4:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/20(金) 00:28:54.90 ID:b4qt7MSMo
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綾乃「…………」ぱちっ
窓からは朝の日差しが差し込んでいた。体温で温かくなった毛布を首元までもち上げる。外ではちゅんちゅんと鳥が鳴いている。
目覚まし時計を見ると、朝6時。設定した時間より少し早く起きてしまった。アラームのスイッチを切って、目を閉じたまま夢のことを思い出す。
綾乃(また……この観覧車の夢……)
まだ少しだけ思い出せる、赤いゴンドラの内装と美しい外の景色。そして三拍子のリズム。
鼻をくすぐっていたキャラメルシュガーの匂いだけは、早くも涼やかな朝の匂いにかき消されてしまって、一生懸命思い浮かべても返ってこなかった。
何度見たのかは正確に数えていない。けれど過去にも何度か見ていることは記憶に確かなこの夢。
綾乃(一体なんなのかしらね)
そういえば、夢占いというものがあると聞いたことがある。夢には全て何らかの意味があって、その内容から分析すれば、無意識で感じているものや深層心理にあるものがつきとめられたりするんだそうな。
もしかしたらこの夢にも何らかの意味があるのかもしれない。試しに誰かに相談してみようか……そう思って、やめた。私がこんなメルヘンチックな夢を見ていることなんて、そうそう他人に言えることじゃない。
愛しい温もりの毛布をのけて、少し早いが起床することにした。今日も一日が始まるのだ。レースのカーテンを開けて朝陽を身体に取り込む。空は少し白んでいて、夢の中でみた空の方が、ずっとずっと青かった気がした。
小さく背伸びをし、お母さんが起きているかどうかを確認するためにリビングへ向かう。
ねえお母さん、私が遊園地に連れて行ってもらったのって……いつだっけ?
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