安部菜々「ちょっとえっちなウサミンボイス」
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3: ◆ao.kz0hS/Q[sage saga]
2017/07/14(金) 02:25:34.89 ID:Vq3CUo2i0
声に出して読むには多少の恥ずかしさのあるソレに付けられたファイル名。
ソレというのはmp3形式のデータ……5年ほど前に同人制作された男性向けの音声作品だった。

淫語が並びたてられているだけの平凡な内容。ひと昔前の作品であることを鑑みても尚お粗末な音質と編集。下手糞な声優。
バイノーラル録音され、ハイクオリティな作品の溢れる現在にあっては、聞く価値皆無の駄作と断言できた。
百個以上の様々な男性向け音声作品が記録されていた友人からのハードディスクの中でも一二を争う駄作で、視聴開始五秒で一度は停止ボタンをクリックしようとした程。

でも結局、僕は最後まで聞いてしまった。
というのもその下手糞な声優の声が菜々さんのものに似ていたのに気付いたから。
声色、ビブラート、呼吸の取り方、笑い方、よく裏返ってしまうところ…そのどれもが僕のよく知る彼女の声とどこか似ていたのだ。

それでも演技と音質の悪さのせいもあり、その声優が菜々さんであるか否かについての判断は難しく。
それとなく友人にこの作品のことを尋ねてみてもほとんど覚えていないらしく、有益な情報は引き出せなかった。
実のところ半々ぐらいにしか思っていなかったのだが、菜々さんのこの反応は…そういうことなのだろう。


「な…なんで…プロデューサーさんが知って…なんで…ナンデナンデナンデスカ……」


ボソボソと聞こえる呟きは、きっといつもの彼女の思考が漏れているアレで、気の毒に思う反面、やはり少し微笑ましい。


「あの…菜々さん? 大丈夫ですか?」

「はひぃい!? ナッ、ナナは! そんな同人音声作品なんて知らないですぅ! ええええっちな声優のアルバイトをしたことなんて…あっありませーん!ノウッ!」


顔を真っ赤にして、声を裏返しながらそう叫ぶ菜々さんの目には薄く涙が溜まっていた。


「えーっと…俺、同人音声作品だって言いましたっけ?」

「ギクぅっ!」

「それになんでエッチって…」

「うぐぅぅっ!!」


あっけなく膝から崩れ落ちて床に両手を着いた菜々さんの姿は、とても人気急上昇中のアイドルには見えないが……事実そうなのだ。
だから些細なリスクも見逃さず、確認できることはしておく必要があった。
その結果、彼女に恥辱を強いることになってしまっているのは、申し訳ないことこの上ないが。


「あの…なんていうか…やっぱりこの声優さんって……」

「うぅ〜〜……黙っていてごめんなさいぃ〜…じ、実は……」


そうして菜々さんはその同人作品に声優として出演していたことを認め、そうなるに至った経緯を話してくれた。


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