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美琴「ロマンチックな能力だからって、調子乗んじゃないわよ!」 - 製作速報VIP(クリエイター) 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:05:52.96 ID:18owtWY0
VIPで建てたけど 落ちたら建てなおすと宣言した瞬間落ちました。
向こうで建てなおすより、こっちの方が保守とかないので楽かなと思ったので
こっちで仕切り直します。


夏休みが終わった。8月31日の学園都市の閑散とした人通りは、
次の日の朝突如、地中から太陽のもとに引きずりだされたモグラのような表情をした生徒達で埋め尽くされる。そのなかの一人に、ひときわ淀んだ目をした少年がいた。

上条(・・・はあ、宿題って、やらなかったら罰金とか処罰とかされるわけじゃねぇのに、
なんでこんなにも心に重く圧し掛かってきやがるんでしょうね・・・)
もはや宿題ができなかったことに対する言い訳は考えていない。
義務を果たせなった人間が、信用という、ある意味ではお金よりも重いものを失うことを
この少年は思い知りつつあった。

一方、上条のアパートと同じ学区内の、5つのエリート女学校が敷地内に併設されている「学びやの園」。
道行く女子生徒のなかには、宿題に追われて眼の下に隈を作っているお嬢様などいるはずもなかった。
そして昼休みの時間となり、噴水のある広場では、常盤台中学の制服を着た二人の女子生徒が噴水の縁に腰かけて昼食を取っていた。
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:07:58.63 ID:18owtWY0
黒子「ああ、暑いですわね・・・」パタパタ

湾内「ええ。まだまだ夏本場ですからね・・・・、
14日のシステムスキャンの日には、少しは涼しくなっていたら良いのですけどねぇ。」

黒子「まったくですわ。わたくしの繊細で緻密な能力をあの、
地熱をモロに反射する鉄板のような校庭でテストさせようだなんて、不効率にも程がありますわ!
・・・それにしてもアナタ、さっきからどうしてそんなに涼しそうな顔をしていますの?見たところ汗一滴、ないですわね。まるで減量の果てのプロボクサーのようですわ」

湾内「ああ、あれ、忘れちゃいました? 私の能力、水流操作なんですよ?」

黒子「・・・はぁ。なるほどそうでしたわ。」

どうやら水流操作の能力で、自らの汗をコンロトールしているらしい。
エアコンの排水パイプのように、体中の汗をどこか一点に集めて垂れ流しているのだろうか。
たしかに、服もへばり付くほど体中に汗をかくよりは、一か所だけに集中させたほうが
精神衛生的にはマシかもしれない。
しかし問題の湯切り口の場所が少し気になったが、それを聞くのは無粋な気がする。
とここまで考えて
黒子「ところで、そろそろ本題のお話を伺いたいのですけれど、よろしくて?」
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:09:30.54 ID:18owtWY0
湾内「あ! ・・・は、はい。え、えーと、実は・・・・・・・」

急に歯切れが悪くなる。
どうやって?と切り返されると予想して、その答えを用意していたんだろうか。
それとも、話の内容があまり人に知られたくない類のものなのか。
なんにせよ、黙って聞けばわかる。

湾内「カミジョウトウマさん、って、ご存じですか?」


突然、低い音が聞こえるとともに二人の視界に影が差す。
ふと黒子が空を見上げると、飛行船が飛んでいた。そのおなかにくっついている大画面には、大型積乱雲発生注意、と表示されている。

黒子「・・・ごめんなさい、今、ちょっとアレのせいで音がよく聞こえませんでしたの。
申し訳ありませんが、もう一度おっしゃって下さって良いかしら?」

湾内「あの、ここと同じ学区に住んでいらしていて、
髪の毛がこう、ツンツンしていらっしゃる方なんですけど・・・・。
カミジョウ、トウマさんというお名前で良いんでしたよね?
御坂様や、白井さんとも面識があるともお話して下さいました。」

黒子は軽くショックを受けた。
その名前がまさか、同じ学校の同じクラスの学友の口から飛び出すとは、
いままでまったく予想していなかった。
なんというかこう、兄弟の口から急に自分の知り合いの話が出てきたような感覚だった。
ましてや、その知り合いは自分の最愛の人間を奪おうとしている(と黒子の脳内では補完されている)。
名前を聞くだけでも眉間に皺が寄るのは気のせいではない。
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:12:54.60 ID:18owtWY0
黒子「どうして、あなたがあの方をご存じなんですの?」
黙っていれば気になることはいろいろ湧いてくるが、まずはこう聞くしかない。

湾内「以前、白井さんや御坂さんに、部活のスポンサーさんのモデル役をお願いしたときのこと、覚えてらっしゃいますか?
・・あのとき、初めて自分で、あ、いえ、みんなでカレーを作って、すごく美味しくて、
それからお料理してみたいなって思って。
それで先日、初めてスーパーという所に行ってみたんです。

__4日前
上条「やった!(特売品ゲット!これだけ惣菜買えば、今日は料理しなくていいだろう。
・・まぁ、たまには惣菜でもいいよな。あいつもこんだけ食えれば。)


上条(ん?あの制服は確かビリビリと同じ常盤台の・・
へー、ここのスーパーに常盤台の女の子が来るなんて、珍しいな。
彼女達も、意外に自炊してんのかな? ・・いや、ふつう寮の食事とか出るよな。

それにしてもあの子、何かさっきから考え込んでは右往左往してるなぁ。
・・何を探してるんだろ?
気になるな。でもいきなり俺みたいなのが声かけたらビックリするかも。


・・・えーい。ビリビリだと思って、ちょっと声かけてみるか。)
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:14:12.97 ID:18owtWY0
上条「あのー、すみません。・・良かったら、お探しのもの、一緒に見ましょうか?
今日の特売品なら、惣菜コーナーですけど。」


湾内「! あ、いえ、すみません。お邪魔でしたら、すぐここをどきますので、、」


上条「いやいや! あの、いきなり変なこと言うみたいで余計なお世話かもですけど、
ここのスーパーは行きつけなんで、良かったら手伝いますよ。
正直言うと、常盤台の人に知り合いがいて、それで制服見て、馴れ馴れしいかなと思いながら声かけちゃったんですけど。」

湾内「まぁ、そうだったんですか!ありがとうございます。
・・実は、ちょっと困ってたんです。それでは、ご好意に甘えさせていただいても
よろしいでしょうか?」

上条「もちろん!」

湾内「ありがとうございます。あの、実は、材料のことでよく分からなくて。
赤い野菜が人参、黄色い野菜がじゃがいも、ということまでは記憶しているんですが、
肝心のルーは、どうやって作るのか覚えてなくて。あ、カレーを作ろうと思っているんですが。」

上条「!・・(野菜売り場でルーを探してたのか。。)
ああ、カレールーですね!カレールーはパッケージに入ってる
ブロックタイプのやつがあっちのコーナーにありますよ。ちょっと贅沢するなら
粉末状のタイプも。・・このスーパーなら、スパイスも揃ってるから、スパイスから
本格的に作ることもできますね。
それと材料はキホン、人参、じゃがいも、あと玉ねぎも使うと、食感が楽しめて美味しいですよ。」

湾内「ありがとうございます!
なるほど!玉ねぎ!あの小さい添え物のことですね!」

上条「え?添え物?・・・それたぶんらっきょうだと思いますけど。」

湾内「・・・!私ったら、なんて物知らずなんだろう。
嫌な思いさせて、本当にごめんなさい。」


上条「いやいや、謝らないでくださいって!!
俺なんて最初は芽が生えたジャガイモ食べて死にかけ・・・いや、なんでもないです。」


湾内「そうなの?・・・ふふ。やさしい方ですのね。
そういえば、あなたのお知り合いの方のお名前って、なんていう方ですか?」
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 03:20:29.46 ID:mFV.JOk0
上条×湾内か?
そうだとしたらぜひ応援したい
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:23:34.80 ID:3GU0KIAO
1ヶ月くらい前に見かけた気がするな
内容思い出せないから最初からは実に有り難い
ガンガってくれ
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:25:01.13 ID:18owtWY0
>>6
そうです。
ありがとうございます!
vipだとすぐレスがつくから、
誰も見てくれてないかと思うとちょっと不安になりますね・・
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:27:10.06 ID:18owtWY0
>>7
ありがとうございます
続けていきたいと思います

湾内「そうなの?・・・ふふ。やさしい方ですのね。
そういえば、あなたのお知り合いの方のお名前って、なんていう方ですか?」


上条「ああ、御坂っていうやつと、白井っていう子なんだけど。知ってるかな?」


湾内「・・え?そのお二人なら、もちろん、知ってます!!
白井さんは、私と同級生でクラスメートなんです。
・・・あの、ほんとに、あの御坂様とお知り合いなんですか?」


上条(あの御坂様ね・・・俺には見せないあいつがいるんだなー。)
「うん。・・・まぁ、ふつうの知り合い同士に、多少命のやりとりを交えたような関係かな。
それより、他に何か必要なものとかない? 何人前作るかで、材料とかも変わってくると思うけど。えーと・・・」


湾内「わたくし、湾内と申します。人数は、私と寮の友達の2人で食べるつもりですので、これだけあればじゅうぶんだと思います。
・・今日は、本当に色々ありがとうございました。お陰さまで、すごく助かりました。
え、えと、お名前お聞きしてもよろしいでしょうか?」


上条「あっ、上条当痲といいます。この辺に住んでますんで、何かあったらまたなんでも相談してください。・・お金と、勉強以外のことなら。」
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:27:42.92 ID:ozDARyko
お、俺の湾内さんまでもが、上条さんの魔の手に・・・・

湾内さんはもっと過剰に丁寧すぎる口調なんだよ!!
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:29:55.61 ID:18owtWY0
_____________________________________


宿題を放棄した人間に対する罰則は、5時間耐久すけすけみるみる・・・
ではなく、ふつうに数学だった。
能力者として演算能力を高めるため、論理的思考能力を鍛えるという
名目で、数学の問題集を延々と解かされる。
ようやく解放された上条は、数字を見るたびに無意識に足したり引いたり、掛け算の式に変換しようとしたりと、何も考えていなくても数字が襲いかかってくるのだった。

上条「・・・・はぁ。297円。・・お、9で割れるな。
・・・だから何だってんだよ。物を買う基準が、安くて良いものじゃなくて、
いい感じに割り切れる値段で買い物する奴なんて、この世のどこにいるんですか・・・
しかも・・・スーパー入ったら、いきなりすんげぇ雨降ってくるし・・不幸だ。」
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:32:57.72 ID:18owtWY0
____________________________

黒子「・・・なるほど。よく分かりましたわ。
それで、わたくしに一体どういったことをご所望ですの?

湾内「あ、はい。
あ、あの・・・・。正直に申し上げると、
わたくし、あの方が、す、・・・好きになってしまいました。
それで、それで、あの・・・


その先はなかなか出てこなかったが、
黒子は湾内の話を聞いているうちに、表情や言い回しで、彼女の気持ちは察していた。
そして、人物相関図で言うところの、この新たな方向から現れた矢印は、
まさに自分の持つ矢印の利害と一致している。考えるまでもなく直観でそう確信を持った。
(多少の後ろめたさはあるものの、人間自分の本能に従え、ですわ。)


黒子「是 非 っ !!、ご協力させて頂きますわ!!」
黒子はもじもじしたまま俯いている湾内の両手を包んで、自分の方に寄せ、
彼女の眼をまっすぐ見据えながら、


黒子「あの殿方とは、わたくしにも浅からぬ縁がありますの。あなたの頼みとあれば尚更、
見事あの方とあなたを、立派な男と女の関係にさせて頂きますわ!」


湾内「り、りっぱな男と女の関係?
それって、つまり、・・・いえ!、そそそ、そんなんじゃなくて!
あの、本当に、そんじゃなくていいんです!・・・
これから学校も始まっちゃって、あまり自由に行動できる時間もなくなっちゃうので、
なかなかスーパーには行けなくなっちゃうと思うんです。
寮監さんの目を掻い潜って、行ったとしても、会えるとは限らないし・・・


それで、あの人に会ったら、見かけた場所とか、時間とか、教えて頂きたいんです。
白井さんたちの方の寮なら、あの方の家とも近いから、会うこともあるかも知れないと思って。」
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:34:08.10 ID:18owtWY0
常盤台中学の女子寮は2つある。ひとつは学外の敷地の存在する、御坂や白井の住む寮。
そしてもうひとつの寮は学内の敷設されている。主に部活動に励む学生などがこちらに住んでいる。
学内の寮は外に出入りすることに関して、学外の寮よりもやや厳しい規定が設けられている。
考え方としては、部活動に従事する学生は、雑多で余計なことが多い外の世界に流されずに、日々を健全に過ごし学校活動に捧げるべき、といったところだろうか。
もっとも、各部活動にはスポンサーの企業がついているため、運動部員が芸能活動に近いようなことを依頼されることもままある。ただ、立場は学生の方が上だ。
もともと膨大な資力を有しているこの学園や、さらにその生徒達は、ほぼ例外なく
優秀な成績に裏打ちされ、保障された恩恵を受けている。学生の身分でありながら、大きな社会的なステータスを持っていると言ってもいい。
よって、仕事の依頼を断ることも可能である。


・・と脇道の理屈を説明するために話が逸れたが、
湾内は水泳部に所属しているため、こちらの学内の寮を使用しているのだった。


黒子「なるほど。それでわたくしを頼って・・。」
(・・・話を持ちかけられたのが、お姉さまの方じゃなくて、本当に良かったですわ。)
まぁ、彼女からしてみれば雲の上の存在の御坂に相談するなど、考えもつかなかったのだろう。

黒子(これは、天が与えてくれた好機ですわよ。おねえさまの周りをうろうろする、あの猿野郎が誰かとつっくいてくれるなら、私としては願ってもないことですわ。
これで余計な気兼ねをすることなく、おねえさまをひとりじめに・・・うふふ。)


湾内「あの、ダメ、、でしょうか・・」


黒子「いえいえ!とんでもないですわ!あなたの一途な想いに、確かにわたくしは心動かさましたの!

・・・でも、そんな悠長に待っているだけではダメですわ。
どんなに学外の殿方に思慕を馳せても、忙しい学校生活。やがてそんなことなど頭のどこかへ消えてしまうでしょう。
そこで、わたくしに考えがありますの。」
白井は指先をたて、得意げに微笑む。

湾内「え?」
14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:35:55.86 ID:18owtWY0
_______________________

上条「雨、止まねーかな・・・、」
今日の夕食を買い終えた上条は、スーパーの入り口の、庇の下で呟いた。
夕立と言える時間帯だが、外は比較的明るいため、天気雨の可能性もある。
人の出入りの邪魔にならない位置に陣取って、
5分くらい待ってみたものの、雨の勢いはさらに激しくなってきた。
これは雷がきそうな気配だ。

上条(仕方ない。起きてる事を信じて、インデックスに電話してみっかな。)
Prrrr prrrr prrrr ・・・・・・
18回目のコールまで待ってみた。反応はない。
(ちくしょー、オネンネですかぁ?・・・それとも風呂入ってるかな?
外出、つってもそんな行くとこないし。)

上条(あー、もう!仕方ねぇ!)
これ以上待ってても事態は悪化しそうなので、風邪を引かないことを祈りつつ、
買い物袋を抱きかかえるように死守しながら、雨の中に飛び出す。
雨の中を走りながら・・・・と、しばらくして気がついた。


妙だ。さっきからまったく体が濡れてない。
それどころか、雨粒の冷たい感触すら感じない。
ゾッとした上条は、もう少し感覚を研ぎすませる。
風も強いのでさして気にとめていなかったが、なにか自分の周りだけ、風の音がおかしい。
洗濯機のようにゴウゴウン、と規則的な音がする。
よく見ると、自分の体の周りから10センチくらいまで離れた空間には、
雨粒が侵入していない。
まるで自分の周囲だけ、器用に雨粒が避けて落ちていってるとしか思えない。
なぜか上条の体は、完全に雨から遮断されている。

「あ、あの・・・。わたしが、あなたの、か、傘になります」
15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:37:54.34 ID:18owtWY0

急に後ろから聞こえた声に、上条はびっくりして、身構えるように振り向く。
そこには女の子が立っていた。
全身がかなり濡れていたが、その顔と着ている服、常盤台中学の制服には、見覚えがあった。


「湾内さん!!」


上条は一瞬、金髪美少女が雨に濡れて顔や口元に髪がへばりつき、
顔が赤く蒸気している、その色っぽい姿にドキリとしたが


「い、いまのどういう意味ですか??
っていうか、どうしたんですか? いや、それよりなんでいきなりこんなところに?」


疑問を修正しながら、頭の中を整理しようとする。
しかし何を聞いても、その答えが納得できるかどうかは、また疑問だった。

____________________________________

今日の授業が終わった後、白井と湾内の二人はある場所へ向かっていた。
向かっていた、といっても、歩いたりバスに乗ったりではなく、
白井のテレポートを駆使して先回りしていた。
向かう先は、湾内が上条と出会ったというスーパー。
到着したのは、ちょうどスーパーのタイムセールが終わる時間である。


黒子「いいですの。
あの方のふだんの身なりや、おねえさまとのやりとりから察して、
かなりのビンボー・・・ではなく、苦学生のようでしたから、
いきつけのスーパーのタイムセールといえば、彼にとって重要なイベントだと
考えられますの。あなたと出会ったときも、本人もたしかそういう事を言ってらっしゃった、
ということでしたわよね?」

湾内「あ・・はい! 確かお惣菜が安いって言ってて、それでカゴに大量の揚げ物が入ってて・・」


黒子「ということは、あのスーパーのタイムセールの時間内ならば、
高確率であの方と遭遇できるのではないかということですの。
幸い、わたくしのテレポートを使えば、ここからそのスーパーまでの距離なんて、まったく問題になりませんの。


湾内「あ、なるほど・・! え、でも、それって」


黒子「おわかりいただけましたかしら。それじゃあ、今日の帰りに、急いで行きますわよ。
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:39:11.21 ID:18owtWY0
湾内「えええええええええ!?今日ですか!?そそ、そんな」


黒子「当たり前じゃありませんの。さっきも言いましたわよね。
すぐ行動に移さなければ、消えてしまう種類の気持ちだと。
それに、さっき偶然目に入った天気予報によると、今日はこれから大雨になる可能性が高いですの。」

湾内「ええ!?じゃあなおさら、今日は無理ではないですか?」


黒子「あなた。ついさっきご自分のことを、何とおっしゃったか覚えていますの?」


湾内「え、えと・・・。水流系の能力者、ですけど・・」


黒子「そう。まさに急所はそこですわよ。
あなたには自在に水を操る能力がある。それに申し合わせたかのような、今日の大雨。
これを利用しない手はないですわよ。」


湾内「で、でも一体どうやって、なんのために・・?」


黒子「はぁ。ご自分の能力については、アナタの方が詳しいんじゃなくて。
・・・っていうのはさすがにちょっと酷ですわね。
おねえさまの光り輝く瞬間を、決して見逃さないわたくしの一眼レフの瞳が
嘘をついていないとするなら、雨に濡れる女。最強はこれですわ。
これ以上に女性がセクシャルかつ、魅力的に演出する方法は他になくてよ。」

湾内「そ、そうでしょうか・・」

黒子「間違いありませんわ。それに加えてアナタの能力。
意中の方にす、 っと後ろから傘を差しだされたときの胸の高鳴り、
あなたにも経験がおありでなくて?」

湾内「え、えーと、は、はい・・・///」

黒子「アナタは水流を操作できる。ならばアナタの能力で、
「あなただけの」傘を作って差し上げてみる、というのはいかがですの?
きっと最高のシチュエーションになること請け合いですわ」


湾内「うーん、そ、そうでしょうか・・・。
うまくできる自信もないし・・・」
17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:42:08.12 ID:18owtWY0
黒子「何をいまさら戸惑うことがありますの!
たかが人間一人に降る程度の水の量、ふだん部活動で能力を鍛えてらっしゃるあなたに、
コントロール出来ないはずがありませんの!
きっと、スクリューのように大量の水をコントロールしていることでしょう?」


湾内「あ、それに関しては、ちょっと違うんですけど

通常の人間の泳法とは、手で水をかき、足を使い、ある程度の水の量をある程度の速度で後方に押し出すことで、
その反作用で自分を前方に進む推進力を生みだす、つまり泳ぐ。
当然、前に進むときに水流の抵抗を受けるため、その分だけ速度は落ちることになる。

しかし水流操作の能力を使用する水泳選手は、水流を操作することで、水流による抵抗を限りなくゼロにする。
つまり、ほとんど自分の力で泳がなくとも、氷の上を滑るようなスピードで、速度を失わずに泳ぐことができる。
最初のひとかきさえすれば後は勝手に体が前に進むため、ほとんど能力だけで泳いでいると言っていい。
だから、大量の水を後方に押し出すような大きなエネルギーも必要ない。
もっとも、船舶のスクリューのように、らせん状の水流を生み出して推進力を得る方法もあるらしいが、
非常にコントロールが難しいらしく、体得している者はいるとかいないとか


黒子「と!に!か!く!
もうここまで来たからには、後戻りはできませんことよ。
あなただってわたくしに打ち上げてくれた以上、
あの方にもっと自分を好きになってほしいですわよね?
もっとビショビショなわたくしを  ビショビショな瞳で見つめてほしいですわよね!? 
もっとめちゃくちゃにしてほしいですわよね!?!?」
最後の方は完全に白井の心の奥底に眠る行き場を亡くした欲望が
迸ってきたとしか思えなかったが、


湾内「は!はい!!(もうどうにでもなれー)是非、ご協力お願いします!!」
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:43:02.57 ID:r0HN3qco
前にvipdみたな
完結してるの?
19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:44:39.76 ID:18owtWY0
___________________________________

美琴「あー、雨かー・・・
やんなっちゃうなー、もう・・・。

黒子はいない。この雨のなか、どこに行ったか知らないが、
おそらくジャッジメントの仕事だろう。

増水した川で溺れそうな犬の通報を受けて、助けているのかもしれないし、
これを機に支部でたまった書類の整理でもしているのかもしれない。
新学期初日から、本当にお仕事お疲れ様といったところだ。

しかし考えてみれば、黒子には雨なんてあんまり関係ないような気がする。
外に出てなにか作業をするならば別だが、単純に外を移動するだけなら、
テレポートを使えばあまり濡れなくて済む。

ちょっと羨ましいなぁ・・・と思いつつ、ため息が出る。
美琴は雨が嫌いだ。原因はおそらく自分の能力から来る、不安にある。
雨の中、下手に電撃など放ったりしたら、周りの人間に被害を与える危険がある。
ならば能力など使わなければいい話だが、
美琴自身はあまり自覚がないが、たまに感情的になったりすると、無意識に電撃が出てしまうことがある。
こんな程度のことでも、場合によっては冗談では済まされない。
だから美琴は、雨が降りそうだと少しでも思った日には、絶対に折りたたみ傘の携帯を忘れない。

こんな雨の日は外に出たくない。しかし自分一人しかいない部屋でじっといているのも、なんというか、たかだか雨に対して怯えているようで、癪だ。

なかなか良い気分に切り替わらず、何か考えることを模索していたが、
これと言って差し迫った事柄もない。

勉強でもするか・・・と思い立って、机に向かって歩いていったところ、
目の前の窓の外には、素晴らしい光景が広がっていた。


わたくし、上条当麻は、嘘偽りなく、正直に供述します。
ハッキリ言って、この瞬間、この場所で、この女の子に、
見事にハートを持っていかれました。
20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:47:13.55 ID:3GU0KIAO
私がアナタの云々、って何となく滅茶苦茶卑猥だな
卑猥だわ
21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:48:12.48 ID:18owtWY0
ぎゃああああああああミスったあああああああああああ
なぜか文章がありえないくっつき方してるううううううううううう
>>19の↓3行はどうか目をつむって頂いて・・・

>>18
完結はまだですが、続き書きためたので投下しようかと

22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:49:59.94 ID:18owtWY0
__________________________________________

湾内「えーと、その。 さっきスーパーでカミジョウさんを見かけて、
入り口の方で、困ったようにしてらしたから、
もしかして傘をお忘れになったのかしらと思って、お声をかけようとしたんですけれど、
その前に雨の中を飛び出していってしまわれて・・」


上条「それでわざわざ雨の中追いかけて、俺を呼び止めてくれたのか??
しかも湾内さんも、見たところ傘持ってないじゃないか・・」


湾内「・・・・!?そ、それは、・・わ、わたくしは雨のときもいつも、傘を持ち歩かないものですので」


今、俺に対してしてくれた事を自分にするように、雨の日はいつもこういう方法で対処しているのだろうか。
・・そうだ。「これ」の正体は。


上条「その、これは、やっぱり湾内さんの能力?」


湾内「はい。わたくし、水流操作の使い手なんです。」


上条に対してしている事を自分にもしないのは、
どうやら同時に二か所以上で水流を操作することはできないらしい。
さっきから自分ばかりまったく濡れないまま、ひらすら彼女は濡れまくってる。
その悲痛な気遣いを見て、ならば傘を持ってきてくれればそれ以上に嬉しいことはなかったのに・・ 
と心の底から素直が気持ちがこみ上げてくる。
23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:51:44.01 ID:18owtWY0
上条「あの、いいよ!!これ!
湾内さん思いっきり濡れてるし!!
俺は濡れるの覚悟で飛び出したけど、そんな俺のせいでいきなり湾内さんをビショビショにさせちゃって、
正直言ってワタクシ今この状況、すごく心が痛いです!!」


湾内「!・・・やっぱり迷惑でしたか。
余計な真似をして、すみませんでした・・。
あなたに助けて頂いたときのわたくしのように、うまくあなたにも喜んでいただこうなんて思ってたけど、
不器用な私にはやっぱり難しいことだったんですね・・・。」


湾内は俯いて、顔を両手でおさえ、黙ってしまった。




わたくし、上条当麻は、嘘偽りなく、正直に供述します。
ハッキリ言って、この瞬間、この場所で、この女の子に、
見事にハートを持っていかれました。
24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:54:01.65 ID:18owtWY0
上条当麻は、思い出に関する記憶が無くなってから まだ1カ月しか経過してなかったが、
その短い経験上、これほどまでに自分に優しく接してくれた女性はいなかった。

いや、根拠はないが、それ以前の自分にだってきっとそんな経験は無いだろうと思える。
自分が濡れることはちっとも気にせず、俺のためなんかに走って追いかけてきてくれた。

異性に対する機微だとかには疎い上条も、
さすがに今回は、この目の前の女性は、ハッキリと自分に対する
「好意」を向けてくれたんだと、すんなり受け入れることができた。

心臓が跳ね上がりそうなほど今、自分は興奮している。
こんなに冷たいなか、あったかい血液が体の中心から末端まで、忙しく往復している。

しかし、目の前の女性はそうではない。
このままだと、本当に結構な熱を出してしまうおのれがある。
舞い上がっていた自分を諫め、




上条は無言で、自分の頭上に右手を翳した。
「ヒュンッ」と、素早い何かが逃げ出したかのような音がした。
次の瞬間、上条は頭から土砂降りの雨を被った。
25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:55:54.06 ID:18owtWY0

上条「・・・ありがとう。迷惑なもんかよ。死ぬほど嬉しかったぜ。
こんなに快適で心地良い「傘」、初めてだった。
さぁ、早く自分に傘を差してくれ。」


湾内「え?・・・いま、どうやって・・・?」

音にびっくりして顔をあげた湾内は、ただ唖然とした。自分は能力を解除していない。
なのに勝手に、上条を覆っていた傘が消えた。

上条「そんなことより、風邪ひくぞ。俺は大丈夫だから、早く。
・・・その格好が、もっと酷くなる前に」

言われて、改めて自分の格好を見てみた湾内は、なぜか口元を押えてこの上なく赤面した。

これ以上酷くなりようもなく、彼女の衣服はもはや、超能力を使うまでもなく
あらゆるところがすけすけ見る見るであった。

湾内「は、はい・・・!」
慌てて自分に傘を作ったが、その傘の範囲は、先ほど上条に施したものより、
若干大きいものだった。
密着すれば、2人分くらいは入れるくらいの空間だった。
26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:57:38.15 ID:18owtWY0

湾内「・・さっきより傘を大きくしました。でも、これがたぶん私の精一杯です。
あなたのための傘なのに、あなたが濡れては、意味がありませんの。」

上条「・・そうか。
でもこのままだと、どっちかは帰れないな。
二人一緒でどっちかの家まで  行かなきゃいけない。
・・・距離的に言えば、俺の家のほうがぜんぜん近いわけですけども。」

湾内「あ、・・・・・」

上条「その格好じゃ、寮に帰るときにちょっと面倒くさいだろ?
で、この上条さんは、僕の家にご招待することを提案します、


いちおう、体格差はちょっと問題あるかもしれないけど、妹みたいなやつもいるから
着替えは用意できると思う。服が乾くまで、居てもらえればいいし。
風呂だって使ってもらってかまわない。」


湾内は、この少年が一切、やましい気持ちから提案しているとは思えなかった。
それよりもむしろ、彼の家に行くというフレーズを聞いただけで、
とてつもなく照れてしまった自分のほうが、やましいのだろうか。


湾内「・・では、御言葉に甘えて、御邪魔させて頂いても良いかしら?」

上条「ああ。もちろん。」

まったく疑うこともなく、素直に受け入れてくれた。
上条は上条で、この素直で純粋な女性の期待を裏切るような事など、してはなるものか、
・・・・なるものか。と頭の中で3回ほど念を押した。
27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 03:59:53.47 ID:18owtWY0
___________________________________

血液の流れは、肌に触れれば手にとるように感じ取ることができた。
おびただしい血管の数を、そしてすさまじい速度で体内を駆け巡る血液の脈動を。
僅か2.3秒の間に、約5リットルもの血液を身体全身に送り出して一周させる、
「心臓」という体内の超強力なポンプを逆流させると、一体どうなるのか。

爆発音とともに心臓の破裂から始まり、全身の血管の破裂。あらゆる臓器の損傷。
最後に、行き場を無くし、皮膚を突き破って全身から溢れだす血液。

しかし、容易に想像がつく この凄惨な結果に反して、
それを実行することができる一方通行にとっては、「反射」の演算はさほど複雑ではない。
符号をプラスからマイナスに置き換えるだけだ。
全力で打ち返したボールが後部座席に突き刺さり、けが人を出したとしても
反射した「後」のことなど、彼の感知の外だった。

そして、それは今まで彼が何度もやってきた作業に比べ、遥かに困難を極めた。
血液を一滴も溢さず、破損した動脈の代わりに 血液を運ぶパイプを作り出す。
それは「反射」ではなく、緻密な集中を必要とする「操作」だった。
消えかかる意識の中で、どこから自分にこんな力が湧いてきたのかは分からない。
しかし血液が橋を渡っていくにつれ、
確実に自分の生命力が無くなっていくことを理解していた。

そして最後の仕事を終えた瞬間、彼の世界は完全に沈黙した。
28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:01:33.95 ID:18owtWY0


・・
・・・
・・・・
「・・・・・あ?んだ・・・?」
そして目が覚めたのは突然だった。
何も記憶もないまま、病院に搬送され、ICUで手術を受け、一般病室のベッドで
向けになっていた。
その間の空白の記憶は、起きた瞬間に脳が勝手に補ってくれたようだ。
彼はまず最後の記憶を辿り、すべての力を出したことの、その結果について考えた。
がしかし、彼の視界から得られる情報では、それを判断することはできない。
そしてもう一つの気になることは。


一方通行「・・・あ?、くそ、ガキ・・ は・・・?」


しかしなにか頭の中がモヤモヤする。
ここは病室だ。白いアコーディオンカーテンが、窓から入る風に棚引いて揺れている。
状況を判断する思考は正常だ。なのに、言葉をうまく組み立てられない。
無意味な言葉の羅列が頭の中を素通りしてゆく。
まるで読経を聞いているように、言葉のリズムだけは規則性を保っている。
しかし論理がめちゃくちゃくちゃだ。


一方通行「・・・俺は反対のウィルスに関与して、攻撃が乱れたんだった。
二点間で操作しても結論は放棄できない」


それをそのまま口に出してみても、やはり意味を成してない。
そして言葉の他にも、なにか他にも重要なものを失っている気がした。
29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:02:55.85 ID:18owtWY0
______________________________

美琴「・・・ねぇ、黒子? これ一体、どういう事?」
窓の目の前から、突然、黒子が10歳くらいの女の子とともにテレポートで現れた。


黒子「・・・はぁ。その、わたくしにもなにがなにやら・・。
・・・わたくしはテレポートを使って、高い位置から事の顛末を見守ってましたの。

そしたらこの雨の中、このお子様が裸足で迷子のようにウロウロしていたのが
目に入りまして、・・・良いところでしたのですが、やむなく近づいて
話しかけてみたところ、なにやら、おねえさまにそっくりで・・・。」


美琴「見りゃわかるわよ。・・・しかし、ほんとに私に瓜二つね・・。
・・・(すごい嫌な予感がするけど・・・)
で、あんたはこの雨の中、どこに行って、高いところ登って、なにしてたの?」


黒子「・・・・・、ス!スピード違反の車を取り逃しまして!
高所から位置を確認して、先回りするテレポートの座標を定めようとしたところでしたの!」

美琴「・・・あ、なるほど。やっぱりジャッジメントの仕事だったんだ。それで?」
美琴はやや引っかかるものがあったが、あえてスルーした。


黒子「・・・はい。それで、
もしかしておねえさまの生き別れた妹さんからしらと妄想しながら、
お名前をお尋ねしたところ」


打ち止め「ミサカはミサカはミサカですとおねえさまにも自己紹介してみる!」
急に「その子供」が喋った。
30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:04:22.94 ID:18owtWY0

美琴「・・!?(このヘンな喋り方、やっぱり・・)」


黒子「・・・・というわけですの。お姉さまと同じお顔、同じお名前ということで、
わたくしは興奮しつつ、もしかしてお姉さまは御坂美琴というお方では?
と尋ねたら、何やらやはりおねえさまとお知り合いのようで、


おねえさまのところに案内しろとおっしゃるので、連れてきましたの。
・・・結局、素性はよく分かりませんでしたけど。」


打ち止め「ミサカはミサカはおねえさまに会いに来たの!!って思い切り抱きついてみる!!先手必勝!!ガバチョ」


美琴「うわっ!!? な、なに? ちょ、ちょっと・・・・!?」


黒子「は! おねえさまが、大きいおねえさまと小さいおねえさまが!!そんな!?


小さいおねえさまは、大きいおねえさまに正面から勢いよく抱きついた瞬間、
二人は後ろに倒れて、馬乗りの状態になった。そしてしばらくもみ合っていた。

黒子「・・・・・・何やらわたくし、お鼻に血が登ってまいりましたの。
すみませんが、しばしお花を摘みに・・・失礼いたしますわ。・・シュン」

31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:05:48.78 ID:18owtWY0

二人は黒子の退室も気に留めず、
美琴「ねぇ・・・・ちょ・・・、アンタ、いい加減、は、な、れ、な、さ、い!!
そのかわいいほっぺにちょっと痛い静電気食らわすわよ!!」


美琴が言うと、打ち止めは立ち上がり、居住いを正す。

打ち止め「いつも部下たちがお世話になってますって、ミサカはミサカは
身体じゅうをフルに使って、めいっぱい感謝の意を表現してみたりしてみたの!」


美琴「は?・・・部下?あんた、その年で、他人の人生を背負ってるわけ?」


打ち止め「その感覚はミサカにはまだよく分からないけど、
同じ部屋に住んでる仲間って表現してみた方が近いかな。部屋はとても広いけど、見渡せばお互いどこにいるのか確認し合える、ミサカはミサカはそういう関係に喩えてみたり」


美琴はここでようやく、目の前の子どもがシスターズの一人である事を確信した。
部下という言葉を使ったのは、他の個体と何らかの差異があるということ。
そしておそらくそれが彼女が生み出された理由と関係しているのだろう。
32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:07:29.40 ID:18owtWY0

打ち止め「ミサカの大切な部下たちを守ってくれたおねえさまと、「あの人」は
ミサカにとって特別な存在だから。でも、直接会ったことがあるのは一部のミサカだけで。

だから、「あの人」が目が覚める前に、会って、お礼を言っておきたいな、って。
あの人の目がさめちゃったら、ミサカはあの人の傍を離れるわけにはいかないから。」


「あの人」とは。最初の文脈だけで推察すると、容易に答えは出てきた。
あの時。自分の代わりに、文字通り何度も立ち上がって、戦ってくれた人物は。
自分にとっても特別になりつつある(と本人に自覚はないが)見慣れた人間の顔が浮かぶ。

しかし、後半の文脈にそのままその人物当てはめると、明らかに違和感がある。
彼は戦いが終わった後、とっくに目が覚めてるし、
傍を離れるわけにはいかない、という部分にも引っかかる。

現に、美琴が彼の病院に見舞いに行ったとき、彼の話ではその日の前の日の夜に
シスターズの一人が彼のもとに訪れて、そしてすでに彼の元を去っている。
違う個体であるとはいえ、ミサカネットワークを介して常に情報を共有しているはずの
シスターズなら、要件にそれほど差は無いはず。
となると、やはり文脈の前後の「あの人」を差す人物の指示語が一致していない。

「あの人」は二人いる。では、後半の人物とは一体誰か?

美琴「ねぇ、アンタって、今どこにいて、何やってるの?誰が傍にいるの?」
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:09:19.38 ID:18owtWY0

打ち止め「ミサカは今、病院で寝ているあの人が回復するのを待ってるの。
あの人は、とってもいい人なの。だけど、あの人を一人にさせるのはなんとなく
良くないって思うし、ミサカもあの人も一緒にいたい。だからあの人の目が覚める前に、
帰らなくちゃいけないの、ってミサカはミサカは急にあの人のことを思い出して不安になってみる・・・・」

打ち止めの説明では、美琴にはそれが一体誰だかまったく想像がつかない。

実際、それが一方通行であることなど、彼女にとっては考えもつかないところだろう。
美琴は、天井が打ち止めに仕込んだ、シスターズの暴走を引き起こすウィルスの発動を
一方通行が阻止した事件についてはまったく知らないし、
だいいち一方通行といえば、自分にとってはもとより、シスターズにとっては尚更
散々自分たちの運命を狂わせ、弄んだ張本人だ。そんな人間の傍にシスターズの一人が
いること自体、ふつうに考えれば異常な発想だ。
これ以上掘り下げても収穫は無さそうなので、


美琴「・・・・分かった。分かったからもう、その、アンタの大切な人の所に帰りなさい。
私にはアンタにお礼を言われる資格なんてないし、
あの時は私の力なんてほとんど役に立たなかった。
あなたたち自身と、その、あ、アイツのお陰で、何とか結末に持って行けた。

・・・・だから、お礼を言う相手が違うんじゃないかしら?
それに、私たちは簡単に離れ離れになれるような関係じゃないしね。」
34 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:10:20.95 ID:18owtWY0
打ち止め「もしかしてそれって、やっぱりあの人のこと?
ってミサカはミサカはツンツン髪の今話題のヒトを思い浮かべてみる」


ミサカネットワークは、常時接続の感覚共有機能付きの電話回線のようなものだ。
接続しているだけで、他の個体の発する信号を受け取ることができる。
そこでは情報伝達以外にも、ふだんの何気ない会話も行われたりするわけだが、

しかし打ち止めが「彼」の話題に触れるとき、なぜか皆揃って接続を切る。
クローンでありすべて同一の個体であるはずのミサカシスターズに、情報の秘匿は
果たして意味があるのだろうか、と疑問に思ったが
もしかしたら彼の名前というキーワードに反応して引き起こる、
何か他の個体には知られたくない、と全員が思っているような種類の感情、
あるいは感覚があるのかもしれない。

全員が同じ反応をするなら隠す意味はないだろう、と突っ込みたくなる所だが
僅かずつだが、それぞれが個性を持ち始めたシスターズにとって、
例えそれが他の個体も同じように持っている感覚であったとしても、
それを知られることは些細な事ではないらしい。
よく分からないが、とにかく、ある程度成長した子供が、自分の日記を見られるのを嫌がるように、プライバシーを意識するようになった、という事だ。
そんな話題になっているようで逆にまったく話題になっていないあの人を想像し、
35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:12:01.03 ID:18owtWY0

打ち止め「あの人にも会いたいな、って、会いたいな〜
って、ミサカはミサカはかわいらしくおねえさまにアピールしてみる」


美琴「・・・・ええ!?
私が!?アンタを連れてアイツの所に案内しろと!?」


打ち止め「うん。駄目・・・・かな?」

打ち止めは両手を口元の前に寄せ、覗き込むような視線で美琴を見つめたまま、
小首を傾けた。アホ毛がくるんっと揺れて上下にゆさゆさしている。


美琴「ピシッ・・・」
美琴の表情が凍りついた。
その光景は明らかに、いつか自分がまったく同じ行動を取ったであろう時のものを真似ている。


打ち止め「ミサカはミサカはおねえさまの事なら何でも知ってるの!って
半分ストーカーめいた衝撃の事実をカミングアウトしてみたり」

美琴「」

打ち止め「案内、してくれるよね?ってミサカはミサカはもういちd


美琴「だああああああああああああああああ!!!! 分かった!!分かったわよ!!
行く!! 行くから!! アイツのとこに行きゃいいんでしょ!!
さっさとそのポーズやめないとアホ毛引っこ抜いてコンセント差しこんで脳みその中の情報電流で焼き切るわよ!!!」


打ち止め「やったぁああああ!!ってミサカはミサカは狂喜乱舞のあまりおねえさまの過激なドS発言をスルーしつつ喜んでみたり」
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:14:18.36 ID:18owtWY0
______________________________________

上条と湾内の二人は、
お互い密着して上条は湾内の肩を、湾内は上条の腰に手を回す格好で歩いている。
ハッキリ言って、相当密着している。
ここまで密着して街中を歩く男女は、カップルでもそうそういないだろう。

しかしそうしないと、傘の外に身体が出てしまい、濡れてしまうのも確かだ。
お互いの呼吸の音が聞こえる。すぐ隣女性の髪の毛から、いい匂いがする。
彼女の白く冷たい素肌が、上条の制服のシャツ越しに密着している。
上条は意識しだすと、心臓が鼓動を強める。これ以上バクバクしたら、
彼女に聞こえる可能性がある。まずい。


上条「(やましい思いを捨てるんだ上条当麻。これは幻想だ。自分が女の子とこんなことに
なってるなんて、すべて俺自身が作りだした幻想に決まってる。右手で彼女を触ったら、
きっとイマジンブレイカーが発動して・・・)」


湾内「・・・あの

上条「はい!?もも、もうすぐです、もう着きますので!!」

返事というより、音に反応してビックリしたような反応だった。
明らかに動揺が伝わっていることだろう。


湾内「あ、そ、そうですか・・・」
湾内も緊張しているらしい。
顔が近すぎて、恥ずかしくて彼女の顔を見られなかったのでよく分からないが、
何か他の事を聞きたかった様子だった。
しかし、それきり黙ってしまった。


しばらく二人の間に沈黙が続く。
上条は改めて自分に密着している女性について考えてみると、
彼女の事をほとんど知らない。


上条「わ、湾内さんって、常盤台の1年生、だよね?
その、学校って、どう?やっぱり、湾内さんみたいな、清楚でおしとやかなお嬢様ばっかりだったり?」
37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:16:19.37 ID:18owtWY0

上条にとって常盤台の生徒はむしろ、おしとやかとは対極の位置にある存在ばかりだという認識だった。白
井や御坂を見ていてそう思い始めたのは確かにそうだが、それ以外にも理由はある。

上条が家でなんとなくテレビのニュース番組を見ている時、
今年の大覇星祭の開催が1カ月に迫ったことで、
去年の大覇星祭の中継の模様をテレビで再放送しているカットがあった。

学園都市の中学の全校生徒が学年対抗で争う玉入れは、片側陣営でも2000人を超える
超大規模な争いだったが、その中で常盤台中学の制服を着た生徒達の活躍、もとい「攻撃」は圧倒的だった。
直接相手に能力をぶつけることこそなかったが、
彼女達の集団を円の中心として、相手集団との円の中心を結んだ線分上に
土埃巻き上げ、地面を抉る爆発が絶え間なく続き、最後には大量の集団の中で、
ほぼ無傷で常盤台中学の生徒達が立っていた。
去年は優勝こそ高等学校の長点上機に譲ったものの、このVTRを見た人が、
「常盤台のお嬢様」というイメージを持っていたなら、間違いなく認識を改めなければならないだろう。

学園都市で5本の指に入る能力開発の実績と実力を誇る常盤台中学は、
表面上こそ伝統と礼節を重んじるお嬢様学校だが、その内側では、
血と汗と涙が混じる油のようにドロドロとした競争原理が、如何なく発揮されているはずだ。


だから、上条はそんな彼女達の本来のイメージを、まったく感じさせない湾内を見て
やや疑問に思っていた。
38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:18:08.44 ID:18owtWY0

湾内「そ、そんなことありませんわ。私はおしとやかなんかではありませんし、
学校の皆さんは、すごく頑張り屋な方ばかりですの。
その、私などは、本来常盤台に居て良い人間では無いのもしれません・・・」


やはり湾内みたいな、天然なお嬢様なタイプはむしろ特殊なようだ。
しかしその声色には、悲壮な何かが窺えた。


上条「そんなことない! 湾内さんはこんなにも人の気持ちを考えてくれる、
すごく良い人じゃないか!!
周りと比べてどうだとか、そんなことあんまり気にして、気に病んじゃ駄目だ。

・・・俺なんて、レベル0だし、成績はハッキリ言ってダメダメだし、モテないしおまけに不幸っていう、最悪のオマケつきだ。

でも、こんな俺でも、誰かの為にならできる事はあるって、自信を持って言える。
自分でも分からないしうまく言えないけど、自分じゃなくて、誰かの為に頑張るときって、
自分から振り絞り出すわけじゃないのに、勝手にスゲェ力が湧いてくる。
よく知らない癖に偉そうに言うかもしれないけど、湾内さんは、それが出来る人だ。
だから、自信を持ってくれ。自分でも気付かないうちに、力を貰ってるはずだよ。」

湾内はまっすぐ上条の瞳を見据えたまま、やや視線を落とす。


湾内「・・・・そう、でしょう、か・・・」

上条は湾内を正面から見据え、身体ごと動かして正対する。
ここで負けたらダメだ。例え湾内さんに俺の言葉が届かなかったとしても。


湾内は、ぽつぽつと語り出した。
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:19:30.32 ID:18owtWY0

湾内「・・・じつは、わたし、水流操作の能力で、
その、自分の、汗を操作してますの。・・・わたし、すごく緊張しいなので、
そうしないとすごくみっともないくらい汗をかいてしまって・・・・。

中学に入ってから、みんなすごい優秀で、こわくて、すぐ汗が出て。
涼しい顔してるって、言われますけど・・・汗を、涙を隠すのに、精一杯で、
何も考える余裕が、なくなって・・・・あんなこと・・・」


自分の汗や涙を隠すように、自分を押し殺して無理をしてきたのだろうか。
そうした事を続けていくうち、無意識に他人に弱みを見せたくない、
いや、見せたくても見せられないようになってしまったのかもしれない。
そしてそのせいで何か大きなミスをしてしまった事が、トラウマのようだ。
それがどんな事かは分からないが、周りに大きな迷惑をかけてしまった。
そして自分なんかに打ち明けてくれるくらい、彼女は今まで無理をしていた。
他人の力になりたいという思いは強いが、
同時に彼女は他人に迷惑をかけることを、異常に恐れている。


上条「・・・あのさ、信じられないだろうけど、俺って、ちょっと前から記憶喪失なんだ。
だから自分の両親の記憶も、思い出も全部、何もない。
でも、すべてを無くしちまった俺でも、ぜんぜん赤の他人としか思えないような
ヤツでも、俺の周りにいてくれた人の気持ちは、不思議と分かっちまう。だから、

・・・・・俺に隠そうとしたって、無駄だ。」


上条は右手を湾内の頬に当て、やさしく目元を拭う。
右手はしっかりと、「作動」した。
40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:20:28.45 ID:18owtWY0

湾内「・・・う、ううう、うあ、、うああああ・・・うああああああ!!!!」


堰を切ったように、湾内の瞳から大粒の涙がこぼれ出した。
今まで彼女が他人に見せまいと水流操作で貯め込んでいた涙が、すべて行き場を無くして溢れだす。

いかに優秀な生徒の集まる常盤台といえど、まだ中学一年生だ。
耐えきれない事があったら、しっかりと感情に表して、吐き出さなければならない。
湾内は上条に思い切り抱きつき、形振り構わず上条の胸に顔を埋める。
上条もそれに応えるべく、強く抱き返す。
もはや「傘」は消えていた。
41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:22:03.90 ID:18owtWY0
________________________________________

美琴は目の前で起こっている光景がすぐには信じられなかった。
全身の血の気がサァって引く感覚とともに、力が抜ける。
視線は釘づけになり、無意識に傘を手落とす。

あれは、常盤台の制服だ。ウチの生徒。
その女性と抱き合っているのは・・・・間違いなく、まさに自分が探していた人物だ。
二人は強く抱き合って、そのまま動かない。

打ち止め「うわぁー!!うわぁー!!
なんだかタイヘンな事が起きてるよぉー!!って
ミサカはミサカは状況がまったく把握できなくてめちゃくちゃうろたえてみたり」

言ってることの割にやけに口調は冷静な、美琴の隣で河童を着た打ち止めが
食い入るように目を見開いて目の前の二人を見つめている。

この、真剣な空気。今までの勘違いとか、そういうものを超えて
決して変えようのない現実として、美琴の目の前に立ちはだかっている。
美琴は今まさに、生涯今まで味わったことのない種類の衝撃を正面から叩きつけられていた。

湾内は誰かの視線に気づいて、ふと顔を上げ
湾内「御坂・・・さま?」

上条「え?・・・て、うおおおお!!!御坂!!なんでこんなところに!!」

美琴「・・・な、なんでもない。お幸せにね」

声が出たことが奇跡に思える。自分は、なんですぐに二人の前から隠れなかったんだろう。
今になって、その気まずさに後悔する。
今のこいつには、きっと何を言われても自分は耐えられない。
一刻も早くこの場から消えないと。なのに足が動かない。何が起こってるのか自分でも、
もうまったく分からない。「頭が真っ白になる」ってこういう事か・・・と美琴は
場違いにも感心する
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:23:12.19 ID:18owtWY0

上条「なんでもなくねーよ!!オマエ、死にそうじゃねーか!!
どうしたんだよ一体!?」
と、真剣な表情をして、あいつは女性から離れて自分に近づいてくる。
瞬間、美琴は頭の中の決定的な何かが、二度と元に戻らないであろうくらいに
ズタズタに破壊された。
この、男、は・・・


美琴「近寄るな!!!!!!!!!」

美琴の感情の奔流が、巨大なエネルギーがプラズマとなって発現する。
美琴と上条との間に、轟音とともに、地表から天に向かって一瞬にして到達する数キロメートルの激しい雷が発生した。


上条「うおおおおおおお!!??」
凄まじい衝撃で上条は吹き飛び、地面に頭を打ち付けそうになるが、
柔らかい何かが後頭部に当たって、怪我を免れた。

起き上がって見てみると、水の球体が上条の頭部を守った地点に出現していた。

湾内は、美琴を睨みつけると、

湾内「何をするんですか!!もうちょっとで、上条さんが大怪我するところだったのに!!
いかに御坂様といえど、今の行為は許せませんわ!!」
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:27:36.75 ID:18owtWY0
連続に大量に投下して、
しかも中途半端ですがとりあえず以上です。
見てくださる方が一人でもいれば、続き書いてこうかなと思います。
失礼しました。
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 04:30:48.74 ID:8pXVvjA0
乙!
続きが気になるーーーーーー
45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 05:29:19.99 ID:Uk0noAco
黒子「やっちゃったZE☆」

期待
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 05:34:34.89 ID:i3ZeF2DO
前にvipで見てて落ちた時に残念だと思ったけど、まさかここで再会できるとは…
無駄にスレを消費させたくないので、このスレには最初で最後の書き込みになるが期待してる。
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 05:41:56.06 ID:3GU0KIAO
>>43
続きが気になんぜよ
上琴信者涙目だなwwww





涙目だよマジで
途中から涙が止まらん
美琴もある程度救いのある終わり方で頼みます本当
48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 07:55:09.25 ID:K3ChmwDO
>>1
まさかこのSSに製作で再会できるとは・・・
前落ちた時は凄い残念だったから今度は続き楽しみにしてるぜ
49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 09:01:02.60 ID:thW6kkAO
乙!

俺は信じるぜ。
美琴だけが不幸になるような幻想なんてブチ殺してくれるんだろ!?
50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 09:49:22.25 ID:eghTjQDO
51 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 10:25:18.73 ID:X5ahlkDO

後頭部に当たった柔らかい何かを乳だと思った
52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 12:32:20.74 ID:rNhT/2DO
上条さんが誰かとくっつくSSだと必ずと言っていいほど御坂が噛ませになるな
ワンパじゃないひねりのある今後の展開に期待
53 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 14:07:06.27 ID:3XX1h2AO


イングロリアスバスターズさんはイギリスに帰ってるんですね分かります
54 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 14:12:31.83 ID:hsjh/EI0
来てたのね。
VIPで見てからずっと探してたぜ。
55 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 14:37:27.39 ID:mFV.JOk0
>>1
乙続き期待してるのでガンバレ
56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 14:56:26.36 ID:rg3ra1Qo
前に見た事あるなーと思ったら建て直したのね
57 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 16:11:00.27 ID:NmhSNsAO

書きたいように書けばいいさ
いつスレタイのセリフが出るかwktkしながら待ってる
58 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 16:27:17.00 ID:VnkjpLYo
あんたか!
いつの間にか落ちちゃって気になってたんだ 期待してる。
59 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 17:57:30.04 ID:rNhT/2DO
>>39
>でも、すべてを無くしちまった俺でも、ぜんぜん赤の他人としか思えないような
>ヤツでも、俺の周りにいてくれた人の気持ちは、不思議と分かっちまう。だから、・・・・・俺に隠そうとしたって、無駄だ。」


>上条は右手を湾内の頬に当て、やさしく目元を拭う。
>右手はしっかりと、「作動」した。


なんつうかさすが上条さんだ。
他人の気持ちがわからないとことか原作に忠実だ
60 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 18:27:56.07 ID:ooJ51io0
>>59
ただし恋愛感情を除く
61 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 18:41:40.40 ID:5j8.p8I0
続けろください
62 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 20:00:22.35 ID:7eropys0
1ヶ月以上前にのくす牧場で読んでて、続きが気になっていた
期待しているぜい
63 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 20:10:32.45 ID:NPyKjVwo
おお、続きがみたいと思ってたやつだ

>>62
お前IDエロいな
64 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 20:51:44.84 ID:mU1gJhgo
>>47
>>49

美琴厨うぜぇよ
どんな展開だろうと作者の勝手だろ
65 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 21:45:54.78 ID:r0HN3qco
また美琴厨とか言い出す奴でてきたよ
信者と同じくらいウザがられてって気付かないのかよ
66 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 21:48:21.33 ID:5MHwWsAO
厨も厨厨もうぜぇ
黙ってろカステラ
67 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 22:03:26.84 ID:r0HN3qco
つか別のスレでも厨とか言ってるしまじキメェ
嵐や信者と同レベル
68 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 22:46:28.61 ID:d.iBKz60
男は黙って支援!
69 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 00:11:43.61 ID:bI0Ds.AO
VIPから見てたけど、まさかまたお目に懸かれるとは
70 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 00:35:44.99 ID:Y7LtJ.M0
┏━┓  ┏┳┓        ┏━┓  ┏┳┓    ┏┓      ┏┳┓ 
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  ┗┓┗━┓    ┏┛┃┃┗┛┃┃┃               {: :/{ :/⌒ヽ{ヘ   ゝ._)   j /⌒iノ:  〉ノ.          .┏┓
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                                        _>〉\/ (:( :::\∧/::: `、_∧\〉 ):)
                                          \乙ヽ`)i::::::::∨:::::::::i   /   `´
71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 01:05:53.47 ID:CvL9JFQ0
まだかな
72 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 17:36:50.12 ID:KNCpDmg0
ksk
73 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 22:07:28.38 ID:KNCpDmg0
ksk
74 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 23:41:14.40 ID:bI0Ds.AO
小学生たちが合法的に荒らしを繰り返す今の製速で、数少ない良SS

まだ一日来られないだけなのに、つい急かしてしまう…
75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 08:54:30.40 ID:mQpVosDO
のんびり待とうぜ
76 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 16:04:10.94 ID:F/weqSM0
age
77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 17:31:46.15 ID:waJzdK.o
超待ってた
貴方の傘になりますってやつだよな
78 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 21:10:05.99 ID:fjEZLYAO
このスレを見て美琴を不憫に思った方は
         /
      (^o^)/
     /( )
    / / >
上琴SS書いてくだしあ―
   (^o^) 三
   (\\ 三
   < \ 三
79 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 14:16:29.89 ID:H6M1fcE0
お久しぶりです
お待たせしてすみません VIPで見てくれてた方多くてうれしいです
少しだけ投下します。。


確かに、威力が強すぎたとは思う。
でも、直接アイツに当ててはいないし、だいいちアイツに対しては、自分が今した事は
そう珍しいことでもない。極端な話、もしこの場にいるのが私とアイツの二人だったら、
普段の状況とさほど変わらないと言えるだろう。
どれほど全力で電撃を打ち込もうが、アイツの右手の力で全部かき消される、
という事をお互い分かっているから。

だから美琴は、目に涙を浮かべながら、自分に対して怒りをぶつけてくる女性の顔を見て
驚くと同時に、自分の行動を再び後悔した。

普段は控え目で、おっとりとした雰囲気の湾内さん。
街中でスキルアウトどもに絡まれているところを、テキトーに追い払って助けたことがあった。
そしてその時から彼女は、自分を御坂「さま」と呼んで慕ってくれていた。
お嬢様育ちで天然なところがあり、嫌味がまったくない、純粋な敬意を向けてくれるのはやや擽ったいくらいだったが、悪い気はしなかった。

その彼女が、今まで自分に向けてくれた好意を全部差し引いたとしてもなお余りある、
強い敵意を露わにしている。


一体何が、彼女の心をここまで染め上げるのか。
その原因は、彼女の後ろで、突然激しい感情を見せた彼女を
自分と同じように茫然と見つめている、この男に他ならない。

この男を想えばこそ、こいつに危害を加えるような人間は、誰だろうと許せない。
彼女の目を見れば、その心のうちは見て取れた。

だとしたら。この場で異常な行動を取っているのは、どう考えたって自分だけだ。
一度大きな感情を電撃という形で放出したため、美琴の思考は冷静になりつつあった。
80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 14:23:04.30 ID:H6M1fcE0
上条「・・湾内さん! 俺は全然大丈夫だ!! ありがとう!!
その、俺たちにしてみたら、これはなんてゆーか挨拶(?)みたいなもんで、
いつもの事だから!!気持ちは嬉しいけd

美琴「あははは、ごめんごめん。・・・コイツが、てっきりウチの生徒に襲いかかってるのかと思って。
しかも被害者をよく見たら、私のかわいい後輩の湾内さんじゃない。
・・・でも、私の思い違いみたいで良かったわ。
この雨の中・・・その、そういう事になってた事情はまったく分からないけど、
何やら買い物の途中みたいだし、お邪魔しちゃって、本当にごめんなさい!」
美琴は両手を合わせてペコリ、と湾内にお辞儀する。


湾内「え・・・?あ、あの・・・」

湾内は上条と美琴の関係について量りかねているようだ。
先ほど気になっていて、結局聞けなかったのもこの事だったのかもしれない。

美琴と上条が恋人同士ならば、たったいま自分と上条が抱き合っていた現場を美琴に見られるということは
浮気現場を目撃されたようなものなので(正確には浮気ではないが)
美琴は上条に詰め寄るなり、上条の立場が悪そうになるなり、だろう。しかしそうではなかった。

美琴はいきなり人を平気で殺しかねないほど危険な電撃で上条を攻撃したかと思ったら、
二人はそれが普段から当たり前であるかのような事を言っている。
恋人同士でないどころか、友達と言っていいのかすら判断がつかない。
今度は、置きざりを喰らっているのは湾内のほうだった。


美琴「それとね、一応私はアンタに用事があって、ここに来たって訳。
つっても私じゃなくてね。この子があんたに、用事があるみたいなの。
・・・てあれ?」

打ち止めはいつの間にか、美琴の元から離れた電信柱の影に隠れていた。
美琴の電撃にビビって電信柱に隠れて、おまけに何やら一触即発な雰囲気のなか
完全に出る幕を失っていた。

打ち止め「・・・えーと、そろそろいいのかなってミサカはミサカは火元が無くなったかどうか安全確認を要求してみたり」

美琴「大丈夫よ! ほら、出ておいで!」
81 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/19(水) 14:25:40.31 ID:H6M1fcE0
打ち止め「うん・・・ってミサカはミサカは初対面だけどおずおずと登場してみる」
打ち止めは美琴が落とした傘を拾っていた。それを美琴に渡し、上条の前に来る。

上条「うわ、なんだこの子!御坂そっくり!!妹の妹!?」

打ち止め「ミサカは、検体番号20001番、おねえさまの最後の体細胞クロ・・
(ヒソヒソ 湾内さんがいるでしょ。私の妹ってコトでいいわよ)―ンじゃなかった!!
ミサカはおねえさまの妹です! ってことでよろしくお願いしますとミサカはミサカは
アナタに挨拶しに来ました!」

結局最後まで自分の正体を言ってしまっているが、上条は気づいてて湾内に余計な事を気にさせたくないのか、
それとも本気で気づいてないのかは分からないが


上条「へーお前、本物の妹がいたんだな。よろしくなー ナデナデ 打ち止め「ふにゃ」
ほんで、なんでわざわざ俺に挨拶に?」

美琴「まー、この子がアンタに世話になった事があったって言うのよ。
それでお礼を言いたいって聞かなくてさ。律義よねー。」

上条「それはビックリするくらい礼儀正しくていい子ですね。
美琴おねえさまにも是非とも見習ってもらいたいものd」


美琴「うるさいわね。私に礼儀が無いって言いたいわけ?
・・・とにかく、今回は、邪魔しちゃって、本当に悪いわね。また日を改めて
この子連れてくるから。・・・じゃ、また。

湾内さんも、いつまでもそんな格好しちゃ風邪引くわよ。
体調に気をつけて、部活頑張ってね。それじゃ!」


上条「え・・・?お、おい!?お前、何か誤解・・・」
美琴は言うなり、打ち止めの手を引いて行ってしまった。


残された二人はしばらく美琴の後ろ姿を見ながらボーゼンとしていたが、

上条「さむい!」湾内「・・・クシュン!」

上条「・・・うん。とにかく、早く家、行こう」
82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 15:13:48.01 ID:NpS7aYDO
書きためしてないの?
83 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/19(水) 15:25:28.16 ID:1HCDC0c0
しえーん
84 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/19(水) 15:45:45.59 ID:u5L1EJM0
湾内さん可愛すぎじゃね。
幸せにしてやってくれ。
85 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 15:51:06.02 ID:QikWqcYo
>>84
そげぶ
86 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 18:50:21.96 ID:uAcUO.AO
やっぱり初めて見る人にとっては
美琴の行動は異常の部類に入んだよな
87 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/19(水) 21:01:18.68 ID:vnuXvkAO
DQNだからな
88 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 23:25:11.51 ID:4vTtjK6o
禁書キャラなんてDQNばっかじゃん
そこが魅力なんだけど
89 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 23:44:14.51 ID:3R8T4qMo
まだかなまだかな
90 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/23(日) 21:32:46.54 ID:Lm/xRGYo
ドッカン
          ドッカン
                  ☆ゴガギーン
        .______
.        |    |    |
     ∩∩  |     |    |  ∩∩
     | | | |  |    |    |  | | | |  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    (  ,,)  |     |    | (・x・ )<おらっ!出てこい、>>1!!
   /  つ━━"....ロ|ロ   . | l   |U \___________
 〜(  /   |    |    |⊂_ |〜
   し'∪  └──┴──┘  ∪
91 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/23(日) 21:43:39.65 ID:N0V.i920
まったり待ちます
92 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 23:19:08.74 ID:CzRnhSw0
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                                          \乙ヽ`)i::::::::∨:::::::::i   /   `´
93 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/25(火) 00:58:05.50 ID:YfGr3QAO
まだか?
94 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 01:25:10.04 ID:1Pr1JmU0
もうすぐ1週間経つんだが来るのだろうか
95 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 23:03:53.84 ID:JxZWAa60
_______________________________

美琴が部屋に戻ると、黒子が半分涙目になって迫ってきた。


黒子「おねえさま!!なぜ私を置いて行ってしまったんですの?…携帯も繋がりませんし。
このお子様の事でしたら、私に任せて頂ければ、風紀委員の支部で保護する予定でしたのに。」

風紀委員の支部の入口には、こども110番のステッカーが貼ってある。
学生が子供を保護するという発想は考えてみれば妙だが、事態によってはアンチスキルに連絡して
両親を捜索してもらうまでの一時的避難所としての機能は十分にある。


美琴「…勝手にいなくなって、悪かったわね。
でもアンタこそ、仕事に戻らなくて良かったの?
てっきり私は、あんたの仕事が忙しいから私に預けてくれたものだと思ってたけど。」

黒子「…う。今日はあれから、その、大雨で人通りが少ないので、巡回のお仕事をお休みして良いとのお達しが
ありましたので、お仕事を切り上げて、お二人の行方を調べていたんですの!
(今日はホントは非番でしたけど、あの時何をしていたかなんて、言えるわけがありませんの)
私もお二人はてっきり支部に行ったかと思って、そちらに向かいましたのに。」


美琴「……そう。それは迷惑かけちゃったわね。…ゴメン。」

黒子「迷惑よりも、心配しましたの! 一体今までどちらに行ってらしたんですの?」


美琴「ちょっと、ね。…ごめん、後で話すから、今は一人にさせて」

黒子「…おねえさま?大丈夫ですの?もしかして、お身体の具合が?」


美琴「…うん。まぁ、そんなとこ。夕飯は、行かないから」

96 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 23:08:30.28 ID:JxZWAa60
黒子は美琴のこんな態度に見覚えがあった。

幻想御手事件の犯人捜査および被害拡大防止の活動中、仕事から帰ってきたら、美琴の様子がおかしかった。
無理に元気に振舞おうとしているのは明らかだったし、理由を聞いても答えようとしない。

あの時はなんだかんだで三日間、風呂場で温まった身体を密着させてスキンシップを計ろうとしても早々と上がってしまうし、
夕食の席で必要以上に近づいたら、自分の皿と間違えて黒子の皿をつついたり。
(その後ノリで、「あーん」を強要しても冷たい目で断られましたが)

そして今回は、見たところその時以上にダメージが大きい。
黒子の第六感としては、その時の原因と今回の原因はおそらく大いに関係がある。

大いに関係がある…という事は。
黒子(やっぱりまた、あの類人猿の仕業ですのね…!?

え?

…ととと、という事は、
ま、まさか…まさか…)


今度は黒子の方が明らかに様子がおかしい。冷や汗の量が尋常じゃない。
しかし黒子のそんな様子にも気付かず、美琴はベッドに横たわる。


黒子(なるほど。こういう時に湾内さんの能力は、便利ですのね。…って感心してる場合じゃなくて。
落ち着きなさい、白井黒子。そうと決まったわけではないですの。きっと、おねえさまだって理由もなく落ち込むこともあるでしょう。
アレの日かもしれないですし。この子と一緒に歩いていて、親子に間違えられた…という事はさすがにないでしょうけど、
あるいは、いつも立ち読みしてる雑誌が無かった、というだけかも。

…いや。そんな事よりも。冷静になってみれば、あの鈍感猿野郎が、湾内さんをどうにかできるとは到底思えませんの。
きっと、私の考えすぎでしょう。それにいくらおねえさまがあの方に特別に感情を持っているとしても、
いきなり、自分と顔がそっくりの小さい子供を連れてあの方に会いにいくなんて、思考がどうかしてるとしか思えませんの。
私のおねえさまは、凛々しく頼れる人間であって、決してそんな押しかけ女房まがいの妄想狂ではありえませんの)


美琴「…とにかく明日、この子の事は、私が責任もって親に返すから。
…もう一度、この子が会いたいっていう奴のところに連れてってからね。」

打ちとめ「大丈夫だよ私は一人で帰れるから、ってミサカはミサカは子供じゃない事をアピールしてみる。
今日はおねえさまの傍にいてあげるの。ウワキしてた「あの人」なんかより、おねえさまの方がよっぽど心配なの」

黒子「」
97 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/27(木) 00:52:26.80 ID:XBKtIsAO
おぉこれは遂に来たか
98 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 04:00:27.52 ID:W2OjVko0
またまたお久しぶりです。めちゃくちゃスローペースになって本当に申し訳ありません
読んでくださる方がいてすごく嬉しいのですが、
なにぶん原作も13巻以降は読んでなくて 知識が足りない部分が多いと思いますので
…っていうのは言い訳で、他の方のSSを見てたら、皆さん自分より遥かに面白いので、ちょっと落ち込んでました。
次投下する時には、改めて構想を練り直して書き溜めて投下したいと思います。

美琴も湾内さんも、幸せにしてやりたいと思います。
長い間お待たせして本当にすみません。今日はもう少し投下して終わりにしたいと思います
99 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 05:32:22.51 ID:W2OjVko0
上条は寮の前まで来て、少し考えた。

このまま二人で部屋に入ったら、インデックスになんて説明すりゃいいんだ。
そもそもインデックスは家にいるのか?さっきかけた時は繋がらなかったので、
携帯の近くにいないか、あるいは携帯を置いてどこかへ行っているようだったが。
とにかくもう一度、電話をかけてみることにする。

Prrrr・・・・prrrr・・・・prrrr・・・・ガチャッ 
今度は繋がったみたいだ。


上条「…もしもし?インデックス?…お前、さっき電話かけた時は出なかったけど、
何してたんだ?」

インデックス「さっき?…ああ、たぶん、その時はお風呂に入ってたんだよ!
で、今日のリクエストの夕飯は買ってこれたの?とうま。」


上条「そっか。ああ。夕飯は、ちょっと雨がしみ込んじゃってるみたいだけど、
たぶん無事だ。それより、そのー…今から帰るんだけどさ、
ちょっと、一緒に連れて帰るお客さんがいるんだ。」

インデックス「…?お客さん? どんな人なの?」

上条「いや、大した用事じゃないんだけどさ。友達の女の子で、
スーパーで会ったんだけど、出る時に既に雨降ってて、俺も彼女も、傘を忘れちゃってたんだ。
それで、俺の家の方が近いから、一旦俺の家まで一緒に避難しようって事になってさ。走って帰ってきたわけなのです。」
100 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 05:33:29.92 ID:W2OjVko0
インデックス「?そうなんだ。わかった。それで、私は何か手伝った方が良いのかな?」

上条「ああ。お前さっき、風呂に入ってた、って言ったよな?じゃあ、お湯とか抜いてないよな?」

インデックス「うん。抜いてないよー。…その人、濡れてて風邪引きそうなの?」

上条「ああ。その通りだ。あと、彼女の服を洗濯して乾かすまでに、着るものを貸してもらいんですけど」

インデックス「…とうま。残念だけど、私の服は一着しかないんだよ。」

上条「はい?なんでですか?!お前が着たきりスズメは嫌だって言うから、この前、買ってやっただろ?」


インデックス「う。それは、
……スフィンクスがボロボロにしちゃったから、
こっそり捨てちゃったんだよ。…黙っててごめんね。とうま。…グス」

上条「分かった分かった!なんでいちいち涙を啜る音が聞こえるんですか!!もー。
また今度買ってやるから。…とにかく、今から帰るからな。」

インデックス「グス。…うん。分かった。」
ピッ

上条(はー。アイツは、意外と他人からの心遣いは大切にする奴なんだな。
…だったら、いつもアイツが馬鹿食いして消えてゆく上条さんの財布の中身にも心遣いが欲しいのですが)

湾内「今のお相手が、上条さんの妹さん、ですの?」

上条「!うん。まぁ、そんなところです。悪いけど、その事に関してはあんまり
触れて欲しくないというか…」
湾内「!…(本当の妹ではない、という事ですの?という事は、再婚したご両親の
娘さんだったり、とか。…なるほど。色々と苦労なさってるんですね。だから、きっと
経済的にも…)わかりました。」

上条「…?(今、なにか行間があったような)そうして貰えると、助かるよ。
もう風呂は入ってるみたいだから、さっさと入ってもらって構いませんの事なので」

湾内「かしこまりました。…お世話になります。ペコリ」

上条「いやいや、お世話できるほど立派な部屋じゃないので、むしろこっちが心苦しいくらいですけど。」ガチャッ
101 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 06:27:59.09 ID:.lLhfoAO
他人のSSは面白く見えるよね…
でも客観的に見て、このスレも全然負けてないと思いますよ
ぶっちゃけ、今一番製速で期待してるスレです

スローペースでも構わないので、続けてくれると嬉しいです
ずっと応援してますよ。頑張って下さいね。
102 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 06:47:02.89 ID:XBKtIsAO
乙、そんなに卑下に成らないでいいじゃない
余所は余所、ここはここで
103 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 07:40:54.51 ID:G1Vyf8Yo
大丈夫、俺のより面白い

期待
104 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 08:09:44.06 ID:WQRUYkAO
普通に他のより楽しんでるし、期待してる
105 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 09:37:53.60 ID:nyayt2s0
下手糞なことより投げ出すことの方が遥かに悪い
素人が完成させた作品の方がプロが途中で放り出したものより完成度は高い
ソレさえ分かってればいい
106 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/27(木) 10:57:35.09 ID:8n5uu1Yo
VIPで見失って以来やっと見つけたんだ
多少遅くても構わんから好きなように書いてくれ。
待つのは得意だ。
107 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/27(木) 15:59:39.31 ID:NDBdzsQo
楽しんでるぞー
期待
108 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 16:24:08.28 ID:2Ls592DO
トリ付けた方がいいかもとすすめてみる


期待してるんだよ。
109 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 17:01:12.99 ID:Y1WDnKk0
こりゃ、美琴は上条さんと黒子両方とも関係悪化してのBADENDってパターンかな
信頼してた2人を失って、あの橋から身を投げるって感じか???

美琴可哀想だのぉ…




















いいぞもっとやれ
110 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 17:06:12.03 ID:x8pUjbM0
安心しろ、↑には空き缶付けて爆発しといた
111 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 19:11:51.92 ID:xKNl2scP
美琴厨涙目な展開を頼む
112 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 19:40:23.55 ID:3uaOtoDO
キャラアンチはよそでやってくれ
113 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 19:55:58.11 ID:TfF0Fl2o
VIPで見てたよ

期待してるから是非完結させてくれ
114 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 22:34:15.12 ID:PJRfEoAO
続きが気になります
115 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 23:16:22.79 ID:PBSpXQDO
湾内さんってバクマンのキャラに似てる人?
116 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/28(金) 19:07:37.61 ID:/gdyD6Yo
湾内さん可愛い
117 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/29(土) 00:27:08.32 ID:wNGIwhw0
ありゃ? まだ投稿ないのね…
118 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/30(日) 02:27:38.40 ID:/qmxSyw0
温かいコメありがとうございます。
これだけ見て頂いてる方がいるなら、十分です。


____________________________________

美琴「そう…。気持ちはありがたいけど、お願い。今は一人にさせて。」

二人に背中を向けてベッドに横たわる美琴に、
後ろから抱きついていた打ち止めの手を
美琴はそっと払い、一人で布団を被った。
眉根に皺を寄せ、それを隠すかのように両手を顔の前にやっている。


黒子「おねえさま。改めて申し上げますの。聞かせて頂けますの?何があったのか。」

黒子は背中を向けたままの美琴に、まっすぐ視線を向けた。
口元を引き結び、緊張した面持ちを浮かべる。
しかし後ろに回した両手の親指は、落ち着きなくぐるぐると交差させている。


美琴「…何でもないわ。本当に、何でもない。

もともと、私が知る必要もなかったし、私にはカンケーもないようなどうでもいいことよ。
偶然、耳に入った自分の悪口みたいな。

どうにかしたいとか思ってどうにかなるもんじゃないし、
そもそも私には関係がないんだから、私が騒いだってどうしようもない。

…だからアンタにはもっと関係ないわよ。」

黒子「…いいえ。おねえさまには関係なくとも、
わたくしにはおそらく、それを知る義務があり、そして責任の一端がありますの。」
119 :108了解です ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/05/30(日) 02:31:41.39 ID:/qmxSyw0

美琴「…どういうこと?」


黒子は覚悟を決めるように、浅く息を吸った。

美琴が黙っていても、自分で勘付いてしまった以上、それを隠すのは難しいだろう。
今回ばかりは、電撃では済まされないかもしれない。
それどころか、今までの関係に戻ることもできないかもしれない。
それほど深く、美琴の心を抉るようなことを自分はした。

そしてそこまで分かっていてもなお自分は、
美琴に許して貰えるかどうか、などということを考えている。


黒子(サイテーですわね…私って…。責任があるとか言っておきながら、
私が今、こんな事を告白して何の解決になるというのですの?
これではまるで自分は、おねえさまが私に振り向いてくれないからって、
サイアクの嫌ガラセをした性悪女ではありませんの。)


黒子「正直に申し上げますの。
…お二人の仲人の役を買って出たのは、この、わたくしですの。」


美琴「……! …二人って、誰と、誰のことよ。」


黒子「そこで惚けたって、もう無駄ですの。

そう思い立った理由は見当がつきませんが、
おそらく、このお子様と一緒に外に出かけたおねえさまがあの場所で見たのは、
雨の中、ともに密着して歩くあの殿方とわn 
120 :108了解です ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/05/30(日) 02:33:39.33 ID:/qmxSyw0
美琴「___いい!!もういい!!!もう分かったわよ!!!!」


背を向けたまま発した美琴の声は途中で裏返り、ヒステリーな叫び声となって
部屋の中を反響し、廊下に響き渡った。

古い洋館をイメージした常盤台中学学生寮は、
学園都市では奇跡的と言っていいほど珍しく木造部分が目立つ建築物であり、
その内装も防音効果が高い鉄筋コンクリートや鉄骨ではなく、
繊維の隙間から音を通す木造部分が多い。
となると、当然、部屋のドアには遮音措置は施されていない。

廊下の端から端まで届いたであろう美琴の声が、寮監の耳に届いていないはずがなかった。


黒子「…っ!!? おねえさま…」打ち止め「……!!!!!」


美琴「……ねぇ、なんで、アンタはわざわざそれを私に言うの?
私は、アンタには関係ないって言ったのよ。
誰が経緯を、聞きたいって言ったかしら?
そんなこと、別にどうだって良いわよ。

今日見たこと聞いたことゼンブまるごと、消えてなくなってくれるって言うなら
私は何だってする。だけど、私はもう見ちゃったのよ。

いくら私の能力でも、自分の脳みその中身まではいじくれない。
だから必死に、見たままの現実をゆっくり、受けとめようとしてるの。
一人にさせてくれって言ってるの。…それっていけないことかしら?」
121 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/05/30(日) 02:35:32.81 ID:/qmxSyw0

美琴が一言一言言葉を発する度に、黒子は心臓を抉られるような衝撃を受けた。
分かってはいたが、自分が心から愛する人間の気持ちが、
まったくこちらに向いてないという事実。

さきほどの黒子の物言いが美琴の神経を逆撫でするようなものだったのも、
その原因は上条に対する、黒子の全身に染み渡る黒く冷たい水のような嫉妬に他ならない。

美琴が見せた感情の昂りは、自分を守るために、それを払いのけようとしたに過ぎない。


黒子「…っっ 失礼いたしました。では、私はこれで…」


美琴「…どこへ行くのよ?別に出ていけなんて、言ってないじゃない。」


黒子「すこし、頭を冷やして参りますの。」

黒子は言うと、この場から一瞬で離脱した。
122 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/05/30(日) 02:37:34.48 ID:/qmxSyw0
_________________________________________________________________

上条「ただいまー」 湾内「し、失礼させて頂きます」

インデックス「おかえりー…とうま、うわ、ビショビショ。ネグゼはツンツンのままなのに…ヘンなの。」
インデックスはベランダに干してあったタオルを手に持って玄関までやってきた。


上条「ほっとけ。…で、こちらが、さっき話した湾内さんです。」


湾内「あ、突然お邪魔してすみません。私、湾内絹保と申します。」

インデックス「私はインデックス。とーまの…なんだろう??「居候だ」
む。まぁ否定はできないけど。それにしても、ずいぶんとビジンさんな捨て猫ちゃんだね。」


湾内「え…/////」

上条「おい、初対面の女性に向かって、いきなりそんな挨拶はないでしょーが。
上条さんも、怒るときは怒りますよ?」


インデックス「ふーん。とーま、怒るんだ。せっかく、この人のために
お風呂入れておいてあげたのに?バスタオル持ってきてあげたのに?」

上条「タオルはともかく、風呂はたまたま前にお前が入ってただけだろーが!
…まったく、さっきまで電話口でしおらしくしてたと思ったら、一体何があったら
こんなにフキゲンになっちゃうんですかぁー?」

インデックス「別に私、フキゲンじゃないもん!」
123 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/05/30(日) 02:43:20.44 ID:/qmxSyw0

となにやら軽い口喧嘩が始まりそうな空気の中、

湾内「いいえ。ほんとに、悪いのは私です。
いきなりお邪魔して、上条さんやアナタにもご迷惑をかけてしまって、
本当にごめんなさいね。すぐに帰りますので、少しの間にお世話になってもよろしいでしょうか。
どうか、お願い致しますわ。」

と言って、湾内はインデックスに頭を垂れる


インデックス「むー。…どっかの短髪と違って、ちゃんと礼儀は弁えてるんだよ。
うん。タオルあげるから、さっさとお風呂に入るんだよ。」

インデックスは湾内にタオルを手渡し、そのまま行ってしまいそうになる。


上条「…ちょ、ちょっと待ってくれ。お前、服はないって言っても、
替えの下着くらいは持ってるよな?」

インデックス「……タオルの中に入ってるんだよ。口に出して言う?そういうこと。」
124 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/05/30(日) 02:46:22.24 ID:/qmxSyw0

湾内「…////」

上条「(だあああああ!!しまった!!)…と、とにかく!!
脱いだ制服とかはカゴの中に入れておいて貰えればいいから!!
…上はしょうがないから、この際、俺の着替えを…
って、やっぱダメ、ですよね?」


湾内「…いいえ!!(上条さんの着衣…)とんでもないですわ!!
ダメだなんて、そんな…!!喜んで、着させて頂きます!!」


インデックス「…なんか、実はこの人、ちょっとおかしい気がするんだよ」

上条「失礼なコト言うんじゃありません!」ポカッ


インデックス「イタッ! むむむー。 
そっちがその気なら、久しぶりに
とーまのとーぶの味を思い出すのも悪くはないんだよ。」


かも条「残念でした!今の上条さんの頭はおいしくアリマセン!
それどころか、雨と土が混じってドロみたいな風味がご堪能頂けますが!」


インデックス「だったら、よく租借して濾過してあげるんだよ!!」ガブ

上条「ぎゃああああああ!!いってぇ!思ってた以上に食い込む!!
…わ、湾内さん、い、今のうちに…」
何が今のうちなのかまったくわからないが、

湾内「そ、それでは、失礼させて頂きますね。ではまた…」

湾内はそそくさと脱衣所に入り、ドアを閉めた。
125 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/30(日) 02:46:59.91 ID:0P7DWKM0
来てみたらリアルタイムだ

こりゃ美琴せんせーは廃人コースか
もしかしてインなんとかさんも美琴と同じコースなのか

斬新な流れで面白いかも
126 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/30(日) 02:48:50.90 ID:bYylpvEo
なんでこの手のスレってこうも気持ち悪いのがわくのか
127 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/30(日) 03:03:12.54 ID:YEGaJOg0
かも条さんうまそうじゃん鴨条さん。
128 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/30(日) 03:14:07.68 ID:X39r56DO
せっかくの良作なんだからキャラアンチはマジ空気よんでくれよ…
129 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/30(日) 03:54:26.12 ID:Re2z1oAO
今すげぇ事に気が付いた
ヒロイン水系の能力の応用で衣服脱水くらい出来んじゃねぇ?
130 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/30(日) 08:34:51.36 ID:Yr3r6Gko
>>129
汚れとか臭いは落ちないんじゃないかな?
支援
131 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/30(日) 15:40:27.09 ID:lFTubsDO
>>130
洗濯機で洗う→干した状態で能力行使

便利だ……
132 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/30(日) 21:28:03.09 ID:rTnNEew0
>>129
だから先読みは思いついても書き込むなと……
これから着替えがどうこうの話なのに先にそんなこと書かれたら
「ああ誰にでも思いつくような展開だったのか」って何も書けなくなるだろう
思いついて無かったらそれはそれで粗探しみたいだし
133 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/31(月) 00:40:03.10 ID:BI/6jADO
面白い
いま一番楽しみにしてるスレだから頑張れ
134 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/31(月) 03:41:17.32 ID:SebLKCUo
VIPで読んでて気になってたけどこっちで続いてたのか。
期待してます。
135 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 07:27:43.69 ID:lmDO6MDO
湾内さん美琴にボロボロにされて欲しいなぁ
大人しい女の子が、痛みに耐えたり泣いたりする姿は想像するだけで萌える
136 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/03(木) 19:16:27.66 ID:lA8CpADO
うわまじキメェ
137 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/03(木) 19:26:00.43 ID:Kc3I5S6o
とミサカは
138 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/03(木) 20:47:29.30 ID:vpCVG4oo
ミサカは
139 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/04(金) 05:28:11.82 ID:NVYvaoQ0
机の角に股をこすりつけながら言ってみる
140 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/04(金) 11:10:19.85 ID:HUmGMwAO
>>139、屋上ォ
141 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/04(金) 21:00:51.08 ID:Yc.lAsco
マダー
142 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 01:32:30.38 ID:RDdOvjo0
そろそろ一週間かぁ
ボチボチ諦めたほうが賢明かのかな・・・
143 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 20:28:46.77 ID:H0uSu2AO
>>1も忙しいのでしょう
SSの為に実生活をないがしろにしたら意味がない
とはいえ、一日一レスでもいいから書き込んで欲しいところ…
144 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 21:38:17.05 ID:JO0jl.AO
すべてのSS作者に言いたいことだが毎日続きを書く必要はないが放置だけはやめて欲しい
考え中なら考え中、書くのやめたいなら止めると伝えて欲しいよね
145 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 21:39:45.17 ID:VGv8kkc0
>>144
じゃあ書くのやめる
146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 21:45:38.70 ID:XMaLtP6o
あと1週間は待てよ
147 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 21:48:29.22 ID:VOIVMYQo
作者証明しなきゃいみないだろ
148 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 23:45:47.67 ID:2ic7eIso
トリつければいいだけじゃん
149 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/07(月) 01:07:09.09 ID:JBLeeyY0
生存報告ないねぇ・・・
もう無理っぽくね?
150 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/07(月) 01:08:55.93 ID:XTlGUOAo
つかVIPでやってた頃からほとんど進んでないってどうゆうことよ
151 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/07(月) 22:27:22.17 ID:D6TVZwE0
これほど期待を裏切った>>1は初めてです
152 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/08(火) 01:40:39.25 ID:tcSODGso
続きまじ期待
153 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/08(火) 22:24:40.56 ID:JwC8ah60
>>1は爆死すべき
154 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/06/10(木) 07:53:30.01 ID:T.2KRCA0
本当にすいません。

6月20日の国家公務員2種試験が迫ってて、ガチで今図書館に引きこもってて
心理的に余裕がない状態です。
投下なしに生存報告だけ、とも考えましたがあんまり意味ないので、半放置でした。
批判は甘んじて受けます。ただ、時間はかかっても完結だけは優先したいと思います。



美琴「…(どうしよう。黒子、行っちゃった。)」

美琴「……(駄目。今追いかけたって、何言えばいいのか分かんない。
……それに黒子だって、私の気持ちを分かってるんだったら、なんであんな言い方…)」


美琴「…(アイツの目、真剣だった。
アイツがあの目をした時は、
どうやったって、何度力でねじ伏せたって、
・・・・
あのメチャクチャな右手が使えなくたって、 死んでも退かない。
そういう覚悟を、決意した目。
それを初めて、自分以外の人間に向けるところを見てしまった。

……嫌!!!もう考えたくない!!!)バサバサバサ」


美琴は布団の中で頭を掻き毟って、湧きあがる負の感情の連鎖を無理やり断とうとする。
しかし一瞬、打ち止めの存在を忘れていた。
布団から飛び出した肘が当たるのではないかと思ったが、
そこには何も無かった。
隣の黒子のベッドに移ったのだろうか。
ちらりと布団から顔を出し隣のベッドを見てみると、布団の中心に小さな山があった。
やっぱり、黒子のベッドに…。…そういえば、黒子。


美琴「…(そもそも、黒子が二人を引き合わせたとか言ったって、
どういう流れでそうなるのよ。

アイツの事嫌ってるはずのあの子が、積極的にアイツに会って、
女の子紹介するような仲だったっていうのは想像つかないし…
アイツの方から黒子を呼び出して…っていうのも考えにくい。
そうするとアイツと湾内さん、どっちか一方が、黒子に話を持ちかけたかあるいは、
二人が会ったときに、偶然黒子が居合わせたとしか思えない。

でもどっちにしたって、その二人を引き合わせたっていう黒子は、
アイツと湾内さん、お互いの…あるいは少なくとも
どちらか一方から一方に対する好意に気づいていたはず。

…ってことはやっぱり、二人は黒子が関わる前から面識があったんだ。)」
155 :129それ、頂きます ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/06/10(木) 07:56:34.00 ID:T.2KRCA0
一体、それはいつだろう。分からない。
考えてみたら、アイツが夏休みの間、いつも何してて、
どういう事に巻き込まれてたのかは、正直よく分からない。


適当にあしらわれた時以外は、気づいたらアイツは
セブンスミストで爆発した量子変速の爆風を受け止めてて、
あの橋の上で私の前に立ち塞がってて、
私とデートしてたと思ったら海原と戦ってて、


とにかく目まぐるしいくらい、あいつはいつも忙しく、誰かのために走ってる。
そんなアイツを雨の中立ち止まらせて、まっすぐ向かい合わせて、挙句
すべてを理解しているのかのように、抱擁させる。

そんな湾内さんとは、一体何者なんだろうか。
そんな湾内さんに比べて、私はあいつにとって一体何だと思われてるんだろうか。


……
………

思考が前に進まない。
この私が、自分が他人にどう思われてるかを、こんなに気にするなんて。

私はいま、何を考えればいいの?
私はいま、何をすればいいの?

陥ってゆく思考の水中の水の底へ、美琴は抗う術を知らなかった。
156 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/06/10(木) 07:59:24.75 ID:T.2KRCA0
_________________________________


湾内さんが風呂に入ってる間、上条は夕飯の準備に取り掛かった。
その間、だいたいいつもと同じように、インデックスはテレビを見ている。


上条「さて、夕飯はお待ちかね、
リクエストの辛―い中華料理ですよー。…あ。片栗粉が切れそうだな。」


インデックス「ありがとうなんだよ。
…それより、とーまは私が今、何を考えてるか分かる?」


上条「?…(飯だっていうのに、帰ってきてから、なんかずっとヘンな調子だな…)
ああ、湾内さんの分も作るけど、材料は多めに買っておいたから大丈夫だぞ。
いつも食ってるくらいの、お前の分はちゃんとある。」

インデックス「そういうことじゃなくて!!ごはんも大事だけどそこじゃない!!」


上条「?…なんだよ、お前にとって、飯以上に重要なイベントがあるのか?」


インデックス「もー!!いっつもそうやって適当にはぐらかして!!
…もういいんだよ!!とーまの馬鹿!!!マーボー当麻!!」

上条「なんだよそれ!?っていうか、やっぱ思いっきり夕飯の事考えてんじゃねーか!?
…まったく、すぐ出来るから、お行儀よく待ってなさい。」


インデックス「イライライライライライライラ」

上条「だー!!!リモコンに齧りつくんじゃありません!!
唾液がついて、汚いだろーが!!」

インデックス「ふん!!」

ちょっと気まずい沈黙の間、なんだかんで10分もすれば出来てしまった。
出来あがった麻婆豆腐を手際良く3人前、皿に盛り付ける。
上条はフライパンを洗ったあと、水場から離れて、タンスから自分の寝間着を取り出した。

上条「(…くんくん。
…うん。たぶん、着た瞬間に不快になるほどの臭いではないはず。
どうせ服を洗って乾かすまでの1、2時間程度のレンタルだしな。そこは我慢して頂こう)
ガチャ
157 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/06/10(木) 08:00:51.31 ID:T.2KRCA0
上条「失礼しまーす。…っと。湾内さん、湯加減はどう?」


湾内「チャポ は、はい!その、普段はシャワーだけなので、すごく気持ちが良いですわ!」

上条「そっか。良かった。
俺の寝間着、このタオルの横に置いときますね。」


湾内「あ、ありがとうございます!」

上条「それと、帰ったら寮でご飯出ると思うけど、
一応その、夕飯。湾内さんの分も作っておいた。」


湾内「…え?」

上条「もちろん、食べなくても残してくれても全然構わないから。
(インデックスが問題なく処理してくれるし…って本人に言ったら怒るか)。」


湾内「そ、そんな!そこまでして頂くなんて!!これ以上迷惑をおかけするわけには…」

上条「迷惑なんかじゃ全然ないからさ。
…俺はただ、湾内さんによろこんで貰いたいだけなんだよ。」


湾内「上条、さん…」

ほんの数秒の沈黙。
それは、一枚の扉を隔てた場所から、お互いの表情を思い浮かべる一瞬。
さっきまで、こんなつもりは全然無かったのに。
158 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/06/10(木) 08:02:07.47 ID:T.2KRCA0
湾内は先ほどから浴槽の中で、お風呂から出たらさっさと帰らなきゃ。
服が乾くのを待ってていつまでも長居するのはどう考えても迷惑だし、
何より今は、同居人の人がいる。彼女のさっきの自分に対する態度を見ていても、
自分がここにいて、お風呂を借りるのはそもそも間違っているのだ。

服ならば自分の能力で脱水すれば、それほど乾かすのに時間はかからない。
早くお風呂を出て、寮に帰って、後日お礼に何か買って、黒子にそれを上条に渡してもらおうかと思っていた。


上条は上条で、料理を作りながら、
湾内さんも寮の食事の時間には帰らないといけないだろうし、門限もあるだろうから
あまりここに留めてしまってはいけない、と思っていた。

思っていたにも関わらず、こうして湾内さんの分の食事を作ってしまっている。
その理由は結局、服が乾くまでは湾内さんは帰れないのだから、
それまでの時間の埋め方として、食事の他に適当な方法が思い浮かばなかったからなのだが。


上条がドアに手をかけようとしたその時、
後ろからシュルルルルルルル…と、聞き覚えのある音が聞こえた。


振り返ってみると、浴場の擦りガラスの向こう側に何か細い影が見える。
その正体は湾内の姿ではなく、まるで自らの意思を持ってその形を作り出しているかのような、水そのものだった。
擦りガラスに這うようにへばりつく水の形からは、何か文字が読み取れる。


彼女は今、浴槽に入ってる。が、先ほどから彼女が浴槽から出る音はしていない。
ということはまた、彼女の水流操作の能力によって、
風呂場の擦りガラスの上に水流を作り出し、その形を文字にすることで、
何かこちらにメッセージを伝えようとしている。


上条「…え?」


擦りガラスの扉には、
平仮名で



「す」 と 「き」 



の2文字が表示されていた。
____________________________________
159 : ◆rAO2k7ggBQ :2010/06/10(木) 08:03:55.55 ID:T.2KRCA0
もしかしたらもう誰も見てないかもしれない…
あげとこう。
160 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/10(木) 08:28:13.46 ID:f5WHgy.0
うわあああああ湾内さんぱねぇwwww
161 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 08:34:44.45 ID:jq6kqk.0
なんか続き来てた
GJ!
162 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 09:57:29.53 ID:d.XPkoDO
キタキタキター

生存報告だけでもイインダヨー
とりあえず乙
163 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 10:16:21.84 ID:vtVPqI.0
ひゃっほぅ!
164 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 12:03:02.68 ID:8z.gxXM0
うひゃー!
165 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/10(木) 12:45:23.97 ID:BQJWvwAO
wktk
166 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/10(木) 13:29:48.97 ID:UvdSz2Qo
期待(´∀`∩)↑age↑
167 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 14:47:03.98 ID:cc5yWrw0
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ッ!!!!!
168 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 14:57:31.40 ID:DiQydzko
水流操作で雨に濡れた服を乾かした場合黴菌は付着したままになるのかね?
学園都市の雨って結構汚染率高そうなイメージあるんだが
169 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 15:16:36.00 ID:N9EcDFIo
ヒャッハー!
170 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 15:17:39.20 ID:BsLM06DO
科学が外の世界より30年は発達してる学園都市でそうゆうのはありえない

つか登場人物みんな幸せになってほしいけど黒子だけは許せない
171 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 15:46:17.98 ID:dOdyb2Yo
ここの黒子は自己中すぎるな
172 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 16:15:13.47 ID:5ol7WhI0
久々の登場おつかれさまです
レスの付き方で分かると思うけど見てる人結構多いのだから、間が空きそうなら生存報告だけでもした方がいいかと
報告も無視も作者さんの自由といわれたらそれまでですが・・・
173 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 17:32:06.67 ID:Q7HnbtEo
>>1ならやってくれると信じていた
ゆっくりでいいから是非完結させてくれー
174 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 18:47:49.25 ID:J8VGJ6DO
ヒャッハー!>>1ktkr!

湾内さんすげぇwwwwww
175 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 23:11:14.31 ID:AX6xXHso
>>1はとりあえず勉強しろ
俺はいつまでも待ってる
176 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/10(木) 23:32:15.82 ID:itx6RZI0
ありがとう!!
続きを期待してる!!
177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/11(金) 00:01:18.79 ID:lzwHloAO
この告白はガチで惚れる
178 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/11(金) 00:19:16.04 ID:y6fjL9Mo
何という能力の活用方法 可愛すぎる!

要は試験が終わって落ち着くまで待てばいいんだろ?
容易い容易い!
179 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/11(金) 03:38:28.52 ID:kCO2YkAO
うわー












これはいい
180 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/11(金) 03:55:16.39 ID:1i.fHTIo
くそっ・・・深夜なのになんでニヤついてんだ俺は・・・
181 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/11(金) 10:23:34.11 ID:F7k2p76o
反対映りなのを忘れてうっかり「き・す」って書いてしまったことに
あとで気が付いて激しく赤面するんですね判ります。

試験終わるまでいい子で待ってる
182 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/12(土) 17:30:31.99 ID:tgdq4oDO
wikiで見たんだが、湾内さん……
身長161cmでB80W57H78 だと……


何という将来有望……
羨ましいぜ上条さん……
183 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/12(土) 17:37:12.73 ID:.255VXIo
まだ?
184 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/13(日) 00:37:48.66 ID:CGTXoEc0
20日の試験が終わるまで気長に待つさ
185 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/13(日) 04:06:18.34 ID:/04wR.AO
>>182
さすが湾内さんですが、真に恐ろしいのは泡浮さんですね

中一でB85。何とあの固法先輩と同じサイズ…
作中ではスレンダーな印象でしたが、やはり体重が軽いからでしょうか。羨ましすぎる…

…と下世話な話になり、申し訳ありません。>>1さんは試験の方頑張って下さいね
186 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/13(日) 12:02:29.79 ID:VmxJH5Q0
やっとスレタイが見えてきたな
187 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 19:52:18.45 ID:lQIhboI0
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org969872.jpg
188 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 21:46:12.91 ID:Oqgxui.o
よくやったほめてつかわす
189 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/18(金) 01:26:08.01 ID:2PKYeds0
>>187
Σd(´・ω・`)
190 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/21(月) 15:31:54.81 ID:Agyz3gw0
もう試験終わったかな?
191 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/21(月) 15:33:27.71 ID:y3mn2m60
続きを期待 wktk
192 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/21(月) 22:41:59.73 ID:lJcUGk20
wktk
193 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 07:54:22.71 ID:YN3UxcDO
追いついた
194 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/24(木) 00:54:28.10 ID:oAw6wqY0
さて……待つか
195 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/27(日) 20:39:52.01 ID:YueQRQYo
マダカナー
196 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/30(水) 22:30:12.24 ID:e8etaZY0
早く続き読みたいなー…
197 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/05(月) 17:28:53.20 ID:s6ltA2AO
ageてもいいよな?
198 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/05(月) 19:15:22.42 ID:qYVuBB2o
まだ試験?
199 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/06(火) 04:48:54.29 ID:gkGvsNQ0
少し期待して久々に来てみたが、もう無理だな
さすがにもう戻って来ねーだろ
200 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/06(火) 12:59:20.82 ID:jMuCd2I0
試験だめだったんだろうね
201 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 00:00:25.11 ID:48G/5sYo
予想だが試験の勉強期間→試験期間だろうから来週には投稿再開するとオモ
202 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/07(水) 01:24:14.88 ID:4s.2s520
美琴スレは大抵完結前に打ち止めになってる一方、現行スレが垣根とかの糞みたいなSSばっかとかまじ終わってんな・・・
203 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 01:35:51.91 ID:COcg84Ao
日本語で
204 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/09(金) 23:32:09.86 ID:Gj9kREDO
打ち止めと一方(通行)
205 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/13(火) 05:11:32.96 ID:GJgju6SO
一ヶ月たっちゃたよ?
206 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/14(水) 21:37:33.55 ID:Mv5ATIE0
>>1ィィィィィィ
皆こんなに待ってるんだぞぉぉぉぉ!
早く帰ってこぉぉぉぉぉぉい!
207 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/14(水) 21:49:23.26 ID:Sn2UA..0
アンチ上琴っぽいから続くかなって思ってたけど、やっぱ途中で打ち切りかぁ
うーむ残念ww
208 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/15(木) 00:09:15.87 ID:cY9ATW.0
脱サラして逆エン一本に絞ったんだけど、マジ正解だったよ!
時間あるから複数の女相手しても全然余裕だしwwww

昨日は 中 だ し 2回だけで8万も貰っちゃったよww
http://imageoff.net/hck/djabhz4
209 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/17(土) 23:24:30.57 ID:7qpZgsM0
>>1戻ってきておくれー
210 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/18(日) 23:15:39.40 ID:Y7Ex04E0
まだ帰ってこないのかな?
211 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/20(火) 16:26:46.05 ID:bTj/AfAo
(゚∀゚)
212 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 17:47:57.60 ID:RSRi1Tg0
>>1です
長い間、スレを放置してしまい申し訳ありませんでした。
諸事情で時間に余裕がなくなってしまったため、続ける事が困難になってしまいました。
大変残念ですが、ここで打ち切りという形にさせて頂きます。
スレ見ていただいた方どうもありがとうございました。
213 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 18:02:04.53 ID:n8hKwu.0
>>212
はいはいコピペコピペ
214 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 23:16:51.48 ID:ejbPuASO
>>1じゃなくてもいいから誰か続き書いてくれ…
215 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 23:37:30.48 ID:HVYplg20
もう一月まつ
216 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/21(水) 11:00:43.06 ID:GnjX/bA0
公務員試験は大変なんだぞー
とかいってみる
217 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/24(土) 06:50:25.25 ID:c7vackAO
age
218 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/26(月) 12:47:29.18 ID:pvB/SAYo
もどってきてくれー
219 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/03(火) 10:02:08.54 ID:vQRDjJY0
あげ
220 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 19:48:19.85 ID:2qWjP.AO
一番期待してたスレだったのにな
時期が悪かったのかも

落ち着いたらまた書いて下さい
とりあえず面白かったよ乙
221 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/06(金) 15:25:15.00 ID:IpvVzLM0
俺も密かに期待してる
222 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 21:00:56.77 ID:BCbljJk0
>>1ィ!早く戻ってこねぇと湾内さんの乳首をダブルクリックしちまうぞぉ!
223 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 21:27:18.90 ID:.KjB8aEo
既に俺が連打してるから
224 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/10(火) 19:09:20.72 ID:r/xTLzAo
まだか・・・
225 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/14(土) 08:43:06.71 ID:1AusS1k0
あげ
226 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/15(日) 19:31:15.45 ID:zkrUyp6o
ロマンチックな>>1は逃亡しました。
227 :戦闘のアマだぜ! [sage]:2010/08/16(月) 00:00:25.90 ID:Y8FbeKA0
俺「ロマンチックなスレタイだからって逃げてんじゃないわよ!」
228 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 18:54:35.37 ID:Av/ENFUo
>>159から2ヶ月以上も経ってんのカヨ
229 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/08/28(土) 05:14:58.77 ID:BibZQeQ0
「わぁああ・・・・!」

目が覚めたのは、隣にいる同級生の感嘆の声からだった。

まどろむ意識のなか、湾内絹保は垂れたがった前髪を左右にかき分ける。
と同時に、カーテンの隙間から漏れる、6月の初夏の日差しが顔を射す。


ふと窓を見やると、窓の外は広大な景色が広がっている。
見渡す限りの水平線がどこまでも続き、空には釘に刺されたように静止した太陽がある。

しかし、その他の景色はすべて等速で動いている。


つまりここは建物の中ではなく、移動中のバスの車内だ。


「常盤台中学水泳部員」ご一行を乗せた高速バスは、学園都市の正門ゲートを通りぬけ、
北陸自動車道を北上して、新潟までやってきた。


目的は新潟の海水浴場でのトレーニング。即ち、夏の試合に向けた遠征強化合宿である。
前日の夜に学園都市を発ち、朝方6時に現地に到着した。

湾内は眠い目を擦りながら、部員達と一緒にバスを降車する。


目の前には、これから宿泊するホテルの全景が見える。

建物自体の大きさは一般的といえるが、周囲に大きなスペースを確保しながら
佇む様相は、非常に開放的な印象を受ける。

ロータリーに接する、建物の前面を囲う花壇にはブーゲンビリアが咲き、
南国の雰囲気を演出している。

玄関入り口の木製の立て札には楷書体で、
「歓迎 常盤台中学水泳部ご一行様」と書かれている。

230 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/08/28(土) 05:18:08.68 ID:BibZQeQ0
バスから生徒が全員降りたのを確認したあと、
ロータリーから玄関に続くスペースに集まった生徒達に、
水泳部の監督が大きな声で挨拶する。


監督「はーい!おはようございます、皆さん! 長旅お疲れ様でした!!
バスから見える景色は、いかがでしたか?


学園都市で生まれた人の中には、
海を見るのが初めてという人も多かったと思うけど、
これからその、プールよりもずっとずっと、ひろーい海で3日間、泳ぐことになります。


海水の塩分の濃度の関係で、普段泳いでるプールよりも、
身体が浮いたり、波のせいで思うように泳げなくて戸惑うかもしれないけど、


能力者の皆さんには、是非この合宿で、波の水流に負けないくらい強力で、
繊細な水流操作の技術を身につけて帰って貰いたいと思います。


では、フロントで各々の部屋の鍵を受け取って、7時半の朝食の時間までには
ロビーに集合するようにお願いします。
今日の練習日程については朝食の際に・・・・・・」


監督の話の終わり際、バス内で隣同士に座っていた泡浮が、湾内に話しかける。


泡浮「湾内さん、海、見えまして? これからあのような広大な場所で泳ぐなんて。
心臓がバクバクしそうですわ。」

湾内「ええ。そうですわね。私の能力なんかじゃ、手も足も出ないように思えますわ・・・」
願いいたしますわ。」
231 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/08/28(土) 05:19:15.67 ID:BibZQeQ0
「わぁああ・・・・!」

初めての海を前にして、期待と不安を見せる二人に対し、
急に横から誰かが現れた。


婚后「おーほっほ!!  湾内さんも泡浮さんも、案外、可愛いところがありますのね。
もっとご自分に自信を持って頂きたいですわ!・・この、わたくしのように!」

泡浮&湾内「は、ははは。そうですわね・・・」


婚后の能力は、水流操作ではない。
というか、自分の泳法に水流そのものがあまり関係ない。


レベル4の威力を持つ、水中の「エアロハンド」のひとかきは
莫大な推進力を生むので、それだけで圧倒的に鋭く素早い泳ぎを可能にしている。
そしてそれが、彼女が水泳部のエースたる理由ともいえる。
そんな彼女がたかだか波を怖がるわけもなく、余裕の態度を見せている。
それを見た湾内は、なんだか複雑な心境だった。


婚后「では、ごめんあそばせ。朝食は是非、ご一緒の席で。」

湾内「あ、はい・・・では。(この人、この合宿に行く意味あったのかな・・・)」

泡浮「さすがはレベル4の婚后先輩。物事に臨む心構えが違いますのね。」

湾内「そ、そうですわね。(何も考えてないだけじゃ・・・っていうのはさすがに失礼よね)

泡浮「とにかく、部屋に行きましょうか。これから3日間、よろしくお願いしますね。」

湾内「あ、いえ。こちらこそ。同じ部屋のパートナーとして、よろしくお願いいたしますわ。」
232 : ◆rAO2k7ggBQ [sag]:2010/08/28(土) 05:20:29.50 ID:BibZQeQ0

朝食を済ませ、1時間程度の休憩を挟んで準備体操を終えた後、
生徒達は水着姿に着替えてビーチまでやってきた。


監督「さて、早速、午前の練習を始めたいと思います。
まずは皆さんに海に慣れてもらうために、
ここからあの突堤まで、浅瀬を泳いでもらいます。
突堤の先端より沖の方向に泳いではいけません。
突堤に着いたら、折り返して往復してきて下さい。


1往復を終えたら、午前中の練習は終了とします。
泳ぎなら、海岸付近の波の流れを身体で感じ取って下さい。
まだ、能力の使用は認めません。

何か質問はありますか?」


視界のおよそ100メートル先には、ビーチに張り出した突堤が見える。
突堤の先端には、釣りをする人達がいる。
竿を向けているのはこちらから見て反対側なので、釣りの邪魔になることはないだろう。
ここで湾内は、監督の説明で感じた疑問を正直に口にする。
233 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/08/28(土) 05:21:34.09 ID:BibZQeQ0
湾内「なぜ、能力を使用してはいけないんでしょうか?」


監督「波の動きに慣れないうちに下手に能力を使用すると、
沖に流される危険性があるからです。


くれぐれも留意して頂きたいことは、皆さんが普段能力を使用しているのは
水面が静止しているプールの中のみです。


海で発生する波の流れは、沖合から来るものだけではありません。
沖合から来た波が海岸で回折して、海岸から引き離す流れも存在します。


それらの様々な波の流れを慎重に把握し、能力をコントロールしないと、
思わぬ波の流れを助長して、気づけばあらぬ方向へ流されて戻ってこれなくなる・・・
といった事も十分考えられます。

これから徐々に身体を波に馴らして、波の流れが強い沖合の方向へ向かっていきましょう。

それでは、スタートして下さい。」


監督の合図とともに、水泳部員達が一斉に海に入り、スタートする。
時間内に泳ぎ切れば良いので、湾内と泡浮は自分たちのペースでゆっくりと泳ぎ始めた。
234 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/08/28(土) 05:22:23.90 ID:BibZQeQ0
こうして肌で波の流れを感じ取ると、確かに波の流れは
様々な方向から向かってきている事が実感できる。たが、流れそのものは、非常に弱い。


これなら、能力を使ったって・・・とも思うが、やはり万が一にも沖に流されるのは怖いので、素直に監督に指示に従うことにする。


それと、コンディションという問題もある。
バスの中で熟睡することができた人はまだしも、
完全に寝不足で、明らかに集中力が鈍っているであろう人も多くいるだろう。
そんな人が無理して能力を使ったら、それこそどういう結果になるか分からない。

皆考え方は同じようで、能力を使用して泳いでいる者はいないようだった。


湾内「気持ちいいですわねー・・・」
泡沫「そうですわね。皆さんと同じように、のんびり行きましょうか。」


湾内と泡沫は、水中に潜って貝殻を拾ったり、水を掛け合ったり、
浜辺で日光浴している大胆な水着姿の女性をまじまじと見たりしながら
初めての海を堪能しながら気ままに泳いでいた。
235 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/08/28(土) 05:32:09.24 ID:BibZQeQ0
さて。
あれから2カ月経ちましたか・・・
正直言うと、今まで何度かはスレを確認していました。
しかしネタも浮かばず。とっくに落ちてるだろうと思って久しぶりに見たら
コメントがあって、そのたびに罪悪感で一杯でした。

公務員試験は落ちました。民間で就職活動して、昨日やっと内定をもらえて
心に余裕が出来てきたので、せっかくスレが残っていた
いや、皆さんが残してくださったので、ちょぼちょぼ再開していきたいと思います。

面白くなかったらすみません。
236 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 05:36:03.86 ID:twcJlSAo
いいんだよグリーンなんだよ
ついでに誰かも出してくれるともっといいんだよ?
237 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/08/28(土) 05:37:53.42 ID:BibZQeQ0
また余計なものが入ってた・・・
>>230の最後一行「願いたしますわ」
>>231の最初一行「わああ・・・」
の部分です。
ほんとすみません。
238 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 05:44:39.83 ID:q.1vwS6o
復活・・・だと・・・
ここまで放置されたスレが復活とは珍しい
生存報告は一週間に一回、少なくとも二週間に一回はしてくれ
239 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/08/28(土) 05:45:20.11 ID:BibZQeQ0
>>236
これからちょっと湾内さんの過去話が続くと思います
終わったら本編の続きに戻るので、すみませんがしばし辛抱を・・
240 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/08/28(土) 05:48:52.34 ID:BibZQeQ0
>>238
了解しました
それでは生存報告は1週間以内とさせていただきます。
それ以降に書き込みがなければ戻ってこないものとみて頂いて良いかと思います。
今まで本当にすみませんでした。
241 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 10:03:53.52 ID:bTsSR6DO
戻ってこないじゃなくて放置するんなら依頼だせよ
ここは落ちることなんてないんだし放置はやめとけ
242 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 10:38:06.88 ID:GLHVH5Qo
復活ktkr
243 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 10:55:38.58 ID:88qHpUAO
良いな
244 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 11:04:12.08 ID:.nPOJ2DO
まさか戻って来るとは…!
ゆっくりでいいから完結だけはさせてね
245 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 11:05:22.33 ID:m/1C02s0
hooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo!!


すまんm取り乱しpたj
246 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 12:00:55.93 ID:gx3fXXgo
待っててよかったあああ
247 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 13:00:36.26 ID:ou7rjJU0
まってた
248 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/28(土) 13:29:04.86 ID:wwnKAGMo
待っててよかった
249 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 15:31:05.33 ID:y6dI0vUo
うおお、まさかの復活
>>1から読みなおしてくる!
250 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 20:36:34.16 ID:i0/AeUAO
まってたぞー
251 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/29(日) 21:10:20.98 ID:mYu8b160
復活ッ>>1復活ッ
252 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 08:04:38.36 ID:OiAWWzgo
ああ…復活だ……
253 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/01(水) 21:32:25.68 ID:ut/GHqY0
待ってました!!
254 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/01(水) 23:18:07.13 ID:fB.6N3g0
復活しただと?
期待
255 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/02(木) 19:19:46.21 ID:fwimwjY0
婚后さんとかマジ俺得だから死ぬ気で生存報告しろ
256 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/02(木) 19:50:18.96 ID:TtpvV7wo
光子・・・?
257 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/02(木) 22:16:20.14 ID:X7FPhNwo
>>255
残念スレチ
258 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/05(日) 19:07:17.79 ID:wdA3HnU0
まだー?
259 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 20:07:56.72 ID:PhbeWv.o
今日中に生存報告かね
260 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 01:36:24.94 ID:rQWmneQ0
1週間以内に生存報告なかったら戻らない、って
>>1が言ってるんだから諦めろよ
261 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 01:52:26.51 ID:O/AvUEoo
戻ってこないとかほんと糞だなこの作者
やる気ないなら放置しないでちゃんと依頼出せよ
262 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/09/06(月) 05:08:43.39 ID:mFZHc3Q0
事情により生存報告遅れました
大変申し訳ありません

今日明日中には投稿できるかと思います

263 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 05:17:15.29 ID:UFCog2go
これで明日も生きていける
264 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 06:06:02.43 ID:IVMxs7co
よしきた!これでかつる!!
265 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/08(水) 00:45:22.44 ID:UcJnhcAO
まだ来んのかーい
266 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/08(水) 23:23:08.50 ID:yAPAbUDO
できない約束はするなよ
267 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/09(木) 02:18:53.56 ID:vtaKB4go
もういいからさっさと依頼してこい
268 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/09/09(木) 21:16:49.76 ID:KHo4uuE0
二人は一通り周りの景色に飽きたら、水面に仰向けの体勢で浮かび、
空を見上げながら背泳ぎしていた。


すると突然、自分たちより後方で何かが大きく水を跳ねる音が聞こえた。


音は一回ではない。一定の間隔で繰り返し、徐々にこちらに近づいてくる。
なんだろう?イルカ?こんな浜辺に?


よく見るため、湾内は空を見上げていた視線を、背泳ぎの体勢のまま
少し顎を引いて進行方向と反対側に向ける。すると。



約10メートル後方。


恐るべきスピードで、突堤に向かって突き進む人間が、一人いた。



ひとかきする毎に激しい水しぶきを撒き散らしながら、
トビウオの様に身体ごと水面から飛び出し、鋭く着水して、一瞬後 再び宙に浮く。


誰がどう見ても、こんな泳ぎ方をする人間は一人しかいない。
269 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/09/09(木) 21:17:33.45 ID:KHo4uuE0

監督「おい!!婚后!!能力を使うなと言っただろ!!一体何のつもりだ!!」


監督の大声の注意を受けて、婚后は立ち止まる。
しかし。


婚后「先生が仰った能力とは、水流操作に限ったことでしょう!?
ワタクシはそんなのカンケーありませんわ!!
どんな波が来ようと、この能力で己の肉体を前に進めるだけ。
何か文句がおありになって!?」


監督「なっ・・・・!? 
た、確かにお前のエアロハンドは強力だがな、波に流されないとは限らないんだぞ!!
海の恐ろしさを舐めるなっ!!!」


まるでベテランの漁師のように、海に精通したような口振りで怒鳴る監督だが、
そんな危険は自分には一切関係ないと言わんばかりに、監督の指示を無視して
再び婚后は泳ぎ出した。

凄まじい勢いで遠ざかる婚后の背中を見送りながら
湾内と泡沫の二人は複雑な表情のまま凍りついていた。
270 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/09/09(木) 21:19:14.29 ID:KHo4uuE0

夕方5時。

合宿一日目の午前、午後の練習が終わり、
水泳部の生徒達はそれぞれの部屋に戻っていく。


部屋といってもホテルの内部ではなく、
生徒達にはビーチに直接面した離れのコテージが割り当てられていた。


どうやら最初にホテルを道路沿いから見た時に感じた開放的なイメージのとおり、
ホテルからビーチへと続く、手入れされた低木が立ち並ぶ周辺もホテルの敷地らしかった。


コテージの外観の特徴的な部分といえば、
その屋根が、一般的なハの字の傾斜の屋根を、ちょうど真ん中から半分に切った形の
「片流れ」の形状をしている。


新潟県は年間降雪量が多く、山間部に比べれば海岸部はそれほどではないが
まれに里雪によって海岸まで積雪することもある。


傾斜の強い片流れの屋根は、雪が積もる前に滑り落とし、
除雪の手間がかからないため、こういった気象事情に配慮してのことだろう。


北海道などでは片流れの屋根は一般的だが、
滑り落とした雪が隣の家の敷地(駐車場)に入り込まないよう、軒先から隣の家までの一定距離を確保しないと建築許可が降りないという事情もある。


その点では、このホテルのコテージはゆったりと距離を置いて配置されているので
そういった心配もなく、広いスペースを有効に活用している。
271 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/09/10(金) 00:04:36.97 ID:o1oAaGc0

練習を終えてホテルのシャワーを浴びた湾内と泡浮の二人は、
コテージに戻って、ドアを開けた。

玄関のすぐ先の部屋は寝室で、柔らかそうなベッドが二つある。

二人はベッドを見つめながら緊張した面持ちで息を飲み、


湾内&泡浮「せーのっ・・・はぁああああ〜〜〜♡」ドフッ


プールに飛び込むように、一気にベッドにダイブした。


湾内「もー、クタクタですわ〜。はぁ。トウモロコシが食べたいですわ。」


泡浮「ふふふ。午前の練習中、浜辺の屋台を気になさってるようでしたわね。
それにしても、午前の練習は楽でしたのにね。
能力を使って泳ぐと、あんなにも波の流れをコントロールできないなんて。」


湾内「そうですわね。でも、あれが
もうちょっと沖じゃなくて本当に良かったと思いますわ。
最後の方には、ようやく慣れてきましたけれども。

最初から沖の方で能力を使って泳いでいたら、きっとたちまち
波に流されてしまっていたように思えますわ。」


泡浮「ほんとうに、監督の言ったとおりでしたわね。

……あの方をのぞいては。」
272 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/10(金) 06:54:18.71 ID:onRPAgDO
きてたー!
完結だけはさせてね
273 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/10(金) 16:41:41.43 ID:WCgU1oDO
内容忘れた
274 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 23:34:00.17 ID:z9GfXEDO
学園都市で産まれたのはシスターズとか訳ありだけで、一般的学生は外から来た筈では?
275 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/13(月) 01:33:14.83 ID:2.zJNiso
学園都市が作られたのは何十年か前だったと思うし
おかしくはないんじゃね
276 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/14(火) 01:19:59.32 ID:h7S0AwDO
卒業して出てく筈
277 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/14(火) 01:57:03.72 ID:ZSF.6gAo
研究者同士で結婚したりするんじゃねぇの?
278 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/17(金) 02:07:34.28 ID:8DVWHAAO
マジで頼むぜ
本当に期待してるんだからね
279 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/18(土) 05:20:37.01 ID:npjr9wDO
禁書二期に出番はあるのか…?

いやないのは分かるがむしろモブでチラッとだけでも見てみたい
280 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/09/18(土) 21:46:18.95 ID:C551JOA0
すみませんが 
とりあえず生存報告だけ
頑張ってかくよ
281 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/18(土) 22:37:58.51 ID:kUrF1joo
おk
期待して待ってる
282 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/18(土) 22:45:41.76 ID:Rbb6rt.o
報告するだけでもありがたい
283 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/09/28(火) 00:49:39.41 ID:VfDNwYU0
湾内「……婚后さんですわね。あの方は、本当に無敵のように思えますわ。


午前中、監督の指示を全力で無視して能力全開で泳いだ婚后には、
ついに監督も白旗を挙げて、途中から新聞で顔を隠して見て見ぬフリを始めた。

………そう言えば私たちのクラスにも一人、
あらゆるスポーツで無敵な方がいらっしゃいましたわね。」


泡浮「白井さんですわね。私たちの学校で唯一の空間移動能力者。
ただ、あの方がスポーツなんてやるったら、それこそ
能力制限を受ける事になるでしょうけど…」


白井黒子の能力はテレポート。
つまり自分の肉体や物体を「正確に」「一瞬で」遠くに移動させる。


水流操作や空力使いも、無能力者のアスリートと比べて大きなアドバンテージがある事に違いはないが、こんな芸当をスポーツの世界に持ってこられたら、たまったものではない。

野球、サッカー、バスケットボール等の球技では
ゴールやフェンスの向こうに、ボールを直接テレポートでぶち込んで大量得点、
陸上や水泳なんて、「移動しているところ」が見えないんだから競技の根本を否定しかねない。

白井が部活動に入らず、風紀委員に志願したのは、ある意味でベストの選択だった。

二人は思い思いに、この場にいないクラスメイトの白井黒子の事を思い浮かべていた。

すると。入り口のドアをノックする音が聞こえた。


湾内「はーい。開いてますよー」
284 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/28(火) 02:35:32.95 ID:bu7jT2AO
来てるよ来てるよ
285 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/28(火) 13:35:58.49 ID:NM4Z.76o
生存報告として受け取ろう
286 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 12:12:11.43 ID:5ff/4QAO
生存報告だけでも…
287 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/07(木) 11:41:32.10 ID:EHs2mYAO
アゲさせてくれ
288 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/11(月) 09:18:44.17 ID:TRYoRMAO
もう駄目なのか…
いや、この>1なら…
289 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/10/12(火) 03:00:28.50 ID:0rtTe5k0
1週間以内とか言っておきながらまた2週間経ってしまった・・・
本当に見てくれてる人には申し訳ないです。

とりあえず生存報告
今書き溜めてるから近いうちに投下します。
290 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/12(火) 03:24:01.06 ID:S0nXoMAO
待ってる
291 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/12(火) 08:09:45.25 ID:0vDPpiEo
待ってます
292 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/21(木) 02:47:03.82 ID:bMDc6gDO
復活記念
293 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/10/25(月) 06:05:36.70 ID:kHIzCW60
すると。入り口のドアをノックする音が聞こえた。


湾内「はーい。開いてますよー」

湾内が言い終わる前に、やや食い気味にドアが開いた。

_________________________________


湾内&泡浮「派閥、ですか?」

婚后「ええ。

常盤台に入学したからには、それぞれの抱える「野心」がおありでなくて?

しかし個人で活動するとなると、いかに常盤台といえども学生の身分ですから、
何かを成すにしても社会的な信頼や、資金的な問題が出てくるかと思いますの。

わたくしはその点、なんと言っても婚后の家系ですので、
知名度、資金力、さらにわたくし個人の実力、
すべてを備えたこのわたくしの派閥ならば、思うがままに活動が可能ですわ。

水泳部からは、是非湾内さんと泡沫さんのお二人をお誘いしたいと思っておりましたの。
次は・・・そうですわね、白井さん辺りを引き入れたいと思っておりますわ。」


湾内と泡浮は面食らった、といった表情を隠さない。


いきなり部屋に来て何かと思えば、
婚后は自分の派閥を立ち上げる話を始めた。
聞いてもいないのに次に勧誘する予定の人物について語っているところを見ると、
湾内と泡浮の二人は断るはずがないとでも考えているのだろうか。
294 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/10/25(月) 06:07:12.03 ID:kHIzCW60

湾内「ちょ、ちょっと待って下さい。
いきなり、そんな、派閥だなんて・・・・・」


学生同士の派閥と言うと、どういったイメージだろうか。
それには、学生を取り巻く環境、すなわち学園都市について考えてみる必要がある。


能力開発を第一目的とした学園都市では、
個人の能力値を完璧な数値化に近づける傾向がある。
その結果、能力値の優劣が人々の価値観の基準を作り出してしまっている。


あいつは自分よりも能力値が上だ、下だ
といった事実が何においても優先されてしまう社会では、人々の活力は
どちらかと言えば、「みんなで協力して一つの目的を達成する」といった方向には向かいにくく、
いかに他人を出し抜くか、または他人に出し抜かれまいといった排他的な思考に陥りやすい。


そういった競争意識は、
企業活動を中心とした学園都市の「外」を取り巻く社会と同じといえるが、
とりわけ学園都市の中では、人間の評価方法が「能力値」として画一化されているため
人々の視野は狭窄になると言えるかもしれない。


また、企業活動の根本は「社会の需要を満たすこと」であるから、
自分の頑張りが他人の幸せに結びつくと言えるが、学園都市の中では
必ずしもそういった良い結果には成り得ない。


今いる他人の椅子を蹴落とし、自分が座るか、自分の椅子を他人に奪われるか。
極端に言ってしまえば終わりのない椅子取りゲームを延々と続ける感覚に似ている。


落ちこぼれだと烙印を押されてしまえば、スキルアウトのような反社会的な
それでいて力を持たない、更に逃げ場を失うような地獄に脱してしまう者も多い。


常盤台中学はそんな学園都市の中でも、トップクラスの名門校だ。
その中の派閥というものを考えたら分かる通り、それぞれの利権と立場が正面からぶつかり合う、互いに徹底した対立姿勢を取っている。


同じ学校の生徒でありながら、派閥に入るということは、暗にそういった事を意味している。
295 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/10/25(月) 06:09:55.80 ID:kHIzCW60

湾内はもともと、野心旺盛な性格ではない。
なぜ常盤台にいるのか不思議なくらい、と自分でも思っているほど
競争や野心といった言葉に執着はない。


今も突然訪れた予想外の申し出に半分パニック状態になり、冷や汗をかいているが
こっそりと水流操作の能力を使って汗を隠しているくらいだ。


ペラペラと勝手に話を続ける婚后だったが、ふと二人の視線に気づいて


婚后「・・・あら、失礼しましたわ。
まだ返事を聞いていませんでしたわ。
さて、お二人とも、いかがお考えでしょう。」


湾内「え、えーと・・・
(どーしよう・・・私なんかが派閥って・・・
でもまだできてもいないんだし、私なんかよりもっと優秀な人を誘って下さいって言って、断れるよね・・)
わたしは、やっぱり・・・・その、じt 泡浮「貴重なお話、ありがとうございます。是非、考えさせて頂きますわ。」


湾内の心境とは正反対に、泡浮は乗り気な様子。
296 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/10/25(月) 06:10:59.87 ID:kHIzCW60

湾内「(えええー!!泡浮さん、本気なの!?
だって新しく派閥なんて作ったら、上級生に目を付けられるし、クラスの中でもきっともっとドロドロに・・・)


婚后「あら、泡浮さん。考えてくださるのでしたら、良いお返事を期待しておりますわ。
・・・湾内さんはいかがかしら?」


湾内「あ、はい! 急なお話だったので正直申し上げて驚きましたが、
是非、考えさせて頂きたいと思いますわ。」
(ああ、私の意気地なしぃ・・・・・)


婚后「お二人とも乗り気なようで、結構なことですわ。
それでは、合宿を終えた後の練習で改めてお返事を伺いたいと思いますわ。
今日はお話を聞いて下さってありがとう。
では、また明日。」


湾内&泡浮「また明日。失礼いたしますわ。」


婚后が去った後も、


「わたくし達、幸運ですわ!早速派閥に入れるなんて!
一緒に頑張りましょうね!湾内さん!」

と興奮冷めやらぬ泡沫に、湾内は気のない返事を返し、なんだか頭痛がしたような錯覚を覚えた。
297 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/10/25(月) 06:12:48.23 ID:kHIzCW60

_______________________________________

目が覚めたのは、大粒の雨が窓を叩く単調な音だった。

同じ部屋で寝ていた同級生は既に起床し、洗面所で顔を洗っていた。
部屋の中の温度も低く、気がつくと身体が冷えている。


起きぬけに、湾内は何か熱いものを飲んで身体を温めたくなった。
部屋に備え付けのコーヒーサイフォンに水を入れた後、
手回し式のコーヒーミルに豆を入れ、ゴリゴリと豆を挽く。


泡浮「あら。起きていらしたのですか。おはよう。今日はがんばりましょうね。」


湾内「ええ。・・こちらこそ。」


合宿は三日目の最終日となった。
初日の夜の件以来、湾内はなんとなく泡浮と積極的に話す気にはなれなくなっていた。

あの時、湾内は泡浮が自分の考えとはあまりにも違う事が分かってしまった。


ルームメイトなのに、どこかよそよそしく接してしまう。
そんな自分勝手な考えで泡浮を避けている自分に苛立っていることに気づいていたが、
この心のモヤが晴れない限り、どうしようも無いように感じる。


彼女とは合宿が終わっても、学校の寮でも同じ部屋だ。
寮の同じ部屋に住み、同じ部活動に所属し、同じ食堂でご飯を食べる。
授業以外の時間は、湾内と泡浮は一緒にいる事多い。


今まで一緒に過ごしてきた分、今回の件で考え方の違いが分かってしまったことは
衝撃的だった。といっても、どちらが常盤台中学の生徒として異端かと言えば、
湾内の方かもしれないが。


合宿が終わってから、派閥に入るか否かの意思を婚后に伝えなければならない。
自分の今の正直な気持ちから言えば、派閥には入りたくない。
しかしそれを断る際に、明確な理由が思い浮かばない。


湾内は晴れない気分のまま合宿最終日を迎えてしまったが、
最終日はいよいよ、能力全開での競泳だった。

この合宿の最終日に計測したタイムによって、夏の試合に向けた選抜メンバーが決定する。
今湾内にできることは、何とかして気分を切り替えて、計測に臨むしかなかった。
298 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/25(月) 21:50:40.09 ID:ZW.W9Igo
いいねいいね
299 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/25(月) 22:05:12.22 ID:Mg/qFwDO
きた
300 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/25(月) 23:41:26.71 ID:WBSYAkAO
ウオオオォォォーーーッ!!!!
301 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 10:45:29.79 ID:Vq6VfTI0
きてた
302 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/30(土) 08:33:33.96 ID:7UuNNUAO
そして誰もいなくなった
303 : ◆rAO2k7ggBQ :2010/10/31(日) 03:35:57.03 ID:W/ByGoc0
今朝降った雨は既に止んでいる。
午前11時の計測の時間が迫るに連れ、天候は徐々に回復しつつあった。


ここは新潟県北部、日本海に面したとあるビーチ。
海岸から海へ真っ直ぐに突き出た長さ50メートル程の突堤の上には、
釣り人でも漁師でもなく、競泳水着を着た 常盤台中学水泳部のメンバーが
等間隔に整列している。横一列に、全体として4列だ。


彼女達の視界のおよそ100メートル先には、
いま彼女達が立っているものと同じような突堤が見えている。
そこには、タイムを計測するためにストップウォッチを持った
メンバーたちがいる。人数の比率から考えて、一人当たり3人のタイムを担当することになるだろうから、あまり正確な数字は望めないようだ。
・・・と思いきや、ストップウォッチの画面をよく見ると、タイムを表示する枠が
5つある。ということは、一度に最大5人分のタイムを計測できるものらしい。


砂浜では、三日前に突如として学園都市からやって来た能力者を
初めて実際に見た海水浴客たちによって、ギャラリーが出来ている。


そのギャラリーの中に一人、砂浜に突き立てたパラソルの陰のもと、
不満そうな表情をした少女がいた。
広い額を手にした扇子で扇ぐ少女は、2日目の練習の際に、すでに計測を無条件でパスして特別に選抜メンバーとして内定した婚后光子だった。

監督いわく「お前が泳ぐと、余計すぎるくらい余計に水しぶきが立って、
他人の泳ぎを妨害する。単なる練習ならまだ良いが、計測の時にそれをやられて、
他のメンバーにタイムに支障が出たらたまったもんじゃない。
最終日くらい、大人しくしてなさい。」とのことだった。
304 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/10/31(日) 03:36:57.95 ID:W/ByGoc0
婚后「(私が誰よりもいち早く選抜メンバーとして選ばれるのは当然として、
計測すらさせないとは、一体どういうことなのかしら。
この私の芸術的としか言いようがないダイナミックかつエレガントな泳ぎを
ここにいるギャラリーの皆さんに見せられないのは、何だかすごく勿体ない気がいたしますわ・・)」


婚后にとっては、一人だけ選ばれたメンバーとして高みの見物を決め込む魅力より、
人が集まっている場で注目を浴びるチャンスを奪われることのほうが
大きな問題のようだった。

そんな一人ポツンと佇む婚后を尻目に、


「ピイイイイイイイイイイイイイ!!!!」

と、監督のスタートの笛の音の合図とともに、
いま、メンバーが一斉に突堤から海に向かって飛び込んだ。


飛び込みの姿勢から着水するまでは普通の水泳選手と何ら変わらないが、
能力を全開で使用する者たちの泳ぎは恐ろしく速い。

飛び込みの勢いを維持したまま、自分の作り出した水流に乗って、まるで
氷の上を滑るような滑らかな泳ぎで直進する。

一見、まったく自然に泳いでいるように見えるが、
いま泳いでいる海と、ふだん彼女達が練習しているプールとで
大きく条件が違うところは、自分が作り出す水流とは別に、
「波」という水流をコントロールしなければならないところだった。

最初は覚束なかったものの、彼女達はこの合宿で、波が発生する海で泳ぐ練習を積み重ね、
合宿三日目の最終日にして、見事に波の流れを克服していた。
305 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/10/31(日) 03:38:12.03 ID:W/ByGoc0
第一陣が向こう側の突堤まで辿りつきゴールした後、
すぐさま合図とともに第二陣がスタートする。


第四陣、つまり最後尾となるメンバーの中には、湾内、泡沫の二人がいた。

ただし二人は隣合わせではなく、ちょうど列の両端の位置にいた。


湾内は突堤の根元付近、すなわちもっとも海岸に近い位置からのスタート。
泡沫は突堤の先端付近、すなわちもっとも沖合方向からのスタートである。


いま、第三陣がスタートした。
おそらくあと僅か30秒後には、第三陣がゴールして第四陣のスタートとなるだろう。

湾内、泡沫は、スタート地点に立つ。


湾内「(とうとう、ずっと今までの気持ちを引きずったまま計測を迎えちゃったな・・・
あ。・・・やっぱり婚后さん見てる。
泡浮さんとも一緒だし、結局、こうするしかないのかな・・・・)」


天候は回復しても、湾内の心境は晴れなかった。
スタートの直前となって、湾内は何か諦めに似たことを考えているようだった。
306 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/10/31(日) 03:39:26.10 ID:W/ByGoc0
一方、湾内からは見えない位置にいるが、

泡浮の表情は引き締まっていて、ゴールの一点のみ見据えている。
その態度からは、何かに対する強い決意が感じ取れる。


ちょうど両極端のスタート位置にいる二人は、その心の様相も正反対のようだった。


じりじりと照りつける太陽に、湾内は目を窄めてより悲壮な表情になり、
泡沫は目を窄めてより一層目つきが険しくなる。




「ピイイイイイイイイイイイイイイ!!!!」




最後の笛の音が鳴った。
最後尾のグループが一斉にスタートする。

横一線に並んだが、やがて端の一人が徐々に前に出てくる。
307 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/10/31(日) 03:40:27.14 ID:W/ByGoc0
泡浮「(婚后さんが見てるんだから、絶対、負けられない!
ここで私が優秀だっていうことを、アピールするんだ!)」


激しい水飛沫こそなく、見ている者にはとても静かな戦いに見えるが、
一緒に泳いでいる者同士は、水中では水流を操作する凄まじい音が聞こえる。


先頭の者は自分の音だけが聞こえるので比較的うるさくはないが、
後続に連れて前で泳ぐ人の音を耳が拾ってしまうため、
大きな音とともにかなりのプレッシャーとなる。


先頭をキープし、沖合側の端の選手が3メートル程後続をリードしたところで、
その反対側の、海岸側の端の選手が徐々に失速してきた。



湾内「(ああ・・・泡浮さん、やっぱりすごいやる気だな。
婚后さん、見てるもんね・・・。

・・・婚后さんが見てるって言う事は、ここで私が泡浮さんに負けて、
皆にも負けてビリになっちゃえば、婚后さんもきっと私に興味を無くして、
派閥の件はなかったことにしてくれるはず・・・)」
308 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/10/31(日) 03:45:58.78 ID:W/ByGoc0
湾内は一人、明らかに遅れを取り、前の者との距離を引き離されていく。

先頭集団からは、すでに10メートル近く開きが出てしまっている。
これではタイムを見るまでもなく、選抜メンバーに選ばれないどころか、
ダントツで最下位の成績を残してしまうことになるだろう。


つまり、湾内は自ら誇りを捨て、
婚后に見限られるという方法で、派閥に入ることから回避する道を選んだ。


湾内「(婚后さんにも、泡沫さんにもウソをついているみたいで
本当は嫌だけど・・・こうするのが一番、確実なはず。

試合に出られないのは悔しいけど、無意味に派閥に入って、
ぐちゃぐちゃな世界に巻き込まれるのはもっと嫌。

後で泡沫さんや他のメンバーに何を言われたって、言い訳なんてしない。
これが私の選択なんだから。
私はこの程度の実力なんです。って、ちゃんと認めて、そう振舞わなくちゃ。

ほとぼりが冷めるまで。)」


グングンと距離を引き離され、一人完全に取り残された湾内は、
もはや先頭集団の水流操作の音すら聞こえない。



先頭の泡沫と、最後尾の湾内との距離の差は約30メートルにも達している。
そして先頭で泳ぐ泡沫が、ゴールの10メートル程手前まで差しかかる。

もちろん泡浮は自分の泳ぎに夢中で、湾内がこれほどの遅れを取って最後尾にいることなど気がつかない。







その時だった。
309 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/31(日) 10:19:02.80 ID:f3MCgX6o
今日はここまで?
乙です
310 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/11/04(木) 04:59:52.75 ID:nBl7y3E0
その時だった。



最初に気が付いたのは、
ゴール先の突堤で、タイムを計測する生徒のうちの一人だった。


こちらに真っ直ぐ向かってくるはずの選手たちが全員、突如として




・・・・・・・・・・      ・・・・・・・・・
何かに押されるように不自然に、横へと進路がブレる。



続いて泳いでいる選手たちが違和感を察知して、
強い波が来たのか、と思って
波の水流を自分の身体の外側へ向かうよう、水流操作の能力を調節する。



しかし。
311 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/11/04(木) 05:01:08.14 ID:nBl7y3E0
徐々に演算を強くしても、水流の勢いは止まらない。


自分が今乗っている水流を解除して、
全演算能力を波の対応に集中させても、進路が回復する様子がない。


まるで横から、見えない何かに引っ張られている。凄まじい力で引き込まれる。
能力を使っても逃げられない。水中でのコントロールを完全に奪われてしまっている。
抵抗が無駄だと理解して、やがて真っ白になってゆく頭の中、




「津波。」




沖合へと流されるままの選手たちのうち、数人の脳裏を過ったのはその二文字だった。
312 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/11/04(木) 05:02:20.66 ID:nBl7y3E0
最後尾で泳ぐ湾内も、先頭集団よりやや遅れて、気がついた。


湾内「(・・・・・!?
なに!?・・これっ・・・!?

まずい・・・・!!! これは普通の大きさの波じゃない!!
この波が引く速度・・・・!!

こんなのに巻き込まれたら、きっと無事じゃ済まされない!!)」


異変を感じ取るまでは、まだ冷静でいられた。
しかし自らが置かれた状況を推測した途端、湾内の体温が一気に凍りつく。


先頭集団はもう気づいているだろうか。
気づいていたとしたら、どう対処しようとしているのだろうか。


もはや思考を放棄し、まともに前へ進むこともままならない状況のなか、
必死に手足を動かし、とにかく先頭集団へと近づこうとする。


たった一人、最後尾に残された不安だけが増大してゆく。


湾内はパニック状態に陥りかけていた。
313 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/11/04(木) 05:04:09.09 ID:nBl7y3E0
何やら選手たちが溺れているような様子を見て、
奥行きが分かりづらい横からの視点となる、海岸から眺めていたギャラリーたちも
最後にようやく異変に気がつく。



その場にいるほぼ全員が異変に気づいた時には、
今何が起こっているのか、既にその原因を特定できる者たちもいた。
ただし、「泳いでいる選手たちを除いて。」




湾内は一度パニック状態に陥りかけたが、先頭にいる泡浮が視界に入り、
突堤まで眼と鼻の先と距離にあり、まだ完全に
沖合に流されていない事を確認すると、幾分か不安が和らいだ。
ここで冷静に、今何をすべきかを考え直す。



湾内「(良かった・・・・!!
泡浮さん、一番沖合に近いコースだったけど、
泡浮さんが突堤よりも向こう側に流されてないってことは、
まだ皆沖には流されてないはず!!

それに、泡浮さん、あとちょっとで、突堤に上がれる!


私は、どうすべきか・・・・
やっぱり、津波・・・!! きっと津波が来る!!
とにかく、完全に波が引く前に陸に上がらないと!!!

・・・・・だめ!!

私の位置からでは、陸は突堤よりも海岸の方が近いけど、
「引く波」、つまり海岸の方から強い波が来てる。
これに真正面から向かったって、いつまで経っても海岸には辿りつけない・・・!!

・・・だったら、やっぱり突堤に向かうしかない!!)」
314 : ◆rAO2k7ggBQ [sage]:2010/11/04(木) 05:07:02.28 ID:nBl7y3E0
湾内の判断は概ね間違ってはいない。
近いからと言って海岸を目指そうと、
引く波に対して、真っ向から立ち向かうのは得策ではない。


多少沖合へ流されながらでも、
まだ突堤を目指して、前へと進むことができる方向に向かって
泳いだほうが助かる望みはある。

        
           
しかし。             
最も根本的かつ最大の判断ミスは、


「これが津波ではない」事だった。



このような追い詰められた事態では無理があるかもしれないが、
もっと冷静になり、注意深く状況を見渡していれば、


「なぜ泡浮は、突堤の間近に接近しながらも、それ以上突堤に近づこうとしないのか」
といった事や、

「なぜ突堤の上の計測の人達は、海に入って泡浮を助けないのか」
といった事にも気がつけた。


確かに自分が波に流されるリスクを冒してまで他人を助けるかどうかというと
難しい問題だが、今の泡沫と突堤の上の計測係との距離ならば、
計測係は直接海に飛び込まなくとも、突堤の縁に掴りながら海に入り、
二人が互いに手を伸ばせば届く程度のものだった。


もっと簡単な事としては、
たったの一度でも
自分が今流されている沖の方向に目を向けていれば、
海中に潜む大きな渦による、海面の「盛り上がり」が確認できないことにも
気がついたはずだった。



そしてそのミスによって命取りとなるのは、

「彼女自身に対してではなかった。」
315 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/05(金) 07:18:58.93 ID:FXBS0JIo
期待してます
316 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/05(金) 17:55:15.66 ID:U9Nek7A0
317 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/11/07(日) 17:43:27.46 ID:HwcDsKI0
見てるぞー
318 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/20(土) 22:49:51.23 ID:ycQb9wAO
俺は最初からずっと居るぜ
319 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/28(日) 01:28:27.28 ID:Ae77QpI0
まだいけるよな?
320 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/06(月) 01:15:36.17 ID:R/RRD0co
待っています
321 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 03:45:00.31 ID:TeP00pAo
もう書かないのか?
322 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/22(水) 17:38:25.35 ID:0mjUDADO
323 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! :2011/01/03(月) 11:47:25.04 ID:pEcVQes0
324 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/03(月) 12:53:55.30 ID:SYIy0yMo
325 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! :2011/01/03(月) 14:34:01.98 ID:WzESAN60
>>229からの「過去話」って本編に関係あるとは思えないんだけどな。
告白から先の展開が思いつかないからどうでもいい話書いて時間稼ぎしてる
だけなんじゃないの?
326 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/05(水) 11:25:15.02 ID:pjq0bMA0
>>325
>>39で触れたトラウマの話じゃないの?
327 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/16(日) 04:29:55.51 ID:w/nOdKHr0
画面の前でおとなしく正座で待つとしよう
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

328 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/24(月) 12:21:33.48 ID:aWFDNzNAO
VIPでやってた頃からずっと期待してる俺の存在も忘れないでくれ。
329 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage ]:2011/02/02(水) 19:12:46.94 ID:VgIVxQef0
まだ待ってるぜ!
330 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 18:49:50.38 ID:v8em7Uvoo
me too
331 :lain. [sage]:2011/02/20(日) 09:50:46.30 ID:???
SS・やる夫系スレッドは、SS速報VIP【http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/】へ移転することになりました。
それに伴いこちらのスレッドをHTML化させて頂きます。
スレッドを立て直す際はSS速報VIPへお願いします。
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