過去ログ - 【安価コンマ】サキュバスによる魔法少女狩り
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990: ◆o0z8qX9ZrXIS[saga]
2017/08/16(水) 00:06:47.92 ID:bfktaWAlo
詩音「(今日も協会からの返事は無しのつぶてか・・・)」

寸分変わらぬ文面のメールが映し出される端末を前に思わずため息が漏れる。

奇跡ともいえるサキュバスとの死闘からの生還の後、詩音には数々の称賛の声が与えられた。

だが、彼女自身が一番欲しかった物――紅緒を取り返すという願いは叶っていない。

サキュバスからの精神汚染が酷く絶対安静につき親族も含めて面会謝絶。それが今の紅緒の状態だと聞かされた。

詩音自身は回復後、元の学生生活に戻ったが晴れぬ心のまま日々を過ごしていた。

定期的に紅緒の容体を問い合わせてはいるが回答できないの一点張りだ。

ちなみに、町の人が見た紅緒の痴態に関しては全てサキュバスが見せた幻覚という事にされ、

サキュバスを倒したのも詩音単独ではなく紅緒と二人掛かりで、その際にサキュバスの死に際の魔法によって・・・という筋書きだ。

大人の汚さを見た気がしたが紅緒の名誉が守られるならばと詩音はそれを受け入れた。

詩音「(紅緒さん・・・貴女が戻ってくるまで町はボクが守ります。だけど、貴女がいない学校は寂しいです・・・)」

魔法少女としての能力もあり、元々勝気な詩音は紅緒以外に碌に心を開いておらず今の学園で心腹の友と呼べる人がいなかった。

何も知らぬ連中からお前が代わりに倒れれば良かったと言わんばかりの目で見られることも少なくない。

こんな所に居てもつまらないと学校を出ようとした時だった。

薺「律さん。こんにちは。あの、春日浦会長の事で何か進展は・・・」

後ろからの呼びかけに振り替えると生徒会副会長、荒畑 薺がそこにいた。

金髪碧眼の西洋人形の様な出で立ちは、黒髪で美人の紅緒と並ぶと良く映えるて、学園始まって以来の美人生徒会として評判だった。

詩音「荒畑先輩・・・こんにちは。すみません。ボクも何度も問い合わせているんですが・・・」

薺「そう、呼び止めてごめんなさい。何かあったら教えてくれる?」

声に明らかな落胆と焦燥の色が見えた。

詩音「その、ごめんなさい。一緒に居ながらボクだけ無事で・・・春日浦先輩を助けられなくて・・・」

その色に申し訳なくなって思わず謝罪の言葉が口から出た。

薺「律さんは町を淫魔の手から救ってくれた私たちの恩人よ。謝る事なんてないわ。胸を張って。春日浦会長もきっとそう言うわ」

やや事務的な感じのする声だったが、その言葉に詩音は少し救われた気がした。

薺「さあ、私も仕事に戻らないと。春日浦会長がいつ戻ってきても大丈夫なように今こそ私たちが頑張らないと。それじゃあ律さん、さようなら」

静かだが力強い声で宣言するかのように言うと薺は生徒会室に向かった。

詩音「(副会長って何を考えているか、よくわからない人だと思ってたけど紅緒さんの事を本気で心配しるのは間違いない)」

詩音「そうだよね。今のボクに出来ることをしっかりやらなきゃ!」

その日は久しぶり前向きな気持ちで家路に向かった。


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