30: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 19:30:04.85 ID:4yJ+Tv6jO
学校が半日で終わった日、保険証を持って一人で病院に行ったが、両親ときてくださいと突っぱねられた。
帰り道、家に帰るのも億劫になり、公園に行って一人絶望的な気分でブランコに座っていた。
この錆びついた鎖も、この公園自体老朽化が進んで危ないからと、今では何もかも新しくなっていた。
今、今はどこにいった。
絶対にあるはずなのに。
どこにもない。
退職して隠居した両親も、連絡もそこそこなやすはも、ちょっと怖い上司のいる会社も。
「会議……どうなったんだろ」
私は資料を渡し損ねてしまった。
色々な人に迷惑をかけたに違いない。
帰ったら、なんて言い訳する?
そもそもどこに帰るんだ。
夢なら、早く覚めて。
「ッ……」
地面に影が差した。
顔を上げる。
「あゆむ、どうしたの」
「やすは……」
「何かあったの?」
塾の帰りだろうか。
鞄を地面に置いて、私の頬を両手で挟む。
こちらの目を覗き込んでくる。
やすははポケットから、ハンカチを取り出して私の顔を拭った。
泣いてたのか。
「だ、大丈夫なんでもない」
やすはを押し返す。
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