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【俺妹SS】俺と妹が夫婦なわけがない! - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆NAZC84MvIo :2011/03/20(日) 22:33:05.12 ID:9EuWkLzF0
俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.8
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298976928/
から派生スレしたスレです

※義兄妹ネタSSが投下された後、以下のやり取りで発生

617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sagee]:2011/03/17(木) 09:40:28.74 ID:z67N0FC70
この話大介さんに死亡フラグがたってね?

621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/17(木) 13:46:51.50 ID:nCMFEvxi0
>>617
そして京介を高坂家にとどめる口実として
きりりんが自分と京介の婚姻届を出すわけですねわかります

624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/17(木) 16:29:01.53 ID:JYkHs3RSO
>>621
それちょっと見てみたいけど,大介さんに死んで欲しくはないな…
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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/20(日) 22:34:28.16 ID:N3zl5Rj6o













                   ∩  ∩
                   | | | |
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                  / 一 ー \
                 /  (・) (・)  |
                 |    ○     |
                 \__  ─  __ノ 









      
3 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/20(日) 22:34:52.12 ID:9EuWkLzF0
俺、高坂京介は混乱している
大学進学を決めて、ようやく大学生活に慣れたという頃に
両親が、否、今まで俺を育ててくれた夫婦が突然交通事故で亡くなった

葬儀屋、親戚、親父の同僚などに連絡をして葬儀を済ませたら
今度は悲しむ暇も無く相続だの後見人だのといった話が出て来て
さらにその中で俺が実の子じゃないという事実まで飛び出してくるんだから
頭の中はまさに混乱のキワミだ
それは16才になったばかりの妹(と思っていた)桐乃もそうだろう

「えーと、それでつまりどういうことなんでしょうか?」
役所の人や司法書士さん、遠い親戚といった人達から色々話や
これからとり得る進路などを言われてもイマイチ頭に入ってこない
「あ、あたしはそんなの絶対イヤ!!」
桐乃は何か激しく怒鳴っている
後見人とか財産管理だとか相続だとかそういうややこしい話がぽんぽん飛び出してきてんのに
お前は理解できたのか?やっぱすげぇな桐乃は・・・
「ようするに兄貴にはこの家を出て行ってもらうってことでしょ!?そんなの認められない!!」
――え?そんな話も出てたの?
親戚の人と司法書士さんが実子でないことがどうのとか相続権が云々とか言ってたが

「もういい!!それならアタシが兄貴と結婚する!!夫婦なら家族なんだから問題ないでしょ!?」
「は?」

その後もやいのやいのと話し合いが続いていたが俺の頭の中は
いや、俺たち兄妹の頭の中は両親の死で大混乱だったんだろう
うん、きっとそうだ―――
4 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/20(日) 22:37:39.06 ID:9EuWkLzF0
「そ、それじゃあ桐乃ちゃんと夫婦になっちゃったの!?」
「ああ、もうほんと最近混乱しっぱなしだぜ・・・
 ――麻奈実は俺が養子だって知ってたのか?」
「ううん。おじいちゃんとかお母さんとかは知ってたんだとおもうけど・・・」
「ま、俺が知らなかったんだから当然だよな――」

大学の学食で幼馴染の田村麻奈実と昼食をとりながら、報告をする。
普段はサークルのメンバーとかとも一緒なんだが、
さすがに付き合いの浅い連中の前でこういう話をするのには抵抗がある。
かといって外で二人で会うのも“恋人”に悪いからな。
いくら幼馴染で友人とはいえ、女性と二人きりで食事をするなんて、
恋人からしたら許せない行為だろう。
もっとも、さらに許せないようなことをしてしまったわけだが・・・

「そ、それでこれからどうするの?」
「どうするもこうするも今は先のことなんて想像つかねーよ、
 まあ、今までの生活を続ける為の方法だったことには間違い無いしな。」
「そ、そうなの?」

住む場所や財産相続、管理、さらには様々な手続きに至るまで、
未成年の俺たち兄妹の意思で決める為には
実状などとは無縁の書類上の資格が必要だったのだ。
家族であることや、後見人を必要としない成人であること等がそれだ。
実年齢が二十歳に達していなくても、結婚すれば民法上成人として扱ってもらえる。

「そ、そっか、そうなんだ・・・」
「ただ、まあ俺も桐乃も大人になったらそれぞれ一人立ちしなけりゃならないから
 その時には―――離婚ってことに・・・なるかな?」

声に出して言うとそのあまりの内容に顔が引きつっていくのが自分でもわかる。
まだ結婚した実感すら無いというのに(あってたまるか!)
離婚する時のことを考えねばならんとは何の冗談だ。

あの事故で、今までの俺の平和な日常は壊された
どんなに嘆いてもその事実は変わらない

――だが全てを無くしたわけじゃない

心配してくれる友人や幼馴染、―――それに恋人
両親の知人に至るまで俺たちをバックアップしてくれる人達がいる
悲しみを分かち合い、共に生きていく“家族”も――

「ま、なるようにしかならんさ」
仮に実の兄妹だったとしても
アイツが成人するまでは俺が守らなきゃならなかったことに変わりはない

「今はアイツの前向きさを見習ってみるよ、
 やり方はしっちゃかめっちゃかだけどな。」

そして、俺は“妻”の待つ家へと向かうのだ――
5 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/20(日) 22:38:15.54 ID:9EuWkLzF0
「――それで?話というのはなんなのかしら?」

こえぇぇええーーーー!!!!

今、俺の目の前にいる俺の恋人、黒猫(本名、五更 瑠璃)は怒っている。
口調こそ丁寧なものの、その態度から強烈な怒りのオーラを感じ取る事が出来る。
いまコイツが
「私は夜魔の女王(クイーン・オブ・ナイトメア)・・・」
とか言い出したら信じてしまいそうだ。
だが、この様子からすると―

「ひょっとして・・・もう知ってるのか?」
「・・・ええ。あなたの“奥さん”から聞いたわ」

地の底から響くような声で、しかもはっきりと“奥さん”・・・だと・・・?
「す、すまん!!お前が怒る気持ちもよくわかるがこれには深い訳が・・・」
「言ってごらんなさい。理由次第では許してあげなくも無いわ」

それから俺は必死で言い訳をした。
あの混乱の中で出来うる限り、家を、「家族」を守る為にしたことであり、
瑠璃への愛情が無くなったりしたわけでもない。
さらに情けない言い訳をするなら、
もっと良い方法があったかもしれないが、あの時の俺は頭が正常に働いてなかった、と。
出来うる限り黒猫の怒りを静めようとあれやこれやと説明した。


「―――で?」
はいダメでした。
何でだ?俺このまま振られちゃうの?グスン

「あなたは私がなぜ怒っているかという事すら理解していないようね」
「・・・何の、ことでしょう・・・?」
「事情はもう一人の当事者から既に聞いて知っているわ。
 あなたが今述べたような理由も聞いている。」
「じゃ、じゃあなんで・・・」
「何故?何故ですって!?それはこっちのセリフよ!!」

何でだ?なぜ黒猫はこんなに怒ってるんだ?
 、、、、、、、、、、、、、、、、
「私はあなたの恋人でしょう!?
 それなのに何故私は今更になってそんな話をあなたから聞かされてるの!?」
「――あっ・・・!」

バカだ俺は。
そうだよ事故の話はとっくにコイツにも伝わってるし、両親のことも知っている。
俺と同じくらい――いや、ヘタすると俺以上に悲しんで
俺たちのことを心配してくれていたに違いない。―――なのに

「すまん・・・」
「謝らないで、これは私の我侭よ。
 あなたに何かあった時、私をもっと頼って欲しい。ただ、それだけなの。」

俺はコイツに余計な心配をかけたくなかったから、弱音や愚痴を吐くことを避けるため
落ち着くまではと思い連絡をほとんどしてなかった。
それが余計コイツを悲しませることになるなんて、
一年近くも付き合っておきながらなにやってんだ俺はよ!

「お願い、辛いなら辛いと言って。悲しいなら悲しいと言って。
 こんな時に助けを求める事は、悪い事ではないはずよ」
「そうだな・・・ありがとう」

そっと抱き寄せて感謝の言葉を述べる。
でもやっぱ泣き顔なんて見せたくねーよ

「あなたも・・・あなたの妹も強がり過ぎよ」
「うん」
「恋人と親友が両親を亡くしたって言うのに、心配しないはずが無いでしょう?」
「そうだな」
「力になりたい、そう思っているのよ、私も沙織も・・・」
「うん」
「きっとあなたやあなたの妹の友人だって・・・」
「うん」

恋人の優しい言葉を聴きながら俺はあの日以来初めての涙を流し続けた・・・
6 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/20(日) 22:40:00.53 ID:9EuWkLzF0
「―――――そうか、ありがとう」
『なんの!拙者と京介氏の仲ではござりませぬか。礼には及ばぬというものです』

今、俺が電話で話している相手は沙織・バジーナと名乗る妹の友人だ。
本名は槇島沙織といって、かなりいいとこのお嬢様でもある。
妹がオタクの友達が欲しいと思い立って参加したコミュニティ
「おたくっ娘あつまれー」の管理人であり、今では俺の大事な友人の一人だ。
妹のオタク友達としてずっと付き合って来たので、沙織の素顔を見たときには皆仰天したもんだが、
今は沙織のその素顔の部分に救われているところが多々ある。

「いや、本当に助かるよ。相談できる専門家がいるってだけで相当心強い」
そうなのだ――
今、俺たち兄妹は普通だったら経験しないような事もやらねばならない状況にある。
保険の契約などを筆頭に、諸々の財産管理などは、はっきり言って荷が重い。
そもそも困った時誰に相談すればいいのかもわからない状態だった。

『ええ、彼は場数を踏んでいますから頼りになりますぞ』
「ははは、それもそうだけど、信頼できるっていうのが何より有難い」
沙織は俺たちを大切に思ってくれている。これは自惚れじゃ無く事実だと胸を張って言える。
そしてその沙織が信頼できる人物、特にそういう事に詳しい人物を、
そのお嬢様としての人間関係の中から紹介してもらったのだ。

「ま、出来るだけ自力で頑張ってみるけどな」
『無理や過信は禁物ですぞ』
「わかってるよ」
『そうでござるか?』
「?――何の話だよ?」
『一人で全部背負い込もうとするのは、京介氏の美点でもありますが
 恋人にすら何も話さずにいるというのは――』
「まてまてまて!!」
こいつ一体どこまで知ってるんだ?
まさか黒猫に泣きついた話まで知ってるんじゃないだろうな?

『黒猫氏が言っておられましたよ?
 彼からではなく、彼の“奥様”から事情を聞かされた、と』

ああ、そういうことね
桐乃は俺より先にこんな事になってしまった経緯を黒猫に説明したんだ。
ま、あの二人は親友同士だからそんなことをしても不思議じゃない。
問題は、俺が黒猫に報告するのが遅かったことだ。
よくよく考えれば沙織よりも遅かったんだから愚痴る気持ちも湧くだろうな・・・

「その件は非常に反省してるから“奥様”だなんてからかうなよ・・・」
『事実ではありませぬか』
「違わねーケド違えーよ!!」

わけわからんと思うだろ?俺だってわかんねーもん
ま、さっくり説明すると俺はつい最近妹と結婚したんだよ。
余計わかんなくなりそうな説明だが気にするな!

『言わんとすることは伝わりますが、
 出来ればもう少し真剣に考えていただきとうござりまする。
 ―――おそらくきりりん氏の心中は京介氏の比ではないほどに
 混乱されていると思われますし・・』
「・・・」
『京介氏はこういう時自分の事は後回しにしてでも周りの人のことを気にかけるお方ですので、
 逆にあまり心配はしておりませぬ。
 それよりも黒猫氏ときりりん氏のお気持ちを想像すると居ても立ってもおられないのですよ』

「―――――そうだな」
『ざっくりいうと京介氏は今、不倫をしているわけですし』
「おい!!」
『黒猫氏にさせているとも言えます』
「―――!!」

『・・・・・拙者の頼みはひとつだけでござりまする』
「なんだよ」
『拙者の大事な友人たちを悲しませたりしたら承知しませぬよ?』
「わかってるよ、俺だってサークルクラッシャーなんて呼ばれたくないしな」
『それを聞けて安心しました、では!』

電話を切ったあと俺は宙を見つめながら、
今、自分の置かれてる現状のややこしさにあらためて困惑していた。

「人生相談・・・俺は誰にすりゃいいんだ?」

誰に、というわけでもなく尋ねてみるのだった―――
7 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/03/20(日) 22:41:45.73 ID:9EuWkLzF0
「えーと、牛乳と豆腐と・・・あ、麦茶もだな」
俺は今近所のスーパーで買い物をしている。
何故なら今日の食事当番である妻からメールで頼まれたからだ。

本文:豆腐と牛乳が切れてるんだけど、どういうこと?

どういうことなんだろうねー、はっはっはー

こんなメールが来たら買い物してから帰る以外に選択肢は無いだろ?
ちょっと尊大な態度も眉目秀麗でスタイル抜群の若妻なら許せるだろ?
料理はまだまだ俺の方が上手いくらいなのが珠に瑕だが、
頑張り屋の妻のことだ、すぐに上達するだろう。

「ただいまー」
ドアを開けると玄関にはエプロンをつけておたまを持った妻が立っていた。

「遅い!!」
そう言うなりすぐさまスーパーの袋を俺からふんだくる。

「悪かったよ、ちょっと用事があってさ」
「まさか浮気してるんじゃないでしょうね?」
「何でそうなるっ!?」

妻はカバンからはみ出した和菓子の箱を睨みつける。

「それ、田村屋のお菓子じゃん。地味子のところに行ってたんでしょ?」
「ただ買い物しただけだっつーの!大体この時間はアイツは店にいねーよ!!」
「へ〜、詳しいのね」
「そりゃご近所さんで友人だからな、知っててもおかしかねーだろ」
「ふ〜ん、ま、イイケド?
 ご飯はもうすぐ出来るからさっさと着替えておりてきなさいよね!」
「わーったよ」

やれやれ・・・
麻奈実の影が見えるとすぐ不機嫌になるのはどうにかならんもんかね?

「「いただきます」」

夕飯は絶賛するほど美味しいというわけではないが、中々の出来だと言って良いだろう。
最近、料理の本が頻繁に移動しているのは使っている証拠か。

「美味いじゃん」
「当たり前でしょ」

ぐ・・・ここは「ホント?嬉しい!」とか言って笑顔を見せる場面だろ?
マジで結婚しても以前と態度がかわらねーな!

「ご馳走さま、片付けは俺がやっとくわ」
「ほんと?それじゃあたし先にお風呂入るね」
「おう」
「のぞいたらコロすから」
「のぞかねーよ!!!」
「言っとくけど夫婦間でも強姦罪は成立するんだからね」
「だからしねーって!」
「どうだか?アンタシスコンだし」
「もういいからさっさと入って来い!」

桐乃をリビングから追い出して片付けを始める。
今までこんな家事なんてしたことも無かったが、今や家族は俺と桐乃の二人だけだ。
掃除、洗濯、炊事、買出しと二人で手分けして、あるいは協力してやる以外にない。
家事代行のサービスというものもある世の中だが、よく知らない人間を家に上げたくない。
これは桐乃の強い要望でもあった。

「ま、そりゃそうだ」
桐乃には、学校の友人どころか家族にも秘密にしていた「オタク趣味」がある。
ちょっとした弾みで俺の知るところとなり、その後親からも黙認という形になった。
オタクの友達も出来て、以前よりその趣味はオープンになったともいえるが、
やはり秘密にしておきたい気持ちもまだあるだろう。

「そのせいかな・・・」
両親が不慮の事故で唐突にこの世を去った時、親戚の人の世話になる選択肢もあった。
だが桐乃はそれを頑なに拒んだ――俺と結婚するという荒業を用いてまで。
その甲斐があって俺たちは今まで通り「家族」として一緒に暮らす事が出来ている。
それ自体に不満なんて無い。だけど・・・

「いつまでなんだろうな・・・」

独り言が増えたのは寂しいからじゃない。これは悩み事が増えたせいだ―――
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/03/21(月) 00:41:46.96 ID:uNXOKbiao
養子縁組に入ったら相続権はあるんじゃなかったっけ
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/03/21(月) 01:09:16.31 ID:jyC4azD6o
養子縁組は、市町村役場に「養子縁組届」を届け出て行い、
養子になった者は、民法上縁組の日から養親の嫡出子として身分を取得し、
実子と全く差がない養親の相続権をもつことになります。

養親の相続権を持ったからと言って、実親の相続権はなくなりません。
養子は養親と実親との両方の相続権を持つことになります。この養子の相続権は、養子が養親と別居しても、
養子が結婚して姓が変わっても何ら影響を受けることはありません。但し、養子を法定相続人に含めることが、
「相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる」と、養子は基礎控除額算定の際に算入される法定相続人としては認められませんので、
「相続税額を軽減するためだけの目的で養子縁組した」とみなされないよう、養子縁組した理由を説明できるようにしておく必要があります。

ググってみたけどあるみたいだね
まあSSだし気にしなくてokだろ
10 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/03/21(月) 15:44:39.64 ID:i0ejkdIE0
俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.8でも書いたが
そもそも>>3はその場の勢いで書いたんで、そのへんはあんまり気にしないでくれるとありがたい
11 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/03/21(月) 15:45:11.53 ID:i0ejkdIE0
本文:いつもの公園で待ってます

勘のいい奴じゃなくてもわかるだろ?これはあやせからのメールだ。
新垣あやせ――妹の表の親友だ。と言っても桐乃のオタク趣味の事はもう知ってる。
ああいう趣味を毛嫌いするあやせが桐乃の趣味を知ったときは大変だったが、
二人の友情は壊れることなく続いているし、常に桐乃のことを気遣ってくれるいい友人だ。
だからこれは桐乃のことで相談があるってことで間違いない。

「で、今日は何があったんだ?」
公園についてさっそく話を切り出すと虹彩の消えた瞳で恐ろしい事を言い出しやがった。

「わたし、桐乃に手を出したらぶち殺しますよって言ってましたよね?」
まてまてまて!!その手に持ってるものはなんだ!?
「おお、お、落ち着け!一体何の話だ!?」
「とぼけないで下さい!!
 桐乃のご両親にあんな事があって、お兄さんと二人暮ししているってだけでも心配なのに、
 よ、よりによって こ、こ、婚姻届を出したって・・・何を考えてるんですか!!?」
「え?あれ?その事を何で今更・・・?桐乃から聞いてなかったのか?」
そう尋ねると急に沈み込んだ様子で動きが止まった。

あやせと桐乃は親友だ。
裏の親友とも言える黒猫に話してたんだから当然知っていると思っていたが・・・

「お姉さんから聞いたんです。桐乃には――、桐乃からはまだ何も・・・」
これは意外だ。てっきりあやせには話をしてあると思っていた。それは麻奈実もだろう。
麻奈実はあやせとそれなりに付き合いがあるし、あやせが桐乃の親友という事も知っている。
だから当然知っているものと思って俺から聞いた話をしたんだろう。

「なあ、本当に桐乃からは何も聞いてなかったのか?
 その・・・俺達が実の兄妹じゃなかったってことも?」
「・・・・・はい」
力なくうなだれる様子に俺はこの前の黒猫のことを思い出した。

「そうか・・・そりゃ腹立つよな。」
「わ、わたしは怒ってなんかいません!!
 ただ、桐乃がわたしに何も話してくれなかったのが・・・」

わかる、今の俺ならわかるよ。大切な人の力になれない、頼ってもらえない歯痒さは、
この前黒猫が俺にぶつけてきた気持ちそのものじゃねーか。やっぱりいい友達だよあやせは。

「なあ、学校での桐乃の様子はどうなんだ?」
「―――怖いくらいいつも通りなんです。部活で以前より時間をかけられなくなったからって、
 代表を辞退したことがあるくらいで、他は何も・・・」
「そうか・・・」
「お家ではどうなんですか?」
「何も。それこそ以前とほとんど変わらねーで俺に悪態ついたりしてるぜ。
 強いて言うなら二人で家事を分担してやるようになったくらいだな。」
「―――お兄さんも凄く落ち着いてますよね?どうしてそんな平静でいられるんですか?」
「どうしてって言われてもな・・・」

人間ってキャパ以上のことが起きると逆に冷静になったりするんじゃねーかな。
パニックになるだけじゃ何も解決しないし、平静を維持するのは間違いじゃないだろ。
きっと桐乃も努めて平静に、出来るだけ以前と同じように暮らせるようにしてるんだと思う。

「本当にそうなんでしょうか?」
「・・・・・わからん」

そう言えば俺には黒猫と言う感情を吐露できる相手がいた。
桐乃の友人は多いが、全てをさらけ出せるような気の置けない友人はいるのだろうか?
俺の知る限り桐乃の一番の親友であるあやせにさえ話していなかったなんて・・・

ふと、この前沙織が言っていた言葉が頭をよぎる
―おそらくきりりん氏の心中は京介氏の比ではないほどに混乱されていると思われますし―

「桐乃には俺から言っておくよ、あやせが心配してたって。」
「―――はい。」
「学校での桐乃を頼む。あいつは素直じゃないところがあるからな」
「お兄さんに言われなくたってわかってます!」
「ははは、頼もしいな。それじゃ何かあったら教えてくれ――」

言うが早いか俺は家へと向かい始めた。
自然と足は早足になる。

心配するのは当然だろ!?
血が繋がっていなくたって、俺はアイツの兄貴なんだよ――
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/22(火) 05:08:39.43 ID:y82sNc7d0
初めてですよ……

私をこんなにwktkさせた>>1さんは……
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/22(火) 07:19:05.22 ID:kuVnvd0/0
まだここまでだったか・・・
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/22(火) 08:39:10.23 ID:iXZdTctco
複数ルートを期待しても良いのだろう?
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/22(火) 11:49:26.43 ID:EkvzDfKt0
SS初心者に複数ルートとか過度な期待は禁物です
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/22(火) 11:49:26.60 ID:EkvzDfKt0
SS初心者に複数ルートとか過度な期待は禁物です
17 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/22(火) 11:50:10.83 ID:EkvzDfKt0
「本当にいいんだな?後悔しないか?」
これが最後通牒だと言わんばかりに語尾を強めて確認する。
――コクリ、とゆっくり、しかしはっきりと頷く。
「じゃあ、もう遠慮はしねぇ」
俺は自分の欲望を隠すことなくそのままぶちまけた――

「―――ごちそうさま」
人間の三大欲求の1つが完璧に満たされた瞬間だった。

「食いすぎだ、お前は!!」
今、俺の目の前で怒鳴っている男は赤城浩平――同級生の友人だ。
今日はバイトの帰り、珍しく奢ってくれると言うのでありがたくその申し出に乗った。

「ふん、男に二言は無いんだろう?
 大体この店でどんだけ頼んだって、たかが知れてるだろうが」
味よりもまず値段が売りの大衆居酒屋チェーン店だ、遠慮はしない。
だがこいつがこういう気遣いをしてくれるなんて珍しいっちゃ珍しい。
一体どういう風の吹き回しだ?

「お前とメシ食いに来たのも久しぶりだよな」
「そりゃそうだ。最近はほとんど家で食うようにしてるからな」
妹を一人ほったらかして俺だけ外食なんて出来るわけが無いだろ。
そんなことをしたら、自他共に認めるシスコン兄貴のコイツは俺を責めるだろう。
そういう奴だ。――だから俺が誘いに乗ったのは赤城にとっても意外だったらしい。

「今日は妹さんはいいのか?」
「友人の家に泊まりに行くって言ってたからな、大丈夫だ」
今ごろ桐乃はあやせの家にお邪魔してるハズだ。
この前の事もあるし、二人でゆっくり話す事も必要だろう。

「彼女はどうした?あの瑠璃ちゃん・・・だっけ?」
「ぐ、気安く呼ぶんじゃねーよ」
痛いところを突かれてつい棘のある口調になるが、赤城の疑問ももっともだ。
久しぶりに桐乃の心配をしなくて済む日だから、今日は黒猫と会うつもりだった。

「・・・・・なんか用事があるんだとさ、断られた。」
「あらら・・・」
「なんなんだよ?」
「いや、瀬菜ちゃんが心配してたんだよ」
「なんだって?」
瀬菜というのは赤城の妹で、腐女子だが巨乳メガネの可愛い子だ。
それが俺の心配だと?ふっ、モテる男は辛いぜ・・・。

「何か勘違いしてるみたいだが瀬菜ちゃんが心配してたのはお前の彼女の事だ」
「なんだよ、それ」
瀬菜と黒猫は部活の仲間で、共同でゲームを作ったりもした仲だから
気にかけないわけがないんだが、俺への心配はゼロかよ。まあいけど。

「お前あれから彼女と連絡取ったりしてるのか?」
「当たり前じゃねーか」
「そうか?瀬菜ちゃんが言うには彼女相当辛そうだって話だぞ?」
「そうなのか?」
「いや、俺が直接見たわけじゃないからハッキリ言えないけどさ、
 瀬菜ちゃんあの子と結構仲良しだから心配なんだと思う」
「・・・・・・・・・・」

俺と黒猫が付き合い始めたのは去年の夏。
そろそろ一年近く経つが、その間恋人らしい事をした回数は意外と少ない。
俺の受験勉強も理由の1つだが、沙織と桐乃を加えて四人で会うことが多かった。
事故の後はそもそも時間的な余裕が無かったから、ほったらかしにしていたのも事実だが、
公園での一件以来、わりと頻繁に連絡は取り合ってるんだが・・・

ぐいっと残っていた日本酒をあおる。

そもそも黒猫は桐乃の友人でもあるんだから、家に来てくれたっていいはずなのに――

「まあ、大変なのはわかるけどよ。言うべき事はちゃんと言って吐き出した方がいいぜ」
「ああ、そうだけどな・・・」
――だけど何を誰に言えばいいんだ?誰に何を聞けばいいんだ?

「これ以上飲んでも悪酔いしそうだし、そろそろ帰るわ。妹によろしくな」

出来るだけ今まで通りの平和な日常を過ごしたい――
俺も、――アイツもきっとそう思って暮らしてるに違いないはずだ。

だけど新たに露呈した血の繋がりが無いという事実が、
それを蝕んでいるような気がしてきた――
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/23(水) 04:30:33.52 ID:DL6LMqjDO
付き合いだして一年近くじゃ、きょうちゃん達はまだ未成年か。
未成年飲酒、イクナイ。

期待してるぜ。
19 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/03/23(水) 10:27:25.96 ID:sEfHjDp60
高校卒業したら飲む奴飲ませる奴結構居るのでここでは大目に見て下さい

それより公園でやり取りしたのは黒猫じゃなくてあやせだった間違えた/(^o^)\
>この前の一件以来、わりと頻繁に連絡は取り合ってるんだが・・・
に脳内変換してください

京介に絡みそうなメインキャラは一通り出したけど次は誰にしよう・・・
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/23(水) 10:33:33.15 ID:9Opt5nWko
ブリジットを出してもいいんじゃよ?
21 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/23(水) 21:25:48.13 ID:sEfHjDp60
同じことを繰り返しながら違う結果を求めるのは、愚か者のする事だ。と、
どっかの偉い人が言ってた気がする。つまり違う事をしたら違う結果が返ってくるという理屈だ。
ならば、普段では有り得ないような珍しい事があると、さらに珍しい事が引き起こされる――
今の俺はそう言われると信じるかもしれない――

「あれ、ブリジットじゃねーか?」
ブリジットとは桐乃の大好きなアニメ「星くず☆うぃっちメルル」に登場する
アルファ・オメガとそっくりなイギリスの女の子だ。
公式のコスプレ大会で常に上位に入賞するほどで、
それを見込まれ今では本格的にタレント業をしているはずだ。
場所は秋葉原。やってる仕事を考えれば場違いではないが、仕事中って雰囲気じゃない。

「よっ!こんなところで何をやってるんだ?」
「ふぇっ!?どちら様ですか?」
以前、加奈子のマネージャーとして顔をあわせてから二年近く経つかな?
「ああ、覚えてないのも無理ないか。ほら結構前に・・・」
「――彼氏さん?」
「へっ?」
いきなり妙な呼ばれ方をして素っ頓狂な声を出してしまった。どういう意味だ?

「あ!やっぱりそうです!かなかなちゃんのお友達の彼氏さんですね!」
はっと思い出した。そういえば俺はこの子とは、加奈子のマネージャーとして以外に、
桐乃の彼氏として顔を会わせた事があった。――あの偽装デートの時に。

「そ、そうだ!よく覚えてたな、君と違って俺はただの一般人なのに」
「え?エヘヘ///」
なんて可愛らしい仕草で照れるんだ、この子は。思わずぎゅっとしたくなるじゃないか!

「今日はお一人なんですか?彼女さんは?」
「ああ、ちょっと用事があって今日は一人だ。君は?」
「かなかなちゃんに置いて行かれました・・・」
思わずぷっと噴き出してしまう。
ブリジットが加奈子を慕い、加奈子がそれをウザがる構図は変わってないらしい。

「せっかくだし何か食べていくか?」
桐乃にも黒猫にも沙織にさえ疎外されてた俺は、つい目の前の知人を誘ってしまった――


「懐かしいです!」
以前、偽装デートの時に来た店だ。まさかこの子と二人で来るとは夢にも思わなかったな。
まあそれを言うなら、あの三人が揃って俺を置いていく状況も、考えたことは無かったが。

「どうして今日はお一人なんですか?」
「今日は女の子だけで遊びたいんだってさ」
沙織のガンプラが何かのコンテストで大賞をとったお祝いパーティ※ただし女性に限る。
あいつらから聞かされた理由はそれだが、ただの口実だろうな。
実のところ最近桐乃と黒猫の関係がかなりギクシャクしている。
沙織が「大事な友人二人に祝って欲しい」と言って、強引に引き合わせたってワケだ。
「寂しいですね」
「まぁな」
苦笑いを浮かべて素直に肯定する。この子に意地を張っても意味がない――
パフェを頬張りながらチラチラとこちらを見てくる。

「なんだ?何か付いてるのか?」
「あの、お二人はまだ恋人同士なんですか?」
「ん・・・、ちょっと違うかも。―――――実は結婚したんだ」
「えぇえーーーーーーーーーっ!!!?」
「バカ!声が大きいっ!!」
なんで!?いつ!?どうして!?と
興奮冷めやらぬ様子で矢継ぎ早に質問してくるブリジットをなだめながら話をする。

「こんなに早く結婚しちゃうくらいお二人は、その・・あ、愛し合ってたんですか?」
「う〜ん、どうなんだろうな?」
「好きじゃないのに結婚したんですか?」
おいおい、とんでもない聞き方してくるなぁ。

「まぁ・・・、離れたくなかったんだよ」
あのままじゃ俺たち二人はきっと離れ離れになってしまっていた。
ただ、寂しかったのか、心細かったのか――それとも【俺と離れたくなかった】のか。
桐乃の真意は未だにわからない。――でも、それは俺も同じだ。

「まだ、もう少しアイツと一緒に居たかったんだよ・・・」
家族愛?兄妹愛?――大嫌いだったはずのあいつとの暮らしが放し難い理由は――
「俺にも良く分かんないんだけどな」

ちょっと縁遠い第三者の方が本音を話しやすいのは本当みたいだ。
こんな桐乃より年下の女の子に、自分でもよくわからない悩みを言うなんてな。

「でも、わたしはお二人が羨ましいです!」
そう言って見送ってくれたブリジットの笑顔はとても眩しかった。
22 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/23(水) 21:28:54.91 ID:sEfHjDp60
くそ・・・難産ってレベルじゃねーぞ・・・
次は誰だ?お手柔らかに頼む
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/23(水) 21:30:52.72 ID:9Opt5nWko
これは……ブリジットたんマジ天使
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/23(水) 21:39:17.17 ID:X2QEaqw/o
ブリジットの話から連結して加奈子とか
25 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/23(水) 22:07:10.24 ID:sEfHjDp60
>>24
お手柔らかに・・・
お手柔らかに・・・
お手柔らかに!!!
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/03/24(木) 05:32:52.30 ID:4ztjMF0ko
つまりフェイトさんか
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/03/24(木) 11:14:55.04 ID:Rv5FFuxvo
リア「キリノ!結婚おめでとー!」

リア、来日
28 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/24(木) 16:25:24.81 ID:4q2LWz3W0
「――じゃ、これなら注文してもいい?」
「殴りますよ」

喫茶店で一番高いメニューを指差しながら、年下に奢らせようとしている目の前の女性は
伊織・フェイト・刹那、いわゆるダメ人間だ。

「ひ、酷くないっ!?」
「わざとらしい演技は必要ありませんよ」
妹さんの事で大事な話がある――そう言われて呼び出されたのに、
さっきからやってることはひたすら飯を奢らせようとしてるだけ。

「大体、今はそんなにお金に困ってるわけじゃないんでしょう?」
その昔、小説家を目指して様々な出版社に投稿を続けていた彼女だが、
いかんせん才能には恵まれていないらしく、未だその夢は叶わないままである。
だが、面白いものを見極める目は確かであるらしく、今ではその能力を活かし、
いわゆる同人ゴロという仕事(?)をしているらしい。

「株で失敗しちゃって・・・」
このザマである。冒頭で俺がこの人をダメ人間と称した事を誰が責められよう?

「こっちも以前と違ってお金には余裕が無いんで諦めてください」
「ちぇっ」
「それよりも本題に入ってくださいよ、桐乃に何があったって言うんですか?」
「それは私が聞きたいわよ!また盗作疑惑をかけられたんだから!」
「へっ!?」
フェイトさんは以前、桐乃の書いた「妹空」というケータイ小説を盗作した前科がある。
熊谷龍之介ことぷーりんさんという出来た編集者のお陰でその問題は一応の解決を見たのだが――

「どういうことなんですか?」
「だから、妹空の続きを彼女が持ってきたのよ」
「それでどうして盗作疑惑が?」
『理乃先生が書いたとは思えない。信じたくないが君はまだ反省してないのかね?』
「なんすかそれ?」
「熊谷さんに言われたの・・・」
がっくりとうなだれる彼女に自業自得と言いたくなったが、それよりも聞きたい事が出てきた。

「続編を桐乃が書いたんですか?」
「そ、それでそのまま熊谷さんに渡したらさっきのセリフを言われたってワケ」
「読まなかったんですか?」
「私は桐乃ちゃんを信用してたからね〜。そんな酷い出来だなんて思ってなかった。
 でもわざわざ私に一度渡したってことは彼女自身も出来が良くないって思ってたのかも」
どういうことだ?そもそも桐乃があの小説の続編を書いたこと自体が寝耳に水だ。

「・・・・・あいつ、何でいきなり続編なんて言い出したんでしょうか?」
「な〜んかお金が欲しかったからみたいよ?」
「なんすかそれ!!」
そんなことの為に?にわかには信じがたい。
少なくともあの時のあいつは書きたいから書いていたハズだ!

「お金の為に書くのだってそんな悪い事じゃないとは思うわ。ただその中身がね・・・」
「どうだったって言うんですか?」
「上手く言えないから・・・アレコレ説明しても仕方ないし、むしろ私が聞きたいの」
「何を?」
「“彼女に何があったの?”」
わざとらしい演技じみた質問――俺は返答に詰まった。

「ご両親に不幸な事があったことは聞いたわ、でもそれじゃリノの説明がつかないの」
リノとは桐乃のケータイ小説の主人公だ――そしてそれは桐乃の分身でもある。
それが見る影もないほど変わり果てていたとでも言いたいのか?

「言い辛いことなら無理には聞かないけど?」
「―――んじゃ、聞かないで下さい」
俺には変わったようには思えない桐乃の態度、だが本当は無理をしてるとでも言うのか?
どいつもこいつも好き勝手桐乃の心配ばっかりしやがって!

「それじゃ、もういいですか?そんなヒマじゃないんで帰ります」
わかりやすい不機嫌オーラを出しながらさっさと席を立つ。

「鈍いなぁ・・・」
何かつぶやいてる様だがもう聞く気はない――

「アレじゃ僕が彼を呼んだ理由もわかってくれないだろうな・・・」

普段とは違う口調に気付く事もなく、俺はそのまま店を出て行たのだ――
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/24(木) 16:28:58.73 ID:4q2LWz3W0
いいかげんメイン以外のキャラとの絡みで物語進行を描写するのも限界に近いんだが

だいたい加奈子と京介って関わり薄くね?
桐乃の兄貴として出会い、マネージャーとして出会い、桐乃の彼氏として出会い、
しかも同一人物と認識せず・・・・・どういう形に持っていけばいいのやら
30 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/24(木) 16:31:19.74 ID:4q2LWz3W0
「んじゃ、今日は俺の部屋を使ってくれ」
「ワオ!!じゃ、一緒に寝るんだ?」
「バカいうな!」
「違うよ〜キリノとキョウスケおにいちゃんがって意味だよ〜」
「んなっ!?」

俺をからかうこの少女はリア・ハグリィ。世界でも期待される陸上の選手だ。
何故そんな奴が我が家に居るかと言えば非凡な妹様の人脈以外に理由はない。
桐乃は中学三年の時に陸上でアメリカに留学していた経験がある。
リアはその留学していた時のルームメイトで仲も良い。桐乃曰く「妹みたい」だとか。
まだ両親が健在だった頃、うちにホームステイしたこともあり、
その時から何故か俺に対して好感度MAXで接してくる人懐っこい女の子だ。

「夫婦なのに一緒に寝ないの?」
「リア、アメリカの常識で語るんじゃない。
 それにそもそも桐乃のベッドも俺のベッドも一人用だ」
この家に住んでる人間は今や二人だけなのだから空き部屋くらいあるんだが、
いくら友人だとしても両親の部屋に泊めるのにはまだ心理的な抵抗があったので、
寝る時には俺の部屋を使わせることにしたのだ。
秘密のコレクションは避難済みだから見られて困る物もないしな!

「ふ〜ん、まいっか!」
「それで今回は何しに来たんだ?桐乃へのリベンジは済んでただろ?」
「二人に会いに来たんだよっ♪」
「おいおい、そんな理由で気軽に海を越えてくるなよ、まったく」
「キョウスケおにいちゃんに言われても説得力ないよ?」
「ほっとけや!!」
「ほっとけないよ〜。ハイこれ!!」
「なんだこりゃ?」
ニコニコと馬鹿でかい旅行カバンのようなものと小さな箱を取り出した――

「けっこんのお祝いだよ♪」
「へ?、ああ、ありがとう・・・」
小さな箱の中にはペアのマグカップが入っていて、二つとも名前が彫ってある。
だがカバンの方は空っぽだ。

「なんでこっちは空なんだ?」
「キョウスケおにいちゃんがまたキリノを追っかけてくる時にいるでしょ?」
「おいおい、まさかこのカバンがプレゼントかよ!」
しかも桐乃を追いかける前提って俺、この子の中でどんだけシスコンなんだよ?

「そーだよ!キリノにはキリノ用のプレゼントがあるし!」
「そらまた準備のいいことだな。このマグカップなんていつ用意したんだ?」
それぞれへのプレゼントなら前もって用意していた可能性もあるが、
このいかにも新婚さん仕様のペアのネーム入り食器なんてすぐ用意できるものなのか?

「俺と桐乃が籍を入れたこといつ知ったんだ?」
「キリノが教えてくれたんだよ、けっこう前に」
「ふ〜ん・・・・・、桐乃には何やったんだ?」
「スパイク」
なんでわざわざ?あいつなら人から貰わなくたって自分のスパイクくらい持ってるだろう。

「陸上、辞めさせないよ」
「・・・辞めてるわけじゃねーだろ?」
リアのこんな表情は初めて見る。なんか怒ってるみたいだ。

「桐乃の部屋に泊まれば良かったじゃねーか。ひょっとしてケンカしたのか?」
引っかかってた疑問をぶつけてみる。
なんで桐乃は自分の友人なのに自分の部屋に泊まることを了承しなかったんだ?

「欲しいものは手に入ったからって、陸上辞めるなんて言ってたから・・・」
「はぁ?なんだそりゃ?」
以前と比べて陸上に力を入れなくなった理由は時間と金の問題だったはずだ。
その証拠にバイト代が出るモデル活動の方は、以前より頻繁にやってるらしい。

「キリノは嘘ついてる・・・・しただけじゃ・・満足してない」
聞こえん。はっきり言いやがれチクショー!

「はぁ、まあ原因はどうでもいいけど、帰るまでには仲直りしておけよ?」
「どうでもよくないっ!!!
 キョウスケおにいちゃんのバカ!!」

涙目で思いっきり怒鳴るリアの顔が昔の記憶を呼び起こした――
この表情、ずっと昔俺と桐乃の兄妹仲が良かった頃、
“俺の為に怒った桐乃”の顔そっくりだ――
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/03/24(木) 17:08:46.47 ID:Rv5FFuxvo
>>29
アンタが書きたいように書けばイインダヨ。アンタのスレなんだから。
俺ら受け手は、それをドキワクしながら待つだけさね。
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/24(木) 19:36:34.46 ID:611dYzlso
加奈子話としたら
桐乃の旦那を見に来る
 ↓
ああ、こいつは確か桐乃の彼氏だよな
 ↓
あれ、コイツ桐乃の兄貴じゃね?
 ↓
あれ、こいつジャーマネじゃね?

て流れだろうなぁ
33 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/03/24(木) 22:24:39.74 ID:FohRghUT0
>>31に甘えることにした
久々に桐乃登場

な〜んか全体的にシリアスな雰囲気になっちゃったな〜明るいノリにしたかったのに
34 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/24(木) 22:25:19.96 ID:FohRghUT0
pppppppppp・・・・・
日曜の朝に鳴り響く不快な電子音は目覚ましの音だ。
主夫に休みは無く日曜だろうと朝寝は出来ない。

「もう朝か・・・」
食事当番は交代制、今日の朝食は俺が作る番だ。眠気を振り払いキッチンへと向かう――

「おはよう」
「おう、早かったな。もう少しで出来るから待っててくれ」
朝食が出来上がる前に桐乃は起きてきた。

「部活でもあるのか?」
「ううん、ただ目が覚めただけ。手伝うよ」
「わりーな」
桐乃の好意をありがたく受け取り、二人で朝食の準備に取り掛かる。

「「いただきます」」

食事中静かなのは昔からだが、最近の静けさはちょっと違うような気がする――

「なぁ、桐乃」
「なに?」
「陸上、辞めるのか?」
「な、何よいきなり」
「この前、リアが来た時にそんな事を言ってたからさ、気になったんだよ」
「――別に辞めるつもりは無いけど、大会で入賞目指したりとか、将来陸上選手になろうとか、
 そういう気持ちはもう無い。リアにしたらそれは陸上辞めるのと一緒だろうケド」
「それでいいのかよ?もったいなくねーか?」
「別に?それに高校卒業する前にどうせ決めなくちゃいけないことでしょ」
「そりゃそうだけど・・・・・
 なんか金のことも気にしてるみたいだしさ。そういうのがちょっとな」
フェイトさんから聞いた話も気がかりの1つ。
青臭いと言われようと、そういう理由で自分を捻じ曲げて欲しくない――特に桐乃には。

「なに?まさか『金のことなら俺が何とかしてやるから心配するな』とでも言いたいの?」
「言いたいけど言えねーよ。お前の方が稼いでるし」
「・・・・・だったら黙っててよ」
「ぐっ、お前なぁ」
「あたしはそれよりアンタの方が気になるんだけど?」
「は?俺?」
「うん・・・。アンタだってやりたい事とかあるんじゃないの?
 そりゃ家の仕事もバイトも放り出されちゃあたしが困るけど・・・」
「何が言いたいんだよ」
「く、黒いのとかとはちゃんと仲良くやってんの?彼女なんでしょ?」
「お前こそどうなんだよ?友達なんだろ?」

俺とは今まで通りだ。電話やメールでの最近ではやり取りがほとんどだが特に変わりはない。
この前の沙織のお祝いパーティのことも特に問題は無いと言っていた。それが気になる。

「お前も黒猫も話題に全然出さねーだろ、はっきり言って逆におかしいぞ?
 楽しかったら『楽しかった』って絶対言うだろお前らなら」
「・・・・・別にケンカしてる訳じゃないし」
「ケンカしてる訳じゃないって、お前なぁ・・・」
「うっさい!!誰のせいだと思ってんのよ!?」
まぁ、この二人が気まずくなった原因は間違いなく俺だ。
それは俺が黒猫と付き合い出した時の比ではないだろう。

「アンタがハッキリしないからいけないんじゃん!!彼女なんでしょ?大事じゃないの!?」
「大事に決まってんだろうが!」
「じゃあ何でアンタはあたしにばっかり気を使うのよ!?」
「こんな状況で妹を気遣って何が悪いってんだ!!」
「―――――うっさい!義務感だけで気を使ってもらってもウザイだけだっつーの!!!」
思いっきり机を叩いた弾みで味噌汁がこぼれる――

「あっ!?」
「・・・・・いいよ、さっさと片付けよう」
「ごめんなさい。・・・カーペットもそろそろ変えなきゃね」
床に飛び散った味噌汁をふき取りながら桐乃が提案してきた。

「あんたさ、今日出かけていいよ。家の事はあたしがやっとくから会ってきなよ」
「いいのか?久々の休みだろ、やりたいことあるんじゃねーの?」
「べつに無い」
「本当にそうならいいけどよ・・・」
「本当だからさっさと出て行っていいよ」
「―――――じゃ、そうするわ」
片づけを済ませた俺は久々に黒猫に会いに出ていった――


「・・・・・業務連絡だけの会話しかしないくらいなら、
 無理してあたしと一緒に居なくていいじゃん――」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/25(金) 20:27:05.46 ID:v8y2RCqG0
遅くなったが乙!
更新楽しみにしてるぜぃ
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/03/26(土) 14:47:08.88 ID:2rSbooeY0
続き待ってるぜ
37 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/29(火) 00:03:15.81 ID:EXyNs+NL0
突然の休日に俺は、恋人と会うべく黒猫の家の前に来ている。
来る途中連絡はしたが、なにせ突然の訪問だ。待たされるのは仕方が無い。

「待たせてごめんなさい、入って」
「ああ、ありがとう」
黒猫の家に来るのも随分と久しぶりだ。
それどころか顔を見るのも久しぶりのような気もする、仮にも彼女なのに――

「妹たちは?」
「部屋で遊んでるわ、上の妹も少しは気が利く様になったみたいね」
「そっか」
黒猫に導かれるまま部屋へ向かう――
今までと変わらない構図なのに、空気が違うと感じてしまう。


「――それであの女の言う通りにここへ来たわけね」
「わりぃかよ」
どこか不満を感じさせるように溜め息をつきながらそう言った黒猫に対して
つい尖った口調で応えてしまったこのモヤモヤした気分の原因は自分でもわからない。

「それよりお前ら最近どうなんだよ、
 この前の沙織のパーティのことだって全然話題に出さねーだろ?何があったんだ?」
「・・・・・ねぇ、先輩はいつまでこのままでいるつもりなの?」
「このままって、何がだ?」
「その・・・・・あの女との契約の事よ」
―契約―つまり婚姻関係のことだろう。いつまで桐乃と“夫婦”でいるつもりなのか――
「一応、あいつが二十歳になるまでって考えてるけどな」
「なぜ?」
「仮にも兄貴だぜ?親が居なくなったら俺があいつの保護者だろ?
 せめてあいつが成人するくらいまでは一緒に居てやらなきゃダメだろ」
半分は本当で半分は嘘だ――半分は、俺がまだあいつの兄貴でいたいから。

「それは本当なのかしら?」
「――本当だ。それよりはぐらかすなよ、お前は最近、桐乃とはどうなんだ?」
「はぐらかしてないわ、大事な事よ。私とあの女との問題でもあるもの――」
まぁそりゃそうだ。
沙織の言う通り、今の俺と黒猫の関係は“不倫”と言われても否定しようが無いのも事実。

「もう少し待っててくれよ、出来るだけ今まで通りにしてるんだからさ」
「そんなことであの女との関係がいつまで持つかしら?」
「――どういう意味だよ?」
「今までと同じ事をしていても、今までと同じ関係なんて保てるはずが無いわ」
「・・・・・なんだよそれ」
「事象は常に変化し続けているのよ。全く同じ状態を保つなんて不可能でしょう?
 小さな水滴でさえ落ち続けていればいずれ岩の形さえ変えてしまうのよ――」

出来るだけ今までと同じように――俺も桐乃もそう思って過ごしているはずだ。
でもそれは無理なことなのか?思えば最近の俺たちの関係はどこかギクシャクしている。
幼い頃やお互いを無視しあってた頃、人生相談に振り回されていた時期のどれとも違う――

「――心当たりがあるのかしら?」
「うるせえよ」
言ってしまった後、後悔したが言葉は止まらなかった―
「言われなくたって今の状況が異常なことくらい俺にもわかってるさ!
 だけど俺は兄貴なんだよ!そういうふうに育ってきたんだ!今更変えられるかよ!」

俺はそう思っているのに、あいつは――桐乃は違うのか?妹だと思ってないのか?
いや、あいつは俺と“家族”であることを選んだハズだ!

「あなたはそうでもあの女は違うかもしれないわ!!」
涙をうかべながら訴えてくる――何が言いたいんだよ!

「違わねーよ!!」
「決め付けないで!!もっと考えなさい!!」

黒猫が何を必死に訴えているのか理解しないまま俺は

「お前まで桐乃の心配かよ!!」

最悪な捨て台詞と共に部屋を出て行ってしまった――
38 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/03/29(火) 00:08:39.11 ID:EXyNs+NL0
遅くなってしまって申し訳ない
>>28でムリヤリ立てたフェイト→京介フラグに構想の邪魔をされて激しく後悔
がんばれ桐乃フラグ負けるな桐乃フラグ
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/29(火) 03:28:50.38 ID:RyWd3yPd0
京介さんは旗男なんでいくら旗っても気にしないっすよ
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/03/29(火) 12:05:13.91 ID:RFPt7PBco
>>37
原作で周囲から影響を受け、色々と自分が『変わった』ことを自覚しているはずなのに、
頑なに『変わるはずがない』ことを主張する京介にやや違和感を感じるな。
率直にかつ、辛辣に言うと、キャラクターが物語のために歪められているような気もする。
今後、京介は、自分が色々と受け入れて少しずつ『変わって』きたように、他者もそうで
ある可能性があることを受け入れるようになるのか……。
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage sage]:2011/03/29(火) 21:31:55.37 ID:j6M4zgJw0
>>40
両親死亡、実の子じゃない事実判明と十代の少年にはヘヴィな状態ですんで
ぶっちゃけ無自覚にそうとうパニくってます>私の頭の中の京介君
変わってしまった現状を自覚してるけど外からは指摘されたくないってイメージです
素人なんで上手く書けてないですけど

というか少々パニくってもらってその心の傷に付け込んでもらわないと
桐乃とのマジ恋愛フラグが立て辛い

なのでキャラが歪んで見えるのは大目に見て下さい
42 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/29(火) 21:33:09.05 ID:j6M4zgJw0
――どうしてこうなった

桐乃に言われて出てきた手前、さっさと家に帰る気にもなれない。

「田村屋にでも行くか・・・」
このささくれ立った心をなだめてくれるのは、あの雰囲気しかないだろう。
しかし正直それはどうなのかと思いながらながら近所をブラブラしていたら
見慣れた坊主頭の男が目に付いた―ー

「お?あんちゃん久しぶり!」
「よう、ロック、ちょうどいいところに来た。今ヒマだろ?ちょっと付き合え」
「へ?ちょ、ちょっと待ってくれよ!イテテ」
話しかけてきた麻奈実の弟の耳をすれちがいざまに引っ張りながら強引に連れて行く。
行き先は近所のゲーセン――かつて桐乃が親父に趣味の品々を咎められた時に
ここの太鼓の達人で派手に暴れていたっけ――

「百円出すかお前が殴られるか選べ」
「あんちゃんひでえよ!?」
今時、パンチングマシーンの前で堂々とこんなカツアゲする奴も珍しいだろう―

「冗談だ」
財布から小銭を取り出しマシンに投入し、グローブを着け思いっきり的に向かって拳を振りぬく。
出た記録はたいしたものじゃないし記録を狙ってたわけでもない。
ただムシャクシャしたこの気持ちをどうにか落ち着かせたかっただけだ。

「ヒュ〜、あんちゃんかっけー!」
「茶化すな」
「なんだよ〜なんでそんな不機嫌なんだよ〜」
「・・・・・別にたいした事じゃないさ」
こいつに話したって仕方がない、そもそも話すような事じゃない。

「はぁ〜、去年の姉ちゃんみたいだ」
「は?何のことだ?」
「なんでもない、たいしたことないって暗い顔で言われても
 説得力ってぇもんが足りない!・・・っつー感じ?」
「そりゃそうだな」
俺が今まで桐乃や黒猫の面倒を見てきた事の中には、
素直じゃねぇあいつらに対して半ば強引にしてきたこともあったな――

「それにおれ、あんちゃんがそんな不機嫌そうにしてるところ初めて見てる気がする」
「そうか?そうでもないと思うが・・・・・」
「――やっぱおじさんたちが居なくなっちゃって大変?」
「いや、もう慣れたさ」
そう、慣れたはずだ。桐乃と二人だけの生活にも、それに伴う責任にも――

「そういやお前は聞いたのか?」
「へ?何を?」
俺があの両親の実の息子じゃなかった事。そう聞こうかどうか迷っていたら

「ああ!あんちゃんに姉ちゃん以外の彼女がいる事は知ってるぜ!」

なんかドヤ顔で変な発言してきやがった。

「麻奈実以外ってどういう意味だ!?」
「いやー、やっぱあんちゃんはモテるんだなーって!
 あ、でも誤解しないでくれよな!?
 おれがあんちゃんのこと兄貴みたいに慕ってるのに姉ちゃんは関係ないからさ!」

どうしてそうなる?
噛み合わない会話に脱力しながら頭を抱えていたら、何故か笑いがこみ上げてきた。

「な、なんだよあんちゃん!」
「や、やっぱお前はバカでいいなと思ったんだよ。お陰で和んだわ」
「ヒデー!!なんかヒデーよあんちゃん!!」
「気にするな、それじゃあな」

背後でなにやらわめく弟分を尻目に家路に着くことにした。
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 21:33:34.94 ID:sg13NJs9o
好きにかけばいいんじゃよ。待ってるぜ
44 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/03/29(火) 21:33:39.37 ID:j6M4zgJw0
「やっぱり先輩ってホモなんですか?」
「なんでそうなるっ!?」

この力いっぱい否定したくなる質問をぶつけてきたのは赤城瀬菜。
俺の友人、赤城浩平の妹で黒猫の友人でもあり筋金入りの腐女子だ。

「あたし見たんですよ?先日先輩が男子高校生とデートしてたところを」
「ありえねー妄想はやめろ!!」
「そうは言っても『兄貴と慕う』だなんてセリフ聞いたら照れ隠しにしか思えません」
あ?なんだそりゃ?ひょっとしてロックのことを言ってるのか?
ぶっ飛んだ妄想に眩暈を覚えてこめかみを押さえながら頭を振る――

「お前さぁ、あいつは俺の幼馴染の――麻奈実の弟だろが!何勘違いしてんだ?」
「やはり女性との関係はカモフラージュで、真の狙いはその弟!?」
「いいかげんにしろ!」
ビシッ!とそのおでこにチョップをかまして妄想から現実に呼び戻す。

「そんなくだらねー事聞くために呼び出したのかよ?」
呆れながら非難めいた口調で尋ねるが、返ってきた答えは思ったより深刻だった。

「もしそうなら、まだマシだったでしょうけど――」
「どういう意味だよ?」
「ホモじゃないなら何で瑠璃をふったんですか!?」
え?意味がわからん。俺が黒猫をふったって?誰から聞いたんだよそんな事。
つーかこいついま黒猫のことを“瑠璃”って呼んだよな?
そっかー名前で呼び合うほど仲良くなってたんだなー。
そういや赤城もそう言ってたし、いいことだ。うん。

「なに一人で納得したような顔してるんですか?」
「お前があまりにぶっ飛んだ事をいうから思考がそれにつられて飛んでったんだ」
「まじめに答えてください。あたしがいいかげんなことが嫌いだって先輩はご存知ですよね?」
ああ〜そういえばこいつも桐乃と同類で“趣味さえなければよく出来た女の子”だったな。
“よく出来た”のベクトルは違ういわゆる優等生の委員長タイプだが。

「なあ、まずその話を誰から聞いたか教えてくれないか?」
「誰からも何も本人からです」
「言っとくが俺はあいつと喧嘩はしたが別れたりしたつもりは無いぞ?」
「え?そうなんですか?」
どうも俺の周りには誤解や早とちりをする人間が多いようだからな、
落ち着いてしっかり事実確認をしないと。

「あいつ、何て言ってた?」
「『先輩に嫌われたかもしれない』って・・・・・」
「・・・・・まあ、正直に言うと少々あいつに対して腹を立てたのも事実だけどさ。
 別れるつもりも振ったつもりもねーよ」
「それなら何で――」
「いやーお前にまで心配かけて悪かった。だが誤解は解けたしもういいだろ?」
正直なところあまり突っ込んで欲しくない話題なのでさっさと切り上げたい。
そもそも喧嘩の原因は黒猫が俺より桐乃のことを心配してた事に対しての嫉妬だ。
そんなみっともない理由なんて言いたくない――

「先輩は本当に瑠璃のことを好きなんですか?」
「な、なんだよ突然!?」
嫌いだったら一年近くも付き合ったりしねーだろ?何でそんなことを聞くんだ?

「あたしの知ってる先輩は“彼女”を――いえ、
 あんな落ち込んだ状態の知り合いを何日も放っておくような人じゃなかったですから」

感情のこもらない声と表情でその事実を突きつけられた俺は
ハンマーで頭を殴られたような衝撃と目の前が真っ暗になったような感覚に襲われた――

「あたしの言いたい事はそれだけです。それじゃ――」

踵を返して去っていく瀬奈を見つめながら、
それでも俺は瀬奈の言葉を認めずに済む理由ばかりを考えていた――
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/30(水) 02:40:16.76 ID:pQr5uRX60
ついにアニメにも瀬奈ちゃんきたなかわいい
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/30(水) 02:56:05.15 ID:2BmaPh3+o
わっふるわっふる
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/03/30(水) 12:22:58.87 ID:oQt6kmQio
なんか怖え……www
48 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/02(土) 00:22:20.03 ID:Qob0tIfg0
「な〜んか最近きょうちゃん元気ないね」
「そうか?」
「うん。いわおも言ってたよ〜」
「くそ、余計なことを」
大学の昼休み、せっかくの憩いの時間にあまり気分が重くなる話題は避けたいのだが。

「あいつなんか妙なこと言ってなかったか?」
どうも俺と麻奈実の仲を勘違いと言うか拡大解釈してる奴がいるようだが、
俺はそういうつもりもなければこれからそうなるつもりも無い。
それは黒猫と付き合いだした時に決めたことで、今更変えるつもりは無い。

「ううん、ただ『あんちゃんが機嫌悪そうにしてたぜ』って聞いただけだよ?」
「それならいい」
「よくないよ〜、きょうちゃんは友達が暗い顔しててもほっとくの?」
ああそうだな。確かに俺はそういうことに首を突っ込んできたような奴だよ。

「・・・最近の俺ならほっとくらしいぜ?」
先日瀬奈に言われた言葉を思い出し自嘲気味に答える。
でもあれはきっと俺が黒猫と気まずい状態だったからだ。
ただの友人だった頃と違って恋人同士という仲で、しかも黒猫が落ち込んでる原因は俺だ。
ほっとく、ほっとけないの問題ではなく、どうすりゃいいのか分からねえんだ。

「きょうちゃんにはそんな人にはなって欲しくないなあ・・・」
「俺だってなりたくないね」
そうさ、そんな冷たい奴にはなりたくない。

「もしかして桐乃ちゃんとけんかでもした?」
「なんでそこで桐乃の名前が出るんだよ」
「う〜ん、昔からきょうちゃんは桐乃ちゃんの事ではすぐ怒ったりしてたから・・・かな?」
「残念だがハズレだ、桐乃との仲はいたって平和だよ」
「そうなの?最近きょうちゃんから全然桐乃ちゃんの話を聞かないよ?」
「え?そうだっけ?」
「そうだよ」
でもそれは取り立てて話すようなことも無いから・・・じゃないのか?
そもそも俺は麻奈実に桐乃の話とかしてたっけ?

「前はよく『桐乃の奴が〜』とかお話してくれてたよ?」
「そう・・・だっけ・・・・・?」
最近は――?
そう言えば俺と桐乃の最近の会話ってどんなのだ?
家には二人しかいないんだ。会話をしていないなんてありえない。昨日だって――

今日の予定や家事の分担を確認したり、集金や買い足しの必要がある備品の確認とか
話していることはたくさんある、だから会話が無いなんてことはありえない・・・けど

「俺、こんななる前って桐乃とどんな話してたっけ?」
急に不安が襲ってきた――

一番最近の桐乃との会話で思い出されるのは、黒猫に会いに行ったあの日だけだ。
それ以外はほとんど日々の業務連絡みたいなものだ。

今、桐乃が何を考えてるのか、何を求めているのか――
全く想像すら出来なくなっている自分に愕然としてしまった。
49 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/02(土) 00:24:29.39 ID:Qob0tIfg0
prrrrrr… prrrrrr… prrrrrr…

コールの相手は沙織だ。どうにも訳がわからなくなった原因のひとつを
直接こいつから聞き出そうと思って電話することにした――

『はい』
「よう、沙織か?今大丈夫か?」
『ええ、大丈夫ですわ』
「あれ?どうしたんだその口調・・・」
『お気になさらずに。何か御用があってかけていらしたのでしょう?伺いますわ』

いつものバジーナ口調ではなく、いつかのお嬢様状態だった時の沙織だ。
どういう心境の変化なんだ?

「いや、なんつーかさ。お前らこの前3人で集まってただろ?」
『ええ、わたくしのお祝いにお二人に来ていただきましたがそれが何か?』
「あの時、黒猫と桐乃に何があったんだ?」
『ご本人たちに聞けば宜しいのではないですか?
 かたや恋人、かたや家族―。わたくしに尋ねる必要などない間柄でしょう?』
「・・・・・もしかして沙織怒ってる?」

いつものバジーナ口調ではなく素の槇島沙織のお嬢様口調。
しかしそれは親しさの現われでなく、今の沙織は
友人であるはずのバジーナでは無いという拒絶の現われに感じられた――

『わたくしは以前、申し上げていたと思います。
 「わたくしの大事な友人たちを悲しませたりしたら承知しません」と』
「・・・・・覚えてるさ」
『ではお望み通りサークルクラッシャーと呼んでさしあげますわ』
「勘弁してくれよ・・・」
こんな事を聞きたくて電話したんじゃない。あの二人の間で何があったのか?
それを知りたいだけなんだ――

「あいつらに聞いても何も言わねぇんだよ、頼む。教えてくれ」
涙声で懇願する。
そばに居るはずなのに――。
そばに居るつもりなのに――。
どうにも掴めなくなってる桐乃や黒猫との距離が、果てしなく遠くなっている気がして――

『――失礼しました。きりりん氏と黒猫氏を案ずるあまり少々きつく当たりすぎました』
「なあ、あいつらに何があったんだ?」
『・・・・・強いて言うなら、あの時は何も起きておりませぬ。
 以前なされたやりとりをまた改めてなされただけでござる』
「そうなのか?」
『はい。ただ拙者はその時初めて聞いたわけですが・・・』
沙織にも秘密にしていたようなことだったのか?一体なんだ?
あの二人の間でどんな会話があったんだ?だいたい一回目っていつの事だよ――

「教えてもらえないか?」
『――拙者から言うわけにはいきませぬ。やはりここはきりりん氏から聞いてくだされ』
「もう聞いたんだよ!だけどあいつは何も言わな――」
『1つ!!』
急に言葉を遮ってきた――

『1つ真剣に考えて答えを出していただきたい』
「・・・・・なんだよ」
『京介氏はなぜきりりん氏と婚姻届を出されたのですか?』
「今更何を聞いてくるんだよ」
そんなもの散々皆に説明してきた。
色々あるけど最大の理由は“法律上成人扱いしてもらう為の方法だったから”だ。
そんなこと沙織はとっくに知ってるだろう――

『その事についてきりりん氏と話をすれば、自ずと答えは聞けると思います』
「そうか・・・・・」
『ええ、そうです』
「わかったよ、そうする。黒猫にはお前からも話しておいてくれないか?」
『京介氏からも連絡は必ずなさって下さいね?』
「ああ、わかってるよ。それじゃな」

電話を切った後、ふと“その事”について疑問が湧いた――
俺と夫婦になる事について、桐乃はどう思っていたんだろうか?
50 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/02(土) 00:28:12.62 ID:Qob0tIfg0
「なあ、桐乃、ちょっといいか?」
「ん?なに?」
「お前さ、後悔してたりしないのか?」
「は?何を?」
「その・・・俺と結婚したこと」
今更だとは思う、何で今更こんな話題を出してるんだって自分でも思う。
でも、今これをはっきりしておかないと、これからの桐乃との暮らし方がわからなくなる。

「なんでそんな風に思うの?だいたいあんたと結婚するって言い出したのはあたしでしょ?」
「そりゃそうだけどさ、あの時は俺もお前も冷静じゃなかっただろ?後悔してないのか?」
「・・・・・それってあんたが後悔してるってこと?」
「後悔とかそんなんじゃなくて、このままでいいのかって思うんだよ。
 俺だけならともかく、桐乃まで黒猫との仲が変に拗れちまってるだろ?
 あいつはお前の親友でもあるんだし・・・」
「親友?だれが?」
いきなりの冷たい声に心底びびってしまった。

「誰がって黒猫がだよ、他に誰がいるんだ?あやせにも黙ってた事を相談するほどの仲だろ?」
「フン、そういえばアンタは結構べらべらと喋ってまわってるみたいね」
「何をだよ?」
「あたしと結婚したことよ!!
 あやせは地味子から聞いたって言うし!なんでそんな言いふらすワケ!?」
「なんだよ何を怒ってるんだよ?そんなに知られたくなかったのか?
 やっぱ後悔してるんじゃねーか!!」
「違うわよ!!」
何が違うって言うんだ?どう違うんだよ?

「あんたはさ、どうしてあたしと結婚したの?」
「それは・・・」
色々理由はあるさ、でもやっぱり成人として扱ってもらう為、だろ?
そうすればどんな事も俺たち兄妹の意思で決めることが出来るから――
住む場所だってそうだし、親父たちが残したものの扱いもそうだ。
そんな事桐乃だってわかりきってることじゃないか。

「うん、そうだね。でもさ、それってさ、結婚した理由で離婚しない理由じゃないよね?」
離婚しない理由?意味がわからない。そもそも離婚は桐乃が二十歳になった頃と決めてたから。

「ごめんね、あたしは知ってたんだけど言いたくなかったから黙ってた。」
黙ってた?何を?

「民法上では婚姻した人は年齢が二十歳に満たなくても成人として扱ってもらえる」
ああ、そうだ。それがどうした?

「これ、正確に言うと婚姻経験のある人は、って意味なんだって」
経験のある人?それが何を意味するんだ?

「だからね、別に今、離婚したら未成年に戻るってわけじゃないの、ずっと成人扱いのままなの」
「・・・・・・・・・・なんで黙ってたんだ?」
「言いたくなかったから」
「何で言いたくなかったんだ?」
「離婚したくなかったから」
「なんでだよ?」
「聞く前に答えてよ。なんで結婚したの?離婚しないの?」
「・・・そんな制度知らなかったからだよ」
「今は知ってるよね?どうなの?離婚したいの?」
「お前やっぱり離婚したいのか?」
「だから!あんたはどうなのかって聞いてるの!あんたの気持ちを教えてよ!
 黒いのと気まずくなってるんでしょ?当然よね、恋人が別の女と結婚したんだから!」
「何の関係がある?」
「あんたがあの女のことどう思ってるかってことよ。
 あたしと結婚してることが気まずくなってる原因なんだから離婚すれば解決じゃない!」
「わけわかんねーよ・・・お前一体何が言いたいんだよ」
こいつは一体どうして欲しいんだ?何がしたいんだ?

「あたしはさ、あんたと結婚したことは秘密にしたかった。
 だってあんたは説明するでしょ?“仕方なく”結婚したって!」
「・・・・・事実だろうが」
「うん、そうだよ。でもそう言って欲しくなかったし、そのことは黒いのにも言った」
「何を言ったんだ?」
「あたしがあんたと結婚した理由」
「だからそれは成人扱いしてもらう為だろ?」
「じゃあ、離婚しない理由」
「・・・・・」
「結婚する理由は同じでもいい、でも離婚しない理由は?あんたはある?あたしはあるよ!」
「なんだよその理由って」
「結婚したのも、離婚したくないのも、
 黒いのやでかいのと友達やめることになっても、欲しいものがあったの!!
 結婚したのも離婚したくないのも黒いのとケンカしたのも全部全部全部全部!!!

 ―――――あんたのことが好きだから―――――」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/02(土) 03:06:51.67 ID:THBjGAtG0
こういうシリアルな展開……

嫌いじゃないぜb
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/02(土) 03:18:10.12 ID:YRGCbHQWo
わっふるわっふる

>>51
朝飯前ってか
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/02(土) 09:29:05.63 ID:pEZFU+0To
相変わらず京介はイライラする野郎だぜww
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/02(土) 15:22:43.83 ID:FHfhtOr0P
このイライラさせるのが京介の京介たる所以でもあるんだろうがなぁ
ホントにこいつは何でもかんでも「言われないと何もわからん」奴だよな
よく京介を掴んでいらっしゃるww
55 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/03(日) 22:25:52.40 ID:S6eT2Zaz0
今、桐乃はなんて言った?
あんたのことが好きだから?
誰が誰を好きだって?

「・・・・・気付いてなかったでしょ?あんた鈍いもんね」
「・・・・・すまん」
「・・・・・」
「・・・・・」
気まずい沈黙が続く。というかこんな時なんて言えばいいんだよ!?
大体桐乃は妹だぞ!?

「なんか言ったらどうなの?」
「いや・・・なんて言えばいいんだよ、いきなりそんなこと言われても何も出てこねえよ・・・」
「・・・じゃ、あたしに聞きたいこと聞けば?一番言いにくかったことはもう言っちゃったし」
「ん・・・、そうか」
聞きたいこと、聞きたいこと、ああダメだ!さっきのセリフが邪魔をする。
こいつが俺のことを好きだなんて何の冗談だ!?
そりゃ家族なんだから嫌われてるより好かれてる方がいいけど、
こいつが今言った「好き」はそういう意味じゃないんだぜ!?

「いつからだよ?」
「・・・関係あるの?今のあたしがそうなんだからそれでいいじゃん」
「いや、関係あるだろ。俺が黒猫と付き合いだした時はどうだったんだよ?」
「・・・・・その頃はもう好きだった」
なんてこった。それじゃ、こいつはどういう気持ちで俺たちと一緒にいたんだろう?

「黒猫は知ってるのか?その・・・お前の気持ち」
「知ってる・・・本気にしてるかどうか知らないけど」
「・・・何て言ったんだ?どう伝えたんだ?」
「・・・・・『兄貴と別れて欲しい』って言った」
「本気かよ・・・。じゃ、何で去年は付き合うことに反対しなかったんだ?」
俺と黒猫が付き合いだして一年くらいになるが、その間も俺たち4人の関係は良好だった。

「・・・仕方ないじゃん。あの頃はあんたのこと“兄貴”だって思ってたから」
「今は違うのかよ?」
「違うよ・・・全然違う。望めば結婚だって出来るってわかったから」
実際結婚してるけどさ、俺は血が繋がってなくたってこいつの兄貴だと思ってたのに。

「あんたが『血が繋がってなくても俺たちは兄妹だ』って思ってるのは知ってる。
 でもね、あたしは『血が繋がっててもあたしは兄貴が好き』って思ってた」
初めて聞く桐乃の言葉にただただ混乱する。
そもそも結婚してからもこいつはそんな素振りを一切見せず、
それこそ以前と同じような態度をとり続けていたじゃないか。

「・・・・・お前、結婚した後も全然態度が変わってなかったじゃねーか」
「だってあんたショック受けてたでしょ?」
「は?俺が?何に?」
「自分が実の子どもじゃなかったことに」
そりゃあ驚いたさ、でもそんなショックを受けたつもりはない。
だって俺はあの時までそんな事に気付かなかったし疑問すら抱かなかった。
親父とお袋は文字通り死ぬまで俺を実の息子として育ててくれていたんだ。
感謝こそすれ、それ以外に思うことなどない。

「・・・そんなことは無いさ、それよりお前の方がショック大きかったんじゃないか?」
「なんで?」
「なんでって、俺と違って実の両親が亡くなったんだし」
「・・・それはあんたも一緒でしょ?でも、あたしは?」
「お前?」
「血が繋がってないって聞いて“妹”まで失くしちゃったワケじゃん」
「――!」
「家族全員なくしちゃったようなもんじゃん・・・」
桐乃は続ける――
「二人だけになってからあんた結構変だったよ?
 お父さんとお母さんの部屋は片付けようとしないし、無理して前と同じように暮らそうとしたり、
 何より『あたしとあんたは“家族”だ!』って態度が不自然に多かった」
「・・・それは、お前が心配しないようにって思って・・・」
桐乃は黙って首を横に振る――
「あたしはむしろ嬉しかった、あんたと血が繋がってなかったこと。だからわかる。
 あんたは昔に戻りたがってたみたいだった。
 だからあたしも出来るだけ今まで通りにしようと思ったの」

「あんたが、壊れちゃいそうに見えたから・・・」

それを言うなら今はお前の方こそ壊れちまいそうな様子じゃねーか・・・
桐乃はこんなになるまで無理をして俺を支えようとしていたのか?
まだ16の女の子なのに・・・・・

「ごめんな、気付いてやれなくて。―――――ありがとう」

今まで気付けなかった桐乃の気遣いが、俺はただただ嬉しかった――
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/03(日) 23:14:29.62 ID:ho7Xpc26o
京介ェ・・・
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 23:26:58.41 ID:Ae2zxwoDO
激しく乙!!
桐乃やっぱ可愛いなぁ…
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 23:47:37.81 ID:SML/lmIzo
おつ。わっふるわっふる
59 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/05(火) 00:03:34.02 ID:YJwhLrk60
「それで?話というのはなんなのかしら?」
「ああ、だけどその前に聞いておきたいことがあるんだ」

なつかしの母校の思い出の場所で恋人との会話――
状況だけ見ればとてもロマンティックなものだろう。
だがこれから話す内容はそんな甘酸っぱいものとは無縁のものだ。

「桐乃が俺のことを好きだっていうのはもう知ってたんだよな?」
「・・・その質問が来るという事はついに告白でもされたのかしら?」
「ああそうだ、だから瑠璃からも聞いておきたい。知っていたのか?」
「ええ、そうよ。以前も言ったでしょう?『あなたの妹があなたを好きなくらいには』って」
「ああ、覚えてるさ。でもそれとは別に瑠璃は桐乃から直接聞かされたんだろう?」
「直接・・・と言っていいのか微妙だけど――」
両親の事故の後、あいつはあやせにすら報告しなかったことを黒猫には伝えたのだ。
実の兄妹じゃなかったこと、そして婚姻届を出した事。

   『あんたなら、あたしが言いたい事、わかるでしょ』
   『・・・別れろ、とでも言いたいのかしら?』
   『やっぱわかってんじゃん』


「・・・俺たちが付き合いだした時は、何か言ってこなかったのか?」
「『あんたと友達だったこと、初めて後悔した』って言われたわ」
「――はっ!マジかよ!?」
つまり俺と黒猫を引き合わせてしまった事を後悔したって意味か。
でもその言葉には桐乃の黒猫への思いがよく現れている。
“その時”まで桐乃は黒猫と友達で良かったって思ってたってことだろ?

「お前らほんとに仲いいな」
「な、なにを――!・・・そ、そうね大事な友人だわ」
否定しかけて止める。ここで変に意地を張っても意味がないのは黒猫も承知だ。

「ベルフェゴールに渡すくらいなら私に、とも言ってくれたし・・・」
「あいつどこまで麻奈実を嫌えば気が済むんだ・・・」
「あなたとあの子が一時期疎遠になっていた原因を思えば仕方ないと思うけれど」
「ああ、まあ確かにそうかも知れねーけどさ・・・」
“自分から兄貴を奪った女”より“自分が兄貴と引き合わせた女”の方がマシ――
つまり、そこに桐乃の意思や存在があるかないかの違いだ。
麻奈実と俺の関係は桐乃なしでも成り立つが、俺と黒猫の関係は桐乃なしでは成り立たない。
まあ他にも俺と黒猫との付き合いを許容できた理由には、桐乃と黒猫の友情もあっただろうが。

「――それが沙織のパーティの時はどうなったんだ?」
「・・・・・同じよ、ただ沙織の前で言った、というだけ――」
「そんでそれ以来お前ら会ってもいなけりゃ話もしてねーのか」
「―――そうよ」
やっぱりそうか。しかしそれなら頼み事が2つになっちまうな。

「悪いとは思うんだけどさ、瑠璃に2つ頼み事があるんだ」
「・・・・・何かしら?」
「まず1つめだけど桐乃と仲直りしてくれないか?
 桐乃が瑠璃を避ける分は仕方ないけど、瑠璃から桐乃を避けるような事は必要ないだろ?」
「それは、あの子が納得すればの話ね」
「それは俺が説得するさ。だからあいつから話しかけてきた時は昔みたいに仲良くしてくれ」
「・・・・・あなたの説得が上手くいけば、そうしてもいいわ」
「ああ、説得するさ。ありがとう」
なんだかんだでこの二人は仲の良い友人だしお互いの理解者でもある。
桐乃だって黒猫とケンカしたままで平気なはずがない。
あやせとケンカした時もあいつは相当へこんでたんだ――

「それで、もう1つの頼み事というのは何なのかしら?」

来た――。決心していたにもかかわらず躊躇してしまう。
ただでさえ黒猫を傷つけるようなセリフだ。さらにその理由も―――

「どうしたのかしら?私はまだ1つしか聞いていないわ」

視界が暗くなる、喉が渇く、鼓動が激しい――
あの時の黒猫とのやりとりを思い出す。
初めて涙を流せたあの日、あの時の黒猫の優しさがなければ俺はとっくに潰れていただろう。
その恩を仇で返すような真似を――

「・・・・・早く言いなさいよ」

大事なものがある。“今”大切にしなければならないものが――
その為に――


「俺と別れてくれ」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/05(火) 01:30:53.00 ID:Z2GqNiDDO
wktk
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/05(火) 03:57:07.33 ID:U/uMRUIfo
ほう。これは……
62 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/05(火) 14:42:47.23 ID:bMj8IrBA0
目を大きく開いてこちらを見つめる黒猫――
それを見つめながら俺は桐乃との約束を思い出していた。

  『ありがとうって、オッケーってこと?』
  『え?』
  『だから、その・・・、あたしの気持ちを受け入れてくれるのかってことよ!』
  無理だ。今まで妹としてしか見てなかったのに、いきなりそんなこと出来るはずがない。
  だけど桐乃の気持ちを知ってしまった以上、何もしないわけにはいかない。

「それは、あの女に言われたから?」
「いいや、違う。でも桐乃の為だということは間違ってない」
「―――――つまり、あの女の告白を受け入れたということ?」
「それも違う。桐乃と・・・、お前の為だ」

  『お前さ、黒猫と仲直りしろよ。友達だろ?』
  『ムリ、兄貴の彼女となんか・・・仲良く出来ない・・・』
  そうは言ってもこの桐乃の状態、いつかあやせに絶交された時と同じものを感じる。
  あの時と違うのは俺のせいだってことと、絶交したのが桐乃の方ってこと。
  でも、あの時のあやせも本当は仲直りしたがってた。なら桐乃も黒猫も本当は――

「私の為?ふざけないで!」
「怒る気持ちはわかる。だけどお前が桐乃と仲直りしたいって思ってることもわかる」
「勝手な男ね」
「重々承知だよ」

  『なら黒猫と別れる。それだったら仲直りできるだろ?』
  『は!?あんた何いきなり―――――本気?』
  『その、お前の告白を受け入れるのは無理だ。とても今はそういう風に考えられない』
  『・・・・・うん』
  『それに俺はお前が・・・、お前とあいつが喧嘩してるところなんて見たくねえんだ』

「でも根拠なしに言ってるわけじゃない。付き合い始めたすぐの頃がそうだったろ?」
俺たちが恋人同士という関係になっても、なんだかんだで4人セットで遊ぶことが多かったのは、
結局、黒猫も桐乃とギスギスした状態で平気でいられる奴じゃないってことだ。

  『だから約束しろ。黒猫と仲直りするって』
  『あんたはそれでいいの?』
  『お前にばっかり無理させるわけにもいかねーだろ。俺とあいつはまた友達に戻るだけだ』
  『戻れると思ってるの?』
  『思ってるさ』
  仮に戻れなくても、新しい関係を築くことは出来るはずだ。

「それに桐乃もお前との喧嘩が応えてるんだよ。・・・・・助けてやってくれ」
「本当・・・勝手な兄妹よ。憎らしいくらいそっくりだわ」
「そう言ってくれるのお前だけだよ」
似てない似てないと言われてきた回数の方が圧倒的に多い俺たちだ。
実際に血の繋がりが無かったのだから当たり前かもしれない。
でも、両親のことを思うと黒猫のその言葉が嬉しかった――

「あなたの妹も同じことを言ったのよ!私に・・・沙織の前で!」
「へっ?そ、それってどういう意味だ?」
「前言撤回するわ。
 パーティーの時に言われたことは、別れて欲しいという事だけではないの。
 あなたと別れなければ、もう友達ではいられないと付け加えてきたのよ。」
「な、なんだって?」
「いけしゃーしゃーと自分だけではなく沙織まで人質に取るような言い回しで・・・!」
な、なるほど。どうりでサークルクラッシャーと呼ばれたわけだ・・・

「いいわ、百歩譲って別れてあげる!でも別れるだけよ!」
「お、おう。俺もお前と友達までやめるのはちょっと寂しくていやだ」
「それと、あの女にあの約束をはっきり伝えて頂戴。」
「約束?」
「二十歳になったら離婚するということよ!それまであの女に貸しておいてあげるわ!」
「わ、わかった」
黒猫の迫力に押され返事をする。
正直なところ桐乃がすんなり了承してくれるとは考え難いが、
二十歳で離婚は前々から言っていたことだし、何とかなるだろう。

「仲直りはあなたからの頼み、でも別れるのはあなたに言われたからじゃない。
 あの女に頼まれたから別れてあげるの、だから嫌とは言わせないわ!!」
な、なるほど。そういう交換条件にすれば桐乃もそうそうゴネる訳にいかない。

「じゃ、じゃあ俺に何か頼むことは?」
桐乃の頼みを聞くことに条件があるなら、俺の頼みにも付けてもらわないとフェアじゃない。

「・・・・・4年は長いわ、でもお願い。私があなたを好きだということを忘れないで。」
「そ、そんなの当たり前だろ」


この一年の思い出を振り返りながら、去ってゆく黒猫の後姿を眺めていた――
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/05(火) 18:42:52.33 ID:98e9mD530
瑠璃たんマジ天使

きりりんマジキチりん
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/04/05(火) 21:32:21.44 ID:6vINJKPJ0
一夫多妻制があればなぁ…
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/05(火) 21:36:04.35 ID:U/uMRUIfo
桐乃と黒猫のために政治家になって法律を変えるんですねわかります
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/05(火) 21:46:20.62 ID:Z2GqNiDDO
例え一夫多妻制になっても解決しないと思うぞ
桐乃も黒猫も納得しないだろうから

マジレスすまない
続き期待してる
67 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/04/05(火) 22:38:19.77 ID:nV6U4W+F0
あのね、先に伝えておきたいから言っとくけど
>>33にもあるとおりワタクシ本当は“あ、軽いLove米”を書きたいっていうか読みたいのよね

ここまでシリアス展開でグダグダ引っ張っておきながら何だけど
多分次から作風っていうか雰囲気変わると思うの、コメディ風に

その・・・シリアス展開を期待してる人ごめんね。
将来的に“終わった後見てみたら一貫性のないSS”になりそうだけど
その時その時の1レスを楽しんでいきたいので大きく舵を切ります
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/05(火) 23:17:44.60 ID:Z2GqNiDDO
俺らが勝手にハードル上げちゃったか
すまんな

俺は全然構わない
主の書きたいように書けばいいさ
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/04/05(火) 23:20:41.46 ID:6vINJKPJ0
1つのSSで色んな雰囲気が楽しめるってことだね
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/06(水) 13:35:23.37 ID:HbdZ5wrLo
最後、桐乃エンドならなんでもいいよ
期待age
71 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/06(水) 18:16:23.56 ID:14Ay9U450
「遅いわね」
「だから言っただろ、あいつは今日撮影で遅くなるって!」
「全く・・・冷めちゃうじゃない」
我が家のテーブルに並ぶ手の込んだ食事――これは黒猫が作ってくれたものだ。
こちらの予定も聞かず唐突に現れて仲直りに来たと言い、あっという間に夕飯を作ってしまった。

「・・・先に食うか?」
「あら、あなたにそんな事が出来るのかしら?」
まあ無理だよ、うん。桐乃の帰宅が遅くなる日に黒猫の手料理を二人っきりで?
しかも別れた直後にだぜ、何のフラグだよ。死亡フラグにしか見えないっつーの。
さっさと食べ終えて帰らせるのも、この時間だともう無理だ。

「何よ、その居心地悪そうな顔は」
「いや、だってさあ。こう言っちゃなんだが何故来たし!?」
「あなたの言う通りあの女と仲直りしに来てあげたのに随分な言い草ね?」
「それならあいつが居る時に来いよ!大体あいつにはもう別れた事話したんだろ!?」
「まったく何をそんなに焦っているのかしら?妹の機嫌を損ねるのがそんなに怖いの?」
「そんなんじゃなくてだな・・・」「ただいまー」
黒猫とそんなやりとりをしているうちに桐乃が帰ってきた――

「今日のご飯なに――って、何であんたが居るの!?」
「あなたに会いに来たのよ」
黒猫のきっぱりとした口調に桐乃は怒りのオーラを少し引っ込める。
でもこの状況ってヘタすると修羅場じゃね?

「ふ、ふ〜ん。まあそうよね。別れた彼氏の家になんかフツー来ないし」
「そうよ、だから今日は“お兄ちゃんを盗られて落ち込んでる妹”を慰めに来たの」
「は、はあ!?誰も落ち込んでなんかないし、勝手なこと言わないでくれる!?」
「では浮かれてたのかしら?やがて捨てられる運命だと言うのに」
「誰が捨てられる運命だってのよ!?」
「ねぇ京介、いつ奥さんと別れてくれるのかしら?」
わざとらしく名前で呼びながら身をすり寄せてくる――
って桐乃を挑発してどうするんだよ!?仲直りしに来たんじゃないのかよ!?

「こ、こ、こ、この泥棒猫!!なに人の旦那盗る気満々なのよ!?」
「ど、泥棒猫!?しかも旦那って桐乃・・・」
「それで牽制のつもりかしら?勝手にひとの恋人と婚姻届を出すあなたこそ泥棒猫ではなくて?」
「フンッ!!きっかけはどうあれ今のこの関係は合意の上ですぅ!」
「ふふふ、では4年後の離婚も合意の上よね?可哀想に・・・
 あなたが二十歳になったその時は、姉として私が慰めてあげるわ」
「な、何ふざけたこと言ってんの!大体あたし、アンタの妹になった覚えはないんですけど?」
「あなたの兄さんとお付き合いするのだから、いずれそうなるでしょう?」
「兄貴じゃなくて夫だし!!」
「あらあら、そう言ってもあなたのご主人はあなたを妹としか思ってないそうよ?」
「ぐ・・・フ、フられた女が何を言っても負け犬の遠吠えにしか聞こえないんですけどぉ?」
「私はフられた訳ではないわ、フったのよ。」
「そうなの!?」
思いがけない黒猫のセリフにショックを受け、思わず首を突っ込むと、
片目でこちらを睨みつつこう告げてきた――

「――友人“3人”と恋人1人、天秤にかけて友人をとったのよ。
 恋人としてのあなたに友人3人分以上の価値は無かったわ」
「その言い方、凄くキツイです・・・」
確かに黒猫が俺と別れる事を選ばなければ沙織を含めた4人の関係は破綻してただろう。
でも、その言い方はひどくない?ねえ?やっぱりちょっと怒ってらっしゃる?

「それに“お兄ちゃんを盗られて落ち込んでる妹”を見てると
 友人としてとても不憫で可哀想だから、しばらく彼氏を貸してあげることにしたのよ」
「借りた覚えなんか無いし!そもそもこいつは、あ、あたしのだから!!」
「そうね、あなたのお兄さんよね」
殊更“兄”“妹”を強調する黒猫。お前ホントはケンカしに来ただろ!?

「全くこの女はいつになったら兄離れしてくれるのかしら?兄さんも大変よね」
こらっ!テメーこっちに話題を振るんじゃねーよ!ああ桐乃が睨んでる!!

「ふ、ふふ・・・そういやアンタの彼氏って、確か妹の為に彼女と別れたんじゃなかったっけ?」
「な、何を言うの?」
「べっつにー?“妹に彼氏を盗られちゃった可哀想な女”がいたなぁって思っただけ。
 シスコンと付き合うのって大変よねー、彼氏は恋人より妹を優先するんだから!」
おお・・・桐乃の奴、妹の立場を利用して反撃しやがった。

「兄離れを期待する前に、妹離れをさせないとまたフられるんじゃな〜い?」
「だ、誰がフられるというの!!」
「一年くらい付き合った挙句、彼氏に妹の方が大事って思われちゃった可哀想な女かな〜」
しっかしああ言えばこう言うって表現がピッタリだな、こいつら。
いつまで口喧嘩続ける気だよ、すっかり飯も冷めちまったじゃねーか。

――でも、昔からこいつらの会話っていつもこんな感じだったよな――

どこか居心地の良い懐かしさを感じ、そんなことを考えながら俺は二人の“ケンカ”を眺めていた。
72 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/06(水) 18:21:33.08 ID:14Ay9U450
Love米に向けてワンクッション
「仲良くケンカしな」を「仲良くクンカしな」と読んでしまったのはきっと一人じゃないはず
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 18:50:35.95 ID:7h15zBXuo
そーれわっふるわっふる
74 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/07(木) 19:22:35.56 ID:0acpdpKj0
「お兄さん、質問があります」
「お、おう。桐乃のことで、だよな?」
「はい、少し気にかかる事があるので・・・」

あやせに呼び出されたいつもの公園――
前回呼び出された時は桐乃と結婚したことについての追求だったが今回はなんだ?

「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「何か言えよ」
「その・・・、桐乃がお兄さんの事を好きだって本当ですか?」
「あっ!?ああ、そのことか?まあ俺も信じ難いんだがそうらしい」
「くっ・・・桐乃はどうしてこんな変態を・・・!」
「誰が変態だっ!!」
そもそもあやせが俺を変態と評するのは、桐乃のオタク趣味がバレた時に
二人を仲直りさせる為に俺がやらかしたことが原因ではあるが・・・

「もういいかげん誤解するのはやめてくんねーか?
 あやせが桐乃の趣味を快く思っていないことはわかるけど、
 桐乃の趣味は俺の影響じゃなくてあいつ自身がそれを好いてるからなんだよ」
「・・・・・」
今更こんなことを言わなくてもあやせはとっくに知ってるはずだ。
ただ、それはあやせには受け入れがたい事実だった。でも桐乃と仲直りはしたい――
葛藤の末、俺達は『桐乃の趣味は変態兄貴のせいだ』という理由を付けたのだ。
憎む(とまで言うと行き過ぎかも知れないが)対象を、桐乃の趣味から俺に変えることで
二人の関係は一応の決着を見せた。それ以来、これは俺たちの暗黙の了解となっていたが――

「もうそろそろいいだろう?この役目から解放してくれ」
「ダメです」
「なんでだよっ!?大体お前メルルはもう許容してただろ!?
 それにあいつは最近エロゲには手を出てないみたいだし、もういいだろ!?」
桐乃が言うには実際は金の問題らしいが、ここは言わない方がいいだろう。

「それが問題なんです!!」
なんですと―――――!?

「・・・お前、桐乃のエロゲ趣味が汚らわしいって嫌ってたよな?
 なんでそれが『エロゲに手を出してないのが問題』になるんだ?」
「だってそれってわたしのことも大事じゃなくなったって事じゃないですか・・・」
お前は何を言っているんだ?
エロゲを大事にしない=あやせを大事にしない?

「すまん、言ってる意味がさっぱりわからん」
「あの時わたしのことをその・・・そういうのと同じくらい好きで大事って言ってました・・・」
なるほどそういうことか。驚いたことにあやせはあの時のセリフを後生大事に覚えていたらしい。
だがそれでさっきみたいな結論を出すのは飛躍しすぎだろ。

「あやせ、それは飛躍しすぎだ。そもそもあやせとエロゲーは全然別のものだから
 桐乃がエロゲーに興味を失くしたからってあやせへの興味を失うわけじゃないだろ?」
「その!そういういかがわしいモノへの興味がなくなるのは構わないんです!!
 いいえ、むしろ喜ばしいです!でも最近の桐乃はそれだけじゃないんです!!」
「それだけじゃない?どういうことだ?そういえば最近桐乃は学校じゃどんな様子なんだ?」
「わたしくらいしか気付いてないですけど、変なんです。妙に寛容というか・・・」
「寛容?いいことじゃないのか?」
「良く言えば、です。桐乃はある意味凄く貪欲なんです。
 勉強も部活も凄く頑張ってて、負けると悔しがってたんです。表には出さないですけど」
「ああ、そういう奴だよな」
「でも、最近は“勝ちたい”って意欲が薄れてるみたいで・・・不安なんです」

あやせの発言に黒猫のセリフがフラッシュバックする――
つい先日、黒猫に言われたことだ。
『それにしても解せないわ、あの強欲な女が友人と想い人を比べて“片方を捨てる”なんて』
あの時は結局こう結論付けた――『そんぐらい参ってたんだろう』――

「お兄さん?顔が物凄く紅いですよ?どうしたんですか?」
「え?あ、いや。そうか?そんなことはないと思うぞ?」
あわてて誤魔化すも顔の赤みは消えない。くそ!!思い出すとどうしてもダメだ!!
実は黒猫にそのことを指摘された後、桐乃に直接確かめてみたんだ。

『お前らしくねーよ、“好きなものは全部諦めない”のが高坂桐乃だったろ?』

陸上、友人、さらに最近はエロゲも――かつての“全てを一番大事にする”姿が見えない。
優先順位など付けず、興味を持ったものや好きなものに全力で取り組む姿勢は
嫉妬や劣等感を感じる要因でありながらも、妹の魅力でもあった――

どうでもいいじゃんとはぐらかす桐乃を問い詰めたことを今の俺は後悔している。

『だ、だってそれは・・・、あんた以外の他のは全部2番だったからだし・・・』

なあ、あんなこと言われて俺は誰に相談すればいいんだよ?
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 19:59:16.60 ID:RhOtUR+N0
わっふるわっふる
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/07(木) 20:17:03.72 ID:ncpcuinao
ニヤニヤが止まらない
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/07(木) 23:43:26.38 ID:JD3LaVQd0
いや、極めて深刻な事態だと思うが。。。。。
78 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/04/08(金) 09:10:35.69 ID:pcj+0XT10
>>77
う、鋭い・・・
実は書いてる途中で「やべっ!桐乃が病んじゃった/(^o^)\」って一度なりました
病みフラグじゃなくて口説き文句になるように書き直したつもりなんですけど
まだ病みフラグにも見えるってコトでしょうか・・・
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 11:20:04.29 ID:hyujbriDO
どっちかっていうと京介がバラしたことの方がヤバイ
あやせに指摘されて云々ならまだわかるけど
いくら信用していても自分からバラすとは思えない

まぁあくまで個人的な意見だから気にしないでくれ
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 11:24:40.22 ID:hyujbriDO
おっとすまん
エロゲは俺の趣味だ云々の嘘をバラすってことな
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/04/08(金) 12:36:26.59 ID:QV0iRaDs0
俺もそこ気になった
まだあやせはエロゲは認めてないんだし
82 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/04/08(金) 19:31:41.24 ID:pcj+0XT10
Σ(゜Д゜;)
あっ!そっちか!!
確かにこの京介の行動はうかつでした
そういえば女三人ガンプラパーティーの内容は書いたけど
>>17の時のお泊り会でのあやせと桐乃の会話は全く書いてなかったですね
作者の頭ん中ではもうあやせにバレても大丈夫な状況になってたせいで油断しました

どうしよう、あそこの部分だけ桐乃視点を追加すべきか・・・
83 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/04/08(金) 19:53:32.17 ID:pcj+0XT10
待て待て俺!
桐乃視点を書いたとしてもこの場面の京介のうっかりが消えるわけじゃないじゃないか!

>>74をちょっと書き直すのが無難かなあ、どうするのがいいでしょうか?
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 20:01:59.88 ID:hOIuuvpQo
落ち着け。書いちまったものは仕方がない
とっとと続きを書け太郎
85 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/04/08(金) 21:53:40.04 ID:pcj+0XT10
>>84
了解です、諦めて強引にあやせフラグに繋げてみました

>>本スレPart.8の627さん629さん
怪我の功名(?)でしょうか、ようやくリクエストに応える下地が出来ました
86 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/08(金) 21:54:21.57 ID:pcj+0XT10
「「「「かんぱーい!!!!」」」」

なつかしのレンタルルームに明るい声が響く――
今回は『高坂京介様専属ハーレム御一行様パーティ会場』なんて恥ずかしい看板は無い。
代わりに『サークルクラッシャー高坂京介を囲む会御一行様パーティ会場』だ、ハハハ・・・

「それにしてもこうやって4人全員揃うのも久しぶりね」
「そうでござる!聞けば先日高坂家にてなにやら楽しげな食事会があったと聞きましたぞ!
 なにゆえその時拙者を呼んでくれなかったでござるか!?」
「べつにィ?あの時はコイツが勝手に来ただけだしぃ」
あの日、黒猫と桐乃はそりゃあもう派手に口喧嘩していったもんだ。
メルルとマスケラのアニメ座談会の比じゃないくらいの応酬だった。
だがそれは端で聞いていて――しかも自分が題材にされていたのに――微笑ましかった。
久々に会った友人同士が、長い間出来なかった友人との会話を楽しんでるように見えたし、
きっとそうだったと思うんだ――

「なに一人でにやけてんの?キモイんですけど」
「え?いやなんかこう、またこうやって皆で話が出来るのが嬉しくってさ」
「ふん、諍いの原因を作った男が何を他人事のように言ってるのかしら」
「そうでござる!きりりん氏と黒猫氏が冷戦状態になってからというもの
 拙者がどれだけ辛い思いをしてきたか・・・!」
「わ、わりー。それについてはマジで謝る!」
「それもこれも全部アンタが鈍すぎるのが原因なんですケド・・・」
「そうね、私の闇の波動にこれほど耐性がある人間も珍しいわ」
ねえ、なんかお前ら結託して俺を虐めてない?
仲直りしてくれたのは嬉しいんだけどお前ら俺のこと好きなんじゃなかったの?

「ふーむ・・・、拙者詳しい事情はまだ聞いておりませぬが、
 もしやきりりん氏と京介氏は既に結ばれてしまったのでござるか?」
「「「なっ!!?」」」

「何を馬鹿なことを言ってるの!」
「ンな事するわけねーだろ!?」
「そ、そうよ!まだそんな事してないし!!」
「まだって何だよ!?」
沙織のトンデモ発言に場は騒然とする。どっからそんな発想が出てくるんだ!?
しかも桐乃まで今のドサクサに紛れてなんか言ってなかったか!?

「いえ、様子を伺いますと京介氏にきりりん氏の気持ちは伝わっているようですし、
 黒猫氏がきりりん氏と仲直りされたということは、あの条件を呑んだともとれます。
 この二つの事柄を考えたらありえぬ話ではなさそうなのですが・・・」
「無い無い!それは無いって!」
「夫婦なのに?」
「一時的なもんだ!」
「新婚なのに?」
「しつこい!!」
必死で否定してんのにそのネタを引っ張るな!まったく。

「ふん、今はただ貸してあげてるだけよ。
 この兄妹がしっかり立ち直らないと次の次元には進めないと判断したの」
「ふーんだ!!余計なお世話ですぅ!」
口ではそういうものの、その態度からは本気でそう思ってる様子は受け取れない。
きっと桐乃もわかってるんだろう。

「ようするに仕切り直しということよ。この女にもチャンスを与えておかないと
 後からどんな言いがかりをつけて来るかわからないから」
「はいはい、強がり乙」
桐乃は否定するも実際は黒猫の言う通りだ。仕切り直し――、桐乃にもチャンスを――、
これらはつまり、4年後に桐乃と離婚した後で俺が誰を選ぶのか、それを暗に示唆している。
“その時”が来たら俺は決めないといけない――

「だから“そーゆーコト”はしないっつーの」
ただでさえその時が来たら桐乃を“バツイチ”にしてしまうのだ、他ならぬ俺が。
大事な妹にそれ以上の傷をつけるわけにはいかないだろう?

「つまり“そーゆーコト”以外はすると!いやーさすが京介氏!なかなかマニアックですな!」
ブーッ!!っと派手にジュースを噴き出してしまった。さっきからなんなんだ沙織は!
妙なことばっかり言いやがって、本当は何が言いたい!

「沙織てめぇいい加減にしろよ、さっきから何なんだ!?」
「むぅ、どうやら黒猫氏ときりりん氏は京介氏のことばかりで拙者のことが眼中に無い様子」
「「そ、そんなこと無いわよ!?」」
ひょっとして図星だったのだろうか、桐乃と黒猫が少し慌てる――

「ですので拙者も京介氏にアタックしてみようかと!」
「なんでそうなるっ!?」
「さすれば、お二人も拙者を無視するわけにはいかないでござろう?」
ニンッ!と口をω←こんな風にして胸を張る――

このぐるぐるメガネに隠されたこいつの本当の顔が見えない。まさか本気じゃないだろな?
87 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/08(金) 21:57:18.32 ID:pcj+0XT10
「ヤバい、これはヤバいぞ」
落ち着きなく部屋をうろうろと徘徊する。何か手を打った方がいいような気がする。
この前の自分の失言を思い出しながら思案にふけっていた――

 『桐乃の趣味は俺の影響じゃなくてあいつ自身がそれを好いてるからなんだよ』

うっかりにも程がある。十中八九、あやせはわかってたと思う。だから口が滑ったんだ。
それに、最近の桐乃は以前のようにはエロゲをやっていない。
時間と金の問題だとしても、やっていない事実があればとりあえずあやせは満足だろう。
しかし、“エロゲ趣味は俺の影響”ということにしていたから、
桐乃とあやせは今まで親友で居られたのだ。その前提を俺が自分でぶち壊してしまった――

え?なぜ今更焦っているかって?その理由は簡単だ。

本文:やっぱりあのいかがわしい趣味の元凶はお兄さんだったんですね。覚悟して下さい。

このメールの意味を考えろ――元凶が俺だと?何故だ?
考えられるのはあやせが桐乃に問い詰めた時に、桐乃が誤魔化す為にそう言った場合――
この場合、俺は嘘をついただけでなく、桐乃を不当に貶めたことになる。
そして『覚悟しておけ』――。一体何を覚悟しろというのだ?
考えたくないが、山に埋まるのが良いか海に沈むのが良いかという意味だろうか――

prrrrrr… prrrrrr… prrrrrr…
突然の着信に怯えながらディスプレイを見る。
――『ラブリーマイエンジェルあやせたん』――
腹を括るしかない。知っているだろう?大魔王からは逃げられない――
ここで出るのを拒否しても無駄な努力だ・・・

「はい、もしもし」
『あ、お兄さん。今どちらですか?』
「自宅だよ、悪いけど今日は公園にまで出かける余裕は・・・」
『それなら玄関を開けていただけませんか?』
俺がギャグ漫画のキャラクターなら、この時目が飛び出してアゴが外れてたに違いない――

「どうぞ」
「お邪魔します」
おそるおそるリビングへと案内する――。自宅だというのにこれから何が始まるんだ?

「さて、いくつか質問があります」
「はい」
取調べを受ける罪人のようにあやせの前に正座する。なんか桐乃っぽいよあやせたん・・・

「まず確認しますけど、お兄さんは桐乃の気持ちをご存知なんですよね?」
「あ、ああ・・・前にも言った通りだよ。本人に言われたからな」
「では、逆にお兄さんは桐乃のことをどう思っているんですか?」
「どう・・・って、妹だよ。それ以外に言いようがない」
「でもお付き合いしていた彼女さんと別れたんですよね?桐乃の為に」
「うぐ、そんなことまで聞いてるのか?」
「いいから答えてください」
「・・・・・そうだよ、桐乃の為に別れた」
ここで嘘をつこうものなら俺は本当に明日は海か山にいるかもしれない。
正直に答え、次の質問を待つ。おそらく次は詳しい理由や事情を聞いてくるだろう。
だが黒猫のことを説明すると必然的に桐乃のオタク趣味を説明するハメになる――どうすりゃいい?

「離婚の予定があるというのは本当ですか?」
「え?あ、ああ、そうだ。桐乃が二十歳になったら互いにひとり立ちする為に離婚する予定だ」
予想外の質問にホッとしつつも困惑する。あやせは何を聞こうとしているのだろう?

「ぶち殺しますよ?」
「なんでっ!?」
いきなり処刑宣言ってどういうことだよ!?

「桐乃の気持ちを知っているのに・・・!!知っていながら・・・!!」
 ――やっぱり桐乃がおかしくなったのはお兄さんのせいです!!」
「俺が何をしたっていうんだよ!?」
「とぼけないで下さいっ!!
 桐乃はお兄さんを慕っていたせいでああいういかがわしいゲームに手を出したんですよ!!」
・・・・・・・・・・なんてこった、桐乃がそう言ったのか?元凶ってそういう意味か?
あやせの言葉に色々な光景がフラッシュバックする――初の人生相談――その時のセリフ――
桐乃に告白されてから薄々思っていたことだが、やはり『他意』は『あった』のだ――

「いや、だからってどうすりゃいいんだよ!?」
「私が確かめてあげます!!あなたが本当に桐乃が想いを寄せるのに相応しいのかどうかを!」
「確かめるって、何するつもりだよ!?」
覚悟ってこれか?そういうことなのか?

「色々ですっ!!」
「色々って何っ!?」

この日からあやせは、俺が桐乃に相応しい男かどうかをチェックしに頻繁に家に来るようになった――
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 23:32:41.34 ID:hOIuuvpQo
別の場面だったのか。一瞬何がなんだかわからなくてびっくりしたぜ
なにはともあれわっふるわっふる
89 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/04/08(金) 23:41:08.78 ID:pcj+0XT10
>>88
すんません、>>1に書いておけばよかったんですけど
基本的に“一場面1レスで完結する”ようにして書いてます

連続で投下しようともそれは変わりません

例外は今のところ桐乃の告白シーンと黒猫との別れシーンだけです
90 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/10(日) 14:11:49.47 ID:cEPvdlad0
「ごちそうさま、美味かったよ」
夕飯を食べ終えて感想を告げる。桐乃の料理の上達ぶりは目を見張るものがある。
こういう学習能力の高さというか努力を惜しまないのは流石と言う他にない。

「じゃ、洗っとくわ」
「あたしも手伝うよ」
「そ、そうか?」
食事は作ってもらった方が後片付け――それが現在の我が家のルールだが、
最近桐乃は分担していたにもかかわらず俺の担当している家事も手伝うようになってる。
だがそれが少々気にかかる今日この頃・・・

「・・・・・あの〜桐乃さん?」
「なに?」
「近くないっすか?」
やけに体の位置が近いのでそう言ったのに、
桐乃はきょとんとした顔をした後、さらに一歩体を寄せてきた――

「おい!」
「へへー、ドキドキした?」
「し、しねーよ!」
すぐこれだ。沙織の『京介争奪レース参加宣言』以来、桐乃はしょっちゅうこういう事をしてくる。
まあ実は、沙織のあの発言とその後の行動には救われている部分が多々ある――
黒猫との関係や桐乃の告白でどう接すればいいか戸惑っていたところに、
沙織が冗談めかした雰囲気で色々とちょっかいを出してくれるおかげで、
桐乃の態度も『からかう妹とからかわれる兄』という形に持ち込むことが出来た。
それは黒猫と付き合いだす少し前の雰囲気にもよく似ていて、対応に困るような事はない。
――例え桐乃の気持ちを聞いてからは内心ドギマギすることが多かったとしても、だ。

「あやせにはすぐデレデレするくせに・・・」
「あ、あれは絶対違うぞ!?それにあやせはそういうつもりでやってるわけじゃないだろ!?」
だが沙織にも誤算があった――そう、新垣あやせの存在である。
俺は桐乃があやせに何を言ったのか詳しくは知らない――
だが桐乃が俺を慕っていることや、既に婚姻届けまで出してしまっていること。
それらを桐乃に並々ならぬ思いを寄せるあやせが知ってる状況で、
桐乃を煽るような行動をすることが、いかに危険なことか――

「じゃあ、なんで今日二人で仲良く洗濯物たたんでたの?」
「駄目出しくらってただけだろ。服のセンスが悪いとか、たたみ方が粗いとか」
桐乃が心配なあやせはちょくちょくこの家に顔を見せる。今日も学校帰りに寄っていった。
家事を手伝ってくれるのはありがたいし桐乃と二人きりにならずに済むのもありがたい。だが――

「いちゃついてる様にしか見えなかったんですケド?あやせも帰り際にそう言ってたし」
「何て言ってたんだよ?」
「『お兄さんがやらしい眼で見てくる』って」
「ないない!誓ってそんなことはしてない!!」
要するにあやせは桐乃が俺に好意を寄せていることが気に入らないわけだ。
俺が桐乃に手を出さないように監視したり、桐乃が俺に幻滅するように仕向けてくる。
『俺が桐乃にふさわしい男なのかあやせが確かめる』って言ってたがバレバレだっつーの!
それに黒猫と沙織に加えあやせまで妙に俺の周りにまとわりついてくる状況は火に油を注ぐだけだ。

「あたしというものがありながら、なんで他の女ばっかりやらしい眼で見るかなぁ・・・」
「だからしてねーって!!」
「あれ?それってあたしだけ見てくれてるってこと?」
あ、しまった。ちくしょう、最近どうあがいても泥沼にハマってしまうパターンが多い。

「だ、だからそれとこれとは別っていうか、そもそもお前は妹だし!」
「・・・ふーん、妹にはこういう事とかされてもドキドキしないんだ?」
「あ、当たり前だろ」
「これでも?」
皿洗いそっちのけにして、ぎゅうっと俺にしがみついてくる。

「だーっ!!もう勘弁しろよ!」
この、もがけばもがくほど悪化する蟻地獄から抜け出せない。
素直に認めようものならそこで終わり。だが強がれば強がるほど桐乃の攻撃は激しくなり、
それが他の連中の行動を煽り、それらがまた桐乃を煽る無限ループ――

「勘弁しない。あんた前からあやせのこと気に入ってたみたいだし」
「あやせはお前が心配なだけなんだから変なこと考えるなって」
方法がどうであれ、あやせは桐乃の為を思って行動しているのに、
それが原因でまたこの二人が喧嘩にでもなったら意味がない――

「やっぱり気に入ってたってところは否定しないんだ!?」
「なんでそこに食いつくんだよ!?」
「だ、だって!やっぱ気になるじゃん!!」
「もーさっきからなんなんだよお前は!焼き餅やいてんのか?」
失言だった――。
顔を赤くしてうつむきながら小声で「うん」とつぶやく桐乃につられ俺の顔も赤くなる――

「――好きな人の好みって気になるじゃん・・・」
黒猫の時もそうだったんだが、俺はこういう風に率直に伝えられる好意にめっぽう弱いようだ。
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/10(日) 15:24:11.56 ID:kDUCHV2lo
きりりんが可愛すぎて俺が死にそうww
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/10(日) 16:43:39.40 ID:+lXDT4BAO
激しく胴衣
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 20:09:43.06 ID:C9F/CUn0P
かわいー
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 05:23:10.74 ID:smn/g7iDO
嫉妬きりりんが一番輝いてるよね
95 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/11(月) 12:02:37.65 ID:0trmJv9g0
「で?なんだよ相談って」
俺、高坂京介19歳は、最近の家庭の事情から非常に深い悩みを抱えている。
恥ずかしながらそれを相談できるのが現在この赤城浩平だけなのだ――

「例えばなんだけど仮に妹からガチで告白されたらどうする?」
「押し倒す」
「まじめに答えろっ!!」
あ〜ヤダヤダ、やっぱりこの超ド級のシスコンにこんな質問しても無駄だったか。
しかしだからと言って他に相談できそうな相手がいないのが悔しい――

「まじめに答えてほしけりゃまじめな質問しろっつーの」
「・・・・・大真面目だよ」
「・・・・・マジ?」
「マジ」
赤城はまだ詳しい事情は知らない、だが知らないからこそ聞けるのだ。
もはや当事者達ではまともな答えなど出せやしない。

「その・・・、お前の妹が?」
「最初に言っただろう、“仮に”だ」
「そうか・・・」
「そうだ」
だが桐乃の名誉のこともある。あくまで仮の話として進める。

「ん、まぁ仮に俺が瀬奈ちゃんから告白されたとしたらだ」
「そしたら?」
「たぶん断る」
「断るのか?」
「だって兄妹だぜ?いくら仲良くても限度ってものがあるだろ、それに」
「それに?」
「――両親が悲しむだろ」
ああ、そうだよな。普通はそうだ。
ってゆーか今一瞬躊躇したのは親の話題になるからなのか?

「兄貴の役目ってのは妹が選んだ相手がちゃんと妹を幸せにしてくれるか、
 それを見極めてやって、そんでその二人が喧嘩したりしたら仲裁してやって、
 そうやって妹の幸せを守ってやることだろ」
「自分が幸せにしてやるって選択肢は無しか?」
「無しじゃなくて無理だろ。さっきも言ったけど兄妹だからな」
「・・・じゃあ、兄妹じゃなかったら?」
「――質問の前提が破たんしてないか?」
「いいから聞かせろ。たとえばその・・・お前と妹の瀬奈が従兄妹だったとしたら?」
こいつならどうするんだろうか、妹思いの赤城なら――

「・・・・・断る理由はねえなぁ」
「なんでだ?」
「俺は瀬奈ちゃんには幸せになって欲しい、これは変わらない事実だからな。
 そして瀬奈ちゃんが俺と一緒にいることが幸せと言うなら、断る理由はない」
「なるほどな」
「だけどさ、俺が自分の手で瀬奈ちゃんを幸せにしてやりたいと思うかどうかは別問題だ」
「どういう意味だよ?」
「仮に俺と瀬奈ちゃんが従兄妹だったとして、
 “俺から瀬奈ちゃんに告白することがありえるか?”と聞かれても正直わからん」
瀬奈が望めばそうする――だけど自分がそれを望むかというのは別問題ということか。

「――いやまあ小難しいことは抜きにしてさ、要は自分が誰と居たいかってことだろ?」
「自分が誰と、か・・・」
「妹とか幼馴染とか彼女とか、そういう括りじゃなくてさ、
 そういうの全部含めて自分が誰と一番一緒に居たいかって考えればいいんじゃねーの?」
「・・・まあ正論だな」
「なんだよ歯切れが悪いな」
悪くもなるさ、冷静に考えてみろ。俺は既に一度桐乃を選んでしまったんだぞ?
桐乃の為に黒猫と別れた瞬間――あの時俺は黒猫じゃなく桐乃と居ることを選んだんだ――

「・・・・・なぁ、高坂。お前将来どうするつもりなんだ?」
「な、なんだよいきなり」
「誰と一緒に居たいかってのは、今だけじゃなく将来も含めて考えなきゃ意味ないだろ?」
「そうだけどさ、俺は今の生活だけでいっぱいいっぱいなんだよ!」
「なんでだよ?前にもうだいぶ慣れたって言ってただろ?」
「それはそうなんだが慣れない出来事も増えてきてな・・・」
「なんだよ」
「妹が一緒に寝ようとか言ってきたり・・・」
「―っ!?」
「俺が洗濯当番の時には下着まで洗わせるし・・・」
「なん・・・だと・・・?」
「風呂に入ってると『背中流してあげよっかー?』とか聞いてくるし・・・」
「おい高坂」
「なんだ?」
「歯ぁ喰いしばれ」

友人のさわやかな笑顔に浮かぶこめかみの血管がとても印象的だった――
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/11(月) 15:14:07.91 ID:VdNgwkiU0
アカギ……!
圧倒的……!!
嫉妬っ…………!!
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 16:31:21.85 ID:/RWDA05co
くそう。俺だって一緒に寝てたのは小学生までだったってのに……
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 22:26:04.40 ID:eYlhmGUp0
赤城兄、いいぞやってしまえww
99 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/12(火) 12:03:55.87 ID:CBEJY2el0
う〜ん、これからどうしよう・・・
サクサク話を進めて8巻が出る前にさっさと完結させてしまうべきかどうか・・・
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/12(火) 12:51:32.23 ID:QeEdO+fDO
あくまで個人的な意見だが

8巻の発売は気にすることじゃないと思うぞ
8巻の内容がどうであれ、俺は主の作品はまた別物として読むだろうし

ただ、8巻の後は兄妹の関係に変化があるだろうし
書きやすさとしては今の方がいいんじゃない?
101 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/04/12(火) 20:27:39.73 ID:CBEJY2el0
そうなのよね
8巻読んでしまうと絶対引きずられちゃうだろうからなぁ…
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/04/13(水) 03:38:25.91 ID:pQkVj/9Go
>>67
乙でした。
正味な話しシリアスな感じだと桐乃にイラッとして、読んでて結構キツかったです。
いや、普通に考えて、会う度に(京介視点からは)いわれのない暴言や暴行を行う“妹”に好意を抱く“兄貴”はいないと思うんだよね……。
いたらそれは被虐趣味のある人か、さもなくば実妹のいない空想(あるいは脳内)上の美化400%している妹しかしらない人だと思うんだ。
んで、家族でいたいから結婚するとか、京介の立場からすれば寝耳に水どころか青天の霹靂かと。
しかも、原作をきちんと準拠している話しなので、黒猫とかの立位置まで揺らいできてしまうので、場合によっては訳がわからなくなってしまいますし。(読者的にも作者的にも)

なので、長々と駄文を書き連ねましたが、これからギャグ路線へ軌道修正していくのは大歓迎だなぁ、と。
その上で作中殊更に割を食っている感の黒猫を救済してくれたら良いんですけどね。あくまでも個人的な願望なので無視してくれても良いですが。
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/13(水) 11:15:55.58 ID:TM1bsocf0
別に妹から暴行されても“あの日なんだな…”くらいにしか思わない

妹いないけど
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/04/13(水) 18:59:35.74 ID:5pzWihiAO
丁寧に書いてあるけど要約すると
桐野が嫌いだからギャグにして桐野ルートを無かったことにしろと
んで黒猫ルートに移行しろというわけですね
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/13(水) 19:30:02.96 ID:ZuWnxoCh0
面白い。
楽しく読ませてもらってるので、作者の都合に合わせて頑張ってくださいな。

要望厨が出てくるのも面白い証拠みたいなものだわな。
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/13(水) 19:43:42.85 ID:d60nY8YTo
場面転換が判りにくいな。
ついでに桐乃が料理上手と言うことに違和感が拭えない……。

ドラマCD付属の小説ではチョコから石炭を錬成し、俺の妹Pの特典小説では姪っ子に「なんでも作ってあげるよー」
「マズいからやだ!」とか言われてるし……。
桐乃の姪っ子の猫可愛がりっぷりからすると、好かれるために相当料理の練習をすると思うんですよね。なのに
「マズいからいやだ!」ってことは、流石の桐乃さんでも、努力による料理の上達は不可能だったという証明なの
ではないかなぁ、と。
まあ、所詮私的解釈なので、押しつけたりするつもりはありませんが。
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/13(水) 19:58:07.58 ID:Y1/V3x8AO
>>106
ドラマCDやゲームの付属の小説なら、目を通してなくても不思議はないけどな
本編小説にあったかは分からんが

>>102
それを言ったら、原作の京介自体有り得なくなっちゃう
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/04/13(水) 22:07:58.61 ID:lWuX4FOd0
>>102>>104>>105
お前ら落ち着けよ
ここはキャラスレじゃないし討論の場でもない
主が書きたいように書くスレだ

キャラの押しとか批判はいいから
俺らは黙って全裸待機しようぜ
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/13(水) 22:10:29.66 ID:ODjmKUbLo
くつ下まで脱ぐとかありえんだろ
110 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/04/13(水) 23:06:00.24 ID:jxdn36UN0
やっと繋がったと思ったらレスがこんなに!せっかくだから全レスするぜ!

>>102
桐乃ルートである以上、黒猫救済は難しそうです・・・
「彼女の思いは恋に恋してたようなものだった」とか、そういう形に捻じ曲げないと
本気で惚れてた男が別の女と結婚してるのに、自分も幸せになれるとかありえんでしょう。
なので黒猫に関しては友情優先、高坂兄妹の友人ポジに収める以外に手だてが浮かびませぬ。
申し訳ない。いやマジですんません。同じ俺妹ファンとして黒猫ファン全てに謝る。
>>103
だよね、目に見えて機嫌悪くなる。
俺妹のキャラにもその辺の裏設定とかあるのかなあ?想像すると楽しいがエロパロ向きかなww
>>104
ギャグっていうかコメディ調に変えたつもりなんですけれども・・・
特に作風が変わった印象は無いのでしょうか?
>>105
ありがとう、励みになります
>>106
場面転換については1レス一話くらいに思ってもらいたいっす。1レスごとにシーン切り替えです。
料理は>>107の予測通り私がその設定を知らなかったんです。原作7巻までと配信アニメを見ただけなんで。
特典小説とかも読みたいけど、いかんせん入手できなかったんで未読です。そのせいでSSにハマってしまったwwww
知ってたらもっと違った書き方してただろうなあ・・・無念
>>107
本編小説には特になかったような気がします。SSで見た記憶はありますが。
>>108
収束に向けて書いてるんだけど、ちょっと時間がかかりそうだから全裸待機は風邪引くからヤメレwwww
>>109
なんとマニアックな!でもそういうの嫌いじゃないぜ(キリッ


んでは、次の投下に向けて続き書く作業に戻ります。
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/04/16(土) 00:26:51.21 ID:d3fV2yef0
わっふるわっふる
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/17(日) 00:38:25.75 ID:/4hG4Y1AO
まだかよ
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/04/17(日) 03:51:36.48 ID:Dys3owD20
>>112
まぁまぁそう言うなって

でもたまには思い出してください
夜な夜な全裸ネクタイで待機している男がいることを…
114 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/17(日) 14:01:04.57 ID:PLC8l8+E0
「ねぇ、そろそろしない?」
「な、何をだよ?」
ある晴れた日の休日――桐乃の提案の言葉に動揺する。
だが、いつまでも目をそらし続けるわけにはいかない現実がそこにある――

「お父さんとお母さんの・・・、遺品の整理――」
親父とお袋の部屋、そこにあるもの、それら諸々の品々を片付ける時が来たのかもしれない。

   ―ガチャリ―

そっと扉を開く。この部屋に入るのも久しぶりだ。
そもそも二人が健在だった時でも、そうそう立ち入っていた部屋ではないのだ。

「やっぱり怖い?」
「ん、怖いってことはないけど・・・」
俺が養子になった経緯などが分かってしまうようなものが出てくるかもしれない。
両親がどんな思いで俺を引き取ったのか――どんな思いで育てていたのか――

「ちょっと緊張するな」
「ま、無理だったら途中まででもいいし」
「そだな、出来るところまでやろう」
まずはどこから手を付けるか――
通帳や重要な書類などはもう別のところに移して保管してるので、
残っているのはプライベートな品だけである。
身内だろうが誰かのプライベートをのぞいてしまう事には罪悪感がある。
でも、他の人には任せられないし、桐乃一人に押し付けることもできない。

「服から片付けていこ、あたしたちが着れる服もあるかもしれないし」
「お前はともかく俺は体型が合わねーだろ」
「あはは、そうかもね」
そもそも親父の選ぶ服は機能性重視で家ではほとんど作務衣だったしな。

――裕福な家庭だったとは思う。
小遣いだって人並みにはもらえてたし、学校の教材だって納金が遅れるようなことはなかった。
欲しい物も必要だと認めてもらえれば買ってくれた。
なのに――

「思ったより少ないなぁ・・・二人の私物」
「そうだね」

高そうな酒のラベルが丁寧に保管してあったくらいで、他は書籍が少々と小物くらいだ。
自分たちの為には僅かな私物に使うだけで、残りは全て俺達の為に貯めていたんだろう。

「あんたそっくりじゃん」
「いや、お前が色々持ちすぎてるだけじゃねーの?」
「そ、そんなことないと思うよ?」
「はいはい、コレクターから見たらそうかもしれないけどな」
一般人からしたら十分大量の部類だってーの。

「・・・あ、これ」
「なんだ?」
「指輪」
「・・・ここに置いてたんだっけ」
「うん」
親父とお袋の左手薬指にあった結婚指輪。葬儀の後この部屋にしまっていたんだった。

「忘れてたな」
「うわ、薄情者」
「お前だって忘れてたんだろ?」
「・・・・・気にはしてた」
「そうなのか?」
「うん」
二人で静かに指輪を眺める時間が流れる――
両親は――親父はどういう気持ちでこの指輪をしていたんだろう?

「――ねぇ」
「なんだ?」
「つけて」
指輪を俺に渡して左手を差し出してくる――

「・・・お前はともかく俺に親父がつけてた指輪はでか過ぎるって」
「ちぇっ」
「それにこの指輪はあの二人のだろ?勝手につけていいようなもんじゃねーよ」
そうさ、そんな軽いものじゃないハズだ。

「じゃあ、いつ自分のぶん作るの?」
「・・・そりゃ結婚する時だろ」

誰と、とは言わない。――言えない。少なくともこんな歪な状態で口にしていい言葉じゃない。
それに、いい加減な気持ちで指輪を贈るような男に桐乃はやれねーよ・・・
115 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/17(日) 14:09:03.52 ID:PLC8l8+E0
遅くなってごめんなさい
あやせが京介誘惑→理性崩壊→やっぱりこんなケダモノに桐乃は任せられません!
それを黒猫が目撃→京介フルボッコタイムなど書いてたんだけど
どーーーーーしても上手くまとまらなかったり、その後の流れが歪みそうになったり
黒猫がものすごく腹黒になったりあやせとガチ修羅場になったりして収集がつかず丸々ボツ

結果、投下できないまま時間だけが過ぎてましたorz
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/17(日) 16:57:52.19 ID:SgiBnZrDO
ボツはif展開ってことで細粒すればいいさ!
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/17(日) 16:59:01.22 ID:SgiBnZrDO
間違った
細粒→再利用
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/17(日) 17:35:55.37 ID:JCL6FKL60
>>115
それでいいと思う。
そんなの没だ。没
119 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/17(日) 19:41:54.19 ID:DRqlOBNL0
「以上でお揃いでしょうか?」
「あ、はい。ありがとうございます」
久しぶりに黒猫から誘われて二人でランチと洒落込んでみたものの相手の表情は暗い。
いや、確かに黒猫は普段からそうそう明るい表情をしている奴ではないけれど、なんていうの?
静かに怒っているような不吉な予感と不穏な空気を感じてしまう――

「ねえ先輩、最近あやせって子と仲が良いそうね?」
「っぐほぉ!!?」
む、咽たじゃないか!なぜこいつがそんなことを知っている?

「お、お前いつからあやせのこと知ってたんだ?」
「あなたの周りをウロチョロする女に私が気付いてなかったとでも思ってるのかしら?
 邪眼の力をなめないで頂戴」
「いや、でも決してやましい関係ではないぞ!?そもそもあやせは桐乃の親友なんだし!」
「知っているわ」
そ、そうか知っているのか。まあそうだよな。
あやせが表の親友なら黒猫は裏の親友といったところだ。
直接面識がなくても桐乃から話を聞いたりした事はあるかもしれない。

「つい先日、人の男に手を出すなと釘を刺しておいたから」
「っげほぉ!!?」
また咽たじゃないか!直接会って話したのかよ!?

「い、いつの間に?なんでまたそんなことを・・・」
「当然でしょう?私はあなたをあなたの妹以外の女に貸した覚えはないわよ?」
あれ、こいつひょっとして焼き餅やいてんのか?ちょっと嬉しいかも・・・

「・・・何をだらしない顔してるのかしら、まったく。
 あなたがそんなだから私が気を回さないといけなくなるのよ」
「え?どういうこと?」
訳が分からず尋ねてみると心底呆れたような顔をされてしまった。

「あなたねぇ、あなたの妹はあなたの為に私に喧嘩を売った前科があるのよ?
 あの子があのあやせって子と仲違いする可能性は考えたことなかったの?」
「ありえねえだろ。それとこれとは事情が違う。
 そもそもあやせが俺にちょっかいを出すのは桐乃と俺を引き離したいからであって、
 別にあやせが俺に好意を持ってるとか、そういう事はないんだし」
「それでもよ。だいたい惚れた男が他の女と仲良くしていて平気な女がいると思ってるの?」
「それは・・・ひょっとして桐乃がそう言ったのか?」
確かに最近のあやせは自分を犠牲にしてでも俺と桐乃を引き離そうとして、
俺を誘惑するようなことまでしてくるから困ってるが――桐乃はそれを黒猫に相談したのか?

「あやせって子の間違いは、その程度のことであの子があなたを諦めることは無い
 ということを理解していないところね」
「・・・・・だからって俺はどうすりゃ良かったんだよ?
 あやせは桐乃の気持ちを取りあえずだけど知ってて色々やらかしてくるんだぜ?」
「あなたが『俺と妹との仲を認めてくれ』とでも言えれば解決でしょうけど」
「んなセリフ軽々に言えるかよっ!?」
「勿論よ。私だって言わせたくないわ。だから私が言ったのよ」
――確かにそうすれば一番角が立たないかもしれないな。
あやせだって桐乃から俺を引き離せるのであれば、手段はどうでもいいんだろうし。
でもそれってさあ・・・

「ひょっとして桐乃の為か?」
「・・・・・それはどういう意味かしら?」
「桐乃があやせと喧嘩しなくて済むように、黒猫が間に立ってくれたのか?」
「誤解しないで頂戴。あなたを他の女に渡すつもりはないといった言葉に偽りはないわ」
「そ、そうか・・・」
「でもあの子の気持ちもわかるのよ」
「?」
「ベルフェゴールに渡すくらいなら私にとられた方がマシと言った時のあの子の気持ち」
・・・・・どこまで本心なんだよ?
最近の黒猫は妙に変なところで俺や桐乃に遠慮してないか?

「何か妙な想像してるみたいだけれど、余計なお世話よ」
「な、何がだよ?」
見透かしたような視線に動揺する。俺達よりも俺達のことを分かってる――そんな雰囲気だ。

「あなたも、あなたの妹も、どちらも元気でいてくれないと私がつまらないの」
「おいおい、俺たちはお前のおもちゃかよ」
「今は“友人”でしょう?」
「ああ、そうだったな・・・」
俺も桐乃もいい友人を持った。そう思う――だけど・・・

「俺達が立ち直るまで待っててくれるのか?」
「・・・・・できるのかしら?」
その黒猫の問いに答えられない。
薄々気付いてはいるんだ。あいつがアメリカに行った時にも思ったこと。

関係なんてどうでもいい。結局俺は、あいつが傍にいないと寂しいんだ――
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage ]:2011/04/20(水) 14:05:14.54 ID:7EJXZwI40
続き待ってるぜよ
121 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/21(木) 20:46:04.27 ID:S8yzQPQu0
「わたし、どーしても納得がいきません!」
「いやまあ気持ちはわかるんだけどさ・・・」
今、俺の目の前で怒りをあらわにしてるのはあやせ。
つい先日、黒猫と何か接触があったらしく、まあそのことで問い詰めたいことがあるんだろう。

「その黒猫さん?ですか?そういう方が居ながらどうして・・・!」
「どうしてって言うけどさ、俺もあやせに聞きたいことがあるんだ」
「なんでしょうか」
「あやせは桐乃にどうなって欲しいんだ?俺にどうして欲しいんだ?」
「そ、それは・・・」
はっきり言ってあやせ自身も訳わかんなくなってる部分が多大にあるとみえる。
嫌悪していた桐乃の趣味、その原因とされる俺。そして桐乃が向ける俺への思い――
傍から見て度を越しているようにも見える桐乃への友情を持つあやせだ。
さぞかし頭の中はぐちゃぐちゃだろう。

「桐乃にはさ、黒猫ともう一人、仲のいいオタク友達がいるんだよ」
「沙織さん・・・ですね」
「知ってたのか。まあその沙織から言われたんだよ。
 『私の大事な友人達を悲しませたりしたら承知しない』って」
「わ、私だって同じ気持ちです!桐乃を悲しませたりしたら承知しませんから!」
そう、あやせはいつも桐乃の為を思ってくれている。だから俺のことが腹立たしいんだろう。

「心配しなくてもいい・・・・・いや、安心していいぜ」
「ど、どういう意味ですか!?」
「俺も桐乃を悲しませたくないって思ってるってことさ」
「・・・・・それはどうしてですか?」
“桐乃のことを好きだからなのか?”そう問いたげな様子だな。
ははっ、でもここでの答えは決まってるだろ?

「兄貴だからな」
「それじゃあっ・・・!」
「言いたいことはわかるさ。それなら将来どうするかってことだろ?」
「そ、そうです!!」
「離婚はするさ、約束だからな。でもそれから先どうするかは俺の自由だろ?」
「桐乃を置いて出ていくつもりですかっ!?」
「逆だよ」
「えっ?」
「俺が、俺の意思で一緒にいる――桐乃が許してくれれば、だけどな」
会話が止まり、沈黙が流れる。あやせは俺の次の言葉を待っているのだろうか?

「黒猫さんはどうするんですか?お兄さんの恋人で、桐乃の友達なんでしょう?」
「ちゃんと俺から話すさ」
「それなら!そういうつもりならもうはっきりさせていいじゃないですか!
 桐乃は不安に思ってるんですよ!いつかお兄さんが居なくなっちゃうんじゃないかって!」
「おいおい、それをわかってて俺を桐乃から遠ざけようとしてたのかよ?」
「さっさと消えてくれれば、踏ん切りつけて次に行けるじゃないですか・・・」
その思考がこえぇよ。相変わらずのあやせさんですな・・・

「まぁ、あやせが桐乃のことを大切に思ってくれてるのは十分知ってるけどな」
「当たり前です!生半可な気持ちで桐乃を弄んだりしたら承知しませんから!」
「俺だって生半可なヤローに桐乃はやれないって思ってるよ。・・・・・昔から」
桐乃が御鏡を“彼氏”として家に連れてきた時にはっきり言っちまったしなあ。

「だから自分で桐乃を守ると?」
「それもあるけど、ちょっと違うかもな」
――結局、俺は桐乃が傍に居ないと駄目なんだよ。
なんて言えばいいんだろうな?アイデンティティってやつか?
あいつの傍に居て、あいつの凄さに嫉妬したり、あいつに振り回されたりしてさ、
それであいつが自分じゃどうしようもない事にぶちあたったら俺が助けてやる。
俺なんかよりよっぽど出来のいい奴だから、俺の出番なんてそんなめったに無いけどな、
でもそんな時思えるんだよ、『こいつの傍に俺が居てやれて良かった』って。

笑っちまうだろ?ずっと嫌いだったつもりだったんだ。無視してたつもりだったんだ。
でも違ってたんだよ。目を逸らしていただけで、ずっと気にしてたんだ。
あいつを見てなかったんじゃない。あいつの居ない方を見ようとしてたんだ。
そんで結局後ろばっかり気にしてたんだよ。
大嫌いだったはずのあいつとの暮らしが放し難い理由?
簡単なことだ。単純に俺があいつの傍に居たいからなんだよ。

「昔から桐乃のことばっかり気にしてたんだよ。シスコンって言われても仕方ねーよな」
「・・・・・桐乃はお兄さんとの兄妹としての関係は望んでません」
「俺だっていつまでもあいつと兄妹でいられるとは思ってないさ。
 血が繋がってないって知った時から、きっとそうだったんだと思う。」
――俺と桐乃の関係はいつか変わってしまうだろう。
あいつがずっと俺を見ていてくれたことに気付いた時、今までのようにはいられなくなった。
だけどさ――

「もう少し、あいつの兄貴でありたいんだ」

桐乃が二十歳の誕生日を迎えるその日まで――
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/21(木) 20:51:19.58 ID:kGTlMRMeo
そーれわっふるわっふる
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/21(木) 21:10:56.69 ID:LlyblIlTo
あれ?なんだか京介が格好いいぞww
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/21(木) 23:46:01.33 ID:nka0Dl9Ro
カッコよさげにシスコン(?)カミングアウト&その他の女の子を振ってるわけですがw
長年兄妹だと思っていた相手を、義理だと判明したからってそうそう容易には女性としては見られないと思うんですけどねぇ。
結局何がしたいんだ、京介は……。
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/22(金) 00:08:14.93 ID:Mxa0ImOvo
兄妹の時からそういう気持ちあったって事だろ
126 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/25(月) 22:23:28.50 ID:4r/DyT+80
非常に難産だった
一気に時間飛びます。おそらく次回で最後
ごめんよ黒猫な展開です、京介もげろ
127 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/25(月) 22:25:02.14 ID:4r/DyT+80
仕事中、こっそりメールを見る。案の定、桐乃、黒猫、沙織からメールが来ていた。
今日は桐乃の誕生日。去年までは一緒に祝ってたのだが、今年は仕事で無理だった。
ま、この不況の時代にすんなり就職できたんだから文句は言うまい。
それに今日は桐乃が二十歳になる日だ。去年までと同じような空気の誕生パーティなんて無理だろ。
それを考えると、仕事で行けないというのはむしろありがたい気がするな・・・
三人にそれぞれ返信する。まずは黒猫からだ。最初にあいつと話をしなければならない――


「お疲れ様」
「ああ、ごめんな。待たせちまって」
「気にしなくて結構よ」
仕事帰りに駅の近くの喫茶店で黒猫と会う。
今日までの間、二人だけで話すことも何度かあったが、話す内容はいつも同じだ。
ただいつもと違うことは、ついに“その日”が来たという事――

「桐乃は今日どんな感じだった?」
「桐乃っていうか私達全員微妙な感じだったわね」
「ん、そうか・・・」
「帰ったら、どうするの?」
「・・・離婚届はもう持ってる。俺の分は記入済みだ」
約束を果たす日が来たのだ。この奇妙な関係に終止符を打つ日が――

「じゃあ、改めてお願いするわ。―――――私と付き合ってください」
二人で話すときに繰り返してきた会話。でも、今日の返事は意味が違う。
これ以上結論は先延ばしにならない。今、ここで決着がつく――

「すまん」
「最近のあなた達の関係は兄妹にしか見えなかったけれど、それでも?」
「桐乃はともかく、俺はそう振る舞ってたからな」
「それはどうしてかしら?まさか私に気を持たせるためじゃないでしょうね?」
「違う。・・・・・自分の為だ、自分の気持ちの整理をつけたかったからだ」
黒猫の問いかけにあの時のことを思い出す――桐乃への思いを自覚したときのことを。
不思議なものだ。桐乃に対してどう思っているか、それを自覚してから急に怖くなった。
あいつと“兄妹”でいられる時間が残り僅かになっていたことが――

桐乃が大人になるまで俺が桐乃を守る――兄として当然のことだ。だけどその後は?
本当の兄妹だろうとそうでなかろうと、そこまではきっと同じだ。だけどその後は?

一緒に居られなくなることが怖かった――
今までと同じでいられなくなることが怖かった――

そしてそれと同じくらい“今”が愛しくなった。桐乃の兄貴としていられる日々が――

  『“妹”まで失くしちゃったワケじゃん』

あいつに言われて気が付いた――
自分の居場所が消えてしまったことに、それに気が付かないふりをしていたことに。
――そして、桐乃が俺を守っていてくれていたことに――

「・・・両親への恩返しの意味も含めてさ、兄貴の責務を全うしたかったんだ」
「理由がそれだけなら今日から私とまた付き合っても問題ないはずでしょう?
 誤魔化さずにはっきり言ったらどうなの。私はそんな臆病者を好きになったつもりはないわ」
「・・・・・桐乃のことが好きなんだ」
はっきりと口に出して言うのはこれが初めてだ。その相手が黒猫とはまったくもって俺らしい。

「いつから?」
「――たぶん、ずっと昔からなんだろうな」
あやせにも話したこと。結局俺はあいつから目を逸らすことなど出来なかった――

「それってただの家族愛ではないのかしら?」
「だとしても、俺は桐乃を選ぶよ」
――赤城の言葉を思い出す。
俺は誰と一緒に居たいのか?――シンプルに自分の気持ちを考えるとこうなるんだ。

「ふう・・・、こうなることはわかってたけれど、面と向かって言われると結構キツイわね」
「わかってた?」
「そうね、例えばだけれど、あの夏の日に私ではなく沙織が告白していたらどうしてたかしら?」
「な、なんだよそれ」
「いいから想像してみて頂戴」
「・・・・・断らなかったんじゃねーかな?」
よくよく考えたら沙織は外見も中身も相当いい女だよな?
美人でスタイル抜群、雰囲気を敏感に察知して細かな気配りも出来る。――なにより優しい。
あの時の俺ならまず間違いなくOKしてただろうな・・・

「結局そういう事よ、私と付き合ったのだって“断る理由がなかったから”でしょう?」
「そ、そんなことは無い!ちゃんと好きだったさ!」
「いいのよ、わかってるから。あなたは誰にでも優しい。相手が妹の友人ならなおさらね」
思い切り突き離すような落ち着き払った黒猫の態度に気圧される。

「とどのつまり、私は“妹の友人”から抜け出せなかったのよ――」
128 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/25(月) 22:28:37.54 ID:4r/DyT+80
黒猫のセリフを否定できない――
桐乃の友達ってだけじゃない、俺にとっても大事な友人なんだ。それは間違いない。
でも、そう言ったら恋人だったことを否定するみたいで何も言えなかった。

「ねぇ、付き合っていた時のことを覚えてる?」
「当たり前だろ」
「・・・あの日、『これからは名前で呼んで』って頼んだわ」
「そうだったな」
「ふふ、それからあなたは私のことを瑠璃って呼んでくれるようになった。
 でも心の中ではずっと“黒猫”って呼んでいたのでしょう?
 最初はそう呼んでくれと自分が言っていたのに・・・変よね、それが悲しかったわ」
「や、たしかに二人の時以外では黒猫って呼んでたけどさ、それは照れ臭かったからで・・・」
「いいのよ、変に誤魔化そうとしないで。優しさのつもりかもしれないけれど、かえって嫌味よ」
返す言葉が見つからない――あの夏の日、もっと真剣に考えて返事をしていれば・・・

「端的に言うと早い者勝ちみたいな状態だったのよ、あの時のあなたは。
 まったく人の気持ちだけではなく、自分の気持ちにもとことん鈍感な人だこと」
「返す言葉がねーよ・・・」
自分の気持ちを自覚するのにどれだけ時間かかってんだよって話だ。

「ま、私も人のこと言えないけれど」
「え?」
「・・・桐乃にあなたと別れなければ絶交って言われたのよね」
「言ったらしいな」
「あの後あなたに友人3人と恋人1人を秤にかけたって言ったわよね?」
「覚えてるさ」
「あれは本当に本音だったかも」
「・・・・・」
「ショック?」
「いや、むしろそう言ってくれた方がありがたいな」
いいから私のことはもう気にするな、と。そう言ってくれてるんだろう?
俺の優柔不断な態度のせいで皆に迷惑をかけた。
思えば麻奈実のこともそうだったな。かなり昔赤城の奴にも言われたっけ・・・

「何を浸ってるのかしら?帰ってからが本番でしょう?」
「あ、ああ、そうだよな」
「この数年で桐乃の気持ちが変わっていたらどうするのかしら?」
「お、脅かすなよ!」
「ありえなくもないんじゃないかしら?この4年間、あなたを諦める努力をしてたかも知れないわよ?」
「そんな後ろ向きな奴に俺は惚れたりしねーよ」
「――はいはいご馳走様。犬も食わない兄妹喧嘩から夫婦喧嘩になる日も近そうね」
「まだ給料二か月分しかもらってないからもうチョイかかる」
「あきれた気の早さね。そんな事なら離婚する必要ないんじゃないの?」
「その疑問はもっともだと思うけどよ。なんつーか・・・ケジメ?」
「私に聞いてどうするの。どこまで優柔不断なのよあなたは」
「はい、すみません」
俺も離婚する必要ないって思わないわけじゃない。でも、桐乃や黒猫との約束もある。
それに、桐乃と俺は今日まで夫婦というより家族だった。だから兄妹としての日々をちゃんと過ごすことが出来た。
その関係を違ったものに変える為に、目に見える形や区切りが欲しい。

「・・・・・まあ、その理由とやらは桐乃に直接言ってあげなさい。私は聞かないであげるわ」
「おう、ちゃんと話す」
「それじゃ気を付けて帰りなさい」
「お前はどうするんだ?」
「もう少し、ここに居るわ」
「そうか、あんまり遅くならないようにな」
「余計なお世話よ」
「友達の心配するのは当たり前だろ」
「・・・・・そうね、ありがとう」
会計を済ませて店を出る――外もう暗くなり始めていた。

prrrrrr… prrrrrr… prrrrrr…

『はい、もしもし』
「話は済んだよ」
『して、首尾の方は如何に?』
「わりぃ、約束守れなかった」

   『拙者の大事な友人たちを悲しませたりしたら承知しませぬよ?』

何度も言われたことだったけど、無理だった。
店を出る時、気付いたけど気付かないふりをした。あの涙に――

『・・・仕方ありませんね』
「後を頼んでいいか?」
『頼まれなくとも、拙者は友人を見捨てたりはしませぬ』
「ありがとう」
『では、また後日――』

電話を切って家に向かう――帰宅するのにこんな緊張するのは生まれて初めてだ。
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/25(月) 23:31:00.65 ID:bgUekha8o
>>128
沙織は格好いいなあ
で次回でラストか、乙!
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 07:17:58.04 ID:XVTbV9SDO
黒猫…ウウッ
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 13:44:38.18 ID:tiwgeNd+o
乙〜。黒猫√も希望……してもいいかな?(弱気)
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage ]:2011/04/27(水) 10:43:55.31 ID:Bn2NdhWp0
黒…猫……

さあ、そろそろクライマックスだ
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/28(木) 08:33:32.61 ID:ysdmN31i0
4年待った挙句結局振られるとか黒猫不憫すぐる・・・・
134 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/29(金) 19:22:04.90 ID:lq5Ibq4Z0
緊張の面持ちのまま家に着いた。走ってきたわけでもないのに心臓はバクバクいってる。
帰宅するのにこれほど落ち着かない日は後にも先にも無いかもしれない。
俺の人生は今日、大きな分岐点を迎える――

「ただいまー」
鍵も開いているし家の明かりは点いてるので桐乃が居ることは間違いない。
二階の自室?リビング?どこに居るのだろうか?
とはいえ帰って先ず最初にすることはいつも同じだ。リビングに向かい水分補給――

「あ、おかえりー」
「おう、ただいま。ここに居たのか・・・ってなんか少し散らかってないか?」
「うん、お祝いにあやせと加奈子が来てくれてたからサ」
「人気者は大変だな」
苦笑しながら軽く茶化す――普段と同じように話しかけることが出来て若干落ち着いた。
しっかしまあ、昼はオタク仲間の沙織と黒猫、夕方にはモデル仲間のあやせと加奈子、
パーティを開いてまで誕生日を祝ってくれる友人が二組もいるっていうのは流石だな。

「片付け手伝おうか?」
「うん、ありがと」
クラッカーでも鳴らしたのか小さな紙屑とかも落ちてるな。
他にも色々食べた後などが見受けられる――
加奈子はともかく、あやせが桐乃の家をこんな状態のままにして帰るとはどういう事だ?

「ひょっとして桐乃が片付けはしなくていいって二人に言ったのか?」
「ああ〜、うん。そう。実はついさっきまで居たんだよね〜」
「なるほど、そういう事ね・・・」
あやせはともかく加奈子にまで居られたら大事な話なんてできないからな。
この配慮は素直にありがたい・・・・・ん?ちょっと待てよ?

「そろそろ俺が帰ってくるってなんでわかったんだ?」
「黒猫と沙織からメールもらったの」
「そっか・・・」
「ってかさ、あんたあたしの誕生日にあの二人とナニしてたワケ?」
「え?」
「メールと帰るタイミングがばっちりって、どう考えても直前まで一緒に居たって事でしょ?」
「あ、ああ、そういう事か」
あの二人は俺が喫茶店を出た時に桐乃にメールを送ってくれたって事か。

「で、あたしに隠れてこそこそとなに話してたの?」
「今日の約束のことだよ」
「約束?」
「忘れたフリすんなっての」
「・・・・・」
「一応、これだけはケジメつけたいんだけど」
「・・・・・そっか」
桐乃は掃除の手を止めて立ちすくむ――やっぱり勘違いするよな。
だけど物事には順序ってもんがある。だから一つずつ話していかないと。

「書類・・・今どこに置いてるの?」
「もう、持ってきていいのか?」
「うん、覚悟はしてたから」
黒猫と同じセリフに驚きつつも、用意していた離婚届を取りに部屋に戻る。
そしてもう一つ――あの日見つけたもう一つの指輪を持ってリビングに戻る。

「・・・もう自分の分は書いてたんだ。準備いいね」
どこか辛そうな様子で桐乃の書くべき欄を埋めていく。これであとは提出するだけだ。
書き終えた桐乃の目は潤んでいるように見えた――

「明日、これを出せばお前の兄貴役もお役御免だな」
「嬉しいの?」
「・・・少し寂しいな」
これは本音だ。俺が桐乃のことを好きな気持ちに嘘は無い。
だけど桐乃は好きな女の子であると同時に、大事な妹だったことも確かなんだ。
だから、わかっていても兄貴じゃなくなることが少し寂しい・・・

「・・・財産分与は前に決めてた通りでいいの?」
「ああ。もともと親父とお袋の物だし、二人だけになってからの稼ぎもお前の方が多かったからな。
 不動産は全部お前に任せるよ」
「・・・・・あんたこれから住む場所はどうするつもりなの?
 家賃入れるならこのまま住まわせてやってもいいけど?」
「是非っ、お願いします!!」
俺はこのありがたい申し出に間髪入れず飛びついた――
が、当の桐乃は驚いた様子で呆気にとられている。
書類を書く桐乃の様子から、まだ俺を好いていてくれていることは期待できそうなんだが・・・

「なんだその鳩が豆鉄砲くらったような顔は」
「だ、だってあたしてっきり出ていくんだと思ってたし・・・」
まあ、そうかもしれないな。だが安心しろ桐乃。ちゃんと全部伝えるから・・・俺の気持ち。

「黒猫とは、今日ちゃんとケリをつけてきた。もう一度って言われたけど・・・断ったよ」
135 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/29(金) 19:22:37.94 ID:lq5Ibq4Z0
目を大きく見開いた桐乃のその表情が、誰かさんと被る――
よく似てる、意地っ張りなところとか・・・いや、黒猫が桐乃に影響されて似てきてたのかな・・・

「ごめんな、お前の友達泣かせちまった」
「・・・そ、そうじゃない!!なんで!?どうして!?」
「どうしてって・・・お前は俺が黒猫とまた付き合い始めると思ってたのか?」
「―っそ、そう!!」
「なんでそう思ってたんだ?」
「だ、だって最近のあんたの態度とかがさ・・・」
「なんだよ」
改めてはっきり言うのは恥ずかしいのか口篭ってごにょごにょ言うだけだ。
んー、まあ確かにこいつの行動を口で説明するのはちょっと憚られるな。
酒の勢いを借りながら赤城に相談したことも、今思い返すと恥ずかしい・・・
とは言え、桐乃の言わんとすることくらいわかる。

「正直に言うと、お前の誘惑に耐えながら兄貴面するのは相当な苦行だったぞ」
「ちょ、ちょっと何よいきなり!?誰もそんなこと言ってないし!!」
「じゃ、言い方変えるわ。俺がずっと兄貴としての態度を崩さないように出来たのはな、
 お前の兄貴をやるのは今日までって決めてたからだよ」
なんで?とか、どういうこと?って聞きたそうな顔してるな。
そんなに上手に隠せてたとは思ってなかったが、桐乃の奴も結構鈍いんじゃねーのか?

「あの日、お前言ったよな?家族全員失くしたようなもんだって。
 当たりだよ。俺、気付いてなかったけど相当ショック受けてたみたいだったんだ」
「・・・うん」
「んでさ、気付いたんだよ。お前が俺を守ってくれてたことに」
「べ、べつにあんたを守ってたわけじゃ・・・」
「はは、まあいいさ。桐乃がどう思ってたとしても結果的にそうなってたんだよ」
それこそ、桐乃の方が参ってしまうまで気が付かないくらい俺はパニくってたんだ。

「親父やお袋に顔向けできねー気がしたよ・・・
 あれだけ良くしてもらったのに、桐乃に頼りっぱなしじゃ恩返しもできない」
あんな状態の俺に、大事な娘を任せるなんて言ってくれたとは思えない――

「そんで情けなくなってさ・・・兄貴のクセに妹に守られてさ・・・
 昔、御鏡の奴にあれだけタンカ切ったってのにどうしようもねーと思った」
俺を安心させてみやがれって言っておきながら、自分の方がよっぽど信用ならねーザマだった――

「だから決めてたんだよ。お前が二十歳になるまでは兄貴としてしっかりお前を守るって。
 そして俺自身が、こいつなら桐乃を任せられると思える奴になろうとしたんだ!」
離婚届と一緒に持ってきた指輪を出す――これはお袋の形見だ。
あの日見つけたもう一つの指輪――かつて親父がお袋に贈った思いの結晶――

「借り物で悪い。だけどちゃんと予約してる、今月の給料が出たらその足で買いに行く。
 だからそれまではこれをつけててくれないか?親父がお袋に贈った――婚約指輪だ」
桐乃の手を取って指輪を渡す――
本当は自分で買った物を渡したかったが、今の俺は一日だろうとこいつを手放したくなかった。

「俺と、結婚を前提に付き合ってくれ」
桐乃は心ここにあらずって感じで固まってるが、俺の心臓はもう破裂しそうだ。

「な・・・んで・・・?」
「なんでって・・・お前が好きだからだよ」
「す、好きだからって・・・!い、いつから?」
「今の俺が桐乃を好きなんだからそれでいいだろ?・・・お前のセリフだぜ」
「そ、そうだっけ?」
「それにこれから先もずっと好きでいる自信もある。だから・・・俺と付き合ってくれ」
大事なことなので二度言いました。さあ、答えてくれ――

「ウソじゃない・・・?」
「こんなことで嘘つくかよ」
「ほ、本当に本気?」
「冗談でお袋の指輪なんて借りれるか」
「じゃ、じゃあなんで離婚・・・?」
「・・・・・黒猫は大事な友人だろ?俺にとってもお前にとっても。
 だから、あいつとの約束は絶対守んなきゃいけないって思った」
「それだけ・・・?」
黙って首を振る。もちろんそれだけじゃない。
今までの延長じゃダメなんだ。新しく関係を築き上げるために――

「兄妹でも夫婦でも家族でもない関係に・・・。離婚して・・・俺の恋人になってくれ」
目に涙を浮かべ俺の体に飛び込んできた桐乃をそっと受けとめる――
見慣れたはずのこのライトブラウンの髪の毛がとても輝いて見えた――

「あ、あ、あに・・・」
「おっと、これからは京介って呼んでくれ。その方が恋人っぽいだろ?」
まさかここまでしておいてNOとは言わねーよな?
俺はそのまま黙って桐乃を抱きしめてその唇にキスをした――

   俺と妹が夫婦なわけがない―――――だって恋人なんだからな。
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/29(金) 19:27:27.94 ID:rOdunE+Xo
ええ話や・・・乙
しかしこれで終ってしまうのか・・・?
後日談はあるんだよな?
137 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/29(金) 19:31:04.71 ID:lq5Ibq4Z0
一応、これで完結ってことでよろしくお願いしますだ
エピローグは書くかも
黒猫ルートは・・・8巻の内容次第だなぁ・・・
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/29(金) 20:10:53.89 ID:eWDxfjX9o

この後みんなにからかわれまくるんだろうなww
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/29(金) 20:49:02.40 ID:Fb0+5XD70
再婚するとしたら、やっぱり結婚記念日は前の時に合わせるのかね?
結婚したのが桐乃が16になった直後だったみたいだから、ほぼ一年は待たにゃならんのか。
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/04/29(金) 21:07:07.77 ID:fhQIq+AVo
実は離婚届を提出してないきりりん、とかww
141 : ◆NAZC84MvIo [sage sage]:2011/04/29(金) 21:28:59.11 ID:lq5Ibq4Z0
バカップルエピローグが思いついてしまった。
エピローグって言うかただのオマケ。ちゃんとした後日談はまた別に書く

桐乃 「ねえ」
京介 「なんだ?」
桐乃 「この家の所有者ってあたしなんだよね」
京介 「ああ」
桐乃 「あたしが大家で京介が店子」
京介 「家賃らしい家賃は入れてないけどな」
桐乃 「あたしが家主で京介は居候」
京介 「うん。・・・さっきからなんなんだよ?」
桐乃 「ようするにこの家はあたしの物で、使うにはあたしの許可が要るってこと」
京介 「理屈ではそうだな」
桐乃 「うん。だからあたしの許可なく使っちゃだめだからね」
京介 「うげっ、マジかよ?」
桐乃 「マジです。だからとりあえずお風呂の無断使用禁止ね」
京介 「ちょ、それはひどい!」
桐乃 「京介が使っていい時間はあたしが決めるから」
京介 「はぁ〜・・・わかったよ、何時から何時まで?」
桐乃 「・・・・・あたしが入ってる時・・・とか///」
京介 「そんな決まりなら大歓迎だ」


黒猫 「鬱欖檳檻樞歿汪揥搓槃榜棆棕椈楾楷欖棗梭樸檢殀・・・」
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/29(金) 21:36:13.61 ID:eWDxfjX9o
いかん。黒猫の闇の力がww
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/29(金) 23:04:44.32 ID:XRbPFcOAO
完結乙。
イイハナシダナー
二度言いましたのくだりは笑った

オマケも加味するとショットガンマリッジしか想像できないww
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/29(金) 23:54:25.93 ID:vAcSjtLb0
乙乙乙ッッッ!

小ネタでも何でもいいから投下し続けてくれ
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/30(土) 05:13:43.06 ID:TMMnvXR6o
乙っしたー!
んー、個人的にはなんか消化不良な感じの読後感だな……。
やっぱ原作下敷きで読んじゃうから、京介が桐乃を妹以下(?)から妹に見られるようになって、かつその後義理の兄妹だと
判明したとして、桐乃に好意を持つかなぁ、という疑念が個人的に拭えない。
や、単に俺なら、会う度に無言で蹴られたり、「ウザい」だの「きもい」だの言われたら、妹相手でもキレるなぁ、と思うからかも
知らんけど(笑)
このSS内で京介が桐乃に惚れた過程がすっ飛ばされて、『昔から好きだった』とされているのも、しっくり来ない一因ではある
んだろうけどね。
あ、叩きじゃないよ?
個人的に、原作で桐乃の感情がどちらとも取れる書き方されてるので、その辺(京介が桐乃に、また桐乃が京介に惚れる過程)
は綿密に書かれるべきだと思うけども、自分でも書ける自信ないし。
やっぱ8巻待ちだよね。
うん、駄文・長文失礼しました。次回作も期待しているので、頑張ってください。であ。
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/30(土) 05:18:05.58 ID:5Op7OD/DO
黒猫哀れすぎる…
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/30(土) 12:50:41.44 ID:DHWeyRlhP
黒猫は涙の似合う女
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/01(日) 04:31:10.49 ID:psaFfYqAO
>>145
お前>>102だろ
いい加減しつこいよ
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/05/01(日) 05:00:37.36 ID:8WvRP6uwo
>>145
うん叩きじゃないよね
ただ桐乃がきらいだから
黒猫ルートでおわらなかったのが気にくわないだけだよね
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/01(日) 13:10:51.85 ID:nXFoGzbN0
そういうのは放置しとけよ
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/02(月) 13:14:41.75 ID:+PAxhSNG0
>>145
まさに慇懃無礼の典型だね。
不満点として挙げているのは、原作の設定もしくはその解釈にかかわる部分だから、SSの不満点として挙げること自体がおかしい。原作者にでも言うべき。
そもそも>>145の言葉に従うならば、途中の心情が書かれていない恋愛物のSSは書くなということになる。それこそ桐乃だけじゃなく、黒猫やあやせのSSであっても。
まあ、本音は>>149の言ったとおりなんだろうけど。
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/02(月) 14:01:25.18 ID:dD6xsIbTo
自演の匂いがする・・・
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/03(火) 22:52:50.74 ID:yJ8xWjmy0
GJ!
面白かったよ
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/05(木) 16:55:08.77 ID:6d8AiWYSO
まだ200にもいって無いのに終了だと・・・
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/05(木) 22:41:10.63 ID:TzuTIO+8o
>>148, 149, 151
や、なんつーか、オマエらの書き込み見てるとなんかね。
他人の感想にまで噛みつかなきゃならんほど攻撃的なのは何でなのかなー、とか思うわ。
籠められてるかどうかもわからない悪意を、それのみを読み取る能力が高いのはわかったから、
も少し善意を読み取る努力でもしたら?(それもこめられてるかどうかは知らんが)
156 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/05/05(木) 22:45:51.97 ID:yctCc7cR0
>>154
一区切りつけた形だけどまだ後日談を書くよ!
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/06(金) 00:22:48.83 ID:iMyqQVrm0
期待してる
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/07(土) 22:32:37.13 ID:OIDKGe/l0

159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/16(月) 23:43:27.16 ID:PkY9PB+bo
後日談まだー?チンチン(AAry
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 02:18:01.66 ID:rZkpJyYfo
面白かった。
妹すら失ってしまうと言う下りは良かったと思う。
もう少し、親を失った哀しみを表現すると良かったかなあ。
あ、あと黒ネコに十発殴られるくらい有りだと思うw

実際こういう事態に陥ったら桐乃は譲らないだろうなあ……。
恥も外聞も投げ打って本心をさらけ出しそうです。

後日談期待してます。
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/21(土) 23:30:41.13 ID:XMCk9lpk0
まぁそんなに焦らすなよ。     期待して待とう。 乙
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/28(土) 18:13:32.18 ID:mft2Z7mc0
後日談、期待
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/29(日) 02:22:10.53 ID:qRFMOAgUo
以前にまとめwikiで始めの方だけ読んだけど、つい一昨日このスレを発見した。
GJです。
キャラがちゃんと原作のキャラだと思った。

原作8巻がアレだったんで、もうSSに期待するしかない。
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/04(土) 19:56:47.29 ID:qFlhP1DJ0
後日談はまだか?
165 :!ninja [sage]:2011/06/09(木) 23:08:31.30 ID:D9WVdrcVP
後日談期待してます
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/12(日) 23:32:01.04 ID:N8I/ekJw0
>>141
超お疲れ
いい出来だと思うぞ
追加とかあったらまた読みに来る
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/14(火) 20:24:32.83 ID:N5rQDbzDO
一気に読みました。
とても面白かったです。
乙です。
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/20(月) 06:28:28.32 ID:FowW99vU0
続編期待
169 : ◆NAZC84MvIo [saga saga]:2011/06/24(金) 17:32:05.79 ID:TqU0IU8r0
二ヶ月放置してて申し訳ないけど、もうしばらくかかりそう
8巻読んでPSP入手してアニメ最終話見てと過ごしてたんだけど
ブランクのせいか、8巻直前のあのモヤモヤヤキモキ感がなくなったからなのか
上手く書けない……
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage ]:2011/06/25(土) 11:08:25.49 ID:uzDrylkU0
非力ながら応援してる
171 :sage :2011/07/02(土) 14:37:14.57 ID:eidM5mg40
支援
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/02(土) 15:07:10.17 ID:7+hnLJla0
>>171
支援するならsageを覚えろ
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2011/07/05(火) 00:19:16.30 ID:Sh0M8uQRo
今更だけど、すごい面白かったよ
続きも期待してます
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/16(土) 22:52:41.57 ID:IJNl209f0
支援するから後日談をおおおおおおおおお
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/26(火) 01:55:07.36 ID:QQwapx+80
後日談頼みます!
176 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/07/28(木) 09:30:04.46 ID:Jg5lL/r00
ダメだ!なんかマジで上手くいかない!
今さらながら8巻出る前に一応完結しておいてよかったと心底思う。
・・・思うが、流石に「やっぱ書けないからこのまま放置!」は心苦しい・・・

・・・ので適当にシチュエーションっつかお題を指定してくれないか?
時期は>>135の後でもいいし書いてない>>121から>>127の間の3年間のどこかでもいいんで

その中でティン!と来るものがあれば何か書けるかも
平たく言うならアイディアくれ!
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/28(木) 13:21:08.82 ID:C1FtO6Bl0
新婚旅行
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2011/07/28(木) 13:24:03.75 ID:656ul21Oo
3年の間には結婚記念日もあったんだよな
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/28(木) 19:23:18.47 ID:LvDN225l0
やはり>>135以降のエピローグを見たい。
・デート   
・結婚式 
・新婚旅行  
・墓前報告

結婚式が一番ほしい。一年後の桐乃の誕生日もしくは両親の命日に結婚式を挙げる。
でも、命日はやめた方がいいかな?とりあえず両親には誓ってほしいな。

墓前報告は死んだ両親の墓に桐乃と結婚することと桐乃を幸せにすると誓う。
180 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/07/28(木) 22:30:29.15 ID:Jg5lL/r00
結婚記念日にティンと来た!

〜エピローグ〜

「も、もう一度聞かせてくれるかしら?」
「だから!ぶっちゃけいつになったら手を出していいかってことだよ!何度も言わせんな恥ずかしい!」
「わ、私の方がよっぽど恥ずかしいわよ!そもそも別れた女にそんなこと聞くなんてあなた正気なの!?」
説明しよう。俺は今、元彼女から正気を疑われている。いや、そうじゃない。それは本題ではない。
元彼女と言ったがそれはつまり、今は別の子と付き合っているからなんだ。
元妹で、元妻で、現恋人の桐乃。詳しい説明はここでは省こう。
俺はその子との付き合いで現在非常に悩んでいることがある。

「だ、だいたいあなた私と付き合ってる時はそういう素振りをほとんど見せなかったじゃない」
「あの頃と比べるなよ!俺もう23だぜ!?」
高校生の時は、まだ早いんじゃないかという思いと、
桐乃との関係がぎくしゃくしかけたこともあり、次の一歩を踏み出す勇気が持てなかった。
今思い返せば相当プラトニックな付き合いだったと言えよう。

「ヘタレだと思ってたらただの変態だったわ」
「ちょっ!?ひどくね?俺、わりと本気で悩んでんだけど・・・」
「そんなの知らないわよ、今さら私にそんなこと相談されても困るわ」
「お前以外に誰に相談すればいいんだよ」
「・・・あの新垣さんって人は?」
「あいつにこんな話したら殺されるわ!」
「というか、なんで本人に相談しないのよ。あなた達今さら遠慮する仲でもないでしょう?」
「そう見えるか?」
「見えるわね。私がどれだけ惚気を聞かされてきたか知らないのかしら?」
「しかし実際俺は拒否られっぱなしなんだけど・・・」
迫るのが急すぎたのかもしれない。
桐乃への気持ちを自覚してからも、約束の日までは兄として振る舞おうと決心した。
その反動からか、晴れて恋人となった日からは多少タガが外れてしまったかもしれない。
だが、待っていたのは俺だけじゃなく桐乃もだと思ってたんだが・・・

「そうね。私もちょっと意外だわ」
「あいつ・・・お前のこと気にしてるのかな?」
「それは無いわ。それこそ今さら遠慮する仲でもないから」
「それだとやっぱり純粋に俺とするのが嫌ってこと?」
「そうなんじゃない?」
「違うと信じたいっ!!」
「じゃあ何か別のことが気になってるんでしょう」
「別のこと?」
「そう。私だって好きな人とは触れ合いたいと思うわ。それを拒否するなら何か理由があるんじゃない?」
「理由ねぇ・・・」
「あの子、毎年この時期に不機嫌になってないかしら?」
「へっ?」
黒猫の唐突な指摘に素っ頓狂な声が出てしまった。
桐乃が?毎年?この時期に?

「鈍いのは本当に相変わらずなのね・・・」
「わからん!知ってるならもっとヒントをくれ!」
「先輩は自制するのに必死であの子の気持ちを思いやる余裕がなかったのかもしれないけど――」
「――けど?」
「あの子は先輩が思ってるよりずっと乙女チックだわ」
「・・・は?」
「それが答えよ。後は自分で考えなさい」
「おい、ちょっと待っ――!」
恥も外聞も捨てて一縷の望みを託した相手は、理解不能な暗号だけを残してさっさと帰ってしまった――

  続く
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/29(金) 00:11:37.50 ID:etcXma2oo
>>180
これは実にいい出だし… 続きが気になるぜ!
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/29(金) 00:43:17.54 ID:bJyyGSJBo
待ってて良かった
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/29(金) 01:47:11.26 ID:P19y0Tgh0
後日談という名の第二部の始まりだな……っ!
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/29(金) 02:48:21.54 ID:xKjRxyjIO
期待してる
185 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/07/29(金) 17:54:49.83 ID:Cjy4mITL0
続き、ぶつ切りの投下で申し訳ない


「桐乃がこの時期になると不機嫌になってるだって?」
言われてみればそんな気もする。
親父とお袋の命日が過ぎ、季節が夏に移ろうかというこの時期。
妙に不機嫌そうなあいつの顔が浮かぶ――

「つまり時期が悪いってだけか・・・?」
桐乃の二十歳の誕生日に一世一代の告白をしてから
何度かデートもしたし、いい雰囲気になったことだってある。
この3年間あいつの方から誘惑してくるような場面も多々あった。
にもかかわらず、あの態度――その訳は何だ?
思い出してみよう、先日のやり取りを――

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「なあ桐乃、明日出かける時間あるか?」
「へ?ナニ?突然。ご飯作らなくていいなら午後から出られるケド?」
「ああ、作らなくていいよ。桐乃の手料理もいいけど明日は外で食おうぜ」
「デ、デートのお誘い?ふ〜ん、そんなにあたしと出かけたいんだ?」
「当たり前だろ。せっかくの休みなんだし、彼女と出かけたいって思って何が悪い!」
「ちょ、何でそこで開き直るのよ!こっちが恥ずかしいんですけどっ!」
「お前が俺の分まで恥ずかしがってくれるからかな」
「バカ!」
クククと笑いをこらえながら彼女を見つめる――
桐乃からすれば俺の態度がいきなり変わったようなもんだから、こうやって戸惑うこともしばしば。
俺が必死こいて兄妹しようとしてた時には桐乃から誘ってくれることがほとんどだったんだがなぁ。

「いいだろ?ちょっと出かけようぜ」
「うん、まぁ出かけるのはいいケド・・・どこに行くか決めてるの?」
「ああ。だけど今は内緒だ」
「ふ〜ん、わかった。それじゃ明日はデートね」
「おう」
行き先は決めてる。渋谷だ。
むかーし桐乃と取材デートした時、高くて買えなかったあのアクセサリーショップ。
109地下二階の『SAMANTHAMcBEE』
今さらながらあの時買えなかった自分の甲斐性が情けないやら、
桐乃にちゃんとそういうプレゼントをしたことがまだないっていうのも引っ掛かってて、
この度、同程度(3万くらい)のアクセサリーをプレゼントをしなおしてやろうと思い立ったわけだ。

続く
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/29(金) 19:26:26.00 ID:xKjRxyjIO
ここで切るのか…
待ってるぞ!待ってるからな!!
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/30(土) 03:43:41.97 ID:Wm3KlkCw0
俺も待つぞ!!
188 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/07/30(土) 21:31:57.82 ID:qS0VIdbL0
続き
書きながらの投下なんでぶつ切りなんです。すいません


     ――次の日――

「相変わらずすごい人だかりだな」
「まあ渋谷だしね」
「ん?気に入らなかったか?」
「別に。ただあんたがこんな人が多い所に自分から行こうとしてたのが意外だっただけ」
「まあどっちかっつーと渋谷は桐乃に誘われてくることが多いな」
どちらかというと俺は賑やかなところより静かなところの方が好みだ。
なんせ俺の周りには黙ってても騒がしい連中がウヨウヨしてるからな。環境くらいは静かなところがいい。

しかしこの桐乃の様子・・・

「ひょっとして二人きりになれるところが良かったのか?」
「ばっ、バカ!何言ってんのよ!このスケベ!変態っ!」
「いて!わりぃ!冗談だよ、冗談!」
前にお前の方から二人っきりになろうと誘ったこともあっただろと突っ込みたいが、
わざわざ火に油を注いで険悪な雰囲気にする必要もあるまい。今日の目的はプレゼントだ。

「じゃ、食事の時間まで適当に街を見て回ろうぜ」

久しぶりの渋谷の街を二人で見て回る。
取材デートのあの冬の時とは違い、もう夏の日差しが降り注いでいた――


「え?本気?」
「ああ、欲しいのがあれば言えよ。買ってやるから」
適当にウィンドウショッピングを繰り返しながら自然と109地下二階へ訪れた。
ま、あの時の思い出話をしてりゃここに来るのも必然というものだが。

「さすがにあの時買いそびれたやつはもうないか」
「当たり前じゃん。あれクリスマス限定のやつだったし」
「ちょっと残念だな」
「え?なんで?」
「あの時買ってやれなかったのがな、今さら気になってんだよ」
「でもこのピアス買ってくれたじゃん」
そう言って髪をかき分け、耳に光るあの時のピアスを見せてくる。
あの時半ば無理やり買わされたプレゼントなのに、
こうやって何かの時には必ずと言っていいほどつけてくる。

「それを大事にしてくれるのは凄く嬉しいんだがな、それとは別にちゃんと俺からプレゼントしたいんだよ」
自分の意志で自分の好きな子に――何かをあげたいと思う。
あの時とは違う気持ちを込めたプレゼントをしたい。
それはとても自然なことだろ?

「えっ、えっと、そ、それじゃあ・・・」
顔を赤くしながら商品をのぞきこむ。
なんというか、素直に愛おしいと思う。

「なんだったらそこのピアスでもいいぞ」
ちょっとお高めの綺麗なピアスを指さして提案してみるが、ピアスは今持ってるのがあるからいいと断られた。
経緯はどうであれあの時買ってもらったこのピアスは今でも大事な宝物なんだと。
ちなみに指輪は俺が却下した。
理由は婚約指輪と結婚指輪を買う予定が既にあるからだ。
これを聞いた後、桐乃のやつ首まで真っ赤にしてたな。


「似合うかな?」
「ああ、すっげー綺麗だぞ」
「も、もう!そんな褒めなくていいってば」
買ったのはネックレス。
そんな派手なものではないが、丁寧に細かい装飾が施されたそれは上質なアクセサリと言えよう。
首から胸元にかけて桐乃を飾り立てる光が何とも形容しがたい。
ついつい胸にも視線が行ってしまうのは仕方無いんだ勘弁してくれ。

「じゃあ、もうそろそろご飯にしよ?」
「ああそうだな」
会計を済ませて店を出る。
桐乃は自然と腕を絡ませてくる。

この時俺は「ああ、俺は桐乃と恋人になったんだ」ってつくづく思ったね。


続く
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/30(土) 22:07:32.21 ID:JG/NgIeIO

ブツ切りでも何でも続けてくれるのは嬉しい
190 :!ninja [sage]:2011/07/30(土) 22:10:40.89 ID:UdrAqWjTP
おお、続いてたのか!
待ってたよ
幸せな二人ってのは見てて非常に気分がいいね
はてさて、これから先どうなるんだろう?
191 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/07/31(日) 20:49:40.06 ID:iB/ZRmRn0
続き

「いらっしゃいませー」
ウェイトレスの明るい声が響く――
どこで食べようか迷ったが、ちょっと贅沢をしたい気分だったので、ホテルのレストランに行くことにした。
ちょうど夕食の時間のせいか宿泊客と思しき先客がチラホラ。
でもまあこの程度ならあまり長く待たされることもないだろう。

「――あとこれとこれを二つずつ」
「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」
「桐乃もこれでいいよな?」
「うん」
「それじゃお願いします」
「はい。かしこまりました」
オーダーを済ませてグラスに手を伸ばす。
結構歩いて回ったから、さすがに喉が渇いていた。
それは桐乃も同じみたいだ。

「――っふぅ」
「途中どっかで飲み物買えばよかったな」
「そだね、今日は結構暑かったし。減点3ってとこかな?」
「おい」
「あはは!京介って昔っから詰めが甘いもんね」
からかいながらも上機嫌で笑みを見せる桐乃――
うん、これはいいカンジじゃね?

「もう一つ言うなら食事はあらかじめ予約入れておいてくれた方が良かったかな」
「んだよダメ出しばっかか?」
「んーん、そんなことないよ。ホラ、よく言うじゃん!好きなゲームこそ不満を口にするって」
「『〜さえなんとかなればなぁ』ってやつか?」
「そう、それ!合格点に達してるから逆に減点が目立ってるだけ」
「じゃあ、今日のデートは合格か?」
「・・・うん。これも買ってもらったし」
頬を赤らめながらネックレスを弄る――
よほど嬉しかったのだろうか、今日の桐乃はよく喋る。

「それにさ、もうはっきり言って諦めてたんだよね!去年もおととしも何にもなかったでしょ?
 ああ、もう京介は全然気にしてないんだなーって思ってたから!」
「お、おう」
「今日、休みとってくれたのもデートに誘ってくれたのも――それだけですっごく嬉しかった」
「そ、そっか。それは何よりだ」
「それに・・・プレゼントも貰ったし。これだけで十分合格・・・」
「いや、そんなに喜んでもらえると逆に困るな。ただあげたかっただけだし!」
さっきから何かよくわからない理由で上機嫌になられても対応に困る。

「彼女にプレゼントするのに理由なんていらないだろ?」
「・・・え?」
「いや、だから、買う時も言っただろ?ちゃんとプレゼントしてやりたいって思ったって。
 そんな深い理由なんてないからそんな褒めるなよ――」
謙遜するようなセリフを並べつつ桐乃の顔を見ると、さっきまでの笑顔が消えかけていた。

「えっと・・・それ、本気?」
「え?ああ、そ、そうだけど・・・?」
「じゃあ、なんで今日デートに誘ったの?」
「そ、それはせっかくの休みだし・・・」
「今日の休みって、京介が自分からとったんじゃなかったの?」
「ああそうだよ。先輩に今度の水曜に用事があるからシフト入れ替えてくれって頼まれてさ」
「じゃ、じゃあ今日あたしと出かけれるようになったのってただの偶然?」
「偶然って言えば偶然だけど、俺は――」
「お待たせしましたー!!」
ちょうど会話を遮るようにウェイトレスが食事を持ってくる。
それっきりレストランでの会話は終わってしまった――

続く
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/31(日) 21:13:44.58 ID:HTG1ioc0o
地雷踏んだか・・・記念日とか大切な日を忘れるのはあかんで
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2011/07/31(日) 21:44:06.01 ID:khJJoHu8o
安定した鈍感っぷり…いや、これは鈍感とは違うか
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/01(月) 00:27:02.13 ID:zGLPi8Md0
嗚呼……なんということだ……
195 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/08/01(月) 18:42:14.54 ID:t1SZg9yw0
続き

「・・・なあ、ひょっとして美味しくなかった?」
「え?美味しかったけど?」
「そ、そっか。ならいいんだ」
じゃあなんで無言で食べてたんだと聞きたい。
食べ始めから会計を済ませて外に出るまでほぼ無言だったのは何故なんだと。
いや、食事のせいじゃないことくらい俺にもわかる。
不味いどころかどちらかと言えばおいしい部類に入る味だったと思うし、
桐乃の様子が変わったのは食べ始める前だ。
なら原因は別のところにあるハズなんだが・・・さっぱりわからん。

「だいぶ暗くなってきたなぁ」
「そうだね。・・・今日のデートでは綺麗な夜景とか見に行かないの?」
「あんまり遅くなるのは、な」
「あ、そうだね。あたしと違って京介は仕事で朝早いしね」
「ちょっとくらいなら平気だぞ?遠慮するなよ」
「ううん、いい」
手だって繋いでるし、普通に会話もできる。怒ってるわけではいようだ。
だが、あのハイテンションはどこに消えたんだ?
地雷を踏んだというよりも、
無自覚にツボを押さえていたが、それをうっかり放してしまったというところか?

「今日はライブはやってないのかな?」
「よく知らないバンドのライブなんて、わざわざのぞかなくてもいいじゃん」
「取材の時に知らないバンドのライブにムリヤリ連れてった奴が言うなっての」
「あ、そっか」
うーん・・・、これはいけるんだろうか?
や、ぶっちゃけていうとそろそろいいかなぁ〜?なんて思ってるんだよね。
桐乃も20だし、ちゃんと付き合ってるし、同棲してるし、結婚の約束もしてるし。
手を出したとしても倫理的に咎められる様なことは何一つないと思うんだよね。
俺だって男だし、もう23だし、いいかげん未経験という事実に焦りも出てきはじめてるし。
こう、上手いとこそういう流れに持っていけないだろうか・・・

「あ、ここお前がいきなり水かぶってびっくりした場所じゃね?」
「よく覚えてるね」
「まあ、印象に残る出来事だったしな」
「理由はそれだけ?」
「――なんだかんだで妹と二人で出掛けれたのが嬉しかったからな。あの日のことはよく覚えてるさ」
「シスコン」
「ほっとけ!」
口元に手をやってクスクスと笑う仕草がとても可愛らしい。
・・・・・血が繋がって無くてよかった。うん、ほんとに。
当時は色々パニくったり悩んだりしたけど、今となっちゃあこれで良かったってのが本音だ。

「それで今日はあの時と同じところに行ってたんだ?」
「まあそうだな。ダメだったか?」
「どうかな・・・ダメじゃないかも・・・」
桐乃だって覚えてるはずだ。あの時最後に寄った場所を。
ダメじゃないかも、だと?これはOKサインと受け取っていいんだな!?

「あ〜、その、なんだ。どうせならあの時行った場所全部によってってみるか?」
「え・・・?」
ちょっとだけビックリした様子でこちらを見る。
俺は恥ずかしいやら緊張するやらでまともに桐乃の顔を見れないまま、つないだ手に力を込める。
立ち止まったまま動く気配はない。俺も何も言えないまま立ち尽くしている。
だが桐乃に意味は伝わってるはずだ!わかるってるんだろう?返事を聞かせてくれ!

「・・・・・いいよ」
普通なら街の喧騒にかき消されて聞こえないようなか細い声で、しかしはっきりと「いい」と言ってくれた。

「あの時と、意味が違うけど、いいんだな?」
返事は無い。かわりに桐乃はしっかりと頷いた。
その後、思わず早足になってしまったのは言うまでもない!
期待と不安と緊張で、俺の鼓動はMAXまで高まっていった――


続く
もちろん次回は濡れ場にはなりません。冒頭に繋がる話になります
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2011/08/01(月) 21:11:44.43 ID:EBZg6fTwo

濡れ場はいらないがデレは欲しい
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/02(火) 03:37:50.84 ID:O+QObclH0
進んでた

同上デレは欲しい。激甘でひとつ頼む
198 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/08/02(火) 19:09:18.22 ID:r+t+0A3I0
目の前にそびえたつのはラブホテル――恋人たちの憩いの場だ。
以前、ここに入った時もそうとう心臓がバクバクいってたが、今日のはあの時の比じゃない。
幸い今日は平日、特別なイベントの日でもないので空室も多く、すんなり入ることが出来た。
今になって思えばクリスマスの夜に渋谷のホテルだなんて、よくあの日は空室があったなぁ・・・

ま、そんなことは今更どうでもいい。
それに本日をもって、この日は俺の童貞卒業記念日に決定されるわけだからな!

「俺、先にシャワー浴びてくるわ」
「あ、うん」
桐乃の顔をまともに見れないまま浴室に向かう。
服を脱ぐ時、やけに汗でべたついてもどかしい。
この汗の量は今日の暑さのせいだけでは説明できない。
ゆっくりしっかり気を落ち着かせながら汗を流していく――
まだだ・・・!静まれ・・・・・っ・・・・・俺のリヴァイアサン・・・・・っ!


「あ、あがったぞ」
「そ、それじゃあたしも入るね!」
そそくさと浴室に入っていく桐乃――あいつが今度あの扉を開けた後は・・・

ぶっちゃけ二人並んでエロゲーやってる時よりも“まとも”な状況なんだろうが、
今となっちゃあっちの方がまだ緊張しないで済みそうだ。慣れって怖い――

「で、電気は暗くしておくのがベターだよな」
よくわからない明りの調整に悪戦苦闘しながら部屋を暗めにする。
十分明るいよっ!って言われそうなのは、出来ることなら明るい所で見たい男の本音のせいだ。


「お、お待たせ・・・」
浴室からバスローブを羽織った桐乃が出てきた。
おそらくその下には何も着けていないのだろう。あの時のピアスと今日のネックレスだけをのぞいて――

「や、やっぱ桐乃って美人だな」
「ば、ばか」
「ほんとだぞ」
我慢できずに立ち上がり、桐乃を抱き寄せ、キスをした。――これでキスは何回目だっけ?
濃厚なものから軽いものまで全部含めれば、あの告白以来最低一日一回はしてるから・・・
まあいいや。慣れた行為のおかげで少し落ち着いてきた。それは桐乃もそうだろう。

「な、なんか当たってるんですケド・・・」
「この状態で欲情するなってのが無茶な注文だ」
「変態」
「彼女に欲情するのは当たり前だろ?」
あの時とは違う――もう、妹じゃないんだからな。そう心の中で付け加える。
桐乃の体をベッドに横たわらせてその上に覆いかぶさる――

「俺、今日のことは忘れられねーな、きっと」
そんなことを呟きながら桐乃の体をきつく抱きしめると、その体は硬く強張っていた――

「・・・やっぱヤダ」
「え?」
「ゴメン。やっぱりまだしたくない!」
よくわからないまま俺は突き飛ばされた。

「うわっ!な、何だ?どうしたんだよ?」
「ゴメン。やっぱり今日は無理!」
突然の拒絶に俺の思考は混乱した。

「ななな・・・!なんで!?」
「うっさいなぁ!嫌なものは嫌なの!」
「でもさっきまで・・・」
「ア、アレが急に来たの!だから仕方ないでしょ!!」
「は、はぁ!?」
「もういいから出よう」
「ちょ、ちょっと本当かよ!?」
ベッドから飛び起きてそそくさと服を着はじめる。
なになに?どーゆーこと?

「わ、わけ分かんねーよ!一体何があったってんだよ!?」
「だから生理が来たんだってばっ!
 今日出来なくなったのも、情緒不安定なのも、そのせいなの!
 そーいうことにしておいてって言ってるの!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

あの日の回想はこれで終わりだ。その後のことはよく覚えていない。
二人してほぼ無言で帰路に着いただけだったと思う。

次の日からはまたいつも通り。
ただ、“そういうこと”をしようとすると目に見えて機嫌が悪くなるようになった。
199 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/08/02(火) 19:10:35.30 ID:r+t+0A3I0
思ったより長くなって80行ギリギリでした。
当然続きます

>>196-197
了解、ただもうしばらく待ってくだしあ
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2011/08/02(火) 21:21:15.11 ID:yZERAa9xo

甘デレ待ってる
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/08/03(水) 00:27:08.25 ID:wZtI4yZuo
乙乙だぜ
俺妹プラス並にだだ甘いの希望
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/06(土) 01:48:42.47 ID:isgvDcDDO
マダカナマダカナ-
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2011/08/17(水) 03:21:36.08 ID:PU18JCxF0
まだ?
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2011/08/19(金) 01:40:46.91 ID:kucqGYHc0
終?
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/19(金) 10:40:46.65 ID:GefMGJjIO
>>204

ageんなカス
206 :!ninja [sage]:2011/08/28(日) 19:44:46.00 ID:KOPUUmwdP
次の更新はいつだろな
207 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/08/30(火) 14:37:20.55 ID:b7IthgNH0
ごめんなさい、今、手を怪我してしまって、ろくにタイプできない状態です
もうしばらく待って下さい
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2011/08/30(火) 17:39:03.04 ID:lyf7eiyxo
待ってるぞ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:39:57.57 ID:cNojel6qP
あらら。お大事に
無理はしなくていいのでゆっくり待ってるよ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/09/06(火) 16:04:28.34 ID:8EipBL+f0
待機
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/09/06(火) 16:05:05.02 ID:8EipBL+f0
待機
212 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/09/14(水) 11:18:58.95 ID:XwuP2jDg0
手、やっと治った〜
でもここまで間が空いてしまった以上、最後まで書き溜めてからまとめて投下しようと思います。

どのみちこの後の展開はさほど長くない予定だし
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 11:41:38.02 ID:UX3decDGP
待ってるよ
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/10/12(水) 23:44:59.65 ID:WfujWCzx0
いつまででも待ってる
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2011/10/17(月) 23:56:34.51 ID:KOdOC2Z20
漏れら極悪非道のageブラザーズ!
今日もネタもないのにageてやるからな!
 ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ∧_∧   ∧_∧    age
 (・∀・∩)(∩・∀・)    age
 (つ  丿 (   ⊂) age
  ( ヽノ   ヽ/  )   age
  し(_)   (_)J
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/10/18(火) 01:17:28.95 ID:FsjE1DaAO
(´・ω・`)
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2011/10/18(火) 01:27:31.49 ID:rkackWC+o
ageんな
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 02:24:42.67 ID:yhsnF1ZV0
>>215のおかげでこのスレ見つけれた
感謝するよ〜
219 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/10/27(木) 19:40:04.29 ID:0l2rLEVu0
まだ書きあがってないんだけど新ルールが出来たらしいので続き投下
全然筆が進まないなー・・・


「・・・・・やはりわからん」
思い出してみたところでどこでどう間違ったかイマイチわからん。
もういい。ここまで来たらもう一つくらい恥をかいてもいいだろう。

prrrrrr… prrrrrr… prrrrrr…

『はい、もしもし?』
「よう沙織か?俺だよ。久しぶりだな」
『そうでござるか?』
「そうだと思うけど?」
『いや、これは失敬。京介氏のお話はきりりん氏からよく聞いてるもので、つい』
「そ、そうか!それは好都合・・・」
『? どういう事ですかな?』
「いや、あいつ最近どうなのかなって」
『一緒に住まわれてる京介氏がそれを拙者に聞きますかっ!』
「社会人になってからは今までみたいに時間がとれなくってさ」
『すれ違いがちだという事ですかな?』
「すれ違ってるかどうかもよくわかんないんだけど、あいつ俺の事お前にはどう話してんの?」
『それはもう聞いてるこっちが恥ずかしいほどの惚気っぷりで、
 この前も京介氏に買ってもらったというネックレスを自慢げに・・・』
「それだっ!!」
『な、な、なんですか突然!?』
「そのネックレスがらみのことを詳しく聞きたい!あいつなんて言ってたんだ?」
なんという僥倖・・・!自分から切り出さずとも話題に上るとは!

『なんと、と言われても嬉しそうに自慢されただけですぞ?』
「そ、それだけ?」
『それだけでござる』
「おっかし〜な〜・・・」
あの日のことなんだから、何かしらダメな部分があれば何かしら愚痴ってそうなんだけどな・・・

『――そう言えば』
「何か思い出したか?」
『気のせいかもしれませぬが、はしゃぎっぷりが多少演技じみていたような・・・』
「本当に喜んでいるようではなかった、と?」
『と、言うより、口で言うほど満足していないような様子ではありました』
「やっぱりそうか・・・」
『何か心当たりがおありでも?』
「や、そのネックレスを買ってやった日のデート中にな、桐乃の機嫌が急に悪くなったことがあってさ」
『また無神経なことを言って怒らせたのではありませぬか?』
「怒らせたんなら怒られればそれで済むんだけどな・・・」
『? よく意味がわかりません』
「俺もよくわからないんだ」
『ならば本人に聞くのが一番でしょう』
「やっぱりそうなる?」
『拙者たちに聞いて解決したところで、その話はきりりん氏に筒抜けになりますぞ』
「そりゃそうだ。わかったよ、ありがとう。またな」
『いえいえこちらこそ。また皆で遊びましょうぞ!』
「そうだな」

―プッ
電話を切る。本題に入る前に切り上げたのは正解だったかもしれない。
この問題は要するに「あの時なんで桐乃は不機嫌になったのか?」
それがわからないことにはどうしようもない――
220 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/10/27(木) 19:41:20.60 ID:0l2rLEVu0


「ただいまー・・・っと、桐乃!?」
「おかえり京介」
家の玄関を開けるとそこには桐乃が待っていた。

「どうしたんだよ?」
「なによ、愛しい彼女に出迎えてもらって嬉しくないの?」
「いや、嬉しいけど」
「ならもっと嬉しそうにしてよ〜」
あれー?何この態度?
ここ最近のどこかイライラしたようなオーラはどこに消えた?
ご飯にする?お風呂にする?とどこぞの新妻よろしく甲斐甲斐しく世話を焼いてくる。
最後に『それともあ・た・し?』が来なかったのが残念だが、
理由もわからず拒否られて、また理由もわからずOKされるようじゃ
ますます混乱するだけだからホッとしたけどね。

「・・・機嫌、直ったのか?」
「え〜、何のこと?」
「お前、なんか最近不機嫌だったろ?」
「そんなことないよ」
ニコニコしながら皿を並べて夕食の準備をする桐乃――やっぱり変だ

「いや、そんなことあるね」
「ないってば〜」
甘えた声で抱きついてくる。
その時、俺の目と鼻に二つの情報が同時に飛び込んできた――

桐乃の口からはっきりと伝わるアルコールの臭いと、
夕飯の準備の後かと思いきや、台所に残された空の酒瓶。
この二つの符号が示す事実はただ一つ――!!

「酒くせえ!!お前何飲んだんだよ!?」
「酔ってないもーん」
誰もそんなこと聞いてねえ!!完璧に酔っぱらってやがる!
221 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/10/27(木) 19:41:59.70 ID:0l2rLEVu0

「お前まさか酒飲んで料理してたのか!?」
「そんなことしないもん!京介が帰ってくるの待ってただけだもん!」
よく見れば手の込んだ料理が並んでる。
逆に言えば帰ってくるタイミングに合わせて完成させるのは相当難しいだろう。
作り終わって飲みながら待っていたってことか・・・

「じゃ、桐乃もまだ食べてないんだな?」
「一緒にたべよ?」
「その前に桐乃は水を飲め!この様子で何か食べてもすぐ吐くぞ!」
「やっ!!」
コップに水をついで持っていくも拒否られた。

「いいから飲めって!」
「やーだー!」
「頼むから飲んでください!」
イヤイヤと駄々をこねる桐乃をたしなめつつなんとか酔いを醒まさせようとすると
口を少しとがらせて顔をこちらに向けてきた。

「ん」
「な、なんだよ?」
「京介が飲ませて」
「だ、だからそうしてるだろ」
「ちーがーうー」
「違うって何が!」
「コップじゃなくて、京介が飲ませて」
「ば、バカ、何言ってんだ!!」
「やなの?」
しゅんと顔をうつむかせて口元に指を当てて上目使いで聞いてくる――
コイツ・・・狙ってやがる・・・

「お水ちょーだい?」
「ああ、もう!わかったよ!!」
ぐいとコップの水を口に含み、そのまま桐乃の唇に押し当て少しずつ桐乃の口内へと流し込む。

「っん、っん―――はぁ・・・」
「酔いはさめたか?」
「もう一杯ちょうだい」
「――っな・・・!ああクソ!!わかったよ!!」
もう一度コップに水をついで同じことを繰り返す。
桐乃の酔いを醒まさせるはずが、これじゃあ俺がのぼせちまいそうだ。
222 : ◆NAZC84MvIo [sage saga]:2011/10/27(木) 19:45:05.42 ID:0l2rLEVu0

「京介、かお赤いよ?」
「お前のせいだろ!」
ニヤニヤしながらコップを片付ける俺の方を見てる。

「んふふ」
「ったく。なんだよ、楽しそうに」
「たのしいよ?京介と暮らすの」
「へ?」
「一緒にごはん食べるのも、一緒にかいものするのも、
 おへや掃除するのも、京介の服あらうのも、ぜんぶ楽しいよ。」
「いきなり何言い出すんだよ」
「京介は?」
「俺?」
「うん。京介はたのしい?」
くそ、この酔っ払いめ!いきなり何を聞いてくるんだ。


=================================

今回はここまで
もうチョイ先まで書いてるんだけど流れを修正する可能性が高いので
いったん投下は桐ます
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 22:20:17.25 ID:FE/+0Hxdo


待ってる
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/27(木) 22:56:37.86 ID:mPg7rOMpo


俺も待ってる
全裸で
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 23:15:46.16 ID:vbAb39bYo


これだけでも2828できるww
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/28(金) 00:20:51.21 ID:FhFRkoiFP


俺も待ってるぜ


>桐ます
これはわざとなのかたまたまなのかちょっと気になってしまったww
227 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2011/10/28(金) 13:09:36.85 ID:dIT4lJFL0
>>226
マイPCは“きり”を変換すると“桐”
“の”を変換すると“乃”が最初に来るように学習してしまったんだ・・・
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/10/28(金) 18:45:29.73 ID:jNUw+AMxo

ニヤニヤして待ってる!
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 02:04:43.55 ID:qnQaPfi50
>>227
優秀なPCじゃねえか(;_;)
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 00:28:29.23 ID:w13OBDe6o
まだ来ないのか…
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/20(日) 23:46:08.81 ID:aNLPyHfL0
まだかなー(・∀・ )
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/20(日) 23:46:29.58 ID:aNLPyHfL0
まだかなー(・∀・ )
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 13:09:26.19 ID:B/I7eYaC0
なあ来てくれないの?そろそろ泣いちゃうよ?
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 02:05:12.41 ID:AYFK8dAxo
新婚さんっぽいから許してやれ
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(沖縄県) [sage]:2011/12/03(土) 18:28:59.22 ID:ExRdIgcNo
今月中に一度でも来てもらえないかなぁ
236 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 22:21:49.00 ID:CXFYqGRd0
>>1を待つ
237 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 00:21:36.73 ID:WwMU3VsL0
もう来ないのかな…
238 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 19:46:25.31 ID:aRK84fQOP
今年はもう更新ないのかな
結構楽しみにしてるんだが
239 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 21:50:14.41 ID:lntyFiM70
上に同じ

待ってます
240 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2012/01/08(日) 10:24:34.40 ID:uWLIsx6i0
あけましておめでとうございます
ごめんなさい続きが全然書けてません、まとまらない進まない
待ってくれてる人本当にごめんなさい

>>135で終わり、後日談は無かったものとみなしてくれると有難いです・・・
スレ乗っ取って代わりに続き書きたいって人は大歓迎です
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 20:46:13.77 ID:s+Zr2mz80
>>240
なん……だと?
まあ特に文句はないが乗っ取りが出てきてくれるかどうかだな
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 21:27:27.59 ID:uWLIsx6i0
すいません、放置するのもアレなので
何もなければ今月末にHTML化依頼するつもりです
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 21:33:10.14 ID:DY6GK/PmP
続きを凄く期待してただけに残念だな・・・
出来がいいだけに乗っ取りする人も出なさそうだしここまでか
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/01/08(日) 22:00:34.64 ID:yHjRo1oAO
書く言葉に困るような感覚、とゆーか。
ひとまずお疲れさま。

ウェットな描写がかなり良かった。って過去形で言うのに抵抗あるけど

一度納得のいく締め方をしてしまうとその後の話は難しいってのは道理で、
ゆっくり休んできてね
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/09(月) 20:46:10.16 ID:4ODqbvgM0
ここで終わりは残念だけど、ここまで凄く楽しめたよ。
本当にありがとう。
桐乃はやっぱり可愛いなぁ。
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/31(火) 10:04:31.81 ID:w9FGlhCE0
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