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女「機械の体ですけど、一緒に過ごします?」-004- -
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1 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage]:2011/09/25(日) 00:04:10.59 ID:V5hcuOL2o
過去スレ
‐001‐
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303313514/
‐002‐
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1306855967/
‐003‐
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1312736411/
女「機械の体ですけど触ります?」(000)
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1302955337/
7×さんのまとめ
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/onnna_kikainokarada_desukedo_sawarimasu.html
個人的うpろだ
http://ux.getuploader.com/StoryName1/
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
Twitter
]: ID:???
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【安価スレ】あかるくたのしい傭兵生活 @ 2024/05/04(土) 01:17:50.63 ID:3fwRECJNO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714753070/
モバP「コンマ1桁が0でカオス・マジキチ化する安価SS?」 @ 2024/05/02(木) 12:55:16.10 ID:lZ9SQusw0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714622115/
酸 @ 2024/05/01(水) 23:00:19.57 ID:lK9RWrTc0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714572018/
【進撃の巨人】俺「安価で巨人を駆逐する」 二匹目 @ 2024/05/01(水) 21:08:53.38 ID:iiJDb4My0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714565332/
旅にでんちう @ 2024/05/01(水) 14:47:47.55 ID:KgjR8ljxO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714542467/
【クリスマス・年末・年始】連休暇ならアニソン聴こうぜ・・・【避難所】 @ 2024/04/30(火) 10:03:32.45 ID:GvIXvHlao
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714439011/
VIPでガンダムVSシリーズ避難所【マキオン】 @ 2024/04/30(火) 07:03:33.32 ID:jpWgxnqGo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714428212/
今日も人々に祝福 @ 2024/04/29(月) 23:42:06.06 ID:cZ/b8n+v0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1714401725/
2 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage]:2011/09/25(日) 00:16:44.65 ID:V5hcuOL2o
キャラ紹介
男
主人公。アンドロイドと奇妙で愉快な同居を開始する。全力純情少年。軽いと言われたことを最近気にしている。
・一緒に住んでます。
女
DDL-003、『無表情人間機械』。男とのふれあいで少しずつ人間を学ぶ。料理に凝っている。
狐子
DDL-002、『狐耳人間機械』。いじられ役と最近話題。感情が高ぶると狐耳が立つ。
撫子
SDF-004、『和風人間機械』。着物をいつも着用。男にゾッコン。嫁修行中(!?)
牧
DAH-005、何人間機械かは言及されていない。ボクっ子。胸は女の子、とっても早起き。
・アンドロイド関連です。
助手
男と機械との生活を観察・報告する係。神出鬼没。恋する乙女。妄想ハピラキ娘。
博士
アンドロイド研究者。見た目は幼女、頭脳は大人以上。子ども扱い&空気なのには最近慣れた。
3 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/25(日) 00:19:30.36 ID:V5hcuOL2o
・家族です。
妹
男の妹。男に兄以上の愛情を向けている節がある。一緒に住んでいるアンドロイド達に嫉妬中。
姉
男の姉。姉御肌、巨乳でブラコン。妹も大好き、つまりシスコン。どちらも兼ね備えた最強の姉。
・生徒会&高校時代です。
会長 ♀
高校時代の男の生徒会長。学生時代に男に告白するも失恋。それでも負けない純情一直線娘。しかし、わりと鈍感。
会計 ♂
高校時代の男の会計係。身長190cmの長身。からかうのが好き。いつもヘラヘラとしているので本性がわかりづらい。
書記 ♀
高校時代の男の書記係。しずかでかつツンツンしている。会計に一途な愛情が見受けられる。
池面
高校時代の男の先輩。絶世のイケメン。不幸。会長のことが好き。
・大学です。
桃 ♀
男の大学の友人。男もよくわからない性格の持ち主。犬を飼っている。体重を気にしている。
学 ♂
悪だくみ担当。楽しいことを考えるのが好きで、実行に移すタイプ。伊達メガネをかけている。短髪黒髪、身長はあまり高くない。
大 ♂
悪だくみ担当その2。大きい体をしているが、裁縫などが得意。物作りにかけては天賦の才を持つ。
鏡 ♀
高校生の頃に委員長をしていたせいか、それが抜けないままになっている。巨乳メガネ。
黒 ♀
物静かで毒舌。大学の中でもかなりの人気があり、アイドル的人気を持つ。ゴスロリとかもたまに着る。黒い服を好んで着る。
・???
蛇 ♀
待たせたな。俺には名前はない。コードネームは、スネークだ。(壮絶な過去持ち)
・後輩さんです。
要 ♀
庶務が会長の頃の副会長で現会長。ヘアバンド着けておでこを出している。身長低めのちょいタレ目。会長のくせにスカートは短め。恋する百合乙女。
4 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2011/09/25(日) 00:28:49.80 ID:G7L7RMnAO
これは実話?
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/25(日) 00:36:29.68 ID:jfNtJY+IO
>>1
乙です!
今回も楽しみにしてます
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/09/25(日) 01:34:20.59 ID:N9JwFH3Io
乙ぅ
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(秋田県)
[sage]:2011/09/25(日) 13:44:12.46 ID:MqfwVU1go
>>4
本格的に男の家に壁殴り代行頼むことになる
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/25(日) 14:17:49.82 ID:k4p7jrSFo
>>4
の頭の中はどうなってんだ
日本怖すぎる
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/25(日) 17:39:33.31 ID:3QluVtVwo
いずれ人間と見た目の変わらないアンドロイドとハーレム生活するのが当たり前の時代が来る
あるいは
>>4
が未来の人間のどちらかだ
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/25(日) 18:43:17.86 ID:10GdiDADO
キャラ紹介に庶務いなくね?
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/25(日) 20:02:07.38 ID:VYa7lAMPo
★壁殴り代行始めました★
ムカついたけど壁を殴る筋肉が無い、壁を殴りたいけど殴る壁が無い、そんなときに!
壁殴りで鍛えたスタッフたちが一生懸命あなたの代わりに壁を殴ってくれます!
モチロン壁を用意する必要もありません!スタッフがあなたの家の近くの家の壁を無差別に殴りまくります!
1時間\1200〜 24時間営業 年中無休!
∧_∧
(´・ω・`) _、_,,_,,,
/´`''" '"´``Y'""``'j ヽ
{ ,ノ' i| ,. ,、 ,,|,,. 、_/´ ,-,,.;;l
'、 ヾ ,`''-‐‐'''" ̄_{ ,ノi,、;;;ノ
ヽ、, ,.- ,.,'/`''`,,_ ,,/ 壁殴り代行では同時にスタッフも募集しています
`''ゞ-‐'" `'ヽ、,,、,、,,r' 筋肉に自身のあるそこのアナタ!一緒にお仕事してみませんか?
,ノ ヾ ,, ''";l 壁を殴るだけの簡単なお仕事です!
./ ;ヽ
.l ヽ,, ,/ ;;;l
| ,ヽ,, / ;;;|
| ,' ;;;l l ;;'i, ;|
li / / l `'ヽ, 、;|
l jヾノ ,ノ ヽ l ,i|
l`'''" ヽ `l: `''"`i
.l ,. i,' } li '、 ;;' |
l ; j / _, -― ' ̄ ̄`ー‐-、_
, .--、,,__,,-' ̄;;"`´ ;; __ __, -―- 、;; ̄ ̄`l
;; ,__ ;;' r ' ´;;; ヽ_ゝ_;;| lヽ, / .|
;, Y´| l __ /`'| | | l l;| l ヽ l .
| |.;;l_,-'l | V | |.l .| .| l i i | ;lヽ|
|.| ''.|/ l |;;;| | | | ;| | | ;l l| i ;;;; l | l
;; i / .il /| |.| | | i | | l i '`i l /
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/25(日) 22:23:34.37 ID:5T9MOvGDO
乙ですぅ
13 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/26(月) 00:01:07.66 ID:YiKIiQKZo
牧「優しくしてね?」
男「あーもー3連続で誤解させるつもりか!?」
牧「もう4スレ目なんだね、ビックリ」
男「俺もビックリだよ。しかも003はアンドロイド全然出てないし……」
牧「ほぼ蛇さんがやってくれたよね」
男「そうだなー。でも、あれなかなか好評だったみたいだぞ?」
牧「そうなんだ。じゃあボク達はいらない?」
男「そんなことはないだろうけど……」
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/09/26(月) 00:01:07.67 ID:34t5kFKUo
>>1
乙です
15 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/26(月) 00:03:47.26 ID:YiKIiQKZo
牧「じゃあ、男はボクのこといらない?」
男「い、いらないわけないだろうが」
牧「ふふ、嬉しい」
男「……え、えーっと! 男です! 今回で4スレ目ですが、のんびりやっていきたいと思います!」
牧「ボクは牧です。こう見えてもアンドロイドですよ」
男「牧……見た目はわかんないから」
牧「え、前スレの999さんが」
男「そういう話はするなって!」
※前スレ-003-の
>>999
を参照ください。
16 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/26(月) 00:05:55.43 ID:YiKIiQKZo
牧「そういえば最近悩みがあって」
男「いきなりそんな話するつもりか……どうした?」
牧「なんか、壁の音がうるさくない?」
男「壁の音?」
牧「なんか、誰かが壊れんばかりに壁を叩いてるような音……」
男「ああ、するする。あれちょっと寝苦しいよな」
牧「うん……困っちゃう」
男(アンドロイドだから俺よりも敏感に音に反応するんだな)
17 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/26(月) 00:10:54.37 ID:YiKIiQKZo
牧「それじゃあそろそろまとめてください」
男「お、おう! そんなこんなで今回ものんびりほのぼのやっていきたいと思います!」
牧「ギャグあり、恋愛あり、意味不明あり、百合ありでやっていきます!」
男「ゆ、百合!?」
牧「お楽しみにー!」
男「お、お楽しみに!」
牧「でも、次回は男の過去編だよね?」
男「こっからはメタ発言禁止!」
18 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/26(月) 00:13:55.34 ID:YiKIiQKZo
To be continued!!!
と、いうわけで004に到達しました。
いやー、早いですね。ビックリです。
次回は男過去編。時間は男がまだ家族と暮らしていた頃で、中学3年生。
まあ、高校卒業まで一緒に暮らしてたんですけどね。
それでは、お楽しみにー。
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/26(月) 00:25:05.31 ID:yID+RA3Yo
今スレでも充分にwktkさせてもらいますね!
前スレ
>>1000
許さない絶対ニダ
牧は俺の嫁
20 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/26(月) 00:26:43.70 ID:YiKIiQKZo
追伸
庶務忘れてました。
お詫びに庶務回は早めに回すことにします。
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/09/26(月) 00:34:14.61 ID:6IOQPK+IO
>>1
おつ
もう4スレ目か、早いな
これからも楽しみにしてる
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/26(月) 00:55:38.00 ID:yKczoCHDO
牧って股間はどっちに出来てるんだっけ?
男?女?
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/26(月) 01:15:00.41 ID:N2bsdNHSO
そうか……牧がうるさいって言うなら壁殴らないわ
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/09/26(月) 20:25:02.70 ID:K5fsAxMAo
★壁殴り代行休業しました★
|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| 壁殴り代行会社は壁殴り代行サービスについて、
||秋季休業中| 予想を大きく上回る売れ行きと、スタッフ不足の為、
||_____| このたび代行を一時休止させていただくこととなりました。
| ::| お客様やお取引先様ならびに関係者の皆様に
| ::|_ 多大なご迷惑をおかけしますことを、心より深くお詫び申し上げます。
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(秋田県)
[sage]:2011/09/26(月) 20:37:05.64 ID:ueKFLo2mo
ごめんよ牧くうううううううううううううううううううううううううううん
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/26(月) 21:08:41.87 ID:r+lnWoUFo
仕方ないな
1週間に2回程度に抑えるよ
27 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/27(火) 00:47:50.35 ID:l2MRMAuRo
今日の夜更新予定です。
今日はすこし疲れを取らせていただきます、ごめんなさい……。
牧についてどうやらたくさん疑問があるようですが、ちゃんと読んで頂けると、答えがわかると思いますよ。
それでは、また夜に。
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/09/27(火) 00:56:12.02 ID:JKHWoKrIO
>>27
ゆっくりやすみなさいな
29 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/28(水) 00:13:50.09 ID:ka2jC5dbo
男「んー、よし!」
姉「男、私先に出ちゃうよ?」
男「ああ、行ってらっしゃい!」
姉「一緒に行きたいとか思わないわけー?」
男「だって姉ちゃん高校生じゃん。無理は言わないよ」
姉「男のために家から近い高校にしたのに」
男「そうなの?」
姉「冗談だけどさ」
男「なんだー残念」
姉「ふふ、じゃあ行くわね、行ってきます」
男「うん、行ってらっしゃーい」
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/28(水) 00:16:44.92 ID:O8erqfBoo
きたwwwwwwww
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/09/28(水) 00:17:01.07 ID:Mtv1KAEzo
きたか…!!
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/09/28(水) 00:18:24.12 ID:fDjsCrt/o
キター
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/28(水) 00:26:53.03 ID:3emk+5oDO
キテター
34 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/28(水) 00:55:16.58 ID:ka2jC5dbo
男「姉ちゃん行っちゃった。さて、俺はっと」
ゆっくりと用意をしよう。
来年、俺も姉のように高校に入ると思うと、すこし緊張する。
まだ先の話、ってほど先ではない。
俺は今中学三年生。今年は受験なのだ。
と、行っても試験は来年なんだけどね。
ピンポーンと、家のチャイムがなる。
男「あ」
俺は走って玄関に行く。『走って』というか、『焦って』
35 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/28(水) 01:00:15.51 ID:ka2jC5dbo
?『準備できた?』
男「ああ、ちょっと待って」
?『うん』
ゆっくりと用意するのは無理みたいだ。
彼女を待たせてしまうことは、俺にはできないから。
男「ちょっと、妹みてくるね」
?『妹ちゃんまだ用意できてないの?』
男「うん。でも中学入ってからまだ間もないから、仕方ないよ」
?『優しいよね、男は』
男「そうでもないよ。俺は普通さ」
普通。
そう、普通だ。
36 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/28(水) 01:11:06.01 ID:ka2jC5dbo
小学校の頃、ヒーローに憧れていた。
目立ちたがり屋で、誰かに必要とされることが大好きだった。
でも、いつからだろう。
こうやって、自分を『普通』と評するようになったのは。
……朝からなんだか面倒なことを考えてしまった。
一年遅い中二病だろうか。
?『じゃあ、待ってるね』
男「うん、ごめんね」
?『ううん、気にしないで』
37 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/28(水) 01:16:11.73 ID:ka2jC5dbo
・ ・ ・
男「妹ー」
二階に繋がっている階段に呼び掛ける。
ここから声を出せば妹の部屋(俺の部屋だったけど、今は妹のものに)に届く。
妹「なに?」
ニッコリとした顔が見える。
男「準備できた?」
妹「うん、できたよ」
階段を上機嫌に降りてきた妹は、まだまだ小学生が抜けていない印象があった。
自分も入りたての頃はこんな感じだったのだろうかと思うと、すこし恥ずかしい。
38 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/28(水) 01:33:57.85 ID:ka2jC5dbo
妹「お兄ちゃん」
男「なに?」
妹「似合う?」
真新しい中学の制服を着ている妹がクルリと回転する。
無邪気な彼女の動きが可愛らしい。
男「うん、可愛いよ。ささ、もう行かなきゃ。忘れ物は無い?」
妹「あ、おべんとまだ入れてない」
男「これだろ? ほら、持ってきといたから早く入れときな」
妹「うん。ありがとう、お兄ちゃん」
妹はお弁当を両手で受け取り、スクールバッグの中にいそいそと入れた。
39 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/28(水) 01:39:39.10 ID:ka2jC5dbo
男「よし、じゃあ行ってきます」
妹「行ってきます」
と、行っても共働きの両親はとっくに家を出ている。
弁当だって姉ちゃんが作ってくれたもので、母が作ったというわけではない。
姉ちゃん、感謝!
ガチャ
?「おはよー」
妹「……おはようございます」
急に妹の声のテンションが下がった。
男「ちょっと遅れた、ごめんな。友」
友「いいよ、気にしないでー」
彼女はすこしバッグを持った手を後ろに回してハニかんだ。
友「男の子の家の前で待つのって、ちょっと恥ずかしいね」
40 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/28(水) 01:42:49.64 ID:ka2jC5dbo
というわけで、ここで区切り。
男過去編はじまりました。
いやあ、男のキャラが全然違う。自分で書いてても新鮮なくらいに。
まだまだわからないと思いますが、違いはすこしずつ現れると思います。
友がでてきました。性別は女の子でございます。
追伸
来月、10月は更新が相当滞る可能性があります。
惰性的には投下するつもりですが、まとめて見たい!と言う方は10月下旬くらいに眼を通していただければと思います。
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/28(水) 03:16:31.78 ID:O8erqfBoo
おつかれさまでした
大丈夫
待ってるからね
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/28(水) 07:25:32.27 ID:O0pZXQuKo
おつかれさん
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/09/28(水) 15:08:27.99 ID:FhtOcYn8o
乙したああああ
44 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/09/28(水) 16:55:39.36 ID:XvytJ5qIO
そーいや出てきてそうなのに友って名前のキャラいなかったんだな
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/09/28(水) 21:39:57.24 ID:21tHvSP8o
乙でした
迎えに来たのは庶務かと思ったら新キャラだった
今後の友の活躍に期待しつつ、ゆっくり待ってるよ
46 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/30(金) 02:05:00.70 ID:12w4gZbjo
男「ごめん、嫌だった?」
友「ううん」
彼女は大げさに頭を振った。
友「男くんくらいしか一緒に行く人いないから」
妹「一人で行けばいいのに」
友「へ?」
男「! 妹っ」
友「あはは、そうかもね。ごめんね、妹ちゃん」
男「そういうつもりじゃないんだ、友」
妹は謝らずに友から顔を逸らした。
朝からなんだか、嫌な感じだ。
47 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/30(金) 02:10:14.75 ID:12w4gZbjo
・ ・ ・
友は俺の幼馴染、というか、なんというか。
あっちはどう思ってるかわからないから、とりあえずご近所さんである。
だから幼稚園、小学校が同じ。なんと小学生のクラスはずっと同じというビックリするほどの奇跡。
中学でも三年間同じだということも特筆すべきところだと自分で思っていたり。
友「今年は受験だよーいやだなー」
男「そうだなぁ。無難なところにいければいいけど」
友「ダメだよ! 希望は大きく持たなきゃ!」
グッと拳を握りしめて友は小さく吠えた。子犬のような声だった。
48 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/30(金) 02:14:46.65 ID:12w4gZbjo
男「……友はどこ目指してるんだ?」
友「私はね」
友はちょいちょいと俺に手招きをする。
多分『耳を貸せ』という合図だろう。
友「……」
男「! マジか!? あそこ相当賢いとこだろ?」
友「うわわ、内緒だよ内緒! 行けなかったら恥ずかしいじゃん!」
俺にはバレていいのか。
妹「仲良いよね、二人」
頬袋をハムスターのように膨らませた妹が、顔を真っ赤にしている。
男「だってこいつ――」
友「わー! だからダメだってば!」
友は本当に恥ずかしいのか、俺と妹の間に割り込んだ。
49 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/30(金) 02:18:27.10 ID:12w4gZbjo
妹「……ふんっ」
妹はツンとした表情で歩くスピードを変更した。
男「お、おい。早いぞ」
妹「今日日直だった。先に行く」
男「そうか、じゃあな」
妹「……」
こちらをキッと睨んで、妹は足早に学校へ。
男「なに怒ってるんだか」
友「私、悪かったかな?」
男「恥ずかしかったんじゃないかな、兄と一緒に行くってのがさ」
友「そうかなー」
男「まあ、一緒に行こうっていったのは俺だしさ」
友「あ、そうなんだ」
50 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/30(金) 02:20:24.43 ID:12w4gZbjo
男「こっちの方面で、通学してるやつ少ないだろ? だから行くなら一緒にと思って」
友「優しいねー」
男「そんなことないよ、普通さ」
友「普通か〜」
男「そ、普通」
友「……最近思うんだけどさ」
男「ん?」
友「普通ってなんなんだろうね」
51 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/09/30(金) 02:21:26.08 ID:12w4gZbjo
区切りです。それでは、次回の更新で会いましょう。
ごめんなさい、短くて。もうすこし書きたいのですが……。
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/30(金) 10:28:05.32 ID:SUB12nEwo
おつかれさまでした
普通って難しいな
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/09/30(金) 15:30:43.41 ID:07kwt/Jco
妹かわええ
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/30(金) 17:23:13.44 ID:+HqfC7MSO
投下の度に上げてくれる嬉しいな
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/09/30(金) 23:30:51.41 ID:atKivZsMo
乙でした
友は妹のブラコンに気づいてないのかな?
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/10/01(土) 00:02:03.24 ID:Hpdcd4YAO
乙
57 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/10/02(日) 22:12:53.01 ID:1p5zqTk90
おっつー
58 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/03(月) 00:23:58.72 ID:0DbfTjpIo
男「どうしたの、急に」
友「なんかね、最近になって普通ってどういうことなのかわかんなくなってさ」
男「んー普通かー」
俺の普通は、今である。
友にとっての普通がどうかは、俺にはわからない。
友「難しいよね」
男「そうだな、うーむ」
友「あはは、話変えよ。難しい話してると授業中眠くなっちゃうよ?」
男「寝るのはお前だけだろ」
友「あう、なんでそんなこと言うかな!」
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/10/03(月) 00:24:19.42 ID:H1ZMMX9wo
来たか
でも寝る
60 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/03(月) 00:25:42.46 ID:0DbfTjpIo
俺は授業中寝たことがない。
眠くなることはもちろんあるけど、絶対に寝ることはなかった。
男「今日の一時間目ってなんだったけ?」
友「今日って普通の時間割だったっけ?」
男「ああ、普通じゃないのか」
友「普通……」
男「……普通、か」
謎は深まるばかりだった。
61 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/03(月) 00:28:52.83 ID:0DbfTjpIo
・ ・ ・
今日は授業はなく、一年生とのふれあいで一日終わるらしい。
まあ、大きな歓迎会みたいな感じで。
そういえば他のクラスで合唱やらなにやらやってたのは、それだったのか。
男「俺達のクラスってなんだったっけ?」
友「私達のクラスは意見がまとまらなくて結局やめたんじゃなかったかな」
男「俺確か演劇とか言った気がするけど、ダメだったのか」
友「『恥ずかしいからやりたくない』ってみんな言ってたしね」
男「恥ずかしいか?」
友「恥ずかしいんじゃないかな、普通は」
普通は、か。
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/03(月) 00:31:11.34 ID:Vai8nqtHo
キター
63 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/03(月) 00:33:25.58 ID:0DbfTjpIo
男「そうか、普通はか」
友「あ、また普通っていっちゃったね」
今日のキーワードかもしれないな。
男「まあいいや。俺達が辞退してもその歓迎会はちゃんと続くわけね」
友「うん。あと、一年二年三年交えて座るんだって」
男「へえ、そうなんだ」
友「一緒に座ろー」
男「おう」
64 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/03(月) 00:38:40.63 ID:0DbfTjpIo
友とは良くカップルだと誤解されてしまう。
無理もない。いつも一緒にいれば俺が見たってそう思う。
でも、そういう雰囲気じゃない。
普通の友達だ。
『普通』の。
付き合うってことは一体どういうことなのだろう。
なにをどういう過程を踏めば、彼氏彼女の関係になるのだろう。
65 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/03(月) 00:49:35.50 ID:0DbfTjpIo
明確な境界線がわからない。
だからこそ、彼女とは付き合っていることにはならないのだ。
『付き合っている』と言えばそうかもしれない。でも、そうではない。
俺は彼女のことが好きだ。だけど、愛してはいない。
中学三年生にもなって、『好き』という気持ちと「愛している」の気持ちがどう違うのかは、わかる。
わかる気がする。
友「じゃあ、妹ちゃんと一緒に座ろうよ」
男「ああ、それがいいな」
友はニッコリと俺に笑いかける。
彼女の笑顔は本当に、ひまわりのような明るさだ。
66 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/03(月) 01:08:36.83 ID:0DbfTjpIo
というわけで、ここで区切り。
普通って、本当になんなんでしょうね。
>>54
なんか、ここまでageてないと、なんだかすり減った一枚の皮みたいなプライドが出てきて、ageる気にならないというかなんというか。
みなさまがageてくださるからいいかな、とか思ってたり。
>>55
友(妹ちゃんは男くんのことすっごく好きなんだなー)
と、兄妹愛をヒシヒシと感じています。
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/03(月) 15:58:38.40 ID:khrYJJpSO
乙
68 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/03(月) 17:18:18.29 ID:5PE3KRoLo
乙でした
69 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/04(火) 01:10:11.16 ID:hwfT1p1mo
・ ・ ・
男「妹ー」
妹「あ、お兄ちゃん」
男「歓迎会一緒に座ろうぜ」
妹「うんっ」
今年から歓迎会が導入されたので、俺はどのようなものなのかわからない。
まあ、俺は歓迎する側であって、される方ではないから。
体育館は既にガヤガヤとしている。一年生が恥ずかしそうに二年生や三年生と同席している。
珍しい瞬間だな。
70 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/04(火) 01:14:56.94 ID:hwfT1p1mo
妹「どこに座るの?」
腕を組んで放さない妹が俺にワクワクしながら話かける。
正直、痛い。
男「どこかで友が席取ってくれてるはずなんだけど……」
妹「……」
男「どうした?」
妹「友さんいるの?」
男「? ああ、そうだけど」
妹はアヒル口になって、急に顔をイラつかせた。
71 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/04(火) 01:20:10.97 ID:hwfT1p1mo
妹「やっぱり、別の席に座る」
男「お前なぁ。友がなんか悪いことしたか?」
妹「してない。でも、酷いもん」
男「なにが?」
妹「なんでも!」
妹はあっかんべーして、足早に群衆の中に入っていった。
なんなんだよ、本当に。
72 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/04(火) 01:24:17.43 ID:hwfT1p1mo
俺はすこしストレスを抱えつつ、友のもとに戻った。
友「おかえりー。あれ、妹ちゃんは?」
男「なんか、いやだって」
友「あらら……私、やっぱり嫌われてるのかな?」
男「そうだったらあいつは自分勝手な奴だよ」
理由があるならハッキリ言わないとわからないからな。
友「うーん、もしかしてさ。私と男くんが一緒にいると、会話に入りづらいってことなのかな?」
男「え?」
73 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
:2011/10/04(火) 01:25:21.10 ID:a0HAR1bfo
キテター
74 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/04(火) 01:27:40.94 ID:hwfT1p1mo
友「ほら、私と男くんが話してたら、妹ちゃんは一人になっちゃうじゃない?」
男「三人で話せばいいじゃないか」
友「そんなことできないのよ、妹ちゃんは」
男「どうして?」
友「それは……優しいから?」
男「あいつが? わがままだろ」
友「妹なんだもん、仕方ないじゃない」
妹だから、わがままか。
それが『普通』なのか。
75 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/04(火) 01:32:13.91 ID:hwfT1p1mo
友「男くんはお兄ちゃんなんだから、妹ちゃんのわがままを聞かなきゃだよ」
男「俺だって弟だ」
友「気持ち悪いよ」
男「素直に言うなよ」
あはは、と友は声をあげて笑った。
友「私のことはいいからさ、妹ちゃんのところ、あとで言ってあげなよ」
男「大丈夫じゃないか? あいつにも友達はいるだろうし」
俺が行って、逆に迷惑になっちまうかもしれないし。
76 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/04(火) 01:33:41.74 ID:hwfT1p1mo
>>75
訂正。
×友「気持ち悪いよ」
○友「甘えてる男くんなんて気持ち悪いよ」
77 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/04(火) 01:36:35.97 ID:hwfT1p1mo
友「うーん、そうかもね。お兄ちゃん来たら他の子はびっくりかも」
男「でもまあ、友が言うならいくよ」
友「素直だね」
男「そうかな」
友「うん、とっても」
男「そうなのかな」
友「あはは、同じようなこと言ってるよ、男くん」
78 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/04(火) 01:37:28.42 ID:hwfT1p1mo
区切り。
そろそろガチで更新が短くなりそうです。
これからは区切りとか言わずに終わります。もったいないので。
本当に長い間更新できるようになった時にまた。
79 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/10/04(火) 01:50:20.69 ID:ri9oojLno
乙
80 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
[sage]:2011/10/04(火) 02:10:28.83 ID:lrSeWEnjo
乙
こんな妹おったらよかったんや・・・
81 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/10/04(火) 02:53:22.90 ID:VnZQPmGRo
乙した!
82 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/04(火) 06:50:46.12 ID:scUqXCQFo
お疲れ様です
83 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/04(火) 08:00:36.39 ID:px34t+ySO
乙
84 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/04(火) 13:43:00.99 ID:a0HAR1bfo
乙でした
85 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/10/04(火) 22:42:44.20 ID:u3QxLvwAO
乙
御自愛下さい
86 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/10/06(木) 23:39:21.26 ID:KarHP74IO
待ってるでー
87 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/07(金) 01:26:22.17 ID:3+UABPLKo
男「お前なー」
友「ねえ、男くん」
男「なに?」
友「男くんは、どこに行くの?」
高校の話だろうか。
そうだよな、それしかない。
男「うーん、俺は友みたいに頭良くないしな」
友「私だってよくないよ!」
男「嘘つけー」
88 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/07(金) 01:29:46.18 ID:3+UABPLKo
友「この前のテストだってさ、国語はそこそこ取れたけど」
男「数学は?」
友「ボロボロ……私文系だから!」
男「でも受験では数学もあるぜ?」
友「し、知ってるよー。だから焦ってるんだよー」
男「焦る?」
友「この調子で行けるのかなって」
男「この調子って」
友「家で勉強はちょっとしてるけど、がっつりはしてないんだ」
俺は家で勉強なんて、テスト期間くらいだぞ。
89 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
[sage]:2011/10/07(金) 01:31:27.73 ID:7IWioZSBo
キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
90 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/07(金) 01:31:55.30 ID:3+UABPLKo
男「家で自習してるだけ偉いよ」
友「偉くないよ! あの高校入るにはこれくらいじゃ足りないって……」
男「それがどうかしたのか?」
友「……どうもしないけど」
友は何か言いたげに、口を閉ざした。
友「男くんは、決めてないの?」
男「そうだな。入れる所に入ろうと思ってるよ」
友「上を目指さないの?」
男「高校で何か変わると思ってないからね」
勉強する気なんて、起きないから。
91 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/07(金) 01:34:01.81 ID:3+UABPLKo
友「そういえば、姉さんの学校は?」
男「あそこは、近いんだよなー。近すぎる!」
友「中学とあんまり変わらないもんね」
男「友の目指してる高校は結構遠いよな?」
友「うん、自転車通学になっちゃうね」
男「自転車かー起きる時間とかも大分変わってくるかもな」
友「そりゃ変わるだろうね、あーやだなぁ……」
まだ入るかどうかもわかっていないのに、友はため息をついた。
92 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/07(金) 01:35:37.36 ID:18ANiBZxo
キテター
93 :
区切りです。久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/07(金) 01:37:17.16 ID:3+UABPLKo
友「男くんもこの気持ちを!」
男「味わいたくなーい」
友「そうだよねー」
友は体育館に用意された大きなモニターに目をやるとハッとした顔で俺にもう一度顔を向けた。
友「これだよ!」
男「え?」
友「私達受験の話ばっかりしてるから妹ちゃん嫌なんだ!」
男「……」
受験。
俺と友にしかできない話。
姉ちゃんには経験があるから、話せる。
でも。
実感もわかない妹には言ってもよくわからない。
中学受験でもしてなけりゃ、あの時期は始まってばかりなのだから。
男「そうかも!」
94 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/07(金) 07:00:05.11 ID:BHC2FcUBo
乙でした
95 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/07(金) 16:41:32.57 ID:3+UABPLKo
友「私達、できるだけ勉強の話をするのやめよう!」
男「ふっかけるのはお前だけどな」
友「え!?」
男「今日もお前から受験の話題を振ったぞ」
友「そうだったっけ……」
男「今年は受験だよーとか、なんとか」
友「うぅ……」
96 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/07(金) 16:47:22.06 ID:3+UABPLKo
友「ごめん! もう二度と言いません!」
男「そんなに頑なな気持ちじゃなくていいよ」
友「……でも」
男「友がそんなに深刻に考えてくれるだけでも、妹は幸せ者だよ」
友「友達だもん、それが普通だよ」
男「普通」
友「あっ、また言っちゃったね」
男「普通、だよな」
97 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/07(金) 16:50:38.42 ID:3+UABPLKo
妹のことを心配に思うこと。
それが、普通。
男「まあ、深く考えることじゃないよ。心の病ってわけでもないんだから」
友「そうだけどー」
男「あいつ、友達は俺よりいるからさ」
友「男くんだって友達たくさんいるじゃない!」
男「友以上のやつはいないってこと」
友「……そ、そーかなー?」
友は顔を赤くした。
友「いきなり変なこと言わないでよ〜」
どこかのおばさんのように、俺の肩をすこし強めに何度か叩いた。
98 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/07(金) 16:54:44.43 ID:3+UABPLKo
歓迎会とは言っても、ただの出し物大会であって、結局これで違う学年の子と仲良くなれるのかは甚だ疑問が残るものだった。
あるクラスは合唱。
あるクラスは演劇。
あるクラスは見ることに徹する(俺のクラスである)。
そんなこんなで、一日は終わってしまった。
帰りのHRも大きな連絡はなく、俺は友と下校の道を歩いていた。
男「片づけさせられなくて良かったぜ」
友「そうだねー、妹ちゃんは?」
男「顔あわせた途端逃げられた」
友「あらら」
99 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/07(金) 17:04:09.76 ID:3+UABPLKo
男「家で覚えてろよー」
友「なにするの!?」
男「いや、なにもしないけどさ」
友「もー、ビックリしたー」
男「俺ってなにかしそうに見えるのか?」
友「……あはは、そんなことないよー」
男「嘘だ!」
友「ごめんなさい!」
100 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/07(金) 17:07:59.62 ID:3+UABPLKo
友との帰りはいつも笑いが絶えない。
それは幸せだと思う。
楽しいのが幸せなのは、普通だろう。
・ ・ ・
俺の家に着くと、友は数歩俺より先に進んで。
友「それじゃあ」
男「おう」
友「妹ちゃんのこと、あんまりきつく言っちゃダメだよ?」
男「ああ、わかってるよ」
俺も友も、笑顔で別れた。
男「ただいまー」
101 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/07(金) 21:07:13.67 ID:BHC2FcUBo
お帰り
102 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/07(金) 23:46:26.23 ID:3+UABPLKo
姉「おかえり」
姉はひょこっと居間の入り口から顔を出した。
その顔は困り顔で、苦笑しているのがよくわかる。
男「どうしたの?」
姉「あはは、ちょっと、こっち来て」
笑い声には、まったく喜びの成分が入っていない、乾いた声だ。
男「?」
妹「……」
ムスッとしている妹が、食卓で項垂れていた。
103 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/08(土) 00:15:31.72 ID:JeEVQ9Y4o
男「妹がどうかしたの?」
姉「帰ってからずーっとあの状態。ご飯食べる? ってきいても『いらない』って」
男「やれやれ」
姉「学校でなにかあったのかな?」
男「さあね。話はしたの?」
姉「なにも言ってくれないの」
男「そっか。じゃあ俺が話してみるよ。姉ちゃんはご飯の用意まだなんだろ?」
姉「ごめんね。ありがと」
104 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/08(土) 00:20:50.80 ID:JeEVQ9Y4o
男「おい」
妹「……」
男「姉ちゃん心配してるぞ」
妹「……」
男「なんかあったのか?」
妹「……関係無いじゃん」
男「ある。決めつけて悪いけど、俺が関係してるんだろ?」
妹「なにそれ、自意識過剰」
男「ああ、そうかもしれない。でも、それ以外のことは俺にはわからないからな」
105 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/08(土) 00:40:26.24 ID:JeEVQ9Y4o
妹「……」
男「友も心配してたんだぞ」
妹「?」
男「お前が元気ないって」
妹「知らないよそんなこと」
男「心配してもらってるのに、なんだその態度は」
妹「説教?」
男「友の気持ちも考えろよ。悪いことなんて一切してないだろ」
妹「知らないよ、私」
男「おいおい子どもじゃないんだから」
妹「子どもだもん」
男「っ……」
妹「まだ、子どもだもん」
106 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/08(土) 00:41:13.10 ID:Hs8BS/Kao
キテター
107 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/10/08(土) 12:52:28.19 ID:gTf0eZ1Eo
きてた!
108 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/08(土) 14:00:13.01 ID:JeEVQ9Y4o
火曜日からきっちりと再開させていただきます。
今の状態のままだと、一日3レスくらいが限界ですので……。
お詫びと言ってはなんですが、↓をうpさせていただきました。お暇があれば見てくださーい。
http://ux.getuploader.com/StoryName1/download/18/GGT1.zip
109 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)
[sage]:2011/10/08(土) 17:43:01.86 ID:O+2nIeK4o
>髪の毛を両方で結んだ、短いポニーテール。
110 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)
[sage]:2011/10/08(土) 17:43:37.94 ID:O+2nIeK4o
ミスった
>髪の毛を両方で結んだ、短いポニーテール。
これってツインテール?
111 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/08(土) 20:35:11.58 ID:t/2UpKnxo
>>110
エビみたいな髪なんじゃね?
112 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/08(土) 21:30:16.89 ID:JeEVQ9Y4o
>>109-110
ごめんなさい! ツインテールです。
113 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/10/09(日) 21:02:33.03 ID:zpNGJrdIO
うお、あんま来れないって言うからあんまチェックしてなかったけど来てるじゃん
114 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 17:02:07.28 ID:tdiwU9+zo
俺はこの時。
手が出そうになった。
男「そうかよ」
俺は聞き取れないくらいに小さな声を吐きだして、椅子から立ち上がり居間を後にした。
姉「どうしたの? ご飯食べないの?」
男「いらない。なんか、食いたくない」
姉「ええ、男のためにたくさん作ったのに」
男「……」
そう言われると、弱い。
男「ごめん、姉ちゃん。食べるよ」
俺はまた、沈黙の居間の食卓に座った。
115 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 17:10:05.67 ID:tdiwU9+zo
男「妹」
妹「……」
男「明日は一緒に行こうな」
妹「無理しなくていいよ」
俺の精一杯の言葉だった。
『無理』なんてしてない。
妹「別に、お兄ちゃんと行きたいわけじゃないから」
わかってるさ。
でも。
それなら。
お前の不機嫌はどこから出て来たんだよ。
116 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 17:12:53.46 ID:tdiwU9+zo
友に対する不機嫌がどこから来たのか。
イライラが止まらない。
姉「ま、まあ、ご飯食べよ? 今日は色々あるからさ〜」
姉は少し陰りのある笑みで精一杯繕っていた。
妹「……いただきます」
男「いただきます」
こんな気分の悪い食事は生まれて初めてかもしれない。
俺が覚えてないだけかもしれないけど。
117 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 17:16:31.07 ID:tdiwU9+zo
・ ・ ・
それからというもの、俺と妹は登校時間が大きく変わった。
変わったといっても、すこし間ができたくらいだけど。
友「結局、ダメだったかー」
友は大きくため息をついた。
男「ごめん、なんか気分悪いよな?」
友「そんなことないよ。妹ちゃんももう中学生だもん。色々あるんだよー」
男「お前も中学生だろ」
友「ふふ、よくわかったね」
友はいつもと変わらなかった。
というか。
変わるわけがないと思った――。
118 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 17:17:38.83 ID:tdiwU9+zo
少し席をはずします。
今回の更新で過去編を終わらせます。
119 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/10/11(火) 17:33:30.34 ID:sLy8jlNRo
ぐぬぬ
120 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 22:58:35.90 ID:tdiwU9+zo
夏休み。
夏休みというのは、まあその名のとおりで、夏の休みなわけで。
しかし、今年は受験の夏。周りの奴らはみんな塾の夏期講習に出かけてしまった。
俺も、その流れで一緒に行くことにしたけれど。
まったく乗り気じゃない。
むしろ、行きたくなかった。
でも、そういえば去年姉も夏期講習に出ていて、希望の高校に行けているという現実があるので、
結局は行かなくてはならない、と自分の使命として行くことにした。
男「それでも」
気が進まないなぁ。
121 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 23:01:45.35 ID:tdiwU9+zo
友も夏休みに入ってからめっきり顔をあわさなくなった。
彼女は自分で勉強するのだといい、夏期講習には参加していなかった。
まあ、でも。
自分で勉強できるやつは、自分で勉強した方がいいのかもしれない。
巻かれるものは巻かれていけばいい。
それが『普通』だ。
俺は自分で勉強ができないから、夏期講習に参加しているんだ。
とっても、単純な話。
122 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/11(火) 23:04:34.36 ID:+A6bWBvOo
キテター
123 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 23:05:17.93 ID:tdiwU9+zo
男「……」
クーラーのおかげで素敵な環境で黙々と勉強。
なんて、俺にはできるわけもなく。
軽く聞きながら気持ちは遊びのことでいっぱいだった。
まあ、なるようになるだろう。
そんな気持ちでやっている自分に、勉強なんてできるわけがなかった。
男「いつ、終わるかな」
ボソリと俺が口にすると、周りの奴らも「確かに」と口をそろえて言った。
みんな、同じ気持ちなのだろう。
一刻一刻と迫るタイムリミットに焦りを感じつつも、気持ちはうわついているものだ。
それが『普通』だ。
124 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 23:09:34.80 ID:tdiwU9+zo
・ ・ ・
夏休みというのはやはり、宿題をどう切り抜けるかがカギになる。
例えば、毎日毎日コツコツとやって、終わらせるか。
最終日に必死こいて全部やるか。
まあ、俺は後者だ。
酷い時は友達に見せてもらう。最終手段だけど。
……友の力は必須だ。やつは即戦力、キーパーソンだ。
見せてくれるよう電話しよう。きっと快く承諾してくれるだろう。
男「神様、仏様、友様」
都合の良い時にだけ、崇める俺だった。
125 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 23:13:02.84 ID:tdiwU9+zo
友『いいよ』
友は愛嬌の良い声で、やはり俺の言うとおり快く承諾してくれた。
男「助かる、それじゃあ、今日行っていいか?」
友『あ、私さ……』
男「?」
友『遠い方の塾に行ってて』
男「……へー」
そうだったのか。
遠い塾というと、本格的な所だな。
友はこの受験、本気で向き合っているようだ。
男「そうか、それじゃあまた今度だな」
友『うん』
126 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 23:16:21.72 ID:tdiwU9+zo
まあいい。夏休みが終わる前に写させてくれればどうということはない。
友『……あのさ』
男「ん?」
友『最近、会ってないね』
男「そうだな、俺も近場の塾の夏期講習に行ってるからな」
友『あはは、男くんも塾行ってるんだ』
男「といってもやる気は全然ないんだよ。もらった教材とかはバッグの中にしまったまんまだし」
友『男くんらしいね』
クスクスと笑い声が受話器から聞こえる。
友『あ、そろそろ塾だ。もう切るね。じゃあ』
男「おう、バイバイ」
127 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 23:19:02.90 ID:tdiwU9+zo
友は元気そうだった。
なにも変わったようなところはなかったから、俺は安心した。
夏休みに受験のストレスとかに苛まれてなかった、ホッとした。
男「さて、と」
そういえば、妹は調子をすこしずつ戻していて、今では居間でテレビを観て大声を出して笑っている。
妹「お兄ちゃん、一緒に観ようよ」
こんなことを言うくらいに、いつもの妹に戻っていた。
男「おう、観よう観よう」
128 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/10/11(火) 23:28:40.87 ID:eSj6vueIO
おっ、きてるきてる
129 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 23:28:59.20 ID:tdiwU9+zo
・ ・ ・
晩飯を食い終え、俺はまた居間で姉ちゃんと妹と一緒にテレビを観ていた。
10時を過ぎたころに、突然電話が鳴った。
誰も出る気配がないので、とりあえず俺が出る。
観たことのない電話番号。これは、携帯か。
男「はーい」
友『……男くん?』
男「あ、友か」
友『あはは、遠いとこ行ってるから、携帯持たされてるんだ』
130 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 23:31:14.20 ID:tdiwU9+zo
男「そうなのか。まだ家に着いてないのか?」
友『うん』
男「電話なんてしてる場合か? さっさと帰ってこいよ」
友『えーっと、ちょっとだけ、いいかな?』
男「え?」
友『あの、空き地わかる?』
男「? わかるけど」
友『来てくれないかな?』
男「こんな時間に?」
もう10時はとっくに過ぎてる。俺は夜遊びなんてしたことのないタチだぞ。
131 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 23:35:30.60 ID:tdiwU9+zo
友『ちょっと、会いたくって』
男「……そっか」
空き地は近くだし、家からそんなに遠くない。
それに、夏休みに全然会えなかった友に会えるのも嬉しかったし。
男「もう空き地には着いてるのか?」
友『うん、ベンチに座ってるよ』
男「了解。とりあえず、今から行くよ」
友『わかったよー。待ってるね』
俺は子機を置いて、玄関の方へ行った。
姉「どこ行くの?」
男「ちょっと、空き地の方に」
姉「もう夜遅いよ?」
132 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 23:38:27.75 ID:tdiwU9+zo
姉は心配そうな顔をした。俺が非行に走ってしまうんではないかと言わんばかりの深刻な顔で。
男「ちょっと友と会うだけだから」
姉「! ほぉ〜友ちゃんとねー」
妹「……」
男「別にそんなんじゃないって、とりあえず、行ってきます!」
姉「はいはい、あんまり遅くならないでね!」
男「わかってる!」
133 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 23:42:11.21 ID:tdiwU9+zo
・ ・ ・
走って2,3分程度の場所に、友のいる空き地はある。
夏の夜はジメリとしつつもすこしヒンヤリとしていて、心地良かった。
友「……あ」
男「おまたせ」
夏休み前に見たのが最後だったので、もう半月くらい顔をあわせていなかった。
友「ふふ、変わってないね」
男「そっちこそな」
134 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/11(火) 23:46:13.14 ID:tdiwU9+zo
男「で、どうしたんだよ?」
友「うん……夜空が綺麗だな〜と思って」
友は肩にかけていたショルダーバッグを手に持って、両手を後ろにまわした。
男「確かに、今日は雲もなくて綺麗だな」
友「……本当に綺麗」
男「そうだな」
友はこっちを向いて笑いかけた。
135 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 00:01:41.68 ID:w9gSZE6Uo
友「こんな時間に呼んでごめんね」
男「いいんだよ、別に。俺も友に会いたかったからさ」
友「私に?」
男「うん」
友「そっか、そっか」
友は顔を軽く掻きながらハニかんだ。
友「私も、同じ気持ち」
男「そうか」
それは良かった。
136 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 00:06:54.29 ID:w9gSZE6Uo
友「この前さ、私の言ったこと覚えてる?」
男「……なんのこと?」
友「『普通』ってなんなんだろうって」
男「ああ、それか」
友「ちゃんと覚えてる?」
男「俺も結構な頻度でそのことについて考えてたりするぞ」
友「そうなの? 私と一緒だね」
友はこちらに体ごと向いて、こちらにゆっくりと歩いてきた。
137 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/12(水) 00:08:24.93 ID:fPOOFwfuo
キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!
138 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 00:16:19.31 ID:w9gSZE6Uo
男「?」
友「私もずーっと考えてたんだ」
男「ど、どうしたんだ?」
友はいつもの可愛らしい笑顔でこちらに向かってくる。
しかし、歩の進み方が怖い。
なんだか、いつもの。
いつもの友じゃない――。
友「私の気持ちは、『普通』なのかな?」
友は俺に最大限まで近づいて。体のスレスレまで近づいて――。
俺に、キスをした。
139 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/12(水) 00:21:50.87 ID:8vEUApxLo
なんだ俺の実体験か
140 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 00:23:59.87 ID:w9gSZE6Uo
男「! ちょ、友!?」
友「私、わからないんだ」
距離をとろうとする俺を友は抱きしめて放さない
男「!」
友「この気持ちは、なんなのかな?」
友「男くんのことを思うと、切なくなって、体が熱くなるの」
友はもう一度俺にキスをする。
軽いものではなく、長いキス。
男「ま、待てって! 友!」
141 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/12(水) 00:24:49.52 ID:bO9CKa/2o
けっリア充が…
142 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 00:26:32.69 ID:w9gSZE6Uo
友の急な行動に俺は驚きを隠せない。
隠せるわけがない。
こんな夜、誰もこんなところを通るわけがない。
ある意味安心。ある意味不安だ。
友「男くんのことをもっと感じたい」
男「止まれ、友!」
俺は友の肩を持って制する。
男「こんなのおかしいって、俺達、まだ中学生だぞ!?」
友「……」
男「こんなこと、中学生が普通――」
友「わからないよ」
男「え?」
友「なにが『普通』か、わからないよ」
143 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 00:28:26.74 ID:w9gSZE6Uo
友の眼から、大粒の涙がこぼれる。
それと同時に、友は力なく膝から崩れ落ちた。
友「わからないんだよ……なにが『普通』なんだか」
男「……友」
友「教えてよ、男くん」
友の泣き声は本当に、小さな声で。
俺にしか聞こえないように、すすり泣いていた。
144 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
[sage]:2011/10/12(水) 00:32:31.19 ID:YJSHP0Xuo
夏の夜ってのが良いすね
145 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 00:33:36.65 ID:w9gSZE6Uo
普通。
『普通』って、なんだ。
俺にとってこれは『普通』じゃないと思った。
でも、友は『普通』だと思った。いや、わかっていなかった。
だから、行動に移した。
でもそれは否定された。それは、『普通』じゃない――と。
結局、『普通』とはなんなのか、わからない。
わからない、わからない。
146 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 00:37:55.47 ID:w9gSZE6Uo
・ ・ ・
友は泣き疲れてしまったのか、起き上がるとぐったりとしていた。
俺は友の教材がぎっしりと入ったショルダーバッグを肩にかけ、友をおぶって帰ることにした。
蝉の声がちらちらと聞こえ、こおろぎの声も聞こえていた。
男「……友」
友の目の辺りは赤く腫れていて、涙のあとがクッキリとしていた。
男「『普通』、か」
俺は一人、友の小さな重みを感じながら空き地を後にした。
147 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/12(水) 00:39:18.15 ID:n7vXvjJ8o
「普通」って何か。なんて中学生が考えるテーマじゃないよなぁ
148 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 00:43:38.39 ID:w9gSZE6Uo
・ ・ ・
あの日のことなんかなかったかのように、俺と友は友の家で宿題を(主に俺が)写しあいをしていた。
友はビッチリとしていて、本当に助かった。
友「ちゃんとやらないとダメだからね」
男「ああ、ちゃんと写す!」
友「あはは、そうなっちゃうね」
甘えさせないようにしないと、友は拳を固めて宣言した。
男「夏期講習終わったけど、そっちはどうなんだ?」
友「うん、こっちもそろそろおしまい。これで遊べるねー」
男「そうだな。今度俺んちに行かないか?」
友「でも、妹ちゃんがさ」
男「大丈夫だよ、多分」
多分、な。
149 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 00:44:39.93 ID:w9gSZE6Uo
>>148
訂正。
×友はビッチリとしていて、本当に助かった。
○友はシッカリとしていて、本当に助かった。
なんか気持ち悪かったですね、ごめんなさい。
150 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 00:48:45.64 ID:w9gSZE6Uo
友「そうかなー」
男「妹も思春期だったのさ、大目に見てくれ」
友「私達もそうでしょ」
男「あはは、そうだな」
中学ってのは複雑な時期だって、姉ちゃんも言っていた。
姉ちゃんも悩みがあって、それを解決するすべがなかった。
だから自分と向き合う時間を大切にした、と。
たった一年長く生きてるだけだけど、姉ちゃんの言葉は凄く胸に響いた。
流石姉ちゃんだ。
151 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 00:53:27.39 ID:w9gSZE6Uo
ただ、それがぶつかって。
なんでかそれが友に向かってしまっただけなのだ。
それなら、俺とか、姉でもいいのに。
友「わかった、じゃあ、いつにしよっか?」
男「うん、明日でいいんじゃないか? プリンとか買ったぞ」
友「プリン! 私好き!」
男「だから買ったんだよ」
友「えへへ、ありがとー」
純粋な彼女にも、裏がある。
『普通じゃない』所が。
152 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/12(水) 00:59:10.06 ID:n7vXvjJ8o
>>149
俺のレスに対してかな?
あれは男と友がすげぇ頭いいんだろうなと思って書き込んだんだ
中学生の頃なんてあんまり難しいこと考えてなかった気がしたから
違ってたらごめんなさい
153 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage]:2011/10/12(水) 06:07:28.26 ID:VbEKvBhDO
書き込めなかったので、今日の更新にて過去編完結予定です。よろしくです!
154 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/12(水) 08:08:15.39 ID:2vMtLv/SO
乙
155 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/12(水) 08:49:42.84 ID:tozm2OBIO
男がうざい
156 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/12(水) 08:57:53.92 ID:bO9CKa/2o
乙です
157 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/10/12(水) 10:39:44.39 ID:koiZwUpao
今までとはちょっと違って引き込まれる文だなぁ
158 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/10/12(水) 11:38:51.15 ID:ncSK7ENpo
乙したああああ
159 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(秋田県)
[sage]:2011/10/12(水) 20:33:47.87 ID:FCNneU53o
男にしか聞こえないように壁殴り代行
160 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 23:08:05.16 ID:w9gSZE6Uo
俺はあの時、気づけなかったのだろう。
本当の彼女に。
本当の彼女の気持ちに。
・ ・ ・
姉「へえ、久しぶりね、友ちゃんが家に来るの」
よーし、お昼ご飯ご馳走しよう! と姉は張りきった。
男「心配かけさせないでね、あいつは俺と違って気をつかうから」
姉「いや、あんたも気をつかいなさいよ」
芸人のようにツッコんで、姉は笑った。
妹「誰が来るの?」
男「友だ」
妹「……そっか」
男「謝るチャンスだぞ?」
妹「私が?」
男「そうだよ」
妹「……」
妹は一瞬具合が悪い顔をしたが、すんなりと戻って。
妹「うん、わかった」
161 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 23:12:55.08 ID:w9gSZE6Uo
男「!」
意外とあっけなく、妹はそう言った。
妹「いつまでも、こんなじゃ、ダメだもんね」
男「ああ、そうだな」
妹「なんで驚いてるの?」
男「そりゃ驚くさ、俺はまた『やだ』とか言うのかと」
妹「なんかそのお兄ちゃんの決めつけがむかつく」
男「わ、悪い悪い」
妹「……いつまでもお兄ちゃんが笑ってくれないからさ」
妹が口ごもってなにかを言っていたが、俺は聞き直そうとはしなかった。
162 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 23:22:14.09 ID:w9gSZE6Uo
・ ・ ・
午後12時半に、インターホンが鳴った。
もちろん友である。約束の時間ちょうどに来るところに、律義さを感じた。
男「おーっす、入っていいぞ」
と、応答ボタンを押して友に声をかけた。
友「えー、勝手に入るのはなんかなぁ。久しぶりだから男くん来てよ」
男「人使いのあらい奴だ」
友「こんなんで人使いがあらいの!」
いつも通りの冗談を交えて、応答ボタンを切った。
163 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 23:28:14.48 ID:w9gSZE6Uo
・ ・ ・
ドアを開けると、ラフな私服を着た友がいた。
男「いらっしゃい」
友「なんか、お店の人みたい」
くすくすと笑って、俺を指差す。
姉「あー、友ちゃんお久しぶり! ささ、上がって上がって」
友「姉さん、久しぶりです」
俺の背中にべっとりと乗っかったテンション高めの姉は友に手招きして、中に入らせた。
164 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 23:35:05.91 ID:w9gSZE6Uo
友「良かった、変わってない!」
男「数年で変わるものでもないけどな」
友「模様替えとかしてると、結構変わるものだよー」
友の家は見事模様替えに成功し、とてもすっきりとしていて、印象が全く変わっていた。
男「そうだな、お前が言うと納得だ」
姉「お昼は食べていくよね?」
友「はい、お母さんにも言っておきました」
姉「オッケー! じゃあ今から用意するから、男の部屋で待ってて!」
男「姉ちゃん、持ってきてくれるの?」
姉「もち! 久しぶりに友ちゃんに料理をするんだもん、燃える!」
そういえば、姉ちゃんは俺たちが中一の時に、一度友に料理をふるまってたっけ。
あの時は友がすっごく美味しい! と大絶賛して、それから姉は家事を率先してやるようになったんだ。
165 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 23:41:02.24 ID:w9gSZE6Uo
男「それじゃあ、友、行くか」
友「うん」
友と俺は階段を上って、部屋に行くことにした。
友「……」
男「ん?」
ふいに友は俺の部屋の前で止まった。
友「あの、ね」
男「どうしたんだ?」
友「男の子の部屋に、女の子が入るってことはさ」
男「……?」
友「いいのかな?」
どういう意味だ。
166 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 23:47:01.56 ID:w9gSZE6Uo
男「なんだよ、急に」
友「うーん、なんというか」
友は俺から視線を外して、宙を見始めた。
男「やめろよ、照れられるとこっちもなんか恥ずかしいぞ」
部屋になにか変なものがあるわけでもないのに、だ。
別に恥ずかしくないよ。
友達なんだから、それが『普通』だろ。
167 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/12(水) 23:56:18.89 ID:w9gSZE6Uo
友「私もすっごくドキドキしちゃっててさ」
男「……」
この時に、思う。
そうか、友も――。
友も、『女』なんだ。
男「とりあえず、中に入ろう」
俺は友の手を握って、中に入ろうとした。
友「っ!」
友は俺の手をすかさず振りほどき、顔を背けた。
友「いきなり触るの……ダメだよ」
168 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/13(木) 00:02:02.10 ID:vlmfFOlWo
キテター
169 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/13(木) 00:03:59.67 ID:BxWn0/Kso
男「……え?」
友からいつもの笑顔が消えていた。
とても冷たい目をして、まるで俺を見ようとしない。
友「……ご、ごめん。中、入ろ」
顔を緩ませて、友は笑って見せた。でも俺には。
俺には、笑っているようには見えなかった。
170 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/13(木) 00:13:56.49 ID:BxWn0/Kso
しばしの沈黙の中、俺が最初に声を出した。
男「……あはは、変わってないだろ?」
友「そうだねー、変わってるとすれば、ちょっとだけ綺麗になった?」
男「以前は散らかってたって言いたいのか?」
友はまた、元に戻っていた。一安心だ。
友「そうじゃないけど、なんか息苦しかったと言うかなんというか」
男「ひでえ!」
171 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/13(木) 00:31:20.67 ID:BxWn0/Kso
友「今は――」
男「今は?」
友「――ドキドキする」
男「……」
友は、顔をリンゴのような赤色に染めた。
男「……そうか」
リアクションが取りづらかった。
今日まで、友といて。
友のことを異性とか、そういう観念で見ていなかった俺にとって。
今の友は、俺の知ってる友じゃなかった。
『変わっている』。
つまり。
『普通』じゃない。
172 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/13(木) 00:38:55.19 ID:BxWn0/Kso
俺は、この時。
早く、時間が過ぎればいいと思った。
最低なのは、わかっている。
でも、それでも。
今のこの状況は、俺にとって最高で、最悪だった。
友といることに苦を覚えたのは、初めてだった。
こんな気分になることを、誰も、そして俺すら思わなかった。
そんな空気の中、コンコン、と小気味よいノックの音が聞こえた。
これはきっと、姉だろう。食事を持って来たのだ。
男「開けていいよー」
173 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/13(木) 00:47:26.09 ID:BxWn0/Kso
ドアが開くと、そこには妹がいた。
妹「お姉ちゃんに持って行って言われた」
男「おお、妹か」
妹「……」
友「お邪魔してます」
そういえば、妹だけ友に会っていなかった。
男「おい、妹」
妹「! み、耳元で話しかけないでよ!」
男「うるさい、今がチャンスだ」
妹「……わかってるわよ」
174 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/13(木) 00:53:12.20 ID:BxWn0/Kso
妹は持ってきた食事を小さなテーブルに置いた。
友「ありがとー」
妹「友さん」
友「ん? なぁに?」
妹「この前はごめんなさい」
ペコリと頭を下げる。
男「ほら、なんか機嫌悪かったってこと」
友「私も悪かったんだよ、ごめんね、妹ちゃん」
妹「……」
ホッと息をついた妹は「これでいい?」と言わんばかりの顔で俺に視線を送ってきた。
男「これでよし」
妹「あ、あと一つ」
175 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/13(木) 01:10:59.85 ID:BxWn0/Kso
妹は友の近くに寄って、耳元で話した。
男「?」
友「……な、なんで?」
妹「言いたいこと、いいましたから」
男「?」
妹「……それじゃあ、食事は置いたから」
妹はニコッと俺に笑いかけた。
何を言ったんだ。
176 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/13(木) 01:19:23.16 ID:BxWn0/Kso
友「……ごめんね、男くん」
男「な、なにが?」
友「私って、そんなに……」
男「妹に何言われたんだ!?」
友「……『あなたがお兄ちゃんの笑顔を奪ってる』」
男「!」
何を言っている?
友「『だから、あまり一緒にいすぎないでください』」
どういうことだ。
なんで、そんなことを。
妹は。
妹 は な ん で そ ん な こ と を 言 っ た ?
177 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/13(木) 01:31:30.04 ID:BxWn0/Kso
友「ごめん、ごめん……」
男「いや、大丈夫だよ友」
友「でも、妹ちゃんが……」
そもそも、なんで妹がそんなことを言うんだ。
俺はあいつに、何も言ってないし、友のことを悪く言ったことは無い。
それなのに、妹はなんで……?
男「と、とりあえず飯、食おうぜ? な?」
友「なんだか、食欲無くなっちゃった……悪いんだけど、帰るね」
男「え、お、おい!」
友は絶望した表情で、俺の部屋を出た。
すかさず俺も追いかける。
178 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/13(木) 01:33:56.22 ID:BxWn0/Kso
友の背中はとても悲しく、嘆いているようだった。
男「待てって!」
肩を掴むと、グラリと揺れて、友の顔はこちらを向いた。
男「!」
友は、泣いていた。
涙で顔を濡らしていた。
まるで、あの日と同じように。
男「な、泣くなよ……お前はなにもしてないじゃないか!」
友「今、男くん――」
友は涙を流しながら微笑んで見せて。
友「――全然笑ってない」
179 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/13(木) 01:36:02.06 ID:BxWn0/Kso
ごめんなさい、完結するする詐欺で……。
今日の更新でも終わりませんでした、ごめんなさい。
とりあえず、今週中の更新で頑張って完結したいと思っています。
と言ってもそろそろ過去編も佳境です。なんかすいません、重くて。
追伸
最近ネタを考えるといつも牧のネタしか思い浮かばないです。
これはまさか、神様が牧ネタを書きまくれと言っているのでしょうか。きっと気のせいです。
180 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/10/13(木) 07:11:12.59 ID:H3w1uuU9o
完結してなかった……だと……
とりあえず終わったら牧ネタ書きまくれやがれください
181 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/13(木) 11:19:55.28 ID:H1dfp9dpo
>>179
書けばいいんじゃないの?書き手だもの
待ってるぞwwww
182 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/10/13(木) 19:03:00.03 ID:YjwUBL0m0
久しぶりにきたけど過去編終わってなかったか
もう最初の設定忘れちゃったよ
183 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/10/13(木) 20:44:14.23 ID:yCBw0pFYo
牧好きだから是非書いて欲しい
184 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/14(金) 01:16:13.78 ID:g0Dp4o+mo
すいません、今回の更新はなしです。
今やっとパソコンが開けたということもあり、明らかにまともな更新ができない……!
というわけで、今日の夜に更新します。
とりあえず、過去編終わったら、みんな忘れてると思うのですこしだけメタな話でもしようかと思ってます。
それでは。
185 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/10/14(金) 23:13:49.22 ID:dB2OefQAO
仕方がないね
そろそろ来るかな?
186 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 00:33:20.11 ID:Fs7GSm1/o
男「それは――!」
笑ってる場合じゃ、ないだろう。
お前が悲しい顔をしてるのに。
俺には――。
――笑えって言うのか。
友「気づけなくて、ごめんなさい」
男「なにがだよ! お前は悪くない!」
俺は力強く友の肩を掴んだ。
友「じゃあどうして笑ってくれないの!?」
わからないよ、私――。
友はそういうと掴んでいた肩を揺らし、俺の手を解いた。
187 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/15(土) 00:35:35.39 ID:Y2haSZgoo
待ってたー!
188 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 00:39:36.06 ID:Fs7GSm1/o
男「待っ――」
俺は声は途中で途切れた。
いや。
妹「……」
後ろから妹に体を抱きしめられ、とっさに声が出なくなった。
男「……妹!」
妹「もう、いいよ」
男「な、なにがだよ!」
妹「お兄ちゃんはもうつらい気持ちにならなくてもいいの!」
男「どういうことだよ」
俺がいつ。
男「どうしてつらいんだよ!?」
そんなこと言った。
俺は友といて――。
つらいと思ったことなんてない。
189 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 00:47:06.61 ID:Fs7GSm1/o
妹「お兄ちゃん!」
男「放せ、妹! 俺は友を追わないと……」
妹「友さんといるとお兄ちゃんは無茶して――」
妹「いつも怪我ばっかりしてたじゃない!」
男「!」
昔。
友が学校のベランダから落ちそうになったのを助けて骨を折ったことがある。
昔。
友が上級生の男子にぶつかって殴られそうになった時、俺がかばったことがある。
昔。
友が海で溺れているのを助けて、逆に溺れたことがある。
だから、なんだ。
友が危険になったら助けるのは、当たり前のことだろう。
普通だろう。
それに、そんなことは昔の話だ。
190 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 00:57:53.79 ID:Fs7GSm1/o
男「友は俺の、大事な友達なんだ!」
妹「お兄ちゃんが辛くなくても――」
妹はさらに強く俺を抱きしめた。
妹「私はとっても辛いの!」
男「!」
妹「友さんはニッコリと笑ってお兄ちゃんの横に平然と立ってる」
妹「私にはそれが、とっても嫌なの!」
妹「お兄ちゃんが気にしてなくて私は、たくさんたくさん心配してる」
妹「お姉ちゃんだって、すっごく心配してる」
男「……」
191 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
:2011/10/15(土) 01:00:20.97 ID:MEcoGojWo
キター
192 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 01:02:50.54 ID:Fs7GSm1/o
男「でも……」
妹「別にお兄ちゃんが代わりになることないじゃない!」
俺は。
友を助けて。
妹「友さんだって、心配する」
妹「『私のせい』って、思ってるはず」
男「!」
友は、悪くない。
男「は、放せ、妹!」
妹「いや!」
友が責任を感じているなら。
それを否定しないと、ダメだ。
男「このっ!」
俺は妹の制止を振り切り、階段を猛スピードで下りた。
193 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/15(土) 01:06:12.78 ID:Rl6ggp/SO
寝ようとしたのに眠れないじゃないか
194 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 01:14:50.12 ID:Fs7GSm1/o
姉「お、男……」
男「! どいてくれ、姉ちゃん」
姉「……うん」
男「ごめん」
姉「男」
男「なに?」
姉「……私は、いいから」
男「え?」
姉「あんたが思うままに行動しても良いと思う。でも」
姉「無茶はしないで」
男「……はは」
今、言わなくてもいいのに。
195 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 01:16:29.49 ID:Fs7GSm1/o
・ ・ ・
友と俺の家は遠いといえば遠いし近いといえば近い。
友はきっと家に帰ったはずだ。
それ以外に行く場所なんてないだろうし。
男「はっはっはっ……」
なんでだろう。
俺は、とても焦っていた。
このままだと俺と友は。
いつもの状態でいられない気がした。
『普通』でなくなる気が、した。
196 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 01:20:28.91 ID:Fs7GSm1/o
男「……!」
俺はふと、思い直した。
俺が追いかけてくるのをわかっていて。
家に戻るか?
友は足が早い方じゃない。
着く前に俺が追いつく可能性だって、ないわけじゃない。
男「……」
俺は昔のことを思い出す。
俺と友がいつも一緒にいた場所。
空き地?
いや、違う。
男「……?」
そういえば、俺はあいつと。
どこで、一緒にいたんだ?
197 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 01:31:00.76 ID:Fs7GSm1/o
男「……」
悲しいもんだ。
いつも一緒にいたけれど。
いつも一緒にいた場所はわからなかった。
男「……よし」
しらみつぶしで探すしかない。
男「まずは――あそこからだ!」
198 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 01:39:17.06 ID:Fs7GSm1/o
・ ・ ・
友は本当に、子どものころから。
笑顔が素敵で、とっても眩しかった。
性格は優しくて、ちょっとお人好しで。
可愛くて、元気いっぱいで。
そんな友を俺は――。
俺は――。
・ ・ ・
男「!」
友「……」
男「友!」
友「!」
見つけた。
199 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 01:54:30.94 ID:Fs7GSm1/o
男「お、おい!」
友は俺を見るなり、逃げ出した。
友「こ、来ないで!」
男「なんでだよ、まだちゃんと話を……」
友「話をしたって、もうダメなの!」
男「!」
友「私は男くんのことが好き、でも、あなたが辛いと思うなら、一緒にいたくない」
男「俺は辛いと思ったことなんてない! 本当だ!」
友「……」
友は、走るのをやめない。
200 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 02:01:42.50 ID:Fs7GSm1/o
男「友!」
俺だって、好きだ。
友のことが。
男「俺だってお前のことが!」
男「!」
友はこちらを向いて、前を見ていなかった。
突如として曲がり角から、鉄の塊のような物が見えた。
男「危な――」
友「っ!!!」
201 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 02:05:53.30 ID:Fs7GSm1/o
男「……あ……」
事件でよく聞く、事故。
トラックにはねられて、死ぬ。
そんな事件が、絶えない。
そして俺が見たものは。
それは――。
友だった。
男「友!!!」
友は路上に投げ出されていた。
ピクリともしない。
202 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 02:11:40.24 ID:Fs7GSm1/o
男「友、友!」
駆け寄って、声をかける。
友「お……男、くん?」
男「友!」
友「あはは……やっちゃった」
男「バカ野郎、前向いて歩けっていつも言ってるだろ……!?」
違う。
今はそんなことどうでもいい。
男「救急車、早く!」
トラックの運転手に怒鳴るように言い、運転手もすぐに電話をかける。
このままじゃ、友は――。
203 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 02:17:40.06 ID:Fs7GSm1/o
・ ・ ・
病院は、静かで、どことなく不安になる場所で。
そして、俺にとっては。
絶望の場所であった。
男「……」
姉「……男」
姉がやってきた。
姉「……友さんは?」
男「……」
姉「……」
姉の顔がグッと強張り、涙が溢れた。
男「……姉ちゃん」
204 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 02:22:43.57 ID:Fs7GSm1/o
>>203
訂正。
×姉「……友さんは?」
○姉「……友ちゃんは?」
205 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 02:26:15.79 ID:Fs7GSm1/o
姉「男……」
男「……俺は、大丈夫だよ」
妹「はぁはぁ……!」
妹も遅れてやってきた。
男「妹」
妹「ごめんなさい、お兄ちゃん」
男「……」
妹「私のせいで、私のせいで……」
男「お前のせいじゃない。悪いのはあいつのせいさ」
前を向いていなかったあいつのせい。
そして。
俺のせいだ。
206 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 02:32:04.11 ID:Fs7GSm1/o
・ ・ ・
男「……」
友は、眠っていた。
息をせず。
静かに、静かに。
永眠(ねむ)っていた。
男「……」
妹「うぅ……」
妹が泣き崩れる。
友の母さんはすでに泣き疲れているようだった。
男「おばさん……俺……」
おばさんはこちらに振り絞った、見え見えの笑顔をした。
おばさんは俺を責めてはいない。
でも。
それがとても、つらかった。
207 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 02:39:48.93 ID:Fs7GSm1/o
……………………
友は、笑っていた。
最後まで、笑っていた。
友『あはは……男くん、凄い顔してる』
男『いいから喋るな! 一緒にいるから』
友『そっか……一緒にいてくれるんだね』
男『そうだ、俺はお前と一緒にいても辛くない、見ろ!』
俺は精一杯笑った。
つもりだ。
友『……無理しちゃってさ』
滝のような汗を流している友は、またニコッとして。
友『嫌だなぁ……』
男『……?』
友『死にたくないなぁ』
ポツリと、そうつぶやいた。
……………………
208 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 02:41:52.96 ID:Fs7GSm1/o
死にたくない。
それが、最後の言葉だった。
それが、『普通』だ。
死を怖がること。
それは、『普通』じゃないか。
男「……」
俺は病室から出ようとした。
姉「男!」
男「……なに?」
姉「いいの? もう、いいの?」
男「……ああ」
209 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 02:59:01.48 ID:Fs7GSm1/o
・ ・ ・
男「……」
俺はベッドに仰向けになっていた。
正直、疲れた。
あのあと警察に色々と聞かれて。
病院に行けたのはその後1、2時間くらいあとだった。
男「……なんなんだろうな」
こんなことを言っていても。
涙は止まらない。
210 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 03:05:03.06 ID:Fs7GSm1/o
男「……うっ」
鮮明に思い出す。
友の、姿を。
最後に見た、痛々しい姿。
男「……ううっ……」
男「うわああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
俺は、叫んだ。
なにも考えずに、叫んだ。
そうすれば、全て忘れられて。
全てが元に戻って。
『普通』の日常になっていると思って。
211 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 03:10:30.18 ID:Fs7GSm1/o
・ ・ ・
男「……」
叫び疲れて、寝てしまったみたいだ。
男「……」
姉「おはよう、男」
部屋のドアから声がした。
姉「……あの、えっと」
男「ご飯はもう出来てるよね?」
姉「あ、うん」
男「……そっか」
姉「大丈夫?」
男「なにが?」
姉「……わかるでしょ」
男「……」
212 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 03:12:43.90 ID:Fs7GSm1/o
次の更新で完結! 本当にごめんなさい!
まさか過去編でスレの5分の1を使ってしまうとは思ってませんでした。
そろそろアンドロイドのみなさんに後ろから刺されそうです。怖い怖い。
とりあえず、次回で必ず終わらせますので、ご期待(?)ください!
展開が早くなっているので、どこかわからない点があればお聞きください!
213 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/15(土) 06:23:42.17 ID:Rl6ggp/SO
寝て良かった
こうなるであろうとは思っていたが、実際起こると……
214 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/15(土) 06:24:11.65 ID:I3U8BpLfo
乙です
なんだかすごくへヴィーです
続き待ってますよ
215 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/10/15(土) 06:40:05.43 ID:S5gA8wtw0
乙
216 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/15(土) 09:59:49.90 ID:Y2haSZgoo
途中で寝てしまった……乙。
過去編がどんどんシリアルになってきたな……
217 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/10/15(土) 10:54:22.87 ID:IbeYhTlLo
シリアルシャクシャク
>男「お前のせいじゃない。悪いのはあいつのせいさ」
このセリフに若干違和感を覚えたにょろ
218 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/10/15(土) 13:16:21.08 ID:+lT7LJcAO
乙
219 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/15(土) 13:19:39.17 ID:MEcoGojWo
乙でした
途中から嫌な予感しかしなかったけど友…
220 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/10/15(土) 19:37:50.69 ID:EiMRdnvd0
乙でした♪
妹がヤンデレると思ったんだけどなぁ
221 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 20:11:51.82 ID:Fs7GSm1/o
男「ああ、もう、大丈夫だよ」
姉「……まだ、だね」
男「え? なんで?」
姉「……」
姉ちゃんは俺の顔を指差して、瞳を滲ませた。
男「……」
俺の顔には。
まだ、涙があふれていた。
222 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 20:22:41.22 ID:Fs7GSm1/o
指に濡れた感触がして、それを涙だと認識するのに、時間はかからない。
男「あれ……おかしいな」
姉「無理しないでいいんだよ」
男「……いや、無理なんか」
姉「男っ」
柔らかく、姉ちゃんは俺を抱きしめた。
姉「……辛いのは私だって一緒。だけど、あんたが一番辛いだろうから」
男「姉ちゃん……」
姉「だから、泣いていいんだよ?」
男「う……うわぁああああああああああああああああ!!!」
俺は、姉の胸に顔を埋めて泣いた。
一生分の涙を流すように。
子どもが親に反応して欲しいがために出すような声を出して。
俺は再び叫んだ。
223 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 20:26:30.89 ID:Fs7GSm1/o
・ ・ ・
男「……あのさ、姉ちゃん」
姉「……ん?」
泣き止んで、俺は姉ちゃんに声をかけた。
姉ちゃんは優しく微笑みかけて、俺をゆっくりと撫でた。
男「俺に勉強教えてくれないかな?」
姉「ど、どうしたの急に?」
男「いや……ちょっとさ」
姉「……うん、いいよ」
男「ありがとう。姉ちゃん……いや」
男「姉さん」
224 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
[sage]:2011/10/15(土) 20:30:55.57 ID:w0V2Uigno
お互いいろいろあったんだな、男達にも女達にも
225 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 20:36:38.05 ID:Fs7GSm1/o
・ ・ ・
友の葬式は、静かに行われた。
俺も家族と一緒に参列した。
『最後だから』と、親は会社を休んだらしい。
俺のことを見てくれていたような子だから。
母はそう言っていた。
妹は涙を流し、グスグスと鼻を鳴らしていた。
姉ちゃんは溢れ出る涙を拭って、それでも毅然とした表情をしつづけていた。
そして俺は――。
泣かなかった。
泣かなかったというか。
もう、泣き尽したんだ。
だからだと思う。そうであってほしいと思う。
226 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 20:42:59.14 ID:Fs7GSm1/o
>>225
訂正。
×姉ちゃんは溢れ出る涙を拭って、それでも毅然とした表情をしつづけていた。
○姉さんは溢れ出る涙を拭って、それでも毅然とした表情をしつづけていた。
227 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 20:47:42.00 ID:Fs7GSm1/o
そうじゃなきゃ――。
俺は、友のなんだったんだと思ってしまう。
なにも感じないのかと思われる。
男「……さよなら」
友の冷たい綺麗な顔を見て。
俺は小さくそう言ったのを覚えている。
それから俺は、勉強をするようになった。
なにかあったのかと言われても、「なにも」と答えて。
ただひたすら、勉強した。
姉さんの助けもあってか、勉強は想像以上にはかどった。
そりゃそうだ。姉さんが近くの高校を選んだのは家族のためであって、もっと上を目指そうとすれば行けたんだから。
228 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/15(土) 21:05:14.00 ID:MqaIe3jOo
イイヨイイヨー
229 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 21:19:40.89 ID:Fs7GSm1/o
つくづく、俺と本当に違って、なんでもできる人だと思う。
妹「お兄ちゃん」
男「ん?」
妹「これ、夜食」
男「ああ、ありがとう。助かるよ」
妹「べ、別にお兄ちゃんのために作ったわけじゃないから」
男「え、これお前が作ったの? 不安だ」
妹「な、なんですって!?」
男「冗談だよ。ありがと」
妹「あっ……う、うん」
男「?」
妹「な、なんでもないよ、なんでも」
男「……そうか」
230 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 21:26:51.75 ID:Fs7GSm1/o
妹「……それじゃあ、頑張ってね」
男「おう、ありがとう」
ガチャ バタン
妹(……なんだろ)
妹(あれからすっごく素っ気なくなったけど……)
妹(なんで、ドキドキするんだろう)
・ ・ ・
男「……あ、受かった」
冬。
俺は見事高校に合格した。
231 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 21:31:24.51 ID:Fs7GSm1/o
男「……」
なんだか、あっけなくて。
俺はスッキリとした気分にはなれなかった。
・ ・ ・
姉「おめでとう、男」
男「姉さん」
姉「これであんたもついに高校生かぁ〜……びっくりだね」
男「あはは、そうかな」
姉「そうだよ。だって、まだまだ小さいと思ってたんだけどなあー」
姉「気づいたらもう私より身長も高い! 筋肉もついてるし!」
男「オトコだからね」
姉「たくましくなったねえ〜本当!」
232 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 21:33:28.48 ID:Fs7GSm1/o
男「ありがとう、姉さん」
姉「ん?」
男「姉さんの力がなかったら、受からなかったよ」
あそこはとてつもなく実力の高い学校だから。
俺一人じゃ無理だったと思う。
男「ありがとう、姉さん」
姉「……は、ははは! それは良かった良かった! 私に感謝しなさーい」
男「うん、するよ」
姉「……男、おめでとう」
男「ありがとう」
姉「……本当に、ね」
男「うん」
233 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 21:51:12.38 ID:Fs7GSm1/o
・ ・ ・
友が入りたいと言っていた高校に合格した。
でも、友との別れ俺は、クラスの中でもとても地味な部類に入っていた。
なにもする気になれなくて。
ただひたすら勉強していた。
きっと高校でもそうだろう。
そう思っていた。
だけど。
高校一年生の時に。
?「君、名はなんという?」
男「え?」
?「名前だ。教えてくれ」
男「……男ですけど」
?「ふむ、そうか」
?「私と一緒に、生徒会にならないか?」
男「あ、あなた誰ですか?」
?「私か……私は――」
会長「――次期会長になる者だ」
思いもよらない出来事が起こったんだ。
The past of MAN T END
234 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/15(土) 21:52:45.31 ID:8ufNjh9po
乙でした
会長きたwww
235 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/15(土) 21:58:23.57 ID:Fs7GSm1/o
男過去編、終了です。
いやー、やっと終わりました! 男過去編その1!
……え、その1?
そうです、高校過去編がまだあります。
それはまた今度……というわけで、次回からまたいつも通り進行していきます。
次回……はとりあえずみなさん忘れてるでしょうから、とりあえずアンドロイド忘れないでください回をやりたいと思います。
ギャグまみれ&オチなしになりそうですので、どうか生温かい目で見てください。
>>217
妹が自分のせいだと気に病んでしまったので、「友のせい」と言って割り切らせたんです。
ここで男が「自分のせい」だと言うと、また妹がなにか言うと思ったので言わなかったんです。
>>220
ヤンデレにしようかと思ったんですが、本編のキャラの変わりようがやばかったのでやめました。
それに、蛇過去編で一度使った手でもあったので……。
236 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
[sage]:2011/10/15(土) 22:35:34.44 ID:w0V2Uigno
会長のおかげでなんかスカッとした
さすがだ
237 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/16(日) 00:54:13.73 ID:EUNRs+dno
乙でした
これが会長との出会いか
238 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/10/16(日) 07:33:18.52 ID:MrKrYNfao
友おおおおおおお
過去編よかったよ!乙した
239 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/10/16(日) 10:22:45.96 ID:pzZIqRBL0
激しく乙
通常回と過去編2どっちもまってるぜ!!
240 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/10/16(日) 11:30:27.72 ID:TRD++SRRo
乙した!
友は俺のとこに幽霊としででも来てくれて良い
過去編期待!でも女達ももっと登場させても良いのよ?
241 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/10/16(日) 15:01:01.44 ID:SghyhJzWo
乙
>>235
俺の言い方が微妙だったけど
>>217
は意味的なことじゃなくて日本語的な意味で違和感を覚えたってことですはい
悪いのはあいつさ とか あいつのせいさ とかの方が個人的にしっくりくるかなーって
次も期待
ちょっとアンドロイドのこと忘れてきた
242 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 17:37:28.07 ID:3PTySNzQo
女「大変なことが起きました」
撫子「はい……」ゴクリ
牧「非常事態だね」
狐子「……」
女「このままでは、私達の存在意義が無くなってしまいます。なにか作戦を練らないと」
牧「うん、ついつい普段の生活に慣れていたら、こんなことになっちゃったね」
撫子「そうですね……なにか、新しいことをしないと」
狐子「……なあ」
女「なんですか?」
狐子「大変なことって、なんだ?」
243 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 17:41:16.63 ID:3PTySNzQo
牧「はぁ……」
撫子「狐子、あなたはもう重症です!」
女「このままではあなたは……」
狐子「いや、意味がわからん。お前ら、なにを焦っているんだ?」
女「あなたは、アンドロイドです」
狐子「……ああ、そういえばそうだったな」
撫子「な、なんということでしょう!」
牧「まさか、忘れてたの!?」
狐子「いや、最近出番もなかったし……」
女「このままでは狐子が危ないです。あなたは知らぬ間に影の存在になり得ます」
狐子「……いや、私は――」
狐子「人気あるから大丈夫だと思う」
女・牧・撫子「!」
244 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 17:44:40.89 ID:3PTySNzQo
狐子「この中で唯一の妹的存在。私以外には務められない役どころだ」
牧「す、すんなりと言ったね……」
狐子「そして、この耳!」ピョコンッ
撫子「! 眩しい! 萌え要素てんこもり!」
牧「これには勝てない……」
狐子「私に勝てるやつはいるのか?」ピョコピョコ
女「ですが、狐子」
狐子「なんだ?」
女「あなたはこの中で一番メインの話が少ないですよ」
狐子「!」ギクッ
女「作者は『うどんの話をしようしようと思ってるけどなかなか実現しない。後回しにしよう』といつも言っています」
狐子「さ、作者って誰だ!?」
245 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 17:49:23.66 ID:3PTySNzQo
牧「確かに、それに、メインの回より、サブであるはずの回で人気を上げている節がありますね」
狐子「なんてことを言うんだ!」
撫子「男さまとの接触が一番多いのも、話に出やすいという点では長所になりえますからね」
狐子「うぐっ……」
女「このままでは、あなたは作者に見離されてしまうかもしれません」
狐子「い、いやだぁ! 私はもっともっと出たい……!」プルプル
女「その意気です。大丈夫です。アンドロイドであるあなたは、むしろメインに近い存在なのですから」
牧「うん、きっと次の回は狐子メインだよ」
狐子「そうか……そうだな! よし、期待しておこう!」
※次回のメインは庶務です。狐子の話は未定です。
246 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)
:2011/10/16(日) 17:55:36.83 ID:5WPnmsW4o
狐子!俺は好きだよ!
247 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/16(日) 17:55:46.89 ID:w3mgTKPHo
ちょwwwwwwww
期待させといてwwwwwwwwww
248 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 18:01:24.88 ID:3PTySNzQo
・ ・ ・
女「それでは、これから自己紹介、そしてそのアンドロイドの良いところを言っていきましょう。」
狐子・撫子・牧「賛成だ・です・だね」
女「それでは、誰から行きましょうか」
狐子「それはもちろんお前だろう、言いだしっぺなんだから」
女「……わかりました。それでは、自己紹介させていただきます。こほん」
女「DL-003。『無表情人間機械』表情形成システムを根本から抜き出され、どんなことがあっても無表情です」
女「ですが、最近では様々な現象により、表情が生まれた、とも言われています。原因は不明です」
女「今は、男さん、狐子、撫子さん、牧と一緒に住んでいます。毎日がとても楽しくて、つまらない日なんて、ありません」
女「家では主に家事を行っています。料理は昔下手でしたが、今はとても上手だと褒めてもらえるようになりました」
女「近くの喫茶店でアルバイトをしています。そこには男さんの先輩にあたる会長さんもいて、毎日大忙しです」
女「……と、言ったところでしょうか?」
狐子「すごいな……」
牧「ボク、こんなに喋れるかな?」
撫子「素敵でした! とてもわかりやすいです!」
249 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 18:08:11.53 ID:3PTySNzQo
―――――女の評価―――――
狐子……料理がうまい。うどんが美味い。コシがあって美味い。毎日うどんにして欲しい。
牧……優しい。ボクよりなんでもできて、凄い人。憧れるなぁ。
撫子……料理の先生。物静かで、一番女性らしい方。尊敬してます♪
――――――――――
女「……」
牧「お、女……?」
女「とっても、嬉しいです」
撫子「うふふ、それは良かったです♪」
狐子「普段聞けないからな、こんなこと」
女「でも、狐子の評価は一体なんなのでしょう。うどんうどん……」
狐子「はわわ、と、とりあえず次いこ次ー!」
250 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 18:29:48.20 ID:3PTySNzQo
狐子「私はDL-002、『狐耳人間機械』、感情伝導型狐耳を持っている」
狐子「感情が高ぶると耳が現れる。すこし困ったもので、自分ではコントロールできない……うむ」
狐子「狐耳だけでなく、行動力も狐と同等以上。鼻も人間とは比べ物にならないくらいいいぞ」
狐子「女と同じで、私含めていちにさんよん……五人で暮らしてる!」
狐子「好きなモノはテレビと男の……おっほん!」
牧「座るの好きだよねー」
狐子「う、うるさい!」ピョコピョコ
狐子「あとは、うどんが好きだ! うどんならなんでも食べるぞ! 嫌いなのは臭いのきついものと不味いうどんだ!」
女「うどんならなんでも食べるんじゃ」
狐子「う、うるさーい!」ピョコピョコッ
251 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/16(日) 18:34:39.88 ID:UoKnXDixo
DDLじゃなかったか
252 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 18:38:27.69 ID:3PTySNzQo
離脱します、ごめんなさい。
帰ってきたら続き!
253 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 18:38:55.17 ID:3PTySNzQo
>>251
間違いです……。
254 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 22:30:34.92 ID:3PTySNzQo
―――――狐子の評価―――――
女……活発な行動力 身のこなしの良さ 直感的行動
牧……感情豊かで面白いね。子どもっぽいところがまたいいかも。
撫子……可愛くて、ギュッとしたくなる愛らしさ
――――――――――
狐子「……うお……ハズカシイ」
牧「きっとそうだろうね、ちょっと緊張して来ちゃったかも」
撫子「私だけ酷評とかありませんように……」
女「さて、それでは次ですね」
255 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 22:39:03.15 ID:3PTySNzQo
撫子「私ですね!」エッヘン
撫子「SDF-004、『和風人間機械』です。いたって特別な機能はついていませんが、常時和服を着ています。和服じゃないと落ちつかなくて……」
撫子「あ……えーっと……日本料理は得意です! あと……えっと……」
撫子「ど、どうしましょう、全然私なにもないですよぉ〜」アセアセ
牧「一番擬音多いよね」
撫子「そ、そういえば!」ピカーン
狐子「あと、テンションが高い」
撫子「そ、そうですか?」
女「あと、妄想が……」
撫子「あーやめてくださいぃ!」
256 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 22:45:46.99 ID:3PTySNzQo
―――――撫子の評価―――――
女……大和撫子 大人っぽい印象 優しい微笑み
狐子……羊羹が美味い。おはぎが美味い。わらび餅も美味い。うどんも美味い。
牧……大人っぽいのに笑顔はとっても無邪気で子どもっぽいところが可愛い。お姉さんみたいで優しいよね。
――――――――――
撫子「はう……」カァァ
狐子「真っ赤っかだぞー」
撫子「だ、だって……うう、恥ずかしいですね!」
牧「はー……ドキドキしてきた」
女「それでは、次、牧」
牧「うん」
257 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 22:57:08.12 ID:3PTySNzQo
牧「えっと、DAH‐005、牧です」
狐子「ん? 何人間機械だ?」
牧「ボクの型版のアンドロイドにはそういうのないんだ」
牧「えっと……紹介するっていっても、なにをすればいいのかな?」
牧「趣味はランニング。スポーツ大好きです。今度一緒に遊びましょう。……って、誰に言ってるんだろう」
牧「あと、仮面ラ○ダーが好きです。あはは、ちょっと子どもっぽいかな……」
牧「……あ、あと、料理はそこそこできます。人に振舞うほどのものじゃないけど……ね」
牧「うーん、これくらいかな?」
狐子「胸は大きい」
牧「い、言わなくていいよ……!」
258 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 23:12:30.04 ID:3PTySNzQo
―――――牧の評価―――――
女……運動神経が良い 知的 協調性がある
狐子……オムライス美味かった!
撫子……撫でた時にちょっと照れるのが可愛い♪ とってもシャイ。
――――――――――
牧「うわ、恥ずかしい! 可愛いなんて言わないでよ……」テレテレ
撫子「うふふ〜」ナデナデ
牧「わわっ!」
撫子「やっぱり、可愛い♪」ニコッ
牧「も、もお!」
女「これで、全員やりましたね」
狐子「ああ、そうだな」
259 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/10/16(日) 23:13:48.82 ID:A1LLj7eI0
リアルタイムキター
260 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/10/16(日) 23:14:16.93 ID:A1LLj7eI0
リアルタイムキター
261 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/10/16(日) 23:15:26.86 ID:A1LLj7eI0
なぜ2度書き込みが…サーセン
262 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 23:28:31.69 ID:3PTySNzQo
女「それでは決めてください、男さん」
男「え!? 俺!? つか俺いたのか!?」
狐子「喋ってなかっただけだろ」
男「ちょ、ちょっと待て、何を決めるの?」
撫子「もちろん、私達の中の誰かを……です♪」
男「いや、なにを基準に!?」
牧「ほら……早く決めてよ」
男「いやいや、意味がわからんって!」
撫子「ほらほら……早くしてください」
狐子「さあ、早く」
牧「焦らさないでよ」
女「早急に」
男「き、き、き……」
男「決められるかーーーーーーーーーー!!!!」
263 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 23:31:31.17 ID:3PTySNzQo
男「再開早々、寝オチかよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
To be continued!!!
264 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/10/16(日) 23:35:06.25 ID:A1LLj7eI0
乙です
265 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/16(日) 23:36:32.54 ID:3PTySNzQo
とまあ、酷いモノですね。夢オチです。
女の性格がめちゃくちゃ変わっていたのもそのせいです。
これでアンドロイドを思い出して……くれませんよね。
正直、忘れた方はまた読み直してほしいです。時間があれば、ですが。
次回は庶務メイン。
ですけど……今のところ二つ考えてます。
また、懲りずに百合話か。それとも男と出くわすのか。
そんな感じですかね。
みなさんの意見で決めたいと思います。
そしてそして、残念なお知らせ。
これから一週間、更新できません。
ごめんなさいです、本当に。
266 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/16(日) 23:38:57.58 ID:hvtZIYUqo
乙でした
まさかの寝オチwwww
267 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/16(日) 23:39:32.42 ID:w3mgTKPHo
乙!!
じゃあ1週間、俺はなにを楽しみにすごせばいいのだ
268 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
:2011/10/16(日) 23:46:36.84 ID:miNi4Voo0
牧ー俺だー結婚してくry
お疲れ様です!
百合ももいいけど、男とのAREも捨てがたいよなー
とにかく何が言いたかったのかというと牧けっk・・・じゃなくて
時間掛かってもいいので両方みたいです
269 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
:2011/10/16(日) 23:47:15.55 ID:miNi4Voo0
牧ー俺だー結婚してくry
お疲れ様です!
百合もいいけど、男とのAREも捨てがたいよなー
とにかく何が言いたかったのかというと牧けっk・・・じゃなくて
時間掛かってもいいので両方みたいです。楽しみにしてます
270 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
:2011/10/16(日) 23:50:33.67 ID:miNi4Voo0
あわわわ
連投すいません><
271 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/17(月) 01:10:29.31 ID:vrRMEgz3o
>>270
いいから落ち着けwwwwwwww
272 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/10/17(月) 08:46:25.93 ID:kK3+WpXV0
同じ不明なソフトバンク
そして連投…気が合うな
273 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/10/18(火) 08:08:30.68 ID:Y8MVn38io
乙した
撫子かわええよおおお
百合もいいし男とのもみたいし
274 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/10/19(水) 21:16:54.01 ID:xVcmZm7AO
乙でした
275 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/10/23(日) 01:22:58.03 ID:usi9mjRAO
長い一週間だった
276 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/23(日) 21:57:23.91 ID:XGHHQBkIO
さぁ、くるんだ
いや、来てくださいお願いします
277 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/23(日) 23:36:26.76 ID:oImJJ3Bdo
要「〜♪」
庶務「……あの、要?」
要「はい、なんですか!」
庶務「なんで私とあんたで遊園地行かないと行けないの?」
要「特別招待券があったからです!」
庶務「いや、そうだけどさ」
庶務「私じゃなくてもいいじゃない?」
要「そ、そんな……ショックです!」
278 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/10/23(日) 23:40:37.10 ID:SiXlvw3Ro
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
279 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/23(日) 23:42:05.40 ID:oImJJ3Bdo
要「今日は私と庶務先輩の記念日なのに……」
庶務「え、そうなの? まさか、一緒に遊園地に行った記念日とか言わないでよね?」
要「さ、さらにショックです!」
庶務「え、ええ?」
要「今日は……庶務先輩が私に初めて会った日なのです……」
庶務「あ、そうなの?」
要「悲しい……トリプルショックが起きるなんて……」
庶務「……そ、そういえばそうだったわね! 思い出した思い出した!」
280 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
:2011/10/23(日) 23:44:51.91 ID:LPot3Z1Zo
キター
281 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/23(日) 23:48:09.75 ID:oImJJ3Bdo
要「じゃあ、どんな感じでしたか?」
庶務「うぐ……」
要「……やっぱり、覚えて……」
庶務「ああ、ああ〜! ハンカチを拾ってるあんたに『パンツ見えてるわよ』って忠告――」
庶務「はむっ!」
要「そ、そんな大きな声で言わないでください!」カァァ
庶務「はむうむ、うぐっ!」(いいから離して! 息できない!)
282 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/23(日) 23:52:04.13 ID:oImJJ3Bdo
要「そうです、そうなんです。私はその時先輩に大事なモノを見られてしまったから……」
庶務「大事なモノって……別に」
要「あんなシマシマを大胆に見せたことなんてありません!」
庶務「……」(パンツの柄とか覚えてなかったのに……)
要「だから、責任を取ってください!」
庶務「今更過ぎでしょ!」
要「取ってくれるんですか!?」
庶務「取らない!」
283 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/23(日) 23:56:08.23 ID:oImJJ3Bdo
要「うう……弄ばれました」
庶務「あんた、図々しいわね!」
要「罵倒!」
庶務「変なのに目覚めないで!」
要「ところで先輩」
庶務「いきなり戻らないでよ……びっくりするから」
要「今日の私は何柄だと思います?」
庶務「聞きたくないし聞かないでよ、そんなこと!」
284 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/23(日) 23:59:47.03 ID:oImJJ3Bdo
・ ・ ・
要「さすらいの乙女、ついに遊園地に立つ!」
庶務「はーい、撮るわよー」
要「はいっ☆」
パシャ
庶務「あんた写真写りいいわねー」
要「ほ、誉められた……! 目移りしちゃいますか?」
庶務「いや、しないけどね」
要「残念です……」
285 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 00:03:54.90 ID:nTzUIEMNo
要「この遊園地といえば、やっぱりあのタワーです!」
庶務「あー、あの上がったり下がったりするやつね。今日は乗れないわね」
要「な、なななな、なんでですか!? 怖いなら二人で手をつないで……」
庶務「いや、あんたスカートじゃない」
要「!」
庶務「しかも短い」
要「じ、自分で自分の首を絞めてしまいました……!!」
286 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 00:07:29.73 ID:nTzUIEMNo
庶務「まあまあ、とりあえずなにに乗る? 沢山あるんだから大丈夫よ」
要「そ……そうですね! 私もそう思ってました!」
庶務「あ、ジェットコースターなんていいじゃない。ほら」
要「あ、私ジェットコースター苦手です」
庶務「……え?」
要「だから、違うのに乗りましょう」
庶務「……」
要「……?」
287 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 00:14:30.53 ID:nTzUIEMNo
庶務「帰る! ジェットコースターに乗れない遊園地なんて最悪よ!」
要「ま、待って下さい! そんな酷いです!」
庶務「遊園地と言ったらジェットコースターよ! 悪いけどこれだけは譲れないわ!」
要「で、でも……せっかく来たんですから」
庶務「無駄よ無駄! 温いアトラクションばっかに乗っててもつまんないのよ!」
庶務「むしろ、ジェットコースターのない遊園地なんて遊園地にあらずよ!」
要「うう……乗れない人が可哀相です……」
庶務「というか乗れる人と乗れない人二人で来ること自体がミスだったのよ……」
288 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 00:19:45.60 ID:nTzUIEMNo
要「わ、わかりました……! 乗りましょう!」
庶務「いいわよ、無理はしなくても」
要「いいえ! 大丈夫です! あとでゴミ箱かトイレに直行できれば!」
庶務「吐く気満々じゃない……」
要「えへへ♪」
庶務「なんでそんな顔してんのよっ」
要「それじゃあ、早速並びましょう! 早く並べばすぐに乗れます!」
庶務「当たり前のこと言わないでよ……まったく」
289 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 00:26:15.60 ID:nTzUIEMNo
庶務「……ん?」
要「? どうしました?」
庶務「あれって……」
男「遊園地久しぶりですよ」
会長「私は初体験だ。良い経験になるだろう」
男「かしこまりすぎですよ……」
庶務「男と……会長?」
To be concluded!!!
290 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 00:29:24.28 ID:nTzUIEMNo
どうも、戻ってまいりました。
一週間の間にレスがたくさん……という妄想をしていました。
実際そんなことはありませんでした。夢でした。妄想に過ぎませんでした。
今回は百合回です。多分。
またアンドロイドが出てこない……やだやだ。
今回はわりとすんなりと行きそうです。それでは。
291 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/10/24(月) 00:45:07.30 ID:reSRgXL2o
そりゃあレスがたくさんあったらスレが埋まってしまうからな
そろそろアンドロイド達がサブキャラに降格しそう
292 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/24(月) 00:48:14.95 ID:D5j4A3TSo
乙でした
まあみんな無駄にレスしないようにしてるんじゃないかな
293 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
:2011/10/24(月) 00:53:47.06 ID:c3lAsZKw0
この日をどれだけ待ち焦がれたか!
乙です
294 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/24(月) 05:08:46.10 ID:Q8qjONIqo
お疲れ様
やあやあ画面の向こうでwwktkで待ってたんだよ
スレが落ちてたらどうするんだ…
皆まで言わせんな恥ずかしい///
295 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/24(月) 07:52:14.83 ID:STOZXR6SO
乙
296 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 21:07:50.62 ID:nTzUIEMNo
要「ほえ?」
庶務「あ、いや……なんでもないわ、早く並びましょう」
要「は、はいっ!」
庶務(いやいや、考え過ぎよ。見間違いだわ!)←視力2.0
要「?」
庶務「なにボサッとしてんの、前進んだわよ!」ギュッ
要「あっ……は、はいっ!」ニコッ
要(手、握ってくれた……!)
297 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 21:18:45.20 ID:nTzUIEMNo
・ ・ ・
要「あう……はう……」
庶務「どうしたの?」
要「いや、あはは……ちょーっと緊張して来ましたね」
庶務「そうよね、やっぱり怖いモノは怖いからね」
要「はい……」
庶務「でも、今日はとことん付き合ってもらうからね!」
要(付き合う……付き合う……付き合う……!!)
要「おまかせくださいー!!」ビシィ
庶務「な、なんで鼻血垂らしてんのよ!」
298 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/10/24(月) 21:20:25.08 ID:reSRgXL2o
ぬるぽ
299 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 21:21:17.06 ID:nTzUIEMNo
要「緊張と興奮が入り混じっています!」
庶務「は、はぁ!? 確かに、私もちょっと興奮気味だけど……」
要「こ、興奮!?」ダラリ
庶務「あんたはしちゃだめ!」
要「今日に限って凄い出ます……」
庶務「そうね、新しい症状だわ」
要「新しい? 他にも症状がありますか?」
庶務「べ、別にないけど。言葉のあやよ」
300 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 21:25:28.72 ID:nTzUIEMNo
要「言葉野綾って誰ですか……新たなライバルの予感」
庶務「人の名前じゃないわよ!」
要「そ、そうですか……」
庶務「……あ、そろそろよ!」
要「先輩、機嫌良いですね」
庶務「当たり前じゃない! すっごく楽しみ――」
庶務(……男と、会長……)
庶務 ズーン
要(いきなりテンションが!?)
301 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 21:30:50.74 ID:nTzUIEMNo
庶務(二人で、来てるのかな?)
庶務(って、なに私悲観的になってんのよ! 男なんて私には関係ないじゃない!)
要「あ、あのあの、先輩?」
庶務「なに?」
要「急に……どうしました?」
庶務「……」(要、震えてる……)
庶務(先輩がこんな感じじゃダメよね。ちゃんとしなきゃ!)
302 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 21:35:32.58 ID:nTzUIEMNo
庶務「なによ、怖気ついちゃったの?」
要「え?」
庶務「私は全然大丈夫! あ、でも無理はしないでね」
要「……はい」
庶務「……ちょっと固いわね」
要「?」
庶務「もーっと、ゆるくしなさい!」
要「ふにゃっ!」
庶務「ほらほらー」
要「ふにゃにょにゃーい!」(私のほっぺで遊ばないでくださーい!)
303 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 22:05:44.98 ID:nTzUIEMNo
庶務「よし、これで大丈夫!」
要「ほっぺ痛いですよ……もうっ」ドキドキ
庶務「ごめん、ちょっと手荒だったかもね」
要「やっぱり、先輩には責任を取って――」
庶務「あ、乗れる!」
要「タイミング……悪すぎます!」
庶務「このシートベルトとか締める時がワクワクするのよねー。要もそうでしょ?」
要 ガクガクガクガク
庶務「きゃあああ! あんた誰よ!」
要「あがががが……要です」
庶務「顔変わりすぎ怖い怖い!」
要「緊張してきましたぁぁぁ……」
304 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
:2011/10/24(月) 22:26:53.05 ID:D5j4A3TSo
キテター
305 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 22:27:58.55 ID:nTzUIEMNo
庶務「ほんとうに大丈夫!? 顔ゾンビみたいに……」
「それでは、出発進行ー!」
庶務「って、始まっちゃった!」
要「あははー私は気にしないでくださいー……死ぬ」
庶務「今さりげなくなんか言わなかった!?」
要「何も言ってませんよ〜……死ぬ」
カンカンカンカン
庶務「要、悪いけど私……今とっても楽しみになってる! あんたがそんな感じだけど、私はとっても楽しみになってる!」
306 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 22:32:33.18 ID:nTzUIEMNo
庶務「落ちるのを今か今かと待ち望んでいる」
カンカンカンカン
要「これが私の……死のカウントダウン!」
庶務「えげつないこと言わないの!」
要「それでは、先輩……地獄で逢いましょう♪」ニコッ
庶務「無理矢理に笑顔作らないの! ひきつってるわよ!」
カンカンカンカン……
庶務「へ?」
シュゴーーーー!!
庶務「き、来た! いやっほーー!」
307 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 22:34:35.99 ID:nTzUIEMNo
要「うにゃああああああああああああ!!!!」
庶務「やっほー! 庶務崎サイコー!」
要「うにょおおおおおおおお!!」
庶務「抱きしめたいな、ジェットコースター!」
要「うなああああああああああ!!!!」
庶務「風が気持ちよくてうひゃあ〜!」
要「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!!」
308 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 22:36:50.01 ID:nTzUIEMNo
・ ・ ・
要 ゲッソリ
庶務「大丈夫、要?」サスサス
要「は、はい……ハイテンションな庶務先輩見れたので……」
庶務「は、恥ずかしい……私、そんなにテンション高かった?」
要「凄かったです……庶務崎とか言ってました」
庶務「えー、言ってた? 私、本当にジェットコースター大好きだからさ」
要「そ、そうなんですか……うぷっ!」
庶務「わわ、要!?」
要「ちょ、ちょっとトイレに……行ってきます!」
庶務「わ、私も一緒に……」
要「ダメです……恥ずかしいので、一人で行かせてください……」
309 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 22:44:53.64 ID:nTzUIEMNo
庶務「わ、わかったわ」
庶務「……行っちゃったけど、大丈夫かしら?」
庶務(……なんか食べ物でも買っておこうかな)
庶務「……!」
男「いや、本当にいいですから」
会長「大丈夫だ、毒は入ってない。毒味はした」
男「売り物に毒が入ってるわけないでしょ!」
会長「……」←無言の圧力
男「あ、あーん……」
庶務「……要、まだかな」
310 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
[sage]:2011/10/24(月) 22:48:55.11 ID:rVxXv8g1o
kttkrwwktk
311 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 22:52:02.71 ID:nTzUIEMNo
要「お、お待たせしましたー」
庶務「あら、顔も大分治ったのね」
要「はい! 出せるもの全部出してきました!」キリッ
庶務「う、うーん……それが上か下かは聞かないでおくわ」
要「それじゃあ、次、行きましょう!」
・ ・ ・
庶務「それにしたって、あんた脚綺麗ね」
要「そ、そうですか?」
庶務「私あんまり自信ないなー。いっつもこういうジーンズ履いてるから」
要「もったいないです! 庶務先輩脚とっても綺麗じゃないですか!」
庶務「そうかな……って、なんでそういうこと知ってるのよ!」
312 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 22:58:10.57 ID:nTzUIEMNo
要「もちろん、水泳の授業でガン見です!」
庶務「学年違うのになんで知ってるのよ!?」
要「合同だったじゃないですか……ショックです」
庶務「え、そ、そうだったっけ?」
要「もういいですっ、庶務先輩の中で私は影薄子ちゃんのようですから」
庶務「ちょ、そんなこと言ってないわよ!」
要「じゃあどうして覚えてないんですか?」
庶務「そ、それは……一生懸命だから?」
要「……」ジーッ
庶務「……な、なに?」
要「庶務先輩らしいです」ニコッ
313 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 23:01:52.02 ID:nTzUIEMNo
庶務「なによそれ」
要「変な言い訳じゃなくて嬉しいです。それじゃあ、どんどん回りましょう!」
庶務「うん、そうね!」
・ ・ ・
庶務「ジェットコースターのあとのメリーゴーランド……! 温いわ!」
要「私とっても大好きなんです♪」
庶務「いいけど今日風強いからスカートちゃんと抑えときなさいよ!」
要「私のスカートをちゃんと気にしてくれるなんて……」ポッ
庶務「な、なんで顔赤くするのよ!」カァァ
314 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 23:07:50.78 ID:nTzUIEMNo
・ ・ ・
庶務「ゴーカート勝負! 負けないわよー!」
要「勝ったらキスさせてください!」
庶務「な、なにそれ!?」
要「負けたら私にキスしていいですよ!」
庶務「それってどっちにしろあんたが得するじゃない!」
要「そうですか? わかりませーん!」
庶務「ちょ、ドリフト!?」
315 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 23:10:35.05 ID:nTzUIEMNo
・ ・ ・
庶務「ま、負けた……!? この私が」
要「勝ちました! マ○オカートで鍛え上げた実力を発揮できました!」
庶務「ええ!? それって現実に反映されるの!?」
要「というわけで……!」
庶務「ちょ、無理よ!? キスなんて無理無理だからね!」
要「目、閉じてください♪」
庶務「いや、いやだからーーー!」
316 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 23:14:41.06 ID:nTzUIEMNo
・ ・ ・
要「遊園地の最後は、やっぱり観覧車ですね〜」
庶務「オンナ二人で入ってもなぁ……」
要「なにを言ってるのですか! 私達の愛の箱です!」
庶務「観覧『車』だから!」
要「ほら、見てください、山が見えます!」
庶務「これ、高いわね」
要「はい、ちょっとビクビクしてます」
庶務「……」(今頃、男と会長はどうしてるんだろ……)
317 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 23:19:06.89 ID:nTzUIEMNo
要「今日は、ありがとうございました」
庶務「ん?」
要「なんだか、ついつい引っ張っちゃって……張りきっちゃいました」
庶務「いいわよ、私もあんたに無理矢理ジェットコースター乗らせちゃったし」
要「でも、そのあとは私のために過激なアトラクションは控えてくださって」
庶務「そ、それは……一回乗れたら十分だからよ」
要「それでも、嬉しいです。写真もたくさん撮れましたし……」
庶務(い、いつ撮ってたの!?)
318 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 23:21:31.88 ID:nTzUIEMNo
要「こうやって、先輩と一緒にいれるの、幸せです」
庶務「そっか」
要「軽いですね」
庶務「そ、そうかしら?」
要「どうして顔を背けるんですか?」
庶務「は、恥ずかしいこと言われると照れるから……」
要「……えへへ、庶務先輩、可愛いです」
庶務「もう、そういうのはもういいって――」
チュッ
庶務「!」
要「ゴーカートのです」
庶務「な、な……なななななにしてんのよーー!!」ドキドキ
319 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 23:25:13.73 ID:nTzUIEMNo
要「あはは、先輩顔真っ赤です」
庶務「い、いきにゃりき、キスとか……! ああもう、噛んじゃったじゃない!」
要「それ私関係ないですよ!」
庶務「関係ある! バカバカ!」
要「安心してください、ほっぺたですから!」
庶務「そういう問題じゃないの!」
要「……うふふふふ」
庶務「な、なによ!」
要「やっと、いつもの庶務先輩の顔に戻ってきた」
庶務「ど、どういうこと?」
320 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 23:27:35.68 ID:nTzUIEMNo
要「なんだか今日、ずーっと悩み事あったみたいだったから……」
庶務「そ、そんなこと……」
要「誰にでもあることですから、気にしないでください」
庶務「……ごめんなさい」
要「どうして謝るんですか?」
庶務「要と一緒に遊園地に来てるのに、なんだか私、心ここにあらずって感じで……」
要「そんなこと、気にしませんよ」
要「いつも、そんな感じですから」
庶務「え?」
要「……あ、そろそろみたいです」
庶務「あ、うん」
321 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 23:30:29.57 ID:nTzUIEMNo
・ ・ ・
要「いやあ、今日は最高でした!」
庶務「なにが一番良かった?」
要「もちろん、キスです!」
庶務「あ、アトラクションのこと!」カァァ
要「そっちでしたか!」
庶務「もう、恥ずかしい……」
要「顔が上気している庶務先輩可愛い!」
庶務「いきなり叫ぶなっ!」
322 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 23:33:49.62 ID:nTzUIEMNo
・ ・ ・
要「それじゃあ、ここで」
庶務「うん、じゃあね」
要「また、今度お買い物にでも誘ってくださいねー」
庶務「はーい、わかったわー」
庶務「……ふう」
庶務「本当にあの子は……」
庶務・男「面白い子ね」「面白い人だ」
庶務「!?」
男「ん?」
庶務「お、男!?」
323 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 23:39:42.89 ID:nTzUIEMNo
男「なんだ庶務、お前も帰りか?」
庶務「ま、まあそんなとこ。っていうか、なんでここにいるのよ? あんた家全然違うでしょ!」
男「まあそうなんだが、今日は久しぶりに家に顔を出そうと思って。出かけたところが家の近くだったからさ」
庶務(確かに、遊園地近いところね)「へえ、そうなんだ。何年振り?」
男「そんなでもない。1年ちょいくらい」
庶務「そんなでもあるじゃない」
男「あるのか」
庶務「あるわよ、バカ」
男「はあ、とりあえずまあ、最近の近況でも」
庶務「ええ、そうね」
男「……なんか、この雰囲気久しぶりだな」
庶務「うん、そうかも」
男「昔を思い出すな」
庶務「だね」
To be continued!!!
324 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/24(月) 23:42:24.45 ID:nTzUIEMNo
おしまいです。
うひゃああ、次回姉妹回です!
アンドロ出そうとしたのに自分で自分の首を……まさに要の状態になってしまいました……。
というわけで、次回もお楽しみに。
>>291
や、やめてください! サブキャラじゃないもんっ
>>292
俺のレスが一番無駄なのに……みなさんのレスこそが原動力です!
>>293
おまたせさせてしまいました。
いつかまた、男と女二人きり過去編やろうと思います。それでは。
325 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/10/24(月) 23:52:13.25 ID:reSRgXL2o
アンドロがサブキャラに落ちるー
アンドロがサブキャラに堕ちるー
326 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/10/24(月) 23:53:02.53 ID:ZT3FqGBAO
乙
雑談が少ないのはSS速報の特徴だね
327 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/24(月) 23:55:39.02 ID:D5j4A3TSo
乙でした
サブキャラがメインを喰ってる感は否めないなwwww
姉妹回も期待してます
328 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/25(火) 00:05:28.03 ID:/VYe/ySSO
エビバディ セイ……
庶務崎サイコー!
329 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/25(火) 10:17:12.35 ID:47Alm6wwo
乙です
>庶務崎
新キャラかと思った…
330 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2011/10/25(火) 19:31:53.29 ID:u5Vlq1h70
アンドロの出番がないようなので貰っていきますね
乙
331 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/10/25(火) 22:02:45.08 ID:us/c6mg90
速くアンドロ(特に弧子)の活躍が見たいぜ
332 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)
[sage]:2011/10/26(水) 15:51:50.37 ID:ATroIV3Go
弧子って誰だよ
狐子には俺がうどんあげときますね
333 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/26(水) 23:34:44.43 ID:7esRA21Oo
SSって本当に難しいものですね。
すいません、明日、必ず更新したいと思ってます!
書けないので、とりあえずレス返事をSS風に。
>>325
女「私は」
狐子「完全に」
撫子「ただの」
牧「肉ど……」
男「うわああああああ、落ちるな堕ちるな!!」
あまりアンドロイドをいじめないでください……。
>>328
‐329
庶務「わ、私言ってないからね!?」カァァ
要「いや、確かに言ってましたよ……」
>>331
弧子「弧子って誰だまったく……」
男「あ……」
狐子「! い、今私は……」
男「わ、忘れろ」
>>332
狐子「コシのあるうどんを頼む!」
男「もらうのに注文するなよ」
それでは!
334 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/10/26(水) 23:39:01.04 ID:cGZvMXIAO
スランプなら仕方がない
またvipに建ててきたらどうでせう
335 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/27(木) 23:53:12.10 ID:H9FQuUjuo
ピンポーン
妹「……」
ピンポーン
姉「ちょっとー妹、インターホン鳴ってるじゃない」
妹「こんなに夜遅くに押してくる人なんて怪しいもん、出ない!」
姉「もー……はいはい」ガチャ
「〜」
姉「あら、男じゃない」
妹「!」ガタッ
336 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/27(木) 23:55:29.97 ID:H9FQuUjuo
姉「はいはい、私お風呂上がりだからちょっと待ってね」
ガチャ
姉「妹……あら、いない」
妹「……」ドキドキ
妹(へ、平常心、平常心)
ガチャ
男「ん、おっす。妹」
妹「……」
男「ど、どうした?」
妹「お、お兄ちゃっ……!」
男「お、おう」
妹「ど、どうして?」
337 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/27(木) 23:58:25.03 ID:sVXipxlYo
キター
338 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/28(金) 00:01:22.88 ID:/AWhYowFo
男「どうしてって、酷い言い草だな」
妹「いきなり帰ってくるから……」
男「ん? ああ、そういうことか」
妹「……」グスッ
男「なんで泣くんだよ」
妹「……良かったよぉ」
男「ははは、なにがだよっ」
妹「自殺、考え直したんだね……」
男「へ?」
339 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/28(金) 00:18:02.32 ID:/AWhYowFo
姉「あー、男〜」
男「おっす……て、姉さんタオル一丁!?」
姉「さっき風呂上がったんだよー」
男「相変わらずだな、姉さん」
姉「巨乳でしょ?」
男「台無しだぜ……」
・ ・ ・
妹「お茶飲む?」
男「ああ、よろしく」
妹「うんっ」タタタッ
男「妹、機嫌良いね」
姉「そりゃそうでしょ……」
340 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/28(金) 00:40:39.02 ID:/AWhYowFo
男「え?」
姉「久しぶりに兄に会えたんだもの、あの子だって嬉しいのよ」
男「ていっても、七夕の時に……」
姉「ああいうのは会ったって言わないの」
男「そ、そうかな」
姉「あんたがそう思っててもこっちはそうはいかないのよ?」
男「なるほどね、つか、姉さん……」
妹「お姉ちゃん、近すぎ」
姉「うふふ、ごめんなさい♪」
妹「はい、お茶だよ」
341 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/28(金) 00:55:33.85 ID:/AWhYowFo
男「おう、って、妹も近いけどな」
妹「そ、そうかな?」
男「……」ジーッ
妹「な、なに?」
男「なんか、今日は噛みついて来ないな」
妹「……私ってそんなイメージ?」
男「んー……勘違いだったのかな?」
姉(妹も素直だけど、気づかない男も流石だわ……)
342 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/28(金) 01:00:26.85 ID:/AWhYowFo
姉「それで、本当に顔を出しに来ただけ?」
男「いや、そうじゃないんだ」
妹「?」
男「ちょっとだけ、お願いがあってさ」
妹「……お願い?」
男「ちょっとでいいんだ。泊めてくれない?」
姉「え、なんで?」
男「なんか、ちょっとさ」
男「家に帰るのがつらくって」
343 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/28(金) 01:01:08.40 ID:/AWhYowFo
続きます。
今回は頑張って引きを作ってみたのですが、どうでしょうか?
気になる展開になっていれば幸いです。
では。
344 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
[sage]:2011/10/28(金) 01:05:16.30 ID:GhgS8Yk0o
乙
男よ、つらいなら俺が代わってやろう
345 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/10/28(金) 01:39:43.03 ID:EZC24VoXo
あれ?アンドロイドはどこ?
あ、あれはサブキャラだったね
346 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/10/28(金) 06:45:28.44 ID:mvc2dp7Go
乙した
辛いとか…辛いとかあぁぁぁぁぁぁァァァァァァ
壁殴り代行さん復活よろしくお願いします
347 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/28(金) 09:55:10.53 ID:LW1AhIqno
お疲れ様でした
>>344
男はつらいよ
に見えた
348 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/28(金) 13:30:09.08 ID:UE+T5joTo
乙でした
男が家に帰りたくない理由がわからないよ
349 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(徳島県)
:2011/10/28(金) 23:42:18.88 ID:IaMYS1xi0
レス率が一番高いSSは恐らく
とある魔術の禁書目録
だと思います2.3日で1スレ使いますよ
ここのスレは保守するんで
用事がかたずいたら頑張って下さい!
350 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/10/29(土) 00:30:06.01 ID:ugCvLFTao
ただいま、VIPでSSを書いています。
妹「私の身も心も、あなたに捧げます」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1319804424/
またいつもと同じで途中で落ちると思いますが、どうぞよろしく。
351 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/29(土) 16:35:59.54 ID:yVpWP3CN0
/⌒丶 /⌒\
/´ ヽ /、 ヽ
| / | / / | ★壁殴り代行始めました★
. | .| | ,/ . | ムカついたけど壁を殴る筋肉が無い、壁を殴りたいけど殴る壁が無い、そんなときに!
| |∧_∧ / ノ ,| 壁殴りで鍛えたスタッフたちが一生懸命あなたの代わりに壁を殴ってくれます!
. | |(´・ω・`) 丿 モチロン壁を用意する必要もありません!スタッフがあなたの家の近くの家の壁を無差別に殴りまくります!
ノヽ` ノヽ / ` / 1時間\1200〜 24時間営業 年中無休!
/ ,/ソ \ /
( ,/ `´ |
\ イ ´ |
\ ヽ \ 八 ノ 壁殴り代行では同時にスタッフも募集しています
ヽ ` ー ´人` / 筋肉に自身のあるそこのアナタ!一緒にお仕事してみませんか?
\ / ´,、ヽノ 壁を殴るだけの簡単なお仕事です!
ノ⌒ / |
/ ノ_
| ノ ヽ 丿 \
/⌒l |. / \
/ l,丿 , ■ . \
| / ´ /⌒`l \
丿 / , ./ ヽ ヽ |
/ |, | / )\ ヽ
ヽ ノ ヽ__,/ . ( _\_ |
(_)__)|___,/ (__)_)_)ヽ、__/
352 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/10/29(土) 20:43:08.12 ID:H1e1QCFno
男が自分の家に戻るまで頼む
くれぐれも姉さまと妹さまに迷惑の無いよう頼む
353 :
携帯久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage]:2011/10/30(日) 16:25:45.14 ID:IXfWkz0DO
落ちましたね。
今回はたくさんの人に保守させてしまったのに、こんな悲しい結果になってしまって自分自身が申し訳ないです。
ので、後で新しくスレを立てて、ちゃんと完結させます。もうすこしだけお付き合いください。
354 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/30(日) 20:52:00.50 ID:oaqQo1Rpo
立てたら報告待ってます
355 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/10/31(月) 00:38:14.34 ID:9frhKSt0o
立て直したんなら報告くらいしてよね!
べ、べつに云々
ttp://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1319979936/
356 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/31(月) 06:03:01.80 ID:u+nexPY2o
…お…落ちてる…だと…っ!
357 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
[sage]:2011/10/31(月) 20:40:56.35 ID:WdNFYLFTo
無事書き終えたようだね
お疲れ
358 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(中国地方)
[sage]:2011/11/01(火) 01:17:09.43 ID:hnJgDjCJo
見れなかった……
359 :
携帯久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage]:2011/11/02(水) 00:05:30.57 ID:0beU9H1DO
お久しぶりです。
どうも最近ネタ切れ、ではないのですが、台詞が出てこない病が出てきてしまいました。やばいっす。
ネタ切れは恥ずかしながらみなさんに色々出していただけばよいのですが、台詞は全く別問題で。どうしようもないです。
時間も取れずまさかハロウィンを逃してしまうとは思ってませんでした……はぁ。
できれば頑張って、書きたいと思ってます。
それでは。
追伸。
先日のSS、見てくださった方ありがとうございました。あれも途中台詞がでなくなって大分やばかったです。
ヒヤヒヤしましたが、なんとか終われてよかったです。
サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:
http://vs302.vip2ch.com/
360 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/03(木) 22:30:39.19 ID:hqiqPzFzo
姉「え? なにかあったの?」
男「まあ、色々と」
妹「だったら、泊まればいいの! 泊まって、ずーっと泊まって!」
男「いや、それは大学があるから無理だよ」
妹「……ケチ」
姉「まあまあ、妹。でも、どうしたのよ?」
男「だから、色々だって」
姉「ダーメ、ちゃんと言わなきゃ泊めてあげないわよ」
男「……わかったよ」
361 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/03(木) 22:32:56.70 ID:+KqGd3eDO
キター
362 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/03(木) 22:34:14.99 ID:HD4sqmJso
ぬおっ!来てた!!
363 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/03(木) 22:35:01.87 ID:hqiqPzFzo
・ ・ ・
カポーン
男「ふんふふーん」
男(いやあ、やっぱり風呂ってのは最高だなぁ)
コンコン
男「ん? 誰だー。俺まだ入ってるぞ」
ガチャ
男「ちょ!?」
女「男さん」
男「うおおおお!? お、女!?」
364 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/03(木) 22:37:15.47 ID:hqiqPzFzo
女「はい、私です」
男「いやいやいや、なんで入ってくるんだ!?」
女「お風呂に入りたいからです」
男「いや、俺まだ入ってるし!」
女「私と入るのは嫌でしょうか?」
男「嫌……じゃないけど!」
女「では、何故ダメなのでしょうか。理由をお願いします」
365 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/03(木) 22:44:21.44 ID:hqiqPzFzo
男「狐子とか、撫子とか牧もいるんだから、そういうのはなしだって」
女「なし? 確かに甘いですけど」
男「それは梨! なんでいきなりボケて……って湯船に入ってくるなって!」
女「大丈夫です、ちゃんと入れます」
男「そういうことじゃなくてぇ……」
男(最近女はいつも俺と入るようになった。)
366 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/03(木) 22:46:54.62 ID:hqiqPzFzo
・ ・ ・
チュンチュン
男「んー……?」
男「朝かー……ふわぁぁ……」
牧「……」スゥスゥ
男「あれ? 牧……?」
男「!?」
牧「あ、おはよ、男……」
男「なんで裸なんだよ!?」
367 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(関西地方)
[sage]:2011/11/03(木) 22:47:13.92 ID:fvYbODAio
キテター
368 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/03(木) 22:50:57.81 ID:hqiqPzFzo
牧「ふえ……? あっ」カァァ
牧「きゃあああ!」
男「ちょ、牧!」
狐子「どうした!?」
男「来るのがお早いようでええええええ!!」
狐子「な、な……牧に何しようとしてんだぁぁ!」
男「違う、これにはだな!」
狐子「うるさーい」
牧(なんで、ボク裸で……?)
男(最近なぜか牧は俺の横に裸で寝ている)
369 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/03(木) 23:11:27.88 ID:hqiqPzFzo
・ ・ ・
男「ただいまー」
撫子「おかえりなさいませ♪」
男「撫子、別に玄関まで迎えに来なくてもいいんだよ?」
撫子「……男さんっ」
男「な、なんだ? それ」
撫子「おかえりのキスです♪」
男「いや、いやいやいやいや!」
男(最近、撫子は俺におかえりのキスを強要して来る。もちろんしてないけど)
狐子「……牧だけでなく撫子まで!」
男「ちょ、ちょっと待てって!」
男(そしていつも通り、狐子には変な疑いをかけられてる)
・ ・ ・
370 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/03(木) 23:19:43.60 ID:hqiqPzFzo
男(って、言えるわけねえええええ!!)
妹「お兄ちゃん、どうしたの?」
男「……これは、家族にも言えないほどのことなんだ!」
姉「ほんとに?」
男「ほんとに!」
姉「ほんとにほんとに?」
男「ほんとにほんとに!」
姉「まあ、わかったわ。そんな顔されちゃあ泊めざるを得ないし」
妹(やった!)
姉「妹、アホ毛がピョンピョンしてるわよ。そんなに嬉しいの?」
妹「う、嬉しくないっ!」
男「酷い……」
妹「う、嬉しくない……わけでもないよ!」
371 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(長屋)
[sage]:2011/11/03(木) 23:29:47.67 ID:qMGjYeHso
妹ペロペロ
372 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/03(木) 23:34:57.95 ID:hqiqPzFzo
・ ・ ・
男「ふわぁぁ……気持ちいい」
妹「お兄ちゃん、お風呂どう?」
男「ああ、久しぶりに家の風呂に入れて満足」
妹「そ、そっか、良かったね」
男「一緒に入るか?」
妹「え、えええ!? ええええええ!?」
男「あはは、冗談だよ、冗談」
妹「じょ、冗談でも言わないでそんなこと!」(ドキドキしちゃうじゃん……)
男「ご、ごめん」(めっちゃ嫌われてる……)
373 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/03(木) 23:48:53.68 ID:hqiqPzFzo
妹「お兄ちゃん」
男「ん?」
妹「辛かったら、ずっと家にいてもいいんだよ?」
男「……妹」
妹「中学の頃のお兄ちゃんと今では、違うと思うけど」
妹「それでも私は、お兄ちゃんが心配」
妹「なにも失って欲しくないの」
男「……大丈夫だよ、妹」
男「俺は、辛いと思ったことなんてないから。妹のことも、姉さんのことも」
男「それに――」
男「――友のことも」
374 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/04(金) 00:16:19.19 ID:L1olM4Uio
妹「お兄ちゃん……」
男「まあ、今回はちょっと辛いなーって感じかな?」
妹「辛いの……?」
男「辛くて死んじゃうかもな」
妹「嫌だよ、そんなの」
男「うん、俺もやだ」
妹「あはは……」
男「ははは」
妹「それじゃ、パジャマ置いとくね」
男「え? なんで俺のパジャマがあるんだ? 家出るときに全部持ってったはずだけど」
妹「そ、そんなことどうでもいいじゃない!」←誕生日プレゼントに買ったのがあった
375 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/04(金) 00:18:01.61 ID:pvdUEsico
妹かわええな
376 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(関西地方)
[sage]:2011/11/04(金) 00:22:56.66 ID:5zc83gHNo
いつの間にアンドロイド達とそんな親密に…
うらやましけしからん
377 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/04(金) 00:23:50.66 ID:L1olM4Uio
妹「もう!」
男「なにもそんなに怒んなくていいじゃねえか」
妹「うるさい、いちいち口うるさいんだから!」
男「……あ、でもさ」
妹「今度は何?」
男「妹や姉さんに会えないのは、辛いかも」
妹「……」
男(俺まずいこと言ったかな?)
妹「バカ! バカバカ!」
妹「そんなの私だってそうだもん!」
378 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/04(金) 00:28:21.58 ID:L1olM4Uio
・ ・ ・
男「俺の部屋、さっぱりしてるけどちゃんと残してくれてんだ」
男(ベッドも残ってるし……悪いなぁ)
男(ん? こんなとこにタンスあったっけ?)
コンコン
姉「男ー入っていいかな?」
男「あ、いいよ」
ガチャ
男「……」
姉「あう、なんかそれはそれでちょっとショック……」
男「え?」
姉「裸にも無反応かー。やっぱり姉の体じゃ嬉しくないかなぁ?」
379 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/04(金) 00:35:28.53 ID:L1olM4Uio
男「いや、俺はできるだけ見ないようにしてるんだよ? 流石に直視はどうかと思うから」
姉「あ、そうなの? 確かに全くこっちに視線を送ってこないもんね」
男「視界に入った瞬間にまずいと思った」
姉「そっか」
ズイ
男「ちょ、無理矢理視界に入ろうとしないでよ」
姉「いいじゃん、すこしくらいさ」
男「姉さん胸大きいんだから」
姉「えー、おっぱい見るの? えっちー」
男「ひでえ!」
380 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/04(金) 00:39:54.91 ID:L1olM4Uio
姉「でもまあ、大きいよね、私のって」
男「そうだよ、怖いくらいにね」
姉「嫌い?」
男「……嫌いではない」
姉「じゃあ好き?」
男「ま、まあ」
姉「巨乳好きかー。じゃあ妹はダメかー」
男「可哀相なこと言ってあげんなよ!」
姉「……って、今あんたが言った言葉が一番酷いと思うわよ」
男「……そ、そうだね。それより、なんで裸なの?」(下はちゃんと穿いてるし、胸はタオルで隠れてるから見えなくてホッとした)
姉「パジャマここに置いてあるからさ、取りに来たの」
男「あ、そうなんだ」
381 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/04(金) 00:44:24.75 ID:L1olM4Uio
姉「あと、一緒に寝ようかと思って」
男「えー、ベッド狭いじゃん」
姉「だったら床でもいいよ?」
男「姉さん、なんで俺と寝たいの?」
姉「好きだからー」
男「俺も姉さん好きだよー」
姉「え……そ、そうなの?」カァァ
男(なんで顔赤くしてるんだ?)
382 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/04(金) 00:46:12.08 ID:L1olM4Uio
ここで区切っときます。
久しぶりの出番&男との絡みでとてつもなくテンションが上がっています→姉妹
妹の妹らしさ。
姉の姉らしさ。
そんなものを感じていただければ幸いです。
それでは。
383 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/04(金) 01:06:16.45 ID:pvdUEsico
うむ、大変乙!
男爆発しろ。
384 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/04(金) 14:09:47.64 ID:cxYMLpBSO
とりあえず爆発を要求する
385 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/04(金) 17:51:11.82 ID:CKN8bk2ho
うんこれは姉妹とも爆発するレベルだな
386 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(関西地方)
[sage]:2011/11/04(金) 18:02:54.47 ID:4RvHoEMSo
全員爆発すればいいってことだな
387 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(チベット自治区)
[sage]:2011/11/04(金) 18:08:30.41 ID:S+P9s0Bto
代行!壁殴り代行はまだかっ!
388 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(群馬県)
[sage]:2011/11/04(金) 18:41:23.92 ID:sYKnLNfHo
★壁殴り代行休業しました★
|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| 壁殴り代行会社は壁殴り代行サービスについて、
||秋季休業中| 予想を大きく上回る売れ行きと、スタッフ不足の為、
||_____| このたび代行を一時休止させていただくこととなりました。
| ::| お客様やお取引先様ならびに関係者の皆様に
| ::|_ 多大なご迷惑をおかけしますことを、心より深くお詫び申し上げます。
389 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/05(土) 00:41:15.56 ID:FUKSsJrDO
>>388
なん…だと…?
390 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/05(土) 08:22:34.00 ID:kdtc8VZSO
orz
391 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/05(土) 11:16:47.95 ID:7RgTOhHuo
>>388
不況知らずだな……
392 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/05(土) 23:25:58.74 ID:yKDmSl3xo
姉「まあ、久しぶりだから一緒に寝たいなーと思って」
男「俺たちもう大学生だよ? 流石にきつくない?」
姉「酷いなー、それとマジマジと私の着替えを見るのやめてよねー」
男「ごめん、デリカシーないことしたね」
姉「なんてね、男なら別に見られても平気だよ?」
男「まあ、そうじゃなかったら困るよ」(でもすっごく顔赤いよね、姉さん)
393 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 00:37:07.17 ID:uAmHh6sgo
姉「よし、準備OK! 明日はどうするの?」
男「どうするって?」
姉「だから、お家には帰るのってこと」
男「うーん……まだ考え中」
姉「ダメだよ、早く決めなきゃさ」
男「って言っても、決めづらいというか」
姉「……まあ、十分考えた方が良いかもね」
男「……」
姉「私だって、あの頃に比べたらすっごくこんなことは些細だなって思えるよ」
姉「あの頃の男、見るに堪えなかったし」
394 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 00:51:11.22 ID:uAmHh6sgo
男「そんなに酷かった?」
姉「うん、まるで違う人と一緒に暮らしてるみたいだったよ」
男「そっかぁ」
姉「でも、不思議だったな」
男「え?」
姉「同じにおいで、同じ顔で、私の家族なんだけど、全然違うの」
姉「すっごく可愛い弟はどこに行っちゃったのーって感じ」
男「可愛い……」
姉「でもさ」
姉「今はまた、可愛い弟に戻ったね」
395 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 01:01:57.89 ID:uAmHh6sgo
男「姉さんにとっては、まだまだカッコいいにはならないのかな」
姉「うーん、カッコいい時はカッコいいよ?」
姉「まあ、高校二年くらいで本当に性格戻ったよね」
男「……まあ、色々と転機だったからね」
姉「生徒会長さん?」
男「……当たり」
姉「そうだろうねー。あの子がいなきゃ今の男はいないよね」
男「全くその通りだよ」
396 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(関西地方)
[sage]:2011/11/06(日) 01:10:19.38 ID:vWWPPVZyo
キテター
397 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 02:25:06.54 ID:uAmHh6sgo
男「姉さんと妹のおかげでもあるよ」
姉「え? なんで」
男「そんな俺でも、普通に接してくれたじゃないか」
姉「そりゃあ、家族だしね」
男「それが俺はとっても嬉しいよ」
男「だから、辛い時にこうやって戻ってこれるし」
姉「……そっか」
398 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 02:26:37.13 ID:uAmHh6sgo
姉「それじゃあ、寝よっか」
男「うん」
姉「ほんとに私と寝てもいいの?」
男「なんで聞くのさ。全然構わないよ」
姉「……はぁ、これだもんなぁ〜」
男「え?」
姉「なんでもないわよ、全く鈍いわね」
男「鈍い?」
姉「なんでもない、ほら、寝るわよ」
399 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 02:33:27.83 ID:uAmHh6sgo
男「うん、わかった」
コンコン
男「ん?」
ガチャ
妹「あの、お兄ちゃん……一緒に……」
妹「あ、あれ?」
姉「やっほー、マイシスター」
男「なんだ、妹?」
妹「な、な、な……なんでお姉ちゃんが!?」
姉「男と一緒に寝ようと思ったからよ〜」
妹「! ぬ、抜け駆け!」
男「抜け駆け? なにが?」
400 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 02:42:40.21 ID:uAmHh6sgo
姉「まあまあ、家族三人仲良く寝ましょう?」
妹「……」コクリ
男「あ、妹も一緒に寝るのか?」
妹「だ、ダメ?」
男「なんでそんな怖い顔するんだ……。俺は全然構わないって」
妹「……良かった」ボソッ
男「?」
姉「ほら、男は真ん中入って、私達を温めなさい」
男「俺真ん中? は、恥ずかしいな……」
401 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 02:45:01.02 ID:uAmHh6sgo
姉「なーに今更照れてんのよ! らしくないわね」
男「らしくなくないよ。恥ずかしいもんは恥ずかしい」
妹「さ、さっさと中入りなよ、バカ」
男「寝る直前までバカって言われるとは……」
妹「……」ドキドキドキ
姉「あっらー? どうして妹はそんなに顔が赤いのかしら」
妹「え!?」
男「熱か?」ピトッ
妹「!」カァァ
妹「い、いきなりおでこつけないでよ! ばかぁ!!」
・ ・ ・
402 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 02:48:46.18 ID:uAmHh6sgo
チュンチュチュチュチュチュチュンッ
男「ごきげんだな、小鳥」
姉「おはよー、男」
男「早いね、姉さん。もう朝食の準備できてるんだ?」
姉「まあね♪ 何年もやってたら勝手に体が動いちゃうわよ」
男「姉さんを嫁にもらったら困らないね」
パリーン
男「!」
姉「あわわ、お皿落としちゃった……もう、男が変なこと言うからだよっ」プンプン
男「え、変なこと言ったかな?」
403 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 02:52:41.74 ID:uAmHh6sgo
姉「わかんないならいいわよ……痛っ」
男「大丈夫、姉さん」
姉「大丈夫よ。……言われてすぐこれだもんなぁ、私」
男「その方が姉さんらしいよ。俺は好きだな」
姉「……」カァァ
男「姉さん?」
姉「あ、あんたはさっさと食卓に座ってご飯待ってなさい! お皿は私がするから、あんたの仕事は朝食を食べること!」
404 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 02:56:12.91 ID:uAmHh6sgo
男「ありがと、姉さん」
姉「……ふんっ」
・ ・ ・
男「ごちそうさま。それじゃあ帰るよ」
姉「早いのね。妹になにか言わなくていいの?」
男「うん。着替えも持ってきてないし、ほぼ手ぶらで来ちゃったし」
姉「今日買いに行けばまだまだ大丈夫よ?」
男「そういうわけにもいかないよ。なにも言わずに出てきちゃったんだし」
姉「あー……それはまずいんじゃない?」
男「携帯も電源切ってたから」
姉「あんた、以外とえげつないわね」
男「いやいや、充電が切れてたんだ。昨日充電できてよかったよ」
姉「なんだ、それなら安心ね」
405 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 02:58:15.46 ID:uAmHh6sgo
男「ありがとう」
姉「うん、またなにかあったら来なさい」
男「なにかあったら?」
姉「ふふっ、なくてもいいわよ?」
男「そっか、わかった。じゃあね」
姉「いってらっしゃい」
男「……」
姉「……」ニコッ
男「いってきます」
406 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 03:02:07.21 ID:uAmHh6sgo
・ ・ ・
妹「……」ボケー
姉「あらあら、女の子らしくないお顔をしてらっしゃるわね」
妹「あのねー、お姉ちゃん」
姉「ん?」
妹「昨日夢の中にお兄ちゃんが出て来たんだけどさ」
姉「うん」
妹「私に手を振って、どこかに行っちゃったんだ」
妹「それでさ、起きたらもういないの」
姉「……さ、さて、洗濯物でも干そうかな」
妹「なんで正夢になってるの!? 起こしてくれればよかったのに!」
姉「ちょ、泣くことないじゃないっ」
妹「泣いてない! ただ起こしてくれればよかったの! 別にお兄ちゃんは関係ないけど!」
姉「『妹気持ちよさそうに寝てたから起こすの悪い』って言ってたわよ?」
妹「えっ……そうなの?」
姉「うん、ほんと」
妹「……ちょっとメールする」
姉「誰に?」
妹「だ、誰でもいいでしょ!」
・ ・ ・
407 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 03:10:49.19 ID:uAmHh6sgo
ガタンゴトン
男「……『また来てね』……はは、妹め」
男(あんなにぐっすり寝てるやつを起こせるわけないっての)
男(でも、最近ちょっと狐子起きるの遅いから、我慢して起こすかな)
?「せやせや、ちゃんとしつけせえへんとつけあがるで」
男「え?」
?「兄弟姉妹ゆうんはええなぁ。まるで自分みたいなもんや。血ぃ繋がっとるからかな」
男(俺に言ってるのか?)
?「あんたやあんた。あんたしかおらんやろ。こんな過っ疎過疎な電車やで」
男「は、はぁ……俺、何か言いましたか?」
?「ゆうてたやん、心の中ゆうん? 思ってたことボロボロ漏らしてたで」
男「え、俺気づかないうちに言ってました!?」
?「ゆうてへん! 私が読んだんや」
男「え、俺の心を?」
?「まあ、そうゆーことやな」
408 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 03:14:10.13 ID:uAmHh6sgo
?「……」ジィ
男「な、なんですか?」
?「ええ姉にええ妹持ってるんやな。羨ましいわぁ」
男「凄いですね、わかるんですか」
?「わかるんやない、調べたんや」
男「え、どうやって?」
?「人なんて見てればなんでもわかるわ」
男「すごい!」
?「凄ないわ! でもまあ、家族ゆうんは唯一無二や。大切にしぃよ」
男「はい、ありがとうございます」
?「……名前なんていうん?」
男「当てて見てください」
?「わかるもんとわからんもんあるわ! そないな面白いことゆわんといてぇな!」
409 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 03:18:16.52 ID:uAmHh6sgo
男「男って言います。関西の人ですか?」
?「そんなん関係ないやろ?」
男「……まあ、そうですね」
?「ふーん、男ゆうんか。オッケ。覚えた」
男「あなたは?」
?「ええ、私も言わんとあかん?」
男「教えてほしいですよ」
?「……私は西。気軽に『さいちゃん』とでもゆうてくれ」
男「あ、はい」
西「なぁに、ここであったが運の尽き……ちゃうわ、なんてゆうんかな」
男「ここであったが百年目……あ、違いますね」
西「……ははは! なんやあんた、面白いやん!」
男「えーっと……ここであったのも何かの縁ってところですかね」
西「そうやそうや、それそれ! それやー!」
410 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 03:22:36.18 ID:uAmHh6sgo
西「というわけで、電話番号教えてくれ」
男「え?」
西「わかってる。得体の知れへん可愛い女の子に電話番号なんて流石に無理やんな」
男(自分で可愛いって……)
西「寒かった? ごめんごめん」
男「あ、バレました?」
西「バレるとか思ってんやったら思うなや!」
男「す、すいません」
西「まあええわ。私が教えてあげる。やからなんかあったら電話くれ」
男「え?」
西「ほい。ノートの切れ端で悪いけど、これ電話番号やから」
411 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(長屋)
[sage]:2011/11/06(日) 03:23:17.61 ID:mk6cNlE/o
あなたのせいでSS書き出したぞこのやろう
きっかけをありがとう
412 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 03:24:54.34 ID:uAmHh6sgo
男「あ、ありがとうございます」
西「にしても良かったわー、話す人いて。この電車過疎すぎるやろ!」
男「まあ、こっちの方は田舎ですからね」
西「なんや! こっちの方にも田舎はあるんか!」
男「こんな聞き方悪いですけど、田舎から出て来たんですか?」
西「んー、そうなるんかなぁ? ま、そういうところや」
男「そうですか。じゃあこっちの暮らしとかにはまだ慣れてないんですかね?」
西「慣れてるも何も! 今日初めて来てん!」
男「あ、そうだったんですか!」
413 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 03:30:25.90 ID:uAmHh6sgo
西「右も左もわからん可愛い女の子なんよ〜」
男「じゃあ、何かあったら教えてあげますよ。電話も近々します」
西「ここで電話番号教えへんところにまだ警戒心あると私は見たで」
男「……」
西「まあ、ええわ。ありがとうな」ニコッ
プシュー
男「あ、俺ここなんで」
西「あ、私は次の駅や。ここでサヨナラかぁ〜」
男「必ず電話します、それじゃあ!」
西「はいはーい!」
西「まあ――」
西「――すぐ会うことになるけどな」
414 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 03:35:29.42 ID:uAmHh6sgo
・ ・ ・
ガチャ
男「……た、ただいまー」
シーン
男「……まあ、そうだろうな」
撫子「……男さま?」
男「! な、撫子」
撫子「お、男さまぁ!」ギュッ
男「ちょ、ど、どうした!?」
撫子「ごめんなさい、ごめんなさい……きっと私がいたらぬ点がたくさんあったかですよね……」
男「そんなことないって、とりあえず離れよう、な?」
415 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 03:38:03.46 ID:uAmHh6sgo
牧「あ、男!」
男「おう、牧」
牧「もう、どこ行ってたの? 遊園地行ったきり戻ってこないなんて。遊園地に閉じ込められたのかと思ったよ」
男「怖いこと言うな、お前」
狐子「……!」
男「おう、狐子。起きてたのか」
狐子「ふん……」
牧「狐子ね、寝ないで男のこと待ってたんだよ。まあ日を越す前に寝ちゃったけど」
狐子「ま、牧!」
男「狐子……」
狐子「み、観たかった番組があっただけなんだからな! それ以外に理由は無い!」
416 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 03:39:54.13 ID:uAmHh6sgo
男「わかったわかった、ありがとな」ニコッ
狐子「なんでありがとうなんだ! そしてその笑顔はなんだ!」
女「男さん」
男「女」
女「……おかえりなさい」
撫子「あ、そうでした。おかえりなさいませ」
牧「おかえり、男」
狐子「……おかえり」
牧「あ、珍しい」
狐子「う、うるさい!」
男「……」
牧「男?」
男(辛いとか、最低だよ、俺)
男「うん、ただいま!」
417 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 03:43:54.04 ID:uAmHh6sgo
撫子「さてさて、それじゃあ居間に行きましょう♪」スタスタ
牧「ランニングしてて外の寒さは知ってたけど、玄関も冷えるね。早くいこっと」トタトタ
狐子「……ふんっ」テコテコテコ
男「はは……」
女「……男さん」
男「ん? 女も行こ――」
ギュッ
男「……え?」
女「寂しかったです、とっても」
男「……そうか」
女「何も言わずにいかないでください。悲しいですから」
男「……ああ」
牧「何してるの早く……って」
牧(水差しちゃいけないよね)
男「……じゃあ、行こうぜ」
女「はい」
To be continued!!!
418 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 03:45:20.29 ID:uAmHh6sgo
終わりでございます。
いきなりの新キャラ投下でビックリの方もいるかと思います。
西ちゃん。
自分が子供のころ京都にいたので、関西弁頑張ってます。
読みづらいと思うので、次からはちょっと修正します。
さっきまでSS速報の鯖が安定して無くて長い投下間隔をあけてしまって申し訳ありませんでした。
そして、新キャラ登場により、事態は大きく動き始める!?
次回、ある意味新章突入な感じです。ご期待下さい。
419 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 03:47:15.76 ID:uAmHh6sgo
追伸。
>>411
そういっていただけると嬉しいです。
すこしずつSSが認知されて、拡がっていくことは、とっても好ましいことです。
狐子「だからと言って、このSSを見ないなんて言うな! 約束だからな!」
420 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(長屋)
[sage]:2011/11/06(日) 03:57:48.60 ID:mk6cNlE/o
>>419
乙した
VIPからのファンです
これからもC
421 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(長屋)
[sage]:2011/11/06(日) 03:58:25.27 ID:mk6cNlE/o
>>419
乙した
VIPからのファンです
勉強させて頂いてます
これからもC
422 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(長屋)
[sage]:2011/11/06(日) 03:59:26.75 ID:mk6cNlE/o
連投すみませんorz
423 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/06(日) 03:59:35.42 ID:rRt1dNIpo
乙でした!
新章期待! あと
>>411
も期待。
424 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/06(日) 06:22:12.37 ID:oSbNLuGto
乙です
425 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(関西地方)
[sage]:2011/11/06(日) 13:30:43.81 ID:vWWPPVZyo
乙でした
新章にも期待してます
426 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(静岡県)
[sage]:2011/11/06(日) 20:04:58.45 ID:nhl7BkZgo
乙
また気になるのが出てきおった
427 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/06(日) 20:57:55.81 ID:qjU1HPYvo
おつかれさん
428 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(東海)
[sage]:2011/11/06(日) 21:37:41.80 ID:sPxq9R5AO
最近レス出来なかった分までの乙
僕娘が好きになれたのはあなたのおかげです
429 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 23:15:36.95 ID:uAmHh6sgo
狐子「……んー、最高!」
男「あのなぁ、狐子……いくらなんでも栄養が偏ってるぞ」
狐子「む、私はロボットだぞ、そういうところはちゃんとバランスを取ってくれるはずだ」
男「……はぁ」
狐子「なぜため息をつく!」
男「お前以外のメンバーがまさかメンテナンスとはな……」
狐子「ふん、あいつらは私とあいつらでは構造が違うからな」
男「ああ、なるほどな」
狐子「! む、胸を見るなバカ!」
男「見てねえよ!」
430 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 23:18:34.60 ID:uAmHh6sgo
狐子「ふん……油断も隙もない……」ズルズル
男(毎日三食うどんってやばいよなぁ……素うどん大好きだから本当にうどんの麺おとスープしか摂取して無いことになる)
狐子「……なんか、痛い」
男「え?」
狐子「口の裏が痛い! ビリビリする!」
男「見せてみろ……うわあ、酷い口内炎だ」
狐子「こ、口内炎!」
男「不摂生がたたったなぁ」
狐子「痛い! 膨らんできたぁ!」
431 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/06(日) 23:24:27.15 ID:rRt1dNIpo
うわあ 想像しただけでいてぇ
432 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 23:35:31.42 ID:uAmHh6sgo
狐子「……うう、痛い!」
男「こらこら、舌で舐めるな」
狐子「気になるんだ!」
男「わかってるけども、舐めたら余計痛いぞ」
狐子「……うううううう!」
男「我慢しろって。ほら、塗る薬あるから」
狐子「見えないから男がつけろ」
男「鏡見て自分でやれよ」
狐子「お前はいつからそんな意地悪になった!?」
男「優しかったつもりもねーし」
狐子「痛!」
男「あー、見てらんねぇよ、口開けろ!」
433 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 23:40:39.72 ID:uAmHh6sgo
狐子「痛く……するなよ?」ウルウル
男「わかったから、その似合わない小動物的な顔やめろ」
狐子「冷たいやつだ」
男「喋ってると口内炎噛むぞ」
狐子「……!」
男「……」ヌリヌリ
狐子(あれ? 痛くない……)
男「どうせ舐めるだろうけど、ちょっとは痛みが治まると思うぞ」
狐子「ふん、礼は言わないからな」
男「わかってるよ」
434 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(関西地方)
[sage]:2011/11/06(日) 23:43:38.54 ID:vWWPPVZyo
キテター
435 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 23:47:31.49 ID:uAmHh6sgo
狐子「あいつらはいつ帰ってくるんだ?」
男「長期的なメンテナンスらしいからな。一週間。まあ、今日で六日目だから、明日には帰ってくるはずだよ」
狐子「そうか、つまり私は」
男「六日間うどんを食ってるってことだ」
狐子「そのおかげでうどんを作れるようになった!」
男「良いことみたいに言うな……」
ガチャ
男「ん?」
狐子「帰って来たか?」
男「いや、帰ってくるのは明日のはず……」
「なんやなんや、えらく広いとこ住んでんねんなぁ」
436 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/06(日) 23:54:17.80 ID:qjU1HPYvo
やはりアンドロイドだったか
437 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 23:56:02.68 ID:uAmHh6sgo
男「!」
狐子「どうした?」
男「ちょっと、待ってろ」
狐子「? あ、ああ」
タッタッタッ
男「西さん!?」
西「やっほー、来てもうたわ」
男「な、なんで……?」
西「アホやなぁ。あんたの顔見たらすぐわかるねん。どこに住んどるとかな」
西「それと、私のことは気軽に『さいちゃん』と呼んで言うたやろ」
438 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/06(日) 23:59:03.21 ID:rRt1dNIpo
俺「さいちゃん!!」
439 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/06(日) 23:59:24.76 ID:uAmHh6sgo
男「いや……違くて……」(な、なんで)
西「『なんで家知ってる』……かて?」
男「!」
西「身構えんなや。どこのバトル漫画やねん。そんなことあるわけないやろ」
西「ただ身構えんのは正解やと思うで。危機的状況においてそういう動きとれるんはええことや」
男「あなたは……一体?」
西「人間やけど」
男「……」
西「信じてくれへんの? 私はふつーの人間やで」
男「……ほ、ほんとに?」
西「せや、人間や。当たり前やろ?」
男「当たり前やけど」
西「それに私みたいなのが――」
西「――アンドロイドなわけないやん」
440 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/07(月) 00:04:15.65 ID:aAlfH47Jo
男「! あんたは……!!」
?「そこまでですよ、さいちゃん」
男「!」
西「ええやん、ちょっとくらいビビらせても」
男「……だ、誰ですか?」
?「申し訳ありませんね、男さん。お世話になってます」ペコリ
男「あ、いえいえ……って、あんたのことなんか知らないぞ?」
西 プルプル
男「……?」
西「あはははは! ノリツッコミて! 男くん最高やね! 面白いわぁ」
441 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/07(月) 00:07:26.68 ID:aAlfH47Jo
西「で、なんなん?」
男「え?」
西「あんたは、の続きやん」
?「さいちゃん」
西「ええやん、どうせ聞かな話続かんし」
男「あんたは……何者だ?」
西「だから、人間やろ?」
男「違う、そんな根本的な話じゃなくて」
西「なんや、美少女の裏の裏まで知りたいんか? 残念ながらそれは表や」
男(自分ツッコミ?)
442 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/07(月) 00:12:55.41 ID:aAlfH47Jo
西「痛い女思われたかもしれへんな、自分ツッコミ」
男「いや、そんなこと」
西「ええねん、こっちはあんたの裏見えてるんやから」
男「……」
西「気味悪いやろ? 卵の真ん中でウヨウヨとまとまってるん」
?「それは黄身でしょ」
西「ここはスルーするとこや! あんたは黙っとき」
男「……それで、何しに来たんですか?」
西「別に、なんも」
男「は?」
西「挨拶や挨拶。まあ、今はな」
男「今は? それはどういう――」
狐子「!!!!」ピョコンッ
男「! き、狐子!」(待ってろって言ったのに……)
西「おお、可愛い獣っ子やなぁ」
443 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/07(月) 00:19:30.17 ID:aAlfH47Jo
狐子「……な、なんで?」
西「なんでってなにが?」
男(狐子がおびえてる……なにが?)
狐子 ビクビク
男「お、おい、狐子?」
西「よーわからんなぁ、私には」
男「あ、あんたなにしたんだ?」
西「さいちゃんって呼んでや、流石に傷つくで」
?「あら、久しぶりね」
狐子「お、お姉さま……」
444 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/07(月) 00:30:22.59 ID:aAlfH47Jo
というわけで、ここで区切り。
『そろそろ具体的なデティール考えた方が良いのでは?』
と思ったので、キャラごとに具体的な容姿設定を考えようと思ったのですが、難航中。
「いや、いらないだろ」と思う人はいると思うんですけどね。
でも、そろそろ考え始めなきゃなと思ってしまったんです。いきなり。
何故考えようと思ったのかと言えば、『おっぱいの大きさ』しか具体的でないのはなんか悲しいじゃないですか。
髪の長さとか、他色々ね。髪の色は……まだまだ納得いくまで考えます。
「へえ、そんな感じなんだ」とか、「見る目変わった、好きになった」とかプラスなコメントがあれば良いのですが
それで、「イメージ壊れた、さよなら」ってマイナス方向のコメントが沢山あったら、非常に辛いですね。
イメージの同一化は、見てる人も認識しているおかげで描写が書きやすくなるという、自分得な感じが否めないですけど。
それでも、ちょくちょく考えてます。
それでは。
>>428
ありがとうございます。励みになりますよ。
>>431
狐子「同志!」
男「健康には気をつけて」
>>436
西「なに言うてるかわからんわー」
>>438
西「はーい、なんや? こんな美少女捕まえてなにも無しなんて怒るで?」
445 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/07(月) 00:37:49.18 ID:TVUNzsloo
ここで寸止めかよっwwwwww 乙!
お姉さま気になる!
>>444
さいちゃんごめん、呼んでは見たけど……別に……
446 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(関西地方)
[sage]:2011/11/07(月) 00:46:18.87 ID:QT5ZNWODo
乙でした
衝撃の発言で区切りかよwwww続きが気になるじゃないかwwww
関西勢からすると関西弁キャラが出てきて嬉しいかぎりだ
447 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(チベット自治区)
:2011/11/07(月) 01:08:18.74 ID:cORHIcFoo
憎い
>>1
だな
今気付いたけど特に情が入るっていうキャラが居ない
448 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(東海)
[sage]:2011/11/07(月) 01:25:01.26 ID:/7lSnggAO
狐子のおねーさまで関西といったらあの辺ですかね
449 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/07(月) 01:36:53.19 ID:eLqq0yEuo
伏見稲荷か
乙でした
450 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/07(月) 02:43:15.06 ID:Pf0plPLDO
おっつー
>>447
情が入るとは
451 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(チベット自治区)
[sage]:2011/11/07(月) 02:55:02.24 ID:cORHIcFoo
>>450
特別に誰が良いと思う事が無いというか
逆に言えばみんな良いというか
452 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/07(月) 23:32:28.17 ID:aAlfH47Jo
男「……ど、どういうことだよ!?」
西「あかんわ、ついてけへんなぁ」
?「DDL-002……今は、狐子と呼んだ方が良いのですかね?」
狐子「……」ブルブル
男(あの狐子が、震えてる……)
西「なんやなんや、偉いビビっとるやん」
?「ショックですね、私が何をしたと言うんでしょうか?」
男「あんたは、本当に……狐子の姉さんなのか?」
453 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 00:28:22.91 ID:QyXvkWl1o
西「男くん、ちょいストップ」ギュッ
男「!?」
西「悪いんやけどな、ちょっと質問しすぎや。同じ人間なんやから対等に話し合おうや?」
男「わかりましたから、離れてください!」
西「酷いなぁ、こんな可愛い子に抱きつかれて喜びもせえへんなんて」
?「さいちゃん、調子乗りすぎです」
西「そうでもないと思うけどなぁ」
西「男くん、こっちの質問も聞いてくれなあかんで。そうしたらこっちも答えたる」
454 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 00:52:10.48 ID:QyXvkWl1o
男「……狐子、お前は戻っとけ」
狐子「……」
男「辛いだろ、無理すんな」
狐子「……悪い、男」
西「なんや、戻るんかいな?」
?「まあ、人見知りをする子ですからね」
男「……それで、西さん、俺になにを聞きたいんですか? 挨拶だけじゃなかったんですか?」
西「さいちゃんや。挨拶はさっき終わったやん。リアルタイムに生きようや、男くん」
455 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(愛知県)
:2011/11/08(火) 00:59:10.97 ID:LEewXWSAo
やばい…西がものっそいうぜぇ…
456 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 01:04:34.07 ID:QyXvkWl1o
男「……」
西「じゃあ、率直に聞くけどな」
男「はい」
西「DDL-003はどこにおるん?」
男「!」
男(さっきからやっぱり、この人……アンドロイドのことを)
西「知らん知らん。まったく知らんで。私はいち一般人や。それ以外の何者でもない」
西「男くんかてそうやろ?」
男「……DDL-003?」
西「なんでしらばっくれんねん」
457 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 01:09:20.58 ID:QyXvkWl1o
男「!」ビクッ
西「はぁ……困るねんな。私も人の心読めてまうから悲しいねんけども」
西「あんた、怯えすぎや。いきなりのことにまったく耐性がない」
西「冷静に判断できずに気持ちだけ先行して、アホ見てるやろ」
男「い、いきなりなんですか」
西「女言うんやろ? その子どこにおんねん」
男「……もう、わかってるんじゃないんですか」
西「誘導尋問や。心読めてもちゃんと言葉にしてくれへんと私が怒られんねん」
458 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 01:13:41.81 ID:QyXvkWl1o
男「誰に?」
西「こっちが質問してんねんで。質問返すなや」
男「……」
西「……言わんねんなら、奥の獣っ子に聞くで」
男「!」
西「嫌やろ、さっきのビビり方普通やなかったもんな」
男「……」
西「大丈夫や。別に私かて悪いことするつもりやないねん。ちゃんと答えてくれたら私も質問答えたるから」
459 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 01:17:43.22 ID:QyXvkWl1o
男「……」(どうするんだ? 俺)
西「……」ニヤァ
男(何考えてるかわからない相手に、簡単に答えを言ってもいいのか?)
西「……」
男(それに俺が考えてることなんか全部バレてるんだ。今だってずっとバレてる)
西「……」ポリポリ
男(めっちゃ可愛いなあ、西さん)
西「ちょ、いきなりなんやねん!」カァァ
男「え、なにが?」
西「こ、狡いわぁ……」
460 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 01:22:20.55 ID:QyXvkWl1o
?「いい加減にしてください、男さん」
男「!」
?「あなた、できるだけ時間を延ばそうとしていませんか?」
男「そんなこと――」
西「なーんも考えてへん。気持ちばっかり高ぶって思考とか全然でけへんみたいやな」
男「……」
西「ほら、言いや。別に嘘ついてもええねんで?」
男(俺は……)
男「……」グッ
男「女は今、メンテナンス中で家にはいない。明日にはここに戻ってくる……はず」
461 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 01:29:42.01 ID:QyXvkWl1o
西「……あら」
男「……?」
西「いや、ビックリやわ。素直に正直に答えてくれる人」
男「……?」
西「いやあ、凄いなぁ、男くん。君」
?「そうですね」
男「でも、俺は女のことを知らない人にペラペラ喋ったんですよ? それのどこが」
西「誠実に生きてなそんなことできへんよ」
男「え?」
西「私は逆に無理やな。人に簡単にモノ教えたないもん」
462 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 01:37:21.35 ID:QyXvkWl1o
男「……え」
西「やばっ」
男(それってつまり、俺の質問にもちゃんと答えないんじゃ……)
西「いや、いやいや! 答える答える! 私がわかる範囲ならなんでも教えるで!」
男「そ、そうですか……」
西「そうか、メンテ中か……ふむ」
?「やはり、そうでしたか」
男「え?」
?「室内から反応を察知できませんでしたので」
西「いいひんのは最初からわかっててん」
463 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 01:43:23.06 ID:QyXvkWl1o
男「そうなんですか」
西「よし、じゃあ質問してええよ。したくてウズウズしてるんやろ?」
男「あ、はい」
西「言っとくけど、あんましプライベートなこと聞かんといてな? そんな質問やったらいつでも答えたげるから」
男「わかりました」(別に聞く気なかったけど)
西「それはそれで凹むで」
男「……えっと、なんで、女を探してるんですか?」
西「ん? ああ、DDL-003のことか」
464 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 01:52:37.43 ID:QyXvkWl1o
西「別に」
男「へ?」
西「私はなーんも知らんで」
男「……ちょ、ちょっと」
西「ほんまやねん。私は居所掴めー言われて、行動しただけやし、それ以上の答えはできへんよ」
男「だ、誰に?」
西「あんたの知らん人」
男「なんかの組織とかじゃないのか?」
西「お、敬語やめてくれたんやな。嬉しい」
男「べ、別にそういうわけじゃ」
西「じゃあどういうわけなん?」ズイッ
男「!」(近いっ!)
465 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 02:04:03.08 ID:QyXvkWl1o
西「なんや、ドキドキするんやな、普通に」
男「わ、悪かったな……」
西「うん、そんな感じの方が私はええと思うで」
男「……」
西「聞きたいことはそれだけ?」
男「いや、あと……狐子のこと」
?「それは私への質問ですか?」
男「はい……」
?「確かに、私は彼女の姉――」
?「――でした」
466 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 02:05:56.67 ID:QyXvkWl1o
ここで区切り!
最近深夜更新ばかりで申し訳ない。
見たいのに眠くて見れない人もいると思うのに、どうしてもこんなに遅くまで書いてしまいます。
そろそろ狐子の姉(?)の名前出さないとずーっと?のままじゃ可哀相ですね。
それでは。
>>445
西「あかんなあ、仕置きが必要や」
467 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/08(火) 10:19:11.03 ID:IDBjM8vXo
乙
468 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/08(火) 14:59:21.16 ID:VwwxujCgo
仕置きっ!?ぜっ、是非っ!
…じゃなくて、乙。
眠い時は次の日見るから、深夜であってもマメに更新あるほうが嬉しい。がんばって
469 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 23:17:31.24 ID:QyXvkWl1o
男「姉……だった?」
?「はい、私と彼女は同タイプのアンドロイド。私の方が先に作られたというだけです」
男「……」
?「ああ、ちゃんと出せますよ?」ピョコンッ
男「ほ、ほんとだ」(大人っぽい感じが凄いギャップを感じる)
西「妖狐は私の友達でな、凄いええ子やねん」
妖狐「……確かに、彼女が妹であったような記録はあります」
妖狐「ですが、記憶はありません」
470 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 23:30:19.57 ID:QyXvkWl1o
妖狐「確かに記録には記されている……でも、私の記憶には存在しない」
男「じゃあ、なんでさっき『久しぶり』って」
妖狐「記録上、そういうことになっているので」
男「記録って……」
西「まあまあ、妖狐ちゃんは人見知りやねん。初めての人には固いことで有名やねん」
妖狐「有名じゃないですよ、さいちゃん」
西「まあ、これで男くん、聞きたいこと全部聞いたやろ? もう十分かいな」
男「あ……えっと」
西「……あー、考えるんやったらまた今度や。どうせいつでも聞けんねんから」
男「え?」
西「電話番号! 教えたやろ? まさか無くした言うんか?」
471 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 23:43:16.66 ID:QyXvkWl1o
男「だ、大丈夫! ちゃんと持ってるよ」
西「ふーん? 隠さんでええねんで?」
男「……ちょっと不安」
西「あはは、素直で可愛いなぁ、男くん!」
男「……じゃ、じゃあ、今度電話するから」
西「はいはい、さいちゃんはいつでも男くんのメールを待ってますよ〜」
男「……はは」
西「苦笑いとか辛っ」
男「ご、ごめん」
西「デートのお誘いとかも、電話でよろしくな、そんじゃ」
472 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 23:47:10.13 ID:QyXvkWl1o
西「行くで妖狐ちゃん」
妖狐「さようなら」ペコリ
男「さ、さよなら……」
男「……」
男「嵐のように去ってったな……」
男(一体、何者なんだ?)
男「って、その前に!」
男(んなこと考えるより狐子の方が先だ!)
473 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(関西地方)
:2011/11/08(火) 23:48:30.61 ID:IyC+gzY4o
キテター
474 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/08(火) 23:53:01.73 ID:QyXvkWl1o
・ ・ ・
男「き、狐子?」
男(……居間にいない……?)
男「おーい、どうしたんだ?」
男(寝室かな?)
ガラッ
男「……狐子?」
狐子「……男」
男「!」
男(涙?)
475 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/08(火) 23:58:30.87 ID:86oFUqXSO
よし烈火の炎の土門連れて来よう
476 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/09(水) 00:03:45.21 ID:pBSFHVl+o
狐子「……お姉さまは?」
男「……もう帰ったよ」
狐子「そうか」
男「ひ、久しぶりに会えてよかったな」
狐子「……」
男「狐子?」
男(いつもと、雰囲気が違う)
狐子「なあ男」
男「なんだ?」
狐子「お姉さまは、何を見ていたんだろう」
477 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/09(水) 00:16:09.82 ID:pBSFHVl+o
男「え?」
狐子「お姉さまは私を見ていなかった」
男「な、なんだそれ?」
狐子「私のことなんか知らなかった」
狐子「私を見透かしてた」
男「……」
狐子「全部聞こえてたぞ、覚えてないんだろ」
男「……狐子」
狐子「……そうか」
狐子「やっぱりまだ私は、一人なんだな」ボソッ
478 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/09(水) 00:26:02.94 ID:pBSFHVl+o
・ ・ ・
妖狐「いいんですか、すぐに引きさがって」
西「ええねんええねん」
妖狐「本当に、マイペースなんだから」
西「それについてきてくれてる妖狐ちゃんがいるだけで幸せやで」
妖狐「今回は手荒な真似をしましたが、これからどうするんですか?」
西「そんなことあとでも考えられるやん!」
妖狐「さいちゃんのそういうとこ、わりと好きじゃない」
西「あ、酷い!」
妖狐「ふんっ、知りません」
西「大丈夫大丈夫! またすぐに会えるから!」
妖狐「本当ですか?」
西「家出向かんでもすぐにな〜」
西「ほんま、楽しみやわ」
To be continued!!!
479 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/09(水) 00:28:14.20 ID:pBSFHVl+o
限 界 を 感 じ ま し た 。
次回から地の文入れさせてもらいます。
男視点の時のみになるとは思うのですが、本当に台詞だけじゃいっぱいいっぱいで……。
だから、次回から(?) どうなるかはわかりませんけどね。
次回は、リクエストの、「女が大学にいって大パニック!」です。
それでは。
480 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(関西地方)
[sage]:2011/11/09(水) 01:03:36.53 ID:PeU+unXRo
乙でした
次回から女が復帰か
481 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/09(水) 05:00:13.84 ID:S1oS4XpGo
乙です
ラブコメ路線きた…のか?www
待ってます
482 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/09(水) 16:20:10.31 ID:988l/30Jo
女偏待ってた
483 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(東海)
[sage]:2011/11/09(水) 22:18:16.50 ID:pzgHwuRAO
乙よん
484 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(東京都)
[sage]:2011/11/10(木) 10:41:03.12 ID:gePNb718o
忙しくて全然読めんかったああああ
姉妹編よかった!姉妹かわえええ!また出して下さいな
いつのまにか新キャラが!
乙した
485 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/10(木) 18:41:45.06 ID:kbATeu+Wo
男「行ってきます」
女「いってらっしゃいませ」
男「……狐子は?」
女「無理をしていると思います。でも、私には、平気な顔をしているようにしか見えません」
男「そうか」
仕方がないと、思った。
久しぶりの姉に出会って、感動の再会かと思えば。
『確かに、私は彼女の姉――でした』
過去形で語る関係。まるで、他人の様に。
『彼女が妹であったような記録はあります。ですが、記憶はありません』
記録にはあれど、記憶にない。
残っているけど覚えはないなんて言葉を、狐子は聞いてしまったのだから。
486 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/10(木) 18:42:49.62 ID:f/xM7fUWo
キタ━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━ ッ ! ! !
487 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/10(木) 18:46:34.95 ID:kbATeu+Wo
俺がもし、姉さんにそんなことを言われたら――?
無理だ、死ぬ。
そんな悲しいことって、ない。
妹に言われたってダメだ。
というか、家族に言われたくない言葉、だ。
……誰に言われてもいやか。
男「まあ、そっとしといてやってくれ。きっとあいつならすぐピンピンになるさ」
女「……そうですね」
小さな沈黙の末、女は言った。
きっと、女も気づいているのだろう。
そんな簡単に癒える傷ではない、と。
488 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/10(木) 18:58:17.72 ID:kbATeu+Wo
正直、安心した。
女にも心があるんだと、思えた。
男「んじゃ、行ってきます」
女「はい」
軽く手を振って、家を出た。
今日は撫子が寝坊してくれたおかげで出るのにそんなに時間がかからなかった。
男「さて」
俺は心を大学モードに切り替えた。
489 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/10(木) 20:39:06.07 ID:kbATeu+Wo
・ ・ ・
女「あ」
異常発生。
女「……これは」
たくさんの紙の束。
私の中の記憶には、確かこれは、男さんの物。
そして、さらに。
『これ、大学に持って行かないといけないんだよね』
と、言っていた。
490 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/10(木) 20:47:14.19 ID:kbATeu+Wo
女「男さんに、届けないと」
まだそんなに遠くまで行っていないはず。
大学は自転車で数十分くらい。
しかし、朝食の用意と洗濯物を干していた時間を加味すると、おそらく男さんは既に到着している。
私には、それがどの程度の時間なのかわからないけれど。
そんな短い間でも、私にとっては苦痛。
男さんに会えないから。
撫子「どうしましたか?」
女「撫子さん」
491 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/10(木) 20:59:11.46 ID:kbATeu+Wo
撫子「あ、これって」
女「はい。男さんが今日持って行くはずだった紙です」
撫子「うわー、色んなこと書いてありますね〜。……熱海?」
女「どうやら、大学のみなさん達と今度旅行に行くそうです」
撫子「ああ、それで場所を決めるためにってことですね♪」
女「はい、おそらく」
撫子「黒さん……元気かなぁ」
私も、鏡さんのことが気になる。
女「それでは、私はこれを大学まで届けに行ってきます」
撫子「はい、わかりました」ニコッ
492 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/10(木) 21:18:06.50 ID:kbATeu+Wo
撫子「あ、でも……」
撫子さんは頭を垂らした。
女「はい?」
撫子「また男さんと離れちゃいますね……」
女「そうですね」
なんだか最近また。
男さんとの距離が遠い。
撫子「はぁ、残念」
女「……行ってきます」
撫子「はい、行ってらっしゃいませ〜」
493 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/11(金) 01:50:09.49 ID:EcGc7ZEAo
もうしわけない、更新できませんでした。
とりあえずここで区切っときます。
494 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(東京都)
[sage]:2011/11/11(金) 14:54:02.68 ID:2ccFwIPyo
ぐぬぬ
乙んこー
495 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/11(金) 15:14:35.65 ID:V+nIBHMEo
乙乙。
496 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(チベット自治区)
[sage]:2011/11/11(金) 16:42:12.98 ID:YvBkP5I2o
西うざい
497 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/11(金) 21:44:11.97 ID:QP+4iaVqo
乙です
ぼちぼち更新してくれたら
それでうれしいんだから
498 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/11(金) 21:44:46.52 ID:QP+4iaVqo
IDがまさかのQP
499 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(関西地方)
[sage]:2011/11/11(金) 21:53:54.83 ID:27mLqso8o
乙でした
500 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(東海)
[sage]:2011/11/12(土) 01:26:28.21 ID:Lj+V3rAAO
乙百合
501 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
:2011/11/13(日) 00:51:05.09 ID:BV2Upz4IO
受験生なのでこれだけが唯一の楽しみです
勉強の息抜きに読ましてもらってます
撫子ちゃんに応援してもらえたらそれだけですごくがんばれるんだけどなー(チラッ
502 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/13(日) 01:02:08.36 ID:gVt+EF6no
それは引く
503 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(チベット自治区)
[sage]:2011/11/13(日) 03:20:05.25 ID:GrRd9EPXo
>>501
落ちてよし
504 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/13(日) 03:36:00.68 ID:Zn3VxDTDO
>>501
甘えるな
505 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/13(日) 10:31:33.65 ID:BUm8rkhVo
>>501
落ちれば良いのに
506 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(東海)
[sage]:2011/11/13(日) 13:36:46.61 ID:IvJm2DdAO
>>501
この時期にこんな所にいる受験生なんてたかが知れている
507 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(チベット自治区)
[落ちろ sage]:2011/11/13(日) 16:32:30.70 ID:h4cbAgYmo
お前ら手厳しいな
>>501
が落ちようと受かろうとどっちでもいいが
508 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(チベット自治区)
[sage]:2011/11/13(日) 19:48:58.18 ID:GrRd9EPXo
よく分からないが空気をよんで
>>501
堕ちろ
509 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/13(日) 20:06:42.26 ID:8WKdqPTmo
おまえら冷たすぎ。
>>501
浪人乙!
510 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/13(日) 22:46:28.81 ID:JMSCFJWqo
・ ・ ・
男「おーっす」
学「久しぶりだな、バカ野郎!」
男「おう、学。って、久しぶりでもねえだろ、別に」
大「それは俺達の出番のことを言ってるんだ!」
男「はぁ? それどういう――」
桃「メタ発言だから気にしなくていいよー」
男「おお、桃!」
桃「えへへ、お久しぶりの登場だよ!」
黒「あんたも言ってどうすんのよ」ポカ
桃「いた〜い」
511 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/13(日) 22:53:12.79 ID:JMSCFJWqo
男「おっす、黒」
黒「……ふん」プイッ
学「まったく、いつも通りだな、お前は」
男「あれ、その服って」
黒「!」
男「ふもっ!?」
黒は俺の口を小さな手で塞ぐ。
黒「言 う な !」
真っ赤な顔をして黒は俺を睨む。
男 コクコク
512 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/13(日) 23:11:41.29 ID:JMSCFJWqo
※詳しくは-003-を参照。
大「ん? どうしたってんだよ、その服が」
黒「変なこと聞くな、ゴリラゴリラ!」
大「まさかの学名!?」
男「いや、似合ってるって思っただけだ」
黒「!」カァァ
桃「そうだよね!? めちゃくちゃ可愛いよね〜。でも私は黒い黒ちゃんも好きだよ!」
黒「黒い私ってどういうことよ……暗黒面の話してるなら月に飛ばすわよ」
男「服装のことだろ」
黒「わかってるわよ、逆に言われると腹が立つわ」
男「……お前なぁ……」ハァ
513 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(チベット自治区)
:2011/11/13(日) 23:16:44.98 ID:h4cbAgYmo
どっかーん
514 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/13(日) 23:17:08.71 ID:JMSCFJWqo
鏡「あ、男さん、おはようございます」
男「あ、鏡」
鏡「ごめんなさい、いたのに挨拶してなくて」
男「気にすんなって。別に気にしてないから」
学「大よ、最近鏡は影の薄さに拍車がかかってないか?」
大「おうよ。しかし、出なくてもいるだけで俺たちは胸に釘付けだということに変わりはない!」
鏡「……?」
男「鏡、できるだけあいつらの視界に入らないことをおすすめする」
515 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/13(日) 23:23:08.25 ID:JMSCFJWqo
男「それで、お前らは俺を律義に待っててくれたのか?」
学「いや、大体決めてたけどな」
男「っけ、やっぱか」
大「お前が遅いからだろ」
男「それでも集合早いだろ! 午前に集まるって、子どもかよ!」
桃「もしくはおじいちゃんだよねー」
黒「あんたはお似合いね」
桃「ひ、酷いよぉ〜」
鏡「あ、それと、男さんに会わせたい人がいまして」
男「俺に?」
516 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/13(日) 23:37:30.05 ID:JMSCFJWqo
鏡「はい」
桃「とっても面白い人だよー」
黒「あんたにあんな友達がいたなんてね」
男「え? 俺の友達?」
大「そそ、おまけに可愛いし」
学「性格も良いし、お前は本当に腹が立つくらい人脈あるな!」
男「だから、どこにいるんだ?」
鏡「……あら? いない」
黒「隠れてないで出てきなさいよ」
桃「あはは、かくれんぼ?」
?「あはは、しゃあないなぁ……」
男「……!!」
俺はその口調で気づいた。
西「じゃじゃーん、さいちゃんでーす」
517 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/13(日) 23:54:16.80 ID:JMSCFJWqo
なんで。
なんでいるんだ。
男「ちょっと、来い」
西いきなり乱暴やな……そういうオトコも好きやけどなぁ」
鏡「あ、あの、男さん?」
男「ごめん、鏡。ちょっとこいつと話したいここがあるんだ」
黒「でも、なんであんた怒ってんのよ?」
男「怒ってねえよ。別に」
桃(いやあ、めちゃくちゃ怒ってるよね)
学(血管浮き出てるし)
518 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/14(月) 00:12:55.42 ID:klWoQCF+o
西「ええねん、ええねん。怒るのも無理ない」
男「怒ってない!」
西「怒っとるやん」
あんた今DDL-003のこと考えすぎやで。
と、西は俺の耳元で呟いた。
桃「うわ、近っ!」
鏡「は、はは、ハレンチです!!」
男「離れろ、そしてこっちに来い!」
大(おいおいまさかこのまま……!)
学(大学で……!?)
大&学「って、んなわけないない」
519 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(静岡県)
[sage]:2011/11/14(月) 00:31:35.22 ID:TFoJO+DSo
どこまで干渉すんねんこの娘は
520 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/14(月) 00:36:23.19 ID:klWoQCF+o
・ ・ ・
男「答えろ、どうしてあんたがここにいる?」
西「いややなぁ、大学入ったんやん。わからん?」
男「お前なんかいなかったはずだ」
西「秋季入学ゆーもんがあってな。ちょうど入ってん」
男「なっ……?」
西「昔からあるシステムやん。知らんの?」
男「……秋季入学は知ってたけど、実際本当に入ったやつは見たことなかった」
西「灯台もと暗しやなぁ。周りのこともそんな感じちゃうん?」
男「……」
西「なんか、旅行行くらしいやん。ええなぁ。私も行きたいわぁ」
男「誰がお前なんかと行くか!」
西「あらら、嫌われてる?」
男「……」(当たり前だろ)
521 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/14(月) 00:41:56.19 ID:klWoQCF+o
西「いやん、ストレートやぁ!」
男「いいから、とりあえずお前がいたら邪魔だ、どっかいってろ!」
西「まだ三回しか会ってないのにもう私らは仲良いよなぁ」
男「全然、そんなことねぇ!」
西「そうやったら私一人だけそう思ってるえげつないほど可哀相な子やん!」
男「大学は今度案内してやる! だからさっきの部屋に来るな!」
西「な、ちょっと待ちぃや!」
西「……って、行ってもうた」
西「……」
男『大学は今度案内してやる!』
西「なんでそういうとこ優しいねん……」
522 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/14(月) 00:42:45.43 ID:klWoQCF+o
西ちゃん出てくると、話が全然進まない……!
というわけで、とりあえずここまでです。
また今度、それでは。
523 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage ]:2011/11/14(月) 01:08:56.25 ID:UbqghQE0o
乙
524 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/14(月) 01:36:14.65 ID:dTJltTVso
乙!
次第にさいちゃんが鬱陶しくなってきた……
525 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/14(月) 04:38:52.10 ID:y1qqatwIO
>>501
気持ち悪い
526 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/14(月) 10:38:12.93 ID:oNNxHoywo
乙です
もう触れてやるなよ…
527 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(チベット自治区)
[sage]:2011/11/14(月) 16:24:25.98 ID:Mxm+cqLUo
壁殴り代行はいいので西殴り代行お願いします
528 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(埼玉県)
[sage]:2011/11/14(月) 16:29:48.95 ID:aGivuL9xo
お前ら落ち着け、まだ西ちゃんが完全に悪役になったとは限らないだろ
529 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/14(月) 16:31:09.87 ID:oNNxHoywo
俺は静観する
530 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/14(月) 21:58:58.80 ID:a/aPw67IO
きっと関西弁じゃなかったらここまでキライにならなかった
531 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(関西地方)
[sage]:2011/11/14(月) 22:08:53.47 ID:2Wrc3Yyso
乙でした
西は完全に悪役設定なのかな
532 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/15(火) 07:52:45.95 ID:+aARUmUSO
さいちゃんかわいいお
533 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/15(火) 23:30:35.24 ID:MQRHIY8Ko
・ ・ ・
女「……困りました」
女(男さんはどこにいるのだろう)
女(位置検索をかけようにも、もうここ最近は使用していないから)
女(鈍ってるようだ)
女「……うーん」
「おい、あの子……」
女「?」
「か、可愛い! 何科の子だ!?」
女「いやな予感が……します」
534 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/16(水) 00:00:59.74 ID:Jhc2VDdio
女「とりあえず、中に入りましょう」
女(前、集まっていた教室くらいなら場所がわかる……はず)
・ ・ ・
女「……このにおい……」
ガチャ
「だれ?」
女(この教室……料理をしている?)
「ここはお料理サークルよ。どうしたの?」
女「いえ、あまりに良い匂いがしていたので」
「うふふ、嬉しいこと言ってくれるじゃない」
535 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/16(水) 00:13:43.56 ID:Jhc2VDdio
女「……」ジーッ
「あなたも作ってみる? 材料はたくさんあるし」
女「いいのですか?」
「ええ。大歓迎よ。人数もあんまり多いわけじゃないし」
女「それでは……」
・ ・ ・
女「出来上がりました」
「凄い手際だったわね。凄く綺麗な料理だわ」
女「お口に合うか心配です。それでは、私はこれで」(すこし熱が入ってしまった)
「あ、待って……行っちゃった。……とりあえず頂きます」パクリ
「!!」
「こ、こんな美味しいの……初めて……! 彼女は一体!?」
536 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/16(水) 00:33:32.25 ID:Jhc2VDdio
・ ・ ・
女「……たくさん教室がある」
女「たしか、ここが男さん達と前に集まった……」
ガチャ
女「?」
「……〜〜〜〜」
女「? なにをしているのですか?」
「しっ、今悪魔を呼んでいるのよ」
女「悪魔?」
537 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/16(水) 01:04:26.09 ID:Jhc2VDdio
「……でやあああああ!」
「おお……! 素晴らしい!」
女「あの、なにも現れていないと思いますが」
「なにを言う! あなたにはわからないのか!」
「そう、現れたのは――」
「――あなた!」
女「?」
「まさか、手違いで天使を呼んでしまうとは……」
「おお、天使よ、我々に幸せを!」
女(危険を察知)タタッ
「ああ、逃げてしまった!」
538 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/16(水) 01:11:18.09 ID:Jhc2VDdio
「待ちたまえ、我々の天使よ!」
女「振りきれない……っ!」
ドッ
女「っ」ドサッ
西「あたた……なんやねん」
女「すいません、お怪我はありませんか」
西「怪我があったら口数減って最高なんやけど、あんまり減ってへんってことは怪我はないってことや」
女「でも、今痛いと」
西「瞬間的なもんやん。別に一生痛い傷やないんやから気にせんでええやん」
女「そうですか、それでは――」
西「助けたろか?」
女「え?」
西「追われとるんやろ?」
女「はい」
539 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/16(水) 01:17:25.80 ID:Jhc2VDdio
西「わかったわ、ちょっとそこで待ってな」
「うおおお、っと……なんだね君は?」
西「天使探してるんやろ? それやったら、あっち行ったで」
「なんと、君にも天使が見えるのか!」
西「見えへんけど、小宇宙なら感じれるで」
「恩に着る。それでは!」ダダダダダッ……
西「これでええか?」
女「はい、ありがとうございます」
西「ええよ、困った時はお互い……あれ?」
女「はい?」
西「あんた……?」
540 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/16(水) 01:25:08.74 ID:Jhc2VDdio
女「なんでしょうか」
西「……DDL-003」
女「……!」
西「やっぱり、そうなんやな」
女(この人は、一体?)
西「ふふ……ふふふふふふふ、あはははははははは!」
西「最高や、最高やわ!」
西「ほんまなんやな!」
西「あんたの気持ちがわかる! ビックリや!」
西「心が読めるアンドロイドが、ほんまにおるなんてな!」
541 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/16(水) 01:28:48.53 ID:Jhc2VDdio
女「あなたは何を言っているのですか?」
西「ある意味感動やわ……ほんま」
女「?」
西「ごめんな、悪いんやけどさ」
女「……?」
西「ちょっと眠ってもらうで」
女「!」
バチッ
女「」
バタッ
西「……」
542 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/16(水) 01:32:00.92 ID:Jhc2VDdio
区切り!
西ちゃんと女が遭遇。そして、女が。
というわけで、リクエストにお答えしたのに、あまり広がりを見せられず、申し訳ありませんでした。
今回、この機会を逃すと展開ができないと思ったので、こんな感じになりました。
近々、のんびりとした空気が足りないなと思う人もいるとおもうので、うpろだに今度またうpします。
牧と男の話とか、狐子と牧の話とか……etc。
それでは。
543 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage ]:2011/11/16(水) 01:50:51.45 ID:5kTG8CcXo
乙
イマイチ西ちゃんの見た目が想像出来ない。
544 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/16(水) 03:35:10.68 ID:r5UnOzrIO
やっぱり西うざいわ
545 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(愛知県)
:2011/11/16(水) 06:41:36.42 ID:H1o0WJuJo
西うぜぇ…
546 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(チベット自治区)
[sage]:2011/11/16(水) 11:40:38.31 ID:Wosf9HUlo
実は西ちゃんはすごくエエ奴やねんけど今は伏線貼ってるだけやねん
……なんや、自演とちゃうで
547 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/16(水) 18:15:02.60 ID:IX+A22SUo
リクありがとうございます
そしてまさかの展開wwww
乙でした
次回待ってますwww
548 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(静岡県)
[sage]:2011/11/16(水) 19:30:15.21 ID:ITLANjCwo
いずれにしても牧は必ず入るんだなwwwwさすがだ
549 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(関西地方)
[sage]:2011/11/16(水) 20:12:03.28 ID:V9/nsgIMo
乙でした
うpろだの話も期待してます
550 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(東海)
[sage]:2011/11/16(水) 21:18:43.73 ID:0306dBFAO
乙 西ちゃんはいじめたくなる
551 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:47:50.79 ID:Jhc2VDdio
西「あかん、あかんわ」
西「自分が自分でない見たいやわ」
西「気分良いんとちゃう。それでも自分自身がまるで誰かに操られてるみたいな気分」
西「でも不思議やなぁ。体抵抗してへんし」
西「人間って、従うの好きなんかなぁ。人間やのに人間のことわからへんけど」
西「……さて、と」
西「男さん、ありがとうな」ニコッ
女「」
552 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:50:29.57 ID:Jhc2VDdio
>>551
訂正!
×西「男さん、ありがとうな」ニコッ
○西「男くん、ありがとうな」ニコッ
553 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:52:42.97 ID:Jhc2VDdio
・ ・ ・
大「あれ、西さんは?」
男「知らん。一緒に戻ってきてないからな」
学「おいおい、なんでだよ! 俺たちに会わせたくない理由でもあるのか?」
桃「良い人だったのにー」
男「あいつは、良くない」
黒「……は?」
鏡「い、いきなりどうしたんですか?」
男「ごめん、上手く言えないんだけどさ……」
学「まさか、元カノか!?」
男「は、はあ!? そんなわけ――」
大「その感じ……図星か!」
男「違うって言っただろうがぁ!」
554 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/17(木) 00:01:25.79 ID:LfKa5ePRo
学「へ? 言ってないぞ」
男「言っ……てないか」
大「大丈夫か? だいぶ気が動転してるみたいだけど」
男「あ、ああ……わりぃ。なんかさ」
鏡「具合が悪いんですか?」
男「いや、そんなことはねえんだ。……なんでだろ」
黒「なんか、気がかりなことでもあるんじゃないの」
桃「おお、黒ちゃんが珍しく助け舟!」
黒「桃豚は黙ってなさい」
555 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/17(木) 00:17:11.49 ID:LfKa5ePRo
桃「さ、最近は痩せてきたんだよ!」
黒「維持できるようになってからいいなさい」
鏡「お、落ちついて!」
桃「鏡ちゃんはスタイル良いからなぁ」
鏡「な、なんで私に!?」
男「……はぁ」
学「ん、なんだ?」
男「なんか、お前らといると安心するな」
大「きもっ」
男「悪かったな!」
556 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/17(木) 00:17:47.69 ID:LfKa5ePRo
すいません、全然進みませんでした……。
そろそろ12月になってしまう……クリスマスぅ……。
それでは
557 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(チベット自治区)
[sage]:2011/11/17(木) 00:35:28.42 ID:lyOY9VYWo
クリスマスって家族と一緒に過ごす日だろ?
何がどう間違ったらカップル()の日になるんだよ
558 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/17(木) 09:44:49.08 ID:BaSAdf3IO
>>557
一応(未来の)家族だろ
559 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(チベット自治区)
[sage]:2011/11/17(木) 11:41:33.18 ID:lyOY9VYWo
>>558
本気で結婚考えて付き合ってるんならまぁいいが…
そんな奴殆ど居ないだろうな…
大抵が「クリスマス」だからとりあえずだろう…
西ちゃんがこのままだとただの嫌われキャラで終わってしまう…
伏線張ってるだけだと信じたい
560 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(中国地方)
[sage]:2011/11/18(金) 01:12:43.91 ID:ph2Qtu3Io
俺は西ちゃん好きだよ
方言って素晴らしいね
561 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(チベット自治区)
[sage]:2011/11/18(金) 02:52:03.22 ID:XQ6p8DFso
>>560
(中国地方)
562 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/18(金) 22:24:04.71 ID:As3RbHn9o
男「まあ、それじゃあ旅行について決めようぜー」
学「いきなり話を変えたが、まあいいか」
大「じゃあ、例の資料出せよ」
男「おう。ちょーっと待てよ〜」
黒(テンションが戻ったわね)
男「……あれ?」
桃「どーしたの?」
男「……」
鏡「あの、男さん?」
男「……忘れた」
大&学「はぁぁぁぁ!?」
563 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/18(金) 22:27:52.95 ID:As3RbHn9o
男「いや、ほら、家に即行で帰れば持ってこれるし!」
学「待てるか!」
大「お前を待つのは嫌だ!」
男「ど、どういうことだ!?」
桃「私だったらー?」
大「待つ!」
学「逆にお前が忘れ物しないほうが珍しい!」
桃「ひ、ひどーい……」
564 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/18(金) 22:33:46.77 ID:As3RbHn9o
桃「じゃ、じゃあじゃあ黒ちゃんだったら?」
黒「ちょ、勝手に何聞いてんのよ!」
大「う、うーん」
学「……どうだろうな」
黒「ほらみなさい、一番反応しづらい結果になったじゃない、桃ヒポポタマス!」
桃「は、初めて言われた! 鏡ちゃんだったら?」
大&学&男「待つ」
桃「わお、しかも男くんまで!?」
鏡「そ、そんな話してる場合じゃないですよ!」
大「でもよぉ、鏡は良いやつだからなぁ」
学「俺たちのミスを影でフォローしてくれるしなぁ」
男「うんうん」
鏡「め、目の前で褒めないでください!」カァァ
565 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/18(金) 23:03:38.71 ID:As3RbHn9o
黒(なんで私がこんな敗北感を感じなきゃならないのよ!)
鏡「……と、とりあえず、私も色々と持ってきましたから、男さんは気にしないでください」
男「おお、ありがとな、鏡」
鏡「いえいえ」
黒「ねえ、桃。あんたはどうしてそんなに能天気に構えてられるの?」
桃「え、なにがぁ?」
黒「もういいわよ、知能レベルクズのあんたに話しかけるんじゃなかった」
桃「私悪いことした? なんだかいつもより怖いよぉ」
黒「ふぅん、いつも怖いんだ」
桃「ううん、可愛いよ!」
黒「……な、なによそれ」
学「おーい、そっちで百合百合せずに話しあおうぜ」
黒「百合?」
桃「お花?」
黒「あんたの頭のことよ」
566 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/18(金) 23:08:19.28 ID:As3RbHn9o
鏡「うーん、温泉……」
大「鏡温泉行きたいのか?」
鏡「そうですね。……ちょっとおばさんくさいですかね?」
学「いや、俺は混浴ならどこでもいいぞ」
鏡「こ、こんよ……!?」
男「いやいや、いいんじゃねえか、温泉! 混浴じゃなくても!」
鏡「は、はい」
大「観光とかもいいな。食べ歩きとか」
桃「食べ歩き!」
男「やっぱり食いつくか」
567 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/18(金) 23:40:38.59 ID:As3RbHn9o
桃「いいなあいいなあ、どこに行くの!? そしてなにを食べるの?」
鏡「も、桃さんはもう少し食い気を抑えた方が……」
桃「いやいや、色気出すためにはご飯食べないと!」
黒「それ、色気じゃなくて食べ物のにおいじゃない」
桃「ああ、そうなるね!」
男「でも、桃って良い匂いするよな?」
「「「え?」」」
男「え?」
大「なんで知ってんの?」
学「俺はそんなにわかんないけど」
男「しないか? なんか甘い匂い」
桃「もー、男くんったら〜」
男「嘘、俺だけ?」
黒 クンクン
黒「確かに、ちょっとするかも」
568 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/19(土) 00:47:01.81 ID:8aL2wmZJo
鏡「……あ、本当ですね」
男「ほら、やっぱりな!」
黒「でも、こんなに近づかないとわからないにおいよ?」
桃「肌と肌が当たりそうだね〜」
鏡「まさか、男さん……」
男「!? いや、ちょ……」
大「き、貴様……まさか桃を……!」
学「抜け駆けたぁ、てめー良い度胸してるじゃねえか!」
男「うわわわ、お前らマジで殺気立ってるぞ!?」
569 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/19(土) 00:51:51.08 ID:8aL2wmZJo
黒「こいつら僻んでるのよ」
鏡「あ、あはは……」
桃「男くんもなんだかあったかいにおいするよねー」
男「なんだそれ!? 今言ったら余計事態がややこしくなるだろうが!」
学「ほほう、あったかいにおいねぇ」
大「俺たちにも嗅がせてもらえませんかねえ?」
男「気持ち悪いこと言うなって!」
男「……ん?」
男「悪い、なんか電話だ」
学「ちっ、運の良いやつめ」
大「本当についてやがるぜ」
桃「あはは、漫画のザコキャラみたいだねー」
大&学「ががーん!」
570 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/19(土) 00:56:48.79 ID:8aL2wmZJo
・ ・ ・
男「ふう、ちょっとラッキーだったな」
男「自宅……ってことは女か? もしかして紙のことかな?」
ピッ
男「もしもし、どうした?」
撫子『あ、男さま。撫子です』
男「撫子か、何かあったのか?」
撫子『そちらに、女さんが行ったはずなのですが、会っていませんか?』
男「あ、もうこっちまで来てくれてたのか。いや、来てないけど?」
撫子『え』
男「どうしたんだ?」
撫子『いえ、もう大分時間が経ってるので、心配になって男さんに電話したのですが……』
571 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(関西地方)
[sage]:2011/11/19(土) 01:00:30.30 ID:Z7R70K/no
キテター
572 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/19(土) 01:04:30.00 ID:8aL2wmZJo
男「あはは、迷っちまったんじゃないか?」
撫子『女さんに限って、そんなことないと思うんです』
男「俺もそう思うけどさ〜それぐらいしか」
男「……あれ?」
男(待て)
男(そういえば、さっき……)
西『じゃじゃーん、さいちゃんでーす』
男「もしかしてっ」
撫子『ど、どうしました?』
男「分かった気がする。ありがとう、撫子」
撫子『え、なにがわかったんですか?』
男「女のこと! それじゃあ、切るぞ!」
撫子『はい。女さんのこと、よろしくお願いします!』
プツッ
573 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/19(土) 01:13:35.30 ID:8aL2wmZJo
・ ・ ・
撫子「……ふふふ」
牧「どうしたの、一人で笑ったりして」
撫子「今日朝に男さんと会えなかったので、男さんの声が聞けたのが嬉しくて♪」
牧「そういえばボクも会ってないや。メンテナンスだったしね」
撫子「聞きたかった?」
牧「あ、いや……そ、そういうわけじゃ……」モジモジ
撫子「うふふ、可愛い♪ 狐子は?」
牧「狐子? さっきからずっと家にはいないけど」
撫子「あら? 狐子も?」
撫子(どうしたのかしら……?)
574 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/19(土) 01:22:34.72 ID:8aL2wmZJo
・ ・ ・
男「どこだ……」
大学を時には走り、時には歩きを続けて10分。
学から電話がきたりしたが、お構いなしに俺は大学内を動く。
西は、どこだ。
さっきやつと離れて、とても時間が経ってる。
もしもあいつが、女に会っていたら……?
考えたくもない。なにをされるかわからないけど。
それでも、絶対に。
良い方向に転がることなんて、ありえない。
575 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/19(土) 01:27:11.97 ID:8aL2wmZJo
男「はぁはぁ……」
大学内の至る所を探した。しかし、西はどこにもいない。
もう既に大学を出た?
女がいつ大学に着いたのか。
きっと、俺に会うために色々な場所に行ったはずだ。
最初は俺たちが大学祭の時にしようしていた教室。
あそこからすこしずつ移動したことになる。
でも、そこはもうすでに探した。いなかったんだ。
男「……そうだ」
西の電話番号を、俺は知っている。繋がれば――。
男「頼むぜ……」
576 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/19(土) 01:36:51.71 ID:8aL2wmZJo
俺は登録していた西の電話番号に発信した。
出るか出ないか、わからないけど。
それでも、やってみないとわからないんだ。
もしも、西が女にでくわしてなくても。
危険なやつを野放しにはできない。
それに、さっさと学たちに説明(というか言い訳)もしないと。
怒り狂って襲ってくるかもしれない。
そして、俺の心の奥底には。
『女なら大丈夫だろう』
と。
思っているのもあった。
呼出時間がとても長く感じて、やはり出ないかと思った時だった。
西『はいはい、知らない番号から来たら基本スルーやけど今日は気分が良いので気まぐれに出た西ちゃんですけど』
577 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/19(土) 01:38:11.87 ID:8aL2wmZJo
ここで区切り!
次回か次次回くらいに大きく発展すると思います。
それでは〜
578 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
:2011/11/19(土) 01:38:17.70 ID:0uVzfR2SO
キテター!!!
579 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/19(土) 01:42:08.86 ID:F542fEbfo
乙です
次回楽しみです
580 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/19(土) 02:10:17.98 ID:NRgKHq10o
ぬわ、いいとこで! 乙でした!
581 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/19(土) 05:51:37.97 ID:IKnR3SbSO
乙
582 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(東海)
[sage]:2011/11/19(土) 13:06:34.01 ID:volP382AO
乙 狐ちゃん家出か
583 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(千葉県)
[sage]:2011/11/19(土) 20:19:32.69 ID:uxLkt+l/0
乙!
妖狐の体型って…狐子みたいに貧にゅ うわなにをするやめ
584 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(関西地方)
[sage]:2011/11/19(土) 20:35:56.34 ID:bXxUYgxko
乙でした
585 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/20(日) 01:35:16.49 ID:4+Y1WbXDo
どうもです。
うpろだに男と牧の話をうpしました。
最近なかったのんびりとした感じというか、なんというか……?
お暇であれば、ごらんください〜。
今回はそれだけでございます。ごめんなさい!
それでは。
586 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(千葉県)
[sage]:2011/11/20(日) 01:52:14.76 ID:4rNp3+XG0
乙?
587 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(チベット自治区)
[sage]:2011/11/20(日) 07:58:56.74 ID:YulDRxi/0
乙
今僕っこアンドロイドのSSみたら牧とキャラかぶってヤバい
588 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/20(日) 12:27:27.38 ID:4+Y1WbXDo
えっと、狐子と牧のお話をうpしました。
とりあえず、本編進めろよ、と思う人もいると思いますが、更新はとりあえず夜に。
そして、12月上旬はもうしわけありませんが、あまり投下できないと思います。ごめんなさい。
589 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/20(日) 14:11:38.17 ID:lvPpMVcso
ここにのせてもいいんでないだろうか?
590 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/20(日) 15:00:37.81 ID:LFQOutWDO
>>589
本編の流れ崩したくないからじゃね?
今の話終わったらちゃんとするだろ
591 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(チベット自治区)
[sage]:2011/11/20(日) 16:29:33.42 ID:mdfFqDPCo
ロダにあるpassが必要な男と助手さんはなんですのん?
592 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(静岡県)
[sage]:2011/11/20(日) 18:36:49.25 ID:8H0HUEiLo
全く話題になってないけど、VIPのボクっ娘スレが落ちてしまって残念です
もはやVIPはSSを書くのに全く適さない場所になってしまったな
593 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(チベット自治区)
[sage]:2011/11/20(日) 18:50:26.85 ID:mdfFqDPCo
SS発表したいだけなら創作発表板で良いからな
594 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/23(水) 23:22:22.71 ID:J3C7XJsKo
やる気のなさそうな、低音の声が聞こえた。
しかし、この関西弁は――
男「――西だな」
西『さっき言うたやん』
声の調子は、いつもと違っていた。
西『……なんかようなん?』
あるならさっさと行って欲しいねんけど、と西。
男「女を、どこに連れて行った?」
西『は?』
男「だから、女を――」
西『なんで私に聞くん?』
595 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/23(水) 23:22:57.46 ID:J3C7XJsKo
男「ど、どういうことだよ?」
西『私がなんかしたと決めつけて、電話してきたん?』
男「……違うのか?」
西『あかんで、男くん。根拠もないのに人のこと責めたりするんは』
男「無視するな。俺が質問してんだよ」
西『あんたはいっつも私に質問するんやな。惚れとるんか? 嬉しいけど不愉快や』
男「図に乗んなよ」
西『調子に乗っとるんや』
それは、同じだろう。
596 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/23(水) 23:23:47.74 ID:J3C7XJsKo
西『ごめんな、今すっごいテンション高くてな。男くんとお話しとる場合やないねん』
男「ま、待てよ!」
西『なんやねん、まだなんかあるん?』
男「女のことは……知らないのか?」
西『DL-003のことやろ。なんや?』
男「ど、どこにいるんだ!?」
西『そんなことまで知らんがな。存在を知ってるってだけ。逆に知ってたらストーカーの域やで』
男「くそ……」
そんなはずはない。お前は俺の家まで、女に会うために来たんじゃないか。
いけしゃあしゃあと、何言ってやがる。
597 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/23(水) 23:28:42.49 ID:J3C7XJsKo
西『……なあ、男くん』
男「……なんだ?」
西『自分のために、色んなことを犠牲にするのって、あかんことなんかな?』
いきなり、西の声がさらに弱くなった。
男「どういうことだ?」
西『……なんでもないわ。変なこと言ったわ』
そこで、電話は切れた。
598 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/23(水) 23:29:09.84 ID:J3C7XJsKo
・ ・ ・
男「だから、急用があるんだって。悪いけど俺抜きで決めてくれ!」
学『わーったよ! こっちで勝手に決めちまうからな! 変なことになってても知らないからな!』
ブツッ
男「……さて」
これからどうしたものか。
学からの半ギレ電話が来る前に、西には何度か電話発信したのだが、残念ながら繋がらなかった。
今のところ、俺にできることはなにもなかった。
場所も、心当たりもわかるわけがない。
西とはつい最近出会っただけで。
なんのために俺の前に現れたのか。
根本的に、情報が少ない。
599 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/23(水) 23:30:21.32 ID:J3C7XJsKo
男「どうすりゃいいんだよ……本当に!」
壁を殴る。手が痛むのがわかる。
?「何をバカなことをしてるんだ」
男「!」
目の前には、小さな体型の女の子。
腕を組んで、ツリあがった目と八重歯が堂々としている。
俺の知っている少女だ。知らないわけがない。
男「……狐子!」
600 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/23(水) 23:30:51.32 ID:J3C7XJsKo
狐子「ふん、ここまでくるのにめちゃくちゃ時間がかかったぞ」
男「そうみたいだな……」
髪が一つに束ねられ、服装がなにやらいつもと違う。
コスプレサークルやらに捕まったのだろう。
狐子「行くぞ、女のところへ」
男「わかるのか?」
狐子「わからない、でも――」
拳を強く握り締めて、狐子は目を見開いた。
狐子「――お姉さまの居場所ならわかる」
601 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(関西地方)
:2011/11/23(水) 23:31:40.96 ID:ZaOfLEvbo
キター
602 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/11/23(水) 23:32:06.68 ID:J3C7XJsKo
区切り!
久しぶりでした、ごめんなさい。
今回初、書き溜めてみたんですが、どうでしたか?
とってもせっかちなせいで猛スピード投下になってしまいましたが……。
こちらの方が良いなーと思う人がいたら検討します、どうでしょーか?
それではー。
603 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(神奈川県)
[sage]:2011/11/23(水) 23:37:27.61 ID:PPweyej+0
乙
毎回楽しく見せてもらってます
604 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/24(木) 00:03:42.40 ID:IU5eRenSO
どちらでもいいよ
俺は大抵気付いたら投下が終わってるから
乙
605 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(関西地方)
[sage]:2011/11/24(木) 00:12:00.78 ID:3Q7UNQvko
乙でした
投下に関しては
>>1
の思うようにやってくれればいいよー
606 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(静岡県)
[sage]:2011/11/24(木) 00:26:56.45 ID:XfTZVxUOo
乙
概ね同意です
607 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/24(木) 13:47:53.49 ID:mXvoAvGPo
おつんこ
608 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/24(木) 16:50:26.64 ID:sglypmNIO
乙
本当にいつもいいところで区切るな
投下に関しては特に希望はないかな
好きなようにやってくれたらいい
609 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(東海)
[sage]:2011/11/24(木) 22:02:53.47 ID:9ttjneBAO
乙
楽な方でいいさ 人間だもの
610 :
携帯久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage]:2011/11/26(土) 11:22:31.18 ID:OTacnvjDO
どうも。
早めに言っておこうと思いまして、きました。
とりあえず今日から12月の上旬まで来れそうもないです。
再開は12月中旬になってしまうと思います。
その時には今の話を終わらせることができれば、と思っています。
それでは、申し訳ありません。
611 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/26(土) 12:49:31.47 ID:p4gk9hiSO
把握
612 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/26(土) 17:17:54.06 ID:Wgc4viTso
乙
あまり無理なされないように
613 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(関西地方)
[sage]:2011/11/26(土) 17:30:28.42 ID:/MG55cvko
了解しました
614 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/11/30(水) 22:22:45.83 ID:hhGtl5WL0
乙
いま思えば夏に立ったスレか
けっこう伸びたなw
615 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/03(土) 03:17:36.12 ID:uYXCRFvSo
男「え?」
狐子「お姉さまのにおいは覚えている」
狐子「ここ数日雨は降ってないから、まだ探せるはずなんだ」
男「狐子……」
狐子「べ、別に、女が心配なわけじゃない。ただ――」
狐子「――お姉さまに、もう一度会って、確認したい」
狐子「私のことを、本当に忘れてしまったのか」
その言葉はなんだか哀調を帯びているようだった。
男「行こう、女のところへ」
狐子「ああ」
狐子の瞳には、迷いがなかった。
この先どんなことが起きても、恐れないような。
そんな、まっすぐな心強さを感じるものだった。
616 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/03(土) 03:20:55.50 ID:uYXCRFvSo
・ ・ ・
狐子は鼻を器用にヒクつかせて、俺ですら知らない道へと進んでいく。
驚くほどスピードが速いこれなら、すぐにでも見つかるかもしれない。
男「どうだ、わかるか?」
狐子「ああ……」
幸いにも、におい途切れることなく嗅ぎつけられているようで、安心した。
男「狐子、もし、お前の姉さんが……」
狐子「私は後悔しない。どうなっても、自分で全てケリをつけるつもりだ」
男「ケリ?」
ポケットから一枚の紙を取り出した狐子は、俺にみせるようにその紙を開いた。
『DDL‐002βを確認した場合、直ちに破壊せよ』
狐子「DDL-002β……それがお姉さまの番号だ」
617 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/03(土) 03:21:41.34 ID:uYXCRFvSo
男「βって、狐子が完成版ってことか?」
狐子「恐らくな」
男「なら、どうしてあの時にしなかったんだ?」
既にあの時に破壊はできたはずだ。
狐子「条件がちゃんとあるんだ。『記録と記憶が接合されていなかった場合、直ちに破壊』」
狐子「『ただし、接合されていた場合は破壊せず、捕獲せよ』とな」
狐子「しかし、記録と記憶の接合性は言葉だけでは確認できないんだ。だからこそ、もう一度会って確認しないと」
男「でも、なんでそんな条件が? その紙は博士が作ったもんだろ。別に破壊してから捕獲して、研究所で直せるじゃねえか」
狐子「それは難しい」
男「え?」
狐子「研究所にいたころのお姉さまは、私のことを覚えていた」
618 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/03(土) 03:25:33.99 ID:uYXCRFvSo
狐子「とても優しかったし、私ができないことはなんでもできた。正直羨ましかったし、尊敬していた」
懐かしんで、少し顔を緩ませた狐子は、それでも真剣ににおいを探していた。
狐子「お姉さまの前では感情の高まりを抑えることができた。怒っても、すぐに静まった」
狐子「しかし、この前見たお姉さまは、私の知っているお姉さまじゃなかった」
狐子「感情が無くて、あの頃の温かさもなくて……別人だった」
男「何者かに別人変えられたかもしれない……ってことか」
ありえるかもしれない。俺の知っている博士がそんなことをするわけがないだろうし、自分の失敗を人にやらせようなんて考えない人だ。
狐子「ああ、そうだ。そうなれば構造も変わっているだろうし、危険なものが混入している可能性もあるからな」
男「いきなり開けたらボカン……とか?」
狐子「十分にありえる」
619 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/03(土) 03:27:41.81 ID:uYXCRFvSo
驚いた。
狐子が真面目に話をしていることに。
それほどまでに、大きなことなのだろう。
狐子にとって、一人しかいない家族なのだから。
俺はあの日の言葉が、頭によぎった。
『やっぱりまだ私は、一人なんだな』
狐子が小さく言った言葉だが、俺は納得できなかった。
俺も、女も、撫子も牧もいるのに。
お前が一人なはず、無いじゃないか。
狐子は何らかの方法で確認をしてからどうするかを決めるつもりだけれど。
妖狐は既に、もう完全に変わってしまったと思う。
変わり果てていると思う。
俺自体、妖狐にあったのはあの日が初めてだったけれど。
狐子を見てもまったく瞳が変わらず、機械的で――まるで、完璧なアンドロイドのようだったのだから。
ただ、ためらったのだろう。
狐子は、躊躇したんだ。
だから、破壊できなかった。認めたくなかった。
大好きな姉が、変わり果ててしまったことに。
620 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/03(土) 03:33:53.32 ID:uYXCRFvSo
男「急ごう。つまりは相手に博士級にやばいやつがいるってことだ。女に何かあるかもしれない」
博士は確かに小さな体の女の子ではあるが、正体はアンドロイドを作りだした天才だ。
それをいじくって仕様まで変えちまうくらいのやばいやつを相手取ることになるわけだ。
男「近づいてる感じとかするか?」
しかし、妖狐が一人で行動していたら、困るな。
大学では見たところ西の単独行動だったし。
妖狐と合流していれば嬉しいけれど。
狐子「ああ。だけど、もうそろそろだ」
男「え!? もう?」
狐子「においが強くなってる……大分近くまで来ているはずだ」
?「なるほど、やはりあなたも嗅覚が強いようですね」
男「!」
狐子「!」
妖狐「……狐子、でしたっけ?」
ふいを突かれた。
目の前に音も無く現れたのは、狐子の姉――妖狐がいた。
621 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/03(土) 03:36:50.53 ID:uYXCRFvSo
ここで区切り。
書き溜め、やってみると思った以上に面白い!
というわけで、これからは書き溜めメインでやって行こうかと思います。
そうなりますと、毎日更新というのは難しくなってきます。最大でも週に2、3回くらいになってしまうかも。
でも、その分即興時以上の内容をお見せできるかもしれませんので、ご期待下さい。
これからは一つのレス10行以上を目安にして、さらにたくさん書くように努力します(即興時は6行くらいだったので)
それではっ
622 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(青森県)
[sage]:2011/12/03(土) 08:14:06.97 ID:fZuNLvqzo
乙
623 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/12/03(土) 08:15:06.49 ID:wbY5UJWOo
乙でした
待ってるんだからね…っ!
624 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(チベット自治区)
[sage]:2011/12/03(土) 08:15:09.14 ID:F215JpHeo
おつ
625 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/12/03(土) 09:41:29.34 ID:jeHIYuWJ0
乙
>>618
「何者かに別人変えられたかもしれない……ってことか」×
「何者かに別人に変えられたかもしれない……ってことか」oですね
626 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/12/03(土) 10:33:10.81 ID:e0XtssiDO
>>625
こまけーこたぁいいんだよ!
627 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/12/03(土) 15:41:30.04 ID:YDxJUr2SO
乙
628 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(千葉県)
[sage]:2011/12/03(土) 20:34:36.34 ID:BHxSw5Wg0
乙
629 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/12/03(土) 23:23:24.07 ID:Yvh5hQcoo
おつかれちゃーん
630 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(関西地方)
[sage]:2011/12/03(土) 23:32:55.24 ID:KhgQuEmko
乙でした
631 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(京都府)
:2011/12/04(日) 06:13:10.27 ID:OFmyXP0r0
全スレ読んでやっと追いついた...
乙!
632 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(兵庫県)
[sage]:2011/12/05(月) 13:15:00.26 ID:TeZIjUeao
乙
帰ってくるの早かったな
633 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/07(水) 23:58:40.59 ID:7Z1y97Feo
妖狐「また会いましたね、男さん」
男「ああ、あんまり会いたくなかったけどな」
探してたのに、俺は酷い言い草だった。
妖狐「それは残念です。私、一時も忘れていませんでしたよ」
これが愛のある気持ちだったら素直に嬉しいけれど――
妖狐「邪魔者は、いつも脳の容量の邪魔になりますから」
――そんなこと、あるわけがなかった。
狐子「お姉さま……少しだけ、確認させてください」
妖狐「……?」
狐子「目を、合わせてください」
違和感は、やはりそこだった。
どんなに、妖狐と会話をしていても起きてしまう違和感。
先日会った時もずっと思っていたけれど、やつは――
――相手と目が一切合わない。
634 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/07(水) 23:59:08.46 ID:7Z1y97Feo
というか、焦点がまったく違う。
遠く、相手の後ろを見据えるその瞳には、なんだか淀んだ底なし沼を連想してしまう。
人を人として感知せず、ただただモノを言う『何か』と話している感じだ。
背景を眺めてる様な感じ。
妖狐「何故ですか?」
狐子「……」
狐子は無言のまま、妖狐を見つめた。
妖狐「……答えてくれないのですね」
仕方ないですね、と妖狐はやれやれと言った感じで、瞳を閉じた。
妖狐「知っていますか?」
目を閉じたまま、妖狐は俺たちに呼び掛けた。
635 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/08(木) 00:00:55.06 ID:OAiMW9Tno
空を仰ぎ、なにかを行っているようだ。
何か、おかしなことがあったらすぐにでも止められるように、俺は身構えた。
妖狐「妖狐にはたくさん種類があって、大きくは野狐と善狐に分かれます」
妖狐「私は言うなれば野狐……善狐とは対の、悪狐」
妖狐の姿が、少しずつ変色していく。
妖狐「世の中にはどんなものにも、調和があります。バランスが必要なのです」
均等でなければならない。
釣り合いが取れなければならない。
安定しなければならない。
妖狐「光があれば影があるように、正義があれば悪があるように」
世の中には均衡がなければならない。
636 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/08(木) 00:02:15.22 ID:OAiMW9Tno
男「……!」
言い終えた直後、彼女の姿は完全な狐色に変わった。
さらに神秘的で、美しく――。
狐子「男、さがれっ!」
狐子の声が俺に届く前に、俺はすでに身近にあった壁に叩きつけられていた。
男「がっ……!?」
横腹に受ける激しい痛み。そして壁の衝撃。
体がいきなり持っていかれる感覚。
ブレる視線が、さらに気分を悪くする。
なにもかも、普段人間が体験することのないことだ。
男「あがぁ……はぁっ……」
息ができない、苦しい。
狐子「ぬがぁ!」
すかさず狐子が妖狐に飛びかかる。一瞬の隙をついた
637 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/08(木) 00:03:52.70 ID:OAiMW9Tno
――かに思えた。
妖狐「姉に対して手を出すとは、悲しいですね」
狐子「お前はお姉さまではない! ただの化け狐だ!」
間一髪、妖狐は人間にはできない方法を使って攻撃を防いだ。
妖狐「そうです、私は悪狐、そしてあなたは善良なる狐、善狐」
妖狐「さっき言ったでしょう、世の中にはバランスが必要なのです」
狐子「!」
妖狐の尻のあたりから、九つの手が現れた。
あれは、尻尾。
九つの狐色の尾。
妖狐「どちらかを消せば、不調和になってしまう。だけど、それもまた何かの縁でしょう」
638 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/08(木) 00:04:15.73 ID:OAiMW9Tno
男「き、狐子!」
狐子「うぐっ……」
妖狐は尾を上手く操作して、狐子の首を掴んで、持ち上げた。
男「や、やめろ……!」
妖狐「不思議ですね」
妖狐「この子は、あなたと同じ温かさがある」
狐子「ぐっ!」
尾がさらに強く狐子の首を絞め、痛々しい声が漏れる。
狐子「……今のお前には、わからないだろう」
妖狐「まだ話せましたか。なかなかしぶといですね」
639 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/08(木) 00:05:11.08 ID:OAiMW9Tno
狐子「私にはお前とは決定的に違う所がある。それがなにかわかるか?」
妖狐「わかりません、わかりたくもありません……ねっ」
尾はさらに張って、狐子を更に締めつけた。
狐子「ぅ……それは……」
?「そんなもん、お前もまだまだわかってねーだろ?」
妖狐「!」
刹那。
大きな銃声が響く。
その瞬間妖狐の九つの尾が、狐子から離れた。
何者かの銃撃に驚いたのだろう。それが引っ込めた理由だ。
?「こんなところでなにを騒いでる。この国は平和じゃなかったか?」
聞き覚えのある声。
その声の主は、咥えていたタバコを吐き捨てて、銃を構えた。
男「へ、蛇さん!」
黒いタンクトップでショートジーンズと、なんとも男らしい姿で現れたのは、蛇さんだった。
640 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/08(木) 00:07:10.68 ID:OAiMW9Tno
ここで区切りでございます。
書き溜め第2弾です。こちらの方がまとめて読みやすくて、良いかもしれませんね。
とりあえず、蛇さん久しぶりの登場です。
それでは〜
641 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/12/08(木) 00:18:55.59 ID:oKmIxSXZo
おつつ
642 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/08(木) 07:07:44.28 ID:vGeO4EJzo
いい所で区切るなぁ
早く続きが読みたい
643 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/08(木) 07:13:49.70 ID:BuO4yuLVo
待ってるんだからね
乙した
644 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/08(木) 21:25:53.04 ID:vw9V6Oxro
乙でした
645 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/09(金) 13:53:56.32 ID:A7AltLDIO
おつ
646 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/15(木) 03:43:25.78 ID:9nk4cEmd0
乙です
647 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/15(木) 22:50:53.48 ID:WK58vFA50
乙
648 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/16(金) 22:24:56.26 ID:VflM5idE0
いいとこで切るなー!
乙
649 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/18(日) 01:42:27.08 ID:+0AM+QuX0
スネークならあの遅れてきたときの
名言を言ってくれるはず…
650 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/18(日) 02:49:58.88 ID:lQDmSvuoo
またせたな!
651 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/21(水) 21:08:08.24 ID:39C9HO6Io
こんな時に言うことじゃないだろうけど、ノーブラだ。
蛇「なんだそのザマは、男。狐子より先にやられてどうする」
男「す、すいません……」
蛇「動くな。俺がやる。お前はそこで休んでろ。狐子お前もだ。引け」
狐子「はぁはぁ……礼は言わんぞ」
蛇「わかってる」
妖狐「……どうやら味方が来てくださったようですね、厄介です」
蛇「味方じゃあない、俺はただ任務を遂行しにきただけだ」
任務?
狐子「念のため博士に話をしておいたんだ。その時ちょうど蛇がいたんだろう」
652 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/21(水) 21:09:53.89 ID:39C9HO6Io
男「……良かったぜ」
それにしても、本当に適役な人がいてくれてよかった。
狐子は倒れている俺の傍まで走って寄って来た。
そして俺の上着をいきなり脱がし始めた。
男「うおい!? いきなりなにすんだ!?」
狐子「いいから脱がせろ!」
こいつ、この状況で何をするつもりだよ。
狐子「忘れたか。私の唾液には治癒能力があるんだ」
男「そ、そういえば……」(※-001-参照)
狐子「それに私達は、次の戦いに備えなければならないんだ。こんなところで怪我していちゃまずいだろ」
俺たちの目の前では、蛇さんが妖狐と激しい戦いを繰り広げていた。
653 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/21(水) 21:10:53.81 ID:39C9HO6Io
銃撃に次ぐ銃撃を繰り返す蛇さん、それを一つずつ避ける妖狐。
狐子「お姉さまを変えてしまった相手とも、対峙することになる」
男「ああ……そうだな」
というか、なんだこの展開?
このSS、こんなバトル展開があるようなSSだったか?
普通に日常ほのぼのが主じゃなかったか!?
俺は残念ながら今繰り広げられてる戦いを目で追うことすらままならないんだぞ!?
狐子「メタ発言はよせ」
男「お前も地の文を読むな」
とりあえず閑話休題。話がまったく前に進みそうにない。
654 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/21(水) 21:11:50.40 ID:tu4BCkwWo
そんな設定忘れてたわwwww
お帰りwwww
655 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/21(水) 21:16:03.67 ID:39C9HO6Io
そんなことを考えている間に、狐子は背中を隅々まで舐めつくしていた。
男「……!」
狐子「さすが私だ、もうだいぶ痛みが引き始めてるだろう?」
男「……お前の力じゃないだろ」
狐子「なにを言う! 私の唾液だぞ! 私以外にどんな力が作用してるというんだ!」
男「へいへい、お前もあんまり喋らねえようにしとけ、無駄な体力使っちまうぞ」
狐子「な、なんだとお!」ピョコンッ
男「全部終わったら、美味いうどん屋でも行こうな」
狐子「……ああ!」
その時には、もう背中の痛みは随分と楽になっていた。やはり、凄い効果だ。
・ ・ ・
656 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/21(水) 21:16:48.02 ID:39C9HO6Io
蛇「……」
妖狐「お疲れのようですね」
蛇「ふん、生憎俺は無尽蔵ではないんでね」
妖狐「私も、無尽蔵ではないですよ?」
蛇「どうだか。まだまだ動きに疲れが見えないんだが」
妖狐「そうですか? 気のせいかと」
蛇(なにが気のせいだよ)
スピードは確実に上がってる。戦えば戦うほどに。
俺はそれに対応するのに精一杯だってのに。
妖狐「こんな場所で無暗に弾を撃っていたら、人が来ますよ?」
657 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/21(水) 21:17:42.05 ID:39C9HO6Io
蛇「そうだな。お前の言う通りだ」
なんて、思ってもいないくせに。
それだったら、とっくに人は来てるはずだ。
蛇「……なにをした?」
妖狐「簡単なことです。ただこの空間の気配を消しただけですよ」
蛇「人間ができる技じゃねえな、本当に……」
アンドロイドでもできねえよ。
蛇「化物だぜ、それじゃあ」
厄介な奴だ。
妖狐「化物、そうですね」
妖狐「私は、悪狐ですから」
658 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/21(水) 21:21:07.28 ID:39C9HO6Io
蛇「!」
妖狐「あまり、人には見せたくなかったんですけどね」
妖狐「ああ、あなたはアンドロイドでしたっけ?」
蛇「くっ……」
九つの尻尾が一つにまとまっていく。力が集約されて、まるでそれは――。
本当の殺意の塊のような――。
妖狐「ごめんなさい、殺すつもりは無かったのですが」
妖狐「消えてもらいます」
蛇「っけ、最初から本気で来いよ――」
空へ掲げられた巨大な尾が、俺めがけて振り落とされた。
・ ・ ・
659 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/21(水) 21:22:09.89 ID:39C9HO6Io
ビリっと、強い風が肌を過ぎて行った。
俺たちは、蛇さんの戦闘地から、すこし離れた場所まで来ていた。
そこで舐め治療を再開して、俺は横になって終わるのを待っていたわけだ。
どうやら蛇さんと妖狐の戦いになにか進展があったのだろう。
狐子「なんだ、さっきのは……?」
男「ああ、蛇さんが戦ってる場所からだ」
狐子「……嫌な予感がする」
男「大丈夫だって、蛇さんだぞ。きっと大丈夫さ」
俺は話を聞いたことしかないけれど、蛇さんは大分腕が立つと聞いている。
数多の戦場を無傷で乗り越え、必ず任務を成功させてしまう。
隠密行動はおてのもの。一人で基地を破壊することも蛇さんにかかれば容易らしい。
狐子「し、しかし」
男「なんだよ、なんか感じるもんでもあんのか?」
狐子「……血のにおいがする」
660 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/21(水) 21:26:04.73 ID:39C9HO6Io
男「!」
血。
俺の体にも流れている、ごく当たり前の血液。
狐子「私達の体は人間そのものだ。肌を切れば血が出る。この血のにおいは、」
蛇の血のにおいだ――。
狐子は顔を真っ青にして目を見開いた。
なりふり構わず、俺は走っていた。
考えて見れば、バカな話だった。蛇さんは確かにアンドロイドだが、人間だ。
人間が『化物』にかなうわけがない。
蛇さんは、アンドロイドではあっても、『化物』ではない。
どんなに能力を特化しても、人間を模したアンドロイドには限界がある。
それなのに俺は、どうして。
なにか確信めいたものを持っていたのだろう。
661 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/21(水) 21:26:56.67 ID:39C9HO6Io
女の時もそうだ、なんとかなると思ってた。その時点でなにも疑わないから、こうなったんだろう。
男「蛇さん!」
無力な俺が言っても、なにも変わらない。そうも思ってるから。
それでも俺は確かめないと気が済まなかった。
蛇さんは無事か、否か。
男「!」
妖狐「あら、そちらから来て下さるなんて。わざわざ出向く必要が省けました」
俺の目の前には。
妖狐の前方は、コンクリートで固められた床がボロボロに崩され、地肌を露にしていた。
そこには、少量ではあるが、血のような赤い液体が広がっている。
男「お、おい……これって……」
妖狐「なんのことでしょうか」
662 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/21(水) 21:27:35.01 ID:39C9HO6Io
信じられなかった。
どうすればこんなことになる。
妖狐「さて、それでは……」
口の両端を裂けんばかりに釣り上げたように見えた笑顔に、俺は恐怖を覚える。
きっと、それは俺の恐怖心から来るものだろう。
妖狐「あなたも、消えてください」
妖狐は両腕を大きく広げた。
男「!」
ああ、どうやら俺はここで死ぬんだろう。
狐子「男!」
狐子の声が聞こえた。どうやら追いついてきたらしい。
663 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/21(水) 21:28:24.16 ID:39C9HO6Io
男「……狐子」
悪い。うどん、一緒に食べられない。
狐子「! 危ないっ」
妖狐「もう遅いです」
広げた腕を前で交差させた瞬間、無数に分かれた尾が俺へと向かって来た。
俺がわかるくらいに遅かった。スピードは鈍い。けれど
俺は動けなかった。死を覚悟すると、こうまで臆病になってしまうのか。
まだ生きていることだけはわかる。こんなに遅い攻撃だから。
……いや、遅いんじゃない。
尻尾は俺の方へ来ていない。静止している。
664 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/21(水) 21:31:13.38 ID:39C9HO6Io
妖狐「な、なぜ……?」
驚きの声を上げている妖狐を見ると、彼女の体にナイフが刺さっていた。
一体誰が……?
「やれやれ、お前はやっぱり化物だったわけだ」
男「……!」
するとそこには。
蛇「待たせたな」
妖狐「そん……な」
新しいタバコを取り出して、それを口に咥えていた蛇さんがいた。
蛇「隠密行動は、俺の専売特許でね」
665 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/21(水) 21:33:20.63 ID:39C9HO6Io
ここで区切りでございます。
うわー、前の投下から十日も経ってる! ごめんなさい!
いろいろとしてるうちにこんなに時間が経っているなんて、驚きです。
>>653
は、みなさんも思ってることだと思ってます、本当に申し訳ありません……!
それでは!
追伸
クリスマスは祝えそうにありません……
666 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/21(水) 23:39:38.65 ID:rREbBf98o
おつんつん!
今年もクリスマスあるのか
667 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/21(水) 23:47:10.69 ID:kK0eOQ20o
乙
これはこれで好きだぞwwww
668 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/22(木) 00:28:37.83 ID:ucp9C17Wo
乙でした
バトル展開でもいいじゃないか
669 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/22(木) 06:09:14.29 ID:rRY1sVx9o
乙でした
670 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/22(木) 07:25:57.23 ID:MfnModF3o
wwktk
671 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/22(木) 08:09:07.63 ID:WX1kebRSO
さすが蛇さん
672 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/22(木) 09:15:29.68 ID:p9HsRp0Zo
>>665
多分
>>654
のことを言ってるんだと思うが
まあ俺の記憶があやふやなだけだ
キニスンナwwww
そして乙
待ってるんだからっ///
673 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/23(金) 03:12:31.82 ID:gBkYSIoRo
妖狐「ふふっ……忘れていましたよ」
口から大量の血を吐き出した妖狐が、言った。
蛇「悲しいな。俺はお前のことを忘れた日なんてなかったぜ?」
妖狐「ああ……思い出しましたよ」
妖狐「このタバコ臭さ……あなたを象徴している」
妖狐は不敵に笑った。その笑みは、およそ妖狐にしかできないように俺には思えた。
蛇「タバコか……お前の前で吸ったことは一回もなかったけどな」
妖狐「それでも、口からタバコの臭いは消せません」
この会話だけを聞くと。
彼女の記憶は消えてないのではないか?
思い出したというのことは、記録ではなく、記憶。
記憶を思い起こした、ということじゃないのか。
妖狐「でも、私も負けられないのですよ」
674 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/23(金) 03:13:16.64 ID:gBkYSIoRo
蛇「おいおい、人工心臓貫いてるんだ、もう勝負は――」
狐子「蛇、逃げろ! もうそいつはお姉さまではない!」
蛇「なに?」
俺も瞬時に思い出す。そう、彼女は狐子の姉ではない。
そして。
博士の作ったアンドロイドではない。
人口心臓(おそらく急所)とやらの場所が違うのも――当たり前だ。
蛇「!」
俺の方に向かって停止状態であった妖狐の尻尾が急にUターンして、蛇さんへと加速した。
だが、そこには、妖狐自身もいる。
675 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/23(金) 03:13:54.81 ID:gBkYSIoRo
蛇「お前、自分を犠牲にするつもりか!」
妖狐「はい、勝ち目がないのであれば、せめて引き分けに持ち込むまで」
ナイフの柄を離そうとした蛇さんの手を、妖狐に掴まれた。
貫ぬかれた自分の体に手を突っ込んで、だ。
蛇「本当の化物になりはてたか……」
妖狐「好きに仰ってください。私はただの――」
狐子「私のお姉さまだ!」
妖狐「!」
蛇「くっ! 男、狐子、伏せてろ! あと目を瞑れ! 耳も塞げ!」
なんか怒涛の命令だったが、俺はすかさず従った。
・ ・ ・
676 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga !美鳥_res]:2011/12/23(金) 03:16:54.96 ID:gBkYSIoRo
私はいつも、お姉さまの側にいた。
お姉さまがいなければ、私は本当に、ただの子供だ。
自分の機嫌を損なうと、狐耳を立てて、何ふり構わず破壊した。
でも、お姉さまは笑顔で私を撫でてくれて。
それが嬉しくて、私はもっともっと撫でられたいと思った。
「人に優しくすれば、もっと撫でてあげますよ」
お姉さまはそう言った。
だから私はひたすら優しくなろうとした。でも、恥ずかしくて思うようにはできなかった。
それでも、お姉さまは笑顔で私を撫でてくれた。
「頑張っている姿は、素敵ですよ」
お姉さまは私をいつでも褒めてくれた。私にだけでなく、みんなに優しかった。
何をしても怒らない、本当に寛大だった。
677 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga !美鳥_res]:2011/12/23(金) 03:17:26.87 ID:gBkYSIoRo
私は、お姉さまに甘えていたのだ。
ただ、褒めて欲しくて。
ただ、構って欲しくて。
ただ、気にかけて欲しくて。
甘えていた。
世話を焼いて欲しかった。
やはり、ただの子供だったというわけだ。
突然、姉がいなくなった時に私は一人悟った。
『結局私は、一人よがりに縋っていただけ』。
独善なる依存だ。
それからはあまり人と関わらないようにした。
自分の感情の昂ぶりを抑えるために。
縋って生きるような、惨めな自分を繰り返さないために。
678 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/23(金) 03:19:01.14 ID:gBkYSIoRo
・ ・ ・
狐子「お姉さま!」
目を開けてみると、そこには蛇さんが血だらけで立っていた。
よく見ると、腕が無い。アンドロイドだからまだ良かったものの、正直俺は驚いた。
蛇「おう、任務完了だ。 大したことはない。ただ、一本腕をやられた」
どうやら誰かと電話しているようだ。相手は博士か……?
そんなことより(一生懸命に戦った蛇さんには悪いけれど)、だ。
男「……狐子」
さっき俺の横を走り抜けた狐子は、上半身と下半身が切り離された妖狐の側にいた。
おそらく、蛇さんはあの瞬間に腕を自分で切り落とした。そしてそのまま妖狐の尾は自分自身に直撃。
そして現在に至る、といったところか。
多分、目を瞑らせたのは俺に対する配慮だ。
いきなり人の体が切り落とされたり、切断されたりするのはなかなか酷だから。
679 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/23(金) 03:21:29.49 ID:gBkYSIoRo
妖狐「……狐子」
彼女が口にしたのは、番号ではなく、『狐子』だった。
狐子「お姉さまっ」
妖狐「ああ……どうやら、私は夢を見ていたようですね」
元に戻ったのだろうか。妖狐の穏やかな笑顔から俺はそう感じ取る。
狐子「夢……?」
妖狐「……かふっ」
口からたくさんの血が溢れ出し、狐子は驚く。
狐子「!」
妖狐「狐子、あなたは立派な正規アンドロイド、DLL-002、狐耳人間機械です」
妖狐「そして、私はあなたを育てるために残された、DLL-002の失敗作です」
狐子「! そんなことないですっ、お姉さまこそ正規で、私はただの……」
妖狐「いいえ、違います。私はあなたとは大きく違う欠点がある」
680 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/23(金) 03:23:10.41 ID:gBkYSIoRo
狐子「私に無いものを、お姉さまは全て持っているではありませんか、私などまだまだ……」
妖狐「あなたが思ってるほど、私はできたアンドロイドではありませんよ」
まばたきがだんだんと遅くなってきた。妖狐の体力が減ってきた証拠だろう。
狐子「……お、お姉さま……!」
すると、狐子の目元から、一粒の涙がこぼれた。
儚げで、切ない涙。寂しくて、弱々しい涙。
妖狐「……ほら、私とは違う」
狐子「え?」
妖狐「あなたには、涙が流せる」
狐子「!」
狐子自体、その涙に気づいてはいなかった。
驚いたように目を擦り、拭った手の甲を見てさらにびっくりしている。
681 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/23(金) 03:24:09.16 ID:gBkYSIoRo
妖狐「私の感情は、喜びで固定されているのです。だから、私は笑顔しかできません」
作られた笑顔で、作られた優しさだった。
精一杯の笑顔を妖狐は狐子に見せつけた。でも、その笑顔はとても辛辣なものだった。
妖狐「私はどこかであなたを羨ましがっていた。いや――妬ましく思っていた」
狐子「!」
妖狐「あなたは気づいていなかったかもしれません、でも」
妖狐「私はあなたを、少なからず憎んでいた」
言葉の一つ一つが、棘のように狐子に刺さっていく。
狐子は呆然として、視線を落とした。
狐子「私が、お姉さまを、傷つけていた?」
自ずと、独りでに、自然に。
狐子の振る舞い全てが、彼女の苦痛だった。
682 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/23(金) 03:24:53.40 ID:gBkYSIoRo
妖狐「最低ですね。自分が持っていないものを相手が持っているだけで嫉妬してしまう……」
狐子「……」
妖狐「そんな気持ちを、私は付け込まれたのかもしれません」
だから改造された、この気持ちのせいで。
と、妖狐は言った。
狐子は黙っていた。
妖狐「ごめんなさい、ごめんなさい」
妖狐は静かに、でも優しく笑いながら、謝った。
妖狐の目がうっすらとしか開かなくなり、そろそろ彼女のタイムリミットが迫っていることを示していた。
狐子「安心しました」
妖狐「……え?」
狐子「嫉妬をするなんて、『人間』ですね、お姉さま」
前が見えなくなるくらいに涙を流していた狐子は、妖狐に笑いかけた。
狐子「お姉さまは、立派なアンドロイドであり、立派な、不完全な『人間』です」
狐子「そして、私のお姉さまで、家族です」
妖狐「……」
妖狐は目から雫を零して、瞳を閉じた。
狐子は優しく、妖狐の体を抱きしめていた。
683 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/23(金) 03:25:28.17 ID:gBkYSIoRo
男「なんか、辛いっすね」
蛇「人の別れってもんはいつでも辛いもんだ」
蛇「でも、それからどうするかで人ってのは全く変わっていく。あいつがどう考えて、どう進んでいくのかはあいつの勝手だ」
男「そうですね」
蛇「お前も体験しただろ、こういうことは」
男「……はは」
さすが蛇さん、鋭い。
こういうところで、人生経験豊富だなと思う。
蛇「そうやってみんな成長していくもんだ。何かを失って、それをこれからどうするか、みんな迷ってる。」
男「……俺も、変わった」
蛇「失って初めて気づくもんだ、全部。……そう、全部な」
蛇さんは名残惜しそうに囁いた。ハスキーな声が色っぽい。
蛇「ま、下手に同情はするなよ。どうしたって気持ちの齟齬が出てくるからな」
男「はい、わかってます。……蛇さんはこれからどうするんですか?」
684 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/23(金) 03:26:42.67 ID:gBkYSIoRo
蛇「あいつ(妖狐)が作った結界みたいなもんを破壊しないといけないんでな。これからはお前らと別行動だ」
蛇さんは首をコキコキと鳴らすと、残っている片方の腕でタバコを取り出した。
慣れた手つきだ。
男「そうですか……」
蛇「寂しいか?」
男「いや、心強い味方がいなくなるのはちょっと……」
蛇「何を言っている、いるだろそれなら」
男「え?」
狐子「聞き捨てならないことを言われた気がする」
男「うお、狐子!」
後ろを振り返ると、そこには腕を組んで偉そうにしている狐子がいた。
685 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/23(金) 03:27:11.30 ID:gBkYSIoRo
狐子「大体、お前はお姉さまとの戦いで無駄にダメージを食らっただけではないか。まったく……」
男「いや、あれは仕方ないだろ、あんなの常人が避けられるスピードじゃねえって」
狐子「ふん、これから相手になる者たちはお姉さま以上かもしれないのにか?」
男「う゛……」
狐子「まあ、いい。行くぞ、奴らの居場所に」
男「え、でも、お前がわかるのは妖狐がいた場所だけだろ? どうやって……」
「ん」と言って俺の前に狐子が突き出したのは、小さなチップだった。
狐子「お姉さまの体から取ってきた。ここに相手の居場所らしき記録がある」
男「おお、なるほど」
狐子「早く行こう。だいぶ時間を使ってしまった」
確かにそうだ。さっきまでまだまだ昼下がりと言った感じだったのに、すでに太陽は傾きまくっていた。
686 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/23(金) 03:28:47.31 ID:gBkYSIoRo
男「そうだな、急ごう」
狐子「ああ」
男「……えっと、もういいのかよ?」
狐子「なにがだ?」
俺は妖狐を親指で示して、照れくさそうにした。
なんで照れくさそうなのかは俺自身よくわからん。
狐子「お前と違って私は切り替えが早いからな。もう大丈夫だ」
男「いや、お前の方が立ち上がり遅そうだけどな」
狐子「ふん、それはお前の虚言だ。それに」
男「あん?」
狐子「やはりお姉さまは私のお姉さまだったから」
男「……そうかい」
その時の狐子の心からの笑顔を、俺は胸に刻み込んだ。
男「俺もお前の家族ってことでいいのか?」
狐子「! ま、まあ認めてやってもいいぞ」
なぜか狐耳を立てて、狐子はそう言った。
687 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/23(金) 03:33:11.09 ID:gBkYSIoRo
はい、ここで区切りでございます。
いやあ、こんな遅い時間の更新、誰も見てないのは承知ですが、投下しました。
>>654
>>672
みんなそうでしょうね。自分でも把握しきれてない設定がちらほらですし……。
それでは、またの更新で。
追伸
冬コミスレのSSにエントリーしときました。
ネタは以前VIPで書いた、女「あんたと出会わなければよかった」の加筆修正版です。
伏線未回収のまま終わったSSでもあったので、ここで改めて終わらせることができました。
冬コミ終了後に、うpろだにあげられたらと思ってます。
688 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/23(金) 04:03:14.99 ID:nkD1IMaAO
>>687
乙です!大丈夫ですっちゃんと見てますよ!
689 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/23(金) 12:41:58.42 ID:3l7BuJ/vo
読み終わった乙
690 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/23(金) 15:37:58.19 ID:TS7Z5qRQ0
きてたー(°∀°)!
乙です
691 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/23(金) 16:25:46.57 ID:eQhSSc6Vo
乙でした
692 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/23(金) 17:05:07.21 ID:vpnZZWhJo
乙乙!!
693 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/24(土) 00:30:52.16 ID:YeFI97G4o
おづがれ
694 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/24(土) 17:35:40.38 ID:YGOYcfgSO
乙
695 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/24(土) 19:25:12.48 ID:Q3Q+JXIg0
乙
696 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
:2011/12/25(日) 00:14:25.50 ID:6b3Q+y6SO
乙!!
697 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/25(日) 02:13:32.72 ID:BbafKGKho
男「で、早く行かないといけねーけど、どこなんだ?」
狐子「今読み込むから待ってろ」
そう言って、狐子は小さなチップを口の中に放り込んだ。
ああ、そんなんでいいのか。
狐子「……ふむ」
狐子は顎に手をやって、すこしばかり目を閉じると、首を傾げた。
狐子「むむ……」
男「おい、大丈夫か?」
狐子「大丈夫だ、大丈夫!」
相当な慌て方を見せる狐子に、俺は不安を隠し切れない。
698 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/25(日) 02:14:26.02 ID:BbafKGKho
男「まあ、お前がそう言うならいいんだけどな。早いとこ見つけてくれよ。ああ、もしかして、今解析中とかか?」
狐子「……いや、わかったぞ!」
俺には、何かを決心したようにしか見えなかったが、狐子は振り返って指さした。
狐子「東の方角だ!」
ビシッと指をさして、狐子は俺の顔を見た。
男「……あー」
俺はようやく、狐子の決心のついた顔の意味がわかった。
男「そうか、そうだったんだな」
狐子「なんだ、お前は。変に一人でわかったような口を聞いて、変なやつだな。そういうやつは一人で寂しい人生が待ってるぞ」
男「東は、こっちな」
狐子「……ああ、そうか」
狐子はどうやら、方角がわからなかったようだ。
まあ、仕方ない気もするけど、この切羽詰まった状況での彼女の残念さに、俺はすこしばかり呆れてしまった。
・ ・ ・
699 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/25(日) 02:14:51.82 ID:BbafKGKho
男「ここが、やつらの居場所か」
狐子「ああ」
俺たちの目の前に立っていたのは、大きな洋館のような場所だった。
男「一応聞いとくけど、ここは日本でよろしかったか?」
狐子「方角がわからん私に聞くな」
男「拗ねるなよ」
狐子「拗ねてない! 人を狐だからと言ってあんな奇抜な髪型してるやつと一緒にするな!」
いや、ス○オは関係無いだろ。
男「狐子、緊張感無さ過ぎだぞ」
狐子「お前に言われる筋合いはないと思うけどな」
俺は至って普通だと思うけどな。
とは、言えないか。反省してます。
700 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/25(日) 02:17:06.53 ID:BbafKGKho
男「んじゃあ、乗り込むか」
狐子「正面の入口から入るのか?」
男「当たり前だろ、正々堂々いかないとな」
狐子「戦うために行ってるわけでもないけどな」
男「そうだぞ。俺たちは別に殴り合いに来たわけじゃない。女を探しに来ただけだ。だから別にコソコソする必要なんてまったくない」
女が捕まって、西を追いかけてきた。
これでもし、西が女を捕まえてなかったら、笑えないな。
男「それじゃあ、中に入ろう」
狐子「ああ」
そして俺たちは洋館前にある門に立った。
男「……無理だな」
洋館の前には、ヨダレを垂らしまくっている番犬が何匹もいて、俺たちを狙っていた。
中に入るまで吠えないところを見ると、だいぶ鍛えられてるな。
侵入すれば最後って感じの視線である。
701 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/25(日) 02:17:34.03 ID:BbafKGKho
狐子「まったく、あんな犬が怖いのか? 本当にヘタレだな」
男「ヘタレで悪かったな」
狐子「ふん、見てろ」
狐子は前屈みになると、力強く叫んだ。
狐子「きゃんきゃん!」
力強く、可愛く叫んだ。
男「!」
さっきまでヨダレを垂らしつつ威嚇していた番犬たちは狐子の声を聞いて、こちらを見つつだったが、俺たちの見えないところまで行ってしまった。
男「おお……すげえ」
狐子「こんなもの朝飯前だ。さっさと行くぞ」
男「おう」
狐子の特技がまた一つ追加された。今後どのようなものが増えるのかは乞うご期待である。
・ ・ ・
702 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/25(日) 02:18:10.65 ID:BbafKGKho
気がついて目を薄く開けると、三日月のような唇が見えた。
「あ、気がついたん?」
声、口調から聞いても自分の知っている人ではない。
「酷いなぁ、気絶する前にちょっと会ったやん」
女「あなたは?」
体が動かない。というのも、体が拘束されている。
それ以前に、力が入らない。パーツの不具合?
西「あー、あかんで、動かんといてな。それと、ちょーっと色々と細工させてもらってん」
女「細工?」
西「そうそう、ちょっとあんたの体に電流バチっとさせたら体の一部ショートしちゃったみたいやねん。だから動けへんのも無理ないわ」
緊急用のパーツも壊れているようだ。
西「すぐ終わるから気にせんといてな。ちょっとだけ実験の手助けしたらええねん」
703 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/25(日) 02:19:30.20 ID:BbafKGKho
実験の手助け?
西「せや、あんたの中身をちょっといじらせてもらうで。拒否はできへん。何事も壁はつきものやからな。断ったら道は絶たれてまう」
まだ私は何も言っていないのに、彼女は先に話を進めた。
西「言わんでもわかるから、言わんでええで。頭ん中で考えてくれればぜーんぶ私にはわかるから」
地の文を読む反則。
西「反則やないから。反則とか言われると私ちょっと凹むで」
私は一体、何をされるのだろう。
西「私は知らんで、これからはぜーんぶおまかせやからな」
西「……人のためになるんって、ええことやんな?」
女「……」
私も、そう思うけれど。
なぜ、彼女が今そう言ったかは、わからなかった。
西「まあ、『自分勝手な』人のため、やけどな」
彼女は何かつぶやいていたが、聞こえなかった。
704 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2011/12/25(日) 02:22:45.77 ID:BbafKGKho
区切りです。
そしてクリスマス……うううう!
クリスマスネタ考えたけどできそうにないです! 時間が足りないです!
クリスマスって本当になんであるんでしょうね。いくつになっても平等にプレゼントがもらえるなら、最高の日なのに。
そんなに人生はうまくいくわけもなく。
合縁奇縁、何かの縁で誰かと誰かが付き合って故意に恋をするわけで。
まあ。
私には無縁です。合縁無縁、それまた私怨。
それでは。
705 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/25(日) 02:50:04.49 ID:DgsBbfyoo
乙!
706 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/25(日) 10:05:35.19 ID:WgrEioXuo
乙
707 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/25(日) 11:02:12.34 ID:2vpg+Lxko
そしてこうやってSSを読ませてもらえる縁に感謝
乙です
708 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/25(日) 22:00:59.34 ID:oOspkLgn0
乙
709 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/25(日) 22:14:03.14 ID:nliwAaIUo
乙でした
710 :
SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)
:2012/01/01(日) 23:59:19.67 ID:SaW3M5yN0
乙
711 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 01:45:49.72 ID:tG2amnAyo
男「新年あけまして!」
「「「「「おめでとうございます!」」」」」
狐子「2012年が幕を開けたぞ!」
牧「今年はどんな一年になるんだろうね」
女「とても楽しみですね」
撫子「今から期待に胸が膨らみます♪」
狐子「新年早々、馬鹿作者のせいで去年から続いてるよくわからん長編が残念ながらまだ終わってない」
牧「だから、クリスマスのお話も書けなかった」
撫子「つまりはお正月のお話も無いってことですね」
女「完全なる力不足ですね」
男「おいおい、言いすぎだろ……あとよくわからんって失礼だぞ」
狐子「肩を持つ気か?」
男「いや、そんなつもりはないけど……。俺もいい加減終われよと思ってるけども」
男「ま、まあとにかく、今年も張り切って頑張りますので、応援よろしくお願いします!」
牧「え、でも今年って……」
男「あーあー、それはまた今度言う! それでは早速、」
「「「「「本編、スタート!」ですっ」」」」
712 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 01:47:11.24 ID:tG2amnAyo
・ ・ ・
男「なんだよ、ここ……」
周りの部屋のドアを見ても、俺の読める文字がない。
これは、何語だ?
狐子「どうやら、女に用があるやつは日本人ではない……のか?」
男「さあな。でも、ここはまるで日本じゃないみたいだ」
狐子「そうだな、ただでさえ洋館だ。明かりも薄暗いし……」
明かりの薄暗さは関係ないと思うけれど、確かに、不気味ではある。
周囲を警戒しつつ廊下を歩いていると、冷たい風が後ろからいきなり吹いてきた。
狐子「ひひゃあ!?」
713 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 01:48:46.57 ID:tG2amnAyo
男「うおっと、いきなり抱きつくな、ただの風だろ?」
狐子「び、びっくりしたわけじゃないんだからな! ただちょうどいいところにお前がいただけで、別にお前頼ったとかそんなんじゃ……」
男「わかったわかった。このままだと歩けないから、とりあえず手をつなごうな?」
狐子「子供扱いするな! ただ……ちょっと、驚いただけだ」
それはびっくりしたってことだろ。
男「そういや、女のにおいってわからないのか?」
狐子「犬ほどの嗅覚じゃないからな。わからない」
狐ってイヌ科だけどな、という言葉を喉まで出かかったが、押さえ込んだ。
狐子「私はお姉さまとずっといたからな。それにずっと近くにいたから、ちゃんとにおいは記憶してたんだ」
女とも長い間一緒にいるけれど、それでもまだダメなのか。
714 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 01:49:59.17 ID:tG2amnAyo
男「そういや、よく大学まで来れたな」
狐子「さすがにあそこまでの行き方は覚えている」
馬鹿にするのもいい加減にしろ、と狐子はそっぽを向いた。
男「そうかい。……よし、さっさと女見つけて、帰ろうぜ?」
狐子「それは難しいと思う」
男「え?」
狐子「女がここにいるなら、改造はもう既にされてると思うし、女もまた」
『敵』になってるかもしれない――。
男「……その可能性は、高いな」
考えたくはないけれど、その絶望的な結果が、一番最悪の事態でもある。
715 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 01:51:30.07 ID:tG2amnAyo
狐子「そうなったら、お前はあいつに、手を出せるか?」
男「……無理言うなよ」
狐子「……私もだ」
どんなに変わり果てても、俺達には女に手を出せるわけがない。
結果として、変わり果てた妖狐に狐子は手を出せなかった。
出す余地すらなかった、だが。
大切な人に手を出すことが、どれほど辛いものか、狐子は既に経験している。
例え女が、俺達を殴っても。
俺達からは何もできない。
男「暗い話はよそう。とにかく、さっさと女を見つけよう」
狐子「ああ……」
狐子は落胆した風で、俺の後ろをついてきた。
716 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 01:52:27.45 ID:tG2amnAyo
・ ・ ・
西「あんたの体を調べさせてくれれば、すぐに解放したる」
西「ちょっとだけいじらせてもらうかもしれへんけどな」
女「それで、私は何をすれば良いのですか?」
西「何もせえへんでええよ。ただ静かに待っといてくれれば、すぐに終わるから」
女「……」
西「訝しむなや。それと、何か考えてくれへんと何もわからんやろ」
女「本当に、心が読めるのですね」
西「心なぁ……あんたみたいなアンドロイドに心あるとは思えへんけど」
女「!」
西「っとと、そんなきつい顔で睨むなや。真顔でそんなに表現力あるんはスゴイな」
717 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 01:53:12.38 ID:tG2amnAyo
女「……なぜ、私にこんなことを?」
西「何もないのに捕まえるわけないやろ。ただ、人のためや」
女「誰のため、ですか?」
西「……」
女「なぜ、黙るのですか」
西「あーあー、わかったわかった。教えるわ」
女「はい、お願いします」
西「助かるんは……私や私。私が一人で助かるんや。それ以外にはなーんの影響もないわ」
女「あなたが助かる?」
西「そや。私以外のためにはならんし、第一あんたは何もせえへんでも、調べられるだけで」
西「私は助かんねん」
718 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 01:57:35.18 ID:tG2amnAyo
女「なぜ、あなたは助かるのですか?」
西「そんなんええやん、別に。いちいち全部話すんめんどくさいから省いて説明させてや」
女「あなたは、誰ですか?」
西「どうせ金輪際合わへんねんからそんなんどうでもええやん」
女「いえ、一応」
女「あなたを助ける身として、私に教えて欲しいのです」
西「……はぁ、かなわんわ」
西「私は西。関西出身のナニワのプリティーガール」
西「さいちゃんって呼んでや」
女「はい、さいちゃんさん」
西「……さんは余計やろ」
女「わかりました。それでは、いくらでも調べてください」
西「ええんか?」
女「はい。それでさいちゃんが助かるのであれば」
西「……凄い正義感やな」
女「困った人がいるのなら、助けるのは当然です」
女「と、男さんはいつも言っていますから」
西「ふーん」
西(まあ、男くんがそばにおるんやったら、こうなるか)
719 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 01:58:18.29 ID:tG2amnAyo
西「それじゃあ、今から呼んでくるわ」
女「誰をですか?」
西「あんたの体を調べたいって言うてる人や」
女「……」
西「なに、調べるだけやから、安心しとき」
女「了解しました」
西(……もっとも)
西(私は『調べる』以上のこと、聞いてへんから)
西(調べるだけやないと思うんやけどな、多分)
西(ま)
西(私には関係ないことやけど)
720 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 01:58:52.11 ID:tG2amnAyo
・ ・ ・
男「急に不安になったんだが」
狐子「む?」
男「撫子と牧は大丈夫なんだろうか」
狐子「大丈夫だ」
男「根拠は?」
狐子「……なんとなく」
それは根拠になってない。
狐子「で、でもだな。撫子はああ見えても運動神経は抜群だ」
男「泳ぐの速いしな」
狐子「牧も日頃からランニングをしているしな!」
男「……運動能力と戦闘能力は違うと思うぞ」
撫子は水泳で狐子は陸上。二人を合わせれば水陸両用だな。
721 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 02:00:08.12 ID:tG2amnAyo
狐子「む?」
男「どうした?」
狐子「この部屋だけ、ドアの色が違う」
男「……もしかして、ここか?」
狐子「こんなわかりやすくしてると思うか?」
このドアに行き着くまでに、いくつか違う部屋に入ってみたが、机や椅子の配置がまったく等しくて、まるで何度も同じ部屋に入ったような感覚になった。
男「案外、相手も部屋が多すぎて迷っちまうのかもしれないぜ?」
狐子「そんな馬鹿なのか?」
男「まあ、入ってみるしかないか」
狐子「……そうだな」
冗談を言ったものの、緊張しつつ、ドアノブに触れる。
722 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 02:01:38.73 ID:tG2amnAyo
男「行くぞ」
狐子「うむ……」
ドアを勢いよく開けて、音を立てないように静かに中に入った。
薄暗い部屋の真ん中に、人の背中を発見した。
「なんや、もう来てしもたん?」
男「!」
ハニカミながら振り向いたのは言わなくてもわかるだろう、西だ。
西「会いたかったで、男くん」
男「西! やっぱりお前……!」
電話ではしらばっくれてたくせに、なんでそんな満面の笑みをしてやがる。
723 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 02:02:12.11 ID:tG2amnAyo
西「さいちゃんってゆーてるのに……でも、私より会いたかった人、おるやろ?」
男「!」
当たり前だ。お前の顔なんて、もう見たくない。
男「ああ、そうだ」
なんて、言わなくても。
西、お前にはわかってるんだろ。俺の心を読んで。
女は、どこだ。
狐子「こいつは、お姉さまの隣にいた……」
西「おお、ちんまい獣っ子やないか、久しぶり。可愛いなぁ」
狐子「! い、いきなりなんだ!」
西「照れてる照れてる、めっちゃ可愛い!」
724 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 02:03:04.14 ID:tG2amnAyo
西はニッコリと笑って、狐子と同じ目線になるように腰を曲げた。
その顔には、まったく裏がなく、無邪気な笑顔だった。
西「妖狐ちゃんを小さくしたみたいな子やなぁ、やっぱり姉妹なん?」
あんな会話をしたんだ、お前もそこにいただろう。
こいつらは正真正銘、姉妹だ。
西「まあ、どっちでもいいけど」
西は曲げた腰を直して、俺に視線を向けた。
男「……」
西「そんな怒らんといてーな、怖いやん」
男「……」
ただただ、俺は西を睨みつけた。
こんな視線を女の子に向けたのは、初めてかもしれない。
725 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 02:04:33.44 ID:tG2amnAyo
男「女は、どこだ?」
西「ああ、暗いからな、わからへんわな」
ここに、いるのか。
西は自分の上着のポケットを探って、小さなスイッチを取り出した。
西「ポチッとな」
言葉と同時にスイッチを押すと、明かりがついた。
西「ほら」
西は後ろを指差して、口を三日月のように釣り上げて笑った。
男「……!」
そこには、口と目を拘束され、体を縄で縛られた女だった。
726 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 02:06:14.21 ID:tG2amnAyo
男「お、女!」
女「……」
女に近寄っても、俺には反応しなかった。
西「もう用はないから、帰っていいで」
狐子「女に何をした!」
西「知らん。私は何もしてへんもん」
西は肩をすくめて、首を横に振った。
西「私は、な」
男「女っ!」
兎にも角にも、すかさず俺は女の拘束を解いた。
727 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 02:06:45.21 ID:tG2amnAyo
女「……」
男「女、大丈夫か?」
女「あ、男さん」
ボーっとして、女はこちらに目を向けて、指さした。
男「良かった……なにか、異常はないか?」
女「……」
男「お、女?」
女「……えっと」
狐子「男、なんだか様子が変だぞ」
首を傾げて、女は言った。
女「ごめんなさい、声が、よく聞こえません」
728 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 02:07:37.29 ID:tG2amnAyo
男「えっ……?」
女「それにすこし、視界もあまりよくないようです」
男「そ、それは今さっきまで目隠しされてたから……」
女「あっ」
急に女は立ち上がると、前に倒れこんだ。
男「お、女!?」
女「力が、入りません。位置感覚の麻痺が発生」
西「うわー、えげつないなぁ」
男「おい、西! どういうことだ!?」
西「いや、だから知らんゆーてるやん」
男「お前以外に聞けるやつがいないんだよ、答えろ!」
西「私以外に聞けるやつがおらん?」
違うやろ、と。
西は俺の後ろを顎をしゃくって示した。
729 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 02:08:14.10 ID:tG2amnAyo
西「そこにおるやつが、一番知ってると思うで」
男「……誰だ?」
?「ふふ」
笑い声を漏らして、暗い闇の中から誰かが現れた。
?「あなたは、初めまして、ですね?」
男「?」
そこには白衣姿の小柄な少女、だ。
しかし、腰には危なっかしいものをぶら下げていた。
二丁の拳銃。
西武の時代を彷彿とさせる、回転式拳銃。
730 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 02:08:57.36 ID:tG2amnAyo
?「久しぶりね、狐さん」
狐子「!」
?「あら、妖狐さんと違って小さいのね。それに今は、まったく違う姿になってるんですね」
目を見開いた狐子は、急にガタガタと震えだした。
男「き、狐子!」
女を抱きかかえて、狐子の元へ。
狐子は怯えて、滝のような汗をかいていた。
男「知ってるやつか?」
狐子「知らない……知らないけど」
狐子は大きく息を吸って、呼吸を整えた。
狐子「怖い、怖くて、仕方がない」
狐子は、震える手で、俺の手を強く握りしめた。
731 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 02:10:39.93 ID:tG2amnAyo
?「そんなに怖いですか、私?」
男「あんたは……何者だ?」
?「ただの山猫です」
男「山猫……?」
山猫「愛する人には、オセロットと呼ばれてた」
男「……オセロット」
腰を締めたベルトのホルダーから、二丁の拳銃を取り出して、クルクルと回し始めた。
山猫「さあ、私に聞きたいことは、なんですか?」
歯を出さずに笑う彼女からは、異様な雰囲気を感じざるを得なかった。
山猫「私が答えられることなら、なんでも答えて差し上げますよ?」
クルクルと回していた拳銃をしまって、指を銃の形にすると。
山猫「バーン」
と、無邪気に声を出してみせた。
732 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/02(月) 02:24:41.51 ID:tG2amnAyo
区切りです。
次回、クライマックス。
新年、明けてしまいました。
ぐうたら生活をしていたため、更新が年明けになってしまったことを申し訳なく思っております。
最近の話を書いていると常々思うのですが。
「みなさんは、現状を楽しんでいるのか」という言葉に尽きます。
話としては、完全にシリアスな展開になってしまい、ギャグはあまり挟んでいない今。
ここまで長きにわたって続いてきたラブコメ路線はどこにいったと。
そう思う方はいると思います。
そこで。
「あのキャラを出して欲しい」という意見があれば、これからは大きく作用させていきたいと思います。
できるだけ、そのキャラクターメインの話を書いていきたいと思いますので、どうぞ気軽にお書きください。
それでは。
追伸
冬コミお疲れ様でした。自分は残念ながら行くことはできなかったのですが、完売ということで。
すこしでも力になれればと思い、急遽(こちらの更新そっちのけで)参加することができて光栄に思います。
追伸その二
後々、うpろだに冬コミ作品に載せていただいたSSをあげます。
それでは。
733 :
SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)
[sage]:2012/01/02(月) 03:49:26.93 ID:Dc169EElo
乙乙!
もちろん蛇を出して欲しいぞ
734 :
SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)
[sage]:2012/01/02(月) 13:41:03.95 ID:suvlX+czo
乙!
735 :
SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)
[sage]:2012/01/02(月) 13:43:08.08 ID:tPfiISXSO
オセロットときたら蛇さんだろ
736 :
SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)
[sage]:2012/01/02(月) 20:17:15.38 ID:qFwPNYxIO
このSS臭いよね
いままで見ていたけどブクマから消すわ
737 :
SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)
[sage]:2012/01/02(月) 21:43:59.99 ID:LARER1Jno
乙でした
まあ展開的には蛇さんだよなぁ
738 :
SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)
[sage]:2012/01/02(月) 22:21:33.50 ID:qr294oeho
個人的には牧を……
739 :
以下、あけまして、おめでとうございます
[sage]:2012/01/02(月) 23:47:49.39 ID:8gg8manZ0
孤子と牧を出してくれたらよろし
740 :
以下、あけまして、おめでとうございます
:2012/01/03(火) 00:44:36.45 ID:FUMt23Rp0
撫子バンザイ
741 :
以下、あけまして
[sage]:2012/01/03(火) 10:22:42.32 ID:OG5LbwUqo
乙です
遅くなったが西武の時代ということは
デストラーゼとか平野とか辻の居た黄金時代の事かのう?
742 :
以下、あけまして
:2012/01/03(火) 10:41:56.32 ID:FUMt23Rp0
狐子が少し素直になる単発とかとか…
743 :
携帯久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage]:2012/01/08(日) 04:10:53.66 ID:reFzqpYDO
携帯から失礼します。
ただいま、VIPにて
女「私の知らない事、たくさんたくさん教えて下さい」
http://hayabusa2.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1325951915/
を投下しています。
女のキャラが若干被っていますが、見ていただけると嬉しいです。
744 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/08(日) 10:18:15.41 ID:I/6OATWMo
>>743
追いついた
これって初めからだよね?
745 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/10(火) 00:57:13.73 ID:Jpf7oW5ko
どうも。
今回数日間に渡って
女「私の知らない事、たくさんたくさん教えて下さい」
を書かせていただきましたが、完結は難しいです。
ですので(またこのような処置を取るのは申し訳ないのですが)今度また、うpろだに完全版を載せたいと思っています。
いつになるから未定です。
こちらの投下はいつもどおりやっていくので、ご安心ください。
それでは。
746 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/11(水) 11:04:15.88 ID:b3krB5MYo
>>745
やはりあんただったか・・・!
747 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/11(水) 18:47:47.20 ID:AWWhJvxpo
いや普通に宣伝してるだろ
748 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/13(金) 08:49:00.86 ID:WyFmvAxNo
気付かなかったわーマジで(チラッチラッ
749 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:17:02.05 ID:F2wBTGYHo
男「……」
山猫「質問に答えるって言ったのになんで黙るんですか?」
口角を上げて微笑む彼女の笑顔。
悍ましい何かを感じる。
少女の内に秘めた何かを。
男「……あんたと西の関係は?」
西を横目で見やりつつ、俺は質問を投げかけた。
山猫「んー、なんていうか」
顎に人差し指を当てて思案してみせる山猫。
山猫「別に、大した関係じゃないですよ」
西「……そういうことや、男くん」
これ以上聞くな、と。
口では言わなくてもそう言ってるよう風で、西は俺の肩に触れた。
750 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:17:40.45 ID:F2wBTGYHo
山猫「まあ、わかりやすい言葉で言えば」
山猫の鋭い視線に、西がビクリと震え、猫のようなツリ目が見開いた。
山猫「彼女は実験の被験者ですよ」
被験者?
西「待ちぃや!」
大声を出して西が前に出た。
西「私はあんたに触られたこともいじられたこともない! あんたとはただ……」
山猫「ただ?」
西「……私とあんたの関係はこの子連れてきたンで解消やろ!?」
この子。もちろん女のことだ。
女「……?」
どうやら女は自分が言われているとわかっていないようだ。
目が虚ろで、さっきより息が荒い。
山猫「あなたは不思議に思いませんでしたか?」
751 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:18:34.72 ID:F2wBTGYHo
西「なにがや?」
山猫「『なぜ、自分の悩みを知っているのか』」
山猫「人の心が読めること……あなたが誰にも打ち明けたことのないはずのこと」
西「……」
山猫「私が知ってるのは当たり前なんですよ。だって」
山猫「それをあなたに施したの、私ですから♪」
西「へ、変な冗談よしぃや」
山猫「信じてくれないんですか?」
白衣の小さなポケットから一枚の写真を取り出した。
山猫「これは、誰でしょうね?」
写真に写っているのは。
少し幼いが――間違いなく西だった。
目を閉じて横になっている写真。だが、座っている場所はどうみても何かの実験用だった。
752 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:19:01.40 ID:F2wBTGYHo
西「ふ……ふざけんなやぁ!」
男「!」
西がいきなり山猫の方へ飛び出した。
男「や、やめろ西!」
必死の思いで服の袖を掴むことに成功したが、
西「……うわわっ!」
強く引っ張ったせいで、西のブラウスのような服のボタンが取れて、ブラジャーが露わになった。
西「な、なにしとんねん男くん! こんなところでラッキースケベ発動すんなや!」
男「そ、それについては謝る! でもお前も落ち着け……!」
顔を真赤にして憤って見せる彼女だが、しっかりと胸を隠していた。
山猫「……ちぇ、残念」
山猫は既に拳銃を取り出す準備をしていた――だから俺は西を止めた。
こいつは西をなんのためらいなく殺そうとしていた。
一つの判断で、西は死んでいたかもしれない。
753 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:19:48.52 ID:F2wBTGYHo
山猫「西さん」
西「なんや?」
山猫「一つ良い事を教えてあげます」
西「……?」
山猫「あなたのその人の心を読むことができる力……」
山猫「私、治してないですよ」
西「なっ……!」
くるりと回って背中を向けた山猫は、右手を挙げた。
西「で、でも男くんの心は、今は全然読めへん。それでも治ってへんって言うんか!?」
山猫「オンオフができるようにしただけで、実際にはまだあなたの体の中に残っているんです」
山猫「……証明してあげましょう」
山猫が大きく指を鳴らした。
部屋全体に響くような音で。
西「……!」
一体、なにが起きた?
西は、平気か?
西「いやああああああああああああああああああああああああ!!!!」
男「!!」
いきなり西は叫び声をあげ、跪くような体勢になった。
754 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:21:52.23 ID:F2wBTGYHo
男「に、西!?」
西「いやや、来るな! 喋るなぁ!!」
どうやら、心が読めるようになってしまったらしい。
山猫「どうしてそんなに怖がってるんですか? それがあなたじゃないですか」
山猫「異常で奇異で無様な、あなたそのものです」
西「私は……私はぁ……!」
男「お、落ち着けって西!」
自分の頭をむちゃくちゃに殴りまくる西。
悲惨過ぎて、見ていられない。
西「……」
―――
――
―
755 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga !蒼_res]:2012/01/18(水) 02:23:34.63 ID:F2wBTGYHo
世の中って、つまらんなぁ。
結局自分のためやねん、みんな。
自分が可愛くて可愛くてしゃーない。
人の心読めたところで得なんてしぃひん。
結局薄汚れた、くだらない気持ちばっかり見えて。
偽って偽って、みんな生きてるんや。
だから私だけは正直に生きたいと思った。
どんなことを思われようが、そんなことはどうでもいい。
私は『異常』なんやから。
756 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga !蒼_res]:2012/01/18(水) 02:24:40.25 ID:F2wBTGYHo
・ ・ ・
西「ありがとうございますー」
「いや、ええねんええねん、気にしんといて」(こんな可愛い子の手助けすればまた頼ってくれるかもしれへんからな)
西「誰にでも優しいん?」
「まあな、困ってる人がいたら誰でも助けるで!」(ま、可愛い子やないといややけど)
西「嘘つくなや、表面だけの偽善者」
「なっ!?」
・ ・ ・
「それ可愛いなー」
西「そうかな? 照れるわぁ」
(可愛い子ってずるいわー、何着ても可愛いし)
西「それも可愛いやん、似合ってるでー」
「ほんま? ありがとー」(嘘つけ、どうせ思ってへんくせに)
西「……ああ、思ってへんで。あんたみたいな性格ブサイクと一緒にいるのすらなんかのギャグかと思えるわ」
「えっ!?」
757 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga !蒼_res]:2012/01/18(水) 02:25:49.53 ID:F2wBTGYHo
・ ・ ・
西「はぁ……」
西「つまらん……世の中やなぁ」
?「西さん、ですね」
西「ん? ……あんた、誰や?」
?「名乗るほどではありませんよ」
西「あの……私に何かようでもあるんですか?」
?「敬語でも喋れるんですね」
西「……」(喧嘩売っとんのか?)
山猫「おっと、そんな怖い顔しないで……こほん」
山猫「人の心を読むことができる力……持ってますよね?」
西「えっ!?」
山猫「そして、あなたはそれを治したい……」
西「な、治せるんか!?」
山猫「はい、一つして欲しいことがありますが」
西「するする! なんでもする!」
山猫「……汚い真似をすることになっても?」
西「こんな汚れた世界ずっと見てるよりマシや。私は、普通になりたい……」
山猫「……そうですか。それでは……」
758 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:27:37.08 ID:F2wBTGYHo
―
――
―――
西「せっかく普通になれたのに……なんでや……なんでやぁ!」
男「落ち着け西!」
西「うるさいわ! 私のことなんかほっといて!」
男「ほっとけるかよ!」
西「どんなに上辺つくろぉても、私には心が読めるんやで!」
あんたが実は私のことなんかどうも思ってへんってこともな、と涙で顔を濡らしながら激怒した。
ああ、読めばいい。
俺はお前を純粋に助けてやりたい。
それだけだ。
西「え!?」
俺の顔を見て、驚嘆の顔をする西。
759 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:28:47.73 ID:F2wBTGYHo
男「山猫! 西を元に戻せ!」
山猫「えー? なぜですか?」
男「こいつはやっと、悩みが無くなって嬉しいんだろ?」
男「それに、女を連れてくるのが条件だったんなら、西はちゃんと達成したじゃないか!」
西「!」
山猫「許すんですか?」
山猫は不機嫌に目を細めた。
山猫「彼女はあなたの大切なアンドロイド……女さんを連れ去ったんですよ?」
西「……せや、男くん。私を助けることなんてないんやで……」
西は俺に目を合わせずに、言った。
許して欲しくない、そんな風な言い草だった。
760 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:29:32.22 ID:F2wBTGYHo
男「ああ、そうかもしれないな」
西「!」
男「でも、俺は自分の気持ちだけでこいつを救わないなんてできない!」
西は『普通』を求めた。
俺はそれで失敗しちまったけど。
今の西を見ればわかる。
彼女は本当に辛いんだ。
そんなやつを見捨てることなんて、できない。
?「良く言った」
ハスキーでよく響く声。
一気に充満するタバコの臭い。
狐子「へ、蛇!」
銃を構えた蛇さんが、俺の後ろに立っていた。
761 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:30:36.08 ID:F2wBTGYHo
蛇「遅くなって悪かった」
男「へ、蛇さん……」
片腕は、先の戦いでなくして、もう一本しかないが。
それでも、充分なように感じるほどの威圧感を放っていた。
蛇「……山猫」
山猫「ぼ、ボス!!」
蛇さんの知り合いなのか?
山猫「お久しぶりです、ボス……」
蛇「……どうしてお前がここにいるんだ?」
山猫「そんな悲しいこと言わないでくださいよ」
山猫は涙を落とした。
ただ、その涙は。
男「!」
黒かった。
漆黒で、暗黒で、凄惨で。
恐ろしく、黒かった。
762 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:32:27.49 ID:F2wBTGYHo
蛇「! お前……」
山猫「ボス、ずっとずっと会いたかったです」
蛇「男! 逃げろ!」
男「え!?」
蛇「こいつは……本当にまずい」
男「で、でも……」
俺から見ても、こいつはかなりの危険だとわかった。
だからといって、片腕を負傷している蛇さん一人にはできない。
蛇「迷ってる暇はない。女とそいつ(西)を連れて逃げるんだ!」
狐子「男!」
男「!」
部屋のドアに手をやりながら、狐子が俺を呼んでいた。
狐子「早く逃げるぞ!」
男「あ、ああ……わかった!」
俺は女を抱きかかえて、部屋のドアに向かった。
俺がいても、蛇さんの邪魔になるだけだから。
763 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:33:38.55 ID:F2wBTGYHo
西が座り込んで、動こうとしていない。
男「西! さっさと行くぞ」
引き返して腕を取る、しかし、振り払われた。
西「いやや!」
男「!」
西「私はもう……いやや、こんな世界!」
西「結局異常なままや……治らへんかった! 私は結局またいつも通りに戻ったんや!」
男「うだうだ言ってねーでさっさと行くんだよ!」
今この場所から離れなければ、蛇さんの邪魔になる。
それに、こんな状態の西をほっとけるわけがなかった。
俺は西の腕を強く引っ張って、立ち上がらせた。
男「異常でもなんでも、いいじゃねえか!」
男「全部俺が受け止めてやる!」
西「!」
男「とにかく、行くぞ!」
西「……」
764 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:34:45.83 ID:F2wBTGYHo
・ ・ ・
男「……」
起きてみれば、俺は家の布団で眠っていた。
狐子「気がついたか?」
男「き、狐子」
狐子「ずいぶん疲れてたみたいだな」
男「……今何時だ?」
狐子「四時。あれから丸々二日経ってる」
男「!!」
俺は物凄い時間、眠っていたようだ。
765 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:35:28.29 ID:F2wBTGYHo
狐子「それでも良かった、目が覚めて」
男「……ああ」
狐子「し、心配したんだ――」
撫子「お、男さまっ!?」
男「! 撫子」
撫子は涙を流しながら俺に抱きついてきた。
いきなりでぼんやりとしていたが、だんだん恥ずかしくなってきた。
牧「男、目覚めたんだね!」
男「牧っ」
牧は俺の横に寄って、ニッコリと笑った。
狐子「……ふんっ!」
男「狐子、さっき何を言おうとしたんだ?」
狐子「別になんでもない!」
狐子は機嫌を損ねたのか、そっぽを向いていた。
766 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:36:39.60 ID:F2wBTGYHo
・ ・ ・
詳しく話を聞いてみると、あのあと俺達は急いで家に戻ろうとしていた。
そこまでは俺も覚えていた。
でも、いきなり俺が倒れたらしく、狐子が俺の携帯を使って助手さんに連絡をとった。
(よく携帯が使えたなとか思ったけど、あえてそのことは触れなかった)
研究所に着いて、女と西はそこに残った。
女はそれほど悪い症状ではないらしく、安心した。
西の能力もどうやら博士が治せるらしい。……治せるのか。
博士が敵じゃなくて良かった。
そして狐子は俺を抱えて家に戻ったらしい。
767 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:37:10.79 ID:F2wBTGYHo
男「え……俺を抱えて帰ったのか?」
狐子「そうだ、重かったぞ。何度捨てて帰ろうかと思ったことか」
男「俺を見捨てる気か!?」
狐子「私は見ないで捨てるぞ」
捨てる気だった!
撫子「本当に心臓が止まるかと思いました……狐子もボロボロでしたし、男さんなんて……」
俺の安否がわかったのにもかかわらず、まだまだオロオロとしている撫子。
なんだか、狐子が俺を抱えて帰ってきた時の撫子の反応はすっごく頭によぎる。
本当に心配してくれたんだな、と思う。
牧「言ってくれればボク達も力になったのに」
男「はは……」
できるだけそれは避けたかった。
狐子には妖狐がいるから、今回は同行したけど、そうじゃなかったら一緒に行きたくなかった。
危険な目に遭うのは俺だけでいい。
……まあ、結局蛇さんまかせだったけど。
男「そういえば、妖狐は?」
狐子「……」
無言のまま、狐子は首を左右に振った。
768 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:37:54.91 ID:F2wBTGYHo
・ ・ ・
心配されつつもそれを押し切って一人で研究所に行ってみると、入り口の前に腕を組んで仁王立ちしている助手さんがいた。
ムスッとした顔で俺を睨みつけている。
男「じょ、助手さん……」
助手「……」
声を発さないまま、俺の目の前まで急接近。
そして、助手さんにスゴイ勢いで抱きつかれた。
「心配させた罰だ」と潤んだ目で言われたが、この上なく嬉しい罰だった。
男「あの、女は?」
助手「うん、治ってます。ただ……」
男「ただ?」
助手「詳しくは中に入ってからです」
いつになく元気のない助手さんの声を聞いて、嫌な予感を感じざるを得なかった。
769 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:38:22.58 ID:F2wBTGYHo
・ ・ ・
女「あ、男さん」
男「女っ!」
女「お騒がせしてしまったみたいで」
ペコリと頭を下げた。
そんなこと、気にすることなんかない。
博士「……わかったか?」
男「はい」
表情がまた、かなり無表情になっている。
機械のように、精密に造り上げられた顔に。
まるで、初めて会った時と同じような。
不変の無。
770 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:39:29.46 ID:F2wBTGYHo
女「?」
首の傾げ方は、女のままで、変わっていない。
それだけでホッとした。
博士「蓄積されていた感情のデータを根こそぎ取られている。筋繊維に相当するパーツを大方損失していたから全部直しておいたぞ」
男「ありがとうございます……」
博士「礼など良い。女の方は全部洗いざらいに点検しておいたから安心だ。それより」
男「?」
深刻な顔で博士が指さした先に、西がいた。
博士「子供扱いされて腹が立つから、さっさと追い払ってくれ」
本心では無いだろうが、博士はそう言ってまた大きなパソコンに目を向けた。
771 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:40:19.23 ID:F2wBTGYHo
・ ・ ・
男「西!」
西「……ひ、久しぶりやなぁ」
男「治ったのか? あれは」
西「おかげさまでな、それにしてもスゴイなぁ、あの子」
あの子は、おそらく博士のことだろう。
言っておくが、博士は見た目だけで見ると近所の公園で遊んでいるような小さな女の子だ。
その言い草をしてしまうのは仕方がない。
男「まあ、今更驚くこともないだろ? アンドロイドのことも許容できてたんだし」
西「せやな、そんなに驚かへんかったわ」
男「……これからどうするんだ?」
西「どうするゆーても、まあのんびりとするわ」
せっかく『普通』になれたんやし、と。
彼女はこれまでに見せたことのないような満面の笑みを浮かべた。
772 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:40:51.46 ID:F2wBTGYHo
男「そうだな」
西「……あのな、男くん?」
男「? なんだ?」
西「この前、私に言ったこと……覚えてる?」
男「この前?」
西「ほら、洋館出る前に私に言ってくれたことや」
男「……?」
あの日のことは、あんまり覚えていない。
大まかなことは覚えてるんだが。
西「お、覚えてへんのやったらええねん。別に」
西は手を大げさに振ってみせた。
773 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:41:17.76 ID:F2wBTGYHo
男「? そうか」
心が読めなくなった今の彼女は、本当に気持ちの良い喋り方をする。
なんだか話してて気分が良い。
男「西って、すっごく話しやすいやつなんだな。今話しててびっくりするくらいに」
西「まあ、そう言うても私はひねくれ者やからな」
男「ん?」
西「だいいち、別にまだあんたに心を開いたわけでもないし」
西「いいかげんなこととか言われたりしたら、ものごっつ怒るし」
西「すごいテンションの上り下りとかもあるし」
西「きぃ遣うようやったら話しかけんといてな」
男「お、おう……?」
何が言いたいのか、正直わからなかった。
多分、自分との付き合い方について言ってるんだと思うけど。
774 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:41:56.94 ID:F2wBTGYHo
西「そ、それじゃあありがとうな」
男「え、もう行くのか?」
西「あのお嬢ちゃんに嫌われてるみたいやしな。あんまりゆっくりさせてもらうんのも悪いし」
男「そうか、またなにかあったら連絡しろよ?」
西「うん、ありがとーなー」
男「おーう」
西「……男くん!」
男「?」
西「これからよろしゅうな♪」
そして、彼女は裏のない笑顔をべっとりと顔につけたまま、俺の前から去っていった。
775 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:42:28.45 ID:F2wBTGYHo
・ ・ ・
蛇「いつか、大きな何かがあるはずだ」
男「……」
蛇「それに対する準備をしないといけない」
男「はい」
蛇「なんにせよ、それが来るまでには時間があるはずだ」
片腕に巻かれた包帯を取って、新しい腕の感覚を感じているようだ。
蛇「まあ、気にすることはない。頭の片隅にちょっとでも残しておいてくれれば幸いだ」
男「え?」
蛇さんはタバコを取り出して口に咥えた。
776 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:44:07.65 ID:F2wBTGYHo
蛇「その時その時、やるべきことをやれ。今はそれが重要だ」
男「で、でも……」
蛇「気にするな。あっちだって急いで事を進めようとはしないだろう」
男「……」
蛇「一度リセットすることも大切だ。気持ちを切り替えろ」
今回起きたことも山猫のことも。
とりあえず、セーブはしつつ一旦リセット。
いつでもロードはできるように、か。
蛇「また、女の表情を戻すために一からスタートなんだからな」
男「……はい」
そうだ。
女の感情が心なしか変わっていたのは、気のせいではなくて、ちゃんと変化していたんだ。
蓄積されたデータは無くなっても。
またこれから、増やしていけばいい。
そうだよな、女。
777 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:44:48.01 ID:F2wBTGYHo
・ ・ ・
大「結局お前が来ないから旅行はまた先の話になっちまったぞー」
男「わ、悪かったよ」
大は不満気に俺の肩に軽くチョップを繰り返した。
地味に痛い。
学「俺達の意見は全部変態的だと言われて何を言っても反対されて……」
男「お前らの普段の行いの悪さだろうが」
特に学は鏡の胸を凝視し過ぎだ。たしかにでかいけれど……。
大・学「お前に言われたくないけどな!」
こ、こいつら心が読めるのか!?
桃「この前はどうしちゃったの? お腹痛くなったとかー?」
男「腹痛だったらトイレに行けば済むだろ」
黒「住む……居つかれたら困るわ」
男「字が違う!」
778 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/01/18(水) 02:46:57.01 ID:F2wBTGYHo
しかも俺とお前は違うトイレを使うから困らないだろ!?
鏡「と、とにかく男さんもいるんだし、改めて決めましょう!」
男「さすが鏡! ちゃんと本題に戻してくれた!」
「ごめーん、遅れてもたー」
男「……え?」
西「ん? どしたん、男くん」
男「え、えええええええ!?」
西「なんでそんなビックリしてるん。可愛い子が目の前にいるからって興奮されたら困るわぁ」
男「な、なんで……西、お前……!?」
西「いややなー、私は正式にこの大学に入ったんやで? いるのは当たり前やん」
西「それと、私のことはさいちゃん、やで?」
人差し指を立てて、俺の唇に当ててきた。
男「……ああー」
もう、どうにでもなれだ。
西のことも色々とリセットして付き合っていこう。
西「ふふ、これからよろしゅうな」
手を後ろに持って行って、西はハニかんだ。
新たに愉快な仲間が増えちまったことに溜息を吐きつつ、旅行先を考えるのであった。
779 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga]:2012/01/18(水) 02:48:32.65 ID:F2wBTGYHo
To be continued!!!
というわけで、終わりました。
いやあ、長かった!
次回から通常に戻ります! ……戻れるのか!?
次回は狐子との約束を果たします。
それでは〜。
780 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/18(水) 07:34:30.31 ID:1XcHdqWno
うおおおおおおおおおおおお乙!
781 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/18(水) 08:11:40.67 ID:dkL1ywWSO
西ちゃんよかったお
山猫は記憶が消えてたわけではなかったんだな
乙
782 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/18(水) 08:42:11.59 ID:czFNFTZLo
乙
伏線張っておいて
日常に戻るとか
…手腕に期待!
783 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(青森県)
[sage]:2012/01/18(水) 16:25:47.10 ID:bh5V6p9no
乙です
784 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/01/18(水) 18:27:38.79 ID:M2oFao6xo
西ちゃんはさいちゃん?にしちゃん?
785 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/01/18(水) 18:33:34.61 ID:dzT2/ctwo
乙でした
786 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/18(水) 19:25:16.06 ID:RaGg2sUDO
>>784
ちょっと前にさいちゃんって言ってたじゃん
787 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/20(金) 21:02:57.97 ID:S5hK0Tvho
おっつん
788 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/20(金) 23:00:17.85 ID:8m2++fUVo
狐子「男♪」
起きてみれば。
目の前には見たこともない笑顔の狐子がいた。
狐子「早く起きろ♪ 待ってたんだからなぁ」
男「……」
なんだ、夢か。
こんな可愛らしい狐子が現実にいるはずがない。
目、めっちゃキラキラしてるし。
いつもはもっとムスっとして、何か言うとつっかかってくるんだ。
というわけで、おやすみなさい。
狐子「……寝るなぁ!」
ゴスっと。
きつい一撃を頭に食らわされる。
痛い。
……あれ?
夢じゃない……のか?
789 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/20(金) 23:01:23.83 ID:8m2++fUVo
・ ・ ・
男「で、なんでお前そんなに上機嫌なんだ?」
狐子「ふふふ、見ろ」
男「ん?」
狐子が取り出したチラシには、激ウマという大文字。
そしてすこしずつ視界を広げてみると……。
男「『うどん』……」
狐子「そう、うどんだうどん。私はうどんが食べたい。食べたくて仕方ない!」
撫子「あ、うどんだったら作れますよ」
男「じゃあ、狐子に一つお願い」
狐子「ちっがーう! 私は今、猛烈に外でうどんが食べたいんだ!」
男「……つまり、うどん屋のうどんが食べたいと?」
狐子「そういうことだ」
で、あんなに甘い声を出していたというわけか。
狐子め、どこからそんな技を仕入れてきた。
790 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/20(金) 23:03:27.27 ID:8m2++fUVo
男「すこしはゆっくりさせてくれよー」
昨日バイトで夜遅くまで入れられちまって、大変だったんだから。
男「……」
まあ、無理もない。
例の事件のせいで、女が無断欠席で空けちまった分を、俺が無理言って引き受けたんだし。
今の女には、できるだけ家にいて欲しい。
外には出てほしくなかったからだ。
まあ俺が別に何か言う立場でもないのは確かだ(俺も無断欠席だったし)。
どうやらその間の分は会長さんがやってくれたらしい。
どこまで優しい人なんだ、あの人は。
狐子「約束を忘れたのか!?」
物凄い真剣な眼差しで、狐子は俺を見つめる。
そして逃すまいと服にしがみついてきた。
男「えっと、なんだったっけ?」
ショックのあまりに狐子は床に膝と手をついた。
狐子「男には失望した……もう私に話しかけるな」
男「そこまでのダメージかよ」
まあ。
覚えてるんだけども。
791 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/20(金) 23:05:05.42 ID:8m2++fUVo
男「……で、このうどん屋のが食べたいと?」
狐子「そうだ!」
元気に起き上がって返事をする狐子。
男「なるほどな……」
服を着替えるために、俺はゆっくりと立ち上がった。
・ ・ ・
狐子はうどんが好きである。
『きつね』だからというわけでもないだろうに、うどんが食べ物の中で一番好きだ。
油揚げがとても好きなようだ。
『出身地は香川にしたいくらい』らしい。
とにもかくにも、俺と狐子は二人でそのうどん屋に向かっていた。
女や撫子、牧も連れて行きたかったけれど。
狐子『これは私と男の約束だ』
と言うもんで、結局二人で行くことになった。
792 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/20(金) 23:06:35.39 ID:8m2++fUVo
あの家にいても、結局俺が一番話す相手は決まって狐子だってこともあって、こいつとはほぼ一緒にいたりする。
一番ほっとけないから、という考えもある。
狐子「私は馬鹿だ」
男「あ?」
いきなり狐子は自分を戒めるような言葉を漏らした。
狐子「女が作るうどん、男が作るうどん、撫子の作るうどん……」
狐子「それだけで満足していたように思える!」
男「そうであって欲しいけどな」
狐子「家の中の狐、饂飩を知らず!」
そのままだ。
狐子「というわけで、新装オープンのうどん屋に足を運ぶことにしたのだ!」
男「食事代を払うのは誰だ?」
狐子「無論、男しかいないだろう」
即答だった。
まあ、狐子に払わせる気なんてまったくなかったけど。
というか、他のやつらにも払わせるつもりなんてない。
793 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/20(金) 23:07:17.18 ID:8m2++fUVo
狐子「どんなうどんが出てくるか楽しみだ……!」
体をウキウキさせながら、狐子は可愛らしく耳を出した。
感情の高ぶりを表す耳が、ピョコンピョコンと歩調に合わせて動く。
今は喜んでいるのか?
男「……」
だけれど。
狐子は、もう大丈夫なのだろうか。
彼女は愛する家族をなくした。
再開したのはつい最近だったが、雰囲気はおろか、何もかもが変わり果てていた。
そして、目の前で息をひきとった。
アンドロイドだけれど、その表現でいいだろう。
俺にとって人間とアンドロイドには差異なんてないんだから。
男「……狐子」
794 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/20(金) 23:08:39.43 ID:8m2++fUVo
狐子「なんだ? いきなり暗い声出して」
男「大丈夫なのか? ……妖狐のこと」
聞いちゃいけないことだとはわかっていた。
だけれど、俺は聞かないといけないと思った。
聞かないと、俺の気持ちがおさまらなかった。
狐子「ふん、何を言い出すかと思えば、そんなことか」
鋭い八重歯を見せて、ニヤリと笑った。
狐子「私は全然大丈夫だ。ここで私が落ち込んでいては、お姉さまに悪い」
男「悪くはないと思うけど」
狐子「うるさい、いいからちゃんと聞け」
狐子「確かに私はお姉さまを、家族をなくした」
狐子「でも、私にはまだ、大切な人がいる。好きな人がいる」
男「……え?」
狐子「……! ち、違うぞ! 決してお前とか、女とか、撫子とか、牧じゃないからな! 別にお前たちのことなんか全然気にしてないんだからな!」
795 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/20(金) 23:09:21.68 ID:8m2++fUVo
男「お、おう」
顔を真赤にして、呼吸を整えて。
狐子「立派になっていつかお姉さまを驚かせたいんだ」
男「そっか」
狐子「そのためには、うどんを食べなければならないのだー!!」
男「それ関係あるのか?」
狐子「ある! モチベーションが上がる!」
男「簡単なやつだな」
でも。
それが狐子であって、狐子の良いところだ。
やれやれ。
こりゃすこし奮発してやっても、いいな。
796 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/20(金) 23:10:55.03 ID:8m2++fUVo
・ ・ ・
男「……おい」
狐子「……なんだ」
男「あのチラシ、いつのだ?」
狐子「……ちょ、ちょっと前?」
男「嘘つけ! 新装オープンなのに休んでるわけないだろ!」
狐子「うるさい! もとはと言えばお前があんなところに美味しそうなチラシを置いとくからだぞ!」
男「俺のせいかよ!? それとチラシは美味しくねえよ!」
ヤギか!
狐子「後日また行くぞ! 絶対にな!」
男「ま、まじかよー!?」
そんなこんなで、結局うどんは食べられなかった。
狐子「絶対に、食べてやるからなー!!」
To be continued!!!
797 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/20(金) 23:14:27.90 ID:8m2++fUVo
おしまいです。
というわけで、また後日うどん回を設けます。
次回は牧か撫子あたりの話です。
>>784
>>786
西は呼び方としては『にし』が合っています。
彼女自身があだ名のような感覚で「『さいちゃん』と呼んでほしい」と言っているだけです。
追伸
まさかこんなにレスいただけると思ってませんでした。ありがとうございます。
798 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/22(日) 04:21:14.95 ID:SqAwhDdAo
撫子「男さん」
男「ん?」
撫子「大変なことになりました!」
男「なんだ?」
撫子「教えて欲しいですか?」
男「え? そ、そりゃね。気になるし」
撫子「気になりますかぁ〜?」
男「うん」(なんだこの言い方は……)
撫子「教えて欲しいですかあ〜?」ニコニコ
男「教えてください」
撫子「どうしましょ〜う」
男「やっぱりいいや」
撫子「え!? そ、そんな……」
男「なんか言う感じじゃないし」
撫子「ご、ごめんなさい! 男さまをからかおうとしただけなんです……」シュン
799 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/22(日) 04:21:53.23 ID:SqAwhDdAo
男「つまり大変なことなんて何も無いと?」
撫子「……」
男「大変なことって言うからなんなのかと思ったよ」
撫子「え、えっと……大変なことは起きてるんです」
男「え?」
撫子「ま、また料理に失敗してしまいましたぁ……」グスッ
男「! だから焦げ臭かったのか!」
撫子「ごめんなさい!」
男「撫子のことだ、また頑張って洋食を作ろうとしたんだろ?」
撫子「は、はい」
男「努力してるのは良いことだよ。偉い偉い」
撫子「……で、では」
男「?」
撫子「撫で撫で、してくれますか?」
800 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/22(日) 04:22:24.22 ID:SqAwhDdAo
男「な、撫で撫で?」(撫子だけに? ……寒いこと言うな、俺)
撫子「はいっ、男さまに撫でていただけたら……もっと頑張れそうなのです!」グッ
男「……そ、そんなの効果あるのかね?」
撫子「あります!」ニコッ
男「……じゃ、じゃあとりあえず」
ナデナデ
撫子「ふわぁ……」ブルブル
男(! ちょ、撫子喜びすぎ……!)
撫子「……えへへ、ありがとうございます」
男「ま、まあ……これくらいならいつでもするよ」
撫子「本当ですか? やったぁ」
男「あ、あはは……まあ、料理頑張ってね」
撫子「はい、頑張ります♪」
・ ・ ・
撫子「男さま……あ、あの……」
男「こ、焦げ臭っ!?」
撫子「ご、ごめんなさいぃ!」
To be continued!!!
801 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga]:2012/01/22(日) 04:23:52.63 ID:SqAwhDdAo
撫子でした。
こういう短い話はどうでしょう。みなさんの意見をお聞かせくださいー。
次は牧です。多分。
そして女の話。
やっぱりsageてたら誰も見ませんね……反省。
802 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/22(日) 11:23:06.66 ID:Z7MaW9ALo
乙乙
撫子と狐子って嬉ションしそう
なんとなく
803 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2012/01/22(日) 14:05:01.31 ID:l2lScwEao
短くて微笑ましい日常も、長くて緊迫感のあるシリアス、どっちも好きですよ
ニヤニヤから感動物までなんでもウェルカム!
804 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/22(日) 16:14:56.67 ID:sS9jhXLSO
今更ながらセイバーマリオネットを思い出すなぁ
805 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/22(日) 23:56:09.53 ID:SqAwhDdAo
男「そういえば、牧は好きな人ができたらどうする?」
牧「え、ぼ、ボク?」
男「もしも好きな人がいたら、どんな感じにアタックするのかなーと」
牧「……ボクは一緒にいれればそれだけでいいかな」
男「え?」
牧「その人が幸せだったら良いと思うよ。そこにボクがいなくてもさ」
男「それって辛くないか? 俺は無理かもしれないな」
牧「そうかい? ボクはそれでも良いと思うよ」
牧「彼が望むなら、ボクはいなくても良いだろうし」
男「彼?」
牧「……あっ、な、なんでもない」
806 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2012/01/22(日) 23:57:02.99 ID:Y6vMCSe7o
トエーイ
807 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/22(日) 23:57:12.09 ID:SqAwhDdAo
男「……まあ、牧」
男「俺はお前がいてくれないと嫌だからな」
牧「え?」
男「牧はどう思ってるかわからないけど、俺はお前がいてくれて幸せだからさ」
牧「……男」
男「って、こんな話するつもりじゃなかったのにな〜。なんか、照れるなぁ」
牧「ふふ、ボクが嫌だったらどうするのさ?」
男「え!? そ、そんなこと言わないでくれよー」
牧「どうかな? ふふっ」
牧(……ありがとう、男)
牧(ボクはいても、いいんだね)
To be continued!!!
808 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/22(日) 23:58:24.78 ID:SqAwhDdAo
『言葉って、難しい』
女「男さん」
男「はい?」
女「今日のご飯、何がよろしいですか?」
男「うーん……別にてきとーでいいじゃないか?」
女「てきとうに、選べと?」
男「うん」
女「それでは、こちらからお選びください」
男「なに、このたくさんの食材リストは……」
女「食材を適当にお選びください」
男「あ、そっちの適当か!?」
809 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/23(月) 00:00:26.19 ID:e0zZD4Pso
『唇を赤く』
男「ん、狐子、何してんだ?」
狐子「ふふ、見ろ!」
男「お、なんだなんだ?」
狐子「リップクリームをつけてみた!」
男「おー、微妙に唇が赤くなってるな」
狐子「これで乾燥は微塵にも感じん!!」
男「でもちょっとムラがあるな。貸してみろ」
狐子「ふえ!?」
男 ヌリヌリ
男「よし、これでよし」
狐子「……」ピョコンッ
男「ん?」
狐子「か、勝手に人の唇を塗るなー!」ピョコピョコ
810 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/23(月) 00:05:14.25 ID:e0zZD4Pso
『自分で言っておいて、恥ずかしい』
牧「普段その人が言わないようなことを考えるとなんだか面白いよね」
男「というと?」
牧「例えば――」
狐子『重そうな荷物を思ってるな。よし、今日はお手伝いしてやろう』
男「ふむ、たしかにお手伝いをする優しい狐子は可愛いな」
狐子「変なこと言うな……というか、普段優しくないとでも言うのか!」
男「やべっ」
撫子『うふふ……私とお話をしようなんて、いい度胸ですね?』
男「お、おお……なんか撫子のSはなんだか凄そうだ……」
撫子「そ、そうなのですか……!」
男「あ、間に受けないでね」
女『ごめんなさい、失敗してしまいました……うぅ』
男「絶対に言わないな」(でも、可愛いな、それ)
女「言いましょうか?」
男「え!?」
・ ・ ・
牧「ね、面白いでしょ?」
男「そうだな。それだったら牧もさ――」
牧『あなたのことが大好きです……』
男「って、顔真っ赤にして言ったらめちゃくちゃ可愛――って、牧?」
牧「……」カァァ
男「ま、牧!?」
811 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/23(月) 00:11:53.93 ID:e0zZD4Pso
『バイトが飽きた? そんな時は……』
男「あー、やっぱりずっと同じ作業だと、バイトもちょっとずつ飽きてくるなぁ」
会長「そんなことはないぞ。いつも楽しいことを考えていればな」
男「楽しいこと?」
会長「例えば、お客様を誰かに置き換えてみるとか」
男「置き換えてみる……か」
・ ・ ・
男「いらっしゃいませー」
女「コーヒー一つお願いします」
女「すいません、モーニングセット」
女「スイートパフェをください」
・ ・ ・
男(すっげえ想像しづらいな)
会長(男がお客様だと思えば、自然に笑みがこぼれてしまう)ニコッ
客 ドキーン
To be continued!!!
812 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga]:2012/01/23(月) 00:14:13.63 ID:e0zZD4Pso
短篇集でした。
たまにはこんなのもいいかな? と思っていただけたでしょうか。
山なし、落ちなし、意味なし。
やおいの世界でした。
助手過去編をやるか迷ってます。
でもでも、これをやってしまうとまたアンドロイドと遠く遠く離れてしまうのですねぇ……
それでは。
813 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/01/23(月) 01:07:04.83 ID:FRciLCq0o
いいねいいね〜。
やっぱり女が一番だな。
814 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/23(月) 08:02:28.45 ID:qZp+e/jSO
乙
815 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟県)
[sage]:2012/01/23(月) 17:47:54.07 ID:5JAarHjR0
乙
816 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/01/23(月) 21:32:42.89 ID:epQ7kqEho
乙でした
短編集は平和でいいな
817 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/24(火) 00:50:31.99 ID:s3wUk+Gao
『子供と大人』
男「狐子はまだまだ子供だよなぁ」
狐子「なんだと!」
男「ムキになると、余計子供っぽいぞ」
狐子「大人ぶるな! お前だってまだまだガキだろうが!」
男「成人はしてるけどな……」
狐子「ならば、どうして私は子供だと言える?」
男「それは……」
狐子「ほら、言えないだろ? はははははは!」
男「ジェットコースターの身長制限?」
狐子「……」
818 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/24(火) 00:52:54.30 ID:s3wUk+Gao
『ハイスペックなやつら』
男「うわーなんだこれ」
女「喫茶店人気店員順位?」
男「女と会長が1位タイ……やっぱりすげえなぁ」
女「みなさん、よく私達のことを知っているのですね」
男「自己紹介なんてしたこともないのにな」(というかこんな企画あったんだな……俺はもちろん圏外)
女「はい」
男「ときに女さん!、人気店員になるにはどうすればいいのでしょう」
女「お客様の顔を覚えて、よく選ぶメニューも覚える……でしょうか?」
男「ええ、それは無理だろう。何十人と来るのに」
会長「む? 当たり前ではないのか?」
男「」
819 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/24(火) 00:53:29.45 ID:s3wUk+Gao
『夢』
牧「撫子は夢とかあるの?」
撫子「お嫁さんです♪」
牧「へえ、撫子らしいね」
撫子「ありがとうございますっ。牧は、なんですか?」
牧「ボクは……なんだろ?」
撫子「今すぐに答えを出すのは、違うと思いますから、決まったら今度教えて下さいね」ニコッ
牧「あはは、そうするね」
牧(……夢、っていうか)
牧(ボクはずっとこうやって過ごしていたいな)
820 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/24(火) 00:54:15.52 ID:s3wUk+Gao
『俺がいる時にかぎって……』
狐子「見ろ、牧!」
牧「あ、スカート?」
狐子「ヒラヒラしたのは性に合わないが、どうだ?」
牧「とっても似合ってると思うよ。いつもの狐子とはずいぶんとイメージが違う感じ」
狐子「牧も穿いてみたらどうだ?」
牧「ぼ、ボク? そ、そんな……恥ずかしいよ」モジモジ
狐子「そんなに照れるな。女が買ってきたんだ。着ないともったいないぞ」
牧「そ、それじゃあ……」
・ ・ ・
牧「ど、どうかな?」
狐子「うむ。なかなか似合ってるな」
牧「……や、やっぱり恥ずかしいなぁ」
狐子「恥じる必要などどこにある?」
牧「で、でもぉ……」
男「ただいま……おっ、可愛いな、二人とも」
狐子「む、男か」
牧「うわわっ!? 男っ!?」
スルッ
牧「きゃっ……」
コテッ
牧「いたた……」
男「!!」
牧「ふえ?」
ペロン
男「……み、見てないぞ! 俺は見てないからな!!」
牧「う、うわぁん......」
狐子「男ぉ……!」
男「なんでいつもこうなるんだ!?」
To be continued!!!
821 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga]:2012/01/24(火) 00:56:29.69 ID:s3wUk+Gao
短編でした。
もうここまで短編やってくると長編を書き始める気分になれないというか、なんというか。
とか言いつつ書こうとは思ってるんですけどね。
>>742
さんの要望にもすこしお答えできればと思っているのですが、なかなか難しくて……。
まあ、できるだけやっていきたいと思います。
ここのところ毎日更新でしたが、これからはまた途切れがちになると思います。
それでは。
822 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/24(火) 21:25:24.34 ID:TYWY56XSO
うらやまけしからん
乙
823 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/01/24(火) 22:29:00.36 ID:IXS7HPedo
乙でした
824 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/25(水) 05:38:45.71 ID:BYFS66sNo
やっと追いついた
この間誤ってタブ閉じて
探してて見つからなかったwwww
やっとこれで読むことができるwwww
乙でした
825 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/01/27(金) 20:46:01.44 ID:Mxdi98iw0
お、いつの間にか昔やってた慣用句か四文字熟語みたいなのやってんだな
826 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/27(金) 20:54:27.32 ID:khoU2oGMo
今閑話休題っぽいところなんだね
827 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
[sage]:2012/01/29(日) 21:10:46.32 ID:Nprj2Utvo
よいな!!!やはりよいな!!テンションが上がったよ私は!!!
828 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/31(火) 00:51:30.15 ID:Tum7lHBDO
さて、ここまででみんなは一体誰が好きなんだい?
829 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga]:2012/01/31(火) 02:31:23.13 ID:MqEllFQxo
女「男さん、この本面白かったです」
男「ああ、もう読んだのか?」
女「はい」
男「いやあ、まさかそんなバトル漫画、女が読むとはなぁ」
女「丁寧な描写、繊細な心理状況に加えて起承転結がしっかりとしていて、とても面白かったです」
男「おお、わかる? この漫画、アニメ化もされてて今めちゃくちゃ熱いんだよねー」
女「冷ましたほうが良いですか?」
男「うーん、この場合は冷めてもらうと困るかな」
男「女としては、どのシーンが良かった? 俺は『この身が朽ちようとも……!』って言って相手に剣を突き出すシーンが好きだね」
830 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga]:2012/01/31(火) 02:31:50.32 ID:MqEllFQxo
女「男さん、違います」
男「え?」
女「正式には『この身が朽ち果てようとも……!』です」
男「あ、ああ。そうだったっけ?」
男「それに、なんと言っても10巻あたりで新しい組織が出てくるじゃん?」
女「12巻の68話ですね」
男「えーっと……そ、そうだっけ?」
女「はい」
男「そいつらがまさか30巻くらいまで引きづることになるとは思ってなかったなー」
女「正式には28巻の123ページですね」
男「……」(女、細かすぎ!)
To be continued!!!
831 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/01/31(火) 02:38:06.14 ID:MqEllFQxo
すでに200レス切ってるとは……恐ろしい。
みなさんに残念なお知らせです。
今年は更新が完全に滞ってしまう可能性が出てきました。
現実世界でのたくさんの私事が重なりに重なり、やむを得ません。
そこで、このSSはこのスレで一時休止という形を取らせていただこうと思っています。
このスレが1000に行くまでは続けるつもりです。
必ず戻ってきますので、ご安心ください。
スレタイは多分、005になって、戻ってきます。
私事を優先してしまい、本当にごめんなさい。お知らせでした。
追伸
ツイッターにて、自分の動向などは呟いて行くつもりです。よろしければご閲覧ください。
それでは。
832 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2012/01/31(火) 12:01:39.13 ID:cOfKTDNzo
ツイッターわからんち
833 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/31(火) 12:51:43.53 ID:74vVTY36o
>>832
ググれば出てくる
アカウント持ってないから
どうすることもないが
楽しみに待ってる
834 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/04(土) 00:13:47.62 ID:mxNqfSHM0
未来で待ってる
835 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
[sage]:2012/02/05(日) 16:13:48.21 ID:6vXfun0/0
久しぶりに来た
乙、まってるよ
836 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/02/05(日) 18:33:29.89 ID:YyG09YBQo
乙でした
気長に待ってるよ〜
837 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/02/05(日) 23:11:26.86 ID:BBQa6Muco
狐子「むむ……」
男「ん、どうしたよ?」
狐子「ついに新シリーズの幕開けだ」
男「ああ、日曜朝か」
狐子「それにしても、大分様変わりしたな」
男「あ、今回は5人なのか」
狐子「多すぎる」
男「まあ4、5年前もそうだったんだし、いいんじゃないか?」
838 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/02/05(日) 23:17:02.13 ID:BBQa6Muco
狐子「む、なんで知ってるんだ?」
男「お前にせがまれて一緒にオールスター観に行っただろ」
男「お前が教えてくれたじゃねえか、その時殊更に」
狐子「オールスターズだ」
男「え?」
狐子「オールスターではない、オールスターズだ」
男「なるほど……でもまあ、この前のが最後だったんだろ?」
狐子「新しく生まれ変わる。今年もやるぞ」
男「へ」
狐子「また行くからな!」
男「ま、まじかよ……」
To be continued!!!
839 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/02/05(日) 23:19:55.89 ID:BBQa6Muco
とりあえず、長編までの繋ぎというわけで。
ついに始まりました、スマイルプリキュア。
前々作と展開が似通ってはいましたが、スタートとしては申し分ない出来。
今年も一年、忘れず観たいと思います。
いつもおねむな狐子も日曜は早起きしてちゃんと観てますし、ね。
それでは。
840 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/06(月) 01:11:28.79 ID:OdI7M8wvo
プリキュアは熱いよね
女の子が見る番組じゃない
841 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/02/06(月) 23:49:43.56 ID:rTxHPN7to
零
どうやら俺は、また女性恐怖症を再発させてしまったのかもしれない。
女性を見るだけで、気分が悪くなり、できるなら見たくない。
一方的な俺の嫌悪で女性を敬遠するのは良くないとわかっているのだが、簡単な話ではない。
簡単に解決しているなら、この物語は始まらない。
この話は、道理に逸れている。
それだけはもっとも明確で、隠し切れない真実だ。
俺を罪人という人もいるだろう。
それも潔白で、嘘などない。
汚れた出来事。
俺だって、忘れられるなら忘れたい。
でも。
忘れることなんてできない、実を言えば、本心では忘れたくない。
俺が立ち直ることができたのは、その存在あってのことだったから。
その存在がなければ俺は前を、正面を向くことすらできなかっただろう。
無理矢理向いていれば、違う方向を向いていたかもしれない。
後ろ向きな発想が付きまとって、俺を離さなかったかもしれない。
それほどに悩んでいた。苦悩の日々だった。苦痛の毎日だった。
彼女に会えて、今は嬉しく思う。
どんなに最低で最悪で劣悪で非合理で非道徳な話であっても。
俺が再起できたのは、彼女のおかげなのだから。
842 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/02/06(月) 23:50:44.66 ID:rTxHPN7to
俺はどうしても働くことができずにいた。
大学ニートは、俺のあるべき大学生ランキングの中で一番地位が低いものだ。
何かに熱中している人はまだいい。サークルに尽力しているなら、大学ニートではない。
今現在進行形で、自分がなっている。なんともやりきれない気持ちだ。
バイトもせず、サークルに打ち込まず、ただただ何もせずに路頭に彷徨っていた。
それには、大きな理由がある。
俺は女性が苦手である。
高校生の頃、一度は克服したはずなのに、また、その症状は俺に牙を剥いた。
女性を感知しただけで体に寒気が走り、その場から逃げ出したくなる自分がいる。
女性関係で問題がなければ、ここまで拒絶することはないんだけれど。
俺には心当たりがありすぎた。
こんなことを自分で言うのはどうかと思うが、俺はどうやらありえないほどに顔立ちが良いらしい。
出会う女性は、俺を見ると顔を火照らせ、突き刺すような視線を浴びせてくる。
この後、猛烈アタックをしかけてくるのだが、それが辛くて仕方がない。
悩み事なのだが、人に相談すると必ず返ってくる言葉がある。
『羨ましい』。
843 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/02/06(月) 23:59:13.43 ID:rTxHPN7to
まあ、きっとそうなのだろう。
世間一般で言う、『モテる』という意味でもあるから。
しかし、度が過ぎると、色々と参ってしまう。
世の中なんでもほどほどが良い。痛感する。
程度は過度よりも程々がよい。
態度は過度よりも程々がよい。
調子だって、良い日があれば必ず悪い日もある。
なにごともバランスよくなくちゃいけない。
そうして世界は保たれている。
自慢でも、なんでもないのに。
羨ましいと思うのは、虫がよすぎる。
さて、どうするか。
求人のチラシを何枚かコンビニ等から手に入れて、それを見る。
大学生にもなると流石にどんなバイトでもできる。
接客業をよく勧められるが、それはできそうもない。
高校の時と同じように女性に触れることができなくなっていた。
会話をしていると体が震えて息苦しくなる。
池面「はぁ」
溜息を軽く吐いた。
俺こと池面は、絶賛大学ニートである。
844 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/02/07(火) 00:00:20.62 ID:yadBC/NCo
池面「大体、接客業多すぎるだろ。なんで広告の半分以上が接客業なんだよ」
まあ、何も免許がなくてもできるけれど、今の俺には相当きつい仕事である。
こうなりゃなにか一つ免許を取って、人と接しない仕事でもするか。
でも、さっさと取れなきゃ困る。それで二、三ヶ月取られちゃ元も子もない。
俺はすぐにでもこの位置から脱したかった。大学ニートという位置から。
池面「できなくてもいいから、接客のバイトするか……コンビニとかならまだテーブル越しだし」
弱気だった。
最近の俺は恐ろしいほど貧弱で、脆弱で、虚弱だった。
まあ。
多分、今回もダメなんだな、と。
弱気な自分がいる。
上手くいっている自分を想像できないでいる。
不安に駆られて、体が硬くなってる。
池面「はぁ〜……」
まだ面接も、仕事をしたわけでもないのに、心配だ。
実際、面接に受からないとダメなわけだけど、面接は落ちたことがなかった。
だからそのことに関しては気にすることはない。
池面「とりあえず、アパートから近いのを虱潰しに探すか」
続けられないなら、それまでと思えば、なんとなく気分が軽くなる。
それが自分を甘やかしてることだと、わかってはいるけど。
池面「……ん?」
散歩をしつつチラシを見ていたら、懐かしい場所に着いた。
845 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/02/07(火) 00:01:37.99 ID:yadBC/NCo
小学生の頃よく遊んだ空き地。
池面「あはは、懐かしいな、ここ」
昔見た時より小さく感じるその場所に、俺は自分の成長を感じた。
十年以上前のこと――か。
まさかまだ残ってるとは思っていなかったので、俺はすこし寄ることにした。
本当に、そのままだ。
茂った雑草も、寂れたベンチ(?)のような座れる場所も。
何一つ遊具のない、だだっ広い空き地だった。
漫画で見るような土管もある。
池面「よく、この中に入ったっけ」
懐かしがりながら、土管の中を覗いてみる。
すると、
池面「!?」
?「むむ、まさか私の気迫で人を呼んでしまったか。参ったな、私にはそのような力があるとは自分では思ってもいないし、そのようなことは起きるはずもないと思っている、か弱き一人間に過ぎないのだが」
中には白装束を着たとても小さな、女の子がいた。
?「ここで会ったのも何かの縁だ。むむ、この空き地に目をつけたということは、私と縁があったと言うより、この場所、つまりこの空間――個所に縁があると考えるのが妥当か」
女の子、童女、幼女。
まごうことなき、とても幼い子どもがそこにいた。
To be continued!!!
846 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga]:2012/02/07(火) 00:03:40.05 ID:yadBC/NCo
池面長編です。もちろん続きます。
第二の主人公である池面のお話も、そろそろしておかなければならない時期になったような気がするので。
思い切ってやることにしました。アンドロイドからまた遠く離れてしまいますが……。
それではまた来ます。それでは。
847 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2012/02/07(火) 00:23:45.17 ID:CFaxpFlAO
乙
848 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/02/07(火) 00:55:40.17 ID:1nf+9jFno
乙でした
そしてまさかの池面メインの話
849 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/07(火) 04:01:16.98 ID:ISc6ryyWo
男の過去回かと思ったら
池面回でした
池面も心に傷を負った人なのね
850 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)
[sage]:2012/02/07(火) 12:43:15.15 ID:by8QCiipo
乙
池面主人公だったのか
期待してる
851 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/02/07(火) 13:12:51.76 ID:rJ5cew/O0
まさかの池面回か
あんまりアンドロイド達出さないと撫子貰ってっちゃうぞ?
852 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/07(火) 21:45:40.38 ID:XtzH6ATDO
わりと昔にちょろっと言ったこととかが伏線になってたりするのな
何回か読み直すのをおすすめする
そして撫子は渡さん
853 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/07(火) 23:57:26.68 ID:8yIrLIVwo
シラミって漢字おもしろいな 虱
854 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/02/08(水) 18:32:55.32 ID:FsFZ7TF30
狐子は貰っとく
855 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/11(土) 20:17:25.73 ID:HwGdH3tSO
>>854
やらねーよ?
856 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)
[sage]:2012/02/11(土) 20:32:41.81 ID:lrKozpamo
狐子?俺の横でうどん食べてるけど
857 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/11(土) 21:08:41.78 ID:7Jyxhx4DO
残念それは虎子だ
858 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga]:2012/02/12(日) 00:35:32.71 ID:VOzh/hcSo
夜分遅くに失礼します。
VIPにて
妹「素股なら、いいよ?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328884364/
というエロSSを立ててました。
こちらの更新もろくにしないで、もうしわけありませんでした。
それでは。
859 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/12(日) 01:16:01.93 ID:vpZm694SO
見ようと思ったら既に終わっていた
何をry
860 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/02/12(日) 03:11:04.82 ID:l1g/Rf3Jo
あなただったか!素晴らしかったよ!
861 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/12(日) 04:56:25.86 ID:yLIfC3Mbo
>>858
見てたわ
お前さんだったのかwww
862 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)
:2012/02/12(日) 11:06:12.73 ID:5PLE0iLBo
あんただったのか
863 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)
[sage]:2012/02/12(日) 11:07:05.11 ID:5PLE0iLBo
すまんageてしまった
864 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/14(火) 01:02:13.65 ID:NUJQ/mqNo
vipとか中学生チャット状態だから見てなかった...
865 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/02/20(月) 00:22:51.06 ID:MrB3y/H3o
壱
池面「えーっと、君の名前は?」
?「名前、か。些細なことを気にするのだな、君は。しかし、このまま名前を知らぬままだと会話がしづらいことだけは確かだ。よし、お教えしよう」
コホン、と咳払いをして、
?「私の名前は童。見るからに君のほうが年上――当たり前のように私のことは呼び捨てでもすればいい。しなくても結構だが、年下である私が君より劣っているということではないからあしからず」
若干偉そうに腕を組んで、その少女は答えた。
池面「了解、えっと、童ちゃん?」
童「うむ、『ちゃん』付けはなかなか好感が持てる。初対面の相手にいきなり呼び捨てはすこし無礼な行為だからな。君はよくわかっている。無礼な奴は嫌いだが、礼儀をわきまえた者は歓迎だ」
歓迎された、らしい。
池面「褒めてくれてありがとう。……童ちゃんは、家はこのへんなのかい?」
童「不躾な質問だな。答えることはやぶさかではないのだが、それを聞いたところで私と君に相互になにか利益などはあるのだろうか。素性を明かさねばならない理由は、あるのか」
池面「教えてくれると、俺は安心するかな」
傍から見たら、俺は怪しい男になるので、できればどこに住んでいるのかを知りたかった。
暗くなったら家まで送らなければならない、それくらいに童ちゃんは幼かった。
童「空き地で遊んでいた少女A、そう思ってくれればいい。それ以上に語る必要はない、家は近いからな」
池面「そっか、それは良かった」
そんなに良くないけど。
家が近いことしかわからなかったけど。
俺の立ち位置は結局怪しい男のままなんだけど、どうしようかな。
866 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/02/20(月) 00:24:12.30 ID:MrB3y/H3o
だけど、まあ。
ふう。
いきなり土管の中から、少女が現れたら、誰でもビックリするものだけれど。
俺はなぜか、まったく驚いていなかった。
むしろ、安心した。
このような空き地を、まだ使う子どもがいるということに、ホッとした。
でも、『女の子』なんだよな。俺の苦手な対象に位置するものだ。
童「それで、君が何故ここに来たのか、理由を聞こうか。話のネタが少々尽きかけているのでね、提供してくれないだろうか」
彼女はまったく、人見知りもせず、機械的だった。
というか、話の運びが上手かった。なんだか、尊敬できる。
池面「別に、理由はないんだけどね」
俺は周りを素早く見渡した。雑草が青々と茂っている。
池面「ここで子どもの頃、よく遊んだから、久しぶりに顔を出してみたんだ」
土管に顔を出してみたら、そこに童ちゃんがいたわけで。
童「やはりそうか。この場所もとても懐かしがっているのがわかる。君のことを覚えていたようだ、嘘ではないようだな」
867 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/02/20(月) 00:24:38.79 ID:MrB3y/H3o
池面「え?」
童「そのままの意味だ。この場所、この空間で君が過ごしたことがわかる。とてもとても長い間、君はここで過ごしたのだろう?」
本当に子どもの頃のことで、俺でもはっきり覚えていないことだけれど。
彼女はとても優しく微笑んで、土管を撫でた。
童「ふむ……女性はあまり好きではないようだな。それはまさか異性を好意的に見れず、同性を愛する部類の」
池面「ち、違うよ。苦手なだけ。好きとか嫌いとかじゃなくて」
そうか、と童ちゃんは小さく頷いた。
それよりもなによりも、どうして童ちゃんは俺が苦手だって、わかるんだ?
童「ならば、私は女性として、君に見られていないと考えるのが妥当だな。悲しいが仕方ない。そうでなければ今頃拒絶反応を起こして倒れているかも」
池面「そこまでの症状には至ってないよ。……それでも、童ちゃんでも、やっぱりすこし怖いよ」
自分自身の体のはずが、勝手に手が震えているのがわかった。どうやら、大分無理をしていたようだ。
まさか、こんな小さな女の子にすら、俺は拒否反応を出してしまうとは。
童「怖い? 怖い……か。ふむ、なるほど興味深い感想を抱くのだな、君は。面白いじゃないか」
口の端を歪ませて、童ちゃんはすこし、笑った。
多分、笑ったんだと思うんだけど、どうだろう。
868 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/02/20(月) 00:26:06.96 ID:MrB3y/H3o
童「ならば、試してみよう。君が本当に痩せ我慢をしているのか、どうかをね。大丈夫だ、度を越すようなことはしないから、安心したまえ。もしもそれで君に何かが起きても、責任は私にあって、君にはない。私の過失で、君はその被害を被った、いわゆる被害者だ」
童ちゃんは、いちいち言葉数が多かった。幼い容姿からはうかがえないほどに多言かつ多弁だ。
というか、年齢的には絶対にこんなに喋れるのは不思議だ。いくつか知らないけど。
それにしても、試すって……。
池面「!」
童ちゃんの手がゆっくりと俺の太ももに伸びていた。
池面「ちょ、童ちゃん!?」
童「大丈夫、きっと上手くいく、君は考えすぎているだけだ。だから何か意識的に神経を尖らせているだけで、その意識下に自分を置き続けているからいけないんだ」
池面「で、でも!」
そーっと近づいてくる柔らかそうな小さな手に俺は体が凍ったようにそこから動けなかった。
いや、
逃げればよかった。童ちゃんから離れればよかった。
でも、それができなかったのは、どうしてだろう。
そして、
どうして、彼女の言葉が俺の頭の困惑を、断ち切ったのだろう。
869 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/02/20(月) 00:26:33.22 ID:MrB3y/H3o
童「ほら、大丈夫だ」
そんなことを考えているうちに、童ちゃんの手は、俺の太ももに触れていた。
そして、俺の方に上目遣いで様子を伺っていた。
童「ふふ、どうやらなんとかなったようだ。君は自分の意識下に囚われて、一種のトラウマ――心的外傷によってその症状を作り上げていたんだ」
池面「トラウマ」
童「過去に君が、『女性が怖い』という気持ちを、心のどこかに置いていたことで起きたのさ。なにか、そのように自分の過去に何か、心的外傷を被ったことはあるのかな?」
女性が怖い……ね。
……どうしよう、心当たりがありすぎて。
童「うむ、あるようだな……。君がなぜ女性を怖がっているのかはわからないが、大分苦労をしたように見える」
辛かったな、と。
俺の頭をゆっくりと撫でた。
なんだか、気持ちが落ち着く。全てに解放されたような、そんな心地にさせられた。
童「うむ、自分より歳が下のものに頭を撫でられるのは、少々苦痛だな。これくらいでやめておこう。悪かった」
池面「いや、ありがとう」
気分が凄く良くなった気がする。
870 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/02/20(月) 00:27:32.90 ID:MrB3y/H3o
池面「体の震えが止まったし、なんか、気分がイイよ」
童「そうか、それは良かった。もしも君の気分を害していたらと思うと、私はこの先君のことを考えずに生きることはおよそ不可能になるであろうくらいに不安だった」
多分それは嘘だろうけど、彼女は少し口を歪ませた。
決して笑ってるとは言えない、微妙な顔。
池面「よし、何かして遊ぼうか? 空き地にいるんだし、ここで遊ばない手はないし」
童「遊ぶ、か。私のような子どもと戯れてくれる心優しい大人もいるのだな、よし、遊ぼう。この服では少々動くのは手間だが」
池面「そういえば、なんでそんな服を着てるの? 巫女みたいな」
童「それはな、話せば長くなるのだが、まあ、隠すようなことでもないし、端的に言えばすぐに答えに行き着くものではある」
童ちゃんはくるりと一回転して、
童「まあ、今は、秘密だ」
無表情に片目を閉じて、人差し指を唇の前にもっていった。
871 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga]:2012/02/20(月) 00:28:58.23 ID:MrB3y/H3o
区切り。
新キャラ童ちゃんです。
そろそろ年齢の低い子を出そう。なんだったら、文章が読みづらいくらい長文を言いまくる子にしよう!
というわけで生まれてきました。
今回はこの子が活躍します。多分。
それでは。
872 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/20(月) 01:01:58.72 ID:L1Qt3xWDO
わらべちゃん?
わっぱちゃん?
どうちゃん?…はないか
873 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/02/20(月) 01:15:59.99 ID:kTV9pAUlo
乙でした
ついに池面にもパートナーが付くのか
874 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2012/02/20(月) 01:18:52.07 ID:eXDi8lnIo
乙かれ
好みのキャラだ
今後に期待
875 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/22(水) 19:00:29.24 ID:ZGREGAdpo
わらし だと思った
お疲れ様
876 :
◆p79mT8Wu64Nk
[sage]:2012/02/29(水) 16:22:37.59 ID:zcigrLwDO
携帯から失礼します。
私情で、更新が大いに遅れています、申し訳ありません。
書き溜めに移行してから、大分更新速度に難がでてきましたが、もうすぐまた投下できると思います。
待ってくださっている人には本当に申し訳ないです。
生存報告でした。
877 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/29(水) 17:07:23.48 ID:qnmO3ANjo
待ってる。頑張れ。
878 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/29(水) 19:51:22.34 ID:bzP8OLIxo
もちろん待っているさ
お前があきらめない限りな
879 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/03/03(土) 22:43:20.23 ID:w6r30F//o
待ってる間にきつねうどん食おう
880 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
:2012/03/05(月) 04:48:50.42 ID:9CHkvfUg0
待ってるぜ!
881 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/05(月) 04:55:18.43 ID:ESW0jiFho
更新が来たかと思った
882 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/03/17(土) 23:52:22.12 ID:JzYzKGjzo
弐
池面「はあ」
俺はとぼとぼと歩きながら、今さっき起きたことを思い出す。
正直、思い出したくないけど。
それでも、一生懸命思い出す。
今後、その反省を活かさなければならないから。
・ ・ ・
池面「えっと……もう一度仰ってくれませんか?」
「不採用」
池面「は、はい……」
「別に君の力を信じてないわけじゃない。たくさんのところで仕事をしているから、相当に腕が立つんだろう」
池面「な、なら……」
「でもね、君、バイトを転々としているのって、あまりよくないことなんだよ」
池面「へ?」
「持続性がない、ってのは、最近の若い子の特徴でもあるから」
池面「は、はあ」
「まあ、今回は運が悪かったね」
池面「はは……」
・ ・ ・
883 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/03/17(土) 23:54:02.93 ID:JzYzKGjzo
池面「これからどうすればいいんだ……」
別に、暮らしに関して言えば、母親が少しばかり送ってくれる仕送りがあるのだが。
できれば、あまり使いたくない。
というか、使わずに今でも残している。
大学の授業料を払ってもらっているだけでも、感謝してもしきれないから。
池面「……あれ?」
気がつけば。
俺はまた、空き地に来ていた。
池面「……」
別に、期待はしていない。
だけど、もしかしたら。
いるかもしれない。
昨日、ここで出会い、日が暮れるまで遊んだ童女が。
池面「童ちゃーん?」
土管の中を覗くと、向こうの風景が見えた。
何もない、誰もいない。
池面「いない、か」
「誰を探しているかわからないが、君の探しているのがもしも私なのであれば、それはそれはまた大きな探し物だな、いや、探し者か?」
後ろからの声に振り向くと。
童「池面氏、昨日ぶりだな。今日は昨日よりも機嫌の悪い顔をしているな。どれ、土管の上で話を聞いてやろう。土管は私たちの語り場だ。もはや憩いの場といっていい」
いつも通り、口数の多い童ちゃんがそこにいた。
884 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/03/17(土) 23:56:32.36 ID:JzYzKGjzo
・ ・ ・
童「ふむ、面接か。初対面の相手に自分のことを紹介し、あくまでの仮定のイメージを植えつけて、良い人材を選りすぐることだな」
池面「なかなか棘のある言い方だね」
童「勘違いはしないで欲しい。決して君が良い人材ではない、と言ったのではないのだ。もしも気分を損なってしまったのなら謝ろう」
池面「大丈夫だよ、気にしないで」
童「それで、どうして不採用だったのか、理由はあるのか? 頭ごなしにダメだと言われたわけではないと思うけれど。君ほどにコミュニケーション能力もあれば、接客業もそつなくこなせる気がするのだが」
池面「コミュニケーション能力があればなんとかなるかはわからないけど、あえて言うなら、色んな職業を転々としちゃってること、かな」
童「ふむ……それは、いけないことなのだろうか? 私にはわからないのだが。経験豊富で、むしろ好感を持たれると思うが」
池面「それがそうもいかなくてさ。『すぐに仕事をやめるのは、持続性がないから』って言われちゃって」
池面「『最近の若い子の特徴』って……なんか、すっごく悲しいこと言われちゃってさ」
童「若い子……か。ふむ、君が若い子ならば、私はどうなるのだろうな。若すぎて、むしろ生まれたてとでも表現されるのだろうか。それとも、私も君と同じカテゴリ内に入るから、君と対等に若い子、になるのかな」
池面「童ちゃんは、子どもだよ」
童「……ふむ」
池面「?」
童ちゃんが、静かに頷いた。
珍しい。
池面「どうしたの?」
童「いや、正直に『子ども』と言われてしまうと、案外傷つくものなのだなと、今自分の感情の変化に驚かされているところだ」
885 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/03/18(日) 00:02:13.45 ID:u12s3Mqyo
池面「あ、ごめん」
童「いや、いいのだ。自分でも『子ども』だと自覚しているはずなのに、すこしだけなぜか、自分が大人のように思っていた。思い上がりも甚だしいことだ」
童ちゃんは無表情ながら、首をぐったりと落とした。
相当なダメージを受けたみたいだ。
池面「でも、童ちゃんは『子ども』にしても、頭のキレた、凄い子だと思うよ。言ってることも頭良いし」
童「フォローをありがとう。しかし、年齢というのは一年に一度しか増えないものなのだ。運命には抗えない。決してね」
池面「なんか、かっこいいな」
童「そんなことはない。至極当たり前のことを、言っただけだよ。どんなに私が頑張ったところで、一朝一夕でどうにかなるものは存在しないからな。池面氏に追いつこうと思っても、その気持ちだけが先行するだけで、私自身が望む形になっていくことはないんだから」
池面「……」
なかなか、深いことを言うなあ。
平日、白昼堂々と俺は、小さな女の子と空き地の土管の上でお話しているわけだが。
なぜか、本当にそんな気はしなかった。
俺が話してきた女性の中で彼女は、知的な女の子、いや、女性に思える。
まるで、会長のような。
そんな雰囲気が漂っている。
いや、実際違うんだけど。
多分カテゴリだと同じ。
だから、同じ……なのか。
886 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/03/18(日) 00:04:54.82 ID:u12s3Mqyo
池面「そういえば、昨日童ちゃんはどうして俺が女の人が苦手だってわかったの? 俺、何も言ってなかったのに」
童「ふむ、そのことについて、語らなければならなくなったか。まあ、別に隠そうとも思っていなかったので、言及された時に答えようと考えていた。それはだな」
一度切って、童ちゃんはわざとらしく咳払いをした。小さな女の子がやると、随分と可愛らしい。
童「この場で、君がたくさんの時を過ごした。そして、またこの場所に浮かない顔をして、やってきたから、君はまだ子どもの頃のそのトラウマを克服していないのではないかと思ったのだ」
池面「いや、そうじゃなくて」
童「?」
童ちゃんは不思議そうに首を傾げた。唇はキュッと締まってはいたが、顔はいつもどおり筋肉一つ動かない。
池面「あの、どうして俺が子どもの頃から女の子が苦手って……というか、なんで俺の子供の頃を、童ちゃんが知ってるの?」
童「うむ、それをどう説明すれば、君が確信を持って頷いてくれるか、私にはわからないが……私自身、君のことは何も知らないぞ」
池面「え?」
童「私自身ではなく、この場所、いわゆる『空き地』が、君がここにいた記憶を持っていたから、私はわかるだけだ。私はただ、この場所に『聞いた』だけだ」
俺がここにいた記憶?
空き地は、人ではない。場所であって、口を開くことはない。話すことはない。
口を開くって言葉を使う時点で、擬人法であって、決してありえることじゃない。
池面「それは、えっと……つまり、どういうこと?」
童「表現しづらいのだが……わかりやすく言うと、友達感覚でお話して聞き入れた情報だ、ということだ。君とこの場所は子どもの頃についてだけ言えば、親友に近いからな」
池面「……」
さっぱり意味がわからない。
887 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/03/18(日) 00:11:24.39 ID:u12s3Mqyo
彼女はつまり、空き地を人のように扱っているけれど。
空き地は場所であって、空間であって、地上なのだから。
童「あまり、理解はできなかったようだな。謝ろう。私の説明では、到底把握できないと思う。申し訳ない限りだ。これでも出来るだけ解説してみたのだが、やはり難しかった。いや、池面氏が悪いのではない、私の釈義がつたなかったのが悪いんだ」
池面「いや、そんなに自分を責めないでよ。とりあえず、教えてくれてありがとう」
池面「つまりは……童ちゃんは、この空き地のことをよく知っているってことかな?」
童「そうだな。誰よりも、と言われるとそうではないかもしれないが、基本的にはこの場所のことなら私に聞けば、なんでも答えるぞ。だが、私が知っているのではなく、あくまでこの場所の代弁をするだけだがな」
池面「そっか」
不思議な彼女には、どうやらまだまだ秘密が多いらしい。
この世の中、自分が起きると思っていること以上のことは発生しないと思うけれど。
童ちゃんは俺の想像を超えてくれる気がした。
童「話を戻すけれど」
童ちゃんは土管から離れて、空き地の中心まで歩いていった。
童「君はもうすこし自信を持ったほうが良い。相手はその持続性がない分を、どう埋め合わせるかを期待しているはずだ。積極的に発言をして、熱意を見せてみてはどうだろう。君は子どもの頃、リーダーシップを取っていた、正義感に満ち溢れていたそうじゃないか」
池面「そうか……ありがとう」
まるで誰かに聞いたことを言っているかのように、童ちゃんは言う。
白装束をたなびかせて、童ちゃんは回り始めた。
一見、無邪気な子どもなのだが、表情は硬い。
888 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/03/18(日) 00:14:21.11 ID:u12s3Mqyo
池面「そうだ、童ちゃんが大丈夫なら、なにかご馳走するよ」
童「私のような若輩者に施しを与えてくれるということは、相当な余裕を手に入れたようだな。安心した。しかし、私は残念ながら君にご馳走を頂けるような手柄はないと思うのだが」
池面「そんなことないよ。なんだか、童ちゃんの言葉って、不思議と納得できちゃうっていうか、なんか変に構えずに聞けて良いんだよ」
池面「気楽に話せる人って、久しぶりかも」
童「……考えてみれば、長い間女性恐怖症だったのだから、無理もないか。ふむ、私のような者で良いのなら、いつでも話相手になってやってもいいぞ」
池面「ありがとう。まあ、一時期は女性恐怖症もなかったんだけどね」
童「む、そうなのか。てっきり生まれてこの方、のように思っていたが、実はそうではないのだな。でも、それはそれで安堵した」
池面「それで、さっきの話なんだけど。甘い物は好き?」
童「和菓子は大好物だ。洋菓子はすこし苦手だな、色合いが明るくて、私には合わない。生クリームはとても苦手だ」
合わないとかいいつつ、白装束を着ている童ちゃんが言えることなのだろうか。
池面「和菓子かぁ。確か近くに和菓子専門店あったかな。それじゃあ行こうよ」
童「む?」
池面「どうしたの?」
童「ここから出るのか?」
池面「そうだけれど、どうかしたの?」
珍しく、童ちゃんが言葉を短く切った。
889 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga sage]:2012/03/18(日) 00:16:41.07 ID:u12s3Mqyo
童「それは……えっと……その……しかし……ふむ……だが……む、難しい」
池面「あ……そっか。い、いやいや! 童ちゃんがダメならいいんだよ。別に。無理はさせるつもりはないから」
童「ふむ、申し訳ない。私は行動範囲が決まっているから、あまり動くことができないのだ。しかし、和菓子食べたかったな。羊羹とか羊羹とか羊羹とか」
池面「羊羹だったら、今度買ってくるよ。食べること自体は大丈夫なの?」
童「ふむ。食べ過ぎは乙女として良くないと考えているから、必要以上の甘味は、私事ではあるが控えさせてもらおうと思う」
池面「了解。それと、本当にありがとう」
池面「また、頑張って面接受けてみるよ。こんなところで悩んでたら本番もダメだろうしね」
俺はゆっくりと土管から立ち上がった。
童「そうか、頑張ってくれ。応援している。例え君がどんなに荒んだとしても、私はいつでも君の味方だ。君が私を忘れなければ、な」
童ちゃんは俺が立ち上がったと同時に、土管に座った。
池面「それじゃあ、今日は帰るよ。童ちゃんも遅くなる前に帰るようにね」
小さく頷いて、童ちゃんは俺を見つめた。
童「行ってらっしゃい」
そう言って、軽く手を振った。
890 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga]:2012/03/18(日) 00:18:09.13 ID:u12s3Mqyo
区切りです。
遅くなって、本当に申し訳ありませんでした。
色々とあったりで、本当に長い間書くことができませんでした。というか、時間が割けませんでした。
アイマスとかやっててすいません。反省してます。
というわけで、次回か次々回あたりで完結の運びです。
それでは。
891 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/03/18(日) 00:33:00.00 ID:ihN0WtC3o
乙でした。童ちゃんは良いキャラしてて好きだ
ちなみにアイマスだと貴音さんが好きです
892 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/18(日) 00:40:03.56 ID:XtrQP7tqo
乙乙!!
893 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/18(日) 02:52:10.45 ID:97gRmhuVo
白装束・・・
894 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)
[sage]:2012/03/18(日) 14:25:17.05 ID:3DMyPLkgo
乙
俺は響が好きです
895 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/18(日) 19:46:31.10 ID:4imm2ptzo
乙
童のCVが真綾忍で再生された
896 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/22(木) 07:50:04.29 ID:/I2yh5+30
>>895
お前のせいで…
897 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/27(火) 00:48:12.60 ID:Nq1dprzDO
どんなのっぴきならねぇ理由かと思ったら
>>1
ェ・・・・
アイマスじゃ仕方ないな
898 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/27(火) 06:33:16.38 ID:TcqOvaOZo
…なんだアイマスか…
てっきり新生活に向けて忙しいんだと…
いやいいんだ…潤いが大切だもんな…
899 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
:2012/03/28(水) 22:36:14.40 ID:hQKlNqYp0
乙
座敷わらしってあたりの立ち位置なんかねぇ
900 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/04/01(日) 07:42:53.55 ID:KHF0jUiY0
900
901 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2012/04/01(日) 22:21:47.17 ID:fhDiBiHko
童かわええ
902 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/07(土) 23:51:13.68 ID:J0D9AuyD0
やっと追い付いたー
903 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga]:2012/04/17(火) 01:25:28.54 ID:e57Mp0TAo
非常に申し訳ありません。
更新から一ヶ月が過ぎてしまいましたが、私は元気です。
ただ、今年に入って本当にSSに時間を割くことができず、チンタラと生きております。
次回、次々回で池面回終了と書いたのにもかかわらず、まず投下が来ないという始末。
ごめんなさい。そして、もうしばらくお待ちを。
904 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/17(火) 07:25:01.46 ID:1QZbIK4DO
生存報告乙
気長に待っているから慌てずにね
905 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/19(木) 06:03:37.31 ID:8J8ZnKaao
同じく気長に待ってる
たまに保守しとくわ
906 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/04/25(水) 20:02:33.31 ID:3R+Wpnyq0
保守
907 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 02:53:07.71 ID:30nBpkIdo
參
童ちゃんにこの前会った日から、すこし時間が空いてのこと。
俺はその後、面接に受かった。
とりあえず、面接官は女性だったが、症状は出なかった(少し身構えたが)。
この前の童ちゃんの件以来、女性を恐れることはなくなった。
今は随分と気分が良い。色々と、重荷がなくなった感じ。
池面「……それで、だ」
五日間バリバリ働いた、最終日。
久しぶりに働いて汗を流すのはとても清々しかったが、一番嬉しかったのは。
女性にちゃんとした対応ができたことだった。無理矢理なアタックも、難なく逃げ切れた。
どうやらコンビニもいつもより繁盛したらしく、良かった良かった。
池面「……どうしようかな」
労働から解放されたのは良いのだが、まだ給料は入っていない。
買いたいものがあるわけでもないし、したいこともない。
何もいい案が浮かばない。
908 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 02:53:39.43 ID:30nBpkIdo
池面「家に直行……つってもなぁ」
それではなんだか、時間を持て余しそうだ。
だからと言って、古本屋に入り浸るのもどうかと思うし。
暇だから古本屋って考えもどうかと思うが……。
池面「そうだ」
久しぶりに、空き地に顔を出そう。
文章的にはそんなに長い間行っていないようには見えないけれど、大分時間が空いている。
ざっと、二週間くらい。
池面「まあ、行ったところで童ちゃんがいるかどうかは、わからないけれど」
それでも、まあ。
行くことに問題はないし。どうせ暇だし。
そうして俺は足を空き地の方角に向けて歩き始めた。
正直に言うと、童ちゃんにお礼を言いたいという気持ちがあった。
彼女のおかげで恐怖症は消え去ったと言っていい。とても感謝している。
池面「あ、そうだそうだ」
クルリと方向を変えて、俺は寄り道をすることにした。
池面「まだ残ってるかなぁ……」
俺は空き地と逆方向に、ゆっくりと歩き始めた。
909 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 02:54:14.73 ID:30nBpkIdo
四
運が良く、なんとか手に入れることができた。
童ちゃんは喜んでくれるだろうか。
きっと喜んでくれたとしても、無表情だろうけれど。
すこしくらいは表に出して欲しいな。
そんな気持ちで歩いていると、すぐに空き地前に着いてしまった。
なんだか、いつもより早く着いた気がする。
それほどスピードを出していたわけではないと思うけれど。
空き地は変わっていない。
ここから土管が見えるけれど、童ちゃんはいない。
というか、知らぬ間にいるのが童ちゃんだから、今確認できなくても大丈夫。
恐ろしく神出鬼没の童女。
そして、恐ろしく華奢で可愛い。そしてそして――
……こんなことを言うと、少し犯罪めいたにおいがするので、これ以上の言及は避けておこう。
池面「さて」
童ちゃんがいるかどうかがわかる方法は、土管の中を見るまでわからない。
中を見た瞬間に現れていることがあり、不気味ながら安心の出現率だった。
空き地にゆっくりを足を入れる。何故か、今日はそんなとりとめのないことを気にした。
「む、池面ではないか」
910 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 02:54:44.65 ID:30nBpkIdo
池面「ん?」
会長「久し振りだな」
そこには、俺の初恋の相手にして、初失恋の相手の、会長だった。
いつも通り高校の制服。大学に入ってから、大分素敵になった彼女なのだが、それでも制服が似合っている。
会長「空き地に、なにか用でもあるのか?」
池面「いや、別にないんだけれど」
会長「ふむ、あるようだな」
池面「いきなり見抜くなよ……」
会長「なにがだ?」
俺の服装を下から上へとなめるように見て、会長はポツリと、
会長「うむ、ここで人と会う、と言った感じか」
池面「……なんでそこまで服見てわかるんだよ」
会長「仕草、状況、服装の選択……それでなんとなくわかるものだと思うが?」
普通の人間じゃそんなことを見抜けるわけがない。というか、それはお前にしかできないと思うんだが。
しかも俺、バイト終わりだぞ。服装では流石に無理があると思う。
会長「それにしても、こんな空き地で人と会う、か。珍しいな」
池面「まあ、この歳になると空き地で遊ぶこと自体ないからな。そういえば、会長はどうしてここに?」
911 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 02:55:27.45 ID:30nBpkIdo
会長「散歩だ」
池面「好きだな、散歩」
会長「生活の一部のようなものだ。雨が降っても私は歩きたいくらいには好きだ。男と同じくらい好きだ」
池面「雨が降っても、か」
そして、男と同じくらいに、か。
無類の散歩好きだな。
会長「空き地か……このような場所が残っているのを見るのはとても嬉しいものだな」
池面「ああ、最近はこういうところ、全部利用しようとするからな」
空き地を力強い眼差しで見つめてた会長は、何度か頷いて、
会長「ここには、大きな力がある気がするな」
池面「え?」
会長「人の待ち合わせ場所になるくらいに、惹かれる所があるということさ」
ニッコリと、微笑んだ。
この顔が好きだった。
高校の頃、この真っ直ぐで混じり気のないこの笑顔が好きで、しかたがなかった。
912 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 02:56:19.90 ID:30nBpkIdo
会長「変わったな」
池面「え?」
会長「今の池面には、なんだか魅力がある。迷いがない」
池面「……そうか?」
会長「私は好きだな」
池面「え!?」
会長「さて、私は行くとするよ。お前を待っている人に悪いのでね」
池面「あ、ああ。了解」
会長「それでは、失礼する」
会長は凛とした歩き方で、この場所を後にした。
俺はその背中を見て、軽く手を振った。
……あれ? 待っている人?
会長は確かにそう言った。
童ちゃんの姿は見えないけれど、どういうことだ?
会長の背中が見えなくなるまで待って、気を取り直して、土管の方に行って、中を見やる。
いない。
童「……」
池面「!」
中を覗くのをやめると、ちょこんと足をぶらつかせながら土管に座っている童女がいた。
913 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 02:57:12.90 ID:30nBpkIdo
彼女は無心で下を向いて、唇をすこし尖らせているように見える。
池面「やあ、童ちゃん」
童「私は小さな体をしているが、心は大きく、広く生きていきたいと思っている。しかし、今のこの気持ちは私の体では受け止められないほどに大きなダメージを伴っているようだ」
池面「どうかしたの? なにか嫌なことでも?」
童「いや、私のことは気にしないで欲しい。自分のただのわがままだとわかっているのだが、自分勝手なことで人を傷つけたくない。それはある意味暴力に値する」
池面「って言っても、いつもの童ちゃんじゃないよ。俺にできることがあったら、なんでも聞いてよ」
童「では……さ、さっきの女の人は、誰だ? 別にそれ以上の言及をするつもりもないし、毛頭その人となにか因縁があるわけでもない。素直に率直に答えてくれれば良いのだが」
池面「……ああ、会長のことか。あの人は高校の頃の友人で、生徒会長をやってた人なんだ」
童「どうやら君は、彼女に好意を抱いていたような気がする。顔がいつもと違っていたし、体が強ばっていた。私は愛だの恋だのには疎いが、君の異常くらいはすぐに察することができた」
池面「う……鋭いね、童ちゃん」
こういうところが、会長と似ているのかもしれない。
人の動きを見て、気持ちを察知したり、スラスラと話をしたり。
池面「君に言うことでもないと思うけれど、彼女は俺の初恋の人なんだ」
童「初恋……か。女性恐怖症だった君でも初恋があったのは驚きだったが、この言い草は少々棘があるので、先に詫びを入れておこう」
池面「恐怖症を治してくれた人なんだよね、会長は」
914 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 02:58:08.41 ID:30nBpkIdo
童「ほう。つまり、この前の恐怖症は再発であって、初めての発症ではなかったのだな。彼女とは長い付き合いのようだが、久しく会っていなかったので再発したと考えられるな」
池面「うーん、彼女がトリガーになってるかはわからないけど、多分そうなんだと思う」
童「そうか。確かに私が見てきた人間の中でかなり異なった雰囲気を醸し出していたように見える。大きな原動力のようなものが彼女から溢れ出して、色んな人に作用するような、そのような力が」
池面「ああ、わかる? 会長は本当にそんな感じだよ」
池面「周りに大きな影響を与えて、良い方向に持っていく」
生身で味わった俺にはわかる。彼女は他人とは違う。
だが、その違いで孤立するわけでもない。人間らしさを兼ね備えた、原動力。
池面「会長は、凄いよ」
久しぶりに会った彼女は、いつも通りの迫力で。
そして、美しさを持って、凛とした態度で。
俺と、真正面に向き合ってくれた。
誰にでも、そうであって、手を抜かない。
童「……池面氏?」
池面「!」
童ちゃんが心配そうに俺の顔を伺いつつ、目の前で手をひらつかせていた。
無表情なのだが、口の端が少し残念そうに下がっていた。
童「どうやら、彼女は思っていた以上に君の心に根ざしてある何かに深く関わった人物だと、いま把握した」
915 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 02:59:20.40 ID:30nBpkIdo
池面「そうかも、ね」
童「同い年なのだろうか。彼女は制服を着ていたのだが、君は確かこの前大学生と言っていた。後輩……とは考えられなくもないが、それではあの高圧的な態度をする年下はどうかと思うのだが」
池面「ああ、彼女も大学生だよ。私服として制服を着ているんだ」
童「なるほど。私の考えの遙か上を行く答えが来てしまった。……そういうことか。しかし、彼女はとても似合っていたな。いや、幼くみえるというわけではなく」
池面「似合わない服が、ないくらいなんだよ」
童「着こなしが良いのか……。端正な顔立ちといい、スタイルも良かったように思える。素敵な女性ではないか」
池面「はは、そうだね」
童「……」
童ちゃんは急に体を縮こまらせて、顔を太ももあたりで隠した。
池面「ラッキーかな」
童「?」
池面「今日も童ちゃんに会えたから」
童「私と会えることが、君にとってどれほどの価値があるかどうかはわからないが、この場所も、最近よく来てくれることにとても嬉しがっているようだ」
よく来ると言っても、この前からもう二週間くらい経ってるけどね。
池面「童ちゃんは?」
童「む? 童ちゃんは、とはどういうことだろう。私は私であって、それ以外の固有人格を持ちえてはいないが……」
池面「童ちゃんは会えて、どうなのかなって」
童「…………」
池面「……童ちゃん?」
童「上手く、表現できない自分が情けない。できれば君に私を見て欲しくないほどに、私は赤面している。顔が熱い」
耳まで赤くして、童ちゃんは手で顔をおおった。
916 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:00:45.10 ID:30nBpkIdo
池面「えっと……」
どうしてこうなったのか、俺にはわかった。
これは、きっと恥ずかしいのだ。照れているのだ。
童ちゃんくらいの子は、感情を表に出すのが苦手だったりするし。
まあ、ちょっと彼女の場合、特殊だけど。
池面「……ま、まあ、別にどう思ってても気にしないから、さ」
俺は照れくさくなって、童ちゃんを見るのをやめて、真っ直ぐ前を向いた。
生い茂った草が風に揺られて踊っている。
童「最近、めっきり来なかったから、すこし、つまらなかった」
池面「え?」
童「…………」
一瞬の強風で、俺の聴覚が持っていかれて、童ちゃんの声がまったく聞こえなかった。
もう一度言ってもらおうとして、やめた。
彼女はまだ、顔を隠していたから。
池面「……あ、そうそう。今日は童ちゃんに良いものを持って来ました」
そう言って、できるだけ童ちゃんから見えないところに置いていた紙袋を取り出す。
童「良いもの……楽しみではあるが、今の私は、君の顔を、ましてや自分の顔を覆っている手さえ外せない状態なのだが……なんだろう」
池面「じゃじゃーん、羊羹」
童「よーかん」
バッと、童ちゃんは覆っていた手を外した。
めちゃくちゃ早かった。
917 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:01:47.95 ID:30nBpkIdo
池面「すごく好きなんだね、羊羹」
童「うむ、食欲には勝てないようだ。私はよーかんが大好物だから、こうやって見るだけでヨダレが出てしまう」
池面「あ、どうぞどうぞ、お食べくださいな」
童「ありがとう。いただきます」
膝に置かれた羊羹の頭上で童ちゃんは手を合わせた。そして、ゆっくりと切って、一つを口に運んだ。
池面「美味しい?」
童「……久しぶりによーかんを食べるのは、きっと故郷に久しぶりに戻った懐かしさや嬉しさと同じなんだろうと思う。私は今そんな気分だ」
池面「あはは、大げさだね」
というか童ちゃん、そんな例えのしかたできるんだ……すげえ。
童「大げさではない。池面氏が持ってきてくれたよーかんは、最高に美味しい。こんなに美味しいよーかんは初めてだ。甘さもほどよく、食感も最高だ」
池面「ここらで一番美味しいって言われてるからね」
童「ふむふむ、そうなのか。しかし、これほどに美味しいと手が止まらなくて困る。さっきまでの気分がなくなるかのような、それくらいに美味だ」
池面「はは……もうなくなってる」
さっきまでの気分も、羊羹も。
童「はっ……すまない、池面氏に残そうと思っていたのだが。私としたことが、配慮を忘れて、ずうずうしくも完食してしまった」
池面「気にしなくてもいいよ。童ちゃん美味しそうに食べてたし。それに、童ちゃんに食べてもらいたいと思って買ってきたんだから」
918 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:03:20.53 ID:30nBpkIdo
こんなにパクパク食べてくれたら、持ってきたこっちとしては嬉しい。
池面「でも、童ちゃん大分お腹空いてたんだね」
童「そうでもなかったのだが、それはどうやら気分的なものだったらしく、実はさっきまでお腹の虫が空腹を伝えていたのだ」
池面「あ……そうだったんだ」
童「なに、気にすることはない。気にすることと言えば、自分の体重くらいのものだ」
池面「え、童ちゃんも体重とか気にするの?」
童「……恥ずかしながら、そういうことは結構気にしてしまう」
池面「そうなんだ、じゃあもっとヘルシーなのが良かったかな?」
羊羹って、和菓子の中ではわりと高カロリーらしいし。
童「いや、私は好物を食べた後に、後悔はしない。我慢するダイエットは何も産まないから。これから頑張るだけだ」
池面「でも、童ちゃんはどちらかというと痩せてると思うけどな」
童「……む」
池面「俺の意見だけど、童ちゃんはもう少し食べて、大きくなったほうがいいと思うな」
童「それは、横にだろうか? 私は結構小食なので、あまり食べるのは苦手ではないのだが……」
池面「違う違う、縦の方だよ。身長とかの」
童「池面氏はなかなか酷なことを言うな。私は自分でこの身長を望んでいるのではない。できれば、もう少し欲しい」
池面「まあ、童ちゃんくらいの歳じゃあそれくらいが普通なんじゃないかな?」
童「……私くらいの、歳……か」
池面「ん?」
919 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:05:37.60 ID:30nBpkIdo
童ちゃんの顔が、突然暗くなった。
童「ふむ、努力しよう。できるだけ大きくなろうと毎日念じてみることにする。期待に沿えられるかわからないが」
池面「ははは、いつかきっと大きくなれるよ。大きくなって、とっても可愛くなるさ」
童「ふ、ふむ」
童ちゃんはすこし満足気な顔をした。
そんなこんなで、俺と童ちゃんはたくさんの会話を交わした。
他愛のない話、童ちゃんのためになる話、俺のバイトの話。
俺も童ちゃんの言葉に真剣に耳を傾け、童ちゃんもそうしてくれた。
とても楽しい時間だった。
童「池面氏、また来てくれ。だが、私のただの願望なので、無視しても構わない。それに、いつでもいいから」
池面「もちろん、また来るさ」
童「……池面氏」
池面「ん?」
童「私が大きくなったら、どう思う?」
顔はこちらからは横顔しか見えなかったが、なかなか真剣な眼差しだった。
池面「もしかしたら、真剣にお付き合いを申し込むかもね。童ちゃん、可愛いからさ」
なかなか残酷なことを言ったような気がする。
仮定の話って、どうも真剣には答えられない。
起きることのないは、後ろ向きでつまらないから。
童ちゃんの返事はなかった。俺は小さく手を上げて、さよならの意思表示をした。
920 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:06:11.62 ID:30nBpkIdo
五
池面「いらっしゃいませー」
「……やっぱり、先輩でしたか」
池面「ん?」
男「どうも!」
池面「見た顔だと思ったら、男じゃん」
男「ご無沙汰してました」
池面「こんなとこに来るなんて珍しいな」
男「はい、なんか噂になってたんですよ、ここのコンビニ」
池面「噂に?」
男「『凄いイケメンがいる』って」
池面「ああ……なるほど」
男「噂になるレベルって凄いですね……」
これが、売上の原因だったのか。
男「まあ、先輩は凄いですよね。コンビニの制服もめちゃくちゃ似合ってますし」
池面「んなこたぁないさ。誰が着てもサマになるんだよ、こういうのは」
男「そうなんですかねぇ」
921 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:07:07.44 ID:30nBpkIdo
男「今回は、結構続いてるんですね」
あんまり続かないって悩んでましたけど、と男。
池面「ああ。なんか、女性のアタックのかわし方も大分慣れてきたんだ」
男「女性のアタックをかわすことがないから凄いなぁ……」
池面「会長は?」
男「!」
池面「会長は今でもお前のこと、好きなんだろ? 同窓会でもあんなこと言ってたんだし」
男「……あーそうですね」
池面「俺にはお前が会長のアタックをかわしているようにしか見えないけど?」
男「そんなこと、ないですよ」
池面「……まあ、会長も実はその関係を望んでるのかもな」
男「え?」
池面「いや、なんでもない、気にするな」
男「……なんか、池面先輩」
池面「あ?」
男「変わりましたね」
922 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:07:37.71 ID:30nBpkIdo
池面「そうか?」
男「はい、なんだか、以前よりかっこよくなったというか」
池面「かっこよくなったね〜……」
男「いや、外見じゃなくて、内面の方です。なんか、優しいというか」
池面「優しい?」
男「話し方とか、色々と。前までは、俺と話してても上の空というか、あんまり考えが読めないというか」
男「会長と同じで、雲の上の人……って感じがしてたんですけど」
池面「……そうなのか?」
男「はい」
会長にも、同じようなことを言われた。
俺って、変わったのか?
もちろん良い方の意味で。
池面「そうかそうか。そうなのかぁ」
男「な、なんですか! ちょ、いきなり肩を抱かないでください!」
腐腐腐腐……
男「うわああ!? 久しぶりに見たこの光景!!」
923 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:08:15.47 ID:30nBpkIdo
六
男と会ったその日は、なんだか調子が良くて、いつもより笑顔だった。
そして、その日の売上はコンビニ開店以来初の記録を更新したらしい。
自分で言うのも、恐ろしいオトコだな、俺……。
男に感謝だ。
池面「今日は羊羹と、きんつば……」
きんつばは童ちゃん、好きかな。
和菓子全般イケるって言ってたし、大丈夫だろう。
……ん?
空き地のある通りに直結する曲がり角で、嫌な風が吹いた。
生暖かいような、微温い風。
池面「……気のせい、だよな」
なにか、嫌な予感がするんだけれど。
大丈夫、なはず。
いや、滅多なことなんて起きないと思うけど。
924 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:09:17.42 ID:30nBpkIdo
池面「童ちゃーん」
と、大きな声を出して一瞬にして、俺は赤面した。
そこには、先客がいたのだ。土管にゆったりを腰を下ろしている。
池面「……」
あちゃー、明らかにこっちを見てるよ。
恥ずかしい。ここから逃げたいくらいに。
「顔が赤いが、どうかしたのだろうか。まさか、熱を出したのに、約束を果たすためにわざわざ来た……なんてことではないだろうな?」
池面「……え?」
この声は、童ちゃん?
聞こえてきたのは、土管の方から。
恥ずかしさのあまり、視界から先客を見ないようにしていたが、よく見てみると。
とても美しい――白装束の女性がいた。
でも、俺はその人を見たことがあった。
童?「……む、どうやらこの姿に驚いているようだな、池面氏。安心しろ。私は童だ。童以外の、何者でもない」
925 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:10:19.52 ID:30nBpkIdo
池面「……え、童……ちゃん?」
童ちゃん(自称)は、土管から重力を無視したかのようにゆっくりと飛び降りて、俺の方へやってきた。
綺麗な顔立ちで、童ちゃんの雰囲気がわかるところは無表情なところだけだった。
童?「変だろうか。色々と無理をしてしまったが、池面氏の意見……? いや、感想? を聞きたい」
池面「ほ、本当に童ちゃんなの!?」
童?「う、うむ……ど、どうしたのだ?」
池面「あ……童ちゃんのお姉ちゃんとか? いやあ、そっくりだなぁ」
童?「あの……池面氏?」
池面「で、童ちゃんはどこにいるの? まさかこんなドッキリみたいなことされるとは思わなかったなぁ」
童?「池面氏!」
池面「!」
童?「私は……正真正銘、童だ。言ったろう。私は童だ。童以外の、何者でもない」
池面「……」
そんな、馬鹿な。
926 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:14:30.18 ID:30nBpkIdo
池面「だ、だって、童ちゃんはこれくらいの、小さな女の子で……」
池面「君は……確かに童ちゃんに似てるけれど……」
童「信じられないかもしれないが、私は童だ。童以外の……と、何度言わせるのだ、自分で言っていてしつこいぞ」
池面「……」
童「確かに、受け止められないかもしれない。このようなことがこの世で実現するのを君は間近で、いや、目の前で見ているのだから。私も君の立場ならそう思うかもしれない。でも、これが本当なのだ。今君の目の前で起きている現象に、嘘はない。全て真だ」
池面「!」
俺は、悟った。
この子は、童ちゃんだ。
この特徴的な喋り方は、彼女にしかできない。
池面「じゃあ……本当に、童ちゃんなんだね」
童「ああ、そうだ」
彼女は無表情ながら、安堵の溜息を吐いた。
童「このまま、君が私だと気づいてくれなかったら、どうしようかと思ったぞ。まったく……」
927 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:14:56.95 ID:30nBpkIdo
池面「いや……それにしたって」
驚くだろう。こんなこと、起きっこないんだから。
夢を見てるような気分だ。
胸の膨らみで、白装束の一部分が張っているし。
こういう服なのに、スタイルが良くわかる。腰のあたりが凄くくびれてる。
童「む、池面氏……」
池面「ご、ごめんごめん!」
童ちゃんの姿は、想像以上に綺麗だった。
想像していた童ちゃんもとても可愛かったけれど、それを遙かに上回っていて。
美しくなっていた、が一番しっくりくる。
とてつもない輝きを放っていた。
童「とりあえず、土管に座ろう。私はあの土管の上が大好きだから」
池面「いいよ。……俺達の憩いの場だからな」
童「そうだな」
童ちゃんは俺の言葉に、すこし喜んでいるように思える。
体が成長しても、無表情は変わらず、か。
928 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:16:20.15 ID:30nBpkIdo
池面「それにしても、驚いたなぁ」
童「驚かせてしまったようで、申し訳ない。私はあまり相手のことを……というか、人のことを考えたことがなかったから」
池面「まあ、これはどう伝えたところで驚いたと思うよ。逆に驚かない人いないって」
童「ふむ、そういえば、そうだな」
池面「ねえ、どうして大きくなれたの?」
童「それは……うむ、なんと言えばいいのやら」
池面「でもまあ、童ちゃんだったら平気でやってのけそうだし」
現に、目の当たりにしているし。
童「む、私のイメージはそのような感じだったのか……確かに、池面氏が見た人の中で、著しい変化を遂げた人だと思うが」
池面「いきなり大人になるのは誰にもできないよ……」
今でも目を疑っている状態だし。
でも、やっぱり童ちゃんなんだよなぁ。
童ちゃん以外の、何者でもない。
まったくその通りだ。
違和感はまったく感じられない。
体型以外は。
929 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:16:52.07 ID:30nBpkIdo
童「池面氏」
池面「はいはい」
童「私は大きく成長した。いわば、大人になった。そこで、なのだが質問に答えて欲しい。率直な、あるがままの答えを聞かせて欲しい」
童「大きくなった私を見て、どう思う?」
池面「え……」
もじもじと大きくなってもブカブカとした白装束の袖をこすりあわせてモジモジした。
顔は赤いが、やはり感情には出ない。
彼女のその紅潮した顔は、とても可愛くて。
池面「うん、とっても素敵だと思うよ。可愛いって言葉しか思いつかないくらい」
池面「でも、小さな童ちゃんも、可愛かったと思うけれど」
童「でも、池面氏は大きくなったら、もしかしたら、付き合ってしまうかもしれないと、言ってくれたではないか。その言葉は、嘘だったのか?」
池面「え……?」
そういえば、言った。
なんの考えもなく、言ってしまった。
930 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:17:29.37 ID:30nBpkIdo
彼女がその言葉を本気で取っていたとは思っても見なかったし。
第一、童ちゃんが大きくなるなんて、想像、いや、ありえないと思っていた。
童「……」
童ちゃんは黙って、体を小刻みに震わせていた。
どうやら、とてもテンションを落としてしまったらしい。
柔らかそうな気色の良い唇も、なんだか元気なくつぐんでいる。
なんだか、俺も決まりが悪くなって、空き地を隅々まで見る。
池面「……ん?」
池面「……ねえ、童ちゃん」
童「な、なんだ池面氏。私の顔になにかついていたのか。それとも、今の間になにか私は変な挙動でもしただろうか」
池面「いや、なんかその……この空き地、大分変わってない?」
童「む?」
生い茂っていた雑草が、一本残らずなくなっている。
土管もなんだか……ひび割れてる!?
池面「ちょ、童ちゃん! この土管、危ない!」
大きくなった童ちゃんの手を取って、土管から離れた。
俺達が離れたと同時に、土管が音を立てて崩れた。
池面「う、嘘だろ?」
931 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:18:29.98 ID:30nBpkIdo
跡形もなく、ただのコンクリートの塊と化した。
いや、元からコンクリートの塊だったけれど。
もう土管と呼べる形を成していない。
池面「そんなに古くなってたのか……うわぁ……」
スライドして、童ちゃんの顔を伺う。無表情は変わっていないが、どうやらとても怖がっているのだけはわかる。
童「やはり、か」
池面「え?」
童ちゃんはしゃがんで土管の破片を掴むと、寂しそうな目をした。
童「これは、私の責任だ。やはり上手くいかなかったのだな」
池面「童ちゃん、それはどういう意味だ?」
童ちゃんはしゃがんだ姿勢を崩して、四つん這いになった。
池面「わ、童ちゃん?」
童「すまない、少し疲れてしまったようで……目眩がする。吐き気も、そして体がものすごく熱くて、けだるい」
池面「ど、どうして!? それに、童ちゃんの責任って……」
童「私がこの体になるために、この場所の力を吸収した。そのせいで、この空き地は私に力を与えて朽ちてしまった」
一気に老朽化した……ってことなのか。
932 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:20:07.33 ID:30nBpkIdo
池面「そんなこと、できるんだ……」
童ちゃんはフラフラとした体を持ち上げるように数歩歩いて、膝を落とした。
池面「! 童ちゃんっ」
童「……どうやら、相当な無理をしていたようだ。体が思うように動かない」
池面「そんな……なんとかならないの?!」
童「池面氏…私は人間ではない。この場所に住み着いた、一種の人智を超えた存在なのだ」
池面「!」
実際、思い当たる節はあった。けれど、この世界でそんな存在がありえるなんて、ありえないと思っていたから。
でも、今の彼女には信憑性がある。
というか、信じざるを得ない。
童「私はこの場所と記憶を共有し、ここで共存することで、この場所のエネルギーとともに生きていたのだ」
だから、彼女はここから出ようとしなかったのか。
池面「じゃあ、童ちゃんがそのエネルギーを返せば、なんとかなるんじゃ……」
童「無理だろう。私は過ちをおかしてしまったのだ。自分の願望のために、この場所の力を奪った。自分勝手なことをして、この場所に酷い事をしてしまった。池面氏……君の思い出の場所を、壊してしまってすまなかった。私は死を持って償うことにするよ」
池面「そんなの、駄目だ!」
池面「童ちゃん……!」
童ちゃんは小さく目を閉じた。ゆっくりと、力なく。
池面「……!」
俺の瞳から、大粒の涙がこぼれて、そして――
そこでようやく気づいた。
俺は、童ちゃんのことが、好きなのだ。
子どもとしてとか、友達としてじゃなくて。
一人の、女性として。
愛している、と。
933 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:20:55.87 ID:30nBpkIdo
今目の前で、息絶えそうな彼女が、好きで好きで、愛しくてたまらない。
どんなことを言われても、俺はこの子が、童ちゃんが大好きなのだ。
池面「目を開けてくれよ童ちゃん! いきなりさよならなんて……嫌だよ!」
池面「今日も羊羹持ってきたんだ! 童ちゃんが美味しく食べてくれると思ったから!」
池面「一人で全部食べていい! それで満足気に小さなゲップをして……それで……」
池面「無表情で構わない、素敵な君の顔が……」
池面「好きだ! 童ちゃん……」
涙でぼやけて、何も見えない。
目を擦って、開いた瞬間。
彼女の姿は、体は。
どこにもなかった。
結局彼女を救うことすらできないまま。
好きだということも伝えられないまま。
俺の、二度目の恋は、気づいたと同時に終わったのだった。
934 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:22:14.91 ID:30nBpkIdo
七
店長「最近、めっきり笑わなくなったわね。このままだと店員としてはダメだと思うんだけどな?」
池面「はあ、すいません」
店長「気の抜けた返事ねえ。なにかあったの?」
池面「いえ、特に」
店長「……そう」
池面「……」
バイトも身に入らず、俺は笑顔を失った。
会長の頃は、半ば諦めていたし、告白後も彼女は優しく接してくれたから、大丈夫だった。
でも、今回の場合は。
童ちゃんの喪失が、俺には大きかったようだ。
あの日からまるで時間が止まってしまったように、俺は立ち直れないでいた。
池面「……はぁ」
店長「もう、レジ前で溜息やめてよねー」
池面「すいません」
店長「謝ったらすむもんでもないから……はぁ」
池面「あ」
店長「! とにかく、笑顔笑顔!」
池面「はい」
935 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:23:30.73 ID:30nBpkIdo
溜息を吐いた店長が、裏方に移動した。
池面「いらっしゃいませー」
コンビニに人がやってきた。
俺が入ってからまだ誰も客が来ていなかったので、俺にとっては今回の初のお客さん。
池面「!」
……童ちゃん?
いや、違う。
でも、似ている。
表情が、まるで無いような。
そして、胸が苦しくなる。
彼女はもういないのだから。
どうしても彼女のことを忘れられない自分が悔しい。
それほどに彼女の存在は僕の中で大きな役割を持っていた。
それだけじゃない。なんだか、気持ちの拠り所のようなそんな支えにもなっていた。
936 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:24:14.38 ID:30nBpkIdo
女「あの、おでんください」
池面「! は、はい」
表情は、やっぱり似ていた。
でも、違う。
客の人の顔も確かに綺麗で可愛らしかった。
しかし、童ちゃんじゃない。俺の大好きな童ちゃんとは、まったく違った。
……それにしても、このコンビニはどんな時期でもおでんを出してるんだな。
女「あ、あと羊羹をください」
池面「……! はい」
彼女の喋り方は更に童ちゃんを連想させるような、平坦な物言いだった。
なんだか、ものすごくモヤモヤする。
彼女を忘れられないけれど、また、思い出してしまった。
忘れたくないけれど、無理矢理思い出させられてしまった。
池面「ありがとうございました」
女「ありがとうございました、池面さん」
池面「え?」
女「……」
今、俺の名前を……。
まあ、いいか。
いちいち気にすることでも、ないだろうし。
937 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:24:44.69 ID:30nBpkIdo
八
結局、俺はまた懲りもせずに、空き地にやってきた。
彼女に会えないだろうと思って、何度か行こうとする足を止めていたのに。
今日のバイトで、行く決心がついた。
いや、行かずにはいられなかった。
池面「……童ちゃん」
空き地に着いてみると、驚いたことに、土管が元に戻っていた。
先の事なんかなかったかのような当然ぶりで。
さらに、雑草も青々と生い茂っている。
全てが元に戻っていた。
けれど。
なんだか違和感がある。
それに、童ちゃんだけが、戻っていない。
彼女をここの付属品のように言ってはいけないけれど。
でも、彼女がいなければ、この空き地は。
俺が慣れ親しんだ空き地に見えなかった。
938 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:25:22.03 ID:30nBpkIdo
まるで新しくできたみたいな……。
池面「まあ、いいか」
もう、俺はここに用はない。
あの可愛くて、愛しい童ちゃんはもういないのだから。
池面「……」
それでも、俺は足を止めることはできず、中に入って、土管に近寄った。
池面「……童ちゃん」
土管をさすりながら、彼女の名を呟く。
池面「あの時、もっと早くから君のことが好きだって、言えればよかったな」
池面「俺、気づくの遅すぎ……。童ちゃんのこと、大好きだった」
池面「それなのに、俺、気づいてなかったみたいだ」
今は本当に後悔しか無くて、心が切り裂かれるような、バラバラになったような気分だ。
池面「君にもう一度会って、『好き』って言えればなぁ」
自意識過剰かもしれないけど、彼女は成長を望まなかったかもしれない。
池面「ねえ、童ちゃん」
939 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:26:26.69 ID:30nBpkIdo
「池面氏、何度も名前を呼ばれても、私は一番最初の台詞から今の台詞まで、全てちゃんと聞いていたぞ」
940 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:27:55.67 ID:30nBpkIdo
……あれ?
池面「……童、ちゃん?」
童「よいしょ……ふぅ。驚きに満ち溢れた顔をしているな、池面氏。無理もない、この前あのようなことが起きていたのに、私のいつも通りの登場に非常に驚嘆しているとみた」
池面「どうして!?」
童「わからない。私も、あのまま果ててしまうのだと思っていたからな。でも、また池面氏に再会できて、私はこの上なく、至極嬉しい」
池面「俺もだよ、童ちゃん……」
彼女の姿は、またいつも通りの小さな体躯に戻っていた。
愛らしく、年端もいかない少女。
童「考えられる理由とすれば、一つあるけれど、それが本当の起因になるかどうか、確証がないのであまり言えないのだが」
池面「このさいどうでもいいよ。なんだい?」
童「私のことを君が愛してくれたことだ。この地がそんな君のことを悲しませたくないと思って、私の体を最後の力を使って回収した。そのおかげで、回復することができた」
あの時、童ちゃんの体が消えたのは、そういうことだったのか。
童「しかし……池面氏は、本当に私のことが――」
池面「大好きだよ」
童「……!」
池面「もう、君以外のことは考えられない。君以上に好きな人なんて、いないよ」
941 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:28:46.82 ID:30nBpkIdo
俺の気持ちに迷いはない。
こんなに人を好きになったのは、初めてなんだ。
会長の時以上の胸の高なり。告白の緊張。気持ちの波の上下。
全てにおいて、童ちゃんが勝っていた。
童「私も……池面氏のことが好きだ。容姿などではなく、内側……いや、私が感じた君の全てが好きだ。私の気持ちに一心の迷いもない」
真っ直ぐな視線は、俺の眼に力強く注がれていた。
体が熱い。そして、驚くべき高揚感。
池面「童ちゃんっ!」
力強く、でも痛くないように、抱きしめた。
小さな体を壊れないようにして、抱きしめた。
子どもの体温。可愛らしい匂い、これが、童ちゃんの匂い。
童「やれやれ、そんなに抱きつかれたら、どちらがお子様かわからないぞ、池面氏。私の方がそのようにめいっぱいの力を使って抱きしめるものではないか?」
そう言って、童ちゃんは俺を抱き返した。
童「池面氏は、本当に私のことを愛してくれるのだな……。とても嬉しい。でも、浮気はダメだからな。そんなことをしたら、私は泣いてしまうぞ?」
耳元で小さく呟いた唇に、勢い良くキスをした。
彼女の唇は柔らかく、初めての感触だった。
ちなみに、これは俺のファーストキスである。
童「い、いきなりちゅうされてしまうとは思いもよらなかった。驚いたが……嫌じゃないぞ」
童ちゃんはやっと初めて、すこしだけ笑った。
それがまた、本当に、物凄く、とても、すばらしく、可愛かった。
942 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:29:58.92 ID:30nBpkIdo
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!!!!!
良い雰囲気だった、でもよく考えて欲しい。
俺は大学生。そして、彼女は人間じゃないながらも見た目は小学生くらい。
かなり重度の犯罪に手を出している気がする。
しかもいきなり抱きしめてキスって……。
俺どう考えても警察にとっつかまるレベルの重罪に手を染めてしまっている。
童「どうしたのだ、池面氏。まさか、今の瞬間で私に愛想を尽かしてしまったのか? 私は悪いことをしてしまったのか?」
池面「いやあ、あはは……」
愛おしく肩を寄せる童ちゃんが焦った口ぶりで上目遣い。
池面「なんでもないよ、気にしないで」
……いや。
それでもいいんだ。
俺は、彼女が好きだから。
どんなに犯罪だったとしても、いい。
彼女も、俺が好きなのだから。
でも、とりあえずはすこし、考えないとなぁ……。
童「ふふ、池面氏……」
池面「……」
まあ、今は彼女との時間を楽しもうと思った。
それからでも、遅くはないと思った。
To be continued!!!
943 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/26(木) 03:30:34.39 ID:30nBpkIdo
おしまいです。
長い間おまたせしてしまい申し訳ありませんでした!
ちょっと投下で疲れたので、また改めて! ではっ。
944 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/26(木) 03:31:25.94 ID:dP7VSROKo
いいぞいいぞ
945 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/04/26(木) 20:27:38.69 ID:LPoXMut5o
乙でした
何はともあれ池面が幸せになってよかった
946 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/27(金) 19:09:32.65 ID:Rnkl8LLlo
やっと追いついた
長文乙でした
947 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/28(土) 21:41:51.01 ID:BhbrcbDoo
乙乙!
948 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/30(月) 22:45:09.93 ID:O13GQ9yfo
男「おーい、狐子」
狐子「なんだ?」
男「ほら、この前お前が欲しがってたゲーム買ったぞ」
狐子「ほ、本当か! うにゃー!やらせろっ」ピョコンッ
男「うお、いきなり抱きつくな!」
牧「なにそれ?」
男「ん? ほら、これだよ」
牧「! これって、あのシリーズの新作じゃない!」
男「そうそう。どうだ? 牧もやるか?」
牧「やりたい!」
男「おおう、わかったからお前も抱きつくな」
949 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/30(月) 22:45:51.42 ID:O13GQ9yfo
ズズ……
撫子「ふう……美味しいですね、女さん」
女「ええ」
撫子「こうやって二人で男さんたちを眺めていると、なんだか和みますね」
女「同感です」
撫子(やっぱり、前よりも表情が固いです……)
女「……なんだか、良いですね」
撫子「はい?」
女「こんな時間がずっと続けば、いいんですけど」
撫子「……続きますよ、きっと」
女「そうでしょうか」
撫子「はい。作者が頑張れば、ですけど」
女「メタな発言ですね」
撫子「はい」ニコッ
女「……ずっと、ずっと」
950 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/30(月) 22:47:48.65 ID:O13GQ9yfo
男「おおい! 狐子、お前よくも俺の!」
狐子「ふはははは! 悪いが私は牧と一緒に……って、牧! 私のを取るな!」
牧「別にボクは狐子と組んだつもりはないよ?」
男「お前ら……ならば!」
狐子「!」
牧「!」
男「どうだ!」
狐子「ぬあ! 男、どうやって!?」
牧「ぜ、全部取られちゃった……」
男「ふふん、このゲームの必勝法を知らないやつらに負けはせん!」
狐子「くそーもう一回!」
牧「ぼ、ボクも!」
951 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/30(月) 22:48:27.04 ID:O13GQ9yfo
助手「おーおー、やっとるねー!」
男「あ、助手さん、どうもです!」
助手「最近どんな現れ方してもビックリしてくれないから悲しい……」
男「あはは、慣れって怖いですね」
助手「まったくです」
狐子「があーーー! 負けたぁ」
助手「こ、このゲームは……!」
男「あ、助手さん知ってます?」
助手「もちろん! うわー私もやらせてください!」
男「あ、じゃあ俺と変わってください。ちょっと休憩したいんで」
助手「わかりましたー」
狐子「助手、勝負だ!」
牧「男と戦ったボク達に勝てるかな?」
助手「お手柔らかにね!」
952 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/30(月) 22:49:12.31 ID:O13GQ9yfo
男「ふう」
女「お疲れ様です」コトリ
男「ああ、ありがとう」ズズッ
男「あれ、撫子は?」
女「さっきお散歩をしに出かけました」
男「そっか」
女「男さん、大丈夫ですか?」
男「ん?」
女「そのお茶、私が淹れたのですが」
男「ああ、そうなのか? うん、美味しいよ」
女「良かったです」
男「……なんかさー」
女「はい?」
男「この前のこととか、無かったみたいに思えるよ」
女「この前のこと?」
953 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/30(月) 22:50:44.56 ID:O13GQ9yfo
男「……いや、なんでもない」
男(なんか、本当にいつもの日常に戻ったなー)
男(あんな話があったから、最終回かと思ってたけど)
男「そんなこと、ねえか」ボソッ
女「?」
ブーブー
男「ん? なんだ、西か。……もしもし?」
西『おはよー、みんなのアイドルさいちゃんやで。元気にしてる?』
男「してるしてる。元気過ぎて困るくらいだ」
西『元気過ぎる男くんなんてあんま想像できへんけどな。なんかキモそう』
男「キモそうとは心外だな」
西『なはは』
男「で、用事はなんだ?」
954 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/30(月) 22:52:20.10 ID:O13GQ9yfo
西『ああ、あのなー』
西『ウチに似合うコスプレってなんやと思う?』
男「はぁ?」
西『この前大になんか作りたいから希望の服を言えって言われてん』
男「ふむふむ」
西『そう言われてもなんて言えばいいんかわからんしな、男くんに聞こうと思て』
男「……なぜ俺に聞く?」
西『野暮なこと言うなやー、男くんが純粋に見たいウチのコスプレを言えばええねん』
男「西のコスプレねえ……」
助手「これで負けたらスク水ファッションショーね!」
狐子「ぬがー!」
男「スクール水着」
西『はぁ!?』
955 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/30(月) 22:53:04.95 ID:O13GQ9yfo
男「あ、いや、違う! これはちょっと……」
西『び、ビックリしたわ……で、でも男くんが見たい言うんなら……ええよ?』
男「え?」
西『な、なんでもあらへん! あ、充電切れそうや! そろそろ切るで』
男「あ、ああ」
西『ほなな〜』プツッ
男「……真に受けてないよな?」
男(それにしても、もう西もすっかりウチの大学の一員だな)
女「どなたですか?」
男「えっと、西って言う大学の友だちだよ。わかんないか?」
女「すいません、記憶にありません」
男「そっか」(本当に大分消えてるんだな、記憶)
956 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/30(月) 22:54:44.57 ID:O13GQ9yfo
女「おかわりいりますか?」
男「ああ、いいよ。ちょっと俺も出かけてくる」
女「はい、わかりました」
男「……一緒に来る?」
女「いいのですか?」
男「もちろん」
女「それでは」
男「すいません、助手さん、ちょっと散歩してきます」
助手「あ、はーい」
狐子「うにゃああ、男! こっちを見るな!」
男「はいはい、いってきまーす」
牧「ほら、早く脱がないと! あ、行ってらっしゃい!」
957 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/30(月) 22:55:20.78 ID:O13GQ9yfo
男「暖かくなったなぁ」
女「そうですね」
男「ストーブそろそろしまわないとな」
女「狐子があのストーブのせいで小指が大変なことになると言っていました」
男「ったく、それはあいつの不注意なのにな」
女「はい」
男「ま、帰ったらしまうよ」
女「お手伝いします」
男「いいよ、一人でするから」
女「いいえ、させてください」
男「……」
女「男さんと、したいんです」
男「女、ちょっとその言い方はどうかと思う」
958 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/30(月) 22:56:04.12 ID:O13GQ9yfo
男「なんだか、こうやって二人で歩いてると、思い出すよな」
男「二人で……その……ホテルに行った頃のこと」
女「ラブペインですね」
男「あ〜そんな名前だったっけかな」
女「あの頃はお互いのことをよく知りませんでした」
男「そうだな」
女「男さんはあの頃となにも変わってません」
男「そうか?」
女「はい」
男「……成長してないってことじゃないよな?」
女「男さんの発育はすでに高校三年……」
男「ああ、そういう意味じゃなくてな」
959 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/30(月) 22:56:42.58 ID:O13GQ9yfo
男「オトコとして、とかだよ」
女「?」
男「えーっと、心とかかな? 性格は変わっても、そういうのは変わってたりするじゃん?」
女「……」ジロー
男「な、なに?」
女「解析しても変化はないようですが……」
男「あ……解析してたのね」
女「私個人の意見を言いますと」
女「男さんはとっても素敵な男性だと思います」
男「!」
女「私の大切な人です」
男「……へへ、何度言われても慣れないなぁ、それ」
女「そうですか?」
男「女に言われると本当に嬉しいからさ」
女「嬉しい……ですか」
男(表情は完全にリセットされちまったけど)
男(女はこれでいいんだよな)
960 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/30(月) 22:57:14.28 ID:O13GQ9yfo
ビュウ……
男「うお、寒いな……」
女「あ、そういえば」
男「なんだ?」
ポツ……
女「今日は」
ザー!!
女「雨が降る確率があると」
男「って、降ってきてる降ってきてる!」
・ ・ ・
男「うおー……女、そういうことは早めに言ってくれよ」
女「ごめんなさい」
男「つってもこの雨……大分やばいな?」
女「確か豪雨で、降り止むのは明日の朝だと」
男「い!?」
961 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/04/30(月) 22:57:42.05 ID:O13GQ9yfo
女「これも、お散歩をする前に言えば良かったですね、申し訳ありません」
男「はは……もう気にするなって」
女「雨宿りできる場所があって良かったですね」
男「うん……でもこのままだと風邪引いちまうな」
女「はい。あの、男さん」
男「……ん?」
女「今日は泊まって行きませんか?」
男「へ?」
HOTEL『ラブペイン』
男「えええええええええええええええええええええ!?」
To be continued!!!
962 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga]:2012/04/30(月) 22:59:04.51 ID:O13GQ9yfo
来週最終回かと。
次回の投下で、休止とさせていただきます。
もうすぐ1000行きそうですし、いい頃合いだと思います。
またひょこっと005で立てると思います。
その時はまた、応援してくださると嬉しいです。
では。
963 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2012/04/30(月) 22:59:56.30 ID:ob1Fx3pko
乙でした。
964 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/30(月) 23:20:12.18 ID:JtLVkQ2SO
休止ってことは続きを期待していいんだな?
期待
乙
965 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/30(月) 23:22:25.31 ID:2Ju2I21Io
乙です
いよいよか…静かに待ってます
966 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2012/05/01(火) 00:55:37.50 ID:V4JdYfmJ0
乙
次スレ見つけた方は貼って頂けると嬉しいです^^
967 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/05/01(火) 16:49:54.01 ID:h2xU+rzlo
乙でした
最終回も期待してまってるよー
968 :
VIPに変わりまして代打.....
:2012/05/12(土) 22:42:46.63 ID:IDp66RkW0
やっと追いついた
私怨
969 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/06/02(土) 13:07:33.44 ID:ZtQL7i1IO
最終回か…
早く読みたい気もするし、終わってほしくない気もする
970 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/05(火) 21:39:25.87 ID:6P7JIWK90
今の章が最終回ってことですよね?
最終回を待ちつつ、次の章を楽しみにしてます。
971 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/15(金) 17:59:04.52 ID:exOj7UuT0
乙です 最終話楽しみです
972 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/17(日) 21:48:19.10 ID:EtGeJlWp0
1ヶ月ちょいとたったわけだが
>>1
はどこに行った
973 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/17(日) 22:07:46.63 ID:hA/53JJPo
vipで違うSS書いてんじゃね?
974 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/17(日) 23:30:57.85 ID:UP/3Z7+Zo
書き溜め中って言ってたぞ
975 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/17(日) 23:53:50.40 ID:UP/3Z7+Zo
慌てなくていいですんで、最後までヨロシクっす
976 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/06/18(月) 00:12:29.39 ID:RiSEZhm/o
女「この部屋、あの頃と同じ部屋ですね」
男「そ、そうだったか?」
女「はい。覚えがあります。あの桃色のベッドに、少し狭いお風呂」
男「あ、あはは……」
女「……とても久し振りな気がします」
男「だよな、それから、狐子が来て、撫子が来て」
女「牧が来て」
男「そう思うと、凄い勢いでみんな集まった気がするな」
女「私にはかけがえのない日々です」
男「これからも続くのに、何言ってんだよ」
女「……そうですね」
男「え、えーっと……」
女「はい?」
男「これから、どうする?」
女「お風呂に入りましょう」
男「風呂……」
女「ダメですか?」
男「いやいや、別に大丈夫だけど」
女「そうですか」
男「……久し振りに一緒に入るなーと思って」
女「え?」
男「え?」
977 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/06/18(月) 00:12:58.22 ID:RiSEZhm/o
女「一緒に入るのですか?」
男「あ……」
女「……」
男「いや、ごめん、なんか、変な勘違いして」
女「私は、いいですよ」
女「いい、と言いますか」
女「一緒に入りたいです」
女「とっても久し振りに」
男「……わ、わかった」
・ ・ ・
狐子「うう、スクール水着……」
助手「負ける狐子が悪いんだよー」
狐子「う、うるさい!」ピョコンッ
牧「は、恥ずかしいよぉ……」
撫子「うふふ、とっても似合うわ」ニコッ
助手「どうして撫子もちゃっかりスク水に……?」
撫子「仲間外れは嫌ですー!」
プルルルルル
狐子「む、電話だ。おい、牧」
牧「たまには出たら?」
狐子「ええっ、わ、私はこういうのはあまり得意ではない」
撫子「あら、じゃあ私が出ますね♪」
牧「よろしくー」
撫子「もしもし……あら、男さんっ」
狐子「なに!」
撫子「今どこに? ……はい、ああ、確かに大雨ですね」
撫子「わかりました♪ 狐子と牧のことはおまかせを!」ビシッ
牧(スク水で敬礼とは、なんだか変だなぁ)
狐子「お、おい。男と女は?」
撫子「雨が降っているから、今日はホテルに泊まって帰るそうです」
助手「ホテル?」
撫子「はい、どこかは聞きませんでしたが」
狐子「うー、私もホテル行きたかったぞ」
牧「あはは、狐子は珍しいものならなんでもいいんだね」
撫子「うふふ……」
助手「……あー、いつもの日常してるところ悪いけど、あなた達スクール水着なのよ?」
・ ・ ・
978 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/06/18(月) 00:14:15.52 ID:RiSEZhm/o
男(よし、連絡は入れた)
男(にしても、なんだか緊張する)
男(……昔はエロい目線で見ていたけれど)
男(今なら大丈夫! ……なはず)
女「おまたせしました」
男「……!」
男(うおおおおおおおおおおおお)
男(久し振り過ぎて、忘れていた)
男(女の体……凄い!)
女「タオルは巻いています」
男「え?」
女「昔、男さんに注意されましたから」
男「そ、そうだっけ」
女「はい、忘れてしまいましたか?」
男「あ、あはは……ごめん」
女「謝ることはないです。昔のことですから」
男(まずいな、やっぱり見れねえ……綺麗過ぎる)
男(真っ白な肌に、大きな胸)
男(谷間が……す、凄い)
女「入らないのですか?」
男「あ、ああ、入るよ!」
女「はい」
979 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/06/18(月) 00:15:07.79 ID:RiSEZhm/o
・ ・ ・
男(あー、駄目だ)
男(俺、全然成長してねえ……)
男(顔真っ赤!)
女「先に、汗を流しますか?」
男「?」
女「私がお風呂に入りますから、男さんが先にお流しください」
男「りょ、了解」
ゴシゴシ
男「……」
女「……」
男(か、会話が続かねえ……)
男(こういう時はなんか気を利かせてなんか言わないと)
男「女は、よく覚えてるなぁ」
女「はい、もちろんです」
男「俺はもうさっぱり覚えてないや」
女「そうですか、残念です」
男「だから、教えてくれよ」
男「思い出したいからさ」
女「……はい」
女「お背中、お流ししても良いですか?」
男「い、いいの?」
女「はい、お流ししながら、お話しします」
980 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/06/18(月) 00:16:18.72 ID:RiSEZhm/o
・ ・ ・
ゴシゴシ
男「そ、そんなことあったか!?」
女「はい、鼻血がいきなり出して男さんは倒れてしまいました」
男「いやあ、覚えてないな……」
女「その時は確か」
男「!?」
女「私がタオルをこうやって」
女「巻き忘れて」
男「……」フラァ
女「お、男さん……鼻血」
男「はは……」
男(のぼせたからで、あって欲しい……)
・ ・ ・
男「……ん?」
女「気がつきましたか?」
男「ああ……俺」
女「この前と同じです」
男「なっさけねー」
女「体温の急激な上昇を確認しましたので、危なかったです」
男「ありがとう、女」
女「いえ、当然のことです」
男「……って、なんで女は俺の横で寝てるの?」
女「添い寝です」
男「……」
女「人肌が温かいと聞きましたから」
男(う、うわあああああ……!)
男(やべえ……すげえドキドキしてる!)
女「……」
981 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/06/18(月) 00:17:38.53 ID:RiSEZhm/o
男「あ、あのさ、女。今、言うようなことじゃないかもだけど」
女「はい?」
男「お、俺……狐子が好きだ」
女「え?」
男「撫子も……牧も、好きだ」
女「……」
男「そして、女のことが、好きだ」
女「私も、男さんのこと、みんなのことが大好きです」
男「……でもさ」
男「俺、女のことが一番好きなんだ」
男「みんなのことが好きだけど、俺は……」
男「女のことを、一番大切に思ってるんだ」
982 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/06/18(月) 00:18:13.32 ID:RiSEZhm/o
女「……」
男「もちろんみんなといるのはすっごく楽しい」
男「でも……」
女「ダメです」
男「え?」
女「そんなこと、今、言われても」
女「……思考回路が、まったく処理できなくて」
女「ショート寸前です」
男「……」
女「この感情はきっと」
女「きっと、男さんがくれた感情」
女「でも、なぜかその記憶がぽっかりと無くなっています」
男「……」(そうだ、全部、持ってかれて……)
女「……」
男「女、俺の顔を見てくれ」
女「はい」
男 ニッ
女「……」
男「お前も、笑えるはずだ」
女「……男さん」
男「だから、俺に最高の笑顔見せてくれよ」
女「……はい」
男「……」
女「……ニコッ」
女「……言っちゃいました」
男「あはは、言っちゃったな」
女「難しいです」
男「いいんだよ、少しずつで」
女「……」
男「ぽっかり無くなってるんなら、またこれから埋めりゃいいんだ」
男「だから、大丈夫だよ」
女「……はい」
・
・ ・
・ ・ ・
983 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/06/18(月) 00:20:37.71 ID:RiSEZhm/o
妹「お兄ちゃん、なにしてるかなぁ」
姉「あらあら、ブラザーシック?」
妹「な、なにそれ!? ホームシックみたいに言わないでよね!」
姉「ごめんあそばせ〜」
妹「ふざけて謝るなー!」
・ ・ ・
会長「むむ」
会長「この服、男が着たら似合うかもしれないな」
会長「……くっ、妄想が止まらん」
会長「誕生日プレゼントで買おう」
会長「しかし、もしも身長が伸びていたら……」
会長「うむ、今度聞いてみよう」
・ ・ ・
桃「うひゃあ! ここのケーキベリうまだよ!」
黒「静かに食べれないわけ? 騒音ラジオ」
桃「黒ちゃんも食べなよ! 甘い物好きでしょ?」
黒「私はそういうあんたみたいな甘ったるいスイーツはいらないの」
桃「とかいいつつ、もう半分食べてるじゃん!」
黒「あんた、うるさい! 息の根止めて音量ゼロにするわよ!?」
鏡「ま、まあまあ……」
黒「……鏡、いたのね」
鏡「ひ、ひどい!」
・ ・ ・
984 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/06/18(月) 00:21:05.55 ID:RiSEZhm/o
西「こ、これちょっと股のとこおかしいやろ!」
大「そんなことねーよ。確かにちょっと際どい感じだが」
学「そこがいい!」
大「流石学! よくわかってるな!」
西「お前らあとで覚えとけやぁ!」
大&学「スクール水着最高!」
西「ハモんな!」
・ ・ ・
書記「……」
会計「おいおい、お前どうしたんだよ?」
書記「会計」
会計「あ?」
書記「……手、繋ぎなさい」
会計「えー、手繋いだら確実にお前子どもだぞ?」
書記「……!」ポカポカ
会計「痛い痛いー……やれやれ、ほらよ」
書記「!」
会計「これでいいんだろ。ったく」
書記「……納得いかない!」
会計「でっ、いきなり力強く握るなよな!」
書記「自業自得!」
会計「なはは、なんだよ怒っちゃって!」
・ ・ ・
助手「博士〜」
博士「なんだ、何もないぞ」
助手「わかってますよー、ちょっとギュッとさせてください」
博士「子ども扱いする奴は嫌いだ」
助手「違いますよ、ちょっと違う意味でです」
博士「……なんだ?」
助手「家族として、なんて、ダメですか?」
博士「……好きにしろ」
助手「えへへ♪」
・ ・ ・
985 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/06/18(月) 00:21:31.99 ID:RiSEZhm/o
蛇「こちらの陣地は制圧した、そちらは?」
蛇「……ああ、わかった。すぐに援護に向かう」
蛇「やれやれ……今日も人使いが荒いな」
蛇「……夢、俺は今日も生きているぞ」
・ ・ ・
池面「あのー童ちゃん?」
童「なんだ、池面氏。『今日は良い天気だね』というありきたりなことを言うのは、私にとっては、ある意味新鮮かつ、ある意味最もカップルのような会話だと思って言ってくれるのだと思って身構えているのだが」
池面「いやあ、その体勢はなんなの?」
童「この体勢はさんかく、たいいく、たくさんの言われのある座り方で、私が何か期待をしている時についついこの座り方になってしまう、一種の癖のようなものだ」
池面「……今日は良い天気だね」
童「うん、そうね♪」
池面「童ちゃん、それは?」
童「以前ここに来たカップルの彼女が言っていた。この時にとても満面の笑みをしていたので、私も真似てみた。可愛くなかっただろうか?」
池面「すっごく可愛い!」
・ ・ ・
要「先輩ーキスの味ってどんな感じですか?」
庶務「は、はあ!? 私に聞かないでよ」
要「うう、酷いです……このままだと私、人生経験なしの残念少女になってしまいます……!」
庶務「あんたのために私がキスする必要ないでしょ!」
要「あれれ、私は先輩にして欲しいなんていってないですよ?」
庶務「……! 要ぇ!!」
要「あはは♪」
・ ・ ・
986 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/06/18(月) 00:22:55.96 ID:RiSEZhm/o
男「女、準備はできた?」
女「はい」
男「さてと、家に帰るか」
女「了解です」
・ ・ ・
男「うひゃー晴れてるなぁ」
女「梅雨の時期なのに、快晴ですね」
男「昨日の大雨とはまったく違うな」
女「はい」
男「……」
女「……」
男「えーっと」
女「?」
男「手でも、繋ぐか」
女「……はい」
・ ・ ・
男「ただいまー」
女「ただいま戻りました」
狐子「む! 帰ってきたか!」
撫子「おかえりなさいませ、二人とも♪」
牧「昨日は雨に降られて、大変だったね」
男「ああ、まったくだ」
女「でも、嬉しいこともありました」
撫子「あら?」
狐子「……! お、男、なにか、女にしてないだろうな?」
男「し、してねえよ!」
牧「なんだか、どもる感じがあやしいなぁ」
撫子「私も男さんに、なにかされたいです〜」ニコッ
狐子「男ぉ!」
男「うわー! どうしてこうなるんだー!!」
女「……」
987 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga !桜_res]:2012/06/18(月) 00:23:45.51 ID:RiSEZhm/o
活動報告 ○○日目
今日も、私は幸せです。
幸せという感情は、まだよくわかりませんが。
私は狐子といて、撫子といて、牧といて。
そして、男さんと一緒にいれる今が。
きっと、幸せだと思います。
だから、このままずっと続くと思います。
こんな毎日が、ずっとずっと――。
988 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[sage saga]:2012/06/18(月) 00:24:34.29 ID:RiSEZhm/o
・ ・ ・
博士「……ふむ」
博士「……男、ありがとう」
博士「こんな報告が来るのは初めてだ」
博士「いつも事務的なことしかこないのに」
博士「女が変わった証拠だな」
博士「……ふふ」
助手「博士ー! クッキー焼けましたよ〜」
博士「ああ、今行く」
パタンッ――
END!!!
989 :
久方
◆p79mT8Wu64Nk
[saga]:2012/06/18(月) 00:27:27.07 ID:RiSEZhm/o
一ヶ月の間、本当に申し訳ありませんでした!
女「機械の体ですけど、一緒に過ごします?」完結です!
一番最初のスレから、1年2ヶ月が経ちました。
本当に長い間、みなさんに支えられてきました。
なんだかもう、言葉がまったく見当たらないです! ありがとうございます……!
完結しましたが、まだまだ彼らの日常は終わりません!
きっと、きっとまた、次スレで会いましょう!
男「本当に……」
全員「ありがとうございましたー!!!」
以上、久方でした。
990 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/18(月) 00:28:41.08 ID:nYED4ZAR0
いちおつ
まさか今夜来るとは...
次スレ楽しみにしてる
991 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/18(月) 00:30:30.95 ID:nYED4ZAR0
連投ですまないが続くのか?
空気読めなくてすまん
992 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/06/18(月) 00:40:02.31 ID:48d1WEjlo
乙でした
長期に渡って面白い物語を読ませてくれてありがとう
次スレが立った時には必ず読みにくるよ
993 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/18(月) 00:46:56.46 ID:13fImKQ60
おいおい伏線放り投げて行くなよ
994 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2012/06/18(月) 00:56:22.05 ID:T1Duf8DAO
乙乙乙乙乙。
995 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/18(月) 06:52:30.40 ID:E8r8DFd6o
お疲れ様でした
996 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/18(月) 17:29:48.40 ID:YVIoR+ZUo
大変お疲れ様でした。
005は未定との事ですが、いつか書かれる日を楽しみに待っています。
997 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/06/19(火) 02:59:57.63 ID:cAq2Qmvyo
乙!
998 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/20(水) 06:29:15.10 ID:rT/iicuv0
乙でした
次スレがいつか立つことを期待しています
999 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(青森県)
[sage]:2012/06/22(金) 13:23:00.11 ID:aFH40EACo
乙!!
1000 :
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(埼玉県)
[sage]:2012/06/22(金) 23:51:19.01 ID:7TuKr9BWo
おつでした!
とても楽しかったです。
次回作も楽しみにしています。
1001 :
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