18: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/04/13(木) 12:58:35.99 ID:cyho9vRu0
EVEの中に広がるVR空間は、本当の意味で現実と同じだった。触る地面の感覚や、流れる川の冷たさ、何よりエクスを驚かしたのは。
「やぁ、旅人さん。お泊りかな? それだと、あそこの建物が宿だからそこに行くといいよ」
「あ、あぁ。わかった。どうも」
予想していないやり取りに、エクスはやや挙動不審なりながら村の中に入っていく。なんであれ、今の時代も前時代と同じ、こちらから話しかける(クリック)することで、内部のAIは反応した。自立的に反応するのは自動的に始まるイベント絡みぐらい。
今、エクスに話しかけた門番も、自動判定なのかもしれないが、それでも彼の動きを見て不思議そうな顔をしたりと反応が現実味を帯びている。
気持ちを落ち着けたかったエクスは、そのまま言われた通りに宿に入って、そのまま部屋を取った。荷物管理はシステム管理なので普段持ち運ばなくてよく、支払いも手間がないということろは、ゲームとして認識出来る部分に少し安堵した。
「やれやれ、その調子で大丈夫かね?」
ベッドに座って一息ついたエクスの前に、山海のAIがビジョンのように現れる。
「何もかもついていけてねぇよ」
「そうか。私には君の理解力が早いと考えている」
どういう訳か、山海のAIは満足そうだ。言ってしまえばエクスはハックによって内部に入った不法侵入者、恐らくEVEの管理が目的であろう目の前のAIにとって、排除すべき対象のはず。
「君なら、EVEを理解できるだろう。根幹の意味を持ってね」
「どういうことだっての、もったいぶらずに教えろよ」
「山海の思考を持つ私が言うのであれば、解というのは、与えられるものではなく、自身で解析するもの。少しすればイベントが起きるだろう。それまではゆっくり休むと言い」
伝えたいことは伝えた、という様子で山海のAIは姿を消した。
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