【悪魔のリドル】兎角「一線を越える、ということ」
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19:名無しNIPPER[sage saga]
2017/08/21(月) 22:18:37.98 ID:u1xI7N2CO
一方の千足と柩も兎角達の行動を見て少しは我に返ったようであった。
柩は晴のように立ち去ろうとはしなかった。
ただ立ち尽くしたまま、いつもの熊のぬいぐるみを抱き締めて声を圧し殺すようにして泣いていた。
「ん、……グッ、ウウ……、ウウッ…………」
絨毯に落ちた涙の音が聞こえるくらいの大粒の涙であった。
柩は歯を喰い縛りながら涙を拭うことも忘れて、ただひたすら苦しそうに泣いていた。
千足はそんな柩を見ながら手を所在なさげに上下させていた。
声をかけたい。慰めてあげたい。しかし自分にそんな資格はないとわかっている悲しい行動であった。
千足もまた滝のように涙を流していた。
兎角も気付いたときには目から涙が溢れていた。
晴も恐らく今ごろ泣いているだろう。
兎角のこの日の記憶はここで途切れていた。
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