13:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/20(金) 00:40:20.67 ID:b4qt7MSMo
『……いつから?』
綾乃「……えっ?」
『いつから、京子さんのことが好きになりだしたん?』
歳納京子を好きになった時。
綾乃「それは……」
私はそれを……正確に思い出すことはできなかった。
綾乃「えっと、初めて会った時からずっと気になってたから……中学校に入学してすぐくらい、だから……」
『京子さんと知り合った、一番最初の日?』
綾乃「最初の日……」
中学校に入学して、歳納京子と同じクラスになって、歳納京子を一目見たそのときから、歳納京子に恋をしていたか?
そう言われれば、今と全く同じ感情を出会ってすぐに抱いていたわけではなかっただろうけれど……憧れに似たようなきもちはあった気がした。
入学して間もない頃、人見知りで友達作りが苦手な私にとって、誰とでもすぐに仲良くなってしまう歳納京子を羨ましく見ていた時期があったこと。それをなんとなく思い出してきた。
綾乃「最初はなんというか……すごく元気な子ねって思ったの。明るくて目立ってて、誰にでも物怖じせず気兼ねなく接してて、あっという間にクラスの中心になっちゃって……」
私とは、正反対の子だなって思った。
顔と名前を覚えるのが少し苦手な私でも、歳納京子のことはクラスメイトの中で一番最初に覚えられたくらい。
綾乃「すぐに私にも千歳っていうとてもいいお友達ができたけど……でも、歳納京子への憧れは止まなかった」
どんな子にも分け隔てなく接して、関わった子をみんな笑顔にする。
そんな歳納京子に手を差し伸べてもらえないか……心のどこかで待っていた自分がいた。
そして、気さくに誰にでも話しかけてくれる彼女のことだから、その時は意外とすぐに来てくれた。さすがは歳納京子。
ファーストコンタクトがどんなものだったかは……はっきり言ってよく覚えていない。ただ私は、とにかく必死だった。
差し伸べられたこの手に、全力で応えなければと。
綾乃「今思えば……言葉を交わした最初のときから、私はあの子の前ではいつも通りでいられなかったのよね」
人見知りで臆病な自分が、あの憧れの歳納京子と長く関わっていられるにはどうすればいいか?
……それは、ライバルとして歳納京子と同じステージに立つことだった。
綾乃「生徒会に入ろうと思ったのも……その頃だった気がする。私、とにかく自分を変えたかったの。歳納京子に一歩でも近づくために……」
そうして小さな自分を奮い立たせ、憧れの歳納京子と対等であれるように頑張っていたのだ。
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