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紬「いつかみた、あの大好きな、空の下で」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 18:55:48.43 ID:hNaTs+3Io

朝、少女が目を覚ます

「・・・」

チュンチュン

小鳥が囀る

サヤサヤ

夏が過ぎ、少しだけ冷たさを帯びた風が部屋に流れる

縮こまった体を伸ばす少女

「・・・〜」ノビノビ

一日が

―――――始まる 

「・・・?」

「???」

コンコン

「紬お嬢様、時間です」

紬「・・・」

「?」

コンコン

紬「・・・」

「お嬢様?」

テクテク

ガチャ

紬「・・・」

「おはようございます。紬お嬢様」

紬「・・・」コクリ

「・・・?」

紬「・・・」

「朝食の用意ができましたので」

紬「・・・」

「・・・どうかなさいましたか?」

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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:00:39.97 ID:hNaTs+3Io

9月1日

『おはようございます。
 今日から新学期ですね、
 放課後に演奏するのが楽しみです!』

「・・・足りないかな」

ピッピッピ

『おはようございます、むぎ先輩
 今日から新学期ですよ!
 部室で待ってます!』

「待ってますって、なんか違うような・・・」

テクテク

「おはよう梓〜、メールしながら歩くと危ないよー」

梓「うん〜」

ピッピッピ

『おはようございます。むぎ先輩
 今日から新学期ですね、
 放課後にみなさんと演奏しましょう!』

梓「あれ、最初とあまり変わらないな・・・」
 
「恋人同士かよ・・・」

梓「・・・ま、いいか。あ、おはよう純」

ピッ

ドンッ

梓「にゃっ」

ポロッ

「おっと」

カラカラカラ

純「だから危ないっていったじゃん」

梓「すいません」

「こっちこそ余所見してたから。ごめん」

梓「いえ・・・」

ヒョイ

「あーずにゃーん!」

梓「それでは」ペコリ

タッタッタ

「・・・俺の携帯・・・あった」

ヒョイ

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3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:01:16.28 ID:hNaTs+3Io

梓「おはようございます唯先輩、和先輩、憂」

純「おはようございます」

唯「おっはよ〜!」

和「おはよ」

憂「おはよ〜」

唯「みてたよあずにゃん!」

梓「なにがですか?」

和「ぶつかった所よ」

唯「ひと夏のアバンチュールだね!」

憂「もう秋だよお姉ちゃん」

梓「さ、行きますよ」

テクテク

純「そっけないな」

唯「甘く危険なアバンチュールだよ!」

梓「・・・」

和「アバンチュールって言いたいだけじゃないの?」

憂「あれ、梓ちゃんストラップは?」

梓「むぎ先輩と買いに行くって約束したから、あれは外したんだよ」

純「・・・もはやなにも言うまい」

和「まだ病にかかっていたのね」

唯「むぎちゃんとアバンチュールだね!」

「傍から見ていたら恥ずかしいヤツだな唯は」

「・・・大して変わらないけどな律も」

律「なんだと!」プンスカ

「怒る所じゃないんだけど・・・」

梓「おはようございます。澪先輩」

澪「おはよう」

律「あれ、私は?」

梓「・・・律先輩」

律「付け足すな!」

和「朝から元気ね・・・校舎に入るわよ」

テクテク

純「・・・マイペースです」
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4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:02:10.22 ID:hNaTs+3Io
律「今日から新学期かー」

唯「この夏は楽しかったよね」

憂「うん」

純「特別でしたね」

澪「むぎのおかげだ」

梓「・・・」

和「・・・耽っていると遅刻するわよ」

唯「もぉ〜和ちゃんってば〜」

澪「そうだな、ちゃんと前をみなくちゃな」

律「よぉーし!行くぞー」

純「はい!」

憂「なんだか新鮮な気分」ウキウキ

梓「・・・」

唯「どうしたの、あずにゃん?」

梓「いえ・・・、なんでもないです」

唯「行くよ〜」

梓「・・・なんだろう、新鮮な気分だけど・・・ざわつく気分も混じってる・・・?」

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5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:02:55.29 ID:hNaTs+3Io

ザワザワ

唯「あれ、むぎちゃんは?」

律「来ないな・・・もうすぐさわちゃん来るのに」

澪「珍しいな」

和「・・・確かに珍しいわね」

ガチャ

さわ子「はい、席につきなさーい」

唯「来ちゃったよ」

和「・・・」

さわ子「HRを始めるわよ」

律「さわ、先生ー、むぎから連絡来ていますかー?」

さわ子「風邪ひいたみたいだから病院へ行くと連絡がありました」

ザワザワ

澪「むぎが風邪・・・?」

「律じゃあるまいし」クスクス

律「そうですね、って誰が病原菌だコラァ!」

「お、ノリツッコミ覚えたのか律!」

「あははは」

ワハハハ

さわ子「はい、みなさんしずかにしてね」

唯「・・・」

澪「・・・」

律「・・・」

和「・・・」

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6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:03:22.39 ID:hNaTs+3Io

さわ子「それじゃこれでHRはおしまい」

ザワザワ

さわ子「真鍋さん、ちょっと」

和「? はい」ガタッ

スタスタスタ

唯「?」

律「まさか、むぎが風邪をひくなんてな」

澪「新学期早々な・・・なんだろ、この違和感」

律「明日になれば回復するだろ」

澪「そうだな。けど、梓がっかりするかも」

唯「そこでわたしの出番ですよ」

律「キーボード弾けるのかよ」

唯「そこはむぎちゃんのポジションですから、無理です」

澪「じゃどうするんだ?」

唯「抱きしめます!」

律「さて、体育館に移動するか」

澪「そうだな」

唯「・・・」シーン

和「・・・」

唯「さわちゃん、なんだって〜?」

和「いえ・・・、わたしたちも移動するわよ」

唯「・・・」

和「・・・」

唯「・・・和ちゃん」

和「・・・・・・放課後・・・ね」

唯「・・・」

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7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:03:57.66 ID:hNaTs+3Io

―――――昼

梓「・・・」ボケー

純「どうしたの梓は?」

憂「よく分からないよ」

梓「・・・」

純「食べないの?」

憂「どうしたの?」

梓「・・・うん」

pipipipipipi

梓「きたっ!」

バッ 

ピッ

純「この間、時間にして0.3秒である」

梓「あれ・・・電話?」

憂「?」

『てつ・・・くん・・・?』

梓「???」

『もしもし・・・轍くん?』

梓「誰ですか?」

『あ、すいません。番号かけ間違えました』

梓「いえ・・・」

『失礼しました』

プツッ

梓「・・・あれ?」

純「どうした?」

梓「待ちうけが・・・」

憂「待ち受け画面?」

梓「変わってる・・・」

純「どうせ紬先輩とのツーショットだったんでしょ?」

梓「うん」

純「おいっ!」ビシッ

憂「梓ちゃん?」

梓「・・・あれ?」

pipipipipipipipi

梓「芹沢暦・・・って誰?」
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8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:04:42.81 ID:hNaTs+3Io

純「知らないよ」

プツッ

梓「も、もしもし」

『あれ・・・、轍くんの携帯電話ですよね?』

梓「え・・・?」

『もー、貸しなさいよ暦!』

暦『あっ』

『ちょっと!その電話にぃにぃのなんだけど!?』

梓「に、にぃにぃ?」

純「セミの季節は終わったんだよ・・・」ガックリ

憂「そうだね・・・」

『テツにぃにぃの電話だって言ってるでしょ!?』

梓「え・・・ちょっとまってください、一旦切ります!」

『ちょっと!』

プツッ

梓「・・・」

ピッピッピ

梓「あい・・・ま・・・そうま・・・てつ・・・?」

憂「どうしたの?」

梓「このケータイ私のじゃ・・・ない・・・」

純「えっ!?」

憂「梓ちゃんの番号にかけてみるね」

ピッピッピ

trrrrrrr

梓「あ、朝のあの人!」

純「あーあの時か」

梓「・・・入れ替わっていたなんて」

純「お間抜けめ」

梓「ぐっ・・・」

憂「出ないよ〜」

trrrrr

梓「ハァ・・・むぎ先輩にメール送ったきりなんだけど」

純「気にする所そこなんだ」
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9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:05:13.80 ID:hNaTs+3Io

pipipipipi

梓「はい・・・」

『いきなり切らないでよ!』

梓「すいません、この電話は相馬轍さんのみたいです」

『・・・そうでしょ、だからなんであなたがにぃにぃの電話もってんのよ』

梓「色々あって・・・」チラッ

憂「・・・」フルフル

純「出ないのね」

『Who are you』

梓「中野梓・・・です」

『私は真鶴・天継・テイラー。・・・真鶴でいいわ』

梓「・・・はぁ」

真鶴『で、にぃにぃは?』

梓「ここにはいません」

真鶴『どういうこと?』

―――――かくかくしかじか

真鶴『分かりました。それでは、にぃにぃに返したら電話するように伝えてください』

梓「うん」

真鶴『失礼します』

プツッ

純「なんだって?」

梓「12歳のハーフなんだって」

憂「そうなんだ」

純「いや、重要な所はそこじゃない」

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10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:05:46.03 ID:hNaTs+3Io

―――――放課後

梓「どうしたんですか唯先輩・・・?」

唯「・・・うん」

律「今日の唯はずっとこんな感じだったな」

澪「上の空っていうか・・・らしくないな・・・」

和「・・・」

純「あの・・・」

さわ子「・・・なに?」

憂「どうしてわたしたちまで部室に・・・?」

さわ子「ちょっとね・・・」

梓「・・・」

コンコン

唯「!」

さわ子「わたしが行くから、みん な座ってて」

律「・・・」

澪「・・・」

和「・・・」

純「・・・」

憂「・・・」

梓「・・・」

ガチャ

さわ子「・・・入って」

紬「・・・」コクリ

梓「!」

律「むぎ!」

澪「風邪ひいたって聞いてたんだけど・・・?」

唯「むぎ・・・ちゃん・・・」

紬「・・・」フリフリ

テッテッテ

梓「む、むぎ先輩・・・」

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・?」
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11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:06:29.68 ID:hNaTs+3Io

和「・・・」

憂「・・・?」

純「・・・?」

律「おい・・・むぎ?」

紬「・・・」

澪「どう・・・したんだ・・・?」

紬「・・・」ニコ

唯「むぎちゃん・・・」

紬「・・・」

梓「むぎ・・・せん・・・ぱい・・・」

さわ子「・・・むぎちゃんは」

紬「・・・」スッ

さわ子「分かったわ」

テクテク

純「ホワイトボード?」

憂「?」

和「・・・」

紬「・・・」カキカキ

唯「『声が』」

律「・・・『出なく』」

澪「・・・・・・『なったの』」

梓「え・・・」

純「うそ・・・」

憂「そ、そんな・・・」

和「・・・」

紬「・・・」コクリ

律「な、なんでだよ!」

澪「どうして!」

唯「・・・」

梓「・・・」

ガチャ

さわ子「入ってください、斉藤さん」
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12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:06:56.86 ID:hNaTs+3Io

斉藤「失礼します」

紬「・・・」

純「あ・・・」

斉藤「本日の朝、起きた時からこの症状が始まっていたそうです」

律「朝・・・」

斉藤「病院へ行って検査を行いましたが、原因究明に至っておりません」

澪「え・・・」

梓「す、すぐ治るんですよね・・・?」

斉藤「しばらくはこのままではないかと診断されました」

梓「・・・」

斉藤「一過性のものかもしれません」

唯「そ、それじゃあ・・・」

斉藤「持続性のものかもしれません」

憂「そんな・・・」

斉藤「精密検査に入るところでしたが、紬お嬢様が学校へ行くと仰いました」

純「・・・」

斉藤「明日も病院で検査をしますので、放課後の登校になります」

和「・・・」

斉藤「それでは、後ほど迎えに参ります。紬お嬢様」

紬「・・・」コクリ

斉藤「失礼します」

ガチャ

バタン

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13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:07:30.52 ID:hNaTs+3Io

紬「・・・」

唯「・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

純「・・・」

憂「・・・」

和「むぎ・・・紅茶淹れてくれる?」

さわ子「そうね。むぎちゃんもいる事だし、ティータイムにしましょ」

紬「・・・」コクリ

テッテッテ

梓「なんで・・・むぎ・・・せんぱいが・・・」

pipipi

梓「なん・・・で・・・!」

pipipipipipi

梓「なんで・・・っ!」

唯「あずにゃん・・・」

pipipipipipipipipi

梓「・・・なんでッ!!」

律「梓ッ!」

梓「!」ビクッ

律「ちゃんと前を向け・・・」

澪「・・・・・・電話・・・鳴ってるよ」

pipipipipipi

梓「ぁ・・・」

ピッ

梓「・・・はい」

『桜が丘でいいんだよね?』

梓「・・・はい」

『・・・・・・忙しいなら待つけど?』

梓「今・・・行きます・・・」

『分かった』

プツッ
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14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:08:01.43 ID:hNaTs+3Io

梓「ちょっと・・・外へ・・・行ってきます」

ガチャ

バタン

和「危なっかしいわね」

唯「わたし行ってくるよ」

律「頼む」

ガチャ

バタン

紬「・・・?」

純「朝、ケータイを取り違えてしまって・・・」

憂「間違えた人が今来ているので、返してもらいに行きました・・・」

さわ子「そういう事ね」

紬「・・・」コクコク

澪(梓は・・・まだ・・・)

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15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 19:08:14.14 ID:zXXFYgmCo
最初からやるのかwwww
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16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:08:35.08 ID:hNaTs+3Io

ナニアノヒトー

「女子高だったのか・・・。気まずい」

アノバイクカッコイイ

「相棒を褒めてくれるなんて・・・」

ポンポン

・・・・・・

・・・

梓「・・・」テクテク

唯「あずにゃん」

梓「・・・」テクテク

唯「・・・」

梓「朝、普段通りだったんですよ」

唯「うん・・・」

梓「普段通りにごはん食べて」

唯「・・・うん」

梓「普段通りに仕度して」

唯「うん」

梓「夏が始まる前と同じように家から出て」

唯「うん」

梓「でも、少しずつなにかがズレ始めて・・・」

唯「・・・」

梓「完全におかしくなりました」

唯「おかしくなってないよ」

梓「おかしいですよ!」

唯「ううん」

梓「なんであんなに優しい人がッ!」

唯「・・・」

梓「なんであんなに暖かい人がッ!」

唯「・・・」

梓「なんであんなに素敵な人がッ!」

唯「・・・」

梓「なんでむぎ先輩なんですかッ!」

唯「むぎちゃんはむぎちゃんだよ」

梓「ッ!」
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17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:09:16.20 ID:hNaTs+3Io

唯「わたしも和ちゃんの雰囲気がおかしかったから不安だったんだけどね」

梓「・・・」

唯「さっきのむぎちゃんの笑顔をみたら安心しちゃった」

梓「どうして・・・笑顔で・・・いられるんですか・・・」

唯「多分むぎちゃんだから・・・」

梓「分からないです・・・」

唯「うん・・・。わたしも分からないや」

梓「なんですか・・・それは・・・」

「『最高の場所』」

梓「え・・・?」

「そこを知っているから・・・じゃないかな」

唯「お兄さんは誰ですか?」

「相馬轍・・・。はい、返す」

梓「はい・・・」

唯「・・・」

轍「迷惑かけたね。それじゃ」

ピッピッポ

trrrrr

梓「・・・『最高の場所』・・・ってなんですか・・・?」

轍「え・・・、あ、おやっさん?金が尽きそうだからさ・・・」

スタスタ

唯「行こう、あずにゃん」

梓「・・・」

唯「あずにゃん?」

梓「・・・」

轍「うん、サンキュー。それじゃ」

プツッ

スチャッ

ドルルルルン

轍「これで今週は持つな・・・助かった・・・」
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18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:09:43.96 ID:hNaTs+3Io

梓「あの・・・」

轍「ん?」

梓「さっき言った『最高の場所』ってなんですか・・・?」

轍「ひとそれぞれ、もっている大事な場所」

梓「どうやって見つけるんですか・・・?」

轍「探して・・・だよ。それじゃあね」

ドルルルン

ドルルルルル・・・

唯「探さないとみつからないもんね・・・」

梓「・・・」

唯「行こう、むぎちゃんが待ってるよ」

梓「・・・はい」

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19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:10:12.26 ID:hNaTs+3Io

律「みおが教科書忘れてさ〜」

澪「忘れるくらい誰にでもあるだろっ」

和「よりによって遠い教室でね」

澪「う・・・」

紬「・・・」ニコニコ

純「という事は到着してから気づいたんですか?」

律「そういう事だ」

憂「クスクス」

澪「た、偶々だ」

さわ子「遅刻しなかったでしょうね」

澪「ぴぃ〜ぷぅ〜」

さわ子「遅刻したのね」

純「み、澪先輩が・・・白を切った・・・」

和「レアね」

紬「・・・」コクコク

律「いや、結構やってるぞ」

澪「言うなっ!」

純「そんな澪先輩も素敵です」キラキラ

憂「なにがあっても揺るがないんだね」

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20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:11:00.93 ID:hNaTs+3Io

梓「・・・」

唯「普段通りだね」

梓「どうして・・・」

唯「むぎちゃんが笑ってくれているからだよ」

梓「・・・」

唯「あずにゃん」

梓「・・・はい」

唯「わたしたちは多分、斉藤さんよりもむぎちゃんの声が聴こえると思う」

梓「・・・どうして、そう言いきれるんですか」

唯「音楽があるから」

梓「!」

唯「だからゆっくり耳を傾けようよ」

梓「・・・」

唯「むぎちゃんが支えてくれるなら、わたしたちも支えられるように頑張ろう」

梓「・・・っ」

唯「なんてね、えへへ〜」

梓「・・・」

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21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:11:34.85 ID:hNaTs+3Io

澪「そういや、唯が朝言っていたアバンチュールってケータイの人?」

さわ子「話題変えたわね」

紬「・・・?」

和「男の人とぶつかって、携帯電話を間違えて拾っちゃったのよ」

紬「・・・」コクコク

憂「それでお姉ちゃんがアバンチュールと」

紬「・・・」

律「いや、心配しなくても大丈夫だろ。取りに行っただけだし」

紬「・・・」

澪「唯も一緒に行ったから心配する事ないよ」

紬「・・・」コクリ

憂「お昼に電話がかかってきたんですけど、女性の方でしたよ」

純「二人のうち一人は12歳でハーフらしいです」

律「なんだそれは」

和「よく分からない情報ね」

さわ子「そんなに悪い人でもないって事?」

憂「見た感じそうですね」

律「じゃあもう1人の方が彼女さんか」

紬「・・・」コクコク

純「なーんだ。アバンチュールは無しか」

ガチャ

紬「!」

唯「誰がアバンチュールするの!?」

律「しないっつの」

タッタッタ

紬「・・・」

梓「むぎ・・・先輩?」

紬「・・・」

梓「?」

さわ子「梓ちゃんがその人とアバンチュールするんじゃないか心配だったんだって」

和「・・・」

梓「し、しませんよ!」

唯「ちぇー」

梓「自分でしてくださいよ」

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22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:12:19.54 ID:hNaTs+3Io

紬「・・・」スッ

梓「私のケータイがどうしました?」

紬「・・・」チョンチョン

唯「・・・ストラップ?」

梓「あ・・・今日買いにいく予定でしたね」

紬「・・・」ションボリ

梓「気にしないでください。いいですよ」

紬「・・・」

ギュ

梓「?」

紬「・・・」スラスラ

梓「あ・・・し・・・た・・・」

唯「あずにゃんの掌に文字を書いてるんだね・・・?」

紬「・・・」スラスラ

梓「か・・・い・・・に・・・っ」

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・っ」

律「あー、すとらっぷかえたくなったなー」

澪「また棒読み」

純「わたしもかえよっかなー」

憂「私もそうしようかな」

紬「・・・」

グイグイ

梓「・・・っ」

紬「・・・」ポンポン

梓「・・・・・・はい」チョコン
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23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:12:48.10 ID:hNaTs+3Io

紬「・・・」

コポコポ

梓「ありがとうございます」

紬「・・・」ニコニコ

唯「むぎちゃんや、私もおねがいしますだ」

紬「・・・」コクリ

テッテッテ

コポコポ

唯「ありがと〜」

紬「・・・」ニコニコ

和「むぎ、明日の放課後に買いに行くの?」

紬「・・・」コクコク

和「丁度よかったわ」

唯「おぉ、和ちゃんも乗り気だ!」

さわ子「二人お揃いじゃなくなるかもね〜」ニヤリ

梓「あ・・・」

律「そこは妥協してくれないか」

梓「しませんよ!」

律「しろよ!」

紬「・・・」ニコニコ

さわ子「まだ病にかかっていたのね・・・」

唯「むぎちゃん病だね」

澪「やれやれ」
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24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:13:15.71 ID:hNaTs+3Io

ギュ

律「ん?」

紬「・・・」スラスラ

律「あ・・・ば・・・ん・・・ち・・・ゅ・・・ーる・・・?」

紬「・・・」コクリ

律「言いたかったのか!」

梓「む、むぎ先輩、そういうのは私を通してください」

律「なんでだよ!」

梓「わ、私がむぎ先輩の声になります!」

紬「・・・」パチパチパチ

純「よく言った」パチパチパチ

憂「梓ちゃんかっこいいよ」パチパチパチ

律「なんの拍手だ」

さわ子「いつもそばにいないといけないじゃない」

梓「だからです」

和「自己完結しないでほしいわね」

唯「キーボードだよ!」

憂「キーボード?」

唯「みなさん、鍵盤にもコードがある事はご存知ですかな」フフン

紬「・・・?」

さわ子「なるほど。コードを声に置き換えるのね」

唯「そうです!」

紬「・・・」キラキラ

梓「・・・」

律「それは途方も無い作業だな」

澪「・・・でも、やる価値は大きい」

唯「あずにゃん・・・負けないよ」

梓「! やってやるです!」

さわ子「見守っていましょうか」

和「そうですね。わたしはコード分かりませんから」

純「鍵盤かー!」

憂「少しなら分かるんだけど・・・」
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25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:13:43.05 ID:hNaTs+3Io

唯「むぎちゃん、また明日ね〜」フリフリ

和「じゃあね」

紬「・・・」フリフリ

律「・・・明日な」

澪「明日」

梓「・・・」

純「ほら、梓・・・」ツンツン

憂「梓ちゃん・・・」

紬「・・・」

ギュ

梓「あ・・・」

紬「・・・」スラスラ

梓(ま・・・た・・・あ・・・し・・・た・・・)

紬「・・・」ニコ

梓「はい、また明日です」

斉藤「・・・どうぞ」

ガチャ

紬「・・・」

バタン

斉藤「それでは失礼致します」ペコリ

唯「気をつけてね〜」

バタン

ブオオオオオオオ

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26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:14:10.57 ID:hNaTs+3Io

梓「・・・」

純「それでは、先輩方。私は梓を送っていきますので」ビシッ

唯「頼んだよ」ビシッ

梓「1人でいいよ」

律「送ってもらえって。部長命令だ!」

梓「・・・」

澪「明日な、梓」

唯「明日ね〜」

和「学校で」

憂「気をつけてね」

純「それでは〜」

梓「失礼します」

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27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:14:39.59 ID:hNaTs+3Io

唯「じゃ、明日ね〜」

憂「ここで失礼します」

和「・・・学校で会いましょう」

律「あぁ、明日な」

澪「また・・・明日・・・」

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28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:15:06.26 ID:hNaTs+3Io

澪「この言葉がこれほど大切だと思ったのは初めてかもしれない」

律「あぁ・・・」

澪「・・・」

律「・・・」

澪「どうしよう・・・」

律「・・・」

澪「・・・現実が追いついてこない」

律「うん・・・」

澪「梓と唯が一番現実を受け入れているんだと思う・・・」

律「うん・・・」

澪「・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

律「帰るぞ」

澪「・・・うん」

律「・・・」

澪「・・・」

律「私もみおと一緒だ・・・追いついてこないよ・・・」

澪「・・・うん」

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29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:15:34.22 ID:hNaTs+3Io

唯「ありがとね、和ちゃん」

和「え?」

憂「?」

唯「ティータイムにしようって言ってくれて」

和「私は知っていたから、放課後までに準備ができていただけ」

憂「知っていた?」

和「えぇ、山中先生から聞いていたから。むぎの事」

唯「そっかー」

憂「・・・」

和「ねぇ、携帯電話のメールを打つように変換したらどう?」

唯「うーん」

憂「私もそう思ったよ」

和「ドを一回弾くと『あ』、二回続けて弾くと『い』」

唯「・・・」

憂「ド、ドドって弾くと『愛』になるってことだね?」

和「そう。それなら・・・」

唯「モールス信号みたいで・・・」

和「・・・お気に召さないのね」

憂「どうして?」

唯「なんだか作業のようで・・・いや・・・かな・・・」

憂「そっか・・・」

和「そうね。むぎが奏でる音を、気持ちものせた声に変換しないと意味ないわね」

唯「ありがと、和ちゃん」

和「私もむぎの声を聴きたいからね」

憂「・・・うん」

唯「よぉーし!」フンス!

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30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:16:08.43 ID:hNaTs+3Io

純「よっ」シュッ

チョンチョンチョンチョン

ポチャン

純「4回かー」

梓「・・・」

純「難しいね、水面石飛ばし」

梓「子供っぽいよ」

純「まだ子供だよ。よいしょ」

スト

梓「・・・」

純「・・・」

梓「夕陽なのに・・・色がついてないみたい」

純「あらら」

梓「・・・」

純「成長したんでしょ」

梓「夏は・・・終わったんだよ・・・」

純「じゃあ止まったんだ」

梓「・・・」

純「・・・紬先輩の一番近くにいた梓が、梓自身が遠くに行ってどうすんのさ」

梓「・・・」

純「唯先輩に負けるよ?」

梓「・・・唯先輩は・・・凄い人だから」

純「負ける言い訳を今言うのか」

梓「・・・」

純「・・・」

梓「・・・」

純「紬先輩のそばで・・・いや、けいおん部の中で成長していく梓が羨ましく思ってた」

梓「・・・」

純「今も羨ましいかも」

梓「今でも?」

純「怒るなって。状況を羨ましがってるんじゃないよ」

梓「じゃあ、なに?」

純「ごめん。言い方が悪かった」

梓「・・・」
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31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:16:36.48 ID:hNaTs+3Io

純「部室で梓がケータイの人に会いに行ったとき、すぐに紬先輩の表情が曇ったんだよ」

梓「え・・・」

純「律先輩と澪先輩がすぐ察知して、フォローして始めて私は気づいた
  梓を心配してるんだって。自分の事は置いておいて、梓をね」

梓「・・・っ」

純「2人の・・・いや、5人の結束は固いなって、絆は深く結ばれているなって」

梓「・・・」

純「そういう事だから・・・ごめん」

梓「ううん・・・。・・・・・・ありがと」

純「よかった・・・。よっと」ピョン

タッタッタ

梓「・・・」

純「よっ」シュッ

チョンチョン

ポチャン

純「なんでだ!」

梓「・・・・・・・・・ありがと」

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32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:17:03.73 ID:hNaTs+3Io

―――――夜


『音楽があるから』

そうだ

わたしにも音楽がある

音がある


むぎ先輩の音が

声が

聴こえる


ピンッ

シュルルルルル

バシッ




コイントスで道が開けるなんて思っちゃいけない

けど・・・、勇気が欲しい

手を開くのが

怖い





―――よかった

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33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:17:53.21 ID:hNaTs+3Io

9月2日


コンコン

唯「はいよー」

ガチャ

憂「起きてたんだね」

唯「うん。おはよーうい」

憂「おはようお姉ちゃん。ご飯すぐ準備するからね」

唯「分かった。すぐ降りるよー」

憂「うん」

バタン

唯「えーと、これとこれと・・・おっと、これを忘れちゃいけないよ」

ヒョイ

唯「・・・」

ペラペラ

唯「やっぱりむぎちゃんの意見聞かないとね」ガサゴソ

ガチャ

バタン

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34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:18:40.92 ID:hNaTs+3Io

唯「おっはよ〜」

澪「おはよ」

律「おっすー」

憂「おはようございます」

和「おはよう」

唯「朝の挨拶は気持ちがいいもんですな!」

律「そうですな!」

澪「行くぞ」

スタスタ

和「色々考えちゃって寝付けなかったわ」

憂「私もです」

澪「そうだな・・・なにができるんだろう」

和「なにかしよう、なんて思わないほうがいいのかもしれないわ」

憂「?」

澪「特別視しない・・・って事か」

和「そういう事ね」

憂「・・・」

澪「でも、声は聴きたいからな」

和「そうね」

憂「・・・はい」

唯「置いていかないでよ〜」

律「ったくー、いつもの事だけども」

唯「わたしたち強くなったよね」

律「そうだよな!」

唯「一歩一歩確実に階段を飛び越えて」

律「いやいや、踏みしめていこうぜ〜」

スタスタ

唯「それでも!?」

律「触れてくれない!?」

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35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:19:53.14 ID:hNaTs+3Io

ガチャ

律「ふぁ〜」

澪「律も寝不足か・・・」

律「まぁな〜」

「おはよー律」

律「おはよー」

「のどか・・・」

和「・・・え?」

唯「ふぁ〜」

澪「・・・ふぁ」

「あくびってうつるよね〜」

澪「う、うん」

「紬の事聞いてる?」

唯「!」

和「聞いてるって・・・?」

「昨日のHRでさわ子先生風邪だって言ってたでしょ?」

和「えぇ・・・」

唯「・・・」

「放課後みたんだよ。校庭を男の人と歩いている所を」

和「・・・そう」

「執事さんでしょ?」

和「・・・」

「・・・どうして黙るの?」

和「・・・それは」
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36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:20:30.97 ID:hNaTs+3Io

唯「むぎちゃんは風邪じゃないよ」

「・・・?」

和「・・・」

「じゃあどうして休んだの?」

唯「それは言えないよ。・・・ごめんね」

「・・・」

和「・・・」

唯「・・・」

「HRの後に呼ばれていたから、知ってると思って・・・さ」

和「・・・」

「言いにくいなら聞かないよ」

唯「・・・うん」

和「時間をくれないかしら」

「・・・分かった」

唯「・・・わたしたちからは言えない事なんだよ」

「・・・うん」

和「不安にさせて悪いわね姫子」

姫子「いいよ・・・」

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37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:21:23.27 ID:hNaTs+3Io

さわ子「HRを始めます」

律「・・・」

唯「・・・」

澪「・・・」

和「・・・」

さわ子「琴吹さんは今日もお休みっと」

姫子「・・・」

「病院行ったんでしょ?」

律「う、うん・・・」

「一日では治らないか〜」

澪「・・・」

唯「・・・」

和「・・・」

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38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:23:08.22 ID:hNaTs+3Io

―――――昼

唯「どうかな・・・?」

律「へぇ〜」

澪「・・・すごいな」

唯「憂と相談しながら作成したんだよ、このコードボイス」

澪「コードボイス?」

律「まんまだけどな」

唯「むぎちゃんの意見を取り入れるつもりだけど、なにかしたくて」

律「まぁ、ベースにはなるんじゃないか?」

澪「・・・うん」

唯「よし!」フンス!

律「・・・」

澪「・・・」

唯「それでね、ピアニッシモ、ピアノ、メゾピアノ、
  メゾフォルテ、フォルテ、フォルテッシモで感情を表現するんだよ」

律「いや、むぎは表情に出すからすぐ分かるだろ」

唯「じゃあピアニッシモで『お腹すいた』ではどう受け取る?」

澪「『きわめて弱くお腹すいた』だから極限状態だな」

律「それを使う時ってどんな時だよ」

唯「それじゃメゾフォルテで『お腹すいた』は?」

律「お・・・若干ウキウキ気分になるな」

唯「でしょ、その段階で言うと同じ言葉でも違うのです」

澪「・・・なるほど」

律「・・・」

唯「むぎちゃんが使いづらいなら意味ないけどね」エヘヘ

澪「・・・そんなことはないよ」

律「・・・あぁ」

唯「そっかな」

澪「うん、気に入ると思う」

律「・・・」

唯「えへへ」


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39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:29:12.42 ID:hNaTs+3Io

―――――放課後

ダダダダッ

バンッ

唯「おぉーー!居ないっ!」

律「・・・んだよー」

唯「・・・しょうがない、待つとするかね」

律「そうですね」

唯「はやくこないかなー」

律「それを披露したい気持ちは分かるけど」

唯「違うよ。ただ、会いたいだけだよ」

律「そっか・・・」

ガチャ

唯「!」

律「お!」

梓「こんにちは」

律「・・・」

唯「あっずにゃん!」ダキッ

梓「ちょっ」

唯「待ってたよ〜」スリスリ

梓「・・・」ハァ

律「あれ、純と憂ちゃんは?」

梓「純はジャズ研へ、憂は掃除当番です」

唯「そ〜か〜」スリスリ

梓「・・・」グググ

唯「ぉ・・・」ムググ

律「文字通り無言の抵抗だな」
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40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:30:05.55 ID:hNaTs+3Io

ガチャ

唯「!」

梓「!」

律「和か・・・」

和「ごめんね」

梓「なななんであやまるんですか!」

和「あからさまにガッカリされたから」

唯「もー、あずにゃんってば」

和「唯もね」

唯「そんなことないよー」

和「その反応もちょっと傷つくんだけどね」

律「トンちゃんでも見て和んでいようぜ」

梓「和んだことあったんですか?」

律「ないよ」

梓「・・・」

唯「和ちゃん生徒会無いんだよね?」

和「無くは無いけど」

律「いいのか?」

和「明日の私に頑張ってもらうからいいのよ」

梓「和先輩が言うとかっこいいです」

唯「昨日のわたし頑張ったんだよ、見てあずにゃん!」

梓「・・・す、すごいです」ペラペラ

唯「ふふん」

律「そしてこのしたり顔である」

ガチャ

唯「!」

梓「!」

律「・・・澪は悪くないからな」

澪「ご、ごめんな」

和「掃除当番は?」

澪「姫子が変わってくれた・・・」

唯「・・・そっか」

和「・・・」

澪「どうしてだろ?」
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41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 19:30:22.64 ID:sMgaWEpSO
みんないい子だな
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42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:30:56.47 ID:hNaTs+3Io

唯「・・・なかなか来ないね」ソワソワ

梓「・・・は、はい」ソワソワ

澪「お、落ち着け」ソワソワ

律「そうだぞ」ソワソワ

和「・・・」ソワソワ

ガチャ

憂「すいません」

梓「・・・」

澪「さすがだ」

律「なにがだ」

唯「さわちゃんと来るのかな?」

和「・・・どうかしらね、読めないわ」

澪「梓、どこで買うの?」

梓「決めてないですけど・・・」

唯「目星はつけてるの?」

梓「いえ・・・。できれば猫にしようかと」

憂「ねこ?」

梓「うん・・・」

律「理由を聞かせてもらおうか」

梓「・・・」

律「聞かせてもらおうか」

梓「・・・」

律「聞かせてくれないか」

梓「・・・」

律「聞かせて欲しいな」

梓「・・・」

律「教えてください!」

梓「・・・」

和「強固ね」

唯「それほど深い意味があるんだね」キラン

梓「ないですよ?」

律「ないのかよっ!」

澪「踊らされたな」

律「・・・」
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43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:31:59.88 ID:hNaTs+3Io

憂「どうして、ねこなの?」

梓「きぐるみ着ていたから」

澪「なるほど」

ガチャ

純「こん・・・」

唯「・・・」

梓「・・・」

澪「・・・」

和「・・・」

律「・・・」

憂「・・・」

純「・・・っ」

ガチャ

タッタッタ

憂「まって!」

ガチャ

タッタッタ

律「なんだこれ?」

澪「すごく嫌な空気が流れたな」

和「自分を責めたのね」

唯「誰も悪くないんだよ」

梓「タイミング的なものが悪かったですね」

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44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:32:59.80 ID:hNaTs+3Io

バタンバタン

ドサドサッ

澪「!」ビクッ

唯「ん?」

律「・・・物置?」

梓「音が聞こえましたけど・・・」

和「・・・?」

唯「だ、だれかいるの!?」

ガチャ

紬「・・・」

唯「む、むぎちゃん!?」

梓「えっ!?」

紬「・・・」ニコ

律「いや、ひきつってるぞ」

和「どうしたのよ」

紬「・・・」スヤスヤ

和「ボディランゲージね」

梓「寝ていたんですか?」

紬「・・・」コクコク

律「どうしてこんなとこで?」

ギュ

和「・・・え?」

紬「・・・」スラスラ

和「み・・・ん・・・な・・・を・・・」

梓「どうぞ」スッ

ギュ

紬「・・・」スラスラ

梓「お・・・ど・・・ろ・・・か・・・」

唯「どうぞ」スッ

梓「ちょっ!」

ギュ

紬「・・・」スラスラ

唯「せ・・・よ・・・う・・・と・・・」

律「梓で把握できたんだけど」

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45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:34:17.47 ID:hNaTs+3Io

澪「」ガクガク

紬「・・・」チョンチョン

澪「ヒッ」

紬「・・・」

律「みおー」

紬「・・・」スッ

律「わ、分かった」

澪「」ブルブル

紬「・・・」ヒョイヒョイ

和「髪の毛をいじってるわね」

唯「みつあみがお勧めだよ」

律「髪がくせになるぞ、あれは」

唯「やったことあるの!?」

律「ね、ねえよ!」

梓「・・・」

紬「・・・」キラキラ

律「できたーって顔してんな」

唯「なんだ、あずにゃんと一緒じゃないの〜」

梓「なんだとはなんですか」

澪「?」

紬「・・・」ニコニコ

澪「・・・なん・・・だ?」

紬「・・・」ガシッ

澪「・・・む、むぎっ!?」

紬「・・・」フルフル

和「髪に触るなって言っているわね」

澪「か、髪・・・?あ、またっ!」

紬「・・・」ニコニコ

澪「・・・しょうがないな、むぎは」ハァ

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・」

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46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:34:54.25 ID:hNaTs+3Io

律「純と憂ちゃんはどこまで行ったんだ?」

憂「ここにいますよ」

紬「・・・!」

純「唯先輩の掌に文字を書いている時からです」

唯「そっかー、そんじゃみんな揃った事だし行こうよ!」

澪「・・・そうだな」

梓「純、ジャズ研は?」

純「今日はお休み」ブイッ

律「別名サボリ」

純「・・・今日はお休みをいただきました」

憂「そうなんだ」

梓「・・・」

和「・・・唯」

唯「ん?」

紬「・・・」スタスタ

和「ボイスコードは?」

紬「!」

唯「あ、忘れてた〜」ウッカリ

紬「・・・」ワクワク

唯「むぎちゃん!これを見てよ!」

ジャン!

紬「・・・」キラキラ

和「お気に召したようでなによりね」

憂「ふふっ」

梓「・・・」

唯「母音を設定した方法があるんだよ」

澪「『黒鍵』を『あいうえお』に変換する方法だな」

紬「・・・」コクコク
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47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:35:50.11 ID:hNaTs+3Io

唯「『ド#をあ』『レ#をい』『ファ#をう』『ソ#をえ』『ラ#をお』だね」

梓「・・・」

純「カ行からどうするんですか?」

律「黒鍵の5つが母音なら、白鍵の7つは子音だ
  ドを『K』レを『S』ミを『T』ファを『N』ソを『H』ラを『M』シを『R』で、一つ高いドを『Y』」

紬「・・・」コクコク

和「『か』は『ドとド#』ね」

唯「『ゆい』を発声するなら、『高いド、ファ#でゆ』、『レ#でい』だよ」

紬「・・・」キラキラ

梓「『わ』、『を』、『ん』、が余りますよ?」

憂「『わ』、『を』は『Y』グループに入れることが出来るよ」

律「ここらへんがやっかいだな」

純「濁音もですね」

澪「そうだな・・・」ウーム

唯「子音を二回押すのはどうかな」

憂「そうだね、『ドドレ#』で『ぎ』です」

梓「・・・」

唯「どうかな?むぎちゃん」

紬「・・・」

テッテッテ

律「お、さっそく鍵盤を弾くのか」

紬「・・・」コクリ

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48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:36:45.38 ID:hNaTs+3Io

ポン

憂「ド#」

律「分かんねえ・・・」

澪「慣れるまで、だな」

紬「・・・」

ポンポン

梓「シ、レ#」

純「くぅ・・・」

紬「・・・」

ポポンポン

憂「も、もう一度お願します」

紬「・・・」コクリ

ポポンポン

憂「!」

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49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:37:23.77 ID:hNaTs+3Io

純「なに・・・?」

梓「・・・・・・ドド、ド#・・・」

澪「!」

和「・・・むぎ・・・・・・」

紬「・・・」

ポンポン

律「・・・」

憂「ミ、ラ#」

唯「・・・っ」

紬「・・・」

ポン

梓「・・・ファ#」

紬「・・・」

ポン ポンポン ポポンポン ポンポン ポン

紬「・・・」ニコ

律「・・・っ、さーてと、勉強はもういいだろー!」

澪「・・・い、行くか」

唯「そ、そうだねっ」

和(声が震えているわよ・・・)

純「・・・」

憂「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」

ポン ポンポン ポポンポン ポン

律「もういいっての!行くぞー!」

グイッ

紬「・・・!」

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50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:38:25.94 ID:hNaTs+3Io

唯「白鍵をむぎちゃんの好きなように変えてもいいし〜」

紬「・・・」コクコク

律「それじゃあさ、ミを『M』に、ラを『R』にした方が覚えやすいんじゃないか?」

唯「盲点だよっ!」パチパチ

澪「・・・さすが部長だ」パチパチ

和「賞賛するわ」パチパチ

紬「・・・」パチパチ

律「なんだろうなー、冷やかされているような気がするんだよなー」

梓「唯先輩、他にもありましたよね」

唯「まずは音を覚えてからだよー。わたしはまだ掴めないもん」

純「・・・そこまで考えているんですね」

唯「ういと和ちゃんで考えたんだ」キラン

紬「・・・」キラキラ

憂「ほとんどお姉ちゃんが進めたんだけどね」

梓「・・・そうなの?」

和「えぇ、私たちは補助役でしかなかったわ」

梓「・・・」

純「・・・生み出したのは唯先輩でも、活かすのは梓の役でしょ」ポンッ

梓「・・・うん」
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51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:39:22.06 ID:hNaTs+3Io

紬「・・・」チョンチョン

梓「なんですか?」

紬「・・・?」

梓「・・・?」

律「首を傾げあってどうすんだよ」

澪「どこで探すのかって事じゃないの?」

紬「・・・」コクコク

梓「むぎ先輩が決めていいんですよ?」

澪「・・・」

紬「・・・」キョロキョロ

梓「・・・」

紬「!」

唯「発見したようです!」

紬「・・・」スッ

梓「はい、行きましょう」

紬「・・・」ギュ

グイグイ

梓「・・・」

タッタッタ

唯「まって〜」

和「・・・病は治ったようにみえるけどね」

律「治ったのに・・・」

澪「・・・らしさもなくなった、かな」

憂「・・・はい」

律「よろしくな鈴木さん」

純「ここは佐々木って言って欲しいですよ・・・」

律「よろしくな沢村さん」

純「誰ですかっ!」

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52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:40:43.43 ID:hNaTs+3Io

紬「・・・」キラキラ

梓「いいですね」

唯「あずにゃん・・・」

憂(それ・・・きつねだよ・・・)

紬「・・・」キョロキョロ

梓「・・・」

律「・・・」

紬「・・・」ヒョイ

梓「それもいいですね」

唯「・・・」

純(それは・・・かば・・・)

澪「梓、ちょっと来て・・・」

梓「え、・・・はい」

紬「・・・?」

律「むぎー、あっちにもあるから見ようぜー」

和「ストラップって結構種類あるのね・・・」

紬「・・・」コクコク

純「みてください、この守り神シリーズ」

唯「おぉ、全国の守り神のみなさんが集結していますよ」

憂「神社の狛犬、朱雀、・・・これも守り神なんですか?」

和「それは、確か・・・獅子だったような」

律「見たことあるんだけどな・・・」ウーム

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53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:42:25.67 ID:hNaTs+3Io

澪「どうした?」

梓「・・・」

澪「ねこにしたいって言ってたよね?」

梓「・・・むぎ先輩に選んで欲しいから・・・です」

澪「むぎと梓が選ばないと意味無いんじゃないの?」

梓「・・・」

澪「責めたい訳じゃないんだ・・・ただ、むぎもそうしたいはずだ」

梓「・・・」

澪「らしくない・・・んじゃないかな」

梓「・・・・・・らしいってなんですか?」

澪「・・・」

梓「・・・」

澪「むぎのそばにいて、むぎからたくさんの事を教えてもらって、
  それを吸収しようと頑張っている梓・・・かな」

梓「・・・」

澪「ひょっとしたら、そうしたいのは私かも」

梓「・・・」

澪「『今』は『今』しかない事を、夏に学んだはずだよ」

梓「・・・っ」

澪「少なくとも私は、それをむぎから学んだ」

梓「・・・はい」

澪「・・・」

梓「・・・」

澪「どうした?」
  
梓「・・・なにかしたくても、なにもできなくて」

澪「・・・」

梓「御返ししたいのに、なにもできなくて。合わせる事しかできなくて」

澪「朝、和が言ってた」

梓「・・・」

澪「なにかしようなんて考えないほうがいいって」

梓「でも・・・唯先輩は・・・」

澪「むぎがいつも紅茶を淹れてくれるように、唯はそうしただけ。なんじゃないかな」

梓「・・・っ」

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54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:43:31.31 ID:hNaTs+3Io

澪「むぎが淹れてくれた紅茶が飲みたいから頼むんだ・・・」

梓「・・・はい」

澪「それ以外に理由はないよな」

梓「はい」

澪「・・・正直、くやしいんだ」

梓「・・・?」

澪「さっき奏でた、むぎの声・・・」

梓「・・・はい」

澪「違うよ」

梓「・・・?」

澪「唯の事も凄いと思ったけど、憂ちゃんと梓が先に聴いたって事だ」

梓「え・・・?」

澪「憂ちゃんは鍵盤で演奏ができるから、だけど。
  梓は音を聴いて、むぎの声を聴いた・・・でしょ」

梓「・・・!」

澪「・・・なんてな」

梓「・・・」

澪「行こう」

梓「はいっ」

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55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/01(木) 19:44:48.09 ID:hNaTs+3Io

梓「こ、これがいいですっ」

紬「・・・」キラキラ

和「あっさりね」

澪「もう決まったのか」

唯「もう一つ買おうよ!」

律「そうだな。全国の神様に守ってもらおうぜ」

純「私は青龍を・・・」

憂「東の守り神だよ」

純「私にピッタリ〜」

律「本当だな。じゃあ私は〜」

純「・・・」

和「私は北を守るわ」

憂「玄武だね」

唯「ういは、白虎だよ!」

憂「わぁ・・・」キラキラ

律「・・・どうして嬉しそうなんだ?」

澪「じゃあさわ子先生は朱雀かな?」

和「どっちかって言うと黄龍ね」

唯「どして」

憂「東、西、南、北を守る四神の気持ちが一つになったときに現れるそうだよ」

律「総括すんのか」

澪「南の朱雀が余ったな・・・」

紬「・・・」

梓「私たち決めましたよ」

律「え?」

唯「お?」

純「いつの間に?」

和「さっきの獅子ね」

紬「・・・」フルフル

梓「シーサーですよ」

唯「シークワサー?」

憂「それは果実だよ、お姉ちゃん」
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56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 19:46:08.97 ID:hNaTs+3Io

純「シークワサー?」

律「帰ってから調べろ、話が進まない!」

紬「・・・」キラキラ

澪「嬉しそうなのはなぜなんだ」

梓「沖縄の家の守り神なんだそうです。屋根に置いてある画像とか見た事ありませんか?」

和「・・・あ、そうね。それだったのね」

澪「ん?口が開いているのと閉じているのがあるんだな」

紬「・・・」コクコク

梓「口の開いた方がオスで、福を呼び込むそうです。それはむぎ先輩」

紬「・・・」ニコニコ

梓「口が閉じた私のは、福を逃がさないメスとなっています」

憂「一対なんだね」

澪「じゃあ、南はそれでいいか」

唯「朱雀さん可哀相だよ」

和「じゃあ唯が引き取りなさいよ」

唯「・・・」

律「おぉい!守り神!神様だから!!」

唯「沖縄は南だもんね。よし、決めたよ!」

澪「律は?」

律「八咫烏だぜ」

唯「澪ちゃんは?」

澪「こ、狛犬」

紬「・・・」コクコク

和「なにかを悟った表情ね」

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57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 19:46:45.13 ID:hNaTs+3Io

律「よし、さわちゃんの分も買ったし、任務完了だ」

憂「山中先生の分も買ったんですか?」

律「うん、ついでに私のもって、お金渡された」ウシシ

澪「ついで・・・な」

純「おー・・・」

唯「かわいいよあずにゃん!」

紬「・・・」コクコク

梓「そうですね、可愛いです」

和「それぞれの守り神と、同一のねこ・・・ね」

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58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 19:47:45.86 ID:hNaTs+3Io

斉藤「それでは、これで失礼します」ペコリ

紬「・・・」フリフリ

唯「じゃあね〜」フリフリ

梓「また、明日です」

紬「・・・!」

斉藤「・・・」

律「どうしたんだ?」

澪「?」

斉藤「明日は一日中検査となりますので・・・」

唯「えぇーッ!!」

梓「・・・」

憂「・・・」

和「・・・」

純「・・・」

紬「・・・」

律「じゃあ、明日も授業受けられないのか・・・」

紬「・・・」ションボリ

澪「・・・」

唯「じゃ、明後日だね!」

紬「・・・」コクリ

梓「それじゃ、明後日です。むぎ先輩」

和「学校で会いましょう」

紬「・・・」フリフリ

純「それでは!」

憂「明後日、学校で」

律「じゃーな」

澪「じゃあね」

唯「バイバイ〜」フリフリ
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59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 19:48:23.25 ID:hNaTs+3Io
紬「・・・」

ギュ

唯「・・・ん?」

紬「・・・」スラスラ

唯「・・・いえいえ、どういたしまして〜」

紬「・・・」ニコニコ

唯「・・・」

斉藤「どうぞ」

ガチャ

紬「・・・」

バタン

斉藤「それでは、失礼します」

梓「はい・・・」

バタン

ブオオオオオ
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60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 19:49:04.81 ID:hNaTs+3Io


―――――夜


帰り道

誰も喋らなかったなぁ・・・

口を開く元気がなくなったのかな

言葉を出すことがまるで悪いことのような

そんな

気がした


『完全におかしくなりました』

そんなことはないよ

だって、わたしたち一緒にいるもん

むぎちゃんも、澪ちゃんも、りっちゃんも、あずにゃんも

ういも和ちゃんも純ちゃんもさわちゃんも

一緒にいるもん

だいじょうぶだよ・・・

だいじょうぶ




自分の言葉を信じられる勇気が



―――欲しい

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61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 19:59:31.44 ID:owt0LFfPo
期待
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62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 20:03:11.07 ID:z20gD8uvo
これって前の作品あったりする?
あったら読んでみたい
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63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 20:18:30.72 ID:sMgaWEpSO
これはこれが最初
>>1がSSの始まりのはず
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64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/01(木) 20:36:59.96 ID:g9e2Tnr+o
マニアックなクロスだなww









C
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65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 20:44:22.54 ID:D01Ipa4/o
風雨来記とか俺特すぎる

前にお嬢様特急と、けいおんのクロスSS 書いた人ですか?
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66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 20:48:48.27 ID:hNaTs+3Io
VIPでも気付かれた方がおりましたが
紬「超特急ヴェガ?」のその後です

前作の世界を引き継いでいますが
読まなくても支障はないように しているつもり です

まとめてくださった ブログの管理人様ありがとうございます><


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67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 20:50:29.08 ID:hNaTs+3Io
>>65
いえす

その雰囲気をまだ出していないのに
なぜ分かったんでしょうか・・・
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68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 20:50:55.39 ID:hNaTs+3Io

9月3日


澪「・・・」

ジリリリリリリリ

カチッ

澪「・・・」

ガバッ

澪「・・・」

スタスタ

シャーッ

澪「・・・」

チュンチュン

澪(・・・一日をリセットしてくれる朝陽が・・・)

チュンチュンチュン

澪「・・・朝陽が・・・少し重たい気がするな・・・」

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69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 20:51:46.19 ID:hNaTs+3Io

律「おまたせ」

澪「うん」

律「登校します」

澪「誰に言ってるんだ?」

律「いや・・・」

澪「行くぞ」

律「・・・」

澪「・・・」


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70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 20:52:12.93 ID:hNaTs+3Io

律「さっきのさ、みおに言ったんだけど」

澪「なにが?」

律「いや・・・気づかないのか?」

澪「?」

律「自分の格好」

澪「え・・・」

律「・・・」

澪「えっ!?」

律「早く着替えて来い」

澪「う、うん」

タッタッタ

律「ジャージで登校って・・・。ボケじゃないんだろうなぁ・・・」

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71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 20:53:31.58 ID:hNaTs+3Io

澪「おはよう」

唯「おはよー」

和「おはよう二人とも」

律「おはー」

唯「いつもより少し遅かったね」

澪「う、うん・・・ちょっとな」

和「律が歩きながら何かに気をとられた、とか?」

澪「うん」

律「・・・へー」

澪「わ、私が寝坊したんだ」

唯「そっか、一緒だ」

律「寝坊したのか?」

唯「うん・・・」

和「唯、席に着くわよ」

唯「はいよー」

テッテッテ

澪「・・・」

律「・・・」

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72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 20:54:39.65 ID:hNaTs+3Io

さわ子「今日も休むと連絡が入りました」

ザワザワ

チョンチョン

澪「ん?」

「何か聞いてる?」

澪「・・・え、と」

「風邪にしてはしつこくないかなってさ」

澪「そうだね・・・」

「・・・」

澪「・・・」

「ごめん、鎌をかけた」

澪「え?」

「昨日さ、駅前であんたらを見たんだわ」

澪「!」

「一緒に歩いていたから、治ったと思ってた」

澪「・・・」

「で、今日も休む」

澪「・・・うん」

「だから、おかしいなってさ」

澪「・・・」

「・・・」

澪「・・・今は」

さわ子「秋山さん、中島さん、HR中ですよ」

澪「・・・はい」

信代「すいません」

澪「・・・」

信代「ごめんねー」ヒソヒソ

澪「いや・・・」

信代「・・・今は?」ヒソヒソ

澪「・・・時間をちょうだい」

信代「・・・分かった」

「・・・」

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73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 20:56:06.67 ID:hNaTs+3Io

―――――昼

『むぎが勧めてくれたCD聴いたよ
 いい旋律だった。もっとゆっくりした時間にじっくりと聞いてみるよ
 やっぱりクラシックはいいな
 コンサートで聴いてみたい。今度時間が出来たら行かないか?
 律と唯は寝そうだけどな
 
 今日もしずかで、ちょっと違う一日だ』

 ピッ

澪「・・・」

律「・・・」モグモグ

唯「・・・」モグモグ

和「・・・」モグモグ

澪「・・・こら」

律「なんですか?」

唯「・・・」モグモグ

和「・・・」モグモグ

澪「りんごウサギがいなくなっているんだけど?」

律「弁当箱の中が窮屈だから逃げ出したのさ」キラン

唯「おぉ、メルヘンチック」

和「おいしかったわ」

澪「和が食べたのか!?」

和「ごめんね。私の弁当箱の中に迷い込んでいたの」

唯「おぉ」

澪「くぅ・・・」

律「おびき出したの私だけどなっ!」

唯(わたしも言ってみたい!)フンス!

澪「本望だったのかもしれないから・・・いいよ」ウルウル

和「・・・。代わりと言っちゃなんだけど、いちごをどうぞ」

唯「苺だね・・・。ストロベリー・・・いちご・・・エーアトベーレ・・・」ブツブツ

澪「しょうがないな」キラキラ

律「・・・それ奪い取ったらどうなるんだろ」

澪「天と地をひっくりかえす」

律「やめとく」

唯「うーん」
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74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 20:56:40.70 ID:hNaTs+3Io

和「・・・今日も違う一日ね」

澪「読んだのか!?」

和「?」

澪「?」

律「どうした?」

唯「・・・うーん」

澪「・・・むぎに送ったメールと同じ事言ったから」

和「読んでいないわよ」

澪「だよな。ビックリした・・・」

唯「いちご・・・」

いちご「・・・なに?」

唯「おぉ」

和「果物よ、あなたじゃないわ」

いちご「・・・そう。一つ聞いていい?」

律「?」

唯「澪ちゃんに用事?」

いちご「うん。・・・朝話していた事」

澪「!」

唯「?」

いちご「・・・どうして、あんな言い方したの?」

澪「・・・」

和「?」

いちご「・・・普通じゃないって言ってるようなもんだよ」

澪「うん・・・」

律「・・・」

いちご「・・・」

澪「嘘を言って誤魔化したり、はぐらかしたりしてはいけない事。だから」

いちご「・・・それも、普通じゃないけどね」

澪「・・・」

いちご「・・・じゃ」

スタスタ

律「・・・そろそろ、さわちゃんと話した方がいいかもな」

和「そうね。食べ終わったら行きましょうか」

澪「・・・うん」

唯「・・・」

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75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 20:58:21.49 ID:hNaTs+3Io

コンコン

ガチャ

澪「失礼します」

律「さわちゃ」

さわ子「・・・」ギロッ

律「やまなかせんせーにようがあってきましたー」

さわ子「ここじゃなんですから、廊下にでましょうか」

澪「は、はい」

ガチャ

さわ子「どうしたのよ?」

律「むぎの事なんだけどさー」

さわ子「むぎちゃん?」

和「・・・」

唯「・・・」

澪「なにか、聞いていますか?」

ザワザワ ワイワイ

さわ子「・・・中庭に移動しましょ」

スタスタ

梓「・・・あ」

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76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:00:11.61 ID:hNaTs+3Io

さわ子「・・・明日も休むって、斉藤さんから連絡があったわ」

澪「え・・・」

律「マジか・・・」

和「明日も・・・」

唯「明日金曜日だよ」

澪「土日はさんで会うのは月曜日・・・か」

さわ子「・・・えぇ、そうなるわね」

律「・・・」

和「・・・検査の結果とか、聞いていますか?」

さわ子「・・・具体的な内容は聞いていないわ」

和「そうですよね・・・」

さわ子「・・・ごめんね」

和「え・・・?」

律「どうしてさわちゃんが謝るんだよ?」

さわ子「・・・」

唯「・・・」

澪「・・・月曜の朝まで」

和「そうね・・・」

さわ子「なにかあったの?」

律「クラスの何人かがむぎの事で不安になってるんだよ」

さわ子「そう・・・」

唯「わたしたちの口からは言えないから・・・」

さわ子「そうよねぇ」

澪「一緒に歩いている所みられていて・・・」

和「校舎を歩いている所もね」

さわ子「こればっかりはしょうがないんだけどねぇ」

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77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:01:04.74 ID:hNaTs+3Io

唯「わたしたちが不安な顔していたら、むぎちゃんが帰ってきたとき寂しい顔するよ」

澪「・・・そうだな。私たちはいつもの場所でいつものように待っていなきゃ」

律「・・・」

梓「はい」

和「いたのね」

律「うぉっ!」

澪「ビックリした・・・」

唯「あっずにゃん!」ダキッ

ササッ

さわ子「あのねぇ・・・」

唯「おぉ、さわちゃんあったかいよ!」

さわ子「残暑きびしいのよ!離れなさいよ!」グググ

唯「よい・・・ではなのぁ・・・いくぁ・・・」ムググ

梓「・・・」

キーンコーンカーンコーン

澪「戻るか」

和「梓はどうしてここに?」

梓「さわ子先生にむぎ先輩の事を聞こうと思いまして・・・」

律「・・・」

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78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:02:50.76 ID:hNaTs+3Io

―――――放課後

澪「どうかな」

律「紙に書いた鍵盤か・・・」

唯「わたしも描いたんだよ!」

梓「どっちで練習しましょうか」

律「じゃあ多数決だな」

梓「澪先輩の鍵盤がいいと思う人」

唯「はいっ」ズバッ

梓「決定ですね」

律「愛着心くらいもってやれよ」

澪「コピーしてくる?」

唯「そうだね」

澪「待ってて」

タッタッタ

ガチャ

律「・・・」

梓「むぎ先輩と打ち合わせしましたから、改訂版でいきましょう」

唯「そうだね」

律「よっしゃ。紅茶淹れてきてやるぜー」

梓「・・・」

唯「・・・」

律「・・・」

梓唯「「 え? 」」

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79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:04:17.85 ID:hNaTs+3Io

律「なんだよ今の間は!」

梓唯「「 いや・・・ 」」

律「狐につままれた顔しやがって」

梓唯「「 紅茶・・・? 」」

律「なんだよその同調は・・・」

梓唯「「 まさか、そんな・・・ 」」

律「見てろよ!」

タッタッタ

梓「これは夢ですか?」

唯「そっか・・・ビックリするはずだよ」

梓「あの味を出せるわけが無いじゃないですか」

唯「そうだよね〜」アハハ

律「聞こえてるぞー」

梓「黒鍵は変更なしですから」

唯「ドを『T』レを『K』ミを『M』ファを『H』ソを『N』ラを『R』シを『S』で、一つ高いドを『Y』」

梓「ですね」

唯「そんで、名前を呼ぶときはコードを使用します」

梓「はい」

唯「私『ゆい』は『メジャーのC#』!」

梓「どうしてですか?」

唯「早い者勝ちだよ」フフン
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80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:06:03.26 ID:hNaTs+3Io

梓「それじゃ私の名は『メジャーのA』ですね」

唯「あずにゃんのAだね」

梓「そうです」

澪「そうか・・・それなら私は」

律「みおは『ミ』と『ラ#のお』でいいじゃん」

澪「そうだな・・・特別コードだ」

律「私はむぎに決めてもらうとして、だ」

唯「本当に淹れたんだね」

梓「はやいですね・・・」

律「実を言うと準備してあったんだよ」

梓「・・・」

律「よし、みお、飲んでみてくれないか」

澪「練しゅ」フガッ

律「黙って飲め!」

澪「・・・内緒なのか」

唯「?」

澪「・・・」ズズー

律「どうだ」

澪「うん、おいしい」

梓「・・・」

律「なんだよ梓っ感情を表せよ!」

唯「むぎちゃんが隠れて淹れたんだね!見つけてくるよ」

タッタッタ

律「・・・そこまでか」

澪「飲んでみて」

梓「・・・はい」ズズー

律「どうだ!?」

梓「・・・どうしたんですか」

律「感想を言え!」

澪「驚いている事が感想だろ」

律「・・・まぁ、あの味は出せないけどな」

梓「・・・でも、おいしいですよ」

律「そっか」

唯「むぎちゃんいなかったよ・・・」ションボリ

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81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:07:44.74 ID:hNaTs+3Io

唯「澪ちゃん、その描いた鍵盤のコピーまだある?」

澪「4枚しかないな」

唯「そっか、それならもう少しコピーしてくるよ」

タッタッタ

澪「あ、カードが必要なの知っているのかな」

律「多分知らないな」

澪「だよな」

タッタッタ

梓「・・・」

律「・・・」ズズー

梓「・・・」

律「・・・やっぱ味気ないな」

梓「おいしいですよ」

律「さんきゅ」

梓「練習・・・していたんですか・・・?」

律「練習というか、夏に入る前にむぎに教えてもらってな」

梓「・・・」

律「家で淹れてみたらまっずくて、意固地になったわけだ!」

梓「それなのに、これくらいの味を・・・?」

律「むぎの事があって真剣になってみた」

梓「・・・」

律「すげえよ、こんなに細かくて難しいなんて思ってもいなかった」

梓「それなのに・・・すごいです・・・」

律「むぎが戻ってきたら私はもう二度と淹れないだろうなぁ」ズズー

梓「どうして・・・」

律「むぎの味と比べるから」

梓「・・・」

律「比べて惨めになるのが嫌って訳じゃなくて、むぎとの時間を思い出すから」

梓「え・・・」

律「あ、ごめん。こんな話しなくていいな」

梓「・・・」

律「唯のコードボイスには驚かされたけど、澪にも驚いているんだよなー」

梓「そうですね、お二人の行動は想いがあります」

律「そうなんだよ。・・・私は」

梓「・・・」
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82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:08:58.77 ID:hNaTs+3Io

律「・・・」

梓「どうしたんですか?」

律「ん?」

梓「・・・律先輩じゃないみたいです」

律「あぁ・・・、確かに」

梓「・・・」

律「多分・・・この状況を傍観しているだけなのかなってさ」

梓「傍観・・・」

律「ん〜・・・、みんなから一歩退いて眺めているだけのような気がしてさ」

梓「・・・」

律「むぎを中心に動いているのに、変化しているのに、な」

梓「・・・さっきの、むぎ先輩といる時間を思い出すってどういう意味ですか?」

律「・・・」

梓「嫌って事ですか?」

律「うん、嫌だな」

梓「そん・・・な・・・!」

律「私1人――」

梓「撤回してくださいッ!」

律「え・・・?」
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83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:10:37.42 ID:hNaTs+3Io

梓「どうしてそんな事が言えるんですかッ!」

律「・・・」

梓「こんな味が出せるまで頑張ったんじゃないんですかッ!?」

律「でも、この紅茶には想いが込められてない」

梓「ッ!」

律「私は、私の紅茶をむぎの紅茶と比べて、思い出すのが嫌なんだよ」

梓「もういいですッ!!」

ダダダダッ

ガチャ バタンッ

律「・・・はぁ」

ガチャ

唯「りっちゃん!」

澪「まって、唯」

唯「でもっ」

澪「はやく追いかけろよ」

律「・・・変わらないだろ」

澪「変えようとしなければ当然だろ」

律「・・・ちぇー」

タッタッタ

澪「おまえも不器用だな」

律「うるさいよ」

ガチャ

唯「もぅ!」

澪「まったく・・・、言葉足りずだ・・・」

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84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:11:26.74 ID:hNaTs+3Io

律「純、梓は?」

純「おぉ、名前で呼んでくれた」

律「梓は?」

純「・・・捕まえるなら校門だと思います」

律「さんきゅ」

タッタッタ

純「・・・」

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85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:13:38.61 ID:hNaTs+3Io

律「梓ッ!」

梓「・・・」

スタスタ

律「待てって」ガシッ

梓「離してください」

律「話を聞けって」

梓「・・・聞きません」

律「・・・」

梓「離してください」

律「ちょっと来い」グイッ

梓「嫌です!」バッ

律「・・・」

梓「私にとって部室で過ごした時間は大切でッ」

律「・・・」

梓「むぎ先輩と一緒にいる時間はとても大切なんです!」

律「・・・うん」

梓「その時間を・・・ッ!」

律「だから来いって!」グイッ

梓「嫌ですッ」

律「周りの目があるんだよ!」

梓「ッ!?」

「痴話げんか、か」

「律、男らしく謝りなよ」

律「うっさい、早く帰れ!」

「バイバーイ」

「明日ね〜」

梓「・・・」

律「むぎとの時間を嫌だって思う人がこの世にいるのかよ」

梓「・・・?」

律「その時間の中で貰ったものを、返せない自分がいた事を思い出すって意味だ」

梓「・・・」

律「来い」グイッ

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86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:17:55.20 ID:hNaTs+3Io

律「私は、時間が解決してくれると心のどこかで思っていたんだ」

梓「・・・」

律「夏前と同じように、朝、むぎが登校してきて・・・っ」

梓「・・・っ」

律「ふ・・・だん・・・どおり・・・に・・・会話をするもの・・・だと・・・思っていたんだよっ」

梓「・・・っ」

律「おはよー・・・って・・・言ってくれると・・・思っていたんだよ・・・」

梓「・・・っ」グスッ

律「なんで梓が泣くんだよ」

梓「泣きそうな声だからですよっ」グスッ

律「・・・」

梓「・・・っ」グスッ

律「唯や澪みたいに受け入れることもできなくて」

梓「・・・」

律「梓のように抗うこともできなくて」

梓「・・・」

律「私1人、別の場所にいるみたいで、そんな自分がいた事を思い出すのが嫌なんだよ」

梓「・・・それなら、むぎ先輩といる時間を思い出すことは」

律「むぎから貰ったものを返したい、それだけのことができないんだ」

梓「・・・」

律「だから嫌なんだよ」

梓「・・・」
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87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:18:28.08 ID:hNaTs+3Io

律「過ごした時間が大きければ大きいほどな」

梓「・・・」

律「・・・多分これから先もなにもできない」

梓「むぎ先輩がそうして欲しいと言ったんですか?」

律「・・・」

梓「1人でかっこつけないでください」

律「ぐっ・・・」

梓「・・・見損なう所でしたよ」

律「なんまいきだなっ」ガシッ

グリグリ

梓「ちょっ、痛いですから!」

律「当たり前だ、痛くしてんだからなーっ」

グリグリ

梓「離してくださいっ!」ジタバタ

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88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:20:04.42 ID:hNaTs+3Io

律「拗ねていたのかもしれない」

梓「?」

律「むぎのそばで大きくなっていく梓を、進化していく澪を、強くなっていく唯を」

梓「・・・」

律「私は・・・ってな」

梓「そうだったんですか」

律「・・・なんでこんな事言ってんだよ私は」ブツブツ

梓「・・・」

律「・・・」

梓「・・・澪先輩にも、純にも言われたんですけど」

律「ん?」

梓「私・・・成長していたんですか・・・?」

律「・・・」

梓「・・・」

律「・・・さぁなー」

梓「な、なんですかそれは」

律「・・・自覚が無いのはいいことだけど、その逆も危ういってな」

梓「・・・」

律「・・・」

梓「・・・」

律「・・・最近の私らってらしくないよなぁ」

梓「・・・はい」

律「・・・」

梓「・・・」

ガチャ

ゴスッ

澪「あいたっ」

唯「いたっ」

律「なにしてんだよ」

澪「え、えぇとだな・・・」

唯「聞き耳を立てていたんだよ」

律「素直に白状するなよ。・・・別にいいけどさ」
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89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:21:12.92 ID:hNaTs+3Io

梓「・・・あれ?」

純「・・・」

律「なんで志村さんがいるんだよ」

純「サ行に挑戦ですか!」

律「そうだぜ!『せ』、と『そ』が残っているからお楽しみに!」

純「予告ですか・・・」

澪「・・・」

唯「どうしよっか」

梓「律先輩、純に披露してはどうですか」

律「えぇ−」

純「なにをお披露目してくれるんですか?」

澪「いいじゃないか」

律「しゃーないな。もう二度とない限定版だからなー味わって飲め!」

梓「むぎ先輩も飲みたいと言うハズです」

澪「・・・どうするんだ?」

律「・・・」

純「・・・」

律「・・・知らない」

スタスタ

澪「やれやれ」

梓「純はどうしてここに?」

純「さっきすれ違ったの気づかなかった?」

梓「・・・うん」

純「気になったからだよ」

梓「・・・」

唯「一期一会だよ」

澪「・・・」

梓「・・・そうですね」

純「なるほどー」

唯「いちご・・・いちえ・・・」

梓「どうして二回言うんですか」

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90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:22:11.04 ID:hNaTs+3Io

澪「じゃ、明日な」

律「じゃーな!」

唯「じゃあね、純ちゃん、あずにゃん!」

純「はい、では明日」

梓「明日です」

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91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:25:03.24 ID:hNaTs+3Io

唯「和ちゃん今日来なかったね〜」

律「昨日、今日の私に頑張ってもらうって言ってたからな」

唯「違うよ。昨日、明日の私に頑張ってもらう。だよ」

律「いやいや、今日の和が軸になっているんだから、今日の和が頑張っている事になる、だからそれでいいんだよ」

唯「でも、昨日言った事は昨日の事だから、正確に言うなら明日の私が正しいんだよ」

澪「・・・」

律「いいか唯。時間は常に流れているんだから、和自身もその流れに乗せなきゃいけないんだぞ」

唯「・・・」

律「昨日の和は今日頑張る事に決めたんだから、今日頑張っている和で正しいだろ?」

唯「そうだね」

澪「・・・」

律「昨日今日明日の時間を見比べるとき、中心となるのは今日だから、そう応用したほうが分かりやすい」

唯「でもさ、昨日言った事を変化させるのはおかしいよ」

律「・・・」

唯「昨日、和ちゃんが言った事はこの先変わらないんだよ?」

律「そうだな」

澪「・・・」

唯「今日に合わせることで、言った事を変えちゃったら意志まで変えちゃいそうだよ」

澪「9月2日に言った和でいいんじゃないか?」

律唯「「 そういう問題じゃないんだ(よ) 」」

澪「・・・そうか、悪かった」

律「今日、昨日をみて明日の和・・・ん?」

唯「昨日の和ちゃんは明日の和ちゃんでは・・・え?」

澪「・・・」

律「・・・」

唯「・・・」

澪「どう結論付けるんだ?」

律唯「「 和(ちゃん)は頑張っている! 」」



梓「・・・」

純「結論が出たみたいだし、行こうか」

梓「・・・うん」

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92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:25:53.61 ID:hNaTs+3Io

梓「どうして今日も送るの?」

純「うーん・・・」

梓「なんで悩むかな」

純「和先輩が危なっかしいって」

梓「・・・」

純「・・・」

梓「・・・だからなの?」

純「憂が言ってた・・・」

梓「?」

純「呆れた顔をしてないって」

梓「なにそれ」

純「違うな。呆れた顔しながらも笑ってないって」

梓「・・・」

純「笑ってないでしょ」

梓「・・・笑え・・・ないでしょ」

純「・・・」

梓「・・・笑える訳が・・・ない・・・よ」

純「・・・そうだね」

梓「・・・」

純「・・・」
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93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:26:21.02 ID:hNaTs+3Io

梓「・・・」

純「梓が律先輩を怒った理由は知らないけど」

梓「・・・」

純「梓自身が少し変な方向にいっている・・・といいますか」

梓「・・・うん」

純「・・・」

梓「律先輩がそういう事言わないの知っているのに。知っていたはずなのに」

純「・・・」

梓「話を聞けなかった・・・」

純「真面目すぎるなー。梓は」

梓「・・・」

純「さっき、律先輩が言っていた事で思い出したことがあるんだけどさ」

梓「?」

純「時間は川の流れと同じ。・・・らしい」

梓「・・・」

純「河川敷行きますか」

梓「・・・うん」

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94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:27:19.22 ID:hNaTs+3Io


唯「じゃあね〜」フリフリ

律「気をつけろよ〜」

澪「・・・明日な」

唯「大丈夫だよ〜」

テッテッテ

律「・・・」

澪「帰るか・・・」

律「おっ、かっこいいバイクだ!」

澪「・・・」

律「流行の型ではないな」フムフム

澪「・・・」

律「しかし・・・持ち主の心が宿っているようだ」フフン

澪「・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

律「今のコメントどうだった?」

澪「バイクに詳しかったっけ?」

律「なんとなく言っただけ」

澪「そうか・・・行くぞ」

スタスタ

律「こ、コメントどうだった!?」

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95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:28:03.05 ID:hNaTs+3Io

―――――夜

日常が非日常になることなんて

そうそうある事じゃないと思っていたのに

一つのピースが欠けたら

その代わりを探せばいいと思っていたのに


代わりはいない

欠けさせたくない

非日常なんてすぐそこにあるんだ


『・・・最近の私らってらしくないよなぁ』

そうだな

だけど

これは

リセットしてはいけない



みんなに

ついて来いって

言えるくらいの

―――強さが欲しい

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96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:29:43.15 ID:hNaTs+3Io

9月4日

カンカンカンカンカン

ダカダダーンッ

ダダダダンッ

律「」スヤスヤ

This song is for my friend in summer time

ドンドンッ

「ねーちゃん、うるせー!」

律「」スヤスヤ

Every day,Every day,Every day Pray the music

ジャカジャカ

ドンドンッ

「起きろー!」

律「・・・ぅん?」

ダンダンダンダンッ

「音止めろー!」

律「・・・ふぁ」

「起きろってばー!」

ジャカジャカ

ドンドン

律「あいつ、ドラムの才能あるんじゃないのか・・・。曲のドラム音と同調してやんの」

ダンダンダダダン

「うるせー!」

律「はいはい、すいませんねー・・・」

ピッッピッピ

律「・・・なんでこんなに音大きくしたんだ・・・?」

ジャカジャカ

Oh, my joy for world, ever more...

  With the music!
律「音楽とともに・・・か」

ダダダンッ

律「久しぶりに眠れた感があるな・・・ん〜」ノビノビ

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97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:31:07.64 ID:hNaTs+3Io

律「出だしのドラムがいいんだよな〜」

澪「どうせ寝てて聞いてないんだろ」

律「そうですとも!だから聞きなおしましたさ!」

澪「行くぞ」

律「はいよ〜」

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98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:32:17.74 ID:hNaTs+3Io

バタンッ

「ん?」

澪「り、律!」

「どうした澪?勢いよく扉開けて・・・」

「元気いっぱいの秋山さんって新鮮だね・・・」

「どうしたんですか?」

「大きな声で挨拶するとか?」

澪「ち、ちがう!」アセアセ



和「注目の的ね」

唯「どうしたんだろ」



律「どうしたんだー?」

「澪が元気よく扉を開けたからさ、なにかの意思表示かと思って」

律「え・・・?」

澪「白々しいぞ!」ゴスッ

律「あいたぁ!」

「なんだ、律の仕業か」

「はい解散解散」

「なーんだ〜」

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99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:33:19.20 ID:hNaTs+3Io

さわ子「今日もお休み・・・と」

ザワザワ

「新学期始まって一度も来ないね」

「風邪ってこんなに長引くものかな」

律「・・・」

澪「・・・」

いちご「・・・」

信代「・・・」


唯「姫子ちゃん」

姫子「?」

唯「月曜日に来るからね」

姫子「・・・」

和「・・・」

唯「・・・」

姫子「・・・うん」

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100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:35:35.45 ID:hNaTs+3Io

―――――昼

トントントントン

唯「『みち』だよ!」

和「正解よ」

唯「どうですかりっちゃん!」

律「二文字で威張るなよ」フフン

澪「じゃ私が弾くから」

トントントトントントントントトントントン

律「・・・」

和「律、やるわね」

唯「頑張ったんだね」

澪「梓もビックリだ」

律「答えてないんですけど・・・」

和「長かったから分からないわよね」

唯「そうだよね〜」

澪「私が悪かった」

律「ぐっ・・・」

「鍵盤・・・?」

唯「そだよ〜」

「・・・」

「私も気になってたんだけど・・・それなんの練習なの?」

律「音を拾えるようになるための練習だ」

「・・・ふーん」

「そうなんだ・・・」

澪「・・・」

「和も?」

和「えぇ」

「・・・」

姫子「春子も風子もちゃんと聞いたらいいよ。気になるんなら」

唯「うむ。どんと来たまえ」

春子「風邪じゃないでしょ?」

律「うん」

春子「あんたたちの雰囲気が夏前と違うから気になっていただけ。そんじゃ」

スタスタ
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101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:37:43.92 ID:hNaTs+3Io

風子「昨日秋山さんと中島さんの会話聞こえてたから」

澪「・・・そうだよな。いちごに聞かれたくらいだからね」

風子「いつ学校に来るの?」

和「月曜日ね」

風子「そうなんだ・・・。邪魔してごめんね」

スタスタ

姫子「聞かれたらちゃんと答えるんだ」

律「おぅよ!」

澪「でも、核心ついた質問はしなかったな」

和「そうね」

唯「うん」

姫子「練習の邪魔してごめんね。オヤスミ」

律「彼女はその言葉を吐き捨てるとイヤホンを耳につけ、机に伏せて眠るのであった」

唯「彼女の聴いている曲は、かの有名なきらきら星であった」

姫子「ちがう」

澪「再生してないの?」

姫子「・・・眠るのにボリューム上げないでしょ?」

和「背骨が曲がるわよ」

律「お母さんか」

唯「なに聴いてるの、モーツァルト?」

姫子「・・・」

唯「・・・」

姫子「・・・」

唯「・・・」シクシク

律「誰も・・・悪くないんだよ・・・唯」

唯「うん・・・」

姫子「律から借りた曲だよ」

和「カーテン閉めましょうか?」

姫子「・・・いい」

澪「暑くない?」

姫子「大丈夫」

律「さっきの授業でわからない所があったんだよ」

姫子「先生に聞いて」
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102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:39:34.30 ID:hNaTs+3Io

信代「昼は何を食べたの?」

姫子「・・・サンドイッチ」

唯「サンドウィッチ伯爵」キリ

和「エドワード・モンタギューね」

律「猿だか牛だかワカンネーな」

姫子「・・・」ガバッ

信代「寝るの諦めたか」

律「信代はどうしたんだよ?」

信代「姫子をイジっているから面白そうだと思って来ただけ」

唯「だめだよ。これから寝るんだから」メッ

和「さ、うちわで扇いであげるから・・・オヤスミ」パタパタ

サヤサヤ

姫子「・・・いい風だけどさ」

信代「いいお母さんだな」

和「なんだか眠たくなってきわ・・・ふぁ」

唯「私もだよ・・・」

澪「みんなで仮眠とろうか」

律「だな」

姫子「・・・」

信代「・・・一斉に伏せたけど」

澪「・・・」

和「・・・」

律「・・・」

唯「・・・」

信代「どうすんのこれ?」

姫子「人の眠気を払っておいて寝るんだ・・・」

律「冗談だよ〜ん」

澪「・・・うん」

唯「」スヤスヤ

和「」スヤスヤ

信代「二人は本当に寝たね」

姫子「・・・」

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103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:41:00.37 ID:hNaTs+3Io

信代「紙に書いた鍵盤・・・」

律「そうだぜ」

信代「・・・音をどうするの?」

姫子「・・・」

澪「声として聴くんだ」

信代「・・・そっか」

姫子「・・・」フゥ

律「あんまり悪いほうに考えないでくれ・・・な?」

澪「・・・」

姫子「・・・」

信代「・・・」

和「」スヤスヤ

唯「・・・ん」

律「起きたか」

澪「そろそろ先生来るぞ」

姫子「のどか・・・熟睡してるね」

唯「勉強してるからね・・・ふぁ」

姫子「・・・勉強」

信代「勉強・・・か・・・」

唯「和ちゃん起きて〜」ユッサユッサ

和「・・・ぅ・・・ん?」

律「すごい現象が起きています」

澪「滅多にないな」

姫子「・・・律」

信代「・・・澪」

律「ん?」

澪「?」

姫子信代「「 それ、一枚ちょうだい 」」

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104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:43:03.65 ID:hNaTs+3Io

―――――放課後

律「みんな土日はどーするんだ?」

梓「私は明日CDショップへ」

唯「それなら一緒に行こうよ」

梓「はい。いいですよ」

律「そっか〜」

澪「なにかしたいのか?」

律「そういう訳じゃないんだけどー」

唯「りっちゃんはどうするの?」

律「散歩でもすっかなー」

澪「それなら付き合うよ」

律「うむ。よきにはからえ」

澪「・・・」

唯「よきにはからえってなに?」

梓「好きにしろって事ですかね」

律「偉そうだな」

澪「言ったの誰だよ」

唯「りっちゃんです!」

律「私だよん!」

澪「・・・知ってるけどな」

梓「・・・」

唯「・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

梓「・・・」

唯「・・・」

律「・・・」

澪「・・・あのさ」

律「なんだ?」

澪「いや・・・なんでも・・・ない・・・」

唯「・・・」

梓「・・・」

澪「・・・」

律「・・・」

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105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:44:52.95 ID:hNaTs+3Io

コンコン

ガチャ

純「こんにちはー」

憂「こんにちは」

唯「どうしたの〜?」

純「梓、いつ帰るのかなーって」

梓「先に帰ってていいよ」

憂「うん、分かった」

律「あ、ちょっとまって、蝉時雨れさん」

純「夏は終わったんですよ!」

梓「・・・」

純「って、そんな苗字の人いませんよ」

律「あだ名だ。今日はもう帰ろうぜー」

澪「そうだな」

唯「そだね〜」

律「と、言うわけだから。せ・・・聖歌隊のみなさん」

純「ネタを捻りすぎて自滅しましたね」

憂「クスクス」

律「次は『そ』だかんな!」ビシッ

純「・・・」

梓「それでは、これで失礼します」ペコリ

唯「あとでメールするね〜」

梓「はい」

テッテッテ

純「帰ろう帰ろう」

憂「それでは、失礼します」

澪「来週な」

律「月曜日な〜」

唯「バイバーイ」

バタン
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106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:45:46.44 ID:hNaTs+3Io

律「・・・」

澪「・・・」

唯「あれ、帰らないの?」

律「梓を帰らせる口実だ」

澪「今は、純と憂ちゃんの二人といたほうがいいと思ってな」

唯「・・・そっか」

律「変に気を使いやがって・・・」

澪「それは・・・しょうがないと思うけど」

唯「・・・うん」

律「・・・」

澪「・・・」

唯「気づいた事があるんだ〜」

律「ほぅ」

澪「気づいた事?」

唯「わたしたちの言葉をクッションのように受け止めてくれる存在・・・だよ」

律「あぁ・・・そうだな」

澪「・・・うん」

唯「・・・」

律「さー・・・て」

澪「する事ってないな」

唯「どうしよっか?」

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107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:47:28.46 ID:hNaTs+3Io

純「〜♪」

梓「・・・」

憂「純ちゃん、最近その曲をよく口ずさむよね」

純「あ、分かる?マイフェーバリットソングなんだよね〜」

梓「・・・」

憂「どんな曲なの?」

純「ダンスクラシックやアシッドジャズを取り入れたバンドなんだって」

梓「・・・」

憂「アシッドジャズ・・・?」

純「私もよく知らないジャンルなんだけどね」

梓「色々なジャンルを混ぜ合わせたのがアシッドジャズ」

純「へぇ〜」

憂「ダンスクラシックは?」

梓「知らない・・・」

純「・・・」

憂「・・・」

梓「・・・」

純「色々なジャンルって?」

梓「純はジャズ研でしょ」

憂「・・・」

純「話題を探そうとしていたんじゃん」

梓「・・・」

憂「・・・」

純「・・・」

梓「・・・」

憂「ここ、いい所だね」

純「うん。新学期が始まってから梓と毎日来てる」

梓「・・・」

憂「上流では雨が降ったのかな?」

純「勢いがある・・・」

梓「・・・遠雷」

憂「・・・鳴った?」

純「聞こえなかったな・・・」

梓「・・・気のせいかも」
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108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:48:30.68 ID:hNaTs+3Io

憂「・・・」

純「・・・」

梓「憂・・・」

憂「?」

梓「唯先輩、ギターの練習してる?」

憂「ううん、してないよ」

純「・・・?」

梓「そっか・・・」

憂「変わりにキーボードとにらめっこしてるんだよ」

純「・・・」

梓「そう・・・なんだ・・・」

憂「梓ちゃんはしてる?」

純「・・・」

梓「してるよ。鍵盤の」

憂「違うよ。ギターの練習だよ」

純「・・・」

梓「・・・してない」

憂「お姉ちゃんと一緒?」

純「?」

梓「・・・多分」

憂「そっか・・・」

純「こら、二人で納得しないでくれないか」

憂「お姉ちゃんがね」

梓「今は音を出したくない」

純「・・・」

憂「・・・」

梓「・・・出せない」

純「・・・」

憂「・・・」
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109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:50:04.11 ID:hNaTs+3Io

梓「澪先輩が練習しようって言わない・・・」

純「え・・・」

憂「紬さんがいないから・・・?」

梓「・・・どうなんだろ。5人揃ったら言ってくれるのかな」

純「律先輩は?」

梓「・・・ドラムには触っていない」

憂「・・・」

純「・・・そっか」

梓「・・・」

憂「梓ちゃん」

梓「?」

純「?」

憂「梓ちゃんとお姉ちゃんが楽器を触らない理由は同じじゃないよ」

梓「え・・・?」

純「・・・」

憂「どうして音を出したくないの?」

梓「・・・それは・・・・・・」

純「紬先輩と演奏したいから・・・とか?」

憂「・・・」

梓「・・・うん。一緒に練習して、一緒に間違えて、一緒に補っていきたい・・・から」

純「・・・」

憂「澪さんと律さんもそうだと思うの?」

梓「・・・うん」

純「・・・」
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110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:51:07.28 ID:hNaTs+3Io

憂「お姉ちゃんはね、ただ、『鍵盤に集中したいから』それだけなんだよ」

梓「・・・っ!」

純「・・・あらら、まーた霧に迷い込んじゃったか」

憂「もー、純ちゃん」

梓「・・・」

純「えっへへ、ごめんごめん」

憂「でも、根本的なところは同じだよね」

梓「・・・」

純「うんうん」

ゴロゴロゴロ

憂「あっ」

梓「鳴ったね」

純「結構重たい雲がきましたね」

憂「夏は終わったのに・・・ね」

梓「うん・・・」

純「いやいや、のんびりしている場合じゃないでしょ!」

ザァーーーーーーーーー

憂「橋の下行こう!」

梓「うんっ」

純「うわーっ」

タッタッタ
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111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:52:44.68 ID:hNaTs+3Io

ザァーーー

憂「日没までは時間があるけど・・・」

梓「止まないね」

純「予報では夜からって言ってたのに」プンスカ

憂「しょうがないよ〜」

梓「・・・」

純「走って帰りますか?」

憂「雨の中、傘をささずに踊る人がいてもいい・・・よね」

梓「・・・」

純「よーし行くぞー」

タッタッタ

pipipipi

憂「あ・・・」

ピッ

憂「もしもし、お姉ちゃん?」

梓「純ー、戻ってきてー!」

タッタッタ

純「どしたー?」

憂「うん、河川敷の橋の下で雨宿りしてるとこだよ」

梓「・・・」

純「だれ?唯先輩かな」

憂「ありがとー。それじゃ待ってるね」

ピッ

梓「なんだって?」

憂「傘持ってきてくれるって」

純「ちょっと雨にうたれちまいました」

梓「・・・」

憂「・・・」

純「・・・」

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112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:53:59.83 ID:hNaTs+3Io

ザァーーーー

憂「雨にうたれて歩く機会なんて、これから無くなるんだろうね」

梓「そうだね。これからは、『あの人どうしたんだろ』って見られるよ」

純「子供なら、それだけで許される光景なんだけどね」

憂「・・・」

梓「・・・」

純「・・・」

憂梓純「「「 三人で歩けば・・・ 」」」

憂「ふふっ」

純「あははっ」

梓「・・・」

憂「・・・」ウズウズ

純「私もそうしたいけど」

梓「唯先輩が来てくれるんでしょ」

憂「そうだけど〜」

純「最後のチャンスみたいな・・・そんな感じ」

憂「そうだよね〜」ウズウズ

梓「・・・姉妹だね」

純「うんうん」

憂「どうしよっか?」

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113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:54:41.72 ID:hNaTs+3Io

唯「どうしよっか?」

澪「うーん・・・」

律「いい雰囲気っていうか、壊したくないよなー」

唯「でも、このまま私たちがここにいても、雨止まないよ?」

澪「うーん・・・・・・」

律「唸るだけか」

唯「・・・」

澪「・・・」

律「・・・」

ザァーー

唯「もうちょっとだと思ったんだけどな〜」

澪「・・・うん」

律「梓・・・笑いそうだったけどな・・・」

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114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:55:42.44 ID:hNaTs+3Io

律「来たぞ!」

梓「・・・あれ?」

純「澪先輩たちも来てくれたんですか?」

澪「うん、一緒に帰ろうか」

憂「傘・・・持ってきてくれたんじゃ・・・?」

唯「相合傘だよっ!」

純「失礼しますっ」ササッ

澪「あ、あぁ」

憂「お邪魔するね」

唯「はいよー」

梓「・・・」

律「・・・」

梓「・・・」

律「・・・強制はしないが」

梓「・・・お願します」

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115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:57:07.72 ID:hNaTs+3Io

ザァーー

唯「結構降るね〜」

憂「うん・・・通り雨だと思っていたのに」

唯「季節の変わり目だからね」

憂「暑い日だと思った次の日は肌寒くて」

唯「寒いかと思ったら暑くて・・・涼しくて」

憂「こうやって季節が歩いていくんだね」

唯「そうだね〜」

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116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 22:00:23.30 ID:hNaTs+3Io

ザァーー

澪「河川敷にはよく行くの?」

純「梓とは放課後に毎日ですね」

澪「・・・そっか」

純「なんか、話題が無くてもぼんやりできる場所なんで」

澪「・・・そういう場所があるっていいな」

純「・・・はい」

澪「・・・?」

純「・・・」

澪「どうした?」

純「今日は憂がいてくれてよかった・・・と思いました」

澪「・・・」

純「私が茶化して、憂が私を叱る。・・・その流れが出来ました」

澪「・・・」

純「梓が・・・1人で彷徨っている・・・そんな感じだったので・・・」

澪「そうか・・・」

純「・・・はい」

澪「指摘してくれたんだな・・・」

純「・・・っ」

澪「大丈夫。彷徨ってもむぎがちゃんと示してくれる」

純「でも・・・」

澪「ここにむぎがいなくても、梓はむぎを想っている。それが大切な事なんじゃないかな」

純「・・・」

澪「・・・はやくベースを弾きたいよ」

純「唯先輩と一緒だったんですね!?」

澪「え?」

純「・・・」キラキラ

澪「え・・・と・・・・・・?」

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117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 22:01:05.38 ID:hNaTs+3Io

ザァーー

律「さっきなんの話していたんだ?」

梓「?」

律「私たちが声をかける前だよ。なんか楽しそうだった」

梓「・・・憂が雨の中、傘をささずに踊る人がいてもいいよね・・・と」

律「・・・ふーん」

梓「これから先、そんな事できないじゃないですか」

律「そうだな」

梓「・・・だから・・・・・・・・・はっ」

律「・・・ニヤリ」

梓「だ、だめですよぉ!」

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118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 22:02:02.74 ID:hNaTs+3Io

澪「ん?」

純「?」

タッタッタ

律「・・・その傘討ち取ったりぃぃいいい」

バサッ

澪「あ、こらっ!」

純「あー!」

梓「律せんぱいーっ!!」

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119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 22:02:46.53 ID:hNaTs+3Io

ザァーーー

タッタッタ

律「憂ちゃーん!」

憂「はい・・・?」

唯「りっちゃん・・・雨降っているんだよ?」

律「分かってるよ!」

澪「待てりつーっ!!」

純「せっかくの相合傘ー!」

梓「傘渡してくださいーっ!」

ザァーーー

憂「お、お姉ちゃん、走って帰ろう!」

唯「・・・そうだね!」

律「よっしゃ走るぞー!」

ザァーーー

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120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 22:03:59.89 ID:hNaTs+3Io


―――――夜

澪も結局楽しそうにしてたじゃんか

なのにゲンコツなんてひっでえの


梓も少しは雨にうたれて気持ちも流せたかな

シャワーとは違った感覚で

少し気分が晴れた



むぎと・・・また笑える気がする




今しか出来ない事は

今やっておかないと

きっと

物足りなくなる

やらなかった事を正当化して

やらない事を出来ない理由にしてしまうんだ

それが当たり前になって

きっと

動けなくなってしまうんだ

そんなの



―――私は嫌だ


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121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:01:18.87 ID:hNaTs+3Io

9月5日

唯「おっはよ〜」

梓「もうお昼前ですよ?」

唯「感覚的にはおはようなんだよ」

梓「さっき起きたみたいじゃないですか」

憂「さっき起きたんだよ」

梓「・・・」

唯「昨日楽しかったね〜」

憂「雨の中みんなで走ってね」

唯「水溜りに飛び込むなんていつ以来だろ」

憂「小学校低学年くらい・・・?」

唯「それくらいかな〜」

梓「・・・」

唯「むふふ」

梓「・・・?」

憂「ふふっ」

梓「・・・なに?」

唯憂「「 内緒 」」

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122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:02:00.80 ID:hNaTs+3Io

―――――昼

律「っくしょん!」

澪「えぇー・・・」

律「いや、風邪じゃないぞ。鼻がムズムズしただけだ」

澪「また風邪ひかれたら困るぞ・・・」

律「大丈夫ですって」

澪「・・・」

律「しかし・・・、昨日は意外に楽しかったな」

澪「あぁ・・・」

律「私らを変な目で見ていた人もいたんだぜー」

澪「雨の中傘を持っていてささないんだから、当然だろ」

律「ですね」

澪「・・・だけど」

律「・・・」

澪「・・・梓は、ボンヤリしているだけだったな」

律「雨にうたれながら、感情を出さずに」

澪「・・・多分、探していたんだろうな」

律「むぎを・・・か・・・」

澪「うん」

律「この場にいるはずなのに・・・って感じか」

澪「・・・みんなではしゃいでいたのにな」

律「え、はしゃいだの?」

澪「み、みんながだ」

律「・・・」

澪「・・・」

律「さて、どこへ行きましょう」

澪「決めておけよ」

律「決めないから散歩なんだよっ」

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123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:03:07.08 ID:hNaTs+3Io

唯「おぉ!新曲出てるよ!」

純「マジだ!」

憂「やっぱり一日早く出されていたね」

梓「・・・」

唯「買ってくるよ!」フンス!

テッテッテ

純「買いたいけど目的の代物が・・・くぅ・・・」

憂「歌手としても頑張っているよね〜」

梓「・・・」

純「で、なんで梓は表情が硬くなるのさ」

憂「・・・」

梓「・・・なんでもないよ」

純「夏を思い出したんでしょ」

憂「純ちゃん・・・」

梓「そうだよ・・・」

純「・・・」

憂「・・・」

梓「あの時は純粋に楽しめた・・・」

純「『は』って・・・」

憂「・・・」

梓「・・・CD探してくる・・・・・・」トボトボ

純「最高の夏じゃなくなったのかな」

憂「そんな事ないよ」

純「思い出して辛い顔になってるじゃん」

憂「それでも、私たちが過ごしたあの時間は大切な時間なんだよ」

純「梓はあの時間と今の時間を見比べてしまっているよ」

憂「・・・うん」

純「『あの時はよかった』なんておかしいでしょ」

憂「・・・」

純「梓の中であの時間が眩し過ぎて、今の時間が見えなくなっているんだよ」

憂「そんな事は絶対に無いよ」

純「・・・」

憂「・・・」

純「言い切ったな!」

憂「もちろん」ニコニコ
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124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:04:31.31 ID:hNaTs+3Io

律「今日は快晴だなー」

澪「昨日の雨はなんだったんだろうな」

律「スコールだ」

澪「まさか・・・夏の南国じゃないんだから」

律「夏・・・か」

澪「あ・・・」

律「ん?」

澪「律が絶賛したバイクじゃないか?」

律「おぉ・・・、持ち主の魂が宿っているバイクですね」

澪「・・・もうちょっと言い方変えてくれ」ブルブル

律「このバイクの持ち主の魂が今!」

澪「や、やめろ!」

律「解き放たれる!」

澪「やめろって言ってるだろっ!」

「・・・」

律「そして幾年の月日が流れ・・・」

澪「・・・」ゴクリ

律「平和になりました」

澪「・・・なんだ・・・いい話じゃないか。というか打ち切りじゃないんだから頑張れ」

「・・・人のバイクでなにしてんの?」

律「おぉ、アンタ誰?」

「このバイクの持ち主だよ」

澪「す、すいません」

律「なんで澪が謝るんだよ」

澪「持ち主の魂がどうのこうの言っていたからだよっ」

「持ち主の・・・魂・・・」

律「変な事言っちゃってすいませんでした」

「それはいいけど、どうしてそう思ったの?」

律「へ?」

澪「?」

「・・・」

律「大切にしていそうだから・・・?」

「そっか・・・。うん、ありがと」

澪「???」
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125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:05:45.02 ID:hNaTs+3Io

律「適当に言っただけかもしれないのにお礼いうのかよ」

「相棒が褒められるのは嬉しいだろ?」

澪「・・・なるほど」ウンウン

律「相棒と呼ぶくらい大事にしてんのか」

「まぁね。亡くなった親友のバイクだから当然・・・」

澪「え・・・」

律「・・・」

「あ、ごめん。聞かなかったことにしてくれないかな」

澪「・・・律が言っていた事も外れていないんだな」

律「怖くないのかよ」

澪「大丈夫みたいだ」

「?」

律「なんでもねえよ」

「そうだ、君たち地元の子だよね?」

澪「・・・はい」

律「そうだぜー」

「俺、ルポライターしててさ、ネタに困っているんだけど、この街の面白い場所とかある?」

澪「面白い場所ですか・・・」

律「観光名所とか?」

「いや、観光ガイドに乗っていない場所がいいかな」

澪「・・・」

律「うーん・・・」

「このバイクで色々走ってはいるんだけど、中々みつからなくてね」

澪「見慣れた街だから特別な場所は思いつきません」

律「そうだな〜」

「そっか・・・」

澪「ルポライターって聞きましたけど、どんな内容の記事を書くんですか?」

律「いい質問だ」

「普通の質問じゃないのかな・・・」

澪「・・・」

「『旅』を題材にしているんだ」

律「!」

澪「・・・旅」

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126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:06:13.47 ID:hNaTs+3Io

ピッピッピ

梓「・・・」

純「だから、前見て歩かないと危ないって」

唯「大丈夫だよ」

憂「?」

梓「・・・メール来ない」

純「片想いかよ」

唯「ボディガードだよ」

梓「・・・もう一回送ろうかな」

ピッピッピ

唯「あずにゃん!段差だよ!」

梓「大丈夫ですよ」

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127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:07:55.88 ID:hNaTs+3Io

「『ふうらい』って雑誌に載せてもらっているんだ」

律「面白いの?」

澪「本人に聞くなっ!」

「はは、どうだろうね。でも、バイクで旅をする仲間からはいい評価を得ているかな」

律「バイク乗りじゃないと楽しめないのかよ」

澪「批評するなっ」

「俺の記事はバイクが中心って訳でもないんだけどね」

律「ふーん」

澪「この街ではそのネタになるような場所はなかったと・・・?」

「・・・そういうこと」

律「むむむ・・・」

澪「あ・・・」

唯「前みて!あずにゃん!」

憂「ぶつかるよっ!」

梓「え・・・?」

ドンッ

梓「にゃっ」

「ん・・・?」

グラグラ

純「倒れるっ!」

「危ないっ」

グイッ

梓「ぅわっ!」

ガッシャーン

律澪「「 あっ! 」」

純「倒れちゃった」

唯「あ、お兄さんは・・・」

梓「そ・・・うま・・・さん・・・」

轍「そう、ま・・・だよ・・・うまじゃないよ」

律「お、おいバイク!」

澪「傷がっ!」

轍「・・・」

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128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:08:28.61 ID:hNaTs+3Io

梓「ご、ごめんなさい」

轍「・・・いや、気にしないでいいよ。よいしょ」

ガタッ

轍「・・・」

カチッ

ドルルルルルン

轍「・・・ね、大丈夫でしょ?」

律「でも・・・そのバイク・・・」

澪「・・・親友の」

轍「俺は走行中に何度もこけているから、これくらいでは怒られないよ」

梓「?」

律「・・・」

澪「・・・」

轍「壊れるものはいつか壊れるんだから」

唯「・・・」

純「だから前を見ろって言ったじゃん!」

梓「う、うん・・・」

轍「で、話は戻るんだけど、どうして『旅』にくいついたの?」

梓「!」

律「それはだな」

澪「私たちも旅をしたんです」

轍「・・・へぇ」

唯「むぎちゃんのおかげだよ〜」

澪「この夏に、みんなでたくさんの景色をみてきたんです」

轍「・・・なるほど」

梓「・・・」

律「ここにはいないけど、その子を中心にしてな」

憂「私も少しだけ参加しました」

純「私なんて一日だよ」

唯「さわちゃんっていう担任の先生もだよ!」

轍(・・・楽しそうに話すな・・・よほどか・・・)

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129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:10:18.14 ID:hNaTs+3Io

律「むぎの幸運から始まった旅だけど」

澪「むぎが居なかったら、私たちはそれらの景色はみられなかったんです」

轍「そうか・・・」

梓「・・・」

轍(・・・あれ、この子だけ・・・どうして・・・表情が曇るんだ・・・?)

純「楽しかったのはマジ!」

唯「たくさんの人とも出会えたもんね!」

轍「・・・キミ達みたいな若い女の子たちが旅を?」

梓「・・・」ムッ

憂「列車の旅でしたから」

唯「そうそう、サバイバルじゃなかったよ」

轍「なるほど、『衣、食、宿』揃っていたんだ」

梓「・・・」ムカッ

律「・・・」

轍「旅・・・ねぇ・・・」

梓「なんですか・・・?」

澪「・・・」

轍「いや、別に・・・」

梓「歯切れが悪いですね・・・」

轍「・・・」

唯「ん?」

梓「いいたい事があるなら、言ったほうがいいんじゃないですか?」

轍「・・・ずいぶんと楽な旅なんだなって」

梓「なっ!」

純「ちょっ!」

クイッ

純「・・・え?」

澪「・・・」

梓「私たちの旅が楽ってなんですかッ!」

轍「着るもの、食べるもの、休みをとれる場所を確保できた旅なんていいよねって言っただけだよ」

梓「バカにしてます!」

轍「・・・」

律「・・・」

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130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:12:14.22 ID:UuXEgV/jo
CDって前作のあの子のCDか
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131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:12:39.28 ID:hNaTs+3Io

梓「私たちの旅を・・・、否定されたみたいです!」

轍「どうしてそう思ったの?」

梓「なにを言っているんですか」

轍「俺がしている旅は、寝床を確保して、テントを張って、着る服を洗って、
  食材をかき集め、料理をして、それで半日が終わるんだ」

梓「・・・」

轍「雨風にさらされて、それでもジッと耐えて時が過ぎるのを待つ」

梓「だから、なんですか」

轍「その対極にあるキミ達の旅をバカにしたように聞こえたのかもしれない」

梓「・・・」

轍「だけど、否定なんて絶対にしない。人が旅をする方法なんて千差万別なんだから」

梓「・・・っ」

轍「否定された気分になる隙が空いていたんじゃないの?」

梓「・・・っ!」

轍「・・・」

梓「大切な時間だったから・・・、その時間を嘲笑されたようで嫌だっただけです」

轍「・・・」

梓「・・・あなたの目は濁っています」

轍「・・・!」

唯「あずにゃん!?」

澪「あ、梓!」

律「何言っているんだよっ!」

梓「これで失礼します」

タッタッタ

憂「梓ちゃん!」

純「ったくー!」

タッタッタ

轍「・・・」

澪「す、すいません」

律「ご、ごめんな」

唯「普段はあんな事・・・」

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132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:13:54.96 ID:hNaTs+3Io

轍「・・・ぐふっ」

澪律唯「「「 ? 」」」

轍「あっはっはっは!」

澪「え・・・」

轍「あんな若い子に同じ台詞言われた・・・っ!」

律「な、なにがだよ?」

轍「め、目が濁っているって・・・あっはっは!」

唯「笑う所なの?」

轍「そうだよ、ただし、俺限定の笑いどころだ・・・くふっ」

澪「・・・」

轍「上原のオバァと同じ台詞・・・っ」

律「おばぁ・・・?」

轍「沖縄でのおばあちゃんの敬称だよ・・・ふぅ」

唯「おきなわ・・・」

轍「面白い、な」

澪「どうしてあんな言い方したんですか?」

律「なにか探っているような感じだったな」

轍「・・・みんな楽しそうに話しているのに、あの子だけ違う表情していたからね」

唯「・・・そっか」

律「にぃにぃってのも沖縄の呼び方なのか?」

轍「そうだよ。兄という意味だね」

澪「なるほど、そう呼んでいたわけか」

轍「・・・?」

唯「なんの話?」

律「12歳のハーフがアンタの事そう呼んでいたんだって」

轍「え・・・?」

澪「珍しいから話していたんだよな」

轍「真鶴ちゃんを知っている・・・?」

律「あー、確かそう呼んでたかな」

轍「まさかっ」

ピッピッピ

唯「どしたの?」

轍「着信あったんだ・・・」

澪「?」
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133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:15:59.06 ID:hNaTs+3Io

ピッ

trrrrr

唯「うまさんに聞きたい事があるんだよ」

轍「相馬だっての・・・ちょっとまって」

律「電話かける仕草してただろ」

澪「うまさんって失礼だろっ」

唯「鳥の次は馬だったからだよ」

律「あー、はいはい」

轍「・・・」

『もしもし・・・轍くん?』

轍「あれ・・・、俺の番号だって分かったの?」

『・・・着信音で』

轍「あぁ、そういう事か」

『・・・まだ日本にいるの?』

轍「うん・・・。修平さんから聞いたの?」

『うん・・・』

轍「用事でもあった?」

『・・・』

轍「・・・」

『・・・声を』

『貸して暦』

暦『あっ』

『もしもし、にぃにぃ?』

轍「真鶴ちゃん?」

真鶴『電話・・・今返してもらったの?』

轍「いや・・・、その日のうちに・・・」

真鶴『なんで電話しなかったの、心配していたんだよ?』

轍「携帯電話取り違えただけだよ」

真鶴『私がじゃないの!』

轍「・・・」

真鶴『にぃにぃは誰にでも声をかけるからぁ・・・』

轍「そんなわけないだろ」

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134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:17:19.23 ID:hNaTs+3Io

真鶴『really?』

轍「どうして疑う」

真鶴『私にも声かけたさー』

轍「放っておけないだろ・・・」

真鶴『えへへ、声聞きたかっただけだから。暦に変わるね』

轍「・・・あぁ」

真鶴『はい暦』

暦『うん・・・』

『ガタッ』

真鶴『あ、ごめん』

暦『ううん・・・』

轍(・・・落としたのか)

真鶴『はい、どうぞ』

暦『ありがと』

轍「・・・」

暦『・・・轍くん?』

轍「はいはい」

律「なんだ・・・まだ話してるぞ」

唯「大事な話なんだよ」

澪「・・・」

暦『・・・』

轍「・・・?」

律「季節はずれかと思ったけど、まだアイスの季節だな!」

唯「今日も暑いからね!最適だよ!」

澪「・・・夕方からは気温下がりそうだけどな」

暦『・・・誰?』

轍「・・・え?」

暦『・・・』

轍「あぁ、近所の子達だよ」

律「なんかガキンチョみたいに紹介されたな」ガリガリ

唯「おいしいよね、アイスキャンディー」ガリガリ

澪「近からず遠からずかな」ガリガリ

暦『・・・』

轍「見える・・・見えるぞ・・・暦の軽蔑のまなざしが」
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135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:19:15.31 ID:hNaTs+3Io

暦『楽しそうだね』

轍「・・・仕事が行き詰っているから、楽しくも無いけどね」

暦『ふーん・・・』

轍「引き上げようかと思っていたところだよ」

暦『そうなんだ』

轍「沖縄はどう?」

暦『それなりに』

轍「・・・海琴ちゃんは?」

暦『来週ここに来るって』

轍「そっか・・・」

暦『仕事の邪魔してごめんね・・・切るね』

轍「うん」

暦『・・・頑張ってね』

轍「・・・うん、ありがと」

プツッ

轍「・・・」

唯「りっちゃん隊員!うまさんが眩しいです!」

律「私もそう思っていた所だ!」

澪「・・・」

轍「・・・なにしてんの?」

唯「らぶらぶですなぁ」ニヤニヤ

律「まったくですなぁ」ニヤニヤ

澪「・・・」

轍「キミ達、他人との境界線をとっぱらうの早いよね」

澪「すいません」

唯「どうして謝るのっ!?」

律「達、というより唯がな」

轍「・・・それで、聞きたいことって?」

唯「おぉ、そうだった」ウッカリ

轍「・・・」

唯「あずにゃんに『最高の場所』を教えたのはどうしてかな〜って」

律澪「「 『最高の場所』? 」」

轍「あず・・・?」

律「アンタにつっかかった子だよ」
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136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:20:58.01 ID:hNaTs+3Io

轍「あぁ・・・携帯電話取り違えた子か」

唯「そう。あずにゃんだよ」

轍「知っている子と同じ表情していたから・・・かな」

唯「・・・」

轍「その・・・あず・・・本名は?」

律「中野梓だ」

轍「中野さんの大切な人になにかあったんだろうね」

唯「・・・うん」

轍「その人が笑顔でいられる理由が俺にも分かるような気がしたから」

唯「・・・」

轍「俺の知っている子にも色々あってね、だけどその子も強く前に進んでいるんだ」

唯「その場所を知っているの?」

轍「うん・・・。見つけたと、そう言ってくれた」

唯「・・・そっか」

律「・・・」

澪「・・・」

轍「聞きたいことはそれだけ?」

澪「ど、どうやって見つけるんですか?」

轍「・・・キミ達は旅をしたんだよね?」

澪「は、はい」

轍「なら・・・知っているでしょ」

澪「・・・」

律「優しくねえな、アンタ」

轍「・・・俺の目が濁っている理由だよ」

律「なるほどな」

唯「なるほど、なるほど」

澪(迷ってでも自分で見つけろ・・・って事かな)

律「じゃあ私からも質問」

轍「?」

律「さっき、バイクより梓を助けたのはなぜなんだ?親友の・・・その、形見・・・なんだろ?」

轍「・・・最善を選んだだけだよ。バイクを助けようとして、
  両方傷つけたらそれこそアイツに顔向けできないよ」

唯「・・・アイツって誰?」

澪「相馬さんの親友さんだよ」

轍「そう。それに相棒はそんなにヤワじゃないからね」ポンポン
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137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:22:14.03 ID:hNaTs+3Io

律「・・・」

唯「沖縄に縁があるのかもしれないね」

澪「そうだな」

轍「?」

律「引き上げるって言っていたけど、ここから離れるのかよ?」

轍「うん・・・そう思っている所」

澪「そうですか・・・」

轍「どうして?」

律「私達の住んでいる場所に魅力が無いみたいに思われるのもな〜」

唯「ひどいよっ」

轍「無いわけではないんだけど・・・おっと、そろそろ移動しないと」

澪「忙しいんですか?」

轍「自由気ままって訳でもないからね」

唯「でも楽しそうだよね」

轍「好きな仕事だから。それじゃ」

律「じゃーな」

澪「それでは」

唯「ばいばい〜」

ドルルン

ドルルルルル・・・

律「さて、帰るか」

澪「そうだな」

唯「あれ、りっちゃんと澪ちゃんどうしてここにいるの?」

律「今さら!?」

澪「散歩していただけだよ」

唯「そっか〜」

律「でも、正解だったな」

澪「うん」

唯「・・・そっか」

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138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:24:04.66 ID:hNaTs+3Io

純「『目が濁っている』なんて、言っちゃいけないでしょ」

梓「・・・」

憂「・・・」

純「どうしてあんな言い方したかなー」

梓「・・・知らない」

憂「・・・」

純「まったく」ピョン

テッテッテ

純「今度こそ新記録っ」シュッ

チョンチョンチョン

ポチャン

梓「・・・」

憂「隙をつかれたよね」

梓「っ!」

憂「えー・・・と、相馬さんでいいよね?」

梓「・・・」

憂「6つくらい年上・・・かな」

梓「・・・」

憂「バイクが趣味というより、バイクに乗る事が趣味って感じだね」

梓「・・・」

憂「きっとたくさんの景色をみてきたんだろうね」

梓「・・・いいよ。そんな話」

憂「ごめんね・・・。でもちょっと気になって」

梓「へ〜、あんなのがいいんだ憂は・・・」

憂「うーん・・・というより、的確に梓ちゃんに踏み込んできたから」

梓「・・・そうだよ。出会って間もないのに、勝手に人の心に触れてきて」

憂「・・・」

梓「もっと悩め、と言わんばかりにかき乱された」

憂「・・・」
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139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:25:03.31 ID:hNaTs+3Io

純「・・・」

梓「身に覚えがある事を言われたから尚更、ざわついた」

憂「身に覚え・・・?」

純「律先輩とちょっとね」

憂「そっか・・・」

梓「絶対に答えを言わない・・・あの人は・・・」

憂「・・・」

純「・・・」

梓「・・・それが、すごく嫌だ」

憂「答えをくれたら、梓ちゃんは納得するの?」

梓「・・・しない」

純「・・・言ってる事変だよ」

梓「っ!」ピョン

タッタッタ

梓「ッ!」ブンッ

ポチャン

梓「・・・」

純「あんなにイラついてる梓、初めて見た・・・」

憂「・・・うん」

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140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:26:56.74 ID:hNaTs+3Io

―――――夕方

バタン

唯「たっだいま〜」

憂「おかえり〜」

唯「お腹すいた」

憂「もうちょっとまってね」

唯「はいよ〜」

テッテッテ

唯「勉強しよ」

和「・・・え?」

唯「・・・ん?」

和「勉強する・・・って?」

唯「言ったよ」

和「そう・・・邪魔しちゃ悪いからお暇するわね」スッ

ガシッ

唯「まって!」

和「学生の本分を全うしようとしている幼なじみの邪魔はできないわ・・・」

唯「ちゃんとした勉強じゃないんだよ!」

和「なによそれ」

唯「知ってるくせに〜」

和「はいはい、分かったから離して」

唯「練習道具取ってくるからまってて」

タッタッタ

和「私がいる事には触れないのね」


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141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:28:28.30 ID:hNaTs+3Io

プップー

和「『え、あ』・・・かしら」

唯「・・・」フルフル

和「・・・難しいわね」

憂「今のは、『い、あ』だね」

唯「正解だよ」

和「黒鍵ですらこれなのよね・・・」

唯「和ちゃん、一緒に頑張ろう」

和「弱音を吐いたわけじゃないわよ」

憂「休憩しよっか、和ちゃん、食べていくよね?」

和「遠慮しとく、夕食すませてからまた来るわ」スッ

ガシッ

唯「そんな〜!」

和「また来るって言ったわよ。離して」

唯「そんなぁ〜」

ズルズル

和「・・・唯、しっかり食べてる?」

唯「え・・・うん」

和「軽いわよ」

唯「太らないんだよ」

和「・・・」

唯「?」

憂「食べていく?」

和「・・・そうね」

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142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:29:59.42 ID:hNaTs+3Io

憂「お姉ちゃん相馬さんと話してたの?」

唯「そだよ〜。その後にりっちゃんと澪ちゃんと座談会したよ」

和「誰?」

唯「あずにゃんとぶつかった人だよ」

和「?」

憂「ケータイの人だよ」

和「あぁ」

唯「えぇー、分かんなかった?」

和「火曜日・・・の話でしょ?ピンとこなかったわね」

唯「明日は日曜日・・・」

憂「一週間経つんだね」

和「なんだかじっくり歩んだ一週間だったわね」

唯「そうだね・・・」

憂「・・・」

和「ごちそうさま、美味しかったわ」

唯「ごちそうさま〜」

憂「お粗末さまです」

和「・・・」

唯「歯を磨いてくるよ」

テッテッテ

憂「鍵盤ハーモニカを吹くからね」

和「よく持っていたわね」

憂「押入れにあったの」

和「・・・そう」

憂「・・・」

和「・・・いつもちゃんと食べてるの?」

憂「夕食はあまり食べてなくて・・・」

和「色々考えちゃうのかしらね」

憂「・・・うん。でも、今日は和ちゃんがいてくれてよかった」

和「・・・」
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143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:30:49.52 ID:hNaTs+3Io

憂「・・・」

和「むぎが戻ってきたら・・・またいつものように戻れるわ」

憂「・・・うん」

和「なにかあったの?」

憂「梓ちゃんが・・・ね」

和「・・・そう」

憂「・・・」

和「ひょっとしたら・・・」

憂「?」

和「・・・なんでもないわ」

唯「さぁ、練習するよ〜!」

憂「食器片付けてくるね」

和「洗うの手伝うわ」

唯「その横で弾いてるよ!」

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144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:31:49.01 ID:hNaTs+3Io

ジャカジャカ

Love my days, we're in the laze.

純「梓に教えてみようかな、この曲」


・・・・・・


『否定された気分になる隙が空いていたんじゃないの?』

梓「・・・知った風な・・・・・・」


・・・・・・


澪「ひょっとしたら、梓の・・・いや、私達の旅は終わっていないのかな」

律「・・・だな」

澪「・・・」

律「?」

澪「どうして私の部屋にいるのかなって・・・」

律「ヒマをツブシにキマシタネ」

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145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:32:32.43 ID:hNaTs+3Io

9月6日

――――――夕方

唯「やっほ〜」

律「よっ」

梓「あれ、澪先輩と一緒じゃないんですか?」

律「いつも一緒って訳じゃないぞ」

唯「用事があるんだって」

梓「そうですか・・・どうしたんですか?呼び出すなんて珍しいですね」

律「のんびりしようかと思ってな!」

唯「たい焼き買ってきたよ!」

梓「・・・」

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146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:33:09.94 ID:hNaTs+3Io

pipipipipipi

澪「・・・さわ子先生?」

ピッ

澪「はい」

『澪ちゃん、今家に居る?』

澪「は、はい。いますけど」

『時間あるかしら?』

澪「・・・はい」

『出てきてくれる?今澪ちゃんの家の前にいるから』

澪「はい・・・?」

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147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:34:40.38 ID:hNaTs+3Io

唯「三日月だね」

律「ほっそいな!」

梓「・・・頼りないです」

唯「儚いんだよ」

律「なんだよ頼りないって」

梓「満ちては欠けるんですよ・・・心細くなるじゃないですか」

唯「・・・」

律「・・・」

梓「繰り返し・・・永遠のループです」

唯「終わりのないループだと思うの?」

梓「・・・はい」

律「満月の時よりは光も弱い感じではあるな」

梓「だから・・・頼りないんです」

唯「十五夜毎欠けてもまた満ちる力を持っているんだよ」

律「・・・いいこと言うじゃないか」

梓「・・・」

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148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:35:12.73 ID:hNaTs+3Io

さわ子「悪いわね、わざわざ」

澪「用事が済んだ所でしたから・・・平気ですけど、どうしたんですか?」

さわ子「車に乗って」

澪「え・・・」

さわ子「警戒しないでよ〜」

澪「・・・」

さわ子「話があるのよ」

澪「?」

さわ子「むぎちゃんの事でね」

澪「むぎの・・・?」

さわ子「ここじゃなんだから、移動するわよ」

澪「・・・」

さわ子「どこかいい場所ある?」

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149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:36:17.67 ID:hNaTs+3Io

梓「先輩方は・・・どうなんですか・・・?」

唯「・・・」

梓「いつもと変わらないようにしてますけど」

律「・・・」

梓「・・・むぎ先輩がいないんですよ?」

唯「そうだね」

梓「どうして・・・一昨日の雨の日に、はしゃいでいられるんですか・・・」

律「・・・はぁ」

梓「なんですか」

律「梓はむぎしか見てないのな」

梓「なんですかそれは」

唯「私も見てって事だよ」

律「ちげえよ・・・ってか、真面目な話してるんだからボケるなよ」

唯「すいやせん」

梓「・・・」

律「そこしかみてないから、隙が生じてるんじゃないのか」

梓「っ!」

唯「あの時、雨に濡れながらはしゃいだ時、
  むぎちゃんがいたらどんなだったかなって、そう想っていたよ」

律「・・・多分、澪もな」

梓「・・・」

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150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:37:26.08 ID:hNaTs+3Io

さわ子「どうして河川敷なのよ・・・?」

澪「なんとなく・・・」

さわ子「まぁいいわ」

澪「・・・」

さわ子「・・・」

澪「・・・話って・・・なんですか・・・?」

さわ子「悪い話じゃないから身構えなくていいわよ」

澪「そうですか・・・」

さわ子「あなたたちにとってはね」

澪「?」

さわ子「斉藤さん経由で聞いた話で、むぎちゃんは口止めしているみたいなんだけど」

澪「・・・」

さわ子「むぎちゃん・・・今、ドイツにいるのよ」

澪「えっ!?」

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151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:37:54.98 ID:hNaTs+3Io


律「じゃあな〜」

唯「ちゃんとあったかくして寝るんだよ」

梓「明日・・・です・・・」

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152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:39:03.90 ID:hNaTs+3Io


澪「どうして・・・梓じゃないんですか・・・」

さわ子「今の梓ちゃんは、むぎちゃんの意志を汲み取れないでしょ」

澪「どうして・・・律じゃないんですか・・・」

さわ子「りっちゃんにはみんなを違う位置から引っ張って欲しいのよ・・・」

澪「どうして・・・唯じゃないんですか・・・」

さわ子「りっちゃんと同様ね」

澪「・・・」

さわ子「・・・夏の旅であなたが一番成長したように見えたからよ」

澪「スタート地点が違えば・・・そう見えるのも当然・・・です・・・」

さわ子「澪ちゃんも自分を過小評価しすぎよ・・・」

澪「月曜日に・・・むぎの顔をどう見たら・・・」

さわ子「決まってるじゃない、いつものように・・・よ」

澪「無理です・・・嬉しい反面・・・辛いですよ・・・」

さわ子「・・・」

澪「どうして・・・私なんですか・・・?」

さわ子「あなたはベースでしょ・・・みんなを支えてあげて」

澪「・・・」

さわ子「むぎちゃんと旅をしてきたでしょ・・・その自分を誇りに思っていいと思うわ」

澪「・・・」

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153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:39:59.51 ID:hNaTs+3Io


―――――夜

会いたい

会って話をしたい

言葉が無くても

ただ、一緒に同じ景色をみるだけでいい


でも、最近の私は

周りに迷惑をかけているだけ

むぎ先輩に迷惑をかけるのだけは嫌だ

そんな自分を許せない


『十五夜毎欠けてもまた満ちる力を持っているんだよ』

頼りない三日月月明かり

終わりの無い運命

頼りなく萎みそうになる想いを

十五夜毎欠けてもまた満ちる力を



―――会うのが怖い

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154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:40:33.85 ID:hNaTs+3Io


9月7日

夏の旅で

むぎ先輩と一緒にたくさんの人と出会って

別れて

大切な事をたくさん教えてもらって

大切な時間が存在する事を学んだ

夏前と同じように接しればいいんだよね

うん

―――大丈夫


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155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:42:14.80 ID:hNaTs+3Io


和「あれ・・・来てないの?」

澪「・・・」

唯「来てないね〜」

律「まだ来てないな」

和「山中先生は来るって言っていたわよね」

唯「うん」

律「・・・」

澪「・・・」

和「とりあえず、席に行きましょう」

唯「はいよ!」

テッテッテ

律「・・・どうしたんだよ」

澪「・・・」

律「・・・」

『時期が来たらみんなに教えてあげて』

澪「・・・いや、なんでも」

律(私に隠せると思ってんのかよ・・・)

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156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:43:59.60 ID:hNaTs+3Io

さわちゃんと来るのかな

そうだよね

みんなにちゃんと説明しなきゃいけないもんね

ちょっと緊張しちゃうな

わたしはとってもびっくりしたけど

だけどむぎちゃんはむぎちゃんだもんね

怖い事なんてないよね

和ちゃんの背中が少し堅い気がするな

姫子ちゃんもちょっと強張ってるかな

信代ちゃんも

りっちゃんは相変わらずかな

澪ちゃんの様子が少しおかしい気がするな

あ・・・




ガチャ

さわ子「はーい席についてー」

紬「・・・」





来た

変なの

4日会わなかっただけなのに

それ以上会わない日なんて、何度もあるのに

久しぶりで、会えてとても嬉しいよ

―――むぎちゃん

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157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:45:17.47 ID:hNaTs+3Io

ザワザワ

紬「・・・」

「どうしたの?」

「どうして琴吹さんと先生が一緒に入ってくるんですか?」



理由があるんだよ

みんなに伝えなきゃいけない事がな



さわ子「みんなしずかにして、大事な話だから」

紬「・・・」コクリ



みんなそれを感じ取ったみたいだな

急に静まり返った

いや、沈黙かなこれは



紬「・・・」

さわ子「琴吹さんは―――」



やべえ

現実を突きつけられるようで

怖い


さわ子「―――声を発する事ができなくなりました」

紬「・・・」コクリ

「―――え」

姫子「・・・」

信代「・・・」

いちご「・・・」

春子「・・・」

風子「・・・」

「うそ・・・」

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158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:47:45.56 ID:hNaTs+3Io

時間が止まったような

自分だけが置いていかれるような感覚になるよな

一番前の席でよかった

みんなの表情をみずにすんだ

それをみたら多分、飲み込まれたかもしれない



春子「どうして・・・ですか?」

さわ子「失声症とは違うみたいだけど、今は説明省くわね。時間が無いから」



時間が無いってなんだよ

授業より大事なことじゃないのかよ

ちゃんと教えてくれよさわちゃん



紬「・・・」コクリ

さわ子「・・・どうしてもやるの?」

紬「・・・」コクコク

テッテッテ

ガチャ

バタン

「・・・え?」



そうだよな

なんで出て行ったのか分からんよな

さわちゃんを除いたこの部屋の人全ての頭の上に疑問符が浮かんでいるだろうな

ん?

なんで私をみるんだよ、さわちゃん

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159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:49:38.34 ID:hNaTs+3Io

さわ子「・・・入ってきて」

ガチャ

スタスタ

紬「・・・」ペコリ

スッ

カツカツカツ



黒板に

琴・・・吹・・・紬・・・って

自己紹介してどうすんだよ

あ・・・もしかして・・・

分かったよ、乗ってやるよ

しょうがないな

ヤタガラスは太陽の化身だって言うからな

頼むぜー守護神様

教室の空気が凍ってるから、力を貸してくれ

一緒にこの空気を溶かそうぜ

―――むぎ

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160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:51:45.62 ID:hNaTs+3Io

さわ子「・・・今日から登校することになった琴吹紬さんです」

紬「・・・」ペコリ

律「知ってるよ!転校生かっ」

紬「・・・」キラキラ

律「やってみたかったのか!」

紬「・・・」コクコク

姫子「あ、そういう意味ね」

信代「律のツッコミが無かったら理解できなかった」

さんきゅー

姫子、信代

紬「・・・」ギュ

律「いや・・・、転校生ごっこかなぁ・・・って思っただけだぞ」

春子「律のツッコミが夏前とは比べ物にならないくらい光っているんだけど」

和「さすがね」

唯「りっちゃん冴えてるよ」

さんきゅー

春子

律「和は知ってただろ?」

和「・・・遠いわよ。それにツッコミなんてスキル持ち合わせてないわ」

唯「りっちゃんだけだよ」

「クスクス」

姫子「ふふっ」

紬「・・・」キラキラ

律「いや・・・そんな嬉しそうにしなくてもいいんじゃないか・・・?」

いちご「・・・クスクス」

律「喜べむぎ、いちごがウケた」

紬「・・・」ニコニコ

いちご「・・・笑ってない」イジイジ

さんきゅー

いちご

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161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:53:02.04 ID:hNaTs+3Io

さわ子「もういいでしょ、席に着きなさい」

紬「・・・」コクリ

スタスタ

風子「やっと揃ったね」

紬「・・・」コクリ

さんきゅー

風子

みんなが声をかけてくれたから

凍った空気が溶けた


一人だけ

教室の空気が和らいだこの時に

一人だけ俯いているけどな

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162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:55:57.30 ID:hNaTs+3Io

―――バカだ私は

むぎは喋れない

むぎは声を上げて笑えない

むぎは歌えない

むぎは誰とでも話をすることができない

むぎは――言葉で――気持ちを―

―――伝えられない

偉そうに

梓を諭そうとした

悟った顔で

律に語った

自分に出来る事があると

唯と聞く側にまわる事で安心していた

私は状況を理解していなかったんだ



――――――現実が―――追いついてしまった

・・・・・・

・・・

さわ子『むぎちゃん・・・今、ドイツにいるのよ』

『えっ!?』

さわ子『あ、でも今は日本に向かっているところね』

『・・・』

さわ子『むぎちゃんの症状を研究しているチームがあるんだって』

『・・・ドイツ・・・』

さわ子『かなり特殊な症状らしくてね、最先端の治療法で研究しているらしいわ』

『そこで・・・検査を・・・?』

さわ子『いえ・・・治療を兼ねたリハビリを行うつもりだったらしいわ。琴吹家としては』

『治療って事は治るんですか!?』

さわ子『・・・保証はないって言われたらしいけどね』

『・・・それでも・・・可能性があるなら・・・』

さわ子『ドイツでなくちゃいけないの』

『え・・・』
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163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:58:09.54 ID:hNaTs+3Io

さわ子『その期間は半年・・・一年・・・それ以上らしいわ』

『それじゃ・・・どうして日本へ・・・』

さわ子『高校生活を・・・桜が丘をみんなで卒業したいからよ』

『!』

さわ子『むぎちゃんとしては、みんなとの時間を過ごすことに決めたって事ね』

『なんで・・・っ』

さわ子『・・・』

『・・・』

さわ子『もう一つ』

『・・・』

さわ子『この症状は早いうちに治療に取り掛からないと、取り返しがつかなくなるらしいわ』

『え・・・、それじゃあ・・・一生喋れなくなる・・・かもしれない・・・』

さわ子『・・・そう』

『・・・』

さわ子『時期が来たらみんなに教えてあげて』

『どうして―――』

・・・

・・・・・・

どうしよう

涙が零れそう

ここを選んでくれたむぎ

声が出せなくなるむぎ

時間が大切で

大切だから嬉しい―辛い

どうしよう

俯いていても分かる

隣にむぎがいること

二年半むぎのもつ空気を感じていたんだから

分かる

今は顔をみせられないんだ

むぎの顔を見れないんだ

きっと、声を出して泣くから

楽しいわけじゃない、悲しいわけじゃない

嬉しすぎて、辛すぎて

ただ、泣きたくなるんだ だから
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164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:58:13.92 ID:NxnX64vDO
主人公がころころ変わってわけわからん
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165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 00:00:17.59 ID:qmEGUPh0o

紬「・・・」ヒョイヒョイ

澪「・・・?」

信代「なにやってんの?」

風子「・・・髪をどうするの?」

唯「みつあみがお勧めだよ」

和「癖になるわよあれは」

唯「え!?」

姫子「やったことあるの?」

和「えぇ」

「「 え!? 」」

和「なによ、みんなして」

唯「いつ!?」

和「忘れたのね・・・」

紬「・・・」キラキラ

信代「・・・本当にみつあみにしたな」

風子「一本だけってバランスおかしくないかな?」

澪「・・・まっ・・・たく・・・っ・・・しょ・・・しょうがないなむぎは・・・」

さわ子「あのねぇ・・・HR始めたいんですけど」

紬「・・・」テクテク

唯「・・・」

和「・・・」

姫子「・・・」

信代「・・・」

風子「・・・」

澪「・・・」

いちご「・・・」

春子「・・・」

律「・・・」

紬「・・・」ストッ

さわ子「それではHRを始めます」

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166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 00:04:57.15 ID:qmEGUPh0o

―――昼

紬「・・・」プップップー

唯「おなか・・・?」

紬「・・・」コクコク

和「唯と同じ鍵盤ハーモニカね」

紬「・・・」プッププー

澪「す・・・いた・・・かな?」

紬「・・・」コクコク

律「じゃあ食べろよな」

紬「・・・」プップププー

和「・・・た・・・」

姫子「・・・」

律「・・・と・・・し・・・?」

紬「・・・」フルフル

律「じゃ、もう一回」

紬「・・・」プププー

律「・・・の・・・し・・・い・・・か?」

唯「楽しいんだ!」

紬「・・・」コクコク

和「ダメね・・・反対から鍵盤を見てるから余計分からなくなるわ」

姫子「でも、『た』は合ってた」

和「出だしはね」

姫子「・・・」

紬「・・・」プップップー

澪「おなか・・・」

紬「・・・」プッププー

律「だから食べろよ!」

紬「・・・」ニコニコ

姫子「・・・うん。母音は覚えた・・・と言っても、手元みないと分からないけど」

紬「・・・」プッププップー

姫子「い、え、お・・・だけ。子音はだめだね」
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167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 00:07:03.82 ID:qmEGUPh0o

唯「最初の子音はソの『H』だよ〜」

姫子「『ひ』・・・?」

澪「次の子音はラの『M』」

姫子「『め』・・・」

和「レの『K』」

姫子「ひめこ・・・?」

紬「・・・」コクリ

姫子「あ・・・」

紬「・・・」プップップー

律「ド#」

澪「ラ、レ#」

姫子「ちょっとまって、鍵盤と照らし合わせてみるから」

唯「おけ〜」

姫子「もう一回おねがい」

紬「・・・」プップップププー

姫子「あ・・・り・・・、・・・レレ、ド#は『が』で・・・・・・」

和「ド、ラ#で『と』」

姫子「ファ#・・・」

紬「・・・」プップップー

姫子「・・・うん」

紬「・・・」ニコニコ

律「早く食べないと昼休み無くなるぞ」

紬「・・・」アセアセ

姫子「・・・オヤスミ」

唯「食べてすぐ寝たら・・・なにになるんだっけ、りっちゃん」

律「牛」

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168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 00:07:49.98 ID:qmEGUPh0o

澪「ボケろというフリだな」

紬「・・・」モグモグ

律「牛若丸だ!」

和「頑張ったわ」

唯「ごめんね、りっちゃん」

律「唯・・・いつか仕返しするからな」

姫子(二つの言葉だけで・・・嬉しくなるなんて・・・変なの・・・)

和「食べ終わったらもう一回しましょうか」

唯「そだね〜」

律「彼女はまたキラキラ星を聞くのであった」

紬「・・・?」モグモグ

和「姫子がイヤホンで聞いている曲の事よ」

紬「・・・」コクコク

姫子「・・・」

唯「反応しないね・・・」

澪「姫子が寝ているから、紙鍵盤だけにしような」

姫子(聞く練習しようと思っていたけど・・・素直に起きて見ていればよかったかな・・・)

ピッ

ジャカジャカ

姫子(おやすみ・・・はどうやるんだっけ・・・ラ#、ド#、ファ#、レ#で『おあうい』
   音を拾って声に変換してる唯たちはすごい・・・)

ジャカジャカ

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169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 00:08:59.91 ID:qmEGUPh0o

―――――放課後

紬「・・・」プップップー

律「・・・むむ」

澪「も、もう一回だ」

紬「・・・」コクリ

紬「・・・」ププップー

唯「あれ、さっきと違うよ?」

紬「・・・」ププッププー

律「で・・・た・・・」

紬「・・・」プププー

澪「・・・らめ・・・出鱈目?」

紬「・・・」コクリ

律「適当かよ〜」

唯「も〜」

紬「・・・」スッ

澪「『ごめんね』って!」

律「ちくしょう!許す!!」

唯「あはは」

紬「・・・」ニコニコ

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170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 00:10:03.56 ID:qmEGUPh0o

紬「・・・〜」

唯「・・・ふぁ」

律「なんだ・・・眠いのかむぎ?」

紬「・・・」コクリ

澪(飛行機に乗って疲れたのかな・・・)

律「ソファで寝るか?」

唯「お言葉に甘えて」

スタスタ

唯「よいしょっとー」ボフッ

律「掛けるものいるか?」

紬「・・・」コクリ

唯「どうしたの、今日はお母さんみたいで変だよ」

律「変だよって余計だろ」

澪「・・・」

律「じゃ取ってくる。澪・・・行くぞ」

澪「え・・・?」

律「いいから、行くぞー」

澪「う、うん・・・」

スタスタ

ガチャ

バタン

唯「むぎちゃん、そこでいいのー?」

紬「・・・」プップー

唯「そっか・・・」

紬「・・・」プー

唯「『メジャーのA』・・・あずにゃん?」

紬「・・・」プップー

唯「来ないね、どうしたのかな〜」

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171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 00:12:56.54 ID:qmEGUPh0o

純「・・・行かないの?」

梓「・・・行く・・・けど」

憂「・・・」

純「なんでさ」

梓「・・・ちょっと、怖い」

憂「紬さんが?」

梓「むぎ先輩に迷惑かけるのが・・・」

純「なんだそりゃ」

憂「・・・」

梓「・・・」

純「ウジウジしてんなって、行ってこーい!」バシッ

梓「あいたっ」

憂「それじゃ、明日ね」

梓「・・・来ないの?」

純「部室に出入り出来ないでしょ、部外者だよ私ら」

憂「うん」

梓「・・・じゃ、あした」

トボトボ

純「・・・」

憂「純ちゃん・・・?」

純「うん?」

憂「・・・いつもと雰囲気が違うから」

純「あー・・・うん」

憂「なにかあったの?」

純「昨日さー、唯先輩と律先輩に会ったんだよね、河川敷で」

憂「?」

・・・・・・

・・・

律『なにしてんだよ、相馬さん』

『それ私じゃないです!』

唯『あはは』

律『一人で川なんか眺めちゃって・・・』

唯『青春ですな』

『・・・』
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172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 00:15:47.46 ID:qmEGUPh0o

律『なにがあったんだ、言ってみなさい』

唯『りっちゃん父さんだ』

『・・・』

律『・・・恋か』

唯『あらまぁ』

『はい・・・』

律唯『『 えっ!? 』』

『昨日・・・駅前で見かけたんです・・・』

律『お、おう・・・』

唯『う、うろたえてはダメですのよ、りっちゃん父さん』

『・・・はぁ、胸が苦しいんですよ』

律『か、母さん今日は鯛だ、めで鯛つってな』

唯『いいえ、恋だけに鯉よ』

『・・・』プクク

律『よ、よし。キューピットになってやろうではないか』ドン

唯『まぁ、素敵』キラキラ

『・・・あ、ごめんなさい』

律唯『『 え? 』』

『冗談・・・です』

律『なぬぃー!』

唯『ちぇー』

『あっはっは』

律『こんのやろー』ワシャワシャ

『あ、ご、ごめんなさいー!』

唯『あはは、こんにゃろー』ワシャワシャ

『唯先輩まで!?』

律『ったく』

唯『・・・』

『・・・えへへ』

律『で?』

唯『どうしたの?』

『?』

律『誤魔化しきれたと思ったか?』

唯『りっちゃん父さんは鋭いのです』

『あ・・・』
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173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 00:17:16.27 ID:qmEGUPh0o

唯『言いなさい!』

律『問い詰めるな』

『・・・いいなぁ』

律唯『『 ? 』』

『・・・梓の事で』

律『・・・』

唯『・・・』

『最近の梓みてると、なんていうか、モヤモヤしてしまって』

律『・・・』

唯『・・・』

『梓の気持ちは分かるんですけど、よく分からなくて、それでモヤモヤと』

律『そっか・・・』

唯『・・・うん』

『・・・』

律『やっぱり行くか、唯!』

唯『そだね!』

『え?』

律『梓のところに行こうかと迷っていた所だ』

唯『ちょっと気がかりだから、話したいな〜って』

『そうですか・・・』

律『大丈夫だ、いつものようになれるって』

唯『純ちゃんも行こうよ』

『いいです・・・ここでもう少しボンヤリしてます』

律『そっか、じゃあな』

唯『明日部室に来てね。むぎちゃんとティータイムしよう!』

・・・

・・・・・・

純「モヤモヤじゃないや・・・」

憂「え?」

純「ムカムカしてたんだ・・・」

憂「純ちゃん・・・」

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174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 00:24:14.14 ID:qmEGUPh0o


律「むぎが笑うと顔を逸らしてるよな」

澪「・・・」

律「なんでだ?」

澪「・・・なんでもないって」

律「・・・」

澪「なん・・・でも・・・ない・・・よ・・・」

律「あるって言ってるようなもんだろ」

澪「・・・ない・・・よ・・・」

律「・・・」

澪「・・・ない・・・」

律「私は、聞きたいんだ」

澪「・・・っ!」

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175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 00:29:10.45 ID:qmEGUPh0o

うぅ・・・

こんなに意気地が無いとは思っていなかった

部室に行けば会えるのに

会いたかったのに

あれは・・・澪先輩と律先輩・・・

い、一緒に


律「マジかよ・・・」

澪「・・・うん」

律「・・・」

澪「辛いんだ・・・」


―――どういう意味ですか


律「自分の声と引き換えに、この時間を選んだのか」

澪「うん・・・。早期治療にとりかからないと・・・希望は無くなるのに・・・」


―――なんですかそれ


律「・・・」

澪「・・・一緒にいたいという私は自分勝手かな」

律「そんなん誰も責められねえよ」

澪「・・・」

律「・・・」


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176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 00:32:06.84 ID:qmEGUPh0o

梓「はぁ・・・はぁっ・・・」

ダダダッ

二人が話していたこと

治るかもしれないという事

それなのにここにいるということ

そのせいで声が出なくなるという事

胸が痛むけど

嬉しい

会いたい

いつもの階段が鬱陶しくさえ感じる

梓「・・・っはぁ・・・はぁ」

ガチャ

梓「こんにちは」

紬「!」ビクッ

梓「むぎ・・・せん・・・」

紬「・・・」ゴシゴシ

梓「・・・」

紬「・・・」ニコ



今、涙を拭きましたよね

泣いていたんですか

どうして

なにがあったんですか

どうしたんですか

教えてください

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177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:06:23.49 ID:qmEGUPh0o

紬「・・・?」

梓「む、むぎ先輩・・・今・・・」

紬「・・・」

テッテッテ

紬「・・・」ニコニコ


どうして笑顔でいるんですか



泣いていたんじゃないんですか

なにがあったんですか



紬「・・・」

ギュ

グイグイ

梓「あ・・・」

唯「ん〜」ムニャムニャ



唯先輩寝ていたんだ

そうか、今のは

あくびで出た涙だ

びっくりした

なんだ

そうか

でも

どうして

胸の動悸が激しいの

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178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:07:50.88 ID:qmEGUPh0o


紬「・・・」プップップー

梓「あ・・・」

唯「・・・あ、あずにゃん・・・おはよ〜」ボケー

紬「・・・」プップップ

唯「そだね、夕方だね〜」ボケー

梓「っ!」



聞こえなかった

むぎ先輩の声が

聴こえなかった



紬「・・・」プー

梓「・・・」

唯「・・・あずにゃん?」

梓「・・・え・・・?」

紬「?」

唯「むぎちゃんが呼んでるよ?」



呼んでるって

どうして分かるんですか



唯「『メジャーのA』だよ今の」

紬「・・・」プー

梓「!」



聞き取れなかった

聴こえない

なんで動悸が治まらないのっ!



紬「・・・」プップププー

唯「また、むぎちゃん〜」

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179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:09:41.99 ID:qmEGUPh0o

唯先輩には分かるんだ

私は分からない

何を伝えようとしてるのか

何を言っているのか

分からない



さっき

何を思った

むぎ先輩の声が治るかもしれないけど

ここを選んだ事に

この時間と引き換えに治らないのに

どう思った


―――嬉しい

ズキィッ


激しい動悸は治まった

変わりに胸が重くて痛い



ガチャ

律「なんだ、梓来てたのか」

澪「・・・」

唯「あれ、掛けるものは?」

律「あ、忘れた」

紬「・・・」

梓「・・・」

澪「・・・どう・・・した?」

唯「あずにゃんが・・・」


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180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:10:55.66 ID:qmEGUPh0o

紬「・・・」ギュ


あ、また掌に書いてくれるんですね

音を声にじゃなく

文字ヲ声ニ

ワタシハ聴キトレナカッタカラ


梓「っ!」バッ

紬「!」

唯「あずにゃん!?」

律「梓!?」

澪「あ、梓・・・」

梓「ぁ・・・!」


―――イマ

何をしたの、私

むぎ先輩の手を振り払ってしまった

違うんです

今のは

チガウんです

違うチガウ違うチガウチガウ!

違ウッ!!!


紬「・・・」

梓「っ・・・」


そんな顔

しないでください!

悪いのは私ですから!!

むぎ先輩が悪いわけじゃないんです!

声を聞き取れない私が!!


ワタシガワルイ


ナニヲヤッテイルノワタシハ

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181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:11:22.34 ID:qmEGUPh0o

梓「っ!」

ダダダッ

律「待て梓ッ!」

バンッ

律「ちっ!」

タッタッタ

バンッ

紬「・・・」

澪「・・・」

唯「・・・」

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182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:12:21.99 ID:qmEGUPh0o

律「待てって!」

ガシッ

梓「っ!」バッ

律「・・・」

梓「私・・・喜んだんですよ・・・!」

律「え・・・?」

梓「むぎ先輩が自分の声より、この場所を選んだ事に・・・!」

律「聞いていたのか」

梓「・・・一緒にいられるって・・・喜んでしまったんですよっ!」

律「・・・」

梓「そ・・・っ・・・それ・・・っ・・・なのにっ・・・!」

律「・・・」

梓「声が・・・っ・・・聞こえな・・・っ・・・くて・・・」

律「・・・」

梓「・・・っ」

ダダダダッ

律「・・・私もだよ、梓」

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183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:13:55.63 ID:qmEGUPh0o


律「憂ちゃんと純は?」

「え・・・、あ、憂は帰りましたよ」

「純はジャズ研に・・・」

律「そっか・・・ありがと」


・・・・・・


律「部長さーん」

部長「田井中さん?」

律「純を貸してくれませんか?」

部長「ちょっとまってね、鈴木さーん」

純「はい・・・律先輩?」

律「ちょっと来て」

部長「今日は終わりにするから自由にしていいよ」

純「は、はい。お疲れ様でした」


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184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:15:08.82 ID:qmEGUPh0o

純「どうしたんですか?」

律「むぎと梓がトラブった」

純「え・・・」

律「というより、梓が暴走してるって感じか」

純「・・・」

律「頼めるか?」

純「先輩方の出番じゃないですか」

律「・・・いや、まぁ・・・そうなんだけどな」

純「・・・」

律「頼む」

純「私も暴走するかもしれませんよ」

律「丁度いいじゃん」

純「・・・そうですね」スッ

ピッピッピ

trrrrrr

律「いい判断だ」

純「どうして分かるんですか」

『もしもし、純ちゃん?』

純「憂、今どこ?」

『いつものところ』

純「梓いる?」

『・・・』

純「今行くから」

『分かった』

ピッ

律「どうして分かるんだよ」

純「私らにも絆があったって事です」

律「そっか・・・。よろしくな」

純「はい」

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185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:16:08.33 ID:qmEGUPh0o


梓「ごめん・・・」

憂「どうして謝るの?」

梓「・・・」

憂(今の、私に対しての言葉じゃないよね・・・)

梓「・・・」

スッ

憂「あ・・・」

純「立て、梓」

梓「・・・どうして?」

純「座って話したくないから」

梓「・・・なに?」

憂「ちょ、ちょっと二人とも」

純「いつまでそうしてるつもり?」

梓「いきなり・・・意味が分からない」

純「いつまでふらふらしてんのって意味だよ」

梓「・・・余計分からない」

憂「・・・」

純「今の自分がどう映っているのか分かってる?」

梓「遠まわしに言わないでいいよ」

純「先輩方にこれ以上心配かけるな」

梓「知った風な口を・・・聞かないで」

純「知ってるよ!
  律先輩が気にかけている事!
  唯先輩が引っ張っている事!
  澪先輩が支えている事! 
  紬先輩が梓を見守っている事!」

梓「!」

純「大切な人が辛い状況にあるのは分かるけどっ」

梓「・・・分かってないよ」

純「なに!?」

憂「・・・」

梓「むぎ先輩がどう思っているのか分かってないでしょ!」

純「・・・」

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186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:18:51.50 ID:qmEGUPh0o

憂「・・・」

梓「どうしてズレたんだろう」

純「なにそれ」

梓「おかしいよ、こんな世界」

憂「おかしくないよ」

梓「おかしいよ、むぎ先輩が」

純「それ以上言うと引っ叩くから」

梓「!」

憂「・・・」

純「もしかして、この世界の他にも違う世界が存在するとか思ってる?」

梓「・・・」

純「違う世界の紬先輩は声を出すことが出来て、今は部室でティータイムしてるはずだと」

梓「・・・っ!」

純「梓・・・紬先輩を見ていないよね」

梓「・・・っ」

純「おかしいと思った。夏の旅であんなに紬先輩に懐いていた梓が、いまはそっぽ向いてるんだもんな」

梓「向いてない!」

純「じゃあどうして隙が生まれたの?」

梓「それを言わないでッ!」

純「夏の梓なら、そんな自分自身を受け入れていたよ」

梓「っ!」

純「年下の梓があの人に言っていい言葉ではないと、ちゃんと理解できたはずでしょ」

梓「見透かし・・・たよう・・・に言わ・・・ないで」

純「人に使っていい言葉じゃないし、・・・私たち人に使えるほどの人生歩んでないよ」

梓「・・・っ」

純「・・・」

憂「私も純ちゃんと同意見だよ」

梓「・・・」

憂「今までの紬さんを見ているのか、違う世界の紬さんを見ているのか、分からないけど
  今の紬さんをみていないのは事実だよね」

梓「っ!」

憂「なにがあっても、なにが起こっても、紬さんは紬さん・・・だよね」

梓「っ・・・ぅん・・・」

憂「・・・」
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187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:20:52.84 ID:qmEGUPh0o

純「ったく・・・紬先輩だけじゃないでしょ、梓をみてくれているのは」

梓「うん・・・ごめん・・・っ・・・ご・・・めん・・・っ」グスッ

憂「梓ちゃん・・・」

純「なにに謝ってんだか」

梓「むぎ先輩の声・・・治るかもしれないって・・・」グスッ

憂純「「 え・・・ 」」

梓「でも、治すの時間がかかるから・・・『今』は『今』しか・・・ない・・・から・・・っ」

憂「・・・」

梓「今の・・・この・・・場所を選ん・・・でくれ・・・たんだって・・・」グスッ

純「・・・っ」

憂「そうだったんだ・・・」

梓「でも・・・時間が過ぎれば・・・治らなくなる・・・って」グスッ

純「うそっ・・・」

梓「・・・だけど・・・この・・・場所を・・・むぎ先輩は・・・選んでく・・・れたっ」ボロボロ

憂「・・・」

梓「そ・・・れ・・・なのに・・・それなのにっ・・・」ボロボロ

純「・・・」

梓「むぎ先輩の手を・・・振り・・・払って・・・っ・・・しまった・・・」ボロボロ

憂「!」

純「梓・・・」

梓「じ・・・ぶん・・・が・・・許せ・・・な・・・い・・・」ボロボロ

憂「梓ちゃん」ギュウ

梓「!」

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188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:21:21.91 ID:qmEGUPh0o

憂「・・・そうだったんだね、偉そうな事言ってごめんね」

純「ごめん」グスッ

梓「ううん・・・あり・・・がと・・・」

憂「・・・」

梓「・・・二人の言うとおり、私・・・むぎ先輩を見ていなかった」

純「・・・」

梓「見ていないから、違うむぎ先輩を見ていたから・・・隙が生まれたんだと思う
  そして、そんな自分を見て見ぬフリしてきたんだと・・・思う」グスッ

憂「・・・」

梓「そのせいで・・・みんなに・・・むぎ先輩に・・・」グスッ

純「・・・私はいいけどさ」

憂「うん・・・」

梓「・・・」

純「顔洗ってくる・・・」トボトボ

梓「どこ・・・で?」

純「そこに水が流れているでしょ」

梓「そうだね」トボトボ

憂「水・・・」

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189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:21:48.06 ID:qmEGUPh0o

純「落ち着いた?」

梓「・・・うん」

憂「・・・」

純「・・・憂はどうしてここに?」

憂「私も考え事をしていたんだよ」

純「そっか・・・」

憂「そしたら梓ちゃんが来て」

梓「・・・」

純「・・・」

憂「しばらくボンヤリしていようか」

梓「・・・うん」

純「・・・」

憂「・・・」

梓「・・・」ボー

純「憂・・・」ヒソヒソ

憂「?」

純「どうしてさっき梓を抱きしめた?」ヒソヒソ

憂「・・・えぇと」テレテレ

純「びっくりしたんだけど」ヒソヒソ

梓「・・・」ボー

憂「梓ちゃんと紬さんの間にあるものが愛おしくて」ポッ

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190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:23:16.84 ID:qmEGUPh0o

梓「ちゃんと謝りたい」

純「学校戻る?」

梓「・・・うん」

憂「今日も暑かったね〜」ニコニコ

純梓「「 はい? 」」

プー

梓「『メジャーのA』?」

紬「・・・」プー

梓「むぎ先輩!?」

純「おぉ!・・・おぉ?」

憂「来たね」

律「待たせたな!」ドン

澪「・・・」

唯「来たぞ〜!」

さわ子「ありがたく思いなさいよね〜」

和「私は見物」

梓「・・・?」

純「なんでジャージ?」

憂「お姉ちゃん、私たちの分は?」

唯「あるよ〜」

律「ほら、早く着ろよ」

純「なぜ・・・?」

梓「むぎ先輩・・・さっきは」

紬「・・・」

ギュ

梓「あ・・・」

紬「・・・」スラスラ

梓「・・・謝るのは私の方ですよ・・・。すいませんでした」

紬「・・・」フルフル

梓「・・・」

紬「・・・」スラスラ

梓「っ!」バッ

紬「!」
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191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:24:34.28 ID:qmEGUPh0o

梓「もういいです。私が悪いんですから」

紬「・・・」フルフル

ギュ

梓「・・・」

紬「・・・」スラスラ

梓「っ!」バッ

紬「!」

和「なにやってるのあれは?」

澪「謝りたいむぎと、謝らせたくない梓だな」

律「なんでジャージ着ないんだよ和は」

さわ子「水着でもいいのよ?」キラキラ

唯「そっちがいいよ」

純「水着でも、って?」

律「お、着たか・・・そんじゃ行くかー!」

唯「よっしゃー!」

テッテッテ

ジャブジャブ

律唯「「 冷たーい! 」」

憂「ふふっ」

純「えぇー・・・」

澪「や、やっぱり私はいいや」

さわ子「せっかく着替えたのに〜」

梓「着替えたの間違いだったかな・・・」

紬「・・・」ギュ

梓「ちょっ!」

グイグイ

紬「・・・」ニコニコ

梓「ちょっ、ま、待ってください!」

純「諦めるか、いくぞー」

憂「行こう〜!」

紬「・・・」キリ

梓「・・・そんな意気込まなくても」

澪「しょうがないな」

和「結局行くのね」

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192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:25:31.67 ID:qmEGUPh0o

さわ子「あら、いつの間に着替えたの?」

和「ちょっと行ってきます」

テッテッテ

さわ子「意外とノリいいのね」

梓「いやいやいや、まってください」

紬「・・・」ギュ

梓「さすがに・・・」

紬「・・・」ブンブン

梓「ちょっ、った、うわっ」

唯「振り回されております」

律「すごい遠心力です。むぎしかできないでしょう」

澪「あ、ちょっと浮いた」

和「放り投げるのね、意外と攻撃的ね」

紬「・・・」フラフラ

梓「目を回してるっ!」

律「いい感じにこっちくるな」

フラフラ

ジャブジャブ

紬梓「「 ! 」」

ザブーン

梓「にゃー!」ブルブルッ

紬「・・・」ブルブルッ

梓「もー、むぎ先輩・・・」

紬「・・・」ニコ

梓「ふふっ」

紬「・・・」ニコニコ

梓「あはははっ」

律「ちぇー、やっぱむぎかよ」

唯「私たちでは役不足ですな」

梓「あっ!みてください!」

紬「?」

律「あっ!」

唯「おぉ」

澪「た、高いよ」

純「そ、そんな事ないですよ」
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193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:26:02.12 ID:qmEGUPh0o

澪「・・・逝くぞ純!」

純「不吉な言葉使いませんでした?」

ピョン

澪「・・・!」

純「おぉー」

ザッブーン

律「飛んだ!」

唯「すっごい!」

紬「・・・」キラキラ

梓「ダメですよ、マネしちゃ」

和「意外と温かいのね・・・」

憂「そうだね、日中で温まったのかな」

律「浸かってんじゃねえ!」

唯「温泉だよ!」

澪「ふぅ〜楽しかった」

純「楽しかったですよ」

律「唯、行くか!」

唯「だね、りっちゃん隊員!」

さわ子「もうダメよ、お巡りさんよばれたら私の立場がないじゃない」

律「なにー!」

唯「そんな!」

澪「残念だな」キラキラ

純「残念ですね〜」キラキラ

和「ここ掘ったら沸かないかしら」

憂「人の目があるから無理じゃないかな」

梓「・・・変なの」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・ありがとうです、むぎ先輩」

紬「?」

梓「ちゃんと御返しするです」

紬「・・・?」

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194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:26:43.40 ID:qmEGUPh0o


姫子「・・・」

轍(川を覗いているのかなこの子・・・?)

姫子「・・・」

轍(あ・・・)


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195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:28:02.90 ID:qmEGUPh0o

和「・・・」スィー

唯「背泳ぎ!」

紬「・・・」スィスィ

澪「この泳ぎ方はなんだ?」

梓「忍者みたいですね」

律「どこで習ったんだよ」

純「・・・」スィスィ

憂「・・・うん」

純「空しくなってきた・・・」

憂「犬掻きだよね・・・」

純「・・・うん」

律「ここって結構いい深さだよな」

紬「・・・」コクコク

澪「水もキレイだ」

唯「プールと違って流れてるからいいよね」

梓「子供たちが水遊びしてるのよくみかけましたよ」

純「え・・・」

澪「・・・」

律「・・・」

憂「・・・」

和「現実に戻されたわね」

律「なにやってんだ私ら」

澪「い、いうな・・・」

純「で、出ましょうか」

憂「そ、そうだね」

律「目が覚めて・・・わっ」

ザッブーン

純「転ばないでくださいよ・・・うわっ」

ザッブーン

澪「どうしたんだ?」

和「水中になにかいるわね」

澪「え!?」

憂「・・・」
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196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:29:19.48 ID:qmEGUPh0o

律「ちくしょー、誰だよ足引っ張ったのはー」

純「わ、私も引っ張られました」

澪「こ、怖い事・・・ぅっ」

ザッブーン

律「・・・そこだっ!」バシャ

唯「ごぼごぼ」

律「一匹確保」

唯「ごぼごぼっ」

律「なんだって?」

唯「ごぼごぼごぼっ」

律「聞こえませーん・・・ぉわっ」

ザッブーン

唯「げほっ・・・た、助かったよ和ちゃん」

和「狩るほうに回った方がお得よね」

澪「唯か!」

唯「違うよ、澪ちゃんを転ばせたのはむぎちゃんだもん」

澪「むぎー!」

和「あっちで梓と無邪気に水をかけあってるわ」

純「憂も・・・いつの間に」

澪「よし・・・リベンジ・・・つっ」

ザッブーン

律「へっへー、一度は狩らないと・・・うっ」

ザッブーン

和「・・・二度も狩られたわね・・・甘いわよ律」

ヒョイ

和「唯もね」

ザバァ

唯「ちぇー・・・。むぎちゃんとこ行こう」

和「そうね」

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197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:30:36.87 ID:qmEGUPh0o

姫子「和まで・・・」

轍「知り合い?」

姫子「・・・?」

轍「あ・・・しまった」

・・・・・・

真鶴『にぃにぃ、誰にでも声をかけるから』

暦『・・・』ジト

・・・・・・

轍「・・・」

姫子「誰・・・ですか?」

轍「えー・・・と」

さわ子「うちの生徒になにか?」

姫子「あ・・・」

轍「生徒?」

さわ子「えぇ、この子の担任ですが・・・」

轍「・・・」

姫子「・・・」

さわ子「場合によっちゃ警察に突き出しますけど」

轍「う・・・」

姫子「まって、聞かれただけですから」

さわ子「?」

轍「・・・」ホッ

姫子「私はあの子たちの同級生です」

轍「そっか・・・」

さわ子「それで?」

姫子「・・・」

轍「ちょっと、夏の旅の話を聞きたいと思いまして、探していたんです」

さわ子「旅・・・?」

姫子「唯たちが行った旅行・・・?」

轍「明暗をハッキリ分けた子がいて、少し興味を持ちました」

さわ子「あなたは?」

轍「俺は相馬轍、旅を題材にした記事を書いています」
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198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:31:22.45 ID:qmEGUPh0o

さわ子「・・・」

轍「あの子たちが旅を通してみてきた景色、
  そして、住み慣れたこの土地の景色がどう変化したのか
  それを記事のヒントになればいいな、と」

さわ子「そうでしたか」

姫子「・・・」

轍「君もごめんね、いきなり声かけちゃって」

姫子「いえ・・・」

轍「この土地の者じゃないから、気軽に声をかけてしまって・・・悪い癖だ」

さわ子「・・・」

轍「名刺を渡しておきます。このまま去ったらただの不審者ですから」

さわ子「もう疑っていませんよ」

轍「・・・?」

さわ子「でも、今日は遠慮した方がよさそうですね」

轍「そうですね・・・それでは」

スタスタ

姫子「・・・」

さわ子「なんだか幽霊みたいな人ね」

姫子「どういう意味ですか?」

さわ子「実態がつかめないというか、曖昧というか・・・ね」

姫子「あぁ・・・なんとなく分かります」

さわ子(土地の者じゃないから・・・そんな空気を纏っているのかしら)

姫子「そ、それでは・・・さわ子先生」

さわ子「待ちなさい」

姫子「う・・・」

さわ子「ここでなにをしていたのかしら」

姫子「・・・通りがかっただけですよ」

さわ子「『あの子ら』を眺めていたのに?」

姫子「通りがかったら川で遊んでいる律たちをみつけて・・・なにをしているのか見ていただけです」

さわ子「長い間?」

姫子「・・・」

さわ子「いらっしゃい」

姫子「・・・」

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199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:33:13.38 ID:qmEGUPh0o

姫子「嘘を言っているかもしれませんよ?」

さわ子「大丈夫よ、少なくとも面識はあるみたいだから」

姫子「近づくための工作だとしたら」

さわ子「旅の話までしたんだから、ある程度信用しているのよ」

姫子「・・・」

さわ子「実態が掴めないイコール胡散臭いではないのよ」

姫子「・・・そうですか」

さわ子「それで、姫子ちゃんはどうして眺めていたのよ?」

姫子「ひ、姫子ちゃん・・・って」

さわ子「うふふ」

姫子「・・・けいおん部の唯、澪、律が鍵盤を勉強するのは分かります」

さわ子「・・・」

姫子「和まで・・・ってのが、ちょっと意外というか」

さわ子「そうね〜」

姫子「・・・」

さわ子「姫子ちゃんと一緒じゃないの?」

姫子「え?」

さわ子「どうして勉強してるのよ」

姫子「あ・・・」

さわ子「みんな同じ理由よ、それだけなのよ」

姫子「そうですね・・・」

さわ子「ジャージあるわよ!?」

姫子「いいです」キッパリ

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200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:34:39.24 ID:qmEGUPh0o

唯律「「 そーれっ 」」

バシャッ

紬「・・・」キラキラ

澪「・・・」

律「まったく、澪はリアクション間違えてるな」

唯「まったくだね」

澪「お手本を頼む」

律「うむ、どんと来いです」

紬「・・・」バシャッ

律「きゃー、つめたーい」キャピ

唯梓「「 ブフッ 」」

律「中野・・・」

ギュ

梓「な、なんですか」

律「振り回して放り込んでやる」

梓「や、やめてくだ」

律「・・・っ」

グルグル ジャブジャブ

梓「・・・なんですか?」

律「重ぇ・・・」

梓「水に浸かっているからですよ!」

純「手を繋いでグルグル周っているだけですよ」

澪「素敵な光景だな。背景にお花畑が広がっていたぞ」

唯「和ちゃん!」バシャ

和「・・・っ」

ザッブーン

憂「え・・・?」

紬「・・・?」

唯「の、和ちゃん?」

律「どうして尻餅ついたんだ」

和「避けようとして足を掴まれたわ」

澪「またかっ!」

純「また、誰か水中に・・・え?」

唯「・・・ん?」
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201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:36:25.31 ID:qmEGUPh0o

梓(みんないるような・・・)キョロキョロ

和「・・・」サァー

憂「日が沈むし、充分楽しみましたよね」

律「そ、そうだなー!」

紬「・・・」コクコクコクコク

純「つむぎせんぱーい、たのしかったですねー」

澪「なんだ・・・?」

唯「どうしたのみんな・・・」

梓「み、澪先輩・・・早く行きましょう」

ギュ

グイグイ

澪「・・・どうした?」

梓「聞かないでください」

唯「もうちょっと遊ぼうよ〜」

和「早くこっちに来て唯」

唯「ん〜?」

和「川から上がって。風邪ひくわよ」

唯「このあと銭湯に行くから平気だよ」

和「・・・いいから、来てちょうだい」

唯「そ〜れっ」バシャ

和「・・・」

唯「リアクションが薄いよ和ちゃん」

和「あのね」

唯「お・・・その手には引っかかりませんよ!」

ヒョイ

唯「ふっふっふ、甘いよむぎちゃん・・・あれ?」
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202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:37:00.49 ID:qmEGUPh0o

紬「・・・!」ジャブジャブ

ギュ

唯「あれ、むぎちゃんじゃないの?」

紬「・・・」ヒヤヒヤ

グイグイ

唯「そんなに引っ張ったら転ぶよ〜」

紬「・・・」アセアセ

唯「どうして急いでるの?」

紬「・・・」フゥ

唯「・・・あれ?」

紬「・・・」

澪「?」

梓「・・・」

純「たのしかったたのしかったー」

律「今日が暑い日でよかったぜ」タラタラ

憂「・・・」

和「・・・」

さわ子「・・・どうしたの、みんな顔が蒼白なんだけど?」

姫子「なにかあったの?」

唯「・・・どうして・・・ここにいるの?」

和「やっと気づいたのね」

唯「姫子ちゃん?」

律純「「 そっちかいっ(ですか)!! 」」」

澪「なんの話?」

紬「・・・」フルフル

梓「澪先輩自身の為にも聞かないほうがいいです」

澪「え・・・、そう言われると聞きたくなるじゃないか」ウキウキ

律「正に、自ら墓穴を掘るだな」

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203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:37:52.15 ID:qmEGUPh0o

カポーン

紬「・・・」マッタリ

梓「いい湯ですね」

澪「ちゃんと温まらないとな」

唯「さわちゃんは?」

律「買い物だ」

和「そのおかげで川で遊べたのよね」

憂「てっきりうちに寄るのかと思っていました」

純「集団であんな格好で歩けないでしょ」

梓「そうだね」

律「むぎ〜」

紬「・・・?」

律「風呂から上がったら、アレやろうぜ」キラン

紬「・・・」キラキラ

澪「アレな!」

姫子「アレって?」

梓「風呂上りにコーヒー牛乳を飲むんです」

姫子「あぁ、なるほど・・・、ってなんで私まで銭湯に来てるの?」

唯「ま〜よいではないか〜」

律「ってか、湯船に浸かってからそれを言うのかよ」

姫子「・・・」

律唯「「 ほ〜げ〜 」」

紬「・・・」ボケー

和「デジャヴね」

澪「いや、現実にもあったことだから、デジャヴではないぞ」

姫子「?」

梓「夏の旅で・・・みんなで温泉に入ったそうです」

姫子「へぇ」

梓「中野梓です」

姫子「私は立花姫子。よろしく」

梓「よろしくです」

純「鈴木純です」

憂「平沢憂です」

姫子「よ、よろしく」

純憂「「 よろしくお願します 」」
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204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:38:34.37 ID:qmEGUPh0o

律「なぜ自己紹介しあってるんだキミ達は」

唯「あの時飲んだのはフルーツ牛乳だよあずにゃん」

ガラガラッ

さわ子「コラァー!」

澪「ヒィッ」

律「銭湯で叫ぶなよ〜」

唯「そうだよ〜。他にお客さんがいないからって」

さわ子「待ってなさいって言ったでしょ!」

梓「待っていたら風邪ひきますよ」

さわ子「置いてけぼりくらったみたいで寂しいじゃない!」

和「そんな事ないですよ」

紬「・・・」コクコク

純「寂しいって・・・」

さわ子「まったく・・・私がいなかったら川で遊ぶ事できなかったんだから」ブツブツ

姫子「・・・」

憂「・・・?」

律「びっくりしてんだよ、姫子は」

憂「そうですね、確かに校舎とは違いますよね」

澪「そうだな」

唯「さわちゃんじゃないよね」

さわ子「私を否定しないでくれる!?」

和「そろそろ出ましょうか」

純「置いてけぼりだ!」

紬「・・・」キラキラ

梓「私もやってなかったので嬉しいです!」

澪「・・・」

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205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:40:04.57 ID:qmEGUPh0o

澪「梓は見つけたのか?」

梓「・・・」

澪「・・・」

梓「・・・なにを・・・ですか?」

澪「その・・・『最高の場所』ってやつを・・・」

梓「どうしてそれを・・・?」

澪「唯に聞いたんだ。むぎがその場所を知っているから、笑顔でいられるんだって」

梓「そうですか」

澪「・・・」

梓「いいえ」

澪「・・・そっか」

チョンチョン

梓「?」

紬「・・・」ズイッ

梓「あ、ありがとうございます」

律「よーし、みんなちゃんと持ったな!」

純「いえす!」

憂「はい!」

唯「おー」

さわ子「・・・むぎ茶がいいんだけどね。アルコー」

和「私たちの前でそのむぎ茶を飲まないでください」

姫子「・・・」

澪「姫子」ヒソヒソ

姫子「?」

澪「律の合図で飲まないでね」ヒソヒソ

姫子「・・・う、うん?」

梓「・・・あぁ・・・なるほど」

紬「・・・」

律「腰に手を当てて、いっただっきまーす!」

「「 イタダキマース 」」
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206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:40:57.82 ID:qmEGUPh0o

律「・・・」ゴクゴク

紬「・・・」

憂「・・・」

唯「・・・」

さわ子「・・・」

姫子「・・・」

梓「・・・」

純「・・・」

和「・・・」

律「?」ゴクゴク

澪「疾走するザーサイ」

律「・・・・・・ブフーッ」

さわ子「それじゃみんな」

「「 いっただっきまーす! 」」

律「・・・想像してしまった・・・・・・ひっでえ」ポタポタ

紬「・・・」ゴクゴク

憂「・・・」ゴクゴク

唯「・・・」ゴクゴク

さわ子「・・・」ゴクゴク

姫子「・・・」ゴクゴク

梓「・・・」ゴクゴク

純「・・・」ゴクゴク

和「・・・」ゴクゴク

澪(律が被せて何か言うだろうな・・・)

律「背面とびするザーサイ」

純「グフッ」

澪「・・・」ゴクゴク
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207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:41:44.35 ID:qmEGUPh0o

紬「・・・」プハー

憂「おいしい」プハー

唯「やっぱりうまい!」プハー

さわ子「牛乳でもいけるわね〜」プハー

姫子「おいしい・・・」プハー

梓「おいしいです」プハー

和「いいわね、この気分」プハー

純「けほっ、けほっ!」

律「純だけかよー」

梓「来ると分かっていたら防御力は上がるんです」

和「そういうことね」

澪「おいしいな!」プハー

律「ちぇー」

憂「大丈夫?」

純「器官に・・・けほっ、けほっ」

紬「・・・」サスリサスリ

純「あ、ありがとうございます・・・けほっ」

唯「りっちゃん、背面とびはないよ」

律「むむむむ・・・結構屈辱だな・・・って、まともに飲んだ事ないぞー!」

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208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:43:54.33 ID:qmEGUPh0o

さわ子「むぎちゃんは私が送るとして、あと三人乗れるわよ」

唯「はいっ!」ズバッ

さわ子「じゃあ、姫子ちゃんと純ちゃんと・・・」

紬「・・・」ペコリ

姫子「わ、私も・・・?」

純「おぉ、ラッキーだ」

唯「ハブられちゃった」ションボリ

和「憂と私が残っちゃうじゃない」

憂「そうだね」

唯「そっか」

律「面白い組み合わせだな」

さわ子「あと一人乗れるわよ〜」

梓「はいっ!」ズバッ

さわ子「じゃ、澪ちゃん」

梓「なんでですか!」

澪「?」

律「まてまて、澪と同じ方向に帰る私を一人にするなよな」

唯「寂しいんだね、分かるよ」

律「分かられるのなんか嫌だな」

さわ子「しょうがないわね、後ろ4人乗れるかしら」

紬「・・・」コクリ

澪「なにを言って・・・」

純「乗りましょう!」

姫子「私が降りる・・・っ」

唯「いいからいいから〜」

グイグイ

姫子「押さないで唯!」

紬「・・・」ガチャ

唯「よいしょー」

姫子「ちょっと、降りるって!」

さわ子「人の車で暴れないでよねー」

姫子「う・・・」

澪「・・・」スッ
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209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:44:22.48 ID:qmEGUPh0o

律「失礼しまーす」

純「狭いっ!」

紬「・・・」グイグイ

律「いや、むぎは前だろ・・・なんで後ろに入ろうとするんだよ」

紬「・・・」

姫子「後ろ五人って・・・」

さわ子「日が暮れたんだから気をつけなさいよ〜」

梓「・・・」ムス

唯「はいよ〜」

憂「それでは、また明日」

和「じゃあね」

紬「・・・」フリフリ

梓「また明日です」

紬「・・・」ニコニコ

律「じゃーな」

紬「・・・」フリフリ

ブォォオオオオ

和「帰りましょ」

憂「夕飯の準備してないけど・・・」

唯「お母さんいるから大丈夫だよ」

梓「・・・」

唯「あずにゃん行くよ〜」

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210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:46:21.29 ID:qmEGUPh0o

さわ子「誰から送る?」

澪「見切り発車・・・」

紬「・・・」ウキウキ

純「澪先輩、狭くないですか?」ワクワク

澪「う、うん・・・」

律「こっちにも気を使え!」

純「・・・」

姫子「・・・はぁ」

さわ子「あら、疲れたの?」

姫子「・・・バタバタしていたから」

澪「まったく」

律「私をみるな」

純「楽しいですね、ドライブするみたいで」ウキウキ

澪「滅多にないからな」

律「そういやそうだな」

紬「・・・」コクコク

姫子「・・・」

さわ子「あなたたちも免許とったら?」

律「いいなそれ!」

澪「みんなと車で出かけるのもいいな」

純「そ、その時は私たちも!」

律「ごめん、定員オーバーだ」

純「もうちょっと、なんかこう・・・切捨てはやいですよー」

姫子「バイクもいいかな」

紬「・・・」

律「むぎが驚いてるぞ」

姫子「楽しそうじゃない?」

紬「・・・」

澪「姫子は似合いそうだよね」

さわ子「そうね〜」

姫子「・・・考えてみようかな」

純「う、後ろには誰を乗せるんですか・・・」ゴクリ
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211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:47:35.74 ID:qmEGUPh0o

律「なんで意気込んで質問してるんだよ」

純「き、気になるじゃないですか」

姫子「乗せなきゃいけないのかな・・・」

澪「誰かとツーリングしてはどうかな?」

姫子「いいね・・・でも、私らのクラスでいないよね」

紬「・・・」ガサガサ

さわ子「?」

紬「・・・」プップップー

澪「は・・・る・・・?」

律「春子?」

紬「・・・」ププー

さわ子「なるほど」

澪「確かに・・・」

純「・・・?」

律「私を男っぽくしたヤツ・・・って誰を基準にしてんだこらぁ!」

さわ子「りっちゃんもバイク似合うんじゃない?」

姫子「そうだね」

澪「・・・」プクク

律「そうだな、風になるのも悪くないな・・・」キリ

紬「・・・」プー

律「『オギューメントのA』・・・私?」

紬「・・・」プッププー

澪「う・・・しろ・・・?」

純「律先輩の後ろに乗るってことですか?」

紬「・・・」ププー

姫子「・・・」

さわ子「やめときなさい」
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212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:48:39.43 ID:qmEGUPh0o

律「とめるなよ!」

紬「・・・」ニコニコ

澪(楽しそうだな・・・むぎ・・・)

pipipipipi

さわ子「あら・・・?」

律「電話が鳴る・・・彼女は車を寄せて止める」

紬「・・・」コクコク

ピッ

さわ子「はい、もしもし・・・」

律「男である」

澪「・・・」

さわ子「・・・はい、分かりました」

純「別れを告げられたのである」

律「終わらせるなよ、もっと幅を広げる事が大事だ」

純「す、すいません」

澪「電話中だぞ」

姫子「・・・」

紬「・・・」

ピッ

さわ子「むぎちゃんから送るわね」

紬「・・・?」

さわ子「斉藤さんから・・・近くの駐車場で待ってるって」

紬「・・・」

姫子「・・・」

律「なーんだ」

澪「なにを期待していたんだよ」

純「もう少しドライブできると思っていました」

紬「・・・」コクリ

さわ子「残念ね」

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213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:49:06.37 ID:qmEGUPh0o


唯「あずにゃん、またあした〜」

梓「わざわざ送ってくれてありがとうございます」

和「気にしないで」

憂「明日ね、梓ちゃん」

梓「うん、また明日」


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214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:50:21.50 ID:qmEGUPh0o

律「明日な、むぎ」

澪「また、明日」

純「おやすみなさい」

姫子「明日ね」

紬「・・・」フリフリ

バタン

斉藤「それでは」ペコリ

さわ子「お気をつけて」

ブオオオオ

澪「・・・」

姫子「・・・」

純「・・・」

律「じゃ、私らの事頼むぜ、さわちゃん!」

さわ子「さ、乗りなさい」

純「失礼しまーす」

ガチャ

律「こら」

純「・・・すいません、勢いって大事かと思って」

律「私も前に座りたいんだよ」

澪「わ、わたしだって」

姫子「・・・」

ガチャ

律「こら」

姫子「後ろに乗ろうと・・・」

律「こういう時はノるのも大事だぞ」

姫子「・・・」

さわ子「早く決めてね」

バタン

純「公平を期するために、ジャンケンでいきましょう」

律「うむ、いいだろう」

澪「よし」

姫子「・・・」

純「ジャーンケン」
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215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:51:07.90 ID:qmEGUPh0o

澪「ポイ!」

グー

チョキ

グー

ピストル

姫子「いるよね、こういう子」

純「うっ・・・」

律「澪と純は後ろ決定だな」

澪「しょうがないな」

律「よし、勝負だ」

姫子「・・・ジャンケン」

律「うりゃ!」

パー

パー

律「ふむ」

姫子「勝ちたくなってきた」

澪「・・・」

純「では二回戦」

律「ジャーンケン」

姫子「ホイ」

チョキ

チョキ

律「しぶといな」

姫子「律がね」

律「ふっ・・・」

姫子「・・・」

律姫子「「 じゃーんけん 」」

ブオオオオオオオ

澪純「「 おいてかれた! 」」

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216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:52:34.98 ID:qmEGUPh0o

律「冗談キツイぜ〜」

さわ子「長いのよ」

純「中々戻ってこないから私たち冷や冷やしたんですよ」

さわ子「どうでもいい事に熱くなるからよ」

律「熱くなったのは姫子だけだ」

姫子「・・・」

律「・・・」

姫子「・・・」

さわ子「無視されたわね、りっちゃん」

律「・・・」シクシク

純「その気持ち、分かります」

澪「姫子?」

姫子「・・・ん?」

さわ子「走行中に外をボンヤリ眺めるなんて・・・」

律「ロマンティックか!」

姫子「・・・」

律「・・・」シクシク

純「今のは・・・」

律「なんだよ!」

澪「どうかしたの?」

姫子「『旅』と『旅行』は違うの?」

さわ子「あら・・・」

律「なんだ、いきなり」

澪「・・・」

姫子「・・・なんでもない」

澪「梓に聞けば・・・的確な答えが聞けるかも」

律「そうだな」

姫子「どうして?」

澪「梓はむぎの傍でたくさんの景色を見てきたんだ」

純「・・・」

姫子「澪たちは?」

律「まぁ、感覚は分かるけど、言葉にはできない」

澪「説明できるほど、知っていないのかな」

純「・・・」
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217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:53:58.49 ID:qmEGUPh0o

律「どうしたんだ?」

姫子「ちょっとね」

さわ子「旅を題材にした記事を書いているって人に会ったのよ」

純「?」

律「あ、ひょっとして・・・ソーマ?」

澪「そうま・・・だろ」

さわ子「そうよ」

姫子「知り合いだったんだ」

純「あぁ、ケータイの人か」

さわ子「あの人って、アバンチュールの人なのね」

律「・・・」

澪「・・・」

純「・・・」

姫子「・・・?」

さわ子「なによ、この間は」

律「アバンチュールって言ってるのさわちゃんだけだぜ?」

澪「・・・うん」

純「・・・そうですね」

姫子「???」

さわ子「最初に言い出したの唯ちゃんだからね、私が時代遅れみたいに言われてるけど」

姫子「そうなんですか・・・あ、ここでいいです」

さわ子「分かったわ」

ガチャ

姫子「ありがとうございました。さわ子先生」

純「さて・・・」ガチャ

さわ子「いいのよ、悪いわねつき合わせちゃって」

姫子「いえ・・・」

律「さり気なく前に移動するんだな、純」

姫子「・・・」ボソッ

純「・・・」

律「じゃーな、姫子」

澪「じゃあね」

純「それでは」

姫子「うん、明日ね」

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218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:55:15.06 ID:qmEGUPh0o

純「聞こえました?」

さわ子「?」

律「なにをだよ」

純「姫子先輩が『楽しかった』・・・って」

澪「・・・」

律「たりめぇよ」

さわ子「なんでべらんめぇ口調になるのよ」

純「・・・うん、楽しかった」

律「そんで、澪を乗せた理由ってなんだよ?」

澪「・・・」

さわ子「梓ちゃんに知られたのかな〜と思って」

澪「はい、聞かれました」

さわ子「そう・・・、意外に早かったわね」

澪「え・・・?」

さわ子「あ・・・」

律「なんだよ、早かったって」

純「?」

澪「『時期が来たら話してあげて』って」

さわ子「・・・りっちゃんには知られるだろうとは思っていたけどね」

律「・・・まぁな」

澪「・・・」

純「あぁ・・・、紬先輩の・・・」

さわ子「もう一つ伝える事があってね」

澪「・・・?」

純「・・・?」

律「なんだよ?」

さわ子「・・・学園祭の日取りよ」

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219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:57:13.50 ID:qmEGUPh0o

純「ありがとうございました」

さわ子「えぇ、それじゃあね」

律「じゃーなー」

澪「明日ね」

純「お休みなさい!」

ブオオオオ

律「そういや、なんで姫子がいたんだ?」

澪「・・・そうだな、自然にいたから気にならなかったけど」

さわ子「むぎちゃんの影響かもね〜」

律「どういう事だよ」

さわ子「和ちゃんが鍵盤を勉強してる事が不思議なんだって」

澪「・・・姫子自身もしていたよな?」

律「う、うん・・・昼に少しだけだけど、母音は覚えたって」

さわ子「・・・あの子、最初橋の上から見ていたのよ。あなたたちをね」

澪「・・・」

律「・・・」

さわ子「あ、そうだったのね・・・・ケータイの人が言っていた事はそういう事だったのよ」

澪「?」

律「なんだ?」

さわ子「相馬さん・・・ね、あなたたちの旅の話を聞きたいと言っていたわ」

澪「・・・」

さわ子「記事のネタになる程のモノかと不思議だったんだけどね」

律「・・・そうだよな」

さわ子「姫子ちゃんを通してみたら、興味を引き立てられるわね」

澪「?」

さわ子「外からの視点であなたたちを見たら、その変化が気になるでしょ」

律「分かりやすく頼む」

さわ子「簡単よ。夏の旅をむぎちゃんと梓ちゃんの二人だけで行ったとするでしょ」

澪「はい」

さわ子「帰ってきた二人を見て、あなた達二人はどんな感想を持つ?」

律「むぎにベッタリの梓・・・か」

澪「なにがあったのか、気になりますね」

さわ子「それが姫子ちゃんの視点って訳ね」

律「あー」
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220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:57:53.53 ID:qmEGUPh0o

澪「なるほど・・・」

さわ子「さっきの姫子ちゃんの質問がそうなんじゃない?」

律「そっか」

澪「相馬さんは、どうしてですか?夏前の私たちを知りませんよね」

さわ子「・・・聞くけど、相馬さんに旅の話をした時の梓ちゃんはどうだった?」

律「あの時間を思い出して、今のむぎと比べてしまったんだろうな」

澪「・・・」

さわ子「・・・そこを察知したのかもね」

澪「・・・」

さわ子「そんな表情をするから、興味を持ったって」

澪「・・・」

律「みお?」

澪「ん?」

律「どうした?」

澪「なんでもない」

さわ子「?」

律「ここでいいぜー、さんきゅー」

澪「あ、ありがとうございます」

さわ子「どういたしまして」

ガチャ

律「さわちゃん」

澪「・・・」

さわ子「なに?」

律「いいクラスに恵まれたな〜」ニヤリ

澪「・・・」

バタン

さわ子「そういう事にしておくわ・・・じゃあね〜」

ブオオオオオオオオ

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221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 01:58:30.90 ID:qmEGUPh0o

―――――夜

最低で最高の一日だった

ごめんなさい

むぎせんぱい

ありがとう

むぎせんぱい



限りある時間を大切にします

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222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 02:02:59.86 ID:qmEGUPh0o
視点があっちこっちで解りづらいかったですね すまぬ・・・すまぬ・・・

読んでくれた方ありがとうございます
続きは夕方辺りに投稿します おやすみなさいませ
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223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 02:15:56.56 ID:+zPPVnDco

あの旅行の後の話としては展開がキツいなぁ
楽しくて得るものの多かった旅から一転してこの不幸だから・・・
BADENDはないにしても早めに治ってほしいものだが
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224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 02:37:12.77 ID:DHGHEue9o
視点だけじゃなく、場面や状況もいきなり変わってわかりづらいっす……
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225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 17:30:34.80 ID:qmEGUPh0o
>>130 正解です

風雨来記の旅はかなりディープですからね
その落差がないと轍と絡めないと思いました

ご指摘ありがとうございます
さっそく書き溜め分を見直ししてきます
続きは夜の投稿となります すいません

立て直した方がよかったりしますか?
(ここまだ序盤なんすよwwww)
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226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 18:13:50.04 ID:TM4Mx/gEo
このまま続けて問題なし
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227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:35:21.28 ID:qmEGUPh0o

9月8日



―――――2年生クラス

梓「・・・」

純「・・・」

梓「おはよ」

純「おはよ」

梓「・・・」

純「・・・」

憂「どうしたの?」

梓純「「 別に・・・ 」」

憂「昨日の今日だから照れくさいんだね」

梓純「「 いうなっ! 」」

憂「クスクス」

梓「・・・むぎ先輩の家まで行ったの?」

純「ふふん」

梓「ぐっ・・・」

純「行ってないよ〜、途中で斉藤さんが迎えにきてた」

梓「ふふん」

純「いや、意味が分からない」

憂「先生くるよ〜」

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228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:36:41.70 ID:qmEGUPh0o


―――――3年生クラス


プップププー

「?」

春子「なにを弾いているんだよ紬?」

姫子「『おあお』だから、『おはよー』かな」

紬「・・・」コクリ

信代「そこまで読み取れるのか姫子」

姫子「・・・なんとなくだけどね」

紬「・・・」テクテク

唯「おはよー」フリフリ

和「おはよう、むぎ」

姫子「おはよ」

紬「・・・」フリフリ


春子「あれ・・・?」

風子「どうしたの?」

春子「姫子が輪の中に入ったような・・・」


信代「男子だ」

姫子「え・・・?」

和「そんな雑誌読むなんて珍しいわね」

唯「バイクに目覚めたんだね!風になるんだね!」

姫子「なろうかな〜って」

信代(急にどうしたんだろう・・・)

紬「・・・」プッププー

姫子「・・・?」

唯「昨日の・・・?」

紬「・・・」プププー

和「はな・・・い・・・、昨日の話?」

紬「・・・」コクリ

姫子「そう・・・うちの父さんがバイク持っているからさ」ペラ

紬「・・・」ププー

唯「昨日の話ってなんだい?」

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229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:37:26.48 ID:qmEGUPh0o

姫子「車の免許とバイクの免許どっちがいいかって話」

紬「・・・」フルフル

信代「ちがう・・・?」

紬「・・・」プッププー

唯「うし・・・ろ・・・に?」

和「・・・」

紬「・・・」プップププー

唯「だれを・・・」

姫子「・・・」

紬「・・・」プププッププー

唯「乗せるか・・・って話!」

姫子「してないよ」ペラ

信代「・・・」

唯「私だよね!」

姫子「してないって」

和「どうして唯なのよ」

唯「私も風になりたいんだよ」

和「それじゃあ自分で・・・いえ、何も言ってないわよ私は」

姫子「責任逃れだね」

信代「唯がバイクに乗るのは想像できない・・・」

唯「え〜」

紬「・・・」ニコニコ

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230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:38:59.06 ID:qmEGUPh0o

律「はよ〜ん」

「おはよー」

いちご「おはよ」

澪「おはよう」

いちご「あのさ・・・」

律「ん?」

いちご「・・・どうして鍵盤でやりとりするの?」

澪「・・・」

いちご「・・・ケータイやホワイトボードなら」

律「それだと伝わるものも伝わらなくなるからな」

いちご「・・・」

澪「読み取る事じゃなくて、聴き取る事が大切。そう、唯が言ってた」

いちご「・・・手間じゃない?」

春子「ちょっといちご!」

風子「いいすぎだよ」

いちご「・・・」

律「私ら義務だとか、やらなきゃいけないとかこれっぽちも思ってないぜ〜」

澪「聴きたいから、それだけなんだ」

いちご「・・・そう」

春子「姫子も?」

律「ん?」

春子「なんか、あんたらの輪に入った感じだからさ」

風子「・・・そうだね」

澪「昨日・・・」フガッ

律「言うなよ」ヒソヒソ

いちご「?」

澪「なんでだよ」ヒソヒソ

律「川で遊んでいました、なんて言えるかよ」ヒソヒソ

澪「そ、そうだな」ヒソヒソ

いちご「なに?」

律「な、なんでもないぜー」

澪「そ、そうだ。なんでもない」

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231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:40:38.77 ID:qmEGUPh0o

春子「だから、姫子はどうしてって聞いているんだけど」

律「知らない」

澪「・・・」

風子「・・・」

律「聞いてきたら?」

春子「・・・よし」

テッテッテ

風子「・・・」

テッテッテ

律「あれ・・・いちごまで」



春子「姫子〜・・・って何読んでるの?」

姫子「バイク雑誌」

いちご「・・・」

唯「私だよ!」

風子「?」

和「姫子のバイクの後ろに乗るのは予約済みって事よ」

春子「え!?」

風子「免許取るの?」

姫子「・・・」

紬「・・・」プッププー

いちご「?」

唯「わ・・・たし・・・?」

紬「・・・」ププップー

唯「が・・・の・・・る・・・?」

和「予約殺到ね」

姫子「取る事に決まったのかな・・・」

春子「バイクか・・・」フムフム

風子「興味持ったんだね」

いちご「・・・」

紬「・・・」プップププー

いちご「・・・なんて言ったの?」

唯「・・・」

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232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:41:28.62 ID:qmEGUPh0o

和「・・・唯?」

紬「・・・」ニコニコ

姫子「唯でも聴き取れなかったの?」

唯「うん〜?」

紬「・・・」ニコニコ

唯「むぎちゃん・・・昨日・・・その音は適当って言ってたよね」

紬「・・・」ニコニコ

春子「どのバイク買うの?」

姫子「私より真剣じゃないの春子・・・?」

風子「・・・バイクかぁ」



・・・・・・



律「そろそろさわちゃん来るな」

澪「りつ・・・」

律「ん〜?」

澪「相馬さんに旅の話するの?」

律「なんだよいきなり」

澪「・・・」

律「まぁ、機会があれば・・・かな」

澪「どうして?」

律「・・・特に理由は無いけど」

澪「・・・」

律「なんだよ」

澪「・・・別に」

律「聞かれて困るような事なんてないだろ」

澪「そうじゃないよ」

律「じゃあなんだよ」

澪「・・・後で話す」

律「・・・?」

ガチャ

さわ子「ほら、席につきなさい」

ザワザワ


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233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:43:11.74 ID:qmEGUPh0o

―――――昼

澪「私は嫌・・・かな」

律「どうしてだよ」

澪「なんて言うか・・・距離感?」

律「他人だからか」

澪「他人だったら話は簡単だ」

律「・・・」

澪「梓に言葉をかけたでしょ?」

律「あぁ。『最高の場所』の事か?」

澪「うん・・・。それを教えたのに、今度は梓を揺さぶった」

律「私は梓を引き寄せたように見えたけどな」

澪「・・・どういう事?」

律「うーん・・・」

澪「とにかくだ。次は私たちの旅に興味を持ったと言った」

律「・・・」

澪「その理由は覚えてる?」

律「さわちゃんが言ってたな・・・梓の表情がどうとかって」

澪「そう・・・。だから嫌なんだ」

律「・・・」

澪「あの時・・・旅の話をしていた時の梓の心境はとても揺れていたハズだ」

律「あぁ・・・そうだな・・・」

澪「だけど、それをさらに揺さぶった」

律「うん・・・」

澪「あの時は私も、梓を探っていると思っていたんだ」

律「・・・」

澪「例え探って、それを梓自身に気づかせる為だとしても
  それを旅の記事のネタにするような考え方はどうかと思う」

律「・・・」

澪「興味を持ったきっかけが嫌なんだよ」

律「そうか・・・」

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234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:44:00.69 ID:qmEGUPh0o

澪「・・・りつは・・・どう思う?」

律「正反対だ」

澪「え・・・」

律「あの時・・・バイクを倒した時・・・梓を引っ張っただろ」

澪「・・・うん」

律「亡くなった親友の・・・とても大事なバイクをだ」

澪「・・・」

律「そんな人が書く、私らの旅の記事を読んでみたくなった」

澪「朝といってる事が」

律「授業中に考えていたんだよ」

澪「・・・私が言った事は、どうなるの?」

律「正直分からないだろ」

澪「・・・」

律「私らの旅をテーマにするのか、梓の心境をテーマにするのか、なんてさ」

澪「・・・」

律「とりあえず、話をしない事には進まないな」

澪「そうだな・・・」

律「・・・どうした?」

澪「え?」

律「そんな事言うなんて珍しいよな・・・嫌だ・・・なんてさ」

澪「ちょっと・・・焦ってる、のかも」

律「・・・」

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235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:45:17.61 ID:qmEGUPh0o


姫子「」スヤスヤ

律「お、今日は寝てんのか」

澪「今日もじゃないのか」

唯「どのバイクにしてもらおうかな〜」ペラッ

紬「・・・」スッ

唯「いいですな」

和「勝手に選ぶのはよくないわ」

律「というか、取るのか?」

澪「昨日の話?」

紬「・・・」コクリ

唯「私たちもドライブしたいな〜」

和「楽しそうね」

律「この中で誰が一番早く取るのかな」

澪「やっぱり和かな?」

紬「・・・」ズバッ

唯「ん?」

紬「・・・」キリ

澪「?」

紬「・・・」

律「?」

紬「・・・」アセアセ

和「?」

紬「・・・」フリフリ

澪(なんでもない・・・て・・・事・・・か)

律(姫子が寝ているから・・・鍵盤ハーモニカは使わないんだな・・・)

和(伝える事・・・諦めたのね・・・)

唯(むぎちゃん・・・)

紬「・・・」

澪「・・・」

和「・・・」

律「・・・」

唯「・・・」

姫子「」スヤスヤ

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236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:46:21.53 ID:qmEGUPh0o


いちご「・・・伝える手段ってそれだけなの?」

紬「・・・?」

いちご「鍵盤だけ・・・なの?」

律「うーむ」

唯「body language」

和「発音いいわね」

澪「やってみよう」

紬「・・・」フンス!

いちご「・・・」

紬「・・・」ヒョイヒョイ

唯「私・・・?」

紬「・・・」ピン

律「いち・・・?」

紬「・・・」バシッ

和「・・・奪い取る・・・?」

いちご「私が一番最初に取る?」

紬「・・・」コクコク

澪「・・・」

律「ダークホースだな」

唯「ふふん、私がすでに持っているとしたら・・・みなさんどう思いますか?」

和「嘘でしょ?」

唯「嘘ですよ」

いちご「・・・もう通っている・・・とか・・・?」

紬「・・・」フルフル

律「さっきの自信はどこからきたんだよ」

いちご「ふふっ」

姫子「」スヤスヤ

澪「・・・」

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237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:47:35.66 ID:qmEGUPh0o

―――――放課後

澪「練習するぞ!」

律「はは、そんなバカな」

梓「練習しましょう!」

唯「またまた、そんな〜」

澪梓「「 冗談で言ってるわけじゃ・・・ 」」

紬「・・・」ポポロポポロロン

律「そうだな、ひさしぶりだし」

唯「そうだね〜」

澪梓「「 ・・・ 」」

律「スタンバーイ!」

唯「よいしょっ、おっけ〜」

紬「・・・」コクリ

澪「・・・」

梓「・・・」

律「なんか二人のテンション下がってるけど、ワン・ツー・スリー!」カンカンカン

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238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:50:13.16 ID:qmEGUPh0o


ジャジャンジャジャンジャーン!

澪「・・・これは・・・・・・」

梓「・・・ビックリです」

律「私たち・・・」

唯「おぉ・・・」

紬「・・・」ゴクリ

律唯「「 下手になってる・・・ 」」

澪「・・・私も指が動かなかった」

梓「・・・はい」

律「やべえ・・・」

唯「なんてこったい・・・」

紬「・・・」ポン

澪「?」

梓「『メジャーのB』です」

唯「ティータイムだよ!」

律「よしよし、そうするか」

梓「そうですね」

澪「・・・」

ガチャ

さわ子「練習してるー?」

紬「・・・」

テッテッテ

さわ子「あら、丁度いい所に来たのね〜」

デンデンデーン

澪「・・・」

律「みお〜?」

澪「うん・・・」

梓「けいおん部でティータイムをするのは久しぶりですね」

唯「そうだね〜」

紬「・・・」コクリ

さわ子「待ちに待っていたのよ」

律「顧問としてどうなんだ・・・」

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239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:51:01.28 ID:qmEGUPh0o

唯「おっやつ〜」

律「いただきまーす!」

紬「・・・」

コト

澪「ありがとう、むぎ」

紬「・・・」ニコニコ

唯「うまうま」ムシャムシャ

律「うめうめ」ムシャムシャ

さわ子「はぁ・・・待っていた甲斐があったというものよ」シミジミ

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・やっぱりおいしいです」ズズーッ

澪「・・・」ジー

梓「・・・どうしたんですか?」

澪「ううん・・・なんでもないよ」

梓「?」

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240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:52:15.90 ID:qmEGUPh0o

―――――・・・


唯「おまたせ!」

紬「・・・」コクリ

澪「帰るか・・・」

スタスタ

律「ん〜、今日は結構頑張ったな〜」ノビノビ

紬「・・・〜」ノビノビ

唯「そうだね〜」

澪「夏前とはえらい違いだな」

梓「もうちょっとだらけると思っていました」

律「ほぅ」

唯「このあずにゃんめっ」ダキッ

梓「ちょっ!」

唯「うへへ〜」スリスリ

梓「離してくださいっ」ジタバタ

紬「・・・」

律「むぎー、電車で帰るのかー?」

紬「・・・」フルフル

澪「斉藤さんが迎えに来るの?」

紬「・・・」コクリ

唯「あ、本当だ」スリスリ

梓「・・・」

斉藤「・・・」ペコリ

紬「・・・」フリフリ

唯「じゃあね〜」スリスリ

澪「明日な」

律「じゃあなー」

梓「明日です」

ガチャ

紬「・・・」

バタン

斉藤「それでは失礼致します」ペコリ

バタン

ブオオオオオオ

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241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:53:30.65 ID:qmEGUPh0o

―――――公園

キィコキィコ

和「・・・」

姫子「ブランコに乗るなんて・・・何年ぶりだろ」

和「私は中学以来ね」

姫子「唯と?」

和「そう・・・、とっても楽しそうに漕いでいたわ」

姫子「想像つくな」

和「想像したとおりよ、きっと」

姫子「クスクス」

和「・・・」

キィコキィコ

姫子「・・・」

和「・・・高くはこげないわね」

姫子「うん・・・格好とか・・・軽さ・・・とか、色々ね」

キィコキィコ

和「姫子はいつ以来?」

姫子「・・・小学校4年生以来」

和「やけに具体的ね」

姫子「・・・ちょっとトラウマがあってね」

和「そう・・・」

姫子「でも・・・そのトラウマも今では懐かしく感じて・・・くすぐったい」

和「・・・そう」

姫子「うん・・・そう・・・」

和「・・・」

キィコキィコ

姫子「聞かないの?」

和「・・・なにがあったか?」

姫子「・・・そう」

和「言っちゃなんだけど、興味ないわ」

姫子「ふふっ・・・和ってこんなに面白い事言う人だっけ?」

和「さぁ・・・。面白い事言ったつもりもないんだけどね」
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242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:54:43.53 ID:qmEGUPh0o

姫子「充分面白いよ・・・。なんていうか、キャラが濃くなった」

和「薄かったの?」

姫子「唯のキャラが濃いでしょ?和は黒子って感じだから」

和「なによそれ」

姫子「・・・さぁ」

和「変なの」

姫子「変だねぇ」

キィコキィコ

和「・・・」

姫子「・・・」

和「私も変わっていたのかもね」

姫子「・・・」

和「・・・うん」

姫子「あ、勝手に納得した」

和「思い当たる節があったからよ」

姫子「・・・そう」

和「うん・・・そう・・・」

姫子「・・・」

和「・・・」

キィコキィコ

姫子「言わないの?」

和「どうして?」

姫子「言いたそうな雰囲気だから」

和「ふふっ、どうかしらね」

キィーコキィーコ

姫子「そんなに漕いでいいの?」

和「少しなら平気よ」

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243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:55:47.25 ID:qmEGUPh0o

キィーコキィーコ

姫子「・・・そろそろ聞かせてくれる?」

和「私のキャラが濃くなった理由?」

姫子「ううん・・・どんな旅をしてきたのか・・・かな」

和「・・・」

姫子「あ、興味が無いわけじゃ」

和「ふふ、答えは一緒よ」

姫子「?」

和「姫子の質問の答えが私のキャラが濃くなった理由」

姫子「・・・」

和「私より、唯や澪の方が見てきた景色が多いんだから、そっちの方がいいんじゃない?」

姫子「そうなんだろうけど、中々機会がなくてね」

和「部室に行けばいいじゃない」

姫子「・・・けいおん部に?」

和「そうよ」

姫子「部外者だから、私は」

和「それを言ったら私も、憂も純も部外者ね」

姫子「そんな事ないと思うけど」

和「一緒よ。私たちも姫子も」

姫子「・・・」

和「・・・」

姫子「それじゃ・・・機会があれば・・・」

和「そう言っているうちは行かないわね」

姫子「う・・・」

和「・・・」

キィーコキィーコ

姫子「・・・トラウマと言っても・・・そんな深い傷ってわけじゃないし、恥ずかしい出来事でもないよ」

和「そう・・・それなら興味沸いたわ」

姫子「さすが唯の幼なじみだね」

和「どういう意味?」

姫子「懐が深い」

和「なによそれ、唯に失礼じゃない・・・」

姫子「ごめんごめん、そういう意味じゃなくてね」

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244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 21:57:02.36 ID:qmEGUPh0o


ガサガサ

いちご「・・・」

唯「お・・・?」

いちご(聞き出してよ姫子・・・)

唯「?」



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245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:03:03.72 ID:qmEGUPh0o

姫子「『旅』と『旅行』の違いってなに?」

和「・・・私なりの解釈で言うなら・・・旅行は目的地へ行く事ね。
  道中が目的地への想いであふれて、その事自体をそう呼ぶんじゃないかしら」

姫子「・・・」

和「よく『帰るまでが遠足です』っていうでしょ?」

姫子「うん」

和「家に辿り着いたらそこでお終い。それが旅行」

姫子「・・・」

和「旅は・・・自分自身が求める場所を探すって事かしら
  その場所に辿り着いたらそこでお終い。それが旅」

姫子「・・・」

和「自分の言葉で分からなくなったわね・・・短絡的だったかしら」

姫子「・・・うん、もうちょっと教えて欲しい」

和「そうね・・・。例えば、まだ見た事の無い自分自身を探していたとするでしょ?」

姫子「見た事の無い自分?」

和「そう・・・。澪がジェットコースターに乗ってはしゃいでいたりとか」

姫子「そんな事があったの!?」

和「・・・例えばよ。そんな澪がいたら、新しい澪って事になるわよね」

姫子「うん」

和「そんな自分に出会うことが、旅の終わりだったりするのよ」

姫子「・・・」

和「辿り着く場所を見つけること。それが旅となる・・・という事なんじゃないかしら」

姫子「『目的地へ行く』と『辿り着く場所を探す』は同じ意味みたいだけど?」

和「そうかしら、後者はそう簡単にはいかないと思うけど」

姫子「・・・どう・・・して?」

和「与えられる場所じゃないからよ」

姫子「・・・」

和「この説明で分からなかったら、私はまだ旅というものを分かっていないのよ」

姫子「私の経験・・・そのものが無いからじゃないの?」

和「どうかしらね。梓なら・・・説明ができそうだけど」

姫子「けいおん部の・・・」

和「えぇ・・・。あの子は出会ったたくさんの人を通して、むぎと一緒にいろんな景色をみてきたから」

姫子「・・・」

和「今の説明も、私たちが出会った人の、旅そのものを代弁しただけなのよ」

姫子「・・・そうなんだ」

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246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:05:07.44 ID:qmEGUPh0o

ガサガサ

いちご(よく分からない・・・)

唯「・・・」ウンウン

いちご(・・・もうちょっと聞き出してくれないかな)

唯「いい事言ったよ和ちゃん」

いちご「ッ!?」ビクッ

唯「ん?」

いちご「い、いつからそこに・・・」ドキドキ

唯「さっきからだよ〜」

いちご「気づかなかった・・・」ドキドキ

唯「あ・・・」

和「唯?」

姫子「・・・と、いちご?」

いちご「・・・」アセアセ

和「なにしてるのよ」

唯「聞き耳を立てていたんだよ」

姫子「・・・」

いちご「・・・そ、それじゃ」ビシッ

姫子「まって」

いちご「う・・・」

和「・・・どうしたの?」

唯「いちごちゃんが隠れていたから」

いちご「・・・」

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247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:05:58.14 ID:qmEGUPh0o

姫子「・・・ちゃんと聞けばいいのに」

いちご「・・・」

和「?」

唯「なにを?」

姫子「けいおん部の雰囲気が変わった理由・・・かな」

いちご「・・・」

和「・・・」

唯「どゆこと?」

姫子「私は分かるからいいんだけどね」

いちご「・・・意地悪」

姫子「・・・」ニヤリ

和「私もよく分からないわね」

唯「説明するがいいよ!」

いちご「・・・仲良しグループから、なんていうか・・・その・・・」

姫子「芯のあるグループになったって感じかな」

和「そんな風に見えていたんだ・・・唯たちは・・・」

唯「でへへ」テレテレ

姫子(和って自分を客観的に見られないんだ・・・意外・・・)

いちご「・・・旅ってなに?」

姫子「和の話聞いてなかったの?」

いちご「・・・よく分からなかった」

唯「えぇ〜、分かりやすかったよ〜?」

和「それは当事者だからよ」

唯「そっか」ウッカリ


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248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:07:23.25 ID:qmEGUPh0o

―――――夜・立花邸

「ふんふん♪」ガチャガチャ

姫子「・・・」

「おっと、いけねえ」ゴシゴシ

姫子「・・・」

「・・・で?」

姫子「・・・」

「どうしたんだよ、バイクのメンテナンスなんて興味あんのか?」

姫子「まぁね」

「・・・つまんねえだろ」

姫子「うん」

「なら邪魔すんなよ、俺の大事な時間なんだからな」

姫子「・・・」

「・・・」ガチャガチャ

姫子「・・・どのくらい乗ってるの?」

「今日はどうしたんだ?」

姫子「バイクに興味を持った・・・かな」

「へぇ・・・」

姫子「・・・」

「今のお前と同じ歳に出会った。・・・それだけなら邪魔」

姫子「乗ってどう変わった?」

「・・・景色が変わった」

姫子「・・・」

「怪我が増えた」

姫子「・・・」

「母さんと出会った」カァア

姫子「そういうのいいから」

「大事なとこだろ!」

姫子「年頃の娘にいう事かよ」

「じゃあ聞くなよ」

姫子「面白い?」

「やめとけやめとけ、どうせ続かねえよ」ガチャガチャ

姫子「・・・」ムッ

「俺の娘がバイクを放り出す、なんて見たくもねえ」ガチャガチャ

姫子「あっそ」
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249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:09:03.23 ID:qmEGUPh0o

「そういうこった」ガチャガチャ

姫子「・・・じゃ頑張ってね」

「だが、興味を持つのは悪くないからな・・・そこの棚にある雑誌みてみろ」

姫子「?」

「いきなりバイクの本なんか読んでも面白くねえだろ」

姫子「あ、バレてた?」

「まぁな・・・」

姫子「古いなぁ・・・汚くない?」

「古いのは認めるが、汚くは無いぞ、17、18年前のものだが」

姫子「古・・・、・・・こんな雑誌持っていたんだ・・・」

「お前が興味示さなかっただけだ」

姫子「・・・どれ読めばいいの?」

「『心光展』特集ってのがあるはずだが・・・」

姫子「しんこうてん・・・ないよ?」

「こころ、ひかり、展示だ」

姫子「あ、あった・・・」

「20代前半のヤツがその写真部門でいい順位を取っててな」

姫子「バイク関係ないじゃん」

「そいつが見てきた景色が重要なんだよ・・・」

姫子「景色・・・」

「ん?」

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250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:10:10.81 ID:qmEGUPh0o

姫子「その写真を撮った人も・・・バイクに乗っていたの?」

「いや・・・」

姫子「・・・」

「ただのカメラマンなんだがな・・・色々と旅をしていたみたいだ」ガチャガチャ

姫子「旅か・・・とりあえず読んでみるよ、ありがと親父」

スタスタ

親父「その写真をとったヤツのコメントを読んで
   俺もそいつと同じくらいの景色を見たいと思ったんだ」ガチャガチャ

シーン

親父「そのおかげでバイクとも出会えたわけなんだが」ガチャガチャ

シーン

親父「言わば・・・その雑誌があったから今の俺達がいるんだな」ガチャガチャ

シーン

親父「その写った人が、カメラマンの嫁さんという訳だが」ガチャガチャ

「一人で喋って・・・どうしたんですか」

親父「あれ、母さん・・・姫子は?」

母「いませんよ?」


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251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:13:22.47 ID:qmEGUPh0o

9月9日


姫子「・・・面白くないな」

和「ビンテージ雑誌ね」

唯「希少品だよ」

姫子「おはよ」

和「おはよう・・・どうしたの、それ」

姫子「父さんから借りたんだけど・・・」

唯「どれどれ・・・」ズイッ

姫子「ち、近いよ唯・・・」

和「・・・さて、と」

唯「馬・・・。和ちゃん」

和「なに?」

姫子「?」

唯「この漢字読める?」

和「・・・えーと・・・そうま・・・ね」

姫子「あれ・・・どこかで・・・?」

唯「うまさんだよ」

和「まさか、苗字が一緒なだけよ」

姫子「どこだっけ・・・」ウーム

プッププー

「琴吹さんおはよー」

唯「むぎちゃんおはよ〜」

和「おはよ・・・ってそれ持って登校してるの?」

紬「・・・」フルフル

和「そうよね」

姫子「あ、おはよ」

紬「・・・」コクリ

風子「おはよ〜、今日はなにを見てるの?」

姫子「・・・20年前の雑誌」

和「ずいぶんと古いわね」

唯「私たち生まれてないね」

紬「・・・」プップププー

風子「・・・?」

唯「き・・・れ・・・い・・・」
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252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:15:24.68 ID:qmEGUPh0o

和「確かに古い割にはキレイよね」

姫子「・・・内容も古くてつまんないんだけどね」

風子「どうして読んでいるの?」

唯「いい質問だよ」ウンウン

紬「・・・」コクコク

和「・・・」

姫子「旅に興味があるなら読んでみろって・・・」

唯「ほぅ」キラン

和「じゃ、次読ませてね」

紬「・・・」ププッププー

唯「おっと、お二人ともそうはいかないよ」

風子「・・・?」

和「むぎも読みたいそうよ」

姫子「じゃあどうぞ」

紬「・・・」ペコリ

風子「紬さんに渡ったね」

和「あら・・・」

唯「なんと!」

澪「ここはジャンケンじゃないか」

律「うむ」

信代「そうだな」

いちご「・・・」

春子「・・・よし」

紬「!」

律「いやいや、人増えすぎだろ」

澪「興味あるの?」

信代「無いことも無いことも無いかな」

唯「えーと、無いことも無い。は興味あるって事だから、それが無いって事は・・・」

風子「興味無いんだ・・・」

春子「昨日の雑誌は?」

唯「持ってるよ〜」

姫子「あ、唯が持ってたんだ」

和「ちゃんと返しなさいよ」

春子「じゃあそれは私が借りるよ〜」

信代「本格的に興味もったみたい」
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253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:16:48.52 ID:qmEGUPh0o

澪「あれ・・・?」

律「むぎは・・・いつの間に席へ!?」

唯「ジャンケンだよ!」

紬「・・・」ペラッ

いちご「・・・あ、ちょっとまって」

紬「・・・」コクリ

いちご「・・・ありがと」

和「二人で読んでいるわね」

姫子「面白いのかな」

律「しゃーない、後で読ませてもらうかな」

信代「活字大丈夫なの?」

律「どういう心配のされ方だよ・・・」

澪「小説にはまったくらいだから・・・大丈夫」

律「あのな・・・」

風子「私も覗いてこよう」

スタスタ
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254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:17:35.49 ID:qmEGUPh0o

和「そろそろ先生が来るわね」

姫子「和・・・」

和「?」

姫子「私と紬とでは視点が違うの?」

和「・・・当然じゃない・・・私と唯も違うわよ」

姫子「そういう意味じゃなくて」

和「それなら、いちごに聞いてみたら?雑誌の感想を」

姫子「そうか・・・そうだね」

澪「唯はなにをしているんだ?」

唯「来るよ・・・さわちゃんが来る・・・」ムムム

律「当たり前だろ」

姫子「・・・」

唯「今扉を開けるよ!」

ガチャ

さわ子「みんなおはよう〜」

律「マジかよ」

澪「まだ時間あるのに・・・」

信代「ど、どうして分かった唯!?」

唯「分かりませんよ」フフフ

姫子「分からない事に自信を持ってる・・・」

和「なかなか涼しくならないわね」

澪「季節を気にしている和はすごいなぁ」

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255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:19:19.96 ID:qmEGUPh0o

―――――昼

姫子「面白かった?」

紬「・・・」コクリ

いちご「・・・うん」

姫子「どこが面白かった・・・かな?」

紬「・・・」プッププー

いちご「・・・」

姫子「・・・」

紬「・・・」

いちご「・・・唯が居ないからこれに書いて」

紬「・・・」コクリ

姫子「・・・」

唯「ちょっと待ったー!」

いちご「!」ビクッ

唯「ダメだよ、練習にならないよ!」メッ

いちご「ご、ごめんなさい・・・」

紬「・・・」プッププー

唯「分かればいいんだよ」

姫子「・・・じゃあいちごから聞いていい?」

いちご「・・・女性が一人写った写真が良かった」

紬「・・・」コクコク

唯「なんの話?」

姫子「この雑誌の感想聞いてるの」

唯「読み終わったなら貸して〜」

姫子「どうぞ」

唯「ありがと!」

テッテッテ

和「・・・唯はまだ読んでなかったのね」

姫子「写真が良かったのは分かるけど・・・」

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256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:20:29.72 ID:qmEGUPh0o

紬「・・・」プププップー

和「そうね・・・。カメラマンの恋人みたいね」

いちご「・・・うん。いい笑顔だったから、納得した」

紬「・・・」コクコク

姫子「・・・」

いちご「他の写真も良かった・・・建物や風景、動物」

紬「・・・」プププッププー

澪「むぎは空の写真がお気に入りらしい」

律「褪せてたぞ、あの写真のページ」

紬「・・・」プッププー

律「・・・そ、そうか」

姫子「・・・なんて言ったの?」

律「だからいいんだってさ」

和「元の写真は評価できなくなるわよ、それだと」

紬「!」

いちご「写真を撮った人のコメントもよかった・・・」

和「そうね、その瞬間を撮るために何ヶ月も待ったという人もいれば、
  偶然撮った瞬間がかけがえのない時だったとか・・・」

姫子「・・・ちゃんと読んでいなかったのかな」

澪「多分、写真に興味が無かったからじゃないかな」

律「私もないけどな!」

姫子「じゃあ律は面白くなかった?」

律「いや、コメントが面白かったな」

姫子「・・・」

和「いちごはどうして面白いと思ったの?」

いちご「その写真だけだから・・・人一人だけ写っているの」

澪「そういやそうだ」

律「おぉ、マジだ・・・」

紬「・・・」コクリ

姫子「・・・読んでくる」ガタッ

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257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:21:51.40 ID:qmEGUPh0o


―――――放課後

唯「おまたせ」

紬「・・・〜」ノビノビ

澪「今日も終わったな」

梓「帰りましょう」

スタスタ

律「部活も勤しんだし、私ら学生の本分を全うしてんな!」

唯「そうだね・・・」

梓「どうしたんですか?」

唯「うーん・・・なにかひっかかっているんだよ」

澪「昼からこんな感じだな」

紬「・・・?」

梓「悪いものでも食べたんですか?」

律「いくら唯でも拾い食いはしないだろ」

唯「うーん」

梓律「「 ・・・ 」」

澪「無視されたな」

紬「・・・」

斉藤「・・・」ペコリ

律「あ、斉藤さん」

澪「じゃあな、むぎ」

梓「明日です」

律「じゃーな〜」

唯「あ、むぎちゃん明日ね〜」

紬「・・・」フリフリ


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258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:23:15.33 ID:qmEGUPh0o

スタスタ

梓「どうして私の家は学校から歩いて帰れる距離なんですかね!」プンスカ

律「知らねえよ」

澪(・・・すっかり戻ったな)

唯「なんだろう・・・このモヤモヤ・・・」ウーン

梓「電車通学なら一緒に帰れるのに」ブツブツ

律「・・・なにもいうまい」

ドルルルルルル

梓「む・・・、それじゃ私はこっちから帰りますから」

澪「え?」

キキーッ

轍「こんばんは」

律「女子高生に気軽に声をかけるなよ」

轍「う・・・」グサッ

唯「うま・・・さん・・・」

轍「相馬だってのに・・・」

澪「・・・」

律「まだこの街にいたのか?」

轍「昨日は一山越えたまちまで行っていたんだけどね」

律「行動範囲広いのな」

轍「足で稼がないとね」

澪「・・・」

唯「・・・」ジー

律「私らの話が聞きたいって?」

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259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:24:45.00 ID:qmEGUPh0o

轍「あぁ・・・キミ達の担任の先生に会ったよ。その時に少し話をしたんだ」

澪「・・・」

唯「・・・」ジー

律「で、何を聞きたいんだよ」

轍「話を聞かせてくれるの?」

律「タダじゃないけどな〜」ニヤリ

轍「・・・しっかりしてるね」

律「当然!」

澪「・・・」

律「あれ・・・?どうした澪」

澪「・・・なんでもない」

律「いつもなら・・・」

唯「・・・」ジー

轍「な、なにかな・・・?」

唯「うまさん・・・写真の人に似てる」

轍「写真?」

澪「ごめん律・・・先に帰ってて」

タッタッタ

律「ありゃ?」

唯「あれ・・・あずにゃんもいない」

轍「話聞けないかな・・・・・・」

律「・・・」

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260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:25:33.52 ID:qmEGUPh0o



タッタッタ

澪「まって、梓」

梓「澪先輩・・・」

澪「ちょっと寄り道しよう」

梓「遠回りになりますよ?」

澪「それは梓もだ・・・行こう」

梓「・・・はい」



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261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:27:08.73 ID:qmEGUPh0o

轍「旅の話」

律「・・・」

唯「しょうがないですな」

轍「いいの?」

律「そこで慎重になるのはどうしてだよ」

轍「気軽に聞いていいものかと・・・」

律「記事のネタになりそうなんだろ?」

轍「そうなんだけど・・・、さっきの髪の長い子は触れて欲しくなさそうだったから」

律(読み取るのはやいな・・・何者だよ・・・)

唯「?」

轍「中野さんも俺を避けたわけで」

律「はは、しょうがねえよ」

轍「・・・無理強いはしたくないからさ・・・縁が無かったという事で諦めるよ」

唯「・・・」

律「記事はどうすんだよ」

轍「昨日行った場所で発見があったから、そこをつついていくかな」

唯「・・・」

律「そっか・・・」



・・・・・・



和「一人で読んでいたの?」

姫子「うん・・・私だけ読み取れていないみたいで・・・疎外感を感じたから」

和「教室で一人・・・」

姫子「絵になってたでしょ?」

和「・・・そうね」

姫子「流したよね?」

和「・・・あれ、唯たちよね」

姫子「唯?」



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262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:28:55.19 ID:qmEGUPh0o

律「それじゃーな」

轍「うん、それじゃ」

唯「最後に聞いていいかな?」

轍「ん?」

唯「しんひかりてんって知ってる?」

律「なんだよそれ・・・」

轍「???」

唯「心ひかり展だよ!」

和「心光展でしょ」

轍「!」

唯「そ、そうだよしんこうてんだよ」

姫子「いつぞやの人・・・」

轍唯「「 なんで・・・ 」」

唯「姫ちゃんと和ちゃん一緒なの?」

轍「心光展を知っているんだ・・・?」

和「帰ろうとしたら姫子が教室にいたのよ」

姫子「唯・・・姫ちゃんって・・・」

律「雑誌を読んだ」

唯「そうなんだ・・・、姫ちゃん雑誌貸して?」

姫子「小学校以来だよ・・・それ浸透させてほしくないな・・・。はい、どうぞ」

轍「・・・」

唯「ありがと〜・・・えぇとね」ペラペラッ

轍「ここでその言葉を聞くとは・・・」

律「呆然としてんな・・・大丈夫か?」

轍「あ、あぁ・・・」

和「・・・」

唯「あったあった、やっぱり似てるよ」

姫子「あの笑顔の写真?」

轍「か、貸してっ!」

唯「ど、どうぞ」

轍「・・・・・・ここで出会えるなんて・・・」

姫子「?」

唯「やっぱりうまさんだったよ、和ちゃん」

和「・・・偶然ね」

姫子「でも、その雑誌20年前のだよ・・・?」
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263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:30:27.39 ID:qmEGUPh0o

唯「あれ・・・写真に写った人がうまさんに似ていて、写真を撮った人がうまさん・・・?」

律「唯の言葉だけ聞いたら奇想天外な想像してしまいそうだ・・・」

轍「この写真に写っている人は俺のお袋で、撮ったのは親父だよ」

律唯和姫子「「「「 え!? 」」」」

轍「・・・」

唯「すごー・・・い」

律「すげえなアンタのお父さん・・・あの写真は私も惹かれるものがあったぜ」

姫子「・・・うん」

和「当時は恋人同士だったわけですね」

轍「・・・うん」

唯「いい写真だよね〜」

轍「・・・」

律「うむ」

轍「・・・」

姫子「うん、とてもいい写真だと思う」

轍「・・・ありがと」

和「?」

轍「面白い、な。・・・ありがと、返すよ」

唯「はいよ・・・。今でもらぶらぶなんでしょうな」ニヤニヤ

律「そりゃそうだ、こんなにいい写真が撮れる関係なんだからな」ニヤニヤ

轍「うん・・・。親父は・・・お袋を笑顔にさせる事が出来た。
  お袋は親父を信頼しているから、笑顔を出せる事が出来た」

和「・・・」

轍「・・・親父の・・・『最高の一枚』なんだ」

姫子(遠い目をしている・・・?)

律「親のなりそめを恥ずかしげも無く」

和「り、律・・・!」

律「な、なんだよ?」

唯「ど、どうしたの和ちゃん・・・?」

轍「あ、ごめん・・・。いきなりだったから油断してたな・・・気にしないでいいよ」

和「・・・いえ」

律「えぇと?」

唯「?」

姫子「・・・」
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264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:32:17.06 ID:qmEGUPh0o

轍「・・・鎖になっているわけじゃないから大丈夫だよ、ありがとね」

和「そういう訳じゃ・・・」

轍「お袋は俺が幼い頃に亡くなっているんだ
  親父も俺が高校に入った頃に亡くなった」

律「!」

唯「え・・・」

姫子「・・・」

和「・・・」

律「ご、ごめん」

唯「ご、ごめんなさい」

姫子「・・・」

轍「いや、あの世でらぶらぶなら俺も安心・・・って自分の親がらぶらぶってのもなんか嫌だな」

和「キレイな人だから、絵になりますよ」

姫子「変なフォロー・・・」

唯「私の両親もらぶらぶなんだよ」

律「よく旅行に行ってるもんな」

轍「・・・」

和「巧いフォローってどうやるのよ」

姫子「フッてもやらないよ」

唯「また海外行くとか言ってるんだよ」

律「またか!」

轍(バラバラなようで・・・纏まっているんだな・・・)

律「その・・・なんだ・・・私だけでも話してやってもいいぞ」

轍「?」

和「話って?」

唯「夏の旅の話だよ!」

姫子「・・・聞きたいかも」

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265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:33:41.37 ID:qmEGUPh0o

律「無神経な事を言ってしまったお詫びもかねてな!ファーストフードでな!ソーマ持ちでな!」

轍「あ、ごめん」

唯「しょうがない・・・アイスで手をうつよ〜」

和「お詫びする気あるの?」

轍「時間が無いんだよ、今日はもう戻らないと」

律「戻る?帰るじゃなくて・・・」

轍「あぁ、一応旅としてここに来てるからね俺は」

姫子「・・・」

唯「テント?」

轍「うん・・・、キャンプというより野宿だけど」

律「ここらへんでテント張れる場所なんてあったかな」

和「たしか・・・離れたところにキャンプ場があったわね」

姫子「・・・どのくらい離れているの?」

和「えぇと・・・」

轍「俺がテントを張る場所は、バイクで2時間ちょっと」

唯「今から戻っても間に合うの?」

轍「今日は戻ってネタをまとめるだけだから・・・少し食べて寝るだけだな」

律「ふ〜ん・・・」

和「時間が無いってそういう事なんですね」

唯「どうしてそんな事してるの?」

轍「この方がリアリティのある記事が書けるからね」

律「・・・」

姫子(あ・・・面白い事おもいついた・・・けど・・・・・・)

和(・・・唯が言いそうね・・・だけど・・・面白いわ)

唯「むふふ〜」

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266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:35:53.27 ID:qmEGUPh0o


―――――森林公園


澪「河川敷じゃないんだ」

梓「た、たまには違う場所でもいいじゃないですか」

澪「・・・そうだな。いい場所だなここも」

梓「はい・・・開けた場所ですから、のんびりできていいです」

澪「梓は・・・答えを見つけたのか?」

梓「・・・・・・・・・はい」

澪「そっか・・・」

梓「・・・」

澪(やっぱり・・・むぎがいると梓は強くなるな・・・夏の時と一緒だ)

pipipipi

澪「?」スッ

ピッ

梓「・・・」

澪「唯から・・・メール来たんだけど・・・」

梓「どうしたんですか?」

澪「・・・読んで見て、どういう事か分かる?」

梓「?」

『キャンプをします!』

梓「分かりません」

pipipipi

梓「?」スッ

ピッ

澪「律じゃない?」

梓「そうです・・・えぇー・・・」

澪「どうした?」

梓「見てください」

『今週末開催!』

澪「えぇー・・・」

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267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:37:32.73 ID:qmEGUPh0o

―――――夜・山中邸

『もしもし、さわちゃん〜?』

さわ子「なによ・・・もう寝るんだから用件は短めにお願いね」

『早寝はNO NO NOだよ』

さわ子「明日遅刻したらおやつ私が食べるからね」

『そんな!って遅刻なんてしないよ〜』

さわ子「分かったから、なによ」

『今週末って空いてる〜?』

さわ子「今週末って・・・土日よね・・・」

『金曜日の夜から土曜日だよ』

さわ子「学校終わってから・・・?」

『そうだよ』

さわ子「空いてるっちゃ空いてるけど・・・」

『学校は行かなくていいの?』

さわ子「生徒に言われるとおかしな気分になる台詞ね・・・」

『うん?』

さわ子「・・・なにがあるの?」

『キャンプしようよ!』

さわ子「・・・」

『みんなでやろうよ!』

さわ子「あなたたちだけ贔屓しているみたいで気が引けるわ」

『姫ちゃんも来るよ〜、いちごちゃんも誘ったら来てくれそうだよ』

さわ子「・・・」

『どうかな?』

さわ子(・・・このタイミングなのね)

『さわちゃん?』

さわ子「しょうがないわね・・・みんなが乗れる車借りてくるから、ありがたく思いなさいよ」

『ひゃっほぅ!』

『ガンッ』

『あいたぁ!』

『お、お姉ちゃん大丈夫!?』

『だ、大丈夫』

さわ子「あれ・・・?今週末って言ったわよね・・・」

『言ったよ』

さわ子「明日木曜日よ!?」
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268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:45:36.31 ID:6Yp1mzFSO
これで序盤って、よくVIPでやろうとしたな
無謀過ぎる。

長編は絶対、こっちがいい
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269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:46:20.82 ID:qmEGUPh0o

『そうだよ?』

さわ子「あのねぇ・・・」

『楽しみだなぁ〜♪』

さわ子「明日一日で全ての準備しなきゃいけないのよ?」

『ばっちりだす!』

さわ子「・・・」

『ありがとね、さわちゃん』

さわ子「・・・お礼なんていいわよ」

『おやすみ〜♪』

さわ子「えぇ、おやすみなさい」

プツッ

さわ子「唯ちゃんはまだ、むぎちゃんの治療の事知らないのよね・・・」

カチッ

さわ子「よいしょ」ファサ

さわ子「・・・このタイミングなのね」


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270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:48:28.51 ID:qmEGUPh0o

9月10日


さわ子「もぐもぐ」

『・・・発生した台風28号ですが、沖縄を直撃しており』

さわ子「毎年毎年大変ね沖縄は」

『・・・このままの進路を進みますと』

さわ子「・・・」

『11日に通過するものと見られております』

さわ子「このタイミングなのね〜」

『それでは次のニュースです』

さわ子「車の予約・・・するべきかどうか悩むわね・・・」

ピッピッピ


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271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:51:03.88 ID:qmEGUPh0o

―――――3年生のクラス


紬「・・・」キラキラ

澪「嬉しそうだなむぎ・・・」

紬「・・・」プッププー

唯「私も楽しみだよ!」

信代「姫子も行くの?」

姫子「そうみたい」

信代「なんで他人事?」

姫子「その場に居たから数に入れられたようなものかな」

和「・・・そうね」

姫子「・・・っ」ギクッ

和「その場にいた・・・だけ・・・で数に入ったのよね」

姫子「・・・そ、そうだよ」

和「そうよね・・・」

信代「なに・・・この雰囲気は」

律「えーと、むぎ、唯、梓、姫子、さわちゃん、和、憂ちゃん、純、私・・・9人か」

紬「・・・?」

律「あぁ・・・澪はだな」

澪「行かないって言ってないだろっ!」

信代「10人か・・・大所帯だな」

紬「・・・」プップププー

唯「一緒に行こうよって」

信代「私?」

紬「・・・」コクリ

信代「定員オーバーじゃない?」

唯「さわちゃんに相談しよう」

紬「・・・」コクコク

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272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:52:46.31 ID:qmEGUPh0o

姫子「今日は父さんからキャンプ雑誌を借りてきたよ」

澪「用意がいいな!」

和「・・・」

姫子「ちょっと古いけど、テントを張る場所の選び方とか」ペラッ

澪「なるほど・・・あ、カレーの作り方まである!」ウキウキ

姫子「本当だ・・・やっぱりカレーが定番だよね」

澪「うんうん」

姫子「夜はみんなで焚き火を囲んでね」

澪「いいな・・・それ・・・」ジーン

姫子「ギターなんか弾き・・・なが・・・ら・・・」

澪「いい時間だ」ウットリ

姫子「・・・」

和「続けていいのよ?」

澪「ん?」

姫子「・・・」カァア

律「澪がはしゃぐのは分かっていたんだけど」

澪「・・・」カァァ

紬「・・・」コクリ

信代「で、どうしたんだよ唯?」

唯「来る・・・来るよ・・・」ムムム

律「またか・・・、そう何度も当たらねえよ」

唯「浅はかだよ・・・おそまつだよりっちゃん」

信代「さてさて、今日はどうなるかな」

唯「今扉が開くよ!」

紬「・・・」ワクワク

ガチャ

唯「ふふん」

信代「マジで・・・?」

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273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:54:17.59 ID:qmEGUPh0o

律「・・・後ろの扉から入るのかよ」

梓「せんぱ〜ぃ」コソコソ

唯「っ!」サッ

律「梓?」

信代「先生じゃないじゃん・・・って・・・あれ、唯?」

紬「・・・?」

梓「ちょっ!」ジタバタ

唯「どうしたんだい〜」スリスリ

梓「唯先輩に用はありません!」

唯「」ピシッ

紬「・・・」ププップップー

梓「あ・・・えと・・・一緒にお昼ご飯食べませんか?」

紬「・・・」コクコク

律「どうしたんだ、わざわざ」

梓「たまにはいいじゃないですか、お昼に来ますから!」

タッタッタ

唯「」ピキーン

信代「積極的な後輩だな」

律(私も見習うか・・・)

紬「・・・」チョンチョン

唯「・・・はっ」

ガチャ

さわ子「席に着きなさーい」

ザワザワ

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274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:56:47.82 ID:qmEGUPh0o

―――――昼・中庭

紬「・・・」モグモグ

梓「外で食べるのもいいですね」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・」モグモグ

紬「・・・」モグモグ

梓「まだまだ暑さは続きますね・・・」

紬「・・・」コクリ

梓「続くというより残るって方があってますかね」

紬「・・・」モグモグ

梓「・・・」モグモグ

紬「・・・」モグモグ

梓「えと・・・」

紬「?」

梓「いえ・・・むぎ先輩じゃないです」

紬「・・・」モグモグ

梓「どうして喋らないんですか・・・」

律「いや・・・まったりしてんなーと思って」

梓「してましたけど・・・」

純「なにかを口に出したら壊しそうだったからさ」

梓「なにそれ・・・」

紬「・・・」ニコニコ

唯「喋っていいの?」

梓「どうぞ」

澪「それじゃあ、明日のキャンプについて話そうか」

律「そうだな、決めとくか」

憂「私たちも参加していいんですか?」

純「そうですよ」

紬「・・・」コクリ

梓「行きたくないのならいいけど」

純「そんな事は言っていなーい」

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275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 22:59:04.94 ID:qmEGUPh0o

澪「さわ子先生が移動手段を確保してくれているんだよな」

唯「うん!」

律「結構人数多いぞ」

憂「だ、大丈夫なんでしょうか」

紬「・・・」ドン

梓「どうしたんですか?」

紬「・・・」ペラッ

澪「紙鍵盤・・・」

紬「・・・」トントントトン

唯「う・・・」

梓「斉藤さん・・・ですか」

紬「・・・」コクリ

律「なるほど、運転手は二人で分担できるというわけか」

純「こういう時頼りになりますよね、免許所持者って」

唯「うぅ・・・音じゃないから聞き取れなかったよ」

梓(充分すごいと思いますけど・・・)モグモグ

紬「・・・」

ギュ

唯「ん?」

紬「・・・」スラスラ

唯「えへへ」

紬「・・・」ニコニコ

澪(・・・あれ・・・私だけ掌に書いてもらった事ない・・・?)

律「テントは足りるのか?」

澪「姫子が一つ持っているんだって」

唯「持っていたんだ〜、意外だね」

律「意外だ・・・。さわちゃんが夏フェスで使ったヤツもあるからなんとかいけるか?」

純「食事はどうするんですか?」

澪「カレーだ!」

純「ですよね!」

梓「決定しちゃいましたね」

紬「・・・」トントトントン

梓「いえ・・・特に食べたいものがあるわけでもないですよ」

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276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 23:00:04.84 ID:qmEGUPh0o

唯「冷やしソーメンとか」キラン

憂「・・・夏にたくさん食べたよ」

純「それもいいかなと思った」

律「どっちでも楽しめそうだけどな」

澪「カレーだ!」

純「そうだそうだ!」

唯「いいや、ソーメンだよ!ざるそばも可!」

純「そうだそうだ!」

律「じゃあカレーソーメンだな」

純「・・・」シーン

律「最近こんなのばっかり」シクシク

紬「・・・」トントントトン

唯「・・・両方?」

紬「・・・」ニコニコ

律「私の案が通ったか」フフン

澪「それぞれ作るって意味だろ」

梓「なんで混ぜるんですか、危険ですよ」

純「そうだそうだ!食べ物を粗末にするなー!」

律「こんにゃろ!」グリグリ

純「調子に乗りすぎたっ・・・痛いですよ!」ジタバタ

憂「準備しなくちゃねお姉ちゃん」

唯「そうだね!」

紬「・・・」ワクワク

梓「学校終わって、出発ですよね」

唯「さわちゃん大丈夫かな」

澪「・・・うん」

律「さわちゃんチームと斉藤さんチームで別れようぜ」

紬「・・・」トントトントトン

律「・・・ごめん、もっかい弾いて」

紬「・・・」トントトントトン

律「さわ・・・子・・・おいっ!」

梓「さわ子先生チームに入るって事ですね」

紬「・・・」コクリ

澪「いや・・・斉藤さんチームでいてくれ」

紬「・・・」ションボリ
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277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 23:01:12.76 ID:qmEGUPh0o

憂「時間が時間ですから、先に向かうグループが料理というのはどうでしょう」

唯「採用です」

律「じゃあ斉藤さんチームか・・・この名称長くてめんどいな」

純「斉藤・・・サイトウ・・・サトウ・・・砂糖というのはどうでしょう」

唯「シュガーだね」

澪「さわ子先生は?」

純「山中さわ子・・・山中・・・さわ子・・・山というのはどうでしょう」

さわ子「却下よ!」

純「!」ビクッ

さわ子「山ってなによ!どれだけ端折るのよ!!」グリグリ

純「ご、ごめんなさい!」ジタバタ

律「どうしたんだよさわちゃん?」

澪「用事ですか?」

さわ子「・・・ゆっくりするのはいいけど、昼休みあと5分よ?」

律「うそっ!?」

唯「もうっ!?」

澪「まだ半分も食べてない!」

梓「私とむぎ先輩は食べ終えてますよ」

紬「・・・」

憂「ごちそうさまでした」

純「はやっ」

律「むしろ私らがおそっ」

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278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 23:02:37.77 ID:qmEGUPh0o


―――――放課後・廊下

純「〜♪」

憂「そんなにいい曲なの?」

純「いい曲というか・・・今の状況にあってるって感じ」

憂「歌詞が?」

純「そうだよ〜・・・って言っても最後の一箇所だけなんだけど」

憂「どういう歌詞なの?」

純「ラヴマイデイズ、ウィアインザレイズ」

憂「?」

律「愛しい日々、だらだら過ごした時間・・・だな」

純「律先輩知っているんですか?」

律「私も好きなんだよそのバンド、いいよな!」

純「いいですよね!」

憂「・・・」

律「夏に参加したライブでさ、中学生達が演奏していただろ?」

純「そうですそうです!コピってましたよね!」

律「あの演奏は微妙だったけど、なんかひっかかってな〜」

純「ありますよねそういうの!」

律「う、うん・・・」

憂(純ちゃんテンション高い・・・そんなに好きなんだね・・・)

律「じゃあな、部活頑張ってくるぜー!」

タッタッタ

純「もうちょっと深く話したかった!」

憂「まだ時間あるよ・・・」

純「・・・」

憂「だらだら過ごしてる?」

純「過ごしていた・・・だねー、私も部活行って来るよ。じゃあ、明日」

憂「頑張ってね〜」


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279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 23:03:54.34 ID:qmEGUPh0o

―――――夜・平沢邸

憂「・・・」

『非常に強い勢力を保ったまま北上しており・・・』

憂「・・・」

『今後の情報に注意してください。では次のニュース』

ピッ

憂「・・・外はこんなにしずかなのに・・・・・・」

ガチャ

唯「たっだいま〜」

テッテッテ

憂「おかえり〜」

唯「今日もたくさん練習したよ」

憂「おつかれ様・・・ご飯用意する?」

唯「うん、お願い〜」

憂「分かった・・・。天気どうだった?」

唯「うん?晴々していたよ」

憂「そっか・・・」

唯「台風来てるんだよね」

憂「うん・・・」

唯「なにも今こなくてもいいのに」

憂「はやく通り過ぎてほしいな・・・」

唯「だいじょうぶだよ〜」

憂「・・・明日のキャンプ、心配じゃない?」

唯「むぎちゃんが参加するんだよ?」

憂「ふふっ、そうだったね」

唯「あの旅を引き当てたくらいだから、台風なんかメじゃないよ」ウンウン

憂「ご飯の用意するから着替えてきてね」

唯「はいよ!」


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280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 23:05:10.00 ID:qmEGUPh0o

9月11日


―――――澪の部屋

ビュウウウウウウウウウ

ガタガタガタガタ

澪「・・・ぅん?」

ビュウウウウウウウ

澪「・・・朝・・・?」

シャー

澪「うわっ!」

ザアアアアアア

ビュウウウウウ

澪「うわー・・・」

ジリリリリリリリ

カチッ

澪「朝とは思えない暗さだな・・・」

ザアアアアアア

澪「この雨・・・」

pipipipipipipi

ピッ

澪「はい・・・」

『おはよ』

澪「おはよう・・・すごいな・・・風と雨」

『あぁ・・・キャンプ大丈夫かよ』

澪「キャンプの前に行く所あるだろ」

『・・・え?』

澪「学校だ・・・」

『・・・テレビ見てないのか』

澪「・・・今起きたから」

『つけてみろ』

澪「・・・?」

ピッ

澪「あ・・・」

『テロップ出てるだろ?』

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281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 23:08:19.39 ID:qmEGUPh0o

澪「うん・・・交通機関の運休・欠航・・って事は」

『休みだっ!』

澪「喜ぶ所じゃないだろ・・・」

『まぁな・・・でも、見方によればラッキーかもしれないじゃん』

澪「・・・どうして」

『午前中に通りすぎれば、キャンプに間に合う。学校が終わるより早く到着する』

澪「・・・なるほど」

『テルテル坊主作っとけよー』

澪「今から・・・?」

『なにもしないよりはいい!』

澪「分かった」

『そんじゃ後でなー』

澪「うん」

プツッ

澪「何年ぶりに作るんだろ・・・」

pipipipipipi

澪「・・・今度はメールか」

ピッピッ

『お昼に河川敷に集合!』

澪「唯の予報では晴れになるのか・・・」

ピッピッピッピ

『どうして河川敷なんだ?学校でいいんじゃないの?』

ピッ

澪「・・・とりあえず準備しておくか」

pipipipipipi

澪「おっと・・・」

ピッ

『さわちゃんが学校嫌だって』

澪「ふふ・・・教師が登校拒否してるみたいだな・・・」

ビュウウウウウウウウウ

ガタガタガタガタ

ザアアアアアアアアアア

澪「この台風はすごいな・・・」

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282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 23:16:03.45 ID:qmEGUPh0o

―――――昼・河川敷

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

紬「・・・」ヒヤヒヤ

憂「流れが凄いですね・・・」ゴクリ

姫子「・・・自然は侮れないね」

律「少し風が強いな・・・」

純「キャンプ地に到着する頃には落ち着いてますよ」

律「なんで分かるんだよ」

純「・・・女の勘です」

憂「使い方間違ってるような・・・」

澪「よいしょっ」ドサッ

唯「荷物載せたよっ!」

斉藤「それでは参りましょう」

紬「・・・」コクリ

唯律純「「「 お願いしまーす! 」」」

澪憂姫子「「「 お願します 」」」

ガチャ

律「うっしゃー、乗り込め乗り込めー!」

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283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 23:17:18.17 ID:qmEGUPh0o

純「よっしゃー」

姫子「凄いテンションだねぇ」

唯「自分だってワクワクしてるくせにぃ〜」ツンツン

澪「・・・」

憂「よいしょっ・・・」

バタン

紬「・・・」チラッ

律「・・・ん?」

澪「全員乗ったよ」

紬「・・・」コクリ

斉藤「それでは、出発します」

唯「ごーごー!」

純「レッツゴー!」

律「レッツゴーゴー!」

澪「このテンションのまま2時間持つのか・・・」

姫子「途中で飽きるんじゃないかな」

律「私らのテンションを見くびるなよ」フフン

憂「クスクス」

紬「・・・」ウキウキ

ブオオオオオオ


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284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 23:18:34.62 ID:qmEGUPh0o

―――――30分後・シュガー車

律「・・・」

純「・・・」

唯「・・・」

澪「はやっ!」

律「飽きたんじゃないぞ、体力を温存してるだけだ」

純「はい」

唯「そう・・・だよ・・・」

憂「お姉ちゃんは眠そうだね」

紬「・・・」ルンルン

姫子「紬はまだテンション高いみたいだよ」

律「むぎー、体力温存しておか・・・なくていいよこの子!」

澪「体力あるからな」

紬「・・・」フンス!

斉藤「音楽でもおかけしましょうか?」

純「じゃあクラシックお願します」

斉藤「かしこまりました」

ピッ

〜♪

紬「・・・」ルンルン

唯「」ウトウト

憂「・・・」

律「こら!」

斉藤「なんでしょう?」

律「斉藤さんじゃなくて・・・純!」

純「すいませんでした」

姫子「・・・」

律「まったく、これからキャンプだってのに落ち着いてはもったいないだろ」

純「そうですね、それではどのようなジャンルがいいでしょう」

律「それは唯が教えてくれる」

澪「キラーパス・・・」

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285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 23:20:36.75 ID:qmEGUPh0o

憂「お姉ちゃん」ユッサユッサ

唯「ぅ・・・ん・・・うん?」

憂「キャンプへ向かう時に聞く曲って何かな」

姫子「結構攻めるね、憂ちゃん」

紬「・・・」メモメモ

律「しっかり覚えるんだぞむぎ」

紬「・・・」コクリ

澪「なにをだ」

律「教えてやれ唯」

唯「姫ちゃんが聞いてる曲だよ〜」ムニャムニャ

姫子「えっ!?」

紬「・・・」メモメモ

律「なるほど、こういう手もあるのか」

純「なるほど〜」

憂「姫子さんは主にどんなジャンルを?」

澪「攻める攻める」

姫子「律に――」

律「パスはもう無しな」

姫子「――教えてもらった曲がこのプレイヤーに入っているんですけど、再生できますか」

澪「これは律に責任が回ったな」

律「ぐっ・・・」

純「なるほど〜」

斉藤「お嬢様、申し訳ありませんがお願します」

紬「・・・」コクリ

姫子「お願いね」

紬「・・・」

斉藤「そこの線・・・そうです」

紬「・・・」

ピッ

ダンッダンッダンッダンッ

純「おぉ、このバンド!」

律「あぁ、これかー」

紬「・・・」ルンルン

唯「」スヤスヤ

澪「・・・」
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286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 23:22:17.15 ID:qmEGUPh0o

a vapor tail disappears

I lost my feeling in the sky

憂「いいですね、曲調と外の天気が合っているような気がします」

律「合ってるなー」

姫子「・・・」ホッ

純「憂、このバンドだよ昨日言ってたの」

憂「最近お気に入りっていう・・・?」

純「そう」

姫子「いいよね、このバンド」

純「いいですよね!」

澪「あ、テンション戻った」

姫子「どうかな・・・紬?」

紬「・・・」グー

律「へぇ・・・むぎもこういうの聞くのか?」

紬「・・・」

斉藤「ボサノバの要素もありますから・・・そこが合っていると思われます」

紬「・・・」グー

澪(知らなかった・・・)

律(むぎの知らない部分ってまだあるんだな・・・当然か・・・)

憂「河川敷で話したバンドだよね?」

I could not see

純「そうだよ、アシッドジャズやダンスクラシックを取り入れたってヤツね」

any hope

姫子「へぇ・・・」

if I'd stay here

律「ここに留まっていても、何の希望もみえない・・・」

澪「・・・?」

唯「」スヤスヤ

律「・・・」

紬「〜♪」

律(重なるな・・・)

紬「・・・」ルンルン

    so take me higher
律(もっと高くヘ連れていってくれ)

 to get back the song I lost
律(失くした歌を取り戻す為に)
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287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 23:23:46.55 ID:qmEGUPh0o

―――――1時間後

紬「・・・」

律「・・・むぎ?」

紬「・・・?」

律「なにか見えるのか?」

純「未確認飛行物体とか」

紬「・・・」スッ

律「あぁ・・・晴れてきてるな」

澪「台風一過だな」

姫子「うん、いいタイミングに晴れたね」

純「これならキャンプ地は乾きますよね」

斉藤「それはどうでしょう・・・結構な雨でしたから」

澪「うん・・・バケツをひっくりかえしたような雨だった」

律「台風一家・・・」

澪「・・・はいはい」

姫子「?」

律「・・・」

純「どうして繰り返して言ったんですか律先輩」

律「うるさいっ」

紬「・・・?」

澪「むぎも気づいていないのか」

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288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 23:24:44.60 ID:qmEGUPh0o


姫子「どういう事?」

純「台風にもお父さんとお母さんが」

律「ボケを説明するなぁ!」

紬「・・・」コクコク

姫子「・・・」

憂「」スヤスヤ

唯「」スヤスヤ

ドルルルルルルル

姫子「あ・・・」

澪「ん?」

姫子「女性ライダーだよ」

純「おぉ、かっこいいバイクだ」

律「どれどれ・・・マジだ・・・かっこいいな」

姫子「・・・気持ち良さそう」

紬「・・・」

律「太陽出てきてるからな」

ドルルルルルルルル・・・

澪「ぐんぐん伸びていったな・・・」

憂「」スヤスヤ

唯「」スヤスヤ

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289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 00:31:39.71 ID:/tE7ZYkDo

―――――2時間後

澪「起きて、二人とも」

憂「・・・ぁ」

唯「・・・ぉ?」

律「そろそろ着くぞ〜」

姫子「雲も少なくなってきたね」

律「純の女の勘とやらも・・・捨てたもんじゃないってことか・・・」ゴクリ

紬「・・・」キラキラ

斉藤「・・・えぇと・・・山中様は・・・」

純「あ、梓がいたっ!」

斉藤「では、そちらへ・・・」

律「梓も運が悪いなー」

純「そうですね」

澪「・・・くじだからしょうがないけど」

斉藤「到着致しました」

ガチャ

純「ありがとうございましたー!」

澪「ありがとうございました」

律「ありがとー!」

憂「・・・ありがと・・・うござ・・・まし・・・」

唯「うい〜、ちゃんと目を覚まさないと危ないよ〜」

和「寝ていたの?」

唯「えへへ」

憂「・・・」ボケー

律「到着!」

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290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 00:32:21.16 ID:/tE7ZYkDo

梓「純があのくじ作ったんだってね」

純「そうですよ」

梓「・・・」

純「私は悪くない!」

梓「自分の引きが弱かっただけ・・・誰も責めてはいないよ・・・」フッ

純「ご、ごめんなさい」

梓「・・・帰りもくじ・・・?」

純「そう・・・なります・・・かね・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」イソイソ

梓「手伝います!」

斉藤「場所を確保しておいてくれますか?そちらへ荷物を運びますから」

律「よっしゃー、行こうぜむぎー!」

澪「よし!」

純「いい場所を確保したいなー」

姫子「先ずは下見だね」

紬「・・・」ダッ

タッタッタ

梓「むぎ先輩まってください!」

和「・・・」ダッ

タッタッタ

姫子「和まで・・・」

唯「あれ、りっちゃんたちは〜?」

憂「・・・あ、到着していたんだね」

斉藤「皆様向こうへ行かれましたよ」

唯「えー!?」

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291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 00:33:12.13 ID:/tE7ZYkDo


―――――山中さわ子班


いちご「料理班がいい・・・」

風子「仕方ないよ、くじで決まった事だから」

信代「そうだぞ、諦めて木の枝を集めようじゃないか」

春子「なんで木の枝を・・・」

信代「姫子と澪が言ってたでしょ」

風子「湿った枝で焚き火をするとすぐに火が落ちるから、早めに集めて天日干しするって」

春子「雑誌で得た知識か・・・」

いちご「・・・」スィー

信代「ちょいまち」ガシッ

いちご「・・・テント設営班なんて聞いてない」

信代「しょうがないな・・・あっちの班の誰かと変わってもらうといい」

いちご「・・・うん」

スタスタ

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292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 00:34:35.11 ID:/tE7ZYkDo

―――――シュガー班


唯「さわちゃんは〜?」

律「あれ・・・いないな」

いちご「帰ったよ」

澪「え!?」

梓「正確には一度戻った、です」

紬「・・・?」

梓「学校で用事をすませてくるそうです」

紬「・・・」コクコク

純「大変ですね・・・片道2時間ちょっとの距離なのに・・・」

憂「・・・うん」

律「こら・・・梓といちごはテント設営班だろ」

いちご「誰か変わって・・・」

紬「・・・」ズバッ

いちご「変わってくれるの?」

紬「・・・」キリ

いちご「・・・ありがと」

梓「それじゃあ私も設営班に戻ります」

純「え・・・サボってたの?」

梓「サボってないよ、荷物運びしたから」

憂「・・・うん・・・そうだね」

唯「姫ちゃんと和ちゃんがいないよ」

澪「買出しだよ、斉藤さんと」

梓「あれ・・・、むぎ先輩は?」キョロキョロ

律「とっくに設営に向かったぞ」

梓「もぅ!」

テッテッテ

いちご「・・・あの子・・・紬さんの傍によくいる」

律「まぁ・・・尊敬してんだろ」

澪「・・・うん」

いちご「・・・」

憂「・・・ふぁ」トントントントントン

純「あくびしながら見事な包丁裁きで・・・」

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293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 00:35:22.93 ID:/tE7ZYkDo

唯「あいたぁ!」

澪「ヒィ!」

唯「皮擦りむいちゃった」

澪「聞こえない聞こえない」ガタガタ

律「邪魔だなぁ・・・」

いちご「・・・」スラスラスラスラ

純「見事な皮剥きです!」

律「・・・嘘だろ・・・?」

いちご「・・・どうして?」

律「・・・すまん、みくびってた」

いちご「?」

律「いちごのキャラはそんなんじゃないと思ってた」

いちご「む・・・」

唯「あっつー!」

憂「お、お姉ちゃん・・・まだ火を点けちゃダメだよ」

唯「えへへ、やってみたくて〜」

澪「唯はあぶなっかしくて見てらんない」ブルブル

律「あなたたち二人設営班に行ってくれませんかね」

唯「どして〜」ブー

澪「な、なんでだよ」

律「邪魔だ!」

唯澪「「 」」ガーン

純「ひどい事いいますね」

律「で、純はなにをやってんだよ」

純「全体の状況を」

律「行って来い!」

純「な、なにかやりますよ」

律「今は下準備だから手は足りてる、後で手伝ってくれ」

純「うぅ・・・」

憂「・・・」トントントン

いちご「・・・」スラスラスラスラ

律「・・・」トントントントン

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294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 00:36:46.49 ID:/tE7ZYkDo


―――――設営班


紬「・・・」

梓「薪はこんなもんでいいですかね」

唯「そだね〜」

信代「結構集まった」

風子「多すぎるんじゃないかな」

春子「余って困る事はないからいいんじゃない?」

澪「・・・よし、次はテントを張るか」

純「地盤ぬかるんでません?」

紬「・・・」コクリ

澪「まだ早いか・・・」

梓「夕方まで待ってみませんか?」

唯「そうしましょう!」

純「それまでどうしましょう」

風子「あれ、料理班は三人?」

純「そうですよ」

春子「ちょっとまて!律はどこだよ!!」

信代「ま、まさか」

澪「そのまさか・・・です」

信代「」

春子「」

唯「絶句だよね」ウンウン

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295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 00:37:30.48 ID:/tE7ZYkDo

―――――買出し班


キキッ

斉藤「到着致しました」

ガチャ

姫子「ありがとうございました」

和「ありがとうございました」

斉藤「いえいえ」

和「よいしょ」ガサガサ

姫子「・・・」

和「言っておくけど・・・私が、じゃないわよ」

姫子「・・・分かってるよ。唯のために買ったんでしょ、花火」

和「・・・」

斉藤「お荷物大丈夫ですか?」

姫子「大丈夫ですよ」

和「えぇ、そんなに重くはありませんから」

斉藤「そうですか。・・・それでは参りましょう」

和「色々と手伝ってくれてありがとうございます」

斉藤「いえ・・・」

姫子「あ、見て和・・・」

和「バイク?」

斉藤「こちらへ向かう途中に追い越して行った型のようですね」

姫子「はい・・・。運転していた人もここにいるんだ」

和「あ、見て姫子」

姫子「人?」

「・・・」

斉藤「倒れていますね」

和「行き倒れかしら」

姫子「・・・大変な事なんだけど」

「・・・うぅ」

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296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 00:38:27.08 ID:/tE7ZYkDo


姫子「・・・」

和「その格好暑くないですか?」

「・・・うぅ?」

和「日陰で寝たほうがいいですよ」

「・・・うぅ」

斉藤「どうなされましたか?」

「・・・うぅ」

和「どうしたものかしら・・・」

グギュルル

「・・・ぅう」

和「お菓子でよければ」

ガバッ

「ください!」

姫子「び、びっくりした」

和「・・・チョコですけど」

「ありがとー!」

斉藤「お腹が空いていただけのようですね」

「うまうま」ムシャムシャ

和「・・・」

姫子「・・・」

「はぁ〜、助かったー」

斉藤「なによりです」

「お店があるだろうと探していたんだけど、見当たらなくて大変だったよ」

和「・・・この辺りは自然が多いですから」

「そうそう、いくら走っても緑ばっかりで」

和「もう一度聞きますけど、暑くないですか?その格好」

「うん・・・。バイクで走っているといいくらいだよ」

姫子「・・・」

和「やっぱり・・・あなたがあのバイクの持ち主なんですね」

「そうだよ。私の名前は滝沢玉恵・・・24歳独身、よろしくー!」

姫子「・・・」

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297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 00:39:18.01 ID:/tE7ZYkDo

―――――料理班


和「みんなは?」

憂「湖の方へ行ったよ」

姫子「そこでなにを・・・?」

梓「泳ぐと言っていました」

憂「止めたんですけど・・・」

玉恵「おいしそうなにおい〜」クンクン

梓「え、と・・・?」

玉恵「お呼ばれしました」

和「一人分くらいは余るわよね?」

憂「うん、斉藤さんと山中先生の分もあるから大丈夫だよ」

斉藤「・・・私はこれで失礼します。せっかくのご招待を無下にしてしまい申し訳ありません」

憂「そうですか・・・」

斉藤「明日のお昼にお迎えにあがります。紬お嬢様にお伝えください」

玉恵「・・・」

和「ありがとうございました」

斉藤「それではこれで・・・」

梓「斉藤さん・・・お聞きしたい事が・・・」



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298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 00:44:16.03 ID:/tE7ZYkDo

―――――・・・

玉恵「執事さんだったんだ・・・」

梓「そうですよ」

玉恵「・・・ふーん」

和「どうかしたんですか?」

玉恵「なんでもない。というか、敬語はやめようよ〜、私たちこれで最初で最後なんだから
   伸び伸び会話しよう!」

梓「ふふっ」

憂「!」

和「分かりました」

姫子「・・・」

玉恵「滝沢玉恵です。よろしく」

梓「中野梓です」

憂「平沢憂です。よろしくおねがいします」ペコリ

玉恵「れ、礼儀正しい・・・!」

姫子「・・・」

玉恵「和ちゃん達は高校生だよね?」

和「そうです。クラスメイトと後輩達とここへキャンプをしにきました」

玉恵「いいな〜そういうの」

姫子「・・・」

憂「姫子さんも湖へ行って来てはどうですか?」

姫子「う、うん・・・」

玉恵「私が見張りしているから憂ちゃんも行ってきていいよ」

梓「つまみ食いしませんよね?」

玉恵「ま、まさか・・・」

梓「どもったじゃないですか」

憂「まだダメですよ〜」

和「私が見張っているから平気よ」

玉恵「食べないって」

姫子「じゃ・・・行ってくる」

梓「お願します」

憂「すぐ戻ってくるからね」

和「えぇ」

玉恵「ごゆっくり〜」フリフリ

姫子「・・・」

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299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 00:49:09.58 ID:/tE7ZYkDo
今日はここまでにします

VIPで立てたのは前作読んでくださった方見つけてもらおうという宣伝目的だったんです
すぐ見つけてくれてびっくり
あっちで2時間半かかったものが、こっちでは15分で済みました びっくり

続きは明日の夕方になります
読んでくださった方ありがとうございました! おやすみなさい!!
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300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 06:26:19.80 ID:XWqGPhMwo

姫子パパがさりげなく重要な役でワロタ
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301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 13:08:47.57 ID:0+fqFW5Ao
なんとかハッピーエンドで…
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302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:33:06.22 ID:/tE7ZYkDo

姫子「知り合い・・・じゃないよね?」

梓「玉恵さんですか?」

姫子「・・・うん」

憂「初対面です」

姫子「すごく馴染んでいたから」

梓「きっとそういう人なんですよ。誰にでも気軽に接して、接して欲しいから壁なんて最初からなくて」

憂「そうだね」

姫子「・・・」

梓「うわっ!みんな、もう泳いでる!」

憂「水着持ってきていたんだ・・・」

姫子「・・・」

梓「えいっ」ズババッ

憂「水着着ていたんだ・・・」

梓「先に行ってるから!」

タッタッタ

憂「はいは〜い」

姫子「・・・」

憂「湖があるのは知っていたけど、泳げる事は知らなかったのに」クスクス

姫子「・・・」

憂「お姉ちゃんも楽しそう」ニコニコ

姫子「・・・なんか、あの子・・・梓ちゃんと私には人生経験の差を感じたな」

憂「?」

姫子「さっきの人との会話を聞いててさ、私はなりゆきをみていただけ」

憂「・・・」

姫子「和と、憂ちゃん、梓ちゃんの三人と玉恵さんとのやりとりを
   一人外から眺めている・・・そんな気分だった」

憂「そうですか・・・」

姫子「変だよね・・・、疎外感じゃないけど、前から知り合いのような雰囲気を持った4人が少し羨ましかった」

憂「私は・・・梓ちゃんが玉恵さんにすぐ気を許したから、打ち解けられたんだと思います」

姫子「・・・なんか不思議な子」

憂「私は知っていますから・・・普通だと思います」
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303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:34:45.37 ID:/tE7ZYkDo

姫子「知っている・・・?」

憂「あ・・・夏に出会った人がいて・・・その人と梓ちゃん、とても楽しく旅をしていたんです
  その人に似た雰囲気だから、玉恵さんとも馴染めたんだと思います」

姫子「・・・」

いちご「・・・」

憂「ごめんなさい。知らない話を・・・」

いちご「・・・玉恵さんって?」

玉恵「私」モグモグ

いちご「ッ!?」ビクッ

憂「あ、食べてるじゃないですか〜」

玉恵「おいしいよ、この冷やしソーメン」ズルズル

憂「みなさんと一緒に食べましょう」

姫子「・・・」

いちご「・・・」ドキドキ

玉恵「うん、そうだね・・・。お茶碗置いてくる」

スタスタ

憂「・・・やっぱり似てる」クスクス

姫子「いちごはどうしたの?」

いちご「ぇ・・・え?」ドキドキ

憂「・・・?」

姫子「泳がないの?」

いちご「・・・水の中冷たくて、少し日光浴」

憂「台風過ぎた後なのに、今日も日差しが強いですね」

姫子「多分、最後の日差しかもしれないね」

いちご「・・・」

憂「そうですね・・・私も遊びたかったな」

姫子「・・・」

いちご「・・・」

憂(・・・ビーチ・・・湖バレー・・・?)

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304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:35:17.24 ID:/tE7ZYkDo


唯「りっちゃーん、パース」ポンッ

律「よっしゃー!」ポンッ

梓「むぎ先輩!」

紬「・・・!」ポンッ

春子「っしゃー!」バシッ

澪「ちょっ!」

ボフッ

澪「っ!」

バッシャーン

純「大丈夫ですか!?」

律「倒れただけだ、心配はいらねえ」

澪「りつー!」バシッ

律「私じゃないだろ!」ポンッ

風子「そろそろこっちにもボールを回してほしいんだけどなぁ〜」

信代「突っ立ってるだけだよ私たち」プンスカ

唯「それじゃボールもう一個追加だよっ」ポーン

梓「面白いですね」ポンッ

澪「りつー!」バシッ

律「そんな攻撃でやられるほどヤワじゃ」

春子「りつー」バシッ

律「ずりぃ!」ポンポンッ

純「対応しましたね」

風子「きたきた」

信代「よしよし」

スッ

紬「・・・!」バシッ

サッ

唯「それっ!」バシッ

風子信代「「 うーん・・・ 」」


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305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:35:56.71 ID:/tE7ZYkDo

姫子「みんな一生懸命楽しんでるって感じ」

いちご「・・・うん」

憂「・・・」

姫子「・・・」

いちご「・・・」

憂「姫子さん・・・」

姫子「?」

憂「梓ちゃんと、その人を紡いだのは・・・紬さんですよ」

姫子「・・・そうなんだ」

憂「はい」

いちご「・・・尊敬しているって・・・そういう事なのかな」

姫子「・・・?」

憂「・・・」

玉恵「ごめんね、憂ちゃん・・・勝手に食べちゃって」

憂「いえ、おいしいって言ってくれて嬉しかったです」

玉恵「本当においしかったよ」

憂「えへへ、・・・私、和さんの所へ行ってきますね」

玉恵「うん」

いちご「・・・」

憂「反省する所とか、すっごく似ています」ヒソヒソ

テッテッテ

姫子「・・・」

玉恵「みんな楽しそうだね〜」

いちご「・・・」

玉恵「キミは行かないの?」

いちご「・・・今は嫌」

姫子「なんか・・・ボールのぶつけ合いになってるからね・・・」

玉恵「あはは」

いちご「・・・」

姫子「・・・」

玉恵「いい所だここは〜」ゴロン

姫子「・・・」

いちご「・・・」

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306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:36:33.84 ID:/tE7ZYkDo


玉恵「・・・寝ちゃいそう・・・・・・」ウトウト

『とても楽しく旅をしていたんです』

姫子(けいおん部が変わった理由がそこにあるのかも・・・いや、ある)

玉恵「・・・ふぁ〜」

いちご(なんで私たち三人並んで座っているんだろ・・・一人は知らない人)

姫子「あの・・・玉恵さん?」

玉恵「ぅん?」

姫子「えっと・・・その・・・バイクに乗って・・・どう変わりましたか?」


―――――・・・

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307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:37:14.88 ID:/tE7ZYkDo

―――――設営班

律「ねみぃ・・・」

唯「眠いよ・・・」

澪「ダメだぞ!」

風子「テント立てるよ!」

信代「そうだ!」

純「なんか怒ってます?」

風子「そんな事ないよ!」

信代「ないよ!」

純「怒ってますね・・・」

紬「・・・」

梓「こうですか?」ググッ

紬「・・・」コクリ

梓「では行きます、せーっの!」

ボンッ

春子「お、いいぞー」

澪「そのままそのまま」

紬「・・・」ググッ

バサー

梓「あっ」

唯「あらら」

律「うまくいかねえな」

澪「手伝わないからだろ」

律「立て方分かんねーよ」

唯「・・・うん」

風子「説明書読んでも要領得ないね」

信代「力はいらないんだけどなー」

玉恵「そこで私の出番ですよ」フフン

紬「・・・?」

梓「さきほど出会いました、滝沢玉恵さんです」

紬「・・・」ペコリ

玉恵「よろしく〜」

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308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:38:02.97 ID:/tE7ZYkDo

律「・・・出番って?」

玉恵「これくらいのテントなら私に任せてよ」ドン

澪「頼りになる!」

唯「お手並み拝見といきましょうか」フンッ

律「なんで偉そうなんだよっ」

風子「・・・」

春子「・・・」

信代「・・・」

玉恵「それじゃそこの・・・えぇと・・・」

純「鈴木純です。よろしくお願します」

玉恵「よろしくね。えぇと髪の毛ボンバーな子」

純「自己紹介したでしょ!」

玉恵「そこを・・・えぇと・・・」

澪「田井中律です」

律「田井中律は私だ。あなたは秋山澪だ」

玉恵「澪ちゃんはそこを持ってて」

澪「はい」

玉恵「よいしょっと」

唯「おぉ・・・それらしくなったよ!」

律「あとはなんとなく分かるな」

玉恵「そう?」

澪「はい、大丈夫です」

紬「・・・」フンス!

梓「純・・・そっちお願い」

純「任せとけ!」

春子「・・・」

信代「・・・」

風子「・・・手伝えないまま出来上がってしまうよ」

春子「手伝うよー!」

信代「出遅れてしまう」


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309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:38:58.38 ID:/tE7ZYkDo

紬「・・・」

コンコンコン

梓「おっけーです、むぎ先輩」

紬「・・・」コクリ

唯「出来た!」

玉恵「立派なもんだね」

律「そんじゃ私はあっちへいくから、次のテントも頼んだぞ〜」

澪「私も料理班だ」

唯「おぉっと、私もだよ」

純「あ、私もだ・・・」

律「戻るか」

スタスタ

信代「・・・え?」

風子「どうしたの?」

信代「私と紬・・・風子、春子、梓ちゃんの5人?和は?」

紬「・・・?」

春子「そろそろ来るんじゃないか?」

梓「そうです。次立てましょう」

玉恵「手伝おうか?」

梓「というか、玉恵さんはどうしてここにいるんですか」

玉恵「和ちゃんに『働かざるもの食うべからず』って言われたんだよ〜」

和「そういう事ね」

梓「なるほど・・・いえ、そうじゃなくてですね」

風子「和さん・・・自然に混ざった・・・」

紬「・・・」ニコニコ

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310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:39:39.14 ID:/tE7ZYkDo

玉恵「なぁに?」

梓「玉恵さんの予定はどうなんですか・・・って意味ですよ」

紬「・・・」コクコク

玉恵「あぁ、私も今日はここでテント張って寝るから気にしないでいいよ」

春子「バイタリティある人だな」

玉恵「ありがと」

和「褒めてないけどね」

玉恵「褒め言葉だよ今の!」

風子(和さんも打ち解けてる・・・)

梓「陽が傾いてきましたから急ぎましょう」

和「えぇと・・・どうやるの?」

玉恵「紬ちゃん、そっち持ってくれる?」

紬「・・・」ビシッ

玉恵「そこを・・・えぇと、髪を両方結って」

梓「自己紹介しましたからね」

玉恵「・・・梓ちゃんはそこ持ってー」

梓「やる気だしてください」

玉恵「ボケを潰されたんだよ、やってらんないよ」ツーン

梓「いいですから、次の指示を」

玉恵「もぅ・・・。和ちゃんそっちを・・・うん。・・・よいしょっと」

信代「おぉ・・・形になってきた」

和「的確な指示ね・・・」

玉恵「そこを・・・えぇと・・・」

風子「風子です」

玉恵「ふぅちゃんお願い」

風子「・・・は、はい」テレッ

春子「リアクションおかしくない?」


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311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:40:07.49 ID:/tE7ZYkDo

―――――・・・


紬「・・・」

コンコンコン

梓「・・・」

紬「・・・」フゥ

梓「出来ましたね」

信代「紬といちごを交換してよかったな」

風子「うん」

春子「さて、料理班を覗いてくるか」

紬「・・・」スタスタ

和「?」

シャー

紬「・・・」モゾモゾ

風子「?」

モゾモゾ

信代「え?」

春子「どうして中に入ったのあの子」

梓「恒例行事みたいなものです」

和「行事なの?」

梓「夏フェスでテントを立てたときもやったんです」

風子「へ、へぇ・・・」

梓「玉恵さんは・・・?」

和「いないわね・・・自分のテントでも張りに行ったんじゃないかしら」

梓「手伝ってきます」

風子「どこ行ったか分かるの?」

梓「一緒にご飯食べるといいましたから、その辺だと思います」

テッテッテ

紬「・・・?」ヒョコ

和「梓なら玉恵さんの所へ行ったわよ」


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312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:40:54.70 ID:/tE7ZYkDo

―――――料理班


梓「どうしてここにいるんですかっ!?」

玉恵「へ?」

梓「・・・」

和「落ち着いて梓・・・玉恵さんのテントはあれよ」

純「近ッ!!」

玉恵「ん?」

律「てか、なんでこの人が自然に混ざり合ってんだよ」

玉恵「だ、ダメ?」

律「ダメじゃなくて・・・なりゆきを説明して欲しいんだが」

澪「そうだな・・・」

玉恵「お腹が空いてて・・・食材も手に入らなくて」ションボリ

和「だからよ」

純「短ッ!!」

姫子「いいじゃん、一緒に食べよう」

玉恵「姫ちゃん良い子だね〜」ホノボノ

姫子「はぁ・・・玉恵さんまで・・・」

唯「私悪くないよ〜」

憂「澪さん、山中先生はいつごろ到着しますか?」

澪「あと一時間くらいかな」

律「丁度いいな」

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313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:41:27.61 ID:/tE7ZYkDo

唯「さわちゃんだけ置いてけぼりはかわいそうだもんね」

玉恵「さわちゃん?」

純「先輩方の担任の先生です」

玉恵「仲がいいね〜」

唯「でっへっへ〜」

信代「紬は・・・?」

風子「・・・いないね」

梓「どこへ・・・?」

いちご「・・・あっちでボンヤリしてる」

梓「・・・」

春子「どうしたんだろ?」

梓「ちょっと散歩してきます・・・30分くらいで戻ってきますから」

風子「うん・・・分かった」

唯「・・・」ヒョイ

ポチャン

憂「お姉ちゃん!」

唯「でへへ」

いちご「・・・何を入れたの?」

唯「チョコだよ、隠し味だよ」

律「ルーを入れる前にいれやがった・・・」

唯「麦チョコだよ、むぎちゃんだけに」


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314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:42:02.78 ID:/tE7ZYkDo

梓「むぎ先輩」

紬「・・・?」

梓「なにが見えるんですか?」

紬「・・・」スッ

梓「キレイな夕焼けですね」

紬「・・・」コクリ

梓「台風のせいで・・・いえ、台風のおかげで空気がキレイになったんですね」

紬「・・・」ニコニコ

梓「湖まで散歩しませんか?」

紬「・・・」コクコク

梓「では行きましょう」

タッタッタ

澪「私も行くよ!」

梓「行くです」

紬「・・・」ニコニコ


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315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:43:11.45 ID:/tE7ZYkDo

玉恵「ちょっとこっちきて」カムカム

律「なんだよ?」

玉恵「澪ちゃんの事で聞きたいことが」

律「・・・」

純(なんだろ、ついて行ってみよう)

和「・・・」

スタスタ

玉恵「律・・・ちゃん・・・」

律「その呼び方は・・・」

玉恵「じゃあリッチャンでいい?」

律「あ、あぁ・・・」

玉恵「・・・澪ちゃん・・・ちょっと頑張りすぎてない?」

律「・・・どうしてそんな事が言えるんだよ」ムッ

玉恵「・・・笑顔が・・・不自然になる時がある」

和「・・・」

純「・・・」

律「むぎの事情知ってんだろ?」

玉恵「うん・・・、梓ちゃんと執事さんが話しているのを聞いたから」

律「あんたに・・・澪のなにが分かるんだよ」

玉恵「怒った?」

律「ちょっとな」

玉恵「怒らせちゃったついでにちゃんと言うよ」

律「なんだよ」

玉恵「そのうち転ぶよあの子」

律「っ!」

玉恵「梓ちゃんは前を向こうとしている」

律「知ってるよ」

玉恵「澪ちゃんは足元を見ている」

律「知ってるって!!」

純「!」ビクッ

和「・・・」

玉恵「・・・」

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316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:43:39.19 ID:/tE7ZYkDo

律「・・・っ」

玉恵「・・・意味分かるでしょ?」

律「あぁ・・・!」

玉恵「足元を見ていたら迫ってくる壁には気づかないんだよ」

律「・・・」

玉恵「壁に弾かれて転ぶんだ」

純「・・・」

和「・・・」

玉恵「・・・」

律「私と澪は一緒なんだよ・・・」

玉恵「そっか・・・」

律「・・・足元を見ていないと、しっかり立てないんだよ・・・私たちは」

玉恵「・・・」

純「・・・」

和「・・・」

玉恵「私はね・・・前を見ないで、足元すらみないで歩いてて、壁にぶつかって、
   転んで、その壁が倒れてきて・・・潰されたんだよ」

律「っ!」

玉恵「なんちゃって、潰されそうだった」

和「どういう事ですか?」

玉恵「バイクがあったから・・・そのバイクに乗って旅をする事ができたから」

律「・・・」

純「・・・」

玉恵「・・・倒れてくる壁から、なんとか避けられたのかな〜」

律「なんだよそれ」

玉恵「うまい喩えだったでしょ」

律「知るかっ」

純「・・・」ホッ

和「・・・」

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317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:44:45.76 ID:/tE7ZYkDo

―――――湖

澪「・・・」

紬「・・・」ボケー

梓「・・・」ボケー

澪(私だけ違うところにいるみたいだ・・・)

紬「・・・」

梓「・・・」ボンヤリ

澪「・・・」

紬「・・・」チョンチョン

澪「ん?」

紬「・・・」

梓「?」

澪「・・・どうした?」

紬「・・・」

ギュ

澪「・・・」

紬「・・・」スラスラ

澪(ど・・・う・・・し・・・た・・・の・・・)

紬「・・・」

澪「・・・たそがれているだけだよ」

梓「・・・」

紬「・・・」スラスラ

澪「・・・?」

紬「・・・」アセアセ

梓「・・・」

紬「・・・」スラスラ

澪「・・・ごめん・・・分からない・・・」

紬「・・・」フリフリ

澪「ごめん・・・」

紬「・・・」スラスラ

澪「・・・っ」

梓「むぎ先輩、私にも書いてくれませんか?」

紬「・・・」コクリ

ギュ

澪「・・・」フゥ
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318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:46:04.05 ID:/tE7ZYkDo

紬「・・・」スラスラ

梓「・・・これ、漢字じゃないですか?」

紬「・・・」コクリ

澪「え・・・」

梓「澪先輩はひらがなだと思っていたはずですよ」

紬「・・・」ウッカリ

澪「・・・」

梓「もう一度書いたら分かると思います」

紬「・・・」

ギュ

澪「・・・っ」

紬「・・・」スラスラ

澪「黄・・・?」

紬「・・・」スラスラ

澪「昏・・・黄昏・・・?」

紬「・・・」キラキラ

梓「さっき、澪先輩がたそがれているって言ったから、今の時間の黄昏時をかけたんですよ」

紬「・・・」フンス!

澪「黄昏時にたそがれている私・・・」

紬「・・・」キリ

澪「ぷっ・・・」

梓「・・・」

澪「あっはっはっは」

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・ふふっ」

澪「なんだそれ・・・ふふっ・・・あははっ」

紬「・・・」フフン

梓「いえ、むぎ先輩の言った事が面白かったわけではないと思いますよ」

紬「・・・」ガーン

梓「しょうがないですね」

澪「ふふっ・・・ダメだっ・・・笑ってしまうっ」

紬「・・・」プクー

梓「・・・」

澪(よかった・・・聴こえた・・・。諦めず伝えてくれてありがとう、むぎ)

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319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:47:28.05 ID:/tE7ZYkDo

―――――料理班


轍「うわっ!本当にいる!」

唯「あ、うまさんだ」

憂「あ・・・」

轍「しかもいっぱい人がいるっ!」

姫子「・・・思い付きから始まったイベントですけど」

春子「誰・・・?」

風子「・・・誰?」

いちご「・・・」

轍「思いついたの二日前だよね・・・?」

唯「実行力を甘く見ない事ですよ」フフン

轍「すご・・・」

憂「ビックリしてるね」

姫子「よくよく考えたらビックリするもんだけどね」



・・・・・・



玉恵「まだなのさわちゃんは」

律「もうそろそろじゃねえか?」

純「あと10分くらいですね」

玉恵「まだまだじゃない・・・うそつき」

律「いやいや、どんだけ時間間隔離れてんだよ」

和「あれ・・・って・・・相馬さん?」

玉恵「え・・・?」



・・・・・・



轍「あぁ、炊事施設そろっていたなここは」

唯「そう教えてくれたよ」

轍「俺は生活用具持参しているから使わないんだ」

憂「昨日の夜ってどう過ごしたんですか?」

轍「屋根があるところに泊まったんだ」

姫子「あれでテント張っていたら・・・よほどの物好きですよね」

風子「物好きって話ではすまないよ・・・」

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320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:48:49.08 ID:/tE7ZYkDo

律「なんだよ来てたのか」

轍「話をしてくれるって言っていたような・・・」

いちご「話・・・って・・・?」

律「私らが行った旅の話だ」

玉恵「・・・」コソコソ

和「?」

純「どうしたんですか、玉恵さん?」

玉恵「純ちゃん、しーっ」

轍「・・・?」

姫子「旅の話聞きたい」

いちご「聞きたい」

唯「言いたい」

風子「聞きたい」

春子「聞きたい」

さわ子「ご飯できた〜?」

玉恵「そうそう、ご飯食べようってあなたは誰・・・?」

さわ子「こっちの台詞ですよ」

玉恵「わ、わたしは・・・えと、山田・・・たか子です」

律「誰だよあんた・・・」

轍「・・・???」

唯「どしたの、うまさん?」

轍「いや、どこかで見た顔・・・?」

和「こちらは、私たちの担任の山中さわ子先生です」

さわ子「よろしく」

玉恵「よろしく〜」

和「さきほど出会いまして、テント設営に協力してくれたお礼に、一緒にご飯を食べる事になった」

玉恵「山根・・・真綾です」

律「本当に誰だあんた・・・」

轍「・・・」

和「滝沢玉恵さんです」

玉恵「えへっ」

唯「かわいいよ!」

轍「あぁーっ!!」

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321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:49:57.42 ID:/tE7ZYkDo

玉恵「ひ、ひさしぶりー」

轍「なんでここにいるんだよ玉恵!」

玉恵「旅に来てるからだよ」

轍「そんな事知らねえよ!」

玉恵「摩周湖へ行くって言ったから退いたんだよ私は」

轍「退いたって言わないね、スッポかしたって言うんだよ!」

玉恵「昔の話じゃん〜」

轍「あ の な !」

玉恵「会いたかったの?」

轍「違う!旭川でどれだけ待ったと思ってるんだよ!」

律「痴話げんかか・・・」

唯「ふむふむ」メモメモ

玉恵「なにをメモってんの唯ちゃん?」

唯「ん?彼女さんに報告するんだよ」

轍「しなくていいよ!って、やましい事もないよ!!」

玉恵「へぇ〜」ニヤリ

轍「なんだよ」

玉恵「よかったねぇ」ポンポン

轍「うっさい」

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322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:50:24.28 ID:/tE7ZYkDo

律「旭川?」

唯「摩周湖?」

轍「・・・『俺は』北海道の道東を旅していたんだよ」

玉恵「『私たちは』北海道を旅していたんだよ」

轍玉恵「「 4年前に 」」

律「・・・」

唯「でっかいどー・・・」

さわ子「唯ちゃん、むぎちゃん達呼んできてくれる?」

唯「ん?」

さわ子「ご飯の準備できたわよ」

律「いつの間に!?」

さわ子「そこの二人が騒いでいる間にね。後はよそうだけ」

玉恵「やった〜」

轍「・・・よかったな」

スタスタ

さわ子「あら・・・?」

律「ん?」

さわ子「相馬さんの分も用意するつもりだけど・・・いらないのかしら」

律「・・・呼んでくる」

タッタッタ

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323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:51:39.90 ID:/tE7ZYkDo



律「手際がいいな」

轍「まぁね」

律「あっという間にテント完成だ」

轍「好きでやってることだから、慣れたもんだよ」

律「・・・いいのか?」

轍「うん・・・あの中で男が俺一人ってのも居心地悪いからさ」

律「準備してあるって言ってるぞ」

轍「・・・悪いね」

律「無理強いはしないけどさ、多分、最後のチャンスだぞ」

轍「最後?」

律「私は前を向く為に、あの夏の旅は封印する」

轍「・・・」

律「玉恵ちゃんに言われた・・・。『足元をみていたら壁にぶつかって転んでしまう』って」

轍「そんな事言ってたのか・・・」

律「みんな聞きたがっているから、今がチャンスなんだと思う」

轍「・・・」

律「唯は知らないけど、澪はアンタに言わないだろうな。梓も」

轍「・・・」

律「どうするんだ?」

轍「・・・分かった」

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324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:52:13.91 ID:/tE7ZYkDo


律「どうしたー?」

唯「あずにゃん達を呼びにいくところだよ」

玉恵「そういう事」

轍「・・・」

玉恵「まだ怒っているの〜?」

轍「なんで俺が怒るんだよ」

律「じゃついでに一緒に行くか」

唯「行こう行こう!」

玉恵「旭川に置いてけぼりにされたから」

轍「やっぱりすっぽかしだったか・・・」

玉恵「・・・うん」

姫子「律と唯は私たちを置いていきましたけど・・・」


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325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 18:59:19.96 ID:/tE7ZYkDo


―――――湖


紬「・・・」スラスラ

澪「かきやすい・・・?」

紬「・・・」コクリ

澪「・・・?」

梓「大きいからですかね」

紬「・・・」ニコニコ

澪「・・・唯にも言われたよそれ・・・」

紬「・・・」スラスラ

澪「キレイな・・・空・・・?」

紬「・・・」コクコク

梓「そうですね、もう少しで太陽が隠れますよ」

澪「琥珀色だな」

紬「・・・」コクリ

澪「じゃあ今度は私がかくよ」

ギュ

紬「・・・?」

澪「・・・」スラスラ

紬「・・・」

澪「・・・ちょっと恥ずかしかったり」

梓「なんて書いたんですか?」

澪「内緒」

紬「・・・」ニコ

梓「むむ・・・」



・・・・・・



律「・・・」

唯「・・・」

玉恵「さっきとは別人だね」

律「あぁ・・・」

轍「・・・なんで隠れてんの?」
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326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:00:07.88 ID:/tE7ZYkDo

姫子「・・・あの時間を壊したくない・・・からです」

唯「うぅ」ウズウズ

律「待て待て」



・・・・・・



梓「和先輩から聞いたんですけど」

紬「・・・?」

澪「?」

梓「むぎ先輩が掌に文字を書いて私達に伝えるじゃないですか」

紬「・・・」

澪「うん・・・」

梓「『てのひら(掌)』とかいて『たなごころ(掌)』と読むそうです」

紬「・・・?」

梓「こう書きます」スラスラ

紬「・・・」コクリ

澪「私にも」

梓「・・・こうです」スラスラ

澪「うん」

梓「人の手の平には『こころ』があるという漢字の意味だそうです」

紬「・・・」

澪「へぇ・・・」

梓「むぎ先輩は人のこころに直接言葉を送っている・・・と和先輩が言っていました」



・・・・・・



和「言っていないわね」

唯「え・・・?」

律「言っていないのかよ」

和「『たなごころ』のくだりだけよ。むぎが人のこころに・・・の所は言っていないわ」

姫子「・・・そう感じ取ったんじゃないの?」

和「さぁ・・・。どうかしらね」

玉恵「梓ちゃん・・・」

轍「・・・」

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327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:01:28.98 ID:/tE7ZYkDo

唯「どうしたの和ちゃん?」

和「唯たちが戻ってこないから、山中先生の指示よ」

唯「そっか・・・」



・・・・・・



梓「とんぼです・・・」

澪「うん・・・。これから秋が深まっていくんだろうな」

紬「・・・」

梓「少し涼しくなってきましたね」

澪「夜は冷えそうだ・・・」

紬「・・・」コクリ



・・・・・・



憂「のんびりしているね」

いちご「・・・たそがれている」

唯「青春の1ページだよ」

和「たまに表現古くなるわね、唯」

唯「そんな事ないよっ」

律「し、静かにしろって」

唯「すいやせん」

風子「いい雰囲気だよね」

玉恵「混ざりたくなるよね」

姫子「今だけはやめてくださいね」

轍「・・・」


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328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:02:23.22 ID:/tE7ZYkDo


・・・・・・



澪「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」

澪(静寂っていうのかな・・・)

梓「・・・」

紬「・・・」

澪「・・・」

梓(やっぱり・・・隣は落ち着く・・・)

紬「・・・」



・・・・・・



さわ子「どうしてりっちゃんがここにいるのよ」

律「ん?」

さわ子「相馬さんを呼びに行ったんでしょ?」

律「だからソーマいるだろ、そこに」

さわ子「戻ってきなさいよね」

律「あー、はいはい」

純「・・・喋っていませんよね」

唯「こころで会話しているんだよ」

玉恵「そんな特技があるんだね」

和「ちょっと、変なこといわないでよ。崩さないで」

唯「えぇー」ガーン

風子「ちょっと騒がしくなってきたかな」

信代「気づかれるよ」

春子「で、なにしてんのあの子ら」

姫子「・・・青春だって」

さわ子「そうねぇ〜」ウンウン

憂「あれ・・・全員揃っている?」

律「向こうは誰もいないのかよ・・・いちご、行ってきて」

いちご「え?やだ」イジイジ

轍「・・・」

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329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:03:15.29 ID:/tE7ZYkDo



・・・・・・



梓(ちょっと癪だけど・・・聞いてみたい)

紬「・・・」

澪「・・・」

梓「むぎ先輩に聞きたいことがあるんですけど・・・」

紬「?」

梓「むぎ先輩の・・・その・・・『最高の」

ガサガサ

澪「ん・・・?」

紬「・・・?」

梓「な、なんですか!?」

唯「あ、見つかっちゃった」

律「あはーはー」

澪「覗いていたのか、みんなで・・・」

さわ子「えへっ☆」

玉恵「てへっ☆」

和「えへっ☆」

憂「えへっ見つかっちゃった☆」

姫子(の、のどか・・・?)

純「・・・」

いちご「・・・」ゴクリ

春子「やりたいんならやれよ」

風子「てへっ☆」

信代「・・・ちょっと遅かったかな〜」

風子「・・・」カァァ

紬「・・・☆」

律「見られちゃった☆ってか!」

梓「しょうがないですね・・・戻りましょうか」

澪「そうだな」

唯「あれ、うまさん・・・?」キョロキョロ


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330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:12:47.16 ID:/tE7ZYkDo

唯律純「「「 おぉー! 」」」

ホカホカ

いちご「うまく炊けたみたい」

姫子「誰が炊いたの、このごはん」

唯「・・・」フフン

春子「すごい、唯!」

唯「私の妹ですよ」フフン

憂「火を点けたのはお姉ちゃんですよ」

信代「見事だ、これ以上のフォローを私は見たことがない」

さわ子「遊んでいないでお皿によそいなさいよ」

紬「・・・」ビシッ

梓「むぎ先輩はテント設営頑張ったんですから、座っててください」

紬「・・・」フルフル

玉恵「まだかな〜」

律「手伝え!」

玉恵「だって、入り込む隙がないんだよ〜」

澪「それじゃあ、お皿を運んでくれますか?」

玉恵「それくらい朝めし前だよ」

純「はい、運びましょう〜」

玉恵「これから夕食なのにね〜」

いちご「・・・これも?」

和「そうよ、お願いね」

玉恵「夕食のお手伝いを・・・朝めし前っていう・・・ね・・・」

さわ子「あら、この飲み物ちゃんと冷えているのね」

梓「斉藤さんがクーラーBOXを貸してくれました」

風子「氷も入ってますから、朝ごはんも冷やして保存しています」

玉恵「・・・」シーン

チョンチョン

玉恵「?」

紬「・・・」スッ

玉恵「あぁ、良かった。みんな私が見えていないのかと思った」

紬「?」
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331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:13:22.14 ID:/tE7ZYkDo

玉恵「なんでもないよ。なにかな?」

紬「・・・」スッ

玉恵「そうだね、行こうか」

紬「・・・」ニコニコ

梓「行きましょう」

スタスタ

唯「あ、うまさん・・・どこ行ってたの?」

轍「手ぶらじゃなんだから、沖縄の珍味持って来たよ」

姫子「沖縄の・・・?」

轍「お皿貸してくれるかな、小さいやつでいいんだ」

澪「・・・ど、どうして相馬さんが?」

律「あぁ、ソーマがここでキャンプしてるって話を聞いて、唯が発案したんだ」

澪「そ、そうだったのか・・・びっくりした」

律「・・・嫌じゃないのか?」

澪「・・・なんでだよ」

律「その・・・」

澪「話をしないと進めないって言ったのはりつだぞ」

律「まぁ・・・そうなんですけど・・・」

澪「・・・なんてな。私は夏の旅に誇りを持てるようになった。・・・って事かな」

律「・・・ちぇー」

澪「?」

律「なんでもない」

唯「なにこれー!」

憂「どうしたの?」

唯「うまさんが持ってきた・・・変な味っ・・・しょっぱい!」

轍「食べたからにはちゃんと飲み込まないとダメだよ」

唯「うぅ・・・」モグモグ

憂「つまみぐいしたらダメだよ」メッ

さわ子「変わった・・・これは料理ですか?」

轍「はい、魚の塩漬け。スクガラスといいます」

さわ子「へぇ・・・」

澪「みんな行きましたよ」

唯「あれ・・・噛めば噛むほど味が出てくるよ」モグモグ

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332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:15:38.65 ID:/tE7ZYkDo

轍「隣失礼するよ」

玉恵「どーぞ」

梓「聞いてないんですけど・・・」ジロッ

轍「あはは・・・」

律「言ってないからな!」

梓「・・・」ムスッ

紬「・・・」チョンチョン

梓「?」

紬「・・・」フルフル

梓「あ、ごめんなさい・・・これからご飯なのに」

紬「・・・」キリ

梓「はい。・・・今だけは忘れています」

轍「・・・」

玉恵「・・・?」

唯「・・・」モグモグ

紬「・・・?」

唯「うまさんが持ってきた珍味だよ〜」モグモグ

紬「・・・」コクコク

和「一人だけ食べているわけね・・・」

さわ子「みんなちゃんと揃っているわね?」

「「 はーい 」」

さわ子「りっちゃんよろしく」

律「今日は趣向を凝らして、他の人にやってもらおうぜ!」

さわ子「いいわね。早く選んでね」

律「誰にしよっかな〜」

純「・・・」ドキドキ

いちご「・・・」ハラハラ

姫子「・・・」ドキドキ

信代「なんだこの緊張感」

風子「・・・いただきますを言うだけじゃないの・・・?」

唯「それが違うんだよ」モグモグ

澪「早く飲み込んだらいいのに」

唯「噛むほど味が出てもったいないんだよ」モグモグ

憂「後で食べてみようかな・・・」
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333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:16:59.04 ID:/tE7ZYkDo

春子「・・・」

紬「・・・」ワクワク

轍「・・・」

玉恵「・・・」ソォー

轍「我慢しろよ」

玉恵「わかってるよ」

梓「冷めちゃいますよ」

律「そうだな、梓頼んだ」

梓「え!?」

純「・・・」ホッ

姫子「よかった・・・」

いちご「・・・」ホッ

唯「・・・」ガッカリ

和「やりたかったのね・・・」

梓「えぇと」オロオロ

憂「コップを持って」

梓「う、うん・・・」

さわ子「立って」

梓「は、はい・・・」ガタッ

風子「一言」

梓「一言」

律「・・・よし、いいぞ」

梓「・・・」

澪「?」

「「 ・・・ 」」シーン

和「一言って台詞じゃなくて、なにか言いなさいって事よ」

梓「あ・・・」

唯「私のあずにゃんです!」

姫子「可愛かったけどさ・・・主張しないでよ」

梓「なにを言えば・・・」

さわ子「真面目ねぇ〜」

轍「今日あった一日をどう感じたか・・・それでいいと思うよ」

梓「・・・」ムッ

澪「・・・」

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334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:18:13.28 ID:/tE7ZYkDo

玉恵「梓ちゃんふぁいと〜」

紬「・・・」

梓「・・・」フゥ

「「 ・・・ 」」

梓「あ、朝は台風でどうなるかと・・・心配でしたけど」

唯「・・・」

和「・・・」

梓「運よく通り過ぎて、午後一でこっちに来れて、たくさん遊ぶ事ができました」

澪「・・・」

純「・・・」

憂「・・・」

梓「けいおん部の先輩方以外のみなさんとも話が出来て、楽しかったです」

姫子「・・・」

いちご「・・・」

信代「・・・」

風子「・・・」

春子「・・・」

梓「こんな時間を過ごせた事が・・・嬉しいです」チラッ

紬「・・・」

梓「・・・」ボソッ

紬「?」

轍「・・・」

梓「太陽は沈みましたけど、まだっ一日は終わってません」

さわ子「・・・」

玉恵「・・・」

梓「もうちょっとだけ楽しみましょう!」

ストッ

梓「・・・ふぅ」

律「梓・・・これ」

梓「あっ」

ガタッ

梓「か、乾杯!・・・ですっ」

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335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:19:22.28 ID:/tE7ZYkDo

「「 かんぱーい!! 」」

梓「・・・はぁ」

玉恵「おっつかれ〜、いい音頭だったよ」

梓「ど、どうもです」

カン

紬「・・・」ニコニコ

純「カレーおいしい!」

春子「ほんとだ、おいしい!」

玉恵「私このソーメン大好きだよ」ズルズル

唯「自家製つゆだよ〜」

憂「それは私が作ったつゆですよ」

轍「・・・」ズルズル

玉恵「おいしいよね?」

轍「う、うん・・・」

玉恵「?」

憂「相馬さんのはお姉ちゃんが作ったつゆだと思います」

律「なに!?」

和「え・・・?」

紬「・・・」

姫子「どんな味ですか・・・?」

轍「あ、甘い・・・ブルーベリーの味が・・・する」

梓「・・・え」

唯「どうしたの?」

澪「唯がつくった特製つゆはどっち・・・?」

唯「こっちの入れ物だよ〜」

春子「っ!」サッ

信代「わ、私のもお願い!」

律「た、頼む!」

さわ子「りっちゃん、よろしく」

唯「そっちじゃないよ!」

律「こっちでいいんだよ!」

憂「あ・・・えぇと・・・」

唯「そっちは、ういが・・・あれ?」

律「よぉーし、確保はできたぞ」

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336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:19:57.50 ID:/tE7ZYkDo

風子「もうなくなっちゃった」

さわ子「でかしたわよ、りっちゃん」

姫子「・・・じゃあ私は唯が作ったヤツでいいや」

和「そうね・・・ブルーベリーつゆもいいかもしれないわ」

律「好奇心旺盛だな〜」

唯「うい〜、私が作ったのってどっちだっけ?」

憂「空になったほう・・・です」

春子信代律さわ子「「「「 え・・・ 」」」」

澪「ブルーベリー味か・・・私は遠慮して憂ちゃんのでいただくとしよう」

梓「そうですね、むぎ先輩もそっちにしますよね」

紬「・・・」

梓「ブルーベリーがいいんですか!?」

紬「・・・」コクリ

唯「大好評だね」

春子信代律さわ子「「「「 それは違う! 」」」」

風子「食べたい人が食べられなくて、食べたくない人が食べられて・・・」

純「たまにふにゃっとしたのがあるんだけど、なにこれ?」

憂「むぎチョコだよ」

純「あぁ・・・。唯先輩・・・」

唯「おいしいでしょ?」

純「・・・はい」

玉恵「頷くことしかできないよね」

純「・・・はい」

紬「・・・」モグモグ

唯「隠し味なんだけど、どうかなむぎちゃん」

紬「・・・」グー

唯「分かる人には分かるんだよ」

律「言ってろ」

澪「・・・やっぱりカレーだよな」

姫子「うん」モグモグ

和「・・・」モグモグ

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337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:21:22.10 ID:/tE7ZYkDo

玉恵「ずるずるっ」

轍「・・・」

玉恵「うまうま」モグモグ

轍「お前・・・変わったよな」

玉恵「この鰹節の香りが・・・って、誰の事?」

さわ子「?」

轍「この中で知り合いって、お前しかいないだろ」

玉恵「・・・今は食事中だから後でゆっくり話しようじゃない」

轍「・・・」

春子「後片付け終わったらどうすんの?」

律「薪集めていたから・・・談話?」

紬「・・・」キラキラ

梓「火を囲んでですか」

唯「あれしようよ!」

憂「さすがに照れちゃうよ」テレ

澪「あれで分かったのか・・・さすがだ」

純「さすがだよ憂」

姫子「それで、なにをするの?」

和「フォークダンスでしょ」

信代「和も分かって・・・え?」

風子「久しぶりだなぁ・・・小学校以来だよ」

いちご「・・・うん」

律「乗り気かっ!?」

さわ子「こんなこともあろうかと、音は用意してあるわ」キラン

玉恵「うわ、久しぶりだ」

轍「混ざろうとするなよ・・・」

姫子「の、和が唯のために花火買ったんだよ」

純「わ、わーい!花火しましょー!」

唯「おぉ、いいね!」

春子「・・・」ホッ

和「・・・」

いちご「・・・」

風子「・・・」

紬「・・・」

梓「あれ、残念がってませんか?」
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338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:22:34.60 ID:/tE7ZYkDo

澪「でも、花火をしていいのかな」

玉恵「花火禁止の看板がないからいいんじゃないの?」

轍「ここの利用者はマナーがいいから、そういう制約は厳しくなっていないんだ」

梓「ふーん・・・」

純「そっけないな」

風子「それじゃ、キャンプファイヤーもOKなんですね」

轍「やろうとする人がいないんじゃないかなぁ・・・」

信代「しないよなぁ・・・」

さわ子「相馬さん・・・こちらの品頂きますね」

轍「うさがみそーれ」

「「 ??? 」」

律「なんだ?」

轍「沖縄の方言で召し上がれって意味」

玉恵梓「「 沖縄? 」」


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339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:24:02.55 ID:/tE7ZYkDo

―――――・・・


「「 ごちそうさまでしたー! 」」

さわ子「さぁ、パパッと片付けるわよ」

律「よっしゃー」

信代「よし、あまり役に立てなかった分をここで挽回するよ」

風子「おぉー」ブンッ

紬「・・・」ブンッ

春子「お、腕を振り上げるなんて、気合入ってるな二人とも」

澪「・・・」

風子「もちろんですよ。ね、紬さん!」

紬「・・・」コクリ

梓「フォークダンスはナシですよ?」

風子紬「「 ・・・ 」」

姫子「水を注しちゃったね」

風子「・・・」フラフラ

紬「・・・」フラフラ

純「梓・・・責任とりなよ」

梓「う・・・」


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340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:24:33.37 ID:/tE7ZYkDo


憂「置いておいていいですよ、私が洗いますから」

いちご「・・・一緒にやろ」

和「その方がはやく終わるわ」

唯「そうそう」

ジャブジャブ

唯「おっと」ツルッ

カランカラン

唯「いっけね〜」

憂「・・・」

唯「洗い直しだよ」エヘヘ

いちご「・・・」

唯「ありゃ」ツルッ

和「おっと」ガシッ

唯「ナイスキャッチだよ」

和「唯、花火の準備してきてくれる?」

憂「バケツに水を入れて運んでくれないかな」

いちご「・・・」

唯「任せておいて!」ドン


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341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:26:25.92 ID:/tE7ZYkDo

―――――湖


唯「参りますりっちゃん隊員!」

律「着火せよー!」

シュボッ

バチバチバチバチ

律「おおぉー!」

唯「輝いておりますよりっちゃん!」

律「あっはっはっはー!」

澪「こっちにも火を移してくれよ」

春子「くれよ!」

姫子「みんなテンション高いね」

純「そうでもないですよ」

いちご「二人だけ沈んでる・・・」

風子「・・・」ズーン

紬「・・・」ズーン

信代「なんで沈んでいる・・・?」

梓「ど、どうぞです!色が変化するヤツですよ!」

風子「うん・・・」

紬「・・・」

梓「り、律せんぱーい、こっちにも火を移してくださーい」

律「おっけ〜」

風子「・・・」ウキウキ

紬「・・・」ウキウキ

シュウ

律「あ、消えちった・・・」

風子紬「「 ・・・ 」」

梓「み、澪せんぱーい!」

澪「分かったー」

風子「・・・」ワクワク

紬「・・・」ワクワク

シュウ

澪「あれ?」

風子紬「「 ・・・ 」」ズドーン

梓「あぁ・・・」オロオロ

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342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:27:33.51 ID:/tE7ZYkDo

信代「ライターを使えばいいよ梓ちゃん」

梓「ら、ライターは・・・!?」

唯「うまさんが持って行ったよ〜」

梓「・・・」ムカッ




・・・・・・




轍「こうやって、枝を組み立てれば・・・」

カチャカチャ

玉恵「・・・」

轍「火の巡りが良くなって、短時間で全体に燃え移るわけだ」

和「手際がいいですね」

轍「これくらいはできないと、キャンプが物足りなくなるからね」

玉恵「・・・」

憂「玉恵さん?」

玉恵「なぁに?」

憂「いえ・・・なんでもないです」

さわ子「・・・」

轍「で、火を点けて」

シュボッ

メラメラメラ

憂「わぁ〜」キラキラ

和「いいわね、この空気」

玉恵「・・・」

梓「ライター貸してください」

轍「ん?・・・あぁ、どうぞ」

梓「どうも」

タッタッタ

さわ子「あらあら」

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343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:29:22.68 ID:/tE7ZYkDo

轍「後は火が消えないように足していくだけ。消すときは土や砂がいいよ」

和「どうしてですか?」

律「知ってんぜー、水で消すと煙が立って敵に知られるんだよな」

澪「敵はどこだよ」

玉恵「再利用できるかもしれないから」

轍「・・・濡れても利用できるけど、あんまり意味無いからね。資源は無限じゃない」

律(今のギャグうめえな)

玉恵「できるだけ燃やし尽くしたほうがいいよ。真っ白な灰になるまでね」

憂「玉恵さんも熟練者なんですね」

玉恵「・・・そうでもないよ。私も花火に参加してくるよ」

タッタッタ

轍「?」

さわ子「・・・」

和「どうしたのかしら、急におとなしくなったわね」

憂「うん・・・」

律「火をもっと大きくしたいな」

澪「・・・みんなで囲めるように?」

律「YES!!」

轍「それなら・・・」



・・・・・・



玉恵「・・・」シュッシュッ

紬「・・・」クルクル

風子「・・・」シュッシュッ

春子「文字だな・・・」

梓「・・・」

いちご「・・・」

純「単純にSOSですね」

玉恵「正解!」

紬「・・・」ニコニコ

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344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:29:51.83 ID:/tE7ZYkDo

風子「あぁ、消えちゃう!」ハラハラ

紬「・・・」ハラハラ

姫子「・・・」

梓「・・・」

春子「風子が唯より楽しんでるな」

いちご「・・・うん」

シュウ

風子「あぁー・・・」

唯「むぎちゃんの持ってるヤツで最後だよ」

紬「・・・」クルクル

梓「R・・・ですか」

紬「・・・」コクリ

シュウ

紬「・・・」

純「終わりましたね」

玉恵「終わった〜」

姫子「それじゃ、焚き火の所へいこうか」


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345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:33:31.57 ID:/tE7ZYkDo

―――――・・・


パキパキパキ

律「・・・それからというもの、夜な夜な湖を眺める女性の姿が目撃されたという」

澪「・・・」ブルブル

姫子「どうして怪談話になってるの?」ヒソヒソ

和「さぁ・・・?」

律「女性は湖にどんな想いを抱いているのであろうか・・・。おしまい」

紬「・・・」

さわ子「なかなかいい話だったわ」

憂「ちょっと切ないですね」

玉恵「うん・・・」シクシク

唯「ひっく・・・」シクシク

信代「・・・」

いちご「ハンカチ使って」

風子「ないでっだいよっ」

純「声が潤んでますけど」

梓「それで、どうしているんですか?」ジロ

轍「えー・・・と・・・」

春子「そろそろ誰か教えてくれませんか?」

玉恵「あっはっは、轍さん正体不明だ!」

信代「あなたもですけど・・・」

玉恵「うっ・・・」

律「あれ、紹介してなかったっけ?」

いちご「してない・・・」

澪「・・・どうぞ」

轍「じゃあ俺から。旅を題材にした記事を書いている相馬轍です」

玉恵「私は滝沢玉恵。私も轍さんと同じ仕事をしています」

轍「えっ!?」

さわ子「どうしたんですか?」

轍「最初にあった時・・・4年前になりますけど、ずいぶん変わったと思ってびっくりしたんです」

玉恵「4年あれば充分変われるよ人は」

梓「・・・」

紬「・・・」コクコク

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346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:34:32.33 ID:/tE7ZYkDo

轍「変わりすぎだろ・・・最初はこいつ、テントの張り方も知らなかったんですよ」

唯「最初は誰でも初心者だよ」

純「そうだそうだ」

和「私たちのテントを立てるときはスムーズで、指示をくれてとても動きやすかったです」

春子「うん・・・」

轍「へぇ・・・」

玉恵「ふふん」

澪「相馬さんと同じく、一人旅してるんですか・・・?」

玉恵「いつもは二人旅だよ。ツーリングでね」

姫子「・・・」

律「・・・」

春子「バイクかぁ・・・」

憂「・・・読んでみたいですね」

和「そうね・・・」

風子「どうして今日は一人なんですか?」

玉恵「午前の台風で予定がズレちゃってね・・・私だけ先に来たってわけ」

信代「おぉ〜」

純「仕事熱心ですね」

玉恵「ふふん」

和「行き倒れていたけどね」

唯「なんとっ!」

玉恵「うっ」グサッ

姫子「お腹が空いてね」

玉恵「それ以上言わないで〜」

轍「無計画なのは変わってないのか」

玉恵「う・・・」グサッ

律「そんじゃ、次は私の番だな」

さわ子「また怪談話?」

律「・・・夏の旅の話だ。一応約束だからな」

轍「約束として受け取ってくれていたんだ」

梓「・・・」

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347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:35:40.46 ID:/tE7ZYkDo

紬「・・・」キラキラ

姫子「・・・やっと聞ける」

いちご「・・・うん」

風子「・・・」

信代「・・・」

春子(けいおん部の雰囲気が変わった理由・・・)

パキパキ

梓「・・・」ヒョイ

パキパキパキ

唯「あずにゃん、今カッコ良かったよ!」

梓「え・・・?」

澪「無言で枝を放り込んだ事?」

唯「そうだよ!」

純「・・・」ヒョイ

コロコロ

春子「外してやんの」

純「うぅ・・・」

紬「・・・」ヒョイ

パキパキパキ

紬「・・・」ホッ

さわ子「火の中に入ってよかったわねぇ」

律「あの・・・喋っていいですかね」

轍「・・・」

「「 ・・・ 」」シーン

律「うわ・・・喋りにくい・・・」

玉恵「じゃあ聞かないフリしているからさ」

憂「こっそり聞いているわけですね」

和「意味あるのそれ・・・」

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348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:36:43.59 ID:/tE7ZYkDo

律「私たちは列車で日本縦断の旅をしたんだ。私たちは途中下車をしたけどむぎは縦断達成を成し遂げた
  色々な土地で、色々な人に出会って、色々な景色をみてきたんだ」

いちご「・・・景色ってなに?風景とは違うの?」

律「辞書で調べれば一緒なんだろうけど、私は違うニュアンスだな」

轍「・・・教えてくれるかな」

澪「・・・」

律「うーん・・・言葉にするのはちょっと難しいな
  例えば、隣にいる人が見ているモノを表現した時、そのモノの見方が自分と異なっている事があるだろ?」

いちご「・・・うん」

律「言葉ではもちろん、行動でも変わってくるんだ。
  一人でボンヤリ見ている景色と、二人でボンヤリ見ている景色は別物だ
  自分と隣の人との見たモノが重なったとき、それが同じ景色を見ている事になる
  二人で共に行動を起こさないと見れないモノ。それが私の言う景色。・・・なんだけど」

澪「一緒だ」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・」コクリ

唯「一緒だよ〜」

律「そっか・・・。良かった」

轍「・・・」

いちご「・・・」

さわ子「そんなに深く考えなくていいのよ。今日、いちごちゃんとりっちゃんが共に過ごして
    同じ経験をしてきた事が、その景色という風に捉えてもそう遠くないわ」

いちご「・・・はい」

律「教師みたいだ・・・うまくまとめた」

唯「びっくりだよー」

さわ子「・・・」

律唯「「 ごめんなさい 」」

玉恵「?」

純「無言の圧力ってやつです」

姫子「律は・・・。律にとって特別な景色ってあったの?」

律「あった。まぁ、全部が特別なんだけど、更に特別な出会いと景色があった」

澪「・・・」

風子「特別な出会い・・・」

律「その子は・・・自分に自信がなくて、いつも周りに迷惑をかけている自分が嫌いだったんだ
  それが原因で自分をみてくれている人たちの前から逃げ出した」

玉恵「逃げ出した・・・」

律「あぁ、大好きな人たちに嫌われるのが怖くて逃げ出したんだ」

轍「・・・」

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349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:40:01.41 ID:/tE7ZYkDo

澪「・・・」

律「でも、それはその子がとっても優しいからなんだ。
  自分のせいで周りに迷惑をかける事にとても心を痛めていた」

紬「・・・」

律「私はその子の近くにいて、とても大切なことを教わった」

轍「それは?」

律「ありのままの自分を出す事ができる。そんな場所が存在することだ」

信代「へぇ・・・」

純「おぉ・・・」

律「それは私だけじゃなく、もう一人いるんだけど・・・それはまた話が違ってくるから割愛だ」ウシシ

唯「不憫な子」シクシク

梓「・・・む、むぎせんぱい・・・」

紬「・・・?」

梓「な、なんでもないです」

紬「・・・」ニコニコ

律「その子は旅を通して気づくんだ。逃げ出した事で自分の周りの人たちを傷つけた事に
  その人達を信じていない自分自身を・・・な」

澪「・・・うん」

姫子「・・・」

律「旅を終える理由が『帰って謝りたいから』なんだ。
  自分自身が嫌いだけど、人を好きになる自分を好きになりたいと強く笑って帰って行ったよ」

梓「・・・」

姫子「連絡先・・・とか、交換したの?」

律「いや、彼女とはそれっきりだ」

いちご「・・・仲良くなったのに」

澪「そうだな。でも今思えば、そのまま別れる事が自然のような気がする」

律「『出会い』に『別れ』、それが旅だからな」

轍「・・・」

玉恵「・・・そうだね」

紬「・・・」

律「と・・・こんな感じだ」

姫子「それが律たちがしてきた旅・・・」

春子「なるほどねぇ・・・」

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350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:40:44.36 ID:/tE7ZYkDo

律「まだまだ話は尽きないけど、とりあえずどうだ?」

轍「うん・・・」

玉恵「・・・みんなが纏まっている理由が分かったよ」

唯「でへへ」

律「やっぱり記事のネタにはならないよな・・・」

轍「あ、いや・・・面白い話だった。俺がこの土地で出会った人がこんな視野を持っているって事で
  記事になるよ。ありがとう」

律「でも、スッキリしてない顔してるじゃんか」

轍「あー、それは・・・その・・・」

律「?」

梓「ずいぶん前のような、昨日の事のような、とても不思議な感じがしました」

澪「そうだな・・・」

紬「・・・」ニコニコ

憂「律さんにそんな事が・・・」

唯「ういも一緒にみてきたはずだよ」

憂「え・・・あ、そっか・・・」

唯「一緒に観光もしたからね〜」

純「くぅ・・・私だけその人と喋ってない・・・」

信代「・・・なんか、律が違ってみえる」

さわ子「変わったのだから当然よ」

風子「・・・」

轍「あの子が中野さんの大切な人・・・なんでしょ?」

律「うん」

轍「話に出てこなかったから、不完全燃焼・・・かな」

律「私は大分端折ったからな・・・、むぎが関わっていないわけじゃないんだけど・・・
  そうだな、澪が見てきた景色の方が分かりやすいかも」

轍「そっか・・・」

唯「はいっ!」ズバッ

律「じゃー次は唯!」

唯「なにから話そうか」ウキウキ

和「ライブはどうかしら」

唯「でも・・・」チラッ

さわ子「放課後ティータイムで話をすればいいじゃない」

唯「そだね」

風子「?」

信代「?」
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351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:42:22.07 ID:/tE7ZYkDo

律「私ら名古屋でライブしたんだぜー」

唯「おぉーっとりっちゃんやい!私の出番を奪わないでおくんなまし!」

梓「・・・」

律「わーかったよ、分かったから」

轍「ライブ・・・?」

梓「・・・」

さわ子「この子たちは学校で、けいおん部に所属して活動しています」

轍「・・・なるほど」

玉恵「澪ちゃん達それぞれ景色が違うの?」

澪「それぞれの出会いがありましたから
  一緒に旅行をしてきましたけど、旅をしたのはそれぞれ違うから景色も異なります」

姫子「そうか・・・和が言っていた事って」

いちご「・・・そういう事なんだ」

和「澪たちそれぞれが目的地へ辿り着く事ね」

純「さすが澪先輩です。かっこいい」キラキラ

唯「・・・」ポツーン

紬「・・・」ヒョイ

パキパキパキ

憂「名古屋でのライブはとても良かったよお姉ちゃん」

唯「でへへ、楽しかったよ」

風子「唯ちゃんも・・・特別な出会いがあったの?」

唯「・・・うん、あったよ〜。あの子はね、二つの顔を持っていたんだ」

春子「二つの顔・・・?」

唯「そうだよ、おとなしくて真面目で素直で、とっても可愛い一つの顔
  活発的で元気ではっちゃけてて、とっても可愛い一つの顔」

憂「・・・」

唯「活発的な顔を出しちゃうと周りの人たちに迷惑をかけちゃうんだ
  だけど、仕方がなくって、そうしなくちゃいけなくて・・・
  おとなしい顔になると、とても反省して
  だけどまたはっちゃけた顔を出さなきゃいけなくて
  また反省しちゃって・・・ずっと繰り返して一人で抱えていたんだよ」

和「・・・」

唯「誰も『嫌なら辞めればいい』とは言えないの
  だって・・・とっても健気に頑張っているんだもん」

梓「・・・」

紬「・・・」コクリ

姫子「あ、なんとなく分かっちゃった・・・」

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352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:43:24.47 ID:/tE7ZYkDo

春子「あぁ・・・私もそれが誰なのか分かった」

轍「・・・参加していないんでしょ?」

梓「分からないならしずかにして欲しいです」

轍「・・・」グサッ

玉恵「・・・そっか、夏以来劇的に変化した子がいたよね」

唯「でへへバレちゃった〜」

信代「うん・・・。そっか、唯がそうさせたのか」

唯「違うよ〜。今のあの子があるのはむぎちゃんのおかげだもん」

紬「・・・」フルフル

唯「ううん。むぎちゃん、私は一緒にいただけだよ。
  あの子の背中をドンと押したのはむぎちゃんだよ」

ギュ

梓「・・・?」

紬「・・・」スラスラ

唯「・・・」

梓「ゆい・・・先輩が・・・ひっぱった」

紬「・・・」スラスラ

梓「一緒にいた事がたいせつ・・・。だそうです」

唯「わ・・・わたしっ・・・は」グスッ

澪「・・・」

紬「・・・」スラスラ

梓「・・・ゆうき・・・を・・・与えたのは・・・ゆい・・・先輩」

唯「うっ・・・っ・・・あり・・・がとぅ」ボロボロ

憂「・・・っ」

いちご「・・・」

玉恵「・・・」

さわ子「私たち置いてけぼりよ」

律「いや、さわちゃんも一緒にいただろ」

さわ子「誰かが言わないと私達以外わからないじゃない」

律「まぁ・・・そうだけどさ」

唯「ご・・・ごめんねっ・・・っ・・・」グスッ

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353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:44:02.10 ID:/tE7ZYkDo

梓「・・・ハンカチ使ってください」

唯「あり・・・がと・・・」ビィイイイイ

姫子「鼻かんだ・・・」

澪「お約束だよな」

梓「そうです」

紬「・・・」ニコニコ

轍(なるほど・・・)

唯「自分の夢があってね、その夢を叶える為に頑張っていたんだよ
  だけど、社会の厳しさが、現実の厳しさが、あの子の夢を潰そうとするの」

和「まだ高校一年15歳の子が・・・ね」

風子「あ、そうか・・・あの子がそうだったんだ」

律「やっと気づいたか風子〜」

風子「だ、だって・・・前のあの子の姿見たことないから。私あまりテレビみない」

轍(テレビに出てくる子なのか・・・。アイドル・・・?)

唯「その夢はとっても素敵なんだよ。『みんなが笑顔』という言葉が入っているんだもん」

姫子「うん、素敵な夢だね」

唯「道が険しくても、見えない力で潰されそうでも、あの子は頑張ったんだよ。頑張っているんだよ」

轍「勇気を貰ったから・・・貰っているから、じゃないかな・・・」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・」

唯「そうだと嬉しいよ〜」

純「そうですよ、今でもこれからも応援していくじゃないですか!」

唯「そうだよ!」

和「ふふっ、あの子も大変ね、止まる事は許されないみたいじゃない」

唯「疲れたら休んでいいよ〜」

憂「そうだね、ゆっくり休んで・・・いいよね」

唯「そうだす!」

律「うわ、また使い出した」

いちご「?」

澪「お気に入りらしい」

姫子「ふふっ、変なの」

玉恵「人は独りでは生きていけない。生きちゃいけないんだね」

唯「うん・・・だって、寂しいもん」

澪「そうだな・・・」

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354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:44:53.00 ID:/tE7ZYkDo

風子「・・・ふぅ」

信代「どうしたのさ?」

風子「話が少し大きくて・・・お腹いっぱい・・・」

唯「マシュマロあるよ〜」

さわ子「焚き火で少し焼くとおいしいのよね〜」

律「マジかっ!」

唯「やってみよ〜」

ジュー

憂「近づけすぎだよお姉ちゃん」

唯「だいじょうぶだよ〜。・・・ふぅちゃん、聞くの疲れちゃった?」

風子「ううん・・・。大丈夫、もっと聞きたい」

律「そんじゃ次は澪」

澪「ライブをやったんだ。名古屋で」

玉恵「聞いたよそれ」

唯「焦げちゃった」

澪「楽しかった」

春子「それも知ってる」

憂「焦げた部分ははがせるんじゃないかな」

唯「おぉ、ほんとうだ」

澪「そう!名古屋の遊園地でジェットコースターに乗ったんだ!」

「「 えぇっ!? 」」

轍玉恵「「 ん? 」」

澪「すっごく楽しかった!」キラキラ

律「あ、やべ・・・」

梓「少しずつテンションが上がってきましたね」

紬「・・・」コクリ

澪「長島スパーランドは・・・私にとって楽園だ・・・桃源郷だ」キラキラ

姫子「ちょっ・・・澪!?」

和「大丈夫よ、正常だから」

信代「いやいや、こんな澪は正常じゃないよ」

澪「スペースショット・・・ホワイトサイクロン・・・ジャンボバイキング・・・」キラキラ

風子「全部迫力のあるアトラクションだ・・・」

春子「おいおい・・・」

いちご「・・・どうしたの」
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355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:45:58.59 ID:/tE7ZYkDo

姫子「和・・・例えじゃなかったの・・・?」

和「例えにしておけば、イメージ崩れないでしょ?」

轍「なるほど」

玉恵「キャラが激変したからみんな驚いているのね」

純「また行きましょうね、澪先輩!」

澪「よしっ!」ガタッ

律「今からでは間に合わねえよ。ってかどこへ行こうとしてるんだよ」

さわ子「・・・こうなると少しやっかいなのよね〜」

憂「・・・」モグモグ

風子「み、澪さんがこれくらいハイになる程楽しいんだ・・・」ゴクリ

澪「近いうちに一緒に行こうな、風子!」

風子「うん!」

紬「・・・!」

唯「いいね!」

春子「あはは、紬も便乗したな」

梓「・・・」

純「・・・」

憂「・・・」

律「・・・」

和「・・・」

姫子「・・・」

さわ子「・・・」

轍「?」

澪「・・・あ・・・・・・」

紬「?」

信代「どうした?」

玉恵「今度は澪ちゃんの話を聞かせて欲しいな〜」

澪「はい・・・」

春子「あれ、テンション急降下?」

律「素に戻ってしまったんだ、言ってやるな」

風子「?」

唯「一番最初に乗った絶叫アトラクションがフリーフォールなんだよね」

澪「うん」

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356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:47:50.01 ID:/tE7ZYkDo

いちご「最初は怖くなかったの?」

律「文字通り絶叫してたぜ〜」

澪「いうなっ!」

轍「・・・」

唯「あれ、どうして乗ろうと思ったの?」

澪「そ、それは・・・」モジモジ

春子「それは?」

澪「じ、自分を変えたかったから・・・
  り・・・みんなに引っ張ってもらってばっかりで、弱いままだったから」

姫子「・・・」

澪「きっかけが欲しかった。ただ、それだけの理由で乗ったんだ」

さわ子「・・・」

梓「知らなかったです」

紬「・・・」コクリ

律「言ってないからな」

澪「言うものでもないしな」

和「そうね・・・」

憂「・・・」ヒョイ

パキパキパキパキ

唯「うい・・・?」

憂「うん・・・?」

唯「どうしたの?」

憂「ううん・・・なんでもないよ・・・」

唯「・・・」

轍(なんだろ・・・5人を中心としてるけど・・・どこか崩れそうな感覚・・・)

澪「私の旅は・・・列車に乗車する前から始まっていたんだ」

玉恵「・・・どうしてそういえるの?」

澪「乗車する前に出会った人たちがいたから。その人たちと一緒に景色をみてきた」

律「そうだったな。他人にすぐ気を許していたから、むぎと私はびっくりしたんだぜ」

紬「・・・」ニコニコ

澪「その人たちと出会って、私の旅の方向性が決まっていたんだ。その時は全然気づかなかったけど」

春子「方向性・・・」

澪「強くなる事・・・。みんなについて来いって言えるくらいの自信を持つ事」

さわ子「・・・そうだったのね」

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357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:50:18.11 ID:/tE7ZYkDo

澪「その人たちはコンビで、出会って10日くらいでお互いを信頼していて、唯一無二の存在になったんだ」

轍「・・・へぇ」

澪「お互いを引っ張り合って、お互いを高めあって、お互いを補い合って・・・強く突き進んでいくんだ」

律「とても頼りなさそうな雰囲気で、ずっとおちゃらけているんだけど、心の中では支えあっていた」

澪「うん・・・。私もりつと、むぎと、ゆいと、あずさと、そういう関係になりたいと思った」

姫子(澪がこんな事言うなんて・・・)

澪「だから私はその二人に付いて行って、一緒に観光地を周ったりして、学んでいったんだ
  とても楽しかった。二人といるのが・・・、お互いを引っ張り合っていく二人をみているのが」

春子「・・・」

澪「でも、そんな二人がなんの前触れも無く、別れる事になった
  二人でいればどこまでも突き進んでいけるのに、お互いを支えあえるのに
  足りないものを補っていけるのに、強く・・・いられるのに・・・だ」

梓「・・・っ」

澪「一緒に自分の夢を追いかけ続ける選択肢もあったと思う。
  けど相棒の将来を大切に想って決断したんだ。別れる事を」

風子「・・・」

澪「二人は全く同じ景色をみて、同じ経験を積んでいたんだ。だからこの先もずっと繋がっていける」

いちご「別れたんでしょ?」

澪「うん・・・。別れても、二人は互いを想っている。それほど強固な絆なんだ」

信代「・・・」

澪「私は焦っていたんだ。旅をしてきて、りつもゆいもあずさもどんどん自分を高めていった
  先を歩くみんなに置いていかれるような気がして・・・な」

律「・・・」

澪「だけど、あの二人をみて、それぞれの道を歩んでいった姿をみて・・・私は震えて立ち止まってしまった」

純「・・・」

澪「私は・・・嫌なんだ、大切な人と別れるのが。お互いを高めていける存在を失うのが
  私には耐えられない事だと・・・知った」

梓「・・・!」

澪「みんなに追いついて、別れの時がくる事が。離れてしまう時が、怖くなった」

轍「・・・」

和「・・・」

澪「だけど、迎えに・・・っ・・・来てく・・・っ・・・れた・・・人がいた・・・っ」

玉恵「・・・」

澪「・・・」スゥ

唯「・・・」

澪「・・・」ハァ

律「・・・」

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358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:51:15.19 ID:/tE7ZYkDo

澪「むぎ・・・なんだ」

紬「・・・!」

澪「むぎは・・・私に・・・手を・・・差し伸べてくれた・・・私の手を掴んでくれた・・・私を引っ張ってくれた
  みんなと一緒にいると、教えてくれたんだ」

梓「・・・」

澪「人と人は必ず別れる時がくる。どんなに望んでいなくてもだ
  だけど、むぎが教えてくれた。それは意味のあることなんだって」

玉恵「・・・」

澪「とても・・・大切な事なんだって」

紬「・・・」

澪「今、変われた自分がいるのは・・・あの二人と・・・むぎの・・・おかげなんだ」

紬「・・・」
  
澪「・・・」フゥ

唯「・・・」ジーン

純「・・・」ジーン

姫子「・・・」ジーン

轍(・・・うん)

風子「・・・っ」グスッ

澪「・・・え!?」

憂「感動しちゃいました」

和「えぇ・・・」

信代「胸にきたよ」

いちご「・・・いい経験だったんだね」

春子「・・・なるほど、納得だ」

梓「・・・」

澪「・・・ぁ・・・ぅ・・・」オロオロ

律「と、まぁ・・・大して変わっているわけでもなく」

澪「うるさいっ」バシッ

律「あいたぁ!」

紬「・・・」

さわ子「・・・」モグモグ

玉恵「いい具合に焼けてるよ」

梓「・・・そうですね」

澪「よし、これおいしそうだ・・・。・・・はい、むぎ」

紬「・・・」

澪「・・・」
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359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:52:06.79 ID:/tE7ZYkDo

純「なんか会話してるっ!」

玉恵「じゃあ私達もこころで会話してみよう」

轍「は・・・?」

玉恵「・・・」

轍「・・・」

唯「・・・」ゴクリ

玉恵「・・・」

轍「なにも考えてないだろ?」

玉恵「うん」

律「くだらねえ・・・」

姫子「ふふっ」

いちご「クスクス」

信代「いい話の後だけに・・・」

春子「脱力感が・・・」

梓「・・・」

さわ子「順番的には梓ちゃんじゃないの?」

風子「聞きたいな」

梓「・・・」

澪「梓・・・?」

紬「・・・?」

梓「わ、私・・・みなさんの飲み物もってきます」

憂「私も手伝うよ」

テッテッテ

唯「おぉ、もうなくなってたよ」

純「手伝ってやるかなー」

テッテッテ

律「梓のヤツ・・・」

玉恵「なにかあったの?ずいぶんと毛嫌いされてるけど」

轍「・・・プライバシーに触れてしまってな。・・・真鶴ちゃんに注意されていたのに」

さわ子「しょうがないわねぇ」


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360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:54:29.25 ID:/tE7ZYkDo

梓「『勇気を貰ったから・・・貰っているから』・・・むぎ先輩が言うハズだった言葉だよ」

憂「お姉ちゃんの話を聞いたとき?」

梓「うん」

純「それで、どうしてイラついてんのさ」

梓「知らないよっ」

憂「知らないままだと、焚き火の場所へは戻れないよ?」

純「そうだよ、一人だけ変な空気纏っているわけにいかないじゃん」

梓「・・・」

憂「相馬さんのどこが嫌なの?」

純「ストレートな疑問だな」

梓「・・・外から入ってきた人なのに、知ったモノの言い方するから」

憂「相馬さんがどういう人か知らないからじゃないの?」

梓「憂は知ってるの?」

憂「・・・知らない・・・ね」

純「・・・私もよく知らない。・・・けど」

梓「けど?」

純「玉恵さんの事も知らないじゃん」

梓「!」

憂「うん・・・。あの旅で梓ちゃんが出会ってきた人も最初はそうだったよね」

梓「・・・っ」

純「なんだ・・・、梓の一人相撲か〜」

梓「違うよ・・・ただ、一つ一つ的を射た言葉が嫌なんだよ」

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361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:56:15.67 ID:/tE7ZYkDo

憂「・・・」

梓「私たちは一緒に悩んで、行動して、辿り着いたんだよ
  それをあの人は一足飛びで辿り着いちゃう・・・。私たちが苦労しているのに」

純「苦労ねぇ・・・」

梓「別に、答えを出して欲しいわけじゃなくて・・・。楽をしたいわけでもないんだけど」

憂「玉恵さんと同い年くらいだよね」

純「そうだな・・・。年が近いと気軽に話せるって気いた事がある」

梓「・・・」

憂「私たちより7つ上・・・。7年の経験差があるから、それはしょうがないんじゃないかな」

梓「・・・うん」

純「解決した?」

梓「・・・」

憂「もう大丈夫だよね、戻ろうよ」

純「紬先輩と一緒にみてきた旅の話・・・するの?」

梓「・・・分からない」



・・・・・・



轍「封印するの?」

律「しないっ!」

轍「どうして?結構固い決意に見えたけど」

律「もっと高みへ連れていってくれそうなんだ
  なくした歌を取り戻す為に・・・なんつって」

轍「そうか・・・」

律「なんだよ、変な事言ったのに納得すんなよー」

轍「なんとなく、意味は分かったから。さっきの話を聞いててさ」

律「あっそ・・・」

轍「そろそろ俺は失礼しようかな」

律「ひき止めはしないぜ」

轍「キミ達面白いよね」

律「お褒めに預かりまして嬉しく思いますわ」オホホ

澪「・・・」

律「そこ!変な目で私をみない!!」

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362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 19:57:22.41 ID:/tE7ZYkDo

轍「玉恵も、あまり邪魔するなよ」

玉恵「え、邪魔ってなに?」

轍「学校?がりで来ているんだから、部外者が入ると変な空気になるだろ」

玉恵「そうなの?」

さわ子「どうなの?」

風子「え・・・と春子ちゃん、どうなのかな?」

春子「えーと・・・唯どうなんだよ?」

唯「ん・・・?澪ちゃんどうしたの?」

澪「・・・変な空気になってないかって話だよ・・・どうなんだろ?」

姫子「変な空気・・・なにがあったの?」

いちご「・・・なにもないけど・・・なにかやるの信代?」

信代「・・・まだイベントがあったのか・・・あ、アレかな?」

和「・・・実行するの?」

純「アレってなんですか?」

憂「さっき言ってたフォークダンスだよね、梓ちゃん」

梓「それはないよ」

紬「・・・」ガーン

玉恵「ないんだってさ!」

轍「話の流れみてただろ」

律「なにやってんだか」

純「みなさんどうぞ〜」

風子「ありがと〜」

玉恵「気が利く後輩ちゃんですね〜」

轍「まったく・・・」

憂「あ、相馬さん・・・。相馬さんの旅の話を聞かせてくれませんか?」

梓「・・・」

轍「え・・・?」

玉恵「いいじゃん、話なよ」

轍「玉恵もそういう仕事してるんだろ、俺よりそっちがいいんじゃないか?」

唯「それじゃ北海道の話も聞きたいな〜」

轍「・・・」

玉恵「私が北海道で、轍さんが沖縄の話ね」

轍「はいはい」

律「お、興味あるな〜。北海道は4年前なんだよな」

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363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 20:51:13.94 ID:5UJkT8YDo
夜に怪談やって幽霊三人ご登場かと思ってたらそんなことなかった
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364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 20:53:03.07 ID:/tE7ZYkDo

澪「沖縄は・・・?」

轍「先月だよ」

さわ子「新鮮なネタじゃない。みんな、おやつ用意して!」

唯「なにを言ってるんだい、さわちゃん」

轍「真剣に聞いてくれるんだね・・・それはこっちも気が抜けないな」

玉恵「そうだね」

律「あ、なんかスマン」

唯「うちの妹を甘く見てもらっては困るよ!」

憂「ど、どうぞ・・・」

さわ子「あら、言うまでもなかったのね」

和「・・・気を取り直して・・・、どうぞ」

轍「・・・」

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365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 20:54:22.77 ID:/tE7ZYkDo

玉恵「4年前、私は釧路港に辿り着いた。一台のバイクと共に」

姫子「・・・」

玉恵「その時の私は、無知で、世間知らずで、無謀そのものだった」

紬「・・・」

梓(雰囲気が・・・)

澪(さっきまでとは全然違う)

律(なんだ・・・?)

玉恵「どうして無謀かといったら、買ったばかりのバイクで北海道を走ろうとしていたから」

風子「・・・?」

春子「よく分からないな。どうしてそれが無謀なの?」

玉恵「バイクのメンテナンスなんてした事なかったからだよ」

轍「・・・うん」

姫子「・・・そうですね。北海道の距離を走るのなら、バイクを整備する知識は必要ですよね」

玉恵「その通り。案の定、タイヤ空気が抜けて立ち往生しちゃった訳だ」

信代(・・・さっきまでおちゃらけていたのに・・・なんか怖いな)

純(どうしたんだろ・・・)

玉恵「そこを通りがかったのが轍さん。その時は顔見知りだったから声をかけてくれた」

唯「どゆこと?」

轍「船の上で出会っていたんだ」

唯「なるほどぉ」

さわ子「・・・」ヒョイ

パキパキパキパキ

玉恵「あっという間に直してくれてとても助かった。それでも私は自分の愚かさには気づかなかった」

憂「愚かさ・・・」

玉恵「うん・・・。自分の意志で北海道の大地に降りて、自分の力を試していたハズなのに
   初っ端から無力さを思い知らされたのに、助けられた事自体にきづかなかったんだよ」

梓「・・・」

紬「・・・」

玉恵「『なんとかなった』ってね」

さわ子「『運が良かった』よね」

玉恵「そうなんだ。自分の力で乗り越えたような、自由になれた気分でいたんだよ」

唯(・・・怖い)

玉恵「轍さんと別れて、とりあえず走った。目的地なんてなかった。
   後ろから来るなにか、から逃げるようにひたすら前に進んだ」

風子「・・・」ブルッ

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366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 20:55:10.71 ID:/tE7ZYkDo

姫子「・・・」ヒョイ

コロコロ

姫子(・・・コントロールが・・・・・・)

紬「・・・」スッ

姫子(あ・・・拾ってくれた・・・)

紬「・・・」ヒョイ

パキパキパキパキ

律(なんだよ、この空気・・・)

玉恵「それからは轍さんと何回か観光名所で会って、話をするようになった。
   話を聞けば『最高の一枚』を撮りたい・・・とね」

唯「うまさんのお父さんの?」

轍「うん・・・親父が撮った『最高の一枚』を越える為に、俺は北海道を旅していたんだ」

純「それは・・・越えることが出来たんですか?」

轍「それはまた話が変わるから。今は玉恵の話ね」

梓「・・・」

純「は、はい」

玉恵「・・・被写体を探しているけど中々みつからないと言って焦っていた」

轍「そんな風に見えていたのか・・・?」

玉恵「うん。『最高の一枚』は別に人を写さなくてもいいはずでしょ?」

轍「・・・」

姫子「あの雑誌のように・・・ですね」

いちご「・・・うん。他にもいい写真がたくさんあった」

玉恵「・・・それで、私を被写体に撮りたいと言い出した」

轍「言い出したってなんだよ、俺が必死に催促してるみたいじゃないか」

律「うわ・・・」

信代「うわぁ・・・」

梓「・・・フッ」

轍「見ろ、ドン引きだ!」

玉恵「あっはっは!」

唯「あはは」

風子「ふふっ」

純「梓・・・鼻で笑った・・・」

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367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 20:56:13.93 ID:/tE7ZYkDo

轍「・・・ったく」

さわ子「・・・引き受けたんですか?」

玉恵「ううん。すっぽかした」

轍「旭川で約束したんですよ。キャンプの段取りを教える代わりに、被写体になるって」

和「・・・どうして・・・?」

玉恵「・・・事故っちゃいまして」エヘヘ

紬「!」

梓「え!?」

轍「嘘つけ・・・。俺、警察に調べてもらったんだぞ。近くの病院にも連絡したけど
  それらしい人は運び込まれてない、診察されていないってな」

玉恵「・・・」

轍「・・・1週間、調べたんだからな」

玉恵「・・・てへっ」

轍「腹立つ・・・」

律「嘘かよ・・・」

轍「4年前の話だから・・・もういいけど、なんともなくて良かったよホント」

玉恵「痛み入る」

憂「侍ですね」

姫子「・・・玉恵さんは、その旅で得たものってありますか?」

轍「いい質問だ」

唯「どうなの、どうなの!?」フンフン

澪「落ち着け」

玉恵「得たものは無かった。という事実を得たかな」

風子「何もなかったって事ですか・・・?」

玉恵「うん・・・。家に戻って、虚無感・・・っていうのかな。とてつもない、やりきれなさを感じた
   私は・・・北海道へ・・・何をしに行ったんだろう?」

律「・・・」

澪「・・・」

唯「・・・っ」

紬「・・・」

憂「・・・」

純「・・・」

梓「っ!」ゾクッ

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368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 20:56:53.92 ID:/tE7ZYkDo

さわ子「・・・それからどうしたんですか?」

玉恵「バイクに乗って・・・走った。ひたすら・・・走った・・・」

信代「それで・・・」

クイッ

信代「姫子?」

姫子「待って・・・そこから先は・・・」

いちご「・・・き、聞きたくない」

春子「・・・」

轍「お前は・・・!」

玉恵「・・・」

轍「ちょっと来い。話がある」

玉恵「いいじゃんここで」

轍「・・・なにがしたいんだよ」

玉恵「黙っていることが悪いことだと、教えたいだけだよ」

梓澪律「「「 ! 」」」

和純姫子「「「 ・・・ 」」」

さわ子「・・・」

憂「・・・」

轍「・・・」

唯「どうしたの、みんな?」

紬「・・・」

玉恵「轍さん、気づいていたの?」

轍「どっちだよ」

玉恵「私の方だけど・・・」

轍「今もそんなに冷えていないのに、一人だけジャケット着てるからな・・・
  話の流れもおかしいから、もしやとは思っていたんだよ」

和(そういう意味だったのね・・・)

玉恵「・・・さすが轍さん・・・4年前より頼もしいよ」

轍「今さらおちゃらけるなよ。沖縄の話がひかえているんだから、さっさと話してしまえ」

玉恵「・・・うん。ごめんね、空気を換えてくれたのに」

梓「・・・」

姫子「・・・」

玉恵「ひたすら走って、本当に事故った」

梓「!」

姫子「!」

紬「・・・!」
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369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:00:46.79 ID:/tE7ZYkDo

玉恵「これ・・・みて・・・」ズルッ

律「・・・っ」

澪「ッ!」

信代「うわ・・・・・・あっ・・・ごめんなさい・・・」

玉恵「ううん・・・正直な感想だもんね、気にしてないよ
   目が覚めたら病院のベッドの上。4日寝てたみたい。その後1年ちょっとのリハビリ」

律「ま、マジかよ・・・」

風子「・・・っ」

玉恵「この腕の傷が証拠だよ。でもね、そのおかげで今の私がいるんだよ」
   
紬「・・・」

玉恵「とっても強くなれた自分がね。それが北海道の旅で得られたモノになった」

梓「・・・」

春子「・・・よく・・・バイクに乗り続けていられますね」

玉恵「好きになったからね。旅が、バイクで走るのが」

姫子「・・・」

律「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」

風子「・・・」

玉恵「おしまい」

シーン

玉恵「・・・」

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370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:02:20.31 ID:/tE7ZYkDo

轍「冷えきったぞ」

玉恵「沖縄の暖かさで上昇させてよ」

轍「勝手なことを・・・」

さわ子「あの料理の名は・・・なんでした?」

轍「あぁ、スクガラスですよ」

さわ子「スクガラス・・・はご自分で?」

轍「いえ、お土産に持たされたものです。もちろん自家製」

唯「最初は塩辛くて大変だったけど、噛んでいると味が出ておいしかったよ」

梓「のどに骨がささって大変でしたよ」

轍「頭から食べて、って言ったのに・・・。骨が硬いからよく噛まないと」

梓「・・・聞いてませんよ」

轍「・・・」シーン

憂(相性悪いのかな・・・)

澪「どうして沖縄へ?」

轍「『ニライカナイ』から手紙がきたから」

「「 ? 」」

轍「シャンバラ、マグ・メル、シャンゼリゼ、さっきも出てきた桃源郷などが・・・」

「「 ??? 」」

轍「あー・・・、まぁ、理想郷だよ」

唯「うむ」

和「分かってないでしょ」

唯「なんとなく分かったよ」

律(この表情は・・・分かってねえな)

風子「ユートピアですよね。とても理想的な場所だけど、どこにもない場所」

轍「そう・・・。詳しいね」

風子「本に出てきたのを思い出しました」

轍「大抵は死後の世界として認識されているんだ。手紙もそこから来たんだ」

信代「オカルト・・・?」

澪「・・・」ゴクリ

紬「・・・」ゴクリ

轍「・・・相棒からの手紙だったんだ」

玉恵「・・・!」

澪「・・・」ホッ

梓(澪先輩はこういう話苦手のはず・・・)

純「・・・?」
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371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:04:08.65 ID:/tE7ZYkDo

律「・・・」

さわ子(死後の世界のニライカナイ・・・そこにいる相棒さんからの手紙・・・ってことかしら)

姫子(・・・詮索しないほうがいいかな)

風子「律さん・・・、相棒さんって・・・?」ヒソヒソ

律「あぁ・・・、親友だった人・・・だってさ・・・」

風子「・・・だった・・・って・・・」

律「そういう事だ」

風子「・・・!」

轍「導かれているような気がしてさ、沖縄へ、ニライカナイへ」

風子「ど、どうしてそう思ったんですか?」

轍「旅が好きだからこの仕事をしていられるわけだけど、旅から旅へ身を投じて
  俺の辿り・・・いや、俺の話はいいか」

梓「・・・」

轍「ニライカナイは海の向こうの遥か遠くに、その場所は存在すると云われている
  そこから神様がきて、五穀豊穣や祝福、生命などをもたらし幸福を与えてくれる・・・とね」

紬「・・・」

唯「いいですな」

轍「様々な恩恵を受けているけど、その逆もある」

さわ子「・・・」

轍「病気や災厄、人に不幸をもたらすあらゆるものも海を越えてくると」

風子「それなのに理想郷と呼んでいるんですか?」

轍「うん・・・。そうだな、それじゃ俺が聞いた話を一つ」

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372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:05:04.33 ID:/tE7ZYkDo

玉恵「短めにね」

轍「分かってるよ!・・・砂浜を歩いていた男が櫛を見つけるんだ
  それはとても綺麗で持ち主が大切にしているだろうと一目で分かるくらいの物だった
  それを持ち主に返そうと砂浜をあるいてみたけど、持ち主らしき人は見つからなかった」

憂「・・・」フムフム

轍「次の日の朝、砂浜で何かを探している女性の姿を男はみつける」

唯「出会いだね」キラン

轍「・・・う、うん。・・・案の定その櫛は女性のものだった
  そのお礼にと、女性は男を海の底へ連れて行くんだ。竜宮城へね」

信代(竜宮城と言ったら・・・)

律(トンちゃんか・・・)

轍「城の者たちは男を歓迎した。男は連日宴会で時間が経つのを忘れるくらい楽しんだ」

和「・・・」

轍「男はふと故郷の事を想い出す。そして帰る事に決めるんだ
  だけど、女性は引き止める。男はそれでも家族や友達に会いたいがために振り切るんだ
  女性は言う。この包みを持っていってくれ、と
  これはこの場所とあなたの世界を行き来することが出来る物だから
  だけど、決して包みを開けてはいけない、と念を押す」

春子(似ている話だな・・・)

轍「男は故郷へ辿り着くと、雰囲気が違うことに気づく。風景が変化していたんだ
  家があった場所へ行くと見覚えのない家が建っている。知らない人が住んでいて、
  勝手に上がりこんだ男を白い目で見る
  家族がいない。友達もいない。知り合いもいない。独りぼっちだと気付く」

姫子「・・・」

轍「竜宮城で過ごしている間、外では数百年の時が過ぎていたんだ
  男は思い出す。女性がくれた物を・・・」

紬「・・・」ゴクリ

轍「包みを開くと無数の髪の毛が入っていたんだ」

澪「ヒィッ!」

いちご「・・・」ブルブル

轍「・・・その髪の毛は男を包み込み、やがて男は老人となり、衰弱して死んでしまう。というお話」

「「 ・・・ 」」シーン

轍「・・・」

梓「風子先輩の質問の答えがそれですか?」

轍「うん。ニライカナイは竜宮城を指しているのかもしれないでしょ?」

梓「・・・」

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373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:06:07.96 ID:/tE7ZYkDo

さわ子「海の向こうにあると言っていましたよね?」

轍「海の向こうの空の上、海の底・・・と、色々説があります」

和「時が忘れる程の場所であるのに、女性が男にもたらした物は・・・理想郷とはかけ離れていませんか?」

轍「うん。その包みは男にとって幸福でもあり、災厄でもあった。・・・ってね」

風子「なるほど・・・だから、ニライカナイ」

律「御伽噺じゃん」

轍「似たような話は全国各地にあるんだよ。沖縄にだって羽衣伝説はあるからね」

風子「・・・ふむふむ」

春子「ふ、風子・・・?」

純「浦島太郎ですよね」

紬「・・・」コクリ

いちご「・・・うん」

梓「・・・災いですか」

律「?」

轍「そう。感謝の心と畏怖の念を抱いて・・・」

玉恵「話が硬いよ。年齢層を考えてくださいな」

轍「うっ」グサッ

姫子(・・・あまり面白い話ではなかったかな)

風子「一つのモノで対称的な感情を持つ事になるんですね・・・面白いです」

姫子「え・・・」

轍「そ、そう言ってくれると助かる」

純「・・・話を戻しますけど、北海道で『最高の一枚』は撮れたんですか?」

轍「それは俺の過去に踏み込む事になるんだけど・・・。それでも聞く?」

純「そ、それは・・・」

梓「勝手に人のプライバシーに踏み込むあなたがそれを言うんですか」

轍「・・・ッ」

唯「あずにゃん・・・」

憂「・・・」

轍(この子・・・・・・面白い・・・)

紬「・・・?」

梓「・・・」

純「はい!」

玉恵「元気良し!」

律「なんだよその評価」

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374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:07:28.11 ID:/tE7ZYkDo

姫子(ご両親の話・・・)

轍「キミは写真見た?」

純「写真?」

姫子「見ていないです。私、唯、和、律、いちご、風子・・・は観ています」

轍(誰がどの子なのか分からない・・・)

春子「あの雑誌・・・?私見ていないね」

澪「見ました」

紬「・・・」コクリ

さわ子「8人が見たという写真・・・。内容は?」

律「女性が笑顔で写った写真だ。当時は・・・結婚していた?」

憂「当時は?」

轍「親父とお袋が周囲の反対を押し切ってアラスカを目指し、
  オーロラの下で永遠を誓った瞬間の写真」

さわ子「あら」キラキラ

玉恵「まぁ」キラキラ

憂「素敵ですね」キラキラ

いちご「うん」キラキラ

律「・・・」キラキラ

信代「律も!?」

純「おぉ・・・」

轍「全てを委ねた最高の笑顔のお袋。その視線の先には若き日の親父
  撮る側と被写体の心が完全に一つになって完成した、一枚の写真
  それはお袋と親父の『最高の場所』、『最高の瞬間』だったはずだ」

唯「『最高の場所』・・・」


澪「それが『最高の一枚』・・・」

姫子「その写真を越える為に北海道を・・・」

轍「うん」

和「撮れたんですか・・・?」

轍「うん・・・。撮れたよ」

玉恵「・・・!」

さわ子「・・・」

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375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:08:27.83 ID:/tE7ZYkDo

律「両親の話を恥ずかしげもなく・・・」

和「・・・」

轍「そんな両親を俺は誇りに思っているのさ!」

玉恵「カッコつけた!」

姫子「ふふっ」

和「あははっ」

律「あはは!」

唯「あっはは、おっかしー!」

澪「・・・」

梓「・・・」

紬「?」

憂「・・・?」

春子「そ、そんなに面白いかな?」

風子「面白いとは思ったけど・・・、ちょっと違和感があるよね・・・」

さわ子「どういう事?」ヒソヒソ

玉恵「轍さんのご両親は亡くなっているの・・・」ヒソヒソ

さわ子「・・・りっちゃんたちは知ってるのね」

玉恵「恐らく」

いちご「そうだったんだ・・・」

風子「知っているから、笑えるんだ・・・」

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376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:09:52.99 ID:/tE7ZYkDo

梓「ニライカナイは場所だけを指すんですかね」

轍「?」

唯「どゆこと?」

梓「災いしか持ってこない人がいますから」ジロ

轍「・・・え、俺?」

梓「・・・さぁ」

純(梓・・・なにがしたいんだよ・・・)

律「なにを言ってるんだよ!」

紬「・・・?」

轍「グフッ」

憂「?」

轍「あっはっはっは!」

梓「・・・ッ」ムカッ

さわ子「・・・うーん、状況が読めないわねぇ。玉恵知ってる?」

玉恵「分からない・・・。轍さん、どうして爆笑してんだろ」

轍「・・・っはっはは!」ピッピッピ

梓「なんですか!」

轍「待って・・・ッ・・・ふふっ・・・あははははっ!!」ピッ

trrrrrrr

梓「・・・」ムカムカ

律「笑いながらケータイいじって・・・さっぱり分からん」

澪「・・・私たちどうすれば・・・」

唯「うーん・・・」

プツッ

『もしもし〜』

轍「あ、あれ?」

『轍さん元気ですか?私です!』

轍「いや知ってるけど・・・どうして?」

『暦さんは今、お風呂に入っているんですよ。変わりに出てくれって』

轍「そっか・・・、でも丁度いいや。ちょっと待ってて」

『はい?』

轍「・・・っ・・・はい。スクガラスのお礼を言ってあげて」スッ

梓「はい?」

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377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:12:08.99 ID:/tE7ZYkDo

轍「アレを作ったのこの子のおばあちゃんなんだよ。伝えてあげるとすごく喜ぶ」

梓「どうして私なんですか」

轍「まぁ・・・その・・・ぐふッ・・・ふふっ」

梓「・・・」イラッ

唯「しょうがないですな。もしもし〜」

信代「唯がとるのかよ」

『もしもし〜?』

唯「私は平沢唯!けいおん部でギターを弾いてるよ!」

『そうですか。私は上原海琴といいます。民謡で三線を弾いてます』

唯「さんしん?」

律「野球の話してんのか?」

さわ子「違うわよ。三味線と似た楽器よ」

紬「・・・」コクコク

梓「・・・」

唯「それでね、今うまさんとキャンプしてて、ニライハナイの話を聞いてるんだよ」

海琴『そうですか、楽しそうですね〜』

春子「打ち解けてんのかな・・・」

轍「カナイね・・・ニライカナイ・・・」

唯「すっごくおいしかったよ!」

海琴『嬉しいです。おばあちゃんとっても喜んでくれますよ〜』

唯「最初はとっても塩辛くて変な味ーって思ったんだけどね〜」

海琴『それじゃー次はヒージャー汁なんてどうですか?』

唯「ひーじゃーじる?おいしい?」

海琴『とーっても!』

唯「食べたいよ!」

轍「お勧めはしないよ・・・」

『なんてモノを勧めてんのよ!』

海琴『おいしいよ?』

『海琴だけじゃないの!』

唯「? 誰と話してるの?」

海琴『真鶴ちゃんですよ』

唯「か、変わっておくんなまし!」

海琴『?・・・真鶴ちゃん』

真鶴『え・・・?・・・もしもし・・・』

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378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:14:17.19 ID:/tE7ZYkDo

唯「ほったいもいじるなー」

真鶴『・・・nine thirty』

唯「え・・・?」

真鶴『・・・?』

憂「九時半だよ」

唯「おぉ、93って言うからビックリしたよ」

真鶴『言ってない・・・けど・・・。ちょっと海琴・・・この人なに?』

海琴『お話したいんだって』

唯「真鶴ちゃんってハーフなんでしょ?」

梓「・・・」

真鶴『YES.沖縄とアメリカのダブルよ』



・・・・・・



律「目的はなんだよ?」

轍「大分離れたけど・・・中野さんと海琴ちゃんを話させようかと思っていたんだ」

玉恵「・・・なぜ?」

轍「オバァと同じ理由」

澪「・・・その海琴さんと同じ事を梓が・・・?」

轍「うん。それと、海琴ちゃんは音楽の大切さを人一倍知っているからね」

律「・・・音楽の大切さ・・・・・・」

轍「面白かったから、ね・・・。なにか伝わるものがあるかな、って」

姫子「伝わるもの・・・?」

轍「それは後から中野さん自身に聞いてみて。
  俺はそろそろ引き上げるから。お別れだ」

純「お別れ?」

玉恵「東京へ帰るの?」

轍「うん。記事をまとめないといけないからな。明日の朝で帰るよ」

律「戻るじゃなくて、帰る・・・なのか」

轍「・・・うん。さて、テントへ戻って今日のまとめをしないと」

澪「・・・相馬さん、北海道と沖縄の印象ってどうでしたか?」

和「いい質問ね」

風子「うんうん」

姫子「・・・対照的に位置する場所」

轍「北海道は『風と緑』、沖縄は『水と光』かな」

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379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:17:05.09 ID:/tE7ZYkDo

憂「それじゃそのお魚は沖縄でしか獲れないんですね?」

海琴『そうです。スクというお魚の稚魚なので生まれて3日経つと漬物にならないんです」

憂「そうですか・・・。それじゃあひーじゃーじるというのはなんですか?」

海琴『山羊を煮込んだ汁物です』

憂「う・・・」

海琴『う・・・?』

憂「ういって言います。平沢憂です」

海琴『私は上原海琴です』

真鶴梓『「 なんで二回も自己紹介してるの・・・ 」』

憂「色々と話を聞かせてくれてありがとうございました」

海琴『いえいえ〜』

憂「はい、梓ちゃん」

梓「・・・」

海琴『・・・?』

梓「中野梓です」

海琴『上原海琴です。中野さんもスクガラス召し上がったんですか?』

梓「はい・・・。塩辛くて私の口には合いませんでした」

海琴『そうですか・・・。しょうがないですよ。内地の方には合わない料理ですから』

梓「・・・」

海琴『・・・』

梓「・・・」

海琴『・・・』

梓「・・・」

海琴『・・・中野さんも』

梓「・・・?」

海琴『音楽をされているんですか?』

梓「はい・・・。先輩方と部活で演奏・・・して・・・いま・・・す」

海琴『・・・?』

梓「・・・あ・・・すいません・・・電話返しますね」

海琴『・・・梓さん』

梓「は、はい」

海琴『音楽って・・・いいですよね』

梓「はい」

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380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:17:49.57 ID:/tE7ZYkDo

真鶴『アズサ?ちょっと代わって海琴!』

海琴『真鶴ちゃんに代わりますね。それでは、ぐぶり〜さびら』

梓「?」

真鶴『ちょっと!どうしてにぃにぃに伝えなかったの!?』

梓「なに・・・を?」

真鶴『電話返したらかけ直させてって言ったでしょ!?』

梓「あの時は・・・その・・・色々あって・・・」

真鶴『・・・』

梓「ごめん・・・ね・・・」

真鶴『アズサ・・・』

梓「なに?」

真鶴『最初に話をした時より、いい風が吹いてるよ』

梓「どういう事?」

真鶴『にぃにぃに聞いてみて、それじゃあ私もこれで、GOOD BYE!』

プツッ

ツーツー

梓「・・・」

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・むぎ先輩?」

紬「・・・」ニコニコ

律「北海道は風と緑」キリッ

玉恵「沖縄は水と光」キリリッ

轍「・・・」

風子「宇宙は無限と有限」

和「それは言ってないわ」

春子「風子・・・?」

信代「・・・」

澪「・・・」

いちご「・・・」

さわ子「うふふ、面白いわね〜」

梓「どうぞ」

轍「あ、あぁ・・・って切ったのか・・・」

唯「たっくさん話できたよ〜」

憂「はい」

轍「それはよかった」

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381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:19:03.33 ID:/tE7ZYkDo

梓「・・・真鶴が言っていた『いい風が吹いている』って・・・なんですか?」

轍「あの子は先見の明を持っているから、そういう事なんだと思う。・・・電話で分かるのかな」

梓「・・・」

純「・・・」

轍「それじゃ俺はこれで失礼するよ
  貴重な話をたくさん聞けてよかったよ。おいしいごはんをごちそうさま」

唯「ふふん」

律「・・・」シーン

唯「りっちゃん・・・無視は嫌だよ・・・」シクシク

轍「テントにいるから、なにかあったら起こしていいからさ。それじゃね」

スタスタ

玉恵「おやすみー」

轍「お前もあまり邪魔すんなよー?」

玉恵「大丈夫だよ〜」

唯「おやすみ〜」

澪「おやすみなさい・・・」

律「風邪ひくなよ〜」

憂「おやすみなさい」

梓「・・・」フゥ

紬「・・・?」

純「・・・」

さわ子「最後まで妙な空気を纏っていたわねぇ」

風子「・・・そうですね」

姫子「どんな空気なのか分かったの風子?」

風子「なんというか、玉恵さん以外は近づけない、近づかせないというか」

春子「歳の差があるからでしょ?」

信代「玉恵さんと電話相手以外は敬語だったな・・・」

いちご「・・・それだけなのかな」

和「・・・」

律「なんで喋らないんだよ?眠いのか?お子様か?」

純「まだ眠る時間じゃないですよ」ヒョイ

パキパキパキ

律「じゃ、なんなんだよ?言ってみろって〜」

純「梓がいまいち分からなくて・・・。なんなんでしょうね」

律「あぁ・・・確かに」

澪「・・・電話でどんな話をしたんだろ」
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382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:22:20.65 ID:/tE7ZYkDo

玉恵「はぁ〜、あまぁ〜ぃ」モグモグ

唯「あー!私の分がなくなってる!」

澪「さっきたくさん食べただろ・・・」

紬「・・・」モグモグ

律「とろけるマシュマロ・・・うめぇ・・・!」

春子「・・・おいしいな」モグモグ

さわ子「玉恵・・・ひとつ聞いていいかしら?」

玉恵「・・・ん?」モグモグ

さわ子「・・・旭川に行かなかったことを、後悔してる?」

玉恵「してないよ」

姫子「即答だね」

玉恵「まぁね。どんな自分になっているんだろうって興味はあるけど
   ありもしない自分を想像するのは旅をする上で足かせにしかならないよ」

さわ子「どうしてよ、次の行動へのヒントになるかもしれないでしょ」

玉恵「旅は現実を一つ一つ確実に与えてくれるんだよ。楽しいことも辛いことも
   それを遮るのはやっぱり損だよ。つまらなくするだけだよ。前だけみないと」

梓「・・・」

姫子「・・・」

さわ子「振り返ることはないの?」

玉恵「バイクの運転中は危ないでしょ」

さわ子「そうね〜、前方不注意で事故ってしまうわね」

律「納得しないでくれますかね。よく分からないんですけど」

澪「玉恵さんは・・・バイクに旅そのものを重ねているんだと思う」

純「なるほど・・・。旅と人生を重ねて、旅とバイクを重ねて・・・ですね」

信代(今日はみんな語るなぁ・・・焚き火のせいかな・・・)

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383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:23:03.88 ID:/tE7ZYkDo

唯「はいっ、私からも質問です!」

玉恵「うむ、許可しよう」

唯「玉恵ちゃんの旅の終着点はどこですか!?」

梓「・・・」

紬「・・・」コクコク

玉恵「うーん・・・終着点・・・」

姫子「・・・」

玉恵「まだ見つけてないし、どこにあるのか見当もつかないや」アハハ

いちご「終着点って?」

和「文字通り旅の終わりとなる場所ね」

いちご「・・・」

律「唯にしてはいい質問だったんだけどな〜」

唯「そうでしょ」エッヘン

梓「胸を張るところじゃないですよ」

玉恵「轍さんは見つけたみたいだけど」

澪「どうしてですか?」

玉恵「4年前とは違ったからね」

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384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:24:37.39 ID:/tE7ZYkDo

また、かき乱していった

宿題と言わんばかりにモヤモヤを残していった

なんだろう、すごく嫌だ・・・あの人


澪「梓?」

梓「・・・え?」

澪「聞いていなかった?」

梓「なんですか?」

純「ぼーっとしているから澪先輩の声が聞こえないんだよ〜」

律「電話で話してなにか伝わったのか・・・って事だよ」

梓「海琴さんと・・・」



・・・・・・



紬「・・・」ニコニコ

唯「むぎちゃん?」

紬「・・・?」

唯「いい事あったの?」

紬「・・・」コクリ

和「なにがあったのよ」

紬「・・・」

ギュ

和「・・・」

紬「・・・」スラスラ

和「た・・・び・・・が・・・」

紬「・・・」スラスラ

和「は・・・じ・・・ま・・・っ・・・た・・・。むぎの?」

紬「・・・」フルフル

唯「ん〜?」

姫子「誰の旅が・・・?」

紬「・・・」スッ

唯「内緒・・・?」

紬「・・・」ニコニコ

和「・・・見当はつくけどね」

姫子「・・・誰なの?」

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385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:25:44.28 ID:/tE7ZYkDo

・・・・・・



梓「海琴さんと話をしたのは・・・音楽の魅力だけです」

律「なんて言ってた?」

梓「音楽はいいですよね・・・って」

澪「・・・うん」

―――うん

音楽はいい

一つになれる

一つの曲を先輩方と紡ぐことが出来る

それはとても素敵で

それはとてもかけがえのないものになった

音楽をやってて、よかった


玉恵さんが言った

『黙っていることは悪いこと』だって

唯先輩だけ知らない

知ったら

背中を押しちゃうから

私たちは準備をしたかった

むぎ先輩の背中を心から推す事ができるような

そんな強さを持てるようになるまでの時間が欲しかった

『いい風吹いてるよ』

今その言葉がありがたく感じる


律先輩―――いいですか?


律「・・・」コクリ


澪先輩―――?


澪「・・・」コクリ


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http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:27:19.38 ID:/tE7ZYkDo

・・・・・・



唯「教えてよ〜」

紬「・・・」スー

和「・・・?」

姫子「私たち・・・?」

信代「え・・・?私も入ってんの?」

風子「おぉー」

春子「な、なんで・・・?」

いちご「・・・私たちの旅が始まったって・・・どういう事?」

紬「・・・」フンス!

唯「よく分かんないよ、むぎちゃん」



・・・・・・



憂「お姉ちゃん・・・」

玉恵「唯ちゃんだけ知らないんだね・・・」

さわ子「しょうがないんだけどねぇ」

憂「・・・」

玉恵「そんな顔しないで」ナデナデ

憂「ぁ・・・」

玉恵「憂ちゃんのお姉ちゃんは芯がないようで、実はしっかりもっているんだよね」

憂「・・・」

さわ子「それ、褒めてるの?」

玉恵「そ、そうだよ」

憂「・・・はい」

純「おーい!」

玉恵「純ちゃんが呼んでるね」

さわ子「行きましょうか」

憂「はい」


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http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:28:34.72 ID:/tE7ZYkDo

・・・・・・



姫子「信代、風子、春子、いちご」

信代「ん?」

風子「なぁに?」

春子「なんだよ?」

いちご「・・・?」

姫子「私らはなりゆきをみている事しか出来ないから・・・ね」

信代「・・・」

風子「・・・」コクリ

春子「分かった」

いちご「うん・・・」



・・・・・・



さわ子「どうしたのよ?」

唯「あずにゃんが大切な話をするんだって」

玉恵「・・・」

さわ子「・・・そう」

唯「なにかな!?」ウキウキ

憂(お姉ちゃんは強いから・・・。さっきの旅の話を聞いて確認したよ。だから・・・大丈夫)

純(どうしてだろう・・・緊張する。私は部外者のはずなのに)

和(見守ることしかできないのね)

律(私も、もう振り返らない。大切な想い出と一緒に進むからだ)

澪(むぎは言ってくれた)

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388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:30:18.70 ID:/tE7ZYkDo

梓「むぎせんぱい」

紬「・・・?」

梓「あ・・・えーと、その・・・」

紬「・・・」ニコ


ずっといたい


梓「・・・」

紬「・・・」ニコニコ


ずっとこの笑顔をみていたい


梓「・・・っ」

紬「・・・?」


ずっと一緒にいたい


梓「ドイツへ行ってください」

紬「!」

唯「え・・・」

梓「唯先輩以外は知っていますよ」

紬「・・・」

唯「ど、どういう事!?」

梓「ドイツへ行けば・・・むぎせんぱいの声は治るかもしれないそうです」

紬「・・・」

唯「そ、そうなの!?むぎちゃん!?」


ゆっくりうなずく


紬「・・・」コクリ

唯「そ、そうなんだ・・・よか・・・っ・・・たぁ・・・」

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389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:31:54.77 ID:/tE7ZYkDo

唯先輩の声が潤む

澪先輩の顔が見えない

律先輩はまっすぐむぎせんぱいを見ている

私は言葉を―気持ちを伝える


梓「卒業まであと数ヶ月ですが・・・。今すぐ行ってほしいんです」

紬「・・・」

唯「今すぐ・・・?」

梓「時間が経てば経つほど、治る確率が低くなるのだそうです」

唯「ぇ・・・」

紬「・・・」


まっすぐにわたしをみる

いつもほわほわしているむぎせんぱいとはちがう表情

初めて見た

それはそうだ

自分の声よりこの時間を選んだのだから

その、むぎせんぱいの決意を私は拒否しているのだから


梓「今の時間は今しかありませんけど
  私たちが一緒に学校に通う時間は、今・・・しか・・・ありません・・・けどっ」


泣くな

最後まで伝えなきゃ

私が伝えたい言葉なんだから

私が伝えなきゃ


紬「・・・」

梓「それでも・・・、あなたに素敵な言葉を紡いでほしいから」

紬「!」

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http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:34:02.17 ID:/tE7ZYkDo

ワタシハナニヲイッテイルンダロウ


梓「あなたの暖かい笑い声を聞きたいから」

紬「・・・」


コレハタダノワガママ


梓「あなたの透き通る歌声を聞きたいから」

紬「・・・」


ワタシヒトリノカッテナオシツケ


梓「むぎせんぱいと・・・言葉を交わしたいから」

紬「・・・」


オモイヤリノナイコトバダ


梓「・・・あなたに・・・私の名前を呼んで欲しいからっ」ホロリ

紬「・・・」


ナイチャッタ


梓「・・・」グスッ

紬「・・・」

梓「だから・・・っ・・・だから・・・行って・・・ください」

紬「・・・」


この瞬間を

私は一生忘れない

忘れることができない


紬「・・・」コクリ

―――伝わった


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391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:35:19.54 ID:/tE7ZYkDo


紬「・・・」


どうして笑顔になるんですか

私のワガママなんですよ

言葉を出せないむぎせんぱいに対してひどい事を次から次へと

私は言ったんです


チガウ


イマエガオニナルアナタガイヤダ!


梓「どうして・・・っ・・・どうして笑顔になるんですか!?」

紬「・・・」

唯「あずにゃん・・・」

梓「残り数ヶ月の時間を捨てろと私は言ったんですよ!?」

澪「・・・」

梓「確実に治るわけでもない賭けに、私はそうしろと!失うものが大きいのに
  両方とも捨てる事になるかもしれないのに!そうしろと私は言ったんです!」

律「・・・」

梓「な・・・ッ・・・なんであなたは!そこで笑顔になれるんですか・・・ッ!」

紬「・・・」

梓「時間は戻らないんですよ!?」

紬「・・・」


バカダ

ワタシハドウシヨウモナイバカダ


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392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:36:44.06 ID:/tE7ZYkDo

梓「・・・なんで・・・っ」

澪「一人で背負わなくていいよ、あずさ」

律「まったくだ」

唯「ドイツへ行ってほしいっ・・・よ」グスッ

梓「!」

紬「・・・」

ギュウ



この温かさは

反則です



梓「ごめんなさいっ」グスッ

紬「・・・」フルフル

梓「私っ・・・むぎせんぱいがここに残ると・・・言ってくれるのを少し・・・っ
  期待していたんです・・・っ」グスッ

紬「・・・」

ギュウ

梓「伝わったこと・・・がどうしようもなく・・・嬉しくて、どうしようもなく・・・悲しくて」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・だから・・・っ」

スッ


離れる

私の目をまっすぐ見て

何かを伝える


紬「・・・」

梓「お礼を言うのは・・・私ですよっ」

紬「・・・」ニコニコ

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393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:37:33.27 ID:/tE7ZYkDo

唯「会話したよっ!」

律「マジかよ」

澪「・・・ふふっ」

梓「っ・・・」グスッ

紬「・・・」ニコニコ

唯「あずにゃんと同じ気持ちだよ。むぎちゃん!」

紬「・・・」コクリ

律「寂しくなるけどな。いや、寂しいなんてもんじゃねえ!
  ポッカリだ。心に穴が開くんだぞ!」

紬「・・・」コクリ

澪「言ってくれたよね。
  『時間と距離が私たちを隔てようとしても、わたしはいつもみんなを想ってる』」

紬「・・・」コクリ

澪「私たちも・・・むぎを想っているから・・・な」

紬「・・・」ニコ

梓「ですから・・・」

梓唯律澪「「「「 行って 」」」」

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394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:38:42.93 ID:/tE7ZYkDo

さわ子「ちょっと待った!」

梓「え・・・?」

唯「ちょっとさわちゃん」プンスカ

律「さわちゃん・・・ひどいぜ」

澪「・・・」

さわ子「まだその台詞は早いわ」

紬「・・・?」

梓「でも、斉藤さんは・・・」

さわ子「26、27の学園祭はどうするのよ」

律「どうするって・・・。どうすりゃいいんだよ」

さわ子「一緒に参加しなさいよ」

澪「で、でも・・・」

憂「梓ちゃん、斉藤さんはいつでも行けると?」

梓「・・・うん」

玉恵「言っていたね」

さわ子「むぎちゃんは向こうの学校に行く事になるわねぇ」

和「そうなの?」

紬「・・・?」

姫子「首を傾げているって事は・・・まだ無計画?」

紬「・・・」コクリ

信代「今決めた事だから当然っちゃ当然か」

さわ子「通うとしても手続きが必要になるから、とりあえず月末までは時間がかかるわ」

風子「・・・と、いう事は!」

さわ子「学園祭までいなさい」

紬「・・・」コクリ

春子「・・・これは企画を練り直さないとなぁ」

いちご「・・・うん!」

梓「お、おぉー!」フルフル

唯「少しの時間があるんだ!」

澪「よ、よし!」

律「大切に進むぞー!」

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395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 21:40:07.34 ID:/tE7ZYkDo


さわ子「・・・ふぅ」

玉恵「ちょっと苦しくなかった?今の話の進め方」

さわ子「ちょっとなんてもんじゃないわよ。すぐにでも病院へ行けばいいだけの話なんだから」

玉恵「ですよね〜」

さわ子「強引にこじつけたけど・・・。これを許さない神様がいたら、私が許さないわ」

玉恵「・・・悪魔に魂を売ったかのようだ」

さわ子「あら、そう名乗っていたのよ私は」

玉恵「あぁ、唯ちゃんから聞いたよ。HEALTH DEVILだっけ?」

さわ子「器用に間違えてるんじゃないわよ。DEATHよ、DEATH DEVIL」

玉恵「健康な悪魔だ」

さわ子「自分で説明してると空しいわよね〜」

玉恵「まったくです」

さわ子「面白いわねあなた」スッ

玉恵「お互い様だよ」スッ

カン

和「それ、お酒じゃないですよね?」

さわ子「あなた達がいるのに、飲まないわよ」

玉恵「そうそう。ただのむぎ茶だよ〜」

和「雰囲気が・・・」

さわ子「信用ないのね〜」

玉恵「じゃ、今度三人で飲もうよ」

和「今度って二年後になりますけど」

さわ子「二年後にくる予定あるの?」

玉恵「未定だった予定が確定になるのだよ、約束する?」

和「それは面白いですね」

さわ子「教え子と飲むなんて・・・時間の流れが怖くなるじゃない・・・」


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396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 22:29:19.90 ID:/tE7ZYkDo

―――――・・・

ちゃーらら〜らら〜らら〜♪

梓「え・・・と、こうですか?」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・で、つぎは・・・こうですね」

紬「・・・」コクリ

梓「ありがとうございました」ペコリ

紬「・・・」ペコリ

ちゃらっちゃちゃっちゃ♪

梓「次は・・・風子先輩ですか」

風子「よろしく〜♪」


・・・・・・



律「オクラホマミキサー・・・どこから持ってきたんだよ・・・」

さわ子「学校からよ?」

和「あったんですね・・・」

信代「風子・・・キャラが違うよな・・・」

さわ子「変わったというべきか、元が表面化しただけなのか。
    どちらにせよ、あのふぅちゃんは悪くないわ」

春子「そうですね・・・。しかし、紬と風子は分かるけど・・・」

律「だよなぁ・・・。梓と憂ちゃんはノるだろうとは思っていたけど」

いちご「・・・うん」

信代「いやぁ・・・目の前の光景が信じられないよわたしは」

和「そうね・・・」

玉恵「・・・どうしよう」


・・・・・・


ちゃっちゃっちゃん♪

澪「よろしく」

姫子「よろしく♪」

澪「ふんふんふん〜♪」

姫子「〜♪」

澪「楽しそうだよね」

姫子「楽しいよ」

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397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 22:30:25.13 ID:/tE7ZYkDo

澪「うん・・・。それは嬉しい」

姫子「みんなが楽しんでいると嬉しい?」

澪「うん」

姫子「あ、間違えた」

澪「ご、ごめん」

姫子「あはは、中学校の体育祭以来だよ」

澪「私は初めて・・・かな」

姫子「へぇ〜」

澪「今日は私たちの他にいないみたいだから、踊れるんだけどな」

姫子「台風様々だね〜♪」

澪「うん」

ちゃっちゃっちゃん♪

姫子「ありがとうございました」ペコリ

澪「ありがとうございました」ペコリ

姫子「おっと、純ちゃんか」

純「よろしくお願します」

姫子「よろしく♪」

純「うわっ、風子先輩より楽しそう!」

姫子「楽しいよ♪」

ちゃーらら〜らら〜らら〜♪

純「傍から見たら恥ずかしい光景ですよ、これ」

姫子「大丈夫、大丈夫。テントはそんなにないんだし」

純「そう・・・ですけどぉ」

姫子「今は今しかない。ってさっき教えてくれたよ」

純「・・・」

姫子「だから楽しもうよ」

純「後で枕に顔を埋めて足をジタバタしませんかね?」

姫子「後の事は後で考えよう♪」

純(テンション高いな〜)

ちゃっちゃっちゃん♪

姫子「ありがとうございました」ペコリ

純「ありがとうございました」ペコリ

姫子「次は、むぎだね」

紬「・・・」ペコリ

姫子「よろしく♪」ペコリ

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398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 22:31:14.66 ID:/tE7ZYkDo

ちゃーらら〜らら〜らら〜♪

紬「・・・」

姫子「・・・」

紬「・・・」

姫子「・・・」

紬「・・・」

姫子「・・・」

紬「・・・」

姫子「・・・」

ちゃらっちゃちゃっちゃ♪

紬「・・・」ペコリ

姫子(すっごい楽しい)ペコリ

風子「姫ちゃんだ」

姫子「風子にまで浸透しちゃったか」

風子「よろしく♪」

姫子「よろしく♪」

ちゃーらら〜らら〜らら〜♪

風子「キャンプに来てよかった」

姫子「うん」

風子「玉恵さんに出会えた」

姫子「・・・」

風子「相馬さんに出会えた」

姫子「・・・」

風子「こんな自分に出会えた」

姫子「うん」

風子「旅ってこういう事なんだろうね」

姫子「うん」

風子「あの二人って凄いよね」

姫子「梓ちゃんとむぎ?」

風子「あ、むぎって呼んでる」

姫子「今のうちに呼んでおこうと思ってさ」

風子「わ、私も呼ぶ!」

姫子「その列にいたら踊れないじゃん」

風子「それじゃ、私と列入れ替わろう〜♪」

姫子「そうしよう〜♪」

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399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 22:31:50.56 ID:/tE7ZYkDo

ちゃらっちゃちゃっちゃ♪

梓「なるほど。よろしくです」ペコリ

姫子「よろしく♪」

ちゃーらら〜らら〜らら〜♪

梓「楽しそうですね」

姫子「楽しいよ〜♪」

梓「よかったです」

姫子「澪と同じ事言ってる」

梓「そうですか?」

姫子「うん。みんなが楽しいと嬉しいってね」

梓「そうですか・・・」

姫子「梓ちゃんとむぎはすごいね」

梓「なにがですか?」

姫子「互いを高めあってる・・・って感じかな」

梓「・・・違います。むぎせんぱいが引っ張ってくれるから、そこにいるだけです」

姫子「・・・」

梓「私は少しも凄くはないんです」

姫子(ちゃんとついていってるじゃん。充分すごいよ)

ちゃらっちゃちゃっちゃ♪

梓「ありがとうございました」ペコリ

姫子「今日はありがと」

梓「?」

姫子「憂ちゃん、よろしく♪」

憂「よろしくおねがいします」ペコリ

ちゃーらら〜らら〜らら〜♪

姫子「上手だね、振り付け」

憂「ふふ、実は練習していたんです」

姫子「えっ!?うそっ!?」

憂「うそです」キッパリ

姫子「驚かせないでよ」

憂「ごめんなさい」クスクス

姫子「いいけどね♪」

憂「楽しそうですね」

姫子「みんなに言われるけど、そんな風に見える?」

憂「体中が弾んでます」

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http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 22:32:45.84 ID:/tE7ZYkDo

姫子「心から楽しんでいるんだろうね。・・・そっか、なんか新鮮」

憂「いいですよね、こういう感じ♪」

姫子「うん♪」

ちゃらっちゃちゃっちゃ♪

憂「ありがとうございました」ペコリ

姫子「ありがとうございました」ペコリ

唯「あ、姫ちゃんだ」

姫子「よろしく、唯♪」


・・・・・・


玉恵「どうしよう・・・一人余るよ」
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401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 22:33:49.98 ID:/tE7ZYkDo

律「じゃ、、先に行ってるからな」

さわ子「待ちなさいよ、誰か残りなさいよ」

信代「それは嫌です!」

春子「うん、嫌だ!」

いちご「・・・」スィー

玉恵「しょうがないな・・・。ジャンケンといきますか」

律「しゃあねえな」

玉恵「よーし、じゃーんけん」

律「ほいっ!」

グー

グー

玉恵「引き分け」

律「勝負は簡単にはいかねえか」

玉恵「あれ、どうして一対一になってるの?」

律「あれ・・・?おいてかれた!」

玉恵「・・・」スタコラサッ

律「待てい!」

ガシッ

玉恵「独りぼっちは嫌だもん!」

律「私だって嫌だよ!」

玉恵「まってよ・・・。ここに二人いるってことは」

律「あっちは誰かあぶれるな」

玉恵「あ、澪ちゃんがあぶれた」

律「あははっ、うろたえてる!」

玉恵「幼なじみなんでしょ〜、そんな言い方はひどいよリッチャン」

タッタッタ

玉恵「・・・置いていかれた・・・ひどいよ・・・リッチャン・・・」ズドーン


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402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 22:34:34.23 ID:/tE7ZYkDo

―――――深夜

律「う・・・ん・・・」モゾモゾ

紬「」スヤスヤ

澪「」スヤスヤ

梓「」スヤスヤ

風子「」スヤスヤ

憂「」スヤスヤ

律「・・・」ボケー

シャー

律「・・・」モゾモゾ

シャー

スタスタ

和「・・・りつ?」



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403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 22:35:27.03 ID:/tE7ZYkDo

―――・・・



律「ふぁ・・・」

和「・・・」

律「どわぁ!」

和「お手洗い?」

律「う、うん・・・」ドキドキ

和「夢遊病かと思ったわよ」

律「心配かけてすいません」ドキドキ

和「いいわ。戻りましょう」

律「そだな・・・ふぁ・・・」

和「・・・ふぁ」

プィープゥー

律「・・・なにか聞こえた?」

和「聞こえたわね・・・。なにかしら」

・・・

律「あれ?」

和「・・・よくある話よ」

律「話を終わらそうとするなよ、逆に怖いから」

和「見て律・・・」

律「ん?・・・空・・・おぉ!」

和「澄んでいてキレイ・・・」

律「あぁ・・・」

和「二人で見るなんてもったいないわね」

律「起こすか」ウシシ

プーピィーププー

和「・・・」

律「あっちだ・・・」

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404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 22:36:26.00 ID:/tE7ZYkDo


轍「・・・」ピィープー

ガサガサッ

轍「ッ!?」ビクッ

律「・・・ソーマ?」

和「・・・どうしたんですか?」

轍「び、びっくりした・・・」

律「驚かせて悪かった。音がしたからつられて来たんだけど」

和「ハーモニカ・・・ですね?」

轍「うん・・・久しぶりに吹いてみたくなってね。どうしたのこんな時間に」

律「・・・空がきれいだったからさ」キリ

和「・・・」

轍「確かに・・・。これは滅多に見れない星の数だ」

律「そうなのか?」

轍「今日は安定していて、星のゆらぎもないみたいだ」

和「・・・」

轍「沖縄ではあまり吹かなかったんだけど、北海道の話を聞いていたら懐かしくなって」

律「ふーん」

和「どうしてハーモニカを?」

律「かっこつけたいからだろ?」

轍「違うよ・・・。今は星と月明りがあるからいいけど、曇っていたら夜は闇なんだよ」

律「・・・」

轍「自然に囲まれた闇の中を一人でいる。それって結構不安になるんだ。焚き火があってもね」

和「そうですね・・・」

轍「そういう時はよく吹いていた。自分を励ます為に」

律「・・・一人でキャンプって・・・結構シビアなんだな」

轍「それがいいんだけどね。さて、テントに戻りますか」

和「そうね」

律「あのさぁ」

轍「ん?」

律「ニライカナイ・・・だっけ?どうしてその話をしたんだ?」

轍「話の流れってのもあるんだけど、自分が探していた場所だったからかな」

和「・・・」

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405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 22:37:37.32 ID:/tE7ZYkDo

律「よく分かんねえ」

轍「そうだよね。キミ達の歳ではあまり惹かれる話でもないよね」

和「いい事ばかりじゃない場所ですよね」

轍「うん。毎日こんな星空だと、つまらないでしょ」

律「そうか?キレイなものを見て心が潤うならそれが一番だろ」

轍「うん。そうだ。・・・だけど、俺には闇の中でコレを吹く時間も欲しいんだよ」

和「・・・寂しいから吹くのに・・・ですか?」

轍「うん。渇いていた方がモノを鋭く捉えられるからね」

律「そういうもんなのか・・・」

和「・・・」

轍「さ、戻ろう・・・」

律「眠いや・・・ふぁ〜」

轍「ふぁ・・・」

和「律のあくびはうつるわよね」

轍「俺が去ってからどうなったの?」

律「フォークダンス踊った」

轍「ブフッ」

和「正しいリアクションよね」

律「いやいや、和も踊ってただろ」

和「そうだったかしら?」

律「過去を改竄すんなよ」

轍「そっ、それで・・・?」

和「踊り終わった後に、梓とむぎの旅の話を聞いたわ」

律「一緒にいたのに視点がまるっきり違うから面白かったぜ」

轍「へぇ・・・」

律「残念だったな」ウシシ

轍「そうだね」

律「そうでもないって声だな」

轍「はは」

和「聞かないでもいいってことですか?」

轍「あの二人の・・・いやキミ達の絆を垣間見れただけで満足したんだよ・・・俺は」

律「・・・」

轍「それ以上踏み込んでいいとも思わなかったからね」

和「そうですか・・・」

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406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 22:38:06.50 ID:/tE7ZYkDo

轍「・・・玉恵もフォークダンスを?」

律「あぁ、姫子と楽しそうに踊ってた」

轍「玉恵のヤツ・・・」ヤレヤレ

和「玉恵さんと出会えてよかったですよ」

律「うん、楽しかったぜー」

轍「そっか・・・。キミ達と一緒にいて楽しそうだったのは分かるけどね」

律「あのさ、さっきから気になってるんだけど」

轍「?」

律「キミ達ってなんだよ?」

轍「俺キミの名前知らないよ?」

律「自己紹介してなかったっけ?」

轍「聞いてないね」

和「あら・・・」

律「ま、今さらだな」ウシシ

轍「今さらだよね」

和「それでいいのね」

律「今日は長い一日だったなー」


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407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 22:48:34.60 ID:/tE7ZYkDo
今日はここまでにします 
読んでくださった方ありがとうございます

続きは明日の夕頃になります

>幽霊三人 
ニヤリとしました
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408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 23:53:33.58 ID:glaLXbdDO
なんというか、無駄に長いよな……
モブまで出して話広げなくてもよかったんじゃね
クロス元がそういう話なのかは知らんけど
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409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 09:20:26.29 ID:9q45uKD8o
学園祭までに何とかなってほしいけど・・・
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410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:38:54.28 ID:u8FaWllJo

まずは、こちらの画像をご覧いただこう・・・
http://www.gazo.cc/up/55061.jpg

おわかりいただけただろうか

一見、なんの変哲も無い38人の少女たちが写ってるのだが


お気づきになったであろうか


実はこの少女たち

全員登場するのである・・・
※深くは関わりません

長いと感じさせてしまうのは私の未熟さでございます
メリハリもなくgdgdと進んでいきます

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411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:41:17.77 ID:u8FaWllJo

9月12日


チュンチュン

憂「ふんふふん〜♪」トントントン

いちご「・・・昨日のオクラホマミキサー?」

憂「そうです」

いちご「・・・楽しかったね」

憂「Oui」

いちご(・・・フランス語で返事?)

憂「〜♪」トントントン

グツグツグツ

いちご「・・・もういいかな」

憂「すいません、手伝ってもらって」

いちご「一人で準備するの大変でしょ。気にしないで」

憂「ありがとうございます」

いちご「・・・うん」

轍「うおっ、はやいな!」

憂「あ、おはようございます」

いちご「・・・」コクリ

轍「まだ朝の6時だよ・・・?」

憂「相馬さんも早いですよ」

轍「俺はこれから帰るから・・・早めの仕度を・・・」

いちご「東京へ?」

轍「うん。・・・そこの火一つ貸してくれるかな?」

憂「あ、ごめんなさい。共同なのに」

轍「昨日のお礼に一品提供させてもらおうかな、と」

いちご「・・・一品?」

憂「?」

轍「朝食のメニューは?」

憂「サンドイッチとコーンポタージュ。おにぎりと味噌汁です」

いちご「・・・あと果物をいくつか」

轍「豪勢だな・・・羨ましい。・・・少なめに作ってみるかな」


――・・・

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412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:42:13.82 ID:u8FaWllJo

憂「・・・」モグモグ

いちご「・・・」モグモグ

轍「どうかな」

憂「意外とあっさりしていておいしいです」

いちご「・・・うん」

轍「よかった」ホッ

憂「これは旅の料理なんですか?」

轍「これも沖縄料理。ヒラヤーチーって言うんだ」

いちご「ひらやーちー・・・」

憂「少ない材料で・・・すごいですね・・・」

轍「おやつみたいなものなんだけどね」

いちご「・・・ニラの香りとツナの味が・・・いい」

憂「はい」

轍「残りの焼く分は任せていいかな?」

いちご「はい・・・」

憂「一緒に食べて行きませんか?」

轍「時間がもうないな・・・。それじゃあね」

いちご「まってください」

轍「?」

憂「どうぞ、お礼のサンドイッチです」

轍「・・・お礼のお礼か・・・ありがと。旅の醍醐味だね」

いちご「・・・」

憂「最後に一つだけ・・・聞かせてください」

轍「?」

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413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:43:56.68 ID:u8FaWllJo

憂「どうして梓ちゃんに不安定な道しるべを示したんですか?」

轍「・・・」

いちご「道しるべ?」

憂「はい。ちゃんと示してくれたら、梓ちゃんだって」

轍「それは俺の役目じゃないから。キミ達の役目でしょ?」

憂「・・・」

轍「俺は外から来た者だから。余所者に踏み込まれるのは嫌だよね」

憂「それなら、知らぬフリをしていればいいのではないでしょうか」

轍「そうだね。・・・だけど、俺とキミ達は出会ったから。袖触れ合うも他生の縁ってね」

憂「おせっかいじゃないですか?」

いちご「・・・」

轍「性分なんだ・・・。俺も旅の中でたくさんの人に助けられたから、そのお返しをだれかにってね」

憂「そうですか」ニコ

いちご「・・・!」

轍「なんて・・・。実は余計なお世話をしたのかもしれないと、気になっていたんだ」アハハ

憂「クスクス」

轍「みんなにちゃんと挨拶が出来ないのは心苦しいけど、伝えておいてくれないかな」

憂「玉恵さんにも挨拶していかないんですか?」

轍「玉恵も旅人なら分かるよ。大丈夫だ」

憂「そうですか」

轍「それじゃ、元気でね。さようなら」

憂「はい、ありがとうございました。さようなら」

いちご「・・・さようなら」

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414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:44:44.23 ID:u8FaWllJo

――・・・



玉恵「えぇー・・・」ガーン

いちご「大丈夫じゃなかったね」

玉恵「せっかく再会したのに〜」シクシク

律「なんで泣いてんだ、玉恵ちゃんは?」

唯「うまさん、帰ったんだ・・・」

憂「うん。みなさんによろしくって」

澪「この料理は置き土産って事かな」

律「朝から重たそうな・・・」

憂「見た目よりは重くないですよ」

唯「それじゃいただきまー」

和「待って、みんな揃ってないわ」

唯「おぉっと危ない危ない」

いちご「憂ちゃん」ヒソヒソ

憂「はい?」

いちご「さっき・・・怒ってた?」

憂「ちょっとだけ」エヘヘ

いちご「・・・羨ましい」ボソッ

憂「?」

玉恵「それで、私がテントへ行った後どうなったの?」

律「梓の話を聞いて、お終い」

澪「といっても2時間くらい話をしていましたけど」

いちご「結構喋っていたよね」

憂「はい」クスクス

玉恵「ふ〜ん・・・」

和「玉恵さんの話を聞いて思うところもあったみたいですよ」

玉恵「思うところ?」

唯「あのね〜・・・」

・・・・・・

・・・

梓「虚無感を・・・やりきれなさを感じたと・・・」

唯「うん」

紬「・・・」

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415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:45:39.44 ID:u8FaWllJo

梓「もし、私が、あの旅を、むぎせんぱいと一緒に行ったあの旅を
  一人で行ったとしたら・・・。と思ったら、とても怖くなりました」

憂「どういう事?」

梓「きっと玉恵さんとは違う、『何も無かった』を感じただろうから」

純「でも、列車に乗ってくる人たちは同じ・・・。そっか、律先輩が言っていた事は
  そういうことなんだ。一緒にいないと見られない景色・・・」

律「・・・」

梓「うん。旅行が楽しかった。それだけで終わる思い出になっているんだと思う」

澪「そうだな、それは私も同じだ」

唯「うん!」

紬「・・・」コクリ

・・・

・・・・・・

玉恵「・・・」

律「お、来た来た!やっとご飯にありつけるぜ」

純「・・・ふぁ」

梓「いい朝ですね」

紬「・・・」ニコニコ

姫子「すごかったよ」

澪「なに・・・が?」

信代「むぎと梓ちゃんのコンビネーション」

梓「普通ですよ」フフン

憂「満足そうな顔してる・・・」

春子「あ、朝ごはん用意してくれてたんだ・・・。さんきゅー」

唯「えっへへ〜」

和「・・・」

いちご「・・・」

風子「憂ちゃんありがとー」

憂「いえいえ〜、髪形変えたんですね」

風子「ちょっと変えてみました」

さわ子「さて、みんな揃った事だし、いただきましょうか」

玉恵「いただきまーす!」

律「ちょっとま」

風子「ちょっと待ってください」

玉恵「え?どうして〜、冷めちゃうよ」

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416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:46:26.68 ID:u8FaWllJo

律「趣向を凝ら」

風子「趣向を凝らして、私が」

さわ子「別に乾杯の音頭をとらなくてもいいでしょ」

風子「」ガーン

律「さっきから風子!私の言葉をさえぎるなよ!」

風子「」ガーン

澪「同じ事言おうとしてただろ・・・」

律「そうですけど」

玉恵「冷めちゃう〜」

純「・・・いただきまーす」

「「 いただきまーす 」」

梓「おいしいよ、憂」モグモグ

憂「ありがと〜」

姫子「これ、いちごも作ったの?」

いちご「・・・うん」

春子「・・・マジかよ」

信代「おいしいんだけど・・・」

唯「おいしいが一番だよ」モグモグ

風子「」

梓「固まっていないで食べてください。コーンポタージュおいしいですよ」

風子「ハッ・・・。うん、ありがとう」

紬「・・・」ニコニコ

和「むぎ・・・食べないの?」

紬「・・・」イソイソ

澪「すごかったって・・・どうすごかったの?」

姫子「それは・・・」

・・・・・・

・・・

姫子「・・・」シャカシャカ

純「うー・・・ねむい・・・」

信代「夜中に律が起こしてきたから・・・」

風子「はい、歯磨き粉。先にどうぞ」

純「ありがとうございますー」

さわ子「しゃきっとしないと置いてくわよ」

純「置いてかないでくださいよー」

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417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:47:22.81 ID:u8FaWllJo

梓「・・・」スッ

紬「・・・」コクリ

梓「・・・」シャカシャカ

姫子(阿吽の呼吸・・・)シャカシャカ

紬「・・・」シャカシャカ

信代(言葉は邪魔なのか・・・)シャカシャカ

純「・・・」シャカシャカ

ジャー

姫子「・・・」ブクブク

さわ子「・・・朝は少し冷えるわね」

風子「そうですね・・・。本格的に秋到来です」

ジャー

紬「・・・」スッ

姫子(コップに水をいれて、渡した・・・)

梓「・・・」ブクブク

紬「・・・」シャカシャカ

姫子(ゆすぐタイミング分かっていた・・・?)

さわ子「姫ちゃん、交代しましょ」

姫子「はい・・・」

風子「信代ちゃんも終わったんでしょ?」

信代「う、うん・・・」

梓「・・・」スッ

紬「・・・」ブクブク

姫子(なんでタイミングが分かるんだろ)

信代(すごい・・・)

純「・・・」シャカシャカ

さわ子「・・・ん」スッ

純「・・・?」

さわ子「水よ・・・」シャカシャカ

純「・・・」コクリ

風子「・・・歯を磨きながら喋るのは危険ですよ」シャカシャカ

梓「風子先輩もですよ」

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418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:47:55.71 ID:u8FaWllJo

紬「・・・」スッ

梓「あ、ありがとうございます」

紬「・・・」ヒョイヒョイ

梓「もうちょっと・・・」

紬「・・・?」

梓「そうです。そこで結ってください」

紬「・・・」キリ

梓「よし、これでおっけーです」

姫子「すごいなぁ」

信代「うむ」

梓「?」

紬「・・・」キラキラ

風子「どうしたの、むぎさん?」

梓「髪を結ってみたいという事だと思います」

風子「私!?」

さわ子「そうねぇ、ふぅちゃんは澪ちゃんと髪型被ってるから、変えましょう」

紬「・・・」キリ

梓「どんな髪型がいいですか?」

風子「ポニーで」

姫子「注文した・・・」

信代「乗り気だ・・・。純はいつまで歯を磨いているの?」

純「・・・」シャカシャカ

・・・

・・・・・・

澪「被っているって・・・」ズドーン

さわ子「おいしかったわよ、憂ちゃん」

憂「お粗末様でした」

玉恵「たまにはこんな豪勢な朝ごはんもいいね」フフフ

律「いつもはどんなの食べてんだよ」

玉恵「トカゲとかカエルとか」

姫子「嘘ですよね」

玉恵「うん」

風子「よかった。食べ終えてて」

さわ子「変なこと言わないでよね」

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419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:48:29.50 ID:u8FaWllJo

唯「・・・」モグモグ

純「まだ食べてる!」

いちご「どうだった?ひらやーちー」

梓「ひらやーちーって言うんですか・・・」

紬「・・・」キラキラ

梓「おいしかったそうです」

和「梓は食べなかったの?」

梓「私の分が無かったので・・・」

憂「少なめに作ったみたいだったから・・・。要望があれば今度作るよ?」

唯「ひゃっほう」


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420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:49:07.07 ID:u8FaWllJo


―――――設営班


紬「・・・」ガタガタ

信代「・・・よし、こうやって」

春子「たたんでしまえば・・・!」

梓「テント班の仕事は終わり・・・!」

風子「ですね!」

和「これでいいわね」

さわ子「あら、手際いいのね」

紬「・・・」コクリ

和「玉恵さんが立てるとき手伝ってくれたので、その要領でやっただけですよ」

さわ子「そうだったわね。それじゃ、荷物を纏めるわよ、行きましょう」

信代「任せとけ!」

春子「頼もしいなー」

風子「ふふっ」

スタスタ

和「よいしょ」

梓「よっと」

紬「・・・」ヒョイ

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421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:49:35.95 ID:u8FaWllJo


―――――料理班


信代「お、片付いてるな」

春子「本当だ、なんかキレイになるとさみしくなるな」

玉恵「キャンプの醍醐味だよ」

純「来たときと同じようにしただけなのに・・・」

憂「うん・・・」

さわ子「私が運んだ荷物を先に載せちゃうわよ」

唯「はいよー」

澪「キャンプも終わりか・・・」

律「寂しがってるヒマねえぞ、これからもっと忙しくなるんだからな!」

澪「そうだな」

和「あら、ずい分片付いてるわね」

梓「よいしょっと、これは斉藤さんの車に載せる分ですよね?」

紬「・・・」コクリ


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422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:50:14.32 ID:u8FaWllJo

―――――シュガー車


斉藤「よいしょ」

バタン

斉藤「荷物は全部載りましたでしょうか」

さわ子「はい・・・。忘れ物はないわよね?」

「「 ・・・ 」」シーン

斉藤「・・・」

さわ子「しょうがないわねぇ・・・。それじゃ、あと一時間自由時間って事でいいわよ」

律「っしゃー!」

澪「むぎ!湖へ行こう!」

紬「・・・」コクリ

タッタッタ

さわ子「時間取らせてしまってすいません」

斉藤「いえ、お嬢様も楽しんでおられるならそれで結構です」

玉恵「・・・」

姫子「楽しかった」

玉恵「昨日の夜はしゃいでいたもんね〜」ニヤリ

姫子「・・・」カァァ

玉恵「あはは、かーわいいー」

斉藤「失礼ですが・・・あなたは、滝沢様では・・・?」

玉恵「っ!」

さわ子「?」

姫子「最初にここで会った時自己紹介してましたよ?」

斉藤「そうでしたね・・・。大変失礼致しました」

玉恵「斉藤さんが言ったのは昔の『滝沢』・・・今の私はただの『滝沢』です」

斉藤「申し訳ありません。先日の帰りに少しひっかかっていたものでしたから
   不快にさせたのならお詫びを・・・」

玉恵「そんな、お詫びなんて・・・。突然だったのでびっくりしただけですから」

さわ子「隠したいのなら聞かないわよ?」

姫子「玉恵・・・さん?」

玉恵「琴吹グループとは仕事で一緒になっていた・・・そうですね」

斉藤「・・・はい」

さわ子「人に歴史あり、ねぇ」

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423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:50:59.37 ID:u8FaWllJo

玉恵「私の親が経営する会社が琴吹グループと提携を結んでいたそうです」

姫子「・・・」

さわ子「その言い方だと、玉恵は無関心のようね」

玉恵「もちろん、今は無関心。だけどね」

姫子「今・・・は?」

玉恵「高校卒業するまでは、家の決めた事に流されて育ってきたの。
   感謝していたし、そうすることが自然だと思ってたからね。21になって・・・結婚が決まったんだ」

姫子「結婚・・・」

玉恵「相手の顔は知らないままでね」

さわ子「!」

姫子「え・・・」

玉恵「文字通り政略結婚。あ、この件は琴吹グループは関係無いからね」

姫子「そうですか・・・」

玉恵「結婚の代わりに条件をつけたの。バイクと北海道へ行く許可をね」

さわ子「・・・」

玉恵「それからは昨日の夜言ったとおりだよ」

姫子「破棄になった・・・んですか・・・?」

玉恵「うん。事故ってしまったからね・・・。相手側が破棄したんだよ」

さわ子「・・・」

玉恵「内心ラッキー!って思ったのは事実だから、そんな」

姫子「な、なんで・・・そんなに・・・軽く言えるの・・・!」

さわ子「姫・・・ちゃん・・・」

玉恵「・・・」

姫子「昨日の話を聞いたからかもしれない。玉恵さんが私の心の内側にいるからかもしれない
   うまく言葉にできないけどっ・・・うまく気持ちの整理が出来ないけど・・・っ」

さわ子「・・・」

玉恵「・・・」

姫子「あんまりっ・・・ですよっ」

玉恵「昨日の夜、さわちゃんが私に聞いたでしょ?」

姫子「・・・はい。旭川に行かなかったことを後悔しているかって・・・」

玉恵「うん。旭川に行ったら、結婚していたと思う。旅を終えて帰宅して、事故る事もないから
   でも、行かなかったからここにいる。姫子ちゃんに出会えた」

姫子「っ!」

玉恵「ありがとう、私の事を考えてくれて」ナデナデ

姫子「・・・・・・子供じゃないんですから」

玉恵「あはは」

姫子「・・・」

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424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:51:54.68 ID:u8FaWllJo

玉恵「紬ちゃんの周りは優しい子ばっかりだねぇ」

さわ子「優しいだけじゃないわよ」

玉恵「そうだね・・・。斉藤さーん!」

斉藤「・・・はい」

玉恵「どうして姿を消したの?」

斉藤「私は大体把握しておりますので・・・。気を利かせました」

さわ子「自分で言うのねぇ」

姫子「ブフッ」

玉恵「面白い子ばっかりだ」

さわ子「私たちも湖へ行きましょうか」

姫子「はい」

スタスタ

玉恵「今日もいい天気〜」ノビノビ

姫子「昨日の星空見ました?」

玉恵「もちろん、あんなチャンス滅多にないからね」キリ

さわ子「星空・・・?」

姫子「さわちゃん先生起こしたけど起きなかったんですよ」

玉恵「ダメだね〜、生徒と同じ時間を共有しなきゃ〜」ヤレヤレ

さわ子「運転ばっかりで疲れていたのよ」

斉藤「片道2時間かかりますから」

さわ子「来て、戻って、また来たのよ?6時間よ・・・一人で運転なんて寂しかったわぁ」

姫子「クスクス」

玉恵「寂しかったって大人が言う台詞じゃないよ」

姫子「一人で寝れないと言っていませんでしたか?」

玉恵「誰が?」

姫子「あなたが」

玉恵「そうだっけ」アハハ

姫子「クスクス」

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425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:52:46.24 ID:u8FaWllJo

―――――湖


律「やっと来たか」

純「あれ・・・?」

澪「雰囲気が違うな・・・」

紬「?」

梓「そうですね。なにかあったんでしょうか」

唯「ん〜?」

憂「今日もいい天気ですね」

いちご「・・・うん」

信代「澪ー、カメラ持って来てないのー?」

澪「あ、うん・・・」

春子「記念に撮りたかったな」

玉恵「ふふん。私の職業をお忘れかねキミ達」

さわ子「・・・なんだったかしら」

風子「ほら、アレだよ和ちゃん!」

和「・・・あぁー、アレね・・・。確か・・・唯」

姫子「キラー・・・」

唯「えぇっと、なんだっけ?」

和「本気で忘れたわね」

唯「ここまで出掛かっているんだよ」チョンチョン

和「そこは腕よ・・・。ちゃんとボケてね」

唯「もぅ〜、澪ちゃん」

澪「え!?」

律「いい加減に答えろ、ボケとか・・・いらないからさぁ」ニヤリ

玉恵「私の職業は!?」

紬「・・・」ワクワク

澪「うっ・・・」

「ルポライターです」

玉恵「あ・・・」

「一緒に行きましょうよ」

玉恵「あ、ごめんね〜。台風過ぎちゃったから大丈夫だと思ったんだよ」

「先輩・・・楽しそうだからいいですけどね」

唯「おぉ・・・誰?」

玉恵「私の後輩であり、仕事仲間であり、相棒の―」

「――島田光といいます」

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426 :ただの同姓同名です [sage]:2011/09/04(日) 18:53:38.97 ID:u8FaWllJo

―――――駐車場


律「第二回!誰の車に乗るか!くじを開催します!」

梓「・・・」メラメラ

純「ものすっごい気合だな」

律「さわちゃん車、シュガー車どちらの」

梓「前置きはいいです!」メラメラ

律「んだよー、仕切りは大切なんだぞー」

梓「いいから、はやくするです!」メラメラ

律「はいはい。だれから引くー?」

梓「もちろん私から引くです!」ゴゴゴゴ

信代「空回りしそうな気合だけど大丈夫かな」

和「むぎと一緒のシュガー車に乗りたいのよね・・・6/12だから」

紬「・・・」オロオロ

玉恵「なに?シュガー車って・・・斉藤車でしょ?」

純「斉藤・・・さとう・・・シュガーです」

玉恵「なるほど・・・駄洒落なんだね」

澪「安心できないな・・・」

梓「やった!!シュガー車だ!!」キラキラ

憂「すごい嬉しそう」

律「あー・・・」

姫子「どうしたの?」

紬「・・・」アセアセ

唯「むぎちゃん?」

さわ子「むぎちゃんは私の車に乗るのよ?」

梓「」

春子「あちゃー」

風子「空回った・・・」

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427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:54:44.16 ID:u8FaWllJo

さわ子「それで、配置はどうなったのよ?」

律「さわちゃん車は、むぎ、風子、和、いちご、憂ちゃん、私」

澪「ときめきシュガー車は」

さわ子「改名したわね」

澪「私、姫子、信代、唯、純、春子・・・梓」

梓「」ピシッ

玉恵「ブフッ」

唯「ダメだよ笑っちゃ」メッ

玉恵「ごめんなさい・・・」

斉藤「それではみなさん、参りましょう」

和「それでは、玉恵さん」

玉恵「うん、みんな楽しかったよ。ありがとう」

唯「・・・っ」

憂「・・・っ」

玉恵「そんな顔しないで〜」

唯「だって・・・」

玉恵「旅に出会いがあるように、別れも必然なんだよ」

唯「分かってるけど・・・、私は別れに慣れなかったんだもん」

紬「・・・!」

玉恵「唯ちゃんらしいな」

純「ほら、固まっていないで玉恵さんに挨拶しなよ」ツンツン

梓「はっ・・・。玉恵さん・・・そうです・・・玉恵さん」

玉恵「梓ちゃんも元気で」

梓「私をバイクで連れて行ってください」

律純「「 は? 」」

斉藤「それでは参りましょう」


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428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:55:36.00 ID:u8FaWllJo

―――――さわちゃん車

ブォォォオオオ

さわ子「相棒さんのヘルメット借りるなんて名案だったわね」

紬「・・・」コクリ

律「特等席じゃないのか、アレ」

風子「代わればよかったかな」

和「乗りたかったの?」

風子「少しだけ・・・」

いちご「・・・私も」

憂「30分後の休憩所で交代してはいかがでしょう?」

紬「・・・」コクコク

さわ子「むぎちゃんも乗りたいの?」

紬「・・・」フンス!

律「玉恵ちゃんよく引き受けたよなー」

いちご「・・・うん」

さわ子「相棒さんに頼まれていたわよ、買出しとか写真とか」

風子「優しそうな人でしたね」

憂「バンダナが似合っていました」

紬「・・・」コクリ


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429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:56:20.82 ID:u8FaWllJo


―――――30分後・さわちゃん車

梓「どうしてバイクに乗っているのがむぎせんぱいなんですか!!」

律「ジャンケンで決まったことだからしょうがないだろー」

和「シュガー車でもジャンケンしていたのには驚いたわ」

風子「姫ちゃんに勝ったむぎさん・・・」

憂「紬さんジャンケン強いですよね」

さわ子「憂ちゃんも乗りたかったのね」

憂「はい」エヘヘ

梓「次の30分が長いです!」

さわ子「あら・・・、意外と話聞かないのね」

梓「え?」

風子「あ、赤信号で三台とも並んだね」

律「次は1時間後だぞ。むぎの体力に合わせた」

梓「むぎせんぱーい!」フリフリ

律「本当に聞かねえー」

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430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:57:00.88 ID:u8FaWllJo


―――――ときめきシュガー車

姫子「玉恵さーん!」フリフリ

信代「この人誰だ?」

澪「姫子・・・だと思う・・・」

純「私の目に狂いが無ければ・・・」

春子「現実が狂っているかもしれないだろ」

斉藤「発車致します」

姫子「はい」

純「戻った!」

唯「」スヤスヤ

澪「唯はよく寝るな・・・」

姫子「向かう時にも寝ていたんだってね」

澪「うん・・・。夜にみた星空のせいかな」

春子「あれはすごかったなー!」

信代「うんうん。キレイだった」

唯「」スヤスヤ


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431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:58:21.28 ID:u8FaWllJo

―――――45分後・休憩地点


さわ子「運転疲れたの?」

玉恵「いやいや、これくらいへっちゃらだよ。紬ちゃんが疲れていないか気になってね」

律「そうだよな、1時間はさすがに・・・」

紬「・・・?」

律「大丈夫みたいだぜ」

姫子「む、むぎ・・・どうだった?」

紬「・・・」キラキラ

姫子「た、楽しかったんだ?」

紬「・・・」コクリ

姫子「か、風になれた?」

紬「・・・」グー

春子「マジか・・・。これはジャンケンにも気合が」

姫子「・・・」メラメラ

憂「えー・・・と、私は辞退させていただきます」

純「私も・・・」

姫子「・・・」キッ

風子「わ、私も・・・」

律「乗ってみたいなぁ・・・程度だったんで・・・姫子は」

姫子「乗りたい!」

律「分かった!」

信代「最後まで乗ってていいと思われます」

春子「右に同じく」

姫子「ほんとうに!?」パァアア

律「眩しい!」

純「光り輝く先輩がもう一人いた!」

澪「あれ・・・梓は?」

紬「?」

風子「車で寝てるよ」


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432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 18:59:37.40 ID:u8FaWllJo

―――――45分後・河川敷

「みんな遅いな〜」

「集合時間間違えたんじゃない?」

「そうかも・・・律さんにメールしてみるよ」

「キャンプ楽しみ」ルンルン


・・・・・・


律「」スヤスヤ

梓「」スヤスヤ

紬「」スヤスヤ

憂「」スヤスヤ

いちご「・・・終わる」

和「もうそろそろ河川敷に着きますね」

風子「起こしたほうがいいよね?」

さわ子「お願いね」

pipipipipipipi

律「・・・ぅ・・・ん・・・」

ピッ

律「」スヤスヤ

風子「みんな起きて〜」ユッサユッサ

憂「・・・・・・はぃ・・・」

紬「・・・?」

梓「」スヤスヤ

風子「そろそろ河川敷に着くよ〜」

律「」スヤスヤ

憂「あ・・・到着しますね・・・」

紬「・・・」ボケー

いちご「・・・あ」

さわ子「あら・・・、あの二人・・・?」

和「・・・どうして今頃・・・ちょっと律!!」

律「ぅ・・・ん・・・?」

梓「」スヤスヤ


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433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:00:31.38 ID:u8FaWllJo

・・・・・・



「なんで・・・みんな車に乗って・・・?」

「まさか・・・時間間違えたんじゃなくて・・・日にち間違えたんじゃ・・・」

「そ、そんな・・・」

「・・・」

キキーッ

ガチャ

さわ子「・・・こ、言葉が出ないわ」

和「律に連絡・・・したでしょ?」

「・・・うん」

「でも、台風だから一日ずらすと・・・思ってて・・・」

律「いや、『行けたら行く』って言ってただろ」

「「 そんなー!! 」」

憂「・・・」

律「河川敷に集合ってメールを唯が送ったはずだし、来ないから欠席だと思い込んでた」アハハ

和「連絡ちゃんと取りなさいよ・・・」

風子「・・・」

紬「・・・」アセアセ

「うそでしょー!」

「えぇー・・・」


・・・・・・



信代春子「「 うわぁ・・・ 」」

純「あの二人は・・・先輩方のクラスメイト・・・?」

澪「りつ・・・」ハァ

唯「」スヤスヤ

斉藤「・・・到着です。お疲れ様でした」

ガチャ

信代「ありがとうございましたー」

純「ありがとー斉藤さん!」

澪「ありがとうございました」

春子「ありがとうー!」

斉藤「誰も平沢様を起こさないのですね」

唯「」スヤスヤ
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434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:01:42.18 ID:u8FaWllJo

「「 ・・・ 」」シーン

澪「ほら、謝罪しろよ」ヒソヒソ

律「私悪くないもーん」

紬「・・・」オロオロ

純(気まずい・・・)

信代(置いていかれた二人・・・。これはキツイな)

春子(この空気・・・キャンプ帰りの空気ではないよな)

憂(ど、どうしよう・・・)

風子(楽しかったって言えない空気だよね・・・)

いちご(・・・眠たい)

「風子さん・・・髪型まで変えて・・・いいね」

風子「っ!」ギクッ

「似合ってて可愛いですねー」

和「そ、そうよね・・・」

ドルルルルルルルン

玉恵「ここでいいのー!?」

姫子「はいー!」

玉恵「よいしょっと・・・ふぅ」サラサラ

「だれ・・・?」

律「キャンプで知り合った人だ」

「・・・」

姫子「ふぅー、楽しかった!」キラキラ

ピキーン

さわ子「姫ちゃんの一言で空気が凍ったじゃないの」

姫子「うん?」

「「 うわーん! 」」

春子「泣き出しちゃったよ」

純「り、りつ先輩」

律「私が悪いのかっ!?」

紬「・・・」

唯「もぅ〜着いたなら着いたって言ってよ〜」

梓「結局むぎせんぱいと一緒になれなかった・・・」ションボリ

澪「乗ってたよな・・・?」

和「えぇ・・・寄り添って寝てたわ」
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435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:02:27.58 ID:u8FaWllJo

風子「テ、テントあるよ」

「それでどうするのよ!」

「河川敷はキャンプ禁止だよ」

紬「・・・」アセアセ

唯「エリちゃんとアカネちゃん・・・どうしてここにいるの?」

エリ「キャンプに行こうとしていたの!」

アカネ「ところがもう終わっていましたとさ・・・」

玉恵「あっはっはっは!」

紬「!」ピコン

梓「どうしたんですか?」

紬「・・・」

ギュ

紬「・・・」スラスラ

梓「写真・・・ですか」

紬「・・・」コクリ

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436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:03:09.88 ID:u8FaWllJo

――・・・


玉恵「紬ちゃんに言わないでくださいね」

斉藤「よろしいのですか?」

玉恵「もう・・・あの家とは関係ないですから」

斉藤「そうですか。かしこまりました」

玉恵「紬ちゃんとの?がりも切れちゃったから、みんなとは本当にお別れ。これでいいんですよ」

斉藤「・・・」

姫子「玉恵さんも一緒に写りましょうよ」

玉恵「私はカメラも撮れるようになりたいから、写す側でいいよ」

姫子「湖で撮った時だって」

玉恵「いいからいいから、みんなの所に行ってよ」

姫子「・・・」

玉恵「姫ちゃんだけいない記念写真になるよ」

姫子「・・・」シブシブ

スタスタ

斉藤「写る側でもいいのではないでしょうか。それでいいと思います」

玉恵「・・・」


・・・・・・



エリ「せめて、せめてこの時だけは!」

アカネ「一緒に写っていい?」

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・」

純「隣をキープしていらっしゃる」

憂「湖の写真は現像に出してきたんですか?」

姫子「うん。玉恵さんのカメラからデータを抽出して、現像へ」

律「仕事はえー」

澪「デジカメは便利だな」

春子「どうして一緒に写らないんだろうか、玉恵さんは」

姫子「・・・多分」

唯「なにか知ってるの?」

姫子「・・・ううん、知らない」

唯「?」

信代「ほら、撮るって言ってるよー」
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437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:03:39.30 ID:u8FaWllJo

姫子「・・・」

和「姫子・・・連れてきて」

姫子「頑なに断られたよ」

唯「みんなで写ったほうがいいよ〜!」

姫子「でも・・・」

紬「・・・」

ギュ

姫子「・・・?」

紬「・・・」スラスラ

姫子「い・・・ま・・・を・・・の・・・!」

紬「・・・」スラスラ

姫子「分かったよ、むぎ」

紬「・・・」コクリ

エリ「な、なにが分かったの?」

梓「・・・」

姫子「やっぱり一緒に写りたいよね」

タッタッタ

信代「このキャンプで変わったのは、風子と姫子だったか」

風子「え、私も!?」

アカネ「リアクションから違うよね」

いちご「うん」

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438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:05:46.62 ID:u8FaWllJo

姫子「今を残しましょう」

玉恵「・・・」

姫子「玉恵さん・・・自分をぼかしていますよね」

玉恵「・・・」

姫子「私は、『今』の玉恵さんと写りたいです」

玉恵「・・・」

姫子「一緒に・・・」

玉恵「事故ってから今まで写真に写った事はなかった。というか、自分を残すのが嫌だった」

姫子「・・・」

玉恵「姫ちゃんの言う通り、ぼかしてきたんだよ。今を通り過ぎていく過去が嫌だから、振り返らないように」

姫子「想い出も・・・嫌ですか?」

玉恵「・・・。旭川という選択肢がいつもチラついて・・・ね。前を、未来を見ていたら後悔なんてしないでしょ
   だから、思い出と一緒に自分を置いていくの」

姫子「それは・・・なんだか、寂しいです」

玉恵「うん・・・。そうだと、寂しい事なんだと『今』気づいたよ。ありがとう」

姫子「っ!」

玉恵「紬ちゃんのように、現実を受け入れられてなかったんだね、私は」

姫子(むぎのように・・・)

玉恵「斉藤さーん」

斉藤「かしこまりました」

姫子玉恵「「 気が利きますね 」」

斉藤「光栄です」

姫子「ブフッ」

玉恵「あはは」

姫子「並びましょう」

スタスタ

玉恵「どうして分かったの?」

姫子「むぎが・・・今を残そうって言ってくれたんです」

玉恵「そっか」

姫子「はい」

梓「・・・」

姫子「すごいね、梓ちゃんの大切な人って」

梓「はい」

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439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:06:17.11 ID:u8FaWllJo

玉恵「な、なんか恥ずかしいな」

澪「どうしてですか?」

玉恵「私だけ年上・・・あ」

さわ子「あ・・・ってなによ」

玉恵「ほっ・・・」

さわ子「声に出して安心するんじゃないわよ」

姫子「あはははっ」

いちご「・・・ふふっ」

エリアカネ「「 ! 」」

律「みんな笑えー!」

紬「・・・」フンス!

唯「・・・」フンス!

梓「・・・」フンシュ!

春子「この三人笑ってないけど・・・これでいいか」

風子「いえい」ピース

和「・・・」

澪「・・・」ピース

憂「・・・」

純「・・・」ダブルピース

信代「・・・」

斉藤「では・・・。はいチーズ」

玉恵(これだから――)

カシャッ

玉恵(――旅をやめられない)

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440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:07:13.85 ID:u8FaWllJo

ドルルルルン

玉恵「それじゃ、みんな」

唯「・・・」

姫子「ほら、唯・・・。笑顔で見送ろうよ」

憂「・・・」

和「・・・」

玉恵「元気でね」

律「楽しかったぜー」

澪「とっても楽しかった」

梓「バイクに乗せてくれてありがとうございました」

紬「・・・」コクコク

玉恵「乗ってみてどうだった?」

梓「とっても視界が狭かったですけど、とっても楽しかったです」

紬「・・・」コクリ

姫子「・・・」

玉恵「そっか」

純「やっぱり寂しいー」

信代「なんか、寂しくなってきた」

玉恵「あはは、そう言ってくれるんだ」

さわ子「元気でね。運転気をつけなさいよ」

玉恵「もちろん!怖さは誰よりも知っているからね」

春子「かっこいいなぁ」

風子「うんうん」

玉恵「照れちゃうな」

いちご「・・・お元気で」

憂「さようなら・・・」

和「バイバイ」

唯「さようなら・・・」

紬「・・・」フリフリ

姫子「また、どこかで・・・」

玉恵「ありがとう」

姫子玉恵「「 さようなら 」」

ドルルルン

ドルルルルルルルルルル・・・

姫子「・・・」

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441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:08:49.89 ID:u8FaWllJo
律「さーて、そろそろ解散すっかー」

信代「そうだね・・・」

いちご「終わった・・・ね」

エリ「始まってもいないよ」シクシク

アカネ「・・・」

唯「・・・帰ろっか」

憂「・・・うん」

和「・・・えぇ」

澪「うー・・・ん、と」ノビノビ

紬「・・・〜」ノビノビ

春子「意外に楽しんだなー」

律「そうか、それはよかった」

風子「一日がとても濃かった・・・。旅ってあんな感じなんだね」

澪「私たちはこの一日を10日体験したんだ」

信代春子「「 マジで!? 」」

梓「むぎせんぱいは15日ですね」

紬「・・・」ニコニコ

エリ(なんの話だろう・・・)

風子「はぁー・・・。大変そうだけど・・・楽しそう」

純「くぅ・・・私は一日だけ・・・」

梓「その一日も結構濃かったんだよ」

純「そうは言ってもさ〜」

姫子「・・・」

唯「ひめ・・・」

和「唯・・・、今はダメよ」

唯「う、うん・・・」

姫子「どうして?」

和「感傷的になっているでしょ?」

姫子「感傷的・・・って、そんな乙女じゃないよ私は」

和「・・・それならよかったわ」

姫子「ふふっ」

唯「よかった」

アカネ「・・・エリ」

エリ「ん?」

アカネ「どうして日にち間違えたの」ゴゴゴ

エリ「わ、私のせい!?」
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442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:10:22.26 ID:u8FaWllJo

――・・・


律「みんな帰ったか」

澪「あの二人には悪いことしたな」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・ですね」

律「埋め合わせぐらいしようぜ」

澪「頑張れよ」

姫子「がんばってね」

律「いや、あなたたちも参加ですけど」

紬「・・・!」キラキラ

梓「なにか企画しているんですか?」

律「いいえ」

紬「・・・」ションボリ

梓「ですよね」フッ

律「・・・」グリグリ

梓「無言ですかっ!」ジタバタ

澪「あのさ・・・むぎ」

紬「・・・?」

澪「湖で聞こうと思っていたんだけど」

梓「あ・・・!」

澪「むぎの『最高の」

梓「むぎせんぱいの『最高の場所』を教えてくれますか!?」

紬「・・・?」

律「なんで遮った?」

姫子「『最高の場所』って・・・?」

澪「・・・えーと」

梓「誰でも持っている大切な場所だそうです」

澪「相馬さんのお父さんの写真が分かりやすいかな」

姫子「・・・あぁ」

紬「・・・」コクコク

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443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:11:21.74 ID:u8FaWllJo

律「・・・」

澪「・・・」

梓「・・・」

姫子「・・・?」

紬「・・・」チョンチョン

梓「え・・・?ここですか?」

紬「・・・」コクリ

律「確かに、河川敷には・・・最近よく来るけど・・・」

梓「・・・」

澪(てっきり部室かと・・・)

紬「・・・」ニコニコ

姫子「よく分からないけど・・・。じゃあ、私も帰るよ」

律「じゃあなー」

梓「また月曜日です」

姫子「うん、バイバイ」フリフリ

紬「・・・」フリフリ

澪「あ、姫子・・・さっき撮った写真のデータ、あとでくれる?」

姫子「さっきのは無いよ」

澪「?」

姫子「玉恵さんが『宝物にする』と言って持って行った・・・からね」

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444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:12:02.48 ID:u8FaWllJo


9月13日

『ありがとう。さようなら』

姫子(意外と乙女だったみたい・・・)

チュンチュン

姫子「あ・・・。部活行かなきゃ」

ガバッ

姫子「その後に・・・バイト・・・」

ガサゴソ

姫子(忙しい生活だったんだ・・・)

ガチャ

姫子(この感傷的な気持ちも、そのうち薄れていくのかな・・・)

バタン

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445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:13:21.16 ID:u8FaWllJo

―――――昼・ファミレス

律「なにをするか!を決める会議を始めます!」

唯「お〜」パチパチ

エリ「いえーい」パチパチ

澪「いきなり呼び出したかと思えば・・・」

律「メール送ったのに、集まり悪いなー」

エリ「ほんとうだよね」

律「エリは呼んでないけどな」

エリ「通りがかっただけだけど・・・。その言い方はひどい」

唯「4人でなにを決めるの?」

律「なにかしようぜ!って事。・・・時間少ないだろ?」

澪「・・・うん」

唯「・・・そうだね」

エリ「?」

律「むぎが学校に通うの学園祭までなんだ」

エリ「どういう事?」

澪「喉の治療の為にドイツへ行く事に決まったんだ」

エリ「え・・・」

唯「だから、りっちゃんがなにかしよう!って」

エリ「・・・」

律「なにをしよう!」

澪「今月に入ってしてきた事をまとめてみるか」

唯「えーっと」

エリ「・・・」

律「川で遊んで・・・雨にうたれて・・・キャンプして・・・」

唯「雨の時はむぎちゃんいないよ」

律「あ、そっか」

澪「聞いていたら・・・小学生の夏休み日記みたいだな」

唯「えへへ」

律「照れるとこか!?」

エリ「・・・さびしくないの?」

澪「・・・」

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446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:14:38.76 ID:u8FaWllJo

エリ「どうして・・・そんな風に・・・」

唯「・・・」

エリ「今まで部活でも一緒にいたんでしょ?・・・一緒に卒業できないんだよ?」

律「そうだな。心残りになるだろうな」

澪「・・・だな」

唯「あ、閃いた」ピコン

エリ「仲間がいなくなるのは・・・嫌だよ」

律「そうだぞ、だからなにかやろうって」

pipipipipipi

律「空気読めないメールだな・・・。佐々木さんだな」

ピッ

『月見はどう?
 16日が満月だよ』

律「よし、採用」

澪「まて、こっちにも報告しろ」

律「姫子が月見しようって」

唯「採用した!」

エリ「・・・」

律「だからな、エリ。私たちは」

pipipipipipi

律「・・・」ピッ

『月見と来たら次は花見よね』

律「九月に咲く花ってなんだよ」

澪「ひ、彼岸花?」

唯「誰から〜?」

律「和・・・だけど、姫子とリンクしてんな」

澪「一緒にいるんじゃないか?」

唯「学校に行くって言ってたよ和ちゃん」

エリ「・・・」

律「保留しておくか・・・。彼岸花眺めてどうすりゃいいのか分からん」

澪「に、日本ではあまり良い意味でとられないからな」ブルブル

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447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:16:36.52 ID:u8FaWllJo

律「話が逸れてしまうな・・・。私たちはだな」

pipipipipipi

律「・・・」ピッ

『冗談よ』

パタン

律「・・・私たちは今一緒にいられるわけだから」

澪(今のメールは無視か・・・)

唯(気になる・・・)

エリ「・・・」

律「今のうちに」

pipipipipipi

律「・・・」ピッ

『ライブに行きましょう!あと、鈴木ですから!!』

律「なんで分かったんだ・・・。却下だな」

澪「なんだって?」

律「すず・・・島根さんから・・・。純からライブに行こうって」

唯「夏フェスに行ったよ」

澪「クラシックのコンサートに行こうって話していたんだったな」

エリ「・・・」

律「どこまで話したっけ・・・」

唯「今のうちに想い出を増やそう。一緒にいられる今を大切にしようってとこまで」

律「そこまで言ってねえ!」

pipipipipipi

ピッ

『どうして言い直したんですか!澪先輩の案に賛成〜(^^)ノ』

律「近くにいるな・・・」

純「えへへ」

澪「来ていたんだ」

純「もちろんですよ!」

エリ「・・・」

律「まぁ・・・唯が全部言った訳なんだが・・・」

pipipipipipi

『ボウリングに行こう』

律「華の高校生活エンジョイか!」

純「・・・」
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448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:17:13.40 ID:u8FaWllJo

エリ「・・・」ピッピッピ

pipipipipipi

『その後に海へ行こう』

律「どの後だよ!いちごと風子リンクしてるぞ!これボケなのか!?」

澪「律がテンパってるな」

唯「面白いね、見物していよう」

pipipipipipi

『その前に買い物に行こう』

律「勝手に行け!・・・春子もリンクしてんな!」

pipipipipipi

『山へ行きなさい』

律「担任による指令!?なぜ山!?」

pipipipipipi

『なにをするの?』

律「それを聞いたんだよ信代!」

pipipipipipi

『鈴木です』

律「うるせえ!」

純「すいません」

pipipipipipi

『お姉ちゃんと一緒の案です』

律「う・・・!うん!」

澪「勢い削がれたな」

pipipipipipi

エリ「・・・」ピッ

律「私じゃなかった!」

澪「お、落ち着け」

エリ「私たちも参加で」

純「おっけーです!」

澪「うん。一緒に残していこう」

律「あぁ・・・」

唯「・・・うんっ!」

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449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:18:09.42 ID:u8FaWllJo

律「・・・憂ちゃんが唯と同じ案だって言ってたけど、なにか考えていたのか?」

唯「さっき閃いたんだけどね〜」

pipipipipipi

ピッ

律「お、梓のはいいな」

唯「私たちの―――」

『最高の場所を探しましょう』

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450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:20:06.60 ID:u8FaWllJo

――・・・

唯「むぎちゃんの『最高の場所』は河川敷なの?」

律「あぁ、そう言ってた」

澪「私は部室かと思っていたんだけどな」

唯「・・・」

純「私はどこだろう・・・」

エリ「『最高の場所』ってなに?・・・想い出深い所とか?」

律「うん・・・。いや、違うか」

澪「大切な場所だ」

唯「うん・・・」

純「最近よく行っていますけど・・・。河川敷だとちょっと不自然な感覚ですね」

エリ「なんだか霧の中に手を伸ばしているような話だね」

唯「・・・」

律「唯?」

唯「ん?」

澪「もしかして・・・」

純「もしかして?」

エリ「?」

澪「なにか気づいた?」

唯「ううん。最近むぎちゃんの考えが分からなくて・・・。分かるような気がするけど」

律「けど?」

唯「分からないや」

澪「それは・・・伝える手段が限られているから分からないの?」

律「み、みお・・・?」

唯「ち、ちがうよ!・・・ただね、むぎちゃんが・・・見せては隠すを繰り返すんだよ」

エリ「・・・」

純(それって・・・梓があの人を毛嫌いする理由と似てる・・・?)

唯「うーん・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

エリ「子どもみたい・・・」ボソッ

律「・・・」

エリ「あ・・・、ほら!無邪気な子どもって宝物を隠しては見せてちゃんと見せないでしょ!?」

澪「あぁ・・・」

唯「な、なるほど」

律「むぎの性格からして、それはアリかもしれないな」

純(あの人はそんなんじゃないから全く別か・・・)
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451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:21:15.73 ID:u8FaWllJo


―――――夜・梓の部屋

『最高の場所』を探そうと言ってはみたものの

見当がつかない

一度は見つけたと思っていたんだけど

昨日のむぎせんぱいが示した場所で分からなくなってしまった

行動範囲を広げれば見つかるのかな


ヒントすらくれなかった

あの人は

だから嫌なんだ

あの人が


勝手に踏み込んできて

勝手に去って行った

この中途半端な距離感

なんなんだろう

あの人は


本当にヒントはなかったのかな

どこかで見落として、聞き落として、いたのかな


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452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:21:54.57 ID:u8FaWllJo

9月14日

澪「憂ちゃんが風邪!?」

唯「うん・・・キャンプの疲れが出たみたいなんだよ」

律「そういや・・・準備を任せっぱなしだったからなー」

紬「・・・」コクリ

唯「ううん。ういは『好きだからやっただけ』って言ってたよ」

澪「私たちが気にする事を見越していたみたいだな」

律「学校終わったらお見舞いに行くか」

紬「・・・」コクリ

澪「そうだな」

唯「ありがと〜」

律「よし、話を変えるぞ。各自作詞してきたな?」

紬「・・・」プッププー

澪「もうできたのか、むぎ」

唯「一つできたよ〜。後で部室にて発表します」フンス!

澪「唯も!?」

律「新曲を2曲と、あとなにを演奏するかだな」

紬「・・・」ププッププー

唯「そだね。あずにゃんも一緒に考えよう」

澪「そうだな」

唯「くるよっ!」

ガチャ

さわ子「はーい、みんな席について〜」

律「なんだこの意味の無い能力」

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453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:23:32.53 ID:u8FaWllJo

――・・・

さわ子「これでお終いっと。それじゃ後は真鍋さんに任せます」

和「はい」ガタッ

スタスタ

唯「学園祭の出し物だね」

姫子「・・・」ボケー

唯「姫ちゃん?」

姫子「・・・ん?」

唯「どうしたの?」

姫子「はは・・・、ちょっとセンチになってたみたい」

唯「・・・」

姫子「あれ?どうして和が教壇に立ってるの?」

唯「学園祭の出し物だよ。うちのクラスだけまだみたいだから」

姫子「余裕だよね」

唯「・・・うん」

姫子「・・・」フゥ

唯「・・・」

アカネ(風子と姫子の様子が変・・・)



風子「・・・ふぅ」

澪「・・・」

信代「どうしたの風子は?」ヒソヒソ

澪「・・・分からない」ヒソヒソ

信代「キャラが戻ったみたいだけど」ヒソヒソ

澪「多分・・・戻っていないと思うよ」ヒソヒソ

信代「どうして?」ヒソヒソ

澪「さ、さぁ・・・」ヒソヒソ

信代「あ、とぼけた」

澪「いちごも同じみたいだけど」ヒソヒソ

信代「ん?」

いちご「・・・はぁ」


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454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:24:46.61 ID:u8FaWllJo

―――――・・・


和「ロミオとジュリエットでいいですか?」

「それなら澪さんがロミオね!」

澪「ゑ゛!?」

律「言葉にならない驚きだな」ウシシ

紬「・・・」キラキラ

澪「ちょっ」オロオロ

律「大丈夫だって、今の澪ならできるって」

澪「人事だと思って・・・」

春子「じゃあジュリエットは律だな」

律「意義あり!」

澪「自分に降りかかったら抗議するのか!」

律「わ、私よりいちごの方が似合ってるじゃんか」

いちご「・・・はぁ」

律「あれー、拒否もしないんですかー・・・」

紬「・・・」プップププー

「?」

和「脚本を私がする・・・と琴吹さんが仰っていますが・・・」

さわ子「生徒の自主性を尊重するわよ」



・・・・・・



唯「練習の時間大丈夫かな」

姫子「専念したい?」

唯「そうだね・・・。最後の演奏だから・・・」

姫子「・・・そっか」

唯「でもでも、クラスの出し物も頑張りたいよ!」フンス!

姫子「両方・・・頑張れるように・・・」



・・・・・・



和「他に案もないようですし、演劇ロミオとジュリエットで決まりですね」

「最後の学園祭はロミジュリかぁ」

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455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:25:21.24 ID:u8FaWllJo

「澪さんと律さんのロミジュリ・・・」

澪「」ピキーン

律「」ピキーン

「いいよね!」

ザワザワ

和「それでは次に」

姫子「はい」

和「立花さん・・・?」

アカネ「?」

風子「?」

和「なにか意見でもありますか?」

姫子「さわちゃ」

さわ子「・・・」ジロッ

姫子「さわ子先生に質問です・・・。他の学年との共同制作は可能でしょうか」

さわ子「他の学年・・・?他のクラスではなく?」

唯「どういう事?」

姫子「2年生と一緒に制作してみてはどうかなって」

紬「・・・」キラキラ

ザワザワ

「2年生と?」

「クラス離れているし、一体何をするの?」

姫子「それは・・・えぇと・・・」

和「とりあえず、2年生側と話をしてみない事には話は進みませんね」

唯(和ちゃん乗り気だ・・・)

「年上の私たちと一緒に制作するなんて・・・嫌なんじゃないかな」

「そうだよね〜。私も先輩と共同なんて聞いたら、ちょっと気が引けるし」

姫子「・・・」

唯「・・・」

春子「私は賛成ー。理由は楽しそうだから」

信代「私もー」

いちご「私も・・・」

風子「賛成」

エリ「さんせー」

アカネ「・・・」

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456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:26:14.17 ID:u8FaWllJo

「確かに面白そう」

「私2年生に知り合いいないし・・・」

唯「こ、これを機に増やせばいいと思うよ!」

アカネ「火ついちゃったね」

和「山中先生」

さわ子「できれば今の時間に決めたいんだけど・・・。その2年生のクラスって
    あのクラスよねぇ・・・。確か、私たちと同じように今決めていると思うけど」

律「よっしゃー、交渉してくるぜ!」ガタッ

澪「よ、よし!」ガタッ

風子「澪ちゃんも一緒に交渉してくるんだ」

澪「いや」ストッ

信代「なんの『よし』だったんだ・・・」

さわ子「それじゃ、真鍋さんと田井中さん立花さんとで話をしてきてくれる?」

姫子「わ、私も!?」

さわ子「言いだしっぺでしょ」

姫子「はい・・・」

唯「私も行くよ!」ガタッ

紬「・・・!」ガタッ

さわ子「・・・私も行くわ」

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457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:27:05.76 ID:u8FaWllJo

―――――二年生クラス

さわ子「荒井先生」

荒井「はい・・・?」

純「・・・?」

さわ子「学園祭の出し物は決まりましたか?」

荒井「いえ・・・、まだですけど」

さわ子「姫ちゃんパス」

荒井「姫・・・ちゃん?」

さわ子「た、立花さんどうぞ」

姫子「えぇと・・・共同制作しませんか」

紬「・・・」キリ

律「ストレートだな」

唯「攻撃あるのみだよ!」

澪「だな」

和「・・・」

荒井「ちょっとまっててくださいね・・・。鈴木さん、中野さんちょっと来てください」

律「なんで純?」

タッタッタ

純「私が議長だからですよ」

律「・・・そんな訳ねえだろ」

純「思いっきり否定した・・・」

梓「どうしたんで・・・」キラキラ

紬「・・・」フリフリ

澪「感情の変化が著しいな」

荒井「3年生から共同制作を提案されていますけど」

純「決定です」

唯「あっさりと!」

和「クラスのみんなに説明してきたほうがいいわ」

純「多分大丈夫だと思いますけど・・・」

荒井「少し話をしてきて」

純「はい」

テッテッテ

律「そんなキャラじゃないだろー・・・」

姫子「そんなにショックなんだ?」

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458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:27:45.96 ID:u8FaWllJo

梓「先輩方と一緒に・・・」ホワーン

唯「あずにゃーん」

梓「学園祭の活動ができるなんて」ホワーン

澪「・・・」ナデナデ

梓「先輩方と一緒に・・・」ホワーン

律「壊れた再生機みたいだな」

テッテッテ

純「もう少し話を聞きたいそうです」

和「クラスの方向性は決まっているの?」

純「それが・・・。今日はいまいち纏まりがなくて」

梓「一緒に・・・」ホワーン

律「いい加減に戻って来い!」ビシッ

梓「あいた!」

紬「・・・」スリスリ

梓「だ、大丈夫です・・・。それで、どこまで話が進んでいるんですか?」

姫子「梓ちゃんのクラスは展示、出店、舞台・・・どっちの方向性なのかなって」

唯「お化け屋敷とか?」

律「一年の時やったなぁ」

紬「・・・」ニコニコ

梓「いえ・・・。それすら決まっていません」

純「完璧なサポート役が今日休んでいるんで」

律「憂ちゃん?」

梓「はい。肝心な所で話を切り出してくれるから、話も進みやすいんです」

唯「・・・」

姫子「なんとなく、分かるよ」

純「澪先輩のクラスは・・・?」

澪「一度舞台に決まりかけたんだけどな」

荒井「とりあえず、クラスに入って説明してくれますか?」

さわ子「そうですね」

荒井「反応を見てみましょう。中野さんは席に、鈴木さんは進行を」

純梓「「 はい 」」
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459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:28:17.76 ID:u8FaWllJo

スタスタ

唯「お邪魔するよ〜」

澪「わ、私は廊下で待っているから」

律「ここまで来たんだから」グイグイ

澪「お、押すな」

和「・・・」

姫子(・・・覚悟きめるかぁ)

ザワザワ

「あっ・・・澪先輩・・・」

律「会員ナンバーいくつだ君は?」

「えぇと・・・。30番です」

律「そうか」

「・・・」ソワソワ

律「・・・」

唯「聞いただけなんだ!?」

「あー、けいおん部の」ヒソヒソ

「本当だ・・・どうしたんだろ」ヒソヒソ

「ひ、姫子先輩!?」

姫子(あ・・・、一緒のクラスだったんだ・・・)

荒井「しずかにしてちょうだい。学園祭での出し物について先輩方から提案をいただきました」

「提案?」

純「澪先輩のクラスと―――」

澪(なんで私のクラスみたいな紹介!?)

純「―――学園祭の出し物を制作します!」

和「決まったわね」

「「 ・・・ 」」シーン

紬「・・・」チラッ

梓「! 賛成です!」ガタッ

「面白そう〜」
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460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:28:44.72 ID:u8FaWllJo

「うんうん」

律「物怖じしないのな」

純「ノリだけはいいんですよ」

唯「おぉー」

「先輩方のクラスはなにをするんですか?」

澪「ま、まだ決めていないんだけど・・・」

和「そうね・・・。それじゃ、姫子。今方向性を決めてちょうだい」

姫子「う・・・」

律「言いだしっぺだしな」

紬「・・・」コクリ

唯「舞台は無理だよね・・・。という事は。展示か出店かぁ」

姫子「出店しよう。喫茶店チームと屋台チームはどうかな」

梓「別々のクラスでそれぞれ出店するなら・・・」

唯「外で開けばいいんだよ〜」

紬「・・・」キラキラ

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461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:29:42.72 ID:u8FaWllJo

―――――三年生クラス

さわ子「メイド喫」

和「茶店にしましょう」

「あ、いいね!着物着たりするんだよね!」

「うんうん」

信代「今さわ子先生がなにか言いかけたような・・・?」

澪「ダメだ。聞いちゃダメだ」

風子「むぎさん、茶道教わっていい?」

紬「・・・」プッププー

澪「どんと来いです・・・ってさ」

風子「よぉし!」グッ

エリ「ちょっとちょっと」

アカネ「どうしたの?」

エリ「風子さん・・・どうしたの?」

アカネ「どうしたの?」

姫子「どうしたんだろうねぇ」

唯「金閣寺で茶店あったよ」ウンウン



いちご「もう一つのチームが屋台?」

和「そうです」

いちご「茶店と屋台って相反する位置じゃない?」

和「屋台の内容にもよりますが・・・。山中先生」

さわ子「メイド喫茶にする?」

和「違います。屋台を出すクラスの情報を今知ることができますか?」

さわ子「まだ具体的な案は揃っていないから、好きにしていいわよ。メイド喫茶はどう?」

和「そうですか・・・。まだ急いで決めなくてもいいみたいよ」

いちご「2年生と会議した方がいい・・・」

さわ子「そうねぇ。今日の放課後集めましょうか。その時メイド喫茶の件も出すわ」

和「そうですね。それじゃ、会議の参加者を決めたいと思います」

さわ子「それ決めたら今日の学園祭の話はおしまいにしましょう」

律(さわちゃん、メンタル強いんだか弱いんだか分かんねえ・・・)

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462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:30:49.63 ID:u8FaWllJo

―――――昼

唯「むぎちゃんの『最高の場所』ってどこかな」

紬「・・・」チョンチョン

梓(地面を指した・・・って事は)

澪「中庭って事?」

紬「・・・」ニコニコ

唯「そっかぁ〜」

律「待て待て、昨日河川敷でも同じ動作しただろ」

紬「・・・」コクリ

唯「・・・」

梓「たくさんあるって事ですか?」

紬「・・・」ピンッ

澪「一つ・・・?」

紬「・・・」コクリ

律「うん〜?」

澪「変化しているって事かな・・・?」

紬「・・・」

澪「そうでもないのか・・・。分からないな」

梓「ゆっくり聴いていきましょう。時間はまだあります」

唯「そうだよ!」

律「お昼時間はもうすぐ終わるけどな」

澪「うそっ!もう!?」

律「太陽の位置を見れば分かるだろ」

梓「ほんとうですか?」

律「分かるわけないだろ〜?」ウシシ

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463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 19:31:18.75 ID:u8FaWllJo

唯「あと15分あるよ〜」

紬「!」

澪「本当だ!」

律「唯すげえ!」

純「梓・・・どうして私を置いて行ったんだよ・・・」

梓「あ・・・」

純「憂が休んでいるんだからさ・・・」

梓「ごめん・・・」

純「いいけど・・・」ションボリ

律「あと15分しかないぞー」

唯「早食いはいけないよ。ゆっくり食べないと」

紬「・・・」コクコク

澪「ゆっくり食べて・・・。私たち待っているからさ」

純「ぅ・・・」シクシク

唯「寂しいとき・・・。誰かの優しさに触れたら心が解れるのです」


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464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:23:42.36 ID:u8FaWllJo

―――――放課後

ジャジャッジャジャッジャーン

紬「・・・」フゥ

澪「・・・よし」

律「よーし・・・いい感じだ」

唯「・・・」

梓「それでは、休憩してから新曲の練習をしましょう」

紬「・・・」コクリ

タッタッタ

律「よく動くなむぎは」

澪「作曲もしてきてるからすごいな・・・」

梓「もしかすると・・・、作っていたのかも知れませんね」

唯「・・・」

ジャーンジャジャーン

律「唯〜?」

唯「な〜に〜?」

澪「ティータイムなんだけど」

唯「う〜ん・・・」

ジャジャン

梓「憂が心配なんでしょうか」

紬「・・・」コクリ

スッ

律「お、ありがと!」

澪「ありがとう」

梓「ありがとうございます」

紬「・・・」ニコニコ

ジャンジャンジャジャン

唯「・・・」

律「食べちまうか」ウシシ

梓「ダメですよ」

律「分かってるよー」

ガチャ

さわ子「あら、いい時に来たわね」

紬「・・・!」

律「嗅ぎつけたか・・・って珍しいお客さんだな」
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:24:20.35 ID:u8FaWllJo

澪「本当だ」

姫子「お邪魔・・・します・・・」ソワソワ

梓「どうしてソワソワしているんですか?」

姫子「その・・・、他の部室に入るの初めてだから」ソワソワ

紬「・・・」ニコニコ

スッ

さわ子「ありがと、むぎちゃん」

律「唯の席に座っていいぜ」

姫子「あれ、唯・・・はどうしたの?」

澪「虫になった」

紬「・・・」ニコニコ

スッ

姫子「あ、ありがとう・・・。これが噂のティータイムだね」

梓「そうです」

ジャンジャジャンジャン

唯「・・・」

さわ子「どうしたの唯ちゃんは?」モグモグ

澪「憂ちゃんが心配みたいです」モグモグ

律「どうしたんだよ、姫子。・・・今日のケーキもまた一段とうめえ」モグモグ

姫子「会議の内容を話そうかと思って・・・。さわちゃん先生に連れてこられたんだよ」モグモグ

梓「・・・」モグモグ

紬「・・・」モグモグ

ジャーンジャンジャン

唯「うーん・・・」

さわ子「明後日の朝、和ちゃんから聞く事になるんだけどね。・・・おいしいわぁ」ズズーッ

澪「わざわざここまで連れてきたんですか?・・・おいしい」ゴクゴク

姫子「茶店チームと屋台チームを決めてきたよ。・・・本当だおいしい」ゴクゴク

律「屋台はなにをするんだ?・・・うめえな紅茶」ズズーッ

梓「・・・」ゴクゴク

紬「・・・」

ジャンジャジャンジャジャン

唯「うんうん・・・」

さわ子「まだ決めていないのよ」

姫子「茶店に合わせるか・・・。それとも別物として企画するか・・・ってね」

澪「確かに・・・。難しい要素だな」
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:24:54.59 ID:u8FaWllJo

律「甘いものでいいんじゃないの?クレープとかさ」

梓「和菓子の方が合っていると思いますけど」

紬「・・・」

姫子「それはこれから決めていこうよ。それじゃ、私はこれで・・・。ごちそうさま、むぎ」

紬「・・・」フリフリ

さわ子「部活頑張ってね」

姫子「はい。それじゃ明日ね、みんな」

スタスタ

律「じゃーな」

澪「明日」

梓「明日です」

さわ子「ん?明日?」

バタン

さわ子「明日休みよ?敬老の日なのよ?」

律「そうだぜ」

さわ子「遊ぶ約束してるのね。・・・若いっていいわぁ」

梓「・・・」

ジャンジャジャジャーン

唯「よぉし!」

紬「・・・?」

澪唯「「 さて・・・」

澪「練習するか!」

唯「おやつ・・・えぇ!?」
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:25:46.41 ID:u8FaWllJo

―――――平沢邸

ガチャ

唯「ただいまー」

和「おかえり」

唯「今日も頑張ったよ〜」

和「そう・・・。お疲れ様」

唯「えへへ」

律「いやいや、ちゃんとツッコミ入れろよ」

澪「ど、どうして和が・・・?」

梓「?」

紬「・・・?」

和「一足先にお見舞いに来ていたのよ」

唯「そういう事だよ!」

和「唯怒ってるの?」

唯「聞いてよ和ちゃん!みんなひどいんだよ!」プンスカ!

律「だからゴメンって」

和「どうしたのよ・・・」

唯「私が練習している間におやつ食べたんだよ!」

和「そう・・・」

唯「それだけじゃないんだよ!姫ちゃんが来ていたのに教えてくれなかったんだよ!」

和「それはひどいわね」

澪(子どもの愚痴を聞くお母さんみたいだな)

梓(お母さんみたいです)

紬「・・・」コクリ

唯「それだけじゃないんだよー!私が作詞した曲も見送りされたんだよ!」」

和「確か・・・おかずはごはん、だったわね」
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:26:16.11 ID:u8FaWllJo

唯「逆だよ!ごはんはおかず、だよ!」

和「それはどうして?」

律「いや・・・むぎが書いてきたのと比べたら・・・むぎかなぁ・・・って」

紬「・・・」テレテレ

梓「です」

唯「ひどいよねっ!?」

和「そうね・・・。でも新曲枠は二つでしょ?あと一つは?」

澪「さっき一生懸命探していたようだったから・・・」

梓「です」

和「その曲分を空けておくのね」

唯「そうなの?」

律「あぁ・・・。それでやろうかと思ってだな」

唯「よぉし!」フンス!

憂「みなさん・・・玄関でお話もなんですから・・・居間へどうぞ」フラフラ

梓「憂!」

憂「お・・茶・・・を・・・お持ちしま」フラフラ

和「ちょっと!」
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:27:25.45 ID:u8FaWllJo

―――――・・・憂の部屋

憂「」スヤスヤ

和「・・・後は任せて」ヒソヒソ

紬「・・・」コクリ

ガチャ

バタン

紬「・・・」

澪「それじゃ、お大事に」

唯「うん。一緒におかゆ作ってくれて助かったよ」

梓「・・・」

唯「和ちゃんもいるし、だいじょーぶだよあずにゃん」

梓「は、はい」

紬「・・・」

律「じゃ、私らはこれで」

ガチャ

唯「明日はあずにゃんの街を探索するんだよね」

紬「・・・」コクリ

梓「はい、そうです」

澪「河川敷で待ち合わせだからな」

唯「おっけー。明日には憂も回復してるよきっと」

律「あぁ」

唯「みんなありがとね〜」

律「お大事にな」

澪「ゆっくり寝かせてあげてな」

梓「唯先輩、おやすみなさいです」

紬「・・・」フリフリ

唯「うん、ありがとう。また明日ね〜」フリフリ

バタン

律「帰るか」

澪「うん」

梓「・・・」

紬「・・・」

470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:27:51.46 ID:u8FaWllJo

スタスタ

律「あ・・・、影が出ていると思ったら・・・」

澪「月明り・・・」

紬「・・・」

梓「キレイですね・・・。雲が青白く反射しています」

紬「・・・」コクリ

律「この空を写真に収められたらいいのにな」

澪「私たちの技術では無理じゃないかな」

梓「残しておきたい空ですね」

律「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」

澪(むぎは・・・今)

むぎは・・・今、何を想っているんだろう

空を眺めて

まだ満ちていない月を眺めて

月が放つ光に染められた雲を眺めて

むぎはなにを想っているのだろう

聞くのは簡単だけど

それを説明させるのは困難だ

梓も似たような表情をしている

律も

私は

この時間が止まればいいなと想う

けど

今は憂ちゃんが風邪をひいて寝込んでいる

その妹を姉はとても心配している

だから止めちゃいけないんだ

時間は―――切ない



最近

むぎはよく空を眺めている

471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:28:58.93 ID:u8FaWllJo


9月15日


―――――河川敷

律「夏に撮った写真でさぁ」

澪「あの旅の?」

律「うん・・・。出会った人たちと一緒に集合写真撮った写真な」

澪「うん」

律「澪がむぎにカメラ貸したじゃん?」

澪「うん」

律「写真少なくないか?」

澪「・・・うん。私もそう思ったんだ」

律「むぎがカメラを持って、観光して、集合写真を撮ってもらったんだよな?」

澪「そうだよ」

律「他にも写真があるはずなんだけど、見せてもらってない・・・よな」

澪「・・・うん」

律「見たいなーって思わないか?」

澪「思うけど・・・。どうしたんだいきなり」

律「ふと、気になってだな」

澪「・・・」

律「あとで聞いてみてもいいよな・・・?」

澪「どうして慎重になる」

律「むぎが見せたくないのかもしれないじゃん?それを聞くのはアレかなーって」

澪「遠慮する間柄じゃないだろ」

律「そりゃそうだ」

澪「私も見てみたくなった」

律「あ、来た・・・」

キキーッ

梓「お待たせしました」

律「おぅ・・・。梓はマウンテンバイクか」

梓「そうです。・・・ママチャリもあったんですけど、こっちにしました」

澪「運転しやすそうでいいな」

梓「はい!」

律「折りたたみはキッツイかな〜」

澪「多分な」
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:29:32.55 ID:u8FaWllJo

梓「澪先輩はモトクロスバイクですね」

澪「うん、パパ・・・いや」

律「・・・」

梓「パパイヤ?」

澪「父さんが持っていたやつを借りたんだ」

梓「どうしてパパイヤが出てきたんですか?」

律「・・・」プクク

澪「た、食べたくなったんだ」

梓「そうなんですか」

律「沖縄では炒め物にも使うらしいぞ」

澪「えっ・・・果物なのに?」

律「あぁ・・・。スクガ・・・なんとかといい、変わった食べ物が多いよな」

梓「・・・」

チリンチリン

梓「あ・・・むぎせんぱいです」

紬「・・・」フリフリ

律「おはよー・・・って、むぎはママチャリか」

梓「選択間違えた・・・っ」

澪「お揃いがいいんだな」

紬「・・・」キリ

律「気合入ってんな」

梓「後は・・・唯先輩と・・・」

唯「みんなー!」

キキーッ

唯「またせたよっ!」

律「揃ったし行くか」

澪「そうだな」

唯「ちょっとおまちよ」

律「なんだよ」

唯「今のかっこよかったでしょ?」

紬「・・・」コクリ

梓「そうですね」

澪「それじゃ行くか」
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:30:00.12 ID:u8FaWllJo

唯「ちょいとおまちよ」

律「んだよー」

唯「ギューンと来てキキイーッ・・・だよ?」

紬「・・・」コクリ

梓「そうですね」

澪「憂ちゃんは来なかったの?」

唯「うん、病み上がりだからね」

律「治ってよかったな」

唯「うん!」

律「じゃ行くか」

唯「もぉー」ブーブー

紬「・・・」プッププー

唯「えへへ」テレテレ

梓「・・・」

律「褒めてもらえてよかったな・・・。いい加減に出発するぞ」

澪「ちょっとまって」

紬「・・・?」

梓「どうしたんですか?」

律「あ、忘れてた」

澪「エリ・・・」

エリ「」スヤスヤ

梓「こんなところで・・・。先輩方のクラスの方ですよね?」

紬「・・・」ププップー

梓「たき・・・エリ・・・さんですか」

律「起きろ!」

エリ「・・・ぅ・・・んー?」
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:39:09.48 ID:beXHFU8jo
ムギがママチャリワロタ
よく持ってたな
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:40:51.18 ID:u8FaWllJo

チリンチリン

紬「・・・」ニコニコ

エリ「ポカポカ陽気だからつい寝ちゃった」アハハ

律「なにが『つい』だよ。しっかり横になっていただろ」

エリ「休みの前の日って夜更かししちゃうよね」

澪「最近はそうでもないけど」

エリ「高校生らしくしようよ」

律「高校生らしく忙しくしているんだぜー」

エリ「それならいいんだけどー」

澪「あ・・・、二人ともストップ」

律「お、なにか見つけたのか」

エリ「・・・?」

澪「どうした?」

唯「あずにゃんがね〜」

梓「いえ・・・」

紬「・・・」

律「ここになにかあるのか?」

梓「あったんです。一本の木が」

エリ「なるほど、その木は梓ちゃんにとってとても大切な思い出があったんだね」

梓「それが、ないんですよ」

紬「?」

律「それじゃどうして止まったんだよ」

梓「そんなに大きいわけでもなくて・・・。注目されるような木ではなかったんです」

澪「うん」

梓「違いますね・・・。悪いほうで注目されていました」

紬「・・・」プッププー

梓「はい。木の実がよく落ちて、道路を汚していたんです。木の実を食べる動物もいなくて
  靴に着いてしまうから、その時期になると大人はこの木の下を避けていました」

エリ「・・・」
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:41:56.99 ID:u8FaWllJo

梓「私の記憶はそれだけなんです。ここにあった木とはそれだけ・・・」

唯「他にもいい思い出になることはなかったの?」

梓「はい。私が物心ついたころからありましたけど・・・。特別なものはありません」

紬「・・・」プップー

梓「え・・・?」

エリ「紬さんはなんと・・・?」

唯「それが」

紬「・・・」プッププー

梓「そうですか・・・。そうだとしたら・・・ちょっと寂しいですね」

エリ「・・・?」

唯「それが特別な思い出なんだって」

エリ「えぇと・・・、どういう事?」

梓「失ったものを思い出した事が、木と私の思い出になったんです
  木がここに存在し続けていたら、この記憶は甦らなかった訳ですから・・・」

澪「そうか・・・。だから寂しいのか」

梓「はい。いつなくなったのかさえ知らないですけど、私の中では存在している木です」

紬「・・・」コクリ

梓「発見がありましたね」

律「あぁ・・・。じゃ次行こーぜ!」

唯「行こう行こう!」

澪「さ、騒ぐな」

エリ(・・・失って存在する・・・・・・)
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:42:29.94 ID:u8FaWllJo

カランカラン

「いらっしゃいませ〜」

唯「ジャンボパフェ!」

「え、えぇと・・・」タジタジ

律「ねえよ。とりあえず7人ですけど」

「後から一人いらっしゃるんですね?」

紬「・・・」コクリ

澪「大所帯だな・・・。二席に別れるか」

「7人席ありますよ」

梓「あるんですか。そこでお願します」

「こちらへどうぞ〜」

スタスタ

エリ「ジャンボなパフェってどういうんだろ」

紬「・・・」プッププー

(鍵盤ハーモニカ持参!?)
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:43:09.14 ID:u8FaWllJo

唯「木以外になかったの?」

梓「ない事もなかったんですけど」

澪「小さいことでも聞かせてくれないか?」

梓「聞いてもつまらないと思いますけど・・・」

紬「・・・」

エリ「どうしてみんな興味津々なの?」

律「少しでもヒントになれるものは無いかと探しているんだよ」

エリ「・・・そっか〜」

「こちらの席です」

姫子「ありがとう」

唯「こんにちは、姫ちゃん」

律「おう・・・って、珍しい組み合わせだな」

澪「本当だ」

「そこで姫子さんと一緒になって」

紬「・・・」フリフリ

「こんにちは紬さん」

エリ「どうしたのお母さん」

母「散歩していてね、せっかくだからって顔を出しただけなんだよ」

唯「ゆっくりしていきなされ」

姫子「みんなご飯食べたの?」

梓「まだです」

母「外食ばっかりでは体によくないよ」

律「お母さんか!」

澪「だからお母さんだろ」

姫子「今は飲み物だけでいいかな。唯ボタン押してくれる?」

唯「はい、りっちゃん!」

律「またこの流れかよー!」

紬「・・・」ワクワク

エリ「なにが始まったの?」

母「?」

梓「律先輩の一人ボケツッコミ大会です」

律「勝手に規模を大きくするな!」

姫子「・・・」ソォー

紬「・・・」ガシッ

姫子「ご、ごめん・・・」

母「流れを止めようとした姫子さんを紬さんが止めた・・・」
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:44:22.62 ID:u8FaWllJo

律(うぅーん・・・。デコピンで押しても痛いだけで見た目地味だしなぁ)

澪「・・・」

梓「・・・」

律(期待してない顔してんな・・・。確かに外してばっかりだからな)

エリ「・・・」

母「・・・」

律(ちょっと期待している顔だな・・・。嬉しいかも)

姫子「・・・」

律(部活帰りで早く飲み物頼みたいって感じか・・・。なんかごめん)

唯「・・・ふぁ」

律(ぐっ・・・)

紬「・・・」チラッ

律(ん?・・・割り箸・・・よし、やってみるよむぎ)コクリ

紬「・・・」スッ

律「さーんきゅ」

唯「さぁ、割り箸を手に入れたりっちゃんです。それを使ってどうボタンを押すのでしょうか」

澪「楽しみですね」

律「・・・」タンタンタタタン

エリ「机を叩いて・・・」

母「リズムを取っている?」

タンタンタンカンカンタンタタン

律「〜♪」

梓「リズムに乗ってきましたね」

姫子「この曲は・・・」

紬「・・・」ルンルン

唯「カレーのちライスだよ」

澪「〜♪」トントントン

梓「〜♪」トトトントン

紬「〜♪」トントトントン

唯「〜♪」トトントントトン

律「〜♪」タンタカンタタカンカン

エリ「演奏してる・・・」
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:45:07.00 ID:u8FaWllJo

タンタンタタタン

澪(なんか楽しくなってきた)トントン

梓(演奏したくなってきた)トトトントトン

紬「♪」トントトントトン

唯「〜♪」トトントン

律「・・・」タタタタタタタン

ポチッ

ピンポ〜ン

「はーい!」

澪「」ズルッ

梓「」ズルッ

紬「・・・」コクリ

唯「そうきましたか」

律「どうだー」

「ご注文ですか?」

姫子「アイスティーと英子は?」

英子「アップルティーを」

481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:45:51.88 ID:u8FaWllJo

英子「私の地元がこっちだから」

律「そうだったのか・・・。梓とお母さん一緒だったのか」

梓「そうみたいですね」

英子「どうしてみんな集っているの?」

姫子「記憶の掘り起こしかな」

梓「ブフッ」

紬「・・・?」

姫子「どうして笑ったのか・・・気になるなぁ」

梓「な、なんでもないですよ!」アセアセ

姫子「ほんとかなぁ・・・」

梓「ほ、本当です」

姫子「ふーん・・・」

梓「・・・」アセアセ

英子「・・・」

唯「今日はあずにゃんの『最高の場所』を探す日です」

エリ「次は?」

律「土曜日は私と澪、日曜日は唯だ」

エリ「紬さんは?」

澪「もう見つけたそうだ」

紬「・・・」キリ

姫子「・・・それはどこなの?」

律(ここを指すのかな・・・)

澪(多分ここを指すはず・・・)

唯「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」スッ

律澪「「 外!? 」」

紬「・・・」ニコニコ

唯「うぅ〜ん」

梓「・・・」
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:46:37.78 ID:u8FaWllJo

英子「風子がね・・・。昔の風子に戻ったような気がして」

エリ「昔の風子さん・・・?」

姫子「風子と英子って幼馴染だったの?」

唯「意外だよ!」

澪「うん・・・意外だ」

英子「と、言っても中学3年間は会っていないの」

紬「・・・」

梓「・・・」

英子「高校で・・・この学校で再会して驚いた。大人しくなっていたから」

律「へ、へぇ・・・」

英子「小学校時代の風子は子供が子供をしているって感じで、子供だった」

澪「分かる、分かるよ。見本がいるからな」

律「だってさ梓」

澪「おまえだっ!」

梓「・・・」

エリ「・・・」

英子「再会してから話をしていると、面影はあったから、お互い成長していたんだと思った」

唯「・・・うん」

英子「たまに子供っぽいところ見せるでしょ?あの子」

姫子「うん」
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:47:56.61 ID:u8FaWllJo

英子「でも、昨日の風子を見て、みんなと一緒にキャンプへ行ったふぅを見てビックリした」

梓「・・・」

英子「あの『ふぅちゃん』に戻っていたから」

紬「・・・!」

英子「だから・・・とっても懐かしい気持ちになれたんだよ。昨日の朝」

エリ「・・・」

英子「誰がそうさせたのかなぁ・・・って気になっているんだけどなぁ」

エリ「キャンプへ行った内の誰かって事だ?」

英子「うん」

澪「むぎ・・・か?」

紬「?」

律「思い当たる人がもう一人」

梓「・・・はい」

英子「だれ?だれなのかな?」

唯「それはね〜」

姫子「一人じゃないよ律。二人だね」

律「え?」

英子「教えて、姫子さん」

姫子「英子には面識が無い人だよ」

英子「あ、そういえば聞いた事がない名前が二つ出てきていたっけ・・・」

姫子「そう。その人たちだよ」

英子「へぇ〜」

姫子(と、梓ちゃんとむぎ・・・かなぁ)

梓「演奏したくなりましたね」

紬「・・・」コクリ


484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:49:36.59 ID:u8FaWllJo

「ありがとうございました〜」

唯「ごちそうさま〜」

律「よーし、続けるかー!」

澪「ご飯も食べたし、夕方までまだまだ時間あるな」

エリ「行きましょー!」

英子「私も参加するよ」

梓「私の思い出探しのようなものですよ?」

英子「私の地元でもあるからいいよね」

梓「はぁ・・・そうですか」

姫子「英子自転車持ってないでしょ」

英子「姫子さんの後ろに乗るよ」

梓「!」ピコン

澪「ん?」

梓「ひ、英子先輩使ってください!」

英子「ありが」

梓「むぎせんぱい!後ろに乗っていいですよね!?」

紬「・・・」コクリ

律「すっげえアグレッシブ」

唯「あずにゃん私のうし」

梓「乗れませんよ」

澪エリ「「 バッサリだー! 」」
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:50:24.41 ID:u8FaWllJo

チリンチリン

梓「風景が違って見えます!」

紬「・・・」ニコニコ

キィコキィコ

梓「あ!昔あの家には太った猫が住み着いていたんですよ!」

紬「・・・」ニコニコ

キィコキィコ

梓「私たちからは絶対餌を貰わないんです!だけどずーっと太ってて!」

紬「・・・」ニコニコ

キィコキィコ

梓「それなのに動きは俊敏で!誰も撫でた事なんて無かったんです!」

紬「・・・」ニコニコ

キィコキィコ

梓「あ!あっちの大きい木がありますよね!あの木には毎夏セミが大合唱するんです!」

紬「・・・」ニコニコ

キィコキィコ

梓「今年の大合唱もすごかったですよ!」

紬「・・・」ニコニコ
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:51:40.59 ID:u8FaWllJo

律「すっげえ楽しそう」

姫子「クスクス」

エリ「紬さんの表情見えないはずなのに・・・」

澪「聴いてくれているって安心しているんだ」

英子「いい関係だねあの二人。お互いを信頼しているんだね」

律「達観してるな!お母さんか!」

澪「だからお母さんだろ」

唯「み・・・んな・・・まってぇ・・・」ゼェゼェ

姫子「大丈夫?はい、水だよ唯」

唯「あり・・・がとぉ・・・」ゴクゴク

姫子「唯・・・」

唯「なぁに〜」ゴクゴク

姫子「その場所は終着点になるの?」

唯「・・・うん」

姫子「そっか・・・」

唯「でもね・・・。私たちまだ若いから、そう簡単には見つからないと思うよ」

姫子「でも、むぎは・・・」

唯「むぎちゃんは私たちの先を歩いている人だから」

姫子「・・・」

澪「おーい!」

律「早く来ないと置いていかれるぞー!」

エリ「はやくこーい!」

英子「おいで〜!」

律「お母さんか!」

姫子「みんなで追いかけている・・・と」

唯「そだよ〜」

姫子「最後まで付き合うよ」

唯「えへへ、ありがと姫ちゃん」

姫子(私自身のためにも・・・ね)
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:53:40.63 ID:u8FaWllJo

―――――夕方

律「今日はこれで 解 散 ッ!」

唯「ハッ!」ビシッ

紬「・・・」ビシッ

澪「・・・」

エリ「・・・」ビシッ

姫子「・・・」

英子「・・・」

梓「・・・」ビシッ

姫子「じゃあね、また明日」

シャー

律「姫子は、急いでんのか?」

澪「キャンプで撮った写真を受け取りに行くんだって」

紬「・・・」ワクワク

梓「私も見るの楽しみです!」

唯「楽しみだよ!」

律「写真か・・・」

エリ「それじゃ姫子さんについて行こうっと!みんな、明日ねー」フリフリ

紬「・・・」フリフリ

シャー

澪「エリ・・・河川敷の写真は無いんだけど・・・いいのかな・・・」

英子「?」

律「湖で撮った写真だからな・・・置いていかれた事を思い出さなきゃいいけど」

紬「・・・」ゴクリ

英子「・・・よく分からないけど、私もこれで・・・みんなおやすみ」

唯「また明日ね〜」フリフリ

梓「私もこれで失礼します」

紬「・・・」コクリ

梓「また、明日です」

澪「あぁ、また明日な」

英子「一緒に帰ろうか」

梓「はい」

スタスタ

律「あの二人が並んで歩くなんて・・・なんていうか、凄いな」

紬「・・・」ニコニコ
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:54:22.71 ID:u8FaWllJo

唯「私も帰るよ〜、あでぃお〜す」フリフリ

紬「・・・」フリフリ

シャー

澪「・・・」

律「むぎー」

紬「?」

律「夏の旅の写真さー」

紬「・・・」コクリ

律「集合写真以外にもあるだろ?」

紬「・・・」コクリ

律「見せてくんない?」

紬「・・・」コクリ

澪「やった!」

律「まてまて、私が最初だかんなー」

澪「どんな写真なんだろう」ワクワク

紬「・・・」ニコニコ

律「じゃ、明日なむぎ」

紬「・・・」フリフリ

澪「明日な!」

チリンチリン

489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:55:19.16 ID:u8FaWllJo

英子「まさか梓ちゃんまで敬礼するとは思わなかった」

梓「一応ノリですから」

英子「うん・・・合わせることも大事だよね」

梓(お、お母さんだ・・・雰囲気がそう思わせるんだ・・・)

英子「あ・・・」

梓「あ・・・」

風子「あ・・・!」

英子「これからお出かけ?」

風子「ううん・・・。帰る所だけど・・・。珍しい組み合わせだね」

梓「そうですね」

風子「もしかしてけいおん部と・・・!」

英子「その通りだよ」

風子「・・・」ゴゴゴゴ

梓「え?・・・え!?」

英子「私はたまたま会っただけだよ、ふぅ」

風子「え・・・?」

英子「久しぶりだね、この呼び方」

風子「・・・うん」

梓「??」

風子「梓・・・ちゃん・・・」ユラリ

梓「っ!」ビクッ

風子「なにかやるなら呼んでって言ったのに・・・」

梓(怖いっ!)
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:55:52.75 ID:u8FaWllJo

英子「ふぅは今日用事あるって言っていたでしょ?」

風子「だけど・・・」

英子「だけどじゃないの、後輩を怯えさせるのはよくないよ」

風子「・・・はい」

梓「・・・」ホッ

風子「ごめんね梓ちゃん」

梓「いえ・・・。明日の夜は月見ですよふぅせんぱ・・・!」

英子「・・・」プクク

風子「うん」ニコ

梓「・・・」フゥ

英子「月見するの?」

梓「はい・・・。学校終わって河川敷近くの森林公園で・・・です」

風子「団子は用意するの?買うの?」ウキウキ

梓「えぇと・・・唯先輩と憂が用意すると言っていましたけど・・・」

英子「・・・」

風子「それじゃ飲み物だね。なにがいいかな」

梓「むぎせんぱいがお茶を用意しますから、それはいいかと」

風子「手ぶらで参加するのも・・・ね?」

英子「そうだね」

梓「あ、それなら風子せんぱ」

英子「ダーメ。さっきの呼び方がいいよ」

梓「で、でも・・・」

風子「許可するよ」ニコ

梓「そ、そうですか・・・ふぅ・・・先輩・・・」

風子「うん」ニコニコ

英子(なるほど・・・この子も数に入っていたんだね。・・・姫子さんってば)

491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:56:51.48 ID:u8FaWllJo

和「あら・・・」

唯「おかえり〜」

和「ただいま。唯もおかえり」

唯「ただいま〜」

和「見つかった?」

唯「えへへ」

和「ヒントは見つかったみたいね」

唯「うん!」

和「よかったわね」

唯「・・・うん」

和「・・・」

唯「・・・」

和「・・・」

唯「風のようにね」

和「?」

唯「風のように時が流れていくんだよー」

和「風のように・・・」

唯「うん。あずにゃんが坂道の場所を教えてくれたんだ」

和「・・・」

唯「坂の下から坂の上へ風が流れる場所なんだよ
  とってもゆるやかに流れるんだ・・・」

和「・・・」

唯「自転車を降りて、坂を歩いて登ってみたんだ。風が背中を押してくれるんじゃないかって」

和「・・・」

唯「そんな事はなくて・・・。私の横をするりと駆け抜けていくだけだった」

和「そう・・・」

唯「・・・・・・うん」

和「・・・」

唯「時間が・・・今が・・・・・・わたしの・・・っ・・・よこを・・・」グスッ

和「・・・」

唯「するって・・・・・・風のように・・・っ・・・なが・・・っ・・・れて・・・」グスッ

和「・・・」

唯「いって・・・しまう・・・よ・・・」グスッ

和「・・・」

唯「いや・・・だよぉ・・・」ボロボロ
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:57:17.97 ID:u8FaWllJo

和「・・・うん」

唯「・・・はなれるるの・・・やだ・・・よぉ」ボロボロ

和「うん」

唯「・・・っ」ボロボロ

和「・・・」

唯「・・・ごめ・・・ん・・・ね」ボロボロ

和「風が背中を押してくれるように」

唯「・・・?」グスッ

和「唯の背中を押してくれるように、私が唯と一緒に歩くわ」

唯「??」グスッ

和「風を受け止める面積が広ければ・・・少しは押してくれるでしょ?」

唯「うん・・・」

和「二人じゃあまり遮れないから・・・人数を増やせばいいのよ」

唯「うん」

和「風が・・・時間が駆け抜けていかないように・・・ね」

唯「うんっ」

和「・・・何を言っているのかしら」

唯「えへへ、変な和ちゃん」

和「唯の喩えがおかしいのよ」

唯「そんなことないよっ!」

和「でも、時が風のように・・・。いい言葉ね」

唯「そでしょ・・・。って違うよ!」

和「え?」

唯「風のように時が。だよ!」

和「一緒よ」

唯「ぜんっぜんちがうよー」

和「・・・」

唯「えへへ、ありがと」

和「帰りましょ」

唯「うん!」
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:58:13.01 ID:u8FaWllJo

―――――カメラ屋

ウィーン

姫子「受け取りに来ました」

「はい。仕上がってますよ。ちょっと待っててくださいね」

姫子「はい」

エリ「・・・」ワクワク

姫子「・・・」

アカネ「・・・」ワクワク

姫子「あの・・・その・・・」

エリ「写真楽しみだね、アカネ」

アカネ「うん」

姫子「・・・ゴメン」ボソッ

エリ「?」

アカネ「・・・ひょっとして」

「おまたせしました〜。14枚の焼き増しと、一つはサービスです」

姫子「大きくプリントしてくれたんだ・・・」

エリ「おぉー・・・お?」

アカネ「・・・やっぱり」

姫子「キレイに撮れてる」

「カメラマンの腕がよかったみたいですね。いい写真です」

姫子「・・・はい」

「ありがとうございました〜」

ウィーン
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:59:02.18 ID:u8FaWllJo

エリアカネ「「 うわーん! 」」

姫子「・・・ごめんね」

エリ「河川敷じゃないー!」

アカネ「・・・キャンプ場で、私たちは当然いない」

姫子「・・・」

エリアカネ「「 うわーん! 」」

姫子「誰か・・・助けて・・・」

「うわー子供が二人喚いてるよ」

姫子「助けてよ・・・」

エリ「私たちの気持ちなんか分からないよ!」

アカネ「うん!」

「なんの話?」

姫子「話せば長くなるから・・・」

「大丈夫。話は好きだから」

エリ「私たちを置いてキャンプに行ったのは聞いたでしょ?」

「うん・・・。たしか信代も行ったという」

アカネ「そうそう。その写真の現像を受け取りに来たんだけど」

姫子(勝手に付いて来たんじゃ・・・)

「でも、キャンプに参加していないんだから、受け取りに来る意味ないよね」

エリ「河川敷で撮った一枚に私たちも写ったの!」

アカネ「うん」

「それで?」

姫子「・・・写っていなかった」

エリアカネ「「 うわーん! 」」

「奇怪な話?」ワクワク

エリ「ちゃんと話聞いてよ!」

「うぅん〜?」

アカネ「集合写真は二つあって、もう一つの写真を現像に出していたって事」

姫子「これ」ペラッ

「あ・・・。いいね、みんないい表情してる」

エリ「うわーん!」

アカネ「・・・」

エリ「あれ?タイミング間違えた?」

アカネ「もういいかなって」

エリ「見捨てられたー!」

「うるさいな、今日のエリは・・・」
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 20:59:36.59 ID:u8FaWllJo

姫子「帰っていいかな・・・。今日は疲れたんだけど」

「部活?」

姫子「と、探検」

アカネ「探検って・・・?」

姫子「遊んだって事かな」

エリ「楽しかったね」

姫子「・・・うん」

アカネ「うわーん」

「・・・」

姫子「あとヨロシクね、潮」

潮「なにを・・・頼まれたの?」
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:00:20.68 ID:u8FaWllJo

―――――夜・立花邸

姫子(この大きいの貰おうかな・・・)

ガチャ

母「おかえり」

姫子「ただいま」

母「お父さんが呼んでるよ」

姫子「どうして?」

母「バイク・・・の免許取るって・・・」

姫子「うん」

母「その話」

姫子「分かった」

スタスタ

母「嫌がると思っていたのに・・・」




―――――ガレージ


姫子「今日はメンテしないの?」

親父「・・・そこ座れ」

姫子「質問は無視かよ」

ストッ

親父「なんで急に興味をもった」

姫子「・・・」

親父「憧れや興味だけで手を出すな。命に関わるものなんだぞ」

姫子「知ってる」

親父「・・・」

姫子「興味を持つことは悪いことじゃないって言ってたじゃん親父」

親父「それとこれとは話は別だ。俺を納得させろ」

姫子「できなかったら?」

親父「それだけの理由でバイクには乗せないな」

姫子「どうして?」

親父「俺の娘だからだ」

姫子「押さえつけているんじゃないの?」

親父「もがいてみろと言っている」

姫子「かっこつけやがって」

親父「最後の関門だろ。かっこつけさせろ」

姫子「・・・」

親父「・・・」
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:01:29.92 ID:u8FaWllJo

姫子「・・・」

親父「なんだ特に理由はないのか・・・」

姫子(そんなの、あの人に出会った時で決まっている)

『・・・うぅ』

姫子「クスクス」

親父「?」

姫子「これ・・・みて」ペラッ

親父「キャンプの写真か・・・?」

姫子「うん」

親父「・・・ふむ」

姫子「なんか恥ずかしいから、もういいでしょ」

親父「それがどうした」

姫子「親父がバイクと出会う事になった写真・・・と、繋がっている人が撮った写真」

親父「!」

姫子「直接ではないけど、色々な糸が絡まって繋がっている人だった」

親父「・・・」

姫子「私はこの写真を撮った人に憧れている」

親父「・・・」

姫子「その人は―――」

・・・・・・

・・・

姫子『えっと・・・その・・・バイクに乗って・・・どう変わりましたか?』

『うぅ・・・ん・・・眠いから後でね・・・』

いちご『・・・ひどい』

姫子『・・・』ションボリ

『景色が狭まった』

姫子『狭まった?』

『集中して前だけを見ないといけないから、視界が鋭くなった』

姫子『・・・』

『そんなもんだよ』

いちご『・・・』

姫子『そうですか・・・』

『そうですか・・・じゃないよ』

姫子『?』

『そうなんだ・・・だよ』

いちご『?』
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:02:19.34 ID:u8FaWllJo

『私は、二台目になるけど。あのバイクと共に歳を取っていく』

姫子『・・・』

『そして、旅の仲間と出会っていく・・・。これくらいかな』

姫子いちご『『 そうなんだ 』』

『そうなんだよ〜』

姫子『クスクス』

いちご『クスクス』

・・・

・・・・・・

姫子「・・・」

親父「・・・」

姫子「『バイクと共に歳を取っていく』って」

親父「・・・」

姫子「たくさんの景色をみせてくれるバイクと共に・・・私も」

親父「ただの受け売りじゃねえか」

姫子「!」

親父「それはその人の経験を培ったものだ。おまえの経験ではない」

姫子「あたりまえじゃん」

親父「なに?」

姫子「私とその人が目指している場所は違うんだから」

親父「・・・」

姫子「影響を受けたのは事実だけど、その人と自分を置き換えてモノを言うほど
   私は子供じゃないつもり」

親父「・・・」

姫子「・・・」

親父「そうか。それで、おまえが目指す場所ってのは・・・?」

姫子「・・・」

親父「・・・」

姫子「分からない」

親父「・・・」

姫子「でも、バイクに乗ってたくさんの景色をみれば・・・」

親父「景色って・・・おまえはバイクに乗ったこと」

姫子「あるよ。小さい頃に」

親父「・・・」

母「覚えていたの?」

姫子「思い出した。最近バイクの後ろに乗せてもらったから」

親父「・・・」

姫子「親父じゃないの?私をバイクに乗せたの」
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:03:07.69 ID:u8FaWllJo

母「おとうさん・・・」

親父「・・・」

姫子「?」

親父「小学校に上がる前だな。俺が運転しているバイクからおまえが落ちそうになったんだよ」

姫子「・・・」

親父「それからは、おまえをバイクに乗せるのが怖くなって一人でしか乗らなくなった」

母「・・・」

姫子「そんな事があったんだ」

親父「あぁ。一度に大切なものを二つ失う所だったからな」

母「もう・・・」

姫子「・・・」

母「姫子とバイクを天秤にかけて同じ重さっていうわけじゃないの」

姫子「?」

母「その事があってから、お父さんは1年くらいバイクに触っていなかったわ」

親父「・・・」

姫子「・・・」

母「姫子はまだ乗せてってせがんでいたんだけど・・・お父さんが頑なに拒否したのよ」

姫子「・・・」

母「だけどね、あたながこう言ったの」

姫子「私が?」

母「えぇ。『バイクに乗ってるお父さんカッコイイのに』」

親父「・・・」

姫子「・・・」

母「それからまた・・・元通り。姫子はもうバイクに乗ること自体に興味を持っていなかったけど」

姫子「・・・」

親父「話を戻す。バイクの免許を取る事に納得できないぞ、まだ」

姫子「・・・うん。私がたくさんの景色をみる手段がバイクだったってだけ」

親父「・・・」

姫子「あんまり人に言う事じゃないと思うけど」

母「?」

姫子「私・・・視野が狭いっていうか、つまらない目線でモノを見ていたんだと思う」

親父「つまらない目線ってなんだ?」

姫子「簡単に言うなら興味を持つことができないって事かな」

母「・・・」

姫子「だけど、同じクラスの子たちにたくさんの視点があるって事を教えてもらって・・・」

親父「・・・」

姫子「もっとたくさんの事に興味をもってみたいって思えた」

親父「どうしてだ」

姫子「みんな楽しそうだったから」
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:05:02.67 ID:u8FaWllJo

親父「・・・」

姫子「・・・それだけなんだけど」

母「お父さんの負けですね」

親父「別に勝ち負けではなくてだな」

母「ちゃんとした知識をつけるのよ?」

姫子「分かってる。事故の怖さも教えてくれたから」

母「それなら私は反対しないわ」

姫子「ありがと」

親父「金はださねえからな」

姫子「最良のものを自分で手に入れろって言ってた」

親父「最良のもの・・・それがバイクか?」

姫子「うん」

親父「アテはあんのか?」

姫子「なんの為にバイトしてきたと思ってるの」

母「・・・バイクを買う為」

姫子「違うよ。いや、そうだけど・・・。この時の為だって意味だよ」

母「あら、そうなの」

親父「・・・分かった」

姫子「ありがと」

親父「・・・素直に礼を言うな・・・。なんか寂しい」ボソッ

母「姫子・・・それは?」

姫子「キャンプの写真だよ」

母「みせてみせて」

姫子「ほら」

母「まぁ〜」キラキラ

姫子「この子とこの子とこの子は2年生で、他は同じクラス。この子とこの子が姉妹」

母「そっくりね〜」

姫子「この子とこの子が幼なじみ」

母「このメガネの子しっかりしていそうね」

姫子「・・・そっちはあまり見た目で判断しないほうがいいみたい」

母「あらそうなの?」

親父「免許取ったら一緒にツーリングするか!」

姫子「それはない。・・・こっちのメガネの子がしっかりしている
   この子がたくさんの事を教えてくれた」

母「なんだかふわふわした子ね」

姫子「うん」

母「楽しい話ね、もっと聞かせて?リビング行きましょう」

姫子「うん・・・。メンテの仕方教えてね」

スタスタ

親父「・・・」ズドーン
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:06:02.15 ID:u8FaWllJo

9月16日


さわ子「―――と、朝のHRはお終い。琴吹さんちょっと」

ザワザワ

紬「?」

テッテッテ

律「・・・ふぁ・・・ねみぃ」

さわ子「明後日の金曜日になるんだけど、冬服持ってきてね」

紬「・・・」ププップー

さわ子「卒業写真を先に撮っておくのよ」

律「!」

春子「・・・」

「・・・」

紬「・・・」プップププー

さわ子「・・・それは・・・その」

「紬さんはなんと?」

律「集合写真は・・ってさ」

さわ子「・・・右上になる・・・わねぇ」

紬「・・・」ガーン

律「そうはさせねえ!」ガタッ

春子「お、なにかするのか?」

律「させねえけど、案がねえ!」

さわ子「・・・どうするのよ」

律「うぅ・・・ん・・・」

紬「・・・」プププップー

いちご「なつ・・・ふく・・・で・・・・・・・・・」

春子「こる」

律「惜しい、夏服で撮るだな・・・え!?」

紬「・・・」キリ

さわ子「あのねぇ、あなた一人だけ夏服で残るのよ?」

(いちごさんも春子さんも聴けるの・・・?)

律「あ!」ピコン

澪「なにか閃いたな」

律「平目烏賊!」

澪「はいはい。なにを閃いたんだ?」

律「んだよー」ブーブー

英子「どうしたの?」

「律さんがなにか閃いたって」

信代「つまらないギャグを言っていたなー・・・」

風子「どうしたのどうしたの?」
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:08:21.55 ID:u8FaWllJo

律「私も夏服で撮るぜー!」

澪「本気か?」

律「冗談でこんな面白い事やっちゃいけないだろ」

澪「そうだな、私も夏服で撮りたいです」

さわ子「・・・」

春子「面白いな、ページを捲っていったら私たちのクラスは夏服で真っ白なんだな」

「いいね、面白い〜」

エリ「みんな集っているけど、どうしたの三花」

三花「うん、夏服で卒業写真を撮ろうって案が出ているんだ」

唯「採用した!」

律「集合写真も夏服でいいじゃん!」

澪「・・・そうだな」

唯「おぉ!」

姫子「出来るの?そんな事」

和「どうかしらね」

紬「・・・」キラキラ

潮「あ、張本人がその気だ」

アカネ「いいよね、写真だけじゃなく思い出にも残る」

さわ子「あのねぇ・・・進路の写真にも使う画像にもなるのよ?それでいいの?」

律「いいじゃん!むしろ好都合!」

信代「よし、唯と潮、面接を設定したやりとりをさわちゃんに見せ付けるから手伝って」

潮「了解」ルンルン

唯「任せてよ!」ドン

和「やり取りね・・・」
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:10:40.89 ID:u8FaWllJo

―――――コント

潮「コンコン」

信代「どうぞ」

潮「失礼します。ガラガラガラ」

律「ちょっとまて!シャッターを開けるってどんな部屋で面接すんだよ!」

紬「・・・」メモメモ

風子「なるほど」メモメモ

唯「こんこん、失礼します」

信代「どうぞ」

唯「・・・」スタスタ

律「ドアを開けて入れよ!内側からノックしたのか!?」

信代「お名前をどうぞ」

潮「太田潮と申す」

律「武士は元いた時代に帰れ」

信代「自己アピールをどうぞ」

唯「じゃじゃーんぎゅいぃーん!」

律「でたー・・・。エアギター・・・」

信代「うちの会社で働く事でうちにメリットはありますか?」

潮「ここ大学の面接じゃないんですか?」

律「場所間違えたよこの子!」

信代「うちの大学で学ぶ事は決まっていますか?」

唯「友情と青春のラビリンスです」

律「勉強しろ!だから使い方も間違えるんだよ!」

信代「学生生活の中で学んだことを教えてください」

潮「そう・・・です・・・ね・・・」

律「遠い目をするな!好奇心沸くけども!」

信代「どのようなサークルに入るか決めていますか?」

唯「近所の麦畑で作ってみます。毎日が楽しそうですよ!」

律「ミステリーサークルだな・・・。勉強しろ!」


さわ子「・・・」


信代「最後に質問はありますか?」

潮「大学の面接会場はどこですか?」

律「面接官に聞く事じゃねえ!」

信代「質問はありますか?」

唯「大学の面接会場はここであっていますか?」

律「最初に聞いとけ!」

さわ子「あのねぇ・・・私はそんなにヒマじゃないんだけど」イライラ

律唯信代潮「「「「 ごめんなさい 」」」」
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:12:12.83 ID:u8FaWllJo

さわ子「肝心な所はどうなっているのよ」

潮「和パス!」

和「え?」

潮「唯と一緒に答えることができそうだから」

唯「・・・ー☆」ウィンク

和「そうね」

さわ子「和ちゃん、コントなんかしたら承知しないわよ」

和「できませんよ・・・」

澪(見たかった!)

姫子(見てみたかった)

信代「では・・・ゴホン」

唯「・・・」

和「・・・」

信代「どうして進路に提出する写真が夏服なのですか?」

唯和「「 その『時』を一生思い出せるように。です 」」

紬「・・・」

律「おっけー!」

さわ子「・・・」

律「どうよ、さわちゃん」

さわ子「話題が増えるなら・・・それでいいのかもね」

和「はい」
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:13:41.95 ID:u8FaWllJo

さわ子「半分強制的になるわよ?夏服で統一するのなら」

律「いや、自主的だ。な?」

澪「うん」

唯「うん!」

和「えぇ」

姫子「うん」

信代「もちろん」

潮「うんうん」

いちご「・・・うん」

春子「右に同じく」

風子「同じく」

英子「同じ」

「同じく」

エリ「自主的です」キリ

アカネ「うん」

三花「うん」

「うぬ」

律「おい、王様が紛れ込んでいるぞ」

「クスクス」

さわ子「分かったわ。それじゃ金曜日、集合写真も撮影するから用意していてね」

「「「 はーい 」」」

紬「・・・」

律「なーに困った顔してんだよーむぎ!」

紬「・・・」

澪「どうした?」

紬「・・・」

ギュ

唯「ん?」

紬「・・・」スラスラ

唯「う・・・れ・・・し・・・く・・・て・・・」

紬「・・・」スラスラ

唯「心・・・が・・・い・・・っぱ・・・い・・・」
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:14:46.00 ID:u8FaWllJo

―――――昼・中庭

梓「和先輩がコント!?」

和「えぇ」

唯「嘘ついた!」

和「もちろん冗談よ」

梓「びっくりした・・・」

風子「本当は私がやったの」

梓「嘘ですよね」

風子「うん。信用しているんだね」

梓「今疑ったんですけど・・・」

風子「私がするわけがないって思ったでしょ?」

梓「は、はい・・・」

風子「ほら」

梓「いや・・・あれ?」

和「言葉に踊らされてはダメよ」

唯「どういう人か知っているから、嘘だと見抜いたんだよ」

梓「そ、そうです」

風子「惜しかったね」

梓「なにがですか」



・・・・・・




澪「いいな、この写真」

紬「・・・」コクリ

姫子「撮り手の腕がいいとお店の人も言っていたよ」

律「ふーん」

エリ「あれ?大きい」フガッ

姫子「・・・」

律「どうしたんだよ?」

姫子「なんでもないよ」

澪「14枚あるけど・・・、姫子の分も持ってきたの?」

姫子「う、うん・・・」

澪「そっか・・・」

アカネ「真実を知っているのはエリだけじゃないんだよひめ」フガッ

律「さっきからなにをしているんだよ?」

姫子「ごはんを食べさせているんだよ」

律「ぇ・・・」
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:16:07.48 ID:u8FaWllJo

姫子「ごめん、嘘だからひかないで」

澪「挙動不審で少し怖い・・・」

紬「・・・」スッ

姫子「ちょっとむぎ、距離を取らないで?」

紬「・・・」ススッ

姫子「近い近い」

澪「・・・」

エリ「姫子さんの分私が貰っていい?」

姫子「・・・うん」

エリ「ありがとー。いい写真だよね・・・」

アカネ「・・・」ジー

律「アカネも欲しいのか・・・誰かが貰えなくなるな」

澪「そんなの嫌だ!」

紬「・・・」サッ

律「うわっ!ずりぃぞむぎ!」

澪「・・・っ」サッ

アカネ「・・・っ」サッ

ゴツッ

澪アカネ「「 いった〜ッ! 」」

律「なんでアカネが参戦してるんだよ」

純「なにをしているんですか・・・?」

憂「こんにちは」

姫子「今からお昼?」

純「私たち二人!は梓に置いていかれたので、二人!で食べました」

紬「・・・」

律「そ、そうか・・・。やたら二人を強調しているのは怒りか」

憂「あ、私とおねえちゃんの分いただきますね」サッ

律「さすがだ」

純「あっ!あの時の写真だっ!」サッ

アカネ「・・・」サッ

ゴツン

純アカネ「「 〜ッ! 」」

姫子「アカネはどうして?」

エリ「ノリかな?」

律「ノリでやって痛い思いしてんのか、アホだな」

アカネ「」ガーン

澪「よし、確保だ」ホクホク
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:17:33.00 ID:u8FaWllJo

純「よかった」ホッ

律「あれ?一枚残ってるぞ?」

姫子「信代と春子といちごには渡してあるよ」

澪「和、梓、風子には渡したよな」

憂「山中先生は・・・?」

姫子「渡したよ」

律「あ・・・私だ」

アカネ「・・・ッ」サッ

律「あ!」

アカネ「取っちゃった・・・」

律「ビックリしてんじゃねえ!それ私のだぞ!」

アカネ「ごめんね」

律「謝られると・・・」

紬「・・・!」

澪「どうした?」

紬「・・・」ペラ

律「あ・・・持ってきてくれたのか」

紬「・・・」コクリ

律「さーんきゅ」

エリ「それは?」

澪「夏の旅の写真なんだけど・・・集合写真以外の写真だな」

純「見たいです!」

憂「私も見てみたいです」

律「じゃ一緒に見ようぜー」

姫子「集合写真は?」

澪「部室にあるよ」

エリ「今度見に行くよ」

アカネ「うん」

律「・・・」

純「・・・」

憂「・・・」

澪「空・・・」

紬「・・・」コクリ

律「ぜ、全部?」

紬「・・・」キリ

律「そ、そっか」

姫子「澪、大きいの貰っていい?」

澪「ん?・・・うん?」

姫子「了承を得たよね」

エリ「・・・・・・うん」
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:18:37.58 ID:u8FaWllJo

―――――放課後

唯「うまうま」ムシャムシャ

紬「・・・」ニコニコ

律「梓・・・ちょっと外に来てくれ」

梓「なんですか?」

律「バトミントンしようぜ」

唯「がんばってね〜」フリフリ

紬「・・・」フリフリ

梓(話があるのかな・・・)

澪「・・・」





律「はい、ラケット」

梓「え?」

律「ん?」

梓「バトミントンするんですか?」

律「部室出るときそう言っただろ。勝負だっ」

梓「はぁ・・・」

律「なんだよ、ノリ悪いな」

梓「てっきり話があるのかと」

律「ねえよー。ただ、遊ぼうぜってだけだよん」

梓「・・・はい」

律「よし、3点先取な。サービスは私から」

梓「・・・」

律「それっ」ポンッ

梓「えいっ」ポンッ

律「そりゃっ」パシッ

梓「よいしょ」ポンッ

律「やるなっ」ポンッ



・・・・・・




紬「・・・」

唯「あずにゃん上手上手!」

澪「律のスマッシュに反応した・・・」

紬「・・・」

唯「でもどうして急に?」

澪「昨日帰りに店で見つけたんだよ。それで公園で勝負したんだけど、負けてしまった」

紬「・・・」
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:19:29.76 ID:u8FaWllJo

唯「そっか〜」

澪「多分、明日に唯とむぎも勝負もちかけられると思う」

紬「・・・」メラッ

唯「むぎちゃんも燃えてきたね。私も負けないよりっちゃん!」メラメラッ

澪(律なりの探し方なのかな・・・)

唯「澪ちゃん、新曲だけどさ〜」

澪「うん、なんだ?」

紬「・・・」



・・・・・・




律「・・・届けっ」グイッ

ポト

梓「ふぅ・・・2-2ですね」

律「やるなー。中学校時代はバトミントン部だっただけのことはある」

梓「私は今も昔も文化部ですよ」

律「そうだったのかー」

梓「いいですから、最後のサービスいきますよ」

律「こーい!」グッ

梓「それっ」ポンッ

シュー

律「よー・・・し・・・」

ポコッ

梓「・・・?」

律「・・・」

梓「私の勝ちですか?」

律「ん・・・あぁ・・・」

梓(なにを見て・・・あ・・・)

律「むぎ・・・」

梓「・・・何をみているんでしょう」

律「飛行機・・・はいないか・・・」

梓「雲だけですよね・・・」

律「うん・・・」

梓「・・・」

律「・・・」

梓「最近」

律「最近よく空を眺めているよな」

梓「はい」
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:20:28.55 ID:u8FaWllJo

律「・・・」

梓「きっと・・・」

律「?」

梓「きっと、焼き付けたいんだと思います」

律「空を?」

梓「はい。今の空を」

律「・・・なんか、寂しくないかそれって」

梓「・・・」

律「雲が流れて、過ぎ去っていくんだぜ。それはもう風のように
  いや、上層はジェット気流なんかもあるからそれ以上のスピードだ」

梓「そうですね」

律「そんな瞬間を眺めるって・・・。なんだか寂しい」

梓「・・・」

律「そうは思わないって顔だな」

梓「どうですかね」

律「なにか感じた事があるなら、聞かせてくれよ」

梓「・・・寂しい顔してないじゃないですか」

律「え・・・?」

梓「今の、空を眺めるむぎせんぱいですよ」

律「・・・あぁ、そうだな」

梓「あの夏の空だって・・・あ」

律「気づかれたか」

梓「むぎせんぱーい!」

律「むぎー!」




紬「・・・」フリフリ

唯「おーい!あずにゃーん!りっちゃーん!」ブンブン

澪「ど、どうした?」

512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:23:15.85 ID:u8FaWllJo



律「次で勝負が決まるから見てろよー!」

梓「・・・いきますよ!」

律「ふふ。それでこそ我がライバルの後輩」

梓「誰ですかライバルは」

律「さぁこーい!」

梓「それっ」ポンッ

律「必殺!」

梓「!」グッ

律「肩透かし!」トン

梓「っ!」ダダダッ

スカッ

律「勝負あり」





澪「二人ともあの技には気をつけるんだぞ」

紬「・・・」コクリ

唯「・・・ふふ、私の後輩を苦しめるなんて・・・やるね!りっちゃん!!」

澪「・・・もうそろそろ陽が暮れるな」

紬「・・・」

唯「お月様まだ出てないね」

澪「今日は満月か・・・」

紬「・・・」

513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:24:49.84 ID:u8FaWllJo

―――――夜・森林公園

律「結構多いな」

澪「うん・・・」

唯「お団子足りるかな」

憂「うん・・・。予想を上回る人数だから・・・心配だね」

和「もっと厳かになると思っていたんだけど」

純「賑やかになりましたね」

梓「むぎせんぱいはまだ来ていないんですか?」

風子「まだみたいだよ」

律「それ、なんだよ風子」

風子「なんだと思う?」

律「いや、すすきだろ?」

唯「ザッツ正解」

澪「ライトだろ」

風子「趣があっていいよね」

梓「ありますけど、ここ一体に生えていますから」

風子「無駄だと・・・。意味が無いと・・・。私の事前調査が怠っていたと」

梓「う・・・」

英子「また、そうやって梓ちゃんにいじわるするんだから」

風子「・・・」

英子「満足そうな顔しないの」

風子「はい・・・」

梓「・・・」ホッ

憂「・・・」

風子「こうやって瓶に入れることで、雰囲気が生まれるでしょ?」

純「・・・」

風子「これを文化と言うそうだよ」

和「へぇ・・・」

梓「誰に教わったんですか?」

風子「本にだよ。と、言っても小説の受け売りだけど」

唯「文化っていいよね」

和「適当に話を合わせないでね」

いちご「憂ちゃん・・・」

憂「あ、こんばんは」

いちご「じゃん」

憂「あ、お団子・・・」
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:25:27.97 ID:u8FaWllJo

いちご「作ってきたけど・・・。憂ちゃん達の味付けは?」

憂「月見だんごと、お姉ちゃんのリクエストでみたらしです」

いちご「よかった被らなくて・・・私はお花見だんご」

純「すごっ!!」

いちご「お母さんと一緒にね」

憂「すご〜い」キラキラ

エリ「じゃじゃん!ごまだんごとあんこだんご!」

純「すごっ!!!」

律「ボキャブラリーないな純は」

純「それほど驚いているんですよ」

アカネ「エリは買ってきただけ・・・」

エリ「ネタばらし早いよっ」

純「・・・」

律「損したって顔してんな」

信代「私はおはぎもって来たよ」

純「・・・」

信代「あれ?リアクションなし?結構自信作なんだけどな」

純「分かりました。一番最初に食べてリアクションとりますね」

律「自分を追い込むのな」

唯「だんごの心配はないけど、お茶が心配になってきたね」

梓「・・・」キョロキョロ

澪「むぎ頼みか・・・」

三花「いまからでも買ってくる?」

「ひとっ走りしてくるよ。潮が」

潮「よぉし!」

タッタッタ・・・

信代「・・・」

・・・タッタッタ

潮「なんでやねん!」

唯「あははっ」

「団子に合うお茶ってなんだろ?」

信代「ノーマルなお茶でいいんじゃないの?お茶ってなんだろってなんだよ?」

「あ・・・」

潮「慶子は団子に合う飲み物はなんだろって言いたかったんだと思う」

澪「なるほど」

律「天然か・・・」

慶子「・・・」カァア

エリ「遅いね、紬さん」

梓「・・・」ソワソワ

和「姫子もまだね」
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:26:52.88 ID:u8FaWllJo

英子「ふぅ、なっちゃんは?」

風子「三時間後にくるよ・・・」チラッ

梓「・・・」ソワソワ

風子「うぅ・・・」

英子「・・・次、頑張りましょう。大丈夫よ」

純憂(( お母さんだ・・・ ))

律「なんでボケるんだよ」

澪「誰のせいだ」

律「私悪くないもーん」

姫子「今日は人多いね」

「やっぱり憂と純もいた!」

憂「あ・・・」

純「姫子先輩と部活?がりかー」

「その通り!部室で話聞いてさー。これは参加しないと損だと思って来た訳よ」

律「この子は誰?」

「初めまして・・・ではないですね。梓たちと同じクラスの斉藤夏です」

澪「斉藤さん・・・ね」

夏「夏って呼んでください!」

純「夏は斉藤でいいのだ!」

夏「え・・・どうして?」

純「澪先輩に名前で呼んでもらおうなどとは笑止千万!」

澪「むぎの執事さんと同じだから名前がいいな」

純「ですよね」

夏「む・・・」

梓「・・・」ソワソワ

夏「梓の視界に私は入っていない・・・?」

姫子「むぎは?」

梓「まだなんですよ」ソワソワ

姫子「どうしたんだろ?」

律「場所は教えてあるだろ?」

唯「うん。帰るときにもちゃんと確認したよ」

和「あの車じゃない?」

梓「・・・」スッ

信代「ブフッ」

潮「?」

慶子「どうしたの信代?」

信代「梓ちゃん背筋伸ばした・・・可愛い・・・っ!」

潮「??」

慶子「よく分からない」
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:28:07.45 ID:u8FaWllJo

春子「確かに可愛いな。それじゃむぎを盛大に迎えようか」

律「どうするどうする!?」

澪「・・・」

風子「月にちなんでかぐや姫?」

唯「設定はこうだよ。月に帰ったかぐや姫があの車に乗って地球に戻ってきた」

和「・・・」

律「よしよし、私はおばあさんな」

信代「おじいさんやるよ」

姫子「・・・」

キキーッ

ガチャ

律信代「「 おぉ・・・かぐ・・・ 」」

唯「おぉ・・・」

紬「?」

澪「どうしてうさみみ着けているんだ・・・」

紬「・・・」ピョンピョン

梓「月にちなんでですね。さすがです」

純「なにがだ」

夏「あはははっ」

斉藤「お嬢様、こちらに熱湯の容器を置いておきますので」

紬「・・・」コクリ

いちご「大きい容器・・・。これでお茶の問題は解消されたね」

澪「そうだな。さすがだ」

和「知っていたの?この人数」

紬「・・・!」

姫子「ビックリしてるね。知らなかったみたい」

春子「えーと・・・ひぃふぅみぃよおいつむうななやあこことお」

風子「19人・・・」

唯「大家族だよ」

アカネ「一人足りない・・・」

澪「ヒァッ!」

和「点呼取りましょうか?」

梓「増えていたら嫌ですね」

慶子「・・・月見しようよ」

潮「まぁまぁ、怖いのは分かるけどさ」ニヤリ

信代「こういうの好きだね、潮は」

和「ではむぎから・・・」
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:28:59.16 ID:u8FaWllJo

紬「・・・」プー

梓「に!」

純「さん!」

憂「よん!」

夏「ご!」

春子「ここから三年生だな、ろく!」

いちご「なな」

信代「・・・」

潮「コントができなくて傷心気味な信代のはち!私できゅう!」

慶子「じゅう!」

和「じゅういち」

唯「じゅうに!」

姫子「じゅうさん」

澪「・・・じゅうよん」

律「・・・じゅうご」

風子「じゅうろく!」

英子「じゅうしち!」

アカネ「じゅうはち」

三花「じゅうく!」

「にじゅう!」

さわ子「にじゅういち」

律「よし、正常だな」

アカネ「・・・」

風子「なっちゃん来てたんだ?」

英子「こっそりまぎれていたの?」

なっちゃん「うん・・・。点呼始まっていたから、一応参加したけど、どうしたの?」

澪「い、色々あってだな」ビクビク

梓「始めまして、中野梓です」

なっちゃん「初めまして、桜井夏香です」

梓「夏香先輩もふぅ先輩と同じクラスなんですか?」

夏香「・・・。うん、そうだよ」

梓「よろしくです」

夏香「よろしくね」

紬「・・・」イソイソ

梓「・・・」サッ

風子「全力でサポートだね」

夏香「あの子すごい社交的だね」

英子「みていたら分かるよ。その理由がね」

夏香「ふーん・・・」
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:29:37.89 ID:u8FaWllJo

夏「斉藤夏っていいます!」

夏香「・・・斉藤・・・夏・・・ね、よろしく・・・」

夏「・・・」キラキラ

唯「サマー同士仲良くするがいいさ」

和「なによそれ」



エリ「」スヤスヤ

律「にじゅに」ファサ

アカネ「こんな所で寝て・・・」

律「だんご食べ終わってから起こそうぜ」ウシシ

アカネ「優しいんだね律さんって」

律「はぁ!?」

エリ「・・・ぅ・・・ん・・・」ムニャムニャ

律「なんでだよ」ヒソヒソ

アカネ「気持ち良さそうに寝ているから起こしたくないんでしょ?
    声小さく話してるし」

律「・・・」

アカネ「・・・」

エリ「」スヤスヤ

律「なんて言えばいいんだよ」

アカネ「・・・さぁ?」

律「変なこというなっ」バシッ

アカネ「あいたっ」

律「・・・ったく」

スタスタ

アカネ「・・・」

エリ「」スヤスヤ

アカネ「起きて」ユッサユッサ

エリ「ん?ぅんー?」

アカネ「月見会始まるよー」

エリ「それはいけない!」ガバッ

アカネ「暑すぎず、寒すぎず。いい風が吹いているし、寝るには最適だね」

エリ「うん・・・。ふぁ・・・ってこの上着誰の?」

アカネ「律さんの」

エリ「?」

アカネ「しばらく着ていたら?」

エリ「そうだね。体温下がってしまったから少し寒いし」
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:30:55.32 ID:u8FaWllJo


さわ子「こんな場所があったのね」

澪「はい。この前梓と偶然見つけて」

唯「よいしょっとー!」

和「失礼するわ」

憂「よいしょ」

いちご「けっこう開けた場所・・・」

春子「うん。公園内だけど、落ち着くな」

さわ子「そうねぇ・・・。りっちゃんは?」

純「あっちで騒いでいますよ」

澪「なにをやっているんだ・・・」

唯「エリちゃんと楽しそうだからそっとしておこうよ」

和「・・・」



律「起きたんなら返せよ!」

エリ「まだ寒いんだよ〜」フルフル

律「そのうち体温あがるだろ?」

エリ「それまで貸してよ」

律「なんでだよ!」

信代「うるさいぞ律」

律「ぐっ」

紬「・・・」

潮「早く座ろうよ」

梓「そうですよ」

律「しょうがないな」

スタスタ

エリ「はい、紬さん」

紬「?」

アカネ「どうして紬さんに渡すの?」

エリ「どんな反応するか面白そうでしょ?」

アカネ「・・・うん」

梓「・・・」

紬「・・・」ガサゴソ

三花「こうやって楽しんでいるんだね」
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:32:32.58 ID:u8FaWllJo

・・・・・




姫子「せっかくだから他の子とも話したら?」

律「姫子と夏ー、こんなとこにいないでさっさとシートの所へ移動するぞー」

夏香「どうしたの?」

夏「い、いえ・・・」

夏香「・・・?」

夏「ご、ごめんなさい。立花先輩・・・」

姫子「夏が来たいって言ったんだから気にしてないけど
   友達を増やすチャンスと思って、ね?」

夏「は、はい。いつも気にかけてくれてありがとうございます!」ペコリ

姫子「そんな真面目にならなくても・・・」

夏香「さっきと印象が違うんだけど・・・?」

姫子「この子は」

律「はやく来いって!みんな揃わないと始まらないんだよっ!」

夏香「はーい」

夏「ご、ごめんなさい」

姫子「・・・」

テッテッテ




澪「来たか」

唯「来た来た〜」

夏「おー来た来たー!」

純「どうして馴染んでいるのさ夏は」

夏「ん?楽しいよ、唯先輩と澪先輩といるの」

憂「えへへ」

和「嬉しいのね」

夏「姫子せんぱーい!こっち空いてますよー」

唯「ダメだよ夏ちゃん。姫ちゃん先輩だよ」

夏「怒られますよ」

唯「大丈夫、守ってあげるから」ドン

和「そんな事言っていいの?」

夏「それじゃあ・・・」ゴクリ

唯「あれ、むぎちゃんたちあっちで何をしてるんだろ?ちょっと行ってくるよ」

憂「お、お姉ちゃん!」

テッテッテ

夏「姫ちゃんせんぱーい!」
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:35:00.39 ID:u8FaWllJo


姫子「夏・・・」ゴゴゴ

夏香「あれっ!?二人!?」

姫子「・・・」

スタスタ

「夏ってば・・・」オロオロ

夏香「どういう事!?」




姫子「誰の許可を得てそう呼んでいるのかな・・・」ゴゴゴ

夏「あわわ・・・唯先輩たすけっいない!」

姫子「・・・」

夏「違うんです!私が言ったのは事実ですけど違うんです!!」

姫子「・・・」ガシッ

夏「っ!」

姫子「・・・」グリグリ

夏「いたたいっ!」

さわ子「騒がしいわね月夜の晩なのに」

「もぅ・・・」

夏香「キミは・・・誰?」

憂「夏ちゃんと双子の冬ちゃんです」

冬「斉藤冬です・・・」

純「冬も来ていたんだ」

冬「う、うん・・・初めまして・・・」

夏香「そうだったんだ・・・。私と同じ季節・・・」

律「あー、さっき夏って呼んでごめんなー」

冬「気にしていませんから・・・」

律「だよなっ!」

澪「おいっ!」




・・・・・・
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:36:37.21 ID:u8FaWllJo

唯「どうしたの〜?」

紬「・・・」

梓「お茶の用意を・・・」

風子「もう少しで終わるから」

唯「そっか。運ぶの手伝うよ!」

紬「・・・」スッ

唯「お任せください!」

テッテッテ

梓「行きましょう。むぎせんぱい、ふぅ先輩」

紬「・・・」コクリ

風子「うん」

三花「・・・」



・・・・・・




姫子「もう呼ばないよね?」

夏「はいっ!」

姫子「よし」

夏「いつつ・・・」

さわ子「そんなに嫌なの?」

姫子「唯と風子だけで充分ですから」

さわ子「・・・」ニヤリ

姫子「・・・っ」ゾクッ

夏「どう・・・したんですか?姫子先輩?」

姫子「な、なんだか寒気が・・・」

冬「?」

唯「おまたせ〜」

和「無責任なこと言ったらダメよ唯」

唯「うん?」

紬「・・・」

梓「・・・」

風子「お待たせ〜」

三花「お待たせ」

律「むぎ達も来たか。よし・・・やっと全員・・・集ってない!」

澪「人数が多いと大変だな」
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:37:52.21 ID:u8FaWllJo

律「なんで私の上着着てんのむぎ?」

紬「・・・」チョンチョン

梓「?」

紬「・・・」コクリ

梓「なんとなくだそうです」

紬「・・・」コクリ

律「まぁ、いいけど」

三花「・・・意外とすんなりなんだ」

さわ子「りっちゃん、はじめましょう」

和「信代たちがいませんけど」

律「どこほっつき歩いてんだか・・・ったく」

いちご「・・・」コソコソ

憂「どうしたんですか?」

いちご「ううん、なんでもない」

憂「?」

純「来ましたよ」

律「こら!集団行動を乱すなよ!」

さわ子「修学旅行の時のりっちゃんに聞かせたいわねぇ」

信代「ごめんごめん」

潮「すまぬすまぬ」

エリ「まだ始まってないよね?」

澪「うん」

アカネ「よかった」

慶子「あ、一人増えてる」

英子「本当だ」

紬「・・・」コクリ

姫子「紹介するよ。今日で正式に引退したけど、うちの部のマネージャーを務める」

冬「斉藤冬です・・・。よろしくお願します」ペコリ

紬「・・・」ニコニコ

唯「よろしく〜」

澪「よろしくな」

律「よろしゅう」

梓「喋るのは初めてだよね。よろしく」

冬「・・・はい、よろしくお願します」

梓「あれ・・・?・・・斉藤・・・ふ・・・ゆ・・・?」

紬「?」

梓「どこかで・・・」

夏「・・・」

純「私も初めまして」

冬「よ、よろしくお願します」
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:39:58.51 ID:u8FaWllJo

憂「私は何度か・・・」

夏「姉をよろしくお願します」

姫子「・・・」

澪「髪が少し長いのが冬なんだな・・・。・・・うん」

律「好きな食べ物は?」

冬「え・・・と・・・。梨です」

唯「ないのか〜」

和「・・・」

さわ子「・・・」

潮「ノーじゃないよペアだよ」

唯「あぁ、果物のことなんだね」

慶子「分かったんだ・・・」

澪「趣味は?」

冬「クッキー作りです」

姫子夏「「 ! 」」

純「じゃあ今度作ってきてもらおうかな」

夏「そんな事よりさぁ!月見観測会始めようよ!」

律「なんだよ、冬の話くらい聞いてもいいだろー」

さわ子「月見観測会っておかしいわよ」

紬「?」

姫子「少し前に、冬がクッキー作って持ってきたんだけどね」ヒソヒソ

紬「・・・」コクコク

姫子「食べちゃダメなレベルだから、それで夏はあわてているんだよ」ヒソヒソ

紬「・・・」コクリ

梓「・・・」

律「細かいことは後で本人に聞くとして、だ!」

冬「・・・」

澪「・・・」

律「梓!」

梓「はい?」

唯「開催のお言葉をどうぞ」

梓「えっ!?またですか!?」

夏「またって?」

姫子「キャンプでも音頭を取ったのが梓ちゃん」

潮「ほー」

アカネ「へぇ・・・」

エリ「置いていかれたトラウマが・・・」

春子「まぁまぁ」

三花「結構な傷だよね」
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:40:51.40 ID:u8FaWllJo

さわ子「なんでもいいのよ」

梓「・・・・・・はい」

紬「・・・」

梓「えー・・・と、冬以外のここにいるみなさんは学園祭の出し物を一緒に制作することになります」

冬「・・・」

夏「・・・」

梓「明日から着実に学園祭に向けての作業が始まります」

潮「・・・」

慶子「・・・」

梓「その前に、今は少しだけ遊んでおきたいと思います」

英子「・・・」

三花「・・・」

夏香「・・・」

梓「・・・せ・・・ん・・・」

エリ「・・・」

アカネ「・・・」

さわ子「・・・」

梓「先輩方には・・・」

和「・・・」

いちご「・・・」

姫子「・・・」

梓「さい・・・ご・・・の・・・」

信代「・・・」

春子「・・・」

風子「・・・」

梓「最後の学園祭となりますから!めいっぱい楽しみましょう!」

唯「うん!」

律「おー!」

澪「うん」

梓「準備期間も楽しみたいです!」

憂「うん」

純「よく言った」

梓「・・・」


紬「・・・」


そして

むぎせんぱいは

月を―空を

眺める
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:41:35.83 ID:u8FaWllJo

姫子「・・・」

夏「梓ってあんな事言うんだ?」

純「言うよ。ビックリした?」

夏「う、うん」

冬「・・・」

英子「おいしいね、憂ちゃんが作ってきただんご」

夏香「もぐもぐ」コクリ

風子「このすすきどうかな」

夏「いいですよね、風情があって」

風子「・・・」

英子「嬉しそうだね」

夏香「このお茶もおいしい〜」

純「そうなんですよ!だんごと合ってて2倍にも3倍にもおいしさが増します!」

夏「あはははっ大げさだよ純」

純「食べてみてよ」

夏「もぐもぐ」

純「紬先輩が淹れたお茶をどうぞ」

夏「・・・」ゴクゴク

夏香「どうなの?」

夏「・・・常識が覆されたよ。まさに奇蹟!」

純「私より大げさじゃん」

冬「・・・」

姫子「体の調子悪い?」

冬「いえ、大丈夫です」

姫子「・・・」

冬「・・・」

姫子「本当に?」

冬「は、はい」

姫子「それなら、ちょっと来て」

冬「・・・?」
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:42:56.30 ID:u8FaWllJo

姫子「むぎ、冬も一緒にいいかな?」

紬「・・・」ポンポン

冬「?」

梓「隣に座っていいですよって事だと思います」

冬「そ、それでは」スト

姫子「冬をよろしくね」

スタスタ

冬「あ、あれ?立花先輩?」

澪「置いていかれたな」

紬「・・・」スッ

冬「あ、ありがとうございます」

信代「なんだか硬いね」モグモグ

潮「知らない人の中に放り込まれたんだからしょうがないよ」モグモグ

慶子「うんうん」モグモグ

冬「・・・」モジモジ

潮慶子(( か、かわいい・・・ ))

信代「・・・」モグモグ

澪「・・・」モグモグ

紬「・・・」ニコニコ

冬「・・・」

潮「話題を振ってみてよ」ヒソヒソ

慶子「おっけ」ヒソヒソ

梓「・・・」ズズーッ

慶子「冬ちゃんは好きなアイドルとかいる?」

冬「アイドル・・・」

慶子「夏に人気が急上昇したあの子とかさ」

信代「あぁ、あの子は唯が」

澪「の、信代!」

信代「ん?」

澪「それはオフレコでお願いだ」ヒソヒソ

信代「どうして?」ヒソヒソ

澪「い、色々と事情があるんだ」

信代「・・・」

澪「・・・」

信代「分かった」

澪「・・・」ホッ

潮「唯がどうしたの?」

慶子「?」

信代「唯がファンなんだって」
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:43:57.02 ID:u8FaWllJo

慶子「ふーん・・・。で、どうかな冬ちゃん」

冬「ごめんなさい・・・。その手の話はちょっと疎いんです私」

紬「・・・」

梓「・・・」

慶子「テレビとか見ない?」

冬「はい・・・」

慶子「そっか・・・」

冬「・・・」

潮「・・・」

シーン

紬「・・・」トントントトン

信代「?」

澪「・・・本?」

梓「本は読むかって事ですか?」

紬「・・・」コクリ

潮「その回答ちょっと待ってね冬ちゃん」

冬「?」

信代「どうして分かった!?」

紬「・・・」ニコニコ

澪「いつも紙鍵盤で練習してるから・・・かな」

慶子「うそー・・・」

潮「えー・・・」

梓「指の配置とかあるんですよ」

信代「すご・・・」

澪「違う単語でやってみてむぎ。みてて信代」

信代「・・・うん?」

紬「・・・」トントントン

信代「あめ・・・?」

梓「そうです」

信代「あぁ、なんとなくだけど分かったよ」

潮慶子「「 えぇー!! 」」

冬「???」

澪「それで、冬は本を読んだりするの?」

冬「は、はい。私、小さい頃から体が弱いので、本や雑誌を読むようになって・・・」

潮「体弱いのに運動部に入ってるの?」

冬「はい・・・。それで迷惑をたくさん・・・かけて・・・」

潮「・・・まずった?」

慶子「まずったねぇ」

澪「迷惑って?」

信代(踏み込んだか・・・)
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:45:22.11 ID:u8FaWllJo

紬「・・・」

冬「記録を取ることしかできなくて・・・
  体力を使う作業は他の子に任せっきりになるんです」

梓「・・・」

冬「たまにしか部活に参加できなくて・・・」

信代「・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」

梓「楽しくないの?」

冬「そ、それは・・・」

梓「楽しくないのなら辞めてもいいと思う。合う合わないは絶対あることだから」

澪「そうだな」

冬「・・・っ」

潮「言い方キツイよ?」

梓「・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」トントントトン

梓「ッ!?」

澪「ッ!?」

紬「・・・」トントントトン

冬「・・・」

梓「み、澪先輩・・・」

澪「・・・っ」

信代「なんだって?」

梓「ひ、姫子先輩と一緒にいる冬は楽しそうだって言ってます」

冬「!」

澪「誰かが言ったの?迷惑だって」

冬「いえ・・・。みんな手伝ってくれますから・・・」

澪「それで楽しめないのなら辞めるべきだ」

冬「楽しいです!」

澪「うん」

冬「あ・・・」

紬「・・・」ニコニコ
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:46:35.87 ID:u8FaWllJo

さわ子「むぎちゃんおかわり」

澪「ヒアッ!」

梓「びっくりするじゃないですか」

さわ子「タイミングつかんでいたのよ」

潮「驚かせるタイミングですか?」

さわ子「声をかけるタイミングよ。やるならもっと演出してみせるわよ」

潮「どんな演出しますか」キラキラ

信代「潮少しひっこんでてくれ」

潮「えー」ブー

紬「・・・」スッ

さわ子「ありがと」

慶子「さわ子先生も座ってはどうですか?」

さわ子「そうね。あっちは騒がしいからこっちでのんびりさせてもらうわ」

澪「」

冬「秋山先輩・・・?」

梓「フリーズしているだけだから大丈夫」

紬「・・・」コクリ

さわ子「・・・」モグモグ

冬「・・・」

梓「はい、信代先輩がつくってきたおはぎ」

冬「あ、ありがとう中野さん」

さわ子「・・・」ズズーッ

梓「お礼は食べてから信代先輩に」

信代「食べて食べて」

冬「は、はい」パクッ

信代「・・・」

冬「・・・」モグモグ

潮「どう?」

冬「おいしぃ〜」パァァ

潮慶子「「 かわいい〜 」」ホンワカ

冬「え、と・・・中島先輩ですよね?」

信代「中島信代ね」

冬「おいしかったです信代先輩!」

信代「ありがと。いいリアクションだったからこっちも嬉しかった」

潮「いいリアクション?」

信代「純のリアクションが普通でさ〜」

紬「・・・」モグモグ

さわ子「そうねぇ・・・」

梓「?」

さわ子「姫ちゃーん」
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:48:00.67 ID:u8FaWllJo

夏「呼んでますよ」

姫子「誰が?」

風子「さわちゃん先生が」

姫子「どうしたんだろ、ちょっと行ってくるね」

英子「行ってらっしゃい」

夏(玄関で見送ってくれるお母さんだ・・・)

夏香「おいしいねこのおはぎ」

純「素のリアクションしてしまいましたよ」




冬「え!?」

さわ子「いいから、やりなさい」

冬「で、でも・・・絶対怒られます」

さわ子「怒られなさいよ」ニヤリ

冬「そ、そんな・・・」

紬「・・・?」

梓「私は呼べない・・・」

姫子「どうしたんですか?」

さわ子「冬ちゃんから話があるそうよ」

冬「・・・」

姫子「なに?」

冬「あ、あの・・・、いちもありがとうございましゅ」

潮(噛んだ・・・)

慶子(噛んだね)

冬「姫・・・ちゃん先輩」

姫子「・・・」

さわ子「・・・」

紬「・・・」

シーン

冬「・・・」ソワソワ

澪「?」

梓「ブフッ」

姫子「梓ちゃん・・・」グリグリ

梓「こっちですか!いたたた!」

冬「ふふっ」

姫子「!」

紬「・・・」ニコニコ

梓「うぅ・・・」

さわ子「・・・」モグモグ
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:49:54.42 ID:u8FaWllJo

紬「・・・」チョンチョン

澪「ん?」

紬「・・・」トントントトン

澪「ッ!?」

梓「ッ!?」

姫子「?」

紬「・・・」ニコニコ

信代「なんだって?」

澪「あ、梓・・・」

梓「おいしいですよ、このおはぎ」モグモグ

澪「逃げた・・・」

姫子「なんて言ったの澪?」

澪「ひ、姫ちゃんもここに座ってって・・・」

姫子「むぎまで・・・」

冬「クスクス」

姫子「・・・」ビシッ

冬「いたっ」

姫子「後輩にそう呼ばれるのは不自然だから嫌だったんだよ?」

さわ子「分かるわぁ」モグモグ

冬「ご、ごめんなさ」

姫子「でも、冬が苗字以外で人を呼ぶの初めて聞いたから・・・許可する」

冬「え・・・」

姫子「・・・なんてね」

冬「あ・・・」

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・」

姫子「風子たちも呼んでくるよ」

夏「私もそう呼んでいいですか?姫ちゃ」

ビシッ

夏「あいた!どうして!?」

姫子「どうしても、ダメ」

純「はいはい、ここ座りますよー」

梓「うん・・・」

英子「ここの輪に入っていい?」

潮「もちろん」

風子「みてみてこの彼岸花」

澪「ヒァッ!」

三花「ススキと彼岸花・・・いい味だしてるよね」

さわ子「どこからもってきたのよ」
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:37:18.72 ID:u8FaWllJo


・・・・・・


律「誰も月みてねえ・・・」

唯「月よりだんごだよりっちゃん!」モグモグ

和「今日は星のゆらぎもあるわね」

憂「ゆらぎ?」

和「瞬きとも言うわね」

エリ「キラ〜キラ〜光る〜♪」

唯「お空の星よ〜♪

律「あ、むぎから聞いたんだけどさ」

唯「ん?」

律「キラキラ星作曲したのモーツァルトじゃないそうだ」

唯「うん」

律「知っていたんか」

いちご「もういい時間だと思う」

春子「いや、公園の消灯が九時だからそれまでダメだ」

アカネ「あと30分以上あるよ?」

いちご「帰る頃・・・になる・・・」

三花「でも大丈夫なの?」

春子「さっき看板をチェックしてきたから平気」

三花「そうじゃなくて、回収の事を言ってるんだけど」

アカネ「明日の朝回収すればいいんじゃないかな」

春子「大丈夫大丈夫。そこらへんは信代チームに任せてあるから
   私たちは実行チームって事で頑張ろう」

いちご「うん」

三花「分かった」

アカネ「うん・・・」

律「なんの話だ?」

いちご「・・・なんでもない」

春子「憂ちゃんおいしいよ」モグモグ

憂「ありがとうございます。お姉ちゃんと頑張った甲斐がありました」ニコニコ

エリ「唯ちゃんも作ったんだ」モグモグ

唯「ちょっとだけだよ〜」
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:38:17.61 ID:u8FaWllJo

和「・・・」

律「キャンプの時よりは凄くないな」

和「公園の灯りもあるし、街灯も影響しているからよ」

律「・・・そっか。あまり気にしてみていなかったから気づかなかったな」

和「時間も関係しているのかしら」

律「キャンプの時は深夜だったな」

和「えぇ。残照とは違うけど、それに近い状況ね。太陽の影響が低い時間帯よ」

律「闇の時間帯か」

和「・・・」

律「怖いな。真っ暗だと相手を確認できないし、自分もそこにいるのか分からない」

和「だから音楽を奏でて自分を励ましていたのね」

律「あぁ、独りを意識してしまうからな」

唯「どうしたの?」

和「太陽は凄いわねって話をしていたのよ」

律「うん、太陽すげー!」

唯「月があるから太陽も認められるんだよ」

和「あら・・・」

律「はいはい」

姫子「・・・」

唯「・・・」

和「どうしたのよ唯?」

律「思い出したんだろ、あの子を」

唯「えへへ」

和「そう・・・」

姫子「太陽と月・・・ね」

律「どうした?」

姫子「なんでもない・・・。むぎがみんなで輪になって話しようってさ」

唯「大きな輪だね!」

律「はいはい」

唯「もぉー」ブー
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:39:31.22 ID:u8FaWllJo

和「どうしたのよ」

姫子「あの二人。夏と冬なんだけど、どっちが太陽だと思う?」

和「・・・第一印象では夏ね」

姫子「うん。私も最初はそう思った」

和「・・・そう」

姫子「夏は来たいって言ったから連れてきたんだけど、冬を誘ったのは私」

和「・・・」

姫子「・・・」

和「私たちも行きましょ」

姫子「ありがと、聞かないでくれて」

和「まだ、時間はあるわ」

姫子「うん」




・・・・・・




純「どうして来たのさ」モグモグ

夏「だって、楽しそうだから」モグモグ

憂「・・・」モグモグ

純「知らない先輩が多い中を?」モグモグ

夏「あ・・・、邪魔だった?」

純「そうは言っていなーい。ただ・・・『楽しそうだから』ではすんなり納得できなくて」

夏「・・・鋭いですなぁ」

純「最近私の近くによく分からない子がいまして、なんとなく論理的に考えてしまうのです」

夏「ははぁ。難しい事を仰る」

純「以後私の事は哲学者鈴木純と」

憂「純ちゃん」

純「あ・・・、鋭いって事は他に理由があるんでしょ?」

夏「んー・・・。姫子先輩が最近丸くなったと思ってさ」

憂「とげとげしていたの?」

夏「してはいなかったけど、話しかけやすくなった」

純「ほぉ・・・」

夏「色々話しかけてはいたんだけど、それなりの会話しかしてこなかったんだよ
  だけど、最近は姫子先輩の周りの話も聞けるようになってさ
  それも楽しそうに話すから・・・。気になるでしょ?」

憂「うん」

夏「一昨日私たちのクラスにも来たから余計気になって」

純「私たちは慣れたけど、そうだよねー。そういう事する人に見えないよな」ウンウン

夏「それで無理を言って付いてきた・・・んだけど・・・」

純「なるほどなるほど。そういう事だったのか」

夏「・・・」
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:40:15.09 ID:u8FaWllJo


風子「みてこのすすき」

冬「詩情あふれる場所になりますね」

風子「・・・」

英子「本当に嬉しそうだね」

澪「詩情か・・・」

唯「天高く うま肥ゆる 秋ですよ」

和「それは諺よ。無理やり五・七・五にしなくていいの」

唯「難しいね」

律「みおの出番だな」

澪「・・・」

春子「秋か・・・。秋と言ったらなんだ」

紬「・・・」トントントン

梓「さんまだそうです」

紬「・・・」コクリ

潮「秋刀魚・・・。七輪で焼いたらおいしそうだね」

唯「・・・」ジュルリ

信代「果物もおいしいよな。柿とかりんご、ぶどう、栗、梨」

冬「食べたとき口の中で香りが広がっていいですよね〜」ウットリ

春子「梨の話してるな」

澪「・・・」

律「あれ、本当に考えていたんだ?」

澪「・・・うん」

風子「聞かせて欲しいな」

澪「・・・」

紬「・・・」

澪「つきを観て そらを見て かぜがそよいで すすきがゆれて
  あなたはなにを想う 
  かぜになびくすすきをみて あなたはなにを想う
  そらに浮かぶつきを観て あなたはなにを想う」

紬「・・・」

風子「・・・」ウットリ

慶子「・・・」テレテレ

信代「どうして慶子が照れる?」

慶子「くすぐったい」

エリ「・・・」

アカネ「・・・」
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:41:08.73 ID:u8FaWllJo

澪「むぎ・・・」

紬「?」

唯「?」

梓「・・・」

澪「あなたはなにを想う」

紬「・・・」

律「・・・」

姫子「・・・」

紬「・・・」トントトン

澪(ここに居る・・・)

紬「・・・」トントントトン

律(それだけが・・・)

紬「・・・」トントントン

姫子(嬉しい・・・)

紬「・・・」トントントトン

唯(ここが・・・)

紬「・・・」トントントントン

梓「私の・・・『最高の場所』」

紬「・・・」ニコ
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:41:58.34 ID:u8FaWllJo


・・・・・・




夏「よく分からない子って・・・?」

純「うん。紬先輩の隣に座っている子」

夏「・・・」

憂「・・・」

姫子「冬」

夏「っ!」ビクッ

姫子「なわけないから、梓ちゃんだよね」

純「?」

憂「・・・」

夏「・・・」

姫子「あの輪の中に入ろうよ」

純「そうですね。お茶無くなったし」

憂「・・・うん」




純「紬せんぱーい、お茶つくっていいですかー?」

紬「・・・」スッ

純「あ、いいですよ、自分で出来ますから」

律「どうせならおいしい方がいいだろ?」

純「う・・・」

紬「・・・」

タッタッタ

冬「『最高の場所』・・・」

澪「どうした?」

冬「はい。4年前と最近読んだ雑誌にそう記されていましたので・・・ビックリしました」

梓「!」

律「ソーマが書いている雑誌ってなんだっけ・・・?」

澪「えー・・・と・・・」

冬「相馬轍さん・・・ですよね?『ふうらい』ですけど・・・どうしてその名が・・・?」

唯「うまさんって有名な人・・・?」

冬「相馬ですよ!」

唯「う、うん・・・ごめんなさい」

冬「あ、ごめんなさい・・・私ってば・・・」

さわ子「ファンなの?」

冬「はい!」

和「タイミングが悪かったわね」

冬「?」
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:42:48.55 ID:u8FaWllJo

憂「最近までこのまちに来ていたんだよ」

冬「ぇ・・・」

律「呆けたな」

冬「・・・」サラサラサラ

潮「心ここにあらず」

唯「おぉ・・・凄いようまさん」

夏「冬は、何度か入院していました」

姫子「・・・!」

信代「え・・・マジ?」

夏「はい。体が弱くて、小学校の時から入退院を繰り返していたんです・・・」

冬「・・・」

律「おーい、帰ってこーい」

夏「旅行雑誌を読むのが好きで、自分が動けないから雑誌の記事を読んで
  体験者と自分を重ねていたんです」

潮「・・・」モグモグ

純(真面目な話・・・?)

紬「・・・」

夏「ずっと病院のベッドの上で過ごしていたんです
  その中でその人が書く記事が一番のお気に入りで・・・とても楽しみにしているんです」

梓「・・・」

律「ソーマが書いた記事か」

春子「マネージャーをするくらいには回復した・・・と?」

夏「はい・・・」

澪「よかった」

梓「です」

紬「・・・」コクリ

和「小学校の卒業式は?」

姫子(のどか・・・踏み込むんだ・・・)

夏「欠席です」

梓「!」

紬「・・・」

夏「中学の入学式にも参加できませんでした」

風子「人生の・・・節目・・・」

三花「・・・」

夏「はい。節目なのに・・・参加できないのに冬は・・・」

紬「・・・?」

律「・・・」

澪「・・・」

唯「・・・」

梓(・・・私と同じ事を感じたはず)

夏「どうってことないって・・・笑うんです・・・」
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:43:21.08 ID:u8FaWllJo

紬「・・・」

梓「多分・・・」

律「起きろっ!」

ビシッ

冬「った!・・・え???」

英子「あまりひどいことしないでね、律さん」サスリサスリ

冬「だ、大丈夫です・・・。ありがとうございます」

律「梓が大事なことを言うみたいだから、ちゃんと聞きなさい」

梓「な、なんですかそれはっ」

冬「?」

夏「・・・」

いちご「・・・多分?」

梓「えぇと・・・」

紬「・・・」チョンチョン

梓「はい・・・?」

ギュ

紬「・・・」スラスラ

梓「・・・夏・・・がいるから・・・」

夏「・・・」

冬「?」

紬「・・・」スラスラ

梓「どうってことない・・・。だ、そうです」

紬「・・・」コクリ

夏「そんな事は・・・」

冬「すいません、なんの話をしているんですか?」ヒソヒソ

澪「冬の話をしているんだよ」

冬「ウィンターですか?」

律「ユウだよ!わざとボケてんのか!?」

澪「うるさいぞ律」

律「ぐっ・・・」

エリ「あはは」

アカネ「・・・」

和「ここでボケているとしたら中々の資質ね」

姫子「・・・」

夏「私は・・・そんな・・・」

唯「・・・そんなに背負っちゃだめだよ」

夏「!」

唯「もっと冬ちゃんと話をすればいいんだよ」

夏「・・・」

冬「・・・」
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:43:56.30 ID:u8FaWllJo

――・・・


さわ子「さて、そろそろお開きね」

春子「もうこんな時間か」

律「月見会というより、ただのお茶会だったな」

澪「月の下でお茶を飲むことに意味があるんだ」キリ

紬「・・・」キリ

純「かっこいいです」キラキラ

さわ子「ほら、遊んでいないで片付けなさい」

唯「はいよ!」

エリ「そーっれ」

アカネ「声だけ働いてもしょうがないよ」

冬「あの・・・」



・・・・・・



夏「あの・・・」

姫子「・・・どうしたの?」

夏「最後に・・・変なことを言ってしまって・・・ごめ」

姫子「ストップ」

夏「・・・」

姫子「今、謝ろうとした?」

夏「・・・」

姫子「あの場にいたむぎ達に対して失礼な事をしたと思っているんだ」

夏「あんな事言わなければ・・・」

姫子「・・・」

夏「最後まで楽しめた・・・はず・・・です・・・」

姫子「あの話をしなければ、夏と冬はすれ違ったままでしょ」

夏「・・・」

姫子「おせっかいかもしれないけど、そろそろ自分を見つめなおしなよ」

夏「え・・・?」

姫子「私には夏がぼやけてみえる。あの薄雲に隠れた月のように」

夏「・・・」

姫子「・・・なんて」

夏「・・・ありが・・・とう・・・ございます」

姫子「うん。お礼なら受け取る」

夏「・・・」

姫子「片付け手伝おう。私たちの仕事までなくなるよ」

夏「・・・はい!」
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:44:32.37 ID:u8FaWllJo

・・・・・・



冬「あ、あの〜」

唯「なんだい!?」

冬「こ、これを持っていけばいいですか?」

唯「ダメだよ!」

冬「ご、ごめんなさい」

紬「・・・」キラン

梓「任せてと言ってます」

律「通訳!」

信代「私が持つよ」ドン

潮「重そうだね、斉藤さん呼んでこようか?」

冬「はい。では・・・」グッ

律「あほー!」バシッ

冬「いたっ!・・・???」

律「体弱いって聞いたばっかりだろ。大人しくしてろ」

冬「」ガーン

英子「心配しているんだよ。気にしない気にしない」

律「そこ!変な事吹き込まない!」

澪「うるさいぞ律」

律「私が悪いのか・・・?」シクシク

紬「・・・」

スタスタ

信代「持って行っちゃった」

慶子「あらら、いい働きするんだね」

和「人が多いと捗っていいわね」

姫子「・・・人数少ないよね?」

唯「あれ、本当だ・・・ういが居ないよ!」

律「なに!?」

澪「いちごと春子・・・エリ、アカネ三花・・・」

唯「事件ですりっちゃん警部補!」

律「よし、捜査本部をここに設置する!」

信代「お手洗いだよ」

律「解散だー!」

純「この間3秒である」

冬「クスクス」

梓「冬ってもっと大人しいのかと思ってた」

冬「?」
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:45:00.98 ID:u8FaWllJo

風子「大人しい子だよ」

冬「本ばっかり読んでいますから・・・」

夏香「うんうん。お手本どおりの大人しさだよね」

梓「少し活発な雰囲気ありませんか?」

紬「・・・」コクリ

冬「そ、そうでしょうか・・・」

梓「同い年なんだから敬語は変だよ」

冬「え・・・と、はい」

純「分かってない!」

夏「・・・」

姫子「・・・」

夏「・・・」

姫子「夏の先輩として一つ指示を出すね」

夏「?」

姫子「学園祭の出店は梓ちゃんと同じチームに入って」

夏「別々になっていますけど」

姫子「無理言って変えてもらって」

夏「・・・」
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:45:44.27 ID:u8FaWllJo


さわ子「もうそろそろ消灯よ?早く帰りましょう」

信代「えーと、まだ揃っていないんですよ」

潮「もう少し待ちましょう」

慶子「丸い月 兎が跳ねて 餅を搗き」

紬「・・・」ピョンピョン

和(この団結力・・・)

さわ子(なにかあるわね・・・)

唯「座ってまちますかね」

梓「そうですね」

紬「・・・」

澪「むぎはいつまで着けているんだ?ウサミミ」

紬「・・・」ピョンピョン

律「さわちゃん、懐中電灯とか持ってんの?」

さわ子「えぇ、ちゃんと持ってきてるわよ」

澪「私も小さいのだけどあるよ。ほら」カチッ

律「・・・」

澪「あれ?」カチッカチッ

紬「・・・?」

澪「・・・」パカッ

律「あらー・・・」

澪「これはな、違うんだ」

和「どういう事よ」

澪「ちゃんと電池買ったんだ」

純「はい。澪先輩は悪くありません!」

律「電池を入れないと点きませんよ。という世の真理を教えてくれたんだろ?」

澪「・・・そうだぞ」

風子「意味無いよね」

澪「うっ・・・」グサッ

梓「ふぅ先輩意地悪ですよね」

英子「そうだね。これは擁護できないな」

風子「そんなことないよ・・・」

冬「・・・ふぁ」

夏香「眠たいの?」

冬「少しだけ、眠りたいです」
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:46:37.45 ID:u8FaWllJo

唯「少し横になろー」ゴロン

和「シート敷いていないんだから」

唯「大丈夫だよ〜」

冬「・・・よいしょ」ゴロン

紬「・・・」ゴロン

梓「よいしょ」ゴロン

さわ子「背中チクチクするでしょ?」

唯「します!」

紬「・・・」コクリ

夏「・・・」

唯「夏フェスを思いだすね」

澪「あぁ・・・」

律「灯りが邪魔だな」

姫子「もうそろそろ消灯じゃないかな」

信代「・・・潮」

潮「・・・」コクリ

信代「・・・」ピッピ

trrrrr


フッ


唯「あー、消えちゃった」

澪「く、暗いな・・・」

律「目が慣れれば月明りだけでも」

潮「あー!ユーフォーだー!」

紬「・・・!」ガバッ

律「どこだ!」

夏「UFO!?」

冬「」ウトウト

澪「・・・」

梓「そんなのいませんよ・・・あ!」

澪「流れ星!」

紬「!」

姫子「あ・・・!」

律「おぉ!」

純「・・・!」

風子「平和平和平和」

英子「あ・・・」

夏香「うわ・・・」

夏「・・・」

冬「」スヤスヤ
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:47:33.05 ID:u8FaWllJo

さわ子「・・・」

和「この瞬間を共有できるなんて・・・」

唯「・・・よかった」

潮「・・・ビックリしちゃった」

慶子「・・・うん」

信代「観た?」

『観たよ』

信代「それじゃお願い」

『OK』


パァア

紬「・・・?」

澪「ん?」

唯「なにかな?」

律「イルミネーション?」

梓「なんでしょうか?」

和(これね・・・)

さわ子(分かりにくいわねぇ)

姫子「アレはなんだろう・・・」

潮「・・・」ウズウズ

慶子「ダメ。答えを言っちゃダメ」ヒソヒソ

潮「分かっているけどぉ」ヒソヒソ

信代「歪な形だったかなぁ」

風子「・・・」

英子「これは・・・?」

夏香「信代と春子たちが企画してたよ」ヒソヒソ

英子「サプライズなの?」

夏香「うん。けいおん部にね」

夏「・・・あれは・・・・・・」

冬「」スヤスヤ

紬「・・・!」ピョンピョン

夏「うさぎ・・・」

唯「あぁ!」

澪「そうか、うさぎだ!」

潮「正解!」

律「なるほど、月を眺めるうさぎの後ろ姿か!」

慶子「伝わったぁ」ホッ
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:47:57.61 ID:u8FaWllJo

信代「無事伝わったよ、戻ってきて」

『分かった』

プツッ

和「あぁ・・・うさぎなのね」

さわ子「・・・」

梓「よく観たら月見だんごとススキもありますよ」

風子「本当だ・・・」

英子「ふぅも企画していたんじゃないの?」

風子「企画は知っていたけど具体的なのは知らなかったよ」

夏香「イルミネーションかぁ・・・。予想外だった」

唯「きれいだよ〜」

澪「なんか・・・いいな!」

律「詩情があふれるな・・・なんつって」

梓「・・・」

紬「・・・」キラキラ
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:48:37.01 ID:u8FaWllJo

――・・・

律「あんなに騒いでいたのに起きないのな」

冬「」スヤスヤ

夏「一度寝たら起きないんですよ。体力ないから余計・・・」

澪「・・・」

姫子「よいしょ」

冬「」スヤスヤ

唯「姫ちゃん、お姉さんみたいですな」

律「そうですな〜」

姫子「そう?」

夏「山中先生すいませんが、よろしくお願します」

さわ子「任せなさい」

姫子「・・・」

和「姫子も一緒に送っていったら?」

さわ子「それがいいわね」

姫子「それじゃ、失礼します」

さわ子「後は、ちゃんと帰れるわよね?」

唯「大丈夫だよ〜」

さわ子「遅いんだから気をつけなさいよ」

憂「はい」

梓「大丈夫です」

風子「気をつけます」

英子「ちゃんと送り届けます」

純「心強いです」

さわ子「全員送りたいところだけど・・・」

斉藤「私も送りますのでご安心を」

紬「・・・」コクリ

さわ子「そうですね。それじゃ、みんな明日学校でね」

バタン

唯「バイバーイ」

信代「おやすみ〜」

潮「夢の中で会いましょう〜」

慶子「グッナイ」

エリ「忘れないからね!」

アカネ「See You」

三花「ごきげんよう」

春子「チャオ」

憂「オ・ルヴォワール」

夏香「あ、アディオス」

律「私っ、待ってるから!」
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:49:11.66 ID:u8FaWllJo

いちご「・・・ふぁ」フリフリ

姫子「変な見送り・・・じゃあね」フリフリ

ブォォオオオオオ

梓「あれ、純は?」

憂「乗っていったよ」

律澪「「 いつの間に!? 」」

オオオオォォ

キキーッ

和「あら・・・」

信代「バックしてきた・・・?」

ガチャ

純「すいませんでした」

さわ子「降りるなら乗るんじゃないわよ!」

姫子「あはは・・・」

夏「あっはっははは!」

冬「」スヤスヤ

バタン

ブォォオオオオオオ

紬「・・・」メモメモ

風子「ふむふむ」メモメモ

純「じゃん!」

律「いや、迷惑かけんなよ」

純「出発するとは思わなかったもんで・・・」

澪「送ってもらわないの?」

純「みんなと歩いて帰ろうかと」エヘヘ

律「そっかー。純は歩いて帰るんだなー」

純「え?」

春子「19人ですが、お願します斉藤さん」

斉藤「数名は屋根になりますが・・・」

唯「おっけーだよ!」

斉藤「では、どうぞ」

律「・・・」

澪「・・・」

唯「・・・」

梓「・・・」

和「・・・」

紬「・・・?」

信代「・・・」

春子「おい、斉藤さんをノせるだけノせといて誰も実行しないのかよ」
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:49:40.07 ID:u8FaWllJo

潮「最初の一歩を誰がやるか待っているんだよ」

律「ご、ごめん斉藤さん。ここから遠いエリ、アカネ、三花、いちごをお願いします」

斉藤「かしこまりました」

澪「・・・」フゥ

梓「変な汗かきましたよ」

風子「ホント・・・」

斉藤「他にはいませんか?」

和「急いでいる人とか・・・」

紬「・・・」

和「いないみたいです」

斉藤「かしこまりました。ではご乗車下さい」

エリ「し、失礼します」

アカネ「なんだか不思議な気分」

三花「うん・・・」

いちご「・・・楽しかった」フリフリ

憂「はい!」

バタン

紬「・・・」

梓「また、明日です」

澪「明日な」

律「明日学校でな!」

唯「おやすみ・・・明日ね!」

紬「・・・」コクリ

バタン

斉藤「それでは失礼します」

律「気をつけて」

バタン

ブォォオオオオ
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:50:36.59 ID:u8FaWllJo

律「ユーフォーだ!なんて言うから何事かと思ったぜー」

唯「まったくだぜー」

潮「みんなを一点に注目してほしかったんだよ」

和「あの流れ星はよかったわ」

澪「うんうん、あれは煌いていたな」キラキラ

純「一瞬が長く感じましたよね」

憂「うん」

梓「・・・」

春子「そういやさ、憂ちゃんといちご・・・流れ星みてはしゃいでいたよね」プクク

憂「はい」エヘヘ

信代「え?」

律「ちょっとまって、憂ちゃんと誰が?」

・・・・・・

・・・

いちご『・・・』

エリ『真ん丸お月様〜♪』

アカネ『少し雲が掛かっているね』

憂『幻想的な雰囲気ですね』

三花『そうだね〜』

pipipipipipi

春子『お、キタキタ。エリ、スタンバーイ』

エリ『おっけ〜』

アカネ『準備よし』

三花『確認よし』

いちご『・・・』

憂『よし!』


フッ


春子『まだだよ』

エリ『・・・』ソワソワ

『あー!ユーフォーだー!』

春子『グフッ・・・潮・・・UFOだって・・・あ』

エリ『えっ!?』

アカネ『・・・あ!』

三花『あ・・・!』

憂『いた!』

いちご『今の流れ星!』

憂『けっこう流れましたよ!』

エリ『・・・うん』

アカネ『・・・ビックリしたぁ』
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:51:07.97 ID:u8FaWllJo

三花『本物のUFOかと思った』

いちご『月明かりに負けないくらいの強い光!』

憂『そ、そうです!』

いちご『す、すごい!』

憂『は、はい!すごかったです!』

エリ『・・・』

アカネ『・・・』

三花『・・・』

いちご『・・・あ』

憂『・・・?』

『観た?』

春子『観たよ』

『それじゃお願い』

春子『OK』

・・・

・・・・・・

春子「いちごの『あ、シマッタ』って顔がよかった」プクク

澪「そんな事が・・・」

律「起こっていたのか・・・」

和「同じ瞬間の違う場所で・・・」

憂「お姉ちゃんたちも見つけたんだよね」

唯「うん。スーッと流れて行ったよね」

慶子「潮の芝居だと知っていたから余計に驚いたよ」

信代「指さした方向から流れるんだもんな」

潮「そういう能力があるのかも」フルフル

律「実験1」

潮「やぁ!」ビシッ

梓「それでは私たちはこれで失礼します」

風子「楽しかったよ。みんな明日ね」

英子「おやすみ」

夏香「バイバーイ」フリフリ

純「おやすみなさーい」
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:51:33.25 ID:u8FaWllJo

――・・・

潮「そりゃ!」ビシッ

律「23回目の実験も失敗と・・・」

信代「ほら、潮帰るよ」

潮「はーい」

慶子「じゃあ、みんなおやすみ」

和「気をつけてね」

澪「じゃあね」

唯「おやすみ〜」

憂「おやすみなさい」

律「実験は明日に持ち越しだな」

潮「よしきた。バイバイ」

信代「じゃ、明日」

春子「・・・じゃあ・・・ね」
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:52:36.43 ID:u8FaWllJo

和「・・・」

唯「どうしたの和ちゃん?」

和「ちょっと気になる事があってね」

唯「なにかあったの?」

和「えぇ・・・」

憂「あの二人だよね?」

律「二人?」

澪「夏と冬か・・・」

唯「うん・・・」

律「なにかあった?」

澪「会話していなかっただろ。家族なのに遠慮している感じだった」

律「あぁ・・・確かに」

唯「姫ちゃんが間に入ってバランスが取れていた感じだったね」

和「憂、教室で夏はどんな様子なの?」

憂「冬ちゃんの話は聞かないと答えないよ・・・」

律「双子なのになー。双子だからなにかあるのかね」

唯「そうだね」

澪「待って。あの二人に踏み込んでいいの?」

和「・・・」

澪「時間が解決できる事を、私たちが首を突っ込んでややこしくするのはよくないぞ」

律「・・・」

澪「友達同士の話じゃなくて、家族の事なんだから」

唯「・・・」

憂「・・・」

澪「・・・と、一応釘はさしてみるけど」

和「・・・順序が変わっただけで、結局同じ行動になるわね」

澪「・・・だな」

律「もう踏み込んでいるしな」

憂「姉妹ですれ違うのは寂しいよ・・・」

唯「うい・・・」

澪「・・・」
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:53:38.13 ID:u8FaWllJo

律「今日の月見会のように、私らの輪の中に入れてみるくらいだな。できる事は」

和「そうね。それからね」

唯「それなら大丈夫だね。あずにゃんがいるもん」

憂「どういう事・・・?」

唯「夏ちゃんとあずにゃん少し似ているんだよ」

澪「ど、どこら辺が?」

唯「大切な人のためにぐるぐる頭の中をまわしている所が、だよ」

和「そこまで見ていたの?」

唯「でも、そうだとは限らないけど」

律「・・・」

唯「月には太陽が必要だもん」

和「・・・」

憂「・・・」

律「私らはここで、じゃーな」

澪「おやすみ」

唯「おやすみ〜」フリフリ

556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 23:57:27.19 ID:u8FaWllJo
9月16日が終りました 後11日分です 長いです 
読んでくださっている方ありがとうございます

1998年9月のカレンダーを使用しているのでシルバーウィークは存在しません
それでは続きは明日
おやすみなさいませ
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:26:59.43 ID:H+z4J3XCo

9月17日


唯「えーと・・・」

コンコン

唯「こうかな・・・」キリ

ガチャ

憂「おねーちゃーん?」

唯「・・・」キリリ

憂「・・・」

唯「この角度かなぁ・・・」

憂「クスクス」

唯「あ、うい・・・」

憂「どうしたの?髪型決まらないの?」

唯「明日卒業写真撮るからね、研究しているんだよ」

憂「明日?ずい分早いね」

唯「うちのクラスだけ早めの夏服で撮影するんだよ」

憂「夏服で・・・」

唯「そうだよ〜。むぎちゃんと一緒にね」

憂「・・・」

558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:28:15.30 ID:H+z4J3XCo

―――――2年生クラス


憂「・・・」

梓「・・・」

荒井「そうですね・・・、昼までに理由を考えておくように。山中先生のクラスが撮影するから
   『ついでに』なんて理由では他の生徒にも示しがつきませんからね」

梓「・・・はい」

荒井「それでは、1時限目の準備をしなさい」

スタスタ

梓「・・・」

憂「梓ちゃん・・・」

純「むむ・・・」

夏「けいおん部で撮影ねぇ・・・」

梓「出来れば今日撮影したい・・・」

純「うーむ・・・」

憂「純ちゃん、ジャズ研での撮影は明日で可能なの?」

純「言ってはみたけど、難しいかも」

夏「琴吹先輩がって言えばいいんじゃないの?」

梓「・・・構えて撮りたくない」

夏「レンズを向けられたら誰でも構えるよ」

梓「ううん。自然体の延長上にいる先輩がいいから
  むぎせんぱいが居る今のうちにって理由はイヤ」

夏「・・・さっき言っていた事と矛盾してるよ」

純「・・・」

梓「うん・・・そうだね・・・」

夏「よく分からな・・・ッ!」

『ごめ・・・んね・・・』

夏「・・・っ」ズキッ

憂「夏ちゃん?」

梓「夏・・・?」

純「どうした?」

夏「な、なんでも・・・っ・・・ない」

憂「・・・」

梓「・・・うーん」

純「とりあえず休み時間に、うちの部長に聞いてみるよ。明日の撮影で撮りませんかって」

梓「ありがと、純」
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:28:41.88 ID:H+z4J3XCo

純「期待はしないでよ?」

梓「行動にうつしてくれるだけで充分だよ」

純「うっ・・・」

夏「どうしてたじろいだの?」ヒソヒソ

憂「ある人が関わると極度に素直になるからだよ」ヒソヒソ

夏「なるほど」プクク

憂「・・・」

ガチャ

冬「・・・すいませー・・・ん」

夏「っ!」ズキッ

憂「あ・・・」

冬「あ・・・」

夏「・・・ちょっとお手洗い行って来る」

タッタッタ

ガチャ

冬「夏・・・」

純「・・・」

梓「・・・うーん、どうしよう」

憂「どうしたの冬ちゃん」

冬「夏がお弁当を・・・」

純「夏って弁当だったっけ?」

冬「今日は私が作ってみたんです・・・」

憂「そうなんだ、分かった。渡しておくね」

冬「お願します。あ、昨日は」

「ほら、席に着けー」

ザワザワ

純「あ、先生来ちゃった」

冬「お願しますね」

バタン

憂「・・・」

梓「・・・うーん」

純「視界に入らずか・・・」
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:29:08.84 ID:H+z4J3XCo

――・・・休み時間


純「ごめん、急な話だから無理だって言われた」

梓「そっか・・・。ありがと」

純「明日だもんなー」

憂「そうだよね」

夏「・・・」

梓純「「 ・・・うーん 」」

憂「私たちのクラスも明日・・・うーん」

夏「・・・」

梓「夏の部は?」

夏「さぁ?荒井先生が言った通り10月下旬じゃないかな」

純「ですよね」

憂「運動部と文化部一緒なのかな」

夏「卒業写真の話なんて来年だから、耳に入ってこなかった」

梓「・・・ふーん」

夏「私はいつでもいいやって思うんだけど」

純「他の運動部の子にも聞いてみる」

テッテッテ

梓「どうしよう・・・」

憂「梓ちゃんがどうして『今』を撮りたいのか、説明できればいいんだよね?」

梓「うん・・・」

憂「それならもう答えは出ているんじゃないかな?」

梓「・・・」

夏「・・・」

テッテッテ

純「文化部と一緒だってさ・・・」

梓「今撮りたい理由・・・」

夏「・・・」
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:29:35.98 ID:H+z4J3XCo


―――――昼・職員室

梓「今が『大切な時』だからです」

荒井「・・・」

梓「・・・」

荒井「それが理由ですか?」

梓「はい」

荒井「・・・分かりました」

梓「!」

荒井「山中先生に話は通しておきますので、教室に戻っていいですよ」

梓「ありがとうございました。失礼します」

スタスタ

バタン

さわ子「あら?梓ちゃん・・・ゴホン。中野さんがどうして職員室に?」

荒井「明日の部活撮影の詳細を伺いに来ていましたので、その話をしていました」

さわ子「撮影する事知っていたんですか?」

荒井「いいえ。撮影したいと言ってきたんですよ」

さわ子「あら・・・」

荒井「そちらからもその話が出ていたのですか?」

さわ子「えぇ、まぁ・・・。本人から明日撮影したいと」

荒井「決まっていたんですね、中野さんには遠回りさせてしまいました」

さわ子「・・・。自然体がいいと言っていましたから・・・構えるよりいいかもしれないですね」

荒井「・・・そうですか」

さわ子「似たもの同士ねぇ・・・」

562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:30:11.39 ID:H+z4J3XCo

―――――中庭


紬「・・・」ニコニコ

律「なんか嬉しそうだな」

唯「なにかあったの?」

紬「・・・」フリフリ

澪「?」

風子「おいしいね」モグモグ

冬「はい」モグモグ

英子「野菜しっかり取ってね」スッ

冬「あ、ありがとうごじゃいます」

英子「いえいえ」

律「なんだ、緊張してんのかー?」

冬「は、はい・・・」

唯「あずにゃん来ないのかな」モグモグ

律「・・・絶対来る」

澪「そんな迫真の顔で言うなよ。何者かと思うだろ」

紬「・・・」スッ

冬「あ、あ・・・」

紬「?」

風子「ひょっとして食事制限されているとか?」

冬「い、いえ・・・。貰ってばかりで悪いですからどーぞ!」

紬「・・・」コクリ

冬「・・・」パクッ

紬「・・・」パクッ

冬「おいしぃです」ホワーン

紬「・・・」ホワーン

澪「幸せそうでなによりだ・・・」

英子「おいしそうに食べるからついつい・・・」スッ

冬「あ、ありがとうございます」

風子「・・・」

冬「・・・」パクッ

唯「・・・」

冬「おぃしぃですよ」ホワーン

英子「・・・」ホンワカ

唯「わ、私にはあずにゃんがいるんだよ」

律「なにを言ってるんだ」
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:30:39.76 ID:H+z4J3XCo

梓「・・・」

純「紬先輩の隣埋まっていて残念ですね」ウシシ

梓「・・・うん」

純「素直すぎるっ」ビシッ

律「先に食べてるぞー」

憂「いえ、用事がありましたから」

澪「用事?」

梓「内緒です」

唯「隠し事は良くないよ!むぎちゃんも!」

紬「・・・」ニコニコ

律「あれ、夏は?」

純「それが、他で食べると言って・・・」

律「・・・そっか」

純「せっかくメールで誘ってくれたのにすいません」

律「純が悪い訳でもないし、本人の自由だから気にすんなって」

純「・・・」

律「意外にまじめかっ!」

冬「・・・おいしぃ〜」パァァ

唯律「「 かわいぃ〜 」」

紬「・・・」コクリ

風子「食べ物に対してリアクション良すぎるよね」

英子「・・・それは・・・理由があるんだよ、ふぅ」ヒソヒソ

風子「理由?」

梓「?」

英子「ほら、冬ちゃん入院していたでしょ?」

風子「あ・・・」

梓「そうですね・・・。病院食は栄養のバランスと食事制限がありますからね」

純「あぁ・・・そっか・・・」

英子「だから、つい・・・」スッ

冬「あ、また貰っちゃって・・・御返しです!」スッ

英子「いいのに・・・」

冬「いえいえ・・・私が作ったのですけど・・・」パクッ

英子「冬ちゃんが・・・?」

紬「!」

冬「はい・・・佐久間先輩の料理おいしいですよ〜」ウットリ

英子「ありがとう〜」ホンワカ

唯「ういが作ったのだよ!自信作」スッ

冬「平沢さんが?」

唯「ういだよ」
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:31:10.87 ID:H+z4J3XCo

冬「は、はい。平沢さんですよね?」

唯「私じゃないよ う い が作ったんだよ」

冬「平沢さんで」

律「典型的な漫才してんな!」ビシッ

冬「った!」

英子「ちょっと!律さん!?」

律「な、なんだよ・・・」

風子「うちの子になんてことを・・・!」

律「どこの子だよ・・・」

澪「なにやってんだか・・・」

憂「そういえば、姫子さんは・・・」

紬「・・・」トントントトントン

憂「教室で・・・。冬ちゃんここにいるのにですか・・・?」

紬「・・・」トントトントトトン

憂「我が子を千尋の谷へ・・・?」

律「だからどの子だよ・・・」

冬「おいしいですよ平沢さん〜」

唯「そうでしょ!」

純「あれ、唯先輩が作ったように見える」

澪「名前で呼んだ方がいいよ」

冬「そ、そうですね・・・。おいしいかったです、憂・・・さん」

憂「うん。ありがとう」ニコニコ

梓「・・・」モグモグ
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:31:54.16 ID:H+z4J3XCo

――・・・

唯「この時が来たようだね、りっちゃん」

律「ふっ・・・」

唯「負けないよ!」

律「望む所だ!」

冬「一体・・・」ゴクリ

梓「バトミントン勝負だから」

憂「・・・お姉ちゃん頑張って」グッ

純「律先輩ファイトー!」

紬「・・・」パチパチ

澪「がんばれー」

風子「心篭ってない声援・・・」

英子「怪我には気をつけてー」

唯「行くよりっちゃん!・・・それっ」スカッ

梓「1ー0です」

律「・・・」

唯「あれ・・・?」

澪「サービスは律へ」

律「い、行くぞゆい!」

唯「来るがいいよ!」

律「うりゃっ」ポンッ

シュー

唯「えいっ」スカッ

梓「2−0です」

律「・・・」

澪「次で終わってしまうな・・・」

風子「山場なかったね」

英子「疲れているんじゃないかな」

紬「・・・」

憂「タイムお願します!」

純「ターイム!」

唯「ん?」

憂「お姉ちゃん」カムカム

唯「どうしたの?」

憂「・・・」ヒソヒソ

唯「・・・」フムフム

律「作戦会議か、少しは楽しませてくれるかな」

澪「少しではすまないかもな」
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:32:21.58 ID:H+z4J3XCo

律「実力の10分の1も出していないんだぜ?」

梓「一回跳ねただけじゃないですか」

律「そうなんだよなぁ・・・」

冬「」ウトウト

英子「あらら」

唯「お姉ちゃん頑張るからねっ!」

憂「頑張ってね!」グッ

純「双方前へ・・・律先輩が2ポイントリードで次取れば勝ちです」

律「いつから審判になったんだよ」

純「唯先輩のサービスで、試合を始めてください」

唯「行くよりっちゃん!」

律「一言二言で変わったら誰でもオリンピック選手だぜ!」

唯「三言四言五言だとしたらっ、どうかな!」ポンッ

梓澪「「 そんなに!? 」」

シュー

律「おぉ・・・」ポン

唯「えい」トン

ダダダッ

律「・・・くっ!」スカッ

純「2−1です」

憂「やった!」

唯「やったよ、うい!」

澪「昨日の逆か」

律「やられた!」

冬「」スヤスヤ

英子「・・・」ナデナデ

風子「」ウトウト

紬「」ウトウト

唯「さぁ、来なさい」

律「なんだ、この貫禄・・・負けてるくせに・・・」

唯「・・・」スッ

律「ぐっ・・・」

澪「見えないオーラかなにかに圧されています」

梓「得体の知れないモノを感じているんでしょうか」
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:32:53.05 ID:H+z4J3XCo

純「律先輩サービスです」

律「よ、よし。うりゃー」ポン

シュー

唯「っ!」バシッ

シュッ

律「なっ!」スカッ

梓「2−2・・・です」

澪「予想外のスマッシュ・・・」

憂「やった!」

唯「・・・」

澪「喜んですらいない!」

律「わ、私の今までの常識が覆される・・・っ!」

梓「律先輩は自分を見失っていますね」

純「唯先輩が未知なる相手となりて立ちはだかっているのです」

律「おまえは誰だよっ!」

純「おしずかに、今は試合中ですよ」

律「なんか腹立つ!」

唯「・・・」ムズムズ

純「では、最後のサービスです。唯先輩どうぞ」

唯「・・・ひっくしゅん!」

憂「あ・・・集中力切れちゃった」

唯「・・・行くよ、りっちゃん」

律「ココ、コ、コーイ!」

澪「ニワトリみたいだな」プクク

唯「それっ」スカッ

「「 あ・・・ 」」

律「・・・え」

梓「3−2で律先輩の勝ちです」

律「喜べねえー!」

紬「!」

英子「あ、起きちゃった?」

紬「・・・?」

英子「律さんの勝ちみたい」ナデナデ

冬「」スヤスヤ

風子「」スヤスヤ

紬「・・・」ニコニコ

英子「なんだか、可愛いよね」

唯「負けちゃった〜」エヘヘ

澪「あの唯はなんだったんだ」
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:33:27.35 ID:H+z4J3XCo

憂「羽をよく見ているうちに集中力が増したんです。あと、勝ったら私のアイスを、と」

梓「さすが姉妹・・・」

律「・・・」ホワーン

澪「どうした、り・・・」ホワーン

唯「きゅるるるりん」

英子「そろそろ起きないとね・・・ほら、ふぅ」ユッサユッサ

風子「ん・・・?」

英子「冬ちゃんも、起きて」

冬「」スヤスヤ

純「気持ち良さそうだなー・・・」

梓「うん・・・」

律「まぶたが重くなってくる・・・」

英子「起きて」ユッサユッサ

冬「・・・ん」

風子「・・・ふぁ」

唯「少し横に・・・」

憂「昼休み終わっちゃうよ」

冬「あ・・・、あ!すいません!」バッ

英子「気にしなくていいよ」

冬「・・・足痛くないですか?」

英子「冬ちゃんの所は大丈夫だけど、ふぅのところが痺れてる」

風子「ごめんね、つい寝ちゃった」

英子「角度が悪かったみたいだね」

唯「よいしょっと」

律「こら、二人が起きたのに唯が寝てどうするんだよ」

唯「寝心地を確かめるんだよ。英子ちゃんの膝枕がどうなのか検証だよ」

澪「眠りたいだけじゃないのか」

純「今日はすんなり起きた」

冬「?」

紬「・・・」ニコニコ

梓「昨日帰る直前に寝ちゃったんだよ、冬は」

冬「・・・」

唯「おぉっと危ない、眠るところだったよ!」バッ

冬「あの・・・昨日私はどうやって帰ったんでしょうか?」

澪「え・・・?」

唯「記憶喪失だって・・・!?」

冬「少し横になる所までは覚えているんです・・・」

律「気づいたらベッドの上だった・・・とか!?」

冬「は、はい。そうなんです」

澪「眠っていただけだから」
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:33:59.23 ID:H+z4J3XCo


冬「・・・」

純「夏に聞かなかったの?」

冬「朝起きたら夏は学校へ行ってて・・・。朝練がありますから」

純「ふーん・・・」

紬「・・・」

律(壁があるな、純にも夏にも)

澪「さわ子先生が車で運んでくれたんだよ。背負っていたのは姫子だ」

冬「!」

梓「・・・」

英子「じゃ、お礼を言いに行こうか」

冬「え?」

風子「私たちのクラスへ行こう」

澪「そうだな」

紬「・・・」コクリ

律「いい時間だしな」

唯「今日の午後もがんばるぞー!」
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:34:41.06 ID:H+z4J3XCo

律「姫子ー、お客さん来てるぞー」

姫子「お客?」

澪「ほら」

姫子「冬・・・?」

和「どうしたの?」

律「お礼を言いたいんだって」

澪「真面目でしっかりしてる子だよな」

和「そう・・・」

信代「可愛がられてるねぇ」

律「特に風子とお母さんがな」




姫子「どうしたの?」

冬「立花せん」

紬「・・・」チョンチョン

冬「は、はい?」

紬「・・・」フルフル

姫子「あー・・・、言わんとしてる事が分かる・・・」

唯「姫ちゃん先輩でしょ?」

冬「あ・・・う・・・」

純「事情を知らない人が見たら後輩をからかっているように見えますよ」

梓「・・・」

冬「ひ、姫ちゃ・・・ちゃんせんぱ!」

姫子「ブフッ」

純「グフッ」

唯「だめだよ笑っちゃ〜」

冬「・・・」

姫子「ごめんごめん、で、用事は?」

冬「昨日は送ってくれてありがとうございました」ペコリ

姫子「え・・・、それを言う為にわざわざ?」

冬「・・・・・・はぃ」
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:35:08.53 ID:H+z4J3XCo

風子「姫ちゃん」

英子「勇気だして3年生のクラスまで来たんだから」

姫子「う、うん・・・」

紬「・・・」チョンチョン

唯「手首?」

梓「時間を示しているんじゃないですか?休み時間も残り少ないですから」

紬「・・・」コクコク

純「教室に戻ろっか」

梓「うん」

冬「し、失礼ちます」ペコリ

紬「・・・」フリフリ

姫子「じゃあね」フリフリ

梓「それでは、放課後・・・」

紬「・・・」コクリ

唯「うん、後でね〜」

冬「ぁ・・・」

純「憂はどこへ行った〜?」

梓「先に戻ったよ」

スタスタ

冬「・・・」

紬「?」

英子「どうしたの?」

冬「いえ・・・。失礼します・・・」

トボトボ

風子「どうしたんだろ・・・」

姫子「・・・」

唯「部室に行っても姫ちゃんが居ないからじゃないかな」

紬「・・・」コクリ

姫子「引退したからね」

風子「そっか・・・。大丈夫かな・・・」

姫子「大丈夫。夏がいるし・・・。他にも仲間がいるから」

唯「・・・」

姫子「先輩と後輩は友達にはなりにくいんだよね」
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:35:53.40 ID:H+z4J3XCo

―――――放課後

ジャジャッジャジャッジャーン

律「よーし、いい感じだー」

澪「・・・ふぅ」

梓「・・・」

唯「頑張ってるよ私!」

紬「・・・」ポン

律「よっしゃ、おやつおやつ〜」

唯「おやつおやっつ〜」

澪「一時間通して演奏したからな・・・びっくりだ」

梓「びっくりです」

律「どういう意味だ!」

唯「りっちゃんにしては集中していたって意味だよ」

律「どういう意味だ、ゆいー!」ギシギシ

唯「・・・ギブ・・・ギブだよ」ポンポン

紬「・・・」

テッテッテ

梓「・・・」

律「・・・ったく」

唯「げほっ」

澪「・・・」

唯「・・・ん〜」ヒョイヒョイ

梓「どうしたんですか?」

唯「前髪が気になるんだよ」

梓「?」

唯「明日卒業写真の撮影があるでしょ?」

梓「はい」

唯「わたしね小学校、中学校の写真は変な顔ばっかりで困っているのです」

梓「はぁ・・・」

唯「そこで!」ジャジャーン

澪「はさみでどうするんだ?」

唯「ちょちょいと切って、調整します!」

律「マジかよ・・・」

梓「止めておいたほうが・・・」

唯「ちゃんと映りたいもん!」

澪「でも・・・」

唯「だいじょうぶだいじょうぶ〜」

チョキン
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:36:41.21 ID:H+z4J3XCo


パサパサ

唯「どうかな」

澪「うん、いいと思うぞ。な、律?」

律「うん、おっけーだ。な、梓?」

梓「はいッ!」

唯「そうかな・・・」

梓「バッチリですよッ!」

唯「もうちょっとだけ・・・」

澪「・・・」ハラハラ

唯「・・・ひ・・・ひっく」

紬「・・・!」

ガシッ

唯「・・・くしゅん!」

澪「あぶなっ!」

律「あぶねえ・・・」

梓「唯先輩!今危なかったですよ!」

唯「ご、ごめんね・・・」

紬「・・・」フゥ

澪「髪も無事だし・・・よかった」

律「あぁ・・・」

唯「ありがとむぎちゃん」

紬「・・・」ニコ

コンコン

澪「?」

唯「さわちゃん?」

律「さわちゃんはノックしないだろ?」

梓「どちらさまですか?」

「・・・」

シーン

澪「・・・」ブルブル

律「な、なんだよ・・・」

唯「誰〜?」

梓「鍵開いてますよ?」

バタンッ

「動くな!」

澪「ヒアッ!」

唯「おぉ!」

律「なんだ、エリか・・・」

梓「なんだ、エリ先輩ですか」
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:37:15.08 ID:H+z4J3XCo

エリ「仮面の意味はないの?」

律「声で分かるからな。髪型でも分かる」

エリ「覆面の方がよかったかな」

唯「きぐるみあるよ」

エリ「貸して貸して」

紬「?」

梓「なにかするそうです」

紬「・・・」コクリ

エリ「このネコ?のきぐるみ借りるね。そんじゃテイク2行ってみよう」

バタン

澪「聞こえない聞こえない・・・」ガクガク

律「まだ気づいてないのか澪は・・・」

梓「エリ先輩ヒマなんですかね・・・」

紬「・・・」

唯「迎撃するよ」

コンコン

律「律儀だな」

バタンッ

「手を上げろ!」

律「少しだけ付き合ってやるか・・・」スッ

ササッ

エリ「よーし動くなー」

梓「あれ、二人・・・?」

紬「・・・?」

「・・・」

エリ「そこのおいしそうなおやつをいただく!」

紬「・・・」チョイチョイ

エリ「?」

梓「そこに座ってくださいって意味かと・・・」

エリ「あ、ありがとう・・・」

律「もう一人は誰だ・・・?」

澪「・・・」ブルブル

唯「そうはいかないよ!」

「・・・!」

唯「ぶちかまして!My Dear,My ギー太!」

ジャーン!

エリ「この仮面邪魔」ポイッ

「・・・」ヨロヨロ

律「効いたのかよ」

澪「・・・エ、エリ?」
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:37:52.97 ID:H+z4J3XCo

エリ「もぐもぐ・・・おいしい〜」

紬「・・・」ニコニコ

梓「平和的に解決ですね」

「・・・」バタン

澪「ヒィッ!」

梓「それで、誰なんですかねこのきぐるみの人は・・・」

唯「私とギー太の敵じゃないよ・・・」フッ

律「純か?」

「・・・」シーン

エリ「紬さんの淹れた紅茶、おいしい」

紬「・・・」ニコニコ

澪「だ、誰だ・・・?」ガクガク

律「アカネ?」

「・・・」シーン

梓「姫ちゃん先輩」

「・・・」ピク

唯「反応したね。姫ちゃんだよ」

「・・・」スク

梓「無言で起き上がれると怖いですね・・・」

「・・・」ジー

律「無言でこっちをみるなよ。怖いな・・・。姫子だって分かってるんだからさっさと脱げよ」

「・・・」

梓「もしかすると・・・。姫ちゃん先輩」

「・・・」

梓「姫ちゃん先輩!」

「・・・」

梓「姫ちゃん先輩!姫ちゃん先輩!!」

「・・・」

梓「違いますね・・・」

姫子「大きな声で連呼されると恥ずかしいなぁ・・・」

梓「ッ!」ビクッ

「・・・」

律「姫子じゃない!?」

エリ「これが夏の旅の写真なんだ・・・」

唯「そうだよ〜、それは名古屋城での写真だね」

エリ「たくさんの人が写ってるね」

紬「・・・」コクリ

律「おぉい!正体を教えろエリー!」

「・・・」

澪「・・・」ガクガク
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:38:39.15 ID:H+z4J3XCo

姫子「・・・」ジー

梓「ごめんなさいごめんなさい」

律「誰も気にしてないのか!」

「・・・」

律「喋れよ!」

「・・・」ブイッ

律「ピースされてもな・・・。って多分そうなんだろうけど」

「・・・」

律「うぅ・・・正体不明だから動作がなくなると怖ぇ・・・」

「・・・」

律「当てるまで喋らない気だな・・・」

「・・・」コクリ

律「じゃあヒントくれよ」

「・・・」コクリ

律「今まで上げた人の名ではない?」

「・・・」コクリ

律「純、アカネではないんだな・・・。ヒント少なっ!」

「・・・」

律「なんで無言きぐるみと対峙してんだよ私は・・・。・・・さわちゃん?」

さわ子「こっちよ」

律「えっ!?」

さわ子「ティータイムを私が逃すと思って?」

律「思ってないけどさ・・・」

「・・・」

律「潮」

「・・・」

律「分かった!風子だ!」

「・・・」

律「だぁー!もう嫌だ!正体を現せ!」ガシッ

「だ、ダメ!」

律「うるさい!いい加減に・・・って、ちか?」

ちか「チガイマス」

律「なんだ・・・もういいや」

ちか「ワタシはノジマチカではアリマセン」

律「お、夏の写真かー!なっつかしぃー」

ちか「もぅ!」ズバッ

澪「なんだ、ちかか・・・」

唯「ちかちゃんか・・・」

梓「・・・」
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:39:34.63 ID:H+z4J3XCo

姫子「野島ちか。私たちと同じクラスだよ」

梓「そうですか・・・。びっくりしました」

ちか「ひっかかったね!」

梓「はい。姫ちゃ」

姫子「・・・」

梓「姫子!先輩の名前で反応しましたから、てっきり・・・」

ちか「大成功〜♪」




ちか「このクッキーおいし〜」

唯「どうしたの?」

ちか「エリに誘われて来ただけなんだ」

唯「ほ〜」

エリ「わぁ!北アルプス!」

澪「そう、そこの温泉に入ったんだ」

ちか「・・・温泉かぁ」

律「アカネと来るって言ってなかった?」

エリ「アカネは後で来るよ」

律「来るのかよ」

エリ「この背景の海はどこさ?」

澪「日本海さ」

エリ「日本海のどこさ」

澪「能登さ」

エリ「能登どこさ」

澪「恋路海岸さ」

エリ「おぉ〜」

澪「海と砂浜がキレイだったよ」

さわ子「語呂悪かったけど、頑張ったわね」

唯「朝市には 魚があってさ 競り落としてやったさ」

梓「競りしたんですか!?」

エリ「楽しそう」

澪「唯が言っているのは値切り勝負の事だ」

エリ「市場の人に安くしてもらったんだ?」

律「とっても安く売ってくれたんだぜ」

唯「おいしかったよね〜」

姫子(楽しそう・・・)

スッ

姫子「あ、ありがと」

紬「・・・」ニコニコ
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:40:35.62 ID:H+z4J3XCo

姫子「ごめんね、むぎに聞きたいことがあって」

紬「?」

梓「?」

姫子「例えば、仲のいい姉妹がいて」

澪律(( 例え下手だっ! ))

エリ「?」

ちか「もぐもぐ」

唯「もぐもぐ」

姫子「その姉妹がなにかのきっかけですれ違ってしまった
   その姉妹をまた引き合わせるにはどうする?」

梓「・・・?」

紬「・・・」

姫子「・・・」

紬「・・・」トントントトントン

姫子「きっかけ・・・。うん・・・そのきっかけがなんなのか分からないんだけどね」

律(それって・・・夏と)チラッ

澪(夏だよな・・・)コクリ

ちか「今、会話した・・・?」

唯「私たちはこころで会話できるんだよ」チラッ

梓「なんですか?」

唯(そうだよね、あずにゃん!)

梓「できませんよ・・・」

唯「うぅ・・・冷たいよ」シクシク

エリ(会話が成り立っているようで成り立っていないような・・・)

さわ子「冬ちゃんの入院期間ってどのくらいなの?」

澪律(( 例えが無駄になったー!! ))

姫子「ち、違いますよ、冬と夏の話ではなくて」アセアセ

澪律(( 気付かれてないと思ってる! ))

さわ子「気づかれてないと思ってるの?」

姫子「う・・・」

澪「・・・」

律「ばっさりだ!」

ちか「誰の話?」

エリ「姫子さんの妹分の話」

紬「・・・」トントントトン

姫子「うん・・・。ごめん、最初から名前出せばよかったね」

紬「・・・」トントトントン

姫子「分からない。・・・でも、冬が入部したのは今年の7月」

梓「・・・」
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:41:02.02 ID:H+z4J3XCo

ちか「・・・紬さんはなんと?」

エリ「わ、私に聞くの?」

澪「冬が退院したのはいつか、って聞いたんだ」

ちか「姫子さん分かるの!?」

姫子「紙鍵盤なら・・・少し。音だけでは分からないけど・・・」

ちか「・・・」ポカーン

紬「・・・」トントントン

姫子「冬を部活に誘ったのは私じゃないよ」

澪「あ、そうなんだ・・・、てっきりそうなんだと思った」

律「あぁ・・・」

梓「・・・」

唯「あずにゃんは知ってる?」

梓「いえ、夏は冬の話を滅多にしませんから」

紬「・・・」ションボリ

さわ子「むぎちゃんが落ち込んでどうするのよ」

姫子「ごめんね、話を持ち込んじゃって」

律「なんで謝るんだよ。人の景色を借りれば見えてくることもあるだろ」

姫子「・・・」

澪「か、可愛い後輩だからな!」

唯「そうだよ〜」

梓「・・・」

ちか(・・・なんだろ、この温かさ)

エリ(いいな・・・けいおん部)

ガチャ

アカネ「こんにちは・・・?」
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:41:37.14 ID:H+z4J3XCo


―――――・・・校門


梓「・・・」ピッピッピ

trrrrrr

紬「?」

梓「ふぅ先輩です。なにかやるなら誘ってと釘を・・・あ、ふぅ先輩ですか?」

『はいはい』

梓「今から駅前のボウリングセンターへ」

『分かった!』

梓「は、はい。失礼します」

『後でね!』

プツッ

梓「話はやいな〜」パタン

ちか「かわいいストラップだね。ネコと・・・獅子?」

梓「シーサーです」

エリ「果物だっけ?柑橘系の」

律「ツッコまないからなー」

梓「エリ先輩が言っているのはシークヮサーです。
  これみたら果物じゃないって分かるじゃないですか」

エリ「ありがとー」

澪「変なの」

唯「・・・」スゥーイ

律「フォームの確認か!」

唯「そうだよ。こうやって・・・こうっ!」シュッ

紬「・・・」パチパチパチ

唯「やってみたまえむぎ君」

紬「・・・」スゥーイ シュッ

唯「もう教える事はなにもありません。免許皆伝です」フフン

紬「・・・」ペコリ

律「どこぞの老師だ」

アカネ「練習はいいの?」

律「もう練習どころじゃないからなー」

エリ「集中力が足りませんなぁ」

唯「そうですなぁ」

ちか「まったくですなぁ」

律「誰のせいだよ・・・」

澪「律のせいだろ」

律「・・・てへ☆」

澪「ごまかすなっ!」
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:42:56.20 ID:H+z4J3XCo

梓「練習止めて遊びに行こうって言い出したの律先輩ですよ」

律「だいじょーぶだって!」

唯「そうだよ、遊ぼー!」ワーイ

紬「・・・」コクリ

梓「そうですね!」

アカネ「出発しないの?」

エリ「姫子さんを待ってるんだよ」

アカネ「どうして?」

エリ「妹分連れて来るんだって」

アカネ「妹分・・・?」

夏「2年生って梓だけ!?」

梓「え、うん」

夏「純と憂は?」

梓「純はジャズ研で活動中」

唯「ういはお家だよ〜」

夏(先輩達の中で一人でいても平気なんだ・・・)

梓「?」

紬「・・・」チョンチョン

姫子「なに?」

ギュ

紬「・・・」スラスラ

姫子「・・・。先に帰ったんだって」

紬「・・・」コクリ
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:43:35.55 ID:H+z4J3XCo

律「部活はいいのかよ?」

夏「はい、終わった所だったんで」

澪「・・・夏」ヒソヒソ

夏「は、はい?」

澪「そっくりそのまま返してみて」ヒソヒソ

夏「?」

澪「・・・」コクリ

夏「り、律先輩・・・部活はいいんですか?」

律「終わった所だ!」

澪「終わってなかっただろ!」

夏「ど、どういう意味ですか・・・?」

澪「実はサボリなんだ」

夏「あぁ・・・なるほど・・・」

律「ぴぃ〜ぷぅ〜」

澪「・・・部長がこれなんだ、うちの部は」

夏「・・・ふふっ」

唯「おいてくよ〜」

律「行こう行こう〜!」

紬「〜♪」ルンルン

梓「ボウリングですか・・・」シュッ

澪「おかげで退屈しない」

夏「・・・」
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:44:16.05 ID:H+z4J3XCo

―――――駅前


紬「・・・」

律「え・・・」

澪「・・・」

梓「なんですか、あの人数・・・」

唯「う〜い〜!」

テッテッテ

エリ「あれ、三花も来てる・・・」

アカネ「呼んでおいた」ブイ

ちか「一人だけ私服だぁ・・・」

夏「・・・」

姫子「・・・冬も」

紬「・・・」キラキラ



唯「どうしたの!?」

憂「買い物していた所を風子さんと会って」

冬「はい」

風子「二人に会ったから、せっかくだから・・・ね?」

梓「英子先輩はいないんですか?」

冬「いますよ。ほら」

梓「あ、本当だ・・・。あの私服の人は誰ですか?」

風子「私たちと同じクラスの松本美冬さん」

梓「はぁ・・・。って、なんで制服なんですかふぅ先輩」

風子「せっかくだから・・・ね?」

梓「意味が分かりません」

律「ここにいる人全員ボウリング行くの?」

潮「そうみたい」

澪「信代は?」

潮「いないよ?」

律「珍しいな、てっきり一緒かと思った」

春子「うん」

潮「今日は偶々だよ」

梓「春子先輩も来ていたんですね」

春子「楽しそうだからな」

エリ「ボウリングなんて久しぶり」シュッ

唯「甘いよ、こうだよ」シュッ
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:44:54.55 ID:H+z4J3XCo

エリ「腕の角度をもう少し上にすべきだと思うよ。こうっ」シュッ

唯「こうかな」シュッ

エリ「うんうん」

アカネ「・・・」ススス

三花「・・・」スススッ

冬「どうして離れるんですか?」

アカネ「知り合いだと思われないように」

三花「目立ってるよ、そこの二人」

夏「・・・っ」プクク

ちか「あははっ」

美冬「私だけ・・・私服・・・」ションボリ

冬「か、可愛い服ですね!」

美冬「え・・・、ありがとう」

冬「・・・」キラキラ

美冬「?」

唯「ウィンター同士仲良くするがいいさ」

澪「・・・」

夏「・・・」

姫子(積極的になってるのかな冬は・・・)

夏「夏香先輩は来ないんですか・・・?」

英子「うん。用事があるんだって」

夏「・・・」ションボリ

ちか「はやく行こうよ〜」

唯「行こう行こう!」ワーイ

律「いちごも来ていたのか」

いちご「・・・発案者、私」
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:45:58.75 ID:H+z4J3XCo

冬「どうしたんですか?」

紬「?」

冬「みなさんもう行きましたよ」

紬「・・・」スッ

冬「え・・・。・・・あ、飛行機雲ですね」

紬「・・・」

冬「高いなぁ・・・」

紬「・・・」

冬「・・・」

紬「・・・」

冬「・・・私、入院していた頃よく空を眺めていたんですよ」

紬「・・・」コクリ

冬「春の暖かい空も、秋の涼しい空も」

紬「・・・」

冬「冬の透き通った空も」

紬「・・・」

冬「夏の、どこまでもどもまでも透き通る蒼く高い空も」

紬「・・・」ニコニコ



・・・・・・



梓「・・・」

夏「あの二人・・・似てる」

梓「え・・・?」

夏「・・・なんでもない」

タッタッタ

梓「・・・」

「あーずにゃーん!」

梓「・・・」

タッタッタ


・・・・・・


冬「一緒に眺めていたんです。あの雲はーって」

紬「・・・」ニコニコ

タッタッタ

梓「どうしたんですか?」

紬「・・・」フルフル
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:46:28.14 ID:H+z4J3XCo

冬「話を聞いてもらっていました」

梓「・・・そう」

タッタッタ

唯「あずにゃん!?呼びかけたのに反対方向に走っていったら傷つくよ!?」

梓「え、呼びかけたんですか?」

唯「呼んだよー!」

冬「クスクス」

紬「・・・」ニコニコ

梓「時間も無いですから行きましょう」

紬「・・・」コクリ

唯「そだね」

冬「はい」

梓「・・・冬」

冬「なんですか?」

梓「昨日も言ったけど・・・同い年なんだから、敬語は止めて欲しい・・・な」

冬「・・・」

梓「・・・」

冬「うん・・・」

梓「・・・」

唯「あっずにゃん!」ダキッ

サッ

冬「!」

梓「行きましょう、むぎせんぱい」

紬「・・・」コクリ

唯「もぅ〜」スリスリ

冬「あ・・・つ・・・た・・・っ!」
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:47:04.40 ID:H+z4J3XCo


律「どーすんだよー。2レーンしか空いてないぞー」

澪「えっと・・・何人いるんだ?」

美冬「19人」

唯「多いよ!」

紬「・・・」トントントトン

エリ「?」

梓「チーム戦ですか・・・。それなら短時間でできますね」

潮「名案だ」

律「レーンに分かれてやるんだな」

春子「1ゲームで10フレームあるからさ、1人1フレームでいいんじゃない?」

いちご「・・・賛成」

唯「フレイムってなにかな?」

憂「1フレームで二回投球できるんだよ。ストライク出したら1回ね」

唯「う、うん」

夏「1人足りませんよ?」

姫子「呼んでおいたから大丈夫」

冬「?」

律「誰を呼んだか分からんが、とりあえずチーム決めるか」

澪「そうだな」

梓「・・・」ススッ

紬「?」

風子「じゃあ、むぎさんと梓ちゃんでジャンケンして、取り合いっこしましょう」

梓「じゃあってなんですか!嫌ですっ!」

律「みお、ジャンケン」

澪「ホイ」

グー

チョキ

律「勝ち。最後に選ばれても泣くなよー。って事でむぎ」

紬「・・・」コクリ

澪「選ぶ側も気を使いそうだな・・・。じゃあ空気読んで・・・唯」

唯「がってん!」

律「憂ちゃん」

憂「はい」

唯「おぉ・・・」

澪「エリ」

エリ「はーい」

律「春子」

春子「よしきた」
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:47:33.06 ID:H+z4J3XCo

澪「アカネ」

アカネ「うん」

律「英子」

英子「うん。任せて」

律「自信あり!?」

澪「美冬」

美冬「おっけぃ」

律「三花」

三花「うん」

梓「ちょっと、律先輩?」

澪「ちか」

ちか「オッケー」

律「潮」

潮「うぬ」

姫子「私は二人分ね」

澪「? 姫子」

律「いちご」

いちご「・・・」メラメラ

澪「な、夏」

夏「やっと呼ばれたぁ」

律「冬」

冬「はいっ」

澪「お、おい」

律「あ・・・」

梓「・・・」

律「すまん」

梓「わざとですか・・・?」

律「違うぞ、双子を別のチームにした方がいいと気を利かせた結果なんだ、うん」

梓「私には気を利かせてくれなかったというわけですね」

律「・・・そうですね」

梓「・・・別のチームになったじゃないですかぁ」ズドーン

律「すまん」
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:48:25.90 ID:H+z4J3XCo


春子「負けたチームは勝ったチームの料金を支払う。ってのはどう?」

律「いいなそれ、燃える!」

澪「よし・・・!」

唯「一投目いきます!」グッ

潮「順番違うよ唯!」

唯「へ?」

憂「お姉ちゃんは4フレーム目だよ」

唯「そうなの?」

美冬「さっき決めたでしょ。ほら」

唯「おぉ、本当だ」

律「私たちのチーム名はなににする?」

冬「律先輩チームはどうですか?」

春子「捻りが無い。却下」

冬律「「 」」ガーン

紬「・・・」トントントトン

春子「・・・?」

三花「春子さん聞けないの?」

春子「音にすればなんとなく聞けるけど、紙鍵盤は分からない」

梓「ウィンターだそうです」

風子「いいね」

英子「美冬さんがいたら完璧だったね」

律「今秋だから却下だ」

冬紬「「 」」ガーン

いちご「・・・どうするの?」

憂「うーん・・・」


梓「あっちのチームは名前で困ってますよ」

唯「チーム名くらいパパッと決めないとダメだよ」

梓「決まったんですか」

唯「チームあずにゃんだよ」

梓「・・・」

夏「名前なんて飾りみたいなもんだから、ゲームスタートしましょう」

姫子「そうだね、一投目梓ちゃんだよ」

梓「・・・」

澪「やる気失くしたか・・・」
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:49:04.24 ID:H+z4J3XCo

律「ゲームスタート、行けむぎ!」

紬「・・・」グッ

テッテッテ

紬「・・・」シュッ

律「お、キレイなフォーム!」

ガタン

紬「・・・!」

憂「あ・・・」

いちご「ガーター・・・」

紬「・・・」ションボリ

潮「ドンマイドンマイ!」

英子「次頑張りましょう」

律「お母さんか!」

梓「・・・」グッ

テッテッテ

梓「・・・!」シュッ

ガタン

澪「え・・・」

唯「あずにゃん・・・?」

夏「あっはっは!」

梓「投げる瞬間変な力が入ってしまいました」

唯「びっくりしたぁ」

美冬「どうして?」

唯「むぎちゃんの真似したのかと・・・」

梓「しませんよ」

律「お互い微妙なスタートとなった訳だが・・・」

テッテッテ

紬「・・・」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

春子「いいぞ、そのまままっすぐ!」

ガコーン!

紬「・・・」グッ

三花「ストライク!」

冬「ストライク!」

いちご「・・・スペア」

三花「そう、スペア!」

冬「スペア!」
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:49:43.57 ID:H+z4J3XCo

紬「・・・」スッ

律「ナーイス、むぎ!」パァン

梓「すごいですむぎせんぱい!」スッ

パァン

紬「・・・」ニコニコ

風子「むぎさんこっちにも凱旋して!」

英子「スペアおめでとう」

ペチペチペチ


梓「よぉし!」グッ

テッテッテ

梓「えいっ」シュッ

ゴロゴロゴロ

梓「よしっ!」グッ

ガコーン!

唯「やったよあずにゃん!」

澪「やった!」

アカネ「紬さんと同じ・・・スペア」

タッタッタ

梓「やりましたむぎせんぱい!」スッ

紬「・・・」スッ

パァン

紬「・・・」グッ

梓「やってやったです!」グッ

律「真っ先に敵陣に入ってきたぞこの子」

冬「よ、よし。次私の番っ」グッ


唯「あ〜ずにゃ〜ん」シクシク

ちか「ふふっ」

澪「喜びを分かち合おう」スッ

梓「やりましたっ」スッ

パンパンパンッ


冬「よいしょ」

ズシッ

冬「これは重たいから・・・」

律「それ一番軽いヤツな」

冬「え!?」
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:50:20.54 ID:H+z4J3XCo

律「マジか・・・。しょうがない、片手で持てないなら両手で転がしていいぞー」

冬「だ、大丈夫です」グッ

風子「・・・」ハラハラ

フラフラ

冬「・・・っ」ポイ

ドスン

英子「・・・」ハラハラ

ゴロゴロゴロゴロ

春子「転がしたというより、落として転がったって感じだな」

憂「あ・・・いい所へ・・・」

ガコン ガラガラガラ

三花「え・・・?」

紬「・・・!」

冬「や、やりましたぁ!」

律「やりやがった・・・」

いちご「・・・すごい」

風子「ストライク!」

唯「なんとっ!」

澪「すごいな・・・」

夏「ボウリング初めてなのに・・・」

姫子「・・・そうなんだ」

ちか「それって凄いよ!」

美冬「ビギナーズラック・・・」

冬「続けてストライク取ります!」グッ

律「いやいや、燃えてるところ悪いんだけど、次は私だから」

冬「でも、琴吹さんと梓さん二投しましたよ?」

律「ほら、スコアみて」

冬「?」

律「3フレーム目になってるから、ストライクが出たら一投でお終いなの」

冬「・・・そうなんですか」ガッカリ

律「ストライクが出たら、みんなとハイタッチができるんだ」

冬「さっき琴吹先輩がやったようにですか?」

律「そうだぜ」

紬「・・・」スッ

冬「・・・」ソォー

ペチッ

律「やったな!」スッ

冬「・・・ありがとうございます!」

パァン
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:51:06.28 ID:H+z4J3XCo

ゴロゴロゴロ

カコーン

夏「・・・8本か」

澪「・・・え?」

エリ「いつの間に!?」

夏「みなさんが冬に注目している間にです」

姫子「・・・スペア狙えるよ」

唯「行け行け〜!」

夏「では・・・」グッ

テッテッテ

夏「・・・」シュッ

ゴロゴロゴロ

カーン

夏「・・・」

アカネ「9本・・・。どうしようみんなレベル高い・・・」

エリ「う、うん・・・」ゴクリ

スタスタ

夏「・・・」

梓「・・・どうしたの?」

夏「・・・別に」

梓「・・・」

夏「飲み物買って来ましょうか?」

姫子「今はいいよ。負けたチームにおごらせるって話もあるからさ」

夏「それはいいですね!」

美冬「・・・」

律「よぉーっし!いい流れだ!」

澪「止めるなよ」

律「敵に塩をもらったぜ!」

潮「しょっぱいよ律!」

律「私がしょうもない事言ったみたいになったけど、いいや」グッ

テッテッテ

律「うりゃー!」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

律「よーしよー・・・くない!戻れ!」

ガタン

律「あー・・・」

春子「あーぁ、せっかく冬ちゃんがストライク出したのになぁー」

冬「?」

英子「ストライクを出した後は今回倒したピンの分が前回のフレームに加算されるんだよ」
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:51:37.62 ID:H+z4J3XCo

冬「なるほど、倒せば倒すほどお得なんですね」

風子「そうなんだけど・・・」

律「すいませんでした・・・」

澪「グフッ」

唯「りっちゃん・・・」プクク

梓「・・・」プクク

紬「・・・!」

冬「大丈夫ですよ!・・・大丈夫!」

律「フォローになってないっ!」

ちか「あははっ」

律「あれ・・・このやりとり・・・ま、いいか」グッ

テッテッテ

律「それっ」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

三花「そのままそのまま、まっすぐ!」

律「あ・・・」

コーン

潮「一本!それまで!!」

夏「ブフッ」

エリ「あはは!」

美冬「ふふっ」

冬「ほんとだ・・・前回に加算されてる・・・」

春子「律は2本分の働きをしたって事だ」

律「申し訳なく思っています・・・はい」

澪「律よりは倒さないとな」グッ

唯「頑張れ澪ちゃん!」

テッテッテ

澪「・・・っ」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

ガコーン!

澪「5本か・・・五倍だ」

律「むむ・・・」

夏「あっはっは!」

冬「夏ってば・・・」

律「・・・」スタスタ

夏「な、なんですか・・・?」

律「笑いすぎだっ!」グリグリ

夏「ご、ごめんなさいっ!」

姫子「ふふっ」
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:52:19.31 ID:H+z4J3XCo

アカネ「残り5本も倒しちゃって」

澪「・・・よし」グッ

テッテッテ

澪「いけっ!」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

夏「痛いです痛いですっ」

律「ふーんだ」

ガコーン!

澪「・・・あ」

唯「うおー、やったよ!」

ちか「難しい配置だったのに・・・」

紬「・・・」スッ

澪「やった!」パァン

梓「すごいです!」スッ

澪「まぐれだけど嬉しいな!」パァン

ワイワイ

律「・・・」

春子「気に病むな」ポンポン

律「慰められるとよけい・・・」

憂「少しでも稼げればいいですね」

いちご「・・・頑張って」

風子「頑張れー」

憂「よいしょ」グッ

テッテッテ

憂「それっ」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

カーン

律「一本か・・・ドンマイ!」

憂「・・・難しいですね」エヘヘ

いちご「・・・憂ちゃん」カムカム

春子「アドバイスするのか・・・。これは期待できるな」

美冬「・・・」ジー

冬「?」

夏「唯先輩ファイトー」

唯「よぉし」フンス!

姫子「唯、頑張れー」
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:52:50.24 ID:H+z4J3XCo

唯「みんなの期待をこのボールに託したよ!」グッ

梓「大げさですよ」

テッテッテ

唯「とりゃっ」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

美冬「いいんじゃない?」

ガコーン!

唯「おぉ」

梓「8本です」

唯「やったよ!」ブイッ

エリ「・・・みんな上手だね」

アカネ「・・・うん」

いちご「・・・大丈夫」

憂「はい、頑張ります」グッ

冬「が、頑張って憂さん!」

テッテッテ

憂「・・・っ」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

ガコーン!

唯「なんとっ!」

冬「ストライク!」

いちご「・・・スペア」

冬「スペア!」

英子「やった!」

憂「いちごさんのアドバイスのおかげです」スッ

紬「・・・」ニコニコ

パァン

冬「すごいっ」スッ

憂「ありがと〜」パァン


律「アドバイスだけでああも上手くいくもんか・・・?」

春子「・・・私もいちごに教えてもらった口だから」

律「え?」

唯「負けてらんないよ!」フンスッ!

憂「あ、お姉ちゃん!肩の力を」

テッテッテ

唯「それっー!」シュッ

ガタン

唯梓「「 あ・・・ 」」
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:53:27.38 ID:H+z4J3XCo

澪「・・・うちのチームが少し負けているかな」

アカネ「そうなの?」

澪「憂ちゃんのスペアで差ができた・・・」

エリ「う・・・重圧が」

唯「うぅ・・・ハイタッチしたかったのにぃ・・・」ションボリ

紬「・・・!」スッ

唯「ありがと〜」パァン

梓「なんのハイタッチですか」

春子「次は私か」

いちご「どうする?」

春子「今回は一発勝負だな」

いちご「・・・うん」

潮「詳しく」

春子「ストライク出したほうが勝ち」グッ

律「へ?」

テッテッテ

春子「・・・っ!」ブンッ

ゴロゴロゴロゴロ

冬「勢いが・・・」

紬「・・・」コクリ

ガッコーン!

律「ピンが吹っ飛ばされたぞ」

澪「・・・迫力だ」

春子「一本残ったかー」

夏「すご・・・」

エリ「今のうちに投げちゃおう」グッ

三花「エリー頑張れー!」

エリ「注目集めないで・・・!」

唯「ファイトー!」

エリ「・・・!」

トテトテ

エリ「・・・えい」シュッ

ゴロゴロゴロ

梓「・・・あ」

ガタン

エリ「うぅ・・・」

澪「ど、どんまい!」

エリ「はぅ・・・」ズドーン

律「追い討ちすんなよなー」
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:54:03.21 ID:H+z4J3XCo

テッテッテ

春子「・・・」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

カコーン!

風子「ピンがかわいそうにも見える」

冬「スペア!」スッ

春子「ありがと」パァン

紬「・・・」ニコニコ

エリ「どうしよ・・・」オロオロ

アカネ「いちごさん・・・こっちにもアドバイスを・・・」

いちご「敵に塩を送るのは、いや」

エリ「・・・」ズドーン

律「シビアだ・・・」

姫子「さっき駅前で披露してたのは?」

エリ「遊びだから・・・」

姫子「そ、そうなんだ・・・」

エリ「どうしよう、アカネ・・・」

アカネ「このゲームだって遊びみたいなものだから」

律「されど遊びだぜー」

エリ「うぅ・・・」

澪「勝っていると強気なんだよな」

美冬「エリさん、アカネさんちょっと来て」

エリアカネ「「 ? 」」

美冬「さっき、いちごさんが憂ちゃんにアドバイスしている時探っていたんだけど」

唯「スパイだね」

美冬「・・・うん。あのレーンの中央にある印みて。指指さないでね」

梓「ありますね」

美冬「・・・あれをいちごさんは指していたんだと思う」

ちか「という事はどういう事?」

美冬「あの印の上を通るように投げればいいんじゃないかな」

エリ「な、なるほどっ」

美冬「他にもなにか言っていたけど、聞き取れなかった」

アカネ「私も次やってみる」

美冬「うん」
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:54:37.09 ID:H+z4J3XCo

エリ「よぉし!」グッ

律「ガンバレー」

バシッ

律「いたっ!?」

澪「うるさいぞ」

律「応援しましたよ!?」

澪「冷やかし入っていただろ」

律「ばれたか」

冬「クスクス」

テッテッテ

エリ「・・・っ」シュッ

ゴロゴロゴロ

唯「いいですよ!」

ガコーン!

エリ「やった!」

梓「8本ですね」

エリ「やった、美冬さん!」スッ

パァン

美冬「さすが運動部ね」

潮「うちの秘密兵器発進!」

いちご「・・・」スチャッ

冬「それ、なんですか?」

いちご「グローブ」

紬「・・・!」

律「マジかよ・・・」

春子「マジなんだよ」

いちご「・・・」グッ

澪「プロの雰囲気だな・・・」

テッテッテ

いちご「・・・」シュッ

ゴロゴロ

律「あらー、ガーターだよ」

春子「カーブだよ」

いちご「・・・」クルッ

スタスタ

律「いやいや、まだピン倒れてねーし」
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:55:07.42 ID:H+z4J3XCo

風子「・・・倒れる所みないの?」

ゴロゴロ

いちご「・・・」グッ

英子「ガッツポーズ・・・」

ガコーン!

律澪唯梓「「「「 えぇーッ!? 」」」」

紬「!」

冬「す、ストラーイク!」

姫子「野球じゃないんだから」

夏「ブフッ」

春子「また負けた・・・けど、その演出はなに?」

いちご「少し燃えてたから嬉しかった・・・」

憂「かっこよかったです」キラキラ

いちご「・・・」カァァ

春子「照れてんのか」

アカネ「注目が逸れている今のうちに」グッ

テッテッテ

アカネ「・・・っ」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

ガコーン!

アカネ「あ・・・やった、ストライク!」グッ

律「すっげえな、いちご!」

澪「かっこよかったよいちご!」

梓「ですよいちご先輩!」

風子「投げてすぐ振り返ってくるから、ビックリしたよいちごちゃん!」

ちか「びっくりだよね!」

三花「すぐ取れるって分かったのいちごさん!?」

いちご「・・・う、うん」

美冬「ボウリングが趣味なのいちごさん!?」

いちご「趣味というより・・・」タジタジ

冬「そのグローブをつけると上手になるんですか!?」

姫子「腕次第だと思うよ」

夏「・・・」プクク

英子「かっこよかったぁ・・・」ウットリ

唯「ガッツポーズの直後に全部倒れたもんね!」

エリ「すごかった!」

憂「はい!」

紬「・・・」コクコク

いちご「・・・」カァア
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:55:50.63 ID:H+z4J3XCo

潮「!」ピコン

春子「お菓子でいいでしょ、みんなの分買ってきてもいいよ?」

いちご「・・・今日は無しでいいよ。楽しいから」

春子「おっけ」

アカネ「・・・」ポツーン

紬「・・・?」

アカネ「私もね・・・取ったんだよ・・・ストライク」

紬「!」

アカネ「あはは・・・」

紬「・・・!」スッ

アカネ「ありがと」

パァン

夏「あ、アカネ先輩も取ってますよ!」

唯「おぉ!」

澪「ナイスだアカネ」スッ

梓「すごいです!」スッ

アカネ「ありがとっ」

パンッパァン

潮「さて・・・、私の実力をみせてやろうかな」グッ

律「お、なんか雰囲気作ってるな!」

テッテッテ

潮「・・・っ」シュッ

ゴロゴロ

潮「・・・」クルッ

スタスタ

冬「ま、まさか・・・!?」

律「潮にもできるのか!?」

ゴロゴロ

潮「・・・」グッ

ガタン

夏「グフッ」

梓「外れましたね」

冬「ふふっ」

律「こら・・・」

潮「フッ・・・」ストッ

律「余裕かまして座ってんじゃねえ!ガーターだぞっ!」

潮「うそっ!?」

唯「ほんとだよ〜」

澪「なにを疑っているんだ・・・」

夏冬「「 あっはっは! 」」
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:56:40.48 ID:H+z4J3XCo

紬姫子「「 ! 」」

ちか「あはははっ!」

梓「美冬先輩ファイトです!」

美冬「うん・・・」グッ

テッテッテ

美冬「えいっ」シュッ

ゴロゴロゴロ

ガコーン!

美冬「7本か・・・。勢いに乗りたかったな〜」

梓「スプリットですね・・・。スペアは難しそうです」

美冬「少しでも点数取れるよう手堅く行こうかな」

潮「・・・」グッ

テッテッテ

潮「それっ!」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

潮「・・・頼む・・・律よりは倒したい・・・!」

律「今度はちゃんと見守るんだな」

ガコーン!

潮「6本か・・・上出来上出来」ホッ

美冬「スペア取れたら面白い展開になりそうなんだけど・・・」

梓「会議です!」

澪「よし、どうすればいいんだ?」

夏「分かりません!」

唯「スパイしてくるよ」

スススッ

姫子「待って唯」

唯「ん?」

姫子「こうやって」チョチョイノチョイ

夏「憂だ!」

憂?「行ってくるよ」キラン

冬「・・・っ」プクク

憂「お姉ちゃん・・・」

憂?「いちご先輩、あの配置を全部倒すのにはどうすればいいの?」

いちご「・・・右端のピンを右から当てるといいけど、難易度高いよ」

憂?「ありがとうございます!」ペコリ

テッテッテ

春子「塩送るんだ?」

いちご「負けても楽しめればいいかな・・・って」

憂「そうですよね」

紬「・・・」ニコニコ
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:57:19.14 ID:H+z4J3XCo

憂?「バッチリ聞いてきたよ」

姫子「おつかれさま」バサッ

唯「いえいえ」

夏「潜入作戦バッチリでしたね!」

唯「いちごちゃんとうい仲よいからね」フフフ

澪「よいのか・・・」

美冬「あの・・・それで、どうすればいいの?」

唯「右端のピンを右側から当てればよいって」

エリ「じゃあさ、ここの位置からまっすぐに転がせていけばいいんだ?」

梓「そうですね」

アカネ「少しでも右にズレたらガーターだよ」

美冬「ここはもう賭けだよね・・・」

ちか「面白いっ!やろう!」

唯「うんうん」

澪「勝とう!」

夏唯エリ「「「 おぉー! 」」」

美冬「よぉし」


律「スポコンだな」

冬「なるほど、アレですね」

律「アレってなんだよ、目の前の光景を指しているんだぞ?」

潮「人と接触する」

三花「それはコンタクト」

冬「?」

律「本当に本を読んでいるのか!?」

冬「のんびりした話が好きなんです」エヘヘ

憂「・・・よく」

律「・・・よく運動部のマネージャーになろうと思ったよなぁ」

冬「・・・」

紬「・・・」コクリ

冬「それは―――」

テッテッテ

美冬「・・・それっ」

ゴロゴロゴロゴロ

澪「・・・」ハラハラ

エリ「まっすぐまっすぐ!」

姫子「そのまま・・・」

コーン カコーン!

美冬「!」

梓「あ・・・!」
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:58:08.35 ID:H+z4J3XCo

澪「やった!」

美冬「やったぁ!」

夏「凄いです!美冬先輩すごいっ!!」スッ

美冬「ありがとー!」

パァン

冬「―――夏がいるから」

律「・・・そっか」

憂「・・・」

紬「・・・」コクリ

冬「・・・はい」

潮「あらら、ヤバくない?」

律「潮が遊ぶからだろ!」

潮「・・・はい」

春子「律は本気でやったんだよな」

律「う・・・」グサッ

風子「いちごさん、そのグローブを私に貸してくれませんか?」

いちご「・・・いいけど」

風子「ありがとう」スチャ

澪「すごいすごいっ!」

美冬「ラッキーなだけだって」

ちか「そういう割には顔ほぐれてる」

美冬「とっても嬉しいからね」

アカネ「うん、嬉しいよね」

梓「喜んでもらえるのがですよね」

美冬「うん!」ニコ

夏「!」

姫子「・・・」

唯「あ、見て!ふぅちゃんがいちごちゃんのグローブ装着してるよ!」

梓「・・・グローブだけでは上達しませんよ」

姫子「うん、練習が力になるんだから」

エリ「そうだそうだ!」

夏「嫌な予感が・・・」

風子「よぉし、・・・いざ」グッ

テッテッテ

風子「えいっ」シュッ

ガタン

冬「そんな・・・」

律「すぐ落ちたぞ」
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:58:42.89 ID:H+z4J3XCo

英子「自分を信じなかった罰かな・・・」

風子「・・・」サラサラサラ

紬「・・・」

律「帰ってこーい」

三花「呆然としてるけど・・・」

春子「ちかの番でしょ?」

ちか「う、うん・・・」

澪「大丈夫だ、こっちがリードしているんだから」

唯「そうだよ、のんびり行こう」

梓「そうです」

ちか「・・・うん」グッ

テッテッテ

ちか「・・・っ」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

姫子「みんな上手い・・・」

ガコーン!

梓「一本残りましたね」

澪「まだだっ」

ちか「倒れてっ!」

グラグラ

唯「ふーっ」

梓「届きませんよ」

夏「ブフッ」

ピンッ

ちか「あぁっ惜しい!」

エリ「根性あるよあの子!」

夏「『ふふ、俺は倒れないぜ』って言いましたよ!」

律「言ってねえ」

澪「言った」

唯「言ったね」

梓「言いましたね」

紬「・・・」コクリ

律「そっか、私にとってアウェイだったんだなここは」

冬「あはははっ」

律「ほほぅ、なにが可笑しいのかね」

冬「っ・・・いえ・・・。ピンが喋ったのを聞こえたって・・・ブフッ」

夏(ツボに入ったかな・・・珍しい)

律「なんだ、私は関係ないのか」
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:59:16.02 ID:H+z4J3XCo

冬「でも、律先輩だけ聞こえない・・・って・・・敵地だからっ・・・ふふっ」

律「笑うとこか?」

澪「さぁ・・・?」

夏「律先輩・・・私たちの仲間になりましょう。そうすればきっと・・・」

律「ピンの声が聞こえるんだな・・・って、うるさい!」

冬「っ・・・あはははっ!」

憂「あ・・・」

三花「なんだかツボに入ったみたいだね」

英子「うん」

澪「ふふっ」

唯「あははっ」

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・」

春子「立ち尽くしているあの子はどうするの?」

いちご「・・・冬」

冬「ふふっ・・・はいっ・・・?」

律「風子連れてきてくれ」

冬「は、はいっ・・・ふふっ」

テッテッテ

風子「・・・」ボケー

冬「風子先輩?」

風子「?」

冬「どうしたんですか?」

風子「グローブを手に入れた替わりに大切なものをなくしちゃった」

冬「それは・・・?」

風子「点数だよぉ」

冬「ブフッ」

風子「・・・」

冬「ご、ごめんなさい・・・っ」

風子「スペア取ればいいんだよね、頑張ろう」グッ

冬「そ、そうです」グッ

風子「ふふっ」

冬「?」

風子「むぎさん、これ持ってて」

紬「?」

風子「自分の力で倒してみせる!」

潮「おぉ、ライバルに挑む主人公みたい!」

冬「ふふっ」

姫子(よく笑うな・・・初めてみた)
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 18:59:45.80 ID:H+z4J3XCo

律「負けてるけど、気にすんなー」

憂「がんばって下さい!」

風子「・・・」グッ

テッテッテ

風子「それっ」シュッ

ゴロゴロゴロ

英子「少し逸れちゃったね」

カコーン!

三花「7本・・・。嫌な予感がしてきたなぁ・・・」

律「お、100点ちょうどだ」

風子「あ、本当だ・・・」

冬「おめでとうございます!」スッ

風子「ありがとう」ニコニコ

パァン

いちご「・・・おめでと」スッ

風子「うん」

パァン

ちか「スペアスペア」ブツブツ

澪「気負いすぎのような気がするけど・・・」

唯「私、信じてるからね」

梓「余計なプレッシャーかけないでください」

美冬「プレッシャーも楽しむタイプだから」

エリ「羨ましい・・・」

テッテッテ

ちか「スペアッ!」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

夏「スペアー!」

コーン!

ちか「やったぁ!」

律「おぉ、すげえスペアだ!」

梓「すごいですっ!」スッ

ちか「やったね!」

パァン

澪「やったな!」スッ

唯「信じてたよ!」スッ

ちか「ありがと!」

パンパァン
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:00:18.51 ID:H+z4J3XCo

憂「ここから挽回するのは難しいでしょうか」

いちご「・・・うん」

春子「向こうは姫子が待ち受けているからなー」ウーム

律「私がもっと倒していたらこんなことには」シクシク

いちご「・・・勝負に、たらればはない」

律「仰るとおりですな」フフ

冬「ブフッ」

紬「・・・?」

冬「律先輩の反応が変わりすぎてっ」プクク

律「そーか、そーか」ウシシ

澪「嬉しそうだな」

夏「・・・」

律「私の分も倒してね」キラキラ

英子「はーい」

冬「・・・っ」プクク

律「・・・」ニンマリ

澪「・・・」

英子「よいしょ」グッ

潮「倒せー!」

春子「なぎ倒せー!」

律「人は城、人は石垣、人は堀、情は味方、ピンはピンなり」

澪「出た・・・武田信玄」

冬「?」

夏「どうして武田信玄なんですか?」

唯「ほら」チラッ

姫子「あぁ・・・」

律「すなわち仇はピンなり!」ビシッ

潮「強引だ!」

夏冬「「 あっはっはは! 」」

紬「・・・」

英子「投げていいかな」

律「よきにはからえ」

英子「いざっ」グッ

律「出陣じゃー!」

冬「あははは!」

澪「うるさいっ!」バシッ

律「・・・はい」
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:00:51.02 ID:H+z4J3XCo

テッテッテ

英子「・・・っ」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

紬「・・・!」

梓「も、もしかして!」

ガコーン!

冬「やった・・・あ」

グラグラ

風子三花「「 倒れろー! 」」

英子「・・・」

紬「・・・」フー!

唯「そんな、まさか・・・。むぎちゃんの息で倒せるわけ」

コロン

律「倒した!」

英子「やった!」

いちご「・・・すごい」

梓「さすがです」

エリ「誰が?」

梓「ふ、二人がです」

紬「・・・!」スッ

英子「嬉しいね!」

パァン

風子「でこちゃんがこんなにはしゃぐなんて・・・」

春子潮「「 でこちゃん!? 」」

風子「あっ」

英子「はは、小学校以来だねふぅ」スッ

風子「ごめんね」

パァン

三花「でこちゃん・・・」ジー

冬「・・・」ジー

美冬「なるほど」ジー

澪「・・・」ジー

律「み、みるなぁ!」

夏「ブフッ」

冬「あははっ!」

律「いいけどさー」ルンルン

唯「りっちゃん楽しそうだね」

澪「調子に乗ってもウケているから、とっても嬉しいんだと思う」

梓「なるほど・・・」

紬「・・・」コクコク
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:01:32.23 ID:H+z4J3XCo

アカネ「姫子さん、誰を呼んだの?」

姫子「あ、もう最後になるんだ・・・。そろそろ来ると思うけど」

唯「姫ちゃんの番だよ〜」

姫子「うん」

夏「頑張ってください、姫ちゃ」

姫子「・・・」ビシッ

夏「いたっ」

姫子「5本以上は倒したいな・・・」グッ

梓「勝利は目前です!」

テッテッテ

姫子「・・・っ」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

夏「あ・・・しまった」

澪「ん?」

冬「今日キャッチボールしてないんじゃ・・・」

ガタン

姫子「・・・あ」

潮「予想外の展開・・・」

唯「ど、どういう事?」

夏「姫子先輩・・・肩を慣らさないとノーコンになるんです」

梓「え!?」

姫子「・・・失敗」

スタスタ

エリ「・・・」

美冬「・・・」

姫子「ん?・・・あ、ごめんね、ちか」

ちか「いいけど・・・そういうキャラなんだ・・・」

梓「・・・なんといいますか」

澪「ど、どんまい!」

姫子「さて、・・・どうしようか」

律「今から対策立てるのか!?」

春子「期待していただけに・・・」

いちご「・・・うん」

純「来ましたよ!」

姫子「あ・・・」

律「呼んでねえよ」

純「ひどい!・・・あ、良い勝負してるんですね・・・8回で100対110・・・団体戦ですか」

梓「どうしたの?」

純「ボウリングしに来たんですよ」
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:01:58.38 ID:H+z4J3XCo

憂「あ・・・和さん」

姫子「持ってきた?」

和「えぇ・・・でも、どうして?」

唯「和ちゃん?」

姫子「うちのチームの10人目だよ。ちょっとキャッチボールしてくる。夏行こう」

夏「え、は、はい!」

テッテッテ

唯「チームあずにゃんだよ」

憂「和さんだったんだね」

和「えぇ、姫子にボール持って来いって・・・いい勝負ね」

澪「純は投げるの?」

純「これ1ゲーム目ですよね・・・。これで終わりなんですか?2ゲーム目に参加しようと」

律「あぁ、なんだ純が10人目かと思った・・・」

梓「ですよね。そんな大役・・・」

純「・・・」ションボリ

冬「どんまいです!」

純「こら・・・、フォローになってないぞー!」

冬「あはは」

純「許さーんっ」ギリギリ

冬「いたたたっ、どんまいです!」

律(・・・壁が無くなったか?)

梓「あれ・・・、むぎせんぱいはどこですか?」

和「姫子達と外へ行ったわ」

唯「・・・どうしたんだろ」

澪「・・・」

春子「一時休戦だな」

エリ「お手洗い行ってくる」

英子「私も」

梓「・・・行ってきます」

唯「行ってらっしゃーい」

律「んー、気になるけど我慢するか」

澪「そうだな」

冬「?」

憂「梓ちゃんは紬さんの所へ行ったんだよ」

冬「・・・」

律「うちのチームは一番貢献した人が名前を決めてもらおう」

澪「終わって名前を決めるのか・・・」
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:02:32.41 ID:H+z4J3XCo


夏「なるほど、ゴムのボールですか」シュッ

シュー

姫子「うん」パシッ

紬「・・・」

姫子「どう?」シュッ

シュー

夏「どうって・・・おっと」パシッ

紬「・・・」

夏「なんですか?」シュッ

シュー

姫子「楽しめているかなと思って」パシッ

紬「・・・」

姫子「どう?」シュッ

シュー

夏「もちろん・・・っと」パシッ

紬「・・・」

夏「先輩のみなさん楽しい人ばかりですから」シュッ

シュー

姫子「そっか・・・よかった」パシッ

紬「・・・」

姫子「・・・」シュッ

シュー

夏「・・・よっと」パシッ

紬「・・・」

夏「冬がいるのは偶然ですか?」シュッ

シュー

姫子「うん」パシッ

紬「・・・」

姫子「どうしてそんなことを聞くの?」シュッ

シュー

夏「・・・最近よく構ってくれるからです」パシッ

紬「・・・」ニコニコ

梓「?」

夏「夏前はあまり話をしなかったじゃないですか」シュッ

シュー

姫子「あぁ・・・そういやそうだね」パシッ

紬「・・・」
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:03:03.29 ID:H+z4J3XCo

梓「・・・」

姫子「私も、貰ったものを誰かに渡したいのかも」シュッ

シュー

夏「貰ったもの・・・」パシッ

紬「・・・」トントントン

梓「・・・」

夏「?」シュッ

シュー

姫子「なんて言ったの?」パシッ

梓「なにを貰ったの・・・と」

紬「・・・」コクリ

姫子「言葉にできないな・・・」シュッ

シュー

夏「・・・そうですか」パシッ

姫子「でも、大切なものだと言える」

紬「・・・」

梓「・・・」

夏「もうコントロール直りましたから・・・戻りましょう」

姫子「うん」

夏「最後に一つだけ」

姫子「なに?」

夏「私と冬の事は・・・おせっかいですよ」

姫子「!」

紬「・・・」

梓「ちょっと夏!」

クイッ

紬「・・・」

梓「・・・」ムスッ

夏「・・・」

姫子「踏み込まれるの嫌だったんだ・・・」

夏「・・・はい」

姫子「・・・そっか」

梓「・・・どうして?」

夏「・・・」ムッ

梓「どうしてそんな事が言えるのか分からないけど」

夏「家族の事だから!先輩のおせっかいで踏み込んでいい場所じゃない!」

姫子「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:04:20.56 ID:H+z4J3XCo

夏「・・・っ」

姫子「そっか・・・」

夏「あ・・・・・・ご、ごめ」

紬「・・・」チョンチョン

夏「え・・・?」

ギュ

紬「・・・」スラスラ

夏(わ・・・た・・・し・・・た・・・ち・・・は)

紬「・・・」スラスラ

夏(で・・・あ・・・え・・・た・・・か・・・ら・・・)

紬「・・・」スラスラ

夏(と・・・も・・・だ・・・ち・・・な・・・ら・・・い・・・い・・・)

紬「・・・?」

夏「聞いているんですか?」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・」

姫子「先輩ならダメって事は・・・友達ならいいんだ?」

夏「!」

姫子「引退したから、先輩兼友達って事で」

夏「それって・・・踏み込むって宣言しているようなものですよ」

姫子「その解釈で間違ってないよ」

夏「・・・」

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・」

姫子「どう?」

夏「どう・・・って、断れ・・・ません・・・よ・・・」

姫子「・・・じゃ、戻ろう。勝負を終わらせよう」

スタスタ

夏「・・・いっつも、姫子先輩のボールは取りにくいんですよ!」

姫子「それでも取ってくれるじゃん」

夏「それは・・・楽しいですから!」

タッタッタ

紬「・・・」

梓「夏の掌になんと・・・?」

ギュ

紬「・・・」スラスラ

梓「そうですか・・・、行きましょう」

紬「・・・」ニコニコ

梓「同じ事想っていたんですね・・・」
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:04:55.90 ID:H+z4J3XCo

律「・・・」ソワソワ

紬「・・・?」

姫子「どうして律はソワソワしてるの?」

澪「冬が笑わなくなったんだ・・・自信喪失してる」ヒソヒソ

唯「道化師だよ、りっちゃん」

憂「お姉ちゃん」

唯「・・・はい」

冬「律先輩どうしたんですか・・・?」

春子「さ、さぁ・・・?」

潮「律・・・漫才してみよう」

律「マジか・・・ネタは?」

潮「アドリブでいい?」

律「了解」

純「私も入りましょうか?」

律「うーん・・・」

潮「当たって砕けよう」

純「そうです」

律「いや、純のボケは掴みづらくてな・・・」

純「あ・・・地味に傷つきました・・・」

夏「ブフッ」

和「始まってるの?」

律「打ち合わせを聞くなよ」

潮「さぁ、始まっていました。少しの時間勝負を忘れて漫才をお聞きください」

紬「・・・」キラキラ

いちご「・・・恥ずかしくないのかな」

風子「別のプライドを賭けているんだよ・・・きっと」

美冬「へぇ・・・面白い」

エリ「見届けるよ」

冬「名前はなんですか?」

律「う・・・逆にイジられた・・・」

潮「律、純、潮で・・・」

純「三人組です」

律「見て分かる情報は要らねえ!」

唯「うんうん」

律「納得するなぁ!名前じゃないからな!」

憂「正式名称は?」

澪「攻める攻める」

律「ガ、ガールズトリオです・・・」

潮「もうすっかり秋ですね」
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:05:36.87 ID:H+z4J3XCo

純「食欲の秋ですね」

夏「流されてるっ」プクク

冬「ふふっ」

梓「笑ってますよ?」

英子「・・・うん」

姫子「夏がいるから・・・?楽しくなるのかな・・・」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・」

純「そちらの方の好きな食べ物はなんですか?」

ちか「えぇと・・・、肉です」

潮「はい・・・旬の食べ物を期待したのですが・・・」

律「観客にボケられるとキツイな・・・」

純「豚肉はヘルシーですよね」

律「食いつくな!」

唯「肉だけにね!」キラン

和「言うと思ったわ・・・」

夏冬「「 あっはっは! 」」

風子「笑う所が一緒なんだね」

三花「さすが双子だね」

梓「ここボウリング場ですよ?」

澪「なにをやっているんだろうな・・・私たち」

姫子「キャッチボールもしたし・・・あ」

和「今のうちに投げましょうか」

唯「ダメだよ!スペア取ったらどうするの!?」

姫子「え・・・?」

唯「ハイタッチできないんだよ!?」

和「そ、そうね・・・」

姫子「わ、分かった・・・」

潮「そういえば律さんは旅に出ていたとか」

律「はい、北海道から鹿児島まで縦断の旅へ」

純「沖縄は無視ですか・・・」

律「線路が鹿児島で途切れていたんですね」

潮「奄美大島は・・・」

律「線路が沖縄で!えぇい、うるさい!」

澪「うるさい」

律「えぇー・・・外からツッコまれた・・・」

ちか「あははっ!」

冬「あはははっ」

夏「・・・っ」プクク
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:06:34.48 ID:H+z4J3XCo

潮「あなたにとって旅とは?」

律「・・・」

夏「旅・・・?」

冬「・・・」

姫子「・・・」

澪(りつは・・・、ボケない)

律「宝だな!」ニカッ

紬「・・・」

唯「・・・うん」

梓「はい」

潮「あれ・・・?」

憂「そうですね」

純「ですね」



和「勝負の続きしましょ」

エリ「う、うん・・・」

アカネ「・・・」

三花「あぁ、私が最後だ!」

春子「大丈夫だって、英子がストライク出してんだしさ」

三花「反映されるでしょー」

いちご「・・・うん」

三花「責任重大ー!」

冬「どんまいです!」

三花「まだ投げてないよ!?」

冬「間違えました。ファイトです!」

三花「うん・・・」

夏「・・・っ」プクク

姫子「夏」シュッ

夏「え・・・よっ」パシッ

梓「よく取れたね」

夏「びっくりしたけど・・・あれくらいなら取れる。というか、コントロール不安なんですけど」

姫子「・・・」グッ

冬「ファイトです!姫ちゃ、子先輩!」

唯「姫ちゃ子先輩・・・?」

紬「・・・」コクコク

テッテッテ

姫子「・・・っ」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

夏「あ・・・!」
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:07:13.06 ID:H+z4J3XCo

梓「いい感じです!」

ガコーン!

姫子「・・・」フゥ

律「おぉー!!」

冬「スペア!」

澪「凄いな・・・」

和「・・・」

紬「・・・!」スッ

姫子「ありがと、むぎ」

パァン

紬「?」

夏「やりましたね姫ちゃ」

姫子「・・・」ビシッ

夏「ど、どうして」

姫子「私は夏の先輩だから」

夏「ひどーい」

姫子「ふふっ」スッ

夏「へへっ」スッ

パァン

冬「すごいです!」スッ

律「やるなー!」スッ

姫子「ありがと」

パンパァン

三花「どうして私がトリなの!?」

純「豚肉より鳥ですか・・・」

三花「うるさいよっ」

純「ごめんなさい・・・」ションボリ

三花「ふーっ!」

梓「なんだかネコみたいですね」

エリ「あらら・・・」

アカネ「集中力が切れたね・・・これの出番」

風子「飴?」

アカネ「ほら」

三花「・・・!」パクッ

エリ「さぁ頑張れー!」

三花「よぉし」コロコロ

律「え・・・なにそれ?」

アカネ「プラシーボ効果みたいなもの・・・」

澪「そんな特技があったのか・・・」

和「特技とはいえないわね」
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:07:43.25 ID:H+z4J3XCo

三花「・・・」グッ

潮「スットライク!」

テッテッテ

三花「行けっ!」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

英子「行ける!」

ガコーン!

三花「やった!8本!」

冬「おぉー」パチパチ

律「よーしよし、いい感じだ」

和「久しぶりだけど大丈夫かしら」グッ

姫子「一緒にボウリングに来たのはいつ?」

唯「無いよ?」

澪「そ、そうなのか・・・」

テッテッテ

和「・・・」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

梓「見事に逸れていきますね」

コーン!

和「・・・ふぅ」

夏「1本・・・」

純「秘密兵器投入しますか?」

唯「和ちゃんに託すよ」キリ

純「・・・はい」ションボリ

三花「・・・あと2本」グッ

エリ「集中してるね」

アカネ「うん」

テッテッテ

三花「・・・」シュッ

ゴロゴロゴロゴロ

いちご「・・・取った」

カコーン!

三花「やったー!!」

春子「おぉ!」スッ

律「すっげえ!」スッ

憂「やりましたね!」スッ

潮「やったぁ!」スッ

純「すごいです!」スッ
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:08:17.39 ID:H+z4J3XCo

三花「やった!ありがとう!!」

パン パン パン パン パァン

英子「すごい!」スッ

紬「・・・!」スッ

三花「やったぁ」フルフル

パンッ パァン

冬「・・・すごぉい」ボーゼン


和「・・・」

澪「・・・」

唯「・・・」

梓「・・・」

姫子「・・・」

美冬「・・・うーん」

夏「これは・・・面白い展開ですよ!」

エリ「・・・」

アカネ「えぇと・・・うちの点数は・・・」

和「・・・」

唯「和ちゃん」

和「なに?」

唯「学園祭みんなで頑張ろうね」

和「・・・」

姫子(どうして今・・・?)

梓「?」

夏「?」

和「そうね。これで終わりなんて寂しいわね」

唯「うん・・・。この先になにがあるのか知りたいよ」

澪「・・・そうだな」

夏「???」

梓「・・・ですね」

ちか「ど、どういう事?」

和「途中下車で答えを見つける事は難しいわ」

スタスタ

エリ「・・・」

アカネ「和さんがスペアを取って並ぶんだ・・・」

姫子「和が言っている事の意味が分からないんだけど・・・」

梓「夏の旅で出会った人がいて、答えを見つけられないまま途中下車しそうだったんです」

夏「・・・」
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:08:48.30 ID:H+z4J3XCo

姫子「・・・」

梓「でも、むぎせんぱいが手を引っ張って・・・。まだ答えは見つかっていないと
  答えを見つける事ができれば、途中下車・・・旅を中断する事にはならないと教えてくれたんです」

姫子「その先を・・・?」

梓「はい、見つけることがきました。乗り続けたからです」

ちか「・・・ボウリングとなんの関係が?」

唯「和ちゃんが燃えると思ったんだよ!」フンス!

エリ「あのクールな和さんが?」

澪「ふふっ・・・DVDでも言っていたな」

唯「クールでホットなテンションはいつもハイだよっ!」

エリアカネちか「「「 分からない・・・ 」」」

姫子「DVDねぇ・・・」

澪「」ギクッ

テッテッテ

和「・・・っ」シュッ

ゴロゴロ

和「・・・ふぅ」クルッ

スタスタ

いちご「!」

潮「このパターンはもしかして!?」

春子「いちごの時と同じ!」

冬「スペアですスペアです!!」

律「テンション上がりすぎだっ」

和「・・・後は」

ガコーン!

和「任せるわ」ストッ

姫子「・・・座ると同時に・・・全部倒れた・・・・・・」

夏「はぁー・・・」

唯「やったね、和ちゃん」スッ

和「唯が焚き付けたからね」

パァン

紬「・・・!」

律「やるなっ!」

風子「和さんすごーい!」

英子「かっこよかった」

和「そこまでじゃないわよ」

潮「和がはしゃぐ所みたかったなぁ」

夏冬「「 クールな人なんですねぇ・・・ 」」

唯「はもった!」

澪「初めてだな」
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:09:25.59 ID:H+z4J3XCo

冬「あ・・・」

夏「・・・」

姫子「どうして燃えたの?」

和「こうやって遊ぶのは数えられるだけになるわ・・・」

姫子「あぁ、そっか・・・そうだね・・・」



律「よーし、最後は私が」

春子「作戦会議だ、全員集れー」

紬「・・・」コクコク

冬「まだ終わっていないんですか?」

いちご「・・・10フレーム目はストライク、スペアが出た時3投目が追加される」

冬「おまけですね」

いちご「・・・ちょっと違う」

三花「ストライク取った人が投げる?」

憂「冬ちゃん、いちごさん、英子さんの三人ですね」

春子「それが定石だけど」

潮「このスコアすごいなぁ・・・」

紬「・・・」コクリ

憂「130対131・・・」

風子「ここまで来たら負けたくないよね」

英子「うん。和さんが盛り上げてくれたし、最後は勝ちたいよね」

紬「・・・」チョンチョン

律「あぁ・・・大丈夫。スルーされても・・・大丈夫」

いちご「・・・最後は誰が投げる?」

純「・・・」




アカネ「誰が投げる?」

エリ「うちのチームがストライク出したのアカネだけなんだね」

梓「スペアが多いですからそれで補っていたんですね」

唯「あっちは誰が投げるんだろ?」

和「むぎ、かしら?」

夏「梓・・・頼んだよ」ポン

梓「いやっ!」

澪「拒否するのはやいなぁ」

ちか「らちがあかないなぁ」

純「・・・決まったようです」

澪「どうだった?」

純「それがですね・・・」ヒソヒソ
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:09:57.78 ID:H+z4J3XCo

和「スパイね・・・」

美冬「いいのかな・・・」

澪「そうか・・・姫子ちょっといい?」

姫子「・・・?」

澪「・・・」ヒソヒソ

姫子「・・・分かった」

唯「誰が投げるの〜?」

姫子「梓ちゃん、嫌なんだよね?」

梓「?・・・相手がむぎせんぱいなら・・・嫌です」

純「きっぱりと」

姫子「じゃあ夏で」

夏「よぉーし!」

澪「やる気だ」

アカネ「頑張ってね!」

エリ「ファイトォー!」

夏「最後に全部倒して拍手・・・喝采を・・・って・・・・・・」



紬「・・・」コクリ

冬「は、はい・・・」ガタガタ

律「震えているけど大丈夫か?」

冬「む、むし・・・はいっ」ガタガタ

潮「え?」

風子「虫がどうしたの?」

英子「武者震い?」

冬「はい・・・っ・・・」ガタガタ

いちご「・・・大丈夫」

憂「楽しんでくれればそれでいいんだよ?」

冬「う、うんっ」ガタガタ

春子「だめだこりゃ」

三花「かわいいなぁ」ホノボノ

紬「・・・」

ギュ

冬「?」

紬「・・・」スラスラ

冬「全・・・部・・・た・・・お・・・し・・・た・・・ら・・・ケ・・・−キ・・・?」

律「ティータイムご招待?」

紬「・・・」フンス!

風子「あ、私も参加する!」

英子「・・・」

冬「ふふっ」
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:10:49.42 ID:H+z4J3XCo

夏「・・・冬じゃないですか」

姫子「むぎが投げるなんて言ってないよ」

夏「・・・謀りましたね」

姫子「夏と冬が投げる事に問題があるの?」

夏「・・・私が避けているの知っているくせに」

梓「・・・」ムッ

姫子「踏み込むって宣言したじゃん」

夏「・・・」

姫子「勝ちたいから、頑張ってね」

夏「・・・」

律「決まったかー?」

姫子「うん」

律「夏が投げんのか・・・」

夏「・・・はい」

冬「・・・」

律「あ!」ピコン

澪「どうした?」

律「同時に投げようぜ!」

夏「!」

唯「いいね!」

紬「・・・」コクリ

憂「結果が同時に分かりますからね」

律「じゃ、スタンバーイ!」

澪「部活じゃないんだぞ」



和「スパルタね」

姫子「時間が無いからね」

和「どういう事?」

姫子「学園祭までには修復してほしい・・・
   それからは、私・・・私たちと接する機会がなくなるから」

和「・・・そうね」

姫子「時間が解決してくれるのかもしれないけど、みんなと今を残したい・・・」

和「えぇ」
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:11:15.85 ID:H+z4J3XCo

律「位置について!」

澪「短距離走じゃないんだぞ」

冬「・・・」グッ

夏「・・・」グッ

紬「・・・」パンッ

冬「・・・」

フラフラ

夏「・・・」

スタスタ


唯「おぉ・・・鏡を見ているようだよ」

憂「シンクロしてるね」


夏「・・・っ」シュッ

冬「・・・っ」ポイ

ドスン

ゴロゴロゴロゴロ


純「両方いい感じ!」

梓「・・・」


ガコーン

夏「・・・っ!」

グラグラ

エリ「9本倒した!」

アカネ「もう一本倒れそう!」

唯「みんなで息を吹きかければなんとか」

梓「ならないですよ」



ガコン

冬「・・・っ!」

ガラガラガラ

紬「・・・!」

律「倒れろ!全部倒れろ!!」

風子「倒れて!」

英子「・・・」

ガラガラ

いちご「・・・あ」

冬「倒れた!」

626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:12:16.36 ID:H+z4J3XCo


夏「倒れなかった・・・」

唯「惜しい〜!!」

澪「惜しかったな」

梓「・・・」

和「点数は?」

姫子「140対140で引き分け」

ちか「あれが倒れたら勝ちだったのにぃー!」

唯「勝負にたらばがにはないんだよ」キリリ

梓「たらればですよ」

唯「鱈レバー?」

梓「もういいです」

美冬「食べ物ばっかり・・・」

エリ「引き分けかぁ〜」

アカネ「スッキリしないね」

夏「・・・勝てない」

姫子「チーム戦していたんだから」

夏「あの光景を見てもですか・・・?」



紬「・・・」スッ

冬「やりましたー!」

パァン

律「すっげえ!才能あるんじゃねえのか!?」スッ

冬「無いですよ〜!」

パァン

憂「初めてなのに、この記録はすごいよ〜」スッ

冬「ありがとう〜!」

パァン

風子「・・・」ナデナデ

冬「あれ、ハイタッチ・・・」

英子「偉い偉い」ナデナデ

冬「あの・・・っ・・・」

春子「偉い偉い!」バシバシッ

冬「いっ・・・った・・・!」

風子「叩くの禁止!」

春子「あ、ごめんごめん」ナデナデ

冬「あ・・・あのぉ・・・」

潮「まぁまぁ」
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:12:44.48 ID:H+z4J3XCo

いちご「・・・すごい」

三花「うんうん」ナデナデ

冬「ぅ・・・」

紬「・・・」ニコニコ



姫子「・・・」

夏「私は・・・冬に・・・勝てない・・・」

梓「勝つ意味ってなに?」

澪「あ、梓・・・」

夏「別にぃ・・・」

梓「・・・」

純(誰かさんに似てるなぁ・・・)

姫子「今ケンカしたらダメ」

夏「しませんよ」

梓「・・・」

和「・・・」

紬「?」

律「どしたー?」

澪「なんでもないよ」

春子「引き分けで終わりは面白くないよな!」

紬「・・・」コクコク

律「だな!」

エリ「なになに?」

風子「白黒つけようって話」

英子「もう1ゲームするには時間がないよね」

律「うわっ、もうこんな時間かよ!」

三花「外暗くなってきたね」

いちご「・・・どうするの?」

和「とりあえず、片付けしましょ」

美冬「支払いを賭けて勝負しているんだけど・・・」

和「そう・・・。どうして美冬だけ私服なの?」

美冬「一度帰って来たから」

和「そうなんだ、じゃあ私お手洗い行くね」

スタスタ

美冬「・・・どうでもいいのかな」
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:13:42.13 ID:H+z4J3XCo

冬「・・・ふぅ」

憂「疲れちゃった?」

冬「え・・・うん。ちょっとだけ」

憂「私も座っちゃおう」ストッ

冬「・・・」ボケー

憂「大丈夫?」

冬「うん・・・」

憂「・・・」

冬「はしゃぎ過ぎちゃったみたい・・・」

憂「そっかぁ」ニコニコ

冬「昨日の夜会っただけなのに・・・」

憂「?」

冬「話をしてそんなに時間経っていないのに・・・一緒にいてくれるんだね・・・」

憂「時間なんて関係ないと思う」

冬「・・・」

憂「出会って1分の人とでも友達になれるよ」

冬「・・・そうなの?」

憂「うん。私はそれをお姉ちゃんと一緒に見てきたから」

冬「・・・?」

憂「夏に旅をしたんだよ」

冬「・・・」

憂「・・・」

冬「・・・いいなぁ。羨ましいです」

憂「あ・・・」

冬「気にしないでください・・・。私はこれから旅を始めればいいんですから」

憂「・・・うん」

冬「その為にも体力をつけなきゃいけませんよね」

憂(敬語に・・・戻っちゃった・・・)



澪「りつ」

律「ん?」

澪「じゃんけん」

律「ほい」

チョキ

グー

澪「負けたか・・・」

律「へっへー、澪の出すパターンは読めているんだぜ」

澪「・・・」
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:14:12.48 ID:H+z4J3XCo

姫子「負けたの?」

澪「うん、ごめん」

律「え?」

唯「あずにゃんチームの敗北です」

エリ「しょうがないね〜」

美冬「いい勝負だったから悔しさはあまりないよね」

梓「ですね」

夏「・・・」

和「あら、決着ついたのね」

律「あぶねえ・・・。なにも知らずに負けを通告されたらたまったもんじゃないぞ」

澪「ごめんな」

律「いいですけどもー」

いちご「・・・帰ろう」

風子「1ゲームしかしていないのに、結構楽しんだね」

英子「そうだね、だけどもう少し投げたかったかも」

春子「また来ればいいよ」

三花「賛成ー!」

純「・・・私投げていないんですけど・・・、何しに来たんでしょうか」

律「わ、分からん」

紬「・・・」キョロキョロ

梓「どうしたんですか?」

紬「・・・」

梓「・・・あ、憂と冬がいませんね」



憂「冬ちゃん」ユッサユッサ

冬「」スヤスヤ

憂「起きて〜」ユッサユッサ

冬「」スヤスヤ

憂「どうしよう・・・」

冬「」スヤスヤ

紬「・・・」ニコニコ

姫子「また眠ってしまったんだ・・・」

風子「あらまぁ〜」

英子「昼にも寝たのに・・・」

夏「・・・しょうがないな、うちの姉は」

梓(そんなに嫌って風でもない・・・)

唯「しょうがないよね〜」

姫子「憂ちゃん、乗せてくれる?」

憂「は、はい」
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:14:59.00 ID:H+z4J3XCo

澪「寝ちゃったのか」

律「今日も送るのか?」

姫子「よいしょっと・・・。うん」

冬「」スヤスヤ

夏「すいません・・・昨日に続いて・・・」

姫子「いいけど・・・。1人ではちょっとね・・・」

紬「・・・」ズバッ

梓「?」

唯「むぎちゃんが行くの?」

紬「・・・」コクリ

姫子「・・・ありがと」



美冬「今日はこれで解散?」

ちか「え、うん」

美冬「そうだよね・・・。陽が沈んだし・・・」

ちか「物足りないとか?」

美冬「ちょっとね」

エリ「・・・アカネ」

アカネ「?」

エリ「明日、学校終わったらさ・・・あの駄菓子屋行ってみない?」

紬「!」

アカネ「あの小田おばぁちゃんの?」

エリ「うん」

律「小田おばぁちゃん?」

三花「夏前までよく行っていたお店でね、そのおばぁちゃんが店番してるの」

澪「へぇ・・・」

紬「・・・」チョンチョン

律「ん?」

紬「・・・」クルクル

律「あぁ、あの店かもしれないな」

エリ「?」

律「私とむぎで入った駄菓子屋かもしれないんだ」

姫子「そろそろ出発したいんだけど・・・」

冬「」スヤスヤ

夏「・・・」

紬「・・・!」
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:15:25.73 ID:H+z4J3XCo

和「みんな気をつけて帰ってね」

いちご「・・・うん」

春子「大丈夫だって、じゃあな」

潮「ばいばーい」

風子「誘ってくれてありがとね」

梓「約束していましたから」

英子「約束・・・」

風子「じゃ、明日ね」フリフリ

英子「みんな、おやすみ」

憂「おやすみなさい」

唯「おやすみ〜」フリフリ

エリ「バイバーイ!」

アカネ「じゃあね」

三花「バイバイ」

澪「梓・・・?」

律「風子たちと帰らないのか?」

梓「う・・・」

純「ほら帰るよー」

梓「先輩方・・・明日です・・・」

澪「うん、明日な」

律「気をつけて帰れよー」

唯「おやすみあずにゃん」

憂「おやすみ」

純「おやすみなさーい」

梓「失礼します」ペコリ

紬「・・・」フリフリ

美冬「帰ろうか」

ちか「うん」
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:16:12.31 ID:H+z4J3XCo

夏「大丈夫ですか?腕痺れたりとか・・・」

姫子「大丈夫。冬軽いから」

冬「」スヤスヤ

律「気持ち良さそうに眠るな」

澪「あぁ・・・」

紬「・・・」ツンツン

姫子「?」

紬「・・・」キリ

姫子「???」

唯「冬ちゃんをおんぶしたいって事じゃないかな」

紬「・・・」コクリ

姫子「そう?・・・それじゃお願いね」

冬「」スヤスヤ

和「起きないわね」

紬「・・・」フンス!

夏「・・・」

憂「・・・」

和「それじゃ私たちはここで」

唯「みんなおやすみ〜」

憂「おやすみなさい」

律「気をつけてな、むぎ」

紬「・・・」コクリ

澪「姫子と夏・・・それから冬も、おやすみ」

夏「おやすみなさい・・・」

姫子「明日ね」

冬「」スヤスヤ
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:17:17.56 ID:H+z4J3XCo


憂「お姉ちゃん・・・」

唯「なに〜?」

憂「冬ちゃんと話をしていたんだけどね・・・」

和「?」

憂「旅の話をしたら敬語に戻っちゃった・・・」

唯「そっか・・・」

憂「せっかく馴染めたのに・・・」

澪「・・・リセットしてしまったのかもな」

律「リセット?」

澪「徐々にほぐれた気持ちが、何かを思い出して固まってしまった・・・とかな」

律「・・・」

憂「旅の話がそうなんでしょうか・・・」

和「旅と繋がった何か、かもしれないわ」

唯「そだよ。だからういが気に病むことはないよ」

憂「・・・」

澪「どうしてむぎが冬を送るなんて言い出したんだろう」

和「そうね・・・。気になっていたわ」

律「気まぐれ・・・とか?」

唯「優しいからだよ」

憂「!」

律「あー・・・余計な事考えて単純な答えが見えてなかった・・・」

和「そうね、答えは意外と単純だったりするのよね」

澪「・・・うん」

唯「お腹空いたよ・・・鱈・・・レバー・・・」

憂「あ!」

律「ど、どうした?」

憂「買い物袋・・・コインロッカーに入れたまま・・・」

澪「戻ろうか」

憂「冬ちゃんの分も・・・あるんです・・・」

律「急いで戻ろうか」

和「・・・」ピッピッピ

trrrrr

634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:54:53.02 ID:WnJrLinwo
ようやく追いついた
頑張れ
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 17:44:07.04 ID:asBjgm+ko
暗めの話だけど後輩組とクラスメートが仲良くしてるの見るとなごむ
636 :がんばります [sage]:2011/09/06(火) 18:26:52.62 ID:51PuW/tjo

―――――斉藤邸


夏「どうぞ、上がってください」

姫子「お邪魔します」

「まぁまぁ、また寝ちゃったのね」

紬「・・・」ペコリ

冬「」スヤスヤ

「しょうがない子ね・・・。あら今日は新しい方が送ってくださったのね」

紬「・・・」コクリ

「・・・もしかして、あなたが琴吹紬さん?」

紬「?」

「あ、ごめんなさい。突然でビックリさせてしまいましたね。
 あなたのことは二人から聞いています」ペコリ

夏「ちょっと母さん、玄関で立ち話させないでよ・・・
  紬先輩は冬を背負っているんだからさ」

母「あらあら、私ってば」

紬「!」

姫子「冬に似てるよね」ヒソヒソ

紬「・・・」コクコク

夏「冬の部屋はこっちです」

紬「?」

母「手間をかけさせてしまって申し訳ないわ」

夏「だったらおもてなしくらいしてよ」

母「そうね!さっき買ってきた梨があるのよ!」

テッテッテ

夏「ちょっ、それ冬の・・・って母さん!」

テッテッテ

紬「・・・」ポツーン

冬「」スヤスヤ

姫子「こっちだよ・・・」

pipipipipi

姫子「・・・和?」

紬「・・・」

ピッ

姫子「はい」

『冬が忘れ物したから渡したいのだけど、どこにいるの?』

姫子「もうお家に着いちゃったよ・・・。ここだよむぎ」

ガチャ

紬「・・・」

冬「」スヤスヤ
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:27:26.31 ID:51PuW/tjo

姫子「今どこ?」

『今は・・・』

紬「・・・」ソォー

冬「」スヤスヤ

夏「ありがとうございます、紬先輩」

紬「・・・」コクリ

夏「リビングに来てください、大したお礼できませんけど・・・」

紬「・・・」

姫子「・・・じゃあね」

プツッ

姫子「ありがとう、むぎ」

夏「姫子先輩もどうぞ」

スタスタ

紬「・・・」

姫子「昨日私もちょっと悲しくなった」

紬「・・・」コクリ

姫子「夏は冬の部屋に入ろうとしないんだよね・・・」

紬「・・・」

638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:29:16.44 ID:51PuW/tjo

母「どうぞ座って〜」

紬「・・・」

姫子「それじゃお言葉に甘えて」

夏「すいません、私お風呂入ってきます」

母「まぁ!先輩が来ているのにこの子ったら!」

姫子「いいですよ。部活でかいた汗を流したいでしょうから」

夏「ほんとうにごめんなさい!」

テッテッテ

母「あの子を甘やかしてはダメですよ!」

姫子「はは・・・」

紬「・・・」ニコニコ

母「さ、どうぞ。こんなものしかお出しできませんが・・・」

姫子「いえ、お構いなく・・・」

紬「・・・」ペコリ

母「昨日に続いて申し訳ありません」

姫子「いえ、やりたくてやっただけですから」

母「まぁ、立派なお心で」

姫子「はぁ・・・」

紬「・・・」コクコク

母「お若いんですから、もっと図々しいくらいがいいのよ?」

紬「・・・」

姫子(和・・・早く来てくれないかなぁ・・・)

母「あの子が外で眠るなんて珍しいわ」

姫子「余程疲れていたんでしょうね・・・」

紬「・・・」

母「それもあるんでしょうが・・・、知らない人の前では眠れないものです」

姫子「・・・そうですね」

紬「・・・」トントントントン

母「?」

姫子「な・・・つ・・・?」

紬「・・・」コクリ

姫子「あ・・・夏がいるから安心している・・・と?」

紬「・・・」キリ

母「・・・」

姫子「・・・」

紬「・・・」

母「・・・」
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:30:07.32 ID:51PuW/tjo

姫子「違いますか・・・?」

母「え?あ、あぁ、そうね。そうかもしれないわね」

姫子(動揺してる・・・?)

紬「・・・?」

母「姫子さんは部活で一緒させてもらっていますが・・・紬さんは、あの子たちとは
  昨日の夜からで、合っていますか?」

紬「・・・」コクリ

母「・・・」

姫子「?」

母「お二人にはお話しておいたほうがいいのかもしれませんね」

紬「?」

姫子「・・・」

母「冬と夏は不仲という訳ではないのですが、冬が入院していた時に」

ピンポーン

母「あら、お父さんかしら?」

姫子「多分、和・・・同級生が冬の忘れ物を届けに来たのだと思います」

母「あらあら、迷惑をかけっぱなしね冬は」

パタパタ

ガチャ

母「はい」

『こんばんはー!幸せを届けに参りましたー!』

『遊ぶなっ』

母「まぁ」

『幸せはあなたのそばに!蕎麦屋さんです!』

『お、お姉ちゃん!』

母「はーい、少しお待ちくださいね〜」

ガチャ

母「うふふ」

パタパタ

姫子「律と唯・・・」ハァ

紬「・・・」トントン

姫子「?」

紬「・・・」

ギュ

紬「・・・」スラスラ

姫子「うん・・・。聞かないと帰れないね・・・」
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:31:20.27 ID:51PuW/tjo

紬「・・・」スッ

姫子「私も一番最初に気付いたよあの写真」

紬「・・・」

姫子「家族4人とも楽しそうに笑っているよね・・・」

紬「・・・」コクリ

姫子「仲が悪いとは思っていないけど、その逆のような気がするんだよね・・・」

紬「・・・」スラスラ

姫子「むぎもそう思ったんだ・・・」

紬「・・・」コクリ

唯「お邪魔しまーす」

律「なんで和が謝るんだよー」

澪「二人が遊ぶからだろっ」

憂「もぅ・・・」

和「本当に・・・申し訳ありません・・・」

母「面白かったわよ」

律「よっしゃ!」

唯「蕎麦とどっちがですか!?」

母「うーん・・・インパクトが大きかったから律さんかしら」

律「分かる人には分かるんだよ」

澪「・・・」

姫子「馴染んでる・・・」

紬「・・・」ニコニコ

憂「夏ちゃんはいないんですか?」

紬「・・・」トントントン

憂「そうですか」

律「乙女だもんなぁ〜」

澪「律とは大違いだな」

和「そうね、女性はお風呂が好きと相場が決まっているわ」

律「な・・・」

姫子「クスクス」

母「どうして机をトントン叩いただけで伝わるの?」

唯「よくぞ聞いてくれました。りっちゃん!」

律「はいよー!」

ペラッ

母「紙にかいた鍵盤・・・よね?」
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:32:45.20 ID:51PuW/tjo

紬「・・・」トントントン

澪「写真?」

紬「・・・」コクリ

母「?」

紬「・・・」スッ

母「あれは・・・、二人が小さい頃に撮った写真です・・・。場所は北海道のどこだったかしら」

唯「かわいい〜」

憂「ほんとだ〜」

紬「・・・」

母「その鍵盤で会話しているのですね」

和「はい、そうです」

母「・・・」

紬「・・・」ツンツン

姫子「うん・・・。すいませんが、話の続きを聞かせてくれませんか・・・?」

唯「ん?」

律「なんだ?話の続きって」

澪「そ、それじゃ、私たちはこれで」

和「失礼します」

憂「それでは」

母「・・・」

唯「帰るの?」

律「むぎたちは・・・?」

紬「・・・」

姫子「えぇと・・・」

澪「察しろ」ヒソヒソ

律「あ、はいはい。失礼しました」

母「・・・よければ唯さん達も聞いていってください」

唯「?」

母「部屋を移動しましょう」
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:33:34.15 ID:51PuW/tjo

律「和!だな!」

澪「頼むからしずかにしてくれ」

唯「おしとやかにしなくちゃいけないよ、りっちゃん」シンナリ

憂「・・・」

母「すいません、おもてなしもできなくて・・・」

和「いえ、押しかけたようなものですから。お気になさらないでください」

紬「・・・」コクリ

姫子「・・・」

律「広いなーこの部屋」

唯「みんなで書道が出来るよね!」

母「・・・」

澪「こ、こら」

律「あ、すいません」

唯「ごめんなさい」

母「いえ・・・。姫子さん、今日は・・・?」

姫子「ボウリングで遊びました」

母「まぁ・・・」

唯「冬ちゃん大活躍だったよ」

律「あれは凄かったな」

紬「・・・」コクコク

母「そうですか・・・、みなさんと楽しそうに遊べたのですね・・・」

憂(お母さんの表情だぁ・・・)

和「冬さんの入院期間はどのくらいになりますか・・・?」

姫子(のどか・・・)

母「小学校の時に三度、高校受験終わってから高一の秋までです」

唯「そんなに・・・」

母「冬は生まれつき体が弱くて・・・そのせいですぐ寝込んでしまうんです・・・
  それでも、最近は体力もついてきてみなさんと遊べるくらいには元気になりました」ニコ

澪(なんだか安心できる笑顔だな・・・)

律「もう入院の心配はしなくていいのか・・・ですか?」

母「えぇ、お医者様のお墨付きですから」

紬「・・・」ホッ

唯「よかったぁ〜」

憂「・・・本当に・・・よかった」

和「えぇ」

律「へへっ、よかったよかった」

姫子「・・・」

母「・・・」

紬「・・・?」
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:35:17.03 ID:51PuW/tjo

母「あの子・・・いえ、やっぱりよしましょう」

唯「え・・・?」

母「ごめんなさいね、夏と冬の周りにあなたたちがいてくれるのが嬉しくて
  つい、頼ってしまう所でした」

姫子「・・・」

母「迷惑をかけたお礼に今日の夕飯食べていってください」

唯「メニューはなんですかな!?」

母「お鍋にしましょう」

唯律「「 ごちそうになります! 」」

澪「・・・はぁ」

和「遠慮しなさいよ」

憂「もぅ・・・」

母「うふふ、こうでなくっちゃ」

紬「・・・」トントントン

律「あ、ごめん。もう一回弾いてくれ」

紬「・・・」トントントン

母「?」

唯「うんうん、そうだよねむぎちゃん」

律「うむ」

母「鍋はダメでしたか?」

姫子「私たちにできることがある・・・だよね?」

和「えぇ」

憂「はい」

澪「・・・」

母「あら、手伝ってくれるの?嬉しいわ〜」キラキラ

唯「えーとね〜」

律「夏と冬がすれ違っている事だ・・・です」

紬「・・・」コクリ

母「!」



・・・・・・



ザァーーーー

キュッキュッキュ

夏「・・・」

ピチョンピチョン
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:37:33.97 ID:51PuW/tjo

『ごめ・・・んね・・・』

夏「・・・っ」ズキッ

ピチョンピチョン

夏(なんで・・・)

ガチャ

夏(・・・冬は小さい頃から・・・少しも変わらない・・・)

・・・・・・

・・・


―――――病院


ガラガラガラ

「・・・ふ、冬・・・?」

冬「あ、夏!また来てくれたんだ!」

夏「う、うん・・・。はい・・・梨・・・お母さんが」

冬「わーい!」ウキウキ

夏「ほ、他の患者さんに迷惑だよ」

冬「あ・・・えへへ」

夏「・・・もぅ」

冬「嬉しいんだもん」ルンルン

夏「・・・」

「少しはしずかにしてほしいぞ」

「またそんな事言って・・・」

「そうですよ、私たちも元気を貰っているんだから」ニコニコ

冬「えへへ、ありがと〜」

夏「・・・」ビクビク

冬「怖くないよ、あの子検査の為にご飯止められているから、ピリピリしてるの」ヒソヒソ

「聞こえてるぞ、冬子」

夏「・・・っ」ビクッ

冬「ごめんなさい・・・お詫びに梨を・・・」

「止められているって言ったばかりだぞ」

冬「あげると言ってないよ〜」

「ぐっ・・・」

「あはは、一本取られましたね」

「うふふふ」

冬「あはははっ」

「検査が終わったらいただくとするかな」

冬「その時はもう無いよー。それに私の名前冬だよ」

夏「・・・」ビクビク
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:38:56.09 ID:51PuW/tjo

―――――・・・

冬「また入院だって・・・」

夏「しょうがないよ・・・。検査もあるんだから」

冬「・・・うん」

夏「ほら、雑誌・・・」

冬「ありがとー!」

夏「体に障るから・・・少しはおとなしく」

冬「さすが夏!いいチョイス!」

夏「・・・もぅ」

冬「けほっけほっ!」

夏「だ、大丈夫!?」

冬「う、うん・・・」

「斉藤冬さーん、体温測りますね〜」

夏「あ・・・」

「あら、夏ちゃん」

冬「・・・ふぅ」

夏「看護師さん・・・冬の担当になったんですか?」

看「そうよ〜、はい冬ちゃん」

冬「・・・はい」

看「少し顔色が悪いわね・・・」

夏「・・・」

看「私が担当になるからにはすぐ退院させるわ」ドン




――・・・中庭


夏「大丈夫?」

冬「少しは歩いたほうがいいって看護師さんに言われているから・・・大丈夫」

夏「・・・」

冬「ベンチまで頑張るっ」

夏「うん・・・」

冬「っしょ・・・よい・・・しょっ」

夏「・・・」

冬「・・・ふぅ」

「・・・ん?」

「どうしたの?」

「誰かに呼ばれたような・・・?」

「驚かせるのやめてよ」

「でこちゃん怖がり〜」

「怖がり〜」
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:39:33.85 ID:51PuW/tjo

冬「・・・」

夏「・・・」

冬「あの三人仲が良さそう・・・いいなぁ・・・」

夏「・・・っ」

冬「ここの空は広くていいね・・・」

夏「うん・・・」

冬「部屋の窓は狭いから空が縮こまっていて・・・」

夏「あの雲・・・ボールみたい」

冬「あんぱんみたい・・・」

夏「お腹空いてるの?」

冬「うん・・・」

夏「食欲あるの?」

冬「うん、最近はよくお腹がすく」

夏「・・・そっかぁ・・・先生がお腹が空くのは健康の証拠だって言ってた」

冬「じゃあそろそろ退院できるね」
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:41:21.64 ID:51PuW/tjo

――・・・


「さっさと体力つけりゃいいんだ」

看「こらっ」バシッ

「いだっ」

看「医者がそんなぶっきらぼうに言っていいんですか?」ジロ

医「看護師が医者に手を上げていいのか?」

看「時と場合によります」

冬「ふふっ」

夏「・・・」

医「じゃあな。しばらくは安静にしていなくてはいけないが、学校に通える様になるから
  そんな神妙な顔するなよ」

夏「・・・」

看「こらぁ!」ゴン

医「ごふっ」

母「あらあら」

冬「あははっおもしろーい」

看「・・・まったくもう」

夏「せ、先生・・・」

医「いでで・・・ん?」

夏「冬は・・・」

看「・・・」

冬「?」

母「夏・・・冬と先に車に行っているからね」

夏「うん・・・」

冬「ちょっと待ってお母さん・・・夏が・・・」

母「はいはい、暴れると落ちるわよ〜」

冬「・・・」

医「怖いな夏のかーちゃん・・・おんぶしながらさらっととんでもない事いいやがる
  退院した直後だぞ・・・」

看「・・・それで、夏ちゃんどうしたの?」

夏「冬は・・・ちゃんと学校に通えるんですか・・・?」

医「あぁ、そう言っただろ」

夏「だって・・・前に退院した後も・・・しょっちゅう風邪をひいて学校に行けなかったんだよ
  友達も・・・誰も冬の話しないし・・・学校に行かないからみんな忘れてしまっているんだよ」

看「そんな事ないわ」

夏「・・・だって・・・冬・・・いないもん・・・」
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:41:48.12 ID:51PuW/tjo

医「あのな、夏がそんな顔していたら冬が元気になれないんだぞ?」

夏「え・・・?」

医「元気を貰うって言葉があるだろ」

夏「?」

看「少し難しいかもしれないですよ・・・」

医「一番近くにその手本がいるだろ」

夏「冬・・・?」

医「あぁ、夏が冬を元気にするんだよ」

夏「どうやって・・・?」

医「だから、近くに手本がいるだろ」

夏「・・・」

医「冬から元気を貰っているだろ?」

夏「うん・・・!」

医「ほら、冬が心配しているぞ、はやく戻りな」

夏「う、うん!ありがと先生!」

タッタッタ

看「・・・」

医「仕事に戻るかぁ・・・」グッタリ

看「去年より体力が著しく低下していますが・・・」

医「あぁ・・・。医者が言う台詞じゃねえが・・・神に頼るしかねえな」
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:43:44.38 ID:51PuW/tjo


―――――・・・学校・6年生クラス

「であるからしてー」

「先生トイレー!」

先生「先生はトイレじゃありません」キリ

「・・・」

シーン

先生「あ、あれー?」

「いいから早く授業を進めてください」

先生「はい・・・」

「中野こえー!」

「こえー!」

中野「・・・」

「ちょっと男子!しずかにしなさいよね!」ドンッ

「委員長こえぇ・・・」

先生「うぅ・・・小学6年生こえー・・・」

「先生!」

先生「だからトイレでは」

「斉藤さんがっ」

先生「え・・・」

冬「はぁ・・・っはぁ・・・」

先生「・・・委員長は斉藤夏さんを呼んできて。クラス分かりますよね?」

委「は、はい・・・」

テッテッテ

冬「ぅっ・・・・・・はぁっ・・・っ」
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:44:48.85 ID:51PuW/tjo


―――――病院


夏「なんで!?なんで冬ばっかりこんなっ!」

母「夏・・・」ギュウ

夏「おかしいよ!こんなの!!」

母「大丈夫だから・・・」

夏「なんで・・・!」

ガラッ

医「・・・大丈夫ですよ。熱が急に上がったせいで体がビックリしたんでしょう」

母「・・・そうですか」ホッ

夏「なんで!?私じゃ元気をあげられないの!?」

医「・・・」

夏「冬のように私頑張っているのに!それでも足りないの!?」

医「いや・・・そんなことは」

夏「そんなことあるよ!また病院に戻ってきたもん!!」

医「・・・」

看「夏ちゃん、冬ちゃんが呼んでるわ」

夏「!」

テッテッテ

医「・・・」

母「先生の言うとおり元気を貰っていたみたいです。しばらくは安定していましたから」

医「・・・そうですか。・・・失礼します」

スタスタ

看「先生までそんな顔して・・・」

651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:45:50.88 ID:51PuW/tjo

ガラガラ

夏「冬〜?」

冬「あ・・・来てくれたんだ・・・」

夏「毎日来るって言ったよ」

冬「・・・うん」

夏「じゃーん、梨!」

冬「わぁ・・・」キラキラ

夏「今食べる?」

冬「食べる」

看「これから検査があるからダーメ」

冬「明日にしましょう」

看「こっちの都合もあるのよ!?」

夏「・・・」シュルルルル

看「こらっ!ダメって言ったでしょ、・・・相変わらず上手ねぇ」

夏「これくらいお安い御用です」

看「・・・」

夏「はい、冬」

冬「ありが」

シュッ

看「もぐもぐ」

夏冬「「 あぁー! 」」

看「ジューシーねぇ」

冬「なんてことを・・・」

「あの看護師さん本当に看護師さんなんですか?」

「あぁ、キミは今日入院してきたのか・・・。この部屋の名物だよ」

「名物?」

「そう、三人によるささやかなコント」
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:46:51.06 ID:51PuW/tjo


――・・・


夏「はい、卒業証書」

冬「ありがとう」

夏「結局今日まで退院できなかった・・・」

冬「その袋はなに?梨?」

夏「正解。・・・と雑誌」

冬「いつもありがとね夏・・・」

夏「いいって〜、気にしないで。ほら」

冬「あれ・・・?旅行の雑誌なんだ・・・」

夏「うん、旅行した気分になれるかなーと思ってさ〜」

冬「うんうん、いいね」

夏「北海道特集だって」

冬「わぁ」キラキラ

夏「どれどれ」

冬「利尻島だって」

夏「行ってみたいねぇ〜」

冬「覚えてないの?」

夏「釧路には行ったけど、利尻には行ってないよ?」

冬「お父さんと周ったような・・・」

夏「覚えてないや」

看「まだ梨剥かないの〜?」

夏「冬の為に剥くんです。看護師さんにはありません」

看「ふふっ、それは残念。はい体温測ってね」

冬「はーい」

看「そうそう。順調にいけば来週辺り退院できるわよ」

夏冬「「 本当ですか!? 」」
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:48:27.78 ID:51PuW/tjo


―――――・・・商店街

冬「大丈夫?」

夏「知恵熱でそう・・・」

冬「歩きながらはダメだよ」

夏「でも、そうしないと覚えられないよ」

冬「おうち帰ったら集中して勉強すればいいんだよ」キリ

夏「はいはい・・・えーと」

ドンッ

「おぉっとぉ」

夏「あ、ごめんなさい」

「おぉ、受験生だね!」

冬「あ・・・その制服・・・」

「ん?」

夏「いえ、なんでもないです」

「そう?」

「おーい、早くこーい」

「・・・」

「はいよ〜。じゃあね〜」フリフリ

タッタッタ

冬「すいませんでしたぁー」

「気にしないで〜」

夏「優しい・・・」

冬「来年会って、また挨拶しようね」

夏「その為にも合格するぞー!」

冬「おー!」

「・・・」

タッタッタ

夏「あ・・・あの人も桜が丘高校なんだ・・・。さっきの人と友達なのかな」

冬「なんだかふわふわした人だね・・・」
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:49:12.43 ID:51PuW/tjo


母「どうだった・・・?」

冬夏「「 バッチリ! 」」

母「そう、よかったわ」

冬「合格発表の日が待ち遠しい」

夏「えぇー・・・、私は・・・うん、待ち遠しいや」

母「うふふ」

冬「ちょっと疲れちゃった・・・部屋にもどるね・・・」

トボトボ

母「?」

夏「聞いてよお母さん、今日が本番なのにさ消しゴム忘れた子がいて、その子髪の毛がボンバーなんだよ」

母「うふふ、楽しい学校になりそうね」

夏「それと冬とお喋りした子がおっとりしていて、姉に渡されたお守りを自慢したんだって」

655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:50:04.92 ID:51PuW/tjo


冬「・・・ぅん」

夏「冬!」

冬「夏・・・、ここは・・・?」

夏「・・・はぁ、よかったぁ」

冬「・・・病院?」

夏「待ってて、先生呼んでくる」

テッテッテ

冬「・・・手を・・・?」
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:51:04.41 ID:51PuW/tjo


夏「・・・証書」スッ

冬「ありがとう・・・。また卒業式に参加できなかったね」

夏「・・・うん」

冬「終わってすぐ来たの?」

夏「・・・うん」

冬「ダメだよ、卒業写真の後ろに寄せ書きを書いたりとか、写真を撮ったりとか」

夏「今日じゃなくてもいいよ」

冬「今日だから撮るの。大切な日なんだから」

夏「別に・・・」

冬「もぅ〜」

看「はーい、検温の時間でーす」

冬「よいしょっと」

夏「辛くない?」

冬「これくらい・・・けほっ」

夏「ほ、ほらっ」

看「辛いようなら寝ててもいいのよ?」

冬「けほっ・・・だ、大丈夫ですよ」

看「はい、体温計」

冬「はい・・・けほっけほっ」

夏「・・・」

看「入学式までに退院できるように頑張るわよ」

冬「はいっ」

夏「うん!」
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:52:15.70 ID:51PuW/tjo


冬「私も早く着たいなぁ・・・」

夏「うん、きっと似合うよ」

冬「・・・・・・うん」

夏「今日さ面白い事があったんだよ」

冬「どんな?」

夏「なんか、変な着ぐるみ着て新入部員勧誘してる人たちがいた」

冬「ふふっ」

夏「ウマ、トリ、イヌ、ネコの4人で・・・。ネコの人に渡されたのがこれ」ペラッ

冬「軽音部?」

夏「面白そうな人たちだったよ」

冬「へぇ〜、見てみたかったなぁ」

夏「・・・」

冬「あれ?夏はソフトボール部に入ったんだよね?」

夏「あ、うん・・・。キャプテンって人に勧誘されて・・・そのまま」

冬「強引に?」

夏「強引に」

冬「あははっ・・・けほっけほっ!」

夏「だ、大丈夫!?」

冬「だいじょうぶだよ・・・。・・・ソフト部はどう?」

夏「正直ね・・・つまんない。最初っからやりたくて入ったわけじゃないからね」

冬「辞めちゃうの?」

夏「それがさ〜・・・ププッ」

冬「?」

夏「先輩でノーコンな人がいるんだよ、ソフト部なのに」

冬「・・・」

夏「たまたまキャッチボールの相手にされたんだけど、全然私の方に投げてくれないの」

冬「・・・」

夏「最初嫌がらせだと思ったくらいだよ」

冬「・・・」

夏「でもね、その人真剣に私に投げてるの。だから取ってみたくなってさ」

冬「・・・」

夏「私も真剣になってボールを追いかけてた」

冬「楽しいんだ・・・」

夏「とーっても楽しかった!だから続けてみるよ」

冬「うん」

夏「そんなに面白い話だった?」

冬「うん、面白い」

夏「その人ね、立花姫子って言うんだよ。姫子先輩!」
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:52:56.96 ID:51PuW/tjo


ガラガラッ

夏「冬〜」

「あら、夏ちゃん。冬ちゃん今眠っているのよ」

冬「」スヤスヤ

夏「そうですか・・・、こんにちは」

「こんにちは、今日もお見舞いに来たのね。おばちゃん関心しちゃうわ」

夏「当然ですよ〜」ブィ

「さわがしくて迷惑だね」

夏「・・・ひどい」

「ふんっ」

夏「迷惑をかけてるお詫びにと持ってきたんだけど・・・」

「・・・」

夏「それじゃこの林檎私たちだけで食べましょうか!」

「あらいいわね、お茶用意するわね」

「ぐっ・・・」

夏「しずかに食べましょうね」

「・・・相変わらず口が減らないよね」

夏「お互い様」

「ふふっ」

夏「あっはっは」

冬「・・・ぅん?」

看「またこの部屋に来て・・・、先生が探していたわよ?」

「待って・・・林檎を食べてから帰るから」

看「食べたらちゃんと部屋に戻るのよ?・・・まったく」

「はいはい」

夏「はいどうぞ」

「さんきゅ、もぐもぐ」

「うふふ、なんだかんだで仲がいいのね〜」

「ごちそうさま夏ちゃん」

夏「あはは、またね〜」フリフリ
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:53:32.14 ID:51PuW/tjo

看「もぐもぐ」

冬「・・・」ボケー

「夏ちゃん、お茶をどうぞ」

夏「ありがと〜」

「皮剥くの本当に上手ね」

夏「へへっ、任せてください」

ピピッピピッ

冬「・・・」

看「なかなか熱下がらないわね・・・」

冬「・・・ふぁ」

夏「夜ちゃんと寝てるの?」

冬「・・・うん、寝てるよ」

看「寝てるんだけどね・・・」

夏「・・・林檎食べる?」

冬「・・・」

夏「梨の方がいい?」

冬「・・・うん」

看「意外と我がままね」
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:54:34.96 ID:51PuW/tjo

――・・・


冬「・・・」ペラッ

夏「またその記事読んでるの?」

冬「うん・・・」

夏「新しいの買ってきたからこれ読みなよ」

冬「後でね・・・」

夏「それ中学二年生の時に買ったやつでしょ・・・?」

冬「うん・・・」

夏「ふうらい・・・ねぇ・・・」

冬「この人の書く記事がいいの」

夏「ふーん」

冬「観光名所と名所は違う場所なんだって」

夏「・・・よく分からないな」

冬「じゃあ『最高の場所』は?」

夏「なにそれ・・・?」

冬「誰もが持っている大切な場所なんだって。その場所が人を強くするって」

夏「・・・」

冬「この人の記事は人情味があって、私の心も旅をしているような気分になるんだ・・・」

夏「・・・へぇ」

冬「私も見つけたいなぁ・・・」
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:55:43.83 ID:51PuW/tjo


――・・・

ガラガラ

夏「冬〜」

冬「けほっ・・・夏・・・」

夏「あれ、誰も居ないの?」

冬「けほっけほっ・・・うん・・・」

夏「外出許可出たって言ってたっけ・・・。今日は冬の貸切だね」

冬「けほっけほっ」

夏「ちょっと、さっきから変な咳してるけど、大丈夫?」

冬「・・・うん」

夏「じゃじゃーん、梨!」

冬「・・・・・・ありがと」

夏「・・・。お父さんとお母さんは後で来るって」

冬「・・・うん」

夏「・・・今日も部活で疲れちゃった」

冬「・・・頑張ってるんだね・・・けほっ」

夏「ほら、横になって」

冬「・・・うん」

夏「梨は後でいい?」

冬「・・・うん」

夏「・・・」

冬「今日はどんな事があったの・・・?」

夏「それがさ、姫子先輩が〜・・・」

662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:56:48.51 ID:51PuW/tjo

ギュウ

冬「・・・けほっ」

夏「」スヤスヤ

冬「・・・・・・一生懸命・・・体動かしたんだもんね・・・」

夏「」スヤスヤ

冬「ごめ・・・んね・・・」

夏「」スヤスヤ

冬「たくさん・・・っ・・・心配かけて・・・けほっ」

夏「」スヤスヤ

冬「姉・・・しっ・・・かく・・・だ・・・・・・よ・・・ね・・・」

夏「」スヤスヤ

冬「・・・っ!」

夏「」スヤスヤ

冬「・・・はぁ・・・っ・・・はぁっ・・・
  ちょっと・・・眠るだけだから・・・」

夏「」スヤスヤ

冬「手を・・・握ってて・・・・・・っはぁ・・・・・・はぁ・・・っ・・・」

ギュウ

夏「」スヤスヤ

冬「・・・すぅ・・・はぁ・・・」

夏「」スヤスヤ

冬「・・・・・・・・・すぅ・・・・・・・・・はぁ・・・・・・」

夏「」スヤスヤ

冬「・・・すぅ・・・・・・」

夏「」スヤスヤ

冬「・・・」

夏「」スヤスヤ

冬「」
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:57:28.62 ID:51PuW/tjo





夏「ふ・・・ゆ・・・ねぇ・・・?」





664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 18:59:01.00 ID:51PuW/tjo


看「冬ちゃんッ!!」

夏「・・・え」

冬「」

看「冬ちゃん!冬ッ!!」

夏「・・・・・・」

医「どいて、夏」

夏「な・・・に・・・・・・」

医「夏、しっかりしろ」

夏「・・・!」

医「何時からだ」

看「分かりません、私が検診に来た時から」

医「ICUへ」

看「はいっ」

夏「な・・・に・・・こ・・・れ・・・」

医「呼びかけるんだ、夏」

夏「・・・」

冬「」

夏「な・・・・・・ん・・・・・・で・・・・・・」

医「・・・っ」

看「・・・っ!」

ガラガラガラガラ



夏「・・・なんで・・・いつも・・・私・・・は・・・」

母「夏・・・立って・・・」

夏「・・・なんで・・・いつも・・・冬が・・・」

母「立つの!」

夏「あ・・・」

母「ほら、ちゃんと前を見て」

夏「わ、わたし・・・冬の・・・一番・・・近くに・・・いたのに・・・」

母「・・・」

夏「気・・・付け・・・なか・・・った・・・」

母「・・・」
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:00:09.14 ID:51PuW/tjo


シュー

父「先生!」

医「・・・」

母「・・・冬は・・・」

医「なんとか繋ぐ事はできました」

父「・・・」

母「・・・」

夏「・・・」

医「夏・・・、冬は今非常に危険な状態にあるんだ」

夏「・・・」

医「だから、冬が夏を信じているように、夏が冬を呼んで欲しい」

夏「え・・・?」

医「夏の声ならきっと届くから」

夏「!」

医「入って」

夏「・・・うん」

スタスタ

医「・・・お父さんとお母さんはこちらの部屋へ」

父「はい・・・」

母「・・・」

666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:00:42.84 ID:51PuW/tjo


ピッ ピッ ピッ

冬「・・・ぅん・・・」

夏「ふゆっ!!」

冬「・・・な・・・つ・・・」

夏「よかったぁ・・・」ボロボロ

冬「・・・」

夏「よか・・・た・・・ぁ・・・」ボロボロ

冬「ごめ・・・んね・・・」

夏「!」

冬「しん・・・ぱい・・・かけ・・・た・・・ね・・・」

夏「っ!」

冬「・・・ごめ・・・ん・・・ね・・・」

夏「ふ・・・ゆ・・・?」

冬「・・・」

夏「ふ・・・ふゆっ!」

看「大丈夫、眠っただけよ」

夏「・・・」

冬「・・・」

ピッ ピッ ピッ

・・・

・・・・・・

冬「・・・ぅん・・・?」

冬「・・・」

冬「あれ・・・どうして部屋に・・・?」

667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:02:01.43 ID:51PuW/tjo


夏「・・・」ゴシゴシ

シーン

夏「あれ、姫子先輩と紬先輩帰ったのかな・・・?」

トタトタトタ

冬「・・・ふぁ」

夏「・・・」

冬「あ・・・夏・・・」

夏「・・・」

ガチャ

夏「・・・」

トクトクトクトク

冬「・・・」

夏「・・・」ゴクゴク

冬「・・・」

夏「・・・」フゥ

ガチャ

冬「夏・・・」

夏「なに?」

冬「うぅん・・・なんでも」
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:03:04.88 ID:51PuW/tjo

ガラッ

唯「ご飯だよ!」

夏冬「「 ッ!? 」」ビクッ

律「鍋だー!」

澪「し、しずかにしろ」

憂「なに鍋にしましょう」

母「闇」

和「無難に石狩鍋かしら」

唯「石狩!?」

母「鮭切らしてたわね・・・」

澪「あったんですね・・・」

和(危なかったわ・・・)

夏「な、な・・・!」

姫子「あ、冬・・・起きたんだ?」

紬「・・・」

夏「なんで先輩たちがここに!?」

冬「どうして琴吹先輩たちがここにいるんですか・・・?」

姫子「・・・。私とむぎは冬を送り届けたから、唯たちは冬の荷物を届けてくれたんだよ」

冬「あ、そうでしたか・・・。昨日に続いてすいません・・・。ありがとうございました」ペコリ

姫子「・・・」

律(本当だ、また壁が出来てしまったか)

憂「・・・」

母「味噌野菜、チゲ、キムチ、すき焼き、ちゃんちゃんこ、水炊きなんでもよしよ!」

唯「多数決だね!」
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:03:47.58 ID:51PuW/tjo


――・・・


父「ここは竜宮城だな!」

母「・・・」ゴゴゴ

父「・・・」

律「よく分からんが、いただきまーす!」

「「 いただきます 」」

グツグツ

紬「・・・」モグモグ

梓「おいしいですね!むぎせんぱい!」

紬「・・・」コクリ

梓「〜♪」モグモグ

夏「いやいや、中野梓さんや、あなたどこから来ましたか」

梓「ボウリング場近くにあるストラップ店から」

夏「あぁ、そう・・・」

律「あぁ、あの店か」

澪「私たちが買ったお店だよな・・・。どうしてそこに?」

梓「ふぅ先輩が私たちが着けているストラップを買うと言って・・・」

紬「・・・」モグモグ

律「ふーん・・・うめぇ」

澪「おいしい・・・、牛乳鍋」

母「うふふ、ありがとう。憂さんのおかげで手早く料理できたわ」

憂「えへへ」

唯「おいしぃ〜」

梓「私なにもしていないのにご馳走になって・・・」

母「いいのよ〜。牛乳買ってきてくれたんだから。夏と同じクラスよね」

梓「はい」

母「よろしくね」

梓「・・・はい」

夏「・・・」

冬「大人数ですね・・・」

唯「もっと食べなきゃダメだよ!貸して!」

冬「あっ」

唯「それそれ」ヒョイヒョイ

憂「お、お姉ちゃん・・・多いよ」

唯「おっと・・・えへへ、どうぞ〜」

冬「あ、ありがとうございます・・・」
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:05:20.26 ID:51PuW/tjo

唯「うまい!」

姫子「唯のテンション高すぎない?」ヒソヒソ

和「そのままにしておいて。・・・頑張って堪えているのよ」

姫子「・・・」

和「おいしいわね」モグモグ

冬「あ、立花先輩・・・器お借りしますね」

姫子「おじさん、おばさん・・・先に謝ります。すいません」

父「え?」

母「?」

冬「?」

姫子「こらっ」ビシッ

冬「いたっ!?」

律「痛そうなデコピンですこと」オホホ

澪「意地悪なご令嬢か」

母「まぁ・・・」

姫子「どうしてまた壁を作ってるの?」

冬「え・・・?」

姫子「私たちは先輩後輩の関係だけど、・・・友達でしょ」

冬「!」

夏「・・・」

姫子「距離を置かれるのは寂しいよ」

紬「・・・」コクリ

憂「・・・うん」

唯「姫ちゃん・・・」

冬「・・・はい」

姫子「・・・」

冬「ごめんなさい・・・わ、私・・・友達できたことなくて・・・」モジモジ

澪「はぅっ」バタン

母「?」

律「気にしないでください」

冬「そ、それで・・・一緒にいる事が今日で終わりだと思って・・・その・・・」モジモジ

唯「はふっ」バタン

父「?」

梓「気にしないでください」

冬「入院していた頃を思い出してしまって・・・」

紬「・・・」
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:05:56.70 ID:51PuW/tjo

姫子「だから距離をとったと・・・?」

冬「・・・はい」

姫子「私たちは・・・卒業まで時間があるんだから、まだまだ一緒にいられるよ」

夏「・・・」

冬「・・・本当ですか?」

姫子「うん」

冬「・・・よかった」

律「はぅっ」バタン

唯「・・・っ」グスッ

憂(お姉ちゃん・・・)

唯「夏ちゃん、洗面所どこかな?」

夏「冷蔵庫の所へ行けば分かると思いますけど」

唯「コ、コンタクトがっ」

スタスタ

和「・・・」

律「よーいしょっと、唯の分まで食べちゃおー」

紬「・・・」モグモグ

律「あぁ!豚肉がっ!」

和「おいしかったわ」モグモグ

澪「・・・あ、こっちのもない」

梓「おいひかったれふ」モグモグ

夏「食べながら話すなよ」

梓「・・・」モグモグ
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:06:29.87 ID:51PuW/tjo

冬「どうぞ、姫子先輩」

姫子「ありがとう・・・。よそいでもらってなんだけど、肉が多いかな・・・」

冬「あれ?」

夏「野菜が好きだって言ったじゃん」

冬「あ・・・」

律「じゃー私のと取替えっこしようぜー」

澪「お行儀が悪いぞ!」ゴスッ

律「いたぁ!」

冬「ふふっ」

夏「・・・」

父「母さん、ちょっとタバコ吸ってくる」

母「はいはーい」

スタスタ

唯「・・・?」

姫子「おいしいね」モグモグ

冬「はぃ〜」ウットリ

夏(タバコなんて吸わないのに・・・)

母「まだ材料あるわよ〜」

紬「・・・」キラキラ

和「よく食べるわね・・・」

唯「おいしいよ!」

憂「うん、とってもおいしい」
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:07:01.80 ID:51PuW/tjo


――・・・


唯律「「 ごちそうさまでした! 」」

和憂姫子「「「 ごちそうさまでした 」」」

紬「・・・」ペコリ

澪梓「「 ごちそうさまでした・・・ 」」

父「はっはっはー、また来なさい」

母「また来てね」

冬「今日もお世話になりました」ペコリ

姫子「いいって、ごちそうにもなったから」

唯「そうだよ、おいしかったもん」

冬「よかったです」

夏「気をつけて帰ってください」

律「はいよ」

澪「あぁ、おやすみ」

冬夏「「 おやすみなさい 」」

紬「・・・!」

唯「おぉ」

律「じゃあなー!」

唯「バイバーイ」

憂「明日ねー」

梓「バイバイ」

姫子「またあした」

紬「・・・」フリフリ
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:08:17.75 ID:51PuW/tjo


律「結構ヘビィだったな・・・」

唯「蛇?ハブ?」

和「話が重かったって事よ」

紬「・・・」

律「命が関わっていたからな」

澪「あぁ・・・」

梓「なんですか?」

姫子「なんでもないよ」

澪「・・・」

律「・・・?」

唯「?」

和「斉藤さんが来てるわよ」

紬「・・・」コクリ

斉藤「・・・」ペコリ

紬「・・・」チョンチョン

梓「どうしたんですか?」

姫子「どうしたの?」

紬「・・・」チラッ

斉藤「かしこまりました」

和「なにをかしこまったのかしら」

斉藤「お二方をお送りいたします」

紬「・・・」コクリ

梓「お願します」

澪「決断はやいなぁ」

姫子「・・・じゃ、お願いねむぎ」

紬「・・・」コクリ

斉藤「どうぞお乗りください」

梓「それでは先輩方、また明日です」

律「じゃーな」

唯「バイバーイ」

梓「」スッ

姫子「乗り込むのはやいなぁ」
675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:09:21.22 ID:51PuW/tjo

憂「おやすみなさい」

紬「・・・」フリフリ

澪「あのさ、姫子」

姫子「?」

澪「どうして話をしないの?」

姫子「・・・この子」チラッ

澪「・・・うん」

姫子「一番近い所に居るような気がして」

澪「・・・分かった」

梓「・・・どうしたんですか?」

姫子「なんでもない、お願します斉藤さん」

斉藤「かしこまりました。それでは皆様失礼致します」

和「お気をつけて」

紬「・・・」フリフリ

バタン

ブォオオオオオオオオ

唯「あずにゃんが?」

澪「うん。夏の近い所にいるんだって・・・」

和「それは物理的な話なの?」

律「唯が似てるって言ってたな」

憂「そっか・・・。うん、分かります」

唯「・・・うん」

澪「梓には夏に対して色眼鏡で見てほしくないんじゃないかな」
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:12:46.24 ID:51PuW/tjo


9月18日


―――――2年生クラス

純「あのさぁー」

梓「?」

夏「どうしたの純?」

憂「・・・」

純「最近ハブられてない・・・私」

梓「そんな事・・・」

憂「・・・うん」

純「こっちを見てよ!」

夏「ブフッ」






―――――3年生クラス

律「あのさぁー」

紬「?」

姫子「どうしたの律?」

唯「・・・」

律「最近集りすぎじゃないのか・・・ここ」

風子「そう?」

エリ「りっちゃん達が集ってくるんだよ、ここは元々私たちの席なの」

アカネ「・・・なの」

エリ「む・・・」

律「いや・・・うん・・・」

信代「昨日はボウリングに行ったのか・・・」

潮「そう。2レーン使用で10人対10人のチーム戦」

信代「は?」

姫子「嘘じゃないよ」

信代「疑ってはいないけどさ、なんでそんなまどろっこしい展開なの?」

紬「・・・」キリ

唯「・・・」キリ

信代「そこでしたり顔の二人が分からない・・・・・・」

風子「凄い展開だったんだよ、140−140の大接戦だったんだから」

慶子「それはすごいね。・・・え!?ひゃくよんじゅう!?」

英子「みんな上手だったよ」

律「・・・」

潮「うん。みんな上手・・・ブフッ」
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:14:18.12 ID:51PuW/tjo

律「潮・・・果たし状を叩きつける」

潮「ふふ・・・いいだろう・・・。この勝負受けて流す!」

唯「・・・」

律「・・・よし。今日のお昼に中庭でバトミントン勝負だ」

潮「ふふ・・・。ツッコミは無しか・・・」

律「私がドベで、潮が2番なんだよ」

潮「え・・・」

律「ついでに風子が3番目」

風子「でも7本倒したよ」

律「ちぇ・・・乗ってこなかったか」

英子「バトミントン勝負したかったの?」

律「うん」

信代「そう言えよ」

紬「・・・」

唯「どうしたのむぎちゃん?」

紬「・・・」スッ

唯「・・・澪ちゃん?」



・・・・・・



澪「・・・」

いちご「・・・どうしたの?」

澪「・・・ちょっと・・・な」

いちご「・・・外になにかある?」

澪「秋らしくなってきたな・・・と、思って」

いちご「・・・うん」

澪「暑くもなく、寒くもなく・・・涼しくてとてもいい時期だ」

いちご「・・・うん」

澪「夏と冬の間ってなんだろう」

いちご「・・・心理テスト?」

澪「いや・・・。ごめん、なんでもない」

和「・・・今なんじゃないの?」

いちご「・・・」

澪「そう・・・だな・・・」

和「この答えじゃないみたいね」

澪「答えて欲しくて聞いたんじゃないのかも」

和「・・・季節の事じゃなかったのね」

澪「・・・」
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:15:39.96 ID:51PuW/tjo

いちご「春」

和「・・・」

澪「そっか・・・。うん、そうなんだ・・・」

春子「なにが?」ヌッ

澪「っ!」ビクッ

和「季節の話をしていたのよ」

春子「そっか・・・よし」

いちご「なにが、よし?」

春子「夏香ー、アキヨ、美冬!」

澪「なっ!」

夏香「なに〜?」

アキヨ「・・・」

美冬「・・・どうしたの?」

春子「よしよし」

いちご「・・・」

澪「ど、どうして集めるんだ」オロオロ

春子「季節を先取り?」

アキヨ「・・・」

スタスタ

和「秋が去って行ったわ」

夏香「・・・ギャグをするために呼んだの?」

美冬「・・・くだらない」

スタスタ

春子「すいません」
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:16:08.44 ID:51PuW/tjo

澪「・・・」

いちご「・・・」

春子「澪たちが外を眺めて風情を感じているようだったから・・・どうした?」

澪「・・・う、うん」

和「それで、なにが分かったの?」

澪「夏と冬の季節の間に春と秋は必要なんだ」

いちご「・・・うん」

律「・・・澪に気付かれないように席に着いてくれ。さわちゃん来てるぞ」ヒソヒソ

春子「おっけ」ヒソヒソ

澪「秋が去ったら・・・冬が来て」

いちご「・・・」スィー

澪「冬が去ったら春が来て」

「「 ・・・ 」」シーン

澪「春が来たら夏になる・・・こうやって季節がつなが・・・・・・あれ?」

「「 ・・・ 」」ジー

澪「」ボフッ

さわ子「どうしたのあの子・・・外を眺めて物思いに耽っていたようだけど」

律「双子の事考えていたんだよ」

三花「それなのに・・・ひどいよね」

和「そういう意味だったのね・・・」

姫子「なにが分かったの?」

和「なんでもないわ。頑張ってね」

姫子「?」

唯「おぉ・・・」

紬「・・・」
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:16:34.87 ID:51PuW/tjo


―――――昼・教室

夏香「なに、そのストラップ」

風子「かわいいでしょ?」

夏香「可愛いけど・・・」

澪「・・・ほら、梓たちが待ってるぞ」

律「お待ちになって」

澪「たまに上品になるそれはなんだ」

風子「澪ちゃん、見てこれ」

澪「ん?・・・あぁ」

風子「あれ・・・?」

英子「驚かないね」

澪「昨日梓から聞いたよ。お揃いだな」スッ

風子「うん。鍋パーティしたんだってね」

律「あぁ、うまかったぜー」

夏香「・・・鍋か、いいね」

澪「中庭に行こう、待ってるよ」

風子「うん」

英子「ちょっと待って、聞きたいことが・・・」

律「どした?」

英子「あの二人の様子はどうだった・・・?」

澪「・・・変わらず、かな」

律「・・・あぁ」

風子「・・・」

英子「・・・分かった」

夏香「あ、今日は私も行くよ」

681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:17:56.01 ID:51PuW/tjo


―――――中庭


澪「あ、そうだ・・・明日空いてる?」

風子「明日は英子ちゃんと買い物に行く予定が入ってて」

英子「うん、隣町までね」

夏香「遠出するの久しぶりだよね」

澪「そっか・・・残念」

風子「なにかイベントでもあった?」

澪「イベントというか・・・遊園地へ」

風子「明日の予定は変更ね」

英子「・・・そういう事ならしょうがないね」

夏香「前から約束していた予定だよ?」

澪「無理強いは」

風子「また来月に約束しようよ。今の時間は今だけだよ」

夏香「それって・・・」

英子「・・・うん」チラッ



唯「ひっくしゅん!」

紬「・・・」スッ

唯「あひがほ・・・」ビィィィィ

夏「親子みたいっ」プクク

梓「・・・」

律「どっちかって言うと保護者は和だけどな」

夏「世話焼きさんが多いんですね」

梓「・・・」

純(少し不愉快そうな顔したな・・・)

潮「・・・」モグモグ

慶子「ごちそうさま〜」




澪「急な話だから、無理にとは言わない」

夏香「そうだね、無理に合わせる必要もないし」

風子「・・・!」

夏香「私はパス」

澪「・・・うん、分かった」

風子「そっかぁ・・・」ションボリ

夏香「みんなと楽しんできて」

英子「季節・・・双子・・・一つした・・・」

澪「?」

夏香「・・・」
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:19:03.28 ID:51PuW/tjo

英子「・・・あの二人の事だったんだ・・・どうりで気になる訳だよね」

風子「どうしたの?」

夏香「たいした事じゃないよ。姉さんの受け持った患者だっただけ」

澪「・・・」

風子「あの病院に入院していたんだ・・・」

英子「・・・よく話してくれてたよね、夏香のお姉さん」

夏香「・・・うん」

風子「わ、私知らないんだけど・・・」

英子「中学校時代の話だから・・・」

澪「・・・最近の話は聞いてる・・・?」

夏香「ううん。二人が中学に上がって、退院したところまで」

澪「・・・」

風子「澪ちゃん・・・?」

英子「どうしたの?」

澪「いや・・・なんでも・・・ないよ・・・」

夏香「・・・」
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:19:51.69 ID:51PuW/tjo


潮「もぐもぐ」スッ

律「・・・ちゃんと飲み込めよ」

潮「・・・ごくり」

律「3点先取だぜ・・・?」

潮「・・・」

律「・・・」

ビュウウウウ

潮「勝負」

律「来い」

紬「・・・!」

唯「や、やめようよ・・・」

潮「勝負の世界は非情なんだよ、唯」

律「そうだぜ」

慶子「二人が争うところみたくない・・・」

潮「・・・慶子の願いでも避けては通れないのさ」

律「よく言った潮・・・それでこそ好敵手だ」

澪「卒業写真の撮影行くぞ」

潮律「「 あ、はい 」」

夏「・・・」プクク

梓「・・・」

純「昼休みに撮るんですか?」

紬「・・・」コクリ
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:20:53.14 ID:51PuW/tjo

―――――放課後

唯「・・・」ジャンジャンジャン

澪「・・・」デンデンデン

律「・・・」タンタンタタタン

カシャッ

梓(あ・・・)ジャンジャジャン

紬「・・・!」ポロンポロロ

ジャジャッジャジャッジャーン

唯「よーし・・・いい感じだよ」

律「ふぃ〜、そうだな」

澪「少し走ってたぞ律」

律「うそおっしゃい!そんなはずはないわ!」

澪「だからそれはなんだ」

カシャッ

澪「ッ!?」ビクッ

唯「おぉ、カメラ屋さんだよ」

律「お昼の・・・」

カメラ屋「どーも。いい写真撮れたよ」

梓「・・・」

紬「・・・」コクコク

唯「・・・うふふ☆」ウィンク

律「・・・えへっ☆」ウィンク

澪「・・・」ビクビク

カメラ屋「えー・・・と」

梓「内緒にしておいてよかったです」

紬「・・・」ポロンポロロン

梓「え?・・・あ、私がクラスの担任に要請していたんです。先輩方には内緒で」

紬「・・・」ポンポロロンポロ

梓「むぎせんぱいも頼んでいたんですか・・・ふふっ、私が動く事でもなかったんですね」

紬「・・・」ポロロポンポロポロ

梓「こちらこそです」

カメラ屋「さっきのように自然体に演奏できないかな・・・?」

律「もう無理だな・・・。澪が動揺してる」

澪「・・・」オロオロ

唯「それじゃティータイムの様子を撮ってもらおうよ」

梓「いいんですかね」

紬「・・・」コクリ

さわ子「ダメに決まってるじゃない。持ち込みしておやつを楽しんでるなんて載せられないわ」

カメラ屋「それじゃ私はこれで」
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:22:12.30 ID:51PuW/tjo

さわ子「ありがとうございました」

唯「ありがと〜」

バタン

律「いい頃合だから、ティータイムだ!」

紬「・・・」キリ

タッタッタ

さわ子「あれ・・・?」

梓「どうしたんですか?」

さわ子「しょうがないわね」

ガチャ

さわ子「ほら、入ってきなさい」

「で、でも・・・」

唯「お客さんだね。最近よく来るよね」

律「私の分が減るから困るな」

澪「あ・・・」

梓「・・・だ、誰ですか・・・?」

「え、えぇと・・・初めましてだね・・・」

律「え!?」

唯「おぉ!?」

さわ子「私のクラスの遠藤未知子よ」

未知子「・・・」

澪「珍しい・・・」

紬「・・・!」

梓「むぎせんぱいもビックリするほどの事なんですか?」

律唯「「 どうした(の)!! 」」

未知子「や、やっぱり帰ります」

ガシッ

さわ子「ゆっくりしていきなさい」

未知子「・・・」

唯「ささっ、どうぞどうぞ」

律「梓!すぐにおしぼりを!」

梓「ありませんよ」

紬「・・・」スッ

コト

さわ子「ありがとむぎちゃん」

未知子「ありがとう」

紬「・・・」ニコニコ
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:24:28.44 ID:51PuW/tjo

律「で、どうしたどうした!」

澪「おまえがどうした」

唯「用があるんだね!なにかな!?」

未知子「えぇと・・・」

梓「どうしたんですか、唯先輩と律先輩は」

澪「多分・・・嬉しいやら楽しいやらでテンションが高いんだ」

さわ子「部室の前で中を伺っていたのよ」

律「ほぉー!」

紬「・・・」ズイッ

さわ子「身を乗り出すほどの事なの?」

未知子「うぅ・・・言いづらい・・・」

澪「言いにくい事なら無理には」

唯「相談事なんだね!?私たちの口は堅いから大丈夫だよ!りっちゃんが居ない時」

梓「唯先輩!」

律「え・・・?」

唯「ぴぃ〜ぷぅ〜」

さわ子「予想通りの軽さね」

律「え、何?なにがあったの?」

澪「律、気にする、私たち、困る」

律「困るって!?なんでカタコト!?私、とても、寂しい!」

未知子「クスクス」

紬「・・・」ニコニコ

律「おーしーえーろー!」ユッサユッサ

梓「どっ、どうしてわたしっなんですかっ」グラグラ

さわ子「りっちゃんが居ない時どうしたの?」

澪「・・・私の口からは」シンミリ

紬「・・・」シンミリ

唯「・・・ごめんね、りっちゃん」

律「ぇ・・・」

未知子「なんだか、とんでもない雰囲気になって・・・」

梓「あ、大丈夫ですよ。律先輩以外の5人でプールに行っただけですから
  その後に映画館に行って感動したとか、そのレベルの内容なので
  そんなに重たい話でもないです。未知子先輩はどうしたんですか?」

律「まくしたてんなー。なんだそんな事かー」アハハ

澪「顔で笑って心で泣いて」

未知子「・・・えぇと」

律「5人って憂ちゃん?」

唯「純ちゃんだよ」

律「なんだよ!・・・なんだよっ!」
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:25:10.65 ID:51PuW/tjo

紬「・・・」スッ

さわ子「ありがと・・・。今日はケーキなのね」

未知子「大きいケーキですね」

紬「・・・」コクリ

律「なんで誘ってくれなかったんだよー・・・」

澪「誘ったぞ。面倒だからパスって言ったの律なんだけど」

律「・・・それっていつの話?」

梓「旅から帰って、一週間後辺りですね」

律「あ、あれは・・・勉強する為に図書館に行くって・・・」

澪「言ってない。勉強漬けだったから息抜きしようって言ったんだ」

紬「・・・」アセアセ

律「・・・」

さわ子「一件落着ね。それで、どうしたの?」

未知子「輪が日に日に大きくなっているように感じて・・・」

唯「大きな輪だね!」

梓「・・・」

未知子「それを姫子さんに聞いたら、部室に行けば分かるって・・・」

唯「それで、分かったの!?」

未知子「まだ・・・」

澪「・・・そういう事だったのか」

紬「・・・」ツンツン

律「・・・」

梓「反応ありませんね」

コンコン

ガチャ

憂「こんにちはー」

唯「あ、うい〜」

さわ子「今日は千客万来ね」

冬「こ、こんにちは・・・」

梓「冬も来たんだ」

紬「・・・」ニコニコ

憂「紬さんのお誘いで一緒に来ました」

冬「あ、あの・・・」

未知子「?」

さわ子「どうぞ、座って」

澪「冬はお昼どこで食べたんだ・・・?」

冬「憂と・・・一緒に・・・」カァァ

憂「・・・」ニコニコ

唯「いいね〜、えへへ」

梓(それで中庭に夏が来たんだ・・・変な感じがする・・・)
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:26:23.83 ID:51PuW/tjo

律「・・・」

冬「あ、あの・・・律先輩・・・?」

律「・・・」

冬「め、迷惑でしたか・・・?」

律「・・・」

冬「・・・」オロオロ

未知子「律さんどうしたの・・・?」

澪「大丈夫。魂が抜けただけだから」

さわ子「それ、一大事」ズズーッ

紬「・・・」スッ

憂「ありがとうございます」

冬「あ、ありがとうございましゅ」

紬「・・・」ニコニコ

澪「しょうがない、私の分をあげる」スッ

律「・・・」

梓「私の分もどうぞ」スッ

唯「みんな甘やかしすぎだよ〜」スッ

紬「・・・」スッ

未知子(やってみよう・・・)スッ

さわ子「私は食べ終わったからお皿だけあげるわ」スッ

冬「お供え物みたいですね。戻ってくるんでしょうか」スッ

憂「澪さんが言うからには間違いないと思うよ」スッ

律「・・・」

澪「・・・」ポンポン

律「・・・ん?・・・なんだこれ?」

さわ子「みんなの気持ちよ」

律「一つだけ空の皿があるんだけど・・・それも気持ちなのか?」

さわ子「そう・・・なのかもしれないわね」

律「さわちゃんか・・・」

さわ子「・・・それだけあれば十分でしょ」

律「こんなに食べられねえよ。気持ちだけいただく」スッ

紬「・・・」コクリ

梓「本当にいいんですか?」

律「どれだけ欲張りなんだよ私は」スッ

冬「・・・」

律「あれ、冬と憂ちゃんも来てたんだ・・・」

未知子「・・・」

憂冬「「 お邪魔しています 」」
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:28:00.21 ID:51PuW/tjo

唯「あれ、私と澪ちゃんの分が返却されておりませんが」

律「お二人の分はありがたく頂戴いたしますわ」

澪「はいはい」

唯「・・・ちぇ」

梓「姫子先輩は来ないの?」

冬「バイトがあるそうです」

梓「・・・」

冬「バイトがあるんだって!」

梓「バイトかぁ・・・」

澪「敬語を直す練習なのかな・・・」

紬「・・・」ニコニコ

未知子「・・・姫子さんが言いたい事分かったかもしれない」

さわ子「そう。よかったわね」

未知子「?」

さわ子「その輪の中に入ったのよあなたも」

未知子「・・・」

憂「風子さんも来ると仰っていませんでしたか?」

紬「・・・」コクリ

梓「メール送ってみます」

ピッピッピッピ
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:28:45.86 ID:51PuW/tjo

pipipipipi

風子「・・・」ピッ

『今部室でティータイムしていますよ。時間があれば来てください』

風子「あ、残念・・・」

英子「どうしたの?」

風子「梓ちゃんからティータイムのお誘い。・・・ごめんねっと」ピッピッピ

夏香「仲いいね」

風子「そうかな・・・?」

夏香「ふぅって呼んでもらってるし・・・」

風子「キャンプがきっかけでね、それからかな」

pipipipipi

風子「おっと」ピッ

英子「キャンプ楽しかったみたいだよ」

夏香「・・・ふーん」

『そうですか、それは残念ですね。冬と未知子先輩も一緒なんですよ』

風子「な・・・なっ!?」

夏香「変な声出して・・・どうしたの?」

風子「未知子さんと冬ちゃんも一緒なんだって・・・!」

英子「それはとっても残念だね」

夏香「斉藤冬・・・か・・・」

風子「あぁー・・・興味引かれる組み合わせなのにー・・・」
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:29:29.56 ID:51PuW/tjo


―――――夜・梓の部屋


『輪が日に日に大きくなっているように感じて・・・』

私もそう感じた

あの旅でも、むぎせんぱいの周りに人が集まっていた

みんなで一緒に飲む紅茶がおいしくて、楽しくて、そこにしかない時間が流れていた

だからむぎせんぱいの後を追いかけて行った

たくさんの景色を見せてくれるから

その景色が私をとても大きくしてくれた

それなのにワタシは―――


学園祭は1週間後

692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:30:57.87 ID:51PuW/tjo

9月19日

「ふぁ〜」

夏香「おはよう、姉さん」

姉「おはよ〜」

ガチャ

トクトクトク

姉「・・・」ゴクゴク

夏香「・・・」

姉「・・・ふぃ〜・・・朝の牛乳は格別だね」

夏香「パンでいい?」

姉「よろしく」

夏香「・・・うん」

姉「ダイニングまで持ってきてくれると私は幸せ〜」

夏香「はいはい・・・」
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:31:47.48 ID:51PuW/tjo

夏香「・・・どうぞ」

姉「サンキュ」

夏香「・・・」

姉「・・・どうして林檎があるの・・・?」

夏香「・・・体にいいと思って」

姉「・・・サンキュ」

夏香「・・・」

姉「やった!今日の運勢一位だって!仕事運絶好調!今日休みなんだけど!」

夏香「・・・出かけないの?」

姉「・・・どうせ1人もんですよ」

夏香「あれ?別れたの?」

姉「ケンカしてんの!」

夏香「・・・」

姉「あ、嫌なニュース・・・チャンネル変えちゃえ」ピッ

夏香「あのさぁ・・・」

姉「・・・なに?今日は妙に関わってくるね」

夏香「・・・あの双子ってどうなったの?」

姉「・・・ん?」

夏香「ちょっと間があった・・・。なにかあったの?その双子」

姉「・・・。無事退院したって言ったでしょ」

夏香「中学に上がって退院したのが最後?」

姉「どうしたのよ〜。患者さんのプライバシーに入り込んじゃダメなの」

夏香「月見会に参加したって言ったでしょ?」

姉「うん、それが?」

夏香「多分・・・その双子と出会った」

姉「・・・」

夏香「『私と同じ季節』で『一つ下』、『双子』・・・『姉妹』」

姉「・・・ふーん」

夏香「・・・」

姉「その双子は仲が良かった?」

夏香「・・・聞いていた話とは違っていた」

姉「じゃあ別人だよ」

夏香「そうだよね・・・」

姉「なつは本当に林檎剥くの下手だよね」

夏香「・・・」
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:32:19.11 ID:51PuW/tjo


姉「もぐもぐ」

夏香「・・・今日もいい天気だね」

姉「今日予定あったんじゃないの?」

夏香「キャンセルした」

姉「・・・ふーん・・・・・・英子ちゃんたちの誘いを断るなんて珍しい」

夏香「・・・」

姉「風子ちゃんにも会いたいから連れておいでよ」

夏香「・・・うん・・・変わってないよ風子は」

姉「なつは変わっちゃったけどね」

夏香「・・・」

姉「よし、今日もDVD鑑賞しますか」

ウィーン ガチャ

姉「てーんてーんてーん、ててててんてんててーん♪」

夏香「またそれ?この主人公何度人生を修正させられるの・・・」

姉「何を言ってるの、輝いていた主人公の時間を閉じ込めたのがこの作品じゃないの」

夏香「・・・はいはい」

姉「それぞれの時間を体験する事で主人公は成長していくんだよ」ウンチク

夏香(・・・しまった)

姉「悪役とはいえ自分で掴み取った人生をも変えてしまう主人公を批判する意見もあってね」ウンヌン

夏香(どこかでかけようかなぁ・・・)

姉「そういう見方もあるだろうけど、悪役の罪を無かった事にしたことでそれはチャラになるんだよ」クドクド

夏香「・・・」

pipipipipi

夏香「・・・」ピッ

『澪さんが澪さんじゃない!』

夏香「今からでも間に合うかな・・・」

姉「様々な視点から推察できるこの作品の凄さを・・・聞いてる?」

夏香「聞いてたよ・・・。出かけてくるね」

姉「行ってらっしゃーい」フリフリ

夏香「・・・姉さんも遊園地に行く?ストレス解消になるよ」
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:33:17.37 ID:51PuW/tjo

―――――遊園地・澪班


澪「さぁ、次はどれに乗ろう!」キラキラ

夏「あれはどうですか!?」

澪「いいな!行こう!!」キラキラ

夏「了解です!」ビシッ

タッタッタ

純「むむむ・・・負けないっ!」

タッタッタ

律「私たちは休むか。少し落ち着こう」

風子「・・・そうだね、あのテンションには・・・ついていけない」

英子「・・・うん」

律「合流したらさ、向こうのチームに入るといいよ。こっちはずっとあんな調子だぜ」

風子「私はついていけるよう頑張るよ」

英子「私は移るよ・・・」

律「賢明だ。まだまだ物足りないはずだからなー」




―――――遊園地・紬班


紬「・・・」ニコニコ

冬「高ーい!」

梓「高い所平気なんだ?」

冬「そうみたい。うわぁー」

紬「・・・?」

梓「ひょっとして・・・遊園地初めて来た・・・?」

冬「うん、観覧車も初めて!」

唯「おぉー海が見えるようい!」

憂「本当だ・・・こうやって見たらすぐそこなのにね」

和「電車で1時間揺られないと辿り着けないのにね」

唯「そうだ、明日は海に行こうっと」

憂「今決めたの?」

唯「うん・・・どこへ行っても変わらないと思うから」

和「・・・そう」

紬「・・・」

冬「あっ、見てください!風船が!」

梓「昇っていく・・・」

紬「・・・」スッ

憂「白い月・・・」

唯「秋空に 儚く映る 白い月」

冬「おぉー・・・深いです・・・」
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:34:50.29 ID:51PuW/tjo

梓「そのままだよ・・・」

唯「あの風船誰の手からこぼれちゃったんだろ・・・」

和「小さい子かしらね・・・。きぬいぐるみの人が渡していたのをみたわ」

憂「・・・あ」

紬「・・・!」




唯「姫ちゃーん!」

紬「・・・」

タッタッタ

姫子「どう?楽しんでる?」

冬「はい!楽しいです!」

姫子「よかった」

和「バイトお疲れ様」

姫子「ありがと。午前中にシフト入っててよかったよ。みんなお昼ごはん食べたの?」

唯「まだだよ〜」

憂「澪さん達と合流してお昼にしましょう」

和「そうね・・・。あっちの様子も気になるわ」

姫子「二手に別れてるんだ。様子も気になるって・・・?」

梓「澪先輩のテンションに何人ついていっているかです」

紬「・・・」コクリ

姫子「・・・」ゴクリ

冬「さっきの風船姫ちゃ・・・子先輩が飛ばしたんですか?」

姫子「言いにくいなら無理に言わなくていいって・・・。そうだよ、気付くかなって」

唯「あの月まで飛んで昇って行ったよ」

憂「吸い寄せられるようだったね」
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:36:36.07 ID:51PuW/tjo


紬「・・・」


白い月をみて何を想っているんだろう・・・。私と同じ景色なんだろうか


紬「・・・?」


あ、表情を盗み見ているのに気付かれた


梓「白い月を見る事ってあまりないですよね。雲と同じ色だから気付きにくいです」

紬「・・・」ニコ



正直、苦手になってきたな

むぎせんぱいの今の様の笑顔が

誤魔化されているようで

なんでもないって言っているようで

私には伝えてくれないのかな

伝える手段が無いから?伝える事が難しいから?

伝えられる自信がないから?私には伝わらないから?



『隙が空いていたんじゃないの?』

また―――繰り返すのかワタシは

698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:37:09.85 ID:51PuW/tjo

唯「あっ、澪ちゃーん!」

澪「みんな!楽しんでるな!」キラキラ

律「あなたが一番楽しんでいます」

風子「あ、姫ちゃんやっと来たんだ!」

姫子「遅れてごめんね」

夏「姫子先輩!次のアトラクション一緒に乗りましょう!これとか面白そうです!」

澪「フリーフォールか、いいな!」キラキラ

姫子「・・・」

律「びっくりしてやんの」ウシシ

純「もちろんお供します!」

唯「私も乗る!」フンス!

憂「私も乗ります!」

紬「・・・!」フンス!

梓「・・・」

純「・・・あれ・・・梓?」

律「まてまて、お昼食べてからだ。お腹が空いては遊べないぞ」

和「そうね、ひとまず移動しましょう」

英子「みんなテンション高い〜」グルグル

冬「英子先輩が目を回してます!」

夏香「しょうがないな・・・」ガシッ

風子「なっちゃん来たんだ」

夏香「あのメール見たら気になるでしょ」

風子「そうだよね〜」
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:39:04.70 ID:51PuW/tjo

唯「おーい、はやくおいで〜!」

夏「お昼ご飯が逃げちゃいますよ〜!」

姫子「逃げないって」

紬「・・・」フルフル

姫子「え、逃げるの?」

紬「・・・」コクリ

梓「目の前で売り切れるという前例がありますので・・・」

姫子「そっか・・・夏フェスの話だっけ・・・」

梓「そうです」

冬「夏ってば・・・」

夏香「・・・」

紬「・・・」スタス

梓「ちょっと待ってください、むぎせんぱい」

ギュ

紬「?」

梓「えっと・・・その・・・」

冬「?」

梓(しまった・・・今する事じゃなかった・・・)

夏香「・・・みんなお店に入ったよ・・・?」

紬「・・・?」

梓「あ・・・ぇ・・・と・・・」

姫子「先に入ってるからね、行こう冬」

冬「は、はい・・・」

紬「・・・」

梓(うぅ・・・先走ってしまった・・・)

夏香「どこ行ってたの姉さん」

姉「ぬいぐるみと談笑してた」

夏香「談笑って・・・風船まで貰って・・・」

姉「可愛かったからつい貰ってしまったのよ」

梓「あ、すいません。それください」

紬「?」

姉「いいよ。どうぞ」

梓「ありがとうございます」スッ

スィ〜

姉「手放したよね?」

梓「はい」

紬「・・・」

夏香「・・・姉さんちょっとこっちに来て」

姉「・・・?」
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:41:25.16 ID:51PuW/tjo


梓「見てくださいむぎせんぱい、どんどん風船が昇って行きます」

紬「・・・」コクリ

梓「その向こうに月がありますよね。白くて儚くて、
  それでもそこにいると存在を示すように白い光を放つ月です」

紬「・・・?」

梓「さっきあの月を見て、むぎせんぱいは何を想ったんですか?」

紬「・・・」

梓「どんなに時間がかかっても、伝えにくい事でも、私は聴きたいです」

紬「・・・」

梓「むぎせんぱいと同じ景色をみたいんです」

紬「・・・」ニコ



よかった

さっきとは違う いつもの笑顔だ



ギュ

紬「・・・」スラスラ

梓「・・・月がですか?」

紬「・・・」コクリ




なんだ きれい って3文字で済む事だったんだ

私はまた一人彷徨っていたんだ

でも 伝わったことが 伝えられたことが とても嬉しい



梓「そうですね『きれい』な月ですねー」ボケー

紬「・・・」ボケー



単純な事ほど伝えにくいのかもしれない

伝わったのは言葉だけ

そんな関係 私は嫌だ

701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:42:08.01 ID:51PuW/tjo

姉「・・・」

夏香「入ろうか姉さん・・・。みんなにどう紹介しようかな・・・」

姉「・・・」

夏香「姉さん・・・?」

姉「あの二人・・・姉妹じゃないよね?」

夏香「顔似てないでしょ」

姉「私たちは似てないけど姉妹でしょ」

夏香「・・・あの二人は先輩後輩の関係だよ」

姉「冬ちゃんと夏ちゃんみたい・・・」ボソッ

夏香「え・・・?」

姉「ううん、なんでもない。あの二人に会うの一年ぶりだから楽しみ」ウキウキ

夏香「やっぱり患者さんだったんだ」
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:43:17.41 ID:51PuW/tjo


律「誰・・・?」

唯「どなた様?」

憂「?」

和「夏香のお姉さんですね」

姉「そうです、妹がお世話になっております」

夏香「・・・」

風子「気まずい顔してる」プクク

英子「こら、ふぅ」

夏冬「「 あれ・・・? 」」

姉「・・・」

冬夏「「 あっ! 」」

姫子「・・・?」

夏冬「「 看護師さんっ! 」」

姉「久しぶり〜!元気だった!?」

冬「はいっ!」

夏「うん!」

純「・・・看護師?」

澪(この人が・・・)



梓「私もあの風船のように月を目指して昇っていきますからね」

紬「・・・」ニコニコ

ギュ

梓「むぎせんぱいが月ですから」キリ

紬「・・・」ニコニコ

律「なんだあの二人」

澪「いい事でもあったのかな・・・」

姫子「仲いいねぇ・・・」

風子「手なんか繋いじゃって・・・」

英子「拗ねているようだよ、ふぅ」

純「・・・」

夏香「ほら、座って姉さん。店員さん困ってるよ」

姉「うん?」

店員「・・・どうぞお座りください」

姉「あ、じゃあこっちの席に失礼するよ」

冬「どうしたんですか、ビックリしました!」

姉「なつ・・・夏香が遊園地に行こうってせがむから・・・」

姫子「・・・へぇ」ニヤリ
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:45:59.68 ID:51PuW/tjo

夏香「連れてこなければよかったぁ・・・!」

唯「まぁまぁ、お水をどうぞ」

夏香「・・・ありがと」ゴクゴク

和「姉妹にしては似てないわね」

夏香「私と姉さんは血が繋がっていないの」

和「へぇ、そうなんだ」

唯「軽く受け止めたよ!」

夏香「母が再婚して、再婚相手に姉さんがいただけだから。重い話じゃないよ」

唯「ノットヘビィだね」

夏香「う、うん・・・?」

夏「・・・」チラッ

純「気になるならあっちの席に座ればいいじゃん」

夏「べ、別に・・・!」

憂「・・・」

梓「なにを食べますか?お勧め品がありますけど」

紬「・・・」スッ

梓「お子様ランチ・・・ですか・・・」

純(同じもの頼もうとしたんだろうなぁ・・・どうするんだろ)ウシシ

夏「・・・」チラッ



・・・・・・



冬「夏香先輩のお姉さんだったなんてビックリですよ!」

姉「ビックリしてばっかりだね、冬ちゃんは」

冬「だって、ビックリしましたから!」

姉「あはは、私も・・・ビックリしたよ」

澪(今、間があった・・・)

冬「姫子先輩!私が入院していた頃にお世話になった方です!」

姫子「え?・・・さっき聞いたけど・・・」

律「テンション高くなるとアホな子になるんだな冬は」

英子「そんな風に言わないの」

律「お母さんだ!」

澪「だからお母さんだろ」

冬「クスクス」

姉「・・・」

風子「注文しようよ、お腹空いたよ」

律「あぁ・・・忘れてたな・・・」グゥー
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:48:08.38 ID:51PuW/tjo

冬「それで・・・お医者さんとは・・・」

姉「子供の癖に生意気なっ!」ビシッ

冬「あいたっ!」

風子「叩くの禁止!」

姉「・・・!」スッ

冬「・・・?」

姫子「どうしたんですか?」

姉「少し熱があるわね・・・。体の調子はどう?」

冬「大丈夫ですよ。熱気にあてられたせいだと思います」

姉「・・・」

澪「無理するのは無しだぞ?」

冬「は、はい・・・。大丈夫です」

風子「アトラクションにはなにに乗ったの?」

冬「え・・・と、観覧車とメリーゴーランドと・・・ティーカップですよ」

英子「そんなに激しいアトラクションじゃないんだ・・・」

律「調子悪くなったらすぐに言えよ?」

冬「は、はい・・・」

姉「・・・」

姫子「・・・」

冬「・・・」スッ

ピンポ〜ン

店員「はーい!」

律「こらっ!」

冬「わ、私決めました」

律「こっちはまだ決めていないんだよ!」

澪「えぇと、なににしよう」アセアセ

風子「お子様ランチはありかな?」

英子「なしかな・・・」

店員「ご注文をお伺いします」

姫子「お子様ランチ二つと」

律「誰と誰だよ!」

姫子「冬と風子」

風子「ごめんなさい!言ってみただけです!量的になしです!」

英子「見栄え的にはありなんだよね」

冬「私はオムライスで」

律「ちゃんとリアクションしろよ!」ビシッ

冬「いたっ!」

風子「だから叩くの禁止!」

姉(はしゃぐ気持ちも分かるわね・・・)

店員「あのぉ・・・」
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:49:12.12 ID:51PuW/tjo

店員「ありがとうございました〜」

夏「ごちそうさまでしたー」

律「食べた食べた、お腹いっぱいだー」

唯「パフェ食べたかったのに〜」

澪「後で食べような」

憂「また別れて行動するんですか?」

律「そうだな、秋山澪チームはスリルのあるものばかりになるから要注意だ」

冬「は、はい」

夏「じゃあ澪先輩チームで」ウキウキ

純「むっ」

澪「それじゃ、行くか!」キラキラ

和「食べてすぐ乗るの?少し落ち着いたほうがいいわね」

澪「時間は待ってくれないんだぞ和!」キラキラ

和「えぇ、もちろんそうなんだけど。それでも時間の中身を凝縮してしまうのはもったいないわ」

澪「凝縮なんてしないさ、ただ引き伸ばしているだけだ。一秒を濃くしていけばそれだけ長くいられる」キラキラ

和「澪の一秒と私の一秒は異ならないかしら」

澪「一緒にいて、同じものをみることで時間を共有できるんだ。それは同じ一秒だ」キラキラ

和「急ぎすぎじゃない?そこにはちゃんと道ができるのかしら」

澪「もちろんできているさ。楽しかったという思い出として存在し続ける。今日という宝だ」キラキラ

律「うわ、こっちが照れるっ」

姉「これは・・・ケンカ?」

夏「うーん・・・」

冬「というより・・・」

唯「ディ・・・ディスタンスだよ」

憂「ディベートだよ、お姉ちゃん」
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:50:32.11 ID:51PuW/tjo

姫子「あのさ」

夏香「どうしたの?」

姫子「どうして冬を担当した看護師のお姉さん・・・を連れてきたの?」

夏香「・・・私もあの二人が気になってて、姉さんから聞いていた話と違うから別人だと思っていたんだけど
   話で聞いたとおりの雰囲気も垣間見せるから、どうなんだろうって事で実際に連れてきたって訳」

姫子「・・・そうなんだ・・・二人の事聞いてみようかな」

英子「姫子さん、どこまで二人の事知っているの?」

姫子「結構・・・深く・・・」

夏香「私と英子が聞いた話は中学1年生の時に退院したところまで、それからは話さなくなった
   患者さんの話をペラペラと話をしていたあの時が変だったんだと思っていたけど」

風子「・・・けど?」

夏香「そうじゃないみたい。・・・これは私の勘」

姫子「・・・そっかぁ・・・うーん」

風子「・・・もしかして、思いとどまっているの?」

姫子「まぁね・・・、中途半端に踏み込んでしまったかな・・・と」

紬「・・・」スラスラ

梓「そうですね、私もあの人と被って見えました」

姫子「?」

梓「あ、えと・・・。夏の旅で出会った人がいて、その人は
  『自分の問題を後回しにして、今を楽しもう』と言っていたんです
  確かに旅行は楽しむものですから、その考えは尤もなんです」

風子「ふむふむ」

紬「・・・」コクリ

梓「だけど、それでは『今』を本当に楽しめないんです。
  問題を解決する事で、より『今』楽しめるとむぎせんぱいがその人に伝えました・・・」

英子「姫子さんがその人に似ているの?」

紬「・・・」フルフル

梓「いいえ、夏と冬とも似ていません。ただ、状況がそう思わされた・・・といいますか」

姫子「そっか・・・。行動しないでダメになるのは莫迦らしいよね」

紬「・・・」

梓「・・・」

姫子「あれ、違ったかな・・・」

梓「いいえ、姫子先輩がそう感じたのならそれが正しいかと・・・」

紬「・・・」コクリ

姫子「そうだよね・・・答えはないよね・・・」

梓「!」

夏香「どうするの?姉さん呼ぶ?」

姫子「今は夏と冬と一緒にいてほしい・・・かな」

英子「そうだね。二人とも嬉しそう」

風子「・・・うん、初めて見たあんな二人」

紬「・・・」ニコニコ

梓(・・・答えは・・・なかったんだ・・・)
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:52:19.34 ID:51PuW/tjo

―――――お化け屋敷・入り口


冬「行きましょう、行きましょう」グイグイ

姉「引っ張りすぎだから・・・夏ちゃんもちゃんと付いて来なさい」グイグイ

夏「やだやだっ!いやだー!」ズルズル

純「お化け屋敷怖いんだ?」

夏「怖いんじゃない、驚かせる人が嫌なの!」

純「幽霊なんていないんだから、人がやるしかないっしょ」

冬姉夏「「「 ・・・ 」」」シーン

澪「いやっ!」ブルブル

和「病院がキーワードね・・・。唯行くわよ」

唯「和ちゃんのテンションが上がった!」

憂「だ、大丈夫かな・・・。本当に人が演じているんだよね?」

律「それ怖ッ!その疑い怖いッ!!」

澪「みんなごめん、そろそろ私転校するんだ」

冬「大丈夫です、本物はいませんよ。作り物ですから」ガシッ

澪「ひっ!」

唯「よぉし、プロの腕を拝見しましょうか」フフン

姉「ほら、夏香も一緒に入るよ」ニヤリ

夏香「いやっ!」ブルブル

和律唯「「「 え・・・? 」」」

風子「お姉ちゃんがね、夜勤の病院での出来事をなっちゃんに話すもんだから
   私は見たことないけど、それ等が怖いんだって」

澪「・・・」ブルブル

夏香「・・・」ガクガク

梓「ひどい姉ですね」

純「その発言は怖くないって事でいいんだね?ここのお化け屋敷は怖いと有名なんだけど」

梓「もちろん。・・・むぎせんぱいも入りますよね?」

紬「・・・」フルフル

梓「私も入らないことに決まったから」

純「それが通用すると思うてか?」

和「・・・」

スタスタ

唯「おぉ・・・1人で入っていったよ」

風子「待って和さん!」

タッタッタ

姫子「風子は怖くないんだ・・・?」

英子「ふぅは・・・、体験するのを楽しむタイプだから・・・」
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:53:54.38 ID:51PuW/tjo

澪夏香「「 ・・・ 」」ブルブル

律「じゃあさ、あの二人が出てきて、そのリアクションで決めればいいんじゃないか?」

夏「さ、賛成ー!」

澪「それは名案だ・・・否!さっきの話だと和と風子は楽しんで出てくるだろ!」

律「ちぇ、バレタか・・・つか、否!ってなんだよ・・・」

梓「テンションがおかしくなってきましたね」

冬「姫子先輩、私たちも入りましょう」

姉「お姉さんに任せなさい」ドン

姫子「私、入るなんて一言も言ってないんだけど・・・」

スタスタ

律「第二陣が入ったが・・・、次は?」

澪「夏香、そこのベンチで一休みしようか」

夏香「そうだね」

スタスタ

唯「行こうようい!」

憂「うん・・・」

律「憂ちゃんが怖がるなんて・・・面白そうだ」ウシシ

スタスタ

梓「・・・」チラッ

紬「・・・」コクリ

梓「では、私たちも入りましょう」

紬「!」

純「私もついて行くよ、結構面白そうなんだよね」

スタスタ

夏「あれ・・・?紬先輩入らないんですか?」

紬「・・・」アセアセ

夏「勘違いしたのか梓は・・・おーい!」

タッタッタ

紬「・・・!」

タッタッタ

英子「・・・」

シーン

英子「夏ちゃんと紬さんも入ったんだ・・・どうして・・・?」

澪「・・・ふぅ、入らずに済んだか」

夏香「怖がるだけの為に入るなんて理解できない」

英子「・・・叫ぶ事でストレス解消になる人もいるから」

夏香「それなら山で叫べばいいんだよね」

澪「そうだな」ウンウン
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:54:49.01 ID:51PuW/tjo

――・・・

英子「あ、最初に入ったふぅと和さんだ・・・」

澪「え・・・」

和「・・・」サァー

風子「・・・」サァー

夏香「ど、どうして顔が真っ青なの?も、もしかして出た?」

和「えぇ・・・多分・・・ね・・・」

英子「店員さんでしょ?それか映像の演出なんじゃないのかな」

風子「それが・・・、店員さんが和さんを驚かしたんだけどね」

・・・・・・

・・・

店員「う〜ら〜め〜し〜や〜!!」

和「・・・」

スタスタ

風子「すごーい、光の具合でリアルに見えてしまうんですね」

店員「うぅ・・・うらめしい・・・!」シクシク

風子「和さん!あっちの古井戸から出てきそう!」

和「それは捻りが無いわね」

井戸店員「」ギクッ

風子「あ、あっちから冷風が・・・」

和「さっき通ったところが温かった分、ここでギャップを演出するのね」

店員B「ぶ ん せ き す る な 〜 !!」

和「あ、すいません」ペコリ

風子「ごめんなさい」ペコリ

店員B「いいけどね。偶にいるんだよ、物怖じしないどころか平然とお化けを傷つける人が」

和「そうですか・・・。出口は向こうですか?」

店員B「そうですよー。ありがとうございましたー」

風子「このお化けからやる気が感じられなくなった・・・」

店員B「まったくもぅ・・・」ブツブツ

和「一つだけ怖い演出がありました。入り口から付いてくる影はよかったと思います」

店員B「・・・?」

風子「え、どこどこ?」

和「ほら、あの物陰にいるでしょ。一つのグループに1人付けるなんて良いアイディアだと思うわ」

店員B「あれはうちの店員じゃないですよ?」

和「それじゃ、律ね・・・。まぁいいわ。出ましょう」

風子「どこ〜?見えないよ?」
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:56:52.36 ID:51PuW/tjo

和「ほら、あの影よ。律出てきていいわよ」

シーン

店員B「・・・」

風子「あのふすまの所でしょ?・・・誰もいないよ?」

和「あら・・・?」

風子「店員さんも見えますか?」

シーン

和「あら・・・??」

風子「ここまでが演出なんだ・・・。ちょっと背中が寒くなったね」エヘヘ

和「・・・」

店員「ちょっと君たち!立ち話しないで、雰囲気壊してるから出た出た!」

和「すいません・・・。顔が見えないくらいに髪の毛を下ろした白装束の役の人って・・・」

店員「ん?そんな古い役はいないよ?」

・・・

・・・・・・

風子「出たんだね・・・」

和「・・・出たのよね、きっと」

澪「」ピシッ

夏香「」ピシッ

英子「どうして律さんだと思ったの?」

和「そういう事しそうだからよ」

英子「・・・そうなんだ・・・あ、冬ちゃん達も出てきたね」

冬「・・・う、少し眩しいです」

姉「そうね、目が眩むわ・・・そこの暗い所みて目を慣らしなさい」

冬「はーい」

姫子「・・・律じゃないのかな」

和「後を付けて来た影というのかしら・・・姫子も見たのね」

姫子「私たちを追い越して和たちを尾行するわけないから・・・律じゃないよね」

澪「」ピキーン

夏香「」ピキーン

冬「これが石化ですね・・・」

英子「冬ちゃんは怖くなかったの?」

冬「私見えませんから」エヘヘ

姉「感心するようなリアクションばっかりで、店員さん肩を落としていたよね
  冬ちゃん夜の病院でも歩いていたから、そういうのには慣れているのかも」

和「へぇ・・・。お姉さんは病院でどういった経験を?」

澪「や、やめるんだ和!」

夏香「み、澪さん・・・あっちのベンチへ行きましょう」

冬「あ、ナースコールの話はどうですか?」

澪「聞こえない聞こえない」ブルブル
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:58:24.13 ID:51PuW/tjo

夏香「行きましょう澪さん」グイグイ

澪「聞こえない聞こえない」ズルズル

英子「・・・確か、近い部屋から遠い部屋へ順にかかってくるという・・・」

姉「そう・・・。夜だからそれぞれのベッドにカーテンがかかっているのね」

和「・・・はい」

姉「最初の部屋に入って、鳴ったベッドのカーテンを開いても、その患者さんは寝ているのよ」

風子「・・・」ゴクリ

姉「念のため他のベッドも調べるんだけど、異常なし。
  日誌をつけに戻ると、また鳴るのよ。今度は隣の部屋から。
  それを繰り返して一番奥の部屋になるのね」

姫子(・・・夜だから、イタズラなんてするわけないだろうし・・・オチが読めない)

姉「・・・。何度も繰り返しているから怒りがこみ上げてきたのね
  私が場を離れる事で本当に助けを必要としている人にかけつけられないかもしれないって」

風子「・・・」ウンウン

姉「その部屋をチェックし終わったら・・・。私の背中を誰かがつつくの。ツンツンって」

ツンツン

和「・・・?」

姉「そこには・・・」

唯「おまえだぁ〜!」

英子「!」ビクッ

和「誰よ・・・」

フゥー

和「・・・息を吹きかけないでくれるかしら」

律「・・・ちぇっ」

ピチョン

和「っ!」ビクッ

憂「はい、和さん冷たいお茶をどうぞ」

和「普通に渡してよ・・・。首につけるなんて・・・ずるいわよ」

憂「えへへ」

唯律「「 やった! 」」

姫子「三段構え・・・。そうまでしないと驚かない和もすごいよね・・・」

風子「・・・うん」

冬「ふふっ」

姉(冬ちゃんの周りには・・・)

和「それで・・・誰がいたんですか?」

姉「そこには・・・誰もいませんでした・・・」

姫子「・・・」

和「よくある話よね」
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 19:59:49.58 ID:51PuW/tjo

唯「そだね〜。怪談話とかでよくあるパターンだよ」

憂「・・・」

姉「太陽の下で話しているから怖くないんだよ」

夏香「変なところで負けず嫌いなんだから・・・」

澪「お、終わった・・・?」

律「怪談か?それなら終わったぜー」

冬「あれ・・・、夏と紬先輩がいませんけど・・・?」

唯「どこに行ったの?」

英子「中だよ。梓ちゃんと純ちゃんの次に入って行ったよ」

冬「・・・」

和「そろそろ出てくるわね」

姫子憂「「 あの・・・ 」」

姉「ん?」

姫子「・・・本当はいた・・・のでは?」

憂「私もそう思いました」

姉「・・・聞きたい?」

姫子憂「「 はい 」」

姉「じゃ、こっちきて」カムカム

スタスタ

夏香「?」

純「あれ、律先輩ここにいたんですか?」

律「先に入ったんだから先に出るのは当然だろ・・・?」

純「ですよね・・・。梓が律先輩が驚かせようとこっちを見てるって言うから・・・」

梓「あれ、むぎせんぱいはどこですか?」

和「話の流れなんて関係ないのね」

澪「りつ!」

律「いや、私は道なりに歩いていただけで・・・」

風子「私は見えなかったんだけど、純ちゃんもみえなかったの?」

純「はい・・・」

唯「なになに?どうしたの?」ウキウキ

和「なんでもないわ。忘れて」

唯「気になるよ!誰かいたんだね?」

英子「入ってないのに怖くなってきた・・・」ブルブル

夏香「・・・」ガクガク

澪「は、はやく出てきてくれむぎ・・・」ブルブル

梓「あ・・・」

夏「うぅ・・・」ブルブル

ギュウ

紬「・・・」ニコニコ
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:00:30.89 ID:51PuW/tjo

純「あらら、夏のイメージからずい分離れちゃって・・・」

唯「しがみついちゃって・・・」キュルルルリン

梓「な、なな・・・夏!」

冬「夏は怖がりなんです・・・そういう所は変わらない・・・」

律「・・・そっか」

姫子「面白い光景だね」

夏「うぅ・・・」ガタガタ

梓「ちょっ、離れてっ!」

紬「・・・?」

律「なんだよむぎまで・・・私じゃないぞー」

澪「よ、よし。移動するぞ!」

憂「・・・ふぅ」

風子「どうしたの、憂ちゃん?」

憂「い、いえ・・・なんでも・・・ないです」

英子「最後まで話したんですか?」

姉「うん。悪い話でも怖い話でもないからね・・・」

冬「続きがあるんですか?」

唯「なんの話?」

姫子「唯、行こう。次のアトラクション何に乗ろうか」

唯「う、うん・・・?」

姉「冬ちゃんは聞かなくてもいい話」

冬「・・・?」

英子(少しだけ悲しいお話)
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:03:44.49 ID:51PuW/tjo

―――――澪班

夏「たのしいー!」キラキラ

澪「だな!お化け屋敷なんてなかったんだ」キラキラ

唯「おぉ、無かった事にしたよ」

律「さーっきまでむぎにしがみついて怯えていたのは誰でしたっけ〜?」

夏「そんな昔の私は私じゃありませんよ〜」キラキラ

律「過去の自分を否定すんなよ・・・。フリーフォール乗っただけで・・・」

憂「楽しかったですね和さん」

和「えぇ」

風子「和さんも楽しかったんだ・・・。乗ればよかったなぁ」

律「じゃ、また乗ろうぜ!二回戦だ!!」

澪「よし。そうと決まればさっそく並ぶぞ!」キラキラ

夏「了解です!」キラキラ

唯「私も乗るよ!ふぅちゃんも乗るよ」フンス!

風子「・・・」ゴクリ

夏「―ッ!」ゾクッ

憂「ちょっと待ちますね・・・。急に混みはじめました」

和「そうね、集中したのね」

夏「・・・」ブルブル

律「どうした・・・夏?」

夏「も、もしかして・・・・・・」

pipipipipipipipi

風子「ケータイが鳴ってるね」

澪「・・・私じゃないな」キラキラ

憂「もしもし、どうしたの梓ちゃん?」

『ふ、冬が・・・』

憂「冬ちゃんがどうしたの?」

夏「!」ダッ

ダダダッ

律「どこに行くんだよ夏!」

和「冬がどうしたの?」

憂「た、倒れたって・・・」

唯「え!?」

澪「今どこにいるの?」

憂「救護室です」

律「行くぞ・・・。それにしても夏は・・・」

風子「先に向かっていると思うよ」

唯「ど、どうして分かるの?」

風子「パンフレット貰ったときチェックしていた・・・んだと思う」

律「・・・一緒に居ないと意味無いだろっ・・・ったく」
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:05:07.58 ID:51PuW/tjo


―――――救護室


冬「す、すいません」

紬「・・・」フルフル

姫子「軽い貧血・・・ですか・・・」

姉「えぇ、今のところ体温もそんなに高くないし、ですよね看護士さん?」

看「はい。症状も軽いですから、少し休んでいけば大丈夫かと」

夏香「・・・」ホッ

冬「・・・はぁ、私は・・・いつも・・・」

純「まぁ、大事にならなくてよかったじゃん」

紬「・・・」コクリ

冬「・・・」

姉「大事をとって、休んだら今日はもう帰りましょう」

英子「そうだね。安静にしましょう」

冬「はい」

看(俺の立場が・・・)

梓「・・・憂に連絡してきました」

紬「・・・」コクリ

冬「・・・夏にまた・・・心配かけて・・・」

紬「・・・」

ギュ

紬「・・・」スラスラ

冬「・・・はい」

姫子「・・・」

冬「でも、姉妹でも・・・私はいつも夏の場所を奪ってきたんです・・・」

紬「・・・」

梓「場所を・・・?」

姉「・・・」

冬「場所だけじゃない・・・時間も一緒に・・・」

姫子「それは」

ガラッ

夏「冬ッ!」

冬「あ・・・夏・・・」

ギュッ

夏「意識はあるんだよね!?体が重いとか痛いとかない!?」

冬「うん・・・大丈夫だよ」

夏「本当に!?本当に大丈夫だって言える!?」

看「しばらく横になっていれば大丈夫だよ」
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:06:46.67 ID:51PuW/tjo

姉「・・・ちゃんとお医者さんにも看てもらったから、安心していいみたい」

夏「・・・よか・・・っ・・・たぁ」

冬「・・・ごめ・・・んね・・・」

夏「ッ!」ズキッ

紬「・・・」

梓「・・・」

冬「いつも・・・」

夏「いつも!なんで謝るのッ!?」

冬「・・・うん・・・ごめん」

ズキィッ

夏「どう・・・してッ!!」

紬「・・・!」

冬「・・・な・・・つ・・・?」

夏「もういいっ!」

バッ

タッタッタ

ドンッ

律「おっと」

夏「・・・っ」

ダダダッ

澪「夏・・・」

唯「冬ちゃん!」

冬「あ・・・みなさん・・・」

和「・・・体の様子はどうなの?」

姫子「軽い貧血だから少し休めば大丈夫だって」

唯「もぅ〜びっくりだよ〜」

冬「すいません・・・」

唯「ううん、安心した」

憂「・・・うん」
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:07:15.32 ID:51PuW/tjo

冬「心配かけてしまいましたね・・・。私は大丈夫です・・・」

風子「よかったぁ・・・」

憂「はい・・・」

紬「・・・」

冬「・・・どうして・・・いつもこうなのかな・・・私は」

梓「・・・夏と話してきます」

紬「・・・」コクリ

タッタッタ

純「・・・」

タッタッタ

律「二人に任せるか」

看「悪いけど、ここは救護室だから2、3人残して外に出てくれないかな」

718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:08:45.29 ID:51PuW/tjo

夏「いつまで付いてくるの?」

梓「話をするまで」

純「・・・」

夏「私これから帰るんだけど・・・家まで付いて来るつもり?」

梓「・・・」

純「じゃ、あっちで話しよう」

夏「したくないから、出口に向かっているんだけど」

梓「冬は置いていくの?」

夏「先輩たちに任せる」

梓「迷惑かけていいの?姉妹なのに」

夏「・・・いいんじゃないの?踏み込んでくるって言ってたし、迷惑かけても」

純「なにそれ、冬に責任押し付けて自分はそ知らぬ顔って・・・」

夏「・・・どうして冬に押し付けるって話になんのさ。体弱いのに遊園地に来た冬の責任じゃん」

梓「それじゃあどうして夏もここに来たの?」

夏「姫子先輩と遊びたいから・・・それだけなんだけど」

純「らしくないなぁ・・・どんどん矛盾してきているよ
  一言そういえば梓も私も納得するんだよね。みんなと一緒にいたいって」

夏「・・・るさいなぁ」

梓「・・・」

純「・・・」

夏「ほら、出口に着いたよ。ここを越えたらまた入場料を払わないといけない。どうすんの?」

純「それは困る。余計な出費は痛い」

梓「・・・」

夏「だったら戻りなよ。私らの問題は私らでしか解決できないんだって」

梓「・・・」

夏「・・・じゃあね」

梓「ここを越えたら、二度と姫子先輩たちのいるあの場所へは戻れないよ」

夏「!」

純「・・・」

梓「私も・・・失う所だったから・・・怖いのは分かる」
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:10:36.06 ID:51PuW/tjo

―――――救護室


冬「嫌われて当然なんです。今まで友達と過ごすはずだった時間を、私のせいで失くしたから」

紬「・・・」

姫子「・・・」

冬「小学校の時に入院してから夏は毎日お見舞いに来てくれたんです
  放課後部活で汗を流したり、寄り道したり・・・もっと楽しい話をしたりしなきゃいけないに
  そういう時間を私は全部奪ってしまったんです」

紬「・・・」

冬「私と病室に居る事で、その大切な時を失くしてしまった・・・」

姫子「・・・」

冬「そして今日も、先輩たちとの楽しい時間も・・・」

紬「・・・!」

姫子(むぎ・・・なにか伝えたいのかな・・・私は・・・)

律「本気で言ってんのかよ」

冬「・・・分かりません。だって、夏の事・・・」

紬「・・・!」

律「知らないって言うのかよ。血が繋がっているのに・・・」

冬「っ!」

姫子「ちょっと、律・・・」

律「むぎと梓、夏香と姉さんの方がよっぽど姉妹だな」

姫子「律!」

冬「・・・」

律「心配かけて迷惑かけてもいいだろ。・・・ソーマが言ってたぜ」

紬「・・・?」

冬「相馬・・・轍・・・さん・・・?」

・・・・・・

・・・

律『今日は長い一日だったなー』

『あの二人って姉妹みたいだね』

律『誰?』

和『むぎと梓ですか?』

『うん・・・。むぎって名前なの?』

律『いや、愛称なんだが・・・どうしてそう思ったんだよ』

『兄弟・姉妹はさ、血の繋がった者同士なんだ。親同士は結局のところ他人になるわけだけど
 姉妹は違う。強く固い?がりを持っているんだ』

和『・・・よく分かりませんね』

律『和が一人っ子だからじゃないか?』

『うーん、これは沖縄の信仰そのものでもあるから理解しにくいのかも』

律『・・・ふーん。・・・でも、それは分かるような気がする』
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:11:39.17 ID:51PuW/tjo

和『そうね。あの二人は・・・そういう?がりがあるのかもしれないわ』

『・・・ふぁ・・・ねむ・・・』

律『沖縄ねぇ・・・』

和『相馬さんも・・・そういう?がりを見てきたんですか?』

『・・・うん。兄は妹を心配して、妹はそんな兄を尊敬すると同時に引け目を感じて』

律『真鶴ちゃんとソーマの事じゃないのか・・・』

『どうして?』

律『にぃにぃって呼んでいただろ?』

『あぁ、・・・するどいね』

和『どんな話があるのか興味あるわね』

『真鶴ちゃんとの話はスペクタルになるけどいい?』

律『じゃいいや、寝るべ』

和『そうね・・・ふぁ』

『・・・いいけどさ』

・・・

・・・・・・

律「『血の繋がった者同士、強く固い?がりを持っている』ってな」

紬「・・・」

冬「・・・っ」

姫子「・・・」

律「そんな?がりを疑ってどうすんだよ。姉として妹を信じろって」

冬「・・・・・・・・・はい」

律「じゃ、外で待ってるからなー。次何に乗ろうかな〜」

スタスタ

冬「・・・」

姫子「律・・・」

紬「・・・」

ギュ

冬「・・・」

721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:13:33.75 ID:51PuW/tjo

―――――出口


夏「怖いのが分かるって?それは思いあがりだよ梓」

梓「・・・」

純「なっ!夏は梓がどんな思いをしてきたか知らないでしょっ!」

夏「本当に失くしてきた冬の気持ちが分かるわけないよ。
  それなのに人の心が分かるような言い方はしないでくれるかな」

純「いい加減に・・・!」

梓「待って純・・・。どういうこと?」

純「っ・・・」

夏「・・・梓は同じクラスだったから分かるよね、卒業写真に写っていない冬の事」

梓「・・・うん」

純「同じクラス・・・?」

梓「小学6年・・・同じクラスだった・・・」

夏「同じクラスだって、いつ思い出した・・・?」

梓「夏の家で鍋をした・・・時・・・。おじさんとおばさんの顔をみて・・・」

夏「・・・梓は正直だな・・・。そういうの嫌いじゃないよ。なんて偉そうだけど」

純「・・・で、それが?」

夏「卒業写真どころか、卒業アルバムに一枚も写っていないんだよ冬は」

純「っ!」

夏「それはいいよ、別に・・・。休んでいたんだから残らないのはしょうがない」

梓「・・・」

夏「梓さぁ、冬との思い出ってある?」

梓「・・・え?」

夏「やっぱそうだよね・・・覚えていないのもしょうがないよ。責めるつもりもないし、時間は戻らないから・・・」

梓「・・・」

夏「冬と一度だけ一緒に帰ったこと・・・あるよね」

梓「・・・!」

純「そんな一度っきりの話なら覚えていなくても・・・!」

夏「・・・うん。人の記憶なんてそんなもんだから・・・いいんだ。だけどさ・・・
  私以外の人の中に残っていないんだよ・・・冬は・・・冬と一緒に過ごした時間は」

梓「・・・」

夏「友達ができそうだって・・・梓の話をした後に風邪をひいて寝込んで・・・
  その前も、その前もその前も何度何度も寝込んで・・・機会を逃していたんだよ・・・」

純「・・・っ」

夏「今の冬を見ていたら分かると思うけど、冬の周りには人が集まってくるんだよね
  紬先輩みたいに・・・さ」

梓「似ているって・・・」
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:14:44.04 ID:51PuW/tjo

夏「うん・・・。紬先輩はなんだかふわふわした人で・・・暖かくて、そばにいたら落ち着けて
  だから梓も懐いて、そんな人だからみんなが集っているんだと思う・・・安心できて心地よくて、ただ楽しくて・・・
  他の人が冬をどう思っているのかわからないけど、紬先輩と冬は周りの人たちを似た表情にさせてる」

梓「・・・」

夏「私の名前は夏なのにそんな事なくて、むしろ冬の方が夏のような雰囲気をもっていてさ
  それなのに・・・そんな冬なのに・・・人と繋がっていく時間を奪われていった」

梓「・・・」

夏「どうして冬なの?」

純「っ!」

夏「どうして私じゃないの?」

梓「っ!」

夏「どうして冬の後ろに隠れている私じゃなくて、
  太陽のような冬が大切な場所と時間を奪われていかなきゃいけないの?」

梓「・・・」

夏「おかしいよ・・・こんなの・・・」

梓「・・・」

夏「それに・・・・・・冬の今の時間を私が奪うところだった・・・」

梓「今の・・・時間・・・?」

夏「わ、私の・・・っ・・・せっ・・・せいでっ・・・冬を失うとこ・・・っ」

純「ちょっ、夏!」

梓「夏!」

夏「だ、・・・だっ・・・いじょっ・・・うぶ・・・っ・・・」

純「震えてるって!」

梓「あっちのベンチに・・・!」

夏「だいっ・・・・・・じょうぶっ・・・」
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:15:25.19 ID:51PuW/tjo

―――――救護室

冬「・・・・・・ごめん・・・なつ」

紬「・・・」ツンツン

姫子「・・・?」

紬「・・・」トントトントン

冬「?」

姫子「・・・うばったなら・・・」

紬「・・・」トントントトトン

姫子「かえせばいい」

冬「・・・?」

紬「・・・」コクリ

姫子「えー・・・と、失った時間をこれからは作っていけばいいって事・・・かな?」

紬「・・・」キリ

姫子「・・・そっか、そうだね」

冬「えぇと・・・?」

姫子「分からないかな・・・。時間は・・・えと、取り返せないけど・・・
   これからの時間は一緒に過ごせばいいってことだと思う・・・
   ううん・・・一緒に過ごせばいいんだよ。きっと」

冬「!」

紬「・・・」ニコニコ
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:16:03.61 ID:51PuW/tjo


―――――出口


梓「落ち・・・着いた・・・?」

夏「・・・すぅ・・・はぁ・・・・・・うん」

純「・・・」

夏「あの時を思い出すと・・・息が止まりそうになる・・・」

梓「あの時・・・?」

夏「冬を失いそうな時」

純「・・・」

夏「・・・ありがと、こんな話・・・誰かにした事なかったから・・・少し楽になった」

梓「・・・うん」

夏「じゃ、私帰るから」

純「結局帰るのかよ」

夏「今日はもう冬の顔みられない・・・。姫子先輩によろしくね」

梓「・・・うん」

夏「・・・ごめんね、じゃ」
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:16:42.36 ID:51PuW/tjo

―――――救護室

冬「いつも夏は私の手を握っていてくれるんです」

紬「・・・」

冬「・・・それが暖かくて・・・よいしょ」

姫子「起きて大丈夫?」

冬「大丈夫です、自分の体は自分がよく分かりますから」

姫子「そう・・・」

冬「では、行きましょう」

紬「・・・」ニコニコ

姫子「行きましょうって・・・帰りましょう、でしょ」

冬「私一人では危ないですから・・・」

姫子「うん、私も帰るよ?」

冬「それはもったいないですから、待ってます」

紬「・・・」コクリ

姫子「・・・?」
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:17:36.19 ID:51PuW/tjo

梓「『姫子先輩に任せる』そうです」

姫子「勝手な・・・夏・・・」

冬「心配をお掛けしました」ペコリ

澪「大丈夫?」

冬「はい!」

律「じゃ、移動しようぜ〜」

和「帰らないの?」

唯「今帰ったら冬ちゃんが気にするよ」

冬「はい。私のせいで帰ってしまうのは嫌です」

純「嫌ですってね・・・」

風子「私と眺めていようか」

冬「いえ、でも・・・」

律「どうせ全員が一度に乗る事なんてできないんだから、順に乗ればいいだろ」

紬「・・・」コクコク

澪「ふむ・・・、じゃあ・・・行くか!」キラキラ

純「行きましょうー!」

唯「テンション戻ったよ!」

憂「・・・行こうよお姉ちゃん」

唯「そうだね、楽しもうようい!」

梓「しょうがないですね・・・」

律「・・・」

冬「・・・」オロオロ

澪「いつまでそんな顔してんだりつー!」バシッ

律「ってえ!」

冬「あ、あのっ、ごめんなさい!」

律「なんで謝ってんだよー」

冬「だ、だって・・・」

唯「りっちゃんがむすっとしてるからだよー」

澪「そうだぞ!遊園地で変な顔するなっ!」キラキラ

律「・・・へいへい」
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:19:00.17 ID:51PuW/tjo


夏香「・・・本当に冬ちゃんは大丈夫なの?」

姉「うん。私がついているし、なにより今は精神面を育てないとね」

律「あのさ、夏はいつから冬から離れていったんだ・・・?」

姉「・・・田井中さんだっけ?」

律「いえす」

姉「それは好奇心?」

律「そうだな、最終的には自分の為になるかもしれないから・・・好奇心であっているのかも」

姉「・・・自分の為って?」

律「私も探している場所があるから・・・。あの二人を通して見えるのかもしれない」

姉「若いのに・・・あえて踏み込むんだ・・・」

律「若いからだな・・・。みおー!」

姉「こりゃ一本取られたか」

夏香「・・・」

澪「ジェットコースターは待ってくれないぞりつ!」キラキラ

律「双子の件で聞いておいたほうがいいと思ってな」

澪「そうか・・・。むぎじゃなくて私なのか?」

律「今日は私たちが決めたイベントだろ」

澪「・・・そうだな」

姉「この二人はどういう関係?」ヒソヒソ

夏香「幼なじみ」ヒソヒソ

姉「面白い関係だね・・・」プクク

澪「?」

姉「ゴホン・・・。冬ちゃんは命を繋ぐ事ができた。・・・それは知ってる?」

夏香「えっ!?」

律澪「「 はい 」」

夏香「知ってたの!?」

律「二人のお母さんから聞いたんだ」

澪「・・・うん」

姉「その後かな・・・次第にお見舞いに来る回数が減ってきたのは・・・退院の日にも来なかった」

律「どうして・・・?」

姉「そこは私には分からない・・・。ただ、冬ちゃんは嫌われたってつぶやいていた」

澪「それはないな」

律「あぁ、断言できるな」

夏香「・・・」

姉「・・・うん。あの子、夏ちゃんは目を背けているような気がする」

澪「・・・」

姉「眩しいと目が眩むから暗い所を見てなれるのを待つんだけど・・・、夏ちゃんはそんな感じ」

律「・・・」
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:19:42.74 ID:51PuW/tjo

姉「これくらいだけど」

澪「・・・」

律「・・・冬は・・・どうして短期間で回復できたんだ・・・?」

澪「そういえば・・・そうだな」

姉「!」

夏香「・・・どういう事?」

澪「お母さんの話では高校に入ってからその事が起きているんだ」

律「姫子の話では・・・えぇと・・・今年の7月に入部してるから・・・」

澪「冬はいつ退院したんですか?」

姉「・・・去年の秋・・・ちょうど・・・一年前・・・」

夏香「確かに回復が早い・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

姉「律ちゃん、探している場所・・・って・・・?」

律「え?・・・えぇと・・・『最高の場所』ってやつです」

姉「その場所ってどういう場所なの・・・?」

澪「支えてくれる場所だと思います。どんな出来事が起きても、自分を強くしてくれる大切な場所」

姉「・・・なるほど」

夏香「冬ちゃんも持っているって事?」

澪律「「 そうか・・・ 」」

夏香「・・・?」
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 22:08:20.12 ID:nwtAmQJSO
キャラが分からんから、全然ついていけない
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 22:37:46.24 ID:51PuW/tjo

―――――夜

ガタンゴトン ガタンゴトン

唯「」スヤスヤ

冬「」スヤスヤ

律「結局聞けなかったな」

澪「・・・うん」

姫子「・・・」ハァ

純「今の溜息は結構深かったですよ」

姫子「・・・うん。ちょっとね・・・」

純「私がお役に立てるかもしれませんよ、聞かせてもらいましょうか」ドン

姫子「・・・ううん、ありがと」

純「えー、断って御礼を言われるの嫌ですよぉ」

姫子「わざとおちゃらけて、励まそうとしてくれているんでしょ?」

純「うぐっ・・・」

和「あのね・・・、それを言ったら純の厚意が無駄になるのよ?」

姫子「あ・・・ごめん」

純「・・・」

律「照れるなって」ナデナデ

純「こんな時の優しさは辛いですからっ!」

律「知っててやってんだよ」ナデナデ

純「ひどいっ!」

姫子「ふふっ」

純「えへへ」

冬「」スヤスヤ

澪「・・・あの後、夏はどうだった?」

純「正直に言っていいですか?」

律「お?」

姫子「うん、聞かせて」

純「これ以上私たちが踏み込んではダメです。私は冬と夏の間にある溝が埋まるとは思いません」

和「・・・断言するのね」

純「はい。私たちでは夏の傷を抉るだけで、その傷をどんどん大きくしてしまうだけだと思いました」

唯「」スヤスヤ

冬「」スヤスヤ

律「そっか・・・。人の傷なんて計り知れないもんな・・・」

澪「そうだな、・・・私たちはここまでだ」

和「・・・そうね。・・・そろそろ到着するから起こすわ」

姫子「・・・・・・あっさりなんだ」

純「・・・」

姫子「・・・・・・」
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 22:38:14.25 ID:51PuW/tjo

律「さっきは純の厚意を汲んだのに、今は汲み取れないのかよっ」

姫子「え・・・?」

澪「純は向こうの席とこっちの席に線を引いて『私たち』と言ったんだ」

和「・・・そういう事ね」スッ

純「くすぐったい」モジモジ

スタスタ

和「むぎ、梓、憂、風子、英子・・・そろそろ到着するわよ」

紬「・・・?」

梓「ぅ・・・?」

憂「ふわぁ・・・」

風子「あと五分・・・」ムニャムニャ

英子「・・・到着して発車しちゃうよ」

姉「ほら・・・なつ」ユッサユッサ

夏香「・・・起きてるよ」グラグラ

姉「寝たフリ?」

夏香「話し相手が居ないから目を瞑っていただけ」

姉「私はー?」

夏香「本読んでいたでしょ」

スタスタ

和「・・・よいしょ」ストッ

姫子「・・・」ハァ

純「姫子先輩・・・梓だけだと思います。夏の心に触れたのは梓だけですから」

姫子「・・・そっか・・・ありがと」

純「私はなにもできませんでした・・・。なんかズレた受け取り方しか出来ませんでしたから」

律「・・・」

純「律先輩・・・こういう時は・・・」

律「知っててやらないんだけど」

純「ひどいっ!優しくしてくださいよっ」

律「わがままだな・・・みお」

澪「唯、冬起きて」

律「・・・は忙しいから和がやればいい」

和「・・・」

純「・・・」

和「偉いわ」

純「ありがとうございます!」

律「優しいのかそれ・・・」

姫子「・・・」

ガタンゴトン ガタン  ゴトン

プシュー
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 22:42:02.10 ID:51PuW/tjo

和「おやすみ」

律「あぁ、おやすみー」

憂「おやすみなさい」ペコリ

澪「明日な」

唯「はいよ!駄菓子屋でね」

姫子「・・・バイバイ」

冬「」スヤスヤ

唯「はいは〜い」

スタスタ

澪「帰るか」

律「あぁ、今日も大変だったなー」

冬「」スヤスヤ

姫子「私ってさ・・・心狭いかな・・・」

律「なんでだ?」

姫子「さっき、電車の中で・・・純が言った事で、みんなが二人を見放すように聞こえて
   ちょっと嫌な気分になったんだよね・・・」

澪「心が狭い人なら、冬をおんぶしてわざわざ送ったりしないよ」

姫子「・・・」

冬「」スヤスヤ

律「そうだぜー。むしろその逆で大きくて余計なもんまで抱えちゃってんだよきっと」

姫子「・・・そんな事はないよ」

澪「姫子は冬を見ていればいいんだと思う」

律「そだな、二人はさすがにきっついな」

姫子「・・・」

冬「」スヤスヤ

律「代わろうか?」

姫子「・・・」

澪「おーい」

姫子「・・・」

律「ひーめーこーちゃん!」

姫子「・・・え?」

冬「・・・ぇ?」

律「だから冬をおんぶするの代わろうかって言ってるんだけど」

姫子「大丈夫だよ」

冬「えっ!?また!」

澪「びっくりした・・・。起きちゃったんだ」

姫子「降りる?」

冬「もっ、もちろんです!」

律「その返しは間違ってるぞ」
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 22:42:46.70 ID:51PuW/tjo

冬「あ、嫌って意味じゃなくて迷惑だろうからって事で」アセアセ

律「ブフッ」

澪「遊ぶなっ」バシッ

律「いたっ!」

姫子「よいしょっと」

冬「あ、ありがとうございました」

姫子「・・・ううん・・・気にしないで・・・これくらいしか出来ないから」

冬「・・・」

姫子「・・・?送っていくから行こう?」

冬「どうかしたんですか・・・?」

姫子「どうもしないけど・・・」

冬「やっぱり迷惑だったんじゃ」

律「疲れてんだよっ」ビシッ

冬「いたっ」

澪「・・・」バシッ

律「いたっ!・・・え?」

澪「風子から律が冬を叩いたら叱ってとの伝言を承っている」

律「はぁ・・・左様ですか・・・」

冬「ふふっ」

姫子「・・・さ、行こうか・・・」

律「さっさと帰って暖かいお風呂に入って布団に入って、・・・どうしよっかなー」

澪「勉強しろ」

律「嫌だ!布団に入って勉強させるなよっ」

姫子「・・・」

冬「・・・」
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 22:43:14.69 ID:51PuW/tjo


冬「上がっていかないんですか?」

律「いいって、私たちも早く帰りたいからな」

澪「うん。よろしく伝えておいて」

姫子「・・・」

冬「はい・・・。せっかく明日もお誘いくださったのに・・・」

律「そんな気にしなくていいって、夏香の姉さんにも言われてんだから」

澪「そうだぞ、明日は念の為に病院へ行くべきだ」

姫子「うん」

冬「・・・はい」

律「じゃーな」

冬「今日も楽しかったです。ありがとうございました」ペコリ

律「ったりめえよ!」

澪「じゃあね、お休み」

姫子「おやすみ」

735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 22:44:01.32 ID:51PuW/tjo

姫子「早く帰りたいんじゃなかったの?」

律「あー、うん」

澪「翻訳すると、姫子が考えている事を聞かせてくれって」

律「心を読むなっ!」

姫子「・・・」ハァ

律「この流れで溜息吐かれると・・・」

澪「冬も心配していたよ・・・?」

姫子「え?」

澪「別れ際、冬の顔がそう言ってた」

姫子「・・・そっか・・・・・・」

律「話したら見えてくることもある。話さないといつまでもそのままだ」

姫子「・・・律って・・・たまに的を射るよね」

律「・・・そんなんじゃねえよ・・・みんなで笑っていたいだけだ」

澪「・・・」

律「だけだよーん・・・」

澪「見て姫子、流れ星」

姫子「・・・?」

澪「ごめん、飛行機だった」

律「こらっ!」

澪「照れ隠しをすると余計恥ずかしかったりするんだぞ」

律「・・・」

姫子「敵わないなぁ・・・ってさ」

澪律「「 え? 」」

姫子「今の二人のやりとり、むぎと梓、唯と和と憂と純」

澪「???」

姫子「救護室でさ、律が冬を叱ったでしょ?」

律「あ、あれは・・・冬が自分を大切にしないから・・・」

姫子「うん・・・、だけどそれを私は読み取れなかった・・・」

澪「・・・」

姫子「冬が心のうちを話してくれていた時・・・むぎは何かを伝えたがっていた
   言葉が・・・っ・・・話せなくて・・・悔しそう・・・だった・・・」

律「姫子・・・」

姫子「その後に・・・っ・・・律が・・・むぎの心を代弁した・・・ようでさっ・・・」

澪「・・・っ」

姫子「そばにい・・・たのに・・・っ・・・聞こえ・・・なか・・・った・・・」

律「・・・」

姫子「私・・・っ・・・玉恵さんから・・・貰ったもの・・・・・・二人にっ・・・渡したいのにっ」

澪「・・・」

姫子「私では・・・渡せない・・・・・・っ・・・それが・・・とても・・・悔しいな・・・っ」

律「・・・」
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 22:45:38.47 ID:51PuW/tjo

澪「・・・」

姫子「ご・・・っごめん・・・こんなの私じゃないよね」

澪「・・・」

姫子「い、今のっ・・・忘れて」

律「ひーめーこっ」ダキッ

姫子「り、律!?」

律「はは、唯ならこうしたかなって思ってさぁ」

ギュウ

姫子「ちょっ!」

澪「・・・きっと、したな」グスッ

姫子「澪・・・」

律「あのさ、私の旅の話したじゃん?」

姫子「・・・うん」

律「あれは、私ら5人がいたから見られた景色なんだぜ?」

姫子「?」

澪「私たちの内一人でも欠けていたらみられなかったんだ」

姫子「・・・」

律「姫子が玉恵ちゃんから貰ったものってなんだ?」

姫子「・・・それは・・・思い出とか記憶とか・・・で説明できるけど・・・そうじゃなくて」

澪「うん・・・」

姫子「私と玉恵さんが繋がった事・・・。同じ景色を見られたこと・・・。・・・大切な事を教えてもらった事の全て」

律「そうだ!」

ギュウ

澪「いい加減離れろ」グイッ

律「へへっ、すいやせん」

澪「私たちと姫子は繋がっている。そして、冬と夏は姫子と繋がっている」

律「二人がもう一度繋がる事を姫子が望んでいるんだろうけど、それは私たちの望みでもあるんだ」

姫子「!」

澪「だから、大丈夫。きっと・・・必ず・・・絶対に渡せる」

律「そうだ!」

姫子「・・・」

澪「姫子は私たちと同じ輪の中にいるんだ。欠けたら・・・景色がみられなくなるぞ」

律「そうだぜ!だから、心配すんなって」ダキッ

姫子「律!?」

律「なんでかな、二人と姫子の間にあるのが愛おしくてな」オホホ

澪「うわー・・・」
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 22:46:15.16 ID:51PuW/tjo

pipipipipipi

姫子「・・・?」ピッ

『勝手に帰ってすいませんでした。また姫子先輩と行きたいです』

姫子「・・・」

pipipipipipi

姫子「・・・今度は冬?」ピッ

『今日はありがとうございました。とっても楽しかったです。
 お父さんとお母さんが今度お礼を言いたいそうなので時間がある時にでもいらしてくださいね。
 またみなさんと姫子先輩と行きたいです』

姫子「・・・」

律「へへっ、同時に送信するなんて・・・やっぱ双子なんだな」

澪「勝手に覗くなっ!」グイッ

律「げほっ」

姫子「ふふっ・・・あははっ・・・ははははっ」

澪「ひ、姫子・・・?」

律「ど、どうした・・・?」

姫子「誰かに渡そうなんて・・・いつから偉くなったんだろうね・・・私っ・・・二人からもたくさん貰ってるのに」

律「・・・!」

姫子「それに気付けた・・・それがとても嬉しい・・・」

澪「!」

姫子「あのさ、みんなが旅をして出会った人たちを紡いだのってむぎなんでしょ?」

澪「・・・そうだよ。むぎが紡いでくれたんだ」

律「・・・なんで知ってんだ?」

姫子「憂から聞いた・・・。・・・・・・・・・やっぱり敵わないな」

律「・・・」

澪「・・・」

姫子「むぎを中心として・・・引き寄せてられていく私たちの引力・・・か・・・」

738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 23:03:48.25 ID:51PuW/tjo
>>729 全体的に説明不足ですよね。申し訳ないです 

クラス名簿
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1991583.jpg
上の画像の印象だけで話を進めているので、登場キャラを濃く出来ていない訳ですね
今作は色々と痛感させられています

続きは明日になります。おやすみなさいませ
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 16:59:46.89 ID:Q9AM4Kalo
後登場してないのは、風雨1のメインヒロインと隠しヒロインか
出てくるのだろうか?


740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:10:29.83 ID:Rdx6fWIoo


9月20日


―――――駄菓子屋

エリ「こ、こんにちは・・・」

「あら、いらっしゃい。エリちゃんだったかねぇ」

エリ「な、名前覚えていてくれたんですか・・・?」

「こんな可愛い子の名前忘れるわけないさね、ねぇ虎徹?」

虎徹「・・・」

エリ「い、いやぁ・・・」テレテレ

アカネ「一昨日に来たんですけど・・・閉まってて・・・どうしたんですか?」

「あぁ、ちょいと病院へ行っててね・・・」

アカネ「元気そうにみえますけど・・・」

「腰を痛めちゃってねぇ・・・」トントン

エリ「・・・」

アカネ「・・・」

虎轍「・・・」ピョン

スタスタスタ

「これ、どこへ行くんだね虎徹」

虎徹「みゃっ」

ピョン

虎徹「・・・」ゴロゴロ

エリ「日向ぼっこ・・・気持ち良さそう」

「あのベンチは風も当たるし、いい場所なんだねぇ」

アカネ「・・・」


梓「なんですかね、このネコ」

虎徹「・・・」ムッ

梓「・・・?」

紬「・・・」

虎徹「・・・」フンッ

梓「生意気そうなネコですね・・・」

エリ「梓ちゃんと紬さん・・・?」

「おやおや、あの二人面白いね、しばらくみていようか」

アカネ「二人って・・・虎徹と梓ちゃん?」

「梓ちゃんっていうのかい・・・。そうだよ」ヒッヒッヒ
741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:12:29.21 ID:Rdx6fWIoo

虎徹「・・・」ジー

梓「・・・」

虎徹「・・・」フンッ

梓「バカにされているような気がするんですけど、気のせいでしょうか」

紬「・・・」ナデナデ

虎徹「・・・」ゴロゴロ

唯「おはよ〜、どうしたの?」

梓「ネコと戯れていたんです」

虎徹「・・・」フンッ

梓「ん・・・?」

唯「おぉ〜よしよし」ナデナデナデナデ

虎徹「みゃ〜」

紬「・・・」ナデナデナデナデ

虎徹「みゃみゃ〜」ゴロゴロゴロゴロ

梓「・・・」スッ

虎徹「・・・」サッ

梓「避けましたよ!どうして私だけ!?」

虎徹「・・・」フンッ

唯「動物は本能で敵と味方を見極めるっていうから・・・」

虎徹「みゃっ」

梓「・・・私は敵だという事ですか」

虎徹「みゃみゃっ」

梓「ぐっ・・・」

紬「・・・」

梓「見てろです」

タッタッタ

唯「どこへ行くんだい!」

梓「すぐ戻ります!」


「人と人でも波長が合わない人がいるさね・・・。人と動物でもそうなのかもしれないねぇ」

エリ「・・・虎徹が遊んでいるようにもみえましたよ」

「そうかもしれないねぇ・・・」

アカネ「面白い二人ですね」

「そうだねぇ」

唯「お、エリちゃんとアカネちゃんいたんだね」

紬「・・・?」

アカネ「駄菓子を買いに来たの」

エリ「財布にも優しいし〜」

唯「うんうん、そうだよね。私たちの救世主だよ」
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:14:06.78 ID:Rdx6fWIoo

「ここで立ち話もなんだから上がって行くかい?お茶くらい出さなきゃねぇ」

紬「・・・」

唯「ごめんねおばぁちゃん、私たちこれから海に行くんだ」

「そうかい、それは残念だねぇ」

エリ「海?ずいぶんと遠出するんだね」

唯「むぎちゃんともう一度見ておきたいんだ」

紬「・・・」ニコニコ

アカネ「・・・」

「気をつけるんだよ」

唯「はーい。と、その前に・・・電車の中で食べるおやつを準備します」

紬「・・・」コクリ

エリ「・・・私たちもついて行っていいかな?」

唯「うん、いいよ〜」

アカネ「・・・」

「おや、戻ってきたようだよ」

唯「あずにゃん?」


虎徹「」スヤスヤ

梓「ほら、起きて」ユサユサ

虎徹「・・・」イラッ

梓「ほらほら、ネコじゃらし」フリフリ

虎徹「・・・」フンッ

梓「・・・」フリフリ

虎徹「・・・」

梓「・・・」フリフリフリフリ

虎徹「・・・」ウズウズ

梓「本能に従えっ」フリフリ

虎徹「・・・!」シュッ

梓「おっと」サッ

虎徹「・・・」シュッシュッ

梓「甘い甘い」

虎徹「・・・」シュシュッ

梓「ふふ・・・勝った・・・」

律「猫に勝ってどうすんだよ」

澪「梓・・・」

唯「あずにゃん・・・」

紬「・・・」

梓「あ・・・」
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:16:12.65 ID:Rdx6fWIoo


―――――電車内


ガタンゴトン

梓「・・・」グルグル

紬「・・・」グルグル

律「固くなったら食べるんだ」

唯「・・・」パクッ

澪「おいしい?」

唯「早かったみたいだよ・・・」

エリ「・・・」グルグル

三花「・・・」グルグル

アカネ「水あめを必死にまわしているなんて・・・おかしな光景・・・」

さわ子「どうして3人がいるのよ」

律「こっちの台詞だ。どうしてさわちゃんがいるんだよ」

さわ子「ヒマだからよ」

唯「りっちゃん」

律「・・・あ、ごめん」

さわ子「謝ることじゃないわよ。・・・謝られると傷つく事ってあるのよ!」ガシッ

律「うぐっ」

さわ子「・・・」グリグリ

律「ごめんなひゃいごめんなひゃい」

紬「・・・」スッ

未知子「・・・?」

澪「あげるって言ってるんじゃないかな」

紬「・・・」ニコニコ

未知子「あ、ありがとう・・・」

梓「それじゃ私のをどうぞ」スッ

紬「・・・」コクリ

唯「あずにゃんどうぞ」

梓「それ・・・一度口に入れましたよね」

唯「幸せの連鎖だよ」

梓「論点がズレていますよ。気持ちだけいただきます」

唯「分かったよ」パクッ

エリ「幸せの連鎖・・・。はい三花」スッ

三花「・・・それ受け取ったら二つ所持する事になるんだよ」

エリ「それじゃ・・・どうぞ、さわ子先生」

さわ子「それは幸せの押し売りというのよ」

エリ「・・・」グサッ
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:17:29.13 ID:Rdx6fWIoo

律「ひでえ・・・」

アカネ「ちょうだい」

エリ「どうぞ」

アカネ「・・・はむっ」

澪「おいしい?」

アカネ「・・・それほどでもないよね」

エリ「そっか・・・」ニコニコ

さわ子「どうして嬉しそうなのよ」

三花「アカネは甘ったるいもの苦手だからですよ」ハムッ

未知子「確かに甘いね・・・」

唯「そこがいいんだよ。喉渇いちゃうちゃうけど」

紬「・・・」スッ

唯「お茶だね、ありがと〜」

律「アカネが好きなものってなんだ?」

エリ「辛めのお菓子を好んでるよ」

梓「あれ・・・?コーラ買っていませんでした?」

紬「・・・」コクリ

アカネ「喉にくるシュワシュワが好き。温くなると酸が抜けて飲めないよ」

律「温いジュースなんて誰も好んで飲まねえよ」

澪「・・・そうだな」

未知子「・・・」ハムハム

さわ子「一生懸命食べるわね」

未知子「・・・?」ハムハム

さわ子「昨日はどうだったの?あの二人は」

律「あー、それがトラブっちゃってな・・・。だけど心配はいらないと思う」

さわ子「・・・そう」

澪「姫子がいるから」

紬「・・・」コクコク

エリ「今日は姫子さん来ないの?」

唯「バイトで忙しいんだって」モグモグ
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:18:11.90 ID:Rdx6fWIoo

梓「こぼしてますよ唯先輩」

唯「おっと・・・えへへ」

紬「・・・」

梓「そろそろ着きますね」

エリ「乗り換え乗り換え〜」

三花「それで、どこへ行くの?私だけ知らされていないんだけど・・・」

律「海だ、うみ〜!」

ガタンゴトン ガタン

紬「・・・」

梓「むぎせんぱい、どうしたんですか?」

紬「・・・」トントントトン

澪「車窓か・・・。駅に入る瞬間ってなんだかワクワクするよな」

唯「そうだよね、なにがあるんだろ〜って」

紬「・・・」コクリ

アカネ「・・・そんなに心が弾む事?」

律「列車の旅だったからな・・・」

さわ子「ほら、降りるわよ」

未知子「・・・」ハムハム
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:20:20.23 ID:Rdx6fWIoo


―――――ホーム


唯「冷凍みかんをくださいな」

「すいません・・・。あいにくそのような商品は・・・」

梓「駅の売店にあるわけ無いじゃないですか」

唯「一度電車の中で食べてみたかったんだよ!」

梓「・・・そうですか」

「あ、でも隣の売店ならまだあるかもしれないです」

律「あんのかよ・・・」

紬「・・・」

タッタッタ

未知子「?」

スタスタ

「・・・」コソコソ

prrrrrrrrr

梓「時間ですね。諦めましょう唯先輩」

唯「や〜だ〜!」グズグズ

梓「そこで駄々をこねているといいです。次は30分後に発車ですから、それに乗って追いかけてきてください」

唯「諦めるよ・・・」シブシブ

律「さすがに30分置いてけぼりは堪えたか」

『3番線間も無く発車です』キリッ

梓「・・・あれ?」

唯「どうしたの?」

律「あと30分で到着だ・・・それまでシリトリでもすっか」

澪「・・・」

プシュー

『発車します』キリッ

ガタン ゴトン

梓「むぎせんぱいが居ない!」

さわ子「ぅん・・・?」

律「寝てんなよさわちゃん!むぎは!?未知子もいないぞ!」

エリ「そ、外見て・・・」

747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:22:25.31 ID:Rdx6fWIoo

三花「・・・あ」

ガラッ

梓「むぎせんぱいっ!」

ガタン ゴトンガタン

タッタッタ

紬「・・・!」スッ

梓「なんでみかん買ってるんですか!」

唯「危ないよむぎちゃん!」

紬「・・・」スタスタ

ガタンゴトンガタンゴトン

澪「むぎぃー・・・」

さわ子「むぎちゃんが乗り遅れるなんて・・・予想していなかったわ・・・」

アカネ「未知子さんまで・・・」

pipipipipipi

「・・・」ピッ

三花「多恵ちゃん!?」

多恵「もしもし」

『この後の電車で追いかけるから・・・』

多恵「うん、分かった・・・」

さわ子「未知子ちゃんから?」

多恵「・・・そうです」

さわ子「貸して。・・・もしもし・・・到着駅は分かってるの?」

『・・・紬さん、到着駅って知ってる?・・・・・・はい。大丈夫です』

さわ子「じゃそこに来てね。梓ちゃんは次の駅で待ってるそうだから」

『分かりました。それでは後ほど』

プツッ

さわ子「はい、ありがと。という事だから、私は到着駅まで寝るわね」

多恵「・・・」

さわ子「」スヤスヤ

律「私たちが次の駅で降りたらどうすんだよ、さわちゃん・・・」

ヒンヤリ

梓「冷たい・・・冷凍みかんですよこれ・・・」

唯「私がっあんな事言わなければっ!」

澪「まって小芝居は後だ。まずは状況を整理しようか」

唯「小芝居って・・・澪ちゃん・・・」シクシク
748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:23:23.45 ID:Rdx6fWIoo

律「なんで多恵が乗ってんだ・・・?」

多恵「駅前で・・・未知子ちゃんとさわ子先生が一緒に居る所を見つけて・・・
   驚かせようと・・・思って・・・みんなが合流して・・・タイミングを逃して・・・」

律「アホだ・・・」

多恵「うぅ・・・」

澪「後をつけていたのに・・・未知子は多恵がこの電車に乗っている事に気付いていたんだ?」

多恵「後をつけていたの私だけじゃないから・・・」

アカネ「もう1人の誰かとつけてきたの?」

多恵「ううん・・・私を入れて・・・3人」

律「あぁ・・・多恵がこんなアホっぽい事するわけないもんな・・・後の2人は大体分かった」

梓「今のうちに食べないとただのみかんになりますから、食べましょう」

唯「ありがとうだよむぎちゃん」ムシャムシャ

澪「冷凍みかん・・・おいしいな・・・」ムシャムシャ

エリ「おいし〜」ムシャムシャ

三花「季節的にどうかと思ったけどおいしいね」

アカネ「紬さん、駅員さんに怒られていないかな・・・」

多恵「未知子ちゃんがいるから大丈夫」
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:25:25.17 ID:Rdx6fWIoo


―――――ホーム



駅員「電車と並走して物を渡すなんて危険な行為されたら困るよ!」ガミガミ

紬「・・・」ションボリ

潮「・・・ごめんなさい」

駅員「どれだけ危険な事か分かってるの!?怪我じゃすまない事だってあるんだよ!?」ガミガミ

紬「・・・」シュン

ちか「・・・はい」

駅員「・・・どうして本人が謝らないのかな・・・?本当に反省しているの?」

紬「!」

未知子「すいませんでした!」バッ

駅員「・・・」

未知子「私がお願いした事なんで、この子は悪くありません。全部私が悪いんです」

駅員「・・・」

未知子「すいませんでした」

駅員「・・・怪我をして泣くのはキミ達だけじゃないんだからね・・・。もう二度としないように」

紬「・・・」ペコリ

未知子「・・・はい」

潮「はい!」

ちか「はい」

駅員「それじゃ、気をつけて・・・」

スタスタ

潮「すいませんでしたー」

ちか「・・・ふぅ」

未知子「許してくれてよかったね・・・」

ギュ

紬「・・・」スラスラ

未知子「どういたしまして・・・」ニコ

ギュ

紬「・・・」スラスラ

潮「いえいえ」

ギュ

紬「・・・」スラスラ

ちか「ううん、気にしないで」

紬「・・・」ペコリ

潮「・・・」

ちか「・・・」

未知子「・・・」

紬「・・・」ニコ
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:26:55.21 ID:Rdx6fWIoo

潮「うん・・・。とりあえず座ろっか」

ちか「そうだね・・・。30分って長いねー」

未知子「どうして多恵ちゃんまでいたの?」

紬「!」

潮「駅前で・・・あ!信代との約束忘れてた!!」

信代「やっと思い出したか!」ガシッ

潮「うぐっ」

信代「私を置いてさっさと行きやがって!」グリグリ

潮「ごめんなひゃいごめんなひゃい」

紬「・・・」ニコニコ

信代「で、どこに行くの?」

潮「さぁ・・・?」

ちか「どこへ行くの?」

未知子「海だよね?」

紬「・・・」トントントン

信代「た・・・い・・・へ・・・いようか」

潮ちか「「 太平洋!? 」」

紬「・・・」コクリ

未知子「太平洋だったんだ・・・」

751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:28:06.25 ID:Rdx6fWIoo

――・・・


さわ子「」スヤスヤ

律「さわちゃんどこでも寝るな」

三花「疲れているのかな・・・」

梓「・・・」

エリ「実をいうとね・・・駄菓子屋のおばぁちゃん、小田おばぁちゃんなんだけど」

唯「うん・・・?」

エリ「さっき・・・どう話せばいいのか分からなくて・・・。それで無理やりここについてきたの」

唯「そうなんだ」

エリ「なんていうか・・・話題をみつけられなくて・・・、挨拶だけならできるんだけど」

唯「ふむふむ」

澪「・・・」

エリ「私のおじぃちゃんとおばぁちゃんは小さい頃に会って以来、それっきり
   だから余計、接し方が分からなくて・・・」

梓「それじゃどうして、今日駄菓子屋に行ったんですか?」

エリ「そ、それは・・・その・・・」

澪「話をしたいから・・・じゃない?」

エリ「・・・うん」

唯「その気持ちがあれば充分だよ〜。何度か足を運んで、顔を合わせれば自然と言葉が生まれるよ」

エリ「・・・そっか」

アカネ「・・・」

梓「あ・・・、そういえば屋台の方はまだ内容決まっていませんでしたよね」

唯「名案だよあずにゃん!姫ちゃんに確認とってみるよ!」

ピッピップ

trrrrrrrrr

三花「名案って・・・?」

澪「駄菓子屋にしようって事じゃないかな。私もそう思った」

プツッ

唯「もしもし、姫ちゃん?駄菓子屋にしようよ!」

エリ「単刀直入すぎるよ・・・」

『姫子さんじゃないよお姉ちゃん。・・・海に着いたの?』

唯「ううん、まだだよ。どうしてういが姫ちゃんのケータイに・・・?」

『この番号私だよ。ちゃんと確認してね』

唯「・・・おぉ、間違えたよ」

『はーい』

プツッ

唯「えへへ、間違えちゃった」

律「唯・・・」
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:30:17.94 ID:Rdx6fWIoo

trrrrr

『もしもし、・・・梓?』

梓「はい。今バイト中じゃないんですか?」

『ちょうど休憩中だよ。どうしたの・・・?』

梓「学園祭の屋台の件なんですけど、駄菓子屋はどうですか?」

『そうだね。お茶と合うから・・・いいと思う。それで進めようか』

梓「了解です。それでは、バイトがんばって下さい」

『ん。ありがと・・・。海に着いたの?』

梓「いえ・・・それが・・・。明日話しますね、変な事になっていまして』

『楽しみにしとく。それじゃ、明日ね』

梓「はい」

プツッ

唯「あずにゃん・・・私の仕事だよ・・・」シクシク

梓「いいじゃないですか。それより、ちゃんとむぎせんぱいに謝ってくださいね」

唯「了解しました!」ビシッ

アカネ「きっかけが出来たね」

エリ「・・・うん」

多恵「・・・」

三花「あ・・・到着するよ」

澪「さ、さわ子先生」ユッサユッサ

さわ子「ぅん・・・?」

ガタン ゴトン ガタン

プシュー

潮「おまたせ〜」

信代「よっ!」

多恵「信代ちゃん・・・?」

ちか「やっほー」

エリ「ちかも来てたんだ」

律「あれ、潮とちかは予想できたけど、信代は予想外だな」

さわ子「じゃ、みんな乗るわよ〜」
753 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:31:49.55 ID:Rdx6fWIoo

唯「ご、ごめんねむぎちゃん・・・」

紬「・・・」フルフル

唯「お詫びの品だす!」

律「買ったのむぎだけどな」

ヒンヤリ

紬「?」

澪「駅に到着してすぐに売店の冷凍庫借りたんだ」

紬「・・・!」

梓「私たちだけ楽しむのは物足りないと思いまして」

紬「・・・」ルンルン

未知子「嬉しそう・・・」

『6番線間も無く発車です』

紬「・・・」ムシャムシャ

プシュー

紬「・・・」ウットリ

潮「・・・」ゴクリ

律「潮涎垂れてる」

潮「・・・」フキフキ

紬「・・・」スッ

潮「ありがと」ムシャムシャ

紬「・・・」スッ

ちか「ありがと」

紬「・・・」スッ

未知子「ありがとう」

紬「・・・」スッ

信代「私もいいの・・・?ありがと」

さわ子「・・・ふわぁ」

紬「・・・」ヒョイ

さわ子「ん?・・・ちょっと、あくびしてる人の口に放り込まないでね・・・おいしいわね」モグモグ

潮「紬が頑張った理由が分かったよ」

ちか「・・・うん。みかんを冷凍庫に入れようと考えた人は表彰ものだよね」

信代「ノーベル賞あげてもいいな」

未知子「・・・」モグモグ

「「 ・・・ 」」ジー

未知子「・・・?」

さわ子「オチはどうしたの?」

未知子「オチ・・・?」

多恵「一言ぼやいて笑いを取れって言ってる・・・雰囲気がそう言ってる・・・」

未知子「ぇ・・・」
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:33:49.74 ID:Rdx6fWIoo

紬「・・・」スッ

未知子「二個目・・・?」

律「はい、スタート」ポン

さわ子「おいしかったわね」

潮「乗り遅れる危険を犯してまで手に入れようとする訳だ」

未知子「・・・」ドキドキ

ちか「・・・みかんを凍らせて食べた最初の人って表彰もんだよね」

未知子「・・・」ドキドキ

信代「国民栄誉賞あげてもいいよな」

未知子「さ、さすがだよねルーシーさん」

律潮「「 外国人だったのか! 」」

澪「ブフッ」

未知子「さ、さっきノーベル賞って」オロオロ

信代「そう落とすとは思わないでしょ・・・」

唯「ルーシーさん・・・」

エリ「・・・」ヒョイ

未知子「あ・・・」

エリ「もぐもぐ」

梓「偉大な発見ですよね」

エリ「うん。お袋の味だね」

律潮「「 やっすいな! 」」

澪「グフッ」

三花(なんか楽しそう・・・私もやってみたい・・・)

紬「・・・」スッ

アカネ「私もやるの・・・?」

紬「・・・」キリ

アカネ「もぐもぐ」

三花「その味を星に例えるならなにかな」

信代(恨みでもあるのかな・・・)

アカネ「天の川」

律「幾億の数だ!」

アカネ「オリオン」

潮「それは星座だ!」

アカネ「ベテルギウス」

潮律「「 どちらさまで・・・? 」」オロオロ

澪「星の名だ・・・」

多恵「ブフッ」
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:35:53.05 ID:Rdx6fWIoo


―――――太平洋


律「白い砂浜!」

潮「青い海!」

唯「輝く太陽!」

律潮唯「「「 沖縄だー! 」」」

タッタッタ

梓「少し雲ってきましたね」

紬「・・・」

澪「太平洋は夏のイメージが強いからな。沖縄と勘違いしたんだろう」

さわ子「あの三人は勘違いしてるの?」

澪「はい」

信代「そんなキッパリ言わんでも」

エリ「あ、まだ海の家やってる」

アカネ「本当だ・・・少し覗いてこようか」

三花「賛成!ビーチボールとかあったら借りようよ」

ちか「ナイスアイディアー!」

タッタッタ

さわ子「太平洋が夏なら、日本海は冬かしら」

澪「・・・そうですね」

未知子「冬の日本海は荒れるって聞きますよね」

多恵「厳しくてとても力強いよね」

信代「・・・」

さわ子「間逆なのにねぇ・・・」

澪「・・・はい」

未知子「なにがですか?」

さわ子「なんでもないわ」

梓「・・・」

紬「・・・」ツンツン

梓「なんですか?」

紬「・・・」トントントン

梓「この海の彼方に『それ』は存在するんでしょうか・・・」

紬「・・・」

梓「あ・・・ここは沖縄じゃなかったですね・・・」

多恵「・・・『それ』って・・・?」

梓「『ニライカナイ』・・・理想郷の事です」
756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:38:19.96 ID:Rdx6fWIoo

多恵「・・・あれ?」

未知子「どうしたの?」

多恵「・・・最近それを聞いたような・・・?」

梓「本とかじゃないですか?ふぅ先輩もそう言っていましたから」

多恵「ふぅ先輩・・・?」

さわ子「風子ちゃんよ」

未知子(仲いいんだ・・・・・・)

多恵「・・・思い出した、ネット。沖縄の観光名所を案内しているサイトでみかけたの」

澪「そういうサイトは結構あるからな」

信代「そうだね、観光が売りのようだから」

唯「あーずにゃーん!」

律「むぎー!」

紬「・・・」フリフリ

梓「むぎせんぱい、私たちも波打ち際まで行ってみましょう」

紬「・・・」コクリ

タッタッタ

潮「のーぶーよー!」

信代「最近の潮は騒がしいな・・・。少しは落ち着いてほしいよ」

タッタッタ

多恵「でもね、そのサイトだけ異色だったんだよ」

澪「異色?」

未知子「どういう事?沖縄の名所案内だけじゃなかったとか?」

多恵「沖縄と言ったら海でしょ?他にも食べ物とか自然とか」

さわ子「そうねぇ・・・。そのイメージが強いわね」

多恵「でもね、お城とか、戦争とかの記事を書いていたの」

澪「負のイメージか・・・」

未知子「・・・異色だね。そういうの流行じゃないし・・・なによりユーザーが求めてないよね」

多恵「私もそう思ったから閉じようと思ったんだけど・・・」

さわ子「気になる箇所でもあった?」

多恵「・・・他のサイトと競う形のランキング方式なんですけど。上位に入っているんですよ」

澪「そのサイトが・・・?」

多恵「うん・・・。そのサイトの一つの記事に『ニライカナイ』と記されていて・・・」

澪「そ、その記事を書いた人の名前って覚えてる?」

多恵「え?・・・えぇと・・・」

未知子「?」

さわ子「相馬轍じゃない?」

多恵「うーん・・・。思い出せません・・・。でも、会社名は分かりますよ『ガイアス』です」

澪「『ガイアス』か・・・」

さわ子「土産ができたわね」

澪「はい。その記事を冬と夏に・・・」
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:40:02.40 ID:Rdx6fWIoo

未知子「誰なんですか?その・・・そ、うま・・・?さんは」

さわ子「一昨日部室でお茶した子がいたでしょ?その子が大ファンらしいのよ」

未知子「そうなんですか・・・」

多恵「?」

ちか「おーい!」

エリ「サッカーしよ〜!」

さわ子「ビーチでする事じゃないわね・・・」

澪「やる!」

多恵「見学してるね」

未知子「・・・私も」

さわ子「裸足になった方がいいわよ」

澪「そうですね」ポイポイッ

さわ子「ちゃんと足元掃除してから走り回りなさいよ?」

澪「はい。行ってきます」

タッタッタ

多恵「澪さんってこういう事するんだね」

未知子「うん・・・。意外な気がする・・・」

さわ子「遊ぶ為に来たのかしら」



・・・・・・



唯「そ〜れっ」パシャッ

律「きゃっ、つめた〜い!」キャピ

紬「・・・」パシャッ

梓「つ、つめた〜い」

潮「自動販売機の文字を読んでいるみたいだよ・・・」

梓「・・・恥ずかしいじゃないですか」

信代「それっ」パシャ

潮「つめた〜い」

梓「一緒じゃないですか」

潮「不意打ちに弱いの私は」

梓「じゃ、行きますよ?」

潮「待って・・・」ポクポクポク

紬「・・・」グッ

信代「スタンバイオッケー」
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:41:13.43 ID:Rdx6fWIoo

潮「さぁ来い!」

紬「・・・」パシャ

梓「それっ」パシャッ

潮「あまいっ」サッ

紬「・・・」

梓「・・・」

信代「・・・」

唯「・・・」

律「・・・」

潮「・・・」

澪「・・・」

エリ「・・・」

ちか「・・・」

アカネ「・・・」

三花「・・・」

シーン

潮「・・・」タラタラ

梓「エリ先輩それはなんですか?」

エリ「サッカーしよう!」

唯「いいね、やろうやろう!」

信代「チーム分けしようか」

澪「その前に線を引いてゴミを拾ってからだ」

ちか「そうだね、怪我したら嫌だよね」

アカネ「石踏んでも痛いから気をつけよう」

三花「たまにさ、ガラスの丸まったヤツとかあるよね」

紬「・・・」コクコク

梓「波にあらわれたヤツですか、綺麗ですよね」

唯「うんうん」

ワイワイ

潮「・・・」

信代「・・・なんで避けた」

潮「・・・そこから何かが生まれると思って」

律「生まれなかったな」

潮「・・・うん」ションボリ

信代「来いと言っておいて・・・アレはないよ」

潮「以後気をつけます・・・」

律(私も気をつけよう・・・)
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:43:46.78 ID:Rdx6fWIoo


――・・・


唯「りっちゃん!」ポンッ

信代「さぁ来い!」ドン

律「よっしゃ!カレーのちシュート!」ブンッ

スカッ

律「のぁっ!」スッテーン

ちか「ボールもらいっ」

エリ「反撃開始ー!」

アカネ「三花が空いてるよ!」

梓「そうはさせるかですっ!」サッ

ちか「じゃあアカネにパスッ!」ポンッ

梓「しまった」

アカネ「よっと・・・紬さんと後ろの潮ちゃんだけだね」

紬「・・・」キリ

潮「・・・」フフン

エリ三花「「 ・・・ 」」ザッ

梓「二人とも走ってるっ!」

律「梓ー!三花につけー!」

梓「はいっ」

唯「私は・・・っ・・・エリっ・・・ちゃんに」ザッザ

アカネ「エリっ」ポンッ

エリ「よいしょー」ポス

紬「!」

エリ「よっ」クルッ

紬「・・・!」

梓律唯「「「 おぉー 」」」

エリ「とりゃっ」ポンッ

潮「っ!」

シュー

澪「ピピーッ・・・ゴール」

ちか「やったー!」

アカネ「やったね」スッ

パァン

エリ「やったよー!」

三花「ナイッシュー」

信代「いいぞー!」
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:45:34.95 ID:Rdx6fWIoo

唯「・・・っはぁ・・・ふぇ・・・ぁ」ゼェゼェ

律「くっそー」

梓「・・・ふぅ」

紬「・・・」フゥ

潮「またやられたー!」

多恵「4−0・・・」

さわ子「戦力差が著しいわね」

未知子「・・・唯ちゃんと紬さんが狙われていますね」

さわ子「二人とも性格がスポーツ向きじゃないからね」

澪「唯、交代しようか」

唯「へい・・・」

さわ子「むぎちゃん、選手交代よ」

紬「・・・」コクリ

律「お、さわちゃんが出るのか」

梓「百人力ですね」

さわ子「未知子ちゃん」

未知子「はい」

多恵「・・・」

未知子「はい?」

さわ子「ほら、行った行った」

未知子「ななな!?」

唯「それでは、新ルールを発表します」

エリ「新ルール?」

律「なんだよ?」

唯「HTTチームは手を使ってヨシとします」

信代「ずるいぞー!」

澪「いや、ずるいを通り越してる」

梓「ちゃんとやりましょう」

唯「冗談だよ〜。では、HTTチームからキックオフです。・・・ピッ」

律「澪っ!」ポン

澪「・・・っと」

エリ「・・・」ジリジリ

澪「・・・未知子」ポン

未知子「・・・っ」ポス

アカネ「・・・」ジリジリ

梓「・・・」ザッザッ

信代「ちか、梓ちゃんマーク」

ちか「おっけー」

梓「うっ・・・」
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:46:18.35 ID:Rdx6fWIoo

律「こっちだ未知子!」

未知子「・・・っ!」ポン

律「よっしゃー!」ポス

三花「そう簡単にシュートは」

律「みおっ」ポン

三花「喋ってる途中なのに!」

澪「・・・えいっ」ポンッ

シュー

信代「よいしょ」ポス

梓「・・・動かざるごと山の如し」

信代「疾きこと風の如くっ!」ブンッ

シュー

エリ「・・・よいしょ」ポス

律「なぬっ!」

澪「走ってたっ!」

未知子「・・・っ」

エリ「っと!」クルッ

未知子「っ!」

澪律梓「「「 おぉー 」」」

エリ「とぅ!」ポン

シュー

潮「そうはいかぬ!」バシッ

さわ子「弾いてはだめよ!」

ザッザッ

アカネ「・・・っ」ポンッ

シュー

唯「ゴール!」

多恵「5−0」

さわ子「あらら」

律「だぁー!」

梓「・・・はぁ・・・はぁっ」

澪「はぁ・・・っはぁ・・・」

未知子「運動部には敵わないね」

信代「二人ともナイスラン!」スッ

エリ「ありがと!」

アカネ「ありがとう」

パンッパァン

三花「やったー!」

ちか「ジュースいただき〜!」
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:48:38.47 ID:Rdx6fWIoo


律「試合に勝つのは難しいけど、一点くらいは取りたいな」

澪「うん」

唯「そうだね!」

紬「・・・」コクリ

梓「です!」

未知子「・・・うん」

多恵「・・・」

さわ子「あと残り一分よ?」

律「ターイム!潮ー!」

ザッザッ

潮「どうしたの?」

澪「作戦タイムだ」


エリ「じゃ、こっちも確認しようか」

アカネ「そうだね。0点で抑えよう」

信代「任せなさい!」

ちか「でも、攻めは忘れずに!」

三花「やる気充分だね!」

ちか「あはは、楽しいけど勝負に油断はつくらないよー!」

信代「頼もしい」


律「うぅ、隙が微塵もねえ・・・」

さわ子「では、作戦を伝えるわ」

梓「作戦ですか・・・。どうするんですか?」

さわ子「キーパーが鉄壁なのよね」

梓「山の如しです」

紬「・・・」コクリ

律「正面からは無理だな」

さわ子「なら、虚を突くわよ」

澪「どうやって油断を?」

さわ子「まず、キックオフと同時に梓ちゃんが走るわね
    そこでフリーになれるように走り回りなさい」

律「徐かなること林の如くだな」

唯「ハムスターのようにね!」

梓「意味が分かりません」
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:51:47.08 ID:Rdx6fWIoo

さわ子「潮ちゃんも逆サイドで同じ動きしてね」

潮「ゴールは守らなくていいんですか?」

未知子「捨て身の作戦ですね」

さわ子「未知子ちゃんと交代よ」

律「ふむ・・・。私と澪は?」

さわ子「うまくボールを運んでね☆」

澪「具体的な作戦は無し・・・」

さわ子「虚を突くって言ったでしょ。まだ火が残っているわ」キラン

多恵「?」

紬「・・・」ゴクリ
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:53:23.77 ID:Rdx6fWIoo

エリ「未知子ちゃんがキーパーなんだ」

三花「面白い」キラン

アカネ「油断禁物だよ」

ちか「ふふふ・・・中々燃える展開だよね」

信代「うん・・・」


律「うわー・・・燃え上がってるよ」

澪「こっちだって!」メラッ

梓「です!」メラメラ

潮「がってん!」メラ

未知子「・・・」

紬「・・・」

多恵「HTTファイトー」

さわ子「成功するといいわね」

唯「行きます!ピピッー」メラメラ

澪「りつっ」ポン

律「うっし」ポス

潮梓「「 ・・・っ 」」ザッ

信代「三花!ちか!」

三花ちか「「 おっけー! 」」

潮「うっ・・・」

三花「ボールは渡さないよ!」

潮「なんのっ」スッ

三花「おっと」サッ

潮「はやっ!」

梓「・・・」サッ

ちか「・・・っ」

梓「・・・」ササッ

ちか(はやいっ・・・其の身軽さ猫の如し!)

律「・・・っ!」

エリ「・・・」ジリジリ

律「あっぶねえ」

澪「りつっAだ!」

律「っ!」ポン

三花「エー・・・?」

信代「梓ちゃんだから!」

ちか「・・・!」

梓「よいしょー!」ポス

ちか「ふふ・・・素早いね」
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:54:56.56 ID:Rdx6fWIoo

梓「潮先輩っ!」ポン

ちか「なっ!?」

信代「エリ!三花とプレスかけて!」

潮「狙い通りっ!律!」ポンッ

エリ「ワンタッチ!?」

三花「潮ちゃんすごいー!」

律「おりゃあああ」ボンッ

信代「っ!」バシッ

澪「上に弾いた!」

シュー

梓「ヘディング勝負です!」ピョンピョン

ザッザッザ

さわ子「行くのよ!」

紬「・・・!」

多恵「未知子ちゃん!」

エリ「え!?」

信代「っ!?」

唯「アカネちゃんと同時だよっ!」

アカネ「・・・っ!」

未知子「・・・っ!」ボンッ

信代「っ!」

シュッ

唯「ピッピー!ゴーーール!!!そして試合終了〜!」

澪「やった・・・!」

律「うっしゃー!」

梓「やったです!」

未知子「や・・・たぁ・・・!」ヘナヘナ

多恵「未知子ちゃん!」

さわ子「侵掠すること火の如く・・・ね」フフフ

紬「・・・」

澪「やったな未知子!」ダキッ

未知子「っ!」

律「ナイスだー!」ダキッ

潮「素晴らしいー!」ダキッ

未知子「ちょっと!」

唯「わーい!」ダキッ

梓「ただ騒ぎたいだけじゃないですか・・・」
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:55:33.59 ID:Rdx6fWIoo

エリ「試合に勝って勝負に負けた感じがする」

アカネ「実際そうだよ・・・ふぅ」

三花「いいチームワークでしたなぁ」

ちか「あはは、そうですなぁ」

信代「未知子が走ってくるとは予想だにしてなかったぁ・・・」

エリ「あの風景みたらどっちが負けたのか分かんないよねぇ」

アカネ「まったくですねぇ・・・」

ちか「ふふっ・・・あははっ」

三花「・・・やられたぁっ!」

さわ子「武将と呼んでもいいのよ?」

澪「ボスッ!」

さわ子「違うわよ!」

律「変わんねえよ」

唯「未知子ちゃ〜ん」スリスリ

未知子「唯ちゃん・・・?」

多恵「凄かった・・・。うん、凄かった・・・」

潮「信代に勝ったー!」

信代「ぐっ・・・」

エリ「あの作戦ってさわ子先生が?」

さわ子「そうよ」キラン

律「風林火山だよな!」

アカネ「・・・山はこっちだったけど」

澪「風林火だな!」

三花「なにそれ〜」

潮「チリンチリン」

ちか「あはは、風鈴か!」

潮「ありがとう、ちか」ウルウル

信代「どうして涙ぐむ」

唯「あははっ」

梓「―――ッ!」
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:57:31.78 ID:Rdx6fWIoo


どうして向こうにいるんですか

どうしてそんな顔してるんですか

どうして輪の外にいるんですか

どうして寂しそうな表情なんですか


胸が締め付けられる

苦しい

駆けつけて手を引けばいい

こっちに連れてきて


ドウスルノ?


一緒に居るだけでいい!


ワラッテイレバイイ?


違う、そうじゃない!


ヨロコビヲコエデアラワセラレナインダヨ?


知ってる!それを確認する必要はない!


ココニイルノトムコウニイルノトドウチガウノ?


全然違う!ここに居れば!輪の中に居ればそれだけで


ソウイッタノ?


分かる!楽しそうだから、表情で表現してくれるから!


ダカラ、タノシイトソウイッタノ?


う、うるさい・・・


メヲソラシテルノハワタシジシンダヨ


うるさいっ!!!!!
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:58:15.14 ID:Rdx6fWIoo


ツンツン

梓「ッ!」ビクッ

唯「あずにゃん?」

律「どした?」

澪「気分悪くなった?」

梓「ちが・・・むぎせんぱいが・・・」

紬「?」

梓「あ・・・」

唯「むぎちゃんがどうしたの?」

紬「???」

梓「いえ・・・なんでも・・・」
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:59:47.44 ID:Rdx6fWIoo


私は

むぎせんぱい自身がドイツへ行くことをどう思っているのか聞いていない

『今』が楽しければ楽しいほどそれは鎖にならないのか

そんな事考えていなかった

私は見送る側だから

ここには先輩たちが居てくれるから

だけど、ドイツには先輩たちがいない


考えてすらいなかった

想い出を増やして安心したいのは私の方だったんだ

1人でその想い出を抱えて旅立つむぎせんぱいは

どう思うんだろう

さっきの表情はそれを表していたのではないか

私は自分の事しか考えていなかったんだ

私がむぎせんぱいの立場なら―――

770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:00:39.35 ID:Rdx6fWIoo


梓「―――悲しい」

紬「?」

唯「りっちゃん、辛子取って〜」

律「七味辛子?はいよ」

唯「セーンキュー!はい、むぎちゃん、あずにゃんへ」

紬「・・・」スッ

梓「?」

唯「辛子だよ?」

梓「???」

唯「辛子が欲しいんでしょ?」

梓「かな・・・そうです。ラーメンには辛子です」

サッサッ

梓「う・・・」

唯「入れすぎだよ〜」

梓「こ、これぐらいがいいんです」ズルズル

律「ずるずるっ」

澪「海でラーメンもオツなものだな」

さわ子「カレーもいいわよ」

771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:01:35.41 ID:Rdx6fWIoo

キケバイイ


寂しいですか?って?それは無神経だ


ミナカッタコトニスレバイイ


あんな表情のむぎせんぱいを放っておけない


キノセイダッタンダヨ


そうかもしれない。けど、そうだったら


マタヒトリデサマヨウノ?


同じ轍は踏まない


ワタシガムギセンパイノココロヲスクイアゲル?


うん


ソレハムリダ


そんなこと


ワタシハムギセンパイデハナイカラ


―――ッ

772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:02:43.83 ID:Rdx6fWIoo


ちか「今年の夏は海に来ていなかったから、来れてよかったね」

エリ「うんうん、人もいないし貸切気分だよね」

アカネ「料理もおいしい」

三花「海といったらカレーだよね」

唯「カレーといったらキャンプだよ〜」

澪「そうだな」

アカネ「っ!」グサッ

エリ「トラウマが」グサッ

律「私悪くないもーん」

多恵「トラウマ?」

三花「置いていかれたって話だよね」

ちか「りっちゃん達がキャンプから帰ってきた時に、エリちゃんとアカネちゃんが日にち間違えて
   集合場所で待機していたんだって」

多恵「・・・」

さわ子「そのリアクションは間違ってないわ」

エリアカネ「「 うわーん! 」」

潮「また泣き出した」

信代「これはしょうがないよ」

紬「・・・」ニコニコ

梓(いつも受け取る側になってしまうんだ・・・)ズルズル

未知子「・・・」モグモグ

梓「・・・ふぅ、ごちそうさまです・・・・・・辛かった」

未知子「私もごちそうさま。お腹いっぱい」

紬「・・・」ズルズル

梓(会話に参加したいんだと思う・・・。自分の気持ちを言葉に乗せて伝えたい事があると思う)

紬「・・・」モグモグ

梓(それができなくて寂しくないわけが無い・・・)

紬「・・・?」モグモグ

梓「っ!」サッ

紬「・・・」ジー

梓(露骨に目を逸らしてしまった・・・。聞かれたら聞いてしまいそう・・・)

紬「・・・」ツンツン

梓「みっ、未知子先輩っ!」

未知子「ど、どうしたの?」

梓「おかわりいかがですか!?」

未知子「さっきお腹いっぱいって言ったよ・・・?」

梓「ですよね・・・」アハハ

紬「・・・」ツンツン

梓「かっ、カキ氷とかどうですか!?」

未知子「まだやってるのかな?」
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:04:34.55 ID:Rdx6fWIoo

律「さっきから梓はなにをやっているんだ?」

澪「さぁ・・・?」

紬「・・・」ツンツン

唯「ん?どうしたのむぎちゃん」

紬「・・・」トントントトトントン

唯「なんとまぁ・・・」

紬「・・・」ションボリ

梓「すいませーん、店員さーん」

唯「ちょいとあずにゃんやい」

梓「なんですか?」

唯「むぎちゃんを無視するなんてどうしたんだい?」

店員「はーい」

梓「し、してませんよ。・・・カキ氷ってまだやってますか?」

店員「やってますよ」

梓「だそうです」

未知子「うーん・・・今年最後のカキ氷なんだよね」

唯「いちごで一つ!・・・むぎちゃんが悲しんでいるよ」

店員「この店も今日で閉店ですから、最後のお客さんですので半額にしますよ〜」

さわ子「商売上手ね。食べたい人頼んでいいわよ。私の奢りにしとくわ」

律「さすがさわちゃん!私コーラで!」

梓「オレンジで一つ。・・・無視なんてしてませんよむぎせんぱい」

紬「・・・」ジー

梓「う・・・」

澪「一つは多いな・・・。誰か半分ずつ食べない?」

多恵「私と・・・」

澪「うん、味はどうする?」

多恵「澪さんにお任せする」

澪「分かった。レモン一つ」

店員「はい、かしこまりました」
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:06:35.57 ID:Rdx6fWIoo


エリちか「「 〜っ! 」」キーン

律「このこめかみを刺激する冷たさがたまんねぇ〜!」

紬「・・・!」キーン

多恵「アイスクリーム頭痛ですよね」パクッ

澪「多恵は平気なんだ?」

多恵「うん。どうぞ」

潮「・・・」

律「なんで宇治金時頼んでんだよ!」

潮「食べたかったから・・・」

さわ子「そういう割には進んでないわね」

潮「・・・」

信代「一番高いから頼んだでしょ?」

潮「大好物だって」パクッ

さわ子「それはよかったわね」

潮「おいしい〜。・・・」フゥ

律「なんでため息が出るんだよっ!」

信代「量的に失敗したんだよ」

潮「・・・」モグモグ

ちか「私が手伝ってあげるよ」パクッ

アカネ「私も」パクッ

潮「どうぞどうぞ」

ちか「・・・ごちそうさま」

アカネ「あま・・・い・・・」

律「当たり前だろ」

三花「どれどれ」パクッ

潮「梓ちゃんも食べてみて」

梓「それでは・・・」パクッ

信代「減らそうと必死だな」

三花「予想以上に甘いね・・・。ごちそうさま」

梓「オレンジが一番です」

潮「ほら澪も唯も食べて」

さわ子「もしかして、罰ゲーム気分なの?」ジロ

潮「ちゃんと自分で消化します」

さわ子「消化・・・?」

潮「おいしくいただきます」パクッ

律「アホだな」

潮「おいしぃ〜・・・」

唯「おいしぃ〜」

未知子「・・・」
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:07:40.09 ID:Rdx6fWIoo


――・・・


エリ「紬さん!」トン

バッ

紬「・・・!」バシッ

ちか「よっ」ポンッ

アカネ「三花!」トン

バッ

三花「っ!」バシッ

ザッ

梓「くっ!」

信代「ピピーッ・・・ヤドカリチーム一点」

ちか「やった!」

三花「ナイスレシーブ」

アカネ「ナイスサーブ」スッ

パァン

潮「6−2でヤシガニチームが押されております」

さわ子「名前負けしてるわね」

梓「小さいから役に立てません・・・。誰か交代しませんか?」

潮「ごめんね、今は跳んだり跳ねたりはできない」

律「私もパスだ」

澪「ごめん、梓」

未知子「ごめんね」

唯「ここは私が」フフン

さわ子「しょうがないわね。多恵ちゃんと代わりましょう」

唯「」ガーン

多恵「・・・」

梓「・・・」

多恵「・・・・・・」

梓「・・・・・・」

多恵「・・・・・・・・・」

梓「お願します」

多恵「私だったんだぁ・・・」

律「気のせいかと思ってたんか」

信代「コート内へ」

多恵「うぅ・・・」トボトボ

梓「さすがですね。ヤドカリチームは運動量が違います」

澪「・・・うん」
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:08:55.59 ID:Rdx6fWIoo

信代「試合再開です。ピッ」

潮「頑張れ多恵ー!」

多恵「・・・!」

さわ子「あら、顔つきが変わったわね」

未知子「スポーツ好きなんですよ」

律「へぇ〜」

エリ「多恵ちゃん!」トン

バッ

多恵「っ!」ブンッ

スカッ

紬「!」ポーン

律「ナイスフォロー・・・」

さわ子「見てる分には、とか・・・?」

未知子「その通りです」

唯「おぉ・・・」

澪「悪いことではないぞ」

律「誰も悪いとは言ってないだろ」

梓「私にはなにもできないんでしょうか・・・」

唯「ん?」

梓「なんでもないです・・・」

澪「・・・」

律「ゆい〜、どうして海に来ようと思ったんだー?」

唯「昨日観覧車の天辺から海が見えたんだよ」

律「ふむふむ」

唯「ずーっと遠くに見えたんだ・・・。そこへ行ってみたくなって」

未知子「・・・それだけなの?」

唯「それだけだよ〜」

梓「ここへ来てどうなりましたか?」

唯「そうだね。海の向こうにある場所へ行ってみたくなったよ」

澪「それはどこ?」

唯「分かんない」エヘヘ
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:12:42.32 ID:Rdx6fWIoo

律「あずさ〜」

梓「なんですか?」

律「キャンプでソーマが沖縄の話したじゃん?」

梓「は、はい」

律「その後に梓がソーマに言った事覚えてる?」

梓「?」

律「『ニライカナイは場所だけを指すのか』って」

梓「???」

律「覚えてないのかよ」

梓「あの人の事はスベテデリートサレマシタ」

澪(『ガイアス』の事は伏せておくか・・・)

唯「それがどうしたのりっちゃん?」

律「いや、人が『最高の場所』になりえるのかなって」

唯「うん???」

律「ソーマが『ニライカナイ』を探して沖縄を旅していたわけだろ?」

澪「そうだな」

律「で、梓はその後こう言ったんだ『災いしかもってこない人がいる』って」

梓「そうでしたっけ?」

律「あぁ、それって梓がソーマを『ニライカナイ』としてみたんだろ」

梓「ちっ、違いますよ!幸福なんてもらってません!!」

律「待て待て、大事な所なんだから・・・。で、だ・・・。その後大爆笑したんだよな」

唯「そだね。ビックリしたから覚えているよ」

梓「・・・」イライラ

澪「確か・・・同じ事を言われたって・・・事だったな」

律「そう、その後に電話で話をしただろ?唯と梓は」

唯「いえす」

梓「はい。海琴さんですね」

さわ子(デリートされてないわね・・・)

律「そこなんだよ。海琴って人は・・・『ニライカナイ』をみつけたんじゃないのか?」

梓「!」

さわ子「どうしてそう思うのよ?」

律「海琴と梓が被ったからソーマは笑ったんだろ?」

澪「そうか・・・。でも相馬さんがその場所を見つけたことには・・・」

律「そこは知らない。てか、ソーマの旅は壮大すぎて私では把握できない」

梓「どういう意味ですか・・・?」

律「話がズレるから、それは後回しだ。・・・ソーマの話を聞く限りでは
  『ニライカナイ』イコール『最高の場所』だと思うんだ」

唯「おぉ!という事は人が『最高の場所』になりえるんだね!」

律「と思った!・・・んだが・・・腑に落ちない点がいくつか・・・」
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:14:42.19 ID:Rdx6fWIoo

梓「人・・・ではなく・・・その隣ではどう・・・ですか・・・?」

律「あぁ・・・・・・、納得だ」

唯「そっか、人が居ないとそこはただの場所だもんね」

澪「相馬さんのお父さんの写真がそうだったからな」

梓「むぎせんぱいの隣が私の『最高の場所』」

律「・・・」

唯「・・・」

澪「・・・」

さわ子「・・・」

未知子「・・・」

梓「そう思っていたんです・・・。だけど、それは・・・私にとって都合のいい場所でしかなかったんです」

唯「あずにゃん・・・」

梓「手を引っ張ってくれて、たくさんの景色を見せてくれて・・・
  居心地がいいから、そこを私の『最高の場所』として名付けただけなんです」

律「『最高の場所』ではないのか・・・?」

梓「今疑っているから・・・、きっと違うんです」

澪「・・・」

『怖いのが分かるって?それは思いあがりだよ梓』

梓「昨日、夏と話をして気付きました・・・
  私はむぎせんぱいに甘えているだけなんだって」

唯「!」

律「梓・・・」

澪「・・・」

梓「むぎせんぱいの居る場所が私の『最高の場所』で間違いないんです
  でも、今のままでは・・・手を引っ張ってもらっている今のままでは
  そこには絶対に辿り着けないんです」

唯「・・・」

律「・・・」

澪「・・・辿り着くには、どうすればいい?」

梓「先を歩くむぎせんぱいの隣を歩けるようにならないと・・・」

澪「・・・そうか」

梓(あの旅で一番近づいたのが澪先輩・・・)

さわ子「・・・」

唯「くはっ」バタン

律「くふっ」バタン

澪「どうした・・・」

唯律「「 遠いっ! 」」

澪「本当に・・・大変だな追いかけるのは・・・」

未知子「どうしてその場所を探しているの・・・?」

梓「むぎせんぱいを・・・笑顔で見送りたいからです」
  
未知子「・・・」
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:15:15.33 ID:Rdx6fWIoo

梓「その場所を見つけて強くならなきゃいけないんです」

未知子「・・・っ」バタン

さわ子「あら・・・?」

未知子「話が大きくてついていけない・・・!」グルグル

さわ子「お疲れ様」

信代「ピッピーッ!試合終了ー!」

エリ「やった!紬さんナイスファイトォ!」

紬「・・・!」ニコニコ

多恵「勝ったぁ!」

律澪唯梓「「「「 えぇっ!? 」」」」

潮「15−13でヤシガニチームの勝ちです」

さわ子「なにが起きたのよ」

信代「ヤドカリチームが10点取るまでは点差が開いていたんですけど
   その後から粘って・・・スタミナが著しく低下しました」

ちか「っはぁ・・・疲れたー!」

アカネ「あのしぶとさは怖かった・・・」

三花「打っても打っても多恵ちゃんが拾うんだもん・・・」

未知子「間近で見ながら吸収するタイプです」

潮「マジか・・・」

さわ子「潮ちゃん、誰かに似てるわね」

潮「誰ですか?」

律「聞かないほうがいいぞ」

エリ「やったやった!」ピョンピョン

紬「・・・!」ピョンピョン

多恵「やった!」ピョンピョン

未知子「多恵ちゃんがあんなにはしゃぐなんて・・・」

梓「そういう人なんです・・・むぎせんぱいは・・・」
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:18:58.03 ID:Rdx6fWIoo

―――――駅


澪「これから出かけるの?」

潮「うん。信代と買い物する約束があってね」

信代「それなのに、私をほったらかして電車に乗ったもんな、ビックリしたよ」

ちか「ごめんね〜」

信代「いいよ。今からでも間に合うし、楽しかったから」

律「だよな!」

潮「じゃ、行こう信代!」

信代「うん、じゃ明日ねみんな」

唯「ばいば〜い」

紬「・・・」フリフリ

信代「慶子に連絡した?」

潮「・・・」

信代「後先考えないで行動するのやめなよ・・・。フォローしておいたから」

潮「かたじけない」

スタスタ

エリ「私たちも帰るね〜」

ちか「ばいばーい」

アカネ「明日ね」フリフリ

三花「アディオース」

澪「ばいばい」

梓「また、明日です」

紬「・・・」フリフリ

唯「気をつけて帰るんだよ〜」

ちか「あはは、だいじょーぶだよー」

さわ子「元気ねぇ・・・。二人は送るわよ」

未知子「・・・?」

多恵「?」

律「贔屓だ・・・!」

唯「贔屓だー!」

さわ子「あなたたちはどこかより道するんでしょ?」

梓「はい」

澪「あ、そうだったんだ。知らなかった」

さわ子「か弱い子を放ってはおけないわ〜」キラキラ

律「はいはい。じゃあな」

未知子「う、うん。明日ね」

多恵「ばいばい」

唯「GOODBYE!」

紬「・・・」フリフリ
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:20:10.07 ID:Rdx6fWIoo

さわ子「じゃあね」

スタスタ

律「わたくし達はこれからどこへ行くというのかしら」

澪「・・・」

唯「そうですわね、あずにゃんさん、どこかお決まりになって?」

梓「河川敷でぼんやりしましょう、むぎせんぱい」

紬「・・・」コクリ

律「ご覧になってゆいさん、夕刻ですわ」

唯「ご覧になってりつさん、あちらの雲はどんよりですわ」

澪「・・・行くぞ」

782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:23:31.47 ID:Rdx6fWIoo


―――――河川敷


ザァーーー

梓「そんな・・・」

紬「・・・」

澪「着いた途端に雨・・・か・・・」

律「この中に雨女がいるのですわ!」

唯「まぁ、その人は年中テルテル坊主を持参させなきゃいけませんことよ!」

梓「台詞が適当になってますよ。唯先輩飽きてませんか?」

唯「・・・うん」

律「私が無理やり付き合わせたみたいじゃないか!」

唯「・・・」

律「否定しろー!」ギャー

澪「通り雨だろうな・・・。向こうは晴れてる」

紬「・・・」コクリ

唯「ういに傘を持ってきてもらおう」ピッピッ

梓(あの時もこうやって憂と純と・・・)

紬「・・・」ジー

梓「どうしたんですか?」

ギュ

梓「?」

紬「・・・」グイグイ

タッタッタ

澪「・・・」

律「雨降ってんだぞ?」

紬「・・・」キリ

梓「・・・私着替え持ってきていないんですよ?」

ザァーーーー

紬「・・・」スッ

唯「ん?両手を上げて・・・降参?」

律「なににだよ」

紬「・・・」クイッ

梓「・・・」

ザァーーー

澪「風邪・・・ひくぞ・・・」

紬「・・・」クィックィッ

律「なにしてんだよむぎ・・・」

唯「ひょっとして・・・」

澪「鍵盤を弾いているのか・・・?」
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:24:27.12 ID:Rdx6fWIoo

紬「・・・」クィックィッ

梓「・・・・・・うん」

紬「!」

律「マジか・・・」

澪「唯・・・今の聴こえた・・・?」

唯「・・・多分・・・うんって言ったんだと思う」

紬「・・・」コクリ

律「・・・」

紬「・・・」クィックィッ

梓「・・・こっちの台詞ですよ」

澪「・・・どうしたの・・・かな」

唯「う、うん・・・」

律「・・・」

紬「・・・」

梓「どうして、私たち雨にうたれているんですか?」

紬「・・・」クィックィッ

律「・・・梓が・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」クィックィッ

唯「今考えて・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」クィックィッ

澪「いる事を・・・」

紬「・・・」クィックィッ

澪律唯「「「 教えて・・・ 」」」

梓「・・・」

紬「・・・」
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:26:13.32 ID:Rdx6fWIoo


はぁ・・・

どうしていつも先を行かれるのかな

こっちが聞きたかった事なのに


砂浜で一点を取ってはしゃぐ私たちを見てなにを思っていたのかを

どう聞き出そうかと考えていたのに

それを先に聞かれたら困るじゃないですか


前ここで雨宿りをした時のように

雨にうたれるのもいいかなと思っていた時に手を引かれた


この気持ちを伝える言葉を私は知らない

嬉しい、楽しい、照れる、こそばゆい、清々しい、恥ずかしい、晴れる、くすぐったい

どれも合っていてどれも違う


もう!

あなたのことを考えていたんですよ、むぎせんぱい!

785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:27:03.84 ID:Rdx6fWIoo

ザァーーーー

梓「あなたのことを考えていたんですよ、むぎせんぱい!」

紬「・・・」ポッ

梓「なんですか、その反応は!・・・もぅ」

唯「あっずにゃーん!」ダキッ

澪「ふふっ、バカだな私たち。雨にうたれてなにしてんだろうな」

律「へへっ、まったくだ」

紬「・・・」クィックィッ

梓「空中で鍵盤を弾かないでください、難しいですよ」

紬「・・・」ニコニコ

梓「はぁー・・・」

唯「空になにが見えるの、あずにゃん?」

梓「雲しかないじゃないですか」

澪「本当だ・・・」

律「雲だけだなー」

紬「・・・」
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:28:16.79 ID:Rdx6fWIoo



あなたの明日がきっといい日であるように

あなたと大切な人が笑顔でいられるように

あなたの心の中に優しい雨が降るように

あなたの周りに柔らかな風が吹くように

先輩たちと雲―空を眺めて

少し冷たい雨にうたれて

今を止めて欲しいと心から願った






紬「・・・」

梓「・・・」

唯「・・・」

律「・・・」

澪「・・・」







トメテシマエバイイ

787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:29:59.90 ID:Rdx6fWIoo


そんな事できる訳がない


デキル


何を言って


イカナイデホシイトイエバイイ


―。


ソウスレバトジコモッテイラレル


―。


トビラヲトジテソノジカンヲエイエンニオモエバイイ


それは・・・いいね


ジカンガナガレテトシヲトッテモコノジカンハズットクリカエス


素敵な時間だから私の中で永遠に繰り返す


アタラシイキセツガコノジカンヲヌリツブス


新しい経験が楽しかった想い出を押しのけてしまうように


ソレハエイエンダ


うん、この時間を永遠に繰り返すのはいいね。とても捨てがたい


ラクデイラレル


うん


ドイツヘイカナイデクダサイ


もう遅いよ


ズットココニイテクダサイ


私はむぎせんぱいの隣を歩きたいから


ワタシタチトイッショニイマショウ


たとえ、今のこの時間を忘れてしまっても


モットオモイデヲフヤシマショウ


『最高の場所』に辿り着く為に

788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:31:02.59 ID:Rdx6fWIoo


紬「・・・」

唯「あずにゃん?」

梓「なんですか?って離れてください!」

律「・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」

唯「泣いてるの?」

梓「違いますよ、これは雨です。唯先輩も泣いてるじゃないですか」

唯「泣いてないよ〜」

律「みお・・・」

澪「そんな声で言っても私は泣いてないからな」

紬「・・・」スッ

律「私も泣いてないっつの!」

789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:31:49.05 ID:Rdx6fWIoo


唯「みんなうちへおいでよっ!」

梓「どうするんですか」

唯「アイロンをかければいいんだよ」

律「私たち3人はすぐ乾くな!いっそげー!」

タッタッタ

澪「まて、りつっ!」ダッ

タッタッタ

紬「・・・!」ダッ

タッタッタ

唯「行こうよあずにゃん!」

ギュ

梓「唯先輩・・・私ウソをツキました」

唯「ん?」

梓「なんでもないです!」

790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:33:07.42 ID:Rdx6fWIoo

ザァーーー


憂「あめあめふれふれかあさんが〜♪ じゃのめで・・・あ」

律「憂ちゃーん!」

・・・タッタッタ

澪「先に行ってるな!」

タッタッタ・・・

憂「どちらへ・・・?」

紬「・・・!」

憂「あ、紬さん・・・どうしたんですか?」

紬「・・・」ニコ

タッタッタ

憂「お姉ちゃんと一緒じゃないのかな・・・?」

唯「うーいー!」

梓「・・・」

タッタッタ

憂「お姉ちゃん・・・。梓ちゃんこの傘使って」

梓「ありがとう」

バサッ

唯「えぇ〜、意味無いよ〜」

憂「さっき紬さんたちが走っていったけど・・・お家に向かっているの?」

唯「そだよ〜。服を乾かさなきゃね」

憂「そっか・・・。ビックリするかも」クスクス

梓「誰が?」

憂「律さん達がだよ」

791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:34:40.04 ID:Rdx6fWIoo


ピンポーン

澪「なんでチャイムを押すんだ?」

律「おばさんたちがいるかもしれないだろ。風邪をひいたら大変だ」

タッタッタ

紬「・・・」フゥ

ガチャ

いちご「・・・おかえり」

紬「?」

澪「すいません間違えました」ペコリ

律「平沢さんのお宅だと思いました。失礼しました」ペコリ

いちご「・・・そうなんだ」

バタン

紬「???」

澪「ビックリした・・・いちごに似た人が出たからな」

律「そうだな、隣の家か」

澪「しっかりしないとな、行こう律」

律「おぅ!」

タッタッタ

ガチャ

いちご「ここ、平沢家だよ」

紬「・・・」ポカーン

和「どうしたのよ・・・タオル持ってくるわね」

紬「・・・?」

いちご「とりあえず入って」

紬「・・・」コクリ

792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 20:36:35.16 ID:Rdx6fWIoo


澪「バカ律!」

律「澪だって間違えただろ!」

唯「ちょいとお二人さん、人の家の前でケンカしないでおくれやす」

澪「律がここを平沢家じゃないというから!」

律「家の形くらい覚えとけよ!」

澪「それはこっちの台詞だ!」

梓「どうしてケンカしているんですか・・・?」

律「それが聞いてくれよ。澪ったらさぁ」

澪「私のせいにするなっ!」

憂「とりあえず中へどうぞ」

スタスタ

唯「風邪ひいちゃうよ〜」

澪「律が隣の家のチャイムボタン押したんだよ」

梓「はぁ・・・」

律「押したのは私だけどな、同意したのは澪だぞ」

澪「そしたら中から知らない人が出てきてさ」

ガチャ

唯「どうぞ〜」

律「平沢さんのお家はそこですよってここを指すんだよ。当たり前だよな」

澪「あぁ・・・私たち二人勘違いしていたんだよ」

いちご「・・・おかえり」

律澪「「 ただいま 」」

和「ほら、タオル。頭拭いて」

梓「ありがとうございます」

律「まったく」ゴシゴシ

澪「いちごがここにいても不思議じゃないだろっ」ゴシゴシ

律「それはこっちの台詞でもあるんだぜー?」ゴシゴシ

澪「お互い止めなかったからこうなったんだ」ゴシゴシ

律「・・・うん」ゴシゴシ

憂「お茶持っていきますから、居間で座っていてください」

澪律「「 ありがと 」」
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:21:59.35 ID:blc7RTMpo

梓「・・・」

澪「・・・ふぅ」

律「・・・無駄に疲れた」

姫子「全部聞こえてたよ。仲いいね」

風子「羨ましいよね」

冬「・・・っ」プクク

律「なんでここにいんだよ」

姫子「憂と和に誘われただけだよ」

梓「冬は?」

冬「病院の帰りに風子さんと会って、風子さんと買い物してる時に憂と和さんといちごさんに会ったの」

澪「なるほどな」ゴシゴシ

梓「あれ、唯先輩とむぎせんぱいは?」

憂「二人ともお風呂入ってるよ」

梓「なんと・・・」

冬「あ、続きみていいかな?」

憂「あー・・・、今度にしよっか」

姫子「・・・」ニヤリ

風子「どうして?」

澪「映画・・・?」

律「邪魔したな。続き見ていいぞ」

憂「えー・・・っと・・・」

姫子「大丈夫、本人の承諾を得たから」

澪「?」

憂「あ・・・私、和さんとアイロンかけてきます」

スタスタ

澪「急いでどうしたんだろ・・・」

律「?」

冬「次は大阪でしたね」

姫子「そうだね〜・・・名古屋までみたよね」

澪「もしかしてっ!待つんだ冬!」

冬「え?」
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:22:29.32 ID:blc7RTMpo

風子「再生〜」

ピッ

 律『私は田井中律!』

 澪『秋山澪です』

 唯『平沢唯!』

 唯律『『放課後ティータイムです!』』

 梓『むぎ先輩がいないじゃないですか!』プンスカ

 澪『まぁまぁ』

澪「見られたぁ・・・」ヘナヘナ

冬「見てて楽しいですよ?」

澪「見てる分にはね・・・こっちは恥ずかしいんだ・・・」

姫子「梓・・・見られる?」

梓「・・・はい」

風子「よかった・・・」

冬「・・・あ、すいません・・・無神経でした」

梓「むぎせんぱいも見ることができると思う。だって、強い人だから」

姫子「・・・」

律「・・・」

澪「そうだな・・・」

梓(記憶の中のむぎせんぱいも、DVDに写る夏のむぎせんぱいも、今のむぎせんぱいも
  全部がむぎせんぱいなんだか)
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:23:04.95 ID:blc7RTMpo

――・・・

冬「楽しそうな旅でしたね」

姫子「うん。みんな活き活きしてた」

律「そう言われると照れるな」テレテレ

澪「・・・」カァァ

梓(やっぱり・・・心が痛い・・・)

いちご「・・・お待たせ」

律「なんだこれ」

いちご「さーたーあんだぎー」

澪「え?」

いちご「・・・さーたーあんだーぎー」

律「ごめんもう一度言って」

いちご「・・・・・・さーたあんだーぎー」

姫子「毎回発音が違うよね」

冬「・・・っ」プクク

いちご「コホン・・・さーたーあんだぎー」

風子「さぁたぁーあんだぁぎぃ」

いちご「・・・怒るよ?」

風子「バカにしてないよ!」

冬「ブフッ」

律「ドーナツ?」

いちご「うん。これを学園祭に出そうかと思って」

姫子「他にもカステラ、プリン、水あめ、・・・ベッコウ飴」

律「うわっ、懐かしい!」

澪「理科の実験で作ったよなりつ!」

律「あぁ作った!焦げたんだよな!」

澪「そうそう!」

梓「同窓会みたいですね」

唯「おや、楽しそうですな」ゴシゴシ

紬「・・・」ゴシゴシ

憂「梓ちゃん、お風呂どうぞ」

梓「いいの?」

和「風邪ひいたら学園祭に支障をきたすわよ」

梓「お言葉に甘えます」ササッ

風子「猫の如し・・・」

律「もぐもぐ・・・うめえ!」

憂「お茶用意しますね」
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:23:51.86 ID:blc7RTMpo

紬「・・・」スタスタ

憂「紬さんも座っててください」

紬「・・・」キリ

憂「それでは、お願します」ニコニコ

スタスタ

冬「おいしいですね」モグモグ

律「あぶらっこくないか?」

いちご「それがいいんだって」

律「ふーん・・・沖縄の料理って濃いのばっかりだな」モグモグ

唯「それがいいんだよ」モグモグ

澪「あ、冬に聞きたいんだけど・・・。『ガイアス』って知ってる?」

冬「知ってますよ。相馬さんの記事をアップロードした会社ですよね」

澪「あ、そう・・・さすがだ・・・」

さわ子「知ってたのね」

澪「ッ!?」ビクッ

唯「うまさんがどうしたって?」

冬「相馬です!」

唯「う、うん・・・」

律「さわちゃんどこから・・・」

さわ子「秘密よ」

和「秘密にされると平沢家が困りますよ」

未知子「玄関から・・・」

姫子「・・・未知子と多恵も?」

多恵「さわ子先生が来いって・・・」

さわ子「予定が無いならいいじゃない」

唯「万来万来〜♪」

澪「記事を読んでどうだった?」

冬「いつも相馬さんの記事には心が踊らされます・・・。自分が旅をしているような気持ちになれるんですよ
  それが楽しくて、心が弾んで、読む度に新しい発見があって・・・。他の読者の心も掴んで」

律「スイッチ入ったとか・・・?」

姫子「入ったねぇ」

冬「文字の一つ一つが情景と変わるんです。それはもう目の前に鮮明に・・・。北海道の記事もそうでしたけど
  4年の月日が相馬さんを更に磨き上げたといいましょうか」

澪「・・・」

和「・・・」

唯「いちごちゃんが作ったの?」モグモグ

いちご「憂ちゃんと一緒に・・・」

姫子「梓から電話をもらって、いちごにメールしたら作ってみようって話になって」

律「いや、姫子は冬の話をちゃんと聞けよ」

姫子「これで3回目だからいいよ・・・」

律「あ、そう・・・」
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:25:08.95 ID:blc7RTMpo

冬「北海道の記事は自然がテーマでしたから自然の色が強かったんですが、今回は」

澪「『緑』と『風』・・・」

冬「そうです!澪先輩も読んだのですね!?」

澪「あ、いや・・・本人から聞い」フガッ

姫子「み、澪!」

冬「え・・・、あ・・・そうでしたね・・・本人と会ったと言っていましたよね・・・」

未知子「落ち込んじゃったね・・・」

さわ子「いちごちゃん、これのおかわりないの?」

いちご「はい。試食分だけ・・・」

唯「あずにゃんの分がなくなっちゃったよ・・・」

憂「お茶をどうぞ・・・。サーターアンダギー大人気だね」

澪「おいしかったよ」

憂「えへへ、ありがとうございます」

紬「・・・」

律「あ、むぎの分まで食べちった・・・」

いちご「また作るのも・・・ね」

冬「・・・」ズドーン

唯「みんな帰るの?」

姫子「?」

風子「どうしたの?」

唯「な、べ〜♪」

律「いいな!」

風子「賛成〜!」

冬「・・・姫子先輩」

姫子「この人数じゃ足りないからお鍋持ってきてもらおっか」スチャ

冬「はい!」パァァ

澪「・・・」

多恵「・・・」

未知子「どういう展開なのかな・・・」

さわ子「鍋やるんだって・・・。予定ないなら家に電話しておいてね」

憂「買出し行ってきますね」

さわ子「私も行くわ。車で行きましょ」

紬「・・・」コクリ

唯「どこの店?」

憂「駅前だよ」

唯「おっけ〜♪」

和「・・・企んでるわね」

唯「えへへ、さすが和ちゃん」

和「すごい人数よ?今でも12人いるわ」

澪「・・・うわ」
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:27:32.59 ID:blc7RTMpo

唯「なんとかなるなる〜」

冬「ナンクルナイサァーですよ」

唯「そうそうナックルアイアイサァー」

律「ぶっそうだぞ」

さわ子「行ってくるわね」

紬「・・・」ビシッ

冬「行ってらっしゃいませ」ビシッ

律「ノリいいのな」

姫子「テンションが上がったんだよ」

律「どうしてだよ?」

姫子「夏も呼んだから」

澪「冬、もう少し聞かせてくれるかな?」

冬「相馬さんの記事ですね!どんと任せてください」ドン

澪「う、うん・・・。『ニライカナイ』の記事についてなんだけど」

冬「!」

多恵「・・・?」

冬「・・・」

姫子「冬・・・?」

冬「・・・」

風子「どうしたの?」

冬「『ニライカナイ』は・・・死後の世界とも呼ばれているんです」

姫子「・・・!」

澪(しまった!)

律(冬が入院していた頃を思い出させていまった・・・)

和(夏とのすれ違いが生まれたあの時を・・・)

梓「それは先輩たちも知ってるから、説明は飛ばしていいよ」ゴシゴシ

冬「え・・・?」

梓「あれ、むぎせんぱいはどこですか?」

律「風呂からあがってすぐその台詞かよ」

澪「買出しにいったよ」

梓「買出しですか?」

唯「鍋するんだよぉ」

梓「そうですか・・・。『ニライカナイ』の話でしょ?聞かせて」ゴシゴシ

冬「・・・うん。その服・・・憂の?」

梓「う、うん・・・」

唯「かわいいよー!」ダキッ

梓「ちょっ!」

唯「あいにゃんだよ!うずにゃんでもいいよ!」スリスリ

梓「もぅ!離れてくださいっ!!」ググッ

唯「妹が二人だよ!」ムググ
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:29:31.52 ID:blc7RTMpo

和「暴走してるわね」

多恵「・・・お暇しようか」

未知子「そうだね。みんな明日ねー」

律「待ていっ」ガシッ

多恵未知子「「 っ! 」」

風子「こんなお祭り二度とないよ?」

多恵「お祭り・・・?」

未知子「・・・」

唯「ごゆっくりしていくといいよ〜」

梓「いい加減にしてくださいっ!」

唯「よいではないか!」スリスリ

姫子「・・・それで『ニライカナイ』がどうしたって?」

律「そんな軽く聞くような話じゃないぞ!?」

冬「パートナーと旅を続けていたんです」

澪「パートナー・・・1人旅じゃなかったんだ・・・」

冬「北海道では・・・そうでしたけど・・・」

純「話の腰を折って悪いんだけど、北海道での『最高の一枚』を見た?」

冬「ううん・・・。見てないよ」

純「おかしいな・・・撮れたって言ってたのに」

風子「言ってたね」

律「スルーだかんな」

純「構いません。冬、話の続きを」

律(なんか腹立つな・・・)

冬「パートナーの方が悩んでいたんです。音楽を楽しめないと」

梓「!」

唯「それって・・・」

律澪「「 海琴・・・ 」」

冬「そうです・・・。上原海琴さん・・・。知っているんですね」

律「いや、少し会話しただけだ。旅の内容は知らない」

冬「・・・そうですか。相馬さんと旅をする事で学んでいくんです
  沖縄の魅力を・・・そして、沖縄の音楽に対する心を」

『音楽って・・・いいですよね』

梓「音楽の心・・・」

冬「そして気付くんです。音楽が好きだという自分の気持ちを」

唯「・・・」

いちご「それが・・・『ニライカナイ』とどう結びつくの?」

和「そうね、音楽と、死後の世界は繋がるようには思えないわ」

冬「はい。音楽の中にその場所、『ニライカナイ』を見たのではないでしょうか。相馬さんの視点でしたけど」

梓「記事にはそう書かれていたんだ」

冬「・・・うん」
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:54:58.94 ID:blc7RTMpo
梓「ルポライターが聞いて呆れますね」

姫子「あ、梓・・・」

律「梓!」

唯「あずにゃん・・・」

冬「海琴さんが得た力なんだから、それは相馬さんが書ける訳無いでしょ」

梓「そうかな・・・。パートナーだったら同じ景色をみて当然だと思うけど」

純(また始まった・・・)

姫子「・・・」

冬「海琴さんと相馬さんは別人なんだから、全てを代筆する事なんてできないよ」

梓「私は気持ちを共有できる。旅を通して人と繋がる事の大切さを知っているから
  代弁できる。表現は難しいけど不可能じゃない」

冬「不可能じゃない・・・?それは思いあがりだよ、梓」

『怖いのが分かるって?それは思いあがりだよ梓』

梓「!」

冬「人と人は一つじゃない。一緒に生まれた双子でも不可能だよ」

梓「っ!」

冬「海琴さんと相馬さんは・・・行き着くところ他人なんだから代筆できないのが当たり前なんだよ」

梓「・・・」

冬「人の心なんて読めないのが普通なの・・・。共有はできても、決して同じではないの」

梓「・・・ッ!」

冬「だから、人と人は出会えるの・・・。出会った人が自分と同じじゃ・・・つまらないよ」

梓「・・・」

冬「上原海琴さんは、色褪せていた沖縄の景色を相馬さんと同じ視点に立つことで
  色を取り戻していったの。相馬さんが海琴さんの景色に気がつけなかったら
  『ニライカナイ』を見つけることは不可能だったんだよ」

梓「・・・」

冬「大事なのは自分の真実を見失わないこと」

梓「―――ッ!」

冬「相手の景色が自分と同じだと思い込むのは危険だよ。そう、上原海琴さんは教えてくれた」

姫子「ほら、熱くなりすぎ・・・。少し冷まそうよ」

冬「・・・あっ!」

梓「外出てきます・・・」トボトボ

冬「わ、私ってば・・・」オロオロ

澪「・・・」

律「・・・」

唯「・・・」

テッテッテ

冬「す、すいません・・・」

律「それはソーマが悪く言われたから?」

冬「はい。・・・でも、それだけではないと思います・・・」

姫子「夏と関係してるんだよね」

冬「・・・・・・はい」
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:55:28.31 ID:blc7RTMpo

ザァーーー

梓「・・・唯先輩・・・私は・・・見えるモノを見えなくしているんでしょうか」

唯「・・・」

梓「むぎせんぱいの気持ちが知ることが出来たと浮かれていたんです・・・」

唯「うーん・・・」

梓「冬と夏の間にある溝を見ていたのに・・・。あの二人に諭そうとしていたんです・・・」

唯「そっか・・・」

梓「これでは隣を歩けない・・・」

唯「そうかな?」

梓「・・・」

唯「それは悪いことじゃないと思うよ」

梓「1人で彷徨っているのにですか?」

唯「うん。だって・・・人を想う事に悪い事なんてないよ」

梓「!」

唯「冬ちゃんはそれを教えてくれたんだよ」

梓「・・・・・・・・・遠いなぁ」

唯「・・・」

梓「でもっ、諦めません!」

唯「私も!」

ザァーーー

夏「・・・二人でなにしてんの?」

梓「別に・・・」

唯「おぉ、ウェルカム!」

夏「お鍋もって来ました〜!」
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:55:54.67 ID:blc7RTMpo

――・・・ 

グツグツ

律「いただきまーす!」

信代「いただきます!」

英子「いただきます」

エリ「いただきまーす!」

「「 いただきまーす!! 」」

夏香「人多いねぇ・・・」モグモグ

夏「お姉さんは!?」

夏香「仕事中」

夏「がっかり」

美冬「唯ちゃんのお家はじめて来た・・・」

冬「そうなんですか、私もです」キラキラ

美冬「・・・?」

春子「シーズン同士仲良くしようか」

律「なんでいんだよ」

春子「いいじゃん、食材持ってきたでしょ」

姫子「・・・野菜が少ないね」

アカネ「ほら、もやし」

さわ子「ちゃんと買ってきてあるわよ・・・もやし」

潮「緑黄色揃えないとね、もやしでしょ」

ちか「あと、もやしとか」

慶子「それともやし」

三花「ほらほら、もやし」

律「誰の入れ知恵だよ」ジー

潮「・・・」シラー

夏「もぐもぐ・・・おいし〜」

冬「・・・」チラッ

梓「あっちはもやし鍋でいいですね。こっちは普通の鍋でいきましょう」

紬「・・・」チラッ

梓「もやし鍋がいいんですか!?」

紬「・・・」コクリ

澪「・・・斬新な鍋だ」

和「ここは石狩鍋で行きましょ」

信代「味付けバラバラで準備するの大変だったんじゃない?」

憂「そんなに大変でもないですよ」ニコニコ
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:56:24.32 ID:blc7RTMpo

唯「鮭、大根、ニンジン、しいたけどかして、豆腐」ヒョイヒィ

和「唯、終わったらおたま貸してくれる?」

唯「はいよ〜。どうぞ」

和「しいたけがかわいそうよ」ヒョイ

唯「なんとっ!」

玉恵「スパルタだね・・・」

和「未知子もよけたわよね。じゃがいも」ヒョイ

未知子「・・・はい」

英子「鍋奉行なのかな?」

夏香「お母さんなんだよ」

姫子「・・・保護者かぁ」

夏「もぐもぐ」

冬「・・・」チラッ

梓「うわっ、本当にもやし鍋になってる!」

さわ子「どうするのよ、このもやしだけの鍋」

律「悪ノリするからだろ!」

ちか「・・・せめて豚肉と人参と豆腐と」

潮「真心の半分があれば・・・」

律「責任を取らせるべきだと私は思うんだ」

エリ「異議なし」



美冬「こっちはチゲね・・・ナイスチョイス」グッ

いちご「・・・ありがと」

純「こっちは真面目に食べましょうね」

春子「まて、それはなんだ」

純「鮭ですけど・・・」

いちご「・・・」

夏香「却下!」

純「返してきます」

スタスタ

春子「慶子ー、こっち座ってー!」

慶子「・・・いいの?あっちはもやしオンリー鍋だから助かるけど」

いちご「・・・座っていいよ」

純「あぁ・・・ひどいっ、せっかく豚肉ももらってきたのにぃ」

アカネ「・・・」モグモグ

風子「それはトウモロコシかな?」

純「・・・はい」

美冬「鍋はいいね、冬の醍醐味だよ」

春子「まだ秋だけどな。慶子、この白菜おいしいよ」

慶子「もぐもぐ・・・うん、おいしい」
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:57:22.34 ID:blc7RTMpo

純「お邪魔します」

律「わざわざもやし食べに来たのかよ」

純「お土産です。豚肉とトウモロコシ」

さわ子「トウモロコシは石狩へ返しなさい」

ちか「・・・もやし飽きたよー」

夏「もぐもぐ・・・そうですね」

姫子「・・・」

冬「・・・」チラッ

梓「むぎせんぱい・・・」

紬「・・・」ヒョイ

エリ「わざわざもやしだけを・・・」

紬「・・・」シャクシャク

梓「私も食べてみます・・・」ヒョイ

紬「・・・」パァァ

澪「・・・隠し味が効いてるとか?」

三花「そんなはずは・・・」

梓「ないです。普通のもやしの味がします」シャクシャク

潮「シャキシャキしてて歯ごたえあるけど、もやしだよね」

さわ子「なんなのよこの苦行は・・・」

姫子「・・・誰も得しないし、乗り越えてどうするのって話だよね」

夏「ですよね」シャクシャク

冬「・・・」チラッ

梓「乗り越える必要ないですよ、さっさと他の食材を追加するです」

紬「・・・」コクリ

律「むぎも折れるの早かったな」

夏「・・・」

憂「和さん・・・気になることが・・・」ヒソヒソ

和「どうしたの?」

憂「冬ちゃんが一口も手をつけていないんですけど・・・
  私たちが買い出しに行っている間になにかありました?」

和「たいした事じゃないわ。梓とケンカをしただけ」

憂「冬ちゃんが・・・・・・」

唯「・・・」モグモグ



姫子「夏、ちょっとこっちにきて」

夏「・・・なんですか?」

純「・・・」

姫子「・・・冬はどうして手をつけないのかな?」

夏「どうしてそれを私に聞くんですか?」

姫子「知ってるでしょ」
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:57:52.76 ID:blc7RTMpo

夏「・・・」

姫子「もしかして、ケンカした事がないとか」

夏「冬がケンカ・・・、梓と・・・?」

純「いえす」

姫子「・・・」

夏「・・・」

純「ほら、教えてよ」

姫子「・・・」

夏「姫子先輩の言うとおりです。仲直りなんてした事ありません」

純(ケンカした事が無いから・・・そういう意味だったんだ・・・)

姫子「・・・」

夏「私がケンカの火種を起こしても、すぐ消してしまうんです。先に折れるから」

純「・・・冬らしい」

姫子「・・・」

夏「ケンカできるほどの?がりを持ったことがなかったから・・・しょうがないんです」

純「・・・」

姫子「そんな事だったんだ・・・」

純(姫子先輩っ!)

夏「そんな事すら経験してこなかったんですよ・・・。だから今、冬は梓の顔色をうかがっているんです」

姫子「そっか・・・。どうしてケンカになったと思う?」

夏「・・・さぁ」

純「本当に分からないの?」

夏「その場にいなかったでしょ・・・分かるわけない・・・」

姫子「ケンカをした事がないなら、どの程度で冬が怒るのか・・・とか知っていると思った」

純「・・・ほぉ」

夏「なんですか、探っているんですか?」

姫子「冬をね」

純「私は梓だけど」

夏「・・・」

姫子「仲直りさせればいいんだ・・・。ありがと夏。さ、戻ろうか」

純「そろそろ聞かないとなぁ」

姫子「なにを聞くって?」

純「火種の事です」

姫子「あぁ・・・相馬さんだっけ」

夏「・・・私はケンカした事ないのに・・・・・・梓・・・すごいな・・・」
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:58:40.59 ID:blc7RTMpo

冬「・・・」チラッ

梓「ようやくまともになってきましたね」モグモグ

紬「・・・」モグモグ

律「うめえ」モグモグ

三花「うん、うめえ」モグモグ

エリ「今度はもやしが減らなくなった・・・」

さわ子「潮ちゃん・・・無理しなくていいのよ?」

潮「・・・はい。限界でした」

純「あ、まともになってる!やった」

姫子「・・・よかった」

紬「・・・」スッ

梓「お茶碗もってどこへ行くんですか?」

紬「・・・」チラッ

梓「チゲ鍋ですか・・・」

紬「・・・」ルンルン

スタスタ

冬「・・・」

梓「よいしょ」スッ

純「どこへ行きなさる」

梓「ち、チゲ鍋が呼んでいるから・・・」

姫子「冬・・・寄ってくれるかな」

冬「は、はい」ススッ

純「向こうはもう席空いてないよ」

梓「・・・」

純「よいしょ」スッ

梓「どうしてそこへ座ったの」

純「こ、ここがいいポジションだから」

律(もうちょい上手く言えよ・・・。隣同士にさせようって魂胆みえみえだ)モグモグ

冬「・・・」モジモジ

梓「・・・」

さわ子(初々しいカップルのようね・・・)モグモグ

梓「冬・・・」

冬「は、はい!」

風子(かわいい・・・)ホンワカ

梓「食べないの?」

冬「・・・た、食べます」ヒョイヒョイ

姫子(もやしだけ・・・)モグモグ
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:59:15.43 ID:blc7RTMpo

梓「・・・」

冬「・・・」

慶子(この二人面白い・・・)モグモグ

梓「おたま貸して」

冬「ど、どうぞ」

エリ(和むな〜)モグモグ

梓「・・・」ヒョイヒョイ

冬「あれ、もやししか入ってない」

律「・・・っ」プルプル

信代(ツッコミたいんだろうなぁ・・・)モグモグ

梓「貸して」

冬「えっ・・・は、はい」

夏「・・・」モグモグ

梓「適当に入れるよ?」ヒョイヒョイ

冬「は、はい・・・おーけー」

律「・・・っ!」プルプル

澪(空気壊したくないもんな・・・耐えるんだりつ・・・)モグモグ

梓「・・・どうぞ」

冬「あ、ありがとうござ・・・さんきゅー」

未知子(言い直した・・・緊張してるのかな・・・)モグモグ

梓「・・・」モグモグ

冬「・・・」シャクシャク

三花(なにこの癒し空間・・・)モグモグ

梓「おいしい?」

冬「う、うん・・・おいしい」シャクシャク

唯(いいですなぁ〜)ホンワカ

憂(梓ちゃんったら・・・)ニコニコ

冬「み、味噌ともやしって・・・合うよね・・・」

梓「・・・うん」モグモグ

和(一生懸命話題探しているわね・・・)モグモグ

冬「札幌通ったんだよね・・・?」

梓「ん?・・・うん」モグモグ

多恵(それは私も聞きたい話・・・)モグモグ

冬「どう・・・だった・・・?」

梓「・・・」

澪(思い出させてしまっているな・・・。夏のむぎを・・・)

冬「・・・」

梓「むぎせんぱいと食べた味噌ラーメンがおいしかった」

律(梓・・・)

冬「そうなんだぁ」パァァ
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 02:00:16.22 ID:blc7RTMpo

姫子「どうして嬉しそうなの」ヒソヒソ

夏「一応憧れているんで・・・。北海道でラーメン食べることを」ヒソヒソ

冬「他にはどこへ!?」

梓「やけに北海道に食いつくね・・・」

冬「あ・・・」チラッ

夏「もぐもぐ・・・。ちか先輩、もやしがぐれてますよ」

ちか「ふふっ、『あーあっついなぁー』って?」

夏「ちか先輩ノリがいいですね!大好きです!」

ちか「あははっありがとっ」

潮「・・・」

純「・・・」

さわ子「はやく食べてあげなさいよ」

冬「憧れている場所だから・・・」

梓「そうなんだ・・・」



紬「・・・」ニコニコ

風子「仲直りできたね」

紬「・・・」コクリ

春子「仲直り?ケンカしてたのあの二人?」

風子「そうだよ」

慶子「春子気付いてなかったの?」

春子「あー・・・うん」

美冬「二人見ていたら分かるでしょ」

アカネ「うん。二人の雰囲気が少し違ってたね」

夏香「ケンカするほど仲が良いって本当だよね」

澪「そうだな。ケンカができないのは時として寂しい事なんだ」

いちご「・・・」

紬「・・・」スッ

澪「よそいでくれるのか、ありがとう」

風子「それって・・・。そうだよね」

慶子「・・・ふむ」

夏香「・・・なんだかんだで、夏は同じ鍋を囲んでいるわけで」

美冬「それを知ってか知らずか冬も過ごしているわけで」

アカネ「・・・うん」

春子「おかしな二人だな・・・」

紬「・・・」ニコニコ

澪「そうだな。ありがと、むぎ」

憂「食材足りてますか?」

いちご「・・・うん。大丈夫」
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 02:01:18.30 ID:blc7RTMpo

――・・・


和「そろそろお開きね」

紬「・・・」コクリ

唯「ふぃ〜、お腹いっぱいだよ」ゲフ

英子「そっちのお鍋も綺麗に食べたね」

夏香「三つの鍋完食だね」

いちご「片付けるね」

憂「置いてていいですよ」アセアセ

律「いやいや、場所を提供してくれたんだから食器を片付けるのは義務だよ憂ちゃん」

澪「信じられない・・・」

律「そう、私が常識を言うと澪は驚愕するんだぜー?」フフン

信代「それって信頼じゃないよな・・・」ウーム

エリ「深く考えちゃダメだよ」

さわ子「と、言っても台所の人数は決まってるから無理は出来ないわね〜」

多恵「いいのかな・・・」

律「いいって、いいってー。休んでおこうぜー」

澪「うんうん。それでこそ律だ」

純「・・・」

未知子「それじゃお掃除しよっか」

三花「賛成〜」

さわ子「えぇ〜」

夏香「先生がそんな嫌な顔しないでくださいよ」

美冬「さ、さわ子先生!?」

唯「これが本性だよ!」ビシッ

さわ子「ほら、飯田さん近田さん窓を開けてまずは換気よ」キリ

春子「はいよっ」

慶子「よいしょっと」

ガラガラッ



梓「え・・・?」

冬「?」

姫子「梓・・・?」

夏「???」

梓「冬・・・もう一度聞くけど・・・。相馬さんは・・・『最高の場所』を見つけてないの・・・?」

冬「う、うん・・・。沖縄の記事ではそう書いていたよ・・・」オロオロ

純「!」

律「なにっ!?」

澪「え・・・?・・・え?」
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 02:02:35.50 ID:blc7RTMpo

和「そうなの?」

唯「そういえば・・・そうだね。見つけたなんて一言も言ってなかったよ」

夏「どこかで・・・?」

憂「夏ちゃんはその話知らないの?」

夏「・・・うん」

憂「・・・・・・そうなんだ」

梓「・・・見つけていないのに」イライラ

純「いや、『最高の一枚』は撮れたって言ってたじゃん」

梓「そこが『最高の場所』とは限らないでしょ」ムカムカ

純「落ち着けって。お父さんの話を聞いてた?」

梓「・・・」

純「ほら、忘れてる。少なくとも一度は見つけているって事だよ」

冬「なんですかっ!?その話詳しく聞かせて!」

純「お、落ち着け・・・」

梓「『最高の場所』って二つ以上見つけられるの?」

純「そ、それは」

冬「失った、離れていった・・・」

梓「失くしたって・・・。失くす程度の場所なんだ」

純「始まった・・・」

澪「重要な話だから聞いていようか」

姫子「うん」

夏「・・・」

さわ子「よいしょ」



冬「小さい頃の宝物って今でも持ってるの梓」

梓「失くしたよ。それとこれとは違うでしょ」

冬「・・・。大人になったらガラクタだって言うんだ?小さい頃どんなに大切にしていたモノでも
  そう言ってしまえるんだ」

梓「そうだよ。あの時の気持ちが偽物だとは思わない。けど、成長したらそれはガラクタだよ
  いつまでも持っていていいモノではないんだから」

冬「その宝物と一緒に、大切にしていた気持ちも持っていてはいけないの?」

梓「・・・そうなんじゃないかな」

冬「それは『最高の場所』も廃れると言っているようなもんだよ」

梓「それはやっぱりその程度の場所だったと認めるって訳?」

冬「認めない。そんなに簡単に見つけた場所だとは思えないから」

梓「冬は持ってるの?宝物」

冬「持ってない。捨てたりあげたりして手放したから」

梓「よく分からないよ。何が言いたいの?」

冬「『あの時の気持ち』て言ったけど、その気持ちはハッキリ持ってるの?」

梓「持ってるって、なに?」
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 02:03:13.88 ID:blc7RTMpo

冬「覚えているのかって事」

梓「!」

冬「忘れているのなら、それは相馬さんが失くした事の意味を理解できないと思う
  でも、小さい頃の宝物を大事にしていた気持ちが覚えているならそれは、その程度の気持ちではないよ」

梓「それは冬が相馬さんから直接受け取った言葉なの?」

冬「うん。4年前の北海道の旅で得た経験と失った経験が成長した証として沖縄の旅で記されていたから」

梓「!」

純(梓は相馬さんの事全然知らないから・・・冬の主張には正当性があるように聞こえる)

冬「『最高の場所』を失くしても、忘れない限りその場所は存在し続ける
  糧となってその人を強くしてくれる。そう教えてくれたんだから」

梓「――ッ!」

冬「どうして梓は相馬さんを―」

純「冬、それは今聞かないで」

冬「?・・・と、とにかく。人の表面だけをみてそれだけで評価するのはよくないよ」

梓「っ・・・」

夏(冬が説教するなんて・・・)

梓「見つけていないのにその場所が存在すると言われて、平然としていられない」

冬「・・・どうして?」

梓「その場所を・・・私も探しているから・・・」

冬「相馬さんはそんな無責任なことはしない。会ったことないけど、数回メールでやりとりしただけだけど
  それだけはハッキリと言えるよ」

梓「・・・どうして?」

冬「さっき言ったパートナーの海琴さんと『ニライカナイ』を見つけたから
  信頼している人との旅だから見つけることができたんだと信じられるから」

梓「・・・うん」

冬「あ、あれ・・・?」オロオロ

姫子(話は終わったかな・・・)

律(むぎと旅をしていたから、それは素直に理解できるか・・・)

澪(そっか、一度見つけていたのなら・・・・・)
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 02:04:15.38 ID:blc7RTMpo

さわ子「なるほどねぇ・・・」

夏「・・・」

憂「純ちゃん・・・どうして止めたの」ヒソヒソ

純「今聞いても感情だけで答えるでしょ、私がちゃんと聞くから」ヒソヒソ

律「なんて聞くんだよ」ヒソヒソ

純「どうしてそんなに波長が合わないのかって」

唯「あーっずにゃん!」ダキッ

梓「・・・なんですか」

唯「えへへ、なんでもないよ〜」スリスリ

梓「・・・」グググ

唯「ぉ・・・」ムググ

紬「?」

英子「後片付け終わったよ」

風子「帰ろう帰ろう」

唯「帰っちゃうの・・・?」

春子「明日学校・・・だぁ・・・」

さわ子「帰りましょうか」
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 02:08:12.61 ID:blc7RTMpo

――・・・


夏「おやすみなさーい」

姫子「じゃ、明日・・・。って毎日この台詞だね」

唯「そうだね〜」

冬「お、おやすみ・・・」

梓「おやすみ。明日ね」

冬「う、うん・・・」

スタスタ

紬「・・・」フリフリ

唯「ばいば〜い」

律「じゃ、帰るかぁー」ノビノビ

澪「そうだな。ごちそうさま憂ちゃん」

憂「いえ、みなさんが最後まで手伝ってくれたので」

澪「私たちなにもしてなかったけどな」

和「いいのよ。大事な話だったんでしょ?」

澪「・・・うん」

純「いえす」

風子「ばいばい」

英子「おやすみ」

夏香「・・・ふぁ、ばいばい」

純「ではでは」

梓「あれ、むぎせんぱい・・・。斉藤さんは・・・」

唯「今日はむぎちゃんお泊りだよ!」

紬「・・・」ニコニコ

梓「聞いてませんよっ!?」
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 02:08:40.27 ID:blc7RTMpo

律「じゃあな」

澪「おやすみ」

スタスタ

純「何事も無かったかのように・・・」

梓「ばいばい、純」

風子「残る気だね」

唯「ウェルカムだよ!」

純「まぁまぁ」ガシッ

梓「帰らないっ!」ジタバタ

純「子供かっ!?」

英子「帰ろうね」ガシッ

夏香「いい時間だからね」ガシッ

梓「ちょっ!」

紬「・・・」フリフリ

憂「おやすみ梓ちゃん」

和「引きずられていくわね」

ズルズル

梓「おやすみなさー・・・ぃ・・・」

唯「あずにゃんの挨拶が木霊する・・・」
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 02:09:23.43 ID:blc7RTMpo


風子「こんな風に帰るの多くなったよね」

純「そうですね。なんか、日課みたいな感じです」

英子「そうだね。・・・面白いね」

夏香「面白い?」

梓「きっと、何事もなかったら今は違う場所にいたんですよ」

純「なかったら・・・か・・・」

風子「じゃあさ、この『今』がある事はいい事なのかな」

梓「・・・」

夏香「・・・ちょっと、ふぅ」

英子「・・・」

純「どうなのさ?」

梓「いい事だとはハッキリ言えない・・・
  むぎせんぱいの事があるから・・・言いたくは・・・ない・・・です・・・」

風子「そっか・・・」

夏香「・・・うん」

英子「・・・」

梓「でも、『今』を後悔したくないです。
  大切な時間だったと後から言えるように・・・。だから、一緒にいてください」

風子「まぁ」ポッ

夏香「まぁ・・・」

英子(そう言ってくれるんだね・・・嬉しいのと恥ずかしいのと)

純「・・・」

梓「・・・今のは無しで」

風子「遅いよね〜」

夏香「今の唯に聞かせたいからワンスアゲイン」ピッ

梓「っ!」バッ

夏香「あっ!」

ピッ

梓「録音しようとしないでくださいよっ!」

英子「疾かったけど、その動きはどうしたの?」

梓「言葉おかしいですよ英子先輩・・・。前にもむぎせんぱいに・・・あ」

風子「同じようなこと言っちゃったんだ〜」

梓「ち、ちがっ!」

夏香「明日聞いてみようか」

風子「そうだね〜」

梓「そ、そんな恥ずかしい台詞を言った訳じゃ」アセアセ

風子「今の台詞恥ずかしかったんだ」

梓「違いますと言ってます!」アセアセ

夏香「言葉おかしいよ」ニヤリ

英子「ふふっ」
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 02:10:00.67 ID:blc7RTMpo

純(いじられキャラが定着したか・・・。でも、さっきのは・・・雰囲気を変えたくて言った台詞だ
  『今』を良い方向に持っていくように。・・・・・・空気を読んだ)

梓「助けてよっ」

純(いや、本音も混じっていたのかも・・・
  あの人と会ってから梓は不安定ながら、よろめきながら、まっすぐ歩いている)

梓「純・・・?」

純(それなのに嫌っている。波長が合わない理由を探っていたけど、答えに辿り着けない
  それは梓にとっていい事なのか・・・。『嫌いだから』と、ただの感情で片付けていいのか・・・)

風子「純ちゃん?」

純(二人っきりの時に聞きたかったけど・・・しょうがない・・・)

英子「どうしたの?」

純「梓さぁ・・・」

梓「?」

純「どうして相馬轍を・・・そんなに否定すんの?」

梓「!」

夏香「・・・誰?」

英子「その名前・・・」

風子「キャンプで出会った人。・・・それ以前に梓ちゃんたちとは出会っていたみたいだけど」

梓「今・・・聞く事なの?」

純「今日、冬と二回も衝突したでしょ。原因は分かってるよね」

夏香(ケンカの理由・・・)

梓「なにそれ、楽しかった思い出で終わる一日をそんな事で濁らせるの?」

純「濁らせてるのは誰だよ」

英子「二人とも・・・」

梓「私だって言うの?」

純「冗談でしょ?気付いてなかったとか言わないよね?」

梓「なっ!」

純「なに?」

風子「待って、・・・純ちゃん、目的がズレてるよ」

純「!」

風子「梓ちゃんも、どうして冬ちゃんとケンカになったか・・・教えて欲しいな」

梓「そ、それは・・・」

風子「キャンプの時もあの人がいる時、様子変だったよ?」

梓「・・・」

純「これだけは言わせてください」

風子「?」

純「冬が相手だったから、同じ目線で話せたから得るものがあったけど
  相手が先輩たちだったらどうするの?」

梓「!」

純「澪先輩にも突っかかるの?律先輩に同じ目線になれって?唯先輩とケンカするの?」

梓「ッ!」
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 02:10:52.83 ID:blc7RTMpo

純「紬先輩と衝突できるの・・・?」

梓「・・・ッ」

純「いい加減にしなよ・・・」

梓「・・・・・・あの人に出会ってから・・・全てがおかしくなった・・・」

風子「災いって・・・」

梓「そうです・・・。私の・・・全てをおかしくさせるんです」

純「・・・」

英子「・・・」

夏香「・・・それは、確実にその人のせいだと言える・・・の?」

梓「言えません・・・。簡単に言えば―」

純「波長が合わないって?・・・それは適当に言葉を見つけただけ」

梓「!」

風子「純ちゃんも・・・少し変だよ?」

純「・・・分からないんですよ。相馬轍の名が出てくるたびに周りに当たって
  冬にまで当たって・・・。冬が相馬轍のファンで、言い返してくれたから梓は救われてるようなもので」

梓「・・・どういう事?」

純「勝っちゃいけないケンカっていうのかな・・・」

英子「・・・・・・言い換えれば天狗、うぬぼれる、慢心する、思いあがる」

梓「ッ!」

純「そう、それです・・・。冬にケンカ勝ちしていたら、それでいい、これでいいで終わっていたんです」

夏香「・・・」

梓「・・・」

純「そろそろ、決着つけなよ。もう会わない人なんだしさ・・・」

梓「それ・・・」

風子「それ?」

梓「波長が合わないで・・・合ってるんだよ・・・」

純「?」

梓「あの人は・・・『別れ』の雰囲気が纏わりついてる・・・」

風子「!」

純「『別れ』・・・?」

梓「キャンプの朝・・・あの人は玉恵さんに挨拶も無しに去って行った」

夏香「・・・だ、誰?」

風子「相馬轍さんの旅仲間」

英子「・・・出会いと別れは必須じゃないの?」

梓「そうです。でも別れは新しい出会いの為でもあるんです・・・。あの人にはそれを感じられなかった」

風子「!」
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 02:12:10.38 ID:blc7RTMpo

純「どういう事?」

梓「それは・・・分からない・・・。けど、その正反対の人と私は・・・いつも一緒に居るから」

純「・・・」

梓「あの人が『別れ』ならむぎせんぱいは『出会い』・・・波長が合ってない」

純「・・・そっか・・・、なんか納得しちゃった」

梓「むぎせんぱいとの『別れ』を・・・意識せざるを得ないから・・・。
  だから私はあの人が苦手なんだ・・・」

純(今気付いたのか・・・。梓自身が知らないことを私は問い詰めて)

梓「ありがと純・・・。なんだか、楽になった」

純「あ、そう・・・」

風子「で、でもさ・・・。『別れ』だけじゃないと思うよ?」

英子「ふぅ・・・?」

梓「どういう・・・?」

『轍さんのご両親は亡くなっているの・・・』

風子「そ、それは・・・その・・・。だって旅をしてたくさんの人と出会えているじゃない」

梓「そうですけど・・・。『出会い』を目的とした旅じゃないような雰囲気だったと言っているんです・・・けど」

風子「う、うん・・・そうなんだけどね」

英子「時間切れだね。私たちこっちだから、続きは明日話そうか」

梓「は、はい」

夏香「楽しかったよ。ありがとね」

純「なんか、変な終わり方ですいませんでした」

英子「いいよ。為になる話だったから・・・なんてね」

夏香(・・・英子の様子も変)

梓「そうですか。それでは明日です」ペコリ

純「おやすみなさい」ペコリ

風子「あした・・・ね」フリフリ

スタスタ
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 02:18:29.19 ID:blc7RTMpo

夏香「二人とも何があったの?」

英子「風子の様子が変だから」

風子「・・・うん」

夏香「話の途中で・・・何か気付いたとか?」

風子「あの人・・・相馬轍さんなんだけどね・・・」

夏香「人気者だねぇ」

英子「その人が?」

風子「・・・ご両親亡くされてて・・・。親友さんも亡くしてるの・・・」

夏香英子「「 ! 」」

風子「梓ちゃんが・・・『別れ』の雰囲気を纏っているって言い切って・・・少し悲しくなった」

夏香「・・・的を射てる分・・・真実は伏せるべきなのかな・・・」

英子「そういう事だったんだね」

風子「それが理由で嫌われるのって・・・寂しい・・・」

夏香「ふぅは変わんないねー」ガシッ

風子「ッ・・・なっちゃん!?」

英子「そうだね。でも・・・これ以上触れないほうがいいかもしれないよ」

風子「・・・うん。・・・別れても・・・その人は梓ちゃんに色々なことを教えているような気がする」
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 02:19:04.89 ID:blc7RTMpo


―――――平沢邸


唯「むぎちゃん寝ちゃった」ヒソヒソ

紬「」スヤスヤ

唯「本当は起きているんでしょ?」

和「静かにして唯」

唯「寝るなんてもったいないよ」ギンギラ

憂「紬さん起きちゃうよ」ヒソヒソ

紬「」スヤスヤ

唯「うーん」

和「どうして私まで・・・」

憂「たまにはいいんじゃないかな?」

和「たまには・・・ね」

唯「花火やろうよ、言っただけだよ」

紬「」モゾモゾ

和「ゆいっ」ヒソッ

唯「・・・」シーン

紬「」スヤスヤ

憂「・・・ふぅ」

唯「はい、寝ます」

和「・・・」

憂「」ウトウト

唯「オヤスミ・・・」

紬「」スヤスヤ
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:18:11.32 ID:fwc/JhO5o
需要無いとは思っていましたけど、皆無とは・・・orz

始めたからには終らせます
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:18:56.35 ID:fwc/JhO5o


9月21日

チュンチュン

紬「・・・?」

唯「」スヤスヤ

和「」スヤスヤ

憂「」スヤスヤ

紬「・・・」ボケー

カチッ

紬「・・・」ボケー

コト

紬「・・・」モゾモゾ

紬「」ウトウト

紬「」スヤスヤ

823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:20:00.90 ID:fwc/JhO5o

――・・・

ピンポーン

憂「!」ガバッ

紬「」スヤスヤ

唯「」スヤスヤ

和「」スヤスヤ

憂「え・・・?今・・・何時・・・・・・寝過ごしちゃったぁ・・・」

ピンポーン

憂「和ちゃん」ユッサユッサ

和「・・・ん?」

憂「お姉ちゃんたち起こしてください・・・。あと時間が」

和「時間・・・目覚まし鳴った・・・?」

憂「鳴ってないよ。お姉ちゃんが止めちゃったのかも」

ピンポーン

憂「あっ!」ガタッ

和「待ってうい・・・。髪が・・・」ヒョイヒョイ

憂「ぁ・・・」

和「大丈夫よ」

憂「えへへ、ありがと」

テッテッテ
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:21:00.20 ID:fwc/JhO5o

和「さて・・・二人を・・・」

紬「・・・」ジー

唯「」スヤスヤ

和「・・・」

紬「・・・」ポッ

和「その反応はなによ・・・」

紬「・・・」ユッサユッサ

唯「ぅん・・・んー?」ボケー

和「・・・」

紬「・・・」ヒョイヒョイ

唯「ありがとー」ボケー

紬「・・・」ポッ

和「それは私に対する当てつけなのね?」

紬「・・・」コクリ

和「頷いたわね・・・」

唯「何の話ー?おはよー」

和「・・・いいわ。一度うちに帰って着替えてくるわね」

唯「ごはんはー?」

和「時計見て、食べてる時間なんてないわ」

紬「・・・!」

唯「どうしてこんな時間なの!?」

憂「紬さん、斉藤さんが制服届けてくれました」

紬「・・・」コクリ
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:22:00.30 ID:fwc/JhO5o


――・・・


紬「・・・」スッ

和「そうね、そのベンチに座って食べましょ」

唯「おにぎり一つくらい食べる時間はあるよね」

紬「・・・」コクリ

憂「・・・教室では食べられませんよね」

和「私たちは食べられるけど、憂は1人で食べられないでしょ?」

憂「・・・うん」

紬「・・・」モグモグ

唯「ここでなら見られても平気だもんね」モグモグ

和「・・・」モグモグ

憂「・・・」モグモグ

「あれ、平沢さん?」

憂「あ・・・」

「こんなとこで何してんのー?」

憂「朝ごはんを食べてるの」

「おはようございます」

唯「おはよ〜」モグモグ

和「確か、同じクラスの」

「はい、憂ちゃんと同じクラスの者です」

紬「・・・」モグモグ

「いいなー、外で朝ごはんなんて・・・」

「ほら、邪魔してるから。先に行ってるね平沢さん」

憂「後でね」

「ごゆっくり〜」

「ゆっくりしたら遅刻しちゃうでしょ」

憂「クスクス」

紬「・・・」

和「確かに・・・外で食べる朝ごはんも、偶にはいいわね」

唯「うんうん、のんびりしてられないけど。いいよね」

憂「でも、どうして目覚まし鳴らなかったんだろう」

和「・・・唯でしょ?」

唯「ん?なに?」モグモグ

憂「鳴った途端に止めちゃった?」

唯「そうなのかな・・・?覚えてないや」エヘヘ
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:23:08.31 ID:fwc/JhO5o

紬「・・・」

夏「あれ?」

紬「・・・」ニコ

夏「おは・・・ようございます?」

紬「・・・」ペコリ

夏「何を見ていたんですか?」

紬「・・・」ニコ

夏「飛行機か鳥でも飛んでいたとか・・・」

紬「・・・」

夏「・・・」

唯「夏ちゃ・・・ん・・・?」

和「二人とも・・・なに・・・を・・・?」

憂「・・・?」



律「どうする・・・?」

澪「どうするって・・・。周りの注目を集めてるから・・・」

律「5人とも空みてんのな・・・。まずいなあれは」

澪「・・・」

パァン!

紬夏唯和憂「「「「「 ! 」」」」」

澪「ほら、学校に行くぞ」

律「打ち上げに成功したロケット開発技術者か?」

紬「・・・」テレテレ

夏「違います・・・」

唯「みてよ、うろこ雲・・・。今日の晩御飯は秋刀魚だよ」ジュル

和「太陽の光が強すぎて見えないけど、今も星は輝いているのよね」

憂「空気が綺麗だなぁ・・・」

律「そうか・・・。どうコメントすればいいのかな?」

澪「さぁ・・・とりあず向かおうか」

唯「はいよー!」

和「目が乾いたわね」

憂「私も・・・」

スタスタ

夏「・・・ふぅ」

紬「・・・?」

夏「一緒に見ていた空を思い出したんです・・・」

紬「・・・」

夏「・・・この空は・・・『北海道に繋がっているね』・・・って」

紬「・・・!」
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:26:47.93 ID:npXGw1Jlo
見てるよ
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:30:15.36 ID:fwc/JhO5o

夏「・・・約束を果たさなきゃいけないのに・・・・・・」

紬「・・・」

ギュ

夏「?」

紬「・・・」スラスラ

夏「お昼ですか?」

紬「・・・」コクリ

夏「は、はい・・・」


829 :ありがとうございます ビックリしました [sage]:2011/09/09(金) 22:33:23.35 ID:fwc/JhO5o

唯「おはよーあずにゃん!」

梓「おはようございます。むぎせんぱいは?」

律「あれー、スルーされたかなー?」

澪「・・・夏とくるんじゃないかな」

梓「夏と・・・?」

憂「純ちゃんは?」

梓「さ、さぁ・・・」

憂「なにかあったの?」

梓「ぴぃ〜ぷぅ〜」

唯「ぷぅ〜ぴぃ〜」

律「おはよーアキヨ!」

アキヨ「・・・おはよ」

スタスタ

「みんな入らないの?」

澪「むぎを待っているんだ」

「私も待ってよっと」

和「私は先に教室に入ってるから」

スタスタ

純「・・・マイペースです」

憂「おはよ〜」

純「おはよう」

梓「・・・」ギクシャク

律(ケンカにでもなったか・・・)

澪「来たか」

梓「!」

夏「一匹狼というより一匹虎ですよね〜、ネコ科だし」

紬「・・・」ニコニコ

夏「今日から合同で作業するじゃないですか?だからみんなビックリしますよきっと」

紬「・・・」ニコニコ

夏「私も最初ビックリしましたけど、でも慣れたら面白いですよね」プクク

紬「・・・」ニコニコ

夏「いっつもすました顔してるから・・・あ」

梓「おはようございます。むぎせんぱい・・・」

紬「・・・」ニコニコ
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:33:51.62 ID:fwc/JhO5o

夏「おはよ〜梓」

梓「・・・」フンッ

スタスタ

夏「えぇー・・・」

憂「・・・」

純「・・・」

紬「・・・」フリフリ

「おはよう紬さん」

律「それじゃ今日もガンバロー」

澪「・・・おー」

「いつも紬さんの周りは賑やかだねー」

紬「・・・」ニコニコ

「・・・楽しそう」

唯「圭子ちゃんも騒がしくすればいいんだよ」

律「意味分かんねえー」

圭子「・・・」

夏「梓の今のリアクションってなに・・・?」

憂純「「 さぁ・・・? 」」
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:35:25.40 ID:fwc/JhO5o


―――――お昼

姫子「中庭に行かないの?」

和「えぇ、行かないわよ。そっちは?」

姫子「行かないよ。・・・楽しそうだけど」

圭子「楽しいの?」

和「さぁ・・・。騒がしいのは確実だけど」モグモグ

圭子「・・・うーん・・・興味ある」

風子「行ってきたらいいよ」

圭子「誰か一緒に行かない?」

英子「それじゃ、お昼ご飯食べ終わったら行きましょうか」

圭子「ありがとー」

姫子「・・・和」

和「どうしたの?」

姫子「むぎの・・・出発の日って決まってるの?」

和「えぇ・・・。決まっているわよ」

風子「そうなの!?」

姫子「いつ?」

和「学園祭の次の―――」

832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:36:31.12 ID:fwc/JhO5o

―――――中庭


唯「28日」

澪「来週・・・か・・・」

律「一ヶ月って早いな・・・」

梓「・・・」

律「一週間はもっと早い・・・」

澪「一日はもっと短いぞ」

唯「・・・そだね」

梓「・・・」

澪「・・・」

圭子「本当だ、楽しそう」

英子「みんなどうしてここにいるの?」

唯「ちょっと考え事を〜」

律「よし、行くかー」

澪「律、タッグ組もうよ」

律「いいぜー、むぎ夏ペアに勝てるのは私たちしかいない!」

唯「ふふ、次は私とあずにゃんチームで挑むんだよりっちゃん」

梓「・・・私はパスです」

唯「なんと」

圭子「はい、じゃ私が!」

唯「いいでしょう」フフン

律「じゃ、私らが対決して勝った方が挑むってのはどうだ?」

唯「分かったよ」

圭子「バトミントンなんて久しぶりだなぁ・・・。ダブルスなんてやったのいつ以来だろ」

紬「・・・」ポン

シュー

多恵「・・・」ポン

シュー

夏「・・・そーれ」ポン

シュー

未知子「・・・」ポン

澪「和やかだ・・・」

梓「英子先輩・・・ふぅ先輩は来ないんですか?」

英子「うん。・・・後で部室に行きたいって、いいかな?」

梓「・・・はい」

律「なんでだ?」

梓「昨日の話の続きを・・・」
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:40:24.24 ID:fwc/JhO5o


―――――廊下


夏香「しないの?」

風子「・・・どう話をしたらいいか、纏まらなくて」

夏香「難しい所だね」

いちご「・・・どうしたの?」

風子「いちごちゃんに聞きたいんだけど・・・」

夏香「待って」

いちご「?」

風子「一緒にキャンプに行ったから大丈夫だよ?」

夏香「知ってるけど、これは風子が考えなくちゃいけないと思う」

風子「私なりに結論は見えてるよ。話すか、話さないか、ウソをついて誤魔化すか」

夏香「・・・」

風子「私は意見を聞きたい」

夏香「・・・うん・・・。でもね、それは多数で結論を見つけ出す事にならない?」

風子「・・・」

夏香「人に聞けば正しい答えに辿りつけると思うけど、それは彼女が抱えているものを
   軽く扱ってしまいかねないよ?」

風子「・・・それは」

いちご「・・・」

夏香「ごめんね、いちごさん・・・。変な話しちゃって・・・」

いちご「・・・彼女って・・・?」

姫子「・・・英子の隣に居る子だよね」

和「・・・梓?」

風子「・・・・・・うん」

姫子「ふふっ、楽しそうにバトミントンなんかしちゃって」

いちご「・・・姫子は知ってるの?」

姫子「知ってるような、知らないような・・・。未知子って運動神経いいんだね」

和「・・・えぇ」

いちご「・・・どっちなの?」

姫子「え?」

いちご「知ってるの、知らないの?」

姫子「・・・・・・昨日、冬とケンカした事だよね、風子?」

風子「う、うん・・・」

姫子「じゃ、知ってる・・・。あ、負けちゃった」

夏香「・・・」

和「・・・面白い対戦になってるわね」

姫子「やっぱり唯を応援する?」

和「勝つほうを応援するわ」

姫子「それはずるいよ。澪と律のコンビに勝てるかどうか」
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:41:59.08 ID:fwc/JhO5o

いちご「・・・私に聞くことって無いよね?」

風子「ご、ごめんね・・・」

いちご「・・・いい。けど、知る事で視野が広がる事だってあると思う」

姫子「それは私に言ってるのかな」

夏香「違うよ。私に言った―」

いちご「そう聞こえたんだ」

姫子「・・・」

いちご「心当たりある?」

姫子「まぁね・・・。私は知る事で動けなくなる事が怖いんだけど」

いちご「・・・」

風子「・・・」

姫子「判断が難しい・・・」

いちご「・・・人の意見を尊重したら?」

姫子「・・・時と場合によるでしょ」

いちご「知らないことで動けなくなったら本末転倒」

姫子「・・・」

いちご「自分を計り損ねているだけ」

姫子「・・・」

いちご「それを人に押し付けるのはどうかな」

姫子「どうしたの、やけに突っ掛るね」

いちご「・・・」

姫子「風子、私は夏香の意見に賛成だから。人に聞くことじゃないよ」

風子「う、うん・・・」

いちご「人と一緒に考えることの選択を遮るんだ」

姫子「時と場合によるって言ったよね・・・」

いちご「悪いけど、触りだけでいいから教えてくれる?」

風子「・・・」

夏香「・・・」

姫子「梓と波長の合わない人がいて、その人の過去を梓は知らないから
   それでいいのかって話」

いちご「・・・その過去って」

姫子「うん・・・。ご両親と相棒さんの事」

いちご「・・・」

姫子「ごめん、話しちゃった」

風子「・・・うん」

夏香「・・・」

いちご「・・・聞かなかったことにする」

姫子「フェアだねぇ・・・」
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:43:14.42 ID:fwc/JhO5o

いちご「・・・それでも、他の人の意見は聞くべき」

姫子「・・・逆なんだよ」

いちご「逆・・・?」

姫子「難しい話だから一歩下がって見守りましょうって話じゃないよ
   梓が遠回りしてでも、自分で辿り着かなきゃいけないことだと思う」

いちご「・・・遠回させてるだけ」

姫子「私はそれも必要だと思う」

いちご「時間が無い」

姫子「急いては事を仕損じるって言葉があるでしょ」

いちご「これは仕事や義務なんかじゃない。苦労する必要も無い」

姫子「山の頂上をみて登山するの?足元の花はどうでもいいの?」

いちご「論点がズレてる」

姫子「ズレてないよ。近道することで足元の花を見過ごす事の方が多いんだから」

いちご「どうして登山の話になってるの?」

姫子「ケーブルカーで行くより自分の足で登ったほうが心に残る
   梓にはそっちを選んで欲しいから・・・。例えが下手なのは流して」

いちご「それは梓が決める事。押し付けていい選択ではない」

姫子「そうじゃないと夏と冬の距離が縮まらない」

いちご「・・・それが本音?」

姫子「・・・どうだろ。・・・よくわからない」

いちご「・・・無責任」

姫子「簡単に答えを見つけていい問題ではないと思ってる」

夏香「・・・」

風子「・・・」

いちご「・・・そう、じゃ」

スタスタ

和「唯と圭子ペアが負けたわよ」

姫子「・・・予想を裏切らないね」

風子「ちゃんと話してくる・・・」

夏香「風子」

風子「分かってる・・・。私自身で考えて梓ちゃんに話してみるよ」

スタスタ

姫子「律と澪が相手か・・・。どっちを応援する?」

和「勝つほうね」

姫子「ずるいって」
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:44:11.03 ID:fwc/JhO5o

和「珍しいわね、感情を高ぶらせるなんて」

姫子「どうしたんだろうね、いちごは」

和「姫子も少しムキになってたわ」

姫子「そんな事ないよ」

和「自分を客観的に見られないのね」

姫子「和に言われたくない・・・」ハァ

和「?」

夏香「・・・」

和「しっかり風子に意見を伝えてしまったわよ」

姫子「・・・うん。梓は冬が入院して危険な状態になったことを知らない。だから夏と対等に言い合える
   それと似たような事なんだけど・・・難しいね・・・」

夏香「・・・いちごさんの意見も聞いて考えると思うよ」

姫子「それなら・・・いいのかな・・・」

和「どうかしらね」

姫子「・・・」

和「それで、本音は?」

夏香「聞くんだ・・・」

姫子「・・・知らないままでいたほうが冬と夏を引っ張ってくれるような気がする。・・・他力本願だよね」
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:46:54.61 ID:fwc/JhO5o


―――――教室


風子「相馬さんの過去を知ると、梓ちゃんは夏ちゃんと冬ちゃんを置いて先に進んでしまうって事かな」

いちご「・・・どうして?」

風子「知ると知らないでは、その人の見方って結構変わるよね」

いちご「・・・」

風子「私もさっきの姫ちゃんとのやりとりで、いちごちゃんが優しいって」

いちご「話がズレてる」

風子「・・・はい」

いちご「・・・」

風子「よくない先入観を持っているけど、そのおかげで少しずつ学んでいけてると思う」

いちご「・・・」

風子「遠回りだけど、辛い道だけど・・・。この道のほうが確実だと思う」

いちご「・・・それじゃ、どうして迷ってるの?」

風子「・・・うん」

いちご「話を聞く限りでは・・・」

風子「・・・うん。人を知らないで嫌いになるのは寂しいよ」

いちご「・・・」

風子「・・・」

いちご「・・・もう会わない人なのに?」

風子「卒業した後に、いちごちゃんに嫌われるのって私は悲しい」

いちご「・・・」

風子「・・・」

いちご「そ、それで?」

風子「意見を貰おうと思って」

いちご「止められたよね」

風子「・・・姫ちゃんの意見も聞いたから、いちごちゃんの意見も聞いて、私が決めれば問題ないと思う
   それに、反対にある意見だから多数で結論を見つけ出すことにはならないよ」

いちご「・・・」

風子「どうぞ」メモメモ

いちご「・・・ふざけるなら」

風子「・・・」サッ

いちご「・・・取り返しのつかないことになるのが嫌なだけ。近道でも答えを必ず見つけたい」

風子「・・・」

いちご「・・・」

風子「そっか・・・。ありがと・・・・・・」

いちご「・・・」

風子「・・・どうして突っ掛ったの?」

いちご「・・・・・・・・・姫子のやり方が納得できない」
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:47:42.43 ID:fwc/JhO5o


―――――放課後

ジャンッジャンッジャンッ

律「・・・」

澪「・・・」

唯「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」

シーン

律「わ、私たち・・・」

澪「あぁ・・・」

唯「プロだよ・・・」ゴクリ

梓「そんな訳ないじゃないですか」

紬「・・・」ニコニコ

律「んだよー。インスピレーションは大事なんだぞー」

澪「・・・むぎ」

紬「・・・」コクリ

コンコン

ガチャ

夏「せんぱーい、お迎えにあがりましたー」

唯「わざわざご苦労様。さ、お茶をお出ししますわ」

夏「お心遣い感謝します。しかし、急がねばなりませんので」

律「あら、大変ですのね」

澪「・・・」ガサゴソ

紬「・・・」ガサゴソ

澪「よいしょ・・・。今日はこれで、解散・・・?」

律「んー・・・。特に予定もないんだよな」

唯「そだね〜」

梓「私はもう少し練習して帰ります」

紬「・・・」コクリ

澪「分かった・・・。じゃあな」

紬「・・・」フリフリ

夏「・・・お、お疲れ様でしたー」

唯「ばいばーい」

バタン
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:48:22.93 ID:fwc/JhO5o

澪「みんな集ってるの?」

夏「はい。他の先輩方も待ってますよ」

紬「・・・」

澪「少し遅れたか」

夏「・・・」

スタスタ

夏「・・・」

紬「・・・?」

澪「どうした、夏?」

夏「い、いえ・・・。行きましょう」

澪「夏は毎回会議に参加しているの?」

夏「はい!皆勤ですよ!」

紬「・・・」ニコニコ

夏(なんだろ・・・部室から出るときに感じた違和感・・・)
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:49:04.71 ID:fwc/JhO5o


―――――2年生のクラス

ガチャ

澪「遅れました」

紬「・・・」ペコリ

夏「・・・」サッ

テッテッテ

夏「・・・」ストッ

さわ子「ご苦労様、夏ちゃん」

夏「いえいえ、これくらい」

純「そうだ、どうってことないはずだ」

夏「・・・」

澪「・・・」スト

紬「・・・」ガサゴソ

「?」

夏「紬先輩は鍵盤の音を声にするんだよ」

紬「・・・」プッププー

「あ・・・そうだったね・・・」

和「では、学園祭の話を進めたいと思います」
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:49:39.88 ID:fwc/JhO5o


――・・・

和「では、これで今日の会議は終わりです」

さわ子「野点班と屋台班はそれぞれ作業を進めておいてね。お互いをフォローできるようにしてあるけど
    要所要所では班長の判断に任せるから」

純「はい」

紬「・・・」コクリ

「・・・」

和「学園祭にむけて頑張りましょう」

夏「はい!」

純「楽しみになってきましたね」

澪「そうだな」

美冬「・・・それじゃ、帰ろうか」

「そうだね」

「お先に・・・」

スタスタ

澪「うん、明日ね」

紬「・・・」フリフリ

純「これから部室へ行くんですか?」

澪「んー・・・、寄ってみる?」

紬「・・・」コクリ

澪「寄ってから帰るよ」

純「そうですかー、それではまた明日」

紬「・・・」フリフリ

和「じゃあね」

夏「おつかれさまでーす」

バタン

「・・・」

さわ子「・・・あなたたち帰らないの?」

「ここ私たちの教室ですから・・・」

さわ子「・・・それもそうね。結局メイド喫茶は無しなのよねぇ」

スタスタ

バタン

純「えーっと・・・」ガサゴソ

夏「なに探してんの?」

純「給食の時に残しておいたパンを」

夏「どうして残したの?」

純「近所に捨てられた猫がいてね・・・。おこづかいでは足りないから」

夏「・・・」プクク

純「名前はね小次郎っていうんだ・・・」
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:51:51.48 ID:fwc/JhO5o

夏「調子に乗ったでしょ?・・・名前はいらなかったなー」

純「むむ・・・」

夏「給食とかは面白かった。どうしてそんな事やってんの?」

純「律先輩がいきなりフッてくるから、そういう思考に・・・あった・・・。パン」

夏「・・・」

純「お昼食べられなかったから。今食べよーっと」パサ

夏「・・・」ジー

純「なにさ」

夏「・・・純って、こんなアホみたいなキャラだったんだなーって」

純「アホは余計だって!」

夏「あははっ、ごめんごめん」

「・・・あのさぁ」

純夏「「 ん? 」」

「合同企画なのはいいけど、今の流れって完全に3年生の主導じゃない?」

「ちょっと由記!」

純「と、いいますと?」モグモグ

由記「野点茶店も、露店の駄菓子も3年生が決定した事でしょ?」

夏「・・・」

純「・・・」モグモグ

由記「私たちってそれに合わせてるだけじゃない」

「由記!」

純「いいよ、来美・・・。そういう事も聞きたいから。
  ・・・というか、先輩たち何度も確認していたよね『案は無い?』って」

由記「・・・」

純「黙っていたなら案が無いって事で話が進むのは当然。露店だって私たちが決めるはずだったのに」

来美「・・・」

由記「・・・でもさ、カステラや水あめなんかはいいけど、沖縄の料理ってなに?どういう流れなのよ?」

純「それは私にも分からない。食べてないし、どんな風に仕上がるのかも分からない。けど悪くないって話だよ?」

夏「・・・」

「やってみたい料理があるなら提案すればいいじゃん。・・・純の言う通りだよ」

由記「・・・」

純「オーケー?」モグモグ

「私からも一言」

夏「だから、先輩たちがいる時に話せって!」

由記「!」

来美「!」ビクッ

純「怒るなよ、夏。・・・なに、千雨」

千雨「・・・純が班長なのは・・・。まだ分かる」

純「まだ・・・って・・・」

千雨「・・・どうして琴吹先輩なの?」
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:52:52.49 ID:fwc/JhO5o

夏「どういう意味・・・」

由記「・・・千雨っ」

千雨「・・・要所要所で伝わらない事の方が多い・・・でしょ」

夏「千雨ッ!」

純「落ち着けって、夏・・・」

夏「純、あんたこんな事言わせて平気なの!?」

純「平気なわけないじゃん・・・。『喋れないから伝わらない』、それが理由で班長の役疑われてんだから」

千雨「そこまでは・・・」

純「そういう事でしょ。野点茶店の班長は紬先輩が適任なんだよ、それは3年生が決めた事」

来美「・・・フォローできるの・・・?」

純「やる。やってみせる・・・って梓が言ってる。・・・実際に聞いたわけじゃないけど」

夏「・・・なにそれ・・・・・・」

由記「・・・」

千雨「・・・」

純「もしかして、私たちのクラスってそんな乗り気じゃなかった・・・?」

来美「ううん、みんなって訳じゃないけど、楽しみにしてる子多いよ」

夏「・・・不満を持ってる子もいると」

来美「・・・うん」

夏「なんで今頃っ」ムスッ

純「今でよかったって事・・・かな。前日にそんな言われたら嫌だなぁ」モグモグ

千雨「・・・」ジー

由記「・・・」ジー

来美「・・・」ジー

純「な、なに・・・?」

夏「・・・別に」
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:53:30.82 ID:fwc/JhO5o

―――――廊下

「今日姫子さんいなかったよ?」

美冬「バイトじゃないのかな」

「・・・」

和「私は生徒会に行って来るから。また明日ね」

澪「うん、じゃあね」

紬「・・・」フリフリ

澪「私たちも部室行って来るから」

紬「・・・」

美冬「うん、じゃあね」

「・・・バイバイ」

「また、明日」
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:54:47.24 ID:fwc/JhO5o


―――――玄関


「あ、やっと来たぁ」

「会議おつかれさま」

「・・・待っててくれてありがと」

「それじゃ行こっか」

美冬「これから遊びに行くの?」

「そう。ボウリングへ!」シュッ

「・・・ここでフォームの確認するのやめたほうがいいよ」

美冬「ふーん・・・」

「一緒に行く?」

「行こう?」

美冬「何人か誘っていい?」

「いいよ。たくさん呼んじゃって」

美冬「・・・うん」ピッピッポ

trrrrrrr

「こうでしょ」バシュッ

「それ、ゴルフ」

「ふふっ」

「久しぶりだね、ボウリング行くの」

『はーい。美冬ちゃん今終わったのー?』

美冬「うん・・・。ちか、今どこ?」

『駅前ー。エリちゃん達と駄菓子屋行った帰り』

美冬「・・・最近・・・・・・置いていかれてるような・・・気が・・・する・・・」

『そっ、そんな事ないよー!?海へ行ったのはたまたまだし・・・鍋パーティもちゃんと!』

美冬「・・・いいんだけどね・・・」

『そっ、それで、なにかなー!?』

美冬「・・・ボウリング」

『ボウリング?・・・またやるんだ!行くよ!』

美冬「あ、今回は・・・。愛さん、つかささん、俊美さん、ますみさんの4人だよ」

つかさ「前回は姫子さんもいたんだよね」

愛「楽しそうな話だったよね」

ますみ「・・・うん」

俊美「こうっ」シュッ

ますみ「それはフリスビー」

愛「ふふっ」

プツッ

美冬「ちかと、エリさん達も一緒に駅前で待ってるって」
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:56:15.01 ID:fwc/JhO5o

ますみ「オッケ。それじゃ、行こっか」

俊美「うん」

スタスタ

愛「あのね、一つ気になっているんだけど」

つかさ「どうしたの?」

美冬「?」

愛「2年生の事なんだけど・・・」

つかさ「あ・・・」

美冬「やっぱり気付いた?」

愛つかさ「「 うん・・・ 」」

俊美「?」

ますみ「どうしたの・・・?」

美冬「ちょっとした摩擦っていうのかな・・・」

愛「2年生は楽しくないのかな・・・」

つかさ「・・・」

美冬「・・・明日姫子さんに相談してみるよ」

俊美「どうして姫子さん?和さんとか律さん澪さんじゃないの?」

美冬「・・・?がりを持ってるから・・・ね」

つかさ「総合班長だよ」

ますみ「・・・それは初めて知った」

俊美「・・・うん」

美冬「・・・今日もいい点出すよっ」グッ
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:57:20.09 ID:fwc/JhO5o

―――――廊下


夏「行こうよ」

純「行きたいけど、私はジャズ研に行くから夏だけで行きなさい」

夏「そんなの次でいいでしょ、あたし1人じゃ色々気まずいからさぁ」

純「子供かあんたは・・・。今日は抜け出せないから無理だっての。次ってなんですか」

夏「小さいところも拾ってくれるのか純は」

純「・・・夏?」

夏「ん?」

純「いや・・・なんでもない・・・。というか、じゃあ!」

タッタッタ

夏「純ッ!」

純「受け入れてくれるってー安心しなさーい!」

夏「・・・考えてみたら純に頼るのもアレだな」ウンウン

848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:58:31.64 ID:fwc/JhO5o


コンコン

ガチャ

夏「失礼しまー・・・す・・・」

澪「夏・・・?」

紬「・・・?」

夏「・・・えぇと」モジモジ

澪「なにか用事?」

紬「・・・」

タッタッタ

夏「そういう訳では」

ギュ

夏「?」

紬「・・・」グイグイ

夏「・・・っ」

紬「・・・」ポンポン

夏「えーと、座っていいんですか?」

澪「うん」

夏「それでは・・・」ストッ

コポコポ

紬「・・・」スッ

夏「ありがとうございます」

澪「どうした?」

夏「・・・話がしたいなぁと思いまして・・・」

澪「・・・そうか」

紬「・・・」ニコニコ

夏「唯先輩たちは・・・?」

澪「帰ったよ。紅茶と置手紙があったから」

夏「お、置手紙?」

澪「ほら」

ペラッ

『探さないでください』

夏「ブフッ」
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 22:59:13.07 ID:fwc/JhO5o

澪「最初はリアクションを見ようと隠れているんだと思ったけど、居ないみたいだ」

紬「・・・」プッププー

夏「?」

澪「その紅茶、律が淹れたんだって」

夏「律先輩が・・・」ゴクリ

澪「味はそこそこだから大丈夫」

紬「・・・」プップププー

澪「・・・おいしいから大丈夫」

夏(言い直したって事は・・・そう言ったのかな・・・なんかいいなぁ)ズズーッ

紬「・・・」ニコニコ

澪「・・・」

夏「・・・おいしい」

澪「2年生は学園祭楽しめそうかな?」

夏「はい!楽しませてやります!」ドン

紬「・・・」キリ

澪「そうか・・・。なら安心だな」

夏(気付いていたのかな・・・)

紬「・・・」スッ

夏「いただきまーす」モグモグ

澪「・・・」

紬「・・・」

夏「おいしいですね〜。梓は毎日こんなおいしいおやつを食べているんだ、ずるい」

澪「ふふっ」

紬「・・・」ニコニコ

夏「・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」

夏「・・・?」

澪「紅茶が温かいから隠れていると思ったんだけどな」

紬「・・・」ププップップー

澪「そう、楽器と鞄もないから帰ったんだ・・・」

夏「・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」

夏(話すの待っててくれているのかな・・・)
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:00:25.13 ID:fwc/JhO5o

紬「・・・」プップップー

澪「昨日いちごが作ったヤツ?」

紬「・・・」コクリ

夏「沖縄の料理でしたよね?」

澪「うん。おいしかったよ、むぎ」

紬「・・・」コクリ

澪「これから練習で何度も作るから、その時食べればいいよ」

紬「・・・」ニコニコ

夏「沖縄・・・・・・」

澪「行った事ある?」

夏「ないです。遠方なら北海道に親戚はいますけど」

紬「・・・」コクコク

澪「北海道か・・・。駄菓子として料理できる一品とかないかな?」

夏「そうですねぇ・・・。じゃがいもを使ったお菓子とか乳製品を主とした品が多いような」

紬「・・・」ププッププップー

澪「ポテチ・・・は、うーん・・・駄菓子として認められるのかどうか判断に困るな・・・」

夏「素材を活かした料理が多いような気がします。現地で作るからおいしいっていうか」

澪「そうか・・・。それだとここで手に入る材料では難しいな」

紬「・・・」

夏「すいません・・・。独特な料理を知っていればよかったんですけど」

澪「ううん。駄菓子とは言っても、おやつ感覚だからな。料理としてみると難しくなる」

紬「・・・」コクリ

夏「・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」プップップー

澪「・・・『約束』?」

夏「!」

紬「・・・」ププップップー

澪「誰との約束?ってさ」

夏「・・・」

紬「・・・」フンスフンス!

澪「落ち着けむぎ・・・」

夏「小学校に上がる前、私たち二人・・・私と冬ねぇは北海道の親戚に預かってもらった事があるんです」

澪(冬ねぇ・・・。そう呼ぶの初めて聞いたな・・・)

紬「・・・」コクリ
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:03:13.11 ID:fwc/JhO5o

夏「うちの両親は商社関連の仕事をしていて、家を空けていることが多かったんです
  ある事が起きてからは、母さんは仕事を辞めましたけど」

紬「・・・」

澪(ある事・・・か・・・)

夏「それで長期間両親が留守になるから、と北海道へ預けられたんですね」

紬「・・・」コクリ

夏「何日か過ぎて私が駄々をこねたんです。『お母さんとお父さんに会いたい』って泣きじゃくって」

澪「・・・」

夏「そしたら冬ねぇが『夕陽を見に行こう』って、手を引っ張ってくれて」

紬「・・・」ニコニコ

夏「・・・その夕陽がとっても綺麗で・・・。寂しい気持ちなんて飛んでいったんです
  握ってくれる手の暖かさと、夕陽の暖かさが私を満たしてくれて」

澪「・・・」

夏「冬ねぇがその時言ったんです。『また、見に来ようね』って」

紬「・・・」

澪「それが『約束』・・・」

夏「はい。・・・でも、私たち間が抜けてて・・・。その『約束の場所』を覚えていないんです」

紬「・・・」

夏「冬の体力の事もあって、・・・探しに行く事すらできませんけど」

澪(戻った・・・。無意識なのか・・・)

紬「・・・」
  
夏「あの日の約束を・・・私は・・・」

紬「・・・」プップッププー

夏「?」

澪「諦めたら見つけられない。・・・ってさ」

夏「!」

澪「・・・そうだな。探さないと見つからないよな」

紬「・・・」コクリ

夏「ふふっ」

澪紬「「 ? 」」

夏「あ、ご、ごめんなさい・・・。冬ねぇと同じ事言ったんでつい・・・」

澪「そうか・・・」

紬「・・・」ニコニコ
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:04:29.60 ID:fwc/JhO5o

夏「私が食べたアイスの当たり棒を失くしてしまったんですよ。
  明日交換しに行こうと思って置いておいたそれを」

紬「・・・」ニコニコ

夏「秋の終わりごろだったんで、私は適当に探していたんですけど、冬ねぇが
  『諦めたら、見つからないよ』って・・・的外れな励ましをくれたんですよ」

澪「ふふっ」

夏「結局見つからなくて・・・。次の日・・・わざわざ買ってきてくれたんです
  『見つけられなくてごめんね』って・・・」

紬「・・・」

夏「実はその時、少し悔しかったんです」

澪「?」

夏「当たりが出たとき『冬ねぇにあげよう』って思っていたのに・・・。
  失くして、『まぁ、いっか』って思った自分に」

澪「・・・」

夏「いっつも私の先にいる冬ねぇに・・・」

紬「・・・」ププッププッー

澪「暖かな記憶・・・」

夏「・・・・・・はい」

紬「・・・」ニコニコ
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:06:01.48 ID:fwc/JhO5o

―――――玄関


夏「不思議な人ですねー。私の想い出話を楽しそうに聞いてくれて」

澪「・・・そうだな」

夏「ついつい喋ってしまうんですよねー」

澪「うん」

夏「梓が懐くわけですよ」

澪「・・・」

夏「お昼にも一緒に遊んで」

澪「なにかあった?」

夏「ないですよ」

澪「・・・そっか」

夏「・・・」

澪「やけに、むぎの事を喋るから」

夏「・・・」

澪「なんでもない。気にしないでくれ」

夏「・・・・・・少し・・・嫌な事があって」

澪「そうか・・・」

夏「・・・」

タッタッタ

紬「・・・」プップププー

澪「歩きながら吹くと危ないぞ」

紬「・・・」ププップー

夏「・・・」

紬「・・・」ガサゴソ

澪「夏・・・」

夏「はい」

澪「一緒に居ないと知らない事、見えないことが増えるんだ。
  失って気付く事もあるけど、な・・・」

夏(分かったんだ・・・)

紬「?」

澪「なんでもない。行こう」

夏「・・・」
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:06:57.47 ID:fwc/JhO5o


―――――河川敷・橋の上


澪「水切りしてるのか」

夏「・・・」

紬「・・・」

澪「・・・」

夏「梓に気付かれた・・・。どうして分かったんだろ」

紬「・・・」フリフリ

澪「私たちも降りよう」

紬「・・・」コクリ

夏「私はここで失礼します。・・・では、明日」

澪「・・・」

紬「・・・」

夏(・・・部室で先輩たちは別れの挨拶してなかったから、違和感を感じたんだ)

スタスタ
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:08:34.44 ID:fwc/JhO5o


冬「えいっ」シュッ

チョン チョン ポチャ

冬「・・・」

律「まだまだ修行が足りんようじゃのう」

風子「どうぞ」

律「うむ・・・。って、これでやんの?」

風子「はい」

律「ごつごつしてて・・・不向きかなぁって・・・」

風子「修行は伊達じゃなかったと、私どもにお見せ下さい」

律「う、うむ」

冬「・・・」

律「おりゃっ!」シュッ

ポチャン

風子「見て見て、これ綺麗な石だよ」

冬「は、はい」

律「水切れるわけないだろー!」

風子「耳に当てると潮騒が・・・」

律「聞こえるわけないだろ!」

風子「しずかに・・・」ウットリ

冬「え・・・?」

律「そ、そんなわけないだろ・・・」

風子「耳に当ててみて」

律「ま、マジかよ・・・」ゴクリ

シーン

律「・・・・・・聞こえないぞ・・・?」

風子「そこの石の裏にカニいそうだよね」

冬「ふ、風子先輩・・・」

律「悪かったからさぁ・・・冬をいじめたの謝るからさぁ・・・」シクシク

紬「・・・」シュッ

チョン チョン チョン チョン チョン チョン コロコロ

律「向こう岸まで渡りやがった・・・」

紬「・・・」フンス

風子冬「「 すごい・・・ 」」
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:10:17.52 ID:fwc/JhO5o


唯「おぉ」

憂いちご「「 すごい 」」

澪「な、なんだ今の・・・」

英子「・・・奇蹟とか」

唯「川を渡った小石さん」

憂「澪さんと紬さんはどうしてここへ・・・?」

澪「むぎと夕陽を見に・・・ね。みんなは?」

憂「のんびりしてました」

英子「部室で少しお話して、ここへ来たの」

澪「・・・そっか」

唯「帰るのもったいなくて」エヘヘ

いちご「・・・」

律「何気に風子ひでえな・・・」

澪「どうせ冬をからかっていたんだろ」

律「そうですとも。・・・って梓は?」

澪「夏を追いかけて行った」

律「・・・それ、何かの歌詞みたいだな」

いちご「・・・」

857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:12:01.90 ID:fwc/JhO5o


夏「ん?梓か・・・」

梓「・・・」

夏「どうした?」

梓「それが『夏』なの?」

夏「・・・ん?」

梓「遊園地で話を聞いてから、・・・夏がハッキリ見えてきたような気がする」

夏「言ってる事が分からないんだけど???」

梓「『夏』の中に『冬』を見ているような時があって」

夏「・・・」

梓「・・・」

夏「な、なにそれ・・・」

梓「自分でもよく分かってないから、説明・・・しづらい・・・」

夏「へ、変な事言うなよな・・・。びっくりするだろ・・・」

梓「その口調とか・・・」

夏「・・・」

梓「・・・・・・」

夏「姫子先輩から聞いたの?」

梓「?」

夏「・・・この髪の毛の話・・・とか」

梓「???」

夏「知らないのか・・・。・・・梓って変なヤツだよね」

梓「・・・初めて言われた・・・。どうして?」

夏「見抜かれた感じがしたからさ・・・。私たちの事って何も聞いてないの?」

梓「・・・うん」

夏(入院の事聞いていたとしたら、夏香先輩のお姉さんくらい・・・かな)

梓「夏と冬の事・・・でしょ?」

夏「あのさ・・・実は・・・わた・・・俺・・・」

梓「俺!?」

夏「・・・うん。俺この顔だろ?だから、よく女に間違えられてさ」

梓「!!!」

夏「実は・・・」

梓「・・・っ!」

夏「ブフッ」

梓「・・・」

夏「くだらない話は置いといて、・・・入院していた頃の話も聞いていないんだ?」

梓「・・・からかっておいて、話続けないでくれる?」

夏「顔真っ赤にしてたから、やめたんだけど?」

梓「人をおちょくっておいて偉そうにしないで」

夏「あっはっは!梓おもしろーい!」
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:13:17.28 ID:fwc/JhO5o

梓「・・・で?」

夏「起こるなよ〜」

梓「聞いてあげるから話続けていいよ」

夏「えっらそう!」

梓「夏に言われたくないけど」

夏「・・・そうだよね」

梓「また、そうやってからかう」

夏「ううん、あたし・・・。人にモノを言う資格なんてないんだ」

梓「・・・」

夏「冬がマネージャーとして入部してから、髪を切った。元は今の冬と同じ長さ」

梓「・・・」

夏「どうして切ったのか。それは、『冬』がここにいるから」

梓「?」

夏「あたし達さぁ、よく間違えられるんだよね。親父でさえ、あたしの事冬と呼ぶ時がある」

梓「・・・」

夏「呼ぶことがあった・・・。でも、こうすれば判別つくでしょ」サラサラ

梓「・・・うん」

夏「どうして切らなかったのか。それは、『冬』がそこにいなかったから」

梓「・・・」

夏「あたしが『冬』としてそこに居れば・・・。誰かの・・・っ・・・こころ・・・っに・・・いて・・・くれる・・・」

梓「・・・」

夏「『冬』を・・・っ・・・見てくれる・・・っ・・・て・・・そう・・・思った」

梓「・・・」
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:16:09.94 ID:fwc/JhO5o

夏「バカ・・・だよ・・・な・・・っ・・・。・・・こんな事してさっ・・・」

梓「うん。バカだね」

夏「っ!」

梓「それは冬の居場所じゃないよ。・・・人の居場所は他人が作れるモノじゃない・・・」

夏「でもっ・・・そうしてでも・・・誰かに・・・冬を・・・見て・・・欲しかった・・・」

梓「夏の居場所がなくなるでしょ」

夏「そんなの・・・いらない」

梓「冬はそう思ってないよ」

夏「そんな事はどうでもいいよ。あたしの・・・意思なんだから」

梓「本人の意思を無視して言い訳がない。それは自分勝手な行い」

夏「梓はさ・・・。紬先輩がいるから・・・先輩たちがいるからそう言えるんだよ」

梓「・・・」

夏「普通に過ごして来た梓と、冬とあたしの価値観は違うよ」

梓「価値観・・・」

夏「病室には気の合う人。優しい人。暖かい人。たくさんいたよ。
  けど、冬とケンカできる人なんていなかったよ・・・。価値観を押し付けられて怒る冬じゃない
  価値観を押し付けてくる人も居ない。みんないい人・・・。楽しい人・・・」

梓「・・・」

夏「それは間違いを正せる機会が少ないって事・・・」

梓「・・・」

夏「あたしは学校で同じ歳の子達とたくさんバカできた」

梓「・・・」

夏「冬は・・・違う歳の子達と接してきた。たまに妹になったり、姉になったり、孫になったりってね」

梓「・・・」

夏「それもいつまでも続かない。・・・あたしは」

梓「そんな事はどうでもいいよ」

夏「なっ!」

梓「旅の途中で大事なのは前を見ること」

夏「・・・?」

梓「過ぎ去った場所での楽しかった思い出に耽って、到着した場所で時間を潰す?
  私は嫌だ。その場所でしか楽しめないことがたくさんある。そう、むぎせんぱいは教えてくれた」

夏「・・・」

梓「それを思い出させてくれたのは冬だよ」

夏「!」

梓「今までの冬を・・・っ!」

夏「・・・」

梓(私にそれを言う資格は・・・ない・・・。・・・苦い言葉・・・・・・)

夏「・・・」

梓「何時まで、過去の冬を見てるの?」

夏「・・・っ!」

梓(・・・私が言っていい言葉では・・・ない・・・よね・・・)
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:18:20.17 ID:fwc/JhO5o

夏「あたしは・・・今の・・・冬を・・・見られない・・・」

梓「?」

夏「・・・・・・奪ってしまう・・・とこ・・・だ・・・ッ・・・た」

梓「夏っ!」

夏「今の・・・っ・・・ふゆ・・・のっ・・・いば・・・しょを・・・」

梓「いいからっ!」

夏「・・・・・・それ・・・がっ・・・とても・・・こわ・・・い・・・っ」

梓「・・・」

夏「・・・た・・・ま・・・・・・らな・・・く・・・怖いッ!」

梓「いるから」

夏「・・・っ・・・!」

梓「ちゃんといるから、大丈夫だよ」

夏「・・・っ・・・」

梓「『冬』は私たちと一緒に・・・いるから」

夏「・・・っ・・・うん」

梓「ずっと私のこころの中にいるから」

夏「ほん・・・と・・・?」

梓「うん。私は、この季節を一生忘れない」

夏「き・・・せつ・・・」

梓「夏から冬へかけて」

夏「・・・」

梓「絶対に忘れない」

夏「・・・うん」

梓「だから、絶対にいなくならない」

夏「・・・うん」グスッ

梓「・・・」

夏「・・・ありがと、梓・・・っ」グスッ

梓「・・・別に・・・気にしなくていいよ」

夏「・・・っ・・・・・・ありがとぉ」ボロボロ

梓「な、夏が泣くなっ・・・調子・・・狂うっ」グスッ

夏「ふゆと・・・あず・・・さが出会えて・・・よか・・・っ・・・たぁ」ボロボロ

梓「っ!」
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:20:49.82 ID:fwc/JhO5o


――・・・

夏「目真っ赤」

梓「そっちもね」

夏「プールから出た後みたいになってるよ」

梓「だから、そっちもね」

夏「・・・」

梓「・・・」

夏「・・・・・・」

梓「・・・・・・・・・」

夏「ここは同時に笑うとこじゃないの?」

梓「は?」

夏「ほら、漫画とかであるでしょ。笑いあって爽やかな風が吹いて」

梓「くだらない・・・。行くよ」

夏「『おまえやるな』・・・『おまえもな』・・・」

梓「・・・」

スタスタ

夏「『いや、俺の方がやるな』・・・『はぁ?』・・・二人はまた殴りあう」

梓「・・・っ」

スタスタ

夏梓「「 ブフッ 」」

梓「うわ・・・。自分で言って笑ってる・・・」

夏「想像したらさ、すっごいくだらないじゃん?・・・空気に負けたってヤツ」

梓「あっそ・・・」

夏「『俺らの事夕陽が祝福してくれてんぜ』・・・『ははっ』・・・」

梓「夏バカの対処法は確か」

夏「なにその夏バテみたいな括り・・・」

梓「バカ夏」

夏「常夏みたいに言わないでくれるかな」
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:23:08.23 ID:fwc/JhO5o


紬「・・・」

唯「『そんな事ありません!』」

律「『いや、君は最高に素敵さ』」

冬「・・・」

唯「『知らないんだから!』」

律「『そんな事言わずにこっち向いてくれよ』」

風子「どっちが梓ちゃん?」

唯「私だよ〜」

英子「律さんが、夏ちゃん・・・」

澪(勝手にアフレコするなよ・・・。恥ずかしくないのか・・・)

唯「『い、今の台詞・・・もう一度聞かせて下さい・・・』」

律「『何度でも言うさ、君の笑顔が見られるなら・・・何度でも言ってやるさ!』」

憂(二回言いました・・・)

いちご「・・・」

唯「『りっちゃん・・・』」

律「『あず』・・・え?」

梓「なにをしているんですか・・・」ジト

唯律「「 なんでもないよ 」」

夏「?」

澪「帰るか、陽も沈み始めたし」

風子「そうだね。よいしょっと」

憂「よいしょ」

冬「・・・」

憂「ほら、捕まって。冬ちゃん」

冬「う、うん・・・」

ギュ

憂「よいしょっ!」グイッ

冬「っとっと」

憂「ご、ごめんね」

冬「ううん。ビックリしたけど、大丈夫」

紬「・・・」ニコニコ

梓「お二人はどうしてここへ・・・?」

紬「・・・」スッ

梓「夕陽?」

澪「そう、夕陽を見に・・・な」

律「見ろ!あの燃え上がる炎を!」ビシッ

唯「りっちゃん・・・!私・・・なんだか燃えてきたよ!」メラッ

風子「・・・うん!」メラメラ

澪「どうしてだ・・・」
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:24:24.86 ID:fwc/JhO5o

紬「・・・」クイックィッ

梓「今からですか?」

紬「・・・!」ダッ

タッタッタ

梓「待ってください!」ダッ

律「おぉー!むぎと梓が夕陽に向かって走ったー!」

唯「さすがむぎちゃんだよ!」

風子「・・・私もっ!」ダッ

律「負けない!」ダッ

唯「熱血だよ!青春だよっ!」ダッ

夏「熱いな・・・。・・・私もっ」ダッ

タッタッタ

澪「私たちは歩いて行こうか」

英子「・・・うん」

冬「夏・・・」

憂「いちごさん?」

いちご「・・・」

憂「どうしたんですか?」

いちご「・・・ううん。・・・なんでも」

憂「どうぞ、掴まってください」

いちご「・・・うん」

ギュ

憂「よいしょ」グイッ

いちご「・・・ありがと」

憂「あ・・・」

いちご「?」

憂「いえ、私たちも行きましょう」

いちご「・・・うん」

憂(お姫様、お手をどうぞ・・・。なんちゃって)ポッ
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:26:24.57 ID:fwc/JhO5o


―――――たいやき屋台


律「・・・」カァァ

風子「・・・」カァア

夏「ぅ・・・」カァア

唯「もぐもぐ・・・おいしいね〜」

憂「うん」モグモグ

冬「おいしぃ〜」パァア

英子「今度みんなと来よう・・・」モグモグ

梓「ここのたい焼き食べに行こうって、覚えていてくれたんですね」

紬「・・・」コクリ

澪「・・・夕陽に向かって走っていった4人はどう思っているのかな」

律風子夏「「「 っ! 」」」ボフッ

唯「勘違いだったよ〜。でも、青春を感じたよねりっちゃん!」

律「い、言うな!」

風子「あぁ・・・恥ずかしい」プシュー

夏「・・・っ」カァア

梓「・・・フッ」

夏「鼻で笑った!?」

梓「夕陽に向かって・・・ぷふっ」

夏「くぅ・・・」プシュー

紬「・・・」モグモグ

冬「う、憂・・・」

憂「どうしたの?」

冬「あ、梓と夏が・・・」ヒソヒソ

憂「どうしたんだろうね」ニコニコ

冬「?」

いちご「・・・」
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:27:45.10 ID:fwc/JhO5o

律「走る意味あったのかよー」

梓「この時間限定のたい焼きなんですよ」

律「へー・・・」

梓「む・・・」

唯「こしあんとつぶあんで言い争っている人がいるよね」

憂「どうしたの、突然・・・」

唯「悲しくなるんだよ。どっちもおいしいのに」

澪「・・・優しいな」

律「適当にコメントするなよ」

澪「青春を感じた人はどうコメントするんだ?」

律「うぐっ」ボフッ

唯「こしあん、つぶあん共にいい味だよね!」メラッ

憂「自分にコメントしてるよ、お姉ちゃん」

冬「ふふっ」

いちご「・・・姫子」

冬「姫子先輩!」

タッタッタ

姫子「冬・・・どうしてここに・・・1人?」

冬「紬先輩たちと来てます!」

姫子「むぎがいるって事は・・・う・・・」

冬「う?」

姫子「しまったなぁ・・・」

律「へっへっへー」

風子「その制服はここの近くにあるコンビニだよね〜」

夏「どうしたんですか〜?」

唯「どこへ行くのかな〜?」

澪「矛先を見つけた!」

英子「・・・」モグモグ

梓「ひどいですね」モグモグ

紬「・・・」モグモグ

姫子「隣町のコンビニだから。そっちの店じゃないから」

律「あーそぉ〜なんだ〜」

風子「わざわざこの街に来ないといけない用事ってなにかな〜?」

夏「姫子先輩らしくありませんねぇ〜」

唯「どこへ行くの?」

姫子「い、今から戻る所・・・隣町へ」

律「へ〜」

風子「ふ〜ん」

夏「ほほぉ」

唯「働いている所見られたくないんだね」
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:29:54.00 ID:fwc/JhO5o

姫子「・・・」

英子「それはそうだよね」

憂「お姉ちゃんってば」

姫子「・・・」ジー

夏「?」

姫子「・・・」チラッ

澪(梓が・・・)チラッ

梓「あんことカスタードのめぐり会いが素敵なハーモニーを生み出したんですね」

紬「・・・」コクコク

いちご「・・・」

姫子「・・・ふーん」

夏「な、なんですか?・・・顔になにか着いてます?」

姫子「あんこがね」

夏「うそっ!」

姫子「嘘だよっ」ビシッ

夏「あたっ!」

タッタッタ

唯「逃げたよ」

風子「隣町って言ったのに・・・」

英子「まっすぐあのコンビニへ向かったね」

夏「いつつ・・・」

律「うっしっし」

澪「りつ・・・」ゴゴゴ

律「な、なんだよ」

澪「今行ったら、明日の朝・・・黒板に夕陽を書くからな!」

律「・・・はい。行きません」

唯「仕事の邪魔したらダメだよ」メッ

冬「そうですよ!」メッ

律「・・・なんだとぉ」スッ

冬「わわ・・・」

風子「・・・」ゴゴゴ

律「くぅ・・・」

英子「律さん、大人しくしていようね」

律「・・・はい」

夏「あっはっは!」

梓「餅が入っているたい焼きもあったりするんですよ」

紬「・・・!」

憂「・・・いちごさん?」

いちご「・・・なんでも・・・ない」パク
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:31:16.04 ID:fwc/JhO5o


――・・・


紬「・・・」クイックイッ

梓「・・・大丈夫です。歩いて帰りますから」

律唯澪「「「 えっ!? 」」」

梓「なんですか?」

律澪「「 いや・・・ 」」

唯「なんでも・・・ないよ・・・」

斉藤「では、失礼します」ペコリ

紬「・・・」

梓「?」

律「どしたー?」

澪「?」

唯「むぎちゃん?忘れ物?」

紬「・・・」ニコ

梓「!」

紬「・・・」フリフリ

梓「お休みなさいです」

夏「おやすみなさーい」

冬「おやすみなさい」

澪「明日な」

律「明日なー!」

唯「むぎちゃん!また明日!」

憂「おやすみなさい」

風子「おやすみ〜」

英子「おやすみ」

いちご「・・・」

紬「・・・」

ギュ

いちご「?」

紬「・・・」スラスラ

いちご「・・・うん。おやすみ。明日ね」

紬「・・・」コクリ

バタン

ブォォオオオ

いちご「・・・」

憂「・・・」
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:32:53.24 ID:fwc/JhO5o

律「帰るか〜!」

唯「お二人はお姉さんが送っていくからね!」ドン

冬「そ、そうですか・・・。はい」

澪「風子たちも気をつけてな」

風子「うん」

夏「明日な、梓」

梓「あ、待って!」

夏「?」

冬「どう・・・したの・・・?」

梓「そっちは西じゃない・・・ぷふっ!」

風子「梓ちゃん・・・プフッ」

律「夏・・・そっちだ」

夏「はい・・・」ジリジリ

梓「また明日ですっ!」ダッ

タッタッタ

律夏「「 逃げられたか・・・ 」」

冬「・・・」

いちご「・・・」

唯「西?」

憂「太陽が沈む方角・・・」

夏「明日どうやって仕返ししましょうか」

律「そーだな・・・。昼休み違う場所で食べるか」ウシシ

夏「梓だけ待ちぼうけですね」ウッシッシ

澪「・・・まったく」

英子「また、明日」フリフリ
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:35:24.25 ID:fwc/JhO5o


――・・・


いちご「・・・」

梓「あの・・・」

いちご「・・・?」

梓「ど、どうしたんでしょうか・・・?」

いちご「・・・なんでもないよ」

梓「・・・」

風子(キミの事で悩ませているんだよ、梓ちゃん)

英子「・・・」

春子「あ・・・」

純「お・・・」

信代「ん?」

潮「ここで会ったが100分目!」

シーン

梓「・・・」

純(そんな顔すんなよ・・・。私でも傷つくっての・・・)

信代「自動修復できるから放っておいていいよ」

春子「今日はどこへ?」

英子「たい焼き食べてきたよ」

潮「ふふ、拙者の見間違いでござったでござるよ」

信代「動揺してるな・・・。傷は大きかった」

風子「ごめんね、仇討ちかと思っちゃった」テヘ

潮「間違ってないよ!」

純「どこ行ったのさ」

梓「河川敷へ」

純「ふーん・・・。夏も?」

梓「うん。どうして分かったの?」

純「夏が部室へ行きたがってたからさー。部室へ行って、その流れで行きそうだなーって」

梓「ふーん・・・」

いちご「・・・」

春子「どうした?」

いちご「・・・そんなに暗い顔してる?」

春子「?」

いちご「・・・みんな気にかけてくれる・・・。それがちょっと・・・」

春子「嫌?」

いちご「・・・ちょっと」

春子「おっけ」

風子「・・・」
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:38:08.23 ID:fwc/JhO5o

梓「どうしてこんな時間に?」

信代「調理室借りて、ベッコウ飴を作ってきたよ。食べてみる?」

梓「いただきます」

潮「どうぞ、英子も食べて」

英子「あ、ありがとう」

梓「・・・」コロコロ

英子「懐かしい味・・・」コロコロ

梓「苦・・・」

純「焦がしたんだって」

信代「明日はもうちょっと上手く作ってみせる」

潮「焦がしたの私だけどね」

梓「・・・でも、おいしいですね」

英子「うん」

信代「よかった」

潮「やった!」

純「・・・嬉しいんですね」

871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:39:04.43 ID:fwc/JhO5o

春子「メール来た?」

いちご「・・・うん」

春子「珍しい面子でボウリングだって」

いちご「・・・うん」

春子「楽しかったみたいだよ」

いちご「・・・そう」

春子「・・・・・・珍しい」

いちご「・・・なに?」

春子「・・・別に」

いちご「・・・」

風子「いちごちゃん・・・。私が話をしなかったのは順序を変えたからだよ」

いちご「・・・」

風子「あの人には悪いけど、そうした方が―」

いちご「分かってる。あの二人を見たら・・・それが一番だって分かる」

風子「・・・うん」

春子(あの二人・・・。梓と・・・純ではないか・・・あの双子かな・・・)

いちご「・・・結果論じゃないってのも分かってる。姫の言いたい事も分かった」

春子(梓とどっちか、か・・・)

風子「・・・うん」

いちご「・・・何に対して考えているのかも分からなくなってきた」

風子「・・・・・・うん」

いちご「もう・・・」

春子「重要なのはそこで捨てない事・・・じゃない?」

いちご「!」

春子「捨てるのはいつでもできる。それはまだ早い選択だよな〜」

いちご「・・・」

風子「・・・知ってるの?」

春子「いや、全然」

風子「・・・そう」

信代(どんどん広がっていく・・・何かが・・・。だけど、嬉しいことなんだと思う)


潮「そうだ、駄菓子屋の提案なんだけどさ、千歳あめはどうよ?」

梓「どうよ、って・・・七五三じゃないんですよ?」

潮「じゃあ、ほら・・・あれ、マトシュールカ」

純英子信代「「「 ??? 」」」

梓「もしかして、マトリョーシカと言いたくて、金太郎飴と間違えたんじゃ」

潮「本気で間違えたのに・・・。なんで分かったの?」

信代「マジかよ・・・」

英子「分からなかった・・・」

純「この才能・・・なんだろう・・・」
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:41:54.81 ID:fwc/JhO5o

―――――夜・澪の部屋


ジャカジャカ

澪「律はこんなのがいいのか・・・。姫子と純も気に入ったバンド・・・」

things we've gone through the years

澪「ここ何年かのうちに起こった出来事は」

took us place we can't go back

澪「僕たちから あの頃いた場所を奪い去ってしまった」

can't you see? time to say goodbye

澪「分からないかい、お別れの時間さ・・・」

every time time time・・・

澪「・・・一週間か」

pipipipipi

プツッ

澪「はい。どうした?」

『明後日休みじゃん?』

澪「あぁ、秋分の日な」

『明日お泊りしようぜ!パジャマパーティー』

澪「ははっ・・・」

『乾燥した笑い声だな・・・』

澪「律の口からそんな・・・もう一度言って?」

『パジャ・・・パジャマパ・・・』

澪「どこの古代都市だよ」

『言わせるなよ』

澪「どこで?」

『そっちで!」

澪「・・・悪い。急な話だから難しいな。期待を持たせる事はできない」

『そっかー。ま、気にすんな』

澪「・・・」

『・・・』

澪「一週間切ったな」

『あぁ・・・』

「『時間が惜しい』」

『ハモったな』

律「夏と冬に負けてないぞ」

『はいはい。律のとこは?』

律「んー・・・。弟がいるから邪魔・・・ごほん。迷惑かけそうでさぁー」

『そっか・・・』

律「ぺ、ペンションでも借りて・・・」

『そんなお金ないだろ・・・。予約も必要だぞ』
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:44:04.47 ID:fwc/JhO5o

律「だよなー・・・」

『・・・』

律「梓と夏って何があったんだ?」

『さぁ・・・』

律「なにか知ってる声だぞ今の」

『全てに決着がついてからだな』

律「ふーん・・・。でも、遠い話じゃなさそうだな」

『うん』

律「明後日コンサートに行くってマジか?」

『うん。嫌なら』

律「いやいや、全ての道はローマがどうのこうの」

『ローマに通ず。目的は?』

律「学園祭の大成功だ」

『なるほど・・・』

律「いい案はないのかねぇー」

『みんなにメールうってみたら?いい案もらえるかも』

律「なるほど、そいつぁ名案でぃ」

『じゃあ、明日な。おやすみ』

プツッ

律「・・・」パタン

ピッ

ジャッ ジャッ ジャッ

律「リアクションくれてもいいだろー」ブー

things we've gone through the years

律「・・・」

took us place we can't go back

律「ふむ・・・」

can't you see? time to say goodbye

律「・・・」

every time time time time I think about you

律「僕が君の事を思い出すとき」

everything about you in my mind

律「記憶の中の君の全てが」

makes me want to forget

律「忘れてしまいたくさせる」

everything about you and everything about me ALL THOSE TIMES

律「あの時の君のこと全てを あの時の僕のこと全てを・・・」

『1人でかっこつけないでください』

律「梓のやつぅ・・・」バタバタ
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:45:06.37 ID:fwc/JhO5o


9月22日

澪「行ってきまーす」

ガチャ

律「はよーん」

バタン

澪「おはよう」

チュンチュン

律「行こうぜー」

澪「うん」

律「さすがにこの時間は人が少ないな」

澪「そうだな。いつもより」

プップププー

律「おはよーむぎ」

澪「おはよう、むぎ」

紬「・・・」ニコニコ

律「そんじゃ、散歩登校スタート!だっ!!」ブンッ

澪「おー」ブン

紬「・・・!」ブンッ

875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:45:41.14 ID:fwc/JhO5o

紬「・・・」プップププー

律「いいって、私らも少し違った日常ってやつを過ごしてみたかったからさ」

澪「うん」

紬「・・・」コクリ

律「しかし、どうして?」

紬「・・・」プッププップー

律「ふーん・・・。大して面白みのある通学路じゃないけどな」

澪「・・・面白みのある通学路ってどんなのだ」

律「山を越えないと・・・行けないとか・・・」

澪「まだ頭の回転通常じゃないみたいだな」

律「私の朝は音楽から始まるんだよっ」

澪「始まってなかったのか」

律「いや、ちゃんと聞いたけどさ・・・」

澪「いつもは寝てる時間だったな」

律「この時間はとっくに起きてるっての」

澪「そうか、悪かった」

律「・・・謝られるのも違う気がするけど。今日の運勢を見て右往左往してるくせに」

澪「だ、誰がだ」

律「あぁ、今日の運勢最悪ですワ!お母様お清めの塩を!」

澪「だ れ の 真 似 だ 」
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:00:43.36 ID:RlfG0Eijo
最初から見てるぞ!
これ完結したら

けいおん×みちのく秘湯
けいおん×北へ
風雨来記×お嬢様特急
で書いてほしい
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:16:12.56 ID:LfYoVJIxo

冬「あれ・・・?」

紬「・・・」ニコ

冬「おは・・・ようございます?」

紬「・・・」ペコリ

冬「何を見ていたんですか?」

紬「・・・」ニコ

冬「飛行機か鳥でも飛んでいたとか・・・」

紬「・・・」

冬「・・・空ってどこにあるんでしょうね」

紬「・・・?」

冬「ここから見上げるとそこにあって、宇宙船からみたら海と陸しかなくて」

紬「・・・」

冬「飛行機に乗った事ないから、空の中にいる実感が解らないんでしょうね」

澪「北海道へはどうやって?」

冬「え・・・?」

律「行ったことあんのか?」

紬「・・・」

冬「は、はい・・・。どうして・・・」

澪「・・・夏から・・・聞いた」

紬「・・・」コクリ

冬「そう・・・です・・・か・・・」

律「あれー・・・。聞いちゃいけなかったのかなー?」

冬「・・・いえ」

紬「・・・」チョンチョン

澪「・・・?」

紬「・・・」コクリ

澪「・・・うん。・・・冬」

冬「はい・・・?」

澪「小さい頃の話も、夏から聞いたよ。『約束』の事も」

冬「!」

律「・・・」
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:18:27.12 ID:LfYoVJIxo

紬「・・・」

ギュ

冬「?」

紬「・・・」スラスラ

冬「アイス・・・?」

澪「アイスの当たり棒の話もな」

冬「?」

紬「?」

律「首傾げあってどうすんだよ」

澪「覚えてない・・・とか?」

冬「・・・・・・えぇー・・・っと」ソワソワ

律「大事なことじゃないのかー!」

冬「わわ・・・」

澪「りつ・・・」

律「なんだ!」

澪「私の当たり棒失くした事あったよな」

紬「・・・」フンフン

冬「ぁ・・・」

律「何時の話だ!」

澪「小学5年生の頃だ」

律「そんな昔の話、とうに忘れた!」フンッ

澪「後で交換しようと置いておいたのに。ゴミだと思ったから放り投げたって、草むらにさ」

律「そんな小さい事をつつくなんて、澪さんらしくありませんなぁ」

澪「それを言ったら探してくれたよな」

紬「・・・」ツンツン

冬「は、はい・・・思い出しました」

律「なんだ、いい子じゃないか。昔の私」

澪「カマキリ捕まえて、私に持ってきて。驚かせて遊んで・・・」

律「お転婆だなぁ」ホノボノ

澪「当たり棒の事なんてすっかり忘れてさ」

律「あ、あぁー。あったあった!」

澪「冬・・・。何時頃の話?」

冬「えーと・・・。夏と一緒に初めて料理した次の日ですから・・・2年生の時です」

紬「・・・」キラキラ

澪「すごいな・・・」
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:19:46.94 ID:LfYoVJIxo

律「いい思い出だな!」

澪「当たり棒をさ、夏と一緒に探したけど見つからなかったんだって」

律「よくある話なんだなー」ウシシ

澪「冬はわざわざ買ってきてくれたらしい。小学2年生の子が!!」

律「うっ・・・」

澪「私の当たり棒放り投げて、昆虫みつけて、私を驚かせて忘れた誰かさんとはえらい違いだな」

律「過去は美しくなるものさ」

澪「私の今の話が美しくみえたのか?」

律「・・・・・・いいえ」

澪「・・・」ジー

律「・・・」シラー

冬「・・・そんな事・・・覚えていたんだ・・・」

紬「・・・」

ギュ

冬「?」

紬「・・・」スラスラ

冬「・・・はい。そうですね」

律「あ、エリだ。おっはよーん!」

タッタッタ

澪「・・・しょうがないな、律は」

冬「・・・」

紬「・・・」

澪「・・・!」

冬「・・・」

紬「・・・」

澪(むぎ・・・。冬になにか伝えたい事があるんだな・・・)

紬「・・・」

ギュ

冬「?」

紬「・・・」スラスラ

冬「お昼ですか?」

紬「・・・」コクリ

冬「は、はい・・・」

澪「・・・」

エリ「みんなおはよー」

澪「おはよう」

紬「・・・」ニコニコ

冬「お、おはようございます」
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:21:10.27 ID:LfYoVJIxo

律「エリたち昨日ボウリング行ったんだってさ」

澪「うん。そうらしいな」

律「なんで知ってんだ?」

澪「メール貰ったからだけど・・・?」

律「え?」

澪「ん?」

紬「?」

エリ「・・・あ」

律「あ・・・。って何?」

エリ「あはは、りっちゃんに送るの忘れてた」アハハ

冬「・・・それは・・・それは」

律「大層な事ですな!!」

エリ「澪ちゃんと一緒にいると思ったんだよ☆」

律「こら・・・今誤魔化し入れただろ・・・」

澪「いつもこの時間なんだ?」

エリ「ううん。もうちょっと遅いくらいだよ。調理室で下準備しようと思ってね」

紬「・・・?」

エリ「カステラとプリンをね」キラン

冬「プリンおいしいですよね」

エリ「おいしいよね〜。昨日小田おばあちゃんの所行ってきて作り方習ってきた」ブイッ

紬「・・・」ブイッ

律「屋台メンバーも集ってんの?」

エリ「うん。・・・あ」

律「私、知らない」

エリ「・・・ごめんなさい」

律「許さない」

冬「り、律先輩!アレをみてください!」

律「んだよ」

冬「コサメビタキです!」

澪「あの鳥・・・?」

エリ「?」

冬「体の上面が灰褐色で下面が白の配色で、他の鳥の鳴き声をまねするんです!」

紬「・・・」コクコク

律「・・・それで?」

冬「あの鳥は平地から標高1000mまでの場所で生息しているんです。
  夏鳥として繁殖の為に日本に飛来したんですよ」

律「・・・うん」

冬「越冬する為にインドネシア、フィリピンまで飛ばなくてはいけませんから
  もうそろそろ旅立っていくのではないでしょうか」

律「・・・」
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:22:01.54 ID:LfYoVJIxo

冬「サメビタキという鳥より小さい事からコサメビタキと呼ばれているそうです。捕食の」

澪「・・・冬」

冬「は、はい」

エリ「飛んでいったよコサメビタキ・・・」

紬「・・・」コクリ

冬「あ、本当ですね」

律「・・・」

澪「学校へ向かうか」

紬「・・・」コクリ

冬「はい」

澪「冬はどうしてこの時間に登校しているの?」

冬「私のクラスの出し物の準備がありまして・・・」

紬「・・・」

エリ「ごめんね」

律「いいけどさ、・・・どうしてコサメビタキの話が?」

エリ「フォローしてくれたんだね」
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:23:59.26 ID:LfYoVJIxo


―――――調理室


律「教室に行かないのかよ?」

冬「す、少しだけ覗いていこうかな・・・と思いまして」

律「・・・」

冬「だ、駄目でしょうか・・・」

律「駄目だ!」

澪「なんでだっ」

風子「律さん呼んでないよ・・・」

律「な、なんで野点班の風子がいるんだよっ!」

風子「お茶もあった方がいいでしょ・・・」

律「朝に纏っていいオーラじゃないぞ風子・・・。呼んでないってなんだよ・・・!」

風子「メール届いてないでしょ・・・」

律「なんで知ってんだよ・・・!」

風子「・・・ふふっ」

律「ちょっとまて」

紬「・・・」グイグイ

冬「あ・・・っ・・・と・・・」

澪「律はすぐ冬をいじめようとするからな・・・風子に任せよう。って、結構集っているんだな」

姫子「あれ、冬も来ていたんだ」

冬「姫子先輩。屋台班だったんですね」

姫子「そうだよ。むぎと澪も今日ははやいね」

紬「・・・」コクリ

澪「昨日の昼に約束して、散歩していたんだ」

姫子「そっか・・・」

未知子「おはよう冬ちゃん」

信代「おはよー、冬」

潮「おっはよ、冬」

冬「お、おはようございます」ペコリ

圭子「あ、昨日バトミントンの相手の子のお姉さんかぁ・・・。似てる似てる」

つかさ「この子が・・・」

俊美「噂の・・・」

いちご「・・・おはよ」

冬「お、おはようございますっ」ペコリ

潮「律儀だのぉ」ホノボノ
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:26:26.79 ID:LfYoVJIxo

エリ「時間無いからさっさとやろー」

律「私呼ばれてないから座ってていいよなー」ニヤニヤ

澪「あのな・・・」

風子「いいよいいよ、座っててー」

律「手伝わせてくださいっ!」

紬「・・・」フンス!

澪「むぎも手伝うのか・・・。そうだな、せっかく早く登校したんだからな」

冬「よ、よぉし私も手伝います!」

姫子「自分の教室戻らなくていいの?」

冬「あぅ」

姫子「ほら、行った行った」

冬「・・・」チラッ

姫子「憂を探しているんだろうけど、まだ来ないよ」

冬「ぅ・・・」

姫子「・・・」ジー

冬「そ、それでは・・・。お昼に!」

テッテッテ

紬「・・・」フリフリ

姫子「・・・」フゥ

風子「厄介払いみたいにしなくても・・・」

姫子「冬にはやるべきことがあるでしょ、優先順位間違えてるよ」

いちご「・・・そう言えばいい」

姫子「それもそうだね・・・」

いちご「・・・」

信代(・・・昨日の帰りの話を聞かなかったら普通の会話なんだけどなぁ)
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:27:56.27 ID:LfYoVJIxo

エリ「はい、りっちゃん」

律「卵を割ればいいのか?お安い御用」

カッ

パカッ

俊美「意外・・・」

つかさ「・・・片手で割れるんだね、シェフみたい」

律「これくらい♪」

カッ パカッ カッ パカッ カッ パカッ カッ パカッ

信代「おぉー」

律「へへー♪」

カッ パカッ カッ パカッ カッ パカッ カッ パカッ

いちご「・・・」

澪「誰か止めたほうがいいよ」

紬「・・・」ガシッ

律「はっ」

風子「・・・試作品なのに」

未知子「ほとんど割っちゃった・・・」

姫子「お昼に私が買ってくるから、作れる分作ってみようよ」

エリ「そうだね。それじゃ取り分けて」ヒョイヒョイ

俊美「お湯できてるよ」

エリ「うん。砂糖を入れて湯煎をしながら高速回転」

ウィーン 

澪「手際いいね」

エリ「お家でもやってみたんだよ。疲れた腕でね!」

信代「ボウリングか・・・」

紬「・・・」

憂「おはようございます」

純「おはようございまーす!」

紬「・・・」フリフリ
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:29:49.38 ID:LfYoVJIxo


―――――3年生のクラス


唯「いい匂いがするよ」クンクン

律「カステイラ作ってたんだよ」

和「上手に出来た?」

姫子「まだ味見はしてないから、どうかな」

唯「・・・」クンクン

紬「・・・」ニコニコ

澪「あのさ、姫子・・・」

姫子「ん?」

澪「夏と冬は・・・家で話をしないのかな・・・」

姫子「・・・してないと、思う」

紬「・・・」

澪「姫子が屋台班だとさっき知ったようだったからさ・・・」

姫子「・・・そうだね」

風子「・・・」

いちご「・・・」

和(・・・いちごが何を言いたいのか分かる気がするわ)

律「は な れ ろ」グググ

唯「りっちゃんいい匂い」クンクン

姫子「あはは」

和「姫子・・・。今日はお昼、中庭に行かないの?」

いちご「!」

姫子「うん。行かないよ・・・買い出しに行かなきゃね」

澪「・・・」

姫子「変な事聞くね」

いちご「・・・そうだね。変な事だね」

紬「・・・」

律「ん?」

唯「・・・?」

エリ「どうしたの」ヒソヒソ

風子「ちょっとね」ヒソヒソ

アカネ「・・・」

いちご「・・・回りくどいよ」

姫子「不器用なんだよ。そこは察してくれると・・・、助かるな」

和「どうして、一緒にお昼を過ごさないのよ」

姫子「・・・」
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:33:18.08 ID:LfYoVJIxo

和「理由ってなにかしら」

姫子「・・・私がいなくても楽しそうだよ?」

いちご「そういうことじゃないよ」

紬「・・・」スッ

トントントントトントン

姫子「・・・」

澪「いや、買出しはむぎが行くべきじゃないよ。な、律!」

律「・・・へい」

唯「どういう事?」

風子「褒められて調子に乗った律さんがほとんどの卵を割ったので放課後の分がないの」

律「恐縮です・・・」

澪「だからむぎは冬と中庭に行ってくれ」

紬「・・・」コクリ

律「えー・・・、1人で?」チラッ

澪「・・・はぁ、分かったよ」

律「うむ。よきにはからえ」

澪「うわ・・・」

唯「くるよっ!」

ガチャ

さわ子「はーい、みんな席に着いて〜」

いちご「・・・」

スタスタ

和「・・・本当に不器用ね、姫子」

姫子「・・・」

唯「だからこそ通じる事もあるんだよ」

和「・・・」

姫子「そうだといいけど」
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:33:59.40 ID:LfYoVJIxo


―――――昼・中庭


冬「あれ・・・、れ?」キョロキョロ

風子「どうしたの?ここは学校の中庭だよ?」

梓「意味が分かりませんよ」

風子「ここはどこ、私は誰・・・?・・・状態なのかと」

梓「意味が分かりませんよ」

風子「そうだよね、私のボケはツッコミ入れづらいよね」

梓「ぅ・・・」

風子「律さんみたいにバリエーションないし、純ちゃんみたいに絡みやすいわけでもないよね」

梓「うぅ・・・」

英子「こら、ふぅ」

風子「・・・」

冬「み、みなさんは!?」

英子「あとで来るよ」

冬「紬先輩と約束を・・・」アセアセ

夏香「後で来るって・・・。そんな心配しないでよ」

冬「そ、そうですね」

梓「どこへ・・・?」

風子「朝に作ったカステラを取りにね。澪ちゃんと律さんは買出しへ行ったよ」

梓「・・・むぎせんぱいもですか?」

風子「・・・うん。朝調理室で一緒に作ったの」

梓「そっ、そんな話聞いてないですっ」

風子「一緒に作って楽しかったなぁ」

英子「こーら!」

夏香「意地悪になるのも変わってないなぁ」

梓「・・・いいです。一緒に作るチャンスはまだあります!」フンシュ!

風子「私たち野点茶店班だよ?」

梓「そうでした・・・」

夏香「出鼻くじかなくてもいいでしょ」

英子「冬ちゃんところはなにを出すの?」

冬「お化け屋敷です」

夏香「!」ビクッ

冬「あ、大丈夫ですよ。本物なんていませんから」

夏香「あ、当たり前でしょ!」

梓「本物ね・・・」
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:35:36.23 ID:LfYoVJIxo

冬「私は見えない体質なんだけど、夏が見えるみたいで・・・」

夏香「あー、早くこないかな!」

英子「来たよ」

夏香「ッ!」ビクッ

紬「?」

風子「なにが来たと思ったの?昼間だよ?」

英子「その言い方だと知ってるよね」

唯「りっちゃんと澪ちゃんが来るまでバトミントンしていようよ!」

紬「・・・」コクコク

梓「っ!」ササッ

風子「それじゃペアを決めるじゃんけんしよっか」

冬「梓は紬先輩と組みたいのでは・・・」

風子「いいのいいの」

梓「よくないですよ!」

唯「はい、じゃーんけん」
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:37:04.81 ID:LfYoVJIxo

――・・・

風子「むぎさんと一緒のチームじゃなくなったね、梓ちゃん」

梓「棄権します」

夏香「梓ちゃんが抜けたから6人・・・2で割れるね」

梓「あっ!」

風子「ラケット4つしかないよ?」

唯「じゃーん、6つ借りてきました!」

梓「ななっ!」

紬「・・・」シュッ

冬「それっ」シュッ

風子「勝ってカステラ食べようね!」

冬「はいっ」

紬「・・・」フンス!

英子「食べてみたいなぁ」

夏香「うん」

唯「負けないからね!」

梓「それでは・・・サーブを・・・どうぞ・・・」
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:39:25.80 ID:LfYoVJIxo

――・・・


梓「それっ」ポン

シュー

紬「・・・」ポン

シュー

梓「えいっ」ポン

シュー

紬「・・・」ポン


律「なにやってんだ・・・あの二人」

風子「梓ちゃんがどうしてもむぎさんとラリーをしたいっていうから・・・」

英子「そういう風ではあったけど」

夏香「早かったね」

澪「さわ子先生が車出してくれたから短時間で済ませたよ」

さわ子「生徒だけで外に出せないからね」

唯「お腹すいたよ〜」

冬「はい・・・」

律「おっ、朝に焼いたカステイラじゃん!」

さわ子「もぐもぐ」

律「先に食べんなよ!」



・・・・・・



いちご「・・・」

未知子「なにを見てるの?」

いちご「・・・別に」

未知子「さわ子先生も中庭でお昼なんだ・・・」

いちご「・・・買い出しに行ってくれた」

未知子「そうなんだ・・・。だから遅いお昼なんだね」

いちご「・・・」

未知子「純ちゃんと憂ちゃんがカステラ持って来てたよ、食べないの?」

いちご「・・・いい」

未知子「・・・姫子さんたちが全部食べちゃうよ?」

いちご「・・・いいよ、別に」

未知子「・・・」

いちご「私に構わなくてもいいよ」

未知子「・・・構っている訳じゃ」

いちご「1人で考えたい事があるから」

未知子「・・・うん」

891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:40:33.49 ID:LfYoVJIxo


・・・・・・



和「・・・」

姫子「いい出来だね」モグモグ

エリ「うん。あと何度か練習すれば文句なしだよね」モグモグ

潮「おいしいおいしい」モグモグ

信代「食べてみて、結構上手に出来たよ」

春子「う、うん・・・」

「私もおひとつ」

潮「どーぞ」

「もぐもぐ」

姫子「どう?」

「うん、おいしい」

信代「うん、嬉しい」

和「・・・どうだった?」

未知子「?」

春子「いちごの様子は」

姫子「・・・」モグモグ

未知子「うーん・・・孤高の花って感じかな」

和「そう・・・」

エリ「・・・」

潮「え、意味が・・・」

「?」

春子「あー、文恵、潮・・・ちょっと打ち合わせがあるから席移動しよっか」

文恵「いいけど、潮ちゃん屋台班だよ?」

エリ「いいからいいから〜」

潮「お茶に詳しい慶子呼ばないと」

信代「勝手な設定つけないでね」

スタスタ

姫子「・・・気を利かしてくれたのかな?」

和「えぇ・・・。二人の雰囲気をみんな知っているからね」

姫子「・・・」

未知子「え・・・と・・・私も席外そうかな・・・?」

和「姫子と二人になるから、三者として聞いててくれないかしら」

未知子「・・・なにが始まるの・・・?」

姫子「話だよ」

和「人の目を引きつける絶壁に咲いた花ってどう思う?」

未知子「?」
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:43:29.80 ID:LfYoVJIxo

姫子「遠い場所にあるから綺麗に見える・・・とか?」

和「そうね。でも、その花がもっと近くで見て欲しいと思っていたら、どうするかしら?」

未知子「・・・」

姫子「人が近づくしかないよね・・・。花は動けないから」

和「えぇ。私たちもそういう人に出会ったのよ。・・・呼んでくるわ」

スタスタ

姫子「・・・・・・やられた」

未知子「?」

姫子「花はいちごで、私が人になれって事でしょ・・・。3人で話をしろと・・・」

未知子「和さんと姫子さん、私の3人じゃなくて?」

姫子「・・・悪いね未知子」

未知子「・・・どうして私なの?」

姫子「私と姫子の事情を知らないよね?」

未知子「・・・うん」

姫子「・・・だから」

未知子「・・・」

姫子(あの雰囲気のいちごに声かけたのも未知子だったから・・・)

未知子「そういう人に出会ったってどういう事?」

姫子「むぎと旅先での話・・・」

未知子「先月けいおん部で旅行に行ったっていう・・・」

姫子「・・・」

いちご「話って・・・?」

未知子(和さん策士だぁ・・・)

姫子「アカネの席だけど座ってよ」

いちご「・・・」スト

未知子(すでに・・・なんともいえない空気が・・・)

姫子「今日は冬だったでしょ?」

いちご「・・・うん」

未知子「・・・」

姫子「どうして一緒に食べないのかはさ、夏が冬を避けているから。冬が夏に遠慮しているから」

いちご「・・・」

姫子「双子なのに、姉妹なのに、家族なのにねぇ」

いちご「・・・間に入ればいい」

姫子「入ろうと思ったけどね」

いちご「諦めたんだ」

姫子「・・・」

未知子「そんな言い方・・・」

いちご「・・・その距離はなに?」

姫子「・・・」
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:46:57.90 ID:LfYoVJIxo

いちご「近づいたかと思ったら離れて、よくわからない」

姫子「私では・・・」

いちご「・・・」

姫子「・・・」フゥ

未知子「・・・」

姫子「私は、二人を特別視しないって決めたから」

いちご「・・・」

姫子「二人にどんな過去があっても、どんな事が起きても私にとっては後輩で友達だから」

いちご「・・・」

姫子「だから」

いちご「時間は限られてるよ。少なくとも学園祭まで」

姫子「・・・」

いちご「それが過ぎれば自然と今ある問題は薄れていくと思う。けど、元には戻らない」

未知子「・・・」

姫子「まるで経験したかのようだね」

未知子(姫子さん・・・!)

いちご「・・・うん。挨拶もできないで離れて行った友達がいたから」

姫子「ケンカ別れ?」

いちご「・・・うん。今思えばどうでもいい事だった。けど、当時の自分はそれが許せなかった」

未知子「・・・」

姫子「・・・」

いちご「『さようなら』も言えない別れってなにも残らないよね」

姫子「うん・・・」

未知子「・・・」

いちご「あの二人はそのうちそうなる。私はそれがいや」

姫子「・・・」

いちご「どうにかできる立場にいるのに、傍観している姫はもっといや」

姫子「・・・」

いちご「むぎ達に押し付けているだけ。それがすごくいや」

姫子「・・・」

いちご「・・・」

姫子「・・・」

いちご「・・・・・・なにかいう事無いの?」

姫子「・・・・・・・・・うん」

いちご「・・・そう、・・・じゃ」ガタ

スタスタ
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:47:38.34 ID:LfYoVJIxo

未知子「・・・あんないちごさん・・・初めて見た」

姫子「・・・私も」

未知子「・・・うまくいかないよね」

姫子「・・・・・・そうだね・・・。私ムキになってた?」

未知子「ううん、全然。・・・どっちかっていうと、冷めてた」

姫子「はは」

未知子「冷めようと必死にしてた・・・」

姫子「・・・」

和「相談に乗るわよ」

姫子「このタイミングで・・・ずるいよ?」

和「そうかしら」

未知子「・・・」

姫子「和・・・やっぱりすごいよ、あの人は」

和「どっち?」

姫子「玉恵さんね・・・」

未知子「?」

和「どうして?」

姫子「いちごにも何かを残していってるから・・・」

未知子「・・・だれ?」

和「女性ライダーよ」

姫子「・・・時間がない・・・かぁ・・・」
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:49:12.40 ID:LfYoVJIxo


―――――放課後


ジャジャッジャジャッジャーン

紬「・・・」キリ

梓「・・・ふぅ」

澪「・・・今日はこんなものかな」

唯「そだね」

律「うし・・・。そんじゃ制作に行こーぜ!」

シーン

律「なんだよ」

澪「この中で屋台班は律だけ・・・なんだ」

紬「・・・」コクリ

梓「そうです」

唯「バイバイ、りっちゃん!」

コンコン

律「差し入れ持っていってやんねーからな」

澪「どうして卑屈になっているんだ・・・」ガサゴソ

梓「きっと寂しいんですよ」ガサゴソ

唯「そうだよね、寂しいよね」ガサゴソ

紬「・・・」

コンコン

律「おいしいやつ作って食べてやる!」

澪「・・・うん」

梓「行きましょうか、むぎせんぱい」

唯「さぁ、頑張るぞー!」

紬「・・・」

コンコン

律「もういいよ!バカー!」

タッタッタ

澪「拗ねた・・・」

ガチャッ

律冬「「 あ・・・ 」」

紬「?」

律「・・・」ニヤリ

冬「う・・・」

律「いい所に来たな、冬ちゃん」ワキワキ

唯「冬ちゃん?」
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:50:28.10 ID:LfYoVJIxo

冬「な、なんで・・・す・・・?」

律「ふふ、私のストレ・・・!」ギクッ

風子「何してるの、律さんは調理室でしょ?1人で・・・」

律「な、なんだよ1人でって!」

風子「さ、どうぞ行ってらっしゃいませ。1人で・・・」

律「強調すんな!」

紬「・・・」ツンツン

冬「あ・・・、私は・・・えぇと・・・なんでしたっけ?」

澪「いや、聞かれても困るな・・・」

風子「行かないの?一人で・・・」

律「行くよ!一人でなっ!」

タッタッタ

梓「やぶれかぶれって言うんですかね」

唯「息巻いて行ったね」

風子「行ってしまったね・・・。屋台班は調理室集合じゃないのに」

冬「・・・それはひどいですよ。風子先輩」

風子「いい子だねー」ホノボノ

澪「二人はどうしたんだ?」

紬「・・・」コクリ

風子「野点班調理室に集合だよ」

唯「おぉ、空きが出たんだね!」

風子「うん」ニコニコ

澪「りつ・・・」

梓「それで、冬は・・・?」

冬「先日行った遊園地でのお化け屋敷の体験を取材しに来ました」

澪「ッ!」

タッタッタ

冬「見えなければどうって事ないですよね」

風子「ねー♪」

紬「・・・♪」

梓(ツッコミ役がいないから・・・まとまりがないですよ・・・律先輩・・・)
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:53:46.69 ID:LfYoVJIxo


―――――2年生のクラス


純「律先輩到着しましたー!」

律「遅れてきたんだから大々的に言うなよっ!」

潮「おっそーい!」

信代「まぁまぁ、演奏の練習していたんだから大目に見てあげようよ」

律「それだけじゃないんだぜ?風子が罠をしかけてさぁ、一度調理室へ行ったんだよ」

英子「罠・・・」

ちか「おっそいよりっちゃん!もう準備終わっちゃったんだよ!?」

律「はい・・・。すいません」

つかさ「い、いいすぎだよ・・・」

姫子「大丈夫。大目玉を食らっているだけだから・・・。いわゆるコント」

つかさ「・・・そうですか」

俊美「日本語の難しさだよね」

澪「・・・ふぅ」

未知子「澪さんは野点班だよね?」

澪「そうだけど、今冬がいるから・・・嫌だ」

冬「そんな・・・」ポロッ

バサッ

澪「ッ!?」ビクッ

律「なんで冬がいんだよ・・・キミのせいで風子に・・・!」ギクッ

風子「・・・1人じゃなくてよかったねー」

律「さーて、ちか、これから何を作るんだ?」

ちか「屋台のセットだよ」

律「任せろ!頑張るぞー」

冬「・・・」ズドーン

澪「ちっ、違うんだっ!」アセアセ

信代「どういう状況なんだろうね・・・」

姫子「ね・・・」

風子「あのね、冬ちゃんが遊園地のお化け屋敷の体験談を取材したいらしいの」

潮「・・・なるほど、冬ちゃんとこの出し物お化け屋敷らしいからね」

風子「そう。それで、怖がる人の意見を取り入れたほうがリアリティが生まれるのではないか、
   そう思って、澪ちゃんに取材したらどうかと私が提案したの」

姫子「・・・うん」

冬「・・・」ションボリ

澪「冬が嫌なんじゃなくてだなっ、怖い話が嫌なんだっ」オロオロ

風子「調理室に着くや否や澪ちゃんが冬ちゃんの顔見たらこっちへ走って行ったの」

信代「ややこしいなぁ」
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:54:58.39 ID:LfYoVJIxo

風子「そして、冬ちゃんが澪ちゃんを追っかけて行ったから、私もついてきたって訳だよ」

英子「それ・・・完全にイタチごっこだよ・・・ふぅ・・・」

風子「そうなの?」

姫子「そうだよ・・・」

澪「嫌いって意味じゃないんだ!」

冬「・・・よかった」

澪「嫌いになる理由がないだろ」

冬「そ、そうですか・・・」テレテレ

純「む・・・」

澪「・・・ふぅ」

冬「それじゃ取材を受けてくださるんですね?」

澪「嫌だっ!」

タッタッタ

冬「待ってください!」

タッタッタ

英子「ほら・・・」

風子「冬ちゃんが気になるから行ってくる」

タッタッタ

信代「風子遊んでいるんじゃ・・・?」

姫子「澪はお化け屋敷入ってないのにね」

純「・・・作業に戻りましょうか」
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:57:12.57 ID:LfYoVJIxo


―――――中庭


冬「っはぁ・・・はぁっ・・・!」

澪「走るのキツイんだったら追いかけなければいいのに・・・」

冬「・・・っ・・・はぁ・・・」

風子「ほら、これ飲んで」

冬「すっ・・・いませんっ・・・」ゴクゴク

澪「・・・落ち着いた?」

冬「・・・ふぅ・・・はい。大分」

風子「・・・無理しちゃ駄目だよ」

冬「すいません・・・」

澪「・・・こんな事で身体を悪化させたら嫌だぞ」

冬「・・・・・・はい」

風子「逃げなければいいのに」

澪「追いかけてくるとは思わなかった・・・」

冬「・・・ちょっと無茶しちゃいましたね」

風子「・・・」

澪「なにかあった?」

冬「・・・はい。クラスの制作に携われる事が嬉しくて・・・。楽しくて・・・。いいモノにしたくて」

澪「・・・」

冬「心配かけさせちゃ・・・駄目ですね」

風子「そうだよ。・・・でも、ごめんね。私が蒔いた種だね」

冬「いえ・・・。そんな事はないです。いい提案だと思います。怖がる人ほどリアルに恐怖を感じているって」

澪「・・・参考にならないと思うけど・・・わ、私でいいなら」ゴクリ

冬「・・・い、いえ!他の人に聞いてきますから!」ガタッ

澪「他って・・・目星ついてる?」

冬「そ、それは・・・」

澪「夏と夏香も怖がっていたよね」

冬「!」

風子「そうなの?」

澪「うん。夏はお化け屋敷から出てきたとき、むぎの腕にしがみついてたくらい」

風子「そうなんだ・・・。見てみたかったな」

冬「・・・」

風子「なっちゃんも野点班だから・・・。一緒に行こう?」

冬「・・・」

澪「・・・無理なら」

梓「冬ッ!」

澪「梓・・・?」

冬「?」

梓「夏が病院へッ!」
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:59:07.93 ID:LfYoVJIxo

・・・・・・

・・・

夏「代わりが無いんだからしょうがないだろっ!」

梓「しょうがないじゃないって!」

紬「・・・」オロオロ

純「また始まったー・・・。作業進まないからやめて欲しいんだけどなー」

夏「ほらっ!純がこう言ってるでしょ!だからやるしかないの!」

梓「危ないって!無理やりやって壊されたら余計時間がかかるって分からないの!?」

夏「そんなヘマしませーん」

梓「あのね夏!」

夏「心配してくれんのー?」

梓「誰が!」

純「はぁ・・・この二人毎回めんどい・・・」

スタスタ

夏「よいしょ」

ギシッ

紬「・・・!」ガシッ

夏「あ、すいません・・・。すぐ済みますからちょっとだけ支えててくれると助かります」

紬「・・・」コクリ

梓「むぎせんぱいに迷惑かけないでくれる?」ジロッ

ギシッギシッ

夏「はいはい。後でお礼しますって・・・」ヒョイヒョイ

梓「な・・・」イラッ

紬「・・・」

夏香「梓ちゃーん!」

梓「は、はい!・・・さっさと済ませててね」ギロ

テッテッテ

夏「脚立が無いと作業できないってのに・・・、少しボロっちいだけでうろたえすぎですよねー」ヒョイヒョイ

紬「・・・!」

ミシミシッ

夏「お礼ですけど何がいいですかね・・・。っと、こんなもんかなぁ・・・」

紬「・・・!」キョロキョロ

夏「今降りますね・・・どうしたんですか?」

紬「!」ググッ

唯「どーしたのむぎちゃん?」
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:00:43.60 ID:LfYoVJIxo

ミシミシッ

紬「!!!」

唯「ど、どうしたの!?」

グラグラッ

夏「おっと・・・?」

バキッ

夏「――え」

紬「!」サッ

ドサドサッ

唯「夏ちゃんッ!!」

純「?」

春子「むぎッ!!」

・・・

・・・・・・

冬「・・・」

医「そのまま手を握っていてやれ」

冬「なつ・・・」

ギュウ

夏「・・・ぅ・・・ん?」

医「しかし、夏が運ばれてくるとはな・・・」

夏「あ・・・れ・・・、せんせい・・・・・・ふゆ・・・?」

冬「・・・よかった・・・ぁ」

医「目が覚めたか」

夏「ここ・・・病院?」

冬「うん・・・。夏・・・脚立から落ちたって・・・」

夏「え・・・」

医「頭から落ちたらしいぞ、お転婆も程ほどにしとけよ」

夏「頭・・・?」

冬「・・・・・・紬先輩が・・・とっさに守ってくれたって」

夏「紬先輩が?」

医「頭と背中を両腕で守ってくれたらしいぞ・・・今手当てしてるよ」

夏「・・・りょう・・・うで・・・・・・?」

冬「なつ・・・」

ギュウ

夏「な・・・に・・・また・・・私は・・・っ」

冬「・・・っ」
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:02:50.19 ID:LfYoVJIxo

夏「・・・紬先輩の・・・声まで・・・うばった・・・の・・・?」

冬「ッ!」

ギュウ

医(まだ癒えてないのか・・・)

看「失礼します」

医「どうぞ」

シャーッ

看「夏さん目を覚ましましたか?」

医「あぁ・・・。ほら」

夏「・・・っ・・・また・・・」

冬「・・・」

看「覚ましたそうよ。入って」

梓「・・・」

姫子「夏・・・?」

夏「あ――」

紬「・・・」

夏「両手・・・!」

紬「・・・」フリフリ

冬「・・・包帯・・・・・・っ」

夏「奪う事しかできないの・・・っ」

梓「・・・包帯は私が巻いて欲しいとお願いしたの」

夏「先輩たちのライブも・・・」

姫子「な、夏・・・」

梓「学園祭のライブの為にって無理言って巻いてもらったんだよ、夏」

夏「つ、つむぎ・・・せんぱいの・・・こえも・・・っ」ボロボロ

紬「・・・!」

夏「どう・・・して・・・わたし・・・は・・・」ボロボロ

紬「・・・」シュルシュル

看「・・・」

梓「・・・夏・・・むぎせんぱいを見て」

夏「いっつも・・・いつもっ」ボロボロ

紬「・・・」シュルシュル

梓「夏・・・。まえを・・・みて」

夏「もういやだ―」ボロボロ

梓「なつッ!」

バシィッ

夏「―ッ!」

冬「!」

梓「むぎせんぱいを、前をみて!」
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:05:18.86 ID:LfYoVJIxo

夏「え・・・」

紬「・・・」スッ

看「内出血も、骨折も無いから・・・」

紬「・・・」ニコ

夏「っ・・・」ボロボロ

冬「・・・」

ギュウ

梓「・・・」

夏「ごめん・・・梓・・・っ・・・忠告を・・・っ」ボロボロ

梓「どうして包帯を解いたか分かってないでしょ・・・」

夏「え・・・」

梓「夏が自分を責めているからっ・・・それを伝えてるの・・・『大丈夫』って!」

夏「ッ!」

梓「夏はむぎせんぱいを知らないから・・・。だけど、ちゃんと守ってくれた人にそこまでさせないでっ」グスッ

夏「・・・!」

梓「夏が自分を責めると・・・むぎせんぱいも・・・悲しむんだから・・・っ」グスッ

夏「・・・」グスッ

紬「・・・」

梓「すいません・・・外行ってきます」グスッ

スタスタ

冬「・・・」

夏「・・・」

医「・・・どうする?帰っても大丈夫だぞ」

夏「・・・」

看「検査をしたけど、異常はないわ」

夏「・・・」

冬「・・・」

姫子「・・・」

紬「・・・」
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:07:02.55 ID:LfYoVJIxo

母「ありがとうございました」

医「二人とも目立った外傷は無いですけど、体調には気をつけてください」

母「はい」

梓「・・・はい」

医「今度は冬が・・・元気を分けてやれ」

冬「はい」

ギュウ

夏「・・・」

姫子「・・・」

夏香「・・・姉さん・・・二人とも・・・大丈夫なんだよね?」

看「えぇ、大丈夫よ」

夏香「・・・よかった」

ウィーン

唯「むぎちゃん達も出てきたよ!」

澪「なっ!?」

律「両手包帯って・・・!」

紬「・・・」フリフリ

梓「大丈夫ですよ。特に異常も無いとの事です。私がお願いしたんです。念のために」

唯「そっかー」ホッ

律「よかったー」ホッ

澪「不幸中の幸いだな・・・。夏も・・・怪我はないみたいだ・・・」

梓「・・・」

夏「・・・」

冬「お母さんは先に帰ってて、行く所があるから」

母「?」

姫子「二人を心配している人たちがいますので・・・」
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:08:58.55 ID:LfYoVJIxo

夏「・・・手・・・・・・はな・・・して・・・・・・」

冬「・・・」フルフル

姫子「ちゃんと掴まえててね」

ギュ

冬「はい」

夏「・・・歩きにくい・・・から・・・」

冬「・・・」

姫子「歩調が遅いんだよ。それではむぎ達を待たせてしまうでしょ」

夏「待たなくて・・・いい・・・」

姫子「・・・」

夏「置いていってください・・・」

冬「梓が言ってくれた事、少しも理解してないんだね、夏は」

夏「!」

姫子「・・・」

唯「おーい!夕陽が沈んじゃうよー」

律「・・・」

澪「・・・」

夏香「・・・」

梓「・・・」

テッテッテ

紬「・・・」

夏「・・・?」

紬「・・・」スッ

夏「包帯・・・巻いているから・・・握れません・・・」

紬「・・・」ションボリ

姫子「代わりに私が」

ギュ

夏「!」

紬「・・・」コクリ

冬「ほらっ、行くよ」グイッ

姫子「行くよ」グイッ

夏「〜っ!」
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:09:37.94 ID:LfYoVJIxo


―――――河川敷


風子「なっちゃん、二人は・・・むぎさんの・・・手・・・!」

夏香「大丈夫って姉さんが言ってたから・・・。あれは念のためだよ」

風子「ほ、本当に・・・?」

夏香「うん。安心させる為の嘘じゃないからね」

英子「そうなんだ・・・。よかった・・・」

夏香「先にみんなに知らせておくよ、ビックリするだろうから」

英子「そうだね・・・」

風子「・・・」

夏香「ふぅは・・・風子は一緒にいてあげて」

風子「・・・うん」

907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:14:17.66 ID:LfYoVJIxo

夏「みなさんに・・・心配を・・・」

姫子「そうだね、心配かけてしまったから・・・後で謝ろうか」

冬「はい。行こう、なつ・・・」グイッ

グッ

夏「・・・」

冬「?」

夏「あたしが・・・どうして・・・冬ねぇを避けていたか・・・気付いてる・・・?」

冬「・・・ううん。知らない」

夏「・・・」

梓「・・・」

冬「ごめん・・・ね」

夏「・・・!」ズキッ

紬「・・・」

冬「気付いてあげられなくて・・・」

夏「だから・・・なんで・・・謝るの・・・っ!」

冬「え・・・?」

夏「あたしが奪ってきたじゃん!生まれる前から!あたしの分まで冬ねぇに負担かけてるんだよ!?」

冬「・・・」

夏「もう・・・っ・・・奪うのはいや・・・っ・・・」

冬「・・・」

夏「冬ねぇにばっかり嫌な思いを・・・冬ねぇだけ辛い思いを・・・冬ねぇ・・・に・・・あたしは・・・!」

冬「久しぶりだね・・・そう呼んでくれるの・・・」

夏「・・・!」

冬「私が入院してから呼んでくれなくなったよね・・・」

夏「・・・・・・うん」

冬「奪ってないよ。与えてくれたんだよ・・・『最高の場所』を」

梓「!」

姫子(それ・・・)

夏「『最高の場所』・・・?」

冬「うん。その場所があれば、人は強く生きていける」

夏「・・・」

冬「それを見つけたのは・・・『あの時』」

夏「ッ!」

紬「・・・!」

姫子(・・・命を繋いだ時)

夏「・・・っ・・・・・・ッ・・・!」

冬「なつ!?」

紬「!」
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:16:26.79 ID:LfYoVJIxo

風子「夏ちゃん!?」

夏「だっ・・・だい・・・じょう・・・ぶっ!」

姫子「なにこの震え方・・・っ!」

冬「ひどい汗だよっ!?」

夏「・・・っ・・・っ!」

ギュ

梓「だいじょうぶ・・・。ちゃんといるから。むぎせんぱいと、姫子先輩とふぅ先輩とここにいるから」

紬「・・・」コクリ

風子「・・・うん」

姫子「うん」

夏「・・・っ・・・」

梓「ちゃんと冬の手を握ってて」

夏「う・・・っ・・・うんっ」

ギュウ

梓「ちゃんと私たちの中にいるよ・・・冬は」

冬「!」

夏「うん・・・・っ・・・」ボロボロ

冬「『あの時』ね・・・」

夏「・・・っ」ズキィッ

ギュウ

冬「真っ暗で、とても寒くて、とても寂しいんだけど、なぜか居心地のいい所にいたの」

夏「・・・ッ」ズキィッ

冬「このままそこに居てもいいと思っていたの」

夏「―ッ!」ズキィッ

冬「でもね、一箇所だけ・・・違った・・・」

夏「ぇ・・・?」

冬「ほんの小さな・・・暖かい場所があった・・・」

夏「・・・」

冬「その場所へ引き寄せられるように辿り着くとね・・・。声が聞こえるの・・・」

夏「・・・」

冬「『ふゆ』って私の名を呼ぶ声が・・・」

夏「ッ!」

冬「目を開けると・・・夏が手を握っていてくれたの」

夏「―ッ!」

冬「そこが私の『最高の場所』・・・」

夏「ぅ・・・」ボロボロ

冬「今の私がこの場所に居られるのは・・・夏が『最高の場所』をくれたからなんだよ」

夏「・・・ッ」ボロボロ

冬「だから・・・夏は私にとって大切な場所」
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:17:07.06 ID:LfYoVJIxo

夏「・・・・・・うん」ボロボロ

冬「・・・っ」

夏「あたし・・・っ・・・冬ねぇに・・・なれたら・・・ってずっと思ってた」グスッ

冬「・・・」

夏「あたしが・・・全部持っていけばいいって・・・思ってた・・・!」グスッ

冬「・・・っ」

夏「でも・・・無理だ・・・っ・・・冬ねぇ・・・に勝てないっ」グスッ

冬「・・・」

夏「あたしは・・・妹でいい・・・っ・・・!」

冬「うん。私も姉がいい・・・」

夏「あり・・・がと・・・・・」

ギュウ

冬「ううん・・・。ありがとうは・・・私だよ・・・なつ・・・」

梓「・・・」

姫子「・・・っ」

風子「・・・ッ」グスッ

紬「・・・」
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:18:49.08 ID:LfYoVJIxo

律「メール送っただろ?」

信代「まぁ・・・ねぇ・・・。でも心配するでしょ?」

唯「そうだよね〜」

和「びっくりしたわよ・・・。でも何事も無くてよかったわ」

澪「・・・うん」

ちか「みんな心配して、作業に手がつかなかったんだよ」

憂「はい。私たちも・・・ね」

由記「・・・うん」

三花「・・・ここ、よく来るの?」

純「はい、のんびりするには最適な場所なんですよ」

未知子「確かに、川のせせらぎ・・・太陽の傾き・・・どれもいい感じだね」

風子「・・・っ」グスッ

夏香「変わらないね、ふぅは」ナデナデ

風子「嬉しいっ・・・」ボロボロ

英子「・・・うん」

風子「・・・ちゃんと・・・っ・・・繋がった」ボロボロ

夏香「・・・」ナデナデ

風子「うれしいっ」ボロボロ

英子「うん。嬉しいね」

いちご「・・・」

春子「・・・いちごが背中を押したお陰なんじゃないのかな」

いちご「・・・さぁ。それは分からないよ」

春子「本人に聞くわけにもいかないよねぇ」
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:19:29.53 ID:LfYoVJIxo

・・・・・・

・・・

唯「姫ちゃん!夏ちゃんがっ!」

姫子「?」

唯「病院へ!」

憂「え・・・?」

文恵「なにがあったの・・・?」

唯「脚立から落ちて気を失ったんだよ!むぎちゃんも一緒に!」

姫子「!」

律「行くぞ姫子!」

唯「さわちゃんと向かうから一緒に行こうよ!」

姫子「・・・」

いちご「・・・行ってきて」

姫子「・・・」

いちご「後はやっとくから」

姫子「・・・うん」

タッタッタ

いちご「・・・」

・・・

・・・・・・

姫子「よいしょ」スト

いちご「・・・」

姫子「河川敷か・・・。いい場所だね」

いちご「・・・」

姫子「私が出来ることなんてほんの些細な事なんだけどさ・・・」

春子「・・・」

姫子「それでも、そんな些細な事ができる事に気付けた事が嬉しいよ」

いちご「・・・そう」

姫子「・・・うん」

いちご「・・・」

姫子「・・・私が出来ることなんてさ、ほんっとうに小さくて、それに気付く人なんているのかなってくらい」

いちご「・・・」

姫子「ちっぽけだった・・・。むぎとは正反対で」

いちご「・・・」

姫子「それでもいいやって思えた。たくさん教えてもらおうって、吸収していこうって」

いちご「・・・」

姫子「そして、少しずつかえして行こうって」

いちご「・・・そう」

姫子「そう・・・」
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:20:27.14 ID:LfYoVJIxo

いちご「・・・」

姫子「私がさ、迷っていたらまた・・・声かけてよ」

いちご「・・・?」

姫子「いちごの意見を聞きたいから」

いちご「・・・私が間違っていたら・・・余計に迷うよ」

姫子「その時は一緒に迷ってくれると助かる・・・かな」

いちご「・・・なにそれ」

姫子「・・・そうしてくれたら・・・確実に残るから」

いちご「・・・」

姫子「先の事なんて分からないから・・・『さようなら』も言えないで、いちごと別れる時が来るかもしれない」

いちご「・・・!」

姫子「でも、今この時は残る。二人でこんな風に話した時が」

いちご「・・・」
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:22:33.69 ID:LfYoVJIxo

・・・・・・
   


律「どうした?」

梓「・・・」

律「唯から聞いた・・・。その時の状況をさ」

梓「・・・私も聞いてましたから」

律「傍にいれば、防げたかもしれない・・・か?」

梓「はい・・・」

律「・・・」

梓(夏に注意もできなくて・・・周りに助けを求める事もできなくて・・・
  ただ支えている事しか・・・って、思いつめているのかな・・・むぎせんぱい)

律「・・・」

梓「声をかけられないです・・・」

律(落ち込んでるってレベルじゃないもんな・・・)

梓「・・・」



・・・・・・



紬「・・・」

夏「あ、あの・・・」

紬「・・・?」

夏「す、すいませんでした」ペコリ

紬「・・・」ニコ

冬「・・・」

夏「・・・」

紬「・・・」

冬「そうじゃないよ」

夏「あ、うん・・・」

紬「?」

冬夏「「 ありがとうございました 」」

紬「・・・」フリフリ

冬「いいえ!夏の恩人です!」

夏「ぜひお礼を!」

紬「・・・」アセアセ

冬「その手ではなにかと不自由だと思いますので、メイドなりなんなりやります!」

夏「はい!・・・ん?」

唯「おぉ、それはいいね!」

紬「・・・」アセアセ

冬「困ってる事ありませんか!?」

唯「私も手伝うよ!」
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:23:37.26 ID:LfYoVJIxo

・・・・・・



律「困らせてんだけどなー」

梓「その手があった!」ダッ

タッタッタ

律「はは・・・」

澪「モテるなむぎは」

律「でも、あの押しの強さは救われたな」

澪「・・・うん」



・・・・・・



姫子「ミッシングリンクを作りたくないからね」

いちご「・・・?」

姫子「・・・思い出を失って、その先に居る自分は納得できるのかなって」

いちご「・・・分かりづらい」

和「失われた環・・・。連続性の中にある非連続性・・・。言いたい事は分かるけど」

姫子「う・・・」



・・・・・・

915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:24:15.78 ID:LfYoVJIxo

アキヨ「・・・それじゃ」スッ

信代「どこへ行くの?」

アキヨ「・・・帰る」

潮「ちょいまちっ!」クイッ

アキヨ「?」

信代「昨日の夜、律からメール来てさ」

ちか「これから何かするんだ!?」

信代「そういう事」

美冬「付き合おうかな」

三花「定員数決まってるのかな?」

春子「大丈夫だよ」

潮「もうちょっと増えても平気じゃない?」

春子「うん。平気平気〜」

慶子「あはは、大変だね春子も」

春子「空いてたからいいんだけどね」

圭子「増えてもいいの?」

春子「呼んじゃって」

圭子「ありがとー」ピッピッピ

未知子「ところでなにを・・・?」

春子「まだ決めてないみたいよ。主催者はその場のノリで決めちゃうから」

多恵「・・・もしかして」

アカネ「多分合ってると思うよ」

エリ「なにをするか予想ついてるの?」

アカネ「・・・うん」

つかさ「姫子さんも?」

春子「うん。間違いなく行くと思うよ」

愛「なにがあるのか知らないけど・・・」

俊美「行きたい・・・!」

ますみ「・・・うん」
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:25:40.33 ID:LfYoVJIxo

・・・・・・



紬「・・・」オロオロ

梓「私がいるからいいよ」

夏「私のせいで怪我したんだから、責任は私にあるんだよ」

冬「夏が無事なのは紬先輩のおかげなんだから、姉としてですね」ウンヌン

唯「・・・」シーン

紬「・・・」アセアセ

梓「押し付けがましいよ夏」

夏「そ、そうなのかな・・・」

冬「責任を果たすべきだと思っています。だから」ウンヌン

唯「・・・」シーン

紬「・・・」チラッ

梓「むぎせんぱいを困らせているだけだから!私だけでいいの!」

夏「梓関係ないじゃん!あたしがフォローするの!」

冬「言いだしっぺである私が夏の分まで」ウンヌン

唯「・・・りっちゃん」チラッ

律「はいはい・・・」

姫子「しょうがないな」

紬「・・・」

律「そのへんにしとけ、梓」ヒョイ

梓「にゃん」

姫子「二人もそのへんにしておいて」ヒョイ

夏冬「「 ・・・はい 」」

紬「・・・」ニコ

律「ほら、ひきつってるだろ」

梓「・・・はい」

姫子「困らせては意味無いでしょ」

冬夏「「 すいません 」」

唯「うむ」

純「ひと段落着きましたね。・・・夕陽も隠れてしまいましたから移動しましょう」

来美「・・・」

千雨「私たちもいいのかな・・・」

憂「うん。春子さんに確認したから大丈夫だよ」

917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:27:05.74 ID:LfYoVJIxo


―――――斉藤邸


さわ子「私の監督不行き届きになります。申し訳ありませんでした」

母「いえ、無事だったので・・・それで良しとしましょう」

さわ子「本当に・・・」

母「紬さんの怪我が気になりますが・・・、症状は・・・?」

さわ子「受け止め方がよかったそうで、軽い怪我だそうです」

母「包帯を巻かれていましたが・・・学園祭の演奏は大丈夫でしょうか・・・」

さわ子「病院の診察結果では心配に及ばないとの事です」

母「そうですか・・・」

夏「母さん、ありがと・・・。持って行くね」

母「えぇ、落とさないようにね」

夏「うん。さわ子先生、先に載せちゃいますね」

さわ子「これ、車の鍵」

夏「冬ねぇ、お願い」

冬「?」

夏「かぎ!」

冬「鍵?」

さわ子「私の車の鍵・・・」

冬「あ、はい!」

夏「行くよ、冬ねぇ」

スタスタ

冬「う、うん!」

テッテッテ

梓「お鍋お借りします」

母「えぇ、・・・あ、紬さん」

紬「・・・?」

母「本当に・・・ありがとうございました」ペコリ

紬「・・・!」

母「なんとお礼を言ったらいいか・・・っ」

紬「・・・」アセアセ
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:27:48.52 ID:LfYoVJIxo

梓「・・・」

さわ子「・・・」

母「・・・っ」グスッ

紬「・・・」

梓「あの・・・、食材とか色々ありがとうございました」

母「いえ・・・これくらいの事しか・・・」

紬「・・・」ツンツン

梓「なんですか?」

紬「・・・」フンス!

梓「だ、だめですよ!」

さわ子「どうしたのよ?」

梓「多分・・・私の代わりに持つと・・・」

紬「・・・」コクリ

梓「駄目です。・・・先に行ってます」

スタスタ

紬「・・・」ペコリ

テッテッテ

母「ふふっ」

さわ子「私もこれで・・・」

母「二人の雰囲気も戻って・・・感謝しきれないです・・・」

さわ子「二人が帰ってきたらお話を聞いてあげてください・・・たくさんの景色をみていると思いますので」

母「そうですか・・・。二人から同時に聴けるのは楽しみですね」

さわ子「それでは、失礼します」
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:29:19.50 ID:LfYoVJIxo

―――――道場


夏「よいしょっと」

信代「おつかれさま」

夏「いえいえ・・・。って、律先輩たちはなにをしているんですか?」

慶子「剣道ごっこだよ。ここ道場だからそういう気分になるんじゃないかな」

冬「新聞紙ですから痛くありませんよね」

信代「・・・問題はそっちじゃないんだけどね」


潮「双方、構えて」

律「・・・」スッ

ちか「・・・」スッ

潮「一本目、勝負ッ!」

律「・・・」ジリジリ

ちか「・・・めーんッ!」シュッ

律「・・・」サッ

ちか「!」

律「燕返し!」シュッ

ポス

ちか「いたっ」

潮「一本!それまで!」

律「ありがとうございました」

ちか「・・・ありがとうございました」

律「・・・ふぅ」

澪「・・・ご満悦だな」

潮「次の相手はいませんか!?」

春子「なにしてんの」

律潮ちか「「「 あ・・・ 」」」


信代「そうなるよね」

澪「これ持って行くね」スッ

夏「は、はい」

冬「ここ剣道の道場じゃないんですか?」

慶子「柔道の道場だよ。・・・春子のお父さん師範なんだって」

夏「おぉ・・・という事は春子先輩って強いんですね」

信代「さぁ・・・?」


春子「柔道の場で剣道ごっこするのはよしとしよう
   だけど、みんなが準備をしている横で遊んでいるのがね・・・」

ちか「ごめんなさい」

潮律「「 あはは、ごめんごめん 」」

信代「うわぁ・・・反省の色無し」
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:30:11.22 ID:LfYoVJIxo

春子「律、さっきの燕返しじゃなくてただの小手だから」

律「適当に言っただけだからな・・・」

潮(春子怒ってる・・・?)チラッ

信代(多分・・・)コクリ

春子「柔道にも燕返しがあるんだけど・・・興味ある?」

律「実践してくれるのか!」

潮「・・・ごめんなさい」

春子「・・・よし。律こっち来て」

律「・・・?」

信代「さて、準備しよっか!」

冬「はい!」

夏「冬ねぇは調理したらダメだから!」

慶子「テーブルと座布団運ぼうか」
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:31:32.79 ID:LfYoVJIxo


―――――台所


ジャー

澪「・・・」ゴシゴシ

純「道場で鍋って凄い違和感ですよね」

英子「そうだね。でも、春子さんたちは毎度の事みたいだよ」

純「人が集まる場所ですもんね・・・」

風子「・・・」ゴシゴシ

純「・・・風子先輩どうしたんですか?」ヒソヒソ

英子「・・・ちょっとね」ヒソヒソ

純「無言で材料のしたごしらえ・・・ちょっと・・・違和感ですよ」ヒソヒソ

英子「ふふ・・・そうだね」

純「?」

夏香(泣き疲れちゃっただけなんだけど・・・ね)ジャブジャブ

澪「・・・」ジャブジャブ

律「・・・ひっく」シクシク

澪「怒られたか」

律「・・・うん。体がふわって飛んで・・・次の瞬間天井見上げてた」シクシク

澪「・・・そうか」ジャブジャブ

律「未体験だったのでビックリです」シクシク

澪「体痛めたところとかある?」

律「無いです」シクシク

澪「ど素人の律に怪我させないように・・・。強いんだな」

律「はい・・・。情報に無かったので更にビックリしました・・・」シクシク

澪「これ運ぼうか」

律「はい」

922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:32:27.54 ID:LfYoVJIxo

―――――味付け班


唯「こんどは味を統一させるんだね」

憂「うん。予定していた人数を超えちゃったから、なるべく早く作れるように」

唯「そうだよね〜」

いちご「・・・」

未知子「いちごさん・・・?ぼんやりしてるけど・・・大丈夫?」

いちご「・・・うん」

グツグツ

憂「もうそろそろいいのでは・・・?」

いちご「・・・うん」

カチッ

唯「うんうん、いい香りだよ〜」クンクン

憂「今回は姫子さんのリクエストで味噌野菜鍋です」

姫子「ありがと」
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:33:37.21 ID:LfYoVJIxo


――・・・


さわ子「あなたたち・・・これで何度目の鍋なのよ」

紬「・・・」サンッ

梓「一週間に三回も食べていますね」

さわ子「・・・」

律「あれ・・・、鳥は?」

澪「?」

梓「そこにありますよ律先輩」

律「あったあった・・・。野菜オンリーかと思ってビックリしたぁ」

澪「やさいおんりー」

冬「ブフッ」

律「・・・」

多恵「・・・?」

冬「?」

律「困ってるのはこっちだ・・・。笑う要素あったのか?」

冬「・・・澪先輩がそこを突いたから・・・意味があるんですよね?」

澪「いや・・・ないけど・・・」

冬「あれ?」

律「脈絡ないんだから深読みすんなよ」

姫子「テンション上がってるの?」

夏「はい。楽しいんですよ」

姫子「そっか・・・」

信代「よいしょっと」コト

潮「りつー、準備できたよー」

律「オッケー・・・。ってなんで私なんだよ、さわちゃんが仕切れよ」

さわ子「今さらー?」

律「・・・いいけど。みんなそれぞれに必要なもの揃ってるなー?」

「「 はーい 」」

律「後から『先生!愛ちゃんのお椀が足りません!』とか言っても遅いぞー」

澪「先生かおまえは・・・」

冬「ブフッ」

愛「どうして私なの・・・?」

ますみ「本当に足りてないから」

愛「本当だ」

律「見えてるんだよ」

憂「はい、どうぞ」

愛「ありがとう憂ちゃん」

春子「この妹完璧であった」
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:35:05.30 ID:LfYoVJIxo

夏「・・・ど、どうぞ」

信代「・・・私は足りてるから・・・張り合わなくていいよ」

姫子「・・・」ニヤリ

夏「な、なんですか」

姫子「妹だもんねぇ」

夏「・・・」

唯「りっちゃん!」

律「はいよー。梓」

梓「なんですか?」

さわ子「恒例のヤツよろしく」

梓「・・・せっかくだから趣向を凝らして」

律「凝らさなくていいって」

梓「ぐっ・・・」

紬「・・・」コクリ

梓「普通の事しか言えませんよぉ・・・」スッ

純(それでもやるんだよね・・・)

エリ「いよっ、梓ちゃん!」

唯「いよっ、ご両人!」

梓「誰と誰ですか、宴会じゃないんですよ」

三花「じゃないの?」

アカネ「・・・」

「っぽいよね」

「・・・?」

圭子「そ、そうなんじゃないのかな?」

冬「ある程度まとまった人数が食事・・・飲食を行いコミュニケーションを深める行為をいいますから
  適当だと思います。名目がハッキリしていれば問題ないかと」

夏「・・・」

「「 ? 」」

唯「春菜ちゃんとしずかちゃんは初めましてだね〜。夏ちゃんと双子の冬ちゃんです」

冬「あ、よ、よろしくお願します」

しずか「よろしくね」

春菜「夏ちゃんのお姉ちゃんなんだよね?」

夏「はい」

風子「・・・っ」

英子「・・・」

夏香(あらら、また・・・)

律「学園祭の前祭りって事で」

純「4日後・・・だから・・・前々々々夜祭」
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:37:21.35 ID:LfYoVJIxo

梓「コホン・・・。学園祭に向けて頑張っておられると思いますが」

さわ子「うちの進捗状況・・・かなり危ないんだけどね」

「「 うっ・・・ 」」グサッ

紬「・・・」グサッ

夏「あ、あのっ!」スッ

律「どした?」

唯「?」

夏「今日は、本当にすいませんでした」ペコリ

冬「・・・」

律「気にすんなよー、私らの団結力みせてやるよー」

和「・・・」コソコソ

姫子「どうしたの?」

和「学校から戻ってきたのよ」

姫子「そっか・・・」

律「な!総合班長!」

姫子「え?あ、うん」

さわ子「いい返事ね」

つかさ「おぉ・・・」

姫子「・・・?」

和(状況理解してないわね・・・)

夏「さ、梓続きを・・・」

梓「学園祭を大成功させましょうっ!乾杯ですっ!」

「「 か、かんぱーい! 」」

紬「・・・」ニコニコ
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:42:23.18 ID:LfYoVJIxo

梓「さ、どうぞ」

紬「・・・」アセアセ

梓「遠慮しないでください」

紬「・・・」アセアセ

梓「大丈夫です。恥ずかしいことなんてありませんから・・・。はい、どうぞ」

律「見てるこっちが恥ずかしくなるんだよ」

さわ子(よく言ったわよりっちゃん!)

梓「私は仕方なくやっているんです」

律「そうかもしれないけどさ、さすがにこれだけの人の前で食べさせてもらうのは・・・」

紬「・・・」コクコク

夏「そう思って、じゃん!スプーンとフォークをお持ちしました」

梓「スプーンで食べるって?ここは欧州じゃないんだから・・・」フッ

夏「紬先輩の立場を考えてよ、後輩に食べさせてもらうなんて耐えられないよ。文化なんて二の次だって」

梓「む・・・」

夏「これは握られますか?」

紬「・・・」コクリ

律「スプーンで鍋ってのも・・・ちょっと風情が無いな」

梓「ですよね!」

冬「後輩じゃなかったらいい・・・のですか?」チラッ

澪「ゑッ!?」

姫子「とんでもないフリだね」


和「おいしいわね。・・・誰が主催なの?」

憂「律さんだよ」

和「春子のうちが道場やっているなんて知らなかったわ」

春子「言ってないからね」モグモグ

純「紬先輩のところがなにやら賑わって」

和「純、触らぬ神に祟り無し・・・よ」

純「は、はい」

未知子(我関せずが正しいよ)モグモグ


唯「はい、むぎちゃん。あーん」

梓「ちょっ!」

紬「・・・」モグモグ

唯「どうかな、おいしい?」

紬「・・・」カァア

唯「ん?」

律「恥ずかしがっているぞー・・・」
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:44:01.66 ID:LfYoVJIxo

風子「・・・」モグモグ

美冬「・・・」モグモグ

ちか「楽しそうだね」モグモグ

エリ「あ、そうだ・・・。春菜ちゃんたち布団もってきた?」

春菜しずか「「 布団!? 」」

アカネ「持参するものじゃないよ」モグモグ

春子「広い寝茣蓙があるけど、上からかけるものは限られててさ」モグモグ

圭子「朝方は冷えるから油断したら風邪ひいちゃいそう」

信代「やけに慣れてるけど、よくやってるの?」

春子「うん、合宿とかね。名ばかりで遊んでばっかだけど」モグモグ

潮「ほぉ」

春菜「みんな泊まるの?」

エリ「んー・・・。みんなではないんじゃないかな?」

アキヨ「・・・」モグモグ

千雨「・・・」

信代「2年生食が進んでないねー。萎縮しちゃってるのかな?」

来美「それもあるんですけど・・・」

由記「あの二人がその・・・」

憂「見た事の無い素顔っていうのかな、新鮮だよね」

千雨「・・・うん・・・特に梓」


紬「・・・」シュルルルル

澪「耐え切れず解いたか・・・」

梓「あ・・・」

夏「梓が積極的すぎるから・・・」フゥ

紬「・・・」ニギニギ

律「大丈夫なのか・・・?」

紬「・・・」ヒョイヒョイ

さわ子「お箸くらいは問題ないみたいね」

紬「・・・」モグモグ

唯「どう?」

紬「・・・」パァア

冬「おいしいですよね〜」

姫子「過保護だったかな」

梓「・・・」
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:45:35.52 ID:LfYoVJIxo

風子「・・・」モグモグ

冬「ここ座ってもいいですか?」

風子「うん・・・。どうぞ」

冬「あ、あの・・・」

風子「なにかな?」

冬「よそいます!」

風子「あ、うん・・・」

英子「・・・」モグモグ

冬「えと・・・嫌いなものとかありますか?」

風子「この鍋の中にあるもの全部食べられるよ」

冬「わ、分かりました」ヒョイヒョイ

夏香「嫌いなものってあったっけ?」

風子「・・・レーズンくらいかな」

冬「私も嫌いでしたよ。はい、どうぞ」

風子「ありがと・・・。過去形だね」

冬「はい。食感が苦手で、どうしてわざわざぶどうを干すのか・・・って」

夏香「・・・なるほど」

風子「うんうん」

冬「でも、私が入院している時に夏が持ってきたんです。『身体にいいよ、Fe成分が豊富なんだよ』って」クスクス

風子「・・・っ」

冬「でもその時はFeが鉄分だなんて知らなかったんです夏は」

夏香(姉さんから聞いたことある・・・)

冬「先生に身体にいい食べ物はなにか聞いていたそうで・・・。それを看護師さん、夏香先輩のお姉さんから聞いて
  食べるようになりました」

風子「・・・そっか」

冬「ありがとうございます」

風子「?」

冬「いつも遊んでくれて、一緒に居てくれて」

風子「っ!」

冬「風子先輩もいてくれたから、縁が遠い先輩方とも一緒にいられるんです」

風子「そ、そんなことっ」

英子(限界かなぁ・・・)
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:48:20.31 ID:LfYoVJIxo

律「すまん、こっちの鍋をつつかせてくれ」

冬「どうしてですか?」

律「唯がまた変なの入れたんだよ・・・。はい、お願い冬ちゃん」ウフ

冬「は、はい」

律「鶏肉と白菜と長ネギと豆腐ともやしを黄金比で頼む」

冬「え、えぇと、鶏肉と・・・豆腐と・・・もやしと・・・白菜・・・」ヒョイヒョイ

風子「律さん、苦手なのってある?」ヒソヒソ

律「まいたけだな」

冬「長ネギ・・・まいたけ・・・っと。よし」

律「なんで!?」

冬「すいません・・・黄金比は難しかったです」

律「ちげえ!まいたけ苦手って言っただろ!」

冬「そうなんですか・・・?」

風子「よそったものはもう戻せないよね」

律「そ、そうだけどさ・・・」

英子「ふぅの声が小さかったから、冬ちゃんには聞こえなかったみたい」

夏香「相変わらずいじわるだね・・・」

ガラガラッ

姉「こんにちはー!」

夏香「なんで!?」

夏冬「「 あっ! 」」

紬「・・・」ニコニコ

テッテッテ

春子「え、と・・・?」

姉「私、夏香の姉やってます。荷物を持ってきました」

春子「はぁ・・・。夏香ー」

テッテッテ

夏香「・・・どうして、ここへ?」

姉「それはねぇ」

春子「ここで立ち話もなんですから、よければご一緒してください」

姉「お言葉に甘えまして〜」

テッテッテ

夏香「・・・」

風子「なっちゃん、お姉ちゃんが来て顔が青くなった」

英子「・・・びっくりしてるだけだよ」
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:49:29.49 ID:LfYoVJIxo

律「まいたけうめえ」モグモグ

姉「ここ失礼するねぇ」

アキヨ「どうぞ」

姉「いい香り〜」

冬「どっ、どうしたんですか!?」

姉「紬さんに誘われててね〜」

憂「どうぞ〜」

冬「紬先輩が?」

紬「・・・」コクリ

姉「ありがとうー。憂ちゃんだよね?」

憂「はい」ニコニコ

姉「仕事終えて・・・この癒し空間は満たされるなぁ・・・」ウットリ

さわ子「分かるわぁ」

姉「あ、先ほどはどうも」

さわ子「こちらこそ、ありがとうございました」

姉「いえいえ。紬さん、手は?」

紬「・・・」ブイッ

姉「・・・よさそうね」

純「馴染むのはやいな〜」

姫子「・・・うん」

いちご「・・・職業柄なのかな」

夏「看護師さん、よそいますよ!」

姉「ここでそれは止めてほしいな」

夏「では、なんとお呼びしましょう?」

姉「お姉ちゃんでいいよ」

夏香「・・・」ハァ

ちか「すごいね、この場の空気をもっていっちゃった・・・」

潮「私たちは端っこで、もそもそと食べていようか」

由記「え・・・」

信代「変なこと教えないでね」

夏冬「「 お、お姉ちゃん・・・ 」」

姉「・・・」バタン

多恵「?」

夏香「放っておいていいから」

風子「雰囲気が似てるね」

姫子「・・・うん」

未知子「誰と似てるの?」

姫子「・・・ちょっとね」
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:50:55.32 ID:LfYoVJIxo

姉「冬ちゃんが入院していた時、姫子さんの話よく聞いてたよ」

姫子「?」

夏「さて、と・・・」スッ

冬「夏ってば・・・」

姫子「なんですか?」

姉「遊園地行ったときは話せなかったけど、もういいよね」

英子「はい」

夏香「うん」

和「・・・」

姫子「?」

姉「送球をミスったりとか」

姫子「夏はどこへ行ったの?」

冬「お、お手洗いです」

姫子「・・・」ゴゴゴ

澪「興味あるな」

唯「うんうん、他にはなにがあるのかな?」

姉「それはねぇ」

冬「あーはやくたべないとこげちゃいますよー」

律「焦げねえよ、なんだよその棒読みは」モグモグ

風子「知らないんだ・・・鍋って焦げるものなのに・・・」

律「どうせ長時間火に通していたらー、とかだろ?ひっかかりませーん」

風子「・・・ふふっ」

律「ちょっとまて、鍋料理なんだから水分でこげたりしないだろ」

風子「誰も鍋料理なんて言ってないよ。雑炊を焦がしちゃう事もあるって話だよ」

律「そ、そうか・・・」

風子「この後楽しみだね〜」

冬「は、はい・・・」

律「た、卵だな。卵雑炊にしようぜ!」

風子「雑炊なんてしないよ?ラーメンにするんだけど」

律「もうやだ」シクシク

スタスタ

夏「・・・?」

冬「なつ・・・野菜を取ってぇ」

夏「うん、持って行くよ」

冬「ありがとー」

姉「・・・」ナデナデ

冬「あ、あの?」
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:52:18.30 ID:LfYoVJIxo

姉「よく頑張ったね」ナデナデ

冬「・・・・・・はい」

律「うむ・・・」ナデナデ

冬「あ・・・の・・・」

夏「どうぞ」

姉「ありがと〜」

姫子「・・・何をお話したって?」

夏「さて・・・席に戻ろうかな」スッ

姫子「・・・」クイッ

夏「違うんです・・・」

つかさ「・・・」モグモグ
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:54:08.56 ID:LfYoVJIxo

グツグツ

紬「・・・」ガサゴソ

唯「・・・甘いね」

梓「どうしてマシュマロ入れたんですか」

唯「それは・・・その・・・」タラタラ

さわ子「・・・まだ具が残ってるわよ」

澪「はい・・・。律・・・上手く逃げたな」

紬「・・・」ジャン!

梓「カレーのルウ・・・いつの間に買っていたんですか・・・?」

紬「・・・」トントントトン

梓「手・・・痛くないですか・・・?」

紬「・・・」キリ

梓「・・・」ホッ

澪「買出しに行ったとき・・・?」

唯「その時に買ったの?」

紬「・・・」コクリ

さわ子「そういえば、他の学生服の子たちもいたわねぇ」

梓「そういえばそうですね・・・、その人たちがどうしたんですか?」

紬「・・・」トントトントトン

梓「闇鍋を・・・しようとしていたんですか・・・」

澪「冒険心あるな」

紬「・・・」トントントントトン

澪「『最終的に鍋にカレーさえ入れちゃえば大概のものは結構なんとかなるから、ね?』」

梓「ずいぶんとこなれた風の助言ですね・・・」

紬「・・・」コクリ

さわ子「でも、闇鍋するわけじゃなかったのにどうして買ったのよ」

紬「・・・」チラッ

唯「・・・へい、すいやせん」

梓「なるほどです。この鍋はこれからカレー鍋でいいでしょうか」

澪「うん。異議なし」

さわ子「えぇ、いいわよ」

唯「おぉ、いいね!」

紬「・・・」ポキッ ヒョイ

グツグツ
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:56:41.58 ID:LfYoVJIxo

・・・・・・


俊美「あれ、カレーの匂いがするよ?」

ますみ「・・・あっち」

美冬「カレー鍋に変更したんだね、紬さんたちのところ」

ちか「・・・」

愛「どうしたの、ちかさん?」

ちか「あ、うん・・・。学園祭過ぎちゃったらどうなるのかなぁって・・・」

愛「28日は振り替えで休みだから・・・、ちょうど来週からですよね・・・」

いちご「普通に戻れるのかなって・・・?」

ちか「う、うん・・・」

愛「普通・・・」

和「もう夏前の日常には戻れないわね」

ちか「!」

未知子「・・・」

和「私たちクラスの席が一つ空くのよ」

美冬(そんなはっきりと言わなくても・・・)

ちか「・・・」

いちご「もう、みんな乗り越えているの?」

和「なにを?」

いちご「・・・むぎと、卒業できないという事実を」

和「・・・どうかしら、ね」

いちご「曖昧に答えるんだ・・・。どうして、そんな『席が空く』なんて表現したの?」

ちか「い、いちごさん・・・?」
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 01:58:17.79 ID:LfYoVJIxo

未知子「寂しい表現だったよ、紬さんと一緒にいられなくなるって事実を突きつけられた」

和「その事実を受け止めているのよ」

いちご「・・・」

和「そして、乗り越えるのはこれから・・・」

未知子「まるで見てきたかのようだね」

和「えぇ、見てきたわ。唯とむぎと、あの夏の中でね」

いちご「・・・」

和「いちごはどうかしら」

いちご「私は、その旅に参加していない」

和「姫子を通して見えたモノは無い?」

いちご「・・・」

和「姫子は冬と夏の間にある、切れそうな糸を繋げようともがいていたわ」

未知子「・・・そう・・・なの?」

和「・・・はっきりと出さないから、なんとなくだけど」

いちご「・・・」

ちか「繋げたのは姫子・・・さん・・・?」

いちご「・・・ちがう」

未知子「・・・」

いちご「きっかけをいつも作っていたのが、姫」

和「・・・」

ちか「それじゃあ・・・?」

美冬「ひょっとして・・・あの中に居ることで繋がった・・・?」

愛「あの中・・・?」
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:00:50.54 ID:LfYoVJIxo

・・・・・・



姉「姫子さんがフクロウのストラップを大事に持っている、とか」

夏「なんで知っているんですか!?」

姫子「こっちの台詞なんだけど、夏がどうして知ってるの?」

夏「し、知りません!」

姫子「意味が分からないよ・・・?」

姉「あはは、ごめんねー。実はさっき病院でストラップを拝見したのよ」

姫子「あぁ・・・。あの時」

姉「そう。律ちゃんはヤタガラス」

律「ん?・・・あぁ、これな」フリフリ

姉「澪ちゃんはそれ」

澪「はい。玄武です」

純「和先輩と狛犬を交代したんですか?」

澪「うん。私は北だ・・・」

姉「唯ちゃんが南の朱雀」

唯「もぐもぐ」コクリ

冬「なるほど・・・。守護神?がりですね」

姉「正解。さっすが冬ちゃん」

夏香夏「「 うん・・・? 」」

冬「アイヌ民族の信仰でフクロウは村を守る神様とされているの」

夏香夏「「 なるほど 」」

律「いつの間に買ったんだよ?」

姫子「一ヶ月前くらいかなぁ・・・」

夏「嘘です!先月までは持っていませんでしたから!」

姫子「う・・・」

風子「私もね、買ったんだよ。ほら」フリフリ

澪「風神・・・」

純「雷神様は居られるのでしょうか・・・?」

英子「・・・」

風子「どうして見せないの?」

英子「・・・ちょっと・・・派手だから・・・その・・・」

風子「は、外したんだ・・・」ガーン

英子「着けてはいるけど・・・」

律「で、いつ買ったんだよ?」

姫子「4日に・・・」

律「嘘つく必要あんのかよ・・・」

澪(紙鍵盤を渡した日・・・かな・・・)
937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:02:49.35 ID:LfYoVJIxo

冬「みなさんとおそろいですね」

夏「ブフッ」

姫子「っ!」ビシッ ビシッ

冬夏「「 いたっ! 」」

律「冬に手をあげたら後が怖いぞ姫子」

風子「姫ちゃんはいいの」

律「そうか、私はダメなんだ」

姉「ふふ。・・・あれ、風神雷神って悪神じゃなかったかな?」

風子「仏教では千手観音の守り神とされているよ。立派な善神だよお姉ちゃん」

澪(お姉ちゃん・・・?)

英子「・・・」

姉「ふーん。・・・神様を守る神様かぁ」

純「千の手があるんだから自分で守れますよね〜」プクク

律「・・・」

シーン

純「あれ、空気が止まった?」

律「そのうち天罰が下るであろう」

冬「千の手で受け止めるんです。純ちゃんの青龍も守ってくれるから大丈夫」

律「なにを受け止めるんだよ・・・」

冬「悪い事すべて・・・です・・・」

純「あ、ありがと・・・楽になった・・・」

律「ははっ・・・」

風子「あ、ヤタガラスが飛んでいった」

律「見捨てないでくださいっ!」

938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:04:24.69 ID:LfYoVJIxo

・・・・・・



和「そういうこと・・・ね」

ちか「姫子さんがきっかけを与えたのなら、それが冬ちゃんと夏ちゃんを繋げたことになるんじゃ・・・?」

いちご「・・・ちがう。姫自身はそう思っていない」

未知子「・・・結果的に繋がったから・・・それで・・・良し。じゃない・・・の?」

いちご「姫は繋げたがっていた。けど、それができなくて・・・らしくなかった」

和「いちごはどこまで見ているの?」

ちか「どこまでって?」

いちご「・・・その奥」

ますみ「カレー鍋を囲んでいる・・・」

俊美「紬さんたち・・・?」

いちご「梓・・・と、むぎ」

和「なるほど」

未知子「・・・」

ちか「・・・どういうこと?」

いちご「・・・」

和「私が学んだことを教えるわね、いちご」

いちご「・・・」

和「言葉に出す事」

いちご「!」

和「そうする事で、自分の思っている事を自分と相手で確認できる。旅で出会った人たちはそうしていたわ」

いちご「・・・っ」

和「そうする事で、たくさんの景色をみることができたのよ」

いちご「・・・っ!」

未知子「私たちでは役不足かな・・・」

いちご「ち、ちがう・・・そうじゃ・・・ない・・・」

和「本人を呼ぶわよ?」

いちご「・・・・・・・・・うん」

939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:05:33.12 ID:LfYoVJIxo



冬「姫子先輩、呼んでますよ」

姫子「?」

律「ほら、襖の隙間から・・・『おいで、おいで』と白い手が手招きを」

澪「っ!」ゴスッ

律「いたぁ!」

唯「ふすまなんて無いよ」

夏「和先輩が・・・」

姫子「うん、分かった」スッ

スタスタ

唯「私も和ちゃんたちと鍋を囲んでこよー」スッ

テッテッテ

姉「あっち側、少し空気が違うけど・・・大丈夫なのかな」

律「いつつ・・・唯が行ったから大丈夫じゃないかな」

澪「・・・・・・うん」


940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:07:36.41 ID:LfYoVJIxo


和「どうして唯まで来るのよ」

唯「ひどいよっ」ガーン

和「真面目な話なのよ?」

唯「尚更ひどいよっ!」ガガーン

姫子「真面目な話って・・・?」

いちご「・・・」

未知子「姫子さん・・・。冬ちゃんと夏ちゃんを―」

和「待って、未知子・・・。今まで代弁してくれていたんでしょうけど、ここからはちゃんと、ね」

未知子「う、うん」

美冬(未知子さんがやけに突っかかると思ったら・・・いちごさんの代弁していたんだ・・・)

いちご「・・・」

姫子「・・・どうしたの・・・?」

いちご「冬と夏を・・・繋いだのは・・・梓・・・」

姫子「!」

いちご「梓の隣にいたのは・・・むぎ・・・。姫子は・・・近くにいて遠い場所に居た。・・・これが・・・事実」

未知子「そ、そんな言い方って・・・!」

唯「・・・」

姫子「・・・うん。事実・・・だね・・・」

いちご「これで・・・よかったの・・・?」

姫子「もちろん」

いちご「っ!」

姫子「もう・・・。鍋を囲んでする話じゃないでしょ」

唯「そうだよ」

和「・・・確かに、そうね」

未知子「唯ちゃんと和ちゃんまでそんな・・・」

美冬「・・・」

ちか「・・・軽く流していいの?」

いちご「・・・」

ちか「いちごさんと姫子さんの間にあるものが何か分からないけど・・・。そんなんでいいの・・・?」

美冬(ちか・・・)

姫子「火まで消しちゃって・・・」カチッ

シュボッ

ますみ「・・・姫子さん・・・本気で流すつもり?」

俊美「ま、ますみちゃん・・・!」

いちご「・・・」

姫子「流せないよ。言ったよね、河川敷で『これでいいや』って。・・・投げやりの意味で言ったわけじゃないんだよ?」

いちご「・・・うん。知ってる」
941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:11:02.19 ID:LfYoVJIxo

姫子「冬と夏が繋がった事実。私はこれだけで充分なんだよ」

いちご「・・・・・・この先、あの二人の心に残るのは・・・梓なんだよ?」

姫子「そうだね、夏を引っ張って、冬を引き寄せたんだからね」

いちご「・・・私が忘れそうだった友達と、忘れていった友達のような・・・曖昧な存在になる」

姫子「そう。私はそんな感じだね・・・」

未知子「そんな・・・」

いちご「梓の隣にいた・・・むぎからも何か伝わっていると・・・思う・・・」

姫子「・・・うん、たくさんね」

いちご「・・・それでいいの?」

姫子「・・・うん」

いちご「姫子がどんなに冬と夏を想っても、あの二人は・・・きっと・・・いつか・・・」

唯「・・・」

姫子「まるで経験してきたかのようだね」

ちか(その言葉・・・)

いちご「してきた。・・・昔、小さい頃に私におせっかいをかける子がいて・・・
    文字通りおせっかいだったから、うっとおしくて怒ってしまったことがある」

姫子「・・・」

いちご「『邪魔だから』って怒鳴りつけて・・・。今思えば、私を想ってしてくれた事だと
    そう感じることがいくつかある。・・・なのに私は『それ』を最近まで忘れていた」

和「・・・」

いちご「人の想いを蹴飛ばしてしまった。それから人に本気で怒れなくなっていたと、『今』気付いた」

姫子「・・・」

いちご「・・・最近、それは寂しいことなんだと知った。感情は心をその場所に残すものだから
    負の感情だけど、それが・・・誰かと一緒に居た証となるから」

姫子「・・・私にはその証が残せないんだね」

いちご「・・・うん。きっと・・・冬と夏の・・・中から・・・。姫子がどんなに二人を想っていても」

姫子「・・・でもね。私の中には残ってくれるよ」

いちご「・・・」

姫子「この一ヶ月は永遠に残ってくれる。今、そう確信した」

いちご「どうして・・・?」

姫子「ありがとう、私の事を考えてくれて」ナデナデ

いちご「ッ!」

姫子「あはは、そうだよね、ビックリするよね」

唯「私もビックリだよ〜」

未知子「わ、わたしも・・・」

和「・・・あの人ね」

姫子「そう。玉恵さんにされたことを今したんだよ、いちご」
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:12:38.39 ID:LfYoVJIxo

いちご「・・・手をどけて」

姫子「ごめんごめん。・・・本当の事いうと、悔しかった」

いちご「・・・」

姫子「キャンプで旅の話を聞いて、けいおん部と和、憂、純、さわちゃん先生の間にあるものが眩しくて、羨ましくて」

和「・・・」

唯「・・・」

姫子「大きくなっているみんなに憧れて。私も・・・少しは近づけるかなって」

未知子「・・・」

姫子「冬が入部してきて、夏の雰囲気が変化していたのに・・・その事に触れようともしなかった」

いちご「・・・」

姫子「二人をつなげることが出来れば・・・私が成長した証になれる・・・とか思っていたんだよね
   それは都合がよすぎた。私の為に二人はいるんじゃないのにね」

いちご「・・・そんな風にはみえなかった」

姫子「・・・心のどこかで、そう思っていたんだよ」

いちご「・・・」

姫子「だけど、そうじゃないって、いちごが教えてくれた。『身の丈にあったことを』・・・って」

いちご「・・・言ってない」

姫子「そう受け取った」

いちご「・・・」

姫子「だから、私は冬と夏が繋がった事実があって・・・
   いちごが私の為に考えてくれた事が嬉しいから『今』を一生忘れないよ」

いちご「っ!」

姫子「ありがと」スッ

スタスタ

唯「・・・言うだけ言って行ってしまったよ」

和(さすがに照れたのね)

未知子「・・・」

多恵「・・・」

ちか「・・・」

美冬「・・・」

ますみ「・・・」

俊美「・・・」

愛「・・・」

つかさ「・・・」

いちご「・・・」
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:14:00.11 ID:LfYoVJIxo

グツグツ

唯「味噌煮込みになっちゃうよ、食べようよ」

和「名古屋で澪が食べていたわね」

唯「そうそう。って、違うよあれはうどんだよ」

多恵「名古屋の名物だよね、味噌煮込みうどん」

唯「うん、澪ちゃんおいしそうに食べてたよ〜」ヒョイヒョイ

未知子「唯ちゃんは何を食べたの?」

唯「天むすだす!」フンス!

ちか「そういえば、私はまだ聞いてなかったな、旅行の話」

唯「楽しかったよ〜。昼食終えた後にね、二つの班に別れたの」

和「動植物園班と遊園地班にね」

ますみ「・・・へぇ」

美冬「あれ、和さんも居たんだ?」

和「えぇ、名古屋では憂、私、山中先生、純も合流したわ」

愛「だからさっき名前が出たきたんですね」

唯「そういう事だよ」モグモグ

いちご「・・・」スィー

未知子「あ・・・」

和「面と向かってあんなこと言われたら、落ち着かないでしょうね。そっとしておきましょ」

未知子「・・・」

944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:14:50.12 ID:LfYoVJIxo


潮「・・・」モグモグ

信代(騒ぐと思っていたのに・・・)モグモグ

春子「パウンドケーキかぁ・・・」

千雨「・・・はい。私作れますからお手軽かと」

由記「カステラと被ってない・・・?」

千雨「あ・・・そっか」

春子「お茶だけじゃなく、紅茶もあるから悪くはないけど、他の品がいいな」

千雨「そうですね」

来美「せんべいはどうですか?」

信代「あ、いいね。・・・どうして出てこなかったんだろ」

春子「決定」

来美「言っておいてなんですけど、私作り方知らない・・・ですっ!」

春子「大丈夫大丈夫なんとかなるって」

エリ「安請け合いっぽいよ〜」

春子「作り方調べてきてね」

エリ「ラジャッ!」ビシッ

アカネ「・・・」

いちご「・・・横座るね」スッ

憂「どうぞ」

いちご「・・・ふぅ」

春子「顔赤いけど、どうしたの?」ニヤリ

いちご「・・・なんでもない」

三花「なにがあったの?」

いちご「なんでもないよ」

潮「・・・」モグモグ

慶子(畳み掛けると思ったんだけどな・・・)モグモグ

圭子「おいしいね〜」

春菜「うん。憂ちゃんといちごさんが作ったんだよね?」

憂「はい。未知子さんも一緒に」

しずか「料理上手だよね。屋台班としても頑張っているから頼りになるよ」

憂「そ、そんな」テレテレ

いちご「・・・」モグモグ

潮「あれ、いちご・・・どうしてここに?」

いちご「・・・」

信代(確かに・・・どうしてここにきたんだろう・・・)
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:17:05.61 ID:LfYoVJIxo

――・・・


紬「・・・」フゥ

梓「お腹いっぱいです」フゥ

さわ子「いい味だったわ。満足ね」フゥ

唯「カレーラーメンだ!」ヒャッホゥ

律「どれどれ・・・。お、あと4人くらいは食べられるな」

澪「あ、律・・・」

律「ん?」

澪「あれ、見て」

唯「キミにときめき恋かもねアワアワ〜。はい、冬ちゃん」

冬「いただきまーす。はい夏」

夏「よっ・・・と」ヒョイ

姫子「夏、次貸して」

夏「どうぞ。おぉーいい匂い」ウキウキ

姫子「カレー好きなの?」

夏「好きですよ〜。いつか札幌のスープカレーを食べたいと思ってて」

澪「札幌か・・・」

律「・・・これはどういう事かな」

梓「綺麗になくなったことですし、片付けましょうか」

紬「・・・」コクリ

さわ子「・・・そういえば、あなたたちお風呂に入ったの?」

紬「・・・」コクリ

梓「入りましたよ。銭湯に行きました」

さわ子「・・・・・・いつよ」

夏冬「「 さわ子先生が来る前にです 」」モグモグ

さわ子「・・・くっ」

冬「おいし〜」パァア

律「・・・くっ・・・食べたかったのに・・・!」

夏「あ・・・その・・・律先輩どうぞ」スッ

律「いい子じゃないか。・・・あーん」

夏「・・・食べさせろって事ですか?」

姫子「私に聞くの?・・・そうなんじゃないかな」モグモグ

唯「恥ずかしいねりっちゃん」

律「それをあなたたちはやっていたんだよっ」
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:17:47.14 ID:LfYoVJIxo

冬「ど、どうぞ・・・」フルフル

律「いや、震えてんだろ・・・」

紬「・・・」パクッ

梓「あ・・・」

紬「・・・」ニコニコ

唯「おぉ」

紬「・・・」パァア

律「なんか、おいしそうだな・・・」

姫子「ごちそうさま」

唯「私も食べちゃったよ」

律「残るは・・・」

夏「・・・ど、どうぞ」フルフル

律「なんで震えてんだよ」

澪「・・・」パクッ

夏「み、澪先輩が・・・!?」

律「・・・」

澪「本当だ、美味しく感じる」モグモグ

さわ子(今、自分が何をしたのか分かっているのかしら)

夏「・・・すいません・・・もう無いです・・・」

律「いいって、気にするな」キラキラ

唯純「「 さわやか! 」」
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:20:09.75 ID:LfYoVJIxo


――・・・


唯「よいしょっとーっ!」ピョン

モフッ

唯「おぉーお日様の匂いがするよ〜」モフモフ

梓「もう寝るんですか?」

唯「だって、散歩で疲れたんだもん」ゴロゴロ

春子「唯、まだちゃんと敷いていないんだから」

唯「でっへっへ」

澪「敷布団干していたんだ?」

春子「提供できる分だけ・・・だけどね」

律「数は限られているのか・・・」

純「恒例のジャンケンターイム!」

冬「恒例?」

純「布団争奪戦」

冬「よ、よし」グッ

夏「負けた人は?」

春子「・・・さわ子先生が持ってきてくれたシュラフと・・・寝茣蓙」

風子「・・・」メラッ

英子「・・・」

夏香「私泊まるつもりじゃなかったのに・・・」

姉「思い出は積極的に作らなきゃいけないのよ」

冬「そうですよね!」

姉「与えられる道なんて必要ないの」

夏「おぉ・・・かっこいい」

梓「道・・・。それは決まっているんじゃないんですか?」

姉「!」キラン

夏香「・・・」ハァ

姉「道だと?私たちが行く所に、道は必要ない」キリ

夏冬「「 !!! 」」

梓「道は・・・ないんだ・・・・・・」

姫子「どうしたの?」

梓「いえ・・・。ここに私たちがいることって・・・決められていたのかなって思うときがあって」

律「運命ってやつか?」

澪「・・・」

梓「そうです。・・・むぎせんぱいの後ろについていって見る事ができた景色。出会えた人たち」

純「・・・」

梓「それって、まるで・・・」

唯「私たちがそう望んだからだよ〜」
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:21:31.60 ID:LfYoVJIxo

梓「・・・」

唯「一緒に居たいと想って、一緒に見て行きたいと望んだから道が後ろにできたんだよ」

梓「・・・」

澪「そうだな、作られていた道なんかじゃないよな」

風子「・・・」

律「梓が言うのは・・・ひょっとして・・・」

澪「りつ」

律「あ、うん」

梓(私は知らないままで、むぎせんぱいを見送るところだった・・・)

唯「あれ、むぎちゃんは〜?」

春子「いちごたちと歯を磨いているよ。もう少ししたら来るんじゃないかな」

梓(むぎせんぱいが作った道の上を歩いていただけ・・・だったんだ・・・)

ボフッ

春子「敷いたからいいんだけどさ、ジャンケンはしないの?」

唯「今はそっとしておいてあげて!」

梓(これからは私が―)

律「うりゃっ!」バッ

唯「ふぉっ」

梓「ふにゃっ」

律「自業自得だ。真っ暗な世界で恐怖を味わうがいい」フハハ

澪「寝転がっただけだろ・・・。掛け布団被せただけでなにかの大王気取か」

純「人数多いですからジャンケンだと時間かかりますよね」

律「そだなー・・・って、なんだこの二人」

冬夏「「 ・・・ 」」キラキラ

夏香「映画のラストシーンの台詞を引用しただけだよ〜。目を覚まして〜」

姉「Take me away i don't mind♪」

夏「いい事言っていましたよ!」

冬「は、はい!」

姉「そ、そうでしょ」

夏香「というか、姉さんも帰らないの?」

姉「お家帰っても寝るだけだからつまらないんだもん」

夏香「だもんって・・・歳を考えろっ」シュッ

姉「ぼふっ」

律「お、開戦だな」
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:23:17.57 ID:LfYoVJIxo

澪「むぎがまだ・・・あぶないっ」サッ

シュッ

冬「ふぶっ」

風子「澪さん・・・」

澪「ち、違うんだ・・・枕が飛んできたら避けるしか・・・」オロオロ

夏「投げたのは・・・紬先輩でしたか・・・」

紬「・・・」コクリ

いちご「なにかが始まってる・・・」

春子「恒例っちゃ恒例だけど・・・私は不参加で隅っこにいるよ・・・」

英子「うん。そうしよう」

未知子「・・・うん」

律「これで決めるかー。当たったらそこで退場な。最後まで残った人から選べるってことで・・・あぶなっ」サッ

純「・・・おしい」

律「説明の最中だろ・・・卑怯だぞ、純」ジリジリ

純「ここは戦場ですよ?」

律「ふふ、逞しくなったもんだな」

純「おかげさまで・・・」

律「おりゃっ」シュッ

純「・・・っ」サッ

シュー

英子「和さん危ない!」

和「・・・」バシッ

律純「「 弾いたっ!? 」」

和「顔に当たったら痛いじゃない・・・。こっちはメガネなのよ」

風子「バリア張ろう。ほら、アキヨちゃんも」

アキヨ「・・・帰るから別に・・・後ろ」

シュッ

風子「おっと、バリアー」

ボフッ

和「後ろから来てるのに前にバリア張ってどうするのよ」

風子「・・・」

律「風子退場ー♪」

純「なにやら嬉しそうですね」

律「いつもやられっぱなしだからなー♪」

紬「・・・」シュッ

多恵「ちょっふにゅ」ボフッ
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:24:43.17 ID:LfYoVJIxo

姉「なつ・・・口調が戻ったね・・・」

夏香「姉さんが恥をかかせるからだよ・・・。さっさと帰れ」

夏「な、夏香先輩がアウトローに」ガクガク

冬「・・・」ブルブル

姉「昔は私に対してこんなんだったんだよ。いつからか・・・周りに合わせるようになっちゃって!」シュッ

夏香「・・・」サッ

エリ「ぶふっ」

夏香「あ・・・ごめんね、エリちゃん」

アカネ「なにこれ・・・」

三花「飛び交う枕・・・分かった。枕投げだ」

ちか「見て分かるでしょ〜。参戦〜」

潮「戦々恐々という言葉をみんなに知らしめて」ボフッ

信代「アホめ」ニヤリ

慶子「容赦ないね」

潮「復活はありですか!」

澪「無しです!」

夏「梓はどこ・・・?」キョロキョロ

冬「あっち」

夏「紬先輩のボディーガードのつもりかね・・・」フッ

冬「どうするの?」

夏「一度決着をつけなきゃいけないと思ってたんだ〜」

冬「・・・」

夏「冬ねぇは座っててよ」

冬「ううん。大丈夫」

夏「無理だけは・・・」

冬「しないよ。だいじょうぶだから」

夏「分かった」
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:25:51.49 ID:LfYoVJIxo


梓「あっちです!」

紬「・・・!」サッ

シュッ

律「ずりいぞ!」

梓「なにを言っているんですか、共同戦線です」

純「まずは梓から崩しましょう」

律「敵の敵は味方だと言うのか?」

純「まずは減らしてから、堂々と戦いましょう」

律「面白い、いいだろう」

純「それでこそ律先輩、屈んでください!」

律「っ!」サッ

シュッ

澪「・・・おしい」

ちか「もうちょっとだったのに」

律「澪とちか・・・か。なにやら読まれているな」

純「少し退きましょう」

律「あぁ・・・」

ススッ

夏「梓、勝負ッ」シュッ

梓「・・・!」

紬「・・・」バシッ

冬「おぉー」

梓「た、助かりました」

紬「・・・」キリ

夏「さすが・・・」

冬「・・・」

夏「一対一で勝負しようじゃない」

梓「・・・フッ」

夏「鼻で笑った!?」

梓「むぎせんぱいの今の動きで怖気づいたんでしょ?」

冬?「・・・紬先輩にお話があるんです」シンナリ

紬「・・・?」

梓(冬とダブってみえた・・・)
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:26:57.27 ID:LfYoVJIxo

冬?「後で・・・聞いてくれますか?」

紬「・・・」コクリ

冬?「よかった・・・」チラッ

梓「・・・」イラッ

冬「な、夏・・・?」

夏「冬ねぇはちょっと離れてて」

冬「う、うん」

梓「むぎせんぱい、共同戦線を今だけ解除です。倒しておくべき相手を見つけました」

紬「・・・」コクリ

夏「梓とは一度白黒つけたかったんだよねー」ジリジリ

梓「あっそ・・・」ジリジリ

冬「・・・」オロオロ

紬「・・・」

律「しめしめ、あっちの二人隙だらけだぜ」

純「うっしっし、今のうちに叩いておきましょうぜ」

律「・・・なんか小物っぽいな」

純「・・・ですね」

律「弱点となってる今、攻撃あるのみ!」

純「そうです!」

律「おりゃっ!」シュッ

冬紬「「 ! 」」

風子「・・・」バシッ

律「ちょっと待て、風子は退場者だろ」

風子「私バリアーだよ?」

律「なんだその理屈・・・」

純「バリアーならしょうがないですね・・・」ゴクリ

律「納得しなきゃいけないのか・・・!?」

風子「はい、冬ちゃん。反撃して」

紬「・・・」フンス!

冬「はい。・・・えいっ」

ヒュー

律「・・・」バシッ

冬「・・・力不足です」

律「・・・」ニヤリ

純「・・・」ニヤリ
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:28:05.36 ID:LfYoVJIxo

律「そんじゃ、反撃させてもらう・・・って、枕がない!?」

純「うわ・・・囲まれてる・・・」

澪「風子が私たちに枕を配っていたんだ」

ちか「・・・お縄に付くときが来たね、りっちゃん」

和「観念なさい」

律「裁かれるのか、私・・・?」

風子「・・・ふふっ」

姫子「ふぁ・・・まだやってたの・・・?」

アキヨ「・・・決着つくと思うよ」

姫子「早く寝たいなぁ・・・」ボケー

律「一矢報いるっ」シュッ

唯「おっとぉ!」バシッ

律「なぬっ」

唯「姫ちゃんの眠気を払っちゃあいけねぇよぉ!」デデン

姫子「この間払ったじゃん・・・」ボケー

律「ぐ・・・」

シュー

律「っ!」ボフッ

冬「あ・・・」

風子「冬ちゃん、ナイスコントロール」グッ

紬「・・・」グッ
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:29:54.61 ID:LfYoVJIxo

姉「・・・」グッタリ

夏香「・・・まったく、仕事終わってからすることじゃないでしょ」

姉「・・・ふふっ」

夏香「あの映画のエンディング曲を口ずさむのは・・・いい事があった時のくせ・・・」

姉「うん」

夏香「あの二人の事・・・?」

姉「うん。それと・・・」

夏香「・・・」

姉「・・・こういう事」スッ

夏香「・・・」

姉「気付いてたでしょ」

夏香「毎日見ているんだから、変化ぐらい気付くよ。その薬指。
   ちゃんと姉さんから報告聞きたかったから」

姉「そうだね・・・。ありがと、最後に付き合ってもらっちゃって」

夏香「・・・今更、そんな改まって言われると困るんだけど」

姉「ありがとね・・・。久しぶりになつとはしゃげて・・・楽しかった」

夏香「私たちが帰ってから・・・?」

姉「うん・・・。あの二人が気がかりだったから」

夏香「そんなに・・・背負う事なの・・・?」

姉「あの二人がきっかけだったからね」

夏香「・・・そっか」

姉「・・・私が、あの家を出て行っても・・・なつは・・・私の妹だから」

夏香「・・・うん」

姉「たった一人の大切な・・・」

夏香「・・・うん。おめでとう、お姉ちゃん」

姉「ありがとう、なつ」
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:30:50.27 ID:LfYoVJIxo

英子(おめでとう、お姉さん)

澪「そろそろ寝ようか・・・」

紬「・・・」コクリ

律「あの二人を止めないと横になれないな・・・」

純「いつまで遊んでいるんだか・・・」


夏「なんでいっつも私の意見を取り入れないの!?」シュッ

梓「なにをっ」サッ

夏「ジュースもあった方がいいでしょっ」シュッ

梓「お茶と紅茶で充分だって!」シュッ

バフッ

唯「おぉ、ぶつかり合ったよ」

憂「二人は同じ極なんだよ」

唯「戻ってきたんだね」

憂「うん、タオルケット数枚あれば大丈夫だよね」

いちご「・・・同じ極って?」

憂「S極とS極は弾いちゃうって事です」

信代「あぁ、なるほど」

慶子「似てるもんね」

梓「そっちこそっ、私の意見聞かないでしょ!?」シュッ

夏「あれは意見じゃなくて、ワガママだって」サッ

梓「なっ!」

夏「別にいいじゃん、沖縄の料理でも!」シュッ

梓「っ!」サッ

夏「いやだいやだと駄々こねてるみたいだっての」

梓「みんなが口にした事のある料理がいいって事だって!」シュッ

夏「・・・」バシッ

梓「・・・!」

夏「本当に?」

梓「うん。一般論であって、他に理由は無い」

夏「それは、いちご先輩と憂が試作品として作ったことに対してあまりにも小さくない?」

梓「小さくないよ。食べたことが無いからかもしれないけど・・・、文化が違うから」

夏「知ろうとしないだけでしょ。なにその取ってつけたような理由」

梓「!」

夏「作ってもらえばいいでしょ。憂に頼めば」

梓「スクガラスって料理が口に合わなかったから・・・」

夏「確か・・・小魚の塩の漬物・・・だっけ。食べたことあるんだ?」

梓「・・・うん。とても変わったものだったから・・・沖縄の料理って聞いて」

夏「ただのトラウマか・・・くだらない」

梓「う・・・」
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:31:59.07 ID:LfYoVJIxo

憂「梓ちゃん、サーターアンダギー持って来たよ」

夏(反対していたの聞いていたっけ)

梓「明日の朝食べる・・・」

憂「うーん・・・お姉ちゃんが食べちゃうかも」

梓「・・・」

夏「今食べろっ!」シュッ

梓「・・・っ・・・歯を磨いた後でしょ」シュッ

夏「っ・・・また磨けよっ」シュッ

梓「っ!」サッ

姫子「ふぁ〜・・・」

シュッ

ボフッ

姫子「ふむッ!」

夏梓「「 ・・・あ 」」

「「 ・・・ 」」シーン

冬「狙っていたわけじゃないんですよ。流れ弾ですよ」オロオロ

姫子「よいしょ・・・動かないでね、夏」

夏「止めておいたほうがいいですよ・・・」

姫子「ッ!」ブンッ

ガラガラッ

さわ子「ふぁ〜・・・」

「「 あ! 」」

シュッ

さわ子「ほぶっ!」

律「・・・」バタリ

澪「・・・」バタリ

多恵「倒れた・・・?」

未知子「見てなかったフリしているんだよ」バタリ

エリ「ずるいよー・・・」バタリ

潮「やばっ」バタリ

春子「起きていた人が犯人じゃん」バタリ

アキヨ「・・・」バタリ

姉(このまま寝ちゃおう)バタリ

夏「・・・」バタリ

紬「・・・」バタリ

「「 ・・・ 」」シーン
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:33:43.29 ID:LfYoVJIxo

さわ子「どうしてみんな寝ているのよ・・・」ゴゴゴ

律「くかー」

冬「・・・」ビクビク

さわ子「修学旅行じゃあるまいし・・・。消灯時間なんてないのよぉ?」ゴゴゴ

信代(おっかない・・・)

アカネ(怖い・・・)

梓(姫子先輩も寝てるって事・・・?)チラッ

夏「・・・」コクリ

さわ子「枕投げたの誰よぉ」ゴゴゴ

風子「ノーコンの姫ちゃんです」ヒソヒソ

律「ブフッ」

さわ子「りっちゃんなのね?」

律「違う違う!」アセアセ

姫子(さすがに濡れ衣を着せるのは・・・)

ガシッ

姫子(純・・・?)

純「どう乗り越えるのか拝見しましょー」ヒソヒソ

姫子「いや、つられて寝ちゃったけどさ」

純「律先輩は面白い事してくれるはずです」ヒソヒソ

律(聞こえてるっつの)

さわ子「じゃあ誰なのよぉ・・・白状なさい?」

律「えぇと・・・通りすがりの吉田さんが」

冬「ブフッ」

さわ子「ッ!」ブンッ

律「ほぶっ」

さわ子「スッキリしたわ・・・。みんな起きていいわよ」

信代「やれやれ・・・」

姫子「すいません。投げたの私です・・・」

エリ「ちゃんと白状したね」

さわ子「あら、そうなの。まぁ、いいわ・・・」

律「・・・」

姉「」スヤスヤ

夏香「・・・まったく」ファサ

冬「寝ちゃいましたね」

夏「なんだか嬉しそう」
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:34:19.81 ID:LfYoVJIxo

姉「」スヤスヤ

夏香「左手みて」

冬夏「「 あ・・・ 」」

夏香「・・・そういう事」

冬「わぁ・・・」キラキラ

夏「・・・嬉しい」

夏香「・・・うん。ありがとう」

美冬「・・・なるほど」

春子「みんな寝る準備してー」

唯「はいよー」ガサゴソ

澪「寝茣蓙でいいのか唯は?」

唯「大丈夫だよ」キラン

梓「むぎせんぱいはどっちで寝ますか?」

紬「・・・」スッ

梓「シュラフですか・・・了解です」

さわ子「よいしょ」モゾモゾ

律「枕投げ参加していないのに布団とるなよ」

さわ子「仕事で疲れているのよ、労わりなさい」

三花「強引だー」
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:35:24.66 ID:LfYoVJIxo

和「・・・」モゾモゾ

憂「・・・」

夏「・・・あれ?」

冬「どうしたの?」

夏「電気点いたままだけど・・・このまま寝るんですか?」

澪「・・・さわ子先生・・・懐中電灯もってきていませんか?」

さわ子「」スヤスヤ

潮「もう寝とる!」

信代「誰か消してー」

ちか「言いだしっぺの人がいいと思いまーす」

春子「・・・あっちの壁にスイッチあるから」スッ

唯「ちょっと距離あるね」

律「頼んだぞー」

エリ「・・・」

シーン

律「おい、こら。他人任せかよ」

姫子「律もね」

純「じゃあジャンケンしましょー」

夏「また・・・?」

冬「それじゃ、片手を天井に突き出してくださいねー。両手を出して『一つ多い』なんて事にならないようにしましょう」

夏香澪夏「「「 ! 」」」ビクッ

潮「面白いねそれ。私がちゃんと数えるから」ウキウキ

慶子「・・・それじゃあ」
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:35:58.44 ID:LfYoVJIxo

「「 ジャーンケン 」」

バッ

紬「・・・」グー

唯「・・・」チョキ

澪「・・・」パー

律「・・・」グー

梓「・・・」パー

憂「・・・」チョキ

和「・・・」チョキ

さわ子「」スヤスヤ

純「・・・」ピストル

姫子「・・・」チョキ

いちご「・・・」グー

春子「・・・」グー

信代「・・・」パー

潮「・・・」ピストル

慶子「・・・」キツネ

風子「・・・」チョウチョ

英子「・・・」パー

夏香「・・・」チョキ

姉「」スヤスヤ

エリ「・・・」グー

アカネ「・・・」パー

三花「・・・」チョキ

ちか「・・・」グー

美冬「・・・」パー

冬「・・・」パー

夏「・・・」パー

未知子「・・・」グー

多恵「・・・」チョキ

アキヨ「」スヤスヤ

「「 ・・・ 」」シーン

律「どうだ、潮ー」

潮「29人中26人の手が挙がっていたよ」

律「うむ。決着がつくわけが無いな」
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:37:09.59 ID:LfYoVJIxo

和「・・・影絵をしていたのは誰?」

慶子風子「「 ・・・はい 」」

和「天井を指差していたのは誰?」

純潮「「 はい。ちなみに銃です 」」

和「4人で決めてね」

慶子風子純潮「「「「 はい 」」」」

和「おやすみ」モゾモゾ

律「・・・なるほど」

夏「冬ねぇ、眠くないの?」

冬「眠りたいけど・・・まだ、眠りたくない」

姫子「頑張るんだ・・・。片付けの後に散歩したから疲れたんじゃない?」

冬「だいじょうぶ・・・ですよ・・・」

夏(・・・どうしたんだろ)

風子「消すよー」

梓「ふぅ先輩が負けたんですね」

英子「ううん。勝ったのに自ら進んで消しにいったんだよ」

春子「ジャンケンの意味ないね・・・」

夏香「遊びたかっただけだから、ふぅは・・・」

冬「ふふっ」

風子「返事してー。消すよー」

潮「いいよー」

カチッ

律「おわっ、真っ暗だな」

春子「風子大丈夫ー?」

風子「ダメー。誰か携帯で私を誘導してー」

冬「それでは」パッ

風子「はいはい」

澪「灯りに集る虫みたいだな」

風子「そうですよ〜、太陽の位置を確認しないと飛べないんですよ〜」

唯「なにを言っているんだい?」

冬「昼間の虫は太陽の位置を確認しながら飛んでいるそうです
  太陽は広大な面積を照らしてくれますから、ちゃんとまっすぐに飛べるんですね」

律「風子はまっすぐ飛べないのか?」

梓「人間ですよ」

律「間違えた。夜の虫が街灯に集るのはまっすぐ飛べないって事か?」

冬「はい。暗闇の中で一つの灯りを確認しながら飛ぶとどうしても引き寄せられてしまうみたいです」

風子「到着〜」
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:38:35.90 ID:LfYoVJIxo

姫子「月の中では飛べないんだ・・・」

夏「太陽と比べるとちょっと分が悪いですね〜」

いちご「人は月を見て想える事がある」

夏「・・・詩情的です」ウンウン

姫子「・・・」

紬「・・・」

冬「あ・・・の・・・戻らないんですか・・・?」

風子「少しお話しようよ」

唯「和ちゃーん・・・」

憂「寝ちゃったよー・・・」

澪「向こう側しずかだな」

純「ほとんどの人寝ちゃってますね」

姫子「いい時間だからねー・・・」

冬「は、話・・・ですか・・・」

風子「うんうん」

英子(楽しそう・・・)

紬「・・・」ツンツン

梓「あ、姫子先輩に聞きたいことがあるんです」

姫子「うん・・・?」

梓「キャッチボールの相手って夏限定なんですか?」

姫子「・・・」

夏「あはは、この季節だけ投げられます。みたいな感じだ」

梓「夏黙ってて」

夏「ぐっ・・・」

冬(最初のキャッチボールからずっと・・・ですよね)

姫子「まぁ・・・うん・・・そうだね・・・」

いちご「どうして?」

春子(濁らせようとしてたのに・・・)プクク

姫子「・・・起きてる人ってここだけかな?」

澪「起きてたら手を上げてー」

冬「・・・」パカッ

風子「明かりがないと見えないもんね。気の利く子ですね」

純「・・・風子先輩が私を見ているような気がする」モゾモゾ

潮「・・・」スッ

信代「あげるなよっ」ヒソヒソ

潮「え・・・?」

慶子「聞けるかもしれないでしょ」ヒソヒソ

潮「なるほど」ヒソヒソ

「「 ・・・ 」」シーン
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:39:45.97 ID:LfYoVJIxo

律「いないみたいだぜ」

唯「みんな寝るの早いよー」

澪「寝てるみたいだ」

姫子「・・・」

夏「習慣みたいなもんでしたよね」

姫子「・・・うん」

いちご「・・・」

冬「夏は・・・。部長さんに無理やり入れられたと言っていましたよ」

夏「ちょっ、冬ねぇ!」

梓「しずかにして、先輩方寝ているんだから」

夏「あずさぁ・・・」ワナワナ

姫子「そうだったんだ?」

夏「・・・はい」

冬「最初にキャッチボールをしたのが姫子先輩で、ボールがちゃんと飛んでこないって」

姫子「・・・」

律「ノーコンだもんな」

冬「最初嫌がらせかと思ったって」

風子「あらら」

冬「でも、真剣に投げてくれるから・・・。捕ってみたくなったと・・・ね?」

夏「・・・うん」

姫子「・・・」

律「へぇ・・・。夏って我慢強いのな」

夏「・・・どうですかね」

いちご「・・・真剣だったの?」

姫子「・・・うん。夏が私のボールを追いかけていって・・・。それでも私に投げ返してくれるから
   ちゃんと投げたくて・・・。ちゃんとキャッチボールしたくて・・・ね」

夏「・・・!」

唯「いいですな」

律「そうですな」

和「そうね」

姫子「寝てたんじゃ・・・」

和「寝ようとしていたのよ」

唯「返事してよっ」

梓「だそうですよ」

紬「・・・」コクリ

澪(むぎが聞きたかったことなのか・・・)
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:41:01.37 ID:LfYoVJIxo

夏「だから、姫子先輩がいないから・・・キャッチボールが物足りないんですよねー・・・」

姫子「そう・・・。退屈しのぎだったみたいに言わないでね・・・」モゾモゾ

夏「そんなんじゃないですってば」

風子「ふふっ」

冬「・・・」


信代(あの姫子がねぇ・・・)

潮「なんか、意外だね」

慶子「・・・うん。優しい一面っていうか・・・」


紬「・・・」ツンツン

夏「どうしたんですか?」

紬「・・・」

夏「?」

紬「・・・」チョンチョン

夏「枕・・・?・・・あぁ、さっきの枕投げの時の」

紬「・・・」コクリ

夏「あ、あれは・・・えぇと・・・」

梓「話があるんでしょ?聞いてくれるそうだから頑張って話してよ」

夏「う・・・」

風子「梓ちゃん意地悪だねぇ」

梓「なっ!?」

夏香(言われたくない人に言われたね・・・)

姉「・・・ぅ・・・ん」

夏「冬ねぇ、タッチ」チョン

冬「話ならなんでもいいんですか?」

紬「・・・」コクリ

風子「オッケイだよ」

冬「私、旅をする事に憧れているんです。自由になれる旅に」

姫子(自由・・・)

唯「ほほぅ」

梓「・・・」
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:43:20.16 ID:LfYoVJIxo

冬「入院した時は・・・。見舞いに来てくれるの夏くらいで・・・。両親は仕事で忙しいのであまりこられなくて
  仲良くなった人はすぐ退院していって・・・世界中で自分ひとり取り残されたような気になっちゃって
  ずいぶん鬱々していたんですよ」

姫子「・・・」

冬「私、旅行することが好きだったんですよ、でも小さい頃からあまり丈夫なほうじゃなかったんですね
  だからいつも旅行雑誌とかばっかりみてて」

夏「・・・」

冬「ふふ、バカですよね、いくら想像しても、本当の旅じゃないっていうの分かっているのに」

紬「・・・!」

梓「・・・」

冬「それを・・・。ある人にそのままメールで愚痴ってしまったんです」

純「それって・・・」

冬「うん。・・・相馬轍さん」

梓「・・・」

風子「・・・」

冬「返ってきたメールにはこう書かれていました」


『人の心には翼があるんだよ。例え、旅をしても、そこで何も感じることがなければ、そんなの本当の旅じゃない』


唯「おぉ・・・」

梓「それを・・・どう受け取ったの?」

冬「私自身も旅をしているって伝えてくれた。顔も見えない私を励ましてくれた」

律「・・・」

冬「相馬さんが見た景色を私も感じたい。と、強く願えたんですよ」

澪「・・・」

冬「それを・・・前回の鍋の時に思い出しました。梓と・・・その、ケンカをしたとき・・・」

姫子「・・・」

夏「そうだったんだ」

冬「うん。・・・来年、行こうよ」

夏「うん。・・・来年に、行こうか」

冬夏「「 『約束の場所』へ・・・ 」」

梓(約束・・・か・・・)

姉「・・・っ」グスッ

夏香「起きてたの?」

姉「嬉しくてつい・・・もう寝るから・・・」グスッ

夏香「・・・」
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:44:00.10 ID:LfYoVJIxo

澪「その場所は見当がついているの?」

夏「展望台だったような・・・」

冬「岬じゃなかったかな・・・」

姫子「・・・どこなの?」

夏「北海道の釧路辺りかなぁ」

冬「親戚の家が釧路なので」

澪「なるほど・・・」

律「んー?話が見えないけど、澪は知ってんのか?」

澪「むぎもな・・・」

唯「詳しく聞かせてもらおうか」キラン

梓「寝ないんですか?・・・みなさん寝ちゃってますよ?」

姫子「それじゃ、寝ようか・・・」

いちご「・・・うん」

唯「えー・・・」

冬「釧路と言えば・・・。相馬さんもフェリーで降り立ったのが釧路港なんですよね」

夏「ふーん・・・」

唯「そう言ってたね」

姫子「・・・ふぁ・・・ねむ」

紬「・・・」

梓「むぎせんぱい、起きてますか?」

紬「・・・」トントン

梓「そうですか・・・。って話を聞いていたんですから当然ですよね」

風子「・・・私も起きてるよ」

梓「そ、そうですか・・・」

律「玉恵ちゃんも釧路からスタートしたって言ってたな」

冬「滝沢玉恵さんですね」

姫子「知ってるの!?」

冬「え!?」

澪「ひ、姫子・・・声が大きいっ」ヒソッ

姫子「どうして知ってるの!?」

冬「え、えぇと・・・観光名所で会っていたと記事にあって・・・」

夏「冬ねぇ怯えてますよ」
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:45:37.96 ID:LfYoVJIxo

エリ「姫ちゃんうるさーい」

ちか「姫ちゃんうるさいよー」

未知子「姫ちゃんうるさいよー」

多恵「ひ、姫ちゃん・・・」

律「なんで姫ちゃんって言ってんだよ」

春子「さわ子先生が起きたから・・・」

憂「起きちゃいましたか」

さわ子「ほら、言いなさい」

美冬「姫ちゃんうるさーい」ボソッ

アキヨ「」スヤスヤ

姫子「もしかして、玉恵さんの記事が載っている雑誌を知ってるの冬!?」

いちご「・・・おちついて」ビシッ

姫子「いたっ」

律澪唯「「「 えっ!? 」」」

紬「・・・!」

純(チョップした!)

冬「し、知ってますよ・・・」ガクガク

夏「持ってますよ。あたしは読んだ事ないけど」

姫子「・・・」

紬「・・・」

梓(聞く側にまわってしまう・・・)

澪「釧路を中心に周っていたの?」

冬「い、いえ・・・。道北から道東にかけてです・・・」

律「うわ・・・。すげえ範囲だな・・・」

姫子「多和平について触れてる記事ってあった?」

冬「玉恵さんの記事でですよね?」

姫子「うん」

律(なんだこの食いつきは・・・)

紬「・・・」

梓(明かりが無いから手元を見る事が出来ない・・・。それは私たちに伝える手段がないってこと・・・)

冬「ありませんでした」

澪「多和平って?」

姫子「大地の緑と空の青のツートンカラーの世界、どこをみても地平線、どっちを向いても空と大地。視界のほとんどが空。・・・という場所」

唯「」ウトウト

冬「どうしてですか?」

姫子「今の多和平の紹介はそのまま引用しただけなんだよ」

冬「あ・・・。相馬さんの記事・・・」
968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:48:41.82 ID:LfYoVJIxo

紬「」ウトウト

梓(声でしかキャッチボールができない今のこの場所で・・・むぎせんぱいは心細くならないのかな・・・)

澪「相馬さんの北海道の記事って姫子は持っているの?」

姫子「父さんのだけどね。大体読んだよ」

冬「ファンになりますよね!」

夏「続きは明日にして、みんな寝ているから」

冬「あ、うん・・・」

風子「」スヤスヤ

律「はは、ここで寝ちゃってるよ」

冬「風邪ひくといけませんから・・・」ファサ

夏「冬ねぇがひいちゃうでしょ」ファサ

風子「」スヤスヤ

律「三の字で寄り添って寝ろよ」

澪「枕の位置変えないといけなくなるだろ」

紬「」スヤスヤ

梓(私だったらどう思うんだろう・・・)

律「姫子が免許取る決意が生まれたのって、やっぱ玉恵ちゃんの影響?」

姫子「影響は受けたけど、背中を押してくれたのは相馬さんだよ」

律「マジで・・・?どうしてだよ」

姫子「昔の記事・・・といっても、まだ新人扱いの隅っこの欄に載ってたんだけど」

冬「そ、それは・・・!?」ゴクリ

夏「動かないでよー」

姫子「それはね―」


『むき出しの身体で、バイクと一緒になって、風を切り裂くように走ったり、のんびり穏やかに流れてみたり、

 全身使って動かして、身体中で世界を感じながら走る。そんな気分になった

 車よりも不便だけど、自転車よりも早くて。鉄道よりは疲れるけど、思いついた瞬間に曲がって止まれるバイク

 旅する相棒としては最高だなって、真剣にそう思うぜ』


姫子「―ってさ。私も自分で走ってみたいって思った。誰かの後ろじゃなくて」

冬「わぁ・・・」キラキラ

夏(表情見えないけど嬉しそうな顔してるのは分かるな・・・)

律「『思うぜ』って・・・若いなソーマ・・・」

姫子「高校卒業してすぐ書いたみたいだから・・・。実質私らと変わらないよ」

いちご「・・・」

紬「」スヤスヤ

梓(果たせる約束を私たちは結ぶ事ができるのかな・・・)
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:49:44.11 ID:LfYoVJIxo

澪「『緑』と『風』・・・」

律(最近・・・見ている方向が・・・違う気がする・・・・・・。気のせいかな・・・)ウトウト

冬「起きてて・・・よかっ・・・たぁ・・・」ウトウト

夏「限界だね、おやすみ」

冬「」スヤスヤ

澪「おやすみ」

姫子「おやすみ」

律「」スヤスヤ

梓(気軽に約束を交わせなくなったのかな・・・それはそうだ。月曜日には・・・)モゾモゾ

純「聞いてた?」

梓「え?」

純「・・・なんでもない」

梓「?」

夏「・・・」モゾモゾ

梓「・・・夏に聞きたいことが」

夏「ん?」

梓「その・・・あの発作・・・っていうのかな」

夏「・・・うん」

姫子「・・・」

梓「発作が起きるのに・・・どうして冬の近くに・・・いたの?」

夏「・・・それは」

純「・・・」

夏「嬉しいじゃん。冬ねぇの側に誰かが居てくれんの・・・。忘れるくらい見ていたかったから」

梓「・・・」

夏「逃げて楽になるより、ちゃんと噛み締めていたい時間だったから」

梓「・・・そう」

姫子「・・・っ」

夏「・・・・・・ありがと」ボソッ

純「・・・」

梓「・・・え?」

夏「おやすみぃー」

梓「うん・・・。おやすみ」
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:51:15.35 ID:LfYoVJIxo

姫子「目が覚めちゃった・・・」

いちご「みんな寝てるのにね」

純「まだ起きているのって、私たち4人だけですか・・・?」

梓「・・・」

シーン

梓「・・・なんだか心細いです」モゾモゾ

純「母親が先に寝ちゃって不安になる子供みたい」

梓「・・・まだ、子供だよ」

姫子「どうしてむぎは・・・自分を表現することにためらいがないのかな・・・?」

いちご「・・・」

梓「きっと、あるがままの心を持っているんです。人をまっすぐみて、人のこころに触れてしまえるから
  周りの人を安心させて・・・。それがどんどん広がって・・・だから、むぎせんぱいも楽しいのではないでしょうか
  そんなこと聞いたこと無いですから分からないですけど」

紬「」スヤスヤ

いちご「あるがままの心を持てないのは弱さ・・・なのかな」

梓「弱さだとしたら・・・それはきっかけになると思います」

純「自分が強くなる為の?」

梓「うん」

いちご「いつの間にか築いた、自分らしさの檻の中で・・・もがいて・・・」

姫子「それは私?」

いちご「違う・・・。私・・・」

姫子「・・・」

いちご「自分ができなかった事を、姫に押し付けてた・・・。ごめんね」

姫子「いいって・・・」

梓「・・・」

純「・・・」
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:52:35.36 ID:LfYoVJIxo

いちご「・・・梓」

梓「なんですか?」

いちご「旅って・・・なに・・・?」

純(核心をつく問いだと・・・思う・・・)

姫子「・・・私も聞きたい」

梓「夏の旅で・・・むぎせんぱいと出会った人がいて・・・その人と一緒に『旅に出た意味』を探していたんです」

姫子「『旅に出た意味』・・・」

梓「出会いがあって別れがあるのが旅・・・。唯先輩とあの子が別れた後、とても寂しそうだったんです」

唯「」スヤスヤ

いちご「・・・唯が?」

梓「はい。でも、すぐいつもの唯先輩の戻りましたけど・・・」

姫子「・・・」

梓「唯先輩が感じた寂しい事、出会ったその人が見つけた楽しい事。時間が過ぎればそれは忘却の彼方です」

純「・・・」

梓「それはとても切なくて、苦しくて、大切だから取り戻したくて・・・」

いちご「・・・」

梓「だから人は、新しい時間を見つける為に・・・、旅をするんです」

姫子「それは、時間の上書きになるんじゃない?」

いちご「・・・代わりの時間を見つけるだけなら、埋もれていった時間がいつかは消える」

梓「・・・」

純(紬先輩と見てきた旅を問いただされた・・・)

姫子「時間の流れはそんなに優しいものじゃないよね」

梓「・・・そうですね。この先に避けきれない別れがありますから」チラッ

紬「」スヤスヤ

いちご「別れの時に学ぶことがあるから、人は出会うの?」

梓「・・・そうなんだと思います。誰かとずっと一緒にいられることは絶対ではありませんから」ジー

紬「」スヤスヤ

純「・・・」

姫子「・・・」

いちご「・・・」
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:55:01.68 ID:LfYoVJIxo

梓「時間が流れれば、その場所は風化していくんでしょうね。あるいは風景を変えてしまって
  元々あった、残っていて欲しいと思う場所ではなくなるんです。時間はそういうものです」

紬「」スヤスヤ

梓「それでも、人のこころにはずっと残るものだと信じています」

姫子「どうして?」

梓「あるがままの心を持っている人がいるからです」

紬「」スヤスヤ

いちご「!」

梓「だから、私は・・・今までむぎせんぱいと、先輩方と過ごした旅を疑わないです」

純「・・・」

梓「ずっと・・・残して・・・いきたい・・・です・・・」

姫子「そっか・・・。ありがとう」

いちご「おやすみ」

梓「おやすみ・・・なさい・・・です」ウトウト

純「・・・」

いちご「・・・」

梓「」スヤスヤ

唯「」スヤスヤ

姫子「私も寝る」

いちご「・・・うん」

純「おやすみなさーい」

律「」スヤスヤ

夏(難しかったけど、なんとなく分かる気がした・・・。怖い別れってある・・・)

冬「」スヤスヤ

夏(ごめん・・・逃げてばっかりで・・・)グスッ

姫子「・・・」ナデナデ

夏「・・・っ!」

紬「」スヤスヤ

澪「・・・」
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 02:58:23.12 ID:LfYoVJIxo
>>876
無理無理無理無理カタツムリよ!
一応構想はあるんですが・・・
まずはこの物語を完結させます。もうちょっとです

次スレまで行くとは・・・orz
読んでくださっている方、本当に励みになります

物語りも終盤に入ります
おやすみなさいませ
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 13:13:52.51 ID:BwIPY9cDO

やたらと長くて難しい話だから、途中でリタイアしたり読むのを後回しする人が多くて、リアルタイムでの書き込みが少ないんでしょ

それにシリアスが苦手な人多そうだから……
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 19:26:13.45 ID:kqDCLZ6Io
ほのぼの回かと思いきやその後には必ずシリアスが待ち構えているのがきついっす
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/09/10(土) 23:25:24.86 ID:GPrkNW6Ko
乙〜
話の半分も理解してないと思うけど何か読み耽ってしまう
頑張って
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 10:24:34.34 ID:/keCCZ3IO
やっと追いついた。
ほのぼのの後に必ずシリアスが来るけど、逆に考えればシリアスのあとには必ずほのぼのが来るんだ。
状況のわかりにくいとこが多すぎる気がするけど脳内保管楽しい
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:01:33.91 ID:8Tvag5feo


9月23日


チュンチュン

アキヨ「・・・!?」ガバッ

さわ子「あら、おはよう」

アキヨ「ここは・・・?」キョロキョロ

さわ子「春子ちゃんとこの道場よ」

姉「よいしょっと」

アキヨ「・・・」

さわ子「それじゃ、後でね」

アキヨ「?」

さわ子「学校に来るでしょ?学園祭の準備」

アキヨ「・・・はい」コクリ

姉「行きましょうか」

さわ子「はい。アキヨちゃん、みんなによろしくね〜」

姉「ばいばーい」フリフリ

ガラガラッ ピシャ

アキヨ「帰るつもりだったのに・・・」ピッ

美冬「」スヤスヤ

アキヨ(・・・6時前・・・みんなを起こすべき・・・?)

ちか「」スヤスヤ

チュンチュン

アキヨ(寝よう・・・)バタリ

多恵「」スヤスヤ

三花「」ムニャムニャ

アキヨ(枕投げを・・・している・・・所まで・・・覚えてるけど・・・)ウトウト

慶子「」スヤスヤ

潮「」スヤスヤ

アキヨ「」スヤスヤ
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:02:23.65 ID:8Tvag5feo

夏「っくしゅん」

姫子「」スヤスヤ

いちご「」スヤスヤ

夏「ぅん・・・?・・・ここどこ・・・・・・あ」

冬「」スヤスヤ

夏(ゆめ・・・じゃ・・・なかった・・・)

風子「」スヤスヤ

夏「・・・よかった」

冬「」スヤスヤ

夏「・・・」モゾモゾ

冬「ぅ・・・」クルッ

バシッ

夏「いっ・・・た」

冬「」スヤスヤ

夏(いつつ・・・今までの・・・報い・・・かな・・・)

唯「」スヤスヤ

夏「・・・寝よ」

澪「」スヤスヤ

夏「」ウトウト

律「」スヤスヤ

夏「」スヤスヤ

紬「・・・?」ノッソリ

梓「」スヤスヤ

紬「・・・」ガサゴソ

ピッ

紬「・・・」ボケー

パタン

紬「・・・」ゴソゴソ

チュンチュン

紬「」スヤスヤ
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:04:19.79 ID:8Tvag5feo


―――――昼・3年生のクラス


「あぁ・・・また・・・予定が合わなかったなぁ・・・」

「いいなぁ、みんなでお泊り・・・」

エリ「今度は行こうね」

「・・・」

「次って・・・あるの・・・?」

エリ「あ・・・」

三花「紬ちゃんが・・・」

「・・・うん」

アカネ「・・・」

潮「おーい、としみー!」

としみ俊美「「 はーい! 」」

潮「ふふ」

信代「人を呼んで遊ばないでくれるかな」

俊美「えぇと、どっちのとしみ?」

信代「野点班のとし美ね」

とし美「はいはい、なんでしょう」

潮「けいこが呼んでるよー」

圭子慶子「「 え? 」」

信代「いい加減にしときなさい」ビシッ

潮「いて」

とし美「潮ちゃん、遊びで呼んだだけなの?」

俊美「・・・」ジー

圭子「私たち呼んでないよね?」

慶子「・・・ねぇ?」ジー

潮「あはは、屋台班から差し入れー」

圭子「・・・これは、知らない料理だね。同じ屋台班の俊美ちゃん知ってる?」

俊美「ううん。これメニューに無い料理だよ」

信代「野点班のとし美と慶子も食べてよ」

とし美慶子「「 いただきまーす 」」

エリ「私たちの分ある?」

潮「無いんだー。まだ食べたことが無い人優先だから、悪いね」

三花「がっかり」

アカネ「えっと・・・なんだっけ。ひらーなんとか」

風子「ヒラヤーチーだよ」

エリ「そうそれ。おいしかった」
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:05:14.46 ID:8Tvag5feo

「薄い生地だね。お好み焼きを質素にしたみたい」

信代「まきもまだ食べてないでしょ?どうぞ」

まき「いただきまーす」

潮「味はどう?」

とし美「変わった味だね・・・。おいしいけど」モグモグ

慶子「うん」モグモグ

信代「今新作作っててさ、後でもってくるよ」

エリ「新作?楽しみ!」

風子「楽しみにしてくれると作り甲斐もあるよ」

信代「そうだね」

潮「そっちの作業状況はどう?」

アカネ「2年生も来てくれてるから、概ね順調」

信代「そっか。よかった・・・って、純は?」

三花「ジャズ研へ練習に行ったよ。2時間後にまた後で来ると言ってた」

信代「そっち方面も頑張ってるんだ」

圭子「・・・」モグモグ

まき「・・・普通だね」モグモグ

潮「・・・人それぞれ個人差はあるよねー」

エリ「?」

信代「それをいちごに習って、作ったの潮」

風子「自分を励ましているんだね」

潮「」グサッ
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:06:19.61 ID:8Tvag5feo

純「お腹すいたー」フラフラ

アカネ「もうそんな時間なんだ・・・」

三花「あっという間だね」

純「その空になったお皿にはなにが載っていたんですか?」

春子「ひらやちーだって」

風子「違うよ、ヒラヤーチーだよ」

三花「ふぅちゃん細かいね」

純「惜しい事をしたぁ」グゥウ

春子「そろそろお昼休憩にしない?」

信代「そうしようか・・・。って、なにしてんの純?」

純「お腹がすいて動けないです」フゥ

三花「そういえば、私たち朝ごはんも碌に食べて無かったね」

春子「バタバタしていたもんなぁ」

まき「どうしてバタバタ?」

風子「学校に九時集合だったでしょ?起きたの八時半だったの」

俊美「あの後どうしたの?私たちを見送る散歩の後ね」

潮「枕投げして、夜中に雑談して、眠りについたよ」

まき「そういうの・・・参加したかったぁ・・・」

圭子「遅くまで話していたとか?」

ちか「なんの話し〜?」

純「それ!なんですか!?」

いちご「ポーポー。またの名をチンビン」

「「 ? 」」

風子「ブフッ」

純「食べていいですか!?」

ちか「どうぞ」

純「はむっ」

信代「こうやって巻くんだ・・・」

まき「私もいただきます」ヒョイ

三花「あ、わたしも!」ヒョイ

いちご「・・・どうして笑ったの」

風子「バカにしたわけじゃないよ!」

いちご「・・・それじゃどうして?」

風子「変な事言ってるなぁって」

春子「ヒラヤーチーを言った風子も変になるよ、それだと」モグモグ
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:07:18.69 ID:8Tvag5feo

いちご「風子の分は・・・無い」

風子「いいよー。勝手に取るから」

純「もう一ついただきます」ヒョイ

風子「あ・・・」

ちか「残念でした」

俊美「ちゃんちゃん♪」

純「おいしい〜」モグモグ

潮「ちゃんちゃん♪って効果音はなに・・・?」

とし美「・・・」ジー

俊美「・・・あ」

エリ「俊美ちゃん、こんな事いうんだ〜」

ちか「ほぉ〜」

ますみ「俊美は・・・言う・・・」

アカネ「意外・・・」

俊美「・・・」ソワソワ

風子「そんな事より私の・・・なんだっけ?」

いちご「・・・」

ちか「チンビンだよ」

風子「もう一つ名前があったよね?」

信代(いちごに言わせようとしてるな・・・)

いちご「教えない・・・。絶対に・・・」

風子「諦めない・・・。絶対に・・・」

いちご「無駄な決意・・・」

春子「いや、無駄な攻防だよ」

純「黒糖入っていますよね」

ちか「よく分かったね!すごいよ純ちゃん!」

慶子「私もなんとなく分かった」

三花「私も分かってた!」

潮「私も分かっていた!」

ちか「作っているところみたでしょー」

潮「はい」ニンマリ

信代「嬉しそうだね・・・」
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:08:06.99 ID:8Tvag5feo

圭子「それで、遅くまで話をしていたの?」

慶子「う、うん・・・」

潮「姫ちゃんがねー」ニンマリ

ちか「そうそう姫ちゃんがねー」ニコニコ

とし美「姫ちゃん・・・?姫子さんだよね?」

春子「そう。姫ちゃんが夜中うるさくって〜」

まき圭子ますみ俊美「「「「 え・・・ 」」」」

つかさ「・・・」ポロッ

コロコロ

風子「サイコロ落ちたよつかさちゃん」

英子「サイコロじゃないよ。ただの箱だよ」

潮「結構いい事も言っていたよね」ニンマリ

いちご「・・・」

エリ「ちょっと感動しちゃったり」

アカネ「驚いたり」

風子「怒ったり」

信代「怒ってはいない」

純「ごちそうさまでした。ちょっと濃いかもしれないですね」

いちご「黒糖使っているからしょうがないと思う。それがこの料理の持ち味」

純「なるほど。2年生の分はあるんですか?」

ちか「千雨ちゃんが・・・ほら」

純「本当だ・・・。もう一個食べてこよーっと」

風子「2個も食べたでしょ。・・・私の分」

純「あはは、そうですね」

春子「これからお昼休憩だって伝えておいて」

純「アイサー」ビシッ

テッテッテ
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:08:43.04 ID:8Tvag5feo

まき「・・・」

とし美「どうしたの?」

まき「私たち・・・、3年生に対して物怖じしないなぁと思って」

三花「純ちゃん?」

まき「・・・うん」

エリ「私もそう思って聞いたことあるよ。どうして接点の無かった私たちに自然に構えることができるのって」

アカネ「その回答は?」

エリ「『一歩退いて会話していたら、伝わらない事が増えるじゃないですか』って」

ますみ「相手が嫌がる事の方が多いんじゃないかな・・・」

エリ「・・・」

俊美「踏み込んでくる人を怖がる人はいるから」

潮「一定の距離がないと他人に心を開けないもんねー」

風子「多分、天――」

いちご「天秤にかけて、どっちが重要なのか、どっちがより楽しい事なのか知ってるんじゃないかな」

まき「・・・」

とし美「失敗しても?」

信代「初対面の人には出来ないでしょ、ある程度の距離を計ってそうしてるのかも」

風子「私は、もう1人――」

いちご「もう1人そういう子を知っている」

まき「・・・?」

エリ「あぁ、梓ちゃんね・・・」

いちご「うん」

風子「・・・」

英子(天敵を作ってしまったのかな・・・)
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:09:33.21 ID:8Tvag5feo

虎徹「」スヤスヤ

三花「それにしてもコテッチャンは大人しいねぇ〜」

ますみ「・・・可愛い」

俊美「気になっていたけど、このニャンコはどこから連れて来たの?」

エリ「カステラの作り方を教えてもらった駅前の駄菓子屋さんとこの猫ちゃんだよ」

潮「ニャンコ・・・」

虎徹「」モゾモゾ

圭子「どうして?」

エリ「うん。せんべいの作り方を学びに行ったんだけど、おばぁちゃんが病院へ行く所だったの」

信代「え・・・病院・・・?」

アカネ「最近腰を痛めちゃったらしくて、今日は検診の為にね」

春子「・・・ふーん」ナデナデ

虎徹「」ゴロゴロ

エリ「虎徹ちゃんを心配そうにしていたから、思い切って預かってきちゃった」

まき「この子、賢そうだね」

アカネ「・・・う・・・ん」

潮「今歯切れの悪い答え方だったけど?」

アカネ「虎徹と波長の合わない子がいるんだよね・・・」

エリ「あぁ、梓ちゃん・・・」

まき「どういう事だろ・・・?」

慶子「学校に連れて来ちゃっていいのかな・・・」

信代「大丈夫。授業無いから」

いちご「そういう問題じゃないと思うけど」
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:10:36.73 ID:8Tvag5feo

美冬「お客さんだよー」

風子「あれ・・・?」

エリ「夏ちゃん・・・?」

夏「こ、こんにちはー・・・」

春子「夏は部の手伝いに行っていたんじゃ・・・?」

三花「お客さんって変だよ・・・?」

夏「あ、あの・・・」

美冬「さぁさ、入って」グイグイ

夏「は、はい・・・」

風子「雰囲気が冬ちゃんみたい・・・」

英子「でも、髪の長さからみて、夏ちゃんだよね?」

風子「もしかして――」

いちご「冬?」

冬「そうです」

和「髪を切ったのね」

冬「は、はい。バッサリと」

風子「夏ちゃんと同じショートにしたんだ〜」

春子「可愛いじゃん」

エリ「かわいいよ」

冬「そ、そんな」テレテレ
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:11:07.48 ID:8Tvag5feo

和「お腹が空いたわね・・・。ご飯食べに行かないの?」

潮「もうちょっと関心持とうよ!」

美冬「そうだよ。もうちょっと冬ちゃんの話を聞きましょうよ」

和「え、えぇ・・・」

美冬「どうして髪を切ったの?」

冬「夏に合わせたんです」

潮「夏は・・・終わったんだよ・・・」

和「どういう事なの?」

信代(流した・・・)

冬「以前はずっと一緒の髪型でした。きっと、理由があって夏は髪を切ったと思うんです」

いちご「冬はその理由を断ち切ったと?」

冬「はい。多分ですけど、私に関係している理由で切ったと思うんです」

和「・・・夏が髪を切った理由は知らないのね」

冬「はい。でも、今日からそれぞれの道へ進む為の決意表明です」

風子「・・・」

冬「私たち自身の為にも・・・です・・・」

春子「いいんじゃない?」

ちか「うん。とってもいい事だと思う」

エリ「そうだね。素敵な事だよ」

和「えぇ」

冬「・・・」

風子「・・・っ」

英子「・・・」
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:11:40.47 ID:8Tvag5feo

夏「冬ねぇ・・・?」

冬「あ、なつ・・・」

夏「髪・・・」

冬「切っちゃった」

夏「・・・」

冬「変・・・?」

夏「変って言ったら自分まで変になるじゃん・・・」

冬「ふふっ」

夏「・・・いいと思う」

冬「よかった」
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:12:08.54 ID:8Tvag5feo

潮「二人並ぶと見分けつかないよね・・・」

和「今は制服とジャージだからいいけどね」

虎徹「・・・!」ピクッ

美冬「?」

虎徹「・・・」ピョン

ますみ「どこへ行くの?」

虎徹「みゃっ」

テッテッテ

三花「コテッチャン!」

エリ「大丈夫だよ、散歩に行っただけだから」

アカネ「ちゃんと戻ってきたよねさっきも」

夏「賢い猫ですね〜」

冬「姫子先輩はまだ来ないんですか?」

いちご「・・・まだバイト終わらないみたい」

冬「そうですか・・・」

春子「用事でもあった?」

冬「えと・・・。その、決意表明を見て欲しくて・・・。心配かけさせちゃいましたから」

風子「いい子だねー」ハァ

俊美「その溜息交じりの褒め方は・・・どういう意味なの?」

風子「呆れるぐらいのいい子っぷりで困ってて・・・」

慶子(リアクションに困る・・・)

和「みんなお腹空かないの?」

潮「空いた・・・」グゥ

春子「それじゃ、中庭で食べようか」

エリ「さんせー」

ちか「さんせっー!」
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:19:08.70 ID:8Tvag5feo

読んでくださっている方ありがとうございます
続きは↓に投稿します
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1315736034/


ぼやいてしまって、情けないやら恥ずかしいやらです
まだ書き終えていませんが、最後の投稿まで黙して頑張ります
992 :なすーん [なすーん]:なすーん
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1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 01:39:58.58 ID:q74y7LB9o
                         
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 者 ゃ   l                     | ・ な 会 多
 で あ  /                          | ・ い う. 分
 な    く      ,.'"´ ̄ ̄``丶.        | ・ と. こ 皆
___/ヽ)     /           ゙、.       ! ・ お と に
           /             ',       | ・ も が は
          ノ      _    __   !     |    う   も
         ,レ^ヽ  ∠:::::::.\ ヽ・ ヽ |     |       う
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【あいして】体操部の天使と付き合うことになった【るん♪】 @ 2011/09/11(日) 23:47:30.85 ID:WD4Ea9Oy0
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