10:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/28(水) 21:40:30.12 ID:Hhhi1HzW0
そう言って、女医さんは渡したはずのペーパーナイフを私に差し出しました。
花陽「あの、これは?」
女医「名工が暇潰しに作った一品物にルーンを刻んだだけのものだけど、魔除けとしては一級品でね……きっとあなたを守ってくれるわ」
差し出されたペーパーナイフを受け取ると、女医さんは嬉しそうな表情を浮かべました。
ペーパーナイフは大きさの割にそこそこの重さがあるので、もしかしたら純銀で作られたものなのかもしれません。
花陽「こんな高価そうなもの……本当に頂いてもいいんですか」
女医「道具は持つべき人が使いこなしてこそ、真の価値が生まれるものなの。そのナイフは、君が使ってこそ輝ける……私はそう思った。大事に使ってね」
花陽「は、はいっ、ありがとうございます」
女医「そろそろ時間かしら……支払いは済ませておくから、君はゆっくりしていくといいわ」
腕時計を確認した女医さんは伝票を持って席を立つと、レジに向かって歩き出そうとします。
しかし、一度だけ立ち止まると、元いた席の方──つまり私がいるテーブルの方に振り返ると、一言だけ告げました。
女医「また会いましょう」
女医さんが店を出て行くのを見送ってから、もらったペーパーナイフに目を向けます。
外から差し込む日光に照らされ、ナイフが白く鋭く光ったのが、やけに印象的でした。
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