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梓「いつかみた、あの大好きな、空の下で」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:13:54.68 ID:8Tvag5feo

紬「いつかみた、あの大好きな、空の下で」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314870947/

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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:14:34.04 ID:8Tvag5feo


―――――中庭


虎徹「」スヤスヤ

エリ「あ、ここにいたんだ・・・」

サヤサヤ

アカネ「いい風が吹いているから、いい場所をみつけたんだね虎徹」

信代「休日の学校ってしずかでいいね」

潮「いただきまーす」

慶子「私たち以外には登校してないんだね」

和「えぇ。休みを返上してまで追い詰められているわけじゃないみたい」

「「 う・・・ 」」グサッ

潮「ごちそうさまでしたー」

ちか「おにぎり一個でいいの?」

潮「色々つまみぐいしてるから」アハハ

虎徹「」スヤスヤ

純「置いていかないでくださいよぉ」

春子「2年生たちと食べると思ってた」

純「外で食べてくるらしくて・・・憂はいないんですか?」

英子「いちごさんと来るんじゃないかな・・・」

純「なるほど・・・。お菓子期待しようっと」

風子「外で〜なんて、いつもならそれは出来ない事だよね」

エリ「うん。休日登校の特権だよね」

純「よいしょ。・・・冬はいないんですね」

風子「冬ちゃんはクラスの子達と食べるって、夏ちゃんは外なのかな?」

英子「うん。誘われていたよ」

純「いただきまーす」パクッ

さわ子「よいしょ」

虎徹「」スヤスヤ

さわ子「なによ、この子は」モグモグ

エリ「あ、預かってます・・・」

さわ子「ふーん。教師に見つからないようにしなさいよ?」

エリ「はい」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:20:01.62 ID:8Tvag5feo

さわ子「屋台班の料理はないの?」

和「憂が持ってきてくれるかもしれませんね」モグモグ

さわ子「出来はどうなのよ?」

未知子「どうだった?」

多恵「お、おいしかったよ」

純「おいしかったそうです」

さわ子「聞こえたわよ」モグモグ

憂「みなさん、こんにちは〜」

ちか「こんにちはー」

和「それ、試作品なの?」

憂「はい。お一つどうぞ」

さわ子「・・・」サッ

風子「・・・」コポコポ

純「さっきのだ・・・。確か、ポーポー」

慶子「郷土料理って感じだよね」

いちご「どうですか?」

さわ子「・・・喉が渇くわね・・・、誰か水を・・・」

風子「どうぞ」スッ

信代「気が利くね・・・。さすが野点班」

風子「・・・」ブイッ

さわ子「ジャスミン茶ね」

多恵「あ、すごい・・・」

風子「正解です!ちなみに沖縄ではさんぴん茶と呼ばれているそうです」

さわ子「へぇ・・・。どうしてこの、ポーポーと合わせて出したのよ」

風子「・・・気まぐれです」

英子「違います。ちゃんと理由があります」

憂「チンビンは黒糖を使用していて、その黒糖と合うのがさんぴん茶だと調べました」

和「なるほど・・・。確かに合っているわね。二つが合わさるとさらに美味しく感じるわ」

さわ子「いい発見じゃない。やるわね」

潮「唯と憂ちゃんが発見したんですよ」

さわ子「沖縄ねぇ・・・」モグモグ
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:21:46.83 ID:8Tvag5feo

いちご「・・・よいしょ」

春子「おつかれ」

いちご「うん」

憂「さっき梓ちゃんが、ネコじゃらしを持って教室へ向かいましたけど・・・」

エリ「ふふっ」

アカネ「すれ違ったかな・・・?」

虎徹「」スヤスヤ

エリ「波長を感じたのかも・・・ね」プクク

純「梓は?」

憂「刺激されちゃったみたい。一度演奏してから来るって」

さわ子「刺激ねぇ・・・。あの子たちクラシックなんて分かるのかしら」

未知子「朝言ってましたね。クラシックコンサートがあるって」

風子「分かりそうなのが・・・ひぃ、ふぅ・・・・・・・・・」

信代「二人だと決め付けたな・・・」

三花「ふぅは誰?」

風子「・・・ベースかリズムのどっちか」

英子「・・・」

いちご「ドラムとメインは入ってないんだ」

さわ子「・・・風子ちゃん、お茶おかわり」モグモグ

風子「はい」

エリ「音大の無料コンサートらしいですよ。駄菓子屋へ寄ってから向かいましたから」

さわ子「そう・・・」

和「結構熱心なのね」

憂「・・・そうですね」

慶子「あ、演奏が始まった」

さわ子「校内がしずかだから聞こえるのね」

純「いつもは喧騒に包まれていますからね」

信代「一休みしたら、午後も頑張るぞー」

風子「おー!」

潮「おっー!」

ちか「おぉー!」

虎徹「」モゾモゾ
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:22:54.94 ID:8Tvag5feo


―――――夕方・3年生のクラス


梓「結局戻ってきませんでしたね。ホームシックで帰ったんですよ」ヤレヤレ

エリ「・・・」

夏「なにをムキになってんの?」

梓「ムキになんてなってないよ」

夏「あっそぅ・・・」

風子「ネコじゃらしが無駄になっちゃったね」

梓「・・・」


紬「・・・」コンコン

未知子「もうちょっと強く打っても大丈夫だよ」

紬「・・・」コクリ

ゴンッ

未知子「わっ・・・」

紬「・・・」エヘヘ

未知子「だ、大丈夫・・・。ビックリしただけ」

紬「・・・」コクリ

コンコン

未知子(無理して叩いている気配はない・・・大丈夫みたいだね・・・)
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:24:12.10 ID:8Tvag5feo

虎徹「みゃっ」

ちか「あ、お帰り〜」ナデナデ

虎徹「みゃぁ〜」

梓「・・・帰ったんじゃなかったの」

夏「誰もそう言ってないでしょ」

虎徹「みゃ〜」スリスリ

紬「・・・」ナデナデ

虎徹「みゃみゃ〜」ゴロゴロ

梓「・・・」

虎徹「・・・」チラッ

梓「・・・」イラッ

唯「おぉ〜いい子いい子ぉ〜」ナデナデナデナデ

虎徹「みゃみゃ〜」ゴロゴロ

梓「・・・」

虎徹「・・・」チラッ

梓「いちいち確認するなっ」

虎徹「・・・」フンッ

梓「・・・」ムカッ

春子「え、何・・・?ケンカ?」

夏「ネコと・・・?」

アキヨ「・・・」

美冬「どうしてケンカできるの?」

唯「類は友を呼ぶんだよ!」

春菜「類って部分を間違えてるような・・・」

夏香「友でもないような・・・」

夏「ネコ科ですから」

梓「ほらほら、仲直りしよう」フリフリ

虎徹「・・・」ジー


風子「ネコじゃらしで・・・」

千雨「ちょっとずるいね」

来美「人間の最大の武器が知恵だからね」

由記「最大の武器まで出さなきゃいけないんだ・・・梓・・・」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:26:25.21 ID:8Tvag5feo

梓「ほらほら」フリフリ

虎徹「・・・」ウズウズ

梓「ふふ・・・勝利は目前・・・」

虎徹「・・・!」ダッ

梓「あ、あれ?」


「こんばんは」

唯「おぉ、おばぁちゃん」

エリ「小田おばぁちゃん!ここまで来て大丈夫なの!?」

小田ばぁ「息子に連れて来てもらったんだよ」

さわ子「中を案内したのよ」

アカネ「あ・・・さわ子先生」

エリ「こ、腰は痛くない?」

小田ばぁ「これくらい大丈夫だよ。ありがとねぇ」

エリ「い、いえ・・・」

小田ばぁ「ほれ、せんべいのレシピ」ペラッ

エリ「あ、ありがとう・・・」

夏「ご主人が一番か・・・」

虎徹「みゃ〜」スリスリ

小田ばぁ「虎徹を預かってもらったお礼さね」

エリ「う、うん・・・」

小田ばぁ「病院でヒマだったからねぇ」ヒッヒッヒ

エリ「・・・」

紬「・・・」ツンツン

唯「ん?」

紬「・・・」トントントトントン

唯「おぉ、いいね」

エリ「?」

唯「おばぁちゃん、作り方調理室で教えてもらえないかな〜」

春子「強引だねぇ」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:26:56.86 ID:8Tvag5feo

純「どうしたんですか?」

アカネ「・・・今からせんべいの作り方を」

小田ばぁ「いいのかね?」

さわ子「こちらは構いませんが・・・。息子さんを待たせていますよ?」

小田ばぁ「電話するさね」ピッピッピ

trrrrr

『どうした?』

小田ばぁ「少し待っとれ」

『は?』

プツッ

小田ばぁ「では行こうかね」

エリ「は、はい!」

虎徹「みゃっ」

唯「なんとっ!」

夏「一言っ」プクク

虎徹「・・・」スタス

三花「コテッチャンはこっち」ダキッ

虎徹「みゃっ!?」

小田ばぁ「よろしくねぇ」ヒッヒッヒ

エリ「こっちです」

スタスタ

さわ子「せっかくだから、行きたい人行ってきたらいいわ」

唯「むぎちゃん、行こうよ!」

紬「・・・」コクリ

アカネ「わ、私も」

テッテッテ
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:28:23.78 ID:8Tvag5feo

風子「虎徹ちゃんに相手にされなかったから、落ち込んでいるの?」

梓「いませんよ・・・。あれ、むぎせんぱい達がいませんよ?」

純「調理室行ったよ」

虎徹「みゃ」

三花「はいはい。ここで大人しくしていようね」スッ

虎徹「・・・みゃ」

夏「言葉分かるの?」

虎徹「・・・」

夏「そうだよな・・・。会話してる風だったからビックリした」

虎徹「・・・」スタスタ

潮「あ、こら。そこの上歩いちゃダメだって」

ササッ

虎徹「みゃ〜」

潮「うむ。許す」

夏「あれ・・・?」

冬「こんにちは〜」

風子「いらっしゃーい」

冬「お邪魔します」

虎徹「みゃ〜」

冬「ふふっ、迎えてくれるんだ。ありがと〜」ナデナデ

虎徹「みゃみゃ〜」ゴロゴロ

夏「無視されたんだ・・・あたし・・・」

ちか「どんまい!」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:29:15.49 ID:8Tvag5feo


―――――調理室



小田ばぁ「おやおや、珍しいものを作ってるねぇ」

姫子「?」

律「誰・・・だ・・・?」

澪「おい。むぎと駄菓子屋へ行ったんじゃなかったのか」

律「あぁ!」ピコン

エリ「今からせんべいの作り方学ぶからね」

姫子「え、あ、うん」

小田ばぁ「どれどれ・・・」

律「駄菓子界の重鎮だな」

澪「はいはい」

小田ばぁ「ドーナツかねぇ?」

エリ「サーターアンダギーって言う沖縄の郷土菓子です」

小田ばぁ「そうかい・・・。ちょうど材料揃ってるねぇ・・・」

唯「私たちも研修するよ!」

紬「・・・」キリ

アカネ「・・・」

律「お茶を淹れる練習にも飽きてきたから、丁度いいな」

姫子「そうだね」

梓「・・・」

唯「あれ、あずにゃん、こてっつぁんと遊んでいるんじゃ?」

梓「誰ですか・・・。こっちが重要ですから」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:29:55.36 ID:8Tvag5feo

――・・・

小田ばぁ「ここまでやって、一時間寝かせてから揚げるといいよ」

エリ「ふむふむ」メモメモ

憂「・・・」メモメモ

律「真剣だな」

信代「・・・うん」

夏「こ、こんばんはー」

姫子「夏・・・?どうしたの?」

夏「よ、様子を見に来ました」

律「入って来いって」

夏「失礼します・・・」

信代「どうして制服に・・・・・・あ」

夏「えへへ」

澪「なんか冬っぽいな・・・」

夏?「な、夏ですよー」

律「不自然だな・・・。なんで制服に着替えてんだよ。今日はみんなジャージだろ?」

夏?「あ・・・」

唯「あ・・・って?」

紬「・・・」ジー

夏?「え、と・・・」アセアセ

梓「冬は髪の毛長いじゃないですか」

姫子「・・・夏が冬の真似しているだけだね」

紬「・・・」コクリ

夏?「え・・・と・・・」

梓「なにしてんの?そんな事でひっかからないよ?」

律「冬が髪を切っていたらどうすんだよ」

夏?「!」

澪「あ、驚いた」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:30:46.19 ID:8Tvag5feo

姫子「髪を切ったの?『冬』は」

夏?「はい。切りました」

姫子「へぇ・・・」

梓「え・・・」

『あたしが『冬』としてそこに居れば・・・』

夏?「・・・」

梓「どうして『冬』が髪を切ったのか・・・『夏』は理由は知ってる?」

夏?「う、うん」

紬「?」

澪「理由・・・」

姫子「・・・」

唯「えぇと、今日はジャージ登校でいいんだよ。でも冬ちゃんの所は制服なんだよね
  という事は、ここにいるのは制服を着ている冬ちゃんでいいんだよ。ところが、髪を切ったという事で事態は複雑になって・・・
  でもでも、口調は冬ちゃんで・・・でもでもでも、夏ちゃんが制服を着て冬ちゃんが髪を切ったという
  嘘をついているかもしれなくて・・・。今日はまだ冬ちゃんに会っていなくてー・・・」

信代「それでは判定です。ここにいるのは、『夏』、『冬』どっちでしょう」

律澪「「 冬 」」

梓姫子「「 夏 」」

紬「・・・」トントントントン

唯「分かりません!」

信代「冬が二票、夏が三票、放棄が一票と別れました。それでは正解発表を」

冬?「こ、こんばんは・・・」

律「なぬっ!?」

唯「本当に切ってたよ!」

澪「ジャージを着た・・・。冬でいいのか・・・?」

夏「そうです。正解は『制服を着た夏』でしたー!」

信代「うわ、私が騙された」

姫子梓「「 よし 」」グッ

紬「・・・」グッ

冬「髪切っちゃいました」

律梓「「 聞いたから 」」

風子「間違えたくせに・・・」ジー

律「う・・・」

信代「誰の入れ知恵さ」

ちか「私さ」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:32:08.75 ID:8Tvag5feo


澪「あずさ・・・」カムカム

梓「なんですか?」

澪「髪を切った理由って?」

梓「・・・。冬が入院していた時、夏と冬は同じ髪型だったそうです。親に間違えられても変える事は無くて・・・。
  その理由が『冬がそこにいる』と、誰かの心に残そうとしていたんです」

澪「・・・」

梓「冬がマネージャーとして入部したら、夏は髪を切りました。その理由が
 『冬がそこに居る』からなんです。冬を見てほしいから」

澪「・・・」

梓「今日、冬が髪を切ったのは、恐らく」

姫子「夏の居場所を作る為。今まで夏は冬の居場所を作ろうとしていた。そこに冬は居ないのに」

澪「・・・」

姫子「冬が入部した後に夏が髪を切って、部長がこう言ったんだよ
   『見分けがつくから助かる』って。夏はその為に髪を切ったんだね」

梓「・・・はい」

姫子「冬は、戻る為にじゃなく、新たに進む為に髪を切ったって事かな」

澪「・・・そうか」

梓「・・・」

姫子「梓は夏から直接聞いたんだ?」

梓「は、はい」

姫子「・・・」

澪「姫子は?」

姫子「最近気付いたくらいだよ・・・。月見会で、『姉をよろしく』って言ったでしょ」

梓「・・・」

姫子「その顔は覚えてないよね。普通の紹介だったもんね」

澪「今思えば・・・。それは特別だったんだ・・・」

姫子「うん。部ではそっけない夏が、あの時は親身になってたから。私は覚えている」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:32:57.76 ID:8Tvag5feo


――・・・3年生のクラス


ちか「虎徹ちゃん帰ったよ〜」

梓「し、知ってますよ」

美冬「どうだった、せんべいの出来は?」

エリ「うん。おいしかった」

和「うまく出来そうかしら」

いちご「うん。えびせんべいと醤油せんべいの二種類だけど・・・」

純「試作品ありますか・・・!」

憂「はい、どうぞ」

純「やった。では、さっそく」パリッ

信代「・・・」

純「うん。せんべいだ」バリバリ

信代「リアクションふっつうだね・・・」

純「・・・」

律「お、ここも片付け終わってんじゃん」

澪「帰ろうか」

さわ子「まだ残っていたのね。早めに閉める事になってるからさっさと出なさい」

唯「はいよっ」

夏「帰りましょう帰りましょう〜♪」ルンルン

冬「・・・」

澪(楽しそうだな・・・)

信代「澪、コンサートどうだった?」

澪「・・・!」サッ

信代「どうして顔を逸らす・・・?」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:33:29.01 ID:8Tvag5feo


―――――校門


夏「夕陽沈んでしまいましたね〜♪」ルンルン

冬「・・・」

姫子「どうしたの夏は」

冬「わ、分かりません・・・」

律「今日はまっすぐ帰るかー」ノビノビ

紬「・・・」ノビノビ

エリ「りっちゃんと唯ちゃん寝ちゃったでしょ?」

律「ん?」

アカネ「クラッシクコンサート。演奏中に寝ちゃった?」

律「失敬だなキミ達はー」

唯「失敬だー!」

憂「ちゃんと起きてたの?」

唯「もちろんですたい。あの旋律はすばらしかったばい」

紬「・・・」コクコク

まき「・・・」

澪「あ、いちばんぼしだー」

信代「さっきから一言もコンサートについて話さないんだけど・・・」

律「澪は寝てたからな」

純「そ、そんな・・・!」

澪「あ、ながれぼしかとおもったらゆーふぉーだった☆」

和「帰ってきなさい」

澪「眠ってしまうなんて・・・不覚だ・・・」ズドーン

紬「・・・」キョロキョロ

梓「話題を逸らす為の嘘ですよ」

紬「・・・」ガーン

ちか「い、居るわけないよねー・・・」

美冬「それじゃあ何を探していたの?」

ちか「宵の明星だよ」

風子「金星は太陽の近くにいるんだよ?」

ちか「・・・」

風子「それなのに真上を観測していたんだ」

ちか「・・・」

梓(意地悪だなぁ・・・)
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:34:31.46 ID:8Tvag5feo

いちご「風子ってまさに金星そのものだよね」

風子「そ、そうかな」テレテレ

律「どうして照れてんだ?」

冬「宵の明星。またの名を明け方の明星と呼ぶんです。
  そのことから美と愛の女神アプロディーテーに例えられているんです」

風子「えへへ」テレテレ

ちか「・・・」

いちご「そっちじゃないよ。ルシファーだけど」

風子「え・・・」グサッ

唯「今度は引きつったよ」

冬「ルシファーは・・・天使の長だったのですが・・・」

英子「・・・堕天使の総帥となるの」

風子「別名、悪魔・・・」

ちか「あれ・・・なんだろ・・・」

紬「・・・?」

ちか「ほら、見て・・・」スッ

いちご「・・・あれは・・・本物・・・?」

律「え!?」

唯「ユーフォーだね!?」

風子「っ!?」

ちか「引っかかったね、ふぅちゃん!」ビシッ

風子「くぅ・・・」

いちご「・・・」シラー

律「迫真の演技かよ」

澪「・・・」

紬「・・・」ガッカリ

梓「・・・」

ちか「いちごちゃん、ありがと!」スッ

いちご「・・・いいって」スッ

パァン

和「やるわね」

夏「あっはっはは!」

冬「なつってば・・・。笑いすぎだよ・・・」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:35:46.64 ID:8Tvag5feo

姫子「・・・ふぁ」

純「・・・ふぁ〜」

和「金星は姉妹惑星とも呼ばれているわね」

憂「地球と姉妹なの?」

和「えぇ。地球と似た大きさらしいわ」

唯「太陽の側にいるんだからそっちと姉妹なんじゃないの?」

潮「いや、兄弟なのかもしれないよ」

律「えっと、太陽から水金」

ちか「地火」

美冬「・・・」

律「繋ぎサンキュ・・・木土天海の順か」

姫子「・・・目がしぱしぱする」シパシパ

冬「眠たそうですね」

姫子「・・・うん。昨日寝たの2時まわってたから」

冬「そうなんですか」

慶子「テレビでも見てい・・・!」ハッ

風子「テレビでも・・・?道場にテレビあったかなぁ・・・」

慶子「・・・間違えただけだよ」

姫子「澪と話をしてたんだよ・・・今日は早く寝よう」シパシパ

紬「・・・」チラッ

澪「た、たいした話じゃないよ・・・」

紬「・・・」ジー

澪「た、旅の話をしていたんだ・・・。そ、それだけだぞ」

紬「・・・」コクリ

律「・・・」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:36:53.97 ID:8Tvag5feo

梓「あ・・・」

夏「執事さんだ」

斉藤「・・・」ペコリ

紬「・・・」フリフリ

梓「また明日です」

唯「おやすみ、むぎちゃん」

律「おやすみ」

澪「明日、な」

憂「おやすみなさい」

和「おやすみ」

純「おやすみなさーい」

姫子「バイバイ」

いちご「・・・」フリフリ

風子「・・・」

英子(ふぅ・・・?)

夏「おやすみなさーい」

冬「・・・」ペコリ

信代「・・・」フリフリ

潮(あと・・・いや、数えるのは・・・やめよう・・・)フリフリ

慶子「おやすみ、むぎさん」

ちか「おやすみ・・・」

美冬「・・・あした、ね」

紬「・・・」コクリ
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:38:32.05 ID:8Tvag5feo


あと何度約束を交わせるのだろう

また、明日 と

ありふれた約束を交わせるのだろう

きっと、長い人生の中の一瞬に過ぎない時間なんだろう

だけど


梓「・・・」

澪「梓・・・」

梓「は、はい。なんですか?」

澪「私さ――」

唯「あーずにゃん!」ダキッ

梓「ちょっ!」

唯「うへへ」スリスリ

梓「脈略のない事しないでくださいっ」グググ

唯「のぉ・・・」ムググ

澪「・・・夏」

夏「はいはい、なんでしょう澪先輩」

澪「なんでそんなに楽しそうなんだ?」

律「・・・」

夏「そう見えますか」フフフ

律「言いたいなら言ってもいいんだぜー」

潮「さて、『い』をいくつ言ったでしょうか」

慶子「んー、一回」

潮「そんなわけないでしょ!」

信代「・・・」

夏「・・・」チラッ
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:39:32.83 ID:8Tvag5feo

冬「東の空の、おそらくあの辺りにあると思います」

風子「あぁ、見えた」

冬「あ、すいません。あっちでした」

風子「・・・」

いちご「何が見えたの?」

風子「・・・」

冬「あれはオリオン座ですね」

風子「・・・うん。それ」

いちご「ふたご座を探していたのに」

風子「・・・あっちに見えるのがふたご座で間違いないんだよね?」

冬「は、はい」

英子(意地悪されたら脆くなるんだね・・・)
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:40:31.82 ID:8Tvag5feo

夏「さっき、調理室で信代先輩があたしが冬かどうかを当てるクイズをしたじゃないですか」

澪「あ・・・、間違えてごめん」

信代「悪かった」

夏「ち、違いますよ!親父も間違えるくらいだから、間違えられるのはいいんです」

律「・・・」

夏「『区別』と言いますか、『見分ける』為に工夫をするんですよ。大抵の人は」

潮「髪に何かをつけさせるとか?」

夏「はい。髪を結えとか・・・。でも、先輩方は誰もそんな事言わなくて・・・」

信代「・・・」

夏「唯先輩なんて、『分からない』ですよ。二択で、あたしは『冬』を演じていたのに」

澪「・・・そうだったな」

夏「適当に名前を言えば良かったのに、あえてそうしなかった事が・・・なんだか新鮮で」

律「当たり前の事だろ」

夏「はい。その当たり前を過ごせるのが・・・嬉しいんですよ〜」

律「・・・そっか」

澪「嬉しいんだな」

夏「えへへ。ちゃんと見てくれてるんだなーって」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:41:03.66 ID:8Tvag5feo

冬「てんびん座・・・」

純「・・・ないの?」

冬「・・・うん。初夏の星座だから」

和「面白いわよね。9月23日、今日から来月の23日生まれの人を天秤座という
  占星術で括られているのに。星空ではその日には見られないなんてね」

冬「そ、そうですね!」

憂「・・・」

夏「冬ねぇ〜!帰るよ〜!!」

冬「分かったー。それでは、ごきげんようです」ペコリ

風子「うん。明日ね」フリフリ

英子「おやすみ」

和「じゃあ、ね」

憂「おやすみ」

純「バイバイ」

いちご「・・・じゃ」

冬「・・・」ニコ

タッタッタ
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:41:32.81 ID:8Tvag5feo

英子「風子」

風子「え?」

英子「さっき、紬さんにどうして挨拶しなかったの」

風子「!」

英子「・・・」

純(え・・・、どうしたんだろ・・・怖・・・)

唯「3人ともバイバーイ明日ねー」

夏「おやすみなさーい」フリフリ

冬「あした〜です〜」

姫子「・・・」フリフリ

スタスタ

梓「私たちも帰りましょう。ふぅ先輩」

風子「・・・うん」

英子「・・・」

梓(あれ・・・雰囲気が変わっている・・・?)

律「じゃ気をつけろよー」

唯「ろよー」

憂「おやすみなさい」

和「じゃあね」

信代「おやすみー」

潮「おやすみ」

澪「また、明日な」

いちご「・・・うん」

梓「はい。また明日です」

純「おやすみなさーい」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:42:39.34 ID:8Tvag5feo

――・・・


英子「紬さんと別れた後、ちかさんと美冬さんにはちゃんと挨拶していたのに」

風子「・・・」

英子「どうして?」

風子「数えちゃった」

英子「・・・」

風子「むぎさんに、『また明日』を言える回数」

純「!」

潮「・・・」

梓「4回ですね」

風子「・・・うん」

英子「今日入れて5回だったのに、風子は1回を無駄にしちゃったね」

風子「っ!」ビクッ

英子「その回数はみんな平等のはずだよ。風子だけじゃないよ」

風子「・・・っ」

信代「まぁまぁ。挨拶は大事だけど、そんなに責める事じゃないじゃん」

潮「そうだよ。風子だって、ちゃんと分かってるから出来なかったって事なんじゃないかな・・・」

風子「・・・」

純「・・・」

梓「・・・」

英子(・・・やっぱり)

風子「ごめん・・・。先に帰る」

スタスタ

信代「あ、風子!」

潮「・・・」

純「あの・・・行ってしまいますよ・・・」

梓「・・・」

英子「信代さん、潮さん。お願いできるかな」

潮「・・・うん」コクリ

信代「任せて」

タッタッタ

純「・・・」

梓「近くに公園ありましたよね」

英子「あるね・・・」

梓「少しお話しませんか?」

英子「うん、ありがと」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:43:57.09 ID:8Tvag5feo


英子「オレンジとコーラ、どっちがいい?」

梓「オレンジで」

純「オ・・・、早いもの勝ちかよぉ・・・」

英子「あ、ごめんね。オレンジ買ってくるね」

梓「純っ!」

純「炭酸ダイスキーです!」

英子「本当?」

純「はい」

英子「空気読む必要はないんだよ?」

梓「大丈夫です」

純「はい」

英子「分かった」

梓「ありがとうございます」

純「いただきます」プシッ

英子「・・・」

梓「私も数えていたんです、あの時」

英子「・・・そう」

梓「むぎせんぱいと、4回・・・『また会いましょう』って挨拶ができるんだなって」

純「・・・」ゴクゴク

梓「あと、4回だけ約束ができる・・・って・・・」

英子「・・・うん」

梓「だから、風子先輩の気持ち・・・分かります・・・」

純「・・・」

英子「例えば、その4回が・・・急に3回になって、最後の1回を失くしてしまったら・・・どうなるかな」

梓「!」

純「約束が出来ないって事ですか・・・?」

英子「そうだね。最後に『さようなら』、『また、いつか会いましょう』が言えないって事」

梓(それは・・・嫌だ・・・むぎせんぱいに・・・言えないのは・・・いや・・・だ)

英子「風子と私と夏香はそういう最後だった」

純「・・・」

英子「梓ちゃんと自転車で街を走り回った日があったでしょ?」

梓「・・・はい」

英子「あの時、昔のふぅちゃんに戻ってたって話したよね」

梓「はい」

英子「高校で再会して大人しくなっていた。小学校の頃とは別人のようになって
   それを人は成長したって言うんだろうね」

純「・・・」ゴクゴク

英子「でも、違っていたみたい。風子は『ふぅちゃん』を抑えていただけ」

梓「・・・」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:46:29.60 ID:8Tvag5feo

英子「人は誰でも、そんな子供な自分を抑えていくものなんだろうね
   周りに合わせるためにも、抑えずにはいられない。それが常識」

純「・・・なんとなく、ですけど・・・。抑えるのは成長じゃないような気がします」

英子「どうして?みんなやっている事だよ?最初は意識して行動を抑えるの
   次第に頭がそれを受け入れていって、大人はこんな行動をしないという風に
   そういう常識を積み重ねていくの」

梓(それを否定して欲しそうな・・・言い方・・・)

純「それは常識を積み重ねているだけで、自分を積み重ねていないです」

英子「自分・・・って・・・なにかな・・・」

純「・・・経験だとか、見てきた景色だとか、自分に関する全てです」

梓「・・・」

純「成長は・・・自分が認めるモノじゃないと思います」

英子「周りが決めるんだよね。常識を備えたら成長になるって事だよね」

純「ち、違います!・・・それじゃあ、楽しくないし何も残らないっ!」

英子「あるがままの心を持っていければいいのかな」

梓「!」

純「そ、そうですってなぜそれを!?」

英子「ふふっ、実は昨日の夜全部聞いていたの」

純「・・・」

英子「ごめんね。自分の考えを纏めたくて聞いたの」

純「・・・そうですか」

英子「昨日の夜、聞いていたの私だけじゃないと思うけど・・・」

梓「な、なんと・・・」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:47:38.05 ID:8Tvag5feo

英子「私たち小学校卒業するまでずっと一緒だったの。風子、夏香、私」

梓「・・・はい」

英子「私と夏香の中学校と別々だって分かったとき、とても泣きじゃくってね・・・風子は・・・」

純「・・・」

英子「だから、卒業した次の日に約束をしよう。って約束をしたの」

梓「約束をする為の約束・・・」

英子「『また会おうね』という約束をしようって。そして、指きりげんまんしようって」

純「・・・その時点で約束を交わしているんじゃ」

英子「その通りだよね。でもふぅちゃんがその約束をその日に設定したの」

純「なにか・・・意味でも・・・」

英子「ないよ。ふぅちゃんは子供が子供をしているって感じで子供だったから」

梓「・・・」

英子「それでカウントダウンが始まって、卒業して。次の日・・・
   約束が交わされることはなかった。約束も果たされなかった」

梓「・・・」

英子「私と夏香がふぅちゃんのお家へ行っても誰もいなくて・・・
   帰るわけにもいかないから、時間を潰して、いつもの場所で待っていたんだけど、来なかった」

純「そ、それっきり・・・?」

英子「ううん。日が暮れてお家に帰ったら電話が鳴ってね、取ったらふぅちゃんだった
   『ごめんなさい』って泣きじゃくって・・・」

梓「・・・」

英子「意地悪だけどとっても優しいふぅちゃんだから、私たちに悪いことをした
   約束を破った、って凄く傷ついていた・・・」

純「・・・」

英子「母方の実家の都合でしょうがなかったって、風子と再会してから聞いてね
   時間が経ったから『ごめんね』で済ませたようなもので・・・
   その時の電話越しのふぅちゃんはとても・・・悲しい声だったな・・・っ・・・」

梓「っ・・・」

英子「会おうと思えば会える距離だったから、大丈夫って信じていた」

純「・・・信じていた?」

英子「時間の流れって優しくて切なくて、怖いものだと感じたよ」

梓「・・・!」

英子「お互い忙しくて、夏香とも会う機会が減っていった・・・
   新しい世界っていうのかな、新鮮で楽しくて、大変だから一生懸命で」

純「・・・」

英子「3年の月日が約束を忘れさせたんだよ。入学式の日に風子が謝るまで私と夏香は忘れていた。
   約束をしようって約束が果たされないまま今日まできちゃった・・・」

梓「その約束は・・・もう・・・解消されているのでは・・・」

純「あ、梓・・・。再会できればいいって話ではないでしょ・・・」

梓「う、うん・・・」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:52:08.68 ID:8Tvag5feo

英子「解消されているはずだった・・・。ふぅちゃんと再会するまでは・・・ね」

梓「・・・!」

英子「最近のあの子、周りにやたらと意地悪な事するでしょ?」

純「・・・はい」

英子「夏ちゃんと冬ちゃんとのこともあって、あの頃の優しさを垣間見た
    私と夏香は5年半という時間を越えて『ふぅちゃん』と再会できたんだよ」

梓「!」

英子「その時の傷がふぅを・・・留まらせている・・・」

梓「むぎせんぱいですね」

英子「・・・うん。紬さんはふぅにとってかけがえの無い人になっている」

梓「・・・」

純「さっきの英子先輩は・・・風子先輩を探っていたんですか?」

英子「・・・うん。そういう事・・・」

梓「・・・」

純「・・・」

英子「あるがままの風子なんだけど・・・ね・・・」

梓「・・・英子先輩は、ふぅ先輩と風子先輩のどっちと一緒にいたいですか?」

純「・・・!」

英子「どっち・・・」

梓「恐らく、常識という知識が風子先輩を形作ってきたのなら、それも風子先輩なんです」

英子「・・・そうだね。高校に入って再会した風子を否定する事なんておかしな話だもんね」

梓「でも、私はふぅ先輩がいいです。むぎせんぱいと同じように、幼い表情で笑ったときのふぅ先輩が好きです」

英子「・・・」

純「・・・」

梓「・・・」

英子「1つ聞いていいかな?」

梓「は、はい」

英子「旅先で出会った人には、そういう人がいたのかな・・・?」

梓「いいえ」

英子「そうなんだ・・・」

梓「どうしてですか?」

英子「それは・・・」

純「まるで見てきたかのような言い方だったから・・・かな・・・」

英子「・・・」

梓「うん。風子先輩のような人はいなかった。けど、自分を偽っている人は1人としていなかった」

純「・・・」

梓「だから、繋がって、その人たちを好きになれて、同じ景色を見る事ができたんだと思います」

純「・・・」

英子「・・・うん。いい出会いだったんだね」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:53:14.94 ID:8Tvag5feo

英子「昔ね、私とふぅが夏香のお家に遊びに行った時の話なんだけど、
    お姉さんとたっくさん遊ぶことができたんだ」

梓「・・・」

純(うわ・・・)

英子「ふぅって、心を許した人にしか意地悪な事しないんだよ
   だから、お姉さんにたくさん仕掛けては仕返しされて、それでもめげずに頑張って意地悪してた」

梓「・・・」

英子「お姉さんが夏香をいじめたら、ふぅは夏香を守るの。冬ちゃんみたいに」

純(楽しそう・・・)

英子「そのくせ、人には意地悪な事して、成功したら喜んでいた
   でも、人が嫌がったり、傷つけるような事は絶対にしなかった」

梓「・・・分かります」

英子「ふふっ・・・。あ、ごめんね。長々と・・・帰ろうか」

純「はい・・・」ゴクゴク

梓「オレンジ・・・もらい物だけど、飲む?」

純「意地悪ですね・・・」

英子「ありがとう・・・二人とも。話を聞いてくれて」

梓「いえ・・・。出来れば・・・」

純「出来れば?」

梓「もっと聞かせて下さい」

英子「・・・!」

純「・・・うん、私も聞きたい!」

英子(雰囲気が・・・紬さんと・・・一緒だった・・・)

梓「どうしたんですか?」

英子「なんでもないよ」

梓「上手くふぅ先輩の意地悪に対抗できるかもしれません」ウシシ

英子(今度は律さん・・・?)

純「・・・それが狙いか」

梓「頑張れ私!」フンシュ!

英子(唯さん・・・違う・・・澪さん・・・?)
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:54:23.99 ID:8Tvag5feo


9月24日


紬「・・・」プップププー

風子「おはよう、紬さん」

紬「・・・」

風子「・・・どうしたの?」

紬「・・・」フルフル

風子「・・・?」

スタスタ

唯「おはようみんな!いよいよ明後日だよ!」ワーイ

ちか「唯ちゃんおはよー」

春子「おはよ。元気だなぁー」

唯「フルスロットルだよ!」

和「その雑誌、毎日読んでいるわね」

姫子「面白いよ。観光名所から独自で見つけた場所まで紹介してるの」ペラッ

いちご「・・・ちょっと待って」

姫子「あ、ごめん」ペラッ

いちご「・・・もう少し待って」

和「それが多和平ね」

姫子「え・・・。知ってる風だけど・・・どうして・・・」

和「澪と話し込んでいたの聞いていたのよ」

姫子「・・・」

いちご「いいよ。・・・どうしたの?」

姫子「結構語ってたから・・・。なんか、恥ずかしい・・・」

和「気にすることじゃないわ」

姫子「私が気にするんだよ・・・」

律「なんだよ、キャンプでフォーク・・・っ!」フガッ

いちご「・・・やめて」

エリ「なにしてんのー?」

律「・・・っ」フググ
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:55:09.99 ID:8Tvag5feo

唯「フォークがなんだって?」

澪「フォークと言うのは、球種の1つだよな、姫子」

姫子「そうそう。打者とのかけひきに使うんだよ。フォークをね」

アカネ「無駄に強調しているところが・・・ひっかかる・・・」

和「さて、と・・・先生来るわね」

いちご「若気の至りだから」

律「わ、分かったよ・・・。そんなら踊るなよな」ブツブツ

エリ「あれ・・・?」キョロキョロ

アカネ「どうしたの?」

エリ「風子さんが来ない・・・」

姫子「本当だ・・・、いつもなら・・・一緒になって読んでいるのに」

いちご「・・・」

澪「・・・」

律「お母さんともへんな雰囲気だな」

唯「変じゃ・・・ないよ・・・」

信代「おはよー。って、どうしたの?」

ガチャ

さわ子「はーい、みんな席に着きなさーい」

ガヤガヤ
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:56:24.31 ID:8Tvag5feo


―――――昼・教室


夏香「姉さんの荷物を私が片してんだよ?」

英子「どうして?」

夏香「『なつ達がいたずらで隠していったおもちゃやらを片付けるのめんどい』って」

風子「・・・」モグモグ

英子「してたね、そんな事」

夏香「風子覚えてない?」

風子「隠した事は覚えているけど、何を隠したかまでは・・・」

英子「蜘蛛のおもちゃとかあったよね」

夏香「そうそう。姉さんそういうの嫌っていたからね。ほら、こんなのとかっ!」

ジャン!

英子「う・・・」

風子「ご飯食べてるときに出さないでよ」

夏香「ごめんごめん。でも、二人ともあの時の姉さんと同じリアクションだったね」

英子「そう・・・だっけ・・・?」

風子「・・・」モグモグ

夏香「うん。でも、昨日見つけたとき普通の反応だったんだよ、姉さんは」

風子「どうして?慣れたのかな」

夏香「こんなのより怖いものを知ってるから、可愛いもんだと判別したんじゃないかな」

風子「怖いもの・・・」

英子「・・・」

夏香「それでさぁ」

風子「話もいいけど、食べないの?」

夏香「う、うん」

英子(楽しそうに話していたんだよ・・・風子・・・)

風子「午後から学園祭の準備だから、早めに食べて着替えようよ」

夏香「・・・うん。そうだね」

英子「・・・」

夏香「張り切って弁当を作ってくれたんだよね・・・」パクッ

風子「・・・」

夏香「・・・」モグモグ

英子「2年生の時も作ってくれていたっけ」

夏香「うん・・・。相変わらず、バランスの悪い組み合わせだけど・・・」

風子「・・・」モグモグ

英子「作ってくれるだけありがたいよ」

夏香「そうだね・・・。食べる?きんぴらごぼう」

英子「いいの?」

夏香「うん。なにかと交換しよ」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:57:09.81 ID:8Tvag5feo

英子「お姉さんのきんぴら大好きなんだよ、私」

夏香「ありがと」

風子「・・・」モグモグ

夏香(乗っかかってこないか・・・)

英子「うん、おいしい」

夏香「もう食べられないかも、だから味わってね」

英子「ふふっ、分かった」

風子「・・・」

英子「風子・・・急いでる?」

風子「少し・・・。セットの準備途中だったから・・・、気になる箇所があって」

夏香「・・・」

英子「・・・」

風子「先に行ってていいかな」

夏香「・・・」

英子「うん、すぐに行くから」

風子「・・・後でね」ガタッ

信代「風子ー、お客さん来てるよー」

風子「?」

スタスタ

夏香「・・・」

英子「・・・ごめんね」

夏香「どうして英子が謝るの?」

英子「・・・私のせいだね」

夏香「朝に話は聞いたけど、なんだろうね」

英子「・・・」

夏香「変わったね、風子は」

英子「ごめん・・・ね・・・」

夏香「・・・」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:58:03.66 ID:8Tvag5feo

風子「お客さん?」

信代「ほら」

風子「・・・冬ちゃん」

冬「あ、あの・・・」

風子「どうしたの?」

冬「い、いえ・・・。その・・・」

夏「どうして来なかったんですか?中庭に」ヒョコ

信代(風子・・・冬ちゃんだとすぐに分かった・・・)

風子「・・・」

冬「よ、用事とか・・・あったんですよね・・・」

風子「たまには夏香ちゃんと、英子ちゃんの3人で食べようと思ってね」

冬「そ、そうですか・・・」ホッ

夏「・・・冬ねぇ心配していたんですよ」

冬「な、なつ!」

風子「ごめんね、明日は行くから」

冬「は、はい」

夏「姫子先輩たちはなんでもないって言ってたじゃん」

冬「そ、そうだけど」

風子「急いでるからまた後でね」

冬「は、はい。失礼しました」

信代「・・・」

律「おや」ニヤリ

冬「あ・・・戻ってきたんですか?」

律「戻ってきたら悪いかー!」

澪「うるさい」

夏「冬ねぇをいじめないでください!」

信代「いい妹だぁ」

澪「そうだな」ウンウン

風子「・・・」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:59:13.40 ID:8Tvag5feo

冬「・・・」ビクビク

律「小動物みたいだな、ってなんで怯えてんだよ」スッ

冬「わわ・・・」

風子「下級生をいじめてるだけだよ、やめておいたら律さん」

律「・・・なんだよその正論は」

夏(下級生・・・)

風子「正論?」

律「私に非があるのは承知の上でやってんのに、それを正論で諭されたら終わりだろ」

澪「・・・」

風子「終わったなら、行くね」

スタスタ

律「・・・んだよ、・・・つまんねー」ボソッ

スタスタ

冬「・・・」

夏「どうしたんですか・・・?」

澪「律は寂しがっているだけだから」

信代「・・・」

梓「むぎせんぱいの言った通りですね」

紬「・・・」

梓「見た事のない風子先輩です・・・」

紬「・・・」フルフル

梓「え・・・?」

紬「・・・」クイクイッ

梓「・・・」

信代「・・・」

唯「どうしたの〜?」

姫子「教室に入らないの?」

いちご「・・・?」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:59:50.42 ID:8Tvag5feo

―――――放課後・3年生のクラス


風子「エリさん、そっち抑えててください」

エリ「うん・・・」

風子「ありがとうございます」

スィースィー

風子「・・・どうですか?」

エリ「うん・・・。ちゃんと塗れてるよ」

風子「そのまま続けます」

エリ「・・・・・・うん」

風子「・・・」

スィースィースィー
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:01:49.99 ID:8Tvag5feo


信代「・・・」

英子「信代さん・・・、昨日の帰り道で風子はなにか言っていましたか?」

信代「英子たちと別れてから、しばらくは俯いていたけど」

梓「・・・」

信代「一言『しっかりしなくちゃ』と言って前を向いたくらい」

英子「・・・そうですか」

梓「・・・」

信代「周りが戸惑っているんだよねぇ・・・」

英子「ごめんね・・・。私が原因だね」

潮「・・・昨日の成り行きを見ていた身としては、そう見えなくもないんだけど」

信代「うん、英子だけが原因じゃないような気もする」

英子「・・・」

梓「ふぅ先輩は、抑えているんでしょうか?」

英子「え・・・?」

梓「昨日の話では、『ふぅちゃん』を抑えていると伺いました」

英子「あ、・・・うん」

梓「・・・」

信代「抑えているものがパンクするが先か」

潮「少しずつ息抜きをしてバランスを取りながら、そんな自分とうまく付き合っていくのか」

英子「・・・」

エリ「梓ちゃーん」

梓「はい!」

テッテッテ

英子「梓ちゃん、『ふぅ』って呼んでくれてるんだ」

信代「さっき、むぎが訂正してたよ。『風子じゃないでしょ』・・・みたいに」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:04:06.66 ID:8Tvag5feo


――・・・


さわ子「今日はこれでおしまいにしなさい」

「「「 え・・・? 」」」

さわ子「な、なによ・・・外見なさいよ真っ暗よ?」

姫子「・・・ウソ、もうこんな時間・・・なんだ・・・」

憂「はやいですね・・・」

唯「そんなはずはないよ!まだ3時間あるはずだもん!」

純「そうですよ!」

さわ子「3時間頑張ったら11時になるのよ?」

ちか「8時!?」

律「はええ・・・」

文恵「・・・ふぅ、これで今日はお終いかぁ」

さわ子「明日は一日中準備作業になるから、明日頑張りなさい」

「「 はーい 」」

未知子「えと・・・完成度何パーセントかな・・・」

三花「き、聞きたくない・・・」

美冬「75パーセント」

三花「聞きたくない!」ギュッ

未知子「耳をふさいでも現実は変わらないんだよ」

三花「現実から逃げることも重要なの」ギュウ

紬「・・・」クイッ

三花「やめてっ」

美冬「ななじゅうごぱーせんと」ボソッ

三花「そ・・ん・・・な・・・・・・」ボーゼン

和「なにをやっているのよ」

さわ子「遊んでいないで早く帰りなさい」

39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:05:49.68 ID:8Tvag5feo

――・・・


梓「おやすみなさいです」

風子「おやすみなさい、紬さん」

紬「・・・」

風子「?」

ギュ

紬「・・・」スラスラ

風子(ま・・・た・・・あ・・・し・・・た・・・)

紬「・・・」ニコ

風子「・・・うん」

紬「・・・」

斉藤「どうぞ」ガチャ

紬「・・・」チラッ

梓(・・・大丈夫。なんて言えないですけど)コクリ

紬「・・・」スッ

バタン

斉藤「それでは失礼します」ペコリ

冬「お気をつけて」

バタン

ブォォオオオオ

英子「・・・」

夏香「・・・」

風子「・・・」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:07:24.65 ID:8Tvag5feo

唯「今日一日がものすっごく短く感じたのはどうしてか、会議です!」

憂「集中していたからだと思います」

唯「なるほど・・・。他には?」

律「集中していたからだと思います!」

唯「なるほど・・・。一理ありますね」

冬「同じ事言ってますよ?」

律「知ってるよ!わざとだって!」

冬「あ・・・」

律「ボケを潰したなぁ・・・」ワキワキ

冬「す、すいません・・・。もう一度お願しますっ」

律「同じボケを二回もやると寒くなるんだよぉ」スッ

冬「わわ・・・」

風子「・・・」

律「・・・」

冬「?」

律「ったく」ワシャワシャ

冬「ぅ・・・わ・・・」

純「贔屓ですよー!」

律「なにがだ」

純「私には辛くあたるのにー」ブー

律「そういう世の中なんだよ」

純「意味が分かりませんよ」プンスカ

風子「先に帰るね」

スタスタ

姫子「・・・」

夏「なんだか・・・楽しくなさそう・・・ですね・・・」

律「楽しくないんだよっ」

澪「りつ」

律「分かってるよ・・・!」

信代「風子と一緒に帰るよ、じゃあね」

潮「私も、みんなまた明日ね」

唯「う、うん・・・。バイバイ」

タッタッタ

夏香「英子も一緒に行って」

英子「・・・・・・うん」

タッタッタ
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:07:58.64 ID:8Tvag5feo

律「意味分かんねえ・・・!」

澪(珍しくイライラしてるな・・・)

いちご「・・・どうしたの?」

唯「ふぅちゃん・・・いつもと違ってたね」

梓「どんな風にですか?」

唯「なんていうか、笑わなくなった」

憂「今日の風子さん・・・笑ってなかったの・・・?」

唯「うん・・・」

律「明後日だぞ・・・!」

澪「落ち着け」

律「・・・っ!」

和「・・・夏香」

夏香「・・・?」

いちご「・・・なにがあったの?」

冬「・・・」

夏香「それは・・・ね・・・」

梓「・・・」

純「・・・」

夏香「・・・」

冬「・・・」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:08:58.38 ID:8Tvag5feo


――・・・


冬「約束・・・」

夏香「・・・」

純(昨日英子先輩から聞いた話と同じだった・・・)

梓「律先輩、どう思いますか?」

律「なんで私に聞くんだよ」

梓「・・・いえ」

律「・・・」

澪(怒るほど身近に感じているんじゃないのか)

慶子「・・・」

エリ「・・・」

和「聞いていたのね」

エリ「風子さんの様子が気になって・・・」

慶子「・・・風子さんってムードメーカーだから」

唯「時間の流れがはやい訳だよね〜」

憂「・・・?」

和「どういう意味なの?」

唯「淡々と作業していただけだもん」

夏「遊んでいなかったですもんね」

唯「そういう事だよ」

夏香「・・・風子は・・・変わってしまったんだね」

律「ちげえ」

夏香「?」

律「・・・」

澪「どう違うんだ?」

律「・・・さぁ」

澪「・・・」

律「・・・・・・・・・・・・あれは風子自身だろ」

いちご「・・・」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:10:18.07 ID:8Tvag5feo

律「風子が夏香たちと別れた事で、風子が自分をみつけたんだよ。耐える強さをもった風子自身をな
  それを・・・。言葉が分からないけどさ、取り戻したら『変わった』なんてのはちがう」

夏香「・・・」

澪「それなら、それでいいんだな。別れが風子を強くしたんだから」

冬「・・・」

律「でも、私は納得しない」

澪「風子自身の問題だ。外に居る私たちが干渉していい話じゃない」

律「分かってるよ・・・!」

澪「じゃあどうして、怒っているんだ」

律「それは強さじゃないからだ。数ある答えの中から1つ拾っただけだ」

澪「風子、英子、夏香の三人の過去だ」

律「違う。風子1人でみつけただけだ。そんなの求めている場所じゃない」

澪「風子は探していたのか?『最高の場所』を」

律「・・・っ」

澪「りつは見つけたのか?」

律「・・・みつけてない」

澪「その場所の力を知っていないのにどうして、そう言えるんだ」

律「焦っているからだよ、明日で完成させなきゃいけないのに・・・完成させたとしても、大成功とは程遠いだろ」

澪「・・・そうだな」

律「先に帰るっ」

スタスタ

澪「・・・それじゃみんな、明日」

梓「は、はい。明日です」

唯「私たちもここで、おやすみ〜」フリフリ

憂「おやすみなさい」

和「明日ね」

スタスタ

純「・・・」

姫子「唯は動じてないね」

梓「唯先輩が言ってました。『人を想う事に悪いことなんてない』って」

姫子「うん・・・」

梓「少なくとも時間はまだあります。28日までは・・・」

慶子「それで納得する律さんじゃないよね」

梓「・・・そうですね」

純「・・・」ウンウン
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:10:53.12 ID:8Tvag5feo

慶子「もう1人大成功じゃないと納得しない人が・・・」ピッピッピ

冬「?」

夏香「ムードメーカーは『ふぅちゃん』であって、『風子』ではないんじゃ・・・」

梓「私たちは『ふぅちゃん』は知りませんけど、『ふぅ先輩』は知ってますよ」

夏「・・・」

姫子「帰るよ」

冬夏「「 は、はい 」」

慶子「・・・オッケ。じゃ後で」

プツッ

エリ「信代さん?」

慶子「うん。わたしもここで、バイバイ」フリフリ

エリ「あ、バイバイ」

いちご「・・・それじゃ、明日。バイバイ」

スタスタ
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:12:23.29 ID:8Tvag5feo

梓「あ・・・」

純「どうした?」

夏香「?」

梓「私たち3人だけになってしまいました」

夏香「ふふっ」

梓「・・・急に人が居なくなると寂しくなるんです」

純「子どもか・・・」

夏香「梓ちゃんって、たまに大人びているのにね。背伸びしているの?」

梓「そうです。こうやって」グググ

純「・・・」

夏香「景色が変わった?」

梓「そうでもないです。・・・よっ」ピョン

純「変わった?」

梓「大して変わらない」

夏香「・・・そっか」

梓「でも、隣にいると景色は近くなるんです」

夏香「・・・」

梓「夏香先輩はふぅ先輩と、どんな景色を見てきたんですか?」

純(・・・なるほど。その為に変な行動したのか)

夏香「私と姉さんの血が繋がっていないって話したっけ?」

梓純「「 え・・・ 」」

夏香「顔似てないでしょ?」

純梓「「 あ、そういえば・・・ 」」

夏香「・・・」

純「夏香先輩が父親似で」

梓「お姉さんが母親似だと・・・」

夏香「逆だけど。私が小学校上がる前だったな、父が姉さんを連れて来たの」

梓「・・・」

夏香「母と姉さんはすぐ打ち解けていたけど、私はいつまで経っても馴染めなかったのね」

純「・・・」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:13:14.42 ID:8Tvag5feo

夏香「そして、小学校2年生の夏。風子と英子を家に呼んで遊んでいたとき、風子が聞いたの
   『この人だれ?』って」

純「・・・ぉぅ」

夏香「姉さんと私の間には距離があったから――」

・・・・・・

・・・

「はい、でこちゃん」

でこ「でこじゃないよ、ひでこだよー」

「あははっ、でこちゃーん」

ひでこ「でこって言っちゃやだー」ウエーン

「あ・・・、ふぅちゃんがわるいんだよ」

ふぅ「なっちゃんだって言ったもん!」

なつか「さいしょに言ったのふぅちゃんだよ!」

ふぅ「人のせいにしちゃダメなんだよ!」

ひでこ「ケンカしちゃやだー」ウェーン

なつか「・・・」

ふぅ「ごめん・・・ね・・・」

なつか「・・・うん」

ひでこ「ひっく・・・ぐすっ・・・」

ふぅ「・・・」

ひでこ「もう、ケンカしない・・・?ぐすっ」

なつか「・・・ごめ」

ガチャ

「ただいまー」

バタン

なつか「・・・!」

ひでこ「おうちの人かえってきちゃったね・・・ぐすっ」

ふぅ「なっちゃん・・・どうしたの・・・?」

なつか「う、ううん・・・」

「夏香ちゃんのお友達?」

ふぅ「この人だれ?」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:14:13.56 ID:8Tvag5feo

「・・・」

なつか「・・・」

ひでこ「なっちゃん・・・?」

「ジュース出そうか?」

なつか「いい・・・」

「あ、・・・うん。・・・お菓子買ってくる?」

なつか「いい」

ふぅ「・・・」

「邪魔だよね、私部屋に行くから・・・」

ひでこ「・・・」

なつか「・・・」

ふぅ「まって!」

「?」

なつか「ふぅ・・・ちゃん・・・?」

ふぅ「なっちゃんにいじわるなことしてるんでしょ!」

「・・・」

ひでこ「・・・」ビクビク

なつか「ふぅちゃん!」

ふぅ「お姉ちゃんなのに、妹にそんなことしたらいけないんだよ!」

姉「・・・」

ふぅ「もうしないって、約束して!」

姉「しないよ」

なつか「・・・」

ひでこ「・・・」

ふぅ「・・・」プンスカ

姉「そんな、約束なんてしない」

スタスタ

ふぅ「?」

なつか「・・・?」

ひでこ「・・・ひどい・・・・・・」

ふぅ「どういうこと?」

ひでこ「いじわるするって言ったんだよ・・・!」

ふぅ「もぅおこったよ!」

タッタッタ

ひでこ「ふぅちゃん!?」

なつか「どこいくの!」

ふぅ「みんな来て!」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:14:48.95 ID:8Tvag5feo


「ゲコゲコ」

ひでこ「そんな大きなカエルをどうするの?」

ふぅ「しかえしするんだよ」

なつか「や、やめようよ・・・」

ふぅ「お母さんがいってた『カエルが怖い』って。だからお姉ちゃんもこわいはずだもん」

ひでこ「・・・おこられるよ」

なつか「・・・ダメだよ・・・・・・わたし・・・」

ふぅ「『悪いことしたらダメ』ってお母さんがいってたもん。だからしかえしするんだよ」

なつか「・・・こまるよ・・・わたし・・・・・・」

ふぅ「みんな、しーっ」

ひでこ「・・・ごくり」

なつか「やめて・・・ふぅちゃん・・・」

ふぅ「なっちゃんにひどいことするかぎりやめないよ。お姉ちゃんのへやここだよね」

ガチャ

ソォー

ふぅ「いけっ」ヒョイ

カエル「げこげこ」ピョン

ソォー

バタン

ふぅ「なっちゃんのへやににげるよ!」

ひでこ「わわっ」

なつか「・・・っ」

タッタッタ

ガチャ

ふぅ「はやく!」

サッ

バタン

ふぅ「・・・ふぅ」

ひでこ「おこられるよ」

なつか「・・・ふぅ・・・ちゃん・・・・・・」

ふぅ「だいじょうぶ。おこられないから」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:15:42.74 ID:8Tvag5feo


姉『きゃああああああああああああああ!!!!!!!』


ふぅ「みんな、トランプもって」

ひでこ「え・・・?」

ふぅ「いいから!なっちゃんももって!」

なつか「わたし・・・」


ドタドタドタッ

バンッ


姉「あんたたちでしょ!!」

ふぅ「なんですか?わたしたちトランプしているんですよ?」

ひでこ「・・・」ブルブル

なつか「・・・」

姉「あんな気持ち悪いものはやく捕まえてよ!」

ふぅ「わたしたちむかんけーです。カエルくらいじぶんでつかまえたらいいですよ。
   つぎ、ひでこちゃんのばんだよ」

ひでこ「う、うん」ガクガク

なつか「・・・」

姉「どうしてカエルだって知ってるの?」

ふぅ「?」

ひでこ「あ・・・」

なつか「・・・?」

姉「やっぱりあんたたちでしょ!ほらっ」グイッ

ふぅ「やー、はなして!」ジタバタ

姉「私は捕まえきれないのよ、なんとかして」

ふぅ「やーだー!」ズルズル

ひでこ「ふ、ふぅちゃん!」

なつか「・・・」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:16:44.83 ID:8Tvag5feo

―――――・・・


ふぅ「今日はこれ」

ジャン!

なつか「くも・・・の、おもちゃ?」

ふぅ「うん。昨日はしっぱいしたけど、今日はお姉ちゃんに負けないんだから」

ひでこ「・・・やるの?」

ふぅ「お母さんにそーだんしたら『どんどんやれ』って」

なつか「そん・・・な・・・」

ふぅ「お母さんわたしたちのことよく知ってるからどうじょーしてるんだよ」

ひでこ「きょうかんって言うんだよ・・・」

ふぅ「みんな、しーっ」

ガチャ

ふぅ「それっ」ポイッ

バタン

ふぅ「いそげー」

なつか「・・・っ」

タッタッタ

ガチャ

ふぅ「みんなしょてーのいちについて」

ひでこ「わ、わかった」

なつか「・・・」

ふぅ「よにんめはクマさんね。よいしょ」

なつか「・・・」

ふぅ「・・・これでよし」

ひでこ「・・・」

なつか「・・・」

ふぅ「・・・」

シーン

ひでこ「お姉ちゃんねているじゃないの・・・?」

ふぅ「あれー?」

なつか「・・・」

ふぅ「なっちゃん・・・?」

なつか「なに・・・?」

ふぅ「昨日・・・あれからひどいこといわれたの?」

ひでこ「ひどい・・・っ」

なつか「う、ううん・・・。そんなことないよ」

ふぅ「しかえしがこわくておじけづいたんだよ」ウシシ

ひでこ「・・・よかった。なっちゃんがおこられたんじゃないかって」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:17:21.93 ID:8Tvag5feo

姉『ぎゃああああああああああああああああ!!!!』


ひでこ「っ!」ビクッ

ふぅ「だいじょうぶだから。ちゃんとじゅんびもしているんだから、バッチリだよ」

なつか「・・・」

ドタドタドタッ

バンッ

姉「またやったわね!これおもちゃじゃないの!」ブンッ

バシーン

ふぅ「ほんものがよかったんですか?」ウシシ

姉「・・・」

ひでこ「ふぅちゃん・・・!」

なつか「・・・」

ふぅ「わたしたちじゃないですよ。みたらわかるとおもいますが」

姉「3人で人生ゲームしてんの?」

ひでこ「そ、そうですよ」

ふぅ「この人生ゲーム4人までだから、お姉ちゃんできないよ?」

なつか「・・・」

姉「そっち空いてるじゃん」

ふぅ「見えないんですか?クマさんがいるでしょ」

ひでこ「そ、そうです」

なつか「・・・」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:18:00.53 ID:8Tvag5feo

姉「コマが進んでないけど?」

ふぅ「はじめたばかりですから」

姉「・・・」

ひでこ「・・・ふぅちゃん・・・・・・」

なつか「・・・」

姉「誰が勝ってるの?」

ふぅ「さっきはじめたばかりって言いましたよね」フッ

姉「やっぱりあんたたちじゃないの!来なさい!」グイッ

ひでこ「わたしじゃないよ!」

姉「でこちゃん賢そうだから部屋の片付け上手でしょ!」

ひでこ「でこって言わないでー」ズルズル

ふぅ「お姉ちゃんなんでわかったの!?」

姉「準備してあった感が拭えてないわ。それに本物ってなによ、おもちゃだって知ってたみたいじゃない」

ふぅ「・・・しまった!」

ひでこ「たすけてよぉー!」

ふぅ「でこちゃん!」

ひでこ「言わないでー・・・ぇ・・・」

バタン

ふぅ「あぁ・・・」

なつか「・・・」

ふぅ「ど、どうしよう」オロオロ

なつか「・・・あの人は・・・虫がきらい・・・」

ふぅ「そうだったね!カマキリがいたからつかまえてくるっ!」

タッタッタ

なつか「・・・」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:19:02.36 ID:8Tvag5feo



ガチャッ

ふぅ「お姉ちゃんこれみて!」

ジャン!

姉「ひっ!」

ふぅ「でこちゃんを・・・あれ・・・?」

ひでこ「・・・」フムフム

姉「なんで虫が・・・っ!」ガクガク

ふぅ「でこちゃん、なによんでるの?」

ひでこ「でこっていわないで。マンガだよー、お姉ちゃんいっぱいもってるの」

姉「そ、それっ!自然に帰してきなさいよ!」

ふぅ「マンガなんておもしろくないよ。なっちゃんのへやでゲームしようよ」

ひでこ「うん・・・。分かったー」

姉「は、はやく行って!」

ひでこ「おじゃましました」ペコリ

ふぅ「おれいをいうひつようなんてないんだよ!えいっ」ポイッ

カマキリ「・・・」シャキーン

姉「ぎゃっ!!」

バタン
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:19:52.78 ID:8Tvag5feo


―――――・・・


ひでこ「今日はしかえししないの?」

ふぅ「お母さんが『罠を張る時期ね』って」

なつか「じきってなに?」

ふぅ「分かんない。きせつのことじゃないのかな」

ひでこ「わなをはるきせつってへんだよ」

ふぅ「?」

なつか「それがわな?」

ふぅ「うん。ドアがひらいたら上からセミのぬけがらがおちてくるしくみだよ」

ひでこ「1人であつめたの?」

ふぅ「うん。20こみつけるのたいへんだったよ。いつもまけてるきがするから、今日こそ」

なつか「・・・」

55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:20:33.94 ID:8Tvag5feo


――・・・


ひでこ「・・・」

ふぅ「・・・」

なつか「・・・」

ひでこ「来ないね・・・」

ふぅ「・・・しっぱいだ」

なつか「あの人は・・・わたしのへやにこないよ・・・」

ひでこ「どうして?」

ふぅ「?」

なつか「わたしたち・・・しまいじゃないもん・・・」

ひでこ「・・・」

ふぅ「どういうこと?」

なつか「ちがつながっていないってことだよ」

ひでこ「・・・」

ふぅ「?」





姉「今日は来ないのか・・・」

56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:21:31.70 ID:8Tvag5feo


―――――・・・


ひでこ「今日もわな?」

ふぅ「お母さんが『待っていなさい』って」

なつか「・・・」

ひでこ「またとってきたの?」

ふぅ「うん。セミのぬけがら30ことクマゼミだよ」

ひでこ「どうしてセミをつかまえたの?」

ふぅ「ちかくにいたからだよ。よーしかんせーい」

なつか「・・・」

ふぅ「よいしょっと」ピョン

ひでこ「お姉ちゃんくるかな?」

ふぅ「ぜったいくるよ!」

なつか「・・・こないよ」

57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:22:09.20 ID:8Tvag5feo

――・・・


ふぅ「こないねー・・・」

ひでこ「でかけたんだよきっと」

なつか「・・・」

ふぅ「おなかすいた・・・」グゥゥ

ひでこ「・・・うん」

なつか「もうやめようよ」

ふぅ「ダメ!」

なつか「・・・わたし、いじわるされてないよ?」

ふぅ「いじわるされてないのにどうしてさびしそうなの!?」

なつか「・・・」

ふぅ「お姉ちゃんがわるいんだよ」

ひでこ「わるい人じゃない・・・と・・・おもうよ?」

ふぅ「でこちゃんうらぎったね!」

ひでこ「ち、ちがうよ!」

なつか「・・・あれ?」

ふぅ「どうしたの?」

なつか「ドアのしたに・・・かみが・・・」

ふぅ「ほんとだ・・・」

ひでこ「・・・なにかな?」ヒョイ

『うしろをみろ』

ふぅ「うしろ?」

ひでこ「?」

なつか「???」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:24:24.92 ID:8Tvag5feo

『あ゛ぁ・・・う゛ぁー・・・ぁ゛』ドンドン

ふぅ「―――ッ!!!!」

ひでこ「ひっ!」

なつか「ヒィッ!」


「「「 おばけぇぇえええええーー!!!! 」」」


『へっへっへー・・・あれ?』

ふぅ「いやぁああああああああ!!!!」ダッ

ガチャ

バサーッ

なつか「ぎゃああああああああああ!!!!!」

ひでこ「ふえぇぇえええん!」

『あぁ、ごめんごめん!でこちゃん私だよー!!』ドンドン

ひでこ「こわいよぉー!」ウワァン

『やっばー・・・』


ダダダッ

ふぅ「お姉ちゃん!」ドンドン

なつか「たすけてー!!」ドンドン

ふぅ「あけてーー!!!」ドンドン

なつか「おばけがー!!」ドンドンッ

ガチャ

ふぅなつか「「 ! 」」

姉「ごめんねー」

ふぅ「っ!」ダキッ

なつか「ッ!」ダキッ

姉「・・・」

ふぅなつか「「 こわかったよぉー・・・ 」」ボロボロ
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:24:51.84 ID:8Tvag5feo

ギュウウウ

姉「・・・うん。ごめんね」

ふぅ「あ!ぐすっ・・・ひでこちゃんがいない!」

なつか「あ!」

姉「部屋に行こうか」

ふぅなつか「「 ・・・うん! 」」

スタスタ

ギュウウウウウ

姉「・・・」

なつか「ひでこちゃん・・・」

ふぅ「あ!」

ひでこ「うわぁーーん!」

姉「ごめんね。もういないから」ナデナデ

ひでこ「お、お姉ちゃぁぁあん」ダキッ

ふぅ「よかったぁ」ギュウウ

なつか「・・・うん」ギュウウ

姉「・・・」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:25:23.89 ID:8Tvag5feo

――・・・


『ご迷惑ではないですか?』

姉「はい。一日くらいなら私1人でも大丈夫ですから」

『それじゃ、お言葉に甘えて。・・・もう一度風子に代わってくれますか?」

姉「はい。・・・ふぅちゃん」

ふぅ「なんですか?」

姉「お母さんが代わってって」

ふぅ「うん・・・。もしもし」

姉「二人とも落ち着いた?」

ひでこ「・・・ぐすっ」

なつか「すっごくこわかったんだから!」

姉「はい。ごめんなさい」

なつか「もぅ!」プンスカ

姉「ほら、セミついてるよ」ヒョイ

ガサガサ

なつか「あ・・・」

ひでこ「ぐすっ・・・」

姉「逃がしてくるね」

スタスタ

ひでこ「もうこわくないんだ・・・ぐすっ・・・」

姉「それっ」

バサバサッ

なつか「・・・」

姉「きょ、今日はご馳走にしちゃうよ」

なつか「りょうりできないでしょ!」

姉「ちゃんと出来ます」

なつか「うそつき」

姉「む・・・」カチーン

なつか「したことないくせにー」

姉「学校で習ってるから」

なつか「・・・ふんっ」

姉「よぉし・・・」

ひでこ「ケンカしちゃやだー」

姉「とっておきの作ってやる」

なつか「・・・」

ふぅ「・・・どうしたの?」

ひでこ「・・・・・・ごはんつくるって」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:26:08.74 ID:8Tvag5feo


ふぅひでこ「「 いただきまーす 」」

なつか「・・・」

姉「たんと召し上げれ」

ふぅ「もぐもぐ」

ひでこ「もぐもぐ」

姉「どう?」

ひでこふぅ「「 おいしぃ〜 」」パァァ

姉「くふっ・・・可愛い・・・」

なつか「・・・」

姉「冷めちゃうよ」

なつか「・・・」

姉「温かいうちに食べて欲しいな」

なつか「・・・」

姉「・・・」

ふぅ「お姉ちゃん」

姉「なに?」

ふぅ「お母さんが『繋がっていないなら繋げればいい』っていってたんだけど」

姉「!」

ふぅ「なっちゃんとお姉ちゃんのちがつながっていないのとかんけーあるの?」

なつか「・・・!」

ふぅ「・・・?」

ひでこ「おいしぃ〜」パァア

ふぅ「そもそも、ちがつながっていないってなに?」

姉「ふふっ、哲学者だね。ふぅちゃんは」

なつか「・・・」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:27:57.25 ID:8Tvag5feo

ふぅ「お姉ちゃん、おりょうりじょうずだね」

姉「ありがと。ほら、なつも食べて」

なつか「うん・・・」パクッ

姉「どう?」

なつか「おいしいよ・・・。ぴんきら」

ひでこ「きんぴらごぼうだよ〜」ウットリ

ふぅ「もぐもぐ」

姉「明後日なつの誕生日会しようか」

なつか「・・・ありがと、・・・・・・お姉ちゃん」

姉「・・・うん。ありがと」

ふぅ「おいしぃね〜」パァァ

なつか「・・・うん」

・・・

・・・・・・

夏香「――で、姉さんとちゃんと話ができるようになったの」

梓「・・・」

唯「ひっぐ」シクシク

夏香「その後もいじわる合戦が続くんだけどね」

和「・・・意地悪というよりイタズラね」

姫子「そうだね」

冬「はい。可愛いイタズラ合戦です」

夏「うん、可愛い・・・」

夏香「という、お話でした」

唯「ういっ!」ダキッ

憂「お、おねえちゃん!?」

梓「真面目な話をしているんですよ?」

唯「あずにゃんもひどいよっ!?」

姫子「和・・・律は?」

和「聞くことは無い。そう言って澪と帰ったわ」

純(本気で怒っているのかな・・・)

夏香「聞くことって?」

唯「えへへ、もうないよ〜」

憂「風子さんの話を聞きたかったので」

夏香「そっか・・・。姫子さんは?」

姫子「唯たちと一緒。ね、冬」

冬「は、はい」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:28:42.01 ID:8Tvag5feo

夏「あのですね、意見というか・・・口ごたえをするようでなんですけど」

夏香「?」

夏「人は変わらずにはいられないじゃないですか」

梓「・・・」

夏「律先輩には悪いと思いますけど、風子先輩がそう決意したのなら、それは認めるべきなのでは?」

夏香「・・・」

梓「律先輩がどうして、あんな事言ったのか・・・」

夏「・・・」

純(・・・今は梓に同意)

梓「ふぅ先輩の為だけに言った言葉じゃないよ」

夏「紬先輩の為?大成功にして一生の思い出にする為?」

梓「・・・うん」

夏「風子先輩は淡々とその準備していたじゃん。確かに、準備中は物足りなさを感じていたけど
  風子先輩が身に着けた強さを否定するのはお門違いだよ」

純「・・・」

梓「否定してないよ。律先輩はむぎせんぱいと最高の学園祭を目指している。それは私も同じ。
  だけど、律先輩が目指しているのはそれだけじゃないよ」

夏「・・・」

梓「みんなで目指しているんだから」

憂「風子さんも含めてだよね?」

梓「うん」

純「うむ」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:29:49.01 ID:8Tvag5feo

夏「それはまた・・・途方も無い」

冬「諦めたら見つからないよ」

夏「うん。そうだね」

梓「・・・」

唯「・・・」グゥ〜

和「早く帰りましょ」

唯「若いっていいですな」

和「食べ盛りよね」

唯「そっちじゃないよっ!」

夏香「・・・」

姫子「もうこんな時間だから気をつけてね」

純「はいっ」

憂「はい」

夏冬「「 おやすみ 」」

唯「おやすみ〜」フリフリ

純「おやすみなさい」

梓「二回目の挨拶・・・」

夏香「・・・」

純「私たちも帰りましょう」

夏香「うん」

梓「・・・夏香先輩は、ふぅ先輩と風子先輩のどっちと一緒にいたいですか?」

夏香「それは・・・」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:30:52.11 ID:8Tvag5feo


9月25日



風子「おはよう、紬さん。今日は早いんだね」

紬「・・・」プッププー

風子「梓ちゃんと?」

紬「・・・」コクリ

風子「そうなんだ・・・」

紬「・・・」ププッププップー

風子「うん。明日だね」

紬「・・・」ププップップー

風子「うん。頑張ろうね」

紬「・・・」ニコニコ

風子「・・・」

スタスタ

ガチャッ

律「よっしゃー、一番乗りー・・・じゃねえ・・・」

澪「おはよう。はやいなむぎと風子」

風子「おはよう。昨日の時点で75%って聞いて・・・」

紬「・・・」

律「ふーん。風子だけでやろうとしてたのかよ?」

風子「英子ちゃんと夏香ちゃんも後から来るよ」

澪「・・・」

ガチャ

梓「むぎせんぱい!行きましょう・・・え・・・?」

律「ん?私の顔を見て驚いたのか?」

梓「まだ7時になっていませんよ?澪先輩はともかく・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」

律「誰か私をフォローしてくれ。明日が本番だから、私も張り切って来たんだよ」

梓「はぁ・・・。行きましょうむぎせんぱい!」

紬「・・・」コクリ

風子「調理室だよね、私も一緒に行くよ」

梓「はい。行きましょうふぅ先輩」

風子「・・・」

紬「・・・」ルンルン

スタスタ
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:31:52.98 ID:8Tvag5feo

律「澪は行かないのかよ」

澪「私はセットの作業だから・・・。昨日の続きを終わらせるのが先だ」

律「・・・」

澪「風子も頑張ってくれてるんだな」

律「・・・そうだな。まずは席寄せようぜー」

澪「うん。私たち二人分くらいの作業スペースを確保しよう」

律「おっしゃ」

夏香「おはよ。はやいねー二人とも」

英子「おはよう」

律「おっはよん」

澪「おはよう」

夏香「さっそく始めるんだ」

律「おうよ!あ、風子たちは調理室向かったぞー」

英子「うん、ありがと。行ってくるね」

澪「行ってらっしゃい」

スタスタ

夏香「『たち』?」

律「むぎと梓だ」

澪「よいしょっ」ガタッ

ワッセワッセ

ゴト

澪「ふぅ・・・」

律「おんどりゃあ」ガタッ

ワッセワッセ

ゴト

律「もぅだめ・・・」ヘナヘナ

信代「早起きなんかするからだなー」

潮「・・・フッ」

慶子「芸が細かいね」

律「お、3人ともはやいな」

信代「75%だよ?ありえないって」

慶子「うん。ビックリだよね」

澪「確かに・・・」

純「澪先輩おはようございます!」

律「おいこら。私たちは視界に入っていないのか!」

純「先輩方!」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:33:15.25 ID:8Tvag5feo

潮「よいしょっ」ガタッ

ワッセワッセ

ゴト

潮「望みどおり机は動かしたぞ!虎徹を返すんだ!」

律「誰が1つだと言った・・・。あと、2つだ」

潮「卑劣なっ!」

信代「なんで虎徹なのか・・・。少し面白かった」ガタッ

慶子「ネコの為に必死になるところが、なんかツボを抑えているって感じだよね」

夏「おはよーございます!皆さんはやいですね〜」

純「夏が遅いんだよね」

夏「道具を取ってきたからだよ」

澪「ナイスだ、夏」

純「ぬかった!」

潮「・・・どうだ」ゼェゼェ

律「うむ。・・・駅前の駄菓子屋だ」

潮「そこに虎徹はいるんだな!?」

律「あぁ、ウソはつかないさ」

潮「遠いからいいや」

律「だな。さぁ、始めようぜー」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:33:51.04 ID:8Tvag5feo

――・・・


唯「さわちゃん来るよ!」

和「まだ30分前よ?」

ガチャ

さわ子「あら?みんなはやいのね」

夏「冬ねぇ、戻らないの?」

冬「あ・・・」

由記「手伝ってくれてありがとう、冬さん」

冬「ううん、大して手伝えてなかったから」

千雨「お化け屋敷見に行くからね」

冬「うんっ」

律「私たちも行こうな」キラキラ

澪「やだ!」

冬「それでは、また」

さわ子「待ちなさい冬ちゃん」

冬「え?」

さわ子「この衣装お勧めよ〜」ジャン

冬「え・・・ぇ・・・え・・・?」

律「メイド衣装だろうが!」スパーン!

さわ子「いった・・・、なによ!むぎちゃんのメイドさんになるって聞いたのよ!?」

律「いつの話だよ!」

さわ子「そんなのいつだっていいのよ。さぁ・・・さあ!」ズィッ

冬「わわ・・・」

夏「やめてください!代わりに純が着ますから!」

純「・・・ん?」

ちか「『私が』ではない所がうまいよね」

さわ子「純ちゃんは一度着たからいいのよ」

律「え・・・ウソだろ・・・」

純「ウソですから。なんでそんなに引いているんですか」

澪「律も着たことあるんだぞ」

純「・・・」

律「なんだよ、無言はやめろよ!」

唯「さわちゃん!私が着るよ!」

さわ子「夏ちゃんでもいいわ、さぁ、着るのよ!冬ちゃんはこれでお化けを演じるのよ!」

夏冬「「 わわわ・・・ 」」」

和「ミイラ取りがミイラになったわね」

唯「無視されたよ」ガーン
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:35:09.49 ID:8Tvag5feo

さわ子「さぁ!・・・っ!」ギクッ

風子「なにをしているんですか?」

冬「あ・・・」

律「・・・」

信代「・・・」

さわ子「メイド衣装を着てもらおうかな〜なんて思っていたのよ〜」

風子「着せるのなら、茶店衣装の方がいいと思いますけど」

さわ子「そう・・・ね・・・」

冬「山中先生、ごめんなさいっ」ダッ

タッタッタ

夏「・・・ふぅ、助かった」

夏香「風子、どうしたの?」

風子「あとはこっちの作業手伝おうと思って」

夏香「そっか・・・」

さわ子「どうしたのよ、迫力が無くなったわよ」ヒソヒソ

律「子どものお遊びは卒業したって事だろ」

さわ子「なによそれ・・・?」

律「言葉のまんまだよ」

さわ子「・・・」

律「うーし、むぎんとこ行ってこよーっと」

純「あ、私も行きます。屋台班の班長として把握しておかないと」キリ

唯「私も行くよ!」

和「今は下ごしらえよ」

唯「やめとくよ!」


律「唯のやつ・・・つまみぐい目当てか・・・」

純「・・・」

律「・・・」

純「小学校の頃色々あったみたいですよ?」

律「興味ない」

純「・・・」

律「私が興味あるのはどう楽しむか、それだけだって」

純「そう・・・ですね・・・!」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:36:31.88 ID:8Tvag5feo


―――――調理室


いちご「・・・」

姫子「風子は淡々と作業していたね・・・」

いちご「・・・うん」シャカシャカ


紬「・・・」シャカシャカシャカシャカ

梓「かき混ぜるの、腕疲れませんか?」

紬「・・・」フゥ

梓「交代です!」

紬「・・・」スッ

梓「・・・」シャカシャカ

エリ「梓ちゃん上手ねー」シャカシャカ

梓「そ、そうですか?」テレッ
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:37:04.79 ID:8Tvag5feo


いちご「風子が言ってた」

姫子「?」

『梓ちゃんは夏ちゃんと冬ちゃんを置いて先に進んでしまうって事かな』

いちご「――って」

姫子「梓ちゃんにあの人の過去を話すかどうかの時だよね?」

いちご「うん」

姫子「『先に進んでしまう』・・・か・・・」

いちご「・・・風子は先に進んでしまったのかな」

姫子「梓ー!」

梓「なんですか?」シャカシャカ

姫子「あの人の過去って聞いてる?」

梓「どの人ですか?」

姫子「えぇと・・・その・・・」

律「梓と波長が合わないヤツだよ」

梓「・・・過去なんてあるんですか?」

純(相馬轍さんの過去・・・私も知らないや・・・)

いちご「・・・どうなの?」

梓「知らないです」

姫子「そっか・・・。うん、ありがとう」

梓「人っておかしくないですか?」

「「 ? 」」

梓「・・・虎徹の話ですよね?」

純「もういいよ!あっち行って!」

梓「なに・・・?」

姫子「なんでもない」

律「どこまでも合わねえのな・・・」

梓「む・・・」シブシブ

純「まったく・・・虎徹の過去ってなんだよ」

いちご「・・・印象に無いって事は知らないんだよね」

姫子「そうだね」

いちご「風子は・・・先に答えをみつけたんだね・・・」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:38:07.93 ID:8Tvag5feo

憂「できあがりました」

純「手馴れたもんです」

憂「お姉ちゃんに作ってってねだられるから、慣れちゃった」エヘヘ

律「1つ食べていい?」

憂「どうぞ」

律「もぐもぐ」

いちご「どう?」

律「揚げたてだから余計にうめえ・・・」

紬「・・・」スッ

律「お茶もくれるのか・・・ありがと」

紬「・・・」ニコニコ

律「ふぅ・・・、落ち着くなー」マッタリ

純「外の景色をみながらのんびりしたいですね」

律「あぁ・・・。でも、登校時間だからやらんけどな」

紬「・・・」トントントントトン

姫子「いい空間を演出・・・か・・・」

梓「お菓子とお茶があれば、それだけで楽しめるんです」

紬「・・・」ニコニコ
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:39:07.78 ID:8Tvag5feo


―――――3年生のクラス


「律さん、よく食べたね」

まき「三つも食べたよ」

律「うまかったからな。おかげでのんびりしちった」

紬「・・・」

ガチャ

姫子「あれ、席戻ってない・・・?」

信代「また移動させるの大変だろうからこのままHRにするって」

澪「今日は一日中学園祭の準備だからな」

いちご「・・・」

唯「・・・」クンクン

律「離れろ・・・」グググ

唯「りっちゃん・・・サーターアンダギーの匂いがするよ」クンクン

律「犬かよ・・・食べてきたんだよ」

唯「なんとっ、和ちゃん!?」

和「ぴぃ〜ぷぅ〜♪」

澪「和が白を切ってる・・・」

唯「一子ちゃんも食べたの?」

一子「うん、おいしかったよ」

唯「まだ残ってるよね!?」

律「すまん・・・。2年生たちとおいしくいただきました。全部」テヘ

唯「ふふ・・・」ユラリ

さわ子「遊んでいないで席があった場所に座りなさい。HR始めるわよ」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:39:44.52 ID:8Tvag5feo


―――――昼・中庭


梓「本来なら授業している時間なのに、先輩方と過ごすなんて・・・」ウットリ

夏「・・・」

憂「・・・」

純「・・・」

冬「・・・」

梓「明日の朝、目が覚めたら今日だったらいいのに」ハァ

夏「どうすんのこれ」

憂「うーん・・・」

純「目を覚まさせたら?」

夏「どうやって?」

純「眠ってはダメだー、バシィン」

夏「ぶつんだな!?」

憂「だ、ダメだよ!」

梓「今日が終わらなければ明日は来ないんだよね」ブツブツ

夏「なんか、へんなとこ向かって走ってるよこの子」

冬「いいなぁ・・・」

夏「よくない、よくない」

冬「一緒に作業できるんだよ?」

夏「あぁ、そっちね」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:40:32.74 ID:8Tvag5feo

紬「・・・」ボケー

風子「・・・」

律「完成度いくつだって?」

姫子「和が85%だって」

いちご「午前中で10%上昇できたんだ・・・」

澪「余裕だな」フフフ

信代「あと15%か、・・・冬ちゃんのところはどう?」

冬「102%だそうです」

春子「その2%分ってなんだろ」

冬「わ、分かりません」

律「あ、今ボケた?」

冬「違いますよ」

律「ちゃんと聞いておけよ?」

冬「?」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:41:21.64 ID:8Tvag5feo

律「平沢唯さんに尋ねます。私らの完成度はいくつでしたか?」

唯「聞いてなかったの?」

律「聞いていたぞ。それを踏まえてなんらかのリアクションをしろって事でだな」

唯「85%足す事の10%だっけ?」

和「聞いてなかったのね」

唯「ご飯に夢中だったんだよ」モグモグ

夏香「・・・」モグモグ

唯「なっちゃん、お弁当自分で作ってるの?」

夏香「ううん。母さんが・・・。時々姉さんだけど」

唯「そっかぁ・・・。うい、たまには私が作ってみせようぞ!」

憂「期待してるね」

唯「まかせんしゃい」ドン

英子「料理するんだ・・・。憂さんと一緒に楽しそうだね」

憂「えへへ」

梓「作った事あったの?」

憂「作ってみたいなぁって」

和「無かったのね・・・」

冬「私も料理しますよ」

夏「・・・」

姫子「・・・」

澪「・・・」

純「この静けさは・・・?」

夏「冬ねぇは・・・料理になにかしら実験するから・・・食べる人を困らせる・・・」

夏香「実験・・・って・・・」

唯「そいつぁいけねぇなぁ」

憂「お姉ちゃん、朝の新聞にダムの貯水率が載ってたね」

唯「うん。85%だったね〜」

律「どうだ?」

冬「?」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:41:48.78 ID:8Tvag5feo

律「ここまでが唯のボケだ」

冬「・・・そうですか」

律「感心もてよっ!」スッ

冬「す、すごいですね!」

律「適当に褒めるなっ」ビシッ

冬「たっ」

澪「・・・」バシッ

律「いたっ・・・?」

78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:42:42.76 ID:8Tvag5feo

風子「・・・」

紬「・・・」ニコニコ

風子「紬さん・・・」

紬「・・・?」

唯「・・・ん?」

風子「どうして、空を見上げていたの?」

紬「・・・」

澪「・・・」

風子「なにも、無いよ」

紬「・・・」

律「・・・」

風子「ただ、忘れさられていく雲が流れていくだけ」

紬「・・・」

梓「・・・」

風子「もしくは、誰にも気付かれない雲が流れていくだけ」

夏香「・・・」

英子「・・・」

風子「どの雲もその場に留まれず、ただ、ただ、たゆたうだけ」

冬「・・・」

夏「・・・」

風子「時間の流れの中にいる人のように・・・」

憂「・・・」

純「・・・」

風子「そんな空になにがあるの?」

紬「・・・」トントントトン

風子「・・・」

梓「『空は雲だけではないよ』・・・です」

姫子「・・・」

いちご「・・・」

和「・・・」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:43:13.72 ID:8Tvag5feo

未知子「おーい、むぎさー・・・」

春子(なんていうタイミングで・・・)

信代(未知子・・・)

さわ子「タイミング悪かったようね」

紬「・・・」アセアセ

未知子「わ、私たちだけで行ってくるねー!」タラタラ

エリ「ご、ごゆっくりー!」

風子「行って来て・・・。ただのきまぐれで聞いたことだから、気にしないでね」

紬「・・・」

風子「・・・」

紬「・・・」コクリ

律「・・・むぎ」

紬「・・・」チラッ

梓「厳島神社での話を・・・?」

紬「・・・」クイックイッ

梓「分かりました」

紬「・・・」ビシッ

唯「買出しお願します」ビシッ

紬「・・・」ニコ

タッタッタ

風子「・・・」

春子「今の・・・、むぎが指を折り曲げたのは・・・なに?」

澪「鍵盤を空中で弾いたんだ・・・」

和「『よろしくね』でいいのかしら」

唯「そうだよ〜」

憂(よかった・・・聴けた)ホッ

夏純信代「「「 えぇー!!?? 」」」

冬「おぉー」

姫子(よろ・・・だけだった・・・)

いちご(よ・・・だけ・・・)
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:44:07.40 ID:8Tvag5feo

英子「・・・」

風子「広島の?」

梓「そうです」

夏香「どうして厳島神社が出てきたの?」

律「観光したんだってさ」

いちご「・・・夏の旅で?」

唯「そうだよ」

春子「厳島神社ねぇ・・・よく知らないな・・・」

律「解説ボタンスイッチオン」ポス

冬「日本三景の一つ、広島県廿日市市の厳島の神社の事です
  高さ16メートルの鳥居が海の中に聳え立つ風景をごらんになった方も多いと思われます」

純「あぁ・・・あれか・・・」

夏「名前で気づけよ・・・」

冬「春日大社と気比神宮の大鳥居に並ぶ「日本三大鳥居」の一とされています。
  1996年、ユネスコの世界遺産として登録され、国内外の観光客が年間300万人台に達しています」

信代「ふーん・・・」

冬「厳島神社のある宮島は、古代より島そのものが神として――」

律「あ、もういいぞ」ポス

冬「ちなみに日本三景のあと二つは京都にある天の橋立、仙台にある――」
  
唯「松島だよね!」

憂「観光したんだよね」

唯「美しかったよぉ〜。松島や、あぁいいところ、松島や」

冬「ちなみにそれは石川啄木では――」

姫子「もういいから」ポス

冬「は・・・っ・・・ぃ」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:45:06.57 ID:8Tvag5feo

律「私が降りた後の話か?」

梓「そうです。厳島神社へ二人で向かったんです」

澪「・・・そうか・・・・・・」

梓「夕陽が綺麗でしたよ。むぎせんぱいと一緒に鳥居をくぐって」

風子「・・・」

梓「えと・・・その・・・。その時、私は・・・むぎせんぱいの事で・・・不安な事があったんです」

憂「・・・」

姫子「聞いていい事?」

梓「・・・」

春子「そこの話は飛ばしてもいいんじゃないの?」

いちご「・・・要所だけ聞きたい」

梓「いえ・・・。それだと、伝わりませんから」

風子「・・・」

梓「むぎせんぱいが遠くに行っちゃいそうで・・・」

唯「あずにゃん・・・」

梓「笑ってはいるんですけど、むぎせんぱいの中で・・・何かが変化していて」

澪「・・・」

梓「その笑顔が不自然で、違和感があって・・・らしくない表情をみせて・・・」

律「・・・」

梓「それは、『別れ』を恐れていたからなんです・・・」

風子「っ!」ビクッ

姫子「むぎが・・・?」

梓「はい。むぎせんぱいが、です」

春子「・・・意外っていうか・・・・・・」

いちご「・・・うん」

梓「幼い頃、大切な人とのとても悲しい別れ方をしてしまって」

夏香「!」

英子「・・・」

梓「旅の中で出会った人と別れるたびに、『その時』が心を揺さぶっていたんです
  そのせいで・・・『別れ』が怖くなってしまって」

夏(・・・大切な人)

冬「・・・」

梓「姉のように慕っていたのに、時間がその人との記憶を忘れさせてしまったようです」

風子「・・・」

梓「ついでに言ってしまうと実はその人と再会を果たせていたんです。あの旅の中で・・・」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:46:12.22 ID:8Tvag5feo

英子「紬さんは・・・『別れ』を・・・怖さを克服できたの・・・かな?」

梓「それは分かりません」

いちご「・・・どうしてこの話を?」

梓「私たちはむぎせんぱいの帰りを待つ事で、ずっと一緒にいられると思っていたんです」

夏香「・・・」

梓「『ずっと一緒にいましょう』と旅の終着地点で約束も交わしました」

唯「うん」

律「あぁ」

澪「ずっと、な」

梓「でも、今月の28日でその約束は・・・解消されてしまうんです・・・」

風子「・・・」

梓「むぎせんぱいが空を見上げる理由・・・それは――」

風子「私は・・・乗り越えられる。乗り越えられたから」

梓「・・・」

風子「私と紬さんは違う。悲しい別れは長い人生のうちに何度でも起こる」

律「そうだけど――」

風子「私は・・・果たされなかった約束で留まったりしない」

澪「私たちは――」

風子「ちゃんと進める。前をしっかりみて進んでいる」

唯「それは――」

風子「もう・・・そんな子どもみたいな時期は過ぎたから」

姫子「・・・」

いちご「・・・」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:47:36.04 ID:8Tvag5feo

風子「過去の悲しい事も、これから起こる悲しい事も受け止める」

夏香「まだ子どもだよ」

英子「『ふぅちゃん』のままだよ」
   
冬「・・・っ」

夏(冬ねぇ・・・)

風子「どうして?私は『別れ』にも耐えてみせるよ。どれだけの悲しい『別れ』でも
   それが成長の証なんだから・・・。紬さんとも――」

夏香「それを子どもだと言ってるんだよ」

英子「話を聞かない『ふぅちゃん』がここにいる」

風子「バカにしてるの・・・?」

英子「だって、梓ちゃんの話を聞いていないよね」

夏香「律さん、澪さん、唯ちゃんの言葉を遮って・・・。耳を塞いで、聞きたくないって駄々をこねているだけだよ」

風子「果たされない約束は薄れていくものだよ。・・・そうだよね?」

英子「・・・」

夏香「・・・」

風子「果たされていないのは『約束をしよう』っていう約束だけじゃないんだよ?」

英子「・・・?」

夏香「え・・・」

風子「小学校の卒業式の日、お姉ちゃん、夏香、英子、私。4人での約束」

英子「!」

夏香「!」

風子「『高校入学式、その前の日にみんなであの公園で』」

英子「・・・それは・・・・・・」

夏香「・・・」

風子「『別々の高校に行くことになっても、ここで会おう』」

英子「・・・」

夏香「・・・」

風子「指きりげんまんしていないから・・・印象に残らなかったよね・・・」

夏香「ッ!」

風子「でも、お姉ちゃんは来てくれた」

英子「・・・!」

風子「私は学園祭を成功させて、紬さんを見送る」

梓「・・・」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:48:33.07 ID:8Tvag5feo

風子「午後の準備あるから、先に――」

冬「置いて・・・いかないで・・・ください・・・」

風子「・・・」

夏「冬ねぇ・・・」

風子「私は、進みたいから・・・。先に行ってる」スッ

スタスタ

唯「ふぅちゃん・・・」

澪「・・・」

律「・・・」

梓「・・・」

冬「・・・っ」グスッ

夏「ほら、拭いて」スッ

冬「うん・・・」

英子「夏香・・・」

夏香「そういえば・・・その日の姉さん変な顔で笑ってた・・・」

英子「風子・・・入学式の日に・・・何も無かったって顔してたよね・・・」

夏香「忘れていたなんて・・・」

憂「・・・」

純「・・・」

和「・・・」

英子「ごめんね・・・みんな・・・」

夏香「・・・ごめん」

姫子「・・・」フゥ

いちご「・・・」

信代「まずいよ・・・目的は同じでも、向かっている方向がまるで違う」

春子「・・・形だけの成功なんてなぁ」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:49:14.77 ID:8Tvag5feo

律「言葉があっても伝えきれないのかよ・・・」

澪「・・・悔しいな」

唯「そうだね・・・」

梓「・・・ちゃんと答えてないです」

律「むぎが空を見上げた理由・・・か?」

梓「はい」

澪「・・・」

梓「やっぱり私ではダメですね。むぎせんぱいが伝えなくてはいけないと思います」

唯「そっか・・・」

夏香「・・・」

英子「・・・」

澪「そろそろお昼休み終わるな」

唯「準備だよっ!」

律「だな!」

春子「気持ちを切り替えはやいな」

律「このままで終わらせられないだろ」

澪「むぎとの『別れ』がすぐそこなんだ。俯いてられない」

唯「みんなで見送るんだよ。強くなってね!」

梓「ですっ!」

姫子「そうだね」

いちご「・・・うん」

信代「・・・」

春子「肝心の二人が下向いていいの?」

夏香「今の風子がいるのは・・・私のせい・・・だよ・・・」

英子「・・・私も」

姫子「そのせいってのはなに?・・・今の風子が悪いみたいなんだけど」

夏香「それは・・・」

いちご「離れていたら、伝わらない」

英子「・・・うん」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:50:04.83 ID:8Tvag5feo


冬「離れて行っちゃった・・・」

夏「近づけばいいさ」

冬「・・・できるの?」

夏「やるの、冬ねぇが」

冬「・・・」

梓「・・・」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:50:31.04 ID:8Tvag5feo


―――――放課後・3年生のクラス


「澪さんは?」

一子「部活だよ・・・」

「ふーん・・・」

一子「・・・」コンコン

「いつ戻ってくるのかな」

一子「・・・・・・・・・分からない・・・」

「そうだよね」

一子「ちゃんと抑えて、曜子」

曜子「うん」

ガチャ

曜子「・・・!」


風子「屋台班からの差し入れもってきたよ」

潮「やったぁ!」

春子「ポーポーとお茶が合うんだよな」

未知子「ふむふむ」

潮「調理の様子はどう?」

風子「順調だよ」


曜子「・・・」ガッカリ

一子「ちゃんと手元見てて、危ないよ?」

曜子「うん」

一子「練習がそんなに早く終わらないから」

曜子「・・・そうだよね」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:51:10.02 ID:8Tvag5feo

風子「どうしたの?」

冬「私たちの準備は終わってしまったので・・・見学に・・・」

風子「そう・・・」

冬「・・・」ナデナデ

虎徹「・・・」ゴロゴロ

エリ「懐いてるね〜」

冬「ふ、二人で大人しくしています・・・」

風子「・・・」

三花「大人しくする必要ないんだよ〜」ホノボノ

風子「夏ちゃんたちは調理室にいるよ?」

冬「な、夏に出入り禁止にされていますので・・・」

春子「なんだそれ」

冬「あはは・・・」

虎徹「」スヤスヤ

風子「そう・・・。のんびりしててね」

スタスタ

冬「・・・」

春子「なんだありゃ・・・」

冬「・・・」

春子(まるで関心がないみたいな態度・・・)
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:51:58.80 ID:8Tvag5feo

――・・・


姫子「梓の反応はどうだった?」

夏「目が点になってましたよ。『どうして虎徹がいるの』って」

いちご「・・・ネコ嫌いなの?」

純「好きだと思いますけど・・・、虎徹は論外みたいです」

姫子「仲がいいんだか悪いんだか」

夏「さて、セットの出来はどうですかなー・・・」

純「・・・」ワクワク

ガチャ

夏「あらら」

冬「」スヤスヤ

虎徹「」スヤスヤ

姫子「こっちも順調みたいだね」

いちご「・・・風子と作業してくる」

潮「まって、今は1人でさせといて」

いちご「・・・1人でやっても進まないよ」

慶子「というか、ピリピリしてるから・・・」

姫子「なにか言われたの?」

潮「いんや、なんにも言わないから困ってる」

慶子「さっきまで未知子さんと一緒にいたんだけど、信代が連れて行った」

姫子「その信代たちは?」

潮「遊びに行ったよ」

夏「遊びに・・・?」

潮「けいおん部へね」

純「なにか企んでいるんですか?」

慶子「・・・私は反対したんだけどね・・・綱渡りっぽくて冷や冷やする」

夏純「「 ? 」」

潮「信代も大成功させたいって」

姫子「信代も・・・」

夏「姫子先輩、エリ先輩たちと合流しましょう」

姫子「・・・うん」

スタスタ
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:52:32.24 ID:8Tvag5feo

純「さわ子先生にだけ衣装を作らせてしまっていいのでしょうか・・・」

潮「大丈夫だよ。根拠ないけど」

慶子「二人ともこっち手伝って」

純「はいっ!」

いちご「うん」

スタスタ

冬「」スヤスヤ

虎徹「」スヤスヤ

91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:53:47.94 ID:8Tvag5feo


夏香「一緒にやろ」

英子「・・・」

風子「いいけど・・・。今の私は腫れ物だよ?」チクチク

夏香「・・・」

英子「・・・」

風子「この座布団の布お願い」

夏香「・・・うん」

英子「任せて」

風子「・・・」ヌイヌイ

夏香「・・・」チクチク

英子「・・・」スィスィ

風子「上手だね、裁縫」

夏香「英子は中学のときから・・・上手だった」

英子「・・・そんな事ないよ」

風子「・・・」チクチク

夏香「あの・・・さ、風子」

風子「・・・?」

英子「約束忘れて・・・ごめん・・・ね」

夏香「ごめん」

風子「いいよ。時間とともに風化していくものだから・・・。改まって言われる事でもない」

夏香「・・・」

英子「・・・」

風子「手を動かして」ヌィヌィ

夏香「・・・」チクチク

英子「・・・」

風子「謝るのが目的なら、席はずしていいよ。私1人で出来る範囲だから」チクチク

夏香「・・・あのねぇ」

英子「・・・」

風子「もう完成度は目標を達成している。美冬さんと和さんが公表した数値は嘘だよ」

夏香「・・・」

英子「・・・」

風子「打ち合わせも終わっているから、・・・帰ってもいいんだよ」

夏香「・・・」

英子「・・・」

風子「後は、明日の本番を待つだけ・・・」ヌィヌィ

夏香「・・・」

英子「前夜祭するって・・・言ってるよ」

風子「・・・そう」チクチク
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:55:01.30 ID:8Tvag5feo

夏香「参加しないの?」

風子「いい。・・・今の私は空気を悪くするだけだから」ヌィヌィ

英子「・・・」

風子「今も悪くしているから・・・。早く仕上げて帰るよ」チクチク

夏香「・・・っ」

英子「子どもだよ・・・。風子は・・・」

風子「・・・そう見えるならそれでいい。泣きじゃくるだけならもう終わったから」ヌィヌィ

英子「・・・」

風子「もう、あの頃の私はいないから。それでいい」プチッ

英子「今度は目を塞いでいるんだよ」

風子「聞かないの次は、見ないって・・・?次は・・・言わない、かな?」

夏香「風子・・・笑えないって・・・」

風子「笑わそうとも思ってないよ。・・・帰るね」スッ

英子「まって・・・」

風子「・・・」

スタスタ

夏香「まて!風子!」

純「ッ!?」ビクッ

エリ「どう・・・したの・・・?」

風子「・・・なんでもない。私、先に帰るから・・・」

夏香「待てって!」ガシッ

風子「・・・」

姫子(・・・夏香?)


冬「ぅ・・・ん・・・?」

虎徹「・・・」ピクピク

93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:56:28.31 ID:8Tvag5feo

風子「痛いよ・・・、放して」

夏香「このままでは学園祭始められないでしょ!」

風子「らしくないよ夏香・・・。こんな熱くなるなんて」

英子「ううん、夏香は昔からこうだったよ」

風子「作業している人の邪魔になっているでしょ。放して」バッ

夏香「風子が1人で進んでいる『つもり』だから言ってやってんの」

風子「言ってやってる・・・?ずいぶんと上から目線だね」

夏香「子どもの目線は低いからね、そう感じ取ったんじゃないの?」

風子「子ども子どもって・・・。そう言えば私が反応すると思ってるの?」

英子「反応してるよ・・・まるで怖がっているかのように」

風子「・・・」


冬「・・・」

虎徹「・・・」ジー

夏「・・・」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:57:23.17 ID:8Tvag5feo

ガチャ

味知子「おまたせー・・・?」

潮(味知子・・・)

いちご(一度ならず二度も・・・)

信代「丁度いいや、みんなこれみて」

バサッ

風子「なにそれ・・・」

信代「蛇の目傘に蛇を描いてもらいました」

和(あの絵は唯ね・・・)

夏香「・・・」

英子「・・・」

味知子「信代さん・・・空気が・・・」

信代「あはは・・・」

風子「どうしてそんな事するの?」

信代「普通じゃつまらないと思って・・・。面白くなかった?」

風子「蛇の目傘でもない、普通の野点傘だよそれ」

信代「知ってるよ」

風子「ふざけないでッ!」


虎徹「・・・!」ダッ

テッテッテ

エリ(虎徹・・・!)

アカネ「追いかけて」

エリ「う、うん・・・」

タッタッタ
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:58:41.36 ID:8Tvag5feo

信代「ふざけては・・・いるかな・・・」

風子「野点の雰囲気を壊すようなモノ作って・・・!」

信代「野点なんて名前だけじゃん、中身は茶店なんだから」

風子「同じでしょ!小学生の出し物じゃないんだよ!?」

信代「知ってるよ。でも、遊び心も必要でしょ」

風子「遊び心なんて調子のいい言葉使ってるだけ!」

夏香「風子!」

風子「どうしてこんな事するの・・・?」

信代「昨日今日の作業で思い知ったからね、楽しめない学園祭になるって」

風子「・・・楽しもうと努力してないだけでしょ」

信代「考えた結果がこれだって」

風子「楽しいのはそっちだけでしょ」

信代「承諾は貰っている。むぎ、純、姫子に話は通してあるよ」

風子「・・・なんだ」

英子「・・・」

風子「なんだ・・・バカをしていたのは私の方だったんだ・・・」

夏香「・・・」

風子「1人だけ知らないで・・・」

未知子「私も知らなかったよ」

風子「止めなかった・・・」

未知子「唯さんたちが楽しそうに描くから、こういうのもいいかなって思った」

風子「もういい・・・」

姫子「・・・風子?」

風子「どうでもいいよ・・・。・・・真面目に・・・約束を守ろうとして」

夏香「ッ!」

英子「・・・っ」

風子「たった1人・・・生真面目に・・・準備して・・・でもズレた所で頑張って・・・」

いちご「・・・1人?」

風子「輪から外れていたでしょ・・・。一目でわかる状況だったでしょ・・・」

信代「この部屋で一緒に作業してたじゃん」

風子「そんな輪の概念なんていらないよ・・・」スッ

姫子「どこ行くの?」

風子「やることないから帰るんだよ」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 21:01:18.64 ID:8Tvag5feo

冬「ま・・・っ・・・まって・・・ください・・・」

風子「ごめんね、疲れちゃったから・・・」

冬「だっ・・・ダメです・・・」

風子「休みたいの」

冬「・・・ダメです」

風子「・・・」フゥ

冬「・・・」

風子「もう、いいの・・・」

冬「嘘です」

風子「嘘・・・?」

冬「もういいなんて思っていないですよ。
  私・・・嘘には詳しいんです。嘘は・・・良くないんですよ・・・心が壊れちゃいます」

風子「・・・」

冬「今、この場所から離れるときっと後悔します」

風子「それは私が決めるよ」

冬「私は後悔しました」

風子「・・・」

冬「夏に・・・辛い思いをさせました・・・」

風子「・・・」

冬「風子さんが居ないこの場所は・・・私が辛いです」

風子「・・・っ」

冬「置いていかないでください・・・」

『世界中で自分ひとり取り残されたような気になっちゃって』

風子「!」

冬「・・・」

風子「・・・」

冬「・・・」

紬「・・・」

和「むぎ・・・」

紬「・・・」クイックィッ

姫子「さいごの・・・」

紬「・・・」クィックィッ

いちご「・・・?」

風子「・・・」

梓「『ティータイムにご招待します』・・・です」

紬「・・・」ニコ
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 22:36:15.25 ID:X/+3t77SO
キャラが多いって、大変だね
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 17:59:01.75 ID:b7GssNeko

律「戻らないのかよ?」

虎徹「みゃ」

律「別にいいけど・・・」

澪「エリも一緒にいればいいのにな」

唯「蛇の目でお迎えうっれしいな〜♪」

虎徹「みゃ〜」

律「あの絵は傑作だな」ウシシ

澪「真面目にやってる人は怒るぞ絶対」

唯「ぴっちぴっちじゃぶじゃぶ」シュッシュッ

律「はいはい。左を制するものは世界を制すね。はいはい」

澪「・・・」フリフリ

虎徹「・・・みゃっ」シュッ

律「おぉ、するどいジャブですね。将来に期待が持てます」

ガチャ

梓「なにをしているんですか・・・」

澪「戻ったか」

虎徹「・・・」ピョン

スィー

梓「エリ先輩の所へ戻るんだね、偉い偉い」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 17:59:39.02 ID:b7GssNeko

唯「さぁさ、座っておくんな!」

紬「・・・」グイグイ

風子「・・・っ」

夏香「私たちもいいの・・・?」

英子「・・・」

律「ダメだっ!なんて言わね」

ゴスッ

律「いひゃぃ!」

澪「あ、ごめん」

律「言わねえよ!」

姫子「怒らないでよ」

律「姫子は呼んでねえよ!」

いちご「差し入れ」

唯「サーターアンダギーではないか!」

律「うむ。許可しようじゃないか。はやく座んな!」

澪「おまえは誰だ・・・」

春子「椅子足りないじゃん」

信代「・・・うん」

律「呼んでねえっつの」

春子「聞きたいっつの」

信代「種を撒いたから」

梓「はい、どうぞ」ガチャ

夏「どうぞ」ガチャ

姫子「ありがとう」

信代「準備してくれてるんだ・・・」

梓「最近お客さんが多いので」

夏「手伝いさせるなよ、私もお客さんだろ」

虎徹「みゃ」

梓「それはない」

夏「・・・ま、いいけど」

虎徹「みゃー!」

梓「うるさいっ、エリ先輩のとこへ帰って!」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 18:00:21.40 ID:b7GssNeko

虎徹「みゃ〜」スリスリ

冬「・・・」ナデナデ

虎徹「・・・」チラッ

梓「・・・」フンッ

虎徹「・・・」イラッ

夏「この二人はなにを・・・?」

虎徹「・・・」フンッ

スタスタ

梓「・・・よしよし」

スタスタ

虎徹「・・・みゃ」

ガチャ

梓「ほら、開けてあげるから。バイバーイ」

虎徹「・・・」クルッ

スタスタ

梓「出口はこっちだって」

虎徹「みゃっ」ピョン

風子「・・・」

律(風子の膝に飛び乗った・・・空気読んでるのか・・・?)

虎徹「・・・」ゴロゴロ

夏「梓、早く座って」

梓「・・・」イライラ

スタスタ

梓「・・・」スト

紬「・・・」スッ

コト

梓「ありがとうございます」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 18:01:45.94 ID:b7GssNeko

冬「・・・」

風子「・・・」

夏香「・・・」

英子「・・・」

澪「風子、この写真見て」ペラ

風子「?」

梓「稚内の空です」

澪「日本縦断の列車。始発駅の空だ」

紬「・・・」

テッテッテ

ポロロロン

夏香「?」

英子「なんて言ったの?」

唯「今のは慣らしだよ〜」モグモグ

紬「・・・」ポンポンポロロン

梓「『出発前に撮った一枚』だそうです」

風子「・・・」

紬「・・・」ポンポロポン

律「で、これが仙台の空だな」ペラッ

唯「もぐもぐ」コクリ

澪「北から撮っていったんだ、むぎは」

紬「・・・」ポンポンポロロン

姫子「『きれいでしょ』って」

夏「・・・」

冬「・・・」

律「反応薄いぞむぎ!」

紬「・・・」ガーン
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 18:02:47.47 ID:b7GssNeko

風子「特別な写真だとは思えない・・・」

梓「そうですね。それで、これが厳島神社での空の写真です」ペラッ

風子「・・・」

冬「・・・」

梓「どうですか?」

風子「・・・」

冬「もう少し、夕陽が写って・・・いたら・・・」

夏「うん。もっと綺麗になったかもしれない・・・」

澪「・・・そうだな」

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・」

紬「・・・」ポンポロロポンポン

梓「でも、『私たちはそこに居た』んです」

紬「・・・」ポンポロポポンポロロン

澪「『空の下にいた』」

紬「・・・」ポンポロロポポンポン

律「『特別な空の下じゃないけど』」

紬「・・・」ポンポロロポポンポロロ

唯「『特別な時間の中にいた』」

紬「・・・」

梓「『この空に想いを残せたら素敵ね』・・・むぎせんぱいはこの場所で、そう言ったんです」

風子「っ!」
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 18:03:51.78 ID:b7GssNeko

スタスタ

紬「・・・」スト

梓「だから、私たちは遠い場所にいても、一つの空の下で繋がっているんです」

紬「・・・」トントトントン

梓「ッ!」

澪「そこが、私の『最高の場所』・・・」

紬「・・・」ニコ
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 18:04:18.65 ID:b7GssNeko

律「風子はさ・・・。壁を作っているだけなんだよ」

風子「・・・」

夏香「・・・」

英子「・・・」

律「一度傷ついたらその怖さを知ることになるよな」

冬「・・・」

澪「その怖さは、できれば二度と味わいたくない」

夏「・・・」コクリ

澪「でも、壁のせいで周りの優しさも触れられなくなるんだ」

風子「っ!」

唯「それは寂しい事だよ」

姫子「・・・」

いちご「・・・」

唯「でもでも、ふぅちゃんが嫌だってことじゃないんだよ」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 18:04:56.31 ID:b7GssNeko

風子「・・・私は、昼にみんなの声を聞かないように耳を塞いだ
   今の自分を見ないように目を塞いでいたんだよ」

信代「・・・」

春子「・・・」

風子「そうしないと・・・自分を失いそうで・・・
   なっちゃんとひでこちゃんと別れた時の自分がでてきそうで・・・」

夏香「ふぅちゃん・・・」

英子「・・・っ」

風子「むぎ・・・さんと・・・別れるの・・・っ」

紬「・・・」トントトントン

風子「っ・・・」グスッ

梓「『私も寂しい』・・・です・・・」

虎徹「みゃ・・・」スリスリ

梓「私が言ったんじゃないよ・・・」ナデナデ

虎徹「・・・」バッ

テッテッテ

風子「子どものままじゃいられない・・・っ・・・」

夏香「・・・」

風子「私は一度『別れ』を経験したんだから・・・乗り越えてなきゃダメなの・・・」

英子「・・・」

風子「このままだと私っ」

紬「・・・」

澪「『別れ』を寂しいと感じるのは素敵なことなんだと思う」

唯「一緒に居たいと想える人に出会えるってそうそう無いことだよ」

律「あぁ、そんな『出会い』があった事の証明になっているんだからな」

梓「・・・」
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 18:06:03.07 ID:b7GssNeko

英子「子どもとか大人とか、そんな括りより・・・。風子がどうありたいのか、じゃないかな」

夏香「うん・・・。『ふぅちゃん』、『風子』、『ふぅ』のそれぞれは『高橋風子』なんだから」

風子「っ!」

梓「私の質問に二人とも『どの風子でもいい』と言っていました」

律「質問って?」

紬「・・・」

梓「ふぅ先輩と風子先輩のどっちと一緒に居たいですか・・・です」

澪「そっか・・・」

紬「・・・」コクリ
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 18:06:40.62 ID:b7GssNeko

風子「私・・・怖い・・・『別れ』も、『慣れ』も・・・『忘れてしまうこと』も・・・」

夏香「・・・っ」

英子「・・・」

風子「悲しい思い出を作る事が・・・いやだ・・・っ・・・」グスッ

紬「・・・」

風子「たのしくてっ・・・たいせつなおもいでをくれた・・・ひとだからっ・・・」

紬「・・・」

風子「むぎさんとわかれるの・・・いやだっ」ボロボロ

紬「!」

風子「やだ・・・っ・・・」ボロボロ

梓「ッ!」

夏香「それを言ったらむぎさんが困るでしょ・・・意地悪だよ」

風子「意地悪でいいっ・・・覚えてくれるならそれでっ」ボロボロ

英子「子どもだね、ふぅは」

風子「子どもでいいっ・・・気持ちを出せるのなら・・・っ」ボロボロ

信代「1人で乗り越えようなんて思わないでよ。寂しいのは風子だけじゃないんだから」

風子「っ!」

姫子「うん」

いちご「・・・」コクリ

春子「・・・」

信代「友達でしょ・・・」

風子「・・・うんっ・・・ごめん・・・」グスッ

紬「・・・」

ギュ

風子「・・・?」グスッ

紬「・・・」スラスラ

風子「つ・・・な・・・が・・・って・・・る・・・?」

紬「・・・」コクリ

風子「・・・っ」グスッ

紬「・・・」スッ
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 18:07:44.60 ID:b7GssNeko


そして、むぎせんぱいは一枚の写真を指す

それは、私たち全員が列車の横で旅を終えたむぎせんぱいを囲む一枚

旅で出会った人、唯先輩、律先輩、澪先輩、私

蒼い夏の空の下、みんなで映った写真

中心にいるむぎせんぱいを、みんなが見ている構図

私とむぎせんぱいだけが

まっすぐカメラをみている構図

『最高の一枚』

109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 18:12:08.49 ID:b7GssNeko


風子「どうしてみんなむぎさんを見てるの?」

律「シャッター押す寸前に変なこと言ったんだよ、むぎが」

紬「・・・」エヘヘ

風子「梓ちゃん・・・しっかりむぎさんの腕にしがみついてるね」

梓「そうですけど、問題があるんですか?」

風子「ないよ・・・」

梓「じゃあいいじゃないですか」

風子「私たちにはないよ。2年生たちに見せたらどうなるのかなぁ」

梓「問題ありますよ!ダメですっ!」

風子「分かった。・・・みてみて、冬ちゃん」

梓「やめてくださいっ!」

冬「わぁ〜・・・立派な列車ですね」

風子「そこじゃないよ、中心の二人を見て」

梓「だから、強調しないでくださいよっ!」

冬「綺麗な人ですね・・・」

風子「むぎさんと梓ちゃんを見て欲しいな」

冬「あ・・・あずさ・・・ったら・・・」

梓「・・・」

澪「ほら、仙台の七夕祭りの写真」ペラッ

梓「澪先輩!?」

風子「むぎさんの両腕に花だね」

冬「・・・」

律「中学生に対抗して梓がしがみついてんのな」

紬「・・・」ポッ

唯「きゅるるるりん!」

梓「・・・くっ」

夏「あっはっは!」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 18:13:13.15 ID:b7GssNeko

姫子「雨降って地固まる・・・かな」

いちご「・・・うん。よかった」

信代「・・・ふぅ」

春子「結構、荒治療だったな信代」

信代「・・・うん」

夏香「ありがとう」

英子「本当に、ありがとう」

信代「時には急ぎ過ぎて失うこともあるよ・・・仕方ない・・・」

律「・・・」

信代「風子の笑顔に助けられていたから・・・なんて・・・ね」

姫子「・・・へぇ」

信代「今の無しで」

唯「聞いちゃったよ・・・」ジーン
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 18:13:39.74 ID:b7GssNeko

梓「あれ・・・虎徹は・・・?」

澪「さっき出て行ったけど?」

梓「・・・そうですか」

夏「どうして虎徹がここにいたんですか?」

澪「エリが連れてきたようだったな・・・」

梓「よく分からないヤツですね」フッ

虎徹「・・・」ジー

梓「なんでいるの・・・」

虎徹「・・・」フンッ

梓「その反応はなに!?」

エリ「あはは、仲いいよねやっぱり」

アカネ「うん」

唯「あれ、みんなどうしたの?」

三花「コテッチャンに連れて来られたの」

澪「・・・?」

エリ「さっきもね、まっすぐここに走ってきたんだよ・・・虎徹は」

澪「・・・どうして・・・?」

姫子「むぎを呼びに来た・・・?」

律「すげえ!」

純「いや・・・梓を呼びにきのでは・・・?」

虎徹「にゃ〜」スリスリ

紬「・・・」ナデナデナデナデ

虎徹「・・・」ゴロゴロゴロゴロ

梓「・・・」

虎徹「・・・」ピョン

梓「・・・」

虎徹「・・・」モゾモゾ

梓「・・・」

虎徹「」ウトウト

梓「なにしにきたの・・・」

虎徹「」スヤスヤ

梓「意味が分からない・・・」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 18:15:29.64 ID:b7GssNeko

いちご「もう準備は終わったの?」

ますみ「うん・・・大丈夫・・・」

律「あ、私らなんにもしてないなー・・・」

愛「いいですよ。出来ることをしただけですから」

和「えぇ、完成度125%よ」

「「「 そんなにっ!? 」」」

美冬「和さんが、『現在の20%引いておいたらいいのよ』って」

ちか「なるほど、それは名案だね」

憂「おかげで余裕をもって明日を迎えられますね」

曜子「ここがけいおん部・・・」キョロキョロ

「私も初めて入った・・・」

「・・・うん」キョロキョロ

澪「なんだか・・・自分の部屋に友達を招いたかのような気分だな・・・」ソワソワ

律「掃除しておいてよかったぜー」

澪「律はしてないだろっ!」

唯「おぉ、響子ちゃんにキミ子ちゃんウェルカムだよ!」

響子「・・・歓迎してくれるの・・・?」

キミ子「・・・」

律「なんだ・・・ゾロゾロと・・・」

潮「前夜祭しよーぞ!」

律「いーいぞ!」

冬「やったぞ!」

純「・・・え」

夏「頑張ったんだから引かないであげて純!」

姫子「みんなテンション上がってきたね・・・」

春菜「楽しいねー。春子さんのところでやった鍋の時も楽しかったよね」

圭子「うん」

いちご「・・・なにをするの?」

唯「なにしよっか!」

未知子「・・・鍋」ボソッ

律「誰だ鍋って言ったのぉー!」

多恵「・・・」

律「名案だー!!」

さわ子「1時間後に施錠よ」

唯「みんな急いで!」

澪「いや、無理だから」

紬「・・・」ニコニコ
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 18:16:32.43 ID:b7GssNeko

風子「むぎさん」

紬「?」

風子「ありがとう」

紬「・・・」ニコ

梓「・・・」

114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 18:25:09.30 ID:b7GssNeko

―――――夜・梓の部屋


結局、前夜祭という事で騒いだ

あの人数で

あの部屋を埋め尽くして


冬とふぅ先輩がはしゃいでいるのを

夏と姫子先輩が見守っていた

その光景をとっても嬉しそうに

むぎせんぱいが眺めていた


胸が苦しかった

この部屋を埋め尽くすほどの人を繋いだのはむぎせんぱいだから

その人が

この場所から居なくなるという事実が

胸を締め付けた


時間が過ぎても

さわ子先生はなにも言わなかった

唯先輩が無茶を言っても

和先輩は止めなかった

憂がそれに加わって

純も調子に乗って

律先輩の勢いが増してしまった

澪先輩がそれを困った風にしながら笑っていた



いよいよ明日

学園祭が始まる

115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/14(水) 09:14:03.44 ID:E1XWakbEo
終わりが見えてきたな
ムギの声はなんとかならんものか
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:32:37.48 ID:IXB7RD5ro

9月26日


今日の担当表を見る限りむぎせんぱいとの店番は無し

ことごとく期待が外れる 望むと裏切られる そんなジレンマ

くじだから文句も言えず 純が悪いわけではないんだけど 誰かに文句を言いたくなる

律先輩と一緒なのが救いかな

憂はいちご先輩と中心になって調理をする事になっている

和先輩は前回の学園祭同様 案内兼見回り

クラスメイトも唯先輩を通して楽しんでくれた

進んで動いてくれた人たちもいたから作業が思いのほか楽だった 困っていた澪先輩には悪いけど

今日もいい陽射しでよかった 絶好の学園祭日和だ

117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:33:10.89 ID:IXB7RD5ro



一生の思い出を作ろうなんて、大げさかもしれないけど



梓「頑張ろうっ」グッ

虎徹「みゃーー!!!」

ダダダダッ

梓「はぁ・・・なんで今日もいるの・・・」

虎徹「みゃみゃっ」ササッ

梓「どうしたの?」

虎徹「・・・」ブルブル

「バウバウッ!」

梓「っ!」ビクッ

虎徹「・・・」ガクガク

「バウバウバウッ」

梓「な、なにこの犬・・・」ビクビク

犬「バウバウ!」

虎徹「みゃ・・・」ブルブル

梓(なんで学園祭開始早々こんな目に・・・)ブルブル

犬「バウッ!」

梓(なんでこんな目に合わなきゃいけないんだろ・・・)

虎徹「・・・」ガクガク

梓(こんなに怯えさせて・・・。なんか腹が立ってきた・・・)イライラ

犬「バウバウッ!」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:34:06.87 ID:IXB7RD5ro

梓「・・・」ジー

犬「バウッ!?」

梓「・・・」ガサゴソ

犬「バ、バウバウ」

虎徹「・・・みゃ?」

梓「ほら、ドーナツ食べる?」

犬「・・・」スッ

梓「威勢はどうしたの・・・。ほら」

犬「・・・」クンクン

虎徹「・・・」

梓「・・・チョコレートとか入ってないから平気だよね?」

犬「・・・」パクッ

梓「あ・・・しまった・・・全部食べちゃった・・・」

虎徹「みゃ」

梓「甘いもの食べちゃダメでしょ、虎徹の分はないよ」

虎徹「みゃー!」

梓「うるさい」

犬「くぅ〜ん」スリスリ

梓「馴れ合わないから、あっちいって・・・しっしっ」

律エリ「「 ブフッ 」」

梓「あ・・・」

虎徹「みゃ〜」

テッテッテ

エリ「助けてもらってよかったね〜」ナデナデ

律「あははっ、きび団子あげた桃太郎のようだったぞ、梓」

犬「わんっ」

梓「なんですかそれは。この犬はなんですか?」

律「あぁ、飼い主と散歩してたんだよ」

「はぁはぁ、やっと追いついた・・・。もぅ、バニーちゃんったら」

梓「犬ですよ!?」

「よく言われます」ニコニコ
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:35:13.27 ID:IXB7RD5ro

バニー「くぅ〜ん」スリスリ

梓「懐かないで・・・」

エリ「私に抱えられていた虎徹が飛び降りた先がバニーちゃんの背中だったの」

虎徹「みゃっ」

律「ビックリして、追い掛け回したってわけだ」

梓「・・・」ジー

虎徹「みゃ〜」

「ごめんなさいね、校庭走り回っちゃって〜」

梓「いえ、こいつ。じゃない、虎徹が悪いんですから」

虎徹「・・・」

「ほら、行くわよバニーちゃん。それでは頑張ってくださいね」

律「ありがと」

エリ「ばいばーい」

バニー「わんっ」

虎徹「・・・」ファー

梓「呑気にあくびなんかして・・・」イライラ

律「昨日に続いて預かってきたのかよ?」

エリ「うん。千客万来招き猫ですから」

虎徹「みゃっ!」

梓「フッ・・・」

虎徹「・・・」イラッ

エリ「さってと、現場へ戻ろうよりっちゃん」

律「そーだな。虎徹の面倒よろしくな梓」

梓「・・・あ、耳鳴りがして聞こえなかったです。私一度教室へ戻りますから」クルッ

エリ「ちゃんと梓ちゃんに付いていくんだよ、虎徹」

虎鉄「みゃー、みゃー」フルフル

梓「こっちだって嫌だよ!」

虎鉄「みゃー!」
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:36:21.62 ID:IXB7RD5ro

梓「ちゃんとエリ先輩に付いて行ってね」

虎鉄「みゃっ」フンッ

梓「腹立つな・・・」

虎鉄「みゃ・・・」

梓「置いていかれてる」プフッ

虎鉄「・・・」ガーン

梓「律せんぱ・・・」

虎鉄「・・・」フッ

梓「・・・」シーン

クスクス

「あの子・・・ネコと会話してる・・・?」

「そんなまさかぁ」

ヤダーカワイイー

梓「・・・っ」ダキッ

虎鉄「みゃっ!?」

ダダダダッ
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:37:07.67 ID:IXB7RD5ro


―――――調理室


唯「どうしたのあずにゃん?」

梓「エリ先輩いますか?」

唯「いないよ〜」

憂「梓ちゃん、虎徹ちゃんと入ったらダメだよ。衛生上の問題だからね」

梓「う、うん」

虎徹「・・・」

唯「どうして一緒なの?」

梓「勝手に付いてくるんですよ」

虎徹「・・・」ファー

唯「そっかぁ・・・」

憂「出店場所には行ってみたの?」

梓「まだ。・・・エリ先輩が現場だと言っていたからこっちだと、てっきり」

唯「それじゃ、お店の状況見てきてくれるかな?」

梓「はい、分かりました」

憂「よろしくね」

潮「憂ちゃーん!」

憂「はーい」

タッタッタ

梓「・・・行こうか」

虎徹「みゃ」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:38:06.74 ID:IXB7RD5ro


―――――茶店


純「お釣です。ありがとうございましたー」

「おいしかったよ。ごちそうさま」

スタスタ

純「なんだろ、嬉しい・・・」ジーン

澪「じゅ、純は手馴れてるな」

純「これくらい、どうってことないですよ」ドン

澪「頼りになる」

純「えへへー、あ、そこのお嬢さんお茶でも・・・梓かよ」

梓「・・・」

澪「虎徹も一緒なのか」

虎徹「・・・」

純「まだ梓の時間じゃないっしょ?冷やかしならけえんなー、なんちゃって」

梓「エリ先輩はいないんですね」キョロキョロ

純「・・・」

虎徹「みゃー」

純「梓と違っていい子だね、キミは」ナデナデ

虎徹「みゃ〜」ゴロゴロ

澪「裏方にまわったんじゃないの?」

梓「いえ、調理室にはいませんでした。・・・むぎせんぱいもいないんですね」

澪「むぎは今、自由時間だからな」

「こんにちは〜」

純「いらっしゃいませー」

「駄菓子も一緒に販売してるんだ?」

純「はい、お茶と一緒に味わってのんびりしていってください」

「おぉ、中々いいセットだな」

「ほんとだー」

純「多恵先輩、二名様入りまーす」

多恵「は、はーい!」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:39:09.75 ID:IXB7RD5ro

梓「どこへ行ったんですか?」

澪「エリは確か・・・」

梓「むぎせんぱいです」

澪「・・・夏と冬のところへ行ったな」

梓「そうですか。・・・行くよ」

虎徹「みゃっ」

スタスタ

純「あの子たちは、なにしに来たんだろう?」

124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:39:39.28 ID:IXB7RD5ro


―――――お化け屋敷


梓「夏は中に入ったの?」

「うん。ついさっきね」

梓「むぎせんぱいも?」

「琴吹先輩?うん、一緒だよ」

梓「夏・・・」ワナワナ

虎徹「・・・」フッ

梓「私も入る」

「ペットとのご同伴はお断りしております」

梓「じゃ、そこで待っててね」

虎徹「・・・」ピョン

梓「ちょっ、危ない」

「置いてかれても困るし、抱きかかえるならオッケーだよ。中で放置しないでね」

虎徹「みゃー」

梓「止むを得まい・・・。夏め・・・」

「一名・・・二名様入りまーす」

梓「すごい・・・雰囲気が出てる・・・」

虎徹「みゃ〜」

「二名様だよね、1人しか確認できないけど」ヒソヒソ

「マジだ・・・受付は誰を確認したんだよぉ・・・」

ガサガサッ

梓「っ!」ビクッ

虎徹「みゃー?」

梓「怖くないよ、別に」

虎徹「みゃーみゃー」

梓「怖くないって」

スタスタ
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:40:52.39 ID:IXB7RD5ro

ガサッ

冬「お憑かれさまですご主人様ぁー」ヌッ

梓「なんだ、冬か」ホッ

冬「あれ、梓・・・?」

虎徹「みゃー」

冬「虎徹ちゃんも・・・どうして・・・?」

梓「話してる場合じゃないの、後でね」

冬「待って」

クィッ

梓「ふぎゅ」

冬「さっき紬先輩と夏も通ったんだけど、夏ってば梓と同じリアクションしたんだよ」

虎徹「・・・!」

梓「まぁ・・・そのメイドさんの格好されてもね・・・」

冬「怖がらせるにはどうすればいいかな?」

梓「クラスメイトに聞いてよ・・・じゃ」

クィッ

梓「ほふっ」

冬「もうそろそろ姫子先輩と風子先輩が来るから驚かせたいの!」

梓「・・・」

虎徹「・・・!」ピョン

梓「あ、こら」

虎徹「フカーッ!!」

冬梓「「 え・・・ 」」

虎徹「フーッ!!」

梓「虎徹!」
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:42:23.40 ID:IXB7RD5ro

「ちょっとぉ・・・やだぁ、ネコの威嚇の声が聞こえるぅ」ブルブル

「怖がりだなぁ弘子は」

弘子「ほんとに聞こえたんだよ、ゆう君には聞こえなかったの?」

ゆう「いや・・・全然」ハハッ

「ちょっとちょっとっ!立ち話しないでよ」ヒソヒソ

冬「あ、ごめんね」

「冬ちゃんは隠れてっ、お客さんは進んでっ」ヒソヒソ

梓「う、うんっ」ダキッ

虎徹「フーッ!」

スタスタ

梓(毛が逆立ってて痛いっ)

虎徹「フカーッ!」

梓「どうしたの一体・・・?」

ガタッ

「右足の骨を・・・ちょうだい・・・」

虎徹「みゃっ!?」

梓「あ、治まった・・・」

「それで歩けるの・・・」

虎徹「みゃみゃ」ブルブル

梓「・・・」

スィー

「ネコの声がしたような・・・まぁいいや」スッ
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:43:13.88 ID:IXB7RD5ro

梓「・・・ふぅ」

ピョン

虎徹「・・・」フゥ

梓「何もなかったような顔して・・・」

虎徹「みゃー!」

テッテッテ

風子「あれ、虎徹ちゃん・・・どうして?」ナデナデ

虎徹「みゃ〜」ゴロゴロ

姫子「梓と一緒にいたんだ・・・」

梓「付いてくるんですよ」

風子「仲がいい事は悪いことじゃないんだよ?」

梓「むぎせんぱいがいない」キョロキョロ

風子「無視しないでっ」

虎徹「みゃー!」

姫子「中に入ったの?」

梓「はい。あ、冬って、遊園地の案を取り入れたんですね。あれは良かったですよ」

風子「ネタバレ禁止っ」ギュッ

姫子「・・・」

梓「虎徹、もう一回入ったらいいよ」

虎徹「みゃー?」

梓「癪に障る反応だなぁ・・・」

風子「さぁ、入ろうよ姫ちゃん」

姫子「うん。それじゃね」フリフリ

梓「はい、それでは後ほど」

虎徹「みゃ〜」

梓「あ、調理室に行かなきゃ」
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:44:10.07 ID:IXB7RD5ro


―――――調理室


ちか「梓ちゃんどうしたのー?」

いちご「どうしたの?」

梓「出店の状況を伝えに来たんですが・・・。唯先輩は・・・?」

ちか「行き違いになったんだね、出店の方へ行ったよ」

梓「そうですか。報告遅れましたが、少しずつ入ってますよ」

虎徹「みゃー」

いちご「少し多めに見繕ったけど、甘かったかな」

美冬「うん。唯さんの報告待ちだったけど、ペース上げておこうか」

いちご「うん」

ちか「よぉーし!」

潮「あちょー!」

ちか「私たち、2週間の歴史をみせてヤルネ!」

潮「・・・は?」

ちか「・・・ひどいよそれ」

梓「叩き落としましたね・・・」

ちか「ほんとだよ、あちょーとか言うから中国のノリだと思ったのにぃ」

ガラガラガラッ

三花「お湯をくださーい!」

潮「まかせるよろし!」

シュボッ

ちか「今沸騰させてるアルネ!」

三花「・・・は?」

潮「さっきから、ちかが変なんだよね・・・」

ちか「・・・」

さわ子「チャイナ服あるわよ?」キラリ

ちか「着るアルヨー!」

美冬「自棄になった・・・」

梓「行こうか・・・」

虎徹「・・・・・・みゃ」

スタスタ
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:45:14.02 ID:IXB7RD5ro


梓「むぎせんぱいはどこへ・・・」キョロキョロ

虎徹「・・・」

スタスタ

唯「あずにゃーん!」

信代「おーい」

梓「あ・・・」

虎徹「・・・」

唯「座んなお嬢さん」ポンポン

梓「はい、お邪魔します」

信代「虎徹はこっちね」

虎徹「・・・」スト

唯「あずにゃんたち少し話題になってるよ」

梓「え・・・?」

唯「ネコと歩いている和服の子って」

梓「・・・」

虎徹「」ウトウト

信代「野点班の報告だから間違いないよ」

唯「宣伝してくれてるんだね!」

梓「無駄に歩いてるからですね・・・」ハァ

虎徹「」スヤスヤ

梓「唯先輩の報告待ちでしたけど、ペース上げるそうです」

唯「あ・・・」

信代「順番が変わっただけだから、結果良し」

梓「・・・ここでなにをしているんですか?」

唯「ういが焼きそばを―」

梓「焼きそばといえば・・・むぎせんぱいはどこですかね?」

信代(話を遮ってまで・・・)

唯「んー・・・。今は着替えてるのかな?」

梓「あ、そうか・・・。出店に立つ時間ですね」

憂「お待たせ〜」

律「たこ焼きも買ってきたぜー。少し早いけど昼飯だな」

梓「虎徹のご飯がありませんよ?」

律「エリから預かってるぞ」

虎徹「」スヤスヤ

梓「寝てるから後でいいですね・・・」

憂「・・・」ニコニコ
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:45:50.87 ID:IXB7RD5ro

唯「ん!うまい!」テレッテレー

律「うめえ!」

信代「もぐもぐ」

「私もお邪魔していいかな?」

唯「おぉ、よしみちゃん、ウェルカム!」

姫子「私も」

信代「お化け屋敷どうだった?」

よしみ「2年生の?」

姫子「うん。面白かったよ」

梓「感想間違えてますよ」

虎徹「みゃ・・・?」

律「はい、梓」スッ

梓「どうもです・・・」カチッ

カパッ

虎徹「みゃ〜♪」ムシャムシャ

憂「・・・」ニコニコ

よしみ「感想間違えたの?」

姫子「風子と一緒だったからかな・・・怖いなんて感想持てないよ」

唯信代梓憂「「「「 あぁー 」」」」

よしみ「風子さんと一緒なら楽しいんだね・・・。頼んでみよう」

憂「あ、私も行きたいです」

唯「わたしも〜」モグモグ

姫子「お化け役の人かわいそう・・・」

信代「興味を引き立てられるね・・・」

夏「楽しそうですね、みなさん」

梓「むぎせんぱいは?」

夏「着替えに行ったよ」

唯「さっき、そう言ったよ〜」

梓「そうでした・・・」

律「・・・」モグモグ

憂「夏ちゃんも座って」

夏「お邪魔〜」
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:47:46.20 ID:IXB7RD5ro

梓「お化け屋敷どうだった?」

夏「へ!?」ビクッ

姫子「怖いみたいよ、よしみ」

よしみ「期待しちゃう・・・」

梓「遊園地と一緒で付いてくる影あったよね」

夏「・・・?」

律「私と勘違いしたっていうアレかぁ」モグモグ

梓「・・・姫子先輩?」

姫子「いや・・・無かったよ。梓が言うから注意してみてたけど」

梓「虎徹が威嚇していたんですけど・・・」

よしみ「絶対に行こう!」キラン

信代「あ、潮も誘ってあげて。シブったら今の話を聞かせてね」

よしみ「うん」ワクワク

夏「・・・」ブルブル

虎徹「・・・みゃ」

梓「食べ終わった?もうないよ」

虎徹「・・・」ゴロゴロ

「唯さん、さわ子先生の番号知ってるよね?」

唯「うん」

「ケータイ貸してくれるかな」

唯「ごめんね、今持ってないんだよ〜。りっちゃん持ってる?」

律「いや・・・。置いてきたな」

姫子「携帯しないの?」

律「店番するからさ、一応礼儀かと思って」

信代「見直した!」

律「見直された!」
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:48:27.82 ID:IXB7RD5ro

憂「どうしたんですか?」

「買出し頼んだんだけど、一つ書き忘れたメモを渡しちゃった」オロオロ

律「落ち着けよ、ちづる」

ちづる「その材料扱っている店が近くにひとつしかなくて・・・
    いつも利用している店とは逆方向になるの」オロオロ

憂「あ・・・。時間のロスになりますね」

姫子「出店に影響出るかも・・・」

律「いつ渡したんだ?」

ちづる「ほんのさっき・・・」

信代「もう出たのかな?だとしたら運転中になるから・・・」

夏「よし、行ってきます!」ガタッ

律「どこへ?」

夏「車が出る場所は一つですよ!」ダッ

タッタッタ

律「梓はあっちだ、さわちゃん車が通る場所」スッ

梓「なんで私なんですかっ!」ダッ

タッタッタ

虎徹「みゃっ!」

テッテッテ

律「ケータイ取ってくる」ガタッ

タッタッタ

唯「事件だね!」ワクワク

憂「沖縄の料理は材料の代理が難しいから・・・」
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:49:11.58 ID:IXB7RD5ro


―――――校門


梓「あっ!さわ子先生ー!」

ブォォオオオオオ

梓「あー・・・」

虎徹「みゃー・・・」

タッタッタ

夏「梓ー!そのタクシーに乗って!」

梓「う、うん!」サッ

虎徹「みゃっ」ササッ

「ちょっとお客さーん、ペットの」

バタン

夏「前の車追ってください!」

「事件かい?任せな」キラン

ブォォオオ

梓「赤い車です!」

「アレだな、追跡するんなら距離を取るべきだぜ?」キラン

夏「並んでください!」

「ここ一斜線だぜ?」キラン

梓「うーん・・・」

虎徹「・・・」ファ

梓「眠たいのならどうしてきたの・・・」

夏「あの車を止めたいんです、運転手さん!」

運「まかせなっ!」

グルッ

梓「にゃっ」

虎徹「みゃっ」

夏「おっと」
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:49:56.67 ID:IXB7RD5ro

運「近道だぜ」キラン

夏「運転手さんノリノリですね」

運「客が望む場所へ運ぶのが俺の仕事さぁ」キラン

夏「じゃあ、ピカリウタ展望台まで」

運「そこは北海道だねぇ」

梓「減速した・・・」

運「すまないねぇ・・・俺にも家族がいてなぁ・・・何日も娘の顔をみないと・・・」

夏「冗談ですよぉ」

運「冗談かい、人が悪いぜお嬢ちゃん」キラン

グルッ

梓「にゃっ」

虎徹「みゃみゃっ」

夏「あっはっは!」

運「ふぅ・・・どうだい?」キラン

夏「どうだいって、見失ってるじゃないですか」

運「後ろをみてみな」キラン

梓「あっ!さわ子せんせー」フリフリ

虎徹「みゃー」

夏「あ、車寄せましたね」

運「こっちも寄せるぜ」キラン

ガチャ

梓「お金どうするの?」

夏「さわ子先生に立て替えてもらおう」

運「いらねえよ」キラン

夏「そこまでかっこつけなくてもいいですよ」

運「メーター回してないんだよ・・・忘れてた・・・」

梓「お邪魔しましたー」

虎徹「みゃー」ピョン

夏「おじさん最高だったよ!」グッ

運「はは・・・」

夏「待っててくださいね」

タッタッタ
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:50:29.98 ID:IXB7RD5ro

梓「・・・」

夏「どうした?」

梓「電話中・・・」

夏「車寄せて・・・取ればいいんだよね・・・」

梓「うん・・・。運転中だからといって無視する必要も無いって事ね・・・」

虎徹「みゃ・・・」

梓(私たちに気付いて寄せたんじゃないんだ・・・)

ウィーン

さわ子「どうしてここにいるのよ?」

梓「すいませんが、タクシー代を立て替えてもらえませんか?」

さわ子「タクシー?」

夏「あのタクシーで来ました」

さわ子「待っててね。ゴメン、今忙しくなったから、また後で」ガサゴソ

梓「あ、切らなくても」

さわ子「? これで払って。あと領収書もね」

夏「はい」

テッテッテ

さわ子「今日学園祭だって言ったでしょ?」

梓(学校からじゃないんだ・・・)

さわ子「じゃあね」

プツッ

さわ子「それで、どうしたのよ?」

梓「えぇと・・・材料の書き忘れがあったので。追いかけてきました」

さわ子「分かったわ。何を書き忘れたの?」

梓「・・・」

虎徹「みゃ?」

夏「・・・?」

梓「なにを買えばいいの?」

夏「知らない・・・」

さわ子「・・・」
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:51:01.69 ID:IXB7RD5ro

pipipipipipi

プツッ

さわ子「・・・はい」

『やっと繋がった・・・。さわちゃん、材料追加だ』

さわ子「助かるわ」

『ん?』

さわ子「目の前に二人、いえ三人が棒立ちしてるのよ」

『なんだそれ』

さわ子「さぁ、何しにきたのかしらね・・・」

夏「・・・」

梓「・・・」

虎徹「・・・」

さわ子「乗りなさい、行くわよ」
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:51:45.05 ID:IXB7RD5ro

ブォォオオオオ

さわ子「さっきの電話クリスティーナだったのよ」

夏「インターナショナルなんですね」

梓「キャサリンは元気ですか?」

さわ子「えぇ、元気でやってるわ」

虎徹「」スヤスヤ

夏「梓も知り合いなんだ・・・。バンドつながりですか?」

さわ子「えぇ、けいおん部は知ってるわね」

梓「クリスティーナさんはいい人だった」

さわ子「『は』って、どういう事かしら?」

夏「?」

梓「到着しましたね」

さわ子「・・・」

虎徹「みゃ?」

梓「そのまま寝ててよ」ハァ

虎徹「・・・〜!」ノビノビ

キキッ

ガチャ

さわ子「車で待ってる?」

夏「降ります!」

ガチャ

さわ子「その格好で恥ずかしくないの?」

夏「私は平気〜」

梓「夏が平気なら私も平気です」

さわ子「格好はいいとしても、猫はダメよねぇ」

虎徹「・・・」

夏「さっさと買って帰りましょう」

さわ子「そうね、梓ちゃん少しだけ待っててね」

梓「・・・・・・はい」

虎徹「みゃー」
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:52:18.39 ID:IXB7RD5ro

梓「・・・」

虎徹「・・・」

梓「・・・」

アノフタリカワイイー

「なにかのイベントかな?」

「桜が丘高校で学園祭があるんだよ」

「あぁ・・・」

梓「1人は恥ずかしい」

虎徹「・・・」フッ

梓「なんで付いて来たの、虎徹がいるから入れないんだけど」

虎徹「・・・」クァ

梓「こういう話は聞かないんだよね・・・」

虎徹「・・・」

梓「今日話してないなぁ・・・」

虎徹「・・・みゃ?」

梓「朝は準備でバタバタしていて、今は誰かさんの子守しなきゃいけなくて」

虎徹「みゃー?」

梓「こっちの台詞でいいんだよ・・・」

虎徹「・・・」フンッ

梓「はぁ・・・」

虎徹「・・・」

梓(みんな・・・楽しめているのかな・・・)

虎徹「みゃー」

梓「同じ空の下で・・・むぎせんぱいは、楽しんでいるのかな・・・」

虎徹「みゃー!」

梓「うるさいなぁ」

「・・・」ジー

梓「あ、あれ?」

虎徹「みゃ〜」スリスリ

「や・・・」ビクッ

虎徹「」ピシッ

梓(初めて味わったリアクションなんだろうか・・・)プクク
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:53:13.68 ID:IXB7RD5ro

「ねこ・・・こわい・・・」ギュ

梓「え、と・・・だいじょうぶだよ、人畜無害だから」

「・・・?」

梓(分かるわけないか・・・何言ってんだろ・・・私)

虎徹「」ピキーン

「・・・」ギュウ

梓「えと・・・。お母さんは?」

「・・・」

梓(反応が無いからどう接したらいいのか・・・分からない・・・)

「・・・」

梓(唯先輩なら・・・)ガサゴソ

「・・・」

梓「ドーナツ食べる・・・?」

「どーなつ?」

梓「おいしいよ」

「しらないひとからもらったらめっ・・・」

梓(・・・どうしよう)

虎徹「」ピキーン

梓「役に立たない愛玩動物・・・」

虎徹「・・・」ムカッ

「・・・」

梓(困ったなぁ・・・)

虎徹「みゃっ」ダッ

テッテッテ

梓「あっ、虎徹!」

「・・・」ギュウ

梓(この子放って置けないし・・・どうしよう・・・)

テッテッテ

虎徹「みゃ」ポロッ

梓「・・・」ホッ

「・・・?」

梓「ネコじゃらしと言ってね。こうやってフリフリすると」フリフリ

虎徹「・・・」シュッ

「・・・」
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:54:08.66 ID:IXB7RD5ro

梓「遊んで欲しいって。やってみて」

「・・・うん」フリフリ

虎徹「・・・」

梓「えぇー、なにそれー・・・」

「・・・ふふ」フリフリ

梓「?」

「これおもしろーい」フリフリ

梓「あ、うん・・・」

虎徹「・・・」ウズウズ

梓(難しい・・・。何歳なんだろう・・・)

「・・・あはは、だめー」フリフリ

虎徹「・・・」シュッシュッ

梓「おなまえなんていうの?」

「いつきよ・・・あっ」

虎徹「・・・」カミカミ

梓「つかまらないように、フリフリしてみて」

いつき「うん。えいっ」フリフリ

虎徹「・・・」シュッシュ

梓「いつきちゃんはいくつなのかな?」

いつき「みっつ」フリフリ

梓(数えで4歳かな・・・)

虎徹「・・・!」バシッ

いつき「ねこちゃんこわくない」

梓「うん。わるいねこじゃないよ」

いつき「わるいねこ・・・?」

梓「あ、えっと・・・。いいねこってことだよ」

いつき「?」

梓(難しいな・・・)

虎徹「みゃー」

梓「あ・・・、おかあさんは?」

いつき「・・・」

梓「ふぅ・・・。迷子センターに連れて行ったほうがいいのかな・・・」

虎徹「みゃー!」

梓「・・・いっしょにおかあさんをさがそうか」

いつき「・・・うん」
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:54:48.33 ID:IXB7RD5ro

梓「これ、たべる?」

いつき「うん・・・」

梓「どうぞ」

いつき「・・・ありがとぅ」パクッ

梓「さて、どうしたものか」

虎徹「・・・」

いつき「もぐもぐ」

さわ子「はぁ・・・しょうがないわねぇ・・・」

梓「いつの間に・・・」

夏「先に荷物載せちゃいますね」

さわ子「よろしく」

いつき「っ!」ビクッ

梓「こわくないよ」

いつき「・・・ほんと?」

梓「・・・・・・うん」

いつき「や・・・」ギュウ

さわ子「梓ちゃん、1人でなんとかできるのね?時間無いけどできるのよね?」

梓「こわくないよー。ほら、虎徹もなついているひとだから」

虎徹「みゃ、みゃ〜・・・」スリスリ

さわ子「嫌々やってるじゃないの・・・」

いつき「・・・」ササッ

梓「虎徹!ちゃんとやってよ!」

虎徹「みゃー!」

梓「はやく学校に戻りたいのに!」

虎徹「みゃみゃー!」

ザワザワ

さわ子「人が集まってきたわよ」

梓「・・・」

虎徹「・・・」

いつき「・・・」ジー

梓「じんちくむがいのひとなんだよー」

夏「なんかもう、テンパって思考回路ショートしてますよ」
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:55:25.17 ID:IXB7RD5ro

さわ子「お店の人連れてくるわ」

虎徹「みゃっ」

いつき「うん・・・」

さわ子「あら?」

夏「分かったんだ・・・」

梓「どうしましょう」

いつき「・・・」

ギュウ

さわ子「梓ちゃん、肩車しなさい」

梓「・・・」

さわ子「高いところから探せば親を見つけられるわ」

夏「なるほどー。親も見つけてくれるかもしれませんね」

虎徹「・・・」

梓「さわ子先生の方が高いじゃないですか」

さわ子「梓ちゃんに懐いているんだから・・・」

梓「は、はい。分かりました」スッ

いつき「・・・?」

さわ子「よいしょ」クイッ

いつき「わわ・・・」

梓「よーいしょっと」

夏「どう?」

いつき「・・・あ」

「いつきっ!」

夏「はやっ」
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 18:56:09.93 ID:IXB7RD5ro


ブォォオオオ


夏「裏門で待ってるそうです」

さわ子「どうして裏門なのよ?」

虎徹「」スヤスヤ

夏「調理室と近いからじゃないですか?」

梓「忙しいのかな・・・」

さわ子「夕方までは車出せないから、次の買出しは荒井先生に頼んでね」

夏「はい」

梓「あ、ふぅ先輩です」

さわ子「・・・」

キキッ

ガチャ

風子「おつかれさま」

梓「忙しいんですか?」

千雨「とってもね!夏走って!」

夏「う、うん!」

タッタッタ

梓「私もっ!」

風子「あ、待って!」

梓「は、はい?」

風子「虎徹ちゃんと一緒だから調理室はNG」

梓「・・・」

虎徹「・・・」クシクシ

梓「出店の方へ行ってきます」

風子「うん、お願いね〜」

テッテッテ

梓「・・・行くよ」

虎徹「みゃっ」

144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 19:35:51.10 ID:IXB7RD5ro

―――――茶店


春子「むぎ?調理室に行ったよ」

梓「やっぱり・・・」ガッカリ

虎徹「・・・」ピョン

エリ「そこで大人しくしててね」

虎徹「みゃ」

梓「・・・」ジー

虎徹「・・・」モゾモゾ

梓(福を招いてこないよね・・・)

虎徹「」ウトウト

梓「・・・はぁ」

虎徹「」スヤスヤ

夏香「梓ちゃん、これ4番椅子へ運んでくれるかな」

梓「は、はい!」

ワイワイガヤガヤ

梓(お客さん増えてる・・・みんな頑張ってるのに、私だけ遊んでたみたい・・・)

テクテク

「あ、キタキタ」

梓「お、おまたせしました」

カチャ

「へぇ・・・本格的だ・・・」

「チンビンだって、面白い名だね」

梓「こちらのジャスミン茶とお召し上がりください」

「うん、ありがと〜」

「では、さっそく」パクッ

梓「失礼します」ペコリ

「んっ?」

「どう?」

「濃い味・・・」

「お茶と食べてって言ってたよ」

「うん」ゴクゴク

「どれどれ」パクッ

「あ、なんか合うね。爽やかぁ」

梓(ちょっと嬉しいかも・・・)

夏香「ありがと」

梓「いえ、私は律先輩と露店の方へ行ってきます」

夏香「うん。頑張ろうねー」

梓「はい!」
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 19:36:51.15 ID:IXB7RD5ro


律「お、来たか・・・。わりぃなまだ時間じゃないのに」

梓「律先輩もですよ」

律「私は屋台班だからいいけど、梓は違うだろー?」

梓「いいですよ、これくらい」

「水あめくださーい」

梓「ひとつでいいの?」

「うんー。はいおかねー」

梓「はい、ありがとう。きをつけてね、おとさないでよ?」

「だいじょーぶ。ありがとー」

テッテッテ

梓(いつきちゃんに比べて楽だった・・・)

律「成長したなぁ」シクシク

梓「なんですかそれは」

虎徹「」スヤスヤ

「これください」

律「いらっしゃいませー」

「休憩所ってどこかな?」

律「あー、この店の裏になるんですけどー、蛇の絵が描かれた傘がありますんで」

「? 分かった、ありがとう」

律「ありがとうございましたー」

梓「野点班の隣に休憩所を設置するなんて、さすが和先輩ですよね」

律「あぁ、店の機能と休憩所の空気が混じって商売繁盛だ」ウシシ
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 19:37:37.38 ID:IXB7RD5ro

――・・・


虎徹「」スヤスヤ

由記「梓、交代しよ」

梓「まだ時間じゃないよ?」

由記「そうだけど、梓は早めに入ったでしょ?」

律「そうだな、こっちは落ち着いてきたから茶店の方加勢してやってくれ」

梓「は、はい」

虎徹「」ピクピク

梓「それでは」

スタスタ

「これなんですか?」

由記「サーターアンダギーと言う、沖縄のお菓子なんです」

「へぇ・・・」

由記「・・・」

律「材料はドーナツと同じなんですけど、独特の味がしておいしいですよ!」

「そうか、それなら一つ頂戴」

律「ありがとございまーす!」

由記「・・・」ゴソゴソ

「沖縄のお菓子か・・・」

律「このお店の裏側に休憩所もありますよ」

由記「はい、どうぞ」スッ

「休憩所行ね、情報ありがと」

スタスタ

由記「り、律先輩、ありがとうございました」

律「ん?」

由記「言葉が詰まってしまって・・・」

律「慣れだ、慣れ!」

由記「ふふ・・・」

律「千客万来のネコだな、虎徹は・・・あれ?」

由記「いないですね・・・」
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 19:42:49.57 ID:IXB7RD5ro


「見てみて」ヒソヒソ

「あ、ほんとだ〜」

「ちゃんと後をつけてる、かわいい〜」

梓「?」

虎徹「?」

夏「いや、あなたたち二人を指しているのかと」

梓「・・・二人?」

虎徹「みゃ?」

梓「あっちの机の下でじっとしててよ。蹴られるよ?」

虎徹「みゃっ」

テッテッテ

夏「これ、どこに持っていけばいいかな?」

梓「虎徹が居る机の上にお願い。今取りに行こうと思っていたところだった、ありがとう」

夏「いえいえ。もうちょっとペース上げたほうがいい?」

梓「えーと・・・」

アカネ「そうだね、そう伝えておいてくれるかな」

夏「ラジャッ」ビシッ

テッテッテ

澪「次、これ持っていくな」

未知子「お願いねー」

美冬「未知子はこれ。3番椅子ね」

未知子「うん」

澪「お、おまたせしましたー」

「お、ありがとう」

「おねーちゃん、ありがとー」

澪「ふふっ、ゆっくりしていってね」

「うん!」

未知子「よいしょよいしょ」

スタスタ

梓「未知子先輩、茶店衣装似合いますね」

多恵「うん・・・。いいなぁ」

梓「多恵先輩も似合ってますよ」

多恵「あ、ありがと」テレッ
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:42:31.91 ID:IXB7RD5ro

憂「梓ちゃん、紬さんの居場所知ってるかな?」

梓「教えて欲しいくらいだけど」

憂「そっかぁ・・・」

梓「・・・エリ先輩は調理室?」

憂「うん。しばらくは虎徹ちゃんよろしくねって」

梓「・・・はぁ〜」

テッテッテ

虎徹「みゃ?」

梓「呼んでないって」

さわ子「あ、梓ちゃん、ここにいたのね」

梓「な、なんですか」

さわ子「構えないでよね」

梓「・・・」

さわ子「校門にお客さんが帰るから、見送ってあげて」

梓「お客さん?」

さわ子「ひ・み・つ☆」ウィンク

虎徹「・・・」

さわ子「なによ」

虎徹「みゃ・・・」

憂「あ・・・!」

さわ子「憂ちゃん」

憂「は、はい」クスクス

梓「?」
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:43:24.29 ID:IXB7RD5ro


―――――校門


梓「わざわざ見送れって・・・どういう事だろう・・・」

虎徹「・・・みゃ」

姫子「梓・・・?」

梓「あ、姫ちゃん先輩」

姫子「・・・どこへ行くの?」

梓「すぐそこまでです。誰かを見送れと」

姫子「見送れ?」

虎徹「みゃっ?」

スッ

梓「みゃっ!」

「ふふ、だーれだ?」

梓「だ、だれですか!目隠しする人なんていないはず!」アセアセ

姫子「・・・誰?」

虎徹「みゃ?」

和「よく知っている人よ、梓」

梓「和先輩?」

「私が誰か当ててね」

梓「・・・?」

姫子「???」

和「そうね、姫子も分からないでしょうから、ヒントをあげるわ」

「和さん、ダメ」

梓「え・・・その声・・・」

「久しぶりね、と言っても・・・1ヶ月とちょっとだけど」
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:45:13.44 ID:IXB7RD5ro

梓「さとみさん!?」

さとみ「あたり〜」

梓「・・・ど、どっどど!?」

和「姫子、夏の旅で出会った、千歳さとみさん」

さとみ「はじめまして、さとみです」

姫子「立花姫子です・・・」

虎徹「みゃ?」

さとみ「かわいい〜」ダキッ

虎徹「みゃっ!」

さとみ「梓ちゃんの後ろをちゃんと付いて来ていたわ〜」スリスリ

虎徹「みゃぁ〜」ジタバタ

梓「どうしてここに!?」

和「学園祭を遊びに来たらしいわ」

梓「知りませんでしたよ!?」

和「私たちも知らなかったわ」

さとみ「朝一で来たのよ〜」スリスリ

虎徹「みゃみゃー!」

姫子「・・・」

さとみ「さわちゃんに高校繋がりで誘ってもらってね」

和「そうだったのね」

さとみ「澪さん、律さん、唯ちゃん、憂ちゃん、純ちゃん、みんなに会えたわ」

梓「い、いつの間に・・・!」

さとみ「むぎさんとずっと一緒にいたの」スリスリ

梓「・・・」

さとみ「全然変わらないのね。なんだか、嬉しくなっちゃった」

梓「・・・」

さとみ「?」

梓「私は変わってしまうところでした」

さとみ「・・・」

梓「いえ、失うところでした」

さとみ「・・・そう」

梓「むぎせんぱいが隣に居てくれたから、自分を失わずにすみました」

さとみ「うん」

梓「・・・」

さとみ「そろそろ帰らなくちゃ」

梓「明日の演奏見ていきませんか?」

さとみ「・・・」

梓「私たちの・・・」

姫子「・・・」

和「・・・」
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:45:44.81 ID:IXB7RD5ro

さとみ「やめとくわ」

梓「・・・」

さとみ「一つの区切りになるのよね?」

梓「はい」

さとみ「私の中の区切りは、あの旅の中にあったから」

梓「・・・」

さとみ「あなたたちの区切りを、大切にしてください」

梓「はい」

和「・・・」

姫子「・・・」

さとみ「・・・なんて」

梓「ずっとむぎせんぱいと一緒に?」

さとみ「そうよ。楽しかったわ〜。夏ちゃんとお化け屋敷に行って、
    冬ちゃんとプラネタリウムに行って、和さんと写真展へ行って
    ちゃんとサーターアンダギーも食べて」

梓「学園祭満喫ですか!」

さとみ「うん!」キラキラ

梓「ぐっ・・・」

和「来てくれてありがとう。楽しかったわ」

さとみ「うん。とっても楽しかった」

和「むぎも、楽しそうだった」

さとみ「そう言ってくれると、とっても嬉しいわ」

和「また、どこかで会いましょう」

さとみ「えぇ、きっとね」

梓「・・・」

さとみ「梓ちゃん」

梓「『別れ』は『終わり』じゃないですよね」

さとみ「そうね」

梓「また、です!」

さとみ「えぇ、またね」

姫子「・・・」

さとみ「さようなら、姫ちゃん」

姫子「ちょっ!」

梓「さとみさん、虎徹を置いていってください」

虎徹「みゃー・・・」グッタリ

さとみ「うふふ」
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:46:15.84 ID:IXB7RD5ro


姫子「変な人」

梓「ブフッ」

和「ふふっそうねっ」

姫子「・・・不思議な人」

梓「はい」

和「えぇ、・・・素直に表現して、素直に受け止めて。あの子は変わったわ」

姫子「・・・」

梓「ひょっとして・・・星奈さんと緑さんも来ているんですか?」ワクワク

和「来てないわよ」

梓「そう・・・ですか・・・」ガッカリ

姫子「私も、その夏を過ごしたかったな」

冬「夏とですか・・・?」

虎徹「みゃ〜」スリスリ

姫子「夏は関係ないよ」

梓「ややこしい・・・」

和「私は見回りを続けるわね」

姫子「うん。頑張ってね」

和「えぇ、ありがと」

スタスタ

冬「いい子いい子〜」ナデナデ

虎徹「みゃ〜」ゴロゴロ

姫子「冬は休憩?」

冬「はい。1時間くらい自由時間を貰いました」

梓「ふーん・・・」

姫子「むぎと一緒に行ったプラネタリウムはどうだった?」

冬「綺麗でしたよ〜。低予算の仕掛けなんだそうですけど、手間をかけて創りあげていました。
  制作者の熱意と情熱と気持ちが詰まっていたような気がします」

梓「ふーん・・・」

姫子「今いい事言ってたよ?」

虎徹「・・・」フンッ

梓「・・・」

冬「さて、っと。どこに行こうかな」ルンルン

姫子「うちのお店に来た?」

冬「まだなんですよ」

梓「それじゃ、行こうか」

虎徹「みゃ〜」
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:46:45.46 ID:IXB7RD5ro


澪「あ、帰ってきた」

梓「?」

冬「こんにちは〜」

未知子「あ、冬ちゃん」

律「一杯やってくかい?」クィッ

澪「 や め ろ 」

律「なんだよ、お茶を一杯どうですか?って意味だぞー」

姫子「代わろうか、澪」

澪「うん、お願い」

律「梓も自由にしてていいぞー」

梓「私なんにもやってませんよ?」

純「どっちかって言うと、歩いてて欲しいんだよね。宣伝としてさ」

梓「・・・」

虎徹「・・・」クシクシ

律「梓のその和服の衣装がこの店の宣伝になっててさ〜」

梓「そうですか・・・」

アカネ「律さん、交代しようか」

律「マジ?サンキュー」

澪「一緒に見て回ろうよ、梓」

梓「は、はい!」

冬「付いて行っていいかな?」

梓「う、うん・・・。食べていかないの?」

冬「後でまた来るから大丈夫」

虎徹「・・・」クシクシ
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:47:20.88 ID:IXB7RD5ro

梓「・・・どこへ行くか決まっているんですか?」

律「どうなんですか?」

澪「私が決めてもいいのか・・・?」

冬「クマの着ぐるみで風船配ってましたねー。まるで遊園地ですね〜」

虎徹「みゃみゃ」

澪「確か、一年生のクラスでぬいぐるみ展示をやっていたな・・・」

律「え・・・」

澪「あ、梓行きたい?」

梓「特には・・・」

澪「冬は?」

冬「行きたいです!」

澪「じゃあ行こうか」

律「・・・」
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:47:52.99 ID:IXB7RD5ro

律「あ、見てくれ」

澪「んー?」

律「オカルト研―」

澪「冬、ぬいぐるみ展示会場が見えてきたぞ」

冬「はい、ファンシーですね」

梓「・・・」

虎徹「・・・」

梓「虎徹、人が多いから歩きにくいでしょ?」

虎徹「みゃ、みゃ・・・」

梓「ふぅ・・・ほら、おいで」

虎徹「・・・」

梓「歩きにくいんでしょ?」

虎徹「みゃ〜」

梓「素直じゃないなぁ」

律(仲良かったんだな・・・)

虎徹「みゃっ」ピョン

律「おっと」

梓「・・・」

虎徹「・・・」ゴロゴロ

律「なんでこっちに来るんだよ」

虎徹「みゃー」

梓「まったく・・・あ、唯先輩です」

唯「うぉー」モフモフ

澪「・・・」

冬「大きいクマのぬいぐるみですね」

憂「お姉ちゃんったら・・・」

唯「もふもふしてるよ、澪ちゃん!」モフモフ

澪「・・・う、うん」ゴクリ

律「なにしてんだよ」

虎徹「みゃ?」

唯「もふもふしてたんだよ。はい、冬ちゃん。抱っこしてみて」

冬「はい」モフモフ

澪「・・・」ジー

冬「もふもふしてまふー」モフモフ

憂「ふ、冬ちゃん、次私に・・・」

冬「はぁ〜・・・夢心地でしたぁ・・・。はい、憂」

憂「・・・」モフモフ

澪「・・・」ゴクリ
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:48:38.41 ID:IXB7RD5ro

憂「もふもふしてまふね」ウットリ

唯「でしょー?」

梓「律先輩、虎徹預かります」

律「ん?あぁ・・・」

梓「よいしょ」

虎徹「みゃ?」

憂「ふふ〜」モフモフ

冬「気に入ったみたいですよ」

澪「う、憂ちゃん・・・」

梓「憂、律先輩に渡して」

憂「はぁ〜・・・。はい、どうぞ」

律「なんで私が・・・うぉおー、もふもふしとふ」

澪「・・・」ウズウズ

梓「虎徹の負けだね」

虎徹「みゃー!」

唯「りっちゃん、そろそろ返還しなよ!」

澪「私はまだだぞ」

冬「わ、私ももう一度」

憂「あ、私も!」

律「ん〜、あと少しもふもふさせてくれまふぇんか」モフモフ

虎徹「みゃー!」

梓「暴れないで」

ザワザワ

「あ、あのー先輩方・・・」

梓「どうしたの?」

「いえ、そのぉー」

律「はぁ・・・このぬいぐるみいいな」

冬「わぁ〜」モフモフ

澪「ふ、冬・・・!」ウズウズ

唯「この蟹のぬいぐるみは普通だね」

憂「そうだね・・・」

ザワザワ

梓「うわ・・・注目を集めてる・・・」

「はい・・・そうなんです」
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:49:11.42 ID:IXB7RD5ro

和「この人だかりはあなたたちなのね・・・」

虎徹「みゃっ」

冬「和先輩もどうぞっ」

和「え・・・?」

澪「あっ・・・」

唯「もふもふしてみるといいよ」

律(和のリアクションが見られるのか・・・ナイスだ、冬)グッ

冬「・・・」グッ

憂「もふもふーって」

和「もふもふ」モフモフ

澪「・・・」ゴクリ

梓「・・・」ゴクリ

虎徹「・・・」

和「・・・っ」

唯「和ちゃんの顔が綻んだよっ!」

律「マジだ!」

澪「和まで!?」

冬「すごい威力ですね、このぬいぐるみ」

憂「は、初めてみた・・・っ!」

虎徹「」サラサラサラ

梓「ぬいぐるみには勝てないよ。うん、しょうがない」

「あ、あのぉー・・・」

158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:49:58.72 ID:IXB7RD5ro

唯「うい、先に戻ってるからね」

憂「うん。また後でね」

唯「あいよ〜」

テッテッテ

澪「私まだ・・・抱っこしてなかったのに・・・」ションボリ

律「まぁまぁ、次はどこ行こうか」

澪「はぁー・・・」

梓「虎徹をどうぞ」

虎徹「・・・」シーン

澪「あ、うん・・・」

冬「虎徹ちゃんはどうして元気が無いの?」

梓「ぬいぐるみに負けて傷心気味なんだって」プクク

憂「気持ちが分かるんだ・・・」

澪「うん・・・回復してきたぞ」

虎徹「みゃ!?」

梓「正気に戻った・・・」

虎徹「みゃっ」ピョン

澪「あ・・・」

シュタッ

虎徹「みゃー!」

梓「うるさい」

律「みおー、プラネタリウム行こうぜー」

澪「ど、どうしたんだ・・・」

律「いや、なんとなくだ」

澪「星に興味をもったのかと思った」

冬「プラネタリウムよかったですよ〜」

梓「さとみさんと行ったんだってね」

冬「うん。いい人だったよ」

憂「私も一緒に見たんだよ」

梓「むぎせんぱいも一緒にね・・・」フッ

律「わざわざ来てくれたんだよな。むぎと一緒に店に来た時はビックリしたぜ」

澪「うん。ビックリだ」

梓「私、見送りしかしてませんよぉ」ガックリ

律「まぁまぁ、・・・澪、行こうぜ」

澪「うん。それじゃ後でね」

梓「はい」

虎徹「・・・」クシクシ
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:50:34.18 ID:IXB7RD5ro

夏「おーい、冬ねぇ〜」

純「梓〜」

タッタッタ

冬「夏・・・」

憂「二人ともどうしたの?」

梓「むぎせんぱいは?」

夏「自由時間だからどっか見て周ろうよ。紬先輩はどこいるか分からないな」

純「私もフリータイムだからさ、一緒に見て周ろうよ。紬先輩は分からないね」

梓「・・・」ハァ

虎徹「・・・」クシクシ
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:51:30.30 ID:IXB7RD5ro


冬「烏賊焼きおいしいね〜」モグモグ

虎徹「みゃー」

冬「だ〜め」

虎徹「・・・」

冬「はい、夏・・・全部食べて」

夏「1人で食べきれないなら買わないでよ」モグモグ

純「とうもろこしもおいしい」モグモグ

憂「縁日みたいだよね」

梓「虎徹、虎徹・・・」

虎徹「?」

梓「とうもろこしあげる。一粒」

虎徹「・・・」スィー

梓「無視されたっ」

憂「さっきのお店の衣装可愛かったね〜」

冬「うん、あれもさわ子先生がデザインしたんだよね」

梓「そういうところの頑張りは変に凄いからなぁ・・・」

夏「ふーん・・・。梓の和服衣装も?」

梓「うん」

純「けいおん部と数名しか着てないよね」

梓「そうなの?」

憂「うん。あとは茶店衣装だよ。多恵さんとかアカネさんとか」

梓「そういえば、そうだった・・・気がつかなかった・・・」

憂「私も明日着る予定だよ」

冬「夏は?」

夏「私も明日。今日は茶店衣装」

冬「いいなぁ・・・」

梓「明日手が空いてたら手伝えばいいんじゃない?」

冬「いいの!?」

梓「姫ちゃん先輩に承諾を得ればいいだけだから」

夏「そんじゃ承諾済みって事だ」

憂「そうだね」ニコニコ

冬「やった」

純「そんじゃ私も明日着せてもらおうー」
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:51:58.39 ID:IXB7RD5ro

虎徹「みゃっ」

テッテッテ

夏「あ、コテッツ!」

梓「誰か見つけたんでしょ」

冬「信頼関係厚いよね」

梓「これは信頼じゃないよ」

純「・・・」

憂「あ、いちごさん」

虎徹「みゃ〜」スリスリ

いちご「・・・」ナデナデ

夏「どちらへ行かれるのですか?」

いちご「・・・あっち」

梓「一緒ですね」

憂「行きましょう」

いちご「・・・うん」

冬「ねぇ、夏」

夏「私にはいちご先輩がどこを指したのか分からないよ」

冬「そう・・・だよね・・・」

純「・・・うちの出店かな」
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:53:24.58 ID:IXB7RD5ro


「あ、いちごさんいらっしゃーい」

いちご「二つちょうだい」

「ありがと〜」

夏「わたあめじゃん」

純「分かるわけないじゃん!」

冬「もふもふ・・・わたあめ・・・」

梓「それはもういいから」

虎徹「・・・」クシクシ

憂「・・・縁日みたいだよね」

いちご「・・・縁日?」

憂「いえいえ、なんでも」

いちご「? ・・・誰か食べる?」

憂「あ・・・」

冬「お腹一杯です。ありがとうございます」

夏「私も」

純「気持ちだけで」

梓「・・・はい」

虎徹「・・・」クシクシ

いちご「・・・そう」

姫子「どうしたの?」

いちご「どうしたのその格好」

姫子「着替えてきたんだよ、似合う?」

冬「はい!」キラキラ

夏「おぉー・・・和服女将」

姫子「ッ!」ビシッ

夏「いつっ」

純「にあいますね」

梓「はい」

姫子「別にいいけど・・・。どうして二つ持ってるの?」

いちご「誰か食べるかなと・・・思って」

憂「・・・頂いていいですか?」

いちご「・・・うん」

憂「ありがとうございます」

いちご「無理しなくていい。私が食べたかったからついでに買っただけ」

梓「憂、ちょっとちょうだい」ヒョイ

憂「うん」

夏「あたしも」ヒョイ

純「いただきまーす」ヒョイ
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:56:02.41 ID:IXB7RD5ro

冬「・・・」モグモグ

姫子「冬はどうしてガッカリしてるの?」

冬「ガッカリしてませんよ」

夏「もふもふしてると思ったんじゃないですか」

冬「思ってないよ。わたあめくらい食べた事あるよ」

夏「知ってるよ」

姫子「?」

梓「大した話じゃないです。むぎせんぱいどこにいるか知りませんか?」

姫子「プラネタリウム見に行くって言ってたよ」

冬「さっき行きましたよ?」

姫子「いや、二回目だね。もう一度行くって」

梓「そんな・・・」

憂「さっき、律さんと澪さんが行った時だよね・・・梓ちゃん」

梓「こんなのばっかり・・・」

虎徹「・・・」クシクシ

梓「あ・・・!」

いちご「姫」グイッ

姫子「おっと・・・?」

「あっ、すいません!角にぶつけたりしませんでしたか!?」

憂「・・・」

いちご「・・・ぶつかった?」

姫子「ううん。大丈夫」

「すいませんでした!」ペコリ

姫子「当たってないから平気。気にしないで」

「そう言ってくれると・・・。急ぎますのでこれで!」

テッテッテ

夏「荷物にぶつかるところでしたね」

冬「あ、姫ちゃん先輩の草履が」

姫子「あ・・・」

いちご「ごめんね、時間無いから私の履いて出店行って」

姫子「助けてもらったのはこっちだけど・・・いちごはどうするの?」

いちご「その辺に座って、誰かに予備をとって来て貰う」

純「はい!取ってきます!」

いちご「ありがと」

純「いえいえ」

梓「あ、純!隣の休憩所まで持ってきて!」

純「おっけー!」

憂「隣?」

梓「うん。あっちの方が休みやすいと思って」

いちご「・・・うん」
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:56:40.71 ID:IXB7RD5ro

虎徹「・・・」クシクシ

梓「肩に使ってください」

いちご「・・・ありがと」

夏「いえ、梓よりあたしの身長のほうがありますから」ドン

梓「む・・・」

冬「私も同じくらいですから両方から支えますよ」

いちご(困る・・・)

虎徹「みゃー」

テッテッテ

夏「虎徹はなんだって?」

梓「知らない。先に行ってるんじゃない?」

姫子「私が手を貸せばいいんだよね」

憂「・・・」

姫子「どうぞ」スッ

いちご「・・・うん」

憂(手を取り気分はまるで、姫・・・なんちゃって)ポッ
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 20:59:06.11 ID:IXB7RD5ro

いちご「・・・」ピョンピョン

姫子「・・・」

梓「お客さん入ってるね」

夏「ほんとだ・・・」

冬「あ、時間だ!またあとでね!」

テッテッテ

夏「冬ねぇ!走ったらダメだって!・・・まったく」

いちご「・・・」ピョンピョン

姫子「悪いね、私のせいで・・・」

いちご「・・・気にしないで」

憂「・・・」キラキラ

梓「憂・・・?」

律「お、お姫様の手を引く王子様みたいだな」

憂「・・・」ウンウン

梓「どっちもお姫様じゃないですか」

律「姫子の雰囲気が王子様なんだよ」

梓「なんですかそれは」

風子「紳士的な雰囲気だよね、律さん」

律「だろ?」

姫子「・・・」

いちご「姫・・・あっちの椅子まで・・・」

姫子「うん・・・」

夏「あたしの手にも捕まってください」

いちご「ありがと」
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:00:34.54 ID:IXB7RD5ro

律「梓、むぎなら調理室に行ったぞ」

梓「そうですか。行こう憂」

憂「そうだね」

風子「梓ちゃん」

梓「嫌です!」

風子「まだなにも言ってないよ?」

梓「絶対用事を押し付けるんです。知ってます!」

風子「純ちゃんの居場所を・・・」

梓「う・・・」

憂「純ちゃんなら準備室へ行きましたよ」

風子「純ちゃんに澪さんを探してきてほしかったの」

梓「?」

律「まだ澪の自由時間あるんだけどさ、ローテーションが早くなってて調整の為なんだ。
  悪いけど探してきてくれないか?」

虎徹「みゃっ!」

梓「こ、虎徹が行くそうです」

風子「・・・」

律「・・・」

憂「・・・」

虎徹「・・・」

梓「分かりました。探してきます」

律「すまんな」

風子「私も他を探してくるね」

律「自由なのにわりぃ」

風子「いいよ〜」
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:01:27.41 ID:IXB7RD5ro


梓「澪先輩は・・・」キョロキョロ

虎徹「・・・」

梓「・・・はぁ、純に頼めば喜んで行くのに・・・どうしてこういう時にいないの」ブツブツ

虎徹「みゃっ」

テッテッテ

梓「虎徹センサーは便利だなぁ」

タッタッタ

虎徹「みゃ〜」スリスリ

いつき「あ、ねこちゃん!」

梓「あ、あれ?」

いつき「おねえちゃん!」

梓「ど、どうして・・・?」

「梓さん」

梓「ど、どうも」ペコリ

「先ほどはとても助かりました」ペコリ

梓「い、いえ・・・。なにもしていません」

「樹がどうしても遊びに行きたいというので」

梓「そうですか・・・」

いつこ「ね〜こちゃ〜ん」フリフリ

虎徹「みゃみゃっ」シュッ

梓「あ、すいません。私急ぎますのでこれで失礼しま」

ギュウ

いつき「おねえちゃん、いっしょいこ」

梓「ごめんね、いそいでるから・・・またあとでね」

いつき「や・・・」

ギュウ

梓「え・・・と・・・・・・」
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:02:20.71 ID:IXB7RD5ro

「お姉ちゃんを困らせてはダメよ?」

いつき「やぁ・・・!」

ギュウ

虎徹「みゃー」

梓「あ、駄菓子屋のお店があるんですけど、知ってますか?」

「えぇと・・・、パンフレットにある・・・『どんと恋です』ですか?」

梓「は、は・・・ぃ・・・」プシュー

虎徹「・・・」フッ

・・・・・・

・・・

和「店名の候補はありませんか」

律「名前なんて飾りだからちゃっちゃと決めちゃおうぜー」

澪「名前は重要だぞ」

三花「そうだよ」

和「誰か挙手を」

「「 ・・・ 」」

シーン

澪「飾りじゃないのか?」

律「いやー、さすがにポンっと出せないな!」

純「澪先輩が決めていいと思いまーす!」

曜子「そう思います!」

澪「なっ!」

和「ポンっと挙げてみて」

澪「あ、蒼い海」

唯「沖縄かー、行ってみたいねー」

憂「うん」

いちご「・・・常夏の島は?」

春子「なにそれ、候補?」

いちご「・・・」

律「そうやって連想していこうぜ」

夏「頑張ってください澪先輩!」

澪「よ、よし。どんと来いです!」ドン

唯「『来い』を『恋』にするとどうかな?」

和「どんと恋です・・・」カキカキ

ちか「あははっ、書いちゃった」
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:03:29.37 ID:IXB7RD5ro

憂「沖縄のイメージか北海道のイメージを貰いませんか?」

澪「沖縄か・・・『光』と『水』・・・」ポクポクポク

潮「ブルーフェザー」

澪「それだっ!」

律「いやいや、光はどこへ行ったんだよ」

澪「光、すなわち太陽だ」

夏「太陽に向かう羽ですね」

唯「童謡であったよね・・・蝋で固めた鳥の羽・・・」

いちご「不吉・・・」

姫子「」スヤスヤ

和「蒼い羽と・・・」カキカキ

風子「・・・」

梓(いやな予感が・・・)



―――――・・・30分後

和「『蒼い羽』と『どんと恋です』が残りました」

律「おい・・・」

春子「悪ふざけにもほどがある・・・」

潮「だれだ!」ガタッ

唯「私だよっ!」

律「潮もだろっ!」

澪「律もだろっ!」

さわ子「・・・」イライラ

ちか「あ・・・」

和(姫子寝ているのね・・・)キラン

律「の、和・・・。いい加減に決めようぜ」ヒソヒソ

和「分かったわ。それではこの部屋には奇数の人が参加していますので
  左手の挙手は『羽』右手の挙手は『恋』で決めたいと思います」

風子「・・・」

律「おい・・・分かってるだろうな・・・」

梓「・・・」

ちか「・・・」コクリ

潮「・・・」コクリ

澪(あの辺り理解してないな・・・どういう状況なのか・・・)
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:04:26.92 ID:IXB7RD5ro

姫子「」スヤスヤ

和「それでは挙手を」

バッ

和「・・・・・・・・・ぴったり割れました」

春子「おい、そこ・・・どうして右手挙げてるんだよ」

ちか「あはは」

潮「ふふん」

律「どうせ選ばれないだろうと思って冒険したんだよん!」

澪「・・・まったく」ヤレヤレ

風子「姫ちゃん」ツンツン

姫子「ぅ・・・ん・・・?」

風子「黒板に書かれている二つの名を決定する時だよ」

姫子「・・・今は?」ボケボケ

風子「蒼い羽の人挙手」

姫子「はい・・・」ノッソリ

律澪「「 なんでっ!? 」」

さわ子「決定!」

梓「ハァ・・・・・・」

和「・・・」キラン

・・・

・・・・・・

梓「利き手を挙げてしまうのに・・・ふぅ先輩・・・」ハァ

一子「あ、梓ちゃん」

梓「一子先輩に曜子先輩・・・」

曜子「出店の方はどう?」

梓「少し忙しくて・・・澪先輩を探しているんですけど・・・知りませんか?」

曜子「春子さんと未知子さんと一緒に体育館へ・・・ロミジュリを見るって」

一子「私たちが行くから大丈夫なんじゃ・・・?」

梓「ローテーションの調整なんです。少しずつ合わなくなってきましたので」

一子「そっか、分かった」

曜子「それじゃあね」フリフリ

梓「はい、頑張ってください」

一子「はーい!・・・あ、虎徹ちゃん」

タッタッタ

虎徹「みゃー!」

梓「いつきちゃんに捕まっていたはず・・・」
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:05:53.80 ID:IXB7RD5ro


梓「・・・体育館か」

虎徹「・・・」

スタスタ

梓姉「「 あ・・・ 」」

虎徹「みゃ・・・」

梓「お姉さん・・・来ていたんですね」

姉「え?」

梓「来ていたんですね」

姉「誰が?」

梓「あなたが」

姉「そうじゃなくて」

梓「二度はいいませんから」

姉「・・・」

虎徹「みゃー!」

梓「うるさい」

姉「どこの店なのかな?」

梓「パンフレット見れば分かりますよ」

姉「それが、なつ達のクラス分からなくって〜」

梓「この『どんと恋です』です」

姉「あ、ふぅちゃーん」

風子「お姉ちゃん、来てくれたんだ」

梓「・・・」

虎徹「・・・」フッ

風子「虎徹ちゃんが笑ってるけど・・・どうしたの?」

梓「笑ってませんよ、バカにしてるんです。澪先輩見つかりました?」

風子「ううん。まだだよ」

姉「ごめんね、どこだっけ?」

風子「?」

梓「この、『どんと恋です』ってお店」

姉「でこちゃーん!」

英子「あ、お姉さん」

梓「・・・」

虎轍「・・・」フフッ

風子「嘲笑されたよ?」

梓「知ってますよ」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:07:09.85 ID:IXB7RD5ro

英子「うちのお店に来てくれましたか?」

姉「まだなの・・・。あ、ごめんね、どこのお店だっけ?」

梓「ですから、『どんと恋です』という」

姉「このネコは?」

梓「やっぱりわざとだったんですね!」

虎徹「・・・」クァ

姉「かわいいあくび〜」

風子「梓ちゃん、さっきから変な事言ってるよね」

姉「変な事?」

風子「なんだっけ?どんと・・・?」

梓「名前を決定する一押しをしたのふぅ先輩じゃないですか」

英子「・・・」

風子姉「「 それで・・・お店の名前は? 」」

梓「人を探しているのでこれでッ!」ダッ

虎徹「みゃっ」ダッ

タッタッタ

姉風子「「 逃げられたか・・・ 」」

英子「いじわるしないでね・・・」

夏香「あれ・・・姉さん?」
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:07:36.65 ID:IXB7RD5ro


―――――体育館


ザワザワ

「なんだなんだ」

「ケンカらしいぞ」

春子「なに・・・?」

「もう一度言ってやるよ。所詮町内レベルなんだよお前は」

春子「・・・!」ギリッ

澪「許せない・・・!」ムカムカ

未知子「うん・・・春子さんをバカにしてる・・・!」ムカムカ

梓「な、なにがあったんですか?」

澪「あ、梓・・・」

未知子「あの人が春子さんにいちゃもん付けて来るの」

虎徹「・・・」ジー

梓「・・・」

「そっちの道場では全国へ行けなかったからなァ」

「いっひっひ」

春子「おまえら・・・ッ!」

梓「うわ・・・」

澪「春子!」

春子「・・・?」

澪「・・・」

春子「・・・」コクリ

未知子「?」

梓「虎徹、走る準備しててね」

虎徹「みゃー」

「なんならここで白黒つけるかァ?町内No1さんよォ」

「うっしっし」
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:08:11.64 ID:IXB7RD5ro

春子「許さないッ!」

ガシッ

「熱くなりやがってッ!それがお前の弱点なんだよォ!」スッ

春子「知ってるよ」

クイッ

「なにィ!?」

クルッ ドサッ

「ぐふッ」

潮「一本!それまで!」

スゴーイ!

「おぉーっ!」

「かっこいいー!」

パチパチパチ

春子「どう?町内No1に負けた県No1さん」

「ぐッ」

春子「みんな、逃げるよ!」

澪「うんっ!」

未知子「うんっ」

梓「行くよ!」

虎徹「みゃ!」

潮「今の燕返しだよー、覚えて置くようにー!」

タッタッタ

「ちッ」

「はやくずらかろうぜ!」
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:09:38.39 ID:IXB7RD5ro


春子「律を投げた事親父にバレちゃってさぁ・・・怒られたの思い出したよ」アハハ

澪「かっこよかった」キラキラ

未知子「うん・・・!」キラキラ

潮「まったくですな」キラキラ

虎徹「みゃみゃ」キラキラ

春子「あいつさ、私らがのんびり稽古してる事がすっごく嫌だったみたい」

梓「・・・」

春子「でも、上を目指す気持ちは持ってなきゃいけないんだよね・・・」

梓「持っていないんですか?」

春子「うん・・・。昔あいつに負けてから、そういうの完全に折れちゃった」

澪「・・・」

春子「さっきのもあいつが私の事舐めていたから、うまくいっただけなんだ」

未知子「・・・でも、勝った」

虎徹「みゃっ」

春子「はは、そうだなー」

澪「スッキリした」

春子「うん。久しぶりに爽快になった」

梓「難しいですね」

春子「難しいねー」

潮「続けるの?」

春子「・・・」

梓「あ・・・」

いつき「おねーちゃーん!」

澪「えっ!?」

梓「私の妹じゃないですよ」

いつき「おねえちゃん、ねこちゃんがどこかへいっちゃった・・・あれ?」

虎徹「みゃ・・・みゃ〜・・・」スリスリ

梓「気まずいんだよね?」

虎徹「みゃー」フルフル

律「なにやってたんだよ、澪を探すだけだろー?」

梓「校内が広いんですよ」

律「まぁいいや。梓、足りなくなりそうだから、ボーボーとカステラ、せんべいの補充頼む」

梓「はい。行ってきます」

いつき「おねえちゃん・・・」クイッ

梓「いっしょにいく?」

いつき「うん!」

梓「まずはおかあさんのところいこう」

いつき「わかったー」

虎徹「みゃー」
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:10:08.41 ID:IXB7RD5ro

春子「明日のけいおん部の演奏を見てから決めるよ」

潮「・・・そっか」

澪「・・・」

律「・・・?」

春子「ありがとな、律」

タッタッタ

律「・・・」

潮「さて、仕事でもするかぁ」

スタスタ

未知子「・・・」

律「・・・え?」

澪「時間差か・・・」
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:11:30.61 ID:IXB7RD5ro

―――――調理室


未知子「虎徹ちゃんと走り出す準備できてたよね、どうして?」

梓「あっちの負けるオーラが見えましたから」

春子「あははっ」

いつき「・・・」

ギュウ

虎徹「・・・」

つかさ「おつかれー」

まき「おつかれさまー!」

春子「テンション高いな・・・」

未知子梓「「 うわっ! 」」

ちか「どうしたアルか?」

梓「本当に着てる!!」

未知子「どうしたのよー・・・」

ちか「勢いって怖いアルネ!」

梓「ちか先輩、一緒に校内見て歩きませんか?」

ちか「断るネ!」

唯「私と行くヨロシ!」

いつき「・・・よろし・・・?」

唯「誰アルか!」

梓「友達です・・・。その口調やめてください、メイド服じゃないですか」

唯「えへへ」

いつき「・・・」ジー

唯「どしたの〜?」

いつき「おかし・・・ついてる・・・」

唯「おっと、いけねえ」ゴシゴシ

和「またつまみ食いしたのね」

唯「おいしいものがあったら、手を伸ばさずにはいられないのです!」

虎徹「・・・」

エリ「和さんも疲れたんじゃない?」

和「そうね・・・。少し歩きすぎたわ」

エリ「お店で休んでくるといいよ」

和「そうさせてもらうわね」
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:12:11.22 ID:IXB7RD5ro

千雨「おまたせ、梓・・・お願いね」

梓「うん。ありがとう」

唯「そんじゃ行こうよ!」

梓「あ、むぎせんぱいは・・・?」

ちか「さっきまで美冬さんといたんだけど・・・」キョロキョロ

梓「そうですか・・・」

未知子「はい、いつきちゃん。できたてカステラだよ」

いつき「ありがとー」

虎徹「みゃっ」ピョン

いつき「あ、ねこちゃん!」

シュタッ

虎徹「みゃー」

梓(会えない・・・どうして・・・)ハァ
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:12:52.05 ID:IXB7RD5ro


―――――茶店


梓「陽が傾いてきましたね・・・」

和「えぇ・・・。あと、1時間で今日は終わりね」

梓「・・・はい。・・・どうぞ」

コト

和「・・・ありがと」

梓「ゆっくりしていってください・・・」

和「悪いわね、あまり手伝えなかったわ」

梓「・・・」

和「・・・どうしたの?」

梓「いえ・・・なんでもないです・・・」

和「・・・」

いつき「おねえちゃん」

梓「あ・・・」

いつき「わたしかえるからね・・・」

梓「う、うん・・・」

いつき「・・・」

「この子に付き合ってくれて、ありがとうございました」

梓「いえ、楽しかったです」

いつき「たのしかった」

「ほら、あいさつなさい」

いつき「うん・・・。おねえちゃん」

梓「・・・」

いつき「さようなら」

梓「・・・!」

いつき「・・・?」

和「・・・梓」

梓「あ、うん。・・・さようなら、いつきちゃん」

いつき「こてつちゃんもばいばい!」フリフリ

虎徹「みゃー」

「それでは」ペコリ

いつき「さようならー」フリフリ

梓「・・・」フリフリ

和「・・・」
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:13:24.18 ID:IXB7RD5ro

虎徹「みゃー」

梓「?」

虎徹「みゃーみゃー」

梓「どうしたの・・・?」

小田ばぁ「今日一日虎徹のめんどうみてくれてありがとうねぇ」

梓「あ・・・おばあちゃん・・・」

小田ばぁ「駄菓子おいしかったよ」イッヒッヒ

和「色々とご教授いただきまして、ありがとうございました」

小田ばぁ「私が教えたことなんて、些細なことさね」

和「いえ、それなりの評判となりましたので・・・とても助かりました」

小田ばぁ「頑張ったのはあなたたちさね」

梓「・・・」

虎徹「・・・」ジー

梓「・・・なに?」

虎徹「みゃ・・・」

梓「・・・」

小田ばぁ「ただの挨拶さね」

梓「あ、うん・・・。またね」ナデナデ

虎徹「・・・」

梓「?」

虎徹「みゃー」

テッテッテ

虎徹「みゃ〜」スリスリ

小田ばぁ「それじゃ、帰ろうかね・・・」

虎徹「みゃっ」

スタスタ
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:14:38.51 ID:IXB7RD5ro

梓「・・・」

和「寂しい?」

梓「よく分かりません。今日一日一緒にいましたけど・・・」

和「・・・そう」

律「分からないのはもったいねぇぞ」

梓「どうしてですか?」

律「さっき、エリとおばあさんが話してたの聞いたんだけどな」

・・・・・・

・・・

エリ「おばぁちゃん・・・元気でね・・・!」

小田ばぁ「かわいい子だねぇ」ナデナデ

エリ「た、たくさん教えてくれたこと忘れないから・・・ね・・・っ」

小田ばぁ「そうかいそうかい」イッヒッヒ

律「・・・」

エリ「・・・」

小田ばぁ「顔を上げておくれ、小さな別れなんだから」

エリ「・・・っ」

小田ばぁ「これからもたくさんの別れがあるんだから」

エリ「っ!」

小田ばぁ「ちゃんと前を向いて、顔をみせなきゃダメさね」

エリ「う、うん!」

小田ばぁ「それじゃ、元気でねぇ」

エリ「あ、ありがとぉ!」

小田ばぁ「こちらこそ、楽しい思い出をありがとねぇ」

・・・

・・・・・・

律「今日でお店閉めたんだってさ」

梓「・・・」

律「明日から別の街で暮らすんだって、息子さんと一緒に」

和「・・・お店開いてたの?」

律「らしいぜ、梓」

梓「っ!」

タッタッタ
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:15:47.68 ID:IXB7RD5ro

梓「虎徹ッ!」

虎徹「みゃ?」

小田ばぁ「・・・」

梓「この街で過ごす最後の日に・・・来てくれてありがとっ」

虎徹「・・・」

梓「楽しかったよ」

虎徹「みゃっ」

梓「さようなら、おばぁちゃん」

小田ばぁ「はい、さようなら」

梓「さようなら、虎徹」

虎徹「みゃー」

梓「・・・」

虎徹「みゃー」

小田ばぁ「そうかいそうかい」イッヒッヒ

スタスタ

梓「・・・むぎせんぱい」

紬「・・・」

梓「どこへ行ってたんですか・・・」

紬「・・・」

梓「ずっと探していたんですよ?」

紬「・・・」スッ

梓「え・・・?」

紬「・・・」

梓「最初に会った時と同じ顔してますね・・・」

紬「・・・」ニコ

梓「生意気なネコ・・・でした・・・」

紬「・・・」ニコニコ

梓「波長が合わなくて・・・ケンカって言えるんですかね、ずっといがみ合ってて」

紬「・・・」

梓「それなのに・・・っ・・・」

紬「・・・」ナデナデ

梓「さびしい・・・です・・・ねっ」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・」

紬「・・・」

梓「さぁ、残りの一時間頑張りましょう!」

紬「・・・」ニコニコ

梓(残された僅かな時間・・・)
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:16:47.95 ID:IXB7RD5ro

梓「カステラセット二人前お願いします!」

紬「・・・」コクリ

梓(やっと一緒に活動できる!)ウキウキ

「ごちそうさまー」

姫子「ありがとうございました」

律「お、バイトで培った礼儀だな」

姫子「そうみえる?」

律「うん。頼れるぜ」

姫子「役に立ったんなら嬉しいかな」

紬「・・・」スッ

梓「ありがとうございます。行ってきます!」

澪「梓、張り切ってるな・・・。むぎ、せんべいセット3人前お願い」

紬「・・・」キリ

多恵「これ、6番へお願い律さん」

律「おっけー」

紬「・・・」トントン!

律「ん?」

多恵「あ、ごめんなさい!ジャスミン茶じゃなくて紅茶を淹れてしまって!」

律「オッケ。少しくらい待てるぜ」

多恵「すぐ用意するね!」

律「慌てなくていいからなー」

紬「・・・」スッ

澪「ありがと、早いな」

姫子「澪、戻ってくるときに1番椅子の片付けお願い」

澪「うん」

梓「3番空いたよ純」

純「オッケー。こちらへどうぞー」

「おぉ、いい雰囲気だね」

「衣装が二種類あって可愛いよね」

紬「・・・」テレテレ

梓「えへへ」

律「えへへ」

多恵「お待たせ!」

律「さーんきゅっ」
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:18:38.59 ID:IXB7RD5ro

紬「・・・」クイックイッ

梓「4番・・・注文ですね、行ってきます!」

澪「姫子」

姫子「うん。お待たせしました、一番席へどうぞ」

「いちばんってどこー?」

「あっちだよ」

姫子「案内するね」

紬「・・・」ニコニコ

夏「紬先輩、これで調理班最後ですっ」ドサッ

紬「・・・」コクリ

澪「あ20分くらいで終わりのアナウンスが流れるな」

唯「冬ちゃんいらっしゃーい」

冬「おつかれさまでーす」

紬「・・・」コクコク

夏「冬ねぇ、そっちは終ったの?」

冬「うん。校内のお客さんはまばらになってきたから」

梓「むぎ先輩!アンダギーセットを二人前です!」

紬「・・・」キリ

夏「手伝います!」

梓「唯先輩・・・1人だけメイド服で浮いてますよ」

唯「そうかな・・・」

多恵「唯さん、これを4番へお願いします」

唯「あいよっ」

律「冬も店番と勘違いされそうだな・・・。休憩所で待っててくれ」

冬「はい」

姉「冬ちゃん!」

冬「あ、お姉ちゃん」

姉「くぅ・・・」ジーン

梓「今来たんですか」

姉「看板がないから見つけられなくって」

梓「あるじゃないですか、ほら」

姉「目が悪くて読めない・・・」ゴシゴシ

梓(言わせようとしてるなぁ・・・)

紬「・・・」スッ

梓「ありがとうございます。行ってきます!」

姉「逃げられたか・・・」
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:20:03.83 ID:IXB7RD5ro

夏香「姉さん、邪魔だから冬ちゃんと休憩所行ってきて」

姉「はいはい、なつは冷たいですね」

冬「そ、そんなことないですよ。暖かいですよ」

夏香「い、いいから」

紬「・・・」

姫子「むぎ、ポーポーセット3人前よろしく」

紬「・・・」コクリ

澪「私もそっちにまわるよ」

紬「・・・」コクコク

夏「ジャスミンはこれですよね?」

紬「・・・」スッ

夏「おっと、間違えるところだった」

澪「最初は戸惑うよな。ジャスミン、お茶、紅茶。むぎ茶」

紬「・・・」キリ

多恵「むぎさーん、カステラ切って欲しいー」

紬「・・・」コクリ

澪「ポーポーをお皿に載せて」

夏「ジャスミン茶3人分を用意すれば」

律「おっしゃ、持ってくぜー。一番だな」

姫子「よろしく」

梓「今のうちに洗い物片付けます!」

純「うん・・・」

紬「・・・」スィー

梓「等間隔に切るの手馴れてますよね」ジャブジャブ

紬「・・・」ニコ

梓「いつも私たちの分をカットしていましたよね」ジャブジャブ

紬「・・・」コクリ

純(洗い物を片しながらお喋りすればいいのか・・・考えたな、梓)

多恵「ありがとむぎさん」

紬「・・・」ニコニコ

唯「・・・」ヒョイ

澪「あ、こら」

唯「もぐもぐ・・・うまい!」

梓「つまみ食いばっかりじゃないですか」ジャブジャブ

唯「えへへ」

律「唯も作ったのか?」

唯「うん。頑張ったよ〜」

澪「しょうがないな・・・」
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:21:23.81 ID:IXB7RD5ro

紬「〜♪」

梓「唯先輩、このコップを拭いてくれませんか?」

唯「おまかせ!」

律「流れが止んだか・・・」

澪「束の間の休息だな」

紬「・・・」フキフキ

梓「便利な場所を確保できましたよね」ジャブジャブ

唯「そだね〜。お店の隣に水道設備あってラッキーだよ」キュッキュ

律「場所確保したの誰なんだっけ?」フキフキ

澪「さわ子先生・・・?」フキフキ

紬「・・・」

梓「むぎせんぱいですよ。くじで引いて確保できたんです」ジャブジャブ

紬「・・・」キリ

唯律澪「「「 さすがだ(よ) 」」」フキフキ

梓「これで終わりですね。片付くの早いです」

紬「〜♪」フキフキ

律「おしゃべりして仕事してたら怒られるな。バイトだと」ウシシ

唯「仲良く作業したら捗るんだよ」フキフキ

澪「そうだな・・・。よし、こんなもんかな」フキフキ

紬「・・・?」

梓「どうしたんですか?」

紬「・・・」スッ

唯「あ、カステラ余っちゃったね」

律「・・・」

澪「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」スッ

梓「あ・・・」

澪「誰が取るかと思ったら」

律「むぎが取ったか」
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:21:57.51 ID:IXB7RD5ro

唯「食べ過ぎちゃったよ」ゲフ

梓「どれだけつまみぐいしたんですか」

紬「・・・」スッ

梓「え・・・?」

唯「あずにゃん、あーん」

梓「照れますね・・・はむっ」

律「躊躇なかったぞ」

澪「なかったな」

紬「・・・」

梓「おいふぃれす」モグモグ

紬「・・・」ニコ

唯「わたしが作ったんだから当然だす!」

紬「・・・」コクリ

律「いちごと憂ちゃんだろ?」

唯「ほんとだよ、わたしが作ったのよ」

律「ほんとざますか!?」

澪「へぇ・・・。まだ余ってるかな・・・」

梓「腕を上げましたね」

唯「うっへっへ」

律「うわ・・・本当に腕を挙げてるよこの子」

澪「む、むぎ・・・この一斤も切ってくれないか?」

紬「・・・」コクリ

律「余るようにな、私と澪の分でいいんだぞ」ワクワク

紬「・・・」ニコニコ

唯「絶賛ですな」

梓「本当に唯先輩が作ったんですか?」

唯「はい」フフン

紬「・・・♪」スィー
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:23:06.85 ID:IXB7RD5ro


未知子「多恵、せんべいセットお願い」

多恵「はーい」

姫子「・・・」

信代「どうしたの?」

姫子「ううん。なんでもない」

春子(・・・あの五人見てたのか)

風子「・・・」

夏「・・・」

いちご「・・・」

189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:24:26.24 ID:IXB7RD5ro


「ごちそうさまー」

梓「ありがとうございました」

紬「・・・」ペコリ

梓「・・・ふぅ」

紬「・・・」

梓「終わりましたね」

紬「・・・」コクリ

冬「おいしぃ〜」パァァ

風子「・・・」ハァ

夏香「そのため息はなに・・・?」

英子「かわいくて困るんだって」

律「いつまでのんびりしてんだよ、もう閉店だぞ」

風子「貸切バリアー」

シュー

律「そんな口だけのバリアーなんて粉砕してくれる。いけ潮!」

澪「いやな店員だ」

潮「はい、こちらお下げしまーす」スッ

冬「あ・・・」

バシュッ

潮「なっ!弾かれた!」

信代「とりあえず、あの一角だけ放って置こう」

慶子「うん。そうしよう」

唯「今日も頑張ったよ〜」ノビノビ

夏「どうしてメイド服なんですか?浮いていましたよ」

憂「場所が和風なのに・・・」

唯「これも個性だよ」フフン

姫子「あれも個性?中華だけど」

いちご「・・・うん」

ちか「あぁ・・・恥ずかしい・・・」プシュー

美冬「お客さん居ないから平気でしょ?」

ちか「他の生徒からの目線が少し痛いよ・・・」
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:25:30.05 ID:IXB7RD5ro

純「遠くから眺めていましたけど、和服」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・」

純「茶店衣装」

多恵「・・・」

純「メイドの二人」

唯「もぐもぐ」

冬「おいしぃですよぉ〜」

純「チャイナ服」

ちか「・・・」

純「ジャージ」

春子「・・・」

純「男性の衣装」

さわ子「どうしてよ?」

夏「・・・部の出し物です」

純「警察?」

和「・・・」

律「そして、純の制服・・・」

信代「ふっつうだよね」

純「普通って言わないでください」シクシク

律「なんだろうな、この集団・・・」

澪「どんと恋です」

律「だな」

紬「・・・」コクリ

唯「うん」

梓「・・・」

まき「なるほど」

三花「共感したの?」

まき「なんとなく頷いておこうかなって思いました」

とし美「なるほど」
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:26:59.45 ID:IXB7RD5ro

エリ「・・・」

梓「エリ先輩」

エリ「?」

梓「ありがとうございました。いい出会いがありましたよ」

エリ「うん。・・・出会えて良かった」

アキヨ「・・・片づけが始まらない」

さわ子「そうよっ!明日の準備しながら片付けなさい!」パンパンッ

律「ややこしい事言うなよっ」

俊美「右手で片付けて左手で準備」

愛「それだと、延々同じ作業することになるよ」

ますみ「・・・そういう問題じゃないよ」

つかさ「・・・」

姫子「やってみて」

夏「あたしがですか・・・やってみます」

梓「・・・」ハァ

圭子「その溜息は・・・?」

梓「呆れているんです」

夏「えっと、右手で箒。左手で・・・なにをすれば・・・」

姫子「ちり取り・・・が普通だよね・・・」

夏「ですよね」サッサッ

しずか「ちり取りくらい持つよ」

夏「はい、お願いします」

梓「・・・」ヤレヤレ

風子「あっちでむぎさん達楽しそうにゴミ拾ってるよ」

梓「っ!」ダッ

ダダダダッ

紬「?」

風子「あ、あずさちゃーん。まちがえちゃったー」

キミ子「風子さんって悪い人だったんだ・・・」

冬「ち、違いますよ!意地悪なんです!」

風子「・・・」

夏香「ふふっ、間違ってない」

梓「ここに居るじゃないですか!」

紬「・・・」コクリ

唯「ふぅちゃん、いじわるだよ!」ビシッ

風子「そうだよ?」

律「うわっ、この世の理のような反応だ」

響子「意地悪だったんだ」
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:27:34.10 ID:IXB7RD5ro

さわ子「こんなもんね」

和「はい」

美冬「うん。上出来」

澪「今日はこれでおしまい!」

律「あぁ・・・!疲れたけど・・・楽しかったぁ!」

唯「今日は泊り込みで練習だよ!」

さわ子「本気なのね・・・」

紬「・・・!」フンス!

憂「・・・」

純「・・・」

和「・・・」

律「明日の演奏頑張るぞー!」ブンッ

紬「・・・!」ブンッ

澪「おー!」ブンッ

唯「おぉー!」ブンッ

梓「おー」ブン

唯「お?」

律「どうした唯?」

唯「カメラ屋さんだよ」

澪「卒業アルバム用に撮っていたんだな」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・」

唯「さわちゃん、どんと恋ですの集合写真撮ってもらってもいいかな?」

さわ子「いいんじゃない?」

律「唯!交渉してこうぜ!」

唯「はいよっ!」

タッタッタ

澪「そうだな。そういう一枚があってもいいよな」

紬「・・・」キラキラ

梓「ですね」
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:29:15.89 ID:IXB7RD5ro


紬「・・・」チョンチョン

冬「あ、いえ・・・私は部外者ですから・・・写真には写れません・・・」

紬「・・・」フルフル

冬「・・・」

梓「どうしたんですか?」

紬「・・・」

ギュ

冬「・・・!」

梓「唯先輩もメイド服だから、冬がいても違和感ないよ」

紬「・・・」ニコニコ

冬「・・・」

梓「行こう」

カメラ屋「夕陽が隠れちゃうよ〜急いで〜!」

紬「・・・」グイッ

冬「は、はい!」

テッテッテ

梓「由記達は?」

由記「3年生38人とプラスアルファでごちゃごちゃしちゃうから、遠慮しとく」

千雨「うん。梓たちだけどいいと思うよ」

来美「2年生に気を使わなくてもいい」

梓「うん、分かった」

唯「あーずにゃーん!」

梓「は、はい!」

タッタッタ

由記「紬先輩にひどい事言っちゃったね」

千雨「・・・うん」

来美「・・・そうだね」

由記「そこで提案なんだけどさ、明日の演奏時間の間、2年生の私たちだけで店番しよっか」

千雨「うん」

来美「賛成」
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:31:48.10 ID:IXB7RD5ro


梓「あっ!」

純「ふっふっふ、紬先輩の隣はいただいた」

梓「なんてことを・・・!」

純「条件次第では譲ってやらないこともない」フフフ

梓「条件・・・?」

紬「・・・?」

冬「ど、どうして私が真ん中なんですか・・・」オロオロ

風子「まぁまぁ、いいからいいから」

夏「・・・」ススッ

姫子(何気に冬の隣をキープしてる・・・)

いちご「・・・夕陽が沈んだらアウト?」

澪「影に入ったらボツになるだろうな」

慶子「それはもったいない」

信代「うん。アルバムに載せたいね」

春子「こんな状況で急いで撮ると変な写真になるよな」プクク

潮「みんな早く並んでー!」

律「お、指揮するのか」

唯「ふふふ、指揮者は私が適任ですよ」

憂「お姉ちゃんもはやくこっちに!」

英子「バタバタしてきたね」

夏香「表情つくれるのかな・・・」

エリ「それも、アリっちゃアリ」

アカネ「・・・うん。アリ」

三花「てんやわんやの一枚かぁ・・・いいね」

ちか「あはは、いいね!・・・あ、よくない!」

まき「一人チャイナ服・・・」

とし美「それもアリじゃない?」

美冬「うんうん。ありあり」

未知子「・・・」ブイッ

多恵「・・・」

文恵「二人はもう落ち着いてるんだね」

圭子「危ない危ない、忘れられるところだったよ」

しずか「・・・うん。危なかった」

春菜「律さんが呼びに来てくれて助かったね」

つかさ「・・・うん」
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:32:58.78 ID:IXB7RD5ro

愛「クラス写真とは違って面白いね」

俊美「うん。学園祭のページに幅を取って載るんだろうね」

ますみ「・・・それ、いいね」

一子「あんまり活躍できなかったけど、明日頑張るからいいよね」

曜子「・・・」ジー

響子「・・・」グッ

キミ子「親指立てるの?」

よしみ「なるほど、卒業後に受け取るからそれで面白いかも」グッ

ちずる「・・・」グッ

ワイワイ ガヤガヤ

律「アキヨどこに行ってたんだよー」

アキヨ「部の出し物で忙しくて・・・」

律「まぁ、いいですけども」

澪「なんだろ、視線を感じる・・・」

カメラ屋「準備はいいですか〜!」

さわ子「はい」

春子「・・・」

風子「・・・」

信代「・・・」

いちご「・・・」

夏「冬ねぇ、紬先輩にしがみついたら」ヒソヒソ

冬「え・・・」

夏「梓を刺激してみてよ」ヒソヒソ

冬「どうなるの?」

夏「『最高の一枚』になるよ」ヒソヒソ

冬「分かった」

姫子(静観していよう・・・面白そうだし・・・)

純「・・・面白い事を言ってみなさんを笑わせてくださいね」

梓「ぐっ・・・」

憂「純ちゃんったら・・・」

唯「カメラ屋さん!」

紬「・・・」ニコニコ
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:34:36.08 ID:IXB7RD5ro


カメラ屋「それではハイ――」

梓「どんとキタですッ!」

一同「「 ? 」」

冬「紬先輩っ」ダキッ

梓「ッ!?」

紬「・・・」ニコ

カメラ屋「――ズ」


カシャッ

197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:35:39.13 ID:IXB7RD5ro


むぎせんぱいを中心にして

むぎせんぱいだけがまっすぐ見つめる一枚


私は冬を

冬はむぎせんぱいを

他のみなさんは私を見ている構図

それでも

『最高の一枚』




樹ちゃんが知らせてくれた

すぐそこにある別れを

最後の演奏が迫っていることを


虎徹が教えてくれた

その時感じたモノに気づけるように

ちゃんと残せるように

前を向か無きゃいけないことを



放課後ティータイム

最後の演奏

198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:37:25.86 ID:IXB7RD5ro

9月27日


―――――けいおん部


律「そろそろ時間だな・・・」

梓「はい」

紬「・・・」コクリ

澪「・・・」

紬「・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

唯「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・?」

律「アレだな、体育館に行く前になんか、こう・・・」

澪「円陣組む?」

唯「ふぁい!おー!だね」

律「うん。気合を入れようぜ」

梓「・・・」

紬「・・・」スッ

唯「ア・ロ・ハー!だね」

梓「あ、むぎせんぱいの小指を掴みます」

紬「・・・」コクコク

澪「むぎの親指を掴むな」

紬「・・・」コクリ

律「澪の親指を掴むんだな」

唯「あずにゃんの小指とりっちゃんの親指を掴めば!」

紬「・・・」コクリ

梓「繋がりました」

澪「うん」

律「あぁ!」

唯「よぉし!」
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:38:31.17 ID:IXB7RD5ro

紬「・・・」チラッ

梓「?」

澪「梓が何か言うんだ」

梓「ど、どうしてですか」

律「意気込みじゃなくていいよ」

唯「うん。舞台に立つ前に・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」ニコ
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:38:58.54 ID:IXB7RD5ro


あぁ

本当に、終わりがすぐそこなんだ

覚悟を決めて

しっかり前を向こう

201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:40:02.82 ID:IXB7RD5ro

梓「少し、いえ・・・大分時間かかりますがいいですか?」

澪「あぁ」

律「時間はまだ、ある」

唯「うん!」

紬「・・・」

梓「すぅ・・・」

紬「・・・」

梓「・・・はぁ」

紬「・・・」

梓「音楽をやっていて、本当によかったです」

紬「・・・」コクリ

梓「けいおん部に入ることができました
  先輩方と音で繋がることができました
  技術より大切なものを学びました
  なにより

  むぎせんぱいの声を聴くことができました
  
  今までの自分を少し誇りに思います」

紬「・・・」ギュ


むぎせんぱいの小指に力が入った気がした
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:41:49.45 ID:IXB7RD5ro


梓「2年生が率先して、3年生の皆さんのために
  演奏中出店を、私たちが製作した店を守ってくれています
  正直、こんなに熱を持つクラスメイトだと思っていなかったので
  ちょっと感動しちゃいました」

律「・・・」コクリ


律先輩が私の言葉を遮らないように優しく頷いてくれた

203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:42:32.37 ID:IXB7RD5ro


梓「さっき、夏と冬に泣かれました
  『ありがとう』って・・・
  まだ、なにもしていないのに。これからやろうとしているのに
  私の目を見て何かを伝えようとしていました
  この先もずっと、その何かは分からないと思いますけど
  忘れることの出来ない目をしていました」

唯「・・・」


唯先輩が強く優しく綺麗に微笑んでくれた
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:44:05.38 ID:IXB7RD5ro


梓「きっと、これから先、私たちは別々の道を歩む事になると思いますが
  同じ道を歩んでいる『今』を踏みしめて
  刻み付けて、進んでいきたいです」


澪「・・・」


澪先輩の瞳の奥に、とても頼りになる輝きが見えたような気がした

205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:45:03.04 ID:IXB7RD5ro

梓「私、これからむぎせんぱいに、最低なことを聞きます」

紬「?」

梓「寂しくないですか?」

紬「――!」

唯「ッ!」

律「!」

澪「・・・」


鍵盤が遠くにある

右手を塞いでいる

伝える手段が無い

この状況でワタシはヒドイことをシタ

デモ聴カナクテハイケナイヨウナ気ガシタ
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:45:30.66 ID:IXB7RD5ro


紬「・・・」パクパク


言葉を伝えないその口から

言葉がこぼれる

『さびしい』『いきたくない』



ごめんなさい

207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:49:09.34 ID:IXB7RD5ro

梓「私も行ってほしくないです」ホロリ

紬「・・・」

梓「ごめんなさい・・・っ・・・こんな事聞いて・・・ごめんなさいっ」ボロボロ

紬「・・・」ギュウ

唯「まだ手を離しちゃダメだよ」

梓「・・・!」グスッ

律「梓、まだ続きがあるんだろ」

梓「・・・っ」グスッ

澪「これからの時間を、梓の言葉で進めよう」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・はいっ」

紬「・・・」

梓「一生忘れる事のできない『今』をつくりましょうッ!!!!」

紬「・・・」コクリ

律「おっしゃあー!!!」

唯「やるよぉ!!!」

澪「あぁ!」
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:49:36.92 ID:IXB7RD5ro

紬「・・・」

ギュウ

梓「!」


ナンデアンナ言葉ヲ発シタワタシヲ

抱キシメラレルンデスカ

身勝手デスケド

トテモ救われます

ありがとうむぎせんぱい
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 21:58:52.77 ID:IXB7RD5ro


唯先輩がころんで

幕は上がった

おかげでさっきまでの気分が吹き飛んだ


―――――・・・


パチパチパチパチ

唯『みんなーありがとー』

律「・・・ふぅ」

澪「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」フゥ

「いいぞー唯ー!」

唯『えへへ、ありがと〜』

律「・・・」ドドンドジャジャン

唯『どうだったかな?メドレー・・・』

「よかったよー!」

唯『カレーのち恋はボールぺんなんだけど〜』

「曲はよかったけど、そのタイトルおかしいぞー!」

唯『そんな事ないよ!』

ワハハハハ

澪「ゆ、唯!」

唯『へ?』

澪「和が!」

唯『和ちゃん?』

和「時間が押してるのよ!」

唯『あ、そっか・・・では3曲目の曲です!』

律「4曲目だ!」

唯『あれ・・・、えっと・・・ふわふわ、ぴゅあぴゅあ、メドレー、ほんとだ』ウッカリ

アハハハハ

唯『次の曲はね〜、最初に出来上がった曲がボツになって変わりに出来上がった曲なんです』

梓「・・・」ヒヤヒヤ
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:02:54.82 ID:IXB7RD5ro

唯『ボツになった曲がね、ごはんはおかず、だったんだけど〜』

和「ゆい!」

唯『あ、ごめんなさい!では次の曲です。U&I』

タタタタッ

チャーララーラーラーラ

ダンッダンダンダンッ

唯『 キミがいないと何にもできないよ 
   キミのごはんが食べたいよ
   もしキミが帰ってきたら
   とびっきりの笑顔で抱きつくよ

   キミがいないと謝れないよ
   キミの声が聞きたいよ
   キミの笑顔がみれればそれだけでいいんだよ

   キミがそばにいるだけでいつも勇気もらってた
   いつまでも一緒にいたい
   この気持ちを伝えたいよ 

   晴れの日にも雨の日も
   キミはそばにいてくれた
   目を閉じればキミの笑顔輝いてる 』

211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:03:20.28 ID:IXB7RD5ro


律「・・・はは」

憂ちゃんが風邪をひいたときに出来あがった曲なのにな

この状況は

ダブってしまう


律「・・・」

紬「・・・」

212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:04:07.08 ID:IXB7RD5ro

唯『 キミがそばにいることを当たり前に思ってた
   こんな日々がずっとずっと
   続くんだと思ってたよ 』


   ゴメン今は気づいたよ
   当たり前じゃないことに

   まずはキミにつたえなくちゃ
   「ありがとう」 を


律(むぎ――)

   ――ありがとう



唯『 キミの胸に届くかな?今は自信ないけれど
   笑わないでどうか聴いて
   思いを歌に込めたから

   ありったけの「ありがとう」
   歌に乗せて届けたい
   このきもちはずっとずっと忘れないよ 』


   思いよ 届け


ダンダンダンダーンッ
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:05:34.65 ID:IXB7RD5ro

パチパチパチパチ

「ゆいー!」

「ゆいちゃーん!」

紬「・・・」

梓「律先輩・・・」

律「・・・ッ!」

澪「りつ」

律「わ、分かってるよ!」ゴシゴシ

「りつー!!」

「りっちゃーん!」

律「ははっ、応援されちった」グスッ

唯『じゃ、続けて行くよ!
  この曲はむぎちゃんが作成した曲です!では』

紬「・・・」

ポロロロロン

唯『ん?』
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:06:19.92 ID:IXB7RD5ro

紬「・・・」ポン

梓「ド#」

紬「・・・」ポンポン

澪「ラ、レ#」

紬「・・・」ポポンポン

律「レレ、ド#」

紬「・・・」ポンポン

唯『ド、ラ#』

紬「・・・」ポン

律梓唯「「「『 ファ# 』」」」


澪(こんなに・・・)

こんなに綺麗な音は聴いたことがなかった

多分、これからも聞く事は無い

美しくて、素敵な音だ
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:06:58.85 ID:IXB7RD5ro

姫子「『ありがとう』」

冬「・・・」

夏「・・・」

いちご「・・・うん」

春子「こっちも・・・返さないと」

姫子「むぎぃー!!ありがとぉー!!!」

いちご「!!!」

冬夏「「 ありがとーーッ! 」」

春子「ありがとおー!!」

いちご「あ、ありがとお!」
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:07:29.11 ID:IXB7RD5ro

紬「!」

梓「・・・ぁ」

律「・・・はは」

澪「・・・」

唯『・・・』
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:08:01.39 ID:IXB7RD5ro

信代「一斉のーでっ」

潮慶子圭子信代「「「「 ありがとぉー!!! 」」」」

風子「むぎさぁん、ありがとー」ボロボロ

夏香「っ・・・あ、ありがとぉー!」

英子「ありがとー!」

エリアカネ三花「「「 ありがとぉー!! 」」」

まきとし美「「 ありがとー!! 」」
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:09:06.76 ID:IXB7RD5ro




紬「・・・」ホロリ

梓「・・・!」

律「むぎ・・・」

唯『むぎちゃん・・・』

澪「むぎが・・・」


今まで泣かなかったむぎが

梓を支えるために

迷わずに前を見ていた

とっても強かったむぎが

泣いた


219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:09:34.86 ID:IXB7RD5ro



ちか「むぎさぁーん、ありがとー」ボロボロ

美冬「っ・・・ありがとー!」

未知子「ありがとぉー!!」

多恵文恵「「 ありがとぉー!!! 」」」

しずか春菜「「 ありがとー! 」」

220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:10:41.09 ID:IXB7RD5ro



紬「・・・」ボロボロ

梓「っ・・・」

律「・・・ッ」

唯「ぅ・・・」グスッ

澪「・・・」


むぎに届くたくさんの声

一つ一つ胸に染み込ませるように


むぎが届けた一つの声

一つ一つ紡いだむぎの声

みんなに届いた

221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:11:35.97 ID:IXB7RD5ro



つかさ愛俊美ますみ「「「「 ありがとー!! 」」」」

一子曜子「「 ありがとぉー!!! 」」

響子キミ子「「 ありがとー!! 」」

よしみちずる「「 ありがとぉー! 」」

アキヨ「・・・っ」

いちご信代春子「「「「 ありがとう! 」」」

風子夏冬姫子「「「 ありがとぉー!! 」」」


『さわちゃん、いいクラスに恵まれたな〜』

さわ子「えぇ。恵まれたわ」

和「むぎ!」

純「紬先輩ー!」

憂「紬さん!!!」


紬「・・・」ボロボロ

唯「む、むぎちゃん!最後の曲!」

梓「い、行きましょう!」

律「あぁ、最後にでっかいやつ!」

澪「・・・」

紬「・・・」ゴシゴシ

澪「・・・」

紬「・・・」コクリ
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:12:38.74 ID:IXB7RD5ro



まだ不安定な顔に

決意が少しずつ宿る

それはむぎが人を紡いだ証


梓の言葉で律と唯の心が揺れた

むぎの心の声を掬い出した梓

それが引き金となって、むぎが初めて揺れた

私はみんなを支えよう

みんなを繋ぐこの曲をこのベースの音で支えよう

223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:13:09.48 ID:IXB7RD5ro


唯『むぎちゃんが遠く離れて行っちゃうので
  この曲を最後に
  私たち放課後ティータイムは解散します!』


紬「・・・」

梓「・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:14:13.99 ID:IXB7RD5ro


唯『 Utauyo!!MIRACLE 』
  
デンデンデデデデーン デンデンッ


唯『 みんなが大好きっ!!
   延々続行ルララMiracle Sing Time
   歌って 歌って 愛伝える最強手段
   つたない曲でも 微妙な歌詞でも
   届けたい 精一杯のSoulをっ! 』
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:19:59.07 ID:up8nt4w7o
そのとき不思議なことが起こってくれ
声出てくれ
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:31:02.74 ID:IXB7RD5ro

唯『 どうしてもホームワークよりも重要課題
   放課後のお茶 おしゃべり 練習
   ユーモア ナチュラル めくるめく笑い ウケ過ぎてお腹痛い 』



律(手・・・震える・・・)


唯『 呼吸(いき)ぴったしexcellent! でも苦手なリフまだあったの
   特訓つきあってくれる?も少し 門限まで だって帰りたくない
   never never・・・Can't Say Good-bye 』

227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:32:57.25 ID:IXB7RD5ro


唯『 めちゃめちゃ大好きっ!!
   超絶ぞっこん ルララWonderfull Show Time
   音楽って 音楽って もう私たちまんま
   スタンディングオベーション 賞 オーディエンスなしでも
   
   奏でたい 瞬間のrealを
  
   昨日の後悔って明日の心配って
   ぶっちゃけぶっちゃけ誰得?何得?

   ラッキーはいつだってね“今”つかむもの

   頑張れ乙女 与えられん、さらば ッ』


梓(指が・・・動かない・・・!)

紬「・・・」

澪(唯の声が・・・)



唯『 どんな本にも書いてない授業じゃちょっと教わんない
   けど一生忘れない
   この世にないと思ってた奇跡一緒にね歌えば
   信じられるんだ 強くなれる・・・っ・・・だっ 』
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:34:10.52 ID:IXB7RD5ro


一つずつ
  
音がこぼれていく

すぐそこにある

終わりが

別れが

みんなのこころをズタズタにしていく

りつ あずさ ゆい

むぎ


澪「―――まだ」


―――まだ終わってない

229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:34:57.63 ID:IXB7RD5ro


律「――ッ!」

梓「――ッ!」

紬「――!」


唯『 みんなが大好きっ!!
   延々続行ルララMiracle Sing Time
   歌って 歌って 愛伝える最強手段
   つたない曲でも微妙な歌詞でも
   届けたい精一杯のSoul 等身大のlifeを

   今日は昨日みたい?明日は今日みたい?
   大丈夫 大丈夫 楽しかったら大正解

   ロッカーはいつだってね今"やんちゃ盛り

   進め乙女 抱きしめて 希望をッ 』


澪唯「『 大好き 大好き 大好きをありがとう 』」

律唯「『 歌うよ 歌うよ 心こめて今日も歌うよ 』」

梓唯「『 大好き 大好き 大好きをありがとう 』」

紬唯『 歌うよ 歌うよ 愛をこめてずっと歌うよ 』


  
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:37:32.16 ID:IXB7RD5ro



部室に戻って

先輩方は子どものように泣いた

私はむぎせんぱいの涙を拭くことでバランスをとってしまったから

泣けなかった

後になって後悔するんだろうと思った

1人で泣いて後悔するんだろうと思った


泣きつかれたのか唯先輩が寝てしまった

それにつられてむぎせんぱい、律先輩、澪先輩

出店の事なんて忘れて

5人並んで眠ってしまった

目を覚ますと和先輩、憂、純、3年生、2年生、さわ子先生が準備をしていた

その時には学園祭は終わっていた


それからはみんなで打ち上げをしてひたすら騒いだ


楽しすぎて

それらの記憶がない

むぎせんぱいも楽しんでいたから、私もそれ以上に楽しめた

どんな話をしたのか、どんなゲームをしたのか記憶に残ってないけど

楽しかったという確かな思い出だけが生まれた




とうとう来てしまった

別れの日が

231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 00:49:16.69 ID:5Gr5Uk3Fo


9月28日



「・・・」ピップップ

trrrrrr

プツッ

「もしもし」

『もしもし、轍くんかい?』

轍「はい」

『これからフライトなんだね?』

轍「そうです。修平さんにはお世話になりました」

修平『いやいや、キミは仕事をこなしてくれて、僕はそのお礼をしただけだよ』

轍「いえ、夢を繋げる事ができましたので」

修平『ははっ、まぁそれはいいとして』

轍(そんな軽く言わないでくださいよぉ・・・)

修平『暦には電話したのかい?』

轍「後でかけようと・・・」

修平『そうかそうか、義兄としては気になっててねぇ、あっはっは』

轍「・・・」

『お義姉さんと話をさせて』

轍(うわぁ・・・もうすっかり義弟扱いだぁ)

修平『今、葉子に変わるよ。轍くん、応援してるからな』

轍「はい、本当にありがとうございました」

修平『うん。無事に帰ってきてくれよ。それじゃ』

葉子『もしもしー』

轍「お久しぶりです、葉子さん」

葉子『お久しぶりね。これから大変だろうけど、あなたならひょいと乗り越えられるわ』

轍「ははは・・・」

葉子『あと、義妹のことよろしくね♪』

轍「はい」

葉子『またやーたい〜』

轍「それでは、また」

プツッ
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 00:50:06.45 ID:5Gr5Uk3Fo

轍「・・・ふぅ」

ピッピッピ

轍「敵わないなぁあの夫婦には・・・」

trrrrrr

ドンッ

「にゃっ」

ポロッ

轍「おっと」

カラカラカラ

「すいません」

轍「こっちこそ余所見をしてたから。ごめん」

「いえ」

ヒョイ

轍「シーサー?」

「それ私のケータイで・・・あ・・・」

轍「・・・?」

「相馬・・・轍・・・さん・・・」

轍「中野梓・・・さん・・・?」

梓「は、はい」

轍「・・・」ジー

梓「な、なんでここにいるんですか?」

轍「飛行機に乗るから・・・」

梓「そうですか」

『もしもし、もしもし?』

轍「・・・あ」

梓「どうぞ」スッ

轍「・・・」

梓「?」

轍「キミは・・・旅をしてきたんだね・・・」

梓「は?」
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 00:51:32.95 ID:5Gr5Uk3Fo

『もしもし・・・轍くん・・・?』

轍「出て」

梓「・・・大丈夫ですか?」

轍「俺の頭は至って通常だよ。なにか伝わるかもしれないよ」

梓「またそれですか・・・」イラッ

轍「・・・」

梓「も、もしもし・・・」

『え!?』

梓「当然こうなるじゃないですか!」

轍「名前を言って」

梓「なにがしたいんですか・・・中野梓です」

『あずさ・・・?・・・え?』

轍「ごめん、貸して」

梓「・・・」スッ

轍「ごめんごめん暦、前に話した子いるだろ?」

暦『・・・』

轍「ごめんって!」

暦『・・・どうしたの?』

轍「中野梓、彼女と空港でまた会ったんだよ」

暦『・・・』

梓「ケータイ返してください」

轍「少し、戸惑ってるみたいだからさ」

梓「なっ!」ムカッ

暦『・・・うん』

轍「少し話をしてみてくれないかな」

暦『・・・』

轍「はい」スッ

梓「そっちのケータイじゃないですよっ!」

轍「キミはこれから、ここで、大切な人と別れるんだろ?あの子と」

梓「ッ!」

轍「そんな顔では、引きずる別れになるよ」

梓「ど、どうしてそう言えるんですか!」

轍「昔の俺のような顔していたから」

梓「なんですかそれは・・・」

轍「大切な親友を失った俺のような顔だよ」

梓「!」
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 00:52:17.62 ID:5Gr5Uk3Fo

轍「話をしてみて」

暦『・・・』

梓「・・・」スッ

暦『もしもし・・・?』

梓「もしもし」

暦『大切な人と別れるの?』

梓「・・・・・・・・・はい」

暦『・・・』

梓「真鶴は・・・?」

暦『お母さんとアメリカへ帰ったよ』

梓「・・・海琴さんは・・・?」

暦『石垣島へ』

梓「・・・そうですか」

暦『うん』

梓「・・・」

暦『・・・』

梓「あ、あれ?」キョロキョロ

暦『どうしたの?』

梓「あっ!私の事放ったらかしにして手続きしてます!」

暦『ふふっ』

梓「なんなんですかあの人!」

暦『なんなんだろうね』

梓「・・・あなたもなんなんですか」

暦『え?』

梓「顔も知らない私とよく話ができますね」

暦『ふふっ、そうだね』

梓「これからずっと見ることがない私の顔ですよ?」

暦『だからじゃないかな?』

梓「え?」

暦『メールや手紙で、顔も知らない人とよく身の上話とかできるでしょ?』

梓「そう・・・ですね・・・」

暦『顔が見えなくても、心で伝えることができるんだよ』

梓「・・・」

暦『あなたも見てきたんじゃないかな?』

梓「・・・はい」
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 00:52:50.56 ID:5Gr5Uk3Fo

暦『ごめんね。踏み込んでしまったね・・・』

梓「いいです。相馬さんから聞いたんですか?」

暦『うん・・・』

梓「顔も見えない相手だからこそ、こんな話もできるんですから」

暦『そうだね・・・』

梓「・・・」

暦『どうして、轍くんが私とあなたを繋ごうとしたのか・・・分かるかな?』

梓「・・・?」

暦『あなたの状況は轍くんから少し聞いてるよ』

梓「・・・そうですか」

暦『フェアじゃないから、言うね』

梓「なんですか?」

暦『・・・私、光を失ったの』

梓「・・・?」

暦『盲目』

梓「―――ッ!」
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 00:53:33.18 ID:5Gr5Uk3Fo

暦『・・・』

梓「・・・っ」

暦『そんな私の居場所を教えてくれたのが轍くんなの』

梓「・・・」

暦『私と兄さん、二人だけの家族で、孤児院で育ったのね』

梓「・・・っ」

暦『兄さんは頑張って、仕事を身に付けて、生涯を共にする人と巡り会えた』

梓「・・・」

暦『自分で見つけることが出来たの。兄さんは』

梓「・・・」

暦『そんな兄に・・・迷惑をかける事になってしまって・・・』

梓「・・・」

暦『・・・梓・・・さん?』

梓「聞いてますよ。・・・どうやってあなたの『居場所』をみつけたんですか?」

暦『まだ見える事ができる先月の夏に、一緒に旅をして、見えてきたの。轍くんと沖縄を走り回って』

梓「・・・」

暦『・・・』

梓「・・・そうですか」

暦『うん』

梓「・・・」
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 00:54:00.75 ID:5Gr5Uk3Fo

暦『そろそろ切るね』

梓「は、話しないんですか?」

暦『・・・うん。電話すると轍くんの足を引っ張ってるみたいで、ちょっと迷ってたから』

梓「・・・大切な・・・人・・・なんですよね・・・」

暦『うん』

梓「だったら・・・言葉を交わしたいはず・・・です・・・」

暦『また、会って話をするよ』

梓「国際線ですよ・・・」

暦『うん』

梓「遠くへ行っちゃうんですよ・・・」

暦『うん』

梓「大切な人の・・・そばに・・・いられないんですよ・・・」

暦『目指す場所が同じなら、何度別れてもまた道の先で出会えるって信じてるから』

梓「!」

暦『あなたもいい旅をしてきたんだね』

梓「・・・・・・はい」

暦『それじゃ、さようなら』

梓「はい、さようならです」

暦『顔も知らないあなたに』

梓「はい。いつか出会えるかもしれないあなたに」

暦『ふふっ・・・。うん』

プツッ
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 00:54:56.95 ID:5Gr5Uk3Fo

梓「・・・」

轍「はい、返す」

梓「・・・」

轍「シーサーは一対でなくちゃいけないんだ」

梓「知ってますよ」

轍「・・・そっか」

梓「・・・」

轍「・・・」

梓「どうして、暦さんを置いていくんですか・・・」

轍「・・・」

梓「大切な人をどうして・・・」

轍「俺と相手が同じ価値観を持って
  立ち止まらないで歩き続けていれば
  きっとまた何処かで、何度でも・・・会えるから」

梓「・・・」

轍「『帰る場所』を暦は与えてくれた」

梓「『帰る場所』・・・」

轍「暦の隣だ」

梓「・・・」

轍「いや、リアクションが欲しいな」

梓「・・・」

轍「キミの先輩達なら、きっとなにかしら言ってくれるんだと思うけど・・・」

梓「それはどうでもいいです。これからどこへ?」

轍「・・・アラスカへ」

梓「・・・」

轍「おっと、時間だ。それじゃあね」

梓「それでは」スッ

轍「・・・え?」

梓「握手です。なんですかその反応」

轍「いや・・・嫌われているかと思っていたから・・・」スッ

梓「さようなら、です」

ギュ

轍「あぁ、さようなら。元気で」
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 00:56:46.62 ID:5Gr5Uk3Fo

梓「・・・」

「・・・」

梓「私、憧れていたんです。あの人の背中に」

「・・・」コクリ

梓「様々な『別れ』を通してでも、前を向いているから」

「・・・」

梓「真っ直ぐに顔を向けて進んでいくから」

「・・・」コクリ

梓「その背中を追いかけたくて、その見ている景色を、私も見たくて・・・」

「・・・」

梓「行きましょうか。先輩達が待ってます」

「・・・」コクリ

梓「これ、持っててください」スッ

「・・・?」

梓「シーサーは一対でいなくちゃいけないんです」

「・・・」

梓「あなたの道の先を守ってもらうんです」

「・・・」コクリ

梓「ありがとう、むぎせんぱい」

ギュ

紬「・・・?」

梓「行きましょう、むぎ先輩!」グイッ

紬「・・・!」
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 00:58:12.17 ID:5Gr5Uk3Fo


「どこ行ってたの二人とも」

梓「野暮用ですよ。唯先輩・・・お二人は?」

紬「・・・?」

唯「どこか行っちゃったよ」

梓「ど、どこへ・・・」

紬「・・・」

唯「はい、むぎちゃん!」

紬「?」

梓「・・・」

唯「今日ここへ来れなくて、学校で学園祭の後片付けしてくれているみんなからのお手紙だよ」

紬「!」

唯「空の中で読んでね」

紬「・・・」コクリ

「なんかつまんねえな、見たことあるお土産ばっかだ」

「当たり前だ」

梓「お土産覗いていたんですか・・・?」

「そうだぜ!」

「クラスのみんなで食べようってさ・・・」

梓「律先輩・・・」

律「なんだよその目は!」

梓「澪先輩・・・」

澪「うん。変なの買うところだったけど、止めたから大丈夫」

唯「りっちゃんなにしにきたの?」

律「見送りだよ!」

紬「・・・」ニコニコ

澪「最後までこのノリか・・・」

梓「そうですよ」

律「私悪くないもーん」

唯「もぅ〜」

紬「・・・」

梓「・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

唯「・・・」

紬「・・・」チラッ

梓「そろそろ時間ですね」

紬「・・・」コクリ
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 00:58:49.23 ID:5Gr5Uk3Fo

唯「・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」クイッ

唯(メジャーのC#・・・唯)

紬「・・・」クイッ

律(オギューメントのA・・・律)

紬「・・・」クイッ

澪(特別コード・・・澪)

紬「・・・」クイッ

梓(メジャーのA・・・梓)

紬「・・・」ペコリ

唯「・・・っ」

律「・・・」

澪「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」クイックイッ

唯「『忘れない』」

律「『この季節を』」

澪「『過ごせた時間を』」

梓「・・・」

紬「・・・」ニコニコ
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 00:59:29.67 ID:5Gr5Uk3Fo


澪「ありがとう、むぎ」スッ

紬「・・・」スッ

ギュ

澪「昨日の演奏の中で見つけることができた」

紬「・・・」

澪「私の『最高の場所』がそこにあったよ」

紬「・・・」

澪「放課後ティータイムの演奏の中にそれは生まれた」

紬「・・・」

ギュウ

澪「ありがとう」

紬「・・・」コクリ

243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 01:00:05.38 ID:5Gr5Uk3Fo


律「あーぁ、結局見つけられなかったぜー」

紬「・・・」

律「でも、探す楽しさはやめられないからずっと求め続けるよ」

紬「・・・」ニコニコ

律「バトミントン勝負・・・決着つかなかったから、帰ってきたら勝負だからな」

紬「・・・」コクリ

律「むぎ」スッ

紬「・・・」スッ

律「へへっ、やっぱり私はこの別れ方が合ってるや」

パァン

律「ありがとう」

紬「・・・」コクリ

244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 01:00:43.89 ID:5Gr5Uk3Fo


唯「むぎちゃん!」ガバッ

紬「!」

唯「泣かないって決めたのにっ、やっぱりダメだったっ!」グスッ

紬「・・・」ナデナデ

ギュウウ

唯「解散しても・・・っ・・・再結成があるんだからね・・・!」ボロボロ

紬「・・・」コクリ

唯「『音楽を続けて欲しい』ってアキヨちゃんが言ってくれたから」ボロボロ

紬「・・・」

唯「わたし・・・やめないからね・・・っ」グスッ

ギュウウウ

紬「・・・」

唯「またみんなで演奏しようねっ!」グスッ

紬「・・・」コクリ

唯「えへへ、また甘えちゃった」グスッ

紬「・・・」ニコニコ

唯「ありがとぉ」

紬「・・・」コクリ

245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 01:01:31.74 ID:5Gr5Uk3Fo


梓「・・・」

紬「・・・」

梓「甘えていたのは私だったんです」

紬「・・・」

梓「むぎ先輩の後ろを付いて行って、それが自分の旅路だと、そう思っていたんです」

紬「・・・」

梓「でも、私は私の道を行くんです」

紬「・・・」ニコ

梓「いつか、その道がむぎ先輩の道と交わるその時まで・・・待っています」

紬「・・・」コクリ

梓「むぎ先輩の言葉をお借りします」

紬「・・・」

梓「『いつかみた、あの大好きな、空の下で』」

紬「・・・」

梓「『もう一度出会いましょう』」

紬「・・・」

梓「さようなら、です」

紬「・・・」

246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 01:02:12.89 ID:5Gr5Uk3Fo


そして あなたは優しく 微笑を返してくれる

振り返ることなく 進む その姿を目に焼き付けて

私は 約束を胸に刻み 隣にいないあなたを想い 私の道を進みます

必ず もう一度出会いましょう 



                 End


247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 13:44:47.41 ID:Zrv8uoTco

よく分からない部分もあったけど引き込まれた
ただベガの続編と考えるとちょっとキツいな
あの時のムギ達には順風満帆に人生を過ごして欲しかった
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 14:22:09.35 ID:8RCw985DO
色々ともったいないSSだったな
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/09/16(金) 17:05:11.34 ID:1sA4ZlYDo
まだ前スレの途中までしか読んでないけど乙です!
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 20:38:02.54 ID:5Gr5Uk3Fo

読んでくださった方ありがとうございました


風雨来記チームのシナリオが重過ぎる為
作中はどんより空気一色です。でも、これが風雨来記の魅力でもあるんですよね
※欝ゲーではない

伝わりにくさを演出したつもりだったんですが
読み手に伝わらないのですから本末転倒ですよね・・・
もっと巧く表現できた部分もあったと思います
自分が扱うテーマとしては荷が重かったようです

読み手には色んな意味で苦痛を与えた作品になってしまいました
不親切な箇所、遠回りな展開、主軸の不安定さなどなど

どうしてもだらだら、gdgdと長い作品になってしまいます
私はそのウダウダと話をするが好きなんです すいません
それに付き合わせてしまいました。猛省しております

梓にあの一言を言わせる為の長さなんです

それでも前フリが長すぎました

風雨来記のネタバレのオンパレードでした。未プレイの方にお詫びを
海琴にもちょっと台詞を与えたかったです


まだ梓は『最高の場所』に辿り着けていません
後日談を21日に

251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 21:15:03.32 ID:PO7W63s9o
乙を言うのは、後日談をよんでからだ


由美さんマダー
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/19(月) 17:05:02.92 ID:mxamd2Hho
おつおつ
後日談たのしみにしてます
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 18:53:17.21 ID:pC/YcMsoo


あれから五年


時は巡り


とても長い時間が流れた


聞いて欲しい出来事がたくさん起きた


伝えたい事がたくさんある


ようやく会える


――いた!

254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 18:54:18.05 ID:pC/YcMsoo


9月28日



梓「むぎ先輩!」

紬「・・・!」

梓「お、お久しぶりです!」

紬「・・・」ニコニコ

梓「髪を切ったんですね!」

紬「・・・」コクリ

梓「似合ってますよ!」

紬「・・・」ニコニコ

梓(17の私だったら抱きついてたのに!)

紬「・・・」

梓(お、落ち着け・・・私・・・)フゥ

紬「・・・」クイックイッ

梓「はい。私も切りました。少しは大人っぽくみえますか?」

紬「・・・」コクリ

梓「あはは、視界は相変わらずですけど、気持ち的には大きくなりましたよ。なんて」

紬「・・・」ニコニコ

梓「ちょうど五年前の今日、この場所で別れたんですよね」

紬「・・・」コクリ

梓「帰国するのはこの日と決めていたんですか?」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・そうですか」

紬「・・・」ニコ

梓「あ、荷物持ちますね。行きましょう」

紬「・・・」
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 18:57:15.79 ID:pC/YcMsoo



結果として

治療の甲斐は無く

声を取り戻せてはいない


なにが原因なのか、なにが足りないのか

あの学園祭までの時間がそうさせてしまったのか

誰にも分からない


昔の私なら 恨みもしただろう

こんな悲しい道 誰も望んでいないのだと


256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 18:58:16.82 ID:pC/YcMsoo

梓「あと一年でゴールド免許なんですよ」

紬「・・・!」

梓(ふふっ、驚いてる)

紬「・・・」クイックイッ

梓「はい。在学中に取ったんです。さ、乗ってください。私の愛車です!」

紬「・・・」コクリ

ガチャ

梓「よいしょっ」

バタン

梓「さて、どこへ行きましょう」

紬「・・・」ガサゴソ

梓(あ・・・鍵盤ハーモニカ・・・)

紬「・・・」プップププー

梓「懐かしいですね・・・。それで会話をしていたんですよね」

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・あ、もう一度お願いします」

紬「・・・」プップププー

梓「唯さんのコードボイスですか?・・・私もキーボード弾いているんですよ
  ですから聴き取れるんですね」

紬「!」

梓「とりあえず、車を発車させますけど・・・。向かう先は『あの場所』でいいですか?」

紬「・・・」コクリ

梓「はい。それでは発車します」

ブォォオオオオオ
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 18:59:16.19 ID:pC/YcMsoo



私とむぎ先輩の時間は止まってしまった


唯先輩から唯さんへ呼び方が変わった

それは、私の先輩ではなくなったから

高校の外で先輩と呼ぶことに違和感を感じて以来

さん付けで呼ぶようになっていた



私とむぎ先輩の時間はあの時から進みだした


むぎ先輩だけ、まだ先輩付けで呼んでしまっている

これは嬉しいことなのかな 寂しいことなのかな


258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 18:59:59.72 ID:pC/YcMsoo

梓「澪さんも違うバンド組んでて、キーボードを弾いているそうですよ」

紬「!」

梓(驚いているんだろうなぁ・・・。多分、私と一緒で澪さんもむぎ先輩に教えていないはず)

紬「・・・」

梓「腕が鈍らないように、ですね・・・」

紬「・・・」プップププー

梓「律さんですか?・・・連絡来ないんですよ。どこを旅しているんでしょうね」

紬「・・・」

梓「むぎ先輩に手紙届きましたか?」

紬「・・・」プップッププー

梓「届いていたんですか!?」

紬「・・・」プッププー

梓「エジプト・・・って・・・」

紬「・・・」

梓「澪さんは『心配いらない』と言っていたから・・・心配はしていなかったんですけど」

紬「・・・」

259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:00:49.64 ID:pC/YcMsoo


『つまらん。ちょっと旅してくる』

律さんはそう言うなり旅立って行った

澪さんも唯さんも地元から離れてしまったから当然なのかもしれないけど

まさか、まだ世界を旅していたなんて

260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:01:39.48 ID:pC/YcMsoo


紬「・・・」プップップー

梓「澪さんから葉書届いたんですね。私にも届きましたよ」

紬「・・・」ププップップー

梓「はい。利尻島での夕焼けを背景にした写真ですね」


261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:02:12.09 ID:pC/YcMsoo


澪さんは札幌の大学へ進学した

むぎ先輩がドイツへ旅立った後


『北海道へ行きたいんだ』


部室で宣言された

律さんはすんなり受け入れて 

背中を押した

262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:02:52.99 ID:pC/YcMsoo

梓「私たちが卒業して、一年後の夏に姫ちゃんさんも北海道をバイクで走りましたよ」

紬「!」

梓「あれ、手紙に書かれていませんでしたか?」

紬「・・・」ププッププー

梓「秘密だったのかな・・・。どうしよう・・・」

紬「・・・」プップッププー

梓「あ、えぇと・・・玉恵さんを覚えていますか?」

紬「・・・」プップー

梓「はい。あのキャンプで出会った玉恵さんです
  姫ちゃんさんが『澪に会ってくる』と言って・・・。船に乗るところを私見送りましたよ。
  北の大地へ期待あふれる表情をしてました。印象的で、今でも覚えています」

紬「・・・」

梓「玉恵さんの轍をなぞったみたいです
  細岡展望台、和琴半島でキャンプ、ナラワナ、多和平、神の子池、カムイワッカ
  ワッカ原生花園、コムケ、常盤公園・・・などなど」

紬「・・・」プップププー

梓「はい。冬と夏も一緒にです。二人とも北海道の大学へ進学しましたから
  澪さんが運転する車に3人で乗って・・・。想像したら楽しそうですね」

紬「・・・」コクリ

梓「釧路の市場にですね、勝手丼と言って、店先でどんぶりにご飯をよそってもらい、
  市場をまわって新鮮な海産物を少しずつ盛っていくという独特のメニューを堪能したらしいです。
  夏がはしゃいで食べていたとか・・・」

紬「・・・」コクコク

梓「釧路湿原でカヌーに乗ったり・・・
  岬周りもして、霧多布岬やアゼチの岬を見て周ったらしいです。道北、道東を中心に」

紬「・・・」プップップップー

梓「むぎ先輩覚えていたんですね・・・。二人の『約束の場所』の事を・・・」

紬「・・・」

梓「それが、葉書の写真の利尻島になるんですけどね」

紬「・・・」コクコク

梓「夏がいちいち『楽しい』って報告メールを入れてくるから、少し鬱陶しかったです」

紬「・・・」ニコニコ
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:06:34.20 ID:pC/YcMsoo

梓「帰ってきた姫ちゃんさんから写真を見せてもらいましたけど、雄大って言うんですかね。
  私もその場所に立ってみたくなりました」

紬「・・・」

梓「野付半島にナラワナっていう名所があるんですけど、海の中に突き出た細い半島なんですね
  走っていると視界の両側に海が見えそうなんです」

紬「・・・!」

梓「その先にトドワラという名所もあるんですけど、そこへ向かう道がすごく楽しかったそうです。
  両端にハマナスなどの花が咲いてて、澪さんと冬は感動したそうですよ
  とてもいい旅をしてきたみたいです」

紬「・・・」コクリ

梓「あ、しまった・・・」

紬「?」

梓「自分でその感動を伝えたいから・・・姫ちゃんさんはむぎ先輩に報告してなかったんですよ」

紬「・・・」

梓「すいませんけど、今の話聞かなかったことにしてくれませんか・・・」チラッ

紬「・・・」ニコ

梓(ひきつってる・・・。後で同じ話聞かされるんだから困るよね・・・。ごめんなさい!姫ちゃんさん!)

紬「・・・」

梓「冬は・・・ウィンターシーズンはスノボを楽しんでいるそうですよ」

紬「・・・」プップッププー

梓「手紙に書かれていましたか。澪さん、冬、夏、春子さん・・・あと、あの人」

紬「・・・」コクコク

梓「春子さんは何度か遊びに行ってますね。私も冬たちに呼ばれた事ありますけど、我慢していました」

紬「・・・?」

梓「・・・」
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:07:08.91 ID:pC/YcMsoo


私はこの場所で時が過ぎるのを待っていた

律さんもいなくなってしまったこの場所で

ただ、1人

待っていた

265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:08:23.59 ID:pC/YcMsoo


紬「・・・」プップッププー

梓「沖縄からの手紙ですか?」

紬「・・・」プップー

梓「はい。私のところには葉書が・・・。唯さん、憂、いちごさんと風子さんが写った写真ですよね?」

紬「・・・」プップププー

梓「し、知らないですよ!?」

紬「・・・?」

梓(暦さんとも会っていたなんて・・・聞いてないですよ!唯さん!!)

紬「・・・」ププップップー

梓「真鶴とも会っていたんですか!?」

紬「・・・」プップー

梓「・・・多分。風子さんの意地悪だと思います。『教えないでおこう』とか
  そんな風に吹き込んだんですよ・・・もぅ」

紬「・・・」プップッププー

梓「はい。沖縄にも、憂に何度か誘われましたけど、我慢しました」

紬「・・・?」

梓「・・・」
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:09:29.27 ID:pC/YcMsoo


澪さんの宣言の後

唯さんが感化されたようにつぶやいた


『そうだ、沖縄の大学に行こう』




私はなぜかすんなり受け入れられた

海の向こうを見ていた人だったから

267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:11:01.70 ID:pC/YcMsoo

梓「暑いの苦手なのに、クーラーも付けられないハズなのに・・・夏の時期は頑張ってるようですね」

紬「・・・」ニコニコ

梓「でも、暑いけど風があって、カラッとしてるから不快じゃないと言っていました」

紬「・・・」コクコク

梓「いちごさんと風子さんが帰ってきて話を聞いたんですけど
  金髪の女性に案内されて世界遺産になっている斎場御獄へ
  その後にグスク巡りをしたそうです。グスクというのはお城の事ですね
  やっと謎が解けましたよ。金髪の女性って真鶴だったんですね・・・」

紬「・・・」プッププー

梓「はい。唯さんがグスクに興味があるって・・・。仙台の青葉城址にも観光で行ってましたから
  なぜか、楽しいんでしょうね」チラッ

紬「・・・」

梓(ふふ、驚いてる。五年の月日はあまりにも長いから。時間は人と場所を変えてしまう)

紬「・・・」

梓(唯さんが行ったという、東御廻りの事話すべきかな・・・
  むぎ先輩の為に、聖地巡礼をして、声を取り戻すために祈願をしたという)
  
紬「・・・?」

梓「あ、そうか・・・。真鶴にむぎ先輩の事を伝えたから、斎場御獄・・・聖域を案内されたんだ」

紬「???」

梓「あれ・・・、律さんってもしかして、太陽神を探しているとか・・・?」ブツブツ

紬「・・・」

梓「純から天照大神の話を聞いた後に・・・旅立って行ったから・・・間違いない・・・?」ブツブツ

紬「・・・」

梓「北海道から帰ってきた姫ちゃんさんから、澪さんが律さんに渡して欲しいと・・・トカプチュプカムイ・・・」

紬「・・・」

梓「これも太陽神のはず・・・。守ってもらうように・・・」

紬「・・・」

梓「あ、すいません。1人で喋ってしまって」

紬「・・・」プップップー

梓「いえ、今は言えません。後でちゃんとお話します」

紬「・・・?」
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:15:59.83 ID:pC/YcMsoo


五年の空白は埋めるように彼女は言葉を紡いでいく

梓「私その時まだ19ですよ?お酒を扱う場所に連れて行くなんて
  元担任のすることじゃないですよね」


楽しそうに紡がれた言葉を 彼女は胸に受け止めていく 楽しそうに

紬「・・・」ニコニコ


彼女はハンドルを握り 前を見て それでも言葉を止めない

梓「姫ちゃんさんには内緒にしていたから、玉恵さんの顔みてとっても驚いていましたよ」


彼女はその言葉を聴く

紬「・・・」ニコニコ


彼女は安心して言葉を続ける

梓「和さんが『約束』覚えていたんですよ。3人で交わした約束なのに
  玉恵さんとさわ子先生はすっかり忘れていたらしいです。ひどいですよね」



彼女は心地よく耳を傾ける

紬「・・・」

269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:17:03.65 ID:pC/YcMsoo


一台の車が河川敷へ到着する

1人の少女が空を眺めていた

あの頃彼女がそうしていた様に


梓「あれは・・・樹ちゃん・・・?」

紬「・・・?」

キキッ

ガチャ

梓「樹ちゃん、どうしたの?」

樹「あ、お姉ちゃん!」

紬「!!!」

梓「あ、いえ。妹じゃないですよ。五年前の学園祭で出会った子です」

紬「・・・」ガッカリ

梓「なんでガッカリしてるんですか」

樹「お姉ちゃん、どこ行ってたの?」

梓「空港に行って、むぎ先輩を迎えに行ってたの」

紬「・・・」ニコ

樹「ふーん。仕事はー?」

梓「や す み」ブイ

樹「それじゃあ今から遊びに行こうよ!」キラキラ

梓「ざーんねん。私たち明日からの準備のために忙しいの」

樹「えー!」ブー

紬「・・・」ツンツン

梓「はい?」

紬「・・・」クイックィッ

樹「?」

梓「一緒にですか?」

紬「・・・」コクリ

梓「ダメですよ!学校があるんですから!」

紬「・・・」ニコニコ

梓「思いつきで言わないでください・・・。って、このやりとり懐かしいぃ」ウルウル
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:17:48.00 ID:pC/YcMsoo

樹「明日からの準備って?」

梓「二人で旅に出るの」

樹「お姉ちゃんも仕事あるよね?」

梓「一ヶ月休むんだよ」

樹「ずるーい!」

梓「この日のために3年間文句も言わずに働いたんだからいいの」

樹「偉い人に怒られるよきっと」

梓「怒られたよ〜。でもね、辞表チラつかせたら許可くれたんだよ」

樹「ふーん。すごいね」

梓「分かってないでしょ?」

樹「分かるよー。脅したんだよね?」

梓「人聞きの悪い・・・。風子さんじゃないな・・・純と関わっちゃダメだよ」

樹「どうして?」

梓「よくない言葉を教えるから!」

樹「わたし純ちゃんスキよ?」

梓「・・・分かった。純に言っておくから」

樹「?」

梓「なんでもない」
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:18:36.33 ID:pC/YcMsoo

樹「・・・」ジー

紬「・・・?」

樹「お姉さんがむぎさんね・・・?」

紬「・・・」キリ

樹「いつも話に出てくるよ」

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・」

樹「お姉さん綺麗・・・」

紬「・・・」テレテレ

梓(仕草も何一つ変わってない・・・)

樹「お姉さん、初めまして。樹といいます」ペコリ

紬「・・・」ペコリ

梓「・・・」

樹「そっかぁ・・・。お姉さんがむぎさんなんだね」ウンウン

紬「・・・」コクコク

梓「二人でなにを頷き合っているんですか・・・。って、なんか楽しいぃ」ウルウル

樹「二人旅ってどこに行くの?北海道?」

紬「!」

梓「どうして分かったの?って、二択の内の一つだけど」

樹「オーロラ探そうよ!オーロラ!」

紬「?」

梓「だから、学校があるでしょ・・・。どうしてオーロラなの?」

樹「昨日姫ちゃんと読んだ雑誌にあったの。北海道で二人で探したオーロラって」

梓「あー、あの人の記事かぁ・・・」

紬「・・・」

樹「わたし、まだオーロラ見た事ないんだよね」

梓「私も無いよ」
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:20:01.54 ID:pC/YcMsoo

紬「・・・」ツンツン

梓「?」

紬「・・・」クイックィッ

梓「ここに残っている人たち、姫ちゃんさん、いちごさん、風子さん、春子さん、信代さん
  5人はこの子と顔見知りなんです。この子の母親とも仲良くて・・・」

紬「・・・」コクコク

梓「たまに帰ってくる、純と和さんとも遊びに行った事ありますよ」

紬「・・・」

樹「北海道行こうよ!摩周湖も見たい!」

梓「摩周湖・・・その記事も読んだの?」

樹「ううん。なんとなく行きたい」

梓「意味が分からない・・・。情報源はなんなの?」

樹「前世?」

梓「意味知ってて言ってるの?」

樹「もちろん。今学校でブームなんだよね」

梓「・・・フッ」

樹「見ててよ。お姉さんの前世を占ってあげる」

紬「・・・」ワクワク

樹「むむむ・・・」

紬「・・・」ワクワク

樹「クレオパトラです」

紬「・・・」キラキラ
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:20:29.12 ID:pC/YcMsoo

梓「私は?」

樹「カマキリだよ」

梓「あらかじめ用意してあったよね?ね!?」

樹「スフィンクスでいい?」

梓「なにそれ、同意したら決まるの?」

樹「しょうがないね。この中から選んで」ズラー

梓「それ動物占いのカードでしょ・・・。動物限定なんだ・・・」

紬「・・・」スッ

樹「ねこちゃん!」

梓「・・・」

樹「ねこちゃん大好き!」

紬「・・・」コクコク

樹「お姉ちゃんと出会ったのもねこちゃんのおかげなんだよ〜」

紬「・・・」ニコニコ

樹「一緒に遊んだんだよね、お姉ちゃん」

梓「私は遊んでないけど・・・」

樹「仲良かったよー?」

梓「あれ、なんの話をしてたっけ・・・?」

紬「・・・?」
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:21:22.57 ID:pC/YcMsoo

「樹〜、帰るわよ〜!」

樹「あ、お母さん!」

梓「あ、こんにちは」

紬「・・・」ペコリ

母「こんにちは。また遊んでもらってたのね」

樹「うん! お母さん、私北海道へ行ってくるね!」

母「あら、どうやって行くのかしら?」

樹「お姉ちゃんの運転する車で!」

母「それなら時間がかかって学校をたくさん休まなきゃいけないわね〜」

樹「うん!学校辞める!」

母「うふふ、そうはさせませんよ」

樹「えー!?」

母「お姉ちゃんの力を借りずに自分で行きなさい」

樹「・・・はい」

母「よろしい。それでは梓さん、後ほど」

梓「はい。また、後で」

樹「お姉さんもパーティに行くの?」

紬「・・・」コクリ

梓「そうだよ。今日の主役だから」

樹「主役は春さんじゃないの?」

梓「じゃないよ」

樹「そうなんだ」

母(オリンピック出場よりメインなのね・・・)

樹「お姉ちゃん、お姉さん、また後でね」フリフリ

紬「・・・」フリフリ

梓「うん」フリフリ

紬「・・・」

梓「夏休みだったら一緒に行けましたけど・・・」

紬「・・・」コクリ

梓「少し残念ですね」

紬「・・・」
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:23:58.47 ID:pC/YcMsoo

梓「春さんって言うのは春子さんですね。柔道オリンピック出場が決まった」

紬「・・・」コクリ

梓「言ってましたよ。『律を投げた日から人生変わっちゃった』って」プクク

紬「・・・」ニコニコ

梓「それを聞いたちかさんが笑い転げてましたね」

紬「・・・」ニコニコ

梓「樹ちゃんの話なんですけど、この河川敷で過ごす事があるんですよ」

紬「・・・」コクリ

梓「私だけじゃなく、姫ちゃんさん、風子さん、いちごさんとも。
  私がいなくても樹ちゃんは懐いてて楽しくやってるみたいです」

紬「・・・」

梓「みなさん樹ちゃんを妹のように接してくれているから、見ていて微笑ましくなるんですよね」

紬「・・・」コクコク

梓「この前、と言っても半年くらい前なんですけど、樹ちゃんが私のアパートに泊まりに来たんですよ
  それを聞いた風子さんが夏香さんと英子さんを連れて来たんです」

紬「・・・」コクリ

梓「ボードゲームまで持ってきて・・・。ビックリしましたよ」

紬「・・・」ニコニコ

梓「何周もして私と夏香さんが飽きてきた頃にですね、信代さんがお酒をもって来たんです」

紬「・・・」ニコニコ

梓「それからは宴会になっちゃって、樹ちゃんがいるから私と英子さんは控えましたけど
  風子さんがお酒に強いの知ってました?」

紬「・・・!」フルフル

梓「夏香さんはマイペースで風子さんに付き合っているようです。信代さんが意外と弱いんで面白いですよ」

紬「・・・」コクリ

梓「その後みんなでDVDを鑑賞したんですよ。恐怖の心霊動画ってやつです」

紬「・・・」ゴクリ

梓「風子さんが変な事言うから、樹ちゃんが笑ってしまって、恐怖なんてどこかいっちゃいましたよ」

紬「・・・」ニコニコ

梓「みなさんお酒との付き合いが上手なんで、酒癖が悪い人はいないんですよね」

紬「・・・」コクコク

梓「大抵、信代さんと風子さんが揃うと宴会になってしまうから
  誰の部屋で飲んでも次の日は重たい体を引きずる事になるんですよね」

紬「・・・」ニコニコ

梓「そうそう、エリさん、アカネさん、慶子さん、潮さんと私で居酒屋で飲んでる時にですね
  夏と姫ちゃんさんが遅れて来たんですけど・・・ブフッ」

紬「?」

梓「あ、いえ・・・。後で夏の前で話しますね」ウシシ
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:24:24.97 ID:pC/YcMsoo

紬「・・・」クイックィッ

梓「はい。月に一度、むぎ先輩のクラスの方と会ってますね」

紬「・・・」クイックィッ

梓「いつも誘いがかかってきて・・・っていうのも、律さんが勝手に広告塔にしたからなんですよ
  『むぎの近況を知りたかったら梓まで』とか言って
  その本人は1年半くらい前から音沙汰無しなんですけど」

紬「・・・」

梓「澪さん曰く、『便りが無いのは良い便り』だとか」

紬「・・・」コクリ

梓「むぎ先輩に手紙を送っているようですから、私も心配はしていないんですけどね」

紬「・・・」ニコニコ

梓「実は、手紙にしようって言い出したの唯さんなんですよ」

紬「!」

梓「『電子メールは便利だけど、真心篭ってないよ!』とか言い出して」

紬「・・・」

梓「言いたい事は分かるんですけどね」

紬「・・・」

梓「私の仕事も文字を扱うから、それを伝える側から受け取る側へ繋げる役目として頑張ってますよ」

紬「・・・」ニコニコ

梓「むぎ先輩の翻訳という仕事もそうですよね」

紬「・・・」キリ

梓「・・・」

紬「?」

梓「あ、いえ・・・。懐かしい表情するなぁ・・・と思って」

紬「・・・」ポッ

梓(少しも変わらない・・・。それがとっても嬉しいな・・・)

紬「・・・」

梓「まだまだ時間ありますから、五年間の話を聞いてください」

紬「・・・」コクリ

277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:25:05.32 ID:pC/YcMsoo

梓「――と冬が言ったそうです」

紬「・・・」ニコニコ

梓「あ、いけない、そろそろ明日からの準備しましょうか」

紬「・・・」コクリ

梓「私はもう準備出来てますから、荷物を取って出発できますよ」

紬「・・・?」

梓「うちの編集長が『お前も記事を書いてみろ』とか言うから迷っていたんですね
  丁度むぎ先輩が帰ってくる事を知った後でしたので、この企画案を提出したんです」

紬「・・・」コクコク

梓「そしたら、『ふざけてるのか』と突っ返されまして・・・」

紬「・・・」ゴクリ

梓「『そういう受け取り方をなされるのでしたら、私この会社を辞めます』」

紬「・・・!」

梓「しばらく膠着としていたんですけど、編集長が折れました」ブイッ

紬「・・・」ニコニコ

梓「北海道か沖縄か行き先が決まっていない旅を提案したんですから当然ですけど
  こんなチャンスを逃すなんて私の人生後悔しますよ」ウシシ

紬「・・・」

梓「また話し込んじゃいましたね・・・。ついつい喋ってしまう・・・」エヘヘ

紬「・・・」
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:25:38.38 ID:pC/YcMsoo

梓「とりあえず、二人旅の進路を決めましょう」

紬「・・・」

梓「その場所で放課後ティータイムは再結成するんですから」

紬「・・・」

梓「車で向かいますから、まだ考える時間はありますけど・・・」

紬「・・・」

梓「北海道か沖縄か」

紬「・・・」

梓「行き先が決まったら、その逆の人は移動しなきゃいけないから大変ですよね
  今か今かと待っているはずですよ」ウシシ

紬「・・・」

梓「行き先が北海道なら唯さんが北海道へ」

紬「・・・」

梓「行き先が沖縄なら澪さんが沖縄へ移動するんですから」

紬「・・・」

梓「いや、向かう途中で合流するのもありか・・・」

紬「・・・」

梓「この企画を話したとき二人とも積極的に乗ってくださいましたよ
  律さんには澪さんが話を通していると思いますけど・・・ちょっと心配ですね」

紬「・・・」

梓「北海道にいるのか・・・沖縄にいるのか・・・読めないです・・・」

紬「・・・」
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:26:36.32 ID:pC/YcMsoo

梓「・・・」

紬「・・・」

梓「むぎ先輩のクラスメイトが今夜、春子さんの道場に集まるんです。
  冬と夏も、憂、純、和さんも
  唯さん、澪さん、律さんを除いてですけど」

紬「・・・」

梓「夏と冬、憂がそれぞれ持ってくるお土産を食べてから決めてもいいかもしれませんね」

紬「・・・」

梓「唯さんは那覇で憂は石垣島だから、結構お土産が異なるんですよね
  石垣島育ちの海琴さんが勧めた土産を憂が持ってきた時はみんな苦笑いしてましたよ」プクク

紬「・・・」

梓「東と言えば東京ですけど、和さんは今ベストセラー作家の担当をしているんですよ。
  その作家はあの人なんですけどね。無理やり和さんを担当につけたみたいです
  二人が仕上げた作品もベストセラーですから呆れます。尊敬を通り越してです」

紬「・・・」

梓「純も和さんと同じ職場で頑張っているみたいです。雑誌関連ですけど」

紬「・・・」

梓「そんなバラバラな場所に居るみんなが、今日集まるんですよ」

紬「・・・」

梓「すごいです。むぎ先輩は」

紬「・・・」

梓(そうだ・・・。ちゃんと話さなきゃいけない事があった・・・)

紬「・・・」

梓「準備するまえに、聞いて欲しい事があるんです」

紬「・・・」
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:27:32.14 ID:pC/YcMsoo


あどけなさの残る彼女の顔をじっとみつめる

「・・・」


その視線に気付かない彼女は空を見上げながら問う

「むぎ先輩、シーサー持ってます?」



袋に包まれた携帯ストラップを取り出す

「・・・」



それを眩しそうに確認する彼女

「もっと立派なヤツを渡せばよかったのに・・・17の私はそれが精一杯だったんですね・・・」



静かに首を振る彼女

「・・・」
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:28:26.93 ID:pC/YcMsoo


その仕草を見落としてあるものを取り出す


「これ、トカプチュプカムイというらしいです」

「・・・」

「澪さんから律さんへ渡すようにいわれたモノなんですけど、正直分かりませんでした」

「・・・」

「アイヌ語でカムイは神を指しているんですね。これは恐らく、太陽神だと思います」

「・・・」

「1年半くらい前に律さんはインドに居ました。
 それも恐らく、ヴィシュヌを探していたんだと思います。ヒンドゥー教の太陽神ですね」

「・・・」

「世界各地で守護神を探しながら、巡拝していたんだと思います。
 むぎ先輩の事を想って」

「・・・」

「旅の目的がそれだとは言い切れませんけど」

282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:29:44.03 ID:pC/YcMsoo

静かに瞳を閉じる 友の顔を瞼に浮かべて 18のままの彼女を写して 胸が一杯になる

「・・・」



それに気付かず 視線を空へ戻して言葉を紡ぐ

「唯さんも同じことを沖縄でやっていたんですよ」

283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:30:44.45 ID:pC/YcMsoo

瞳を開ける 隣で空に想いを残すように話す その彼女をじっとみつめて 聴く


「・・・」

「東御廻りと言って、昔は五穀豊穣を祈願して聖地を巡礼しながら参拝していた行事なんです」

「・・・」

「あの人の記事をを読んだ事があるんですけど、真鶴はそういう信仰に纏わる場所
 沖縄の伝承にとても詳しいらしいです。
 それで、真鶴に案内させられて唯さんも祈願したんですね」

「・・・」

「最初、その話を聞いた時は名所巡りをしているんだと思っていたんです」

「・・・」

「ですが、澪さんの台詞で繋がりました」

「・・・」

「『これを律に』」

「・・・」

「全てあなたが中心にいたんです」
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:31:24.38 ID:pC/YcMsoo


もう一度瞳を閉じて 18のままの彼女たちを想い浮かべる 胸が満たされていく 

五年の空白が 隣に居る彼女の言葉で埋め尽くされていく


「・・・」

「あなたの事を想い、行動していたんです」

「・・・」

「今夜会う人たちも、その場に居ないあなたを中心として集まっていたんです」
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:32:08.83 ID:pC/YcMsoo

言葉を紡ぐ彼女は気付かない その場所を守っていた事を 

言葉で満たされていく彼女は知っている 隣に居る彼女が その場所を守っていた事を


「・・・」

「遠い遠い空の下、私たちが繋がっていた証です」

「・・・」

「やっぱりむぎ先輩には敵いません」

286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:33:08.98 ID:pC/YcMsoo


空を眺める少女がいた


「樹ちゃんは空を眺めて・・・オーロラを探していたのかな・・・」

「・・・」




記憶の彼方に居る彼女の姿と重ねて


「この空に想いを残そうとしていたのかな・・・」

「・・・」

287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:33:50.32 ID:pC/YcMsoo


一つの旅が始まろうとしていた


「北海道は玉恵さんと冬と夏が旅をして、樹ちゃんが憧れる大地
 沖縄は暦さん、海琴さん、真鶴が旅をした島・・・
 どっちも魅力的ですね」

「・・・」


288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:34:19.90 ID:pC/YcMsoo


それは一つの旅の終わり


「あの人の言葉があったからここにいられるようなものなんです・・・」

「・・・」

289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:34:52.15 ID:pC/YcMsoo



かつて少女が憧れていた その場所へと誘う


「暦さんから未来に踏み出す勇気を貰いました」

「・・・」

290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:35:18.38 ID:pC/YcMsoo


空から視線を下ろし 今も尚尊敬しつづける人と想いを交わす



「まだまだ時間はあります」

「・・・」

291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:36:14.31 ID:pC/YcMsoo


二人で歩む道を見据えて


「行きましょうか、むぎ先輩!」

「・・・――」


292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:37:08.11 ID:pC/YcMsoo


旅は遥かに







「――あずさちゃん」







           終

293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:38:50.58 ID:pC/YcMsoo









































旅は遥かに
http://www.fog.jp/main/products/F2/MP3/f2_bgm01.mp3

風雨来記2のHPより




>>251
すいません(土下座)
隠しヒロインは攻略どころか、声すら聞いたことありません
キャラが知らないので登場出来ませんでした
みちのくも北へもやったことありません・・・(土下座)

アイツの登場はもっと大きく取り扱いたかったですね
本編より神々しく描けませんから無理だと戒めました


轍はこの夏に
アタイバル→石垣島→無人島を経験しています
轍なら余裕でしょう(笑)


風雨来記のサントラ聞きながら北海道を走ってみたいですね
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm580303(ネタバレコメ注意)
沖縄の道を2のサントラ流しながら走るとものすごく気持ちがいいです

風水嵯峨さんの手がける曲はこの作品には欠かせません
だから続編は難しいのかもしれませんね・・・

スタッフの膨大な量の取材には本当に関心させられます
FOGすごい
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:40:31.15 ID:pC/YcMsoo

ようやく終りました

前作のテーマが『出会いを大切にする事』
          『自分を見つけること』 なら

今作は『別れを大切にする事』
     『自分を越えること』 でした

前作から読んでくださった方、本当にありがとうございます
声が出ないという不幸から始まった今作ですが、決して未来は暗くないと信じて書きました

所々の台詞回しがおかしい点はとある歌詞を引用しているからです
その曲をイメージした展開でしたが、うまくいかず苦労してます




これにてけいおん部の旅は完結です

稚拙な文でしたが、ここまで付き合ってくださった方

ありがとうございました


風雨来記3が発売する事を願って

さようなら
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 19:47:22.96 ID:0rJAv/MPo

前回の続きという位置づけにはしないでほしかったな
あの話の未来は掛け値なしで幸せだったと思いたい

単独で見ると世界観が広がって何だかんだで色んな人達と仲良くなって雰囲気が暗いながらも良かった
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 21:05:25.48 ID:RQcCDQBko
長いだけでいまいちだった
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 22:02:04.29 ID:JeH9LYBDO
次は短いやつ頼む
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 03:57:37.68 ID:DxMshm3eo
欝度が半端だったな
暗い雰囲気を払拭しようとしたんだろうけど、それが返って無駄になっている
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 16:01:14.80 ID:o7Tgwy7Eo


それじゃあ、風雨来記×お嬢様特急のSS執筆を開始してくれ
待ってるぞ!
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2011/09/22(木) 22:54:12.11 ID:/dAa4LpSO
次回やる時は、もう少し話をまとめて欲しい

現状、グダグダし過ぎ
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/09/23(金) 19:33:57.92 ID:9aNHAlRmo
乙です
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/24(土) 12:06:16.36 ID:+03uEoCxo

「――あずさちゃん」


夏目「人が来ないうちに、はやく!」ヒソヒソッ

先生「今変わってやるわい」

「いい旅をしてきたのね」

どろん

「あら?」

夏目レイコ「「 あ 」」

「今、ネコちゃんから人へ変わりませんでしたか?」

夏目「・・・」サァー

レイコ「おいこら、見られたではないか夏目!」

「目の錯覚かしら」ゴシゴシ

夏目「疑ってるから自然体でいてくれ、先生」

レイコ「・・・」

「・・・疲れているのかしら」

夏目「目が疲れているんですか?」

「・・・そうかもしれないです」

レイコ「夏目、それくれ」

夏目「おれの飲みかけだけどいいのか?」

レイコ「構わん」ゴクゴク

「仲がよろしいのね」

夏目「あ、はは・・・」

レイコ「・・・ぷはぁ」

「むぎ、律の個室へ行きましょう」
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/24(土) 12:16:08.42 ID:+03uEoCxo
さようなら言っといて出てくるのはなんですけど

SSはもう満足気味でしたが、今作で思い残す点が生まれてしまったため
納得できないので書いてみようと思います
できるだけ短く書ける様に工夫してみます(書きあがるのかどうか不安)

ここまで長くなったのならちゃんと丁寧に書けばよかったです(ラストと姫子
風雨来記の魅力が活かしきれなかったのが非常に悔しい(ギリギリ

貴重なご意見ありがとうございました

次作は 前作のクロスでやってみます

それでは縁がありましたら読んでやってください
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2011/09/24(土) 23:33:04.28 ID:v256/NuSO
次、頑張ればいいさ
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/27(火) 02:40:56.81 ID:0X0aGe2io
前作から一気に読んだ
これだけのキャラを動かしきるのはすごい
自分の中ではこれまで読んできたSSの中で一番好きだ
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/28(水) 12:25:04.57 ID:Zkm7eHtao

まだhtml化されてないですね
もう人がいないであろうと思いますけど
あとがきでも


正直、メイン五人を動かすのが辛かったんです
キャラを崩さないように物語を作って楽しむのは前作で満足していて
今作はヴェガを通して成長しているけいおん部を描かなくてはいけないという
縛りがありました

唯がキャンプを提案するまでは楽しんで描いていたんですけど、
飽きたというか面白みに欠けてしまってボツだなと感じていました
けいおんのキャラを借りて動かしているだけで、自分自身が生み出したキャラが居ない事に気付いてしまったんです
それで筆が進まず(←作家気取り乙)、3週間くらい放置しました

前作では、鳥羽修治の名前を借りてヴェガの象徴的な存在にしましたが
今回はそれが無し
キャンプに行って、轍と会話して、それでむぎの声が戻って、
雨の中で無邪気に遊んで終ろうという中途半端な物語が出来上がっていました
CD屋に行く途中で唯と憂が思わせぶりな笑い方をしたのはこれが伏線になっているんですね
それだったら風雨来記じゃなくてもよかったんです
轍から学ぶ事なんて無いんです
ヴェガの続編じゃなくても良かったんです

ですが、玉恵が登場して物語が大きく変わりました

轍の運転するバイクの後ろに梓を乗せるかどうか、悩みました
旅のパートナーである暦たちが乗った席を、簡単に乗ってもいいものかと
この土地を去る轍の後ろに乗って何が学べるのかと

そこでバイクの免許を持っている玉恵が出てきたのです
北海道繋がりで冬と夏が登場してきて、梓と衝突になったというわけです
沖縄のメンバーだけで終るつもりでいました
玉ちゃん様々です

キャンプでむぎが、『旅が始まった』の台詞は自分でも「?」でした
その後の唯の『よく分かんないよ』の台詞がまんま自分の言葉なんです

キャンプが終って、エリとアカネが河川敷で登場した時に理解しました
旅じゃなくて、冒険をしなきゃいけないんだな、と

クラスメイト全員を繋げるという、無謀な冒険をしなきゃいけないんだと(←使命感乙)

冬と夏の存在がものすごく大きいんです
描く側はとても楽しめたのですから(この時点で読む側の事考えてなかった・・・)

>>295
ヴェガの続編として位置付けにしたのは、むぎの強さを裏付ける為でした
これは必須でしたので回避できませんでした すいません

前作の世界の線の上を走る今作とは別に、違う線の上を走る、旅を終えた明るい日常を描こうかとも思いました
声の出るむぎとティータイムを楽しんでいる風景を、不安の無い未来を
すぐ挫折しました。『五人+四人だけ』で話を組み立てる楽しみが生まれなかったのです

けいおんの『五人+四人』から広がる輪を描くのが好きなんですね
それだけなんです
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/28(水) 12:36:53.73 ID:Zkm7eHtao
>>299
堪忍してください><
大人である轍が絡める要素は無いのではないかと
同じ目線でいないと話が膨らまないと思います
海琴を乗せるのもありかもしれませんね

>>300
その点については本当に申し訳ないです
何気ないやり取りから学ぶ事ってたくさんあるんだと思います
それが描きたかったんです
むぎとの別れが終着点として進めていましたが、所々がまとまっておらず、ふわふわしすぎました

>>305
この物語とあなたの心がガッチリ合ったのでしょうね
嬉しいです。ありがとう


姫子といちごのやりとりを見た憂のリアクションはこの曲をイメージしました
http://www.youtube.com/watch?v=TbJ3OetADDw sweetie/折笠富美子



言い訳っぽくて、嫌なんですけど

むぎが伝えようとしてることを、読み手にも探って欲しいと思っていました
実際、書き手である私ですら「?」が多かったのも事実です
むぎから梓、梓から読み手へリレーしていけたら、むぎの人を想う強さが
ハッキリと伝わるのだと思っていたんです
こんなことって素人でしかできない試みではないかと(←プロを知ったつもりか乙!)


最後に
ここまで読んでくださった人 ありがとうございました

あとがきも長いな!
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/28(水) 16:22:42.40 ID:1qkXvofco

今回はやや暗めだったけど>>1の書くけいおんのキャラは結構好きだからまた見たい
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