12:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/28(水) 21:42:25.07 ID:Hhhi1HzW0
染みは路地裏に向かうよう、続いていました。
点々としている染みを追いかけていると、その色が段々と濃くなっていきます。
これ以上は良くない、人もいないし視界も悪い。なにより嫌な予感がする。
そう思っていても、足は歩みを止めようとしてくれません。
曲がり角の先にある行き止まりに辿り着いたところで、私は息を呑みました。
花陽「──えっ?」
人が、人を食べてる。
髪の長い女の人が、スーツを着た中年の男の人の首筋に喰らいついてる。
じゅるじゅる。
じゅるじゅるじゅるじゅるじゅるじゅる。
なにかを啜るような音が聴こえる。
なにか──なにかってなんなの?
そんなの見ればわかるに決まってる。
アレは、血を啜ってるんだ。
花陽「──っ!」
叫び声を上げそうなところを、間一髪のところで防ぎました。
まだ、向こうはこちらに気がついていません。
なら逃げられるはず。
逃げなきゃ。
逃げなきゃ!
逃げなきゃ!!
その場で膝をつきそうなのを堪えて、震える足に無言で喝を入れて、一歩ずつ後退します。
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