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上条「また学園都市に侵入者ぁ?」 -
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1 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/23(金) 23:10:18.46 ID:m.VT9EQo
なぜ開いたのかを産業で
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
Twitter
]: ID:???
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/
旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/
木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/
いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/
こんな恋愛がしたい 安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/
【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/
アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/
2 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/23(金) 23:18:05.27 ID:JmUWBAYo
ぴぃ
の人だと
聞いて
3 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/23(金) 23:23:43.65 ID:KXwCKrEo
H
K
B
4 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/23(金) 23:24:18.06 ID:IGTfxM6o
本編並みの伏線とガチバトルと説教期待
5 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/23(金) 23:25:17.32 ID:m.VT9EQo
腹筋じゃないよ。書きますよ。ガチバトルもの書きたくなったので
オリキャラ満載のだけどね
6 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/23(金) 23:28:19.43 ID:hIeLP0c0
支援HKB
7 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/23(金) 23:38:49.80 ID:m.VT9EQo
今までのスレ
1:御坂「これって……デートよね……」(上条×御坂 本筋1)
http://mimizun.com/log/2ch/news4vip/yutori7.2ch.net/news4vip/kako/1264/12649/1264954175.html
2:御坂「じゅーでんー」(本筋2 途中でGEPに移動)
http://mimizun.com/log/2ch/news4vip/yutori7.2ch.net/news4vip/kako/1265/12653/1265361766.html
3:御坂「ぴぃ!?」(本筋3)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1265460591/
4:
>>1
「どうしてこうなった」(本筋4 黒子追加裏ルート)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1265824107/
5:
>>1
「だからどうして(ry」(本筋5 通行止め編)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266168925/
6:御坂「電池切れそう」(美琴ルートアナザー 5が落ちてる時にVIPにて)
http://www.unkar.org/read/yutori7.2ch.net/news4vip/1266314014
7:
>>1
「ぴぃ!?」なんだかんだで4回目(色々迷走中 通行止め改1)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266858583/
8:御坂「ほ、ほら……あーん……」(美琴ルートアナザー2 7が落ちてる時にVIPにて)
http://sea-mew.jp/nox/modules/webarc/2ch/ss/1267610190-0.html
9:一方「余り俺を怒らせンなよォ、ブチ犯すぞ」打止「いいよ」(本筋6 通行止め改2+α編)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1268127444/
10:白井「デートしましょう」上条「……はい?」(黒子ルート&よい子は見ちゃダメな浜面×絹旗ルート)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1270036015/
11:上条「転校生ってどういう事だよおい」鈴科「うるせェ。[
ピーーー
]」(上条一方鈴科三すくみルート。並走中)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1271958563/
12スレ目……だと……
8 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/23(金) 23:40:03.43 ID:m.VT9EQo
あ、saga付けるの忘れてた
/⌒V゙\, -――-ヘ-、
__{/⌒ヽ/⌒: : : : :⌒ : \>ヘ∧
/: : :_/ /しツ: : : : : : : : : : : : : : :{ >、Y⌒: :`ヽ
ノ: /(/ //: /: : : :/|/i: |゙^}: :/|: : : ∨ 八^⌒): : )
<:_/ / /( : :八/{ :/孑八| ノj厶j∧: : ト:ヘ\\(: :(__ノ
〈 ∨乂.:(⌒リ > '´ (__) 从八ノ :人: :ヽ: :く
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \ \ノ: :)( __ _ノ/: :∧ー⌒): 'ノ
└─────‐(\ \ヘ> .._ー<ソ_ノ´ 八 :  ̄:ヽ/: :/\
)ノ\/ `ア77L_,不、_ / ̄V)ノ/ \ /⌒i
「 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 〈 ∨ WiV {\ \ (/\ \ | レ'⌒ヽ
│ ____ ̄∨ {{/__ jレ > \/ \ \ i /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | { V 人xく\ \ \\__/
| | く // \ /
| | } Y く) \/
|___/ 〈 ノ ̄
ー--‐'⌒
もうちょっと前置きが続きますよ
9 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/23(金) 23:50:52.33 ID:m.VT9EQo
・はじめに
>>1
の書いてた上琴他SS(
>>7
の「本筋」)と
>>1
のオリとのクロスです
ガチバトルです。厨二設定万歳です。こじつけ上等です
クロスとかオリキャラとかダメな人も注意
10 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/23(金) 23:57:11.29 ID:jJySD76o
松屋でカレー食って家に帰ったらどうしてこうなってた…。
11 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 00:09:43.94 ID:0HCciv6o
現在のキャラクターたち
・上条当麻
本編主人公。フラグ建築士。このスレでは美琴と黒子を攻略済み
美琴と恋仲になるものの何故か黒子追加でハーレム化
実はスレで一番のやきもち屋だったりする
・御坂美琴
当麻の寮でラブラブ同棲中。既に嫁度マックスな中学生
すでに熟年夫婦の域に達している気もするが周りが呆れる熱愛っぷり
最初のツンビリはどこへ行ったか誰も分からない
・白井黒子
当麻ラブ。美琴ラブ。二人に挟まれて幸せ。自称妾
アニメの変態っぷりはすっかりなりを潜め、何やら色々達観した様子
通行止めルートでは暗躍してたりする腹黒っぷり
・一方通行(アクセラレータ)
元祖ツンデレダークヒーロー。しょっちゅう萌えキャラ化するのでいろんな所で定期的にテンプレが張られる
このスレでは杖なしで日常生活を送れる程度の身体能力がある。ミサカネットワークにログイン可能
高級マンションで打ち止めと暮らしている。既にレベル6になっているかもしれない
・打ち止め(ラストオーダー)
アホ毛ロリ妻。一方通行の嫁。完全無欠のよい子ちゃん
通行止め編にて色々と特殊な成長をしている。無償の愛
スレで一番ラブラブしてるのもこの二人
・ミサカ18413号=管理人(ドラゴン)
一方通行と打ち止めの暮らすマンションの雇われ管理人。スレのアイドル
電脳天使。一時的にミサカネットワークから独立したため独自の成長を遂げ能力を成長させる
色んな意味でフリーダム。本当にフリーダム。よくMNW以外から電波を受信してたりする
12 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 00:15:47.74 ID:0HCciv6o
>>7
凄い勢いで忘れてたけど
11:一方通行「ミサカネットワークに掲示板? いらねェだろソレ」
http://sea-mew.jp/nox/modules/webarc/2ch/ss/1271133440-0.html
12:上条「転校生ってどういう事だよおい」鈴科「うるせェ。死ね」(上条一方鈴科三すくみルート。並走中)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1271958563/
13スレ目じゃねえか……
13 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 00:25:04.56 ID:0HCciv6o
/ ..-‐
/{ ∠ -‐≦-―…¬ヤ
_〈::レ:´:::::::::::::::::::::::::::::::<
早く書けビーム ,. ::´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::≧._
∠. -ァ::::::,イ:!:::lヽ::::::::::::::::::::::::<.  ̄
, - 、 ,.ヘ、 /イ :::ハ|ヽ! !ヽ::::!:::::::::::::::\ `
r´ 「三三三l ! ト、 / l::,イ !7::ヽ!::::::::::: '. ̄
(( .l.三三三l . ノ! / \ |/ ヽ - ィ\!::::::::.ト、::::!
ヾ≧彡' ,/ /} _..-‐¬‐- . ,rー≦マ,. イ Y⌒',、! \!
, - 、 / ,.r:´ ヘ イ イ ヘ厶イ.! ヘ
{ \ Y . : :´ }、 ',. h_, .< 〈 /.l ./ D ! ハ
、 、 ’、 ′ ’ ; ∧ | . : :´ 1 ;r‐' _, -‐ `ヽ.' l/ l ハ,
.. ’ ’、 ′ ’ . { \. : :´ \ ,ノ } ~廴ぅ'´ i l.-‐Tフ
、′・ ’、.・”; ” ’、 . : :´ ヘ√. ;. ' 7.l l
,;′ ’、 (;;ノ;; (′‘ ・. ’、′”; . : :´ ,’ .' ,' ! l
’、 ・ .(; (´;^`⌒)∴⌒`.・ ” ; . : :´ 厶イ / ム ! l
.、 ’・ 、´⌒,;y'⌒((´;;;;;;ノ、"'人 ,.r: ´ ___弖丕二ニ=/1-- ‐ \¨  ̄ 〈 ハ,_! l__
、(⌒ ;;;:;´'从 ;' ;:;;) ;⌒ ;; :) )、 ̄ ̄ ̄ ヘ / 〉 | √ }ー-.. __,.∠.イ ! l_,∠
( ´;`ヾ,;⌒)
>>335
从⌒ ;) `⌒ )⌒:`.・ Y く_,ノ ∨⌒′ / ! l ! ヘ ! l,.イ
‘:;゜+° ′、:::::. ::: ´⌒(,ゞ、⌒) ;;:::)::ノ /. l l ', ∨l !
`:::、 ノ ...;:;_) ...::ノ ソ ...::ノ 廴_!__!__,..-ィ! ヘ
l ! ヘ マ-‐'′
l ! ヽ 丶
l l ヽ ’.
14 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 00:26:23.38 ID:0HCciv6o
安価そのままだったああああ
以上テンプレとか前書きっぽいものでした
それでは本編に入りますが、
書き溜めとかあるわけないから今から書く
15 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 00:35:23.52 ID:7D97/Fo0
了解
16 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 00:50:36.33 ID:0HCciv6o
「だーくそっ、ちくしょー!」
周りは適度に浮かれ気分の中、上条当麻はいつものようにそんな声を上げていた。
どこもかしこもカップルだらけの学園都市の中心部。
大抵どこでもそうなのだが、特に人と店舗の集中しやすい大きなターミナルステーションの前を当麻は肩を落としながら歩いていた。
うわー、美琴になんて言い訳しよー。
本日七月十八日。それの意味するところは二日後から夏休みという学生の待ちに待ったイベントである。
ここのところ期末テストやら何やらで忙しかったのでデートできず、夏休みには盛大に遊ぶぞーと意気込んでいたのだがそんな幻想はつい先ほど担任の月詠小萌に粉々に砕かれたところだ。
いつものように可愛らしい声で。上条ちゃーん、馬鹿だから補修ですー、と。
不幸だ、とは言えない。自業自得だろう。やっぱり。
その証拠に一緒に暮らしているはずの恋人は相変わらずの優等生だし、何を血迷ったのか同じクラスに転校してきた白髪の野郎は学年トップの成績を叩き出していた。
そんな訳で上条当麻はなんとか愛しの雷神様のお怒りを買わないようにと言い訳を考えるのに必死だった。
17 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 01:08:57.58 ID:0HCciv6o
だからだろうか。どん、と誰かとぶつかった。
「っと、悪い」
「いえいえ、大丈夫ですよ。お怪我はないですか?」
ちょっと肩が触れた程度なのに大げさだな、と思いつつも当麻は手を軽く振り、相手に全然とアピールする。
白いブラウスにチェックのスカート。どこにでもあるような制服を着た細い縁無しメガネをかけた少女だった。
「あ、ちょっと聞きたい事があるんですがいいですか?」
「ん?」
「道をお尋ねしたいんですが」
珍しい事もあるもんだな、と思いつつも当麻自身も結構な頻度で知らない場所に放り込まれたりした経験があるのでそうも言えない。
うむうむ、目的地が分からないのは大変だもんなー、などと一人頷く。
知らない場所どころか言葉も通じないような外国で何度か迷子になりかけた事もあるので彼の場合結構どころじゃなく洒落にならなかったりするのだが。
「どこに行きたいんだ?」
「ええとですねー」
困った時はお互い様、と快く答えた当麻に、彼女はごく自然に、
懐かしい言葉を告げる。
「この辺で英国式の教会ってありませんか?」
18 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 01:35:59.46 ID:0HCciv6o
美琴「おーいー、遅いじゃないー」
待ち合わせの場所に着くと、先に来て待っていた件の雷サマ――御坂美琴が木陰のベンチに腰掛けていた。
小刻みに足元のタイルをタンタンと靴底で叩いているのは明らかにイラついている仕草なのだが、不思議とそんな感じはさせない。
それもそうだ。いつものように遅れてくる恋人を今か今かと待っていただけなのだから。
当麻「あー……わりぃわりぃ」
当然のようにそんな事に当麻が気付くはずもなく、どこか心ここにあらずといった生返事を返した。
美琴「……何ぼーっとしてんの?」
当麻「いや、なんだかなーと思って」
美琴「???」
うーん、と一人首を傾げる当麻に、美琴は軽く腿に蹴りを入れる。
美琴「うりゃ」
当麻「いでっ、何すんだよ」
美琴「いつまでぼーっとしてんのよ。熱中症にでもさせるつもり?」
当麻「ああ、うん、そうだな」
美琴「女の子待たせるんじゃないわよ、ばーか。ほら、行くわよ!」
上条当麻、二度目の高校の夏が始まろうとしていた。
19 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 02:23:46.27 ID:0HCciv6o
学園都市で三番目に強い女子中学生がデートにはしゃいでいる頃。
学園都市で最強の男子高校生は雑居ビルのひしめく路地裏を歩いていた。
一方「おィ土御門。なンだって俺が放課後になるや否や引っ張り出されなきゃならねェンだよ」
元春「まーまー、勤労精神って大事だぜぃ?」
あーあーかったりィなどとクラスメイト兼同僚に悪態を吐きながらもついていった先は数ある雑居ビルの中のひとつだった。
ただし、何かの事件か戦闘かがあったのか三階の窓が全部吹き飛び縁に黒い焦げ後を残しているのだが。周りの風景からは明らかに浮いている。
辺りに人影がないのを確認して、二人はビルの中に入る。
学園都市には似つかない古ぼけたエレベーターに乗り、目的の階のボタンを押した。
ただし、整備用のロックを外し中にあるスリットに電子キーを差し込んでから。
滑らかに動き出したエレベーターは地下に潜り、数秒後、静かに開いた。
地下に広がる小奇麗な空間。どこかのお坊ちゃま達がビルごと買い取ってこっそり作った秘密基地だった場所だ。
改造したはいいがここで色々と拙い事をやりすぎて彼ら全員が捕まり、結局使い手がいなくなったのをこうしてありがたく再利用させてもらっている。
がらんとしたホールの中、バーテンでも置くつもりだったのか、端にあるカウンター席の前に二つに流した髪が特徴的な見知った後姿が合った。
一方「――よォ」
淡希「あら、遅かったわね」
カラン、とグラスを鳴らせて彼女は振り向いた。
20 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 02:33:37.54 ID:0HCciv6o
一方「なンだよ、真昼間から酒かァ? 大層なご身分だ事」
淡希「残念でした。ジンジャーエールよ」
一方「ケッ、格好付けたかっただけかよ」
淡希「気分を出したかっただけよ」
淡希は頭を振り、
淡希「じゃないとこんなクソッタレの仕事やってらんないわよ。ほんと、アルコールにでも溺れたいわ」
一方「酔って演算ミスって暴走したりするンじゃねェぞ。こっちが迷惑だからなァ」
淡希「あら、そんなヘマする訳ないじゃない。そっちこそ首輪についた鎖の具合はどうかしら。戦場のど真ん中でぶっ倒れても知らないわよ」
いつものように挨拶代わりの軽口を叩き合い、一方通行はガリガリと頭を掻いた。
一方「それでェ? なンだよ『仕事』ってのは」
淡希「聞いてないの?」
一方「知らねェよ。コイツも適当にはぐらかしやがる。オラ、もォいいだろォ。そろそろ吐きやがれ」
元春「おいおいそんな怖い顔するんじゃねえよ。オーケー、話す。まあ座れよ」
21 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 02:44:37.10 ID:0HCciv6o
元春「さって、久し振りの仕事だ。ちっとばかし気合い入れるぜ?」
一方「いいからさっさと始めろ」
淡希「飲む?」
一方「いや、いらねェ」
元春「とは言ってもいつもと少ぉし勝手が違うんだがな。今回の仕事は『護衛』だ」
一方「はァ? そンなの警備員に任せときゃァいいだろォ」
元春「ところがそうも言ってられないもんでね。ゲストがちょっとワケアリでな」
グループ
一方「なンだよ、つまり表立って動けねェよォな奴だから俺達でガードしろって事か」
元春「そーゆーこった。ま、他にもいくつか理由があるんだが……」
一方「勿体つけてンじゃねェよ」
元春「グループが適役なんだよ……お客は俺や海原の側の人間だ」
一方「っ――!」
22 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 02:56:38.22 ID:0HCciv6o
淡希「そういえば彼は? まだ来てないけど」
元春「もう片方のゲストを案内しに行ってる。ま、ゲストっつーか……俺達の追加人員なんだけどよ」
一方「なンだそりゃァ。聞いてねェぞ」
元春「言ってねえからな。っと、噂をすればなんとやらだぜ。奴さん来たようだ」
コォ――とモーターが静かに動く音がして、エレベーターの上に点いた階を示すランプが動く。
一方「チッ……使えねェ奴だったら容赦なく切るからなァ」
元春「いいのか、そんな事言って」
一方「あン?」
――チーン
23 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 03:04:08.71 ID:0HCciv6o
「や、お揃いですね――さあどうぞ」
開いた扉から出てきた海原がすっと脇に避け送り出すように手を差し出す。
かつ、とローファーの乾いた音が地下の無駄に広い部屋に響いた。
「さあさ新入り野郎の登場です。皆様、拍手でお出迎えください」
「おィ――こりゃァなンの冗談だよ――」
「どうもこんにちは、野郎ではありませんが新入りです」
軽く一礼し、彼女は嫌に人間味のない表情で続ける。
シリアルナンバー ドラゴン
「呼称する際は長ったらしい検体番号ではなく――よろしければ管理人とお呼びください、とミサカは淡々と自己紹介をします」
24 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 03:20:45.76 ID:0HCciv6o
そして同じ頃。第三学区にあるとある一室では。
「浜面ー、今日の茶菓子はー?」
「ははーッ! 本日はサン=テグジュペリのチーズタルトでございますっ!」
「浜面にしては超グッドなチョイスです。特別に同席する事を許可してあげます」
「ありがたき幸せっ!」
「結局、浜面ってこういう役回りが一番しっくりくるのよね」
「そこは指摘しないでくれ俺も若干楽しくなってきてるから!」
「大丈夫だよはまづら、私はそんな優しいはまづらが大好きだから」
もう一つの暗部組織、アイテムはいつものように優雅にお茶会の真っ最中だった。
25 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 03:36:59.64 ID:0HCciv6o
そして――
「学園都市、か。まさかまた来る事になるとは思わなかったよ」
「まったくです。できればこのような形ではなく、旅行鞄片手に大手を振って来たかったですが」
「僕は二度と来たくなかったがね。やっぱりこの街は僕には異世界以外の何物でもない」
「それはまったく同感ですが、ここは旧友にして戦友が住む街なのですから。もう少し言い方を変えてもいいと思いますが」
「仇敵、の間違いじゃないだろうかね。日本語は難しくて仕方がない。もっとシンプルにできないものかな。なんで文字形態だけでも三種類もあるんだ」
「今の時点で日本人以上に日本語が饒舌だと思うのですが……まあいいでしょう。それより」
「それよりも……さっきから妙に静かで不気味なんだが」
「大丈夫ですか? もしかしてどこか具合でも……」
「――――お」
「「お?」」
「お腹空いたんだよー!!」
科学と魔術が再び交差しようとしていた――。
26 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 03:44:07.81 ID:0HCciv6o
そんなわけでオープニング終了でございます
オープニングの時点ですでに登場人物が
当麻美琴一通土御門結標海原管理人浜面滝壺絹旗麦野フレンダ神裂ステイル、出てきてないけど黒子打ち止め、あと御坂妹?
しょっぱなから風呂敷広げすぎだろこれにオリキャラ混ざるのかよー!?!?
早くも挫折しそうです。いや、すげー楽しくなりそうだから書くけどね
ノリは鈴科ルートとは別の方向で「お祭り騒ぎ」
分かりやすい(?)例ではFate/hollow ataraxiaかな。オールスターズでお送りします
ちなみにもちろん、オチとかまったく考えてません
27 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 04:13:30.43 ID:lGFHihwo
軍覇と番外個体は出ますか?
28 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 08:48:13.58 ID:3cb.SBgo
インさんが変わってないようで安心した
29 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 18:07:09.08 ID:rC9fIJ60
さて、早速速攻魔法発動
>>35
30 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 18:09:54.23 ID:CHxS6EA0
安価ktkr
31 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 18:14:09.31 ID:CHxS6EA0
フラッシュタイミング! ダブルドロー
↓
32 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 18:22:29.62 ID:CHxS6EA0
もいっちょ↓
33 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 18:23:43.28 ID:CHxS6EA0
つづけてエクストラドロー↓
34 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 18:24:40.84 ID:CHxS6EA0
↓
35 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 18:25:37.57 ID:0fvI4tQo
インデックスにまとわりつかれる浜面で。
36 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 18:26:12.95 ID:CHxS6EA0
では折角なので、
本筋におけるアイテムの日常
とか
37 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 18:26:41.24 ID:CHxS6EA0
もってかれたorz
38 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 18:33:57.23 ID:rC9fIJ60
英国組の登場がもちょっとあとなので保留
>>36
もやるつもり。基本は絹畑ルートのノリで
再安価
>>45
39 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 18:38:36.77 ID:CHxS6EA0
流石はぴぃのお方やで(TAT )
ダブルドロー↓
40 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 18:39:20.40 ID:CHxS6EA0
↓
41 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 18:46:24.52 ID:0fvI4tQo
珍しく上琴で、たそがれ上条さんとそれを見つけた美琴
42 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 18:54:17.09 ID:CHxS6EA0
両手に花デート中にバッタリ出くわすヒーロー三人
43 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 18:57:15.67 ID:0fvI4tQo
美琴&一方さんが用事があって出かけた前提で、上条さんと打ち止めのまったりとした午後。
44 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 18:57:39.81 ID:aZoc6gDO
>>42
45 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 19:00:05.18 ID:CHxS6EA0
>>42
46 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 19:09:46.06 ID:rC9fIJ60
あ、帰るのはもう少ししてからだけど、安価なくてもネタくれれば使うかも!も!
47 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 20:42:28.74 ID:0HCciv6o
帰宅&ご飯食べてきたので開始
アイテム組は前スレの絹旗ルートを基礎に、滝壺絹旗エンドで動かします
ちなみに主人公たちの一枚絵の構図としてイメージ
・当麻・美琴・黒子
並んだ二人に後ろから黒子が両手を広げ飛びついているような。当麻は驚きながらも美琴は笑顔
・通行止め竜
困り顔の一方通行の両手に二人が抱きついている感じ。打ち止めは笑顔で、管理人はニヤニヤと笑いながら
・浜面の手を引っ張って前に走ろうとする絹旗。浜面の横には静かに微笑む滝壺
48 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 21:01:13.73 ID:0HCciv6o
傍目にも分かるほど上機嫌の美琴の隣で、当麻は夏休み終了のお知らせを切り出せずにいた。
どちらにせよ明後日にはばれてしまうのだが、せめて帰ってからでいいかと自分に言い訳して先延ばしにする。
それに雷の被害は少ない方がいい。街中でいつものやつをやられても困る。
が、
「当麻ー、夏休みどこ行こっか。やっぱ海? 水着とか見に行ってみる?」
などと既に頭が夏休みモードに入っている美琴を見ているといたたまれなくなってくる。
既に夏休みの不幸は始まっているのかもしれない。最初がいきなりラスボスだけど。
二人でぶらぶらと歩いていると、向こうからとぼとぼと歩いてくる見知った顔を見つけた。
「あれ? 黒子じゃねえか」
「あらお二人とも。奇遇ですわね」
二人の顔を見るや否や、黒子はぱっと顔を輝かせた。
「デートですの? まあまあ、妬けてしまいますわね」
「それはどっちに?」
「分かりきった事を聞かないでくださいまし……お二人ともに、ですの」
悪戯っぽく問い返す美琴に、黒子ははぁと溜め息を吐き肩を竦めた。
49 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 21:24:41.94 ID:0HCciv6o
美琴「それで黒子、アンタ何やってんの?」
美琴は首を傾げた。極自然に二人と並んで歩く黒子に、ではなく。
ジャッジメント
美琴「今日も風紀委員じゃなかったの? 支部には顔出したんでしょ?」
黒子「それが……急に休暇を頂きまして。八月まではお休みになりましたの」
当麻「お、ちょうどいいじゃん。夏休み丸ごと風紀委員で潰れちまったら嫌だしなあ」
黒子「そこは志願しての事ですので仕方ありませんけれど……でもどうも妙なんですの」
美琴「妙って?」
黒子「わたくしだけ、急にいただいたんですのよ。他に何人もいますから交代だというのに、わたくしだけ」
当麻「それのどこが妙なんだよ」
黒子「それが――理事会の判の入った特別休暇通知の書類と共に言い渡されたとしても?」
当麻「は?」
黒子「通常、特別休暇は謹慎処分と同義ですの。だというのに、わたくしにそれが通知された。身に覚えがありませんのに」
50 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 21:33:18.16 ID:XSmlfuo0
そこに
ぴぃスレが
あるからさ
つう訳で新スレ乙なんだよ。
51 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 21:49:50.63 ID:0HCciv6o
美琴「本当にないのぉ? なんかまたやったんじゃない?」
黒子「失礼な。多少の始末書は書きましたけれど謹慎処分が降りるほどの事はやってませんの」
当麻「始末書……やっぱり日常的に書いてるんだ……」
黒子「何か言いましてっ」
当麻「イイエナニモ」
美琴「ま、いいじゃない。せっかくの夏休みなんだし、ぱーっと遊びましょ」
黒子「そうですわね。お偉方の考えはいまいち分かりませんし。どうせなら頂いたものは有効活用しませんと」
当麻「ますます言い辛くなった……」
美琴「どうかした?」
当麻「なんでもないです……」
美琴「変なの」
黒子「まあまあお姉様。いつもの事ではないですの」
美琴「あはは、それもそっか」
当麻「失礼な!?」
52 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 22:26:14.83 ID:0HCciv6o
「…………」
「何を不機嫌そうな顔をしているのですか。もしや道行く人にトラウマを植え付ける作業ですか、とミサカは首を傾げます」
息苦しい地下から抜け出し、表通りの雑踏を歩く一方通行は後ろからかけられる声の対処に困っていた。
できれば無視したいのだがそうも言っていられない。何せ彼の守るべき対象が何を思ったのか堂々と戦地のど真ん中に現れたのだ。
ラストオーダー シスターズ
彼、一方通行は学園都市の暗部を暗躍する組織の一員だ。その事は打ち止めはもちろん他の妹達には秘密にしている。
しかし前々から彼女――管理人ことミサカ18413号は一方通行の裏の顔を掴んでいた節がある。
今でこそ土御門元春は級友だが、彼女は表立っては付き合いのない結標淡希や海原光貴と関係がある事を知っていた。
その事は他の妹達には伏せていると言っていたものの、まさか彼女自身が暗部に飛び込んでくるとは思ってもみなかった。
(毎度の事ながらコイツが何考えてるのか分からねェ)
今まで自分は何のために汚れ役を買って出たのだ、と思う。彼女ら光の側の住人を闇に触れさせないためではないのか。
学園都市の暗部は底が見えない。一度落ちてしまえばただひたすらに落ちていくだけだ。
何か妙な事件に関わった訳ではないはずだ。それならば間違いなく自分も関わる。ならば彼女は、自ら望んで闇に身を投じたという事になる。
そこに飛び込む事が文字通り自殺行為に等しいと彼女は理解しているのだろうか。
「そろそろ無視とか子供っぽい事はやめてくれませんか、とミサカは提案しつつあなたの腕にしがみつきます」
他の妹達とは違う、シルクのブラウス越しに何か柔らかい物が腕を押す感触。間違いなく意図的にやっているのだが。
一方通行は観念してぐいぐいと体を押し付けてくる少女を見遣る。
「分かった、分かったから離れろ。何が楽しくてこのクソ暑いのに密着してくるンだよオマエは」
「と言いつつもそれが照れ隠しなのは分かっています。生体電気のデータからあなたの心拍数が通常より若干早くなっているのは明らかですから、とミサカは機嫌をよくしてさらに押し付けます」
53 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 22:53:39.92 ID:0HCciv6o
「だから捏造すンの止めろって。ほら、手くらいなら繋いでやるからよォ」
「ミサカとしてはこうして腕を組んで歩きたいのですが、あなたがそう言うのでしたら仕方ありません、とミサカはしぶしぶながらに譲歩します」
「……、……」
と言うものの一方通行は素直に手を繋いだ訳ではない。一方通行の首に付けられたチョーカー。そのスイッチを入れる。
いつもの『能力使用モード』にではない。知り合いの、そこらの技術者など足元にも及ばない腕を持った医者に改造させた、第二のスイッチを。
『通常モード』、『能力使用モード』とは別に、新たに導入された『ネットワーク接続モード』。ただしログインせずに。
能力使用時ほどではないが電池を消耗するので普段は切っているが、こうして隣の少女と密談をするにはちょうどいい。
『おィ、どォいうつもりだよ』
『どういう、とは何を指しての言葉でしょうか、とミサカは問い返します』
繋いだ手を介し、二人は電子情報で会話をする。これならば盗聴はおろかミサカネットワークを使わずに会話できるため、他の妹達に気付かれる事もない。
問題は他の妹達どころか打ち止めにすら使えない超限定的な方法だという事だが。
『何じゃねェよ、すっとぼけンな。なンでオマエがグループの追加人員なンだよ』
『それこそとぼけているのですか? 分かりきっているでしょう、とミサカはこの朴念仁に眉を顰めざるを得ません』
とは言えその顔は涼しいものだったが、彼女は続ける。
『あなたの隣にいたかったからですよ。それだけの理由では不服ですか、とミサカはしれっと答えます』
54 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/24(土) 22:59:36.89 ID:sFv5VA60
打ち止めの出番は少なそうだなあ…
55 :
打ち止めはメインヒロイン。ただし今回も配役は『お姫様』
[sage saga]:2010/04/24(土) 23:12:00.46 ID:0HCciv6o
『不服に決まってンだろアホ。今までの俺の努力はなンだってンだァ……』
『恐らくですが、この事を喋ればあの子も同じ事を言うでしょう、とミサカは予言します』
『重ね重ね言うが、このドアホ。言える訳ねェだろ』
『恐らく、と前置きしたでしょう。それにこの意味をあなたは理解しているのですが、とミサカは歯噛みします』
『あァン……?』
『例えそれが屍山血河の道であっても、『ミサカ』はあなたの横にいたいと言っているのですよ、とミサカはあなたの頭の悪さに愕然としながら答えます』
『……』
ぎゅっ、と一方通行は握る手に力を入れる。
『それでも……俺はオマエらに明るい道を歩いていて欲しいンだよ』
『実に利己的ですね。自己満足、偽善、いいえ欺瞞と言ってもいい、とミサカは溜め息を吐きます、とミサカは心象描写をします』
『うるせェ。オマエらの考えなンか知るかよ』
『……ですから』
ぎゅっ、と彼女もまた強く握り返す。
『その悪はミサカが全て被ります。これはミサカの罪滅ぼしでもあり、恩返しでもあり、そして望みでもあるのですよ、とミサカは微笑みかけます』
『……』
『九九七〇もいるのです。一体くらいイレギュラーがいたとしていいでしょう、とミサカは自己弁護します』
56 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/24(土) 23:21:04.97 ID:0HCciv6o
『……好きにしろ。ただし』
『はい』
『単位は体じゃねェ。人にろ』
『……はい、とミサカは小さく頷きます』
そこに、二人の前に小さな人影が飛び出す。
「いたー!ってミサカはミサカはようやく二人を発見して思わず指差してしまってみたり!」
「……何やってンだクソガキ」
「学校迎えに行ったらいつまで経っても出てこないから心配して他の子に問い合わせてみたら案の定この子も反応ないしでさっきようやく目撃証言があったから慌てて飛んできたんだよ、ってミサカはミサカは一息に状況説明してみる! ふぅ」
「おこちゃまは元気ですね、とミサカは率直な感想を述べます」
「ってああああっ!」
叫び、打ち止めは一方通行の空いている手に飛びつく。
「二人ともずるいー! ミサカも仲間に入れてー、ってミサカはミサカはあなたの腕にしがみついてみる」
「……好きにしろォ」
そう言った彼は、低くなってきた陽光に目を細めた。
57 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/25(日) 00:05:04.67 ID:bOzZkSko
「あ、そういえば」
個室サロンの中、各々が好き勝手に暇を潰す中唐突に切り出したのは絹旗だった。
「どうもグループの連中が超こそこそ動いてるみたいなんですけど」
「いんじゃないー、ほっとけば。ウチはアイツらと関係ないしー」
爪に丁寧に鑢をかけながら、麦野は生返事を返した。裏組織の動きよりもそちらの方がよほど大事らしい。
滝壺はソファに深々と腰掛けてうつらうつらとしているし、フレンダもクッキー片手に漫画雑誌を捲っている。
かく言う絹旗自身もわりとどうでもいいのだが、一応は伝えようと続ける。
「なんか追加要員が超入るとか小耳に挟みましたし、パワーバランス的にはどうなんでしょうね」
「でも結局、こっちは超能力者一人に大能力者二人って結構な勢力じゃない? 心配する事はないと思うけどなー」
「スクールの二人をこっちに取り込めば超安定すると思うんですけどね。あの二人何やってんでしょう」
メジャーハート
絹旗の言う二人とは、同じ暗部組織の一つであるスクールの構成員、垣根帝督と心理定規の事だ。
昨年起きた暗部組織同士のとある一件の後、とんと見なくなっていたのだが。
「この前会ったよ」
と、しれっと滝壺は言った。
58 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/25(日) 00:19:19.19 ID:bOzZkSko
絹旗「あれ、生きてたんですかあの二人」
滝壺「うん。この前第八学区で会ったよ」
フレンダ「結局そんなとこで何してたのよ」
滝壺「……でーと?」
麦野「へぇ、あの二人そんな仲だったの」
滝壺「仲良さそうだったよ」
絹旗「なんかされませんでしたか? 妙な宗教の勧誘とか、旨い話があるとか言われませんでした?」
滝壺「クレープご馳走になったよ」
浜面「うぉおおいっ!?」
麦野「何いきなり大きな声出してんのよ、ばかづら」
浜面「今酷いあだ名で呼ばれた気がするけど華麗にスルーしつつ滝壺ぉ!?」
滝壺「何?」
浜面「お願いだから妙な男に引っかからないでね!?」
絹旗「男の嫉妬は超見苦しいですよ」
浜面「とか言いつつ顔が若干引きつってるのは気のせいでしょうか絹旗サン?」
フレンダ「女の嫉妬も結局見苦しいんですけどー」
麦野「あーはいはい、痴話喧嘩は私らのいないとこでやってねー。ってか他所でやんなさい、ほらコレあげるから」
59 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/25(日) 00:43:02.50 ID:bOzZkSko
絹旗「ドリンクバーの券?」
麦野「バカップルにはお似合いでしょ。ほら、さっさとどっか行け。じゃないともっと増えるわよー。ほれほれー」
絹旗「なんでこんなに超たくさん持ってるんですか!?」
麦野「細かい事はいいのよ。今日は何もなさそうだし、デートでもしてきなさい」
絹旗「っっっ!?」
フレンダ「あーあー、乙女だけの聖域だと思ったら結局いつの間にか浜面のハーレムになりかけてるし」
麦野「フレンダー、アンタはあっち行っちゃダメよー。浜面菌に汚染されるから」
滝壺「その時はむぎのも」
麦野「っは、冗談。もういいから行きなさいって」
滝壺「うん。行こ、はまづら」
浜面「あ、ああ……」
フレンダ「お土産よろしくー」
60 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/25(日) 00:55:23.67 ID:bOzZkSko
「……さってと」
ふっ、と爪を吹き、麦野は出来を確認してから立ち上がる。
「行くわよ、フレンダ」
「? どこに?」
「……どうも気になるのよね。グループの連中」
「追加要員の事? 結局高位能力者だったら厄介だものね。垣根だったら目も当てられないけど……」
「それじゃないわよ。それもだけどさ」
「え?」
んー、と麦野は首を傾げる。
「何か引っかかるっていうか……勘? みたいなのが。何かありそうな気がするのよね」
「ふむぅ……」
少しだけ逡巡して、フレンダも雑誌を閉じ立ち上がる。
「ま、結局は麦野がリーダーだしね。ついてくわよ」
「ん。ありがと」
「でも滝壺と絹旗は? 結局なんで追い出したの」
「だってあの子らなんかアイツらと仲いいじゃない」
「そうなの?」
「そうなの。それに――」
麦野はふ、と嘆息し、
「色ボケ平和ボケした頭で来られても面倒なのよ。忘れてんじゃない? ここは血と硝煙と薬品の臭いしかしない地獄なのよ」
61 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/25(日) 01:07:15.54 ID:bOzZkSko
安価までの導入部分だけでこの量。どうしてくれようこれ
疲れたのできゅーけー
62 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/25(日) 02:24:15.69 ID:bOzZkSko
>>36
分は消化ってことでいいのかな? まあちょくちょく出てくるだろうけど
ちょこちょこ再開
63 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/25(日) 02:37:32.60 ID:bOzZkSko
当麻「あ」
一方「あ」
浜面「あ」
美琴「……今日はなんか星の巡りあわせでも働いてるのかしら」
18413「なにやらお姉様がいらぬ電波を受信しているようです、とミサカは心配します」
滝壺「……なんかビリビリする」
絹旗「滝壺さんは超繊細ですね……ってか本当に電波受信してたんですか」
打止「もしかしてごめんなさい?ってミサカはミサカはちょっとうろたえてみたり」
黒子「なんだか一気に登場人物が増えましたの……」
64 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/25(日) 02:48:41.99 ID:bOzZkSko
当麻「なあ……一つ素朴な疑問なんだが」
一方「なンだよ」
当麻「何故俺たちがアイツらと微妙に離れた席なんだよ! なんだよここは! 男だけ隔離ですか!?」
浜面「言うな……俺もあっちに混ざりたいんだ……」
一方「俺はぴィちくぱァちくとうるせェのよりはいいがなァ」
浜面「なんか一人だけ涼しい顔でむかつくんですけど」
当麻「同感」
一方「るせェよ三下ども。大人しくドリンクバーでもちびちびやってろ」
浜面「うぜぇ……」
当麻「うぜぇ……」
一方「よし、オマエらそこに並べ。サービスして二、三発くれてやるから」
65 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/25(日) 02:58:50.29 ID:bOzZkSko
当麻「しっかし、よくもまあ特殊な状況が揃ったなあ」
一方「何がだよ」
当麻「両手に花」
一方「ぶゥっ!?」
浜面「そういえばそうだなあ……しかも一人は姉妹丼ときた」
一方「それを言うならコイツもだろォが。あと俺は違う」
当麻「あー、姉妹っちゃぁ姉妹だなあ」
一方「しっかし毎回毎回なンでファミレスなンだよ。もォ少しいい場所ねェのか」
当麻「……はっ!?」
浜面「どうしたよ」
当麻「今俺は恐ろしい事に気付いてしまった……」
一方「あァン?」
当麻「………………全員年下だ」
一方「」
浜面「」
66 :
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[sage saga]:2010/04/25(日) 03:20:41.14 ID:bOzZkSko
浜面「この中では俺が一番まとも! なぜなら絹旗が高校生だから!」
当麻「一番やばいのはどう見ても一方通行だろ。なんだよあれ。犯罪じゃねえか」
一方「知るかボケ。それなら上条はどォなンだよ。二人とも中学生じゃねェか」
当麻「……いや待てよ? 浜面が一番危ない気がする」
浜面「は?」
当麻「俺と美琴、年齢差2。黒子、年齢差3」
一方「外見年齢、打ち止め6。アイツは御坂と同じだから2」
浜面「……え?」
当麻「絹旗、外見年齢12歳くらい。浜面、19(スレ内推定)」
浜面「…………あれ?」
当麻「年齢差、7っ! 一番犯罪臭いのはオマエだぁああっ!」
浜面「」
当麻「一方通行は見た目が見た目だから仲のいい兄妹に見えなくもない! だが浜面、テメェは駄目だっ!」
浜面「いやどう考えても一方通行だろ! いくらなんでもあれはアウトだろ!?」
一方「くだらねェ。耳元でガチャガチャ騒ぐなクソが」
当麻「逃げんなよ三下ぁ!」
一方「あァ分かった今すぐオマエのその腐った脳をブチ殺す!」
浜面「ちょっ、他のお客様のご迷惑になるんでってか俺巻き込まれたらガチで死ぬからやめてくれえええ!!」
67 :
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[sage saga]:2010/04/25(日) 03:37:30.19 ID:bOzZkSko
喧々囂々と騒ぐ男子学生のグループから少し離れた席。そちらを振り返った少女は溜め息を吐いた。
「くっだらない。何よ、結局自分の彼女がどうのこうのって自慢したいだけじゃない」
「なんか他人のような気がしないのは何故だろう……」
「けーくんも混ざってみます?」
もう一人、隣に座った少女にそう問いかけられた少年は肩を竦めた。
「勘弁してくださいよ先輩。確かに条件には合致してますけど……」
「年下と、あと両手に花? ま、アンタの場合はハーレムだけどね」
「王様の特権ですか。そのうち刺されても仕方ないと思うんですけど」
「怖い事言わないでください。ただでさえ周りが美人ばっかりなのに」
「悪い気はしないけど、アンタ言動に気をつけないとその内本当に刺されるわよ」
「マジで勘弁してくれ……」
68 :
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[sage saga]:2010/04/25(日) 03:41:34.61 ID:bOzZkSko
「それで、先輩。話を戻しますけど首尾はどうです?」
「やっぱり教会は駄目ですね。私たちにいまいち協力的ではないです」
「学園都市側も駄目だった?」
「ぜーんぜん。あっちはあっちでなんかきな臭い事考えてるみたいよ。『実験』したいんじゃない?」
「くそっ、手詰まりか……やっぱり自力で探すしかないのか」
舌打ちする少年に、もう一度振り返り、
「……アレ、声かけてみる?」
「頼む……勘弁してくれ……」
少年は力なくうなだれた。
69 :
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[sage saga]:2010/04/25(日) 04:03:00.00 ID:bOzZkSko
ファミレスを出て黒子を寮まで送る帰り道、日は落ちたとはいえまだまだ賑やかな通りを三人は歩く。
当麻「はー……なんかすげえ疲れた……」
美琴「何騒いでんのよアンタ。こっちまで恥ずかしいじゃない」
黒子「とはいえお姉様もまんざらではなさそうでしたけど?」
などと他愛もない会話をしつつ。街はいつも通りの喧騒で、彼らの日常そのものだった。
だからだろうか。三人はその人影に気付くのが遅れた。
元春「ようカミやん」
当麻「あれ、土御門」
クラスメイト兼寮の隣人、土御門元春。
いつものようにサングラスに派手なアロハシャツといった風貌の少年はよっ、と手を上げる。
元春「っはー、今日も今日とてらぶらぶだにゃー。うちの妹君にも兄とらぶらぶするように言ってくんねえ?」
当麻「オマエんとこの妹は色々奔放だからなあ。ってかまた放置されてんのかよ」
元春「実習が忙しいとか言ってなあ……っと、そうだカミやん。ちょっといいかにゃー?」
当麻「なんだよ」
元春「まあまあまあ、ちょっとカモンー。あ、お二人さん。ちょっと借りるぜぃ」
70 :
管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch
[sage saga]:2010/04/25(日) 04:07:19.35 ID:bOzZkSko
当麻「また学園都市に侵入者ぁ?」
元春「つっても学園都市としては黙認状態なんだけどにゃー。やれやれ」
当麻「黙認ってどういう事だよ。またイギリスの魔術師か?」
元春「いんや、日本の魔術師だぜぃ」
当麻「天草式か?」
じ っ か
元春「当たらずとも遠からずってとこかにゃー。土御門本家の方の関係なんだけど……」
当麻「は?」
元春「こっちの話。んで、カミやんにお願いがあるわけなんですが」
当麻「分かった。そいつらをぶっ飛ばせいいんだな」
元春「黙認っつったろ。なんでもぶっ飛ばせばいいとか勘違いしてんじゃねーよ」
当麻「って事は……え……?」
元春「ああ。カミやんは首を突っ込まずに大人しくしててくれぃ」
当麻「……はい?」
71 :
管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch
[sage saga]:2010/04/25(日) 04:10:31.02 ID:bOzZkSko
やっとスレタイが出てきたところで今日は終了
名前の出ていない三人とは7/19中に衝突します。明日そこまで書ききれるか……?
72 :
管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch
[sage]:2010/04/25(日) 04:38:33.26 ID:G9eIJ2Qo
おつですのー
73 :
管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch
[sage]:2010/04/25(日) 05:14:27.71 ID:Q7QBWt.0
乙でした〜
74 :
管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch
[sage saga]:2010/04/25(日) 18:49:31.65 ID:bOzZkSko
美琴「何話してたのよアンタたち」
元春「いやぁ、男同士の会話? んじゃカミやん頼んだぜぃ」
当麻「まあ分かったけど……直接遭った時とかは知らねえぞ」
元春「へいへい。んじゃ俺こっちだからー」
当麻「……」
黒子「一体何だったんですの」
当麻「俺もよく分からない?」
美琴「適当ねぇ、アンタ……」
75 :
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[sage saga]:2010/04/25(日) 19:15:48.78 ID:bOzZkSko
「明日で終業式ね。早めに計画練っとかないと」
「計画? なんのですの?」
「旅行。黒子も行くでしょ?」
「わたくしでよろしければ喜んでお供しますわ」
「ぅゎぁぁ……」
「? さっきからなんか様子がおかしいわよね……」
「そうですわね……何か隠し事でもしてるんですの?」
「いや、決してそういう訳じゃないんだが……」
「じゃあ一体なんですの」
「大人しく吐きなさいよ」
「え、えーと……」
たじろいで、なんとか誤魔化そうと明後日の方向を見て当麻は気付く。
76 :
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[sage saga]:2010/04/25(日) 20:03:27.70 ID:bOzZkSko
(…………人が?)
いつの間にか、周囲には自分たちだけだった。
いくら日は落ちたとはいえ学生にはまだまだ活動時間。夜遊びをしない行儀のいい連中などというのは極一部だ。
それもこの辺りは寮が密集している地域だ。誰もいないというのはいくらなんでもおかしい。
普段ならコンビニの前にたむろす連中がいるのが当然だが、それどころか煌々と道路を照らすコンビニの明かりの向こうにも、客どころか店員の影すらない。
「どうしたの?」
尋ねる美琴に、当麻は辺りを見回し答える。
「いや、人が……いねえんだ」
「人ぉ? ああ、そういえば静かね。珍しい」
「まだ早いというのに。珍しい事もありますのねえ」
その言葉に当麻は強烈な違和感を感じる。
明らかに異常だというのに、この二人はそれを珍しいの一言で済ませた。
、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、、 、、 、 、 、 、 、 、 、 、、 、 、 、 、 、、 、 、、 、、 、 、
学生寮の密集地で、道路どころか立ち並ぶ寮の中にさえ人の気配がないというのに。
不可解な現象は日常茶飯事だ。学園都市に既存の常識は通用しない。
けれど、先ほどの悪友の台詞が耳に嫌にこびり付いて離れない。
そして、この感覚を上条当麻は知っている。
77 :
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[sage saga]:2010/04/25(日) 22:37:45.79 ID:bOzZkSko
とてつもなく嫌な予感に、背筋が震えた。
「――美琴! 黒子!」
これがもしもただの偶然なら。そう淡い期待を抱くが、その幻想はガラスが割れたような音で粉々に砕かれた。
当麻が右手で二人の肩を叩いた瞬間響いたその音は、異能の力を砕いた事を意味する。
それは当麻の予感が的中していた事を意味する。
こんな大規模な能力使用をする学園都市の学生はいない。いたとしてもそれほどの高位能力者だ。確実に特定される。
そんな非現実的な可能性よりも、これはもっと可能性の高い非現実だ。
「人払い……っ!」
学園都市に侵入したという魔術師。彼だか彼女だか知らないが、多分そいつの仕業だろうと当麻は当たりをつける。
黙認というからには学園都市にもそれなりのメリットがあっての事なのだろう。
けれど。今まで魔術という物が関わってろくな事になった例がない。
何かとてつもなく嫌な事が起きそうな気がする。
78 :
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[sage saga]:2010/04/25(日) 23:01:08.43 ID:bOzZkSko
「え、あれ? ……なにこれ」
ようやく辺りの状況がおかしい事に気付いたのか、美琴が眉を顰める。
――まずい。このままだとこの二人にも危険が及ぶ。 レベル5
いくらこの二人が高位能力者だとしても、美琴に至っては学園都市に七人しかいない超能力者だとしても、魔術なんてふざけた物に関わって無事でいられる保証なんてどこにもない。
なんとか適当に誤魔化して、二人を逃がさなければ。
そう思った矢先、黒子がぽつりと呟く。
「街が……死んでる……? …………っ!?」
その一言で二人の目の色が変わる。
二人は決して正義の味方などではない。たびたび面倒事に巻き込まれたりはするものの、あくまでただの学生だ。
黒子は風紀委員という自治組織に属しているが、そうは言っても今は休暇中。わざわざ自分から危ない橋を渡る必要はない。
けれど、それ以上に当麻は二人の性格をよく知っている。
なんとなく何が起こっているのか勘付いているだろうし、それに。
「――当麻!」
「当麻さん!」
この二人の場合、大人しく黙っていられるはずがないのだ。
ほんの少しだけ躊躇って、当麻ははぁ、と息を吐き、スイッチを切り替えた。
ぐるりと辺りを見回す。理由は分からないけれど、なんとなく分かる。
「多分……あっちだ」
二人にはそれだけで伝わった。
顔を見合わせ、一度だけ小さく頷き合い、次の瞬間三人は走り出す。
そんな中、当麻は一人だけ不安と決意を抱いていた。
どんな事が起きても、どんな事になっても。
何があってもこの二人だけは守る。そう決めた。
奇しくもその表情は、彼のよく知る白髪の能力者のそれに似ていた。
79 :
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[sage saga]:2010/04/25(日) 23:08:58.80 ID:bOzZkSko
一応確認。需要ある?
80 :
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:2010/04/25(日) 23:12:57.16 ID:wz/Yrv60
もちろん
81 :
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[sage]:2010/04/25(日) 23:16:32.62 ID:mVYQ4xko
いいから続けて
82 :
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[sage]:2010/04/25(日) 23:18:12.46 ID:gUiZfSU0
需要があろうが無かろうが書きたければ書けばいいと思うし飽きたなら辞めればいいと思うの。
でも俺には重要あるよ!
83 :
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[sage saga]:2010/04/25(日) 23:28:29.22 ID:bOzZkSko
そして、嫌な予感は過たず的中する。
学園都市にいくつもある量産型の公園。
木々と芝生の緑が街の中でとりわけ色を主張し、レンガっぽい何かで整備され、自販機やらベンチやらの置かれた公園。
そんなごくありふれた公園なのに、どうしてよりによって。
もう一年近くも前。『上条当麻』が二人の少女と、もう一人の少女に出会った場所。
御坂美琴と出会い、初めて普通にデートして、些細な喧嘩で怒らせた美琴を追いかけて、彼女の気持ちを知った場所。
白井黒子と出会い、度々他愛もない話をして、ある日を境に姿を現さなくなって心配して、彼女の気持ちを知った場所。
上条当麻にとって、そこは聖域にも等しい。
けれど、そんな極々ありふれた、人気のない夜中の公園の中心に。
「おい――なんで人がいるんだよ」
そう、先に言われた。
84 :
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[sage]:2010/04/25(日) 23:28:52.16 ID:0Ygllwwo
きのこの山あげるから続けてくださいまし
85 :
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[sage saga]:2010/04/25(日) 23:51:09.31 ID:bOzZkSko
相手は三人。こちらも三人。
男が一人に女が二人。こちらも同じ。
まるでかがみ合わせにしたように、三人と三人は対峙した。
「おい、どうして人がいるんだよ」
白いカッターシャツにスラックスというこの街にはありふれた格好をした少年が眉を顰めて言う。
年は当麻と同じくらい。ポケットに両手を突っ込んだ姿はどこにでもいるような学生そのものだが――この場にいる時点で普通ではない。
その言葉は当麻たちにかけられたものではない。返事をしたのは隣に立つ少女だった。
「知らないわよ。ちゃんと『場』は展開してるわよ」
長い髪を左右に括った姿は黒子と似ているものがある。
白いブラウスにリボンタイ、ベスト、それにチェックのプリーツスカートを着た少女だ。
けれど少女もまた、当麻と同じくらいの年だろう。こちらも眉を顰め少年に言い返した。
――そして、もう一人の少女。
こ こ
「という事はこの場に干渉できるような能力者なのでしょうか。学園都市の学生って能力開発を受けてるんですよね」
その少女に見覚えがあった。
白いブラウスにチェックのスカート、細い縁無しメガネをかけ、後ろで一つに纏めた長い髪。
今日、昼間街でぶつかった少女。
そして、当麻に道を尋ねた少女。
英国式の教会の場所を尋ねた少女。
「っ――――!」
当麻の嫌な予感は的中し、次の言葉で確固たる物となる。
「なんだよめんどくせぇ……間違いなく能力者じゃねえか。コイツの『処刑場』の中心に来れるんだから」
86 :
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[sage saga]:2010/04/26(月) 00:06:44.04 ID:cbRKaWgo
「おいテメエら……ここで何してんだよ」
「何って、なんでもいいだろ……って訳にもいかねえみたいだな」
「妙な言葉が聞こえたわね……『処刑場』? 随分と物騒じゃない」
「うるさいわね。その『処刑場』のど真ん中にいるって事は、別にブチ殺しちゃってもいいのかしら」
「ま、まあまあ。そんな怖い事を言わなくても……」
「聞き流すには少々剣呑過ぎますのね。休暇中とはいえわたくしも風紀委員。ちょっとお話を聞かせていただいてもよろしいでしょうか」
そこで、少年は首を傾げる。
「…………じゃっじめんと?」
あ、馬鹿、とベストの少女が言うが遅かった。
当麻は吠えるように言う。
「やっぱりテメェらが土御門の言ってた侵入者かっ!!」
「「「――――!」」」
「「――――!!」」
87 :
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[sage saga]:2010/04/26(月) 00:22:46.42 ID:cbRKaWgo
「学園都市のセキュリティは甘くないってのに……侵入者?」
真っ先に動いたのは美琴だった。
「そりゃまた随分と愉快な話ね……ちょっと詳しく聞かせてもらいましょうか」
ばぢ、と空気の爆ぜる音と青白い電光が閃く。
辺りの空気がざわめいた気がした。目に見えない電磁波が彼女を中心に広がり、空気をわずかに震わせる。
「でもその前に……」
美琴は何かを投げるように右手を後ろに振りかぶり――。
「――うん、大丈夫よ、多分」
レベル5
学園都市二三〇万人の頂点。七人の超能力者の一人。
第三位。御坂美琴。
レールガン
またの名を、常盤台中学の超電磁砲。
「ちょっと痺れるだけだからっ!!」
声と共に投げ出された右手から、青白い雷撃の槍が一直線に牙を剥いた。
88 :
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[sage saga]:2010/04/26(月) 00:48:02.86 ID:cbRKaWgo
雷撃。
それは光速の一撃と呼ぶには少々遅すぎる。
けれど秒速百キロメートルを優に超えるそれは、人間には絶対に反応できる速度ではない。
例えば美琴のように、自らの生体電流を操る事ができれば別だが、それは例外中の例外だ。
それは絶対。生物学上確固たる物だ。
マッハ300超という驚異的な速度で襲い掛かる雷電は、一撃で相手を昏倒させる。
そのはずだった。
だというのに。
「――――え」
思わず美琴の口から声が漏れた。
エレクトロマスター
「……やっぱり能力者でしたか。ええと、発電系能力者でしたっけ。電気ですよね、それ」
三人は平然と、気を失うどころか誰一人として倒れることなく、立っていた。
89 :
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[sage saga]:2010/04/26(月) 00:54:07.09 ID:cbRKaWgo
ある程度威力を抑えたとはいえ、それは必殺に近い一撃。
それを真正面から受けてなお――学園都市第三位の一撃を受けてなお、少女はそこに立っていた。
いかに異能とはいえ、それは極論すれば化学現象である事に変わりはない。
例えば避雷針のようなものでその矛先を逸らしたりする事はできるだろう。
けれど相手は何か妙な機械や道具を使った様子はない。
それどころか美琴の放った雷撃は、三人に届く直前にふつりと糸を切ったかのように掻き消えた。
その意味するところは。
「っ……能力者!?」
「まさか外部の……そんなはずは……」
「――なるほど」
少女が呟く。
「学園都市の超能力者……どんなものかと想像してはいましたが」
細い縁無し眼鏡の位置を直し、少女は静かに言う。
「やはり、私のコレで対処できますね」
90 :
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[sage saga]:2010/04/26(月) 00:59:17.31 ID:cbRKaWgo
「……くっ!」
黒子は焦る。
相手の能力がどんなものなのかは分からない。けれど圧倒的ともいえる超電磁砲の一撃を凌いでみせた相手だ。
手加減をする余裕はないと判断する。全力でやらなければ、こちらがやられる。
スカートを翻し、黒子はそこに隠された自分の獲物を引き抜く。
どんな防御をしたのかは分からない。けれど――あらゆる三次元を超越する十一次元からは逃げられない。
「少々痛い目を見てもらいますがよろしいですわね!」
穏便に済ませる事はできないだろうと瞬時に覚悟を決め、黒子は目の前の得体の知れない少女の腕に向かって狙いを定め――放った。
手にした金属矢が掻き消え、目視できない領域を瞬時にして駆け抜ける。
それは人には認識できない遥か高みから襲い掛かり、そして――
「――先輩っ!」
バギィン、と甲高い音を立てて切り裂かれた。
「――――え」
彼女との間に割り込むように飛び込んできた少年が、いつの間にか手にしていたそれを振るった。
ありえない、と黒子は絶句する。
今、彼は一体何をした。
認識できないはずの領域のものを、切った?
「まさか、ソイツは――」
当麻は、それを見たことがある。
学園都市にあるはずがないもの。学園都市にあったとしても、意味のないもの。
それは当麻の知る限り、彼女ら四人しか扱えないものだ。
そう、その『剣』は遠く海を隔てた英国でなければ意味を成さない。
「カーテナ……だと……!?」
91 :
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[sage saga]:2010/04/26(月) 01:08:41.00 ID:cbRKaWgo
「ったく、めんどくさい」
こちらの動揺などどこ吹く風で、もう一人のベストの少女がいらついた声を隠そうともせず吐く。
「アンタたちもお人よしよね。手加減なんてしてどうにかなるもんじゃないんでしょ?」
嫌そうに肩に掛かった髪を払い、少女の手が動く。
つい、と顔ほどの高さにまで引き上げられた右手の四指を握り、親指を手前に向ける。
それは自分を指すものではない。
少女はまるで自分の後ろを指すように肩越しに親指を向け、
「ちゃんと防御するなりしなさいよ。じゃないと……死ぬわよ」
「っ――!」
嫌な予感がした。彼女の言葉は虚勢やはったりではないと本能が告げる。
当麻はもはや条件反射で右手を前に突き出そうとして、
首筋に嫌な気配が纏わりついた。
それと同時に少女は、がづっ、と空を横に引ききった。
Off with his head
「――《首をお刎ね》」
ぞくりと背筋に嫌な予感が走り、当麻は前に出しかけた右手を振り回すようにしてむりやり後ろに払った。
バギィン!!と何かが砕け散る音がした。
「っは、やればできんじゃない」
少女は何がおかしいのか、にぃ、と少女は不敵な笑みを浮かべる。
92 :
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[sage saga]:2010/04/26(月) 01:17:15.34 ID:cbRKaWgo
「テメェら……一体何者だ」
当麻はその問いに意味がない事を知っている。
けれど、知りつつもそう問いかけられずにはいられなかった。
彼らが当麻の知る異能の力を行使する者だとしても、彼らの狙うはずの少女はここにはいない。
そして当麻の右手を狙っているのでもないのは分かる。だとするならば。
一体彼らはなんなのだ?
当麻の問いに、三人は身構える。
髪を左右に括ったベストの少女はじゃらりとポケットから鎖を取り出し、
眼鏡にポニーテールの少女は異様に鋭いペーパーナイフを構え、
そしてその二人の後ろに立つ少年は、右手に剣をだらりと提げ、けれど左手で頭をがりがりと掻きながら。
「なあに、ただの『魔女』だよ」
面倒臭そうに言った。
93 :
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[sage saga]:2010/04/26(月) 01:45:57.75 ID:cbRKaWgo
――当麻たち三人が、三人の侵入者たちと邂逅した頃。
一方通行は、海原と結標に連れられやってきたゲストと対面していた。
数は二人。どちらも女性。
一人は長身に濃浅黄色の作務衣を着た長身の女。
時代がかった丸眼鏡をかけ、短く切られた髪は彼と同じように真っ白で、風貌も相まって翁のような印象を受ける。
眼鏡の奥の目が細く柔和な、まるで童女のような笑みを浮かべていた。
もう一人は黒を基調としたフリルの付いたゴシック調のドレスを着た小柄な少女。
対照的に長く伸ばされた髪はこれまた対照的に、服と同じく墨を落としたかのような漆黒だった。
けれど年相応の無邪気さとはかけ離れた、どこか老獪な笑みを浮かべていた。
「……オマエらか、ゲストってのは」
一方通行は不機嫌さを隠そうともせず吐き捨てるように言った。
自分の意図とは裏腹に管理人と自称する少女が一方通行のいる学園都市の暗部まで食い込んできた事。それもある。
だがそれとは別に、目の前の二人に対して一方通行はいらついていた。
何故だか分からない。
何故だか分からないが、何か妙な圧迫感を感じる。
それは海原と対峙した時の非ではない。
肌の表面がチリチリと騒ぐような、まるでジグソーパズルの中に一箇所だけ真っ白なピースが埋め込まれているような、そんな強烈な違和感。
「よろしくお願いします」
和装の女が丁寧に一礼する。けれど一方通行は見向きもしなかった。
こんな下らない茶番はさっさと終わらせるに限る。
そう心中で吐き出し、尋ねる。
「でェ? オマエら何しにこンなクソみてェなとこにわざわざご足労してくれやがったンですかァ?」
相手が眉を微かに顰めるのも気にせず一方通行は続ける。
「できるなら早いとこ終わらせてくれ。俺はオマエらの相手なンかしてる暇ねェンだよ」
94 :
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[sage saga]:2010/04/26(月) 02:07:54.85 ID:cbRKaWgo
彼女らの目的は一方通行はおろか他の三人も何一つ聞いていない。
電話の相手にただ簡潔に、対象の護衛をしろと告げられただけだ。目的どころか名前すら聞いていなかった。
土御門や海原に近しい側だという事は聞いていても、一体どこの組織の人間なのか。それすらも聞いていない。
「――とある少女を探しています」
ぽつりと、女はそう呟き写真を差し出した。
他に資料のようなものはない。たった一枚の写真だけを示され、一方通行は訝しげにそれを手に取り覗き込み、
「――――!」
目を見開いた。
写っていたのは一人の少女。その人物を一方通行は知っている。
親しく話したことはない。けれど間違えるはずもない。彼の数少ない知人の一人だ。
「おィ――コイツはどォいう冗談だよ――」
「冗談? 俺はただソイツに用があるだけだよ」
思わず漏らした声に返したのはドレス姿の小柄な少女の方だった。
見た目どおりの可愛らしい声で、けれど粗野な言葉遣いで少女は続ける。
「オマエらはただ案内してくれればいい。後はこっちで勝手にやるさ」
はっ、と姿に似合わず傲慢に少女は鼻で笑った。
「オマエら……一体何者だ」
一方通行はその問いに意味がない事を知っている。
けれど、理解できない事を理解しつつもそう問いかけられずにはいられなかった。
一体目の前の二人はなんなのだ?
「そうさなあ……オマエらに分かるように言うなら……」
一方通行の問いに、和装の女は目を伏せ、ドレスの少女は不敵に笑った。
「そう、吸血鬼ってヤツだ」
手の中の写真には、クラスメイトの少女の姿が写っていた。
95 :
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[sage saga]:2010/04/26(月) 02:13:48.56 ID:cbRKaWgo
SECRET STAGE "the Index of the Extravaganza"is started...
ARE YOU READY?
96 :
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[sage saga]:2010/04/26(月) 02:26:56.40 ID:cbRKaWgo
そんな訳で今日はここで終了。当初の予定の地点までなんとかかんとか
最初のタイトルコールまでに50レスってどういう事だ
でもここから!いつもの事だけど!やっぱり何も考えてない!
勢いで出したアイテム組と、何より姫神の事も考えないとだし。うわあああっていう<(^o^ )>
オリキャラ数多すぎだろとかその前に登場人物多すぎだろとか言わないで下さい。俺が一番よく分かってる
そしてこの五人、プロフィールはもうちょっとしてから出てきます
先に言っとくと、やっぱり美琴とかねーちんとガチれるレベルですはい
97 :
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[sage]:2010/04/26(月) 02:30:52.19 ID:sK6PKoAo
乙
続きをを楽しみに舞ってます
98 :
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[sage]:2010/04/26(月) 02:37:03.59 ID:u5Ueab6o
乙
楽しみすぎて首がおかしくなりそう
99 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/26(月) 15:09:42.39 ID:eBi3zWk0
/: : : : : : : : : : : ヽ
/: : : : : : : : -‐-: : : : |
/: : : : : : /:, ‐'' "  ̄´" ‐ 、 _ , - ‐、
ィツ: : : : :.// 、 \ \ _ -‐ ' "~  ̄ (
l",イ--っ:/:/lヾヘ \.\ 、. \ ∧ | | ヽ
. j'"/"~:/: :/ i| \ \'、. \ \ | 二|二 二|二 ゝ
i! {: : : : :|: / i! ,≧ミ\\ ヽ. \. \|. | | /
〈 .ゞ: : : : y i!. '" ,,二ミヾ \ \ \ | /―、 /―、 |
ヽ \:_:{ i!,,_ 〃(cハ }.\ \ |. ヽ/ ヽ/ |
ヽ ! |. ,ミ、 ゝ',,,,"" \ \\ | / / |
|.\___i ヘ{ (ハ u >,ミ ミ. l あ. | .|
ゝ三ニハ. ヾ `ゞ /"、_`‐. ミ | ( 二|二 |
. /三三i! ヽ ∧" _.. ‐‐ ,=ァ / ヘi .|=三| ). | |
. /三三i! \. ∧. `Y"~ _/ / /:.:.ヽ三.| ( /―、 |
/:三三i! l、 ヽ、`" / /:.:.:.:.:.:.:〉| ) ヽ/ |
/::三三i!. | ヽ `ヽ- '"\ /.:.:.:.:./<. ( / |
. /:三三ニ! // } λ ヾ/:.:.:.:.:|:\__〈へ/三 〈 (ヽ'") -‐"
/:三三三| _/'-"| / ハ.ヽ ハ:.,、_:ヘヽ:.ヾ:.:./三三. \ `Y´ <"
ニ三三三==三三ニ/ /三} }三|_\|:.:/三三三 \ /
:三三三三三三三/ /三ニ| ! /、三=(:.:(:.\三三三 ∧/
三三三三三三./ ./.-‐"ノ i / ヽ// Yヾ:.:.:\三三三
三三三三ニ-/ /ヽ / / ! !/:.:/:./.:.:ヽ.:.:.:.:.:ヽ三三三
ヽ= "~ ./ /`ヽ/ / .i i〈:.:.:.:.:./:.:.:|:.:.:\:.:.:/三三三
100 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/26(月) 19:28:49.38 ID:l0GEkY.o
ひさびさに姫神に出番が!
101 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 00:16:11.61 ID:1yOUsSIo
TwitterのID変えようとしたらなぜか反映されなくなった……おのれ魔術師!
よく分からんけどなんとなく再開
102 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 00:22:38.30 ID:1yOUsSIo
あ、そうそう。春先の一軒はなかった事に
103 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 01:13:28.14 ID:1yOUsSIo
「……魔女、だぁ?」
当麻は訝しげに問い返す。何故かその言葉には違和感があった。
彼はそれ以外に形容のし様がないと言う風に肩を竦める。
「ああ、魔女だよ。見ての通り男だけど、魔女なんだ」
「……魔術師じゃねえのか」
その言葉に三人は顔を見合わせる。
「……オマエ、もしかして教会の人間か」
「顔見知りがいる程度だ」
その言葉に、少年はおや、と少し驚いたような顔をする。
「ちょっと待て。オマエ、能力者なのに教会の側にもいるってのか?」
「悪いか。ちょっと複雑な事情があるんだよ」
そこで当麻も彼の言葉に妙な違和感を感じる。
(なんだ……?)
歯の奥に何かが引っかかったような違和感。
何かは分からない。けれど確かに感じる。
教会の人間か、と訪ねられた。
魔術サイドの人間で学園都市に来る以上、当麻の事を知らないのはおかしい。
一時的にとはいえ、イギリス清教の誇る10万3000冊の魔道書を一手に担う少女と共にいたのだから。
それは十字教どころか世界各地に点在する魔術結社の間でも広く知られる事になった、はずだ。
当麻は魔術の世界では間違いなく有名人だろう。
禁書目録、英国、ヴェネツィア、ローマ。これだけ魔術の世界で重要なキーワードを踏んでいるのだ。
そうだとしてもおかしくはない、と言うよりもそうあるべきだろう。不本意ながら。
104 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 01:27:21.89 ID:1yOUsSIo
けれど彼らは当麻の事を知らない。
あれだけの大騒ぎが起きたにも拘らず。
当麻は思考する。
先ほどの短い会話での違和感。それはどこにあった。
能力者なのに教会の関係者なのか、という問い。
違う。それなら土御門も該当する。スパイなんていくらでもいるだろう。
教会の人間か、という問い。
違う。そこにも違和感を覚えたが、そこではない。
彼らに魔術師か、と聞いたら肯定はしなかった。
彼らは、自らを魔女と名乗った。けれど――
もしかして、魔術師ではないのか――?
そもそも魔術師がこの学園都市になんの用があるというのだ。 イマジンブレイカー
目当てとなるはずの禁書目録はもういない。そして当麻の右手の異能――幻想殺しでもない。
――何かがおかしい。
105 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 01:39:05.40 ID:1yOUsSIo
「なあ――」
「おい――」
当麻と、相手の少年の声が重なる。
しかし――。
「ったく、物知り顔で首突っ込まれても面倒なだけなのよ。アンタ何。正義の味方でも気取ってる訳?」
ベストの少女は相変わらず不機嫌そうに言う。
わたしたち
「ヒーローごっこは明るいうちにやりなさい。夜は魔女の世界よ――!」
怒声と共に高々と振り上げられた右手。
人差し指と中指を立て、少女はそれを当麻に向かって振り下ろした。
「ばっ――ちょっと待て!」
少年の制止にも構わず、少女はまるで死刑を宣告するに叫ぶ。
「《首をお刎ね》――!」
何かは分からない。けれど、何かが攻撃しようとしているのは分かる。
その禍々しい響きに当麻は身を守るように右手を突き出す。
バキィン!とガラスが砕けるような音が響く。
相手の攻撃は見えなかった。
けれど見えない物が自分を攻撃しようとしたのは明白だった。
106 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 01:57:58.15 ID:1yOUsSIo
二度目の攻撃も凌がれ、少女の顔に焦燥の色が浮かぶ。
「――っち」
少女は舌打ちし、今度は左手に持った細長い鎖を構える。
鎖の先端には小さな尖った金属製の爪のような物が生えている。恐らくそれが彼女の武器なのだろう。
しゃりん、と鎖が小さく音を立てる。
「それならこっちは――!」
アンダースローで投擲しようとした少女に、声が重なる。
「――さっきから勝手に話を進めてくれちゃって、無視しないでよね」
ぎょっとして声の方に少女が顔を向ける。
「あとさ……こういうのちょっと恥ずかしいんだけど」
バチバチと空気の爆ぜる音が響く。
突き出した右手に青白い雷光を纏った美琴は、少し嫌そうに、けれどどこか嬉しそうに顔を歪め、
「人の男に手ぇ出してくれてんじゃないわよっ!!」
バギン、とゲームセンターの安っぽいメダルを弾き出した。
107 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 02:21:10.46 ID:1yOUsSIo
美琴の代名詞ともいえる超電磁砲。
端からは光の線にしか見えないその一撃は、けれどまたしても止められる。
「――何よそれ」
美琴にも学園都市の頂点の一人だという自負はある。
けれどそんなものを粉々に砕くかのように、超音速で打ち出された金属片はベストの少女の手前で物凄い炸裂音と共に弾け飛んだ。
そして、眼鏡の少女が小さく呻いた言葉に美琴は愕然とする。
「く……さすがにここだと相殺するのもきついですね……」
「相殺、ですって……?」
美琴の必殺技とも言うべき一撃。 、 、、 、
彼女はそれを避けたのでもなく受け止めたのでもなく、相殺した。
同等の力を以って打ち消したと言ったのだ。
つまり――この眼鏡の少女は、美琴と同等の力を持っている――?
ちっ、とベストの少女が舌打ちする。
「ちょっと、ろくに防御できないんだったらアンタは下がってなさい!」
大きく振りかぶり、鎖が撃ち出される。
先端に付いた爪のようなものが鎖分銅のように重りの役割を果たし、一直線に美琴へ牙を剥く。
「お姉様っ!」
しかし美琴は横から抱き付くように飛び出した黒子に腕を取られ、虚空に掻き消える。
その直後、刃が美琴のいた場所を貫いた。
108 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 02:38:02.33 ID:1yOUsSIo
ほんの十メートルほど、美琴は黒子の空間移動能力で瞬時に移動する。
しかしそこで終わらない。鎖はまるで蛇のように曲がりくねり、既に二人の方へと再び襲い掛かっていた。
「っ……!」
認識するが、遅い。
その切っ先が美琴の首元に喰らい付こうとしていた。
当麻はその間に飛び込むようにして右手を突き出し――
「――止まれ!」
声と発したのは、剣を持った少年だった。
同時にまるで凍りついたかのように鎖が空中で不自然に静止する。
「……待てと言ってるのが聞こえないのか」
「あ、っ……ごめ、ん」
若干怒気を孕んだ押し殺した声に、ベストの少女は怯えたように答えた。
じゃらりと鎖が力なく地面に落ちた。
少年はこちらに振り返り、けれど警戒を解こうとはせずに言う。
「なあ、アンタたち……教会の味方か? 学園都市の味方か?」
「どっちでもねえよ」
当麻は頭を振る。
「俺はこの二人の味方だ」
迷わずそう答えた。
109 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 02:39:45.89 ID:1yOUsSIo
うん、なんかあっちもこっちも場面の繋ぎが上手くいかないです
ちょい休憩ー……
110 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/27(火) 02:42:31.61 ID:u8TOCpAo
おつかれー
十分自然な繋がりだと思うのだけれど
111 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 02:55:58.34 ID:1yOUsSIo
ここからの繋ぎで、でね。一応この三人に協力する形になります
思いつくまでだらだらレベル上げでもしてこようかな、うん
なんか激しく地の文が下手になってる気がする……
112 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/27(火) 02:59:22.24 ID:u8TOCpAo
繋ぎは……なるようになる。無責任だけど
113 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 19:07:42.28 ID:1yOUsSIo
「っていうかですね」
眼鏡の少女が口を開いた。
「誤解があるようなので言っておきますが、別に私たちこの街や住人の方々に危害を加えに来たわけではありません」
「…………はぁ?」
「いえ、ですからあなたたちが攻撃してきたから応戦したまでで」
「と言うと……何か? 勘違い?」
「かと」
「え、それじゃ何、私が悪いの!?」
「いや、悪いのはコイツでしょ」
慌てる美琴に、ベストの少女が相変わらず苛立たしげに隣の少年を指す。
「俺……なのか?」
「どう考えてもアンタでしょ。『処刑場』とか誤解されるような事言うから」
「う……」
114 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 19:13:34.84 ID:1yOUsSIo
「ちょっと待ってくださいな。話を整理させてくださいまし」
黒子が口を挟む。
「あなたがた、この学園都市に外から来た侵入者なんですのよね」
「ああ、まあ、うん。正規ルート使ってる余裕なかったしなあ」
「余裕……? そもそもなんのためにわざわざ学園都市に来たんですの」
その問いに少年はぽりぽりと頬を掻き、
「……言っていいのか?」
「アホかアンタはっ! 言っていい訳ないで……」
「いいんじゃないですか。悪い方々ではなさそうですし」
間髪入れず噛み付くベストの少女を遮り、眼鏡の少女が頷く。
少年は少しだけ考えて、頷いた。
「……人を、探してるんだ」
「「「…………はぁ?」」」
その答えに三人は思わず聞き返した。
115 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 19:25:25.62 ID:1yOUsSIo
「それだけぇ?」
「それだけとは失礼な。こっちには大問題なんだよ」
呆れたように言う美琴に、少年は肩を竦めた。
「ちょいと訳ありなんだよ」
「じゃあオマエらここで何してたんだよ。こんな大規模な魔術まで使って」
当麻の言葉に、少年はベストの少女を見遣る。
「ああ、そうだったな。もう解除していいんじゃねえか」
「言われなくてもアンタが止めた時点でキャンセルされてるわよ」
「ぐ……すまん」
「あらあら、そこまで調教済みですか。なかなか隅に置けませんねえ」
「何妙な事口走ってるのよアンタはぁ!?」
そんなやり取りを見て、思わず呟く。
「……なんか似てますわね。やりとりが」
「は? ちょっと黒子、アンタ何言ってんのよ!?」
「なんか他人のように思えなくなってきた……」
当麻ははぁと溜め息を吐く。
「さっきまでのはなんだったんだよ……一気に気が抜けちまったじゃねえか」
116 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 20:09:59.51 ID:1yOUsSIo
「……何これ」
少し場所を移し、公園のベンチ。渡された物を見て少年は目を丸くした。
「何って、黒豆サイダーだけど。スイカ紅茶とかの方がよかったか?」
「いや、これでいっす……」
「中々面白いもの売ってますね。あまり飲みたいとは思いませんけど」
「これで当たり外れが激しいから困り物なんですの」
「ちょっと、アンタたち何和やかに話してんのよ。何しに来たのか忘れたんじゃないでしょうね」
嘆息するベストの少女。まったくの同感だ、と美琴は思う。
「ちょっと詳しく事情を聞かせてもらおうじゃない。事と次第に依っちゃ何か私達にも手助けできるかもしれないし」
まあ事と次第に依っちゃこの場で叩き伏せるかもしれないけど、と心中で付け加える。
「人探しだって言ったろ……もっとも、人っていう表現が正しいのかって聞かれたら困るんだが」
少年は缶に口を付け一口飲んで、顔を若干顰めながら言った。
「なあ……吸血鬼、知らないか?」
117 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/27(火) 20:17:40.82 ID:zstC4wMo
やり取りが似てるせいかキャラの区別がつきにくいな…
118 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 20:37:06.27 ID:1yOUsSIo
「「「吸血鬼ぃ?」」」
「ああ、吸血鬼。つっても正確には吸血鬼っぽい何かなんだけど……」
「なんだそりゃぁ?」
当麻の問いに、少年は少し考え込む素振りをして――
「さあ?」
首を傾げた瞬間、すかさず横から伸びた手がすぱーん!と快音を立てた。
「アンタ分からずに言ったの!? 何それ、馬鹿なの!? 死ぬの!?」
「ってぇ……何すんだよいきなり」
「まあまあ、お二人ともその辺に」
そんなやり取りを見て、当麻は思わず呟く。
「凄い親近感が湧くんだがどうしようこれ」
「私に聞かないでよ」
「同じく、ですの」
119 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 20:59:49.26 ID:1yOUsSIo
「それより早く自己紹介でもせんか。まずは挨拶。そこからだろうて」
横から割って入った声に、当麻は辺りを見回す。
「阿呆。どこを見ておる」
いつの間にか、少年の膝の上に女の子が座っていた。
年は十歳くらいだろうか。少年から奪い取ったジュースの缶を両手で持ち、涼しい顔で飲んでいた。
制服なのだろうか、やはり他の二人の少女と同じような白いブラウスにチェックのスカート。
けれど――当麻は少女の姿に既視感を覚える。
腰まである長い髪。その色は、あの少女と同じような銀色だった。
「……どちらさんですか?」
思わず漏れた当麻の問いに、少女はにやりと笑い。
「――はて、なんと名乗ればいいのかのう?」
振り向かれた尋ねられた少年は、勘弁してくれと両手を上げた。
120 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 21:13:11.01 ID:1yOUsSIo
「そうだなあ、まずは自己紹介か」
少年は頭をがりがりと掻き、はあと溜め息を吐いて、
「乙橘蛍だ。んで……」
「燕倉美月です」
眼鏡の少女が頭を下げる。
その横でベストの少女が相変わらず不機嫌そうな顔を背けながら、ぼそりと名乗る。
「……神狩響姫」
「で、コイツが神威」
「ん」
こくりと頷き、金髪の少女は炭酸が苦手なのかちびちびとジュースを飲む。
その少女の頭を撫で、乙橘と名乗った少年は続ける。
「俺たちはこの学園都市に紛れ込んだ吸血鬼を追いかけてきた、魔女だよ」
121 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 21:27:55.20 ID:1yOUsSIo
当麻「なんだよその魔女って。魔術師じゃねえのかよ」
蛍「別物かなあ。先輩は魔術師だけど」
響姫「アンタそうは言うけど自分でもいまいちよく分かってないわよね」
蛍「う……」
美琴「何よさっきから魔女だ魔術師だって。アンタたち能力者じゃないの?」
黒子「オカルトはこの学園都市には一番似合わない物ですの」
美月「ええと……続けていいですか?」
当麻「……ああ」
美琴「当麻?」
当麻「美琴……あるんだよ。魔術ってのは存在するんだ」
黒子「なんですって……?」
当麻「俺はその魔術を使う奴らを知ってるんだ。何人も」
美月「ほ、本当に続けて大丈夫ですか?」
美琴「……ま、コイツが言うからにはあるんでしょうよ」
黒子「それをなんでこの方が知っているのか納得は行きませんけれど、この際置いておきますの」
美月「助かります。それで、よければあなたたちのお名前も……」
美琴「御坂美琴よ」
黒子「白井黒子ですの」
当麻「……上条当麻だ」
次の瞬間、銀髪の、神威と呼ばれた少女がごぶふっ!?と咽た。
122 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 21:46:07.58 ID:1yOUsSIo
神威「きっ、貴様! 幻想殺しかぁ!?」
蛍「知ってるのか?」
神威「なんとまあ……恐や恐や、長居は無用だの。おい、儂は寝るぞ」
当麻「はぁ?」
. 、 、 、 、
神威「ソイツは儂の天敵だからの……蛍、剣をあまり使うでないぞ。殺される」
蛍「お、おい!?」
一方的に言い切り、神威は蛍に缶を押し付けたかと思うと――虚空に消えた。
当麻「っ……!?」
美琴「消え……まさか空間移動能力者!?」
黒子「違いますわよお姉様……今のは……」
当麻「まさか……今の子は……」
蛍「ああ、うん」
彼はどこか恥ずかしそうに頷いた。
蛍「本物の幻想。多分、カミサマってのが近い……かな?」
123 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 22:21:59.57 ID:1yOUsSIo
ちょと休憩。このまま夜の公園の会話だけで今日が終わりそう
124 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/27(火) 22:45:45.74 ID:U64dPHgo
乙
マイペースで良いんだぜ
125 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/27(火) 23:37:43.32 ID:jTwRREDO
他になに書いてるの?
あと神威以外読めないwwww
126 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/27(火) 23:54:38.82 ID:1yOUsSIo
うん、凄いルビ振るの忘れてた
乙橘蛍=おとたち・けい
燕倉美月=つばくら・みつき
神狩響姫=かがり・ひびき
神威=かむい
読めないのに禁書だと普通っぽいという不思議
127 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/28(水) 00:48:56.70 ID:FED2jfIo
>>125
最初の方に答えてなかった
>>7
の11を別枠でやってます
128 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/28(水) 01:09:59.75 ID:iOj95VAo
確認だが、オリキャラ?
クロスじゃないですよね?
129 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/28(水) 01:14:36.86 ID:FED2jfIo
オリとのクロス、ですの
130 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/28(水) 03:27:48.31 ID:FED2jfIo
結局こっち書けなかった。ねまふー
131 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/04/30(金) 00:53:32.60 ID:sUbiVyUo
学園都市。
世界でも群を抜いて「時代」というものを無視しきった科学力を持つ、最先端の未来都市である。
メタリックに輝くシャープなボディの、いかにもといったロボットが往来を行き来するこの町でも、所詮人間は人間だった。
住人のほぼ全てが学生というこの街では、未熟な精神に行き過ぎた力を宿したため道を踏み外す者、未熟ゆえに世界から脱落していく者が後を絶たない。
そして、それは学生たちだけではない。
それを率いる大人たちでさえ、人の目に付かぬ日陰では人の皮を剥いで化け物となる。
そして、今日もまた、学園都市の闇に飲まれかけるものが一人。
「……や、やめてください……!」
「そう拒絶しないで欲しいな?科学の発展のためなんだ。その体、貸してほしいんだけど?」
監視カメラの死角となる裏路地の、更に裏。
誰一人として目を向けることすらないこの道に、年端も行かない少女が追い込まれてしまっていた。
怯える彼女の前で薄笑いを浮かべる白衣の男の周りには、体つきのいい男たちが六人。
非力な少女に対しては、あまりに過剰とも思われる人数である。
男は、眼鏡を人差し指で押し上げながら、さも残念そうにのたまった。
「本当なら、君を襲うはずじゃあなかったんだけど。予定が変わってしまったのだから仕方がないじゃないか?」
男の背後には、血溜まりに沈む別の少女の抜け殻が転がっていた。
もはや物言わぬ遺体。それは、この上ない分かりやすさで今少女の置かれている状況の危険度を表していた。
「見られちゃったし。モノはついでだ、君にも協力してもらいたいんだ?」
少女は震えながら、後ずさる。しかし、背中は既に無機質な壁の感触を捉えてしまっていた。
もはや、逃げ場などない。
少女は、科学に支配された街で、ただただ無意味に神に祈る。
―――お願いです。私を、助けてください。
「ほら、レベル0とはいえ、色々な素材として使えるしねえ?……じゃ、持って行け」
白衣の男が、背後にいる男たちに指示を下す。
淡々と、男たちは少女へと手を伸ばした。
「あ、や……いやぁぁぁぁぁぁあああっ!!」
少女の叫びが、路地裏の壁に反響する。
そして、血が辺り一面に迸った。
132 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/30(金) 00:54:12.39 ID:sUbiVyUo
ごめん誤爆orz
133 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/30(金) 01:37:32.51 ID:tkl8876o
「――下衆が」
血溜まりで少女が小さく呟いた。
全身に返り血を浴び、闇夜にどす黒くその身を晒した少女はまるで積み木のように地面に散らばる肉片を面白くなさそうに見遣って嘆息する。
つい、と視線を遣ると、壁に寄りかかるように被害者の少女は倒れていた。
恐怖の余り気絶したのか。所詮子供だな、と薄く笑って、彼女は血に濡れた手を掲げた。
街灯の冷めた光にてらてらと光る手をしばらく眺め、唐突に少女は手首から一直線にべろりと舐め上げる。
「――ち、不味い。なんだこの薬品臭い血は。泥水の方がマシだろう」
吐き捨てるように独白し、彼女はぬらりと気絶した少女に視線を向ける。
倒れた少女の傍に寄り、そのまま口付けるのではないかと思うほど顔を近付けてじろじろと見る。
口直しに――とも思ったが、やめた。
別に好き好んで刃傷沙汰を起こすつもりではない。
「よかったなぁ、気絶して。見られてたらバラさなきゃならんからな」
くか、と嗤う。
少女が今目を覚ませばきっと悲鳴を上げるだろう。けれどぴくりとも動かず、血塗れの少女は面白くなさそうに鼻を鳴らした。
鼻息が肌に感じられるほどの距離で視線を動かぬ少女に向けたままべろべろと手にこびり付いた血を舐め取る。泥水でもないよりはマシだ。
「――あまり出歩かれては困ります、お嬢さん」
声に振り返ると、スーツ姿の少年が立っていた。
この場には似合わない、どこか薄っぺらい、貼り付けたような笑顔を浮かべ少年は辺りを見回す。
「お食事ですか」
「そんな大層な物じゃねえよ。虫がうるさかったから撫でてやっただけだ」
ぴっ、と手を振り下ろし、少女は顎で辺りを指した。
「片付けておけ。それくらいはできるだろ」
「……小間使いのつもりはありませんが、分かりました」
「いい子だ」
にぃ、と裂けるように吊り上げられた口は、毒々しいほどに真っ赤だった。
少女はもう興味を失ったのか辺りの惨劇にも目もくれず、少年をも気にする素振りもなくするりと横を通り抜ける。
血に濡れたはずのドレスがふわりと少女の後を追う。微かに鉄錆の臭いが鼻についた。
海原光貴は辺りをもう一度見回し、眉を顰める。
真っ赤だったはずの路地裏は何事もなかったかのように静かで、けれど肉色の積み木だけがそこに転がっていた。
134 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/30(金) 01:55:08.44 ID:tkl8876o
誤爆する方が悪いんだよ!って事でそのまま使いました
そろそろ眠気がやばいんで続きは明日以降
説明的シーンが続きそうなのでその合間に他の面子でも。
>>140
135 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/30(金) 07:36:40.10 ID:5lddR6SO
俺を踏み台に〜?!
136 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/30(金) 15:19:42.10 ID:oREodEDO
ざわ…ざわ…
137 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/30(金) 15:26:28.67 ID:oLSuwuko
ここは俺に任せて早く行け!間に合わなくなっても知らんぞ!
138 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/30(金) 15:31:21.10 ID:TECVZBIo
Hurry Up! 今なら間に合う
Oh! 飛んでって抱きしめてやれ
139 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/30(金) 16:28:02.71 ID:EEFgFMM0
↓
140 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/30(金) 21:17:40.06 ID:wlnkcYoo
空気を読まずに
オリキャラが出るSSで安価を投げるのは無謀
作者本人しか動かせないんだから、サイドストーリーの安価だとしてもこれが原因で道外れる事になったらどうすんだ
141 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/04/30(金) 21:41:12.28 ID:tkl8876o
どうせ指定は禁書キャラだと思うんだけど。道外れたらそれはそれで
んじゃ思いついたら書くます
142 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/03(月) 01:20:50.00 ID:8Cs5od.o
子供たちは概ね従順だった。
木山が手を叩いて声をかけるとすぐに席についた。
多少賑やかなものの授業は思いの外スムーズに進んだ。
マーカー片手にホワイトボードに向かう木山は、先ほどとは打って変わって明朗快活だった。
張りのある声が部屋に響く。それはあくまで機械的なものではない。
世話しなく動く木山の目は手にした教科書を見ていない。それは常に子供たちの方を向いていた。
観察している、と言うと語弊があるかもしれないが、木山は子供たちの反応を見ていた。
声の調子。授業の内容。何より子供たちが理解しているか。それらをつぶさに視線だけで感じていた。
「…………、……」
正直一方通行には木山が恐ろしく見えた。どうしてここまで真剣に子供たちと向き合えるのだろう。
木山の本職は教師ではなく研究者のはずだ。白衣から微かに臭うそれはインクと薬品の物だ。嗅ぎ慣れた臭いを間違えようがない。
だというのに、今目の前にいる彼女は、疑う余地もなく『教師』だった。
勉強という名の知識を叩き込むだけではない。教え諭し導く。子供たちの――生徒の事を想っている者の目だった。
彼女の声は相変わらず淡々としているものの、言葉の端々にはそれが如実に現れている。
その姿はどこか、あの安全ピンだらけの白い服に身を包んだ異邦人の少女を連想させる。
つまり――これが天職という奴なのだろう。
圧倒的ともいえる距離を感じる。彼女はこれを自分にやれと言うのだろうか。
子供はおろか、誰かに物を教える事などしたはずがなかった。あくまで彼は『学生』だ。木山とは立場がまるでまるで正反対だ。
とても真似できるとは思えないが……しかしだからといって試してみようともしないのは癪だった。
この時、一方通行は彼女に憧れに近い物を見ていたのかもしれない。
木山を見る子供たちの目は澄んでいて、まるで宝石のようだった。
一方通行は想う。彼女はどんな気持ちでこの視線を受け止めているだろうか、と。
143 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/03(月) 01:21:17.37 ID:8Cs5od.o
ぎゃあああああ誤爆ったああああああ
まだ人様のスレじゃなくてよかったけど……
144 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/05/04(火) 13:48:28.13 ID:36fWmwDO
>>140
前もオリキャラ出るssで安価で書ききってたし大丈夫じゃないの?って思うんだが
145 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/05(水) 23:19:14.17 ID:mOl3VnEo
「よぉ」
まだまだ人の賑わう時間、電飾の煌びやかな繁華街。
声をかけられ振り返ると知った顔がいた。
「……垣根」
「なんだよ。久し振りの再開だってのにつれねぇな」
おどけてみせる垣根に麦野は眉を顰めた。
「何よ。生憎デートの誘いなら日を改めてよね。ちょっと忙しいの」
「おいおい悲しい事言うなって。ちょっと付き合えよ」
妙ににこにこと笑む垣根に麦野は疑念を抱く。
まさか本当にデートの誘いとは思えない。一体彼は何を考えている……?
「今ホットなネタがあるんだけどよ興味ねぇか?」
「ちょっと、しつこい男は嫌われ――」
言葉は途中で途切れる。
「……コイツが面白い物抓んだんだが、興味ないか?」
彼の見せた右手には、長い爪が突き出た取り付けられたグローブがはめられていた。
146 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/05(水) 23:23:45.06 ID:6JGKmIDO
再開か?
がんばれ
147 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/06(木) 00:06:45.85 ID:aKtk4poo
フレンダ「……一体なんだっていうのよ。結局私たちになんの用よ」
垣根「そんな怖い顔すんなって。可愛い顔が台無しだぜ?」
フレンダ「麦野! 可愛いって言われた!」
麦野「アホの子かアンタは」
フレンダ「場を和ませようとした小粋なジョークじゃない……」
定規「おまたせ。私で最後?」
垣根「ちょうどこっちも来た所だよ。……さってと」
麦野「それで、ホットなネタって何よ。下らないのだったら蹴り飛ばすわよ」
定規「ネタの鮮度は保証するわよ。まあどっちかっていうとクールな内容だけど」
――パサ
フレンダ「……何これ」
定規「今日未明、三時三十八分。場所は第七学区。そいつらが最初に尻尾を出した映像がそれ」
麦野「尻尾? コイツら一体何者よ」
定規「どうも『グループ』の連中が一枚噛んでるみたいなのよね」
垣根「『スクール』もこんな状況だ。そこで『アイテム』の方々にもちょいと流しておこうと思ってな」
フレンダ「結局なんなのよ。前置きはいいからさっさと言いなさいよ」
定規「いくら気になるからって焦ったら駄目よ、お嬢ちゃん。仲はゆっくり進展させないと」
フレンダ「っ……」
アンダーライン
垣根「そう思って聞いてみたんだよ、滞空回線に。そしたら妙な単語がヒットしやがった」
麦野「…………」
垣根「――――『カヴン』。どうやらあちらさんも俺たちと同じようなチームらしいぜ?」
148 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/06(木) 00:12:29.22 ID:aKtk4poo
『アイテム』
麦野沈利 絹旗最愛 フレンダ 滝壺理后
『グループ』
土御門元春 海原光貴 結標淡希 一方通行 UNKNOWN
『スクール』
垣根帝督 UNKNOWN [
連絡無し
] [
連絡無し
]
『カヴン』
[
禁則事項です
] [
禁則事項です
] [
禁則事項です
] [
禁則事項です
] [
禁則事項です
]
149 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/06(木) 00:50:16.20 ID:aKtk4poo
「……帰ってこないわね」
「海原のヤツもどこまで追いかけてったンだか」
「VIPなのはいいけどね、もう少し愛想よくしてもいいと思うのよ」
「すみません。連れがご無礼を」
「オマエの気にすることじゃねェだろ」
「…………」
「おい土御門、オマエさっきから何ずっと黙ってやがるンだよ」
「なぁ一方通行、ちょっといいか」
「なンだよ」
「いいからツラ貸せ」
「…………、……チッ」
「おや、男二人で密談ですか、とミサカはここぞとばかりに妄想力を発揮させます」
「うるせェ。何考えてンだよ」
「ご想像にお任せします、とミサカは逃げの一手を決め込みます」
150 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/06(木) 01:31:19.30 ID:aKtk4poo
「――でェ? なンだよ一体」
「……アイツ、さっき自分を吸血鬼だとか言いやがったよな」
「それがどォかしたのか。どンな能力なのかはしらねェがまた気取った言い方をしやがる」
、 、 、 、
「言ったろう。お客は俺達の側の奴だと。十字教にとって吸血鬼ってのがどんな物なのか知らない訳でもないだろう」
「ソイツはB級映画の中だけじゃねェのか。今時ヴァンパイアものなンて流行らねェぞ」
「俺もそう思ったさ。そう思った。けれど念のため確認を取った」
「……それで」
「ソイツの真偽は分からねえ。けどな、事実だけ伝えておく」
「…………」
ネセサリウス
「『必要悪の教会』が動いたぞ。連中この街で吸血鬼退治をやらかすつもりらしい」
「……ソイツは、笑えねェ冗談だなァ」
「俺は『必要悪の教会』所属とはいえ元々日本の陰陽師だし、海原もアステカの出だ。オカルト側とはいえ十字教とは関係が薄い。
けどな、連中、こと悪魔と吸血鬼に関してだけは容赦しねえぞ。国一つ丸ごと消し飛ばしてでも潰しにくる」
「随分と過激なこって」
「なんたって教義を全否定するような存在だからな……ってのは建前で、まあ面倒な事が色々あるんだが」
「はァ?」
「いや、こっちの話。どうでもいいから大事なところだけ言うぞ」
「…………」
「この街が火の海になるのだけは勘弁して欲しい。かといってアイツを引き渡すのもできねえしな」
「…………チ」
「だからさっさと奴さんには用事を済ませてお帰り願う。学園都市の外ならいくらどんぱちやってくれても構わない」
「用事っつったって、アイツらは……」
「アイツらが姫神をどうしようと俺の知っちゃこっちゃねえよ」
「っ――」
151 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/06(木) 01:36:34.31 ID:aKtk4poo
「優先順位を考えてみたらどうだ。何せ自称伝説のバケモノだ。君子危うきに近寄らず。俺はやりたくねえぞ」
「――――だが、」
「ああ。先は見えてる。火を見るよりも明らかって奴だ」
「俺たちは必ず上条当麻と衝突する」
152 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/06(木) 01:59:48.23 ID:aKtk4poo
「何をこそこそと話してたの」
結標に苦笑され、一方通行は顔を顰めた。
「クソ面白くもねェ話だよ、クソ」
「隠し事はよくありませんね、とミサカは情報の開示に非協力的であれば実力行使も辞さない事を事前に宣告しておきます」
「オマエそれ補足の方が長くねェか?」
――チン、と乾いた音を立ててエレベーターの扉が開いた。
黒いドレスの自称吸血鬼な少女が、面白くなさそうな顔で出てくる。
「あら、お帰りなさい。散歩はもういいのかしら?」
「――ふん、街が明るすぎて月が見えねえ」
「風雅なこって」
「海原は?」
「少し野暮用をな、頼んだ」
その言葉に、和装の女がぴくりと眉を動かす。
「……また、食い散らかしてきたんですか」
「害虫駆除に貢献してやっただけだ」
カ、と面白くなさそうに少女が嗤った。
153 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/06(木) 02:04:56.18 ID:aKtk4poo
「そういえばまだ名前を聞いてなかったわね」
「そうでしたね」
「馴れ合うつもりはねえよ、お嬢ちゃん」
「……つれないわね」
「そうつんけんせずともいいではないですか」
「……人に名前聞く時は自分がまず名乗れって習わなかったのか? 学園都市はそんな事は教えてくれねえか」
「結標淡希よ」
「そっちは」
「……土御門、元春」
「……一方通行だ。そォ呼ばれている」
「ッハ、随分と個性的な呼び名だなあ。さっきの小僧は」
「海原光貴よ」
「……ふぅん?」
154 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/06(木) 02:12:08.09 ID:aKtk4poo
「オマエは」
「……管理人、そォ呼べ」
「オマエに聞いてんじゃねえよ……まあいい。ふん、ドラゴン、ねえ?」
「こっちが名乗ったンだ。オマエらも名乗って貰おうか」
一方通行の不機嫌そうな声に、作務衣の女が先に答えた。
「佐野浅黄といいます」
「山田、じゃなくていいのかよ」
からかうような口調の少女に彼女は困ったように微笑み返す。
「オマエは、なんて名前なんだよ」
土御門の苛立たしそうな声に少女は顔を歪ませるように笑った。
「そうさな、郷に入っては郷に従えか」
ハ、と鼻で笑って少女は。
「暮愛静紅だ」
そう名乗った。
「…………ほンとにそれ本名かよ」
「テメェに言われたくねえよ」
もっともだ、と他の全員が頷いた。
155 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/06(木) 02:15:05.44 ID:aKtk4poo
とりあえず名前だけ出して終了
スクールコンビ出すとは自分でも思ってなかった。さあどうしよう
佐野浅黄=さの・あさぎ
暮愛静紅=くれない・しずく
複線上手く回収できるかなあ……
156 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/06(木) 02:42:49.38 ID:z7XsEmUo
いろか・・・・
157 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/06(木) 17:45:18.45 ID:aKtk4poo
当麻「吸血鬼を追ってきた。それは分かったけど……じゃあその吸血鬼さんは何しに来たんだよ」
蛍「……ディープブラッドだっけ? そんなのがいるらしいんだけど」
当麻「っ――!」
美琴「何それ? 何かの能力?」
美月「吸血殺し、らしいですね。どういう理屈かは知りませんけど吸血鬼ホイホイみたいな能力らしいです」
黒子「聞いた事ありませんわね……そもそも吸血鬼が実在するとか今初めて知りましたし」
美月「彼女を吸血鬼と呼んでいいのか分かりませんけれど」
美琴「どっちなの。はっきりしなさいよ」
蛍「吸血鬼っていうか……呪い? みたいな」
美琴「ますます分かんないわよ……」
響姫「分かってる事だけ分かればいいわよ。吸血鬼っぽい何かが、吸血殺しを殺そうとしてる。それだけよ」
当麻「……殺すつもりなのか。吸血鬼が、吸血殺しを」
響姫「他に考えられないでしょ。天敵にわざわざ会いに行くなんて自殺以外の何物でもないわよ」
美琴「それはまた随分と物騒な話ね……で、その吸血殺しはどこのどいつよ」
美月「実はまだよく……」
当麻「……なぁ、アンタらはその吸血鬼をどうするつもりなんだ」
蛍「そんなの決まってるだろ。止めるんだよ」
当麻「…………」
美琴「当麻?」
当麻「……知ってるぞ、吸血殺し。俺のクラスメイトだ」
158 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/06(木) 19:23:09.97 ID:aKtk4poo
そんな剣呑な会話があちらこちらで繰り広げられている頃。
「……食べ過ぎたかもしれない」
騒ぎの中心である姫神秋沙は何も知らずにいつかのようにファーストフード店の二階席でぐだーっと突っ伏していた。
夏休み直前という事もあって気がはしゃいでいたのだろう。
ふらっと立ち寄ったハンバーガーショップで思わず大量に注文してしまった。
トレイを受け取った瞬間何か嫌な汗が出たけれど頼んだのは自分だ。
仕方ないので友人の修道女ばりのフードファイトに果敢に挑戦したが、結果惨敗だった。
「ごらんの有様だよ……」
誰にともなくぼそりと呟くが、余計に空しいだけだった。
持ち帰って、という選択肢はない。この手のファーストフードは刻一刻と味が落ちるものだ。
冷めてぼそぼそになったハンバーガーや湿気ってもにょもにょとしたポテトなど食べたくない。
かといって残るエビフィレオとチキンタツタとポテトLサイズを平らげれるとも思わない。
さてどうしたものか。
このままだともったいないオバケが出てきてしまう、と恨めしそうにトレイの上に鎮座するそれを見遣りながら思案していると。
「うわ……端から見ると超ホラーですね」
などと失礼な事を言われてぐりんとそちらに顔を向けた。
159 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/06(木) 20:00:33.06 ID:aKtk4poo
「こんばんは、ひめがみ」
「滝壺さん。こんばんは」
見知った顔がいた。滝壺理后。
ジーンズにTシャツというラフすぎる格好は年頃の少女としてどうなのと思うが、あまりファッションの件に関しては突っ込んで言えない。
酷い事を言う小さい方の少女をわざと無視して(自分でも陰湿だと思う)体を起こす。
「こんな所で会うなんて。珍しい」
「そうだね」
滝壺は向かいの席に座った。
そのまま極自然な動作でポテトに手を伸ばす。
「…………まあ。いいけど」
「?」
どこかぼんやりとした表情で首を傾げる滝壺に姫神は曖昧に首を振る。
「二人とも。どうしたの? もう結構いい時間だけど」
「ちょっとお喋りしたいなって思って。夜遊び」
いまいち返事になってない気がするが、なんとなく理解できた。
頷いて、姫神は一言。
「不良」
もっとも姫神自身も人の事を言えた義理ではないのだが、それはそれ、これはこれという素晴らしい文句がある事だし気にしない。
「姫神さんに言われたくありませんよ。こんな時間に女の子が一人で出歩いてると超悪い狼さんに食べられちゃいますよ」
絹旗もひらひらとしたワンピースを緩く靡かせ滝壺の隣に腰を下ろした。
そしてやっぱり無遠慮にポテトに手を伸ばす。もう何も言わない。
160 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/06(木) 21:32:30.87 ID:aKtk4poo
姫神「それを言うなら。二人も同じじゃない?」
絹旗「超心配しなくて大丈夫ですよー。一応害獣避けはありますから」
浜面「おいおいおいおい、いくらなんでもそりゃ扱い酷くねえ?」
姫神「……どちらさま?」
滝壺「はまづら」
絹旗「それ超簡潔過ぎますよ滝壺さん」
滝壺「……彼氏?」
浜面「どうもー! 彼氏の浜面仕上でっす!」
絹旗「何超感動してるんですか。姫神さんドン引きですよ」
姫神「…………いいなぁ」
絹旗「はい?」
姫神「私も。彼氏欲しい」
161 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/06(木) 21:40:34.56 ID:aKtk4poo
絹旗「あれ、姫神さん彼氏いないんですか」
姫神「不本意ながら。影も形も」
浜面「ありゃ。可愛いのにもったいないなー」
絹旗「スタンピング」
浜面「ぎゅおぁっ!?」
滝壺「どうしたの、はまづら。潰れた蛙みたいな声出して」
浜面「〜〜〜」
滝壺「はまづら、ちゃんと言わないと分からないよ?」
絹旗「いいんですよ滝壺さん。浜面は時々超物理存在にいきなり祈り始める悪癖があるんです」
滝壺「なにそれ?」
姫神「……今日も。学園都市は平和」
162 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/06(木) 22:37:08.49 ID:aKtk4poo
姫神のその認識は概ね間違っていた。
人気のないがらんとしたファーストフード店の二階席は、既に平和などという単語とはかけ離れた世界になっていた。
いや、先の言葉は間違ってはいない。
この店内が学園都市の中で孤立した異郷と化したのだから、仕方ない。
「――久し振りだね、姫神秋沙」
階段から影がずるりと伸びるように姿を現したのは、黒衣の神父服を纏ったえらく長身の少年だった。
けれど聖職者にあるまじき炎のような赤に染められた髪と、目元のバーコードのような刺青、そして口に咥えたタバコ。
姫神はこの少年を知っている。忘れる訳がない。
あの日、あの少年と一緒にいた。僅かに知る学園都市と違う世界の住人。
姫神のもう一人の命の恩人。
けれど彼は、酷薄な笑みを浮かべたまま姫神に呼びかける。
「僕でよければデートに誘いたいんだけど、いいかな? 年上の女性を誘うのは緊張するんだけれど」
163 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/06(木) 22:40:13.12 ID:vLhdAzAo
支援はいらなかったっけ?
164 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/06(木) 22:41:56.09 ID:9uiwLSA0
いらんけどあると嬉しいよ
165 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/06(木) 23:02:35.27 ID:aKtk4poo
「……あなた。何をしにきたの」
「手厳しいね」
いぶかしむ姫神に彼は笑顔を崩さずに肩を竦めた。
「まあ詳しい事は後で話すとして、ちょっと来てくれないか」
「ちゃんと言わないと。分からない」
「うん。まあそうだね」
笑顔のまま頷く。
つかつかと席の傍まで彼は歩いてきたかと思うと、ふうと溜め息を吐いた。
「いいから」顔つきをがらりと変え姫神の手を掴み「黙ってついてこい、素人が」
166 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/06(木) 23:59:15.06 ID:fxMZCYoo
全部見てるけど本当創作力すごいなあ
あまりSSで見かけない姫神で超俺得
167 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/07(金) 00:12:54.00 ID:pmHjFnYo
その腕を掴み返したのは浜面だった。
「……いまいち事情が分かんねーんだがよ」
ぎし、と掴まれた腕が軋み、彼は咥えたタバコに歯を立てた。
「女の子を誘うにもマナーっつーもんがあるんだがよ。とりあえず咥えタバコはやめろ、坊主」
「……素人が口出しするな」
「素人素人って、オマエ何様だよ。女の子を力ずくで連れて行こうとするような奴が偉そうな口叩いてんじゃねえ」
「…………」
姫神の手を離し、彼は浜面の手を振り解いた。
ぐるりと席を見回す。
姫神の前に割り込むようにして威圧する浜面と、険しい顔でこちらを見る少女が二人。
当の姫神は判断しかねるような表情でこちらを見ていた。
「…………」
はぁ、と彼は一歩下がって溜め息を吐き、くしゃりと髪を掻き上げた。
「それ、答えてもいいのかい」
億劫そうに尋ねる彼の袖元から、カードが一枚零れ落ちる。
ひらりと宙を舞ったそれは、まるで意思を持っているかのように浜面の胸元へと流れ、
カードには幾何学的な、酷く簡単な模様が書かれていた。
kano
――『<』
浜面にはそれが何を意味するのかは分からない。
けれどもしこの場にあの白い修道服に身を包んだ銀髪の少女がいたら即答してくれただろう。
松明、そして開始のルーン。
「ステイル=マグヌス。魔術師だよ」
そう少年が酷く酷薄な笑みを浮かべた瞬間、カードがガバッと嫌な音を立て爆発した。
168 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/07(金) 00:26:59.65 ID:pmHjFnYo
本日はここまでで。ちょっと休憩した後鈴科進めますん
169 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/07(金) 02:38:36.71 ID:pmHjFnYo
物凄い勢いでザッピングしてるので一度現在の状況を整理
8/19 夜10時ごろ(無論黒子は門限ぶっちぎり)
・とある公園
上条当麻、御坂美琴、白井黒子、自称魔女3人+α
・とある廃ビルの地下隠し部屋
一方通行、土御門元春、結標淡希、ミサカ18413号、自称吸血鬼2人(海原はまだ戻っていない)
・とあるファミレス
麦野沈里、フレンダ、垣根帝督、心理定規
・とあるファーストフード店
姫神秋沙、浜面仕上、滝壺理后、絹旗最愛、ステイル=マグヌス
170 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/07(金) 02:39:08.54 ID:pmHjFnYo
8/18でしたorz
171 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/07(金) 20:13:13.75 ID:pmHjFnYo
うわああああああSS2の4行目忘れてたあああ
172 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/07(金) 21:20:28.68 ID:pmHjFnYo
「がぼっ……!?」
至近距離で爆発が直撃し、浜面は吹き飛ばされ壁に叩き付けられた。
胸と背を交互に殴打され肺の中身が無理矢理吐き出される。
「はまづら……っ!」
滝壺の悲痛な叫びが聞こえた気がしたが、浜面はそれをあえて無視する。
モノクロになりかける視界を気合いでステイルと名乗った少年に向ける。髪の赤が嫌に映えた。
(能力者……かっ……!)
混乱しかける思考を強引に制御して浜面は冷静に分析する。
幸いにも服には焼け焦げたような後が付いたものの、炸裂のほとんどは衝撃波だけだ。
「ぐ、がっ……!」
倒れそうになる体を気合いだけで踏み止まらせ、歯を食い縛り睨み付ける。
パイロキネシスト エアロハンド
恐らく相手は発火系能力者か大気操作能力者。
前者である可能性が高いが、後者だった場合多少面倒な事になる。
赤髪の神父は言うまでもなく『敵』だ。
けれど今この場にいる『味方』の中でまともに戦えるのは一人だけだろう。
滝壺のAIMストーカーは特殊な薬品で自身を暴走状態にしなければまともに使う事ができない。反動が大きいどころか生命に関わりかねないので却下。
唯一男である浜面自身は無能力者だ。情けないが能力者同士の戦闘には一方的に蹂躙される可能性が高い。
そしてこの中で最も戦闘力があるのは、最年少である絹旗だった。 オフェンスアーマー
効果範囲こそ極端に狭いものの単純な攻撃力と防御力なら彼女の能力である窒素装甲はほぼ無敵だ。
空気中の約78%を占める窒素を自在に操る能力はトラックが正面から直撃したとしても逆に相手を潰すほどに堅牢だ。
しかしその能力にも穴がある。彼女の操るのは窒素だ。それ以外のものは操れない。
もし目の前のドギツイ格好をした少年が大気操作系の能力者なら――相性が悪い。
片手で車やらを持ち上げて見せるので勘違いされやすいが、絹旗自身は年相応の非力な少女だ。
もし相手が絹旗の操る窒素に干渉できるとしたら――。
173 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/07(金) 21:43:24.47 ID:pmHjFnYo
そこから先は考えない。考える必要もなかった。
スキルアウト
一時的にとはいえ浜面は無能力者武装集団を束ねていた過去がある。
もし昔馴染が今の彼を見たらどう思うだろう。
能力者の、しかも格好付けたガキにいいようにあしらわれて背を向けるなどできやしない。
ちっぽけで安っぽいものではあるけれど、浜面にだって矜持も誇りもある。
オフェンス
それに、そもそも絹旗に前衛を張ってもらおうなんて考える自分が甘い。
それは間違いなく自分の役目だ。
好きな子を守るために戦うなんて、今時少年漫画でも流行らない。
「は――はは、」
けれどやっぱり、浜面仕上は男の子で、そういう事にどうしようもなく燃えてしまう。
浜面は拳を強く握り、自身を鼓舞する。
オカルト
しかしこの学園都市で魔術師を名乗るだなんて酔狂な奴もいたものだと薄く笑う。
あれか、もしかするとこれが厨二病とかいう奴だろうか。
イカれるにしてももう少し別の方法があっただろう。
いくら神妙不可思議な能力だとしても、この科学の支配する学園都市でそれはない。
「いいぜ、クソガキ。ちょっとお兄さんが課外授業してやるよ」
正直なところ能力者相手に正面切ってやりあいたくはない。
ばき、と指を鳴らし、浜面はステイルと、そして何より自分に叫ぶ。
「女の子の扱い方その一! 手荒なマネは野郎にのみ可っ!」
今や浜面は、滝壺と絹旗以外には麦野くらいしか怖い者がいなかった。
174 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/07(金) 22:34:13.97 ID:pmHjFnYo
「じゃあ遠慮なく」
「どぅるふっ!?」
ばらばらばらと辺りに撒かれたカードが一斉に炸裂し、浜面は前衛的なダンスを踊るかのような動きできりもみ回転した。
いい感じに空中浮遊を味わった後、浜面はべちょっと情けない音を立てて床に突っ込んだ。
「一応言っておくけどこれでも手加減しているんだ。骨も残さず灰になりたくなかったら邪魔しないでくれ」
短くなったタバコを吐き捨て、懐から取り出したシガーケースから新しいものを抓み口に咥える。
ぴんと指で弾くと一瞬ぼっとタバコの先端が燃え上がる。ステイルはゆっくりと煙を吸い込んだ。
「君がどんな能力を持っているのかは知らないが、あまり突っかからないでくれ。仮にも神に仕える身だ。無駄な殺生はしたくない」
「……はっ、誰が無駄死にだ」
浜面は倒れたまま咳き込みながらも笑った。
「正面切って能力者と戦うなんてのは能力者か馬鹿のする事だ。俺は無能力者だけど、でも馬鹿じゃねえ」
「なに……?」
突っ伏したままにやりと言い放つ浜面に、ステイルは怪訝な顔をする。
「いいのか、そんなに男にご執心で。テメェの狙いはさっきの子だろ。ほっとくと愛想付かされて逃げられちまうぞ」
「――ちっ!」
小さく舌打ちし慌てて振り返るステイルに浜面は続ける。
「無駄死になんかするか。死ぬ時は好きな子の腕の中って決めてんだよ、ばーか」
175 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/07(金) 23:05:47.41 ID:dihJWq60
はまづらェ…
176 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/07(金) 23:41:40.00 ID:pmHjFnYo
どうやら時間稼ぎには成功したようだ。
階段の向こうから聞こえる自動ドアの開く音に頷きながら浜面はよろよろと立ち上がる。
AIMストーカー
打ち合わせ無しでやれるか不安だったがそこはさすが能力追跡、こちらの意図していることを正確に読み取ってくれたらしい。
いや、これも愛のなせる業か。以心伝心とはこの事だと感動すら覚える。
「………………おい」
こちらに背を向けるのは浜面を脅威と認識していないからだろうか。
表情の見えぬまま赤髪の神父は誰もいなくなりがらんとした店内を見て、怒りを押し殺した声を――あれ?
かつ、と靴音が響く。
ステイルは微動だにせず、相変わらず浜面に背を向けたままだ。
だとするなら――この音は誰が立てたものだ?
嫌な予感に浜面は軋む体を奮い立たせて起き上がる。
ステイルの長身に隠れてその向こう、ちょうどさっきまで自分たちの座っていた席がよく見えない。
けれど、
その声の主が、誰だか分かってしまう。
「大丈夫だよ、はまづら。ひめがみはきぬはたが連れてったから。きぬはたなら大丈夫」
強く頷き、声は浜面を鼓舞する。
けれどそれは、何故か絶望的なまでのすれ違い。
「大丈夫。はまづらは私が守る」
滝壺理后はポケットから取り出したピルケースを握り締め、力強く言い放った。
177 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/08(土) 00:13:00.27 ID:hhRPB.so
「滝壺……オマエ、なんで……っ!」
ぐるりと円を描くように距離を取りながら滝壺は浜面の方ににじり寄る。
「……はまづら」
いつものどこか眠そうな顔はなりを潜め、滝壺は険しい顔でステイルを睨みつけていた。
「気をつけて。この人、記録できない」
一方ステイルはどこか余裕を匂わせる笑みを浮かべながら滝壺を視線で追う。
「記録できないって、それ……」
「AIM拡散力場がない」
いつになく真剣な滝壺の声に浜面は息を呑む。
AIM拡散力場。それは能力者なら誰しもが持つ微弱な力の気配。
滝壺の能力追跡はそれを捕捉し、観測する事に特化した能力だ。追跡自体は暴走状態になければ行えないが、観測は通常時でも可能なはず。
けれどその滝壺が、その存在を否定する。
AIM拡散力場の不在。それが意味する事は。
「この人、能力者じゃない」
その言葉に、ステイルは口の端に咥えたタバコを頷くようにゆっくりと上下に振り、
「だから言ったろ。僕は魔術師だ。なんで君たちはそんなに未知の存在に否定的なんだろうね」
うんざりしたような口調でそう言った。
178 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/08(土) 00:53:28.76 ID:hhRPB.so
「……まさか本当にファンタジーの世界の住人だってのかよ」
「まったく、僕も信用されないね。そう言っているじゃないか」
咥えたタバコを抓み取り、ふぅとステイルは煙を吐き出す。
「まあそんな事はどうでもいいさ。僕が用があるのは君たちじゃない。姫神秋沙だ」
「だからってほいほい行かせる訳ねえだろ。しつこい男は嫌われるぜ?」
できる事なら使いたくなかったが、浜面は腰の後ろに手を回す。
シャツの裏、ズボンに挟んだ拳銃。グリップを握り締めると手に嫌な汗が浮いているのが分かった。
けれど浜面は覚悟する。
ステイルに絹旗を追わせる訳にも、ここで滝壺と戦わせる訳にもいかない。
選択肢はない。目の前の敵は、浜面がなんとかしなくては。せめて滝壺が逃げるまでは。
「滝壺」
浜面はステイルから視線を外すのを堪え、呼びかける。
「能力者じゃないならオマエは無力だろ。例え体晶を使ったって無意味だ」
酷い事を言っていると思う。けれどそれは多分事実で、そうでなくてもそう思わせなければいけない。
「逃げろ。さすがにコイツはヤバイ臭いがする。絹旗――いや、麦野とフレンダも一緒に――」
「いや」
必死の思いで告げた言葉も、即座に拒絶された。
「はまづらは私が――」
「言う事を聞いてくれ滝壺!」
浜面の怒声に滝壺は怯えたようにびくりと肩を震わせた。
「たまには格好付けさせてくれよ。な?」
「…………」
「言っただろ。俺は死ぬ時は好きな子の腕の中って決めてんだよ。でもまだその時じゃねえ」
「……はまづら」
179 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/08(土) 01:15:05.63 ID:hhRPB.so
「お取り込み中悪いんだが……僕もこれで忙しい身でね。ちょっと本気を出させてもらう」
二人に睨まれながら、ステイルはそれでもはぁ、と溜め息を吐き、短くなったタバコを指で弾いた。
くるくると舞ったそれは重力に逆らうかのように一直線に二人の視界を横断し、宙にオレンジ色の軌跡を描く。
「すまない、先に謝っておく」
ばがんっ! と弾けるような音を立てて、光の残像が爆ぜた。
ステイルの手に握られるようにして現れた炎の塊。
明らかに物理法則に当てはまらないそれはまるで、剣だった。
「――Fortis931」
つい、とその切っ先を二人に向け、
「知ったような口を利くな、素人が」
ステイル=マグヌスはどろりとした昏い視線で睨み返した。
180 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/08(土) 02:18:47.84 ID:hhRPB.so
そこに、声が割り込む。
「庇い合う男女とパンクな格好の神父、この場合どちらの味方をすればいいか――」
ぎょっとしてステイルは振り向く。
人払いの結界は敷いた。だからこの場に第三者が現れる事などあってよいはずがない。
いくらこの街に住む能力者といえど、魔術のまの字も知らない素人に易々と結界を破る事はできるはずがない。
しかし、現に『彼』は現れた。
浜面は彼を知っている。
同じ学園都市の暗部に潜む人間。敵対する組織の構成員。
ステイル=マグヌスは知らない。
この学園都市にあってなお、二三〇万の中でもその常識が通用しない人物がいる。
「……考えるまでもない」
頷き、彼は薄く笑った。
181 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/08(土) 02:28:51.19 ID:hhRPB.so
「オマエは――」
「不本意ながらそこの二人は友人の友人みたいなもので」
妙に演技めいた仕草で、
「悪いけど助太刀させてもらいますよ」
海原光貴を名乗る魔術師は、その笑顔と言葉に似合わず冷ややかに言い放った。
182 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/08(土) 02:49:05.58 ID:hhRPB.so
「……魔術師か」
「ええ。もっとも、貴方たちとは違って教会に籍を持ちませんが」
頷いて、海原は浜面と滝壺に視線を向ける。
「そちらの二人には少々お尋ねしたい事もありますので」
「……テメェ、何考えてやがる」
浜面の疑うような言葉に海原は笑顔を崩さず、
「少なくとも利害は一致すると思いますよ」
とだけ言った。
浜面にはその言葉の真偽を確かめる術はない。
けれど。
(……この場に切り込んできてまで俺たちを助ける理由。少なくともこっちには相応のカードがあるって事か)
それが何かは分からない。
けれど上手く使えば、もしかするとこの異常な事態に対する切り札になり得るかもしれない。
それに、彼は自分たちを友人の友人と呼んだ。
なぜかその言葉は、力強く浜面の背中を押した。
183 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/08(土) 03:20:02.67 ID:hhRPB.so
「――滝壺っ!」
少女の手を握り、浜面は走る。
ステイルから距離を取りながらもテーブルの間を弧を描くように階段に向かって駆け抜けた。
「逃がす訳が……!」
ステイルは炎剣を振りかぶる。その軌道上にあったゴミ箱が嫌な音を立てて焼け溶けた。
しかし二人は海原の脇を抜け、既に階段の手摺りを掴んでいる。
その様子を一瞥し、海原は満足そうに頷いた。
「信頼は勝ち取るものですよ、神父」
「このっ……!」
少なくともこの少年はどうあってもあちらの味方をするらしい。
ならばとステイルは炎剣の目標を海原に変更する。
「知った風な口を聞くな!」
轟音を響かせながら摂氏三千度を超える炎の塊は鞭のように海原に向かって襲い掛かる。
けれど海原は冷静に、けれど素早く懐に手を入れ、
. 、 、
――ずるりと、それが蛇のように宙を這った。
まるで意思を持つかのように虚空をのたくったそれは、ステイルの炎剣を受け止める。
「なっ……!」
しなやかなそれはまさかコンクリートだろうがバターのように易々と切り刻む灼熱の刃をに耐えられるようにも見えない。
それが魔術的な要素を持つ相手の武器なのは間違いなかった。霊装か、とステイルは舌打ちし、
思わず宙を這うそれがなんなのかと目を凝らしてしまった。
「――――ばづっ!?」
まるで電気ショックを浴びせられたように体が跳ねる。
それは巻き物だった。
動物の皮をなめして作られたそれに書かれていたもの。それが何を意味するのかは分からない。
けれどその異国の文字は容赦なくステイルの網膜から脳に潜り込みそこを容赦なく灼いた。
目にしただけで魂が侵される悪魔の書物。
彼の最も大切な少女が記録するそれとは桁が違う、最悪の劇薬。
――――『原典』。
184 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/08(土) 03:33:09.35 ID:hhRPB.so
頭が割れるようなと表現するのも生易しいほどの激痛にこめかみを押さえながらもステイルはなんとか立っていた。
「申し訳ないですけどまともにあなたの相手をしている暇はないんですよ」
だらりと下がった左手の袖からぼろぼろとルーンの描かれたカードが零れ落ちる。
痛みに奥歯を噛み締めながらもステイルは海原を睨み付けた。
けれど海原は場違いな、爽やかな、妙に安っぽい笑顔を向け、
「生きていたらまた会いましょう」
直後、ステイルの意志とは無関係にカードが悉く爆発した。
185 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/08(土) 03:42:31.01 ID:hhRPB.so
まさかの海原活躍
毎度の事ながらシーン転換の直前まで考えてません
滝壺が残ったのも海原が登場するのも、もちろん次のシーンも
こんなんでやれるのか……?
本編ではありえないだろう組み合わせの交戦も協力も可能なので何か希望があれば。やれるかは別として
現在考えているのは電子レンジコンビくらい?
鈴科スレ……どうしよう……
186 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/08(土) 03:43:55.67 ID:hhRPB.so
あと誤植が多かったり文に統一性がなかったりするのも毎度の事なので目を瞑ってくだしあ
187 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/08(土) 09:46:25.31 ID:IzEs4EDO
乙
次も楽しみにしてる
188 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/05/08(土) 18:03:18.48 ID:6avCL.AO
乙
189 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/08(土) 19:22:31.05 ID:zdVmW82o
電子レンジって聞くとお茶にごす思い出すな…
190 :
面倒なので人称は姓で統一
[sage saga]:2010/05/09(日) 02:24:34.09 ID:pMGMgc.o
上条「とにかく姫神に連絡を…………あ」
御坂「どうしたの」
上条「……俺、姫神の電話番号知らない」
御坂「なんでアンタはこんなときに限って無能っぷりを発揮するのよ!」
上条「つーかアイツ携帯持ってんのか?」
御坂「知るかっ! ああもう、どうすんのよ。姫神さん狙われてるんでしょ!?」
上条「やばいな……手分けして探すか」
乙橘「その姫神ってヤツ、写真か何かあるか? 顔が分からない」
上条「ちょっと待て、写メが……あった! コイツだ!」
乙橘「おっけ。こっちの携帯に転送してくれ」
神狩「ちょい待ち。手分けしようにもこっちは学園都市は無案内よ。それにアイツの顔知ってるの私たちだけでしょ」
燕倉「ペアで行動しますか。こちらも三人、そちらも三人。ちょうどいいです」
白井「分かりました。お二人と離れるのは心苦しいですが止むを得ませんわね」
191 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/09(日) 02:40:25.64 ID:pMGMgc.o
上条「んじゃ乙橘だっけ? アンタは俺と……」
乙橘「待て待て。オマエ、幻想殺しとか言ってたな」
上条「ああ、俺、異能の力ならなんでも打ち消せるんだよ」
三人「「「はいぃ!?」」」
上条「能力でも魔術でも、こう、触れただけでばきーんって」
神狩「なるほどね……さっきのはそれって訳」
乙橘「それじゃあ俺と先輩は相性が悪いな……」
燕倉「ということで、響姫ちゃんをどうぞ」
神狩「はぁ!? なんで私なの!?」
燕倉「だって響姫ちゃんが一番影響少ないじゃないですか。けーくんは下手すると致命的ですし、触れただけとなると私の剣も……」
御坂「剣……?」
白井「なんとまあ、近頃の魔女さんはホウキではなく剣を振り回すんですの……」
燕倉「ホウキですよ?」
上条「???」
燕倉「それじゃ、私は御坂さんと、けーくんは白井さんとって事で」
御坂「何思いっきり仕切ってるのよ。その人選に何か意味がある訳?」
燕倉「ええ。凄く大事な事が」
白井「お聞きしてもよろしいでしょうか?」
燕倉「だって、ねえ?」
乙橘「……俺?」
燕倉「彼女の方がうっかりラブコメになりにくそうですから」
乙橘「」
御坂「……やっぱアンタたち似た者同士?」
白井「みたいですの……」
192 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/09(日) 02:47:43.53 ID:pMGMgc.o
上条「テメェ黒子に手ぇだしたらブチ殺すぞ!」
乙橘「それはこっちの台詞だ! 響姫に何かしたら三枚に下ろすぞ!」
上条「何かってなんだよ!」
乙橘「何かだよ!」
白井「……自衛はしましょうか」
神狩「そうね。不本意だけど……」
御坂「なんかやらかしたらアンタIHね」
燕倉「同じく、冷凍庫行きですよ?」
二人「「はいっ!」」
白井「……お互い苦労してますのね」
神狩「辛いわぁ……」
193 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/09(日) 03:05:26.50 ID:pMGMgc.o
「よし、それじゃこまめに連絡を取り合う感じで」
「りょーかい。それじゃ急いで探しますか」
「それじゃ俺たちはとりあえず寮に当たってみるか」
「もう時間も遅いですし、多分第七学区内にいると思いますの」
「近場にいなかったら事だな……学園都市全域となると広すぎる」
「ですね……こちらの方も探知にかかりませんし、それに」
呟いて、空を見上げる。
未だ煌々と輝く学園都市からは星は見えない。
けれど。
「夜は彼女の王国ですから」
194 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/09(日) 03:16:23.10 ID:pMGMgc.o
「とにかく早いとこ見つけましょ。話はそこからよ」
「そうだな。それじゃ、案内を頼む」
「分かりましたの。……その前に、当麻さん」
「あ? なんだよくろ――――」
「」
「……ご武運を」
「……ああ。オマエも、気をつけて」
「あらあらまあまあ、近頃の中学生は大胆ですね……」
「お、俺も……!」
「するか馬鹿! その首叩っ切るわよ!?」
「チクショウ、いいじゃねえかたまには格好付けさせてくれよ! なんだよこの温度差は!?」
「いいからさっさと行けえええ!」
195 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/09(日) 03:28:02.35 ID:pMGMgc.o
「――――美琴」
「ん?」
「……気をつけてな」
「まったく、アンタも心配性ね。私を誰だと思ってるのよ」
「…………」
「超能力者の一人、常盤台の超電磁砲よ? 忘れてないでしょうね」
「でもオマエ結構無茶するからなぁ」
「それはこっちの台詞よ、馬鹿」
「……気をつけてな」
「ん。アンタもね」
196 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/09(日) 03:36:29.76 ID:pMGMgc.o
そして、三人と三人は三組に別れて蒸し暑い夜の街を駆ける。
明るい表通りの放つ光は、けれど逆に路地裏を闇に隠す。
当てにならない天気予報は、明日は晴れだと言っていたけれど。
空は曇天。月は、見えない。
197 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/09(日) 03:38:47.16 ID:pMGMgc.o
って事で、スレの1/5を消費してようやく上条勢力が動き出したかと思えばさっそく分断
さて、誰を追いかけよう……?
>>200
198 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/09(日) 03:46:27.19 ID:XjStqlIo
kskst
199 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/09(日) 04:43:24.61 ID:c1zHsDA0
kskst
200 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/09(日) 12:08:54.13 ID:NO7OoiAo
上条乙橘:浜面
美琴燕倉:海原
黒子神狩:姫神
ってところか…?誰が誰を認識してるのかがサッパリ。
201 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/09(日) 12:35:08.16 ID:pMGMgc.o
ああごめん、誰にスポットを当てていくかって意味
登場人物が多い上に場所がばらばらなんで。次は誰のシーンを書くかって感じで
最安価
>>205
202 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/09(日) 12:50:17.53 ID:/nMdd8k0
一方その頃イソフラボンさんは…!?
203 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/09(日) 12:55:06.78 ID:XjStqlIo
kskst
204 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/09(日) 13:51:59.99 ID:xFHc7Qw0
踏んでください
205 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/09(日) 17:03:13.60 ID:VcCVOw60
→上条乙橘
美琴燕倉
黒子神狩
206 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/09(日) 18:52:07.24 ID:pMGMgc.o
先生、
→上条神狩
御坂燕倉
白井乙橘
でよろし?
207 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/09(日) 19:46:27.80 ID:VcCVOw60
>>206
それでお願いします。
ちょっと吊ってくる。
208 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/09(日) 22:55:09.52 ID:pMGMgc.o
Gv終わったので再開しまする
さーて、どうしよっかなー
209 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/09(日) 23:03:54.31 ID:pMGMgc.o
神狩「まーだー? そろそろ走るの疲れてきたんだけどー」
上条「あと少しだから我慢してくれ」
神狩「えーと、上条って言ったっけ」
上条「なんだよ」
神狩「吸血殺しってアンタの女?」
上条「ぶふぅっ!?」
神狩「ちっ、残念。違ったか」
上条「そんなんじゃねえよ!」
神狩「じゃあなんなの?」
上条「友達だ」
神狩「……ふーん」
上条「なんだよその不満そうな顔は」
神狩「べっつにー。でもさっきの二人はアンタの女なのよね」
上条「ああ」
神狩「うわナチュラルに言い切った……」
上条「色々深い事情があるんだよ。そういうアンタはどうなんだ」
神狩「蛍の事? あー……まあ確かに私はアイツのなのよねぇ」
上条「なんだよその妙に歯切れの悪い答えは」
神狩「んー、なんて言うか……アイツはゴシュジンサマ? みたいなもんだから」
上条「……メイドさん?」
210 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/09(日) 23:39:31.96 ID:pMGMgc.o
神狩「なんで男ってのはみんなそういう発想するのよ! そういう能力なんだから仕方ないでしょ」
上条「……そういえばアンタらのそれ、魔術じゃないんだよな」
神狩「そーよー? ホウキってーの」
上条「ホウキ? って掃除の?」
神狩「私たちは『魔女』よ? 魔女はホウキに乗って空を飛ぶ。それくらいは知ってるでしょ」
上条「そりゃあまあ、それくらいは」
神狩「アンタ、魔道書って知ってる?」
上条「少し聞いたくらいなら」
神狩「言ってみればね、ホウキってのは自然発生した魔道書なのよ。魔女はそれに呪われて取り憑かれた者の事」
上条「本が自然発生するのか……」
神狩「例えよ、馬鹿。なんていうか……妖怪? みたいなもの。狐憑きって聞いた事ある?」
上条「てんかんとか統合失調症とか解離性同一性障害とかだろ?」
神狩「そーですねー、そう来ると思ったわよ。ったく、なんでこの街の住人はなんでも科学で解決しようとするかな」
上条「仕方ないだろ、そういう街なんだし」
神狩「話続けるわよ? 誰かが狐憑きになった場合、その人はどうなるでしょー?」
上条「どうって……奇行に走るんじゃないのか?」
神狩「三角ってとこね。正解は『狐になる』よ。それが魔女って訳」
上条「どう違うんだそれ……?」
幻想 感染し
神狩「アンタ本当に頭悪いわね!? 魔女ってのはね、『狐』に『取り憑かれ』た患者なの。幻想に取り込まれた魔女は幻想に取り込まれていく。その過程として一時的に幻想を行使できるのよ」
パーソナルリアリティ
上条「それが能力って訳か……非人為的に能力開発されて自分だけの現実を獲得したってとこか? 原石みたいなものか……」
神狩「多分そんな感じ。よく分かんないけど」
211 :
取り込まれる二回言った……
[sage saga]:2010/05/09(日) 23:56:16.93 ID:pMGMgc.o
神狩「そんじゃ私のターン。アンタのそれ、幻想殺し?ってどういう仕組みなのよ」
上条「俺にも原理はよく分からないんだけど……右手で触れると魔術だろうが能力だろうが問答無用で打ち消せる」
神狩「あー、だから手ぇあんなに振り回してたのね。蛍に止められて正解だったか。霊装壊されたら堪らないもの。強制解呪みたいな……? 聖槍、じゃなくてミストルテイン……?」
そっち
上条「魔術の話はよく分からん……っと、ここだ」
神狩「これが寮? 普通のアパートみたいに見えるんだけど」
上条「この辺の建物全部学生寮だぞ」
神狩「マジで……さすが学園都市」
上条「ポストは……あったあった。ええと、姫神姫神……」
212 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/10(月) 00:15:18.85 ID:B8hGCHso
「――やはり、あなたが来ましたか」
「え……?」
寮のポストに書かれた名前を一つ一つ確認していた上条は、突然割り込んできた声に振り返る。
「できればあなたとはこういう形で再開したくなかったのですが」
かつ、とアスファルトをブーツが叩く。
蛍光灯の下に現れた人影に上条は息を呑んだ。
「オマエ……なんで、ここに」
「何故と聞かれても、決まっているでしょう」
わたしたち
「吸血鬼退治は昔から教会の仕事ですので」
上条の問いに、無表情に、けれどどこか寂しそうな顔で神裂火織は答えた。
213 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/10(月) 00:46:30.87 ID:B8hGCHso
上条「神裂、姫神は……!」
神裂「心配しなくても大丈夫です。現在ステイルが彼女の保護に向かっていますので」
上条「よかった、無事なんだな。それで姫神はどこに」
神裂「教える事はできません」
上条「……なんだって?」
神裂「今回あなたの出番はないというだけですよ、上条当麻」
上条「どういう意味だよ」
神裂「……話す事はありません。ただ、あなたは黙って家に帰ってください。吸血鬼の排除はこちらで行います」
214 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/10(月) 01:11:06.62 ID:B8hGCHso
「――――ちょい待ち」
「……彼女は?」
「その吸血鬼さんの顔見知りよ。生憎とね」
その言葉に神裂の眉が微かに動く。
「そうね、本当に生憎。お生憎様。ああまったく不幸だわ、ほんと」
は、と吐き捨てるように笑って、
『必要悪の教会』が誇る聖人を前に、魔女の少女は高らかに叫ぶ。
「生憎とね――認めたくないけど、アイツは私の友達なのよ!」
「っ――!」
215 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/10(月) 01:22:33.22 ID:B8hGCHso
「上条、んじゃお返しに私のホウキ、見せてあげる」
「っ――」
「おい待て神狩――!」
「やーよ。私に命令できるのはアイツだけ。だって私は――」
This is the Queen's order
「――《さあさ女王の命令よ》」
Off with her head
「《その者の首をお刎ね!》」
216 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/10(月) 02:09:05.31 ID:B8hGCHso
『ホウキ』
それは呪にして病。
幻想という病に侵された魔女は、さながらウィルスに感染した患者が咳をして周囲に病原体を撒き散らすように幻想を吐き出す。
幻想と一口に言っても様々だ。古今東西神話や伝説には事欠かない。
都市伝説や胡散臭い噂話、妄言の域に至るまでそれらの『呪い』はいくらでも存在する。
故に魔女のホウキは千差万別だ。
例えば神狩響姫の場合、こんな症状が現れる。
、 、
振り下ろされた手に従うようにそれは神裂に襲い掛かった。
それは端的に表現するならば見えない刃だ。
神裂の左上から僅かに角度をつけて降り注いだ不可視の刃は一直線に神裂の首元に襲い掛かる。
それはまるで罪人の首を刈る斧のようだった。
ボワ・ド・ジュスティス
――『シュミットの断頭台』
幾千の罪人の首を刈り取り、それはさながら歌劇のようにフランスの恐怖政治を彩った。
花の都パリのシャンゼリゼ通りに面する革命広場に鎮座し、ルイ16世やマリー=アントワネットの首を刎ねた。
それはフランス市民の狂喜と畏怖の対象となる。血と狂気に塗れたそれはいつしか悪夢の対象となる。
今日ではこう表現した方が分かりやすいだろう。
即ち、ギロチン。
首を刈る以外に能のない幻想は、彼女の命に従い全くの無感情を以ってその凶刃を神裂に振り下ろす。
217 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/10(月) 02:49:54.18 ID:B8hGCHso
けれど、ガギン! と耳障りな音を立てて刃は止まる。
神裂は二人に冷めた視線を向けながら断頭の刃を手にした刀の鞘で受けた。
銘は七天七刀。二メートルを超える大刀は殺人の呪を易々と弾く。
「――――ち」
神狩は渋い顔をして舌打ちする。仮にも必殺の意味を持つ殺人機械だ。けれど神裂はそれを見もせずに捌いた。
それだけで神裂との絶望的なまでの力量差が嫌でも分からされる。
本来神狩は面と向かっての戦闘は苦手だ。
彼女のシュミットの断頭台は首を刎ねる事には特化しているものの、その他の部位には精々『よく切れる刃物』程度の切れ味しか発揮しない。
その代わり首に当たりさえすれば物理的にせよ魔術的にせよあらゆる防御や回避を無視して叩き切るのだが、見えない刃を見もせずに受けるような相手には意味がなかった。
たった一時間ほどの内に立て続けに必殺の刃を止められる。
焦りに内心冷や汗を掻きながらも、けれど彼女は強がりと分かりつつにやりと笑った。
「っは、何よそれ。アンタ伝説の剣豪か何かなの? 『必要悪の教会』ってのはドイツもコイツも化け物揃いね」
「…………」
神裂は無言で七天七刀をさながら居合いのように構えた。
途端周囲の気温が一気に下がったような寒気を覚える。
218 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/10(月) 03:03:59.91 ID:B8hGCHso
「――申し訳ありませんが、あなたの攻撃は私に通用しないようです」
「く……」
「あまり手間をかけさせないでください。私は魔法名を名乗りたくもなければ、あなたたちを斬りたくもない」
「そんな簡単に言う事聞くように見える?」
「聞き分けがありませんね」
静かに言い放ち僅かに鍔を押す指に力を入れる神裂に、
「――――だって仕方ないじゃない」
じゃらりとポケットから鎖を取り出し、神狩は叫ぶ。
「あんな最低なヤツでも、アイツは私の友達なんだから!」
219 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/10(月) 03:28:01.58 ID:B8hGCHso
「――神裂ぃぃいいいい!!」
「っ――」
「テメェ、コイツにその刀を向けんのか。ただ友達を助けようとしてるだけのヤツに向けんのか」
「アンタ……、……っ!」
「吸血鬼だかなんだか知らねえよ。でもソイツはコイツの友達だっていうじゃねえか」
「――しかしその吸血鬼は姫神秋沙を」
「どっちが死ぬかじゃねえ、どっちも助けるんだ。できないなんて事はねぇ、やるんだ」
殺 す
「だがよ、おぃ神裂。テメェがもしできないだなんてふざけた事言うなら、まずはその幻想をブチ殺す!!」
220 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/10(月) 03:48:06.14 ID:B8hGCHso
「――そんなご都合主義、ある訳がないではないですか」
「…………」
「……しかし、あなたはそれをやってのけたのでしたね。一年前、あなたは私の親友を救ってくれた。その後彼女を見捨てたのはさて置き」
「っ…………」
「いいでしょう、やってみせなさい上条当麻」
「……ああ。やってやろうじゃねえか」
「ただし制限時間は明日の二十四時。刻限を過ぎたならば私は吸血鬼を殺します。何、天使よりは易い相手でしょう」
「やらせるか、やらせるもんか。俺の友達を殺させて堪るかよ!」
221 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/10(月) 03:51:51.42 ID:B8hGCHso
「神狩、探すぞ。吸血鬼だかなんだか知らないが、絶対に止めてやる……!」
「……そう何度も何度も人の友達を吸血鬼呼ばわりしないでよね」
「あぁ?」
「あの子には、暮愛静紅っていう可愛い名前があるんだから」
222 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/10(月) 04:01:06.41 ID:B8hGCHso
「…………」
「…………私も甘いですね」
「友達だなんて言われたら、躊躇ってしまうではないですか」
「……と。ステイル、首尾はどうですか?」
「………………はい? 逃げられた?」
「……」
「…………」
「………………」
「ふっざけんなあ!!」
223 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/10(月) 04:04:20.31 ID:B8hGCHso
思わず地の文つきでやってたけどそろそろ会話劇に戻します
ところどころ妙な点があるとは思いますが、まあ演出って事で
>>NEXT PARTY IS
>>225
224 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/10(月) 07:38:19.27 ID:kMsMqMSO
kskst
225 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/10(月) 12:09:07.08 ID:P0DicoDO
美琴ちゃん
226 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/10(月) 19:10:03.07 ID:B8hGCHso
御坂「ところでアンタ、その吸血鬼?の顔知ってるのよね」
燕倉「ええ。可愛いですよ、黙ってれば」
御坂「……もしかしてさ……女?」
燕倉「見た目十歳くらいでしょうか」
御坂「うわー……やり辛い……」
燕倉「その点は大丈夫ですよ。けーくんさえいれば終わりますから」
御坂「どういう事?」
燕倉「そういう能力があるんです。特定の相手を支配するっていう」
御坂「高位の精神操作能力者並みじゃないそれ。こっちまで掌握されないでしょうね」
燕倉「波長が合うのは極特殊な相手だけですし、そもそも人には効きませんよ」
御坂「吸血鬼限定って訳?」
燕倉「じゃなくて、静紅ちゃんがちょうどその極特殊な相手に当てはまっただけです」
御坂「それが相手の名前?」
燕倉「ですです。あとは響姫ちゃんくらいでしょうか、特例は」
御坂「極特殊な相手が二人もいるんじゃない……」
燕倉「見たところ御坂さんも白井さんも、上条さんも当てはまりませんし大丈夫ですよ。彼の場合支配下に置けるとは思えませんが」
227 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/10(月) 19:35:03.02 ID:B8hGCHso
御坂「その静紅って子の写真とかないの」
燕倉「吸血鬼って写真に写らないんですよね……」
御坂「ほんとアンタたちってデタラメねぇ……私の電撃も潰すし、黒子の空間移動っ切るとかふざけてるとしか思えないわよ」
燕倉「これでも精一杯なんですけどね。御坂さんの強度ってどれくらいなんですか」
レベル5
御坂「超能力者よ。って言って分かるのかしら」
燕倉「最高位じゃないですか……」
御坂「その最高位の攻撃を受けるだなんて、アンタも相当ぶっ飛んでると思うけどね」
燕倉「私のホウキは基本的に防御専門ですから、なんとか」
御坂「……攻撃できないの?」
燕倉「御坂さんそういうの特異そうでよかったです」
御坂「あ、アンタ最初からそれ狙ってたわね!? ドンパチやる事になったら全部私に押し付けるつもりだったんでしょ!?」
燕倉「人聞きの悪い事言わないでくださいよー。ちゃんと援護はしますから」
御坂「はぁ……まったく、不幸だわ。頼むから出てこないでよ吸血鬼さん」
228 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/11(火) 16:10:34.74 ID:zaTWaSk0
GJ!
229 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/05/11(火) 18:03:11.00 ID:OmZHEUAO
上げとくか
230 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/12(水) 22:35:49.50 ID:dCySPYDO
最近読んでるスレがことごとく進まない
231 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/05/15(土) 09:13:30.74 ID:mUC382DO
期待
232 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/15(土) 09:48:34.85 ID:Vmd6Qf20
今日の鈴科分で一度こっち進めるかなぁ
どうせ埋まるのにもかなりかかると思うので雑談なりお好きにどうぞ
233 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/15(土) 14:05:40.51 ID:R9CMOnQo
美琴にはとても期待してる。
234 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/16(日) 21:23:57.92 ID:4UHy76DO
どうした…
235 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/16(日) 21:38:36.49 ID:lvXD7sAo
10時過ぎに再開予定
236 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/16(日) 23:32:08.69 ID:lvXD7sAo
御坂「…………お?」
燕倉「どうかしました?」
御坂「ちょっと知り合い発見。聞き込みしてくるわ」
いらっしゃいませー
御坂「おーい」
フレンダ「うぇ、御坂……」
垣根「おう、夜遊びか電撃姫」
御坂「げ、垣根」
垣根「げとはまたご挨拶だな」
麦野「なんの用よ。お嬢様がこんな時間に出歩いてんじゃないわよ」
定規「なんでうちの以外の超能力者はみんなギスギスしてるのかなぁ……」
御坂「ちょっと人探し中。この子見かけなかった? 姫神っていうんだけど」
フレンダ「……麦野、知ってる?」
麦野「さあ?」
定規「残念だけど見覚えがないわね」
垣根「同じく」
定規「全く」
御坂「だよねー……はぁ」
237 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/16(日) 23:45:40.56 ID:lvXD7sAo
垣根「んでこの子がどうしたんだよ」
御坂「えっ……とぉ……」
フレンダ「む、結局またなんか妙な事に関わってるんじゃないでしょうね」
麦野「お願いだからこっちの邪魔にならないところで切った張ったやってよね」
定規「そうね。巻き込まれちゃ堪らないもの」
御坂「頼まれても誰がアンタたちなんか!」
垣根「嫌われたもんだなぁ」
定規「あなた何したのよ」
垣根「別にぃ? ちょっと前からかってやったらすーぐプッツンきやがってさ」
麦野「性悪ねぇ」
フレンダ「好きな子に結局ちょっかい出しちゃう小学生みたいなのじゃないの?」
垣根「オマエ一度眼科行ったほうがいいぜ」
御坂「ああやっぱりアンタ凄いムカつく」
238 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/17(月) 00:35:53.80 ID:EHwxVZ2o
燕倉「あのー……」
御坂「ああ、ごめんごめん。ダメ、知らないって」
フレンダ「……誰?」
御坂「アンタたちには関係ないわよ。使えないわね、まったく」
垣根「お嬢さん、学校どこ?」
御坂「何ナチュラルにナンパしてんのよアンタ。ほら、行こ」
垣根「まあまあ待てよ」
御坂「しつこい男は嫌われるわよ」
垣根「いいじゃねぇか。なあ?」
御坂「アンタいい加減に……!」
239 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/17(月) 00:57:14.52 ID:EHwxVZ2o
垣根「なあ、それくらい教えてくれたっていいだろ? 気になってしょうがねぇんだよ」
燕倉「ええと……あはは」
定規「…………」
御坂「アンタねぇ……!」
垣根「ダメか?」
燕倉「…………」
垣根「まあ答えてくれねぇよな。そりゃそうだよな……でもよ」
垣根「テメェが外部からの侵入者だって事は分かってんだよぉ!!」
240 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/17(月) 01:51:52.12 ID:EHwxVZ2o
ガバァッ! ファミレスの一角が弾け飛んだ。
「う、げほ、ちょっと垣根! こっちまで巻き込まないでよ!」
辺りに濛々と立ち込める粉塵に塗れながらフレンダは咳き込んだ。
幸い深夜という事もあり店内に客はほとんどいなかった。
ほとんど、だ。数人残っていた客と、店員が慌てて逃げ出す。
「…………おいおい」
その声に顔を上げる。
最初に目に入ったのは白い羽。
垣根の背から翼が大きく広がっていた。
それはまるで宗教画の天使のようで、フレンダは一瞬目を奪われた。
しかしフレンダの見た景色は、神々しさなど皆無だった。
一体どのような能力を使ったのか。
垣根の足元からはまるで地面が根こそぎ捲れ上がったかのようなクレーターが広がっていた。
なんだろう、漫画やゲームに出てくるあれだ。ビーム兵器の余波とかで削れてる奴。
そんな冗談みたいな光景が広がっていた。
その冗談みたいな現象を起こす力。
学園都市第二位、垣根帝督。
ダークマター
この世に在らざる力、『未現物質』を操る、この世界の摂理を外れた超能力者。
そして。
「………………冗談でしょ」
冗談みたいな話だが、そんな学園都市第二位の一撃を受けてなお、眼鏡の少女は平然とそこに立っていた。
241 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/17(月) 02:24:24.50 ID:EHwxVZ2o
「はは、なんだよそれ。非常識にも程があるぜ」
呆れたように、けれどどこか楽しそうに垣根は笑った。
一体どんな能力が炸裂したのか、フレンダには見当もつかない。
けれど一つだけ分かる。
今の一撃は人間の一人や二人簡単に消し飛ばす威力を持っていた。
だのに、眼鏡の少女と、傍らに立つ御坂美琴はまったくの無傷だった。
「けほ……やるじゃん、アンタ」
舞い散る粉塵に咽ながら御坂はスカートのポケットに手を突っ込む。
「それにしても女の子相手にご挨拶じゃない、垣根」
握りこんだ右手を真っ直ぐに伸ばし、御坂は半身で垣根に向かう。
ちぢ、と青白い光の鎖が彼女の腕の上を走る。
「アンタ、そんなんだから嫌いなのよ」
吐き捨て、御坂はぴぃんと親指を弾いた。
宙を舞う安っぽいコイン。くるくると回転するそれは真っ直ぐに打ち上げられ、やがて重力に従い落下する。
その様子がなぜかスローモーションのように見え、
コインが再び御坂の手に触れた。
「男は少し奥手なくらいがちょうどいいのよ――!」
直後、甲高い音を立てて光の矢が水平に放たれた。
242 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/17(月) 04:19:25.22 ID:EHwxVZ2o
その矛先は垣根ではない。
視線と腕を真っ直ぐ垣根に向けて、しかしコインは見当違いの方向に駆け抜けた。
狙いは、麦野。
刹那の後、音速の壁を貫いた爆音が轟いた。
「麦野――!」
フレンダの悲鳴が木霊し、思わず垣根もそちらを振り向いた。
「――――ち」
まるでバリアのように光の壁を展開し防御した麦野は忌々しそうに顔を歪める。
「序列はこっちが下だって? ――――舐めてくれんじゃないのよさぁ!!」
麦野の怒声と共に病的なまでに白い光線――光線としか言いようのないものが迸る。
それは光の雨だった。
豪雨のように横殴りに襲い掛かる白光は、その一つ一つが間違いなく必殺の威力を持った一撃。
あらゆる物質を両断し融解し蹂躙する破壊の雨だった。
それを放つのは麦野沈里。
御坂のそれとは違う、学園都市の頂点に君臨するもう一人の電子の女王。
メルトダウナー
第四位、『原子崩し』。
降り注ぐ光雨は無慈悲なまでに大地を貫いた。
243 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/17(月) 04:21:35.02 ID:EHwxVZ2o
そんな麦野を――フレンダは呆然と見ていた。
なんだ、これは。
まるでゲームの世界だった。
異能とオーバーテクノロジーの飛び交う異界、学園都市。
この街ではゲームの必殺技じみた馬鹿げた能力など一山いくらで転がっている。
けれどその只中にあってなお、理解を超えた攻防を繰り広げる存在。
レベル5
これが、超能力者。
この街で最も神に近いとされる七人。
244 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/17(月) 04:55:34.88 ID:EHwxVZ2o
だとするならば――――
「はは。さすがに専門って言うだけあるじゃない。どうなってんのよそれ」
その二人の攻撃を、こうも平然と受けきる彼女はなんだ?
「臆病なだけですよ。敵意には敏感なんです」
そう言って燕倉は苦笑した。
「これが私の『剣』――」
……忘れられがちだが、学園都市は東京都にある。
外界から断絶し、統括理事会が牛耳り、非人道的な『開発』が行われ、人がゴミのように処理される異郷。
それでも、学園都市は紛れもなく日本列島に存在する。
特殊な条例が布かれてはいるが日本の法の元に治められている。
だとするならば、ここは彼女の領域だ。
イギリスのカーテナ。
フランスのデュランダル。
それらと同じく、この国にも『国そのもの』を表す剣がある。
神代の英雄神が悪竜の尾から切り出したと言われる剣。
しかしそれは神話の中で名を変える。
やまと
それを振るったのは、日本の名を冠した、人の身にして神であった英雄。
クサナギ
「三種の神器が一、『焔切り』。模造刀とはいえそこらの鈍らと同じにしては困ります」
245 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/17(月) 04:57:42.53 ID:EHwxVZ2o
シーン途中だけど中断
はいはいチートチート
246 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/17(月) 07:29:24.06 ID:20gM6kSO
待ってる
247 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/17(月) 07:52:35.60 ID:0mEqzYAo
チート祭りでドキドキしてきた
248 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/17(月) 13:39:12.39 ID:fSG8L.SO
きっとお茶目なアナタは気づかない
ヨソ見しているあいだにThroughじゃない?
249 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/18(火) 01:26:03.54 ID:XAH88rko
日本における最高位神剣。
その名の由来は日本武尊の遠征にある。
時の大王であった父の命を受け、東方十二国の征伐に向かった。
その道中、姦計に遭い、野中で四方に火を放たれる。
その窮地を救ったのが叔母・倭姫命に授かった神剣・天叢雲剣だ。
日本武尊は神剣で周囲の草を薙ぎ払い、また火打石を以って逆に火を放ち返し難を逃れた。
「っざけんなよぉ陰険メガネがぁあああ!!」
憤怒と羞恥に彩られた白光が雨霰と降り注ぐ。
数分前まで深夜の寂れたファミレスだったものが今や瓦礫の塊となりつつある。
けれど燕倉と御坂の周囲だけ、そこだけ取り残されたように無傷のフロアが広がっていた。
まるで見えない障壁でも張っているかのように。
けれどその認識は間違っている。
彼女たちの周りには何もない。
、、 、、
そう、何もない。
麦野の原子崩しも、垣根の未現物質も、そこには届かない。
故に付けられた名が草薙剣。
八咫鏡、八尺瓊勾玉と並ぶ倭の三神宝の一。
その伝説に侵された少女は、その伝説を吐き出す機械となった。
クサナギ
破敵剣・焔切り。
命銘の伝説をそのまま抽出したホウキの持つ能力は、
250 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/18(火) 02:13:10.08 ID:XAH88rko
もはやそこは破壊の中心だった。
兵器だの能力使用だのといった生易しいものではない。
これはもう災害だ。人間にはどうしようもない、人外の振るう力だ。
地震とか台風とか津波とか、そういうレベルの災厄だ。
「こんクソ馬鹿! 挑発に乗るな、少しはセーブしやがれ! こっちまで巻き込むんじゃねぇよ!!」
爆心地と化した麦野に垣根が叫ぶ。
近くにいた心理定規を抱き寄せ、大きく広げた一翼でフレンダを、もう一翼で自分たちを守りながらも垣根は残る四枚の翼で攻撃する。
、、、
この世の常識を覆す異界の存在は防御なんていうまともな手段では受けられない。
けれどその力を扱うのは、神ではなく人間だ。
悟りを開いたわけでも天啓を受けたわけでもない、ただの高校生だ。
だとするならば。
「――――いい敵意ですね」
その能力は、草を薙ぎ、火を打ち返した伝説そのもの。
「あなたたちが本気を出せば出すほど、私の薙ぎ払いは強力になりますよ!」
悪意害意憎悪嫉妬怨恨嫌悪忌避不快。
それらに反応し同等同量のそれを以って撃ち返す、防御にしか能のない剣の伝説。
対する敵意の迎撃相殺――――!
少年の敵意を存分に乗せて放たれた防御できない一撃は、同量の一撃によって打ち消された。
251 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/18(火) 02:50:09.28 ID:mpqHaASO
お腹空いたので中断
バトル描写めんどい……
252 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/18(火) 03:47:52.24 ID:XAH88rko
垣根「…………ち」
垣根(馬鹿げた能力だ。俺の言えた義理じゃないが)
垣根(しかし……コイツはまさか、外部の能力者か)
垣根(未現物質そのものの直撃だぞ? それこそ第一位くらいしか防御できねぇだろ)
垣根(なのに……)
垣根「おい、アイツに能力使えるか?」
定規「ダメ。さっきから何度もやろうとしてるけど通じないわ」
垣根「つっかえねぇなぁ」
定規「あなたの攻撃が通じない時点で私に期待なんかしないでよね」
垣根「だよなぁ……。精神操作まで防御しやがるか。なんだよアレ、窒素装甲の比じゃねぇぞ」
垣根(だが……)
253 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/18(火) 04:02:13.76 ID:XAH88rko
垣根「麦野ぉ!」
麦野「何よ三枚目! 話しかけんな集中させなさいよ!」
垣根「悪い。先に謝っておくぞ」
麦野「…………は?」
バガァッ!!
麦野「げほ、ちょっ、馬鹿また巻き込みやがって!?」
垣根「――――一旦退くぞ」
麦野「は? ふざけんな、なんでここで背中見せなきゃなんねえのよ!?」
垣根「このままだと千日手なんだよ。オマエは元よりどういう原理か俺のコイツまで防ぎやがる」
垣根「それにあっちには超電磁砲がいるんだ。あっちは安全でもこっちは狙撃されるぞ」
麦野「…………チッ」
垣根「専門とか言ってたな。アイツは多分防御しかできねぇ。能力で御坂のセンサーを撹乱しろ。フレンダは俺が連れていく」
麦野「……ああクソ、分かったわよ! あの子は頼んだわよ!」
254 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/18(火) 04:09:54.27 ID:XAH88rko
御坂「げほ、ごほっ、煙幕……?」
燕倉「あうう、土煙が……」
御坂「あの脳内お花畑何考えてんのよ」
燕倉「……あれ?」
御坂「どうしたの?」
燕倉「……攻撃が止んだ……?」
御坂「――――まさか」
燕倉「………………、…………」
御坂「…………」
燕倉「……いませんね」
御坂「逃げられたー!?」
255 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/18(火) 04:53:02.26 ID:XAH88rko
垣根「――よっ。夜間のフライトはどうだったよ、お嬢さん方」
フレンダ「いきなり飛ばれて結局何がなんだか分からなかったわよ」
定規「レディはもう少し丁寧に扱いなさいよ」
垣根「夜景を楽しむ余裕も必要だと思うぜ?」
定規「身内ながら凄いムカツクわアンタ」
垣根「こんだけ離れりゃ大丈夫だろ。おーおー、我ながら派手にブチかましたな。こっからでもよく見えらぁ」
定規「今頃警備員に捕まってるかしら? そんなヘマしないとは思うけど、もしそうだったら笑いものよね」
フレンダ「……御坂はいいにしても、結局アイツなんなの。『カヴン』だっけ? なんで侵入者なのに能力者なのよ」
垣根「俺も初耳だよ。なんだあのデタラメなのは。アレイスターの野郎何考えてやがる……」
定規「統括理事会。関与してると思う?」
垣根「当たり前だろ。どれもこれも全部お釈迦様の手の上だろうよ」
定規「改めてそう言われると腹が立つわね……」
256 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/18(火) 05:03:28.49 ID:XAH88rko
フレンダ「ところで結局麦野はどこ」
垣根「さぁねぇ。電話でもかけてみたらどうだよ」
フレンダ「チッ……。そうさせてもらうわよ」
垣根「甲斐甲斐しいねえ。妬けちまいそうだ」
定規「あら。あなた麦野みたいなのがタイプなの?」
垣根「ん? もしかして妬いてんのか?」
定規「ばーか。何言ってるのよ」
フレンダ「……ダメだ。結局電波状況が悪いみたい」
垣根「あの手の能力者はこういう時めんどくせぇな」
フレンダ「まあ麦野なら心配ないとは思うけど……うー」
――――♪
垣根「お?」
フレンダ「もしもし麦野っ!?」
257 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/18(火) 05:24:18.56 ID:XAH88rko
『悪いな、浜面君ですよ』
「死ね」
『いくらなんでも酷くねぇ!? ああ待て切るな。緊急だ』
「はぁ? 結局そっちでも何かあった訳?』
『オマエらんとこも何かあったのか? 先に麦野にかけてみたんだが通じやしねえ』
「ちょっと派手に超能力者同士でドンパチやったのよ。いいからさっさと用件を言いなさい。結局しょーもない事だったらマジ殺す」
『俺にもよく分からないんだが……変な奴に襲われた。能力者じゃないみたいなんだが妙な力を使いやがる』
「…………オーケー、いつものとこに集合しましょ。あと結局滝壺と絹旗は無事?」
『滝壺は一緒。絹旗とははぐれちまったが大丈夫みたいだ。あと――』
「? 何よ」
『面倒なゲストが一人追加。アイツらと一緒で構わないよな、アンタ』
『構いませんよ』
「……誰、今の」
『えーと、その……海原光貴』
「はぁ!? 結局どうしてそこで海原が出てくる訳!?」
『やむを得ない事情って奴だよ! 助けてくれたんだから邪険にすんな』
「なんか凄い事になってそうね……。絹旗にはそっちで言っといて。結局いつものとこに集合って事で」
『了解』
「ああ、あと――」
『ん?』
「結局こっちもゲストがいる訳よ。……いいわよね?」
「あぁ。麦野も連絡がつかねぇし、ナイトの役くらいは務めさせて貰うぜ」
『はぁ? 誰だよ今のスカした声』
「……垣根帝督。『スクール』の二人が一緒なのよ」
『…………はい?』
258 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/18(火) 05:28:41.24 ID:XAH88rko
毎度の時間で終了
ていとくんにイケメン補正が入ってますが全部はいむらーが悪い。なんだよあの二枚目は!
259 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/19(水) 19:29:20.29 ID:FpmhvYSO
お疲れ〜〜
260 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/19(水) 21:11:28.59 ID:Ql6/q2Ao
今日はちょっと書けそうにないかも……げふぅ
261 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/05/22(土) 00:23:53.17 ID:ChC796o0
期待age
262 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/25(火) 20:10:04.08 ID:GNjOwEDO
こっちは?
263 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/25(火) 21:06:25.75 ID:uMAoss.o
オリキャラメイン張ってるし続き物だしでsage進行でお願いします。ageても仕方ないし
まあ適当に進めますよっと
264 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/25(火) 22:32:32.07 ID:GNjOwEDO
wwktkしながら待ってるんだぜ
265 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/26(水) 00:59:15.92 ID:WiC6Piwo
一方「……」
結標「食べないの?」
土御門「ちゃんと食べておかないといざって時にぶっ倒れても知らねえぞ」
一方「……いや、食う」
結標「そっちの二人は、普通の食事でもよかったのかしら」
佐野「構いませんよ」
暮愛「俺はいらん。さっき済ませてきた」
土御門「一応トマトジュースも買ってきたが、いるか?」
暮愛「貰っておいてやろう」
結標「傲岸不遜な物言いね……」
暮愛「自覚はある。直そうとも思わん」
結標「ああそう」
18413「……口癖に関しては言えない人物が多すぎですね、とミサカは冷静に分析します」
結標「私はそんなのないからオーケーね」
一方「その突っ込みどころが多い格好だがなァ」
結標「人の事言えるの、あなた」
266 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/26(水) 01:20:42.38 ID:WiC6Piwo
結標「海原の奴どこ行ったのよ。帰ってこないじゃない」
一方「チームワークなンて求められても困るがなァ。そォ言うオマエも好き勝手やってるじゃねェか」
暮愛「――さて、そろそろいい時間だな。それじゃあ案内してもらおうか」
結標「調べておいたわよ。姫神秋沙、高校一年。寮住まいだから多分そこにいるでしょうね」
一方「……チッ」
暮愛「ふん。多分、ねえ」
結標「一人一人に発信機つけてる訳でもないんだから仕方ないでしょ。どうする? アポイント入れておく?」
暮愛「っは、冗談」
土御門「それじゃあ夜の散歩と洒落込もうじゃねえか。なあ嬢ちゃん」
267 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/26(水) 22:35:03.17 ID:WiC6Piwo
そう言って、土御門は軽く暮愛の肩を叩く。
軽く、そう、級友に挨拶代わりに叩く程度の力で。
だというのに。
「っ――――がぁぁああああっ!?」
、 、 、
ばらりと、土御門の右手が開いた。
まるで爆ぜるようにして、右腕が内側から縦に裂け爆ぜた。
傷口からはみ出した血管がスパゲティよろしくびろびろと垂れ下がり、そのぶつ切りになった先端から血をシャワーのように噴き出す。
「……気安く触るな」
びしゃびしゃと真っ赤なシャワーを浴びながら暮愛は顔を顰めた。
何をしたのかは分からない。
けれど何か異能の力で攻撃された事は確かだ。
まさか、という思いとやはり、という思いが交差する。
吸血鬼を自称する二人を妙だとは思っていたが、何故かは知らないが何かしらの能力者らしい。
けれど彼女たちは自分たちのクライアントではなかったのか。
味方だと言う気はないが、敵でもないだろう。攻撃される理由が分からなかった。
268 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/26(水) 22:45:38.94 ID:WiC6Piwo
けれど現に土御門の右手はずたずたに切り開かれ血塗れだった。
右腕を押さえながらも即座に飛び退る土御門には目もくれず、結標は腰に差した軍用ライトを抜いた。
「貴女たち、何を――っ!」
切っ先
その照射口を向けながらも結標は戸惑いを隠せなかったが行動は迅速だった。
暮愛に向けた軍用ライトを基準点に、結標は躊躇なく能力を使用する。
ムーブポイント
結標の持つ、空間移動系能力最高位とされる能力『座標移動』。
その最大出力もさることながら他の空間移動系能力者とは異なり自身から離れた二点間を移動させる事すら可能な能力は文字通り瞬時に効果を発揮した。
対象は暮愛自身。
その胸元を基準点とし、移動先はZ軸マイナス100センチメートル。
ただしX軸をZ軸方向へ90度回転。うつ伏せになるように足元地中に埋め込む――!
暮愛が空に溶けるように掻き消えたと同時に結標の能力で床の中に移動させられた暮愛の体がコンクリートを押し割り、不自然にかけられた力が逃げ場を求め弾けるようにして床が爆発した。
269 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/27(木) 01:29:05.97 ID:1zp59Eoo
「怖い怖い。空間移動とは中々レアなスキル持ってるじゃねえか」
そう言いながら立ち上がった少女は、全くの無傷だった。
「――なんですって」
空間移動を受けた物体は移動先にある障害物をむりやり割り密着し、その結果障害物に張り付く。
それが意味する事は結標自身がよく知ってる。 、 、 、 、 、 、
密着した物質は――張り付いた皮膚は、少しでも動くと引き剥がれる。
だというのに無傷で――そもそもどうやって彼女はコンクリートの中から脱出したというのだ。
「悪いが棺桶で寝る趣味はねえよ」
ぶるりと身を震わせ細かい破片を振り落とし、黒いドレスの少女はべろりと舌を出した。
270 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/27(木) 01:44:42.95 ID:1zp59Eoo
「――どけ。俺がやる」
かちりと小さな音がして、一方通行が飛び出した。
右手を突き出し一蹴りで最高速度に乗り、さながら疾風のように暗い地下のホールを駆け抜ける。
対する暮愛も右手を突き出し、お互いの手を打ち合わせるようにして両者は激突した。
アクセラレータ
学園都市最強の能力者、『一方通行』。
あらゆる力を文字通り力技で捻じ伏せる、超能力者序列第一位。
触れただけで万物の『力』を操るというその馬鹿げた能力を持つ君臨者の前には誰もが平伏するはずだった。
――だが、
ばぎぃいいん!! と甲高い金属音を立てて仰け反った暮愛はたたらを踏んだ。
だけだった。
イージス
「っハ、なんだよそれ、絶対防壁か何かぁ?」
ケタケタとさも面白そうに笑う暮愛の右手には細かい傷がある程度だった。
271 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/27(木) 02:05:06.85 ID:1zp59Eoo
「――――」
一方通行は目を逸らさず、無言で右手を開閉させる。
(なンだ、今の感触は)
あらゆる攻撃を反射し無効化する彼の防御は、それこそ絶対の域に達している。
現に今も彼女の攻撃を跳ね返した。
けれど。
、 、 、
(――反射せずに力が空中にバラけやがった)
反射したはずの力の大半は空中に四散し辺りの空気をかき乱して消えた。
どうにも普通のベクトルとは具合が違った。例えて言うならそう、
以前同じく超能力者の、垣根帝督とやりあった時のような――
どうにも相手は人外を名乗るだけはあるらしい。
もしかすると本当に魔法か何か、そんな科学とか法則とかに当てはまらない力を扱っているのかもしれない。
(俺の能力そのものは効いた……制御しきれない訳じゃねェ)
だが、それは相手の攻撃だ。
本来一方通行自身が操作し暮愛をその場に叩き伏せるはずだったベクトルもまた、大半はあらぬ方向に拡散し空に消えた。
まだ何かしらおかしなからくりがあるのか、それとも――
272 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/27(木) 02:48:09.36 ID:1zp59Eoo
「……おもしれェ」
一方通行は素のままに感情を吐き出す。
「最強生活も味気ねェもンでよォ……ドイツもコイツも手応えがねェンだわ」
「……へぇ」
顔はきっと歪んでいる。興奮、歓喜、期待、そして――
それは目の前の少女も同じだろう。
ぐちゃりと崩れた笑みを浮かべ、けれど心底愉快そうに歯を剥き出しにする。
「オマエはどれだけ俺を楽しませてくれるンだァ?」
「俺とダンス踊ろうなんざ百年早ぇよ、小僧」
「俺を小僧呼ばわりしやがるか。ならオマエはババァだな。どれだけ若作りしてンだよくたばり損ない。仕方ねェから俺がここで引導渡してやるよ」
その張り詰めた空気の中、突然暮愛はぽかんと――何か忘れていた事でも思い出したかのような表情を浮かべ、
「――っク、クハ――ギャハハハハハハハハハハハァッ!!!」
笑った。
腹を抱えて大笑いする少女を一方通行は表情を変えぬまま睨み付けていた。
「オマエ本当に面白い事言うなぁ。コメディアンのセンスあるぜ」
「残念ながら俺はクソッタレな悪党だよ」
「ふぅん。その悪党が、どうやって俺を殺してくれるんだぁ?」
「……一つ勘違いしてるみてェだが」
ほんの数メートルの距離。
それを詰めるべく、一方通行は手を伸ばし地を蹴った。
「俺の能力はベクトル操作だァっ!」
273 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/27(木) 02:50:12.69 ID:1zp59Eoo
ここで中断
一方通行と戦わせるとなると相応のパワーバランスにしないとと思いながらもパワーインフレ大丈夫かとも思ったり
続きは明日……かな?
能力はその時にでも
274 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/27(木) 11:08:31.56 ID:MdXsOADO
今日か
275 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/27(木) 22:15:42.70 ID:1zp59Eoo
一方通行の声に応えるように暮愛も右手を突き出し、再び二人の手が打ち合わされる。
ばぎぃいいん!! と起きるはずのない金属音が響く。
しかし今度は暮愛は退かず、それどころかさらに前進するように力を加えてくる。
(コイツ――!)
おかしな力は不完全ながら反射できている。
力の解析も半ば終わり、演算効率は上がり反射方向も制御でき始めていた。
ばきばきと妙な音を立てながら暮愛の腕には傷が開き、血が流れ出ていた。
だというのに。
(演算が追いつかねェ――!)
その力がどんなものなのか、完全に解析できていればこんな事は起きなかっただろう。
けれど不完全なそこに、強引に捻じ込まれる。
先ほどのそれよりも出力を上げ、その分反射は倍化するというのに。
一方通行の右腕にも何本もの傷が走る。 ベクトル操作
切り刻まれるような不慣れな痛みに歯を食い縛り、一方通行は能力使用の上からさらに押し返そうとする。
276 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/27(木) 22:36:37.43 ID:1zp59Eoo
「ほらほらどうした、足元がお留守だぞっ♪」
「っ――!」
不可解な力の反射は元よりその腕の力まで反射しているというのに、それをさらに押し返しつつ暮愛は足払いのように蹴りを放つ。
ドゴォオオン! と重機が出すような音を立て、力の反射を受けた暮愛の足がぐしゃりと潰れた。
「ギャハ、クソいてぇ。俺も中々捨てたもんじゃねえな」
「――多重能力者か」
明らかに人体の限界を超えた一撃。
その蹴りの上にはあの妙な力は乗っていたものの、蹴りそのものは紛れもなく単なる『恐ろしい威力の蹴り』だった。
しかしその性質は知っている。肉体強化系能力のものだ。
体組織を操作し強靭な筋力や瞬発力、耐久性、回復力を持つそれと同様のものだ。
しかし。
「ぶーっ、残念でしたぁ!」
飛び退りべきべきと嫌な音を立てながら復元していく足を軽く振り、
「有名だから多分オマエも知ってるだろ、まぁそのものはマイナーだけどよぉ……あれだ、ゲームとか漫画によく出てくるだろ?」
少女はぐちゃりと自らの血で濡れた床を踏み鳴らす。
「『血吸いの魔剣』って奴だよ。元はティルフィングっつーんだがよ、知ってるかぁ?」
277 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/05/27(木) 23:16:14.35 ID:v/R.aYAO
上げとくか
278 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/27(木) 23:18:03.78 ID:MdXsOADO
わからん…
279 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/27(木) 23:30:36.77 ID:1zp59Eoo
「なンだよそれ。それがオマエの能力かァ?」
「そうだよ。まぁティルフィング自体はあんまり関係ねーんだがよ。原型留めてねーし」
ずるりと、彼女の踏んだ血溜まりが暮愛の足に飲まれた。
「血に飢えた魔剣、持ち主に勝利と破滅をもたらす呪いの剣。俺はその『呪い』だよ」
「呪いねェ……なるほど、どォりで妙な手応えな訳だ」
「科学はよく分からんが呪いなんて曖昧なもんまで操作するか。ッハ、なるほどなぁ。オマエならもしかするかも知れねえ」
「あァ?」
「――が、それとこれとは話が別だな」
ニタリと笑って、暮愛は空を握るようにして指を鳴らす。
、 、、 、、 、 、、 、 、、
「ネタばらししてやるよ。俺に障ると切り刻まれる」
「なるほどなァ――土御門をやったのはそれか」
「気をつけろよ、白いの……俺の牙はちぃとばかし切れ味がヤベェぞっ!!」
280 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/28(金) 00:41:22.23 ID:8JmD.4ko
結標「うわ、一方通行が格闘戦してる……」
土御門「つってもアレ、デタラメに殴り合ってるだけだぞ……」
結標「あら、あなた大丈夫なの」
土御門「チームメイト相手に淡白だな。もう少し心配してもバチはあたらないぜ」
結標「あなた放っておいても治るでしょ」
土御門「止血はしたから完治まではあと二時間ってとこか。思ったより傷が深い」
結標「使えないわね……」
土御門「尊い犠牲くらいには言ってくれてもいいぜ」
281 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/28(金) 01:28:33.28 ID:8JmD.4ko
「つまり、結局私がやるしかないって事ね」
くるりとバトンのようにライトを回す。
狙いは前の住人が残していったものだろう、ホールの隅に散らばっていた鉄パイプやらの前時代的な鈍器。それを空間移動させる。
移動先は一方通行と殴り合っている暮愛の胸の中心、心臓の真上。
「生き埋めは無理でも直接撃ち込んだらどうかしら!?」
、 、、
がぞっ、と鈍い音を立てて、鉄パイプが暮愛の胸から生えた。
二人の動きが止まる。
「――――グ、ハ――ごぼっ――」
ごぷりと口から真っ赤な血を吐き出し、暮愛は結標を見遣り、
「――――なんちゃって」
べろりと真っ赤に濡れた舌を出した。
「おいおい、こんな事したらフツー死ぬだろ、フツー」
「……ほんと、まともじゃないわね、あなた」
「まあアレだ。この程度で死ねるなら苦労しねえよ」
にたりと笑いながら暮愛は鉄パイプを引き抜き、ばきりと握り潰した。
282 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/28(金) 01:45:45.79 ID:8JmD.4ko
「――おい、コッチ無視してンじゃねェよクソババァ」
掴みかかる一方通行の手を打ち返し、反射で手をずたずたに刻まれながらも暮愛は笑う。
「ッハ、構ってほしいのか小僧。意外と寂しがり屋なんだなぁ」
「尻軽女は嫌われるぞォ? 誰もオマエみてェな年増なンか相手にしねェと思うがなァ」
「…………萎えた」
「はァ?」
「ああクソめんどくせぇ。止めだ止め」
「っ――ふざけてンじゃねェぞォォオオオオっ!」
283 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/28(金) 02:10:03.85 ID:8JmD.4ko
叫び、掴みかかる一方通行の前に人影が割り込む。
「――っ」
ザガッ、と嫌な音がして血煙が舞った。
「――――さすがに」
作務衣を血に黒く染め、佐野は小さく呟く。
「彼女のようには行きませんか」
血塗れになった手を引き、けれど佐野は柔和な笑みを崩そうとはしなかった。
「……なンだよ、オマエも能力者か」
一方通行は吐き出すように言った。
(しかも――コイツも力技かよ。なンだよ今のは――今の量はァ――っ!)
、 、、 、 、 、
左手で一方通行は切り裂かれた右手を押さえる。
(打撃だけじゃねェ……斬撃割断刺突切開破断……数えるのもめンどくせェ。ベクトルの種類がムチャクチャすぎる)
ぎり、と歯噛みした。
(俺の処理が追いつかなかっただと――)
284 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/28(金) 02:17:58.17 ID:8JmD.4ko
佐野「こうなってはもう協力は望めそうにありませんね」
一方「元々そンなつもりなンてさらさら無かっただろォが」
佐野「とんでもない。……が、私たちは自力で探しますので、あとはご自由にどうぞ」
一方「逃がすと思ってンのかよ」
佐野「思っていますよ」
――――――ドサッ
一方「………………ァ」
佐野「と言うより、逃がさざるを得ない感じですか」
一方「ミサカァァアアアアアア!!」
285 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/28(金) 02:27:29.01 ID:8JmD.4ko
「だ……大丈夫です、と、ミサカは……」
「――――コロス」
「学園都市に来るというのになんの下調べもしなかったと思っているのですか。超能力者七人分だけでも調べるのに苦労したというのに、彼女はまったく気にもしませんでしたが」
「――――」
「これ以上能力を使ってもいいのですか?」
「――――まさ、か」
かのじょ
「あなたのせいですよ、一方通行さん。それとも妹達にこれ以上負荷をかけてもいいと?」
286 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/28(金) 02:55:16.79 ID:8JmD.4ko
「じゃあな小僧。こっちでぼちぼちやっとくからオマエは大人しくしてろよ」
「失礼します」
「――――――」
閉じるエレベーターの扉を前に、一方通行は動けずにいた。
垣根の時の比ではなかった。
一撃に無数の属性のベクトルを乗せてくる攻撃。
不可解な性質の多重攻撃に、一方通行の演算速度は文字通り圧倒され、けれどそれを捻じ伏せるほどの瞬間演算を行った。
その結果がこれだ。
一方通行の演算を代替しているミサカネットワークへの許容量を超えた負荷。
要するに、オーバーヒートしたのだ。
「――――――」
首元のスイッチを切り、力なく床に倒れた少女を抱き起こす。
「――――すまない」
「……あなたは何を謝っているのですか」
その問いに答えることができず、一方通行は抱き寄せた手に力を込めた。
「これは過負荷分を纏めて負担したミサカの失態です、とミサカは懇切丁寧に説明します」
「――――すまない」
「好きな男の力となれるならば、それは女子の本懐というやつです、とミサカは嘯きます」
肩に回された手に己の手を重ね、彼女は言う。
「だが、それは――」
「ただ、とミサカは続けます」
「――――、――」
「これ以上情けない姿を見せないでください、とミサカは辛辣な言葉を吐きます」
ヒーロー
「そうでしょう。あなたは『最強』なのですから……連敗は許しませんよ、とミサカは微笑みます」
287 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/28(金) 03:04:02.57 ID:8JmD.4ko
無理矢理こじつけすぎる
ここでようやく初戦終了。次から第二戦になります
初戦組み合わせ戦績
前哨戦
上条・御坂・白井 対 乙橘・燕倉・神狩 無効試合
浜面 対 ステイル 海原の横槍でステイル沈黙
上条・神狩 対 神裂 神裂、棄権
御坂・燕倉 対 垣根・麦野 暗部組、撤退
グループ 対 暮愛・佐野 一方通行、棄権
白井・乙橘 シード
続きはいつになるか分かりません
288 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/28(金) 07:49:25.86 ID:e/6642DO
なん…だと…?
289 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/31(月) 20:20:34.04 ID:vJEZAUDO
モチベーション上がんないのかな
楽しみにしてます
290 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/31(月) 20:32:55.57 ID:cyEnwsSO
支援
291 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/05/31(月) 22:03:24.25 ID:JK9evfQo
あ、気付いたら書いてる程度に考えてください
あとageませんのでよろしう
292 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/05(土) 23:24:12.69 ID:Zulc/1I0
他に書いてるスレある?
293 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/05(土) 23:32:16.04 ID:b.Tpv/Ao
インデックスさんマジ頑張ってるルートかいてます
294 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/10(木) 07:52:09.75 ID:g3p2/UDO
もう書かないの?
295 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/10(木) 16:15:24.80 ID:lIvmCz60
書くよー。インデックス一段落したら再開かしら
296 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/16(水) 02:24:04.49 ID:6sGRYaM0
イン何とかさんマジ頑張ってるルートってどんなやつ?
297 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/16(水) 02:27:02.29 ID:Qpx8WHo0
原点に戻って美琴とイチャイチャする話もみたいな・・・
298 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/16(水) 03:49:07.61 ID:Azepf8U0
>>296
禁書目録「そろそろ本気を出すんだよ」上条「えっ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1275231541/
砂吐けること請け合い
299 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/16(水) 19:47:42.72 ID:6sGRYaM0
>>298
dクス
今から読んでくる
300 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/28(月) 16:52:56.02 ID:5nQfsjYo
こっそりこっそり再開
301 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/28(月) 16:55:27.04 ID:kshZl6DO
ざわ…
302 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/28(月) 16:58:13.99 ID:5nQfsjYo
海原「ええ。なんというか、あまりこの町でオカルトなんて単語を出すのははばかられますが」
垣根「するってぇと何か? 俺らも人の事言えた義理じゃねぇけど、マジモンのファンタジーの住人が紛れ込んでるってのか?」
フレンダ「実際に見たんでしょ? 結局そこんとこどうなのよ」
浜面「間違いなく何かの能力者だった。最初は発火能力系か大気操作系の能力だと思ったんだが」
滝壺「AIM拡散力場が捕捉できなかった」
定規「それってつまり……」
絹旗「能力者じゃないのに超炎とか使ってきたって事ですか?」
垣根「アレイスターの隠し玉はこれか……」
定規「魔術師に吸血鬼ね。いよいよこの世界も末期だわ……どうしたの?」
垣根「……あぁクソ、何か繋がりそうだが思考が途中でバラけやがる」
303 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/28(月) 17:07:21.38 ID:5nQfsjYo
フレンダ「ところでアンタ、結局私たちといていい訳?」
絹旗「もしかしてグループの面々から超ハブられてたりでもするんですか」
浜面「ああそうか、アンタも他の奴から虐げられてるクチか……」
滝壺「大丈夫、私はそんなうなばらを応援してる」
海原「話を聞かないのはどこの組織でも一緒ですね!?」
垣根「数少ない常識人枠が増えたと思ったら……」
定規「鏡見てから言った方がいいわよ、それ」
絹旗「一番の常識外れが何を超喚いてるんですか」
垣根「オーケー分かった、それは認めよう。だがオマエも常識外れの一人だって事を忘れるな」
絹旗「はぁ? 私のどこが常識外れだって言うんですか。超訴えますよ」
フレンダ「結局その口調が特殊だっていうのを自覚した方がいいのよ」
約全員『…………』
304 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/28(月) 17:24:45.83 ID:5nQfsjYo
垣根「魔術師、いいだろう。吸血鬼、どんと来いだね。だがしかし、それとこの姉ちゃんとどういう関係がある」
姫神「……それは。多分私が」
絹旗「垣根、上条当麻という男を知っていますか」
垣根「あん? どっかで聞いたような気がするが……」
絹旗「超能力者序列第三位、超電磁砲こと御坂美琴の彼氏です」
垣根「あー……御坂の馬鹿が色ボケした元凶か」
絹旗「そして第一位、一方通行の数少ない友人の一人」
垣根「…………ほぉ」
浜面「おい絹旗、アイツがこれとどう関係があるってんだよ。アイツは本当にただの無能力者じゃねえか」
絹旗「浜面は黙っていてください。今回の事件、どうも超きな臭い感じがします」
定規「無能力者……? ……ちょっと待って、あの御坂が無能力者に惚れたっていうの!?」
海原「遺憾ながら、はい。なんというか、見てると殺意が湧いてきて思わずバラしたくなるような感じで」
定規「それでも彼女、少なくとも雑魚には興味ないって感じだけど」
レベル6シフト
海原「絶対能力進化実験。あれを潰したのは彼です」
定規「――――っ!? じゃああの一方通行が負けたっていうのは……!」
垣根「面白いじゃねぇか。続けろよ。その超能力者の彼氏で超能力者の友人で無能力者な一般人がどう関係あるんだ」
305 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/28(月) 17:41:34.69 ID:5nQfsjYo
絹旗「少し気になって超調べてみたんですよ、彼の事。そうしたら超面白い経歴が浮上しまして」
垣根「へぇ、もったいぶらずに話せよ」
絹旗「せっかちですね……昨年夏、上条当麻の部屋に一人の少女が転がり込みました。一時期同棲していたようです」
垣根「はっ、やるねぇ上条。中々にプレイボーイじゃねぇか」
絹旗「少女に関しては名前はおろか詳細は不明。さらに年末あたりで急に痕跡が超途絶えます」
垣根「中々面白いじゃねぇか。それで?」
絹旗「私も実際にその少女と会った事はありませんが、いくつかの目撃情報があります」
絹旗「曰く、真っ白な修道服を纏った外国人であったと」
垣根「ガイジンなんかこの町じゃ珍しくねぇだろ。現にコイツもそうだしよ。まぁシスターってのは物珍しいけど教会の一件や二件あるし」
フレンダ「ガイジン言うな」
絹旗「最後まで聞いてください。先ほど私たちが遭遇した超ガラの悪い赤髪の少年ですが」
絹旗「白人で、神父服を着ていました」
垣根「…………」
絹旗「そして、姫神さん。あなたは彼と超面識があるようでしたけど……あなた、上条当麻と同じクラスでしたよね?」
306 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/28(月) 18:12:35.92 ID:5nQfsjYo
姫神「…………うん」
絹旗「以上の観点から、上条当麻はその赤髪の神父……えーと、ステイルとかいってましたっけ。彼の仲間だと超推察します」
海原「仰るとおり、上条当麻は魔術側の世界との面識があります」
海原「特にイギリス十字清教の暗部、必要悪の教会と呼ばれる部署。先ほどのシスターと、赤髪の神父もそこの所属です」
定規「なんであなたがそんな事知ってるのよ」
海原「自分もそちら側の住人ですので」
垣根「こういうときはあれか? オーマイゴッドとかジーザスとか言えばいいのか? フカシだったらブチ殺すぞ」
海原「魔術の一つや二つ見せれば信じてもらえますかね。多分、死にますけど」
垣根「言うねぇ。アイツらの仲間にしとくのはもったいねぇな。スクール、来ないか?」
海原「せっかくですけど制裁が怖いので遠慮しておきます」
垣根「ち、フられた」
定規「あなた、そんなだからホストだとか言われるのよ」
垣根「おいおいよせよ、俺これでも繊細なハートの持ち主だぜ?」
浜面「似合わねえ……」
307 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/28(月) 18:22:05.81 ID:kshZl6DO
ずっと待ってたんだよ!
308 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/28(月) 18:51:27.14 ID:dvvoLOYo
キテター
超待ってました
309 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/28(月) 20:15:07.45 ID:5nQfsjYo
垣根「上条当麻……ねぇ。ふうん……」
定規「興味が湧いた?」
垣根「そりゃな。御坂はともかくあの一匹狼までオトしたんだ。どんな奴なのか気にはなるさ」
フレンダ「結局アンタってホモか、ホモなのか!」
垣根「ブチ犯すぞ金髪」
絹旗「フレンダの会った、御坂美琴と超一緒にいた女。その『カヴン』とやらのメンバーなんですよね」
垣根「画像見るか? 解像度は多少荒いが間違いねぇよ。その、魔術っぽいもん使ってきたし」
定規「クサナギとかいったかしら。さすがに三種の神器くらい知ってるわよ」
海原「恐らくそれをモチーフにした魔術なのでしょうね」
絹旗「となると、『カヴン』勢力に御坂美琴、上条当麻も加わっていると考えるのが超妥当でしょうね。恐らく白井黒子も」
垣根「白井? あぁ、御坂の腰巾着か」
絹旗「と同時に上条当麻と超愛人関係でもあります。嫁公認の」
垣根「最近の中学生って怖えぇ……」
310 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/28(月) 23:43:40.38 ID:5nQfsjYo
浜面「おい待てよ絹旗!」
絹旗「なんですか。超黙ってろって言いましたよね」
浜面「上条も御坂も友達だろ! 姫神も含めて! オマエそれを売る気か!?」
絹旗「浜面、何か超勘違いしてませんか?」
浜面「なっ……」
絹旗「既に御坂美琴と垣根、心理定規、そして麦野とフレンダが交戦。浜面も超胡散臭い神父と一戦交えたじゃないですか」
絹旗「つまり、上条当麻を中心とする面々と、我々アイテムは敵対関係にあると考えるのが超妥当じゃないんでしょうか」
浜面「っ……」
絹旗「そしてこちらには姫神さんがいます」
姫神「……。……」
絹旗「姫神さんを売り渡すのが超得策とは思えません。それより垣根を抱き込んだ方がいいかと」
垣根「俺を利用しようってか? しかし本人の前で言うのはいただけねぇなぁ」
絹旗「それでもあなたは超乗ってくるでしょう。一方通行、御坂美琴はいいにしても、上条当麻、そして魔術師たちの情報は超皆無でしょう?」
絹旗「パワーはともかくとして組織力、情報収集能力ではアイテムの方がスクールに勝ります。いい買い物だとは思いますが」
垣根「そして何より、既に俺と御坂が一戦やらかしてるから今さら馴れ合う気にもなれないってか。はっ、中々に策士じゃねぇか」
垣根「おい無能力者。テメェの女にしておくにはもったいねぇよコイツ」
浜面「それは自覚してるさ。でもやらねえからな」
垣根「人の女取る趣味はねぇよ。これでも誠実なんでね」
定規「どこをどう見ても軽薄以外の何物でもないけれどね」
311 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/29(火) 00:19:16.75 ID:dGrMFQco
フレンダ「はぁ……こんなのリーダーいない間に決めちゃっていいの?」
絹旗「『アイテム』と言いましたけどこれは私の超個人的な意見です。別に付き合わなくても構いませんよ」
絹旗「情報収集だけならできますし、直接戦闘でもそれなりにこなせますし」
フレンダ「結局、麦野には緊急避難って言い訳するわよ。麦野もまあ乗り気だったし、いいんじゃない?」
滝壺「むぎの、無事かな。ずっと連絡がつかないでしょ」
垣根「どうせピンピンしてるさ。腐っても超能力者の一角だ。ガチで殺し合いするならまだしも」
垣根「それにアイツの原子崩しと御坂の超電磁砲の相性は最悪だからな。逆にこういうときには強いさ」
絹旗「という事で、l超申し訳ありませんが姫神さんはこのまま拘束させてもらいます」
絹旗「もちろん全力で守りますが……彼らと敵対する事態になりました。超ごめんなさい」
姫神「……ううん。絹旗さん。浜面君も。上条君の事友達って言ってくれたから」
絹旗「…………」
姫神「大丈夫だよ。絹旗さん。きっと全部。上手く行くから」
姫神「上条君ならきっと。全部綺麗に解決してくれる」
312 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/29(火) 00:51:31.48 ID:dGrMFQco
垣根「……まぁ、できる事ならお姫さんの機嫌は損ねたくねぇしな。極力本気ではやらねぇが……万一には保証はできねぇぞ?」
姫神「うん。上条君は。あなたなんかに負けないから」
垣根「……ずいぶんと買ってんじゃねぇか。あーくそ、妬ましいねぇ」
定規「それにしても楽しそうじゃない?」
垣根「ああ、楽しいね、楽しいねぇ! 上条当麻、クソ、どんなヤツだよ。ここまで言わせる男ってのはぁ!」
浜面「……盛り上がってるところ悪いんだがよ」
垣根「あん?」
浜面「今の話だと、一方通行、あっち側なんだろ。って事はだな」
海原「『グループ』の構成員である自分も、と?」
浜面「そういうこった、自称魔術師。でもオマエはあの神父服着たヤツを伸してきたんだろ。オマエの立場が分からねえ」
313 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/29(火) 01:04:50.99 ID:dGrMFQco
海原「……あまり気は進みませんが、今までの話を統合するとどうにも自分はあなた方の側についたほうがよさそうですね」
垣根「するってぇと、オマエはアイツらを裏切るってのか?」
海原「グループとて一枚岩ではありませんよ。それに、一方通行や土御門はともかく『グループ』としての義理なら果たしていますし」
定規「え?」
海原「個人的な交友はさておき、『グループ』の目的はゲストを姫神さんに引き合わせることです」
滝壺「ゲスト?」
海原「ええ。『吸血鬼』です」
姫神「――っ」
海原「『カヴン』……日本語だと魔女集団、でしょうか。御坂さんと一緒にいたという女性の一団。おそらく吸血鬼と敵対するでしょうね」
定規「どうしてそんな事が言えるのよ」
海原「味方であるなら『吸血鬼』と共に行動すればいい。そうでないなら、やはり敵でしょう」
314 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/29(火) 01:20:37.38 ID:dGrMFQco
海原「現在の勢力は大きく三つ」
海原「ここにいるスクール・アイテム合同チーム」
海原「上条勢力と『カヴン』。どう出るかは不明ですが、ここに恐らくイギリス清教の魔術師たちも含まれます」
海原「そして最後に『グループ』、そして『吸血鬼』」
海原「自分は上条勢力の敵にも味方にも回れないという立場なんですが……」
垣根「『吸血鬼』がいる以上、『グループ』は上条組と協力はできない。そして『吸血鬼』も捨てられない、か」
海原「そういう訳でして。困ったことに自分、居場所がないんですよ」
海原「両チームとの直接の戦闘は避けますが……まあ、逃げるだけなら協力できるでしょう」
垣根「…………」
滝壺「かきね、どうしたの?」
垣根「いやまぁ、別にオマエと組むのはいいんだがよ……」
海原「なんでしょう」
垣根「…………、……女か」
海原「――――っっっ!? そそそんな事は決して!」
絹旗「御坂、さん?」
海原「――! ――――!!」
浜面「オマエも大変なんだな……」
定規「あなたが言っても説得力に欠けるわよ」
滝壺「大丈夫だよ、うなばら。私はそんなうなばらを応援……しちゃあダメなのかなぁ?」
315 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/29(火) 01:28:09.33 ID:dGrMFQco
あづいー、疲れたー、湿度がー
そんな訳でリハビリもかねて幕間的な何か。これで各勢力の立場が明確になってきた気がします
しかし海原自身もミスリードがあるわけで
さーて、次回のスポットは誰にしましょうね?
>>320
316 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/29(火) 01:30:19.48 ID:IIq0Pvko
一方さん
317 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/29(火) 07:57:54.86 ID:1iMjZNMo
ここでステイル
318 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/29(火) 09:48:46.10 ID:.pKpcUDO
わたくしの出番ですの?
319 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/29(火) 10:44:21.45 ID:bBEZpAw0
俺を踏んで行け!!
320 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/29(火) 12:33:08.14 ID:IIq0Pvko
麦野ん
321 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/30(水) 01:09:02.59 ID:0HzvKx.o
「クソッ、クソッタレッ!」
衝動のままに麦野は路地裏に置かれたポリバケツを蹴り飛ばした。
顔は険しく歪められ、ともすれば狭い通路の壁面を伝うパイプからは時折ちりちりと火花が散っている。
これでもうら若き乙女だというのに、麦野の形相は大人であろうと夢に見そうなほどの殺気を放っていた。
それもこれも、御坂美琴だ。
年下の、それも同系列の超能力者。
そして序列は御坂が三位、こちらは四位。
相手に背を向けた事に麦野は羞恥と屈辱と憤怒に身を焦がしていた。
同系列という事で下手をすれば自分の出しているAIM拡散力場が相手に補足されてしまうため、常に周囲の電子を操作し続ける事も麦野を苛立たせる要因だった。
なぜこんな風に路地裏にこそこそと身を隠さなければならないのか。
お陰でフレンダとも連絡が取れない。公衆電話なんて前時代的なものはこの町には存在しない。
ぎり、と奥歯が軋む。
全力でぶつかれば自分の方が格上だ。もっとも、それは自爆を意味するのだが。
感情を発散させる事もままならぬまま、麦野はせめてコンクリートの壁を思い切り叩いた。
322 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/30(水) 01:53:41.66 ID:0HzvKx.o
肉を叩く音と、同時に鈍い痛みが拳に響く。
その痛みに、すぅ、と血の気が引く。
冷めたというか醒めたというか、その一手で酷く冷静になった。
丹精込めて手入れした爪を傷付けてはいないか確認してほっとする。よかった。無事だ。
それから麦野はゆっくりと左右を確認して、再び路地裏を歩き出す。
よくよく考えれば、自分が御坂美琴に負ける要素などない。
必殺の矛と鉄壁の盾。矛盾を一人で体現する麦野の能力は学園都市の頂点のひとつだ。
あの一方通行や垣根のような無茶苦茶なものを除けば、麦野と御坂の差は精々その汎用性でしかない。
御坂の能力である『超電磁砲』は、その名のイメージとは異なり、真の実力はその汎用性の高さにある。
電気、磁気、電波、電子――御坂の支配力は目に見えない部位で多岐に及ぶ。
そしてそれは世界を構成する四つの力、すなわち強い力、弱い力、電磁気力、重力のうちの一つを統べる事に他ならない。
世界の四分の一を、限定的とは言えど支配する能力。
彼女の支配から逃れられる術は皆無に等しい。
けれど麦野はその支配力を一方通行やら未現物質という規格外の物は別として、唯一退ける事ができる。
同系列故のジレンマ。御坂の汎用性に対し、麦野の持つ『原子崩し』は一転集中の特化型だ。
直接的な攻撃、防御に関しては麦野は御坂の超電磁砲を圧倒する。しかし、逆に言えばそれだけだ。
電子を固定するしか能のない力。
けれどそれは。
(相手は中学生……ガキ相手に何を熱くなっている、私)
御坂の長所である汎用性。即ちそれは。
(能力の強さ自体は僅差。だったら)
麦野沈里が御坂美琴に勝っている点があるとすれば。
(『麦野沈里』が『御坂美琴』に勝り、その差を埋めれば――いや、逆転させればいいだけの話)
頭脳戦、そして精神戦。
323 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/30(水) 02:11:45.63 ID:0HzvKx.o
そしてもう一つ、麦野だけが持つ力がある。
――『アイテム』。
御坂美琴にはない組織性。三人と、オマケが一匹。
麦野の持つある意味最強のカード。
(『原子崩し』と、私の頭と、アイテム。切れるカードは少なくはない)
上手くやれば(正直気は進まないが)垣根帝督の協力も得る事ができるかもしれない。
……けれど。
御坂と共にいた、あの眼鏡の少女。
おかしな能力を持っていた。
麦野の原子崩しは元より、垣根の未現物質までも防いだ謎の力。
攻撃はできないようだったが、既存の物理法則を無視する垣根の力まで防いだのはどうにも合点が行かない。
一方通行のような、それこそ物理法則の悉くを統べるような馬鹿げた力でもなければあれに対抗できるとは思えない。
ならば、彼女も――超能力者なのか。
第五位、『心理掌握』。そして不在の第六位。
そのどちらか――と考えるのが妥当なのだろうが。
外部からの侵入者、『ウィッカ』。
その一人であると垣根は言う。
麦野の把握していないところで事態はおかしな方向に進んでいる。
324 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/30(水) 02:24:10.30 ID:0HzvKx.o
御坂美琴。『ウィッカ』。『グループ』の連中の動きも怪しい。それに御坂の探していた少女。
ともかく麦野は事態の把握をする必要がある。
一つでも多くのカードを得る事がそのまま御坂に対する対抗策となる。
(そうなると、まずは……)
アイテムの面々と合流するのが最善と判断する。
情報戦は即ち行動力。頭数というのは大きなアドバンテージになる。
どこか固定電話のある場所――適当な店にでも押し入って少し失敬しようか。
そんな事を考えながら麦野は路地裏を抜けるべく歩を進める。
けれどこの時、麦野は冷静ながらも一つ重要な事を見落としている。
それは、御坂美琴と戦わないという選択肢。
325 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/30(水) 02:26:59.21 ID:ahmXMNco
頭脳戦でも精神戦でも麦のん美琴に一回負けてるよね
326 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/30(水) 02:39:28.89 ID:0HzvKx.o
そしてようやく、少し大きな通りに出る。
周囲に立ち並ぶ小さな会社や塾の看板が並ぶ雑居ビルを前に、麦野はキョロキョロと辺りを見回し、
知った顔を見つける。
間違えようもない。
今目の前のビルから出てきた、あの特徴的すぎる髪と杖の少年は。
「あァン? オマエ、こンなとこで何やってンだァ?」
かつん、と杖で地を叩き、不機嫌さを隠そうともせず麦野を睥睨する顔。
そのこちらを威圧するような言葉に麦野は適当に言い返そうとするが。
「――――」
半ば開いたその口が止まる。
麦野は既に彼を見ていない。
その視線は彼の肩越しにその後ろに向けられている。
「――それは初対面の相手に向ける視線ではないと思いますが、とミサカは見知らぬ人物の不遜な態度に若干顔をしかめます」
瞬間、麦野の頭の中で、ヒューズが飛んだ。
327 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/30(水) 02:42:00.15 ID:0HzvKx.o
>>325
え?なに?聞こえない
実は未だに超電磁砲五巻読んでないからついていけないんだぜ……
まあ色々無かった事になってるんで、その辺適当に補正してくだしあ
んじゃ明日早いんでそろそろー
日本代表お疲れ様でした。部屋にテレビがないからまったくついていけてないけど!
328 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/30(水) 03:00:54.71 ID:ahmXMNco
ああごめん気にしないで
次も期待してます
乙
329 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/30(水) 12:08:34.79 ID:OLgdYkDO
毎日の楽しみがまたできて嬉しい
330 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/06/30(水) 19:06:11.27 ID:0HzvKx.o
今気付いたけど、このSSの一通さん杖突いてないじゃんね! 混ざった!
331 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/30(水) 20:15:05.91 ID:HQAKu.SO
別に気にしてないけどね!
332 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/04(日) 13:32:29.28 ID:K8pzG.DO
こないな…
333 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/07/04(日) 15:04:45.53 ID:upNoE9co
ごめんあっちやってたヽ(゜▽、゜)ノ
334 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/05(月) 01:40:51.06 ID:yz1LRRUo
あっちゃ?
335 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/07(水) 23:48:22.22 ID:hU2ZBJg0
他にどっかで書いてる?
336 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/07/08(木) 04:05:08.92 ID:w5KiCPwo
鈴科とかやってます
337 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/07/09(金) 01:53:48.14 ID:rD0diFUo
今気付いたけど鈴科じゃなくて結標だよ阿呆ヽ(`Д´)ノ
338 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/09(金) 01:56:22.57 ID:U5xjwUwo
久しぶりにHKB!!
339 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/07/09(金) 02:01:02.03 ID:rD0diFUo
いや、見てることは見てるんだぜ……? 書くのが遅いだけで
340 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/20(火) 00:30:38.29 ID:ymA2xSQ0
今のスレに誘導してほしいんだよ
341 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/07/20(火) 00:53:18.93 ID:gJJXU6co
あいよー
結標「もうやだこの仕事」一方通行「……はァ?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1277860928/
342 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/20(火) 17:56:27.69 ID:RSRi1Tg0
>>1
です
長い間、スレを放置してしまい申し訳ありませんでした。
諸事情で時間に余裕がなくなってしまったため、続ける事が困難になってしまいました。
大変残念ですが、ここで打ち切りという形にさせて頂きます。
スレ見ていただいた方どうもありがとうございました。
343 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/21(水) 22:08:07.65 ID:Pw2kxADO
>>1
まだかなー?
344 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/22(木) 01:57:31.12 ID:vGGmDLMo
>>342
コピペ乙
345 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/07/23(金) 00:45:20.44 ID:5Gt9jbwo
一条の光芒が闇を貫く。
麦野の放った原子崩しの青白い直線は、背後の少女を守るように手をかざした一方通行によって反射される。
しかし二者の間を瞬間で往復した光の軌跡は、麦野の眼前で歪曲し、闇夜に溶けていった。
「――――おい麦野、なンのマネだ」
「なんのマネって、そんなの決まってるじゃない」
ばぢ、と空気が爆ぜた。
麦野の右手、手首から先が青白く輝く。
万物を焼き切る原子崩しの光を纏った手を、つ、と振り上げ。
「そこのクソアマをブチ殺すんだよォォ!!」
振り下ろすと同時に、輝きを増した麦野の手から光が伸び、二人に向かって叩き下ろされた。
346 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/07/23(金) 01:12:45.90 ID:5Gt9jbwo
空気が軋む。
麦野の右手から伸びる光の剣は、しかし一方通行の手によって受け止められていた。
「――チッ」
舌打ち、一方通行は渋い顔を麦野に向ける。
「キャハッ! お得意の反射はどうしたのかなーぁ!? それとも受け専になっちまったのかなぁ!?」
「意味分かンねェよ」
眉を顰める一方通行だが、掲げた手の中でバチバチと嫌な音を立て続ける光に内心歯噛みする。
「忘れちゃってるかもしれないから言っとくけど、私の原子崩しって『粒子を曖昧なまま固定してそれをぶつける』って能力なんだけどさー。
その本質は『固定する』事なんだよね。だからアンタが反射しようとしてもさ、私の支配下にある限り、動かせないって訳よ。
まあ動かそうとするとそのベクトル反射されて、さらにそれを固定してって千日手なんだけど……」
軽い口調だが、仮面にも見える無表情で麦野は言いながら。
「ツイスターってゲーム知ってる?」
にぃ、と口だけで笑った。
「たまには楽しく遊ぼうぜぇ、第一位ぃ!!」
麦野の左手が空を薙いだと同時に、更なる光剣が振り下ろされた。
347 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/25(日) 02:14:31.36 ID:zs/uT.AO
あわきんもいいけどこっちもいいな
ぴぃ
348 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/04(水) 09:14:25.46 ID:PKfjfQDO
こっちは?
349 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/11(水) 12:04:07.60 ID:nr2QKIDO
書いてくれー
たのむー
350 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/11(水) 13:59:39.90 ID:J/HLfnM0
すまん、PartS終わったら麦野戦ラストまで行く
351 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/08/20(金) 23:45:38.54 ID:fa7M7YDO
(´・ω・`)
352 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/21(土) 11:40:34.59 ID:OK73erQo
いまのスレはどこ?
353 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/08/28(土) 01:19:59.93 ID:FavRDRQo
「ギャハハハハッ! 踊れ踊れ一方通行! ダンスタイムだクソッタレ!!」
降り注ぐ光刃から背後の少女を守るように両手を捧げる一方通行に、麦野は嬌声を上げる。
「オイオイオイオイどうしたどうしたぁ! お得意の反射は今日は打ち止めか! それともソイツとヤりすぎて赤玉出しちまったかぁ!?」
るせェよ、と一方通行は小さく吐き捨てる。
別に能力が使えなくなった訳ではない。現に麦野の攻撃は防いでいる。
単に無駄に使いたくないだけだ。
先ほどの一件でミサカネットワークには多大な負荷がかかっている。
膨大な演算処理を行わせたがために、オーバーヒートした回路に今はできるだけ負担をかけたくない。
(だが――)
このままでも千日手だ。
麦野の光剣の軌道は分かりやすい。常時固定していないと反射されるためだろう。素直な軌跡を描き一方通行に降り注ぐ。
けれど一方通行は受け続けるしかない。
自身より下位とはいえ、仮にも超能力者だ。特化能力とはいえ、第四位『原子崩し』を突破するのは容易ではないのだ。
「女の子とダンスなんざ生まれて初めてだろ童貞くゥん!! 一人で果てちまうなんて興醒めな事はしてくれんなよォ!!」
「チッ……好き勝手言ってくれやがる」
しかし、単一のベクトル処理だけでも多大な負担が掛かっているのは明らかだ。
見ずとも分かる。一方通行の後ろに立つ少女は、いつもの無表情とは考えられない、荒く、不規則な息をしていた。
(どうにかしてこの場を切り抜けねェと、その内コイツがまたぶっ倒れちまう)
それだけならまだマシだ。しかしその瞬間、麦野の一撃は容赦なく二人を両断するだろう。
354 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/08/28(土) 02:58:55.31 ID:FavRDRQo
ふと、一方通行の脳裏に一人の少年の姿が浮かぶ。
(――何考えてやがる。馬鹿か)
救いようがない、と一方通行は自虐する。
もし彼が自分の隣にいてくれたなら、軽々とこの状況を打破できたに違いない。
だが、そんな事はあるはずもないし、できるはずもない。
彼は、彼らは、こんなゴミ溜めのような場所にいていい存在ではない。
陽光の降り注ぐ表通りを堂々と歩いていなければならない。
だからこの場は、自分だけで切り抜けなければ。
せめて、この血迷って路地裏に飛び込んできた少女を守らなければ。
しかしどうする?
どうやってこの状況を打破する?
麦野のこれはどう考えても言いがかりだ。いや、八つ当たりでしかない。
恐らく、背後の少女の――姉――のような存在――が、麦野の何か癪に障るような真似をしたのだろう。
355 :
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[sage saga]:2010/08/28(土) 03:05:57.75 ID:FavRDRQo
余計な事をしてくれる、と一方通行は心中で一人ごちる。
けれど、そうだと言った所で麦野は耳を傾けようとはしないだろう。
それどころか、『最初から分かっていて』喧嘩を吹っかけてきた可能性すらある。
いや、そちらの方がありうる。
説得は無理。
現状維持すらも困難。
ならばいっそ、最短時間で能力をフル使用して切り抜けるか。
けれど、反射だけならまだしもベクトルの再計算を今の彼女たちが耐えられるだろうか。
未知の状況に一方通行は焦燥を隠せない。
今までそんな事はなかった。
一度はあのいけ好かない第二位とやりあった事すらあるが、その時でさえミサカネットワークは演算に耐えた。
「――――、――」
――何かが引っかかった。
吸血鬼。
魔術。
十字教。
オカルトとは無縁のこの街にそぐわない単語だらけだ。
そもそもその真偽すら怪しい。 、 、 、 、 、
だが現に、目の前に現れた二人は、明らかに既存の物理法則を無視した、物理法則外の力を扱っていた。
いくら能力者とはいえ、『未元物質』のような例外を除いて物理法則に縛られる。
多少無視したところで、最終的にはこの世の法則に絡め取られる。だというのに。
一方通行の能力を以ってしても完全に演算できなかったそれは。
吸血鬼。
即ち、あれこそが真の常識外れなのだろう。
356 :
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[sage saga]:2010/08/28(土) 03:17:19.26 ID:FavRDRQo
だが、それすらも。
「――カハッ」
笑った。
その不意の嘲笑に麦野が顔をしかめるが、気にしない。
そんな常識外れですら、あの少年は打破するだろう。
友情や信頼や、そんな言葉ではない。
そんなものでは断じてない。
そう――言うなれば、確信。
最強と謳われた能力者をその身一つで殴り飛ばした無能力者。
その傍らには雷光を纏う最高位の少女。
あの時敵対したにも拘らず、屈託のない年相応の笑顔を、こんな自分に向けてくれる少年は。
自身と鏡写しのようなあの少年は、あの時のように全て打ち砕いてくれるだろう。
ならば、自分のやるべき事は。
「――なァ」
麦野が眉をひそめる。
胡乱そうな視線を投げかけられるが、無視した。
「あンまり言いたくはねェンだがよォ、麦野」
一方通行は嘆息し、かぶりを振り、もう一度考えてから、また嘆息した。
「そろそろ飽きてきた」
357 :
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[sage saga]:2010/08/28(土) 03:30:05.73 ID:FavRDRQo
動きが止まる。
「――まったく、何よ。何それ。私じゃ役不足だって言うの」
小さく、ぼそりと呟くように声を漏らす麦野に、一方通行はつまらなさそうに言った。
「オマエ、何か勘違いしてねェか?」
――柄にもない事をやっていると自分でも思う。
「残念ながらそこは指定席でなァ――オマエなンざ最初からお呼びじゃねェンだよ」
その言葉に麦野は空を見上げ、同じように嘆息し、呟いた。
「――ちぇ。たまには相手してくれてもいいじゃない」
なぜか少し悲しそうな顔で彼女は微笑し、そして。
「お高く留まってんじゃねぇぞクソムシがァァアアアア!!」
大上段に振りかぶられた光の塊が振ってきた。
358 :
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[sage saga]:2010/08/28(土) 03:46:44.82 ID:FavRDRQo
似合わない事をする、と自嘲する。
挑発をして、大振りの一撃を誘い、そこを全力で離脱する。
逃げるのは性に合わないが、仕方ないと割り切る。
そもそも高位能力者との直接戦闘は出来る限り避けるべきだった。
どこか安全なところ――そう、あの病院にでも身を隠して彼女の回復を優先する。
そのための避難だ。
(まったく……世話を焼かせる)
一歩後ずさり、手を伸ばす。
彼女を抱きかかえ、地球の自転に合わせた慣性ベクトルを操作して一瞬で離脱する。
少し負荷がかかるだろうが、我慢してもらおう。
着地は飛んだ際の空気抵抗や重力あたりを使用すればいいだろう。可能な限り楽な演算方法で。
そのつもりだった。
「――――――あァ?」
伸ばした手は空を掻く。
思わず振り返ると、視界の端を髪が掠めた。
倒れるように座り込んだ少女は、貧血でも起こしたのか、顔が病的なほど白かった。
359 :
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[sage saga]:2010/08/28(土) 03:50:10.80 ID:FavRDRQo
(演算――あの程度ですら耐えれない状態だってのか!?)
もう一歩足を踏み出せば手は届く。
けれど、手を伸ばしたところで、この場を離脱したところで、
その避難行動にすら耐えられなかったら……?
そう、躊躇した。してしまった。
ほんの一瞬、けれど致命的なまでの時間。
振り下ろされた『原子崩し』の青白い光の塊。回避は間に合わない。
けれど今の彼女に、それを防御するための演算ですら耐えられるかは分からない。
(だが――他の選択肢を悠長に考えてる暇はねェ――!)
頑張れ、と。
酷く曖昧な言葉を心の中で投げかけながら、一方通行は両手を捧げる。
光を抱き止めるように。
360 :
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[sage saga]:2010/08/28(土) 04:03:28.53 ID:FavRDRQo
だが、振り下ろされる光の前に影が立ちふさがる。
数は二つ。
一つは、二つに括った髪を風に流しながら舞い降りる。
あらゆる距離と障害を無視し天を駆ける少女。
見飽きた、酷く癪に障る顔。
まさか、と彼は思う。
そんなはずがない。
この闇の世界にいるはずのない存在。
けれど舞い降りた影は二つ。
そしてもう一つは、
ライキリ
「――――オマエの出番だ。掻き裂け、『雷切』」
銀が閃き、青白い光が割れ爆ぜた。
361 :
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[sage saga]:2010/08/28(土) 04:18:00.56 ID:FavRDRQo
「――――」
少年。
けれど聞き覚えのない声。
けれど見覚えのない背。
彼は、この科学の蔓延した都市には似合わない酷く前時代的な獲物を振るう。
あの無手の少年とは対照的に、けれどあの少年と同じように。
降り注ぐ悪意を吹き飛ばした。
「いやぁ。美談だねえ、喜劇だねえ」
チン、と小さく金属音が囀る。
「なんで御坂がここにいるのかは知らないけど、先輩がいないのは凄く気になるけど」
腰溜めに収められた日本刀を居合いに構え、声は続く。
「こういう場面は大抵、そっちが悪いっつー場合が多いんだけど、そういう認識でオーケー?」
見覚えのない少年は、麦野を見据えながらそう嘯いた。
「…………誰だよオマエ」
彼自身は気付いていないが、珍しく間の抜けた顔で一方通行は思わずそう吐いた。
362 :
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[sage saga]:2010/08/28(土) 04:29:15.99 ID:FavRDRQo
ほんとに誰だよ!?
はい、みなさんお久し振り。
>>1
です
皆さんって言いながら見てる人どんだけいる事やらヽ(゜▽、゜)ノ
浜面・絹旗サイドがひと段落ついたのでこっちを進めようとしたら、
こいつどうなってるのかすっかり忘れてやんの(笑)
気付いたらこんな時間になってたので続きはまた明日以降に
お付き合いいただける方がいらっしゃったならば、気長にだらだらどうぞ
363 :
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[sage]:2010/08/28(土) 04:34:12.69 ID:eqcQpqYo
俺ガイル
いやぁ、浜絹乙でした。そしてこっちでも色々期待してまする。
364 :
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[sage]:2010/08/28(土) 06:26:56.77 ID:wneYe.Qo
サスケェ…
365 :
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[saga]:2010/08/28(土) 06:45:31.34 ID:Q1L2CtIo
>>357
役不足?
366 :
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[sage]:2010/08/28(土) 08:43:30.26 ID:uiWjW1Mo
役不足の意味するものって近世変わりつつあるよね
367 :
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[sage]:2010/08/28(土) 12:42:10.96 ID:TfsPY.DO
待ってたんだよ…
368 :
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[sage]:2010/08/28(土) 15:19:09.14 ID:.biZLEco
来てる・・・だと?
超待ってました
369 :
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[sage saga]:2010/08/29(日) 01:00:27.07 ID:pwxSexko
わーい、素で間違えてたー。分かってるんだけど止められない<(^o^ )>
しかしこの状況、三対一になってしまったむぎのん。どうするか思いつかない……
370 :
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[sage saga]:2010/09/01(水) 03:03:22.84 ID:B9tKR16o
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1281100405/224
ごめん、スランプ気味っつーか全然モチベが上がらないわー
まあ誰得スレだから大丈夫とは思うけど
こっちはageないからな!
371 :
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[sage saga]:2010/09/17(金) 22:23:50.60 ID:URLR7wMo
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1281100405/258
という事で、明日あたりこっちもHTML依頼を出します。すみません
372 :
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[sage]:2010/09/20(月) 06:06:01.97 ID:X6CQC/o0
今更言うのは何だが、馴染みの無いキャラが大勢出てごちゃごちゃしてるせいか、あまり楽しめなかった。
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[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
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