過去ログ - 最初のファンから、駆け出すキミへ(小日向美穂If小説)
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3:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/03(月) 00:17:27.66 ID:3RRQd8Ra0
高校二年生が終わった春休み、熊本の某所の一軒家で彼はくつろいでいた。
『あのねっ、突然なんだけど――』
昼過ぎの居間でソファーに横たわりながらテレビを点けると、よく知った顔が映っていた。
画面の向こうで夕焼けの河川敷に立つ彼女の名前は小日向美穂。今、人気沸騰中の正統派美少女アイドルだ。草食系男子、肉食系女子などと揶揄される事も増えてきた今日、恥ずかしがり屋で物腰の柔らかい彼女の性格はテレビの前の男子達を虜にしている。
『明日も私と一緒に帰ってくれますか?』
すぐにスマホに目を戻しSNSを見ていた彼はテレビからの声にはっとする。
テレビに目をやると芝居とは思えないほど赤面した彼女の姿があった。
『……あなたの事が昔から、ずっと大好きですっ!』
その台詞に胸を締め付けられた。それはあの日言えなかった、言わなかった言葉だった。
ふと、窓の外の景色に目をやる。町から少し外れた立地の家の窓からは山麓の道に並んでいる桜が風にそよいで花びらを散らせる姿が見えた。
その道は、何度も「二人で」通った道。
「かーちゃん、ちょっとチャリ使うね。」
「んー?あんた今日午後部活じゃないのー?」
「飯も食ったしすぐ戻るよ!」
玄関先のママチャリに跨って坂を下る。どうしてこんな事をしているのか自分でもよく分からなかった。ただ、あの桜をもっと近くで見たい。そう思った。


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