいかな?」
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