14:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/20(金) 00:40:56.20 ID:b4qt7MSMo
気づけば私の乗っているゴンドラは、てっぺんの12時部分に到達していた。一番明るくて暖かいてっぺんだ。
綾乃「ちょっとした挨拶も何もかも、本当は差し伸べられるたびに嬉しくてね……次に繋げよう繋げようって、必死だったわ」
そうしていつしか私は……歳納京子に話しかけられれば、ほぼ反射的に張り合う姿勢を見せるようになってしまっていた。
臆病な私が彼女と同じ高さのステージに立つにはこうするしかないと思っていた無意識の行動が、身体に沁みついてしまっていた。
綾乃「それでたまに言い過ぎちゃったり、どうして素直になれないのか悩んだり、失敗して落ち込むこともあったけど……でも、歳納京子とは次第に、友達と言える関係になれたと思う」
『京子さんとの距離を縮めて、友達になれて……でも、そこはゴールじゃなかったんやね』
綾乃「……ええ、そうね。このきもちに終わりなんて来なかったわ」
『それはなぜやと思う?』
綾乃「えっ?」
『ふふ……自分でも言うたやん? それはこのきもちが “恋” だからや。きっとな』
綾乃「あ……///」
アライグマさんはシートからちょこんと降り、立ち上がって私の膝に小さく手を乗せると、満足そうにうなずいた。
『京子さんに一歩でも近づきたい……少しでも彼女に関わっていたい。そのために弱い自分を奮い立たせ、努力した……それは立派な “恋” のきもちやと思うわ』
綾乃「そ、そう……?」
『せやで。誰にでもできることやない……お嬢さんがいっちばん自信を持ってええ部分や』
綾乃「ふふ……ありがとう、アライグマさん」
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