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「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part2 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/15(金) 18:19:31.96 ID:zp8IKukR0
「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」とは
 2ちゃんねる - ニュー速VIPで生まれた
 都市伝説と契約して他の都市伝説と戦ってみたりそんな事は気にせず都市伝説とまったりしたりきゃっうふふしたり
 まぁそんな感じで色々やってるSSを書いてみたり妄想してみたりアイディア出してみたりと色々活動しているスレです。
 基本的に世界観は作者それぞれ、何でもあり。

 なお「都市伝説と…」の設定を使って、各作者たちによる【シェアード・ワールド・ノベル】やクロス企画などの活動も行っています。
 舞台の一例としては下記のまとめwikiを参照してください。

まとめwiki
 ttp://www29.atwiki.jp/legends/

まとめ(途中まで)
 ttp://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/urban_folklore_contractor.html

避難所
 ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/13199/

■注意
 スレの性質上、スレ進行が滞る事もありますがまったりと待ちましょう。
 本スレとはあまりにもかけ離れた雑談は「避難所」を利用して下さい。
 作品によっては微エロ又は微グロ表現がなされていますので苦手な方はご容赦ください。

■書き手の皆さんへ
 書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップ推奨(どちらも非強制)
 物語の続きを投下する場合は最後に投下したレスへアンカー(>>xxx-xxx)をつけると読み易くなります。
 他作品と関わる作品を書く場合には、キャラ使用の許可をスレで呼びかけるといいかもしれません。
 ネタバレが嫌な方は「避難所」の雑談スレを利用する手もあります。どちらにせよ相手方の作品には十分配慮してあげて下さい。
 これから書こうとする人は、設定を気にせず書いちゃって下さい。

※重要事項
 この板では、一部の単語にフィルターがかかっています。
 メール欄に半角で『saga』の入力推奨。
「書き込めません」と出た時は一度リロードして本当に書き込めなかったかどうか確かめてから改めて書き込みましょう。
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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/15(金) 18:23:54.90 ID:zp8IKukR0
前スレ↓

ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1306854629/
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/15(金) 20:21:06.32 ID:nS1EPVdDO
>>1
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/15(金) 22:26:33.08 ID:Uv+j93vUo
スレ立て乙です
とうとう2スレ目か……長かったような短かったような、ちょっとじんわり

前スレ>998
>何かと思ったけど、もしやヘタリアか!?
まぁあの子(?)も萌えるが、上で言ったのは「日本鬼子」ちゃんです
可愛い子が浮翌立面とか鬼面とか般若面とか被ってるのに萌える

どうでもいいけど狐のお面ホスィ……
狐のお面と着流しと鉄扇そろえて笛の人に謙譲したい(何故だ)
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/15(金) 22:30:54.06 ID:zp8IKukR0
1000行く前にもっかい誘導しようとしたら手遅れだったでござる

前スレ>>996
>俺に名づけのセンスがないことは、我が作品の登場キャラを見ていけば一発でわかる事である
はっはっは、俺こそが真のネーミングセンスゼロなので貴方が誰だか分からないぜ!(

前スレ>>997
前に、「恋獅子(レンジシ)」って名前の子が授業参観で親の前で『総理大臣になって嫌な名前を変えられるようにしたい』ってズバっと言い切った話を読んだぜ
やっぱつけられる方も困るんだなぁ・・・小学生なのにしっかりしてるわ子供って、好きだわ(

前スレ>>999
Gみたく言うなwwwwwwww
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/15(金) 22:32:56.10 ID:zp8IKukR0
>>4
>まぁあの子(?)も萌えるが、上で言ったのは「日本鬼子」ちゃんです
>可愛い子が浮翌立面とか鬼面とか般若面とか被ってるのに萌える
なるほどそれは魅力的だな
ちょいとフィルタ外してググってくる(やめろ
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/15(金) 22:33:46.31 ID:Uv+j93vUo
「魔力」、「攻撃力」は知ってたけど、「浮」が入ってても駄目とは知らなんだ
>>4の「浮翌立面」は「浮立面」です
ちなみに佐賀きゅんの武器です
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/15(金) 22:56:22.41 ID:nHWPW0FDO
スレ立て乙でした
湯川なう
9 : ◆2PnxfuTa8. :2011/07/15(金) 23:50:42.23 ID:c+HykDEx0
無事帰着
準備整い次第投下します
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/15(金) 23:52:05.56 ID:zp8IKukR0
>>9
お帰りなさい!
wktkしてるけど、途中で寝ちゃったらごめんなさいorz
11 : ◆2PnxfuTa8. :2011/07/16(土) 00:07:15.41 ID:aZA1e1x40
【不思議少女シルバームーン 第六話 第四章「少女と地獄」】

 目を覚ます。
 見慣れた天井。
 寄り添う人影は私にもたれかかったままスウスウと寝息を立てていた。
 撃たれたはずの体には何処も異常がなく、まるで一週間位寝たんではないだろうかってくらい気分が良かった。
 腕の良い医者の知り合いがいるというのはありがたいことだ。
 本当に私はなんで不幸の一歩手前で立ち止まり続けてしまうのだろう。
 いっそ死んでしまえば楽なのに。
 居なくなってしまえれば楽なのに。
 こうやって生きて生きて生きて真綿の糸で首を絞め続けるように人の幸福を壊していく。
 いつか取り返しが付かないことになって、全てを壊してしまっても、
 私一人だけは何とかなっていて、中途半端に人を不幸にし続ける気がする。
 枕元には美味しそうな林檎と丁寧に研いである果物ナイフがあった。
 
「死のうかな。」

 口に出してつぶやいてみるけれども大して実感はわかない。
 私のベッドの真横で私のベッドに顔を埋めて寝ている人は穏やかな寝息を立てて寝ている。
 私の父を殺した人、私の母を殺した人、殺したわけではないけれど、
 彼らは今も病院のベッドで覚めることのない夢を観ている。
 誰かが言っていたそうだ。
 植物状態の人間にも意識があるらしいと。
 ならばその長い退屈の中で、生かされているだけの日々の中で彼らは何を思っているのだろう。
 偶に彼らの病室に行って、二三言学校であったことを話している。
 楽しいことだけを話している。
 辛いことは今私の隣にいる人だけに話している。
 この人は驚くほど虚ろだ。
 大きな大きな空っぽの器だ。
 それはなにも都市伝説との契約という肉体的精神的な限界についてではない。
 そのあり方がまるで虚ろなガラスの大杯なのだ。
 大きく大きく人の心やそれ以外の思いを受け止めておいて自分からは何も生み出さない。
 注がれた物を排出していくだけの虚ろで大きな硝子の器。
 だからこそ側にいて苦しくなくて、何があってもいくらでもなんとかしてくれそうな気がするのだ。
 でも逆に言えばそれは

 この人が居る限り私は何をしても受け止められてしまう

 ということだ。
 私が今ひとつ死に切れないのはこの人が全て受け止めてしまうからじゃないだろうか。
 私が血まで搾り出しても空の器は彼の器は満たせない。
 手元に持っている果物ナイフをじっと見る。
 この人が研いだナイフだ。
 刃物を只管鋭利にするのが好きな人なのだ。
 きっと無心にそんなことをしている瞬間が彼の一番彼らしい時間なのだろう。
12 : ◆2PnxfuTa8. :2011/07/16(土) 00:07:42.20 ID:aZA1e1x40
 でもそう思われるには彼はもうすでにあまりに多くの汚れを自らで受け止めすぎた。
 たとえ彼がその罪深さを平然と受け入れようとそれを周りで観ている人は彼を透明な器とは思えない。
 何も零さない器であるがゆえに彼の中の黒い澱は何時まででも消えてなくならないのだ。
 そして心に黒い物を抱く人間を人は恐れるのだ。
 彼に埋没していけばしていくほど私も私が受け入れられないほどに黒く染まっていく。
 最初は両親の治療費の為に無理やり働かされているのだと思い込もうとしていた。
 でもそうじゃないと気づいてしまった時、私は私一人で抱えきれない程の澱を内側に貯めていて。
 彼の中に捨てないと耐えられなくなってしまった。
 狂ったようにあの人を求めるのはそれが己の罪深さから目を背けるため。
 幸福になるでなく、不幸たることを忘れる為。
 歪んでいる。
 狂っている。
 ならば私が身をゆだねるこの器を壊してしまえばどうなるのだろう。
 行き場を失い流れだした私は死ぬに違いない。
 誰が手を下すまでもなく死んでしまうに違いない。
 そうすればもう誰も不幸にはならない。
 果物ナイフを持つ右手に力が篭る。
 泣いたような笑ったような顔を私はしている。
 私に突き立ててもきっと誰かが治してしまう。
 私に突き立てるくらいすごい簡単な、それこそ小学生になってすぐにできたことだ。
 でもそれじゃあダメなんだ。
 このナイフで私は殺せない。
 だから[ピーーー]。
 目の前のこの人を殺せばイイ。
 その後ゆっくり私は[ピーーー]る。
 もう誰も不幸にしたくないから。
 それでいい。
 それでもう私は誰も傷つけない。
 指先をわずかに切って刃先を血で濡らす。
 赤い、痛い、痛くなければよかったのに。
 この刃が私の大好きな人に突き刺さる。
 怪我でろくに動けなかったはずなのに私の看病をしていたらしいこの人に突き刺さる。
 振りかぶって……!
13 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/07/16(土) 00:08:28.48 ID:aZA1e1x40
 激痛。
 腕を掴まれた。
 腕を後ろにひねり上げられて関節を外されそうになる。
 でも痛いかというとどちらかと言えば痛くなくて、止められたことがむしろ嬉しくて。
 好きな人を傷つけなくて済んだから幸運だったと思う。
 結局、私を止めた人は私が殺そうとしていた人だった。
 殺気で目を覚ましてしまったんだと思う。 
 殆んど無意識に体が動いてしまったのだと思う。
 そうでないと死ぬような生活を彼はしていたそうだから。
 殺気の正体が私であると気づいたところで彼は安心したような顔で微笑んで、私を優しく抱きしめた。
 いつの間にか私は子供みたいに泣いていた。
 泣いている私の頭を彼はずっと撫でていてくれたのだ。
 そんなことをされたら、そんなことをされたらまた私はどうしようもなくなってしまう。
 なんでそんな聖者のように居られるのだ。
 私は貴方を一体どうすれば良いんだ。
 どうもできないのか。
 私一人など貴方にとっては小さな小さな存在に過ぎないんだ。
 そう思うと涙がまた出てきた。
 せめて私を滅茶苦茶にしてくれたらと思う。
 せめて私をどん底までたたき落としてくれたらと思う。
 でもこの人は先の見えない暗闇のように私を包んで愛して癒し続けるのだろう。
 いくら汚してくれと堕としてくれと壊してくれと懇願して泣き叫んでみても、
 その人は首を横に振り、私を優しく抱きしめるばかりで応えてはくれなかった。
 この人に傷めつけられたかった。
 この人を憎んでみたかった。
 きっとこの人にひどいことをされれば私はこんな辛い思いをしなくて済むんだ。
 なんで貴方は私に優しいの?
 なんで私にだけこんなにも優しいの?
 涙が卸したてのスーツにつくのも構わずに優しくて虚ろな人形の瞳で私を受け止める。
 私の愛する人はそういう人です。
 私の地獄は優しい場所です。

 
 胸が痛くて仕方ないよ。

【不思議少女シルバームーン 第六話 第四章「少女と地獄」】
14 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/07/16(土) 00:08:59.44 ID:aZA1e1x40
【不思議少女シルバームーン 第六話 第五章「魔女の成り損ないと少年」】

「あら、貴方がスバルくん?」
「え、ああはい。」

 我が家の生活能力0の父親の為に買い物をしていたところ見知らぬ巨乳のお姉さんに声をかけられた。
 霙の胸を見ているのでそんじょそこらの胸では驚かないつもりだったのだが見た瞬間僕は心のなかで

「大きい……。」

 と心のなかで呟いてしまった。
 お姉さんは身長のことだと思ったらしく

「昔から言われるのよね。確かに学校でもバレー部には誘われたけど。」

 と…………、あれ?
 ああ、また思わず口に出していたのか。
 その胸でバレーなどやったら何人死人が出るというのだろう。

「と、そうじゃなくてだ。
 私は朔夜のお母さん、文月。朝月文月と言うの。」

 なんたる親子間格差!
 じゃなくて、言われてみれば確かに顔立ちがなんとなく似ている。
 
「いつも朔夜がお世話になっていたみたいね。」
「いえ、僕のほうが朔夜さんに色々とご迷惑をおかけしていて……。」

 いつもセクハラとかしてごめんなさい。
 あと恥ずかしい決め台詞録音して馬鹿にしてごめんなさい。

「あとお母様に気に入られているようね?」
「え、ああヨツバさんには何時も色々とお世話になっていて……。」

 ※主に妄想方面で
 ※主に夜の妄想方面で
 ※主に夜の性的な妄想とそれに伴う行為方面において
 ※大事なことなので言い直しました

「そう、それなのに今までご挨拶できなくて申し訳なかったわ。
 私は近くの街で看護婦……とゴーストバスターをしているの。
 だからなかなかこっちに帰って来れなくって……。」
「はぁ……。」
「時間は有るかしら?」
「はい。」

 まあ僕の父親は一度執筆活動に入れば三日は仕事場から出てこない。
 少し帰って来なくても問題ではない。
15 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/07/16(土) 00:11:23.15 ID:aZA1e1x40
「お話ししたいことがあるんだけどそこのお店で少しお茶しない?」

 見るとなるほど彼女の指差す先には洒落た喫茶店が立っていた。

「はい。」

 ここ最近朔夜の身に起きた事件、そしてその真相、さらに僕の前に現れた新しい敵のことを思えば、
 文月さんから少しでもこれからの戦いに役立つ情報を手に入れたかった。




「コーヒーとオレンジジュース、それに……チャイニーズチキンバーガーとチョコパフェ。」
「そこまで食べられないですよ僕。」
「遠慮しちゃダメよ、今日は給料日だから。」

 ヨツバさんも文月さんも太っ腹な人だ。
 ……よく考えると基本母子家庭の筈なのに何故そこまでお金があるのだろうか。
 やっぱり魔女の仕事がお金になるのかな。
 ヨツバさんは太宰さんとかいう人から文月さんの養育費を貰ってたりしたのだろうか。
 まったく魔法少女物にあるまじき生々しい話だ。

「それじゃあ頂きます。」
「そうそう、男の子は素直が一番。」

 僕と文月さんは席に着く。
 彼女は珈琲が運ばれてくる前にセルフサービスのお水を持ってきた。
 僕はお礼を言ってからその水に手を伸ばした。
 コップを持ち上げる、口元まで運ぶ。
 そこで初めて違和感に気がつく。

「……あら、どうしたの?」
「いや、なにか……。」

 コップに口をつけずにテーブルへ戻す。

「そういえば喉が乾いてなかったなーなんて……。」
「あらそう?」

 クスクスと文月さんは笑う。
16 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/07/16(土) 00:11:48.34 ID:aZA1e1x40
「てっきり水に入れたものがバレたのかなって思ったのに。」

 いつの間にか周囲に客は居なくなっていた。
 人払いの結界か?
 ヨツバさんの話では彼女は魔法を使えない筈。
 なのに魔法を使っているということは……!
 まさか、偽物?

「貴方、本当に文月さんなんですか?」
「ええ本物よ。」
「魔法が使えないんじゃ?」
「まったく使えない訳じゃないわ。まったく修行しなかっただけでね。」
「何故こんなことを?」
「試したのよ、お母様から貴方が朔夜と一緒に戦っていたと聞いてたから。」
「なるほど……。」
「まあ結果としては良かったわ、貴方その年なのになんでそんな鋭いのかしらね。
 朔夜はどうも危機感に欠けるところがあるから貴方が居ないととっくにひどい目に会ってたかもね。」

 いつの間にか注文した料理や飲物が運ばれてきている。
 
「文月さんは……殆んど魔法が使えないんですよね。」
「ええ。」
「ゴーストバスターってどういうことですか?」
「教わったのよ、人間としての知恵や力だけで都市伝説を倒す方法を。」
「誰から?」
「朔夜の父親から。」
「……なるほど。」
「魔法が使えないこととプレイヤーとしてのスキルは関係ないわ。」
「ところで朔夜の父親ってどんな人なんですか?」

 そう、これが僕の聞きたかったことだ。
 僕は朔夜の父親に会ったことがない。
 今まで起きた事件やヨツバさんの話を聞くに付け悪い人ではないことは確からしいが……

「悪い人ね。」

 悪い人なのかい。

「私、都市伝説と関わりがあったけど自衛能力がなかったから、私の父に守ってもらっていたの。
 後から知ったことなんだけどね。」
「太宰さんですか。」
「ええ、でもある日、その人が死んでね。」

 その人、という言い方をした時、彼女の目はどこか冷めていた。
 おそらくは何がしかの感情があったのだろう。

「私を守ってくれる人が居なくなったところで私は都市伝説に襲われたのよ。
 そこで現れたのが朔夜の父親よ。」
「へぇ……。」

 珈琲を少し飲む。
 文月さんは遠く西の空に浮かぶまだ気配の薄い月を眺めていた。
17 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/07/16(土) 00:12:32.22 ID:aZA1e1x40
「じゃあやっぱ良い人なんじゃないですか。」
「いえいえ、悪い人よ。とっても悪い人。」

 そう言うとまた彼女はクスクスと笑った。

「ところで貴方からの質問を受け付けたんだから、
 私だって貴方に質問する権利は有るわよね?」
「ええ、勿論ですけど……。」
「じゃあ貴方とジャック・ジョーカーとの関係を聞かせてくれないかしら。」
「たいしたもんじゃあないですよ。」
「あらそうなの?」
「僕は昔某国で少年兵として戦わされておりまして、その時に同じ所で戦ってたのがあいつだったというだけです。」
「……じゃあ質問を変えようかしら。」
「?」
「ジャック・ジョーカーはどこで都市伝説の能力を手に入れたの?」

 頭が痛む。
 そうだ、あいつは僕の代わりに……

「彼は僕の代わりに何か人体実験を受けていたようなんです。
 多分それで……でもあの頃はあそこまで人間離れしてはいなかった。
 鏡に姿も写っていたし、怪我の治りは遅かったし……。」
「ふうむ、なるほどね。じゃあそっち側を当たる必要ありかな……。」
「一個人が調べられるんですか?」
「あら、それ質問?」
「いえいえ。」
「じゃあ次の質問どーぞ。」
「朔夜の父親の名前。」
「それは答えられないわ。」
「じゃあ彼の持つ戦闘能力の概要、そのバックグラウンドを含めてお願いします。」

 ヨツバさんの話が正しければ朔夜を簡単に倒してしまえる程の使い手だ。
 前もって情報を得なくては……
18 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/07/16(土) 00:13:27.04 ID:aZA1e1x40
「ずいぶん彼に興味を持つのね。」
「当面の仮想敵ですからね。」
「あら、朔夜が泣かされたことなら気にしなくていいのよ。
 あの程度は我が家の躾の一環よ。」
「まあどのみち質問は質問です。」

 朔夜のことで僕は彼に怒っているのではない。
 ただ霙の胸を独占しているらしいことについてなんか腹が立っているだけだ。
 小学生男子の夢の為に戦おうと思っているだけだ。

「そうねえ……彼の能力は幾つもあるわ。
 重力操作、異天空間の生成操作、レベルの低い自己治癒能力、あとは暗示も得意ね。」
「……操作することに才能が向いているみたいですね。」
「ええ、というより彼はそれ以外何もできない。」
「朔夜と同じか……。」
「ハマるとえげつない上に普通に戦ってもそこそこ強い。操作系統の能力の嫌なところね。」
「時空間操作や人体操作系はえげつない類、自然操作は規模次第ですがまあオールラウンダーってところですか。」
「彼はどっちもできるわよ。」
「なるほど……。でもどうやってそこまで能力を成長させたのですか?」
「バックグラウンドの話ね。」

 文月さんは空恐ろしくなるほど冷たい笑みを浮かべて僕に囁いた。

「百日間の間に千の人外と百の同族を屠った人間は妖怪になる。
 魔女の修行として昔行われていた儀式の一つなんだけどね……。
 あの人はそれと知らずに全部やりきったのよ、……この現代日本で!」
「人間の同族……」

 人を殺したのか

 一日一人以上のハイペースで

 同じ人間を

 そして平気な顔で家庭を築きそこらへんで浮気までして子供まで産ませているのか
 
「ね、悪い人でしょう?」

 悪いなんてもんじゃない
 最悪だ
 人間を人間だなんて思っていない
 良くて自分のための道具、悪ければ路傍の石ころですらないじゃないか

「でもそんな人が。
 そんな冷血と過酷と残忍を身に纏って生きるような人が……
 私の前では優しく笑うのよ、まるで弟みたいに甘えてくるのよ。
 可愛らしいと思わない?」

 恐ろしいだけだ。

「それでね、私がピンチの時には絶対駆けつけてくれるし、格好いい車乗り回しちゃうし。
 白馬の王子様みたいなんだから。」
「そ、そうなんですか……。」

 この人もしかしなくても結構ヤバイのかもしれない。
 朔夜の父親について対策を練るどころじゃないなこれじゃ

「それじゃあ私の質問。」

 どうやってここから逃げ出そうかな
 僕の考え事の内容はどんどん違う方向にシフトしていった。
19 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 00:14:57.59 ID:aZA1e1x40
「ネバーランドという都市伝説組織から我々の組織に宣戦布告が通達されました。」

 無機質な機械音声が会議室に響く。
 本来人が座るべき場所にあるアルファベットを刻まれた黒い石版に付いたランプが点灯する。
 ここは「組織」におけるそれぞれのNo.のトップの会議に使われる会議室。
 石版はNo.の代表者の声を届けるための装置だ。

「ネバーランド?」
「ここ最近世界中の紛争地帯にちょっかいかけているテロリスト軍団だ。
 なんでもこどもの国を作りたいんだそうな。」
「原子力発電所への工作、南米大陸における熱帯雨林破壊に関わった企業への攻撃活動。
 環境テロリスト的な側面もある。」
「うちのところの黒服が一度衝突したと言っていたにゃ。
 殆んどの構成員がグールで倒しても倒してもきりがなかったと言っていたにゃ。」
「不死身の兵隊ですか……。」
「Zzz…………。」
「おい一人寝ているぞ。」
「細かいことを気にしてはいけません、また小じわが増えます……
 うわちょやめてワープして殴りに来ないでオアアアアアッー!?」
「さて、それでその宣戦布告の内容とは?」
「一週間後、僕達は全世界的に破壊活動を行い、大嫌いな大人を皆殺しにする。
 止めたいのならば止めてみると良い。
 だそうです。」
「訳がわからんな。」
「テロリストというにはあまりに思想が無いというか……。」
「思想というよりは思慮でしょうかね。
 まるで子供の我儘だ。」
「とはいっても今までの活動を見ている限りではじっさいにこいつらはこういうことをやりかねないんだにゃー。」
「力を持った子供程厄介なものは無いですね。」
「全世界的に破壊活動を行う……そうはいっても内容が分からなければ対策のうちようがないわ。」
「それならば一人、奴らの内部に組織の人間を送り込んでいる。」
「その人からの報告を聞かせてもらいたいなー。」
「解った。それでは……」

 E-No.と刻まれた石版が二つに割れる。
 内部からプロジェクターが現れて世界地図が表示された。
 彼らは知らない。
 彼らが今まさにジャック・ジョーカーという一人の少年の狙い通りに動いていることを。



【不思議少女シルバームーン 第六話 第五章「魔女の成り損ないと少年」】
20 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 00:18:22.69 ID:aZA1e1x40
0ナンバーの皆様
とくにエーテルを勝手に使ってしまい他作者の皆様
とくに八尺様の人申し訳ございませんでした
さあ次の話行くぞおらぁ
21 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 00:19:35.82 ID:aZA1e1x40
……と思ったがここから一気に行くと長い
なので残り四つは
今日一つ
明日二つ
明後日一つにさせてもらうぜ
22 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 00:20:05.12 ID:aZA1e1x40
【不思議少女シルバームーン第七話 第一章「血祭りヘイトレッド」】

「この十年間の間に俺の所に集うてくれた同志諸君、ついに一週間後だ。
 ついに一週間後、全ての悲しみが、痛みが、苦しみが終わりを告げる最後の戦争が始まる。
 同志とはいえど世界に絶望した諸君、力を振るいたい諸君、俺の思想に賛同せずに手段にのみ賛成した諸君、様々な人間がここに居る。
 しかしそれでも我々は大戦争を引き起こす目的の下に集った同志である。
 大戦争というたった一つの目的のためにありとあらゆる利害も違いも乗り越えた同志である。
 我々の絆の力を以てすれば今の脆弱な世界に風穴をあけ、天使共にラッパを吹き鳴らさせることも容易いはずだ!
 一騎当千の諸君よ、最後まで一意専心して各々の任務をこなしてくれ、待っているのはいと素晴らしき一心不乱の大戦争だ。
 壊すぞ壊すぞ全部壊すぞ、壊れるものが無くなったら自らさえ壊し尽くしてしまわんばかりに壊すんだ。
 それはそれはきっと楽しいネバーランド、覚めない夢を見続けようじゃないか!」

 熱狂はない。
 静かな拍手がホールに響いている。
 誰も彼もが馬鹿にしたような薄ら笑いを浮かべている。
 そうだ、此処に集う百人ほどの人間は誰もこの少年の演説を聞いてない。
 聞く気さえ無い。
 ここに居る契約者の全員が【手段の為なら志を問わない】あの少年に集められた者なのだから。
 演説を終えたジャックに膝を椅子替わりにされているあの女性もそうだし、
 あそこで薄ら笑いを浮かべてこっちを見ているアラブ風の青年もそうだ。
 皆が皆、ジャックの理想になど一切の興味を持っていない。
 ただ偶然、自分の理想への手段として大戦争を起こすことが便利だったから彼の側にいるだけなのだ。
 そして……

「明尊ちゃん、お皿と本、持っててね。」
「ここでは本名で呼ばないでくれ。」
「じゃあシンクちゃん。」
「ちゃんも付けるな。」
「シンクちゃんはシンクちゃんだよ。」

 目の前に居るこの少女もそうだ。
 ルルというこの少女は全知の魔性【ラプラスの悪魔】の契約者だ。
 にもかかわらず彼女は物事の記憶が一日しか保たれない。
 寝ると彼女は全て忘れてしまうのだ。
 前にジャックは彼女の記憶の限界が三日だと言っていたがそれは違って、彼女が能力で自分の行動を知ることができる限界が三日前までなのだ。
 俺の知り合いにも同じ都市伝説と契約した人間がいるがルルは彼女のように数十年数百年単位で過去に遡れもしないし未来に向かうこともできないらしいし、
 検索をかけるにも数十秒はかかるそうなのだ。
 だから彼女は何時も厚い本を持っている。
 ジャックのことや今まで出会った同志のことについてそれはそれは克明に書いていて、誰にも見せたことは無いそうだ。
 そしてそこに彼女の家族の記述は無い……らしい。
23 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 00:20:39.55 ID:aZA1e1x40
「シンクちゃん、このピラフ美味しいよ!」
「残念だが偉大なるこの俺は両腕が塞がっている。
 そして親にそういう時は犬食いをしても良いという教育をされたことはない。」
「なーんだ。じゃあ良いよ、本は私が持つから。」

 彼女は本を自分の懐にしまうと皿を片手に食べ歩きを始める。
 
「行儀が悪いぞ。」
「しらなーい。」

 やれやれ、困った奴だ。

「やあ二人とも、楽しそうだね。」
「ジャックちゃん、紅瀬ちゃんといちゃついてるんじゃなかったの?」
「どうしたジャック、何か用か?」
「うん、二人も誘おうと思ってね。」
「何にだ。」
「ジャックちゃんは私たちを研究所の襲撃に誘うんでしょう?」
「あらら、お願いの内容を覗かれちゃったらお願いに来た意味が無いね。」
「トリちゃんとサンタさんと紅瀬ちゃんと私たちの六人で都市伝説と人間の契約について研究しているとある研究所を襲うんでしょう?」
「うん、そうなんだ。大戦争の前の下準備にどうしても必要でね。
 セキュリティーの隙をつくにはどうしても今時期やる必要があったんだ。」
「しかしよりによって今時期……」
「良いよ、私もシンクちゃんも付いて行ってあげる。
 残酷な人体実験で苦しめている金髪のマッドサイエンティストがみえるし。」
「え、俺の都合は……」
「シンクちゃんは私と一緒に出撃、守ってもらわないと私が危ないもん。」

 やれやれ、困った奴だ。

「それは有り難い、じゃあ明日の朝出発だから早めに寝てね。」

 え、ちょ、パーティーは?
 夜はこれからだとばっかり……

「早めに寝てね。」
「料理は……」
「食べ過ぎないでね。」

 やだもう。
 俺は適当に料理を食べてそそくさと自分の部屋に戻ることにした。
 俺がネバーランドで用意してもらった部屋はバリバリの和室で庭には鹿威しまでついている。
 ちなみに枕元には実家から持ち込んだ只の日本刀まで置いてある。
 そう、祖父母の家の俺の部屋と一緒なのだ。
 労働条件良いし、組織やめてこっち落ち着こうかな。
 上司のエーテルさんに怒られちゃうからやめとくか。
 自分用にとっておいてあったお菓子を準備しつつ、緑茶を淹れながら縁側から夜空に浮かぶ月を眺めてみる。
 
24 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 00:22:52.34 ID:aZA1e1x40
「あーあ、なにやってんだろ、おれ。」

 自分がネバーランドに入った目的を忘れそうになっている。
 実際、今の今まで忘れていた。
 そうだ、俺は元々内偵調査の為にここに入り込んだに過ぎないのだ。
 最初の数日は警戒されていたし監視も厳しかったのだがアットホームな職場なのでなんていうかこう……馴染んでしまった。
 ああ、自分のムダに高い適応能力が憎い。
 俺がジャックに語った【父親が憎い、父親を倒す為にここを利用する】という目的。
 これは嘘偽りではない。
 ジャックの計画を利用しつつそれ自体は本当に実行するつもりだった。
 ジャックの語った【都市伝説の存在を公表】と【子供の王国を建設する】という目的は阻止するつもりだった。
 だが自分の本当にやりたいことはなんなのかどんどん分からなくなっている気がする。
 そもそもなんで父親が憎いのだろうか。
 解っている。
 あの男が女にだらしないのが嫌なのだ。
 どこかで母を蔑ろにしているように見えて。

「――――違うよそれは。」

 縁側の反対側、俺の部屋の入口から声が聞こえる。
 聞き覚えのある声だ。
 
「明尊ちゃんは自分が放って置かれているような気がして寂しいだけだよ。」
「ノックもせずに部屋に入るな。」
「ロックもせずに部屋に篭るな。なんちって。」

 やれやれやな奴だ。

「無礼は許そう、で、何のようだ。
 それともあれか、また………………鳴り止まないのか」

 背後に茶を置いてみる。
 足音が俺のすぐ後ろまで近づいてきた。

「鳴り止まないのはいつものことだよカチカチカチカチとゼンマイの音色が止まないのは。
 それよりも明尊ちゃんが悶々とした気分を抱えているのが流れこんできたからさ。
 少しお話しようかなって思って。」

 頂きますね、といって彼女はお茶に口をつける。
25 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 00:23:34.35 ID:aZA1e1x40
「話し相手くらいにならなってやるとでも言うのか?」
「私の能力はオンオフがつけられないからね。明尊ちゃんが落ち着いてくれないと煩くてしょうがないのだよ。」
「ふむ……。」
「あれだぜ明尊ちゃん、親がいるのは幸せだと思うぜ。」
「あんなろくでもない親でもか?」
「それは明尊ちゃんが本当に碌でも無い親を知らないから言える台詞だよ。」
「というと?」
「世の中には幼いうちからね、親に殴られても自分が悪いせいだって思い込むことしかできない子も居るんだよ。」
「そんな親は親とは言わん。見つけ次第俺が殴り飛ばしてくれるわ。」
「真っ直ぐだねえ。」
「思えば子供の頃は全く殴られなかったな。」
「殴り合える年齢になるのを待ってたんじゃないかな。」
「いや、向こうから殴りかかってきたことはなかった。」
「…………。」
「何だその目は、『親に殴りかかるとか酷いなあ。』みたいな目で俺を見るな!」
「ソンナコトマッタクオモッテマセンヨ」
「俺の爺さんと親父は良く喧嘩していたというが……。」
「家系だね、親子で戦う家系。」
「そんな戦闘民族のような家嫌すぎるわ。」
「まあ私もそんな漫画みたいなことは無いと思うけどね。」
「まあ良い、どのみち強くなるために父は超えねばならぬ壁、それが早いか遅いかというだけのことだ。」
「戦闘民族だあああああ!?」
「爺さんに言われているのだ、お前は父を超えねばならぬと。」
「どうみても戦闘民族ですありがとうございました。
 ほんとうに怖いわ上田家…………でも、ちょいと憧れるけどね。」
「なんでだ。」
「繋がってるじゃん。決闘と血統で。」
「まあな。」
「私は親のことなんて覚えてない。私の日記の最初のページは『私は一人で生きて行くことにした』だよ?
 何の前置きもなくつながりを感じていられる人間が一人も世の中に居ない恐怖といったらないね。」
「お前の能力で調べられないのか?」
「なんかずっと眠ってたのから目覚めて何も記憶が無くてね。
 私はいったいどんな気持ちで最初のページを書きだしたのか。
 他人の気持ちを知るのでさえ恐ろしいのに自分のそれなんて恐ろしくて知りたくもないよ。」
「なるほどなあ。」
「それにしても明尊ちゃんはリアクション薄いよね。」
「どこがだ?」
「いや、人が私の過去話と能力聞くとたいてい同情だったりドン引きだったりするんだけど。」
「え、だってお前いくらすごい能力でもそれに対してやってることは普通じゃん。
 解るんだから調べる、聞こえるんだから聞いちゃう、見えるんだからみえちゃう。
 普通にできることをやってるだけなのになんで驚く必要がある。」
「……なるほどね、だからって自分の心が読まれているのにも驚かないというのはどうだろう。」
「俺は自らの思うところに一片も恥じる必要が無いからな。」
「私が大声で『この人裏切ろうとしてまーす!私たちの計画をじゃましようとしていまーす!』って言っても?」
「はて、なんのことだか。」
「やれやれだね。」

 俺は俺だ。
 一片も恥じること無く俺だ。
 誇りこそすれ心を見られて何故不快に思わねばならないのか。
 むしろ、あんな情けない父親を見られたのが不快なのだ。
 と、この考えも伝わっているのか。
 まあ構うまい。もう知っていることだ。
 というか話すのが面倒だからこれで良いか?
26 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 00:26:12.64 ID:aZA1e1x40
「それはちょっと寂しいかな。」
「解った解った。ちゃんと話してやるよ。」
「明尊ちゃんのその普通は、私にとって特別なんだよ。」

 肩に手が置かれる。
 細くてしなやかで白くてヒンヤリとした指。
 体温を殆ど感じさせない冷たい指。

「明尊ちゃんの心のなかの“特別”にはずぅっと同じ人が居るんだね。」
「恥ずかしくて言えないがな。ずっと片想いだ。
 あの人こそお前と同じ能力を持っていれば手間が省けるのだが。」

 肩に指が食い込む。
 その理由は俺には分からない。
 時々妹の明が妙に強く抱きついてくる時があるがまあそれと同じようなものだと思っておこう。
 俺の経験によれば女性というのはわりと気分屋なものだしな。

「昨日が消えて行くのなら、せめて私は明日が欲しい。
 そうやって私は今日をもがき続けているの……。」

 誰も知らない震えた声。
 熱の通わぬ小さな指。
 月を見てセンチになっているのだろうか。
 まあ付き合うのも悪くはない。
 優しさは偉大なる俺の偉大さの現れだ。
 彼女の手を握り月を見上げる。

「明日を探すが人の道。
 それを示すは俺の道。
 日の光は人に恵みを与え、月の光は人に夢を与える。
 故にその二つは尊い。
 俺はその日月の如く尊くあれと願って生を享けたのだ。」
「…………。」
「だからまああれだ、何が言いたいかっていうと……。」
「なに?」
「少なくとも明日、日がまた昇るが如くお前の側には俺が居る。
 少なくとも今宵、月が浮かぶかの如くお前の側には俺が居る。
 だから……それほど嘆くな、お前はお前だ。」
「明尊ちゃん……。」

 抱きつかれた。
 うっほほ〜い、テンション上ってきたぞ!
 いや待て、俺には吉静さんという人が……あ、やばい当たってる胸当たってるこれは卑怯だ。
 こんなのに耐えられる訳ないじゃないか。 
 俺だって至って普通な男子中学生だぞ?
 健康なんだぞ?
 耐えろ、耐えろ俺、優しく頭撫でるだけにしておけ。
 ここで妙な行動を起こすとルートが著しく制限される気がする。
 頑張れ俺のりせえええええええええええええええええええええい!

「明尊ちゃんと明尊ちゃんのお父さんとの喧嘩の決着が付いたら話があるの。
 …………聞いてくれる?」
「え、あ……まあ話くらいなら。」
「返事、考えといてね。」

 どうする俺!
 どうする俺!?


【不思議少女シルバームーン第七話 第一章「血祭りヘイトレッド」】
27 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 00:27:56.50 ID:aZA1e1x40
ギャグ話入れているパソが充電切れだったので真面目なお話のほうから
明日は月見里亭の面々のお話を投下します

おやちゅみ
感想はできれば避難所じゃなくてこっちでお願いしたいけどこれはお願いできるような事じゃないのでまあきにしないでください
避難所と本スレの棲み分けって大事だと思うの
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/16(土) 00:42:48.96 ID:Ad31d1hG0
そもそも避難所と本スレで感想書き分けていた俺は(ry

大量投下乙!
霙ちゃんとルルたんに胸がきゅんきゅんですよ先生
例に沿って上田親子はもげろ(
看護婦さんも久しいなぁ
そしてNo.0のシーンはアハ体験か何か出来そうだw
ユティたんらしき人と葉様らしき人がいるのは分かった
サンジェルマンとエーテルがいるのとローゼがいないのは確定事項だな
残りは誰だろう・・・
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/16(土) 07:44:19.25 ID:L/1uMR4DO
笛の人乙ですー

No.0が一人寝てたな、うん
起きて


>>28
小じわが……でワープして殴りに行ったのはセシリアさんだと思った
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/16(土) 09:14:05.35 ID:Ad31d1hG0
>>29
そうかセシリアさんかwwwwwww
思い出して情景がありありと浮かんだわ有り難う!
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/16(土) 13:11:19.02 ID:4Or27etwo
笛の人、投下乙です

霙ちゃんの慕情が切ないというか愛しいというか
略奪愛とNTRって同じもの?違うもの?
明尊君頑張れ、明尊君の理性超頑張れ



無駄なテスト
「異_空間」…「異空間」
32 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/07/16(土) 13:40:13.85 ID:Q2JYhJlo0
>>20
笛の人連投乙でした〜
いえいえ、ちゃんと会話で誰が誰か分かるのが
キャラをよく把握していらっしゃるなあと。
その上で使っていただけるならこれほど嬉しいことは有りません
33 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 20:55:54.63 ID:aZA1e1x40
【月見里邸の優雅な日常4】

「ついに追い詰めたぞ外道衆!」
「衆道!?」
「ホモか!」
「俺は第二次性徴前ならノンケでも構わずに食っちまうんだぜ?」
「普通ノンケしかいねえよ。」
「僕達少年忍者隊にかかればこの程度の謎なんて簡単に解決です!」
「悪い妖怪さんたちは私たちがやっつけちゃうんだから!」
「僕達の小学校をお化けの手から取り戻すんだ!」

 こんにちわ皆さん。
 夢生春宵です。
 今日も今日とでお化け屋敷をマネージメントしていただけの罪もない人間です。
 最近作者がシリアスな話にばかりかまけていた為まったく出番がなく、
 脳内作者会議に乗り込んで「出番が欲しいでござる!出番が欲しいでござる!」と連呼したところなんとか出番をもらえた次第です。
 この作品の脳内作者会議は作者の中の三人の人格がひたすら極上エロ動画について語り合うだけという二重の意味で生産性の欠片も無い会議でございます。
 三人の人格にはそれぞれ名前がついておりまして
 プロデューサー、脚本家、スポンサーとなっています。
 脚本家作者が話の筋を決め、プロデューサー作者が演出や投下間隔などをマネージメントし、
 スポンサー作者は玩具展開やメディアミックスの妄想なんかをやらせてますね。
 現実の予定から時間を捻出するのもスポンサー作者のお仕事です。
 さて、そんなことはどうでもよくて。
 俺と赤い紙はこの学校に通う生徒達が結成した少年対魔忍者隊とかいうまるで卑猥なゲームのような集団に追い詰められてました。
 いや、別に楽勝ですよ?
 作者権限発動していきなりそこのガキに
 
「らめえええええええええええええ!
 でるうううううううううう!でるのおおおおおおお!
 ミルクがあアアアアア!
 エッチなおしるがたくさんでちゃうのおおおおおおおおお!
 んおっほおおおおおお!」

 とか言わせてその隙に逃げるのは楽勝ですよ?
 アヘ顔ダブルピース楽勝ですよ?
 信じて送り出した筈の超昂対魔閃忍アサギが車輪の国からアヘ顔ダブルピースのビデオレターを送って来た/stay night
 とかも俺にかかればらくしょ…………

「ハ、ハルカ?」
「え、今私何か言った?」
「…………。」

 ハルカと呼ばれる小学生に注がれる周囲からの困惑した視線。
 どうやらうっかり作者権限を発動してしまったらしいね。
 小学生にとてつもない単語を口走らせちゃったよ。
 どうした?掛かって来いよアグネス!
 児ポ法なんて捨てて掛かってこいアグネス!
 お前の嫌いな女の子のエッチなシーンだろう?
34 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 20:58:17.48 ID:aZA1e1x40




 …………俺はどうやらアグネスすら恐れをなして逃げ出す変態になったらしい。



 よーしお前ら、俺の後ろについて国会議事堂まで突入だ。
 国会のど真ん中で「We need hentai!」と叫ぶんだ。
 無能な国会議員は蹴り飛ばせ。
 怖い黒服のお兄ちゃん達はファックしておけ。
 仲間の屍を踏みしめ、敵の銃弾を菓子にしながらの楽しい楽しい遠足の時間だ。
 今日今ここから革命は始まるのだ。
 世界を変えるのは何時だって若者だ。 
 過去の闘士は今の老害、闘士は闘士の屍の中からしか生まれないのだ。
 諸君!今こそ増えすぎた老人どもを処断し、我々の革命を成功させる必要があるのだヒャッハー!
 破壊だ、この町の全てを破壊しろ。
 東京タワー?
 リリー・フランキーさんでも呼んでおけ。
 下町?
 両さんに喧嘩売ると大変なことになるぞバカヤロウ。
 レインボーブリッジ?
 青島さんにも封鎖できなかったんだ諦めろ。
 はとバス?
 作者は一度も乗ったことが無いから上手い返しを思いつかないそうだ。
 国会議事堂?
 ガイ・フォークスデイを日本にも作らせろ。
 今回のガイ・フォークスは成功してしまうだろうがな!
 ※ちなみにこの妄想は三秒の内に行われております
 
「おい春宵」
「なんだ赤い紙。」
「今のうちに逃げるべきじゃないか?」
「あっやべ。逃げようか。」
「あっ待て!」
「逃すか!」
35 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 21:00:14.14 ID:aZA1e1x40

 追ってくる対魔忍。
 俺は少しはラスボスっぽい所を見せようと思った。
 小学生にアヘ顔ダブルピースさせてその隙に逃げるラスボスなんてちょっとあんまりすぎる。

「くくく……貴方達の相手はこいつらで十分ですよ。」

 雑魚敵を召喚して逃げ出すなんていかにも敵のボスっぽいじゃないか!
 俺は右手の中に魑魅を召喚するとそれを学校の水道に憑依させ「オレンジジュースの出る水道」に変化させる。

「はっはっは!これでも喰らいなさい!」
「うわっ!眼に水が!」
「この程度で目潰しになるとでも……うわあああ!」
「沁みる!痛い!痛いよ!」
「眼がヒリヒリするうううう!」
「眼に触られただけで気持いいのおおおおおおおおおおおおお!
 ひゅうううう!んほおおおおおおおおおお!」

 やべえ、さっきのハルカちゃんの体が何故か感度一万倍くらいになってる。
 いやーまだ狐さんから渡された作者権限を上手く使えないな。
 ちなみにとある作品ではこれメガロマニアックスって言うらしいね。
 よく分からないけど!
 とにもかくにも俺と赤い紙は無事に逃げおおせることに成功した。
 学校の中にある七不思議達の為の異空間に入り込むとすでに他の七不思議の皆はそこに逃げ込んでいたらしく、
 俺たちはとりあえず暖かく迎え入れられたのだった。
36 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 21:01:50.87 ID:aZA1e1x40
「おかえりなさーい、大丈夫だった?」
「おう、大丈夫だったぜ。」
「一瞬(放送規制的に)かなり危なかった気もしたけどそんなことなかったぜ。」
「あんまり心配させないでよねデブ人間のくせに。」
「デブデブうるせえな眼窩ファックするぞ幼女枠。」
「骨なんてお化けにあるわけ無いだろ。」
「私は全身骨みたいなものだけどね。」
「金次郎は骨というより強化外骨格だよね。」
「覚悟完了!」
「当方迎撃の用意あり。」
「痛くなくては覚えませぬ。」
「同じ作者だけどちょっと違うの混じってるよー!?」
「ちなみにあれってシグルイが元ネタみたいな扱いされてるけど本当は田山花袋さんの「春琴抄」って小説が元ネタだって話よ。
 「撃ってもいいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」の元ネタがコードギアスや仮面ライダーダブルだと思い込むくらい無知をさらす無恥な行いだから注意しなさい。」
「花子ちゃん、春琴抄は谷崎潤一郎だ。」
「えっ、あっ、ちょ…………。」
「顔を赤くするなよ花子ちゃん、この話の作者もうっかり間違えたそうだ。
 田山花袋は「女性の布団クンカクンカ」に定評の有る人で
 谷崎潤一郎は「姉妹丼楽勝でした→ねとられました」っていう人だ。
 花子ちゃん顔真っ赤にしてかわいいね。
 ぺろぺろチュッチュしたいよチュッチュッチュブリラ」
「春宵さま……。」
「待ってカエルちゃんこれは花子ちゃんをからかっただけなの!?
 怒らないでメス出さないで刻まないで!?」
「やだなーじょうだんにきまってるじゃないですかー。」

 滅茶苦茶いい笑顔で注射器振り回してる顔面に包帯巻いた女の子が冗談なんて言っても説得力はない。
 繰り返して言う、説得力はない。
37 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 21:08:19.79 ID:aZA1e1x40
「それはそうと夢生どの」
「どうしたんですかベートーベンさん?」
「小生、そろそろ音楽室に戻りたいのである。」
「今出ると対魔忍に見つかっちゃうんじゃないかな。」
「お待ちくだされ夢生どの!」
「落ち武者さんどしたの?」
「向こうが忍者を名乗るならばこちらも侍として迎撃する準備があるでござる!」
「俺はあんまり安易にバトル物にしたくないんだけどなー。」
「バトルはんたーい」
「差別化できなくなっちゃうよね」
「というか小生たちに戦う力があるとおもうのかな?」
「流石忍者卑怯でござる流石忍者汚い、戦わずして我々の戦意を奪うとは……」
「という訳で戦わないのであった。」
「それではあんまりでござるー!」
「大丈夫だよ落武者さん、後日あの対魔忍共は全員感度三万倍にしておくから。」
「まさに外道。」
「まさに女体乱舞。」
「まさに人妻乱舞。」
「まさに悟浄。」
「まさに最遊記。」
「なーにーをみーつーめてーいこー!」
「すーべーてをー!差し出しーてー!」
「まーたーここでーあえるーよー!」
「それが真実ならー!」
「まさに徳山秀典。」
「まさに仮面ライダーキックホッパー。」
「まさに地獄兄弟。」
「俺のゼクター返してくれよぉ……」
「まさに影山。」
「…………(完全に無視)」
「まさに天道。」
「おばあちゃんが言っていた、強いものだけが生き残る。」
「まさに外道!?」
「ちなみに劇場版でこんな感じの事言っていた。」
「あの駄作を見たの!?」
「タイトルかっこよかったんだもん!」
「それでもネット評判で駄作と知ってたんじゃないの!?」
「金色の声がジョージだとおもったんだもん!
 なんであんなガチムチなおっさんが変身してるんだよ!
 返せよお!俺のジョージ声の最強ライダー返せよおおおお!」
「…………(完全に無視)」
「作者が中田譲治さんの大ファンなんだよおおおお!
 今の仮面ライダーのナレーターが彼に決定したと知った瞬間狂喜乱舞してたんだぞおおお!?
 ヘルシングのOVAもケロロ軍曹も見て岩窟王は……」
「え?」
「チェックしてないの?」
「……らしい。」
「にわか乙としか言えないのであーる。」
「花と蛇は見たらしい。」
「なんか順番間違ってるよジョニー。」
「悲しいけど、これってレンタルビデオ店の都合なのよね。」
「やれやれだぜ。」
「ヘルシングといえば最近すごい新入りが来たよ。」
「悪魔だよ悪魔。」
「それで特技がねえ……。」
「待て!まだ言うな!」
「解ったよ。」
「おい誰か悪魔呼んでこい。」
「私呼んでくるね、多分鏡の中に居るしー。」
「頼んだテケテケ。」
「おーい悪の字ー?」
「なんですかぁどうして私此処に居るんですかぁ……?」
「おいこんな眼に涙を貯めてプルプルしてるショタが悪魔だと言うのか。」
「なんか合わせ鏡の悪魔っていうらしいよ。」
「変身できるんだって。」
「あれ、どっかの作者様とネタかぶってね?」
「脚本家作者のせいでまたスポンサー作者が土下座だね!」
「次回から出られなくなる可能性もありか……。
 それでこの子の特技は?」
「はい、若本規夫さんのモノマネです。」
「えっ。」
「おらやれよ新入り。」
「やらないと泣かせるぞ。」
「やらないと鳴かせちまうぜ。」

 赤い紙がやたら元気よく腰を振っている。
38 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 21:09:12.35 ID:aZA1e1x40
「ひ、ひいいい!?」
「誰か赤い紙を縛り付けておけ。」
「オアアァッー!?」

 ※赤い紙さんがログアウトしました

「それでは悪魔ちゃんどうぞ。」
「ブルァァァァア……。」

 うわっ、似てる。

「すげえ、なんでこんな似てるの?」
「僕は他人の姿を真似するのが特技なんで……。」
「ああ、理解したよ。若本さんのだと他には?」
「ヘルシングのアンデルセンとか……。」
「で、できます……。」
「オーケー、じゃあやってみてくれ。
 エイメンとか言いながらナイフを投げてくれると良いな。」
「そ、それじゃあ……」


「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAaameeeEEnnnNNN!」


 ボシュウ!
 彼がエイメンといった直後、彼の姿は煙になって蒸発してしまった。
 冷静に考えれば悪魔だしね、当然か。
39 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 21:12:24.59 ID:aZA1e1x40
「きゃああああああああああ!」
「悪魔が消えた!」
「著作権的にこれから危なくなるキャラだったしある意味華々しく散って美味しかったのか……?」
「さらっと怖いこと言わないでよ花子ちゃん!?」
「つーかやばくね?マジやばくね?半端無くヤバいと思うんですけどー。」
「ま、まあ作者の都合次第でいくらでも復活するよ!」
「ま さ に 外 道 !」
「ところでゲド戦記の再放送やってるよね。」
「あー、あれね。」
「こーころをなににたとえようだったっけ」
「作品をなにに喩えよう」
「吾朗オナニーにたとえよー♪」
「アラしか無いようなこの作品♪」
「パヤオはきっと悲しかろう♪」
「でれれー♪でれでれれー♪」
「ジブリ作品はなにが好き?」
「俺は紅の……」
「ロリコン!」
「じゃ、じゃあカリオストロの……」
「ロリコン!」
「千と千尋の」
「ロリコン!」
「紅のロリコン、カリオストロのロリコン、千と千尋のロリコン。
 その千と千尋って人はロリコンなんですか?」
「色々違うよ!?」
「ロリコンなのはパヤオだよねー」
「マザコンなのもパヤオだよねー」
「拙者、リサみたいな母上がいたら理性を保てるか分からないでござる。」
「落ち武者さん落ちるところまで落ちたな。」
「拙者の母上がこんなに可愛いはずがない。」
「頼むから口閉じて。」
「どうでも良いけど筆者は修学旅行の夜にじゃんけんで負けて近くのコンビニからエロ本を買うことになった時、
 皆から渡された金で“濃厚熟女大全”を買ってきて全員に殺されかけたそうだ。
 ラグビー部の奴が特に怖かったと言っていたそうな。」
「拙者は熟女がいいのではないでござる。むしろ熟女はゲテモノでござる。」
「おい落ち武者、それは小生への侮辱であるか?」
「お前らとりあえずどっか行け。」
「女子高生最高」
「誰だよさりげなく自分の趣味主張した奴」
「女子高生ルーちゃんブヒイイイイイイイイイイイイイイイ!」
「俺の股間が100コンボでやんす!」
「やだもうこいつら」
「にゃんにゃんさん可愛いですー」
「テケテケちゃんが目の前で繰り広げられるおぞましい会話に対して現実逃避を選択したようです。」
「※テケテケちゃんがログアウトしました。」
「あっ、そういえばあの対魔忍は?」
「なんかどっか行ったみたいだね。」
「どうする?今日はもう店じまい?」
「グダグダだなおい。」
「山も落ちも意味もなかったね。」
「ヤオイと聞いて。」

 ※赤い紙さんがログインしました
40 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 21:13:29.31 ID:aZA1e1x40
「お前はただのペドフィリアじゃ!」
「あー最近性欲が溜まっててなあ。誰でもいいから尻貸しな。」
「尻じゃなきゃだめなの!?」
「春宵、お前でもいいんだぜ?」
「え、ちょ、やめてくださいよ(困惑)」

 ※対魔忍部隊がログインしました

「油断したな妖怪共!」
「やっと隠れ家を見つけたわ!」
「…………ビクンビクン」
「あっ!貴様らは少年対魔忍!」

 よりにもよって俺達の隠れ家に対魔忍が現れた。
 しかも一人は感度三万倍のままである。
 服が肌と擦れるだけで絶頂である。
 そしてこの中でだべっているのは子供でも構わず食っちまう変態共。
 こういうのをなんというか皆さんは御存知だろうか。

「ふっふっふ、貴様らの隠れている異天空間は探知させてもらったぜ!」

 そう

「おや、丁度いい。お前ら、ちょっと相手してくれよ。」

 飛んで火にいる夏の虫である。

「え?」
「この空間では俺達の力は三倍だぜええええ!」
「うわ、局部がシャア専用!?」
「赤くて!黒くて!でかくて!強いぜ!」
「きゃあああ!変態よ!」
「行くぜガキどもパーティーの時間だ!」
「きたねえ絵面だなあ(苦笑)」

 ※俺はログアウトしました。
 ※この後どうなったかは知りません。

【月見里邸の優雅な日常4】
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/16(土) 21:40:28.15 ID:laaU/ZHDO
笛の人乙ですー
外出先でこれは試練にもほどがある。
だが私は耐えたぞ!正面に座ってる奥方がちらちらこっちを見てるけれど耐えきったぞ!

突っ込みどころが多すぎてどうしようこれ
どうもできないよこれ
どうにかしてください笛の人
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/16(土) 21:49:27.02 ID:Ad31d1hG0
こwwwwwwwwwれwwwwwwwwwはwwwwwwwwwwww
メタやら何やらが混在しすぎて正にCHAOSwwwwwwwwww
誰かこいつら止めろwwwwwww

ところで、『対魔忍』って聞いたらエロアニメしか思いつかない件orz
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/16(土) 22:20:54.77 ID:Ad31d1hG0
おうふ、『笛の人乙です〜』を入れ忘れてたorz
44 :はないちもんめ ◆YdAUTYI0AY [sage]:2011/07/16(土) 22:35:30.27 ID:jczCGBoG0
笛の人は本当にへんたいだな!(褒め言葉)
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/16(土) 22:38:23.61 ID:19VJzabDO
よし、じゃあ次はシリアス投下するよ
46 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 22:46:26.17 ID:aZA1e1x40
【不思議少女シルバームーン第七話 第二章「ジャックの為の木」】

「………………。」
「………………。」
「………………。」
「………………。」
「………………。」
「………………。」

 不思議少女シルバームーンにおいて魔法少女の敵として現れては情けなく撃退されることに定評のある上田明尊だ。
 本編では自尊心ばかりが高くて我儘に振舞うだけで実力の足りないバカ息子みたいな扱いだが今回はまるっと俺が主役である。
 どうか見捨てずに最後まで話を読んで欲しい。
 とまあそんなことはどうでもいいのだ。
 明尊ですがネバーランドの空気が最悪です。
 理由は至ってシンプル。
 俺の部屋から微妙に乱れたパジャマ姿のルルが出てくる所を紅瀬縁さんに見られてしまったのだ。
 俺と彼女の名誉の為に断言したいのだが俺は決して彼女に手など出してない。
 出していないのだがまあその……うん。
 なんか下手に言えないぶんそういう雰囲気っていうか。
 任務に向かう車中でも現在進行形でルルが俺にベタベタとくっついているせいで否定しても信じてもらえないっていうか。
 この空気が続くならもうさっさと裏切って組織に戻っても良い気がする。
 何が言いたいのかというと紅瀬さんはいくら拷問されても仲間は売らなかっただのなんだのと言われている一流のテロリストの筈なのだがどうにも男女の仲については笊らしいということだ。
 彼女がジャックやら他の奴に自分の見たことをペラペラ喋らなければもっとマシな展開だってあったと思うんだ。
 ていうか帰って良い?
 今から帰って良い?
 有給使っていいよね!
 え、正社員じゃないので有給は与えられてない?
 ここ非正規雇用者ばかりじゃねえかよ!
 ていうかテロ組織に雇用ってなんだよ!
 とんだブラック企業じゃねえか畜生、組織ですら有給つくぞ!
 
 ※無論使うことは許されません
 
 だけどな!
 あそこもブラックだ!
 バックレるバイトが良いバイトだ!
 連絡してから休もうとするのは悪いバイトだ!
 本当に職場は戦場だぜ!
47 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 22:48:19.78 ID:aZA1e1x40
 突然、隣に居たベルが噴き出す。
 こいつ俺の思考を読んでやがったなヒャッハー!
 なんてやつだ今日という今日は許さねえこうなったら一子相伝の秘技酔拳で……

「シンク、落ち着いてくれ。
 俺は何も君を責めているわけじゃなくてだな……。
 別にメンバー間の異性関係についてなにか制限を設けているわけじゃないし……。」

 元凶である紅瀬縁のいっぱいおっぱいに凭れかかりながらジャックは俺に話しかける。
 違うんだ誤解なんだ信じてくれっていうか俺超頑張ったし、耐えたし、空の上から神様が
 『ここで選択肢を誤るとハーレムエンドは無くなるんじゃよ』
 って電波を送ってきてたから耐えたし。
 電波ユンユンでエンドルフィン全開来ちゃってますううううううううう!
 お出かけですかレレレのれえええええええええええ!
 俺は俺はれおれろあれおれおれおれおあれひゃっほう!

「ただこのタイミングでこれはあまりにも死亡フラグっていうかさ……。」

 未だに沈黙が続く。
 俺は意を決して違うんだと言おうと口を開い……
 足に痛みが走る。
 俺の足を赤いヒールが踏みつけている。
 ヒールの中に収まっている足の生えている元へと視線を移すと……紅瀬さんのじゃないですか。
 俺と彼女の目が合う。
 「く・う・き・よ・め」
 と彼女の口が動いていた。
 ジャックからは彼女の表情が見えていない。
 俺のアーマーの袖を隣にいるベルが引っ張っている。
 そんなうるうるした目で見ないで!?
 まるで俺がなにかしたみたいな雰囲気じゃん!
 ここまできて俺はやっと自分がはめられた事に気がついた。
 女性二名を敵に回してしまえば流石の俺といえどどうなってしまうか分からない。
 というかそれは同時に孤立無援というオチにも繋がっている。
 敵地潜入中に囲まれるとか死も同然である。
 むしろここはルルを口説き落として溶け込むのが俺の正しい行動なのだろうが俺としてはそんな俺の父と母の馴れ初めのようなことはしたくない。
 つまり俺が今取るべき一番安全な行動は……黙っていることだ。
48 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 22:53:05.63 ID:aZA1e1x40
「あ、ああ……。」
「まあ二人がそういう風になるなら俺は嬉しいし、最初は何時裏切るかとドキドキしてたけどまあ馴染んでいるみたいだし。
 ルルは僕の親友から預かってる娘だし、明尊くんも期待のルーキーだしさ。
 むしろそういうのは俺歓迎しちゃうからさ、ねえ紅瀬ちゃん。」
「ええ、不純異性交遊とか言い出したら私とジャックだってあれだし。
 ですよねサンタさん。」
「ああ、良いんじゃないかな。私もワイフと付き合い始めたのはちょうどジュニアハイスクールの頃だったね……」

 欧米か!
 ……欧米である。
 今回運転手を務めるサンタさんは元々トイザ●スの社員である。
 紛争地の子供たちに銃の代わりに玩具を持たせたいという思いのあまりネバーランドに参加したのだとか。
 とりあえずこれで話せる雰囲気に……

「まあ、今は天国から私を見守っているがね……。」

 なりませんでした!
 ちょっとしんみりしちゃったよ!
 どうするんだよこれ!

「あーでも俺も中学生の頃に先輩と付き合い始めたな。」
「ライちゃんイケメンだからもてるしねー。」

 ライディーンが場の空気を変えようと話を始める。
 こいつは最初の頃は険悪な仲だったのだが最近はわりと普通に話せるようになってきた。
 中国出身で料理が意外と上手いのだ。

「ていうか勢い余ってベッドインだったし。」
「あら意外と手が早いのね。」
「いや、向こうが誘ってきたんですよ。」
「へえ……。」
「年上だから積極的なのかしら。どんなタイプ?」
「可愛い系ですね。」
「やっぱ彼女の家?」
「いや、彼女じゃなくて彼氏だな。兄貴の友達だった。」

 マ ヒ ャ ド !
 上田家は代々ドラクエ派なのであしからず。
 車内の空気は更に凍りついた!
49 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 22:55:28.45 ID:aZA1e1x40
「兄貴と元々付き合ってたらしいんだけどあいつが家出してから寂しがっていて……。」

 男女でもドロドロなのに男同士でそれとか嫌すぎるわ!
 二重の意味で兄弟じゃねえか!
 誰かこのバカさっさと止めろ!
 地上の星ならぬ痴情のホモだよ!

「あ、着いたよ。」

 森の真ん中で車は停まる。
 酷いトークが中断されて本当に助かった。
 ここからは徒歩で研究所まで行くということか。

「よーし、それじゃあ皆行こうか。
 作戦は昨日伝えたとおりだ。
 ライディーンは能力で空から奇襲をかけてもらうためにここでしばらく待機。
 サンタさんは陽動の為に正面から大量の動物を使った突撃をお願いしている。
 その為の突破口は俺が開くから暢気して待ってて頂戴な。
 あとその前にシンクとルル=ベルには能力でこっそりと研究所に忍びこんでもらいます。
 できるだけ戦闘しないで敵の数とか警備の状態とかをもう一度調べて俺達に教えてちょうだい。
 それが終わったら研究所の奥深くまで潜り込んで、俺達に実験材料として使われている人達の居場所を教えてね。
 連絡が来たら紅瀬ちゃんは能力で地下道を作って実験台の人達をここまで誘導、最終的には外で敵を引きつけたサンタさんが能力で基地までワープだ。
 二人は実験台の人たちと一緒に地下道を通ってもいいし、ライディーンの奇襲が上手く成功していれば彼が引き上げるときに一緒に連れていってもらってもいい。
 ただしその為には対空兵器の完全な破壊が必要だから気をつけてね。
 とにかく組織に関わっている研究所だから何が出てくるか分からない。
 実験中の都市伝説や実験台の契約者による攻撃は皆にルルちゃんの作ったデータを渡しているから大丈夫だと思うけど、
 それを鵜呑みにしないで危ないと思ったらすぐに退くことを心がけてね。
 あくまでこの作戦は“大戦争”を円滑に進める為の保険的な役割だ。」
「了解した。」
「良いわ。」
「では私は待機か。」
「俺は出撃ね。」
「道案内は任せて明尊ちゃん!」
「私は何すればいいの?」
「俺の椅子。」
「あ、そうだ紅瀬ちゃん途中まで借りて良いかな?」
「良いよ、じゃあ紅瀬ちゃん、能力使ってルルの言うとおりに道を作ってあげて。」
「了解。」

 一度作戦が始まってしまえばそこは経験値が違う。
 全員が作戦に集中し始め、真剣な表情で最終確認を行う。
 重ねて言うが妙な空気が吹き飛んでよかった。
50 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 22:56:03.46 ID:aZA1e1x40
「それじゃあ……“ジャックと豆の木”発動!」

 紅瀬さんの能力が発動する。
 彼女の契約した都市伝説は“ジャックと豆の木”
 彼女が一度手に触れた無機物は一瞬で木に変わってしまうのだ。
 そして木に変わったものは彼女が思うように自由自在に成長し、彼女の意思のままに消滅する。
 破壊された木の破片を使って木を作り出すことも可能な辺りわりとずるい。
 今回彼女は木の根だけを巨大化させてその中身を空洞にすることで研究所の奥深くに侵入するためのトンネルを作る役割を持っている。
 彼女はルルの指示通りに木のトンネルを作成すると俺たちに早くその中に入るように促した。
 
「じゃあ行くよ明尊ちゃん。」
「ああ、解ったよ。」

 俺とルルは紅瀬の作ったトンネルに足を踏み入れた。
【不思議少女シルバームーン第七話 第二章「ジャックの為の木」】

51 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 23:00:44.14 ID:aZA1e1x40
【不思議少女シルバームーン第七話 第三章「永遠と契約した少年」】

 作戦開始から十分後。

「……というわけで終わったよ。シンクちゃんが全部片付けちゃった。
 子供達もちゃあんと確保したから安心してね。」
「了解。」

 同志ルル=ベルと上田明尊からの連絡が入った。
 狙いであった“都市伝説の力を埋めこまれた子供たち”を確保したらしい。
 彼らに非人道的な改造を施した研究者は明尊が警備兵ごと皆殺しにしたそうだ。
 人間を、人間が、当たり前のように。
 巫山戯るな、なんでそんなことができるんだ?
 怖くないのか?
 痛くないのか?
 震えないのか?
 俺は怖かった。
 俺は痛かった。
 俺は震えた。
 奴は外側こそ完全に人間だが結局は凶暴で残忍なネフィリムに過ぎない。
 ましてやあの上田明也の長子だ。
 世界有数の都市伝説発生地点学校町でまったくの0から己の才覚のみで独自勢力を築き、
 組織をはじめとした様々な勢力に対し独自のパイプを持つ怪人だ。
 俺がネバーランドを結成した当初、あいつの手でルル=ベル以外の仲間を皆殺されたのだ。
 だから俺は次の作戦に当たってその息子である明尊を裏切りのリスク覚悟で受け入れ上田明也への睨みを効かせ、
 世界中で大戦争を起こすことで「組織」やその他の都市伝説集団に属する強者の注意を世界中に分散させた。
 そして俺は学校町で俺の“本当の目的”を果たす。
 その目的実行の囮のために“都市伝説の力を埋めこまれた子供達”の存在がある程度重要になるのだ。
 しかし今のところ上田明尊は俺の本当の目的に気づいていない。
 裏切るとしても世界同時多発テロの妨害しかできない。
 ならば戦力として有効に使うだけ。
 他の同志と同じ扱いでいい。
 むしろ、他の同志と全く同じだ。
 俺の本来の目的を理解している奴などいなくて良いのだ。
 何時か全ての人が知るところとなるのだから。

「俺の怒りに触れたのだ、この程度当然だ。」
「ありがとうシンク。」

 正直、元人間である俺はこの凶暴性が恐ろしくてしょうがない。
 ベルは果たして恐ろしくないのだろうか?
 無理もないか、ベルは忘れてしまっている。
 目の前で自らの兄を八つ裂きにした男の息子に好意を寄せていると知れば彼女の心は容易く壊れる。
 
52 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 23:01:41.39 ID:aZA1e1x40
「それじゃあ急いで来てくれ。」

 怒りに震えている冷たい声。
 俺は忘れない、何も忘れない。
 
 始めて殺した人のぬくもりも

 唯一の親友スバルに施された実験も

 死にかけた俺に悪魔が笑ったことも

 この“吸血鬼”の力も
 
 この“死神”の力も

 上田明也の手で死にかけたときに手に入れた究極の力“死の河”も

 全て覚えている

 待っていてくれスバル

 “僕”は君を取り戻す

「それじゃあ行こうか。」
「やっと出番?」
「待ちに待ったぜ。」
「まずはライディーンからお願い。」

 ライディーンは鳥の姿に変身し、ふわりと宙に浮かぶ。

「じゃあお先!」
「私はまだかね?」
「僕の後に続いて。」
「じゃあ私は新婚さんを迎えに行くわ。」
「頼んだよ縁ちゃん。」
53 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 23:03:03.86 ID:aZA1e1x40
 縁が二人を迎えに行ったのを確認してから一歩、一歩と足を踏み出す。
 両手に提げるのはMG42グロフクス
 第二次大戦中の1942年に、MG34の後継としてドイツ軍に制式採用された軽機関銃。
 先代のMG34も優れた軽機関銃だったが、ほとんどの部品が削り出しであり、構造も複雑で生産効率が悪く、非常に高コストなのが難点だった。さらに部品のクリアランスがタイトで、泥や埃にまみれる戦場では信頼性にも難があった。
 そこでドイツのグロスフス社が、MG34のコンセプトはそのままに、プレス加工を多用して構造の単純化と生産効率の向上を図ったものが、MG42である。
 内部構造は大きくアレンジされ、MG34がロータリーロックボルトによるショートリコイルであるのに対し、本銃はローラーロックボルトによるショートリコイルとなった。この機構はポーランド人設計者のパテントを元に設計された。

 まず実戦テストとしてアフリカ戦線に投入されたMG42は、砂塵の中でも作動不良をおこすことなく、兵士たちの評判も上々であった。
 その後、主製造元をマウザー社(ラインメタル社説あり)に移したMG42は正式にMG34の後継として採用され、1945年の敗戦までに約42万挺が生産され各地の戦線に投入された。
 他国の軽機関銃に比べ、毎分1200発の発射速度はずば抜けており、まともに食らった兵士がまっぷたつに引き裂かれたこともあったという。その威力と独特の発射音から、連合軍兵士は『ヒトラーの電気ノコギリ(バズソー)』の異名でMG42を恐れた。
 その発射音も凄まじく、射撃手はよく難聴になったという。
 またMG34同様、専用のドラムマガジンを装着することで、一人で移動・射撃可能な攻撃型マシンガンとして使用することも可能である。現代の分隊支援火器やコンバットマシンガンのはしりとも言える運用法で、戦後型MG1〜3でもドラムマガジンを使用する設計は継承された。
 この点でも本銃は時代を大きく先行していた。

 連合軍に鹵獲されたMG42は、その優れた設計から研究素材となり、その後の軽機関銃・汎用機関銃開発に大きな影響を与えた。本銃自体も、ラインメタル社によって7.62mmNATO弾仕様へと改められて戦後も使われ続けることとなり、
 当時の西ドイツ軍をはじめ、ヨーロッパ各国の制式装備に加えられた。
 現ドイツ連邦軍では改良の進んだMG3となって現役である。またユーゴスラヴィア軍は戦後賠償として獲得した生産設備を用い、7.92mm口径のままでM53として採用された。このM53はユーゴでロケを行った戦争映画での出番も多い。

 バレルの交換の際に耐熱グローブが必要であったり、マズルブラストが激しいなど、さすがに今の目で見ると物足りない面もなくはないが(対空用としては期待できないため、発射速度を実用的な800発程度に落しているものも多い)、
 元の完成度の高さから今現在も、歩兵用、車載用として、ドイツ連邦他、各国の第一線で使用され続けている。

 余談ではあるが、アニメや漫画に登場するMG34やMG42は薬莢が横向きに飛ぶことが多いが、実銃では真下に排莢される。
 

 森を抜けるとそこには巨大な研究所があった。
 警報が鳴っている。
 明尊達はもう見つかってしまったらしい。
 だが問題はない。
 
「お前は何者だ!」
「動くな撃つぞ!」

 何人かの男が俺を取り囲む。
 気づいていないらしい。
 というより解っていないらしい。
 俺が両手に提げるこれがなんなのか理解出来ていないらしい。
 俺はグロフクスの引き金を引いた。
 銃声というよりはすでに爆音とでも言うべき発砲音。
 掠るだけでウエハースのように砕ける鉄筋コンクリート。
 言わずもがなはじけ飛ぶ人肉人肉人骨内蔵脳漿骨髄精液眼球。
 
54 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 23:03:42.58 ID:aZA1e1x40
「ああ、夜は明けて ユラユラ歩を合わせ」

 引き金を引く、人が死ぬ。

「近づくのは14、15、16の少女の屍だ」

 引く、死ぬ。

「さあ銃を構えろ 銃爪を」

 死ぬ

「髪の毛も指も」

 暴力的な弾丸の雨

「思い出も骨も」

 誰も聞いてはいない歌

「くだけよもう一度闇に返してやれ」

 火薬の香り

「恋人見つけても心凍らせろ」

 もう何も感じない

「目を伏せるな」

 殺す

「あのね、あたしたち好きな人に もう一度会うため歩いただけよ」

 死ね

「ほらいつものように」

 撃ちまくる

「ほら町へ逃がすな」

 逃げる奴にも後ろから

「撃ちまくれ死者に悲しみはないから」

 こいつにも家族は居ただろうに

「撃ちまくれ罪の意識は一時だ」

 そんなもの……

「気の迷いさ」

 笑う

「あのね、私たち好きな人の肌に触れるため歩いただけよ」

 空を裂いて一筋の矢が俺の肩に突き刺さる。
 俺は銃を取り落とし、力なく崩れ落ちる。

「き、貴様!よくも先生が来ている時に!こんな時に来やがって!」

 顔を蒼くした研究者。
 ここの責任者といったところか。

「実験台も逃げ出しているし研究者も居なくなっているし!
 どうしてくれる!」

 知ったことじゃない。
 銀の矢を力任せに引きぬき、男を睨みつける。
 そして、口角をわずかに上げた。

「おい、笑えよ。」
「巫山戯るな!これで俺の人生もお終いだ!」
「いいじゃねえか、死ね。」
「化物がああああああああああああ!」
「そして!地獄を楽しみな!」
55 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 23:09:47.06 ID:aZA1e1x40
「終わった……。」
「しっかし明尊ちゃん、何もここまでやるこたぁ無い気がするぜ。」

 チクタクチクタク
 頭を潰された男の懐中時計が時を刻んでいる。
 虚ろな目をした子供達が彼の周囲を取り囲んでいた。
 虚ろな笑顔で。

「これが……ここに居た子供達の怒りだ。」

 赤かった筈の鎧は黒く染まっている。
 これではまるで……悪魔だ。

「もう怖がるな、お前たちをいじめる大人はもう此処には居ない。」
「ヨロイのおにーちゃん……」
「おにーちゃんアリガトウ……」

 チクタクチクタク
 頭の中で機械音が鳴り止まない。
 不思議と恐怖は感じなかった。
 何といえばいいのだろうか。
 むしろ安心な気さえした。
 この力が私を守ってくれるならばきっと大丈夫だと確信できた。

「付いてこいチビ共、脱出経路はすでに確保している。」

 明尊ちゃんが扉を開く。

「はっはっはっはっは!」

 開けた扉の反対側の扉から聞こえる大きな笑い声。
 そこに立っていたのは碧眼金髪の男。
56 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 23:12:04.79 ID:aZA1e1x40
「流石!流石ですよ流石貴方の曽祖父……ではないな、その父上田明利に連なる家系!
 貴方もやはり猛禽類、食らう側の人間だったのですね!
 父を前にうろたえる貴方の姿を見ている間はずっと心配だったのですよ!
 上田明尊さん!」
「F-No.0オオオオオオオオオオオオオオオオ!
 貴様がこれを指示していたのかああああああああああ!」

 どす黒く染まった鎧がガチガチと音を鳴らし地面が低く唸りを上げる。

「これだ!この眼だ!明邦と!明利と!明也と同じ!黒く淀んで濁った瞳!
 雛鳥で居続けることはやめてくれたみたいですね!
 今の貴方は立派に強者だ!肉食獣すら食らう生態系の王者だ!」
「サンジェルマアアアアアアアアアアアアアン!
 親父とつるんでいる貴様の姿が不快でしょうがなかったぞおおおおお!」
「ならばどうする!
 私が邪魔ならば暴力で排除してみれば良い!
 テイウカアナタジブンヲトリアゲタイシャニタイシテソコマデイウノカキズツクジャナイカ!」

 なんか小声で言っていたが聞き取れなかった。

「……チビ共逃げな、ここから先は見られたくない。」

 子供を逃がした後、明尊ちゃんが男に向けて殴りかかる。
 先ほど明尊ちゃんは男をF-No.0と呼んでいた。
 もしや組織のナンバーゼロの一人なのか?
 だとしたら不味い、急いでここから逃げないと!
 私は急いでラプラスの悪魔を使った予知を開始する。
 ……が、何故か見えない。
 ノイズが走って未来が計算できないのだ。
 銃声、私の両腕と右足に直撃する。
 痛みは無い、そういう体質なのだ。
 まるで機械みたいに、即死でさえなければ不思議と身体は動いてくれる。

「この研究所はサンジェルマンの昔の弟子が建てたものだ。
 才能が無いからサンジェルマンには見限られていたのだが……」

 気配、私とそっくりな気配。

「まあ廃棄物はしっかり処分せねばなるまいしな。」

 誰だ、この人はだれなんだ?

「名乗り遅れたな、私の名前は橙。
 F-No.s最精鋭部隊fourcardのダイヤのスートを担当している。
 お前がくだらない宣戦布告に使った霧雲霙の……親代わりだ。」

 親……、霙……?
 検索してみる、ああ、私はその霧雲霙とかいう娘を撃ったんだ。
 宣戦布告のついでに、明尊ちゃんに嫌な思いをさせている子だからって。
57 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 23:14:30.34 ID:aZA1e1x40
「まずそれは霙の分。」

 細い細い糸が体に巻きつく。
 強く強く縛られる。

「ここから先は私の分だ。」

 少しずつ体が引きちぎられていく。
 明尊ちゃんはサンジェルマンと殴り合っている。
 彼のほうが若干優勢らしい。
 私のピンチに気づいた明尊ちゃんが猛牛のように橙さんと私の間を駆け抜けた。

「橙さん、貴方もやはりF-No.につくか。」
「勘違いするな、事務所の方がバイトだ。」
「貴方は彼方さんにその姿を見せられるのか?」
「恩人の息子とはいえ、これ以上囀るなら容赦しないぞ。」
 
 二人とも明尊ちゃんの知り合いか。
 仲は険悪……演技ではないらしい。

「お前は霙を傷つけた。」
「んなもん知るか!」

 余談だが私は霙を撃ったことを明尊ちゃんに言っていない。
 で、あるからして恐らく二人の間にはかなり重大な認識の齟齬が有る。
 
「知るか……?」

 これでは明尊ちゃんが悪役である。
 とはいえ今更下手なことは言えないし……。

「お前みたいな我儘な馬鹿ガキには分からないだろうなあ彼女の痛みが!
 お前は知らないだろうがな……お前は知らないだろうが!
 眼を覚ましたあいつは……お前を許すと言ったんだよ!
 サンジェルマン下がってろ!所長の代わりに私がケリをつける!」

 私は糸による拘束が解けたので立ち上がる。
 明尊ちゃんの後ろに隠れて橙という女性に睨みつける。

「女が絡むと暴走し始める辺りはそっくりだな……。
 まあ良い、馬鹿ガキも、木偶人形も私が全部処理してやる!」
「木偶人形?どういうこと?」
「それは私が説明しましょう!」

 サンジェルマンという男が目を輝かせて喋り始める。
 なにか、すごく嫌な予感がする。
58 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 23:21:05.54 ID:aZA1e1x40
「ルル=ベル、貴方は機械なんですよ。
 私が設計したアンドロイドなんだ。」

 え?

「橙さんの脳をベースにした人工知能と私と私の同族から作った生体素材を使用した成長するアンドロイド。
 身体の半分以上が機械ですから人造人間と言う気にはなれませんね。
 まあともかくルル=ベル、貴方はそういう存在なのですよ。
 何を思ったのか製作担当者が逃げ出したのでfourcardのジョーカーに殺してもらったのですが。
 貴方には兄の記憶は有りませんか?
 あれ、製作担当者が植え付けた偽物なんで破棄しちゃってくださいね。
 頭の中でネジを巻いたような音がしませんか?
 いかんせん未完成品ですからね……。
 記憶もあまり長持ちしないでしょう?
 偽物とはいえラプラスの悪魔の悪魔との契約の為に回路に手を加えなくちゃいけなくて……」

 うそ……?

「出鱈目言うな!」

 明尊ちゃんがサンジェルマンに殴りかかる。
 しかしそれは見えない糸の壁であっさりと防がれる。
 恐ろしくなるくらい躊躇いなく明尊ちゃんが橙に殴りかかる。
 知り合いじゃないのか?
 恐らく姉のような人じゃないのか?
 違う、解ってる。
 この人は解っていて、それでも私の為に拳を振るっているんだ……。
 だったら、私はこの人の為に戦わなきゃ。

「出任せでこいつを傷つけるな!」

 拳が、目にも留まらぬ速さで拳が壁に叩きつけられる。
 糸がブツッと切れて拳が橙に叩きつけられ……無い。

「おいおい、動きが読めてるじゃないか。」

 橙は激流に身をまかせる木の葉のように明尊ちゃんの拳をヒラヒラと避ける。
 そうだ、私がなんであれ私は明尊ちゃんの為に戦う。
 明尊ちゃんが私のために戦ってくれるなら、私はなんであっても構わない。
 私も彼女の為に戦うんだ!
 動く先をラプラスの悪魔で予想、私は懐の拳銃で橙を撃った。
 だがそれすらまったく意味を成さない。
 橙という女性一人に子供みたいに弄ばれている。

「素晴らしいな!素晴らしいよあの機械がここまで人間らしくなるなんて!
 私の娘と呼んでも良いくらいの素晴らしい出来映えだ!」

 サンジェルマンがにやりと笑う。
 不味い、あの男、明尊ちゃんに……!

「それでは……テストしてみましょうか。
 受け取りなさい、私の…………!」

 サンジェルマンが明尊ちゃんの背後で槍投げの姿勢をとっている。
 あの男はあれで彼を突き刺すつもりだ。
59 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 23:22:05.01 ID:aZA1e1x40
「明尊ちゃん危ない!」

 咄嗟に彼を突き飛ばす。
 胸に走る鋭い痛み。

「ベル!?」
「…………素晴らしい!」

 満面の笑み。
 ああ、そうか。
 理解した。
 私がかばうかどうか実験したのか?
 それに気づいたが

「明尊ちゃん、逃げて……。」

 もうどうすることもできなかった。

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

 消え行く意識の最後に見たのは、黒から蒼へと色を変える鎧だった。

60 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 23:27:32.05 ID:aZA1e1x40
 ああ素晴らしい。
 使えないと思っていた物二つが出会って思わぬ化学反応を見せてくれた。
 これだから凶科学者は、狂科学者はやめられない。
 出来そこないの機械人形と理性の鎖に縛られたネフィリムと。
 獣のように吠えたけった彼は一瞬だけ冷静に戻り冷たく響く声でつぶやいた。
 
「負けたよ……ドクター、よくこんな残酷な仕打ちを思いつくよ。
 俺としたことがあの親父から離れている間に一瞬忘れちまってたぜ。
 人は皆……悪魔だということを。」

 そうだ、その眼だ。やはり貴方も出来るのですね。
 その獲物を狩る猛禽の瞳、自らの群れを守る獣の眼!
 その目をできるようになれば君は問題ない。
 戦える。
 戦っていける。
 そして私は、この目をしている人間に勝った試しがない。
 橙さんが危険を感じて私の前に立とうとしている。
 駄目だ、ここで二人を傷つけ合わせるわけにはいかない。
 
「橙さん、後ろに下がって。」
「しかし……!」
「良いから。」

 上田明尊の拳が私の顔面に直撃する。
 空気との摩擦で炎が拳に纏わりついていた。
 完全燃焼の蒼い炎。
 私の肉が徐々に徐々に焦げていく。
 完璧だ。
 骨が見える。
 残虐性。
 骨が折れる。
 凶暴性。
 目が潰れる。
 攻撃性。
 そしてなにより……

「良くも!良くも!俺のをおおおおおおおおお!

 悪魔のような残虐性と天使のような慈愛の二つを保ち、
 自分より遙か格上の相手に立ち向かおうとする意志を貫く。
 人道を踏破せんばかりのその心のあり方が……

「嫌いじゃない……ですね。」

 やれやれ、死ぬか。
61 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 23:29:51.85 ID:aZA1e1x40
 既に塵となっていたサンジェルマンを俺は何度も踏みつけていた。

「動くな上田明尊」

 振り返る

「橙さん……。」

 迂闊だった。
 怒りにかられて完全に暴走していた。

「動けばこの娘も只では済まないぞ。」

 ルル=ベルが、虫の息のルル=ベルが橙さんに捕まっていた。

「息がある味方を優先すべきだったな。」
「屑が……!」
「屑ねえ。私の絞りカスみたいなこの娘に言ってやってくれ。」

 








 殺す








「怒りに飲まれたか。」

 俺を守っていた都市伝説“日数”がはじけ飛ぶ。
 流し込まれる心の力の量に耐え切れなくなったか。
 それとも俺の心の質が変わったのか。
 鎧が、卵の殻が、はじけ飛ぶ。
 その間に橙の糸で腕が二本ほど飛んだが気にする必要はない。
 俺は……飛べる。
62 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 23:38:07.00 ID:aZA1e1x40
「があああああああああああ!」

 ルルを突き飛ばして橙が咄嗟に逃げ出そうとする。
 しかしそれよりも早く、俺は彼女の首筋に噛み付いた……つもりだった。
 違う
 俺は何時の間にかルルの腕に噛みついていた。
 
「待って明尊ちゃん……。」
「―――――――!?」

 生きている。
 ルルが生きている。
 というよりピンピンしている。

「止めなよそんな顔、それじゃあまるで悪魔みたいだよ?
 もっと人間らしい顔しなよ。貴方は人間なんだからさ。」

 槍の突き刺さった胸がバチバチ言っているがどうみても元気だ。
 本当に……機械なのか。

「えへへ……私、生き物じゃなかったみたい。」

 ルルはため息をつく。

「嫌いになっちゃった?」
「好きになった。」
「――――――――――!?」
「そこの腕をとってくれ。」
「これ……?」
「つけてくれ。」

 ルルは俺の吹き飛んだ腕を切断面に当てる。
 これだけで治ってしまう、便利な身体だ。

「ありがとう。」
「明尊ちゃんまだ戦うの……?」
「ああ。でも今度は……俺が守りたいものを守る為に闘う。
 絶対に怒りにまかせては戦わない。」
「くそ……面倒なことになってしまったな。」

 まず目の前に居る女を仕留める。
 方法は解る。
 どこかから聞こえてくる。
 誰かが教えてくれる。

「おいレモン、吐いた唾飲むなよ?」

 俺はルルの胸に突き刺さったままの槍を引きぬいて構えた。

63 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/07/16(土) 23:39:17.05 ID:aZA1e1x40








「本当に面倒だな」

 困ったことになった。
 明尊がネバーランドに信用されるために悪役をしなければならないのは解っていたが……
 正直かなり心苦しい。
 サンジェルマンの渡した槍はちゃんと受け取った。
 両断した明尊の腕が一瞬で治癒した事実に私は恐怖をおぼえている。
 
「仕方ないね。」

 事情は解っていたさ。
 全部解っていた。
 だから今となってはどちらにも怒ることはできないのだ。
 少し戦闘不能になってもらって私はさっさと退散しよう。
 
「あんたは俺が殴る。」

 やめてくれ、当たったら死ぬ。
 そんなノリノリで槍を振り回すな。
 ああなんか虫取り棒みたいなデザインの槍だな。
 あれ?
 なんか見覚えがあるキーホルダー……あ!
 あれは所長が無くしたって言ってた蜻蛉切!?
 うわー時の流れ感じるわあ……。
 世代交代だわあ……。

「それも面倒だ。私は退かせてもらうよ。」
「待てっ!」

 サンジェルマンの死体……とすら言えない何かを残して私は逃げ出そうとした。
 だが、その道の前には一人の少年が立っていた。
 
「そうだよ、少し待ちたまえF-No.6」
「――――――お前は!?」
「ラッキー、なんとか間に合ったみたいだね。」
「ジャック!」
「逃げ時を見誤ったか……。」

 不覚、研究所の雑魚を掃討したジャック・ジョーカーが戦闘に乱入してきてしまった。
 私としたことがらしくもない。

「二人とも下がっていてくれ、僕は彼女に少なからぬ因縁が有るんだ。
 ―――――こいつは僕が仕留める!」

 ジャックは腰のベルトからナイフを取り出すと私に飛びかかってきた。
 
【不思議少女シルバームーン第七話 第三章「永遠と契約した少年」】
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/16(土) 23:44:50.26 ID:Ad31d1hG0
またまた乙です〜
おぉう、演技とは言え悪悪してるなぁサンジェさんにレモンちゃん
そしてアンドロイドだと・・・だが許す!可愛いから許す!!
ルルちゃんが一応無事なのは良かったが、大丈夫なのかレモンちゃん・・・
65 :はないちもんめ ◆YdAUTYI0AY [sage]:2011/07/16(土) 23:45:38.84 ID:jczCGBoG0
笛の人乙
コレ絶対サンジェルマン楽しんでるよね?ね?
66 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/07/16(土) 23:46:40.34 ID:aZA1e1x40
笛の人の大好きなハートフルボッコタイム
ルルちゃん平気な顔してるけどわりと動揺してたり
主要キャラ中明尊くんだけはハートフルボッコされても平然としてます
流石はというべきか
ちなみに彼には
凶暴=慢心>(本来の実力)>普段>父親の前
っていう強さ補正が掛かってます
67 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/07/16(土) 23:49:28.83 ID:aZA1e1x40
え、サンジェルマンはむしろ
「ここまで全部狙い通りです」
みたいな

サンジェルマンが無抵抗で明尊にぼこられたのはX-MENに出てくるとあるマッドサイエンティストキャラのオマージュ
自分が作った最高傑作に傷を付けないためにあえて無抵抗で殺されたナイスガイ

レモンちゃんはどうなるだろ……
まあ上田みたくカマセーも継承するってことで一つ……
68 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/07/17(日) 00:04:45.74 ID:g2/Jk0gX0
とりあえず解りやすい?解説

明尊→主人公の前に立ち塞がる敵、笛の前の作品の主人公の息子
   今は彼がメインで話が展開中、組織のE-No.に所属しているが潜入工作のためにネバーランドの一員になっている

ジャック→ネバーランドのボス、明尊のことは最初から潜入工作のために来たと看破した上で手駒として使っている
     うまくくいけば明尊は組織を裏切って完全に自分たちの仲間になると睨んでいる

サンジェルマン&橙
→明尊のパパ、即ち笛の人の前の作品の主人公の友達と彼等二人に命を救われた契約者
 橙の方は明尊のパパの事務所で副所長専属秘書をやっている
 副所長は明尊が惚れている吉静さんの兄

ルル=ベル
→サンジェルマンの研究所で破棄が検討されてた所をとある研究者に救われる
 その研究者がジャックの仲間になり、そこに明尊のパパが現れてジャックの愉快な仲間達を皆殺しにするも
 彼女とジャックは取り逃がす
 ジャックは彼女が機械だと知らなかった
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 09:12:51.53 ID:ZaUWXZ2d0
>>66-68
>笛の人の大好きなハートフルボッコタイム
この おにちくさん めっ♪

>まあ上田みたくカマセーも継承するってことで一つ……
レモンちゃんがかませ・・・だと!?
彼方来いよ彼方! 旦那特権で助けに来いよ何なら俺g(切り刻まれました

> ジャックは彼女が機械だと知らなかった
なん・・・だと・・・
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/17(日) 21:35:38.20 ID:g2/Jk0gX0
恐ろしくなるくらい過疎である
71 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/07/17(日) 22:08:42.85 ID:eBpBcVB80
笛の人乙!
明尊くん……女の子の事でぶちぎれてやはり上田の子だなあ。
サンジェルマンがいい悪役っぷりを発揮してGJです。
そしてルルちゃんカワイソス。かなりの薄幸少女だなあ。
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 22:44:31.97 ID:ZaUWXZ2d0
さて皆の衆、明日は海の日だ
という訳で俺は今年の3月から言っていた海水浴ネタを書くんだ・・・
やっと日天とルートのセッ●クス書けるんだ・・・
73 :はないちもんめ ◆YdAUTYI0AY [sage]:2011/07/17(日) 23:42:34.03 ID:nKn3VgTU0
前回(避難所投下分)のあらすじ
明尊兄が行方不明→よし、殴って連れ戻そう→お前じゃ無理とお母さんにフルボッコにされる
→もう少し強くなってから出直せと家庭教師に預けられる←今ここ

そんなこんなで私、新島明は今、組織のK-bフ元にいます
74 :はないちもんめ ◆YdAUTYI0AY [sage]:2011/07/17(日) 23:44:01.58 ID:nKn3VgTU0
「くそっ!」
「私の考えは読めてるんじゃないの?」
時間差で飛んでくるバラバラの人形のパーツを必死になって避ける
一つでも当たればそこから連鎖的に当たって最期はオダブツだ
「・・・そろそろスピード上げるよ?」
「待っ・・・!」
幾つも腕に殴られて私はまるでギャグ漫画か何かのように吹っ飛ばされた

「3分・・・まぁ、保つ様になってきたわね」
「うぅ・・・・・・」
「私の考えを捕らえる所までは完璧・・・流石、あの2人の娘なだけあるわ
けど、一度にトレースできるのが1人までなのは流石にキツイわね」
「・・・・・・タイマンなら負けないもん」
「タイマンなら・・・ね
言っとくけど実戦でタイマンで戦えるほうが稀だって解かってる?
勝つためには数投入したほうが有利だもの
アンタの母親だってそうでしょう?
友美は常に1人相手でも最大戦力投入して潰しにかかるわよ」
「・・・・・・」
「つまり、今のままのアンタじゃ実戦じゃ役立たず」
「う〜」
私の上に座る女性・・・K-02、門真希さんを睨む
希さんは元人間の都市伝説『バラバラキューピー』で、お母さんやサンジェルマンさんに昔世話になった人らしい
母さんに負けた後、この人に引き合わされその後毎日(訓練と言う名目で)虐められている
・・・あぁ、可哀相な私
助けて明尊兄
ついでに帰ってきて明尊兄
あの女(ルル=ベル)の事で問い質す事があるから
75 :はないちもんめ ◆YdAUTYI0AY [sage]:2011/07/17(日) 23:47:11.75 ID:nKn3VgTU0
「・・・・・・またやってるのか」
「お、影守お帰りー、何?会議は終わったの?」
「結局の所、俺は聞いてるだけだからな」
やってきたのは30台後半の男性・・・影守蔵人さん
母さんとは旧知の仲で、今私の上に座っている人・・・門真希さんの契約者
影が薄いとか不憫とか色々言われているけど何だかんだで結構な実力者らしい
「肩書きこそK-0だが俺は前任者の死で繰上げで成り上がった様な物だ
-0の中では新参で若年な上に、まだ、人間だからな・・・発言権は無いと思って良い」
「A-0やエーテ・・・E-0がその辺気にするとは思わないけど?」
「だとしても・・・だ
しかし、ネバーランドか・・・俺達が前線に出れればな」
「仕方ないよ、K-bヘ15年前の反乱で信用ガタ落ちだったからね
当時のメンバーが全員死んで、残ってたのがッちゃんと影守だけだって言っても
信用が取り戻せた訳じゃない・・・こうやって今新人達の教導ができてるだけでも凄い事なんだし」
「それもそうだ、それに給料も問題なく出てる・・・表立って文句は言えない・・・っと」
K-0・・・影守さんがこっちに目をやる
「明ちゃん悪い、難しい話して・・・邪魔をしたな」
「待って」
「ん?」
「さっきの・・・その会議で話してた事、詳しく聞かせて」
何だか、嫌な予感がする・・・あのジャックって奴の考えそうな事で・・・

【続く?】
76 :はないちもんめ ◆YdAUTYI0AY [sage]:2011/07/17(日) 23:51:35.99 ID:nKn3VgTU0
って感じで笛の人に土下座
多分
>>19
の直後位の時間帯の話

未来編のK-0はちゃっかり影守です
何気に出世してますあの馬鹿
-0で都市伝説じゃない上に年齢二桁って結構希少な存在だと思ったり

ではお目汚し失礼ー
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 23:54:24.39 ID:ZaUWXZ2d0
はないちもんめの人乙です〜
影守・・・こんなに立派になって・・・ほろり
明ちゃん頑張れマジ頑張れ!


(ローゼ>お若い方の意見は最優先に聞くべきですわ!
     新しい時代を作るのは老人ではなくてよ!
(蓮華>『赤い幼星』のクセに『赤い彗星』の台詞言わないで下さい
78 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/07/18(月) 00:54:28.44 ID:tuM9mZPO0
はないちもんめの人乙でした〜
ああー。影守が繰り上げ人事でK-0に昇進するのは妥当な人選だなあ。
明ちゃんはめげずにがんばって欲しい。
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/18(月) 12:54:16.49 ID:5KGz9CqDO
笛の人、はないちもんめの人、投下乙です

明尊君周りに悲劇のかほりがするのは気のせいでしょうか?
ルルちゃんのときはフラグ守ったけれど、今回は下手するとポキリといきそうな
もしくは変なフラグが立ちそうな

影守大出世!
きっと奥さんの方もキャリア組として順調に昇進してるに違いない
なにこの勝ち組夫婦もげろ
……いや、もしかしたら専業主婦として平和な家庭を築いて……
いずれにせよ羨ましいからもげろ
未来のK-Noは老害が消えて若い人材が多くなってるのだろうか
年齢二桁の人間がNo.0とか大革新じゃないですか
どこか別の組織が「「組織」も丸くなったもんだ……」とか言ってそう
80 :はないちもんめ ◆YdAUTYI0AY [sage]:2011/07/18(月) 13:09:13.33 ID:0U3TIBKS0
>(ローゼ>お若い方の意見は最優先に聞くべきですわ!
その辺は変に生真面目な影守が勝手に勘違いしてるだけです
だからアイツは阿呆なのだ

>明ちゃんはめげずにがんばって欲しい。
契約者でも無いのに必死に足掻いております

>未来のK-Noは老害が消えて若い人材が多くなってるのだろうか
少数の正規のメンバーで多数の新人を甚振・・・ゲフンゲフン、鍛え上げております
つまり殆どが新米ばっかり、そこそこできる様になったら他の部署に回す感じで
>年齢二桁の人間がNo.0とか大革新じゃないですか
今まで年齢二桁で-0になった人いなかったと思うんだ
81 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/07/18(月) 13:11:59.80 ID:F0Jhuf0M0
花いちもんめの人乙でした
あれだな
これは明尊くんと明ちゃんとの勝負を組むしかないな
どうやってかち合わせようかな
どっちもパワーアップしてるし
さらにハーレムエンドも頑張らせなきゃ駄目だし
一つ間違えると前に話したバッドエンド直行だぜ
影守さんがNo.0ってのも不思議な感じだな
でもなんていうか安心できるよね
彼なら大丈夫みたいな
82 :正体不明、本心不明 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/07/18(月) 16:22:31.08 ID:e3hLfy6uo
 見慣れぬ顔に窺うような視線を向けてくる新参の黒服達
 知った顔にあからさまな警戒色を浮かべる古参の黒服達
 Z-No.0、然河斬九郎と
 元Z-No.0、サロリアス・サジャス
 ヤクザの若頭とマフィアのボスが、ピリピリとした空気を纏って闊歩している様は、知らぬ者には近寄り難く
 二人の素性を知る者には、近寄る前にまず関係各所へ警戒を呼び掛ける

「二人とも、なんかドン引かれてるよ? そんな仏頂面してるから」

 そんな風体も空気も気にした様子もなしに、前を歩いていた詩卯がくるりと振り返ってびしびしと指を突きつける

「これから協力を求めに行くんだから、笑顔とまではいかなくても殺気ぐらいは抑えてね」
「そうは言うがな……癖みたいなもんだ、仕方無ぇだろうが」
「お話は聞いたから事情は知ってるけど、まずは当面のお仕事を片付けなきゃダメだからね。そっちの問題も……これが上手くいけば転機になるかもしれないでしょ?」
「そうだと良いんだがな」
「昔の事情は聞いたけど、ネガ過ぎやしないかなー、ホント」
「都市伝説相手でも、金貸し仕事でも、悪い方を想定しながらじゃなきゃやってられねぇんだよ」

 そんな会話を遮るように、ひたりと斬九郎が足を止める

「どうした?」
「蜘蛛の糸に触れた」

 巣を張ろうと渡らせた糸に触れた経験は誰にでもあるだろう
 光の加減で目には見えない事が多いが、その感触は肌や髪の毛に触れればすぐ判る
 斬九郎のように、ズボンの裾に触れたものを察知するのは、それなりの能力が必要になるだろうが

「わざわざ足元に張っていたところからすると、奴だろう」
「イクトミか」

 心底面倒臭そうなサロリアスの表情

《まあそんな嫌な顔をしなさんな。A-No.0はまだ無理をさせられないんでな、勝手ながら出張らせてもらったわけだ》

 頭上から、ついと糸を伸ばして垂れ下がる小さな蜘蛛が一匹
 サロリアスの目の高さまで降りてきて、そのままつぅっと更に下へと降りていく

「んひゃうっ!?」

 蜘蛛が降りた先は、サロリアスとは頭一つ以上低い背丈の、詩卯の首筋

「ちょっ、蜘蛛っ!? 背中入った背中ー! 取って取ってー!?」

 じたばた暴れる詩卯を相手に、服の中をこそこそと這い回る蜘蛛

《ふはは、朴念仁だけど割とフェミニストなこの二人が女性の服に手を突っ込むとか、潰れるのを気にせず服の上から叩くような真似ができようはずもない》
「斬九郎、蜘蛛だけ斬れるな?」
「応」
《ごめんなさい、調子に乗りました。すぐ止めます》

 すらりと抜き放たれた日本刀が、ぎらりと光り
 服の裾からぽろりと落ちてくる小さな蜘蛛

《挨拶しないで不意打ちでやっとけば良かった》
「不意打ちでやられたら返答聞かずに斬らせてる」
「糸で察しなければ気配がした瞬間に斬ってるな」

 物騒な事を言うZナンバーの二人組

《というかそんな物騒な話をしに来たのか?》
「物騒な流れになる原因は手前ぇだろうが。用件は事前に連絡したはずだ」
《ああ、聞いてる聞いてる。それでもまあ、来る面子が面子だけにこっちも準備が必要でね》
「準備、だと?」
《そう凄むなっつーの。Zナンバーはほとんど独立機関状態だったし、ここ数年の激動具合とか知らないだろ?》

 気が付けば、周囲を取り囲む大小様々な蜘蛛の群れ
 背後は完全に封鎖されており、一行は前に進む事しかできそうにない

「閉じ込めたつもりか?」

 先程抜いた日本刀を構える斬九郎だが、イクトミの雰囲気には剣呑な様子は欠片も無い

《喧嘩っ早いなぁ……そっちの用件より先に、済ませておきたいっていうたっての希望があってな。あんまりおおっぴらに姿を見せるわけにいかないから、こういう形にしたんだって》

 蜘蛛の封鎖とは反対側
 通路の奥から静かに現れた小柄な影
 それは、見た目はただの子供でありながら、どこか上品な佇まいを感じさせる和服の少女

「……まさか」
83 :正体不明、本心不明 ◆W5H6Y5Rl3M [saga]:2011/07/18(月) 16:25:18.14 ID:e3hLfy6uo
 斬九郎の手から、日本刀がするりと抜け落ちて床の上にがしゃりと落ちる
 サロリアスもまた、信じられないものを見る目でその少女を見詰めており
 事情を知らない詩卯だけがなんだか置いてきぼりといった感じで頭の上に疑問符を浮かべていた

「誰?」
「……小夜」

 それは、過去に『組織』の過激派や急進派によって幽閉されたはずの、座敷童子の少女
 幻影の類ではなく、彼女は確かにそこに居た

「さっちゃん、きゅーちゃん」

 小夜は少女らしい、菜の花畑を思わせる柔らかな笑顔を浮かべると、まずは斬九郎の手を取り
 その手に握られていた日本刀の鞘をぐいと奪うと、呆然としているその眉間に思い切り突きをくれる

「おぐぅっ!?」

 思わず眉間を押さえて蹲る斬九郎
 即座に両手で鞘を握り直した小夜が、ゴルフクラブのようなスイングでサロリアスの向こう脛をぶっ叩いた

「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!?」

 叩かれた脛を押さえ、悶絶するサロリアス
 小夜は満足げな顔で鞘を放り投げ、埃でも払うかのようにぱんぱんと手を叩く

「このド阿呆ども。私の考え一つ察せずに、『組織』は抜けるわ主流から外れるわ……情けなくて笑うしかできないわ、本当にもう」

 子供らしい笑顔のまま、子供らしい声のまま

「たかだか子供の力で小突かれたぐらいで……鍛え方が足りないのよ、鍛え方が」

 出来の悪い生徒を叱りつける教師のように、痛みに悶絶する大人の男二人を見下して語る小夜

「さて、とりあえずの用事は済んだわ、イクトミ。残りのお説教はそちらの用事が済んでからにしましょう」
《了解。それじゃあそっちの二人が復活したら応接間に通すから、そっちで待ってな》

 結構な強度を誇る日本刀の鞘でぶっ叩いておいてこの態度である
 世間一般で言う座敷童子の純朴なイメージとは程遠い

「……待て、小夜ってあんな奴だったか?」
《アレが素みたいだけど? Zナンバーに居た頃は大人しくしてたらしいけどな》

 涙目で額を押さえながら、押し殺した声で呟く斬九郎
 必死に笑いを堪えているのが漏れ伝わるほどの様子で、イクトミの声が震えているのが判る

《ま、積もる話もあるだろうけど、彼女の言う通り先に用事済ませちゃおうか。奥の部屋へどうぞ》
「通路は塞いだままでか?」
《小夜ちゃんの存在、割とトップシークレットだからな。秘密にしとく理由は重々承知だろうさ》
「存在は知っているとはいえ、確保している事を俺達には知らせて良いわけか」
《むしろもっと早く知らせたかったんだがね。過激派と急進派の勢力が削がれた頃ぐらいには》
「……何だと?」
《そういう事情を全然知らないで疎遠なままだったからなぁ、Zナンバー。そりゃ小夜ちゃんも怒るって》

 座敷童子が加護をもたらすのは、個人でも組織でも派閥でもなく、家
 半ばサロリアスの私兵隊だった当時のZナンバーから、小夜の加護が向けられる対象は『組織』に移った
 その結果、小夜の存在を確保するのが穏健派であろうと過激派や急進派であろうと、約束されるのは『組織』の末永い繁栄である
 そして、過激派や急進派が主流である『組織』などというものは、末永い繁栄などとは縁遠い事この上ない
 結果として、様々な騒動の末に過激派や急進派の勢力は大幅に削がれ、穏健派が最大勢力として現在の『組織』を動かしている
 そこにZナンバーが共に在れば、何事も無く全ては丸く収まったはずなのだが
 サロリアスは『組織』を離れ、斬九郎はZナンバーを『組織』から孤立する形で動かしていた
 小夜の加護はそこへと及ぶ事は無く、結果として再会が遅れたものの
 この度、斬九郎が『組織』との連携を求めた事により縁が繋がり、こうして様々な事が都合良く進んだのだという

《引退した人は仕方無いとしても、現役の人はちゃんと把握しとくべきだったんじゃねぇかな?》
「ぐぬ……」

 言葉に詰まる斬九郎の肩を、詩卯がぽんぽんと叩く

「ま、これから状況はいくらでも改善できるっしょ? 当面の問題さえ片付けちゃえばね」

 にひひと笑う詩卯に釣られてか、斬九郎の顔にも僅かに笑みが浮かぶ

「そうだな。またモタモタしてたら、この程度では済まなくなりそうだ」

―――

 応接間といった風情の部屋で、ソファーにちょこんと座る詩卯
 その両隣を固める新旧Z-No.0の二人は、向かいに座る小夜にどこか威圧されいてるかのように落ち着きがない

「……つまり、そういった事ができる都市伝説がいれば、例の『ブロブ』は片付けられると」
84 :正体不明、本心不明 ◆W5H6Y5Rl3M [saga]:2011/07/18(月) 16:28:42.44 ID:e3hLfy6uo

 三人の向かい、小夜の横に座る、蜘蛛を介してないネイティブな姿のイクトミが、足を組んだまま大仰に両手を広げて面白そうなものを見る目で詩卯を見ている

「まあそれは最終段階なので。問題は、そういう事に耐えられるぐらいのモノがあるかどうかなんですが」
「そうだねぇ……頑丈なだけだと、そっちの都市伝説の出力が必要になるし。理想は……マジで本物使っちゃう事なんだけどなぁ」
「流石にそんなものはこの町には無いですよね。それにあったとしても、警戒されるでしょうから閉じ込めるとか土台無理な話です」

 いつものように、唇の端を吊り上げてにひひと笑う詩卯

「熱と圧力に強い、密閉できるそこそこの大きさなもの。それぐらいならギリギリいけるんじゃないですかね?」
「問題はどうやってそこに誘い込むかだけど」
「ああ、それは大丈夫。私が囮やりますから」
「おい待て。いい加減懲りてないのかお前は」

 あっさりと言ってのけた詩卯に、サロリアスが流石にと口を挟む

「でも、あの子は食べ逃し続けてるせいか、私にずっとご執心じゃないですか。引っ張り込むには最適ですよ?」
「出力の都合を考えれば、密閉容器はさほど大きくできないはずだ。どう考えてもお前が助かる余地が無い」
「あー、その辺はですね?」

 詩卯はにっこりと微笑む

「助かるつもり、無いですから」

 その笑顔は、全てを割り切った覚悟で出来たもの

「いやまあ助かろうと思えば助かれるんですけどね。それだと……あの子が救われない」

 アルバイトとはいえ、神に仕えた巫女としての立場のもの

「きっちり話しておきたいんですよね、あの子と。でもまあタイミング的にはこれが最後でしょうし。食べられても意思は残るみたいだし、私的には問題ないですよ」
「待て、そんな作戦を決行させると思っているのか?」

 形式上は責任者である斬九郎が割って入るが

「じゃあ代案出して下さいね、私が実行する前に」
「……っ!」
「私以上にあの子を引きつけられる囮、いないでしょ?」
「……いや、待て。サロリアス、前に手助けさせた『誘拐結社』のリーダーだ。あいつの能力を使えば」
「足や腕の先程度にでも食いつかれたら、そのまままとめて引っ張り込むぞ、あいつの能力は。前にそれで酷い目に遭った」

 斬九郎の問いに、火の付いてない煙草を咥えて、苦々しげに呟くサロリアス

「ああでも、その人に控えといてもらえれば。万が一にお話が上手くいったらなんとかなるかもしれません」
「万に一つ程度か……」
「まあゼロじゃないですよ? まーなんとかなるでしょう、きっと」

 さばさばとした様子でソファから立ち上がり、しゅたりと片手を上げて

「んじゃ、準備の方はよろしくお願いします。急がないと被害も拡大するし、あの子の為にもならないから急いでねー。あ、ここどっか泊まれる部屋とかあります? 家に帰る途中で襲われたら台無しだから」
「丁度、私の部屋は誰にも見付からない仕掛けが施してあるから。そこにしましょう?」

 そう言って詩卯の手を引きながら、ちらりと残る男三人を振り返る小夜

「しっかり考えなさいな。無能は無能なりに知恵を絞りなさい、後悔したくなければね」

 小夜が詩卯を連れていったのを確認してから、それを待っていたかのようにイクトミが口を開く

「さっきから色々『先を観てる』んだけどな……こりゃあなかなか骨だね」

『破滅的な未来に限定した予知能力』を持つイクトミ
 そんな彼が、陽気さを潜めて溜息を吐き

「彼女の命か、彼女の気持ちか。どっちを切り捨てる?」

 そんな二択を突きつけてきた
85 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/07/18(月) 16:32:23.47 ID:e3hLfy6uo
この前のお話は前スレこちらにて……アドレスの打ち方これでいいんだっけか
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1306854629/402-404

こちらのお話にようやっとケリがつけられそうです
いつも書きながら続きを考えてるので結末がどうなるかはまだ未定です
果たしてどうなる事やら……ではなるべく早めに次が投下できますよう
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/07/18(月) 16:59:16.99 ID:NHFyH5D50
皆さまおっつー!
どうあっても女の子にセクハラしたら斬られるんですね、わかりますwwww
でもイクトミ懲りないよ!!
「破滅的な未来限定予知能力」ってのも、またきついもんです


>>80
>今まで年齢二桁で-0になった人いなかったと思うんだ
あ、ごめん
ダレンやザン、まだ年齢二桁
契約都市伝説的に、そうそう百年単位で歳とってないだろう
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/18(月) 21:05:44.63 ID:lCUdm1n00
>>86
>ダレンやザン、まだ年齢二桁
『飲まれてない人』を書き忘れてた可能性が
飲まれてる人ならローゼも今50代
88 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/07/18(月) 21:22:06.25 ID:tuM9mZPO0
三面鏡の人乙でした〜
小夜ちゃん以外と気が強いのね。
てっきり大人しそうな子とばかり……
そこがまた萌える
イクトミは平常運転だけど最後には締めたなあ。
なんにせよZナンバーの誤解も解けたようで何よりです。
後はブロブか……液体スライム強いよなあ……
>>80
>今まで年齢二桁で-0になった人いなかったと思うんだ
キャラの年齢か……
未来編だとエーテルやユティも100歳超えてるんだろうなあ。
エーテル宇宙論は十六世紀ごろからあったけど
FBIのある1936年辺り……
シュレディンガーの猫は1930年代……
89 :はないちもんめ ◆YdAUTYI0AY [sage]:2011/07/18(月) 21:28:08.12 ID:0U3TIBKS0
三面鏡の人乙です〜
>これは明尊くんと明ちゃんとの勝負を組むしかないな
多分パワーアップしてても明尊君には力負けするんだろうなぁ・・・
ついでに鍛えられても能力が強化されるような事は無いし

>ダレンやザン、まだ年齢二桁
>『飲まれてない人』を書き忘れてた可能性が
呑まれて無い状態で尚且つ20代で-0になった人がって意味です

>キャラの年齢か……
未来編だと影守が30台後半
望や友美、希が27〜28って所ですか
他の-0や組織の重役に比べたら大分若いかな
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/18(月) 21:35:03.02 ID:lCUdm1n00
今読み終えた、三面鏡の人乙です〜
小夜ちゃんかぁいいマジかぁいい抱きしめたい(眉間と脛を殴られました
詩卯ちゃんの死亡フラグが濃厚に・・・いや、0.00001%の生存を信じるぞ!
91 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/07/18(月) 21:49:49.10 ID:tuM9mZPO0
>『飲まれてない人』を書き忘れてた可能性が
呑まれて無い状態で尚且つ20代で-0になった人がって意味です

確かにそれはレアだわ……
そして若い。
うちのゼロナンバーは人間やめちゃってるからなあ……
92 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/07/18(月) 21:53:04.89 ID:F0Jhuf0M0
ドクターの人乙でした
気持ちと命の問題って重要よね
どちらも立てるのは難しいが…………

実は光の軍勢の一員であるドクターの人ならきっとハッピーエンドにするはずだ!
93 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/07/18(月) 22:27:28.54 ID:e3hLfy6uo
>>86
> どうあっても女の子にセクハラしたら斬られるんですね、わかりますwwwwwwww
暴力的なフェミニストが二人ついてる状態では致し方なしww

>>88
> てっきり大人しそうな子とばかり……
表向きは純朴そうな田舎少女といった感じですよ?ww
スレたのは幸運を求めた人間の汚いところばっかり見てきたせいでしょうきっと

> 後はブロブか……液体スライム強いよなあ……
元ネタで明確な弱点は無いですからねぇ
続編が作りやすいような仕様ですからにゃー

>>90
> 詩卯ちゃんの死亡フラグが濃厚に・・・いや、0.00001%の生存を信じるぞ!
生存させるだけなら簡単なんですがね?ww

>>92
> 気持ちと命の問題って重要よね
全部が全部納得して人生過ごせるわけでもないんでしょうけどね
生きてなきゃ納得も後悔もできませんわな

> 実は光の軍勢の一員であるドクターの人ならきっとハッピーエンドにするはずだ!
光の軍勢による粛清が今始まる(待てコラ)
94 :夢幻泡影 † 海の日は海へ行こう  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/18(月) 23:07:33.34 ID:lCUdm1n00
(勇弥>夏だー!
(奈海>海だー!
(正義>海水浴だー!!

今日は海の日
熱い日差し、広い砂浜、青い海、絶好の海水浴日和である
まるで子供のように元気にはしゃいでいるのは、
『都市伝説研究同好会』の所属メンバー、黄昏 正義、心星 奈海、日向 勇弥だ
正義は濃い青色の、勇弥はやや黒色の、膝辺りまであるスイミングパンツを、
奈海はピンク地に白い水玉模様のワンピース水着を着ている

(楓>中学生にもなって、楽しそうなものだな

少し呆れ気味に微笑んで呟く、黒と紫のチェックのへそ出しタンキニを着ている彼女は、
正義達のいる『都市伝説研究同好会』の会長、十文字 楓
普段の彼等はこうして4人で集まり、悪い都市伝説を討伐もしくは撃退するなどして活動している
だが、今日は活動はお休みだ

(裂邪>おいお前ら! まずは体操しろよ体操、足攣るぞ!
(一同>「「「「偉そうに」」」」
(裂邪>うるさいホントのことだろうが!

と軽くあしらわれている、黒い水泳用シャツと黒いスイミングパンツを纏っている少年
黄昏 正義の実の兄、だが彼とは似ても似つかない、黄昏 裂邪である

(裂邪>待て地の文! 俺の説明おかしいぞ!(字余りか・・・)
(光彦>ははは、楽しそうで何よりだ。連れて来た甲斐があったよ
(明美>ホントねぇ、うふふふ♪
(奈海>あ、お義父さんお義母さん、今日はありがとうございます
(明美>こちらこそ、いつも正義の面倒見てくれてありがとうね
(光彦>学校町に海は無いからな、思いっきり楽しんでくれ

ビーチパラソルの陰で休みながら朗らかに笑っているのは、正義と裂邪の両親、光彦と明美
5人の子供達をここまで連れてきた張本人である

(裂邪>さぁ体操しろ体操、まずはストレッチだ! ほら奈海ちゃん楓ちゃん脚を広げtグハァ
(勇+奈>教育に悪いわぁ!!
(正義>お兄ちゃんも馴染んできたみたいだね熱っ!?
(楓>黄昏、本当にストレッチする必要はないと思うぞ?

こうして始まる海水浴
しかし、今日という日が平和に終わってくれるのか、彼等はまだ知らない

   ...To be Continued
95 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/18(月) 23:12:48.91 ID:lCUdm1n00
やっと書けたのがこの程度だと・・・
ごめんなさい、妹とドライブデートしてごめんなさい(弟もいたけど
海の日ということで、というか暑いので8月半ばまで海水浴ネタをやります
明日にはローゼ達、漢達、清太達も書きたいところ
8月初め頃には避難所の方でルートと日天の[禁則事項です]を

地味に本スレ初登場の正義くん達の活躍は↓
ttp://www29.atwiki.jp/legends/pages/2931.html
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/19(火) 21:59:59.49 ID:k5XDZQGz0
おっつっっつー
弟くんはもっと恋をすべき
悪の女幹部辺りに恋をすべき
97 :赤い幼星 † ロリっ子だらけの海水浴  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/20(水) 00:11:05.22 ID:YAOyuR990
(ローゼ>白い砂浜、青い海・・・そして赤く燃える太陽・・・
     やっぱり海は最高ですわ♪ おほほほほほほほ♪

ビーチパラソルの下、サマーベッドに寝転がり、
レモンの輪切りが飾られたティーカップに口をつける赤いビキニを着た赤い長髪のグラサン少女
「組織」のR-No.0、ローゼ・ラインハルトだ

(蓮華>何考えてるんですか貴方は
    上位メンバー全員で休暇だなんて前代未聞ですよ?
(ローゼ>まぁまぁ、細かいことはお気になさらず
     というか蓮華ちゃんもすっかりその気じゃありませんの♪
(蓮華>うぐ・・・こ、これは、その・・・

と、R-No.1――六条 蓮華は己の姿を恥じるように身を縮こまらせる
自分の髪と同じ緑色のワンピース水着のスカートが、頭の天辺の触角とほぼ同時に潮風に揺れていた

(蓮華>・・・き、今日だけですからね、今日だけ
(ローゼ>はーい♪ あ、蓮華ちゃんもあちらで遊んできては如何?

彼女はサングラスをあげて、きゃっきゃと元気な声が聞こえる海を見つめた
楽しそうに、5人の少女が水を掛け合いながら遊んでいた
ウェーブのかかった長めの金髪の、黄色いスクール水着を着た胸の滑らかな少女、R-No.2――ロール・レインウォーター
首筋までの短めの茶髪、やや大きい胸を強調するような珈琲色のビキニを着た少女、R-No.6――ロベルタ・リベラ
オレンジ色のツインテールに、これまたオレンジ色のスクール水着を着た少女、R-No.7――ラピーナ・レスピーギ
黒髪ポニーテールを揺らす、雪の結晶が描かれた空色のビキニを着た少女、R-No.8――乱堂 凛々
濃い青色の髪に、紺色のスクール水着を着た小学校低学年程の少女、R-No.10――ライサ・ルイプキン

(ロール>キャッホー♪ やっぱ夏の海はサイコーってカンジぃ♪
(ライサ>ローゼお姉様ー!蓮華お姉様ー! こっちで遊ぼうyきゃあっ!?
(ロベルタ>えへへ、ライサちゃん仕留めたりー!
(凛々>せやけどあんまりはしゃぎすぎるのも良ぅないで。海だけに、s
(ラピーナ>ストォップ! ダジャレ禁止なんだよー!!

微笑ましい光景に、ローゼは思わず噴き出してしまった
つられて蓮華も小さく笑うが、すぐにコホン、と咳払いをし、話を変えた

(蓮華>・・・ところで、レジーヌさんはどうしたんですか?
    あの人がこの光景を見て大人しくしてるとは思えないんですが
(ローゼ>あぁ、レジーヌちゃんは―――
(羅菜>心配は無用でござるよ

2人が隣のビーチパラソルに目を向けると、
淡い桃色のスクール水着を着た、長い黒髪を靡かせる少女、R-No.9――流崎 羅菜と、
その横でぐったりとしている紫色のパレオを着た、長すぎる紫の長髪の少女、R-No.5――レジーヌ・ルーフィオがいた

(レジーヌ>溶ける
(ローゼ>あ・・・レジーヌさんは暑いところが苦手でしたわね;
(蓮華>この方が平和ですけどね
(羅菜>熱中症の恐れもある故、レクイエム殿に海水の用意を頼んだでござるが・・・
(レクイエム>今持ってきたぞ

ちゃぷん、と音を立て、水のたっぷり入ったバケツが砂地に置かれる
98 :赤い幼星 † ロリっ子だらけの海水浴  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/20(水) 00:11:30.46 ID:YAOyuR990
(羅菜>む、かたじけないでござる、レクイエム殿
(レクイエム>あぁ良い、気にするな・・・ん? 貴様等どうした?
(蓮華>・・・いえ、何というか、その・・・
(ローゼ>レクイエムさん・・・それは派手すぎないかしら?

胸元がばっくり開いた白のスリングショットを着ている白いセミロングの巨乳少女、R-No.4――レクイエム・リッケンバッカー
その水着の所為で、いつもは見られない胸の谷間に描かれた「ヒエロニムスマシン」の設計図の刺青まで露出している

(レクイエム>派手? 良いだろう別に、誰も見やしない
(ローゼ>そ、そう言われても・・・その、殿方もいらっしゃる事ですし
(日天>オレのことは気にするな

と言っているのは黒のスイミングパンツを履いた黒髪の少年、R-No.3――栄 日天
見た目は子供ばかりのR-No.上位組で、唯一の男メンバーである

(蓮華>・・・ってどこ見てるんですか。『気にするな』という台詞を吐くなら面と向かって発して下さい
(日天>悪魔かあんたは!?・・・体系は子供とは言え、女性をジロジロ見るのは騎士道精神に反する
(レクイエム>なぁ、あいつあんなキャラだったか?
(羅菜>かっかっか、女子ばかりの拙者等の中では、正しく騎士のような存在でござるからなぁ、日天殿は
(ローゼ>あらぁん照れてらっしゃるのぉ? こっちにおいでなさってぇ♪

声に色気を足してローゼが呼びかけると、日天は顔を真っ赤にしてすくっと立ち上がり、

(日天>・・・独りにさせてくれ

と言って砂浜の向こうへと駆けだした

(ローゼ>あぁん、折角の殿方とのあまぁいビーチのひと時がぁ〜・・・
(レクイエム>ローゼ、貴様の脳味噌恐らく故障してるぞ
(蓮華>・・・男に戻って、溜まった分の性欲が爆発しかけたのでしょうか
(レジーヌ>性欲と聞いて
(羅菜>大人しく寝てるでござる

ばしゃっ!とレジーヌの頭上から海水をぶちまける羅菜
直後に、ローゼが伸びをしながら立ち上がった

(ローゼ>ん〜! よし、ワタクシも目いっぱい遊びますわよ〜!
(蓮華>え、日天さんは放っておいて宜しいのですか?
(ローゼ>あのお年頃の殿方はそっとしておいた方が良いと思いますわ♪
(蓮華>自分が誘惑した癖に・・・

そう言って、ローゼは赤い髪を風に揺らしながら、ライサ達のいる海へと駆けていった

   ...To be Continued
99 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/20(水) 00:14:56.71 ID:YAOyuR990
1日過ぎちゃったorz
ローゼ達も海水浴〜、しかも裂邪と同じところで(今度合流書くよ
明日こそ漢と清太も書いてやる!

てかあの水着スリングショットって言うんだな、今日初めて知った
という訳で『赤い幼星』の今までの話は↓
ttp://www29.atwiki.jp/legends/pages/2999.html
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/20(水) 00:22:21.19 ID:YAOyuR990
>>96
ねぇよwwwwww
大王の作者の兄だけどねぇよ多分wwwwwww
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/20(水) 08:32:54.63 ID:19+lZ6KDO
乙ですよー
安心のスク水率
そしてスリングショットって……大胆だな!
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/20(水) 08:33:25.46 ID:19+lZ6KDO
乙ですよー
安心のスク水率
そしてスリングショットって……大胆だな!
日天さんマジ紳士
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/20(水) 08:35:00.44 ID:YAOyuR990
>>101
その大胆さが後に不幸へと…

ただしあのロリコンにとったら幸福に(ぁ
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/20(水) 08:35:23.39 ID:19+lZ6KDO
え、なにこの二重投稿
まぁいいや。日天さんショタ紳士
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/20(水) 16:08:10.40 ID:XD2u4itDO
見えた
この先スリングショットがするんとなって中身がふるんとなる
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/20(水) 16:51:16.70 ID:sV2Y8RuDO
今日中に一本くらい書き上げたいなあ……
107 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/20(水) 17:01:58.19 ID:YAOyuR990
>>105
っちょ、バラすなwwww(ぁ
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/20(水) 17:53:29.53 ID:X6FLQNpV0
全く関係ないが今思えばサンジェルルってかなり良いネーミングだ
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/20(水) 18:57:21.78 ID:XD2u4itDO
作者としては「サンジェルルとか語感良くね!?ドヤァ」とか思ったんだけど
なんか恥ずかしかったからキャラにつまらないだじゃれ呼ばわりさせました
110 : [sage]:2011/07/20(水) 19:22:01.89 ID:ZTb1KtzDO

>>スリングショット
何かサンジェルマンが着てそうな
111 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/20(水) 20:44:23.66 ID:YAOyuR990
>>110
想像しちまったじゃねぇかwwwwwwwwwwwww
落ちつけ俺、まずはレクイエムの胸の谷間で深呼吸する妄想を(
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/07/20(水) 20:54:20.42 ID:5Y+aiJhPo
では今年の夏は女子キャラは全員一度はスリングショットを着る(着せられる)という事で

勿論男子が着ても(着せても)いいのよ
113 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/20(水) 20:57:10.98 ID:YAOyuR990
>>112
そして強制的にポロリシーンも



ポロリは微エロだよな??
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/20(水) 21:55:06.35 ID:JJ6fd+qm0
サンジェルマンはあくまで競泳水着派
115 :神力秘詞 † 楽海物語  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/20(水) 22:24:28.76 ID:YAOyuR990
「良い風・・・やっぱり、夏はこうでなくちゃ」

細波の音に耳を傾け、さらりと長く美しい髪を風に任せているのは、
典型的な紺色のスクール水着の上からシースルーの上着を羽織っている少女
ビーチパラソルの陰で腰を下ろし、水平線を眺めるその様はどこか儚げで、魅力を感じさせる

「・・・裂兄ぃも、誘えばよかったかな・・・」

ぽつり、寂しげに呟いた
その、直後

「にぃにぃ!! タコ取れたよタコ!!」
「うわっ!?」

あまりの驚きに、思わず倒れて砂地に顔を埋めてしまった
驚かせた張本人であるショッキングピンクのビキニを着た少女は、
手にしたタコをべちゃりと落とし、慌てて彼女の身体を起こした

「っだ、大丈夫にぃにぃ!?」
「そ、そそそそ、それより、そ、そ、そ・・・」
「え? あぁこれ? えへへ、そこで泳いでたのを捕まえちゃった♪
  あとでタコ焼きにして食べよ?」
「で、でも、可哀想だよ・・・ま、麻夜、逃がしてあげて?」
「うぅ〜・・・分かった、にぃにぃがそう言うなら、今から逃がしてくる」
「ありがとう。麻夜は優しいね」

ぽふぽふ、と麻夜と呼ばれた少女の頭を撫でる
麻夜は嬉しそうな、いや、心なしか恍惚とした表情を浮かべて、
楽しげにスキップしながら海辺へと走っていった

「ははは・・・さてと、僕も泳いでこようかな」

シースルーを脱ぎ、絹のような柔肌を露出して、
少女――――――もとい、“少年”―――――――神崎 漢は、潮香る海へと裸足で駆けだした



                【 神 力 秘 詞 】
              十二之巻 〜楽シイ 海ノ 物語〜




   ...物語猶続
116 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/20(水) 22:29:08.51 ID:YAOyuR990
どうしても1レスに収まってしまうorz
それもこれも作業妨害BGMの所為だ・・・
という訳で久しぶりの漢ちゃんです
男の癖にスク水を堂々と着てる男の娘です
これで「僕、男の子だよ?」って真顔で主張するんだから裂邪にセクハラされても仕方ない(

『神力秘詞(読:カミノチカラヲヒメシコトバ)』の今までの話は↓
ttp://www29.atwiki.jp/legends/pages/3582.html
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/21(木) 00:08:49.70 ID:NtwgWB1z0
本スレ過疎半端ないな
こんなつまらんもんあげられたら仕方ないか…
誰か救いを
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/21(木) 00:26:46.88 ID:k3W95O6Lo
vip時代から長いからね
古参の馴れ合いとか設定とか色々弊害は出てきてる
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 00:32:52.11 ID:/IGl2J4go
あの台詞系みたいな変な応酬をここでやられてもアレだがな
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/21(木) 00:41:24.03 ID:k3W95O6Lo
台詞系ってまおゆうみたいなの?
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 00:50:21.67 ID:/IGl2J4go
キャラ名「台詞」みたいな形式のものを言ったような気がする
投下でそういうのがある分には別にいいと思うんだ
表現の仕方は無限大でいいと思う(AAを交えた投下には盛大に笑わせてもらったし)
だが雑談でああいう、本文で語りきれない事の付け足しじみたことされるとその、なんだ、この情報を信じていいのか戸惑う
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/21(木) 00:54:30.30 ID:k3W95O6Lo
あーあれかww
なんというか二次創作系のキャラ使った後書きを思い出すね
趣味で物書きしてる人には大概ある後の黒歴史じゃないかなww
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 00:59:26.50 ID:LC9ObU9AO
どちらかというと台詞系よりもなりきりチャットな空気を感じていたww
名前の知らないキャラクターとか久しぶりに見るキャラクターが長々としゃべってるの見ると虚しくなるな
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/21(木) 01:15:39.59 ID:k3W95O6Lo
まあTRPGなんかはキャラ作りにも良い経験って言うし良し悪しじゃないかな
原作ありきの二次創作も元のキャラあるからいきなり一次創作よりはやりやすいし

それよりもさっさと話を書けってのはプロでも言われるし難しいねww
安井ェ……
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 01:22:56.59 ID:/IGl2J4go
>>123
なりきりチャットか!
そんな感じだ!!

>>124
続きが読みたい作品はプロでも溢れかえってるなwwww
そういうのばっかり買ってる俺も俺だが

コミュニケーションツールとして創作を使うってのは悪いことでもないし
あれはあれでいいのか……?
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/21(木) 02:12:05.39 ID:k3W95O6Lo
雑誌とかである架空の人物に対するQ&Aみたいなものかねえ
見る方も騙され上手でないといけないのは確かかも
見せる方が騙し上手のが良いのは言うまでもなくww
127 :117 [sage saga]:2011/07/21(木) 08:13:07.34 ID:NtwgWB1z0
なるほど、いっそチャット形式やめれば良いのか!
ただ突然変わるのもあれだな…暫く避難所に隠ってようかしら
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 09:40:12.84 ID:htzuRCUDO
vip時代の主人公の娘が主人公で書いている上に裏話ありありな俺は胸が痛い
できるだけこっちのストーリーだけで理解してもらおうと解説挟んでるけどやっぱきついかな
でも良いキャラしてるから旧作の主人公も使いたいし…
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 12:14:05.55 ID:htzuRCUDO
誰か石鹸を取ろうとしてヒロインが入ってる風呂場に間違って入っちゃってキャーとか言われてるのに
怯むことなく風呂場に進入して目的を果たすついでにヒロインのおっぱいをやさしく激しくえろく揉みしだいて
顔色一つ変えずに「ラッキー」とか呟いてそのまま風呂場を出る主人公書けよ
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage saga]:2011/07/21(木) 13:09:32.98 ID:IwzF4RQ5o
打ち合わせとかは雑談スレですることじゃないよな
他のひとが見てない場所、見ないですむ場所でやるべきだと思う

だから俺
避難所の雑談スレは、あんまり読まないし書かない様にしてるよ
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 13:28:29.41 ID:WMagb3yDO
雑談スレは、都市伝説スレに関わるあらゆる人がわいわいがやがやぐだぐだ駄弁るところって認識なので、基本的になんでもありだと思うのよ
公序良俗に反しない限り
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage saga]:2011/07/21(木) 14:12:31.52 ID:IwzF4RQ5o
ネタバレされると読む気が減退するんだよね

例えば
あの能力は○○という都市伝説を利用して〜とか
あの能力は○○の都市伝説ですか?とかのやりとり、打ち合わせ等

そういう説明や回答は作品内だけで見たいんだ
だから避難所の雑談スレはあんまり見ない、メ欄とか見ちゃらめぇぇぇって思う

作品の未投下な部分の内容に関わる話は、やっぱり雑談ですることじゃないと思う
でも、俺が見なければ済む話なので大した問題でもない

逆に言うと、この本スレでうっかり避難所の雑談と同じ様にされると辛い
だから本スレが過疎っていても仕方ないし、この意味では都合が良いとさえ思っている
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 14:15:52.74 ID:LC9ObU9AO
雑談がなりチャだろうと寸劇大会だろうと構わないけど
現在の話もロクに書けない奴が未来の話をしているのはどうにかならないものか・・・
みんなスルーしてるけどCOAも教会も本筋は書かれずに結果だけはこんなことあったお!
と言われて何事もなかったかのように続きが始まってるの見るととても歓迎はできない
連載という形式のストーリーとして読めるもんじゃない
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage saga]:2011/07/21(木) 14:49:30.68 ID:IwzF4RQ5o
CoAか……あれには期待していたし、良い企画だったとも思う

あの世界がどうなっていくのかを見て
いくつか用意していた結末のどれに繋げるかを考えるつもりだった
結構重要な部分をCoAの話に盛ってしまった気がしていたので
その後、参加させたキャラ達の話は書かずに今へと至っている

でも、俺の書く話なんてどうでもいいや!
くらいにしか思ってないけどね
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 15:12:33.35 ID:htzuRCUDO
最初にあれの終わったあとの時間軸の話を書いたのは俺です…
その頃は時間軸のバラバラになった話がおしゃれかなとおもってて…
ごめんなさい
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/21(木) 15:26:52.93 ID:JzX1zjJto
誰かお題になるような都市伝説オクレ
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 15:35:34.96 ID:htzuRCUDO
ひき子さん
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 15:38:34.08 ID:QmkqeicSO
タギュア・タギュア・ラグーン
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/21(木) 15:53:35.97 ID:JzX1zjJto
お題二つとか私きいてない!
UMAと妖怪の抱き合わせなんてオラわくわくしてきたぞ
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 16:54:35.33 ID:hfjUHS9N0
なんでもいいからさ
古参で長らく書いてないのが覗いてるなら今すぐ投下しな
お前らが望んで、の割に少数に実務押し付けて移転した折角の本スレだ
雑談所の馴れ合いが嫌ならここでつまらんレス垂れ流さずに投下してみろよ
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 17:12:23.83 ID:htzuRCUDO
投下が少ないよなあ
こっちで連載されてる作品少なすぎ
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/21(木) 17:13:48.77 ID:JzX1zjJto
ヲチられることなんてどこでもあることだしそんな過剰反応しなくても

>>138
ひき子さんはいけそうだけどこのプチ怪獣どうしよww
助けてウルトラマン!
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/07/21(木) 17:17:31.23 ID:ThvKuGxm0
投下が少ないって?
こう考えるんだ、「ここで俺が素敵なネタを投下して注目あびるチャンス!ヒャッハーーー!!」と
こう考えれば、これは今までネタを投下したことのない人が投下する機会であると考えられる
投下したことがある人が、良いネタを投下するチャンスでもある
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 17:27:39.77 ID:htzuRCUDO
とりあえずエロ書き終わったんで連載執筆するのに今日から戻りますね
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 17:56:41.34 ID:WMagb3yDO
>>140
ここ4ヶ月の平均残業時間が80時間を余裕で突破しているような現状なので勘弁してください
仕事中にちょくちょくスレ覗いててごめんなさい

9月になったら本気出す
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/21(木) 18:11:38.62 ID:NtwgWB1z0
投下も感想も少ないのは自然災害の所為だとそう思い始めた俺
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 18:29:29.46 ID:QmkqeicSO
いや、投下や感想が少ないのは
貴殿以外の書き込みのほとんどが俺の自演だったんだけど
最近急がしくて
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 19:04:57.39 ID:htzuRCUDO
このスレには貴方と私しか居ないのです…
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 20:16:54.46 ID:BVBI/S4mo
上の二人が良い雰囲気なんで参加は遠慮しておきますね
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/21(木) 20:24:10.17 ID:NtwgWB1z0
>>149
そこはどちらかを奪い取ったりする気概をですね
というわけで>>147は俺のものだぁぁぁぁアッー!!(
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/07/21(木) 20:36:09.65 ID:ERp448fp0
相変わらず常連組に変態が多いスレですねここは!

世間様では学生さんが夏休みな時期
お客様も増えるでしょう
全てのお客様がお行儀いいとも限りません
つば吐くことだけが目的な人もいるでしょう

我々に必要なのは、都市伝説を愛する心と、嵐はスルーする心


まぁ、何が言いたいかって言うと、夏なんだから女性系都市伝説に水着着せてぽろりいやーんイベント狙おうぜ!!
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 20:41:33.94 ID:QmkqeicSO
>>150
俺の代わりに飴持った女の子が向かいました
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 20:46:05.82 ID:BVBI/S4m0
思い出したが初めてみる人への解説が未整備のままだ
wiki管理者だけに任せていい問題ではないので
追々草案なりまとめる必要があるぜ

そういや管理者の登場は移転問題で啖呵切ったので最期か
今見返して思うに相当溜まってた感じだな
本スレの現状見たら呆れそうで怖い
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/21(木) 21:03:08.00 ID:NtwgWB1z0
>>151
>まぁ、何が言いたいかって言うと、夏なんだから女性系都市伝説に水着着せてぽろりいやーんイベント狙おうぜ!!
都市伝説化した女性じゃダメですか・・・

>>152
>俺の代わりに飴持った女の子が向かいました
ロリっ子ヒャッホゥ飛びつけぃ!!(爆破されました

>>153
>本スレの現状見たら呆れそうで怖い
今からごめんなさいの代わりにwikiトップのバナーっぽい奴を新しいの作ってきます・・・
155 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/07/21(木) 22:04:44.09 ID:+C8DBkUi0
書いていいなら
設定中の俺が草案だけ書いてwikiへの掲載は誰か他の人に任せたい

とりあえず避難所にエロ投下してきますね
こっちへは明日か明後日からまた投下します
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 00:36:04.56 ID:e7aZ2m3DO
>>155
ああ、これ新しい人向けの設定の解説の話ね
なんか寝惚けてたわ
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 19:34:56.38 ID:5Rk4brpSO
はたして、タギュア・タギュア・ラグーンで話は書けるのだろうか
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/22(金) 20:19:57.32 ID:916jFIUQ0
>>157
前に、単発で書いてらっしゃった人はいたなぁ
可愛いけど可哀想なオチだったのが印象的だった
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 20:40:48.21 ID:5Rk4brpSO
まあ、あれは>>142の参考にはならんだろな
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/07/22(金) 21:05:36.46 ID:qXVjMCVHo
>>157
構想してみたけどどうしてもひきこさんがメインになっちゃって困る
外見、図体、食欲とどれをとってもメイン側で話を書く自信が無い
修行不足を痛感するな
161 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/07/22(金) 22:01:19.58 ID:vUx1ZPlE0
ていうかひきこさんとたぎゅあさんって一切の関連ないじゃないですか
書きにくいから二つの話に分けてはどうかなあと
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/22(金) 22:18:08.13 ID:916jFIUQ0
>>161
と言われると逆に書きたくなってくるような作者である事を期待(マテヤ
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 22:35:26.97 ID:vUx1ZPlE0
聞いてくれよ隊長
創作意欲沸かないっていうか書く気力が出ない
164 :というわけでお題にチャレンジした結果 [saga]:2011/07/22(金) 22:36:06.38 ID:qXVjMCVHo
 しとしとと雨の降る夜
『それ』は、腹を空かせていた
『それ』が喰らうべきは家畜、人に飼われている生物
 本来なら牛馬が好ましいのだが、こうして存在してしまった以上は贅沢は言えない
 全長18メートルにも及ぶ巨体をうねらせてブロック塀に圧し掛かり、あっさりと破壊してしまう
 巨体の割には短い足で瓦礫を乗り越え、体長の半分以上を占める長い尻尾で瓦礫を打ち払い
『それ』は小学校の校庭へと踏み込んだ
 目的は、校庭の隅に設置されたニワトリ小屋とウサギ小屋
 この町に存在する数少ない餌に、『それ』は耳元まで裂けた口を歪めて笑みを浮かべる
 だが、その笑みはすぐに引けていく
 餌の詰まった小屋の前に、腕を組んで仁王立ちした人影があったからだ
 既に待ち伏せでもされていたのかと『それ』は警戒の色を露わにするが、ただ一人その人影を除いて何者の気配も感じられない

「ソコヲドケ。オマエモクワレタイカ?」

 人間のような造形をした顔のせいか、それとも『都市伝説』として存在したせいか
 片言ながら人語を放つその巨大生物『タギュア・タギュア・ラグーン』に、対峙した人影は全く怯んだ様子を見せずにつり上がった目で睨み返す
    ステージ
「人様の縄張りでナニ上等クレてやがんだコラ?」

 雨に濡れた白いその服は、余りにもぼろぼろだった

「このニワトリやウサギに何かあるとなぁ……飼育係の子がいじめられたりすんだよ」

 ビキビキと音を立てて、端正な顔が歪み口元が対峙する『タギュア・タギュア・ラグーン』に負けず劣らず裂けていく

「許せねぇよなァ? いじめっつーのはよ? その原因を作ろうとする奴も……なァ?」

 体格差というのもおこがましい、160センチと18メートルの差
 それをものともしない気迫で睨み付ける女、『ひきこさん』

「引き摺られてェかコラァ!」
               フォレスト クイーン
 『都市伝説』『喧嘩上等』『怖嗚霊巣闘苦印』などの刺繍で彩られた白い特攻服を翻し、『タギュア・タギュア・ラグーン』へと躍り掛かる
 狙いは、長い鉤爪を生やした足である
 掴んで、引き摺る
 それだけの単純な行為が『ひきこさん』の絶対的な攻撃方法

「ナメルナ、ショウドウブツガ」
「ナメてんのはどっちだ、デカブツが!」

 突き出される鉤爪を掻い潜り、その足に迫る『ひきこさん』
 だが掴もうとしたその巨大な足が、両方同時にふわりと浮く

「ツブレロ」
「――っ!?」

 跳ね浮かせた『タギュア・タギュア・ラグーン』の巨体が、全体重に落下のエネルギーを加えて『ひきこさん』を押し潰す
 地響きと共に、訪れる沈黙
 濡れた地面からぐちゃりと胴体を引き剥がし、その下で地面にめり込み押し潰された『ひきこさん』の姿を確認し

「ショセンハザコカ」

 二本の尻尾が動かなくなった『ひきこさん』の身体を器用に地面から引き剥がす
 獲物を捕らえておくというその尻尾を器用に巻きつけ、泥まみれのその姿を嘲笑い
165 :結局ひきこさんメインになりましたとさ [saga]:2011/07/22(金) 22:37:06.32 ID:qXVjMCVHo

「どっちがだよ」

 そんな余裕ぶった『タギュア・タギュア・ラグーン』に
 それまでぴくりとも動かなかった『ひきこさん』が、泥まみれの顔を上げてにたりと笑った

「つぅかまぁえたぁ」

 身体を締め上げられたまま、その手が尻尾に触れたかと思うと
『タギュア・タギュア・ラグーン』の身体が、ふわりと浮いた

「ナニィ!?」

『ひきこさん』を押し潰した時の倍以上の勢いで、身体をひっくり返して地面に叩きつけられる巨体
 キアイ
「密度が足りてねェなァオイ! そんなんだからよォ!」

 仰向けに転がった『タギュア・タギュア・ラグーン』を、尻尾を掴んでぐいと引っ張る『ひきこさん』
 ずるり、と
 濡れた地面を引き摺られる感触に、慌てて体勢を立て直そうとするが
 ハードラック  ダンス
「 不運 と 踊っちまうんだよォ!」

 引き摺る
 ただそれだけに特化したが故に
 その行為は他の追随を許さない
 その行為は抗う事を許さない

 巨獣の悲鳴と女の哄笑が
 雨音に紛れて夜闇に消えていった

―――

「あの……姐さん」

 白いマスクと赤い特攻服という姿の『口裂け女』が、遠慮がちに訊ねる

「あァん?」

 小学校を見下ろす山の中腹のパーキングエリアで、『ひきこさん』は気だるげにそれに応える
 温かい日差しの下、欠伸をしている『ひきこさん』が背中を預けている巨獣
 胴体から頭部にかけて鬣や鱗が剥げた『タギュア・タギュア・ラグーン』の姿に、武闘派でならした都市伝説レディース『怖嗚霊巣闘苦印』の面々も流石にドン引きである

「そいつ、なんなんですか」
「んー……舎弟?」

 そう言ってまた、欠伸を一つ

「こいつ弱ェんだもん。弱ェ奴いじめるのは趣味じゃねぇし、悪さしないように躾とこうかと思ってな」

 都市伝説は、己の存在を示す物語に依存する
 かつてその特異な外見でありながら、人間に生け捕りにされたという記録が残るこのUMAは、こうして生け捕りにされる運命だったのかもしれない


おわり
166 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/07/22(金) 22:43:51.53 ID:qXVjMCVHo
書くにあたってウィキペディア先生のひきこさんの項目を見てたら、本名:森妃姫子の記述
あらかわいいと思いつつ『フォレストクイーン』のという響きが頭に浮かんだ瞬間、レディースになってましたとさ
思いつきで書く癖は治りません

世の中のひきこさん達ごめんなさい
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/22(金) 22:45:10.67 ID:916jFIUQ0
乙でした!
良いキャラしてるなひき子さんwwwwwwww
何ら問題ないじゃないですか! てか単発にするには惜しいz(引き摺られました

>>163
書くことからちょこっと離れて別な趣味に勤しんでみては?
俺もついさっきまでポケモン大好きクラブのシキジカのゲームにドハマりしてトロフィーコンプできなくて不完全燃焼orz
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 22:53:30.03 ID:vUx1ZPlE0
やりぬいたwwwwwwwwwwwwwwwwww
おつwwwwwwwwww
ひきこさん格好いいなもう
>>167
今BFの構築に勤しんでいたのよ
古いBF+古いライロ=奇跡のデッキ
みたいな感じでハンドアドとかボードアドの計算がまったく役に立たないインチキみたいなデッキができた
作りたてなせいで動物的にしか展開を読めないっていう
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/22(金) 23:01:01.52 ID:916jFIUQ0
>>168
>作りたてなせいで動物的にしか展開を読めないっていう
楽しそうだなwwwwww
最近作ったのはフォトンデッキだな、2箱目でようやく銀河眼ゲット
あとシェイドの邪神デッキにトライワイト入れてみた、あれ結構便利ネ
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/22(金) 23:18:37.87 ID:916jFIUQ0
今気付いた
三面鏡の人だったのかwwww全然分からなかったwwww
だからか、だからこんなに魅力的なのか!(どういう意味だ
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 23:32:30.44 ID:e7aZ2m3DO
>>169
BFライロは遠慮無くデッキを四十枚以上にしないとヴァーユが手札にくるからね
今までと違って組むのになかなか考えさせられる
ネットのレシピはあんまり参考にならんし
172 :邪気殺し † Sea bathing  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/22(金) 23:39:54.37 ID:916jFIUQ0
今日の俺はあの人と二人っきり
我が愛しの女性(ヒト)、マイシスターと海水浴
海よりも深い青い瞳の彼女は、波のように揺れるスカートが可愛い群青色のワンピース水着
そんな姿で俺と一緒に砂浜を走り回って
最後に俺が彼女に背後から抱き締められて
彼女は俺に囁くんだ
「ずっと傍にいて」って

「あ〜ぁ、そうだったら良かったのになぁ〜」
「清太ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ガボッ!?」

現実は甘くない
姉ちゃんを海に誘ったものの、生憎友達と一緒に高校受験の勉強に行くのだそうで
仕方なく家でのんびりして居ようと思ったのに、ピンポンと鳴る玄関へ駆けつければ、
扉が開いて現れた幼馴染の言う事にゃ、「清太!一緒に海へ行こう!!」
普段なら断るんだが、そんなことしたら玄関先で自動車で待ってるこいつの両親に申し訳ないと思い、
渋々俺はこの実とその家族とたーのしー海水浴を満喫していると言ったところで俺は死にかけている

「ガボボボボ!! ババグバベベベベベ!!」
「ん? あぁすまん清太!苦しかったか!!」
「ゲホッゴホッ! 首絞めると同時に顔を沈めるってどんな拷問だ!?」
「俺の愛の鞭を受け取れぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「いやそれ完全に意味違うし!」

申し遅れました、俺は水無月 清太、小学4年生
こう見えても契約者として日々都市伝説との戦いに明け暮れてるんだぜ
ついでにこの俺の首を絞めやがった怪力女は幼馴染の空出 実
何かと俺につきまとう鬱陶しい奴だ
一応言っておくけど、俺は姉ちゃん一筋だ

「分かってんのか!? 俺はお前と一緒に泳ぎたい訳じゃないんだぞ!?」
「ツンデレ清太も可愛くて好きだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「いやだからうるさいよお前!?」

埒があかない
俺はクロールで逃げ出した

「うおっ!? 待て清太ぁぁぁぁぁぁぁぁ結婚しろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「アホかっ!?」

あぁ、ホントは姉ちゃんと仲良く追いかけっこする筈だったのに
何でこんなことになってるんだろう
俺の目がしょっぱいのは海の所為だけじゃないと思う

「海の果てまでついていくぞぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「迷惑だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

暑苦しい夏が来た

   ...see you NEXT
173 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/22(金) 23:43:48.32 ID:916jFIUQ0
ここまで書いて無理があると感じた
やはり俺の作品は避難所向けかも知れぬ・・・こっちには新連載あげよう

>>171
そうかヴァーユは落とさなきゃならんのか
結構相性いいのかBFライロ・・・作ってみたいけどヴァーユねぇやorz
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga sage]:2011/07/22(金) 23:52:48.42 ID:EpNFk2pK0
お二人とも乙ですー

ひきこさん……いや、姐さん!格好いいです惚れましt(引き摺られました
実ちゃんブレないwwwでもそこが可愛い!
175 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/23(土) 01:20:01.21 ID:3TE7BlIf0
>>174
>実ちゃんブレないwwwでもそこが可愛い!
本当は書いてる時に「あれ、何かテンション低く感じる」とか思ってたという
なんか初期の熱さが足りない・・・
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/23(土) 19:28:10.56 ID:yfb8beKDO
シャドーマンの人はうさぎドロップ見るべき
177 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/23(土) 22:24:08.89 ID:3TE7BlIf0
>>176
りんちゃん可愛かったわ有難う、この地域で放送してるの確認次第録画する
178 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/07/23(土) 22:51:18.16 ID:fOGMdo+r0
さあ、雑談タイムだ
今日の議題は→実は温存してるけど自分じゃあ書けなさそうなアイディア
179 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/23(土) 23:00:59.13 ID:3TE7BlIf0
>>178
自分じゃ書けなさそうな、か・・・
「マヤの予言」編が無事今年中に書ききれるかどうかは不安ですね
180 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/07/23(土) 23:03:08.27 ID:fOGMdo+r0
自分じゃあ書けなさそうっていうか今のスケジュールだと書けなくて泣く泣くお蔵入りさせちゃいそうなアイディア?
連載の続きが全然書けなくてやばい
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/07/23(土) 23:18:00.31 ID:tunDECSO0
んー、自分じゃ書けなさそう、か…

以前チラ裏で話したメタ世界でのしっちゃかめっちゃかはギャグ編シリアス編両方構想だけはあるが書く余裕なんざねぇ!!書ける気もしねぇ!!!

ギャグ編は、魔女たちのスカートの中身を暴露しよう是的なネタだから勢い有れば書けるかもしれんがんな勢いも余裕もねぇ!!
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/23(土) 23:19:35.23 ID:LAM3vStDO
まるでピンポイントで狙われたかのような話題だ

契約者「都市伝説は所詮道具。道具を悪用する人間こそ、罰せられるべきだろう。」
担当黒服「都市伝説は所詮道具。人間に危害を加える道具こそ、処分されてしかるべきです。」

っていう連載の構想があったけれど、色々と手が回らずにお蔵入り
時間も技量もなかったのよ
183 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/07/23(土) 23:23:52.96 ID:fOGMdo+r0
個人的に練ってたのは
妹を殺されて復讐鬼と化しちゃうお兄ちゃんのお話とか
世界を股にかけて旅しながら悪魔に関わる都市伝説を集める青年と借金塗れの少女の話とか
わりと王道系だな
しかし時間も何もかも足りない
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/07/23(土) 23:42:16.44 ID:pJZkcfpjo
多分バレバレだけど匿名希望

>>178
> 実は温存してるけど自分じゃあ書けなさそうなアイディア
手持ちキャラも投入してのバトルロワイアル
温存というか書くと多方面から怒られそうだから書けないし書かない
185 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/23(土) 23:57:08.12 ID:3TE7BlIf0
>>180
あぁそういうことでしたか
なら結構ありますよ
都市伝説契約者のスポ魂小説とか、都市伝説契約者である大学教授の謎解きストーリーとか
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 00:01:15.49 ID:l8CNpLlDO
>>185
その教授にはショタな助手がつくんですね、解ります
187 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/24(日) 00:07:56.66 ID:HpLWIGAd0
>>186
くっそバレたかwwwwww
現在、魔神の笛を完クリしたので、今日買ってきた最後の時間旅行を早速プレイ中
何で逆順かって? 初めて手に入れたレイトンが魔神の笛だったからさ!orz(てか言っちゃったよ
188 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/24(日) 00:16:26.71 ID:HpLWIGAd0
今思い出した
並行世界、若しくは様々な時間を行き来する冒険ファンタジーも考えてたけど、
時間的にも筆力的にもアウトだと判断orz
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 00:30:24.81 ID:tcsKCoMyo
>>183
>妹を殺されて復讐鬼と化しちゃうお兄ちゃんのお話とか
それを見て、かなり昔に弟切草で単発書こうとしてたことを思い出した
兄が鬼畜ってたのと弟が病んでたのとで「こんなん書けるかッ!」って投げた
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/24(日) 00:58:21.20 ID:HpLWIGAd0
またまた思い出す
裂邪と正義の心と身体が入れ替わるって話を書こうとしてたんだが、
途中まで書いてたら弟に没られたorz
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 01:00:30.48 ID:tcsKCoMyo
クロスするときは相手の意思を尊重してね!
都市伝説スレとのお約束だよ!
192 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/24(日) 09:23:15.50 ID:HpLWIGAd0
>>191
>>190の事を言ってるなら、あれは俺ですぜ
弟の時間がとれなくてなぁ・・・いい都市伝説だから没にするのは惜しいんだけど
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 09:37:19.21 ID:l8CNpLlDO
正義の体に抱かれるミナワちゃん…
擬似ネトラレなのか!?
気持ちはずっと裂邪のものなのに体は正義にいいようにされて…
しかも兄弟だから似てる辺りがまた背徳感!!
テンションアップだぜ!!
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 09:48:47.32 ID:l8CNpLlDO
さらに言えば裂邪の体に入った正義くんは勘違いでR-No.の女の子に逆におそわれちゃう…!?
途中で入れ替わりに気づきながらも裂邪の体をを独占したいから行為を続けてしまう…!?
なんて重たいんだ!!
流石シャドーマンの人
良い話を思い付くなぁ
195 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/24(日) 10:13:40.50 ID:HpLWIGAd0
>>193-194
弟が泣くからHなシーンは構想外だったぞwwwwwww

>しかも兄弟だから似てる辺りがまた背徳感!!
実は正義は父親似、裂邪は母親似だという
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 10:20:05.79 ID:l8CNpLlDO
無理やり押し倒されて泣く裂邪(中身は正義に)に興奮しちゃうローゼ様か…

駄目だ
なんで日曜朝からこんなに俺は盛ってるのだ
197 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/24(日) 10:32:35.05 ID:HpLWIGAd0
>>196
・・・ありだな(ぁ
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 10:43:08.38 ID:l8CNpLlDO
>>197
だ ろ ?
199 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/24(日) 10:46:51.13 ID:HpLWIGAd0
>>198
弟の制止を振り切って裂邪視点・正義視点共に1人で書いちゃおうかしら・・・時間が空いたらorz
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 12:15:41.03 ID:l8CNpLlDO
>>199
ミナワチャンの擬似寝とりも所望いたすがまあ無理にとは言わぬでござる
201 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/24(日) 13:15:40.34 ID:HpLWIGAd0
>>200
(裂邪>いや正義の身体でミナワと[ピー!]とか俺が嫌だわ!?
(ミナワ>心も身体も裂邪のままの方が好きです!

珍しく駄々を捏ねるミナワとかも構想してたという裏話
202 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/24(日) 13:20:05.88 ID:HpLWIGAd0
そういや、『夢幻泡影』の没ストーリー結構あるなぁ
「レイヴァテイン」と契約する話は裂邪の不倫を書く予定だったし
ミナワvsレクイエムも結局書けなかったし
COA侵入後のアラクネーとバランクスとの戦闘の詳細も書いてなかったけど、近々書こうとは思ってる
後は・・・あ、未だに悠司くんとの邂逅書いてないやケモノツキの人ごめんなさいorz
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/07/24(日) 13:21:40.21 ID:rEw2Qv410
おれ の こころ に つきささった


312 名前:('A`) 投稿日:2011/07/23(土) 23:05:08.71 0
コレ鬱展開だからリアルだろ?俺クールだろ?ってドヤ顔で出される話って好きじゃないなあ
204 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/24(日) 14:44:41.38 ID:HpLWIGAd0
>>203
そんなドヤ顔で出してるような人はいらっしゃらないと思ってたけどwww
ぽんぽん似た展開書いたりしない限りは気にしなくても良いんじゃないかしら
それくらい自信もって書いてる人は私は好きよ(
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 16:04:17.41 ID:l8CNpLlDO
>>203
や め ろ


ただ一つ言いたいのが俺がドロドロ好きなのは昼ドラが好きだからなんだからね!!
206 : ◆kemono..Qk [sage]:2011/07/24(日) 21:41:32.51 ID:81TCaehDO
>>202
>後は・・・あ、未だに悠司くんとの邂逅書いてないやケモノツキの人ごめんなさいorz
そういえば昔そんな話をしてた覚えが……(←すっかり忘れてた人)投げちゃっていいのよ!中の人が悠司君のこと放置してるんだもの!

悠司君って教会編終わったあと、なにしてるんだろ……?
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 22:01:25.73 ID:cN2NECgno
ボクシング部の兄妹と兄鬼含めた四角関係が始まりそうだな
いや…担当の黒服も巻き込んだ五画関係か
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 22:06:18.52 ID:81TCaehDO
一話しか出てない彼らをなぜ覚えてるし
あ、母数が……
209 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/24(日) 22:08:28.61 ID:HpLWIGAd0
>>206
>中の人が悠司君のこと放置してるんだもの!
それは言っちゃらめぇwwww
い、いつか書いてみせるから!(いつだよ

>>207
>いや…担当の黒服も巻き込んだ五画関係か
何てドロドロした展開なんだwwwww
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/07/24(日) 23:17:36.77 ID:LYRAxG0h0
>>207
>いや…担当の黒服も巻き込んだ五画関係か
そこに「教会」編でかかわった連中を交えてさらに人間関係カオスだと!?
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 23:34:03.63 ID:jUnchGxzo
・悠司の人間関係の泥濘化
・禿の活性化(避難所)
・怪奇同盟盟主の暴走(ずっと前に出たネタ)

導かれる解は一つ……!!
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 23:40:46.01 ID:jUnchGxzo
いや…項はそれだけじゃないな

・「組織」vs「首塚」

これが決定打になる筈
213 :1レスネタ・・・と見せかけて [sage saga]:2011/07/24(日) 23:56:21.92 ID:HpLWIGAd0
真っ白な光を放つ蛍光灯
傷や汚れの一切ない、引き出し中身も空っぽのデスク
人が触れた形跡がない回転椅子
目につく物全てが眩しく、新しいとある一室
そのズラリと並んだデスクの内の一つに、そっと、小さな手が触れた

「ここが、オレの席か・・・」

手の主は、少年だった
小学校高学年程度だろうか、まだ幼さの残っているにも関わらず、
何処かのエージェントのように漆黒のスーツを上下に揃えた、
左手にスケッチブックを携えた黒い短髪の少年
その顔は、一歩間違えれば少女と見紛う可愛らしさを垣間見せていた

「・・・やはり人数は多いのだろうか」

ふと、並べられたデスクを目で数えて呟いた
その席に着く主を待ち続けている寂しいデスクを見渡しながら、
少年はゆっくりと椅子を引き、腰を下ろそうとした
その時、がちゃり、とドアが開く音と共に、声が聞こえた

「あら、もう何方かいらっしゃってたの?」

澄みきった少女の声だった
少年が振り向くと、彼と同じような黒いスーツを着た、赤く長い髪の少女が立っていた
年齢は、彼より少し年上くらいだろうか、それでもまだ子供である

「あらぁ♪ 可愛い殿方ですこと♪」
「かわッ・・・!?」
「良かったですわぁ、勧誘された時はちょっと心配でしたけれど、
  こんな子がいらっしゃるならワタクシも張り切ってお仕事に努めなくっちゃ♪
  それにしても広いお部屋ですわね〜、こんな所で殿方と二人っきりなんてドキドキしちゃいますわ♪」

突然現れペラペラと喋り出す少女に、戸惑い気味の少年
苦い表情を浮かべていたのを見越してか、少女はピタリと話を止めた

「あ、ごめんあそばせ、申し遅れましたわ」

と、彼女は左足を右足の後ろに添え、左手でスカートを小さく摘みあげ、
右手を自らの胸の前に持っていき、上半身を軽く前に倒した

「初めまして、ワタクシはローゼ・ラインハルト・・・えっと、ナンバーは・・・R-No.0、だったかしら?
  これから末永く宜しくお願い致しますわ♪」
「っ、No.0って・・・あんたが、俺の上司か?」
「ん〜、そうなるのかしら? お気になさらずに気軽に接して頂ければ幸いですの」

にこにこと朗らかに笑う少女にやや戸惑いながらも、
少年はコホン、と咳払いを一つして、背筋を真っ直ぐに伸ばした

「・・・オレは、コードネームR-No.3、人間の頃の名前は・・・栄 日天」







これは数十年もの昔の物語
まだ、「組織」というものが誕生していなかった時の物語である――――






   ...続く
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/07/24(日) 23:56:51.89 ID:s6ho76NGo
>>207
>兄鬼含めた四角関係
……《兄鬼》って、なんかあったけ?
自キャラなのに覚えてねぇorz

>>212
そこに、美咲の来訪も入れたいが……、比べ物にならんなぁ
そもそも、まだ先になるだろうし
215 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/25(月) 00:01:12.39 ID:309ZIkxk0
カイテ シマッタ … orz
という訳で、『赤い幼星』のサイドストーリーを書いていこうと
一応連載だけど、裏話みたいなのをつらつらと並べるだけなので大して期待せずに(
216 :1レスネタ [sage]:2011/07/25(月) 20:57:21.20 ID:zItJrvYSO
落ち着いてください。ええ、大丈夫です。貴方は正常ですよ。貴方を襲ったのは間違いなく『口裂け女』です。
信じられない?そうですか。ですが、実際に都市伝説はいるんですよ。
いえ、いえ、違います。都市伝説が事実というわけではないです。
彼等は都市伝説から生まれるのです。
そして、彼等の中には人間を襲うモノもいます。特に『口裂け女』とか、人を襲うと噂される奴らに多い事ですが。
なにしろ、親も知らない彼等が知っている、数少ない自分の事です。その噂通りに行動したいでしょう。自分の存在を確かめる為に。
まあ、そんなのばかりではないですけどね。
人間を襲うと噂される都市伝説なのに、人間に友好的だったり、人間に危害をくわえるなんて話のない都市伝説が人間を襲ったり。
はい?……あぁ。ご安心ください。
その為に、私のような契約者や、後ろで堅っ苦しく突っ立ってる黒服みたいな「組織」がいるんです。
はい。先程、友好的なのがいると言ったでしょう?
そのような都市伝説は人間の味方です。
しかし、ですね。いくら人間の味方と言っても、『青いオシッコ』や『壁に耳あり』なんかで『口裂け女』をどうにかできるとは思えません。
その『口裂け女』も、ええと、都市伝説はその知名度や噂で語られる規模によって戦闘能力が変わるんです。だから、『口裂け女』でも『ファラオの呪い』に勝つのは難しい。
その為の、契約です。人間と契約し、自分の情報を記憶してもらう。
不特定多数の不確かな噂だけでなく、自身を確かに記憶してくれる一人を作る。
それが契約です。
そうする事で彼等は自身を拡大解釈し、特殊な能力を得る。
はい?いえ。契約しているからできるのです。彼等は人間の噂で生きている不安定な存在です。
もし、契約せずに自身を拡大解釈すれば、どこからどこまでが、本来の自分か分からなくなり消えてしまうでしょう。
契約者が代わりに記憶していてくれるから可能なんです。
まあ、その契約者も、都市伝説側の情報が多過ぎたり、長く契約し続けると、自分の情報と都市伝説の情報の区別がつかなくなって都市伝説になってしまいますが。
あはは、いえいえ。私はまだ大丈夫ですよ。それに私が都市伝説になっても貴方を襲ったりしませんから。
ま、今言ったのは数ある説の一つでしかありませんが。
いやぁ、実際、契約のメカニズムとか詳しい事は分かってないんで、人によって違う説明するかもしれないですけどね。
それと、貴方が体験した事。今私がした説明。他の人には話してはいけませんよ?
いやね。『都市伝説が実際にいる』って都市伝説が生まれるからだとか。強く信じられて都市伝説の力がどうしようもない程強くなるからとか。
これもいろいろ説あるんですが。あまり、知られない方が良いらしいんですよ。まあ、知られてもたいした事ないって人もいますがね。
とにかく、内緒ですよ?
はい。良い返事です。
あ、そうそう。私の都市伝説はね、『コーラの原液』っていうんです。コークロアというやつですね。
コカコーラの原液の製法は極秘で、この世に三人しか知っている人がいない。という都市伝説です。人数は二人だったりもしますけど。
ところで、私と、後ろの黒服、そして貴方。この内緒話を知っているのは三人ですね。
ええ、ええ…………もう一度だけ、言いますね。ここで起きた事は、他の人に教えてはいけませんよ?
もし、教えようとしたら、貴方、死んでしまうかもしれませんから。
………………………………ふぅ。
隠蔽終ーわりっと。
黒服さーん、そんなとこで突っ立ってないで帰りますよー。

217 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/25(月) 21:35:42.25 ID:309ZIkxk0
乙です〜
こういうシチュエーションもありだな・・・
1レスでここまで書けるってやっぱり憧れるぜ
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 22:12:09.71 ID:zItJrvYSO
都市伝説の設定書き連ねただけだぜ?
219 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/25(月) 23:18:35.69 ID:309ZIkxk0
>>218
いや、キャラにだ〜っと説明させるっていうのもいいなぁ、と
地の文でちょいちょい補ったりするより楽しそう
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 23:53:05.78 ID:feuOHacDO
単発の人おっつおっつ
こうやって秘密は守られてるのかね
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 04:19:31.92 ID:JWuWqKbK0
だっだれもいないよな!投下しよう!
222 :ハリボテ [sage]:2011/07/26(火) 04:19:59.31 ID:jhDHT6WAO
A[ヒーローと悪役の比率は釣り合わない]

トンカラトンとやらに襲われる非日常から1週間…
そんな危険とは無関係の平和で安全な自室で杉崎祐二こと俺は休日を過ごしていた…ん、そういや俺、名前言ってなかったか?
まぁいいや話を戻すがそこは静かな日常だった筈なんだ…だが
何で…
俺「…」
首領「喉乾いたな…バリボリ」
戦闘員「お茶で御座います首領様」
首領「ん?おぉご苦労だぞ…ズズッ」
俺「何でお前等が俺ん家でくつろいでんだよ!?後バアちゃんのせんべいを盛大に食うなっ」
首領「何故ってお前のベッドの下に斧を持った殺人鬼…まぁ簡単に言えば都市伝説が現れたから助けに来てやったというのにこれだから契約者わ。では此方も聞くがお前一人で助けてもらわずとも都市伝説に勝てたのか…契約者よ?…む、コレは美味いな」
首領はニヤニヤしながら自慢気に言ってきやがった…実際は戦闘員が助けてくれて、あのガキは何もしてないのだが。
俺「ちっ、確かにそれは正論だがよ…って人んちのロールケーキを勝手に出してその上、丸かじりしてんじゃねぇ!」
悪の首領がロールケーキを丸かじりするのを止めようとする男…なかなかシュールな絵面だ。
223 :嫌いな男 [sage]:2011/07/26(火) 04:20:12.42 ID:JWuWqKbK0

俺は、嘘が嫌いだ。

俺は、嘘が大嫌いだ。

嘘を吐くのも、吐かれるのも嫌だ。

俺は、『嘘発見器』が好きだ。

嘘発見器を持っていれば、人は俺に嘘を吐くことが出来なくなる。

だから、俺は『嘘発見器』が好きだ。

俺は、都市伝説が嫌いだ。

「嘘を見抜ける『嘘発見器』なんてない、都市伝説だ」

なんていう奴が居る。

だから、俺は『都市伝説』が嫌いだ。

224 :嫌いな男 [sage キャーカブッター]:2011/07/26(火) 04:21:09.53 ID:JWuWqKbK0

ある日。

「この町には、都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した契約者、っていうのが居るらしいぞ!」

「ぶっ、何、お前そんなの信じてんの?居る訳無いじゃん、どっかの馬鹿の妄想だよ」

下校中、そんな話が聞こえてきた。
嫌いな『都市伝説』の話だったが、やけにすんなり頭に入った。

(都市伝説と……契約?)

馬鹿馬鹿しい。
そんな事があるわけない。
頭の中ではそんな考えが浮かんでいたが、心はそうは行かなかった。

(……試してみたい)

そう、強烈に思った。
契約するにはどうするればいいのだろうか。

(いや、そもそも『都市伝説』なんか本当に居るのか?)

早くも手詰まりか。
いいや、まだだ。
都市伝説は『居ない』かもしれない。
だが、都市伝説は確かに『在る』。
俺は聞いた、この学校でいくつもの『都市伝説』が噂されているのを。

(思い出せ、何か……何か無かったか?)

でも、俺は都市伝説が嫌いだ。
俺に、好き好んで『都市伝説』の事を話す奴なんて居ない。
クラスで、部活で、話している奴は居た。
居たが、都市伝説が嫌いな俺はそういう話が耳に入ったら、その部屋から出てしまう。
そんな俺が覚えてるものなど、一つしかない。
225 :嫌いな男 [sage キャーカブッター]:2011/07/26(火) 04:22:50.85 ID:JWuWqKbK0
俺が都市伝説が嫌いではなかった頃、半分いじめのような形で言われた。

都市伝説が、嫌いになった原因。


「『嘘の発見できる嘘発見器』なんて、都市伝説だ……」

バックを開ける。
そこには俺が携帯している、『嘘発見器』があった。

「『これは、嘘が発見できる嘘発見器だ』」

【真実です】

ドクン、と胸が高鳴る。
が、まだだ。まだこの『嘘発見器』が都市伝説だと決まったわけじゃない。

「『この嘘発見器は、都市伝説の嘘発見器ではない』」

【嘘です】

(――っ!!)

この嘘発見器が『都市伝説』の『嘘発見器』ではない。
それが嘘ならば真実は『この嘘発見器は都市伝説の嘘発見器である』ということだ。
この『嘘発見器』が都市伝説。
契約する方法は―――!
226 :嫌いな男 [sage]:2011/07/26(火) 04:23:23.27 ID:JWuWqKbK0

「俺は、この『嘘が発見できる嘘発見器』と契約している!!」

【嘘です】

ため息を吐き、落胆する。

(ダメか、まあそうだよ……なっ!?)

目を擦り、もう一度確認してみる。
表記の『嘘』がスーッ、と薄れて。
だんだんと、『真実』になって行く。

「は……ははは・・・・・・はははははは、クッ、ハッハッハッハ!」

笑いが止まらない。
誤作動?そんなわけがない。
これは『嘘が発見できる嘘発見器』だ。
そんなことがあってたまるものか。

「ハ、ハハ、コレは、訂正しないといけないな」

俺は、『嘘発見器』が好きだ。
この『嘘発見器』は都市伝説だ。
俺は、都市伝説が嫌いだ。
これはおかしいだろう、だから訂正しなければならない。

「俺は!都市伝説がだいっ好きだああ!」

【真実です】

fin?
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 04:25:28.14 ID:JWuWqKbK0
嘘を吐いて嘘だと発見されなかったら真実になるとかそういう感じです
去る
228 :ハリボテ [sage]:2011/07/26(火) 04:26:59.54 ID:jhDHT6WAO
そんな小さな抵抗もむなしくロールケーキは首領の口の中に消えていった
首領「モグごちゃごちゃとモグモグうるさいモグやつだなゴクン」
俺「はぁ…食いながら話すな…そして用事が済んだならお前等はとりあえず帰れよ…食い物が無くなる」
戦闘員「いきなり帰れと言われましても…しょうがないですね…よっと」
俺(む…案外潔かったな、まぁ俺にとっては好都合なんだが)
首領を背負って部屋の窓に手をかけた戦闘員…そういえば最後に首領が変なことを言っていたのを思い出したな。
首領「忘れてたが契約者…お前誰かと『何か』に監視されてるから…気を付けるのだぞ?」
俺「は?」

229 :ハリボテ [sage]:2011/07/26(火) 04:48:52.13 ID:jhDHT6WAO
ーとある事務所ー

コーヒーを片手に青髪でスーツの男が笑いながら呟いた。
青髪「うんうん、なんだか面白くなりそうだ…特に彼の周りは…フフッ」
夕闇にカラスの羽ばたきと鳴き声が響く…モニターには
杉崎祐二が映っている。

230 :ハリボテ [sage]:2011/07/26(火) 04:54:06.46 ID:jhDHT6WAO
ー暗い路地裏ー

血だらけで横たわるピューマにもヒョウにも似た猫のような生物
契約者(中年)「な、何だよ…何なんだよお前ら…嘘だエイリアン・ビッグ・キャットがこんなにも簡単に…」
白雪「この猫さんいきなり消えたり瞬間移動して面白かったのに…残念ですぅ」
??「えー…白雪よぉ、こんなじゃれて小突いたら死んじゃうぐらいの都市伝説じゃ全然面白くねぇよ…退屈だぜ」
???「そういえばアリス、仲良し兄弟と魚ちゃんは?」
アリス「ヘンゼル達はデート…魚は絵柄は人魚姫なんだから水辺じゃない?」
中年「無視をするんじゃねぇ!お、お前らは何なんだよっ!?」
231 :ハリボテ [sage]:2011/07/26(火) 05:03:54.82 ID:jhDHT6WAO
4人「冥土の土産で教えてあげるよ…私(俺)達は六枚で一組、七人で一人…悪夢のメルヘンカルタ」
アリス「言い終わったしそれじゃあ冥土に…逝ってらっしゃいませ」
男の周囲が真っ暗になった…理由は幸運かすぐに分かった。だがもう手遅れだ…何故なら頭上から巨大な足が自分を踏み潰そうとすぐ近くまで迫ってきていたのだから。
路地裏に男の悲鳴…数秒後には果物が潰れたような音が響く…
白雪「次のターゲットは…この子がいいかな…」
路地裏に残されたのは投げ捨てられた杉崎祐二の写真と二つの肉片そして真っ赤な水溜まりだけである。


俺「ヘックシッ…なんか悪寒が」
<続く>
232 :ハリボテ [sage]:2011/07/26(火) 05:16:38.06 ID:jhDHT6WAO
嫌いな男の人乙です…途中トラブル起きて止まってしまい被ってしまってすみません。
能力でさまざまな応用が出来そうですし
嘘発見器面白かったです!


私の話しは今回はバトルはあまり得意ではないのでryさせていただきました…でもきっと次は戦いますそれっぼいの出したし…多分。
さて私も朝日が射し込んできたので溶ける前に去ります。
駄文失礼いたしました。
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/26(火) 08:31:53.67 ID:cWGMiEQa0
ハリボテの人乙です〜
何やら脅威が迫る予感…
しかし首領ちゃんかぁいいなぁ抱きしめたい(

嫌いな男の人乙です〜
嘘発見機か、面白そうだなぁ
契約方法も特殊な感じで好きですね、続きwktk
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/07/26(火) 12:26:54.04 ID:s+ERA4uc0
ハリボテの人と嘘発見器の人乙でした
あれか
挨拶は「メルへーニュ」とかになるのか
アンメルヘンな攻撃は通用しないのか
つまり魔法少女コスの首領様が活躍するのか
嘘発見器は面白そうだな
アイディア次第でこれから色々膨らむ気がする
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 19:22:38.06 ID:837WrBTDO
あの時間にかぶる辺り流石都市伝説スレだww
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 22:31:52.38 ID:zN5osO5SO
普段は人がいなくてかぶらないのにな
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 23:37:54.57 ID:KQr5AhcDO
投下を…
もっと投下を…
238 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/26(火) 23:38:38.47 ID:cWGMiEQa0
もうちょっとで書き終わる・・・前半部分がorz
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 01:22:10.44 ID:o5dfdWl90
前半だけあげようと思ったけど…
こんな時間にあげても前回の二の舞なので力尽きる
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/27(水) 01:43:56.30 ID:TloqBwZDO
自分のペースで投下するのがよろしいかと思われます

で、投下が少ないなら都市伝説談義でもしようじゃないか
テーマは>>241

と投げて寝る
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/07/27(水) 07:44:17.00 ID:Dh3VufsR0
貴方が契約したい都市伝説は?
また自分の心の器やら契約すると力を引き出せそうな都市伝説は?
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 08:23:13.83 ID:o5dfdWl90
>>241
先生、ロリ系都市伝説と契約してにゃんにゃんしたいです(逮捕

「シャドーマン」なら引き出せる気がする
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/27(水) 08:49:17.83 ID:lBZqB4hDO
契約したいのは隙間女で妊娠させて隙間に入れなくしてやりたいのだが
自分はハンターハンターでいうと強化とか放出だからいざ使うとなれば口裂け女やてけてけみたいなシンプルな奴が強いんだろうな
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/27(水) 12:22:55.31 ID:TloqBwZDO
契約したいのは「猫は人語を話す」あたり
能力系統はヒソカ式分析によると操作・特質らしいので、猫集めてハーレム形成したいです

猫を操って攻撃?そんな鬼畜なことできるわけないじゃないですか
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/27(水) 12:26:57.92 ID:6dmgYhPAO
隙間女は笛の人かな…?
ケモノツキの人は予想通りの答えだ(
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/27(水) 12:31:58.30 ID:hMbWMPTl0
日本には未開の地グンマーがある と契約したいです
嘘です
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/27(水) 16:26:36.70 ID:lBZqB4hDO
ばれたか…

とりあえず連載の最新話書いたらグンマーの契約者で単発行ってみる

しかし隙間女の単発はまじで秀逸だったと思うの
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/27(水) 16:53:25.63 ID:E0b9LQGAO
自分はドッペルゲンガーとかの増殖系が楽そうなのですが…
自分の性格から考えて多分デジャヴとか未来予知を使って罠を大量に仕掛けるのが最適ですかね…うーん嫌な奴だな私。
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/27(水) 17:47:59.58 ID:TloqBwZDO
まぁバレバレなわけですが、このスレには私の他にもネコスキーがいると信じてるの
もっと自分に素直になっていいのよ?

「猫は人語を話す」で単発か……
時間があれば書いてみたいんだけどなぁ……
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/07/27(水) 19:27:45.24 ID:cJXlIhB80
時間停止系の都市伝説と契約したいとです、先生
時間が足りねぇ!足りねぇんだよぉおおおおおおお!!!
書きたいネタが多すぎて色々足りない!
あ、スピードアップ系の都市伝説でも構わん、執筆スピードがあがるならっ!!!
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/27(水) 20:18:15.79 ID:TloqBwZDO
都市伝説:「ふと時計を見たら秒針が一秒以上停止していた」
能力:ゼロコンマ数秒だけ時間を止める
制約:連続使用には数分間のインターバルが必要

とりあえず用意してみた
どうしようもなくなったら机で寝るといいよ!
寝てる間に「小人さん」が頑張ってくれるはず!
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga sage]:2011/07/27(水) 23:19:20.41 ID:8thUb6sz0
>>250
書きたいネタ=CWのネタなんだろうか分かりません
253 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/07/27(水) 23:39:47.49 ID:Dh3VufsR0
【不思議少女シルバームーン第七話 第四章「悪夢の色は」】

「いやー壮絶な戦いだったな!まさか組織がこんな辺境の研究所にあそこまで沢山の兵力を動員してこようとは……」
「本当だよ、ジャックちゃんが咄嗟に退却を選択してなかったら皆仲良く核融合されてたよね!」
「戦闘中に復活したサンジェルマンをシンクが止めてなかったらかなり不味いことになっていたな。
 組織のゼロナンバーは皆ある程度自らの力を抑えていると聞いていたが……。
 まさかそれが本当だったとはね。
 まあとにかくよくやってくれたよシンク。」
「いえいえ、サンタさんだってあの能力で大量の黒服を足止めしていたじゃないですか。」
「まあね、無傷とはいかなかったが……」
「ところでジャック意識有るの?」
「駄目だわ、気絶してる。」
「そういえばあのタイミングで縁さんが来てくれなかったら退却できませんでしたよね。」
「ジャックは私が来ることを確信してたからそれも彼の功績よ。
 なんだかんだでリーダーしてるわよね、彼って」

 全員が満身創痍だ。
 俺も、ジャックも、ルルも、全員がかなりの深手を負っている。
 とはいえジャックは縁さんからもらった血液のおかげでもう傷口が全てふさがって治りかけているし、
 俺は言わずもがなの半人半魔の身の上だ。
 目玉がとれても首が折れてもそれほど問題にはならない。
 いや自分で言っていて本当に訳が解らないのだが大丈夫なのだ。
 ルルだって最新型のターミネーターみたいな体しているから大丈夫。
 それよりも心配なのはサンタさんや縁さんやライディーンみたいな普通の人間達だ。
 皆が皆能力を限界まで行使して器が悲鳴を上げている。
 遡ること数時間前、橙さんとジャックが戦闘を開始したところから全ては始まった。
 彼らの戦闘自体は一進一退。
 同じワイヤー使い同士ということもあって肉弾戦大好きな俺としては非常にたるい戦いだった。
 そんな状況が動いたのがそれから数分後。
 サンジェルマンが復活してしまったのだ。
 当然俺が倒しにかかろうと思ったのだが彼は橙さんを置いてすたこらさっさと逃げ出したかと思うと突然大量の黒服を呼び出したのだ。
 元々少数による潜入任務であり、戦闘による制圧はあまり考えていなかった俺たちのチームは一度にピンチになったかに見えた。
 当然俺たち劣勢、超劣勢。
 一人一人は黒服よりずっと強いに決まっているが、
 十倍二十倍の数で来られては元々戦闘要員である俺でも厳しかった。
 どれくらい厳しかったかというとじいちゃんとの修行で谷底に突き落とされて三日間歩いて自宅まで戻った時くらいきつかった。
 ていうか黒服の中に知ってる人居たんだけどわりとガチで殺しに来られた。
 死ぬかと思った。
 冷静に考えるとエーテルさんは俺を埋伏の計に使ってることを組織の他のメンバーには言える訳ないわけで、
 当然俺の扱いは今のところ裏切り者なわけで、
 こういう状況になるのは予想できたんだけど本当に怖かった。
 でも怖くてもなんかテンション上がってくるのな、びっくり、超びっくり。
254 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/07/27(水) 23:40:25.82 ID:Dh3VufsR0
「シンクちゃん一人言多すぎ。」
「俺今なんか喋ってた?」
「心のなかで。」
「いやーん、えっち。」
「安心しなさい、どんな卑猥な妄想をしていても言わないであげるから。」
「お前この状況下でエロいこと考えてたのかよ!」
「私も14,15の時は四六時中妄想にふけっていたものだよ。」
「え、ちょ、それ黙っていたことにならないじゃん!」
「気にしない気にしない。」
「…………ん、ここはどこ?」
「おおジャック起きたか。」
「なんとか全員撤退できたよ。」
「それは良かった……。」
「ちなみに此処は車の中だ。」
「ああ、車無事だったんだ。」
「うん、アジト見えてきたよ。」

 とまあそんなこんなでアジトに到着。
 一応手配していた治癒能力者が俺たちを治そうとするのだが、
 俺は断ってそそくさと自分の部屋に戻った。
 医者はサンジェルマン以外あまり信用出来ないのだ。
 ていうか人間用の薬があんまり効かなかったり毒だったりするし。
 都市伝説による治療だって人間とは勝手が違うんだ。

「さてと……。」

 電子タバコ(無論ニコチンは入ってません)を一服する。
 一昔前までは煙草が格好いい男の象徴だったのだと親父は言っていた。
 あの時、俺は今はどうなのだと聞いた。
 親父は悲しそうな眼をして首を横に振ったのを覚えている。
 
「って、なんで俺は好きでもない父親のことを考えているんだ。」

 嫌いだからか?
 まあ良い、嫌な奴のことを考えるのに自分の時間を使うなんてアホみたいだ。
 それよりも俺が今考えるべきことは……
 自分の引き出しの中からジャックに渡された指令書を取り出す。
 そして何時も持ち歩いているエメラルド・タブレットと呼ばれるパソコンの画面とにらめっこする。
 俺が任されているのは英国方面への空挺作戦だ。
 問題は俺がパラシュートとかまったく使ったこと無いことなのだが、
 そこらへんはジャックが手配する兵士が全部なんとかしてくれるのでまったく問題ないとのこと。
 俺も高度100mくらいからなら問題なく飛び降りられるしそれは良いだろう。

「しかしまあ……。」

 どのタイミングで裏切ればいいのだろうか。
 エーテルさんには「とりあえず一般人に損害が出る前になんとかしろ」
 というあの人らしからぬ割とゆるふわな指示しか受けてないし、
 いやゆるふわなんて言ったけど怪しまれない為に俺がこっちに移動してからはまったく連絡を受けてないので動きようがないのだ。
 「いざとなったら絶対に解るタイミングで絶対に邪魔されない絶対に解る指示を出す」と言っていたから心配はしてないのだが。
255 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/07/27(水) 23:40:51.21 ID:Dh3VufsR0
「明尊ちゃん居るぅ?居るね、何時ものいちごの香りがするし。」
「……って、またお前か。」
「いやほら、明尊ちゃんにどうしても話したいことが有ってさ。」
「お前の体のことか。」
「うん、誰にも言わないでね?」
「そんなこと気にするなよ。
 そもそも俺もお前に色々秘密にしてもらっているしな、お互い様だろう。
 俺の抱えている秘密に比べてお前のはバレてもきっと大丈夫なレベルだし。」
「でも嫌なの、自分が変わったことを認めちゃったらさ、自分の周囲も変わらざるを得なくなる。
 今までの自分の居場所が本当に無くなっちゃう。」

 俺はルルに抱きついて彼女を押し倒すような姿勢のまま、彼女の耳元でそっと囁く。
 ルルの心拍数が爆発的に上がっているがこの際気にしてはいけない。
 ここは敵の本拠地だ、こうでもしないと誰が見ているかわからない。
 俺の都市伝説としての能力で電子機器は操作できるから盗聴と盗撮は完璧に対処できるし、
 結界も張って都市伝説対策はしているから探知系の都市伝説でも中は見れないし俺の許可無しで部屋には入れない。
 しかしながらアナログな監視や聞き耳やらにはこうでもしないと対応できないのだ。

「どのみち無くなるぜ。ジャックの作戦なんて失敗するに決まってる。」
「うーん、……明尊ちゃんはジャックの狙いが本当にネバーランドの建国だと思ってる?」
「どういうことだ?」
「世界に仕掛ける戦争なんてジャックの目的じゃないよ。
 それとは別に彼にはもうひとつ狙いが有る。
 そしてそれが成功しちゃえばどのみち私の居場所は無くなるよ。」
「……どういうことだ。」
「私にも詳しくはわかんな……」

 コンコンと俺の部屋の扉がなる。

「二人とも居る?治癒を受けてなかったから体が大丈夫か気になって来たんだけど。」

 ジャックだ。
 俺の耳に足音が入ってこなかった辺りからして足音を殺してきたか。$
 今の会話は聞かれていただろうか?

「居るけど全力で御取り込み中だ。俺はお取り込まれてる側だけど。
 そうだ、赤飯の準備でもしておいてくれ。」
「あ、……なんかごめん。」

 帰っていった。
 ルルがハァ!?みたいな顔してこっち見てるが気にしない。
256 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/07/27(水) 23:41:19.71 ID:Dh3VufsR0
「な、なに言ってるのさ!」
「声がでかいぞ。」
「あ、ご、ごめん……。」
「それで、ヤツの本当の狙いってのはなんなんだ?」
「どうも……日食が絡んでるってことしか……。」
「日食?」
「太陽が月によって打ち破られる時こそ吸血鬼である僕の力は最高になる。
 と言っていたからたぶんその高まった力で何かしたいんだろうけど……。」
「ふむ……。さっぱり分からないな。
 普通に考えたらその状態の力を利用して敵と戦うんだろうが……。 
 まあその地域に立てこもって眷属増やして戦闘を有利に運ぶんじゃないかなあ。」
「それだけだったら良いけど……。」
「まああれだ、とりあえずこれから作戦決行までの間、お前は絶対俺から離れるなよ。
 逆もまたしかりだが一人でいるところで何かあったら打つ手が無くなる。」
「私だけだと予知しても荒事に向いてないし、明尊ちゃんは不意討ちに弱いしね。」
「まあな。常に固まっていれば手出しもすまい。」
「そうだね。」
「しかしこの戦争が終わったらお前はどうするんだ?」
「うーん……あの変な研究者のところに行ってみようかな。」
「やめておけ、腕は世界一だが変態だ。」
「変態でも親らしきものだからねぇ……。」
「そんなに親というものに興味が有るのか?」
「あるさ……そりゃあ有るに決まってる。」
「そっか…………。」
「ねえ教えて、両親ってどんなものなの?」

 聞かれて答えに詰まる。
 俺にとっての両親?
 今まで考えたことがなかった。
 なにも言えないままで居るとルルがポツリと

「幸せなんだね」

 と呟いた。
257 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/07/27(水) 23:43:58.01 ID:Dh3VufsR0
「明尊ちゃん。」
「なんだ?」
「あたしのしていること間違ってないよね?ジャックが間違っているんだよね?
 すごく不安で眠れないの、震えが止まらないの、このままここで寝て良い?
 私が眠るまでこうしてここでずっとそうしていて。
 私が作り物だってことを忘れるくらい優しくして。
 お願いもう私には過去も未来も無いの……。」

 やっぱり、彼女は知っているんだ。
 彼女はジャックの計画の全容を知っていて、あえて俺に言っていないんじゃないだろうか。
 言えば俺の振る舞いからジャックが勘付くから、そうなったら俺たちの身が危ないから、
 “真相に迫っているが大事な所を間違っている”状態の振りをしているのか?
 
「未来がないなんてことはないさ。
 俺がお前の未来になってやるんだから。」
「ありがとう、好きだよ。」

 俺の裏切りを知っていてジャックは手元に置いている。
 その理由は?
 俺を人質にしてあいつの動きをわずかにでも封じる為?
 確かに戦いあうつもりではあるがそんなことをして何になるのだ。
 作戦の邪魔になる可能性の方が高い。
 いや待てよ、でも世界への戦争がダミーなのだとしたら……
 そこまで大規模な陽動をかけて何をする気なのだ?
 一分一秒でも時間を稼いで、成功さえすれば勝利が確定するようなもの。
 思考の歯車がカチカチと噛み合う。
 待てよ、つまり……!

「駄目、それ以上は駄目。」
「……解った。」
「今は忘れて、ジャックは恐ろしく勘が鋭いから、気づいちゃえば表情読まれてアウト。
 なにも考えないで、絶対に気づかないで、何かあっても忘れて。」

 となると、結局全ては当日の流れ任せか。
 大規模な戦争で組織が動けないとなると頼みの綱はフリーの契約者達。
 腹は立つが、学校町に戦場を限定すれば霙やあの魔法少女も十分な戦力だ。
 あいつらがそこそこに仕上がっていれば俺も心配しないで自分の仕事ができるのだが……
 ―――――まあいいや
 
 おれは少し眼を閉じてルルと抱き合ったまま眠ることにした。
 ちょっと暖かくて春先のまだ寒い季節には丁度良いのだ。


【不思議少女シルバームーン第七話 第四章「悪夢の色は」】
258 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/07/27(水) 23:55:16.40 ID:Dh3VufsR0
という訳で混迷を極めている状況
明尊の頭なら本気で考えればジャックの狙いに気づく
でも気づけば殺されかねない
だから考えない
ジャックとしては彼には自分の狙いに気づかないで明尊に大戦争の邪魔だけしていてほしい
でも明尊の行動ってルルとイチャイチャくらいしか無いから「実は本気で裏切ったのかなこいつ……」と迷っちゃうジャック
ルルは真相に気づいていてジャックが怖くてなにも言えない
少なくとも明尊のそばにいれば暴力で消されることはほぼ無いから彼の側でジャックの真の狙いの失敗と子供の国を作ることの両立のチャンスを狙う
自分を作った親が憎いから子供の国を作りたい、その一方で親の温もりも求めているルル
サンジェルマンは明尊がガチで裏切ったと思わせるためにわざわざ量産型黒服を使って無茶な戦闘を行いつつ会議ではエーテルに対して「裏切り者は即座に始末すべきだ!」と言うとか芝居打ってる
エーテルはきっと一発で気づいて「少し時間をくれ」とか上手く合わせて慌てている振りをしている
上田は霙の件で明尊に対してマジギレしていて茜さんは面倒を回避する為に身を隠しているって演技の真っ最中


明尊やシルバームーンの視点だと絶対に表にでない権謀術数です
そしてこれは基本的に上の二人の物語なのでお話では一切描写されません
259 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/07/27(水) 23:56:23.84 ID:Dh3VufsR0
※でも最終的には全部殴り合いで片が付きます
260 :画竜点睛  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/28(木) 00:37:56.73 ID:fiPAxL8v0
「ん〜、結構集まった感じが致しますわね」

R-No.0――ローゼさんが赤い髪を揺らしながら部屋の中を見渡している
部屋にいるのはオレとローゼさんを含めて、
緑色の髪の少女、金髪の少女、そして白髪の少女の、たった5人しかいなかったが、
それでもオレがこの部屋に初めて入った時に比べれば幾分賑やかな雰囲気だ
とは言え、室内はかなり静かなものだった・・・金髪の少女のアクセサリーがじゃらじゃらと音を立てているのを除けばだが
いや、それ以前に、

「ねぇアンタも勧誘されたワケ? マジ凄いかも、ってゆーかチョー男らしいってカンジー?」
「・・・・・・」

現在進行形で隣から話しかけられてて正直かなりうるさい

「えっと、ここにいる皆さんはワタクシを含めて、上位ナンバーと仰る幹部のようなもの、でしたわよね?
  何人揃うのだったかしら?」
「あぁ、それは―――」
「イクトミと名乗る都市伝説によれば、No.0からNo.10までの計11人らしいです
  今はそちらを中心に勧誘しているそうですが、この進行具合だと、「組織」成立はまだかかりそうですね」

オレが答えようとした瞬間に、先に緑色の髪の少女が説明してくれた
見た目で判断すればオレより年下だが、話口調から判断すると相当生きていそうだ

「あら、そうでしたの? えっと、貴方は・・・」
「申し遅れました。コードネームR-No.1、人間の名前は六条 蓮華と申します」
「あ、ワタクシはR-No.0、ローゼ・ラインハルトですの・・・あぁそうですわ
  この際ですし、自己紹介でもなさらない?」

まぁ、確かに何もすることはないし、得策と言えば得策か・・・
と思った直後に、白髪の少女が立ち上がり、すたすたとドアに向かって歩きだした
良く見れば外見に不相応な大きさの胸だが、もしかして背が小さいだけで子供じゃないのか?

「あら? どうかなさったの?えっと」
「R-No.4、レクイエム・リッケンバッカー。それ以外に貴様等と話す必要などない」

そう言い残し、彼女は勢い良くドアを開け、乱暴に閉めて退出した

「あらあら;」
「何よアイツ、マジムカつくってゆーかヤなカンジ!!」
「急な環境の変化に戸惑っているのでしょう・・・そっとしておいた方が宜しいかと」
「それが一番だな・・・っと、自己紹介はした方が良いのか? オレは」
「ストップ!No.1の次はNo.2だっつーの! アタシはR-No.2、ロール・レインウォーター、マジヨロシクぅ♪」
「・・・R-No.3、栄 日天だ、宜しく」

まだ、5人しかいないが
まだ、男が全然見当たらないが
オレの「組織」としての――結成はしていないが――人生が、今、幕を開けt

「さて、私もそろそろ」
「へ? 自己紹介なさらないの?」
「さっき名乗ったでしょう?
  それ以外に紹介する事なんて・・・あぁ、契約していた都市伝説は「種を飲み込むと体から植物が生えてくる」ですが」
「えぇ〜、何というか、もっと女の子らしい話とかして盛り上がったりしませんこと?」
「いえ、それより他のナンバーの状況を確認したいので
  それに、その手の話だと、男性であるR-No.3が孤立しはしませんか?」

成程、この人がNo.1である理由がはっきり分かった
逆に何故ローゼさんがNo.0なのか理解できない

「ということですので、では」

R-No.1――蓮華さんは早々に部屋から出ていった

「あぁんお待ちになってぇ!」
「そんなに話がしたかったのか・・・さて、オレはどうするk」
「アンタ日天だったっけ? 探検行くから付き合えってマジで」
「ハァ!? 何でオレが」
「いーじゃんいーじゃん!レッツゴーキャッホー♪」

オレはR-No.2――ロールに腕を引っ張られ、部屋を後にした
ドアの中から微かに聞こえたすすり泣く様な声が、耳と心に深く突き刺さった気がした
261 :画竜点睛  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/28(木) 00:39:01.20 ID:fiPAxL8v0
    †    †    †    †    †    †    †


「お、おい、何処まで行くんだ?」
「別にどこでもいーじゃん、ってゆーかお腹空いたカンジ?」
「いや、オレは平気だが・・・」
「アタシは空いたから食べに行こーマジで♪」

あぁ、何て自由奔放なんだ
何でこんな奴をスカウトしたのか俺にはさっぱり分からない
それに、オレのいるR-No.は今のところ、勧誘している奴がロリコンなんじゃないかと疑いたくなるくらい少女の姿をした女性が多い
“姿をした”というのは、オレ達がそもそも“人間をやめた存在”だからだ
都市伝説と契約した瞬間や、都市伝説の力が暴走した瞬間、人間の契約の器の許容量を超え、人間は都市伝説に“飲まれ”てしまう
その時、運良く人間の姿で保てたのが、オレ達のような存在らしい
 ・・・という話を聞いたのだが、オレには良く分からなかった
どうやら詳しくは分かっていないらしく、そういう事もこの「組織」で研究していくようではあるが

「もしもーし、日天ー?」
「ん、あぁすまない、考え事をしていた」

と話している間に、オレ達は真新しい食堂らしき場所で食事を摂っていた
勧誘は進んでいるのか否か、ぽつりぽつりと客が見える

「飯食いながら考え事とかマジありえない、っつーか・・・食いすぎじゃね?」
「そうか?」

このチョコレートサンデーはまだ10杯目なんだが・・・
まだショートケーキ1ホールもあるし

「さっきお腹空いてないっつってたじゃんマジで」
「仕方ないだろ、急に小腹が空いたんだ」
「小腹って・・・甘いもんとか好きなワケ?」
「ん・・・そうだな、どちらかと言えば」
「てゆーかアンタチャイニーズじゃねーの? フツーチャイニーズってチョー辛いの食べてるカンジじゃね?」
「食べられない事はないが、オレはやはりこういう物を好んで食べているな」
「ふーん、変なの」

オレからすれば、さっきからアクセサリーをじゃらじゃらと鳴らしながら只管レモネードを飲んでるこいつの方が変だが
「組織」というものはこういうクセのある連中を集めて構成するつもりなのだろうか

「ってゆーか、日天は人間の頃の記憶ってあるワケ?」
「・・・どうした、急に」
「アタシさ・・・マジで記憶がないのよね」

急に神妙な顔つきになり、彼女は語り始めた

「パパやママの事とか、友達の事とか、そんなの全部忘れちゃって
  覚えてたのは自分の名前と、レモネードが好きって事だけ
  マジ笑っちゃうよね、自分の事なのに、何にも分かんないなんてさ」

さっきまで軽い雰囲気で積極的に話しかけてきた少女が、今はどうだ
すぐに消えてしまいそうな寂しい目で俯いて、消極的な話を切り出してきた
都市伝説と契約し飲まれると、記憶に何らかの影響があるらしい
人間だった頃の記憶の一部、もしくは全てが、何もなかったかのように脳から消え去ってしまう
実を言うと、オレもそうだ
自分がどんな生活を送っていたのか、全く記憶に残っていない
今はもう慣れたが、慣れるまでは苦痛だった
彼女の言う通り、自分の事なのに分からないというのは、何と言えば良いのだろう、考えるだけで頭が痛くなる
その苦しみを言っているが故になのか、オレは彼女に何も言ってあげられなかった
だが、彼女は強かった
262 :画竜点睛  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/28(木) 00:39:30.71 ID:fiPAxL8v0
「だからさ、アタシ「組織」に誘われて決めたんだ
  昔の記憶がないなら、ここで新しく作っちゃおって
  日天達といっぱい遊んだり喋ったら、チョー未来じゃそれは“アタシの思い出”になるじゃん?
  それってマジサイコーじゃね?」

今、オレは初めて理解した
「組織」が求めているのはきっと“これ”なんだ
過去に振り回されず、過去を追い求め過ぎず、真っ直ぐ未来(マエ)に向かって歩いていく力や、心
そんな強い意志を探しているんだと、オレは思った

「・・・あぁ、最高だな」

心の底から、オレは彼女に賛同した
ロールの見せたその笑顔は、とても明るく眩しい、元気な表情だった
 ・・・ま、待て、誤解するな、オレは決して彼女に惚れている訳ではなくt

「んじゃ、またまた探検にレッツゴーってカンジぃ♪」
「なっ、まだ行くのか!?」
「ここ結構広いじゃん? まだまだ行ってない所あるんじゃねマジで」

しかし鬱陶しい話し方だ
世界中の女がこんな口調になったらきっと世界は終わる

「というか、オレはまだショートケーキを食べてないぞ」
「つべこべ言ってないでさっさと来いっつーの―――――」

と、彼女がテーブルに触れた瞬間だった
ばちっ!という音と、「ひんっ!?」という情けない声が響いた
恐らく、いや絶対静電気だろう。そして、被害者は目の前の少女だ
だが様子がおかしい

「お、おい、大丈夫か?」

ロールはそのまま凍ってしまっかのように動かなくなった
静電気が痛かったとでも言うのだろうか?
女の気持ちはよく分からないが、まず彼女の表情を伺う事にした

「静電気が痛いのは一瞬だけだ、何の害もないから―――――ッ!?」

違う、痛がってたんじゃない、泣いてなんかいない
笑っていた

「キャッハァ♪ 今の静電気チョーサイコぉ♪ ビリリってきたぁ♪」
「・・・は?」
「んーでもイマイチ物足りないカンジぃ・・・あ、ねぇ日天?」
「え、な、何だ?」
「アタシを思いっきりぶん殴って♪」
「ハァ!? い、意味が分からん、どういうつもりだ!?」
「蹴っても良いからマジお願い! 痛いのとか沁みるのとかビリッてきたりバチッてくるのがチョー気持ち良いのよマジで!
  だから、ね? メチャクチャになるまで痛めつけて!!」
「っちょ、バカ、声がデカい・・・」

オレは目で助けを求めた
ダメだ、もう皆離れてしまっている

「ねぇ日天ー、痛い事してよー♪」
「誰か助けてくれえええええええええええええええええ!?」

先刻の発言の内幾つかを破棄したい
早くも先が思いやられそうだ

   ...続く
263 :  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/28(木) 00:43:35.37 ID:fiPAxL8v0
スルー覚悟でアゲ
明日は単発書こうか海の話書こうか・・・

笛の人乙です〜
ルルちゃんかぁいいマジ食べたい(
そういや上田なら機械でも問題なく妊娠させられるんだろうなぁwww
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/28(木) 08:35:21.98 ID:02+2eRgDO
影男の人乙でした
組織の初期の話か
飲まれる前のことを克明に覚えているのって何人くらい居るのかね
265 :シャドーマンの契約者@携帯 [sage]:2011/07/28(木) 12:34:53.37 ID:p2LbTVtAO
一応、うちのローゼは殆どはっきり覚えてる感じ
レクイエムは大体覚えてるけど所々抜けがある
残りは完全に喪失

ついでに次回予告
寂しさ晴らしにシュールストレミングを買いにフランスへ出向いたローゼ様
そこで「ショゴス」を従えた契約者に遭遇する
創作上の怪物が何故…? 疑問を抱えながら、ローゼは「組織」として契約者を止めに入った
って話を書いてくれ4時間後の俺(
266 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/07/28(木) 20:39:30.66 ID:FokDStvh0
>>258
笛の人乙でした〜
ほむほむ……さまざまな思惑が絡み合っていて
続きが気になる引きだ……
>>259
ちょwwwwww結局最後はそれかwwwwww
>>265
シャドーマンの人乙でした〜
ロールちゃん強いなあ……
前向きな所が素敵です。
267 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/28(木) 21:02:23.75 ID:fiPAxL8v0
>>266
>前向きな所が素敵です。
聞いて下せえ旦那ァ
あれ、実は書いてる途中に「えらく早く書き終わった・・・なんか書き足そうかな」ってなった結果でして(ぁ
268 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/07/28(木) 21:38:04.59 ID:FokDStvh0
>>267
ちょwwwwwwでもGJです。
269 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/07/28(木) 22:15:23.31 ID:VdCEJfr10
【単発:グンマー】
「やっと追い詰めたぜ、F-No.23!
 ……いいや、元F-No.23と言うべきか。
 ここがお前の年貢の納め時ってやつだ!」
「この町の平和を乱す者は容赦しないんだから!」
「そういうことだ。」
「さあ!」
「お前の罪を数えろ!」

 青年と少女が一人の長身の男の前に立ちふさがる。
 二人はこの街を守る二人一組の探偵。
 彼らは依頼を受けて組織を裏切って抜けだした黒服を追跡していた。

「お前の罪を数えろ……か。
 良い台詞だ 感動的だな だが無意味だ。
 なぜならいまさら数えきれないのだから。」
「ふざけたこと言いやがって!」

 青年は人間とは思えない跳躍力でビルの谷間を飛び回り、男の死角から飛び蹴りを放つ。
 男はそれを紙一重で躱しながらカウンター気味に拳打を叩き込む。
 骨の砕ける時に鳴る乾いた音がビルの谷間でこだました。

「ぐおわあああああああああ!?」

 拳を抑えて悶絶したのは男だった。

「説明しよう!日賀充は改造にんげ……」
「あー解説は良い、それより相棒、何時ものあれを頼む。」
「任せて!」

           ,、_________
         //<.,,_,,.>-t
        //    ・・ツ^|‐-、   
    ==fニニニニP===━_/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄__l~|
   {]ニ{ヽi!~i!~i!~l~〕~(_))~( ̄l~ ̄l ̄ ̄=l|          
   ~`' ̄ ̄~~ (_))~ ふ-‐ソフー--=ll 
        //     | | 〈i!i!/    
        // Λ_Λ | |   ~
       | |( ´Д` // <充、何時ものポロリ温泉伝統製品初の
        \      |  支援型モルスァ試合専用ガンよ!
          |   /
         /   /
     __  |   | __
     \   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   \
     ||\          \
     ||\|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
     ||  || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
270 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/07/28(木) 22:16:19.65 ID:VdCEJfr10
 少女が天高く手を伸ばすと光りに包まれて天から一丁の巨大な銃器が降りてくる。
 この銃器の名はポロリ温泉伝統製品初の支援型モルスァ試合専用ガン。
 それはこの世界の中でも最も古き神々によって作られた幻の神造宝具であり、
 物品系都市伝説最強の攻撃翌力を持った“断世の流星”と呼ばれる逸品だ。
 それを何故この一見普通の人間にしか見えないこの少女が使えるのかはまた別の話である。

「これを使って!」
「おう!」
 
 少女がパスしたポロリ温泉伝統製品初の支援型モルスァ試合専用ガンをキャッチするとすかさず男に向けて構える。
 
「そ、それは!」
「その通り!ポロリ温泉伝統製品初の支援型モルスァ試合専用ガンだ!」
「バカな!まさかそれが本当に存在していたとは……。」
「これでとどめだ!」
「ならば私も本気を出させてもらおうか……。」
「なにっ!?」
「混沌の檻、虚空裂く深淵、神々の黎明により存する幻想の聖域。
 現れ出でるが良い我が内に眠る666の悪魔と999の天使。
 繚乱し顕現し大地を満たせ、神の業、混沌の業、終焉の業、開闢の業、
 幻想結界“グンマー”!」

 一瞬のうちの出来事だった。
 男の詠唱と同時に世界が暗転し、崩壊を始める。
 いつの間にかビルの谷間だった彼らの戦場は、無数の石槍と巨大生物が闊歩する異様な空間になっていた。
 
「これは……異天空間を形成するタイプの都市伝説!?」
「くそっ!これでも喰らえ!」

 ポロリ温泉伝統製品初の支援型モルスァ試合専用ガンを男に向けて投げつける青年。
 だが男の目の前でポロリ温泉伝統製品初の支援型モルスァ試合専用ガンは大量の石槍によって地面にたたき落とされる。
271 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/07/28(木) 22:17:12.91 ID:VdCEJfr10
「なにっ!?」
「う、嘘でしょ!?威力だけならば反応弾と変わらないのに!」
「何が嘘なものか。
 これが私の本来の都市伝説“グンマー”の力だよ。
 この世界ではたとえ核ミサイルであろうが投げ槍で打ち落とされる。」
「なんだと……?」
「そして……この世界では力こそが全て。
 この世界でならば私も全ての力を発揮できるよ!」

 男は自らの着ていた服を脱ぎ捨てて上半身裸となる。
 
「ふううううううううううううううううううおおおおおおおおおおおおお!」

 叫び声と共に男の筋肉は隆起し、人間の物とは思えない厚みを持ち始める。

「ば、馬鹿な!?」
「我が名はロムウェル・ウンババ・グンマー!
 名高きグンマー人の末裔にしてグンマーの力を継承する者!
 この世界を全てグンマーにする為に組織を離れたのだ!
 これ以上邪魔翌立てするならば容赦はせん!」
「負けるかあ!」

 ポロリ温泉伝統製品初の支援型モルスァ試合専用ガンをもう一挺渡された青年はそれで男に殴りかかる。
 だがしかし男は近くに突き刺さっていた石槍を引き抜いてそれを受け止める。

「駄目よ充!投げないとポロリ温泉伝統製品初の支援型モルスァ試合専用ガンの真価は発揮されない!」
「解ってるぜ相棒!解ってるんだが!」
「貴様の行動は封じさせて貰うぞ!」
「投げる隙が見つからねえ!こうなったら無理矢理にでも!」
「隙有り!これでトドメだ!」
「ぐわああああああああああああああ!」
「充!」

 一瞬の隙を突かれた青年の肩に深々と石槍が突き刺さる。

「ふん、その程度か……。」
「くそっ……。」
「今は見逃してやる、貴様は世界グンマー化計画の手駒にするのに相応しい。」
「なんだと!?」
「ではさらばだ!」

 異天空間が解除され、後には二人の探偵だけが残される。

「くっくっく……誰にも俺は止められん。
 強さこそ正義、それがグンマーの民唯一の掟。
 世界をグンマーとし、弱肉強食の世界にするまでは俺は戦い続けよう……。」

 ビルの谷間にロムウェルの声が何時までも谺していた。
【単発:グンマー おしまい】
272 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/07/28(木) 22:31:46.85 ID:FokDStvh0
グンマーwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
腹抱えてワロタwwwwwwさすが人形ロボやモヒカンが闊歩し
魔女や魔法少女が日夜死闘を繰り広げる魔境wwwwww
モルスァガンwwwwww
程よい厨ニ病とシュールな都市伝説が加わって腹筋が壊れるwwwwww
273 :はないちもんめ ◆YdAUTYI0AY [sage]:2011/07/28(木) 22:42:08.56 ID:bSftgrin0
おい・・・オイッ!
これはヤヴァイな・・・グンマー強すぎんだろ・・・
後、充君達のポロリ温泉伝統製品初の支援型モルスァ試合専用ガンは略せないのね
ってか、充君が上田の弟子にしては真っ当すぎるwwwwwwwwwww
274 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/07/28(木) 22:50:15.36 ID:VdCEJfr10
いやあ……単発だから意味もなく強くしてしまった
あの二人はやられやくに丁度良かったので起用

ひたすらシュール路線で笑いをとりに行ってみた
275 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/28(木) 23:09:52.94 ID:fiPAxL8v0
グンマーマジで書いたのか乙wwww
しかも強いwwwwユートピアドーパントはグンマーに決定だな(ぁ
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/29(金) 03:00:40.24 ID:mLrMJ2Va0
ポロリ温泉伝統製品初の支援型モルスァ試合専用ガンマジワロスwwww
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/29(金) 08:18:43.15 ID:mv95RpWDO
>>246
満足していただけたでしょうか
とてつもないインスピレーションをくれたあなた様に最大級の感謝を捧げたいと思います
278 :ソニータイマー [sage saga]:2011/07/30(土) 00:07:18.90 ID:HK+aPNyo0
笛の人乙でっす!
『未開の地グンマー』か…じゃあ僕は『まど☆マギの見滝原市のモデルは群馬県』でも書こうかな…
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/30(土) 09:10:19.83 ID:uHng+JaDO
あの魔法少女たちもまたグンマーの民の末裔なのです…
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/30(土) 09:51:51.45 ID:TRlkKlmDO
「ボクと契約して未開の地を開拓しようよ!」

全群馬県民に土下座
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/30(土) 11:24:01.80 ID:6m5bO9Uf0

      \       ヽ           |        /        /
          \      ヽ               /      /
‐、、      別 に 殺 伐 と し て な い ス レ に 鳥 取 県 が ! !      _,,−''
  `−、、                  __/\            _,,−''
      `−、、              _|    `〜┐         _,,−''
                      _ノ       ∫
                  _,.〜’        /    _/\/\/\/|_  
───────‐     ,「~             ノ      \ グンマァァァァァ   /
               ,/              ` ̄7   <    ァァァァァァァ!!!>
                |     島 根 県     /     ̄|/\/\/\/
           _,,−'   ~`⌒^7            /    `−、、
        _,,−''            丿            \,      `−、、
 ,'´\           /  _7       /`⌒ーへ_,._⊃         /`i
 !   \       _,,-┐    \    _,.,ノ          r‐-、、      /   !
 ゙、   `ー--<´   /      L. ,〜’             ゙、  >−一'′   ,'
  y'  U      `ヽ/     /            ヽ      ヽ '´     U   イ
                                ____
         /      __        |       \____\
    ___/__ / ̄    ____|____ \ \____\
       //ヽ   /___         /|\       \ \____\
     / / ヽ  / /__     /  |  \       \_______
   /  /   / /   /     /    |    \          |    \
  /   /  / /  _/   __/      |      \__      |     \  ̄―_

282 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/30(土) 11:46:05.23 ID:SfReDF8u0
なんか侵食されとるwwwwwww
283 :ソニータイマー [sage saga]:2011/07/30(土) 13:03:38.96 ID:HK+aPNyo0
そういえば聖地ニーガタ(グンマーの奥にあるといわれる)、水中都市シーガ、海底都市SAGAってのも有ったな…
あと『島根にはパソコンがない』ってネットロアの天敵じゃない?
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/30(土) 13:30:11.84 ID:b+ST3cTdo
どうやら間違って群馬スレに迷い込んでしまったらしい……ま、町は、人工物はどこだッ!?

と冗談は置いていて皆様投下乙ですー

>俺はお取り込まれてる側だけど
明尊君wwww
ベストだけど!あの状況じゃ最善の対応だとは思うけれどwwwwww
ルルちゃんがこの先どう動くのか気になるところ

ロールちゃん重てぇ……ち、違う!そういう意味じゃn(雷撃を喰らいました)
「覚えてる」って言ってもそれが本当の記憶であるという証拠はどこにもなく、全ては「組織」の都合のいいように改ざn……これ以上言ったら消されるな
過去が幸せであることを祈ります
285 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/30(土) 13:35:16.51 ID:SfReDF8u0
>>283
俺は敢えて「忘れ去られた都道府県W」を進める
ラーメンズの47都道府県ネタで唯一スルーされた県なんて・・・

>>284
>過去が幸せであることを祈ります
あの展開が突発的なものだったので、過去の詳細は考えてません♪(
ただ、彼女はかなりドMなので・・・と考えると切なくなるからもうやめよう
ロリを虐める奴は許さない!
286 :はないちもんめ ◆YdAUTYI0AY [sage]:2011/07/30(土) 13:35:30.35 ID:6m5bO9Uf0
>あと『島根にはパソコンがない』ってネットロアの天敵じゃない?
島根にはパソコンがないと聞くとどうしてもウォーゲームが出てくるんだよなぁ
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/30(土) 20:17:21.24 ID:uHng+JaDO
酷いグンマースレだ
こうなったのは誰のせいだ!!
俺のせいだ!!
作業中にゴットゥーザ様に土下座させられる妄想してたら大変な目に遭ったよ
288 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/07/30(土) 23:04:48.87 ID:QFngU2S/0
何故だ
何故誰もいない
289 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/30(土) 23:19:28.74 ID:SfReDF8u0
なら俺が急いで単発を仕上げれば・・・
290 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/31(日) 01:06:34.34 ID:tn/M4bkX0
無理でしたorz
力尽きるおやすみ
291 :忠犬白墨 ◇代理 [sage]:2011/07/31(日) 08:37:06.28 ID:Z3ecEoDZ0
 我輩は犬である。名前は白墨。
 今はご主人と散歩に興じている最中である。

「あ、みてみて白ちゃん。ちょうちょだよー。」

 ご主人よ、そちらは車道だ。
 散歩ひもを咥え、蝶を追おうとするご主人を引き止める。
 蝶が飛んでいって残念そうな顔を浮かべるこの少女が我輩のご主人だ。
 ご主人はどこか抜けている……言葉を選ばなければ、頭が足りていない。
 これで我輩と同じ16年を生きているというのだから、にわかには信じがたい。
 もっとも我輩は拾われた身ゆえ、正確な年齢ではないのだが。

 ともすれば道行く猫にでもついていこうとするご主人を引き止めつつ、我輩とご主人は公園にたどり着いた。
 ご主人はあたりを見回すと何かを見つけ、我輩を連れてそちらに駆け寄る。
 そうして向かった先には長いすがあった。
 なるほど、今日はここでのんびりと過ごそうというわけか。偶にはそのような趣向も――――

「すぐ戻るから、ちょっとここで待っててねー。」

 そう言うとご主人は散歩ひもを長いすに結びつけ、公園の厠に入っていった。
 他の犬の話を聞く限り、そういう行為は散歩前に済ませておくものだと認識しているのだが……やはりご主人はどこか抜けている。
 半ば呆れてため息を吐く。ふと、我輩の鼻がある”匂い”をとらえた。
 この”匂い”、近くに何かがいるな。ご主人が巻き込まれる前に追い払うか。
 ご主人が戻らないことを確認して首輪を前足で何度か引っかくと、するりと首輪が外れ落ちた。
 首輪を外すのにもすっかり慣れたものだ。……さて、ご主人が戻る前に片を付けてしまおう。
292 :忠犬白墨 ◇代理 :2011/07/31(日) 08:37:57.09 ID:Z3ecEoDZ0
    ・
    ・
    ・


 公園から出て少し走ると、先ほどの”匂い”の元らしき男が居た。
 後ろ手に注射器を持ったその男に背後から駆け寄る。
 男が我輩に気付いて振り返るが、我輩は既に男の手目掛けて飛び掛っていた。

「ぎゃああああああああああああ!!?」

 我輩の牙が右手四指を噛み千切り、男は何が起こったのかわからない様子で右手を押さえている。
 口腔内の指を吐き捨て、再び男に飛び掛って左手に喰らいつく。
 男は我輩を振り払うが、振り払ったその左手からは三指が消えていた。
 左右合わせて七指を奪われた男は、苦悶の表情を浮かべつつ我輩を睨みつけている。

「な、何だ……お、俺の指が……ッ!」
『その手では得物は握れまい。咽笛噛み切られたくなくば、早々に立ち去るがよい。』
「ぐうぅ……貴様、次に会ったら命は無いものと思え!」

 そう言い放つと男はきびすを返して走り去っていった。
 ご主人などの人間とは違い、あのような存在には言葉が通じるので楽でいい。
 我輩の友曰く、我輩は「ちょーきんぐどーべるまん」なるものと存在を一にしているらしい。
 実のところよく理解していないが、ご主人の身を守ることが出来るのならば、そのような些細なことはどうでもよいのだ。
 ……そうだ、ご主人の元へ早く戻らねば。我輩を探して妙なことをされては困る。

「白ちゃーーん!どこいったのーー!」

 そう考えた途端、先ほどの公園の方からご主人の声が聞こえてきた。
 間に合わなかったことに無念を覚えながら、我輩は公園へと急いだ。


293 :忠犬白墨 ◇代理 :2011/07/31(日) 08:38:56.27 ID:Z3ecEoDZ0
    ・
    ・
    ・


「しーーろーーちゃーーーん!!でておいでーーー!!」

 公園内にある、格子が折り重なってできた塔の最上部。そこで、ご主人が大声で我輩の名を呼んでいた。
 ご主人よ、確かに効果的ではあるが、高所から名前を連呼するのは妙な行為であると犬の我輩にも理解できるぞ。
 やはり我輩のご主人は、どこか抜けている。
 急いでその塔の根元に駆け寄ると、我輩を見つけたご主人はあろうことか最上部から飛び降りた。
 ご主人の腰布がふわりと舞い、思わず声を上げそうになるが、ご主人は難なく地面に着地した。
 そしてその手についた土を払いながら我輩に歩み寄ってきた。

「もー、急にいなくなっちゃダメでしょ?心配したんだよー。」

 ご主人よ、あの高さから飛び降りるのは危険だ。我輩の心臓にも悪いのでやめてくれ。
 そういった抗議の念を込めてご主人を見上げるが、ご主人は意にも介さず我輩に笑顔を向ける。

「でも白ちゃんが無事でよかったよー。じゃあ、散歩の続きへしゅっぱーつ!」

 ご主人は我輩の首輪を嵌めなおすと、公園の外へと歩き出した。
 こうして今日も我輩の散歩は、何事もなく続いていく。

 ……だからご主人よ、そちらは車道だ。



【終】


294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2011/07/31(日) 08:42:56.69 ID:Z3ecEoDZ0
という訳で代理投下
作品の執筆おつでした
チョーキングドーベルマンって知らなかったな
ベッドの下の男に似た話なんですね
指をちぎるという結果と攻撃するという因果を逆転させることにより必中を誇る噛みつき……
喰い千切る死翔の抜刀牙……といったところか……ククク
295 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/31(日) 09:35:05.79 ID:tn/M4bkX0
代理の人乙です〜
しかし飼い主さんかぁいい(

>>294
>喰い千切る死翔の抜刀牙……といったところか……ククク
意味あり気に笑うなwwww
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 13:23:20.59 ID:9tvGAESDO
代理の人は行ってしまったわ…円環の理に導かれて…
297 :ソニータイマー [sage saga]:2011/07/31(日) 16:13:53.22 ID:QEzgsCgA0
「規格外の破壊力」
さて、都市伝説には特有の能力や攻撃力と言う物がある。『口裂け女』なら100mを3秒で走り抜ける、『花子さん』なら縄跳びやトイレ用具を操る、と言った具合に
都市伝説にも攻撃力に特化したもの、スピード重視のもの、防御力に秀でたもの、トリッキーな能力が特徴のもの…色々あるだろうが、それでも、
僕の契約都市伝説の破壊力に敵う物はそうないだろう…。何せ―
「太陽系を消滅させられるんだから」
おっと、これは失礼。紹介が遅れてしまった。僕は反田系(そりだけい)。『反物質1gが対消滅すると太陽系が消滅する』と契約している高校生だ
系「たった1gで太陽系消滅だもんな…」
ちなみに僕の能力は自在に反物質を創り出し、対消滅させるというものである
系「ちなみに太陽系の広さは太陽から1〜1.5光年くらいの範囲…。つまり14190テラメートルってことだ
テラメートルって。めったに使わないよこんな単位…」
そんなことを呟いている系。一体誰に説明してるんだ
系「あ、でもこの際ジュールとかそういうのは無視しよう。面倒だしね」
さらりととんでもないことを言う
系「ま、それはそれとして。僕はこの能力のパワーを『厨二病:力を抑える包帯』で制御しないとまともに能力も使えない訳で」
「おい、反田! 俺と勝負しろ!」
うわ、またかよ…
系「君も懲りないねぇ、温泉君」
彼の名前は温泉 伝人(ぬくいずみ でんと)。ことあるごとに僕に勝負をしかけてくるしつこい奴だ
伝人「うるせぇとにかく勝負だ! 俺の『ポロリ温泉伝統製品初の支援型モルスァ試合専用ガン』でお前を倒す!」
系「…ここじゃ危険だよ。どこか広いところに行かないと。ちょっと呼んで見る」
誰かに電話をかける系
系「うん。うん。うん。OK。ありがとう。じゃあ、○○ビルの前に来て。
…10分くらいで着くってさ」
伝人「そうか。ま、なんだろうと今回こそ俺が勝つ!」
系「無理だよ」
そんなこんなで10分が経つ
神司「…まったく、どうして僕が…。とーおりゃんせー通りゃんせー♪」
『通りゃんせ』の能力を使い、ビルとビルの間の小道を異空間に繋げる神司
神司「はい。ここを行けば広いところに出られるから。ちなみに今回は帰り道も用意したよ…。じゃ、そういうことで」
そして直ぐに帰っていく神司
系「ありがとね。…じゃあ、行こうか」
伝人「おう!」
298 :ソニータイマー [sage saga]:2011/07/31(日) 16:14:27.38 ID:QEzgsCgA0
小道を進んでいく二人。そして、闘技場のような場所に着く
伝人「じゃあ始めるぜ。食らえ! 『ポロリ温泉伝統製品初の支援型モルスァ試合専用ガン』!!!!」
手元に鉄砲を召喚し、投げつける伝人
系「反物質びーむ」
やる気がなさ過ぎる技名である
窒素分子一つ分の反物質を生成し、『ポロリ温泉(ry』の近くで対消滅させる系。
対消滅により爆発的なエネルギーが発生し、『ポロリ温泉(ry』は砕け散り、伝人は大きく吹っ飛ぶ。一瞬の決着である
伝人「くそ…痛ててて…。また俺の負けかよ…畜生…」
系「だから言ったでしょ。無理って。単純な攻撃力だけなら僕の方が上だし。射程範囲も僕のほうが上だし。何より破壊力が段違いだよ」
伝人「くぅ…俺はどうすりゃ勝てるんだよ…」
系「知らないよ…。別の都市伝説と契約すれば?」
伝人「見つかれば苦労はねーよ…」
はぁ、と溜息を吐く伝人
伝人「…さってと。もう大丈夫だ。ふん。今回はお前に勝ちを譲ってやるが…次はこうはいかねぇ!!!
倒してやるよ、俺の『ポロリ温泉伝統製品初の支援型モルスァ試合専用ガン』でな!! はははははは!!!」
捨て台詞を残し、帰り用の小道を駆ける伝人
系「…その台詞295回目だよ…」
やれやれ。呆れたような表情をしながら、系も帰路に就くのであった…
系「あれ? 今回の地の文って僕の一人称進行じゃないっけ?」
気にしたら負けである




                             続く…
299 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/31(日) 19:26:02.66 ID:tn/M4bkX0
ソニータイマーの人乙です〜
これはまた強いというかとんでもないキャラが・・・
伝人くん頑張れマジ頑張れ

>>296
そして気づいたんだ
あの代理の人は笛の人だったのか・・・?
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/07/31(日) 21:34:33.42 ID:Z3ecEoDZ0
交わした約束忘れないよー
押し寄せた闇振り払って進むよー
ソニータイマーの人乙です
モルスァが広がりつつあるな……
モルスァは全てを打ち倒す最強の力だと信じてる
>>299
くくく……
私があの魔笛の奏者(フエノヒト)かどうかは上位世界(アウターワールド)の神々(コンポーザー)だけが知るところだ
今の君が知る必要はない
今の君は迷える子羊が如く悠久の時(タイムビフォアラグナロック)の中に身を委ねていればいいのさ
それでは……ラ・ヨダソウ・スティアーナ
301 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/31(日) 21:46:23.45 ID:tn/M4bkX0
>>300
何という気魄・・・ま、まさかあんたは!?(続きはwebで
302 :花鳥風月 [sage saga]:2011/07/31(日) 22:15:25.65 ID:tn/M4bkX0
「ッくそ、待て小娘ェ!!」

満ちた月が煌々と空に浮かぶ夜
右手に鎌、左手に出刃包丁を携え、赤いコートを靡かせながら夜道を疾走する女性
口元が耳まで裂けているそれは、ご存じ「口裂け女」
容姿や特性、「私って綺麗?」の言い回しは、恐らく日本で知らない者はいないだろう
100mを3秒で走るという黄金の脚で彼女が追う獲物とは、

「んーおかしいぞ? もうすぐ来る頃だと思ったんだけど・・・」

屋根の上を“風”のように駆け抜ける、漆黒の衣に身を包んだ高校生程の少女
軽やかな動きで跳び回るその姿は宛ら『くノ一』のようで、
着地に合わせて僅かに揺れる胸元がとても魅力的である

「どこまで行く気だ小娘ェ!! いい加減降りてこい!!」
「あいつうるさいぞ・・・でもまぁ、時間稼ぎくらいやっても悪くないか」

音もなく屋根から飛び降り、少女は「口裂け女」の前に立つと、
懐に手を入れ、黒く平たい物を3枚取り出した

「当たると痛いぞ!!」

風を斬る音が鳴り、すとん、すとん、とそれらはアスファルトに突き刺さった

「――――――――っな!?」

間一髪で足を止めた「口裂け女」
足元の物体を目にし、思わず驚きの声を挙げた
それは、手裏剣
忍者がよく投擲武器として使用する、それだったのだ

「くっ・・・舐めるのもいい加減にしろ!!」
「『空蝉の術』!」

鎌の刃を少女に突き立てる
しかし、人間の身体中を流れている筈の血が、噴き出してこない
不審に思った「口裂け女」が見たものは、少女ではなく、丸太に服を着せたものだった

「ははっ、こっちだぞー」

振り向いた拍子に、飛んできた手裏剣を回避する
少女は「口裂け女」に向けて、幾度となく手裏剣を投げ続けた

少女の名は萌黄野 風音(モエギノ カザネ)、16歳
『分身の術』や『遁術』が使用できる「忍法」の契約者である
「忍法」というものは都市伝説とは言い難いが、フィクション等で使用される度に、
純真な子供達や、日本を誤解している外国人達の信じる心から都市伝説化したものと思われる
因みに、屋根伝いに跳び回っていたのは彼女の運動神経が優れているだけであり、「忍法」とは関係が無い

さて、彼女は仲間と共に人に害をなす都市伝説を対峙している
その仲間の一人が、

「萌黄野さん! 遅れてごめん!」
303 :花鳥風月 [sage saga]:2011/07/31(日) 22:15:56.93 ID:tn/M4bkX0
「あ・・・し、白鷺!」

手裏剣を投げる手を止めることなく風音が声のした方向を見ると、
眼鏡をかけた大人しめの少年が彼女の元へ駆けてきた
白鷺 玄鳥(シラサギ ツバメ)、16歳。彼も契約者である

「もっけけけけけけけけ!! 派ァ手にやってんなぁ、くノ一さんよぉ!?」
「・・・他人を小馬鹿にするような言い回しはやめろ」

と、玄鳥の傍から2つの声が響く
だが、そこには人影が見当たらない
あるのは、彼の肩に乗っていた2羽のフクロウだけだ
灰褐色の羽毛とやや丸みを帯びた頭部、そして金色の眼をぱっちりと開いた、シマフクロウと、
赤みがかった黄褐色の羽に覆われた、頭にぴょこりと立った耳のような羽毛がチャーミングなワシミミズクの2羽である

「あァん? テメェまた俺に説教すんのかよクソ爺!」
「汚らわしい言葉遣いを治せ小僧、“森の賢者”の威厳が廃る」

喧嘩腰のワシミミズクに対して、冷静な態度で応対するシマフクロウ
この“鳥”達が、玄鳥の契約都市伝説だ

「おーい、良かったら手伝ってくれると嬉しいz」
「馬鹿め隙有りだ!!」
「ッ!?」

「口裂け女」は両手の得物で手裏剣を弾きながら、一気に2人との距離を詰めた

「ほ、ほら、コロ、モッケ、喧嘩してないで早く!」
「心得た!」

先に動いたのはコロと呼ばれたシマフクロウ
翼を大きく広げると、その翼は神々しく輝き巨大化して2人を包み込み、「口裂け女」の一撃から守った

「な、なんだこれは!?」
「もっけけけけ!! 殺っちゃうよォ?殺っちゃうってばよ!!」

はっとして彼女が見上げると、モッケと言うらしいワシミミズクが上空へと舞い上がっていた
どす黒く燃える火の玉を、自らの周囲でくるくると漂わせながら

「派ァ手に殺るぜぇ!! 『怪火・深淵の舞』ぃ!!!」

どす黒い炎が、地面に向かって一斉に放たれる
「口裂け女」は炎に囲まれ、その熱に悶え苦しんだ

玄鳥は2つの都市伝説と契約した多重契約者である
1つはシマフクロウの姿を取っている「コタンコロカムイ」
北海道、主に道東地域で強く信仰されている村護りの神だ
守護神としての力によって、契約者達を敵の攻撃などから護る事が出来るが、攻めに関しては専門外だ
もう1つはワシミミズクの姿をした「たたりもっけ」
こちらは青森県を中心に伝わっている怪異であり、子供達の怨念がフクロウに宿ったものだ
怪火や怪音を発生させたり、相手を祟るなどかなり攻撃的ではあるが、反面防御はからっきしである

「ありがとう、コロ、モッケ・・・萌黄野さん、怪我は?」
「え、あ、あぁ、大丈夫だぞ。そ、それより“2人”はまだか?」
304 :花鳥風月 [sage saga]:2011/07/31(日) 22:16:27.51 ID:tn/M4bkX0
何故か顔を赤らめ、きょろきょろと辺りを見回す風音
そう、仲間は玄鳥だけではない

「え?まだ来てないの?おかしいな・・・」
「なァんだ、あのぷりっぷりの姉ちゃんもまだかよォ、俺っちテンション駄々下がりだぜー」
「直に来るだろう、それより、あの者なかなかにしぶといぞ」

コロが翼で指し示した方向を見れば、炎の中から脱出した「口裂け女」が、恐ろしい形相でこちらを睨んでいた
風音は手裏剣を構え、玄鳥はコロとモッケを侍らせる

「私を馬鹿にしてるのか・・・天下の口裂け女にこんな仕打ち・・・
  もう許さん! 口どころか身体中を引き裂いてやる―――――――――」
「誰が天下よ雑魚の癖に」

新たな声に気付いた時、「口裂け女」の顔はアスファルトに叩きつけられていた
その後そのまま彼女は髪を掴まれ持ち上げられてしまう

「―――――ッ!?」
「ウッヒョー! ぷりっぷりの姉ちゃんキター!!」
「つ、月夜!」

月夜と呼ばれた少女は冷たい視線を風音に送り続けていた

「・・・ねぇ、何でそこにその女がいる訳?」
「え?」

少女は「口裂け女」の背中を思いっきり殴った
ぼきり、と鈍い音が辺りに響く

「っがぁっ!?」
「私の玄鳥の隣に何で他の女がいるの?
  私がいるべき場所に何で関係のない女がいるの?
  何で貴方は私から全部を奪おうとするの?
  私から玄鳥がなくなったら一体何が残るって言うの?
  玄鳥は私の全部なんだよ? 私から玄鳥を奪って楽しいの?面白いの?
  私に死んで欲しいの? それで満足するの? ねぇ、どうなの?」

細々とした声だが、そんな声質とは不相応な程に執拗に「口裂け女」を殴り続ける少女
言葉の矛先である風音は、ただただ苦笑するしかなかった
305 :花鳥風月 [sage saga]:2011/07/31(日) 22:17:17.66 ID:tn/M4bkX0
彼女は蒼樹 月夜(アオキ ツキヨ)、15歳
玄鳥の従姉妹であり、そして玄鳥にゾッコンである
因みにバストはEカップだ
「月の光を浴びると気が狂う」の契約者で、その名の通り、月光を浴びると気性が荒くなり、
身体能力も著しく増加してバーサーカーとなってしまう
月が出ている時に強制発動する為に、時々敵味方の見境なく攻撃してしまうような能力だが、
玄鳥がストッパーとなってくれるので幾分扱いやすい
昼間と新月の夜、天候の悪い日はとても大人しい良い子だ

「や、やっぱり、蒼樹はちょっと苦手だぞ;」
「落ち着いて月夜、今はそんなこと言ってる場合じゃないから」
「・・・うん、分かった、玄鳥がそういうなら落ち着く」

「口裂け女」を持った腕を僅かに下げると、彼女は振り返り、
背後にいるらしい何者かに話しかけた

「これ、“貴方”にパスするから、あと宜しくね」

と言って、「口裂け女」をひょいと放り投げた
動作は軽く投げた様子だったが、それでも地上から5m程の高さまで投げ飛ばされている
その、宙に浮いた「口裂け女」を見て、“彼女”は、にこっ、と笑った

「お・ま・た・せ♪」

それは派手なコスプレをした小柄な少女だった
赤を基調とした露出の多い衣装に身を包み、先端に蕾の装飾がなされた杖を持った長いツインテールの少女

「百花も来てたんだ!」
「遅いぞ百花ー!」

紅坂 百花(コウサカ モモカ)、16歳
このグループのリーダーと言うべき存在で、風音と玄鳥とは幼馴染であり、見ての通りコスプレが趣味だ
という訳ではないが、日曜朝8時半のアニメの見過ぎで「ヒロインはカッコよくないと!」という使命感に何故か燃えている
306 :花鳥風月 [sage saga]:2011/07/31(日) 22:20:18.84 ID:tn/M4bkX0
「っま、まだ仲間がいたのか!?」
「罪無き人々に害をなす者よ
  罪無き世界の平和を脅かす者よ
  今こそその悪に染まりし穢れた心を、身体を、魂を
  光に変えて闇に融けなさい
  我々は、汝を裁き、汝に罰を与える者なり!」

痛々しい呪文のようなものを詠唱すると、蕾の装飾がぱっと花開き、
同時に青白い光で生成された大輪の花が出現した
百花の契約都市伝説は「ロータスワンド」と呼ばれる近代西洋儀式魔術に用いる道具である
これによって彼女の手に入れた力は“魔法”
その属性は、“光”

「舞い散れ、『イャル・レウォルフ』!!」
「ち、ちくしょ―――――――――――――――――――――」

光の花が散り、花弁は刃となって各々真っ直ぐに「口裂け女」を貫いた
事切れた「口裂け女」はするりと両手から得物を落とし、
アスファルトの上で力無く弾み、光の粒子となって消えていった

「ふふん、完全勝利♪ やっぱりあたしこそが正義よね!」

百花がくるくると「ロータスワンド」を回し、ぴたりと回転を止めると、
花の装飾が閉じて蕾になると同時に杖は光に包まれて小さくなり、キーホルダー程の大きさになって彼女の手に収まった

「はは・・・お前が一番遅かった癖に調子良すぎるぞ」
「うるさいわね風音! ちょっと衣装合わせに手間取っただけよ!」
「別に来なくても良かったのに。玄鳥と私だけで良かったのに」
「何あからさまにラブラブ宣言してんのよ!? 従姉妹だからって許さないからね!」
「どうして赤の他人の貴方に許しを請わなくちゃダメなの?」
「あたしの方があんたより玄鳥との付き合いは長いわ!!」
「ま、まぁまぁ2人とも、落ち着いて・・・」
「もっけけけけけけ! 派手にやれやれー!」
「囃し立てるな小僧」

少年少女(と2羽のフクロウ)達は、今日も都市伝説と戦い続ける・・・

   ...終
307 :花鳥風月 [sage saga]:2011/07/31(日) 22:21:32.75 ID:tn/M4bkX0
最後の方、ちょっと投げやりでごめん
途中からどう書こうか分からんなって結局こうなった
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/07/31(日) 22:24:23.59 ID:bnYuarG70
乙だぜ!
309 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/07/31(日) 22:33:00.88 ID:tn/M4bkX0
とりあえず今回は単発という形で書いたけれど
プリキュアのBGM聞きながら書いてたら個人的にこれ以上ないくらいすっげぇ面白い敵キャラの構想が浮かんだので連載仮決定
バトル+恋愛をテーマに書きたいところ

どうでもいい話
女性3人の苗字は赤・緑・青で光の三原色
唯一男の玄鳥のはそれらを3つ合わせた白
3人の恋の矛先が・・・っていう安心の手抜き加減orz
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/31(日) 23:26:31.91 ID:tn/M4bkX0
俺が書くと必ずと言って言い程人がいなくなる…
いつの間に俺は人祓いの結界を修得したんだ?
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 23:31:13.90 ID:NoKY7VNno
皆様投下乙です
そして代理感謝です

ここにもモルスァの使い手が……
モルスァも当たれば強いはずなんだけど、これは相手が悪かったとしか

空蝉の術→丸太に服→裸!という流れを期待したけれどもそんなことはなかった
そしてこのスレでモシレチクとコタネチクを見るとは思わなかった
『大神』、お勧めです、是非!
そしてツバメ君爆ぜろ


それはそうとアンコントローラブルって素敵だと思います
力を押さえるナニカが解き放たれたとき、そこに残るものは――――
みたいな
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/01(月) 00:05:31.26 ID:Y/ZIO+IQ0
スレのみなさん、8月1日(やおいの日)突入ですよ
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/08/01(月) 08:14:36.11 ID:fpgoG7hu0
>>311
裸にしようと思ったんですが、展開が思いつかず敢えなく没にorz
コロとモッケはあれです、「このスレってフクロウ少なくね?」って思って探しましたw
玄鳥はもげるべきそうすべき

>>312
裂邪が漢のスク水を脱がす話を書けるのは今日しかないということか…!
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/01(月) 11:09:33.06 ID:8jfZE0eDO
花鳥風月の人乙ですー
月夜さんはヤンデレで、百花ちゃんは厨二気味?
まぁ、それはともかく。
玄鳥君を『自作ポエム音読の刑』に処したい…爆発すればいいと思う
315 :シャドーマンの契約者@携帯 [sage saga ]:2011/08/01(月) 12:29:51.11 ID:A5SyOx2AO
>>314
ヤンデレは初めてだったんで、伝わっていただけたなら全裸で歓喜乱舞します(オチツケ
あとこの話では書けなかったけど、風音はちょっと天然入ってる

さて、ポエム晒しタイムに移りましょうk(処刑されました
316 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/01(月) 20:21:24.86 ID:fpgoG7hu0
そうそう書くの忘れてた
百花ちゃんが放った魔法『イャル・レウォルフ』だけど、
実は『Flower Ray』を逆から読んだだけ(YAR REWOLF)だという
317 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/01(月) 23:05:25.39 ID:NwmPvCHb0
【不思議少女シルバームーン第七話 第五章「飛翔」】

 眼下に広がる白雲。
 抜けるような青い空。
 轟々と響くエンジン音。
 それに比べて静かな機内。
 俺は今、輸送用の飛行船の中に居た。

「……しかしまあ静かだな。」
「うん、そこにいるのは全部ジャックが血を吸って作った眷属だからね。
 自分の意志も何もなくとにかくジャックの命令に従うだけの人形だよ。」

 飛行船に直立不動で並ぶ物言わぬ屍達。
 吸血鬼の眷属である食屍鬼だ。
 
「しかしあれから訳一週間、本当になにも無かったな。」
「そうだね。ジャックの本当の目的を邪魔しない限りどうでも良いんじゃない?」
「そういうことか……。」


 ジャックの指揮する大戦争が今正に始まっていた。
 俺とルルの役目は一万体の食屍鬼を最新鋭のステルス飛行船に載せて英国に飛ぶこと。
 俺のコンピュータを操る都市伝説としての能力とルルの感知能力によって俺たちは防空レーダーの網を抜けて英国に近づいていた。
 
「しかし本当に何も無いな。」
「無いね。」
「このままだと後二時間程でイギリスに着いちゃうんだが。」
「うん、そうだね。」
「そういえばお前、この戦争が終わったら俺に言いたいことあるんだっけ?」
「うん。だからゆっくり待っててね。」
「解った、俺も話したいことが有ってさ、もう此処まで来たから言うけど。」
「うん。」
「俺これからジャックを裏切ろうと思うんだよね。」
「知ってる知ってる。」
「ついてこないとブッ殺すぞー」
「キャー怖いよー、裏切るのは心苦しいけど暴力で脅されちゃあ仕方ないなあー」


「茶番は終わった?」


 その時、飛空艇に突如として通信が入る。
 モニターに映しだされるその顔はジャック・ジョーカー。
 ネバーランドのリーダーであり、俺たちのリーダーだった男。
318 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/01(月) 23:12:40.12 ID:NwmPvCHb0
「ようジャック、俺急に正義の心に目覚めたからお前裏切るわ。」
「うん、そろそろ頃合いだと思ってた。」
「で、俺たちをどうする?この飛行船は完全に俺の制御下にあるぞ?」
「良いよ、構わない。」
「食屍鬼で俺たちを圧殺するつもりか?人数が64億ほど足りねえが。」
「良いよ、そいつらは君の目的のために好きに使っちゃって。
 たぶん適当に命令しちゃえば動くし。要らなくなったら自爆スイッチでも押してよ。」
「じゃあ要件はなんだ?」
「上田明也との戦いをどうする気か聞きたくてさ。」
「勿論続行だ。」
「それなら良いよ。好きにして。」
「はいよー。」
「嘘なら…………」
「大丈夫だってば。それだけは偽らざる本音だ。」
「そうか、君たち親子は本当に……本当に何なんだろうね。
 では僕の古い友人、前に話したスバルという男も年上の彼女を連れて遊びに来ているし、
 ああもう本当に汚らしい魔女が僕のスバルを誑かすなんて腹が立つったら……。
 まあそれは後でぶち殺すとして。
 ライディーンも生き別れのお兄さんと絶賛交戦中だそうでね。
 学校町方面も忙しくなってきたから回線を切らせてもらおう。」
「おう、武運を祈る。」
「ああ、君もせいぜい君の父を打ち倒せば良い。
 そうだ、最後に一つ言い忘れていたよ。」
「なんだ?」
「僕はジョーカー、切り札にして道化、そして嘘つき。
 君には最後まで僕の役に立ってもらうよ。」

 連絡が途切れる。
 それと同時に俺とルルが居る操縦室の扉に何かが打ち付けられる音。
 ひしゃげた扉の隙間からは生気のない腕がチラリと見えた。
319 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/01(月) 23:14:24.35 ID:NwmPvCHb0
「高度一万メートル。一万のゾンビと優雅な空の旅か。」
「ジャックが私達を襲うように仕向けたって訳?」
「まあ俺たちを襲わせて親父が確実にこっちに来るように仕向けたのだろうさ。
 気が利くねえ、泣けるぜ。」
「これからどうするの?」
「俺が暴力でなぎ払う、これなら半分はなんとかなる。」
「残り半分」
「お前が何とかしろ。」
「無理」
「だろうなあ〜、じゃあ逃げようか。」
「え?」
「俺は半分都市伝説でな、俺の母親がコンピュータっつーかネットワークを媒介にして異空間を作る能力を持っている。」
「貴方もそれを使えるの?」
「試したことがない。」
「怖いなおい!」
「もう一つ簡単な方法がある。」
「なに?」
「俺の上司に連絡して助けに来てもらう。」
「イイじゃんそれ。」
「この緊急時にわざわざここまで助けにこさせられるかよ。」
「うーん……。」

 その時突然小さな爆発音が船内に響く。
 
「なにがあった?」
「エンジンルーム爆破されたね。」
「はぁ!?俺の能力じゃ感知できなかったぞ!?」
「ワタシだってそうだよ、きっとコンピュータ制御じゃない時限爆弾に悪魔払いの札でも貼ってたんでしょ。」
「これはいよいよ華々しく散るしか無いかな。」
「そうだね。」
「ちょっと待て、その前に連絡しなきゃいけない人達が居るから。」

 俺は携帯電話を取り出してまずはエーテルさんに連絡する。
 二回ほどコール音がなるとすぐに聞き覚えのある声が耳に入り込んできた。
320 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/01(月) 23:14:58.36 ID:NwmPvCHb0
「もしもし上田です、裏切ったら高度一万メートルでゾンビ千体に囲まれました。
 只今コックピットに籠城中です。」
「おお明尊無事……ではないなそれ。」
「とりあえず英国を空から攻めているのは俺の部隊だけです。
 海から攻めてくる奴らも居るらしいんで警戒してください。」
「後ろからゾンビっぽい声が聞こえているがお前は大丈夫なのか?」

 エーテルさんが何時になく心配そうな声で尋ねる。
 普段は修行でボコボコにされるからなんというかこう……むずがゆい。

「大丈夫じゃないとして、今戦力は割けないでしょう。千体ならなんとかなりますよ、俺だし。」
「……まあ確かにな。」
「という訳でここの飛空艇は俺が大西洋にでもたたき落としておくんで海の方に注意してください。」
「解った、任せる。」
「それと最後に、ジャック・ジョーカーの目的はこの戦争の勝利じゃないみたいです。
 あいつがなにを考えているのかは分かりませんが巨大都市伝説を行使した地球破壊レベルのことをやる可能性があります。
 エーテルさんはそっちの阻止をお願いします。」
「ああ解った。それじゃあ……生きて帰ってこいよ。
 それと解っていると思うが裏切りのタイミングを伝えるためにこちらからメッセンジャーを出した。」
「はい。その連絡はまだ来てないですけどね。」
「知っている、念の為に言っておくがそいつと“合流”するんだぞ?」
「はい。解ってますよ。俺の爺さんじゃないんですから。
 戦いよりは人を守ることを優先しますってば……さて、こんどこそ切りますよ。」
「ああ。」

 電話を切る。
 さて、次は……。

「明尊ちゃん、エンジン壊れてること言わなくて良いの?」
「良いの。そしたら助けに来ちゃうだろあの人。」
「敵の数だって!」
「良いの、そしたら本当にたすけにきちゃうよあの人。」
「明尊ちゃん!」
「少し待ってろ。」

 電話帳の一番最初に入れてある番号にかける。

「はいもしもし?」
「あ、吉静さん!」

 俺の大好きな大好きな初恋の人、穀雨吉静さんだ。
 
「あらどうしたの明尊くん!?貴方が居なくなって大変なことになってるんだよ!?」
「すいません……色々事情があって……」
「良いから早く帰って来た方が……」
「吉静さん!」
「なに?」
「俺吉静さんのことが好きです!帰ってきたら返事ください!」

 通話を切った。
 携帯の電源を切る。
321 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/01(月) 23:17:18.56 ID:NwmPvCHb0
「さて、やるべきことは終わった。」
「…………いくの?」

 ルルが滅茶苦茶複雑そうな顔でこちらを見ている。

「俺の血が騒いでいる、この先に居る敵を倒せと叫んでいる。
 この先に居る雑兵共を殲滅せよと、この先に居る悪魔を叩き潰せと。
 戦争交響曲の前奏を奏でている。
 行くぞルル、敵は一万向かうは地獄、一世一代大立ち回りだ。」

 殆んど壊れかけた扉。
 その向こうに待つのは最新鋭の武装で固めた一万のゾンビ。
 今、迷いはない。
 俺にはずっと解っていた。
 助けを呼ぶ必要は無いことが。
 扉の向こうに俺の待っていた男がいるのだから。
 その男をラプラスの探知能力で“やっと”見つけたルルは顔を青くして俺の袖を引っ張る。
 所詮調べるだけの都市伝説。
 血で感じあえる相手ならば俺のほうが気づくのは早いということか。

「え?うそ!?ねえ待って、今ならまだ間にあうよ逃げよう。私良い方法を思いついたんだ。
 私が明尊ちゃんの都市伝説の部分と契約して能力をブーストすればインターネット経由して逃げられるよ!
 だから駄目だよ、この扉は絶対にあけちゃ駄目!
 この扉の向こうに居るって!本当に殺されちゃうよ!
 あの人私たちを助けに来たわけじゃない!貴方の言うエーテルって人の指示を無視してる!」 
「ラプラスの悪魔の予知は外れるタイプの予知だ。
 お前の予知を外させることができなきゃお前にでかい顔ができん。」
「嘘だ!口から出任せだよ!だって明尊ちゃん何時もでかい顔してるじゃない!」
「解るか?」
「解るよ!明尊ちゃんはこの非常事態に扉の向こうに居る人と戦いたいだけなんでしょう?」
「おう!」
「狂ってる!」
「おう!」

 扉を蹴破る。
 並み居るゾンビの群れ、その中央に、誰も意識していないその場所に、男が一人立っていた。
 煙草をゆるりとくゆらせて、洒落た真紅のコートを纏い、男は一人立っていた。
 俺が心から戦いたかった男。
 臨戦態勢の奴を目の前にした今なら解る、戦う理由なんてなんでも良かったのだ。
 なのに俺はなんて遠回りをしてしまったのだろうか。

「やれやれ、やっと来たか。」

 まるで幽鬼のようにやつれてこそいるが、男はシニカルに笑ってみせた。
 挨拶がわりとでも言わんばかりに近くにいた食屍鬼を素手で十体ほど吹き飛ばすと、
 男は声高らかに名乗りを上げる。
322 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/01(月) 23:19:31.54 ID:NwmPvCHb0
「笛吹探偵事務所所長笛吹丁!売られた喧嘩を買いに来た!
 俺の女に手を出した命知らずはどこのどいつだ!」

 あの男の存在を計算に含めた予知の先にルルはなにを見ているのだろう。
 恐怖のあまり腰を抜かしてその場に座り込んでしまっている。

「そこの女かぶち殺す!」

 世界も、他人も、全てを無視して、彼はやってきた。
 これがおそらくジャックの狙いだ。
 上田明也を一分一秒でも自分のところから遠ざけることが。
 良いぞ、乗ってやる、貴様のような下衆と違って俺は嘘をつかん。
 
「そいつじゃねえ!俺が命令してやらせたんだ!
 そこの女は俺に命令されて仕方なくやっただけだからな!
 ムカツイてるならかかってこいバカ親父!
 言っておくが息子より年下の女こさえる屑が今更説教なんてするんじゃねえぞ!
 そこのモブ共なんて無視して!さあ!早く!」

 すいません、敬愛なるエーテルさん。
 こんなバカなことしてないでさっさと世界でも救いに行くべきですよね。
 すいません、最愛なる吉静さん。
 貴方の事が好きだって言ったけど貴方以外の女性の為にも戦っています。
 すいません、親愛なる母さん。
 俺、貴方の愛した人が大嫌いです。

「てめえだったのか!そんなこったろうと思ったぜ!
 勿論だバカ息子!今日くらいは鉛弾でキャッチボールしてやる!
 楽しい親子の触れ合いだ!」

 嫌いで嫌いで……そして、ああ、そうだ。
 そうだったんだ、俺はそれでもあいつのことが……

「腰痛めるなよバカ親父!」
「うるせえぞ、てめえら二人とも事務所の面々に土下座させてやる!」

 大好きだ。

【不思議少女シルバームーン第七話 第五章「飛翔」】
323 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/01(月) 23:21:26.37 ID:NwmPvCHb0
という訳で影男の人乙でした
俺思うんですよ
厨二病いいよね
厨二病の女の子に卑猥なことするのって
コウノトリやキャベツ畑信じ込んでる女の子に無修正ポルノ見せつけるような下卑た快感があるとおもうんですよ
もうゲス野郎でごめんなさいでゲス
ゲスゲスゲスゲス
324 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/01(月) 23:22:40.73 ID:fpgoG7hu0
乙です〜
こうして始まる親子水入らずの大喧嘩・・・熱い!熱すぎる!
やっぱり人って完全に嫌いになりきれないんだなぁ、と今ちょっと液晶が歪んで見える(
325 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/01(月) 23:24:54.97 ID:NwmPvCHb0
あ、ちなみに第六章からはやっとこさシルバームーンの出番っす
第六章ラストでやっとシルバームーンさん出番です
326 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/01(月) 23:30:52.16 ID:fpgoG7hu0
>>325
我らがアイドル朔夜たんが復活とな!
これは尚更wktkせざるを得ないぜ!
327 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/08/02(火) 02:30:40.57 ID:QU4LUmBe0
ソニータイマーの人乙でした〜
こりゃまた二重の意味で強烈な都市伝説が……
しかし厨二病:力を抑える包帯は便利そうだなー。
シャドーマンの人乙でした〜
月夜ちゃんKOEEEEEEE!!
玄鳥君爆発しろ
笛の人乙でした〜
女に手を出すと即効で飛んでくる上田がらしいなあ……
史上最大の親子喧嘩、再び……!
328 :ソニータイマー [sage saga]:2011/08/02(火) 12:20:42.96 ID:l7ANv/3s0
笛の人乙でしたー
>>323
『コウノトリが赤ちゃんを運んでくる』
能力:コウノトリを使役し、子供を誘拐する
『赤ちゃんはキャベツ畑から生まれる』
能力:キャベツから動物(人間含む)を出現させる。レタスでは駄目
329 :シャドーマンの契約者@携帯 [saga sage ]:2011/08/02(火) 12:57:07.22 ID:gfzMy/EAO
>>323
厨二病のおにゃのこがいいのは大いに賛成だ
だが敢えて言おう
このおにちく野郎めwwwwww

>>327
本編では可愛い月夜さんを書く予定です
月夜の晩はヤンデレになるけど(

>>328
なにそれ面白いwwww
コウノトリで集めた子供をリリースして…よし、使おう
330 :ソニータイマー [sage saga]:2011/08/02(火) 13:02:18.95 ID:l7ANv/3s0
>>329
>コウノトリで集めた子供をリリースして…よし、使おう
何をアドバンス召喚する気なんだ!?
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/02(火) 13:15:22.48 ID:VyZ0NlNDO
※呪怨魔翌竜ネクロキメラの召喚に使われます
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/02(火) 13:23:15.00 ID:syNiIFxf0
リア充爆発しろVS人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ
FIGHT!
333 :ソニータイマー [sage saga]:2011/08/02(火) 13:32:37.24 ID:l7ANv/3s0
>>332
疾風「『リア充爆発しろ』代表は僕として、『人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ』代表は誰?」
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/02(火) 13:41:20.06 ID:8feU2bLDO
一番近いのはヘンリーかな?
ホロウさんも馬を駆るけれど、あの人(?)は恋路って柄じゃないしなぁ
335 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/02(火) 17:55:16.67 ID:U+u5OpsR0
>>330
>何をアドバンス召喚する気なんだ!?
探したけれど見つからなかった・・・
何かないかなぁ、子供を生贄に捧げる悪魔召喚儀式・・・「降霊術」か何かで誤魔化そうかな

>>333
>疾風「『リア充爆発しろ』代表は僕として、『人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ』代表は誰?」
花子さんとかの人がその契約者書くみたいなことを半年前に聞いたような(
あれ、書こうと思ったけど能力が思いつかなくて没ったんだったかな・・・

書こうかな(無理ですorz
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/02(火) 18:35:21.10 ID:8feU2bLDO
さあ、ショタコンの悪魔を探す作業に戻るんだ。
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/02(火) 20:26:25.55 ID:l9F28dpf0
諸君。今日は「パンツの日」だぜ
338 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/02(火) 20:34:56.04 ID:U+u5OpsR0
>>336
どんな悪魔だwwwッハ、だから探すのか

>>337
パンツだと・・・ローゼ様のパンツどっちがいい? 赤?黒?
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/02(火) 22:36:11.77 ID:Iye21YjC0
都市伝説と××する為に、都市伝説とウヴル フヘァァァァアアア しちゃったァァアアイイ能力ぅ者たチィィィ
ウヘヘヘッ ブルルルルァァァァァァッッ
小がッッくゥ●のお嬢ゥちンたちィィ、、俺の●が目に入らなィノカァ ッブヘッ グフッフフフッ
食べチゥぞっ★ィィィッ
340 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/02(火) 22:37:23.98 ID:U+u5OpsR0
>>339
OK落ちつけwww
341 :ソニータイマー [sage saga]:2011/08/02(火) 23:17:48.43 ID:l7ANv/3s0
>>339
大丈夫か!? 誰にやられた!?
『くねくね』か? 『砂嵐を見続けると気が狂う』か?
それとも『月は気を狂わす』か? 『夢日記』か?
342 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/02(火) 23:30:33.77 ID:U+u5OpsR0
っく・・・パンツの色で迷いすぎて進まないorz
無難に赤でいいかなぁ
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/03(水) 00:39:35.77 ID:NlhOODNP0
>>342
8/2=ぱんつの日 8/20=ぱんつ王の日 8/21=ぱんついっちょの日 8/22=ぱんつ通の日 8/23=ぱんつさんの日 8/24=ぱんつよ♪の日 8/25=ぱんつGO!の日 8/26=ぱんつ無=ノーパンの日 8/27=ぱんつな日
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/03(水) 00:53:58.31 ID:9HYDaq7u0
つまり8月はパンツ強化月間だったんだよ!
345 :ソニータイマー [sage saga]:2011/08/03(水) 01:06:55.99 ID:iMdZwuP50
本能寺の変の覚え方
イチゴパンツ(1582)で本能寺の変
…これじゃあ本能寺の変っていうより本能寺の変態じゃないか…
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/03(水) 01:51:48.65 ID:ABmZQqlDO
お市のいちごパンツが本能寺の変に繋がっていたとは
347 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/03(水) 12:57:43.14 ID:309t9h8K0
>>343
すげぇwwwwwwwww
とりあえず思いついた奴を

8/28=パンツパー=パンツが破ける=アンラッキーデー(マテヤ
8/29=パンツ食う日 or パンツ苦の日(ロクな日じゃねぇ

>>345
懐かしいな語呂合わせ・・・
生稲晃子がロシア革命とか、行くよゴンちゃんポツダム宣言とか、ヒーローのおっさん徳川家康とか、
覚えまくったけど全然使わなかったorz
348 :正体不明、意識不明 ◆W5H6Y5Rl3M [saga]:2011/08/03(水) 20:46:44.92 ID:EZZiGF++o
「おやおや、どうにもこうにもなんだかんだで結局懐かしい面子が勢揃いですか」

 髪を短く刈り上げた和装の女性が、扇子で口元を隠しころころと笑う、『本所七不思議』七夜本丸

「儂はちょくちょく来とるがのう。将門公がこの地に御住まいであらせられる故にな」

 編み笠をくいと押し上げた着流しの女、『屋島の禿狸』屋島太三郎

「まあ勢揃いって言っても、三人やられて入院中らしいし。呼べばすぐ来るのに水臭いねさっちゃんってば」

 存在感が希薄な白髪の少女、『煙々羅』八巻燻

 総勢三名が学校町を訪れたのは、結局のところ詩卯の決意を折れなかったサロリアスが、作戦のサポート役として電話で呼び出してから三十分後の事
 彼女達からすれば、急ごうと思えば距離の問題はあまり無いらしい

「でもさあ、今回の相手は火が効かないんでしょ? あちき役に立たなくない?」
「相手は骨肉を喰らい尽くす化物という事です。食べようがない貴女のような存在は何かと役に立つのでは?」
「まあ考えるのはサの字の仕事じゃ。儂らは言うままに動きゃあいい」
「確かに、細かい事は現地でという話でしたね」

 ぱちりと扇子を閉じて袂に仕舞うと、するりと取り出した拍子木をちょんと打ち鳴らす
 途端に本丸の姿は掻き消え、ただ気配だけが遠ざかる

「少々急ぎましょうか。ではお先に」
「あ、ずっけ! 先にさっちゃんに会う気だろ!」

 すぐさまふわりと空中に浮き上がり、燻の身体は風に吹かれる煙のように散り流れていく

「せっかちじゃの。まあ急ぎとは言われとったがなぁ……儂だけ遅れるのも格好がつかんか」

 そう言うと太三郎は、やや大柄な体躯ですら不釣合いな大きな胸を揺らし、ひょいと跳び上がり空中で一回転
 ぼふりと煙が舞い上がったかと思うと、その中から一羽の隼が夕暮れ時の空へと舞い上がっていった

―――

 学校町の外れにある、野原と言っても差し支えが無い広大な空き地
 町境に近く結界やらのせいか、『組織』の勢力範囲やらに関係あるのか、人も都市伝説も素通りするばかりで留まるものはほとんど居ない
 そんな場所に突如現れたのは、地上に打ち揚げられた小型の潜水艦のような『それ』は、本来埋設して使うはずの核シェルターである

「頑丈な物件とは言ったが、こんなもんがホイホイ出てくるもんか」
「そりゃあ『組織』のコネは相応のものだからね」

 煙草を咥え、呆れた顔でそれを眺めているサロリアスと、物資と人員を用意したイクトミ

「あと、この子が欲しがってた人材。といっても最近来たばっかりなんだけどね」

 見た目は中学生か、大人びた小学生か
 丈を詰めた黒服と大き目のサングラスがどこかアンバランスな印象を与えてくる中国系の少女
 何故か大きな木製の椅子を引き摺るように抱えているのが、さらに滑稽な様子に拍車をかける

「やれるか?」
「ハイ、コレグライナラ、多分問題ナイデス……実際コノ能力ヲ使ウノハ初メテナンデスガ」

 サロリアスの問いに、少女は核シェルターの方へと椅子を引き摺りながら歩み寄り
 椅子を置き、座面、背もたれと踏み台にして壁面をよじ登ろうとする

「手伝ってやらねぇのか」
「まだ時間もあるし、一人で色々できるようになってもらわないとねー」

 そんな事を言っている間に、少女の足元で椅子がぐらりと傾いて

「ひゃっ!?」

 少女は素っ頓狂な悲鳴を上げるが、地面に転げ落ちる事はなかった
 少女の代わりに地面に落ちたのは、まだ随分と余裕を残した火のついた煙草

「登るならそんな不安定で高さ足りねぇモン使わねぇで、脚立なり梯子なり用意しろ」
「ス、スミマセン……」

 サロリアスに抱き留められる形になって、わたわたとうろたえている少女

「よじ登れる高さじゃねぇだろうが。道具調達してくるまで待ってろ」
「ハイ」

 頭を掻きながら、顰めっ面で踵を返すサロリアス

「そういうモンぐらい用意しとけ、イクトミ」
「こっちは人手と物資を調達しただけ。指揮権はそっち、Zナンバーだろ? 斬九郎はどうしたのさ」
「あいつはちゃんとした『黒服』だからな。あいつの仕事がある」
「ふぅん?」
349 :正体不明、意識不明 ◆W5H6Y5Rl3M [saga sage]:2011/08/03(水) 20:48:53.58 ID:EZZiGF++o
「そもそも俺も、人手を貸すだけの立場だ。『組織』の仕事に直接関る気は無ぇよ」
「『ソニー・ビーン一家』とかには随分と積極的に関ってたみたいだけど?」
「あれは巻き込まれただけだ。お前らがしっかり仕事してねぇからだろうが」

 そんな会話の流れを制するように、何処からともなく軽快な拍子木の音が鳴り響く

「お久しゅうございます、七夜本丸ここに参上仕りました」

 何処からともなく現れて、羽織の裾をふわりと翻し、足元へと傅く本丸
 その雰囲気を台無しにするかのように、空で渦を巻いた煙が人の形を為してサロリアスの頭の上に落ちてくる

「八巻燻ちゃん、参上ー! さっちゃんおっ久ぶりー!」

 サロリアスの口から文句の言葉が出るよりも早く、一羽の隼が燻の傍らで風を切ったかと思うと
 ぼふりと煙を巻き上げて、サロリアスから燻を引っぺがし小脇に抱えた太三郎がにかりと笑みを浮かべて片手を上げる

「久しいのぅ、サの字。しかしまあ、もっと早く呼んでくれても良かろうに」
「元々俺の仕事じゃねぇよ。斬九郎に言いやがれ」
「その斬の字は何処におるんじゃ。この場におらぬなら一番偉いのは御主じゃろ?」
「あいつは別働中だ。そして偉いだけならイクトミの方が偉いだろうが」
「そうは言われても、儂らは御主の部下であり縁者であったのであって、『組織』の雇われではないしの」

 ぷいとイクトミから視線を逸らす太三郎

「そう言うな、小夜の件も片付いた……まあ俺達が何かしたわけじゃないがな」
「ふむう? あの童め無事であったか。重畳重畳、仔細は後で宜しく頼む」
「後々本人を交えてじっくり語っとけ。まずはちゃっちゃと仕事を片付けるぞ」

 そう言って新しい煙草を咥え、火をつけるサロリアス

「目標は一切合財攻撃が通用しねぇ。そして触りゃあ即喰われてお陀仏な上に、喰った相手を丸ごと取り込む化物だ」
「んー? それじゃあちきが囮かな?」
「いや……目標はとある一般人の女にご執心だ。そいつが囮を引き受けている」
「それでは、その女性を守りつつ……これに誘い込み閉じ込める、と」

 核シェルターを眺める本丸の言葉に、サロリアスは煙草のフィルターをぎちりと噛む

「本人の意向はそうだがな」

 その言葉と態度に、太三郎がやれやれといった調子で肩を竦める

「委細承知。本丸と儂なら問題なくこなせよう。だが……囮でないのなら、燻は何のために呼ばれおった?」
「まあ皆が集まってるのに村八分では可哀想ではありますが」
「ああ、そいつはな」

 サロリアスの視線が、運ばれてきた梯子でシェルターの上へと登った黒服少女に向けられる
 梯子を運んできたモブ黒服達に手伝われ、古びた意匠の中国椅子をがたがたとシェルター上部に設置しているところだった

「誰か座ってないと、飛ばせねぇそうだ」

―――

 現れた斬九郎を前に、ぺこりと頭を下げる詩卯

「我侭を言ってすいません。今回は宜しくお願いします」
「いや、謝るのはこちらの方だ」

 それは、一般人を巻き込んでしまった事
 そして

「人の想いは時として我々の力を遥かに凌駕する。何時か思い出す時があれば、俺を恨むといい」
「へ? それってどういう」

 斬九郎の手元で、ちきりと鯉口を切る音がする
 一般人の詩卯には、何が起きたのか理解する暇も無かった
 鞘から滑るように抜き放たれた刀は、そのまま柄尻を華奢な身体の鳩尾へとめり込ませていた
 声すら上げられずにその場に崩れ落ちる詩卯を、斬九郎は優しく抱き留める

「Z-No.999」
「はい」

 物陰からゆらりと現れたZ-No.999が、意識を失いぐったりとした詩卯を預けられる

「最初からこうしておくべきだったのかもしれないな」
「すんません。俺の不手際でした」
「いや……都市伝説の存在を理解してくれる人間が増えて欲しいというのは、都市伝説側の立場に居る者としては当然の欲求だ」

 どこか寂しげで、諦めの混じった声

「記憶処理を。都市伝説に関る一切合切を消しておけ」
350 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/08/03(水) 20:53:17.39 ID:EZZiGF++o
前回のお話は>>82-84、それより前はwiki参照という事で
次回辺り決着、戦後処理かな?

とりあえずキャラとか持ちストーリーとか増やし過ぎ
でも間引くと怒られるので出番だけ無くす方向である程度絞っていきたいところ
351 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/03(水) 21:04:31.35 ID:309t9h8K0
三面鏡の人乙です〜
なんて素敵な御婦人方、これは活躍もwktkせざるをかっこあーるわい
ところで俺の詩卯ちゃぁぁぁぁぁぁぁん!? これは生存フラグと認識して良いのか・・・?

>>350
>でも間引くと怒られるので出番だけ無くす方向である程度絞っていきたいところ
間引きが豪快すぎるんですよあんたはwwwwwwwwww
増える分には基本怒られないと思いますぜ、流石にアンパンマンぐらい作るとあれですけどw
352 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/08/03(水) 21:37:10.03 ID:EZZiGF++o
>>351
> ところで俺の詩卯ちゃぁぁぁぁぁぁぁん!? これは生存フラグと認識して良いのか・・・?
生存ルートがこれぐらいしか思いつかなかった、今は反省している
こうしない場合のルートが、ブロブっ子と一緒に××へ××だったからなぁ

> 間引きが豪快すぎるんですよあんたはwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
だって減らすのに一人二人じゃ意味がないじゃないですか

とりあえずキャラが増えると相対的に他の話を書く時間が減るわけで
πナンバーの二人みたいに円満退場させられるといいんだけどなー
353 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/03(水) 21:48:54.38 ID:309t9h8K0
>>352
>こうしない場合のルートが、ブロブっ子と一緒に××へ××だったからなぁ
ところでブロブっ子は消滅確定ですか・・・?

>だって減らすのに一人二人じゃ意味がないじゃないですか
っくそ、とうとうこの新転地にも破滅魔神デルタミラーが降臨したか!?

>とりあえずキャラが増えると相対的に他の話を書く時間が減るわけで
既に連載書き過ぎて空気になってるキャラが居すぎる自分がいるorz
354 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/08/03(水) 23:10:50.63 ID:EZZiGF++o
>>353
> ところでブロブっ子は消滅確定ですか・・・?
どうなるかなぁ
消滅はさせる手立てが無いのが現状ですが

洋画のモンスターの無敵っぷりは異常

> っくそ、とうとうこの新転地にも破滅魔神デルタミラーが降臨したか!?
ははは、スレ立った時から居ますながww

> 既に連載書き過ぎて空気になってるキャラが居すぎる自分がいるorz
全体である程度話が繋がってれば色々出せるんですけどねぇ
舞台は学校町でもそれぞれ独立気味な話が多いもんですからこちらは
355 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/03(水) 23:40:04.54 ID:309t9h8K0
>>354
>消滅はさせる手立てが無いのが現状ですが
生きてるなら俺は歓喜する
たとえそれが封印みたいな形だろうと俺はロリを・・・

>ははは、スレ立った時から居ますながww
いやぁ、こっち来てからおにちく発言が目立ってなかったかなぁと思いましてwww

>全体である程度話が繋がってれば色々出せるんですけどねぇ
やたらと繋げまくるのも結構大変なんだと色々書いて気づいたり
別視点書くのが面倒くs(焼き払われました
356 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/08/04(木) 17:04:17.10 ID:SQs0Iknn0
三面鏡の人乙でした〜
詩卯ちゃんの生存フラグであると同時に退場フラグ?
このままのコースだと日常に戻るのか……一寸寂しいぜ……
そしてどうなるブロブっ子……
消滅させられなければ封印しかないのであるが……
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/04(木) 20:52:06.89 ID:cOyYxZcSO
みんな恐怖映像を見てるんだろか
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/04(木) 20:54:27.81 ID:8blssk5DO
会社なう。
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/04(木) 22:02:05.99 ID:vLkPJpAAO
帰ったらなんと机の上に隠していたエロ本が
360 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/04(木) 22:08:44.92 ID:8GbAXsg70
>>357
え、もしかしてテレビ何かやってた?
361 :単発ネタ [sage]:2011/08/05(金) 00:30:13.68 ID:6Uhvb5hSO
夜、人気のない薄暗い通りに、少女が一人立っていた。
夜の闇に溶け込む少女の黒い服が、都市伝説関係者ならよく知る「組織」の人間だと告げていた。
「そですかぁ。ここで待ってたら良いんですねぇ?はい〜、またよろしくお願いしますですよぉ」
そう言って小さい手が携帯電話を顔から離す。
同時に揺れた奇麗な金髪が、月の光を反射してキラキラと輝く。
その奇麗な髪の先は、くるぶしまで伸び、そのまま気にせずに歩き回っているのか、泥や埃でだいなしになっていた。
「そろそろですかねぇ」
少女がそう呟くと同時、建物の隙間から通りに男が飛び込んでくる。
息を切らせながら、走っていた男は、少女に気がつき、
「っ!?」
足を止める。
「…………組織か」
「そですよぉ。貴方は裏切り者さんですよねぇ?」
「違うと言ったら?」
「嘘はいけないと思いますですよぉ」
男は組織に所属する契約者だった。
しかしある日、任務を拒否し黒服を攻撃し、逃亡した。
「任務で[ピーーー]はずだった契約者が、俺の彼女だったんでな」
「そですかぁ。くだらない理由ですねぇ」
「くだらない?……ふん、所詮は黒服か。感情を理解できんらしい」
興味なさそうな少女に、男は吐き捨てるように言う。
そうして、二人は睨み合った。いや、正確には睨んでいたのは男だけで、少女は眠たげな目を向けていただけだが。
「……で?」
しばらくの沈黙の後、男が口を開く。
「俺の愛しの彼女は何処だ」
「それは私の担当ではないので、知りませんですよ」
組織は、一般人に危害を加える都市伝説や契約者と戦う。
組織が、男の恋人を攻撃したという事は、恋人に何か問題があったということで。男が任務を放棄したからといって、恋人への攻撃が止むわけではない。
そしてもう一つ、過激派と呼ばれる組織の派閥の一つは、裏切り者を許さない。
「俺は彼女を捜さにゃならん。どいてくれ」
「嫌だと言ったらどうなるんでしょうかぁ」
「それなら、力づくだ」
そう言って男はペットボトルを取り出す。中身はコーラ。
コーラの原液の入ったタンクに落ちた従業員が、あっという間に溶けた。
そんな都市伝説がある。コークロアというものだ。
男はその契約者であった。
そして、契約によって拡大解釈され得た能力により、
ペットボトルが、溶けた。
男の周囲をコーラが飛び回る。
あらゆる物を溶かす。そんなコーラを操る能力を男は持っていた。
「やる気満々ですねぇ。ですがぁ……私は痛いのは嫌いなのですよぉ」
少女がやる気なさげに、そう言うと男の周囲に、
草が生えた。
362 :単発ネタ [sage]:2011/08/05(金) 00:30:44.92 ID:6Uhvb5hSO
「………………は?」
一瞬、男は我が目を疑った。
周囲が森になっている。
「……異世界に閉じ込めるタイプの能力か!?」
「少し違いますですよぉ」
薮の向こうから、少女の声が聞こえてくる。
その声が聞こえてすぐ、男は声の方向へコーラを飛ばす。
コーラに溶かされ、薮が無くなり、少女の姿が見えるようになる。
そして、コーラは少女に当たる事なく、地面に落ちた。
「……?」
その光景に、男は疑問を覚える。
少女に向けて操っていたコーラが勝手に地面に落ちた。
男は地面に落ち、地面を溶かしているコーラを操り、再び少女に向けて操る。
けれど、コーラは少女に当たる事なく、見当外れな草木や地面に着弾した。
「なんだ?どうなってる?」
「せっかちは嫌われますですよぉ」
「五月蝿い!」
理由は知らないが、この空間では上手くコーラを操れないらしいと判断した男は、少女に向かって歩きだす。
当たらないならば、直接かけてやれば良い、そう考えて。
「………………???」
そう考えて、男は少女に近づいたはずだ。
何故、自分は少女に背を向けて歩いているのか。奇妙な出来事に男は足を止める。
「異世界に閉じ込める能力だと思っているようですがぁ」
戸惑う男を尻目に、少女はのんびりと喋る。
「たしかに、ここは異空間ですが、閉じ込めたりはしてないですよぉ」
周囲をよく見れば溶かした薮の合間から、微かに先程までいた通りが見える。
分かった事は二つ。
一つ、ここは先程の通りと同じ場所。この空間自体は異空間だが、端まで行けば通りに出るだろう。
一つ、この空間はさほど広くない。幅20メートルも無いだろう。森と言うよりただの薮だ。
分からない事は二つ。
一つ、いくら少女を攻撃しようとしても、いくら少女に近づこうとしても、何故か関係の無い場所を目指している。
一つ、先程から随分と歩き回っているのに、全くこの広くないはずの空間の端に着かない。
「まさか、これは千葉の…………?」
「おや、分かってしまいましたかぁ」
何か気がついた様子の男を見ながら、少女は言う。

千葉県に、一つの心霊スポットがある。
古くから禁足地とされる場所。
「足を踏み入れると二度と出てこられなくなる」という伝承。
「八幡の藪知らず」と呼ばれる神隠しの森。

それが、少女の都市伝説
『不知八幡森』

「能力は簡単に言うと、『道に迷わせる』ですよぉ。この森はおまけですねぇ」
「俺の攻撃が当たらないのは……?」
「攻撃が『道に迷った』からですよぉ」
男の問いに簡単に答え、少女は欠伸を一つする。
「ん〜、私はもうおねむの時間ですので、帰りますですよぉ。
 貴方も、彼女が心配なら会いに行けば良いですよぉ」
自分の能力で男をこの森から出れなくしているのに、そんな事を言って、少女は長い髪を引きずりながらふらふらと森の外へ歩く。
「まっ、待て!おい!」
「あ、そうでした」
男の呼びかけではなく、何かを思い出し、少女は立ち止まる。
「この森、そのうち毒ガスがでますから、長居しない方が良いと思いますですよぉ」
「な……おい!待ちやがれ!」
男が少女を追って、何故か逆走している事に気がついたの時には、すでに少女の姿は見えなくなっていた。
363 :単発ネタ [sage]:2011/08/05(金) 00:31:23.67 ID:6Uhvb5hSO
「みゃー」
「おや、猫さん。こんばんはですよぉ」
よって来た猫に挨拶をして、少女はふらふらと歩く。
「おぉ?」
マナーモードの携帯電話の震えに気がつき、少女は足を止める。
「はい〜?おや、こんばんはですよぉ」
電話の相手は、組織の仲間。内容は、
「そですかぁ。終わりましたですかぁ」
男の恋人の討伐が終了したという報せ。
「どうせ、間に合いませんでしたねぇ」
電話を切り、そんな事を呟く。
「おぉ?おおぅ、」
気がつけば、猫が少女の長い髪にじゃれて遊んでいた。
「痛いのは嫌いなのですよぉ」
少女は猫を抱え上げ、髪から離す。
「みゃあ」
「あの契約者には、能力で小動物を虐待する趣味がありましたですよぉ」
猫を見ながら、誰に言うでもなく少女は呟く。
「そんな女を恋人だからと庇っていましたですよぉ。恋だの愛だのと、迷惑な話ですねぇ」
「みゃ?」
「猫さんも標的になっていたかもしれないという話ですよぉ」
「みー?」
「助けたお礼に帰り道を教えてくれたりしませんでしょうかぁ」
猫を抱きながら、少女はふらふらと歩く。
「迎えがないと帰れないのですが、まだ来ませんですよぉ」
人通りのない道と、草木に覆われた薮の二つの光景が重なった視界で、少女は歩く。
「…………迎えが来るまで寝てましょうかぁ」
一人で帰るのを早々に諦めたようだ。

夜、人気のない薄暗い通りに、少女が一人立ったまま寝ていた。
森から出れず、森ごと移動し、自身の能力の影響で常に道に迷う。
かわいらしい少女の森には、何十人もの死体が転がり、今日も数人、さ迷っている。

364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/08/05(金) 00:52:37.91 ID:ksWHKaf30
心霊スポットということは…あの人か!
と思いつつ単発の人乙です〜
おもしろい能力だなぁ、俺も使っちゃおうかしら
ところでこのおにゃのこかぁいいぞ!
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/05(金) 20:35:55.92 ID:6Uhvb5hSO
心霊スポットだから、ってどんな推理法なんだ
かぁいくても、皆大嫌い過激派
366 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/05(金) 21:28:19.61 ID:ksWHKaf30
>>365
心霊スポット系を多く書いて下さる作者様がいらっしゃるのですよ
貴方と同一人物かどうかは俺は分かりませんがorz
単発書く事が多い人だったけど、俺は鉄柱の人だと思ってる
367 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/05(金) 21:29:48.46 ID:ksWHKaf30
書き忘れ

>>365
>かぁいくても、皆大嫌い過激派
はっはっは、他の皆様はどうか知りませんが、俺は過激派が嫌いだなんて一言も言ってないぜ☆
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/05(金) 21:51:21.82 ID:6Uhvb5hSO
>>366 367
ハハッ


どうでもいい話だけど
自分は過激派大好きです
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/05(金) 22:13:24.03 ID:d2BdNg+10
乙っしたー
可愛いけど怖い子



俺、過激派嫌いじゃないぜ?
叩き潰す対象として書きやすくて
370 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/05(金) 22:31:04.25 ID:ksWHKaf30
そうそう、潰し甲斐があるのが過激派の良さ
だが穏健派虐めも楽しいってのが一つ
ローゼとかを虐め倒すのがまたなかなかどうしt(赤い光に飲まれました
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2011/08/05(金) 22:38:03.73 ID:ERmOh1fc0
エシュロンの話の子?

wikiのアクセス100000超えたのか
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/05(金) 22:51:31.60 ID:XdESt0kp0
単発の人おつでした

恋の迷路に迷っちゃいそう(ドヤッ
373 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/08/06(土) 00:30:24.20 ID:X4wb6/Ez0
【不思議少女シルバームーン第八話 第一章「開戰」】

「……おかしい。」

 K-No.1、新島友美は首をかしげていた。
 その日は“ネバーランド”が全世界に戦争を仕掛けると宣言した日だった。
 その宣言通り、全世界で今正に都市伝説を用いた戦争は行われているのだ。
 ロシアでは巨大化した生物が暴れだし、アメリカでは失われたはずの巨大戦艦の艦隊がミサイルをものともせずに砲撃を始めている。
 ただしイギリス及びフランスを攻める部隊は半数が奇襲攻撃と指揮官の裏切りにより全滅。
 もう半分も対地対海攻撃に秀でたE-No.の精鋭によって潰走している。
 場所によっては押され気味だがそれでも全体としては拍子抜けするほどに優勢。

「明尊からの情報によればこの学校町がジャック・ジョーカーの狙いの筈。
 この学校町に魔翌力満ちる日食の時刻までに奴は行動を起こすはずだ。
 だというのに何も動きが無いなんて……」

 まったく動きがない、それがひたすらに不気味だった。
 彼女の緊迫と裏腹に朝日が登るまで町には何も起きてなかったのだ。

「さて、この状況、サンジェルマンはどう読んでいる?」
「私ですか?」
「今、学校町に集まっているのは組織と関係ないフリーランスの契約者達。
 言い方は悪いが烏合の衆だよ。」
「個々の力は素晴らしいと思いますがね。」
「指揮系統が不完全だ。」
「組織は全世界を守るために散開せざるを得なかったですからね。」
「サンジェルマンはなにしてるの?」
「東南アジア方面任されたんですけどね。」
「うん。」
「あそこ蒸し暑いじゃないですか。」
「うん。」
「私って頭脳労働のイメージなんで部下に任せて呑気にここで紅茶でも飲んでることにしました。」
「ええぇ……。」
「っつーか私よりフェリシアが指揮したほうが皆さん士気が上がるみたいなんで放っておいてますよ。
 あと私ってばフリーランスで一芸に秀でた契約者の顔見知りが多いものですから連絡役に徹していたり。」
「あー、確かにね。」
「はい。」
「そうそう、私の推理でしたね。」
「うん。」

 サンジェルマンが口を開きかけたところで部屋の扉が開く。

「サンジェルマン、居るかい?」

 中に入ってきたのは無駄に無駄のないセクシーな体つきをしたお姉さんだった。
 煙草を咥えながら長い足を伸ばして椅子に腰掛ける。

「蘭子さんじゃないですか。」
「そこの人は?」
「新島友美さんです。」
「こんにちわ。」
「こんにちわ、あたしは穂村蘭子、怪盗さ。」
「ちなみに私が無理やり出資者にさせられた孤児院の出身です。」
「あー、F-No.実務トップの笹木さんだったかがピアノ引く姿を見られると噂の。」
「あたしが子供の頃はピアノ下手っぴだったんだぜ。
 ……じゃなくて調査結果だ。辺り一帯隈なく調べたが吸血鬼の気配はねえ。
 あんたやそこの友美ちゃんが個人的に用いている兵力や雇われの契約者しかこの町には居なかったよ。」
「成程、了解しました。」
「本当に奴らは来ていないの?」
「ああ、少なくとも陸海空全てカバーできる私の煙にかからなかったんだ。
 今この時点では来ていない。」
「時空間転移は?」
「そこまでは私じゃ無理だが……」

 蘭子はサンジェルマンの方をちらりと見る。
 
「ええ、時空間関係の能力者がそれについては網を張っています。
 下手にワープしてきてくれればむしろ思う壺だ。」
「本当に訳がわからなくなってきたな。」
「ですね。」
「明尊が掴まされたんじゃないか?」
「彼の油断スキルならあり得ますね。」

 サンジェルマンがやれやれとため息をついた正にその瞬間、突然つけっぱなしにしていたテレビの番組内容が変更される。
 そこに写っていたのは…………
374 : ◆2PnxfuTa8. [sage saga]:2011/08/06(土) 00:31:57.45 ID:X4wb6/Ez0
―――――――――――――――――――――――

 一方その頃、スバルとヨツバ。

「おかしいわねえ。」
「ええ、おかしい。主人公なのに出番がなさすぎます。」
「へ?」
「いやこっちの話です。」

 彼らは二人揃って人が集まっている繁華街のカフェでお茶を飲んでいた。
 いやもうなんかカップルである。
 一応ここも戦場となる筈で、彼らはこの町に攻めてくる敵に対して十分すぎるくらい因縁があるのだ。

「よりによって学校町に仕掛けてこないなんて。」
「吸血鬼の力が最も高まる日食の時間に何もしないなんて……ねえ。」
「ええ、戦局を有利にすすめるためにここを死の街にしてもおかしくないのに……。」

 その時、突然近くのビルが轟音と共に、瓦礫をまき散らしながら崩れ去る。
 とんでもない量の土煙が晴れ渡った時、そこにあったのは巨大なアンテナがついた見たこともない塔だった。
 スバルの足元に瓦礫の破片が飛んで来る。

「看板だ、笛吹探偵事務所……。」

「スバル、あれを見て!」
「なんです?今のビル以上にすごいことなんて……」



「都市伝説の箱庭に囚われた哀れなる学校町の住人達よ。」
「嘘だろ……!?」

 繁華街の巨大な街頭ディスプレイに彼の見知った顔が映る。
 ジャック・ジョーカー、スバルの古い友人にして、世界に対する戦争を仕掛けた悪魔。
 死神と吸血鬼の多重契約者。

「俺たちはネバーランド。
 俺たちはを争いや苦しみから開放しにきた夢の国の住人だ。
 この国の時間で正午、午後0時に俺たちはこの町に“死の河”を展開してお前らを俺の一部として取り込む。
 お前らはそこで痛みも苦しみも憎しみも希望も絶望も無い命の一つとして生きることになる……。
 それまでの時間、たった一時間だがせいぜい有意義に過ごしてくれ。
 ああそうそう、俺たちを止めようと躍起になっている化物共に教えてやる。
 今からこの街全体に大量の吸血鬼をばら撒く、御存知の通りあの手の化物はねずみ算式に増えていく。
 たとえ俺の計画を止められたところで……お前らの大好きなこの街はお終いだ。
 せいぜい哀れな箱庭の住人の為に一時の安息を守ってやるんだな!」

 次の瞬間からたくさんの悲鳴が町に溢れる。
 その方向に走りだそうとするスバルの腕をヨツバが掴む。
375 : ◆2PnxfuTa8. [ saga]:2011/08/06(土) 00:32:39.95 ID:X4wb6/Ez0
「離してください!朔夜が居ない間は俺が代わりに守らないと!
 じゃないとあいつが帰ってこれない!
 罪悪感に押しつぶされて帰って来れなくなる!」
「駄目よ、見捨てなさい。」
「でも!」
「貴方は神様じゃないの、あなたにやれることは、私たちにやれることはたった一つ。」

 ヨツバは先ほど降ってきた塔を指さす。

「たぶんアイツらが居るのはあそこよ。」
「……確かにそうでしょうね。」
「私たちが多分一番近いわ。」
「はい。」
「……行くわよ、すぐに。」
「でも……。」

 苦々しそうな顔をするスバル。
 眼鏡の奥の彼の瞳からは涙がこぼれそうになっていた。

「いつの間に僕はこんな人間臭くなっちゃったんだ……。」

 吸血鬼が道行く人々に跳びかかる。
 彼の視界を塞ぐようにしてヨツバは彼を抱きしめる。
 そして彼女は彼の唇を唇で塞ぎ、キョトンとした顔の彼に言った。

「帰ったら、続きね。」
「……はい。」
「街のことは正義の味方に任せる!
 私たちにやれることは!?」
「ふざけた事件のふざけた首謀者をいち早くぶっ殺す。」
「その通り、私たちはオフェンスよ!」

 通りを一つ越えたところにある塔にめがけて二人は走りだした。




376 : ◆2PnxfuTa8. [ saga]:2011/08/06(土) 00:34:31.41 ID:X4wb6/Ez0
――――――――――――

時を同じくして

「ヒャーッハッハッハ!」
「やっと殺しができるぜ!」
「暴れたい放題だ!」
「こちとら無敵状態で弾数無制限だもんなあ!
 サイッコォォォォォォォオオに勃起もんだぜぃ!」

 ジャックとドクの手によって改造された吸血鬼兵士が学校町を所狭しと蹂躙する。
 彼らは様々な場所に分散していたがやはりというべきかその狙いが一番集中していたのは住宅地。
 南区の巨大な住宅街に向けて百を超える吸血鬼兵士は列をなして向かっていた。
 
「まずは引きちぎってやる!ガキのあったけえ肉を引きちぎってよお!
 悲鳴をあげているところを犯して、殺して、そっからもっかいおグピャア!?」

 吸血鬼兵士の内、一体の頭が脳漿をまき散らして派手に吹き飛ぶ。

「な、何者だ!?」

 それまで何の気配も感じられなかった場所に住宅地への通り道を防ぐようにしてベルトを装着した男たちが経っていた。
 全員が全員、警察の制服を着用しているところからしてこの町の警察であることは推測できるが……

「総員」
「な、なんだポリ公か!
 銀の弾だけで俺らを殺せるとでも……」




「―――――――変身!」




「変身」
「変身」
「変身」
「変身」
「変身」
「変身」
「変身」
「変身」
「変身」

「な、なんなんだ!?只のポリ公じゃねえな!?」

「警視庁都市伝説犯罪対策一課実働部隊第一小隊“隊長 明日真警部”」
377 : ◆2PnxfuTa8. [ saga]:2011/08/06(土) 00:36:04.98 ID:X4wb6/Ez0
 先頭に立る男、明日真の合図によって警察の制服を纏った男達は同時に人外の姿へ身を変えた。
 だがその姿はどちらかといえば人外というよりは人外を模した機械に近い。
 組織によって提供された簡易型契約書によって擬似契約を結んだ故のこの姿だった。

「ふ、不完全な契約を機械で補ってやがる!」
「気にすることはねえ!俺たちと違ってできそこないだぞ!」

 明日真を先頭にして十名の精鋭は自分たちの十倍以上の敵に突撃を仕掛ける。
 銃弾の雨を当たり前であるかのように受け止め、はじき飛ばし、拳一つで吸血鬼を圧倒する。

「う、嘘だろ!?象刈りに使う銃弾だぞ!」

 そういった吸血鬼は次の瞬間、心臓をとり出され、握りつぶされる。

「貴様ら都市伝説犯罪者を駆除し」

 狂ったようにサブマシンガンを撃ちまくる吸血鬼は顔面を力任せに引き剥がされ、

「地獄に送り返すモノ」

 或いは生きたまま摂氏5600℃の炎に焼かれ
 或いは四肢を握りつぶされ
 地獄の住民はここ地上にて真の地獄を見る

「人々の笑顔を守るため」

 虐殺、虐殺、虐殺
 しかしそれは許される
 何故ならばそれは間違いない正義だから
 人々を守るための戦いだから
 
「人として戦い続けるモノ」

 吸血鬼が死に絶えた戦場で明日真はひそりと呟く

「“仮面ライダー”だ。」

 明日真の前に規則正しく整列した九人の男たち。
 皆、彼より若い。

「隊長!指示を!」
「全員散開、敵は殺せ。ただし人命最優先だ。」
「了解しました!」

 思い出したように付け加える。

「敵でもできるだけ人は殺すな。」
「了解しました!」

 十人の影は町へと散開した。

378 : ◆2PnxfuTa8. [ saga]:2011/08/06(土) 00:36:53.66 ID:X4wb6/Ez0
――――――――――――――――――

 場所は物語冒頭に戻る。

「警視庁都市伝説犯罪対策一課実働部隊が獅子奮迅の活躍を見せており、吸血鬼部隊による被害は南区では0です。」
「正義の味方か……、あそこまで強くなるとはね。」
「もう今の上田さんよりは強いんじゃないでしょうかねえ。」
「全盛期同士ぶつけたら比べ物にならないでしょ。」
「上田さんの肩を持ちますね。」
「そりゃあねえ」
「北区では民間人に一部被害が出た模様!」
「くそっ……。」

 学校町のネバーランド対策本部は先ほどまでの空気とは打って変わって一気に慌ただしくなっていた。
 サンジェルマンと新島友美は学校町中の契約者と連絡をとりつつ対ゲリラ戦という難行に挑んでいる。

「サンジェルマン、“fourcard”の面々は?」
「橙さんはF-No.の仕事中です。
 ハートとスペードはこの街にすでに解き放っています。」
「クローバーの彼は?」
「彼女ですよ。カイトさんは今頃笛吹探偵事務所跡地に立ったタワーを攻略しに行っている筈です。」
「ありゃあ近づくのさえ困難だからねえ。」
「ハイ、ヨツバさん達が入り込んだ直後に“ジャックの豆の木”で防壁を張られましたからね。」
「面倒なことになったね。純粋な破壊力でカイトを上回るとなると……霙ちゃんは。」
「すでに塔に潜入しています。内部から破壊工作を仕掛けている途中です。」
「よし。」

 煙草の煙を一蒸ししてから友美は呟く。

「この町に喧嘩を売ったんだ……、それだけの覚悟はしてもらおうか。」

 かくして学校町を巻き込んだ史上最大の戦争は始まった。

【不思議少女シルバームーン第八話 第一章「開戰」】
379 : ◆2PnxfuTa8. [ saga sage]:2011/08/06(土) 00:59:58.06 ID:X4wb6/Ez0
毎回毎回人様のキャラを勝手に使って申し訳ございませんorz
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/08/06(土) 11:15:29.49 ID:5e+TXfjj0
笛の人乙です〜
とうとう学校町の大戦争が…
そしてもうすぐ彼女の復活なるか…!?
しかしアスマ軍団怖ぇwwwww
381 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/08/06(土) 14:24:16.86 ID:OnSeNbbw0
単発の人乙でした〜
過激派とは珍しい……
ホラーテイストで面白かったです。
契約者の子もキュートです。

笛の人乙でした〜
探偵事務所が吹っ飛んだ……
そして雑魚吸血鬼がテラバレンタイン兄弟wwwwww
明日真くんと仮面ライダー軍団流石に強くておっかないな
382 : ◆2PnxfuTa8. [ saga sage]:2011/08/06(土) 22:09:08.35 ID:X4wb6/Ez0
明日君の登場シーンはハイブリッドインセクターのイメージだった
流石に現代であまりにも不遇だからこの時代では無双させてあげたいじゃない
ちなみに彼は一浪してどっかそこそこの大学に入り
国家公務員二種試験受けて警視庁に準キャリア組として入り
組織からの出向扱いになってるから準キャリとしては異様なスピードで出世を遂げているっていう
都市伝説犯罪を取り締まりまくってます
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2011/08/07(日) 17:42:52.17 ID:Ck392lVh0
いないいない
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga sage]:2011/08/07(日) 19:23:12.72 ID:f1hU5I+a0
誰もいない
単発書くなら今のうち……
ってことでお題を出ーせー出ーせーダーセー
だーさーないとーひっかくぞー
385 :名無しNIPPER [sage]:2011/08/07(日) 19:45:59.55 ID:I3RsG9PAO
注射男
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/07(日) 19:49:47.73 ID:JuMwkOka0
>>384
今日はバナナの日らしい



後はわかるな?
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga sage]:2011/08/07(日) 19:56:41.38 ID:f1hU5I+a0
注射とバナナ……おk
BL書きつつ頑張ってくる
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga sage]:2011/08/07(日) 20:45:50.66 ID:f1hU5I+a0
【コバルトブルーと注射男とバナナ】
「おとっつぁんの病気が早く治りますように……。
 注射男が早く居なくなりますように……。」

 時は大正、この頃の帝都では流行病が蔓延しており、老いも若きも苦しんでいた。
 治安は悪化し、それに伴い人にあらざる物も跳梁跋扈する、正にこの街は魔都と化していた。
 このような状態では人々の心も乱れる。
 何時ごろからか流行病は注射男なる怪人のせいとされ、人々は注射男の恐怖に怯えていたのだった。

「……よし、今日もお仕事頑張らないとね!」

 少女は日課である神社への参拝を終え、家へ帰ろうとするところだった。

「お嬢ちゃぁん!これからお仕事かぁい?」
「俺たちは丁度仕事を終えたばかりでよお!」
「いやあ今日は儲かったぜ!」

 突然、三人組の男が少女の逃げ道を防ぐようにして現れる。
 その風貌から見てどうみても堅気の人間ではない。
 少女は身の危険を感じて男たちの間をすり抜けて逃げようとするがあっけなく捕まってしまう。

「や、やめて!離して!離してください!」
「おぉっとそうはいかねえなあ!」
「なんていうかよぉ、やっぱ一仕事終えたらすっきりしてえからなあ。」
「幸い朝早くの今の時間なら人もいねえし……手っ取り早く済ませちまうか。」
「誰か!誰かぁ!」
「うるせえぞ!」

 男の一人が少女の頬を殴りつける。
 しかし少女は怯まずに、自分を殴った男を睨みつけるとその男の股間に蹴りを入れた。
 
「うがあああああああ!いてえ!いてえぞこら!
 使い物にならなくなったらてめえどうしてくれる!
 めんどくせえ!てめえらさっさとやっちまえ!」
「勿論だぜ兄貴!」
「おらぁ!さっさと脱げ!」
「キャアアアア!」

 少女の貧しさ故にただでさえボロボロだった服が引き裂かれ、その下から真珠のように白く美しく滑らかな肌が現れる。
 咄嗟に残った布地で肌を隠すもののその姿は好色な男たちから見ればなお欲情を誘うものに過ぎなかった。
389 :待ち時間に単発ネタ [sage]:2011/08/07(日) 20:46:01.18 ID:I3RsG9PAO
 よれよれでぼろぼろの薄汚れたワイシャツを着て、ネクタイ代わりの様に輪っかにしたロープを首に引っ掛けた海外産赤毛美青年が、休日の真っ昼間という子供ラッシュアワーの公園のベンチに、だらしなく座って空を見上げていた。
 口はぽかんと開いて間が抜けてるし、首に掛かっている首吊りしてましたーって感じのロープはなんだか不気味だ。ロープの端っこが千切れているというのもなんだか生々しい。首吊り失敗しちゃいましたーって感じで。
 言ってしまえば、ベンチで一人空を見上げている男に話し掛けたいとは思わないのだが、彼は私と契約した都市伝説なのだ。会いたいと思い彼が拠点にしている公園まで来たのだから、彼がどんなに不審者の様で近付き難くとも話し掛けようじゃないか。
 近くを駆け抜けた子供達の笑い声に何だか複雑な気持ちになりつつ、怪しすぎる彼に声を掛けた。
「やあ、首吊り」
「……首吊り言うな」
「では何と呼べばいいんだい。アートとは呼ばないぞ、私は君を芸術と認めないのだからな。顔は良いし、器量の良さも認めるが」
「……ふん」
「首吊りで構わないな」
 言いながら隣に座った。首吊りがベンチの端に寄ったのは私に席を譲ってくれたからであって、決して距離を取ったわけではないのだろう。ははは、優しいなぁ首吊りは。
 首吊りは苛立ちからか髪色と同じく赤い顔で辺りを見回し、ぱちんと指を鳴らすと同時に舌打ちをした。
「何の用だよ、契約者」
「契約者だなんてよそよそしいな。別の呼び名を使いたまえ」
「じゃあ名前で呼んでいいのかよ。それとも『ひーちゃん』とでも呼んでやろうか? いや寧ろ呼ばせろ、このあだ名可愛いし似合う」
「……やだ」
「ハッ、契約者でいいんだな」
 くっ、負けた。酷いじゃないか私のコンプレックスを抉るとは。先程の仕返しか。
 私は首吊りを軽く睨み付ける。優越感に浸れたのか、日本人離れした綺麗な顔をにやりと歪めた。この野郎。顔と性格は反比例するというのか。
 そんな、事象系都市伝説の一つに数えられてそうな事を考えてみるが、それで彼の性格が変わるわけでもない。
 私はこほんと咳払いを一つ、仕切り直す事にした。
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga ]:2011/08/07(日) 20:46:49.46 ID:f1hU5I+a0
被っただと……
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/07(日) 20:47:20.30 ID:l4Vcd9W4o
被せてんのよ
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga ]:2011/08/07(日) 20:48:04.43 ID:f1hU5I+a0
じゃんけんで順番きめようぜ
さいしょはぐー、じゃんけんちょき
393 :名無しNIPPER [sage]:2011/08/07(日) 20:48:05.16 ID:I3RsG9PAO
アアアァァァアア!!!!

すみません!!
394 :名無しNIPPER [sage]:2011/08/07(日) 20:51:41.12 ID:I3RsG9PAO
すみません取り乱しました。

お先にお願いします。
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga ]:2011/08/07(日) 20:53:28.26 ID:f1hU5I+a0
【コバルトブルーと注射男とバナナ】
「おとっつぁんの病気が早く治りますように……。
 注射男が早く居なくなりますように……。」

 時は大正、この頃の帝都では流行病が蔓延しており、老いも若きも苦しんでいた。
 治安は悪化し、それに伴い人にあらざる物も跳梁跋扈する、正にこの街は魔都と化していた。
 このような状態では人々の心も乱れる。
 何時ごろからか流行病は注射男なる怪人のせいとされ、人々は注射男の恐怖に怯えていたのだった。

「……よし、今日もお仕事頑張らないとね!」

 少女は日課である神社への参拝を終え、家へ帰ろうとするところだった。

「お嬢ちゃぁん!これからお仕事かぁい?」
「俺たちは丁度仕事を終えたばかりでよお!」
「いやあ今日は儲かったぜ!」

 突然、三人組の男が少女の逃げ道を防ぐようにして現れる。
 その風貌から見てどうみても堅気の人間ではない。
 少女は身の危険を感じて男たちの間をすり抜けて逃げようとするがあっけなく捕まってしまう。

「や、やめて!離して!離してください!」
「おぉっとそうはいかねえなあ!」
「なんていうかよぉ、やっぱ一仕事終えたらすっきりしてえからなあ。」
「幸い朝早くの今の時間なら人もいねえし……手っ取り早く済ませちまうか。」
「誰か!誰かぁ!」
「うるせえぞ!」

 男の一人が少女の頬を殴りつける。
 しかし少女は怯まずに、自分を殴った男を睨みつけるとその男の股間に蹴りを入れた。
 
「うがあああああああ!いてえ!いてえぞこら!
 使い物にならなくなったらてめえどうしてくれる!
 めんどくせえ!てめえらさっさとやっちまえ!」
「勿論だぜ兄貴!」
「おらぁ!さっさと脱げ!」
「キャアアアア!」

 少女の貧しさ故にただでさえボロボロだった服が引き裂かれ、その下から真珠のように白く美しく滑らかな肌が現れる。
 咄嗟に残った布地で肌を隠すもののその姿は好色な男たちから見ればなお欲情を誘うものに過ぎなかった。
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga ]:2011/08/07(日) 20:54:56.76 ID:f1hU5I+a0
「へっへっへ、それじゃあお注射の時間だァ!」

 男の内一人が服の帯をするすると解き始める。

「おいおい、そんなんじゃあ蚊トンボの注射の方がまだ立派だぜ?」
「だ、誰だ!?」
「どこから聞こえてきやがる!」
「見たからには生かしておけねえ!」

 しかしその瞬間、一陣の風が神社の中を吹き抜けた。

「うっ!?」
「ぐぉああ!」
「ぎゃあ!」

「「「アッー!」」」

 突如として奇声をあげて崩れ去る男たち。
 いつの間にか彼らの背中には大量の注射が突き刺さっていた。
 彼らの背後から突如として現れる包帯でぐるぐる巻きの男。
 
「注射男……!?」

 学生服を身に纏った包帯男は彼女に手を差し伸べる。

「大丈夫だったかいお嬢さん?」
「こ、こないで!」
「そんな格好じゃあ寒かろう、こいつを着ていきな。」
「ひ、ひいいいいい!」

 包帯男の伸ばした手を振り払い、少女は早足で逃げ去ろうとする。
 だがしかし、彼は少女の手を掴み、自分の側に引き寄せた。

「あんたの親父の病気はもう治した。」
「え?」
「俺は確かに注射男だ、だが俺にだって情は有る。
 あんたみたいな心の綺麗な人間を見るとね、情けの一つでもかけたくなるのさ。」
「……ありがとうございます。」

 彼女の顔には不信の色が浮かんでいた。

「確かに見るまでは信じられないよなあ、そりゃあそうだ。
 じゃあこいつを持ってさっさと家に帰りな、舶来の品だ。」
「これは……!?」
「甘蕉、こっからはるか南の国でとれる果物だ。
 栄養が有るし、病で弱った体の回復には丁度よかろう。」
「それくらい知ってます!ただこんな高い物……。」
「端金だよ、端金。」
「いただけません、こんな高い物。私たち貧乏ですし……。
 おとっつぁんの仕事もなくなったし、私だって暇を出されたばかりだっていうのに……。」
「金なぞ要らん。仕事が無いというなら……この名刺を持って島津って書いてある屋敷に来い。
 下働きを募集している。」
「この住所……華族の!?貴方は一体……」

 少女が注射男に尋ねた次の瞬間、彼の姿は幻のように消え去り、少女の手のひらの中には甘蕉だけが残っていた。
 その甘い香りだけが今の出来事が事実であるということを教えていた。

「おーい!幸や!」
「おとっつぁん!?」
「急に体が軽くなっててな!お前が居なくなっていたから探してたんだぞ!

 神社の階段の下の方から少女の父親の声が聞こえてくる。
 少女は渡された甘蕉を持ってその声のする方向に駆けていった。



「まったく、これだから注射男ってのもやめらんねえぜ。」

 その様子を物陰から見ていた包帯男はそうつぶやくとまだ薄暗い曙の町の中に消えていった。
【コバルトブルーと注射男とバナナ おしまい】
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga ]:2011/08/07(日) 20:57:28.08 ID:f1hU5I+a0
お題+趣味+「お注射の時間だ!」をやりたくなった結果
少女漫画風に話を展開させられるが時代考証面倒だからやらない
398 :単発ネタ [sage]:2011/08/07(日) 21:22:58.98 ID:I3RsG9PAO
 よれよれでぼろぼろの薄汚れたワイシャツを着て、ネクタイ代わりの様に輪っかにしたロープを首に引っ掛けた海外産赤毛美青年が、休日の真っ昼間という子供ラッシュアワーの公園のベンチに、だらしなく座って空を見上げていた。
 口はぽかんと開いて間が抜けてるし、首に掛かっている首吊りしてましたーって感じのロープはなんだか不気味だ。ロープの端っこが千切れているというのもなんだか生々しい。首吊り失敗しちゃいましたーって感じで。
 言ってしまえば、ベンチで一人空を見上げている男に話し掛けたいとは思わないのだが、彼は私と契約した都市伝説なのだ。会いたいと思い彼が拠点にしている公園まで来たのだから、彼がどんなに不審者の様で近付き難くとも話し掛けようじゃないか。
 近くを駆け抜けた子供達の笑い声に何だか複雑な気持ちになりつつ、怪しすぎる彼に声を掛けた。
「やあ、首吊り」
「……首吊り言うな」
「では何と呼べばいいんだい。アートとは呼ばないぞ、私は君を芸術と認めないのだからな。顔は良いし、器量の良さも認めるが」
「……ふん」
「首吊りで構わないな」
 言いながら隣に座った。首吊りがベンチの端に寄ったのは私に席を譲ってくれたからであって、決して距離を取ったわけではないのだろう。ははは、優しいなぁ首吊りは。
 首吊りは苛立ちからか髪色と同じく赤い顔で辺りを見回し、ぱちんと指を鳴らすと同時に舌打ちをした。
「何の用だよ、契約者」
「契約者だなんてよそよそしいな。別の呼び名を使いたまえ」
「じゃあ名前で呼んでいいのかよ。それとも『ひーちゃん』とでも呼んでやろうか? いや寧ろ呼ばせろ、このあだ名可愛いし似合う」
「……やだ」
「ハッ、契約者でいいんだな」
 くっ、負けた。酷いじゃないか私のコンプレックスを抉るとは。先程の仕返しか。
 私は首吊りを軽く睨み付ける。優越感に浸れたのか、日本人離れした綺麗な顔をにやりと歪めた。この野郎。顔と性格は反比例するというのか。
 そんな、事象系都市伝説の一つに数えられてそうな事を考えてみるが、それで彼の性格が変わるわけでもない。
 私はこほんと咳払いを一つ、仕切り直す事にした。
399 :単発ネタ [sage]:2011/08/07(日) 21:23:56.08 ID:I3RsG9PAO
「話を戻すが、まあ、あれだ。家で夕食でも一緒にと誘いに来たのだよ」
「はぁ? くそ、またか」
「ほう、私の家には来たくないと? 確かに掃除はあまり出来ていないが」
「違ぇよ寧ろ毎日でも行きてぇよ。問題はその後だ。また奴等が来たんだろ?」
「そう頻繁ではないと思うのだがね」
「一ヶ月弱だ、十分早ぇんだよ。段々、見付かるまでの期間が短くなってるしな」
「ふむ、まだそれだけしか経っていないとは気が付かなかったよ。アトリエに閉じ籠っていては流石に時間感覚が狂うようだ」
 二人の間に広まる沈黙。その隙を埋めるようにきゃははと子供の甲高い笑い声が聞こえた。そちらに目を向ければ、公園という場に相応しい子供達の笑顔が。そしてそれを見て穏やかに微笑む公園という場に相応しくない黒い男が。
 ひゅ、と隣で息が吸われる音がする。あ、これは来るな。
 首吊りがいる方の耳を手で塞いだ。
「はっあぁぁぁぁああ!? あんた、まさか一ヶ月あの閉めきった部屋から出てねぇのかよ! 馬鹿か!!」
 キーン。至近距離からの大声に耳鳴りがする。相変わらずテンションの高低差が激しいな首吊りは。
「は、ははは。換気はしているし、風呂とトイレはきちんと行っているからな! そこ誤解しないように」
「流石にそこまで思ってねぇよ! だから、俺も一緒に住むって言っただろうが! 次からは同棲するからな!」
「落ち着きたまえ。アトリエに入られては集中出来なくなるじゃないか。君の好きな絵が描けなくなってしまう」
「そんなのどうでもいい! あんた、いい加減にっ」
 そこで首吊りの言葉が止まった。椅子から投げ出されていた首吊りの長い足に、子供が蹴躓いたのだ。
 不意打ちで対応が追い付かなかったのか一瞬間を置いて、慌てて首吊りは立ち上がる。
「あ、すまん!」
「うん、だいじょう……ぶ?」
 転んで腹這いになった子供は座り込み、こてんと首を傾げた。
「お兄ちゃん、何で紐を首に巻いてるの?」
「……へ?」
 きょとんとアホ面を晒す首吊り。思ってもみなかった質問やら何やらに首吊りは弱い。よれよれワイシャツにロープ首に引っ掛けていれば誰だって不思議に思うもので、内容自体は当たり前の質問ではあるのだが。
400 :単発ネタ [sage]:2011/08/07(日) 21:26:08.89 ID:I3RsG9PAO
 数回瞬きした後、ハッと我に返ったのか首吊りは子供の目の前でぱちんと指を鳴らした。動きだけは早業だ。
「やべぇ」
「がっつり見られていたじゃないか。集中したまえ」
「あんたが悪いんだよ、気を逸らせる様なことをしやがって」
 首吊りの悪態なんか聞かないことにした。
 子供は辺りをきょろきょろ見回して、不思議そうに再び首を傾げる。あれ? と呟き、疑問符が見えるんじゃないかってくらい解りやすい反応だ。
 離れた所から、友達だろう別の子供が呼ぶ。それに応えて、転んだ子供は駆けていった。
「今ね、ベンチに知らないお兄ちゃんとお姉ちゃんがいた!」
「えー? 誰もいないよー」
 そんな会話をする子供達。転んだ子供には悪いが、嘘つき呼ばわりされていてくれたまえ。悪いのはうっかり能力を解いてしまった首吊りなのだ。
 ――とある美術大で首を吊った男は、周りに多数ある現代アートの一つと勘違いされ何ヵ月も人目に晒されていた――
 『美術品と間違われた首吊り男』とでも題したこの都市伝説から生まれた首吊りの能力は、周りに溶け込み存在を認識させない事。姿も声も周りには伝わっているが、誰も存在を意識しない。道端の石ころの様な存在になる能力。
 注目を浴びるのが芸術だというのに、拡大解釈のせいで何とも真逆の能力になってしまった。嘆かわしい事だ。
 便利ではあるのだがね。
「移動するぞ」
「仕方があるまいね。見られたのは子供だけではないようだ」
 彼の冷たい手が私の手を引いた。心地よいそれを握り返し、私も立ち上がる。
 子供達を見て微笑んでいた黒い男、改め若い黒服が、私と首吊りに向かって駆けてきていた。
 ベンチからさっさと離れよう。
「やっと見付けました、ここに居るんですね! いい加減に話を聞いてくださいよ!」
 見た目は若い黒服が空のベンチに話し掛ける。何だか哀れではあるのだが私は『組織』とやらに興味はないのだよ。
401 :単発ネタ [sage]:2011/08/07(日) 21:27:35.10 ID:I3RsG9PAO
 よって、彼等の話は聞きもしない。首吊りの能力を借りて、誰にも気付かれず引っ越すのが通例だ。
 家や荷物にまで範囲を広げて能力を使うのは疲れるらしく、代わりにご飯を作らないといけないのだが。
「昨日、彼は家の側まで来ていたよ。やはり見付かっているようだ」
「チッ、飯食う暇もねぇか」
「大丈夫、両親は私の放浪癖に理解がある。急に消えても家は処理してくれるだろう」
「そっちじゃないんだよ。一ヶ月ぶりのあんたの手料理……」
 取り立てて食事の必要が無い首吊りが、一体何を嘆いているのか解らないが、まあいつもこんな感じだから無視で良い。
 ベンチに向かって未だに話し続ける若い黒服を尻目に、私と首吊り誰にも認識されないままこの町を去ってしまうのだ。

【終わり】


402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga sage]:2011/08/07(日) 21:31:46.53 ID:f1hU5I+a0
おつでした
認識できない能力か
只管放浪し続ける話しとかおもしろそうだな
403 :名無しNIPPER [sage]:2011/08/07(日) 21:36:57.86 ID:I3RsG9PAO
すみませんでした。そして乙でした!

大正ロマン!大正ロマン!
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga sage]:2011/08/07(日) 22:05:12.89 ID:f1hU5I+a0
ところでメズールちゃん消えちまったよちくせう
グリード連中は消滅寸前がいいなあ、ほんとうに
405 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/07(日) 22:07:06.87 ID:DEFuEUhu0
>>404
やめてええええ近畿地方は放送されてないのおおおおおおお!
406 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/07(日) 22:14:07.31 ID:DEFuEUhu0
というわけでお二方乙です〜

まさかの大正時代wwww
この「注射男」かっこいいな! 続きwktk(マテ

そんな都市伝説があったのか!晒されてた人カワイソス
それにしてもこれまた便利そうな能力だな・・・黒服かわいい


ところで、朝からオーズ・プリキュアと見られないとか何なの一体
高校野球とか衛星放送でやってくれマジで・・・
407 :画竜点睛 † フランスにて  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/07(日) 23:59:31.85 ID:DEFuEUhu0
「キャッホー♪ たっだいまー♪」
「つ・・・疲れ、た・・・」

女に付き合うとこうも疲れるものなのか
結成すらしていないというのにこのザマとは、本当に早くも先が思いやられる
ともかく、オレとロールは「組織」本部内の徘徊を終え、
ようやく自分達の部屋に戻って来たのだった
そこには、湯呑みに注がれた緑茶を啜る蓮華さんの姿があった
が、ローゼさんは見えない

「お帰りなさい2人とも」
「ん、連ッ・・・と、R-No.1、R-No.0は何処に?」
「あれ? そういや地味にいない系?」
「あぁ、置手紙がありましたよ。フランスに行ったそうです」
「フランス? またどうして?」
「さあ? 独りが寂しくて気晴らしにでも向かったのではないでしょうか」

気晴らし、か・・・あの人の気晴らしとなると少し不安だが

「すまん、オレも行ってくる。何かあったら連絡する」
「えぇ、お気をつけて」
「行ってらっしゃーいってカンジー」

腹いせにとんでもないことをしでかしてないといいが・・・女の心は難しい
そんな事を考えつつ、オレは部屋を出、廊下を走っていった

「R-No.3、これを」

蓮華さんの声が聞こえ、振り向くと、何かがこちらに投げられていた
咄嗟にそれを掴み確かめると、ペン型の機械だった

「・・・これは?」
「先程、私が部屋に帰った時に届いたものです
  役に立つかも知れませんので、念の為」
「ありがとう、蓮華さん!」

しまった、またNo.で呼び忘れた・・・次から気をつけよう
オレはその機械をスーツの裏にあるポケットにしまい、また走り出した
408 :画竜点睛 † フランスにて  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/08(月) 00:00:11.83 ID:ApqNrmcq0
     †     †     †     †     †     †     †



フランス―――

「あらぁ? 何処かしら・・・」

大きな独り言を呟いているのは、赤い長髪の少女――ローゼ・ラインハルト
その手には買い物バッグらしきものが提げられていた

「お紅茶のお共に良いと思ったのだけれど・・・
  シュールストレミング、フランスが原産だと伺ったのに〜」

どうやらシュールストレミングを探しに来たようだが、彼女は大きな間違いを犯していた
シュールストレミングの原産は、スウェーデンである

「ん〜、無いなら仕方ありませんわね、何か代わりに・・・あ、そうですわ!
  フランスと言えば世界三大ブルーチーズのゴルゴンゾーラがある筈ですの♪
  これは全精力をかけて探し出しませんと!」

惜しかった
確かにフランスのブルーチーズはそうなのだが、フランスはロックフォールだ
ゴルゴンゾーラはイタリアである
それにしても、紅茶を飲むというのに何故よりにもよってそんなゲテモノばかり求めるのだろうか
その疑問に答えてくれる事はなく、彼女はただただ美しい町並みを堪能しながら町を練り歩いていた
だが、そんな町に突如響いた、甲高い悲鳴
同時に、彼女が身体中で感じ取った、邪悪な気配

「ッ!!・・・都市伝説、ですわね」

彼女の瞳の紫水晶が、ゆらりと揺らめいて柘榴石に変化する
きょろ、きょろと視線をあちらこちらに向け、気配のする方向とその地点への最短ルートを導き出す

「まだ少し早いけれど、お先に始めてしまいましょうか・・・「組織」のお仕事!」

膝を曲げ姿勢を低くして両手で自らの足に触れると、触れた所から脚部全体に赤いスパークが迸り、
直後にクラウチングスタートのような格好で地を蹴り駆けだした
町中のどよめく人々を、目にも止まらぬ速さで縫うように駆けめぐること僅か数秒

「あれは・・・!」

ローゼは通りの真ん中に堂々と立っている、騒ぎの原因と思しき影を捉えた
真っ白なワンピースを紅く染めた、紫の長い髪の少女
長いどころではなく、後ろ髪は腰まで、前髪は胸まで伸びて顔が殆ど見られない
それ故に髪の間から覗く眼鏡と怪しい笑みが、不気味さを醸し出している
さらに特筆すべきは、少女の傍にいる化け物だ
黒い粘液上の生命体らしきそれは、アメーバの如く蠢きながら少女につき従って前進しつつ、
不自然に生えた巨大な人間の腕で建物を破壊していた
409 :画竜点睛 † フランスにて  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/08(月) 00:01:12.23 ID:ApqNrmcq0
「そこの貴方! これ以上の破壊活動はおやめなさい!」
「・・・む」

ぎろり、髪と眼鏡の二重の壁の奥で光る少女の鋭い眼が、ローゼを見据えた
そして、液状生物に破壊行為を止めるよう、手だけで指示する

「・・・何者?」
「ワタクシはッ、と・・・まぁ良いですわ、R-No.0と申しますの。コードネームだけれどお赦しになって?」
「そう」

少女は短く答えると、静かに手を頭上に挙げ、

「往きなさい。私の、可愛い子供・・・「ショゴス」」
「テケリ・リ、テケリ・リ」

前方のローゼに指差すように下ろすと、粘液の生物―――「ショゴス」と呼ばれたそれは、
巨大な腕を何本も生やして宛ら蜘蛛のような動きでローゼに向かって突撃を仕掛けてきた
寸でのところで、ローゼは高くジャンプをする事で「ショゴス」の攻撃を難なく避けた

「「ショゴス」・・・確かにそう仰ったわね
  どういうことですの? 確か「ショゴス」は、創作上の生物じゃ・・・」

今度こそローゼの脳内の正しい記憶の引き出しが開放された
「ショゴス」とは、そもそもクトゥルフ神話に登場する架空の生物であり、都市伝説とは言い難いものである
しかしながら、それは確実に、今彼女の目の前で形をなし、実際に被害を与えているのだ

「創作上?・・・違う、この子は私の子。私の愛する子供
  私がお腹を痛めて生んだ、正真正銘、私の子」
「えっ!? そ、そんな―――ッ!」

「ショゴス」から繰り出される拳を、赤い光の壁で防ぎ距離を取る
改めて、彼女の発言からの情報を整理した
“実の子供”
と言われても、どう見ても彼女自身が子供であり、その外見はローゼのそれと同じくらい幼い
そもそも、“子供”と言われている対象である「ショゴス」が人間ではないのだ
未成年、非人間、架空の生物―――様々な疑問が彼女の脳内を埋め尽くす

(こんなの、勘違いや思い過ごしとしか言い様がありませんわ・・・思い、過ごし?)

はっと何かに気付いたと同時に、「ショゴス」の拳を弾きつつ回し蹴りを命中させ、
蜘蛛型の「ショゴス」が吹っ飛び近くにあった建物を粉砕して倒れた

「ッ、私の子が・・・」
「分かりましたわ、貴方は「自己暗示」の契約者・・・それによる想像妊娠、と言ったところかしら」

ここにきてようやく彼女の読みが当たる事になる
「自己暗示」とは、簡単に言えば自分にかける「催眠術」だ
少女は自らに暗示をかける事によって、架空の生物である「ショゴス」を生み出した、ということらしい

「・・・ほぅ、君が只者ではないのは分かった
  君の言う通り、私が契約したのは「自己暗示」・・・想像妊娠の件も見事正解だ」
「だけど、まだ子供貴方がどうしてそんな――――」
「理解出来なかった
  何故男女間でなければ子孫を残す事ができないのか
  女同士で子孫が残せても別に良いのではないだろうか
  君もそうだと思わないか?」
410 :画竜点睛 † フランスにて  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/08(月) 00:02:03.84 ID:ApqNrmcq0
「・・・へ? あの、仰ってる意味がよく分からないのだけれど」
「まぁ良い、そんなことが分かった程度で、君が私の子に勝利した事にはならない」

す、と再び少女が手を挙げると、先程伸されていた「ショゴス」が瓦礫の山を掻きわけて這い出てきた
尚も不定形なジェル状の身体から蜘蛛のように8本の腕を出現させつつ、今度はタコの触腕が8本追加される

「テケリ・リ、テケリ・リ」
「しぶといですわね・・・あ、確か生命力が強いのだったかしら」
「私の子は強い。今なら許しておいてあげよう。諦めて出直すが良い」
「そうはいきませんわ。悪人さんがいらっしゃるのにみすみす見逃せませんもの」

ローゼは右手を前方に差し出すと、人差し指を立て、
指先を「ショゴス」に向けて構えた

「ワタクシの力、お見せして差し上げますわ!」

瞬間、彼女の指先に赤い光が集まり、小さな光球となって留まっている
果たして、光が一点に留まり続けることなど在り得るだろうか
感情が希薄だった少女から、ようやく驚きの色が見えた

「ッ!?・・・何だと言うのだ?」
「んー、折角人々を守るお仕事に就いたのだから、何かそれらしい事を・・・
  そうですわ、『フォトン・クラッシャー』!!」

技の名前らしきものが宣言され、赤い光が一筋の細い光条となり、「ショゴス」の腕1本に命中した
被弾した腕に真っ赤なスパークが走ると同時に、ぱぁんっ!!と弾け飛び、
突然7本の腕で支えることになった「ショゴス」はバランスを崩し、地を鳴らしてその場に倒れた

「っく・・・まだだ、私の子はこの程度で負けはしない」
「なら、こちらも少し本気を出させて頂きますわ! えっと・・・『フォトン・エッジ』!!」

右腕に赤光の刃を出現させ、ローゼは「ショゴス」に斬りかかる
対する「ショゴス」も腕を再生させ、触腕を伸ばして応戦した
ローゼの刃は触腕をことごとく斬り落とし、最後に腕が生えているアメーバ状の中心部を一刀両断するが、
「ショゴス」はそこから同じ姿を持つ2体の怪物へと分裂し、ローゼを挟み撃ちにする

「本当にくどいお子様ですこと・・・気絶でもして下されば楽なのだけど」

手を左右に広げ、伸ばした五指にそれぞれ光を集中させる
それを、襲いかかる2体の「ショゴス」に向けて放った

「『フォトン・ウェーブ』!!」

1体には命中し、そのまま痺れて地面に倒れ伏し、ドロドロになって動かなくなった
もう1体は寸前で翼を生やし、飛翔する事で攻撃から逃れてしまった

「やりますわね、でも逃しは致しません!」

もう一度、指先に光をチャージし始めた時だった
411 :画竜点睛 † フランスにて  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/08(月) 00:02:50.08 ID:ApqNrmcq0
「ぐ・・・ぁ・・・」
「ッ!?」

呻き声が耳に入り、咄嗟にその方向に目を向けた
刹那に、紫の長髪を乱しながら、少女はうつ伏せになって倒れた

「しまっ――――」

人間に怪我を負わせてしまった
一瞬、彼女はショックで動けなくなってしまったが、すぐに少女の元へと駆け寄った
上半身を抱き上げ、胸に耳を当てて鼓動を確認する

「・・・良かった、まだ間に合いますわ!」

そのままお姫様抱っこの要領で持ち上げると、周囲に赤い光を出現させた
が、背後からの重撃に吹き飛ばされてしまった

「くはぁっ!?」

だんっ!と強く壁に叩きつけられ、持たれるようにへたり込む
追撃に備え、攻撃の姿勢を取るローゼだったが、彼女の見た物は

「・・・え? ど、どうなって・・・」

母親である筈の少女に、無数の触腕を向ける「ショゴス」の姿だった
何が起こったのか、推理する前に彼女はその答えに気付いた

「ッ! あ、あの子はもう契約者じゃ、ない・・・
  ワタクシの攻撃の所為で、「自己暗示」との契約が切れてる!?」

ならば何故、「自己暗示」の産物である「ショゴス」が消滅しないのか
疑問は湧くが、ローゼは今それどころではなかった
すぐに少女を助け出さなければ、「ショゴス」に殺されてしまう

「もう、ワタクシの目の前で、人を死なせは致しません!!」

赤い光の刃を振り上げ、彼女は「ショゴス」の腕を斬り落とさんとする
しかし、「ショゴス」は新たに腕を出現させ、真剣白刃取りを決め込んだ
ローゼが次の手を導き出し、行動に移そうとする直前だった
「ショゴス」が、触腕の内1本で少女の頬を撫でたかと思えば、
触れた個所から光が生まれ、輝きがどんどん強くなっていく

「―――――――――――――う、嘘、これって・・・!?」

目と、心で感じ取っていた
そもそも、最初から気づくべきだったのだ
『液状の身体の一部をあらゆる器官に変化させる能力』
『2つの個体に分裂、または1つに融合する能力』
『とても強い生命力』
クトゥルフ神話における特徴を全て所持し、且つ、この大通りでこれだけ暴れてみせたのだ
人々の噂、疑念、信じる気持ちがあれば、都市伝説として存在するには十分である
この「ショゴス」はもはや都市伝説の副産物ではなく、「ショゴス」という都市伝説として確立してしまっていた
そして、都市伝説が求めるものは、永遠にして絶対なる存在の確立―――――――『契約』である

「あ゙・・・あ゙があぁぁぁあ・・・ッぁぁ゙あ゙!?」

だが様子がおかしい
412 :画竜点睛 † フランスにて  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/08(月) 00:03:32.17 ID:ApqNrmcq0
「ショゴス」が契約しようとしていた、その生みの親である少女が、
苦悶の表情を浮かべて唸り声を挙げている

「容量オーバー・・・このままじゃ飲まれてしまいますわ!
  もう止めなさい、貴方も消えてしまいますわよ!?」

必死に問いかけるローゼだったが、「ショゴス」は聞く耳も持たない
腕に止められていた刃を消し、光を帯びた拳で殴りかかろうとしたものの、触腕で巻き取られて身動きが出来なくなってしまった
しかしそれも束の間の出来事だった
何事もなかったかのように「ショゴス」が消え、少女の身体だけが残されたのだ
まずは生きているかどうか、拘束から放たれ自由にローゼは再び少女の生死を確認する

「・・・脈がある・・・ということは、都市伝説に飲まれて存在を留められたのかしら・・・?
  何にせよ、本部に連れていった方が宜しそうですわね・・・」

と、ローゼが少女を抱き上げようとした時だった
小さな呻き声と共に、少女が僅かに動き出したのだ

「あ! し、しっかりなさって!」

2、3度大きく揺すると、髪の間から藤色の瞳が覗いた
その様子を見て、ローゼはほっ、と胸を撫で下ろす

「・・・・・な・・・」
「無理なさらないで! 今、貴方を安全な所へ――――」
「・・・・・・・ん・・・・・・な・・・・・・」

え?と、首を傾げるローゼ
その刹那

「   オ   ン   ナ   」

がばっ!と少女が起きあがり、その長い髪がジェル状に変化し始め、
ローゼの身体にぐにゃぐにゃと纏わりついた

「し、しまった!? っく、どろどろしてて千切れない・・・!?」
「女・・・女・・・オンナ・・・テケリリリリリリリ・・・」

髪が変化してできたジェル状の触手を使いローゼを持ち上げると、
少女は不気味な笑い声をあげて立ち上がり、彼女の顎をくっと掴んだ

「テケリリリリリリリ・・・可愛らしい顔だ、今すぐ食したい程に」
「い、一体何をおっしゃtむぐっ!?」

ローゼの口が、少女の唇によって塞がれる
口腔内を執拗に舐めまわされ、舌で押し返そうとしてもジェル状の舌に対しては暖簾に腕押しだった
さらに粘液状の舌は口の中に飽き足らず、喉の奥へと入り込んだ
413 :画竜点睛 † フランスにて  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/08(月) 00:04:11.16 ID:ApqNrmcq0
「ん、んぐっ!?んんぅっ!!」
「テケリリリリリリ・・・テケリリリリリリ・・・なかなか良い声で泣くな、と私は恍惚の表情で感想を述べる
  さて、次はこちらの口を味見するとしようか・・・テケリリリリリリリリリリ・・・」

ぬるり、ローゼの艶やかな太腿を這いまわるように、少女のジェル状の手が触れる
それは太腿に沿って、徐々に、徐々に上がってきていた

「んぃっ!? んんんぁっ!?」

必死に抵抗するローゼだが、少女の手は止まらない
最も敏感な所に嫌な感触が伝わった時、彼女の目から大粒の涙が頬を伝った






「やれ、「銭塘君」!!」






彼女の目の前にいた少女は、真っ赤に燃える火球によって吹き飛ばされた




    †    †    †    †    †    †    †



「ローゼさん! 大丈夫か!?」

赤い東洋龍――「銭塘君」から飛び降りたオレは、力無くへたり込んだローゼさんの元に駆け寄った
間に合った、のだろうか
既に襲われていたようだったが、何にせよ、怪我は無いようで良かった
しかしローゼさんは一向にこちらに顔を向けない
まさか、「銭塘君」の炎が掠めたのか!?

「おいローゼさん、怪我は無いか―――――ッ!?」

怪我は、無いようだったが
彼女は・・・ローゼさんは、泣いていた

「・・・えっと、ろ、ローゼさ」
「日天さぁん!!」

オレが尋ねる前に、彼女はオレに飛びつき、そのままオレの胸の中で只管に泣きじゃくった

「ひっぐ・・・こわ、かった・・・すっご、く、怖かった・・・」

彼女は何度も何度も、ただ「怖かった」とだけ訴え続けた
オレは彼女が襲われていたという漠然とした事実しか知らず、実際どんな形だったのかは分からない
もう少しで内臓を抉られそうだったのか、はたまた人質か何かが理由で抵抗できなかったのか
だが、オレの心には一つだけ・・・そう、たった一つだけ、

「・・・分かった。もう、安心してくれ。オレが、ついてるから」

『この人を護りたい』、と・・・そんな気持ちが生まれた
414 :画竜点睛 † フランスにて  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/08(月) 00:04:40.30 ID:ApqNrmcq0
数分後――――

「なるほど、「ショゴス」か・・・本ッ当にしぶといな」

先程「銭塘君」の炎で吹き飛ばした少女が、今目の前でその姿形が復元されていた
というか、“少女だった”と言う事自体、今知ったのだが
どうやら今は気絶しているらしい
それにしても、都市伝説に飲まれていたとはいえ、人間を吹き飛ばすとは我ながら酷い事をしたものだ・・・

「ところで、こいつはどうするんだ、ローz・・・R-No.0?」

ようやく心が落ち着いたローゼさんに、オレは少女の行方を尋ねた

「えぇ、「組織」に連れてゆきますの」
「そうか、なら・・・ん?」
「イクトミというお方に伺ってみますわ、この子を「組織」にして下さらないか」
「待てよ!? あんたこいつに襲われたんだろ!?」
「でも、この子はもう人間ではありませんのよ?
  都市伝説に飲まれた・・・ワタクシ達と同じ存在ですわ
  この子に、元の生活に戻る事は困難だと思いますの
  なら、ワタクシ達と同じように「組織」にいる方が宜しいのではなくて?」

思わず、溜息が出てしまった
呆れている訳ではない
何というか、その・・・この人は、強い

「決まりですわね♪」
「S-No.0が許してくれるかどうか、だがな・・・」
「もぉ、意地悪仰らないで!・・・あぁそういえば、貴方のあの龍は?」
「ん?「銭塘君」の事か?」
「あれが貴方の契約都市伝説ですの?」
「いや、オレが契約したのは「画竜点睛」だ」
「がりょぉてんせぇ?」

おっと、まだ言ってなかったな
さっき言った通り、オレは「画竜点睛」と契約し、飲まれて都市伝説になった
「画竜点睛」というのは四字熟語の一つで、
『龍の絵の仕上げに瞳を描いた途端に龍が飛び出して天に昇った』という故事成語がそのまま都市伝説となってしまったようだ
能力はそのままで、龍の絵を実体化させる事ができる
さっきの「銭塘君」も、オレの能力で召喚したものだ
なかなか便利だが、時間が経てば消えてしまうし、絵は戻らないので召喚する度に新しい絵を描かなければならない
オレ自身に戦闘力が身に付かないのも厄介なところだな

「あらあらぁ、ワタクシもそんな楽しい都市伝説と契約してみたかったですわ♪」
「楽しいって・・・あんた前向きだな;」
「よく言われますの♪・・・っと、そろそろ本部に向かいましょうか」

ローゼさんが少女を背負い、オレに手を伸ばす

「ん?」
「あ、ワタクシは異空間に直接移動する能力がございますの」
「そうだったのか・・・あ、だが少し待っててくれ、あとサングラスをつけた方が良い」
「え? これのことですの?」
「あぁ、オレは最後の仕上げをしてくる」

首を傾げるローゼさんを後にして、オレは再び「銭塘君」を呼び出し、その背に飛び乗った
そして、懐に忍ばせていた、蓮華さんに貰った機械を取り出して、未だパニックに陥っている人々に叫んだ

「皆! こっちを見ろ!!」

全員がオレを見た瞬間に、オレは機械のスイッチを押す
この瞬間に、さっきまでの事件は光に包まれ、闇に消えた

   ...続く
415 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/08(月) 00:08:51.61 ID:ApqNrmcq0
誰もいない時に上げて必ず後悔する男、ここに参上orz
と言う訳でレジーヌとの出会いを
そしてタイトルに『微エロ』って書くの忘れてたんだけど、
ちょっと前にいやぁんなシーンあったからこの程度大丈夫だよね、とガクブルしつつ

1週間かけてそろそろ新連載の第1話を書きあげたいところ・・・
しまったね、他の作者様の足元にも及ばないけど、掛け持ちしすぎたorz
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/08(月) 00:30:41.12 ID:wJvsPoxFo
今までの中で一番面白い作品教えてください
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/08/08(月) 00:36:14.28 ID:ApqNrmcq0
>>416
一番、と言われるとなかなか思いつかない…どれも面白いからなぁ無論自作品除いて
強いて言うなら『悪魔の囁き』でしょうか?
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/08(月) 01:52:48.11 ID:S+E1vhY0o
>>416
面白さってのも受ける人それぞれだから難しいね
好きな作風(漫画でも小説でも)なんかわかれば勧めやすい

クロス系の話は整理されてないので読むのに根気がいりそうだし
個人的にはTさんの話なら大体単独で完結してるし読みやすいし一番お勧めなんじゃないかな
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 02:00:09.75 ID:vXcvWkD5o
>>416
まとめwikiに「完結済み作品」って項目があるので、ご参考までに
http://www29.atwiki.jp/legends/pages/2504.html

個人的には「喫茶ルーモア・隻腕のカシマ」がお勧めです
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 03:04:20.03 ID:n4p32lMm0
一夜だけでいいから書き逃げした作者含めて一堂に会するような事ないかな…
お前続き書けなんてのは言いっこ無しで…

まあ無理だろうな…
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/08(月) 04:02:47.19 ID:wl5oAKem0
8月の学生食堂は人でごった返してもはや温度が温くなっていた
前期も終わりだ。ほとんどの連中が期末レポートで追われてるんだろう

「で、どーするよ、単位」
「マジやばいよな」

俺は今後の単位取得について本格的に呻き始めていた
そこの所の事情は、俺の前でざるそばを啜っている新田もほぼ変わらない

「訳分かんねーことに夏の集中講義が軒並み潰れたんだってな」
「冗談じゃねーってんだ、集中で単位稼がないと本格的に留年確定だぞ、俺」

言ってる台詞の内容にしちゃどうでも良さそうな顔してますね新田クン?

「何シケた顔してるの二人とも」

後ろから女の声が掛かる
見なくても分かる。同期の堀口だ

「おうおう、優等生さんが俺たち負け組に何の御用で」
「ちょっと待て、その負け組に何故俺も含める」
「ご挨拶だね、いい話もってきたのに」

新田に負け組入りされた俺は、断りなく眼鏡女に隣席を取られた
人のトレー押しのけて手前の定食で幅取るとはいい度胸だ

「4単位も稼げる集中の話、聞きたい?」
「集中? 俺が掲示板で確認した時には全滅してたぜ、相次ぐ謎の急遽休講ってな」
「掲示板で公表されてない集中があるの」
「マジかよ、何処で?」
「フフン、知りたい?」

フフーン、とわざとらしい表情のメガネ
しかし実の所、今までに何度も堀口に講義関連で助けてもらったか数知れない
此奴自体は優等生で何でわざわざランク下の俺達と絡みたがるのかは分からん

「あ、悪い。俺ちょっとこれから用事あるから」
「え、新田君、話聞かなくていいの?」
「んー、急いで登録しないとダメなら、お前代わりにやっといて」
「俺かよ!?」

急なご指名にまさかの俺も吃驚だぜ
新田は空になった食器を持つとそそくさとテーブルから離れていった

「……」
「ん、どうしたよ堀口」
「え、いや、新田君って最近雰囲気おかしくないかなって」
「気にしすぎだろ、確かに最近付き合い悪いけどな
 それより単位の話してくれよ、そっちのが気になってしょうがない」

堀口は膝の上に置いていたトートバックから何やら取り出した

「ん、何だこれ……『民俗学特別演習XX』?」
「そう、この夏に開講される集中講義よ」

話す堀口の顔は何処か嬉しそうだ

「数年に一度開講される講座なんだけど、今年の題は! ズバリ『都市伝説』なの!!」
「……お前、そういうの好きだよな」

何事かと思えばそれか
道理でこっちに来た時からにやけてた訳だ

「大体俺たち人文科ってわけじゃ無いんだし取れるかどうかも」
「ならわざわざ話持って来たりしないよ。履修条件は特に無いし
 誰でも参加可能だってあるしさ」

集中講義で都市伝説かよ
俺は思わず頭を掻いていた
まあ、今年の夏は暑いし、講義で単位取れて、次いでに涼でも取れれば良いかな
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga sage]:2011/08/08(月) 08:02:55.94 ID:qPyhpPGO0
途中で眠っちゃったか……
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/08/08(月) 08:16:02.22 ID:ApqNrmcq0
かなり面白そうなので続きwktk
だがこれからバイト…orz
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 09:07:24.05 ID:EsFa9SfDO
一番面白いっていうか
作者ごとに得意分野が違うから好みなタイプのアニメや漫画あげてくれれば紹介しやすい
425 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/08(月) 17:14:47.10 ID:ApqNrmcq0
主に俺専用『画竜点睛』まとめ安価

第1話>>213
第2話>>260-262
第3話>>407-414
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 21:52:17.44 ID:1JgqkieSO
毛←スカイフィッシュ
427 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/08(月) 21:53:15.39 ID:ApqNrmcq0
>>426
もうそれにしか見えないwwwwwww
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga sage]:2011/08/08(月) 22:26:55.46 ID:qPyhpPGO0
このスレを普段ロムってるデュエリストから書き込んでるデュエリストまでに質問だ
星座スリーブ買った?
買ってたらどのデッキに使ってる?
あと都市伝説と〜のキャラでデュエル話書いたら需要ある?
429 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/08(月) 22:30:30.41 ID:ApqNrmcq0
待て、星座スリーブって何?
とりあえず買いに走りたい
あとデュエル話は半数に受けるけど、本スレより避難所の方が良いと思われ
俺はwktkしてるぜ♪
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga sage]:2011/08/08(月) 22:47:15.85 ID:qPyhpPGO0
影男の人よ……星座スリーブしらないのか
アレはイイぞ、すごく良い
かっこいい
ぜひ使って欲しい
そして三重スリーブにはまればイイ
431 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/08(月) 22:53:08.20 ID:ApqNrmcq0
三重だと・・・うちの隣の県とは関係ないよな(帰
そんなにかっこいいのか、元天文部部長の血が騒ぐぜ!
因みにどんな星座なの? てか12種? 13種? 88種?(最後はねぇだろ
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga sage]:2011/08/08(月) 23:09:29.67 ID:qPyhpPGO0
全十二種類だ
初めてスリーブガードで三重スリーブにしたわ
433 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/08(月) 23:21:02.41 ID:ApqNrmcq0
ほぅつまり12星座か、全部集めてR-No.s全員のデッキ作ろう
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 23:54:47.68 ID:RIIbX1AAo
星座と聞いて思わず
やぎ座がマイフェイバリット
http://nekomemo22.blog99.fc2.com/blog-entry-5129.html
435 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/09(火) 02:12:43.55 ID:3nLR174+0
>>434
何これかぁいいwwwww
俺はしし座が好みかも、もさもさ♪
しかしうお座とかツッコミ処満載なのもあるなwww
436 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/09(火) 12:40:51.53 ID:3nLR174+0
投下開始
437 :花鳥風月 † 花は咲く  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/09(火) 12:41:48.06 ID:3nLR174+0
「あーぁ、つまんなーい・・・」

8月1日
夏休み真っ盛りで主に若年者で賑わうファミリーレストランのとある席で、
溜息混じりに呟いたのはショートケーキを頬張る少女だった
少し癖のついた黒く長い髪を左右で縛って腰までのツインテールにしていて、
薄めの胸に小さな花の杖のペンダントを提げた、小柄な少女
紅坂 百花(コウサカ モモカ)、16歳
中央高校に通っている花の女子高生である
そして、彼女がこの物語の主人公だ

「ははは、百花、お前『つまんない』と言ってる割にはもう5皿目を平らげてるぞ?」
「だってここのショートケーキ美味しいんだもん、はむっ」

百花が話しているのは、相席に座っている黒の短髪の男らしげな人物
しかし“彼”ではなく“彼女”だ。その証拠に、バストはCカップである
百花の親友、萌黄野 風音(モエギノ カザネ)。百花とは同い年であり、クラスメイトでもある

「ま、気持ちは分かるぞ。折角の誕生日に想い人がいないなんてそんな寂しいこt」
「わわわ、わ、違う違う、あいつとはただの幼馴染なだけだから、そんなんじゃないってば!」
「ほら、顔真っ赤だぞw」
「風音のバカ!」

むすっとした顔を作る百花を見て、風音は高らかに笑った
百花も釣られて笑うが、すぐに表情が曇ってしまった

「・・・そりゃ、さ。確かにあいつにも来て欲しかったけど
 でも北海道に里帰りなら仕方ないじゃん」
「言ってる事と顔色が反比例してるぞ」
「そう?」
「うん。それに白鷺だって、お前の誕生日祝ってやりたかったと思うぞ
 きっと、帰って来た時にプレゼントとか持ってくるって」
「え、そ、そうかなぁ? そこまでされてもなー」
「すっごく嬉しそうだぞ;」
「からかわないでよもう!///」

再び朗らかに笑いあう2人
今度は百花も楽しそうで、胸のペンダントも踊っていた

「・・・そういえば、」
「ん?」
「百花のそのペンダント。中学の時は見なかったけど、何なんだ」
「あ、これ? 可愛いでしょ。高校入学決まった時にお婆ちゃんから貰ったの
 「蓮の杖」っていうお呪いの道具なんだって」
「お呪い・・・何かちょっと怖いぞ;」
「大丈夫大丈夫、ただのペンダントだもんこれw」
「いや気をつけた方が良いぞ、世の中何が起こるか分かんないし」
「風音ってば、おじさんみたいなこと言わないでよ」

と、2人が話している途中で、携帯電話からメロディが流れた
どうやら風音の物らしい、開いて画面を確認し何度かボタン操作をしている

「・・・あ、やばい、百花ごめん、用事が出来た」
「用事? ううん気にしないで、今日はご馳走様」
438 :花鳥風月 † 花は咲く  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/09(火) 12:42:23.84 ID:3nLR174+0
「おう、じゃあまた明日―――って、百花、『ご馳走様』って何だ?」
「え? 今日はあたしの誕生日だよ? だからこれは風音からあたしへのプレゼントって事で」
「それでやたらと食べまくってたのか!? お前意地汚いぞ!」
「おーっほっほっほ、何と言われようとあたしが正義よ! じゃ、バイビィ♪」

後ろ手に手を振り、「この店の制服相変わらず派手ねぇ」などと呟きながら、
百花は財布を覗きこむ風音を背にして店を出た




    †    †    †    †    †    †    †



「あーぁ、つまんなーい・・・」

本日二度目のこの台詞が吐かれたのは、かんかん照りの住宅街だった
ファミレスからの帰り道なのだが、百花は暑さと退屈が重なって酷い顔をしていた

「暑い、つまんない、暇、超暇・・・あぁ帰ったらどうしよっかなぁ・・・
 宿題まだだけど、あいつが帰ってくるまでやるの嫌だし・・・」

ところで、先程から散々百花が零している“あいつ”とは、風音の発言の通り彼女の幼馴染の少年である
百花はその少年に想いを寄せているようだが、真相は定かではない・・・かも、知れない
彼についてはまた追々語っていくとしよう
さて、あぁでもないこうでもないとぶつぶつ呟きながら炎天下を歩いていた時だった

「・・・ん?」

ふと前の方に目をやると、道路の脇で蹲っている小学校低学年程の少女が見えた
―――こんな暑い日にどうしたんだろう?
百花は少女に近づき、身を屈めて尋ねた

「お嬢ちゃん、どうかしたの? こんなところにいたら熱中症になっちゃうよ?」

百花の声に反応し、少女が顔をあげた
少女は目を真っ赤に腫らして、頬を涙で濡らしていた

「ッ!! な、何があったの!?誰かに虐められたの!?」
「・・・ううん、違う、の・・・お人形、さん、無くしちゃっ、て・・・」
「人形?」
「うん、すごく、すごく、大事なお人形・・・どこに行っちゃったのか、分からないの・・・ひっぐ」

また顔を膝に埋めて泣き始める少女
百花は、何かを決心したかのように頷くと、少女の頭をぽん、と優しく撫でた

「大丈夫、絶対見つかるから。お人形さんも、お嬢ちゃんの事、何処かで待ってるよ」
「・・・何処かで?」
「そう、だから迎えに行こうよ。お姉ちゃんも一緒に行ってあげるからさ」
「本当?」
「えぇ本当よ。あたしは百花。貴方は?」
「ミミ・・・私、深美って言うの」
「そっか。じゃ、行こう深美ちゃん!」
「うん!百花お姉ちゃん!」
439 :花鳥風月 † 花は咲く  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/09(火) 12:43:08.98 ID:3nLR174+0
こうして、2人の大捜索が始まった
道路の脇や排水溝、塀の上
民家の隙間、若しくは敷地内
草むらの中、木の上、電柱の上
ネコやカラスの観察、近隣住民の聞き込み調査
あらゆる所を探しまわり
あらゆる方法で調査を進めた
しかし、手がかりになりそうなものは掴めず、
結局、人形が見つからないまま、時間だけが過ぎていった

「う〜ん、何処にあるのかなぁ・・・」
「・・・ごめんね、百花お姉ちゃん。私の為に・・・」
「そんな、謝らなくても良いってば
 それより深美ちゃん、何か思い出せそうなこととかない?」
「思い出せそうなこと?」
「ほら、最後に遊んだところとか、小さなことでも良いから」
「・・・・・・あ! 公園!」
「よし、急ごう!」

深美の手を引き、百花は公園に向かって走り出した
5分程で目的地に着いたが、風は涼しく月が輝きを増し、鳥は一日の終わりを告げながら空を飛んでいた
既に誰もいなくなった公園内を、舐めるように探し回る百花と深美
夏の夕方は明るく、足元が見難いことはないのだが、それでも探し物は見つからなかった

「参ったわねぇ・・・ここでもなかったか」
「ぐすん・・・やっぱり、怒って何処かに行っちゃったのかなぁ・・・」
「元気出して深美ちゃん、貴方のお人形さんは絶対見つかるから」

泣きじゃくる深美を、百花はそっと撫でて宥めていた
と、その時

「君達が探しているのはこれかね?」

生気の感じない、冷たく低い声が聞こえた
振り向くと、そこには夏だというのに黒いマントを羽織った、30代前後の男性が立っていた
その手には金髪の西洋風の女の子を象った人形が掴まれていた

「あ、あれは・・・」
「お人形さんだぁ!!」

一気ににこやかな表情を作り、夢中で駆け寄る深美
百花も、ほっと胸を撫で下ろした
が、男は深美が近づくと、ひょい、と人形を頭上に掲げた

「え・・・?」
「ッ! おいおっさん、どういうこと!?」
「おっさんとは失礼な・・・何、私は一言もこれを返すとは言ってないと思うが」
「返してよぉ、私のお人形さん返してぇ!!」
440 :花鳥風月 † 花は咲く  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/09(火) 12:43:53.87 ID:3nLR174+0
涙声で必死に手を伸ばすが、当然その手は人形に届かない
男はにやにやと不気味な笑みを浮かべ、くるりと回ってマントを翻しながら深美から逃げるように後ろに下がった

「おっさん! その人形は深美ちゃんのものよ! 返しなさいよ!」
「はっはっは、なら少女よ、この人形は本当にその子の元に帰りたがっていると思うかい?」
「・・・え? ど、どういう意味よ?」
「そのままの意味だよ。私には分かるのだ、この人形の気持ちが
 今まで愛し愛され、信じてきた持ち主に、突然忘れ去られた悲しみが、怒りが・・・憎しみが」

男の見せる怪しい笑みが、どす黒いものに変貌した
と同時に、百花は公園内の空気が、一層寒く、重いものに変わったような気がしていた

(な・・・何なの、これ・・・?)
「人形にとり憑いた「付喪神」よ・・・持ち主の愛を憎しみに変え、今その憎悪の念を解き放て!!」

男が叫び、人形を頭上にひょう、と投げた
瞬間、人形から漆黒のオーラが溢れ出し、人形全体を包み込む

「ッ!?」
「お人形さぁん!!」

オーラが晴れ、中から現れたのは、深美の人形ではなかった
いや、“元は”そうだったのかも知れない
5メートルはあろう巨大な身体、両手には鋭い爪が伸び、
美しかった金髪は振り乱れ、可愛らしかった笑顔は邪悪な笑みへと変わり果てた
それは、正しく化け物になってしまっていたのだ

「う、うそ・・・あたし、夢でも見てるの?」
「残念ながらこれは正真正銘ノンフィクションだよ!
 さぁ往け、私のしもべよ! お前が最も憎む者に復讐してやれ!!」
「モエルゥゥゥゥゥゥゥゥワァァァァァァァァァァァ!!!!」

人形の化け物は咆哮をあげ、爪を立てて深美に向けて振りかぶった

「深美ちゃん!!」

間一髪、百花が深美を抱きしめ飛び退いた
爪は地面を穿ち、辺りに砂塵を撒き散らす

「ほぅ、邪魔をするのか小娘?」
「逃げるよ深美ちゃん!」
「え、あ、待tt」

深美が何か言おうとしたが、百花は聞かずに走り出し、公園から脱出した

「折角の獲物を逃がすものか。追え!」
「モエルゥゥゥゥゥワァァァァァァァァァァ!!!」

男が化け物の肩に飛び乗ると、化け物は遊具を蹂躙しながら公園を出た
己が最も憎い人間を殺す為に
441 :花鳥風月 † 花は咲く  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/09(火) 12:44:30.48 ID:3nLR174+0
    †    †    †    †    †    †    †



塀と塀の間の狭い道
声を押し殺すような小さな2つの息切れが、闇の中に漏れていた

「っはぁ、はぁ・・・な、何なのよあれ・・・」
「私のお人形さん・・・大事なおにんぎょうさんがぁ・・・」
「深美ちゃん・・・」

話しかけようとした寸前に、化け物の奇抜な咆哮が耳に届いた
それに続いて、あの男の声が聞こえる

「小娘共ぉ! 隠れても無駄だ! この一帯を破壊してでも見つけ出すぞ!
 言っておくが、人を傷つけようが殺そうが私には造作もない事だ!
 だがお前達が自分から出てくれば、誰も死ななくて済むんだがなぁ? はっはっはっはっは!!」

ぎり、と百花は強く歯を食いしばった
深美を死なせたくない
しかし、大勢の関係のない人達を死なせるなんて・・・
百花は深美と目線を合わせるように姿勢を低くして、肩をそっと掴んで語りかけた

「深美ちゃん、貴方だけでも逃げて」
「そんな、お姉ちゃんは」
「私のことは良いから。早くしないと貴方も殺されちゃう」
「だって、私が逃げてもお姉ちゃんが」
「早く逃げて!!」

思わずきつく言ってしまい、ふと我に返る百花
深美は今にも泣きそうだったが、彼女はシャツの裾を引っ張り、ぐしぐしと涙を拭った

「・・・ヤダ。ずっと、お姉ちゃんと、一緒にいる」
「深美ちゃん、どうして・・・」
「私の所為なの。私の所為で、お姉ちゃんや、知らない人達を危ない目に遭わせて・・・
 だから、ここにいる。それに、お人形も返して欲しい!」

一生懸命、涙を堪えて訴える
―――この子、強い
百花は少し強めに、深美を抱きしめた

「・・・分かった。深美ちゃんはここで待ってて」
「え・・・?」
「大丈夫だから。お姉ちゃんが、お人形さんを取り返してあげる」
「っだめ、お姉ちゃん!」

深美の声も聞かず、百花は陰から飛び出した

「やい、おっさん!!」
「だから誰がおっさんだ・・・む、もう一人は何処だね?」
「あんたには関係ないでしょ? それより、その人形を返しなさい!」
442 :花鳥風月 † 花は咲く  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/09(火) 12:45:02.65 ID:3nLR174+0
「は? はっはっはっはっは!! しつこいねぇ君も
 これはもうあの少女の人形ではない。憎しみに溺れた殺戮マシーンだよ!」
「違う! 例えどんな姿になっても、それは深美ちゃんのお人形さんなんだよ!
 あの子の、大切な宝物・・・ううん、友達なのよ!!」

その時、誰が気付いただろうか
彼女の胸のペンダント―――「蓮の杖」が、僅かに震えた事に

「宝物、友達・・・下らない、そんなことを言いにのこのこ出てきたのか?
 見たところ、お前はあの少女と何の接点も無いようじゃないか
 見ず知らずの人間の事に、何故首を突っ込むのだ?」
「理由なんて無いわ! ただ・・・あたしが正義だからよ!!」

百花の、強い想い、願い、信念が
胸に提げた「蓮の杖」に共鳴し、凄まじい光を放った

「ぐあっ!?」
「は、「蓮の杖」が・・・光って・・・?」



―――――――――『        』



「ッ! こ、声?」



―――――――――『          』


「ケイ、ヤク・・・うん、分かった、契約する。だから、私に力を貸して!
 「蓮の杖」――――いいえ、「ロータス・ワンド」!!」

ぶちっ、とネックレスを引き千切ると、彼女の手に握られた「蓮の杖」が眩い光を放ち、
それは長く、そして大きくなり、ペンダントの10倍、いや20倍以上、百花の身長程にまで巨大化した
全体的に銀色の杖であり、その先端には赤を主としたカラフルな蕾の装飾がなされていた

「ば、馬鹿な・・・契約者だとぉ!?」
「暗闇より出でし者達を、閃光の力を借りて掻き消さん!
 紅き花、ここに咲く! 我が名は魔導少女クリムゾンブロッサム!!」

くるくると杖を回し、両手で杖を持って構える
直後、先端の蕾が展開し、可憐な蓮の花が咲いた

「ええい、戯言を! やれ!」
「モエルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥワァァァァァァァァァァァ!!!」

男が肩から飛び降りると、化け物はどす、どすと地を響かせながら接近し、
鋭い爪を立てて百花に襲いかかった

「闇より生れし者、光に触れるべからず
 さすれば闇は消え去り、光に満ち溢れるだろう
 邪悪なる者から我を護れ、『スィギア・レウォルフ』!」

蓮の花の装飾が強い光を放ち、光の花を出現させ、
化け物の爪を弾き返し、そのままよろけさせた
隙を狙い、百花は助走をつけて跳び上がる
443 :花鳥風月 † 花は咲く  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/09(火) 12:45:30.93 ID:3nLR174+0
「光よ、命の輝きよ、世を覆う闇を振り祓え! 『トゥキャプミィ・レウォルフ』!!」

呪文を唱え、七色に輝く杖の先端を、化け物の顔面に殴りつけた
魔力の込められた一撃は爆発的な威力を生み出し、化け物を一瞬宙に浮かせ、直後に地面に叩きつけた

「モエ゙ッ・・・・ワァ・・・・」
「なっ、こ、こんなことが・・・ふ、ふざけるなぁ!!」
「ふざけてるのはあんたの方でしょ! 一気に終わらせてあげるから覚悟しなさい!」

くるりと杖を一回転させ、蓮の花を天に向けるように止める

「聖なる光よ、善なる輝きよ
 憎悪、怨恨、悲哀、殺意、邪悪なる意思を全て討ち祓い、その者の心を清め洗え!」

七色に輝く装飾を、今まさに立ち上がろうとしている化け物に向けて構え、
蓮の花の中央部に光を凝縮し、巨大な光弾を作り出す

「百花繚乱! 『グナブ・ギブ・レウォルフ』!!」

光弾を射出した瞬間に、それは大きな光り輝く花となり、
巨大な花弁が人形の化け物を包み込み、ぱぁんっ!!と煌びやかな爆発を起こした
破壊ではなく、浄化の爆発
悪しき物のみを滅ぼし、正しき物は一切害を与えない力

「んっと・・・おっとっと」

空を眺め、落ちてきた物を見事キャッチする
それは、ついさっきまで化け物に姿を変えられていた、深美の人形だった

「っく・・・「付喪神」の暴走を抑えるとは、驚いたよ」
「何暢気な事言ってんのよ、次はあんたがぶっ飛ばされる番だからね!」
「はっはっは、威勢の良い女性も嫌いではない・・・が、私はそろそろお暇させて貰うよ
 出来れば二度と出会いたくないが、近い内に出会ってしまうかも知れないな」
「ちょっ、逃げる気!? 待ちなさい!!」

「ロータス・ワンド」から光の弾を発射するが、時既に遅し
男の姿はいつの間にか、黄昏の闇に消えてしまっていた

「あぁんもう・・・ま、いっか。約束は守れたし」

と、持っていた「ロータス・ワンド」が、突如元の小さなペンダントに戻ってしまった

「・・・それにしても、これって一体・・・?」
「お姉ちゃーん!!」

隠れていた深美が、百花に駆け寄ってきた
深美の到着に合わせて、百花は姿勢を低くし、人形を差し出した

「はい、これ。もう無くしちゃダメだからね?」
「ありがとう! お姉ちゃん、すっごくかっこよかったよ!」
「え、あ、そ、そうかな?」
「うん! プリキュアみたいだった!」
「プリッ・・・ほ、ホントに?」

百花は心底嬉しそうな表情で深美に詰め寄った
「う、うん」と若干引きながら答えると、百花はデレデレとし始めた

(うわぁ・・・プリキュアみたいだったなんて・・・
 憧れのプリキュアになれたなんて感激しちゃうなぁ・・・えへへへへ♪)
「お姉ちゃん?」
「ん、あぁ、あ、あはははは;
 おっと、お父さんやお母さんが心配するよ?」
「ホントだ、真っ暗・・・こわい」
「ほらほら泣かないの。お姉ちゃんがお家まで送ってあげるから」
「わぁい♪」

喜ぶ深美の手をそっと握り、百花は暗がりの道を歩き始めた

「あ、そうそう、このことは誰にも言っちゃダメだよ?」
「えー!?」
「プリキュアだって正体は隠してるでしょ? だから、ね?」
「・・・分かった。約束する!」
「ありがとう深美ちゃん♪」

2人は指切り拳万をすると、
仲良く『スイートプリキュア♪』のオープニングテーマを歌いながら家路を辿っていった

こうして、彼女―――紅坂 百花は、怪奇の世界に足を踏み入れたのだった

   ...続く
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/09(火) 12:51:13.14 ID:ewvwxK0o0
乙!!
闘う女の子可愛い超可愛い
怪奇の世界へようこそだ、百花ちゃん
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/09(火) 12:52:23.29 ID:ewvwxK0o0
乙!!
闘う女の子可愛い超可愛い
怪奇の世界へようこそだ、百花ちゃん
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/09(火) 12:56:06.42 ID:ewvwxK0o0
また書き込めなかったって出た癖にきちんと書きこめてた現象ですかこのやろー
みんな!こんな無様なことにならないよう気を付けてな!!


あと、今日は「ハグの日」らしいよ
「(服を)剥ぐの日」でも一向に構わんと思うが
447 :花鳥風月 † 花は咲く  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/09(火) 12:59:40.14 ID:3nLR174+0
という訳で、改めて新連載です
連載7本目・・・1本完結してるとは言えども現状6本か・・・
こうなったら花子さんとかの人を目指して書いてやる!とか思ったけど20本近くも連載書けませんorz

因みに深美ちゃんは、名前は与えたけど完全にモブキャラなので今後登場することはありません
『プリキュア風』を目指してるので、主役と関わる人の90%に名前を与えようと思ってる、名前だけね、苗字は無理よ
あと、『プリキュア風』なのでエロとグロは控えめの予定、“微”すらつけません

>>444-445
>闘う女の子可愛い超可愛い
戦う女の子良いよね! 2話か3話からはコスプレして戦う・・・筈です(
448 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/09(火) 13:01:16.24 ID:3nLR174+0
ハグだと・・・
「海の日」編が止まってるから、そっちでハグするか
裂邪が実をぎゅっと抱きしめてミナワ・奈海・ローゼ・清太の鉄拳制裁を(
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/09(火) 13:14:25.08 ID:ewvwxK0o0
>>447
コスプレして戦うとな、素晴らしい


ところで、コスプレして戦うでCCサクラが浮かんだ訳で
歳がバレるな!!
450 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/09(火) 13:45:15.18 ID:3nLR174+0
昼飯から帰還、そしてもうちょっとしたらハローワーク行ってくる

>>449
>ところで、コスプレして戦うでCCサクラが浮かんだ訳で
はっはっは、それもモチーフの一つですよwwww
ペンダントから武器になるっていう発想をくれたさくらたん愛してる(

>歳がバレるな!!
ここに本放送を欠かさず見てた19歳がいるので問題ないwww
そういや『シャドー』のカードが好きだったなぁ
451 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/09(火) 18:04:25.11 ID:3nLR174+0
誰もいない
ところで『花鳥風月』というタイトルの由来は『ふたりはプリキュアSplashStar』だったり
ゴーヤーンとのラストバトル、まだ見てねぇや・・・
この際プリキュア見なおそうかなぁ、ほのかたんハァハァ舞たんハァハァこまちさんハァハァせつなたんハァハァえりかたんハァハァエレンたんハァハァアコたんハァハァ
そういやこのスレはライダー視聴者多いのにプリキュア視聴者少なくて寂しいお
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/09(火) 21:01:03.21 ID:L2Ss+82SO
女児向けアニメの為に日曜の朝早くから起きれませんもの
昼まで寝てたいですもの
453 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/09(火) 21:05:05.54 ID:3nLR174+0
>>452
くそぅ遠回しに俺を変態扱いしやがってwwwwww
堂々とプリキュア見てて何が悪いんだ!
家族全員にも白い目で見られるしもう嫌だorz
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2011/08/09(火) 22:16:56.00 ID:cXfUWbPh0
ライダーは厨二病患者の見られる数少ないドラマです
ライダーとレンジャーの為に早起き→お仕事
455 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/09(火) 22:52:16.05 ID:3nLR174+0
ほぅ、日曜の過ごし方はそんな感じなのか・・・
俺の日曜は↓

レンジャー放送1分前に起き→レンジャーライダープリキュア視聴→トリコとワンピは録画してるので避難所と本スレでF5連打

何この酷い一日・・・orz
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/10(水) 14:45:28.53 ID:aGdIeKIDO
投下乙です

これは全員分の過去話から入るのかな?
それとも以前のは読みきりで、これが連載第一話?
連載いっぱい抱えてるなぁ……頑張ってください

ところで人形の叫びを「モルスァァァアアアアアア!!!」に空目してごめんなさい
457 :ハナツミ_サイカ [sage saga]:2011/08/10(水) 16:15:47.58 ID:E/UZT1fbo

 花摘みとは、罪深い所業であると思うんだ。
 自然の中で咲き誇る花。
 その一番美しい瞬間を手折り、その美しきを手の中でゆるゆると腐らせる。

 その点、写真とは素晴らしいと思うんだ。
 社会の中で咲き誇る華。
 その一番美しい瞬間を切り取り、その美しきは手の中で永遠に輝き続ける。

 美しいものは美しいままでいてほしい。
 美しいものが崩れる様は見たくない。
 だから、美しい君の写真を撮らせてはもらえないだろうか。

 夜の公園、ベンチにたたずむ少女が一人。
 実に美しい画だ。是非ともこの美しきを私の手の中に納めたいんだ。
 ……ありがとう。君が芸術に理解のある人で嬉しいよ。

 では早速で悪いが、一枚だけ撮らせてもらうよ。
 ああ、私のことはいないものと考えて、自然なままの君を見せてくれ。
 さっきまで考えていたことを思い出して……悲しげで、切なげで、憂いを帯びた……そう、その表情だ。


    パチリ


 うん、ありがとう。これで私のポートレートがまた一つ増えたよ。
 暗闇に映える黒髪がとても美しかったよ。そうだな、タイトルは「夜の子」なんてどうだろう。
 ああ、早く帰って現像に取り掛かろう。楽しみだなぁ。


 夜の公園、ベンチに横たわる少女が一人。


【終】
458 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/10(水) 17:20:27.77 ID:26nM91Rz0
花摘みの人乙です〜
写真となると・・・あの都市伝説か・・・
しかしまたタチの悪そうなwwww

>>456
おっとそれも忘れてましたorz

>それとも以前のは読みきりで、これが連載第一話?
はい、あれが第1話で、前回のは読み切りということで
だから読み切り版をwikiにあげるべきかどうか迷ってるorz

>連載いっぱい抱えてるなぁ……頑張ってください
ありがとうございますorz
時間とアイディアがあればもっと書きたいのに(ヤメロ

>ところで人形の叫びを「モルスァァァアアアアアア!!!」に空目してごめんなさい
似てるけどwwwwwww
因みにあの叫び声は、分かる人には分かるでしょうがポケモンのレシラムの鳴き声です
実は化け物系が出る話ではちょいちょいポケモンの鳴き声を使ってる俺(
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/10(水) 17:33:00.49 ID:AGL2tz5AO
乙!!

これは・・・抜かれたのか

しかし花摘みは花摘みでこう覗きたいですよね(抜かれてしまいました
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/10(水) 22:38:16.55 ID:AaXSsWYI0
それは本当に花摘みなのか雉撃ちなのか……

抜かれたモノは保存されているんだろうか
保存されていたらそれはそれでまた楽しそうだよね
461 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/10(水) 22:46:26.59 ID:26nM91Rz0
>>460
>保存されていたらそれはそれでまた楽しそうだよね
壁一面に貼り付けられた“作品”
それを“見る”だけでなく、“聞いて”愉しむ・・・とか?
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/10(水) 23:25:14.28 ID:aGdIeKIDO
>>459
「抜かれた」を別の意味にとらえてしまったのは私の脳がアレだからですねすみませんでした


抜かれたものの保存か
体は既になく、魂だけが写真に残る
契約者を討てば、その魂も無に帰す
「悪を断じる」と「被害者を助ける」の二つに割れる組織
うわぁなんてたちの悪い……
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/10(水) 23:34:43.60 ID:tkVQrA8SO
たぶん断じる方も助ける方ももう一方にこの契約者を発見しても報告しないだろな
面倒臭い事になるから
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/10(水) 23:42:43.41 ID:aGdIeKIDO
ああ書き忘れ

>>458
読み切り版は単行本3巻あたりの巻末に載せたらよろしいかと思います
全員分出揃ってしばらくしてから、番外編みたいな形でまとめるのがいいのかな?
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/08/11(木) 00:02:13.65 ID:pjp74zkB0
>>462
>「抜かれた」
安心なさい、俺も同じ妄想した(

>>463
んで逃がしたら片方に責めたてられるんだろうなぁ
てか誰がチクったんだみたいな

>>464
番外か…
エピソード0みたいな感じでも良いかも
そうだ話数の表記考えとかないと
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2011/08/11(木) 21:06:02.02 ID:pMVe3oCv0
100 名前:本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2008/09/21(日) 12:48:23 ID:95DVi0AV0
トゥルルルル…
トゥルルル…ガチャッ
三村:三村だよ。
メリー:私メリーさん。ただ今留守にしています。
三村:じゃあかけてくんなよ!
ガチャッツーツーツートゥルル…ガチャッ
三村:三村だよ。
メリー:私メリーさん?
三村:知らねーよ!自分で知っとこうよ!
メリー:ふふふ。私おばけ。あなたにだんだん近づいてるの。
三村:おばけかよ!こえーよ!弱点教えろよ!
メリー:今あなたの住んでる星にいるの。
三村:範囲広いよ!もっと具体的に言わなきゃせこいよ!
メリー:今あなたと電話してるの。
三村:知ってるよ!具体的の意味ちがうよ!
メリー:今日のパンツ黄色なの。
三村:聞いてねーよ!でもメモったよ!
メリー:ところで私おばけなの。
三村:二回言っちゃったよ!


101 名前:本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2008/09/21(日) 12:49:00 ID:95DVi0AV0
メリー:今あなたのマンションの下にいるの。
三村:マジかよ!こえーよ!
メリー:でもどこも鍵がかかってて入れないの。
三村:壁とかすりぬけろよ!
メリー:ひどい!そんなおばけみたいな扱い…。
三村:いやお前おばけだよ!
メリー:今からあなたに合図を送るわ。その時あなたの前に現れるわ。
三村:どーゆー合図だよ!
メリー:この超最新機器ポケベルで…。
三村:もう誰も使ってねーよ!そういえばお前なんで移動しながら電話できんだよ!携帯持ってんのかよ!
メリー:持ってるわ。番号は070…。
三村:ピッチかよ!
メリー:右のボタンが潰れてて不便なの。
三村:知らねーよ!
メリー:今私の家に着いたの。
三村:帰ったのかよ!
メリー:じゃあまた行くわ…。
三村:楽しかったよ!また来いよ!
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/11(木) 21:41:11.47 ID:z6QkZvty0
どっかで見たこと有るきがするwwwwwwww
おつ
468 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/11(木) 22:29:44.47 ID:pjp74zkB0
三村ってさまぁ〜ずのかwwwwww乙wwwwww
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/11(木) 22:34:35.55 ID:z6QkZvty0
【極光の紗綾】


「あたしって綺麗よね?綺麗よ、綺麗って言ってよ言えよ言わないのかよ言え言え言え言え!」

 夜も更けた公園。
 青年が都市伝説と戦っている。
 相手は口裂け女、どこにでも居る普通の都市伝説。
 青年は素手だった。
 口裂け女の繰りだす鎌を回避しながら青年は口裂け女の背後に回りこむ。
 
「綺麗だよ!私綺麗だよ!ねえ見てよ綺麗だからさ!」

 ガコン
 その瞬間、口裂け女は首を百八十度回転させて青年の方を向く。
 その首に後からついてくるようにして鎌を持った腕が真横から飛んでくる。
 
「見ないなら[ピーーー]よ!さっさと[ピーーー]よもう[ピーーー]ばいい[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]!」

 その瞬間、青年は体勢を低くして攻撃を躱し、口裂け女の顎をアッパーで撃ちぬく。
 攻撃を空ぶった上に頭部への痛烈な一撃を食らった口裂け女は思わず後ろにのけぞる。
 青年はその一瞬のチャンスを逃さない。
 のけぞった口裂け女の首に全身の体重を乗せた手刀を突き立てる。
 完全に体勢を崩した口裂け女は天を仰ぎながら地面に叩きつけられた。
 青年は口裂け女の足を掴むとそのまま近くの公衆便所の中へとジャイアントスイングで放り投げる。
 鏡を割る音。
 口裂け女の悲鳴。
 青年は公衆便所の中に駆け込み、今正に鏡の中から頭を引きぬいた口裂け女の頭部を掴み……

 洗面台に向けて全力で頭を叩きつける。
 何度も、何度も、何度も。

「私……キレ……」

 青年は間合いを取ってから軽く俯き腕をダラリと下ろして脱力する。
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/08/11(木) 22:35:03.81 ID:z6QkZvty0
【極光の紗綾】


「あたしって綺麗よね?綺麗よ、綺麗って言ってよ言えよ言わないのかよ言え言え言え言え!」

 夜も更けた公園。
 青年が都市伝説と戦っている。
 相手は口裂け女、どこにでも居る普通の都市伝説。
 青年は素手だった。
 口裂け女の繰りだす鎌を回避しながら青年は口裂け女の背後に回りこむ。
 
「綺麗だよ!私綺麗だよ!ねえ見てよ綺麗だからさ!」

 ガコン
 その瞬間、口裂け女は首を百八十度回転させて青年の方を向く。
 その首に後からついてくるようにして鎌を持った腕が真横から飛んでくる。
 
「見ないなら死ねよ!さっさと死ねよもう死ねばいい死ね死ね死ね死ね!」

 その瞬間、青年は体勢を低くして攻撃を躱し、口裂け女の顎をアッパーで撃ちぬく。
 攻撃を空ぶった上に頭部への痛烈な一撃を食らった口裂け女は思わず後ろにのけぞる。
 青年はその一瞬のチャンスを逃さない。
 のけぞった口裂け女の首に全身の体重を乗せた手刀を突き立てる。
 完全に体勢を崩した口裂け女は天を仰ぎながら地面に叩きつけられた。
 青年は口裂け女の足を掴むとそのまま近くの公衆便所の中へとジャイアントスイングで放り投げる。
 鏡を割る音。
 口裂け女の悲鳴。
 青年は公衆便所の中に駆け込み、今正に鏡の中から頭を引きぬいた口裂け女の頭部を掴み……

 洗面台に向けて全力で頭を叩きつける。
 何度も、何度も、何度も。

「私……キレ……」

 青年は間合いを取ってから軽く俯き腕をダラリと下ろして脱力する。
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga]:2011/08/11(木) 22:35:35.87 ID:z6QkZvty0
「キ……」

 よろよろと口裂け女が掴みかかってくる。
 その刹那、青年は一瞬で狼男に変身し、飛び膝蹴りで口裂け女の頭部を破壊。
 仰け反った口裂け女の肩を踏みつけ空中へふわりと浮かぶと今度は人間の姿に戻ってから大量のナイフを投げつける。
 そして壁に釘付けにされた彼女の足を金棒で破砕した。
 公衆トイレの明かりを消すと青年はその場を立ち去った。

「見えない……私の……」

 それが口裂け女の最後の言葉だった。

「大丈夫だったか?」

 青年は公園の隅に蹲っていた女性に声をかける。
 女性は青年を怯えた眼で見つめてから逃げていった。

「……やれやれだ。」
「どうやら仕事は終わったみたいですね兄様。」

 突然、線の細い少女が彼の背後から現れる。
 月明かりに照らされて青白く輝く病的な微笑は心の平衡を失った画家の描いた絵のようだった。

「まあね。」
「次は何処に行くの兄様。」
「さあ?」
「二人きりね。」
「そうでもないさ。」
「私と兄様の二人きりね。」
「今までに出会った人々の思い出がある。」
「それは私たちの思い出じゃないわ、私たちがあの世界に居たら作られたであろう思い出よ。」
「でも俺たちは今まで実際にいろんな人に会ってきたじゃないか。」
「そっくりな顔の誰かさんに出会い続けてきたわね。」
「あれは俺たちの思い出じゃないのか?」
「違うわ。」
「じゃあなんなんだ。」
「あれは私たちの思い出になる筈だった可能性。」
「じゃあならなかったのか?」
「世界を移動すれば可能性は消え去っていくの。」
「何処が俺たちのほんとうの世界なんだろうな。」
「私たちは永遠にさまよい続けるのよ。」
「彷徨こそが俺たちの世界か。」
「世界はね、人と人の間に作られるの。」
「へえ。」
「だから兄様と私の間に世界は有るわ。」
「そうか。」
「だから私は何処に居ても何処にも居なくてただ此処にだけ居るの。」

 少女の手が青年の手とそっと繋がる。

「私は此処に、此処にだけ居るわ。それだけで良いの。」
「寂しくは無いのか?」
「だって兄様が居るもの。」

 少女は青年の手を引いて誰もいない夜の住宅地へと消えて行く。
 淡い虹色の極光が彼らの通った後に薄く尾を曳いていた。

【極光の紗綾】
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga sage]:2011/08/11(木) 22:37:26.78 ID:z6QkZvty0
“解説”

契約都市伝説は「エヴァレットの多世界解釈」
兄は「あり得たであろう様々な自分」に変身する能力
妹は「存在し得たであろう様々な他人」を召喚する能力

簡単に言うと
兄は「自らが契約していたかもしれない都市伝説を一時的に行使できる」という能力で
妹は「その世界に存在していないけれども何がしかの分岐で存在し得ていた契約者を呼び出す」という能力
ただし兄の方は2つ以上の都市伝説を同時に使おうとすると矛盾を起こして消滅する
妹の方は呼び出せる都市伝説や契約者の量も質も自由だがそれらが味方になるとは限らない、呼び出した存在は世界に三分間しか存在できない


また、二人とも「あり得たであろう可能性」について明確にイメージが持てなければ能力の行使は不可
故に異世界などで出会ったり一緒に思い出を作った相手や都市伝説にしか変身できないし呼び出せもしない
二人の力をあわせると無限に連なる並行世界間の移動が可能になる。
473 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/11(木) 22:46:25.15 ID:pjp74zkB0
キタァァァァァァァァァァァ!! 笛の人乙!!
今日からwktkが止まらないぜ!
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(秋田県) [sage]:2011/08/12(金) 14:54:44.83 ID:tljshrkIo
投下乙ですー

おお、異世界巡りの旅物か
最近学校町に篭ってばかりだったからなんだか新鮮だ!
いや魔法少女の話も世界巡ってるけれど
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga sage]:2011/08/12(金) 22:46:27.61 ID:7yMC4+2w0
【極光の紗綾】

 砂漠の真ん中に通る道を少女がバイクに乗って疾走していた。
 背後にはもうもうと砂煙を上げて、少女は何処へ行くとでもなくただひたすらにまっすぐバイクを走らせていた。
 動きやすいようにと変わったデザインになっている和服を着た少女は砂漠には只管不似合いであった。

「この世界にも何も無いのね。」

 特に大した感慨もなさそうに彼女は呟いた。
 彼女は幾つもの世界を巡ってきていた。
 だからなのか荒廃して砂漠と化した世界など大して珍しく感じない。

「都市伝説の力の使い道を誤った結果がこれですか……。」

 命の鼓動一つ感じない空虚な世界。
 人の思念の力である幻想の力は容易く現実を侵食し、破壊していく。
 夢に抱かれ溺死したであろうこの世界の人間を思って少女はため息を付いた。
 少女は廃墟になった町にバイクを止めて崩れかけのビルの中に歩みをすすめる。
 建物は意外と丈夫で、ところどころに草が生えている以外は人が居たと思われる頃の姿を留めていた。
 ガラスが割れて中にまで日が差しているせいか電気が止まっていても明るい。

「誰か居ませんか?」

 返事を返す者は居ない。
 少女は腰にぶら下げていたコルト・ウッズマンを構えてビルの中を進む。
 響くのは自分の足音のみ。
 廃墟の中をひと通り物色すると少女は廃屋の外に出て再びバイクに跨って町の中を行く。
 町の中でも一際大きい山にバイクで登り、上から街全体を見下ろす。
 笑えるほど町は静かだった。
 ゆっくりと夕日が西へと沈んでいく。

「それでも日は沈むってことかしら。
 そろそろ帰って兄様に報告しないと……」

 カサ、と彼女の背後で音がなる。
 嫌な予感がした彼女はバイクを早く走らせようとした。

「ああああああああああああああああ!」

 しかしその時、突然男が現れて意味不明な奇声を上げて少女に襲いかかる。
 一切慌てること無く少女はホルスターから照星を削り落としたコルトを抜き取って男の左目を撃ちぬく。
 それは脳を貫通して確実に男の運動機能を破壊していた。
 耳障りな悲鳴をあげながら蜘蛛のように手足をバラバラに動かしてその場で蠢く男。
 脳を破壊されたが何がしかの都市伝説の力で無理やり生かされているらしい。
 殺気を感じて少女が辺りを見回すといつの間にやらそこで呻いている男と同じような雰囲気の人々が集まっている。
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga ]:2011/08/12(金) 22:47:42.00 ID:7yMC4+2w0
「ゾンビってところですか……。
 この世界はゾンビの都市伝説で滅ぼされたみたいですね。」

 少女はゾンビの頭部を次々と二十二口径の銃弾で撃ちぬく。
 しかし照準に手間取り、なかなかバイクを発進させられない。
 こうまでして彼女が頭部への銃撃にこだわるのには理由がある。
 彼女の使うコルト・ウッズマンは威力が低く、都市伝説との戦いにおいては急所を狙ったところで意味があるとは限らないのだ。
 自らの非力を呪わずにいられなかった。
 残念ながら銃器というのはイクォライザーでもピースメーカーでも無い。
 辺りのゾンビが少し減ったタイミングを見計らって彼女はバイクを発進させた。
 そもそもバイクというのは車と違って人間に当たるだけで破壊される。
 このバイク無しでは逃げ切れないことが解っていた彼女は無理な運転だけは避けたかった。
 しばらくして山を降りるとすぐに少女は再びゾンビの群れに囲まれる。

「キリが無いわね……。」

 少女は空高くに向けて銃弾を放つ。
 まるで助けを呼ぶかのように。
 そうしている間に声もなくゾンビたちは群がってくる。
 腕が伸びる。
 仲間を求めて。
 仲間にしたくて。
 仲間になれば、ゾンビという一つの群体になってしまえば、
 それは認識できなくなってしまうというのに。
 仲間ができたと考えることすらできなくなるのに。
 仲間を求めて他者を取り込み、他者を自らにして他者を失い、
 他者とのつながりを求めて他者を取り込み、
 そうやって延々と仲間を増やしてきたのだろう。

「そう、本当にキリがない。」

 救いを求めて伸ばした屍の腕は白く輝く一閃によって断ち切られた。

「大丈夫だったか?」
「ありがとうございます。」
「ここは俺に任せて早く行くんだ!」

 骸骨のような鎧を纏った青年が突然現れる。
 彼は異世界に存在する契約者の記憶と能力だけを擬似的に再現して構築した偽物である。
 少女の持つ並行世界を操る能力とは「今この異世界に存在しない契約者を召喚する」能力だ。
 この青年はここではないどこかの世界で人を守るために戦い続けている契約者。
 それ故に召喚されれば即座に少女を助けることを選択する。
 だから“彼”は少女のお気に入りの召喚対象だった。
 バイクの通り道を塞ぐように群がるゾンビ。
 青年は空中にふわりと飛び上がると足に巨大な骨の塊を発生させながらゾンビたちを踏み潰す。
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [ saga ]:2011/08/12(金) 22:50:21.24 ID:7yMC4+2w0
「このままじゃ埒があきません!」
「らしいな、だが任せろ!」

 ワラワラとゾンビは集まってくる。
 青年は両手を地面に当てて高らかに叫ぶ。

「ボーンフラッド!」

 砂漠の中から恐竜の化石が現れてゾンビたちに襲いかかる。
 多数対多数の戦いの中でやっと道ができる。
 
「今だ、行け!」

 少女はバイクを再び発進させる。
 
「悪人どもが……俺の狂骨に敵うと思うなよ!」
 
 背中に響く声にすこしばかり心が痛んだ。
 ゾンビをかわしながらしばらく走ると彼女が兄と共にこの世界に来た時に居たコーヒースタンドが見えてきた。
 彼女は店の前にバイクを止めるとコーヒースタンドの扉を開く。
 店の中は誰もいない、不気味なほど静かだ。

「兄様……?」

 不安そうな表情で辺りを見回す少女。

「あああああああ!」
「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」

 その時、突然彼女の兄が後ろからゾンビの真似をしながら彼女に抱きつく。

「あははごめんごめん、驚いた?」
「や、やめてください兄様、怖かったんですから。」
「その様子だと町まで行ってきたみたいだな。」
「はい、兄様は今日は留守番してるんじゃなかったんですか?」
「うーん、お前が居ない間に人が来ててね。
 この世界のことを話してくれたんだよ。」
「人居たんですか、じゃあ解ると思いますけどこの世界はもう滅びかけてます。」
「うん、無事な人は今はみな北極に集まっているんだってさ。」
「へえ……。」
「ここには僕達の記憶の鍵は無いみたいだ。」
「そうですね。」
「じゃ、次の世界に行こうか。」
「少し眠ってからで良いですか?」
「良いよ、砂漠までゾンビは来れないみたいだから。」
「じゃあ少し寝ますね。」
「ああ、お休み。」

 少女は和服のままふらふらとそこらへんのソファに横たわるとそのまま瞼を閉じた。
 青年はそれを見つめて優しく微笑んでいた。

【極光の紗綾】
478 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/12(金) 23:08:33.40 ID:o2ajjzEx0
乙です〜
妹ちゃんのお気に入りだと・・・偽物とは言えアスマもげろ(
次はどんな世界かな、と考えた時点でディケイド思い出して感動で涙出そう
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/13(土) 12:18:14.79 ID:q40PdoxDO
投下乙です

アスマ君がヒーロー過ぎて……
女の子にいいように使われる都合のいい男とか思っちゃってごめんなさい
兄の話した生き残りはmobキャラ?それとも……
まぁもうこの世界から去るみたいだし、詮索しても意味ないか
480 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/13(土) 23:45:01.42 ID:j80UWdOC0
【不思議少女シルバームーン第八話 第二章「潜入」】

「うー狭いよぉ……」
 
 通風ダクトの中で見を縮ませながらゆっくりと進む少女。
 霧雲霙である。
 体の一部を除けばどちらかといえば小柄な部類に入る彼女はネバーランドとの戦闘において敵アジトへの潜入工作を任されていたのだ。
 
「霙、聞こえるか?
 どうやら潜入に成功したらしいな。
 私が鍛えてやったおかげだぞ?なんてね。」

 彼女の耳についたイヤフォンから橙の声が入ってくる。
 聞こえますよ、と思うだけでそれは“ラプラスの悪魔”と契約している橙に伝わるので、
 彼女の持っている通信装置についた発信機能はオフにしてあるのだ。

「そうか、私が予知したとおり、奴らは事務所の真上に基地を落としてきた。
 何やら所長と因縁が有ったようだが……まあ良い、その余計なこだわりが奴らの隙だ。
 おかげでお前が潜入しやすくなったわけだしな。
 これからお前には奴らのアジトの建物の各所をお前の能力で爆破してもらう。
 建物の構造は解析できているので逐一ルートは教えるが、
 連絡ができなくなった場合は即座に撤退を考えてくれ。」

 了解しました、と心のなかで言う。

「よし、それではオペレートを開始する。
 次の分かれ道を右に進んでダクトの蓋を外して部屋に入れ。
 室内に二体の兵士が居るが、お前ならまあ間違いなく倒せるだろう。
 ただし蓋を外して着地する予定の床が濡れているから転ばないように気をつけろ。
 転ぶとその間に仲間を呼ばれるからな。」

 了解しました、それじゃあ行ってきます。
 と心のなかで答えながらダクトを進む。
 帰ったら所長に体洗ってもらおうかな、などと彼女は考えてみる。
 そんなことお願いしたら彼はどんな顔をするだろうかと想像して霙はわらあった。
 今の霙は驚くほど冷静で、余裕があった。
 友人である朔夜を裏切ってしまった罪悪感に苛まれていた彼女とは別人のようである。
 愛おしそうに自らの腹部をなでさすり目を閉じてから深呼吸をする。
 先ほど橙が支持していた分かれ道に彼女は到着する。
 右側へと進むと確かにどこかの部屋につながる排気口があった。

「ねえねえ、ジャックの計画が成功したら世界中に子供だけの為の国ができるんだよね!
 もう私たちをいじめるおとなの人はいなくなるんだよね!
 世界中の人が家族みたいになるんだよね!」
「そうだよ!やったねタエちゃん家族が増えるよ!」
「わぁい!」

 話し声が聞こえる。
 まだ子供だ、人数はたしかに二人。
 此処に居るということはネバーランドの戦闘員なのだろう。
 霙はそんなことを考えながら静かにダクトの蓋を外して音もなく部屋の中に降り立った。
 場所は丁度子供たち二人の背後。
481 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/13(土) 23:45:35.16 ID:j80UWdOC0
「私たち暇だよね!」
「うん、外から敵が来ないと暇だからね!」
「でも足止めなら私たちの能力が最強ってジャックが言っ……」

 腰に下げていたナイフで一気に喉を掻き切る。
 笛吹丁が普段から丁寧に手入れしていたナイフは都市伝説かと思えるほど切れ味が良かった。
 こうしてまずは一人、霙は敵の命を奪う。

「えっ?」

 突然のことに理解出来ないといった表情で彼女の方を見るもう一人の子供。
 何か叫ぼうとした直前に彼女は子供の口の中に手を突っ込んで能力を最低出力で発動する。
 頭蓋の内部に収まる程度の極小の爆発がもう一人の子供を襲う。
 そのままもう一人の子供も白目を剥いて倒れてしまった。
 脈を確認する。
 両方共止まっている。
 
「私は地獄に堕ちるな、うん。」

 でも良いか。
 所長が褒めてくれるさ、地獄でも私を守ってくれるさ。
 霙は笑う。

「さて次だ次。」

 霙はそこに転がった子供たちの死体を近くにあったベッドの下に放り込む。
 部屋の中を適当に物色してカードキーを奪うと彼女は部屋を出た。




482 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/13(土) 23:46:09.89 ID:j80UWdOC0
―――――――――――――――――――――――――






「困ったわ……これじゃあヨツバさんを助けに行けない。」

 風になびく金色の長い髪。
 ピンとまっすぐに伸びる三角帽子。
 青いローブには四つ葉のクローバーがあしらわれている。
 つぶらな瞳に憂いをたたえた“彼女”の名前はカイト・クローバー。
 ヨツバの弟弟子であるエヴァ・クローバーの息子である。
 彼女はF-No.0“黄金伯爵サンジェルマン”に依頼されて戦う最強部隊fourcardのクローバーとしてネバーランドと交戦中のスバル達を助けに行く予定だった。
 だがしかし彼女は未だその任務を遂行できないでいた。
 原因はビルの周りに張り巡らされた巨大な豆の木とヤマノケによる強烈な防護結界である。
 豆の木の再生能力で物理的な攻撃は当てた側から回復されてしまう。
 都市伝説による攻撃はヤマノケが防護結界でそもそも拒絶される。
 ここへの攻撃を任された彼女としてはまさしく八方塞がりといったところだった。

「……でもあれよねえ。
 ここで負けを認めたら女がすたっちゃうわぁ。」

 その時、突然彼女の携帯電話が鳴り響く。
 相手は彼女の初恋の女性だった。
 いや男性というべきか……。
 まあそこらへん微妙なのだが仕方ない。

「うぃっすカイトくん。」
「どうしたんですか平さん。」
「いや東南アジアにお仕事で出張しているんだけどなんかおみやげ欲しくない?」
「あー……何でも良いです。」
「そういうの一番困るんだけどー。」
「じゃあ美肌になりそうな物でお願いします。」
「りょうかーい。じゃあ私の生まれた街を頼んだぜ。」

 通話を切る。
 溜息をつく。
483 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/13(土) 23:46:55.30 ID:j80UWdOC0
「しかたないわね。」

 彼女は懐からUSBメモリのような物を取り出す。
 服を引っ張って胸元を露にし、メモリをそこに突き立てる。

「キタキタキタアアアアアアアアアアア!
 非常に良いわ、やってやろうじゃない!」

 青白い光が彼女の全身を包む。
 突如として彼女のいる場所にだけ大量の雨雲が集まり始める。
 たった今行われたのは簡易型契約書による一時的な多重契約。
 今の彼女は「魔女」と「セント・エルモス・ファイアー」の二重契約者。
 相反する二つの属性を同時に操ることは当然彼女の体に負担をかける。
 だがしかし、それでも彼女は躊躇わなかった。
 右手に青白く輝く“希望の火”、左手に赤黒く輝く“ガンド”
 反発し合う二つの力を無理やり合わせることでとてつもな反発がその手の中で生じる。

「究極魔導……!」

 雨は更に激しく降り続く。

「――――――――暁!」

 二つの力はお互いに反発しあってその中心に黄金の光の帯を生み出す。
 魔力と奇跡によって生まれた正体不明のエネルギーがネバーランドのアジトを守る全てを焼き払う。
 “ジャックと豆の木”は根を失い、その巨体を傾けた。
 
「よし!それじゃあ一足先に進ませてもらおうかしら!」

 彼女は一人でアジトの中に踊り込む。

「おっと!あんたの進撃はここまでだ!魔女さまよう!」
「俺たちネバーランドの精鋭部隊があんたをここで血祭りにあげてやる!」
「ここに居る兵士はざっと百人!いずれも外で歩きまわってる時間稼ぎのための雑魚共とは核も違えば格も違う!」
「サンジェルマンの手駒のうち最強の一人と聞いたがこの数ではどうしようもあるまい!
 カイト・クローバー、今日が貴様の命日だ!」

 しかしあっという間にカイトは敵に囲まれてしまった。

「あら、困ったわね。この作品だと総集編に顔出しただけなのに調子に乗りすぎたせいかしら。」
「やっちまええ!」

 殺到する百名の契約者達。
 カイトが半ば諦めかけたその瞬間だった。
484 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/13(土) 23:52:44.85 ID:j80UWdOC0
「うおおおおおおおおおおお!」

 日輪の光がネバーランドのアジトのビルの中に注ぎ込む。
 雨雲を切り裂いて現れた一人の男が契約者の群れの中に飛び込む。
 閃く白刃、舞う鮮血、稲光が如く男は戦陣を奔る。
 銃弾は彼に当たる前に自ら逸れ、拳は彼に届かず味方を傷つけ、剣は彼に相対することを拒み自ら地面に突き刺さった。
 何がしかの都市伝説の力によるものだ。
 カイトにはそこまでしか分からなかった。
 
「お、お前は一体何者だ!」
「悪に名乗る名は無し!貴様ら全員、正宗の錆にしてくれる!」
「いや、見覚えがあるぞ!あいつはジャックに気に入られていた新入り!」
「なに、俺たちを裏切ったのか!?」
「誰が最初から仲間だと言った!」

 男が再び敵の集団の中に斬り込んでいく。
 狼男の牙を素手でもぎ、霧と化した吸血鬼をその霧ごと叩き切って消滅せしめ、
 魔女と思しき女の魔法さえ刀ではじき飛ばして自分を囲む敵を焼き払う。
 滅茶苦茶な暴力、鮮烈な流血、圧倒的強者による蹂躙としか言い表せぬ光景にカイトの心は震えていた。

「待たせたな!」

 男は真紅のコートを翻してカイトの前に立つ。

「……あ、貴方は!?」

 男は彼女の初恋の人にそっくりな顔をしていた。
 もっと言えば彼女の初恋の人が男装した時の姿にそっくりな顔立ちをしていた。

「そんなことはどうでもいい、さっさとあのふざけた野郎の陰謀を叩き潰すぞ!」
「え、ええ!」

 男とカイトは階段を登り始めた。
 カイトは目の前の男に恋し始めていた。


485 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/13(土) 23:53:39.97 ID:j80UWdOC0
―――――――――――――――――――――――――



「おかしいわね……。」
「ええ、あまりにも敵が少なすぎる。」
「まるで誘い込まれているみたい……。」

 一方、ヨツバとスバルは順調にネバーランドのアジトを進んでいた。
 階段やエレベーターは全て通行の許可が出ており、彼らがセキュリティの装置で止められることも無かったのだ。
 二人は今、最上階の一つ下の階まで到達していた。

「ええ、実際その通りよ。」
「貴方は……」
「私の名前は紅瀬縁。そこの魔女に殺された木野鉄心の姪よ。」

 階段の前の巨大なホール。
 そこに到達した時、二人の目の前に日本人の女性が現れた。

「鉄心……悪いけど忘れちゃったわ。」
「貴方がサンジェルマンとか言う男の命令で、山林の保護を訴えていた叔父を呪い殺したのは知っているんだから!」
「ふぅん、だから?」
「だから私が仇を取る。」

 床から大量の植物が生えてヨツバとスバルを分断する。
 
「あらあら。困ったわね、スバル君。」
「はい。」
「そこの男は通せと命令されているわ、だから通してあげ……。」
「先行っててくれるかしら。」
「解りました。」
「私の台詞!」
「うるさい小娘ねえ……。」

 ヨツバはスバルが階段を登っていくのを木々の隙間から確認する。
 
「無事に行けたようね。それじゃあ始めましょうか。」
「しかし行かせてよかったのかしら?」
「あら、どういうこと?」
「貴方のようなおばあさんじゃ私の相手は厳しいかと思って。」
「笑える、老人っていうのはくだらない過去に囚われた貴方でしょう。」
「下らない……!?」
「ええ、別に駄人間が一人死のうが生きようが……ねえ。」
「下らないですって……!?」
「御託は良いわ、かかって来なさい。」

 ヨツバが指を鳴らす。
 小気味いい音がホールの中に響いたかと思うとあまりの数で黒い雲のようになった蝙蝠がガラスを割って部屋の中に突入してきた。

「最強の魔女であるこの朝月ヨツバと勝負ができるのよ。」

 コウモリたちを椅子にしてヨツバはそのまま宙に浮かび上がる。

「光栄でしょう駄人間、感涙に咽びなさい。」
「ふ、ざ、け、る、なあああああああああああああ!」

 いつの間にか外は大雨になっていた。
 突如として雷が落ちる。
 それを合図に戦闘は始まった。


【不思議少女シルバームーン第八話 第二章「潜入」】
486 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/13(土) 23:58:33.11 ID:j80UWdOC0
【不思議少女シルバームーン第八話 第三章「死闘」】

 高度一万メートルにおける俺と親父の戦いは未だに続いていた。

「死ねえ!」

 空間を埋め尽くす量の釘が俺に向けて降り注ぐ。
 躱すことはできる。
 しかしその行動に意味はない。
 投げた釘の軌道を変えるなどあの男にとっては朝飯前の筈だ。
 ならば取るべき行動はたった一つだった。

「おらあああ!」

 手に持っていた蜻蛉切を振り回して釘をはじき飛ばして無理やり道を作る。
 一瞬だけできた釘のない空間を疾駆して俺は父親の眼前にまで肉薄する。

「喰らえ!」

 槍投げの要領で思い切り槍を投げつける。
 あの男はまるで軌道が最初から解っていたかのように俺の槍による一撃を躱した。

「何故だ……!?」

 外れた槍は俺たちを取り囲む屍食鬼を塵芥が如くなぎ払う。
 しかしそんなことはどうでもいい。
 俺たちを取り囲む屍食鬼がすでに半数以上物言わぬ肉塊になっていたとか。
 ルルがもうどうにでもなーれって顔で俺たちを見ているとか。
 そういうことは果てしなくどうでもいい。
 今俺の目の前に居るのは我が父上田明也。
 俺は今までの人生をこの男の打倒のために注いでいたのだ。
 強さなどどうでもよかった。
 こいつが世界最弱ならば、俺は世界で二番目に弱くて良かった。
 ただシンプルにこの男が強かったから俺も強くなったに過ぎない。
 超えるべき壁という意味では高いに越したことはないというが……
 そういう意味では俺はこの男に感謝しているのかもしれない。

「お前は真っ直ぐすぎるんだよ!」

 槍を投げた後の隙を突いて奴は俺の襟を掴み屍食鬼の群れの中に投げ込む。
 手近に居た屍食鬼を踏み台にしながら銃器を奪い取ると俺は父に照準を合わせた。

「そいつぁ……!」
「H&k USP あんたの大好きなピストルだったな!」

 次の瞬間、銃口にプラスドライバーが突き刺さる。
 俺は迷うこと無くそれを手放す。直後、拳銃がその場で爆発する。
 何も持つものが無くなったと同時に蜻蛉切が俺の手元に戻ってくる。
487 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/14(日) 00:00:03.85 ID:6qBsatDq0
「はっはっは、まだだ、まだ弱いなあ!」

 楽しそうに笑ってみせる親父。
 違う、俺が弱いんじゃない。
 こいつと対峙しているだけで何故だか思うように戦えていないのだ。
 まるで沼だ、沼に足を取られているかのような感覚。
 こいつの異常な精神性と、それに伴う器の大きさ、それのせいかなにかこう感覚が乱れるのだ。
 祖父であれば無限の武練を持つ彼ならばその程度動じないに違いない。
 師匠ならば自らを絶対に崩さない彼ならばその程度歯牙にもかけないに違いない。
 しかし俺は悲しいほどに凡人だ。
 特別なだけで天才なだけで優秀なだけで計測可能な存在だ。

「でも諦めねえ……!やっと念願叶ったんだ!」

 俺は服の中に隠していた刀を取り出す。
 ネバーランドに来てからも部屋にずっと飾っていた刀。
 古今無双の最強の名刀。

「相州伝……五郎正宗!」

 抜き放つと同時に白い光が辺りを包む。
 この刀の都市伝説としての力は“絶対防御”だ。
 河に流れた草葉が自ら刀を避けた故事に基づいてありとあらゆる敵意をはじき飛ばす。
 この刀の力があれば釘に一々関わる必要はない。

「そ、それは……!?」

 刀と槍を両手に構えて親父に再び立ち向かう。
 近づけば片手抜刀の居合が、離れれば槍による一突きが、あいつを確実に屠る。
 普通の人間であればとても持てない重たさだが、半人半魔の俺がそんなこと気にする必要はない。

「喰らえええええええええええええ!」 

 楽しい、本当に楽しい。
 村正が親父の右腕を貫いた。

「うぐっ!」
「……やったか!」
「んなわけねえだろ阿呆かお前は。」
「知ってるし、知らないわけ無いし。」
「照れ隠しか?可愛いなあ。」

 腕を貫かれたまま親父は村正を握る。
 次の瞬間、俺の意思を無視して俺と村正の契約は断ち切られた。
 
488 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/14(日) 00:00:57.02 ID:6qBsatDq0
「一体何が!?」
「こいつが俺の運命の都市伝説ってことだよ!」
「はぁ!?」
「それもいただくぜ!」

 突如として親父の左手の中に小さな黒い球体が現れる。
 それに吸い込まれるかのように俺が持っていた正宗も親父の手の中に吸い込まれてしまった。

「えっ、ちょ、待て……」

 正宗との契約も意思に反して断ち切られる。
 正宗の発していた白い光が今度は親父を強く包みはじめた。
 二本の刀は小刀のように短くなって親父の手の中に収まる。
 奴はそれを牙のように逆手に構えると俺に対してニヤリと笑った。

「爺さんも馬鹿なら孫も馬鹿だぜ……。」
「ふ、ふざけるな!他人が契約していた都市伝説を無理やり自分と契約させるなんて……!」
「おめえの存在の方がありえねえから!」
「親にあるまじき台詞だよ……。」
「だってお前は世界でたった一人の俺の息子だからな……」
「追いつめられていい話っぽくまとめようとしてるよ最低だよこいつ!」
「アメリカも日本もない、俺がお前の父さんだよ!
 お前だって覚えているだろ、母さんの言っていた言葉を……」
「え?」
「ぬちどぅ宝……」
「あんた関東人だろうが。何処のドラマに影響された?言ってみろ。」
「それでも沖縄が……心の故郷だ。」
「いや、あんた行ったことないだろ。」

 ルルそっちのけで俺たちは敵を圧殺し続ける。
 俺の伸ばした拳が親父の背後の敵を殴り飛ばし、
 親父の剣戟が俺の背後やルルに襲いかかる敵を切り刻む。
 そうかと思えば背後からおやじの蹴りが襲いかかってきたり、
 俺を狙った銃弾を能力で防御した親父の背中に向けて俺がナイフを振るう。

「お、おまえら!こいつがどうなってもいいのか!」
「た、助けて明尊ちゃん!」
「おい息子、お前の彼女捕まってるぞ。」
「解ってる。」

 俺は正宗を親父から奪い取って投げつける。
 恐らくまともに助けてはもらえないと覚悟していたルルは必死で暴れて向けられていた銃口をわずかに自分から逸らす。
 正宗はまるで生き物のような動きでルルだけを回避しながらあたりの敵を切り刻む。
 まるでそこに見えない剣士が居て、彼女のために正宗を振るっているようだった。

「使いこなすねえ。」
「いえいえ。」
「だが、こいつは躱せねえだろ!」

 そこらへんに居た兵士の頭を砕いて血しぶきを俺に浴びせかける親父。
 目潰しのつもりなのだろうか。

「喰らえバカ息子!」

 攻撃が来ると思い目をつぶったまま直感だけで近くの死体を盾にしながら後ろに下がる。
 が、何も起こらない。
489 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/14(日) 00:02:39.19 ID:6qBsatDq0
「……うわ何この写真。」
「読みを誤ったなあ息子よ!」
「ルルお前何を見ている!?」
「その質問には俺が答えてやる。
 幼少期のお前の写真だああああああああああああ!」
「ぎゃあああああああああああ!」

 ※この間にも屍食鬼の皆様は大量虐殺の憂き目にあっております
 
「うさみみフードでお母さんに抱かれているぞおおおおおおおおお!」
「やめてええええええええええええ!」
「うさみみフードで俺にほほずりされて泣いてるぞおおおおおお!」
「ヒゲジョリジョリで嫌だった記憶があるううううううううう!」
「やだ可愛い……。」
「この場にいる全員ぶっ飛ばしてやる!」

 再び俺と親父の戦いが始まる。
 とはいえ都市伝説を一つも持たない俺と三つもの都市伝説を駆使して俺を追い詰める親父では戦力差は圧倒的だ。
 俺はあっという間に追い詰められて首に刀を突きつけられていた。

「これで終わりだな……。」
「ふふふ……どうだろうな。」
「なに?」
「俺が終わるよりも先に……この船の雑兵共が全滅したみたいだぜ。」
「…………居たね、そんなの。」

 原型も留めずに尽く燼殺され虐殺され滅殺された屍食鬼達。
 俺たちの親子喧嘩に巻き込まれるとは運の悪い奴らだ。

「あれ、ところでお前の彼女。」
「居ないね。あと彼女じゃねえ。」
「……ああ、今度は俺が」

 次の瞬間、親父の体が揺れる。
 刀を取り落としてその場で崩れ落ちる親父。
 その背後に立っていたのはルルだった。
 ルルが、親父の背中にナイフを突き立てていた。
490 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/14(日) 00:03:48.28 ID:6qBsatDq0
「……親父!?」
「ぐふっ、やっと父と呼んでくれたな……。
 ルルを責めるな……いい女じゃねえか……。」
「おいルルお前!」
「ご、ごめんなさいでも!」
「いやナイス。」
「え?」
「は?」
「どうせこの程度で死なないしこいつ。」
「…………ああ。」
「…………へぇ。」
「おら!さっさとこっから脱出する方法を教えろよ!」
「明尊ちゃん酷いよ……。」
「ぐふっ……それなら簡単だ。
 俺がてめえらを空間操作で日本に返せばお終いだ。
 やっぱ全力で殺しにかかるべきだったかなこのバカ息子。」
「それやれよーさっさとやれよー。世界がやばいんだぜー。」
「明尊ちゃん頼みごとが有る時は素直に……」
「緊急事態だから仕方ないが、てめえ後でしばく……。」

 そう言うやいなや親父は俺を思い切りパソコンの画面で殴りつけ、ついでにルルに画面で優しく触れた。
 無駄な紳士ぶりである。
 洗濯機に放り込まれたような感覚に襲われる。
 それが終わると俺とルルはいつの間にかエーテルさんの目の前に居た。

【不思議少女シルバームーン第八話 第三章「死闘」】
491 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/14(日) 08:40:11.83 ID:Y3em4ZVN0
笛の人乙です〜
カイトちゃんかっこいい!抱かせt(凄惨な姿になりました
ヨツバさんが戦闘だと・・・これはwktkせざるを得ない
上田親子も決着か・・・何だかんだで良い親子ね
うさみみフードは吹いたよwwwwww
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/14(日) 17:59:04.49 ID:d37E3EUDO
投下乙です

魔女無双の予感!
パンピー蹴散らせ魔女一行
ついでにラスボスぶっ倒せ!

そしてなんとはた迷惑な親子喧嘩
敵全滅させたのはよしとして、お前ら他でやれと言わざるを得ない
エーテルはこれも計算ずくで合図を送り込んだんだろうか
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/14(日) 20:48:41.83 ID:d37E3EUDO
盆の夜は静かに更ける

2スレ目も半ばだし、そろそろいいかな……
まとめちゃん、息災でしょうか?
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/14(日) 21:43:11.49 ID:iS6//b7AO
俺達のまとめちゃんは前回のまとめで業務終了宣言をしておられたからなあ
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/14(日) 21:56:08.84 ID:MV6O0c5DO
おいマジかよ
つーか誰か作品投下しろよ
笛野郎の作品だけじゃあきるだろうがよ
と笛野郎が申しております
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/14(日) 22:00:53.03 ID:H3vzg9GSO
ちょっと書いては何か違うと消し
半分くらいまで書いては気にいらないと消し
終盤まで書いては面白くないと消し
最近ずっとこんな調子
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/14(日) 22:03:10.94 ID:d37E3EUDO
あと10行で単発が一本上がるのです
明日には投下したい心構え
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/14(日) 22:54:11.10 ID:U20PLWqv0
>>493まとめをやっていた者です(証明するもんもないがwwww)
今年はまだ夏バテしておらず息災だったりします

>>494
あの記述を見つけるとはなかなかやりおる
499 : ◆2PnxfuTa8. :2011/08/14(日) 23:01:23.23 ID:6qBsatDq0
ここって[ピーーー]でフィルターかかるよね
500 : ◆2PnxfuTa8. :2011/08/14(日) 23:03:49.43 ID:6qBsatDq0
【月見里邸の優雅な日常5〜聞いてくださいよ奥さん、この作品wikiにまとめられてないんですって!え?じゃあこの作品を読めるのは……?〜】

「そうです!このスレだけです!」
「お得でござる。」
「シリアス病をこじらせた笛の人のギャグが読めるのはこのスレだけ!」
「皆も笛野郎もしくは残光幻想曲(スノーウインドウアンドファイアフライ)先生に応援のお便りを出しましょう!」
「カミソリレターだけは簡便な!」
「ちなみに作者曰く“昔振った女性に俺が近くの店でカレー食ってる写真を大量に送りつけられててガチ泣きしそうになった”とのことなので、
 やつの写真を大量に封入して送りつけてやるのも乙かと思われるのであります。」
「的確に追い詰めようとしてるのなお前ら。」

 今日も元気な月見里邸の面々。
 いつも通りに彼らは馬鹿をやっていた。
 しかし、今日はいつもと少し違う。

「つーかお前らさ、あれだよね。本人眼の前にして鬼のようなこと言うよね。」
「良いじゃない、どうせギャグ空間なんだから。」
「しまぶーや空知先生も言ってたぜ、偶になら作者が作品に出ても良いって。」

 今日は酒盛りをして騒ぐ百鬼夜行の群れの中にこの私が入り込んでいるのだ。
 ギャグ空間ならなんでもありというが……

「ほらほらwwwwwwwwwwネタ無くなったからメタに逃げたんだろwwwwwwwwwwww」
「[ピーーー]ばいいのにこの[ピザ]。」
「うるせーてめえも[ピザ]だろうがこのキモオタピザ野郎め。
 知ってるんだぞ最近“時代はおっぱああああああああい!”とか寝言を言っていたの。」
「作者に向けて言う?作者に受けてそれ言っちゃう?
 良いの?消すよ?俺がその気になれば一瞬だからね!」
「空知先生でもないのにそんなこと主人公に言うのかい!
 でも良いのかな?この作品は実質俺の人気だけでもってるような作品だろ?」
「「「それは嘘だね。」」」
「ざまあみやがれwwwwwwwwwwww」

 真夜中の学校。
 今日はなぜか誘い込まれるような子供も居らず、彼らは久々の休みを楽しんでいた。
 怪談が広まるにつれて消滅しかけていた彼らも本来の能力を取り戻し、確固たる存在を得ていた。

「しかし今日は暇だねえ。」
「あ、赤い紙さんじゃないすか。あんた読者に大人気っすよ。」
「あ、どもども。でも俺気になってるんですけどね。」
「なになに?」
「最近このキャラクター限界迎えてないかなーって。」
「え」
「いやあガチペドで男の子も構わずに掘っちまうってだけじゃあキャラが弱いっていうか。
 もうちょっとしっかりしたキャラ立てしていかないと一発屋的に消えて行きそうで……。」
「重たい相談だなおい。」
「ていうか俺下ネタ嫌いなんですよね。」
「あー、俺も嫌いよ。」
「あのわかりやすく受けをとろうとしちゃって逃げている感じが嫌っていうかー」
「解る解る、作者の技量のなさを必死でごまかそうとしてるんじゃないかって感じがねえ。」
「その点空知先生の下ネタは良い。」
「あれは上手な下ネタだよね。」
「二人とも何ギャグ漫画談義してるのさ。」
「いやこれだいじなんだってばさ。」
「置いてけぼりな夢生ちゃんがなんかいじけてるよ。」
「いじけてねーし、別に話のメインから外れちゃったとか思ってないし。」
「あれ、もしかして花子さん?」
「え、ああはいそうですけど。」
「あなたには一度どうしてもやってほしいことが……」
「なに?」
「ピザって十回言ってください。」
「えっと……ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ」
「じゃあここは?」
501 : ◆2PnxfuTa8. :2011/08/14(日) 23:04:47.62 ID:6qBsatDq0
 と言いながら俺は思い切り花子さんのうすっぺらな胸を揉みしだく。
 ピンと立った乳首だろうが柔らかな丘だろうが遠慮なく激しく優しくテクニカルに揉みしだく!
 内角に抉り込むようにして!揉むべし!揉むべし!

「[ピーーー][ピザ]」

 私は思い切り花子さんに蹴り飛ばされて床にめり込んだ。
 
「やった!これ一遍やりたかったんだ!」
「おいこら作者てめえ俺よりそのネタ先にやるんじゃねえよ!」
「今の台詞って俺にはピーピザって聞こえてるんだぜ。」
「知ってるよ!俺にもそう聞こえたよ!」
「画面の前の良い子の皆も学校で試しにやってみよう!」
「女の子に嫌われても保証しないけどね!」
「おいこらダブル[ピザ]」
「「……もうしわけございませんでした。」」
「そういえばダブル[ピザ]とダンスダンスレボリューションって似てるよね。」
「これだからキモオタ童貞ニートの作者は気持ち悪いんです。」
「おいあのカエル女黙らせろ。」
「ていうか作者もキャラも互いに容赦ねえな。」
「いや、こういうので半端に慣れ合った時の寒さってほらやばいじゃん。」
「だからもう遠慮無く殺伐としていたい俺たちが居る。」
「お前と一緒にするなし。」
「お前は俺の同類ですー。」

 私は狐面に手をかけて少しダンディな声色で囁く。

「この仮面の下には貴様と同じ顔が張り付いている。(キリッ」
「後ろになんか恥ずかしい物が付いてる。」
「これが厨二病で人生棒に振った男の末路か……。」
「この仮面の下には貴様と同じ顔が張り付いている(キリッ
 だってwwwwwwwwwwwwww」

 あらやだ泣きたい。
 そんな時に何気なく時計を見ると午後十一時六分。
 よいこの私は寝る時間だ。

「あ、ごめんもう帰らなきゃ。」
「もう時間?」
「もうちょっとゆっくりしていってくれれば良いのに(さっさと帰れ)」
「そういうの一番傷つくからやめて。」
「じゃあ頑張ってネタ探して面白い話書けよ。」
「その点については応援しているからな。」
「うるせー面白いの思いついたらお前らじゃなくて霙ちゃんか紗綾ちゃんの為に使いますぅ!」
「誰だよ霙ちゃんと紗綾ちゃんって!」
「説明しよう!彼女ら二人は――――――」


 時間切れだ。
 そう呟いて私は彼らの前から姿を消した。

【月見里邸の優雅な日常5〜聞いてくださいよ奥さん、この作品wikiにまとめられてないんですって!え?じゃあこの作品を読めるのは……?〜】
502 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/14(日) 23:31:56.41 ID:Y3em4ZVN0
笛の人乙です〜
何と言うメタwwwと思ったら作者いるのかそれは仕方ないwwww

>>495
いやぁ、本スレに書きたいネタがことごとく筆進まない状態で
手を抜けばすぐ書けるんだけどねぇ
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/08/14(日) 23:38:03.76 ID:U20PLWqvo
乙でした!
なんというメタwwwwしかも掲示板の設定を使ってネタとは
たしかにこれはwikiに載せてもわからないww
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/14(日) 23:41:41.01 ID:U20PLWqv0
花子さんの胸もむとか許されないよ!
掲示板の文字検閲を逆手に取った技ありだったwwww
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 01:26:43.94 ID:5ZaymH3A0
やっぱ俺らには笛野郎しかいないよ!!
頑張って笛野郎!!
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 08:06:11.48 ID:ewYZyDuDO
というわけで今回はメタに走ってみた
ひたすらくだらなさを追及したけどなかなか難しい
銀魂チックなギャグが一番文字でやりやすいっす
507 :白黒少女 [sage saga]:2011/08/15(月) 17:53:07.64 ID:v7EYgnlOo

 夕暮れの町を少女が二人、肩を並べて歩いている。
 その道沿いの塀の上では黒猫が、少女たちと歩みを合わせて歩いている。

「最近は帰る時間になってもまだ夕方だから、明るくていいね!」
「そうなんだけど……にゅうちゃん、わざわざあたしの都合に合わせなくてもいいのよ?」
「だって、にゃあちゃんと一緒に帰りたいんだもん。リナちゃんも飼い主さんと一緒がいいよねー?」
「にゃー。」(けーやくしゃ。ごはん、はやく。)
「あれは食い意地が張ってるだけよ……ん?」

 そのとき曲がり角の向こうから全身に包帯を巻いた男が姿を現した。

「もしもしお嬢さん方、今何時だい?」
「んー?えっとね、今……」
「にゅうちゃん、応えなくていい。あいつから目を離さないで。」
「へぇ、俺がわかるってことは契約者か?まぁ女二人ならどうってことねぇ……大人しく注射を打たせろぉ!」

 男は服の中から注射器を取り出して、少女たちに迫る。

「素直にやられる馬鹿がどこにいるかっての。行きなさい、リナ!」
「はっ、そのちっこいのがお前の都市伝説か?だったら先にそいつから――――」

 塀の上に居た黒猫は飛び出して注射男と少女らの間に立ちふさがると注射男を一瞥し、

「にゃー。」(おまえ、きらい。)

 と鳴いたのちその場から走り去り、反対側の塀にひょいと飛び乗った。
508 :白黒少女 [sage saga]:2011/08/15(月) 17:53:50.34 ID:v7EYgnlOo

「……くはは!契約者のくせに己の都市伝説に見捨てられるとはなぁ!」
「いいえ。リナはちゃんとあたしの指示通りに動いてくれたわよ。にゅうちゃん、動けなくしてやって。」
「うん!じゃあ注射男さん、私のミルク飲んでね?」

 直後、少女が持った牛乳パックから牛乳があふれ出し、宙をうねり注射男へと迫る。

 あれは牛乳か?ただの牛乳ではないと思うが能力がわからん。ここは一旦避けて――――。

 注射男が動き出すと同時に、その服の裾から注射器が転がり落ちた。
 そして不運にもその注射器は、足を踏み出そうとしていた注射男の太股に突き刺さった。
 予期せぬ痛みに気を取られた注射男の眼前に牛乳が迫り、そのまま口の中へと流れ込んでいった。
 足の痛みと流れ込む牛乳から逃れるように地面を転がる注射男。
 咳き込みつつ体を起こそうとするが、途端に全身の骨が今にも折れそうにミシミシと軋むのを感じた。

「動かない方がいいわよ。全身ボロボロになりたくなかったらね。」
「げほっ!かはっ…お、俺の体……いや骨がッ!?何をしやがった!?」
「牛乳を飲むと、こつそしょーしょーとかになりやすいんだってー。そんなことないのにね、にゃあちゃん。」
「『牛乳有害説』にも色々あるけど、これで勘弁したげる。心筋梗塞とかにならなかっただけありがたいと思いなさい。」
「はっ、メスガキが偉そうに『勘弁してやる』だと?俺を殺さなくていいのか?俺はまた人を襲うぞ?きっと誰かが死ぬだろうな……お前らが俺を見逃したせいでなぁ!」
「……できるもんならやってみなさい。行こ、にゅうちゃん。」
「いけないことしちゃ、めー、だよ?おいでリナちゃん、帰るよー。」

 注射男の捨て台詞を意にも介さず、二人の少女は猫と共にその場を後にした。


    ・
    ・
    ・
509 :白黒少女 [sage saga]:2011/08/15(月) 17:54:30.46 ID:v7EYgnlOo

 日の落ちた町を少女が二人、肩を並べて歩いている。
 片方の少女の腕の中には黒猫が抱きかかえられ、宙に浮いた白い球体――――猫用ミルクをぺしゃぺしゃと舐めている。

 ――――俺を殺さなくていいのか?

 その様子を眺める少女の脳内に、先ほどの言葉がよみがえる。

「……にゅうちゃんには見せたくないのよ。」
「んー?にゃあちゃんなにか言った?」
「なんでもない。それより、さっきからリナ抱きっぱなしだけど、重かったら下ろしてね。」
「だいじょぶだよー。リナちゃん軽いし、かわいいからずっと抱っこしたいもん。」
「あんまり甘やかさないの。リナも、甘えてないで自分で歩きなさい。」
「にゃー。」(やだ。ここがいい。)
「あんた、あたしに抱かれるのは嫌がるくせに、にゃあちゃんには抱かれたがるのね。」
「にゃー。」(けーやくしゃ、やわらかくない。こっちのがふにふにしてきもちいい。)

 さくっ

「……リナ、あんたちょっと汚れてるわね。帰ったら一緒にお風呂入ろっか。」
「!?にゃー!にゃー!」(やだ!おふろやだ!ボクかえらない!)
「あ、リナちゃん危ないから暴れちゃだめー!」

 黒猫は少女の腕をするりと抜けると、遠くへと走り去っていった。

「あっ、リナちゃん!……にゃあちゃんごめんね、リナちゃん逃げちゃった……。」
「いいのよ。お腹空いて帰ってきたところを取っ捕まえて風呂にぶち込んでやるわ。」
「にゃあちゃんにゃあちゃん、乱暴なのは、めー、だよ?」
「大丈夫よ。全身くまなく隅々まで余すところなくとことんきれいに洗い尽くしてやるだけだから。」

 ふふふふ、と笑う少女から黒いオーラのようなものが漂っているが、傍らの少女はそれには気付かず首を傾げている。
510 :白黒少女 [sage saga]:2011/08/15(月) 17:55:27.46 ID:v7EYgnlOo

「あ、ねえねえにゃあちゃん。さっきの注射男さん、ホントにあのままでいいの?」
「大丈夫よ。今あいつは動けないし、悪い奴には天罰が下るって決まってるの。」
「うーん……そうだね、にゃあちゃんがそう言うなら信じるよー。」

 にゅうちゃんはいい子ね、と笑顔で答えながら、少女は心の中で呟いた。

(……不吉補正最大開放)


    ・
    ・
    ・


 注射男は未だ地面に横たわっていた。

「くそっ、あいつら俺をコケにしやがって……。覚えていろ、次に会ったら命はない――――」

 グシャッ

「……ん?今、何かに乗り上げた気がしたが……気のせいか?」

 運転手は何も映っていないバックミラーを見て首を傾げつつも、何事も無かったかのようにその場を走り去った。



【終】
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(秋田県) [sage]:2011/08/15(月) 17:57:59.19 ID:v7EYgnlOo
「にゃあちゃん」「にゅうちゃん」と呼び合う少女。
という電波を元にしたらこんなのができました。
さすがに「にょうちゃん」は無理でした。色々な意味で。
512 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/15(月) 20:15:25.56 ID:h8mIC18l0
乙です〜
あら可愛い子達、食べちゃいtって最近これしか言ってないな俺orz
「牛乳有害説」とはまたまた面白そうな都市伝説・・・
513 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/08/15(月) 22:12:23.89 ID:axEoSudo0
幸運を操るハッピーにゅうにゃあと聞いて
オーバーランですか
オーバーラン準備完了しましたよええ
にょうちゃんは追加キャラでどうでしょう
514 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/15(月) 22:37:23.77 ID:h8mIC18l0
ところで
>>511
>さすがに「にょうちゃん」は無理でした。色々な意味で。
「ハチの毒はアンモニアで消毒できる」の契約者とか良いじゃない!
契約によって強化されて全ての毒を消毒できるようにしてさ!
毒を使う相手が出る度におにゃのこの放尿シーンが見られるt(逮捕(てかここエロ禁止だろ
515 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/08/15(月) 22:47:07.40 ID:axEoSudo0
エロ禁止とかあってないようなもんですよ
常識的に考えれば……
516 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/15(月) 22:54:40.07 ID:h8mIC18l0
てか自分で書いときながら、どこまでがエロか気になったという(前にあったか?
セッ○スやオ○ニーは完全アウトだろうけど・・・
517 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/08/15(月) 23:02:54.85 ID:axEoSudo0
まあ直接描写はアウト
ほのめかす程度ならいいんじゃねえかと
518 :影@PSP [sage saga]:2011/08/15(月) 23:12:41.39 ID:h8mIC18l0
>>517
ほぅほぅ
ベッドに押し倒してキスまではOKって感じかしら(ん?
519 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/08/15(月) 23:13:12.81 ID:axEoSudo0
キスは普通にありでしょう
そっから先は鹿威しでも
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2011/08/15(月) 23:17:44.59 ID:Oz994+Wd0
          ':,    ',   !                     \
   \      ':,      _,,.. -‐''"´ ̄`"'' ト、.,_.       ,,--,┐  \    ヽ /
 \  \\     r-、 ァ'´      _ト、.,__ノ ノ `ヽ,ヘ,   //: /::::!   <    ∠______
           ノヾ、rァ'  __,ゝ‐i"`y'__]`''ー、'    / `>t,// :/:::::::!  /     /
    \\    `'(__!r-‐i__」-‐'"´,i  `''ー、」ー-ヘ、イ'"´.!:|||||:::::::/   \     (___
       \   r‐ァ'´]-‐' '/  !  ハ /!ィ' i `''ー'、/ゝ  |:|||||:::;t'、  ミ  >  _______
 `' 、        ヽ7´ !   !/!メ、!」 レ-rァ''iT7   iヽ」`i´!:!!!」:ノ ! i   /     '´
     i´ヽ.      | .! !   !-rァ'T    '、,_,ノ !__トr┘i>'r'、`'´   ;'    \   、,_____
   (`ヽ;、 `ヽr、. └'`ゞ、, ハ. '、_ノ     ⊂⊃ ! ';./ ;'ゝ.,二二7i   <
   ,.-`ヽ  >  i_,!`ヽ、/ |   !⊃   r‐-、    /! ! ヽ._」 /      !  /    ー┼-
   `ー‐ァ (´__,ノ! |   `7!  .i'>,、.,__'--‐' ,..イ!  i ̄´ノ!       | /      ー┼-
     'ーri´ヽ_/7   〈    V7「ヽ7i ̄´'ノ ! '.、  ':、 '、       ;' \      r-iー、
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      '、ゝ'ン___,,...->ア`ー-'、 ,' i | i i |   ヽ.   ヽソ`''ー--‐'      /   --─ァ ヽヽ
        ̄      く ./___」_';/ ! | ! ! ! i   ,ゝ-‐''ンヽ.       く       /
          rソ´`ヽ、`'ァー-‐' ,.イ/ ,' ,' ! ', く_」`7´ハ  〉        >     '、___
         _r'ー--‐''"´   / ;'  i i ,ハ ヽ !_/ヽ!__L/       く      i
        //      -イ  /! ;'/ ム       \          \.    ├‐
       rン_,,.. -      /  / ;' !レ'´ i         `ヽ.        <    r-iー、
       `ト、        !  〈 i ;' / ,ハ      ヽ.     'r、      /   `ー' '
        ノ.ノ __     ノ   i V / / /!       '.,    _r'ヘ    /       l 7 l 7
       i_|  V   /    ハ./ ;' i i '、 }><{  ン´/!/     \     |/ .|/
       ヽヽ ∧      / ;'  i  ', ヽ、 i     r'"ン:::::/     /    o  o
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/15(月) 23:29:29.26 ID:WAB+7lzm0
>>520
キスから先はダメ…だと
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/16(火) 11:27:13.61 ID:s7UzV1+DO
「にょうちゃん」と呼ばれる光景を想像してみたらこれイジメじゃね?ってなったのですよ
「尿」て……どうみてもAUTO
それに「にょう」に対応する名前も思い付かなかったですし
523 :白黒少女:無駄な詳細設定 [sage]:2011/08/16(火) 13:15:25.44 ID:aBirFLmno

にゃあちゃん:黒瀬杏奈(くろせ あんな)
『黒猫が横切ると不吉』『黒猫は幸運の象徴』の契約者。ちいさい。
リナがもたらした『不吉』と『幸運』の度合いを操作できる。自ら『不吉』と『幸運』起こすことはできない。
声を通じてリナと意思疎通できるが、言うことを聞いてくれるわけではない。
にゅうちゃんとは小学校入学前からの付き合い。初対面であだ名が決まり、以来ずっとそのまま。
にゅうちゃんの牛乳には女性の夢が秘められていると信じている。


にゅうちゃん:白峰羽生(しらみね はにゅう)
『牛乳有害説』の契約者。おおきい。
牛乳を飲ませた相手にさまざまな害を与えることができる。精密動作性は、牛乳で薔薇の花を作れる程度。
色々な意味でやわらかい子。頭に行く栄養が他のところに集まってる気がしないでもない。
にゃあちゃんをぎゅっとすると微妙な顔をされる。リナをぎゅっとするとふにふにされる。
紙パックの牛乳(自分用)と猫用ミルク(リナ用・リキッドタイプ)を常備している。


リナ:黒猫(メス)
『黒猫が横切ると不吉』『黒猫は幸運の象徴』に飲まれた黒猫。かわいい。
道路に飛び出しても絶対に車に轢かれない程度の幸運を持つ。横切られた運転手は不吉な目にあう。
にゃあちゃんのことを契約者と認識してはいるが、特に服従などはせず基本的に自由奔放。
鳴き声を通じて契約者と意思疎通できるが、思考回路は猫のそれ。
抱かれ心地がよくて美味しいミルクをくれるにゅうちゃんがお気に入り。


作中に出してないのに>>513で「幸運を操る」って能力を当てられてちょっとビックリしてたり
524 :正体不明、顛末不明 ◆W5H6Y5Rl3M [saga]:2011/08/16(火) 21:13:31.53 ID:AZCzgtW8o
 まだ賑わいの名残を感じさせる夜の駅前通り
 ややまばらではあるものの、それなりの人通りが人々に無意識の安心を抱かせる
 人通りがあるから
 人目があるから
 ただそれだけで、『平和』の比率が高いと安堵する
 だがそれは、小魚が群れで過ごすのと同じ理屈
 周りにたくさんの仲間がいるから
 たくさんいる誰かが襲われても群れは逃げられる
 そんな、安心

―――

「ごちそうさまでした」

 真っ暗な路地裏で、少女は手を合わせてぺこりと頭を下げる
 足元に転がるのは、携帯電話や鞄、そして衣類についている金属部品の欠片
 それは彼女の食べ残し
 有機物は残さず溶解し自らの栄養とする『ブロブ』が、溶かす事のできなかった無機物
 量を察する事ができる形跡は、今や一人一台持っているのが当たり前の携帯電話が、七つほど
 彼女が『ブロブ』と契約してしまった頃は、数日に一人のペースで食事をしていたのだが、今ではこの勢いである
 もっとも、『ブロブ』の元となる映画からすれば、ひどくのんびりしたペースでの成長ではあるのだが

「うーん、何を食べても美味しいんだけど……やっぱり気になるなぁ」

 少女が想うのは、二度三度と取り逃がした獲物の存在
 見つける度に誰かに邪魔をされ、食べる事ができなかったせいで

「食べ続けてればまたいつか食べるチャンスはあるんだろうけど、やっぱり気になるよね」

 嗜好という思考を持たない『ブロブ』ではあるが、契約者の存在が人間的な感覚を共有する原因となっていた
 より美味しく、より楽しく、より確実に
 自己の維持と増殖のためだけに食事をしていた頃とは違う、充実感を得ていたからこそ

「においは、するんだよね……探してみよっか」

 彼女は
 否、『ブロブ』は
 とてもとても強くなり
 とてもとても弱くなったのだ

―――

「それでは儂が仕掛けて、本丸が締め。後は燻の手引きで、そこな女子が総仕上げ。相違無いな?」
「こちらは何時でも構いませんよ。むしろ太三郎、あなたの仕掛けが上手くいかなければ始まりすらしませんが」

 気合い充分といった風情の太三郎に、扇子で口元を隠しながら水を注す本丸

「人がやる気になっとるのに、出鼻を挫くなや」
「狐狸の類は、調子の乗ると些細な事で失敗するのが昔からの慣わしですからね」
「調子になんぞ乗りゃせんわい。芝右衛門との化け比べ以来、そこいらは気ぃつけとるわ」

 太三郎は憮然とした顔はしているものの、その雰囲気からはそれまであった余裕は消えている

「源平合戦すら再現する儂の幻術、舐めるなよ」

―――

 ひょこりと現れた詩卯の姿に、少女はすぐに喰らいつく
 だが手応えも食べ応えも何も感じられない
 本来ならばこの時点で何か気付くものなのだが、狐狸の類の幻術というものはまず『おかしいと思わせない』ものなのである
 そんなところにあるはずのない家、そんなところで用意できるはずもない御馳走、そんなところにいるはずもない美女
 あるのであればあって欲しいという欲望につけいる幻術は、人間としての機能や思考を手に入れた『ブロブ』を容易に誑かす

「あれ、今度はあっち?」

 曲がり角の先にまた、ひょこりと現れる詩卯の姿
 それにばかり気を取られているせいで、その向こう側に揺れる提灯の明かりに少女は気付く事は無い
 決して触れる事のできない詩卯の姿を追いながら、視界に揺らめく『送り提灯』の明かりに引き付けられ、ゆっくりと確実に町の外れへと誘い込まれていく少女
 人気の無いどころか建物すらまばらな景色すらも、太三郎の幻術により少女には駅前からさほど離れていない路地にしか見えていないのだ

「んもう、どうして食べてるのに食べきれないのかな」

『ブロブ』を広げて包み込むように詩卯の姿を追い詰めるが、幻であるそれは気が付けばまた先の道に現れて
 幻の詩卯は、幻でただの家に見えるシェルターへと駆け込んでいく
 広げた『ブロブ』を手のひらの中に吸い戻し、幻を追ってシェルターの中へと踏み込んでいく少女

「さて、どうやら問題なく事は運びそうですが……念には念を、近付かずに処理しますか」

 少女の操る『ブロブ』は、食事や自己防衛の時以外はその身体の中へと収納されている事は、数日の観察と数回の戦闘で確認されている
 既に幻術を見破り、罠に掛かった振りをして仕掛けを伏せているのでなければ、少女と『ブロブ』を閉じ込める計画は問題なく成功する
525 :正体不明、顛末不明 ◆W5H6Y5Rl3M [sage saga]:2011/08/16(火) 21:17:42.29 ID:AZCzgtW8o

「『送り提灯』はこれにてお開き。次なる噺は『片葉の葦』に『足洗邸』でございます」

 本丸が扇子を指揮棒のようについと振るうと、シェルターが設置された空き地の草花からごっそり片方の葉が落ちて
 それと同時に少女の手足の片方がぼろりと外れる

「っ!?」

 バランスを崩して倒れそうになった少女が、手足を『ブロブ』で繋ぎ何とか踏み止まったその一瞬で
 シェルターの側面から生えた巨大な足が、その入り口である扉を思い切り踏み閉めた

「サロリアス、施錠を」
「応よ」

 水一滴はおろか空気も通さない密閉扉の鍵が、遠隔操作で施錠される
 核シェルターという本来の用途から、その頑丈さは軟体である『ブロブ』やそれが取り込んだ炎熱の能力では破壊する事は叶わない

「斬九郎が叩っ斬った時に終わってりゃ、苦しまずに済んでただろうにな」

 サロリアスの呟きは誰にも聞こえないまま
 シェルターの上に鎮座した椅子に、宙を舞っていた小柄な燻の身体がすとんと着席する

「ヨロシイデスカ?」

 己の能力を発動させる準備が整った黒服少女がそう問うと、サロリアスは無言で頷いた

「デハ」

 黒服少女の契約都市伝説、それは『ワン・フー・ロケット』
 16世紀の始め、明の官吏であるワン・フーが花火の技術を使った47本のロケットを取り付けた椅子で宇宙へ行こうとしたという話である
 この能力は『椅子をロケット化し宇宙へと飛ばす』ものなのだが、元の話ではその椅子にワン・フー本人が着座しているため、誰かが椅子に座っていないと発動しないのである
 敵が大人しく椅子に座るはずもなく、また味方を生身で宇宙にすっ飛ばす必要性もなく、永らく何の使い道も無かった能力であった

「発射!」

 初めて能力を発動させる高揚感と緊張感で、顔を紅潮させ上擦った声で叫ぶ

「お? おおおおお?」

 椅子の上に鎮座していた燻が、ロケット化した椅子と接合されたシェルターが浮き上がる感覚に、珍妙な声を上げる

「飛ぶ? 飛んじゃう? あちき飛んじゃうー?」

 次の瞬間、凄まじい爆発音と閃光と煙を撒き散らし、ロケット化した椅子が連結されたシェルター共々一瞬で空の彼方へと舞い上がって、消える
 煙が晴れたその場には、まるで爆発事故でもあったかのような凄惨な荒地だけが残っており、その後始末だけでも頭が痛くなりそうな有様だった

「……これから、能力を使う機会は二度と無ぇな」
「ハイ、自覚シマシタ。試セタダケデ良シトシマス」
「どうですかねぇ……今回のように、倒せない手に負えない相手がまた出ないとも限りませんよ?」
「そん時ゃそん時だ。考えるのは『組織』の連中の仕事だろうよ」

 他人事を決め込むサロリアスの様子に、本丸が扇子を口元に当てて小首を傾げる

「はて、今回の一件でてっきり出戻りを決めたのかと思っていましたが。小夜も無事なのでしょう?」
「お前らが戻りてぇなら好きにしろ。だがな、今のZ-No.0は斬九郎で、今の俺ぁ音門金融の社長ってのは変わりゃしねぇよ」

―――

「らめぇ!? あちきもう限界っ!」

 地球の重力圏を振り切る勢いで加速したロケットは、生身の燻の身体を風圧と加速力であっという間に押し潰す
 呆気なくくしゃりと潰れた燻の身体は即座に煙となって、地球の大気に置いてきぼりにされていった

「おふー、やっぱ自分で飛んだ方がいいわー」

 散り散りになった煙が渦を巻き、遥か眼下に雲を見下ろす高さで燻の身体が再構築される
 瞬間的に外的要因により圧砕されたせいで、身に付けているものを煙に同化させる余裕は無かったため、その姿は全裸である
 あっという間に遠く遠くへと飛んでいき、小さな星と見分けがつかなくなるまでロケットを見送ってから、燻はくちゅんと小さくくしゃみをして身を震わせる

「あの『ブロブ』は契約者がいるから自分を維持できるだろーけどなー。ほぼ同化しちゃってるとはいえ契約者の方はどうなんかね」

 ずびりと鼻をすすり、空中でぷらぷらと足を揺らしながら

「まー、酷な話ではあるけど……生きたいと思わず素直に食われてりゃ、こんな騒動にはならなかったわけで。生きるって事ぁ業が深いやね」

 ロケットが消えていった方角にある太陽を、目を細めながら眺め続けていた

―――
526 :正体不明、顛末不明 ◆W5H6Y5Rl3M [sage saga]:2011/08/16(火) 21:20:15.78 ID:AZCzgtW8o
「さてはて、書き物をサボっているうちに佐渡の団三郎めが幻想郷に行ってしまったわい」
「何の話だ?」
「いや、ちょいとメタをな。Wikiに登録する時には消しておくから安心せい」

 事が済んだ一行の元へ、太三郎がおっとり刀で現れる
 既に事件は解決した風情、別段何ら問題は無いのだが

「ともあれ無事に済んで何より、と言いたいところだがの。意気揚々とこの作戦を立てた小娘の方は大丈夫かのう」
「そっちは斬九郎がきっちりやってるはずだ」
「ほほう」

 太三郎がふむうと唸り、ちらりと視線をあちらへ向ける

「……どういう事ですか」

 そこには、息を切らせて駆けてた詩卯と、困り果てた顔のZ-No.999の姿

「記憶処理をしたんじゃねぇのか」
「いや、やったんですがね……何か強い切っ掛けがあれば解けるじゃないですか、黒服としての能力の記憶操作」

 斬九郎が処理を施し、診療所辺りに置いてくる予定だったのだが
 道中であっさり目を覚まし、状況を根掘り葉掘り聞かれた結果

「何度も言いますけどね……嘘には敏感なんですよ」
「あんた絶対変な血筋か、無自覚の契約者の類でしょう……」
「嘘なんて目と顔で大体判るものでしょ。汗の味も確かめれば完璧」
「それマフィアの幹部でスタンド使いでしょう!?」
「まあそれは冗談だけど」

 話しながら息を整えていた詩卯の顔から、色々な感情がすうっと引けていきまるで能面のような雰囲気でサロリアスに歩み寄る
 おやおやといった調子で、すすっとその場から一歩退いていく本丸と太三郎

「あの子と話をさせてもらう、そう取り決めていたはずです」
「お前が囮をする前提ならな。だがその辺りはこっちで代役を用意して、何の被害も出さずに事を済ませた。文句でもあるってのか」
「大ありです。最後まで関らせてくれなかったのは何故ですか」
「関らせりゃあ、手前ぇは喰われる覚悟で話し合いとやらをしただろうが。その時点で犠牲者一つ、こっちにとっちゃマイナス点だ」
「話を聞いてくれるかもしれなかったじゃないですか」
「その確率はどんぐらいだってんだ。それこそ万に一つもあるかないかだ。二度三度顔を合わせた手前ぇが一番良く判ってんだろうがよ」
「それでも……!」
「喰われる事で言葉を伝えるってぇのは無しだ。あいつが今まで何人喰ってる? その無念や苦痛や怨嗟を孕んでいながら何一つ歪まねぇ奴を、手前ぇ如きがどうこうできると思うな」

 ぐ、と言葉に詰まり
 手のひらに爪が食い込む程に拳を握り締める詩卯

「どうしようもねぇ奴と、どうしようもなくなった奴まで助けられるほど、世の中上手く出来ちゃいねぇんだよ」

 俯いて肩を震わせている詩卯に背を向けるサロリアス

「Z-No.999だったな。もう一度記憶処理しとくよう斬九郎に伝えろ」
「必要ありません」

 即座に言葉を遮り、背を向けたサロリアスの腕を掴んで振り向かせ

「あの子が居た事を、私は忘れません」
「覚えてたってロクな事にゃあならねぇぞ」
「何も知らなかったのに、これだけの事に巻き込まれてるのに何を今更ですよ」

 それだけ言って、ぷいと顔を逸らしその場から歩み去っていく
 そんな詩卯の警護をしなければならないのだろう、Z-No.999が申し訳なさそうな顔で頭を下げてから、彼女を追いかけていく

「珍しいのぅ、女子に嫌われるサの字というのも」

 からかうように擦り寄ってくる太三郎を、押し退けるように引き剥がし煙草を咥えるサロリアス

「女になんざ別段好かれたくもねぇ」
「そりゃあ切ないのう、儂らはこんなに好いておるのに。それに、折角仕事を手伝ってやったというのに、褒美の一つも無しかえ?」
「金なら後で払う」
「風情が無いのぅ、もう少し乙女心というものをな?」
「……だったら報酬は何がいいってんだ」
「ふむ」

 何をねだったものかと太三郎が考え込んだその脇で、待ってましたと言わんばかりに本丸がそろりとサロリアスの耳元に口を寄せる

「小生、弟子には恵まれてますが後継ぎがまだでして。元気なのを一人分、子種をいただければ」
「あ、儂もそれがいいなー」

 耳聡く聞きつけてきた太三郎がまた絡みつこうとしてたが、本丸の鼻先に煙草に火を点けようとしていたライターが突き付けられ

「熱っ!? あっつい! いくら妖相手とはいえ女性の顔を焼きますか普通!?」
527 :正体不明、顛末不明 ◆W5H6Y5Rl3M [sage saga]:2011/08/16(火) 21:24:31.19 ID:AZCzgtW8o

 ひっくり返り涙目で鼻先を押さえつけている本丸の姿を見て、太三郎もついっとサロリアスから三歩ほど離れる

「火ぃ近づけただけで炙ってもいねぇよ。本気で焼きたくなりかけたけどな」

 改めて煙草に火を点けて、紫煙を上げるサロリアス

「まったく、冗談を判らぬ人ですねぇ本当に……」
「冗談だったのか?」
「いえ、割と本気でしたが……って煙草はダメですよ!? 根性焼きとか今時流行りませんから!」

 夜空を見上げて煙と溜息を吐き出して

「燻の奴が帰ってきたら引き上げるぞ。斬九郎への報告はお前らでやっとけ」
「ふむ、それは承知しましたが。貴方はどうしますので?」
「黒羽と雪華の体調が戻ったら遊行に付き合う約束がある。それまでに梨々と金融屋の仕事を片付けなきゃいけねぇからな」
「えー? 儂らとイチャイチャするのはダメで、あの娘らとは仲良しさんなのかのう?」
「元々あいつらは旅行に来てたのを斬九郎に引っ張り込まれたんだよ。それで怪我までさせてんだ、侘びの一つも必要だろうが」
「……儂らも怪我の一つぐらいしとけば良かったかの」
「かもしれませんね」

 不満顔を突き合わせている本丸と太三郎に、サロリアスは苛立たしげに舌打ちする

「さっさと報告を済ませて、お前らも付いてくればいいだろうが。わざと危ない目に遭う算段してんじゃねぇ」
「お、言ってみるもんじゃの」
「多分最初からそのつもりだったんでしょうけどね。そうでなければまず話題には出しません」
「梨々と雪華は奥手じゃが、黒羽はのう……儂らは丁度いい牽制役か」
「まあ抜け駆けさせるのも癪ですし。乗って悪い算段ではないでしょう」
「そういう話はもう少しこそこそ話せ」
「えー、何の話? 何の話? あちきも混ぜてー」

 いつの間にか空から舞い戻ってきた全裸の燻が、これまたいつの間にかサロリアスのコートに包まれて、余ってだらんと垂れた袖をぱたぱたと振っていた

「五月蝿ぇ、とっとと行くぞ。先に『組織』の方だな、こいつの服も借りてぇ。備品ぐらいあるだろう?」
「ヘ? ア、ハイ。黒服デヨケレバさいずハ色々揃ッテマス」

 ノリと勢いについていけてなかった黒服少女が、急に声を掛けられて裏返った声で応える

 深刻で凶悪な怪異や事件も、終わってしまえばそれまでで
 慣れた者達はすぐに日常へと戻っていく
 慣れぬ者達もやがては記憶は風化して薄れていく事だろう
 日常という薄氷のすぐ下に非日常が渦巻くこの町では、よくある出来事の一つとして

―――

「窓も無いし、ドアも開かないね。どうしようか」

 ぷかぷかと無重力の中で浮かぶ少女は、室内に『ブロブ』を張り巡らせて、まるで蜘蛛のように動き回っていた

「もしかして宇宙に飛ばされちゃったのかなぁ。凄い音と衝撃だったもんね」

 何の訓練も受けていない少女が無事だったのは、その身体も臓腑も大半が『ブロブ』漬けになって保護されていたからである

「どうしよう、地球に戻らないと何も食べられないよね。困ったなぁ」

 既に彼女は定期的な栄養摂取を必要とはしていない
 生物を喰らった分だけ『ブロブ』の体積を増し、知識や能力を吸収し、地球という惑星で唯一にして全一の存在になろうとしていただけなのだ

「しばらく寝てたらそのうち戻って来れるかな」

 蜘蛛の巣のように張り巡らされていた『ブロブ』がじわじわと部屋の片隅に集まり始め、大きな椅子のような形を作り始める

「ん、それじゃ食べるものがあったら起こしてね」

 そこに横たわる少女を、まるで繭のように包み込む『ブロブ』

「おやすみなさい」

 そして少女は眠りについた
 いつか地球に戻ってくるその日を夢見て
 真っ直ぐに太陽へと向かう揺り籠の中で
528 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/08/16(火) 21:31:39.68 ID:AZCzgtW8o
前回のお話は>>348-349でございます
とりあえず事態は決着、後日談は書こうか書くまいか

中央高校三年生コンビ、診療所ご一行、金貸しとそのコネ、中央高校一年生と先生達と
手広く書き過ぎてるせいでもう何が何やら

こいつはどうなった、みたいなのはお知らせいただければ順次片付けていこうと思います
ぶっちゃけガチで忘れてる事が多々ありますので皆様のお言葉が頼りでございます故
529 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/08/16(火) 21:44:39.07 ID:LXChmIQN0
>>395
注射男のいい話とは珍しい……
>>398
美術品と間違われた首吊り男……
珍しい能力といい雰囲気だなあこれ。
>>407
シャドーマンの人乙でした。
日天とローゼの過去編いいぞもっとやれ。
>>437
可愛い魔法少女のさらなる活躍に期待しております。
>>457
カメラに撮られると魂を抜かれる……かな。
花摘みとはまたいいセンスだ。
>>466
軽快なテンポにワロタwwwwww
>>469
笛の人乙!
エヴァレットの多世界解釈……
学校町が舞台じゃない話も新鮮ですよね。
地の文がしっかりしていてうらやましいです。
>>480
シルバームーン編も大詰めですね。
紅瀬さんに死しか見えない……
>>486
相変わらずの上田節が炸裂していて……
彼の暴れっぷりを堪能できるのは嬉しいですね。
そこにいたグールに合掌……
そしてメッセンジャーとしては確かに適任かも……
>>500
これはうまいメタだwwwwww
掲示板の機能フル活用とはやりおる……

>>507
なにこの子たちかわいい。

>>524
三面鏡の人乙でした〜
おおこういう解決法にするのか〜
椅子が何に使うのか分からなかったがこういうわけだったのか……凄く斬新だ……
そして燻ちゃんの台詞が別の意味に聞こえた俺は汚れているのか……
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/16(火) 22:06:03.89 ID:i8Fzo/zo0
三面鏡の人乙でしたー
なるほど…まぁ、最終手段的には、そうやるしかないわな
しかし、ある意味最後のホラー映画っぽいww
531 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/08/16(火) 22:12:41.94 ID:AZCzgtW8o
>>529
> 椅子が何に使うのか分からなかったがこういうわけだったのか……凄く斬新だ……
地球外に放逐という方向性を考えた瞬間に、これを使う事を考えてましたww
実際にやれるかどうか実験した映像は『怪しい伝説』にてどうぞwwwwww

> そして燻ちゃんの台詞が別の意味に聞こえた俺は汚れているのか……
む、そんな台詞ありましたっけか
らめぇとかはちょっと狙って書きましたがww

>>530
> しかし、ある意味最後のホラー映画っぽいwwww
書き始めてから○ヶ月後
そこにはやっと話を片付けられ元気にネトゲに逃避する三面鏡@ドクターの姿が

「もう二度とパニックホラー映画のモンスターなんて使わないよ!」

いや割とマジで
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/16(火) 22:15:51.22 ID:5YqJF5X2o
三面鏡の人投下乙ですー

さよならブロブっ子、また会う日まで……やっぱ会いたくない、というか会えないか
途中でグレムリンがイタズラしなきゃいいが……機械じゃないから大丈夫か

据え膳喰わぬはなんとやら
サロリアスよ男を見せr(タァーン)
533 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/16(火) 22:39:06.74 ID:O7zDpeu60
三面鏡の人乙です〜
あぁサの字もげろもげろもげろ(ターンッ
しかし俺のブロブっ子たんが・・・ぐすん


救っていいですk(焼き尽くされました(その後どう処分する気だ
534 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/08/16(火) 22:51:02.82 ID:AZCzgtW8o
>>532
> 途中でグレムリンがイタズラしなきゃいいが……機械じゃないから大丈夫か
扉の鍵は壊せますが、そうすると真空に……

> サロリアスよ男を見せr(タァーン)
サロリアス「女みたいな面倒なもんを、何人も相手していられるか」

>>533
> 救っていいですk(焼き尽くされました(その後どう処分する気だ
せっかく放逐したのにwwwwww
535 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/16(火) 23:03:23.94 ID:O7zDpeu60
>>529
>日天とローゼの過去編いいぞもっとやれ。
続き書きたいけど筆が全然進まないのorz
もうちょっとしたらエーテルの名前だけお借りすると思うので先行土下座orz

>>534
>せっかく放逐したのにwwwwww
はっはっは、かぁいいおにゃのこを死なせはしないz(ターンッ
536 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/08/17(水) 00:02:20.62 ID:SHd16oFR0
ドクターの人乙でした
やめて太陽とかやめて怖すぎます
太陽エネルギーで復活しちゃったらどうするんすかこわいっすよええ
537 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/08/17(水) 00:13:58.16 ID:0crJR8rZ0
そのとき ふしぎなことが おこった
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/17(水) 00:36:06.89 ID:xGS30hZDO
思い出した
あと幻想入りネタは懐かしくなるから削除しないでそのまま載せたらいいじゃないwwwwwww
今回のしんきゃらで数少ない和み要員だよね彼女
539 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/08/17(水) 00:55:18.43 ID:MChwB/ilo
>>535
> はっはっは、かぁいいおにゃのこを死なせはしないz(ターンッ
もう女の子はガワだけでブロブそのものみたいなもんですけどね!ww

>>536
> 太陽エネルギーで復活しちゃったらどうするんすかこわいっすよええ
熱には強いけど太陽ぐらいのエネルギー量なら燃え尽きるんじゃないかなぁ
熱以外にも色々危ないし、神話的パワーも凄いし

>>538
> 今回のしんきゃらで数少ない和み要員だよね彼女
メタをやるって時ならいいんですが、話の合間なので削除はしときますww
何より東方と話繋げちゃ困りますしwwwwww

それにしても狸で眼鏡でロリババアとかどんなご褒美ですか
性格もかなりまったり系で面倒見が良さそうなのがナイス
元の伝承もネタ豊富だし

東方キャラソートのトップが入れ替わりそうです……
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/17(水) 12:26:49.17 ID:X8VgydJE0
「この世には『フラグ』が実在する」っていう都市伝説をでっち上げて

「お前は次に『やったか!?』と言う」
「やったか!?……ハッ!」→やってない
みたいなの居たら無敵じゃね?とか考える俺in2011夏
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/17(水) 12:30:47.84 ID:K3i7EsGAO
>>540
死亡フラグや恋愛フラグを駆使するんですね…ライバルはフラグブレイカーですね、わかりますww
542 :ソニータイマー [sage saga]:2011/08/17(水) 19:08:12.53 ID:xYJ+KC0P0
>>540
不幸「呼ばれた気がして」
543 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/08/17(水) 21:34:38.28 ID:SHd16oFR0
昔やったんだよそのネタ……
今回の東方の新キャラの中で一番は……うーん
狸が一番かなあ
聖んが神聖すぎて辛い
でも初恋はえーりん
そんな私は永夜新参
544 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/08/17(水) 22:06:12.26 ID:SHd16oFR0
と思ったらマミゾウ可愛いなちくしょおおおおおおおおお!
ZUN絵で分からなかった魅力を今理解したようわああああああ!
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/08/18(木) 00:09:44.07 ID:4DMHH4ss0
テス
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/08/18(木) 00:13:01.37 ID:4DMHH4ss0
ふぅ、昨日PSPで書き込めなかった時は切れかけた…


昨日書きたかったこと
三面鏡の人の「ブロブ」みたいに、これどうやって倒すの?っていう都市伝説とかあるのかしら
もしくはそういう組み合わせとか
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/18(木) 00:17:49.28 ID:wGHCmxtSo
倒す側の戦力によってはアカン!これどうやって倒すんよ!?
ってのは結構いると思うぞ
それこそ夢の国も将門様も全盛期の秀雄もCOAの裏の方のボスも普通には倒せる気がしないZE
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/18(木) 00:31:19.47 ID:ohiP+Ru8o
単純に不死身キャラとか
「ミリン・ダヨ」なんて物理攻撃無効だし、「ラスプーチン」は猛毒・銃撃・殴る蹴るの暴行まで受けておいて死因は溺死
攻撃が通じないって厄介極まりないね

ちなみにどちらも史実です
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/18(木) 00:44:25.94 ID:z8ULdPDSO
頭切り落とされて生きてた鶏
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/18(木) 00:51:51.24 ID:UWyZbrMDO
一番厄介なのは【主人公補整】
契約容量圧迫しないし
契約適正関係ないし
対抗策ないし
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/18(木) 01:11:17.53 ID:MxyZgBFDO
対抗策はアレです、別の主人公と相対させて主人公補正を削ぎ落としてやればいいのです
そう、かつての影……こんな夜中に童謡を歌ってる人がいるみたいだ……なんて近所めいわ
552 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/18(木) 20:52:01.17 ID:4DMHH4ss0
>>547-551
返事感謝<(_ _)>

>それこそ夢の国も将門様も全盛期の秀雄もCOAの裏の方のボスも普通には倒せる気がしないZE
あの辺りは本当にとんでもないからなぁwwww

>「ミリン・ダヨ」なんて物理攻撃無効だし、「ラスプーチン」は猛毒・銃撃・殴る蹴るの暴行まで受けておいて死因は溺死
「ラスプーチン」の話は聞いたことあるな・・・頂こうかしら(ヤメロ

>頭切り落とされて生きてた鶏
KU☆WA☆SHI☆KU♪

>一番厄介なのは【主人公補整】
確かに厄介だwwwwwwwww

>そう、かつての影……こんな夜中に童謡を歌ってる人がいるみたいだ……なんて近所めいわ
無茶しなさって・・・
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/18(木) 21:04:15.32 ID:zTiDLfIio
>>552
>>549じゃないけれど首無し鶏マイクの話
【グロ注意】http://x51.org/x/03/10/2502.php

ついでにミリン・ダヨの話
【グロ注意】http://x51.org/x/07/06/1300.php

どちらも結構アレな写真(モノクロ)があるので一応【グロ注意】で
554 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/18(木) 23:06:49.00 ID:4DMHH4ss0
>>553
感謝、見てきたの
グロいけど、それ以上に深いな・・・
マイクの話は感動したわ
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/19(金) 00:38:11.97 ID:i27DwcrDO
>>553のサイトにあった「Slider」はいつか単発で書きたいなぁ
磁力操作で銃弾とか刃物とか逸らしたり、周囲の機械ぶっ壊したり
そんで「銃なんか捨ててかかってこいよベネット!」とか言わせてステゴロさせたい
能力の無駄遣いって素敵
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/19(金) 14:59:44.10 ID:4GOLI8yLo
>>550
> 一番厄介なのは【主人公補整】
一番厄介 なのは
に見えt(頭を冷やされました)

>>552
> 「ラスプーチン」の話は聞いたことあるな・・・頂こうかしら(ヤメロ
ワールドヒーローズの印象が強くてなぁ、ラスプーチンさん
パーフェクトでの超必殺技がもうね
557 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/08/19(金) 16:52:23.77 ID:T4sgp58N0
【不思議少女シルバームーン第八話 第四章「因縁」】

 階段を早足に駆け上がっていく。
 春のまだ寒い空気が頬を突き刺す。
 下では先程から爆発音や大量の生物がうごめいているような気持ち悪い音がしている。
 近い。
 あの禍々しい感じは。
 僕は知っている。
 あれは俺だ。
 俺はあれだったんだ。
 違う。
 俺が?僕が?あれになって……
 でも何故?
 心は迷っていても機械のように身体だけは動く。
 扉を開け放つ。

「ジャアアアアアアアアアアアアアアアック!」

 扉の向こうには自分より遥かに大きい椅子に座っている少年が居た。
 頭から血を流している。
 椅子の後ろには黄金製の天球儀を模した機械が日の光を浴びてカラカラと動いていた。
 恐らくあれが日食と同時に“死の河”の展開を補助するのだろう。
 
「やぁ……スバル。君が来ると思っていたよ。」
「ずいぶんボロボロじゃないか。」
「いや、済まないね。君と俺との二人きりのパーティーを邪魔する男が居てね。」
「へえ……。」
「まあ、あれだ。あと少しで治るところさ。茶を用意した。飲めよ。」
「生憎とそんな暇はない。お前をそこまで追い詰めた男ってのは気になるぜ。」
「あー、足元足元」

 足元を見る。
 どこかで見たような顔つきの男が内蔵をまき散らして……
 どこかで?
 いやこの人は……!

「おっちゃん!おっちゃんあんた何やってんだ!」

 目玉が飛び出ていたり色々砕けているために良く解らなかったがこの男は確かに彼誰飯店の主人だ。
 相当手酷くやられている所を見るとかなりの大ダメージを受けながらも戦い続けたのだろう。
 
「ん?あーやっぱお前が来たか。」
「やっぱじゃねえよ!あんた只の中華料理人じゃなかったのかよ!」
「いや、料理人って大抵元グリーンベレーだったりするだろ。」
「良いから黙ってろ!死ぬぞ!」
「ははっ、沈黙の料理人。」
「おいおいスバル!俺というものがありながらそんなおっさんにばかり構ってるなよ。
 昔の君はもっと冷酷で、美しかったぜぃ?」
「僕は変わったんだよ!」
「確かに変わったな、一人称も違うし。
 やっぱりまだ俺を恨んでいるのか?」
「恨む?」
「ほら、あれだよ。俺の代わりに軍の人体実験を受けたこと。」
「え?」
「覚えていないのか?」

 先程からまとわりつく気持ち悪い感覚。
 自分が自分じゃないような感覚。
558 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/08/19(金) 16:53:57.73 ID:T4sgp58N0
「お前は……俺、いや僕の代わりに軍の人体実験を受けて都市伝説の力を埋めこまれたじゃないか!」

 嘘だろ?
 いや、待て。
 嘘だ。
 覚えがある。
 
「お前こそ人体実験の時に暴走して始末されたと聞いたぞ!」
「違う、違うんだよスバル。」

 悲しそうな顔を見せてジャックは俺に告げる。
 死神の宣告のように。

「実験の後、暴走したのは…………君だ。」

 記憶のピースが嵌っていく。
 噛みあう。
 軋む。
 痛む。
 真実が痛みを伴って舞い降りる。

「そしてどういうわけか君は死んだと思って投棄されてなお生きていた。
 いや違うな、僕が助けたんだ。」

 嘘だろ。
 嘘だ。
 真実だ。
 俺はジャックを救えなかった。
 そしてその後クーデターに巻き込まれて……
 違う。

「僕は死神と契約して君の死の運命をねじ曲げたんだ。
 死神の力は凄まじかった、なんせ君を救うついでにクーデターにも成功しちゃったしね。」

 もう否定できない。
 こいつは俺を助けてくれた。
 でも……

「だからなんだああああああああああああああああああああ!」

 眼鏡を投げ捨てて吠える。
 埋めこまれた力の使い方は思い出した。
 ヨツバさんから貸し出された使い魔を携帯で呼び出す。
 番号を打ち込むと同時に大型のバイクが部屋の真ん中に飛び込んでくる。
 カウルに光る“emeth”の文字からしてバイクの形をしたゴーレムだろう。
 ゴーレムは体内から装甲のような物を僕に向けて射出した。
 それと同時に僕は埋め込まれた狼男の力を呼び覚ます。
 筋肉が隆起し、牙が伸び、五感は極限まで研ぎ澄まされる。
 そして装甲は僕の身体を一瞬で包み戦闘のための形態へと変化する。
 黒地に緑のラインの走ったスタイリッシュなデザインの防護服だ。
 都市伝説の力と現代科学の融合といったところか。
 近くにあったバイクのグリップを思い切り引き抜く。
 それは打撃部分が銀で出来た特殊警棒になっていた。
559 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/08/19(金) 16:54:40.92 ID:T4sgp58N0
「思い出してくれたんだね!」
「ああ思い出した!でもお前の今の行動を許す訳にはいかない!
 俺は!名も無き兵士でなく!天野昴としてお前を止める!」
「やれやれ……ぬるい生活をしている間に君も変わってしまったのか。
 今の君の大事な人を殺せば君も元に戻るかな?」
「ジャック!お前がなんでこんなことを始めたのかは俺が一番知っている!
 それでもお前はやりすぎだ!今ならまだ引き返せる!こんなことはもうやめろ!」
「もう駄目だよ、“僕”はもう引き返さない。
 引き返す気もサラサラ無い、さあスバル、この美しい風の吹く世界で、砕け散り一つになろうよ。」
「断る!俺は俺だ!」

 携帯にヨツバさんが込めていた余剰の魔翌力を弾丸にして射出する。
 ジャックの頬を焦がしながら魔弾は壁に突き刺さった。
 ジャックはというと弾丸の隙間を掻い潜り、俺の側まで寄ってくる。

「遅いよスバル!」

 掌底が顎に突き刺さる。
 が、無意味。
 装甲服によって防御力が跳ね上がっているのだ。
 彼の小さな体を思い切り蹴り飛ばす。
 
「ゴーレム!」

 バイクが一瞬で液体金属に変わり、その後人の形をとる。
 バイクだったそれはゴーレムとしての本来の姿を取り戻して吹き飛んだジャックを待ち構える。

「叩き潰せ!」

 丁度ジャックが目の前に来た瞬間、ゴーレムは拳を振り下ろした。
 ミンチになるジャック。
 だがこの程度で彼が倒れる訳もない。
 ゴーレムの頭に乗るような位置で再生すると彼はゴーレムを素手で破砕してから高速で体当たりをしかけてくる。

「やるじゃん、鈍ってないみたいだね。」

 俺が衝撃に身構えている眼の前で奴は突如として方向転換。
 俺の側面についてナイフで俺の装甲の隙間を狙う。
 小柄な分懐に一度入られると狙いを定め難い。
 俺は距離を取ってあいつと戦おうとするのだがそのたびにあいつは吸血鬼の身体能力で俺との距離を詰める。

「くそっ!嫌な戦い方するな相変わらず!」
「おいおい褒めるなよ喜んじゃうだろ?」

 ナイフと警棒が正面からぶつかり合う。
 次の瞬間、警棒がまっぷたつになった。

「折れた!?」
「切れただろうに。」

 次の瞬間、目にも留まらぬい速さで突き、薙ぎ、斬りつけの三段攻撃が俺を襲う。
 
560 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/19(金) 16:56:26.28 ID:T4sgp58N0
「ぐお!?」

 痛みすら無く、脇、肘、腿の三箇所から赤い血液が迸る。
 とてつもない切れ味だ。
 いやそれ以上に奴の腕が良いのか。

「あれれ?どうしちゃったんだいスバル!」
「うるせえ!これくらい効かねえぞ!」

 メリケンサックを握りしめてジャックを殴り抜く。
 純銀製のそれは奴の顔面を焦がして撃ちぬく。
 ジャックが怯んだと見た俺はいっきにやつとの距離を詰めようとした。

「そこで攻めるかい。」
「しまっ――――――――――!」

 細い糸が絡みついてくる。
 いつの間にやらジャックの手からは眼を凝らさねば見えない程細いワイヤーが伸びていた。
 
「悪いが終わりだ。」

 油断した。
 解っていたはずなのに、自らの力に奢って罠にかかった。
 装甲が砕けて、体中から血液が噴き出す。
 薄れていく意識の中、俺は何時の間にか死にかけていた筈のおっちゃんが姿を消していることに気がついた。


【不思議少女シルバームーン第八話 第四章「因縁」】
561 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/19(金) 16:57:02.60 ID:T4sgp58N0
誤字に今更気づいたがワタシは謝らぬい
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/19(金) 17:18:45.79 ID:mjVXYoR90
乙ー
誤字なんて編集するときに直せばいいんだ問題ない
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2011/08/19(金) 17:40:51.96 ID:vBpOghbbo

謎のおっちゃんなにものなんだろう
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/19(金) 19:43:29.69 ID:AUTPjDEDO
謎のおっちゃんマジで何者なんだろうな(迫真)
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/19(金) 19:59:18.72 ID:D2xS/41DO
おっちゃああああああああん
566 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/08/19(金) 21:27:08.97 ID:PouYig1A0
笛の人乙でした〜
本当に何者なんだよ中華料理店のおっちゃんwwwwww
567 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/19(金) 21:33:24.02 ID:drz6kYlS0
笛の人乙です〜
うッ・・・おっちゃんが大変な事に!?
そして昴くんも危ない・・・これはいよいよあの展開か!
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/19(金) 21:55:26.79 ID:4E52cLRXo
投下乙ですー

スバル君覚醒したけれど、地力はジャックの方が上なのか?
ヴァンパイアとウェアウルフ、なかなか味のある組み合わせだと思います
それにしてもジャックは随分とスバル君にご執心だな
イケナイ妄想が加速するじゃないか
569 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/19(金) 22:05:52.33 ID:T4sgp58N0
ジャックはまあガチホモだな
紅瀬ちゃんとイチャイチャしてるのは姉弟とか親子みたいな関係ってことで
契約者としての地力はジャックが遥かに上かしら
使い魔やら強化装甲で追っ着いているけどね
純粋な銃とかナイフとかの扱いに差はないはず
570 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/19(金) 22:06:30.91 ID:T4sgp58N0
【不思議少女シルバームーン第八話 第五章「復活」】


「俺たちはネバーランド。
 俺たちはを争いや苦しみから開放しにきた夢の国の住人だ。
 この国の時間で正午、午後0時に俺たちはこの町に“死の河”を展開してお前らを俺の一部として取り込む。
 お前らはそこで痛みも苦しみも憎しみも希望も絶望も無い命の一つとして生きることになる……。
 それまでの時間、たった一時間だがせいぜい有意義に過ごしてくれ。
 ああそうそう、俺たちを止めようと躍起になっている化物共に教えてやる。
 今からこの街全体に大量の吸血鬼をばら撒く、御存知の通りあの手の化物はねずみ算式に増えていく。
 たとえ俺の計画を止められたところで……お前らの大好きなこの街はお終いだ。
 せいぜい哀れな箱庭の住人の為に一時の安息を守ってやるんだな!」

 テレビに突如として映った見覚えのある化物の姿。
 何をすることも出来ずに私は一人で自分の部屋に篭っていた。

「お、お嬢様大変でございます!この街からお逃げくださいませ!」
「あらバットン……」
「何をなさっているのですか!奥様も大奥様も居らっしゃらないのでございますよ!
 今こんな事件に巻き込まれてしまえば貴方が死んでしまいます!」
「死んじゃう……か。」
「そうです!どこか安全なところに……。」
「いいよ別に。」

 正直、どうでも良かったのだ。
 死のうが生きようが一緒なのだ。
 どうせ死んだものだと思ったからこそ好きでもない修行も真面目にやっていた。
 好きでもない物やり続けるのも死ぬのもたいして違いはない。
 無論自分から死ぬ気は無いが殺されるならそれも運だし……

「どうせ私なんて……私なんて無力で、正義を押し付けることしか出来なくで、自分で何も選び取れない与えられるだけの生き物だったし。
 きっと生きてても死んでても大して差はないってば。」
「お、お嬢様!」

 珍しくバットンが声を荒らげた。

「失礼ながら今のお嬢様は身勝手が過ぎます!」

 我が儘な私に文句ひとつ言わずついてきたバットンが怒っている。
 私が身勝手だと声を荒げている。

「スバル殿も!ヨツバ様も!お嬢様や大切な人を守るために今戦っているのです!
 その努力を無にする気ですか!そのようなことは朝月家に代々仕えてきた使い魔として決して許せません!
 貴方は貴方の戦いをなさってください!
 逃げるのが格好悪いのかもしれない。
 逃げるのすら面倒だとおもっているのかもしれない。
 お嬢様の真意はバットンめには図りかねますがそれでも!
 それでもやるべきことをやることからはお逃げなさらないでください!」

 ……仕方ない。
 逃げるだけ逃げなきゃ駄目か。
571 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/19(金) 22:07:03.15 ID:T4sgp58N0
「それで良いのかな?」

 突然、部屋のドアが開く。
 顔を包帯でぐるぐる巻きにして帽子を深く被った男が立っていた。

「お、お前は!?お嬢様この男は……!」
「言わなくても解るわ、お父様……よね。」

 男は黙って頷くと私の所へと近づいてくる。
 私だって父の顔を覚えている訳ではない。
 でも解るのだ。
 この優しい、暖かな眼差しは、親鳥のような瞳は。
 
「それで、良いのか?」
「待て人間!」
「バットン、貴様の説教聞かせてもらった。
 魔女の使い魔としては中々に忠烈、褒めてつかわす。
 が……俺の娘である以上、それを素直に聞いているだけでは駄目だ。」

 父は私の寝転んでいたベッドの側まで来て私の頭を優しく撫でる。
 服の袖から古傷だらけの腕が覗く。
 包帯の隙間からは微かに血の香りがした。
 恐らく相当激しい戦闘を終えた後なのだろう。
 確かお父様は人間だ、ならばこの程度の怪我でも相当治りは遅いはず。
 なのにどうして……

「……怖いか?」

 頷く。

「全部戦ってできた傷だ。」
「戦わないでいようとは思わなかったの?」
「ああ、俺は戦いを避けようとは思わなかった。
 何度も逃げはしたけどな、今だって殺されかけた所を逃げてきた。」
「なんで?」
「欲望が有ったからだ。もっと欲しい、もっとしたい、もっと得たい、そういう欲望だ。
 自分の心から信じたものに嘘をつけなかったから戦って戦って戦った。
 その途中で何の罪も無い人を犠牲にした。それでも欲望を止められなかったし止めなかった。
 触れるもの皆焼き尽くすだけの燃え立つような欲望だけが俺を突き動かし続けていた。
 欲望のある限り立ち向かう力は無限大だ。
 何度折られて何度傷つけられようとも欲望一つで人は立ち上がっていける。」
「お父様は悪い人なの?」
「それはお前が決めろ。」

 その時だけ、父の声はひどく冷たく聞こえた。
572 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/19(金) 22:07:36.31 ID:T4sgp58N0
「分からないよ……何が正しくて何が悪いのかなんて。」
「頭で考えるな、感じるままに動けば良い。駄目なら誰かが正してくれるさ。」

 もう、優しい声に戻っている。

「…………。」
「欲望を止めるな、止めれば止めただけ心が傷つき死に近づく。
 体の傷は治るが心の傷は治らないんだ。
 心が死んだ人間は身体が死んだ人間より惨めなんだ。」

 私の心の傷。
 正義を押し付けて失敗した傷。

「じゃあずっと心が痛いの?」
「いいや、心の傷は治らないがそれを優しさとか強さに変えることはできるさ。
 俺は我が儘で臆病な自分の心を傷つけたくなかったせいで優しくも強くも無い人間でしか居られなくなった。
 その傷は宝物なんだよ、人類誰もが手に入れられて、でも俺は捨ててしまった宝物なんだ。」

 胸に手を当てて考えてみる。
 霙に拒絶された時、私は胸が痛かった。
 でも霙はどうだったんだろう。
 彼女だって理由は知らないが心を痛めてたんじゃないだろうか。
 だったらそれを癒せないだろうかと私は思った。
 癒したいと思った。
 守りたいと思った。
 そうだ、私は誰かの悲しむ顔を見たくなかったんだ。
 だから守ろうと思ったんだ。
 人々の平和な生活を守ろうと思ったんだ。
 これが私の欲しているものだ、何があっても変わらない私の原点だったんだ。

「気づいたな、お前の欲望。」
「……でも私、今は力が。」
「知っているよ。
 だから今日はこいつを渡しに来たんだ。十二年間分の誕生日プレゼント。」

 金属製のステッキを渡される。
 細くて靭やかだがそれ以上に重い。

「なにこれ……?」
「打神鞭、都市伝説を狩る為の武器だ。レプリカだけどな。
 ちょっと貸せ。」

 父はそれを私の手からとるとまるで小枝のように振り回す。
 すると部屋の中に突如として風が起こり開きかけになっていた魔導書がすべて閉じてしまった。
573 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/19(金) 22:08:35.40 ID:T4sgp58N0
「やっぱあれの文字って普通の人間が見ると頭がガンガンするぜ。」
「風を操ってるの?」
「お前の得意科目だろう。そもそもお前は魔女だ。
 でもそれと同時に人間でもあるんだ。
 お前は魔女として自分から力を引き出し続けてきたけど人間として契約を使っても良いと俺は思うぜ。」
「に、人間貴様!誇り高き魔女を何だと思っている!」
「まあまあ固いこと言うなよ。」

 そう言って父は私の手の上に再び打神鞭を置いた。
 私は打神鞭を握り締める。

「契約ってどうするの?」
「お、お嬢様!?」
「私の今やるべきことはこれよ。」
「ああ、帰ったらヨツバ様になんと言われるか……」
「おいバットンあんまりうるせえと煮こむぞ。」

 父は懐から巻物を取り出して開く。

「ここに名前を書け。」

 私は羽ペンを使って自分の名前を書く。
 すると先ほどまで重かった筈の打神鞭がまるで爪楊枝みたいに軽くなった。

「馴染んでいるみたいだな。」
「うん、使い方もなんとなく解る。
 契約ってこんな簡単に力が手に入るのね。」
「ああ、しかし契約だけでは戦うための精神(センス)が手に入らない。
 でもお前は正義の味方として戦ってきたからその心配はしなくていい。
 お前の精神(センス)と新しい力があればきっと負けないさ。」
「うん!」
「良い子だ。お前は本当に、兄妹の中でも一番真面目で良い子だよ。」
「えへへ……。」
「今、奴らのアジトではスバルが奴らのボスと一人で戦っている。
 ヨツバさんは足止めを食らって身動きがとれない。
 そして街では沢山の人が吸血鬼に襲われている。」
「私、スバルを助けてくる!私が居ない間頑張ってくれたもん!」
「そうだな、それが良い。
 街ではお前を助けた刑事さんが頑張っているし、
 ヨツバさんはまあ……放っておいても大丈夫だし。」
「そうだね。」
「お嬢様までなんということを!」
「事実だろうよ、日食が近い今ならあの人の力も高まっている筈だぞ。」
「確かにそうだが……。」
「じゃあお父様!私行きます!」
「おう、行って来い!」
「その前にお願いして良いかな?」
「なんだ?」
「抱っこして。」

 父が恥ずかしそうな顔をしている。
 包帯の上からでも解る辺り表情が豊かな人なんだろうなあ。
 彼は私をベッドから抱きかかえて床へと下ろす。
574 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/19(金) 22:09:01.64 ID:T4sgp58N0
「大きくなったってのになあ、おい……。」
「うふふ、昔と一緒だ。」
「覚えているのか?」
「うん。さて……これから着替えるからちょっと二人とも部屋から出て。」

 父とバットンを追い出して魔法少女用の衣装に着替える。

「それじゃあ行ってきます!」
「え、ちょ……もうちょっと名残り惜しんだりとか……」
「言い忘れてたけどお父様、きっとお父様だって遅くはないと思います。
 まだきっと、宝物を手に入れられますよ。」

 窓を開けて後ろも見ずに箒にまたがって飛び立った。
 後ろからバットンの声が聞こえた気がしたがもう気にしない。
 抜けるような青い空は私のために追い風を準備してくれていた。
 右手には冷たく白く輝くステッキ。

「お待ちくださいお嬢様ああああああ!」

 後から追いかけてくるバットン。
 ああもう笑えるくらいに愉快なくらいに正しく魔法少女だ。
 私は町の真上をまっすぐに飛び続ける。
 下から人の声が聞こえる。
 
「あっ!鳥だ!」
「いやUFOじゃない!?」
「違うぞあれは魔法少女だ!」

 あ、昼間に飛んだら人に見られるのを忘れていた。

「あの服って最近まで噂になってた魔法少女じゃない!?」
「そういえば俺、あの子に助けてもらったこと有るぞ!」

 あれ?記憶消失の魔法……

「お嬢様、帰ったら一から魔法の修行やり直しでございますね。」

 ごめんなさい失敗してたみたいです。

「頑張れ魔法少女!」
「ガンバレ!」
「頑張れ!」
「応援してるぞー!」

 サムズアップしてみせながら私は空高くへと舞い上がった。
 しばらく飛んでいると遠くに映る人影。
575 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/08/19(金) 22:09:37.27 ID:T4sgp58N0
「待っていたぜ魔法少女!」

 突然、人影は私との距離を詰める。
 人影の正体は翼の生えた男だった。

「俺の名前は鳥人(ライディーン)。ネバーランドの一員さ。
 あの水族館の事件を起こした奴の仲間と言えば分かりやすいか。」
「あ、あの時の事件の奴らね!」
「空から俺たちのアジトを狙っているみたいだがそれを止めるのが俺の仕事なんでね。
 悪いがここであんたは……」

 炎が燃え上がるような音。
 空を切り裂く二つの風。

「え?」
「「ライダアアアアアアアアアアダブルキイイイイイック!」」

 ライディーンとやらが喋るのを中断して赤と白の影が目の前に躍り出て、
 ダブルラリアット風にライディーンに蹴りを浴びせかける。

「灸おおおおおおおお!後任せたあああああああああああ!落ちる落ちる落ちる!」

 白い方の影はライディーンに蹴りを入れるとそのまま地面に落下していった。
 私はどちらにも見覚えがあった。

「今のは刑事さんと……」
「元気そうだなお嬢さん。やはり君は笑顔のほうが美しいよ。」

 真っ赤な炎に身を包み、孔雀のような七色の羽を背中から生やしている伊達男。
 水族館で私たちを助けてくれた人だ。

「灸さん!」
「名前を覚えていてくれたか、嬉しいねえ。」

 そう、彼の名前は久慈灸、正義の味方だ。

「慈円兄貴!」
「吾城!お前なんでこんなことしてやがる!」
「兄貴が家出ていったからだよ!あんたが憎くて!あんたを探すためにここまで来たんだ!」
「ほう……じゃあ丁度いい。お前の相手はこの俺だ!」
「勿論だ!」

 二人は私には分からない言葉、恐らく中国語、でまくし立てあった後、何らかの武術の構えを取る。
 どうやら私は邪魔者なようだ。

「お嬢さん!さっさと行きな!下は真が頑張っている!
 空は俺が守る!あんたは本丸を叩きにいけ!」
「はい!」

 私は再び学校町の中心、巨大な塔がそびえる場所まで箒のスピードを上げ始めた。
【不思議少女シルバームーン第八話 第五章「復活」】
576 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/08/19(金) 22:21:36.68 ID:T4sgp58N0
おっちゃんネタがガチなのかネタなのか判じかねている笛の人であった……
577 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/19(金) 22:56:23.02 ID:drz6kYlS0
またまた乙です〜
朔夜ちゃん復活キタアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
最終決戦が楽しみだぜ!
しかしうえdゲフンゲフン、おっちゃん頑張り過ぎだろwwwwwww
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/20(土) 21:08:42.08 ID:BIWOQc2SO
そして誰もいなくなった
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/20(土) 21:18:18.34 ID:ypfi5O80o
>>578
避難所でエロ絵プチ祭りだったからな
エロス漂う文章は自重してればギリギリ良しとしてモロなエロ絵はアウトだろう板的に
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage mottomotto!]:2011/08/20(土) 21:25:00.41 ID:SwTgw7kI0
まったくもってけしからんな
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/20(土) 21:37:11.08 ID:BIWOQc2SO
絵の次は文章でえっちぃのを誰か
582 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/20(土) 21:56:39.37 ID:Ijm6LQve0
文章エロは技量的な意味で書けないからなぁ・・・
583 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/21(日) 02:27:00.93 ID:VSJpDnez0
今更気付いたわ

>>580
メ欄に本音出とるがなwwwwwwww(遅ッ
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/21(日) 13:15:53.36 ID:27VuCYwV0
諸君、今日は「バニーの日」だそうだ
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 17:12:01.49 ID:CsLFOd4DO
つまり皆でバニーが似合うキャラをメインにして書けと
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/21(日) 21:06:44.92 ID:/VeVIo620
いっそ、女も男も全員バニーに
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/21(日) 21:11:45.25 ID:TOo/2OZ4o
そして町に溢れかえる兄貴バニー

なんだいつもの事か
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 21:16:10.20 ID:TzKUOHXSO
ユティのバニー姿
違和感が凄まじいな
589 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/21(日) 21:16:43.29 ID:VSJpDnez0
裂邪のバニー・・・いらないな
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 21:30:59.27 ID:hyQaTQ36o
>>588
ネコミミバニーとはまたハイレベルな……

と思ってググったらなにこれ滾る
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 21:48:09.46 ID:TzKUOHXSO
イクトミのバニー……
592 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/08/21(日) 22:18:16.34 ID:850EO0lK0
そういえばバニーって英語でウサギの幼児語の意味じゃん?
持ってる和英辞典開いてみたら、「うさちゃん」ってあった
…なにこれ秀逸
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 11:58:32.29 ID:mj3pWG4DO
以前古本屋で都市伝説関連の本を探したけれど、どれもこれもこのスレでは既出のものばかりで資料としてあまり役に立たなかったという
いずれは世間様に知られる都市伝説すべて網羅したりするのだろうか
胸が熱くなるな
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2011/08/22(月) 12:25:51.91 ID:MfxQ3Qnv0
書籍は有名な奴しか書いてないからなぁ
ネットのマイナーな奴とかが出るのが楽しみ
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 14:51:18.21 ID:EYg+JxNgo
もうけっこう細かいところまで都市伝説は出てきてる気がするぜ
そろそろ一周回って超メジャーどころが大挙してくるかもしれん
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 18:11:40.09 ID:mj3pWG4DO
そういえば一時期「口裂け女」推しの流れがあったなぁ
単発やら同族殺しやらでちょっとばかし口裂け女に日の目があたってた記憶が……あたってたよね?
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 19:20:26.41 ID:ugjzgOpDO
次は花子さん推しか…
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/22(月) 19:31:22.21 ID:cs1pQIAY0
人面犬や赤マントはもっとスポットがあたってもいい
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 20:18:27.14 ID:jOXoEFFSO
花子さんはエロ要員
赤マントは敵役として使ってるけど
人面犬は使いづらい
600 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/22(月) 20:24:08.59 ID:EjYuNLEu0
人面犬はなるべく使いたくない
何故って? 犬が嫌いだからさ!(
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/22(月) 20:32:43.11 ID:v/Pv7rEAO
なるほど、汁男○役か
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 20:52:43.09 ID:tjI11HZo0
マイナー都市伝説と聞いて真っ先に新宿猿が思い浮かんだ。
新宿限定都市伝説かと思いきや山梨で見つかったとか言われてるし誰か書いてくれないかな
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 22:17:49.17 ID:jOXoEFFSO
未確認生物とかオーパーツとかはマイナーなモノがまだまだ大量に
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/22(月) 22:37:27.90 ID:0wi2HCdAO
リーゼントに木刀の熱い漢不良ってさもう都市伝説だよねあと頑固オヤジ…(ぇ、ちがくね
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/23(火) 16:05:10.73 ID:iJGhoxrDO
都市伝説:「なめ猫の撮影方法」
概説:なめ猫の免許証では猫が直立しているが、あれは*から針金を差し込んで姿勢を固定しているという
能力:*から針金を差し込んだ相手の体を固定する

という遥か昔に「どうやって使うんだよこれ」とボツった設定を思い出した
今思うと非戦闘要員としてなら使えなくもないな
606 :単発(再放送) [sage saga]:2011/08/23(火) 17:00:24.07 ID:DdEQLZh+0
「やっ・・・いや・・・助けて・・・!!」

逃げる、逃げる、少女は逃げる
西に沈みかけた陽を背にして、己に害をなすであろう“何か”から

「おいおい逃げてくれんなよぉ、こっちはただ注射してやりたいだけだぜぇ?」

へらへらと笑いながら彼女を余裕そうに歩いて追うのは、
注射器を片手にこの真夏に白衣を纏った、全身包帯だらけの男だった
「注射男」
主に幼い子供を狙って名の通り毒薬を注射する現代妖怪―――“都市伝説”である
白衣の死神に見初められた憐れな少女は、危険から逃れる為に、必死に走った
だが所詮は子供、体力はもう限界だった

「――――――――っきゃ!?」

がくんっ、と足が縺れ、前のめりに転んでしまった
立ち上がろうにも、足が棒になって思うように動かない
何とか腕で這って進み始めようとしたが時既に遅し
注射針の先端から毒液を漏らす「注射男」が、背後から彼女を見下ろしていた

「やっと諦めてくれたかぁ? んじゃ遠慮なく打たせて貰うぜぇ」
「いや、やめっ・・・だ、れか・・・」

助けを呼ぼうとするが、喉が掠れて声が出ない
伸ばされた「注射男」の手によって腕を掴まれた瞬間に、少女の目から涙が零れ落ちた




ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!




突如響いた騒音
余りの音の大きさ、そして騒がしさに、少女も「注射男」も耳を塞いだ

「・・・っつぅ・・・な、何だ?」

耳を抑えながら、「注射男」はきょろきょろと辺りを見回す
彼が音源を発見したのは、背後を見た時だった

「どう? 良い音でしょ、これ」

それは中学生ほどの少女だった
青みがかった長髪を腰まで伸ばし、頭にオレンジのリボンを結んだ活発そうな少女
音源だと思われるのは、彼女が手に持っていたエレキギターと腰につけた小型アンプだ
ヘッドとボディが角ばった幾何学的な形をしており、赤い炎のような模様がデザインされたこのエレキギター、
B.C.RichのKerryKingモデル『Wartribe』という代物である
詳しい内容は筆者がにわかな為に書けないので検索エンジンを利用して各自で調べて欲しい
607 :単発(再放送) [sage saga]:2011/08/23(火) 17:00:55.57 ID:DdEQLZh+0
「ちっ、ガキか・・・お前も打たれたいのかぁ?」
「『も』って、その子は打たれたい訳じゃないでしょ?
 勿論私だって嫌よ、私はその子を助けに来たの、あんたをぶっ飛ばしてね!」
「はぁ? おいおい、俺の事を舐めてんのかぁ?」

くるりと身体全体をギターの少女に向け、注射器を軽く放り投げると、
注射器は巨大化して、アニメで見るような極太の針の注射器になった

「痛い目見ても知らねぇぞ小娘ぇ!!」

巨大注射器を両手で構え、「注射男」は少女に迫る

「小娘じゃない・・・私は、信時 愛恋(ノブトキ エレン)よ!!」

愛恋と名乗った少女は、アンプと繋いでいたケーブルを外し、
ギターのヘッド寄りのネックを掴み、その場で一回転したかと思えば、
注射針を避けると同時に、遠心力を利用して彼の腹部にWartribeのボディを叩きつけた

「っかはぁ!?」

角ばったエレキギターの重い一撃をもろに受け、呻き声をあげる「注射男」
だが、それだけではなかった

「――――――――――――ッ!?」

第2の衝撃
一瞬にして身体全体に広がった、痺れるような感覚
まるで、雷に撃たれたかの如きその痛みは、紛れもなくギターからのものだった

「・・お、まえ・・・なに、しやがった?」

身体が麻痺しつつもようやく言葉を紡ぐと、愛恋はにっ、と笑ってその問いに答えた

「簡単な事よ。私がただの人間じゃないって事」
「なっ・・・契約者、か!?」
「そ。私が契約したのは「エレキギターで感電死」
 私が持ったエレキギターは電気を纏い、触れた相手を痺れさせる!」

愛恋は痺れて動けない「注射男」を蹴飛ばし、エレキギターから離す
反撃しようと注射器を構えるが、やはり身体が言う事を聞かない

「く、そ、うごけ、うごけ―――――――」

彼が最後に見た物は、激しく放電するエレキギターだった
頭上からギターを振り落とされ、彼の頭部はアスファルトに雷鳴と共に叩きつけられた
すぐさま愛恋はギターを構え、ジャアアアン!!と弦を弾いた

「心のビートはもう、止められないわ」

彼女が呟いた直後、「注射男」は光となって消えた
ふぅ、と溜息を吐くと、愛恋は視線を横に遣った
「注射男」に追われていた少女が、疲れたのだろうか、ぐっすりと眠っていた

「こんなところで・・・うーん、放っておく訳にもいかないし・・・
 癪だけど、姉貴に頼んでカメラの人に来てもらおっかなー」

ぶつぶつと独り言を零し、彼女は携帯電話を開いた

   ...END
608 :ソニータイマー [sage saga]:2011/08/23(火) 19:32:49.04 ID:wcJ9rW4F0

                   「任天堂時と注射男」
やぁ、皆さんお久しぶり。ロリコン兼ショタコンで有名な、最近まったく出番がなかった主人公(笑)、任天堂時だよ
堂寺「自分で言うと虚しくなるな…」
まぁ、いいか。そんなこんなで、主人公である僕はようやく出番をもらえたわけだ。ここは精一杯主人公らしいことをしよう
堂寺「…で、主人公らしいことってなんだ? …土管をくぐったり走り回ったりキノコを食べたりしながら敵を踏み潰して旗を取りにいく?
 くさタイプ、ほのおタイプ、みずタイプの内から一匹選んでポケモン図鑑を完成するための旅に出る?」
『全部ゲームノ話ジャネーカ』
堂寺「『ソニータイマー』…お前、一話以来喋ってないよな」
『タイミングガナカッタンダヨ』
堂寺「そーなのかー」
『ソーナノダ』
コイツが喋る都市伝説だと覚えていた人はどのくらいいるのだろうか
堂寺「さて、と。じゃ、主人公らしいことでも…」
『やぁ少年』
男が話しかけてくる。何なんだいったい。せっかく人が主人公らしいことをしようと思ってるのに。…まぁいいか、とりあえず
堂寺「なんでしょう?」
返事しておこう
『今…何時だい?』
堂寺「14時32分18秒です」
即答。時計も見ずに正確な時間を言う。…これには流石の『注射男』も驚いているようだ
…何故答えられたか、それは僕の記憶力に秘密がある。僕は一度聞いたり、見たり、嗅いだり、感じたり、味わったりしたものを決して忘れないのだ
そして、人間と言う物は無意識に不要な情報をシャットアウトして生きている。例えば、貴方は高いところにある『ビッ○カメラ』の看板を探しているとする。
高いところには他の看板もあるし、電信柱だって、雲だってある。しかし、貴方はその全てを認識しているだろうか? していないだろう。それが、情報のシャットアウトである
しかし、僕はそれをしない…否、できない。僕は目に入った情報を全て認識、理解し、記憶してしまうし、音にも同じ事が言える。しかもそんな膨大な情報を処理できるだけの演算能力があるのだ。…めちゃくちゃ疲れるけど
便利だと思うかもしれないが、そんなことはない。僕のこれは忘れないのではなく忘れられないのだから。幼少期のトラウマも、怖かった出来事も、昨日のことのように思い出してしまう
しかも目にする情報耳にする情報全てを脳が勝手に認識・処理・記憶してしまうのだから、歩くだけでとても疲れる。まぁ、でも後悔はしていない
…さて、時間が分かった理由についてだが、僕はこの持ち前の記憶力で、一秒がどのくらいの長さか、きっちりしっかり覚えているのだ。そして、さっき時計で見た時刻も覚えている。そこから少し計算すれば、今が何時かくらい直ぐに分かる
『そそそそそうか…。なら、注射をしてもいいかな?』
良い訳ないだろ。…というかどもってるな、『注射男』。と、そんなことを考えてるうちに『注射男』が注射器を持って襲ってきた
堂寺「『ソニータイマー』、セット。14時33分10秒、起動!」
14時33分10秒丁度、ソニータイマーをセットした注射器が壊れる。うん、今日も絶好調だ
『てめぇ…何をした…!?』
見ての通り、壊しただけだけど? …解説は3話目でもうやっちゃってるからな…
堂寺「見ての通り。これが僕の能力です」
でも、これくらいは答えておこう。そうするべきだ。…というか、僕も『注射男』に怯えなくなるなんて成長したものだなぁ…
『ならば…これだ! 食らえ!!!』
今度は大量に注射器を投げてくる『注射男』。…一応全部認識できるが、一つずつしか『ソニータイマー』をセットできないのがネックだな…ならば
堂寺「トラップ発動、和睦の使者! このターン僕のモンスターは破壊されず、戦闘ダメージも受けない!」
『ゲーム脳』の方を使おう。ちなみに今のはカード“ゲーム”の遊戯王を現実にした結果である。持っててよかったOCGデッキ
注射男の攻撃はシスター達によって完全に防がれる
609 :ソニータイマー [sage saga]:2011/08/23(火) 19:33:23.51 ID:wcJ9rW4F0
『なん…だと…』
なんでブリ○チ風なんだよ
『く…ならば! 肉体強化薬投与(パワーアップ・ドーピング)!』
自分の腕に注射器を刺す『注射男』。すると、『注射男』は筋肉質になった。細マッチョだが
『食らえええええええ!!!!』
堂寺「くぁ……ッ」
速い。気づいたら殴られていた。しかも鳩尾。きゅうしょにあたった!である。しかも僕は接近戦が苦手だ。こうかはばつぐんだ! でもある
僕の能力は基本遠距離用。接近戦は不得手なのだ。…さて、どうしよう。距離をとり、注射男の身体を見る。…仕組みは普通の人間と同じのようだ。ならば、打つ手はある
『かははははははは! 遅ぇ、遅ぇよ!』
今度は連続パンチ
堂寺「うわぁあッ―――――!!!!!!!」
全段命中。ヤバイ。ボグドカラダバボドボドダ!! …HP赤。だが、これで、『覚えた』
『食らいなぁ! もう一発!』
攻撃する前の動き。予備動作。息遣い。それら全てを記憶、処理し、そこから攻撃の方向を割り出し…かわす。アクションゲームの基本だ
『…かわされた? だが…』
まぐれだと言わんばかりに再び拳を振るうが、問題なく僕は避ける。僕は、『一度見た動き』であれば見切ることができるのだ。…初めての技を、例え銃弾でも避けられる不幸君には敵わないが
『何…? マグレじゃない?』
身構える『注射男』。ああ、やってしまったね。僕が格闘家だったら、その選択は正しかった。相手の動きに備え、構える。格闘家を相手にする分には正しい。だが…
堂寺「げほ…ソニータイマー、セット。14時44分42秒…起動」
生憎僕は、格闘家じゃなく、ゲーマーだ
『ぐぁああああああああああ!!!!』
腕を押さえる『注射男』。別に突然邪気眼に目覚めたわけじゃない。僕が、腕の筋肉を破壊したのだ…
『く…お前…何…を…』
それさっきも聞いた。…さて、どうするか。僕の『ソニータイマー』じゃ都市伝説にダメージを与えることはできても退治することはできない
堂寺「エルファイアー」
僕は3DSを取り出し、そう唱える。中身は『ファイアーエムブ○ム 新・紋章の謎』。『ゲーム脳』により魔道書を現実にして…炎を、放つ
『ぐぁあああああああああああああああああああああ!!!!!』
なす術なく、『注射男』は燃え尽きた。よし、『注射男』を倒したぞ! テッテレー僕は234の経験地を得た!
堂寺「…さて、主人公らしいことはできたかな…くッ」
傷が響いてきた。これじゃあ歩けそうにない。でも…
堂寺「…ヒーリングチョップ」
こんなのは、『叩けば直る』。僕は患部を軽くチョップした。じわじわに打撲が治っていく
堂寺「よし。もう動けるな」
敵も倒したことだし、十分主人公しただろう。さて、帰って可愛い小奈美の顔を見に行こう…




                         続く…



光輝「最後の最後で…。自重しろよロリコン!」
小奈美「どうしたのお兄ちゃん?」
光輝「いや、何故か言わなきゃいけない気がしてさ」
小奈美「ふーん…」
何故気づかれたんだ? まぁ、とにかく今度こそ…





                        続く…
610 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/23(火) 20:44:33.73 ID:DdEQLZh+0
ソニータイマーの人乙です〜
久々に主人公らしい堂寺くんwwwwかっこいいぜ!
小奈美ちゃんハァハァ(
611 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/08/23(火) 21:47:43.05 ID:wcJ9rW4F0
>>610
>小奈美ちゃんハァハァ
堂寺「ちょっと! 僕の可愛い小奈美に手出さないでよ!」
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/23(火) 21:49:41.11 ID:R8nHD8dX0
ソニータイマーの火遠つでした
ゲーム脳の影響で暴走する堂寺くんをこなみちゃんが体張って止める展開はよ
613 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/23(火) 21:55:07.21 ID:DdEQLZh+0
>>611
>堂寺「ちょっと! 僕の可愛い小奈美に手出さないでよ!」
じゃあ2人で一緒n(『混沌帝龍』効果発動!

>>612
>ゲーム脳の影響で暴走する堂寺くんをこなみちゃんが体張って止める展開はよ
何それ滾る
614 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/08/23(火) 22:21:01.76 ID:wcJ9rW4F0
>>612
おk。ネタが思い付き次第書こう
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/24(水) 08:35:42.65 ID:npWCZhUDO
ふと思い立って自分の作者名でググったら、あまり思い出したくないネタがずらずらとヒットして朝からギギギ……
なんでそこをピンポイントで晒すしGoogle先生ェ……
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2011/08/24(水) 10:20:26.30 ID:q3FRmwop0
さあ、作者名を晒すんだ!(鬼か
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/24(水) 22:02:28.87 ID:OyoLDNoI0
長屋ってなんぞwwwwwwwwwwww
618 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/24(水) 22:05:47.74 ID:lHchjrnN0
>>617
一応>>616は俺だけど、機種とか携帯会社とかで出てくるらしいよ
↓みたいな感じ

樺太=au携帯
コネチカット州=docomo携帯
ネブラスカ州=ソフトバンク携帯
アイダホ州=p2
チリ=未対応のISP
アラバマ州=判別できないISP(wakwakなど)
空=携帯端末
糸=ダイヤルアップ
長屋=マンション(地域不明のISP)
おでん=ODN(ODNでも特定できない場合のみ)
dion軍=DION(DIONでも特定できない場合のみ)
catv?=FOXの目に届いていないISP。地方までしか判別できないISPやcatv(eonetは関西地方とか)もある。
(チベット自治区)     ==判別できないISP(wakwakなど)
(広西チワン族自治区) =ソフトバンク携帯
(内モンゴル自治区)  =docomo携帯
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(豪邸) [sage]:2011/08/24(水) 22:06:27.57 ID:e9CwV7iVo
ためしたくなるよな
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/24(水) 22:07:22.33 ID:e9CwV7iVo
ああ、フォントが違うのか……
621 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/24(水) 22:09:51.16 ID:lHchjrnN0
>>620
そうそう太字になるのよ
俺も(和歌山県)ってやりたかったけどそれに気づいてあげるのやめたw
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/24(水) 23:02:24.84 ID:npWCZhUDO
docomo携帯だけれどなにも出なくて寂しい
()あると擬似的にコテハンみたいになるよね

あと作者名は勘弁してください
623 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/24(水) 23:26:48.95 ID:lHchjrnN0
>>622
ずっと考えてたんだけど、何も出ないってのが良くわからないなぁ
判別されないなら他の表示がある筈なのに・・・謎だらけだなこの掲示板は
そして無理に晒さなくても大丈夫ですごめんなさいorz
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/25(木) 10:12:54.27 ID:4xfz3HtDO
名前欄は入れず、目欄にsagaで地名表示
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2011/08/25(木) 12:19:31.88 ID:4JGKl7db0
>>624
そういうことだったのかサンクス
sageだけだと出ないのね
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/25(木) 19:53:06.44 ID:YjJzr6CDO
てす
627 :わかること、わからないこと ◆W5H6Y5Rl3M [saga]:2011/08/25(木) 20:27:38.31 ID:jK5Nh6GLo
 思い出すのは、少女の笑顔
 考えるのは、価値観の違い
 人間の価値観
 人間の倫理観
 彼女にそれを取り戻させる事はできなかった
 ずっと考えていたのは、そのための挑戦すらさせてくれなかった男への怒りばかり
 だが、脅威としての存在であった少女そのものが排除され、事を急いで片付けなければいけない状況でもなくなり
 ゆっくりと冷めてくる思考と感情は、彼の選択の意味に気付くようにと覚めていく
 詩卯はベッドの上でごろりと転がり、クッションを手繰り寄せてぼふりと顔を埋める

「私は、ただあの子を普通の生活に引き戻せればって思ってたけど……そうじゃなかったんだよね」

 一人暮らしの独り言、誰かに聞かれる事はない
 それでもなんとなく、誰かに語るように虚空に向かって呟き続ける

「あの子が人間の価値観を、倫理観を取り戻したら……罪も理解する事になっちゃうんだよね」

 それが例え、化物の本能に操られていた事だとしても
 それが例え、生きるために必要な事だとしても
 食べた生物を、人間を、取り込んで同化した少女がその罪を理解したら
 この町に住む人外とそれに携わる多くの者は、生きて償えば良いと語るだろう

 だが
 唯一、あの少女の思考感情を読み取った梨々が、サロリアスに伝えていた
 あの少女が、生きるために食べる事、食べるために殺す事にすら疑問を抱くような性格であった事を
 そんな彼女が人間の価値観を、倫理観を取り戻し
 人間としての記憶と感情を取り戻してしまったら
 未成熟の少女の思考と感情は、易々と押し潰され壊れてしまうだろう

 人間として苦しんで死なせる事
 化物のまま何も判らず死なせる事

 そのどちらが優しい事なのかは
 わからない

―――

「どうも、また会いましたね」
「……おう」

 都市伝説に関ると、別の都市伝説とも出会いやすくなる
 そんな話だったとはいえ、こうも縁があると妙な気分になるもので
 すこぶる不機嫌そうな顔をしたサロリアス
 肩車をした燻、左右の腕には太三郎と本丸が絡みつき、背中には黒羽が張り付いている
 その背後に、三歩下がって雪華が笑顔を浮かべて立っており、その影で何やら恨めしそうにもじもじしている梨々の姿があった

「相変わらずモテモテですね」
「五月蝿ぇ」

 心の底から苦々しい声で、吐き捨てるように即答するサロリアス

「まだ何か言い足りねぇなら後日にしろ。こいつらの花見だの神社参りだのに付き合わされてんだ」
「いえ、別に……たまたま会っただけですよ」

 詩卯は苦笑混じりにそう答え、集まった女性陣に会釈する

「言い足りないというか、納得はできてませんけどね。今度お暇な時に、知ってる事は洗いざらい話して下さいね」
「んな暇があるか。俺ぁ民間人だ、事件の詳細は斬九郎の奴に聞け」
「これ、勘なんですけどね……斬九郎さんにも言わないで色々勝手にまとめてる事、いっぱいあるでしょ」
「面倒臭ぇ事は全部斬九郎に投げてある。あっちの仕事にゃ関りたくねぇんだよ」
「嘘」

 詩卯はそう言って、にひひと笑う

「あなたは色々知ってる。他の誰かに苦労を掛けないために、ね」

 今度はぺこりと頭を下げて

「嫌でもそのうち、じっくり話を聞かせてもらいますからね。私、嘘には敏感なんで覚悟しといて下さい」

 そのまま一行と擦れ違い、歩み去っていく詩卯

「厄介なのに絡まれたのう、サの字? 儂ならあの娘とて化かしてみせるが?」
「後々面倒臭ぇだろ、そうすると……適当に時間を作るしかねぇ」

 太三郎に耳元で囁かれるが、鬱陶しげに首を捻ってその声を振り払う

「サの字は本当に面倒見が良いのぅ。これ以上ライバルが増えるのは御免じゃぞ?」
「そういう太三郎も面倒見が良いですよね。こうして身内でぴったり固めていれば、余所者は増えないのですから」
628 :わかること、わからないこと ◆W5H6Y5Rl3M [sage saga]:2011/08/25(木) 20:28:15.70 ID:jK5Nh6GLo
 扇子で口元を隠しながら、本丸がふふと笑う

「本当に、そろそろ所帯でも持っては如何ですか? 本妻がすぱりと決まってしまえば、このような争奪戦は起こりませんが」

 意味ありげな視線をちらりと梨々に向ける本丸だが、当人はそもそも思考が読める
 何も言うなと表情だけで伝えようとして、若干顔芸の域にまで踏み込みかけているのはご愛嬌

「クソやかましい。とっとと遊びを済ませて帰れ。こっちはここいらのゴタゴタで溜まってる仕事がある」
「……りっちゃんも苦労すんねー、ホント」

 サロリアスの頭の上で、燻が呟くが

「まったくだ。あいつも事務や外回りの仕事がある、苦労かけてると思うならちったぁ大人しくしてろ」

 全く察する様子の無い台詞に、方々視線を逸らして内心で溜息を吐くのであった

―――

『組織』の奥底深く、蜘蛛の封印に阻まれた小夜の部屋

「お前は行かなくていいのか」
「今更、仲良しごっこには興味がないもの」

 お手玉や鞠といった古いものから、PSPや3DSといった新しいものまで
 暇潰しには事欠かない玩具の数々が転がる部屋の真ん中で、卓袱台を挟んで向かい合う小夜と斬九郎

「外との接触は、完全に断っているのか?」
「テレビやパソコンは普通にあるわよ? お約束は、勝手に出歩かない程度かしら」

 ずず、とお茶を啜り柔らかそうな大福に手を伸ばす小夜

「そもそも……強硬派や過激派のせいとはいえ、一度私に依存した『組織』なんて潰そうと思えば簡単に潰せるもの」

『座敷童子』は住まう家に幸福をもたらす
 だが『座敷童子』が出ていった家はすぐに没落するという
 受けていた恩恵が無くなるだけなら、そのような事にはならないだろう
 彼女が持つ能力は、運気を与える事ではなく、運気を貸し与える事
 そして貸したものは当然回収できるし、利子もつけて奪う事とて可能である

「私が今まで『組織』に与えてきた運気はどれぐらいかしら? 過激派や強硬派、紛れ込む暗部の連中が、ここ数年でどれだけ不確実な行動を起こし運悪く倒されてきたか」

 くすくすと笑う小夜の姿は、言葉さえ無ければ無邪気な子供のよう

「ま……私は今の『組織』は気に入っているから、運気の回収なんてするつもりはないけれど」
「ありがたい事だ」

 甘い大福には手を出さず、ただお茶に口を付ける斬九郎

「サロリアスへの恩義からか何かか?」
「そちらはもう果たしたつもりだけれど」

 サロリアスの性分を考えれば、当時まだ大きな勢力であった強硬派や過激派との衝突は避けられなかっただろう
 だからこそ小夜は、自らそちらの派閥に身を投げ出し、彼が派閥争いに巻き込まれないよう仲間を連れて『組織』を離れるよう仕向けたのだ

「お陰で俺は苦労した」
「私の運気に逆らおうとするからよ」

 本来なら、斬九郎もまたサロリアスと共に『組織』を離れるはずだった
 そう仕向けたはずだった
 だが彼は『組織』へと残る

「一緒に『組織』を抜けてしまえば、そんな苦労はしなかったのに……とことん貧乏籤を引くのね」
「『座敷童子』を取り返そうとしてたのだ、貧乏籤の一つや二つは覚悟のうちだ」
「本当は、取り返すまでもなかったのにね」
「まったくだ」

 斬九郎は湯飲みを置き、ゆっくりと立ち上がり
 卓袱台の脇を抜けて、小夜の傍らに膝をつく

「また来る」

 そう言って小夜の頭を、そっと優しく撫でる

「そうね、またお茶を用意しておくわ」

 頭を撫でられ、表情を隠すように僅かに下を向く
 どこか嬉しそうな、はにかむようなその表情は隠したままで
629 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/08/25(木) 20:31:01.27 ID:jK5Nh6GLo
前回のお話は>>524-527でございます
ちょっとだけ後日談という事で書き足しました
ブロブ編というかZナンバー編になっちゃった感じのお話は、これにて一旦閉幕という事で

さて次は何を書こうかなぁ
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/25(木) 20:44:06.33 ID:I0Zml/Cr0
三面鏡の人乙っしたー
まぁ……うん、人間としてのそれを取り戻したら、一瞬で飲まれるわなぁ…
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/25(木) 21:23:32.46 ID:kZB1ODKV0
ドクターの人乙でした
いやあ斬九郎さんがいい味出しているなあ
サロリアスさん一人で全員相手できるんじゃねえのかって気がするんだけどそうしないんだなあ
斬九郎さんメインの話も見たいっす
632 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/08/25(木) 21:29:51.29 ID:jK5Nh6GLo
>>629
> まぁ……うん、人間としてのそれを取り戻したら、一瞬で飲まれるわなぁ…
それなりに人生経験を積んだ大人なら、それなりに納得できる理屈を受け入れる事もできるんでしょうけどねぇ

> サロリアスさん一人で全員相手できるんじゃねえのかって気がするんだけどそうしないんだなあ
単純に、人付き合いを面倒臭がってます
梨々は察しが良い上に考えてる事も読めるので付き合いが楽という事で一緒に居ます

> 斬九郎さんメインの話も見たいっす
なんだかんだで部署トップだし、これからはあんまり出張って動くような仕事は無いんじゃないかなぁ
上の人間らしく事務仕事しながら、小夜とお茶飲んで過ごす平和な日々

そのうち絡める悪役が思いついたら動かしますww
633 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/08/25(木) 21:30:49.91 ID:jK5Nh6GLo
アンカーミスるし……
634 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/25(木) 21:33:31.41 ID:DhTGgS/P0
三面鏡の人乙です〜
今回も可愛い子だらけで俺歓喜(黙れ
しかしサロさんはいつものことだが、斬九郎さんまでもげろの対象になるとは
と言う訳でもげr(斬り刻まれました
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/25(木) 21:57:40.03 ID:kZB1ODKV0
>>632
待ってるからね!
あのマジキチな悪の組織を是非みたいっす
636 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/08/25(木) 22:04:37.91 ID:jK5Nh6GLo
>>634
> しかしサロさんはいつものことだが、斬九郎さんまでもげろの対象になるとは
子供に優しいだけでもげろ扱いかいww

>>635
> あのマジキチな悪の組織を是非みたいっす
あれ出したら割と大惨事になるんですけどwwwwww
637 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/25(木) 22:16:14.06 ID:DhTGgS/P0
>>636
>子供に優しいだけでもげろ扱いかいww
俺は騙されないぞ
『どこか嬉しそうな、はにかむようなその表情は隠したままで』
この語り口調は絶対に恋心だろ!!
やっぱり斬九郎もげr(やっぱり斬り刻まれました
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/25(木) 22:19:05.42 ID:kZB1ODKV0
>>636
バッチコイ!
どれくらい第三次になるのか聞かせていただこうか
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/25(木) 22:51:19.65 ID:kZB1ODKV0
【不思議少女シルバームーン第九話 第一章「異形」】

「エレベーターは止まっているか……。」
「そうみたいね。」
「魔女のおねーさんよぉ」
「え、なぁに?」
「これから階段上って上行きたいんだけどさあ。」
「うん。」

 爆音が鳴り響く。
 上の階に到達すると同時に戦闘に巻き込まれる可能性がある。
 上田明尊は冷静に判断した。

「前言撤回だ、やはり下準備をしてから上に行くぞ。
 お互いに能力を確認しておこう。カイトちゃん……だったっけ?
 男みたいな名前だな。」
「あはは……気にしないで。」
「そうだな、名前なんて些細なことだ。
 それでもまず自己紹介、俺の名前は上田明尊。
 事情が有って身体が滅茶苦茶丈夫。
 最近まで契約していた都市伝説を無くしてしまって今は蜻蛉切と正宗の二重契約。
 正宗の加護によるバリアと村正の加護を受けた蜻蛉切による必中の投擲が武器だ。」
「私はカイト・クローバー。
 どこにでも居る普通の魔女よ。
 得意なのは雷を呼んだりする呪文と……薬の生成とか得意ね。
 惚れ薬から毒薬までなんでも来いよ。
 今は心の力も回復させる薬が四本有るわね。」
「回復薬はありがたいな、どれほど消耗するかも分からないし。」
「じゃあお互いの手持ちの戦力が解ったところで……」

 二人は階段を駆け上がる。
 生き物の気配の感じられないビルの中に二人の足音だけが木霊する。

「待って待って!そこの君たち!」

 大量のイルカ兵士が彼らを取り囲む。
 階段の上と下を完全に塞がれてしまった。

「この能力…………ドクか!」
「イエス!やはり裏切ったみたいだねシンクタンク!」
「裏切ってなど居ない!最初からお前らの味方だった覚えもない!」
「へー……そう。」
「ちょっと、あいつは何の能力もってるのよ!」
「あいつは放射能で生き物を改造する能力を持っているんだ。」
「ふーん……サンジェルマンの劣化かしら。」
「そんなところだ。」
「シンクちゃん、君と仲良くしていた双子の子供が居たよね!」
「だからどうした!」
「あの子達も今このビルに居るんだけどさ……見てよこれ。」

 ドクと名乗る少年が懐から突然生首を取り出す。

「これ、なーんだ?」
「貴様!」
「か、勘違いしないでよね!やったのは僕じゃない。
 ―――――侵入者だよ。」
「ここは戦場だ、油断した……そいつらが悪い。」
「シンクちゃんひっどーい。」
「貴様こそ死体を冒涜するとは中々残忍ではないか。」
「うん、それなんだけどね。」

 突然生首から身体が生える。
 只の身体ではない、見慣れた人間の胴体に蜘蛛のように手足が八本。
 化物だ。

「そこらへんに転がっていた都市伝説と融合させちゃった。」

 明尊は顔面を蒼白にしてその場に立ちすくむ。
 いくら修行を積んだ才能ある戦士であっても彼はまだ中学生。
 こんな悍ましい物を見て平気で居られるわけがない。

「キシャアアアアアアアアアアアア!」

 “それ”は人間とは思えない奇声をあげて近くに居るイルカ兵士を喰らい始める。
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/25(木) 22:54:58.83 ID:kZB1ODKV0
「リゾートバイトって怪談が有ってねえ。それを模倣した人工都市伝説さ。
 僕達を裏切ったことへの仕返しだと思って精精楽しんでよね。」

 そういってドクはその場から逃げ出す。
 立ちすくんだ明尊に伸びる異形の手足。
 カイトは素早く雷を呼び出してその手足をはじき飛ばす。

「…………。」
「明尊くん!」
「…………。」

 蜘蛛の子を散らすように逃げ出すイルカ兵士。
 だが次々と影のような物に囚えられて捕食される。
 捕食された後からは次々とイルカ兵士に似た真っ黒い影が生み出される。
 カイトの目にチラリとうつむいていた明尊の表情が映る。

「なーんでこうなっちゃうかなあ……。」

 戦意喪失。
 よりによってこのタイミングで。
 明尊は才能も、努力も、追随を許さない戦士である。
 しかしながらその精神は、恵まれすぎた環境と才能故に、あまりに脆かった。
 今の彼には何も見えない、何も聞こえない。

「タスケテ……タスケテ……」
「助けて欲しいなら襲いかかって来ないでちょうだい!
 魔術結界展開!」

 カイトが魔術で結界を形成して蜘蛛の化物を押しとどめている。
 だがしかし、先程の植物の破壊に心の力を使ったせいで全力を出し切れていない。

「明尊くん!早く目を覚ましなさい!このままじゃ私たちやられちゃうわよ!」
「俺は…………!俺は…………!
 俺は悪くない、俺は悪くない、でもそれでも……!」
「明尊くん!」
「え?」

 蹲る明尊の襟を掴みカイトは彼の顔を自らの側に引き寄せる。
 
「何を……むぐううううううううう!?」

 カイトは明尊を抱きしめて彼の唇をおもいきり吸う。
 明尊は突然の甘い髪の香りと柔らかな唇の触感に戸惑う。
 視界が開ける。
 自らが今何処にいるのかを認識する。

「あれが貴方の仲良しだったかなんだったかは知らないけど!
 それが戦わない理由になるの?
 仲が良かったんなら……切りなさいよ!
 切ってあげるのが情けでしょう!
 ああなってしまったら!ああいうふうになるしかなかったなら!
 こんな所で萎えてるんじゃないわよ!それでもあんた男なの?」
「え、あ、う……ごめんなさい。」
「どうやら正気を取り戻したようね。」
「お、おかげさまで……。」
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/25(木) 22:57:18.13 ID:kZB1ODKV0
「タスケテ……」

 異形は涙を流しながら周囲のものを手当たり次第壊して回っている。
 見るに耐えない。
 明尊も正直耐えられない。
 でも、それでも彼は戦わなければならなかった。
 彼自身も戦おうと思った。
 上田明尊の本性は善、救いを求めるものを見捨てるなんてできない。

「聞こえるわね!あの子の声!」
「はい!」
「助けを求めているわね!」

 黒い影が二人めがけて殺到する。
 カイトの結界が打ち砕かれる。

「正宗!」

 影から二人を守るようにして刀から白い光のカーテンが現れる。
 
「蜻蛉切!」

 明尊の右手から黒い光が一筋の矢のようになって放たれる。

「キシャアアアアアアアアアアアア!」
「邪魔しちゃ駄目駄目!来なさい守護霊!」

 イルカの姿をした影が蜻蛉切と異形の間に立ちふさがる。
 しかしそれを薙ぎ払うようにしてカイトの召喚した蛸の使い魔が蜻蛉切の道を作っていく。

「鞭!鞭よ!しなっちゃうわあん!」

 八本の手足を奮って蛸に対抗する異形。
 その隙間を縫って蜻蛉切が異形の額に飛翔する。
 だが異形はそれを易々躱して明尊へも襲いかかる。

「危ない明尊くん!」

 カイトは咄嗟に明尊をかばおうとして……

「いや、大丈夫ですから。」
「ですよねー」

 明尊に止められた。
 明尊は自らに伸びる異形の腕を掴みとり、握りつぶす。
 激痛に悲鳴をあげる異形。

「今だカイトさん!」

 躱された筈の蜻蛉切が空中で向きを変える。
 それと同時に蛸の八本の手足が異形を絡めとる。

「タスケ……」

 音もなく、貫く。
 “それ”は本来の子供の姿に戻りながら光の粒になっていく。

「安らかに眠れ……。」
「今は祈っている暇もないわ。急ぐわよ。」
「はい!」

 こうして二人は再び階段を駆け上がり始めた。


642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/25(木) 22:58:11.94 ID:kZB1ODKV0
――――――――――――――――――――――――――――





「……さて、設置完了。」

 眼の前には時限爆弾。
 彼女の上司である上田が組織の研究所の協力を得て自ら作成した時限爆弾。
 通称“紅薔薇”
 この薔薇はシンプルな爆発ではなく爆縮を起こし、周囲に損害を起こさずして建物を完全破壊することを目的にしている。
 また、機動と同時に周囲に高濃度の魔力を垂れ流しにすることによって、
 悪魔系統の都市伝説と契約していない人間や通常の都市伝説に強烈な中毒症状を引き起こす能力もある。
 これは笛吹探偵事務所に所属する多くの人間が悪魔系統の都市伝説と契約していることから発想された彼なりのアレンジだ。
 魔力は数分で大地に吸収されるので爆発時に側に居なければ何ら問題は起きない。
 魔女などであればむしろ爆発直後には膨大な力を使えるという意味ではユニークな兵器であると言えるだろう。

「タイマーは正午……二分前。」

 霧雲霙は奇しくも明尊達にあの異形をけしかけたドクの部屋に入り込んでいた。
 理由の一つは爆弾の設置、ここが丁度爆縮させるのに丁度いい場所だったのだ。
 そしてもう一つはサンジェルマンの依頼で彼の持つ人体実験のデータを盗むことだ。
 爆弾さえ設置できてしまえば霙の仕事は半ば終わったようなものだったので行きがけの駄賃というやつだ。
 両親の治療費もあるし金は稼いでおくに越したことはない。

「おい霙、F-No.の管轄地域での戦闘の形勢が怪しくなってきた。
 ネバーランドの奴らが山林に潜んでゲリラ戦を挑んできたせいで動きが全く取れない。
 この調子だとお前の脱出の際のオペレーションができなくなるかもしれない。」
「え、ちょ、勘弁して下さいよ!?」
「このままだとサンジェルマン辺りが『枯葉剤つかってぶっぱぶっぱwwwww』とか言い出しかねん!」
「あ、そりゃ洒落になりませんね。
 でもラプラスによる支援があってこその私の潜入っぷりなんですけど。」
「ああ、そういうと思ってもう一つラプラスの魔を用意した。」
「へ?」
「ああーもしもし、聞こえてますか。」
「……え?」
「ラプラスの魔の契約者であるルル=ベルちゃんだ。
 ほら、挨拶はどうした?」

 何故だか橙の声が楽しそうである。

「先日は調子に乗った振る舞いをしてしまい申し訳ございませんでした。
 罪滅ぼしに精一杯支援させて頂きますのでどうかお赦しくださいませ……。」
「いやいや……え?」
「はっはっはー、こいつは捕虜にして私とサンジェルマンが洗脳してやったのだよ!」
「橙さん、私に事情を説明させてください……。」
「ぬふふふふ、橙さんでなくお姉様と呼んでもいいのだぞ。」
「え、なにその唐突な姉妹設定、何処の魔法少女ですかあたし聞いてない。」
「まあ黙って聞いてやれ霙、とりあえずあいつは前話したとおりシバキ倒してやったからおとなしいもんだぞ。
 ほーらこんなことしても……」
「きゅい!?何処触ってるんですか橙さん!」
「ふわっふわだなあおいこら!もっと揉んでやるよひゃっはー!
 抵抗したらどうなるか解っているんだろうなあ?」
「ひっ……ぐすっ……あぅっ!」
「すげえ!橙さんってゲス野郎だったんだ!(驚愕)」
「はっはっは!それほどでもないぞー!」
「と、とにかく……私がネバーランドに居たのは……」

 ルルは洗いざらい自らの事情を橙に話す。
 最初は訝しんでいた彼女も根が情にもろいためか途中からは割と聞き入っていた。
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/25(木) 22:59:12.46 ID:kZB1ODKV0
「ルルさん……あなた苦労人なのですね。」
「うぅ……。」
「オペレートの変更は了承してもらえるか?」
「まあF-No.の犠牲者が増えてしまうのもあれですし、爆弾はもう仕掛けましたから。」
「オッケー、それじゃあその前にルルと組んで敵を一体倒してもらおう。」
「へ?」
「聞いて霙ちゃん、一分後にその部屋にドクって少年が入ってくるわ。
 そいつは生き物を改造して都市伝説兵器にしちゃう危ないやつだから即座にぶっ殺しちゃって。
 入り口にワイヤーでブービートラップ作って、転んだら即座に四肢を落としてぐるぐる巻きにしばってから適当に拷問かけちゃって。
 そうしないと自分の体を改造して襲いかかってくるから。」
「わ、解りました。」
「隠れる場所は……そうね、天井に貼り付ける?」
「はい。」
「じゃあそこでお願い。」

 霙は即席の罠を扉に設置し始める。
 それが終わると彼女は靴に隠された特殊なスパイクを使って天井に張り付いて息を殺す。
 しばらくすると白衣の少年が中に入ってきた。
 携帯電話で誰かと話している。

「ああ!解ってるよ!もう足止めはした!
 君のお目当てのスバルだったかももう倒したんだろう?
 じゃあ君の計画はほぼ成功したものだろうさ。
 これで僕も僕の理論が実証されるのかと思うと……え?
 用済みってどういうこ―――――」

 それと同時に扉に仕掛けられていたワイヤーがドクの足に絡みつく。
 霙は天井から飛び降りて額をしたたかに地面に打ち付けたドクを踏みつける。
 そして予め準備していた拳銃で彼の関節を撃ち、ナイフで床に釘付けにする。

「ぎゃああああああああああ!」
「やれやれ……ルルさんこんな感じですか?」
「ああ、それでいい。」
「その声はルル!?お前なんで……始末された筈じゃ!?
 くそっ!侵入者がいたぞ!誰か!誰かこい!」
「安心しろ霙、そいつはもうとっくにジャックに見捨てられている。」
「え?」
「ジャックはな、研究者ってのが大嫌いなんだよ。自分の親友を人体実験の実験台に使われたからな。」
「なんだ、急造のコンビにしてはいい仕事じゃないか。
 お前ら明尊さえ居なければ結構仲良くやってけるんじゃないの?」
「…………。」
「…………。」
「あ、ごめん余計なこと言っちゃったね。私F-No.の支援行ってくるわ。」
「くそっ!なんで誰一人としてこっちに来ないんだ!」
「とりあえず霙ちゃん、そいつ黙らせて。」

 霙はドクの顔面を蹴り飛ばす。

「そいつ、ジャックの計画に使われる都市伝説能力増幅器の開発に携わっていた筈なんだ。」
「ま、待ってくれルル=ベル!僕達仲間だったよな!?」
「それを聞き出せばいいんですね?」
「ええ。そいつはクソ外道だからどんな方法で話させても構わないけど……。
 時間の都合上十分で全部こなしてくれるかしら?」
「くそ、こうなったら能力で……!」
「霙、爆炎でそいつの全身焼いて細胞の変化を止めてから、骨を一つ一つ爆発させて。
 それで全部吐くわ。」
「なるほど……。」

 霙は迷うこと無くドクの身体に爆炎を叩きつける。
 
「というわけです、命乞いして死にますか?それとも死を懇願して死にますか?」

 霙はそれはそれは愛らしく微笑んだ。
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/25(木) 23:00:08.98 ID:kZB1ODKV0
――――――――――――――――――――――――


 さて十分後。
 霙は部屋から出て明尊やカイト等の奮戦により無人になっていた廊下を歩いていた。

「ル、ルルさん?」
「な、なんでしょうか?」
「私別に気にしてませんからね?敵と味方だったからあれってだけですし……。」
「いやでも私が撃っちゃったのは事実で……」
「今はそういうの言いっこ無しでいきましょう!」
「は、はい。」
「ちなみにルルさん幾つですか。」
「一応十五です。」
「じゃあ私のほうが年下なんでタメで良いですよ。」
「ま、まあぼちぼちそうしてみます。」
「ちなみに私は次にどちらに行けば良いですか。」
「橙さんだったらこのまま退避を命令するんでしょうけど……。」
「けど?」
「最上階に行ってください。十一時半くらいに到着すれば完璧だと思いますから。」
「解りました、じゃあルート指示お願いします。」
「はい、まずは先ほどきた道を引き返してエレベーター用の通路から行きましょう。
 そこだと敵も居ないし貴方のラペリングの技術で十分登っていけると思うんで。」
「了解です。それじゃあボチボチ行きますか。」

 かくして霙は最上階へと進む。
 残る役者は後一人。

【不思議少女シルバームーン第九話 第一章「異形」】
645 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/25(木) 23:16:29.58 ID:DhTGgS/P0
笛の人乙です〜
おぉ、最終決戦の役者がぞくぞくと・・・こっちもゾクゾクしてくるぜ
646 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/08/26(金) 16:47:01.50 ID:rH1Z/f1f0
三面鏡の人乙でした〜
確かにああなってしまえば……
無理に人間に戻すよりは止めを刺してあげるのが慈悲かもしれません。
それにしてもサロリアスさんモテモテだなあ。
斬九郎さんも小夜ちゃんに慕われてうらやましいっす。

笛の人乙でした〜
霙ちゃんのほほえみがこわいなwwwwww
そしてメンバーも続々集結しつつありますなー。
647 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/08/26(金) 16:47:39.40 ID:rH1Z/f1f0
三面鏡の人乙でした〜
確かにああなってしまえば……
無理に人間に戻すよりは止めを刺してあげるのが慈悲かもしれません。
それにしてもサロリアスさんモテモテだなあ。
斬九郎さんも小夜ちゃんに慕われてうらやましいっす。

笛の人乙でした〜
霙ちゃんのほほえみがこわいなwwwwww
そしてメンバーも続々集結しつつありますなー。
648 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/08/26(金) 16:48:22.67 ID:rH1Z/f1f0
三面鏡の人乙でした〜
確かにああなってしまえば……
無理に人間に戻すよりは止めを刺してあげるのが慈悲かもしれません。
それにしてもサロリアスさんモテモテだなあ。
斬九郎さんも小夜ちゃんに慕われてうらやましいっす。

笛の人乙でした〜
霙ちゃんのほほえみがこわいなwwwwww
そしてメンバーも続々集結しつつありますなー。
649 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/08/26(金) 16:50:45.06 ID:rH1Z/f1f0
あれ……なんかバグってる……
連投すまぬ…
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 22:03:46.60 ID:ZrTOggoso
笛の人投下乙です

ドク哀r……ドクざまぁ
ルルさんの指示が的確に残虐でため息が出る
霙ちゃんの天使のような悪魔の笑顔も素敵です



連投はこのスレってかこの板ではよくあること
書き込みエラーは書き込み成功フラグです
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/26(金) 23:07:58.84 ID:faRk9TS80
【極光の紗綾(異説・COA編 前編)】

「次の世界に来ましたわー!」
「少し落ち着け、来たばかりの世界で何があるか分からないんだから。」

 青年と少女が城のような場所から出てくる。
 あたりに広がるのはどこまでも尽きぬ空と絶えぬ雲。
 そして止まらぬせせらぎの側には新緑が列をなしていた。

「でも新しい旅立ちは何時だってミントみたいな爽やかな気持ちで迎えたいじゃないですか。」
「はいはいロマンチックロマンチック。」
「あ、見てください兄様、あちらにロマンチックな飛行物体が浮かんでますよ。」
「いやいやロマンチックな飛行物体って……。」

 青年は妹である少女の指差す方を見る。
 
「え?」

 実際問題、確かにロマンチックだったのかもしれない。
 言われて見れば蒼穹のUFOロマンスだ。
 だが彼は生憎UFOにロマンを感じるタイプの人種ではない。

「UFOですよ、兄様!」
「いやそうだけどさあ……。」
「すごいじゃないですかUFO」
「え、あ、いやぁ……」
「未知との遭遇ですよ!ちょっと呼びかけてみましょうよ!
 もしかしたらあれが私たちの記憶の鍵になるかも……」
「え、おい待て馬鹿やめ……」
「ベンタラーベンタラーこちら地球、宇宙人の方聞こえますか。
 聞こえてたならこちらに……」
「来るわけがな……」

 クルッ
 と音でも立てたんじゃないかというくらいにはっきりとUFOの進行方向が変わる。

「え?」
「来ました!来ましたよ兄様!第四種接近遭遇です!」
「そんなパラノーマル・アクティビティいらねえよ畜生!
 即刻お帰りいただけ!」
「呼んどいて帰すのは失礼ですよ。怒った宇宙人に脳改造されたらどうするんですか。
 アブダクションですよ、ETですよ。」
「ETではないな。」
「黙れDT」
「――――――今なんと!?」
「デュエルターミナルです。決して童貞ではありません。」
「………………。」
「キャットびんぐよ私ー!」
「訳がわからないよ。」

 辺りを静寂が包む。
 世に言う滑ったというやつである。
 作者が設定していたCVを利用して悪乗りしたらこのザマである。
 
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/26(金) 23:08:24.60 ID:faRk9TS80
「ん?」
「どうしたんです兄様。」
「こっち来てる!UFO来てる!」
「だからそれは別に……近っ!」
「うわあああああああああああ!」

 二人の目の前でUFOが地面に激突する。
 大量の土煙に巻き込まれながら二人は派手に吹き飛ぶ。

「おーいそこの人達大丈夫か!」
「だ、大丈夫な訳無いでしょう!」
「ったく、だから言っただろうが裂邪!もっと繊細に制御しろと……。」
「いやー……すいません師匠。」

 遠くから駆けてくる二人組。
 品の良いスーツに身を包んだオールバックの男性とまだ子供っぽさを残した少年。
 男性のほうが少年の師匠らしい。

「君たち、大丈夫だったか?」
「直撃は免れたのでなんとか……、何してたんだ?」
「申し訳ございませんでした、都市伝説の修行をこの少年につけていたところだったんですよ。」
「あーあ、新品の服が汚れちゃいました!」
「それは悪いことをしました。裂邪、お前もしっかり謝れ。」
「お二人ともすいませんでした。」

 裂邪と呼ばれた少年は深く頭を下げる。

「いえいえ、お気になさらずに。」
「うぅ……。」
「お詫びの印に二人とも食事でも如何ですか?
 そこの城下町で仲間と合流する予定でして……。
 ここに集まってきたということは貴方がたも例の魔王討伐が目的でしょう?」
「え?」
「随分ファンタジーな世界に入ってきてしまったみたいだな……。」
「ロマンチックですよ兄様。」
「服のほうもこちらでクリーニングに出させていただきますし、
 その間の換えの服も準備できるかと……」
「えー……むぐぅ!?」
「お気遣い痛み入ります。」

 妹の口を抑えて青年はにこりと微笑む。
 旅暮らしが長いので他人の好意はわりと素直に受け取る主義なのだ。
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/26(金) 23:09:02.20 ID:faRk9TS80
「申し遅れました私の名前は上田明也。
 この地に現在逗留している冒険者“新島愛美”様の身の回りのお世話をさせていただいております。」

 男はそれはそれはさわやかな笑顔と共に恭しいお辞儀を二人に見せた。
 さて、二人が城下町に入ってから十分後。
 彼らは屈強な男が集まっている酒場で豪華な料理を奢られていた。

「……なんと。」
「わあすごいわ兄様!こんなに豪勢な料理食べるのなんて初めてじゃない?
 どれから食べればいいのかしら?」
「お嬢さん、ここの特産品は魚介類と胡椒と岩塩を使ったスープだよ。」
「ありがとうUFOのお兄さん!」
「俺のほうがこっち来てから長いしね!分からないことがあったら何でも聞いてよ。
 良かったら後で街の案内でも……。」
「まあ素敵!でもまずはお食事を先にさせてもらおうかしら。」
「思う存分召し上がってください。
 愛美様がいらっしゃるまでまだしばらく時間はありますので。」

 妹が料理をガツガツむさぼっているのを見てため息を付いた後、
 青年は上田という男に質問を始める。

「上田さんとやら、俺たちはだいぶ遠いところから旅しているんでこの辺りの事情に疎いんです。
 あなた達の言う“冒険者”とかって一体全体なんなんだ?」

 上田はキョトンとした顔で青年を見つめる。
 
「ええとですね、この国や周辺の国では凶暴化した野生の都市伝説を狩ったり、
 秘境に隠されたお宝なんかを見つけたり、交易のルートを開拓してお金を儲けている人が沢山居ます。
 そういう人達を“冒険者”と言います。」
「ふむ……都市伝説の力を借りて戦ったりとかは?」
「ええ、私も少しは使いますし冒険者によっては契約した都市伝説によって異名がついていたりしますね。」
「成程……契約もありか。」
「冒険者を知らないということは……貴方がたはここにサーベラスを狩りに来たわけじゃないのですか?」
「サーベラス?」
「三ツ首の化物ですよ、この辺りで発見された珍しい都市伝説なのだそうですが……
 畑を荒らすので退治してくれという依頼が出ていましてね。
 報酬目当てで多くの冒険者が集まっているのですよ。
 貴方がたもそれ目当ての方々なのかと。」
「ふぅん……、大体わかった。あんた達もそれを狩りに?」
「はい、そんなところです。」

「おい、上田、裂邪はどうした?」

 酒場の喧騒を貫くよく通る声。
 屯していた屈強な男たちが一斉にその声の主を凝視する。 
 紅のコートを羽織った鋭い目付きの女性がそこに立っていた。
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/26(金) 23:09:29.41 ID:faRk9TS80
「トイレか何かじゃないでしょうか?
 あちらが愛美様です。
 愛美様、こちら偶然出会った兄妹の冒険者の方でこちら兄の……。」
「零人と書いてレイリと読みます。」
「そしてこちらが妹の……。」
「兄妹?一人だけじゃないか。」
「え?」
「あれ?」
「あいつ何処行った!?」
「まさか裂邪の奴どっかに……!」
「上田お前あいつにナンパの方法を仕込めとは言ってないぞ……!」
「ハッハー、門前の小僧習わぬ経を読むとはよく言ったもの……」
「良いから探してこい!」
「今すぐ行ってきます!」
「仕事はできるがサボるのがあいつの欠点だ。
 で、零人だったっけ?」
「え、ああはい……。」
「妹を追わなくていいのかい?」
「うーん、あいつは放浪癖あるんで追っかけるのも面倒かなあと。
 それよりサーベラスの話を聞かせてください。」
「ああ、あんたも冒険者なんだっけかい。
 腕は悪くなさそうだし手伝ってくれるんなら分け前はしっかり渡すよ。」
「それはありがたい。長旅をしているものですからいつも路銀が足りないんですよ。」
「じゃあ交渉成立だねえ。奴が来る場所と日付は解っている。それまでは私たちと行動してもらうよ。」
「ええ、勿論です。」

 青年はとりあえずの寝床を確保したことに内心安堵の溜息をついていた。
 さて一方その頃。
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/26(金) 23:10:03.59 ID:faRk9TS80
「男黄昏裂邪、ロリっ子のナンパに成功致しました……!」
「どうしたの黄昏くん?」
「え、いやいやいやなんでもないなんでもない!」

 黄昏裂邪少年は少女のナンパに成功していた。
 二人は今のところオシャレな喫茶店でティータイムである。

「おらっ!キビキビ歩け!」

 窓の外の美しい風景に異物。
 ボロボロの服を着せられた沢山の人々が一列になって歩かされている。

「あれは……?」
「人型の都市伝説、多分戦争で負けた国から連れてこられたんじゃないかな。」
「成程……。」

 綺麗なだけじゃないのか、と少女は悲しげに呟く。

「お客様、お連れの方がいらっしゃってますが?」
「え?やばっ……」

 その時、突然二人の後ろから女性の声がする。
 声の方に裂邪と少女が振り返ると……そこには上田が居た。

「も う お そ い よ」
「し、師匠うううううう!?」
「騒ぐな、店の人に迷惑だ。」
「っていうか上田さん今声が……!?」
「特技です。お兄様が心配しておりますのでご一緒におかえりください。」
「はーい。」
「くぅ……せっかくのロリっ子との時間が……。」
「裂邪。」
「はい!」
「例の都市伝説の討伐が終わったらゆっくりと、な。」
「師匠……!」
「お前の自由恋愛については俺だって何も言う気は無い。」

 上田は二人を店から連れ出す。
 
「お前ら、先に帰っていろ。」
「え?」
「どうしたんですか?」
「少し用事が有るのを思い出した。」
「変なの。」
「じゃあ先に戻ってますけど早く帰ってきてくださいよ?」
「おう、俺より遅く帰ってたら怒るからな。」

 その言葉を聞いた瞬間裂邪は少女の手を引いて全力で走りだした。

「…………さて、おいサイレス。」

 上田が名前を呼ぶと狐のような雰囲気の男が路地裏から現れる。

「あれが本当にお前の言う世界の破壊者なのか?」
「ええ、そうッす。彼らを放っておけば大変なことになってしまうんスよ。」
「ふーん……まあ俺はあんたから報酬先払いしてもらっちゃってるし。
 頼まれたことをするだけだけどね。」
「ありがたいっす、流石英雄の息子ッす!」
「俺とあいつは無関係だ。」
「おお怖い怖い。」
「まあ良い、それじゃあ約束通りサーベラスは愛美様が調べて想定した日の三日前に動かせ。」
「解ったッス」
「それじゃ互いの利益の為に、まあ精精利用し合うことにさせてもらおう。」
「そうっスね。あんたは復讐。自分は世界の平和。」
「話したいことはそれだけだ。」
「そうッスか。それじゃあお暇させて頂くっすよ。」
「おう。」

 サイレスと呼ばれた男は現れた時と同じ唐突さで路地裏に消えた。

「明也さん……本当にするのですか?」

 消え入りそうな声がどこからともなく響く。

「俺はやるよ、お前の為に。」

 上田明也は一際鋭い目をして町を行く人の群れを睨みながら呟いた。

【極光の紗綾(異説・COA編 前編)】
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/26(金) 23:13:48.77 ID:faRk9TS80
というわけで前編中編後編の最初
舞台設定なんか説明しつつサイレスと言う名の鳴滝さん
中編からはバトルバトル!
後編は今回やっと名前明かされた零人くんの説教とエピローグ


ドクフルボッコなのはあれです
かわいい女の子に拷問させたい笛の人の趣味
あんなかわいい女の子に拷問の手法を叩き込んだ上田は鬼畜
真面目にちゃんと覚えちゃってる辺りも哀れな霙ちゃん
657 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/26(金) 23:22:52.68 ID:Y6ZVHA/E0
笛の人乙です〜
ほぅ、零人くんか、かっこいい名前だなぁ
そして裂邪は避難所で話してたヴァージョンかしら
パラレルワールドでもロリコンなのが嬉しいwwww

3部作か・・・wktkが止まらないな
658 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/08/27(土) 00:23:53.73 ID:7Ntvcx7/0
笛の人乙でした〜
パラレルワールドでもぶれない裂邪wwwwww
これはIFサイレス勝利したばあいの平行世界か……?
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/27(土) 12:33:59.82 ID:EQtiFobR0
避難所がうつうつしい空気だ……
早く異説COAを書いてギャグでも投下せねば!
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/27(土) 12:51:36.53 ID:KHQzRWhSO
中国で携帯電話が爆発
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/27(土) 13:14:44.97 ID:4hK3TUTho
この流れでそろそろ異説でないCOAが進むだろうと思ってる
662 :単発ネタ [sage]:2011/08/27(土) 14:25:04.91 ID:KHQzRWhSO
父親は刑事、母親は検事。
「正義の名の下に〜」が口癖の父親に、
「犯罪者なんて全員死刑になれば良い」が口癖の母親。
多忙な両親から、尼ヶ辻 虎子が教わった数少ない事は「悪を許すな」だった。

「ハッ……ハッ……ハッ…………ハァ……」
夜の公園。朝なら散歩、昼なら親子で賑わうだろう場所も夜は人気がない。
「くっそ、が……!なんなんだよ!?」
そんな場所を、男は何かから逃げるように走っていた。
金髪や入れ墨、男の見た目は一般人とは言い難く、実際、男はヤクザだった。
ズガンッ!!
「っ!?」
男の背後から大きな音が響き、男のすねを何かが掠り、地面をえぐる。
「むぅ〜、銃って扱いが難しいです」
聞こえてくるのは女の声。
「てめぇ、何者なんだ!いきなり襲ってきやがって!!」
男は振り返り、女に向き合う。
初めてちゃんと見る女はまだ若く、高校生にも見えた。
「えっとぉ〜、私、尼ヶ辻って言います。はじめまして」
尼ヶ辻は全く臆する事なく、のんびりとした口調で話す。
「そのぉ〜、悪を裁きに来ました」
「悪……?俺がいったい何したってんだ!」
「だってぇ〜、あなた暴力団じゃないですか。それはぁ〜、立派な犯罪者集団でしょう?」
「悪だの犯罪者だの、一方的に言いやがって……、てめぇはどうなんだ?おい!」
「んぅ〜?」
「てめぇだって銃なんか持ち歩いてんだろ!容赦なく撃ちやがって!俺に当たったら殺人犯だぞ!!」
「あぁ〜、これは前に殺したあなたのお仲間さんから没収しました。
 あとぉ〜、私は殺人犯にはなりませんよ」
「は?」
「正義の為の行いですから」
663 :単発ネタ [sage]:2011/08/27(土) 14:25:52.27 ID:KHQzRWhSO
「意味わかんねぇよ」
男はそう呟きながら、胸ポケットに手を入れる。
男は何も考えずに逃げていたわけではない。
なるべく、人のいない、人に見つからない、無関係な人に被害のでない場所を探して逃げてきた。
男は契約者だから。
「とりあえず……死んどけ!!」
そう言って、胸ポケットから取り出した物を尼ヶ辻に向ける。
それは、タバコの箱。品名、ラッキーストライク。
原爆投下の記念という都市伝説を持つタバコ。
そんなタバコが、尼ヶ辻に向かって爆発する
はずだった。
「……………………あ?」
ソレが起き、何が起きたか理解できず、男はタバコを持っていた手を見る。
しかし、手首の先からは刃物で切られたようにスッパリとなくなっていて
「おやぁ〜、タバコは身体に悪いからやめた方が良いですよ」
タバコと手は尼ヶ辻が持っていた。
「、何?……ぇ、……はあ?」
痛みも忘れ、混乱し、呆然とする。
「えっとぉ〜、とある治安の悪い国でしっかりと持っていた金目の物を強盗に手ごと持っていかれる。あのぉ〜、そんな都市伝説はご存知ですか?」
「け、契約者…………」
タバコの箱と男の手を興味深そうに弄る目の前の女に恐怖を覚え、男は尻餅をつく。
「た、たす……助け、……て」
「んぅ〜、駄目ですよ。だってぇ〜、犯罪者は死刑にしないと」
そう言って、尼ヶ辻は男を見る。
「あっとぉ〜、こんな都市伝説知ってます?
 えっとぉ〜、男の人が旅先でであった女性と仲良くなるんですが気がつくと血まみれで寝てて調べたら腎臓が一つなくなっているって話です」
尼ヶ辻が話し終えた時、その手には赤黒い、ヌメヌメとした、心臓。
男は、何も分からないまま、ドサリと倒れた。
「さてぇ〜、次の犯罪者を捜しましょうか」

父親は刑事、母親は検事。
「正義の名の下に〜」が口癖の父親に、
「犯罪者なんて全員死刑になれば良い」が口癖の母親。
漢字を教わるより早く、「悪を許すな」と尼ヶ辻 虎子は教わった。
けれど、「罪を犯すな」と教わった事は、一度もない。


664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/27(土) 17:08:53.85 ID:EQtiFobR0
おっつー
やべえ、これは思わず倒したくなる
貴方の連載の方で出してもいいのよ……
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/27(土) 18:14:37.49 ID:KHQzRWhSO
倒して良いのよ?
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/27(土) 21:09:02.37 ID:EQtiFobR0
mjdsk
なんかいかにも悪そのものみたいなキャラに倒されたら面白いだろうなあ……と
667 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/27(土) 21:24:14.33 ID:WRzWsNRT0
単発の人乙です〜
やべぇ、この子可愛い
殺すなんて勿体無い、寧ろ護衛つけたいレベr(手首と心臓を盗まれました

>>666
>なんかいかにも悪そのものみたいなキャラに倒されたら面白いだろうなあ……と
悪そのものか・・・むぅ、俺のキャラにはいないなorz
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/27(土) 21:37:09.58 ID:EQtiFobR0
【極光の紗綾(異説・COA編 中編)】

「愛美さーん、こいちゅ本当に頼りになるのー?」
「ばぶー」
「ばぶー」
「お前らよりはな。」
「私だって戦えるもん!みーちゃんとやっくんはまだ無理だけど。」
「うっー☆」
「うっー☆」
「お前ら子供じゃないか……。」

 俺は愛美さんの冒険の拠点のような場所に連れてこられていた。
 高名な冒険者らしいし屈強な配下を引き連れているのかと思っていたら意外とそうでもないらしく、
 そこには双子の赤ん坊とわりと生意気で舌っ足らずな子供が一人居るだけだった。
 双子の赤ん坊の名前は友美と友也、子供の方は希と言うらしい。

「あー、あんた私の能力を疑ってるでそー!?」
「え、いやあ……。」
「子供ばかりで驚いたか?」
「はい。」
「正直だな、悪くないぞ。」
「なんでですか?サーベラスというのは強力な敵だそうじゃないですか。」
「冒険やりつくしちゃったから後進の育成に最近熱中していてなあ。」
「愛美さん、今日の修行のメニューこなしてきましたよ。」
「おお龍一、丁度いい、お前にも紹介しなきゃな。
 こいつ零人、腕の良い冒険者だ。今回助っ人に来てもらった。」
「……こんにちわ。」
「ど、どうもー……」

 無愛想な青年だ。
 俺と同じか少し年下くらいか。
 服装がいわゆる和服というやつでこの国の人間とは違うな。
 腰に提げた刀も中々の業物だ。
 こいつは使い手だな……。

「こいつは龍一だ、私の一番弟子。」
「一番弟子?あのスーツのお兄さんは?」
「あいつに教えたことは特にない!」
「ああ……そういう。」
「愛美さんただいまー!」
「兄様この町面白かったですー!」
「おかえりなさい、それは良かった。」
「おい裂邪、上田はどうした?」
「え、なんか用事を思い出したって……。」
「そうか……。」
「れつやだー」
「だー」
「だー」
「希ちゃんただいまー」
「望、お前も帰ってきたか。」
「ええ、言われたとおりに買い物してきたわよ。
 晩ご飯の食材とか……双子のミルクとか。」

 ドアを足で蹴り開けてさっそうと部屋に入ってくる美人なお姉様。
 うわヤベエまじセクシー惚れそう。
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/27(土) 21:37:56.57 ID:EQtiFobR0
「そこのお兄さんと女の子誰?」
「零人と……。」
「陽子です。」
「レイリーとプロトンか……。」
「?」
「いやなんでもない。」
「それじゃあ望も帰ってきたし、三日後のサーベラスによる襲撃について……。」

 遠くから爆音が響く。
 其れに伴う人々の悲鳴。

「なに!?」
「サーベラスだ!サーベラスが町まで来たぞ!」
「そんな馬鹿な!今まであいつは街の中まで入ってきたこと無いんだぞ!」
「どうするの愛美さん?」
「俺の準備はいつでもできている。」
「私もよ、戦闘の準備だけは三日前だろうが完璧に整えているから。」
「わたちもいくのー!」
「希はお留守番してなさい。」
「それじゃあ龍一は裂邪と子供達の御守りをしていてくれ。
 陽子だったかもここで待機だ。」
「諒解しましたわ。」
「了解した。」
「望と零人は私についてこい。
 移動ついでに零人は能力について大まかに説明してくれると助かる。」
「ぶっちゃけ狼男に変身するだけなので大した物じゃないです。」
「一瞬で終わったわね。」
「構わん、それじゃあ行くぞ!」
「了解。」
「解ったわ。」
「行きましょう。」
「行ってらっしゃいませ皆様。」
「わたちもー!」
「うへへへへ、希ちゃんは俺と一緒に……」
「黙れ変態」
「はぅん!」

 俺は愛美さんの後を追ってかけ出した。
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/27(土) 21:44:26.53 ID:EQtiFobR0
――――――――――――――――――

 さて一方留守番組。

「うっひょー俺の周りにロリっ娘が一杯!
 正にヘブン!ヘブン&ヘブン!」
「裂邪、少し落ち着け。」
「ごめんなさい龍一さん……。」
「そもそもお前は四方八方女の子に目移りしてばかりで一人に思いを定めないのが良くない。」
「えーだって可愛い子が一杯居るからつい……。」
「昔から二兎追う物は一兎も得ずといってだな……。」
「上田さんは?」
「ありゃあ追ってない、蜘蛛の巣みたいに向こうから寄ってくるのを待ってるんだ。」
「ねーねー二人とも」
「なんだい陽子ちゃん?」
「上田さんって愛美さんに付いてきている人の中では一番年上みたいだけどどんな人なの?」
「知らん。」
「俺も知らない。操作系の能力に秀でているってことだけで。
 あと身体の悪い奥さんが居る。愛美さんの弟子やってる奴らにとってはお母さんみたいな存在だな。」
「そういえば本人はグレて家出してた所を拾ってもらったとか言っていたな。」
「へー。」
「あの人嘘つきだから何処まで本当か分からないけどね。」

 裂邪がそこまで言ったところで突然ドアがノックされる。
 どうやら訪問客のようだ。

「誰だ?」

 龍一は鋭い口調で尋ねる。
 状況が状況だけに全員が戦闘態勢に移行していた。

「自分はサイレスって言うッス。」
「聞かない名前だな、帰ってもらおう。」
「そうはいかないッス。そこには世界を滅ぼす悪魔が居るンスから。」
「すぐに帰れ、さもなくば切る。」
『そこにいる筈の陽子ってやつは世界を滅ぼす悪魔なんスよ!』

 サイレスの言葉と同時に龍一は刀を振るう。
 ……が、サイレスに届く直前でその刀はピタリと止まる。

「え?」
「なに、それは本当か?」
『本当も本当、真実ッスよ』
「こんな可愛いロリっ子がそんな危険なことをするわけ……」

 まるで合成音声のようなサイレスの声。
 突然声色が変わったのだ。
 そしてそれを聞いたと同時に裂邪と龍一の様子が一気におかしくなってしまった。

『その子を殺さないと世界がやばいッス』
「そいつが言っていることは嘘よ!」
「嘘……?」
「嘘を言っているのはどっちだ?」
『世界の命運は君たちにかかってるッス!』
「……子供とはいえ危険ならば。」
「ロリっ子を倒さなきゃいけないなんて……でもやるしか!」
「ちょ、ちょっと待ってください二人とも!」
「二人ともろーちたの!?」
「あぅ?」
「だーだー」
「希、友美と友也を連れてそいつから離れろ。」
「今ここに居るメンバーで倒せるかな……。」
「嘘でしょ……!?これどういうことよ!」
『はっはっはっは!これが僕の契約している都市伝説の一つ“サブリミナル効果”ッス』
『この都市伝説を使えば僕の声を聞いただけで僕の言葉を真実を思い込むッス』
「そんな……!?」
『それじゃあバイバイっす。僕は自分で戦う主義じゃないッスから。」
「あ、待ちなさ……!」

 扉の向こうのサイレスを追いかけようとする陽子。
 
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/27(土) 21:44:59.07 ID:EQtiFobR0
「そこまでだ。」
「逃さないぜ。」

 だが裂邪と龍一に阻まれる。

「目を瞑り力を抜け、痛みは一瞬だ。」
「あーもう!わけ分からない!こうなったら……助けて!」

 龍一は陽子に刃を向け、裂邪は自らの周りに衛星のようにUFOを飛ばし始める。
 陽子はエヴァレットの多重世界解釈を発動し、パラレルワールドから契約者を呼び寄せた。
 龍一の刃が陽子に届く寸前で、白い鎧に身をまとった男が現れる。
 裂邪のUFOが彼女の身に届く寸前で黒い影が彼女を包んで守る。

「子供に向けて剣を振るう……悪いやつだな!」
「ロリっ子に向けて攻撃を仕掛けるなんて最低な野郎だぜ!」
「――――真!?」
「――――俺!?」
「あらら、適当に選んだら思わぬ因縁の戦いになっちゃった?」

 龍一の前に立つのは狂骨に身を包んだ明日真。
 黄昏裂邪の前に立つのはシャドーマンを繰る黄昏裂邪。
 
「何故お前が此処に居る!」
「うるせえ俺はお前みたいな知り合いいねえぞ!」
「お、俺みたいな面しやがって!」
「お前こそ俺みたいなツラしてるだろうが!」
「ふぇぇえーん、二人とも助けてー!
 そこの変なお兄さん二人組に襲われたのー!」
「なに……ゆ゛る゛さ゛ん゛!」
「俺みたいな顔してるくせにロリっ娘を泣かせるとは最低だぜ!」
「見知らぬ少年!ここは手と手をとりあって正義の為に戦うぞ!」
「正義か……まあいいや!」
「え、ちょ……」
「なんだよもう!」

 真の蹴りが龍一の刀と正面からぶつかる。
 次の瞬間、骨の鎧は形を変えて龍一の刀の刃が零れやすくなるようなギザギザの形になった。
 それを察知して一瞬早く刀を引く龍一。
 そこにつけ込んで明日真は一歩踏み出して龍一の腹に正拳突きを決める。
 
「捉えたぞ……!」
「――――なに?」

 だが龍一は刀の柄で至近距離まで接近してきた真の頭を思い切り殴りつけた。
 派手な音を建てて地面に倒れる真。
 だがしかし彼は地面に手を着いたまま足払いを払って龍一の体勢を崩す。
 
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/27(土) 21:48:57.12 ID:EQtiFobR0
「ヒハハハハハ!動きが見え見えだぜ!」
「くそっ!狭いところだと力が発揮できねえ……。」

 その横ではシャドーマンを扱う裂邪とUFOを扱う裂邪が戦っていた。
 地の利を得ている裂邪(影)が建物の中にある幾つもの影を利用して多方面から攻撃をしかければ、
 それに対して普段から苛酷な修行を積んでいた裂邪(U)は経験を生かして攻撃を回避しながらUFOを裂邪(影)に飛ばし続ける。

「裂邪!練習したあれを……」
「「え?」」
「うわまぎらわしっ!」
「隙あり!スカルパンチ!」
「ぐわぁ!」

 割とコミカルだが本人達は真剣そのものである。

「陽子ちゃん!」
「あ、希ちゃん。」
「私みっちゃん連れてくからやっちゃんお願い!」
「え?」
「裂邪も龍一さんも様子変らもん、陽子ちゃんしか信用れきないわ。」
「あらこの子インテル入ってるのかしら。すごい高性能。」
「こあつーでゅおぷろせっさー」
「喋った!?」
「お姉ちゃんこっち!秘密の通路が有ゆの!」
「う、うん解った!」
「しまった!」
「させるか!」

 丁度その瞬間、明日真が霧になって消える。
 黄昏裂邪(影)も消える。
 そう、彼女の能力には時間の限界があるのだ。
 二人の攻撃が陽子に迫る。
 
「そ こ ま で で す」

 突然凄みの聞いた声が部屋に響く。
 陽子の頭が物凄い力で掴まれる。
 龍一の刀が二本の指で止められる。
 裂邪のUFOが頭突きで叩き落される。

「茜さん!」
「茜さん今までどこに!?」
「――――――――誰?希ちゃんあの人……」
「茜さん、上田さんの奥さんだよ。」
「でも体弱いって……」
「身体が弱いことと戦闘力は別問題だよ。」

 茜はゆっくりと彼女の方を振り向く。

「えーっと貴方が陽子さんね。」
「は、はい……」
「茜さんどいてそいつ殺せない!」
「そいつは危険なんだ茜さん!」
「――――――喝!」

 茜の大声で窓ガラスがミシミシと音を建てて揺れる。
 裂邪は流石に怖かったのかビクッと身体を震わせる。
 龍一は顔をしかめて耳を塞ぐ。

「大の男が女の子に二人がかりで襲いかかるなんて何があっても許せません!」
「でも……」

 パチン!パチン!と勢い良く音が鳴る。
 裂邪と龍一は派手に壁に叩きつけられる。

「う……あれ?」
「……今まで俺たちはなにを?」
「眼を覚ましたみたいね。」
「ふー……もとに戻ったみたいね。」
「良かったー。」
「ぎりぎりせーふ!」
「え、ちょこの子達喋れ……」
「それよりも大変なのです!愛美さんはもう行ってしまわれましたか!?」
「何がです?」
「それがですね……」



673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/27(土) 21:49:47.43 ID:EQtiFobR0
――――――――――――――――――


「望!やつの動きを止めろ!被害を減らす!」
「零人、お前は奴の気をできるだけ引きつけて望の近くまで誘導しろ!」
「任せてください!」

 町の中で暴れる三つ首の化物。
 本来地獄の門を守る筈のそれはこの国の言葉でサーベラスと呼ばれていた。
 先ほど裂邪達が見かけた奴隷の連れこまれた建物を執拗に破壊するサーベラス。
 まるでそこに何か恨みがあるかのように。
 サーベラスの怒号が町を震わせる。
 町が、泣いている。

「隙あり!」
「良いぞ!」

 零人はサーベラスの尻尾をつかんで振り回す。
 そしてそのままジャイアントスイングの要領で投げ飛ばした。

「頼んだ!」
「よし来た!“花いちもんめ”ぇ!」

 投げ飛ばされたサーベラスに鋼線が絡みつく。

「お買い上げぇ!」

 次の瞬間、サーベラスの身体が硬直する。

「そのまましっかり捕まえていろ……!」

 愛美が中国拳法のような構えを取る。
 それと同時に地面に巨大な穴が空き彼女の背後に突如として巨大な龍が現れる。

「力を貸せ!ニーズヘッグ!」
「合点承知!」





「臥龍」
「爆裂脚!」




 愛美が己の脚力のみで空高く舞う。
 それをニーズヘッグが頭を使って弾丸のようにサーベラスに向けてはじき飛ばした。
 そしてその間に彼は自らの吐いた炎を彼女にまとわせる。
 これぞ新島愛美の持つ必滅の一撃“臥龍爆裂脚”。
 街中に響く爆音と共にサーベラスは灰と化した。
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/27(土) 21:50:58.73 ID:EQtiFobR0
「完璧だったな。」
「みたいですね。」
「すっげえ……。」
「まあざっとこんなもんだ。」


「いやーすごいすごい!昔と全く変わらないキレだ!」


 背後から響く拍手の音。
 人の良さそうな明るい声。
 
「いやー流石ですよ愛美さん。」
「上田……今更現れてなんのつもりだ?」

 そこに立っていたのは上田明也。
 彼は愛美を見るなり指をパチン!と鳴らした。

「いえいえ……」
「―――――――危ない!」

 愛美は咄嗟に零人と望を突き飛ばす。
 その次の瞬間、愛美の半径5mに光の束が降り注いだ。

「ぐああああああああああああああああああああああ!」
「ひゅー咄嗟に庇ったか。」
「上田貴様……何の、真似だ!?」 
「見てのとおりですよ……っていうかまだしゃべれるんですね。」

 もう一度上田はパチン!と指を鳴らす。
 すると次は街中に、光の束が降り注ぐ。

「くはははははは!愉快痛快!ソドムもゴモラもかくやあるらむ!」
「上田さん貴方何をやっているの!?」
「見ての通り大虐殺!この街を手始めに……やがて世界中にこの虐殺は広まるのだ!」
「一体何が目的で……」
「上田……お前まだ父親のことを……」
「安心してくださいよ愛美さんそして望、破壊しているのは奴隷商人とか貴族とか王族……そうさ、“あいつ”みたいな輩の住居だ!
 まあ普通の人間も死ぬかも知れないけれど……運が悪かったってことで。」
「そんなことはさせない!」

 零人が上田に飛びかかる。

「そういえば説明し忘れていた……俺の契約する都市伝説は“隙間女”」

 上田は近くに有った瓦礫同士の間に自分の体を挟み込む。
 すると彼はあっという間に零人の背後に回り込んでいた。

「はさみ込むことで、全ての存在を自由な空間にワープさせられる。
 差詰めスティール・ボール・ランの大統領ってところか……。」
「逃すかあああああああああああああ!」
「待って零人、そいつ相手に一人じゃ勝ち目が無いわ!」

 零人は上田に背中から派手に蹴り飛ばされる。

「くそっ……!」
「どうしても俺と戦いたいならば俺がたった今使ったレーザー兵器……ラピュタ内部で待ってやる!
 とはいえ俺も暇じゃない。刻限は今日までだ。明日の日が登るまでに貴様らが来なければ……俺はこの世界を滅ぼす。」

 高らかに宣言して上田の姿は何処かに消えて行ってしまった。

「ラピュタ……」

 零人は空を見上げる。
 たしかにそこには巨大な城が浮かんでいた。



――――――――――――――――――――――
675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/27(土) 21:51:36.09 ID:EQtiFobR0
――――――――――――――――――――――


 所変わって新島愛美の拠点。

「そもそも私は奴隷の出でした。」
「え?茜さんが?」
「聞いてなかった……。」
「まだ愛美さんに会う前の彼に買われて身の回りの世話をしていたんです。
 当時の彼は世間への憎しみと怒りだけで暴れまわる……悪魔でした。
 私も気に入らなければ何時捨てられるかとビクビクしながら過ごしていたのです。
 でも彼は私みたいな奴隷には意外と優しくて……私みたいな人々を金で買っては故郷に帰していました。」
「そんな過去が……。」
「そんなある日、私は意を決して彼に聞いてみたんです。
 何故こんなに良くしてくれるのかって。」

 重苦しい沈黙が広がる。

「……彼の母親が元々都市伝説の国の高貴な身分の女性だったそうです。
 でも彼の父が将軍をしていた国に攻め滅ぼされて……。
 事あるごとに彼女の恨み言を聞いていた上田さんは父親と国を恨むようになったそうです。
 母親が病気で死んでからすぐに家を出て、後は自分の腕一本を頼りに諸国を渡り歩いていたそうです。
 その話を聞いてからしばらくして私たちは愛美さんに会いました。」
「なんか……重たいな。」
「それで、その大変な話っていうのは……。」
「ええ、明也さんはまだ……世界そのものに恨みを持ってます。
 私もさっき知らされたばかりなのですが……」

 ドアが開け放たれる。
 そこにはギャグマンガのように黒焦げになりながらもなんとか自力で歩いてきたらしい愛美が立っていた。

「そこから先は私が話す。」
「愛美さん!?」
「あのワルガキ……おとなしくなったと思ったらこれだ!
 茜お前もっとあいつをちゃんと見張っておけ!」
「無事だったんですか!?」
「これが無事に見えるか!」
「まったく!」
「だよな!」

 やれやれ……と愛美がため息をつく。

「お前ら!上田の馬鹿が何をトチ狂ったか世界を滅ぼすとか言い出した!
 全員であいつの根性叩き直しに行くぞ!」
「軽っ!」
「ノリ軽くないですか……。」
「陽子ちゃん、愛美さんはどんなきついシチュエーションでもあんな感じだよ。」
「裂邪!お前はUFOで私と茜さん以外の全員を連れていけ。」
「あ、愛美さんも茜さんにはさんづけなんだ。」
「任せてくれよ!」
「愛美さんは?」

 愛美は身体をぶるっと震わせて焦げていた自らの肌をふるい落とす。
 龍と契約しただけあってとてつもない再生能力である。

「茜を連れて先に行く。ついてこい!」
「勿論です!」

 茜の手を引いて颯爽と部屋を出る愛美。
 巨大な翼を背中にして彼女は再び飛び立つ。
 それが誰かの道になるように。
 
【極光の紗綾(異説・COA編 中編)】
676 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/08/27(土) 22:08:20.68 ID:7Ntvcx7/0
単発の人乙でした〜
これはまた。なんと言うダークなヒロイン……


笛の人乙でした〜
零人くんも陽子ちゃんもいいキャラしてるぜ
少しもぶれない裂邪wwwwww
明日真君と龍一の因縁の対決……
サイレスの都市伝説が本人もあいまってえぐい性能になっておる……
愛美さんつえええええええええええ!!
茜さんかっけええええええええええ!!
そして上田の出生が重い……
677 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/27(土) 22:24:41.07 ID:WRzWsNRT0
笛の人乙です〜
裂邪vs裂邪wwwwwwwwww吹いたwwwwwwwwwwww
しかしやっぱり上田は・・・いや待て、上田ならきっと・・・
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/27(土) 22:26:09.99 ID:ip3R2YJG0
単発の人と笛の人乙ー!
なんというダークヒロイン
討伐したい……はぁはぁ

裂邪のぶれなさにお茶噴きかけましたお茶返して
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/27(土) 22:38:26.56 ID:KHQzRWhSO
討伐して良いのよ?
他に倒す人がいないなら
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/27(土) 22:39:13.51 ID:EQtiFobR0
詰め込めるだけ詰め込んでみました
全部やったらライダーだったら三話以上になりそうだ


あの世界の上田はねえ……イイ奴で可哀想な奴だよ
上田父は……ぶれねえ、イイ奴だけど

ちなみにあのサイレスは本物のCOA編で出てきたボス都市伝説全てと契約しています
だから治癒とかもできるしとにかくなんでもできる
これから先も二人の前に現れます
裂邪はナンパが上手になってます
あと茜さんは背中か胸元に焼印入ってるよ多分
あとこの世界で龍一くんと明日くんは同郷の知り合い
でも陽子が呼び出す明日くんはまた別物
681 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/27(土) 22:59:37.68 ID:WRzWsNRT0
>>680
>裂邪はナンパが上手になってます
(裂邪>まるで俺がナンパ下手みたいじゃないか、心外よ、裂邪心外
(シェイド>ソモソモシタ事スラナイダロ、アトウザイ
682 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/08/27(土) 23:11:20.15 ID:7Ntvcx7/0
>>680
>ちなみにあのサイレスは本物のCOA編で出てきたボス都市伝説全てと契約しています
仕様外ボス全乗せのサイレスとか恐ろしすぎるわ……
683 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/27(土) 23:12:14.87 ID:WRzWsNRT0
あれ?
もしかしてこのサイレス様、ザ・ワールドできる?
684 :家族ごっこ(代理) [sage]:2011/08/28(日) 02:59:44.52 ID:oVFp0T8Go

「ただいまー、っと。」
「あ、おかえりなさい。ごめんなさいね、急にお使い頼んじゃって。」
「いいっていいって。大根、ここに置いとくね。」

 買い物袋から大根を取り出して台所に置き、そのまま冷蔵庫へと進む。
 そして一緒に買ってきたアイスを冷凍庫に入れていると、頭の上に何かが乗っかってきた。

「おにーちゃんおかえりなさい!」
「ただいまメリーちゃん。アイス買ってきたから、ご飯食べたらみんなで食べようね。」
「わーい!ありがとおにーちゃん!」

 嬉しそうにはしゃぐメリーちゃんを頭に乗せたままリビングへと歩く。
 リビングではいつものように小さな犬があぐらをかいてテレビを眺めていた。
 そいつは僕に気付くと首をこちらに向けて、ひひっと笑った。

「ようにーちゃん、お疲れさん。」
「ただいまジン。ああそうだ、お前にも買ってきたものがあるんだ。」
「飯か!?」
「まぁジャーキーも飯っちゃ飯だけど、夕飯食ってからな。お前アイス苦手だろ?その代わりにと思って。」
「……一本だけ。」
「ダメ。」
「ちっ、このしっかり者め。飯前に着替えとけよ、汗くせーぞ。」
「おにーちゃん臭くないよ?おにーちゃんはおにーちゃんのいい匂いだもん。」
「ありがとメリーちゃん。でも恥ずかしいからあんまりそういうことしちゃダメだよ?」

 頭に顔を埋めてスンスンと匂いをかぐメリーちゃんをひょいと持ち上げ、ベッドに腰掛けさせる。
 着替えを取るためにクローゼットに近づくと、クローゼットと壁の隙間から女の子がこちらを覗いてきた。

「お、お兄さん、おかえりなさい。」
「ただいまマオちゃん。着替え持ってくからちょっとクローゼット使うね。」
「あ、あの。服、洗面所に……置いて、ある。き……着替えると思って、用意しておいた、から。」
「お、わざわざありがとうマオちゃん。助かるよ。」

 ぽんぽんと頭をなでてやると、マオちゃんは顔を赤くしてクローゼットの裏に隠れてしまった。
 着替えの用意された洗面所に向かう最中、台所から声をかけられた。

「あ、シャワー浴びるの?もうすぐご飯できるから早めにね。」
「いや、着替えるだけだよ。着替えたらお皿運ぶの手伝うね。」

 そういうとちゃっちゃと着替えて台所へ行き、盛り付けられた食事をリビングへと運んでいく。
 そして全員が席に着き、いただきますと唱和して、賑やかな食事の時間が訪れる。
685 :家族ごっこ(代理) [sage]:2011/08/28(日) 03:00:30.40 ID:oVFp0T8Go

「あ、この漬物おいしい。手作りっぽいけれど、サキさん作ったの?」
「ううん。それ、ついさっき隣の赤間さんから頂いたの。」
「そうなんだ。買い物と入れ違いになっちゃったのかな?後でお礼言いに行こう。」
「そうそう、お返しにと思って、お惣菜多めに作っておいたの。一緒に持っていってもらっていいかしら?」
「うん、ありがとうサキさん。……あ、そういえば、大家さんから『今度一緒に食事でも』って誘われたんだけれど、みんなも来る?」
「……大家さんって、メアリーさん?」
「うん。みんなと一緒でも二人っきりでもいいって言ってたから、みんなはどうかなって。」
「メアリーおばさんとお食事するの?」
「メリーちゃん、それ大家さんの前で言っちゃダメだからね?メアリー『お姉さん』って言わないとあの人怒るから。」
「ひひっ、にーちゃんとあの大家が二人っきりねぇ……。さぁてなにをされるのやら。」
「なっ、何言ってるのよ馬鹿犬!何もあるわけないじゃない……そりゃまぁ確かにちょっと……心配、だけれど……。」
「おにーちゃんとメアリーおばさ……メアリーおねーちゃんが一緒だとイケナイの?」
「ふ、二人っきりは、ダメ。行くなら、み……みんなと。」

 マオちゃんが袖をきゅっと掴んで上目遣いで懇願してくる。
 苦笑しつつ反対側の手で安心させるように頭をなでてやると、マオちゃんは再び顔を赤くしてわたわたとうろたえる。

「ああは言われたけれど、みんなを置いては行かないよ。みんながダメなら申し訳ないけれど断ろうかな、って。」
「ま、まあそういうことなら考えてあげなくもないけれど。……あ、あなたがいいならあたしは別に……。」
「メリーはメアリーおば……メアリーおねーちゃんとお食事したい!」
「み、みんなが行くなら、わっ、私も……。」
「当然オレだけ仲間はずれってことはないよなぁ?」
「みんなありがとう。じゃあみんなと一緒なら、って明日伝えてくるよ。日付とかも適当に決めちゃうね。」
「ひひっ、あいつの残念そうな顔が目に浮かぶぜ。」
「……?残念ってことはないと思うけど……。」
「おにーちゃんアイス食べたいー!」
「あ、そうだね。じゃあごちそうさまして片付けたらアイスにしよっか。ジンはジャーキーな。」

 手を合わせてごちそうさまでした、と唱和してめいめい食器を片づける。
 そしてアイスを片手に談笑しつつ、一家の夜は更けていく。

 これは、どこにでもある家族の物語。
 これは、どこまでも平和な家族ごっこ。
 共に笑い、共に泣き、共に歩む、人と都市伝説の物語。
 この平和な日常が、いつまでも、どこまでも続きますように。



【終】

686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/28(日) 03:07:03.39 ID:/oDwmlgC0
代理投下乙です

この時間はどうやら君と私の二人っきりらしいぞ!
人面犬のおじさん「この時間はどうやら君と私の二人っきりらしいぞ!」
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/28(日) 03:18:59.83 ID:oVFp0T8Go
あら、それは光栄だわ
しっぽりせざるをえまいよ!
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/28(日) 09:03:43.16 ID:qK5QOIdDO
今日が終わったらまた少し休める…
689 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/28(日) 09:24:21.46 ID:wEWX3Dgk0
避難所でも書いたけど、家族ごっこの人乙です〜
そして代理の人も乙です〜

そういや、サキさんは何の都市伝説なんだろう
マオさん=スキ“マオ”ンナ メリーたん=“メリー”サンノデンワ ジン=“ジン”メンケン
だとすれば、キリ“サキ”ジャックかな?とか思ったけど、無難に『裂け』の活用形変えての「口裂け女」かな・・・

とか勝手に推理するような話題もたまにはどうかと
690 :単発ネタ [sage]:2011/08/28(日) 12:06:29.47 ID:sJmTE66AO
 布団の中は暖かいけれど、寝転んでいるのは少し苦しい。けほ、と軽く咳き込んだだけで口の中が鉄臭くなった。喉の奥の、胸辺りがカリカリと引っ掻かれたように痛痒い。
 思わず眉を寄せたら、ベッドの横で本を読んでいた同居人に心配そうな目で見られた。
「大丈夫ですか?」
「全身包帯まみれな人には言われたくない」
「ですよねー」
 頭から爪先まで全身包帯で覆い、その上から白衣を着たミイラみたいな同居人は笑う。目と口は見えてるから、意外ところころ変わる豊かな表情が解って見ていて楽しいっていうのは、秘密だ。
 同居人は白衣に包帯を着ているけれど医者でもミイラ男なんかでもなくて、注射男だ。都市伝説のあれ。道行く人に毒や血を注射する変態さん。都市伝説っていう存在だから人間かどうかも怪しい。
 そして、その怪しい男は私と契約している。私がまだベッドから出て外に出歩けた時に、都市伝説がその存在を強くするための契約を交わした。
 嫌な顔一つしないで、私がベッドでの生活になっても一緒にいてくれる。でも、たしか契約ってそういうものじゃなかったと思うんだ。
「いつも気になってるんだけどね」
「なんですか」
「なんで私の世話なんかするの」
 注射男がきょとんとした。包帯で解り辛いけど少なくとも私より年上で大人な男の人のそんな顔はなんだか笑えた。
「貴女が契約者だからです」
「だったら」
「しませんよ」
「まだ言ってない」
「契約解除でしょう」
「うん」
「しません。僕の契約者は貴女以外にありえない」
「なんで」
「貴女以上に僕を思ってくれる方がいますか?」
「自信過剰」
「事実ですから」
「ばか」
「上等です」
「……ばーか」
 注射男の言葉はストレートで、真っ直ぐ過ぎて恥ずかしかった。注射男の顔に笑っている場合じゃない。
 掛布団を頭まですっぽり覆って隠した。きっと私の顔は赤い。注射男の控えめな笑い声が布団越しに聞こえて、余計顔に血が昇るのが解った。
 注射男は都市伝説。つまり人の噂の実体化だから、誰かに思われて覚えられる事が存在してる理由で目的だって私は知ってる。注射男からすれば当たり前の事を言っているだけで、それが正しいのが更に恥ずかしい。
 他の注射男ならどうか解らないけど、甲斐甲斐しく私の世話を焼いて一緒にいてくれるこの注射男に関してなら、思いの強さは私が一番だ。言い切れる。
 言い切れるのが恥ずかしい。
691 :単発ネタ [sage]:2011/08/28(日) 12:07:38.53 ID:sJmTE66AO
「ふふ、頭まで被っては息苦しいでしょう。出てきてください」
「ばーかばーか。見かけミイラ男のくせに」
「それは関係ないでしょう」
「知ーらない」
「子供ですか」
「うるさいな。子供で悪かったね」
「構いませんよ。楽しんでますから」
「子供の世話を?」
「はい」
「そう思ったら歳だよ」
「僕に年齢はありません」
 見た目は大人なのに。でも、そうだ。注射男は都市伝説だから、大人の男の人っていう設定なだけなんだ。
「あのさ。さっきみたいに、恥ずかしいことを……簡単に言わないでよ」
「恥ずかしい、ですか? 何が」
「解ってて言ってるなこの野郎」
「貴女は可愛い人ですから」
「可愛いとか言わないで」
「思った事を言っているだけです。面白い反応をしてくださるので、貴女には飽きません」
「人を玩具みたいに」
「まさか。大切な契約者ですよ」
「嘘くさ……っ!」
 気管が詰まった。というか噎せた。咳が止まらない。
 息が苦しくなって吸い込んでも、布団の中には温い空気があるだけで余計に咳が出る。喉の奥が痛い。胸の奥から鉄の味が込み上げてきた。苦しい。
「大丈夫ですか!?」
 注射男が布団を剥ぐ。一気に新しい空気が入ってきた。
 注射男に背中を支えられて起き上がる。
「う……ゲホッ、ぐ……」
 息を止める。苦しいけど、取り敢えず落ち着かないともっと苦しい。
 ぼたぼた、口から溢れた血が布団を汚した。
「だから言ったんです。布団を頭から被ってはいけません」
「……鼻血が出るくらいなら聞いたことあるけど、吐血するは聞いたことない」
「でしょうね」
 口に溜まった血がねちゃりと粘る気がする。これのせいで更に噎せそうだ。
 包帯に覆われた注射男の手が背中を擦る。もう片方の手がハンカチを渡してきた。
「拭いてください。口元、真っ赤ですよ」
「うん。ありがと」
「どういたしまして」
 口の周りにケチャップが付いた子供じゃないんだから、もうちょっと慌ててもいいと思うんだけど。注射男も私も慣れてしまって、焦ることもなくなった。
 注射男は手際よく布団を丸めて、周りに血が付かないようにしてくれている。すぐにでも替えを持ってきてくれるんだろう。
692 :単発ネタ [sage]:2011/08/28(日) 12:08:46.02 ID:sJmTE66AO
「……ごめん」
「何か謝ることがありますか?」
「だって、迷惑」
「迷惑ではありませんし、僕が望んでやっていることです」
「吐血の世話を?」
「それはマニアック過ぎますね」
「吐血フェチ……ゲフッ」
「下らない事を言っているからですよ。安静に」
 まだ残っていた血を全部吐き出して、渡されたハンカチで拭く。胸の辺りがずきずきと痛んだ。
 見たら、服にも汚れが付いている。替えを持ってきますと言って、注射男は丸めた布団を抱えた。歩く白衣の背中を自然と目で追う。
 部屋から出る時に、注射男は立ち止まり振り返った。ギシ、と注射男の片足が踏んだ廊下の床板が音を立てる。
「本当に、迷惑だなんて思ってはいませんよ」
 注射男は名前の由来になっている注射器を、布団を抱えていない方の手に持っていた。包帯の隙間の目が柔らかく細められる。
「大義名分、出来ましたしね」
 ……そういえば、そろそろ注射の時間だった。この野郎、何だかんだ言ってそれ目当てか。
 床板が軋むどこか楽しそうな音が遠ざかっていくのを聞きながら、注射男が居なくなった扉の向こうを睨み付けた。


693 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/28(日) 14:05:37.20 ID:wEWX3Dgk0
単発の人乙です〜
イチャイチャとかもげ・・・いや待てよ
俺が深読みしすぎなのか、不吉な予感がするんだ・・・
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/28(日) 14:13:26.41 ID:oVFp0T8Go
乙です
どれほど重い症状なのか分からないが
なんとか快方されればいいと思う
695 :単発 [sage saga]:2011/08/28(日) 16:49:43.18 ID:ytgYmf6v0
「都市伝説に光線銃が効くのかどうか、お前はどう思う?」

……今まで実践で散々使ったし、効果あるから使ってる筈だから、効くんじゃないんですかね

「経験からの帰納か。悪くはない回答だな」

光線銃は嫌いなんですか?

「嫌いではない。何故それを聞く」

いえ、光線銃の使用を好まない人も多いと聞いたもんですから

「何故我々黒服が光線銃を使用するのか……。よく言われるのが我々が黒服だから、だ」

黒服は光線銃を使う、って定番なんですかね

「知らんよ。まあ実際には市街地で実銃を発砲した際の後処理が煩雑だから、というのが大方の理由だろうな」

はあ……

「では都市伝説に実銃が効くのかどうか」

さあ……、でもどうなんですかね。効くんでしょうか

「俺の経験では効くよ。少なくとも実体のある生物型とかならな
 そうでなくとも、契約者が居るならそれを撃った方が早い。契約者を殺せば都市伝説も勝手に死ぬ」

ああ、過激派がよく使う手ですよね

「正確には一昔前の過激派の常套戦術だった……。あの頃は良かったよ
 何せ穏健派の我々でも殺処理にしても五月蝿く言われる事は無かったからな」

ああ、次の角を左ですよ。あの標識の建っているT字路です

「さて、では次の質問だ
 都市伝説は、何故人間と契約するのか。したがるのか」

……よく聞くのは都市伝説が自分の存在を強化するために、という説明ですけど

「至極一般的な回答だ。新人の黒服でその程度答える事ができればパーフェクトだな
 ……だが、それだけが理由だろうか。いや、もっと言えば、それは果たしてどの程度的を射ているのだろうな?」

どういう事でしょうか

「その回答にかつて中立派が批判を加えた事がある
 彼ら中立派曰く、都市伝説が存在を強くしたいのみならば、契約せずとも幾らでも方法があるのだと
 例えば、人間を殺さずに適度に脅しておく。脅された人間は身の上に起きた恐怖を撒き散らすだろう
 都市伝説は人々の口から口へと伝達し、脚色される度にその速度は加速していく」

噂が伝わるプロセスですよね

「加速すればするほど、噂にあがる都市伝説の存在はそれだけ保証される事になる
 事実、口裂け女で盛り上がった70年代には、口裂け女の存在が保証されるどころか腐る程に増殖した
 話を戻そう
 では、都市伝説は何故、人間と契約をしたがるのか?」

それは……
696 :単発 [sage saga]:2011/08/28(日) 16:51:08.84 ID:ytgYmf6v0
「こんな話を聞いた事はないか?
 契約者の大半は、都市伝説によって身に危険が及んだ際に、都市伝説に契約を持ちかけられている、と」

……聞きますね
確か、都市伝説に襲われている所に
別の都市伝説が助けに来て、流れで契約してしまうというパターンは聞きます

「まさにそれだよ
 何故、そのような状況が多いのか?
 一説によると、都市伝説同士が共謀して人間を窮地に追いやり、契約しやすい状況を作り出しているのでは、という推測がある
 ある都市伝説が人間を脅かす。そこへ打ち合わせ通りに別の都市伝説が助けに入り、契約する
 そして脅かした都市伝説は契約した都市伝説と契約者によって殺害される……と見せかけて実は逃げ延びている
 今度は、最初の都市伝説が、晴れて契約者を得た都市伝説と協力してカモを探す、こんな具合だ
 あくまで一説だがな
 しかし、いずれにせよ都市伝説は人間と契約したがる」

結局、契約する理由というのは何なのでしょうか?

「俺にも分からんな
 この疑問はあくまで疑問でしかない。だが俺はこう推測する
 契約者を得た都市伝説は、より強い規模で存在が確定する。恐らく連中は、その先の段階へと進もうとするだろう」

先の段階、ですか

「都市伝説というのは、社会に憎悪や不安、悲しみや怒りといった負の感情を流したがる
 契約者を得た後は、一体何をしでかすか。大方の予想はつくだろう?」

しかし……、良心的な契約者だったら止めるでしょうね

「契約者というのは、契約に付随する特殊能力というおこぼれを得た途端に理性だのモラルだのは吹っ飛ぶものだ
 しかし、都市伝説の側からすれば、行動の一々に口を出さない契約者であれば都合がいいだろうな
 生かさず、そして殺さずの、植物人間の様な状態であればなお良いだろう
 病気で寝たきり、思うように動けない、というのも悪くないな」

あ、着きました。この建物です

「上層からは『殺すな』と言い渡されている
 もっとも、どちらを『殺すな』なのかまでは指示されていない」

ディープ・スロートからの情報によると、潜伏している都市伝説は『注射男』だそうです
詳細は不明ですが、契約者は軟禁状態のようですね

「気をつけろ、あちらが手練れなら我々の到着に気づいている筈だ」

……それって光線銃じゃないですよね

「室内戦ではサブマシンガンの方が取り回しがいいんだよ、覚えておけ」

殺すつもりですか?

「契約者はもう長くは持たないだろう。引導を渡してやるのも我々黒服の務めだ」

本当に穏健派所属ですよね……?

「俺は昔からずっと穏健派さ。ずっと、な。さあ、配置につけ。容赦はするなよ、さもないと殺られるぞ
 ……じゃあ始めようか」

697 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/28(日) 17:36:19.75 ID:wEWX3Dgk0
乙です〜
契約を持ちかける理由か・・・気になるな
色んな作者様に聞いてみたいかも

・・・ところで、後半部分が>>690-692と一致してて怖い
ID違うけど・・・
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/28(日) 18:06:08.23 ID:qK5QOIdDO
まったくほのぼのじゃなかったΣ(゜д゜;)

都市伝説が契約を求めるわけか…
「人から生まれたものが人に帰りたがっている」
というのはあまりにもセンチメンタルが過ぎるでしょうか
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/28(日) 18:37:41.77 ID:hxEdeASSO
不安定な存在だから

「青いおしっこ」や「壁に耳あり」には契約なしだと戦闘能力なんてないから
700 :ソニータイマー [sage saga]:2011/08/28(日) 19:13:22.29 ID:lm186hJN0
他の奴等も契約してるから、この場所から出てみたいから、何となく面白そうだから、恋心から、契約者を利用するため…まぁ、都市伝説によってそれぞれ事情があるんでしょうな。では投下開始

「全てプラズマで説明できる」
この世はあらゆる都市伝説、怪談、怪奇現象に溢れている。特に学校町ではそれが非常に多い
「うう…変な都市伝説に会わなきゃいいなぁ」
少し怯えながらも、歩いている彼は板妻 説(いたづま さとし)。科学部である
説「…でも本当は都市伝説なんて眉唾に決まってるんだ。だって、そんなの簡単に説明がつくんだから」
呟きながら歩く説。都市伝説の存在を必死で否定しているようだ
すると、何処からともなく蝙蝠が飛んでくる
説「ん? 蝙蝠? 珍しいな…」
突然、蝙蝠が説に噛み付こうとする
説「な…なんだ!?」
いち早く説がそれに気づいて蝙蝠に触れると…蝙蝠の体が燃えた
『く…契約者だったか…』
蝙蝠が集まり、真の姿を現す。紳士のような姿に、鋭く大きな牙。そして、悪魔の羽…そう、『吸血鬼』である
説「な…『吸血鬼』!? 会わないと思ったのに会わないと思ったのに…!」
その姿に恐れ戦く説
『貴様…さっきの、『人体発火現象』か? それとも『パイロキネシス』か?』
説「そうであるとも言えるし、違うとも言える…ってとこかな」
『訳の分からんことを…食らえ! 私の魔術!』
魔術を使い、指から炎を飛ばす『吸血鬼』
説「くは、魔術ぅ? そんな物実在するわけないでしょう!?」
嗤いながら説が炎に触れると…
説「そんな物は簡単に説明できるんだ」
電気の玉に変わって無効化された
説「プラズマボール」
その電気の玉を『吸血鬼にぶつける説』
『な…炎、無効に続いて電撃!? 多重契約者か…!』
持ち前のスピードを生かし、それをかわす『吸血鬼』
説「確かに多重契約者だけど…よく分かったねぇ、僕はまだ一つしか都市伝説を使ってないっていうのに」
『…どういうことだ? まぁいい、ならば次はこれだ…サンダー!』
今度は雷の魔法を使う『吸血鬼』。『電撃には電撃』という考えだ
説「だーかーらー、魔術なんて存在しないって言ってるでしょう?」
それも説が触れると、今度は火の玉に変わって無効化される
説「ファイアーボール!」
『炎、無効化、電撃…くそ、正体不明だ…』
今度は飛んでかわす『吸血鬼』
『ならば、魔術など使わずに…』
『吸血鬼』がその目を光らせ、説の目を睨む。吸血鬼特有の、目を合わせた生物の動きを封じる魔眼だ
『ククク…貴様がどんな能力を持っていようと、動けなければ意味はない…!』
ニヤリ、と優雅に微笑みながら近づく『吸血鬼』。舌なめずりをしている
説「はぁ…何度言ったら分かるのさ。『魔術』が存在しないんだぜ? 『魔眼』なんて存在するわけないだろ?」
説の体が電気を帯びたと思うと、突然動き出した
『な…確かに動きは封じたはず…! 私の眼に狂いは…』
説「僕は信じないのさ。『魔術』や『魔眼』や『幽霊』なんてオカルトは…」
『魔術も無効、魔眼も効かない…ならば!』
天狗にも匹敵すると言われるスピードで、説に近づく
説「無駄だよ。『吸血鬼』だってオカルトだ…。教えてあげるよ」
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!』
鬼にも匹敵する怪力で、説にラッシュをかける『吸血鬼』。どこかに某スタンド使いの面影がある
説「『オカルトは全てプラズマで説明できる』んだ―」
説の手に触れた『吸血鬼』の拳は『プラズマ』の玉に変わり、無効化される
『プラズマ…だと?』
説「魔法も、魔術も、幽霊も、鬼火も、UFOも、人体発火現象も、吸血鬼も―」
説の手につかまれている『吸血鬼』の体は次々とプラズマに変貌していく
『貴様…やめろ…!』
説「そんなオカルト存在しない。だって全部…プラズマで説明できるんだから」
『やめろ…やめ…ろ…や…め…』
そして、遂に『吸血鬼』はプラズマへと姿を変えた。彼の契約都市伝説、『オカルトは全てプラズマで説明できる』。触れたオカルト系の都市伝説を、プラズマに変える…
また、プラズマをオカルト系の都市伝説に変える…そんな能力
説「あー…怖かったぁ…。でもまたこれで証明できた。『吸血鬼』なんて存在しない。『魔法』なんて存在しない。都市伝説(オカルト)なんて眉唾だ…
この通り、全部プラズマで説明できたんだから…」
人体発火現象? プラズマで説明できます。風呂に女の幽霊? プラズマで説明できます。 メリーさんの電話? プラズマで説明できます―
そう、この世の都市伝説や怪談、怪奇現象…オカルトは全て、プラズマ一つで説明できてしまうのです…




                      続く
701 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/08/28(日) 20:32:59.53 ID:dl3PI9rf0
これおもしれええええええええええええ!
むちゃくちゃツボに入りました
是非とも連載化して欲しいっす!
得手不得手がはっきりしているのが見てて面白い!
702 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/28(日) 21:46:36.70 ID:wEWX3Dgk0
ソニータイマーの人乙です〜
繰ちゃんのお父様くらいやばい能力だな・・・
なるべく敵対したくないwwww



契約を持ちかけた理由をとある5つの都市伝説にインタビュー

M「私は、今のご主人様に命を助けられました
  それで、ご主人様の恩返しがしたくて・・・え、いえ、そ、その時はまだ好きとかそんな気持ちは///」
L「中国から海を渡ってこっちに来て、契約と言うものの存在を知った
  それで試しに実行しようと品定めしていたら・・・今の主に当たった訳だ」
S「私ハ持チカケテ無イゾ。アイツガ自分カラ申シ出タノダ」
W「あっしも同じでい。あっしは旦那の考えに賛同して、一生ついていく事を誓いやした」
N『僕は強制的にだ。それも“封印”と言う名目で。全く、迷惑以外の何物でもないよ』
裂邪「・・・おい、お前ら何やってんの?」
703 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/08/28(日) 22:35:03.71 ID:lm186hJN0
>>701
誤爆…じゃありませんよね? ありがとうございます!

>>702
確か都市伝説を全く信じない故に触った都市伝説を消しちゃう人でしたっけ?
ちなみに説の能力はオカルト系都市伝説にしか通じません。つまり似非科学はプラズマにできないのです

あとミナワちゃん、理夢さん、シェイドさん、ウィルさん、ナユタ君何やってんすかw

SニーTマー『何トナクダ』
UJのHH『同類のにおいがしたからよ』
KR『ご主人様が拾ってくれたからだにゃー』
704 :再録・悪党と秘密の結社 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/08/28(日) 22:40:16.02 ID:L8SFkb06o
「『正義の味方』とは、何かね?」

 彼はそう問い掛けてくる

「『正義の味方』が戦う相手は、何だと思うかね?」

 彼はそう問い掛けてくる

「日常の些細な悪事の一つ一つかね? 強盗や殺人といった罪を犯しながらも、刑罰から逃れようとする犯罪者かね?」

 彼はそう問い掛けてくる

「己の脳内の狂った理屈で、日常空間で銃器を乱射するような狂人かね? 利権に群がり私腹を肥やし民草を苦しめる政治家かね? 己の支配欲のために圧政を強いる独裁者かね?」

 彼はそう問い掛けてくる

「日常の陰に潜む非日常、人の理屈と法が通じない『都市伝説』かね?」

 彼はそう問い掛けてくる

「どれも違う。最後の一つだけは、半分は正解とも言えるのだがね」

 彼はそう語り静かに笑う

「『正義の味方』は『悪』と戦うべきなのだ。人の理屈も、心も、何も干渉しない。ただそこにある『悪』、ただ『悪』を為す『悪』とだ」

 彼はそう語り静かに笑う

「『正義の味方』が戦うべき相手は……『悪の秘密結社』以外には無いのだよ」

 彼はそう語り静かに笑う

「そして……『悪の秘密結社』が戦うべき相手は、『正義の味方』以外には無いのだよ」

 彼はそう語り静かに笑う

「さて……君は、『正義の味方』足りえるかね?」

 彼はそう語り静かに笑う

「眩く輝くほどの愚直なまでの理想はあるかね? 改造された、製造されたなどの因縁はあるかね? 親友や恋人、肉親を手に掛けられたかね? ただ許せぬほどの『悪』を目の当たりにした事はあるかね?」

 彼はそう語り静かに笑う

「ああ、足りぬ足りぬ、全く足りぬ。ただ『仕事だから』などという理由では足りぬにも程がある。せめて弱き民草を守るという使命感に燃えるぐらいの感情は持ちたまえ」

 彼はそう語り静かに笑う

「残念ながら君は失格だ」
705 :悪党と秘密の結社 ◆W5H6Y5Rl3M [sage saga]:2011/08/28(日) 22:41:03.26 ID:L8SFkb06o
「だが、ね? これから君が立派な『正義の味方』に育つために、我々がしてあげられる事があると思うのだよ」

 彼はそう語り薄ら笑う

「親友や恋人、肉親を手に掛けてあげよう。その身体を化物に改造してあげよう。ただ許せぬほどの『悪』を、その目に焼き付けてあげよう」

 彼はそう語り薄ら笑う

「君が『正義の味方』足りえる存在になり、我々と戦う意義のある存在へと昇華されるまで、悪逆非道の限りを尽くして地獄を見せてあげよう」

 彼はそう語り薄ら笑う

「是非とも我々の『悪』を認めてもらいたい。理屈ではなく、感情で理解していただきたい。ただ『悪』であるための『悪』というものを心に焼き付けて、正義を執行する糧にしていただきたい」

 彼は手を上げて命令を下す

「さあ、彼の身辺を余す事無く探り尽くそう。もっとも親しい間柄の友を攫ってきて嬲り殺しにしよう。将来を約束するほどの女性を攫ってきて化物に改造しよう。愛しい家族を理不尽な事件や事故に巻き込んであげよう」

 絶叫が聞こえる
 罵倒が聞こえる
 だがまだ足りぬという顔で彼は嘲笑う

「まだ足りぬ。これは千尋の谷の上に吊るした程度では一皮剥けた『正義』には届かぬ。命綱を切って谷底に突き落とし、這い上がってきてこそ足りる『正義』となるのだよ」

―――

 それからしばし

「ダメでした」

 白衣の女の報告に、彼はあからさまに落胆の色を浮かべていた

「恋人を怪人に改造した辺りまでは良かったのですが、一番の友人と評判だった者が意外と小物でして。友人が今際に漏らした『お前のせいで』という恨み言がよほど堪えたのか、独房の隅で自害して果てているのが先程発見されました」
「そうか、残念極まりない」

 彼、『悪の秘密結社』の首領は本当に、心底残念そうにそう呟いた

「嗚呼、このまま世界征服などしたところで、世に数ある『陰謀論』の一つに身を堕とすだけ。我々が真に『悪の秘密結社』として成立するためには、『正義の味方』の存在が必要不可欠だというのに」
「気を落とさずに、大首領様。彼らの犠牲もまたどこかに伝わり、いつしか『正義の味方』を生み出す種火になるかもしれません」
「そうか、それもそうだな」

 白衣の女の言葉に、それまで嘆きに嘆いていた首領はころりと態度を変えて笑顔を浮かべる

「気を取り直して次のターゲットを探そう」
「はい、大首領様の仰せのままに」

 かくして『悪』は『悪』であるために『悪』を為し続ける
 いつか何処かで生まれる『正義』に倒されるその日まで
706 :悪党と研究者 ◆W5H6Y5Rl3M [saga sage]:2011/08/28(日) 22:47:56.65 ID:L8SFkb06o
「んー、やっぱりダメですね」

 白衣姿の女は首を捻りながら、作業台の上に散らばった材料を、脇にあるゴミ箱へとどしゃどしゃと放り込む

「やっぱり部品の質でしょうか。最近は材料集めしてないから、部品の選定も大変なんですよね」

 女はそう呟くと、手術用の薄いゴム手袋を外し、とことこと内線電話へと向かう
 細い指先がぺちぺちとボタンを押すと、何度かコールを繰り返した後に、壁に設置された猛禽類を象った紋章がぴかぴかと明滅し始めた

《プロフェッサー、研究の進展は如何かな?》

 低い男性の声は、やはり電話機ではなく紋章から流れ出てきた

「申し訳ありません、順調とは言い難いです」

 白衣の女はそう言って、紋章に向けて深々と頭を下げる

「昨今、どうも材料が足りておりません。素材Aは戦闘員を動員すれば簡単に調達できますが、素材Bはなかなか難しく」
《ふむ……確かに、素材Bは戦闘員を動員したところでそう簡単には集められないからな》
「そこで、材料不足を解決するために手に入れたい資料がありまして」
《ほほう。君の研究が進むのは我が組織にとって喜ばしい事だ。その資料を手に入れるために必要なものは、何でも使いたまえ》
「はっ、ありがとうございます総統閣下」
《なに、君の存在は我が組織に非常に役立っている。成果を楽しみにしているぞ》
「ご期待に沿えるよう尽力いたします、我が組織の栄光のために」
《そうだともプロフェッサー、君は我が組織をより強く、より大きく、より邪悪にできると信じているとも》

 紋章から流れ出る声は、実に嬉しそうに、実に楽しそうに

《さあ、悪を行おう。無慈悲に、無闇に、そして無意味に》
「ではこれより、悪を為すための悪行を開始致します」
《ああ、いつかより良き正義に出会えるよう、最善の最悪を尽くしたまえ》

 ぷつりと音を立てて、紋章の明滅が止まる
 白衣の女は笑顔を浮かべると、ぱちんと指を鳴らす
 それと同時に視界の外から染み出すように、全身を黒いタイツのような服で覆った無個性な仮面の男の群れが現れる

「さ、これから学校町へ向かいます。資料入手が目的ですが、材料調達もできるようならまとめてやってしまいましょう。なにせあの町は材料Bがとても豊富ですから」

 それまで着ていた白衣を脱ぎ、汚れた布類が押し込まれた籠にばさりと放り込む
 その汚れは全て、赤黒い血によるもの

「まずは廃棄品の処分を。胴体と腕部は実験体10022号から10036号の餌に。脚部は加工して捕虜64552号の食事に。捕虜64552号の食事が済んだら頭部を閲覧させて反応を記録しておいて下さい」

 ビニールの封から取り出した真新しい白衣に袖を通しながら、女は澱む事なくてきぱきと指示を飛ばす
 黒ずくめの仮面の男達、この組織の戦闘員は一切無言のまま白衣の女の指示に従い、ゴミ箱に詰め込まれた女の死体を運び出していく

「お掃除もお願いしますね。私、血のにおいって嫌いなんです、臭いから。それでは後は任せましたよ」

 ぷしゅうと空気が漏れるような音と共に自動で開いた扉から、新しい白衣の裾を翻して部屋を出ていく白衣の女
 この『悪の秘密結社』に所属する、プロフェッサー・ヴィッキーはこうして学校町へ向かう事になる
 悪を為し、悪を行い、悪を見せつけるために

―――

 バスの座席で、くうくうと寝こけていたヴィッキーを、戦闘員の一人が遠慮がちに揺さ振った

「……ふぁ? あら、もう着くのですか。流石早かったですね」
707 :悪党と研究者 ◆W5H6Y5Rl3M [saga sage]:2011/08/28(日) 22:50:05.13 ID:L8SFkb06o
 あふ、と欠伸をしながらぐいと身体を伸ばして立ち上がる
 皺の寄った白衣をぱんぱんと払い、笑顔で車内を見回した

「ごきげんよう諸君、バスの旅は快適ですか?」

 その笑顔と正反対に、完全に怯え切った様子の乗客達は、全員が子供であった

「何をそんなに怯えているのですか。安心して下さい、逆らわなければ即座に痛い目に遭う事はありませんから」

 その言葉に、顔を腫らした少年がびくんと身体を竦める

「そういう事だから、大人しくしていて下さいね? 運転手さん、目的地はそろそろですか?」
「あ、ああ、もうすぐ学校町との境だ! 学校町に着けば、子供達は解放してくれるんだな!?」
「勿論です、私達は約束は守る主義ですから。ですからスピードは落とさないように、あなたが死んだら子供達も巻き添えですからね。私達は平気ですが」

 運転席の周りには、妖しげなコードが繋げられた自動小銃がいくつも並べられており
 スピードメーターに接続されたそれは、速度が一定以下になると自動的にトリガーが引かれる仕組みになっているようだ

「くそっ……こんな仕掛けをする技術や資金があるなら、普通のバスにでも乗れってんだ」

 運転手がこっそりと呟いた愚痴を耳聡く聞きつけたヴィッキーが、ずいと運転席に顔を寄せて囁く

「そうは言われましても、こちらもかなり妥協しているんです……本当はスクールバスより、幼稚園バスの方が良かったんですよ」
「……は? な、何で」

 その言葉に、ヴィッキーはさも当然、何故そんな事を聞くのかといった顔で答える

「だって、その方が悪そうじゃないですか」

 返す言葉も無く音にならない息を漏らすだけの運転手から離れ、腕時計に視線を落とすヴィッキー

「さて、六時間程に及ぶバスの旅もそろそろ終わりなようです」

 戦闘員達がてきぱきと運転席周囲の自動小銃を片付け、あっという間に小さなトランクへと収めていく

「今回の一件は社会的には私達に一切触れる事の無い、奇妙な事故として片付けられるでしょう。世間の都市伝説的存在への扱いなんてそんなものです」

 大仰に手を広げて、楽しそうに楽しそうに語るヴィッキー

「さて……厳密には、まだ学校町には着いてないので約束は守られません」

 その言葉に、車内に居たほぼ全員の思考が止まる

「あなた達は私達の存在を知っている。あなた達は私達の存在を覚えている。だからこそ存分に」

 戦闘員の一人が、そんなポーズのままのヴィッキーをひょいとお姫様抱っこで持ち上げ、蹴破った乗降口から時速80kmで流れる地面へと身を躍らせた

「存分に私達を怨み、蔑み、憎しみ、恐怖して下さい」

 そんな台詞が残された車内で
 かちん、と
 小さいながらはっきりとした音が聞こえたかと思うと
 次の瞬間、バスは速度を落とす事無く走行したまま、爆発した

「さて……流石にこの町の中では、目的の事以外では大人しくしてないいけませんかね。複数の組織を敵に回しては、より良い正義が生まれる可能性が落ちるというものです」

 かくして、この町に悪意の塊が一欠片
 静かに静かに転がり込んだ
708 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/08/28(日) 22:52:11.05 ID:L8SFkb06o
投下できないスレ送りにされてた没ネタが復活するというハプニング
望まれちゃったみたいなので見切り発車で動き出させてみました

とりあえず避難所やらこちらやらの雑談からネタを拾って組み合わせて色々妄想してますので
ペースは遅いかと思われますがお付き合いいただければこれ幸いといった感じでございます
709 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/28(日) 23:11:42.77 ID:wEWX3Dgk0
三面鏡の人乙です〜
キタァァァァァァァァァァァァァ!!!
これは続きもwktkせざるを得ないぜ!
にしても、キーボードの上で軽やかに指を躍らせる三面鏡の人の姿が目に浮かぶようだwww(どういう意味だ


>>703
>ちなみに説の能力はオカルト系都市伝説にしか通じません。つまり似非科学はプラズマにできないのです
成程、つまり「燃素」とかには弱い訳か・・・
710 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/08/28(日) 23:32:20.76 ID:dl3PI9rf0
来た!きたよ!
来ちゃったよ!
心待ちにしていた人間Aである俺は狂喜乱舞ですよ!
やっぱスクールバスジャックといえば悪の組織の華!
さっそく見せつけてくれるじゃないですか
水道に毒物流したり
将来有望な好青年を攫ってバッタの化物にしたり
脳髄だけにして情報を引きずりだしたり
色々やってくれるであろうことを楽しみにさせて頂きます!
711 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/08/28(日) 23:33:21.81 ID:dl3PI9rf0
来た!きたよ!
来ちゃったよ!
心待ちにしていた人間Aである俺は狂喜乱舞ですよ!
やっぱスクールバスジャックといえば悪の組織の華!
さっそく見せつけてくれるじゃないですか
水道に毒物流したり
将来有望な好青年を攫ってバッタの化物にしたり
脳髄だけにして情報を引きずりだしたり
色々やってくれるであろうことを楽しみにさせて頂きます!
712 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/08/28(日) 23:33:55.10 ID:dl3PI9rf0
さて、自分の投下だ
713 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/08/28(日) 23:34:38.59 ID:dl3PI9rf0
【極光の紗綾(異説・COA編 後編)】

 入り組んで迷宮のようになっているラピュタの内部を只管進む。
 所々にある穴のようなものは恐らく愛美さんの通った後だ。

「ねえ兄様、他の方々と逸れてしまいましたけど一体どうするのですか?」
「どうしようも……ないだろ。」

 ラピュタに入り込んですぐに俺達は迷宮内部のトラップに嵌ってしまい、
 それぞれ別の場所に送り込まれていた。
 外に残っている裂邪達と連絡をとってなんとか集合しようとしているのだが……
 うまくいかない。

「見て見てお兄様!」
「なんだ?」
「この壁の破壊痕はまだ新しいわ。それにこの苔には足跡も残ってる!」
「……成程、追いかけてみる価値はあるな。」
「行きましょう、後から他の方々もついてきますわ。」

 俺たちは足跡をたどって急ぐ。
 爆音、近い。

「戦ってますよ!」
「ああ!急ごう!」

 眼の前に巨大な扉が現れる。
 聞こえる、確かに聞こえる。
 扉を開くと同時に、愛美さんが吹き飛ばされて地面に扉の横の壁に叩きつけられた。

「愛美さん!」
「大丈夫ですか!」
「来たか……お前ら兄妹が一番乗りか!」
「助太刀します!」
「いやいい!久しぶりに気分がイイんだ……最高だよ!
 あのワルガキがここまで強くなっていたなんてね!」
「愛美さん……御託はそれだけですか?」 

 腕をダラリと垂らし、身体をガラ空きにしたまま天を仰ぎ仁王立ちをする男、上田明也である。
 彼はがら空きの構えのままにじりじりと愛美さんに近寄る。
 愛美はその様子を見てにやりと笑う。

「くくく……良いぞ、すごくいい!」
「ハッハッハッハッ!俺も最高の気分です!」
「強くなったなぁ!」
「貴方の強さに焦がれたが故に!」
「行くぞ!」
「おう!」

 愛美さんの周囲で龍を模した火炎が乱舞する。
 上田の背中で虹色に輝く翼のような闘気が躍る。

「冒険者協会認定第三號冒険家!新島愛美!征討する!」
「冒険者協会認定第十號冒険家!上田明也!殲滅する!」
「號をかけて!」
「いざ尋常に!」
714 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/08/28(日) 23:36:08.96 ID:dl3PI9rf0
 お互いにゆっくりと歩み寄って……互いの顔を殴る。
 渾身の力を込めて互いの顔面に強烈な一撃を見舞う。
 隙だらけの大ぶりの一撃をお互いに躱すことも守ることもなく撃ち続ける。
 己の肉体と都市伝説から流入する力のみを頼りにしたシンプルな戦い。
 勝敗を決めるのは日頃の鍛錬と契約する都市伝説。
 そして都市伝説からどれほどの力を引きずり出せるか。
 といったところだろうか。
 互いにとって互いの攻撃から身を守ることも身をかわすことも容易い。
 だがそれはしない。
 都市伝説の戦いとは心の勝負。
 それをやった瞬間にやった側の心が負けるのだ。

「おい上田!」
「なんですか愛美さん!」
「お前なんでこんなことしようと思ったんだよ。」
「間引きですよ。」
「間引き?」
「人も都市伝説も、同じように泣き、笑い、死ぬ、生き物じゃないですか。
 それなのにどちらかだけがふんぞり返る国があるなんておかしいですよ。」
「お前は口が達者なんだ、そう説いて回ればいいじゃないか。」

 上田明也の腹に拳が突き刺さる。
 新島愛美の肩を掌底が抉る。

「言葉で人は動きません。人を動かすのは力です。
 失敗したジグソーパズルはバラバラにしてしまわなくてはいけないんだ。」
「バラバラにしたら人は死ぬだろうが。」
「パズルのピースはオンリーワンですが人間はオルタナティブな存在が沢山居ます。」
「戯言だね。」
「腹痛が痛いと言っているようなものですよ。」

 怖い、と思ってしまった。
 この二人の戦闘には言われるまでもなく入っていけない。
 それはまるで神事か何かのように聖なる気配さえ満ちている闘争だった。

「人間が進歩するじゃないですか。文明とか、文化の点で。」
「うん。」
「そうするとその度に人間という存在がこの星にもたらす影響力は強くなっていく。
 より強い兵器とか、より発達したシステムとか、そういうものは生まれるだけで地球に影響を与えていく。」
「悪いのか?」
「いいえ、それ自体は問題ない。
 力というのは握る物の手垢で汚れていくだけでそれ自体は無垢な存在ですよ。」
「じゃあなんだ。」
「今言ったとおり、力は持つ者の手によって姿を変えます。
 そして今の文化文明はあまりに多くの人々に力を持たせすぎた。
 あまりに多くの力に無自覚な人々が無自覚なままに他者を侵害し続けている。
 愚かなことが罪だとは言いますまい。
 でも愚かな人々にすら力を持たせ、罪もない者を虐げさせるこの世界のシステムは明らかに罪だ。
 罪は正されねばならない。
 だから……俺が正すと決めた。」

 上田が拳を振るうたびに虹色の羽が辺りに舞う。
 そして愛美さんが拳を振るうたびにその羽は真っ黒に焦げていく。
715 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/08/28(日) 23:37:36.48 ID:dl3PI9rf0
「お前は何様のつもりだ!」
「俺は天地に一人立つ上田明也という名前の男だ!」
「お前は一人じゃない!そこに転がっている女を見ろ!
 お前に愛されてしまった哀れな女だ!
 お前しか愛せなかった哀れな女だ!
 あいつが居る限りお前が一人などと言えるものか!」
「うるさい黙れ!」

 と、愛美さんの台詞でやっと気づいた。
 茜さんは何処だ。
 
「兄様あそこ!」

 茜さんは部屋の隅で気絶していた。
 
「戦闘開始と同時に二人から攻撃を受けて気絶させられたみたい……」

 妹がボソリと呟く。
 恐らくラプラスの魔辺りを限定状態で召喚したのだろう。
 あれならば過去視が使える。

「……ん?待ってあの人……!」
「おい待て陽子!」

 彼女はとっさに茜さんに駆け寄って彼女の介抱をし始めた。
 怪我している様子は無いし……謎だ。

「大人に向かって黙れとは……何時まで経っても本当にクソガキだな!」
「失礼な大人だ、少年の心を忘れないと言ってもらいたい。」
「少年の心しか無い奴が戯けるな!」
「男が大人になれると思うな!」

 二人の拳が同時に入る。
 二人はそのまま同時に崩れ落ちた。
 遠くから足音が聞こえてくる。
 だがまだ遠い。

「く……くふふ!はは、はははは!ハッハッハッハッハッハ!
 やった!やったぞ!俺の勝ちだ!俺が勝ったんだ!」

 その時、突然上田が立ち上がって高笑いを始める。
 あれだけのダメージを受けて立っていられるのか!?

「あいつらはまだ来ないか……とはいえもう愛美さんを倒したんだ。
 世界を破滅させたところでなんら問題無かろう。
 ラピュタの末裔の名を以て命じる!起動せよ神の裁……」
「待て!」

 まだだ
 まだ、俺が居る
 彼女の代わりに俺が戦う

「なんだ……居たのか。」
716 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/08/28(日) 23:38:10.38 ID:dl3PI9rf0
 あの戦いを見て恐怖しなかったわけではない

「俺があんたを倒す!」

 でも、それでも、目の前で起きようとする虐殺は見過ごせない。

「まあ良い!それも一興だなあ!
 十秒は耐えてくれよ!」

 何より、何故だか分からないが俺はこの男と戦いと思っている。

「その言葉!そのまま熨斗をつけて返してやる!」

 その瞬間、腕に熱が走る。
 何事かと腕を捲くるとそこには龍の形をしたタトゥーが刻まれていた。

「おい……なんだそれ。」

 愛美さんが顔だけあげて俺に声をかける。

「愛美さん、あんたは俺の可能性だったらしい……!」
「ふぅん……。」

 愛美さんはそのまま立ち上がる。
717 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/08/28(日) 23:38:40.27 ID:dl3PI9rf0
「ちょ、愛美さん!?」
「あんたの能力……あの狼男もあんたの“可能性”だったのかい?」
「え、はあ……」
「可能性を操る能力か……嘘をついたのは説明が面倒くさかったってところかい?
 それとも長旅に慣れているがゆえの用心か……
 まあ良い、あいつ一遍ぶっ飛ばすぞ。」
「はい!」

 愛美さんは俺の隣に立つ。
 上田は顔中に喜びの笑みを浮かべて再び背中から虹色の闘気を放つ。

「フレースヴェルグ、もっと俺に力を送れ!」

 上田の頭上からだけ白い光が降り注ぎ始める。
 成程、さっきからの翼の主はあの光の主か。

「零人、私の契約している都市伝説の名前はニーズヘッグだ。
 こいつの力を使う時のコツを教えてやる。」
「はい。」
「腹の底から全力でぶちかませ!」
「はい!」
「私が合わせる!お前はありったけをあいつに叩きこめ!」

 上田の隣に天使のような姿をした男の幻が見える。
 
「闘争の愉悦……久しく忘れていたよ!
 これぞ生の頂点にして原点だ!」

 上田は左手を天高く掲げ、右手を若干下げて仁王立ちになる。

「お前らに一子相伝の天地魔闘の構えが破れるか!」
「あ、あれは!?」
「なんです愛美さん!」
「そうだな……あれからもう十年、完成させてしかるべきか。
 あれは天地魔闘の構え、一瞬で攻撃防御能力の三つの動作を行える伝説の構えだ。
 あれはあいつが父親から教えられた最終奥義らしいんだが……
 昔、私と戦ったときは恐怖で攻撃をし損ねていたんだよ。
 今のやつの精神状態なら、完璧な天地魔闘の構えができる筈だ。」
「倒すには?」
「それ以上の力でぶち破る!行くぞ!」

 腰を深く落として左手を前に出し、右拳に力をためる。
 あくまで体の中心に気力を維持したまま。
 愛美さんもまったく同じ動作で気力を練り上げている。

「「大空魔龍掌!!」」 

 左手と右手を合わせるようにして一気に前に突き出す!
 掌の中から炎が湧き上がる。背後から巨大な黒龍が現れた。
 愛美さんの後ろからは真紅の龍が牙を剥き、二匹の龍は螺旋を描いて上田に襲いかかった。
 咆哮、天空の城が揺れる。
 
「せいやああああああああああああああ!」

 フレースヴェルグの翼が二体の龍を受け止め、別の方向に逸らす。
 其れと同時にその翼に胴体と頭が与えられて輪郭を形作る。
 上田の拳の動きと同時に今まではあくまで闘気の塊であった翼が身体を得て俺たちに襲いかかる!

「くそっ!」
「いいや……まだだね。」

 翼が崩れる。
 首がもげる。
 胴体が燃え尽きる。
 上田の操るフレースヴェルグは俺たちの前で光の粒になって消え去った。

「……今一歩、及ばなかったかあ。」

 それだけ言うとこんどこそ本当に上田明也はその場に崩れ落ちた。



718 : ◆2PnxfuTa8. [saga ]:2011/08/28(日) 23:41:38.99 ID:dl3PI9rf0
―――――――――――――――――――――――



「もう行くのか?お前らここに住めば良いのに。」
「きっと良い冒険者になれるわよ?」
「いえ、俺たちは記憶を探しに行かないといけないんで。」
「そうか……。」
「でも、愛美さんのおかげでちょっと戻ってきました、俺の記憶。」
「記憶とも繋がっているのか、不思議な都市伝説だな。」
「良かったわね、兄様。」
「ああぁ……陽子ちゅわん行かないでぇ……。」
「ごめんね裂邪くん、でも私きっと君のこと忘れないから!」
「はぅっ!なんて嬉しい言葉!」
「稽古の相手が減るな……。」
「龍一もやっと慣れてきたのに残念ね。」
「惜しまれる内が旅立ち時ってね。」
「ばぶー」
「ばぶー」
「みっちゃんとやっちゃんがお兄ちゃんお姉ちゃんにバイバイっていってるよ!」
「そうか……。」
「じゃあそろそろ私たち行きますね。」
「おう、じゃあな!」

 上田がラピュタの崩壊と共に姿を消してから一月後、俺たちはまた旅に出ることにした。
 楽しかったこの世界ともお別れだ。
 だってまだ俺たちは本当の自分の世界を見つけられてないのだから。
 城門を出る。
 この世界は桜が咲く季節らしい。
 舞い踊る桃色の花びらに紛れて美しい鳥の羽が一本だけ掌に降りてきた。
 天を見あげれば春の風。
 地には満ちる命のせせらぎ。
 この世界は、きっと良い場所だ。

「兄様、どうしたの?」
「なんでもない。」
「あら綺麗な羽根……それって」

 人差し指を口に当てる。
 ありがとう、と言う声がどこかから聞こえた気がした。
 俺たちの旅はまだまだ続く

【極光の紗綾(異説・COA編 後編)】

【異説・COA編終了】
719 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/08/28(日) 23:48:15.12 ID:lm186hJN0
三面鏡の人と笛の人乙ですー

>>709
そういうことです!
720 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/28(日) 23:50:35.53 ID:wEWX3Dgk0
笛の人乙です〜
やっぱり戦闘シーンが熱いぜ燃えるぜ
これで零人くんは愛美さんの力を使えるようになった訳か・・・
次の世界は避難所で盛り上がってるところかしら、wktk
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/08/29(月) 00:46:16.03 ID:wRC1TDzSo
 たまに思うことがある。
 どうして都市伝説は人間と契約するのだろうと。
 忘れられないようにするなら脅かすだけで十分なはずだ。
 それをわざわざ契約といったある意味で非効率的な手段を用いる理由は――

 ま、考えてもわからないんだけどね。

 その辺の小難しいことはどっかのお偉いさんに任しておくことにしよう。
 ただの一般人であるぼくには全く持って関係のないことだ。

 ただ一個だけわかってることがある。
 今ぼくの部屋に居る都市伝説は契約云々は一切関係なしにぼくへの嫌がらせのためだけに居る。

 ぼくのベッドの下に隠れている『ベッドの下の男』に限っては、ぼくが怯える様を見て楽しんでいる。
 いつか襲われるのではないかとびくびくする様を見てほくそえんでいるんだろう。
 そしてきっとぼくが油断した時を狙ってその都市伝説通りにぼくを殺す気でいるはずだ。

 陰気でいけ好かない野郎だ。
 こういう奴は足が臭いに違いない。
 この臭いは間違いなく奴の足の臭いだ。水虫野郎め。

 だが馬鹿め、それもこれも今日までだ。今日がお前の最後の日となるんだ。

 アパートのチャイムが鳴り、家にやって来た業者さんが解体済みのベッドを運んでいく。
 ふふふ馬鹿め、思い知ったか。
『ベッドの下の男』はベッドがあるから存在できるのであってベッドが無くなれば消え去る運命なのだ。
 都市伝説のような脆弱で矮小で足の臭い存在が人間様に敵うと思うな!

 とまあ、そんな感じでかる〜く都市伝説を撃退したぼくだったが、ひとつだけ予想だにしていなかったことがある。

 どうやら足が臭いのはぼくだったらしい。
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/08/29(月) 00:56:17.57 ID:wRC1TDzSo
相変わらず戦わない話。
足に限らず清潔にすれば多少は臭いはしないもの。風呂は面倒臭がらずに入ろうという話。
723 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/08/29(月) 01:29:58.59 ID:wRC1TDzSo
「無理、絶対無理。何これ、何なのこれ」
「何度も言わすな、『子泣き爺』だ」
「都市伝説じゃなくて妖怪じゃん! 水木しげるワールドの住人じゃん! こういうのは鬼太郎の仕事じゃん!」

『人面犬』と契約した翌日。
 何故かはわからないが、都市伝説と戦うことになった。
 都市伝説を憶えるのには実戦あるのみだとか言われたがそんなことはあるだろうか、いや、ない。
 自慢じゃないが殴り合いの喧嘩どころか口喧嘩すらしたことない温厚な人間が実戦なんて無理。
 というか、どうやって戦えってんだ。

「ヤバいヤバい、殺されるってマジで、死ぬって本気で」
「そう簡単に死にやしねえよ。殺させやしねえから安心しろ」
「怖い怖い怖い怖いいいいいいいい!」
「俺の話を聞け!」

 あれだよ、『子泣き爺』って言えば泣き始めると巨大化して砂をかぶせてきて引っ掻いてちゃんちゃんこで窒息死させる無慈悲で残酷な体臭の臭い化物だよ。
 子供の頃鬼太郎で見たことあるから間違いない。
 ここで人生終了か、死んでしまうのか、もうあの無邪気な頃には戻れないのか。
 だが。
 だが、その前に。死ぬ前に。っていうかあれだ。

「死に……たく……ないいいいいいい!」
「ちょ、バカ、逃げんな!」

 全速力でその場から逃げ去った。
 こう見えても百メートルを十八秒くらいで走れる自信はある。

「逃げんなって言ってんだろ!」

 あっという間に追いつかれ、首根っこを咥えて戻された。
 徒競走で一位を取ったことのない経験がこんなところでも活かされるなんて。

「あああぁぁぁ〜」
「言うこと聞けこの糞ガキ!」
「お前らみたいな万国ビックリショーの仲間になりたくねええええええ!」
724 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/08/29(月) 01:31:43.29 ID:wRC1TDzSo
「お前達の仲間にはならない――そう言ったはずだが?」

 同日、同じ場所。
 時間だけが違った。先の時間が昼間なら今は夜更け。
 ふたりの男が相対していた。
 ひとりの名は江良井卓。
 もうひとりの名は高城楓といった。〈ゲーム王国〉建国を目論む六人のうちのひとりである。

「敵にならないとの言葉を聞いていない」

 だから、現れた。
 シンプルな物言い。

「敵にはならん。勝手にしろ」
「……信用できない」
「ならばどうする」

 単純に数だけで見ると江良井はひとり、彼らは六人。
 江良井の能力である〈地獄の帝王〉を含めても――ふたり。数の上では優勢である。

「錨野はお前を敵にするなと言っていた。逆らうつもりはない」

 彼らのリーダー格である錨野蝶助は、江良井だけは敵に回すなと厳命してある。
 江良井の中に何を見出したのか多くは語らないが、単純な戦闘力だけではないようであることは確かだ。
 無論、彼ら五人は錨野に逆らうつもりはないし、対峙するだけで汗が出てくるような江良井を敵に回そうとも考えない。
 今こうして平然としていられるのはただの虚栄にしか過ぎない。

「ならそれでいいだろう。それとも――今ここで死ぬか?」
「――ッ!!」

 江良井は何もしていない。ただ言葉を発しただけだ。
 それなのに、体にかかるこの凄まじい圧は何だ。
 都市伝説でも〈異常〉でもないこの見えない圧力は何だ。
 純粋な殺意。純然たる殺意。憎悪や悲哀や恐怖や愉悦といった不純物のない、清流のように澄み切った殺意。
 ふつふつと湧き上がる汗と脱兎のごとく逃げ出したい衝動をこらえ、高城が何かを口にすべく声を絞り出そうとした時――第三者が現れた。

「そうしてくれると助かります」
「な――」

 現れたのは黒いスーツを身にまとう男。
 言うまでもなく〈組織〉の黒服だ。

「とある契約者がこの付近で戦闘したとの報告があったので来てみましたが、それ以上のものが見つかりましたね」
「〈組織〉……!」
「如何にも。お初にお目にかかります。A-107のナンバーを与えられている〈組織〉所属の黒服です」
「何の用だ」
「江良井卓さん、貴方の監視と高城楓さん、貴方達〈ゲーム王国〉の情報収集を担当しています」

 口元に笑みを浮かべ、淡々と答える。裏がある笑みなのを隠そうともしないのは自信か否か。

「もっとわかりやすく言いましょう。――私は貴方達の敵です」
「そうか」

 答えるが早いが、A-107に真っ直ぐに突き進む。
 その拳が黒服に届こうとした瞬間、その姿は消えた。

「意外に気の早い方だ。敵とは言いましたが戦いに来たわけではありません。少なくとも今日のところは、ですが」
「瞬間移動……?」
「私に課せられた命令はあくまでも貴方達の監視及び情報収集に過ぎません」

 高城の問いに答えず、やはり淡々と口にするA-107。
 自身の拳が空を切った答えを探しているのか、何も言わぬ江良井。
 そして続けざまに攻撃を仕掛けるべく走り出すと――電子的な音が高城から聞こえた。
 いつの間に持っていたのか、右手に携帯ゲーム機を手にしていた。
 音が聞こえると同時に標的を変えた江良井の手刀が高城の首筋に迫る瞬間――

「『アメリカ村』発動」

 高城の声が聞こえたかどうか、ふたりの男はこの場から消失していた。
725 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/08/29(月) 01:33:04.70 ID:wRC1TDzSo
「死にたくないいいいいいいいいいいいいいいいい!」
「んだよ、ぎゃあぎゃあうるせーな」

 首根っこを咥えられて『子泣き爺』のいた場所に引き戻されると、面倒臭そうに男がひとり立っていた。
 中年――と呼ぶにはまだ若干早そうな、頭部が若干心許ないのを見るに中年のような。

「っと、何だお前」

『人面犬』を見て驚く男。そりゃそうだ、誰だって驚く。
 って、隠さないとマズいんじゃないか?

「あー……その犬の契約者か」
「って驚いてないし!」
「んー、ま、確かに野良じゃない『人面犬』ってのは滅多にないかもな」
「いやいやいや、そっちじゃなくて『人面犬』そのものに驚こうよ!」
「都市伝説なんて驚くことじゃないだろ」

 当たり前のことのように笑う男。
 ああそうか、この男もどっかおかしいんだ。

「残念そうな人を見る眼で俺を見るのはよせ」
「いや、だって……なあ?」
「お前も契約者だな?」
「そうだけど?」

 即答かよ、何なんだよ、知らない間に都市伝説ってこんなに市民権を得ていたのか。
 きっと選挙とかもやってんだ。衆議院参議院の他に都市伝説議院ってのがあるんだよ。

「ゴロが悪いってーの」
「お前……その都市伝説どこで手に入れた? いや、質問を変えよう。――何と契約している?」

 と、アホなことを考えていると『人面犬』が呟いた。
 流石は犬なだけあって、都市伝説の臭いに敏感なようだ。

「そりゃ企業秘密だ」
「神、妖怪、噂、デマ、ネットロア……数多くの人外を見てきたこの俺でも初めてのタイプだ」
「何? そんなヤバいのこの人?」
「別に俺はヤバくねえよ」
「よく飲まれないな」
「そりゃそうだ」

 何故か自信満々に男は答えた。

「飲まれにくくなる方法を俺らのリーダーから教えてもらったのさ」
「人の手柄じゃん! それ自慢するところ!?」
「そこはツッコミどころじゃねえ。――そんなことよりもお前、ここにいた『子泣き爺』はどうした?」
「消した」

 あっけらかんと言い放つ男。
 って消した!? あの化物を?
726 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/08/29(月) 01:34:33.07 ID:wRC1TDzSo
「お前の能力で、か?」
「イエス」
「その力は本当に都市伝説のものか?」
「イエス」
「どんな能力だ?」
「企業秘密」
「仲間がいるのか?」
「イエス」
「目的は?」
「企業秘密」

 どうしよう……この置いてけぼりのやり取りにどう加わればいいんだろう。
『人面犬』の質問にイエスと企業秘密しか口にしないのを見るに絶対に怪しいのは間違いないんだけど、何がどう怪しいって聞かれると……。
 犬は犬で何だか男相手に警戒してるようにも見えるし。

「っていうかさ」
「あん?」
「何だ?」
「あんた、何て名前なの?」

 きょとんとした顔のふたり。いや、もう片方は犬だから一頭と数えるべきか。あれ、犬って一匹だっけ。
 それは兎も角。この問いに、男はめっちゃ笑い出した。

「面白いヤツだな、お前さん」

 笑いながら言われてもバカにされてるとしか。

「至村」
「?」
「俺の名前は至村賢ってんだ。〈ゲーム王国〉建国の為にこの町に来たのさ」
「目的……企業秘密なんじゃないの?」

 ニヤリと屈託の無い笑顔で、男――至村賢は言った。

「だいじょぶだ」

727 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/08/29(月) 01:36:28.99 ID:wRC1TDzSo
そんなわけで一ヶ月半振りの投下でしたとさ。
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/29(月) 01:45:17.37 ID:bU66g4sI0
三面鏡の人様、笛の人様、単発の人様、葬儀屋の人様投下乙ですー
悪の秘密結社キターーーーーー!!!
素敵に悪悪してますwwwwww
続きも楽しみにしてますね

上田さーーーん!?
戦闘シーンが滾る…!

ベッドの下の男を撃退出来たのに主人公ェ…

ヘタレかぁいい少年ハァハァ
江良井さんかっこいい…
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/29(月) 01:45:42.96 ID:D4sQTL+vo
皆さん乙でした
こうやって双子は能力を増やしていくのかなとか考えつつ次の世界はどこだろうと妄想

足が臭いのは……茶のしずくを使うんだ

ゲーム王国メンバーの名前wwwwwwwwww
730 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/08/29(月) 13:45:58.78 ID:hZiefq140
短髪の人と葬儀屋の人乙でした
脚なあ……
水虫とかまじこわいよ
水虫にもグチュグチュするタイプとかさかさするタイプがあってかさかさタイプは発見が遅くなるから気をつけてね!



ちなみに
あの世界の上田は死んでないよ
ラピュタ崩壊に巻き込まれながらも
「まだ……答えが見つかっていない」
とか邪気眼全開ポーズでいいながら茜さん連れてどっかに消えたんだよ
兄妹の門出だけこっそり見送ってたんだよ
羽根を散らしてそれとなく存在を知らせたんだよ
731 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/08/29(月) 14:42:45.58 ID:5Mm1Tksm0
単発の人乙でした〜
注射男針折れろ。
ハードボイルドな穏健派……燃える!
>>700>>703
ソニータイマーの人乙でした〜
板妻 説君のオカルトは全てプラズマで説明できる…
やべえいい都市伝説だな。尖ってる。
>つまり似非科学はプラズマにできないのです
ほむほむ……似非科学や空想科学がプラズマ化できないのは説君の能力が同系統だからかもしれませんね。
「プラズマじゃねーから。○○って科学体系の仮説の領分だから!」って反撃が来るんでしょうね。
それを否定することは自らの首を絞めることに繋がるから通じないのかもと妄想を垂れ流してみたり。
三面鏡の人乙でした〜
いやあ、たちの悪いのが学校町にきたなー。
悪の秘密結社……ライダーやらなんやらを思い出していい感じだわ。
これからどう動くかワクテカだぜ。
笛の人乙でした〜
相変わらず戦闘シーンがカッコいいぜ……
そして流石の生存能力……
「この世界は、きっと良い場所だ」
の台詞に思うところありです……
とてもいい意味で。

単発の人乙でした〜
クレバーでシュールな解決法だwwwwww
足がくさいのは自前かよwwwwww
葬儀屋の人乙でした
ネーミングがテラドリフwwwwww
732 :ソニータイマー [sage saga]:2011/08/29(月) 16:29:47.90 ID:y0T09fRA0
単発の人と葬儀屋の人乙ですー
至村賢の契約都市伝説は『企業秘密』かなぁ? それとも『志村後ろ』かな?

>>731
>ほむほむ……似非科学や空想科学がプラズマ化できないのは説君の能力が同系統だからかもしれませんね。
>「プラズマじゃねーから。○○って科学体系の仮説の領分だから!」って反撃が来るんでしょうね。
>それを否定することは自らの首を絞めることに繋がるから通じないのかもと妄想を垂れ流してみたり。
む、そういう考え方もあるのですか…。ですが似非科学はオカルトではない、と説が思っているからプラズマ化できないというだけで、特に複雑な理由はないのです
733 :ソニータイマー [sage saga]:2011/08/29(月) 19:21:48.85 ID:y0T09fRA0
                     「母は強し…いや、私は母じゃないけど」
私も今年で23になるのだが、私には好きなゲームがある。『う○ねこのなく頃に』。竜騎士さんの作品である
その中でも特に『右代宮楼座』と言うキャラが大好きだ。声も似てるし、名前も同じ読みだし、姿も似てる。だからいつも自分を楼座に重ねてきたんだ
…おっと、自己紹介が遅れたわね。私の名前は後呂宮 浪座(うしろみや ろーざ)。ちなみに彼氏いない暦=年齢である…いや、これは言わない方が良かったか
浪座「はぁ…拙いわね。私もそろそろいい歳じゃない…。なのに恋人の一つも出来ないなんて…。…いっそ同性に走っちゃおうかしら」
…幾らなんでもそれは早まりすぎか。というか私の百合なんて誰得よ―なんて思いながら歩いている
浪座「ねぇ楼座。貴女はどう思う? もう女の子に走るしかないかしら?」
『うーん、そうねぇ…。読者の意見と…いえ、貴女の気持ちと向き合ってみるべきだと思うわ。
どうしたら良いか、でなくどうして欲し…いえ、どうしたいかが重要だと思うのよ』
頭の中で会話をする浪座(わたし)と楼座。…ちょっとメタりそうになってるわよ。
あ、ちなみに今のは私の契約都市伝説、『楼座最強伝説』…通称『楼座無双』である。これによってもう一つの人格、『右代宮楼座』を宿らせているのよ
浪座「貴女を具現化できたなら、貴女と付き合いたいとも思うのだけど…」
『…私、子持ちよ?』
浪座「構わないわよ。私、真里亞ちゃんも結構好きだもの」
『そう…。考えておくわ』
と、この会話は全て脳内で行われているため、私は独り言を言う痛い大人状態ではない
「うー。ママ。私も真里亞ちゃんは好きだけど、百合に走るのはもうちょっと考えてからの方がいいと思うよ」
浪座「眞梨亞、貴女が真里亞ちゃんに憧れてるのは分かるけど、無理して『うー』なんて言わなくていいのよ?」
彼女の名前は後呂宮 眞梨亞(うしろみや まりあ)。私の姪…なんだけど、眞梨亞ちゃんの両親が物心付く前に死んでしまったので、私が小さい頃から育ててる。
だから、私を『ママ』と呼んで慕っている。ちなみに8歳。そして、『うみねこ』の右代宮真里亞のファンである
眞梨亞「無理なんてしてないもん! 素だもん! あとそこは『そのうーうー言うのをやめなさい!』でしょ!?」
浪座「…うーうー言うのを忘れてるわよ」
眞梨亞「あ…! う、うー! うー! うー!」
浪座「クスッ…。そのうーうー言うのをやめなさい!」
言いながら、眞梨亞の頭を軽く小突く。全く、とんだ茶番ね…でも、嫌いじゃないわ
『あ゛ー』
ん? 呻き声が聞こえるわね…。何かしら?
『あ゛ーーーーーーーーー!!!』
浪座「ミイラ男!? しかも…大群!」
間一髪でミイラの攻撃をかわした私。こんな所で都市伝説、しかも『ミイラ男』に会うなんて…!
『あ゛ー』
浪座「完全に囲まれたわね…。仕方ない…!」
私は鞄からインゴット(10kg)とウィンチェスターライフル(モデルガン)を取り出し、構える。そして、万年筆を取り出し、口にくわえる
浪座「貴方達…すごく運が悪いわ。私に会ってしまうなんて…。ここで私に会ってしまった不運を呪うのね…!」
『あ゛ーーーーーーーー?』
こいつら、さっきからあ゛ーしか言ってないような…。まぁいいわ…
『あ゛ーーーーーーーーーー!』
ミイラの一人が眞梨亞に襲い掛かる。それを私は見逃さず…
浪座「楼座無双…発動!」
私の体は光り、右代宮楼座の魂が乗り移る
浪座「私の目の前で、真里亞に指一本触れてみろ。もと来た地獄が生温かったことをおしえてやるよ…!」
私はウィンチェスターライフルで『ミイラ男』の一人の頭を撃ち抜き、そう叫ぶ。このライフルはモデルガンだが、『楼座最強伝説』使用時に使ったときのみ、本物となるのだ
『あ゛ー、あ゛ー、あ゛ーーーーーーーーーーーーー!!!』
どうやら怒ったようね…いえ、ミイラに感情なんてあるのかしら? …どうでもいいか
『あ゛ーーーーーーーーーーー!!!!!!!』
ミイラ男が、眞梨亞に襲い掛かる。ここからじゃ他のミイラの死角になって撃てないわね…
で、あの『ミイラ男』は、私が眞梨亞を守る素振りをしたから、眞梨亞なら簡単に殺れる―とでも思ったのかしら? 甘ぇよ。
眞梨亞「…何、その柔な攻撃? あ、うー!」
その攻撃に、眞梨亞の体は全く堪えない。目を疑う程の頑丈さである。あと今のうーは絶対付け足したわね
眞梨亞「知ってる? 『右代宮真里亞は楼座の9年間の教育のお陰で鋼鉄並みの頑丈さになっている』のよ? うー。
貴方達みたいな雑魚の攻撃、痛くも痒くもないわよ。うー! あ、ここはきひひひひひかな?」
眞梨亞の契約都市伝説、『右代宮真里亞は楼座の9年間の教育のお陰で鋼鉄並みの頑丈さになっている』。右代宮真里亞の魂を乗り移らせ、鋼鉄並みの頑丈ボディを手に入れることができるのだ
浪座「さて…じゃあ、見せてやるよ…黄金の夢ってやつをぉおおおおお! うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
万年筆とライフルを持ち替え、万年筆でミイラの目玉を突き刺し、インゴットで頭部を破壊する。ミイラはなすすべもなく、散る
『あ゛ー…あ゛ー…』
ようやく今の状況の、いえ、私達の恐ろしさに気づいたようね…逃げ惑ってるわ。でも!
浪座「でも残念! この町の何処にも、生き延びることのできる場所はない! …あ、もう死んでるんだっけ?」
と、ミイラたちに叫び、私はとっても大きな欠伸をする
浪座「ねぇ知ってる? 六軒島の台風って…楼座(わたし)が欠伸をしたから起きたのよ?」
突如、超局地的な台風が起こり、こちら側にミイラたちが飛ばされてくる。そして、墜落
浪座「そしてもう一つ。楼座が100%の力を出せば、地球だって簡単に壊れてしまう…だから! 私がこうして軽く地面を殴るだけで…」
私の拳で地面は大きく揺れ、ミイラ達のいる場所に亀裂が走る。瞬間、『ミイラ男』達は、成す術もなく始めての恐怖を覚えて全滅した
浪座「みいらおとこは、しんでしまいました。…いや、最初からしんでるわね。
ふぅ…っと危ない危ない。うっかり汗を拭ってしまうところだったわ。ep1の楼座の耕された顔は楼座がうっかり額の汗を拭ったことでおきているのだから…」
眞梨亞「うー! ミイラ達を倒したよー!」
浪座「お、今度は自然に言えてるじゃない。ま、一応真里亞ちゃんが乗り移ってるんだけど…あ、そのうーうーいうのをやめなさーい」
『楼座最強伝説』を解除しつつ、私は言う。いやー、楼座は相変わらず強いわね。いえ、それ以前にミイラが弱すぎたけど。
まぁ、それはともかく。私と眞梨亞はミイラ達の屍を…って最初からそうだったわね。まぁ、その屍を踏み越えて、家に帰るのでした…
                      


                         続く…
734 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/29(月) 21:14:32.53 ID:cPzQ1jvm0
葬儀屋の人乙です〜
っちょ、単発のオチwwwwwwwwww
そして久々の本編キタァ!
蝶介さんの名前で嫌な予感してたけどマジで全員その名前なのかwwwwwwww
彼等の能力と、今後の展開にwktk

ソニータイマーの人乙です〜
「○○最強伝説」・・・探せば結構ありそうだな面白そう(マテ
てか、『うみねこ』って8歳の女の子が見て良いものなのかwww(
735 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/08/29(月) 21:29:27.38 ID:hZiefq140
元ネタが分からないけどおつ

避難所であの世界の友美と友也と愛美さんの関係について話していたのでそれついでに色々設定

裂邪→未来人、破滅の未来を回避するために過去に送られて来た選ばれし者、あのUFOの正体はは都市伝説、ラピュタに匹敵するレベル
龍一→故郷で天才と讃えられた剣士、愛美さんに勧誘されて彼女のところへ
望→茜さんと同郷、上田に助けられた
希→愛美さんが「何かを感じる」といってどこからか拾ってきた子供

友美・友也
→パターン1 愛美さんの親戚の子供
→パターン2 希の妹、一緒にひろわれてきた
→パターン3 実は愛美さんの子供、あの世界の愛美さんは三十歳くらいだから……
(パターン3.5 しかも酔った勢いで上田を押し倒して云々かんぬん)
→パターン4 愛美の子供で実はすげえ冒険者だったけど呪いか何かで赤ん坊になった
736 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/29(月) 21:45:35.20 ID:cPzQ1jvm0
>>735
>裂邪→未来人、破滅の未来を回避するために過去に送られて来た選ばれし者、あのUFOの正体はは都市伝説、ラピュタに匹敵するレベル
そんな設定だったのかwwwwwwwwwwww

>(パターン3.5 しかも酔った勢いで上田を押し倒して云々かんぬん)
俺はこれに清き1票を捧げるz(ターンッ
737 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/08/29(月) 21:55:08.86 ID:y0T09fRA0
>>734
てか、『うみねこ』って8歳の女の子が見て良いものなのかwwww
眞梨亞「大丈夫! 私はちゃんと現実と二次元の分別のつく子供なんだから! あ…うー!」
浪座「そのうーうー言うのをやめなさい。…無理しなくていいのよ?」

>>736
清…き?
738 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/08/29(月) 22:01:38.29 ID:hZiefq140
>>736
後は……
龍一君が明日くんに動揺したのはこの世界の明日君が死んでるからとか
冒険家につく称号である「號」っていうのは嘘喰いのパクリとか
龍一君が第二十一號冒険家だとか
世界には愛美さんより強い第零號冒険家がいるだとか
十號以上の冒険家には不逮捕特権があるとか
そのおかげで上田は逮捕されてないだとか
H×Hと嘘喰いみたいな

上田と愛美さんが至近距離まで近づいてから殴り合ったのは號奪戦のパクリ
長期戦になったのは差別化を図りたかったから
739 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/29(月) 22:11:52.17 ID:cPzQ1jvm0
>>737
>眞梨亞「大丈夫! 私はちゃんと現実と二次元の分別のつく子供なんだから! あ…うー!」
なら大丈夫かwww

(裂邪>それにしてもかぁいいロリっ子、ほらこっちにおいでー

>清…き?
首を傾げるなwwwwwww
お、俺はとてつもなく清い男だもんっ!?

>>738
>龍一君が明日くんに動揺したのはこの世界の明日君が死んでるからとか
あぁ、そうだったのか!
てかかなり設定が細かくて深い・・・流石だ・・・
740 : ◆2PnxfuTa8. [sage]:2011/08/29(月) 22:15:20.50 ID:hZiefq140
>>739
結構設定練り込むのが好きなの
明日君はイイ奴だったんだ……
741 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/08/29(月) 22:37:32.54 ID:y0T09fRA0
>>739
>(裂邪>それにしてもかぁいいロリっ子、ほらこっちにおいでー
浪座「…私の目の前で眞梨亞に指一本触れてみろ。向こうの地獄が、この世の地獄より生温いってことを教えてやるよ…!」
楼座無双、発動

>お、俺はとてつもなく清い男だもんっ!?
ははは、ぬかしおる。…清さで私に勝てると思うな!
742 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/29(月) 22:45:08.52 ID:cPzQ1jvm0
>>740
>明日君はイイ奴だったんだ……
ここで死に様とか聞こうと思ったけど、
泣くかも知れないからやめ(マテヤ

>>741
>浪座「…私の目の前で眞梨亞に指一本触れてみろ。向こうの地獄が、この世の地獄より生温いってことを教えてやるよ…!」
(裂邪>いーやー!? 分かった、触れないから! (舐めるように)見るだけに留めるから!

>ははは、ぬかしおる。…清さで私に勝てると思うな!
否定できねぇじゃねぇかwwwwwwwwwww
743 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/08/29(月) 23:07:11.75 ID:y0T09fRA0
>>742
>(裂邪>いーやー!? 分かった、触れないから! (舐めるように)見つめるだけに留めるから!
浪座「眞梨亞は可愛いから、見つめるくらいなら許してあげましょう。…でも、もし、指の一本でも触れたならー
貴方の骨がカボチャのキャンディみたいに粉々になると思いなさい…?」
眞梨亞「ママ格好良い! あ、うー!うー!」
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2011/08/30(火) 00:33:31.36 ID:0xfP/liT0
>>743
> 貴方の骨がカボチャのキャンディみたいに粉々になると思いなさい…?
(裂邪>何故だ、花子たんといいメイたんといいこの子といい、
    何故よりによってロリっ子に危なっかしいのがくっついてんだ!?
(シェイド>貴様ガ生キテイルカラダ
745 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/08/30(火) 03:21:34.92 ID:TwfPZlhD0
>>744
>何故よりによってロリっ子に危なっかしいのがくっついてんだ!?
うちの小奈美にはエスタークがいますし、廻女はそもそも本人が危なっかしいですな。夢見もそんな感じ。胡々亜は…どうだったかな?
堂寺「まったく、僕達(ロリコン)には厳しい世の中だよね…」
746 :年齢と彼女いない歴が同値 [sage]:2011/08/30(火) 04:56:28.43 ID:nnZjgvWB0
避難所にリア充がいる件について
そういや皆オノレの性経験については語ってないんだよな
某ピーヒャラ氏も昔は彼女が居たそうだし……面倒だ、まとめてかかって来い!
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 10:23:55.66 ID:lOCotAeS0
オカーサン アレナニー?
シッ メヲ アワセチャ ダメッ!!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
748 :ピーヒャラ野郎 [sage]:2011/08/30(火) 11:40:33.54 ID:PfYSNHADO
ピーヒャラ野郎が書く龍一の世界はパラダイスロストみたいな感じになるだろうな
王国とかスマブレが支配した世界そっくりになるに違いない
上田は王のベルトつけてドヤ顔してるに違いない
ピーヒャラ野郎は書きたいんだがオーロラ兄弟の話の為にネタ保存せざるを得ないに違いない



ピーヒャラ野郎は流れで付き合わざるを得なくなっただけで好きでもなんでもなかったんだ
趣味に理解なかったし
だから気持ちは非リアってことでお願いします
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749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 12:16:59.06 ID:jxxcyLqDO
願わくばいつまでも非リアでありたいものです
底辺から見上げる空はとてもきれいだなぁ

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750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 14:17:11.71 ID:xS1xGr0SO
りあるってなぁに?
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751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/08/30(火) 15:04:12.83 ID:4pAwUX7e0
リアルリアルって何だ?
宇宙刑事のOPには何も答えてはくれない…
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752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 15:28:55.56 ID:PfYSNHADO
ぶっちーと西尾がフォーゼのゲストライターってまじかよ
朝八時じゃ二人の味を生かせるとおもえねえ
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753 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 15:29:34.98 ID:PfYSNHADO
虚淵さんと西尾さんがフォーゼのゲストライターってまじかよ
朝八時じゃ二人の味を生かせるとおもえねえ
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754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 16:05:16.31 ID:PfYSNHADO
中断したと思ってた書き込みが成功してた

わけがわからないよ
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755 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/30(火) 17:55:16.15 ID:elxrzAaW0
よ、読みにくい・・・なんだこの強制誘導用アドレスは

>>745
>堂寺「まったく、僕達(ロリコン)には厳しい世の中だよね…」
(裂邪>ま、俺の嫁はロリっ子だけどな♪

>>746
>そういや皆オノレの性経験については語ってないんだよな
まぁ俺は彼女いない歴=年齢だしなぁ
小1の時はスカートめくり常習犯だったけど(ぁ

>>748
>ピーヒャラ野郎が書く龍一の世界はパラダイスロストみたいな感じになるだろうな
すっげぇ分かりやすいwwwwwwwww
そういや世界観そっくりだわwwwwwww
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756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/30(火) 19:18:14.51 ID:3Et0iZwB0
ロストパラダイスがわからない俺惨状
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757 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/30(火) 21:03:03.79 ID:elxrzAaW0
>>756
仮面ライダー555の映画『パラダイスロスト』だぜ
地球上をオルフェノクが支配していて、人間絶滅まで残り○○人とカウントダウンされてたりするの

因みにこの『パラダイスロスト』、エキストラが1万人も起用されているのでギネスにも認定されてたり
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758 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/08/30(火) 21:11:12.38 ID:TwfPZlhD0
>>755
>(裂邪>ま、俺の嫁はロリっ子だけどな♪
堂寺「ふ…ふん! 僕だって妹がロリだし、僕は今まで見たロリの姿や声が全て頭の中に入ってるから、実質ロリに囲まれてるようなものなんだからね!
……虚しい。僕もフラグ欲しい…。往年のラブコメギャルゲ主人公の如く問答無用でフラグ乱立できる能力が欲しいよー!」
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759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/30(火) 21:15:08.85 ID:3Et0iZwB0
>>757
なんとなく把握
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760 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/30(火) 21:16:21.99 ID:elxrzAaW0
>>758
>……虚しい。僕もフラグ欲しい…。往年のラブコメギャルゲ主人公の如く問答無用でフラグ乱立できる能力が欲しいよー!」
(裂邪>フラグなんて自然にできるもんだぜ、俺だってまさかミナワと両想いだなんて思ってなかったもん


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761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/30(火) 22:12:02.47 ID:5IE2dJFB0
【極光の紗綾(獄門寺龍一の世界編 前日譚)】

 この世界は壊れかけていた。
 ある日を境に人にして人にあらざる異常な力を持つ人々が増え、それにより起きた戦争で政府は崩壊。
 権力は異常な力を得た人々の元に集まり、力を得た人間にとっては邪魔でしか無い都市伝説は迫害の対象となった。
 こうしてこの世界は力あるものが力無きものを肉と喰らう世紀末の様相を呈すようになっていたのである。


 大地を踏み砕き荒野を一人歩く鉄仮面の男。
 彼の目の前には数百人からなる軍隊が陣を敷いている。
 この辺り一帯を支配する異常者である領主の軍である。
 本来はもっと数が居たのだが今は相次ぐ反乱に数を割かれていた。

「我が敵に告ぐ、我こそが王。今すぐ我に降伏すれば臣民としての生活はくれてやる。」

 鉄仮面の男は軍隊の前で高らかに声を上げる。
 
「あ、あいつは何を言っているんだ!?」
「訳がわかりません、降伏勧告のようですが……」

 戸惑う軍の男たち。
 当たり前だ、鉄仮面の男はたった一人で自分の数百倍の敵に降伏を勧めているのだから。
 その様子を見て鉄仮面の男は

「ああ、この言葉では分からないか。」

 とだけ呟いた。

「我が敵に告ぐ、我こそが王。今すぐ降伏すれば臣民としての生活はくれてやる。」

 男は言語を変えて同じ内容の言葉を繰り返す。

「ここに来るのは“王国”の“軍”だと聞いたぞ!
 なんだあれは!仮面を被った変質者ではないか!」
「構わんやってしまえ!」
「「「おおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」

 数百人の武装した男たちが鉄仮面の男に殺到する。
 
「俺の偉大さを理解できぬか。ならば仕方あるまい。」

 男は拳を地面に叩きつける。
 それと同時に俄に空がかき曇り雷雨が陣の中央にだけ降り注ぐ。
 さらには大地が激しく震え、二つに裂け、鉄仮面の男に向かっていった兵士を飲み込んでいく。
 地面の裂け目からは激しくマグマが湧き上がりあっという間に彼に敵対する軍勢を焼き払う。
 
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762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/30(火) 22:12:46.77 ID:5IE2dJFB0
「なんだあれは……!?」

 軍の指導者と思しき男は愕然としていた
 ゴミクズのように吹き飛ばされる自分の部下の姿。
 自らの築きあげてきた全てがたった一人の男に奪い取られていく。

「お、俺の出世が……生活が……!」
「おい貴様、貴様がこの軍の責任者だな?」

 眼の前に鉄仮面の王が立つ。

「ひっ!ひぃいい!?」
「怯えるな、それより俺の話を聞け。」
「な、なんでしょうか!」

 男は本能的に目の前の王に媚びへつらうしか生きる術はないと理解した。
 この男とて異能は持っている、しかしそれでも何故だか抵抗する気にはなれなかったのだ。
 これが鉄仮面の王の異常性。
 王の言葉は人の意識に入り込み、王の意のままに相手の感情を喚起する力を持っていたのだ。

「俺はこれから貴様らの親兄弟を血祭りにあげ、妻や娘を犯し、町を焼き払う。」

 男の脳裏に家族の顔が浮かぶ。

「そ、それだけは……!私どもが悪うございました!
 全ては領主の奴が悪いんです!私たちは命令されただけなのです!」
「知らん、死ね。」

 鉄仮面の王は男の首を刎ねる。
 そして指を鳴らした。

「者共!ついて来い!」

 王の背後の時空が歪む。
 
「おおおおおおおおおおおおおお!」
「おおおおおおおおおおお!」
「王様ああああああああああああああ!」
「王様バンザあああああああああああいい!」

 彼の背後から様々な言語で王を湛える声が轟く。
 
「者共!存分に奪いつくせ!欲望の限りを尽くすのだ!」
「王!奪った財宝は!」
「好きにしろ!お前らの財は即ち我の財である!」
「王!女は!」
「好きにしろ!この俺が許す!」
「王!子供は!」
「残れば我々を恨もう、殺せ!殺したくないならばお前らが育てろ!」
「王!老人は!」
「哀れだ殺せ!」
「王!奴らの町は!」
「火をつけろ!全て壊しつくせ!町の再興を公共事業として雇用の創出を図る!」

 すでに敵が居なくなった道を王の軍勢が歩く。

「一罰百戒である!我々に従わなかった者の末路を見せてやれ!
 焼け!殺せ!奪え!全て貴様らの財としてくれてやる!」

 王を先頭にして数千の軍が征く。
 そこに正義はない。
 有るのは純然たる欲望。
 全ての欲望を背負って仮面の王はひたすらに歩き続ける。
 


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763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/30(火) 22:13:33.00 ID:5IE2dJFB0
―――――――――――――――――――――――――――――



 それから一週間後。
 仮面の男は自らの王宮に帰っていた。

「此度の侵略戦争の成功、謹んで祝福申し上げます。」
「俺が留守の間、しっかりと国を守っていたようだな。
 褒めてつかわすぞサンジェルマン伯爵。」
「有難き幸せ。かの国の首都は完全に崩壊、もうじき移民計画を開始したいと思います。」
「王様、辺境で散発していた反乱を行っていたレジスタンスは我々の軍に合流しました。
 それと同時にレジスタンスの長として潜入していた晶様が戻って参りました。
 現在はご自宅で休養中とのことでございます。」
「後で労いに訪れよう。彼方……いいや王子よ、俺からの褒美を持って先に行け。」
「了解しました。」

 扉を乱暴に開く男。
 外に居る時間が長いせいか肌は浅黒く、何があったのかまだ若いのに髪が真っ白になっている。

「王様!」
「なんだ明日、貴様の姉が帰ってきているぞ。」
「此度の侵略!あまりにも残酷すぎます!」
「そうか、略奪許可期間は終わった。治安の維持は全部お前に任せる。
 これから先のお前の裁量に俺は何一つ文句を言わんから好きにやれ。」
「そういうことでは……!」
「駄目か?」
「いえ、しかし……とにかくこれから先は私が法に則って治安を守らせていただきます。」
「だからそうしろと言っているではないか。」
「うぐぅ……。」

 男――明日真――は溜息をつくとそのまま部屋から退出した。

「やれやれ……あの方にも困ったものです。
 彼の心は王から離れかけているのでは?」
「だとしても構わん、俺はヤツにとって利用できる存在だ。
 影守将軍、貴方はどう思う?」
「一罰百戒の考え方で行った戦争である以上今回の犠牲はやむを得ないことでしょう。
 だのにそれについて何時までも文句を言う彼のほうが秩序を乱している。
 やり過ぎなければならないのだ、今回ばかりは。」
「貴方にそういってもらえると有り難い。」
「おやおや私の意見は?」
「お前は基本的に内政と技術指導だけやっていろ。才能があるのだから。」
「全くその通りでございます、申し訳ありませんでした。」
「そういえば愛美さんの私掠部隊は今どのあたりに滞在している?」

 愛美の名前が出た途端、サンジェルマン伯爵は露骨に嫌な顔をする。
 そっぽを向いたサンジェルマンに代わって部屋の奥から出てきた女性がその質問に答える。

「母さんなら今頃ファウンデーションとかいう国の近辺の小国を襲っているんじゃないかな。」
「そうか……。」
「おかえりなさい。」
「ただいま。」

 二十代前半といった雰囲気の美しい女性。
 新島友美、この国の軍事部門トップである新島愛美の娘にしてこの国の第一王妃である。
 彼女は誰からも好かれる異常性を持っており、この国の民に圧倒的な人気を誇っていた。
 彼女が人々の信望を集め、鉄仮面の男が人々の畏敬を集める。
 彼ら二人の力でこの国はまとまっているのだ。
 
「お前の顔を見て思い出した、俺は疲れていたのだった。
 此処一週間徹夜してた気がするから3日くらい寝る。
 その間国のことはサンジェルマンと影守将軍に相談してお前が決めろ。」
「解ったよ。」
「んじゃあ、寝るわ。」
「寝る時くらい外してきたら?付けっぱなしじゃあ眠れないでしょうに」
「どっちだ?」
「どっちも。」
「考えておこう。」

 一人で寝室に向かう鉄仮面の男。
 ふと、何か思いついたようにある部屋の前で立ち止まり、ノックをする。

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764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/08/30(火) 22:14:53.90 ID:5IE2dJFB0
「はい、どうぞ。」

 鈴のような少女の声。

「おや、居るのか。」

 男は扉を開く。

「―――――――王様!?」
「市中の見回りは終えてきたようだな。」
「は、はい……」
「民はお前をどんな眼で見ていた?」
「羨望……でしょうか。」
「だろうな、属国の末娘から王女様だ、誰もが羨むに決まっている。
 でもそれだけじゃないだろう?」
「はい、皆笑顔で……手を振ってくれて……。」

 怯えたような、泣きそうな瞳で仮面を見つめる少女。

「其れは良かったな。ご苦労、君の働きを知れば君を養子に出したご両親もさぞお慶びになるだろう。」
「王様のご命令通りに働いただ……キャッ!」

「霙」
 
 男が霙の肩を掴んだ。

「お前に涙は似合わない」
 
 男の仮面の奥から見える暗い眼差しに霙の体がピクッと震えた。

「お、王様」
 
 だが、それ以上真理はなにも言えなかった。霙の口を仮面を外した男の唇が塞いでいた。
 Tシャツの下に男の手が入ってくる。
 ブラジャーが引き裂かれ、歳の割に豊かな白い乳房があらわになった。

「やめてください!このことが誰かに知られたら!」

 霙の穿いていたタイツが一気に膝の下まで下ろされる。
 霙は激しく抵抗した。王の顔に爪を立て、胸を叩いた。

「お前が黙っていればいいだけの話だ。
 それに……あまり抵抗するとお前の両親の国はどうなるんだろうなあ?」
「……うぐ。」
「解ればいいんだ。」
「お母さん……。」

 その時、突然ノックの音がする。

「王よ、緊急のご報告があります。」
「サンジェルマンか、これからお楽しみなんだ。手短に頼む。」
「王都の臣民が王の為に今晩パーティーを行いたいと。」
「ほう、中々に俺の気分を良くする話ではないか。しかしそれが緊急とは思えんな。」
「実はその準備の最中に見知らぬ男女が乱入してきたそうです。
 そしてその乱入者の一人が複数の都市伝説を操っていたと……。
 同時に私の研究所で時空の乱れも観測されています。」
「ふむ、それは面白い。その者達に会ってみたいものだ。」
「諒解いたしました、追手を……」
「要らん、俺自ら行こう。」

 男は再び仮面を装着し、マントを羽織り、市中へと向かった。
 後には少しだけ残念そうな顔をしながらも安堵の溜息を吐く霙が残されていた。

【極光の紗綾(獄門寺龍一の世界編 前日譚)】
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765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/30(火) 22:19:08.99 ID:5IE2dJFB0
という訳で前日譚、鉄仮面の男
千人の人間に千躰の都市伝説と契約させて
その千人の人間の魂を無理矢理ネクロマンシーで憑依させたベルトを装着しているおかげであの厨性能
あとこの世界の霙ちゃんもなんだかんだいってエロい子

鉄仮面の男がハーレム行きたがらないのは王妃に全員寝取られ済みで居心地悪いから
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766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/30(火) 22:28:56.74 ID:5IE2dJFB0
聞いてくれよジョニー
ふざけてコピペ使ったら一部改変忘れてたぜ畜生
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767 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/30(火) 22:32:40.89 ID:elxrzAaW0
乙です〜
楽しそうだな上田wwwwwwwwwwww
そういえば、零人くんと陽子ちゃんはパラレルの同一人物と出会うのか
その点はツバサクロニクルみたいね
ところでこっちの霙ちゃんが可愛すぎて辛い
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768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/08/30(火) 22:57:51.57 ID:5IE2dJFB0
ああ見えて上田は多分辛いんじゃないかなあ
辛いから霙に当たり散らしたり友に甘えてみたりして

ちなみに彼方くんと上田は血がつながってません
「世襲制は誤っている!」と上田が強硬に主張しているからハーレムあるくせに子供作りたがらない
彼方君が王子になったのは上田の扱う都市伝説ベルトの適合者だったから
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769 :1レスネタ [sage]:2011/08/31(水) 00:41:26.20 ID:eZwucB4SO
「終わりっと」
少年はそう言ってため息を吐く。
目の前には発狂した人間。
少年は『放送終了後のテレビを見続けると気が狂う』という都市伝説の契約者だった。
とはいえ、別に一般人を襲ったわけではない。
発狂しているのは契約者であり、能力で悪事を働いていた人間だ。
少年はそういう悪人を見つけては退治をしていた。
「流石に、毎日夜遅くまで町をパトロールしてると疲れる…………うん?」
トンッ  トンッ  トンッ  トンッ
ふと、妙な音に気がつく。
音のする方向を振り向くと
「やあ、こんばんは、少年」
見知らぬ中年の男が微笑んでいた。
笑顔のわりに、何かいらついているのか靴のつま先で地面を叩き、そのたびにトンッっと音をたてている。
「少年は、なんでそんな事をしてるんだい?」
トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ
「なんでって……俺は正義の味方だからな」
発狂した男を指さしながらした中年の質問に、靴音が五月蝿いなと思いながら少年は答える。
「で、おっさんは?誰?悪者?」
「いや〜、おじさんは悪人でも正義の味方でもないなぁ。ただの社会人だね」
トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ
「ああそうですか。その社会人さんは俺に何か用なんすか?」
「いやなに、最近忙しくてね。正義の味方ならアフターケアもしてくれないかな、と」
「はぁ?」
「簡単に言うとね。おじさんのお仕事のお手伝いをしてくれないかな、と。最近、重度の人が急増してね」
トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ
「仕事?どんなすか?」
五月蝿い靴音にいらいらしながら少年が尋ねる。
「精神がおかしかったり、脳に障害があったりで、自分で自分の世話ができない人達のお世話をする仕事。
 つまり、少年が今まで狂わせた人達のお世話だよ」
「嫌ですよ。なんでそんな事俺が。そいつら悪人じゃないすか」
「その悪人さんにも、家族とか知り合いとかがいてねぇ」
トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ
「知らないですよ。なんなんですか、あんた。そういう施設に寄付でもすりゃ良いんですか」
「寄付?寄付ね……いやぁ、寄付だけして良い事した気分になるのを、おじさん悪いとは言わないよ?
 でさぁ、少年…………」
トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ
「家族でもないオッサンのゲロの掃除とかできる?」
「何……言っ、て…………」
欝陶しい靴音に頭痛を覚えながら、中年の言葉に少年は戸惑う。
「ババアに糞投げ付けられたり、二十歳のニーチャンのオムツ交換したり、ジジイをお風呂に入れたり…………
 なあ少年、そんな事を文句も言わず笑顔で、薄給で、やっていられる人材って少ないんだよ。人手不足なんだよ。
 だから、な?」
トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ  トンッ
中年の能力で、靴先から発生する超低周波の音が少年の頭に焼き付く。
「ぅ……あ………………ァ……イィ」
「これ以上仕事増やすなクソガキ」
『低周波音を聞き続けると気が狂う』の契約者である、中年の男はそう言った。

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770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2011/08/31(水) 22:13:56.83 ID:xSsJkbMi0
しまった!
今日はやりすぎ都市伝説の日だった!
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771 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/08/31(水) 22:24:24.57 ID:4OUZsohD0
録画した俺は勝ち組

1レスの人乙です〜
何と言う狂気系vs狂気系
こういうミラーマッチもたまには良いなぁ
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772 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/01(木) 01:07:09.99 ID:FBg55J330
寝る前に小噺を
この間、職場研修ということで震災についての説明を2時間くらい聞いてたんだけれども
ずっとスクリーン見てたら、視界の端に黄色いワンピースで髪の長い女の人が見えて
「あれ、助手の人なんていたっけ?」とか思って視線を向けたら誰もいない
周りは男の人ばっかりだし、皆緑がかった作業着だし、女性は最後列にいて俺は最前列だったし
あれ何だったんだろうなぁ





まぁ、うとうとし始めた時に見たので、きっと脳が憑かれてたんだろうという下らんオチ
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773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2011/09/01(木) 01:42:56.67 ID:qk69pttIo
乙でした
これは狂わされた少年も中年の男が巡り巡って面倒みることになるんじゃないかと思って
切なくなったぜ!
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774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga ]:2011/09/01(木) 15:51:17.54 ID:KnYCVRqG0
おつでした
身の回りにそういう関係の仕事の人が居るからなんというか身につまされた
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775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga ]:2011/09/01(木) 15:53:31.63 ID:KnYCVRqG0
【不思議少女シルバームーン第九話 第二章「薫風」】

「やるじゃない、人間にしてはそこそこ頑張った方だわ。」
「はぁ、はぁ、化物め!」
「名前は……紅瀬だったかしら?覚えておいてあげる。」

 スバルが去った後、紅瀬とヨツバは激闘を続けていた。
 大量の使い魔を以て物量作戦で攻めるヨツバに対して、
 能力で劣る紅瀬縁は現代兵器を駆使して対抗していた。
 だがその戦力差は圧倒的、ものの数分で紅瀬は彼女に追い詰められていた。
 
「奢るな化物!」

 紅瀬は懐から拳銃を取り出してヨツバに向けて引き金を引く。
 弾丸はヨツバを守る大量の使い魔を貫通してヨツバの目の前まで届くが……

「白紙の呪詛(ホワイト・アルバム)」

 空中で静止する。
 
「動け!動け!動けよ!今動けなきゃ何のために力を得たのか解らない!
 動いてよ私の身体!まだ終わるわけにはいかないのよ!」
「美しいわねえ……。必死であがき、生にしがみつく人の姿は。
 使い魔共に食わせるのも勿体無いわ。」
「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「氷漬けにして葬ってあげる……。」

 ヨツバは使い魔を左右に引かせて、右手を冷気で輝かせながら紅瀬の元に歩み寄る。

「痛みは無いわ、せめてもの慈悲よ。」
「魔女に慈悲があるなんてね。」
「命乞いでもしてみたら?もしかしたら私が気まぐれを起こすかも。」

 手を伸ばせば届く距離までヨツバが迫る。
 彼女の持っている杖が紅瀬の首筋に触れた。
 勝利を確信してヨツバは微笑む。

「遠慮するわ、魔女の慈悲には人間の悪意で報いることにしているの。」

 だがしかし、紅瀬もまたこの瞬間勝利を確信していた。
 ヨツバが最後の瞬間見たのは紅瀬の右手に握られたスイッチ。
 
「―――――――スイッチ、オン」

 それと同時に彼らの視界は真っ赤に染まった。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


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776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga ]:2011/09/01(木) 15:54:42.82 ID:KnYCVRqG0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――




 遠のきかけていた意識。
 その中でも誰かが彼女を呼んでいる。

「おい!おいあんた!大丈夫か!」
「あんたって何よ!この方は業界でも有名な魔女なのよ!
 いくら貴方でもそんなあんただなんて気安く……。」

 聞こえてきた声にヨツバは目を開ける。

「あら、明也くんじゃないの?それにカイトちゃん。」
「え?なんで……」
「ヨツバさん、この人は明尊くんって言って上田さんの息子さんだそうです。」

 常人であれば肺を焼かれる温度にまで熱せられたフロア。
 半人半魔の明尊はこの程度なんのダメージもないし、カイトもまた然りである。
 彼らは迷うこと無くこの階に突入し、そこでヨツバを見つけた。
 紅瀬の捨て身の自爆によってヨツバは瀕死の重傷を負っていた。

「あらそう……、貴方がね。お父様に似て中々いい男だこと。
 でもちょっと可愛らしすぎるわね、ワイルドなタイプの男が好みなの。」
「ヨツバさん!あまり喋ると怪我に障ります。
 お腹に穴あいてますし……頭以外ほとんど火傷でひどいことになってます!」
「顔は女の命ですもの、咄嗟の魔法で最低限守ったわよ。」
「もう……とにかく薬を!」
「薬は良いわ、貴方達が使いなさい。」
「でも!」
「死にはしないわ。それよりも私より先に一人上に行った子が居るの。
 彼を助けてあげて。」
「怪我は治すから!貴方が行ってください!」
「駄目よ、こんなみっともない姿、恥ずかしくて見せられないわ。」
「でも……!」
「カイト、行こう。」
「物分りが良いわね、偉いわ。」
「よく言われる。魔女とやら、後で俺の親父との関係を聞かせろ。」
「あら傲慢ね、考えておくわ。」

 礼を言う、と短く答えてから明尊は振り返らずに階段を登り始めた。

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777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga ]:2011/09/01(木) 15:55:28.49 ID:KnYCVRqG0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――




「貴方の話を聞いた限りでは、今の義兄さんの装備が戦いに耐えうるとは思えません。」
「そうよね、明尊ちゃんったらお父さんから預かった刀しか持ってない筈なのよ。」
「都市伝説だそうですけどあの人と武器系の都市伝説の適合率は低かった筈ですよ。」
「らしいわね。」
「そんな装備でジャックと戦えるとは思えません……。」

 無線でルルと会話する霙。
 彼女はエレベーターが通る穴をゆっくりと登っていた。
 このルートならば簡単に最上階まで到達できるのである。

「ハローおまえら。」
「橙さん何やってるんですか。」
「東南アジアの空の下で優雅にバカンスだ。」
「あ、そっち制圧終わったんですか。」
「うん、ゲリラ戦なんて優秀な探知系が敵にいれば各個撃破の餌を提供するみたいなもんだからな。」
「それで、どうしたんです?」
「いやそれがなあ……F-No.の都市伝説保管庫から貴重な都市伝説が無くなっているんだ。」
「え?」
「監視カメラに明尊がバッチリ写っていてだなあ……。」
「後でこってり叱られる感じじゃないですか。」
「実は私が手引きしていてだなあ……」
「減給何ヶ月ですか。」
「数えたくない。」
「またお前も昔は真面目な娘だったのに!とか所長が泣くんだ。」
「兎にも角にもオペレーションは私がまたやるよ。ルル、お前のやるべきことは解っているな!」
「解ってますよ、つまり……どういうことだってばよ。」
「このすっとこどっこい!お前も今からアジト行って霙とかと合流しろ!」
「はーい。」
「え、ルルさんもこっち来るんですか。」
「きちゃいかんのか。」
「いえ、むしろ歓迎したいんですけど……」
「安心しろ、こいつだって戦闘機能は有る。」
「有ったの私に!?」
「霙、最上階まであと何キロォ?」
「えーっと、0.01キロくらいです。」
「意外と近いな。」
「ええ。」
「―――――――――じゃあ、そろそろか。」

 橙は不敵に笑う。

「え?」

 その瞬間、霙の真下から一陣の風が吹き上がってきた。

「まずはお前らに任せる、霙には最終兵器を持たせて行くからそれまで時間を稼いでいろ。」

 風の正体を視認して霙は顔を輝かせる。

「任せてください!」

 風は霙の手をとってエレベーターのドアをぶちやぶり最上階へと降り立った。


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778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga ]:2011/09/01(木) 15:56:05.16 ID:KnYCVRqG0


―――――――――――――――――――――――――――――――――――





「まだ……まだ終わる訳にはいかない。」

 黒く焦げた肉片のようなものが這いずっている。
 ギリギリ、人の形を保っていると言えなくもない。
 
「私には……まだやることがある。」

 崩れ落ちるようにしながら階段を降りてそれはとある場所へ向かう。

「あと少し……。」

 それが向かう先は彼女の部屋。

「確か、引き出しに……。」

 一枚の写真。
 それを手で握って植物へと変える。
 花の名は蒲公英。
 その綿毛を絶えかけた息で吹き飛ばす。

「……花、咲けばいいなあ」

 そう行って、それはその場に崩れ落ちた。

【不思議少女シルバームーン第九話 第二章「薫風」】

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779 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/01(木) 20:36:21.40 ID:FBg55J330
乙です〜
ヨツバさんが流石すぎるwww
蒲公英の種が運ぶのは何なんだろう・・・
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780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga  sage]:2011/09/01(木) 22:22:10.94 ID:KnYCVRqG0
思えばここが始まったのは何時ごろなのだろうか
自分はわりと新参の部類に入るわけで、実はあまりこのスレの歴史に詳しくない
いろんな人が入ってきたり居なくなったり戻ってきたりした訳だけれども
自分が居た間にずっと居たのは花子さんの人やドクターの人くらいなのではないだろうか
クロスの特性上自分が話を書いている間に他の人に迷惑をかけてなかっただろうか
そのせいで居なくなった人とか居たら嫌だなあ

つーかあれだな
首なし騎士の人マジでどうしたんだろうか
あの人の話好きだったんだけどな
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781 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/01(木) 22:28:25.14 ID:FBg55J330
>>780
まとめで1スレ目を見てみると「あ、最初はこんな感じだったんだ」とちょっと感動してみたり
俺はここが丁度1年迎える頃に来たので、俺も歴は浅い、浅すぎる

>首なし騎士の人マジでどうしたんだろうか
ギザ十の人と占い師と少女の人、怪奇チャンネルの人も心配です、先生
VIP時代に1話だけ書いてたひょっとこの人には申し訳なかったなぁ・・・
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782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga  sage]:2011/09/01(木) 22:50:46.90 ID:KnYCVRqG0
つーかあれですよ
振り返れば正義と悪についてしか書いてないんスよ俺
マジいいテーマなんすよあれ

笛の人が正義とか悪について本格的に思うところが深くなってきたのは思えば小学生だったかくらいのころに仮面ライダー龍騎を見てからです
欲望のままに戦う人々の姿を見て
「あ、人間って欲望の塊なんだ」
と厨二病発症
「くくく、人のことを気にかけたってしょうがねえんだよ!」
みたいな感じの厨二病全開のクソガキとなってしまいました
よいこの皆さん、龍騎は二十歳になってから!
で、そんなクソガキなメンタルを引きずったまま当時の私生活のストレス解消みたいな感じで上田の話を書いていって
その途中でふと作品を振り返って思ったんです
「あれ?なんかこれ虚しくね?」
明日くんの話を書いて善を突き詰めていたのが気付きを早めた気もします
確かに自分の欲望は大事です
その為に他人を犠牲にすることがやむを得ない時もあります
でもその程度で「人の本質とは悪徳に満ち欲望に塗れているのだ……」とか言うんじゃなくて
「そうだね、でもどうせなら他の人も幸せにならないかなってチャレンジだけはしてみようぜ」と行動するのが大切だと思うのです
誰もが真司や五代さんになれるとは思えませんが、せめて伊達さんとか木野さんは目指せると思うんですよ
今見返すにつけ前者の人々はまぶしすぎて真似できません
でもあくまで自分のやりたいこと・やるべきことを優先させながら出来る限り人を助けようとする伊達さんや
色々間違ってみたけれども最後は正しい道を見つけてそこに戻ってくることが出来た木野さんに
自分は自分の可能性を見出すわけですよ

あと個人的にはアメコミについても語りたいんですがそれはそのうち
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783 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/01(木) 23:29:32.29 ID:FBg55J330
作品テーマか・・・うん、思いつかないorz
龍騎は小学生には衝撃的ですよねwwwww

ところで龍騎の時で小学生だとすると、俺と1〜3歳しか変わらないのか・・・なんか嬉しい(何故
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784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 00:00:42.61 ID:Ch5qPHXCo
投下乙ですー
ヨツバさんがイケメンすぎて
咄嗟に乙女の命を守るあたり流石ですとしか

>>782
いや龍騎はそんな昔じゃないだろう……と思ってうぃきぺたんに聞いてみたら2002年(平成14年)だと
しかも平成ライダー3作目だと
時の流れって残酷ね

作品テーマ?そんなのないよ!
妄想を文章に起こすだけの簡単なお仕事です
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785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 00:41:30.44 ID:srqDS1x30
>>782
無駄です、この世界は弱肉強食です
初期の上田は輝いていた! 我々もあの様にあるべきなんだ!
確かに創作と現実は区別可能だ
しかし、創作は現実に影響を与える、それも確実に!!
我々はポスト上田たるべきだ!
誰だって自分が可愛いんだよ、他人なんざ蹴り落としてこその幸福よ!
上等じゃないか!!


なーんてリアルでは割と本気でそう思っているのは
20の時に龍騎を視聴してたせいかな…あの頃から割とそういう思考だし…あれ、あ、あれれ?


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786 :  [sage]:2011/09/02(金) 01:06:57.44 ID:VXxEQo22o
>>785
ひょっとして、上田のキャラを誤解、してないかい…?
いや、初期の上田は、ワリとそんなだったかなー…?
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787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 07:32:00.82 ID:pxBn+g6DO
あれだな、初期の彼は止めどなき欲望に任せて出会い頭に都市伝説を幼女型にしてから一発決めるようなレイパーだったし
都市伝説のために人間ぶっ殺して、ついでに現金だけ財布からぬきとってたし
わりと殺戮行為楽しんでたし
そうだ、今の奴に足りないのはマジキチっぷりだ!!
ただ初期から自分の能力で操った女の子をどうこうしてない辺りやつには奴なりの美学があるのかな
家庭をもってるのにこれ以上はじけられても困るが
とりあえず誰かレイプから始まる恋はよ
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788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 17:37:20.20 ID:pxBn+g6DO
未来組と初期の上田を戦わせたい
たぶん圧倒される未来組
回復役と勘違いされて真っ先に撃破される朔夜ちゃん
やったか!→当然やってません→能力で明尊くん撃墜→のついでにバイバイスバルくん
霙ちゃん→アンラッキーで自爆


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789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:36:34.92 ID:LT2I9g9S0
組織はバミューダ戦の時に
あの黒服使うんじゃなくてゼロナンバー三名くらい投入して
割と本気で潰しておくべきだったと思う。それもサンジェルマンが関与する前に
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790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 23:01:45.73 ID:pxBn+g6DO
サンジェルマンがそれ以前から「上田がギリギリ倒せる黒服を送り込んでた」という説も濃厚
まああそこが完全にターニングポイントだったよな
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791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:31:23.26 ID:htLrMtKSO
台風の暴風域だとは思えぬ静かな夜
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792 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/03(土) 19:47:22.43 ID:odJeJIa00
>>791
羨ましいな、こっちは寧ろ騒々しいよwwwww
台風帰れマジでwwwwwww
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793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 03:35:13.82 ID:ycJk9vIDO
週末の閑古鳥。
さては貴様らリア充だな。


ところでこんな夜中にも閑古鳥って鳴くのな。
夜に鳴くのはフクロウくらいだと思ってたけれと、今も裏の山からヒョーヒョーと鳴き声が。
閑古鳥ってどんな見た目なんだろう……窓開ければ見えるかな?ちょっと確認してくる。
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794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2011/09/04(日) 07:46:08.53 ID:AIYP97Bo0
>>793
早まるなそれはまやかしだ!
閑古鳥はカッコウのはず(
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795 :創作デュエルは専門じゃないからアラがあっても許してね [saga  ]:2011/09/04(日) 08:56:14.26 ID:FUIzPnob0
【極光の紗綾(番外編・このスレのキャラがデュエルをおっぱじめるようです)】

「ここが次の世界か……。」
「兄様、この世界、何か変ですよ?」
「ああ、都市伝説の気配がまったく感じられない……。」

 自らの記憶を探し世界をめぐる二人。
 今日は都市伝説の気配の無い妙な世界にたどり着いていた。

「俺のターン!ドロー!
 オオアラシハツドウエングンルミナスエクスチェンジエクスチェンジエクスチェンジジャッジメントデスノー!
 ルッキンザブリッツループディスクーラネーインサッチェイオンリーマイレーガンキャンシューイッカーナーラーズー♪」
「ぎゃあああああああああああああ!」

「そのかわりと言っては何ですがそこかしこでカードゲームをやってる人の姿を見かけますね。」

 辺りを見回す二人。
 確かに彼らの居る広場では沢山の人々が腕に円盤のような物をつけてカードゲームを行っていた。

「沼地の魔獣王を捨てて融合を手札に!」
「天罰!」
「だが魔獣王は墓地に行く!
 ミラクルフュージョン発動!出てこい!シャイニングフレアウイングマン!」
「くくく……しかし私のFGDは……」
「ダメージステップ時にオネスト発動だ!オモイーガーシュンヲーカケーヌーケテー」
「ムキュー!」

「DNA改造手術を発動!場のモンスターを全て機械族にする!
 リミッター解除を発動!」
「あーれー!」

 兄はため息を付いてしゃがみ込む。

「妙な世界だ……。」
「いや待ってください兄様、もしかしたらここに私たちの記憶の鍵があるかもしれません。」
「そんなバカな……。」
「見てください兄様、私たちも何時の間にかデッキを持っているみたいですよ!
 それにこの円盤みたいなものも!」
「な、なんだって……本当だ。それになぜかこれの使い方も解る!」

 そんな時、突然人々がデュエルを中断してその場をそそくさと離れ始める。
 遠くからバイクの音が聞こえてくる。
 其れにともなって間違えた方向にイカした服装の三人組が兄妹の前に現れた。
 ちなみに全員女の子だった。

「あんた達!デュエルしなさい!」
「だ、誰だお前は!」
「ふふふ……私たちはここら一帯でちょっとは名の知れたデュエルギャング!
 ここで一旗あげて満足するのが目的よ!
 私がリーダーの大門望!」
「そして私はサブリーダーの暦だよ、貴方達は私たちの満足の糧となってもらう!」
「ま、満足!?」
「イエス!サティスファクション!僕が鉄砲玉の橙・レイモン様だ!」
「兄様、相手は日本語の通じない人種のようです。」
「日本語ォ?」
「あんた達デュエリストのくせに日本語なんて使ってるの!?」
「この国の人間なら公用語はコンマイ語よ!」
「「「HAHAHAHAHAHAHAHAHA!」」」
「兎にも角にも、私たちとデュエルなさい。」
「馬鹿馬鹿しい、付き合ってられるか!」

 零人は陽子を連れてその場から離れようとする。
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796 :創作デュエルは専門じゃないからアラがあっても許してね [saga  ]:2011/09/04(日) 08:56:43.39 ID:FUIzPnob0
「おっと!させないよ!」
「ぐわっ!いきなり鎖がディスクに!?」
「悪いが私たちのデュエルディスクは特別でね!
 デュエルが終わるまで相手が逃げられないようになっているのさ!」
「くそ……!」
「さあ!満足させても…………」

 じりじりと三人がこちらに近づいてきたその時だった。
 突如として彼らの間に一陣の風が吹く。
 口笛と共に仮面の男が突如として現れた。

「「ヘイ、そこのデュエルギャング共!その汚い手をさっさとどけるんだな!」」

 そこに立っていたのは正体不明のマスクマン。
 声は二人分の音声が重ね合わされたような不思議な声だった。

「まさか、セキュリティ!?」
「もう来たの!?予想以上の早さね!」
「馬鹿なっ、僕のデータによればまだ来ない筈だったのに!」
「「その通り、俺たちは二人で一人のデュエリスト、黄昏兄弟さ!」」
「「町を泣かす奴らは許せねえ、そこのお二人さん、勝手に助太刀させてもらうぜ!」」
「デュエルはするんかい!」
「当たり前ですわ兄様、ここまで来て引き下がれません!」
「なんでお前はノリノリなのっ!?」
「先に二勝した方の勝ちで良いわね!」
「勿論!」

 完全にこの世界のノリに適合している妹に若干引き気味の兄であった。

「「行くぜお二人さん!」」
「はい!」
「はいってなに?」
「「スタンディングデュエル!」」
「デュエルスタンバイ!」

 突然、光の壁のような物で互いに立っている場所を仕切られる。
 それは三つのゾーンに分かれていてそれぞれ同じゾーンに居る対戦相手と戦うことになるようだ。

「君の相手は僕だよ、セキュリティさん!」
「ヒュー!ナイスロリっ子じゃねえか!」
「兄さん、暴走しないでくれよ。」
「解ってるって!」

「リーダーとして負けるわけにはいかないわ!」
「望さんでしたっけ?私のデッキに勝てるかしら?」

「どうしてこうなった!どうしてこうなった!」
「The World、これが世界の選択か……。」

 真っ先に戦いの火蓋を切ったのは望と陽子の戦いだった。

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797 :創作デュエルは専門じゃないからアラがあっても許してね [saga  ]:2011/09/04(日) 08:57:27.42 ID:FUIzPnob0
「私のターン、ドロー!
 私は六武の門を発動!六武衆の結束を発動!手札からカゲキ影武者召喚!
 結束を墓地に送り二枚ドロー!再び六武衆の結束を発動!
 自身の効果でキザンと師範を特殊召喚!
 結束を墓地に送り二枚ドロー!(手札残り三枚)
 ここでカゲキと影武者をチューニング!
 数多戦陣駆け抜けて、切って捨てるが戦道、倒れた友すら踏みつけて!
 今日も向かうは血の池地獄、ああいざいかん皆の者、目指すは一つ天が下!
 出てきなさい!真六武衆シエン!(門・カウンター5つ)」
「…………。」
「ドヤァ」

 それにしてもこの陽子偉そうである。

「ドヤァ」

 偉そうである。

「テフダパチパチパチパチ」
 
 しかもマナーも悪い。
 
「カードを二枚伏せてターンエンドよ!」


陽子LP:4000 手札:1

モンスター:1「師範(2100/800)」 2「キザン/1800(+300)/500」 3「シエン/2500/1400」 4「」 5「/」
魔法・罠:1「六武の門(カウンター5つ)」2「???」3「???」4「」5「」


「さっさとサレンダーしたら?
 (私の伏せカードは奈落の落とし穴と聖なるバリアミラーフォース)
 (手札には紫炎の寄子が有るから攻撃対策も完璧!)
 (モンスターの召喚阻害に攻撃妨害、そして魔法罠を無効にするシエンさえ居れば……!)」

 尚も調子にのる陽子。

「そうねえ、それも悪くないかもね。」
「え?」
「私が凡骨で、貴方が天才デュエリストだったら……ね!
 私には解るわ、どうせ貴方がコピー厨だってことが!
 そのデッキを使いこなせていないことが!
 大方作者に適当にデッキ選ばれて作者が回し方知らないから書けないんでしょう!」
「うっ!作者が六武とやりあったことないのをなんで知ってるの!?
 確かに作者はどんな相手と戦っても超融合で相手の切り札を食っちまうから仮面レイパーと呼ばれている!
 そして相手にやりたいことを清々しいくらいやらせないから相手の戦術を学べていないのよ!」
「私は手札からパペットプラントの効果を発動!」
「なに、手札から!?インチキ効果も大概になさい!」

《パペット・プラント/Puppet Plant》 †
効果モンスター
星3/地属性/植物族/攻1000/守1000
このカードを手札から墓地に捨てる。
このターンのエンドフェイズ時まで、相手フィールド上に表側表示で存在する
戦士族または魔法使い族モンスター1体のコントロールを得る。

「私は貴方のシエンのコントロールを奪う!」
「くっ……(これじゃあ伏せてあった魔法罠が使えない!)」
「さらにここで私はアメーバを召喚!」
「あ、アメーバですって!?(嘘!?奈落の落とし穴が使えないじゃない!)」
「私は手札から強制転移を発動!」



《アメーバ/Ameba》 †
効果モンスター
星1/水属性/水族/攻 300/守 350
フィールド上に表側表示で存在するこのカードのコントロールが相手に移った時、
相手は2000ポイントダメージを受ける。
この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。

《強制転移(きょうせいてんい)/Creature Swap》 †
通常魔法
お互いに自分フィールド上に存在するモンスター1体を選択し、
そのモンスターのコントロールを入れ替える。
そのモンスターはこのターン表示形式を変更する事はできない。
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798 :創作デュエルは専門じゃないからアラがあっても許してね [saga  ]:2011/09/04(日) 08:58:12.72 ID:FUIzPnob0
「う、嘘でしょう!?私はキザンを選択するわ……」
「甘かったわね、地雷デッキで貴方みたいなコピーデッカーを食い物にするのって本当に楽しいわぁ!
 “貴方の”シエンで“私の”アメーバに攻撃!」
「聖なるバリアミラーフォー……」
「シエンの効果で無効よ!」
「アッパイアッパイ……」


陽子LP:0 手札:1

モンスター:1「師範/2100/800)」 2「//」 3「アメーバ/300/350」 4「」 5「/」
魔法・罠:1「六武の門(カウンター5つ)」2「奈落の落とし穴」3「聖なるバリアミラーフォース」4「」5「」


 大門望、WINS!!




「陽子!」
「ごめんなさい兄様……私、足手まといにならないように強くなりたかっただけなのに……ガクッ」
「美しい兄妹愛だねえ、でも油断していて良いのかな?」
「くそっ……!」

 場面変わって暦vs零人
 こちらの戦いは一ターン目が終わったばかり。
 まだまだ始まったばかりだった。

零人LP:4000 手札:5


モンスター:1「/」 2「/」 3「/」 4「裏側守備/」 5「/」
魔法・罠:1「」2「」3「」4「」5「」


こよみLP:4000 手札:5

モンスター:1「/」 2「/」 3「/」 4「裏側守備/」 5「/」
魔法・罠:1「」2「」3「」4「」5「」



「私のターン、ドロー!私は裏守備表示の黄泉ガエルをリリースして風帝ライザーを召喚!
 貴方の裏守備モンスターをデッキに戻す!」
「しまった!」

《風帝(ふうてい)ライザー/Raiza the Storm Monarch》 †
効果モンスター
星6/風属性/鳥獣族/攻2400/守1000
このカードがアドバンス召喚に成功した時、
フィールド上に存在するカード1枚を持ち主のデッキの一番上に戻す。

「ライザーでダイレクトアタック!」
「……かかったな、馬鹿め!俺は手札からゴーズを召喚する!」
「ぬわにぃ!?」

《冥府(めいふ)の使者(ししゃ)ゴーズ/Gorz the Emissary of Darkness》 †
効果モンスター(制限カード)
星7/闇属性/悪魔族/攻2700/守2500
自分フィールド上にカードが存在しない場合、
相手がコントロールするカードによってダメージを受けた時、
このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
この方法で特殊召喚に成功した時、受けたダメージの種類により以下の効果を発動する。
●戦闘ダメージの場合、自分フィールド上に「冥府の使者カイエントークン」
(天使族・光・星7・攻/守?)を1体特殊召喚する。
このトークンの攻撃力・守備力は、この時受けた戦闘ダメージと同じ数値になる。
●カードの効果によるダメージの場合、
受けたダメージと同じダメージを相手ライフに与える
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
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799 :創作デュエルは専門じゃないからアラがあっても許してね [saga  ]:2011/09/04(日) 09:00:14.01 ID:FUIzPnob0
「それは幻のレアカードじゃない、なんで貴方が……!」
「なんかデッキトップ光ってるなとおもったら何時の間にか手札に有った。」
「ねーよwwwwwwww」
「嫌だってまじで」
「アニメや漫画やSSじゃないんだからwwwwww」
「だって……でたんだもん」
「貴方がそれを持ってる理由については今は聞かないわ。
 貴方が負けてからゆっくりしゃべってもらうとしましょう。
 私はカードを二枚伏せてターンエンドよ!」


こよみLP:4000 手札:3

モンスター:1「/」 2「/」 3「/」 4「風帝ライザー/2400/1000」 5「/」
魔法・罠:1「???」2「???」3「」4「」5「」

「俺のターン、ドロー!」
「させない!はたき落としを発動するわ!」
「え!?」

《はたき落(お)とし/Drop Off》 †
通常罠
相手のドローフェイズ時に、相手が通常のドローをした時に発動する事ができる。
相手はドローしたカード1枚をそのまま墓地へ捨てる。

「くそっ!俺は異次元の女戦士を召喚!」
「その瞬間、私は伏せていた激流葬を発動!」

《異次元(いじげん)の女戦士(おんなせんし)/D.D. Warrior Lady》 †
効果モンスター
星4/光属性/戦士族/攻1500/守1600
このカードが相手モンスターと戦闘を行った時、
そのモンスターとこのカードをゲームから除外する事ができる。

《激流葬(げきりゅうそう)/Torrential Tribute》 †
通常罠(制限カード)
モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時に発動する事ができる。
フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。

「ば、馬鹿な!?」
「残念だったわね!これで場はリセットよ!」
「くそ……俺はカードを二枚伏せてターンエンドだ。」


零人LP:1600 手札:2

モンスター:1「/」 2「/」 3「/」 4「/」 5「/」
魔法・罠:1「」2「???」3「???」4「」5「」



「私のターン、ドロー!
 私は黄泉ガエルを蘇生!
 更に大嵐を発動!
 この子を贄として炎帝テスタロスを召喚するわ!」


《炎帝(えんてい)テスタロス/Thestalos the Firestorm Monarch》 †
効果モンスター
星6/炎属性/炎族/攻2400/守1000
このカードがアドバンス召喚に成功した時、
相手の手札をランダムに1枚捨てる。
捨てたカードがモンスターカードだった場合、
そのモンスターのレベル×100ポイントダメージを相手ライフに与える。

自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
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800 :創作デュエルは専門じゃないからアラがあっても許してね [saga  ]:2011/09/04(日) 09:00:48.68 ID:FUIzPnob0
「さあ、この手札を捨ててもらおうかしら!」
「そ、それは!?俺の切り札が!」
「あらあら、ラッキーだったわね。
 ヘリオス・トリス・メギストスなんて渋いカード使うじゃない。
 テスタロスで攻撃!」
「残念だったな、俺は先程の大嵐にチェーンしてすでにこのカードを発動していたのさ!
 和睦の使者、こいつはダメージを無効化する効果を持っている!」
「和睦って?」
「ああ!」
「いつの間に?」
「ああ!」
「…………。」
「…………。」

 一瞬だけお互いに黙りこむ。
 が、次の瞬間暦が声の限りに叫ぶ。

「ジャッジー!ジャッジ何処ですかー!この人反則しましたー!」
「ここにジャッジはいねえ!」

 どちらが主人公なのだろうか。

「……二重の意味で命拾いしたわね。私はターンエンドよ。」

《和睦(わぼく)の使者(ししゃ)/Waboku》 †
通常罠
このカードを発動したターン、相手モンスターから受ける
全ての戦闘ダメージは0になる。
このターン自分のモンスターは戦闘では破壊されない。


《ヘリオス・トリス・メギストス/Helios Trice Megistus》 †
効果モンスター
星8/光属性/炎族/攻 ?/守 ?
このカードは自分フィールド上の「ヘリオス・デュオ・メギストス」1体を
生け贄に捧げる事で特殊召喚する事ができる。
このカードの攻撃力と守備力は、ゲームから除外されている
モンスターカードの数×300ポイントになる。
このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた場合、
エンドフェイズ時に攻撃力・守備力を500ポイントアップさせて特殊召喚される。
相手フィールド上にモンスターが存在する場合、
もう1度だけ続けて攻撃を行う事ができる。



零人LP:800 手札:1

モンスター:1「/」 2「/」 3「/」 4「/」 5「/」
魔法・罠:1「」2「」3「」4「」5「」



こよみLP:4000 手札:3

モンスター:1「/」 2「/」 3「/」 4「炎帝テスタロス/2400/1000」 5「/」
魔法・罠:1「」2「」3「」4「」5「」
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
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801 :創作デュエルは専門じゃないからアラがあっても許してね [saga  ]:2011/09/04(日) 09:01:15.86 ID:FUIzPnob0
「くそ……このままじゃあ!」
「兄様……。」

 地面に伏したままの陽子が顔を上げて彼の方を見つめる。
 視線と視線が絡み合う。

「妹さんは助けてくれないよ?デュエルってのは孤独な戦いさ。」
「ああ、そうだな。あいつは今俺を助けられない。」
「諦めたら?」
「いいや。」
「は?」
「あいつが助けてくれないってのは事実だ。
 俺が助けるんだから。
 それとデュエルが孤独な戦いってのは違うね。
 俺のデッキとの絆は……決して断ち切れない!」
「ふん、そんな状況で……」
「それにほら、俺の目の前に君がいる、なんてね。
 デュエルってのは互いの魂のぶつけ合いだぜ?」
「――――――――――なっ!?」

 ※ここでThe people with no nameを聞いていただけると幸いです

「恰好いいだろ?」
「馬鹿にしないで!たった一枚の手札で何が出来るっていうの!?」
「一枚じゃない!俺のターンドロー!」
「どうせ勝てないわ、早く負けを認めなさい。
 奇跡なんてあるわけないのよ!」
「いいや……俺の勝ちだね。奇跡も魔法も有るんだよ!」
「なに?」
「俺は異次元の女戦士と冥府の使者ゴーズを除外してカオス・ソルジャー −開闢の使者−を召喚する!
 さらに手札からオネストの効果発動!カオス・ソルジャーでテスタロスに攻撃!
 第一打!
 さらにカオス・ソルジャーの効果を発動!喰らえ第二打だ!」
「こんなのぜったいおかしいよ……」

《カオス・ソルジャー −開闢(かいびゃく)の使者(ししゃ)−/Black Luster Soldier - Envoy of the Beginning》 †
効果モンスター(制限カード)
星8/光属性/戦士族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の光属性と闇属性モンスターを1体ずつゲームから除外して特殊召喚する。
自分のターンに1度だけ、次の効果から1つを選択して発動する事ができる。
●フィールド上に存在するモンスター1体をゲームから除外する。
この効果を発動する場合、このターンこのカードは攻撃する事ができない。
●このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、
もう1度だけ続けて攻撃を行う事ができる。

《オネスト/Honest》 †
効果モンスター(制限カード)
星4/光属性/天使族/攻1100/守1900
自分のメインフェイズ時に、フィールド上に表側表示で存在する
このカードを手札に戻す事ができる。
また、自分フィールド上に表側表示で存在する光属性モンスターが
戦闘を行うダメージステップ時にこのカードを手札から墓地へ送る事で、
エンドフェイズ時までそのモンスターの攻撃力は、
戦闘を行う相手モンスターの攻撃力の数値分アップする。

こよみLP:0 手札:3


モンスター:1「/」 2「/」 3「/」 4「/」 5「/」
魔法・罠:1「」2「」3「」4「」5「」




 零人WINS!

「ガッチャ!いいデュエルだったぜ!」
「な、なによ……。」
「一度デュエルをしたら友達さ。」
「……調子崩れるなあ。」
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
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802 :創作デュエルは専門じゃないからアラがあっても許してね [saga  ]:2011/09/04(日) 09:02:19.27 ID:FUIzPnob0
「「ひゅー、向こうもやってるねえ。」」
「中々やるじゃ無いか……、僕のデータを尽く上回ってくるなんてセキュリティにしておくのは勿体無いよ。」
「「ヒハハ!褒めてくれるならそのロリパイをふにふにさせるんだな!」」
「ちょ、人の身体でなんつーことを言ってるんだ!?」
「気にすんなよー」
「ったく……!」

 黄昏兄弟と橙の戦いは佳境を迎えていた。

橙・レイモンLP:4000 手札:1
(エフェクト・ヴェーラー)
墓地:ワーム×16

モンスター:1「/」 2「」 3「攻撃表示 ワームゼクス/」 4「攻撃表示 ワームヴィクトリー/8000/2500」 5「/」
魔法・罠:1「魔宮の賄賂」2「」3「波動キャノン(カウンター×2)」4「」5「次元幽閉」




黄昏兄弟LP3000: 手札:5
(非常食、処刑人マキュラ、デビルコメディアン、大嵐、リビングデッドの呼び声)
墓地:無し
デッキトップ:???

モンスター:1「/」 2「/」 3「スナイプストーカー/」 4「太陽龍インティ/3000/2800」 5「/」
魔法・罠:1「」2「」3「」4「」5「」


デッキトップは赤き竜の加護で好きなカードを一枚選べます
皆もこの状況で勝つ方法を考えてみよう☆
ヒントは今までの戦いの中に含まれています
カードの効果はここで書いちゃうとヒントになるから自分で調べてね!



自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
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803 :創作デュエルは専門じゃないからアラがあっても許してね [saga  ]:2011/09/04(日) 09:03:35.70 ID:FUIzPnob0
※解答編















「ふはははは!これが私のワームの力だ!
 君たちに残された勝利の可能性は0%、早く降参したまえ!」
「もうだめなのか……」
「兄さん、諦めてはいけないよ。」
「勝つ手段が有るっていうのか!?」
「兄さんが昨日ふざけて作った紙束で勝負を挑まなきゃ楽勝だったけどね!」
「だってセキュリティ権限で禁止カード一枚入れて良いって言うから……
 あ、急にデッキトップが光りだした!」
「遊戯王お決まりのパターンさ!」
「はっはっは!一人芝居は終わったか!?」
「まあ良いよ、勝利の方程式は出来上がった。」
「え?」
「大嵐を発動!」
「魔宮の賄賂だ!」
「一枚ドローさせてもらうぞ!」
「スナイプストーカーの効果を発動!マキュラを捨てて……」
「チェーンでエフェクト・ヴェーラーの効果を発動!破壊はさせん!」
「しかしコストで捨てたマキュラの効果を発動!」
「デビルコメディアンだな!」
「違う!リビングデッドの呼び声を発動だ!」
「え?」
「マキュラを特殊召喚!」
「更に手札からDNA改造手術を発動!マキュラとスナイプストーカーをエクシイイイイイイイズ!
 出てこい!エヴォルカイザー・ラギア!」
「わ け が わ か ら な い よ」
「すげえぜ正義!」
「デビルコメディアンをセット!ここで非常食を発動!フィールド上の DNA改造手術 リビングデッドの呼び声 デビルコメディアン を墓地に送る!
 これでライフポイントを3000回復!
 これで僕達のライフは6000だ!
 インティで攻撃!」
「次元幽閉!」
「ラギアで無効だ!」
「ヴィクトリーに破壊されたことによってインティの効果発動!
 あんたに4000ダメージだ!」
「うわああああああああああああ!」


 黄昏兄弟 WIN!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
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804 :創作デュエルは専門じゃないからアラがあっても許してね [saga  ]:2011/09/04(日) 09:04:09.33 ID:FUIzPnob0
「ひゃっはー!俺たちの勝ちだぜ!
 さあレモンちゃあああああん!そのツルペタバディを思う存分貪らせてもら……」
「誰かああああああああああああ!けいさああああああああああつ!」
「俺たちが警察だ!レモン味のファーストキス、頂いちまうぜ!んちゅ!んちゅ!」
「俺の身体で犯罪起こすな!」
「ぎゃあ!」
「おまわりさああああああああああああん!」

「く……私たちが負け越すなんて。」
「ごめんね。」
「不覚をとったよ……。」
「まあ良いわ、今回だけは見逃してあげる。覚えてらっしゃい!」

 謎の三人組はそそくさと逃げてしまった。

「あ、待てー!」

 セキュリティの黄昏兄弟は彼らを追いかけて行ってしまった。
 あとには兄妹二人だけが取り残されたのである。


「落ちは無いけど別にイイよね!」

【極光の紗綾(番外編・このスレのキャラがデュエルをおっぱじめるようです)】
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
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805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2011/09/04(日) 11:39:26.64 ID:AIYP97Bo0
笛の人乙です〜
おぉ、修正どころか追加まで…って裂邪のセクハラ台詞まで追加されとるwww
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
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806 :創作デュエルは専門じゃないからアラがあっても許してね [saga  sage]:2011/09/04(日) 21:47:25.21 ID:FUIzPnob0
零人は【遊戯デッキぽいカオスデッキ】
陽子は【六武衆】
望は【DNA改造コントロール奪取】
暦ちゃんは【ガエル帝ローロック】
裂邪と正義は【インティ&クイラ】
レモンは【ハーフ&ワーム】


どうでもいいけど草加さんはちゃんと乾と仲良くスべきだったと思うの
あいつが無駄なことしたせいでっていうか井上が彼に妙なことさせたせいで……
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:52:17.71 ID:u3O9icUro
投下乙です
裂邪……うん、いつもの裂邪だ

ところで、笛の人に至急確認したいことがある
某格闘ゲームを購入したのだが、カイト・クローバー君はそういうことでよろしいか?
808 :創作デュエルは専門じゃないからアラがあっても許してね [saga  sage]:2011/09/04(日) 22:44:26.68 ID:FUIzPnob0
カイト君は……まあそういうことだ
昔の話にショタだった頃のカイトくん出してるんだぜじつは
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 22:56:44.39 ID:u3O9icUro
そう、そうなんですよ
アレの名前がアレでカイト君のショタ期と比べても明らかにアレなんでもしかしたらアレなのかと思ったら案の定アレですよ
素晴らしい、実に素晴らしい!あれはよいものだ……
ありがとう笛の人、ありがとう
810 :創作デュエルは専門じゃないからアラがあっても許してね [saga  sage]:2011/09/04(日) 23:08:24.14 ID:FUIzPnob0
いえいえ、俺はただ……
カイト君が某変態さんに出会ってから女装させられまくった経緯をかけてない三流創作者ですよ……
今は明日君の話の最終回書いてます
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/05(月) 21:28:22.38 ID:coIX6+hDO
♂の魔法使い

三十歳を迎えてなお童貞の主人公が雄野郎ばかりの異世界に飛ばされた!?
冴えないおっさんとガチホモ達が織り成すハートフルファンタジー!!
おっさんは自らの童貞と処女を守りきれるのか!?


ってのやったらどうかな
812 :なんかひろった (代投) [saga]:2011/09/05(月) 23:04:38.36 ID:Eq3lCCia0
すりすりすりすりスネオかわいいよスネオすりすり、なネタ。
すりすりがゲシュタルト崩壊したら私の勝ち。
それにしても動物ってかわいいですよね。
ちょいちょいと手を伸ばしたらとてとて近づいてきてくんくんしてすりすりしてきたところをなでなでしたらコテンとたおれてなでなでもふもふごろごろすりすりああもう猫かわいいよ猫なでなでもふもふにゃーにゃー猫かわいい。
813 :なんかひろった (代投) [saga]:2011/09/05(月) 23:17:26.23 ID:Eq3lCCia0

「たっだいまー!」
「おかえ……なにそれ。」

 すりすりすりすり

「なんかひろった。」
「なんでそう君は妙なものに好かれるかな……。」
「私の人徳のなせる業です。」

 すりすりすりすりすりすりすりすり

「さっきから足、くすぐったくない?」
「ただただ愛しいばかりです……ッ!」
「ダメだこの子本物だ。」

 すりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすり

「可愛いなぁもう可愛いなぁスネオ可愛い。」
「スネオ!?」
「『すねこすり』だからスネオ。」
「……まぁ君がいいならいいんだけどさ。」

 すりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすり

「じゃあ私はスネオをお風呂に入れてくるぞ。」
「……ん、いってらっしゃい。」
「さあスネオこっちだぞー。存分に洗ってやるぞー。」

 すりすりすりすりすりすりすりすり…………

「配水管、詰まらなきゃいいな……。」


    ・
    ・
    ・
814 :なんかひろった (代投) [saga]:2011/09/05(月) 23:18:26.11 ID:Eq3lCCia0

 カチャッ コチコチ trrrrrrrrr……ピッ

「あ、黒服さん。申し訳ないですけれどまた回収お願いします。今回は『すねこすり』です。」
『2日前にも『ツチノコ』を受け取りにお伺いしたはずですが……相変わらずですね、あの人は。』
「良くも悪くも『動物に好かれる体質』ですから。」
『ではいつものように明日の早朝で?』
「はい、お願いします。」

 ピッ パタン

「あーさっぱりしたー。きれいになったなースネオ。」

 すりすりすりすりすりすりすりすり

「はっはっは、嬉しいか?嬉しいのかこのぉー。」
「その様子だと暴れたりはしなかったみたいね。」
「うん。面白かったぞー、スネオを泡まみれにしたらすりすりしてきて体を洗ってくれてな。さしずめ全自動スポンジってとこだ。」
「……そいつが?」
「うん。」
「君の体を?」
「うん。でも、全身洗ってもらおうと抱きしめたら嫌がってな。結局膝から下しか洗ってもらえなかったよ。」
(……落ち着け、珍妙生物に嫉妬したら負けだ……。)
「さ、そろそろ晩御飯だな。ところでスネオって何食べるんだろ?」
「んー……前に人面犬拾ったときのドッグフード余ってたから、それでいいんじゃないかな?」
「なるほど……よし、試してみよう!さあスネオ、晩御飯だぞー。」

 すりすりすりすりすりすりすりすり……

「無理して食べさせるなよー。あと、こっちももうすぐご飯できるぞー。」
「おー、スネオが食べるの確認したら行くー。」


    ・
    ・
    ・
815 :なんかひろった (代投) [saga]:2011/09/05(月) 23:19:10.92 ID:Eq3lCCia0

 ホーウ……ホーウ……ヒョーヒョー……

(またあいつは名前なんか付けて……別れのときはいっつも泣くくせに愛着持つようなことするんだから……)

 すり……

(……うん?)

 すりすり……すりすり……

(スネオ?たしかあいつのところで寝てたはず……寝ぼけてこっち来たのか?)

 すりすり……すり……

(ん……ちょっとくすぐったい……けどまぁ、たしかにこうして見ると可愛い……)

 ゾリッ

「痛っだあああああああああああ!!?」

 ビクッ! スササササ……

「いっ……今一瞬やすりみたいな感触が……!?」
「おいなんだうるさいぞ!」

 すりすりすりすりすりすり

「そ、そいつが俺のすねを……。」
「うん?大方寝ぼけて蹴飛ばしでもしたんだろ。ほら見ろ、スネオがこんなにおびえて……。」

 すりすりすりすりすりすりすりすりすりすり

「いやどちらかというと寝ぼけたのはスネ……」
「言い訳するな見苦しい。よーし怖かったなースネオ、あっちで私と一緒に寝ようなー。」

 すりすりすりすりすりすりすりすり………

「……理不尽だ。」


    ・
    ・
    ・
816 :なんかひろった (代投) [saga]:2011/09/05(月) 23:19:57.98 ID:Eq3lCCia0

 チュン……チュンチュン……

「では、この子は確かにお預かりしました。」
「ぐすっ……スネオおおぉぉぉぉおぉぉ達者でなああぁぁあぁぁぁあ!!」
「あ、行っちゃってください。どうせしばらく泣きやまないんで。」 ポンポン
「え、ええ。では、いつもご協力ありがとうございます。失礼いたします。」
「スネオおおぉぉぉぉあああ!えぐっ……元気でなああぁぁぁあぁぁあ!!」

 ブロロロロロロロ……

「う゛ああああぁぁぁぁぁあぁあ!!スネオおおおぉぉぉぉぉぉお!!」
「大丈夫だって、あの人のとこなら絶対スネオを幸せにしてくれるから。」
「スネオおおぉぉぉぉ……ひぐっ、うっ……うあああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあ!!!」
「……そろそろ中、入ろうか。泣きやんだら朝ごはんにしような。」 ギュッ
「ぐすっ……こういうときばっかりカッコつけて……ずるいぞこのっ…バカ……ッ。」
(ずるいのはどっちだよ……可愛すぎだろちくしょう……。)

 パタン。



【終】

817 : ◆2PnxfuTa8. [saga  sage]:2011/09/06(火) 22:19:35.63 ID:4mYlCVQY0
【不思議少女シルバームーン 第九話 第三章「決着」】

「手間取らせてくれたねえ……スバル。」

 沈黙して動かない少年。
 全身をワイヤーで切り刻まれてわずかに生の気配が聞こえるばかりの少年。
 彼の姿を感慨深げに見つめる死んだ少年。
 ジャックはスバルの身体を軽々持ち上げると彼をワイヤーで十字架にくくりつける。

「いい眺めだ……。
 あと三十分かそこらで君と僕は一つに……いやこの世界中が一つになる。
 装置によって増幅された僕の力で全世界的に行われる無差別吸血で……
 世界人口の七割以上が僕の眷属となるわけだ。
 きっとそこには痛みも苦しみもない素敵な世界が待っているんだ……。」

 そこまで彼が呟いた所で扉が開く。

「残念だが……お前の野望はそこまでだ!」
「あらん、可愛い男の子、キライジャナイワ!」
「ふん、明尊と……お姉さんどちら様?」
「悪に名乗るナマエハナイワ!」
「ああそう。」

 真紅のコートが風もないのになびいている。
 青いローブが静寂を湛えて寄り添う。
 そこに立っていたのは上田明尊とカイト・クローバーだった。
 結局、様々な妨害をねじ伏せて彼らが真っ先にこの場所にたどり着いたのだ。
 
「どうするんだい?僕を倒す?」
「ああ、そうさせてもらうよ。」
「そこのお姉さんはともかく、そんな自分との適合率の低い都市伝説で僕と渡り合えると思っているのかい?
 装着型と相性が良いみたいだし……せめて日数を装着して僕の前に立って欲しかったな。
 あれの脱着による高速移動だったら僕に迫るチャンスは有ったと思うけど。」
「あんな卵の殻、もう要らないよ。」

 ジャックが懐から髑髏の形をした仮面を取り出す。
 カイトが懐からUSBメモリの形をした契約書を取り出す。
 明尊は自らの羽織っていた赤いコートを真上に放り投げる。

「――――――躄れ死神!」
「聖者の光で魔女が照らす、魔法少女セイント☆カイト!」
「戦慄け天地現世に踊れ、装着型宝貝混天綾起動!」

 ジャックの仮面があっという間に鎌に形を変えて彼の手の中に収まり、突然黒衣が彼の身体を覆った。
 青いローブからクリーム色の光が羽衣のような形をとって溢れ出す。
 只の赤いコートだった物が一瞬で持ち主の全身を包み真紅の戦闘服に変化する。

「君たちごときに吸血鬼の能力を使うまでもない。一撃で刈り取ってあげるよ。」
「この町の魔法少女が一人だけじゃないってことを教えてあげるわ。」
「ふん、この姿では刀が邪魔だな。」

 かくて戦いは……







「ちょぉっと待ったあああああああ!」







 風が吹く。
 駆け抜ける黒い影。
 快音と共に十字架が破壊され、気を失ったスバルがそこから落下する。
818 :悪党と診療所 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/09/06(火) 22:20:00.77 ID:t/JZsNnKo
 からからと音を立てて、ガラス引き戸が開けられる
 白衣を着て銀髪をさらりと流したその姿は、どこかドクターに似た印象を漂わせている

「あの……診察ですか? それとも、ドクターの関係者の方ですか?」

 受付で訝しげに尋ねてくるミツキに、客人は屈託のない笑顔を浮かべる

「面識もアポイントも全くありません。ですがエルフリーデ・マイツェン女史にお会いするために来ました」
「そ、そうですか……今は診療時間中なので、お時間を改めていただくか、しばらくお待ちいただく事になると思いますが」
「待つ事は問題ありません。時間は充分ありますので」
「そうですか、ではお名前を伺ってもよろしいですか?」
「ヴィクトリアです。仲間からは親しみを込めてヴィッキー、もしくはプロフェッサーと呼ばれています」

 その笑顔に胡散臭いものを感じながら、ミツキは来客を伝えるために診察室へ向かう
 ヴィッキーは笑顔のまま玄関口に立っていたが

「そこ、暑い、です。中、どうぞ」

 夏もそろそろ終わりを告げる頃合とはいえ、日差しはまだまだ強い
 奥にあるキッチンから麦茶を入れたグラスを持ってきたメイが、待合室のソファの前でにっこりと微笑んだ

「あら可愛い。エルフリーデ女史の娘さんですか?」
「娘、違う、です。たまに、お手伝い、です」

 ぺこりと頭を下げて、お盆を手にぱたぱたと引っ込んでいくその後ろ姿を
 ヴィッキーはとても楽しそうに、楽しそうに見詰めていた

―――

 待合室の賑わいも陰り、夕日の射し込む寂しげな空間に、溶け込むように佇むヴィッキーの姿
 目の前の小さなテーブルには麦茶が入っていたグラスと、塩気のあるおかきがお茶請けに置かれていた

「お待たせして申し訳ない、今日は少々混んでいたものでな」

 この町を訪れた頃から比べるとやや伸びた、綺麗な銀髪を掻き上げて
 ドクターは気さくに待合室のソファに腰を下ろす

「診療以外の目的で私に会いに来る客人というのも珍しいな。『総統』閣下の関係者かな?」

 まず疑われるのは、都市伝説関係者
 ドイツ系の面立ちからしても、『第三帝国』の関係者を連想させる

「いえ、全く関係性の無い赤の他人です。はじめまして!」
「……よろしく」

 笑顔で差し出される右手を、遠慮がちに握り返す
 相手が女性だというのに、ドクターのテンションが一向に上がる気配が無いのを見て、受付で待機していたメアリーは傍らに居たミツキに目配せをする

「それで……君は、ボクに一体何の用があるのかね?」
「はい、単刀直入に言いますと、あなたの研究成果を丸ごといただきたいと思いまして」

 その言葉と同時に、登場までの経過がコマ落ちでもしたかのように、突然ドクターの背後に数人の黒いボディスーツ姿の戦闘員がざわりと現れる

「ぐっ!?」

 即座に腕を捻り上げ、ソファに押し倒されるドクター
 戦闘員達が何処からともなく取り出したのは手錠や猿轡、そして人間がすっぽり一人は入りそうなトランクケース

「最初は襲撃して研究資料を強奪しようと思ったのですが、記録媒体を損壊する可能性が高いと思いまして。その点、研究者本人なら多少手荒にしても頭部が無事ならどうとでもなりますから」

 押さえつけられたドクターに、ヴィッキーは先程までと全く変わらない笑顔を向ける

「私、脳改造とか得意ですから。気にせず恨んでいただいてて結構ですので」
「そうか、ならば遠慮なく」

 そうドクターが呟くと
 ドクターを押さえつけていた戦闘員達の肉体が、妙な腐臭を漂わせながらぐずぐずと崩れ落ちていく
 ボディスーツは下半身に泥でも流し込んだかのように膨らみ、力と質感を失った上半身がべとりと床に垂れ下がり、転げ落ちた仮面をどろりと汚す
 そして、しばしの時間経過と共に、残ったボディスーツも汚泥のような腐肉も、しゅうしゅうと煙を立てて消滅していく

「他の皆は?」
「ミツキが注意を促しに行きました。既に診療所の外へ一時避難しているかと」

 ソファからゆっくりと起き上がるドクターと、すぐに傍らに駆け寄ってくるメアリー
 そして

「ああ、この能力も素晴らしい。たかだか『エイズ・メアリー』がここまで強力な、空気感染すらする感染症を操れるなんて」
「……効いて、ない?」

 メアリーのばら撒いた、都市伝説上の『エイズ・ウイルス』の影響を全く受けた様子もなく、その場に悠然と立っているヴィッキー
819 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/09/06(火) 22:20:33.40 ID:t/JZsNnKo
きゃー被った
待機します
820 : ◆2PnxfuTa8. [saga  sage]:2011/09/06(火) 22:20:47.39 ID:4mYlCVQY0
お先にどうぞ
821 : ◆2PnxfuTa8. [saga  sage]:2011/09/06(火) 22:23:37.63 ID:4mYlCVQY0
お先にどうぞまでかぶるだと……
長くなるから先に投下していただいた方が……
822 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/09/06(火) 22:24:14.97 ID:t/JZsNnKo
なるほど、では短めにさっくりといきますー
823 :悪党と診療所 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/09/06(火) 22:26:30.60 ID:t/JZsNnKo

「ですが戦闘員もあなたの前では無力なようで。千日手には興味がないので、今日のところはお暇しましょうぶっ!?」

 余裕綽々の態度で診療所を出て行こうとするヴィッキーの頭部を、朱塗りの棍の先端が殴打した

「いきなり仕掛けてきて、ただで帰れると思うなよ」

 診療所の玄関口で待ち構えていた有羽の、如意棒・レプリカの一撃
 並みの人間なら頭蓋を粉砕して脳漿を撒き散らすような一撃を喰らい、ヴィッキーは文字通りの有様となってその場に崩れ落ちた

「おやおや、酷いですね。私もこの身体は気に入っていたのに」

 頭部が砕けぐずぐずと溢れ出した状態のまま、眼球がはみ出し鼻血と血反吐を垂れ流したまま、何ら調子を変える事無く言葉を紡ぐヴィッキー

「死なないなら、死ぬまで[ピーーー]までだ」
「『死体洗いのアルバイト』の能力で、ですか?」

 ねちゃりと床に糸を引きながら、砕けた頭を持ち上げるヴィッキー

「あなたも私のものになってくれれば、とてもとても研究も捗るんですが」
「言いたいことはそれだけか?」

 どう見ても死んでいる有様で、平然と動いて話すヴィッキー
 対する有羽も全く怯んだ様子も無く、その身体をホルマリンプールへと突き落とした

「あの……この身体は、とか言ってましたし、他人の身体を乗っ取ったりしてたんじゃないですか、彼女は」

 おずおずと尋ねるメアリーに、ドクターが軽く首を振る

「乗っ取るタイプの能力だとしても、乗っ取られた側の心配は要らないだろう」
「でしょうね。あれは死体でしたから」
「メアリーのウイルスが効かなかったのもそのせいだろう。死体に免疫力も代謝機能もへったくれも無いからな」

 医者と、元医大生の二人があっさりと言い放つ

「握手をするまで判らなかったがね。嫌な雰囲気はしていたが」
「俺の場合は、ドクターが手加減しない時点で、まともな女性じゃないと判断した結果ですけどね。殴った時の手応えと傷口の様子で大体わかりましたよ」
「では私の存在がご理解いただけたところで」

 つん、と辺りに漂うホルマリン臭
 有羽の『死体洗いのアルバイト』は、ホルマリンで溺れさせるかその毒性でとどめを刺す
 逆に言えば、それで死ななければ
 浮いてくるものを沈めようとしてくるアルバイト達さえ掻い潜れば
 容易に脱出が可能なのである

「ウイルスも毒も効かないって訳か」
「まあ念の為言っておきますが、粉々になったり焼いて灰になったところで、私は平気ですから」

 頭部が砕けたヴィッキーは、指先でぐじぐじと傷口を弄り回し
 崩れた脳を整え、砕けた骨を繋ぎ、千切れた肉を縫い合わせ、あっという間に綺麗に整えられていく

「ところで……味方が居ると、無差別攻撃っぽい『エイズ・メアリー』のウイルスは使えないんじゃないですか?」

 ざわりと浮かび上がる数人の戦闘員
 だがそれらはあっという間に、有羽の如意棒・レプリカで殴り飛ばされ、ホルマリンプールに沈められていく

「何のために俺が居ると思ってやがる」
「なるほどなるほど。これは色々考える必要がありそうです」

 そう言って頷くヴィッキーとドクター達を遮るように、ぞわりと溢れ出す視界を埋め尽くすほどの戦闘員
 ほぼ棒立ちだったそれらを薙ぎ払う頃には、ヴィッキーの姿は既にそこには存在していなかった

「最初に数で攻めて来なかった事を考えると、数が多いと制御が杜撰になるのだろうな」
「そうでしょうね、今の連中はろくに動きすらしませんでしたから」

 崩れ落ち塵になっていく戦闘員達を見下ろしながら、有羽は溜息を吐く

「この手の連中は、死体が消えてくれるので助かりますよ、本当に」
「だが君は掃除しなきゃいけないところがあるだろう?」
「……あ」

 その言葉に、有羽は診療所の玄関口に視線を向ける
 そこにはヴィッキーを殴打した際の血と脳漿がべっとりとこびり付いており

「早急に片付けます」
「じゃあ私はミツキのところへ行ってきますね」

 清掃用具を取りに駆け出す有羽
 診療所の裏手へと歩いていくメアリー
 それを見送ってから、ドクターは柄にもなく大きな溜息を吐く
824 :悪党と診療所 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/09/06(火) 22:27:06.82 ID:t/JZsNnKo

「ヴィクトリア、だったか……一体何者なのだか」

 一人になったドクターは、夕暮れ時の空を見上げながら、奇妙な不安を感じていたのだった

―――

「ふんふふ〜ん、ふんふふ〜ん♪」

 とあるマンションの一室の、浴室にて
 頭部の修復を完全に終え、鼻歌混じりにシャワーを浴び身体を洗うヴィッキー
 その頭を洗い血を流しているのは、ヴィッキーとよく似た別の女の身体
 ヴィッキーの見た目の年齢が20歳そこそこだとしたら、そちらの女はまだ15、6といったところだろうか
 その他に12歳ほどの見た目をしたヴィッキーに良く似た少女が二人ほどで、ボディソープで泡立ったスポンジで丁寧に身体を洗っている

「あんまりこだわってやらないで、さくっと研究成果だけをいただくつもりだったけど」

 とすんとバスチェアーに腰を下ろし、少女達に足を洗わせながらヴィッキーは笑う

「やっぱり調子出ないものね。もっとこう……呪い殺されるんじゃないかってぐらいに恨まれる手を使わないと」

 診療所で出会った面々の顔を思い出し、何をしようかと妄想に耽り悦に入り

「もしかしたら、あの人達が私達が求める『正義の味方』になるのかしら。ああそうだとしたら念入りに、念入りにやらないと」

 バスタブに逆さに沈み、足だけをだらりと出したこの部屋本来の住人の姿を眺めながら
 悪意は、狙いを定める
825 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/09/06(火) 22:28:35.17 ID:t/JZsNnKo
前回までのお話は>>704-707を参照くださいませ
慌ててsaga忘れたりなんだりてんやわんやでございました
826 : ◆2PnxfuTa8. [saga  ]:2011/09/06(火) 22:30:54.07 ID:4mYlCVQY0
ドクターの人乙でした
これはあれか
診療所に悪逆の風が吹き荒れるのか
ドクターが鬼と化す展開なのか!?
かなり怖くなってきたぞ!
827 : ◆2PnxfuTa8. [saga  ]:2011/09/06(火) 22:33:32.59 ID:4mYlCVQY0
という訳で透過させて頂きます
828 : ◆2PnxfuTa8. [saga  ]:2011/09/06(火) 22:35:41.74 ID:4mYlCVQY0
【不思議少女シルバームーン 第九話 第三章「決着」】

「手間取らせてくれたねえ……スバル。」

 沈黙して動かない少年。
 全身をワイヤーで切り刻まれてわずかに生の気配が聞こえるばかりの少年。
 彼の姿を感慨深げに見つめる死んだ少年。
 ジャックはスバルの身体を軽々持ち上げると彼をワイヤーで十字架にくくりつける。

「いい眺めだ……。
 あと三十分かそこらで君と僕は一つに……いやこの世界中が一つになる。
 装置によって増幅された僕の力で全世界的に行われる無差別吸血で……
 世界人口の七割以上が僕の眷属となるわけだ。
 きっとそこには痛みも苦しみもない素敵な世界が待っているんだ……。」

 そこまで彼が呟いた所で扉が開く。

「残念だが……お前の野望はそこまでだ!」
「あらん、可愛い男の子、キライジャナイワ!」
「ふん、明尊と……お姉さんどちら様?」
「悪に名乗るナマエハナイワ!」
「ああそう。」

 真紅のコートが風もないのになびいている。
 青いローブが静寂を湛えて寄り添う。
 そこに立っていたのは上田明尊とカイト・クローバーだった。
 結局、様々な妨害をねじ伏せて彼らが真っ先にこの場所にたどり着いたのだ。
 
「どうするんだい?僕を倒す?」
「ああ、そうさせてもらうよ。」
「そこのお姉さんはともかく、そんな自分との適合率の低い都市伝説で僕と渡り合えると思っているのかい?
 装着型と相性が良いみたいだし……せめて日数を装着して僕の前に立って欲しかったな。
 あれの脱着による高速移動だったら僕に迫るチャンスは有ったと思うけど。」
「あんな卵の殻、もう要らないよ。」

 ジャックが懐から髑髏の形をした仮面を取り出す。
 カイトが懐からUSBメモリの形をした契約書を取り出す。
 明尊は自らの羽織っていた赤いコートを真上に放り投げる。

「――――――躄れ死神!」
「聖者の光で魔女が照らす、魔法少女セイント☆カイト!」
「戦慄け天地現世に踊れ、装着型宝貝混天綾起動!」

 ジャックの仮面があっという間に鎌に形を変えて彼の手の中に収まり、突然黒衣が彼の身体を覆った。
 青いローブからクリーム色の光が羽衣のような形をとって溢れ出す。
 只の赤いコートだった物が一瞬で持ち主の全身を包み真紅の戦闘服に変化する。

「君たちごときに吸血鬼の能力を使うまでもない。一撃で刈り取ってあげるよ。」
「この町の魔法少女が一人だけじゃないってことを教えてあげるわ。」
「ふん、この姿では刀が邪魔だな。」

 かくて戦いは……







「ちょぉっと待ったあああああああ!」







 風が吹く。
 駆け抜ける黒い影。
 快音と共に十字架が破壊され、気を失ったスバルがそこから落下する。
829 : ◆2PnxfuTa8. [saga  ]:2011/09/06(火) 22:36:50.73 ID:4mYlCVQY0
「させるか!」

 スバルの元に駆け寄るジャック。
 だがその瞬間、彼の身体に無数の鋼線が絡みつく。

「先日の意趣返しということで一つお願いしますね。」
「しまっ!?」
 
 ジャックの身体から鮮血が噴き出す。

「朔夜ちゃん!今だよ!」
「任せて霙!」

 落下するスバルを抱きかかえながら少女は箒に風を纏わせてジャックに向けて投げつける。
 鋼線に絡め取られたジャックはそれの直撃を受けて血反吐を吐く。

「スバル!あんた大丈夫なの!?」
「うぐ……大丈夫に、見えるなら……お前の眼も相当な節穴だな。」
「ああ、大丈夫そうね。」
「ていうか何お前らいつの間に仲直りしたの?
 サバサバしすぎじゃね?少年漫画かよ。」

 抱えていたスバルをそこらへんに放り投げると二人の少女は方を並べてジャックと向かい合う。
 かくて戦いは始まった。
 
「いいじゃない別に。」
「仲よき事は美しき哉、って言うじゃないですか。」
「それにほら、友達だし。」
「一度拳を交わしたらねえ……。」

「おしゃべりはそこまでにしたらどうかなぁ?」

 ジャックはボロボロの身体を引きずり起こす。
 風もないのに黒衣がまるで生物のようにゆらめく。
 何本もの白いラインのあしらわれたそれはそれ自体がまるで何かの生き物のようだった。

「喰らえ!これが死神のちか……」
「人の話は最後まで聞け!」
「隙ありよ!」

 明尊が華麗なドロップキックをジャックに決める。
 体勢を崩したジャックにカイトの召喚した雷が直撃する。

「じゃあ貴方を倒してからゆっくりとおしゃべりと行かせてもらおうかしら!」
「私の名前は魔法少女シルバームーン!」
「私の名前は魔法少女レインバレル!」
「「町を泣かせる悪いやつは!月に代わって……」」
「おいおい。」
「え?」
「折角月が云々ってならさ、俺も混ぜろよおおおおおおおおおおおおお!」

 スバルが咆哮する。
 それと同時に彼は再び人外の、狼男の姿へと変化する。
830 : ◆2PnxfuTa8. [saga  ]:2011/09/06(火) 22:38:48.34 ID:4mYlCVQY0
「朔夜!霙!今回は録音しないでおいてやるよ!」
「それじゃあ今度こそ遠慮無く。」
「「「月に代わってお仕置き」」」
「よ!」
「です!」
「だ!」

「馬鹿にしやがってええええええええええ!」

 ジャックは鎌を霙に向けて投げつける。
 耐久力で劣る彼女から叩き潰す魂胆だ。
 その速度、当然人間には反応できない。

「頭に血が上ってるみたいだな、ジャック!」

 しかしその行動を先読みしてジャックと霙の間に立つスバル。
 身を呈して霙の体を守る。
 当然鎌は彼の身体を傷つけるが、その時にはすでにカイトがスバルの補助に回っていた。
 ジャックに守ってもらったことで出来た時間を使い、霙は大量のビーズをジャックに投げつける。
 爆風に巻き込まれてジャックは吹き飛ぶ。

「スバルちゃん!」

 カイトは瓶に入った河童の薬をスバルにかける。
 あっという間に傷が塞がっていく。

「ありがとうございます!」
「お礼は後!」
「カイトさん!この部屋の奥にある天球儀が奴の計画の肝です!
 それを破壊しないとジャックが街中、いや世界中の人間の血を吸ってしまうそうです!」
「解ったわ、じゃあ私がそれを破壊させてもらうわよん!」

 カイトは奥の部屋へと走る。
 しかし、彼の眼の前に大量の植物が現れて彼の道を塞ぐ。

「なっ、この能力は!?」
「ジャックの悲願だものねえ……ノびているわけにはいかないわ。」

 カツ、カツ、カツ、と靴の音が響く。
 背の高い、モデルのようなスタイルの女性がそこに立っていた。
 紅瀬縁だった。

「あれ……紅瀬ちゃん生きていたの?」
「ええジャック、地獄で伯父さんに会って来ちゃったわ。
 ……怒られちゃった。」
「新手か……。」
「俺に任せろ!」

 赤い影が宙を舞う。
 明尊がカイトとスバルを軽々と飛び越えて空中で回転しながら紅瀬に向けて踵落としを放つ。
 が、紅瀬は半歩姿勢をずらして回転していた明尊の、しかも喉笛に素手で突きを放つ。
 明尊の体重をも生かした一撃が彼に牙を剥く。
 激痛にうずくまった明尊を紅瀬は勢い良く蹴り飛ばした。
831 : ◆2PnxfuTa8. [saga  ]:2011/09/06(火) 22:39:19.87 ID:4mYlCVQY0
「カハァッ」
「甘いわね、腕力だけで戦ってるんじゃあまだ二流よ。」
「ゲホッ!おいおいあんた肉弾戦出来たのかよ……。」
「少なくとも貴方よりは嗜んでるわよ、殴り合いだけなら。」
「しゃべっている間が隙が見えますね。」
「吹き飛んじゃいなさい!」
「見えてるんじゃなくて見せてんのよ。」

 朔夜と霙が紅瀬を挟み撃ちにして疾風と爆弾を放つ。
 しかし紅瀬は大量の樹木を自分の側に展開、風の流れを変えて爆弾を明尊の方へ弾き飛ばす。

「ぐおわあああああああああああ!」
「あ、明尊さん!?」
「構っちゃ駄目よ霙!」
「僕はかまって欲しいんだけどなあ!」

 ジャックは霙に向けて鎌を横になぎ払う。
 彼女はそれを打神鞭で受け止めるとジャックに向けて回し蹴りを放つ。

「きゃっほー!パンチラ!」
「透けた!?あとこれは見せパンよ!」
「ハラショー……。」

 朔夜の蹴りをジャックは透過する。

「言い忘れていたがこの死神には実体がない。」
「さっき明尊の蹴り食らってたくせに!」
「だから動揺したんだよ馬鹿!」

 蹴りを外して隙だらけの朔夜にジャックが拳を振るう。
 拳は直撃、だが朔夜はそれを平然として受け止める。

「ガハァッ!」
「女の子にあるまじき悲鳴だね。」
「やっぱり攻撃している間は実体なんだ、これで捕まえたよ。」
「しまった、実体化を解かないと……!」

 血を吐きながらも朔夜はジャックの腕を捕まえる。
832 : ◆2PnxfuTa8. [saga  ]:2011/09/06(火) 22:41:23.19 ID:4mYlCVQY0
 ジャックは実体化を解いてすかさず後ろに下がる。
 だがそこで何かにぶつかる。
 彼が後ろを振り返るとそれはそれは嬉しそうな顔をした上田明尊が立っていた。

「そうかそうか……俺の攻撃は何故か効くのか……。
 多分今俺が契約している都市伝説のおかげだろうなあ……。」
「げ」

  


「秘拳・骨喰」
 

 ジャックの背後に何時の間にか立っていた明尊。
 片腕を上げた姿勢。
 振り下ろした。
 空を切り裂く。
 ジャックにはそれがまるでスローモーションのように見えた。
 徐々に迫る明尊の掌。
 悪魔の笑い声のような風切り音。
 ローブにわずかにだけ触れる。
 それはまるでゴミ処理車のようにジャックのローブを巻き込んで糸屑へと変換していく。
 咄嗟にローブを脱いでそれを躱す。
 が、遅い、わずかに巻き込まれて平手が彼の頬を掠っていく。
 混天綾に包まれた指先が彼の頬の肉をキリキリと削ぎ落していく。
 摩擦熱のためか焼けるように熱い。
 自分の立っている場所の隣の床に穴が開いている。
 遅れて聞こえてくる破壊音。
 ジャックは腰を抜かしたままゴロゴロと転がりながら距離を取る。
 ジャックが立ち上がってからやっと頬から大量の血が流れでた。

「…………外したか。」
「なんなんだ今のは……!?」
「次は外さないぞ。」

 バチィン!と派手な音が鳴って混天綾が明尊の身体からはじき飛ばされる。
 中から現れた明尊の瞳は赤く染まっていた。

「……ああ、そうか。人間の部分を弱くしたんだね。」
「浮き沈みの調整はある程度自由だからな。」
「契約を維持できないでその都市伝説は君から離れた訳か。
 君にとって契約は拘束具みたいなものってことかい?」
「おしゃべりしてる暇有るのかしら。」

 突風がジャックを襲う。
 明尊が先ほどの攻撃で起こした土埃がジャックにまとわりつく。

「行きなさい明尊!」
「さんをつけろよこのデコスケがああああああ!」

 明尊は混天綾を腕に巻きつけてジャックにもう一撃を放とうとした。
 
「だから雑なのよ、一々さ。」

 側面から腕への手刀。
 紅瀬による一撃だった。
 
「え?」

 行き場を見失った力は暴走して明尊はその場で独楽のように回転。
 自分から地面に激突する。
833 : ◆2PnxfuTa8. [saga  ]:2011/09/06(火) 22:42:58.89 ID:4mYlCVQY0
「あんた相手なら私の攻撃も効くわね!」

 すかさず朔夜が竜巻を起こして紅瀬を攻撃する。

「ひき肉になりなさい!」

 しかし、引きちぎれはじけ飛んだのは木片だった。

「あれ?」
「それは木で作った分身よ。すり変わっていたのさ。」
「キャッ!」

 長い脚を生かした美しい蹴り。
 朔夜の鳩尾にそれが入る。

「殴り合いにかけては本当に頼りないわねジャック。」
「よく言われるよ。」
「行きますよカイトさん!」
「任せて霙ちゃん!」

 光の束と大量の爆弾が紅瀬を襲う。
 だがジャックが二人の攻撃の前に立ちふさがる。
 ジャックは紅瀬を庇って大量の蝙蝠を召喚。
 二人の攻撃を受け止めた。

「嘘!?」
「止められた!?」
「忘れていないかい?僕が吸血鬼だってこと。」
「俺は覚えている!お前が仲間を庇ってしまうってこともな!」

 スバルが紅瀬に襲いかかる。
 当然ジャックはそれを庇わざるをえない。
 確かにそれは実体が無い死神の能力を持つジャックに攻撃を当てる唯一の方法だった。

「いやあ、そうとも限らないぜ。」

 スバルの脚に草が絡みつく。
 転んだスバルに大量の蔦が襲いかかる。

「だってほら……隙だらけだし。」
「ええ、貴方達がね。」

 火炎が紅瀬を包む。
 何時の間にか霙は火炎放射器を取り出していた。
 ついでにスバルの身体に絡みついた蔦を焼き払ってスバルを助ける。

「厄介ねえ。」

 焼け落ちた木片の中から無傷の紅瀬が現れる。

「しかし紅瀬ちゃん、強くなりすぎてないかい?」
「地獄から蘇ったんだもん、覚醒くらいしないと。」

 その時、部屋の中に鐘の音が鳴り響く。
834 : ◆2PnxfuTa8. [saga  ]:2011/09/06(火) 22:43:47.81 ID:4mYlCVQY0
「時間が来たみたいだね!」
「なに!?」

 窓の外が完全に暗くなる。
 皆既日食だ。

「嘘でしょ……!?」
「もう君たちに構う必要はない!」

 ジャックは部屋の奥に走りだす。
 それを止めようと五人はそれぞれに攻撃を放つが……

「みんなー、時間よー。」

 紅瀬が指を鳴らす。
 五人とジャックの間に大量の子供たちが立ちふさがる。

「あ、あれは!?」
「見覚えが有るの明尊ちゃん!?」
「俺が救い出した子供たちだ!」
「ちょ、これじゃ攻撃できないわ!」
「紅瀬貴様アアアアアアアアアアアアアアア!」
「これだけいれば一分は稼げるかしら。」

 しかしたった一人だけ人の壁を顔色一つ変えず切り崩して紅瀬に向かっていった男がいる。
 
「人質なんて通用しねえよ。」
「え?」

 舞い散る鮮血。
 突き刺さる。
 牙が、爪が、紅瀬の身体に。
 
「After all you are only a human.」

 吐き捨てるようにスバルは呟いた。
 紅瀬は物も言わずに崩れ落ちる。
 所詮、人間。
 何の対策も無しに都市伝説の力で攻撃されれば一溜まりもない。
 次に動いたのは明尊だった。
 わずかに生まれた隙間を縫って奥の部屋に突入する。
 その部屋には大量の機械や天球儀が置いてあった。
 
「遅かったね、明尊ちゃん。
 明尊ちゃんのママの転移能力で一足先に来てたよ。」

 そこで彼が見たのは意外なものだった。
 
「ルル……!?」

 ただの一人でジャックを圧倒するルル=ベル。
 そして

「ここでもジャマをするのか……笛吹きいいいいいいいいいいいいいい!」

 無様に地面に倒れ伏しながら激昂するジャックだった。
835 : ◆2PnxfuTa8. [saga  ]:2011/09/06(火) 22:44:43.34 ID:4mYlCVQY0
「どういう……ことだ?」
「ハーメルンの笛吹き男、って知ってる?」
「知ってるも何も……。」
「F-No.によって秘匿されていた兵器。
 今の私はそれと契約しているの。」
「本来の、親父の都市伝説じゃねえか!それにお前はラプラスの悪魔と……」
「私の製造目的はラプラスの魔との契約だけじゃなかったみたいね。
 使い手の現れない最強クラスの都市伝説を一時的に運用するための仮初の器。
 それが私……みたいなんだよね。」
「上田明也!何故だ!何故お前は!邪魔し続ける!
 倒れてもなお貴様の残した物が俺に牙を剥く!」
「でもね、やっぱり不完全みたいで……。」

 ルルの頭から煙が吹き出る。
 人工知能が限界を迎えているのだ。
 
「明尊ちゃん、急いであの装置を破壊して。三十秒続かなさそうだわ。」
「おう!」

 即答。

「なにこれ!?」
「どういうことなんです!?」

 遅れてスバル達が部屋に現れる。
 
「話は後だ!スバル!お前の言う天球儀ってどれだ!」
「分からない!片っ端から壊してくれ!」
「やめろ!やめるんだ!やめてくれえええええええ!」
「早く!ジャックの支配が解けちゃう!」

 五人全員が部屋の中の天球儀を片っ端から破壊し始める。
 
「うわああああああああああああああ!」

 ジャックの悲鳴が部屋中に木霊する。
 それと同時にルルの頭から火花が出る。

「大丈夫か!ルル!」
「ごめん、明尊ちゃん……。私が壊れたら代わりは居ないのに……。」
「やめろおおおおおおおおおおおおおおお!」

 ジャックの身体が動く。
 都市伝説とは本来的に精神の力に由来するものだ。
 怒りに震える彼の力は圧倒的だった。
 咄嗟にジャックに向かっていった明尊とスバルは床に叩きつけられる。
 カイトも遅れてありったけの魔法を叩き込むが傷一つつけられない。
 朔夜と霙を無視してジャックは天井を突き破りタワーの屋上に一人立つ。

「これではこの町程度しか巻き込めないが……今回は仕方ないな。
 発動せよ、“死の河”!」

 街中から大量の死体がジャックに向けて飛んでくる。
 人間の死体、吸血鬼の死体。
 そこに残っていた生体エネルギーを吸収し、ジャックは巨大な蝙蝠の姿へと変貌する。
 太陽の消えた町の中に化物と化した彼のけたたましい声が響く。

「くそがああああ!死人しか喰らえないじゃないか!
 皆既日食でもこの程度か!世界を食らう僕の計画が!」
836 : ◆2PnxfuTa8. [saga  ]:2011/09/06(火) 22:45:23.18 ID:4mYlCVQY0
「朔夜ちゃん……逃げよう」

 吠え猛るジャックを前にして霙は呟く。

「目的は達成した、後はこの街の誰かが決着付けてくれるよ。
 私たちじゃあんな化物勝てっこないよ……。」

 後ずさる。
 一歩ずつ。

 その時突然、真下から爆発音が轟く。
 霙の仕掛けていた時限爆弾の最初の小爆発だ。
 過剰な魔力を散布して魔力に由来しない都市伝説の動きを鈍らせる働きがある。

「逃げられないでしょうが。あんたが爆破工作したんだから。」
「……忘れてた。あと三分くらいでビルは全壊すると思う……。
 どうしよう……。」

 霙は泣き声だ。

「あいつら置いて逃げられないしね。」

 朔夜はジャックが開けた穴から屋上へ飛び上がる。

「ジャック!勝負よ!」
「またお前か!もうイイだろう!僕は失敗した!失敗したんだ!
 八つ当たりにこの街を壊してどこかに雲隠れさせてもらうよ!」

 ジャックは口から超音波を出して朔夜を攻撃する。
 これには朔夜もたまらず蹲る。
 しかし、その時朔夜の後ろから半ばヤケクソ気味な絶叫が轟く。

「あああああああああああ!もう!」

 爆音。

「霙!」
「もうどうしようもないじゃない!音は何とかするから早くやって!」
「うるさいガキだ!」

 ジャックの体当たりで霙は屋上から突き落とされる。
 朔夜は慌てて彼女を助けるためにビルから飛び降りる。
 風をまとった朔夜は霙を抱きかかえると地面に降り立つ。
837 : ◆2PnxfuTa8. [saga  ]:2011/09/06(火) 22:45:58.87 ID:4mYlCVQY0
「お、おい人が降ってきたぞ!」
「あれ……魔法少女の子じゃないか!?」
「蝙蝠の化物まで降りてきた!」
「警察です!皆さん離れてください!ここから先は危険です!」

 先ほどからビルで起きていた爆発により、そこには野次馬が集まっていた。

「はっはっは!都合よく人が集まっている!全員ぶっ殺してやるよ!」
「させない!」

 ジャックの前に立ちふさがる朔夜。

「邪魔しないでよね!」
「キャアアアアアアアアア!」

 超音波が朔夜の身体に浴びせかけられる。
 再び身動きをとれなくなる朔夜。

「あっ!魔法少女の子が!」
「おいやべえぞあれ!」
「おい頑張れ魔法少女!」
「負けるな魔法少女!」
「シルバームーン!」
「俺はあの子に救われたことがあるんだ、何があっても俺はあの子を応援するぞ!」
「危険です!皆さん離れてくださいよお!」

 新人警官が泣きそうな声で哀願する。

「良いんじゃ、ないかな。」

 新人警官の肩に手を置く男。

「明日さん!」
「俺が後で怒られれば済む!」

 明日真はメガフォンを新人からひったくり群衆に向けて叫ぶ。

「皆さん!魔法少女を応援してやってください!あの子は確かに皆を守るために戦い続けて居ました!」
「「「「おおおおおおおおおおおお!」」」」

 大歓声。
 小石や瓦礫がジャックに向けて飛ぶ。

「邪魔臭いなあ!」

 ジャックが首を曲げて群集に超音波を放とうとする。

「―――――――それはさせられないんだなあこれが。」

 明日真は狂骨を身に纏って群衆の盾になる。

「皆さん!大きな声でお願いします!
 声援が彼女に力を与えてくれるんです!
 俺が皆を守ります!だからその間にもっと!」

 窓ガラスが割れんばかりの大音響。
 その中で朔夜が立ち上がる。
838 : ◆2PnxfuTa8. [saga  ]:2011/09/06(火) 22:48:55.82 ID:4mYlCVQY0
「シルバームーン!がんばれ!」
「負けるなシルバームーン!」
「シルバームーンちゃん!」
「シルバームーン!」
「助けてくれシルバームーン!」
「応援してるぞ!」
「シルバームーン!勝って!」
「シルバームーン!」
「あんときはたすけてくれてありがとうなシルバームーン!」
「シルバームーンファイト!」
「行けシルバームーン!」
「シルバームーン!俺だ!結婚してくれ!」
「この街の皆がシルバームーンの味方だぞ!」
「絶対勝ってくれシルバームーン!」
「シルバームーン!娘に良いところ見せてやってくれ!」
「シルバームーンのお姉ちゃんがんばれー!」
「シルバームーンちゃん応援してるわよー!」
「シルバームーン!シルバームーン!」
「負けるな僕らのシルバームーン!」
「あんたがヒーローだ、シルバームーン!」
「魔法少女シルバームーン!」

「ありがとうみんな!」

 打神鞭に勇気の風が集まる。

「無駄だよ!」

 再びジャックは超音波を放つ。
 しかし……

「無駄なのはあんたの攻撃よ!」

 それは朔夜の元へは届かない。
 そう、超音波はこの声援によって掻き消されてしまったのだ。

「頑張れシルバームーン!」

 一際大きく明日真が叫ぶ。
 

「え?」
「砕け散れえエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!」

 都市伝説の力とは精神の力だ。
 ジャックの力もそうだったように、心の高ぶりで朔夜の力は極限まで上がっていた。
 ジャックの身体に疾風が直撃する。

「この……程度かい?」

 しかしそれでも、正面から疾風を受け止めてジャックは笑う。
 一歩、また一歩ジャックは朔夜に近づく。

「頑張ってシルバームーン!」

 少女の声。
 朔夜は振り返る、霙の声だ。
 二人の視線が今正に通じ合う。

「いや……頑張って、朔夜。この街の皆を助けて。」

 目を見て、霙はハッキリと言った。
839 : ◆2PnxfuTa8. [saga  ]:2011/09/06(火) 22:49:55.29 ID:4mYlCVQY0
「うん!」

 その瞬間、朔夜自身の身体から旋風が巻き起こる。
 これは打神鞭の力じゃない、彼女自身の魔法だ。
 先ほどの小規模な爆発で爆弾から溢れ出していた魔力が朔夜の身体に影響を与えたのだ。
 朔夜の身体は溢れ出す魔力が生んだ金色の光に包まれて輝く。

「……やった!」
「パワーアップしたぞ!」
「俺たちの声援でパワーアップしたのか!?」
「さすが魔法少女!」
「良いぞおおおおおおおおおおお!」
「嘘、だろ……!?僕が負ける!?
 なんでだよ、なんで皆邪魔するんだ、僕はただ誰も争わない世界が……
 誰も傷つけ合わない世界が見たかっただけなのに。
 なんで…………皆を僕が幸せにできるのに!」
「あんたに二つだけ良い事教えてあげるわ。」
「え?」
「自分の考えた自分の正義を勝手に他人に押し付けるな!
 あとねえ……私たちの幸せぐらい、私たちは自分の手でつかめるわ!」

 ジャックの全身から血が吹き出す。
 そのままじわじわと二三歩後ろに下がり、突風に負けてビルの中へと吹き飛ばされる。
 そしてそれと同時に、霙の仕掛けていた時限爆弾が大爆発を起こした。
 こうして全世界を巻き込んで始まった戦争はここに終結したのである。
 割れんばかりの拍手と喝采が魔法少女を讃えていた。

【不思議少女シルバームーン 第九話 第三章「決着」】
840 : ◆2PnxfuTa8. [saga  sage]:2011/09/06(火) 22:57:21.50 ID:4mYlCVQY0
ふー……
という訳で敬愛する井上御大に習って後日譚に時間を割いてみる試み
後二章ぶんつかって後日譚を書いてみたいと思います
爆発寸前でサンジェルマンが気絶組を助けてた筈
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2011/09/06(火) 23:18:46.31 ID:esohAlmW0
三面鏡の人乙です〜
ドクター危うし! 有羽くんナイスだぜ
それにしてもメイたんマジ癒される
あとロリヴィッキーたんハァハァ

笛の人乙です〜
終わったのか…いや、きっと始まるんだね(
しかしこれ程の人数でこんなにも熱い戦闘シーン、神か貴方は
842 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/09/06(火) 23:28:51.15 ID:t/JZsNnKo
>>826
> ドクターが鬼と化す展開なのか!?
そこまではIFでないといかない……とは思いますが、この先の思いつき次第という事でww

>>841
> それにしてもメイたんマジ癒される
> あとロリヴィッキーたんハァハァ
シャドーマンの人はブレないなぁwwwwww
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2011/09/06(火) 23:41:01.75 ID:esohAlmW0
何でバレたんだ…まさか残留思念の契約者!?(帰
844 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/09/07(水) 03:27:02.66 ID:k70r1nUI0
>>817
笛の人シルバームーン投下乙でした。
皆かっけえなあ……・
熱い戦闘シーン……そして決着……
大満足でおなかいっぱいです。ふう……
それにしてもちょっとジャックが哀れだなあ……

>>825
三面鏡の人乙でした〜
悪の組織本格始動……燃えるっ!
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 19:15:46.48 ID:BFTtfu7SO
     |∧∧
     |・ω・)    ダレモイナイ...
     |⊂     バルタン スルナラ イマノウチ...
     |

        (V)∧_∧(V)
         ヽ(・ω・)ノ  フォッフォッフォッ
          /  /
         ノ ̄ゝ

             (V)∧_∧(V)
              ヽ(   )ノ  フォッフォッフォッフォッフォッ
              /  /
          .......... ノ ̄ゝ
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/09/08(木) 19:35:14.29 ID:013+ACAUo
>>845
本棚と壁の隙間│<●><●>

カーテンの隙間│<●><●>

すぐ背後│<●><●>
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 22:04:50.16 ID:B64/aKHzo
三面鏡の人、笛の人乙です

そういえばドクター、女性相手なのに興奮してないのね
十三階段に引きずり込まれたときのことを考えるに死体だから駄目ってわけではないだろうし、
純粋にヴィッキーという人物を嫌悪していたんだろうか

シルバームーン……いい最終回だった(違う)
街の住民の応援で湧き出る力
熱い、熱いぜシルバームーン!
玩具展開はいつですか?
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/09/08(木) 22:37:01.58 ID:N9/jDsuG0
アメリカのドラマっぽくこのスレの人々で合作とかしたらどうなるんだろう
それぞれの得意分野だけを書いてもらうみたいな
女性の描写だったらドクターの人
日常シーンの書き込みだったらTさんの人みたいに
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 22:41:36.30 ID:B64/aKHzo
男性描写は花子さんの人
変態描写はシャドーマンの人ですねわかります

皆でここの世界観を小説化して電(以下略)とはなんだったのか
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/09/08(木) 22:46:00.95 ID:N9/jDsuG0
だって自分の作品書く時間犠牲にしてまでやりたくないじゃないですか!
時間できたらこの世界観パクって電撃に応募して途中で
「パクリでしたサーセンwwwwwwwwwwww」
とかやりたいなあ
そこまで選考に残れるかは知りません
骨太なガチバトルやら冒険やらさせたいなあ
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/08(木) 23:09:11.78 ID:sGuQ1oR10
>>849
>男性描写は花子さんの人
どういう意味じゃい、と今日はそろそろ寝るおれが尋ねる
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/08(木) 23:11:06.90 ID:sGuQ1oR10
>>849
>男性描写は花子さんの人
どういう意味じゃい、と今日はそろそろ寝るおれが尋ねる
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2011/09/08(木) 23:42:38.21 ID:h3IGyXzn0
>>849
> 変態描写はシャドーマンの人ですねわかります
待て待て待て待て待て、それは大きな間違いだぜ
変態描写なら笛の人でしょ!!
そもそも俺は笛の人をリスペクトしてるというのに!
854 :ふえやらう [sage]:2011/09/08(木) 23:50:19.51 ID:sBvtJk6DO
笛野郎は執筆速度以外長所なんて無いから安心してね!
855 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/09/08(木) 23:59:33.68 ID:h3IGyXzn0
>>854
あんたはいつもそう言って俺達に笑顔をくれたじゃないか!
ここで何か賛美する言葉を言おうとしたけどいい言葉が思い付かなかったぜorz
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 00:21:07.48 ID:/ielO20ao
>>852-853
魅惑的な男性と突き抜けた変態を書けるお方があなた方の他にいるとでも?

褐色青年の胸板スリスリ
好色少年の背中ペロペロ
857 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/09/09(金) 08:19:40.89 ID:K+avm75+0
>>856
> 好色少年の背中ペロペロ
くそっ、やっぱりそいつかよwww裂邪なのかよwwwwwww
いや、逆に言えば裂邪くらいしか変態はいないはずだ!
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/09(金) 10:33:55.11 ID:/tGStR8y0
>>857
えっ
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 13:01:28.49 ID:qaaEY2bDO
あらやだこわい
860 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/09/09(金) 15:23:51.87 ID:tW7RDjH+0
まさか否定されるなんて…悔しいでもあぁんイクぅ♪(帰れ

ええい、ならこのスレのキャラで『こいつ変態すぎるだろwww』って奴をあげてもらおうか!
ここで言う『変態』は性的なもの以外も認めるぞ!
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 15:31:18.73 ID:qaaEY2bDO
裂邪くん!
862 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/09/09(金) 15:55:12.42 ID:tW7RDjH+0
>>861
いやもっといるだろwwwwwww
死人部隊とか友美ちゃんとかサンジェルマンとかwww
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 16:03:30.43 ID:qaaEY2bDO
やっぱりやっぱり裂邪くん!
864 :単発ネタ [sage]:2011/09/09(金) 17:13:58.40 ID:8rn6K1KSO
夕刻、中学校からの帰りらしい二人の少女が歩いていた。
「ねぇ、あーちゃん」
「何よ」
「ちゅうして?」
二人はとても仲が良いらしく
「嫌よ」
「してよぅ」
「馬鹿じゃないの?」
二人は仲が良いらしく
「むぅ……良いもん!こっちからするもん!!」
「なんであんたなんかとキスしなきゃなんないのよ!」
二人は仲が良いのだろう……たぶん
「うわっ!顔近づけんなレズビアン!」
きっと。おそらく。仲が良い、はずだ。

「危うくファーストキスが女になるとこだったわ……」
唇を巡る争いの末、そう言いって少女、杏はため息をついた。
「ぶぅー」
もう一人の少女、百合は不満げだ。
「あ」
「ん?」
ふと、後ろを振り返った百合が何かに気がついたように声をあげ、杏も振り返った。
そこには、一人の男が立っていて、
「「お嬢ちゃん達、赤いマントと青いマント、どっちが良い?」」
「うわ、都市伝説だ」
「えぇ〜、今月に入ってもう三体目だよぅ」
二人は男が都市伝説だと気がついても落ち着いていた。
二人は契約者だから。
「さっさと倒すわよ」
「うん……!やっぱやだ!!」
「はぁ!?」
「ちゅうしてくれたら手伝う!」
「いまそんな場合じゃ」
「つーん」
「こっの…………!」
二人のやり取りを無視して都市伝説は再び口を開く。
「「赤いマントと青いマントどっちが良い?」」
杏の契約している都市伝説の使用には条件がある。その条件をどこでも満たすには百合の協力がいるのだが、
「えっと、じゃ、じゃあ後でケーキ買ってあげるから」
「つーん」
「ケーキ焼いてあげるから」
「ふーんだ」
「「赤いのと青いの、どっちなんだい?」」
「えぇい、じゃあ、ケーキを……あーんてしてあげるから」
「え!?…………ふ、ふーんだ」
「「答えがないよ?どっちなんだい?悩んでるのかい?どっちもかい?それでも良いよ?どっちもだね?」」
「あーもー!!分かったわよ!キスくらいしてあげるから!!」
「やった♪」
865 :単発ネタ [sage]:2011/09/09(金) 17:14:44.57 ID:8rn6K1KSO
突然、百合がしゃがみ、地面に手をつけ、
「絶対だからね!」
そう言って能力を発動する。

静岡県に不思議な場所がある。
普段は何の変哲もない林だが、何年かに一度、突然池ができる。そして、数週間で元の林に戻る。
原因不明。超常現象。怪奇スポット。都市伝説。
遠州七不思議が一つ。
『池の平』

百合の能力発動と同時、周りの地面から水が涌きだし、あっという間に大きな水溜まりが出来上がる。
はっきり言って、『地面から水を出す』という戦闘において何の役にも立ちそうにない能力。
けれど
「よし、いくわよ!」
杏の都市伝説は『日本兵の幽霊』。
水辺で遊んでいた子供に、今の日本は平和か、と尋ねて子供の答えに満足して消えた幽霊の話。
能力は、水辺から日本兵の幽霊を呼び出す事。
そして、呼び出された日本兵の銃が
「赤い、青い、どっちからが良い?」
都市伝説に向けられ、
「てぇっ!」
杏の合図と共に、銃弾が放たれた。

「終わりっと」
そう呟いて杏が百合を見ると、
「…………ぁ」
百合は期待した目で杏を見ていた。

夕刻、中学校からの帰りらしい二人の少女が歩いていた。
「ぶぅー」
「何よ。約束通りキスしてあげたでしょ」
「おでこだもん!わたしがしたかったの唇と唇だもん!!」
「キスはキスよ。なんであんたとマウストゥマウスしなきゃなんないのよ」
「…………いいもん。次に都市伝説と戦うときに同じことするもん」
「諦めなさいよ…………」
二人はとても仲が良いらしく、手を繋ぎながら歩いている。

866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/09/09(金) 17:22:56.30 ID:INWcLnt80
おちゅでした
二人揃わないと戦えないわけか……
分断して各個撃破……なんでもないっす、おつでした
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/09/09(金) 17:23:39.92 ID:INWcLnt80
おちゅでした
二人揃わないと戦えないわけか……
分断して各個撃破……なんでもないっす、おつでした
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/09/09(金) 17:24:43.90 ID:INWcLnt80
【極光の紗綾(獄門寺龍一の世界 前編)】

「…………あーあ。」
「…………どうした妹よ。」
「何時まで私たちここに居させられるのかしら。」

 ノックの音。

「どうぞー。」
「うむ、さて今日も異世界の話を聞かせてもらうぞ!」

 部屋に入ってきて椅子に腰掛ける鉄仮面の男。

「えっと……どこまで話しましたっけ。」
「ほら、あれだ。あの都市伝説が人を滅ぼした結果都市伝説自身が滅びた世界。」
「あー、あれですか……。あのあと僕達は……。」

 私たちがやってきた異世界は変な能力に目覚めた人間のせいで秩序が崩壊し、
 強い能力を持った人間が都市伝説を含めたその他全てを支配する世界らしかった。
 私たちはこの世界にきてすぐにこの男に捕まったのだ。

「なるほどなあ!こいつは勉強になる!
 して、お前はそこを見てどうおもった?」
「それはですねえ……。」

 この鉄仮面の男はこの国の王だ。
 外見は怖いのだが話してみると案外気さくで困ったことに良い人である。
 ただ知識欲が旺盛らしく毎日のように話をせがまれるのが悩みの種だ。
 
「なるほどなるほど、面白い見方だ。参考にさせてもらおう。」
「はぁ……。」
「陛下、、そろそろ市中の見回りの時間でございます。」
「んあ?仕方ないなあ、次の世界の話は後で聞かせてもらうぞ!
 おい、誰か彼らにこの城を見せて回ってやれ。
 この部屋に居るばかりでは暇になるだろう。
 そうだ、影守、影守(娘)は居るか?」
「陛下、彼女はただ今王妃の護衛の任についております故……」
「そうだったなあ……ならば良い、明日(弟)は……」
「仕事に忙殺されているかと。」
「それじゃあ明日(姉)とか。ATフィールド使えるし丁度良いじゃん。」
「例の客人の護衛兼見張りです。」
「ああ、あいつからも詳しく話を聞いている所だからな。」
「じゃあお前やれよ。」
「国の各地方から送られてきた様々な書類が溜まっておりますので。」
「だーよなー。ああそうだそうだ王子が居るじゃないか。」
「呼んで参ります。」

 王が去ってしばらくすると品の良さそうなお兄さんが私たちの目の前に現れた。
 
「この国の王子の彼方と申します。彼方と呼んでください。」
「あ、どうもです。」
「王様にはお世話になっております。」
「王様も勉強になると喜んでおりました。
 マイペースな方ですがお付き合いいただけるとありがたいです。
 それではお城の案内をさせていただきますね。」

 彼方は私たちを連れて部屋を出る。

「向こうが王族の方々の寝所です。」
「彼方さんは向こうで寝てないみたいな言い方ですね。」
「え?ああ……僕は王様の実の子供じゃないものですから。」
「そうなんですか?なんか沢山奥さんが居ると聞いていたんですけど。」
「本人が作りたがらないんですよね。愚かな子供だったら国の人間に申し訳が立たないとか。」
「はぁ……。」

 ところで、あの鉄仮面の男はノリの軽さはともかくとして王としては有能らしい。
 ラプラスの魔で得た世界中が混乱に陥っているという情報に反してこの国は穏やかだ。

「じゃあ彼方さんは相当優秀ってことですね!」
「いやぼくはそんなとてもとても!」
「いんや、中々そいつは優秀だ。」

 突然私たちの会話に割って入る長身の女性。
 若いのに髪が真っ白だ。
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/09/09(金) 17:26:09.21 ID:INWcLnt80
「橙さん!やめてください恥ずかしいです……」
「謙遜するな、……いやそれがお前の良いところか。」
「貴方は?」
「私は治安維持局の副長、橙だ。」
「代替だ?」
「本人だ!」
「大体だ?」
「適当だなおい!」
「やだなあ皆さん超合金変形合体ダイターンですよ!」
「ロ ボ か !」

 彼女の名前は分からないが……すくなくともツッコミ属性持ちだということは解った。

「まあいいや、励めよ彼方。王様は君を気に入っておられる。」
「はい!」
「私も君みたいな無欲な人間は……まあそのなんだ、好きだ。」

 そういうと恥ずかしそうにその場を去るツッコミさん。
 成程、次期王妃の座を狙っているわけか。
 まあ天然ボケとノリツッコミなら相性は完璧な気もする。

「それじゃあまずは中庭でも案内しましょうか。
 今の時期だと薔薇が咲いていると思われますので。」
「まあ素敵!」
「こちらです。」

 階段を降りて彼方さんについていく。
 中庭につながる扉を開くとそこには美しい薔薇園が広がっていた。

「すごい!」
「でしょう?妹が世話しているんですよ。」
「妹さん?」
「はい、丁度貴方より少し年下の……」
「お兄ちゃん!そちらの方々が噂のお客様?」
「あ、吉静!そうだよ、このお二人が王様の言っていたお客様だ。」
「吉静と申します、以後お見知りおきを。」

 そういって私より少し年下の少女は頭を下げる。

「えっと、僕は零人、そっちが妹の陽子です。」
「仲良くしてね。」
「妹さんってことはこの子も……?」
「いや、この子は違います。庭の世話係としてここで働いているんです。
 …………色々複雑なんですよ。」
「ああ、詮索してしまったみたいですいません。」
「いえ別にそんな……」
「あのーこの奥に一際綺麗な白い薔薇が咲いているので見に行きませんか?」
「まあ素敵、見に行こうかしら?」


「侵入者だ!」


 突然、怒号が空を裂く。
 私たちの目の前にあった生垣がまっぷたつになると共にそこから三人組の男女が現れた。
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/09/09(金) 17:27:16.33 ID:INWcLnt80
「くそっ、何故見つかったんだ!?」
「……切り抜けて王宮の奥までいけるとおもうが。」
「無理だろ、ここは一旦逃げるしかない!」

 二人の青年、一人の少女。
 その内の一人の顔に私は見覚えがあった。

「龍一さん……!?」
「―――――――――――!」

 異世界であったことがある。
 
「陽子さん、お知り合いですか?」
「別の世界で会ったことが!」
「じゃあ他人ですね!」

 彼方は腰に提げていた剣を引きぬいて龍一に躍りかかる。
 が、龍一の姿は一瞬で消えさってしまう。
 それに代わって少女が彼方さんに向けて飴を投げつける。
 危険だ。
 そう直感した私は素早く銃を引きぬいて飴を撃ち落とした。

「―――――――!」
「彼方さん!消えた方はお任せします!兄様はそこの男を!」
「任せろ!」
「無駄だぜ。」

 兄様が狼男の力でもう一人の男の方に襲いかかる。
 が、何故か兄様の拳は彼の前で減速する。

「異能を拒絶する能力か!?」
「答える義務はない!」

 銃弾が兄の肩を撃ちぬく。
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/09/09(金) 17:31:32.47 ID:INWcLnt80
「兄様!」

 その時、飴が私の目の前で爆発。
 私は近くの壁に叩きつけられる。

「お二人とも!」
「……隙あり。」

 彼方さんの胸に日本刀が突き立てられる。

「お兄ちゃん!」

「逃げるぞ」
「ああ」

 遠ざかっていく三人組の影。

「そこまでだ!貴様ら全員生きてこの城から出られると思うな!」

 しかし、彼らの行く手に一人の男が立ちふさがる。

「私の名前は明日真!治安維持局局長だ!」
「龍一、お前の能力でいけるか?」
「ああ。」

 再び龍一の気配が薄くなる。
 其れにともなって少女と青年の姿も薄くなって……

「局長、右斜め後ろ三十度の位置だ。」
「諒解!」

 なにもない所に向けて明日真が拳を振るう。
 すると、龍一が勢い良く吹っ飛び、二人の姿も現れた。

「探知系か!?でもそれなら俺の能力でスルー……」
「この城には私の調合した人体に無害な粉末が常に舞っている。
 それの軌跡を私の能力で辿れば目視できる範囲に居る相手を逃すことはない!」

 真の後ろには橙さんが立っている。
 先ほどから何一つ喋らない少女が、飴を真に向けて飛ばす。
 幾つもの並行世界をかけめぐってきたが確か彼はあの手の不意討ちにはよわ……

「効かん!」

 い、と思ったら強かった。
 びっくりするほ強い。
 飴を見ないで素手で捕まえて爆発ごと握りつぶした。

「契約していないのになんでこんな力が!?」
「賊に答える義理はない!」

 どうやらなんとかなりそうだ。
 しかしおかしい。
 何故この城の人間はここまで相手の能力に入念な対策をできていたんだ?
 まるで前もって誰かに襲撃を教えられていたみたいな……
 そこまで考えた所で私の意識はぷっつり途切れた。

【極光の紗綾(獄門寺龍一の世界 前編)to be continued
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 17:32:32.98 ID:p4TQMtADO
投下乙です

二人揃ってはじめて使える協力技か
こういうギミックは好みです
透明人間相手なら百合ちゃん大活躍だなぁと思ったり
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 17:34:27.11 ID:p4TQMtADO
投下が終わったあとでよかったとただただ安堵
ちゃんとあとで読むんだから!
874 :ソニータイマー [sage saga]:2011/09/09(金) 18:04:21.33 ID:1R8GBs0e0
「鷽月頼也、その過負荷(マイナス)」
さて、皆さんは異常(アブノーマル)というものをご存知だろうか? 幼女、乳児、人形、昆虫等、普通でない物に好意、愛情、恋愛感情、性的関心を抱く特殊性癖…ではない
一部の人が生まれながらにして持つ、一種の才能、体質、性質のような物だ。その才能が普通とはあまりにもかけ離れている、普通に考えてありえない、故に『異常』…
主な例だと、拝戸純の『囚納』、花房真樹の『異常、都市伝説に対する異常なまでのスルー・ステルススキル』、
上田明也の『言葉を操る異常』、任天堂寺の『異常なまでの認識・処理・記憶能力』(…良い機会なので『完録(ブルーレイメモリーカード)』とでも名付けよう。)
羨道望の『才念調』、拝戸直の『他人の限界が分かる異常』などである
では、過負荷(マイナス)はご存知だろうか? 過負荷(マイナス)―異常と違い、その人の育った環境、性格なんかが影響して発現する。そしてその能力は理由も理屈も存在しない。無意味で無価値で無関心で無責任な屁理屈である…詳しくは漫画『めだか箱』を読んでくださいな
はてさて、『マイナスの会(仮)』のリーダーである鷽月頼也もまた、その身に過負荷を抱えている。『大負号』…あらゆるものの『負の側面』を増幅させる、そんな過負荷
頼也『まーそんなそれはそれとして! 僕は歩いているのだ』
『あは!』『球磨●禊がモデルだから大嘘憑きか却本作りが僕の過負荷だと思った?』『甘ぇよ。』『…が、その甘さ』『嫌いじゃないぜ』
鷽月頼也、数話ぶりの登場である
頼也『それにしても、本家球磨さんはしばらく僕が登場しないうちに丸くなったよなー』
そんなことを言いながら歩いている。負のオーラをまき散らしながら
『Hey! Guy!』
低い声の男が、話しかけてきた
頼也『何かな? 僕に何か用?』
『これ…英語でどういう意味だ?』
低い声で、自分の胸の位置を指差しながら尋ねる男。そこには大きく“台所”の文字が…。奇抜すぎるデザインの服である。“台所”って。なんでそれをチョイスしたんだ
頼也『キッチンだよ! それにしても、その服格好悪いね!』
『…だ』
頼也『え?』
『誰が“チキン”だ! 』
そう叫び、思い切り頼也を殴ってきた男。『kitchin』。キッチンをチキンと聞き間違えて滅茶苦茶殴ってくる都市伝説である
頼也『!?』
巨体で殴られ、吹っ飛ばされた頼也
頼也『い』『ったーい』『うわー右腕が動かないー』『呼吸もなんだか苦しいぞぉ』
『鎖骨が折れて肺に突き刺さったかなー』『一生後遺症が残るなーこれは!』
殴られた体を持ち上げながら言う頼也
頼也『あーでも痛くなくなってきた?』『治る兆しかなー』『それとも壊死する兆候かなー』
『まっ』『どっちでも似たようなもんかあ!』
巨大な螺子を取り出し、『kitchin』に攻撃を仕掛ける頼也。これは、ポケットから取り出した普通のプラス螺子を嘘の都市伝説『チパッ草』の『虚栄』で巨大化―虚大化させた物である
『うぁあああああああ! 殺す! 殺す! コロス!』
しかしなおも殴り続ける『kitchen』
頼也『ぐ…ッ』
鳩尾に入ったようだ
頼也『はぁ、はぁ、はぁ』『今度は内臓が破裂したんじゃないかなー』『お腹が裂けるように痛いや!』
『ま、それでも』『僕は君を“螺子”伏せる』
そう言って両手に螺子を出現させ、投げる頼也
『あ゛あ゛ああああああああああああああ!』
しかし、それはかわされ、『kitchen』は更に殴りかかってきた。しかし、飛ばされた螺子は、後ろの固い塀に深々と突き刺さった…
塀は固く、頼也の筋力も弱いため、螺子を突き刺すことは普通は不可能である。では、何故刺さったのか。答えは単純明快。これが頼也の『過負荷』ということである
学校町に昔からあった塀なので、“硬い”が当然“古い”。そう、その“古い”こそがこの塀の欠点(マイナス)。頼也はそのマイナスを肥大化させ、螺子が触れる部分だけを、螺子が簡単に突き刺さるほどに古く脆くした、というわけである
『はぁ、はぁ、なかなかタフじゃねぇか。だが、俺をチキン呼ばわりしたお前を俺は許さねぇ…!』
やっとまともに会話する気に…なっていなかった
頼也『だからkitchenだって。』『ま、』『やられっぱなしってのも癪だし!』『僕も本気を出そうかなー』
すると、みるみるうちに殴られた傷が…否、傷だけでなく、服の汚れや傷さえも、治って…否、戻(なお)っていった
『!? どういうことだ!? それがお前の都市伝説か!? くそっ、なんて回復力なんだ…』
戦き、慄き、戦慄する『kitchen』
頼也『おいおい、それじゃあまるで僕の能力が回復能力みたいじゃないか』『回復能力のように前向き的な都市伝説と』『僕が契約するわけないだろう?』
『事実(すべて)を虚偽(なかったこと)にする』『それが僕の『僧文是』だ――――つまり! この傷も、この汚れも、“全部嘘(オールフィクション)”ってね!』
と、頼也はキメ顔でそう言った―――――
『『僧文是』だと…? ふざけるな! 無敵すぎるにも程がある…!』
頼也『おいおい、騒ぐなよ』『弱く見えるぜ?』
『んじゃ』『まー終わりにしようか』『さようなら!』『噛ませ犬君。』
今度は大量に投げられた頼也の螺子が、『kitchen』の身体に深々と突き刺さり…文字通り、螺子伏せた
頼也『あ、ちなみに『まつ、かなう、そ』も嘘に関わる都市伝説だからね』
…誰に言っているのだろうか? まぁ、そんなこんなで、負完全・鷽月頼也は都市伝説を一体螺子伏せたのであった…




                         続く…
875 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/09/09(金) 20:30:52.83 ID:tW7RDjH+0
単発の人乙です〜
あらやだかぁいい、俺の妹にしよう!(マテコラ
二人で一つってのもいかすなぁ

笛の人乙です〜
龍一くんと出会ったか…今のところは敵として、かな
どうやって心を開かせるかwktk

ソニータイマーの人乙です〜
頼也くん久しぶり!
kitchenとはまた面白そうな都市伝説だなぁ(ソッチカ
ところで、上田の異常はド忘れしてしまいましたが、直くんは『観成(カンセイ)』だったような
876 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/09/09(金) 20:38:21.95 ID:qeLxpAdI0
単発の人乙でした。
これは良いコンビネーションだ……
水を出す能力は組み合わせると使いでがありそうだなあ。
笛の人乙でした。
やっぱり龍一くんはこっちじゃ強行突破になるのね。
粉末を辿る探知は能力の使い方が上手いと言わざるを得ない。
ソニータイマーの人乙でした。
嘘に関わる都市伝説ってのも面白いですね。
877 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/09/09(金) 22:05:38.71 ID:1R8GBs0e0
>>875
>kitchen
台所と書かれた黒人男性が、英語でサラリーマンに「これは英語でどういう意味だ?」と聞いて、
サラリーマンは恐る恐る「kitchen」と答えた。そしたらその男性はそれをチキンと聞き間違え、ぶちギレてサラリーマンが死ぬまで殴り続けた、みたいなお話。詳しくはピクシブで『都市伝説』で検索!
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:12:01.78 ID:iaARriawo
乙です
中学生の百合ならば見ていて癒されること必須だな
近くで見ていたい

有能な明日君か……有能な、明日君……か
いや、むしろ完成されればこうあるべき人だしこれもこれで悪くはない!
(不幸属性はどうなったんだろう)

新たな能力者きた!
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/09(金) 23:25:25.76 ID:gnOIpfTb0
ここが新天地…新天地だと?!
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:26:56.33 ID:iaARriawo
沖縄……だと?!
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:49:05.12 ID:8rn6K1KSO
なぁにチベット自治区と比べたらまだ日本だ
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/10(土) 02:24:44.07 ID:syd4AiAco
てすてす
すねこすり
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/10(土) 02:25:30.05 ID:syd4AiAco
やっぱり表示がおかしい
これはどういう事だね?
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:28:10.62 ID:jgLL1Huno
どういうこととは?
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 10:46:26.51 ID:PXJJncvDO
沖縄じゃないのに沖縄と表示されてるとか?
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/10(土) 11:00:43.94 ID:zo+eyT8g0
ルーマニアで「魔女」が認可制に、予言が外れると罰金も - GIGAZINE
ttp://t.co/MGiHoS9


何…だと
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/10(土) 19:42:07.40 ID:numGBiDB0
悲惨な過去を持つ白髪の男が人造人間である幼女と共に人々を救う物語
機械の体に人間の心を得てしまった存在の悲哀と葛藤の物語
父親への復讐を目標に旅を続ける青年とそれに付き纏う男装っ娘の物語
父と義姉の間に生まれた妹に誘惑される青年の物語

これ全部今やっても十分いけるとおもうんだ
そのうえ何がすごいってたった一人が考えて物語にしたんだぜ
そう考えるとなんかもうね
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 20:55:51.78 ID:jgLL1Huno
あの人の話の太陽編の狗族の娘っ子が俺のケモ耳尻尾信仰の目覚めでした
889 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/09/10(土) 20:59:11.50 ID:xDvAnuU60
>>887
> 機械の体に人間の心を得てしまった存在の悲哀と葛藤の物語
ドキッとしたのは秘密な!
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/10(土) 21:53:34.38 ID:numGBiDB0
>>888
貴様……!
俺はピノコでロリコンに目覚めたのかもしれない!
それにしても奇子よみてえ
>>889
影男の人はもっと手塚作品読むべき
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga ]:2011/09/10(土) 22:04:18.94 ID:numGBiDB0
避難所で今素敵に盛り上がっていますが私の言いたいことはただひとつです
手塚先生が小説家になってたら日本の文学界はもっと元気になっていた
ただ学問で文学やってる奴って大概アレだから(※偏見です)漫画で才能を発揮して良かったような気もする
難しいんだよなあ
個人的にはさっき話した奇子とかおもいっきり“日本の”自然主義文学みたいな感じだし
つーか医学部出身で当時の日本の知的エリートじゃないすか
その上絵がうまい
医者になれるのに漫画家になろうとした辺りすげえよやっぱ

ていうか日本の自然主義文学おかしいよ絶対
俺は好きだけど
ていうか源氏物語の頃から日本人恋愛脳だししゃーないんかね
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 22:08:47.48 ID:CPuXjck6o
>>891
君は中村光夫の風俗小説論を読んだうえでそんな事を言っているのかな?
まあ、未読なら是非おすすめするよ
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/10(土) 22:13:40.34 ID:numGBiDB0
くそっ未読だ……!
これは読まねばいけないきがする!
必ず読んでおこう
894 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/09/11(日) 00:32:25.39 ID:qBNnxssW0
>>890
そういや、間黒男と火の鳥くらいしか読んでないや
あとは短編集を少々
因みにオススメってあります?
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/09/11(日) 00:56:34.90 ID:D0ULAGt2o
 夏が終わり、秋を迎える。
 今年の夏も特に何もなかった。
 とびっきりに怖い事件に巻き込まれることも、胸ときめく恋物語になることも。
 去年も一昨年も。きっとこれから先も。
 だけどぼくは今を大事にしていきたい。
 そうでなければ、勿体無い。折角の「今」だ。

 変わらない生活なんてのはありえない。
 簡単なところでは昨夜と今日の夕餉は違うメニューだし、起きた時間も若干違う。
 本当に些細なことだけど、異なる毎日を生きている。
 傍から見れば同じ毎日。だけど違う毎日。
 少なくともぼくは今を生きている。
 決して退屈なんか感じていない。

 だから『隙間女』、きみはそこでずっと見ていてほしい。

 紅葉の赤い山が雪山へと変わり、雪が溶け花が咲き、暖かな日差しが強く大地を照らし、そして夏が終わる。
 これから先、ぼくは何回季節の変わりを感じるかわからないけれど。

 だからこそ、きみはぼくを見続けて欲しい。
 同じ一室で。
 死がふたりを分かつまで。
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/09/11(日) 00:57:25.31 ID:D0ULAGt2o
はーい、そんなわけで投下。
相変わらず都市伝説必要かこれ?って話。
続けてもう一丁。
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/09/11(日) 00:58:08.36 ID:D0ULAGt2o
 ふと思う。
 都市伝説って一体なんだ?
 妖怪の一種であるように見えて、違うものもある。
 例えば『マイナスイオンは体にいい』なんてのも都市伝説のような扱いだが、あれは疑似科学とやらじゃなかったか。

 妖怪や幽霊をひとくくりにしてプラズマだ、なんて無粋なことは言わないが『マイナスイオンは体にいい』というのはどこか違う。
 そもそもあんなことを言い出したのは誰だ。
 問い詰めたい、小一時間ほど問い詰めたい。

 本当に体にいいのなら、ぼくの爺さんを治してみろよと言いたい。
 できないんだろう、このヘタレ都市伝説め。
 てめえなんかヘタレ伝説だ。

 まあ、一〇三歳まで生きたぼくの爺さんはとっくの昔に鬼籍に入っているが。
 その爺さんの五十回忌を今まさにやっている最中なわけだが。
 というか足が痺れてヤバ過ぎるのでどうでもいいことを考えて足の痺れから逃避しているだけだが。
 寺のエアコンにマイナスイオンの文字が見えたから空想に浸っていただけであって、実際何でも良かったわけだが。
 うん、本当にヤバい。
 ああもう畜生。

 坊主お経長過ぎ。
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/09/11(日) 00:59:08.09 ID:D0ULAGt2o
はいはい二本目投下完了。
こいつも都市伝説関係なかったですね。
そんなこんなでさようなら。
899 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/09/11(日) 01:40:16.32 ID:qBNnxssW0
乙です〜
こういう形の話も好みだわ

マイナスイオン使ってる作者がここに
まぁ疑似科学の一つが都市伝説として出回ってたりするので、疑似科学全般だいじょーぶだろーって感覚で書いてた当時が懐かしい
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 16:51:55.55 ID:U0v5EVs70
ムー大陸とかアトランティスと契約してそこに迷い込んで来た人々(都市伝説含む)とのほほんと暮らす契約者さんのサクセスストーリー!みたいなのが読みたい
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/09/11(日) 16:52:32.90 ID:q+5CNLE0o
引きずり込んだの間違いじゃないかそれ
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/09/11(日) 17:03:20.80 ID:J3aCLTOdo
引きずり込むならバミューダとかの方がそれっぽくね?
とか思ってたけら宇宙賃貸サルガッ荘を思い出した
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 17:20:23.62 ID:GnrxLfOAO
迷い込むなら杉沢村とかキチガイ村やマヨヒガや犬鳴村あたりが元の話内に迷い込むという要素がある気がする

あと昔日本で信じられてた女だけの島とか!
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 18:12:20.55 ID:w1f6zdrDO
女護ヶ島か…
女護ヶ島と契約した主人公が可愛い女の子達と一夏のアバンチュール、な
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga ]:2011/09/11(日) 21:22:01.93 ID:6lcsbXzJ0
【極光の紗綾(獄門寺龍一の世界 中編)】

 中庭での戦闘から数時間後。
 零人は自らの部屋で眼を覚ました。

「お二人とも大丈夫ですか?」

 最初に彼の目に映ったものは女性の顔。
 吉静が心配そうに彼の顔を覗き込んでいたのだ。
 
「大丈夫です。」

 心配させないように努めて笑顔を作る。

「それよりも先ほどの侵入者は……。」
「明日様が捕縛して地下牢に閉じ込めているそうです。」
「そうですか……。」
「大人しくしていてくださいね?」
「解ってます。」
「それなら良いんですよ。お菓子をお部屋に置いておきますので食べてくださいね?」

 吉静はにこりと微笑むとそのまま部屋を出ていった。

「兄様、もう良いですか。」
「もうちょい寝た振りしてろ。」

 どうやら寝たふりをしていた妹の声に苦笑する零人。

「私、この世界の龍一さんに会いたいんですけど。」
「なんでだ?」
「この世界、私の記憶の鍵を持っているのは彼です。」

 飴をポケットに突っ込んでチョコを頬張り始める陽子。
 そもそも二人の旅の目的は単純。
 自らの記憶を取り戻すことだ。
 そしてそれは世界ごとに存在する特別な契約者との接触が必要になる。
 
「お前がそう言うならそうなんだろうな。」
「この前の世界では愛美さんが兄様の鍵だったみたいですし……今度は私の番ということでしょう。」

 陽子は日本刀のマークの刻まれたカードを取り出した。
 零人のタトゥーとそっくりのデザインである。

「なるほどね……。」
「という訳で兄様、とりあえずこっそり龍一様に会いに参りましょう。」
「地下牢っつってたもんな……。ああそうだ。」
「どうしたんです?」
「いやこっそり行く必要無いよ。」
「え?」
「王様に頼んでみれば良いんじゃないか?
 話を聞きだせるかもしれないって。」
「ああ!」
「何も常に非合法な手段とる必要は無いからな。」
「それは素敵ですわ兄様。」
「んじゃあそういうことでひとつ……」
「やっほー」
「来た!?」

 とまあ二人の間で話が纏まった所で部屋に入ってくる鉄仮面の男。

「今の話を聞かせてもらったからね。」
「おお……。」
「実際行き詰まってたんだわあ、あいつら何も喋らないからさ。
 拷問ってのも考えたんだけど……あの手の相手には効果薄いしね。
 それに俺残酷なことって嫌いなの。」
「はぁ……。」
「パラレルワールドで彼と会ったんだよね?」
「ええ。愛美さんの弟子でした。」
「あと明日さんと友達だったりとか。」
「それに吉静さんを悪の手から守ったりしている世界もありましたよ。」
「ふむ……それの話をあいつに聞かせてみてくれよ。
 お前らにだけ何かしら話してくれるかも分からない。
 ついて来い。」

 掌の上、といったところか。
 鉄仮面の男に恐怖を抱きつつも彼らは男についていく。
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga ]:2011/09/11(日) 21:23:11.66 ID:6lcsbXzJ0
「おい、サンジェルマン、通してやれ。」

 サンジェルマンが彼らを案内する。
 とある牢屋の前に立つ。
 
「皆さん、お知り合いを連れて参りましたよ。」
「…………。」
「やれやれ、嫌われたものだ。それではお二人とも、そこの三人に王様にしたような話を聞かせてやってください。
 何かあったら呼んでくださればすぐに駆けつけますので。」
「解りました、ありがとうございます。」

 零人はサンジェルマンに頭を下げると地下牢の中の人影に向けて話しかけた。

「龍一さん。」
「…………。」

 当然返事は無い。

「在処さん。」
「…………?」

 僅かな反応が見られる。
 
「えっと、僕達前に会ったことがあると思うんですけど……
 といっても別の世界の話何ですけどね。」
「……俺たちに何か話させようと思っているなら無駄だぜ。」

 真樹は冷たい声で答える。

「あなたとは始めましてね、真樹さん。」
「別の世界で俺とだけは会ったことがないのかい?」
「私たちは契約者ですし都市伝説に関係する所にばかり現れますから。」
「ああそう。」

 会話は進まない。

「兄様、使っていいでしょう?」
「今回は仕方ないな。」

 業を煮やした陽子はラプラスの悪魔の能力を発動させる。
 彼女の頭の中に浮かんでは消える膨大な量の情報。
 その中からキーワードを駆使して情報を絞り込んでいく。

「検索を開始するわ、キーワードは異常、真樹さん、それに……世界。」

 湖面に泡が浮かぶように陽子の頭の中にとある単語が現れる。

「真樹さん、“脚本”って何?」
「―――――――!?」
「貴方たちは脚本っていうものを探しているのよね?」
「何処で聞いた。」
「能力で調べた。」
「俺たちの問題だ、首を突っ込むな。」
「そうはいかないのよ、脚本には私の記憶も関わっている。」
「……どういうことだ?」
「どこまで信じるかは貴方達の勝手だけどね。
 この世界で私の記憶を取り戻すために脚本とかいうものが必要なのよ。」

 勿論、その脚本なるものの中に彼女の記憶は無い。
 記憶の回復の条件は正確に言えば龍一に心を開いてもらうことなのだから。
 その為には共に戦ったり相手の望を叶えるのが一番いいのだ。
 真樹の逡巡は手に取るように解った。
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga ]:2011/09/11(日) 21:23:43.13 ID:6lcsbXzJ0
「……解った、お前らの話は聞くよ。」

 数分の沈黙の後、真樹ははっきりと言った。

「ありがたいわ。私たちの目的は脚本の入手。
 でもその脚本の中身に興味が有るわけでもなければ使い方も良く分からない。
 だからそれそのものは貴方達にあげるわ。」
「話が旨すぎるね。」
「記憶なんて曖昧な物を求めても信用されないのは当然だものね。
 でも、行動で示してみたらどうかしら?」
「え?」
「私たちが貴方たちをここから出す。」
「…………。」
「貴方達の狙いはさしずめここにある“脚本”なんでしょう?」
「…………。」
「私の能力ならば場所も検索してすぐに調べられるわ。」
「…………。」

 真樹は深くため息をつく。

「どうせここにいても一緒か。」
「でも条件が一つ。」
「え?」
「貴方たちはなんで脚本を求めるのか、脚本は何なのか教えて。
 この世界を救う物ってことしか分からないの。
 脚本って貴方達にとってはなんなの?」
「それは言えない。言えないが……。」
「なに?」
「まあ、あれだ。」
「?」
「俺には夢が無い。」
「へえ。」
「でも、守りたい夢がある。」
「解ったわ。なら協力する。」
「あんたは記憶か。」
「ええ、私と兄様の記憶、家族の記憶が必要なの。」
「信じておこう。二人とも、良いか?」
「ああ、お前が言うなら構わない。」

 在処は黙って頷く。

「兄です、俺の頭の上を飛び越して会話が続いています。」
「兄様、話聞いていたなら早く三人を牢屋から出す方法を考えて。」
「えー、無茶ぶりだあ……。だってこの空間都市伝説の能力が封じられてるし……。」
「私のラプラスは使えたじゃない。」

 それを聞いてふと思いつく。

「おい妹、ピッキング方法で検索しろよ。」
「その手があったか……。」

 鍵は驚くほどあっさり開いた。

「…………色々がっかり感漂うな。」
「じゃあ行きましょう。」
「ちょっと待て、この先にはサンジェルマンやら明日やらゴツいのが沢山いる。
 それに……あんたら飴持ってないか?持ってたら在処に渡してくれ。」
「あー……そういえば。飴?それならさっきもらったわ。」

 陽子は在処に飴を渡す。

「……ありがとう」
「なあ聞いてくれ、少し作戦を考えたんだけどさ……。」
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga ]:2011/09/11(日) 21:24:49.72 ID:6lcsbXzJ0
 さて、十分後。

「キャアアアアアアアアアアア!」

 絹を裂くような陽子の悲鳴。
 
「くそっ!駄目だったか!」

 慌ててドアを開けて入ってくるサンジェルマンと武装した兵士達。
 が、そこには誰もいない。

「あれ?」
「だれもいないぞ!」

 と、同時に物陰から躍り出る五人組。
 入り口に待機していた兵士が零人の八極拳で吹き飛ばされて扉が閉まる。
 
「迸るほどに強いな……。」
「鍛えてますきゅらー。」
「な、なんですとぉ!?」

 地下室からサンジェルマン達の声が聞こえる。
 だがしかしそれを無視して彼らは進む。

「どちらに行けば良いんだ?」
「脚本ってのは王様の書庫のムフフな本のコーナーに設けられた隠し扉の中にある宝物庫の中よ!
 …………って可憐な乙女に何言わせてるんだおい!」
「知らねえよ!とりあえずこのまま上に行けば良いのか?」
「ええ、図書室は最上階ですから!」
「そうはさせないわ!」

 聞き覚えのある声が響く。
 それと共に大量の薔薇が五人に向けて飛ぶ。
 陽子はすかさず銃を抜いてそれを撃ち落とす。

「何者!?」
「お二人が我々を裏切るなんて……私、悲しいです。」
「あ、貴方は!」
「お庭係というのは仮の姿……。
 そう、私こそ治安維持局直属暗部の密葬課所属、ラプラスの娘達(アドベントチルドレン)が一人!
 “手向ける徒花(ラストメモリー)”の吉静・レイモン!
 此処から先へは……」
「うるせえ。」

 陽子はノリノリでグロックを吉静に向けて銃弾を撃ち込む。
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga ]:2011/09/11(日) 21:25:55.78 ID:6lcsbXzJ0
「ええええええええ!?私たちそこそこ仲良かったつもりなのに!」
「記憶最優先!」
「兄です、妹が鬼のようです。」
「ちょおっと待った!」
「今度は誰?」

 夕日を背に受けて変身ポーズを決める人影。
 そう、この残念さといえば彼しか居ない。

「治安維持局局長明日真!推参!牢屋を抜けだした犯罪者とそれを助けた犯罪者。
 どちらも牢屋にもどってもらお……」

 龍一が明日に斬りかかる。

「うわ!?やめろよぉ!!」
「あ、この世界でもやっぱり明日さんだった。
 兄様、真樹さんと在処さんを連れてこの上の階に行ってください!」
「いやでも……」
「早く!早く脚本を取って来てください!」

 大量のバラの花が陽子に向けて飛ぶ。
 それに合わせるようにして陽子のグロックが火を噴く。

「クスクス、私の紅薔薇地獄に何時まで耐えられますかね?」
「おいこの吉静ちゃんキャラ崩壊ってレベルじゃねえぞ!」
「くっ……兄と私はこの壊れた世界の中でも二人で肩を……」
「過去話始めないでよもう!」

 一方で真と龍一の戦いも激しさを増していた。
 ぬらりひょんの能力を駆使する龍一に対して狂骨の防御力で後の先を狙い続ける真。
 龍一の攻撃を狂骨の鎧で止められてしまう為か龍一が若干不利に見える。

「……しかたない!」

 三人は階段を登る。

「この上の階だな!」
「よし、それじゃあ……」






「おぉっと!そこまでッスよ。」





「そ、その声は!」
「そうッス、皆大好き愛されラブリーモテカワキャラサイレスッスよ。
 やっぱり僕の予想通りの行動をしてくれたみたいッスねえ。」
「くそ……他の客人ってのはお前のことだったのか!」

 零人はサイレスを睨みつける。

「その通り!ちなみに龍一さん達の攻略方法を教えたのも僕ッスよ!」
「一体何のために……」
「答える義理は無いッス、あんたが真樹さんッスか?」

 サイレスは真樹の瞳を見つめる。
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga ]:2011/09/11(日) 21:27:33.74 ID:6lcsbXzJ0
「僕はあんたみたいな魔女の奴隷が一番嫌いッス。物語は我々が紡ぐべきものッスからね。
 だから……」

 貼りつけたような笑みがサイレスの表情から脱落する。
 
「―――――お前だけは此処で殺す。
 廻れ、“煉獄の咎狗(サーベラス)”!」

 在処にも零人にも反応できない早さで地獄の業火が真樹を襲う。






「そこまでだ!」





 その焔よりさらに早く、鋼の刃が宙をまって炎をかき消す。
 刃はクルクルと回転して主人の元へと戻っていく。

「サイレス、貴様に許した以上のことをするな。」
「ちっ……邪魔が入ったッスね。」
「真樹と在処……だったな。貴様らと話をしてやる。ついてこい。

 そう言って鉄仮面の男が指を鳴らすとあっという間に真樹と在処の姿は消えた。

「場所は貸してやる!あとは異世界人同士好きにしろ!」
 
 鉄仮面の男の声だけが廊下に響き渡った。

【極光の紗綾(獄門寺龍一の世界 中編)to be continued】
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/11(日) 21:41:56.55 ID:6lcsbXzJ0
吉静ちゃんまさかの厨二病患者
これは許されざる展開です
何故こうなったのか作者を締め上げて聞いてみましょう

「食いしん坊キャラにするチャンスが無かった。
 人様からのいただき物のキャラなのに思いつきで邪気眼埋め込んだ、反省している。」

912 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/11(日) 21:52:34.94 ID:l+TEru1h0
これはこれでありだと思うけどwwwwwww
笛の人乙です〜
激化してきたなぁ、在処たんが連れていかれておにーちゃんちょっと心配
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 22:19:20.12 ID:vEF5B8+No
投下乙です

吉静ちゃんは、ほら……IFだからキャラブレイクは仕方ないっていうか……これはこれで別の魅力って言うか……
現実世界の橙ちゃんとかはこの吉静ちゃんを知ることが出来るのだろうか…いや知らなくていいか
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/11(日) 22:31:04.60 ID:4bMcLne90
こちらで乙言い忘れてたの乙

笛の人にキャラを譲った時点でと言うか書いていただく時点でキャラ崩壊はある程度覚悟しているので大丈夫だ、問題ない
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/09/11(日) 23:13:53.63 ID:D0ULAGt2o
乙です。
前半シリアスかと思ったら後半ワロタ
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 02:07:00.03 ID:+lAM3vAAO
なぜ大規模クロスがこけるのか
どう思う?
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/09/12(月) 02:47:20.75 ID:qviWz0zBo
>>916
このスレの事なら大体こうだと思う
序盤ペース早い→まとめ追いつかない(wikiに上がっても書き手別)→確認に時間がかかる→ペース落ちる→ぐだぐだになる

マッドガッサーあたりまでならまとめがなくても勢いで突っ走ってたけど
大規模な話をやるなら先にその事件に関するwikiのまとめページ作る体裁整えた方がいいかもね
リアルタイムで追えないとわけわかめな上にペース落ちたら前の話探すだけで一苦労だもの
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 04:00:43.04 ID:5qL8LHWpo
>>917
>>序盤ペース早い→まとめ追いつかない(wikiに上がっても書き手別)→確認に時間がかかる→ペース落ちる→ぐだぐだになる
更に→参加書き手飽きて別の話書く→中核になる(企画した)書き手も飽きてその事件を終わったことにして未来の話を書くなど別の話を書く→放置
ってのがこけた現状?

モチベーション維持とかがこういうの大変だしな
wikiにまとめられてないから辿ろうと思うとログを辿るはめになってめんどくさい
wwikiなり他の何かで確認が楽にできるようにしないとペースも落ちる
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 08:50:30.20 ID:+lAM3vAAO
返答ありがとうございました参考になります
いろいろと難しいんだな、やっぱり
920 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/09/12(月) 12:29:43.23 ID:LRehzIPi0
Wikiのまとめをこまめに、か…肝に銘じておこう
クロス書く予定は一切ないけど
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/12(月) 13:39:37.82 ID:TdYjEqLj0
クロス参加するって明言した方は、書く時間とかきっちり考えて参加明言すべきかと
じゃ、ないと、「○○さんのネタが来るまで続き書けない」って事態に陥ってだらだら長引いてぐだぐだになったりもする
クロス参加中に失踪ダメ、絶対
あ、参加続行無理っぽそう、ってなったらきちんと発言しようね!クロスに参加する時の約束だぞ!!
922 :八尺様の人 ◆VkECiXG0r.YA [sage]:2011/09/12(月) 14:12:55.85 ID:jG010ctt0
笛の人乙でした〜。
サイレスが使ったのはケルベロスか……この世界でも暗躍してるなあ。
魔女の下僕が嫌いなのは合ってるなあ……。
これからの展開にワクテカだぜ
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 14:50:52.70 ID:c6l2jxmDO
サイレスさんはハンニバルに次いでお気に入りの敵キャラッス
チート性能もそこら辺のあれが働いていて…
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 19:06:03.96 ID:PC6tWHJj0
夢の国の大規模クロスが滞りなく進行した、というのが特殊なケースだったかもしれない
主催者はよくもまああれだけの話を動かせたもんだよ
ところでその夢の国の話でさえ満足に書き終わらせていない連載の作者がいましたよね
あの人いつになったら終わらせる予定なんですかね
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 20:28:11.80 ID:+lAM3vAAO
夢の国、マッドカッサーはどこでどのキャラが何をしているかとキャラの行動方針もまとめてあったからなあ

あとは多くの作者が絡みそうな時間帯に明確な区切りがあったのも特徴かも
仮にどこかで参加者が話を書けなくなっても本筋を進められる状態だったのも成功の要因かな?
なんにせよ落ちやすいvipであれだけのものを書いたのは純粋にすごいと思う
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 20:46:19.14 ID:tYA+ydMQo
COA編
行方不明者の捜索、仕様外ボス十数体の撃破、黒幕(サイレス)の撃破とやること(書くべきもの)が多すぎた
キャラ合流→修行編に力を割き過ぎて話の展開が遅くなった
中核となる八尺様の人がリアル都合で途中からフェードアウトした

教会編
花子さんの人のネタに他の作者が干渉する形だったので、花子さんの人の負荷が高かった
他の作者が書かなければ花子さんの人が続きを書けなかったり、展開上先に書いて欲しいネタが上がらなかったりで全体の進行が遅れた
そのせいかわからないけれど花子さんの人が浮気した


上手く回らなかった原因はこんな感じ?
マッドガッサー編は「マッド一味を斃す」って目標と「学校の屋上」っていう目的地があったから、ソロでも話を進めやすかったように思う
ところでマッドガッサー編始まってからもう2年経つのね
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 20:59:59.76 ID:aKcEz5vDo
私は今も女装少年の人やルーモアの人がふらっと戻ってくるんじゃないかと何処かで期待してるんですよ…
そういえば今夜は15夜お月様だそうですね…
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 21:04:37.44 ID:IMyMl2RY0
3月の地震もあったし
東日本は落ち着いてないだろうから
創作どころじゃない人も結構いるだろ
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/12(月) 21:20:49.71 ID:UkLU40LI0
つまりキャラだけ借りてクロス話を主催者が書くのが安定か……
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/12(月) 21:38:11.34 ID:k2ZcGW+h0
他の人様のネタ待ちの時はなぁ、あちらにもリアルの都合があるんだし露骨に何度も催促するの失礼だしー、って思うし
たまに勇気をだして催促しても一切返事なくて「あれ、あの書き込みちゃんと見たかな。失礼な事言って気分悪くされなかったかな…」とか不安になったりとか


まぁ、あれだ
クロスに参加する人は、自分の執筆スピードと今度のリアルの都合と相談して参加を決めような!お兄さんとの約束だ!!
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/09/12(月) 21:50:08.86 ID:UkLU40LI0
【不思議少女シルバームーン 第九話 第四章「黄昏」】

「って話さ。」
「ほうほう、俺が倒れた後にそんなことが有ったのか。」
「ああ、結局ジャックの奴の死体は確認されなくて……
 って、この話はあんたも知ってるか。」
「おう、そういえば百回くらいは殺したんだけど死ななかったなあ、あいつ。」
「なんだよそれ、俺が来るまでに何が有ったんだよ。
 ていうかあんたマジで何者なんだよ。」

 いつも通り彼誰飯店で事件のあらましを話す俺。
 いつも通りにそれを聞く店長。
 何時もと違うのは俺が戦う準備をしているってことくらいで。

「俺の正体かぁ?」
「ああ、聞かせてほしいね。」
「そうだなあ……今日は偶然貸切の予約が入っていて……
 客もしばらく来ないしまあそれも悪くは無いな。」

 店長は火の点いた煙草を取り出して吸う。
 甘いフルーツのような香りが漂う。
 大麻か?昼間からそんな妙な物を吸うなんて随分良い身分じゃないか。

「安心したまえ、煙草じゃあない。南国産のフルーティーな香りのする嗜好品だ。」
「へえ……」

 やっぱり大麻じゃないか。

「健康に害は無いんだぜ?」
「ええ、適量を守れば……ですけどね。」
「それはどんなものでも一緒だよ。
 全ての物には秩序が必要で、全ての悲劇も全ての喜劇もその秩序の中で起きる。
 君の旧友はその秩序から踏み出して……帰って来れなかった。」
「で、貴方の正体は?」
「ちぇっ、ごまかせないか。
 俺の正体は笛吹丁、この街で探偵業を営んでいる。」
「笛吹探偵事務所……ああ、名前は聞いているよ。」
「誰から?」
「都市伝説に関わったことがあれば話は聞くだろうさ。」
「そっか。」
「あんたもジャックも同じ悪人だったじゃないか。
 何故あいつだけは討伐されたんだかね。」
「弱かった。庇護してくれる人間も居ない。天性のバトルセンスも無い。」
「…………そう。」
「お前が俺の所に来たのはそれだけじゃないだろう。
 お前はすべき質問があるはずだ。」
「じゃあ聞くぜ。」
「おう。」
「霙を差し向けたのはあんただろう?」
「おう。」
「なんでだ?」
「正義の味方、ってのが気に入らん。
 ありもしない神を信じる連中と一緒だ。」
「気に入らないから倒そうとしたのか?」
「ああ、霙くらい徹底的に仕込んだ刺客を送れば惨めに負けてくれると思ったのだよ。
 更に言えば……そう、朔夜が正義の味方なんていうものを諦めてくれると思ったんだ。
 仲良くなられるとは思わなかった、流石だよ。仲良くなるのが最強の対処法だもんな。」
「随分ご執心だね。年下の女の子が好きとか?」
「それは否定しない……が、俺が奴に執着するのはそういう理由ではない。」
「へぇ……。」
「あいつはな……俺の娘なんだ。」

 えっ

 いやいやいやいや……え?

 …………おい!
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/09/12(月) 21:50:37.16 ID:UkLU40LI0
「少年漫画じゃないんだぞおい!」
「まったくもってだな。」
「あれ、今……。」
「出てる出てる、めっちゃ声に出てた。
 本当に霙から聞いた通りだな。」
「おぉう……。」

 笛吹はカラカラと笑う。

「ああそうそう、お前たしか霙のパンツの色聞いてなかったっけ?」
「ああ、黒ですよね。黒以外認めませんよむしろ。」
「馬鹿者が、白に決まっているだろう。」
「何故だ!」
「それが分からないから馬鹿者だと言うのだよこのウスバカゲロウ!
 良いか、何故黒いパンツが良いかと云えばそれはヒップやら腿の肉をスリムに見せるためだ!
 故に少し身体のたるんで来てしまいながらもむせかえるような色気を放つ大人の女が着けてこそ真価を発揮するのだ!
 黒いパンティを穿いたからイイってもんじゃねえぞ!
 霙みたいにちょっとエロい雰囲気があるからってすぐに黒を選ぶのは誤りなんだよ!」
「解ってねえ!お前何も解ってねえ!黒っていうのはな!黒っていうのは宇宙なんだよ!
 女性の神秘を極限まで高める変身アイテムなんだよ!」
「女に神秘なんてねえよっばーか!それよりも純粋で清潔なイメージを損なわない白をあの子には着せるべきなんだ!
 そもそも美しい女性に変身なんて不要だ!ありのままの魅力を受け入れろ!」
「んだと!?ならなおのことあの子の白い肌には黒い下着が最高なんだよ!」
「貴様にあの娘の下着の何が解る!」
「え?」
「あの下着は俺がデザインしたんだぞ!」
「マジ何者なの店長?」
「探偵だ。」
「待てよ……デザインしたってことは……。」
「その通り!お前らの通う塾のマドンナの下着は俺の意のままなのさ!
 偶に洗濯もしているね!」
「あんたって人はああああああああああああああああああ!」

 俺と笛吹は同時に立ち上がる。
 この男だけは許してはいけない。
 この男は、俺たち男子小学生に“大抵同世代のかわいい女の子って年上の男にアレされる”っていうトラウマを植えつける気だ!
 この男だけは!俺が此処で倒す!

「やるか!てめえの大好きなお友達をぶっ飛ばしたのは俺だぜ!」
「うるせえとっくに予想ついてたわ!娘なんてのは知らなかったがな!」
「表出ろ!」
「よしきた!」
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/09/12(月) 21:51:44.39 ID:UkLU40LI0
 と、その時だった。
 
「店長居るかーい。」
「笛吹さん、来ましたよ。」
「ふん、偉大なる俺まで呼び出されることになるとは思わなかったぞ。」
「ここがスバルの行きつけの店?屋台じゃない。」
「上田さん、友美さん達連れてきましたよー。」

 見覚えのある顔がゾロゾロと店に入ってくる。
 笛吹いてた頭から煙だす女の子に、明尊に、カイトさんに、霙に、……朔夜まで。
 そして一番最後に顔を知らない綺麗な、背の高いお姉さんが入ってくる。

「あ、あんたは!?」
「―――――うわお前!?」

 朔夜が店長の姿を見るなり昏倒する。
 やっぱりまだ苦手なんだろうか。

「はいはい皆席ついてー」
「「「「はーい」」」」
「気絶した朔夜ちゃんはどうするの?」
「そこらへんに座らせといて。」
「笛吹さーん、良いよ、やっちゃって。」

 店長が指を鳴らす。
 するとあっという間に屋台だった場所が会議室に変化する。

「スバル、貴様との喧嘩は後だ。
 そちらのセクシーなお姉様から少しお前らに話があるそうだ。」
「な、これは……!?」
「所長の時空間転移能力です。」
「さて、俺は席を外すぞ。面倒なことになるのは御免だ。」

 そういって笛吹はドアを開けて何処かに消える。

「はい注目、私の名前は新島友美、この街を守りたいと思っている人間だ。
 今回貴方達はこの町に起きた騒動の源であるジャック・ジョーカーを見事討伐したわけだよ。
 そのことは実はこの街のニュースになってたりします。」
「組織による隠蔽は?」
「その件だがなあ偉大なるわが友スバルよ、今回は隠蔽作業が“何故か”行われていないのだよ。
 俺もその件について説明を受けるためにここに来た訳だ。」
「何時から俺たちは友達になったんですか。」
「何を言っている、この上田明尊を不意討ちとはいえ一度退けたのだ。
 そのうえ貴様一人で俺たちが来るまで戦っていたんだろう?
 誇れ、貴様を我が友と認めてやろう。」
「あ、どうもスバルくんはじめまして。私はネバーランドの元メンバーのルル=ベルです。
 諸事情有ってジャックの元を離れたんですけどね。
 今は笛吹さんの事務所でお茶くみしてます。」
「あ、どうもどうも……。なんか共通の知り合い居るみたいですしこれからよろしくお願いします。」
「ほら皆話聞いてー」
「はーい。」

 友美さんとやらがコツコツとホワイトボードを叩く。
934 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/09/12(月) 21:52:24.24 ID:UkLU40LI0
「まず説明すべきは今回何故隠蔽措置が行われなかったか、だよね。
 組織は少なくとも学校町に限って言えば都市伝説に関する情報の隠蔽をやめることにしたわ。
 なぜかっていえばもう大量発生しすぎて隠し通せなくなってるから。
 で、町の人々の不安を和らげる為に隠蔽以外の策を講じることになったの。」
「そんなこと可能なんですか?」
「ええ、今回の計画は国すら巻き込んでいるわ。」
「へぇ……」
「ふむ、エーテル師の仕事が減るわけか。素晴らしい。」
「で、友美さんとやらその策ってなんなんですか?」
「あ、私所長から聞きました!」
「霙ちゃんは少し黙ってなさい。」
「はーい。」
「私の計画ってのはヒーローをこの町に作ること。
 どんな恐怖が有ったとしても誰かが助けてくれるとわかっていればそれほど怖くないでしょう?」
「しかし母さん、それなら組織で十分だと思われますが。」
「そこが違うんだよ明尊くん。」
「んむ?」
「今まで人々から都市伝説を隠蔽していた組織じゃなくて。
 人々に馴染みやすい新しいヒーローの組織を作るべきなんだよ。」
「組織が信用ならないと言うのですか?いくら母さんとはいえそれは……」
「なんだい?」

 友美さんが明尊を一瞥する。

「いえ、なんでもありません。」
「なら良い。
 で、君たちにはやってもらいたいことがある。」
「……ここはどこ!?私誰!?」

 とまあタイミングよく朔夜が目覚める。

「あ、朔夜ちゃん起きた?」
「み、霙!さっき私何か名状しがたい物を……!」
「うふふ、気のせいだよ。」
「あ、起きたか今回のスーパースター。」
「あ、どうもどうもサインなら幾らでも……」
「もう起きたんだ。
 サインは後で貰っておくから君の手元の資料に目を通しながら私の話聞いててね。」
「はー……い」

 ものすごい勢いで資料らしき分厚い紙束に目を通す朔夜。

「すごい!私たちヒーローになっちゃうんですか!?
 何この計画、上の上じゃないですか!」
「あ、ありがとう……。」

 勘違いされがちだが朔夜は馬鹿じゃない。
 むしろ演算能力や情報処理能力などは高い。
 単に天然ボケなだけだ。
935 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/09/12(月) 21:53:12.76 ID:UkLU40LI0
「えっと、ざっくり説明しちゃうと貴方達に正体を隠しながら町のヒーローになってもらいたいの。」
「私はオッケーよ!前から魔法少女やってたしね!」
「堂々と朔夜ちゃんと一緒に戦えるので私も喜んでやらせて頂きますね。」
「私はちょっと組織の仕事が……」
「俺もだ、組織の仕事を優先するに決まっている。」
「私は明尊ちゃんについていく……と言いたいんだけど笛吹探偵事務所預かりだから強制参加……。」
「カイトくん、明尊くん、大丈夫だよ。」
「え?」
「どういうことです?」
「二人分の辞表出してきたから!」
「はあああああああああああああ!?」
「えええええええええええええええええええ!!」
「どどどどどどういうことですか!」
「カイトくんはサンジェルマンから直々にメッセージ預かってるよ。」

 サンジェルマン、懐かしい名前だ。
 今回のことには奴も関わっているのか。
 友美さんはテレビデオを取り出してスイッチをつける。

「どうもカイトさーん!貴方首!」
「えええええええええええええ!?」
「再就職先って訳じゃないですけどミスカトニック大学の魔術学部西洋魔術専攻科に留学できるようにしておきましたから!
 もっともっと実力をつけてテンプル騎士団の一員として恥ずかしくない実力を蓄えてくださいね!」
「……じゃあ良いか。」

 友美さんはテレビデオの電源をオフにする。

「俺は!俺はどうなっているんだ!中学生の貴重なバイト先!」
「えっとねえ……。」

 友美さんは再びテレビデオの電源をオンにする。
 今度は誠実そうな瞳をした白人の男性が画面に映る。

「明尊、見てるか?
「エーテルさん!」
「お前しばらく休職処分。」
「え?」
「勝手にF-No.の倉庫から都市伝説持ち出したら駄目だろうが……。
 日数の修繕は終わったから後で火尖槍も混天綾も乾坤圏も返しに来なさい。
 とりあえずこの辞表は俺があずかっておくぞ。」
「あー……忘れてた。ごめんなさい。」
「というわけだよ、ヒーロー組織に所属しないと貴方はフリーの契約者扱いだね!」
「くそっ…………。」
「笛吹さんみたく一人でやっていく才覚があるならチャンスだよ!」
「……無理です。」

 なっさけねええええええええ!
 この馬鹿あのどさくさに紛れてなにやってんだよおおおおお!
 戦争は事後処理が大事なんだよおおおおおおお! 
936 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/09/12(月) 21:54:15.49 ID:UkLU40LI0
「さて、後はスバル君の答えだけだね。」
「あー俺ですか。」

 友美さんが俺を見てニヤリと笑っている。

「うん。」
「スバル!あんたもやるでしょ!?また三人で戦いましょう!」
「スバルさんが居れば完璧ですよ!」
「あ、ごめん。俺はパス。」

 場の空気が凍りつく。

「いやあそれがですねえ……」
「おいスバル、お迎えが来てるぞ。」

 その時、部屋のドアを開けて包帯で顔をグルグル巻きにした笛吹さんが部屋に入ってくる。
 その後ろからヨツバさんが現れた。

「スバル!迎えに来たわよ!もう時間なんだから早くいかないと!」
「あ、すいません!」
「お父様!まだ怪我が治ってないの!?
 それにおばあちゃままで……いったいどうしたの?」
「朔夜……お祖母ちゃんスバルくんとちょっと世界一周旅行にいってくるわ。
 おみやげ楽しみにしていてね!
 旅行先から絵葉書とか送っちゃうから楽しみにしてて!
 今までデートを断っちゃった分たっぷり遊んであげないとね。」
「はああああああああああああ!?」
「我が娘よ、ヨツバさんも女性なんだ。そこらへんは理解して差し上げなさい。」
「お父様までそんなことを……」
「ちょ、笛吹さん!スバルくんに先約が入ってるなんて私聞いてない!」
「俺もついさっき聞いたんだよ!」
「え、笛吹?」
「お父様が笛吹……まさか。」
「ちょ、友美さんも所長もこれ隠すんじゃなかったんですか!?」
「霙、貴方何か知ってるのね。」
「ひいいいいい!私は命令されただけなのおおおお!
 所長に命令されただけなんだもん!私だって言いたかったんだけど!」
「うわやば……後は任せた!」
「おいこら待て親父!まだ妹が居たなんて聞いてねえぞ!」
「あら貴方が上田さんの息子さん?私、魔女の朝月ヨツバ。
 貴方のお父さん、魔術の天才でねえ……。」
「しらねえよそんなの!」
「とりあえず悪いのはあいつよ!」
「気が合うな朔夜!」
「そうね、あんたは気に入らなかったけど一時休戦よ!」
「「あいつ一遍殴る!」」

 二人が同時に立ち上がった。
 それを見て笛吹さんは全力で逃げる体勢に移る。
937 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/09/12(月) 21:58:01.03 ID:UkLU40LI0
「待てバカ親父!てめえ今回ばかりは許さねえ!」
「お父様!私と同じ年の女の子に浮気ってどういうことなの!?
 っていうかお母様との関係はどうなってんのよ!
 お母様とは遊びだったっていうの!?」
「待て待て待てこれには深い理由がだなあ!」
「「お前から聞く話はねえ!」」
「あの家族本当にカオスねルルちゃん。」
「でも私は羨ましいんですよ、カイトさん。」
「あら、サンジェルマン……ていうかフェリシアさんや橙さんが貴方のことをずっと気にかけてたって聞いたけど。」

 こめかみがピクピクしてる明尊。
 父親と発覚し笛吹さんへの恐怖が無くなった朔夜。
 全力で遁走する笛吹さん。
 
「じゃ、行きましょうかスバルくん。」
「はい、二人きりの旅行ですしゆっくり世界を回ってきましょうね。」
「ええそうね、私も今から楽しみよ。」
「友美さん!帰ってきたらその話のお手伝いさせてくださいね!
 ピンチになったら颯爽と現れて皆を助けに来ますよ!」
「え、えぇと……待ってるよ。」

 俺は……いいや、僕は。
 ただの少年、普通の小学生である僕は。
 天野昴は大好きな女性である朝月ヨツバさんに手を引かれ部屋を出た。
 僕の人生はきっと、これからだ。
 退屈なんかじゃない、とっても刺激的で、愉快な僕の命が始まるんだ。
 空を見上げると気の早い夕暮れの月が僕を見てニヤリと笑っていた。

【不思議少女シルバームーン 第九話 第四章「黄昏」 to be continued】
938 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/12(月) 22:09:52.98 ID:9iN5ufUx0
こんな大団円は・・・寧ろ良いwww
笛の人乙です〜
しかしカオスすぎてもはや秩序が成り立ってる気がしてきたぞwwwww
あと昴もげろ(

むぅ、チラ裏かどこかでこの頃の裂邪書いてみようかしら
939 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/09/12(月) 22:16:31.40 ID:UkLU40LI0
そうそう、昴くん勘違いしてましたが上田がすってるのは電子タバコ(南国フルーツ味)だ
決してハッピーになれるお薬じゃあない
あとあれだ
このあと上田は息子と娘に追い回された挙句「父の手料理!」とかいって二人の顔面に危ない薬入りのクリームパイたたきつけて難を逃れた
940 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/12(月) 22:17:47.13 ID:9iN5ufUx0
>>939
>このあと上田は息子と娘に追い回された挙句「父の手料理!」とかいって二人の顔面に危ない薬入りのクリームパイたたきつけて難を逃れた
それが父親のする事かよwwwwwwwwwwwwwww
941 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/09/12(月) 22:22:23.17 ID:UkLU40LI0
仕方ない
実はあいつら遠い先祖がサイヤ人だからな
つい戦って互いの力を試したくなるんだ
明久さんだったら峰打ちでぶっとばしてたからそれに比べたらぬるいぬるい
942 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/09/12(月) 22:43:45.31 ID:UkLU40LI0
ちなみにエピローグはあと一話残ってます
そこに何が待っているのか……
それは作者だけが知る
943 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/09/13(火) 00:53:22.86 ID:ANucu4+Co
お笛の人乙です。
ギャグチックなお終いになる……のかな?
944 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/09/13(火) 00:55:03.59 ID:ANucu4+Co
前回の話>>723-726


 ……どうしてこうなったのかわからない。
 どうしてこんな所にいる羽目になったのかもわからない。
 いや、わかってはいるんだけども。

「ほらほら、走れ走れー!」
「なんでだああああああああああああああああああああ!」

 至村賢さんと知り合った後、至村賢さんの指導の下で対都市伝説戦について学ぶことになった。
 経緯は簡単、『人面犬』が言い出した一言。

 ――こいつに戦い方を仕込んでやってくれないか?
 ――OK!

 サッパリわからない。
 どこがどうなったらこんなメチャクチャな話しが通るのかわからない。
 そもそも本人の意向を無視して成り立つ会話というのが有り得ない。まずは本人に許可を取って、いやその前に本人が会話に加わった上で話しをするのが筋というものだ。
 そこから数多くの議論をした上で本人を説得し、納得し――

「余計なこと考えるヒマあるなら走れアホ」
「痛ぇ!」

 とまあ、そんなこんなでマラソンをする羽目になっているというわけだ。
 もう十時間ぐらいぶっ続けで走らされてヘトヘトだ。これだけ走らされる高校生はいないんじゃないか。

「ほらほら、まだ十分も経ってないぞー」

 ……体感時間で十時間ってことで。

「てかさ、あのさ」
「何だ?」
「走って強くなれるの?」
「マラソンしゅーりょー」

 ええー、何だよそれー。
 あれだけ走らされてそんなこと言われたって納得できるかよー。

「じゃあまだ走っててもいいぞ」
「滅相もございません」

 ……そんなヘタレを見るような眼で見られるとへこむ。
 走るのが苦手であって、それ以外はそこそこいけるんだって、きっと。
945 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/09/13(火) 00:56:25.59 ID:ANucu4+Co
「お前さん、どこまで都市伝説について把握してる?」
「ある程度はコイツから聞いたけど基礎的なものくらいかな」

 都市伝説とは情報生命体のようなものであり、人々から忘れられるとその存在も消える。
 だから都市伝説は自分の存在確定のために人間と契約し、自身の存在の希薄化及び消滅を防ぐ。
 契約することにより都市伝説は元々の能力が強化されたり、新たな力を得ることもあり、それらは拡大解釈と呼ばれる。
 契約した人間は契約者と呼ばれ、契約した都市伝説と同じ能力が付与される場合もあるが、どのような条件下でどのような能力が契約者に付与されるのかは不明。
 また、都市伝説と契約する上で大きく関わってくるのが容量。
 コスト、心の器とも呼ばれるそれは、都市伝説側の容量と契約者側に受け入れる容量とが合えば問題は無い。
 契約者の容量が小さい場合、都市伝説の容量が大きい場合、どちらも契約はできなくなり、最低でも精神崩壊、最悪では都市伝説に飲み込まれる。
 都市伝説に飲み込まれるとは、その都市伝説と同化や同種の都市伝説化等、様々ありこちらも不明。
 神と呼ばれる都市伝説、古くから在る都市伝説ほど容量が大きいことが確認されている。
 稀に契約者側が都市伝説を飲み込むこともあり、人間でありながら都市伝説以上の存在と化す場合もある。
 その場合は契約者側の容量も関係あることはあるが、心の強さ、精神の強靭さが強いほどその傾向は顕著。

「――大体、こんなところかな」
「そんだけわかってりゃ合格点だな。満点じゃねえけど」
「他にも何かあるのか?」

『人面犬』の問いににやりと笑う至村さん。

「幾つかのタイプについては説明受けてないのか?」
「タイプ?」
「そうだな。大きく分けると自律型と概念型、とかな」

 自律型とは『人面犬』や『口裂け女』のように自分の意思を持ち、自らで行動するタイプ。
 概念型とは『カメラで真ん中に写った人は早死にする』や『ブルーベリーは眼にいい』などの意思を持てず自ら行動できないタイプ。
 そこから細かく分けると物質系、生物系、空間系となり、『雷切』は物質系、『注射男』は生物系、『夢の国』は空間系となる。
 中には例外もあるが大まかには自律型物品系、概念型空間系など全六種に分別が可能となる。

「例えばお前さんの契約している『人面犬』は自律型生物系だな。俺の都市伝説なんかは概念型物質系となる」
「……何の都市伝説だ?」
「企業秘密」

 ポロッと言ってくれてもいいのだが残念。
 その内教えてくれたりするんだろうか。

「それとは別に各能力で各系統に分かれたりするんだよ」
「うう、頭痛くなってきた……」

 強化系、放射系、操作系、変化系、創造系の五つに加え、そのどれにも属さない特異系。
 強化系は肉体、筋力、視力、反射神経、回復力、道具の強化。
 放射系は炎、礫、弾丸、武器、紫外線、マイクロ波、イオン等の自然物非自然物問わず放射。
 操作系は動植物の操作、人間の操作、自分自身の操作、異空間の操作。
 変化系は水を武器に、炎を柱に、赤を青に。事象の変化。
 創造系は生物の創造、無機物の創造、無から有の創造。
 特異系は強化変化操作放射創造、そのどれにも属さない異端。

「人によっては例外、特質、異質、奇異、特例……色んな呼び方してるがな」
「もうわけがわからない」
「まあそう言うな。都市伝説の系統と契約者の系統がピタリと一致すればかなり強いんだぞ」
「俺は自律型生物系の属性は強化系ってところか。――こいつは?」

 こっちを見て困ったように考え込む至村さん。
 そんなに考え込むようなこと?

「そいつがわっかんねえんだよなあ」
946 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/09/13(火) 00:57:17.84 ID:ANucu4+Co
「言ってることはわかるんだけど、理解が追いつかない。――江良井くんを閉じ込めたってどういうことだい?」

 公園で黒服と江良井が閉じ込められてからすぐ、高城は錨野に連絡を取っていた。
 連絡を受けた錨野とたまたま近くにいた嘉藤が高城の元を訪れたのは連絡から十五分後のことである。

「どうやって……いくら君の『アメリカ村』でもそう簡単に幽閉される人ではないと思うけど」
「〈組織〉の黒服が現れてその隙を突いた」
「詳しく話してくれるかな」

 敵対するなとの命令に反して江良井に接触したことも隠さず、高城は全てをふたりに話した。
 江良井に殺されかけたこと、黒服が登場したこと、〈組織〉が自分達を監視対象にしていること。
 江良井に対面した時の心情すら聞き終えると、錨野はこの男にしては珍しく長い溜息を吐き出した。

「おっかない真似だ。ぼくには到底真似できやしない」
「すまない。早計だった」
「いや、責めてはいないよ。遅かれ早かれ君には江良井くんの幽閉を頼んでいたんだからね。それが多少早まっただけのことさ」
「江良井はどうでもいい。一緒に閉じ込めた〈組織〉の黒服の言葉は本当なのか?」
「ああ。そう言っていた」

 ――高城楓さん、貴方達〈ゲーム王国〉の情報収集を担当しています

「僕達〈ゲーム王国〉が最早漏れている……ね。この前黒服殺したからだろうね」
「江良井に接触したのもバレているしな」
「そういやそうか」
「そんなことはどうでもいい。江良井はいつまで閉じ込められてる?」

 嘉藤の問いに首を振る高城。
 彼の契約している都市伝説『アメリカ村』は至村の言葉を借りるなら概念型空間系に属される。
 一九九六年に発売されたゲームの発売後に子供達の間で噂されたデマ。
 そこに行けばレアなポケモンが手に入るということも手伝い、子供達の間で瞬く間に広がったガセネタ。
『アジア村』とも呼ばれるそれは今でこそガセネタであることが判明しているが、当時の子供達の間では多くが信じ、中には行ったと口にする子供すら現れた。

「わからない。今の設定は都市伝説使用不可、時間は一日三年設定にしてあるから出られることない」
「都市伝説の使えない精神と時の部屋か。ついでに黒服も殺しておいてくれると助かるんだけど」
「三日で四十路近く、十日経てば江良井は七十過ぎ。流石に出て来れるはずないだろうが……」

 それでも一抹の不安を拭えないのは相手が他でもない江良井卓だからだ。
 高城の制約で都市伝説の使役は封じた。
 だが、それでも――そう思わせる何かが江良井にはある。
 かつて敵対したことがあると言う錨野は勿論だが、間近で対面した高城は身に染みて感じている。
 ふたりの不安が伝染したかのように嘉藤すら体を震わせる。

「彼の容量から考えると空間を破る能力を持つ都市伝説とは契約できるはずない。心の器と表現するならもっと容量があっても良さそうなものだけどね。
 また、彼の仲間という線も可能性はないではないがまずありえない。こと戦闘において彼が頼りにするのは〈地獄の帝王〉のみだ」

 ふう、と一息吐いてから錨野は次の言葉を口にする。

「当面の敵は〈組織〉だ。これから先は遠慮も容赦なしでいこう」
947 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/09/13(火) 00:58:04.27 ID:ANucu4+Co
「わからないってどういうこと?」

 もしかして自分でも知らない血筋を引いてるとか、隠された潜在能力があるとか、一億人にひとりの資質を持ってたりするとか。
 いやいや、本当はすでに契約者としての最高峰にいるとか?

「こいつ、ヘタレな上に体力もゼロ、おまけに頭もあまりよろしくないだろ? しかも話しを聞くに最近契約したばっかりらしいじゃないか」
「判断材料が無い、ってことか」
「そ。見たとこ〈異常〉持ちでも無さそうだしな」
「そんな……って〈異常〉って?」
「読んで字の如く〈異常〉さ。都市伝説は一切関係ない能力者――でいいのかな? そういうのがたまーにいるんだよ」

 例えば記憶力、洞察力、言語能力、収納力、認識力、共感覚。
 人間が普段意識せず当たり前のように使っている能力とも呼べぬ能力、それらが「異常」なまでに発達した、都市伝説とは全く異質の異能。
 詳細は一切不明。
 人間が生身で怪異と対するために身についた新人類とも呼べる能力だと口にする学者もいれば、古い時代に人と妖しが交じり合った結果だと告げる識者もいる。

「ま、俺も会ったことは無いんだけどな」
「ないのかよ!」
「だからお前、ツッコミ所おかしいって」
「要するにこのガキにはその〈異常〉とやらの素質も無いってことだな」
「そういうこった」
「もしかしてダメダメ?」
「ダメだな」
「ダメだ」

 何もふたりで言うこと無いじゃないか……本気でへこむ。
 でも、〈異常〉持ちにあったらどうすればいいんだ?

「都市伝説相手にしてる時と同じさ。戦うか、逃げるか」
「でもさ、相手の能力っていうのかな、それがわからないと逃げようにも逃げれないってことあるんじゃない?」
「お前はたまに核心つくんだな。――そうだな、その辺りは明日にでも教えてやるか」
948 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/09/13(火) 00:58:48.26 ID:ANucu4+Co
 そのやり取りの三日後。
 江良井卓が『アメリカ村』に閉じ込められてから四日が過ぎていた。

「彼はまだ?」
「破られてはいない」
「そうか……入口を開くことはできるんだよね?」
「可能だ。だが、江良井が出てくる可能性もある」

 高城の言葉にやや悩み、錨野は思い直すように首を振った。

「やめておこう。ここで江良井くんが出てきては今日の行動に支障が出そうだ。高城くんは当初の予定通り待機で」
「了解した」
「他のふたりは僕と一緒に予定通りってことで」
「応」
「わかりました」

 嘉藤と中元のふたりが頷く。
 ふたりから視線を彼らの後方へと向ける。
 そこには四人の黒服が立っていた。

「や、お待たせして申し訳ない」
「作戦会議は終わったか?」
「お蔭様で」

 A-102。
 A-103。
 A-104。
 A-109。
〈組織〉陣営は四人。

 錨野蝶助。
 嘉藤千也。
 中元浩志。
 高城楓。
〈ゲーム王国〉陣営からも四人。

 どちらも数を揃えたつもりはない。ただの偶然だ。
 四対四。
 奇しくも同人数。

「何か言うことはあるか?」
「別に何も」

 この場での全権を与えられているA-102が問い、同じく〈ゲーム王国〉の面々をまとめている錨野が応える。

「では始めようか」
「いざ尋常に勝負――なんてね」

〈組織〉と〈ゲーム王国〉の戦いの幕が切って落とされた。


949 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/09/13(火) 01:01:43.09 ID:ANucu4+Co
半月振りくらいの投下でした。

なんかほとんどを説明に費やしちゃったい。
勝手に系統分けみたいなのやっちゃったし。もうね、アホかとバカかと。
あくまで葬儀屋個人的な分け方ってことでよろしくお願いします。
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 01:06:51.65 ID:xNF5Giql0
おお葬儀屋の人、乙です
やっと始まるのかドンパチが
ただ江良井さんが出てきてから本格的になるんすかね
いずれにせよ楽しみ
951 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/09/13(火) 08:02:54.57 ID:aw0tsPnK0
乙です〜
皆大好きドンパチだー、わーい♪
ところで『アメリカ村』ってポケモンネタだったのかwww
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 19:13:32.94 ID:1NaTTWuSO
盛り上がってまいりました(避難所が)
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 19:19:42.64 ID:nprAbJkDO
だからといってここが盛り上がる訳じゃない
書くやつがいたらなあ
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 20:09:05.86 ID:gUsC/O2Ho
投下乙です
笛の人の作品が終わり、葬儀屋の人の作品が始まる
始まりと終わりは表裏一体。これが真理なのね


作品メタとか中の人メタな話は避難所に隔離して、
こっちでは純粋に「都市伝説と戦うために都市伝説と契約した以下略」の話をする心積もり
是非はともかくとして
955 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/09/13(火) 21:10:20.60 ID:g/L0zVLH0
実は俺、作品を書く時には脳内に居る百人の小人さんの力を使って書いているんだ……
956 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/09/13(火) 21:42:42.69 ID:g/L0zVLH0
そうそう、本スレに書こうと思って書けなかったのでこっちへ

上田家の奴らが最後ギャグっぽく〆てるのはですね
人間生まれるときは泣いてても死ぬときは笑っていようぜ
みたいなイメージ
ラストはなんか笑える雰囲気で終えたいじゃない

あと上田が霙ちゃん孕ませたら第二次上田家親子戦争勃発
霙ちゃんが無茶苦茶腹立つ顔で明尊くんに「ほらほら、弟か妹ですよ」とか言い出したり
朔夜ちゃんが「二人の馬鹿ッ!」といって家出したり
明尊くんが怒りと悲しみとで新たなる力に目覚めたり
上田を逮捕しそこねて明日君が地団駄踏んだり
明ちゃんは……多分ワリと平然としているんじゃないかな
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 22:05:43.74 ID:gUsC/O2Ho
父を上田とした義母兄弟姉妹と書くとイヤラシイ気持ちになるのは私がイヤラシイからですねわかります
上田家がお父様からメイドさんから一堂に会したらさぞかしカオs……壮観だろうなぁ
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 22:28:58.89 ID:nprAbJkDO
>>957
あの女中さんは量産型ができてさらに増えてるよ!!
明久さんはかみさんとくっつく前に色々あれだった時期があるから隠し子少なくともあと一人いるはずなんだよな
母親の違う兄と姉がいるんだよ、明也には
母親の同じ弟妹もいるけど
明久さん「浮気していいからもう勘弁」とか言われたんだろうな、多分
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/13(火) 22:35:22.32 ID:J9sM3Cjoo
書かない割に煽っては反応ヲチって悦に浸ってる粘着が居るらしいな
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 22:43:34.38 ID:vdH+nfzw0
やめなよ詮索
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 22:44:20.02 ID:gUsC/O2Ho
自分の書きたいように書くことしかできないんで、周りから何といわれようと関係ないのです
煽られてモチベーションが下がるわけでもなく、wwktkされて執筆速度が上がるわけでもなく
定速前進がモットーです
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 22:47:17.93 ID:vdH+nfzw0
おーすげー書き込めたぞ!
何か月ぶりだろ
963 :悪党と悪魔 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/09/14(水) 00:09:13.78 ID:D14/SZ4Eo
《ふむ……ヴィクトリアと名乗る女性、かね》

 ドクターからの連絡を受け、電話の向こうで総統が思案を巡らせるように唸る

《思い当たる名前ではある。個人ではなく契約者としての存在ではあるがね》
「契約者ですか」
《ああ。ヴィクトリアというのは、ヴィクターの女性名だ。死体を扱うというのならほぼ確定だろう》
「ヴィクター・フランケンシュタイン。『フランケンシュタインの怪物』の製作者の名ですね」
《『フランケンシュタインの怪物』の契約者が好んで名乗ったり、『フランケンシュタインの怪物』がその名に執着して契約を迫ったりする場合が多いと聞くな》
「なるほど……所属や目的が判明するまでは警戒が必要ですね」
《こちらでも調査は進めよう。君達は身内の安全を最優先に活動したまえ》
「判りました。今日、こちらに来ていたメイちゃんはどうしましょうか」
《それがだな……君からの連絡の前に、いつもの調子で沙々耶くんが迎えに行ってしまったので、二人の回収に運転手を向かわせているところでな》

―――

「こんにちは、はじめまして」

 出会い頭、笑顔でそう挨拶してきたヴィッキーに対して、沙々耶が抱いた印象は「胡散臭い」だった
 生まれてからの年月は短くとも、元は『悪魔の囁き』という存在
 悪意というものには非情に聡い

「何処の誰、ですか」

 じりと後退りながら、牽制するように訊ねる沙々耶

「悪い人です」

 沙々耶の反応を察してか、前置きを無しに笑顔で歩を進めるヴィッキー

「あなたの関係者から譲っていただきたいものがありまして。その交渉材料になっていただきます」
「はっ、私にそんな価値なんかあるもんですか。精々、捨てるのには体裁が悪い実験動物程度のものよ」
「そう自分を安く見積もらせて逃げようったってそうはいきませんよ?」

 ヴィッキーはそう言うと、ごそごそと懐から小さな箱のようなものを取り出す
 黒と黄色のストライプで彩られたボディに、アクリルのカバーで覆われた毒々しい赤色のボタンという配色の、危険物という自己主張があまりにも激しい一品だ

「何よ、自爆装置か何かのスイッチ?」
「似たようなものですよ?」

 ヴィッキーはうふふと笑い、両手でぽんぽんとスイッチを弄ぶ

「このスイッチを押すか、スイッチが一定時間一定距離私から離れると……仕掛けた爆弾が大爆発を起こします」
「何処に仕掛けたってのよ」

 この町で爆弾など仕掛けたところで、様々な組織が何らかの状況を察知してとっくに回収、解体してしまっているだろう
 偶然にせよ必然にせよ、学校町という場所は多大なる影響に対してはあまりにも過敏なところがあるのだ

「教えてあげた方が盛り上がりますよね、やっぱり」

 だがヴィッキーは楽しそうに笑う

「仕掛けたのは、学校町『以外』の日本中あちこちの幼稚園、小学校、病院、駅、旅客機、線路、ダム、発電所などに総計500個ほど。ボタンを押したり、スイッチが私から離れて一定時間経つ毎に、ランダムで1つが爆発します」
「……はぁ?」

 あまりにも桁の外れた状況に、沙々耶の顎がかくんと落ちる

「嘘だと思います? じゃあボタンを押してみましょうか。今の時間だと……そうですねぇ、夜のニュースぐらいには速報が入るかもしれませんよ?」

 ぱくんとカバーを開けて、指先でくりくりとボタンを撫でまわす
964 :悪党と悪魔 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/09/14(水) 00:09:54.04 ID:D14/SZ4Eo

「十六連射とかしてみます? スイカを割るより派手に吹っ飛びますよ」
「あ……頭おかしいんじゃないの?」
「よく言われます」

 誇らしげに胸を張ってそう答えるヴィッキー

「ただの脅し、与太話かもしれませんよ? そんな爆弾を作ったり仕掛けたりするのに、凄い手間が掛かりますもんね。第一、悪人の私の言う事なんて信用できませんよね」
「……私を連れていきたいなら好きにしなさいよ。その代わり、間違ってもそのスイッチを押したりするんじゃないわよ」

 多少の迷いはあったものの、あっさりと白旗を揚げた沙々耶の反応を見て、ヴィッキーからすぅっと笑顔が引けていく

「随分と話が早い……いや、察しが良いですね?」
「あんた……そのスイッチを押したくて押したくてたまらないって、顔に書いてるわよ」
「どこまで本気なのか判り難いというのが、密かな自慢だったんですけどね」

 カバーをぱたんと閉じて、スイッチを懐に仕舞い込むヴィッキー

「スイッチと爆弾の話、全部本当だって察してました?」
「一回ぐらいは押すために、わざと嘘っぽく言ってるでしょ、あなた」

 沙々耶の頬を冷や汗が伝う
 この女、手段と目的の境目が非情に曖昧だと察したからだ

「ま、結果オーライです。大人しくついてきてもらえそうですけど、趣味なんで誘拐らしく拘束させて下さいね」

 いつの間にか周囲に現れた戦闘員が、ロープや目隠し、猿轡を手に沙々耶の身体に手を伸ばしてくる
 沙々耶は内心で安堵する
 自分が捕まったところで、切り捨てられるよう上手く立ち回れば被害は最小限に抑えられる
 お人好しの馬鹿ばっかりな連中だが、既にこいつと接触しているのならば、こいつが欲しがるようなものを渡すよりはマシだと察してくれるだろう

「笑っていられるなんて、随分と余裕ですね」
「常に最悪を考えてる性分なの。まあ、あんた程度の存在なんて最悪のうちにも入らないけどね」

 そう、最悪は全てを察して差し向けられる悪意ではない

「……っ!」

 獅子の咆哮を思わせるエンジン音が沙々耶の耳に届く
 それは『ロールス・ロイスは壊れない』の契約者、『第三帝国』お抱えの運転手
 アスファルトを切り裂いているかのような音で車体を揺らし、寸分違わずヴィッキーにだけ狙いを定めたロールス・ロイスの車体が、自動追尾のミサイルのように突っ込んできたのだ

「へぇ」

 だがヴィッキーはまるで動じない
 [ピーーー]ような勢いで車を人体に突っ込ませる輩がいるのだと、関心するような声を上げただけである
 逆に沙々耶の顔から血の気が引く
 思い出されるのは、先程のスイッチの話
 最悪は、時として
 何も知らずに差し伸べられる善意である事がある

「ばっ……か!」

 沙々耶は戦闘員を押し退け、ヴィッキーを守るように両手を広げ、猛スピードで迫り来るロールス・ロイスの前に立ちはだかった
 これには流石の運転手も避けるのは容易ではない
 強引にブレーキを踏み車体を沈み込ませ、次の瞬間にハンドルを切りながら月面宙返りにように跳ね上がり、ヴィッキーの髪を掠めるような軌道で反対側の道路に着地する

「沙々耶様?」

 軋むロールス・ロイスの運転席から、運転手が降り立つが
965 :悪党と悪魔 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/09/14(水) 00:10:47.18 ID:D14/SZ4Eo

「ごめん、事情があるの。あなたは他の皆をお願い」

 言葉を遮るように、先んじて

「私に構わないで……そう伝えて」

 告げられた言葉に、運転手は押し黙る

「なかなか楽しげなシチュエーションになってきましたね」

 ヴィッキーは薄ら笑いを浮かべ、沙々耶の腕を捻り上げ強引に抱き寄せる

「そういう事です。彼女についての交渉は、後日連絡すると伝えて下さいな」

 事情が掴めないまま、それでも追う事が出来ないという事だけ察するしかない運転手を残し、ヴィッキーは沙々耶を戦闘員に抱えさせ悠然とその場を歩み去る

「そのスイッチ、他の連中の交渉に使えるとは思わない方がいいわよ」

 電波や暗号の扱いに長けたエニグマ姉妹に掛かれば、事情を察すればすぐになんらかの対応を取れるだろうから
 もっとも、そこまで教えてやる義理は無いので、それ以上は語らない

「つまり交渉はあなたの身柄だけで行う事になると」
「さっきも言ったでしょう、私にそんな価値は無いって。断言してあげるわ、あなた達の目論見なんてあっさり破綻する」
「さて、どうなる事でしょうかね」

 ヴィッキーはくすりと笑うと、曲がり角の先に停めてあった乗用車のトランクをがぱりと開き、そこへ沙々耶を放り込む

「一応、中からは開かないように細工してありますので。騒ぐのは構いませんが、あなたに気付いた一般人が近付いてきた場合……私、手っ取り早く処分しますので」

 抵抗らしい抵抗もしない沙々耶の様子を確認して、ばたむとトランクを閉じる
 そのまま運転席へ乗り込むと、おかしな配線だらけになったハンドル周りに取り付けられたボタンを押し、エンジンを動かす

「自分で運転すると、途中で寝れないから困ります……戦闘員も寝ている間は複雑な操作はできませんし」

 あふ、と小さく欠伸をして
 ヴィッキーは車を走らせた
 彼女はこの町で人質と潜伏するつもりは無い
 この町の『組織』の網に引っ掛かるわけにはいかないし、その他にも厄介な集団が多々存在するからだ

「あ、そうそう」

 ヴィッキーはカーステレオの場所に取り付けられた怪しい無線機のボタンを押す
 音声はトランクに居る沙々耶の元へ繋がっているようだ

「あなたのお仲間、ハンバーグとソーセージ、どっちが好きですかね? ドイツ系の人が多いみたいですしやっぱりソーセージでしょうか」
《……どういう意味?》
「深い意味はありませんよ。交渉が失敗した場合、ちょっと贈り物をして空気を和ませようかと」
《失敗した後に和ませてる余裕があるなら、私の身柄でも解放しなさいよ》
「ええ、それはもう」

 ヴィッキーの声が、楽しそうに弾む

「それも兼ねてますから、わざわざ聞いてるんですよ」

 楽しそうに
 楽しそうに
 とても楽しそうに
966 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/09/14(水) 00:12:32.36 ID:D14/SZ4Eo
前回までのお話は>>818>>823-824をご参照下さいませ
もうsaga忘れっぱなし
伏字も味があって良いよね!
967 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/09/14(水) 00:28:06.56 ID:HSWB0HgNo
乙です
押すためにわざと嘘っぽくとはいい性格してるなあ
交渉役というか脅迫役には最適だ
968 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/09/14(水) 01:19:58.15 ID:3U4SIO+x0
あぁん俺の沙々耶たんがあああああ!?
くっそ、作者が作者なだけにこのあとが怖いっ!?
三面鏡の人乙です〜
969 :やる気なさそうな人 [sage]:2011/09/14(水) 01:53:06.17 ID:R5p26CJDO

シリアスな場面なのに
高橋名人で吹いてしまった
970 :やる気なさそうな人 [sage]:2011/09/14(水) 01:54:09.03 ID:R5p26CJDO

シリアスな空気なのに
高橋名人で吹いてしまった
971 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/09/14(水) 07:52:00.62 ID:3U4SIO+x0
>>969
十六連射かwwwwwww


そういや、そろそろ新スレ立てた方が良いかも
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/14(水) 12:58:28.19 ID:qRO6zlb80
9月14日は、「メンズバレンタインデー」「セプテンバーバレンタイン」でもあるそう。
前者は男性から女性に下着を贈り愛を告白、後者は女性から別れを切り出す日だとか。
男性にとってはあまりすてきな日ではないかも。

何が言いたいのかって?
男が女に下着をプレゼントするネタカモン、と言う事だ
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/14(水) 15:31:30.92 ID:djD8MxNDO
れっきゅんの懐が寒くなるな…
974 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/14(水) 15:39:38.41 ID:BfQAwTo90
やっぱり裂邪なのかよwwwwww
いや、書いても良いんだけど、下着ってなると本スレだとまずくない?
「それくらい大丈夫!」って意見があれば書いてくる
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/14(水) 16:06:58.22 ID:djD8MxNDO
なんとかなりますん!!
976 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/14(水) 16:11:12.76 ID:BfQAwTo90
よし、短くなると思うけど書いてくるの
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/14(水) 16:35:41.19 ID:djD8MxNDO
ドクトルの人乙でした
「え?見ず知らずの他人が人質になるんですか?それにそんなことしたら組織の人々が貴方達を潰しにすっとんできますよ?」
という展開にはならないか…
というかなったら話が進まないよね
そんな丁々発止のやり合いも見てみたいきはするけど
978 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/09/14(水) 17:09:21.17 ID:D14/SZ4Eo
>>977
> 「え?見ず知らずの他人が人質になるんですか?それにそんなことしたら組織の人々が貴方達を潰しにすっとんできますよ?」
ヴィッキー「なるかどうかは、相手次第ですね。ならなかったらまあ、とんずらの間の暇潰しにエアーキャップ潰す感覚でぽちぽち押しますけど」

・沙々耶に『組織』との直接のコネが無い、というか元『悪魔の囁き』だし『組織』に素性バレるとどうなるかわからない
んで沙々耶本人は契約者でもなんでもないただの鈍臭い女子高生です(意思と記憶だけ元都市伝説)

・ヴィッキーは交渉が上手く言ってもテロが上手くいってもどっちでもいい。むしろ「理由をつけて」爆破しまくりたい
悪意に聡いせいでこれに気付いてしまいました

・『悪の秘密結社』にとって『組織』が潰しにくるならまあそれはそれで、その中に正義の味方たる人がいれば素敵やん?
正義の味方と全面闘争するのが目的なので、悪事バレで戦う事になっても何ら問題なし
表立って宣戦布告したりしないのは、戦争狂じゃなくて悪の『秘密』結社だから

手段と目的が入れ替わってるとか、手段が目的だとかではなく
目的と手段が等価なのです
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/14(水) 17:27:14.64 ID:djD8MxNDO
沙々耶ちゃんが悪意にさとくてなおかつ他人を犠牲にすることをいとうからこうなったわけか…
診療所の面々が彼女を見捨てるとも思えないんだよなあ
だから面白いんだけど!!
980 :夢幻泡影 † 9月14日は・・・  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/14(水) 18:00:56.33 ID:BfQAwTo90
とあるスーパーマーケットの下着売り場にて―――

「ん〜、これも良いなぁ」
「そっそれはちょっと派手すぎますよぉ///」

色んな女物の下着を品定めしながら歩いているのは、中学生の少年と小学生くらいの少女だった
黄昏 裂邪と、その契約都市伝説である「シャボン玉」のミナワだ
今日9月14日はメンズバレンタインデーと言って、男性が女性に下着をプレゼントして愛の告白をする日だ
という情報をネットか何かで掴んだのだろうか、裂邪はわざわざミナワを連れて買い物に出掛け、現在に至る

「そうかな? 似合うと思うぞ?」
「でも真っ赤っかじゃないですか・・・恥ずかしい///」
「おいおい、ローゼちゃんはどうなんだよ;
  この間の海水浴も真っ赤なビキニだったろ」
「だってぇ・・・」
「まぁ、嫌がるもの買っても仕方ないし、他の探そうか」
「申し訳ございません・・・」
「謝るなよw お前の為なんだしさw」

ウヒヒと笑いながら、裂邪が赤い下着を置いた直後だった

「あ、」

と声を漏らしてミナワが手に取ったのは、水色の布地にシャボン玉が描かれた下着だった
それをうっとりとした視線で見つめる辺り、どうやら気に入ったようだ

「ん、それにしようか?」
「は、はい!」
「よし、じゃあレジに行こうか・・・あぁ、今が良い?後が良い?」
「? 何がですか?」
「良いから、どっちが良い?」
「えっと、じ、じゃあ今でお願いします」
「そっか」

にっ、と口角をあげると、彼の顔がミナワにグッと近づいた

「―――――――――――――っ!?」

驚くミナワだったが、声が出なかった
当然だ、口が塞がっているのだから
暫く――5分程度だろうか――その状態が続いた後、ようやく2人の唇が離れた

「っふあ、ばっ、ばかぁ///」
「ヒヒッ、愛してるよミナワ♪」
「そんなの後でいいじゃないですかぁ/// そ、それもこんなところで・・・///」
「『今が良い』って言ったのはお前だぞ?」
「ひっぐ・・・裂邪のいじわるぅ・・・」

ごめんごめん、と彼女の頭を撫でて謝罪する裂邪
泣く振りをして実は喜んでいたミナワを抱きながら、彼等はレジへと向かった

   ...To be Continued/どうしてこうなったorz
981 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/14(水) 18:03:25.33 ID:BfQAwTo90
ごめんよ>>972-973、こんなんしか書けなかったorz
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/14(水) 19:26:58.14 ID:zySYtrjw0
乙ー
まさか本当に書いてくださるとはwwww
いいぞお前らもっとイチャつけもげろ
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/14(水) 19:54:47.15 ID:pyr6Z7+lo
投下乙ですー

おお、ヴィッキーさんが外道い外道い
「とりあえずポチっとな」みたいなことをしないあたり、歪んだ美学を感じます

下着売り場でいちゃつくカップルってさ……爆発すればいいよね……(遠い目)
カップルだからセーフとかいってもこっちは恥ずかしいんだよ?とは友人の弁
つまり裂邪爆ぜろ
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/14(水) 20:27:45.06 ID:llSSJzMC0
>カップルだからセーフとかいってもこっちは恥ずかしいんだよ?とは友人の弁
>友人の弁
要するにその友人というのは…
おろしに行ってもいいですか♡
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/14(水) 20:45:25.33 ID:pyr6Z7+lo
おろすって何をだ?筆か?筆なのか?
止めはしないがそういうのはちゃんと段階を踏んでからだぞっ!
986 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/09/14(水) 21:06:45.64 ID:z5hmlAcc0
書道家がいると聞いて…
…あ、もしかして画家の方だった?
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/14(水) 21:15:48.67 ID:zySYtrjw0
エロ方向への話題の中、純粋な少年が現れた事で心が洗われた
988 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/14(水) 21:23:54.85 ID:BfQAwTo90
やばいな、新スレ立ててくる
989 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/14(水) 21:27:26.20 ID:BfQAwTo90
と言う訳で立ててきた
誘導↓
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1316003174/
990 : ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/09/14(水) 21:39:14.69 ID:WpOVs+X30
解った、このスレは俺が今即興で書くネタで埋めよう
991 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/14(水) 21:42:52.34 ID:BfQAwTo90
>>982
>まさか本当に書いてくださるとはwwww
シャドーマンの人は読者の皆様のニーズに“なるべく”答えます♪

>いいぞお前らもっとイチャつけもげろ
(裂邪>何でもがれなきゃならん!?

>>983
>カップルだからセーフとかいってもこっちは恥ずかしいんだよ?とは友人の弁
(裂邪>周りが恥ずかしいとか知ったこっちゃないってのが現状だからなぁ
    ま、俺達もそうだけどな、なぁミナワ♪
(ミナワ>で、でも、やっぱり人前は恥ずかしいです///
(裂邪>フェアリーモートで「あーん」やってくれたじゃん、あと今年の初詣d
(ミナワ>言っちゃらめぇ!?///

>>986
>書道家がいると聞いて…
(漢>ックシュン(←書道7段
992 :狂歌1 [sage]:2011/09/14(水) 21:45:31.45 ID:m4My/qYt0
アスマくん 主役を張って 大暴走
    友よ見てくれ ヤツのこぶしを
993 :狂歌2 [sage]:2011/09/14(水) 21:46:57.21 ID:m4My/qYt0
犬面人 またもやリカに 引き裂かれ
   悲痛の声が 響く マヨヒガ
994 :狂歌3 [sage]:2011/09/14(水) 21:49:42.57 ID:m4My/qYt0
ささやたん ああささやたん ささやたん
  きみのしたぎで  すう はあ したい
995 :とっくに書くの諦めた笛 ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/09/14(水) 21:50:18.39 ID:WpOVs+X30
がんばれ!あとちょっとだ!
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/14(水) 21:51:39.50 ID:zySYtrjw0
変態が 魂震わす このスレで
 今宵も新たに 変態生まれる
997 :狂歌4 [sage]:2011/09/14(水) 21:52:52.01 ID:m4My/qYt0
ミナワさん とうとう切れて 無表情
      逃げる裂邪と 呆れる影男
998 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/14(水) 21:55:16.35 ID:BfQAwTo90
吹いたwwwwwwwwww
999 :狂歌5 [sage]:2011/09/14(水) 21:55:59.68 ID:m4My/qYt0
VIP時代 住人達が 大興奮
  容量過多も 良き思いでよ
1000 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/09/14(水) 22:05:57.98 ID:BfQAwTo90
1000なら今週頑張る
1001 :1001 :Over 1000 Thread
      (ヽ、 _ヽ、  )\     ヽヽ
     _ヽ、     ⌒  ヽ、     \\
     \ ̄     __    )ノ     ヽヽ
    ∠⌒     / )    ⌒ヽ     | |
     )   / ゙̄- く       \   ノノ
    /  /ノ^)___)ノl       ヽ_//
   /   //(/ !_|_|       ヽ三ヽ
   レヘ  |j(/l_/    |ノヽ      |──)  
    ノ (/l_/  /⌒| | | |  !   |二 二ヽ
  /   |_/__| |  | -| | ノノ    ノ── 、)
  /    `───| | ノ -| |   |/(())   ヽ  
 /⌒) ∧    ヽ/_//  /j()ノ_   (()) i
    // ノ     |_// / ̄ ̄`\ (())  j
      (ヘ       ̄   |   ヽ   \   /
       )/(/) / ⌒ |⌒ヽ |\  /i\ /|   )ヽ
            |/      |    !  / | ノ |  ( (
     )ヽ           |  /  /  ( ((|   ) ヽ
    (  )           |  / /    ヽ|  (   )
    ) (      、    /  ) |ヽ、_ __ ノ   )  (
   (   ヽ    ((   /  /−、|        (   ヽ
(    )   )    )ヽ  ヽ_ノ |  |   ヽ   ノ     )
 )  (    (   ノ  )     |   |  ( (  (      (
 (_ ノ     )(  ( (    / /^)  ) )  )
               )  / / /  (  ( _ノ
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  .ト、.  /ヽ |\  /ヽ  /”゙ォv' .// // /
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\    ,illll!' ,illll!'  !!!!lllll!!!!l゙`     ,,, ,,,     ,r-'''゙ ̄
  >   ゙゙゙゙' .,illlll゙    lllll|  llllllllll!!!!!  llll !ll! iiii,, <_.
/_   .,illlll'   ,,,,,,,llllll,,,,,,,,,,      ,,,iillll!!゙   >
 ̄/   ,llll!!'    lllllllllllllllll!!!l_      :ll!!!゙゙゜   <_
――――――――――――――――――――――――――――――――

   ( ⌒ )
    l | /

   .__⊥_    <こんなおわらせかたじゃあ、
  (____)     あとがこまるじゃないか!
  |_ノ_ヽ  ヽ
  | 3 | ◎| ̄ ̄6)  なんというむせきにんなわしだ!!
  ( ̄○丶   .|
  ヽ_◎__/)
  (
                                               SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
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1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
【百合居酒屋】ビールの肴はピスタチオ【営業中】 @ 2011/09/14(水) 21:48:51.77 ID:FM372zzto
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どうしてもまとめに載りたい奴のスレにありがちな事 @ 2011/09/14(水) 21:45:35.22 ID:OI3+g18t0
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「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part3 @ 2011/09/14(水) 21:26:14.36 ID:BfQAwTo90
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第十一回,安価な方録、投了してる兎、たりない解(共有スレ) @ 2011/09/14(水) 21:18:11.09 ID:2fsAxXSB0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1316002690/

イ キ っ て る 中 学 生 に あ り が ち な こ と @ 2011/09/14(水) 20:56:41.79
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ここだけ魔王の城 コンマ00で魔王様に怒られる あと米食べたい @ 2011/09/14(水) 20:47:22.51 ID:sNZjj00ro
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1316000841/

小木曽汐莉生誕祭会場(・*・ゴマ)3AKBSKENMBHKTSDN乃木坂スレ @ 2011/09/14(水) 20:41:44.72 ID:Bkdi5B2Ro
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澪 @ 2011/09/14(水) 20:38:57.12 ID:6dbfpWTi0
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