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魔王「覚悟するがよい、魔王よ」 その2 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 04:13:35.71 ID:9yeilFOr0
前スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1321461616#footer

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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 04:17:50.17 ID:9yeilFOr0
キャラ紹介


魔王(勇者) 歳:不明(数百年は生きたらしい)

本物の勇者を殺害し、勇者となり替わって4人パーティを組み、打倒・魔王の旅をしている元・魔王様。

大変な我儘者で、自分勝手が過ぎるというとんでもなく子どもじみた性格。
さらに冷血、非情、クズ、阿呆、残酷とおまけがついている。人や魔物を殺す事に躊躇わない所を見ると、決断が早い。
好きな物は自分。暗所と孤独が大の苦手。

見た目年齢だけなら、20代前半。どことなく、顔に幼さが残っている。
長年、勇者たち人間と戦ってきただけあり、体は逞しい(戦士には及んではいない様)。
ちなみに作中で触れなかったが、結構身長が低い。

魔王ってバレちゃったみたいです



戦士  歳:26

勇者と共に、魔王を討つ為にパーティへ入ったムキムキ男戦士(通称:肉ダルマ)

人柄も良く、とても大らか。誰に対してもすぐに心を開いてしまうお人好しでもある。
元々リーダー気質だったのだが、魔王を傍で助けたいがため、パーティ内では参謀的なポジションについている。
顔に似合わず、特技は料理や洗濯、掃除といったとても家庭的な面を持っている。
好きな物は勇者殿、強さ。嫌いな物は難しい事。

2m程あるその巨体に、逞しい程の筋肉がガッツリとついている。顔は強面で、
全盛期は一睨みで魔物が逃げていくほどだったという。
赤い鎧に兜は戦士の目印。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 04:20:03.16 ID:9yeilFOr0
盗賊 歳:22

勇者と共に、魔王を討つ為にパーティへ入った捻くれ陰男盗賊

いじられキャラ代表選手。常に考える事はネガティブな方向で、人と接する事をとても苦手としている。
本人は親しくなろうと近づくも、思いもしない毒舌トークと不気味な笑いで相手を
自動的に牽制状態へさせてしまうのが彼の悩み。割と熱くなりやすく、クールを装いきれていない。
好きな物は僧侶ちゃん、酒、お宝、妹。嫌いな物は勇者(魔王)、戦士、馴れ馴れしい人間。

女性と間違うほどの身体の華奢さが、テクニカルで素早い動きを生み出している。
肌が雪の様に白く、手も繊細な為、後ろ姿だけならほぼ女性である。
目付きがとても悪く、完全に悪人顔。笑うと顔が引きつります。



僧侶 歳:23

勇者と共に、魔王を討つ為にパーティへ入った守銭奴貧乳女僧侶

パーティの紅一点。神に仕える者らしく、人に対して優しくて献身的な頑張り屋。頑張り過ぎて空回りする事も多々。
日ごろからお金に関してはパーティ一うるさく、我流・節約秘術を駆使してお財布の中身を減らさないように四苦八苦。
神や自分、仲間をバカにされる事を異常なまでに嫌い、途端に無謀な行動に出る事がある。
好きな物は神様、色んな景色、お金。嫌いな物は無駄に高い品物、親、故郷

盗賊が「べっぴん」と評価したように、顔は大変整っていて、男たちから評判が良い。
身長はパーティ中一番低く、小柄。下がスカート式の法衣を装備している。
作中でも言われた通り、胸はまるで壁の様。推定カップはA



魔剣 歳:不明

勇者(魔王)に恋する禍々しい力を持つ剣

女の様な口調で語りかけてくるが、性別は不明。一人称は「僕」の僕っこちゃん。
時折、余計な事を喋って魔王から破壊されかける事が多々ある。
刃の部分には閉じた口の様なものが部分的に存在し、敵を切り裂く時に口が解放される。
現時点では魔剣について詳しく魔王も、仲間たちもわかっていない。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 04:21:00.62 ID:9yeilFOr0
だいたいこれぐらいで
次回投下予定、不明
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/19(木) 02:36:33.95 ID:uEaLT4BG0
魔王「……」

盗賊(さすがの勇者でもこれには堪えたか。元魔王っていってもなぁ…)

魔王「腹が空いた」

僧侶「え?」


魔王「腹が空いたと申した。どうにかならんのか!」

僧侶「ゆ、勇者様……はぁ」

盗賊「〜……」

魔王「朝からまだ何も食っていなかったであろうが。そろそろ日が沈むぞ」

盗賊「こんなときに飯なんて食ってられるかよ…」

魔王「なぜだ?」

盗賊「なぜってお前……」

僧侶「簡単な物だけでも、食べておきましょうか」

魔剣『僧侶ちゃんが作るの?』

僧侶「え、私!?」

盗賊「……いい、俺が作るぜ」

魔王「作るなら美味いもん作るのだぞー」

盗賊「チッ…」

僧侶(勇者様が魔王……やっぱり納得いかない)

僧侶「」ジィー

魔王「はーらが減っては、戦もできぬゥ〜」

魔剣『なぁに、その歌?』

魔王「そういう歌である」

僧侶「…もし本当に魔王だとしたら、何だか…あはは…」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/19(木) 02:37:08.03 ID:uEaLT4BG0
戦士「……」

盗賊「おい」

戦士「うわっ!? …脅かすなよ、盗賊」

戦士「何か用か」

盗賊「飯を食おう。俺が作っておいたぜ…」

戦士「あ、ああ……悪いな。俺の仕事なのに」

盗賊「この状況ですらお前に作らせるのはさすがにこっちが悪い」

盗賊「お前はここで1人で食うか」

戦士「ううん、俺も一旦みんなのところへ戻るわ」

盗賊「……い、いいのかよ?」

戦士「いいの」

戦士「あ、それとも俺がいると今気まずいかねぇ…」

盗賊「さぁな。何とも思われないって事はないだろうぜ……くくっ」

戦士「なぁー、盗賊は勇者殿の事どう思う」

盗賊「…いきなりだな。別にどうとも思わんぜ」

戦士「そうか」

戦士「ありがとう。それだけ聞きたかったんだ」

盗賊「礼を言われる事でもない」

戦士「そっか、そっか……じゃあ安心だ」

盗賊「は?」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/19(木) 02:37:42.81 ID:uEaLT4BG0
戦士「腹減ったなぁー!」

魔剣『せ、戦士ちゃん!』

僧侶「戦士さん……」

魔王「」チラ

盗賊「連れてきた。飯食うなら全員一緒の方がいい」

「……」

戦士「あ、あー……」

魔王「まず座るがよい、戦士」

僧侶「ゆ、勇者様?」

魔王「何か問題でもあるというのか? 僧侶よ」

僧侶「いえ……」

魔王「盗賊、さっさと用意するのだ。待ちくたびれたぞ阿呆!」

盗賊「それが作った奴に対する態度かよ、くそっ」

戦士「俺も腹減ったぁー! 盗賊早くー!」

盗賊「黙ってろ! ちくしょう……」

魔剣『……うぅ』

戦士「魔剣ちゃん。さっきはごめんな!!」

魔剣『え…?』

戦士「怒鳴る事なかったよな。いい歳こいてガキ臭かったよ…」

魔剣『戦士ちゃぁん』

戦士「撫でてやりたいけど、触れないからなぁ…うぅ」

魔剣『気持ちだけでも嬉しいからいいよ!』
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/19(木) 02:39:55.18 ID:uEaLT4BG0
戦士「僧侶ちゃんも、盗賊もごめんなさいだ!」

僧侶「い、いえ…私は気にしていませんよ」

僧侶「まず、こうして戦士さんが元気になってくれただけでも嬉しいです」

戦士「そう?」

盗賊「……てめぇはいつもウザいぐらいが調度いいんだよ」

盗賊「変に落ち込まれても、こっちの調子が狂っちまうから」

戦士「うおおおおおおぉぉぉぉ〜〜〜!!」

盗賊「やっぱり少し大人しい方がいいか…」

戦士「何だよそれー!」

魔王「で」モグモグ

魔王「余にはないのか?」

僧侶「ぶぅっっっ!! げほっ、げほ…」

魔剣『僧侶ちゃん大丈夫ー?』

僧侶「う、うん…勇者様っ!」

魔王「何じゃ」

僧侶「もうっ!!」

戦士「勇者殿、後で2人っきりで話しましょう」

魔王「こやつらに聞かれてマズイ事でもあるというのか」

戦士「俺の気持ちの問題っス!」

魔王「真、勝手な奴よのぅ…」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/19(木) 02:40:25.16 ID:uEaLT4BG0
戦士「勇者殿ぉ〜!」ベタベタ

魔王「寄るなッ、暑苦しい!!」

魔剣『よかったよぉ』

僧侶「ふふっ…」

僧侶(よかった、戦士さん。そうよね、ここまで一緒に旅してきた仲なんだもの)

僧侶(あの程度の事じゃ、そうそう揺らいだりしないはずよ)

盗賊「ど、どうした僧侶…俺の作った物では口に合わなかったのか…?」

僧侶「そんな! とっても美味しいですよー!」

盗賊「マジかっ…!」

盗賊「くっくっくっ……!!」

戦士「盗賊、何嬉しそうにしてんのよ?」

盗賊「いやぁ…くくっ!」

戦士「変な盗賊。ねー」

魔剣『ねー!』

魔王「盗賊、おかわり」

盗賊「あ? んなもんねぇよ」

魔王「殺すぞ貴様ァ…」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/19(木) 02:40:56.80 ID:uEaLT4BG0



僧侶「ふぅ」

魔剣『僧侶ちゃんお腹いっぱい〜?』

僧侶「うん。美味しかったからいっぱい食べちゃったね」

魔剣『僕も普通のご飯が食べられたらいいのになぁ』

魔剣『そしたらみんなとああして一緒に食べられるのにー』

僧侶「そうだね」

盗賊「お前は人を食うんだろ? なら人肉でも食卓に用意すればいいんじゃねぇか…くく」

魔剣『おぉ、その手があったか!』

僧侶「じょ、冗談ですよね……?」

盗賊「へ、あっ!? じょ、冗談に決まってるぜ……」

僧侶「ですよね…ビックリしましたよ」

魔剣『僕は本当にそれでもいいんだけどー』

盗賊「やらねぇから」

魔剣『ぶーぶー!』

魔剣『んー…人間か魔物にでもなれたら、みんなにちゃんと触ってもらえるのかなぁ』

盗賊「お前、魔物って」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/19(木) 02:41:36.59 ID:uEaLT4BG0
魔剣『じゃあ人間?』

僧侶「魔剣ちゃんならきっと可愛い女の子だと思うわ。人間だとしたらね」

魔剣『どうして女の子? 僕、たぶんどっちでもないと思うの』

盗賊「……女でもあり、男でもあるのか?」

魔剣『だからぁー、どっちでもないんだってば』

盗賊「まぁ、元が無機物なんだしな。ただ喋っているだけだし」

僧侶「ただ喋っているというわけでもないと私は思いますよ。きっとちゃんとした感情も魔剣ちゃんにはあるかと」

盗賊「剣が感情…?」

盗賊「もしそうだとすれば、半分は人間みたいなもんだぜ」

魔剣『本当〜!? 僕人間!?』

盗賊「みたいなものだ、って事だ」

僧侶「ですね。大丈夫、魔剣ちゃん。私たちこうして何とかやっていけてるじゃない」

魔剣『でもでも、みんなに触ってもらえないもん…』

僧侶「そうだけれど。いくら人の姿でなくても、心は通わせられているわ」

盗賊「……だったら、それは例え魔物だとしてもなのか」

僧侶「え?」




魔物『俺ガ忠義ヲ誓ッタノハタダ一人、魔法使イ様ダケ…!』




盗賊「魔物と人間、心通わせられれば、俺らは戦わなくて済むのだろうかな。くくっ…」

魔剣『無理じゃないのー。だからみんな魔物と戦ってるんだよ』

僧侶「うーん……」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/19(木) 02:42:39.30 ID:uEaLT4BG0
戦士「うん、ここら辺でいいか」

魔王「随分とあやつらが居る場所から離したなァ」

魔王「で、話とは何ぞ」

戦士「あー、まずっスね…」

戦士「……殴ってください、勇者殿!!」

魔王「……んん?」

戦士「俺、怒りで我を失って、殴りまくったじゃないスか! 一方的に」

魔王「うむ」

戦士「殴ってください!! そして、おあいことはいかないだろうけど…自分にケジメつけさせて欲しいっス!」

魔王は戦士を殴った!

戦士「ぶっっっ…」

魔王「ほう、まだ足りなそうであるなッ」

戦士「お願いします!」

殴った!

魔王「もっとかー!」

戦士「うっす!!」

殴った! 蹴った!

戦士「いま蹴りませんでしたか…!?」

魔王「まだまだァ〜……」


ボコスカ、ボコスカ


戦士「ぎゃあああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜っっっ!?」

魔王「フハハハハハッ! 余に手を出した罰よッーーー」


ボコスカ、ボコスカ
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/19(木) 02:44:13.01 ID:uEaLT4BG0
戦士「ひぃ、ひぃ……」

魔王「あー! スッキリしたァ!」

戦士「は、はは…俺もなんかスッキリしましたぜ……」

魔王「で、まだ謝られていないわけだが?」

戦士「……」

戦士「…俺、バカだからあのガキが言ってた事一瞬でも真に受けちまったんスけど」

戦士「俺自身はそんな事信じたくない。勇者殿が魔王だなんて」

魔王「余は勇者であろうが。もういっぺん殴れば理解するか?」

戦士「いえ、たぶん殴られても今は理解できなさそうっス…」

魔王「……なぜだ」

戦士「わかんないんスよぉ…何でか……俺の中の疑心が消えてくれないんスっ……」

戦士「俺は勇者殿の事、ずっと尊敬しているし、大切にしたい。だのにっ……!」

魔王「むッ」

魔王「……忠誠を誓え、戦士よ。余について来るのだ!」

戦士「……」

戦士「俺に、時間をください」

魔王「考える時間なら先程くれてやった!」

戦士「もっと、もっとだ! もっとくれ!」

戦士「バカが考えるには時間がかかるんだ! 俺はまだ…」

魔王「では無期限で与えてくれる。だから、余について来い!」

戦士「」

戦士は首を横に振った。

魔王「!」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/19(木) 02:45:26.87 ID:uEaLT4BG0
魔王「……何か考えがありそうだなァ。貴様」

戦士「ええ、あります」

戦士「勇者殿は頭の良いお方だ。言わずともわかってくれるっスよね」

魔王「ふん、知るかよ」

魔王「だがなァ…貴様の好きにやらせるのも面白いかもしれんと見た」

戦士「あ、期待しちゃいますか!」

魔王「調子乗るでない。阿呆が」

戦士「へへ…すんません……」

戦士「…俺、勇者殿を信じたいっス」

戦士「だから」

魔王「勝手にするがよい」

魔王「余は盗賊たちの所へ戻る。今日はもう寝るわ」

戦士「はい」

戦士「勇者殿っ! おやすみなさいーーー!!」

魔王「……ではな、戦士」

戦士「……はい。さよならっス」

魔王は去って行った。

戦士「さて、と」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/19(木) 02:47:54.41 ID:uEaLT4BG0
魔王「ふぁ〜…あァー…」

魔剣『あ、勇者ちゃんおかえり〜!』

僧侶「おかえりなさい。あの、戦士さんは?」

魔王「知らん。余はもう寝る。騒いで起こすようなマネしたら殺すからなァ…」

盗賊「わかったからさっさと寝てろ、僧侶もだぜ。見張りは俺がする」

僧侶「いえ、私はまだ…」

盗賊「無理されても困るんだぜ。いいから休みな…」

僧侶「あ、はい……そうですね…」

魔剣『勇者ちゃん添い寝してあげるからねー!』

魔王「おう、こやつも火にくべて構わぬぞ」

魔剣『なんでぇー!!』

僧侶「ふふっ、おやすみなさい……」

魔剣『戦士ちゃんも早くこっち戻ってきたらいいのにー』

魔王「いつか、戻ってくるわ」

盗賊「……ふぁ〜…ねむっ」


この時はまさかあんな事になるなんて思いもしませんでした。

戦士さんが私たちの元からいなくなってしまうなんて。





次の日の朝、置き手紙とともに戦士の姿は消えていた。


パーティから戦士が抜けた!
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/19(木) 03:04:53.69 ID:uEaLT4BG0
短いけど今日はここまでで。次回は木、金どちらかに
それと、ちょっと遅かったけど側近のキャラ紹介書いておく



側近(死亡) 歳:118

ある日勇者になると城を飛び出していった魔王様も取り戻そうとしている健気な死霊使いちゃん

代々魔王の傍で世話をしてきた家系の女魔物。彼女は丁度8代目にあたる。
魔王を誰よりも尊敬し、慕っているにも関わらず、魔王からの扱いは大変ぞんざい。
彼女は人や魔物の死骸を蘇らせ、従わせる特技を持っており、それを駆使して帰ってこない魔王に対し、
過去に魔王へ挑んできた者を刺客として送りつけてきている。
好きな物は魔王様、お酒、ぬいぐるみ。嫌いな物は特にありません。

魔術師系の魔物という事もあり、容姿は人間には近い。
少女の様な顔立ちに頭から2本角が生えている姿が、彼女が魔物だという事を周りに認識させている。
胸はほどほど存在している様。推定カップはB〜C



他に詳細知りたいキャラいたら遠慮なく言ってくださいー
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県) [sage]:2012/01/19(木) 04:04:09.65 ID:fFORT7B6o
僕は…格闘家ちゃん!
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 04:55:27.74 ID:Mzsd2zPR0

戦士離脱って・・・魔剣ちゃんなでなでしたげたいよぅ
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 07:02:24.56 ID:kaN2gHCDO
戦士がいないと寂しくなるな……

そういえば戦士は粗チンそうだなとふと思ったが粗チンは盗賊だったな


とりあえず魔王PTの装備とついでに戦士のチ○コステータスを……
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/19(木) 09:52:39.52 ID:r7Sw1i8W0
>>19
なんかお前が怖い・・・
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 10:54:57.32 ID:OtlBW7NDO
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 21:04:45.57 ID:GJP+ENmto
>>19
アッー!
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:28:43.43 ID:AyyCNcUZ0
フィールド


賢者「多分ここら辺だと思うんだけどぉ」

勇者「それマジ情報なんだろうな」

賢者「しらない…www」

勇者「舐めてんのかクソビッチが!?」

遊び人「まぁまぁ、気楽に行こう〜。時間はまだまだあるんだしねぇ」

勇者「俺はなァー……魔王殺すまでこのムカっ腹が収まんねぇんだよォ…」

賢者「溜まってんじゃない? 抜いてあげよっか」

賢者は勇者のズボンを下ろした!

勇者「はぁうんっ」

遊び人「あらまー」

賢者「後で100Gね」

勇者「仲間から金巻き上げる気かよお前!」

賢者「タダより怖いものはないわよ〜……それはそうと」

賢者「やっぱいないかもしんない。アイツら」

遊び人「おひょ! なんでわかったし?」

賢者「奴らの中にいたあのお姉さんの魔力を探知して追ってきてたんだけどサ。それがどうもここから感じられなくなっ
てるのよ」

勇者「はぁ!? ざけんなよオイっ! さっきここらにいるって言ってたばかりだろうが!」

賢者「仕方がないじゃんw 探知したのはさっきだったんだし、その間に移動されちゃ敵わないよ」

賢者「そもそも、私まだそこまで上手く魔力なんて追えないからねー」

遊び人「ねー」

勇者「ああああああぁぁっ〜〜〜!!!」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:29:19.28 ID:AyyCNcUZ0
勇者「何なんだよてめぇら! 俺勇者だぞ!」

遊び人「勇者だからなんですかぁ。関係ないのよぉ〜、ほほほ」

遊び人「あんましゃしゃってると、ぶっ殺すぞ」

勇者「お、おい…悪かったって……」

賢者「そうそう…殺すなんて物騒な事やめてよ〜…w」

勇者「俺ら仲間だべ? 仲良くいこうや…」

遊び人「……」

遊び人「にこー」ニヤニヤ

勇者「うっ」

遊び人「そうだよね。良くないねぇ、こういうのは」

賢者「ふぅ……」

「話に一段落着いたところで、君たちに言っておきたい事がある」

遊び人「よよよ、これはこれは女戦士さんじゃないですかー!」

勇者「おい、アンタ。勝手に俺らから離れてなにしてたんだよ? あ?」

女戦士「君たちに言う必要はないよ。……魔王を追いこむにしても、場所を考えて欲しい」

賢者「え〜…もしかしてお姉さんずっと見てたわけ?」

勇者「なにっ」

女戦士「敵を知ることも戦い。それに私はあんな恥晒しの様な行為はしたくなかった」

遊び人「プライド高いよねー!!」

女戦士「君はテンションが高いな」

女戦士「勇者、君はそれでもリーダー気取りのつもりの様だが、もう少し頭を使いなさい」

女戦士「そのままでは無様だぞ。勇者殿」クスッ

勇者「くっそ……」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:30:02.33 ID:AyyCNcUZ0
とぼとぼとぼ・・・


僧侶「……」

魔剣『おーい、僧侶ちゃーん? 置いてかれちゃうよ〜』

僧侶「え、あぁ……」

僧侶「…あの、皆さんは平気なんですか。戦士さんが突然いなくなったりして」

盗賊「むしろ暑苦しくなくて清々したぜ」

僧侶「本気で言ってるんですか…!?」

魔剣『ううん、盗賊ちゃん強がってるだけだよねー』

盗賊「何だとっ…」

魔王「顔見ればモロわかりである。だいたいよ、僧侶」

魔王「あやつの置いていった手紙を読まなかったというのか」

魔王「アレに、永遠の別れになるとは書かれていた覚えはないがァ?」

僧侶「で、ですけど」

魔剣『大丈夫だよ〜! 僕も最初残念だなって思ってたけど、戦士ちゃん戻ってきてくれるよー』

盗賊「どうしてそう言いきれる」

魔剣『だって戦士ちゃんだも〜ん』

魔王「うむ。気に食わんが、余も魔剣と同じである」

盗賊「はぁ…?」

魔剣『恋人同士は考えも一緒になっちゃうんだねー! きゃっ』

魔王「叩き折るぞ貴様」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:30:44.59 ID:AyyCNcUZ0
僧侶「…そう、ですよね」

僧侶「そうですよ! それに、こうして私たちがくよくよしていたって戦士さんは戻ってきてくれませんし!」

盗賊「僧侶…」

僧侶「そんな事より、戦士さんという戦力が抜けてしまった分、私も今まで以上に頑張らないと!」

魔王「貴様が頑張らんでも余1人の力でなんとかなるわ」

僧侶「あ、いいんですか。そんな事言っても? 私や盗賊さんまで去ってしまいますよー」

魔王「ぐ、ぬ、ぬぅ……!」

盗賊「僧侶は強いな」

魔剣『女の子はみんな強いよー!』

盗賊「なんでそれをお前が言えるんだよ」

僧侶「魔剣ちゃんの言う通りです。女を舐めては痛い目見ますよ!」

魔王「阿呆か」

魔王「それよりも、さっさと女勇者を見つけるぞ」

盗賊「何処にいるか、目安も着いていないのにか…?」

魔王「適当にぶらつけばいずれ遭遇するである」

僧侶「い、いや、それはどうかと」

僧侶「この先に村が1つあった筈なんですけど、まずはそこを訪れてみるのはどうでしょうか?」

魔王「もう何もなくてつまらん村は懲り懲りだッ」

僧侶「またそんな事言って。いいじゃないですか、自然に囲まれていて。空気もおいしいですよ」

魔王「余にとってそこは淀んだ空気が漂う場所と変わりない!」

盗賊「……ったく。ん」

盗賊「おい、あそこに誰か倒れてるぜ」

魔王「あァ?」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:31:17.44 ID:AyyCNcUZ0
僧侶「……本当! た、大変!」

僧侶「大丈夫ですか!?」ユサユサ

「……」

魔王「死体だ! 放っておけ!」

僧侶「それは決めつけではありませんか」

盗賊「俺もこいつに同意だ。余計な拾いもんはしたくねぇ…」

僧侶「そんな薄情な事言わないでくださいよ! 私たち勇者一行ですよ」

魔王「勇者だからといって、道端で倒れておる者を助けてやる義理はない!」

魔剣『んー』

魔王「何だ、魔剣よ」

魔剣『こいつ、見た事ある気がするー』

魔王「何?」


ぐぅー


僧侶「!」

魔王「でかい屁だな。僧侶…っ」

僧侶「わ、私じゃないです!! それに…」

盗賊「こいつ……」

少女「……お、お腹減った」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:32:19.41 ID:AyyCNcUZ0
村・定食屋さん


少女「むしゃむしゃ、あむっ…がぶっ! んん〜!」ガツガツ

盗賊「……」

少女「あのっ、お代りしても!?」

僧侶「え!? まだ食べるんだ…」

少女「すみませーん、店員さーん! もっと料理を!」

「あいよー」

盗賊「お前は遠慮ってもんをしらねぇのかっ」

僧侶「と、盗賊さん。いいんですよ、私たちに気を使わずどんどん食べてください」

少女「はふはひはふ(助かります)!」ムシャムシャ

魔剣『美味しい〜?』

少女「美味しい過ぎて死にそうです!」

盗賊「……おい、勇者。こいつ」

魔王「貴様ら、これから死にゆく奴に飯など食わせる必要はないぞ」

僧侶「え?」

魔王「まさか貴様だったとはなァ。以前会った時に始末しておけばよかったわ」

少女「あ、この前はどうも……」

魔王の攻撃!

テーブルが壊れてしまった!

「な、何してんですかー!?」

魔王「部外者は引っ込んでおれ! さぁ、飯の時間は終了だ」

少女「あ、あ……あぁ…!!」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:32:48.97 ID:AyyCNcUZ0
少女「ご、ご飯が……」アタフタ

盗賊「おいっ、余計な騒ぎ起こしてるんじゃ」

魔王「喧しいッ! ようやく見つけたのだ。さっさと殺すまでよ」

僧侶「ちょっと! 殺すってどういう事ですか!? 探しだしてお話を聞くんじゃ…」

魔王「勇者は余以外に必要ない。つまりそういう事である」

僧侶「そんな事言ってしまっては、あの時の勇者と変わりありませんよ!」

魔王「ふんッ、知った事か! 魔剣よ、こやつを滅するぞ」

魔剣『いえっさー!』

女勇者(少女)「……お母さんから言われませんでしたか。食べ物を粗末にしてはいけないって」

魔王「あ?」

女勇者「いくら命の恩人だろうと、これだけは譲れません。作ってくれた店員さんに謝って」

魔王「……ふざけておるのか!?」

僧侶「そうですよ、勇者様。お店に迷惑をかけたんですし」

盗賊「場所を考えな」

魔王「貴様らもか!?」

女勇者「勇者を名乗るのなら、常識ぐらいわきまえましょう。これも常識の内です」

女勇者「私も一緒に謝るから。ね?」

魔王「〜……」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:33:30.23 ID:AyyCNcUZ0
店の外


魔王「どうして余が…」

女勇者「本当にありがとうございました! あなた方は命の恩人です」

僧侶「いいえ、気にしないでくださいよ。困っている人がいるなら助けるまでですし」

僧侶「それより、あなたが女勇者さん?」

女勇者「あ、えっとー……」

盗賊「誤魔化しはいらんぜ。もう顔はバレてんだしよ」

盗賊「しかし、まさか空腹でぶっ倒れてるなんてマヌケな勇者もいるもんだな…」

女勇者「宿代でご飯食べるお金がほとんど残ってなくて…」

魔王「では宿ではなく野宿でもしたらよいのだ。甘えるなよ阿呆」

女勇者「えっと…私これでも女の一人旅しているので……その…」

魔王「あァ〜?」

僧侶「それだけリスクがあるという事です。女性が1人で旅をするという事は」

女勇者「これでも男装してみたりして何とかしてるんですけどねぇ…」

盗賊「待て、なぜ仲間を集めなかったんだ」

女勇者「作り方がわかりませんでした」

盗賊「ん……?」

女勇者「あ、あの…仲間ってどうやって作ればいいんでしょうか」

盗賊「マジか……」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:34:08.69 ID:AyyCNcUZ0
女勇者「」

僧侶「本当に、酒場で集められる事知らなかったみたいですね…」

盗賊「もう言ってやるなよ」

魔剣『でもでも、よく1人でここまでこれたねー』

女勇者「あ、それはですね」

魔王「もうこれ以上貴様から聞く話などない。村の中で殺してはダメなら、表へ出ろ!」

女勇者「…どうしてさっきから喧嘩腰なんですか? 前に会った時は」

魔王「それはッ」

魔剣『勇者ちゃんが気づかなかったからね〜。君に気づいてたらたぶん殺してたと思うよぉ』

女勇者「えっ」

僧侶「そんな事は絶対やめてください! どうして勇者を殺さなければいけないんですか」

魔王「頼まれたからであるッ」

盗賊「…頼まれた? おい、そんな話聞いてないぜ」

魔王「言ってないのだから当たり前だ。面倒な事になると思って」

盗賊「おい……」

魔王「ともかく、貴様はどのみち殺す!」

女勇者「そんな…」

僧侶「ダメです。許しませんよ! そうなさるつもりなら、全力で止めにかかりますから」

魔王「裏切る気か貴様ッ」

僧侶「それとこれとは別ですっ」

盗賊(僧侶ちゃんがそっちに付くなら)

盗賊「そうだ。殺しはよくないぜ……!」

魔王「貴様は以前なんとも思っていない感じだったであろうが!?」

女勇者「ううぅ……仲間って優しい……」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:34:58.07 ID:AyyCNcUZ0
女勇者「あの、私。まだ死ねません」

魔王「あァ!? 貴様の言い分なんぞ知らんッ」

女勇者「ダメなの! だってまだ魔王倒してないですもん!」

盗賊「……んぷっw」

魔剣『盗賊ちゃん?』

女勇者「せめて、せめて殺すのなら勇者としての役目を果たさせてからにしてください!」

魔王「余が勇者なのだ! 魔王なら余が討つからさっさと死ね!」

女勇者「嫌! 私も勇者です!」

魔王「ぐがァーーーーーーッッッ」

魔王の攻撃!

僧侶「ちょっと!?」

魔王「死ねッッッ」

女勇者「っ!」

しかし、魔王の攻撃は弾かれてしまった!

魔王「んむゥ!?」

盗賊「……どういう事だ?」

魔剣『なんかその子硬いー!』

魔王「硬い…?」

女勇者「お父さんが守ってくれたんだ…」

女勇者はマントを捲ると、立派な鎧を見せた。

僧侶「なんて頑丈な」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:35:55.11 ID:AyyCNcUZ0
魔王「魔剣! なぜあの様なサビだらけの鎧すら切れなかった!」

魔剣『わ、わっかんないよそんなのぉ〜!』

女勇者「これを今まで身につけてきたからこそ、私は今まで何とかやってこれたんだと思います」

僧侶「その鎧1つでですか?」

女勇者「あ、ちゃんと剣もあるんですよ! 全部お父さんからの貰い物だけど」

盗賊「父親って、まさかそいつはお前の家に滞在しているのか」

魔剣『どうして?』

盗賊「……前に話しただろ。勇者の父親ってのは」

女勇者「お父さん、死んじゃいました」

僧侶「え!?」

女勇者「ですから、今この世に存在する勇者たちが、恐らく最後の勇者って事になっちゃいます」

女勇者「だからこそ……私は魔王を倒さなければいけない」

盗賊「おいおい、そんなビッグニュース聞いてねぇぞ…」

女勇者「お父さん、最後はひっそりと静かに亡くなっちゃいましたから」

女勇者「真実は私だけが知っています。誰にも言う気はありませんでした」

魔王「……しっかり今申したではないか」

女勇者「あなたたちを信頼して言ったんです。この人たちならって」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:36:36.08 ID:AyyCNcUZ0
盗賊「…こっちはこっちで、随分と甘い勇者だぜ」

僧侶「うーん……」

僧侶「私はあなたが心配で仕方がありません!」

女勇者「えっ」

僧侶「あなたはどこか、危ういんです。それに頑張ってるのはわかりますけど」

僧侶「頑張り過ぎて、自分を壊してしまいそうな」

魔剣『つまり、つまり、無鉄砲って事ー?』

僧侶「」コクリ

女勇者「そんな。大丈夫です、私はこれからも……」

魔王「まぁ? すぐに滅してくれるが?」

魔王「あの世の父に直接会って挨拶でもしてくるがよいッッッ」

魔王の攻撃!

しかし、攻撃は弾かれてしまった!

魔王「っぐ〜……!」ジーン

魔剣『かったぁーい……』

僧侶「またあなたは! もうやめてくださいっ」

女勇者「……勇者さん。どうして」

魔王「死ぬ事に理由が欲しいか? 申す必要もあるまい」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:37:17.86 ID:AyyCNcUZ0
盗賊「てめぇの考えは変わらないままか」

魔王「当然よ!」

僧侶「本当にいい加減にしてください! これでは戦士さんも悲しみますよ?」

魔剣『なんか死んじゃったみたいな言い方じゃない?』

女勇者「ありがとうございます。お二人は優しいんですね」

女勇者「私、人からこんな優しくされるのも、庇われるのも初めて、で……う、うぅ……!」

盗賊「お、おい。なぜ泣くんだぜ……」

女勇者「うわあぁ〜んっ!! ありがとうっ、ありがとうっ」

僧侶「…こんな純粋な少女までも殺すというのですか? 勇者様」

魔王「……チッ」

僧侶「さ、泣き止んで? これから一緒にあなたの仲間になってくれる人を探しに行きましょう」

女勇者「えっ…?」

僧侶「さすがにこの先も1人で旅をするのは危険ですよ。仲間はいて困るような存在でもありませんし」

魔王「よく死におるがなァッ!」

盗賊「大体はてめぇから殺されてたりしてたがな…!」

魔剣『それじゃそろそろ出発〜!』
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:38:13.31 ID:AyyCNcUZ0
町・酒場


がやがや、がやがや

女勇者「うっ……何だか怖そうな人たちが」

僧侶「大丈夫ですよ! ほら、盗賊さんだってこんなに怖い顔していても優しいんですよ!」

盗賊「ぶっっっ…」

魔王「フォローになっておらんな」

女勇者「そ、そうですよね!! 人を見た目で判断するなんて失礼ですよねっ」

女勇者「……ここまで着いてきていただいて、ありがとうございました」

魔剣『急にどったのー?』

女勇者「ここでお別れって事にしたいなって」

女勇者「私、ここからは1人で仲間を探してみます! 皆さんの様な素敵な仲間に頑張って出会ってみせますね」

盗賊「大丈夫なのか」

魔王「余計な事にまで余たちが手を出す必要もあるまい。後は知らん」

僧侶「…そうですか、わかりました。良き出会いが貴女に訪れますように」

魔王「おらァ、さっさと行くぞー」

僧侶「……ムードを大切にしましょうよ」

魔剣『バイバーイ! 元気でね〜』


すたすたすた


女勇者「良い人たちだったなぁ……ただし、勇者さんを除いて!」

女勇者「あんな非常識な人のまわりにどうしてあんな人たちが集まってるんだろ?」

女勇者「……よーし。すみませーん!」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:38:51.51 ID:AyyCNcUZ0
僧侶「女勇者様、大丈夫かしら…」

魔王「早速心配かよ。まだ店から出たばかりであるぞ!」

僧侶「で、ですけど……悪い人掴まないといいのだけれど」

盗賊「そいつもまぁ、いい経験になるんじゃねぇか」

盗賊「あの娘、見てる限り大切に大切に育てられてきたみたいだからな。世の中を知るのもいい」

僧侶「うーん…」

魔剣『やっぱり心配?』

僧侶「うん…」

魔王「赤の他人によくそこまで世話がかけられる物だなァ」

魔王「ほれ、余たちはさっさと魔王城を目指すのだ」

僧侶「そう、ですね」

盗賊「……ん?」

女勇者と、数人の男たちが店から出て行き、路地裏へ入っていった。

盗賊「おい…」

魔王「おぉ、いかん。便所に行くのを忘れておったッ」

僧侶「ちょっ……///」

魔王「仕方がないから貴様らは町の外で待っておれ。すぐに戻ってきてやるわ」

魔剣『おしっこー』

僧侶「もうっ、勇者様ったら!」

盗賊「……人がいいのか、悪いのかだぜ」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:39:29.21 ID:AyyCNcUZ0
路地裏


女勇者「あ、あの…本当にこんな所にいい道具屋があるんですか?」

男「あ? ねぇよ、んなもん」

男2「今の勇者ってこんな女の子でもなれちゃうんだなーすごいなー」

女勇者は逃げ場を失った!

女勇者「えっ…ちょっと……」

男3「大事にやってあげるから、安心しなって!」

男「俺たち結構紳士なんだ」

男2「激しくレイプしようぜー!」

女勇者は拘束されてしまった!

女勇者「やっ、やめ…! どうしてですか!? 仲間になってくれるんじゃ…!」

男2「いいよ、なっても! これはその為の儀式みたいなもんだからさー!」

女勇者「そう、なんですか? 知らなかった……」

男3「早く! 早く! もう脱がしちゃうよ!」

男「やっちゃうかー。こんな若い子となんて、初めてだ」

女勇者「んっ……」

男3「柔らかぁーい!!!」

魔王「邪ッッッ」

魔王の攻撃!

女勇者「!」

男3「†」

男・2「うわあああああああぁぁぁぁ男3いいいいいぃぃぃぃ!?」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:40:09.98 ID:AyyCNcUZ0
女勇者「勇者さん、どうして」

魔王「喧しいー……」

魔剣『きゃー! 勇者ちゃんカックイー!』

男「お前、どうして男3殺しちゃったんだよ!」

男2「可哀想に…」

魔王「どかーん!!」

魔王の攻撃!

男・2「†」

女勇者「……何も殺す事はなかったんじゃ」

魔王「阿呆。こいつらをいくら痛めつけたところで、また同じことを繰り返すに違いないわ」

魔王「悪の芽は早めに摘んでしまった方が良いのだ」

女勇者「そんな、横暴な」

魔剣『これでも勇者ちゃんなりの優しさだよ〜。それに、君も助かったでしょ?』

女勇者「でもあれは仲間になる為の儀式だって…!」

魔王「〜……」

魔王「おう、貴様ァッ」

女勇者「えっ、何ですか!?」

魔王「余の仲間になれ」

女勇者「…………へ?」

魔王「貴様に拒否権なし!」ズビシィ
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/21(土) 05:54:17.14 ID:AyyCNcUZ0
以上。たぶん、明日続きいけるかなと

それと、武闘家の紹介書いときますね
魔王たちの装備はまた後日にでも




武闘家 歳:10

勇者(魔王)を狙う謎の拳法家ロリ幼女。アチョ〜!

己の力を試す為にと現れるたびに魔王の命を狙ってくるが、大体返り討ちにあっている。
強がった態度を見せるが、やはり年相応の子どもなのか、状況によって借りてきた猫の如く大人しくなる。
僧侶に抱きつく事を好むらしく。魔王パーティの中では彼女に一番懐いているよう。
盗賊に対してはまるで虫でも見る様な態度。
好きな物は甘い物、僧侶姉。嫌いな物は魔王、盗賊、弱者。

ぶかぶかの拳法着を装備した、ツインテールの少女。
ちびっこい。見た目からして、THE・ロリである。
胸について特に記述する事はない。
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 08:02:43.94 ID:bPbBdYpDO
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 08:26:31.08 ID:0QvH2t5DO
女勇者可愛いよ女勇者
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 10:20:40.86 ID:xNNkdmsIO


伝説セット持ちの女勇者か
ぬがせりゃなんてことないな
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 11:07:51.20 ID:eb1kM4aBo
最終的に女勇者と武闘家と最初の村の子供でロリショタパーティーができそうだな
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 12:14:12.27 ID:w+1mTBA90
乙!
あなた書くキャラ生き生きしてて好きだwww
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/21(土) 21:24:31.11 ID:Vohwl7DQo
乙!女戦士再登場きたー!
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/22(日) 05:46:31.37 ID:plPn1n5m0
盗賊「で」

盗賊「どうして便所帰りついでに女勇者が着いてきてるんだ…」

魔王「手土産である!」

僧侶「せっかく仲間を見つけようと頑張ってたのに、邪魔したらダメですよっ!」

女勇者「あ、いいんですよ! それに仲間ができないなら仲間になってしまえばいいって」

盗賊「…いいって?」

女勇者「勇者さんに教わりました!」

盗賊「大丈夫か、この女……?」

女勇者「はいっ」

魔剣『とりあえず仲間になってくれるんだって! やったねー』

僧侶「本当にいいんですか? 別に私たちではなくても」

女勇者「いいんです。ていうか、私じゃ皆さんと釣り合いが取れませんか…?」

僧侶「そ、そういうわけじゃ! むしろ大歓迎というか」

魔王「まぁ、釣り合いは取れてはおらんだろうなァ。貴様はレベルも低い!」

盗賊「何レベルだぜ?」

魔剣『7だよ〜』

盗賊「あ、マジか……」

女勇者「何分、魔物は避けて旅してきたので……」

盗賊「それって勇者としてどうなんだ」

女勇者「あ、あの! 私絶対足手まといになんかなりませんから! すっごく頑張ります!」

魔剣『気合十分じゃん?』

盗賊「気合でどうにかなるって話でもねぇだろ…」

僧侶「……んー、とりあえず経験してみるしかありませんよね」

僧侶「魔物退治にでも向かいましょう。依頼が先程の酒場にあったはずですよ」

魔王「あ〜? 別にその辺の魔物で構わんだろうに」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/22(日) 05:47:07.31 ID:plPn1n5m0
酒場


女勇者「」キョロキョロ

魔王「貴様落ち着きが足らん言われなかった?」

女勇者「あ、昔学校に通っていた時に成績表によく書かれてましたっ…」

魔王「だろうなァ」

魔剣『勇者ちゃんを見習わなきゃ!』

盗賊「それだけはやめろ」

お姉さん「本当に頼んじゃってもいいの? だとしたら凄く助かるけども」

僧侶「はい、任せてください。かならず依頼を達成します」

お姉さん「ありがたいねぇ。コレね、誰もやりたがらなくてさー……」

僧侶「誰もやりたがらない? なぜですか」

お姉さん「えっとー……まぁ、行けばわかるよ。さぁさぁ! 気が変わらないうちにー!」

僧侶「は、はぁ」

盗賊「終わったのか?」

僧侶「ええ、引き受けても構わないそうです。行きましょうか」

女勇者「なんだかワクワクです……!」

魔剣『どうしてー?』

女勇者「だってこういうのって勇者っぽくないですか?」

魔王「勇者を便利屋か何かかと勘違いしておらんか」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/22(日) 05:47:36.94 ID:plPn1n5m0
盗賊「それで目標は何なんだぜ」

僧侶「えーっと、自然を汚している魔物としか」

盗賊「…それだけ?」

僧侶「ええ、少し説明が足りない様な感じだったんですけど、こういう事は早めに達成させてしまった方がいいのかな
と…」

魔王「まーた勝手に変なの頼むな、貴様はァ!」

僧侶「えぇーっ!? だって勇者様が何でもいいって言ったから!」

魔王「何でもよいが普通面倒そうなものを選ぶか!?」

僧侶「もうっ、決めちゃった事ですから今さら取り消しなんてしませんからっ」

魔剣『頑固な僧侶ちゃんでしたぁ』

女勇者「なんかカッコいいかも…」

僧侶「すみません…あんな勇者様ですけど、本当はいい人……なはずで…」

盗賊「ぷっ」

魔王の攻撃!

盗賊「ぶぐっ……だ、だから…腹を殴るのは……!」

魔王「久しぶりに殴った感じであるなァ」

女勇者「ちょ、ちょっと! 仲間に攻撃するなんて許されませんよ! めっ」

盗賊「それもっとこいつに言ってやってくれ……」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/22(日) 05:48:03.39 ID:plPn1n5m0
フィールド


僧侶「川を目指しましょう。着いたら川を辿って北へ向かえと」

魔王「はぁ? すぐ近くにおれよ…」

盗賊「しかし、本当にそれだけしか言われなかったのか」

女勇者「えっ、どうして?」

盗賊「情報がさっきから足らなすぎるだろ。それぐらい気づけ」

女勇者「なるほど……あ、メモ取っても?」

盗賊「勤勉だが面倒な奴だな、お前」

魔王「んー、魔法さえ使えれば」

盗賊「使えればってなんだ?」

魔王「あっ」

魔剣『なんでもないよー! ほら、勇者ちゃん今魔法縛りしてるからね!』

盗賊「あぁ…ったく、どうして今そんな事…」

魔王「余計なフォローなどいらぬわッ」ボソ

魔剣『え〜、せっかく勇者ちゃんの為に言ってあげたのにー…』

魔剣『ていうかこの際バラしちゃっても問題ないと思うよ』

魔剣『みんななら、そんな事で攻めもしないし。それに勇者ちゃんは魔法使わなくてもさいきょーだもん!』

魔王「申せばなんか負けみたいで嫌なのだ! 弱味を晒したくない…」

魔剣『難しいお年頃〜』
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/22(日) 05:48:40.60 ID:plPn1n5m0
女勇者「皆さんはどこから旅を始めたんですか? ずっと3人で? あ、今までどんな事を?」

僧侶「あはは…質問は一回ずつでお願いしますね…」

僧侶「私たちの旅は、ここからだいぶ離れたはじまりの町という所から始まりました」

盗賊「思えば結構長い距離歩いたもんだ…」

女勇者「へぇー……それで、勇者さんがお二人を?」

魔王「別に余がこやつらを選んだわけではない。勝手に来たのだ」

魔王「ま、余から漂うカリスマ臭に寄ってきた虫といったところだな。貴様らは」

盗賊「臭っておい」

僧侶「……実は、私たちの他にも一人仲間がいたんです」

魔剣『言ってもいいの? それ』

僧侶「言っておかなきゃって」

女勇者「それって、今は?」

魔王「貴様と出会うつい前に別れた。しかし、あやつはかならずまた余の元へ戻る」

魔王「だから、女勇者。貴様はそれまでの期間限定の仲間だからな!」

僧侶「ちょっと、そんな言い方しなくても…」

魔王「正直に告げておいた方が良いであろう。後々渋られてもこちらが困るわ」

女勇者「なんとなく、わかってました。大丈夫です」

女勇者「だから…このパーティにいる間に、私色々な事を学びたいです!」

女勇者「ていうか学ばせて頂きますっ」

魔剣『勉強熱心だね、女勇者ちゃん』

女勇者「喋る剣さんからも勉強させてもらいますからね!」

魔剣『魔剣でいいよ〜。剣さんってなんかジジ臭いもん…』

僧侶・盗賊「あー」

魔王「どういう意味よ?」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/22(日) 05:49:19.55 ID:plPn1n5m0
女勇者「魔剣? ってなんですか」

魔王「魔剣は魔剣である。名の通りのよ」

女勇者「ま…ま……?」

僧侶「魔法の、魔です」

女勇者「あー! えっ、て事は…すごい剣って事ですか」

盗賊「こいつ天然か、なにかか?」

盗賊「そもそも言葉を話している事には驚かないんだな」

女勇者「それって驚く事ですか? だって魔物でさえ、最近は喋っているし」

女勇者「! って事は、魔剣さんは魔物ー!?」

魔剣『違うよー! 剣だから!』

魔王「魔物みたいなものであろうが」

魔王「魔剣について詳しく説明するのは面倒。後は自分で調べるでも何でもするがよい」

女勇者「あ、はい!」

女勇者「なんだか知らなきゃいけない事がいっぱいだよ……」

僧侶「ふふっ、大変ですけど頑張ってくださいね。わからない事があれば、聞いていただいて結構ですので」

女勇者「ど、どうしてそんなに皆さん優しいんですか。やっぱり私が勇者だから…?」

盗賊「別に勇者だからってうちのパーティは贔屓にしねぇよ。仲間なら助け合いが当然だぜ」

僧侶「……」ジィー

盗賊「な、何だ…僧侶…?」

魔剣『盗賊ちゃん。なんか丸くなったねぇーって』

僧侶「そうよねー、うふふっ」

盗賊「……///」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/22(日) 05:49:51.27 ID:plPn1n5m0



女勇者「川ってこの川ですよね?」

僧侶「ええ、そうですよ。ここを上に辿って行きましょう」

魔剣『なんかこの水ばっちくなーい…?』

魔王「濁っておるな」

魔王「盗賊、喉が渇いておると先程申したよな…」

盗賊「言ってねぇし、飲まねぇよ…!」

女勇者「あ、じゃあ私が試しに」

僧侶「やめてくださいっ……」

僧侶「変な物は食べない、舐めない、飲まない! 覚えておいてくださいっ」

女勇者「や、やだなぁー…冗談ですよー……あ、あははは…」

魔剣『川っていつもこんなに汚いの?』

盗賊「いや、そんなはずないぜ。こいつは少し変だ」

魔王「盗賊も変である!」

盗賊「今そこでその発言は無理矢理すぎるだろ」

魔王「この川の汚れも、件の魔物の仕業という事か」

僧侶「おそらくは」

僧侶「……よく見てみると、川周辺の植物が枯れていますね」

女勇者「酷い……ていうか臭くないですか」

魔王「おいッ」

盗賊「屁じゃない事だけは言っておく」

盗賊「臭いの元を辿れば、魔物の居場所へ辿りつけそうだが…」

魔剣『お鼻曲がっちゃいそう……』

僧侶「誰もやりたがらない、どうりで……うぅ」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/22(日) 05:50:21.56 ID:plPn1n5m0
ぷ〜ん


魔王「臭ェ!!」

盗賊「言わんでもわかる……さっさと倒して帰ろうぜ」

僧侶「はい…」

女勇者「皆さんもっとハリキリましょう! そんな調子じゃ魔物に返り討ちです!」

魔王「ハリキらんでも何とかなるわ。貴様少々ウザい」

女勇者「えっ!?」

僧侶「そんな事ないですよ。女勇者様の言う通り、頑張らないと」

女勇者「あぁ、私に様づけなんて勿体ないですよ! 呼び捨ててくれて」

僧侶「ですが……」

女勇者「いいんです! 私、逆にそんな扱いされちゃうと返って緊張しちゃって」

魔王「ではどう呼ばれたい? 豚?」

僧侶「却下ー! 女の子にそんな言い方ありません!」

僧侶「では、女勇者さんでよろしいですか?」

女勇者「はい」ニコニコ

盗賊「ほんと、どこぞの勇者様とは違うぜ…」

魔王「あァ!?」

魔剣『勇者ちゃんは個性派なのー!』

盗賊「はいはい……臭っ!?」

女勇者「えぇ!? ご、ごめんなさい…」

魔剣『どうして女勇者ちゃんが謝っちゃうの?』

女勇者「そ、その……私、まだお風呂に入れてなくて…」

僧侶「大丈夫です。臭くないですよ。それに臭いの元はこの先…近いですね」

魔王「貴様の力、拝見である」

女勇者「はいっ、頑張ります……!」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/22(日) 05:51:01.85 ID:plPn1n5m0
臭い場所


ぷぷ〜〜〜・・・ん

僧侶「こ、これは!」

盗賊「酷い…酷過ぎるぜ……!!」

盗賊「辺りに散乱しているヘドロ、こいつは魔物の物か」

女勇者「じゃあ泥の魔物って事ですか?」

魔王「そうとも限らん。敵は見てからではないとわからんである」

魔剣『でも、姿が見当たらないねぇ』

魔王「きっと余を恐れて逃げ出したに違いないなッ」

女勇者「……あそこ」

盗賊「どうした?」

女勇者「あそこ、一カ所だけヘドロが集中して固まってるんです。怪しいですよね?」

僧侶「言われてみれば確かに。警戒しつつ、調べてみましょうか…」

女勇者「それ、私にやらせてください」

僧侶「え!?」

盗賊「おいおい、大丈夫なのかよ」

女勇者「大丈夫っ……かわかりませんけど。何でもやってみなきゃ!」

魔王「死んでも余は知らんぞ」

女勇者「死にません! お父さんから貰った鎧もあるし!」

魔剣『あのかったーい奴? 確かにアレなら攻撃くらっても平気そうだけど』

女勇者「でしょ? 頑張りますから、ね!?」

魔王「ふゥん、勝手にするがよい」

僧侶「い、いいんですか…?」

盗賊「まぁ、経験させなければいけないと言った矢先だ。黙って見ていようぜ」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/22(日) 05:51:36.14 ID:plPn1n5m0
ボコボコボコ

女勇者「うっ、臭い……」

女勇者(ダメダメ、我慢しなきゃ。期待を裏切るようなマネしちゃいけないよ)

女勇者「…えいっ」ツンツン

ボコボコボコ

女勇者「ふぅ……もう一回」ツンツン

ボコボコボコ

女勇者「あれ? 異常なし?」

女勇者「…よかった。これ、魔物じゃなかったんだ」

女勇者「皆さぁーん!! 何もありませんでしーたぁ!!」


ボコボコボコ・・・!


盗賊「! おい、後ろっ」

女勇者「へ?」

魔物『ボボボボボボ……』

魔物・ダークスライムが現れた!

女勇者「臭ぁー!? じゃなくて、きゃあー!?」

僧侶「ゆ、勇者様!」

魔王「まだであるッ。あやつの力をまだ見ておらん」

僧侶「しかし…!」

女勇者「だ、大丈夫。私1人でもしっかりやりますから…これでも勇者なんだもん」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/22(日) 05:52:13.30 ID:plPn1n5m0
女勇者「お父さんから受け継いだ最強の剣……受けてみよ!」

ダークスライム『ブブブ』

女勇者の攻撃!

女勇者「やぁーっ!」ぶんっ

攻撃が外れてしまった!

女勇者「…あらら?」

盗賊「……お、おい」

魔剣『勇者ちゃんまだいいのー?』

魔王「うむ」

女勇者「い、今のはちょっとフェイントかけてみただけ…次こそ!」

攻撃が外れてしまった!

攻撃が外れてしまった!

攻撃が外れてしまった!

ダークスライム『……』

女勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」

魔王「貴様ふざけておるのか…?」

女勇者「そんなっ、大丈夫ですよ! これでも自力で8レベまで上げたんだから」

女勇者「剣がダメなら、魔法を!」

僧侶「女勇者さんも魔法が使えるんですね。さすがです…!」

女勇者「〜〜〜〜〜〜……」

女勇者「燃え尽きろッ」

魔翌力が足りなくて魔法を唱えられない!

魔王「貴様ァーッ」

女勇者「お、おかしいなぁ……あれ…?」


ダークスライム『ブブブゥー!』


魔物は液体状の体から一本の太い触手を形成し、女勇者目掛けて勢いよく伸ばしてきた!

女勇者「っ…!」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/22(日) 05:52:47.10 ID:plPn1n5m0
僧侶「女勇者さん!」

女勇者「大丈夫です…っ。鎧で攻撃はガードしましたから」

盗賊「お前にはまだこいつは早い。俺たちも加勢するぜ」

女勇者「も、もう少し! もう少しだけやらせて…きゃあっ!?」

触手に足をすくわれ、転倒してしまった!

ダークスライム『ブフゥー…』

女勇者「ひ、ひぃ……」

魔剣『勇者ちゃん!』

魔王「あやつ、全く使い物にならんッッッ」

魔物はゆっくりと、女勇者へ近づいてきている!

女勇者は足をくじいて動けない!

女勇者「あ、足が……っぐ…!」

僧侶「〜〜〜〜〜〜……」

僧侶は回復の呪文を唱えた!

女勇者「あ……動く…?」

盗賊「てめぇは引っ込んでな」

盗賊の攻撃!

ダークスライム『』

盗賊「……全く手応えが感じられん。こいつには魔法だ、勇者」

魔王「僧侶、任せるである」

僧侶「え、あっ、はい!」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/22(日) 05:53:26.53 ID:plPn1n5m0
僧侶は風の呪文を唱えた!

鋭い風の刃が魔物を切り刻む!

ダークスライム『ンブッ』

女勇者「す、すごい」

魔王「貴様! 邪魔だ」

魔王「魔剣よ、こやつを切り伏せる」

盗賊「だから物理は通りにくいと…」

魔剣『大丈夫だよ〜。だって、僕なんだもん!』

魔王の攻撃!

ダークスライム『ンンンッ……!』

僧侶「もう一度…!」

僧侶は風の呪文を唱えた!

ダークスライム『』

魔王たちは魔物を倒した!


テレレレッテッテッテー


女勇者「……」

魔剣『おぉ、レベルアップしたね! 女勇者ちゃん!』

魔王「……貴様ァ」

女勇者「ご、ごめんなさっ」

魔王「貴様にはその剣と鎧は宝の持ち腐れだな。情けのない!」

女勇者「うぅ……」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/22(日) 05:53:59.31 ID:plPn1n5m0
魔王「して、貴様自体が使い物にならなそうである!」

魔王「……仲間などに誘った余が愚かであったよ」

僧侶「そんなっ。勇者様あんまりですよ! 彼女は」

盗賊「いいや、ろくに剣も振れない奴はな…」

女勇者「うっ」

盗賊「父親から何も教わらなかったのか?」

女勇者「……全部、独学です」

盗賊「そういうのは実践じゃ当てにならん。俺が教え直す」

僧侶「えっ、盗賊さん?」

盗賊「使い物にならねぇのなら、なる様にするまでだぜ」

女勇者「あ、あ、あ」

女勇者「ありがとうございますっ!! ありがとうございますっ!!」

魔王「チッ…ではそれまでは貴様には戦力外通告を言い渡すッ」

盗賊「ま、そうするしかねぇな」

女勇者「はい……」

魔剣『大丈夫だよー。みんな最初から強いわけじゃないもん』

僧侶「うん、魔剣ちゃんの言う通り。これから地道に頑張っていきましょう?」

女勇者「う、うぅ〜……うわぁーんっ!」

盗賊「よくここまで1人で来れたもんだぜ…」

魔王「とんでもない阿呆を連れてきてしまったようだ」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/22(日) 06:06:59.01 ID:plPn1n5m0
以上です。続きはまた明日
今日は予定通り、魔王たちの装備を書いておこう。戦士のチ○コは想像に任せようか
女勇者のはまだ書きません



魔王
武器:魔剣
防具:魔王のマント

戦士
武器:鋼の剣
防具:鉄の鎧、鉄兜

盗賊
武器:毒針 or アサシンダガー
防具:鎖帷子、黒頭巾

僧侶
武器:杖
防具:きぬのローブ、皮の帽子


これぐらいか。特に設定してたわけじゃないから、適当なのはごめんなさい
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/22(日) 07:53:58.61 ID:2X1VPSUKo
乙、女勇者は何歳位なんだろう
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 08:31:55.10 ID:cADawWc20
勇者は16からなんだろ?


最初登場したときはできる雰囲気あったのにな女勇者w
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/22(日) 10:26:23.91 ID:EsupCHHto
>>63
最初の登場ってどのあたりだっけ?
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/22(日) 11:35:21.20 ID:O/LwHwUq0
>>37
魔王ちゃん何だかんだ言ってやっさしー!
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 12:20:09.92 ID:cADawWc20
前スレの>>939とか>>946あたり
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 18:22:14.56 ID:pEFnHjyDO
戦士分が足りない戦士のチ○コハァハア


兎にも角にも乙!

僧侶よくぞここまでこの装備で来たなww
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 19:02:09.03 ID:9UD1C7DGo
戦士が女になって帰ってきた!
とかだったら俺得
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 05:12:31.45 ID:jKPQvscF0
>>68
超展開すぎんだろwww
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/24(火) 03:48:26.39 ID:pDgSjIuz0
すみません。事情により、続きが水曜か木曜になりそう
待っている方にはほんと申し訳ない
71 : ◆KzQg0Q/KK6 [sage]:2012/01/24(火) 04:32:41.09 ID:pDgSjIuz0
わかり辛いし、ついでにトリップつけとくか
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/24(火) 04:33:49.70 ID:HqtrYp6wo
ok
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/24(火) 10:35:29.48 ID:QaeFm9Sf0
待ってるぜ
74 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:02:04.88 ID:pDgSjIuz0
女勇者「123! 123!」ブンッブンッ

盗賊「振り上げが遅くなってきてるぞ。肘がだらしない、自分に剣が当たるぜ」

女勇者「ひぃ、ひぃ……」

魔王「もう根を上げる気か貴様ッ」

女勇者「そ、そろそろ休憩が欲しいです…」

盗賊「まだ1時間も経っていない。あと50回振ったら考えてやらなくもない」

僧侶「が、がんばってー!」

魔剣『女勇者ちゃん非力ねぇ〜』

魔王「戦力外からいつ抜け出せる事やら……あー」

僧侶「それにしても盗賊さんって剣も扱えたんですね。驚きましたよ」

盗賊「大体の物なら過去に人から教わったからな。だが、極めているわけでもない」

魔王「ふん、器用貧乏か。盗賊らしいである」

盗賊「うっ……」

僧侶「ですけどスゴイですよ! 私なんて杖で殴るぐらいしか」

女勇者「ごーじゅっ! 師匠終わりました! 終わりましたよ!?」

盗賊「じゃああと50回だな…くくっ」

女勇者「え゛っ」

盗賊「頑張れ。休みたいならな…」ニタニタ

魔剣『盗賊ちゃんの笑顔邪悪だよぉ……』

魔王「いつもあんなであろうが?」

女勇者「あぁーんっ!」ブンッブンッ
75 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:02:51.92 ID:pDgSjIuz0
魔王「ていうか、あやつの特訓なんぞ後でいいからさっさと進もうぞ!」

盗賊「いや、最低限剣は振れる様になれるまではまだ…」

僧侶「そんなにすぐすぐ振れる様になるものなんですか?」

盗賊「自由自在にとまではいかないだろうが、空振り連発とまではいかないだろ」

盗賊「それにアイツ、呑み込みは早いぜ」

女勇者「疲れたぁ〜……ふんっ!」ブンッ

僧侶「確かに態勢の立て直しが素早くなったような…」

魔王「どうせ早く終わらせる為であろう。魂胆は見え見えだぞッ」

女勇者「ひぃ〜……」

僧侶「あ、あはは…」

魔剣『ほんとによくあれで今まで生きてられたよねぇ』

魔王「恐らくは、ほとんど装備に助けられてきたと余は見る」

盗賊「同感だぜ。あのガキが所持している物はどれも上等モンだ」

魔剣『僕でさえ歯が立たなかったもんしね! あの鎧ー!』

僧侶「ではこの先はそれだけに頼るというのも、キツくなってきますね」

盗賊「ああ。だからこそ、アイツは今剣の腕だけでも着けなければ危うい」

女勇者「師匠〜……」ペタン

盗賊「誰が休めって……まぁ、いいか」

盗賊「10分休め。それから踏み込みを交えて素振りだぜ」

女勇者「10分ー!?」

魔王「貧弱者めが」

魔王「その程度で根を上げていたら、即刻パーティから叩き出す!」

女勇者「はいぃ…」

僧侶「すごいスパルタ教育だわ……」
76 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:03:25.71 ID:pDgSjIuz0
僧侶「女勇者さん。お水です、どうぞ」

女勇者「あ、ありがとう……」

女勇者「…どうせならお腹一杯ご飯が食べたいなぁー、なんて」

盗賊「今食えば後で戻す事になるぜ。運動量がバカにならねぇから」

女勇者「じゃあ我慢します!」

魔王「だいたい」

魔剣『勇者ちゃん?』

魔王「だいたい、女がいくら努力しようが戦闘ではあまり役に立たんわ」

僧侶「むっ」

僧侶「そんな事ないですよ! 確かに力じゃ男性には劣りますけど、技術を磨けば」

盗賊「いや、やはり性別的にも限界というものあるぜ」

僧侶「そんな!」

盗賊「以前、超絶強い婆がいただろ。アレが女の強さの限界だと俺は思う」

僧侶「それでも十分過ぎる程の強さでしたけど」

魔王「しかし、余には全く歯が立っておらんかったぞ?」

魔剣『あんなの雑魚だよ〜』

僧侶「えぇ……」

盗賊「僧侶。これは差別というよりは区別だぜ。やはり、戦いじゃ男が勝る」

盗賊「…まぁ、その分魔法なんて便利なもんがある。穴埋めはそれでも十分だ」

僧侶「そ、そうですよね。私も頑張って色々な魔法が使えるようにならなきゃ…!」

女勇者「……ぐぅー、ぐぅー」

魔王「寝るな阿呆ッ」バチーン

女勇者「あ痛ぁっ!?」
77 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:04:20.68 ID:pDgSjIuz0
魔物『ピキー』

女勇者「……ごくり」

魔王「あやつ即効殺されたりしてなァ! ぷぷぷっ…」

僧侶「縁起でもない事言わないでくださいよ!?」

僧侶「女勇者さん、落ち着いて! 相手の動きから絶対に目を離さないように!」

魔剣『がんばがんばー!』

女勇者「……はいっ」

女勇者の攻撃!


魔物『』ぴょん


女勇者(避けられた!)

盗賊「臨機応変に動けと教えたはずだぜ…!」

女勇者「それならっ」

女勇者は剣を横へ薙いだ!

魔物『ブギャッ』

女勇者「怯んだ! 今がチャンスっ…!」

さらに女勇者の攻撃!


魔物を倒した!


女勇者「よっしゃ〜〜〜!!」

僧侶「おめでとうございます! いい戦い方でしたよ」

魔剣『よくやったー!』

女勇者「ありがとうございますっ」

魔王「この程度で何を浮かれておる。あのような者、倒せて当然である!」

盗賊「まぁ、適度に褒めてやる事も成長に繋がる…よくやったな、この調子だぜ」

女勇者「し、師匠ぅ…! 私、もっと努力して強くなりますからね!」
78 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:04:52.57 ID:pDgSjIuz0
食堂


女勇者「ばくばくむしゃむしゃ、むしゃこらむしゃこら……!」ガツガツ

魔剣『本当によく食べるよねぇー』

女勇者「そ、育ち盛りですから!」

僧侶「良ければ私のも食べますか?」

盗賊「おい…」

僧侶「あ、いいんです。何だかこの食べっぷり見ていたらお腹一杯になっちゃって…」

盗賊「それは……まぁ」

女勇者「いいんですか!? …じゃ、じゃあ遠慮なく!」

魔王「マジで遠慮の欠片もない。貴様、財布の中身の事も考えておろうなァ?」

魔剣『でも、まだまだお財布の中一杯Gあるんでしょ? だったら〜』

魔王「そういう問題ではないわッ」

魔王「良いか、余たちの仲間になるという事は金も共同なのだ! 好き勝手使えると思うなよ!」

僧侶「いつも好き勝手使っている方の台詞じゃないですよねっ」

女勇者「ご、ごめんなさい……私、ご飯の事になったら頭働かなくて…」

僧侶「気にしないでください。あ、でも少しは気にしてくれると…」

魔剣『それ、どっちなの?』

盗賊「今日だけは大目に見てやればいい。こいつはよくやった」

魔王「……戦士消えてから盗賊が盗賊らしくないッ!!」

盗賊「はぁ?」
79 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:05:38.12 ID:pDgSjIuz0
魔王「なんだか変でキモいわッッッ」

盗賊「どういう事だよ…!」

僧侶「私的には、とても心強くなったなって思います」

盗賊「えっ」

僧侶「あ! 別に今までがそうじゃなかったからというわけではなくてですね…!?」

魔剣『盗賊ちゃんは進化したんだねぇ』

盗賊「おい、魔物じゃねぇんだぞ」

魔剣『そういう意味じゃありませーん』

盗賊「わけわからん……」

女勇者「わたひもひほーひは」

魔王「食うか喋るかどちらかにせいぃ」

女勇者「ふひはへ……んぐっ」

女勇者「私も師匠はとても素敵な人だと思います。なんとなくですけど」

盗賊「」

盗賊(知らぬうちに女性陣から信頼を得ている……)

盗賊「っくく、くっくっくー!」

女勇者「その笑い方はあんまり好きくないかもです……」

僧侶「あ、あはは……」
80 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:06:13.27 ID:pDgSjIuz0
宿


女勇者「今日はもう休むんですか?」

僧侶「ええ。それに、今出発しても女勇者さんが大変でしょう?」

女勇者「あ、えっと」

盗賊「無理されても困る。ていうかお前の性質上絶対無理したがるだろう」

女勇者「バレてました…?」

魔王「バレる以前の問題よ。全く、なぜ新入りのこやつに全て合わさねばならんのだ」

僧侶「まぁまぁ、これから旅を共にする仲間になるんですし」

魔王「いつかバックれるやもしれんぞ!」

盗賊「バイトじゃねぇんだから…」

女勇者「なんだか色々すみません。私なんかのために」

盗賊「お前はまず体を休めろ。それが俺らへ対する礼儀みたいなもんになるぜ」

魔剣『どうしてー?』

盗賊「無理されるってのが一番最悪な行為だ」

女勇者「し、師匠〜……」

女勇者「わかりました。全力を持って休息を取ります!」

僧侶「では、お風呂に入ってきてはいかがでしょう? 汗を流すと気分も良くなれます」

魔王「そういえば貴様。風呂にいつからか入っていないとか申しておったなァ」

魔王「どおりで臭ェわけだ!!」

女勇者「えっ!?」

女勇者「……くんくん」

僧侶「く、臭くないですよ! 大丈夫ですから!」

盗賊「てめぇにはデリカシーってのはねぇのか」

魔王「どっかにポイしてきたわ」

魔剣『ポイ捨て良くないよ?』
81 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:07:07.68 ID:pDgSjIuz0
脱衣場


女勇者「私なんかと一緒に入ってもよかったんですか?」

僧侶「え、どうしてです?」

女勇者「私臭いから……」

僧侶「だから大丈夫ですってば!?」

僧侶「もうっ、勇者様が変な事言うからー……」

女勇者「あの勇者さんっていつもあんな感じで?」

僧侶「はい!」

女勇者「即答なんだ…」

僧侶「正直最初はついて行こうか迷ってしまったぐらいで」

女勇者「でも今は?」

僧侶「なんだかんだいって、ついて来ちゃってますね」

僧侶「不思議な魅力みたいな物があるのかしら……いや、それは」

女勇者「あるんじゃないですか? だから師匠も僧侶さんもこうしてやってこれたんだと思います」

僧侶「そう思います?」

女勇者「はい!」

女勇者「今日の戦闘の時だってみんな息ぴったりで凄かったです! 私は何もできませんでしたけど!!」

僧侶「さりげない自傷発言はやめてっ」
82 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:07:50.88 ID:pDgSjIuz0
僧侶「……」ヌギヌギ

女勇者「じー」

僧侶「……な、何ですか」

女勇者「いや、僧侶さんって肌綺麗だなって」

僧侶「あ、ありがとうございます……」

女勇者「それに美人だし、スタイルもいいし」

僧侶「!」

女勇者「モテモテだったでしょ?」

僧侶「は、はははははぁー!」

僧侶「いやぁー! あは、あははははっ…!」

女勇者「えっ、どうしたんですか? もしかして照れちゃいました?」

僧侶「私ってスタイルいい方なんですかね!?」ガシッ

女勇者「…い、いい方じゃないかなぁ…って……」

僧侶「はあぁぁ〜…!」

女勇者「やっぱり胸は小振りな方がいいですよね。戦いのときも邪魔にならないし」

僧侶「ちょっと」

女勇者「はい?」

僧侶「……胸は、やめましょうね」

女勇者「あ、すみません」
83 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:09:04.62 ID:pDgSjIuz0
魔剣『僕もお風呂入りたいのに〜』

魔王「だから魔剣は無理だと申したであろうが」

魔剣『裸の付き合いが欲しいのー! 勇者ちゃんちょっと脱いでよ!』

魔王「むんッ」

魔王は魔剣を床へ突き刺した!

盗賊「おいぃっ!?」

魔剣『あぁ〜んっ』

盗賊「てめぇコレどうすんだよ! 店の主から怒られるだろうが!」

魔王「ならば殺るまでよ。余は人から怒鳴られるのが一番嫌いだ!」

盗賊「怒鳴られるようなマネしなきゃいいだけだろ…」

盗賊「弁償するしかねぇ」

魔王「その様な事せんでも余が魔法で」

魔王「待て、今のなし」

盗賊「はぁ……?」

魔王「魔法にはもう頼らんと誓ったばかり。使うわけにはいかん」

盗賊「チッ……こういう事に使うぐらいならいいだろうが」

魔剣『ていうか抜いてよぉ〜!』

魔王「貴様はそこで小一時間反省。それより退屈だ、盗賊よ」

盗賊「知るかよ。寝ればいいぜ」

魔王「目が冴えていて眠れぬのだァー! 盗賊がその窓から飛び降りれば退屈ではなくなりそうだ!」

盗賊「楽しませるにしても、そこまで体張る義理ないぜ…!」

盗賊「暇なら道具の整理でもしろ。いざ使う時にごっちゃになっていては困る」

魔王「なぜ余がその様な雑用をするか」
84 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:10:19.14 ID:pDgSjIuz0
魔王「貴様がしたらよい」

盗賊「俺は武器の手入れにいそがしい」

盗賊「だいたいてめぇは仕事しなさすぎなんだよ。少しはパーティに献上しろ…!」

魔剣『でもでも、勇者ちゃんってリーダーじゃん』

魔王「そう、勇者である上に貴様らのリーダー。もっと崇めよ」

盗賊「アホか」

盗賊「……おい、聞きたい事がある」

魔王「寝るか」

盗賊「目が冴えてるって聞いたぞ」

魔王「何だ。暇つぶしに聞いてやらん事もない」

盗賊「てめぇは元魔王なんだよな。一体今までどんな事してきたんだぜ……?」

魔剣『盗賊ちゃん! それ聞くのタブー!』

魔王「……知りたいか」

盗賊「……ゴクリ」

魔王「なーんという事もないわ。ただ、ひたすらやって来た勇者を倒していただけよ」

盗賊「待てよ、他には? 魔王として世界征服…みたいな」

魔王「そういうのは余は知らんし、関係ないである」

盗賊「仮にも王だろ!?」

魔王「面倒な事は全て下の者に任せておったッ」

盗賊「なんでこんなのが魔王なんだよ…」

魔王「あァ!?」
85 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:11:24.81 ID:pDgSjIuz0
腹パン!

盗賊「〜……」

魔王「制裁である」

盗賊「止せって前から言ってるよな……?」

魔王「貴様が余計な事申すからだ。だいたい、魔王であった事など過去の事」

魔王「今は勇者だから」

盗賊「ていうか何で勇者になったんだよ」

魔剣『それ僕も疑問〜』

魔王「何となくだなァ」

盗賊「は…?」

魔王「魔王という役に疲れたのだよ。たまには良いであろう?」

盗賊「お前…わけわからん……」

魔王「」

盗賊「やめろ、殴るな……!」

魔王「ふんっ…」

魔王「んむ?」

魔剣『どったの、どったの?』

魔王「道具整理しておったら、この様な読み物が」

魔王はエッチな本を取り出した!

盗賊「ぶーーー……っ」
86 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:11:59.79 ID:pDgSjIuz0
魔剣『や、やーんっ! 勇者ちゃんのエッチー!』

魔王「何ッ」

魔王「これは余の持ち物ではない! 恐らく盗賊のである」

盗賊「違ぇよ!! 押しつけてくるなっ」

盗賊「……たぶん戦士の忘れ物じゃねぇのか」

魔剣『えー、戦士ちゃんの?』

盗賊「俺でもなければ、勇者のでもないんだぜ。ならそうとしか」

魔王「その様な事申して、本当は貴様のであろう?」

盗賊「違うと言ったぜ…!」

魔王「ムッツリ〜」

魔剣『ねー』

盗賊「こいつらぁ……!!」

魔王「では盗賊は女に興味がないと。モーホーか」

魔剣『やっぱり…』

盗賊「殺すぞっーーー!!」

盗賊「はぁ、はぁ…いい加減にしろ。俺のじゃない!」

魔剣『じゃあやっぱし戦士ちゃんの?』

盗賊「そうだ!」

魔王「……待て」

魔王「僧侶はどうだ」

盗賊「何っ……!?」
87 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:12:44.64 ID:pDgSjIuz0
風呂


女勇者「わぁ〜、大きいお風呂ですね」

僧侶「そうですね。大きい……」

女勇者「ど、どこ見て言ってるんですか」

僧侶「……あの、女勇者さんはいくつでしたっけ?」

女勇者「17歳ですけども。それが?」

僧侶(17!? 17でこれ!? 意味わかんないっ)

女勇者「あの〜…」

僧侶「秘訣はなんでしょうか!」ガシッ

女勇者「ひっ!?」

女勇者「僧侶さん近いですよっ…!」

僧侶「やっぱり一杯ご飯を食べる事でしょうかね!?」

女勇者「何の事を言ってるんですかぁ!?」

僧侶「……はぁ」パッ

女勇者「あ、離してくれた……」

女勇者「あのぅ、大丈夫ですか? なんか辛そうな顔してます」

僧侶「ええ、ええ、辛いです…悲しいです…」

女勇者「!」

女勇者(仲間が困っている。ここは励ますか、相談に乗るかだよね!!)

女勇者「私で良ければ力になりますよー!」

僧侶「…本当?」
88 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:13:19.57 ID:pDgSjIuz0
女勇者「はぁ……胸、ですか」

僧侶「笑いたければ笑ってください」

女勇者「い、いえいえ! そんな!」

女勇者「そうですよね……女にとって胸って魅力の1つだし」

女勇者「でも僧侶さんのはこれはこれでイイと思います!」

僧侶「良くないのっ」

僧侶「本当にコンプレックスなんです。良くないです……」

女勇者「深刻そう……」

僧侶「分けてくれませんか!?」

女勇者「か、可能でしたら、ね…」

女勇者「胸なんて邪魔なだけなのになぁ」ボソ

僧侶「皮肉ですか…それを言えることすら羨ましい…」

女勇者「ごめんなさい……」

女勇者(気まずすぎる……)

僧侶「女勇者さん」

女勇者「はいぃ!?」

僧侶「ありがとうございますね。こういう事が話せる人、今までいなかったから」

僧侶「なんだかスッキリしちゃいました」ニコ

女勇者「……わ、私力になれたんですか。僧侶さんの」

僧侶「はい。とても」

女勇者「くぅ〜!!」

女勇者「こちらこそありがとうですよ!! はっはっはー!」

僧侶「へ?」
89 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:13:55.43 ID:pDgSjIuz0
僧侶「それでその時は〜」ペラペラ

女勇者「スゴーイ!」

僧侶「ですよね。……あ」

僧侶「すみません。私ばかり話をしてしまって」

女勇者「気にしないでくださいよ。私、人のお話聞くの好きだから」

女勇者「あ、でも自分が話をするのも好きです! 臨機応変って感じ」

僧侶「ふふっ、そうですか」

僧侶「こうして女の人と話をするの、いつぶりかしら」

女勇者「ああ、周りは男の人ばっかりですもんね。大変でしょ?」

僧侶「まぁ。でも皆さん良い人ばかりですから。苦労もありませんよ」

僧侶「むしろ、今までの事を考えたらあなたの方が苦労していそうです」

女勇者「私が?」

僧侶「ええ。大変だったでしょう。今まで1人で」

女勇者「ううん、そんな事ないです! 私、強いから!」

女勇者「あ、精神的にっていうか……強さ的にはまだなわけで…」

僧侶「確かに精神的には強いと思います。けれど、無茶ばかりしてはいけませんよ」

僧侶「これからは私たちにも遠慮なく頼ってくださいね」

女勇者「それって、勇者としてどうなのかな……」

僧侶「そこに勇者だ何だっていうものは関係ありません。1人の人として、仲間としてです」

女勇者「…べ、勉強不足ですね! 私!」

女勇者「じゃあできるだけ、ちょっとだけ、頼るようにします」

僧侶「はい」
90 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:14:45.04 ID:pDgSjIuz0
魔王「全くあり得ん話ではあるまいよ」

盗賊「全くあり得るかっ!!」

盗賊「いいか? こいつは男用のエロ本だぜ。女が持っているわけねぇ…」

魔剣『そういうもんなの?』

盗賊「そういうもんだ!」

魔王「でも」

盗賊「でもじゃなく!」

魔王「……僧侶が女を好む奴だとしたらどうか」

盗賊「ぶっっっ」

魔王「よいか盗賊よ。世界は広い」

魔剣『勇者ちゃん言うと説得力あるよ〜』

盗賊「よせ…もういい…」フラリ

魔剣『どったの? お腹痛い? さすってあげようかー』

魔王「ふん、さする手がなかろうが」

盗賊「そういう問題じゃねぇぜ……」

魔王「まぁ、一番早いのは僧侶に直接聞く事だ」

盗賊「やめろ」

盗賊「理由はどうあれ、女にこんなもん見せるわけにはいかん…!」

盗賊「それに女勇者がいる! アイツはまだ若すぎるし、こういうのにも疎いだろう…」

魔剣『え〜? 最近の若い子わかんないよー。おっかないぞー』

盗賊「うっ……」
91 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:15:20.21 ID:pDgSjIuz0
魔王「決まりである」

盗賊「決まってねぇから!!」

魔王「…貴様もしつこいな。何が不満か」

盗賊「言っただろうが…」

盗賊「ともかく、絶対にやめろよ」

魔王「今、煽った?」

盗賊「煽ってねぇから…いい加減にしてくれ…」

魔王「まぁ、別によいか」

魔王「退屈しのぎにはなった。余は外に出てくるぞ」ガチャリ

魔剣『お散歩〜? だったら僕も行くー』

魔王「貴様はウザいから留守番」

魔剣『しくしく……』

盗賊「おい、あの変な勇者もどきもいるんだ。一応気をつけろ」

魔王「気をつけんでも、あの様な阿呆返り討ちにしてくれるわ」

魔王は部屋を出て行った。

盗賊「あの時なす術がなんもなかった奴がどう返り討ちするってんだよ…」

魔剣『でもでも、勇者ちゃんだし』

盗賊「…それは妙に説得力あるぜ」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/24(火) 23:15:55.27 ID:pDgSjIuz0
女勇者「ふぅ〜……サッパリー」

僧侶「ゆっくりできましたか?」

女勇者「はい。お陰さまで。あ、水飲みます?」

僧侶「ありがとうございます」

女勇者「……なんかぁ、今日だけで色々な事がわかった気がします。私」

僧侶「え?」

女勇者「とにかく! 忙しい一日だったなーって!」

僧侶「ふふっ、お疲れ様です。あとはもう部屋に戻って寝ましょうね」

女勇者「ぐっすり寝れそう」

女勇者「……ていうか、勇者さんと師匠も同室なんですか?」

僧侶「ええ。それが何か?」

女勇者「も、もしかして! 今まで僧侶さん1人のときもそうしてました!?」

僧侶「はい。そうですけど…」

女勇者「何もされませんでした…?」

僧侶「されてませんけども…」

僧侶「私、皆さんの事信頼していますし、部屋が同じな事程度気になりませんよ」

僧侶「あ、女勇者さんは嫌でしたか!?」

女勇者「別に嫌というわけじゃ…その…なんていうか、思春期っていうか……」

僧侶「若いって複雑です」

女勇者「僧侶さんだってまだ若いくせに」

僧侶「20越えたらあっという間ですよ〜」
93 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:16:34.44 ID:pDgSjIuz0
がちゃり


僧侶「ただいまです」

魔剣『おかえりなさーい』

女勇者「あれ、勇者さんは?」

盗賊「さぁな。散歩か何かだと思うぜ」

僧侶「また1人で勝手に…」

盗賊「……」ジー

女勇者「師匠、僧侶さん見つめてどうかしたんですか?」

僧侶「え?」

盗賊「い、いやぁっ!? べ、別に…」

魔剣『聞いてみたらー?』

盗賊「おいっ…」

僧侶「聞くって、何をです?」

盗賊「何でもないぜ。気にするな」

僧侶「そう言われると気になるものです」

女勇者「私も! 私も気になりますよ、師匠!」

盗賊「うるせぇ…! 俺は寝るからもう話しかけるなっ」

女勇者「ああ、師匠っ……もぉー」

僧侶「盗賊さんもお疲れみたいですし、そっとしておいてあげましょうか」

女勇者「んー、そうですね」

魔剣『ねぇ、ねぇ、僕もお喋り参加したいー』

僧侶「そっか。じゃあもう少し起きてお話でもしましょう?」

女勇者「はい! 続・ガールズトークですね!」

魔剣『僕別に女じゃないよ?』

女勇者「え゛ぇっ」
94 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:17:16.20 ID:pDgSjIuz0



「お前なら気づいてくれると思っていた。魔王」

魔王「……」

「1人で来てくれたみたいだな。感謝する」

魔王「わざわざ出向いてやったのだ。それ相応の話があるのだろうなァ…?」

女戦士「ふっ、ちょっとした世間話をしようというだけだよ」

魔王「この痴女が。帰る…」

女戦士「苦労しているそうだな。2人も勇者が同時に現れるとは」

女戦士「かつて、自身が殺した勇者が襲いかかってくる気分とはどういうものだ?」

魔王「知るか。余はあやつを知らんのだ」

女戦士「噂通りだな」

魔王「……何?」

女戦士「いや、何でもない。それより勇者が仲間になるとはな」

女戦士「よりにもよって、魔王のお前に」

魔王「貴様は先程から何が言いたい! マジで世間話で終わらせる気か!」

女戦士「さてな」

女戦士「1つ忠告しておく。あの少女を殺すなら早いうちがいい」

女戦士「彼女はお前にとって最大の味方ともなり得るが、最大の敵ともなり得る」

魔王「あァ? 余に敵などおらんわッ」

魔王「それより、何故貴様がここにおるのだ」

魔王「余を仕留めにきおったか、刺客よ」

女戦士「お前が望むのなら今そうしても構わない」
95 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:18:05.14 ID:pDgSjIuz0
魔王「では即滅してくれようぞ…」

女戦士「魔法も使えない今のお前は、私には脅威に見えない」

魔王「何故知っておるかッ!!」

魔王の攻撃!

女戦士は攻撃を盾で受け止めた!

魔王「小癪な…」

女戦士「1つ教えてやろう」

魔王「あ!?」

女戦士「お前では私たちを倒せんよ」

魔王(たち……?)

魔王「何を申すと思ったらただの強がりときたか、雑魚めが!」

女戦士「いいや、強味だな。私たちは普通の殺し方では死なない」

魔王「……やはりアンデッドか」

女戦士「フェアではないというわけだ。私たちとお前では」

魔王「死人が相手であろうと関係あるまいよ! 余は最強だからッ」

魔王の攻撃!
96 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:19:45.31 ID:pDgSjIuz0
どすっ


女戦士「っ……!」

魔王「心の臓を一突きである!」ニヤリ

女戦士「……なんて」

女戦士は死んでいない!

魔王「!」

女戦士「理解したか?」

女戦士「お前は倒せないんだ」

女戦士「勝負は見えている」

魔王「舐めおってェ〜……!!」

女戦士「話は済んだよ。以上だ」

魔王「貴様痴女ッ、逃がすと思っておるのか!」

女戦士「その呼び方はどうにかならないものか」

魔王「だってまるで痴女であるし…!」

女戦士「参ったな」カリカリ

女戦士「…それでは、私はこれで。アイツが戻ってきたら、また宜しく頼むよ」

魔王「アイツだと」

女戦士「いずれわかる事だ。じゃあな」

女戦士は去っていった。

魔王「……真、あの痴女何なのである」
97 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:20:33.81 ID:pDgSjIuz0
僧侶・女勇者・魔剣「『ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ!』」

盗賊「……コホン」

僧侶「あ、す、すみません! うるさかったですよね…」

盗賊「いや、いいんだ……気にするな…」

女勇者「師匠寛容ですねぇ」

魔剣『盗賊ちゃんいい奴だよー』

盗賊(いいとは言ったものの、さっきの事が気になって寝るに寝れん)

がちゃり

魔王「貴様らまだ起きておったか。早く寝なさい!」

女勇者「なんかお母さんみたいです。おかえりなさい」

魔剣『遅かったね。遠くまで行ってたのー?』

魔王「少しな」

僧侶「さて、勇者様も帰ってきた事ですし、本当にそろそろ横になりましょうか」

女勇者「そうですね」

魔王「余が帰ってきた瞬間に寝るとかどういう事である」

魔剣『勇者ちゃん! 勇者ちゃん! 僕がお話の相手になるよ〜』

魔王「寝るか」

魔剣『なんでぇー!』
98 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:21:06.13 ID:pDgSjIuz0



盗賊「……」

女勇者「師匠! よく寝れたおかげで私疲れが取れたみたいです!」

女勇者「これなら皆さんの足を引っ張らずに済みそうですよー!」

盗賊「あ、そうか…」

僧侶「顔色悪いですね。昨日はよく眠れませんでしたか?」

魔王「盗賊が顔色悪いのはいつもの事であろうが?」

僧侶「あー……そ、そういうわけでは」

盗賊「えっ」

魔剣『ところで今日はどこ行くのー?』

魔王「どこへ行くのだ?」

盗賊「そういうのは普通てめぇが決めるもんだろうが」

魔王「余は魔王城へ向かえればそれで良いのだ!」

僧侶「そういえば、今までは戦士さんが目的地を決められていましたもんね…」

女勇者「優秀な人だったんですね、その戦士さんって方」

僧侶「ええ。私たちにとって、なくてはならない存在でした」

魔王「そうかァ?」

盗賊「そこは空気読んでそうだって言っておくもんだぜ…」

僧侶「〜……」
99 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:21:42.48 ID:pDgSjIuz0
女勇者「でも、目的地が決まらないとどうしようもありませんよね」

魔王「ではこうしよう。今日で一気に魔王城である」

女勇者「行けるもんですか!?」

魔王「知らん」

僧侶「無理ですから…ここからまだ相当な距離があるんですよ?」

僧侶「それに魔王城へ近づくほど、出現する魔物も強敵となってきますし」

魔王「余は別にその様な奴らなんでもないがなァ!」

盗賊「てめぇはよくても俺らはキツいんだよ」

魔剣『勇者ちゃんさいきょー!』

女勇者「……強敵。…あ」

女勇者「じゃあその来るべき強敵に備えて、こちらも強力な装備を手に入れるのはどうですか!」

魔王「何じゃそれは」

女勇者「詳しくはわかっていないんですけど、ここから海を渡ると島が1つあるんですよ」

女勇者「それで、そこの村にはなんと凄い装備やら道具やらがわんさか!」

盗賊「……確定情報じゃねぇんなら、無駄足踏みかねないぜ」

女勇者「…ですよねぇ」

僧侶「いえ、そういう物は行ってみなければわかりませんよ。試しにそこを目的地にしてみませんか?」

魔剣『いいのー?』

僧侶「どうせ向かう所もまだハッキリしていなし、レベルも上げるのに丁度いい機会だと思うの」

僧侶「勇者様はどうでしょうか?」

魔王「あー、別にいいんでない?」

盗賊「適当だなっ…」
100 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/24(火) 23:23:25.02 ID:pDgSjIuz0
今日はここまで。なんとか水曜なる前に投下できたな!
水、木連続で続きいけるかもです
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(青森県) [sage]:2012/01/24(火) 23:24:49.81 ID:f66jhk3Io
乙乙
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/24(火) 23:36:06.12 ID:gAt8mdLEo

魔剣かわいい
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 00:00:24.63 ID:nrJxSGZp0
女戦士は魔王ストーキングしてるのか…w
それから女勇者が想像より少し若かったわ

乙、明日も期待だよ>>1ちゃん!
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/25(水) 00:01:24.09 ID:UGkrPb8w0
昨日押し入れ掃除してたらギロンのぬいぐるみが出てきたせいで
魔剣ちゃんを想像するとどうしてもギロンが出てきてしまう
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 00:05:48.42 ID:DzciMko1o


アンデッドを倒すにはアレしかないと思うが・・
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 00:07:51.51 ID:bX5x4yjDO
塩とか…?
乙乙
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 00:10:59.62 ID:cjEF30ziP
僧侶さまの聖水!?

・・・・ゴクリ…
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/01/25(水) 00:11:27.90 ID:EiHvTZYAO
燃やす
あるいはホイミでダメージ
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/01/25(水) 00:21:56.13 ID:VxstRo49o
>>105
潮のことか?
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 01:36:02.11 ID:il2UQJ4to
そうりょ の しおふき !
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 01:39:04.86 ID:bX5x4yjDO
こうかは ばつぐんだ!
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 02:01:56.32 ID:v3BRXFJwo
きゅうしょにあたった!
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 02:20:19.92 ID:H0822NlDO
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/01/25(水) 13:24:18.30 ID:Un5Di9Qb0
パーティーはぜんめつしました
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 20:28:19.50 ID:0s5n1hSIO
女戦士はやっぱりあの人なのかな
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 20:36:26.63 ID:ENjfPLAdo
戦士帰ってきたら女勇者が抜けるのはやだなぁ
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 23:02:20.01 ID:3I21CUzSO
乙!
相変わらず盗賊がいいキャラしてる
もちろん魔王やみんなもだけど
118 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 20:50:40.56 ID:sVgNsM8l0



魔剣『海だよ〜パート2』

女勇者「なんか船に乗ってると旅してるって気分なりますよね」

魔王「なぜだ?」

女勇者「んー、よくわからないけれど。海を渡っているから?」

僧侶「元々私たちのご先祖様たちがこうして海を渡り歩いていたから、そういった感覚になれるんでしょうね」

女勇者「え、どうして?」

僧侶「どうして…うーん、なんというか」

魔剣『先祖帰り?』

盗賊「それ違うだろ」

盗賊「にしても、今日はやけに海が霧がかってるぜ…前が全く見えん」

僧侶「ええ。気温の問題でしょうか」

魔剣『海のキラキラ見れない〜』

魔王「別に霧ぐらいよいではないか。むしろ変わった景色で飽きぬ」

僧侶「私はなんだか不安な気分になってきます……」

僧侶「まるでこの霧、これからの私たちの旅を表しているような」

女勇者「先行きが見えないって事ですか?」

僧侶「はい」

魔王「先も何も、明確な目的はハッキリしておるのだ。何も迷う事はあるまい」

僧侶「んー……」
119 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 20:51:49.49 ID:sVgNsM8l0
盗賊「島まではあと1時間ほどかかるそうだぜ」

女勇者「あれ、結構長い!」

盗賊「この霧だ。飛ばしていくわけにもいかないだろ」

魔剣『でもじれったいよー』

女勇者「ですよねー。あぁ、さっさと着けばいいのになぁ」

女勇者「……なんか、こういう怪しく霧が出てると、おっかない話が頭に浮かびますよね」

僧侶「え?」

魔王「貴様はまたいきなりわけのわからん事を。海へ放り投げるぞ」

盗賊「やめろ…」

女勇者「せっかくだから、みんなで怖い話大会しましょうよ。第一回!」

魔剣『二回目だよー』

女勇者「へ? 私が知らないところでそんな…」

魔王「戦士が居った時である。貴様が知る筈もないわ」

僧侶「あー、確かにそんな事があったような」

盗賊「馬鹿らしい。俺は不参加」

女勇者「えぇー! ……あー」

女勇者「師匠、本当は怖い話苦手なんでしょう?」

盗賊「……何」

女勇者「えぇ、えぇ、わかります! 怖い物って誰にでもありますもん!」

盗賊「舐めた事言ってるんじゃねぇぜ。そんなもんで怖がるほど肝は小さくない」

魔剣『強がってるとこがまた、ねぇ?』

女勇者「はぁい」

盗賊「こいつらは……!」

僧侶「まぁまぁ、いいじゃないですか。他にする事もないし、付き合いましょう?」

盗賊「…僧侶が、そういうなら。仕方がない……」

魔王「えっ、するの…」
120 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 20:52:35.76 ID:sVgNsM8l0
女勇者「むかぁーし、むかし、それまたむかーし…」

魔王「くどいわ阿呆ッ」

女勇者「前フリって大切ですから!」

僧侶「それで、続きは?」

魔剣『じらしすぎー』

盗賊「…焦らすもなにも、話の本筋すらまだ触れてねぇぞ」

女勇者「えー、これはとある漁村の漁師さんが見たというー」


どぉーんっ!

ぐらぐらぐら・・・


僧侶「な、何っ!?」

魔王「まさか船が沈むのか」

盗賊「縁起でもねぇ事言ってんじゃねぇよ…!」

魔王「おうッ、そこの! 何があったのだ」

「わ、わからないんだ。どうも船が何かに引っ掛かったような……」

女勇者「引っ掛かった? でもこの辺りって岩もなにも」

僧侶「霧で視界がよく見えていないだけで、何かあったのかもしれませんね」

「ああ…とにかく、原因を調べてくるからアンタ達は待っていてくれ」

魔王「全く、船に乗ると大抵ロクでもない事に巻き込まれる…」

魔剣『でも前乗った時は大丈夫だったよ?』

盗賊「……とにかく、今回は俺らの出る幕じゃなさそうだ。大人しく待っていようぜ」

僧侶「そうですね」

女勇者「えぇ? こういう時こそ出番じゃないんですか!」

魔王「貴様は便利屋にでも転職してはどうだよ阿呆」
121 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 20:53:12.21 ID:sVgNsM8l0
女勇者「実のところ、とっても退屈していたとこですし」

女勇者「ハプニングどんと来いです!」

盗賊「馬鹿。何も起きないのが一番良い事だろうが」

僧侶「その通りです。しかも、海の上で何か起きては本当に大変ですよ」

魔剣『……沈んじゃったら僕ヤバいんですけど!』

魔王「安心せよ。そうなった時は貴様は海の底で眠っていてもらうわ」

魔剣『それが嫌なんだよぉ〜!!』

女勇者「そ、そうですよね…ごめんなさい。私、変な事言っちゃって」

女勇者「でも、やっぱり黙ってられないです。私も船員さんたちのお手伝いを」

盗賊「素人がいても邪魔になるだけだぜ。大人しくしてな」

女勇者「うぅ〜……」

僧侶「女勇者さん。前に無茶はやめてくださいって言いましたよね」

女勇者「は、はい……」

魔王「一々世話の掛る勇者よ。よくそれで身が持つなァ、貴様」

魔王「そのうち御節介が身を滅ぼす事になるに違いない」

女勇者「しゅん……」

魔剣『元気だしてー』

魔王「……まだかァ」

盗賊「もう少し待ってろ。あっちはあっちで何とかしてるんだ」

僧侶「大事に至っていなければいいのですけど」

女勇者「……ん? あのぉ」

女勇者「アレ、なんでしょうか」

魔王「あァん?」
122 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 20:54:10.96 ID:sVgNsM8l0
魔剣『船がもう一隻あるよ?』

僧侶「あら、さっきまであんな船あったでしょうか」

魔王「いつのまにである」

「遂に出やがったか……!」

女勇者「出たって?」

「知らないのか。幽霊船だよ、ここ等じゃ有名な話さ」

女勇者「えっ……」

女勇者「じゃあアレお化けですか!?」

「船自体は過去に遭難した船のようだが、中身は」

「死んでも死にきれず、陸を求めて航海し続ける亡霊たちがわんさかいるらしい」

女勇者「そんな、怪談話じゃあるまいし!」

盗賊「さっきまで怪談話語ってた奴が言う台詞かよ」

魔王「それでユーレイ船とやらが何だというのだ。さっさと進め」

「それが…」

船長「おぉ、お客さん。悪いがしばらく船はここで留まらせなければならん」

盗賊「何だと…?」

船長「アレが出ちまったら迂闊に船を動かせん。それにどうやら…な」

女勇者「な、何ですか!」

船長「止められちまってるんだよ、この船自体が。アレに」

女勇者「それどういう事ですかぁ!? わ、私たち幽霊の仲間にされちゃうって事…!?」

僧侶「お、落ち着いて。きっと何とかできるはずです」

魔王「……それ、どういう意味である」

僧侶「このまま海で立ち往生というわけにもいきませんし、幽霊船を調べましょう」

魔王「勝手抜かすなよッ、なぜ貴様は余計な事に首を突っ込みたがる!」
123 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 20:54:48.45 ID:sVgNsM8l0
魔王「余は拒否するからな。あの様なわけのわからん物にわざわざ近づくのは嫌」

女勇者「そうですよ! やめておきましょうよ!」

魔剣『あれれ、どんと来いハプニングは?』

女勇者「あ、いやぁ……」

僧侶「ですがこのままでは」

盗賊「俺も僧侶に同意だ。何もしないよりは行動を起こした方がいいぜ」

魔王「知るか」

船長「こっちとしても、アンタらが何とかしてくれるのなら助かるよ!」

魔王「人に頼る前に貴様らでどうにかしてみせよ! 余は嫌である」

「そこを何とか。アンタら戦えるんだろう? 俺たち魔物にゃ太刀打ちできないんだよ」

盗賊「待て、魔物?」

「噂によるとあの船の中、魔物の住処でもあるらしいんだ。だから幽霊が怖いとかそういう理由で押しつけているわけじ
ゃないぞ!」

魔剣『確かにあの船から魔物臭プンプンだよ〜』

僧侶「でしたら、尚更放ってはおけませんね。また放置して次に遭遇してしまった方たちに被害が及ぶ前になんとかする
べきです」

女勇者「マジですかぁ…」

僧侶「大マジですよ。さ、勇者様。行きましょう!」

魔王「僧侶が勝手に決めるでないッッッ」

船長「本当に頼むよ。これで船を動かせられたら、今回の乗船料往復分全部こっちが持つから」

僧侶「ほら、とってもお得!!」

盗賊「〜……」

魔王「貴様はもともとそれが目的だったのであろうが…」

魔剣『僧侶ちゃんハングリーだねぇ』

僧侶「タダって素晴らしいですもの! さぁ、行きましょう」

女勇者「嫌ぁ……」
124 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 20:55:24.42 ID:sVgNsM8l0
幽霊船


ギシ・・・ギシ・・・

女勇者「帰りましょう」

僧侶「早くないですか!?」

女勇者「帰るー! 私ここに1秒たりとも居たくありません!」

魔王「我儘ままままままを抜かすなッ!」

盗賊「お前もなんだかんだ言ってブルっちまってるじゃーねか、くくっ…」

魔王「ああァッ!?」

女勇者「本当に何か出そうな雰囲気じゃないですかぁ、ここ……」

盗賊「いてもどうせ魔物だ。幽霊なんていねぇ」

魔剣『魔物なんてのはいるのに幽霊はいないのー?』

僧侶「私はいるかもと信じてます。人の魂が彷徨い」

女勇者「やめてぇっ」

魔王「ふん、怪談話ができて自分がその立場に変わると無理だと? 笑わせる」

魔王「勇者として情けないなァ!!」

女勇者「むっ」

女勇者「わ、わかりましたよ。私、全然怖くないですから」

僧侶「大丈夫でしょうか…」

盗賊「さぁな、いざとなったら置いて行くまでだぜ」

女勇者「えっ…冗談、ですよね?」

盗賊「くっくっくー……」

女勇者「あーうぅー……」
125 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 20:55:59.86 ID:sVgNsM8l0
魔王「……暗い」

僧侶「灯りをつけられる所を探しましょう。ここも人が使っていた場所というのなら、きっと見つかりますよ」

盗賊「しかし、このボロ具合。長い間人の手が入ってなさそうだぜ…」

魔剣『きっとみんなお化けになっちゃったんだねぇ』

女勇者「……」

魔剣『ねー、女勇者ちゃん』

女勇者「……」

魔王「こやつ、耳付いておるのか」

僧侶「そんなに緊張しなくてもまだ平気ですよ」ポン

女勇者「あぎゃ〜〜〜〜〜!!!」

僧侶「ひいぃっ!?」

盗賊「おい、急にデカい声出すなっ…」

女勇者「だっ、だって」

魔王「だってもクソもないわ阿呆めが。それより早く灯りを!!」

僧侶「……それにしても、まだ昼間だというのにこの暗さって」

魔剣『霧のせいで日の光が入らないっぽいね。それにこのお船、窓が1つもついてないし』

盗賊「チッ、息が詰まりそうな構造だぜ」

女勇者「怖くない怖くない怖くない」

魔王「バァーッ!!」

女勇者「ひゃあぁ〜〜〜〜〜〜!!!」

僧侶「もうっ、勇者様!」
126 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 20:56:56.81 ID:sVgNsM8l0
魔王「こやつ面白い。貴様らも脅かすなら今が好機であるぞー!」

僧侶「しませんからっ」

盗賊「ガキかよ、てめぇは」

魔王「むふふふふ」

女勇者「最低ですっ…!」

僧侶「……あ、ここになら灯が」

とんとん

僧侶「……」

『オオォゥ…オオォゥ…』

僧侶「……ちょっと、勇者様。悪ふざけはもう止めてください!」

魔王「あァ? 余は何もしておらんぞ」

僧侶「え? だって今肩を叩かれて耳元で声が」

女勇者「……あ、あ、あ、あわわわわ」

女勇者は僧侶の背後を震えながら指差している!

盗賊「……マジか」

魔剣『僧侶ちゃん後ろ、後ろ!』

僧侶「へ?」


『バアァァ〜〜〜ッ!!』


亡霊が現れた!

僧侶「ひゃああああああぁぁぁーーー!!?」
127 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 20:57:51.07 ID:sVgNsM8l0
魔王の攻撃!


『』すかっ


魔王「こやつ…!」

魔剣『すり抜けちゃったよ!?』

盗賊「おいおい、冗談じゃねぇぞ…」

女勇者「ゆ、幽霊が…きっと私たちを仲間にしようと…!」

魔王「では丁度仲間を探しておった貴様が適任だ。仲間になってやるがよい」

女勇者「バカ言わないでぇっ」

『おい、てけ おいてけ』

『おいてけぇ〜……』

僧侶「……?」

僧侶(あちらから何か行動を移すような動きが全くない)

盗賊「おい、こいつどうすんだ。倒せるのか」

魔王「では盗賊に任せる」

女勇者「私もパスです、師匠!!」

盗賊「役に立たねぇ勇者どもだ……!」

僧侶「と、盗賊さん待っ――――――」

盗賊の攻撃!
128 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 20:58:57.71 ID:sVgNsM8l0
すかっ


魔剣『やっぱり当たらないねぇ』

『……おっ、おっ、おっ』

亡霊は姿を消した!

僧侶「あら……?」

魔王「消えただと。逃走したのか」

魔王「ふんッ、幽霊恐るるに足らずである」

女勇者「……し、師匠?」

女勇者「師匠何処にいるんですか? 師匠ー!」

魔王「何を騒いでおるよ」

女勇者「よ、よく周りを見てくださいよ。師匠の姿が見当たらないんですっ」

魔剣『あれれ、そういや盗賊ちゃんいないね?』

僧侶「隠れている……というわけでもなさそうですね…」

女勇者「きっと! きっとあの幽霊が師匠を誘拐したに違いありません…!」

魔王「あやつを攫ったところで何の利点になるというのだ?」

女勇者「そ、それはきっと今日の食糧に、とか…」

魔王「幽霊どもが人を食うと? 元は人間だった事もあるし、軽いカニバリズムか」

魔王「魔物同然であるな」

僧侶「……魔物。そう、魔物です!」

僧侶「よくよく考えてみれば、この船には魔物が住み着いているという話でしたよね」

魔剣『じゃあさっきのは魔物って事ー?』

女勇者「そんな、だってアレはどう見たって……」

僧侶「まだよくはわかってはいません。盗賊さんを探しつつ、船内を探索しましょう」

魔王「盗賊なら食わせてやっても構わんだろうにー」

女勇者「し、師匠〜……いやぁ…」
129 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:00:29.57 ID:sVgNsM8l0
僧侶「ここは食堂でしょうか。それらしいテーブルやらが」

魔王「間違いないなァ。そこに厨房も見当たる」

魔王「……だいぶ不潔であるがな」

ぷ〜ん

魔剣『うへぇ…最近臭いのばっかじゃない…?』

僧侶「女勇者さんは臭くありませんからね」

女勇者「は、えっ!?」

女勇者「私まだ何も言ってないんですけど……」ドヨーン

僧侶「すみませんっ、すみませんっ!!」

魔剣『勇者ちゃん。あそこにあるのって』

魔王「うむ、人骨」

女勇者「うそっ……」

魔王「死後何年経っておるのだ、これは」

僧侶「……骨はだいぶ古くなっているみたいですね。十数年は経つかと」

僧侶「あまり触れたりしない方が良さそうです。埃とかダ二でアレルギーとか起きるかもですし」

魔王「誰が好んで骨など触るか」

女勇者「ここが食糧庫っぽいですね……からっぽ」

魔剣『遭難したときなんか、ご飯どうしてたんだろうねー』

女勇者「魚釣ったりとかじゃ」

僧侶「……」

魔王「僧侶、貴様まだその骨見ておるのか。オカルト趣味?」

僧侶「いえ……ただ、この遺体が気になるんです」
130 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:01:22.84 ID:sVgNsM8l0
魔剣『はっ……まさかそれが盗賊ちゃんだった! なんて〜』

女勇者「冗談にしても最悪ですよ! それは!」

僧侶「…最初、この遺体がどうして亡くなったか。考えてみたんです」

僧侶「ここは厨房。恐らくは餓死寸前状態で食糧を求めに来て、力尽きた」

魔王「別にこやつがどうくたばっていようが関係あるまい」

僧侶「……勇者様、遺体の頭部をよく見てください。一カ所陥没していませんか」

魔王「しておるな。それが?」

僧侶「撲殺された、なんて線もありえるんじゃないかと思いまして」

女勇者「ちょ、ちょっと……やめましょうよ…」

魔王「ではなにか。こやつは自然死したわけではない、他殺であると?」

魔剣『でもどうしてー? 殺される理由なんてあったのかな』

僧侶「それはわからないわ。でも、もしそうだとしたら…」

僧侶「」ブツブツ

女勇者「僧侶さん…?」

魔王「ただの念仏である。全く、いつぞやの死体など放っておけばよいものを」

女勇者「……でも、遭難した船の中で死んじゃうなんて辛すぎますよね」

女勇者「きっと凄く無念だったんだろうな…」

『おい、てけ』

女勇者「あひゃぁっ!?」
131 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:01:57.33 ID:sVgNsM8l0
『オオォゥ……』

女勇者「ま、またあの声…! 近づいてきてますよ!」

魔剣『今度こそやっつけちゃうー?』

魔王「よし」

僧侶「いいえ、ここは逃げてしまいましょう!」

魔王「何を馬鹿な事申しておるかッ、なぜ亡霊ごときにビビらねばならん!」

僧侶「敵にどう対処していいかわからない状況なんですよ! まともにやりあえるわけがないです!」

魔王「やりあえるわ!」

女勇者「ちょ、ちょっと…言い争ってる場合じゃ!」

『おいてけ おいてけ』

僧侶「行きましょうっ!」

魔王「うぬゥ、僧侶貴様ァッ!?」

僧侶は魔王の手を引くと、亡霊とは反対方向へ逃げ出した!

女勇者「えぇっ!? お、置いていかないでー!!」


たったったっ・・・


『……オオォォ』
132 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:02:49.96 ID:sVgNsM8l0
僧侶「はぁ、はぁ、はぁ……!」

魔王「僧侶! 勝手に貴様が判断するでないッ」

僧侶「す、すみません…ですが、あの状況では仕方がなくて」

女勇者「……あの声、聞こえないみたいです。逃げられたんですね」

魔剣『ねぇねぇ、あの声ってばおいてけ、おいてけって言ってたよねぇ?』

女勇者「怖くてちゃんと聞いてないですよっ」

魔剣『何をおいていって欲しいのかな?』

魔王「女勇者の首とかでないの」

女勇者「ひいぃっ!」

僧侶「冗談はここまでで。確かに私も気になりました」

僧侶「もしかしたら何かを探していたり……?」

女勇者「だから、アレはいつになっても成仏できずにいるって事ですか?」

僧侶「さぁ…ていうか一旦幽霊という線から離れてみましょう。そしたら落ち着きますから」

女勇者「す、すみません…」

?「おい」

「!?」

盗賊「……何も驚く事はねぇだろ」

魔剣『盗賊ちゃーん!』

女勇者「師匠!?」
133 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:04:08.84 ID:sVgNsM8l0
魔王「チッ、貴様生きておったか…」

僧侶「…どういう意味ですかそれ」

僧侶「盗賊さん。無事だったんですね、よかった」

盗賊「ああ、なんとかな」

魔剣『本当に亡霊から攫われちゃってたのー?』

盗賊「何の話だ?」

女勇者「えっ、師匠ってばアイツに攫われて消えちゃったんじゃ」

盗賊「俺は1人で船内を調べていただけだ。そんな事された覚えはない」

魔王「ならば一言ぐらい余たちに声をかけてゆけ阿呆が!」

僧侶「そうですよ。心配してしまうじゃないですか…」

盗賊「それもそうか、悪かったな」

盗賊「さぁ、進もうぜ。向こうに下へ降りる階段を見つけたんだ」

魔剣『……んー』

魔王「どうした魔剣よ」

魔剣『なんか変ー……臭いし……』

魔王「臭いだと、女勇者よ!」

女勇者「もうそのネタやめてください!」
134 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:05:15.74 ID:sVgNsM8l0
盗賊「ここだ。暗くなっているから気をつけて降りろ」

僧侶「……ここまで先程の遺体以外、他の物が見つかりませんね」

女勇者「そういえば確かに…。魔物に骸骨食べられちゃったとか?」

魔王「好んで骨をかじる様な魔物は滅多におらんわ。おるとするなら」

魔王「姿を変える者だけよ」

女勇者「姿を変える? そんな魔物がいるんですか」

僧侶「聞いた事はありませんね。勇者様、ご存知なのですか?」

魔王「一部、たった一種類だけ存在する。名は忘れた」

僧侶「そこが肝心なんですけどね…あはは…」

盗賊「おい」

女勇者「あ、師匠! 待ってくださいよー」

僧侶「もし姿を自在に変えて襲い掛かってくる魔物がいるとするのなら…脅威ですね」

僧侶「身近な人物に化けられては、油断してしまうかもしれません」

女勇者「」ピクッ

盗賊「どうした、女勇者。こっちに来いよ」

女勇者「え、えっと……2人も一緒に来ましょうよ…」

魔王「貴様が先に降りよ」

女勇者「……うぅ」

盗賊「手を貸してやろうか」

女勇者「い、いいです! 大丈夫……です」

盗賊「……ふん」
135 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:06:42.61 ID:sVgNsM8l0
ギシィ・・・

女勇者「床、結構腐ってますよね?」

魔王「底が抜けて海へドボン!!」

女勇者「ぎゃー!?」

僧侶「勇者様っ」

盗賊「その可能性もあり得なくはない。足元気をつけな」

魔王「……ところで、死体もそうだが魔物の姿も見当たらん」

僧侶「気づいていらっしゃいましたか?」

僧侶「まさか、先程の幽霊もどきだけというわけでもないとは思うんですけど」

盗賊「俺が探索した時は何もいなかった。気にする必要もないぜ」

僧侶「いえ、気になります……何かおかしい…」

盗賊「そこ」ス

魔王「あ? …この部屋は何であるか」

魔王は部屋を見つけた!

女勇者「……えっと、あ、扉開きますよ」


キイィ・・・


女勇者「わぁ、立派な部屋……オンボロだけど」

僧侶「本もたくさんありますね。まだ読めるかしら」

盗賊「ここは船長の部屋だろう」

魔剣『ここも盗賊ちゃんが調べ済みって事?』

盗賊「いや、今初めて入った」

僧侶「……至って普通の内容の本ですね」

女勇者「これは?」

盗賊「読んでみるといい。何かある」

魔王「航海日誌……ふむ」
136 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:07:40.24 ID:sVgNsM8l0
魔王「僧侶が読め。余は聞いておるから」

女勇者「それぐらい自分で読めばいいのに」

魔王「あァん?」

女勇者「な、なんでもないです!」

僧侶「……○月×日」

僧侶「今日は遠方へ荷物を運ぶ事になっている。長い旅になりそうだ…」

ペラ、ペラ

僧侶「しばらくは普通の航海日誌ですね。大体はその日起きた事を一言書いているだけ」

魔剣『遭難してからの事は書いてないのー?』

女勇者「あ、そうですよ。もしかしたら」

魔王「探して読むのだ」

僧侶「はい……えっと」

僧侶「っ!」

女勇者「…ど、どうしました?」

僧侶「ありました…ただ…」

魔王「では早く読むのだ。ほれ、さっさとー」

僧侶「……は、はい」

僧侶「×月△日、今日は海の様子がやけにおかしい」
137 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:08:55.62 ID:sVgNsM8l0
僧侶「霧がたち、周りが把握しづらい。何も見えない」

魔剣『今の僕達と同じ状況じゃない?』

僧侶「船にドンと大きな衝撃が走った。数人の乗組員が海へ落とされてしまった様だ」

僧侶「……マストが折れた。痛んでいたわけでもないのに。原因は不明」

僧侶「ここは海の何処か。霧のせいで現在位置すらわからない」

魔王「そこから遭難生活スタートといったところか?」

僧侶「ええ。続き、読みますか」

魔王「貴様、先程から読みたくない様な様子だなァ。読め」

僧侶「……はい」

僧侶「×月□日、霧で救難信号すら送ることがままならない。海を漂って既に4日経ったような気がする」

僧侶「食糧を長旅を予測して多めに持ちこんでおいて正解だった。しかし、水が危険」

女勇者「水って、飲み水の事? だったらここ海だし何とかなるんじゃ…」

僧侶「いえ、塩水ですから。接種はあまり好ましくないんです。蒸留させれば飲めない事もありませんが」

女勇者「そうだったんだ…」

魔王「貴様は何も知らんなァッ」

女勇者「うっ……」

僧侶「少し、読み飛ばしますよ。×月○日、乗組員たちの表情から疲労が見えてきた。このままでは危険」

僧侶「飲み水の代わりに……を飲む。喉の渇きは辛うじてしのげた」

魔王「小便?」

僧侶「し、仕方がなかったんですよ……///」
138 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:12:43.44 ID:sVgNsM8l0
僧侶「×月×日……飲み水、食糧尽きた。霧は一向に晴れない。陰鬱な気分になってくる」

僧侶「飛行している鳥すらいない。魚もいない。ここは何処だ?」

女勇者「生き物がいない…?」

僧侶「乗組員たちの中で争いが始まった。1人が僅かに食糧を隠していたらしい」

僧侶「×月◇日、食糧を隠していた1人が殺された。当然の報い……」

魔剣『なんか変な感じなってきてるよね?』

女勇者「殺すだなんて…ていうか、さっきの遺体ってその人じゃ?」

僧侶「ありえますね……」

魔王「続き、続き」

僧侶「……あの、これ以上はもう…」

魔王「いいから読むのだ。何かわかるかもしれん」

僧侶「うっ……×月●日、人の肉も食えない事もない。血で喉を潤す」

女勇者「ちょっと……」

僧侶「飢えを凌ぐ事ができたのは幸いだ。死んだ乗組員に感謝」

僧侶「霧はいつになれば晴れるのか。なぜ霧は晴れないのか」

僧侶「既に時の流れがわからない。日にちは適当。太陽も月も久方見ていない」

僧侶「頭がどうかしてきた」

女勇者「本当にどうかしてます…なんですか、それ」

魔王「どうやらこの霧に何かがありそうであるなァ」

僧侶「ここから日にちが書かれていませんね…ひたすら文章が列ねられていますよ…」

僧侶「新しい娯楽がみんなの中で誕生。じゃんけん」

魔王「は?」

女勇者「じゃんけんって、あのじゃんけんですよね?」

僧侶「……負けた方が食糧になるそうです」

女勇者「うぁ……」
139 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:14:20.72 ID:sVgNsM8l0
僧侶「飢えがきたときは、こうして人を食べて生き残ってきたみたいですね」

女勇者「つまり、勝負で勝った人だけがですよね…」

僧侶「……」

魔王「では、その様な事を続けていても最終的には最後の1人は食う物がなくなるな」

僧侶「狂っていたんでしょうね、そんな環境に置かれて冷静に思考を働かせられるはずがありません……」

僧侶「続き、読みますね。陸へ、着いた……?」

女勇者「え? 陸って、その霧の中で陸に船が勝手に?」

僧侶「そうとしか書いていません…。霧は晴れていないままだそうです」

僧侶「陸へ降りると、そこは新世界だった」

僧侶「何もない。霧に包まれた荒野が広がっている」

魔剣『どゆこと?』

魔王「完全に頭がイったとしか思えん文章だが」

僧侶「そこは、否めませんよね…」

僧侶「何もないこの世界に私たちがいてはいけない気がする。再び船の上へ」

僧侶「あんなにたくさんいた乗組員たち、私の友人は今はもう腹の中」

僧侶「私は彼らの分まで生きるべきなのだろうか。食われた方が楽ではないか」

僧侶「既に私の眼には、生き残りたちが食糧にしか見えない」

僧侶「残り10人にも満たない食糧が、私を食糧に変えようと襲い掛かってくる」

女勇者「も、もうやめませんか……十分ですよ…」

僧侶「……それが、最後の方に気になる事が書かれているんです」

魔王「では、その部分だけでも読み上げて終われ。もうつまらん」

僧侶「私は人食い(マンイーター)になった」

魔王「……んむ?」
140 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:16:02.63 ID:sVgNsM8l0
僧侶「全ての乗組員たちは私の胃袋の中へ、私は真の勝者だった。おめで、とう…?」

僧侶「ひ、人が人でなくなっているわ……」

女勇者「どういう事ですか!?」

僧侶「これを書いていた人はもう人間では無くなっていたの…! 魔物のそれと同じ…」

魔王「それが、マンイーターか。ふっふっふっ!」

女勇者「な、何がおかしいんですか!?」

魔王「思い出したぞ、マンイーターであった…! くくっ」

魔剣『あれ、その名前聞き覚えあるんですけどー?』

魔王「以前、対峙した事があるであろう。アレが話のそれである」

魔剣『つまりぃ…その魔物って元は人間だったって事?』

魔王「そういう事よ」

女勇者「そんな話聞いた事ありませんよ! 人が魔物になるだなんてっ」

魔王「では、貴様にとって魔物である定義とは何だ?」

女勇者「それは……人にあだなす化物で…」

魔王「今、自分で答えを申したなァ。人を食う人間は十分それに値する」

女勇者「あっ…!」

僧侶「信じたくはありませんが、勇者様の言う通りですね…」

僧侶「ですが、マンイーターだなんて魔物。聞いた事が」

魔王「調べがまだ着いていないのであろう。それに人間どもがその様な事を認めたくないだけなのかもしれんし」
141 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:16:34.76 ID:sVgNsM8l0
魔剣『もしかしたら、他にも人間から魔物になっちゃったのがいそうだよねぇ』

魔王「かもしれんなァ」

僧侶「……怖いですね」

魔剣『それよりー、もし外に出てる霧が書かれてたのと同じのだとしたら』

魔剣『僕達もその新世界にいるって事かな?』

女勇者「えっ……?」

女勇者「で、でもそれって書いていた人の頭がどうかしちゃって」

魔王「さて、どうであろうな。もしかしたら真かもしれん」

僧侶「……一旦、船へ戻りましょう。伝えるべきではないかもしれませんが、どうにかしなければ」

魔王「こちらの幽霊船からどうにかするのではないか?」

僧侶「それはそうで……あ」

僧侶「そもそも、この幽霊船は何のために現れたのでしょうか」

女勇者「……わ、私たちを別の世界へ引き込む為か。それかマンイーターに変える為?」

魔王「マンイーターは人を食い続ける事で人間が変わったのであろうが。かならずしも、そうなるとは思えんわ」

女勇者「じゃあどうして……師匠?」

魔剣『盗賊ちゃんもさっきから黙ってないで喋ろうよ〜』

盗賊「……おいてけ」

女勇者「は?」
142 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:17:14.28 ID:sVgNsM8l0
僧侶「盗賊さん?」

盗賊「おいてけ、おいてけ……」

女勇者「ちょっと…この台詞ってあの幽霊の…!」

女勇者「師匠! 冗談はこの辺にしときましょうよ」

盗賊「おい、てけ」

女勇者「ひぃーっ!? と、取りつかれてるー!」

魔王「……何を置いてゆけというのだ?」

女勇者「まともに相手にしない方が!」

僧侶「いえ、もしかすれば何かあるのかもしれません」

僧侶「それにこの部屋に気づかせてくれたのは盗賊さん…の姿を借りた何か」

僧侶「何か伝えたい事があるんですよね」

盗賊「」コクリ

魔王「ではおいてけ以外に何か申せよ…わかりづらいわッ」

盗賊「それ、おいてけ」

盗賊は魔剣を指差した。

魔剣『へ? どれどれ?』

盗賊「それ」

僧侶「魔剣ちゃん……?」

盗賊「ずっと探してきた。ようやく見つけた」

魔王「こんな剣でよければいくらでもくれてやるわ」

魔剣『勇者ちゃんそれダメぇ〜!』
143 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:18:44.06 ID:sVgNsM8l0
魔王「だが、渡すにしても理由が欲しいな。なぜだ」

盗賊「あるべき場所へ、あるべき姿へ……#$%&‘−$#“」

女勇者「何語?」

魔王「こやつを渡せば、この霧も晴れて余たちは無事帰れるのか」

盗賊「」コクリ

魔王「渡すしかあるまいて」

魔剣『う、ウソでしょー!?』

僧侶「勇者様正気ですか! 魔剣ちゃんだって私たちの仲間なんですよ?」

魔王「ふゥん、こやつはただの剣であろうが!」

魔王「危害を加えてくる様子もない。退屈しのぎもここまでだ」

魔王は魔剣を差し出した。

魔剣『そ、そんなぁ〜……ぐすっ』

女勇者「いいんですか…?」

魔王「受け取るのならさっさと受け取るがよい」

盗賊「オオォゥ…オオォゥ…」


魔王「……魔剣。盗賊をこやつの腹から取り出せ」


魔剣『!!』

魔王の攻撃!

盗賊『グエエェェ…ッ!?』ぶしゅ〜・・・

女勇者「えぇっ!?」

盗賊?の腹を切り裂くと、中から盗賊の棺が現れた!


盗賊「†」


僧侶「し、死んでる……? 取りつかれていたわけではなかった!?」

魔王「やはり貴様らか」

マンイーター『フーッ、フーッ、フーッ!』
144 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:20:29.26 ID:sVgNsM8l0
魔剣『勇者ちゃん僕を見捨てなかったんだね! やっぱり愛が勝つんだよぉ〜!』

魔王「さっさと渡しても良かったか…」

女勇者「そ、それよりどうしてあの魔物から師匠が!」

魔王「あやつこそがマンイーター。食った魔物の姿、声、記憶を真似る事ができる糞魔物よ」

僧侶「あ、あれが……」

マンイーター『グ、グウッ…!』

魔王「さて貴様。どう始末されたい? リクエストを聞いてやらん事もないッ」ぶんっ

マンイーター『争ウ気ハナイッ……! ソレヲ渡シテクレルダケデ良イノダッ……!』

魔剣『そんな事言って油断させる気でしょ。こっちは盗賊ちゃんだってやられてるんだよ!』

マンイーター『デハ、蘇ラセレバ文句モアルマイ』

マンイーターは復活の呪文を唱えた!

盗賊は蘇った!

盗賊「あ……?」

女勇者「し、師匠! 大丈夫ですかっ」

盗賊「何がどうなってやがる……」

僧侶「ま、魔物が復活の呪文を?」

マンイーター『サァ、渡シテモラオウカ』

魔王「頼み方がなっておらんなァ」

魔王の攻撃!

マンイーター『ブグッ…!』

魔王「面白い奴かと思っておったが、余の勘違いの様だった。殺す」

僧侶「ま、待ってください!」

魔王「あァ?」

僧侶「……なぜ私たちにこの部屋や日誌に気づく様に仕向けたのですか」

マンイーター『……』
145 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:21:57.27 ID:sVgNsM8l0
盗賊「僧侶、魔物なんざそんな事聞く耳もたねぇぜ…」

僧侶「魔剣ちゃんを渡して欲しいのなら、最初からそう接触してきたらよかった」

僧侶「なのに、どうしてこんな回りくどい事を」

魔王「ふむ。貴様、何を企んでおるか」

マンイーター『…企ミナドナイ。タダ、ソレヲ渡シテクレレバ』

魔剣『しつこいの嫌いだよ! 僕、お前やだ!』

マンイーター『……』

女勇者「でも本当に何で最初は幽霊みたいな姿で現れたりなんか…」

盗賊「だが、その時は物理攻撃が通らなかったぜ」

マンイーター『……?』

マンイーター『ソレト少シ話ヲサセテクレナイカ』

魔王「魔剣と? 勝手にするがよい」

魔剣『えぇー、やだよー!』

女勇者「…少しだけ、お話聞いてあげましょうよ。何か事情がありそう」

魔剣『……んー、じゃあちょっとだけ…』

魔王はマンイーターへ魔剣を近づけた。

マンイーター『元気ダッタカ』

魔剣『つーん!』

マンイーター『自分ガ何者ナノカ、知リタクハナイカ』

魔剣『はぁ? 僕は僕だし。魔剣だし』

マンイーター『……ソウカ』
146 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:22:51.04 ID:sVgNsM8l0
マンイーター『話ハ済ンダ。モウ十分ダ』

女勇者「もういいんですか…? 積もる話でもあるかと思ってたのに」

盗賊「それで、てめぇはどうする気だ」

マンイーター『ソレノ気持チガ変ワル事ヲ祈リ、航海ヲ続ケヨウ』

魔剣『気持ちなんて変わらないよ! 僕はずっと勇者ちゃんのお傍にいるんだからねー!』

魔王「キモっ」

僧侶「やはり、あなたがこの船を動かしていたのですね」

僧侶「……この日誌を書いたのはあなたですか?」

女勇者「え?」

マンイーター『ソウだ」

マンイーターは男の姿へ変わった。

マンイーター「この姿は私が過去に食べた仲間の姿。私の元の姿は消えてしまったよ」

僧侶「船内に遺体が全く見当たらなかったのはあなたが食べてしまったから…?」

マンイーター「」コクリ

僧侶「まともじゃないわ……!」

魔王「まともであるのなら、魔物へ姿を変える事はなかったであろうよ」

女勇者「そういえば、厨房にあった死体はどうしてあのままで?」

マンイーター「それを話す必要があるとは思えない。拒否する」

女勇者「あ……」
147 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:23:32.25 ID:sVgNsM8l0
マンイーター「君たちにそれを読んでもらえてよかった」

マンイーター「1人でも、私の様な人間を出さないでくれたまえ」

僧侶「言われなくてもですよ…。当たり前ですっ!」

盗賊「ところで、お前らみたいな魔物は個々で行動するのか? 集団で見かけた事がないぜ」

魔王「そんなの魔物によるであろうが」

マンイーター「いや、これは私の意思による行動だ。他の仲間はひっそりと暮らしている」

マンイーター「もう1つの世界で」

女勇者「……ほ、本当に存在するんですか?」

魔剣『なんかこいつが言うと胡散臭いんだよねぇ…』

マンイーター「あるさ。それが私たちの種族が暮らす世界なのだから」

盗賊「どういう事だ? 俺らが住むこの世界とは違う場所でお前らは生きていると?」

盗賊「…なら、なぜお前や他のマンイーターはこっちにいるんだぜ」

マンイーター「入口がある。私たちしか知らない。世界を行き来できる入口が」

魔王「ほぅ、ではそれを教えよ! 貴様らは好かん、殲滅してくれるッ」

マンイーター「それはできない。仲間にも迷惑がかかる」

マンイーター「……君たちがこの姿へなってしまった時は教えてやる」ニヤ

女勇者「勘弁してくださいよ…!」

魔剣『ねぇ、結局お前なんなのさ。僕の事一方的に知ってそうな感じ』

マンイーター「時が来たら、教えよう」

マンイーター「それではな。私はこの無限の霧の中を航海し続けるとするよ」

マンイーターは移動の呪文を唱えた!

魔王たちは幽霊船の甲板へ飛ばされる!
148 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:24:23.09 ID:sVgNsM8l0
女勇者「あ、あれ?」

盗賊「…どうやらアイツの魔法で外へ飛ばされたみたいだな」

僧侶「……不思議というか、何というか」

僧侶「ただ1つわかった事が人間も過ちを犯せば、魔物へと変わる。それだけ」

女勇者「でも、そうならない様にする為にも私たちがそれをみんなへ伝えないと!」

魔王「なるときはなるのだ。その様な事したって無駄よ」

盗賊「まぁ、今回は俺も勇者と同意見だ…」

魔王(……ふゥん、魔物だけが悪い世の中ではないという事になぜ気づかんのか)

魔王「人間ほど勝手で我儘な生き物もおらんな」

魔剣『勇者ちゃーん?』

僧侶「とにかく、船へ戻りましょうか。もうきっと動かせられるはずですし」


『……おいてけ』


女勇者「! ま、またぁ!?」

女勇者「ちょっとしつこくないですかっ」

『おいてけ、おいてけ』

亡霊が現れた!

僧侶「……マンイーター、ではない?」
149 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:26:07.79 ID:sVgNsM8l0
魔王の攻撃!


亡霊『オオォゥ…』すかっ


魔王「む、マンイーターではなさそうである」

魔剣『手応え無しでーす』

盗賊「ちょっと待て。こいつ、マジか……」

女勇者「今さらどうして幽霊が出てくるんですか!?」

亡霊『おい、てけ』

僧侶「……もしかして」

僧侶は亡霊へ近づいて行った。

女勇者「僧侶さん!」

盗賊「おいっ、下がれ…! 何させるかわかったもんじゃないぜ」

亡霊『……オ、オオォ!』

亡霊『え、エロ……エロ、を欲、っす…!』

僧侶「アレか……///」

僧侶「これを、置いていけばよろしいんですか…?」コソコソ

魔王「何をこそこそしておる。こちらにも見せよ」

僧侶「い、いけません! ダメですからっ」

僧侶「…………内緒にしてくださいね?」

僧侶はエッチな本を亡霊へ渡した!


亡霊『オオオオオオオオォォォォォ〜〜〜〜!!!』


女勇者「な、なにぃーっ!?」

魔剣『なんか喜んでる感じ〜』

盗賊「おい…今、何を渡したんだ…?」

僧侶「秘密ですっ」
150 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:27:14.46 ID:sVgNsM8l0
僧侶(さっきからどうも私ばかりに視線を感じると思っていたら)

僧侶(あの本を欲しがっていたのね……本物の女より本って……)

亡霊『ありがとう、ありがとう。色が無い虚しい人生だったけど』

亡霊『これであの世へ行っても自分を慰められるよ…』

なんと、亡霊は成仏した!

魔剣『空に昇ってっちゃったよ〜』

盗賊「……俺は疲れているようだ」

女勇者「あ、あり得ないよー!」

魔王「奇妙な事もあるものであるなァ」

僧侶「惨い人生だったんですね。可哀想に……あら」

亡霊がいた所にアイテムが落ちていた!

ラーの鏡を手に入れた!

女勇者「げっ、幽霊の置き鏡……絶対不吉ですって、触らない方が!」

僧侶「大丈夫ですよ。悪い感じはしません。むしろ温かいぐらい」

魔王「……その鏡で余の姿をけして映すなよ。僧侶」

僧侶「え?」くるっ

魔王「だから映すなと申したであろうがッ!? それ割ってしまうぞ!」サッ

盗賊「アホやってないでさっさと戻ろうぜ。俺らが戻らなきゃ幽霊船も消えられないだろ」

女勇者「さらば、幽霊船……! 二度と来ませんからねっ」

魔剣『全くだよー!』
151 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:28:48.90 ID:sVgNsM8l0



幽霊船は霧と共に、すぅっと消えてしまった。

海は元通り! 快晴になった!

船長「アンタらのおかげだよー!」

僧侶「いえいえ」

僧侶(むしろ、私たちのせいでもあったのだけれどね…)

船長「約束通り船の往復料金をタダにしようじゃないか。ガハハッ」

僧侶「っし!」

盗賊「あさましい……」

魔剣『霧が晴れたら急に良い天気だねぇ』

魔王「もう少し、霧で何も見えないといった状態を楽しむのもよかったである」

女勇者「私は懲り懲りですよ…幽霊相手じゃ剣も効かないし…」

盗賊「俺もああいう類を相手にするのは勘弁だぜ…」

魔王「しかし、アンデットどもはあの類に含まれぬのか?」

盗賊「アレはまた違うだろうが。幸い、まだ実態があるしな…」

魔王「ふむ……」




女戦士「私たちは普通の殺し方では死なない」




魔王「あやつもどうにかすれば、昇天させる事が可能なのだろうか」

女勇者「何の話ですか?」
152 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:30:09.87 ID:sVgNsM8l0
一方そのころ・・・


賢者「勇者くんいいのー?」

勇者「あ〜〜〜? 何がだよー」ブスッ

魔物『』

勇者「お、レベル上がった。いい調子やん」

賢者「何がって魔王追わなくてって事。ずっと魔物倒してばっかしじゃん」

遊び人「レベルを上げる事も大切ですゾ!」

賢者「アンタは喋るたびキャラころころ変わるわよね。安定しないっていうか」

遊び人「そんな事より賢者さんは頑張らなくてもいいわけぇ?」

賢者「私は強いからいいの」

勇者「あ? 俺より弱いくせに強がってんなよビッチ」

賢者「ビッチとか女の子に対して酷いー」

勇者「見てろよ魔王ちゃん〜〜〜……不死身で最強の俺がすぐに殺してやるから!」

勇者「しかもアイツ倒せば世界中で俺がヒーローとして崇められる! 毎日遊び放題フルコースだ!」

賢者「はぁん、でっかい夢ですこと」

遊び人「……そういやそういや、魔王たちから1人仲間が減ったって聞いちゃいましたぁ」

賢者「あのムキムキでしょ? 知ってるー、よかったよねー」

賢者「ああ! もし会う事があったら私らの仲間になってもらわない? あんな働かない戦士のお姉さん追い出しちゃって
さ?」

勇者「はぁ? ムサいの入れんなら色があった方がまだマシだろ」

遊び人「女戦士さんはムッチムチナイスボデーだし最高ですもんね!」

賢者「わ、私だって負けてないし……!」

遊び人「ではでは、あなたと女戦士さんのWボインにぱふぱふされるのが当分の私の夢という事で」

女戦士「下品な道化だ。最低な発言だぞ」
153 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:31:01.41 ID:sVgNsM8l0
遊び人「お姉さまぁー!!」ばっ

女戦士「」

跳びついてきた遊び人を殴り落した!

遊び人「ぶべべッ…死ぬっ」

女戦士「不死身なのだから、その程度では死ぬ事はないだろう」

賢者「まーたどっかでおサボりですかぁ。一体何してるのよ?」

女戦士「内緒だよ。それより君たちの方こそ何をしているかと思えば」


魔物『グオオオオオオォォォォッッッ!?』

ずしんっ・・・


勇者「へっ、今のは結構経験値稼げただろー!?」

勇者「……ってレベル上がらねぇ!! なんだよ今の! 図体ばっかで! 死ね!」

遊び人「既に死んでますゾ☆」

女戦士「地道に頑張っているようだな。やるじゃないか」

勇者「うっせーし。アンタにゃ関係ないべ」

勇者「…ひひ、今ならアンタとやっても勝ち目ありそうだわ」

女戦士「無理だよ。私の勝ちだ」

勇者「うっざぁ……」

女戦士(さて、実のところはどうだろうか)

女戦士の腕がしゅーしゅーと音を立て、気体を発している。

女戦士(魔力が漏れ出しはじめた)

遊び人「ややや、女戦士さんもですかぁ?」

女戦士「……君もという事か」
154 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:31:42.41 ID:sVgNsM8l0
遊び人「これってアレですよね〜? 私たちを蘇らせた術士が」

女戦士「ああ、何処かで命を落としたのだろうな。アンデッド化が解けてきている」

女戦士「いつまで持つ事か」

遊び人「ではでは、それまでに魔王を殺しちゃいましょうねぇ…」

賢者「ん、何の話ですかー。内緒話よくなーい」

女戦士「小娘が出しゃばる様な会話じゃない事は確かだな」

賢者「カッチーン……!」

賢者「…ま、どうでもいいけど。だったら向こうの方で話してよね、オバサン」

女戦士「ふふっ、これは一本とられたな」

賢者・女戦士「……」

遊び人「けけけ、ケンカはよくないゾっ!」

勇者「おっかねー!」

女戦士「さて」

賢者「ちょっ、逃げる気!?」

女戦士「話があるんだ。その後になら勝負でもなんでも受けて立とう」

賢者「むすぅ……」

勇者「話ってなんだよ?」

女戦士「魔王を確実に討つ為に、これから伝説の武器を取りに行く」

女戦士「勇者、君の武器をな」

勇者「え、俺の……www」
155 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/26(木) 21:33:00.77 ID:sVgNsM8l0
二日分まとめて投下したせいで長くなっちゃった。とりあえずここまでです
続きは金曜いけるかも
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/26(木) 22:23:59.88 ID:4YIugSeDO
乙乙
あれなのか、魔王は変身してるのか
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/26(木) 22:25:59.40 ID:0CWIII08o


魔剣ちゃん離脱したら泣く
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/27(金) 01:03:21.32 ID:67OfYZ8DO
あのエロ本僧侶のだったのかw
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/27(金) 02:49:55.70 ID:zKH41T300
おつ
安定した面白さ
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/27(金) 04:52:03.01 ID:7KtWTkS30
乙!
DQN勇者サイドも気になるところだな、ていうか女戦士が
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/01/27(金) 05:46:40.50 ID:gIoAt5Ixo
魔王倒せる剣とりに行くのか
女勇者の持ってるやつじゃないのか?
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/27(金) 10:10:49.50 ID:j/15bPGDO
戦士のじゃなかったって事はやっぱり戦士はアッチ方面の方か
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/27(金) 10:28:20.85 ID:7KtWTkS30
>>162
でも戦士ちゃん彼女いる
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/01/27(金) 10:47:05.16 ID:tknO639D0
つまり普段から巧妙にカモフラージュしていたということか
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/27(金) 12:12:21.27 ID:Jk9ZISwDO
マジ乙
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/28(土) 06:28:27.40 ID:ptWFpFgIO
縺ゅ∴
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/29(日) 09:56:40.87 ID:doXhFFu/0
側近はマジで死亡確定だったんか…
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/29(日) 16:13:40.17 ID:G92pcYIeo
>>167
まだ復活する可能性はあるぜ
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/29(日) 16:28:44.76 ID:0s+sKouyo
キン肉マンでもブラックホールなんかは何の脈絡もなく復活したな
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/29(日) 17:38:28.22 ID:tYQErh7P0
まぁ、金だしゃ蘇る世界らしいし
魔物にはどうなのかわからないけど
171 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 02:47:52.41 ID:vIG2rZUn0
船長「本当に助かったよ。帰りも任せてくれよ」

女勇者「ありがとうございましたー!」

僧侶「さて、では目的の場所へ向かいましょうか」

盗賊「ていうか何処だよ。そこは」

僧侶「あ……」

魔王「女勇者が勝手に言いだした事だ。余たちが知らずともおかしくはあるまい」

魔王「で?」

女勇者「あ、はい! えっとですね。この先に集落があるんですけど」

魔剣『そこー?』

女勇者「はい、とってもいい所ですよ。ただ何個か注意して欲しい事がー…」

魔王「さっさと向かうぞ。余はもう休みたいから」

魔剣『レッツゴ〜だよ!』

すたすたすた

女勇者「ちょ、ちょっと!」

盗賊「まぁ…その話なら集落についてからでもいいんじゃねぇか」

女勇者「でも変な事になる前に…」


<キサマラオイテクゾー


僧侶「勇者様! 勝手にどんどん進まないでくださいよー」

僧侶「さ、2人も行きましょう。あのままじゃ見失ってしまいそうですよ?」

盗賊「ガキかあいつ」

女勇者「大丈夫かなぁ」
172 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 02:48:34.14 ID:vIG2rZUn0
さわやかー・・・


僧侶「良い風が吹きますね。それに自然も豊かで」

盗賊「ていうか、雰囲気が向こうの大陸とどこか違うぜ」

女勇者「和ですよ。和。和風っていうのかな」

魔王「何じゃその言葉は? 勝手に造語喋っておるのではなかろうな」

女勇者「あれ、知らないんですか?」

僧侶「私も初めて聞きました。何でしょうか…?」

魔剣『僕もだよー』

女勇者「師匠は?」

盗賊「知らないからさっさと教えてみな」

女勇者「んー…教えるとなるとなんだか難しいというか」

女勇者「ワビ・サビ?」

魔剣『しーらーなぁーいー』

魔王「わさびだか何だか知ったこっちゃないである!」

女勇者「あ、違いますよ! ワビとサビです!」

女勇者「……違うのかな。風流?」

盗賊「難しいぜ。もっと簡単に頼む」

僧侶「私たちも色々勉強不足なのかもしれませんねぇ」

女勇者「みんな知らないもんだなー……」
173 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 02:49:13.68 ID:vIG2rZUn0
女勇者「カタ・ナー! とかは」

僧侶「なんだか面白い言葉ですね…っ」

女勇者「どちらかというとカッコいい系なんですけど」

魔剣『ねぇねぇ、他は〜?』

女勇者「ミソ汁! 汁はスープの別の読み方で」

魔王「ミソとはあの味噌の事であるか? アレをスープだと」

僧侶「盗賊さん! その様な料理が?」

盗賊「あ、ああ…あるんじゃねぇか……」

女勇者「師匠なんか適当言ってません? でも、結構好きなんですよねぇ。ミソスープ」

僧侶「どういった味のスープなんですか」

女勇者「え、味噌味?」

僧侶「それはわかっています」

女勇者「ん〜……そうだな」

女勇者「ズバリ! オフクロの味ですね」

僧侶「オフクロ…?」

盗賊「母親に対して呼び方の事だろ。だが、母親の味って何だ」

女勇者「懐かしいー…みたいな」

魔王「胡散臭い」

僧侶「そうでしょうか? 私は温かみの様なものを感じますね」
174 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 02:49:49.99 ID:vIG2rZUn0
魔王「そのうんたらかんたらはこれから行く場所にあるというのか?」

女勇者「ありますよ! とっても美味しいですから期待しててくださいねっ」

女勇者「あ〜、お父さんとここへ来た時が思い出されますよー」

僧侶「お父様。先代の勇者様と以前こちらへ?」

女勇者「はい。ちょっと旅行へって、連れて来られちゃって」

魔剣『仲良かったんだねー』

女勇者「だって家族ですもん」

僧侶「……」

魔王「僧侶、何顔を曇らせておる。死ぬのか」

僧侶「いえ…少し」

盗賊「や、休むか? 大丈夫か…!? もしかしたら幽霊船で悪い病気でも貰ったんじゃ…!」

魔剣『盗賊ちゃん大袈裟すぎー』
175 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 02:51:20.87 ID:vIG2rZUn0
魔王「ところで」

盗賊「あ?」

魔王「例の本が道具袋から消えておる。誰か知らん?」

僧侶「」ピクッ

盗賊「……おい」

魔王「この際ハッキリさせておいてはどうか。あのエロ本誰のである」

僧侶「うっ…!」

女勇者「エロ?」

魔王「うむ。前に余が道具袋の中を調べた時に見かけたのだ。貴様のか?」

女勇者「ち、違いますよ。もう、変な事言わないでください……ねぇ、僧侶さん?」

僧侶「はいはいっ!! そうですねっ!! ええっ!!」コクコク

女勇者「僧侶さん…?」

盗賊「……!」




魔王「僧侶はどうだ」




盗賊「いや、まさか。ありえんぜ……」

魔王「…僧侶貴様のか。アレは」

僧侶「違いますっ!! 知りません、知りませんから!」

魔王「必死に否定している所がますます怪しいッ」

魔剣『吐いて楽になっちまいなぁ…』

僧侶「違うもんっ!!」
176 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 02:52:17.56 ID:vIG2rZUn0
女勇者「もういいじゃないですか。無くなった物の事を気にしたって仕方がないですよ」

魔王「否! 無くなったからこそだ。つい最近発見したばかりで、突然消えるのは怪しすぎるわ」

魔剣『僕達にバレちゃったから隠しちゃったって事?』

僧侶「うぅ…」

僧侶(いつのまにバレていたの? ……こんな事なら共通の袋に入れてるんじゃなかったわ)

盗賊「そ、僧侶」

僧侶「違いますからね!?」

盗賊「い、いや…! そうじゃないぜ」

盗賊「……僧侶は男が好きだよな?」

僧侶「えっ……は?」

盗賊「唐突に変な質問な事は謝るっ…だが答えてくれ…」プルプル

魔剣『盗賊ちゃんストレート〜』

女勇者「え、何ですか。何ですか?」

僧侶(まさか私が持っていたという事が盗賊さんにはバレていた?)

盗賊「…ゴクリ」

僧侶「男の人……はい! 大好きですよ!」

僧侶「ですから、あんなスケベな本になんて興味ないですから!」

魔王「……待ったである」

魔王「僧侶貴様ァ、その言い方であると。一度あの本を見たとなるが」

魔王「薄情せいッッッ」ガシッ

僧侶「ひぃ〜!?」

177 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 02:52:58.05 ID:vIG2rZUn0
盗賊「そ、僧侶ぉ…!」

女勇者「えっと、どういう事?」

僧侶「知りません知りません」

魔王「少し魔剣を使って脅してみるとするか」

魔剣『へいへーい!』

僧侶「きゃー!?」

盗賊「バカ、それだけは止せ!」

女勇者「魔剣さんって何かマズいんですか」

盗賊「アイツはアレでも対人間兵器だぜ…」

女勇者「……何ですそれ?」

魔王「知りたいのならば、その身を持って教えてくれてやっても構わんが」

僧侶「勇者様っ!」

魔王「だが、まずはこやつを尋問せねばならんからその後!」

僧侶「本当に! 本当に何も知らないんです! 神に誓ってそう言いますから!」

僧侶(ごめんなさい、主よっ。ウソですっ)

女勇者「こ、ここまで言ってるしもういいじゃないですか。ほら、先へ進みましょうよ?」

魔王「……まぁ、別によいか。ふん、覚悟しておくがよい。僧侶よ」

僧侶「ひぃ〜…」

盗賊「どこのヤンキーだ、てめぇは」
178 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 02:54:15.34 ID:vIG2rZUn0
集落


魔王「何だこのド田舎ァ!?」

僧侶「ちょ、ちょっと勇者様…」

魔王「この様な地に人が住んでおると!?」

女勇者「はい。良い所でしょう? なんだか心が落ち着くというか、懐かしいというか」

盗賊「別にお前の出身がここというわけでもないんだろ。何でだぜ」

女勇者「えー、何でかと聞かれると答えるのが難しいというか」

僧侶「この島に暮らす人々はこの集落にいる人たちで全てなのですか?」

女勇者「そうですねぇ…私もそこまで詳しいわけでもないし…」

女勇者「あ、この先少し進むと大きなお屋敷がありますよ。偉い人の」

魔王「こんなチンケな地で偉ぶっておっても程度が知れておるわ。顔を見る必要もなァい」

盗賊「別に見るだなんて今一言も出てこなかったがな」

僧侶「せっかくですし、挨拶ぐらいはしましょう? あなた方2人は一応勇者なのですから」

女勇者「……媚び売ってるみたいに思われないですかねぇ」

僧侶「露骨に態度に表さない限りは何とも思われませんよ…っ」

魔王「余は嫌じゃ。今さらこの様な所だけにコネ作ったところで意味なしである」

魔剣『一応砂漠の国の人たちとは面識あるんだけどねー。それにあの国ってば魔王ちゃん讃…もがっ!』

魔王「あァ〜〜〜……ん!? 聞こえなかったなァーーー!」

魔剣『ごめんなひゃ、ごめんなひゃひ』

女勇者「何してるんですか?」

盗賊「それより、当初の目的は忘れちゃいねぇだろうな?」

女勇者「ミソ汁ですよね〜。任せておいて! きっと美味しいお店を探しだしますから!」

盗賊「……観光旅行なら世界平和にした後にしろや」
179 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 02:55:17.39 ID:vIG2rZUn0
女勇者「あれ?」

盗賊「強い武器を手に入れに来たんじゃねぇのかよ」

女勇者「……」

女勇者「は、腹が減っては戦はできぬ…ってね」

盗賊「食いしん坊キャラはもういいぜ」

「こんにちはー」

僧侶「あ、こんにちはです」

「旅の人ですか。遠くの方から遥々と…こんな何もないところでつまらんでしょう(笑)」

僧侶「そんな! 良い所だと思いますよ〜」

魔王「……住民からして腰が低いな」

女勇者「ここの人たちは礼儀というものがうんぬん」

魔王「ふん、アレでは舐めて見られるのではないか」

盗賊「どうも…文化からしてここは俺らが住んでいる地とは何か違っているな」

「いやぁ、よく言われるんですよ。ああ、私はそろそろ。お茶でも何処かで飲んでのんびりしていってくださいな」

僧侶「ありがとうございます。……あの方もそうですが、皆とてもいい人そうな方ばかりですね」

女勇者「ね、あったかい気持ちになれるでしょう? みんないい人ばかりなんですよ」

魔王「余にはこの空気が肌に合わぬ」

女勇者「そんな事言わずに……あまり浮いた事ばかり言ってると変に見られちゃいますよ」

盗賊「何処でもそれはそうだろう」

女勇者「いえ、特にここの人たちはそういうのアウトなんです。個性より周りに合わせて無難に立ち回っているという
か」

魔王「何それ。つまらん!」

女勇者「これ、注意の1つですからねー」

魔剣『結局何個あるのー?』
180 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 02:56:50.91 ID:vIG2rZUn0
「お、オラは嫌だ〜!」

「我慢せ。これも親方殿のご命令なんだ」

「やだー!」

僧侶「?」

僧侶「向こうの方が騒がしいですね。何かあったのでしょうか」

魔王「止せィ」

僧侶「は?」

魔王「トラブルの臭いしかせん。余計な事にはもう首を突っ込みたくないである!」

女勇者「むしろ突っ込むべきですよ。勇者ですもん!」

魔王「盗賊! この勇者馬鹿をどうにかするのだッ」

盗賊「どうして俺がだよ…俺は知らん。なるがままに動くぜ」

魔剣『流される男〜』

盗賊「…その言い方はやめろ」

僧侶「どうかされましたか?」

魔王「放っておったらあやつまた勝手を!!」

男「んー? 見慣れない顔だが、お客さんかな。だったら関係ない話ですよ。気にせんで」

少女「気にしてけれ! オラを助けて!」

僧侶「……よければ、少しお話を聞きたいのですが」

男「はぁ…余計な事に首を突っ込まんで戴きたい。こちらだけの話なのだから」

魔王「そうだ! その者が申しておる通り、放っておくのが一番よ」

僧侶「ですが」

少女「オラこのままじゃ化物に食われて死んじまうんだ! 見捨てないで!」

女勇者「おっ、勇者の出番の予感……」ピピーン
181 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 02:59:24.43 ID:vIG2rZUn0
男「お前! 何を言いだしてるんだ」

少女「本当だぁー! オラ知ってんだぞー!」

僧侶「2人とも落ち着いてください。まずは話を!」

男「この…」

男は少女へ手を上げようとした。

女勇者「ダメです」がしっ

女勇者「……ってアレ?」

盗賊「ふっ、ドン臭かった動きが今じゃアレか。くくっ」

少女「お、オラは……こんな村出ていってやるからなぁ!」

少女は逃げ出した。

女勇者「あれ!? ちょ、ちょっとー!」

男「余所者が俺たちの問題に口出しして……」

女勇者「ご、ごめんなさい。でも」

魔王「でもではないわカスッ」

盗賊「お前が言うのかよっ…」

僧侶「あの子、どうしたのかしら。失礼ですが貴方とあの少女の関係は」

男「俺はあの子の親だよ…。それではな、お節介さん方よ」

男は去っていった。

僧侶「やはり何かわけありそうですね」

魔王「もう良いであろうが……余たちは此処へ何をしに訪れたか!?」

魔王「わざわざ人助けの為に来た覚えはないであるッッッ」
182 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 03:00:01.37 ID:vIG2rZUn0
僧侶「ですが」

魔王「黙れ阿呆! 一々くだらん事に付き合ってはおれぬのだ」

魔王「……ふん、余は今後余計な事は引き受けんぞ」

魔剣『じゃあねじゃあね、勇者ちゃんがそう言うなら僕もー!』

女勇者「……化物に食われる」

女勇者「化物ってやっぱり魔物の事ですよね?」

魔王「余の話は無視かッ」

盗賊「まぁ、アイツらの優先順位は人助けだからな」

魔剣『もぉ〜…僧侶ちゃんも女勇者ちゃんもそれじゃあ身が持たないよー?』

僧侶「それでも、困っている人は見逃せないのよ。差し伸べる事ができるのなら、私はそうしたいから」

盗賊「さすがは神に仕える職ってところか」

僧侶「そういう事関係なしでも、個人としてでもですよ」

女勇者「わ、私は…えっと…」

女勇者「私もたぶん僧侶さんと同じです…!」

魔王「違うな。貴様は勇者という使命感に追われる事によって、意思と関係なしに人を救いたがっておるのだ」

女勇者「あー……で、でも!」

魔王「正義の押し売りなんぞ犬も食わん。偽善ならば捨ててしまえよ、僧侶!」

僧侶「いいえ、偽善ではありませんよ。私は自分の行動をいつだって信じていますから」

魔剣『キッパリ〜』
183 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 03:00:42.42 ID:vIG2rZUn0
魔王「そこまでくると軽い病である」

盗賊「おい、そんな言い方ねぇぞ…」

僧侶「ううん。いいんです」

僧侶「ただ、いくら勇者様に否定されようと、私は人を救い続けます」

女勇者「す、すごい……」

女勇者「師匠。私もあんな風に強い女の人になれるでしょうかね!?」

盗賊「あ? 知らねぇよ」

女勇者「えぇ…」

僧侶「さてと」

盗賊「おい、何処へ行く…?」

僧侶「先程の少女を探してきます。詳しく話を聞く為にも」

魔王「ガキの申す事だ。どうせただの妄言でしかあるまい!」

魔王「時間の無駄よ。さっさと目的を済ませて帰る」

女勇者「で、でも……! 何か気になるなー……って」

魔王「あァん?」

女勇者「わ、私もさっきの女の子探したい!」

魔王「却下却下ーーーッ!」

女勇者「どうしてダメなんですか!」

魔王「面倒だからだッ」

女勇者「そんなの理由になってないです!」

魔王「貴様死ぬかァッ」

僧侶「ゆ、勇者様…落ち着いて!」

魔王「……チッ。そもそも僧侶が首を突っ込んだのが悪いのだ!」
184 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 03:01:41.32 ID:vIG2rZUn0
魔王「先に申すがなァ。別に金が絡んでおるわけでもないのかもしれんのだぞ」

僧侶「お金が問題じゃありませんよ!」

僧侶「いえ……確かにお金が絡むのなら、なおさら引き受けなきゃですけど」

女勇者・盗賊(なおさら……)

僧侶「あー、ダメ…どうも私、子どもの事になると……」ブンブン

魔剣『どったのどったの?』

僧侶「とにかく、探しましょう。ね?」

魔王「探して話を聞けば気が済むか」

僧侶「気が済む様な内容なら、です」

魔王「こやつ阿呆か……?」

盗賊「い、いや…! 俺に振られてもっ」

?「あんのぉ〜……」

「!」

女勇者「あぁ! さっきの子!」

女勇者「丁度よかった。私たち、あなたの事探してたんだ」

少女「オラを?」

魔王「なぁにが『私たち』か…」

僧侶「さっき、あなたが話していたお話を詳しく聞きたいの。教えてくれないかしら?」

少女「もっちろんだー!! ていうか、オラその為にアンタらのとこに戻って来たんだし!」

少女「……ここじゃおとうに見つかるかもだから。あっちの方で話すべ」
185 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 03:02:17.30 ID:vIG2rZUn0
離れ


女勇者「……え、生贄!?」

少女「そうだぁ」

盗賊「おい、ここらじゃそんな物騒な制度があるのか。聞いてないぜ?」

女勇者「私も今初めて知りましたよ。前に来た時とかお父さんから何も聞かされなかったし…」

僧侶「……それはもしかして、最近の話だからじゃないでしょうか」

女勇者「え、お父さんとここへ来たのは結構前ですよ」

僧侶「そっちではなく、生贄です」

魔王「パッと出の魔物が集落を襲わない代わりにとでも申したとでも?」

僧侶「ええ、予想では」

少女「んだぁ。6年前からこの島にオロチって化物が現れて…」

少女「でもそれがまずおかしい! 6年前にはそれ以外にも親方様が変わった年でもあったんだべ!」

僧侶「親方様…?」

女勇者「えっと、あの集落というかこの島全体を仕切っている人です。ほら、さっき偉い人がいるって言ったでしょう」

盗賊「王みたいなもんか…?」

僧侶「それで、何がおかしいの?」

少女「そこのオジちゃんがさっきパッと出の魔物がって言ってたべ。6年前、オロチに新しい親方様。たぶん……親方様が
オロチなんだべ!」

魔王「誰がオジちゃんかッ」
186 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 03:03:29.22 ID:vIG2rZUn0
少女「毎年、2人の生贄が集落の子どもの中から親方様が選んでなぁ。お屋敷に連れてかれるんだぁ」

少女「……そんで、去年にオラのお友達連れてかれて。オラ、なんとか助けようってお屋敷にこっそり忍びこんだ」

少女「したらだッ!! オラは見たんだぁー! あの親方様が化物に変身しちまったとこを!」

女勇者「に、人間に化けられる魔物って…マンイーター以外にもいたんですか?」

盗賊「珍しくはあるが、いる事はだいぶ以前から知られていたぜ」

魔王「……」

魔剣『勇者ちゃーん?』

魔王(オロチなんて魔物、名すら一度も聞いた事がない。その様な奴おったっけ)

少女「た、たまげた!! 剣が!?」

女勇者「あ、あー! コレはそういう玩具でね!?」

魔剣『ういーん、がしゃん。ういーん、がしゃん』

少女「あんらぁ……したら、今この玩具がこのオジさんに勇者って言ったのは違うんけ?」

魔王「如何にも勇者だがァ?」

少女「な、なんと!」

女勇者「ふっふっふ…実はそんな私も勇者でした」

少女「はぁ、たまげた……! んでも胡散臭いなぁ」

女勇者「へぇ!?」

僧侶「ま、まぁまぁ…」
187 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 03:05:07.32 ID:vIG2rZUn0
僧侶「本当に、この2人は勇者なの。だからもし困っているのなら私たちがあなたを助けるから」

少女「困ってるぅ! 本当の本当で困ってんだぁ!」

少女「助けてくんろ…オラ、化物の腹の中になんか入りたくね。まだチューもしだ事ないんだぞ…」

女勇者「大丈夫。お姉さんもまだだから!」

少女「姉ちゃん遅れてるなぁ」

女勇者「えっ…?」

女勇者「お、遅れてる!? 私生き遅れですか!?」

魔王「知るかである。地面とでもチューしておれよ」

僧侶「……とにかく、その親方様という方に一度会ってみなければいけませんね」

盗賊「マジで引き受ける気か」

僧侶「私は、はい。勇者様、ここは勇者として活躍の場を広げる為にも!」

魔王「ふん、勝手にせい…。その代わり、今後はしっかり余の言う事を聞いてもらうからなァ」

僧侶「は、はい! ありがとうございます勇者様ぁ!」

僧侶「大丈夫。もう安心していいからね」ナデナデ

少女「んだといいんだけども…」

盗賊「このガキが言う事がマジなら、村のトップに魔物がいるとなると面倒そうだぜ…」

女勇者「6年間も居座っちゃ、アレですもんねぇ…せめて正体をみんなの目の前でバラす事ができたらいいんだけれど」

魔王「なら、丁度良い物があるな」

魔剣『えー?』
188 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 03:06:23.33 ID:vIG2rZUn0
一方そのころ・・・


王都・酒場

戦士「そうか、わかったよ! ありがとう」

「気にすんな。にしても勇者なんか探してアンタ何してんだい?」

戦士「ちょっとなぁ〜。内緒だ」

戦士「いやー、それにしても町中勇者の話題で凄いもんだな」

「ああ、なんでも偽勇者がいたってわかったらしいからなぁ」

戦士(もうあのヘンテコ勇者がその辺りで動き始めてたのか)

「しかもだよ。その偽勇者ってのがどうも魔王だって風の噂で聞いたりしてて…そんなバカな話があるかってな!」

戦士「ま、全くだよなぁ! あっはっはっ…は、はぁ……」

戦士(勇者殿。アンタ、今結構マズイ事になってきてますぜ……)

戦士「」チラ


―偽勇者現る! この顔にピーンときたら、すぐに王国騎士団に連絡を!―


戦士「う、あぁぁ…全然似てねぇなコレ!? 勇者殿こんな顔じゃねー!」

「は、え?」

戦士「あ、こっちの話ね。こっちの話……」


―伝説のヒットマン脱獄! 見かけたら刺激しない様にしてすぐに自警団へ!―


戦士「それよりこっちの方がヤバそうじゃね?」

「あー、そっちかー。そいつもな、そうだよな」

「……噂だけ聞いたんだけどよ、そいつって変な趣味があるらしくて」

戦士「ふーん?」
189 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 03:07:07.42 ID:vIG2rZUn0
戦士(町中どこを歩いても手配書まみれだな)

戦士「全部引っぺがしてやりたいところだが」

?「それは困るね。というより、君がお縄に掛るね」

戦士「あんたは?」

団長「ふむ、これでも有名な顔なんだけどもね。王国の直属騎士の団長を務めてるおじさんよ」

団長「手配書の似顔絵見てピーンと来たのかね?」

戦士「背筋がか?」

団長「んーもぉ、おじさん舐めるのは止しとくれよー…」

戦士「はっはっはっは! それじゃ、これで」

団長「待て」

戦士「うっ……」

団長「1つ質問をしよう。答えて欲しいんだけどね、いいね?」

戦士「拒否権なしみたいな言い振りだぜ、おい」

団長「年寄りのお願いの1つぐらい聞いとけよ〜。ねぇ?」

戦士「むぅ……」

団長「偽勇者ちゃんってばね、仲間いるみたいでねぇ。3人ほど、さ」

団長「……こーころ辺りはないかなぁ?」

戦士「ない」

団長「マジで?」

戦士「しつこいぞ…」

団長「歳だからねぇ…」
190 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 03:11:15.80 ID:vIG2rZUn0
団長「本当のところ何か知ってたりするんじゃないのか」

戦士「……し、質問は1つって約束だよな」

戦士「俺は1つにしっかりと答えたよな? 十分だろう」

団長「……やぁー」

団長「一本取られたか。でもほら、おじさんはお年寄りだから記憶力ないから、仕方がないみたいな」

戦士「じいさんはさっさと隠居暮らししてなさいって…」

団長「退職金たんまり貰えるっぽいから、おじさん安泰よ」

戦士「……じゃあ、こんどこそ。さよなら」

戦士(なんつー嫌なオヤジ! 話してるだけでムカついてくるわ)

戦士は去っていった。

団長「おいー? ちょっとー、アレの後をつけてって?」

?「また私が? 他の人つけたらいいのに」

団長「つべこべ言うガキはおじさん嫌いだよ。仕事に対しては常にイエスの姿勢でいいの」

団長「とりあえずさ、また定期的に連絡寄越してよ? 連絡ないと寂しくて死んじゃうのよ、おじさんは」

?「ふん……」

団長「んじゃ、お仕事頑張ってよね。簡単だから、あんな男を追っかけるぐらいは」

?は戦士の後をこっそりと追った。

団長「アレもーそろそろ潮時かもなぁ……使えねぇしな」
191 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/01/30(月) 03:13:40.23 ID:vIG2rZUn0
ここまで。予定よりだいぶ遅れちゃってごめんなさい
それから、今週とさ来週は投下頻度がガクンと下がると思われ。これもごめんなさいだわ
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/30(月) 03:23:27.18 ID:02q3J91Po
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/30(月) 09:11:08.25 ID:1nRgjCEB0

戦士ちゃん久しぶり!
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/30(月) 15:04:34.76 ID:+ZHFEY9DO
俺の嫁キター

と思ったらストーカーつけるとは良い度胸だなおっさんビキビキ
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/01/30(月) 18:19:47.83 ID:ukJIokjzo
鏡使うのか
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/30(月) 21:33:05.00 ID:ASUwJt5SO

戦士久々の登場だな
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/01/30(月) 21:34:47.77 ID:6MwpT6XKo
ヲーの鏡
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/31(火) 13:41:55.59 ID:rHyyegww0
女勇者パーティーに馴染むの早いね
戦士戻ったらどうなんだろ?
199 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/01(水) 04:24:05.33 ID:64aUYGgy0
親方の屋敷前


少女「ここだべ」

魔王「ボロ臭ッ」

魔剣『勇者ちゃんしーっ!』

魔王「この様な作りではすぐに賊やら侵入されてしまうではないか」

女勇者「ここの人たちはそういう物騒な事とは無縁な生活を送ってますから。基本的に平和な頭なんですね」

盗賊「平和な頭ってある意味バカにしてるな…」

僧侶「アポもなにも取らずにいきなりですけど、大丈夫でしょうか?」

魔剣『僕たちここの人じゃないもんねぇ。怪しまれるかも』

僧侶「会うにしても理由が必要……」

魔王「ちょっくら顔見に来たで通るのではないか?」

盗賊「いつ屋敷の奴とそういう関係築けたってんだよ」

女勇者「じゃあこうしましょ! 私たちが勇者だという事を利用して」

魔王「余は勇者だが貴様はまだ納得いかん」

僧侶「……まぁ、あまり気は進みませんが。勇者様たちを前面に出して謁見させていただきましょう」
200 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/01(水) 04:24:40.33 ID:64aUYGgy0
少女「姉ちゃんたち、ごめんなぁ。オラのせいで」

魔王「全くだよ!!」

僧侶「勇者様っ」

僧侶「…そんな事ないわ。あなたはおウチで待っていて。私たちがきっと何とかします」

少女「頼りになるなぁ。そんだら、任せる〜」

盗賊「……さて、行こうぜ」

女勇者「おー!」

魔剣『ところで勇者ちゃん。さっき言ってた良い物ってなぁに?』

魔王「その時になればわかる事だ、楽しみにしておくがよい。ヒントは僧侶な」

魔剣『僧侶ちゃん〜?』

僧侶「え、私?」

僧侶「私が何か鍵を握っているということでしょうか? でしたら、思い当たるものは何も」

盗賊「行けばわかるんだろ。なら考えるだけ無駄だろうぜ」

僧侶「でも、何か気になるじゃないですか…」

女勇者「じゃあ勇者さんが答えを出してくれるまでは、シンキングタイムですねー」

女勇者「もし当たったら景品は?」

魔王「魔剣」

盗賊「おい」

魔剣『やぁーんっ!』
201 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/01(水) 04:25:25.14 ID:64aUYGgy0
門番「……むむ」

門番「何だお前たちは?」

僧侶「はい、私たちは…」

女勇者「勇者ですっ!!」

門番「……」

女勇者「あれ? 驚いて声が出ない感じ?」

盗賊「…いきなりで唖然としているというか、呆れているって感じに俺は見える」

門番「おい、何処から何処までが勇者だよ」

盗賊「そこかっ」

魔王「ふんッ、勇者は余1人だ! こやつらはただの付き人」

女勇者「え、私は……」

僧侶「知っていられるとは思われますが。私たちは魔王討伐の為の旅をしているのです」

僧侶「それで道中、こちらの集落へ寄らせていただきまして」

門番「……何か用でも?」

魔王「魔もっ、が!」ジタバタ

盗賊「お前は黙っていてくれ…!」

僧侶「ええ。唐突で申し訳ないのですが、こちらの親方様なる方へ挨拶をと」

門番「……ふーむ」

門番「それぐらいなら。まぁ、いいかな?」

僧侶「本当ですか! ありがとうございます」

門番「ちょっと待たれよ。親方様に話してくるので」すたすた

魔剣『待たれよ〜』

魔王「あ?」

魔剣『なんか気に入ったぁ!』キャッキャ

女勇者「私も勇者なんだけど……」

盗賊「わかったから」
202 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/01(水) 04:26:07.21 ID:64aUYGgy0
親方の屋敷


門番「はい、いらっしゃい」

魔王「うむ。潔く客人を招くとは話が早い奴だ」

女勇者「ちょい待ち!」ガシッ

魔王「ぶっっっ…」

魔剣『待たれよー?』

魔王「貴様何をするかァッ!!」

女勇者「他人の家へ入る時は、お邪魔しますの一言です!」

魔王「あァ!?」

盗賊「それもここでの注意の1つか…」ボソ

僧侶「本当に礼儀を重んじている場所なんですね」

門番「」じー

女勇者「ほら、勇者さん」

魔王「貴様が邪魔だド阿呆が!」

魔王の攻撃!

しかし、攻撃は弾かれてしまった!

女勇者「わっ!?」

魔王「〜……」ジーン

僧侶「ちょ、ちょっと! 勇者様こんな所で!」

盗賊「バカか…!」

門番「おい何してるッ!! 屋敷内で武器を使うなんて言語道断。没収ー!」

門番にアイテムを没収されてしまった。

魔王「あ…」
203 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/01(水) 04:26:52.46 ID:64aUYGgy0
盗賊「おい、てめぇが余計な事するから!」

魔王「貴様返せッ」

僧侶「勇者様。ここで騒ぎを起こせば屋敷に入れなくなってしまいますよ……!」

魔王「チッ…そもそも、こやつが全部悪いのだ」

女勇者「そ、そんなぁ」

門番「ん」

魔王「あ?」

門番「まだお前の持っている剣があるぞ。渡しなさい!」

魔王「どうなっても知らんぞ」

門番「さっさと寄越すんだ」ガシ

魔剣『あちゃー!』


門番「」ガクガクガクガク


女勇者「えーっ、どうしちゃったの!?」

盗賊「前に言ったろ。魔剣は対人間兵器、つまり人間には持つ事ができないってわけだぜ」

女勇者「へー……あれ、でも」

女勇者「じゃあどうして勇者さんは持つ事ができるんですか?」

盗賊「あっ」

魔王(阿呆…)
204 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/01(水) 04:27:18.47 ID:64aUYGgy0
魔王は魔剣を取り戻した。

魔剣『ただいまぁー』

魔王「うむ」

女勇者「どうしてです?」

盗賊「それは……勇者だからじゃないか」

僧侶「今まではそう思っていましたが、本当のところどうなのでしょう…」

魔王「余計な詮索はするでないぞ。おら、アイテム取り戻した」

女勇者「じゃあ私にも魔剣さんが扱えるって事ですか!?」

魔剣『さぁ? でも僕、勇者ちゃん以外に使われる気ないよ! 浮気、ダメ絶対!』

女勇者「ふーん……えいっ」

盗賊「おい…!」

女勇者は魔剣を持った。

女勇者「っ!!」
205 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/01(水) 04:29:06.03 ID:64aUYGgy0
僧侶「女勇者さん! す、すぐに魔剣ちゃんを離してください!」

魔王「手間がかかる小娘め」

魔剣を女勇者から取り上げた。

女勇者「はぁ、はぁ、はぁ……!」

女勇者「……何ですか今の」

魔剣『女勇者ちゃんにとっておっかない物が見えちゃったんだね〜』

女勇者「ゆ、勇者さん!」ガシッ

魔王「鬱陶しいわ! ほれ、さっさと中へ入るぞ」

女勇者「う、うぅ……」

僧侶「私たちにもまだ魔剣ちゃんについてはわからない事だらけなんです」

僧侶「どうして、勇者様が持つ事ができるのかも」

僧侶(今のでハッキリした。勇者である事は魔剣ちゃんを持つ資格として関係がない…)

僧侶「……じゃあ、勇者様個人として?」

盗賊「僧侶、どうした」

僧侶「あ、いえ。気にしないでください。さぁ、行きましょうか」

盗賊「……僧侶にもそろそろてめぇの元の素性を言うべきじゃねぇのか」

魔王「言う必要があるまい。ただでさえ、前に戦士の一件があったのだ」

魔王「きっとあやつならば面倒な事になるに違いない」

すたすたすた

盗賊(ま、今まで騙していた様なもんだったしな。よく今でさえ疑いもせずにノコノコ着いてきてるもんだよ…)

僧侶「……」
206 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/01(水) 04:29:44.08 ID:64aUYGgy0
「門番が倒れていたのですが。何かご存知?」

盗賊「さぁな、悪い物でも食ったんだろうぜ」

魔剣『女勇者ちゃんじゃあるまいしー』

女勇者「私どんなキャラですか!?」

魔王「そんな事はどうでもよい。さっさと屋敷の主の元へ案内せぃ」

「はぁ…」

僧侶「勇者様。あまり失礼な態度を取っていると先程の様な事が」

魔王「チマチマするのは好きくないである!」

女勇者「」じー

魔剣『そんなに見つめちゃやだよ〜』

女勇者「あ、ごめんなさい…」

僧侶「さっきは急な事で驚いてしまいましたよね。ごめんなさい、先にこうなることを教えていれば」

女勇者「あははは…」

女勇者「そ、それより! シンキングタイムー!」

盗賊「は?」

女勇者「師匠考えてなかったんですか? ほら、勇者さんが言ったやつの」

盗賊「考えるだけ無駄って言ったろ…」

盗賊「どうせ脅すか何かするんだろうぜ」

魔王「余がそんな物騒なマネをする輩に見えるか。仮にも勇者よ」

盗賊「どの口が言う…」

僧侶「何かアイテムを使うんですよね? それも私が所持している」

女勇者「僧侶さんが持ってるアイテムかぁー…」

魔剣『えっちな本?』

僧侶「ぶふぅっっっ!!」

魔王「ハズレ」

魔剣『え〜』

僧侶「も、もうアレを引きずるのは止しましょうね…」ピクピク

盗賊「そ、僧侶?」
207 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/01(水) 04:30:50.53 ID:64aUYGgy0
「こちらの部屋に親方様がいらっしゃいます。くれぐれも失礼のないように」

コンコン

「失礼します。お客人を連れてまいりました…」


『通せ』


魔王たちは部屋の中へ通された。

魔王「貴様が親方とかか」

女勇者「いきなり失礼ですよ!?」

盗賊「……見た目は普通の男だな」

僧侶「……ええ」

女勇者「あ、申し遅れました。私は女勇者と申しまして!」

親方「勇者殿がこの様な何もない所へ何か御用かな」

女勇者「用ってほどでは」

僧侶「はい。今後の為に、こちらで強力な武器を手に入れようという旨でして」

親方「ほう、それは何故かな」

親方「…いや、聞く事もなし。貴殿らの目的を考えればそうであろうな」

盗賊「そういう事だ。ここへはアンタへの挨拶1つの為に来たといったところだぜ」

魔王「わざわざこちらから出向いてやったのだ。歓迎しろ」

僧侶「勇者様っ」

魔王「こちらが下手に出る必要もあるまい。遠慮など要らぬ、そうであろう?」

親方「ああ、くつろいでゆきなさい。必要なら、茶でも立てよう」

女勇者「…ほ、本当にこの人が魔物なんですか? 何か良い人にしか」

盗賊「表面だけ取り繕ってるだけかもなぁ…くくっ」
208 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/01(水) 04:32:17.97 ID:64aUYGgy0
魔王「ふん」ドスン

魔王は親方の前で胡坐を掻いた。

女勇者「あわわっ!」

盗賊「おい、アレは考えがあってのだろうな…」

僧侶「……勇者様が何か考えて行動を起こした事が一度でもありましたか」

魔王「茶を出せ。飲んでくれるわ」

魔王「無論、貴様が立てるのであろうな」

親方「ああ。既に用意は出来ている」


しゃかしゃかしゃか・・・


魔王「……余の知る茶とは違う」

魔王「毒か貴様ッ」

女勇者「抹茶っていうお茶の1つですから!」

親方「知らぬのは無理もない。これはこちらの地方のみで飲まれる物」

親方「……どうぞ」

魔王「」チラッ

女勇者「…の、飲んじゃってください。一気にズズーっと」

盗賊「それ行儀悪くないか」

女勇者「それでいいんです!」

魔王「ふーん……ごく、ごく、ごく、ごく」

魔王「プハーッ! マズイわカス」ポイ  \ガシャーン/

僧侶「ちょっとー!?」

女勇者「そっ、そこは結構なお手前で、ですよ!」

魔王「結構なお手前で!」

親方「」ニッコリ
209 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/01(水) 04:33:42.15 ID:64aUYGgy0
親方「遅れたが茶菓子でもどうかね。甘い物は好きかな」

魔王「美味ければ食ってやらん事もない」

僧侶「……あの、1つよろしいでしょうか」

親方「どうぞ」

僧侶「この村には、6年程前から生贄の制度ができたと話に聞いています」

僧侶「村の子どもたちをあなたが選別し、こちらへ連れてくると…」

盗賊(唐突だな)

盗賊(しかし、ここで奴の正体を例え暴いたとして、それからどうするつもりだ)

親方「如何にも」

親方「だが、それを知ってどうなさる。貴殿らは我々とは無関係ではないか」

僧侶「確かにそうです。ですが、間違っている事は許せないタチでして」

親方「ほぅ」

「……」

女勇者「な、なんか空気がいきなり悪くなった感じするんですけど」

盗賊「…すぐに武器を出せるように」ボソ

女勇者「え゛っ」

魔王「単刀直入で申せばな。貴様が魔物ではないかと疑っておるのだ」

僧侶「い、いきなりすぎます!?」

親方「それはなぜ」

僧侶「……村人から証言を得ました。あなたが魔物に化けたという」

僧侶「今さらながら、失礼を承知でお聞きします。あなたは」

親方「少し、甘い」

僧侶「は?」
210 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/01(水) 04:35:27.58 ID:64aUYGgy0
親方「私は甘い物があまり得意な方ではなくてね。貴殿らも食べるかね?」もぐもぐ

僧侶「は……?」

親方「茶菓子だよ」

僧侶「ふざけないでください。今はそれどころでは!」

魔王「僧侶、貴様が幽霊船で手に入れたあの鏡を奴に向けるのだ」

魔王「すれば真実の姿が見える」

女勇者「鏡って、あ」

魔剣『もう喋ってもいいよね!』

魔王「永遠そうして黙っておれば良かったものを…」

魔剣『僧侶ちゃんラーの鏡だよ!』

僧侶「ラーの鏡……アレか!」

親方「良き品をお持ちのようで。だがお待ちいただこうか」

魔王「正体をバラされるのが嫌な様だなァー!」

親方「貴殿もそうされる事を嫌う様にな」

魔王「あ?」

親方「ここで私の正体を明かし、討ったところで貴殿らには何の得にもならない」

親方「むしろ、村で慕われている私を殺す事になるのだ。どうなるかね」

女勇者「あ……!」

親方「人は、人から忌み嫌われる事を嫌う。私はそう思うが、どうかね。勇者殿」チラ

女勇者「だ、黙りなさい! 魔物が人の事をわかった気になって!」

親方「わかったのだよ。6年もあれば十分理解できる」
211 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/01(水) 04:36:20.57 ID:64aUYGgy0
盗賊「理解した気でいるだけだぜ。てめぇは全知全能ってか?」

親方「ああ」

盗賊「即答かよ…」

親方「なぜ、魔物の私が人の中で生きるか」

親方「人間というものをよく知りたかったからだ」

魔王「ベラベラと1人でよく喋りおる。誰も頼んでおらんわ」

魔剣『よく喋る奴ほど雑魚だよ!』

僧侶「待って」

僧侶「……なぜ、人間を? そんな綺麗事を述べておいて、あなたは現に子どもたちを!」

親方「人の子は私の好物だ。好物を食べなければストレスも溜まる」

女勇者「所詮は魔物じゃない! やっぱり倒さなきゃ!」

盗賊「同意だな…」チャキ

親方「人間という生き物は興味深い。だから知る必要があった」
212 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/01(水) 04:38:10.04 ID:64aUYGgy0
親方「以上」

僧侶「それだけでは理解できませんっ!!」

魔王「僧侶、さっさとせい。ラーの鏡!」

親方「ラーの鏡は真実を映し出す。だが、真実を知る事は恐ろしい事だよ」

魔王「耳を貸す必要はない。鏡を使わぬのなら、このままの姿で殺すぞ」

僧侶「恐ろしい?」

親方「知らぬが仏と言う言葉がある。だが、貴殿は真実を今求めている」

僧侶「!」

盗賊「アイツ何言ってんだ…僧侶、聞くな!」

親方「貴殿の中で疑問が生まれ、日に日にそれが大きくなりつつある」

親方「それは本物か、偽物か。なぁ、勇者?」

魔王「僧侶!」

僧侶「……」

女勇者「そ、僧侶さん?」

親方「さぁ答えを知る時だ。君が手に持つ鏡はその為にこそ存在する」

僧侶「答え…」チラ

魔王「阿呆! その鏡で映す相手は向こうだッ、こちらは止せ!」

僧侶「……もう一度、もう一度だけ聞かせてください」

僧侶「勇者様は、勇者様ですよね……?」

僧侶はラーの鏡を使った!

魔王「!」
213 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/01(水) 04:40:34.42 ID:64aUYGgy0
ここまで

続きは恐らく来週の金曜日辺りになる
間が結構空いてしまうが、気長に待っていただけたら幸いです
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/01(水) 04:59:19.20 ID:VoZxqeKOo
おいおい、ラーの鏡向けられて全裸にされたのにそりゃないぜ
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/01(水) 09:41:24.84 ID:UajIjQ0l0
ルーの鏡「トゥギャザーにウェイトしようぜ〜」
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/01(水) 11:06:45.13 ID:urSL+4ji0
乙乙
気になるところで区切りやがって…
体に気をつけてね
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/01(水) 18:22:30.38 ID:mWj2zvJDO
着実に伏線回収してるな……僧侶………
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/02/01(水) 18:47:21.55 ID:ngYdT7jeo
気になって朝も起きれません
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/02(木) 00:22:39.57 ID:Ie8LrGcSO
うわあああ続きがすげー気になる!!
金曜日まで待てない!でも乙!待ってる
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/02(木) 00:36:44.33 ID:MtnGB5HV0
女勇者がウザかわいいの
僧侶ちゃんまでパーティー離脱したらこいつらどうなるのか
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/02(木) 15:20:33.16 ID:hB2rI0zB0
>>220
最近盗賊がしっかりしてきたから2人と1本の保護者役になってくれるだろう
でも僧侶抜けたら盗賊も抜けそうだな…www
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/02/03(金) 11:05:58.81 ID:V47WC6j+o
これが占いのときの選択か…
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/03(金) 20:19:35.32 ID:AQ1hvJRT0
側近たんが仲間になれば問題あるまい
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/04(土) 08:02:58.77 ID:AIPYIlcSO
なんだかんだで盗賊しっかりしてるよな
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/05(日) 17:50:37.63 ID:I7+wP7wS0
側近たんが人間の魔法使いに乗り移ってて魔法使い枠で仲間になれば良いな
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 22:55:22.66 ID:/Mnl7re8o
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン       バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・)  バンバンバンバン゙ン
 _/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
    \/___/ ̄
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 23:53:49.83 ID:+mIY4lIDO
マダー?
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/07(火) 00:45:36.98 ID:W208n/IC0
金曜って書いてあるだろよく読め
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/07(火) 02:48:08.68 ID:6XIFDLPH0
マンイーターって見ると、どうしてもデモンズのあいつを思い出してしまう
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/09(木) 08:10:39.23 ID:XtENB0wIO
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン       バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・)  バンバンバンバン゙ン
 _/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
    \/___/ ̄
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/09(木) 10:34:55.08 ID:o4njeNG2o
AA使ってみたいお年頃か。香ばしいな
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/09(木) 17:49:28.10 ID:OegtJ/Peo
プンプンプンプンプンプンプンプンプンプン
プン       プンプンプン゙プン プン
プン(∩`・3・)  プンプンプンプン゙プン
 _/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
    \/___/ ̄
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/02/09(木) 22:35:59.50 ID:YHju00/No
>>231
    /\___/ヽ
   //~    ~\:::::\
  . |  (・)   (・)   .:|
  |   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|   は?
.   |   `-=ニ=- ' .:::::::|
   \  `ニニ´  .:::::/
   /`ー‐--‐‐―´\
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/09(木) 23:12:48.45 ID:cxkktfwH0
ついに明日だな。待ってるぞー
235 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/11(土) 03:12:02.32 ID:+A+iyHma0
魔王城


グツグツグツ

1「そろそろではないか?」

2「ええ、もう頃合いよね」

4「おい! まだしっかり煮えていないからまだだ」

2「バカ。お鍋の方じゃない」

1「魔王の最後の時がきたのだ」

4「そういう話を食事中にするもんじゃない! 見ろ、お前たちのせいで鍋が不味く見える」

1「むぅ……」

「あれ、三魔官様方。今日はお鍋ですか? いいですよね、コタツに入ってお鍋は」

4「良ければお前もこっちに来るがよい。ご馳走してくれよう」

「マジですかー! わーい!」

「…ってアレ? あの」

2「どうしたの? 文句あるの?」

「三魔官様って、何人いらっしゃいましたっけ」

1「…ゴホン」

4「ビールを持ってくるとしよう」

「え? えぇ?」

2「あー……そのね」

2「アイツはもう消したわ」
236 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/11(土) 03:12:54.02 ID:+A+iyHma0
「はぁ? 何言ってるんです」

2「言葉のままの意味よ。もういないから、記憶の中から消しなさい」

1「ああ」

「意味がわかりませんよ! 一体どうしたと」

4「正確には三魔官としてのメンバーから消したという事だ」

4「殺したわけじゃあないさ。心配するなよ」

「いや、心配がどうだって話じゃないですよ!」

4「もういいだろ。アイツ、私たちの中で一番空気だったんだし」

(ひでぇ!)

「理由……! 理由は何なんです!」

1「4人いたら三魔官ではないであろう。名前的にも」

「……あぁ!!」

1「今まで気づく事ができなかった我らも悪いとは思うがな」

2「突然な事で私たちもだいぶショックなのよ。察して」

「す、すみません。ですが、それでは3様は何処へ?」

4「そのまま城へ居させるのも会ったとき私たちが気まづいし、出ていってもらった」

「ひでぇ……」
237 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/11(土) 03:13:37.21 ID:+A+iyHma0
4「まず座れ」

「あ、はい…」

4「飲め」トクトクトク

「ありがとうございます…」

「…もっと他に何かいい案はなかったのでしょうか」

1「終わった事を気にしていては先に進めぬ。我らは前だけを見るのだ」

1「消えた奴の事はもう忘れてしまえ」

(アンタらが消したんだろう)

2「ところで例の計画は進んでいるの?」

「あ、はい。順調ですよ。ですが」

「本当に…よろしいのでしょうか…」

1「不満か。下っ端の分際で生意気な!」

「いえいえ、不満というわけでは!!」

4「止せ! 飯が不味く見えると言ったばかりだ!」

4「今は鍋を楽しむのだ。一時の休息までをも無駄にしては勿体ない」

2「そうね。私もそう思うわ」

1「むぅ……」

(何が一時の休息だ。毎日コタツで麻雀打ってんだろ)

2「メンツに穴が開いてしまったし、これからはアンタに入ってもらうからね」

「え!?」

2「私、耳いいのよ。ふふっ」

「流石は三魔官様の1人……!」
238 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/11(土) 03:14:15.88 ID:+A+iyHma0
親方の屋敷


魔王「僧侶! この愚か者めッー!」

魔剣『僧侶ちゃんちょっとごめんねー』

魔王は魔剣を僧侶へ投げつけた!

僧侶「っく…!?」どすっ

魔剣はラーの鏡ごと僧侶を貫いた!

女勇者「僧侶さぁん!? な、なんて事を…!」

魔王「僧侶は死んでいない。心配無用」

魔剣『ちょっと気絶はしてもらったけどね』

盗賊「魔剣の特性か…?」

親方「対象を一つに定める事ができる剣かね」

女勇者「でも! 仲間に向かってあんな平気な顔して!」

魔王「紛らわしい事になる前に芽を摘んだだけの事よ」

魔王「それより貴様。余計な事を申してくれたなァ」

親方「そんなつもりは全くなかったのだがね」

親方「貴殿が割ったその鏡。それで姿を映されると何かまずい事でもあるのかな」

盗賊「……」

魔王「よく喋るクズであるな! その口を黙らせてやろうか!」

女勇者「ちょっと待って!」

女勇者「さっきから勇者さんおかしいですよ…何をそんなに慌てているんですか」

魔王「余計な詮索は命を縮めるぞ小娘が」
239 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/11(土) 03:14:44.80 ID:+A+iyHma0
親方「仲間同士で隠し事とは感心できた物ではないな」

親方「どうかね。正直に真実を話してみては」

魔王の攻撃!

親方「おぅふ!?」

魔王「…喧しいィ〜」

魔王「盗賊、女勇者。こやつをここで仕留める。構わんな!」

盗賊「いいや、問題ありだぜ。今殺せば俺たちは村民たちを敵に回す」

盗賊「それにこいつがマジで魔物だという証拠が何も掴めてない。頼りの道具はてめぇが壊したわけだしな…くくっ」

魔王「余が悪いと申すかッ!」

盗賊「悪ィに決まってんだろ…! 僧侶にも手を出しやがって!」

親方「あっっっ……! 痛い、痛いッ!」

女勇者「大丈夫ですか!?」

魔王「そやつに近づくな。愚かな奴め、生意気な事ばかり申すからこういう目に合うのだ!」

女勇者「こ、殺しちゃうんですか。勇者さん……?」

魔王「ふん! あのガキもこやつが消える事を望んでおったし、こやつは全ての元凶なのだろう?」

魔王「ならば殺して構わんな」

魔剣『いいよー!』

親方「だ、誰か来てくれッーーーー! 殺される、勇者に殺されてしまう!!」

盗賊「おいおいおい…!」
240 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/11(土) 03:15:15.64 ID:+A+iyHma0
親方「うわああああァァァーーーー!!!」

盗賊「おい、やるならさっさと殺れ…!」がしっ

盗賊は親方の口を抑え、拘束した!

親方「むぐ、むぐっ!」

魔王「うむ。盗賊、そのまましっかり押さえておくのだ。すぐに終わらせる!」

親方「んんッーーーーー!!!」

女勇者「あ、あの…私たちって…?」

魔王「勇者だよ勇者ッ! おらおら、覚悟するのである!」

女勇者「こんなのって……」

どたどたどた、がらっ

側近「親方様ー! どうなされ…!?」

側近「う、うわあああああ! 貴様ら何をしている! お前たちこいつらを捕まえろ!」

屋敷の人間たちが魔王を囲んだ!

「なんて奴らだ。親方様になんて事を……!」「勇者じゃないのか!」

女勇者「わ、私たちは何も! あ、でも…いやでも何もしてませんよ!」

側近「さっきの光景見れば確信犯だろうが! アホか!?」

魔王「邪魔なゴミ共だ! 貴様らもぶっ殺してくれようか」

盗賊「止せっ…! ここは諦めて捕まった方が身の為だぜ……チッ」

魔剣『冗談でしょー……』

親方「……ふふふ」
241 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/11(土) 03:15:53.31 ID:+A+iyHma0
牢屋


「大人しくここに入っているんだな」

魔王「出せオラァー!!」ガシャンガシャン

魔剣『卑怯だぞー!』

「大人しくしろって言っただろ! ふん」すたすた

女勇者「これからどうなっちゃうんだろ…」

盗賊「さぁな。それより、僧侶はまだ目を覚まさないわけだが」

盗賊「てめぇ、手加減とかはしたんだろうな……あ?」

魔王「何も考えてなかったわ」

盗賊「殺すぞ!」

魔王「返り討ちにしてくれる!」

女勇者「こんな所でケンカしないでよ! はぁ…」

魔王「それにしても、まさか牢に2度も入る事になるとは思いもしなかった」

盗賊「そうだなクソッタレ」

魔剣『僧侶ちゃーん。起きてー、朝だよ〜』

僧侶「……ん」

魔王「起きたな」

盗賊「僧侶っ…!」
242 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/11(土) 03:16:23.94 ID:+A+iyHma0
僧侶「ここは」

女勇者「気がついたんですね。よかった」

女勇者「…実は少し大変な事になっちゃって」

僧侶「大変? って、ラーの鏡は!?」

魔王「その様な物、最初からなかったのだ」

僧侶「え?」

魔王「夢でも見てたんじゃない?」

女勇者「ちょっと!」

魔王「ふんッ」

女勇者「がふっ……」

魔王は女勇者の気を失わせた!

僧侶「な、何をなさっているんですか!? 女勇者さん!?」

魔王「スマンなァ。手が滑ってしまったのだ」

盗賊「お前……」

魔剣『にしても、何にもなくて暇だねー』

魔王「魔剣よ。貴様でこの鉄格子を破壊できぬのか」

魔剣『できるよ!』

魔王「ならばもっと早く申さんか阿呆ッ」

僧侶「…あの、どうして捕まっているのかわからないのですが」

魔王「ハメられたのである。あの魔物に!」

盗賊「先にこっちが手を出したのが悪かったと俺は思うがな…」
243 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/11(土) 03:16:52.39 ID:+A+iyHma0
魔王「とにかく、さっさと脱出するぞ」

僧侶「待ってください。魔物って…あの、親方さんの事ですね」

僧侶「…思い出しましたよ」

魔王「ではもう一度眠っていてもらおうか!」

盗賊「おい…!」

僧侶「勇者様。あの時、なぜラーの鏡に映る事を嫌がったのですか」

僧侶「勇者様のそのお姿は……偽りだというのですか?」

魔王「では僧侶。貴様はどう見えている?」

僧侶「えっ」

魔王「貴様には余がどう見えていると聞いておるのだ」

僧侶「それは……と、盗賊さん?」

盗賊「俺は」

魔王「貴様だけに聞いておるのだ。僧侶」

僧侶「うぅ……」

魔剣『勇者ちゃん。あんまり僧侶ちゃんいじめちゃやだよー…』

魔王「ふん、疑っておるのなら素直にそう申せばよいのに」

僧侶「ごめんなさい…」

盗賊「おい、勇者。僧侶はこれでもお前の事を信じようとしてるんだぜ」

魔王「あァん?」
244 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/11(土) 03:17:43.87 ID:+A+iyHma0
盗賊「信じようとする気持ちと疑いが僧侶の中で葛藤している。そうだろ」

魔剣『つまりどっちつかずー』

僧侶「……あの、その」

魔王「疑いが生まれた動機は何だ。あの偽勇者の発言か」

魔王「まさかあの様な信憑性の欠片もない言葉を信じたとでも?」

僧侶「勇者様は、勇者様はわからない事ばかりなんです」

魔王「は?」

僧侶「魔法だって…魔剣ちゃんをなぜ持つ事ができるのかだって」

魔剣『そ、それはね! それはね! えっと』

魔王「魔剣黙っておれ」

盗賊「…今までのこいつを見てきて、それでおいてあの偽勇者の言葉が決定打になったっていうのか」

僧侶「」コクリ

僧侶「でも、ごめんなさい! 疑うなんて最低でしたよね…私、何て事を…」

魔王「このまま余に着いてくるか。今まで通りに」

僧侶「え…」

魔王「仲間から疑われては、この先上手くやっていけるかわからんであろう」

魔剣『でも勇者ちゃんー!』

魔王「どうするのだ。え?」

僧侶「砂漠の国で約束しました。私はあなたについて行くと」

僧侶「パーティを抜ける気はありません!」

魔王「ふむ、まぁよいか…」

盗賊「軽いなっ…」
245 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/11(土) 03:18:20.50 ID:+A+iyHma0
魔剣『それじゃあ話もまとまった事だしー、早く出ちゃおうよ』

魔王「言われんでもそうするつもりである。おう、そこに転がっておる小娘は貴様らで運べ」

盗賊「てめぇで気絶させておいて……チッ」

僧侶「では勇者様。お願いします」

魔王「むんッ」


ガッキ〜ン


僧侶「……んん?」

魔王「〜……!」ビリビリ

魔剣『あれれ!?』

魔王「貴様ァ! 壊せるのではなかったのかー!!」

魔剣『壊せるはずだよー! 何でどうして!?』

親方「無駄さ。その剣で壊せるわけがない」

盗賊「お前……!」

魔王「どういう事だ。妙な仕掛けをしたのではないであろうな」

親方「貴殿が所持するその剣は悪そのもの。洗礼された物を傷つける事は不可能ということ」

親方「ま、わかるまいな」

魔王「ではさっさとここから出すのだ!」

親方「はっはっはっ…滑稽な」

親方「……さて、貴殿らは今から移動してもらう事になったよ」

盗賊「移動? 何企んでやがる」

親方「王都へ送らせてもらうのだ。ふふ、貴殿らは今偽勇者一味としてすっかり有名らしいよ」

僧侶「偽勇者一味って、待ってください! 私たちは本物の…」

盗賊「…やられたな。恐らくあの偽勇者に手を打たれた」
246 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/11(土) 03:18:53.64 ID:+A+iyHma0
親方「今この世界で、貴殿らに味方はいない」

親方「残念だったな。これで勇者ごっこも終わりだよ」

魔王「ふざけるでないッ、この、この!」ガンガンッ

魔剣『勇者ちゃん無理だよー!』

魔王「喧しいッ……!」

親方「まぁ、私にケンカを売ったのが貴殿らの敗因さ。後悔し続けるがいい」

僧侶「……あなたはやはり魔物なのですか」

親方「そう。魔物だよ」

親方「だが、私は人間の手によって生み出されたのでね。純粋な魔物ではない」

僧侶「人間の手によって…?」

盗賊「人工生成の魔物、キメラって奴か」

魔王(どうりでオロチなんぞ聞き覚えのない魔物が出てくるわけか)

魔王「ふん、劣化魔物ごときが。人間を知ろうとするとは」

魔王「くだらん阿呆よのぅ!」

親方「好きに言うがいい。貴殿らには関係のない事」

僧侶「…人間が知りたいだなんて言っておきながら」

僧侶「人間の子を獲って食べている。変ですよ……」

盗賊「所詮は魔物だってことだぜ」

親方「貴殿らは美味い料理を食べたら、それをよく知りたいと思わないのかね?」

魔剣『あー…』

魔王「知るかボケ」

親方「ふむ……まぁ、いい。そろそろ出発しようか」

魔王たちは王都へ連れていかれてしまった!
247 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/11(土) 03:19:25.02 ID:+A+iyHma0
フィールド


戦士「」すたすたすた

コソコソ

戦士(どうもつけられている気がするが)ちらっ

戦士「…あれー? 誰もいないのかー?」

戦士「……」

戦士(反応なし、だよな。普通)

戦士は小石を拾って茂みに投げた!

?「ギャッ」

戦士「コソコソ後つけ回してないで、姿を見せたらどうだ!」

しかし、向こうから反応がない。

戦士「おい、聞こえてるんだろ。もうバレバレなんだからな」

戦士「……ん?」

武闘家「う〜ん…」

そこには、武闘家が目を回して倒れていた。

どうやら小石が頭に当たったらしい。

戦士「お、おいィ? あちゃー…」
248 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/11(土) 03:21:19.87 ID:+A+iyHma0
遅れてごめんよ。それから、長々と待たせてしまった事にもごめんなさい

短いけど今日はここまで。明日からは更新頻度高くなる予定
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/11(土) 03:45:12.49 ID:7EWAf6Fro
おつ
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/11(土) 06:02:41.73 ID:AeapN3fO0
きてたー!
3さん…
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/02/11(土) 09:52:15.83 ID:XF0aHd1to

女勇者ちゃんかわいそうに
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/11(土) 12:04:49.51 ID:MvJPhDoIO


小石で気絶するとか戦士の攻撃翌力やばいな
本気で投げたら頭蓋骨貫通するんじゃ…
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/11(土) 12:10:21.53 ID:qAMREloh0
まぁ漬物石くらいの小石だったんだと思えば
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/11(土) 13:44:33.76 ID:E/PhYRico
魔王と盗賊だけなら今頃魔王城に着いてただろうに…
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/02/11(土) 20:30:33.84 ID:bppZ5sSP0
でも、魔王城に行くということは魔王からしたら家に帰るみたいなものだよな
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/11(土) 21:18:50.64 ID:FeNGI5pSo
あぁ、解決Before-Afterで匠の手が入った後に、初めて家に帰るような感覚だろう
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/02/11(土) 23:31:15.32 ID:u6AtRJcIo
よく考えたら女勇者は本物か
立場がややこしいな
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/11(土) 23:41:13.19 ID:rUZ4VDyDO
3さん…
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/12(日) 01:58:59.42 ID:4rXelp530
武闘家「ん〜」

武闘家「はっ!」

戦士「おお、気がついた?」

戦士「ごめんなぁ。もっと加減しとけばよかったよ」

武闘家「わ、私に何したのよ!」

武闘家「……服は乱れてない」

戦士「さすがにロリにゃ手ぇ出せんさ」

武闘家「それって私がもう少し成長してたらどうなってたのよ」

戦士「……んっふっふっ」

武闘家「ひぃっ!?」

戦士「冗談冗談! いや、だからそんな離れなくても…」

戦士「俺が酷い事するような奴に見えます?」

武闘家「顔怖いからしそう」

戦士「あ、そう……」
260 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/12(日) 01:59:55.92 ID:4rXelp530
戦士「スープだ。飲みな」

武闘家「いらないわよ、おっさん!」

戦士「いいから。この辺は夜になると冷えるんだ」グイ

武闘家「余計なお世話よ…いただきます…」

武闘家「ん」

戦士「どうだ美味いだろう。こんな物しかないけどお代りなら」

武闘家「もういい。お腹一杯」

戦士「遠慮せんでもいいってのによ。なぁ、どうして俺の後なんてコソコソつけてた?」

戦士「惚れたか」

武闘家「バカじゃないの!?」

武闘家「別に私がどこで何しようと勝手でしょ! あんたには関係ない!」

戦士「ふぅーん……冷たいガキんちょ」

武闘家「あんたこそ勇者たちはどうしたのよ」

戦士「ちょっと別行動中。お前には関係ないね!」

武闘家「むっか〜……」

戦士「お前が教えてくれるなら俺も教えてやろう」
261 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/12(日) 02:00:42.87 ID:4rXelp530
武闘家「ふん、じゃあ別にいいわよ。気にもならないわ」

戦士「子どもは知りたがりなくらいの方が可愛いぜ?」

武闘家「子ども扱いすんなって何度も言わせないでよ!!」

武闘家「ホントムカつくんだから!」

戦士「そんなに怒るなよ〜…」

戦士「お前、これからどうするんだ。また1人でウロウロ?」

戦士「こど……女の子が1人で旅なんてあまり関心しないぞー」

武闘家「一々うるさいわね。おっさんは!」

戦士「心配してるんだよ」

武闘家「ウザい!」

戦士「……目的も無しでうろついてるなら、俺と一緒に来る?」

武闘家「はぁ?」

戦士「そうしようぜ。きっとそっちの方が楽しいに決まってる!」

戦士「というわけだ。しばらくの間よろしくな、ちっちゃい相棒よ」

武闘家「ちょっと何勝手に決めつけてんのよー! 私はいいだなんて…」

戦士「……じゃあ置いて行っちまうかなぁ」

武闘家「えっ、ダメ! だったら朝になるまで一緒にいてよ!」

戦士「」ニヤニヤ

武闘家「な、何よ…!」

戦士「いやいや」ニヤニヤ
262 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/12(日) 02:01:15.77 ID:4rXelp530
武闘家「言っとくけど別に寂しいからとかじゃないわよ」

武闘家「少し話の相手が欲しいだけなんだから…」

戦士「それを寂しいとは言わんのかって」

戦士「まぁ、話相手になってやるから俺と一緒に来るんだな!」

武闘家「ふん……」

武闘家「そっちの方が都合がいいか」

戦士「えぇ?」

武闘家「何でもない。こっちの話よ、一々気にすんなおっさん」

戦士「おっさんじゃねーよ! お兄さんだろガキ!」

武闘家「何よ! おっさんおっさんおっさんー! ガキ言うな!」

戦士「かわいくねー!」

戦士「…じゃあ武闘家」

武闘家「最初からそう呼べばいいのよ、アホ」

戦士「むっ!」

ゴチーン!

武闘家「痛いぃ!?」

戦士「アホなんて酷い言葉使うのは関心しないぞ」

武闘家「〜……」

戦士「しばらくの間、退屈せずに済みそうだなぁ」ニコニコ

武闘家「何なのよこのおっさん……」
263 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/12(日) 02:01:59.75 ID:4rXelp530
王都


兵士「道を開けろー。勇者の名を語る極悪人が通るぞー」

魔王「誰が極悪人であるかッ」

女勇者「そうです! それに私は正真正銘本物の勇者!」

兵士「黙ってきりきり歩かんかー!」

兵士は魔王と女勇者の尻を蹴っ飛ばした。

魔王・女勇者「うぎゃ!?」

魔王「こ、殺す…酷く殺してくれる…!」

盗賊「……やれるもんならやってくれると嬉しいぜ」

魔王「この拘束具のせいで力が入らぬのだ! ええいッ、忌々しい!」

盗賊「元魔王がこのザマかよ、くくっ」

僧侶「え、今何と仰られました?」

盗賊「あっ、いや…!?」

魔王「……盗賊はしばらく黙っておれカスが」

盗賊「く、くくっ……」

兵士「それにしてもこの剣は一体なんなんですか」

魔剣『みんなを離せよー!』

親方「気にする事はない。城へ着くまでは私が持っていよう」

兵士「はぁ、お願いしますね」
264 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/12(日) 02:02:38.56 ID:4rXelp530
「見ろよ、アレが噂の」「見るからに悪そうな極悪ヅラだぜ!」

「しかも魔王だって話もあるんでしょ?」「それどこソースだよ」

僧侶「色々勝手な事言われちゃってますね…」

魔王「解放された暁にはこの街を滅ぼす事を約束してやろう!」

盗賊「そんな事言ってるから捕まるんだよ、アホ」

盗賊「しかし、これからどうなる…。逃げられるなんて思えねぇぞ」

僧侶「逃げ出したところでまた罪が重くなるだけですし」

女勇者「……ど、どうせ今の状態でも重い罪背負わされているんでしょう?」

女勇者「だったら今さらどうなろうとしったこっちゃないですよぉ! はっはっはー!」

魔王「うわ…」

盗賊「女勇者、しっかりしろ…」

女勇者「もーやだー! お父さん助けてー!」

兵士「少し黙って歩け! そら見ろ。お前らがギャーギャー喚くせいで市民たちが脅えきってるぞ」

「あの髪長い娘かわいくね」「何してたんだろうな。へへへ」

僧侶「……///」

盗賊「ああァァッ!!? 何見てんだゴラ見世物じゃねェぞ殺すぞオラァッ!!?」

「何だアイツ…」

女勇者「し、師匠しっかりして!」

盗賊「僧侶を色目使って見てんじゃねーッ!!」

兵士「喧しいぞ! スイッチオンしちゃうからな」ポチ

盗賊「う、う、あぎゃぎゃぎゃぎゃ!!?」

盗賊の拘束具に電流が流れた!

女勇者「師匠ぉーーーー!!」

盗賊「」がく、がく

盗賊は気絶してしまった。
265 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/12(日) 02:03:47.28 ID:4rXelp530
僧侶「な、なんて事を! これが人のする事ですか!?」

兵士「死なせはしないさ。少し大人しくなってもらっただけだ」

兵士「お前もこうなりたくなければ余計な事はしない方が身の為だぞ!」

僧侶「っ…!」

魔王「盗賊は犠牲になったのだ。身を持って何が起こるか余たちに教えてくれたのだなァ」

女勇者「師匠…! あ、ありがとう…!」

僧侶「2人とも何言ってるんですか!?」

親方「貴殿らも大変だな、ふふ」

魔王「それも貴様のせいでなァー!!」

兵士「」ジロ

女勇者「ゆ、勇者さんマズイですよ」

魔王「知るか! 貴様だけは絶対に許さんから覚えておけよ! 楽しみにしておくがよいぞ!」

親方「そうさせてもらおうかね。まぁ、いつになることやら」

魔王「うがァ〜〜〜〜〜ッッッ!!!」

魔剣『勇者ちゃん落ち着いてー!』

兵士「もう我慢ならん! お前にもスイッチオンだ!」ポチ

魔王「……ふゥん、この程度か!」

兵士「え、あれれ? 何でだ…?」

魔王「この程度の電流では眠ることもできぬなァー! ふははははッ!」

女勇者「す、すごい……けど、それならこの拘束具もどうにかしちゃってくださいよー!」

魔王「どうにかできるのならとっくにしておるわ阿呆!」

兵士「チッ…まぁ、いい。そろそろ城へ着くぞ。牢屋で何をされるか楽しみだなー? ふふふっ」

僧侶「な、何をなさる気なのですか」

兵士「お前らにはもう人権はない! 覚悟してもらおう…」
266 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/12(日) 02:04:25.07 ID:4rXelp530
城・牢屋


女勇者「うう、また牢屋だ…」

僧侶「気を確かに持ちましょう。ほ、ほら、お屋敷の牢屋より広くて快適ですよ」

魔王「それはフォローになっておるのか」

魔王「おう、そこの」

牢屋番「俺か?」

魔王「魔剣はどうした」

牢屋番「魔剣って……ああ、お前が持っていたアレの事?」

牢屋番「さぁね。もしかしたら騎士様方が気に入って横領しちゃってたりして」

魔王「余は別にそれでも構わん。しかし、アレは並大抵の者では持つことすらままならぬぞ」

女勇者「ほんと、それってどうしてなんですか?」

魔王「知らんわ」

牢屋番「…どうであれ、剣の事なんて心配してる場合じゃないと思うけどなー」

牢屋番「男2人に女2人か。おそらくお前ら別のとこにまた移されるぜ?」

女勇者「どうして?」

牢屋番「さぁねぇ。可哀想に」

僧侶「……嫌な予感しかしません」

僧侶「それより、盗賊さんを治療させてください。先程の電流のせいでダメージが」

牢屋番「あーそういうのは許可できないよ。残念ながら」

僧侶「そんなっ! あんまりです!」

「おーおー、お〜……こーれが例の偽勇者ちゃんズなのね?」

魔王「あァ!? ふざけた名前付けるなド阿呆ッ」

牢屋番「き、騎士団長殿! なぜこのような所に…!?」

団長「あんま肩筋張らんでいいって。ほらーリラックスリラックス〜」
267 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/12(日) 02:05:10.56 ID:4rXelp530
僧侶「騎士団長……? まさかあの」

団長「さすがにおじさんの事知らない子はいないわよねー」

魔王「知らん」

団長「おやおや、ふざけてるねぇ……」

女勇者「本当に知らないんですか!? 王国精鋭の騎士達を束ねている方ですよ!」

牢屋番「情弱すぎんだろ!」

魔王「喧しいわ! 知らんものは知らん!」

牢屋番「なんて無礼な男だ…」

団長「いいよー? 別に気にしなくて」

僧侶「それで、騎士団長様が私たちに直々にお会いになられて」

僧侶「何のつもりですか…?」

団長「顔を見に来ただけさ。あとは少し茶化してやろうかなーってね」

僧侶「……」

女勇者「お願いです! 私たちの話をちゃんと聞いてくださいっ!」

女勇者「偽者なんかじゃないんです! 本物の勇者なんですよ!」

団長「…お嬢さん、ちょいとお耳をお貸しなさい?」

女勇者「えっ」

団長「君が勇者だという事は知っている。安心していいよ」ヒソ

女勇者「えぇっ!?」

僧侶「ど、どうされました?」

団長「なんでもないよー。君らに関係ないから、おじさんとお嬢さんの会話邪魔すんな」

女勇者「……じゃあどうして」

団長「おじさんはね、お嬢さんの事気に入っちゃったのよ〜」

女勇者「は?」
268 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/12(日) 02:05:57.39 ID:4rXelp530
女勇者「あなた何を言って…」

団長「さて、とー!」

牢屋番「用事がお済に?」

団長「うん。終わった終わった、もういいよ。ありがとねー」

女勇者「待ってくださいよ!」

魔王「おう、貴様あのじじいに何を吹き込まれた?」

女勇者「……え、えっと」

団長「おじさんは利用価値がある子が大好きなのよ」

団長「覚えておきな」

僧侶「利用価値って…」

たったったったっ

兵士「はぁ、はぁ、はぁ……き、騎士団長殿!」

団長「はぁい? 何か用かね」

兵士「えっと、その、本物の方の勇者一行が城を尋ねに来まして」

魔王「なにッ、あのクソ豚ガキかァ!!」

魔王「そやつに会わせろ!! ぶっ殺してくれるぞ!!」

牢屋番「お前は黙っているんだ!」

団長「わかったわ。すぐに向かうとしましょーか」

兵士「はい。……それでは、私はこれで」

団長「おいおいおいー? 本物の勇者来たってさー? 何しに来たんだろうねぇ」ニヤニヤ

魔王「バカにしておるのか貴様!」

団長「へへへ、それじゃーね」

団長は牢屋を去った。

僧侶「あれが、騎士団長様。なんかイメージとかなりかけ離れてました…」

女勇者「下品ですよね…!」

僧侶「はい?」

女勇者「……なんか、私はあの人あんまり好きじゃないかな」
269 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/12(日) 02:07:10.13 ID:4rXelp530
ここまでです。明日もいけるかな?
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/12(日) 02:20:27.11 ID:ojVdYn6Io
おつ
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/12(日) 06:23:07.55 ID:uVZQweME0
やっぱおもしれー!!武闘家がここにきて怪しくなってきた気がする
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/02/13(月) 15:51:41.43 ID:FA9Yqi4Co
安定して面白いけどそろそろスカッとする展開が見たい
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/13(月) 21:46:01.88 ID:Jy75zzdy0
戦士と幼女の組み合わせは以前のこともあってとても不安になるんだが・・・
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/13(月) 22:40:19.62 ID:oEgVOPoDO
1乙

スライムに卵と砂糖と牛乳を食べさせたらプリンができるかな

最高級ブランドスライムといいスライムの可能性は無限大
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/13(月) 23:12:56.02 ID:G4d8nUM3o
>>274
スレ間違えてないか
276 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:16:57.16 ID:UY7nGzXo0
兵士「ですから話が唐突すぎて困ります!」

勇者「いいからさっさと魔王に会わせろつってんだろーがボケ!」

兵士「魔王なんてこの城にはいませんってば!」

遊び人「おやおやおやおや〜? 目的違うくないですかぁ」

賢者「魔王確実に倒せる武器手に入れるんじゃなかったっけ?」

勇者「お前らバカじゃねーの!? 今ここに魔王捕まってんだぞ」

勇者「拘束されて何もできねぇ無抵抗野郎にそんな大それたモンいらねェだろ〜〜〜」

賢者「まぁ、一理アリ?」

勇者「どっちにせよ言いだしっぺの姉ちゃんがまーたどっかに行っちまったんだ。もう知らねーよ」

兵士「…とにかくそんな急な話無理ですってば。上の方にも確認を取らなければ…」

勇者「じゃあさっさとそうしろよな役立たず! それかソイツをここに呼べってのー」

団長「お呼びかなぁ、勇者殿。んふ?」

遊び人「……あらぁ」

団長「貴様、生きていたのか?」

遊び人「いやいやぁ〜 お陰さまでね!」

賢者「このおっさんと知り合い?」

兵士「騎士団長殿だぞ! しつれいな!」

遊び人「昔のお友達ですよー」

団長「相変わらずヘラヘラ気味の悪い奴で嫌だねぇ…反吐がでちまう」

勇者「こいつの事なんかどうでもいいんだよー! おら、さっさと魔王殺させろや!」

団長「血気盛んな勇者殿ねぇ」
277 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:17:35.88 ID:UY7nGzXo0
団長「魔王なんてここにはいないよー。いるのは勇者殿の名を語った…」

勇者「そいつが魔王だバカヤロー」

兵士「は、えぇ!?」

団長「ちょっとちょっとー……変な事でっかい声で言うもんじゃないよ」

遊び人「でも事実でしょーん。団長サマも知ってますよねぇ?」

賢者「いまさら隠す事でもないんじゃないの。それに、私らの使命わかるっしょ」

兵士「き、騎士団長殿…」

団長「これだからおじさん、煩い連中って好かないのよ」

団長「まぁ、好きにしな。責任はおじさんが取っておいてあげる」

勇者「ったく、わかりゃいいんだよ!」

兵士「いいんですか!?」

団長「漢に二言はないんだって。ほーら、さっさとお通りください」

勇者「へへへ……魔王ォ……」

賢者「ありがとね、ダンディーなおじさん〜」

遊び人「おひょひょ、あひひひwwwwww」

遊び人「かつて鬼と呼ばれた男も変わったもんさね」

団長「そうでもないんだな、これが……」

団長「確認していくか。裏切り者め」

遊び人「いやいやいやwww ご遠慮願いますよ〜www」

団長「あーそかぃ。さぁ、おじさんも暇じゃないし、お仕事に戻りますか」

兵士「ご、ご苦労様です!」
278 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:18:15.24 ID:UY7nGzXo0
王の間


大臣「陛下、例の偽勇者どもの件ですが」

王「聞いている。今はそのまま牢へ幽閉しておくのだ」

大臣「罰については?」

王「3日後までに決議を出せばよい。そう焦るな」

王「それよりも我が気になる事は、彼奴が魔王だと噂されている事よ」

大臣「所詮は巷で広がった話です。信憑性の欠片もない」

大臣「まさか私たちで真偽の確認を取る事などは不可能に等しいでしょう」

王「うむ」

騎士「簡単な話では。偽勇者に直接尋ねればよいのです」

大臣「貴様! 騎士風情が! 我らに意見するなよ!」

王「よい、気にするな……。それより、直接尋ねたところで何になるという?」

王「彼奴は勇者を語って偽りの身分を手にしていた身。その様な者が真の事を語ってくれると思うかね」

騎士「いや! 陛下の手前、再び偽る事なぞあり得ませんぞ」

騎士「私が仮に偽勇者の立場だとすればなおさらそうとしか…ッ!」

王・大臣「〜……」

大臣「頼む、貴様はさがっていてくれ…話が拗れるわ…」

騎士「いやいや何を!」

王「さっさと下がれ…」

騎士「お、お待ちくださ! へ、陛下っ! ちょ待てよ!? お、おいィ? まだ話は…」

騎士は兵士たちに連れていかれてしまった。

大臣「あやつは腕は立つのです…しかし、どうも脳筋と言うべきでしょうか」

王「ステータスを振り誤ったというのか、あの騎士は」
279 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:18:59.90 ID:UY7nGzXo0
大臣「それから。陛下」

王「んむ?」

大臣「今回、偽勇者どもを捕らえる事に成功した親方なる者が」

王「ああ…わかった。此処へ通せ」

大臣「では、今すぐに」


親方が王の間へ入った。


親方「陛下、お会いできた事。光栄の至り…」

王「顔を上げるがよい。よくぞ偽勇者どもを捕らえてくれた。褒めてつかわそう」

親方「ありがたきお言葉を」

親方「……厚かましい事は存じておりますが、宜しいでしょうか。陛下」

王「よい、申せ」

親方「報酬として土地を1ついただきたい」

親方「ああ。いえ、村を1つと言うべきでしたか…」
280 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:19:49.84 ID:UY7nGzXo0
王「村を? 確かに今回の事はよくやってくれた。しかし、それだけで村1つ渡すなど…」

親方「……だろうな」

大臣「待て、貴様今なんと?」

親方「いえ、何も」

王「代わりといってなんだが、金を渡そう。貴様は海向こうの地で村を仕切っておるそうだな。村の為の費用としても、
受け取るがよいぞ」

王「…なぜ、その様な者がまた村など欲しがる?」

親方「申し訳ございませんが、お答えする事はできません」

王「やましい事でなければよいがな…まぁ、よい。下がるがいい」

親方「陛下。この度は…」


バァーン


大臣「何事か!?」

兵士「たたた、大変だァー!!!」

大臣「騒々しいぞ! 何があったか!」

兵士「に、偽勇者どもが……牢から脱走した模様です……!」

親方「!」

王「なんと!?」

大臣「ええい、牢屋番は何をしていたのだ! すぐに城の兵士総動員でかかって奴らを捕らえよー!」

兵士「は、はいぃ!」

親方「……あの拘束具を身に付けた状態でなぜ」
281 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:20:47.59 ID:UY7nGzXo0


武器庫


魔剣『ぐすん、すんっ』

兵士「何かさっきからあの剣泣いてね?」

兵士2「えー、ウソだろ。やめろよ怖いだろ」

兵士「でもよ…」

魔剣『勇者ちゃ〜ん…勇者ちゃあ〜ん……寂しいよぉ…』

魔剣『ここ埃臭いし、鉄臭いし最悪だよ〜!! 勇者ちゃんいなきゃやだぁー! あーんっ』

兵士「ほらやっぱし!」

兵士2「ひぃー!」

魔剣『みんなぁ…』

?「仲間たちが恋しいか」

魔剣『え? うわっ、出たな! 痴女め!』

女戦士「大きな声を出すな。見張りにバレて」

兵士「うわぁ、女がいる!」

兵士2「おばけじゃね!?」

兵士「バカ! 侵入者に決まってんだろー! こらー!」

女戦士「穏便に済ませるつもりだったのだがな。やれやれ」

ぼか、すかっ
282 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:21:19.92 ID:UY7nGzXo0
兵士・2「」

魔剣『殺しちゃったの?』

女戦士「できるだけ手加減した。死んでいる事はないだろう」

女戦士「魔王たちの武器と荷物は」

魔剣『それそれー、そこにあるやつだよー! それと僕もだからね! 忘れないでー!』

女戦士「君ほど自己主張が激しい剣を忘れるわけがない」

女戦士「これで全てか。そしてこれが」

女戦士「勇者の剣」

魔剣『ねぇ、何してるの〜? 助けてくれんならさっさとしてよー』

女戦士「図々しい奴だな。全く」

魔剣『ところでどーして痴女がここにいるわけ?』

女戦士「ある武器を手に入れにきた」

魔剣『じゃあ偶然って事ー?』

女戦士「質問はそこまで。急ぐぞ」

女戦士は魔剣と魔王たちの装備を(一時的に)手に入れた!

魔剣『勇者ちゃん…今だけ他の人に持たれてるけど、これ浮気なんかじゃないからね…!』

魔剣『体は奪われても、心まで奪われないの! きゃっ』

女戦士「妙な茶番はやめてくれないか」
283 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:22:02.35 ID:UY7nGzXo0
渡り廊下


魔剣『割とザル警備だねー』

女戦士「この辺りは魔法罠によって見張りいらずなだけ」

魔剣『罠って、見えないけど〜?』

女戦士「目に見える罠など滅多に存在するものではないよ。知覚できればそれは罠とは呼べない」

女戦士「さて、役に立ってもらおうか」

魔剣『え、えっ?』

女戦士は 魔剣を廊下に敷かれた絨毯へ突き刺した!

女戦士「魔力を感じるだろう。それを全て断ち切れ」

魔剣『えー? ……あ、ほんと。じゃあ、まぁ』

魔剣『ほい、かんりょー!』

女戦士「確かだろうな。下手をすれば仲間を救えないぞ」

魔剣『もぉ、僕だってバカじゃないよー! やるときはしっかりやるもん!』

女戦士「それならば安心して通っても良さそうだ。……静かに」

魔剣『はぁ?』


「魔王ぶっ殺〜♪ 死ね死ね〜」

「勇者くんちょー音痴なんですけど」

「あひょひょひょwwww」


女戦士「……早いな、どこから聞きつけてきた」

魔剣『ねぇ、あの声ー』

女戦士「気にするんじゃない。行くぞ」
284 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:23:00.44 ID:UY7nGzXo0
牢屋


魔剣『勇者ちゃー…もがふっ』

女戦士「待て、牢屋番がいる」

女戦士「魔法の気配はないか」

魔剣『た、たぶん』

女戦士「たぶんじゃない。あるかないかを答えろ。あやふやにされるのが一番困る」

魔剣『ない』

女戦士「信用しているぞ。…それから先に謝っておく」

魔剣『え?』

女戦士「刃が折れたらすまないっ」ぶんっ

魔剣『うきゃあっっっ〜〜〜!?』

女戦士は魔剣を投げた!

がつんっ!

牢屋番「……ん、何の音だ?」

魔剣『もうバカぁー!!』

牢屋番「な、なんだコイツ! おい、衛へ――――」

女戦士「ふん!」ごつんっ
285 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:23:48.74 ID:UY7nGzXo0
魔剣『もう! 他にも何か方法あったでしょ!? 酷いよ!』

女戦士「だから先に謝っただろう」

女戦士「余計な殺生はしたくはないんだ。弓を使うわけにもいかない」

魔剣『そういうのじゃなくて〜……』

魔剣『ま、でも! これでみんなのところへ進めるねー!』

女戦士「それぞれ別の牢へ移されていなければいいがな」

魔剣『え゛っ、何それ』

女戦士「牢はこの場所以外にもある。さすがに1つの場所へ全員を固めて留置するとは考え難いが」

魔剣『じゃあ何でこっち来ちゃったのさー!』

女戦士「さぁね。言うならば勘頼りか」

女戦士「安心するんだ。私の勘はよく当たる。勿論良い方で」

魔剣『すっごく胡散臭いんですけどね!』

女戦士「ふぅん……では、アレを見てもか」

魔王「おら、偽勇者ぶっ殺すからさっさと持って来いであるーッ!!」

女勇者「仮にも勇者の発言じゃありませんよ、それ」

僧侶「それを言ってしまえば今までのもそうですけどね…」

魔剣『みんなー!』
286 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:25:29.68 ID:UY7nGzXo0
魔剣『生きてたんだねー! よかったよー!』

魔王「この程度のことで死んでいたと思われていたのがムカつく!」

僧侶「魔剣ちゃん! どうしてっ」

女勇者「ていうか女の人が」

魔王「む、また痴女か」

女戦士「痴女言うな」

僧侶「勇者様。こちらの方とお知り合いで?」

魔王「ふん、余の命をつけ狙っているただの露出狂よ。親しい仲ではない」

女勇者「露出…?」

女戦士「やれやれだな」

魔王「それより折角ここにおるのなら牢から出せ」

女戦士「お前は甘いな。私が何の条件もなしに敵を開放するとでも」

魔剣『助けてくれるんじゃなかったの!?』

女戦士「誰がいつ助けると言ったのか」

魔剣『なにこの痴女! 意味わかんないんですけど』

僧侶「あの、あなたについてはまだよくわかりませんが」

僧侶「条件とは?」

女勇者「この人に助けてもらう気なんですか?」

僧侶「助けていただける可能性があるのなら」

僧侶「このまま捕まっていても埒があきませんしね…」

魔王「僧侶アグレッシブであるな」
287 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:26:08.32 ID:UY7nGzXo0
僧侶「それに盗賊さんの怪我も治療したいです」

僧侶「お願いします」

魔王「さっさと出せおらー!」

女戦士「時間がない。下がっていろ」

女戦士は斧で鉄格子を破壊した!

女勇者「すごっ…」

女勇者「あれ、でもまだ条件も何も聞いてないんですけど」

女戦士「必要な物が手に入っただけ良しとした」

女勇者「……はい?」

魔王「言わせておくのだ。どうせ適当な事申して余を助ける気満々だったのであろう」

僧侶「命を狙われているとか言われてませんでしたか?」

女勇者「ですよねぇ。なーんか勇者さんとこの人の関係わかりづらいっていうか」

女戦士「文句があるのなら私はこれで去る」

女勇者「あーあーあーっ! 文句ないですからついでに拘束具もー!」

僧侶「お、女勇者さん…」

魔王「これもまた、貴様が余を倒す為に手助けしたと考えてよいのか。あ?」

女戦士「そうだな。そろそろ甘い事をしていられる時間がなくなってきたが」

魔王「は?」

女戦士「こちらの話だ。気にするな」

魔王たちの拘束具が外れた。

女勇者「おっ、ありがとうございます。痴女さん」がちゃり

女戦士「女戦士だ」

魔剣『勇者ちゃ〜ん。会いたかったよー! 僕いい子にしてたよー』

魔王「余計な物まで取りかえしてきおって…」

魔王「……んん?」
288 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:26:45.69 ID:UY7nGzXo0
僧侶「軽傷程度かと思っていましたが。傷の治療にしばらく時間がかかりそうですね」

盗賊「」

女勇者「ここで治すんですか?」

僧侶「いえ、そういうわけにも……見張りが来るかもしれませんし」

女戦士「賢明な判断だ」

僧侶「城から脱出した後でも遅くはありませんね。ですが」

女勇者「どうやって逃げるかですよねぇ…」

僧侶「はい…。ここは砂漠の国以上に兵の数も多い、その分警備も厳重です」

僧侶「なによりも恐いのは王国の騎士団ですね」

女戦士「君ら相手では彼らも簡単に動く事はない」

僧侶「え?」

女勇者「私たちアウトオブ眼中って事?」

女戦士「彼らは王が命を下す時でしか滅多に動く事はない。下働きは兵士どもの仕事というだ」

女戦士「それから、逃げるなら今が絶好の機会だと私は思うがね」クス
289 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:27:16.93 ID:UY7nGzXo0
女勇者「それってどういう……」

僧侶「あら?」

僧侶「ゆ、勇者様? 勇者様はどこへ…?」

女勇者「あれ!? そういえば!」

女戦士「囮役を買って出てくれたようだな、奴は」

僧侶「囮ってそんな!」

女戦士「私はこの好機を逃す気はない。ではな」

女戦士は牢屋を去った。

女勇者「ちょっとー!?」

女勇者「どうするんですか、勇者さんが囮って」

僧侶「私たちも今脱出してしまいましょう」

女勇者「マジですか!?」

僧侶「大マジです」

僧侶「それに、勇者様なら何とかなりそうっていうか…!」

女勇者「えぇ!?」

僧侶「とにかく大丈夫! さぁ、逃げましょう! よっこいしょ…あ、軽い」

盗賊「」

女勇者「勇者さん……! あなたの犠牲があった事、私忘れませんから!」

僧侶たちも牢屋を去った。
290 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:27:43.77 ID:UY7nGzXo0
魔王「オラオラオラァ〜〜〜ッッッ!」

魔剣『寄ると切るぞー!』ズバズバッ

兵士「ぎゃあぁー!?」

兵士「脱走だ、脱走したぞー!」

がしっ

兵士「むぐぅ…」

魔王「吐けェ…この城にまだ奴がいるのだろう…!」

兵士「だ、誰だよっ」

魔王「魔物モドキだこの、役立たずめ!」

魔王の握撃! 兵士の顎が砕けてしまった!

兵士「」

「ば、化け物だ……!」「囲め囲め! 誰か魔法が使える奴を!」
291 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:28:42.48 ID:UY7nGzXo0
魔王は兵士たちに囲まれてしまった! 逃げ場はないぞ!

魔王「小癪なゴミどもめ。よかろう、余の道を阻むというのならば」

魔王「虐殺してくれようぞ!」

魔王の攻撃! 魔王の攻撃! 攻撃! 攻撃!

兵士「人間業じゃねぇぞ、これ!?」

兵士「ひぎぃっ」


ぶしゅうううぅぅ〜〜〜・・・


魔剣『ばくばく……むしゃむしゃ……』モグモグ

魔王「臭う、臭うぞ〜……あのキメラのくせぇ臭いがプンプンするである…!」

魔剣『でもどこにいるかわかんないよね〜 ああ、美味しかった!』

魔王「だからこうしてワザワザ余が探しまわっておるのだろうがよ! 阿呆め!」

魔王「ふふふ……くくっ、ふぁははははははッ!!! 見つけたらどう苦しめ殺してくれようかァー!」
292 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:29:24.68 ID:UY7nGzXo0
魔剣『久しぶりの美味しいお肉でした。ごちそうさまー』

魔王「食った分は働いてもらう」

魔剣『まーかせてよぅ』

騎士「待たれよ」

魔王「あん?」

騎士「ははぁ、貴様が例の……。見たくれからして邪悪を感じて仕方がない」

騎士「我が主、そして騎士団長よ。この私の勝手な行為に目を瞑っていただこう」

魔剣『何こいつ?』

魔王「知らんわ。おう、尋ねたい事が」

騎士「答える必要はないと見た!」

魔王「まだ何も聞いておらんが…」

騎士「黙れ邪悪。やはり貴様が魔王だという噂…真実か」

騎士「そこの兵士どもの亡骸を見るだけで理解できる。貴様のその残虐性がな」

騎士は剣と手斧を両手に構え、魔王へ向けた。

騎士「我は王国一の精鋭騎士。エリートオブエリート!」シャキーン

魔王「……」

魔剣『勇者ちゃん、僕こいつ怖い〜…意味わかんないよぉ…』

騎士「ふぉおおおおおおおおおおおおおおォォォォォォ」

魔王・魔剣『「」』ビクッ

騎士「おおぉ、この手に…この手に溢れんばかりのパゥワーが満ちて…!」

騎士「キタァァァーーーーーー!!!」

魔王・魔剣『「!?」』
293 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:34:47.18 ID:UY7nGzXo0
魔王「な、何なのだこやつ…!?」

騎士「私のこの手が真っ赤に燃えるゥ! 邪悪を討ち滅ぼせと轟き叫ぶゥゥゥ…」

騎士「だらっしゃー!!」

騎士の攻撃! 剣と斧、二つの刃が牙を向く!

魔王「邪魔ッ!」

魔王の攻撃!

騎士「がばぶっ……!」めきょ

魔剣『……勢いだけじゃん! すごいの!』

魔王「ふん、バカめ! 余が貴様みたいなキモい男にやられてるわけがない」

騎士「よ、鎧が…凹んでしまったではないか!」

騎士「気に入ってたのに…! 酷いじゃないか…!?」

魔剣『まだ何か言ってるけど…』

魔王「シカト決め込むである。もう知らん」

騎士「待てこのっ、逃げる気か!! まだだ、まだ私は戦えるぞ!」

魔王「」

騎士「私を愚弄する気か貴様ッ。それだけは、それだけは許せないーーー!」

騎士「おらっしゃあぁぁ!!」

騎士の不意打ち攻撃!

しかし、魔王のカウンター攻撃!

魔王「憤怒ッッッ」

騎士「か、はっ……!?」
294 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:35:34.74 ID:UY7nGzXo0
騎士「」ピクピク

魔剣『気絶しちゃった? でもタフだねー』

魔王「このまま止めを刺しておいた方が良さそうだなァ」

魔王「ふん、感謝するがよい。騎士風情が。勝負で死ねるのだ、本望であろう」

騎士「」ピク

騎士「……ぉおお、おおお…うおおおおぉぉぉ…!」

魔剣『げっ、もう目覚ました!?』

騎士「今だ隙あり!」

魔王「甘いわァッ!!」


どすっ


騎士「ぎゃっ!?」

魔王「いかんなァ、急所を外してしまったぞ…くくく」グリグリ

騎士「痛い! あー痛いっ!」

魔王「……さっさと死ね!」ずばっ

騎士「い、い、いた……」

騎士「み、みとめよう…きさまは わが こうてきしゅ であることを! ……」

騎士は息絶えた。

魔剣『しつこい奴だったねー!』

魔王「全くである…」
295 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 16:36:30.25 ID:UY7nGzXo0
ようやく投下できた。以上です
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/15(水) 17:18:59.33 ID:C0sGT9kIO
おつ
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/15(水) 17:32:08.85 ID:NQtgGTxT0
直ってたんだな


騎士キャラ濃いくせに退場早すぎだろwww
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/02/15(水) 17:35:12.10 ID:Zdfi1MoEo
俺の知ってる握撃と違う……
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/15(水) 18:09:52.11 ID:I6FXJVWIO
300 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/15(水) 18:58:47.06 ID:UY7nGzXo0
>>298
どうせなら腕破裂させたらよかったんだよねぇ
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/15(水) 21:56:16.23 ID:ZzxMPZZO0
騎士弱すぎわろた
それとも魔王が強すぎるだけなのか?
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/15(水) 22:03:28.19 ID:BZqd7nvZo
圧倒的後者だろう・・・
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 01:23:26.15 ID:xzdxAwMK0
>>1は魔法使いの台詞といい、騎士といい、ガンダム好きなのか?
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 09:58:46.23 ID:xQiRL3FD0
女戦士好きだなぁ
やっぱ戦士のお姉さんなの?
305 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/18(土) 04:50:40.05 ID:KFwOjiD50
「うぎゃー!?」

魔剣『あらかた片付いたねー!』

魔王「ふん、ここまで暴れてもまだ姿を現さぬか。臆病者め!」

魔王「ん?」


ウィーン。ガシャン、ガシャン、ガシャン


魔剣『なにアレ大砲? こんな狭いとこで!』

魔王「魔力供給式の自立型か。無駄な物ばかり作りおるな、豚め!」

兵士「戦術兵器よぉーい! 構えーッ!」

3体の兵器は4つの足を広げ、砲身のみで魔王へ狙いを定めた!

兵士「ってェ〜〜〜!!」


ドカーンッ


砲弾が魔王へ命中した!

兵士「やったか!?」
306 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/18(土) 04:51:18.04 ID:KFwOjiD50
兵士「あれ……いない。木っ端微塵に吹っ飛んでしまった?」

魔王「貴様らが撃ったのは残像だバカめッ」

兵士「え、あぁ!? 大砲が…」


ばち、ばちばち・・・


魔王「この様なガラクタで余の進撃が止められると思っておるのか。浅はかよのぅ」

魔王の攻撃!

兵士「」

魔剣「歯応えないよね〜」

魔王「……近くだ。この辺りから奴の臭いがする」

魔王は壁を破壊し、直進した。
307 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/18(土) 04:54:12.70 ID:KFwOjiD50
団長「偽勇者ちゃん逃げただぁ〜?」

兵士「現在、城内の入り口を封鎖し、脱走を阻止させている様な状態で…」

団長「ははははっwwww おいおいおいー、陛下も城にいるっていうのにー」

団長「君らがやってる事、結構バカっぽいぞ」

兵士「あ〜……」

聖騎士「これだから無能な凡兵どもは。所詮は数だけだな」

魔導騎士「団長、僕も加勢した方がいい…?」

団長「いいよ別に。余計なマネはしないで」

団長「それより例の女の子もやっぱし逃げたのかい?」

兵士「女の子?」

団長「ほらいただろ。勇者だって言ってた女の子」

兵士「おそらく、その者も。牢はもぬけの空です」


どかーん


魔導騎士「! び、びっくり…何の音」

兵士「きっと偽勇者の仕業です! あいつ、仲間の脱走を成功させようと1人で城の中を暴れて回っているみたいで…」

聖騎士「勇敢だ。素敵だな。だが無謀である」

魔導騎士「でも、騎士くんがやられちゃったんだよ…?」

魔導騎士「僕たちの中でも、剣の腕だけはあんなに凄かった騎士くんが!」ギリリ…

団長「なに? 悔しい?」

魔導騎士「悔しいよ…!」

聖騎士「お前は本当にあの男が好きだな。見る目がなさすぎる」

魔導騎士「ウソ、あんなにカッコいいのに! 聖騎士さんの方こそ全然だよ!」

聖騎士「ふん、結構だ」
308 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/18(土) 04:55:30.49 ID:KFwOjiD50
聖騎士「……確かにあの騎士を撃破されるとは驚くべき事ではある」

団長「命令違反しておいて勝手に死んだんだし、もうどうでもいいよ」

団長「本っ当、チームの調和乱してくれる奴は困るよ。穴開けやがって」

魔導騎士「お願い団長! 僕に騎士くんの敵討ちをさせて!」

団長「余計なマネはするなと言ったけどー?」

魔導騎士「でも!」

聖騎士「我儘を言って団長を困らせてはいけない。気を静めろ」

魔導騎士「……ううっ」

聖騎士「いい子だ。しかし団長、このまま黙って何もせずに城を荒されているところを見ているだけでは」

団長「陛下の命令が下るまでは動く必要ないよん。昼ご飯でも食べてらっしゃいよ」

兵士「お願いです騎士団長殿。このままでは城の兵士たちに甚大な被害が…」

団長「知ったこっちゃないねぇ。こっちだって騎士団の戦力が1つ減らされたって被害が」

兵士「なぜそこまでして行動しようとなさらないのです! 陛下にも危害が及ぶかもしれないというのに」

団長「かもなぁ」
309 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/18(土) 04:56:25.49 ID:KFwOjiD50
魔導騎士「団長…もしかして機嫌悪いの?」

団長「ああ」

兵士「個人の一時の感情で、主を見殺しにするおつもりか!?」

団長「何もせんでも偽勇者は陛下を討つなんて事はしないよ」

兵士「は?」

団長「それより重要なのは逃げた女の子の方。おい、団長命令。誰か鼻が効く奴…この子探してひっ捕えてきて」

聖騎士「では竜騎士を」

団長「じゃあアイツにしよう」

兵士「あの、騎士団長殿…? 先程の偽勇者が陛下を…とは?」

団長「眼中じゃないって事だよ。アレは自分に損害か危害を与える相手にしか喰ってかからない」

団長「まぁ…例外も少々ありかね」

兵士「結局ダメじゃないですかー!」

団長「あーあーあー! わかったよ〜…もう、騎士2人を陛下の護衛に回せばいいね?」

兵士「お願いします…!」

団長「そこの2人。面倒な事で悪いけど、行ってきてよ」

聖・魔導騎士「了解」
310 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/18(土) 04:57:01.42 ID:KFwOjiD50
兵士「向こうだ、向こう! すぐに俺たちも加勢するぞ!」

兵士「どうなってんだよもう…」


どたばた、どたばた


僧侶・女勇者「」コソコソ

女勇者「なんとか気づかれませんでしたね」

僧侶「兵士の皆さんの慌て具合から察するに」

僧侶「やはり、暴れているのは勇者様のようですね…」

女勇者「1人で大丈夫ですかね。お城の兵士全員を相手にしてるようなもんですよ!」

僧侶「勇者様ならたぶん大丈夫かと。それより」

僧侶「出口が閉じられているとなると、何処から外へ出るべきか」

女勇者「そこの窓から飛び降りたら……折れちゃいますよねぇ、足とか」

僧侶「下手をしたら死んでしまいますから。却下ですよ」

女勇者「そしたらどうしよう…」

盗賊「……緊急時に、備えた脱出口を探すんだぜ」

女勇者「師匠! 起きてたんですか」

盗賊「ついさっきなぁ…」
311 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/18(土) 04:57:30.28 ID:KFwOjiD50
僧侶「盗賊さん。脱出口とは?」

盗賊「そ、それより!!」

盗賊「先に俺を降ろしてくれないか、僧侶……///」

僧侶「えっ、あ!? す、すみません…!」

盗賊(僧侶ちゃんにおんぶされるのは悪くはない。悪くはないが、情けなさすぎる)

ぼとっ

盗賊「オウフッ!」

僧侶「きゃあああぁー!? ごめんなさいごめんなさい!」

女勇者「僧侶さん! 声でっかい、でっかいー!」

僧侶「…む、むぐっ!」

女勇者は僧侶の口を押さえた。

盗賊「……砂漠の国の城にも、遺跡に通じていた場所があっただろう」

盗賊「アレとはまた違うが。どこの城にも別の場所へすぐ逃げられる様に通路を設けているはずなんだ」

盗賊「こういった事態に備えてな、くくっ」ヨロリ
312 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/18(土) 04:58:06.72 ID:KFwOjiD50
女勇者「師匠、やっぱりまだ怪我が…」

僧侶「そうだ、応急手当て程度ですが」

僧侶は回復の呪文を唱えた!

盗賊「感謝するぜ」

僧侶「いえ、ですが無理は禁物ですよ。まだ完全に傷を癒したわけではないので」

女勇者「せっかく今敵いないんだから回復してしまえばいいんじゃ?」

盗賊「バカが。必要なときに魔力が消費していては困るだろうが」

女勇者「必要なときって…城の兵士と戦うかもって事ですか」

盗賊「ありえん話じゃないぜ。なにせ、俺たちは脱走犯だ」

僧侶「辛いのはわかります。ですがここでまた捕まってしまっては次はありません」

僧侶「急ぎましょう! 勇者様がせっかく時間稼ぎしていてくれているのですから!」

盗賊「アイツが俺たちの為にそんな事してくるとは全く思えんのだが」

女勇者「ですよねぇ」

女勇者「はぁ、やだな…できれば人と戦う事なんてしたくない」

僧侶「いつかはそういう場面になってしまうという事、覚悟しておいた方がいいですよ」

僧侶「今は見つからなければいいだけ。ね」

女勇者「は、はい!」

盗賊「こっちが何か怪しいぜ。着いてきな、くくっ…」
313 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/18(土) 04:59:36.58 ID:KFwOjiD50
王の間


どーん・・・どーん・・・


王「何か音が、こちらに近づいてきておらぬか…?」

親方(一体何をしようというのかね、魔王)

大臣「ええいっ! 兵士どもは何をしているのだ!」

大臣「陛下、そろそろ城を離れるべきです。避難を」

王「ならん。王たる我がこの場を離れては兵どもに示しがつかん」

大臣「その様な事を申している場合ではありませぬぞ!」

親方「陛下、ここはお逃げになられるべきです。貴方ほどの逸材を今この国が失うべきではない」

王「敵に背を向け、逃げる事が王のすべき事か?」

親方(ふん…人としての選択と見ては間違いではない。しかし、王の選択ではないな)

大臣「時に上に立つ者は何かを犠牲にしてまでも逃げて生きなければならないのです!」

大臣「貴方様は我々の希望…!」

王「……やむを得ぬか」

親方(そうだ、ここでこの男を死なせるには惜しい)

王「すまない。皆の者、この王が逃走する事、許せよ…」


どっかーん!!!


「!?」

ぼろぼろぼろ・・・

王の間の壁の一枚が崩れ、向こう側から人影が1つ。

魔王「見 つ け た ァ ア〜……」

魔王だ!

大臣「何だアレは!?」

親方「……」
314 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/18(土) 05:00:17.44 ID:KFwOjiD50
兵士「貴様ァー!! ぎゅぶっっ…」

魔王「ぐわははははははッッッー!! 邪魔だ邪魔ァ!!」

向かってくる兵士たちをモノともせず、ただ親方目掛けて着々と歩みを進めている!

親方「陛下、大臣殿。ここは」

大臣「なぜ貴様も逃げない?」

親方「約束をしていましてな…彼とは」

大臣「は?」

王「おおぉ…兵が、兵が次々と……! 何なのだあの者は!」

親方「人間の敵」

親方「そして、今は魔物の敵でもあるかね。勇者殿」

魔王「ぎゃはははは〜〜〜!!! ようやく、ようやくだァーーー!!!」

魔王の攻撃!

親方は後ろへぐんっと下がると魔剣での一撃を避け、兵士を捕まえた!

兵士「はい!?」

捕まえた兵士の背を蹴って魔王へ突き飛ばす!

魔王「余が人間相手でも容赦しない事はわかっておるであろうが!」

兵士「や、やめ……!」

魔剣『がうー!』

ぐしゃあぁ

魔王「ふんッ」

魔剣『勇者ちゃん、向こうから魔法くる』
315 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/18(土) 05:01:09.00 ID:KFwOjiD50
兵士を切り捨て間髪いれずに飛び込んでくる雷の槍!

魔王「猪口才な」

魔王は片手を突き出すと、槍を先端から掴みかかり粉砕した!

親方「〜〜〜〜〜〜……!」

魔剣『アイツさっきから魔法バンバン撃ってきてるの!』

魔王「この程度の魔法、痛くも痒くもない!」

魔王は次々と放たれてくる槍を払い除け、親方へ着々と接近してゆく!

親方(魔力を失ったと聞いてはいたが、魔法耐性が下がったわけではなさそうだな)

親方「ならば――――!」

頭上には魔王を串刺しにせんと、大量の雷の槍が形成されつつある。

魔王「!」

親方「我ながら情けのない策だとは思うがねっ」

数百にも及ぶ槍は一斉に魔王目掛けて放たれた!

親方「これぞ古来から伝わる『数撃ちゃ当たる』戦法。といったところか」


魔王「破ッッッ」


魔王が大きく一声あげると部屋がビリビリと振動し、槍が掻き消された!

親方「なん、だと…?」

魔王「ふゥん、だからこの程度では何ともないと申したのだ阿呆め」
316 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/18(土) 05:01:51.52 ID:KFwOjiD50
魔王の攻撃!

親方「ぐうっ……!」

魔王「さて、ここからは余の番である。貴様の攻撃はもう許可しない」

親方「勝手を!」

魔王「勝手で結構ッー!!」

魔王は倒れた親方の右膝を思いっきり踏みつけた!

親方「ぎああああぁぁっっっ」

魔剣『面倒だから手足切り落としちゃえばいいんだよ!』

魔王「達磨か。いや、せめて貴様の魔物態を拝んでからぶち殺してくれようぞ」

親方「何ぃ…?」

魔王「人工生成された醜き魔物よ。その哀れな姿、せめて余に見せてから散るのだ!」

魔王「10秒くれてやるからさっさと変身しろー」

魔剣『は〜や〜く〜』

親方「待て…今は、ダメだ。ここは人が多すぎる…ここでは、私の理性が…!」

魔王は親方のお腹を蹴り上げた!

親方「おっ、ぐええぇっ…!?」

魔王「あと5秒」

親方(魔王……わけがわからない……!!)

?「〜〜〜〜〜〜……!」

魔剣『勇者ちゃん後ろ!』

魔王「あぁ?」
317 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/18(土) 05:03:22.29 ID:KFwOjiD50
岩の塊が魔王目掛けて転がってきた!

魔王「ぶっ壊れよッ!!」

魔王の正拳突き! 岩の塊を粉砕してしまった!

親方「あれは…?」

魔王「貴様、余の楽しみを邪魔するつもりか」

魔導騎士「……騎士くんの仇。許さない」グッ

魔剣『勇者ちゃん。アイツ、体内の魔力の質がすんごい高いよ』

魔王「魔法特化の者か。だがあの程度では所詮強さも知れておるわ!」

魔王「魔法使いなど近づきさえしてしまえば、何も恐れる事はない」ずんずんずん

魔導騎士「……」

聖騎士「では、近づかれさえしなければよいのだろう?」

突如、聖騎士が魔王の目の前へ飛び込んできた!

成人男性の身の丈ほどある大盾を魔王へ突き出し、後ろへ吹き飛ばす!

魔王「っ〜〜〜……!?」


どぉーん!


魔剣『勇者ちゃん大丈夫〜?』

魔王「ちっ…」ボロボロ

聖騎士「これは粛清。我ら王国騎士団による愚か者めへの罰である」

魔導騎士「絶対に許さないんだから」

魔王「では余に傷をつけた貴様らを余は許さん…」

魔王「生きて帰れると思うなよッー!」
318 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/18(土) 05:07:25.19 ID:KFwOjiD50
以上ここまで。続きは日曜にでも

>>303
それなりに好きです。ギャプランが好きです
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/18(土) 06:00:50.95 ID:VnS50ypn0
魔王強すぎwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ここまで強いと逆に気持ちいいな
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/18(土) 10:08:03.06 ID:I5sDvF0s0
魔王ちゃん無双ww全く負ける気がしないなwww

乙!
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/18(土) 10:53:34.89 ID:t/QYojsDO
魔法縛りとかwwww関係ないしwwwwww
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/18(土) 12:27:23.82 ID:avLNxZMSO
魔王無双の爽快感半端ないな
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/18(土) 13:00:30.06 ID:VB12oZgFo
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/18(土) 14:49:21.47 ID:KIVxa6PWo
スタイリッシュ魔王アクション来たな
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/18(土) 22:09:11.33 ID:GD2d3LKDO
何故だかガノンドロフが浮かんだ
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/02/19(日) 00:07:35.16 ID:8H/0KQJyo
瞬時に魔王のイメージがあのノッポになった
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 02:17:17.81 ID:AE9YEibDO
無双気持ちいいな
魔王ちゃんカックイー!
328 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/19(日) 03:49:36.49 ID:VaV7FNUO0
大臣「陛下こちらへ」

兵士「先が暗いので足元にご注意を」

王「あの者は……」

大臣「陛下!」

王「う、うむ」

こそこそ

女勇者「アレが師匠が言ってた?」

盗賊「みたいだな。だが今あそこへ入るにはタイミングが悪すぎる」

僧侶「王様たちとばったり鉢合わせしかねませんね…」

女勇者「じゃあしばらく待ってから入ります?」

女勇者「出るところが一緒なら変わりないと思うけども」

盗賊「ああ、仕方がないぜ。別ルートを当たるしか……待て」

女勇者・僧侶「へ?」

盗賊「今、動くなよ…絶対…」

上空を見上げる盗賊にならって2人も上を見上げると、そこには1頭の飛竜の姿が。

僧侶「魔物ですか?」

盗賊「こちらに下りてくるぜ」
329 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/19(日) 03:50:17.55 ID:VaV7FNUO0
ばさ、ばさ、ばさ・・・ドスン


飛竜『グルルルッ』

竜騎士「Oh……この辺り?」

飛竜の背から1人の騎士が降り立ち、周りを警戒するように見回たしている。

誰かを探しているようだ。

女勇者「王国騎士……?」

僧侶「私たちを探しているのでしょうか」

盗賊「その可能性はあるぜ」

盗賊「ここはジッと堪えて奴が気づかずに行ってくれる事を祈るしかない」

女勇者「えっ、戦わないんですか」

盗賊「バカ! あんなの絶対まともにやり合ったらヤバいに決まってるぜ…」
330 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/19(日) 03:51:11.63 ID:VaV7FNUO0
僧侶「魔物を従える人間。本当に実在していたなんて」

僧侶「片割れのあの竜は、ワイバーンですかね」

女勇者「他のドラゴンと何か違いが?」

僧侶「ワイバーンはドラゴンに比べて誇りを持ちません。ですから人を背に乗せる事が」

盗賊「お前ら少し黙っていた方がいい……怪しまれているぜ」

飛竜『クケケ〜』

竜騎士「そこの茂みをルック? アーハーン?」

竜騎士は3人が隠れている場所へ近づいてきた。

女勇者「あわわわっ」

僧侶「と、盗賊さん…!」

盗賊「……やむを得ねぇぜ」

竜騎士「Hey!ソコにいらしゃいますカー?」

盗賊の攻撃!

竜騎士「ワッチッッッ!?」

飛竜『ギャオオオオオオォー!!』

盗賊「今だ、走れ…!」

女勇者「!」

盗賊の合図とともに、3人は一斉に走りだした!
331 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/19(日) 03:52:11.58 ID:VaV7FNUO0
竜騎士「いましタ! ハケーン!」

女勇者「あの人、何か変!」

盗賊「そんな事気にしてる場合じゃ…」

僧侶「危ないー!」

僧侶は盗賊を抱え、地面に伏せた!

盗賊「んぶッ」

2人の頭上を飛竜の鋭い爪が通る!

女勇者「僧侶さん!?」

僧侶「気にせず先へ行ってください! すぐに追いつきますから!」

飛竜『ギャオスーッ』ばさっばさっ

女勇者「ご、ごめんなさい!」

女勇者は2人を残して城内へ逃げた!

竜騎士「お嬢さーン。ちょっとウェイト! …ムッ」

盗賊の攻撃!

竜騎士「今度はソウはいかナッシング」

竜騎士は盗賊の攻撃を籠手で受け止めると、手にした槍で肩を一突き!

盗賊「ぅあぁっー!!?」

肩に槍を貫通させた状態で盗賊を宙へ持ち上げ、そのまま槍を一閃!

盗賊は壁へ叩きつけられてしまった!

僧侶「盗賊さんを、よくも!」

竜騎士「ワイのワイバーンチャンは娘っ子を追う。OK?」

飛竜『ギャギャウ〜』
332 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/19(日) 03:53:12.78 ID:VaV7FNUO0
僧侶(まずい……今の女勇者さんじゃあの魔物を相手に戦えるかどうか)

僧侶(それよりも、心配するのは私たちの方かしら)

竜騎士「シャオオォ〜〜〜ゥ!!」

竜騎士は槍をくるくると器用に手回しさせながら、僧侶へ向かってくる!

僧侶は杖を構え、攻撃に備える。が、それもむなしく竜騎士の一撃で杖が折れてしまった!

僧侶「あっ…」

竜騎士「ン〜フゥーーー」ニヤリ

盗賊「僧侶逃げろッ! 無理だ!」

竜騎士「オレが逃がすオモテル? それ、マチガテル」

竜騎士「ヒョウッッッ」

竜騎士の攻撃!

僧侶(ダメ、動けない…!)

僧侶「かはっ……!?」


どぉーん!


盗賊「僧侶ッー!?」

竜騎士「まだキルしてない。安心シル」

竜騎士「オレのミッション、あの娘っ子連れてくるダカラ」

盗賊「娘って……おい!」
333 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/19(日) 03:54:10.62 ID:VaV7FNUO0
竜騎士「グッバーイ。また会うデイズまで……ぎゅぶっ!」

余裕を見せる竜騎士を中心に竜巻が起こる!竜騎士は動けない!

竜騎士「ナニこれ? ウィンドマジック?」

僧侶「はぁ、はぁ……」

盗賊「僧侶の魔法か!」

僧侶「今です…この隙にっ!」

僧侶は盗賊を担ぎ、たどたどしい足取りで女勇者が進んだ道のりを辿るように逃げた!

竜騎士「はん、味なマネを〜」

竜騎士は無理矢理竜巻を脱出!

竜騎士「大した威力でもないネ。でも、こんな事してくれるのは…hmm…ユルセマセン」

竜騎士「ミッションの障害になったという事で、何かのミステイクでキルしちゃいマショ」

竜騎士「HAHAHAHAHA!」

すたすたすた・・・
334 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/19(日) 03:55:05.26 ID:VaV7FNUO0
魔王の攻撃!


ガツンッ


魔王「硬ッ」

魔剣『なんか壊せないよー!』

聖騎士「我が聖壁を崩す手段は無しに等し。洗礼されしこの守、貴様如きに突破されてたまるものか」

魔導騎士「〜〜〜〜〜……」

魔王が聖騎士に足止めを食わされている合間、魔導騎士が次々と魔法の詠唱を終え、大量の火球が放たれてくる!

魔王「ふんぬぬぬっ…!」ドォーン

魔剣『ウザいよ〜…』

親方「これが、王国随一の戦力と呼ばれる騎士団か」
335 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/19(日) 03:56:13.42 ID:VaV7FNUO0
親方「噂はまさに真実。人が持てる最高の力と見た…」コソコソ

魔王「貴様ー! どさくさに紛れて逃げ出すような事だけはするなよッ」

親方「」ビクッ

魔剣『勇者ちゃんアイツ図星ぃー!!』

魔王「ウガアアアァァァ〜〜〜〜〜ッ!!!」

魔王の連続攻撃! しかし、攻撃は大盾によって弾かれてしまう!

聖騎士「同じ事を私に二度言わせる気か?」

魔王「調子くれるなよカスッー!」

ガツン、ガツン、ピキ、ガツン・・・ピキピキピキ、メキョ

聖騎士「むっ」

大盾はついに魔王の攻撃に耐えられなくなり、ヒビが走り始めた。

盾がギシギシと軋む!

魔王「ぐわはははははァッーーー!!!」ガツンガツン

魔剣『痛い痛い痛いー! 頭割れるぅー!』

聖騎士(そんなバカな)

魔導騎士「聖騎士さん!」

聖騎士「まだだ。まだ慌てる程では…」


バキィッ


聖騎士「えぇ…?」

大盾が破壊された!

魔導騎士「逃げてっ――――」

魔王「ふんがァー!」

魔王の攻撃! 聖騎士の兜目掛けて魔剣で思いっきり横殴り!

聖騎士「ぶぐっっっ」グワン…グワン…
336 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/19(日) 03:57:56.81 ID:VaV7FNUO0
聖騎士が頭を押さえてたじろいでいる隙に、魔王は魔導騎士へ一気に接近する!

魔導騎士「炎よ……!」

魔王「無駄よ」

魔導騎士「あぐぅっ」

魔導騎士が魔法を射出させるその右手をがっしりと掴むと同時、その手首を本来曲がるべきでない方向へ無理に押し曲げ
た!

魔導騎士「手が…僕の! 手が!?」

魔導騎士「あああっっっ」

魔王「貴様を先に叩いておいた方が後でウザくならなさそうだなァ」

魔王は崩れ落ちた魔導騎士の首を掴み持ち、右目を指で刺す。

魔導騎士「ぎぁあああああああああああぁぁぁぁああああぁあぁあぁああああ」

魔王「これで狙いは定まらんだろう。くくく…!」

聖騎士「貴様ァー!!!」

魔導騎士の絶叫に気づき、立ち直った聖騎士が腰に下げた剣を抜くと、魔王へ向かってきた!

魔王「ふん、くれてやる!」

掴んでいた魔導騎士を聖騎士へ投げつけ一瞬怯んだ隙にさらにそこへ魔剣を真っ直ぐ投げた!


聖・魔導騎士「っ!」どすっ


魔剣『ゆ、勇者ちゃーん!』

魔王「ストライク〜…まるで串団子である」

2人の騎士はその場にばたりと横たわってしまった。

親方「……」

親方「えっ、え?」

魔王「さて、喧しい虫も駆除したところだ。続きを楽しもうか」

親方「いやいやいや!?」
337 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/19(日) 03:59:00.37 ID:VaV7FNUO0
魔剣『勇者ちゃん抜いて〜!』

魔王「黙っておれ。貴様はもうしばらくそやつらの串になっておるのだ」

親方「よ、よせ…! 来るな、私に近づくな!」

魔王「ふふーん、先程までの強気は何処へ行ってしまったのか。情けのない奴め」

魔王は親方へ馬乗りになると胸倉を掴み、ボコスカとタコ殴りをし始めた。

親方「ばっ、ぶふっ、おうぁ…!」

魔王「早く変身するなりして余を楽しませろよォ〜〜〜……!」

魔王「おらおらおらァーである!」ボコスカ

親方「やっ、め! やめ…て!」

?「やっぱてめぇは魔王だなァ。えぇ? おい、おっさんよォ〜〜〜」

魔王「あぁン?」

そこには勇者一味の姿が!

魔剣『あー! お前たち!』

勇者「またまたまたまたァー! お会いできちゃったねェーーー!!」

遊び人「牢屋にいないと思ったらwww思ったらwwwwww」

賢者「今日で魔王ちゃんも終わりね〜」

魔王「」ボカスカ

親方「ぶぐぐっ…」

勇者「無視すんなやッー!!」

魔王「貴様らなど後回し! 今は目の前のこやつだ!」

勇者「こ、のっ……舐めてんのか!」

勇者の攻撃!

しかし、攻撃は受け止められてしまった!
338 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/19(日) 04:02:29.25 ID:VaV7FNUO0
勇者「俺様シカトとかいい度胸じゃねぇか〜…!」ギリギリギリ

魔王「黙れウンコカスッ! 余計な事して余の熱を冷まさせるでないぞ」

親方「……これだ。この隙を私は待っていた」

魔王「!」


親方「ギャオオオオオオオオオォォォォォォォォォ」


親方の姿がみるみる人間から魔物のソレへと変化していき、巨大な8本の首を持つ蛇へと変わってゆく!

遊び人「おろろ」

賢者「お、おっきい……すごく!」

魔剣『勇者ちゃんこいつ危険、めちゃくちゃ危険!』

魔王「ふむ…それが貴様の真の姿だということか」

オロチ(親方)『もうぶち切れた。許さん! 許さんぞォー!!!』


オロチ『ガアアアアアアアアアアアアアアア』


オロチの体は城の天井をもぶち抜き、巨大に、巨大にとさらにその醜き姿を大きくさせる。

人工生成魔獣・ヤマタノオロチがあらわれた!
339 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/19(日) 04:03:07.93 ID:VaV7FNUO0
ゴゴゴゴゴ・・・


勇者「何だアレェ……」

賢者「勇者くんマズイって! 逃げるが勝ち!?」

勇者「バカ言えビッチめ! アホなこと言ってんじゃ…」

オロチ『その腸。食いつくし、私の力に変えてくれようぞッー』

オロチの首が魔王たち目掛けて大口を開けながら伸びてきた!

遊び人「ほんっとに逃げるが勝ちだネ。こりゃ」

勇者「ちくしょー! 魔王覚えてろバカやろ〜!!」

勇者たちはそそくさと退散してしまった。

魔王「余を喰らうだと。全くもって貴様は愚かよ」

騎士たちに突き刺さった魔剣を引き抜くと、魔王は伸びてくる頭と応戦し始めた!



魔導騎士「――――ああ、ぐっ……」

魔導騎士(な、何がどうなってるの? 僕たちは)
340 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/19(日) 04:04:21.96 ID:VaV7FNUO0
魔導騎士「目が…目が痛いよぅ……!」ぽたぽた

オロチ『』ギロリ

魔導騎士「あっ!?」

オロチの首の一本が起きた魔導騎士に気づき、喰らいかかる!

魔導騎士「ご、ごめんなさい…団長…ごめんなさい……」ガタガタ

魔導騎士(騎士くん。僕も君のところにすぐに行けるみたい)

オロチ『グワッ』

魔導騎士「っ!」

聖騎士「…ど、どけ!!」

どんっ

魔導騎士「えっ――――」


ばくりっ


魔導騎士「う、うそだ……」

オロチ『フゥーッ……!』

なんと、聖騎士は魔導騎士を庇ってオロチに食われてしまった!

魔導騎士「うそだああああああああぁぁぁぁーーー!?」

魔導騎士(聖騎士さんが死んだ! 聖騎士さんが、僕のせいで、死んだ!?)

魔導騎士「ひぃ、ひぃいいいっっっ……!」

オロチ『魔王ゥッーーー!!!』

魔王「ふん、邪魔だ貴様ァ!」

魔王はその場に突っ立って泣きわめいている魔導騎士を蹴り飛ばしてしまった!

魔導騎士「あ、ぐっ……」

オロチ『我々キメラをそこらの魔物程度と思うなよ…』

魔王「黙れトグロウンコめッ!」
341 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/19(日) 04:07:04.67 ID:VaV7FNUO0
今日はここまでで。こn続きは火曜あたりにでも
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/02/19(日) 04:13:19.06 ID:iluQtMoko

343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 06:09:56.30 ID:JvFNLzK40
目潰しいやああああああって、まさか魔導騎士は女なのか
にしても盗賊たちの苦戦っぷりみるとやっぱ
魔王が単純に強かったのね
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/19(日) 08:11:35.62 ID:OTmmkv7Ko
ワイのワイワイバーンきたwwwwww
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 10:23:56.19 ID:7ey4wj5IO
魔導騎士が生きてるから一応まだ親方を悪役にできるな
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/19(日) 11:57:01.88 ID:YIGwleAEo
魔剣刺さって精神的に壊れないのは流石なのか
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/19(日) 18:23:08.15 ID:olClFxpH0
元から壊れてそうだからこれ以上壊れようがないんじゃないか?
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 20:39:07.99 ID:3OtngenDO
キメラの翼をぶちぶちする魔王が見える
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 21:23:38.32 ID:BG269IAIO
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 04:53:36.00 ID:rJ3BAn3n0
竜騎士さん、完全にルー大柴じゃないかwwwww
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 05:03:21.42 ID:z6aAXT3IO
>>346
多分>>1がその設定を忘れてる
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/20(月) 07:42:47.98 ID:7l/6QXRIO
縺ゅ£
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 08:54:15.88 ID:nEuiM7wIO
>>351
しぃー
きっとなぜそうならなかったかの設定を考えてるところなんだから
354 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 09:28:11.26 ID:TJRJ/Fio0
>>353
ひー、ハードル上げるなよぉ・・・
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/20(月) 13:08:59.66 ID:Sp2AUd65o
そう言いながら、粛々とハードルの下をくぐっていく>>1であった
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 15:26:22.00 ID:yQxXGHkIO
>>355
笑わすな
357 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 15:56:14.46 ID:TJRJ/Fio0
僧侶「女勇者さんに何とかして追いつかなきゃ…」フラフラ

盗賊「僧侶、無理するな。せめて自分に回復を」

僧侶「先程の騎士が追いかけてきているかもしれないのに、そんな詠唱する暇はないです」

僧侶「それにこれぐらい何ともありませんからっ」

盗賊(んなわけあるか…。手負いの俺の肩まで担いで歩いてるんだ)

盗賊(さっきの一撃といい、消耗し切っている)

盗賊「いいか…まずは俺をここに降ろしていけ、僧侶…」

僧侶「は!?」

盗賊「このまま2人でのろのろしていちゃ助かる方も助からん」

盗賊「お前はこのまま女勇者と合流して、あの化けもんを撒いてから何処かへ隠れているんだぜ…」

僧侶「バカな事を仰らないでください」

僧侶「私に気を使わなくていいから、早く逃げましょう。止まらないで…!」

盗賊「しかしだな…」


『Yoooo〜〜〜〜〜Hoooo〜〜〜〜〜……』


僧侶・盗賊「!」

僧侶「足止めを、もう!?」

盗賊「俺たちとアイツじゃ力の差がありすぎるんだ。だから僧侶」

僧侶「ダメですっ!!」

僧侶「……追ってくるというのなら、倒すまでの必要はありません」

僧侶「追えなくさせればよいのですよね」

盗賊「は?」
358 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 15:56:47.68 ID:TJRJ/Fio0
女勇者「きゃーきゃーきゃー!?」

飛竜『オギャギャー!!』

女勇者「何でこんなしつこいの! 無理無理無理ぃ〜〜〜!!」

女勇者「…って、そうだ」

女勇者「別に逃げるだけが私の選択肢じゃないんだよ。戦えるんだよ、私は!」

女勇者「今こそ修行の成果を見せる時っ。見せる相手がこいつだけだけど」

飛竜『ギャウッー!』

女勇者「とりゃー!」

女勇者は鞘から剣を抜刀した! だが・・・?
359 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 15:57:23.58 ID:TJRJ/Fio0
女勇者「あれ」

飛竜『ハハッワロス』

女勇者(いやー! なんで柄から先ないのー!?)

抜いた剣には刃がついていなかった!

女勇者「」アタフタアタフタ

飛竜『ヘ、ヘ、ヘヘ……ッ』

無力な女勇者を見ると口から涎を垂らしながら近づいてきた。

女勇者「私食べても美味しくないですよ〜!?」

女勇者(なんて)


女勇者「退散だァーーー」


飛竜『ゲゲッ?』

女勇者はふたたび逃げ出した!

女勇者(どこか、どこかに隠れなきゃ…)

女勇者「!」
360 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 15:58:10.60 ID:TJRJ/Fio0
←ここ、武器庫

女勇者「あそこだ、あそこなら!」

バーンッ

女勇者「ひぃ、ひぃ、ひー…はぁ」ペタリ

女勇者(アイツは……?)

女勇者は扉へ耳をつけ、外の音と気配を探った。


どすん、どすん、どすん・・・ばさっばさっ・・


女勇者(良かった。気づかないで向こうへ飛んでったみたい)

女勇者「ふぅー!」

なんとか飛竜の追跡を撒く事ができたようだ。

女勇者「それにしても、私の剣。どうして」

女勇者「ん……これよく似てるけど私のじゃない?」

女勇者「まさかあの痴女さんが間違えて持ってきたのかな」

女勇者「…だったら、この部屋にもしかしたら」

女勇者は部屋にある武器を片っ端から調べ始めた。
361 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 15:58:49.73 ID:TJRJ/Fio0
盗賊「お前何言って」

僧侶「盗賊さんはあの部屋に入って休んでいてください」ボト

盗賊「痛ッ。ちょっと…!」

僧侶「私があの人を何とかしてきます」

僧侶「大丈夫。けして無理な事はしないから」

盗賊「何とかしようってのがまず無理があるんだよ! よせ!」

僧侶「止めないでください! たまには、私にもお仕事させてくださいよ」

盗賊「バカ! 無謀だって!」

僧侶「バカでも無謀でも結構です」

僧侶は盗賊を置いて元の道を戻っていった。

盗賊「バカやろう…!? 死ぬぞ何考えてるんだ!?」

盗賊「す、すぐに追わなければ」

盗賊(右肩が上がらないだけだ…左はまだ使えるぜ…)

盗賊「うっ、ぐうぅぅぅ……!」

ぶしゅうぅ

盗賊「あぐぎッ…」

盗賊(ひ、1人じゃやらせねぇよ)ヨロヨロ
362 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 15:59:25.16 ID:TJRJ/Fio0
竜騎士「3匹のストレイシープちゃんズはイズコ?」

竜騎士「ソコにいるのはワカテマース!!」


しーん


竜騎士「hmm〜……」

竜騎士(すぐにエンドできるようなミッションだとオモテタのにメンドー極まりない)

竜騎士「マイッタマイッタ」トントン

突然、竜騎士の肩が叩かれた。

竜騎士「ふぇ…ハァイ?」

僧侶「」

僧侶の攻撃! 僧侶は城の飾壺を振りかぶって竜騎士の頭へ叩きつけた!

竜騎士「オブフッッッ」

竜騎士「〜……アアァーッ! ファッキンビッチ!!」

僧侶「こっちですよ。着いて来なさい!」

僧侶は廊下の奥へ駆けだした。

竜騎士「キルユー!」たたたっ
363 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 16:00:25.39 ID:TJRJ/Fio0
僧侶(よし、上手く注意が私だけに向いた)

廊下の突き当たりを左へ曲がると、手にナイフを持つ。

敷かれた絨毯を逃げつつもソレで適当に切り刻み、飾られた絵画を外して手に持った。

竜騎士が追ってくる!

竜騎士「ウェイト、フリーズ、ビッチガァーーール!」

僧侶(っ、私はそんなはしたない女じゃない!)

僧侶「どうしたのですか? 悔しかったら私を捕まえて殺してみなさい!」

竜騎士「Youに言われんでも、ガアアアッ――――オブリッ!?」

竜騎士は切り刻まれた絨毯に足を引っ掛け、前へ派手にコケてしまった!

鎧が硬くてこれは痛い!

竜騎士「アオォォ〜……オーマイガ…」

竜騎士「姑息なクソビッチッ!!!」

手にした槍を床へ突き刺し、それを支えにゆらりと立ちあがる。

竜騎士「はぁ、はぁ、ははっ…HAHAHAHAHA……」

竜騎士「AHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAァッーーーー!!」

僧侶「うっ…」

僧侶(怯む事はないわ…私はしっかりやれている…少しでも敵の怒りを煽りながら、遠くへ)

僧侶は絵画を竜騎士へ投げつけると踵を返し、さらに逃げ出した!

竜騎士「ふん!」ぶんっ

竜騎士「たとえドコの便所に逃げようが隠れようが、見つけだしてぶち殺してやる…」

竜騎士の怒りは有頂天へ。
364 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 16:01:03.56 ID:TJRJ/Fio0
女勇者「ないないないないないィ〜〜〜!!」

女勇者「もうっ、何処にもないじゃん!?」

女勇者「もしかして別の場所にあったり…でも今探し回るわけにもいかないし…」

女勇者「……仕方がないよ。こうなったら身を守る物ぐらいは1つ借りて」ゴソゴソ

がらがらどしゃーん!!

女勇者「げぇー! …や、やっちゃった」

武器が床に散乱してしまった!

女勇者(ていうか今の大きな音はちょっとマズイ! 気づかれる!)


『…………ギャアオォォォォー…』


女勇者「ほらやっぱり気づかれたァー!?」

女勇者「い、急げ! 急いで何か、何かをー……お、お?」

女勇者「おぉ!?」

そこには一本の大剣。『どらごんきらー』とラベルが貼ってある。

女勇者「これだ」
365 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 16:01:44.64 ID:TJRJ/Fio0
飛竜『アギョー!!!』

どん、どん、どんっ

飛竜は鍵を掛けられた武器庫の扉をぶち破らんと突進を繰り返している。

扉はみしっみしっと今にも壊れてしまいそう音をたて、衝撃を耐えている!

女勇者「お、重い…到底女の私じゃ持って振り回せそうな剣じゃないよ…」ズリズリ

女勇者(でも、ドラゴンのアイツを倒せる武器はこれしかない!)

どらごんきらー『』

女勇者「だ、ダメ。やっぱ立ってられない……」プルプルプル、ズドン!

女勇者はどらごんきらーの重みに耐えきれず、尻もちをついてしまった!

そうこうしているうちにも、扉は破壊されてしまいそうだ!

女勇者「ひぃ、ひぃ…よっこら、せ…!」ズリ、ズリ

ズリズリとどらごんきらーを手繰り寄せて、扉から少し離れた棚へ背を預けて座った。

女勇者「ぐ、ぐぐぐ、ぐぬぉー!」ぐぐぐ…

なんとか両腕を使ってどらごんきらーを扉へ向けて構えた!

女勇者(こい…こい…! お父さん、私に力を!)

ドォーンッ!

飛竜『グギャアアアァァァ〜〜〜ッ!!』

飛竜が扉を破壊し、武器庫の中へ飛び込んできた!

しかし、飛び込んできたのも束の間! 真正面で構えれていたどらごんきらーへ勢い余って突っ込んだ!


どすんっ!


女勇者「あっ、きゃあああああぁぁぁーッ!!?」メキメキ

飛竜『ゲゲゲェェェーーーッッッ!!?』ぶしゅ・・ぶじゅうぅっ
366 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 16:02:27.99 ID:TJRJ/Fio0
ずぶぶぶぶ・・・じゅぶっ

飛竜『ギャーァオ!? ギャアーッ!!』

自身へ突然突き刺さったどらごんきらーへ驚き、痛みから逃れようと飛竜は悶え苦しみ暴れる!

そのたびに女勇者の体は激痛に侵される!

女勇者「痛い痛い痛い痛いッッッーーーー!? ああぅっ、ひっ」

女勇者(し、死んじゃうよ!? お父さん! お父さん!)

飛竜『ワウ! ワウワウ…!』

女勇者「う、う、う」

女勇者「ぅどおりゃ〜〜〜〜〜〜!!!」

お腹に深くめり込んだ長い柄をガッシリ掴むとどらごんきらーを更に前へ突き出した!

女勇者「ゆ、勇者舐めんなァー!」

全身の体重をどらごんきらーへ思いっきりかけると、そのままソレを下へ振り落とす!

飛竜はせつだんされてしまった!


飛竜『』ぶしゅーーー・・・


女勇者は飛竜をたおした。

女勇者「死ぬかと思った……」

ばたりっ

女勇者「」
367 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 16:03:30.54 ID:TJRJ/Fio0
オロチ『〜〜〜〜〜……』

床がオロチの魔法によって氷漬けになってしまった!足元がツルツル!

魔王「うぬゥ!?」ズコッ

オロチ『ガァーッ!』

魔王は間一髪のところで向かってきたオロチの首を切り落とした!

魔王「何なのだあやつは!」

魔剣『アイツの首、それぞれが違う事できるんだよ』

オロチ『ふっふっふ……そして――――』

切断された首からずぼっと新たなオロチの頭が生えてきた。

オロチ『私のこの姿を拝んでしまった事、後悔するがいいぞ』

魔王「抜かせ阿呆め」

魔王(しかし、これではいくら首を切り落としたところでダメージが通らぬ)

魔王(まぁ何処かに致命的ダメージを与えられる場所が存在するに違いあるまい)

魔王「あやつの余裕はそこを着いたときに初めて崩れる!」

魔剣『上から来るよ、気をつけてー!』

オロチ『と見せかけた左右からの攻撃だ。マヌケめ!』

魔王「魔剣の役立たずッーーー!」

魔剣『ごめんなさぁ〜〜〜い!!』

魔王は右から迫ってきた頭へ飛び乗ると、長い首を辿ってオロチの体へ向かった!

オロチ『ええい、ちょこまかと!』
368 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 16:04:09.83 ID:TJRJ/Fio0
魔王「死ね死ね死ね!」

魔王の攻撃!

オロチの大きな体を魔剣でデタラメに切り刻む!

オロチ『ガァーウッ!!』

3本の首が魔王を食い殺さんと歯を立てて突っ込んでくる!

攻撃を回避した!

魔王「随分と器用な首である。しかし、そんなに数を多いと邪魔よのぅ…」

魔剣『それにヘンテコだよね〜』

オロチ『ふんッ……大雑把な攻めばかりでは捕まえられんか……』

魔王「む?」

魔王「魔剣よ、先程からあの一本だけは余に向かってこないと思わんか」

魔剣『え? よく見てないからわかんないよぅ』

魔王「貴様は真、ただのダメ剣であるな! もういいっ…!?」

突如、オロチの全身に電流が走った! 魔王は痺れてしまった!

魔王「あが、ががが」

魔剣『どったの勇者ちゃん!?』

オロチ『私の体の上にいつまでも立っているなよッーーー』

首の一本が魔王を横へ払った。魔王はそのままふっ飛ばされ、下へ落とされた!

魔王「…油断しておったわ」

魔剣『頑張って頑張って! 勇者ちゃんめっちゃ強いし、こんなの余裕で倒せるよー!』

魔王「申されんでもわかっておる。おい、そこの」

魔導騎士「……え?」
369 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 16:05:07.25 ID:TJRJ/Fio0
魔王「どうせ何もせずに突っ立っておるだけなら、余に手を貸すのだ」

魔剣『勇者ちゃん! でもこいつさっきまで…』

魔王「さっきはさっき。今は今よ」

魔導騎士「……手を貸す気なんてない。放っておいてほしい」

オロチ『何をごちゃごちゃ喋っている!! 私はまだいるぞ!!』


ドオォーン!


魔導騎士「っ…!」

魔剣『こんなのの相手してる場合じゃないんだよー!』

魔王「一度しか申さんからよく聞けよ! あやつの首を貴様の魔法で撃て」

魔導騎士「は?」

魔王「一本だけ何もせずにただ伸びているだけの首がある筈。それをだ、よいな」

魔導騎士へそう告げると、魔王はふたたびオロチへ攻撃をしかける!

魔導騎士「ちょっと待ってよ! 僕がなんでお前の言う事なんかに…」

魔導騎士「……聖騎士さん。これは聖騎士さんの仇」

魔導騎士(片手も目も、使い物にはなりそうにない。けど)

魔導騎士「〜〜〜〜〜……!」

オロチ(あの人間、何故魔法の詠唱を…。こちらを、狙っているのか!?)

オロチ「この私をッ!!」

魔王「邪魔する首は全て余が叩き切ってくれる! 貴様は魔法にだけ集中するのだ」ずばっ

魔導騎士「うるさぁーーーいッ」

魔導騎士は雷の魔法を唱えた!

一筋の閃光が首の一本を焼き焦がす!

オロチ『ギャンッ!?』
370 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 16:05:49.70 ID:TJRJ/Fio0
魔王「よくやった褒めてやるとだけ申してくれよう! そこの」

魔導騎士「……」

オロチは体をくねらせ、痛みで前へ倒れ込む。

魔王「その一本が貴様の真の頭。否、脳みそが唯一詰まっているのかな?」

魔王「弱点となるソレだけは決して攻撃してこなかったからな。わかりやすかったぞ」

オロチ『頭が割れる……!』

魔王「ふん、聞いておらんのか阿呆め。まぁよい、チェックメイトよ」

魔剣『面倒な魔物だったねー』

オロチ『ウガゥゥゥ…!!』びたんびたん

オロチは必死の抵抗を見せる!

しかし、非情にも魔王の攻撃!

魔王「容姿も醜ければする事も醜いなァーーー!! ふはははははっ」

オロチ『がふっ……!?』

魔王「おう、貴様〜。貴様の手柄でもある、こやつの止めぐらいは譲ってやらんこともない」

魔導騎士「そんなの譲ってもらわなくていい! だから、僕の仲間を返して!」

魔剣『アイツ何言ってるの?』

魔王「さぁ?」

魔導騎士「そこのお前も! お前もっ! 返してよ!」

魔導騎士「なんで僕の大切な人たちばかり持っていっちゃうんだよぉ……!」
371 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 16:06:50.54 ID:TJRJ/Fio0
魔王の攻撃! 止めの一撃だ!

オロチ『』

魔王「貴様が何を申しているかはさっぱりだがー」

魔王「絶望しておるのなら貴様もあの世送りにしてくれようか」

魔導騎士「殺してくれるならよろこんで殺される……」

魔導騎士「僕は、もう嫌なの…嫌だよ…」

魔導騎士「さぁ殺せッ!! 早くッ!」

魔剣『僕使えば切らなくても楽に殺せられるよ。気持ちよくは死ねないけど〜』

魔王「いや、待て」

魔剣『勇者ちゃん?』

魔王「ここまで殺せと言ってる奴を殺してしまうのはつまらんとは思わぬか?」

魔王「生かしておいて生き地獄をたっぷり味わうべきだと余は思うッ!!」

魔剣『きゃー!!! 勇者ちゃんが超いい笑顔見せたぁー!!』キャッキャ

魔導騎士「ふざけないで!」

魔王「面白くなりそうな事には余は全力でふざけるぞ」
372 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 16:07:35.35 ID:TJRJ/Fio0
魔導騎士「お前が殺してくれないなら、僕が自分で」

魔王「おいそれはよせ! バカなマネはよすのだ…!」

魔王「ふん、こういう奴にこそ側近の阿呆の魔法をかけて死ぬ事ができぬ体に」

魔王「おっ……」

魔剣『勇者ちゃん今度は何〜! また何か楽しい事ぉ〜!?』

魔王「そうではない。側近は余が殺した」

魔剣『殺しちゃったねー。それが?』

魔王「思い出したのだ。しかし、なぜ殺したのかが思い出せぬ」

魔剣『邪魔だから殺したんだよー。忘れちゃったの、勇者ちゃん』

魔王「うむ。まぁ、死んだ奴のことなどはどうでもよい。おう」

魔導騎士「何だよ!?」

魔王「死ぬな」

魔導騎士「うるさい黙れっ! そんなの…僕の勝手だ!」

魔王「余が許さんのだ」

?「そうねぇ。おじさんも君が死んじゃったら悲しくて泣いちゃうし。やめてほしいね」

魔導騎士「!」

魔王「……誰?」

団長「おいおいおい〜〜〜…さっき顔会わせたばかりだと思うんだけどぉ?」
373 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 16:08:50.91 ID:TJRJ/Fio0
魔導騎士「団長! どうして」

団長「君ぃ。片目どうしちゃったの。痛そうに」

魔導騎士「どうして……」

魔導騎士は団長の胸の中で崩れ、気を失ってしまった。

団長「あらら」

魔王「貴様も余に立てつく気か」

団長「こんなにお城滅茶苦茶にしてくれちゃってさ。ちょっと加減を覚えなさいよ」

魔剣『別に僕らだけでこんなにしたんじゃないもん!』

魔王「そうだ! 憶測だけで勝手な事言いおって」

魔王は団長へ殴りかかった!、が!

団長「君にはまだ用はないんだよ。だから〜」

団長「どっか飛んでってー!」

魔王「むッ…!」

団長を中心に波動が発せられ、魔王は窓から外へ吹っ飛ばされてしまった!

魔王「うぎゃー!?」ぴゅー

魔剣『なに今の! 詠唱もなしで魔法〜〜〜!?』

団長「ふふん、違う違う。今のはただの奇跡。魔物がけして扱えっこないねぇ」



<キサマオボエテイロヨー!
374 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 16:12:19.93 ID:TJRJ/Fio0
今日は時間もあるし続き書けたらまた後で投下しにくる、かも

>>343
魔導騎士は女の子のつもりで書きました



設定忘れるなんて初歩的なミスを俺がするわけないじゃないか。やだなー!
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 17:13:41.71 ID:rJ3BAn3n0
おつおつ待ってる
女勇者ちゃんすごーい!
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 19:10:26.84 ID:nEuiM7wIO
>>374
ですよねーwwww
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/20(月) 23:27:06.82 ID:4RtSvtfLo
378 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 23:47:25.65 ID:TJRJ/Fio0
ビュンッと頬をかすめて横を通った槍は壁へ突き刺さった!

僧侶「!」

竜騎士「……」

僧侶(唯一の武器を投げてくるなんて何を)

僧侶「外しましたよ!」

竜騎士「」いらっ

竜騎士「外した? No」

竜騎士「ワザと外したッッッ」

僧侶「えっ―――――」

突如として起きた爆風と肌を焼く熱。

僧侶は何が起きたかを理解する事なく、その体を宙へ飛ばされてしまった!

僧侶「が…!?」

竜騎士「オレのランスってばちょっとワンダフルなマジックランスネ!」

竜騎士はその手をぱぁっと光らせるとふたたび槍を手にしていた。

続けざまに槍を投げ放とうとするが、横たわって体を痙攣させる僧侶を見るとその行動を止め、近づいてくる。
379 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 23:48:39.09 ID:TJRJ/Fio0
僧侶(逃げなきゃ、逃げなきゃいけないのに。立てない…!)

竜騎士「オニゴッコここまで。アーンドYou Dead!」

動く事ができない僧侶へ竜騎士の足が乗せられた。

僧侶「あ、ぐっ」

竜騎士「…可愛い顔してイラつかせやがって」

竜騎士「ビィィィッチ!!! 可愛い可愛いキュートなビィーッチ」

竜騎士「ゴートゥヘル!」

僧侶「〜〜〜〜〜……」

竜騎士「アハーン…?」

僧侶は風の呪文を唱えた!

風の刃は2人の頭上にある照明を破壊する! 大小様々なサイズのガラスの破片が降り注ぐ!

竜騎士「むむっ」

竜騎士は咄嗟に僧侶から足を離し、後ろへ下がった!

破片は僧侶のみへ!

僧侶「あっ!」

竜騎士「バカなビッチ。あんなモノ避けること大した事でもないのに」


ドスドスドスッ
380 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 23:50:00.22 ID:TJRJ/Fio0
竜騎士「……ホワァイ? 何故?」

竜騎士(何故あそこからビッチの姿が消えている!?)

竜騎士「そんなバカな。確かにここに」

盗賊の攻撃!

竜騎士「ハッ!?」

竜騎士は攻撃を受け止めた!

盗賊「バカで無謀なのは俺も同じだったようだぜ……だが」

盗賊「女傷つける奴を野放しにはゴルアアアァァァァァァ!!!」ぷっつん

盗賊の攻撃! 攻撃!

怒涛のラッシュに竜騎士は防戦一方だ!

竜騎士「この男いつのまに!」

盗賊「」

竜騎士「シャオウッッッーーー!!」

盗賊「ぐふぅっ!?」

竜騎士「テメェのブラッド何色ネーッ!」

ぶしゅうぅぅ〜・・・

盗賊「がっ…………」

盗賊(やはり、無謀か)

竜騎士「束になってかかってこようが、俺は倒せんぜ…」

僧侶「はたして、どうでしょうかっーーー!」

僧侶の飾壺アタック! 壺は竜騎士の頭目掛けてがつんっとヒットする!

竜騎士「デジャブッッッ」
381 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 23:50:49.94 ID:TJRJ/Fio0
竜騎士「」ふらふら

盗賊「僧侶お前…何無理して…」

僧侶「無理をしたのはお互い様でしょう…さぁ、今のうちに」

僧侶は盗賊の肩を担ぐと竜騎士から距離を取る様に逃げ出した。

盗賊「もう動けるのか」

僧侶「盗賊さんが先程くれた薬草のおかげです。かろうじては」

僧侶「それよりも今がチャンスです。ここまで敵を離す事ができれば女勇者さんを探しだして何処かへ」

盗賊「あ、ああ…」

盗賊(何このたくましさ。惚れる)


『ファッキン、ベリーベリーファッッッキンガッ!!! アアアァーーーー!!!』


僧侶「……ゆっくりしているわけにもいかないようですね」

盗賊「このままの早さで移動していれば確実に奴に追いつかれるぜ」

盗賊「ここは1つ隠れてやり過ごしてから」

僧侶「盗賊さん」

盗賊「…な、何だ?」

僧侶「ここって何階でしょうか。3階?」

盗賊「たぶん…それが」

僧侶「あの人なら、ここから丁度下へ落とせば殺す事もなく再起不能程度にはできますよね……」

盗賊「やる気か…? マジでか…!?」

僧侶「はい」
382 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 23:51:49.18 ID:TJRJ/Fio0
竜騎士「クソクソクソ、マジファッキン! ワイのワイバーンチャンは何してる!?」

竜騎士「あんな娘っ子1人にタイムかかりすぎ! バカタレッ」

竜騎士「こっちはこっちでメンドーなのがイラッシャルし…!」

僧侶「それは私のことでしょうか」

竜騎士「……あーあーあー。そうだよ、その通りだよ」

竜騎士「律儀にこんなトコでウェイトしてたとはバカなビッチ」

僧侶「……」

竜騎士「いやいや、グッドガール。いい子だからそこでジッとしてるOK?」

僧侶「ノーですっ!」だっ

僧侶は逃げ出した!

竜騎士「やっぱりバッドガァールッッッ!! ベリィバァァッド!!」

竜騎士は僧侶を追いかけた!

竜騎士「これ以上俺に余計な手間を掛けさせるなよ!」

僧侶「知ったこっちゃないです!」

僧侶(っ、やっぱりまだ傷の治りが…体が軋む…!)

僧侶(でも甘えていられないわ!)

たったったった・・・
383 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 23:52:57.79 ID:TJRJ/Fio0
一方盗賊は


盗賊「僧侶が心配すぎる……!」

盗賊「いくら俺よりもダメージが少ないとはいえ、あの状態で囮役は引き受けさせるべきではなかったぜ…」





僧侶「いいですか、盗賊さんはここ。敵を落とすポイントから直線状の位置にあるこの部屋の入り口で隠れて待機」

盗賊「ま、待て!」

僧侶「待ちません。盗賊さんはただでさえ消耗しているんです。下手に敵を引きつけさせる様なマネはさせられません
よ」

盗賊「だからってお前がそんな…」

僧侶「私はまだ動けます。多少なら無茶も利けますし」

僧侶「チャンスは一度。私たちの魂胆に気づかれてしまえば敵も慎重になってしまいます」

僧侶「それに今度こそ対峙してどうにかできるとは思えません……」

盗賊「だろうな」

盗賊「くくっ、ようはミスしなければいい話だぜ。俺はつまらんヘマは起こさん」

僧侶「ええ、盗賊さんですもんね。私、信頼していますから!」

盗賊「おぅふっ……!」

僧侶「盗賊さん?」

盗賊「さ、さっさと行け…! 間に合わなくなっても知らんぜ!」

僧侶「はっ、はい!! では……」





盗賊「もっと言い方ってもんがあったろ俺ーッ!」
384 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 23:53:42.03 ID:TJRJ/Fio0
竜騎士「スタァァァップ!!」

僧侶「また…!?」

竜騎士の手から槍が投げられる。

僧侶はとっさに壁へ飛び付くと槍を回避し、先の突き当たりの壁で槍が爆発した!

僧侶(このまま逃げる最中にあの爆発する槍を一々投げられていては、回避のせいで敵に距離をつめられてしまう……)

竜騎士「ふんッ」

竜騎士の攻撃!

僧侶「あうっ!」ドテ

竜騎士「いつまでも逃げられるオモテル?」

僧侶「くっ……」

僧侶(何か、何かしなきゃ。相手をどうにかして牽制させられるような!)

竜騎士「また姑息な手段を働くつもりか?」

僧侶「! 言っている意味が」

竜騎士「理解してんだろォーーー!? Youのせいでオレのヘッドがガッチガチだよ!?」

竜騎士「同じアイにあわせてやる…」

竜騎士は手にした槍で僧侶を殴った!

僧侶「!?」

竜騎士「ワンモアセッ! オレのペインをその身に刻ムッ!」

殴った!

僧侶「ああぁっ!!」
385 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 23:55:27.20 ID:TJRJ/Fio0
僧侶「あっ…つ……」

竜騎士「低レベルの弱者めが。格が違うネ」

僧侶「弱者を、いたぶって楽しいですか」

竜騎士「この場合ソレは関係ナイ! オレに立てついたギルティヨ」

竜騎士「…そろそろ死ぬか?」

僧侶「嫌です」

僧侶(早く盗賊さんの元へ向かわなきゃ)

僧侶「……これからある魔法を唱えます」

竜騎士「アーン?」

僧侶「爆発の呪文です。このままあなたが私を拘束するというのなら、唱えますから」

竜騎士「ハァン、そんなの詠唱の前にYouのブレスをストップさせてしまえば」

僧侶「甘いですね…私はその魔法だけはほぼ一言唱えるだけで発動させられるのですよ…」

竜騎士「……戯言を」

僧侶「そう思うのはあなたの勝手。唱えちゃいますよ」

竜騎士「……」

竜騎士は僧侶から離れた。

僧侶「まだ。もっと離れてください。そう、もっと。あと2m程…」

竜騎士「いい加減に」

僧侶「慎重すぎるのも問題ですね」

僧侶は逃げた!

竜騎士「ああぁっ!? ビィーーーーーーーッチ!! 嘘吐きはビッチのスタートだコラッ!!」

僧侶「べーっ 騙されたあなたが悪いんですー!」
386 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 23:56:41.18 ID:TJRJ/Fio0
ドーン、ドカァーン


盗賊「何だあの爆発音……」

僧侶「盗賊さん盗賊さん盗賊さぁーんっ!」たたたっ

竜騎士「ダァーッ!」

盗賊「!」

僧侶「今です!」

竜騎士「あ!?」

盗賊「了解。へへ、いいタイミングだぜ…」

盗賊は竜騎士が窓の前を通ると同時、その場へ飛び出てタックルをぶち噛ました!


竜騎士「ホワッツアオォッー!?」

盗賊「うおおおおぉぉぉぉーーーっっっ!!」


竜騎士は突然の衝撃に体を支えることもできず、そのまま窓へ押されて外へ放り出された!


ガシャーンッ


僧侶「やった…!?」

盗賊「おいその台詞はよ―――」


『キィ〜〜〜ルユ〜〜〜……ベイベー……』


なんと! 竜騎士は槍を外壁に突き刺して落下を防いでいた!

僧侶「……そんな」
387 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/20(月) 23:59:25.22 ID:TJRJ/Fio0
盗賊「僧侶! 一応時間稼ぎは成功したんだ、すぐにこの場から」


『待てよォ……』


盗賊・僧侶「」ビクッ

竜騎士『貴様らそこで大人しく待っていろよ…』

竜騎士『ぶっ殺してやらァアアアア!!!』

僧侶「あ…あ…」

盗賊(う、迂闊に動けん……)


『貴様覚えていろよー!』ひゅー・・・


竜騎士「あァ!?」


どんっ、どすん


魔剣『勇者ちゃん! 大丈夫〜!?』

魔王「うむ、どうやら下にクッションが敷いてあったようだ」

竜騎士「」

落下を耐えていた竜騎士は上から降ってきた魔王に押し潰されてしまった!

盗賊「アイツ……」

僧侶「ゆ、勇者様?」
388 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/21(火) 00:02:24.67 ID:aauAWAim0
以上ここまでです。バイオやってたら遅くなっちゃったてへ
続きは火曜いけるかと思うけど、ダメなら水曜に
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/21(火) 00:37:15.52 ID:IzvtOASQ0
きてたー!
何気に僧侶が初めて活躍してたwww
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/21(火) 00:55:59.40 ID:ev3UywBDO
391 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 02:57:47.72 ID:iVLsR8vg0
女勇者「ん……」

女勇者「私、何が…」

女戦士「気がついたか」

女勇者「おわぁ!?」

女勇者「……痴女さん?」

女戦士「いきなりしつれいだな」

女勇者「ていうか、先に逃げたんじゃ」

女勇者「もしかして逃げそびれちゃいましたか?」

女戦士「さぁな。ともかく、すぐにこの街を立ち去るんだ」

女戦士「今なら逃げられる」

女勇者「ま、待って…体中がズキズキしてまだ立てない…」

女戦士「ふむ」

女戦士は女勇者をおぶった。

女勇者「おわわっ!」

女戦士「耳の傍で大きな声を出さないでほしい。行くぞ」

女勇者「行くぞって。どうして助けてくれるの?」

女戦士「答える義務はないよ」
392 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 02:58:22.72 ID:iVLsR8vg0
僧侶「勇者さまぁ〜〜〜〜〜〜!」

魔王「あァん?」

魔剣『見てみてあそこー。盗賊ちゃんと僧侶ちゃん〜』

魔王「あやつらなぜこんな所で」

僧侶「勇者様無事だったのですね。よかった…」

盗賊「経緯はどうあれ合流はできたし、敵は仕留められたな」

盗賊「癪だが。アイツの力ならここの壁に穴を開けて脱出ぐらいは可能だろ…」

盗賊「おい! 今から僧侶とそっちに向かう! 動かずに待ってろよ」

魔王「あァ〜〜〜〜〜?」

魔王「盗賊のゴミめ。余に指図を…」

僧侶「盗賊さん。向こうから声が聞こえます…」

盗賊「何?」


「…………まだ偽勇者が…」「…どこにー…………」


盗賊「…いい加減しつこいぜ。おい、これはのんびりしてられねぇ」

僧侶「ええ。急ぎましょう」
393 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 02:58:53.09 ID:iVLsR8vg0
魔剣『勇者ちゃん。ここで待っててーだって』

魔王「そう申されると待ちたくないである」

魔剣『でもでもこれ以上ウロウロしてるとみんなとはぐれちゃうの〜』

魔剣『もうここにいる必要もないんだから。みんなで逃げちゃおう!』

魔王「一理ある。これ以上この城で暴れると悪い意味で目立ってしまうからなァ…」

魔剣『ねー』

魔剣『そういやー』

魔王「あ?」

魔剣『女勇者ちゃんだけあそこにいなかったよ。迷子?』

魔王「あやつ役に立たんし鬱陶しいだけだからこの際ここに置いて行くか」

魔剣『でもでも、勇者ちゃんが女勇者ちゃん連れてきちゃったんだからねー!』

魔剣『責任取らないと!』

魔王「黙れ折るぞ!!」

魔王「…あやつを仲間に引き入れたのは余の最大のミスであった」

魔王「これ以上ただの荷物となるのなら殺して……殺す…?」

魔剣『どったのどったの!』

魔王「いや、そういえばあやつを殺せと頼みを受けていたような…?」

魔剣『そうだけど。でも面倒だから別にいい事にしちゃったじゃん〜』

魔王「ふむ……」

魔王「やっぱり面倒ではなくなったな。殺すとしよう」
394 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 02:59:25.43 ID:iVLsR8vg0
女戦士「……」

女勇者「あ〜、えっとー」

女戦士「何だ」

女勇者「す、好きな食べ物とかは?」

女戦士「美味い物」

女勇者「そ、そう…」

女戦士「……」

女勇者(すっごい緊張する! これが無言の重圧!?)

女勇者「あのあのあの〜……あー…」

女戦士「さっきから何を頑張って話題振りしているんだ」

女勇者「…だって黙っておぶられてても嫌じゃないですかぁ」ムスー

女戦士「わからんな。君は妙なところでデリケートだ」

女勇者「そりゃー女子ですから!」

女戦士「そうだな」

女勇者「うん……」

「……」

女勇者(会話終わっちゃった)
395 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 03:00:34.03 ID:iVLsR8vg0
女勇者「向こうの方、騒がしいですね?」

女戦士「奴が暴れまわったおかげでな」

女勇者「奴って…勇者さん?」

女戦士「」

女勇者「えっ、何でそこで無視するの!?」

女戦士「こちらの道は避けよう。鉢合わせする可能性がある」

すたすたすた・・・

女勇者「痴女さんって一体何してる人なんですか」

女戦士「先の会話でまずそちらを優先して聞くのが普通ではないのか」

女勇者「えぇ?」

女戦士「好物を聞いたりとかではなく…」

女戦士「……私は通りすがりのただの戦士。何をしているわけでもないよ」

女勇者「冒険者?」

女戦士「まぁ」

女勇者「じゃあそんな人がどうして勇者さんと知り合い?」

女戦士「君は根掘り葉掘り聞いてくるな」
396 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 03:01:13.12 ID:iVLsR8vg0
たたたたっ

盗賊「ん」

盗賊「おい、僧侶」

僧侶「え!?」


女戦士・女勇者「」ワイワイワーイ


僧侶「女勇者さん!」

女勇者「あっ、ストップストップ! 止まってー!」

盗賊「お前、無事だったのか。てっきり死んだものかと思ってたぜ」

女勇者「失礼な!?」

僧侶「上手くあのワイバーンを撒く事ができたのですね」

女勇者「ところがどっこい! 私が倒しちゃった!」

僧侶「は!?」

女戦士「さて…」

女戦士は女勇者を下へ降ろした。

女勇者「行っちゃうんですか?」

女戦士「仲間と合流できたのならそれでいいだろう」

盗賊「アンタは?」

僧侶「この方が私たちを牢から逃してくれたのですよ。先程はありがとうございました」

女戦士「礼はいい。ではな」
397 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 03:01:41.09 ID:iVLsR8vg0
女勇者「行っちゃった…」

盗賊「あいつ何者だぜ?」

女勇者「痴女さん。ただの戦士の人だって」

盗賊「何言ってんだてめぇ…!?」

僧侶「女勇者さん。怪我してますね…〜〜〜〜〜」

僧侶は回復の呪文を唱えた!

女勇者「あ、立てる。ありがとうございます、僧侶さん!」

僧侶「いえいえ。結構なダメージがあったようですけど、本当にそれだとあのワイバーンを?」

女勇者「へへーっ」

盗賊「……詳しい話は後で聞く。今は勇者との合流が優先だぜ」

僧侶「ですね。行きましょう」
398 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 03:02:08.72 ID:iVLsR8vg0
兵士s「「「わーわーわー!!!」」」

魔剣『あーもぉー! 数多すぎなんですけどー!』

魔王「あやつら待たせ過ぎッ 先に余計な奴らが沸いて出てしまったではないか!」

魔王は次々と迫ってくる兵士を蹴散らしている!

兵士「俺の友を、よくもッーーー!」

魔王「余に近づいたのが悪いのだ」

女勇者「勇者さぁーーーんッ」

魔剣『みんな来たよ勇者ちゃん!』

魔王「遅いグズどもめッー!!」

僧侶「ごめんなさい、遅れてしまって…それよりこの兵の数は」

盗賊「てめぇどんだけ暴れてたんだ…」

魔王「喧しい〜」

女勇者「それよりここからどうやって!」
399 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 03:03:01.45 ID:iVLsR8vg0
魔剣『はいはーい。そこで僕の出番ですよー』

魔剣『3人は勇者ちゃんの後ろにちょっと隠れててね』

女勇者「え、何で」

盗賊「いいから来いっ…!」グイ

魔王「絶望ッ〜〜〜!!」

魔王は兵士たちへ魔剣を向けた!

兵士s「「「どっっっ…」」」

兵士たちは力なくその場で崩れてしまった!

女勇者「いま何を…?」

魔剣『僕も大したもんでしょ〜。だいぶコントロール効くようになりました!』

僧侶「確かに。今回は何も感じなかった…」

盗賊「勇者、今のうちにそこの壁を。脆くなっているからてめぇならすぐ壊せるぜ」

魔王「余に下働きさせるなよ!!」どかーん

魔剣『いっちょ上がり、だね!』

僧侶「さぁ、急いでこの街から離れましょう!」


魔王たちは王都を後にした・・・。
400 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 03:03:39.99 ID:iVLsR8vg0
兵士s「」

団長「……こりゃたまげたなぁ」

団長「一体何の仕業だってのよ。これは」

団長(この人数の兵士たちを殲滅? バカな)

団長「それにこいつら、揃って同じくたばり方してるじゃないか」

団長「ま、こっちは違うみたいだけど…」

竜騎士「」

団長「みんな揃って使えないねぇ……!」

団長「あっちにもじきに追っ手が向かうだろうけども。こっちはこっちで」

暗黒騎士「伯父上。俺をお呼びか」
401 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 03:04:11.91 ID:iVLsR8vg0
暗黒騎士「俺が離れている間に、この王都で何があった?」

団長「相変わらず早いねぇ」

暗黒騎士「俺の術を持ってすれば何処であろうと、すぐに伯父上の元へ」

団長「さて、そんな君を見込んで頼みがあるわけよ」

団長「こいつらを追ってちょ」

団長は暗黒騎士へ魔王たちの手配書を見せた。

暗黒騎士「偽勇者? 追って仕留めろと」

団長「いや、遠くから観察してくれるだけでいい。報告は随時に」

暗黒騎士「なぜ、目的は。これは偵察など俺の専門外……」

団長「黙って働けよ」

暗黒騎士「むぅ……」

暗黒騎士「あいわかった。伯父上の頼みとなれば断る道理もなし!」

団長「助かるよ。あっちゃん」

暗黒騎士「伯父上…/// た、直ちに任務へ移る――――」

暗黒騎士は魔王一行を追った。

団長「さてと、騎士3人の空いた穴はどう埋めようかね。教会のお世話になるにもアレだし…」
402 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 03:04:58.76 ID:iVLsR8vg0
魔界城・城下町 居酒屋『でーもん』


バイト「お客さん、お客さん」

3「ん……」

バイト「飲みすぎですよー。大丈夫ですか?」

3「だいじょーだいじょー…」

3「もっと飲ませれ」

バイト「やばいっスよ〜」

お隣「兄ちゃん黙って次の出してやんな」

お隣「そいつ仕事首になったんだと」

バイト「げっ、このご時世に自棄ですか」

3「うるへ〜」

バイト「でも可哀想に。この町じゃ職なしは生きてけないっス」

3「明日からがんばんだよー…」

お隣「おーおー。そうだよな、明日からな。頑張ろうな」

お隣「兄ちゃん摘まみ。枝豆あんだろ?」

バイト「へぇーい」
403 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 03:05:58.45 ID:iVLsR8vg0
3「アイツらさぁ、薄情なんだよー。なんだよアレぇ…」

3「キャラ薄い? 職場でもう顔会わせたくない?」

3「勝手通り越してバカじゃないの!!?」ドンッ

お隣「お、おい…」

3「今までの関係何だったんだよー! 俺は何なんだー!!」

お隣「その辺にしといた方が…」

小暮「静まれぇ」

3「あ!?」

小暮「吾輩のステージに群がった信者どもが貴様に迷惑しているのだ」

お隣「出た…閣下、すまねぇ! 俺が、俺が」

小暮「吾輩が話しかけているのはそこの男よ。貴様が出る幕ではないのだ」

お隣「か、閣下!」

バイト「あーっ、店長! お疲れ様ですーっ」

小暮「お疲れ様ぁ」

小暮「ともかく貴様よ。店内ではお静かに」

3「……チッ」

お隣「お前何舌打ちしてんだよ。蝋人形にされっぞ…!」
404 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 03:06:51.45 ID:iVLsR8vg0
小暮「何を憂いている? ふん、話を聞いてやろう」

3「……自分、もうやってける自信ないんすよ」

小暮「ほぅ。まぁ、飲め。吾輩の奢りである」トン

お隣「閣下からの奢りだと!? いいなァー」

小暮「人生の挫折は魔物を強く変える」

3「閣下にもそんな時があったと…?」

小暮「うむ。しかし吾輩はその壁を乗り越え、ぶち壊してきたのだ」

バイト「店長パネぇや……」

お隣「すげぇ、すげぇよ!!」

3「俺にもできるかな」

小暮「貴様の努力次第だァーッ」

3「あ、ああっ…!」

3(やるしかねぇ、やるしかねぇ!!)


3「」グビグビグビグビ


小暮「ほぅ?」

お隣「ば、ばかっ!? その酒は聖飢魔U! そんな一気に飲んだら死ぬぞ!」

3「……カァーッ!!」

3「ここで働かせてください!」

バイト「い、いきなりそういうのは困りますよ」

小暮「貴様如きがいい気になるなよッッッ」

3「あ、ダメか…」
405 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 03:07:58.05 ID:iVLsR8vg0
城下町(裏通り)


3「はぁぁ……」

3「俺はこの先本当にやっていけるのだろうか」よろよろ

どんっ

3「あ、すみませ」

魔物「おー兄ちゃんてめぇオラァー!!」

魔物s「へいへいへ〜〜〜いッ」どんどんっ

3「なんですか…やめてくれ…!」

魔物「こいつ魔物くせにいい装備で着飾りやがって。気に食わないな!」

「ンダラゴラー!」

3「別に俺の勝手だろぉ…」

兄貴「まぁ、お前ら待てよ」

兄貴「坊ちゃん魔物がこんな暗黒街に何の用だってんだ」

3「……住むところも追いだされたんだよ」

兄貴「は?」

魔物「兄貴兄貴、こいつゴチャゴチャって気持ち悪いぜ…ボコっちまおう」

魔物「身ぐるみ剥いじまおう!」

兄貴「勝手にしろよ」

荒くれ魔物たちは3へ襲いかかった!

3「……どいつもこいつも、俺を何だと思っている!」
406 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 03:09:52.98 ID:iVLsR8vg0
魔物s「――――……あ、兄貴ぃ」ボロボロ


魔物「やべぇ、やべぇよ。強すぎる…」

3「はぁ……」

兄貴「俺の弟たちに何しやがるんだよ!」

3「向かってきたのが悪い」

3「俺に近寄るなアァァァーーーーッ!!」

兄貴「な……なんて威圧感だ」

3「は、はははは…何が壁だ、何が越えるだよ…」

3「くだらねぇ〜……」

兄貴「アンタ…一体何者なんだぁ…?」

3「名乗る名前はもう持ち合わせちゃいねぇ。奪われちまった」

兄貴・魔物s「お、おおぉ……?」

3「復讐だァ」

兄貴・魔物s「」ビクッ

3「俺を捨てたアイツらに復讐してやる」

3「おい」

兄貴「な、何だ」

3「お前ら…俺についてこいよ……」

魔物s「!」

3「今日から、お前らの兄貴は俺だ。来い」すたすたすた

魔物s「「「う、う、うおおおおおぉぉぉーーー!」」」

弟者(元兄貴)「兄貴……惚れたぜ」

3「ふんっ」
407 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 03:13:26.22 ID:iVLsR8vg0
以上です。明日もこの時間ぐらいに投下しとく
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 03:25:22.46 ID:2uo9wrAIO


スゲぇぜ>>1
設定を忘れたと思っていたら急に出てきてビックリしたぜ!!
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 03:38:24.07 ID:RP7kIDXW0
おい閣下wwwwwwwwww
3さんが兄貴に・・・
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/22(水) 03:40:28.98 ID:/NqN/SbZo
3て、そういうことだったのか
何のことだかさっぱりだったわ
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 08:08:42.48 ID:a6WiStOGo
3...あぁあいつか
忘れてたぜ
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/22(水) 10:13:09.83 ID:0XazsYRN0
3?
え、なに??

鍋?
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 11:19:04.23 ID:dnJDKUnDO
さんさん…
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 15:09:48.18 ID:b62hWkVDO
3とか忘れてた
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 16:04:12.50 ID:DstEH8DIO
ここで3がくるのか…
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/22(水) 18:13:28.53 ID:sC8rNQvZo
デーモン?
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/22(水) 18:18:08.48 ID:oOTTjxK4o
「ω」じゃなくて「3」なんだよな
418 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:13:03.16 ID:iVLsR8vg0
数日後、そこには暗黒街のボスとして君臨する3の姿が。

「兄貴お疲れです!」「兄貴! 兄貴!」「兄貴万歳!」

3「おう…」

弟者「兄貴。何を見てるんスか?」

3「これか? 魔王城の全体マップ」

3「攻め落とす前にもう一度よく確認しておこうと思ってな」

3(城の構造は複雑だ。長年勤めていた俺でさえ道に迷いかねん)

弟者「さすが兄貴…最後の最後まで手を抜かねぇや…」

弟者「しかしマジでやるんですかい? 相手にするにしても敵があそこじゃ」

3「あ?」

弟者「そもそも魔王城落とすのって勇者の仕事っスよ……やばいっスよ…」

3「怖気ついているなら、とっとと俺の前から消えな…」

3「そんな臆病者をいつまでも弟分にしておく気はねぇ」

弟者「じょ、冗談! 俺はどこまでも兄貴の後ろをついていくっス!」

3「ふん…」

魔物「兄貴! 弟者さん! 俺ら、全員準備整いました」

魔物「いつでも落としに行けます!!」

弟者「い、いよいよなのか……震えるぜ…」

3「随分支度に時間がかかったな。まぁ、いい」

3「着いて来い野郎ども……!」すたすたすた


\ワッーーーーーー!!!/
419 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:18:13.17 ID:iVLsR8vg0
魔王城


4「何? 賊が城門前で群がってる?」

「そうなんです。それもガラが悪そうな魔物ばかりで…」

2「どうせ職無しのニートどもが権利獲得しようとデモ活動起こしてるんでしょ。何か適当な物あげて追っ払ってよ」

1「職無し、なんと情けのないクズどもか。我らはその様なクズを町に置いておく気はないぞ」

4「こんなとこになんか来ないでさっさと魔界ハローワークに行けって、なぁ?」

(正論だけど。ニートに厳しいな…)

「とにかく門番たちが対処は行っています。心配することはないかと」

4「じゃあ一々私たちに報告こなくていいって」もくもく〜

「あの…さっきからこの煙何ですか」

2「燻製作ってるですって。換気扇は回してるから安心なさい」

4「昨日ついついホームセンターで買ってきてしまって…前から欲しかったんだよ〜」

「あー、いいですね」

1「しかしこう待っているのもじれったくて仕方がない」

4「バカ! そこがいいんだろうに。バカだなぁ」

もくもく

(けむてェ……)

420 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:19:10.65 ID:iVLsR8vg0
2「でも黙ってコレ見てるのも暇だし、ゲームしましょうよ」

1「麻雀か」

2「それもいいけど。たまにはもっと違う感じの」

?『こんな感じのかぁ……』

2「は?」

3「オラぁーっ!!!」どんがらがっしゃーん

3は燻製機を壊してしまった!

4「あぁ〜〜〜〜っっっ!?」

3「良い御身分だな…人が苦労してる中、そんな悠長な事してられて…」

「あ、貴方様は――――!」

1「貴様何奴?」

2「ちょっと、いつの間に侵入者が…」

4「おろろーんッ〜〜〜!!」しくしく

3「……覚悟しろ。俺はお前たちを1人残らず倒す!」

3「そして、俺が魔王となる……ふふっ」

1「貴様何を勝手な事をベラベラと。名を名乗らんか」

「えっ、マジですか…?」

2「面倒なのは私らによこすなってのに。下っ端なんとかしなさいよ!」

「いやいや無理ですってー!?」

4「ぐすんっ…」
421 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:19:52.50 ID:iVLsR8vg0
「3さま。何故そのような……いえ、気持ちはわからなくもないですけど」

2「はぁ? 誰よそれ」

「1さまも2さまも先程から本気で仰られているのですか!?」

1「こいつ誰だ…?」

4「しらないよぉ〜〜〜! あーんっ」

(そうか、あの時言っていた脳内から記憶を消すってマジ発言だったのか…)

「ですけどこれはあんまりです。さ、3さま。そう血気盛んにならずにここはお茶でも」

3「ガァーーーッ!」

3の攻撃! 下っ端は肉塊へと変わってしまった。

3「……俺は本気だぜ」

2「なんて惨い事を。あんた、最っ低」

1「大人気ないな」

3「さっきからお前らはふざけているのか! そんな事でこの俺を油断させられるとでも!」


4「お前、キャラ変わり過ぎなんだよ」


3「!?」

いつのまにか、3の背後に4が立っていた。
422 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:20:27.70 ID:iVLsR8vg0
4「一歩でも動いてみろ。ボンッ!だぜ…」

3「ぐっ……」

3(こいつら、やはり腐っても三魔官)

2「あ、思い出したー」

2「欠番よ。こいつ」

1「何? 今さら我らに用があるというのか」

3「耳の穴が詰まってでもいるのかよ、貴様……」

4「やはりお前は完全に抹消するべきだった。少しでも哀れみをかけた自分が情けない」

1「選べ…貴様の死に様を…。数十パターン、貴様のお好みでどれでも選び放題…」

3「何があろうが勘弁だね。それより死ぬのは貴様らの方だァー!」

3の攻撃!しかし、三魔官たちによって抑えつけられる!

3「離せーっ! 3人がかりとか卑怯だぞー!」ギュウギュウ

2「だって私ら三魔官だしね」

4「お前そのキャラどうしたっていうんだ。以前のクールな感じは」

3「作ってたんだよちくしょー!!」

1「情けのない奴め。だから貴様は三魔官にはなれんのだ」

3「ぐっ……」

2「ちょっとばかしお仕置きが必要なようね。私たちに逆らった罪は大きいわ」

4「おい、モニターを出せ」

天井の一部が開くと、そこから大きな液晶が下りてきた。
423 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:21:12.64 ID:iVLsR8vg0
3「うわああぁ、何を始める気だ!?」

1「まぁ、黙って画面を見ているがよい」

液晶に城門前の映像が映し出された!

3が引きつれてきた魔物たちが暴れているようだ。

2「アレ。アンタが連れてきたんでしょ」

3「……ただの囮だ。それが何だという」

2「じゃじゃーん」

2は懐からスイッチを取り出した。

3「それは…」

4「このスイッチをポチっと押すと、お前の仲間は楽しい事になる」

4「期待していてくれよ」

3「……嫌な予感しかしないが」

3「くだらんマネは止せ。アイツらは俺の復讐とは無関係だ」

1「貴様の侵入を手伝ったのだ。無関係とは言えまい」

4「それに。そう言い張るという事は別にどうなってしまっても構わんのだろう?」

3「…ふ、ふんっ」

2「余計な意地張っちゃって」

2「じゃ、押すわよ」

3「やめろォー!!」
424 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:22:25.10 ID:iVLsR8vg0
3「アイツらは俺の大切な弟たち……! 傷つけるのなら俺1人で十分だろう!」

2「ポチっとな」ポチ


3「ばっ――――」


2「ウソウソ〜。冗談よ、これは偽物。ちょっとしたジョークよ」

3「……貴様ぁ」

4「ポチっと」ポチ

4がスイッチを押すと、液晶に映った魔物たちが木っ端微塵に破裂して吹き飛んでしまった!

3「う、うわああああああああぁぁぁぁぁぁーーーー!!?」

1「大変な惨状だ。おい、城の外観に傷がついてしまう。掃除を急がせろ」

4「言われんでもだよ」

3「なぜ! なぜだ!? アイツらはぁ〜〜〜……!」





魔物s「兄貴! 兄貴!」

弟者「兄貴はやっぱすげぇや。俺たちにできない事をやってのけちまう…!」

魔物s「兄貴スゲェー!!」

弟者「俺はどこまでも兄貴の後ろをついていくっス」

魔物s「兄貴〜!」





3「あああああああぁぁぁぁぁ〜〜〜〜ッ!!!」

3の叫びは虚しく、弟たちは全滅してしまった。
425 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:23:07.73 ID:iVLsR8vg0
魔王城前


3「っ!」どさ

門番「さぁ、帰った帰った。今回は三魔官様も許して下さったが次はないと思えよ」

3「待て……うぐ…」

3「痛ぇ……」ぼろぼろ

3(か、完全敗北。それに失った物も大き過ぎる)

3「全て俺が悪いんだ…俺が三魔官どもを見くびっていたから…!」

3「ちくしょう…ちくしょ……ううぅっ!!」

3「…思えば短い付き合いだった。だのにお前たちはよく俺に尽くしてくれたな」

3「ああ! 悪かった、弟たちよ。俺が不甲斐無いばかりに。せめて弔いぐらいは…」

3「……」とぼとぼ


寂しげな3の背を魔界の雨が打つ。


3(これは、これはアイツらの涙か――――)

3「もう俺に光が差す事はないのか…真っ暗闇の道しか先に見えねぇ…」ボソ

3「だが覚えていろよ。俺は決して諦めないぜ…いつかぶち壊してやる…」ボソ

3「」よろよろ

3は暗黒街へ姿を消した。
426 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:23:52.85 ID:iVLsR8vg0
魔法の町


戦士「ははー…すげぇや。どこ見ても魔法魔法」

戦士「魔法アレルギーには堪らん町だね」

武闘家「アンタが来たかったところってここ?」

戦士「そう」

武闘家「何よ、今さら魔法でも学ぼうっての。バカなおっさんには無理よー」

戦士「またおっさん言った! この!」グリグリ

武闘家「あだだだだっ!?」

戦士「別に魔法を学びに来たわけじゃないって。ちょっと調べもんがあってな」

武闘家「はぁ…?」

武闘家「またつまらなそうな。私は興味ない!」

戦士「お前になくたって俺にはあるだろ〜。おかしな事言うな」

戦士「別に無理して付き合う必要はないぜ。武闘家はその辺で遊んでてもいいし」

武闘家「また子ども扱いする…! いいっ、やる事もないから着いて行ってやるわよ。感謝しなさい!」

戦士「はいはい」
427 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:24:34.32 ID:iVLsR8vg0
ワイワイガヤガヤ

武闘家「行く人行く人が魔法使いばっかり…」

戦士「そりゃ魔法の町って名前がついてるぐらいなんだし」

戦士「ここは初めて魔法が生まれた場所でもあるんだ。結構歴史深いんだぜ」

武闘家「そんなの知ってるし!」

戦士「物知りですねー」

戦士「ほら、そんなウロウロしてたら人にぶつかるぞ」

武闘家「保護者ヅラするのはやめてってば」

戦士「…そういや、お前両親は? あ、聞いたらヤバい系か!? 地雷踏んだ!?」

武闘家「別にー。お母さんは私が生まれる前に死んじゃって、お父さんは生きてるわ」

武闘家「だから気使われる程のことでもない」

戦士「そ、そう…」

武闘家「なに湿気たツラしてんのよ? 気にするなって言ったんだからそうしてよね」

戦士「努力するわ」

武闘家「おっさんの両親は? せっかくだし聞いといてあげる」

戦士「ついでかよ」

戦士「俺には姉しかいない。ていうか姉が親代わり」

武闘家「姉兼母親って感じ?」

戦士「母であり、父でもあった」

戦士「俺の自慢の姉だよ。どこ探したってあんな人いないね!」

武闘家「ふーん」
428 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:25:15.86 ID:iVLsR8vg0
魔法図書館


戦士「……」

武闘家「ねー、本なんて読んで楽しいー?」パタパタ

戦士「楽しいわけないっつーの。仕方がなくだ」

戦士「あっちに絵本があるからそれ読んで待ってなさい」

武闘家「嫌よそんなの! 退屈だなぁ」

戦士「…だからその辺で遊んでろって言ったのに」

戦士(アンデッドに関して記述されている物は数少ないな)

戦士(それにどれも正確な情報とは言えたもんじゃ)

戦士「ん?」

武闘家「何? もう終わり? 帰る?」

戦士「いや、少し邪魔するなよ…」

戦士は棚から本を2、3冊取ると机に向かった。

武闘家「その本。宗教の」

戦士「……」

戦士「同じだ」

武闘家「え?」

戦士「ここに書かれているアンデッドとあの偽勇者たちの特徴! そっくりなんだよ!」
429 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:26:09.74 ID:iVLsR8vg0
戦士「肝心な事が書かれていない……! 惜しいぞっ」

武闘家「ネクロマンサー?」

戦士「ああ、死霊を扱う魔術師らしい。こいつが使う術が…」

戦士「お子様はあっち行ってなさい!」

武闘家「何よいきなりーっ!?」

戦士「こういうのは刺激が強すぎるから。お前にはまだ早いの」

戦士「だーっ……魔法の町ならこの手の専門家いるかー!?」

武闘家「ん」

戦士「は?」

武闘家「たぶんこれ。この本に詳しく書いてあると思う」

戦士「思ってって。お前何で」

武闘家「ネクロマンサーって聞いた事あるのよ。お父さんの部屋にもこの手の本があったから」

武闘家「死者を操る術は魔法を離れた何か。奇跡に等しい」

戦士「親父さんの言葉か?」

武闘家「そう。お父さんは、人が扱える奇跡の術ってのにすんごく関心持ってたわ」

戦士「奇跡ってのは……使える物か?」

武闘家「どういう意味?」

戦士「使うじゃなく、起こす物じゃないかと思って。…まぁ、それはいい」

戦士「ともかく、これに書いてあるというのなら」ペラ
430 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:26:44.98 ID:iVLsR8vg0
戦士「……」

武闘家「どう? 何かわかったの?」

戦士「難しすぎてよくわからん」

武闘家「バカが本なんて読むからよ〜」

戦士「うるさいなぁ……しかし」

戦士「何個かわかった事がある。次行くぞ」

武闘家「え、次って何よ!」

戦士「次は次ー。行動あるのみよ」

武闘家「勝手なおっさん……。ねぇ、どうしてそんな悪趣味なの調べてたわけ?」

戦士「降りかかる火の粉を払う為と言ったところか」

武闘家「……?」

戦士「せっかく貰った休暇だぜ。有意義に使おうってこった」

武闘家「ますますわかんないっての!」

戦士「わかんなくて結構だー」
431 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:27:29.88 ID:iVLsR8vg0
教会


神父「へぇ? 聖水ですか?」

戦士「ああ、そういう神聖なアイテムはアンタら辺りに当たるべきかと思って」

神父「勿論存じてはおりますが。聖水とは儀式で扱う様なものでして」

戦士「んなの知っとるってば!」

戦士「聖水は穢れを祓う……そうだろ?」

神父「はい。人の不浄な心を清め〜」

戦士「それだけじゃない筈だ。死者を清める」

武闘家「さっきから回りくどいわね。何が言いたいわけ?」

戦士「死者を退治できる代物だよな、聖水は」

神父「は?」

神父「あの、退治とは…」

戦士「ある敵を討つ為にそれが必要となった」

戦士「良かったら俺に分けて欲しい」

神父「いえ、例えどのような理由があろうとさすがに部外者の方へ聖水をお渡しするわけには…」

神父「それに我々神父はこの聖水の力を持って、死者を蘇らせるのです。それをそう簡単に」

戦士(死者を蘇らせる…)

戦士「わかった。ありがとう」

戦士は教会を後にした。

武闘家「も、もう行くの!? ちょっとー!」たたたっ
432 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:28:14.51 ID:iVLsR8vg0
武闘家「も、もう! さっきから変なおっさんー!」

戦士「悪い悪い。もう少しだ、もうちょい付き合えって」

武闘家「……仕方がなくだからね」

戦士「後で美味いもん食わせるからなぁ」ナデナデ

武闘家「だからそういう扱いが!」

戦士「聖水は諦めるべきか…それともまだ粘るべきか…」

戦士「まいったな。こりゃ〜…」

武闘家「1人でブツブツって意味わかんない」

武闘家「ん?」

武闘家は何かに気がつくと教会の隅にある花壇へ向かった。

戦士「え、あっ! おい、急に…」

武闘家「どうしてそんな所で泣いてるの?」

戦士「は?」
433 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:28:46.91 ID:iVLsR8vg0
武闘家「ちょっと何か言ってくれてもいいじゃない。アンタ変よ」

戦士「いやいや、お前が変だよ…」

戦士「さっきから何1人で喋ってるんだ。誰かそこにいるのかよ?」

武闘家「誰かって…いるじゃない? ほら、そこの花壇に座ってる」

戦士「……?」

武闘家「アンタ頭おかしくなったわけ?」

戦士「俺にはお前が異常に見えるぞ!」

武闘家「うっさいわねー! もうあっち行っててよ」

戦士「はぁ? 何だよ…」

武闘家「お願いだから泣き止んでよ〜…。アメちゃんあげるから。ね?」

戦士(本気であの子が心配になってきたぞ。一体何と会話してるんだ!?)

パッ

武闘家「とっても甘いでしょ。私のお気に入りなんだからよく味わって食べなさい!」

戦士「飴が消えたぁー!?」

武闘家「もうっ、うるさいんですけど!」

戦士「だだだだ、だって! お前! 飴ぇ!」

武闘家「無視決定…………え、困ってるって。何がよ?」

武闘家「友達が? へぇ」

戦士「」ゾゾゾ…
434 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:29:29.72 ID:iVLsR8vg0
武闘家「別に私には関係ないし」

武闘家「ってまた泣くー! もう一々泣くの止めてよ! こっちが困るんだからね」

戦士「お、おーい」

武闘家「……仕方がないわ。少しだけ付き合ってあげる」

武闘家「大丈夫よ、任せなさいって。私ちょー強いんだから!」

武闘家「あ、そっちのおっさん? こっちは微妙」

武闘家「見てわかる? やっぱりそうよね」

戦士「よくわからんところで俺が貶されている…」

武闘家「ま、1人でも多い方がいいか」チラ

戦士「うおっ!?」

武闘家「おっさん。散々アンタの用事に付き合ってやったんだから今度は私の用事に付き合いなさい」

戦士「う、うん……」

武闘家「こっちだって。ほら、ボサっとしてたら置いてくよ?」

戦士「待て待て…置いて行くなよ…」

戦士は武闘家に引っ張られ、見えない何かの後を追った。
435 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/22(水) 23:34:07.25 ID:iVLsR8vg0
ここまでー。1とか2とかわけわかんねぇ。名前募集しようか
今日はおまけに女勇者のステータスと装備を



女勇者 歳:17

魔王打倒を夢見て魔王と共に旅する元気な本物勇者ちゃん

由緒正しく勇者の血を引く勇者の末裔の1人。父親は既に死亡したらしい。
勇者としての使命を達成するため1人旅をしてきたが、途中で魔王たちに拾われた。
仲間を酒場で作れる事を知らなかったりするところを見ると少し天然属性寄り。
伝説の剣と鎧を身に付けているにも関わらず、戦闘に関しては初心者丸出しである。
好きな物は食べる事、ゆるゆるガールズトーク。嫌いな物は食べ物を粗末にする人。

黒髪短髪のさっぱりヘアー。見た目からして元気な女の子です。
健康的なおみ足は黒のタイツで脚線美をそつなくキープ。
胸は僧侶が嫉妬してしまうほどに成長期の娘にしては大きめみたい。推定カップはC?

武器:(現時点でなし)
防具:勇者の鎧
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/23(木) 00:57:35.28 ID:zFqAM5n4o
武闘家がまじでうざい
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 01:31:27.65 ID:Qch1NQMX0
3さんは3さんでいいと思います
だいぶやさぐれてきたな…
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 01:32:53.30 ID:O1Lz6eVIO
産まれる前に母親死んじゃってたらどーやって武闘家ちゃんは産まれてきたんだろう?
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/23(木) 01:34:28.97 ID:8s+Uu/N9o
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 04:15:51.60 ID:+DWX4u/IO
>>438
今まで見てきた中で一番すごい伏線だ
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 07:58:17.45 ID:lKDrTqVDO
>>438!!
442 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/23(木) 10:30:07.24 ID:LlS6wWb50
>>438
・・・(゚Д゚)
ど、どうやって生まれたんだ?
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 11:40:39.25 ID:AePK7GaIO
産む直前に死んで帝王切開or代理出産
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 12:03:02.88 ID:LlQt6Eo/o
体外受精か…
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/23(木) 12:11:31.79 ID:zFqAM5n4o
産まれる前に死ねるのはお父さん
母親は産んですぐ死んだじゃないとおかしいね
>>442的に複線じゃなくて素で間違えたっぽいなwwww
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/02/23(木) 12:22:00.54 ID:vkiQAAlho
>>427
447 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/23(木) 12:50:00.95 ID:LlS6wWb50
無理に悲壮な設定作ろうとするからこんなミス起こすんだよバカたれめ。ごめんなさい
本編でなんとかしてみせる


ついでに1、2、3、4の名前を募集。>>448->>502 の間であなたの好きな名前をつけてあげてね☆
別になければそのまま数字で通すね
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/02/23(木) 13:20:20.29 ID:Pz7enVlto
じゃあ1は>>1
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/02/23(木) 13:39:21.39 ID:2KlG2KVGo
はかばのきたろうみたいにぼちからはいだしてもいいのよ?
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 14:29:03.12 ID:AePK7GaIO
太郎、次郎、三郎、四郎
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/02/23(木) 16:05:12.50 ID:vkiQAAlho
ボロンゴ プックル チロル ゲレゲレ
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/02/23(木) 16:40:51.62 ID:4eV7qbdZo
ジャック、マイケル、ジョン、コニー
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/23(木) 17:33:42.57 ID:5Dq8CM6Wo
数字そのままか>>450が混乱がなくて良いと思う
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/02/23(木) 17:38:38.47 ID:4YuhJN1Ao
ペイジ、ジョーンズ、プラント、ボーンナム
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 18:17:53.62 ID:lKDrTqVDO
俺も>>453だと思う
わかりづらくなるというか
まぁ>>1 の好きでいいんだけど
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/02/23(木) 18:18:21.68 ID:6fiAJnllo
数字でよかと
457 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/23(木) 21:34:52.38 ID:LlS6wWb50
俺は何を思って>>502までとか書いたんだ。なげーよ

数字の方がいいという意見もあった事だし、せっかく募集したけど名前はそのままにしておきますね。ごめんなさい
個人的には>>451がありとか思ったがそれだと全員キラーパンサーちゃんになっちゃうわ
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/24(金) 07:38:12.24 ID:MYhAQFjIO
>>502まだー?
もとい、続きがいつも楽しみ!
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/24(金) 09:28:12.25 ID:NJ6HxAPY0
続きはよー!
460 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/24(金) 14:58:28.15 ID:ZKZOFJYA0



戦士「おいおい、ここどこだよぉ…」

森だ。霧が濃い。

戦士「俺たちさっきまで町にいたよね? 何でこんな」

武闘家「ねぇ、アンタどこに向かってるの?」

戦士「は?」

武闘家「おっさんじゃなくて、こっちの子」

戦士「もうわけわかんねー…」

戦士(ていうか、こんな深い森が魔法の町周辺にあったなんて聞いてないぞ)

戦士(嫌な予感……)

戦士「武闘家。悪い事は言わんから帰ろう、今すぐ」

武闘家「へ、どうして」

戦士「お前きっと疲れてるんだよ。幻かなんか見てんだ」

戦士「そんな変な子は放っておいて、な?」

武闘家「変な子って…アンタしつれいね!」

武闘家「ダメよ。約束したんだから、あの子に付き合ってあげるって」

武闘家「ほらおっさん! グダグダ言わずこっち来て」

戦士「はいはい…」
461 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/24(金) 14:58:54.09 ID:ZKZOFJYA0
戦士(先へ進むほど霧が濃くなってくるな)

戦士「武闘家、足元気をつけろよ」

武闘家「……?」

戦士「おー、返事は?」

武闘家「いない…」

戦士「は?」

武闘家「あの子がいないの。さっきまで前にいたのに」

戦士「最初からいなかったんだってば」

武闘家「そんな! あれ、あれれ…おかしいな…」

戦士「もう帰ってもいいだろー? これ以上進むとほんと帰れなくなるぞ」

武闘家「ま、待ってよ! え〜…」

戦士「武闘家が見たのはたぶん幽霊か何かだったんだよ。そしてこの森に誘い込んでお前の事も幽霊にー!」

武闘家「冗談……あの子、そんな感じじゃなかったもん」
462 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/24(金) 14:59:21.84 ID:ZKZOFJYA0
戦士「……参ったな」

戦士「帰り道の目印になるように木に布を縛ってきてたんだが」

武闘家「霧が濃すぎて見えないと。マヌケね! おっさん!」

戦士「はぁ!? あーもー…」

戦士「ん」

武闘家「見つけたの?」

戦士「いや、アレ」

戦士が指差す方向には巨大な樹が立っていた。

武闘家「でっかーい」

戦士「すげぇな。遠目から見てもあれだぜ」

戦士「空まで伸びてんじゃない?」

武闘家「木がそこまで大きくなれるの?」

戦士「さぁ…。植物とかはよくわからんし」

戦士「そうだな、あそこの傍まで行って少し休憩にするか。疲れたろ」

武闘家「おっさんが疲れたんでしょ。私はまだまだ全然よ…」

武闘家「ま、疲れたっていうのなら休んでやってもいいわ!」

戦士「素直じゃねー!」
463 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/24(金) 14:59:54.20 ID:ZKZOFJYA0
巨大な樹の下


戦士「近づいたらもっとでっけー!」

武闘家「何よこれ何よこれ! わぁ〜!」ピョンピョン

武闘家「け、蹴ってみてもいいかな!?」

戦士「そんなことしたら罰当たるぞー。こんなでっかいんだから」

武闘家「罰が何よ。そんなの怖くないし」

武闘家「せーのー……」

?「ここで何をしているの」

戦士・武闘家「!」

?「その樹に乱暴するのはやめて。大切な樹なの」

武闘家「あ、ごめんなさい…」

戦士「君は?」

?「……」

戦士の質問を無視して少女は樹に寄り添った。

戦士「…あのー」

武闘家「質問してるんだから答えてもいいんじゃないの」

?「あなたたち、人間なんだね」

戦士・武闘家「はぁ?」
464 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/24(金) 15:00:24.47 ID:ZKZOFJYA0
?「どうやってここまで来たの。人間が来てはいけない世界だよ、ここは」

戦士「まるで君は人間じゃないみたいな言い方だな…」

?「そうだもの」

少女は耳にかかった髪を除けた。すると・・・

武闘家「耳ながっ!」

戦士「耳なげー!」

?「どうも」

戦士「……もしかしてエルフ」

武闘家「エルフ? それって結構前に全滅したって聞いたけど」

戦士「ああ、違いない。だからもう存在するわけがないんだよ」

エルフ「そう。他のエルフたちはもういないの」

戦士「じゃあ君は生き残り?」

エルフ「そうなると思う。でも貴方達の世界にはもう1人もエルフはいないと思う」

戦士・武闘家「世界?」

エルフ「……驚いた。まだ気づいてなかったの」

エルフ「ここは貴方達の住んでいた世界じゃありません。もう1つの別世界」

戦士・武闘家「……ぽかーん」

465 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/24(金) 15:00:57.20 ID:ZKZOFJYA0
戦士「ちょっと何言ってるかわかりませんね」

武闘家「アンタ! 説明しなさいよ!」

エルフ「じゃあ説明してあげる」

エルフは棒切れを拾うと、地面に点を二つ打つ。

エルフ「右が貴方達の世界。左が今貴方達がいる別の世界」

点と点の間に一本の線を引いた。

エルフ「別次元とでも言うべきか、とにかく2つの世界は微妙に分かれているのです」

武闘家「分かれてるって。でもそんな話聞いた事…」

戦士「ていうか微妙にって何さ」

エルフ「完全に分かれているわけじゃないの。どちらも近からず遠からず、繋がっているから」

戦士・武闘家「は? は?」

エルフ「貴方達に説明、難しいね」

エルフ「2階建ての家をイメージしてみて。そこから階段を取っ払うの」

武闘家「それだと1階から2階へ上がれないじゃない」

エルフ「そう。つまり2つの世界は今そういった状態」

エルフ「まぁ、本来は2つで1つの世界だったと私は思うけど」

戦士「あの、もういいや…お疲れさん…」

エルフ「そう? お疲れ様です」
466 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/24(金) 15:01:27.93 ID:ZKZOFJYA0
戦士「まぁ、2つ世界があるってのはわかったよ。だけど」

戦士「どうして俺らはここにいるんだ?」

エルフ「それを私に聞かれても困るけども」

エルフ「何らかの方法で無理矢理来たのか、偶然来てしまったのか」

エルフ「後者は滅多にありえる事じゃない」

戦士「……そうだ、武闘家。お前が変な子の後を追ったりしたからー!」

武闘家「わ、私のせいだっての!?」

エルフ「もう1つあった。連れて来られたか」

武闘家「そ、そう! きっとあの子に連れて来られた!」

エルフ「貴女が言うあの子とは、マンイーターの事?」

武闘家「は、マンピー?」

戦士「なんだマンイーターってのは。聞き覚えがないぞ」

エルフ「あ、そう……。まぁ、遭遇してしまったら無事じゃいられないか」

戦士「なんか物騒な事言ったよな…?」

エルフ「気にしなくていいよ。とにかく、このままこっちにいてマンイーターになられても困るから早く帰ってもらわな
いと」

戦士「なるって何……?」

武闘家「帰る方法があるの!?」

エルフ「さぁ?」

武闘家「はぁ!?」
467 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/24(金) 15:02:00.32 ID:ZKZOFJYA0
武闘家「あ、アンタ…!」

エルフ「私は人間と会うのはこれが初めてで。こうやって偶然こっちに来た人と会うのも初めてなわけで」

エルフ「元の世界へ帰らせるだなんて事もしたことがないし。方法も知りません」

武闘家「な、な、何よぉ〜〜〜!」

戦士「落ち着け! 落ち着け!」ガシッ

武闘家「がぁ〜〜〜っ!!」ジタバタ

エルフ「そう、落ち着いて。だからこれから探そう、帰る方法を」

武闘家「なかったらどうすんのよ!」

エルフ「残念でした、だね」

武闘家「それで済んで堪るかぁーーー!」

戦士「とにかく、このままこっちに留まるのは良くなさそうだ」

戦士「できる事はなんでもする。協力してくれ」

エルフ「そのつもり。着いてきて」すたすた

武闘家「アイツ、胡散臭いわ…ていうか絶対私より年下でしょ、あれ…!」

戦士「まぁまぁ…」

エルフ「恐らく年上かと。そこのお兄さんよりも」

戦士・武闘家「はえっ!?」

エルフ「エルフは長寿ですから」すたすた

戦士(見た目は全然子どもじゃん…)
468 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/24(金) 15:02:38.55 ID:ZKZOFJYA0
武闘家「」ムスー

戦士「そうむくれんなってー。大丈夫、ちゃんと帰れるからな」

エルフ「わかりません」

戦士「空気読んでっー!」

武闘家「……そもそも、私も悪かったわよね」

戦士「へ?」

武闘家「だって私があの子の後を追ったからこんなとこに来たんでしょ」

武闘家「何が友達がピンチよ…」

エルフ「友達がピンチ?」

武闘家「言ってたの…助けてあげてって。だから着いて行ったのに」

エルフ「ふーん、優しい」

戦士「でもさでもさ、武闘家が言ってるその子って俺には全く見えなかったんだよ…」

戦士「だから幽霊か何かなんじゃないかって」

エルフ「妖精」

戦士「…何だって?」

エルフ「妖精って言ったの。妖精は穢れた人には見えないから」

戦士「はっ、俺穢れてます!?」

エルフ「女の体を知っているんでしょ。だから」

戦士「あ、あぁー……」

武闘家「何話してんのよ?」

戦士「お子様は聞くなー!!」

武闘家「な、何よー!?」
469 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/24(金) 15:03:02.51 ID:ZKZOFJYA0
戦士「でも妖精ってこーんなちっこいサイズのじゃないの?」

戦士「武闘家が見たのはちゃんと人間サイズだったんだろー?」

武闘家「うん、確かよ。羽根も生えてなかった」

エルフ「妖精は人の形をとれるけど」

武闘家「じゃあ…人間に化けてあそこにいたって事? どうしてわざわざそんな…」

エルフ「友達を助けるためでしょ。そう言っていたんじゃなかったの?」

武闘家「う、うん」

エルフ「じゃあそういう事でしょう。じゃんじゃん」

戦士「うおっ、勝手に終わらせた…」
470 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/24(金) 15:03:31.07 ID:ZKZOFJYA0
戦士「にしてもエルフってみんな君みたいな奴ばっかりだったのかねぇ」

エルフ「人間だって性格がみんな一緒じゃないでしょ。エルフも色々な人がいる」

エルフ「まぁ、私は生まれてこのかた1人のエルフとしか会った事ないけど」

戦士「じゃあ色々とかわかんねーだろ!」

武闘家「そういやアンタ、人間と会うのはこれが初めてって言ったわよね?」

エルフ「言った」

武闘家「で、1人のエルフとしか会った事がない……ってことはずっと1人ぼっちでここにいたわけ?」

エルフ「そうだよ」

武闘家「さ、寂しくないの?」

エルフ「質問攻めだ。特に寂しいなんて思った事はない」

エルフ「友達もいるし、世界樹もあるから」

戦士「世界樹ってあのでっかい木? あんなんじゃ」

武闘家「ちょい待てー!」

武闘家「友達って何よ」

エルフ「友達は友達だけれど」

武闘家「人間でもないエルフでもない木でもない友達って」

戦士「木は入れなくてよくない?」

武闘家「おっさんうるさい! って事は魔物の友達ってことー!?」

エルフ「まぁ、魔物と言ってしまえば魔物だけれど」

エルフ「しいて言えば妖精」

武闘家「なぁっ……!?」
471 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/24(金) 15:04:01.87 ID:ZKZOFJYA0
武闘家「妖精ってアンタまさか!」

エルフ「貴女が着いて行った妖精と同一かもね」

武闘家「ななななっ、何よそれー!?」

戦士「おいおい、どうして先にそういう事言ってくれなかったよ?」

エルフ「聞かれていない事には答える必要はないと思ってるから」

エルフ「それに、本当にその妖精が私の友達だと決まったわけでもないし」

武闘家「……じゃあアンタ、何か困ってる事があるの? ピンチなの?」

エルフ「えぇ?」

エルフ「しいて言ってしまえばピンチ、かも?」

武闘家「何よぉー!!」

戦士「全然そんな風に見えないぞおいっ!?」

戦士「またこれも聞かなくちゃ教えてくれないんだろうな…何に困ってるんだ?」

エルフ「最近そっちの世界の何者かがこっちに対して何か仕組んできてるみたいで」

エルフ「世界樹が切られてしまいそうなのです」

戦士「アレが切られると何が困る?」

エルフ「こっちとあっちの世界が繋がってしまう。それは貴方達人類、そして魔族の衰退へも繋がるの」
472 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/24(金) 15:05:01.57 ID:ZKZOFJYA0
戦士「……な、なぜ!」

エルフ「マンイーター。魔物です」

エルフ「こっちの世界にはそいつがいっぱい。名前の通り、人を食べる」

エルフ「それにあいつらは加減をしらないから。そこ等の魔物と違ってとっても厄介なの」

戦士「そんな奴らが俺たちの世界にも来てしまったら…人類衰退?」

戦士「つまりマジで人間側の負けが確定してしまうという事か!?」

エルフ「そう。だけどそれは重要じゃないと思う」

エルフ「全てが一瞬にして崩れる。何もマンイーターのエサは人間だけというわけではないから」

武闘家「魔物も食べちゃうの!?」

エルフ「そう。そして、あいつらの繁殖方法は生物のソレとかけ離れていてね」

エルフ「ごく簡単に、短期間で仲間を増やす事ができるの。だから全滅させるなんて本当に難しいよ」

戦士「……次第にマンイーターの数が魔物を上回るのか。そして」

エルフ「そのエサ(魔物)も食いつくしてしまえば食べ物がなくなったマンイーターは、餓死」

エルフ「問題。最後に後に残るものは何?」

武闘家「な、何も残らない…?」

エルフ「ピンポーン。ま、虫ケラと植物ぐらいは残ると思うけども」

戦士「意味わかんねーってば……」
473 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/24(金) 15:06:08.50 ID:ZKZOFJYA0
エルフ「言ってしまえば、私が困っているってわけでもないね」

戦士「そういう問題じゃなくなってきたよ!!」

戦士「君が言っている事が本当なら、マズイ事になる」

戦士「魔王倒すだかの騒ぎじゃねーや」

武闘家「じゃあどうすんのよ。その何かしようとしてる奴を止めなきゃって?」

エルフ「できるのなら何とかしてみて。助かるから」

武闘家「アンタ、のん気よね……」

エルフ「私はいつ何処でくたばってしまおうが構わないから」

エルフ「もう飽きてしまった、全部に」

戦士「悲しい事言うなよな」

戦士「もっと人と触れあうべきだよ、君はさ」

エルフ「そう?」

エルフは戦士と武闘家をペタペタと触った。

武闘家「……は?」

エルフ「ぺたぺた」

戦士「お、おいィー?」

エルフ「ぺたぺた」

エルフ「…む、いけない。これじゃあ一方的だ。触れ合ってはいないか」

戦士(こいつ、やっぱわけわからんぞ……!)
474 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/24(金) 15:06:54.67 ID:ZKZOFJYA0
今日ここまで。続きは日曜を予定
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/24(金) 15:22:14.06 ID:Bl+wqmI40
乙とらこい
武闘家ちゃんは清らかでアホ可愛い
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/24(金) 16:37:43.85 ID:NJ6HxAPY0
ロリばばあだと…
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/24(金) 17:13:00.27 ID:SrHUGewIO
船で言ってたとこか
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/24(金) 18:06:58.50 ID:MYhAQFjIO
ぜひもっと触れ合え
マンイーターまた出てきたな
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/25(土) 00:41:06.88 ID:BbcoRKYMo
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/25(土) 02:02:52.84 ID:y925/pfFo
乙です
物語が核心に近づいてきたのかな?
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/25(土) 11:21:58.09 ID:jjE7s5HM0
魔王ちゃんいれば世界滅ぶことはないだろー
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/25(土) 13:19:51.96 ID:z8VibcqDO


いちおつ!
…童貞は妖精が見えるのか
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/25(土) 17:33:32.22 ID:8e/K3CQDO
戦士が女と縁ありすぎww

まぁ戦士はあっちの方だからフラグは立たないだろうけど
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/25(土) 20:57:08.02 ID:iNr4nLss0
>>483
でも童貞ちゃうで。まさかの両刀?
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/02/25(土) 21:40:06.96 ID:hUBAomTYo
男の体を知ることも穢れなんじゃね
486 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:04:25.69 ID:W/SN2xD90
武闘家「それにしてもアンタずっと霧の中で嫌になんないわけ」

エルフ「別に嫌になった事ないよ。慣れたのもあるとは思うけど」

戦士「慣れたいもんじゃないけど」

戦士「いつからこの世界にいたんだよ? もしかして、生まれた時からとか?」

エルフ「そういうわけでもない」

戦士「じゃあどういうわけ?」

エルフ「うんと小さい頃はあっちにいたみたい。けれど、いつの間にかこっちに」

武闘家「1人ぼっちで?」

エルフ「そう」

エルフ「着いた。ここ」

武闘家「遺跡? ここに私たちが帰る為のヒントがあるの?」

エルフ「さぁ。でも思いつくところがここしかなかったから」

武闘家「大丈夫かっての……!」

戦士「とにかくあそこに入ってみたら何かわかるかもしれないんだな」

エルフ「どうだろうね?」

戦士「えー…」

エルフ「まぁ、頑張って手がかり探しましょう。どうしようもないんだし」

武闘家「アンタって、ことごとく人の希望折るのが好きよねぇ…」

エルフ「ごめんなさい」
487 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:05:34.94 ID:W/SN2xD90
遺跡の中


武闘家「あれ、割と中は狭いのね? こんなもん?」

エルフ「こんなもんじゃないかな」

戦士「……もしかして、入るのこれが初めてスか」

エルフ「そうだよ。初めて」

戦士「じゃ、じゃあ何でここに何かあるかもって思えたんだよ!?」

エルフ「この世界唯一の建物だから」

戦士「は?」

エルフ「こっちには文明も何もないから。人間がいるわけでもないし」

戦士「マジかよ…」

武闘家「ホント、つまんないとこよねー」

武闘家「ていうかさ。文明もないのならどうしてここは…」

エルフ「中を見る限り誰かが作った事は確か。でも、どうして存在するのかはわからない」

エルフ「もしかしたら貴方達の様にここに迷い込んだ人間が建てていったのかもです」

戦士「それじゃますますこんなの建てていった意味がわかんねぇよ!」

戦士「はぁ…一々突っ込んでたらキリないぞ。とりあえず各自散開してここを調べよう」

武闘家「え゛っ、1人で!?」

戦士「…んー、おやおや〜? もしかして怖いんでちゅか!?」

武闘家「こ、怖くないでちゅ!!」

エルフ「は?」

武闘家「違う! 今の違うわ! なしなし!!」

戦士「しっかり聞いておいたからな」

武闘家「うるせー!!」ジタバタ
488 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:06:07.45 ID:W/SN2xD90
戦士「……うーむ」

戦士「何かあるどころか塵1つ見つからん…!」

戦士「隠し部屋でもあるかと思いきや、それらしい仕掛けもない!」

戦士「何もないじゃないですかっー!」

エルフ「私に言われても困ります」

戦士「むぅ……そっちは何か見つけた?」

エルフ「特には。この様子だと、あの小さい子も同じ結果で帰ってきそう」

戦士「だろうなぁ」

戦士「他に心当たりがある所は知らんの?」

エルフ「知らない」

戦士「はぁ!? ここで終わりか!?」

エルフ「そう。お終いです」

戦士「ちょっとちょっとちょっと…! 面白くねぇ冗談だな!」

エルフ「冗談じゃないよ?」

戦士「冗談だと言ってくれ……」

エルフ「冗談だ」

戦士「ちくしょー!」
489 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:06:51.21 ID:W/SN2xD90
戦士「本当にこのままじゃ困るんだよ! 頼むからどうにかしてくれ」

エルフ「そう言われても」

戦士「はぁ…」

エルフ「ため息つくと幸せが逃げていくらしいです」

戦士「じゃあ深呼吸だな」

戦士・エルフ「すーーー……はぁー……」

戦士「さぁ、この状況を打開してくれる幸運よ。カモン」

エルフ「そう上手いこと転がり込んでくるものじゃないと思うけどね」


『キャーーーーー!!!』


戦士「!」

戦士「今の声、武闘家だ…!」

エルフ「これは幸運どころか不幸が来てくれた予感」

戦士「言ってる場合かっ! すぐにあっちに向かうぞ!」

エルフ「そうしましょうか」
490 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:07:21.66 ID:W/SN2xD90
戦士「武闘家ぁー! おい、どうしたー!?」

武闘家「あわ、あわわわ、あわわわわわ……」

エルフ「パニック起こしてるみたい」

戦士「正気になるんだ。このっ!」

バチーン

武闘家「あ痛ぁっ!?」

武闘家「ど、どうして殴ったのよー!?」

戦士「悪い! で、何があった」

武闘家「そ、そうだ……!」

武闘家「今さっきそこで変なの見たのよ! それで追っかけたら…」

戦士「おおぉっ、危ない事されちゃったか!」

エルフ「ヤラシイ男」

武闘家「顔、舐められた……! ペロンって!!」

戦士「そっちの趣味の方だろうか」

エルフ「問題はそこ?」
491 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:07:58.86 ID:W/SN2xD90
エルフ「その変なののは具体的にどう変?」

武闘家「変なのは変なのよ…。見た目だけなら普通の人間の男だったわ」

戦士「人間? まさかここを作った奴じゃ」

エルフ「見た目だけなら、人間」

戦士「……じゃあ魔物だったと?」

武闘家「わかんないよ……。でも舌がすご〜く長かった!」

武闘家「それに肌の色も変! キモい!」

戦士「この特徴で心当たりは?」

エルフ「特にないです。ただ覚えていないだけという事もあり得なくはないけれど」

戦士「しっかりしてくれよ…!」

戦士「武闘家。そいつはどっちに向かった」

武闘家「あっち、だと思う」

戦士「向こうは既に調べ終えたのか?」

武闘家「まだ…」

エルフ「もしかしたら何かあるのかも」

戦士「最後のチャンスだ! 俺が先頭を歩くから2人は後ろから着いて来いー!」

武闘家「もしまたアイツがいたら、今度はおっさんが舐められる役になってよね」

エルフ「任せました」

戦士「それは……勘弁だなぁ…」
492 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:08:32.55 ID:W/SN2xD90
武闘家「うー、まだ顔ベタベタするわ…」

戦士「あいにくハンカチ持ち合わせてなかった。悪い。我慢して」

武闘家「女の子に対して我慢しろって酷い話よ!」

エルフ「じゃあ私の服で拭いてくれても」

武闘家「本気で言ってるの?」

エルフ「はい」

戦士「それはそれで拭く方も気が引けるだろう」

エルフ「どうして?」

武闘家「アンタって人間味薄いわよね…」

エルフ「エルフだもの。仕方がないね」

戦士「にしても坦々としすぎなんだって」

エルフ「あまりにも感情的になりやすい性格なら、この世界で暮らすには不自由だと思う」

武闘家「だからそんな性格なの?」

エルフ「これは元から」

武闘家「ふーん……せめて笑うとか泣くとか顔にそういうのが出てくれると色々わかりやすくなるんだけど」

戦士「はーい、笑顔〜」ニンマリ

エルフ「は?」

戦士「いや…笑ってー…」
493 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:09:13.21 ID:W/SN2xD90
エルフ「いきなりそんな事言われても、難しいよ」

戦士「笑うなんてサルでもできるぜ!」

武闘家「ん、サルって笑えるの?」

エルフ「じゃあ私はサル以下なの」

戦士「いや、そういう意味でなくて…」

戦士「面白いもの見たら顔がほころぶ事ぐらいあっただろー?」

エルフ「さっきから面白いものを見ているけども、そんなこと1回もないよ?」

武闘家「私たちが面白おかしいピエロだってのっー!?」

エルフ「そこまで言った覚えはないけれど」

戦士「せっかく可愛い顔してんだ、表情がコロコロ変わった方がもっと素敵になるぜ」

エルフ「別に人に媚びる気もないから素敵になる必要も」

戦士「だ、ダメだこりゃ……」

武闘家「もう放っておきましょーよ。こいつに何言ったって意味ないってば」

戦士「でもよー…」

エルフ「気にしないでいいです。そんな事より、しっかり前を見た方がいいと思う」

戦士「あ、ああ」

武闘家「事務的なエルフ。まるでロボットだわ」

戦士「おい、そんな言い方はないだろ」

武闘家「だってー!」

エルフは氷の呪文を唱えた!

戦士・武闘家「はぁ!?」
494 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:09:50.84 ID:W/SN2xD90
カチコチーン


エルフ「危ないところだったです」

武闘家「あ、ああ、危ないのはアンタよ!? い、いきなり何で魔法を…!」

戦士「……これは、魔物?」

エルフ「そう。これがマンイーター」

目の間には氷漬けになった一匹のマンイーターがある。

戦士「こいつがお前の顔を舐めた犯人?」

武闘家「違う……。こんなグロい顔じゃなかったわ」

エルフ「一旦ここから出た方がいいかもしれないよ。貴方達の臭いに寄ってきてるのかも」

武闘家「わ、私たちを食べる気ってこと?」

エルフ「そう」

戦士「ならさっさと退散した方がいいかもだ。急ごうぜ」

武闘家「せっかくここまで進んだのに〜……!」

エルフ「もう嗅ぎつけられてしまったのなら、どっちみち脱出は厳しくなるかも」

戦士「……今何とおっしゃった」

エルフ「脱出が厳しくなるかも。この世界から」

エルフ「とにかく世界樹まで戻る事から始めましょうか」
495 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:10:28.84 ID:W/SN2xD90
すたすたすた

武闘家「別に魔物が襲いかかってくるような雰囲気なくない?」

戦士「さっきの突拍子もない現れ方からしてそう油断もできないと思うがな…」

エルフ「貴方の言う通り。油断はしない方がいいよ」

エルフ「アイツらは人をよく騙すから」

武闘家「騙すって、例えば?」

エルフ「あんな風に」ス

エルフが指差す方向には1人の女が倒れていた。

戦士・武闘家「人間!!」

エルフ「違うから待って」

武闘家「で、でもアレ見なさいよ! 傷だらけでボロボロじゃない…!」
496 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:11:00.53 ID:W/SN2xD90
戦士「放って置いたらマズイ。出血も酷そうだぞ」

エルフ「私がさっき言った事。思い出して」

エルフ「人間なんてこの世界には滅多に来ることはないの」

エルフ「それにアレは不自然すぎます」

戦士「お、おい!そんな…」

エルフ「とにかく近づかないで。あの様子だと他にも仲間が隠れているかもしれない」

武闘家「ふん、そんなのホントかどうかも……」

エルフは素早さ上昇の呪文を2人へかけた!

エルフ「いい? 一気に横を走り抜けます。全力で私の後を追ってきて」

戦士・武闘家「は、えぇ?」

エルフは走りだした!

戦士・武闘家「ちょーっ!!?」
497 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:11:50.72 ID:W/SN2xD90
しゅたたたたっ

武闘家「何よ何よ何よぉーっ!?」

戦士「色々と急すぎんだよー!」


< グオオオオオオオォウウウウウウウ


戦士・武闘家「!」

エルフ「振り向いてはダメ。そのまま私の背中だけを見て走り続けて」

戦士「しかし!」

エルフ「一体だけじゃないの。立ち止まって戦っていたら囲まれてしまうから」

戦士「だったら全部俺が薙ぎ払ってやるよ!」

エルフ「自信があるなら貴方だけ置いてさっさと行くよ」

戦士「ちょ、ちょ、ちょ! ダメ、やっぱダメ! 置いて行くなっー!」

武闘家「カッコ悪〜…」

エルフ「あの角を曲がってすぐに待ち伏せしているのが2匹います」

戦士「なぜわかる!」

エルフ「わかるからわかる。エルフだもの」

エルフ「3秒数えるよ。すぐに私がまた氷の呪文を敵に向けて撃つから」

エルフ「1」

武闘家「撃つから何よ!? 説明不足じゃないの!?」

エルフ「2、3」

エルフは氷の呪文を唱えた!

マンイーター『ガアアァーーー…………?』カチンコチン

戦士「あっ!?」

氷像となったマンイーターが飛びかかってきた勢いで戦士たちへ吹っ飛んできた!

武闘家「うあっ!」

戦士は武闘家の手を引っ張ってそれを回避した!

戦士「おい! 危ねぇよ!」

エルフ「ごめんなさい。とにかく止まらないで走って」

戦士「全く…!」
498 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:12:39.51 ID:W/SN2xD90
3人は遺跡の外へ出た!

武闘家「出たぁー!」

武闘家「もうゴールしてもいいわよね!?」

戦士「まだ後ろから来てるぞ!」

エルフ「ゴールはもう少し先。世界樹まで足を休めないで」

武闘家「あーもぉー! 疲れたよ〜!」

戦士「世界樹まで行けばどうにかなるのか!」

エルフ「どうにかなります。マンイーターは世界樹には寄る事ができない」

戦士「何でだって!」

エルフ「私が魔法で結界を張っているから。保障はしていい」

戦士「はぁ、どうだかねぇ……」

戦士「む」

武闘家「おっさんどうしたの!」

戦士「素早さ上昇の効果がそろそろ切れるころじゃないかと」

武闘家「はぁ!? このタイミングで!?」

武闘家「ちょっとアンタ! もっかいさっきの魔法〜!」

エルフ「わか――――」


こてっ


エルフ「あうっ」

エルフは転んでしまった!

武闘家「ばかぁーーー!!?」
499 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:13:48.94 ID:W/SN2xD90
戦士「おい!!」

エルフ「止まらないで」

エルフ「私は大丈夫だから早く行ってください。すぐに追いつくから」

戦士「そんなことできるか…。武闘家だけは走って世界樹へ急げ!」

武闘家「バカじゃないのおっさん!!」

戦士「バカでも構わんから行け!」

武闘家「し、知らないんだからね……!」たたたっ

戦士は鋼の剣を構え、エルフを庇う形で追いかけてくるマンイーターと対峙した。

戦士「あれ何匹いるんだ……?」

エルフ「何してるの」

戦士「見てわからねぇかい。立てるならさっさと立ってくれるとありがたい!」

エルフ「……」

戦士「足を挫いた? やっぱり武闘家を先に行かせないで担いで持っていってもらうべきだったな…」

戦士「ふんっ!」

戦士の攻撃!

マンイーター『グオゥッ!』

戦士(牽制ぐらいにはなるな……)

エルフ「無茶な事はやめて」

戦士「そういうわけにもいかん!」

エルフ「ここは私が何とかするから」

戦士「は?」
500 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:14:33.51 ID:W/SN2xD90
エルフ「魔法。詠唱に少し時間がかかるけれどそれまで耐えられる?」

戦士「1体だけならまだしも……」

いつのまにか周りはたくさんのマンイーターで囲まれている!

戦士「キツイぞ、これは!」

エルフ「〜〜〜〜〜……」

戦士「問答無用で詠唱始まるのかよ!?」

マンイーター『人間ダ…人間…』

マンイーター『エルフモ…』

戦士(人間だけを狙うってわけでもなさそう)

戦士「おらぁー!!」

戦士の攻撃!

近づいてくるマンイーターたちを威嚇する様に剣を振り回した!

戦士「……少しでも触れてみろ。叩っ切るぜ」

戦士「おい、まだぁー!?」

エルフ「〜〜〜〜〜」

戦士「どれだけかかるんだぁ…?」

マンイーター『ガァーッ!!』

マンイーターの攻撃!

戦士(し、しまった!?)


武闘家「あちょ〜!!」
501 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:16:08.73 ID:W/SN2xD90
マンイーター『ガブブッッッ…』

武闘家は戦士に飛びかかってきたマンイーターを蹴り飛ばした!

戦士「お、お前! 何で戻ってきたんだよ!」

武闘家「アンタたちだけ残して逃げるってのは後味悪すぎなのよ〜」

戦士「だから助けに来てくれたと!」

戦士「武闘家。お前結構いい子ちゃんだな…!」

武闘家「はぁ!? 舐めんなおっさん!」

武闘家「…ったく、せっかくここまで逃げたのに結局戦うハメになるってわけわかんない」

戦士「まだかかりそうかー!?」

エルフ「〜〜〜〜〜」

戦士「何が少しだ結構長いぞっー!」

武闘家「おっさん、前! ほぉ〜〜〜…あたぁー!」

武闘家の攻撃!

マンイーター『フグリッ』

武闘家「ボサっとしてる場合じゃないわよ!」

戦士「悪い!」

エルフ「2人とも、そこから離れて。私の後ろに」

戦士・武闘家「!」
502 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:17:37.49 ID:W/SN2xD90
エルフ「えいやっ」

エルフは時間停止の呪文を唱えた!

3人を残して全ての時が凍る!


マンイーター『   』


戦士「……ん?」

エルフ「これでしばらくは持つはずです。行こう」

武闘家「ちょい待ちちょい待ちー!」

武闘家「何よ、これ」

エルフ「私が時を止めた。ただそれだけです」

武闘家「そんな魔法あったの!?」

戦士「俺も聞いた事がない。君は」

エルフ「いいから行こう。話をするなら安全なところで」

武闘家「こ、こんな魔法卑怯だってば…」

戦士「……もしかしたら」

武闘家「おっさん?」

戦士「あの子なら」
503 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:18:32.13 ID:W/SN2xD90
世界樹の下


エルフ「はい。ゴール」

武闘家「本当にここ安全なんでしょうね?」

エルフ「安全。大丈夫、心配なしです」

エルフ「さて、しばらくここから動けなくなっちゃったけどどうしようね」

戦士「じゃあ質問いいかな」

エルフ「堪えられる範囲なら。どうぞ」

戦士「ネクロマンサーについて何か知っている事は?」

武闘家「あ、さっきはそれで…」

エルフ「死人を操る魔法使いのことかな」

戦士「そうそれ!」

エルフ「だったら知っているのは名前ぐらい。ごめんなさい」

戦士「…そ、そう」

戦士「君ならアンデッドのきちんとした倒し方を知っているかもって思ってなぁ」

エルフ「倒し方はひたすら回復魔法をかけてあげることかな」

戦士「ああ、そうなの」

武闘家「え? おっさん?」

戦士「何よ?」

武闘家「あ、あんた! さっきのもう一回」

エルフ「え?」

エルフ「ひたすら回復魔法をかけてあげる?」

武闘家「ほら、おっさん!」

戦士「何だと……」
504 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:19:11.51 ID:W/SN2xD90
戦士「確かなのか!?」ガシッ

エルフ「」ガシッ

戦士「は? お、おい!」

エルフ「触れ合いです」

戦士「今はそれどころじゃねーよ!」

武闘家「やっぱアンタ変なの…」

エルフ「アンデッドってようは死にきれていない人たちの事でしょう」

戦士「ああ! 死者でもなく生者でもない。だから殺しきれない」

エルフ「押してダメなら引いてみな、という言葉があります」

エルフ「実際に私がその方法で退治した事がないから詳しくはわからないけれど」

エルフ「試してみる価値はあると思う」

戦士「おおぉ〜!!」

武闘家「ん。でもおっさんは魔法使えないじゃない。回復魔法なんてのも無理でしょ」

戦士「そう、俺には無理だ!」

戦士「だけど僧侶ちゃんなら!」

武闘家「僧侶姉?」

エルフ「話がよくわからないけれど。わかって良かったね」

戦士「本当だよー! 君のお陰だってー!」ブンブン

エルフ「そんなに手ブンブンされたら取れちゃいます」

武闘家「アンタ言うとほんとに取れちゃいそうよねぇ…」
505 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:20:06.75 ID:W/SN2xD90
戦士「そうと決まればさっそくみんなの元へ!」

武闘家「どうやってよ」

戦士「へ?」

武闘家「おっさん。喜びのあまり周りが見えてないのはわかるけどバカすぎ!」

戦士「……あ」

戦士「」ドンヨリ

エルフ「元気出して」

戦士「うん…」

武闘家「ていうか、いい加減どうして勇者たちと離れて行動してんのか教えてくれてもいいんじゃない」

戦士「…知りたい?」

武闘家「聞いてやらなくもないわ!」

戦士「素直じゃねー…」

エルフ「勇者?」

武闘家「そう。このおっさんは元々勇者と一緒にいたのよ」

エルフ「そうだったんだ。じゃあ魔王退治に行くんだね」

戦士「!」

戦士「うーあー……」ドンヨリ

武闘家「今度は何よ? 面倒臭いおっさんねー!」
506 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:21:04.93 ID:W/SN2xD90
戦士「俺ってダメな戦士だな…」

エルフ「喜んだり落ち込んだりって面白い」

武闘家「体育座りキモいわよ。ネガティブなおっさんほど面倒なのはいないわね」

戦士(勇者殿。俺、まだ自分にケジメつけられた気がしませんよ……)

戦士「はぁ…」

武闘家「しばらくこっちは放っておきましょー。私、ちょっとあっちで休んでるわ」

武闘家は2人から離れた。

戦士「ぼ〜〜〜〜……け〜〜〜〜……」

エルフ「じー」

戦士「……何よ?」

エルフ「面白いと思って。眺めてるの」

戦士「ふ、ふざけてんのか…」

エルフ「そんなつもりはないけれど」
507 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:22:16.90 ID:W/SN2xD90
エルフ「どうして落ち込んでいるの?」

戦士「あんまり話したくない」

エルフ「そう」

戦士「ダメだよなぁ、何考えてみんなの所飛び出してきたのかこれじゃわかんねーよぉ」

戦士「勇者殿は勇者殿なんだ…そう思いたいのに」

エルフ「話したくないんじゃなかったの?」

戦士「ただの独り言ー……」

エルフ「さっき、勇者って言ってたよね」

戦士「ん?」

エルフ「できる事なら、魔王は倒さない方がいいと思います」

戦士「はぁ?」

エルフ「こう言うのも良くないとは思うけれど、魔物がいるからこそ今のそっちの世界の均衡が取れてるんじゃないか
と」

戦士「……どうして」

エルフ「人間は頭がいい、考える事ができる生き物。だけど必ずしも良いことばかり考えているわけじゃないです」

戦士「まぁ、一部はそうだろうが」

エルフ「例えば国を操る事ができるほどの偉い人」
508 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:23:01.98 ID:W/SN2xD90
戦士「王様とか?」

エルフ「そう。ある人は国土を広げようと戦争を起こします」

戦士「ふむ」

エルフ「大きい力を持つ人は野心を持つかもしれない」

エルフ「そしたら、その力の矛先は弱い人たちへ向かうのかもしれない」

戦士「全員がそうだと決まったわけじゃないだろう」

エルフ「例え話」

戦士「むぅ…」

エルフ「私はこう思います」

エルフ「共通の敵が人類全体の繋がりを生んでいるって事かなって」

戦士「……つまり、剣を向ける相手を今の間だけ人間には向けずに済んでいる?」

エルフ「」コクリ

エルフ「魔王が、魔物たちが貴方たちの敵役になってくれている。言うならば必要悪」

戦士「そんな考え方一度もしたことなかった」

戦士「あの子がこの話を聞いたらどう思っただろうか…」

エルフ「あの子? それはさっきまで一緒にいたあの子のこと?」

戦士「武闘家のことじゃないよ。俺の友達だ、死んじまったけど」

エルフ「ふーん」
509 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:24:35.55 ID:W/SN2xD90
戦士「それでも俺たちは魔王を倒さなきゃいけないんだな」

エルフ「え?」

戦士「必要悪が何だろうが、魔物に毎年何百人も人が殺されてる」

戦士「戦えない人たちの為に俺みたいなバカが動かなきゃダメなんだって」

エルフ「バカじゃないよ」

戦士「バカだろー…いつも考えなしで体が先に動いちまうような奴は」

エルフ「自分の事しか考えられないで動くのはバカだけど、他の人の為に自分の事も考えずに動くのはちょっと違うかも
です」

戦士「言ってる意味がさっぱりなんですけど…」

エルフ「私もよくわからない」

戦士「自分で言っておいてなんだよー!」

エルフ「あ、面白い」

戦士「そういう時は笑えってば」

エルフ「難しいんだもの」

戦士「こう、頬を上にグイっと!」グイ

エルフ「こふ?」グイ

戦士(うわぁ、ぎこちねー…)

エルフ「むふはひいー(難しい)」グイグイ


『キャーーーーー!!!』


戦士「何やら聞き覚えがある悲鳴が!」

エルフ「あっちの方から」
510 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:25:47.21 ID:W/SN2xD90
たたたたたっ・・・


戦士「うおぉっ!?」

戦士たちが駆けつけるそこには!

?「ペロペロペロペロ〜〜〜……」

武闘家「」

武闘家が何者かに舐められている!

エルフ「何あれ?」

戦士「見てわかるだろ! 危ない奴だ!!」

?「ペロペロペロペロ…むっ」

?「く、来るなァー! 近寄るなよ…ペロペロ」

戦士「まずは武闘家を舐めるのを止せって!」

エルフ「」すすっ

戦士「君はどうして後ろに下がる!?」

エルフ「あの人が近寄るなって」

戦士「ああいう変な奴の言葉は鵜呑みにしなくていいんだよ…」

?「とにかく近寄るんじゃね〜……こいつがどうなってもいいのか!」

武闘家「」

戦士「完全に気を失ってるみたいだ。アイツが武闘家が言ってた奴なのか!」

エルフ「変なの?」

戦士「そう!」

?「変じゃねーし!」
511 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/27(月) 02:29:25.88 ID:W/SN2xD90
微妙に長くなったけど以上。そろそろ明るい話も書きたいところ
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/27(月) 02:33:24.45 ID:9CH1NrHyo
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/27(月) 03:17:50.83 ID:kILlzuU3o
一緒にぺろぺろ^^
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/27(月) 03:41:42.02 ID:Zm1V5fs/0
ペロリストでやがったwwwww
戦士かっこいいわ
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/02/27(月) 06:39:07.62 ID:ul3K9XJmo
僕もぺろぺろしたいです
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/27(月) 09:46:15.50 ID:6VjmvY1IO
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/27(月) 18:41:31.53 ID:hg7S57JIO
ペロペロとマンイーター違うとか、マジか!
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/02/27(月) 18:52:57.83 ID:iwACDElAO
ペロペロは土わらしっぽい気がする
519 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:24:09.87 ID:6mhfk4jq0
戦士「こいつもさっきのマンイーターって奴の仲間か」

エルフ「たぶん違うと思う。あんなに長い舌は持っていないし」

戦士「じゃあ別の魔物?」

?「何をごちゃごちゃ喋ってやがる! ペーロペロ…」

戦士「話の片手間にペロペロすんな!」

戦士「…ど、どうしてその子にそんな事をするんだ」

?「俺は小さくて可愛い女の子を舐めるのが好きなんだよ!」

戦士「うわっ、やっぱり変ー!」

エルフ「結局どうしたらいいの?」

?「とっとと失せな!」

戦士「いやいや、魔物なら倒すぞ! このままじゃ武闘家が大変だ!」

?「大変な目になんか合わさないよ、ただ舐めてるだけだからな」

戦士「それがあまりよろしくないんだっー!」

エルフは睡眠の呪文を唱えた!

?「ペロペロペ……Zzz…」

戦士「何を?」

エルフ「とりあえずあの子を助ける為に。眠らせました」

戦士「グッジョーブ」グッ

戦士「おい、武闘家。武闘家ってば」ぺちぺち

武闘家「ん〜……」
520 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:25:26.14 ID:6mhfk4jq0
?「……んぐー?」

戦士「目が覚めたみたいだな、この変態め」

武闘家「変態変態変態〜!!」

?「こ、これは何だ!? 俺はどうして縛られているんだ!?」

戦士「お前を眠らせた後こうさせてもらったんだ」

?「くそっ……なんて奴らだよ!」

武闘家「変態はそのままお縄についてなさいよ! このままどっかに埋めてやるー!」

?「勘弁してくれよぉ…つい…出来心だったんだよ…」

武闘家「そんなの理由になってないんだから!」

戦士「お前、魔物だろ。どうしてこの世界にいるんだ」

?「聞きたかったら縄ほどけ」

戦士「全く懲りてないな、こいつ……」

武闘家「別にこいつから何も聞く事なんてないわ。さっさと倒しちゃいましょ」

?「乱暴はよしてくれよー…」

エルフ「聞く事なら1つ」

戦士「へ?」
521 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:32:14.99 ID:6mhfk4jq0
エルフ「貴方はもしかして、こっちとあっちの世界を行き来する方法を知っている?」

戦士「お、おお」

エルフ「ついでだから聞いておいた方がいいでしょう」

?「知ってたとしても人間に話す義理なんてないね! …だが」

?「どうしても話して欲しければ、お前かお前。ペロらせろ〜」

戦士の攻撃!

?「ギャンッ、痛いじゃねーかよっ!!」

戦士「ふんっ」

エルフ「それぐらいで教えてもらえるのなら、私は構わないけれど」

武闘家「アンタバカじゃないの〜!? 悪い事言わないからやめなさい!」

エルフ「そう?」

戦士「さー、知っているなら話してもらおうか」パキポキ

?「わ、わかったよ…だから殴らないでくれ…な?」

戦士「さっさとー!」

?「ひぃー!?」
522 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:33:17.06 ID:6mhfk4jq0
?「俺もよくはわからないけどよぅ。こっちの世界とかあっちの世界とか」

?「行き来するだけならあの遺跡の奥に行けばいい」

武闘家「奥って……私たちがさっき進めずじまいになったとこの先かしら?」

戦士「たぶんなぁ。俺もエルフも調べたとこ、何もなしだったわけだし」

武闘家「ていうか、アンタ! 遺跡の中でも私のこと舐めまわしてくれたわよね!!」

?「つい…出来心で…。いや、最近こっちでお仕事ばかりだったから女の子をペロペロできなかったからさ。溜まってた
んだよ」

エルフ「溜まってた?」

戦士「そこは深く聞かんでいい」

?「こっちの方こそ言わせてもらうけどよ。アンタたちが遺跡に入ってから変な魔物がわんさか来やがったんだぞー」

?「おかげであそこから無我夢中で逃げてきたとこだ!」

戦士「別に俺らのせいってわけでもねーよ。あいつらが勝手に来たんだろ」

エルフ「マンイーターは人間の臭いに敏感だからね」

戦士「それよりお前がさっき言ってたお仕事って何よ?」

?「え、あ!? い、言えない言えない! 企業秘密ってところだ!」

戦士・武闘家「怪しい〜……」

?「あわわわわっ」

エルフ「脱出できる事がわかったことだし、許してあげたらいいのに」

?「あ、アンタ……優しいなぁ!」

戦士「あんまり気をかけてやんなよー! こういうのはすぐつけ上がるから!」
523 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:33:58.93 ID:6mhfk4jq0
武闘家「この世界でお仕事って、普通に考えればすることなんて何にもないと思うけど」

?「それがあるんだなー、この世界樹を」

戦士「ボロを出したな! マヌケめ!」

?「うわああああっ、違う違う! 今のなしで!」

エルフ「そうか、貴方が」

エルフ「お願いします。世界樹に変な事しないで」

?「うっ……」

戦士「お前、あの樹が切れたらどんな事になるかわかってんのかよ」

?「しらねぇ…何も知らされてないし…。ただ俺はお偉いさんの命令を」

?「……あ、今のも聞かなかった事に。お願い、ね」

武闘家「こいつかなり口緩いわね」

エルフ「何を考えてそんな事をさせられているかはわからない」

エルフ「けれど、そんな事したってそっちの世界にメリットはないよ」

エルフ「すぐにやめさせてあげて」

?「はい」

戦士・武闘家「えぇっ、素直!?」

?「俺は紳士だからな。小さい女の子の言う事には逆らわんのさ…」

エルフ「そう。ありがとう」

武闘家「……私たちより年上だって事は黙っておくべき?」

戦士「まぁ、うん…」
524 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:34:26.97 ID:6mhfk4jq0
?「可愛いお嬢ちゃん。お名前は!」

エルフ「名前はないからエルフでいいです」

?「エルフちゃんだって。きゃわいー!」

ペロ「俺は土わらしのペロだぜ…へへっ、よろしくー」

武闘家「こいつ魔物のくせに名前なんて持ってるの?」

戦士「わかりやすくていい名前なんじゃねーの」

戦士「とりあえず脱出方法もわかったところだし、そろそろ行動に移りたいんだが」

エルフ「今出ていくとマンイーターの群れがいるから危険」

ペロ「俺がここに逃げた時はアイツら凍ったみたいに固まってたけども」

武闘家「それってたぶん、そいつの魔法のせいだと思うわ。今はもう効果が切れたの?」

エルフ「とうの昔に」
525 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:35:00.34 ID:6mhfk4jq0
戦士「じゃあもう1度奴らの時間を止めて遺跡へ行くのは?」

エルフ「MPが足りなくて無理です」

戦士「…まぁ、さっきから他の呪文も連発していたし仕方がないか」

武闘家「じゃあどうすんのよ! これじゃあここから動けないわよ」

エルフ「そうだね。うーん」

武闘家「……あ」

武闘家「あああぁぁ〜〜〜〜!!」

戦士「な、何だ何だ!?」

エルフ「久しぶり」

戦士「は!?」

ペロ「可愛い……」

戦士「お、お前らどうした…?」
526 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:35:39.65 ID:6mhfk4jq0
武闘家「アンタ、さっきはよくも変な所でいなくなってくれたわね!」

武闘家「はぁ? わかるわけないでしょ! 初めて来た場所なんだから!」

戦士「妖精か…?」

ペロ「何だぁー? お前には見えないのかい。へへっ、可哀想な奴だぜ。こんなに可愛いのに」

戦士「うるせぇ童貞!」

武闘家「全くほんと、とんでもない所に連れて来てくれたわ…」

武闘家「もー…だから一々泣かないでよね〜。もう気にしないから…」

エルフ「……」

エルフ「そう、世界樹の為に」

戦士「うあー……なんか俺だけ仲間外れにされてるみたいー…」

ペロ「お前何言ってんだよ〜?」

エルフ「その人は穢れちゃったから。姿を見る事ができないの」

戦士「なぁ! なんとか見れるようにはなれんのか!? 俺も見たい〜」

武闘家「おっさんは何で見れないのよ? 穢れ?」

ペロ「ま、まさか…お前…!!」

戦士「言うなよ。小さい子がいる前で」

エルフ「ああ、なるほど。貴方、なんとかなるみたいだよ」

戦士「マジで!?」

エルフ「そこの世界樹の横に小さな池があるよね。そこに浸かって」

戦士「お、おう!」


じゃぼーん
527 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:36:34.32 ID:6mhfk4jq0
戦士「おおぅ!?」

武闘家「どうしたのおっさん?」

戦士「い、いや……なんか……!」

戦士(なんだこの水は……!)

戦士(まるで幼い頃に感じた新鮮さが全身に染みわたっていく)

戦士(か、体が…汚れちまったもんが綺麗に全部洗われて…!)


戦士「あ…――――――」


武闘家「お、おっさん…?」

ペロ「ありゃ何してんだい」

エルフ「穢れを除いて純白な状態に変わったの」

ペロ「おい、それって…」

エルフ「そういう事」


戦士「――――――……ふぅ」


武闘家「アンタ、なんか変よ…大丈夫なの…?」

戦士「ああ。それどころか何処か清々しい気分さ!」

戦士「あの水は一体?」

エルフ「ちょっとね。おめでとう、妖精が見る事ができます」

戦士「おー!」

ペロ「おかえり、こちらの世界へ……」

戦士「今何か言ったか?」

ペロ「いや〜?」ニヤニヤ
528 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:37:02.66 ID:6mhfk4jq0
妖精「……///」テレテレ

戦士「見えるーッ!!」

武闘家「そんなにジロジロ見たりして。変態の仲間入りだわ」

ペロ「なんで俺を見ながら言うんだよ!」

武闘家「変態だからに決まってるでしょ!!」

戦士「あれ、でも見た目は普通の人間じゃない?」

エルフ「人間の姿をとれるって言ったでしょう。今はそうなの」

妖精「元の姿になると小さくて風に飛ばされそうになっちゃうから…」

戦士「ああ、飛べるから」

ペロ「何だって? もっと小さくなれる…?」

武闘家「ぶっ転がすわよ」

ペロ「ヤラシイ事なんて考えてないぞ〜!?」
529 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:37:36.01 ID:6mhfk4jq0
妖精「見える様になったところで、改めてあなたにもごめんなさい」ペコリ

戦士「別に気にしてないぞ。それに君だってこの子の事助けたかったんだろ」

戦士「色々わかったこともあるし、むしろ感謝だって!」

妖精「よかった…」

武闘家「当の本人はあんまり困ってる様子じゃなさそうだけどねー」

エルフ「そう?」

武闘家「実際のところなんか諦めが見えるっていうか」

妖精「本当!?」

エルフ「私個人としては」

妖精「だ、ダメだよ! エルフ自身がだなんて関係ないよ!」

エルフ「もちろん世界樹のことは大切。でも、元はといえば私はこの樹のせいでここに縛られているから」

ペロ「じゃあ切っちまった方が!」

エルフ「やめてね」

ペロ「はい!」

武闘家「何でそいつには従順なのよ…」

ペロ「優しくて可愛いからに決まってんだろ。一々言わせんなよな」

武闘家「ムカつくんですけど!」
530 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:38:38.93 ID:6mhfk4jq0
戦士「縛られているってのは?」

妖精「エルフはこの世界樹の番人なんです。だからここから遠くへ離れる事が許されなくて」

武闘家「番人? ただここにいるだけじゃない」

妖精「エルフは世界樹と繋がっていて、栄養を与えているんです。だから、エルフが死んでしまったら世界樹が枯れちゃ
うの!」

武闘家「本当なの…?」

エルフ「本当」

戦士「どうしてだ。君は世界樹そのものだってのか?」

エルフ「違う。この世界樹は養分を土から吸い取る事ができないの」

エルフ「だから、私たちエルフの体を媒介して栄養を取っている」

戦士「つまり、君が最後のエルフだから…と?」

エルフ「そう。どっちみち、私と世界樹の寿命を一緒というわけです」

ペロ「話がよくわからないんだけどよー」

武闘家「このエルフが死んだら、私たちの世界が大変な事になるの!」

武闘家「アンタ、長生きしてよねー!」

エルフ「あと1000年は大丈夫かと」

ペロ「永遠にその姿のままで頼むぞ!!!」

エルフ「たぶん、ずっとこのまま」

エルフ「栄養のほとんどを世界樹へ渡しているから、大きくなれない」

ペロ「素晴らしいじゃん」
531 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:39:23.46 ID:6mhfk4jq0
戦士「じゃあ君は世界樹が切られるかもしれないと思って俺たちを」

妖精「そうなんです…。エルフだけじゃどうにもならないと思って」

武闘家「あれ、友達がピンチだって言ったわよね?」

武闘家「アンタが言ってるのって、世界樹のことだけじゃない」

妖精「そうだよ! 世界樹はあたしの友達だもん」

妖精「切られちゃうなんて絶対に嫌…!」

エルフ「……」

武闘家「私、てっきりエルフがピンチだからだと思ってたんだけど」

妖精「エルフは別に友達じゃないよ」

武闘家「え?」

妖精「世界樹を守る為にただ一緒にいるだけ!」

妖精「こんな感情もないような子と一緒にいても面白くないけど我慢しているの」

武闘家「は……」

戦士「おい、ちょっと待てっ…」

ペロ「止しな」

戦士「何だよ邪魔すんなっての」

ペロ「妖精ってのはそんなもんだぜ。変な幻想抱くもんじゃね〜」

戦士「はぁ…?」

武闘家「アンタ、こいつに謝りなさいよ!!」

妖精「…ん? どうして…?」
532 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:40:38.05 ID:6mhfk4jq0
妖精「どうして謝らなきゃいけないの? 本当の事を言っただけなのに…」

武闘家「ふ、ふざけんじゃないわよ!」

武闘家「アンタもこいつと仲良くやってきたから寂しくないって言ってたわよね!?」

エルフ「私の勘違いだったのかもしれないね」

武闘家「はぁー!?」

エルフ「友達だと私が一方的に思っていただけだったということ」

武闘家「そんな…」

妖精「あたしの事をそんな風に思っていたの? そんなじゃないよ」

妖精「勘違いしちゃダメ!」

武闘家「このくそッ……!!」

戦士「やめろ」ガシッ

武闘家「何よ!? こいつ一回ぶん殴らなきゃ気が済まないのよ…!」

ペロ「人間と妖精じゃ感性ってのがまず違うんだぜ、お嬢ちゃん」

ペロ「ここは暴力の振りどころじゃないな」

武闘家「な、何よ……っ!」

エルフ「気にしないで。私は何とも思っていないから」

武闘家「くやしくないの!?」

エルフ「別に、なにも」

武闘家「……頭おかしいんじゃないの」
533 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:41:14.29 ID:6mhfk4jq0
戦士「もういいだろ。そんなに怒るな」

武闘家「だって! 酷いわよ!」

戦士「まぁなぁ…」

エルフ「世界樹を切ろうとしていた魔物を何とか改心させることができた」

妖精「本当!? やるじゃんー!」

エルフ「だけど、これぐらいじゃ終わりそうもないみたい」

エルフ「だから」チラ

ペロ「んーっ。任しておいてください!」

ペロ「俺がお偉いさんに何とか事情を話して説得してみせようじゃないか!」

戦士「そう簡単にいくかー?」

ペロ「実際のとこわかんね」

エルフ「お願いします」

ペロ「百人力だァーーー!!!」

武闘家「単純……」

妖精「あたしからもお願いしますね」

ペロ「ペロペロさせてくれる?」

妖精「えー……う、うん」

ペロ「いやっほォーーー!!!」

武闘家「変態!」

戦士「変態!」

ペロ「もう何でもいいよー!!」
534 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:41:44.16 ID:6mhfk4jq0
ペロ「ではお言葉に甘えて…げへへ」

妖精「でもそれは上手くいったときだけね!」

ペロ「」

武闘家「やーい、やーい」

ペロ「ぺ〜〜〜ロペロペロペロ…!」ペロペロ

武闘家「ぎゃーっ!!?」

戦士「で、話を戻すとどうやって遺跡まで戻ればいいかだ」

妖精「それならこっちに来てください〜」

エルフ「遺跡とは反対方向だけれど」

妖精「いいから、いいから!」

武闘家「アンタ次こんな事したらその舌ちょん切ってやるんだからね!?」

ペロ「また生えてくるしやれるもんならやってみなー!」

武闘家「気持ち悪すぎ〜…」

妖精「こっちこっち! ここの洞に入って」

戦士・武闘家・ペロ「でけー!!」

エルフ「ここから遺跡へ行けるの?」

妖精「行けるよ。知らなかったんだ?」

エルフ「うん」
535 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:42:22.74 ID:6mhfk4jq0
遺跡の中


武闘家「わぁー…本当に通じてるし!」

戦士「しーっ、アイツらに気づかれるぞ…」

武闘家「あ! あわわわ〜…もがもが…」

エルフ「大丈夫。まだこっちに気づいてない。外にみんないると思うよ」

ペロ「その言い方だといつかは気づくって事ね……」

戦士「世界樹の洞からここに通じてるということは」

武闘家「え?」

戦士「遺跡は突然できたってわけでもなさそうだな」

武闘家「元から存在してたってこと?」

戦士「確かかはわからないけれど。どうなんだ?」

エルフ「私はわからないって言った」

妖精「あたしもよくわかんないです。世界樹も教えてくれない」

ペロ「はぁ、あの樹って喋るんかい?」

妖精「あたしにはわかるんです。世界樹が言っている事が」

エルフ「私は、わからない」

武闘家「ただの妄想かなんかじゃないの〜」

妖精「違うよ! ほんとだもん!」

武闘家「ま、私にはそんなの関係ないけど」
536 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:43:12.26 ID:6mhfk4jq0
ペロ「ていうかね」

エルフ「どうしたの」

ペロ「遺跡ん中出たのはよしとして、ここは何処だって話?」

武闘家「はぁ? アンタ寝ぼけてるんじゃないでしょうね」

ペロ「いやいやー! ふざけて言ってるわけでもねぇよ?」

戦士「まぁ、確かにさっき探したときはこんな穴なかったわけだしな」

戦士「本当に例の遺跡に通じていたのか?」

妖精「遺跡なんてこの辺りじゃ1つしかないもん。絶対そこですよ」

戦士「なら信じちゃうけど…」

武闘家「どうだか」

戦士「…そろそろ機嫌直したら?」

武闘家「機嫌悪くなんてないわよ。気にすんな、おっさん」

戦士「う〜ん……」

エルフ「ここってもしかしたら」

ペロ「エルフちゃんどうしたんスか!?」

エルフ「地下、なのかもしれないです」

戦士「遺跡に地下にどっか通じているってなんかデジャヴ」

武闘家「は?」

戦士「いや、こっちの話ね」
537 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:43:59.53 ID:6mhfk4jq0
ペロ「地下があるなんて俺知らなかったけど」

エルフ「でも世界樹にも通じていた事を知らなかったよね」

エルフ「ということは、まだわかってないことはいっぱいあるはず」

ペロ「さすがエルフちゃんだなー可愛いなーちっちゃいなー舐めたいなー!!」

武闘家「そいつがいいって言っても私が絶対許さないからね」

ペロ「お嬢ちゃんには関係ないだろー!」

武闘家「うるせー!」

戦士「じゃあ上にあがらなきゃ帰る事ができないんだな?」

ペロ「おう。転送装置はここにゃないぜ」

エルフ「そんなものが」

ペロ「まぁ、魔族の科学力も舐めたもんじゃねーってことだな!」

戦士「元からあったわけじゃないのか?」

ペロ「違う。最近になって作られたみたいだぜ」

ペロ「俺は先だってこっちに送られてきて帰りの転送装置をここに設置してたんだわ」

戦士「ん……てことは行きで転送される場所はランダム?」

ペロ「そーいうわけでもないけど。まぁ、この際気にすんなよな。それに人間に言うような話じゃねぇんだ〜」

戦士「ふーん」
538 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:44:32.66 ID:6mhfk4jq0
武闘家「で、どこから上の階に行けばいいわけ? 階段ないわよ」

ペロ「さぁ? 俺もここは知らんのよ」

武闘家「役立たずで変態〜!」

ペロ「なんか言われるたびに気持ち良くなってきたな…」

武闘家「ひっ!?」

エルフ「どうして貶されて気持ちが良くなるの?」

戦士「はいはい。危ないのには近づかない様に」

ペロ「危なくないもん!」

戦士「今さらだよその言葉は!!」

武闘家「…じゃあアンタ、アンタは何か知らないわけ?」

妖精「知ってるよ?」

武闘家「はぁ!? じゃあさっさと教えときなさいよ!!」

妖精「だって誰も聞かなかったから…」

武闘家「こっちの世界の奴らは聞かれた事にしか答えないわけ!?」

エルフ「どうだろうね」

戦士「知っているなら案内してくれないか。急いでいるんだ」

妖精「はい! こっちですよ〜」

武闘家「何なのよ…」

ペロ「だからお嬢ちゃんたちの常識が通じる相手じゃないんだってば」

武闘家「それが意味不明なの!」
539 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:45:09.55 ID:6mhfk4jq0
妖精「はい、到着ですよ。少し待ってね…」

ペロ「壁? これが階段? ん?」

妖精「〜〜〜〜〜……」

戦士「魔法?」

エルフ「呪文が違うから多分違うと思う」

エルフ「たぶん、この壁を開ける何かかと」

妖精「開け〜」

壁の一部が消えてしまった!

ペロ「おひょ!?」

妖精「へへーん。この先にある階段を昇ってけば間違いないですよ!」

エルフ「その壁を開ける方法も世界樹から?」

妖精「そうだよ! 教えてくれたの!」

エルフ「そう」

武闘家「……?」

武闘家「ねぇ、アンタやっぱり」

エルフ「行こう。帰りたいんでしょう?」

武闘家「あ、ちょっと…」
540 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:45:53.82 ID:6mhfk4jq0
ういーん


妖精「開いた〜! 1階に到着でーす」

ペロ「開いたねー! ペロペロ」ペロリ…

妖精「ひゃんっ!?」

武闘家「あちょ〜!」

武闘家の攻撃!

ペロ「ぶげらっ……!」

戦士「ナイスキックだな」

武闘家「まぁね」

ペロ「どうして乱暴するんだ…俺が魔物だからか…?」

武闘家「今のはそういう問題じゃないわよ! 変態!」

ペロ「お〜〜〜〜〜……」

武闘家「……もうこいつの相手すんのやめようかな」

エルフ「確かにここはさっきまで私たちがいたフロアだね。それで」

ペロ「あ、ああ。あそこに置いてあるのが転送装置」

戦士「割とちゃっちいな〜! 本当にアレで大丈夫なのか」

ペロ「魔族舐めんなよな」

ペロは転送装置へ近づいた。

武闘家「まさか自分だけ帰ろうだなんて魂胆じゃないでしょうねー!」

ペロ「そんな酷い事するわけないだろー。ここまで一緒に行動した仲じゃんよ」

武闘家「ふん…いい奴なんだか、変態なんだか」

戦士「どっちもじゃねーかな?」
541 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:46:39.47 ID:6mhfk4jq0
ペロ「この上に乗るんだよ。3人も乗れっかな…お前体でっかいし」

戦士「じゃあ頑張ってちっちゃくなってるぜ」

武闘家「ようやく元の世界に帰れるのねぇ…」

ちらっ

エルフ「ん?」

武闘家「アンタ、本当に寂しくない? つらくないの?」

エルフ「何度も同じ事は言いたくないけれど。うん」

エルフ「大丈夫。心配いらないです」

妖精「そうだよー、エルフは結構強いんだから!」

武闘家「強がらなくてもいいのに…」

エルフ「そんな事もしていないよ」

ペロ「おーい、そろそろ転送始めたいんだけどー」

武闘家「ちょっと待ってろ変態!!」

ペロ「ぐふっ」

戦士「お前のそれをある意味見上げたもんだわ」

武闘家「あのさ、アンタ」

エルフ「うん?」

武闘家「私がアンタの友達になったげる! 初めての人間の友達よ!」

武闘家「し、仕方がなくなんだから…感謝しなさい…」

エルフ「えっ? ありが、とう?」
542 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:47:42.07 ID:6mhfk4jq0
武闘家「ううん、言い方が悪かったわ。仕方がなくなんかじゃない」

武闘家「私とアンタは友達。いいわね」

エルフ「よくわからないけれど、うん」

武闘家「……嬉しくない?」

エルフ「面白い」

武闘家「はぁ!?」

戦士「おい、武闘家ー! のんびりしてると奴らが」

武闘家「わかってるわよ! おっさんは少し黙ってて!」

戦士「何だよぉ…」

エルフ「そろそろ行ったらどうかな。2人が待ってるよ」

武闘家「う〜…!」

武闘家「また今度会いに来てやるから! 覚悟してなさいよー!」

エルフ「やっぱり面白い」

ペロ「おーし、準備はいいか〜! 一瞬だからな、一瞬!」

戦士「いいからさっさと始めろって」

ペロ「ポチっ」


武闘家「エルフばいb―――――」


3人の姿が消えた!

妖精「無事に帰れたのかな?」

エルフ「どうだろうね。私たちも帰ろう、世界樹の下へ」

妖精「うん!」

エルフ「面白い、面白い。うーん」

妖精「どうしたの? なんか変」

エルフ「こういう気持ちって何て言えばいいんだろうね」

妖精「ん〜?」
543 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:49:11.31 ID:6mhfk4jq0



武闘家「―――――ばい! ……って、あれ?」

武闘家「もう着いたの!?」

ペロ「着いたぞー」

戦士「本当に早かった……。ていうかここは」

ペロ「はぁ? そんなの決まってるだろ魔王城の中だよ」

戦士・武闘家「……」

戦士・武闘家「は?」

ペロ「何驚いた顔して……あ」

ペロ「てへぺろっ」

戦士「お前冗談じゃねぇぞ!? あぁっ!!?」グイグイ

武闘家「魔王城って魔物の住処じゃないのヤバいじゃないの〜!!?」グイグイ

ペロ「痛い痛い痛いッー!」

魔物『お、土わらし帰ってきたんだ。お疲れ様ー』

戦士・武闘家「!」

ペロ「あっ、先輩! お疲れっス!」

魔物『どうやらお互い一仕事終えたみたいだし、今日は行きつけの居酒屋にでも一緒に……』

魔物「土わらしと一緒にいる2人は誰?」

ペロ「あ、えっと〜……ね、その……ね……何だろう…ねぇ?」

戦士・武闘家(終わった)
544 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/28(火) 01:53:14.89 ID:6mhfk4jq0
ここまで。ちなみにこのお話は魔王たちがお城で暴れているときのお話
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/02/28(火) 01:57:23.17 ID:XC3lIt2Bo
乙り
帰れるのか?
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/28(火) 02:04:49.25 ID:IJQ6I+pIO

ここで魔王の肖像画とか見ちゃう訳ですね!
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/28(火) 02:35:11.57 ID:mQ7GpBTq0
武闘家ちゃんこんなにいい子だったのね
てっきりエルフは仲間になるもんかと…
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/28(火) 03:50:24.40 ID:fpLioYBDO
綺麗な体になった戦士たんペロペロ

ってことはエロ系の反応が初になったってことか?
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/28(火) 03:56:18.47 ID:rB68w45Do
>>547
武道家良い子か?
うーん、ツンデレが嫌いな俺には辛い回が続く
でも話はおもしろい
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/28(火) 08:38:23.66 ID:HTCOEHtz0
ツンデレというかただのお子様描写かと
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/28(火) 09:45:07.49 ID:INf7QAIDO
戦士が童貞に戻った…だ、と
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/02/29(水) 01:50:30.70 ID:2YPTV/PPo
処女に戻ったという可能性も
553 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/29(水) 02:02:01.90 ID:ZfhyT+Ca0
え、戦士掘られたなんて描写俺書いてないよね?
あれ、あれれ?
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/29(水) 02:15:18.04 ID:US7+RdHao
ンな(直接の)描写は無かったと思うが、そこンとこが読者のフリーダムな解釈で、アニキィな方向へ行ってるのが現状。
真っ当なロリコン予備軍アニキに戻すなら、今をおいて他には無い。
555 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/29(水) 02:28:31.92 ID:ZfhyT+Ca0
>>554
それどっち転ぼうが怖いっすよね


あえて明確にする必要もないし、好きに想像して楽しんでくれても嬉しいなw
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 03:20:44.13 ID:d5KQsPxDO
こんなロリ天国にいて手を出さないなんてアニキィ意外あるわけないではないか幼女ペロペロ

問題は戦士がどこまで綺麗な体になってしまったかだな

中2レベルなのか幼児レベルなのか


まぁ幼児でも性に目覚めてる奴は目覚めてるが
557 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/29(水) 03:48:49.71 ID:ZfhyT+Ca0
ペロ「あのっスね!? こいつらはっスね!?」

魔物『むむ〜…?』

戦士「武闘家、よく聞けよ」ヒソ

武闘家「えっ」

戦士「魔物のフリをしてこの場を誤魔化すぞ」

武闘家「やる前から無茶だと思うんですけど…!」

戦士「やらなきゃわからんさ!」

戦士「アーウー?」

魔物『むむむ?』

戦士「ウーウ〜」

魔物『こいつ何言ってんだ』

ペロ「えっとー……」

武闘家「少しでもおっさんを信じた私がバカだった」
558 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/29(水) 03:49:23.62 ID:ZfhyT+Ca0
戦士「あれ、余計に疑われてるじゃねーか…」

武闘家「疑われる様なことしたからね」

ペロ「わ、ワケなら話しますから! 今はこいつらの事は!」

魔物『うん。でもまずはちょっと調べさせてもらってもいいかな』

魔物『どうも人間臭いんだよなぁー…』

ペロ「それは…」

魔物『』じろじろ

武闘家(うっ! どうして私!?)

魔物『臭うぞ〜』くんくん

武闘家「ひいっ!?」

戦士(最悪こいつを倒すしか)ジロ

ペロ「物騒な事だけはしようとするなよ〜…頼むから〜…」

魔物『今何か言った?』

ペロ「何も何も! どうぞ、気にせずに続けて…」

魔物『そう?』くんか

武闘家(変態の仲間は変態しかいないの…!?)
559 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/29(水) 03:50:30.49 ID:ZfhyT+Ca0
ペロ「せ、先輩。そろそろー…」

魔物『やっぱこいつら人間じゃないか! 俺の目は誤魔化せないぞ!』

武闘家「目じゃなくてほぼ鼻じゃないのよ!」

戦士「そういう問題じゃねーよ」

戦士「悪いなペロ。お前の先輩倒すぜ!」

戦士は抜刀した!

ペロ「バカバカバカー!?」

ペロ「一旦!! 一旦俺の話を聞いてくれ…先輩、こいつらは別に悪い奴らじゃないっス!」

戦士「お、お前…」

魔物『でも人間じゃんかよぅ』

ペロ「そいつらは俺たち魔族に裏返った奴らなんスよ。言うならば亡命?」

戦士・武闘家「は?」

魔物『それはマジか』

武闘家「ちがっ…もがふ!?」

戦士「待て待て。ここはもうペロを信じようぜ…俺たちじゃどうしようもならん」

武闘家「冗談でしょー…」

戦士「勇者殿〜…」
560 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/29(水) 03:51:04.82 ID:ZfhyT+Ca0
1「何? 人間2人が亡命してきただと」

「みたいです、はい。下の者が知らせてきて」

1「それで、2人はどうした」

「はい。地下で詳しい話を今聞きだしているみたいですね」

2「怪しいわね。どう思う?」

1「我らの計画に気づいたか、それとも魔王を討ち取りにノコノコやって来たか」

1「あまり信用できたものではなさそうだな」

2「じゃあ問答無用で殺しちゃう?」

「それならばすぐに用意しますけど」

4「まぁ、待て」

4「すぐに殺す事は良くないな。もし、作戦がバレていたとしたら」

4「内部の誰かが漏らしてしまったという線があるぞ」

1・2「!」

2「裏切り者がいるかもしれないってこと……?」

1「ありえんッッッ」

4「あり得なくもない話だとは思わんかね? どうやら私たちに不満を持つ輩もいるみたいだし」

1「だからとてまさか人間如きに情報を流すことは!」

4「そう、そこだよ」
561 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/29(水) 03:52:00.97 ID:ZfhyT+Ca0
4「人間に加担しようとする魔物がいるとすれば、それは許されない」

2「本当よね。先代魔王が言っていたわ」

2「憎むべきは人。魔物は全て我が同士なり。同士を傷つける事は許されぬ」

1「おお、おおォ…何とありがたい言葉だろうか…!」

4「先代のお言葉を守らなければならないというのなら」

4「人間に加担した魔物なんて魔物ではない! だからこそ」

2「ええ。だからこそ私たちは裏切り者を見つけ出して始末しなければいけないわ」

「あ、あの…どういう事でしょう…?」

1「ふん、わからぬか。愚か者め」

1「我らの計画は全ての魔族を勝利へ導かせるもの。それを妨害する事は我らを傷つける事同然よ」

1「そういうことだ!」

(色々滅茶苦茶じゃないかな…?)

4「ここは1つ、釣り糸を垂らすという事で。その人間どもを泳がせておこう」

4「自然とボロを出し、内通者を炙り出すことができるかも!」

1・2「おー!」

「確信じゃないんだー」
562 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/29(水) 03:53:00.98 ID:ZfhyT+Ca0
魔物『とりあえず休憩挟もうか。部屋出てていいよ』

戦士「あ、どうもです」


がちゃり


戦士「ひぃー……」

武闘家「あ、アンタ。汗びっしょりよ?」

戦士「そら汗びっしょりにもなるわ…」

戦士「やっぱりペロに任せるなんてしちゃいけなかった」

武闘家「わかりきってた事じゃないの! あいつは変態なんだから!」

ペロ「よぉ、調子どう?」

戦士「あっ、てめぇー!」ガシッ

ペロ「おいおいおいィ〜!? いきなり掴みかかるなよー!」

ペロ「一応あの場は凌ぐ事はできたろ〜…むしろ俺に感謝…」

戦士「」ギロ

ペロ「……しなくても、いいや。はははっ…」

武闘家「私たちこれからどうなるわけ?」

戦士「……このまま誤魔化し続けていたら、この城で働くことになりそう」

武闘家「はぁー!?」
563 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/29(水) 03:54:21.11 ID:ZfhyT+Ca0
武闘家「どうしてそんな事になるのよ!」

戦士「し、仕方がないだろー! 話の辻褄合わせてるうちにそうなっちまったんだよ!」

武闘家「バっカじゃないの!?」

戦士「うあー!!」

ペロ「お、落ち着けって。こっちの生活も悪いもんじゃないぜ?」

戦士「俺は別に魔物の仲間になるつもりはない!」

武闘家「私だってそうよ! 冗談じゃないわ!」

ペロ「そんな事言わずによ〜。魔物でも俺みたいな良い奴がいっぱいいるし」

戦士「俺の仕事は魔王退治だ! 慣れ合う気なんてねぇんだよ!」

ペロ「……ありゃ? お前勇者だったのかい?」

戦士「俺じゃない。ただ、勇者殿と共に魔王を」

武闘家「ふん、よかったじゃないの。一足先に目的地に着けて」

戦士「こんな形でなければなぁっ…!」
564 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/29(水) 03:54:58.19 ID:ZfhyT+Ca0
ペロ「ともかく良かったじゃん。本来なら殺されてたところだぞー」

ペロ「命あっての何とかだ! しばらくは大人しくしておいた方が」

武闘家「そんなの嫌よ。私だけでもここから逃げてやるんだから」

戦士「俺置いてけぼりか!?」

武闘家「う〜……」

戦士「うるうる」

武闘家「そのキモい目を私に向けんなー!」

ペロ「にしても上手く誤魔化せたもんだ。後は三魔官様がどうするかだね」

戦士「……三魔官?」

ペロ「おっと、秘密だぜ」

ペロ(さすがに今は魔王様がお留守で三魔官様がここを仕切ってるだなんて言えるわけがねぇ〜)

戦士「ケチだなぁ」

武闘家「どうせ放っておいても自分から話しはじめるわよ。こいつの事だし」

ペロ「そんなマヌケじゃね〜よ!」

武闘家「うっさい変態め!」
565 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/29(水) 03:56:11.68 ID:ZfhyT+Ca0
魔物『お、いたいた。おーい』

戦士・武闘家「!」

ペロ「先輩。どうしたんスか?」

魔物『いやな、三魔官様がどうやら2人を助けてくださるみたいで。それを教えに』

魔物『よかったなぁ。これでお前たちは救われたんだぞ! ようこそ、魔族へ』

戦士「ど、どうも…」

武闘家「……」ムスッ

魔物『あれ、どうしたの。不満?』

武闘家「別に…」

武闘家「ちょっとトイレ借りたいんだけど」

ペロ「俺が案内してやろう!!!」

武闘家「場所だけでいいわよ! 来るな!」

ペロ「しゅん……」

戦士「1人で大丈夫か?」

武闘家「子ども扱いするなって言ってるわよね」

戦士「念の為だ。気をつけろよ」ヒソ

武闘家「わかってるから」

魔物『そこの突き当たりを左に曲がればお手洗いの目印がある。その中だよ』

武闘家「はい、どうも」すたすた
566 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/29(水) 03:59:36.14 ID:ZfhyT+Ca0
トイレ


武闘家(案外中は綺麗だった……)

武闘家「トイレットペーパーは1人50cmまで……なんでこんなところだけ妙に人間臭いのよ」


武闘家「……」ちらっちらっ


武闘家「誰もいないし、聞いてないわよね?」

武闘家は個室に入ると懐から小型の機械を取り出した。

武闘家「あっちの世界じゃ繋がらなかったけど、こっちなら」

プルルル…プルルル…

武闘家「お願いよぉ……」

カチャ

武闘家「! 父さん…?」

『はいはーい。お父さんです』

『あんまり連絡寄越さないもんだから心配しちゃったぞ〜。ん〜?』

武闘家「できなかったの!」

『ふぅん、それで? アイツの動きはちゃんと見張れてるのかい』

武闘家「ボチボチね。でも、とくに知らせる程の事は」

『いいからさっさと話せよ』

武闘家「……う、うん」
567 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/29(水) 04:01:01.03 ID:ZfhyT+Ca0
『ネクロマンサー、それからもう1つの世界。世界樹ね』

『実際何を行動基準に動いてんのよ、アイツ(笑)』

武闘家「だから、そのネクロマンサー…っていうかアンデッドの対処方法を調べてたわ」

武闘家「どうしてかまではわからなかったけれど」

『そう』

『そうか、そうか。世界樹か』

武闘家「ウソじゃないよ…?」

『うんうん。大丈夫、信じてるし。お父さんも知ってるからね』

武闘家「知ってる……?」

『それはまずいいんだよ。で、今は何してるわけ。そこ何処?』

武闘家「魔王城だって」

『ははははっ、面白い冗談じゃないか』

武闘家「……」

『あ、マジか?』

武闘家「……うん」

『あー……そうだな。とりあえず頑張ってみてよ。生きていられたらまた連絡ヨロ』


ブチッ


武闘家「あ、ちょ!!?」

武闘家「ウソでしょー……はぁ」

武闘家「……まぁ、助けに来てくれるはずないわよね。あの人が」
568 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/02/29(水) 04:02:02.06 ID:ZfhyT+Ca0
今日はここまで。次辺りでそろそろ魔王たちの話に移る予定
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 05:17:18.41 ID:xp8djwmM0

武闘家ちゃんを僕にください!お父さん!
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 07:05:07.98 ID:9BQhdh0IO
ちょっ!内通者かよ
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/29(水) 09:21:05.10 ID:Kj6fVCGn0
団長だっけ?
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/01(木) 02:36:41.01 ID:Pg88XZwd0
マダカナー?
最近続き見てから寝るのが習慣づいてるんですけど
573 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:40:31.91 ID:nzq0XWkS0
魔王城・城下町


『人間』『人間だァー』『美味しそう』『近づいたら経験値にされちゃうわ…』

武闘家「うあー…本当にここ魔物たちの住処なのね」

ペロ「何々? まだ実感湧いていなかったわけ? 現実見ようぜーお嬢ちゃん」

武闘家「できれば現実逃避してたいわ」

戦士「気持ちは痛いほどわかるぜ」

ペロ「別に酷い事されるわけじゃねーのに。そんなに嫌うなよなぁ」

戦士「お前じゃないけどこっちは酷い事されてんだよ、お前らに」

ペロ「紛らわしい言い回しだな! なんだよ俺ら魔物だって人間には酷い目合わされてんだ!」

ペロ「俺のママンはお前ら人間に経験値にされちまったんさ。泣けるぜ?」

武闘家「それはアンタのお母さんがこっちを襲ってきたからでしょ。正当防衛よ」

ペロ「けっ、どうだかね」

戦士(魔物にも魔物の事情ってもんがあるもんなのかね)

武闘家「おっさん? なーに神妙な顔して。変よ」

戦士「…どうして変になるんですかねー?」

武闘家「変だからよ。もっとガッハッハーって感じじゃない、いつもは」

戦士「そんなオヤジ臭くねーよ!」
574 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:46:32.44 ID:nzq0XWkS0
武闘家「ん?」

武闘家「ねぇ、ここからチラッと見えてるあっちの通りは何?」

ペロ「おいおい、あっちはお嬢ちゃんみたいなのが近づいちゃいけねぇ場所だぜ」

ペロ「通称・魔界暗黒街。落ちぶれた魔物たちが行きつく真っ暗闇の無限地獄よ!」

武闘家「随分胡散臭い紹介ね。そんな事言われると行きたくなるんだけども」

ペロ「バカやろっ…! あそこはマジで冗談にならないぐらいヤベェ!」

ペロ「エロ同人みたいな事になっちまうぞ!」

武闘家「はぁ? よくわかんないけど面白そうじゃん。行きましょうよ」

戦士「いやぁ、お前これ以上酷い目にあっても知らんぞ」

武闘家「おっさんまで止めるか!」

戦士「とにかく今は住む所教えてもらうのが先決だって。俺はこのまま面倒な事になるのは勘弁だぜ」

武闘家「…ちぇ〜」

ペロ「そういう事〜。こっちだぞ、こっち」

武闘家「段々街並み廃れてきてるわよね。こっち…」

戦士「うーむ…」
575 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:47:18.24 ID:nzq0XWkS0
ペロ「ここが今日からお前たちのハウスになる所だ!」


どよよ〜〜〜・・・ん


戦士・武闘家「うわぁ……」

ペロ「おーい、そんな露骨に嫌そうな顔するなよな」

武闘家「だってボロい!!」

戦士「床とか腐ってねぇだろうな!?」

ペロ「さぁ」

ペロ「住める場所だけ頂けたんだからいいだろ〜。ありがたく思うべきだぜ」

武闘家「すぐにこんな所出て行ってやるんだから! 魔物の住処になんていられないわ!」

戦士「まぁ、それは同意なんだけど…」

戦士「ここから上手く脱出できたとして、下手に追われると落ち着けなくなる」

戦士「それに俺、この辺の地理はよくわかんないんだよ」

武闘家「だぁー!! 本当にこれからどうしたらいいのよぉー!?」

戦士「それをこれから地道に考えるしかねーんだわ…は、ははは」

武闘家「笑い事じゃないんだからね!」

ペロ「まぁまぁまぁまぁ〜。俺もなんとか協力するからよー、気を落とすなよ。お二人」

ペロ「それからどうしてもここに住むのが嫌なら俺のマイハウスにお嬢ちゃんだけ住まわせてやってもいいんだぜ…?」

武闘家「絶っ対変な事されそうだからお断りよ!」

戦士「代わりに俺を住まわせてくれよ? 色々捗ると思うぜ」

ペロ「さーて、俺はそろそろ帰るかな…」

戦士「無視すんなよなー!」
576 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:47:58.89 ID:nzq0XWkS0
部屋


戦士「おい、ここキノコ生えてるじゃないか!」

ペロ「食うと1UPするんだって」

戦士「ウソだろ!?」

武闘家「カビ臭ぁーい……」

武闘家「せめて掃除くらいはしておいてよね」

ペロ「ずっと手が入ってなかったみたいだしなぁ。家具もそのまんまだし」

戦士「だから妙に生活感残ってるんだな。元々は誰が住んでいたんだ?」

ペロ「確かー……雌の魔物だったはず」

戦士「何っ」

武闘家「どうして目の色変わるのよ…」

戦士「おお、本当だ! すげぇ! タンスの中から下着がでてきたぞー!」

ペロ「えっ、マジかい!?」

武闘家「何で魔物が下着なんてつけるのよ! ていうかアンタらキモすぎー!」

戦士「むふー。でもどうしてこの家を譲ってくれたんだ?」

ペロ「さぁ? 三魔官様の提案でここって言われただけだし」

ペロ「ちなみにここの住人、戦死しちまったのよ。だから空き家になってて」

戦士・武闘家「うわぁ……」

武闘家「……夜中になっておかしな事とか起きないでしょうね」

戦士「そういえばさっきトイレから嫌な気配がだな」

武闘家「やめーいっ!!」

ペロ「可愛い女の魔物の幽霊なら別にいいだろー。俺はロリ以外興味ないが」

戦士「ていうか魔物にも幽霊とかの概念あるのかな」

武闘家「知らないわよぉー!! もうこの話やめて!」
577 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:48:32.52 ID:nzq0XWkS0
戦士「とりあえずしばらくはここに住む事になる」

武闘家「冗談じゃないっ…!」

戦士「まぁまぁ。掃除ぐらいはしておこう? あと換気も」

ペロ「頑張れ〜、俺はそろそろ行くから」

戦士「何言ってんだよ、ペロも付き合えよな」

ペロ「いや、そこまで面倒見きれないって」

戦士「武闘家がお願いだってよ。お前それでも断る気か?」

ペロ「……ほう?」

武闘家「はぁ!? おっさん何言ってんの!」

戦士「2人でここ片付けてたら今日中に終わりそうもないだろ。少しでも楽にするために、な?」

武闘家「……」

武闘家「お願いお兄ちゃん…。お手伝いしてくれると、私嬉しいな…って」

ペロ「ほいキタァァァーーー! ハハハハハハァ〜!」

戦士「武闘家。お前色々わかってんだなぁ」

武闘家「……二度としないんだから」

ペロ「お掃除お掃除♪」ペロペロ
578 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:49:11.55 ID:nzq0XWkS0
2時間後


戦士「すげぇ、あんなに汚かった部屋がこんな綺麗に」

武闘家「でも何か涎臭くない……?」

ペロ「当然だろう。俺がペロペロして綺麗にしてやったんだからな! それより…」

武闘家「ほあぁ〜!」

武闘家の攻撃!

ペロ「ひぶぶっ……!?」

ペロ「蹴るこたねぇだろォー!」

武闘家「アンタも別に舐めるこたないでしょー!?」

戦士「こりゃ拭き直しだな…」

武闘家「全く余計な手間かけさせて!」

ペロ「う〜……」

戦士「……あ、そういえばペロよ」

ペロ「はい?」

戦士「お前、もう上の人に世界樹の件は伝えてくれたのか」

武闘家「そうよ。早くしないと世界が大変なんだってば」

ペロ「まだだけど。任せとけよぅ! 俺もエルフちゃんたちの為に何とかしたいからさ!」

ペロ「きっと上手く取り合ってみせるぜ〜」

戦士「ならいいが。頼むぞ。こっちの事ばかりはお前が頼りなんだから」

武闘家「できれば頼りたくない奴だけどね」

ペロ「あれあれ、そんなこと言っちゃっていいんですか?」

武闘家「……ちょー頼りにしてるわよ、変態」ピキピキ

ペロ「へへへ〜!」
579 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:50:12.97 ID:nzq0XWkS0
数時間後


武闘家「今、森ガールが来てる……って何よ、ただの植物系魔物じゃん」

武闘家「ゆるふわカールヘアー、触手にパーマ当てても大丈夫なの?」

戦士「お前さっきから何ブツブツ言ってんの」

武闘家「ん、魔族の女性雑誌。見つけたから読んでたの」

戦士「そんなんあるのかよ……」

戦士「それより布団敷き終わったから今日はもう寝よう。疲れたろ」

武闘家「ああ、サンキュー……って」

武闘家「どうして並べて敷いてあんの!?」

戦士「えぇ? だってここぐらいしか寝られる場所もないし」

武闘家「おっさんは台所かトイレかお風呂! 私これでも女なんだけど!」

戦士「…なんだよ、反抗期?」

武闘家「アホかっ…!」

戦士「それに1人で寝ててもし幽霊なんかでたらどうするんだ。お前怖いんだろ」

武闘家「うっ!」

武闘家「……」

武闘家は自分の布団をなるべく遠くへ敷き直した。

武闘家「近づいたら殺す!!」

戦士(やー、お子様だなぁ)
580 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:51:09.14 ID:nzq0XWkS0
武闘家「……」

戦士「なーなー、寝た? もう寝た?」

武闘家「寝たから話しかけんな!」

戦士「寝てないじゃん…」

戦士「これから俺たちどうなっちゃうんだろうな」

武闘家「決まってるじゃない。ここを何とか抜け出して」

戦士「まぁ、それが理想だが」むくっ

戦士は布団から出た。

武闘家「ひっ!? な、何する気……私を食べるの!?」

戦士「俺はロリにゃ興味ねー」

ガサゴソ、ガサゴソ

武闘家「……おっさん?」

戦士「寝れないからタンスの中漁り。ただの暇潰しさ」

武闘家「また下着か……。ほんと、男って変態ばっかしね」

戦士「おっ!」

戦士「へっへっへ、日記っぽいの見つけたぜ」

武闘家「まさか読む気? 魔物だとしてもそれ最低よ」

戦士「バカめ、日記は読む為にあるんだろう。どれどれ〜」

武闘家「さいてー…」

戦士「……」

戦士「おい、これ」

武闘家「えー? もう私寝たいんだけども…」

戦士「いいからいいから!」
581 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:51:50.09 ID:nzq0XWkS0
武闘家「布団出たくないから、読んで」

戦士「仕方がない」

戦士「どうも日記を見る限り、ここに住んでた魔物ってのは魔王の側近だったらしいぜ」

武闘家「側近?」

戦士「傍に立ってる人みたいな奴よ」

戦士「今日は魔王様のくしゃみの回数が多かった。風邪引いた!? どうしよう」

武闘家「一々声色変えなくていい。気持ち悪い」

戦士「へいへい…今日も魔王様の大活躍! 勇者一行を文字通り瞬殺! カッコいいなぁ〜」

戦士「今日は魔王様から叱られちゃった。明日からもっと頑張ろう」

戦士「今日は魔王様の機嫌が悪かった。子どもみたいに怒って! 全くもう!」

武闘家「魔王魔王って、何なの」

戦士「お世話してたんだし仕方がないんじゃね?」

戦士「明日は魔王様の誕生日! 手作りのお菓子を作ってみた。気に入ってくれると嬉しい」

戦士「あらいい子」

武闘家「ほんと人間みたいね」

戦士「…うわっ」

武闘家「何?」

戦士「お菓子捨てられちゃったらしい…」

武闘家「魔王酷いわね!」
582 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:53:08.18 ID:nzq0XWkS0
戦士(…ここに書かれている魔王は勇者殿なのだろうか)

戦士「いやいや! そんなわけねぇ!」

武闘家「早く続きー」

戦士「何だかんだ言ってお前も好きだな」

武闘家「いいからさっさと!」

戦士「はいはい…。今日は私の誕生日。おめでとう私。誰か気づいてくれないかな」

武闘家「まさか……」

戦士「……」

武闘家「ウソでしょ…あんまりにも不憫よ、その魔物…」

戦士「ここのページだけ何かで濡れたみたいにくしゃくしゃだ」

武闘家「言わんでいいっ! もう続きいいわ、聞きたくなくなってきた!」

戦士「待て待て、もう少し……」

戦士「魔王が、失踪?」

武闘家「は?」

戦士「……勇者になると前の日に仰っていたけど、まさか本当に勇者へなるつもりなの」

武闘家「ちょっとどういう事よ? わけがわかんないわ」

戦士「俺もだ…!」

戦士(な、何でこんなにドキドキしてるんだ俺!?)

その時、日記から一枚の写真が落ちた。

戦士「!」
583 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:53:57.86 ID:nzq0XWkS0
戦士「ま、まさか…これは」

どうやら魔王が写っている写真のようだ。

武闘家「何よ何よ!? さっきから何だっての!?」

戦士「お、お子様は寝ていろっ…!」

武闘家「こんな時ばっかり子ども扱いすんなぁー!」

戦士(この写真に写っているのが、もし、もしあの人だったら…俺は…!!)


ぺらっ


戦士「……」

戦士「よし、そろそろ寝るか」

武闘家「はぁ!?」

戦士「もう夜遅いし。朝起きれなくってもしらんぞ〜」

武闘家「ちょっと待ってよ! さっきのは」

戦士「魔王の写真」

武闘家「えぇっ!?」

戦士「お前が見てもどうしようもないって。ふぁ〜…」

武闘家「…お、おっさん。何かホッとした顔してない?」

戦士「ああ、ホッとした。さて、おやすみ」

武闘家「意味わかんない……」

戦士(よかった)

戦士(写真に写っていた魔王は、勇者殿じゃなかった…)

戦士「よかった…よかったよ…勇者殿っ……」ポロポロ
584 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:54:40.20 ID:nzq0XWkS0
一方そのころ魔王たちは・・・


盗賊「……」こそこそ

女勇者「あ、師匠。おかえりなさい!」

僧侶「どうでしたか…?」

盗賊「ダメだ。どこもかしこも城の兵がいやがる。俺らを探しまわっているぜ」

女勇者「そ、そんなぁ…」

魔王「ふんッ、あの様な雑魚どもに何を恐れている。倒せばよいのだ」

僧侶「これ以上余計な被害を出してしまえば、あと戻りできなくなってしまいます」

僧侶「忘れないでください。私たちの本当の目的は魔王の討伐。人を殺める事ではなありません」

魔王「だって敵意むき出しで向かってくるあやつら悪いんであろうが!」

魔剣『そうだよそうだよ! 僕たちなーんにも悪い事なんかしてないもん!』

女勇者「本当ですよ…。こんな犯罪者みたいな扱い、酷い!」

盗賊「まぁ、だよな…。だがよ、今さら濡れ衣を払えそうな気もせんぜ」

魔王「何を申すか」

盗賊「策があるのか?」

魔王「簡単な事よ。偽勇者をひっ捕えてあやつらの前に突き出してやれば良いだけである」

女勇者「お、お〜!」

盗賊・僧侶「〜……」
585 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:55:19.55 ID:nzq0XWkS0
盗賊「突き出したところでこっちには何も証明するもんがねぇんだぞ」

僧侶「きっと、また牢屋へ入れられてしまうに違いありませんね…」

魔王「ならばまた脱獄すればよい話ではないかッ」

盗賊「罪が重なるだけだろうが! 少しは考えろ!」

魔剣『ん〜……困っちゃったねぇ』

僧侶「旅を始めた時はまさかこんな事になるなんて思ってもいなかったわ…」

魔王「それは余も同じだくそったれめー!」

魔王(なぜ勇者になってからも人間から狙われなければならんのだ! 余は悪い事していないのに!)

魔王「これでは以前と何も変わりないではないか……」

魔剣『勇者ちゃん?』

女勇者「あああぁ〜〜〜〜〜〜!!!」

魔王・僧侶・盗賊「」ビクッ

魔王「いきなりデカイ声を出すな阿呆ッ」ゴツンッ

女勇者「痛ぁっ!?」

僧侶「どうかしましたか? 勇者様の仰る通りあまり大きな声を出すと兵士が」

女勇者「あのあの! あのですねっ」

女勇者「本物だって証明するもの、私持ってるんですよー!」

魔王「何…?」

女勇者「へへーん!」
586 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:55:57.74 ID:nzq0XWkS0
盗賊「……そうか、勇者の鎧」

女勇者「はい! これって勇者の血を引く人にしか装備できないですからね」

盗賊「確かにその鎧は偽物だって疑いをかける余地もねぇぜ。鎧の防御力がその証拠だ」

魔剣『僕でさ傷つけられないもんね〜…』

魔王「という事はそれを盾にしてあやつらをギャフンと言わせられると」

女勇者「その通り〜!」

女勇者「どやっ」ドヤ

魔王「貴様にしては役に立った。殺すのはもう少し先に伸ばしておくとするか」

女勇者「殺す? ……ん? えっ?」

魔王(こやつを殺して装備を奪ったところで余には鎧を装備することができん)

魔王(ならば、生かしておくに他ならん)

僧侶「物騒な話はさておき、よかったです。希望が見えてきましたよ」

盗賊「ああ、女勇者。ナイス」

魔剣『グッジョーブ!』

女勇者「てへへっ…///」テレテレ

女勇者「しかものしかも、鎧だけじゃないんですよ〜。剣だって」

女勇者「あ」

盗賊「どうした?」

女勇者「あああぁ〜〜〜〜〜〜!!!」
587 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:56:46.67 ID:nzq0XWkS0
魔王「同じ事を申させるなよッ」ガツンッ

女勇者「さっきより痛ぁっ!?」

僧侶「あの、今度は何でしょう?」

女勇者「そ、そうなんです!」

女勇者「私の勇者の剣が…無くなっちゃって…」

僧侶「え?」

魔剣『勇者の剣って女勇者ちゃんが持ってた奴? 威力はわからずじまいだったけど』

魔王「ろくに当てられんからな」

女勇者「そこは今関係ないっ…!」

女勇者「あのですね…牢から出て私たち変なドラゴンと騎士に追いかけ回されたでしょう?」

盗賊「その時に無くしたと気づいたわけか?」

女勇者「……はい。正確に言ってしまうと無くしたというか…すり替わっちゃってたというか」

盗賊「すり替わっていただと」

女勇者「違う剣持ってたんです。私」

僧侶「どうして。まさか城の兵か誰かに横領されてしまったとか」

魔剣『僕、ちゃんと見てたけどそんな事されてなかったよ?』

魔王「貴様の話では信用が持てんわ」

魔剣『見てたも〜ん!!』
588 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:57:26.46 ID:nzq0XWkS0
僧侶「魔剣ちゃんの話を信じるとすると……まさか」

盗賊「僧侶、心当たりがあるのか」

僧侶「……牢から解放してくれたあの女戦士さん」

女勇者「あっ!」

魔剣『痴女だよ〜』

盗賊「痴女っ!? ど、どんなだ…!」

女勇者「師匠やらしー……」

僧侶「助けていただいた恩人をあまり疑う様なマネはしたくはありません」

僧侶「もしかすれば間違って持っていってしまったか。違う剣を手に入れてきてしまったか」

魔王「いや」

魔王「痴女の事よ。おそらく故意に貴様の剣を持ち去ったに違いあるまいて」

女勇者「そんな! だってあんなに親切でいいお姉さんが泥棒なんて考えられないです!」

僧侶「ええ、私も同感です。あの方は悪い人には見えなかった」

魔王「貴様らは表面しか見えておらん愚か者どもだな!」

魔王「余は確かにあやつの口から聞いたぞ。牢を破壊した後『必要な物が手に入っただけ良しとした』と」

僧侶「え…?」

魔王「先に奴は助けてくれる条件を要求しようとしていたな。だが、それを撤回してそう申した」

盗賊「……俺はその時の話を聞いちゃいなかったが」

盗賊「その痴女、どうもきな臭いぜ」

女勇者「うそー……」
589 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:57:59.89 ID:nzq0XWkS0
魔王「決まりだ。女勇者、貴様の剣はあやつに奪われた」

女勇者「し、信じられないよっ…」

僧侶「……もし、奪ったとして」

僧侶「なぜその様なまねをしたのでしょうかね」

盗賊「さぁな。まぁ、マジもんの勇者の剣なら高くさばける。質にでも入れたんじゃ」

僧侶「はたしてそうでしょうか?」

魔王「だが勇者の剣である。フツーの人間には扱えぬのだぞ」

女勇者「ゆ、勇者にしか使えません〜!」

魔剣『なんか僕親近感沸いちゃったよぉ』

僧侶「…確かに。ですが、何か裏がありそうで」

魔王「僧侶よ。それはただの考え過ぎ! 事はもっと簡単に考えるべきよ!」

盗賊「てめぇは簡単すぎんだよ…」
590 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:58:33.81 ID:nzq0XWkS0
僧侶「彼女が盗んだと決まったわけではありませんが、もう1度お会いして確認すべきですね」

盗賊「泥棒した奴に盗んだかって聞いてはいって返事は期待できないとは思うぜ」

魔王「まぁ、こちらから会いに行かんでも奴は勝手に現れてくれそうだがな」

女勇者「そんなの待っていられないです! なんとしてでも取りかえさないとー!」

魔剣『おー!』

僧侶「で、ですから…」

魔王「疑いを晴らすのに剣は必要あるまい。鎧だけで十分」

魔王「勇者の剣がなんだ。その様な胡散臭い剣の一本くれてやってはどうだよ」

女勇者「そ、そんなの絶対ダメ! あれは私がお父さんから貰った大切な剣なんですから」

女勇者「絶対絶対、手放しちゃダメだよって…大切にしてねって…ぐずっ…言われてて…」

魔王「一々泣くなァッー!!」

女勇者「うわぁあ〜〜んっ! お父さぁーん! ごめんねーっ!」ワッ

盗賊「お、おい…泣きやめ…兵士にバレる…!」

魔剣『泣かないでー!』

女勇者「う、う、うぅぅ……ぐすんっ…」

僧侶「よしよし…。とにかく、女勇者さんが可哀想ですし剣を取り戻しませんか?」

魔王「やだ!」

僧侶「そう仰らずに〜…」

魔王「やだもん!」

魔剣『勇者ちゃん頑固〜』
591 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 03:59:29.07 ID:nzq0XWkS0
盗賊「……しかし、勇者の剣って壮大な名前がついてるんだ」

盗賊「魔王を倒すのには必要不可欠なアイテムかもだぜ?」ニヤリ

魔王「!」

女勇者「…そうです、師匠の言う通りです…必要不可欠です…ずずーっ」

僧侶「ああっ、鼻水吸っちゃダメよ!」

女勇者「んぐ、ちーんっ! ……あの剣なら魔王にダメージを与えられるんです」

盗賊「だとよ」ニヤニヤ

魔王「その様なものでダメージなど喰らった覚えは余にはないぞ!!」

僧侶・女勇者「は?」

盗賊「うわあああぁーーー!! うわあああぁーーー!!」

僧侶・女勇者「ひぃっ!?」

盗賊「そんなもんでダメージなんか与えなくても勝てるって言ったんだよな!? なっ!?」

魔王「は!? あ、あー…うん」

盗賊「だとよ!」

僧侶・女勇者「はぁ……」

盗賊(あ、危なかった)

兵士「いたぞォ〜〜〜!! 偽勇者一味だ!!」

盗賊「ぶッッッーーーーーー」
592 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 04:00:31.82 ID:nzq0XWkS0
僧侶「はぁ、はぁ……」

女勇者「なんとか撒く事できたみたいですね〜…」

魔剣『いきなりでビックリだったねー!』

魔王「盗賊が大声あげるから見つかってしまったのだッ! このタコめッ」

盗賊「す、すまねぇ……(お前の為だろうがよ…!)」

魔王「で」

魔王「まだ貴様らは剣を取り返そうなどと申す気か?」ギロ

僧侶「魔王討伐に必要と言うのなら、なおさらだと私は思いますけども」

魔王「魔王は余が倒すからそんなのいらないのッッッ」

僧侶「もうっ、またそんなこと言って!」

女勇者「……わかりました」

女勇者「私1人で剣を取り戻します。だから、皆さんとはここでお別れを」

僧侶「えぇっ!? そんな! ダメですよ!」

魔王「構わん。行け」

僧侶「勇者様ぁ〜っ!!」

魔王「だってこやつが行きたいと申しておるのではないか。好きにさせてやるのだ!」

盗賊「今こいつ1人でうろついていてはすぐに兵士どもに捕まるのが山のオチだ」

盗賊「それに武器も持っていないんだぜ。あまりにも無謀だな」

女勇者「うっ…」

僧侶「そうですよ。バカな事仰らないで、もっと一緒にいましょうよ。ね?」

女勇者「で、でも…!」

僧侶「あーあ……どこかの誰かさんが素直にうんって言ってくれればいいだけなのになぁー…」チラチラ

魔王「ふんッ」
593 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 04:02:52.58 ID:nzq0XWkS0
僧侶「勇者様。私からもお願いです」ぺこり

盗賊「おいっ! こんな奴に頭下げる必要はねぇぞ!」

魔王「あァ!?」

女勇者「そ、僧侶さぁん…」

僧侶「お願いします」

魔剣『勇者ちゃん。ちょっとぐらいいいじゃ〜ん! ね、ね?』

魔王「魔剣、貴様もかよッ…」

魔剣『だって女勇者ちゃんじゃなきゃ勇者だってみんなに証明できないんだよー』ヒソ

魔剣『ここで逃げられちゃったら僕たち本当に困っちゃうよ〜』ヒソ

魔王「むっ、言われてみれば確かに…」

女勇者「お願いします! お願いします! どうか私のお手伝いしてください! お願いします、勇者さん!」ぺこぺこ

盗賊「……勇者、寄り道の1つや2つ許してやったらどうだぜ?」

魔王「うむ、許可する」

盗賊「あっさり下りた!?」

僧侶「よかったですね、女勇者さん」

女勇者「はい! あの、ありがとうございますっ! 勇者さん!」

魔王「ふはははッ〜〜〜!! 今回だけ特別である! 寛容な心を持つ余に感謝しろよッ!」

女勇者「きゃーきゃー! 勇者さん優しいよぉー!」

魔剣『さすが勇者ちゃ〜ん! 素敵〜!』

僧侶「……なんか途中から違うくありません?」

盗賊「アホらし……」
594 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/02(金) 04:08:04.81 ID:nzq0XWkS0
ここまで。
最近これ最初の方から見直してみたんだけど、全体的にキャラ安定してるのが僧侶ぐらいしかいない事に気づいた
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/02(金) 04:11:03.68 ID:Do7uQe2uo
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/03/02(金) 04:13:46.06 ID:ht4t4lnTo
魔王は相変わらずだが盗賊は良い意味で変化してると思う
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/02(金) 05:28:01.78 ID:alNj5RXg0

乙。女勇者ちゃんのどやいただきましたー

確かに盗賊はいい変化
こんな良キャラになるとは思わなかった
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/03/02(金) 07:03:06.25 ID:Wv1IOXmBo
ここが あの男の

  ハウス

ね・・・
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/02(金) 07:22:34.26 ID:qarxcURIO
戦士がどんどん迷走してるなー
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/02(金) 08:53:41.16 ID:FILoZE2DO
写真って先代の魔王ってことかね
乙です
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/02(金) 09:33:46.06 ID:dZULsd0IO


戦士が童貞のような行動を…
それで妖精が見えたのか
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/03/02(金) 11:47:09.65 ID:OsxTBjFAO
>>600
魔王は最初に魔法で勇者の姿に化けたんだと思う
ラーの鏡を使われたら写真の状態に戻るんじゃないかな?
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/03/02(金) 11:48:18.99 ID:OsxTBjFAO
あ…女勇者ちゃんの鎧を魔王が装備できなかったら、
魔王が偽勇者なことがバレるんじゃ…
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/03(土) 00:03:46.95 ID:hNxgvbGDO
>>602それだと偽勇者と会ったときに「そっくり」だとか言われないとおかしくないか?
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/03(土) 02:45:32.21 ID:mn1fbZfDO
単純に魔物から人間に化けたんじゃないか?
606 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:29:23.92 ID:QBTwi0KK0
勇者「へ、へへへ…これが俺様の剣…!」

賢者「もっとよく見せてよ〜」ペタ

遊び人「輝いておるwww輝いておるwww」ペタ

勇者「ベタベタ触ってんじゃねーよ! 手垢ついたらどうしてくれんだ」

勇者「ん〜、すりすり…なんて艶だぜ」

賢者「そっちの方が汚いと思いまーす」

勇者「俺のだから別にいいんだよ!」

女戦士「まぁ、大切に扱ってくれるだけ良い」

女戦士「それは君に託すよ。代わりと言っては何だが精進して欲しい」

勇者「はぁ? 今でも十分そうしてますけどー?」

勇者「とりあえず今回はこの剣に免じてアンタの勝手な行動は許してやるぜ」

女戦士「それはどうも」

遊び人「にしても女戦士さん水臭いですぞ。私らも一緒に剣取りに行ったのに〜」

女戦士「君らがいると、きっとややこしい事になると思って」

賢者「何それムカつく…」

勇者「けっ、アンタが俺らの事全然信頼してないのはわかったよ!」

女戦士「元から慣れ合うつもりなんてないのだろう? 目的が共通だというだけで」

賢者「ぶー、面白くなーい」

遊び人「いやいや、ここから怪しい仲に発展するのでしょー。ね、賢者さん…」もみん

賢者「揉むなエッチ!」パシッ
607 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:30:27.05 ID:QBTwi0KK0
勇者「ま、そんな事より試し切りしようぜー!」

賢者「ここに試し切りに持って来いなのがいるんですけど」

勇者「お〜……!」

遊び人「冗談でもwwwwよせwwww」

女戦士「少し教えておく事がある。勇者」

勇者「いいとこで邪魔すんなよ!」ギリギリギリ…

遊び人「ひ…ひ…あひひ…www」

女戦士「その剣は対人には向かない」

賢者「ん、それって」

女戦士「そう。対魔物兵器」

勇者「ハァー?」

女戦士「人間相手では真の効果は得られない、そういう事さ」

女戦士「最もそこにいる道化師は人間ではないわけだが」

勇者「じゃあ試しに切ってもいい感じだなッ!」

遊び人「うおおおォォォ〜〜〜ッ……」

賢者「ねぇ、どうして人じゃダメなわけ? 勇者の剣だから?」

女戦士「元々魔物を殺す事にだけ特化して作られた。ただそれだけの為にね」

女戦士「魔王が装備している魔剣を知っているな。これは要するにアレと相反する剣と考えてもいい」

勇者「何ィ!?」
608 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:31:12.89 ID:QBTwi0KK0
勇者「ならっ、俺は今度こそ魔王と対等に切りあえるわけか!?」

女戦士「理論的には。だが君はまだ実力不足だと私は思う」

賢者「頑張ってもまだレベル40ちょっとだしねぇ〜」

勇者「うっせー! 普通ならこれぐらいで十分なんだよ!」

遊び人「確かにだいぶ強い方ですぞ♪ でも〜」

遊び人「魔王はその上を行っちゃってるわけでねw」

女戦士「そうだな。だが、魔王はレベルアップによる成長の恩恵を授かる事ができない」

賢者「ていうかレベルって概念自体がないんじゃなかったっけ?」

女戦士「ああ。だが勇者、君は魔王とは違う。強くなれる」

女戦士「際限なくな」

勇者「お、おお……! いいね、いいねッ…!」

勇者「俺様最強伝説始まりそうじゃね? パねぇな、俺」

賢者「ひゅーひゅー」

遊び人「カックイー」

勇者「おう、もっとやる気出せや」

女戦士「無限の成長。悔しいものだな」

女戦士「強さの限界を知る事がないほど、嬉しいことはないよ」

勇者「うひぇひぇひぇひぇwwwwww」
609 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:31:54.23 ID:QBTwi0KK0
賢者「そういえばぁー」

賢者「魔王の持ってた剣は喋ってたけどサ、それはそういうのないわけ?」

勇者「あー、あったら面白そうだな! おら、喋れ喋れ!」ビシビシ

女戦士「どうなのだろうね。私はこれ以上ソレについて知る事はない」

遊び人「どーしてあの魔剣は言葉喋れちゃうんでしょ?」

勇者「あァ? 中に人でも入ってんでね?」

賢者「うそー」

女戦士「ふふ…入っているのだとすれば、魂かもしれないな」

賢者「タマタマ?」

遊び人「おじさんのきんのたまだからね」

女戦士「とにかくその剣は大切にな。大事にしてやらなければ応えてくれる物も応えてはくれないから」

勇者「わかってっからよォ〜〜〜。魔王倒すのにコレがあれば百人力なんしょ? じゃあ大事大事しますっての」

勇者「wwwwww」ニヤニヤ

賢者「勇者くん嬉しそう、ていうか何かブキミ?」

勇者「うーし、そろそろまた魔王探して倒そうぜ。出発だ」

遊び人「あ、私はここでアンタらとお別れですわ」

勇者「…ああン?」
610 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:32:43.52 ID:QBTwi0KK0
遊び人「ていうかぁー、私がー、魔王をねー?」

賢者「もしかしてその喋り方私のパクってるつもりじゃないだろうなオイ」

勇者「おーテメェ! 今魔王って聞こえたぞ!? 何だオラ!」

女戦士「……」

遊び人「お姉さんはもうご理解してましょー」

女戦士「そうだな」

賢者「って、どういうこと?」

女戦士「長くはない命……と言うのも滑稽。その身が保てる時間も長くないという事だ」

勇者「腐って死ぬってか? 俺ら不死身だべwwww 何言ってんだか」

遊び人「まぁまぁwwwww」

遊び人「とりま、そろそろ本気出す時なワケ。悪いけれど、今だけ魔王は私に譲りんさい」

勇者「ざけんな変態ピエロッ! 面白くねーぞ!」

遊び人「」ハラパン

勇者「おぐっ……」

勇者は気を失ってしまった!

賢者「あー、何してんのよ」

遊び人「悲しきかな。いつもおちゃらけていたのが悪かったのか」

女戦士「君は道化だ。そうだろう」

遊び人「違うんだよwwwふざけていなきゃ不安で不安で仕方がないんだよぉwww」
611 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:33:38.95 ID:QBTwi0KK0
遊び人「私は遊び人でいる事を強いられているんだwwwwwふひひwwww」

賢者「何言ってんだか。アンタが何言ってもふざけてるようにしか聞こえないよ〜」

女戦士「前から思っていたのだが」

女戦士「君はいつも笑顔でいる事を止めないな」

賢者「だって遊び人だからでしょ?」

遊び人「笑ったままwwww笑ったままでしかいられないwwwwww」

遊び人「元にwwwwもどらへんwwwwもどらへんよwwwwwww」

賢者「…病気?」

女戦士「どちらにせよ私たちには関係がない。そうだな」

遊び人「その通りですぞ〜!」

遊び人「魔王を倒せば私は笑顔を強いられずに済むんだwwwww違いないよぉぅwwwww」

遊び人「見ていろ魔王ーwwwwww仲間の仇は私がwwwwこの私が取ってやるぞ〜wwwおーwwwwwwww」

遊び人は行ってしまった。

賢者「元から危ない奴だなって思ってたけど、あんなにだったんだ」

女戦士「彼が魔王を狙うのは、復讐の為だったのかもしれない」

女戦士「君は知っているかな。あの道化師が陰でどれ程力をつけていたか」

賢者「えー? 私らに黙って特訓してたっての?」

女戦士「ああ」

女戦士「彼は今、レベル99だよ」

賢者「えっ!?」
612 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:34:17.30 ID:QBTwi0KK0
料亭


「あそこに偽勇者たちがいるの」

兵士「なにィー!?」

盗賊「やばいぜ、見つかった…」

僧侶「すぐにお店を出ましょう!」

魔剣『お金は? 払わなくていいの?』

僧侶「この際そんなこと気にしていられないわっ」

魔王「そうと決まればスタコラさっさ」

女勇者「ま、待って〜…まだこのパスタ残ってて…!」モグモグ

盗賊「」ぐいっ

女勇者「あぁ〜んっ!!」

「アイツら食い逃げぇ〜〜〜〜!!」


・・・


盗賊「やはりこの状態じゃオチオチ店にも立ち寄れねぇ」

女勇者「ご飯……」

僧侶「タダで少しお腹を膨らませる事ができただけ良しとしましょうよ」

魔剣『僧侶ちゃん悪〜』

魔王「ていうかあの場で女勇者が例の鎧を見せてやれば良かっただけであろうがよ!」

「あー…」
613 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:35:00.51 ID:QBTwi0KK0
女勇者「あの時はパニくっててそれどころじゃ…!」

魔王「全く阿呆めッ」

盗賊「偽勇者に食い逃げ、罪は重なるばかりだな」

僧侶「こ、困りましたね……」

魔剣『僧侶ちゃんがお金はいいよーって言ったんじゃん?』

魔王「それで、腹ごしらえはもう済んだであろう。そろそろ行くぞ」

女勇者「……まだ食べ足りない〜」

魔王「貴様の食欲事情など知ったこっちゃないである」

僧侶「とにかく先へ進むべきですよね。これ以上他の方々へ迷惑は掛けられません」

盗賊「ああ、関係がない奴らまで巻き込むことは避けるべきだぜ」

魔剣『とりあえず最初はどこ目指すのー?』

盗賊「勇者の剣を例の痴女が所持していると考えるとする」

盗賊「目的地は定まらんぜ…対象は人間だ。動きまわっている…」

魔王「魔剣よ、奴の臭いを追う事はできぬのか」

魔剣『アイツってアンデッドなんだよね。だから腐臭みたいなのがちょーっとするの』

女勇者「うげぇ…ていうかアンデッドって?」

盗賊「その女もかよ……」

僧侶「え、え?」

魔王「貴様らは気にするな。別に大した事ではないである」

僧侶「だいぶ大した事かと!」
614 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:35:52.97 ID:QBTwi0KK0
魔王「おら、嗅げ」クイ

魔剣『くんくん、くんくん』

魔剣『あっちの方から臭うよー』

女勇者「…なんだか犬みたい」

魔剣『ワンワン?』

僧侶「魔剣ちゃんって色々な事ができますよね」

魔剣『万能剣だからねっ』

盗賊「…十得ナイフみたいなもんだろ」

僧侶「そんな平凡な道具でしたらどれだけいい事か」

女勇者「一家に1つ! 欲しいですよねぇ」

魔王「こやつのウザさが改善されぬのなら使いたくない」

女勇者「えー、とっても便利なのに。寂しい時は話相手にもなってくれるんですよ?」

魔王「その様な機能いらんわッ! ウザいから!」

魔剣『……しくしく』
615 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:36:25.84 ID:QBTwi0KK0
僧侶「よしよし、魔剣ちゃんはとってもいい子だからねー…」

魔剣『いいよいいよ。どうせ僕は喋って愉快なヘンテコ剣だよ…』

僧侶「ほら! 皆さんが変な事を言うから魔剣ちゃんが!」

魔王「一々その剣を気にしておられるか。シカトしておけ」

僧侶「あ、あんまりですよ…」

魔剣『僧侶ちゃん。心配してくれて僕嬉しいよ〜』

魔剣『でも僕、勇者ちゃんのお役にたてればそれだけで嬉しいから!』

女勇者「わぁ、健気ー…」

盗賊「すっかり主思いの剣だぜ。良かったな? くくくっ…」

魔王「ふんッ」

僧侶「信頼してくれる子の気持ちを無下に扱ったりして。いつか痛い目みますよ?」

魔王「そんなのあり得んわ〜」

魔剣『そうだよー! 僕、勇者ちゃんのこと大好きだし!』チュッチュ

僧侶「魔剣ちゃんはどうしてこんな人に拾われちゃったのかしら…」

女勇者「暴力亭主に健気な妻。…運命感じちゃったんじゃないでしょうかね!?」

盗賊「最悪なドラマしか思い浮かばんな、そいつは」
616 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:37:00.94 ID:QBTwi0KK0
魔剣『こっちだよ、こっち。くんか』

盗賊「この方角だと、また人が大勢いる場へ行きそうだが?」

僧侶「……あの」

魔王「魔剣如きに道を示されるのも腹立たしいな」

女勇者「ナビゲーション機能備わってるとか便利で素敵ですよ〜」

盗賊「そのうち人を乗せて移動できるようにもなるかもな…」

魔王「そんな機能は?」

魔剣『ないよ!』

盗賊「そこまで求めやしねぇよ。第一触る事もできないんだから乗るなんて無理だろうぜ」

女勇者「何とか克服できないかな? グローブつけても意味ないんですよね」

盗賊「以前だが、人の手を介してその上から触れればこちらに効果がなかった」

女勇者「ほへー…じゃあ誰かを下に敷いて」

僧侶「あのっ!!」

「!」

盗賊「そ、僧侶。どうした…?」

魔剣『お腹痛い〜?』

僧侶「そうじゃないの……。ただ……」

魔王「ハッキリせんなァ。何かあるのならさっさと申せよ阿呆!」

僧侶「えっと…」
617 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:37:35.90 ID:QBTwi0KK0
女勇者「どうしたんですか。私で力になれることなら遠慮なく言ってください!」

盗賊「ああ、隠し事は無しだなんて言えた口ではないが。黙っていられても困るぜ」

僧侶「この先に行くの、やめませんか」

魔王「何故じゃ、僧侶よ」

僧侶「……」

女勇者「行ったら危ないとか!?」

僧侶「そういうわけでは…」

魔王「なら問題あるまいて。おら、進むぞ」

僧侶「はい……」

盗賊(僧侶ちゃん、どうも浮かない顔だ。気分でも悪いとか!?)

盗賊「おおお、俺が背負ってやってもいいんだぜ…!?」

僧侶「……」

盗賊「え、無視……」

女勇者「師匠ってば下心見え見えです。鼻の下なんか伸ばして〜」

盗賊「バカなこと言うもんじゃねぇっ」

魔剣『僧侶ちゃん本当に大丈夫〜…? ごめんねぇ、僕がこっちって言ったから』

僧侶「ううん、魔剣ちゃんが悪いんじゃないの。私が勝手な事言いだすから」

僧侶「……」ブルブル

盗賊(どうしたんだよ、僧侶ちゃん……!)
618 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:38:46.41 ID:QBTwi0KK0
荒くれの町


女勇者・盗賊「うわっ…」

魔王「ここで確かなのか?」

魔剣『そうだよ〜。ここからプンプン臭うの』

魔王「まぁ、何週間も風呂に入ってなさそうな輩が沢山だからなァ」

盗賊「そういう問題なのか…?」

僧侶「」ヒシッ

魔王「あァ!?」

僧侶は魔王にくっついた!

盗賊「てめえええェェェッ!! 何僧侶ちゃんに引っ付いてんだァッ!!?」

女勇者「ちゃん?」

魔王「別に余がくっ付いたわけではないわ! 僧侶が勝手に!」

盗賊「ああッ!?」

僧侶「ごめんなさい、ごめんなさい…」

魔剣『僧侶ちゃん。怖いの? なんか脅えてるよ』

女勇者「本当…。手もこんなに冷たいよ」

盗賊「お、おい! てめぇ変な事したんじゃないだろうな!?」

魔剣『僕はしてないよー! 失礼だなぁ』

盗賊「ならこの脅え様はなんだ! そ、僧侶…」

魔王「構わん、進むぞ。もしかすればこの町に痴女がいるかもしれん」

女勇者「えっ…さすがにちょっと待ちましょうよ。僧侶さんが心配です」

魔王「チッ!」

僧侶「はぁ、はぁ」
619 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:39:42.34 ID:QBTwi0KK0
「部屋を貸せ? ならこんだけ金取るぞ」

盗賊(高っ…!?)

盗賊「おい、ボッタもいいところだぜ。何考えてやがる」

「払えなきゃ泊める気ないよ。結構身なりも良い旅人みたいだし、これぐらい出せるだろ」

盗賊「足元見やがって! いいっ、他を当たるぜ!」

女勇者「し、師匠…。どうですか?」

盗賊「ダメだ。何処も安く泊める気がねぇ」

女勇者「この際仕方なしって事でもう決めちゃった方が」

魔王「ふん、こんなボロ宿に高い金出すつもりないである!」

盗賊「ていうかまず、こっちは財布の底もつきそうなんだ…」

女勇者「そんなぁ…」

女勇者「せめて、少し僧侶さんが横になれる場所があればいいだけなのに」

魔王「……あやつらさっきからジロジロと。ここ居るだけで気分悪くなるなッ!」

盗賊「金目のもんはしっかり持っておいた方がいいぜ。スられる可能性が高い」

女勇者「け、結構治安悪そうですもんねぇ…」

盗賊「ああ、だからお前は俺らから絶対に離れるなよ。危険だ」

盗賊「てめぇは変な騒動を起こすなっ…! 大人しくしているだけでいいからな…!」

魔王「なぜ余だけそんなに念押されなければならんのだ!?」

僧侶「……盗賊さんの言う通りです。この町で目立ってはいけません」

魔剣『僧侶ちゃーん。大丈夫なの?』

僧侶「うん…」
620 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:40:45.13 ID:QBTwi0KK0
僧侶「基本的にこの町の人は外から来る人を良く思いません」

僧侶「ですから、なるべく接触も避けるべき」

魔王「詳しいな、僧侶よ」

僧侶「……」

僧侶「ここはゴミの吹き溜まり。ロクな人間はいやしませんよ」

僧侶「だから、気をつけて…」すたすた

女勇者「ど、どこ行くんですか!?」

僧侶「少し休息を取れる場所へ行きましょう。案内しますから」

盗賊「案内って……おい」

魔王「僧侶はどうもこの町を知っておるようだな」

女勇者「知ってるって、ここ僧侶さんとめちゃくちゃかけ離れた場所じゃないですか!」

「お兄さん。いい子いるよ、安くするから寄っていってよ〜」ガシッ

「一発100Gポッチよ?」

盗賊「うおーっ!?」

女勇者「一発?」

僧侶「無視して歩いてください。声をかけられても相手にしないで」

盗賊「あ、ああ…」

「金、金を恵んでくれよぉぉぉー…一週間前から何も食ってないんだよぉぉぉー…」

女勇者「そうなんですか!? お金なら…」

僧侶「ダメ」ピタ

女勇者「えっ、でも!」

僧侶「一度恵んだら着いてきてしまいます。大変ですよ」

女勇者「ううぅ…ごめんなさい…」

「待ってくれよぉぉぉー……」
621 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:41:29.98 ID:QBTwi0KK0
魔剣『どんどん暗い所に来てるけど〜』

僧侶「大丈夫よ。もう少しで着くから我慢してね…」

盗賊「我慢っていうか、僧侶がなんか危な気だぜ…」

魔王「得意の治癒魔法で自分を癒してはどうだ?」

僧侶「治癒は体の傷を癒す事はできますが、心までは癒してはくれません」

僧侶「よかった、まだ残っていた……ここですよ」

女勇者「果物屋さん? ここでお買い物?」

魔王「だが店番しておる奴もいないが?」

僧侶「おばさーん! いるんでしょー? 死んでいないわよねー?」

僧侶が店の奥に声をかけると、1人の老婆が出てきた。

老婆「あーい! 生きてますよ、生きてますよぉ…へへへっ…」

魔王「このババア臭ッッッ!!!」

盗賊(うっ、目の焦点があってないぞ…)

僧侶「このおばさんはただの薬中です。おかしな事言っても気にしないであげてくださいね」

老婆「昨日はね、お夕飯ね、カレーでねぇ。そしたら、もうっおかしいの! お風呂が!」

女勇者「あわわわわっ…」

僧侶「大丈夫、怖いのはわかりますが安心していいですよ。さ、奥に行ってください」

魔王「奥へ進んでも大丈夫だろうなァー?」

魔剣『死体とかあったりして!』

僧侶「それはわかりませんが…。とりあえず、ね」

女勇者「ここ怖いよ…おかしいよ…」
622 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:42:18.22 ID:QBTwi0KK0
僧侶「座ってください」

女勇者「す、座れって言われても。ここ人の家ですよ!?」

僧侶「いいんです。さ、どうぞ」

盗賊「……」

僧侶「お茶を…入れてきます」

魔王「この町は貴様の出身地か?」

僧侶「…はい」

僧侶「……け、軽蔑しましたか?」

盗賊「そんな事ねぇぜ!!」

女勇者「そうですよ! 何処の出身だろうと関係ないですもん!」

僧侶「ありがとう……」

すたすたすた

魔剣『なんかビックリだね〜』

魔王「この様なゴミみたいな町で育っていたとはな」

女勇者「人の故郷をバカにしちゃダメですよ!」

盗賊(わりとショックー……)
623 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:43:29.26 ID:QBTwi0KK0
盗賊「」ぼけー

女勇者「師匠、師匠ってば」

女勇者「なんだか放心状態みたいです」

魔王「放っておけィー」

女勇者「僧侶さんって……神様に使えるお仕事してるんですよね」

女勇者「もしかして、この町を救いたいから! とかの理由でやってるのかな」

魔剣『でもさっきの僧侶ちゃん見てるとそんな感じでもなくなーい?』

魔王「人の事などどうでもいいわ。僧侶は僧侶であろうが」

僧侶「はい、私は私です。勇者様」

魔王・女勇者「!」ビクゥ

僧侶「あ、すみません…驚かせてしまって。あの、お茶です」

女勇者「じー……」

僧侶「毒なんて盛られていませんから、安心して飲んでください」

女勇者「えぇーっ!? いや、そんなんじゃ!」

盗賊「……少し落ち着けたのか」

僧侶「ええ、お陰さまで」

魔剣『僕たちなんにもしてないけどねー』

僧侶「ううん、みんながいたから私はこうして…」

女勇者「む、無理しなくていいんですよっ…?」

僧侶「すみません……」
624 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/04(日) 00:50:38.16 ID:QBTwi0KK0
ここまで
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 01:26:29.74 ID:to6TDt2Y0
乙!
勇者チート性能じゃないか
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/04(日) 02:40:29.71 ID:O3ILiqQFo

フラグ建てまくりだな
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) :2012/03/04(日) 02:41:49.72 ID:jp45b/RTo
乙らっこい
僧侶の出自は貧民窟?かー。
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 10:51:18.88 ID:LltP2dQpo
既に人間じゃなくて魔物なのに勇者の剣が使えてしかもレベルアップもするのか
それともアンデッドは魔物じゃないのか
でも遊び人は魔物らしいし…
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/05(月) 17:50:46.70 ID:gBATqWL+0
>>628
確かに
だんだん意味が分からなくなってきた
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 20:13:58.22 ID:kax+CQFyo
解説ほしいね
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/05(月) 20:15:05.04 ID:2T1Rr7KAo
間違えた、忘れてた
とか、どうせそんな感じだろうよ
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 20:34:33.25 ID:kax+CQFyo
アンチ乙
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/05(月) 20:46:22.99 ID:2T1Rr7KAo
なんかアンチ認定されたでござる
>>1の趣味で書いてるんだから、間違いだってあるだろうなら気にすんなよって事なんだけど
お母さんが生まれる前に死んだ云々のミスの前例もあるしね
それに、もしかしたら伏線かもしれないし、いちいち突っ込まない方がいいだろ
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 21:41:23.91 ID:75SI40jIO
>>631の言い方も紛らわしいが、
>>632ももちつけ

つまり言いたいことは、>>1乙!!
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/05(月) 22:55:14.61 ID:5yN9RfDVo
アンチ乙
636 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 05:49:47.90 ID:uwnvmgnp0
女勇者「私でよければお悩み相談しますよ!」

盗賊「こういう事は他人が干渉するようなもんじゃねぇ。そうだろう?」

僧侶「はい…」

女勇者「ご、ごめんなさい」

僧侶「いえいえ、悪気があってというわけでもないんですから。どうか気にせずに」

魔王「貴様はまだまだ気が使えんガキだな。ガキガキ!」

盗賊「誰かさんが言う言葉でもねぇけど…」

女勇者「私、もっと空気が読める大人の女になってみせます! よーし!」ふんっふんっ

魔剣『なんか不安〜』

盗賊「同じくだぜ」

僧侶「ほっ……」

僧侶「ありがとうございます。皆さん」

女勇者「えっ、まだお礼言われるような事1つもしてません!」

僧侶「ううん、十分しているんですよ。私にとっては」

魔王「僧侶はワケがわからぬなァー」

僧侶「よく言われちゃいます」

盗賊「と、とにかく元気になってくれてよかったぜ…! 僧侶!」

魔剣『盗賊ちゃんいい笑顔だねぇ』

女勇者「だって一番僧侶さんのこと心配してましたもんね〜」

僧侶「そうなのですか? 盗賊さん」

盗賊「……///」
637 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 05:55:20.73 ID:uwnvmgnp0
魔王「くだらん話は終わったー? 面倒だからさっさと痴女探ししようぞ」

盗賊「その名目だと俺たちとんでもない行動取ろうとしてるみたいだぜ…!」

僧侶「それなんですが」

僧侶「あの様な方がこの町に滞在する理由が私にはわからないんです」

女勇者「装備を整えに来たーとか?」

僧侶「でしたら、1つ前の町の方が品揃えも良いです。衛生的にも」

魔王「確かにここにはドブに浸かった様な色をした物しかなかった!」

盗賊「ぶっちゃけすぎだろ。まぁ、大したモンがあるようには思えないが」

盗賊「装備でもないとしたら、人か?」

僧侶「…ああ、その線がありますね」

魔剣『誰かに会いに来たってことかな?』

魔王「……それ以前に。魔剣よ」

魔王「貴様、本当にあの痴女の臭いを嗅ぎ分けたのであろうな?」

女勇者「え?」

魔王「アンデッドが漂わす腐臭。それだけを頼りにここまで来たというわけだが」

魔王「こやつは一度もあやつの臭いとは申してはおらんかった」

盗賊「……人違いということか?」

魔剣『あー……のねー……』

魔剣『大丈夫、大丈夫! 任せといてよぅー! きっとここにいるかもだよー!』

女勇者「もしかしていないって事もありえるんですかっー!?」

盗賊「冗談だろ…!」

魔剣『でもまだわかんないよ〜』

魔王「いなかったらこの町で売りに出すからなァッ」

魔剣『やだぁー!!』
638 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 05:55:59.94 ID:uwnvmgnp0
僧侶「魔剣ちゃんばかりを責めたって仕方がありません」

僧侶「一度探してみましょう。文句はそれから」

魔王「こういったパターンは見つからない確立の方が高いのだ。余にはわかるッ」

魔王「だから今から文句つけて構わんぞ!」

僧侶「そこを抑えて。とにかく」

老婆「ハァ〜、よっこらせ!」ドスン

女勇者「うぎゃ!?」

盗賊「と、唐突だな。このばあさん…」

老婆「アンタら誰だ? あー、もしかしてよっちゃんとみーくんけ?」

魔王「薬中の上にボケが入っておったか」

僧侶「おばさん、忘れたの? 私よ」

老婆「あ〜〜〜……? もっと、こっちに来て。顔をよく見せてくれなきゃ」

僧侶「はい」ススス

盗賊「大丈夫なのかぁ…?」ソワソワ

女勇者「女の人同士じゃないですか。何そわそわしてるんです?」

盗賊「いきなり刺されたり噛みつかれたりしたらどうするんだぜ…!?」

魔剣『そんな魔物じゃあるまいし〜』

盗賊「人に危害を加える時点で俺にとっちゃ魔物同然だ!」

魔王「その言い分、まさに魔物は悪そのものだと申している様なものだなァ…」

盗賊「べ、別にそんなんじゃねー……」

魔王「ふん!」

女勇者「?」
639 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 05:56:37.80 ID:uwnvmgnp0
老婆「驚いた! 死んだ姉さんだよ、アンタは!」

盗賊・女勇者「は!?」

老婆「おや〜…まぁ、どういうことだい? こんなに若返ってしまって」ペタペタ

僧侶「……」

魔剣『僧侶ちゃん。この人のお姉さんなの?』

僧侶「ううん。でも話が紛らわしくなりそうだし、これでやり過ごしましょう」

老婆「すぐにお母さんを呼んでおじいちゃんチに行かなきゃね〜。小遣いせびろうぜ」

僧侶「そうだね。いっぱい貰えるといいね」

盗賊「そ、僧侶…」

魔王「長くなりそうなら置いて行くぞ」

僧侶「ええ、構いません。後から合流しましょう」
640 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 05:57:16.17 ID:uwnvmgnp0
女勇者「大丈夫ですか? 私も一緒にいた方が…」

僧侶「行ってください。男性陣といた方が安全ですから、ね?」

女勇者「う〜……」

盗賊「本当に、本当に大丈夫なんだな? 1人で大丈夫なのか!? 襲われたりしないか!?」

僧侶「はい」

魔剣『盗賊ちゃん心配し過ぎだよー』

盗賊「だって!」

魔王「おらおら行くぞォー」グイッ

盗賊「僧侶…! 僧侶ぉ〜〜〜!!」ずりずり

女勇者「師匠しっかりしましょうよー!」


すたすたすた


僧侶「……」

老婆「そういえばさ聞いてくれよ〜、娘がいたような気がするの」

僧侶「!」

老婆「でもいないんだよぉ〜〜……不思議な話だよねぇ」

僧侶「そうだね、不思議よね……っ」

僧侶「っ〜〜〜!」

僧侶は老婆を殴った!

老婆「あ……?」
641 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 05:57:49.12 ID:uwnvmgnp0
老婆「へぇー!? 何で何で! 悪い事してませんよぉぅ!」

老婆「お巡りさんがアタシを苛めるんだよぉ〜〜〜!!」

僧侶「黙れッ」

僧侶「いつになっても逃げてばかり…現実を見ようとしない…!」

僧侶「だからそんな老いぼれの様な醜い姿に変わってしまって! 1人ぼっちなのよ!」

僧侶は老婆の胸倉を掴んだ。

老婆「ひいぃっ、ひいいぃーーー!」

僧侶「何も変わっていないわね! だからアンタの事が嫌い!」

僧侶「私は…私はこんなに変わったのに! だからアンタも変わったかもしれないって思ってたのに!」

僧侶「……っ」

老婆を放した。

老婆「おおおぉ〜〜〜……おおおぉ〜〜〜……」ブルブル

僧侶「誰に養ってもらっているの。1人じゃ暮らしていけないでしょ?」

僧侶「それと表の果物はなに? あんなのじゃ商売にもならないわ」

老婆「昨日ね、花壇に花が咲いたの。誰かがプレゼントしてくれた種が〜…」

僧侶「ここには花壇なんてない! 花も咲いてない!」

僧侶「ウソつきすぎるわ、お母さん……!」
642 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 05:58:56.48 ID:uwnvmgnp0
お母さんは昔からウソつきでクズだった。

だけど、こんな町ならそれは誰も気にしないしとても自然。
そんな母に私は育てられたのだ。


母「はぁー……」

「お母さん、おかえりなさい!」

母「……」

「今日もお仕事お疲れ様です。よくがんばりました!」

母「調子に乗んなクソガキ! この!」

「え〜んっ……」


うちには夫となる男性がいなかった。つまり、私に物心がつく前に何かあったのだろう。
母は朝から夜にかけ、ほとんど家にいることはなかった。
いつも私は寝ずに母の帰りを待っていた気がする。いつもいつも。

何を言われても叩かれても、家族だから。家族だから愛していたの。
お母さん大好きって。
643 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 05:59:53.26 ID:uwnvmgnp0
週に1度、母は私をつれて隣町の教会へ連れて行ってくれた。
私は母と唯一出かけられるその日がとても楽しみに感じられていた。

母は特に熱心な信者というわけでもない、ただ教会へ行き、神父様の話に耳を傾けている。
私はそんな母の横顔がとても好きだった。


「お母さ」

母「……」

「綺麗だなー……」

(今のお母さん女神さまみたい。あーあ、いつもこんな顔してくれたら嬉しいのに!)


いつからか私は宗教を家にあった本で勉強して、教会へ1人で出かける様になった。
母をあんなに綺麗にさせられ様な人になりたい。ただその一心で神職に憧れた。


神父「君はよく来てくれるね。いつも前の席で話を聞いてくれるから顔を覚えてしまったよ」

「こここ、光栄ですわ、神父様…。えっと」

神父「緊張することはないんだよ。いい子だ」

「…えへへっ」

神父「神様が好きなのかな。だからいつも教会に来てくれている?」

「えっと、そういうわけでも…あ! でも嫌いじゃないんです! 好きです!」

神父「面白い子だなぁ」


通っているうちに教会の神父様やシスターたちと知り合いになり、色々な事を教わった。
あまり学がなかった私にとって、知る事知る事が新鮮で楽しいものだった。

この知識はきっと将来母への献上へ役立つはず、お母さんのために頑張ろう。
いつも私のために一生懸命頑張ってくれているお母さんのために!
644 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 06:01:12.25 ID:uwnvmgnp0
「お母さん、このおじさんは?」

母「アンタは外で遊んでらっしゃい」

「でももう外は真っ暗だよ? 怖いよ」

母「ん、10Gあげるから。ほら、さっさとどっか行きなさい」

「こ、こんなに!? うち貧乏なのに…いいの!?」

母「どっか行けっつってんだろ!!」

「〜……」


お母さんは突然知らない男の人を家へ招く様になった。
毎日毎日、日によって顔が違う。歳も若い人からおじいさんまで、幅広い。
いつも私に10Gを手に握らせると、時間なんて関係なしに外へ放り出された。
特に行く当てもない私は、教会へ決まって行っていた。
その10Gを教会へ寄付するためだ。寄付は人のため、神様のためになるから。


神父「今日もありがとう…しかし、いつもこんな夜中にどうしたんだい?」

神父「お母さんは? 最近は教会へ来てくれないみたいだけれど」

「お母さんはお仕事が忙しくて。私はもっと神父様に勉強を教わりたいから来ているんです」

神父「勉強熱心なのは感心だよ。でも時間が時間だ。子どもがこんな夜遅くに外を出るのは良くないね」

神父「……もしかして、他に理由があるのでは」

「ないです! 本当に勉強を! それから寄付を」

神父「う〜ん……わかった。とにかくこれから帰すわけにもいかないし、シスターのところへ行きなさい」

神父「きっと温かいスープとパンをいただけるよ。さぁ」

「ありがとう、神父様! スープとパン、わぁーい!」


男を招く様になってから、母は教会へ顔を出さなくなってしまった。

それでも私だけでも教会へ通うことは止めなかった。
そうしていれば、どんどんと変わってゆく母が、また元の母に戻ってくれると信じていたから。
645 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 06:02:05.08 ID:uwnvmgnp0
「お母さん何をいつも吸っているの? 体に悪そうだよ」

母「すーはー……」

「ねぇってば……」

母「うるさいわね! アンタには関係ないでしょ」

母「これ吸ってれば落ち着くのよ。テンション上がるし」

母「何、アンタも吸いたいわけ? ダメよ。あたしのなんだからね」

「い、いらない」

「お仕事、そんなに大変なの?」

母「ガキはのん気でいいわよね。私はこんなに苦しいのに」

母「アンタも少しは稼いでみなさいよ! アンタがいるからあたしは!」

「ごめんなさい…」


お母さんが薬にハマり始めたのもこの頃から。

仕事に男、家庭。ストレスのやり場がないあまり、ついに手を出したらしい。
私がその原因を担っている。ショックだった。
だから、少しでも今の家計の助けになるようにと教会で事情を話し、働かせてもらった。


シスター「この子は失敗も多いですが、よく働いてくれますよ」

神父「そうかそうか、良い子だなぁ。この歳で大変だろう?」

「いえ、そんなことは。母に比べれば私なんて全然」

神父「そう卑下しなくていい。君は君だよ。その調子でお母さんの助けになってあげなさい」

「はい!」
646 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 06:02:43.85 ID:uwnvmgnp0
「……あの、初めてのお給料を少し使って母にプレゼントをあげたいのですが」

神父「おお! いいじゃないか! 何を買ってあげるのかな」

「わからないんです。何を買えば母が喜んでくれるか」

シスター「それならお花を。花の種を買ってみては? きっと喜んでくれるわ。一緒に育てられるし」

シスター「綺麗に育った花を一緒に見れたら、素敵だと思わない?」

「わぁぁ〜……いいです! とっても素敵だと思います!」


初めて自分が働いて手に入れたお金で、花の種を母へ買った。
名前も知らない、ただただ綺麗な花を長い間咲かせると店員に薦められ、言われるがままにソレを買った。

咲かせる花なんてどうでも良かったの。
シスターの言う通り、2人で花を見られたらとても良いなと思って。
647 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 06:03:30.35 ID:uwnvmgnp0
「お母さん。いつもありがとう」

母「は? いきなり何さ。気持ち悪いね」

「これね、お母さんに…プレゼント!」

母「……小石か何か? ちょっとやめてよ、変なの拾ってくるの〜…」

母「あたし今休憩中なのわかってるでしょ? 邪魔しないでよ!」

「ご、ごめんなさい。でもこれ小石じゃなくて花の種なの。これ一緒に育て」

母「この!」

「痛い…痛いよぉ…」

母「どっか行けよ! イライラさせんじゃない!」

「ごめん、ごめんね。あの、種ここに置いておくから……」


どうやら私がお母さんに何かしてあげても、それはただの邪魔になるらしい。
だから何もしないで、そっとしておいてあげる事の方が喜ばれる。

プレゼントの花の種はただのゴミに変わってしまった。


シスター「プレゼントはどうだった? 喜んでもらえたかしら」

「はい。母ってば笑顔でありがとうって」

シスター「そう、よかったわ。薦めた甲斐があったわよ〜」

「ありがとうございました、シスター」

神父「プレゼントは上手くいったようだね。良かったよ」

「お陰さまで、です」

神父「……お腹でも痛いかな? 顔色が優れないよ」

「いえ、大丈夫です。大丈夫ですから」

「私、今日は帰りますね……!」


やっぱり血は争えない。ウソつきは私もだった。
平然とウソをつく事ができた自分にショックを感じ、しばらくは神父様たちと顔を合わせる事ができなかった。
648 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 06:04:42.99 ID:uwnvmgnp0
しばらくの間、教会へも行かずに私は家の中に籠りきりだった。

何をするわけでもない。ただ、お母さんの帰りを待って「おかえり」を言うだけの人形。
「出て行け」と言われたら、家の外で男と母が出てくるのをただ待っている。
外は寒かったし、怪しい人からは声をかけられる。怖かった。
家の中からは安いベッドが軋む音と嫌な声。目を閉じて、耳を塞ぎ、現実からひたすら逃げた。

声が聞こえてくるたび、吐き気がして。胃が空になるほど吐いていた覚えがある。
ただただ虚しいし、気持ち悪いし、苦しいし、生き地獄がこれじゃないとしたら何だろうかと考えていた。
でも、周りを見渡せば私よりも地獄を見てきた人たちがうろうろしている。

私にはその人たちが自分より下の存在に見えて、滑稽だった。
まだ私は幸せを得る事ができる。神は自分を見放してはいない。
ざまぁみろ、と。


男「うおっ、なんだこのガキ」

「あ…」

男「お前の娘か?」

母「知らないよ、こんな汚い子。ほらさっさと行きましょ」

「お母さん!」

男「やっぱり娘じゃねーの? いいじゃないか、可愛いぜ」

母「いいから! ほら!」

「ま、待って」

母「話しかけるんじゃない!」

「……」
649 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 06:05:42.14 ID:uwnvmgnp0
あれから5日間。知らない男と一緒に出て行ったきり家にお母さんは帰ってこない。

こんなに長く家を開けた事はなかったのに、どうしたんだろう。
お腹も減ったけれどワガママを言って困らせてはまた叩かれてしまう。
何よりもお母さんを怒らせる事だけはしたくない。
暗い家の中で私はずっとお母さんを待った。「おかえり」の言葉を準備して。


母「アンタ、ずっと家にいたわけ?」

「……お母さん。おかえりなさ」

母「来なさい。ご飯食べに行くから」


この時初めて教会以外でお母さんと一緒に出かけた。

町の中にある小汚い食堂でご飯を食べ、その後に新しい服と下着を買いに。


「どうして」

母「ん?」

「どうして今日は一緒に出かけてくれるの?」

母「ちょっとねー……あ、これ可愛いじゃん」

母「うん、いいね。アンタもいいと思うでしょ。買うからね」

「え!?」

母「何、嬉しくないわけ」

「そんなことない! とっても嬉しい!」

「ありがとうお母さん!」

母「別に。ほら、その服着て帰るよ」

「うん!」

「優しいお母さん大好き。大好きよ」

母「……」
650 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 06:06:44.88 ID:uwnvmgnp0
男「おかえり。随分遅かったじゃないか」

「えっ、お母さん。この人」

母「色々してたのよ。女は時間かかる生き物なの。一々気にしないでよ」

男「そうかい」

「お母さん? また私外で待ってた方がいい…?」

母「ううん、今日は中にいな。外で待つのは」

母「私の方だからね」

「え?」


お母さんは私と見知らぬ男2人を残して家を出て行った。

何がなんだかわからない。お母さんどうしたの。お母さん、この男の人は。
男の大きな手が私の型に置かれる。


男「仲良くしようね。俺も優しくするから」


嫌らしい満面の笑みで私の体を上から下へ触れてゆく。
お母さん以外に触られたことがない部分も。全部。

男から逃げようと必死にもがいた。
悲鳴をあげてお母さんを呼んだ。


男「うるせぇ!」


優しくするなんてウソだったんだ。顔とお腹を何度か殴られ蹴られ、意識が飛びそうになる。


「お母さん…お母さん…」

「神様神様神様……私を見捨てないで……!」
651 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 06:07:40.89 ID:uwnvmgnp0
さっき買ってもらった服はビリビリに破かれて、下着も取っ払われて。
なす術もなく私は男に体を悪戯されていった。
どうしてお母さんは助けてくれないのか、どうしてお母さんはこの男と私を。


「どうして、こんな酷い事をするの」

男「決まってるだろう。お前は売られたんだよ」

男「よかったな、お金いっぱい貰えるんだぞー。嬉しいだろう」

「うれ…しい…?」

男「そうだよなー。やっぱり売女の娘は売女だぜ」

「!!」

「違うもん、お母さんはそんなのじゃないもん! 私も違う!」

「違う違う違う!!」

男「違わないよー。お前のお母さんは男とヤりまくって金稼いでる売女さ!」

男「そんなお前もいずれはそうなるだろ? ねー?」

「う、うぅぅ……っ」

男「どこでお前作ったのかは知らないが、やらせてもらえるもんはやらせてもらうぞ」

「お母さん! お母さん! お母さんってば!」

男「だからこれはお母さん公認なんだっての。助けになんか来ないさ」

「っ!!」

「……神様、神様! 神様、私に救いを!」

「私を助けてください! 助けて!」

男「うるせぇな…殴るぞ!?」

「助けて!」


ふと、視線が下にゆく。
脱がされた服の合間から、一本のナイフが見えた。
652 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 06:10:19.98 ID:uwnvmgnp0
転がるように男の腕と足の隙間を抜け、ナイフへ飛び付く。
ソレを手に取ると、迷わず全裸で無防備な男の体へ突き立てた。
「ぎゃっ」と短い悲鳴とともに血飛沫が視界の中へ入ってくる。
悶える男を横目にテーブルに置いてある果物ナイフを掴むとソレでもう1度男へ攻撃した。

ここまでの事を私はほぼ無意識でやりとげたのだ。

男が出す血のせいで部屋の中は真っ赤。鉄臭いまで充満し始める。
視覚に嗅覚に、目の前の光景をハッキリさせられると声も出す事もできずにただ恐怖した。
子どもの自分が大人の男を、刺した。
目の前に私がいるのに痛みに絶叫する男。反撃どころではないのだろうか。


「……」

母「刺したのかい」


いつの間にか入ってきたのか、母が私の後ろに立っていた。
無言で私にかかった血をタオルで拭き取ってくれると、服を着せてくれた。
その際、私は何も考えられなかったし、言葉も出てこなかった。

その時の母の手が冷たかった事だけはよく覚えている。


「…………あ、あ」

「きゃあああああああああああああああああああああ!!」

母「……」

「どうして! どうして! 信じてたのに! お母さん!」

「私をどうして売ったの! お母さんってば!」

母「仕方がなかったからだよ」

「嫌い……! お母さんなんて大嫌い」

「みんなみんな、この町の男は死んでしまえばいい! 全部嫌い!」

「……私には神様しかいない。神様だけが私を救ってくれるの」

母「アンタ、どこ行くの!?」

「黙れ売女! こんな家、出て行ってやる!」


それから、家を出た私は転がり込む様に教会へ行き、神父様へ言った。
私を弟子にしてくれと。もっと神様の傍にいたいのだと。
二つ返事でOKが下り、数年間の厳しい修行を乗り越えて私は


僧侶「主よ、我を導きたまえ……」


僧侶となった。
653 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/06(火) 06:14:45.49 ID:uwnvmgnp0
本日ここまで

解説そろそろ必要か
できるなら本編内で話を交えてそういう事はしたい。先に解説入れるとネタバレなりかねんネタが多くなってきたの
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 08:15:37.94 ID:A2YaLj4IO
本編内の会話で説明で充分
投下舞ってる
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 10:50:06.48 ID:NRczbuIJo

僧侶のことを少し好きになれた
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 13:32:10.45 ID:4MPkURhw0
僧侶ちゃん・・・
仲間内だと一番ひどい過去持ってたのね
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/06(火) 13:38:32.41 ID:pFkjmIERo

すげー面白い
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) :2012/03/06(火) 17:08:42.29 ID:d3H6RkPoo
つつつつまり・・・・僧侶たんは非処女ってことでsづか???
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/06(火) 17:30:40.72 ID:F0kalM/D0
乙―
綺麗な花の種の下りで大麻の花を想像した自分は汚れているようです
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 17:47:06.49 ID:A2YaLj4IO
>>652見る限りじゃまだ純潔だろ
まあ、つまるところどっちでもいいが
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/03/06(火) 18:10:19.28 ID:Aw0PanG4o
僧侶ちゃん勇者が魔王ってこと知ったらどうなるのかしら
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/03/06(火) 19:05:57.61 ID:QA+Xa898o
魔剣の下りである程度想像出来てたけどやっぱり重い過去だったのね
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/07(水) 03:28:03.29 ID:DLC1ClqA0
おつです
僧侶ちゃんの紹介文の好き嫌いを今見てみると色々考え深いね
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/07(水) 03:38:58.93 ID:gbpLzcbS0
シリアスだな…悲しくなってきた
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/07(水) 04:53:37.58 ID:t1CsD1b+0
俺の予想だとそろそろ側近たんが帰ってくる。
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/03/07(水) 09:20:45.40 ID:yWFOET8H0
εさんの事を忘れてんじゃねーぞ
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/07(水) 15:34:17.79 ID:UM/QfM8SO
うおお僧侶ちゃん…
重いな…
668 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/09(金) 04:02:24.45 ID:hPdbzSXm0
僧侶「……」

老婆「本当で! 本当の本当で! 花が!」

僧侶「もういい。何も言わなくていいから」

僧侶「私、そろそろ行くね。みんなが待っているから」

老婆「待って! 少し待って欲しいんだよぉぉぉ〜〜〜……」

僧侶「これ少ないけど。生活の足しにして」

僧侶「この町であなたはこれからもずっと腐っていくといいわ…」

僧侶「さようなら」

老婆「ダメ! まだダメ!」がしっ

僧侶「離して下さい。もう話す事はないの」

老婆「5分でいいから、5分ポッチでいいから!」

僧侶「いい加減にしてよ!」

僧侶は老婆を突き飛ばした。

老婆「少しだけでいいんだよぉ……」

僧侶「……っ」

老婆「見て欲しいんだよぉ……」よろよろ

僧侶「どこへ行くの?」

老婆「……」よろよろ
669 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/09(金) 04:03:03.45 ID:hPdbzSXm0
老婆は外から小さな植木鉢を持ってきた。

老婆「花が咲いたんだよぉ…」

僧侶「……」

老婆「可愛い花でしょう。これ見ていつも頑張ってんだ」

老婆「これを誰かと一緒に見たくてねぇ。でもそんな人もいないんだね、これが」

僧侶「……そっか」

僧侶「お婆さん、今まで寂しかった?」

老婆「寂しくて寂しくて死んじゃいそう」

老婆「でもアンタが来てくれたから今だけは寂しくないよ!」

僧侶「そうなんだ」

僧侶「綺麗な花だね。よかったね…一緒に見られて、よかった…!」

僧侶は老婆に抱きついた。

老婆「何だい何だい!? へーっ!? 泣いてんのかい!」

僧侶「……」
670 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/09(金) 04:03:36.86 ID:hPdbzSXm0
僧侶「こんなに温かかったんだ、お母さんの体……」

老婆「はぁ?」

僧侶「嫌い。お母さんなんて大嫌い!」

僧侶「嫌い嫌い嫌い!!」ぎゅうっ

老婆「い、痛いよ…お巡りさん止しとくれよ…」

僧侶「うわぁーんっ!!」

僧侶「どうして私に気づいてくれないの!? どうして、どうして!」

僧侶「気づいてよぉ……」

老婆「もう許しておくれよー! あたしは悪い事してないのに!」

老婆「誰か助けて! 知らない女が苛めるんだ!」

僧侶「……ご、ごめんなさい」

僧侶は老婆を放した。

僧侶「ごめんなさい…ごめんなさい…」

老婆「ひぃ、ひぃぃ……」

僧侶(今さら都合が良すぎるわよね。この人はもう)

僧侶「酷い事してごめんなさい。二度とこんな事はしないから」

僧侶「そして二度とあなたの目の前には現れません」

老婆「へぇ…?」
671 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/09(金) 04:04:15.10 ID:hPdbzSXm0
僧侶「その花は大切にしてあげてくださいね。きっとあげた人も喜んでくれるから」

老婆「誰がくれたのかわからないってば!」

僧侶「いいんです。誰がくれたかなんて関係ないでしょう」

僧侶「気持ちだけでも受け取っておいてください」

老婆「アンタが何言ってんのかさっぱりなんだよ…」

老婆「花はずっと大切にするよ。しなきゃいけない気がするのさ」

僧侶「種、捨てずに取っていてくれたんですもんね」

僧侶「……ただのゴミにならずに、済んだわ」

老婆「は? 聞こえなかったよ? えぇ?」

僧侶「ううん、何でもありません。どうか気にしないで」

老婆「うーん……?」

僧侶「最後に、あの時ナイフを隠し持たせてくれてありがとうございました」

僧侶「あの時は気付けなかったけれど、あなたは…」

僧侶「……さようなら、お母さん」

老婆「はい、さようなら。今度は家族全員で遊びに来てね。あたしは待ってるよ」

僧侶(大好きだったお母さん。あなたは忘れてしまっても、私はあなたをずっと忘れないよ)

僧侶(良かった事も悪かった事も、全部)

僧侶は老婆の家を去った。
672 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/09(金) 04:04:52.64 ID:hPdbzSXm0
女勇者「あの人が会いたがる人なんてこの町にいるんですかねー」

魔王「痴女の仲間は変態に決まっておる。全裸の人間を探せッー!」

魔剣『おー!』

盗賊「そういう奴らならてめぇらだけで探せよ。俺はしらん」

女勇者「師匠薄情です!」

魔剣『盗賊ちゃん冷たーい』

魔王「恥ずかしがっていては何も進まぬだろう!」

盗賊「そういう問題じゃないよな…!」

盗賊「とにかく、こっちは奴の手がかりを何も掴めていねぇ」

盗賊「聞き込みだ、聞き込み! それ以外下手なマネするんじゃないぜ!」

女勇者「そんな地味な…っ」

盗賊「地味でいいんだよ目立つなって言われたばかりだよな!?」

魔剣『でも今結構僕たち目立っちゃってると思うのね』

盗賊「あ?」

じろじろ・・・じろじろ・・・

女勇者「視線が刺してきますねぇ…」

魔王「盗賊がデカイ声出すのが悪いのだ!」

盗賊「俺だけに責任押しつけるんじゃねぇ……」
673 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/09(金) 04:05:25.12 ID:hPdbzSXm0
ぞろぞろ・・・ぞろぞろ・・・

女勇者「なんか、みんなどんどん集まってきてません?」

盗賊「……嫌な雰囲気ぷんぷん醸し出しながらな」

魔剣『きっとみんな勇者ちゃんのファンの人たちだよ〜』

魔王「あれ、余に気づいてしまったか! やーっ、人気者は困るなァ!!」

女勇者「もしかしたら私のファンもいるかも!」

「やっぱり偽勇者だ」「確かに偽勇者だぞ」「お尋ね者の」

「へへ、あのピエロが言ってた通りだ」「王都に突き出せば礼がたんまり貰えるらしいぜ」

女勇者「いえーい! サインなら順番にお願いしまーす!」

盗賊「バカ」ゴツン

女勇者「あだーっ!?」

魔剣『殺気ぷんぷんする〜』

魔王「期待した余がバカだったよ…」

盗賊「おい、ここは逃げるぜ。下手な事するわけにはいかん」

女勇者「みんな目がギラギラしてます…」
674 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/09(金) 04:06:44.25 ID:hPdbzSXm0
魔王たちは逃げ出した!

「逃げた逃げた!」「待てオラー!」

魔王「待てと言われて待つ愚か者はどこにおるのか!」

女勇者「もう最近こんなのばっか! 嫌だよー! お父さぁーん!」

盗賊(僧侶ちゃんとの合流がまだだというのに。これじゃあ町からも出られん)

盗賊「上手く撒くぜ! まだこの町を離れるわけにもいかん!」

女勇者「無茶だよ!?」

盗賊「無茶は通すもんだ」ぐいっ

女勇者「おわわわっ…」

掴まれかけた女勇者を盗賊は助け、細い通りの中へ3人は逃げ込んだ!

魔王「魔法さえ使えれば足止めなど容易い事なのに……」

魔剣『仕方がないよぉ』

魔王「おう、僧侶はどうする。置いてけぼりに一票」

盗賊「却下…!」

女勇者「そうですよー! 僧侶さん置いて行くなんてできません!」

魔剣『勇者ちゃんはそんなことしないよー。ねー』

魔王「場合によっては置いて行く。今がその場合なのだ!」

盗賊「バカ言って」


≪マイクてすてす…あ、聞こえてる? よーしよしよし。ふひひ…≫

≪きたねー町にお住みになられる皆々様方! お金にお困りのあなた! 朗報だよ!≫

≪ビックリ仰天、あの悪名高い偽勇者一行がこの町にいるのwwwwマ・ジ・でwwwwwwww≫


盗賊「……なんだこのふざけた声は」

女勇者「ラジオ? あっちこっちで聞こえてませんか」
675 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/09(金) 04:07:52.48 ID:hPdbzSXm0
男「んーっ、ん〜っ!」もごもご

遊び人「ちょちょちょー! うるさいよ、私の声が聞こえなくなっちゃうだろ!」

遊び人「あー、あー、聞こえてる?」

遊び人「さっき言った通りこの町に今偽勇者ちゃん一行がいるんだよー!!」

遊び人「だからのだからwwwそいつら捕まえて王様に突き出しちゃえばお金がっぽがっぽwwww」

遊び人「どれぐらい貰えちゃうのかな? 遊んで暮らせるぐらい貰えるのかなぁ!?」

遊び人「あっははははーwwwwwww」

遊び人「ほら探せ探せー。お爺ちゃんもお婆ちゃんもお父さんもお母さんもおウチのわんちゃんもご一緒に!」

遊び人「まぁ、せいぜい頑張って騒いじゃってチョーダイ! 今日はお祭りだー!」

遊び人「以上。ラジオネーム恋するウサギちゃんからでしたぁ。ポチっと」

男「ん〜っ!!」

遊び人「ん〜っ、んん〜っwwwwうひ、ひひひぁーwwwwww」ゲラゲラ

女戦士「随分な煽りだな。こんな所だ、今に騒ぎが起こるぞ」

遊び人「わぁい! 女戦士さんじゃないですか〜…」

遊び人「人がやる事にケチつけちゃやーよ!」

女戦士「君のやり方には問題がある。遊び人」
676 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/09(金) 04:09:47.74 ID:hPdbzSXm0
女戦士は男を助けた。

男「ひー!」

女戦士「大丈夫。あなたは逃げてくれ」

男「」ぴゅー

遊び人「邪魔しに来たなんて言わないで欲しいなwwwwやめてやめてwwww」

女戦士「邪魔する筋もない。勝手にするがいいさ」

女戦士「……」

遊び人「あれれ、雰囲気ちょー悪い感じするわよ? えぇ?」

女戦士「本当に解せないよ、君は」

女戦士「町人を使ったところで無意味だという事はわかっているはず。それだというのに」

女戦士「楽しんでいるというのか、遊び人」

遊び人「wwwwww」

女戦士「君をつけてきた私が間抜けだったよ」

遊び人「あ、もしかして心配して来てくれたの? もう、モテる男困っちゃうわん」

女戦士「心配する必要もないだろう。バカ」

遊び人「女戦士さん女子力高ェへーーーwwwwwww」

女戦士「せいぜい足元をすくわれない様に注意することだな」さっ

遊び人「もう帰っちゃうの? お茶出すよ?」

女戦士「君は愉快なコメディアンだったよ。それじゃあ」

女戦士は去っていった。

遊び人「フラグ立てて帰っちゃったよぅ……」

遊び人「あばばばばーwwwwww」
677 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/09(金) 04:10:50.77 ID:hPdbzSXm0
魔王「魔法か何かか、今のは」

盗賊「違うぜ。だが今のでわかったな」

盗賊「既にこの町に追っ手が来てやがる…!」

女勇者「うそっ、誰にもつけられてた感じなかったじゃないですかー!」

盗賊「向こうの方が上手だったとかじゃねーのか! チクショー…」

魔剣『とりあえず僕たちと一緒にいないで、あの家の中にいるなら僧侶ちゃんは無事だよね!』

盗賊(そう願いたいが!)

魔王「直接ではなく間接的に狙ってきたとなるともはや面倒」

魔王「近づいてきた者全てを倒すぞ」

女勇者「ダメです! 絶対ダメー!」

女勇者「そんな事してたら今度こそ本物の悪者になっちゃう!」

魔王「勇者に悪を擦り付けられるのなら都合がよいではないかー!」

盗賊「お前っ……」

魔王「あ、今の発言なしで――――」

かちっ

盗賊「かちっ……?」

突然3人の足元に魔法陣が展開した!

魔剣『勇者ちゃん!』

女勇者「え、えっ?」

魔王「魔法の罠か」



どかーんっ!
678 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/09(金) 04:13:05.09 ID:hPdbzSXm0
ここまで。いつも遅い時間に投下してすまん
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 04:35:57.30 ID:piHno8Ioo
乙、書いてくれるならいつでも
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 07:10:17.86 ID:CXkUjv6IO
爆発ってえぇぇぇ!

焦らしやがってwwww
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 09:12:45.77 ID:wy7q09IIO
恋するウサギちゃんってあのSS書いたの>>1
テラ懐かしす
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 11:07:51.42 ID:q7nrAfzQ0
乙乙
遊び人の狂い具合はバットマンのジョーカーをイメージして読んだ
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/03/09(金) 20:56:49.71 ID:1sX8XjNjo

俺はケフカだわ
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/03/09(金) 21:01:13.72 ID:yuQ4wqloo
俺は江頭で
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 21:03:53.04 ID:j7IA3cMAP
頭がか
(-人-)ナムス
686 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/10(土) 03:41:46.18 ID:UlM/FnOy0
≪あっははははーwwwwwww楽ちいーwwwwwwww≫


暗黒騎士「お下劣な…」

暗黒騎士「伯父上殿聞こえているか。どうぞー」

『聞こえてる。どうぞー』

暗黒騎士「偽勇者一行の追跡は上手くいっている。だが予想外の事態が発生した。どうぞー」

『どうぞいらねぇよ』

暗黒騎士「だって言ってみたかったんだもん……」

暗黒騎士「こほんっ、通信機からこのふざけた放送は聞こえているだろうか」

『おう、聞こえちゃってる。非常に不愉快な気分にさせられちゃうね、この笑い声はさ』

『おじさんそいつの声あんまし好きじゃないからもう切っていいかな?』

暗黒騎士「お、伯父上! ふざけている場合では」

『フザケテナイヨー』

『とりあえずサ、あっちゃんは何もしないで見てればいいわけ』

『それ以上はおじさん求めたいからね』

暗黒騎士「……こんなの俺の仕事じゃない」

『命令には大人しく従ってよ。おじさん言う事聞いてくれる子が好きなんだよなぁ』

暗黒騎士「あ、あぅ…!」

暗黒騎士「了解した! 任務を遂行しよう!」

『帰ってきたらいい子いい子したげる』

暗黒騎士「……///」かぁぁ

『じゃあ頑張ってね』ブチッ

暗黒騎士「頑張ろう!」
687 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/10(土) 03:42:24.73 ID:UlM/FnOy0
王国騎士団専用部屋


団長「従順な子は好きだね〜、おじさんは」

魔導騎士「団長、今のは…?」

団長「ただの報告だよ。気にしないで」

魔導騎士「でも後ろの方うるさかった」

竜騎士「オレのイヤーにもビンビンきたネー!」

団長「気にするなって言ったんだけどねぇ…」

重騎士「今の声には聞き覚えがある。友よ」

竜騎士「オジーチャンのお知り合い?」

重騎士「恐らく」

団長「だね。おじさんらの昔の戦友とでも言っておこうかい」

魔導騎士「騎士団にいた人なの…?」

団長「そうさ。結構凄い奴だったんだよ、アレ」

魔導騎士「アレって言われても僕わかんないよ…?」

重騎士「誰よりも勇敢で、誇り高い騎士。少々勝手が効かない生真面目な男だった」

竜騎士「そういうストーンヘッドっぽいの嫌いヨ」

重騎士「部下には好かれていた。部下にはな」

魔導騎士「…そんな人がどうして今騎士団にいないで勝手な事してるの?」

団長「知らなーい」
688 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/10(土) 03:43:01.73 ID:UlM/FnOy0
騎士「ただのそっくりさんではー!?」がばっ

魔導騎士「騎士くんまだ起きちゃダメ…」ぎゅ

団長「そうそう。もう少し安静にしてなよ。君は起きててもうるさいんだから」

団長「高い金払って君だけ復活させてやったんだ。言う事には逆らうなよー」

騎士「むすー……」

重騎士「わしがあの男の声を聞き間違える筈がない。それに友は直接目にしたのだろう」

団長「ああ、お化粧でばっちり決めてたけど本人だわ。あれは」

竜騎士「くたばったオモテタラ生きてたオチー? HAHAHAHAHA!」

団長「どうかねぇ」

重騎士「数年前に、何人かの部下と共に奴は騎士団を抜けた。魔王を討つ為に」

重騎士「王国騎士は何かと縛りが多い。命令が下らぬ限りは魔王退治などできたものではない」

重騎士「魔王討伐は勇者の仕事というわけだからな。だが、奴は行ったよ。勇者ばかりに苦労は掛けられない、すぐにで
も世界を救いたいのだと」

竜騎士「聞いてもねーのにオジーチャンがトークスタートしやがったYO!」

騎士「それで、彼の勇士たちはどうしたのだ!!」

団長「お、興味深々だねぇ」

団長「そいつら結局帰ってこなかったのよ。誰一人も」

団長「だーから死んだ事になってるのね。本当のところはどうかわからなかったけどさ」

団長「まぁ、魔王に挑んで生きて帰ってこれるわけもあるまいし、道中の魔物に殺されるのが山のオチ」

魔導騎士「……騎士くん。僕怖い」ぎゅう

騎士「怖い事なんてあるものか! 私は彼らを誉め称えるぞ! カッコイイなァー!」

竜騎士「か、かっこいいタル〜」

団長「ただの無謀なバカだと思うがねー…。久々に見たら本当にバカみたいだったしよぅ」
689 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/10(土) 03:43:45.94 ID:UlM/FnOy0
しゅう〜〜〜・・・


女勇者「あれ、何ともない?」

魔剣『僕のお陰ですよー!』

盗賊「何だってこんな町中に爆発魔法の罠が張ってあるんだ…」

「あっちで爆発がー!」「きっと偽勇者だぜ!」

女勇者「場所バレたぁー!」

魔王「恐らく先程の魔法は追っ手の物だと余は睨む。何を思って仕掛けたかは想像がつかんが」

盗賊「決まってる…! 俺らを炙り出してこの町の奴らにどうにかさせようとしてるんだぜ」

魔剣『僕たち炙り出すのはいいけれど、さっきの罠じゃ町の人が踏んじゃってたかもよ?』

女勇者「無差別って事? 酷いですよそれ!」

盗賊「…以前戦った魔法使いを思いだすぜ」

魔王「……刺客?」

「「「わああぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!」」」

町の人々が魔王たち目掛けて押し寄せてきた!

盗賊「おい、ボサっとしてる場合じゃねぇ! 逃げるぜ!」

女勇者「もーっ、何かの誤解だって、話し合いで解決できないの!?」

魔王「あやつらの目を見よ。金しか見えておらんわ」

女勇者「ひーっ!!」
690 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/10(土) 03:44:49.22 ID:UlM/FnOy0
魔王たち逃げる!逃げる!

盗賊「何処を走っているかすらわかんなくなってきた…!」

魔剣『こっちの道見覚えあるよ〜』

女勇者「一周してきちゃったって事!?」

魔王「」くるっ

魔王は追ってくる人々に向き直った!

盗賊「おいっ」

魔王「背を向けて逃げ出すなんぞ余には似合わんのだ…」

魔王「かかってくるがよい、1人残らず滅ぼしてくれようぞッー!」

女勇者「勇者の台詞じゃないですよ!」

魔王「やかまし――――――」


どかーんっ!


女勇者「また爆発! でも…?」

盗賊「向こうの方だ。この付近じゃねー…やはり罠は無差別に仕掛けられている!」


≪ア〜ヒャヒャヒャヒャヒャア〜〜〜wwwwwwwww≫


魔王「!」

魔王の頭上目掛けて大量のガラクタが降ってきた!

魔王「くだらんマネを…」

落下物をさっと避ける! しかし、背後の坂からガラガラと車輪が転がる音!

魔剣『勇者ちゃん変なの来たー!』

なんと、トロッコに乗った遊び人が魔王目掛けて突っ込んできた!

遊び人「早さが足りないよぉぅ〜…wwwwww」
691 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/10(土) 03:45:31.78 ID:UlM/FnOy0
魔王は足でトロッコを受け止めると魔剣で遊び人を攻撃にかかる!

魔王「貴様はァー!」

遊び人「じゃじゃーん」

遊び人は身を反らして攻撃を回避すると、懐から爆弾を取り出した!

着火!

盗賊「それを止めろ!!」

遊び人「ドカーン? ……ドカァァァーンwwwwww」

魔王「ふん」

魔王はトロッコの車輪部分に魔剣を引っ掛け、遊び人をむんずと掴み上げると爆弾ごと空へ放り投げた!

魔王「はーははははっ!! 打ち上げ花火であるー!!」

女勇者「あっ」


どおーんっ!


盗賊「……汚ねェ花火だぜ」

空中で遊び人は爆発してしまった。
692 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/10(土) 03:46:09.79 ID:UlM/FnOy0
「今のは?」「人が爆発しちゃったぞ、おい」「危ないなー」

ざわざわ・・・

盗賊「よく分からんが、この騒ぎの内なら逃げられるな」

女勇者「さっきの人が罠を仕掛けてた張本人?」

魔王「それっぽい」

魔剣『それより勇者ちゃん助けてよ〜…』

魔王「貴様はそのままトロッコの支えになっておればよいのだ」

魔剣『やーだぁ!』

遊び人「じゃあ私が助けてあげよう。はい」

魔剣『あっ、ありがとー!』

遊び人「いえいえ〜。はい、それじゃあ」

盗賊の攻撃!

遊び人「おー危ない!?」

盗賊「……どういう事だぜ」

女勇者「あれ、あれれ?」

女勇者「何で…?」

遊び人「魔剣ちゃんもーらいwwwwwwあひょwwwwwww」

魔剣『やーんっ!』

遊び人に魔剣が奪われてしまった!
693 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/10(土) 03:47:06.71 ID:UlM/FnOy0
魔剣『勇者ちゃん助けてよぉー!!』

魔王「貴様は何者か。そして一体何を企んでおるのだ」

盗賊「忘れたのか…?」

盗賊「こいつは偽勇者の仲間の1人だぜっ…!!」

遊び人「鳥頭かよぅwww3歩歩いてド忘れしちゃうのかよぅwww」

遊び人「ばーかwwwwwあーほwwwww」

魔王「あァ!?」

女勇者「それより魔剣さん助けてあげなきゃです!」

魔王「そんなの後回しよッ」

遊び人「愛がないわーwwwwwwwwwwww」

遊び人「ほら、もーっ! みんなどうしちゃったのー! 偽勇者ちゃんいるのよ! ここに!」

遊び人「捕まえてお金貰うんじゃなかったのかなぁ!?」

「そ、そうだ」「金だ、金が欲しい」「遊んで暮らせる金」


「「「わああぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!」」」


女勇者「わーんっ、また向かってきたー!」

盗賊(あの男の考えがさっぱり読めん…! 滅茶苦茶だぞ!)

魔王「ふん! 余は一歩も引かん。来るなら来いである」

盗賊「おっ、ちょ――――――」


どっ
694 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/10(土) 03:48:24.24 ID:UlM/FnOy0
ぎゅうぎゅう

女勇者「ぐ、ぐるじぃ……」ぎゅう

「見失ったぞ!」「この中にいるはずだ!」「ヒヒヒヒヒ…www」「邪魔だ退いてくれ!」

「わーわー!」「金だー! 俺の、金ェー!」「つ、潰されるぅ…」

盗賊「お、おい! お前らどこにいる…! おいっ」ぎゅう

「ぶつかってくんなよ!」「痛い痛い、足踏んでるぞ!」「どこいんだよオラー!」

「おとうちゃーん!?」「クプププ…www」「あー! あー! ダメだ、何も見えない!」「バカじゃねーのかくそっ!」

魔王「愚か者どもめェー! 考えなしに押し寄せてくるからこうなるのだ!」ぎゅう

「こっち寄るんじゃねー!」「バカやめっ」「今なら痴漢し放題じゃねーかよ! スゲー!」

「おええぇぇ……」「誰かゲロ吐きやがった!」「臭い!臭い!」『ユウシャチャーン』「もう家帰りたいんだけどー!」

魔王「うおおぉぉ…潰れる潰れる…! 誰が余の足を踏んでおるのだっ…!?」ぎゅう

魔王「なんという混沌具合か……ええい、いい加減うっとおしい!」ぎゅう


魔剣『勇者ちゃん逃げてっ』


魔王「!」

遊び人の攻撃!

遊び人「あっはははははぁーwwwwwwwwww」


どすっ


魔王「ぐうっ……!?」

魔剣『勇者ちゃん!!!』

魔王は魔剣で貫かれてしまった!
695 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/10(土) 03:49:22.17 ID:UlM/FnOy0
遊び人「あれれれ〜〜〜?」

遊び人「魔剣刺さったぐらいじゃ死んじゃわないわよねぇ? だって魔物ですもんねぇ?」

遊び人「あひ、あひゃひゃひゃひゃwwwwww」ぎゅうぎゅう

遊び人は再び人ゴミの中に隠れてしまった。

魔王「あっ、この……。クソがッ……!!」

魔剣『勇者ちゃん早く抜いて! ごめんなさい!』

魔王は魔剣を体から引き抜いた。

魔王「ううぅ…! 魔剣貴様ァ!!」

魔王「貴様は切りたいものだけを切れるのだろう! なぜ余を攻撃した!」

魔剣『僕だってしたくなかったもん!! でもアイツに無理矢理…』

魔王「黙れッ!!」
696 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/10(土) 03:50:26.78 ID:UlM/FnOy0
魔王「どこだ…どこへ隠れた…! 殺してやる、酷く殺してやる…!」

魔剣『無理しないでー!』

魔王「こんな傷、ツバつけとけば治るわ! ぺっぺっ!」

遊び人の攻撃! 傷口にナイフが刺さった!

魔王「痛っ」

遊び人の攻撃! 石が投げられてきた!

魔王「……は、ははは」ゴツン

遊び人の攻撃! ゴミが投げられてきた!

魔王「……」

足を他の人に踏まれた!

魔王「あっ」


ぷっつん


魔王「はっはははははははははァーーーwwwwwwwwwwwww」

魔剣『勇者ちゃん……?』

魔王「全員死ね」

魔王は周りの人間を無差別に切り殺し始めた!
697 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/10(土) 03:51:54.63 ID:UlM/FnOy0
わーわーわーわー・・・


僧侶(この騒ぎは。まさか勇者様たちが…)

僧侶「さっきの放送といい爆発といい、何が起きているというの?」

僧侶「すごく嫌な予感がする」

「おー、姉ちゃん! 何こんな所でボサっとしてんだよ!」

僧侶「……教えてくれませんか、何が起きているか!」

「やべーんだよ。偽勇者みんなで捕まえようとしたらさ、アイツらいきなり人殺しまくって…もう何十人も切られたぞ」

僧侶「え!?」

「とにかく向こうに行ったらやべーから行かない方がいいぞ」

「俺は逃げる。じゃあな」

僧侶「人を殺しまくっているって……。勇者様たちが……?」

僧侶「止めなきゃ!」

僧侶は走った!
698 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/10(土) 03:53:06.33 ID:UlM/FnOy0
離れ


遊び人「あっはははははーwwwwwwwwたのひーwwww」

遊び人「たの、たのひすぎて…お腹痛いーwwwwwwwwww」

遊び人「wwwwwwwwwwwww」ゲラゲラ

遊び人「見て! 見てあれー! ちょ、ちょー受けるんですけどwwww」

遊び人「って、誰も一緒に見てる人いないよぉーwwwwwやっべ〜wwwwww」

遊び人「は、はははは…wwww ひー…はぁ……ふぅ……」

遊び人「ダwwwwwwメwwwwwwだwwwwwwww」ゲラゲラ

遊び人「笑いすぎて狂っちゃうー! あーばばばばばっwwwwwwwwww」

遊び人「あ、ほらー…君らも笑おうよ、私と一緒に…w」

盗賊「……お前だけは許せん」

女勇者「謝っても許しません! 倒してやる!」

遊び人「私全然悪くないんですけどー。悪いのアイツだけなんですけどもー」

遊び人「怒っちゃう相手、間違えてませんか? もしもし?」

盗賊の攻撃!

盗賊「その汚ねェ口を開くんじゃねぇ…!」

遊び人「あうんっ」

盗賊「臭ェんだよ…マジで…!」

遊び人「痛くなーい。切れてなーい!!」

攻撃は当たったが、遊び人に与えたダメージは極わずかだ!

盗賊(こいつ…!)

遊び人の攻撃!
699 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/10(土) 03:54:46.17 ID:UlM/FnOy0
盗賊「  」

攻撃を受けた盗賊は腹から絞り出したような苦しそうな声をあげ、その場に蹲った。

女勇者「師匠!」

遊び人「今のはちょっと小突いただけですぞ」

盗賊「はぁ、はぁ……!」

遊び人「ほら、笑いなさいよぅ。今の笑うところだぜwwwww」がしっ

盗賊「っ……」

遊び人「笑えよ、小僧wwwwwあっはははははーwwwwww」

盗賊「クソめ…!」

遊び人「そのしかめっ面は何だ? なんてwwwwwなんつってwwwwww」

女勇者(師匠、今助けます!)

女勇者「〜〜〜〜〜……」

女勇者は魔法の詠唱を唱え始めた!

遊び人「おっ?」

盗賊「おい…お前、MPが足りなかっただろうが…」

女勇者「私、レベルアップいっぱいしたもん!」

女勇者は火炎の呪文を唱えた!

遊び人の足元に閃光が走り、火炎が噴き出す!

盗賊「あ、すげぇ…」

遊び人「おおおお……!?」
700 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/10(土) 03:57:01.47 ID:UlM/FnOy0
女勇者「燃えてなくなっちゃえーーー!」

火力が増す!

盗賊(アイツ、いつのまにこんな魔法を使えるように)

盗賊「いける…いけるかもしれない…!」

遊び人「……」

遊び人は火炎に焼かれても、涼しげな顔をしている!

女勇者「効いていないの!?」

遊び人「んーっ、んふゥ〜〜〜…………」

遊び人「何だこの哀れな魔法は?」にたぁ

盗賊「おい、逃げろ!! やっぱりお前では敵いっこない!!」

女勇者「し、しつれいなーっ! わ、私だって本気出せば今の数倍すごい火炎魔法が…」

遊び人は火炎の呪文を唱えた!

遊び人「火炎魔法ってのはこうして使うのよwww」

火球が目にも止まらぬ早さで女勇者へ直撃する!

女勇者「あっ――――――――」

女勇者は息絶えてしまった。

盗賊「バカ野郎……」

女勇者「†」

遊び人「ちょっと本気出し過ぎちゃったかナぁ? あははははぁーwwwwwwww」

遊び人「ま、あれぐらいが丁度いいよね。さてさて」

遊び人は盗賊の顎を持って、ぐんと顔を引きよせた。

盗賊「……」

遊び人「どーしても笑ってくれない君を笑顔にしてあげちゃうぞwwww喜べwwwwwww」

盗賊の口の端にナイフを当てた。

盗賊「!」

遊び人「笑えよぉ〜wwwwwwwwwwwww」
701 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/10(土) 04:00:07.58 ID:UlM/FnOy0
ここまで

>>681
たぶん勘違いだと思うの。ごめんね
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/10(土) 04:00:33.54 ID:69TaGSb9o
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/10(土) 10:16:19.63 ID:WNVxzMXso
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/10(土) 12:40:43.36 ID:OgmAs3RY0
竜騎士さん…www
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/03/10(土) 17:41:18.04 ID:1ttRAOPEo
つええ…
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/11(日) 00:36:10.09 ID:7LsEJUB50
恋するウサギちゃんはどこぞの歌だもんね。過去作があるなら読んでみたいが…
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/03/11(日) 01:35:06.04 ID:j4fLyBa1o
この遊び人をギルティクラウンと名付けようと思う
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/11(日) 03:08:42.47 ID:HgoCHcyl0
よくも俺の女勇者ちゃんを…魔王ちゃん早くそいつ倒して
といっても、遊び人はアンデッドだから普通に倒せないんだっけ?だいぶずるい
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/03/11(日) 07:54:18.88 ID:WDb75YnAO
ホイミ連発で倒せるんだけど、その情報持ってるのは戦士だけなんだよな…
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/11(日) 17:54:21.75 ID:bV27SUe20
騎士がさりげなく復活してる。噛ませになる予感しかしないやw
711 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/12(月) 02:49:58.32 ID:kWrqrjBf0
「ぎゃうー!?」

魔王(奴はどこにいった)

「こいつ何考えてやがる! マトモじゃないぞー!」

「きゃああぁ〜!!」

魔王「ピーピー喚くなよッ」

魔剣『勇者ちゃん、勇者ちゃん! お願い僕の声を聞いて!』

魔王「どこだ…どこだ…」

魔王「ふんーッ、ふんーッ……」

魔剣『目が血走ってるよぉ』

魔剣『盗賊ちゃんたちは上手く逃げてくれたけど、このままじゃ町の人間みんな殺されちゃう』

魔剣『ストップ! 勇者ちゃん!』

魔王「うがァーッ!」ぶしゅううう〜・・・

魔王の惨殺劇は止まることをしらない!

魔剣『あーあ、ダメだこりゃ』

僧侶「勇者様!!」

僧侶「勇者様、やめてください! いけません!」

魔剣『僧侶ちゃーん?』
712 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/12(月) 02:50:57.95 ID:kWrqrjBf0
僧侶(勇者様、どうしてこんな無惨な事を……)

魔王「」

魔王に僧侶の声は届いていない! 変わらず暴れ続けている!

僧侶「勇者様ぁ!」

魔剣『僧侶ちゃ〜〜〜ん…お〜〜〜い…』

僧侶(よかった。魔剣ちゃんには私の声が届いている)

僧侶「一体どうしたの、魔剣ちゃん!」

魔剣『勇者ちゃんがキレちゃったの〜』

僧侶「だからって人間に当たる事はないでしょ!」

魔剣『でも〜』

僧侶「でもじゃありません! すぐに止めさせないと…町のみんなが…」

魔剣『僧侶ちゃんここの人間どうでもいい感じじゃないの?』

僧侶「それは…」

僧侶「私個人の事なんて今は関係ない! とにかくダメ!」

魔王「がうゥー!!」ぶんぶんっ

僧侶「あ、危なくて近づけない……」
713 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/12(月) 02:51:40.49 ID:kWrqrjBf0
魔剣『気をつけて! 僧侶ちゃんなら一発喰らっただけで即昇天だよ!』

僧侶「不安になる事を言わないでっ」

僧侶(この様子では下手に体に触れるのも危険だし、私にも気づいていないし)

僧侶「勇者様がこうなってしまった原因は!」

魔剣『変な敵が勇者ちゃんいじめたの〜!』

僧侶「よし、ならその敵に注意を上手く移させられたら!」

僧侶「その敵は今どこに!」

魔剣『あっちの方だよ。盗賊ちゃんたちもいるの』

僧侶「向こう……広場か」

僧侶は道端のゴミを拾って魔王へ投げつけた。

魔王「」コツン

魔王「……」ぶちっ

魔王「うおおおああああァァァーーー!!!」

魔王が僧侶に向かってきた!

僧侶「ひーっ!」ぴゅー
714 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/12(月) 02:52:21.12 ID:kWrqrjBf0
僧侶(怖い怖い怖い!)

後ろを振り向けば、鬼の形相の魔王が!

魔王「ふーっ、ふーっ、ふーっ…」

魔剣『僧侶ちゃんもっと走って!』

僧侶「こ、これでも精一杯よ〜!」

僧侶(最近私ってば逃げてばかりじゃない!?)

魔王「うがァー!」

魔王の攻撃!

僧侶「ひっ」

間一髪、僧侶は攻撃をかわした!

僧侶「魔剣ちゃんどうにかできないのー!」

魔剣『できたらとっくにどうにかしてる〜』

魔王「余を傷つける者は何人たりとも許せん…死ね…」

僧侶「あわわわわっ…」


< あーひゃひゃひゃひゃwwwwwwwww


僧侶(……あの笑い声はさっきの)

僧侶「魔剣ちゃん!」

魔剣『アイツだよー!』
715 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/12(月) 02:53:17.37 ID:kWrqrjBf0
盗賊(こいつの目はマジだ…。ヤバ過ぎる…)

盗賊(完全にイカれ頭だ!!)

遊び人「あはぁー……」

つー・・・

盗賊「っ……」

遊び人「私、こうやって焦らすのが大好きなんだwwwwドキドキするっしょwwww」

盗賊(女勇者はやられた。勇者は今使いもんにはならん。だとすると残るは)

盗賊「僧侶ちゃ…うぅ!?」

遊び人「このナイフってば切れ味サイコォー!! スっと刃を入れるだけでこんなに!!」

盗賊(ド畜生が!!)ポタポタ

「うがァーーー!!」

遊び人「おひょ?」
716 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/12(月) 02:54:07.39 ID:kWrqrjBf0
僧侶「勇者様こっちです、こっちー!」

盗賊「……あれは」

遊び人「何ですか〜……人がお楽しみの時に〜」

盗賊「!」

盗賊は力を振り絞り、遊び人を突き飛ばす!

遊び人「あっ、ちょwwwんもぉ! 油断も隙もないわねぇwwwwww」

盗賊「い、痛ぇ…また口切れたぜ……!?」

僧侶(盗賊さんナイスです)

僧侶は遊び人の後ろへ回り込むと、魔王の前へ押し出した!

遊び人「は? は? えぇ?wwww」

魔王「がうッーーー!!!」

魔王の攻撃!
717 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/12(月) 02:55:13.04 ID:kWrqrjBf0
遊び人の真剣白刃取り!

魔王「がるるるる……!」

遊び人「まるで魔物じゃないですかーwwwあ、魔物だったwwwww」

魔剣『勇者ちゃん、こいつが敵だよ!』

盗賊「僧侶…」

僧侶「無事ですか、口が切れてますね」

僧侶は回復呪文を唱えた!

僧侶「女勇者さんは?」

盗賊「ああ、ついさっき死んだ」

盗賊「……アイツには俺たちじゃ敵いっこねー。気をつけろ、僧侶」

僧侶「決めつけは良くありませんよ、盗賊さん」

僧侶は攻撃力強化の呪文を魔王へ唱えた!

魔王「ふんッッッ!」ぐぐぐ・・・

遊び人「おぅふ!」

遊び人「あのお姉さんは厄介かなぁwwww」

魔剣『そのまま叩き切っちゃえ!』

魔王「死ねィー!」

抑えきれなくなった魔剣が、遊び人を真っ二つに切り裂く!

遊び人「だ〜〜〜ひゃあああ〜〜〜!!?」


ぶしゅうううぅぅぅ・・・


盗賊「まだだぜ! そいつは!」

遊び人「ゲヘ…ヘヘヘヘヘェ〜……」
718 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/12(月) 02:56:20.23 ID:kWrqrjBf0
遊び人「……ふぅ」

切られた体は元通りになってしまった。

魔王「!」

僧侶「私たちが力を合わせれば倒せない相手なんていません!」

僧侶は強化呪文を唱え、片っ端から魔王へかけていった!

盗賊(俺は何しろっていうんだよ)

魔王「ぐひゃひゃひゃひゃ〜〜〜!!」

魔剣『勇者ちゃんよだれ、よだれ!』

遊び人(力押しするつもりですかwww私の再生能力に限界が近い事を知っていて?)

遊び人「そんなわけないよねーwwwwwww」

遊び人はぴょんぴょんと飛び跳ねながら僧侶へ接近してくる。

盗賊は装備していた毒針を投げつけ、牽制を図る!

盗賊「僧侶は下がっていろ…!」

遊び人「わぁーいwwww貰っちゃったーwwww」

両手で受け止めて毒針を奪うと、そのまま盗賊へ攻撃にかかる!

盗賊(くくっ、マヌケめ!)

魔王「」

遊び人「あっひょ―――――――――」

限界まで身体強化された魔王は素早い!

すぐに遊び人へ追いつくと、地に叩き落として魔剣で追い打ちをかけた!

遊び人「あ、あっひゃひゃひゃひゃwwwwwwwwwww」ぶしゅうぅぅーーーー

魔王「まだ滅びぬかーッ!」
719 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/12(月) 02:57:24.43 ID:kWrqrjBf0
僧侶「うっ、まるで人間じゃない……」

盗賊「以前戦った時にそれはわかっているだろう。こいつは普通じゃないぜ」

僧侶「……魔物?」

魔剣『本質的にはそれっぽいの!』

遊び人に突き刺さりながらも、魔剣は答える。

魔王「ふん!」ずぶぶ・・・

遊び人「おほぉーーーーしゅごおおおぉぉーーーー……」

魔剣『こいつはもう人間じゃないよ!』

僧侶「それなら、安心して倒せますね」

盗賊「アンデッド。不死の化物だな」

盗賊「問題は殺し方だぜ……!」

遊び人「このやろーwwwwwwやったなーwwwwww」

魔王「むっ…」

魔剣が体に刺さっているにも関わらず、その手を魔王へ翳す。

遊び人は火炎の呪文を唱えた!

魔王「ぶぐぐっ……!」

顔面に火球を受けるも、魔王はこれに耐えて魔剣に力を加える!

遊び人「いだだだだだwwwwwwwwし、死ぬぅ〜 ひーひひひひぃwwwwwww」

魔王「さっさとくたばれ!」

遊び人「あっははははははーwwwwwwwwwwww」
720 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/12(月) 02:58:59.62 ID:kWrqrjBf0
魔王「……あれ」

気がつくと、足元から遊び人の姿が消えている。

魔剣『勇者ちゃん向こうにアイツ!』

魔王「何っ!」

盗賊「 」

遊び人「はぁ〜…あひひひひ…wwwww」

遊び人は盗賊を戦闘不能にさせ、僧侶の首を絞めているところだ!

僧侶「あ、が……っ……ぐぁっ…………」

遊び人「首をぎゅうっと締めるとね、血を出さずに殺せるから」

遊び人「よくなーい?wwwwwww」

魔王「あの男、いつの間に移動した! 余は確かにあやつを…」

魔剣『移動魔法を詠唱なしで使った?』

魔王「バカな。その様なマネがあの男如きにできるはずが」

魔剣『アイツはレベル99なんだよ〜!』

魔王「あぁーッ!?」

僧侶(目がチカチカする…息が、息がしたい…声が出ない…!)

魔剣『あのままじゃ僧侶ちゃん死んじゃうー!』

遊び人(魔王がアレに気づく前に、このお姉さん殺しちゃわなきゃねぇ…w)

魔王の攻撃!
721 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/12(月) 03:01:03.85 ID:kWrqrjBf0
魔剣が遊び人目掛けて突っ込んでくる!

遊び人「ぐぶぶっ!」どすっ

ダメージを受けた遊び人は、思わず僧侶を放してしまった。

僧侶「はぁ! はぁ! ……ぜー、ぜー……と、盗賊さん…!」

魔王「僧侶そこを退け」

僧侶が転がるようにその場から逃げると、すかさず魔王が遊び人目掛けて飛び蹴りを放つ!

倒れた遊び人へ飛び乗り、馬乗り状態で殴打を繰り返す!

魔王「はっーーーはははははは! 何がレベル99か! 数字のデカさなど真の強さの前では無意味だなァ!」

遊び人「いっ、ひひひひ〜……wwwwww」

魔剣『今のうちに盗賊ちゃんを回復だよー』

僧侶「はい!」

僧侶は回復の呪文を唱えた! 盗賊は戦闘復帰可能だ。

盗賊「情けない……」

僧侶「大丈夫です。まだ戦えますね?」

盗賊「任せとけ…くくっ…」

魔王「おらおらおらァ〜〜〜!!」どかばき

遊び人「っぷぷぷ…wwwwwwww」

僧侶「あれではいつになってもダメージがまともに通りませんね……」

僧侶(何か、特別な倒し方が存在する……?)
722 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/12(月) 03:03:47.13 ID:kWrqrjBf0
魔王「はぁ、はぁ……どうだ! そろそろくたばっただろう!」

遊び人「wwwwwwwww」

魔剣『ピンピンしてる…』

魔王「この、化物がァーーー!!!」

遊び人「うぎゃははははははははははははッーーー!!」

遊び人は攻撃がやんだ隙をつき、魔王を空へ殴り飛ばした。

魔王「がぶっ…………!」

魔剣『勇者ちゃん!』

遊び人「さっきからボコボコ殴っちゃって! 痛いんだよー!」

遊び人「痛くて痛くて…。でもあの子たちが味わった痛みはこんなじゃないわよねぇ!?」

遊び人「wwwwwwwwwwwwwww」

盗賊「アイツ、何をわけの分からん事を」

打ち上げられた魔王をカバーするため、盗賊が遊び人へ攻撃を仕掛ける!

遊び人「無理無理無理ぃ〜! 君らじゃ話になんないぜwwwwww」

突き刺さった魔剣を引き抜き、盗賊へカウンター攻撃。

僧侶「させません!」

僧侶は風の呪文を唱えた!

遊び人と盗賊の間に激しい突風が吹いた!

遊び人「こ、こ、こんな子供騙しなんてーwwwwwww」

魔王「むっ、僧侶のくせに良い仕事しおったなー!」

怯んだ遊び人目掛けて魔王が降ってきた。

ぐにっと潰れる遊び人!


遊び人「ぎぎぎっ……!?」ぐに
723 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/12(月) 03:07:35.83 ID:kWrqrjBf0
すかさず魔剣を奪い返すと数度切りつけ、遠くへ蹴り飛ばす!

そのまま、積み込まれたゴミの中へ遊び人は突っ込んだ。

魔王「盗賊も仕事の1つ働いてみてはどうだよ」ニヤニヤ

盗賊(化物同士の戦いに生身の人間が割って入れるかよ…)

僧侶「2人とも無事ですか!」

盗賊「…ああ、お陰様だぜ」

「アイツら何してるんだ」「さっきから危ないなぁ…」「俺たち巻き込まれたりしないよな?」

ざわざわ・・・

盗賊「これ以上ここで派手にドンパチやるわけにもいかないか?」

魔王「構わん。ギャラリーは多い方が良いのだ」

僧侶「あのピエロは……」

魔剣『勿論まだ生きてるよ〜』

魔王「しつこい!」


『あっははははははぁーwwwwwwwwwwwwwwwwwwww』どかーん!


爆発が起き、立ち上がる炎の中から遊び人が現れた!

「きゃー! きゃー!」「ば、化物だー!」「燃えてるぞー!」

僧侶「勇者様、全力でサポートします。倒しましょう」

魔王「言われんでもである」

遊び人「燃えろ燃えろーwwwww燃えろファイアーwwwボンバーwwwwwww」

遊び人「イヒヒヒッ、笑える……wwwwwwwwwwww」

盗賊「キチガイめ…!」

魔剣『キチガイ!』

遊び人「お前たちも笑顔にしてやる」

遊び人「覚悟しなさいwwww魔王〜wwwwwwww」

魔王「ふん、死ぬまで何度も殺してくれるぞ。キチガイ!」
724 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/12(月) 03:11:56.15 ID:kWrqrjBf0
ここまで。今週の土日辺りから投下できない状態が続きそうだ、申し訳ないです
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) :2012/03/12(月) 03:31:18.37 ID:SIO24Ni5o
乙っした!
なぁに、こちとらwwwwwwwwwwww面白そうならwwww読んでるだけwwwwwwwwww
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/03/12(月) 03:33:20.93 ID:SIO24Ni5o
sage投入(やや正気に戻った)
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/12(月) 04:33:34.65 ID:xHolEDzb0
乙!
気にするなよ、待ってるから
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/03/12(月) 12:40:37.61 ID:QQaQ5Oq7o
ぃひひひひwwwwwwww乙wwwwwwww
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/12(月) 12:53:25.47 ID:rInuAaR/o

しばらく投下できなくなる前に遊び人との決着だけは見たいなーチラッチラッ
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/12(月) 19:11:02.90 ID:ZJGtz6HIO
いやー楽しい
好きに読むから好きに書いてー
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/03/13(火) 01:00:26.97 ID:TQFkaGgjo
乙乙!
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/14(水) 10:01:19.39 ID:f6PetIQDO
733 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:27:50.91 ID:vfP0HmSO0
1「世界樹を切り倒せないだと?」

手下「はい、中々頑丈みたいでして。それにー」

手下「時折邪魔が入ってくるんです。そのせいで数匹ほど負傷した者がいまして」

1「ええいっ! なんとも情けのない話か!」

1「我が魔物の軍勢が妨害に屈してなるものか! もっと努力しろ!」

手下「キツいんですよぉ…こっちは敵も見えてないんですよ」

2「あっちに侵入するまでは順調だったのにねぇ」

1「気合いが足らんのだ、不抜け共め」

手下(こっちは何の意味があって世界樹を切っているのかも教えられてないってのに)

手下「目的を。目的を私たちに教えていただけませんか」

1「は?」

手下「私たちも1匹の心ある魔物。与えられた仕事には意味を持って成し遂げたいのです」

手下「これは班の仕事意欲向上にも関わります。なぜ、世界樹を切るのですか?」

1「えっ……」

手下「えっ、とは一体どういった意味でしょうか…」

2「悪いけれどまだ教えるつもりはないのよ」

2(マンイーターを使ってさっさと人間を絶滅させるだなんて他力本願。情けなくて教えられないって…!)

1「ん〜」

手下「なぜなのです。何か後ろめたい理由を私たちに隠していると……?」

2「黙りなさい。話はもう済んだでしょう。さぁ、仕事場に戻りなさいよ」

手下「ぐぬぬ……」
734 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:28:28.02 ID:vfP0HmSO0
1「い、行ったか」

2「やっぱり疑問に思う魔物も少なくないわけね」

1「この際教えてくれてもいいのではないか」

4「とんでもなぁーーーい」

4「マンイーター共に頼る様な策では下の者も関心しないでしょう」

2「でもいずれはバレてしまう事でしょう?」

4「何かの間違いでそういう事があったということにしようって3人で決めたじゃない!」

2「今考えると随分浅い考えだったと思うけれどね…」

1「だいたい! マンイーター共なんぞに頼るのがおかしいのだ! 我らが滅ぼせばいい!」

4「それには勇者シリーズの装備という障害が存在してな。難しいんだよ」

1「あ!?」

4「人間側もな、本気出せば我らを即滅させられるのだ」

1「あぁ!?」

4「私たちは純粋な魔物。しかし、マンイーターはいわゆる半身半魔」

4「魔物でありながら人を残すイレギュラー。彼奴らは勇者の剣の効果を受け付けん」

2「……そんなチート装備があるのに、なぜ今まで魔王は滅ぼされなかったの?」

2「だっておかしいじゃない。あんたの言う事が正しければ、私たちは!」

4「もし魔王が」

4「純粋な魔物でないとしたらどうする?」

2「はぁ?」
735 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:29:16.18 ID:vfP0HmSO0
4「今のは聞かなかった事にしてくれ。今の件は話の本筋とは関係ないのだ」

1「そうだ、どうでもよい!」

4「まぁ、話も一旦ここで区切っておこう…ね」

2「どうしてよ」

4「ビッグニュースがあるんだ! 魔王が遂に倒されるかもしれないの!」

1・2「!」

1「刺客共が遂にか!」

2「最近何も動きがないと思っていたら、一体どうしちゃったの!」

4「……まぁ、私たちが蘇らせた2人が頑張ってるわけじゃないみたいだけど」

2「ていうことはまさか側近の……?」

1「えぇ……」

4「そう落ち込むなよー! 結果オーライだよー!」
736 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:29:54.79 ID:vfP0HmSO0
4「とりあえずね、だいぶ頑張ってるみたいでね、そいつが」

2「倒す一歩手前って感じかしら」

4「そこまでじゃないけど」

2「……」

4「でもやっぱりレベル99は伊達じゃないね。敵じゃなくて本当によかった」

2「魔王倒したらすぐに魔法解いちゃうのが勿体ないぐらいよね」

1「しかし、我らより強い人間とか気に食わんからな。強力な兵器は所持するだけでも苦労するものだ」

4「そうなんだよ」

4「まぁ、でも側近が復活させた人間たちは自然消滅してくれるのはいいとして」

1「我らが蘇らせた勇者か」

2「あれも十分使いようはあるわよね」

4「そいつだけでも残しておいてもいいかなって」

1「正気か!? 勇者だぞ!?」

4「いいじゃない、勇者。あれ結構ズルい性能持ってるんだぞ!」

4「もし世界樹切断大作戦が失敗したとして、その時はアイツに使い道ができるわけさ」

4「つまり、あの勇者は私たちが魔界を、世界をこの手にする為の重要な鍵となり得る!」

1・2「おぉ〜!!」





3「……ほう」
737 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:30:32.67 ID:vfP0HmSO0
3「まさか刺客が本当に仕事していたなんて」

3「ふん、魔王もその程度だったというわけか!」

3「……それにしても、今の話は気に食わん」

3「このままでは三魔官どもの思い通りになってしまいかねない!」

3「世界をこの手にするのは俺一人で十分だ。奴らではない……」

3「あの勇者は俺の邪魔になりかねん。もし敵に回れたら勝てる気しないし」

3「先に手を討つとしようか……」

3「しかし、生憎俺にはあのアンデッドをどうにかする様な力はない」

3「アンデッド……アンデッドの、専門家……!」

3「そうか奴を……!」

魔物「あっ、またコイツ! こらぁー!!」

3「げっ」

魔物「いつもの侵入者だぁー! 今日こそ牢にぶち込むぞー!」

魔物「あの人本当に飽きないよな。感心しちゃうよ」

魔物「何企んでるんだか……。とにかく捕まえよう!」

3「畜生! 畜生!」

3は逃走した。
738 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:31:43.15 ID:vfP0HmSO0
元・側近の家


戦士「ふぅー、ただいまー」

武闘家「ん」モグモグ

戦士「せめてお帰りぐらい言って……って」

戦士「おいおい、またこんなにゴミ散らかして!」

戦士「誰がこれ掃除すると思ってんだよ!」

武闘家「おっさん」モグモグ

戦士「わかってるじゃない…」

戦士「今日も部屋でお菓子食ってゴロゴロかぁ? お前太るぞ」

武闘家「あんまり家出るなって言ったのはおっさんよ?」

戦士「そうなんですけど〜」

戦士(ここらじゃ子どもを野放しに遊ばせられないし、仕方がないんだけども)

戦士「お前絶対ここむっちりしてきたよな……」ムチーン

武闘家「ぎゃっ!? 触んな変態め!」

武闘家の攻撃〜

戦士「う、動きにキレがなくなってる。しかも打撃が弱い!」

戦士「お前このままだとやばいぞっ」

武闘家「何がよー……」

戦士「何がって……武闘家が武闘家じゃないみたいな」

戦士「お前の武闘家としてのアイデンティティーが消えてってるんだわ」

ぶ闘家「……?」

戦士「このままじゃただのデブガキだぜ、お前」
739 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:32:33.24 ID:vfP0HmSO0
ぶ闘家「デ、ブっ……!?」

戦士「まずは運動しよう。そうしたら何かが変わる」

ぶ闘家「ウソよ、ウソよウソよぉーーーっ!」

戦士「だってお前本当に太ったもん! この短期間でよぉ!」

ぶ闘家「どうしよう…お父さんに嫌われちゃう…」

戦士「そこまではないとは思うけど」

戦士「お前もこの際魔王城で働かせてもらったら? 肉体労働が殆どだし、もしかしたら」

ぶ闘家「する! 肉体労働する! 痩せたい!」

戦士「おっ、ようやく動きだすのか!」

戦士「半ニート生活よりは体動かしてなんぼだもんな。任せとけ! ペロに相談してみるから!」

ぶ闘家「任せたー!」

ぶ闘家「まぁ、その前に早くご飯作って」

戦士「……」

戦士「お前はしばらく少なめにご飯盛るわ」

ぶ闘家「虐待じゃないのそれ! なんて事を!」

戦士「お前のためを思ってやるんだよ…」
740 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:33:58.18 ID:vfP0HmSO0
ぶ闘家「というわけだから仕事寄越しなさい」

ペロ「……」

ぶ闘家「何とか言いなさいよー!」

戦士「固まってる……」

ペロ「お、お前誰だ……!」

ぶ闘家「はぁ!?」

戦士「元武闘家だぜ。こうなっちまったのには俺にも原因がある」

戦士「だから痩せさせてあげたいなって」

ペロ「それで仕事〜? 無理無理、子どもにはあんなキツイ労働無理だってー!」

ぶ闘家「いいの! 早く!」

ペロ「そんなに急かされても〜……」

ペロ「くそー、しばらく見ないうちに舐めたくない感じに成長しちゃったなー……」

ぶ闘家「ぶっ転がしてやる!」

戦士「止せ止せ!」ガシッ

ペロ「それにしても、お前らだいぶ魔界に馴染めたんだなぁ」

戦士「まぁ、お陰様でなー!」

ぶ闘家「相変わらず湿っぽくて嫌な所には変わりないんだけどね」

ペロ「それもすぐに慣れるだろうよ〜。ははははっ」

ペロ「もういっその事ここで俺たちと一緒に暮らせばいいんだよ」

戦士「……ん?」

ぶ闘家「何よ、おっさん?」

戦士「いや、俺たちここで何してるんだろうなって思って」

ペロ「何だっけ? まぁ、そのうち思い出すでしょ〜」

ぶ闘家「そうそう。そんな事より私の体でしょ」

戦士「それもそっかー」
741 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:35:45.71 ID:vfP0HmSO0
遊び人はこちらをニタニタと笑いながら窺っている。

僧侶「……」

盗賊「おい、俺が敵に隙を作る。お前はその瞬間を狙って行け」

魔剣『でもそんな事してたら盗賊ちゃん今度こそ殺されちゃうかもよ?』

盗賊「くくっ、俺はそう弱くねぇ……!」

僧侶「大丈夫。やられてしまう前に私が回復魔法を唱えますから」

盗賊「あ、うん……」

魔王「全く持って心許ないが貴様らがそうしたいと申すなら聞き入れてやる」

魔王「足手まといにはけしてなるのではないぞ! その時は余が仕留めてくれるからな!」

盗賊「なんで仲間に殺されなきゃいけねーんだぜ!?」

魔剣『それ今さら言うんだね』

僧侶「誰も殺させやしません。私がすぐに治します」

僧侶は魔王へ回復の呪文を唱えた!

魔王「むっ」

僧侶「先程魔剣ちゃんで刺された傷、それと戦闘でのダメージ」

僧侶「相当無理をなさっていたのでは……?」

魔王「大したことないわ! 余には回復なんぞ不要だと何度申させるつもりだよ!」

盗賊「お前はどうやったら死ぬんだよ…」

僧侶「……本当に何者なんですか、勇者様は!」

魔剣『魔法きたよー!』

炎がまるで龍の様にうねりを上げ、魔王たち目掛けて放たれてきた!
742 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:37:46.18 ID:vfP0HmSO0
魔王「下がっておれ」

慌てることなく魔剣を振るい、炎の龍を切り払う!

しかし、切り裂いた炎の向こうからさらに火球が襲ってきた!

魔剣『こっちの魔法はフェイクだったんだよー』

魔王「間に合わん」

体を張って火球を受け止める!

僧侶「勇者様!」

魔王「問題ないである。 貴様はさっさと身体強化の魔法を唱えていろよ!」

魔王「盗賊は〜」

魔剣『盗賊ちゃんはもう動きだしてるよー!』

盗賊は魔王が攻撃を引き受けている間に、静かに駆けて遊び人へ向かっていく!

盗賊(ピエロ男の攻撃は相当な威力だ。まともに食らって耐えきれる自信はない)

盗賊(接近しすぎるのは危険だ、だがしかし)

遊び人「何か来たわwwwwwwww」

盗賊「男は黙って前衛飾るもんだぜ……」

アサシンダガーを懐から取り出しつつ、遊び人の機動力を狙い、足払い攻撃!

遊び人「ひょい!」

その場でピョンと跳ね、下段攻撃をあっさり回避!

しかし盗賊は一瞬の隙を見逃さない。盗賊は毒針を遊び人から盗んだ!

盗賊「玉にはらしい事してみるもんだぜ」チラチラ

遊び人「あり、いつの間にwwwwwドロボーですやんwwwwwやだわぁwwwww」

盗賊「お望みならもっとドロボーしてやんよ!」

魔王「盗賊下がれ」

盗賊「了解だぜ……!」

注意が盗賊に移っている間、魔王は既に遊び人の元へ接近し終えていた!

魔王の攻撃!

遊び人「いっひ…wwww」



魔剣『勇者ちゃんストップ!』
743 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:38:48.31 ID:vfP0HmSO0
魔王「何?」

魔王が攻撃が盗賊に当たる寸前、攻撃をピタリと止めた。

盗賊「えっ、これは……?」

魔王(余は確実にあの男に向かって攻撃しようとした)

魔王「だが何故下がった盗賊が余の目の前に移動している…!?」

盗賊「奴は……! 僧侶…っ!」

僧侶「い、いきなり姿が…盗賊さんも一瞬でその場へ…」

ばきぃっ!

僧侶「ぐぅ……!?」

僧侶は遊び人に殴られた!

遊び人「お目目はどこについてんのwwwwwwwうひひひひwwwwwwwwww」

盗賊「僧侶!! 野郎やったな!!」

魔剣『移動魔法だよ、勇者ちゃん!』

魔王「むっ、やはりか」

魔王「先程の空中爆破から逃れた時も、人ゴミから逃れたのも……!」

魔剣『アイツ、あの魔法が得意っぽいかも。ノーモーション、詠唱なしで発動できてたの』

盗賊の攻撃!

盗賊「僧侶に近づくんじゃねぇぜ…!!」

遊び人「嫉妬か? 嫉妬なのか!? あぎゃぎゃぎゃーwwwwwwwwwwwwwwww」

盗賊の姿が消えてしまった!
744 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:39:32.23 ID:vfP0HmSO0
僧侶(また消えた!)

魔王「僧侶、盗賊は上である!」

盗賊は上空高くに瞬間移動させられていた。

かなりの速度で落下している!


盗賊「うおおおおおおおおぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜!?」


僧侶「い、いけない!」

遊び人「無駄よ! 可愛いお尻の子猫ちゃん!」

遊び人は盗賊を追おうとする僧侶の腕をがっしり掴むと、壁目掛けて力強く放り投げた。

魔剣『盗賊ちゃんたちが〜!』

遊び人「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

魔王(どちらも即死する恐れがある。余の早さではどちらかか……)

魔王「ここは僧侶だ!」

魔王は一気に僧侶と壁の間にまで移動すると、僧侶を受け止めた!

僧侶「がっ、は……!」

すぐに僧侶を地面に投げ、盗賊へ向き直る。が

盗賊「†」

盗賊は息絶えた。

遊び人「残り2人だよ!? どうするのよぉ!? ふひwwww」

僧侶「よくも……!」
745 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:40:49.37 ID:vfP0HmSO0
魔王(あやつの移動魔法は想像以上に厄介と見た)

魔王「今までその魔法の使用を抑えていたのは奥の手だからか、キチガイよ」

遊び人「んでんでんでーwwwwwwwwwwwwwwww」

遊び人は聞く耳持たない様子だ!

僧侶「手を抜いていた、なんて事は考えられませんか」

僧侶「……彼の行動はわかりづらすぎます。予測できません」

魔王「ではこの戦いは奴の遊びの1つだと?」

魔剣『ヘラヘラ笑ってばっかりだし、そんな感じするよね〜』

魔王「益々あやつが気に食わなくなってきた……」


遊び人「やっべーwwwwwwwwwwwwやっべーよぉwwwwwwwwwwwwwww」


遊び人の体の節々からガスがしゅーしゅーと漏れ出している。

遊び人「私がwwwwwww私が消えてしまwwwwwwうwwwwwwwwwwww」

魔王「完全に狂ったわけか」

僧侶「様子が……勇者様! 一旦距離を!」

遊び人「ぎゃあああああああああああああああーwwwwwwはははははははははははぁーwwwwwwwwwwwwww」

遊び人は狂ったように笑いだし、魔王へ瞬間移動を繰り返しながら接近してきた!

魔王「何だあの動き!?」

魔剣『怖い怖い怖いー!』

僧侶「勇者様っ――――――」

四方八方から炎が魔王たち目掛けて飛んでくる!

遊び人「ワロタwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
746 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:41:36.83 ID:vfP0HmSO0
僧侶「避けきれない!」

魔王は魔剣を振るって炎を掻き消してゆくが、それでも炎は何処からともなく、不特定の位置から飛ばされてきている。

魔剣『何か軌道も変! 全部変です!』

魔王「ここで囲まれて丸焼きになるわけにもいかん、僧侶が」

僧侶「私だけですか!?」

魔剣『勇者ちゃんはこれぐらいの炎なら平気だもん〜』

僧侶(これに焼かれて平気な人間がいるわけがない……!)

僧侶「勇者様!」

魔王「あの男のわけのわからん動きに対抗するには貴様の強化魔法が必要だ。だから絶対に死ぬでないぞ」

僧侶「あ……は、はい…!」

炎の中、僧侶を抱えながら次々と襲いかかる火球を回避しつつ、町中へ逃げる!

僧侶「勇者様! こっちには関係のない人たちが!」

魔王「あのまま広場にいてはただの的になりかねん。ここは狭い道で攻撃を避けながら応戦する!」

魔王が走り去った道は炎によって焼き払われつつある!

僧侶(もはや私たちを殺せさえすれば、町はどうなってもいいんだわ!)

僧侶「だ、ダメ……!」ジタバタ

魔王「動くなァー! 落とす!」

僧侶「ダメ! 戻って! このままでは町が燃えてなくなってしまう!」

魔王「こんな町は燃えて消えてしまおうが構わん! 貴様もそうであろうが!」

僧侶「……お母さんが! お母さんまで消えてしまうのは嫌!」
747 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:42:11.05 ID:vfP0HmSO0
悲鳴と怒号に包まれる荒くれの町。無差別に焼き払う魔法の炎は静まる事をしらない!

僧侶「お願い……!」

魔王「ふん!」

魔王は突然民家へ僧侶を投げ入れると、床に魔剣を突き刺した。

魔剣『え、えっ〜!!』

魔王「魔剣の近くにおれば魔法の炎も近寄れまい。よいか、ここで生き長らえておれよ」

僧侶「ゆ、勇者様」

魔王「貴様はうるさいから一緒に連れていては邪魔なのだ!」

魔王「必要になったら再びここに戻ってくる! これ以上は無駄な魔力を消費するなよ!」

魔剣『勇者ちゃん置いてかないでよぉ〜〜〜!』

魔王は僧侶と魔剣を残して1人その場を後にした。

僧侶「そんな……」

魔剣『もう! 僧侶ちゃんが変な事言って勇者ちゃんを困らせるからだよー!』

僧侶「……」

僧侶(どうしよう)

僧侶「私、お母さんの事が嫌いになれきれていないのかな……?」

魔剣『え?』

僧侶「ど、どうしよう……っ」

僧侶はその場で泣き崩れてしまった。
748 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:42:58.48 ID:vfP0HmSO0
魔王「余だけに的を絞ったか、あのキチガイ」

怒涛の勢いであちらこちらから放たれてくる火炎魔法が魔王を襲う!

魔王「だが狙いはそこまで正確というわけではなさそう……」ヒョイ

魔王(例の移動魔法を応用して、火炎魔法を移動させてきているのか)

魔王「その分、数でこちらを無理に押そうとしているのが見え見え!」

魔王「浅はかな考えである。まるで子供の考える事だな、キチガイ!」

遊び人「ひゃーひゃひゃひゃ! 見つけた、そこにいたぞwwwwwwwwwwwww」

魔王「見つけさせてやったのだー! もう逃げ回るのは止め!」

魔王「貴様程度の相手、素手で十分よ」

魔王はファイティングポーズを構えると、瞬間移動しつつ接近してくる遊び人を目で追った。

魔王(相変わらずわけがわからん。何処から仕掛けてくるのか……)

目の前から遊び人の姿が消えた!

魔王「後ろかァーーー!!」

魔王の攻撃! しかし、攻撃は空振りだ!

遊び人「あっははははははーwwwwwwwwww」

遊び人は建物の屋根から魔王を見下ろしている!

遊び人の攻撃! ガラクタと一緒に爆弾を交えて魔王目掛けて落とした。

魔王「読めていたわ!」

マントを広げて自分を包むと、爆風から身を守る!

魔王「熱くもないぞ、キチガイ!」

遊び人「それ 言いすぎwww」しゅー…しゅー…
749 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:44:07.29 ID:vfP0HmSO0
魔王は建物を蹴って、屋根に昇った遊び人を揺さぶり落とす。

遊び人「あっ……wwwwww」

魔王は落下してきた遊び人の顔面を魔王の鉄拳制裁が捕らえた!

遊び人「ぶにゅ……ぶっ……!」

魔王「ははははははははっーーーーーー!!」

浮いた遊び人をむんずと強引に掴み、地面に叩きつける!

遊び人「ごぶ…wwwwwwwwwwwwwwww」

魔王「何がそれ程面白いのか、余にわかる様に答えてみせよ」

遊び人「た、た、たのちぃー……wwwwww」

魔王「だから何が?」

遊び人「何か全部wwwwwww」

魔王は遊び人の腹を何度も踏みつけ始める! スタンプ攻撃!

遊び人「ぐっへ! あへぇ!? げぶぅ!」

魔王「おらおら、笑ってみせよー!」

魔王「笑えよ〜!!」

遊び人「……」

遊び人はピクリとも動かなくなってしまった。

魔王「ふん、ようやく死んだか」

遊び人「……んふ……ふふっ……ふ…………」

遊び人「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

魔王「!」

遊び人は魔王の足を掴むと、地面に引きずり倒して馬乗りになった!

魔王「貴様! ぶっ〜〜〜……!?」

遊び人「あーはははははっ! あーはははははっ!」

遊び人は魔王をボコスカと殴り始めた!
750 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:45:00.68 ID:vfP0HmSO0
魔王「うがァー!!」

遊び人をひっくり返すと、今度は魔王が馬乗りになって遊び人を殴る!

遊び人「ひーひひひひっwwwwwwwwwwwwww」

魔王を足を使って投げ飛ばし、倒れた魔王を強引に起こして乱打!

まるで子供のケンカのような状況がそこでは起きている!

互いに殴り、引っ掻き、蹴り、引っ張り!

魔王は猛り狂い、遊び人は狂い笑い!

その合間、町は炎によってジワジワと崩壊の兆しを見せつつある。

遊び人「魔王wwwwwww魔王wwwwwwwww」

魔王「ふんッッッーーーーーー!」

魔王の攻撃! 会心の一撃!

遊び人「げぇ〜〜〜……!!?」

会心の一撃を受けた遊び人はその場でしばらくふらつくと、琴切れた様に崩れた。

魔王「はぁ、はぁ……」

遊び人「…んー、ふっふっふっ…………」

遊び人「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

遊び人はまるでダメージなんて残っていないと言わんばかりに勢いよく立ち上がり、笑った。

魔王「ふ、ふん! 余もなんだか面白くなってきたわ……」
751 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:45:53.25 ID:vfP0HmSO0
遊び人「ひーひひっ、ひーひひひひひwwwwww ひ……」

遊び人「!」

遊び人の体からガスが一気に噴き出し始め、体が徐々に溶けだした。

魔王(また別の魔法か?)

魔王「これ以上何を隠しているというのだ。さっさと晒せ」

遊び人「あ……あ、あ……あら…ら……ぁ……?」ピクピク

遊び人の笑いが引きつった様なものへ変わり始めた。

魔王「いい笑顔だなァ」

魔王の攻撃!

遊び人の皮膚が破け、肉ではなく骨が露出し、ガスが穴から漏れだす!

遊び人「ひひひ……ひひ……!」

魔王「全くもって、側近の奴は悪趣味な化物を生みだすな」

魔王「くだらん」

遊び人「魔王……魔王ぉ〜……そこにいるんだな……?」

魔王「視力を失ったか? 余が今見えておらんのか、貴様」

遊び人「へへへ、へ……!」

見当外れな方向へふらふらと歩くと、何もない空間に向かって攻撃をし始めた。

魔王「哀れな男だ。ざまぁである」

遊び人「何もきこへなぁいよ〜……みえないよー……まっくら〜……」

遊び人「わらいほへが、きこへないよぉー……www」
752 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:47:06.03 ID:vfP0HmSO0
魔王「あっははははーwwwwwww」

魔王「面白いな、これは面白いぞwwwwww」

遊び人「」うろうろ

魔王「散々笑っていた貴様の代わりだ。余が貴様を笑ってやる!」

遊び人「まおう、たおしたぁ〜……かたきとれたー……」

遊び人「これでせかひは、へいわれふ……はい、おしまい――――――――」

ドサッとその場に倒れると、遊び人の体が完全に崩れて人としての原型をなくした。

魔王「ふん、散々手こずらせおって」

遊び人だった物を漁り、骨の一部を手にする。

魔王「笑っているだけでは客をしっかり楽しませられん。だから貴様はただのキチガイなのだ!」

魔王は遊び人の骨を粉砕した!


ぱらぱらぱら・・・


魔王「結局僧侶は使わず仕舞いで終わったな。あの役立たず」

魔王「盗賊どもの死体拾ってさっさとこの町出るである……」





女戦士「……」

女戦士「私もいずれはああなり得るというわけか」

女戦士「時間もあまり残されてはいない。できる事をしなければな」
753 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/15(木) 02:49:19.29 ID:vfP0HmSO0
ここまで。とりあえず今日から土曜までは毎日投下できそうだ

754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/03/15(木) 02:52:52.37 ID:GQosHkH7o

魔王ちゃんのガチバトルは初めてかな?
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 04:19:43.03 ID:TItFiWY90

盗賊ェ・・・
756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 07:03:50.95 ID:ZFcTVjQIO
また魔法使い解禁しないかな
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 07:07:02.77 ID:ZFcTVjQIO
× 魔法使い
○魔法
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 07:22:13.12 ID:qEK5XOIIO
それはwktk
759 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:13:54.36 ID:91cPPj3O0
魔王「あー、重い。死体ってこんなに重かったっけ……」ずりずり

盗賊「†」女勇者「†」

魔王「僧侶に会ったら2つとも背負わせてやろう」

魔王「と、思っていたら」

魔王「なぜ僧侶おらんのだ!?」

魔剣『わかんないよ〜…急にどっかに走ってっちゃって』

魔王「そこは引きとめておけよ! この役立たず!」

魔剣『ごめんなさい〜……』

魔王「これだから貴様はいかん。とっとと探すである」

魔剣『あれ、置いて行ったりすると思ってたのに』

魔王「乗りかかった船よ、余は所有物は簡単には捨てんのだ」

魔剣『魔王ちゃん優しいよぉ〜!!』

魔王「訂正せよ、勇者ちゃんだ!」

魔剣『ごめんなさい、勇者ちゃん〜!!』

魔剣『ちゃん付けしても怒らないんだね!』

魔王「何だかしっくりしてきたのよ」

魔剣『〜♪』
760 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:14:48.11 ID:91cPPj3O0
僧侶「……」

魔王「おー、貴様ァ! 勝手にどっか行って」

僧侶「……勇者様」

僧侶の家が燃えている。

魔王「さっさと町を出るぞ! 貴様も棺桶担げ!」

僧侶「はい……でもあと少し……」

僧侶「もう少しお待ちください……」

魔剣『ここってさっき僕たちが入った家?』

魔王「あの薬中ババアが住まう家か」

僧侶(この中に、お母さんはまだいるのかしら)

僧侶「」ふらぁ

魔剣『僧侶ちゃん! 危ないよ、燃えちゃう!』

魔王「何をボサッとしておるか。心残りでもあるか」

僧侶「……いいえ」

僧侶「行きましょう。この町はもう終わりです」

魔剣『ボーボー燃えてるもんねぇ』

魔王「ゴミらしい終末だな。焼却処分である」

僧侶「……ええ、そうですね」

僧侶(家も、花も、お母さんも、全部燃えてしまった)


魔王たちは荒くれの町を去った。
761 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:15:44.14 ID:91cPPj3O0
教会


女勇者「絶対魔法が上手く決まってたら倒せてました!」

盗賊「お前じゃ絶対無理だったぜ」

女勇者「えー!」

僧侶「ありがとうございます、神父様」

神父「お代もいただけたし、私はその分の仕事をしたまでだよ」

盗賊「しかしあの男をどう倒したんだ? 殺しても殺せなかったんだぜ」

魔王「殴っていたら倒したのだ。余にかかればアンデッドなんぞただの雑魚よ」

魔剣『でもアイツレベル99もあったの〜』

女勇者「はぁ!?」

盗賊(魔王こえー……)

神父「2、3年も見ないうちにこんなに大きくなって」ナデナデ

僧侶「し、神父様…」

盗賊「あの男!」

女勇者「師匠落ち着いて〜!」

女勇者「あの人って、僧侶さんにとっての師匠みたいな人なんですって」

盗賊「何……?」
762 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:18:36.65 ID:91cPPj3O0
神父「この方々が?」

僧侶「はい。勇者様とその仲間たち」

魔王「余が勇者な」

神父「はぁ」

僧侶「皆、良い人ばかりです。神父様」

神父「そうかそうか。それは良かった」

神父「お前が魔王を倒す手伝いをしたいなんて言いだした日にはとても驚いたものだよ」

僧侶「すみません……でも私ができる最大限の人助けですし……」

神父「ああ、わかっている。私が猛反対したときもお前はそう言って聞かなかったしね」

神父「お転婆な僧侶になったものだよ」

僧侶「……///」

神父「……だが、最近の噂を聞いていると少々お転婆が過ぎる気もするが」

僧侶「えっ」

神父「良くない噂が町中に溢れている。もうお前もわかっているね」

女勇者「それは何かの誤解なんです! 私たちは悪い事なんてしてない!」

僧侶「お、女勇者さん…」

女勇者「だって勘違いされてるままじゃ納得いきませんよ!」

女勇者「とにかく違うんです! これ絶対誰かの仕組んだ罠ですよ!」

盗賊「まぁ、誰かは大体わかっているがな」
763 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:19:59.84 ID:91cPPj3O0
神父「…お前が良からぬ事を考える様な子ではないと私は知っている」

神父「だから、僧侶。私はお前たちの味方だよ。もちろんシスターたちだってね」

僧侶「神父様……」

僧侶は神父に抱きついて子どもの様に泣きわめいた。

神父「おぉ?」

盗賊「そ、僧侶を泣かせたな…!」

魔剣『悪い人なの?』

女勇者「どう考えてもいい人です」

魔王「ガキみたいだな、アイツ」

盗賊「……故郷を失ったんだろ? 一気に何か崩れちまったんだよ、僧侶の中で」

女勇者「ずっとここまで我慢してたんですね〜…ぐすんっ」

僧侶「 」

神父「よしよし。あまり泣いているとお仲間の方々から笑われてしまうよ」

僧侶「わあぁぁ〜んっ!!」
764 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:22:03.05 ID:91cPPj3O0
部屋


女勇者「いやー、教会のお部屋貸してもらえるなんてラッキーですねぇ」

盗賊「最近ろくに休めてなかったからな。ありがたいぜ」

魔王「しかし! ベッドはかなり硬い!」

魔王「あり得んぞ! 僧侶!」

僧侶「仕方がありませんよ。そんなにお金がある教会でもありませんし」

僧侶「この部屋、昔は私が貸してもらっていたんです。懐かしいなぁ…」

僧侶「今勇者様が座っているベッドで寝ていた気がします」

盗賊「!!」

魔王「よくこんな粗末な物で寝られたものだな、僧侶よ」

僧侶「とんでもありませんよ。私の家の物よりも高価なベッドですから」

女勇者「うへぇ〜……恐ろしや貧民街……」

盗賊「おい」

女勇者「あっ、す、すみません!!」

僧侶「ううん。本当の事ですし、気にする必要もありません」

僧侶「少し外に出てきますね」

女勇者「だったら私も!」

僧侶「すみません。1人になりたいので……」

僧侶は部屋を出て行った。

魔剣『あーあ、女勇者ちゃんが空気読まないからだよ〜?』

女勇者「うぅ……」
765 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:23:41.35 ID:91cPPj3O0
魔王「さっさと寝るとする。余は疲れたのだ」

魔剣『添い寝してあげる……』

魔王「誰かこの剣を外へ捨ててこい!」

魔剣『ひどーい!』

盗賊「おい…そこで寝るのは待て…」

魔王「あァ?」

盗賊「俺のベッドと交換だ」

魔王「はぁ?」

女勇者「師匠どうしたんですか? 何でそっち?」

盗賊「気分だぜ……! 特に意味はないんだ」

魔王「なら別にそこで寝ても構わんだろうがよ」

魔王「盗賊になんか譲らん」ゴロン

盗賊「くっ……!!」

盗賊「頼むから譲ってくれ! そこじゃなきゃ寝れない!」

女勇者「なんだか必死〜……」

魔剣『よからぬ予感』ピピーン

魔剣『盗賊ちゃん! 勇者ちゃんが乗ったベッドで何する気!』

女勇者「え゛っ」

魔王「何?」

盗賊「はっ……」
766 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:25:28.13 ID:91cPPj3O0
女勇者「師匠って」ススス

盗賊「待て! 離れるな!」

魔王「盗賊気持ち悪い……」

盗賊「魔剣の言い方が悪かったんだ! 俺は別に何も」

魔剣『じゃあどうして譲ってだなんて言うの。盗賊ちゃん必死すぎで怪しいもんー』

盗賊「この、駄剣がっ……!」

盗賊「別にこいつが寝っ転がったからとかじゃねー……ただ、何となくだ!」

女勇者「その何となくが怪しいですよね……」

盗賊「やめろ!」

盗賊「そういう目で俺を見るな……そういうのは戦士が引き受ける役だぜ……」

女勇者「私は戦士さん知りませんし」

魔王「まぁ、アレも怪しかった」

魔剣『でも彼女いるって言ってたよ〜?』

盗賊「それがまず信じられねぇ!」

盗賊「絶対ウソだ…いたとしてもクリーチャーだぜ、きっと…」

女勇者「人の彼女さんの事悪く言うのはよくないと思いまーす」

魔剣『さいてー!』

魔王「最低」

盗賊「……久しぶりにムカつき具合が半端ない」
767 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:26:20.48 ID:91cPPj3O0
盗賊「もういいぜ。勝手に言ってろ!」ゴロン

魔剣『拗ねちゃった』

女勇者「言いすぎちゃったかな……ごめんなさい、師匠〜」

盗賊「ふん!」

魔王「で、ベッドはもう良いのか?」

盗賊「……」

魔王「そうかそうか。僧侶が寝ていたベッドは諦めるのか…」

盗賊「ぶーーーーっっっ」

盗賊「てめぇは何をおかしな事言いだすんですかね!?」

女勇者「落ち着いて、落ち着いて! 口調がおかしい!」

盗賊「はぁ、はぁ……」

魔剣『図星だったの?』

盗賊「あぁー!?」

魔王「にやにや」ニヤニヤ
768 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:26:58.87 ID:91cPPj3O0
盗賊「こいつがデタラメをっ」

女勇者「ていう事は師匠は僧侶さんの残り香を嗅ぎたいがために!」

魔王「違いあるまい。この変態!」

魔剣『変態!』

盗賊「やめろぉーーーーー!」ゴロンゴロン

女勇者「私、男じゃないからよくわからないけど」

女勇者「そういうものなんですか?」

魔王「盗賊が特別なのだ」

盗賊「うるせぇよ!!」

魔剣『正直に言ってくれればいいのに〜』

盗賊「違うんだ! お前らが勝手な解釈してるだけで俺は!」

魔王「素直に僧侶のベッドを嗅げばよい。余は後の事は知らんが」

女勇者「それはダメです!」
769 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:27:45.05 ID:91cPPj3O0
盗賊「……くくく」

盗賊「く、くくっ……お前らどうかしてるんじゃないか……?」

盗賊「この俺がそんな、バカな、へへっ……」

女勇者「やだ、師匠なんか変!」

盗賊「なぜだ!?」

魔王「変態」

魔剣『変態〜』

盗賊「やめろ…やめてくれっ……!」

盗賊は部屋を出て行った!

女勇者「師匠の目見ましたか…泣いていました…」

魔剣『もう! 女勇者ちゃんがいけないんだからね!』

女勇者「私!?」

魔王「寝よー」ゴロン

女勇者「あ、ズルイ!」
770 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:28:21.70 ID:91cPPj3O0
盗賊「アイツら、アイツら絶対おかしい……ぐすんっ」

盗賊「今さらになってこのパーティに入ろうとした俺を殴りたくなってきたぞ…」

盗賊「妹……お兄ちゃんは疲れたよ……」

僧侶「何がでしょうか?」

盗賊「ひぃ!」

僧侶「ひぃ、って」

盗賊「僧侶……」

僧侶「あれ、泣きましたか? 目の周りが腫れてますね」

盗賊「そんな事ない。俺の涙はとうの昔に枯れ果ててしまった…」

僧侶「そうなんですか?」

盗賊「……」

盗賊「僧侶はここで何をしていたんだ」

僧侶「私ですか? ええ、少し考え事を」

盗賊(僧侶だって目の周りが赤く腫れてるじゃないか)

盗賊「は、ハンカチを……どうぞ」サ

僧侶「え? いいですよ。必要なのは盗賊さんの方でしょう」

盗賊「……ぐすん」
771 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:29:13.57 ID:91cPPj3O0
僧侶「一体どうしたんです。勇者様たちから泣かされちゃったんですか?」

盗賊(言えるわけがない)

僧侶「全く、いけませんね。盗賊さんばかり苛めたりして!」

僧侶「後で戻ったら私から一言ガツンと言ってあげますね」ニコ

盗賊(情けなさすぎる……)

僧侶「盗賊さんは頑張ってるんだから、もっと自信を持ちましょう」

僧侶「言われっぱなしではダメですよ」

盗賊「はい……」

僧侶「まぁ、私も偉そうなことが言えた立場ではありませんよね。すみません」

盗賊「そんな事はない! 僧侶だって頑張っている!」

盗賊「俺が保証するぜ!」

僧侶「そうですか? ありがとう、盗賊さん」

盗賊「いえいえ……!」

盗賊「……」

盗賊(話す事がなくなってしまった)
772 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:30:06.89 ID:91cPPj3O0
僧侶「……あの」

盗賊「はい!?」

僧侶「私もまだ目の周りが腫れてますか?」

盗賊「す、少し!」

僧侶「あー……恥ずかしい///」

僧侶「明日までに治っているといいなぁ」

盗賊「だ、大丈夫だぜ、似合っているから……!」

僧侶「似合ってる!?」

盗賊「違う!?」

盗賊(うおおおおぉ! ボーっとしてたら変な事を!)

盗賊「似合ってない、似合ってない」ブンブン

僧侶「そ、そうですか……あはは」

僧侶「…盗賊さんも私も腫れてるし、なんだかお揃いですね」

盗賊(うおーーーーーー……)

盗賊「お、お揃い」

僧侶「盗賊さん?」
773 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:30:47.31 ID:91cPPj3O0
盗賊「……」

僧侶「……」

盗賊「そろそろ行くk」

僧侶「盗賊さんのご両親は素敵な方なんですよね」

盗賊「え?」

僧侶「正直羨ましいです。嫉妬してしまう程」

盗賊「そこまでってわけでは…」

僧侶「私のお母さんはさっき死んでしまったかもしれません」

盗賊「死んだ? さっき?」

盗賊「どういう事だ」

僧侶「何もかも燃えて無くなってしまいました」

僧侶「昔の私なら嬉しいって思うかもしれません。でも」

僧侶「なんだか今はとても悲しくて」

盗賊「えっ……」

僧侶「ワケがわかりませんよね。ごめんなさい」

盗賊「そんな事ないぜ! 気持ちはよくわからんが……」

僧侶「どうしてなのかなって、さっき考えてました。それを」

盗賊「う、うん」

僧侶「全くわかりませんでした」

僧侶「さ、部屋に戻りましょう。この辺りは夜になると急激に冷えますからね」

僧侶「風邪を引いてしまう前に」

盗賊(僧侶ちゃん?)
774 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:31:57.96 ID:91cPPj3O0



神父「もう出発するのかね?」

僧侶「はい。長居をしては教会に迷惑をかけてしまう事になりますし」

女勇者「一晩お世話になりましたー!」

魔剣『ました…もがっ』

魔王「黙っておれ」

神父「?」

僧侶「な、なんでもありません」

神父「そう? ……僧侶、くれぐれも気をつけておくれ」

神父「私はお前がとても心配だよ。無茶をしていないか」

僧侶「大丈夫です! 無茶をせずに頑張ります」

神父「怪しいところだが……」

魔王「そろそろ行くであるぞー!!」

盗賊「少しは空気読みな」

僧侶「もう少し待ってくださいー!」

僧侶「神父様。シスターたちにもよろしく伝えてください」

神父「ああ、わかってる。それではな、神の加護が勇者一行にあらんことを」

僧侶「神父様にも。それでは、さようなら」


魔王たちは教会を去った。
775 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:32:51.83 ID:91cPPj3O0
僧侶「……」

女勇者「教会が恋しいですか?」

僧侶「私にとって第二の故郷ですから。離れるのはやっぱり寂しいかなって」

魔王「では貴様はあそこに残るか。まぁ、それは許さんがな」

盗賊「鬼かお前は」

魔王「勇者だよ! 阿呆め」

僧侶「……」じー

魔王「……何ガン飛ばしておるのだ、ケンカ売っておるのか貴様!」

僧侶「いえ、そういうわけでは」

魔剣『勇者ちゃんを狙ってる……ダメだよ! 僕のだからね!』

僧侶「そういうわけでも」

女勇者「じゃあ?」

僧侶「なんでもありません。気にしないでください」

魔王「はぁ〜?」

僧侶(もう疑わないと決めたのに)

僧侶(勇者様……!)
776 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:33:27.99 ID:91cPPj3O0
魔剣『くんくん、くんくん』

魔剣『やっぱり痴女は荒くれの町にいたんだよ! 間違いないです!』

魔王「適当抜かすなー! 結局おらなかったであろうがよー!」

魔剣『本当だもーん!』

女勇者「まぁまぁ。で、今度はどこなんですか? 私の剣は」

魔剣『剣じゃなくて痴女の臭い嗅いでるんだけどねー』

盗賊「痴女って呼称はどうにかならねぇのか…」

魔王「その呼ぶ名が奴に相応しいから仕方がない」

僧侶「女戦士さんで十分じゃないでしょうか…?」

魔王「却下」

僧侶「えぇ!」

魔剣『くんくん……おっ、お〜』

魔剣『こっち!』

女勇者「どっち?」

魔王「こっちか」

魔剣『逆! 逆!』

魔王「ええいっ、紛らわしい!」
777 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:34:16.55 ID:91cPPj3O0
盗賊「この方角だと」

盗賊は地図を広げた。

女勇者「あれ、いつの間にそんな物を?」

盗賊「昨日整理していて見つけたんだぜ。どうやら前から持っていたようだ」

僧侶「それってはじまりの町で盗賊さんが買ってきた物ですよね?」

魔王「あー」

盗賊「誰にでも忘れている事はあるもんだ……」

魔王「で、このまま進むと何処に出るのだ」

盗賊「ああ、富豪の町らしいぜ」

僧侶「ふ、富豪!? 入るのすらおこがましく感じてしまう名前ですね!」

魔王「そこまで申すか、僧侶」

女勇者「名前にインパクト大ですけど、そこってアレですよね?」

女勇者「こーんなでっかいカジノがある所!」

盗賊「らしいな。お目にかかった事は一度もねぇが」

女勇者「私ありますよー! お父さんと一緒にスロット回しましたもん。へへー」
778 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:35:14.20 ID:91cPPj3O0
魔剣『スロット?』

魔王「聞き覚えがないな。どういう物か?」

僧侶「お金がどんどん吸われていく魔の娯楽……!」

盗賊「いや、間違っちゃいないが…」

魔剣『なんか面白そうだね〜』

僧侶「とんでもない! 絶対カジノになんか寄りませんからね!」

「『え〜……』」

僧侶「私たちの目的は何でしたかぁー!?」

女勇者「思い出のカジノなのにー……」

盗賊「一攫千金を狙いたい」

僧侶「奇跡でも起きない限りは無理です! とにかくカジノには絶対寄りませんから!」

「ぶーぶー!」

僧侶「ぶーぶー言わない!」

魔王「僧侶のケチ!」

僧侶「絶対お金はこの人たちに任せられない……」
779 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/16(金) 02:36:51.42 ID:91cPPj3O0
ここまで。なんかここらで区切っておいてもいい感じがするわ
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/16(金) 08:43:35.20 ID:5JVmmxWDO
戦士の合流はまだか!?

やっぱり戦士は回りからそういう目で見られてるのかww
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/16(金) 09:48:22.48 ID:Y+/+kDX40
乙!
俺の中で僧侶ちゃんの株がどんどん上がっていってる
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/03/16(金) 09:59:50.82 ID:zxUgmqKV0
ぶ闘家「誰がクリーチャーやねん」
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/16(金) 10:26:35.22 ID:pZq2OV5IO
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/16(金) 15:53:17.58 ID:+pYl6sgHo
>>745
ワロタにワロタ
785 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/17(土) 03:21:38.20 ID:UqRKd+Pv0
主任魔物「おらキビキビ働けー」

ぶ闘家「ひぃ、ひぃ……」

魔物「あの人間。新人のくせに頑張ってますね」

主任魔物「それがどうした。俺は人間が嫌いだ」

主任魔物「この顔の傷を見ろ! これはアイツら下等生物どもがつけた物だ」

魔物「可哀想な主任」

ぶ闘家「ふん、どっちが下等生物よ」

主任魔物「あ〜! 聞こえちゃった! 聞いちゃった!」

主任魔物「今の自分の立場をよく考えろよお前ー!」ビシビシ

ぶ闘家「痛い!?」

魔物「暴力はよくないですよ」

主任魔物「くだらん事を口にしたコイツが悪いのだ!」

ぶ闘家「うるさいわねー! 私だって好きでアンタの元で働いてるわけじゃないのよ!」

主任魔物「こいつ……働き口を貰えただけ良いというのに」

主任魔物「お前クビだわ!!」

ぶ闘家「上等だわアホー!!」
786 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/17(土) 03:22:29.55 ID:UqRKd+Pv0
戦士「で」

戦士「また仕事場で揉めて追い出されたわけか」

ぶ闘家「だって!」

戦士「紹介してくれたペロの立場を考えようぜ。アイツの顔にこれ以上泥塗ったら悪いだろー」

ぶ闘家「あんな変態しらないもん」

戦士「お前ねぇ……」

ぶ闘家「それよりどう? 少しは痩せた?」

戦士「まぁ、ゴロゴロしていた時よか少し」

戦士「後は顔のむくみが取れればいいんじゃない?」

ぶ闘家「本当!? いっぱい動いた甲斐があったわ〜」

戦士「やれやれだな…」

戦士「それより俺そろそろ休憩終わるから戻るぞ」

ぶ闘家「はいはい、頑張って〜」

ぶ闘家「……行ったか」

ぶ闘家「さぁ、隠してたお菓子を食べましょう〜♪ 頑張った自分へのご褒美よー」
787 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/17(土) 03:23:20.96 ID:UqRKd+Pv0
ペロ「えっ、マジか」

戦士「そうなんだよー…ぶ闘家は根気が足らなすぎて、どうも長続きしない」

戦士「子どもだから仕方がないとは思いたいんだけどよ」

ペロ「参ったな〜……帰りにあっち寄って頭下げないと」

戦士「止せよ、俺が行く。俺が今のアイツの保護者なんだからな」

戦士「最近仕事も過酷で辛そうだし、お前は無理するなよー」ポン

ペロ「へへ、悪いなぁ」

ペロ「……それより聞いた?」

戦士「は?」

ペロ「科学部の方でよォ〜〜〜、なんでも世界樹を切る為だけに専用の魔物が作られてるみたいなんだわ」

戦士「魔物を? 魔物を魔物が作り出してるってか?」

ペロ「そう。別に初の試みってわけでもないんだが」

ペロ「過去に数体生み出されたって話があるんだぜ」

戦士「人工……ていうか、魔造? あれ、何て言うの?」

ペロ「さぁ?」

ペロ「いやぁ、エルフちゃんたちが心配で心配で。最近食事も喉に通らんの」

戦士「難儀だなぁ」
788 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/17(土) 03:24:01.58 ID:UqRKd+Pv0
戦士「……エルフ?」

ペロ「へ?」

戦士「今、お前エルフって」

ペロ「それが何ー?」

戦士「そうだよ! お前ぇ!」

戦士「上に話はつけてくれたのか!? 世界樹切るって事はやばいってお前も知ってるだろ!」

ペロ「いやいや、努力はしたよ!?」

戦士「したよって問題じゃない!」

戦士「ああ…最近こっちの生活に必死になり過ぎてすっかり頭の中から消えてた…」

戦士「俺たちはのんびりしてる場合じゃねーよ!」

ペロ「たちって俺も含めてですか」

戦士「当たり前だ!」

戦士「とにかくすぐにその魔物の開発を止めてもらおう。事情を話せば」

ペロ「むしろ事情知ってそれを企んでるから作ってるんじゃないの」

戦士「頼めばどうにかなるだろ!」

ペロ「俺は知らねぇぞォ〜〜〜……」
789 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/17(土) 03:25:12.87 ID:UqRKd+Pv0
先輩魔物「お、戦士くん。乙〜」

戦士「乙っス先輩! すみませんけど休憩時間伸ばして下さい」

先輩魔物「は? えっ?」

戦士「失礼します!」

先輩魔物「あ、ちょっとー!?」

戦士「よし行くぞ」

ペロ「先輩優しいけど怖いぞー。きっと後で怒られちゃう」

戦士「それで世界の崩壊を止められるのなら俺はそれで構わん」

ペロ「うはー」

戦士「科学部の奴らのいる部屋は」

ペロ「あ、こっちね。アイツら仕事してる時相手してくれないから無駄だと思うけど…」

戦士「俺ほどのイイ男を放っておいて仕事を続けられるわけがない」フンス

戦士「ほら、さっさと案内しな!」

ペロ「強引な奴だなぁ……」
790 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/17(土) 03:26:11.66 ID:UqRKd+Pv0
開発室


魔物博士「急げ。三魔官様が我々の新しい子をご所望だ」

「「「イーッ!」」」

魔物博士「吾輩の科学力は世界一! 生み出される魔物も世界一の性能を誇る」

魔物博士「さぁ、生まれよ…新たな命…その手の鋏に切断できない物はない…!」

戦士「どうもー!」

ペロ「ど、どうも」

魔物博士「ありとあらゆる鉱物をもサクッと切り伏せるその力! その力こそ我ら魔物へ勝利をもたらす剣であらん事
を!」

「ごにょごにょ……」

魔物博士「何。予定よりも時間がかかる可能性が? 馬鹿者ッ!!」

魔物博士「今日だ! 今日中に仕上げる予定だ! 変更は許されない!」

魔物博士「貴様らは持った仕事に責任を持つ事ができぬのか! 計画は予定通りに進んでこそ意味がある!」

魔物博士「もっと頑張れ!」

「「「イーッ!」」」

ペロ「ほらな。こっちになんて目もくれないだろ〜」

戦士「これだから陰気なインテリは……!」
791 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/17(土) 03:27:12.60 ID:UqRKd+Pv0
戦士「おい、爺さん」

ペロ「止せって…」

魔物博士「そこの貴様、手を休めるなよー!」

「イーッ」

魔物博士「ふっふっふ……いいぞぅ…最高傑作の予感だ…」

戦士「返事ぐらいしたらどうだ」

魔物博士「誕生した暁には吾輩直々に名を授けてやろう。単なる検体名では面白みがない」

魔物博士「そうだな、カニ男がいい……ちょっと格好良くアレンジして、クラブマン!」

魔物博士「ふははははははっ〜〜〜!」

戦士「おーい!」

ペロ「ダメだってば。このお方は他人に全く興味がないんだ」

ペロ「ここは大人しく帰ろうぜ〜……怒ったら殺されかねないぞ」

戦士「人の話はよく聞けって昔から言われてただろう」

戦士「俺が教育し直してやる!」

戦士「おい、ジジイ!」

どんっ

魔物博士「ふははははっはっ……おえっ、げほ! げほ!」

魔物博士「カァ〜〜〜……ぺっ」

戦士「まずはこっち向けや。爺さん」

魔物博士「おい、誰かこのお邪魔虫を部屋から摘まみ出せ」

「イーッ!」

戦士「うおっ、お前! 離せ! このっ」

ペロ(俺しーらね……)
792 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/17(土) 03:29:19.42 ID:UqRKd+Pv0
戦士「離せって言ってるだろ!」

「イッ!?」

戦士「一旦手を休めて俺の話を聞いてくれ。大切な事なんだ」

魔物博士「貴様ぁー……ここ暴れて少しでも機材に傷つけてみろ!」

魔物博士「皮を剥いでジワジワいたぶり殺して……むぅ?」

魔物博士「貴様! 人間だな!」

戦士「だったら何だよ。そんなのは今重要じゃねぇんだ」

戦士「いいか! あの世界樹を切ったら、この世界は」

魔物博士「全員、この男を捕らえにかかれッーーー!!」

戦士「は……」

ペロ「うわぁ、うわあああ〜〜〜!! しーらね、しーらねっ!」

ペロは戦士を置いてさっさと退散してしまった。

戦士「お、おい!」


ボコスカ、ボコスカ!
793 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/17(土) 03:31:13.14 ID:UqRKd+Pv0
戦士「あの薄情者……」

「「「イーッ!!!」」」

戦士は研究員たちに捕まってしまった。

戦士「どういうつもりだ。俺は何も暴力振るいに来たわけじゃないんだぜ…」

魔物博士「人間、♂か。実に面白い」

戦士「はぁ…?」

魔物博士「この人間を眠らせて何処かに保存しておけ。けして殺さぬ様にな」

魔物博士「このクラブマンが誕生しだい、この人間で実験を行う!」

戦士「俺を魔物に変えるつもりかー!?」

魔物博士「ふははははッ〜〜〜! 似て非なるモノよ!」

魔物博士「改造人間だ。貴様を使って吾輩の科学力の更なる可能性を確かめるのだ!」

戦士「何だよそれ!? よせよせ!」ジタバタ

魔物博士「やれ」

「イーッ!」

ぶすりっ

戦士「うあっ……――――――――――」

「実験体、完全に沈黙。強制睡眠、成功です」

魔物博士「よし!」
794 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/17(土) 03:31:51.63 ID:UqRKd+Pv0
ペロ「俺は何も見なかった。見なかったんだ……よし」

ペロ「そうだよ、こんな所で道草食ってる場合じゃねー。仕事に戻らないと」

先輩魔物「おーい」

ペロ「げっ、先輩!」

先輩魔物「お前、さっき戦士くんと一緒だったよね? 戦士くんどこ?」

先輩魔物「何かさっきよくわからない事言っててさ。全く!」

ペロ「ど、どうか怒らないで……」

先輩魔物「怒りはしないよ。彼の事だから何か理由があるんだろう」

先輩魔物「でも心配だなーって」

ペロ「そうっスねー……」

先輩魔物「お前、顔色悪いぞ? 大丈夫?」

ペロ「大丈夫っス、大丈夫ですから……ははは」

先輩魔物「変なのー」

ペロ(戦士よ、俺を恨まないでおくれ)
795 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/17(土) 03:32:53.96 ID:UqRKd+Pv0
ぶ闘家「……」モグモグ

ぶ闘家「遅い。遅すぎるわ……」モグモグ

ぶ闘家「おっさん帰ってこない! もう!」

ぶ闘家「どこほっつき歩いてるのよー!? 私の夜ご飯はー!?」

ぶ闘家「あーもー……ストレスでまた体重増えちゃいそう……」モグモグ

がちゃり

ぶ闘家「帰ってきた!? おっさん、この――――――」

3「えっ」

ぶ闘家「……おっさん?」

3「俺はおっさんじゃない! 失礼なガキだ」

ぶ闘家(鍵はしっかり掛けておいたのに……まさか)

ぶ闘家「アンタ、泥棒ね! いやーっ!」

3「えっ、ちょ…!」

3「違うぞ! 俺はこの家の主に用があって!」

ぶ闘家「あちょ〜!!」

ぶ闘家の攻撃!

3「ぐふっ……」

攻撃を受けた3は床をのたうち回っている。

ぶ闘家「あれ、何だ。攻撃力戻ってきてるじゃない」

3「何だ……このガキはぁ……」
796 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/17(土) 03:35:54.48 ID:UqRKd+Pv0
ここまで

予定していた通り、明日から1週間と少しの間は投下できない。ごめんよ
別にエタったわけじゃないので気長に待っていてくれたら嬉しいな
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/17(土) 06:08:51.59 ID:Yk5fbwVF0

待ってる

戦士wwwwww
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/03/17(土) 08:45:16.16 ID:OwrnHmwBo
戦士……
乙!
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/17(土) 12:15:19.56 ID:bX4x/Zn0o
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/03/17(土) 14:51:55.23 ID:rVi4wANQ0
この流れ…変身戦士の誕生か…
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/17(土) 17:04:03.20 ID:suEw358Eo
変態戦士の誕生!?
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/17(土) 18:31:31.87 ID:FkTk0ikDO
戦士の体が大勢の人に弄ばれると聞いて
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/03/17(土) 20:17:54.77 ID:dvx6jX73o
仮面ごにょごにょ
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/18(日) 00:55:09.27 ID:/DkuDX7c0
敵にアンデッド。戦士は仮面ライダーに…

805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/20(火) 22:50:16.92 ID:TD0FMVZh0
おのれショッカー!
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/03/26(月) 12:30:14.35 ID:WDwJg0Gno
乙乙!
807 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/27(火) 15:33:12.53 ID:KgVxq4gl0
今日か明日辺りに投下できるかも。やっとです
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/27(火) 15:49:14.60 ID:9uWEogrXo
     ...| ̄ ̄ | < 続きはまだかね?
   /:::|  ___|       ∧∧    ∧∧
  /::::_|___|_    ( 。_。).  ( 。_。)
  ||:::::::( ・∀・)     /<▽>  /<▽>
  ||::/ <ヽ∞/>\   |::::::;;;;::/  |::::::;;;;::/
  ||::|   <ヽ/>.- |  |:と),__」   |:と),__」
_..||::|   o  o ...|_ξ|:::::::::|    .|::::::::|
\  \__(久)__/_\::::::|    |:::::::|
.||.i\        、__ノフ \|    |:::::::|
.||ヽ .i\ _ __ ____ __ _.\   |::::::|
.|| ゙ヽ i    ハ i ハ i ハ i ハ |  し'_つ
.||   ゙|i〜^~^〜^~^〜^~^〜
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/27(火) 16:38:44.00 ID:rmbOShpIO
おお、ぼちぼち投下とはwwktk
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/27(火) 20:20:57.62 ID:TWJq+Nsq0
きたー!
811 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:02:30.50 ID:y/yPb6y10
ぶ闘家「床掃除終わった? あー、綺麗になってる」

3「当たり前だ。俺は何事においても妥協はしない、掃除でもな」

3「ていうかなぜ俺が掃除なんてしなけりゃならん!?」

ぶ闘家「泥棒に入ったあんたを掃除1つで見逃そうってのよ? 今さら気にすんな」

3「屈辱……!」

3「俺は泥棒に入ったわけではない! この家に住んでいた者に用があって!」

ぶ闘家「住んでいた? それって魔王の側近だったって人?」

3「そう!」

ぶ闘家「それならここにいるわけないじゃない。住んでいた、でしょ?」

ぶ闘家「普通に考えればいないってわかると思うけど〜」フフーン

3「が、ガキのくせに…俺を馬鹿にしやがって…」

3「違う! その側近の行方が知れないから少しでも手掛かりを得ようとしてここに来た!」

ぶ闘家「なら最初からそう言えばいいのにさ。黙って家に入ったりなんかして」

ぶ闘家「常識ないわね!!」

3「っ!」
812 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:03:14.40 ID:y/yPb6y10
3「……ガキにここまでコケにされたのは初めての体験だ」

ぶ闘家「子ども扱いやめい!」

3「一々足を蹴ってくるな、地味に痛いな!」

ぶ闘家「ふん……。で?」

3「え?」

ぶ闘家「手掛かりを調べに来たんでしょ。どうしてそいつ探してるのかは知らないけど」

ぶ闘家「まさかこの私に無断で家を漁る気じゃないでしょーね」

3「……人間どもは、他人の家にもズカズカと入ってタンスの中を漁ると聞いた」

3「改めて野蛮な劣等生物だと思うが、その強引な点は見上げたものがある」

3「だってそうじゃないか。人の物なんだぞ。まさにお前の物は俺の物を体現して…」

ぶ闘家「熱論してるところ悪いけど、そんな事言っても誤魔化せないわよ」

ぶ闘家「だいたいそういう人間を泥棒って呼ぶの! つまり今のアンタよ、ばーか!」

3「あ、そう……」
813 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:03:54.43 ID:y/yPb6y10
3「頼む、調べさせろ」

ぶ闘家「それじゃあなってないわ」

3「……調べさせてください。お願いします」

ぶ闘家「最初からそう頼めば良かったのよ。勝手にしたら?」

3「くそがぁぁぁ…!」

3はタンスの中を調べた。

ぶ闘家「上から3段目はダメだからね」

ぶ闘家「下着とか入ってる」

3「!」

3(そんな事言って、本当は何か手掛かりをそこに隠しているのではないか)

3「ははははっー! 自ら調べてくれと言わんばかりだなぁ!」ガッ

ぶ闘家「ああっ!?」

3「……ステテコパンツがいっぱいだ」

ぶ闘家「見て嬉しくない物ばかりだったから教えてやったのに。それ、おっさんのよ」

3「おっさんとは」

ぶ闘家「おっさんはおっさんよ? 知らないの?」

3「お前の言うおっさんがどのおっさんか俺は知らん…」

ぶ闘家「あー」
814 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:04:32.01 ID:y/yPb6y10
3「ない、手掛かりになる様な物が全くない」

3「隠しているのではないだろうな!」

ぶ闘家「知らないわよ〜。ないなら早く出て行ってちょうだい」

3「貴様ァ!」

ぶ闘家「……あ、そういえば」

ぶ闘家は日記を取り出し、3へ手渡した。

3「これは?」

ぶ闘家「側近て奴が書いてた日記。ここ読めば何かわかるんじゃない」

3「なぜ最初からこれを出さなかった……」

3(ふん、まぁいい。マメなあの女ならば何処へ行ったか一々これに書き留めている可能性がある)

3「ふむふむ…」

ぶ闘家「側近てのも可哀想よね、勝手に自分の日記を色んな人に見られちゃって」

3「……なるほど。あの町か」
815 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:05:06.98 ID:y/yPb6y10
ぶ闘家「もうわかったの?」

3「ああ、もうこの家に用はない」

3「世話になったな。人間のガキ」

ぶ闘家「その言い方が気に食わん!」

3「だから一々足を…っ」

3(しかし、側近め。魔王を自ら取り戻しに向かって帰ってこないとなると)

3「……最悪の場合が予測できるな」

ぶ闘家「独り言始まったわね。不気味よ」

3「ふん!」

3「それではな。もう貴様とは二度と会う事はないだろう」

ぶ闘家「あ、待ちなさい」

3「あ?」

ぶ闘家「私、まだ夕ご飯食べてないのよね。だから作っていって」

ぶ闘家「カレーが食べたいなぁ」

3「カレーもいいけどおせちも」

ぶ闘家「カレーはよー!」

3「ええい、舐めやがって!」
816 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:05:53.22 ID:y/yPb6y10
魔物博士「さぁ、お見せしよう」

魔物博士「いでよ! 最強の鋏を持つ、最強のキメラ!」

蟹男『カニー!』

魔物博士「クラブマン! どうかね、素晴らしい出来だろう」

4「蟹男カッケェー!!」

2「よくやってくれたわ、博士」

魔物博士「むふふ、ありがたきお言葉…」

1「この魔物ならば世界樹を易々と一刀両断できてしまうのだな?」

魔物博士「左様。こいつに断ち切れぬ物は世界に1つも在りはしないのだ」

1「大きく出たな…」

魔物博士「それだけの自信作という事よ」

2「ふふっ、それじゃあすぐにでもお仕事してもらいましょうか」

4「期待期待!」

蟹男『ご期待に応えられるよう、努力させていただく…』

4「こいつカッケーなぁ」
817 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:07:16.49 ID:y/yPb6y10
魔物博士「ではな、クラブマン。くれぐれも吾輩の顔に泥を塗る真似はしてくれるな」

蟹男『カニ!』

2「あら、もう行くの? 自分が作った作品の働きは見ておく気はない?」

魔物博士「吾輩は、このクラブマンならかならずやり遂げてくれると信じておる」

魔物博士「見る必要はあるまい。それに、次にやるべき事があるからなぁ」

2「やるべき事?」

4「あれ、まだ何も頼んでないけれど…」

魔物博士「くくくっ、魔族の為になる仕事だよ…安心するがいい…」

魔物博士が出て行った。

4「マッドサイエンティスト・魔物博士。何を考えているかさっぱりだ」

1「なぁに、我らには関係ないのだ。奴には奴でやるべき事があるのだろう」

2「私たちもやるべき事があるようにね!」

4「よし、蟹男。お前はすぐに転送装置で向こうへ送る! 私も同行しちゃうから一緒に頑張ろうね」

蟹男『御意…!』
818 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:07:54.88 ID:y/yPb6y10
魔物博士「今戻ったぞ。蟹男は無事、向こうの転送装置で送られた」

「向こう…ああ、別室の。上手くいくといいですね」

魔物博士「上手く行くに決まっているだろう。馬鹿を言うな……」

魔物博士「貴様らァー! 準備は済んでいるな」

「イーッ!」

戦士「……」

手術台の上に眠らされた戦士がいる。

魔物博士「ではすぐに始める。いいか、一発勝負なのだ」

魔物博士「人間と魔物の融合…ベースは人間を…」カチャカチャ

魔物博士「これが成功すれば吾輩の科学力は最高だという事が改めて実証されるのだ」

魔物博士「悪く思うなよ、人間! さぁ、まずはメスを入れてくれる。メスを寄越すのだ!」

「イーッ!」

魔物博士「おおぅ、よく切れそうな……ではいくぞぉ」

戦士「……」

戦士「いつから俺が寝ていると錯覚していた?」

「イッ…」

魔物博士「……何」

戦士「生憎だがお前の好きなように弄らせる気はねぇよ!」

戦士は魔物博士を蹴り飛ばした!

魔物博士「ぐぅぅ、馬鹿な!? 手術前に睡眠麻酔を打っておけと散々言い聞かせただろう! なぜだ!」

「い、イ〜……?」
819 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:09:00.45 ID:y/yPb6y10
魔物博士「担当は誰なのだ!? どいつがミスを犯した!」

戦士「ミスじゃないんだな、これが」チラ

戦士の視線の先には研究員に変装したペロの姿が。

ペロ(このまま改造されただなんて事があれば、俺が後味悪い思いをするだけ)

ペロ(今回限りだぜ〜〜〜……今回だけ……!)

戦士「……既に例の魔物は完成させたようだな」

魔物博士「黙れ貴様ッ! 実験体の分際で吾輩に口を聞くつもりか!」

戦士「なったつもりはないがな!」

戦士「今すぐにあの蟹を止めろ。世界樹を切らせてはダメだ」

戦士「頼むよ、博士さん」

魔物博士「吾輩にとって世界樹がどうなろうと知った事ない! 三度の飯より科学好き!」

戦士「わからん爺さんだ!」

戦士「口で言ってもわからないってのなら…」

戦士(……いや、ここで暴力沙汰を起こせば俺のここでの立場が最悪になっちまう)

魔物博士「生意気な実験体なのだ!」
820 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:09:28.59 ID:y/yPb6y10
魔物博士は戦士の言う事に全く聞き耳持たない様子だ。

戦士「……」

魔物博士「こいつを縛り上げろ。再び大人しくさせてやろう!」

「「「イーッ!」」」

ペロ(万事休すじゃねぇか〜〜〜!?)

戦士「待て、もう少し落ち着けよ!」

魔物博士「ふん、問答無用ッ」

研究員たちが戦士へ飛びかかる!

戦士「くっ……!」

がしっ

戦士「あ、えぇ!?」

ペロ「逃げるぞォー!」
821 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:10:21.51 ID:y/yPb6y10
戦士「お前、逃げるって何処へ!? ていうか正体バレちゃったんじゃ」

ペロ「畜生! 全部お前のせいなんだからなっ」

ペロは戦士を引っ張って、転送装置に乗った!

魔物博士「待て、この! 貴様らァー! 装置の電源を落とすのだ!」

「「「イーッ!」」」

戦士「おい、これって!?」

ペロ「前に使っただろ! 向こうの世界への転送装置だ!」

ペロ「逃げ道もうここしかないから! いざ、エルフちゃんたちの元へ!」

戦士「冗談―――――――――」

2人の姿が部屋から消えた。

「博士ェ…逃しちゃいました…」

魔物博士「馬鹿もんめが! この役立たずめ!」

「すぐに奴らを追いかけますか。今なら間に合うかも」

魔物博士「……いや、もういい」

魔物博士「向こうには既にクラブマンと三魔官様がいるのだ」

魔物博士「奴らの処分は彼らに任せるとしよう」

魔物博士「吾輩をコケにしてくれた罰を受けるがいい! ザマぁみろー!」

「いいんですかねぇ…」
822 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:11:02.41 ID:y/yPb6y10
遺跡


戦士「―――――言ってる場合か!」

戦士「……って、もう遅いのね」

ペロ「あれしかあの場から逃げる手段が思いつかなかったんだよォ〜〜〜…」

戦士「いや、もういい」

ペロ「怒るなよぉ…」

戦士「怒ってない。むしろ好都合さ」

ペロ「へ?」

戦士「例の蟹は世界樹を狙ってこっちに来てるかもなんだろ」

ペロ「確かに別室の装置で無事に転送完了しただなんて話してたけど」

戦士「ならあんな爺さんに話をつけずとも、直接蟹を討てばいい話だ」

ペロ「正気か馬鹿! お前が敵うわけないだろー!」

戦士「やってみなければわからんさ」

ペロ「もう無茶苦茶だよ!」
823 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:11:33.25 ID:y/yPb6y10
戦士「とにかく世界樹へ急ぐぞ。ぐずぐずしていたらまたマンイーターがここへ来る」

戦士「隠し通路は……閉じてるし」

ペロ「素直にあそこまで歩くしかねぇ〜や」

ペロ「にしてもあいつら追っ手こないなぁ」

戦士「諦めてくれたんじゃない?」

ペロ「だと嬉しいけどなー……」

ペロ「はぁ、お前と会ってから本当苦労しまくり。俺ってば」

戦士「若い内は苦労は買ってでもしておけってな!」

ペロ「苦労しすぎるとお肌に良くないって知ってるか!?」

戦士「てめぇみたいなのが肌に気使ってるんじゃねーよ。気色悪い」

ペロ「あー、今傷ついた。俺傷ついた。あー、あ〜……」

戦士「もたもたしてると置いて行くぞ。あまり悠長にしてる暇はない」

ペロ「へいへい……」
824 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:12:12.67 ID:y/yPb6y10
世界樹の下


ペロ「今回はあの変な魔物沸いてかなかったよなぁ」

戦士「沸かれても困る。無事にたどり着けて良かったよ、ほんと」

戦士「それより、エルフは?」

ペロ「ん、待ってろぅ。俺の小さい女の子センサーを今貼り巡らせている…」

戦士「頼りにしてるぜ、変態」

ペロ「くんくん、くんくん……」

ペロ「ダメだ。反応しねぇ!」

戦士(そもそもエルフって見た目はあれだが歳は結構いってるんだよな)

戦士「いないわけがないんだが…。彼女はこの樹から離れる様な事はあまりしなかったし」

戦士「あの妖精は?」

ペロ「いる気配がないな!」

戦士「……世界樹って本当にこれだよな」


どかーん!


戦士・ペロ「!」

ペロ「聞こえた!? なぁ、今の音聞こえました!?」

戦士「静かにしろっ」

戦士「向こうからだな……」

最初の爆発音を引き金に、次々と何かが炸裂する激しい音がし始める。

戦士「まさか蟹男か? 奴は魔法を?」

ペロ「そんな事俺が知るか!」

2人は音が聞こえる場所へ急いだ。
825 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:14:46.73 ID:y/yPb6y10
エルフ「ここから先は行かせはしない。貴方達は、ダメ。許可しない」

4「酷いじゃないかぁ。可愛い可愛いエルフちゃん!」

エルフと4の魔法が激しくぶつかり合う!

妖精「エルフ〜〜〜! こいつらは絶対に世界樹へ近づけさせないで!」

エルフ「うん」

4「余裕ぶっこいちゃった顔しちゃってさー!」

蟹男『ふむ、迂闊に突破できん』

4「無理に通り抜ける必要なんてない。まずはお邪魔虫から排除しちゃうのが一番よ」

エルフ「お邪魔虫。それは私の事を?」

4「あったりまえでしょー!」

エルフ「虫じゃなくて、エルフ」

4「知ってるよー!?」

4「〜〜〜〜〜〜……!」

エルフ「〜〜〜〜〜〜……」

4が放つ魔法の雷撃を、すかさずエルフが雷撃で撃ち止める!

4「ははぁ、こいつが相手なら下の魔物程度ではどうにもならんわけだ…」

蟹男『援護に回ろう。カニカニ』

4「そんな君には補助魔法をプレゼントかなー!」

蟹男は4の魔法によって、最大限強化されてしまった!

妖精「エルフっ! 死なない様に気をつけて!」

エルフ「努力してみようと思う」
826 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:17:10.38 ID:y/yPb6y10
蟹男『秘技、まじん斬り』

両手に備えた鋭い鋏を開き、叩きつけるようにエルフへそれは振りかざされる!

エルフ「!」

それをエルフは自ら蟹男の懐へ飛びこむ事で回避。蟹男へタックル攻撃が決まった!

エルフ「らしくない事しちゃったかもしれない」

4「ちっこくて、女で、エルフのくせに! そんな動きはないだろうが!」

蟹男の攻撃を上手く避けられた所、4が手にした杖を持ってエルフを薙ぐ。

妖精「避けて!」

エルフ「あっ……」

4「魔法だけかと思った? 残念! 物理もいけるんです!」

蟹男『ネイルスクラッチを受けてみよ!』

両手鋏を頭の位置へ構え、エルフ目掛けて突きを連打!

エルフ「がぁ……!」

蟹男『造作もない。カニ!』

攻撃を受け続けた傷ついたエルフ。ふらつきながらも再び立ち上がり

エルフ「まだいけます」

詠唱を唱える事なく、回復魔法を発動させて傷を癒す。

4「しつこい女は嫌いなんですけどねぇ……」
827 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:19:50.92 ID:y/yPb6y10
妖精「エルフ、エルフ! 負けちゃダメ! あなたが負けたら世界樹は!」

エルフ「うん。わかっているよ」

エルフ「あなたは下っていて。世界樹の元にいてあげて」

4「友達思いだな、おーい!」

再び杖と鋏がエルフを仕留めようと襲い掛かる!

蟹男『感謝するぞ。生まれて初めて出会えた敵がお前である事を。そして、私は実に幸運な生まれであった事を』

エルフ「っ……」

激化してゆく蟹男の勢い。目にも止まらぬ速さで、その細くて白い首を捉えようと鋭い一撃を放ってくる。

4「この蟹男は今日誕生したばかりなんだよ。せめて命でも捧げてお祝いしてやってー」

エルフ「お断り」

休みなく攻撃をくわえてくる2人から徐々に距離を離しつつ、詠唱破棄した魔法をエルフは撃つ!

イカヅチが落ち、爆炎が辺りに蔓延。続けざまに吹き荒れる竜巻。
どの魔法も4と蟹男を簡単に近づけさせる程甘いものではない!

蟹男『ははぁ、厄介だと思われ』

4「……詠唱無しであんなとんでもな魔法は卑怯くせぇ!」

エルフ「全力全快だから仕方がありません」

蟹男『卑怯には卑怯。常套手段といこうか!!』
828 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:21:16.50 ID:y/yPb6y10
蟹男の左鋏が大きく開かれると、そこから一本の太く鋭い針が射出される。

エルフが起こす魔法を掻い潜りつつ、直線を描きながらそれは向かう!

蟹男『俺の技はかなりヘヴィに響く、ぜ……』

エルフ「横に反れればこれぐらい」

蟹男『甘いッ!』

エルフは、こちらに真っ直ぐ飛んでくる針を横に移動することで回避しようとした。だが、回避直前で針が炸裂!

針の中から、弾ける様に飛び出してきた無数の細かな針。付近に一瞬でバッと飛び散ると

エルフ「ぐぅ……っ……!?」

飛びだした針の数千本がエルフの体へ突き刺さる!

4「一本と見せかけていっぱい! まさに卑怯! ……かな?」

蟹男『卑怯もらっきょうも大好物だァー!!』

エルフ「あ、ぐ」

エルフ(少しまずいかもしれない。体の自由が……)

蟹男『その針は少々特別性でな。神経毒を仕組んでいる』

蟹男『既に立つ事もままなるまい。ふん、膝をつけよ! 愚かなエルフの娘よ』

エルフ(ダメ。ここで崩れては、負けてしまう)

エルフ(この先に、行かれてしまう。それだけは阻止しなきゃ)

4「跪けェ!」

4は立っていることすらやっとな状態のエルフを杖で殴り飛ばした。

エルフ「ぐうっ!」
829 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:22:18.65 ID:y/yPb6y10
エルフ「あ……あ、あ……!」

4「散々手間かけさせてよ。いい加減諦めてくれよ」

4「私たちはちょっと世界樹にちょっかい出したいだけなんだよ〜」

エルフ「それだけは、困るの」

蟹男『まだ口を利けるか。執念だな、娘よ』

4「ただのでっかい樹ですよ〜? アレを守り抜いて君に何かメリットは?」

エルフ「何もない。でも、守るって約束は守らなきゃいけない」

エルフ「それだけが、私の存在理由なの」

蟹男『哀れ! 実に哀れな! はぁ、涙がちょちょ切れるわ!』

4「ふん、馬鹿なエルフだなぁ……」

エルフ「あ、う……」

4「楽にしてくれるよ。お馬鹿さーん!」
830 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/29(木) 02:23:11.99 ID:y/yPb6y10
ここまで。どうも久しぶり
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/03/29(木) 02:38:37.94 ID:p2/s9enSo
乙ん
地味に待ってたよ〜ww
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/29(木) 03:29:00.95 ID:lk/hfa+DO
ふぅ……

♀なんていれられたら戦士が大変な事になるとこだったな
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/29(木) 08:31:29.47 ID:ZpeOxfUio
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/29(木) 08:37:45.03 ID:7rQYneiE0
やだ、カニがかっこいい///
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]:2012/03/29(木) 13:16:41.50 ID:rmvi5B/6o
戦士には改造途中で逃げ出して欲しい気もした
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/29(木) 13:56:16.45 ID:Zb0+vfxJ0
4「跪けェ!」
のせいで4がバラライカにしか思えなくなってしまった
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/03/30(金) 08:42:44.02 ID:H1LT+XdK0
このあたりで、どこからかトランペットの音が・・・
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/30(金) 13:41:18.06 ID:mUBmIhfk0
戦士がこの蟹に勝てる気がしない
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/31(土) 00:05:26.70 ID:bJUwKOyZ0
>>838
戦士は大王イカを1人で倒したっていう戦績があるんだぞ。大丈夫だろ
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/03/31(土) 00:15:48.50 ID:x7s76Hxjo
iイカは倒せてもカニはイカニして倒すのであろうか

・・・すみません。
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage ]:2012/03/31(土) 03:12:48.16 ID:kjX1/q1Ko
>>840
おい空気が凍ったじゃなイカ
どうしてくれるのカニ?
842 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/31(土) 03:13:59.98 ID:lPBcE+CJ0
戦士「どりゃー!!」

止めの一撃を与えようとする4に向かって、戦士が飛びかかった!

4「あだっ!?」

戦士「その子を連れて逃げろ」

ペロ「え、俺に言ってるの!?」

戦士「早く!!」

エルフ「うっ……」

ペロ「わかったよ…見捨てるわけにもいかないしよぉ…」ぐいっ

ペロ「エルフちゃん、逃げよう。アイツの死を無駄にしない為にも」

戦士「まだ死んでないし死ぬ気もねぇ!」

4「お前たちは……そうか、お前が内通者か」

覆いかぶさった戦士を4は蹴り飛ばした。

4「蟹男ッー! その魔物を殺してしまえー!」

蟹男『御意…』

ペロ「また俺かーっ!?」

4(予測外の出来事だが、これで裏切り者を見つける事ができたわけだよ)
843 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/31(土) 03:15:06.69 ID:lPBcE+CJ0
戦士の攻撃!

4「おおっと〜!」

攻撃はガシッと受け止められてしまった。

4「せっかく親切で私たちの仲間にしてやったのに、仇で返すつもりかい!?」

戦士「余計な親切は大きなお世話なんだよ! 悪いが倒させてもらうぜ」

戦士(この化物が噂の三魔官の1人か……)

4「人間め。残り少ない命をこんな所で無駄にしようだなんて」

戦士「無駄になんかならんさ! 俺が決めた事なんだからな」

戦士「だいたいまだ死ぬ気はないって言っただろうがよッ」

剣と杖が激しくぶつかり合う! しかし、戦士は防戦一方だ!

ペロ「三魔官様相手にただの人間が敵いっこねーよ……」

エルフ「伏せて」

蟹男『せいやー!』

蟹男の鋏が2人に襲いかかる!

ペロ「うわああああぁぁぁ〜〜〜!?」
844 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/31(土) 03:16:40.90 ID:lPBcE+CJ0
蟹男『ちょこまかと小賢しい奴め。逃げるならば潔く戦って死ね!』

ペロ「じょ、冗談じゃない……」

エルフ「私の事は放っておいてくれていいです。だから早く逃げて」

ペロ「…この状況じゃ逃げても見逃してくれそうにないみたいだけどよォ」

蟹男『わかっているではないか。このヌケサク』

シャキン、シャキンと鋭い音を立てつつ距離をじわじわ詰めてくる蟹男。

ペロとの力の差は一目瞭然!

エルフ「〜〜〜〜〜〜……!」

蟹男『むむっ……』

エルフが呪文を唱えると蟹男の足元から触手が伸び出し、その場に固定してしまった。

エルフ「時間稼ぎ程度にはなると思う。逃げて」

ペロ「そうするとしよう!」

ペロは脇にエルフを抱えて走り始めた!

エルフ「どうして」

ペロ「アイツに頼まれてるんだよ、君を! それに小さい女の子を放って逃げられるわけないっしょ」

エルフ「貴方は変な人だね」

蟹男『待てコラー!!』
845 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/31(土) 03:17:50.51 ID:lPBcE+CJ0
戦士「うわっ!?」

4の猛攻に耐えきれず、防御を崩された戦士は攻撃を受けてしまった!

戦士(まともに物理合戦し合って勝てるような相手ではない……)

4「三下め。格が違うのよ、格が」

戦士「そうやって調子に乗ってると足元掬われるのがオチだぜ」

鞘を手に取り、剣との2刀流で4へ攻撃!

戦士「こうやって足元を――――」

4「カアアァァァッ〜〜〜!!!」

4が雄叫びを上げると戦士の目の前の次元が裂け、裂け目から次々とグロテスクな生き物たちが這い出てくる。

戦士「ま、魔物! 召喚魔法なのか!?」

4「私の可愛いペットたちだよ。最近戯れが少なかったようでな、少々気が立っている」

4「いっぱい遊んであげてね」

『ウヴォオ〜ォオオオォオオオオオ〜……』

戦士「こりゃ生理的にキツイ……」
846 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/31(土) 03:19:32.89 ID:lPBcE+CJ0
4が召喚したペットたちは涎を垂らしながら、それぞれ違う動きで戦士を追いつめてゆく!

戦士(まずい。下手打てば喰い殺されかねんぞ!?)

戦士「随分趣味がよろしいな、おいー!」

4「お褒めの言葉ありがとう。素直に嬉しいです」

戦士「誉めてねぇよ」

4「ほら無駄口叩いてる場合じゃないでしょう。よそ見してるとパクッとやられるぜ」

戦士「冗談じゃない……!」

木々の間を抜けたりと、ペットたちには通れそうにない道を戦士は走る!

戦士(一旦こいつらを撒いてからあの男を倒すか、それともペロたちと合流するべきか)

戦士(どっちみちこのままじゃ埒があかない!)

4「ははぁ、逃げる気だな? わかるぞ」

4「〜〜〜〜〜〜……!」

戦士「うおっ!?」ごつんっ

世界樹の方へ向かおうとする戦士の前に、突如魔法で作られた透明な壁が形成された。

戦士「い、痛ぇな……!」

4「私は一度殺すと決めた奴を逃がすほど人が良くないんでね。行かせないよ〜」
847 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/31(土) 03:20:52.97 ID:lPBcE+CJ0
ペロ「あいつは何とかなってるかなー…三魔官様が相手じゃあいつすぐにただの肉塊に」

エルフ「あの人の事よりも、自分の心配をした方がいいと思います」

蟹男『……』ずんずんずん

ペロ「やだー!」

エルフ「私が魔法を唱えて敵を牽制させておくから、そのまま逃げて」

ペロ「言われんでも逃げますよぅ!」

エルフは詠唱無しで撃てる呪文を撃てるだけ放ち、蟹男との距離を伸ばした。

蟹男『鬱陶しい魔法だ! この程度で俺を倒せるとでも!?』

回避しつつも破壊可能な魔法は全て叩き落とし、歩みを進める蟹男。

しかし、その手の唯一の武器である鋏は着々とボロボロになってきている!

蟹男『酷使するのも問題か。だが全力を持って相手をせねば失礼』

蟹男『我が鋏、朽ち果てる前に貴様らを切断してくれようか!』

ペロ「おいおい! 全く牽制になってないじゃないのさ!」

エルフ「ごめんなさい。少し疲れてて」

蟹男『では早めに眠りにつく事をお勧めしようか、エルフよ』

ペロ・エルフ「!」
848 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/31(土) 03:21:36.63 ID:lPBcE+CJ0
蟹男の鋏から射出された針がペロの足へ突き刺さる!

激痛のあまり、エルフを放りだしてその場に蹲ってしまった!

ペロ「っぐ〜〜〜……!!」

エルフ「待っていて。すぐに回復を」

蟹男『今死にゆく者にその様なものは必要あるまい』シャキーン

ペロ「ひぃっ」

蹲るペロの喉元に鋏が突き立てられようとしている!

エルフ「〜〜〜〜〜〜……」

蟹男『無駄だと言った筈よォ!』

エルフ「させません」

エルフが蟹男へ手を向けると、蟹男は足元からみるみると氷漬けになってゆく!

蟹男『馬鹿な! これは、何をした!?』

エルフ「凍ってしまって」

蟹男『止せ! やめぇ――――――』

蟹男『』カチコチ

ペロ「……や、やったのか?」

エルフ「ううん。まだ倒してはいない」

エルフ「今の内に砕いちゃって」

ペロ「……う、う、うお〜〜〜!!」

ペロの攻撃!

蟹男はバラバラにくだけちってしまった!
849 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/31(土) 03:22:19.74 ID:lPBcE+CJ0
ペロ「倒した! 俺がこいつを倒したぞー!」

エルフ「おめでとう」ぱちぱち

ペロ「ほ、本当に倒せちゃった?」

エルフ「今のところは。でも、どうなるかはわからない」

エルフ「この魔物は他の魔物とは違いすぎるから」

ペロ「さすがはキメラ……」

ペロ「そんな事よりさっさと世界樹の元へ行こうか。三魔官様の相手はあいつが勤めてるんだしよぉ」

エルフ「とんでもない。これから彼を助けに戻ります」

ペロ「冗談でしょー!?」

エルフ「そんな事、私は言わないよ。あの人には借りが1つ残ってるから」

エルフ「助けてあげる理由があるんだよ」

エルフは回復呪文を自分とペロにかけると、すぐに戦士の元へ歩いて行った。

ペロ「うそー……」
850 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/31(土) 03:23:35.03 ID:lPBcE+CJ0
『ウヴォオオオォオオオオオォオオオオォオオォオオオオ〜〜〜……』

戦士「このっ」

攻撃が効かない! ペットたちの硬い体は剣を弾いてしまう!

戦士「ウソだろ!?」

4「ところがどっこい! ウソではありません!」

4「お腹減ってるみたいだからね、お前の体を食わせてあげて」

『ヴォオオオオウウウウウウゥゥウウウウウウウウウウウウッッッ!!!』


がぶりっ!


戦士「っぐあああああああああぁぁぁぁぁっっっーーーーーー!!?」

戦士の左腕がペットの一匹に食い千切られてしまった!

千切られた左肩から大量の血が一気に噴き出す!

『もぐもぐ……』

4「お〜……よちよち〜。美味しいでちゅかぁ? あ、美味しい? 良かったでちゅねー」

4「おい、腕一本じゃ足らんそうだ。そんなもん全部くれてやれよ、人間」

戦士「ふざけんなよっ……!」

4「どっちみち腕一本じゃ戦えないでしょう。諦めなさいって」

戦士「俺を、舐めるなッ!!」

落ちた剣を拾い上げ、4へ突撃する!
851 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/31(土) 03:24:53.23 ID:lPBcE+CJ0
戦士「うおおおぉぉぉーーー!!」

4「ふふん、横と背後に注意だぜ」

戦士「何!?」

2匹のペットがそれぞれ別方向から戦士目掛けて突進してきた!

戦士「ぐうぅっ……」

左斜め後ろへ転がり、突進を回避すると

『ギャアアアアァーーーー!』

上空から翼が生えた化物が戦士を喰い殺そうと一気に滑空してきている!

戦士「ふんッ」

手に持つ剣を向かってきたペット目掛けて思い切り投げつける!

うまく顔面にぶつかり、狙いが反れた!

戦士「……はぁ、はぁ」

4「随分お疲れの様だなぁ。そろそろ諦めていい頃合いじゃないですかね」

戦士「俺はそんな根性なしじゃねーよ…やるだけやってやるさ…」

4「ほうほう。あれでもかい?」

戦士「え?」

4が指さす方、そこには大量のマンイーターたちがこちらに向かってきている姿があった。

戦士「……」

4「言葉も出てこない感じですねぇ」

戦士「……いやいや、燃えてきたよ。畜生!」

マンイーターs『グオオオオオオオオオオォォォォォォ』
852 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/03/31(土) 03:27:37.26 ID:lPBcE+CJ0
ここまで。パルテナ楽しいなぁ
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/31(土) 07:43:53.51 ID:gscuvVzNo
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]:2012/03/31(土) 08:11:04.82 ID:ompOqcEko
エルフつえー
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/03/31(土) 09:05:31.31 ID:Nzr6PLBh0
冷凍蟹じゃあああぁぁぁぁぁ
皆の者、鍋を持てえええェェェェェ!!
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/31(土) 09:20:43.82 ID:bJUwKOyZ0
戦士が・・・乙カニ
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/31(土) 15:34:22.12 ID:r+DlNgaNo
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 08:08:18.58 ID:9fdMWgoIO
乙かに!
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 11:37:22.36 ID:Dl3vRwMp0
4はそろそろくたばりそうな感じだな
3さんにとどめ刺してもらいたかったところだけどwww
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/04/02(月) 12:52:14.27 ID:qn+nXR/ho
乙乙カニ!
861 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 02:50:17.14 ID:1vNq5aY40
押し寄せるマンイーターの群れ! 怒涛の勢いで突撃してくる!

4「これはもうダメかもね」

戦士「くっ……」

マンイーターs『グオオオオオオオオオォォォ!』

しかし、一向にこちらへ近づいていない。

4「あれ、何かこっち来れてなくね?」

戦士「……お前が張った壁だ。アレのせいじゃねーの」

4「あっ」

戦士「馬鹿だろお前」

4「違うもん! そんなんじゃないからね!」

4「あんな壁すぐに消せちゃうし!」

魔法の壁が消された。

戦士「今がチャンスー!」

これみよがしに戦士は逃げ出した!

4「あ〜〜〜っ!?」

ペット『キュウウウン……』

4「ほら何ボサっとしてるわけ!? 早くあの人間を追いなさい!」

4「アイツ……私の事を舐めやがって……」
862 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 02:50:57.49 ID:1vNq5aY40
戦士(想定外の出来事だったが、これで一旦奴らから離れられる)

戦士(これで少しは考える時間ができたわけだ。そして)

左肩からの出血が収まらない。安堵の息を突いた事で再び激痛が戻ってきた。

戦士「ま、まいったなぁっ…!」ぶしゅううぅ

戦士「僧侶ちゃんがいたら回復してもらえたところだが」

戦士(痛いって口にするたび痛みが激しくなっていきそうだ……)

エルフ「止まって」

戦士「え!?」

突然現れたエルフに右手を引かれ、木の裏に移動させられた。

戦士「おい、あれほど逃げろと言っただろうが!」

エルフ「貴方を置いてそんな事をするほど、私は酷くはないです」

戦士「良い子だってのはわかってるよ……ペロはどうした?」

ペロ「ここだよ、ここ。お前の上」

戦士「何でそんなとこ昇ってんの」

ペロ「三魔官様見張る為だろ〜……感謝しろよお前!」

戦士「……そうだ、蟹男は!?」

エルフ「倒した」

ペロ「俺がなぁ!!」

戦士「すげぇ」

ペロ「でしょー! えっへん!」
863 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 02:51:58.11 ID:1vNq5aY40
ペロ「それよりその腕どうしたんだよ。グロい」

戦士「言い方がもっとあるだろ……痛つつ……」

エルフ「すぐに回復する」

戦士「な、治せるのか? 捥げてないのよ?」

エルフ「余裕」

エルフ「でも回復とは言わないかもしれない」

戦士「は?」

エルフ「あなたの体の時間を少し前の状態に巻き戻してしまうの」

エルフ「腕が無くなる前の状態に。〜〜〜〜〜〜……」

戦士「よくわからんが任せた……?」

エルフが呪文を唱え終えると、戦士の左腕があった部分が輝き出す。

ペロ「おーい! 三魔官様来てるっー! 早く早く!」

戦士「急かすな馬鹿野郎っ」

エルフ「もう少し、もう少しだから」

輝きが収まると食い千切られる前と同じ、元の状態へ戻っていた。

エルフ「これで大丈夫でしょう。よかったね」

戦士「よかったよー!」

ペロ「ダメだ、もう限界だぜ!? 妙な奴らまで向かってきているゥゥゥーーーッッッ!!」

4のペットたちが群れを成して向かってきた!
864 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 02:52:47.78 ID:1vNq5aY40
戦士「安心しろ。奴らは俺が取っちめてやる」

ペロ「でもお前しっかりやられてただろーが!」

戦士「リベンジマッチだ!」

エルフ「武器もないのに? 無謀だと思う」

戦士「あ、投げ捨てたから……。大丈夫だ、負けてもめげない鋼の精神さえあれば」

エルフ「ダメ。命を投げ出すような事、してはいけないよ」

戦士「!」

エルフ「どうしたの?」

戦士「いや、家族を思いだして。君の言葉でさ」

戦士「だがもう逃げられる余裕はないぜ。応戦するしかねーよ」

ペロ「馬鹿ー! 勝てるわけないだろうが!」

戦士「……君はどう思う」

エルフ「勝てなくはない。私が頑張れたら」

戦士「だとよ」

ペロ「冗談じゃねぇよぅ……」
865 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 02:54:50.93 ID:1vNq5aY40
ペット『ウヴォオオォォオオオオオオオオォオオオオオ』

戦士「怯むな。よく見ろよ、アレも結構可愛いもんだぜ」

ペロ「魔物の俺から見てもねーよ。感性ズレまくりだって…」

エルフ「本当に大丈夫なの?」

戦士「ああ、ただし上手くいってくれたらの話だが!」

戦士は兜を外し、手に持ってペットたちへ向かっていった!

戦士「お前も後に続けーーー!!」

ペロ「嫌だぁーーー!」

エルフ「お願いです。できるだけ詠唱の時間を稼いで」

ペロ「可愛い子の頼みとなっちゃ仕方がないな」

ペロは長い舌を器用に扱い、木から木へと飛び移って戦士の後を追っていった!

エルフ「〜〜〜〜〜〜……」

戦士(武器がこんなじゃ心許ないが、ないよりはマシだ)

ペットの一体に攻撃!

ペット『ヴォ?』

戦士「……一回で壊れないだけまだいいか」

戦士「うおおおぉぉぉ〜〜〜!! 俺はこっちだぁ〜〜〜!!」

4「馬鹿ですねぇ…いやぁ、実に馬鹿ね」

4「わざわざ自分から死にに来るなんてなァ!」

戦士「死ぬのはどっちかな!? ゲテモノ野郎!」
866 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 02:56:42.31 ID:1vNq5aY40
ペットたちの猛攻は戦士を苦しめる!

戦士「あっちにも美味そうな奴がいるぞ! どうだ、あっちにも襲いかかったら!」

ペロ「俺の事か!?」

しかし、ペットたちはペロには一切興味がなさそうだ。

4「一応同族は食べない様に教育してるからな。偉いでしょ」

戦士「だったらこんな真似させないで芸でも仕込んでやった方が良かったな!」

4「そんな事できてもこいつら可愛くないだろうが。馬鹿言わないでよ」

戦士「わけわかんねぇ……」

ペット『ウヴォオオォオオオオオオオオォオオオオオオオオオオ』

4「よしよしよ〜し! いい子ちゃんたちでちゅねぇ〜〜〜……だいしゅきよぉ」

戦士「ま、益々わけわかんねぇ…」

戦士(エルフの詠唱はそろそろ済んだ頃合いか。だが、まだ発動は早い)

戦士(ペロの方は)チラッ

ペロ「」ブンブン

戦士(合図が下りてない。まだなのか…さすがに長い時間は持たん…)
867 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 02:58:16.71 ID:1vNq5aY40
4「ふぁああ〜〜〜……退屈。ワンサイドゲームばっかりで見ててつまらんね」

戦士「完全に高みの見物だなっ…! ふん!」ごんっ

ペット『ヴォヴォヴォ?』

4「しっかりした武器もないし、勝てるわけないじゃん。馬鹿だよね、バーカ!」

戦士「お前、さっき俺に馬鹿って言われた事をよっぽど根に持ってるみたいだな」

戦士「そういうところが馬鹿なんだよ、バーカ!」

4「こんの野郎ォ!!」

4は戦士に煽られて、攻撃を仕掛けてきた!

ペロ「うわぁ、あいつ何やってんだよ!?」

4「下等生物の人間如きが! 私を随分コケにしてくれちゃて!」

4の攻撃! 4の攻撃! 4の攻撃!

戦士「ぐぅぅ……っ!?」

戦士「人間を舐めるなよ!」

戦士の攻撃!

しかし、ダメージは小さい!

4「全っ然痛くないですけど? それが全力全快? レベル低すぎなんじゃないの?」

4「もしかしなくても口だけなのかなぁ!?」

戦士「言ってろ!」

戦士の攻撃!

4「いい加減飽き飽きしてきたんだよー!」

4のカウンター攻撃が発動!

戦士の攻撃に合わせて4の体から自動的に触手が伸び、戦士を払い除ける!

戦士「あがっ!?」
868 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 02:59:14.56 ID:1vNq5aY40
4「実は体の中にも飼ってるんだ。ペット」

戦士「うっ、ぐ……あ……!」

4「だから私がいっぱいご飯食べてあげてね、この子たちの栄養を与える羽目になってんの」

4「元々食事って好きじゃないんだが、こんな事続けてると嫌でも食べ続けなきゃでしょ」

4「好きになったんだよ、食べる事が」

言い終えると4は戦士を掴み、口を大きく開けた。

戦士「!」

4「人間の味はまだ知らないんだ。お前が第一号だよ!」

戦士「くそがっ…!」

戦士は何度も4を蹴るがやはり普通の攻撃では大したダメージが与えられていないようだ。

ペロ「おいぃーーー!!!」

戦士「こっちに来るな! お前はそのままそこにいるんだ!」

ペロ「だけどよぉ……ッ」

4「おおぅ、感動的だね。無意味な事だが」

4「大人しく餌になれ!」ぐわっ

戦士「ダメかっ……!」

ペロ「い、今だァァァーーーーーー!!!」
869 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 03:00:05.48 ID:1vNq5aY40
4「あん?」

振り向けば大量のマンイーターたちがそこにいた。

エルフ「えい」

エルフは混乱の魔法を唱えた!

混乱魔法がマンイーターたちにかかる!

4「……何をした?」

戦士「ゲテモノにはゲテモノって事さ」

マンイーターs『グォオオオオオオオオオオオオオオオ』

マンイーターたちは次々と4のペットたちに襲いかかり始めた!

ペットs『キャンキャン!?』

4「馬鹿な! 人間を最優先に襲うんじゃなかったの!?」

ペロ「へへっ、混乱してりゃー誰が誰だかわかりゃしないでしょ」

戦士「そういうこったな!」

マンイーターが4目掛けて飛びかかる!

4「ふぐっ……!」

飛びかかられた4は戦士を放り投げ、防御行動へ移った。

次々とマンイーターの群れが4たちへ群がる!

マンイーター『ガブリッ』

ペット『キャウウウンー!』
870 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 03:00:57.35 ID:1vNq5aY40
戦士「完全に油断していたようだな、三魔官」

戦士「その数相手じゃ大変だろうよ。可哀想に」

4「貴様ァー!!」

4「私の…私の可愛いペットちゃんたちが…! 次々と!」

4「うがあああああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!」

戦士・ペロ「!」

4が咆哮を上げると一気にマンイーター達が吹き飛び、砕け散ってしまった。

びちゃびちゃびちゃ・・・

4「……許さない」


4「許さなぁーーーい!!!」ビリビリビリ


ペロ「う、うあ……」

戦士「ようやく本性を現しやがったな」

4「1人残らず血祭りに上げてやる。滅ぼしてくれるぞ! 塵どもめが!」

4の攻撃!

腹を突き破り、大量の触手が飛び出すと戦士とペロを貫く!

戦士・ペロ「!?」

4「楽に死ねると思うなよ!」

触手を戻し、2人を引き寄せると持っていた杖で戦士に

4「だああぁっっっ!!!」

痛恨の一撃!

戦士「がぼぉっ……」
871 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 03:02:14.58 ID:1vNq5aY40
戦士はひん死の状態だ!

ペロ「う、うわああああぁぁぁ!? お、俺は、俺は何もしてないんです! 本当に―――」

4「今さら許しを請うな、裏切り者がッ」

痛恨の一撃!

ペロ「っ〜〜〜〜〜〜!?」

さらに攻撃を続ける!

4「まだだ…まだあの子たちが受けた痛みはこの程度じゃないぞォ!!」ばきぃっ

ペロ「ひぃ…ひぃ…!」

4「どうだ! どうだ! 痛いか! ふははははははっ!」

4「死ねィ―――――――」


シャキーン


4「……あ、ら?」

ペロ「へ……?」

鋭利な刃物で綺麗に切り取られてしまったように、4の首は体と分離し。


ぶしゅうううぅぅぅ〜……


地面にポロっと落ちた。

4「…………」

残された体は、まだ体内のペットが残っているからかよろよろと首を求めて辺りを彷徨い始める。

ペロ「な、何が?」

蟹男『カニカニカニ…』

ペロ「!」
872 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 03:03:07.58 ID:1vNq5aY40
ペロ「こいつ! 何でまだ生きてるんだよぉ!?」

エルフ「よかった、間に合って」

ペロ「はぁ!?」

エルフ「その子は私が復活させた。勿論、その後少し弄らせてもらいましたけれど」

蟹男『イエス! ユアハイネス!』

エルフ「複雑な構造していたから、時間かかっちゃって。ごめんなさい」

ペロ「…ウソだろー。三魔官様の首落としちゃったよ……」

ペロ「そ、それより回復だ! こいつがヤバイ!」

エルフ「既に回復は終えています」

ペロ「へぇ……?」

戦士「奴は倒す事ができたのか」

エルフ「お陰さまで。貴方達がいなければ分からなかった」

戦士「沢山感謝しといてくれよ…ペロ、よくやったな」

ペロ「俺は何にも!」

戦士「いや、しっかりやってくれたさ。もっと自信持っとけよ」ドン

ペロ「なんか複雑〜……」
873 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 03:03:41.14 ID:1vNq5aY40
世界樹の下


妖精「エルフ〜! アイツら何とかできたんだね〜!」

蟹男『……』ズン

妖精「きゃああ〜!?」

エルフ「安心して。もうその子は無害だから」

妖精「ほ、本当に……?」

ペロ「まぁ、ビビるわな」

戦士「エルフ。俺は君を助けようとしたのに返って助けられるような事になってしまって」

エルフ「ううん、とても助かりました。お礼なんていらない」

戦士「そっか…」

戦士「だがペロには謝らないといけないかねぇ」

ペロ「え、どうして?」

戦士「だって三魔官倒しちゃったんだぞ。お前はこれから本格的に魔族の裏切り者って事になるぜ」

戦士「俺が巻き込んだ事だしよ、しっかり謝らないと」

ペロ「……」

戦士「まさか何にも考えてなかった?」

ペロ「うるせぇ! もうどうにでもなっちゃえよ!」
874 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 03:04:49.69 ID:1vNq5aY40
妖精「貴方たちのお陰で世界樹は危機を逃れる事ができました。ありがとう!」

ペロ「お礼にペロペロしてもいいかな……」

戦士「揺るがないなぁ、お前」

ペロ「いいだろ…冥土の土産に…」

戦士「勝手に死ぬような予定立ててんなって」

ペロ「死ぬだろ! 魔族裏切って生きていられるはずがない!」

エルフ「何だかごめんなさい。私たちのせいで」

ペロ「滅相も御座いません」

ペロ「こうなったら乗りかかった船じゃねーか。守ってやるぜ! エルフちゃんたちをな」

妖精「世界樹を守ってほしいかな〜」

ペロ「いいですとも」

戦士「って事は、お前はこっちの世界に残るのか?」

ペロ「そうしたいところだけど、それだと魔王城に戻った時お前が大変でしょう」

ペロ「付き合ってやるぜ、相棒〜」

戦士「やだぁ、なんか気持ち悪い…」
875 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 03:05:24.51 ID:1vNq5aY40
遺跡


妖精「今回はゆっくりしていかないんですかぁ」

ペロ「本当はもう戻りたくないけどよォ、またあっち放っておくとエルフちゃんたちが大変な事になりそうだから〜」

エルフ「どうにかしてくれるの?」

戦士「今度こそな。三魔官の1人を倒したんだ、もう怖いもんなんかねぇよ」

蟹男『倒したのは俺だ』

戦士「うっ……」

エルフ「あ、この子にはこっちに残っててもらう」

エルフ「私から離れたら洗脳魔法の効果が消えてしまうから」

ペロ「羨ましい蟹だなぁ…」

蟹男『主に対してふしだらな感情を抱く。許せん!』シャキン

ペロ「うおぉ!?」

エルフ「大丈夫。私が命令さえしなければ攻撃しないよ」

蟹男『』ジリジリ…

ペロ「本当かよぅ…」
876 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 03:06:10.55 ID:1vNq5aY40
2人は転送装置の上に乗った。

ペロ「それじゃーねー! 今度会った時こそいっぱいペロペロさせてくれ〜」

戦士「お前本当にそればっかりな」

戦士「じゃあな。きっと俺たちで何とかしてみせる」

エルフ「うん。期待してる」

ペロ「……よーし! 転送スイッチオンっ」

「……」

ペロ「オンっ……してるんだけどなぁ」

戦士「おい、どういう事だ!?」

ペロ「しらねぇよぅ!」

妖精「向こうに帰れなくなっちゃったんですか?」

ペロ「装置が動いてくれてないのー…」

妖精「あれ〜、困りましたね〜」

戦士「他に帰れる道はないのか?」

ペロ「わからん」エルフ「わかりません」

蟹男『知らない事もない』

戦士「何!?」
877 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 03:06:42.15 ID:1vNq5aY40
蟹男『俺は三魔官どのと共にこちらの世界へ転送されてきた』

蟹男『ここにある装置とは別の場所のものでな』

ペロ「化学班どもの部屋にある転送装置とは違う奴か?」

ペロ「て事はたぶん、三魔官様たちが管理している方だよ。やっぱし」

戦士「……つまり、蟹男が使った転送装置で帰ると」

ペロ「三魔官様たちとバッタリ会っちゃうかもわかんね」

戦士「却下ッー! はい、他にはー!」

妖精「はーい!」

戦士「はい、妖精ちゃん!」

妖精「あたしもわからないですねー」

戦士「……」

戦士「…む、君は俺と武闘家の事をこっちまで連れてきただろ。何か知ってるんじゃないの?」

妖精「あー! そうですねー!」

戦士「……大丈夫か、この妖精は」

エルフ「さぁ」
878 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 03:07:36.01 ID:1vNq5aY40
森の中


妖精「こっちですよ〜」パタパタ

戦士「本当にこっちの道通ったっけ…」

妖精「少しはあたしの事信用してくれてもいいんじゃないんですかー」

妖精「文句言ってると、帰しませんからね〜」

ペロ「妖精っておっかないから下手な事言わない方がいいと思う…」

戦士「どうも苦手だなぁ」

エルフ「けして悪い子ではないの。信じてあげて」

戦士「君にそう言われたらそうするしかなさそうだな」

妖精「ぶーぶー。みんなエルフの言う事ばっかり! つまんないなぁ」

ペロ「そんなことないですよー! げへへー!」ペロペロ

妖精「やぁーん!?」

戦士「おいおい…」

ペロ「溜まってたんだから仕方がないだろ!」

戦士「……引いた」

ペロ「うるせー!」

妖精「ここ! こっちを真っ直ぐいくとね、魔法使いの町の近くに出られますよー」

戦士「どうしてあそこと繋がるんだ?」

妖精「知りませんねー。あたしも世界樹から教えてもらったから」

エルフ「初耳だけど」

妖精「だってエルフに教える必要ないもーん」

エルフ「……」

エルフ「そっか」
879 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 03:10:40.31 ID:1vNq5aY40
妖精から教えてもらった道を小一時間。2人は歩き続けた。

ペロ「しかし、一方に元の世界に戻れた気がしないんだが!?」

戦士「生憎俺もだよ…!」

戦士「あの妖精適当なの教えたんじゃないだろうな!」

ペロ「俺の妖精ちゃんに限ってそんな事はありえない」

戦士「はいはい……おっ」

戦士「霧が、晴れてきてるぞ」

ペロ「…おー、言われてみればって感じ?」

ペロ「でもどうしようなぁ…人間の町の近くに出るんだろ? 俺死にたくねぇよ」

戦士「どうせ魔王城に帰っても生きてられると思えんし、変わらないって」

ペロ「嫌だぁ…俺の人生がどんどん壮絶になってゆく…」

戦士(武闘家の奴、大丈夫かな。置いて行く様な感じになってしまったが……)

戦士「絶対に迎えに行こう。その頃にはあいつもスリムになってるだろ、多分」

ペロ「何ブツブツ喋ってんの?」

戦士「男だけの旅は嫌だなって言ったの。色がなくて」

ペロ「お前、そんなに女好きだったのか!」

戦士「それ程でもないけどな」
880 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/03(火) 03:11:54.45 ID:1vNq5aY40
ここまで。明日からは魔王たちの話に戻りますの
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/03(火) 04:53:06.64 ID:UzPYCCeIO
おつ
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/03(火) 06:59:05.86 ID:dWdMhEQco
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/04/03(火) 09:11:42.62 ID:/eyqqY170
歪みねぇペロペロ魂に惚れた
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/03(火) 12:26:10.06 ID:4Lnvy4of0
蟹強すぎじゃないかwww
4がわりと呆気なくて泣ける
885 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:39:37.12 ID:FPu38uOX0
暗黒騎士「伯父上よ。奴らは次に富豪の町を目指すらしい」

『そいつはまぁ。貧乏くさい所からいきなりね』

『目的は?』

暗黒騎士「分からない。あまり接近して聞き耳立てる事もできなくてな」

暗黒騎士「このまま追跡を続行して宜しいか?」

『よろしいよ。頑張って続けて』

暗黒騎士「……伯父上。なぜ貴方ほどの方があの様な連中に?」

『ほぅ、余計な詮索する気かい』

暗黒騎士「お、教えたくないならいいんだ! ちょっぴり気になってしまっただけで…」

『一応はね、偽勇者一行を野放しにしていたら心配でしょう。大犯罪者なわけだしよ』

暗黒騎士「だが、この追跡には別の目的を感じられる」

『企みを裏で感じちゃってるかい?』

暗黒騎士「伯父上が妙な事をするだなんて思ってはいないぞ! ただ…!」

『ならそれでいいじゃない。黙っておじさんの言う通りに動きなさいよ』

『あっちゃんはおじさんに忠実な騎士になりたかったんでしょ。ね?』

暗黒騎士「伯父上……。了解した、追跡を再開する」

『いい子だ』ブチッ

暗黒騎士「ほ、誉められた……いい子だって……!」
886 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:40:12.30 ID:FPu38uOX0
富豪の町


バニー「ようこそ! 夢と希望の楽園、富豪の町へ! あなたもここでチャンスをゲット!」

ピカピカ、ピカピカ〜

女勇者「どこ見てもギラギラ光ってて眩しい〜!」

盗賊「町に入ってすぐがギャンブル街だなんてな。以外だぜ!」

僧侶「……盗賊さん。いつもよりテンション高いですね」

盗賊「ああ! 男なら誰しも夢見るから! 一攫千金! 巨万の富!」

魔王「想像より随分騒がしい町なわけだが」

魔王「あるというのか。例のすろっとましーんとやらは」

盗賊「あるぜ!」

女勇者「さっそくやって行きましょー!」

魔剣『わ〜い!』

僧侶「却下ッー!!」
887 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:40:50.54 ID:FPu38uOX0
僧侶「ダメって言いましたよね? この町に来た本当の目的は?」

女勇者「あぅぅ……」

盗賊「何もこんな道端に座らせなくても……」

僧侶「ふんーっ!」

盗賊「しゅん……」

魔剣『盗賊ちゃんが小さくなっちゃったよー』

魔王「いい気になりおって、僧侶め……!」

僧侶「勇者様も反省です! いいですか、カジノには寄りませんから」

「えー」

僧侶「ああいう賭け事はどうせ店側が最終的に勝つんです。最初から無駄!」

僧侶「とにかくここの通りをさっさと抜けますよー。今日の宿を探しましょう」

女勇者「じゃあその後に!」

僧侶「いい加減にしなさい」ペチッ

女勇者「すみませんっ!!」

盗賊「夢のカジノ満喫三昧の日々…また遠のいたな…」

魔剣『めげないで、盗賊ちゃん!』

魔王「ちっこいスケールな夢よのぅ」
888 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:41:23.56 ID:FPu38uOX0
男「おっと、止まりなさい!」

魔王「貴様ァー! 余の道を阻むかァー!」

僧侶「勇者様落ち着いて…。この先は通れないのですか?」

男「うむ。ここからは大金持ちばかりが住むエリアとなる」

男「用もないのに通れる場所じゃないって事だよ。見た所別の町から来た人間の様だが……」

盗賊「……おい、忘れてたが。俺たち一応指名手配されてる身だよな」

僧侶「!」

女勇者「わた、私たちは怪しくないんですよ! 見てみて、すごい悪そうに見えないでしょ」

男「そう言われると怪しいし、悪そう」

女勇者「そんなバカなー!?」

魔王「阿呆か、貴様は。大人しくしておればよいものを」

盗賊「お前は喋るな! 余計な事を招きかねんぜ…」

女勇者「はい…」

僧侶「あ、の…私たちはカジノを楽しみに遥々遠方から来た者でして」

女勇者「えっ、カジノはダメなんじゃ?」

盗賊「ふんっ!」ガシッ

女勇者「もがが……」ジタバタ
889 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:41:59.60 ID:FPu38uOX0
男「ああ、なるほど。なら宿を探しているのかな? だったらこの道を一旦引き返して…」

僧侶「わざわざすみません。そちらの宿に当たってみますね」

男「いやいや気にしないで」

僧侶「皆さん、この先に安くて質が良い宿があるそうです。これからそこに」

盗賊「宿でも何事もなければいいがな。くくくっ……」

魔剣『強がってる場合なのかなぁ〜?』

盗賊「……」

魔王「バレた場合は最悪この町を……さっさと抜ければよい話である」

女勇者「あれ、いつもなら滅ぼすとか言い出す場面じゃありません?」

魔王「すろっとましーんとやらで遊ぶまでは滅ぼすわけにはいかんだろう!」

女勇者「あー、しっかり考えてるんですねぇ」

魔王「余を誰だと思っておるのだ。偉大なる勇者であるぞ?」

盗賊「馬鹿じゃねーの……」

男「あ、そうだ。そうだ」

僧侶「はい? まだ何か?」

男「今あの辺りのカジノで大勝ちできるなんて思わない方がいいよ」
890 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:42:33.02 ID:FPu38uOX0
盗賊「なぜだ。まぁ、そうそう勝てるようなモンだとは思っちゃいねぇが」

男「いやー、最近になって酷い。オーナーが最近変わってからな」

男「噂ではスロットもルーレットも全くと言っていいほど当たらず、去る者はかならず不満を漏らして帰ると」

僧侶「その様なお店では評判もすぐにガタ落ちしてしまって、お客も集まらないのでは?」

男「裏で控えてる奴らがみんな怖いのさ。大きな声で悪くは言えないんだよ」

男「それに当たると大きく勝てるって駆け引きがあの店ではウリでな」

盗賊「小勝ちが全くないってのか? ていうかそれが普通のカジノだろうぜ」

男「サクラだよ、サクラ。店側がそういうのをしっかり用意して周りの客へ当たりのアピールをしているんだ」

女勇者「仕組まれてるって事? ズルイ!」

男「もう不正まみれで楽しめたもんじゃないよ。昔はあんなんじゃなかったのにねぇ…」

男「悪い事言わないからカジノでは程々に遊びなよ。俺はウソ言わないからな」

魔王「ふん、余計なお節介だなァ」

僧侶(言われなくても寄る気なんてないし。それにこの話を聞けば3人も諦めてくれるわね)

盗賊「……許せねぇ話だぜ」
891 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:43:11.17 ID:FPu38uOX0
女勇者「まさかそんなに酷い事になってるだなんて思いもしませんでしたねぇ…」

盗賊「全くだぜ。納得がいかん…」

魔王「しかし、余はすろっとましーんを打ってみたい」

僧侶「諦めてください。さっきの方も止めておいた方がいいって仰っていたでしょう?」

魔王「やるなとは一言も申してはいなかったが?」

僧侶「揚げ足取らないでくださいっ」

魔剣『僧侶ちゃん。カジノに来てる人たち困ってるんじゃない? ほら、人助け〜』

僧侶「ギャンブルで破滅してる人たちの事なんて知らない! 自業自得よ!」

女勇者「厳しいなぁ〜……」

盗賊「しかし僧侶。純粋に賭けを楽しむ奴らにとって、不正ってのが一番許せないことだぜ」

僧侶「盗賊さんもそうなんですか」

盗賊「ギャンブルは情熱だ! ポーカーだろうが麻雀だろうがチンチロだろうと!」

僧侶「はいはい…」

魔王「僧侶は金に煩すぎである。金とは消費するものよ、誰がどう消費しようと勝手であろう!」

僧侶「……言っておきますがね、勇者様!」

僧侶「ギャンブルとはお金をドブに捨てると同等の行為です!」

女勇者「だがそれがいいってお父さんがー!」

僧侶(ダメな勇者父っ……!)
892 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:43:42.53 ID:FPu38uOX0
宿屋


魔剣『怪しまれずに泊まる事できたね〜』

女勇者「本当によかったー。おぉ、さすが富豪の町! 部屋も富豪な感じ!」

魔王「部屋が富豪とは何ぞ?」

僧侶「食事も出していただけるようですし、助かります。お金も安くすみました」

盗賊「」ごそごそ

女勇者「師匠何してるんですか?」

盗賊「ちょっと…いらない道具やら装備を…」

僧侶「……お店に売って資金を稼ぐ気ですか。カジノの」

盗賊「……」

魔王「すごい汗だな。図星といったところ?」

僧侶「ダメですよ!?」

盗賊「はい……」

女勇者「師匠のギャンブルに対する情熱って凄いですよね」

魔剣『呆れたもんだ、って僧侶ちゃんがね〜…』

盗賊「うぐっ!?」

盗賊(下手に欲望を解き放っては僧侶ちゃんに嫌われかねんというわけか…)
893 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:44:17.46 ID:FPu38uOX0
魔王「ところで痴女は何処におるのだ? 魔剣」

魔剣『ちょっとこの辺りごちゃごちゃしててまだ匂いが嗅ぎ分けられません〜』

魔王「あいかわらずの使えなさといってところか!」

女勇者「私の剣……。まさか質に入れてお金にされちゃってるんじゃ」

盗賊「もしかしたら今頃カジノの景品になっていたりな」

女勇者「!」

僧侶「絶対にあり得ませんから! 下手な考えは持たないで!」

女勇者「でも〜…」

魔剣『ちょっとぐらいいいと思うんですけどー』

魔王「そうだ、ちょっとだけ!」

僧侶「あなたたちではきっとちょっとでは済みません……」

僧侶「それより、お風呂に入りましょう。女勇者さん!」

僧侶「汗も流してさっぱりさせて、それからベッドに入ればきっと気持ちが良くなりますよ」

女勇者「お風呂あるんですかー! やったー!」

がちゃり

魔王「あやつらが風呂に入っている間に抜けだそうという魂胆が丸見えだなァ!!」

魔剣『まるっとお見通しだ!』

盗賊「えぇっ!?」
894 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:44:48.31 ID:FPu38uOX0
盗賊「も、もう諦めたぜ。さすがにパーティの金を無断で使っては」

魔剣『みんなのお金使う気だったのー?』

盗賊「うぉ…!?」

魔王「クズめッ」

盗賊「くそっ、好きに言うがいいぜ……」

盗賊「だが信じてくれ。今はカジノをきっぱりと諦めた」

盗賊「俺たちの目的は例の痴女を探す事、そんな事にうつつを抜かす暇なんてないぜ…」

魔剣『偉そうなこと言ってるけど、さっきまでうつつ抜かしてたよねー』

魔王「呆れた男よ、盗賊。貴様は余の中でどんどんランクが下がる一方」

盗賊「勝手にてめぇで格付けしてんなよ…!」

盗賊「てめぇだってスロット打ちたがってただろ。言えた口じゃないな…!」

魔王「余はただ興味があっただけよ。ギャンブル自体には興味すらない」

盗賊「くっ……何なんだよ……」
895 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:45:34.08 ID:FPu38uOX0
盗賊「……あー、あー」イライラドンドン

魔王「貧乏揺すりウザいであるッ」

盗賊「チッ…」

魔剣『我慢が大事だよ〜』

盗賊「わかってる!」

魔剣『盗賊ちゃんてばよっぽど行きたいんだね、カジノに』

魔王「そこまで楽しい場なのだろうか。カジノとやら」

魔剣『勇者ちゃんは興味ないんだよね?』

魔王「……実を言うと少し興味が沸いてきたぞ」

魔剣『え〜』

魔王「人間どもが必死になって金をつぎ込み、勝負をして負ける」

盗賊「勝つ可能性もあるんだよ!」

魔王「黙っておれ! そして手持ちの金を失い、その果てに何があるか」

盗賊「失ったらただの破産だろうが! 馬鹿か!」

魔王の攻撃!

魔王「少しは頭を冷やしてはどうだよ。え?」

盗賊「……もっと手加減して冷やしてもらいたいところだぜ」

魔王「よし」

魔剣『よし?』

魔王「貴様ら行くぞ。カジノに」

盗賊「お、おぉ……?」
896 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:46:39.17 ID:FPu38uOX0
魔剣『勇者ちゃん! それはマズイよ〜、僧侶ちゃんに怒られちゃう』

魔王「黙れ! 貴様を賭け金の代わりにしてしまうぞ」

魔剣『やぁーん!』

盗賊「…一体何の風の吹き回しだぜ。お前さっきまで」

魔王「ふん、ただ余の気が変わったのだ! 余が行くと申した、行くしかあるまいぞ! 盗賊よ!」

盗賊(お、おおお……行きたい! 行きたいが僧侶ちゃんに嫌われたくはない!)




魔王「ふははははッ!! カジノとやらに行ったはよいが大負け連発したであるー!」

魔剣『2人ともごめんねー! お金全部使っちゃったんだー!』

魔王・魔剣「『大破産! 大破産!』」

魔王「それもこれも、盗賊が全ていけないのだ! 盗賊が全部使うって申したからなァ!」

女勇者「し、師匠…! そんな、師匠ってばカジノには行かないって約束したじゃない!」

僧侶「約束を破ってしまったのですね…。盗賊さん、サイテー」

女勇者「サイテー!」

盗賊「ち、違う…! 俺は…違うんだ! 悪いのは全部イカサマを働いてるあのカジノで!」

僧侶「盗賊さんなんて大嫌い。二度と私に話しかけないでください」

僧侶「そして私は……勇者様の事が前から好きだったの……。好き……」

魔王「ふははははッ!! 魔王倒したら結婚トゥルーエンドルート確定であるッ!!」

盗賊「う、うぁ……」




盗賊「うわあああああああああぁぁぁ〜〜〜っっっ!!」

魔王・魔剣「『!?』」ビクゥ
897 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:47:18.59 ID:FPu38uOX0
魔剣『と、盗賊ちゃん?』

盗賊「……」

盗賊「ギャンブルとかダメだろ。普通にアウトだぜ」

盗賊「どうせ負けて終わるのが山のオチ。諦めが肝心」

魔王「ほう?」

盗賊「俺たちにはそれの他に優先すべき事が沢山だ。カジノなんて寄り道は無しだ」

盗賊「馬鹿な事言ってないで体でも休めたらどうだ? 風呂にでも行くか?」

魔王「呆れた男めッ」ばきぃっ

盗賊「がふッッッ…」

盗賊「なぜ殴った!?」

魔王「カジノは貴様の夢ではなかったのか! 貴様の情熱は何処へ消え失せた!」

魔王「そよ風が吹いただけで消えてしまうほど微かな火であったか! 臆病者!」

盗賊「か、勝手な事言いやがって……」

盗賊「だいたいカジノ側が不正働いてるんだ! 俺らが勝てるわけがねぇんだよ!」

魔王「では盗賊よ。1%でも、勝ち目はないと申すか?」

盗賊「!」

盗賊「……確かに、イカサマと言えど何処かに穴があるかもしれん。そこを上手く抜ける事さえできたら」

魔王「勝てるというわけであろうが」

盗賊「……お、おお…勝てる」
898 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:47:49.22 ID:FPu38uOX0
魔王「そう。余たちは勝てるのだ、ギャンブルとやらに」

魔王「余が着いておるのだ負けるわけがあるまい。そうだな、魔剣よ」

魔剣『えっ!? あ、あー……うん。わかんないけど』

魔王「決まりだな、盗賊。貴様にはもう断るという道は残ってはいない」

盗賊「……上等」

盗賊「俺は勝つ勝負しかしねぇ。不正がなんだ、イカサマがなんだ」

盗賊「覆してくれるぜ……! 勝利の女神が微笑むのは俺たちの方にだ!」

魔剣『仮にも魔王ちゃんいるのに女神なんかが微笑んでくれるの?』

魔王「余は今勇者だから加護ありまくりであろうが。阿呆」

魔剣『なるほどー……』

盗賊「そうと決まればいざカジノへ! 決戦の地へ、だ……!」

魔剣『その気にさせちゃったねー。勇者ちゃん』

魔王「少しやる気を出させすぎたか。非常に気持ち悪いである」
899 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:48:30.88 ID:FPu38uOX0
カジノ前


盗賊「いいか、勇者。ここに500Gある」

盗賊「俺がプライベートで稼いだ金と……パーティ内での金を合わせたモンだ」

魔剣『ヤバいよそのお金ぇ〜!』

盗賊「勝てばいいっ!! ……勝てば倍に増やして戻すぜ」

魔王「その意気だぞ、盗賊。頑張れ」

盗賊「ああ、てめぇもな……250G、半分づつだ。勝てよ」

魔剣『あーあ。僕知らないからね、僧侶ちゃんに怒られても』

盗賊(それだけが怖い。金を失う事よりも)

盗賊(だが、稼いで帰れば僧侶も満足してくれるはずだ……!)

魔王「では入るぞ」


がちゃり


ディーラー「ダブルアップなさいますか」

「どんとこーいっ!」

ジャラジャラジャラ・・・

「揃わない…合わないぞ、タイミングが…えぇ、おかしい」

店員「当店は目押し禁止となっております」

「いつの時代の店だよここはぁー!?」

魔剣『なんかうっさい〜……』

魔王「おぉ…おぉ…!」

盗賊「この時を、どれだけ待った事か……」

盗賊「やっほぉーーー!!」ぴゅー
900 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:49:54.90 ID:FPu38uOX0
魔剣『あら、盗賊ちゃんどっか行っちゃったよ〜?』

魔王「あやつは放って置いてすろっとましーんを打ちに行くぞ」

魔王「おう、貴様!」

オヤジ「……何だい、兄ちゃん」

魔王「すろっとましーんを出すのだ。余はそれを所望する」

オヤジ「売ってるもんじゃないだろ…スロットなら、あっちな」

魔王「……何か想像と違うぞ」

魔剣『ねー』

オヤジ「兄ちゃんよぉ…悪い事は言わん。ここのは止せ」

魔王「当たらぬからであろう? 知っておる」

オヤジ「お、おいおい…知っておいて何でそんな無謀な…」

オヤジ「俺は全部掏られちまったよ…噂を正直に信じておけばこんな事には…!」

魔王「ふーん?」

オヤジ「しかも、店からメダル100枚まで借りちまって……もう、俺は……俺の大切な…」

オヤジ「畜生オオオオォォォォォォォォ!!!」ドンッ

オヤジはスロットマシンに当たり散らし始めた。

オヤジ「インチキ! インチキ! 俺の金を返してくれよォォォ…!!」ドンドンッ

黒服「お客様、困りますね。少しこちらに来ていただきますよ」

オヤジは黒服たちへ連れて行かれてしまった!

オヤジ「は、離せー! 死にたくない…死にたくなぁい!!」


ずりずりずり・・・がちゃん


魔王「さて、さっそく試しに打ってみるとするかァ!」

魔剣『負けるな勇者ちゃーん!』
901 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:50:24.16 ID:FPu38uOX0
魔王「……どういう事だ。金が機械に入らん」

魔王「これ壊れておるのではないか!? クソっ垂れめがッ!!」

魔剣『落ち着いて〜…』

店員「お客様。いかがしましたか」

魔王「このすろっとましーんが壊れておるのだ!」

店員「その様な不具合は見られませんが……。おや、まだコインに交換していないようで」

魔王「ふん、ではさっさと交換しろ。余はここで待っている」

店員「……250G。全て交換で宜しいのですね?」

魔王「さっさとするのだ! グズッ!」

店員「チッ……」

魔王「早速面倒になってきたぞ…」

魔剣『やっぱり勇者ちゃんには合わない遊びだったんだよー』

魔王「ふん、まだ来ないか。あの男は!」
902 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:51:00.53 ID:FPu38uOX0
ディーラー「いかがしますか、盗賊様」

盗賊(まずは小手調べ)

盗賊「メダル5枚出すぜ」

「湿気たものだな」

「小さい男ね」

「コール」

ディーラー「では……」

さっ、さっ、さっ・・・

盗賊(……まぁ、この程度か)

盗賊「2枚交換を頼む」

さっ、さっ

盗賊「ぶっー…!」

「ん?」

盗賊「いや、何でも…」

盗賊(最初だから仕方がない。最初だから)

盗賊「はっ、ブタだぜ……!」
903 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:51:36.26 ID:FPu38uOX0
盗賊「ダメか。こっちなら……」

ディーラー「勝負なさいますか」

盗賊「2枚でな!」

さっ、さっ、さっ・・・

盗賊(ツーペア揃ってる)

盗賊「はははっ、ツーペアだ!」ペチン

ディーラー「ダブルアップなさいますか?」

盗賊「ああ、ダブルアップしとくぜ」

ディーラー「では」

さっ、さっ、さっ・・・

テーブルに配られた4枚。内、左から2枚目を盗賊は取る。

盗賊(これは……11だ!)

盗賊「ディーラーが提示したカードは9! ダブルアップ成功!」

ディーラー「さらにダブルアップなさいますか?」

盗賊「当然だ。次のを配ってもらおうか……!」

さっ、さっ、さっ・・・

盗賊(……こいつは)ス

盗賊「……」

ディーラー「ダブルアップ失敗でございます」

盗賊「クソ! 今のは引きが甘かったんだ!」

盗賊「……も、もう一度。今度は3枚で」
904 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:52:18.55 ID:FPu38uOX0
ぐるぐるぐるぐる・・・

魔王「レバーを叩いたら絵が回り始めたわけだが……」

魔王「じーっ」

魔剣『じーっ』

魔剣『……もしかして、この絵を止めなきゃダメなんじゃ』

魔王「何だと?」

魔王「ど、どう止めればよいというのだ! 余が何かしなければ止まらぬのか!?」

魔剣『念じるんだよ〜! 止まれーって』

魔王「破ッッッ!!」

しかし、スロットは回り続ける!

魔王「さっぱり意味が分からん……」

魔剣『…あ、勇者ちゃん! 見てみてー』

魔王「ああん?」

魔剣『向こうの人はそこのボタン叩いて止めてるみたいだよ』

魔王「こ、こ、これかッ!!!」

魔王の攻撃!
905 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:53:13.61 ID:FPu38uOX0
しゅ〜……


魔王「止まった事には止まったが、機械自体も止まったぞ」

魔王「やはり壊れておるなッ!! これ」

黒服「当店での台パンは禁止されております」

黒服「……お客様。こちらに来ていただきましょうか」

魔王「ええいっ、先程からわけの分からん事ばかりだ!!」

黒服「おい、話聞けやこら」

魔王「喧しいぞ! 余は今機嫌が悪いのだ!」

黒服「この野郎!」

黒服は魔王に掴みかかった!

魔王の攻撃!

黒服「ぎゃっ!?」

魔王「聞こえなかったのか、この阿呆めがッ」

黒服s「」ゾロゾロ…

魔剣『なんか集まってきたぁ〜!』

魔王「憂さ晴らしに全員ぶっ飛ばしてくれようぞ…」
906 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:53:49.47 ID:FPu38uOX0
盗賊「……終わった」

盗賊「俺の夢が、尽きた」

盗賊「一攫千金…所詮、夢のまた夢だったのか…!」

盗賊「ぐううぅぅっ……」

店員「お困りのお客様に朗報が」

盗賊「…え?」

店員「今当店ではお客様のナニカと引き換えに100枚のメダルを貸出するというキャンペーンを実施しております」

店員「ここで諦めるには早すぎると思いませんか。どうです? 一攫千金、夢もまだ遠のいてはいませんよ…」

盗賊「な、なんだと……?」

盗賊(この店員、今100枚もメダルを貸すと言ったのか? そんな馬鹿な話があるか!)

盗賊「……ナニカと引き換えと言ったな。それは何だ。臓器じゃないだろうな」

店員「いえいえ、その様な物騒な話ではございません。ただ、我々に貴方様にとって大切な物を1つ。渡してくれれば良い
だけですよ」

盗賊「大切な物?」

店員「はい。安心してください、頂いた物は最後に我々との賭け勝負で勝利すればお返しいたしますので」

盗賊「……胡散臭いぜ」

盗賊「さすがに断る。俺は無駄な足掻きはしたくない」

店員「そうですか。では、またのご利用をお待ちしております」

盗賊(こんなクソカジノ二度と来ねぇよ!)
907 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:54:33.90 ID:FPu38uOX0
盗賊「帰ったらカンカンだろうな、僧侶ちゃん」

盗賊「土下座で許してもらえるだろうか」

盗賊「……うぅ」

盗賊「それにしても、アイツら何処にいやがるんだ?」


ざわざわ・・・ざわざわ・・・


盗賊(何だ。この人だかり)

黒服「ぎゃー!?」

魔王「ふははははッ〜〜〜!! その程度か貴様らァ!!」

そこには何人もの黒服をボコボコにしている魔王の姿が。

盗賊「〜……」

盗賊(あ、アイツわかってるのか!? 指名手配中だと何べんも言い聞かせたのに!)

魔王「そこにおるのは盗賊か。余はすろっとましーんに飽きた。帰るぞ」

盗賊「飽きたって…」

黒服「こ、こいつら…よく見たら偽勇者一行じゃないか…?」

魔王・盗賊「!」

「言われてみれば確かに」「どうしてここに?」「捕まったと聞いたのだが」

黒服「やはりそうだ。偽勇者一行! すぐにオーナーを!」

『いやぁ、呼ぶまでもないぞ』
908 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:55:21.42 ID:FPu38uOX0
黒服「オーナー!?」

オーナー「どうもどうも。さ、お客様方。こちらの事は気にせずにゲームを引き続きお楽しみくださいませ」


ざわ・・・


魔王「貴様がこのカジノのオーナーとやらか。余が打ったすろっとましーんが壊れていて全く楽しめなかったぞ。金を返
すのだ!」

オーナー「お壊しになったの貴方様の方かと思いますがね。魔王様」

魔王「何ィ?」

魔剣『今こいつ、勇者ちゃんのこと…』

盗賊「知り合いか…?」

魔王「知るかッ!」

オーナー「ここでは落ち着いて話もできないでしょう。場所を変えましょうかね」

オーナーがパチンッと指を鳴らすと、辺りが暗転して煌びやかな部屋へ変わってしまった。

盗賊「これは!?」

魔王「魔法か? 貴様何者だ」

オーナー「私の事などどうでも宜しいではございませんか。魔王様」
909 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 04:56:29.08 ID:FPu38uOX0
オーナー「どうぞ、そちらにお掛けください。ああ、何か飲み物でも用意しましょうか」

魔王「結構である。貴様の事だ、何を盛られるかわかったものではない」

オーナー「はははっ、そこまでご警戒なさらずとも良いでしょうに」

オーナーは懐から煙管を取り出すと、火を着けてプカプカと吸い始めた。

魔剣『臭いんですけどー!』

盗賊「……何がしたい、お前」

オーナー「ふぅー……いやね、このまま偽勇者一行を王都へ突き出そうかなと」

魔王「勝手抜かすな。余は勇者だ」

オーナー「私が知っている貴方は魔王様でいらっしゃるはずだがー?」

魔王「殺すぞ!!」

オーナー「おー、怖い!」

オーナー「……さて、危険な犯罪者はさっさと牢獄へぶち込んで貰いたいところですが」

オーナー「1つ、ゲームでもしてみませんかね」

魔王・盗賊「は?」

オーナー「」にやにや
910 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/04(水) 05:00:18.57 ID:FPu38uOX0
ここまで。なんやかんやでもう900まで来てしまったわけだ、長々と申し訳ない
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/04(水) 07:50:12.73 ID:gss3M2pIO
早朝から乙!
いつも楽しく読んでるよ
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/04(水) 09:00:06.77 ID:RjDyWKioo
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/04(水) 12:29:35.84 ID:qpvGxWEs0
乙〜
久しぶりに魔王ちゃんたちのおバカな会話みたら和んだw
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]:2012/04/04(水) 20:31:38.14 ID:z47EqTt5o
おつ
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/04(水) 22:48:09.65 ID:HFMXqoYX0
一条きたーーーーーーー
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/04/04(水) 22:54:30.42 ID:l0cYl37so
乙乙!
917 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/05(木) 01:30:53.73 ID:IPO1qFRM0
盗賊「お前の下らんお遊びに構っている暇はねぇな」

盗賊「……そして、俺が個人的にお前を好かん! お断りだぜ!」

オーナー「別に嫌われる様な事した覚えないんですけど〜」

盗賊「とぼけるなよ。この小悪党」

魔剣『盗賊ちゃんが言うかー』

盗賊「変な所で水差すなバカ!」

魔王「ふむ、では手っ取り早くこやつを倒してしまおうか」

魔王の攻撃!

しかし、攻撃が当たらない!

魔王「あれ…!」

盗賊「今、剣が奴の体をすり抜けたぞ…」

オーナー「無駄無駄。ここでは私が全てのル〜ルの世界!」

オーナー「ル〜ルには従ってもらいましょうかね。攻撃は許可しない!」

魔王・盗賊「!」ビリビリ…

魔王「貴様、今何をしたのだ!」

魔王の攻撃!


\ ルール違反! 魔王はペナルティを受けるッ! /


魔王「あぁ!?」
918 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/05(木) 01:31:30.01 ID:IPO1qFRM0
オーナー「1回です、魔王様。残り2度…ル〜ルを無視した場合」

オーナー「次元の彼方へ自動的に排除されてしまいますよ。ほほほ…」

魔王「貴様ァー!」

魔剣『勇者ちゃんダメだよ〜!』

魔王「……チッ」

盗賊「次元の彼方? こいつ、空間魔法の使い手なのか?」

魔王「余が知るかッ!」

オーナー「私が敵う程までに衰えてしまっていたとは。失礼ながら、弱くなったと言わせていただきたい」

魔王「」カチーン

盗賊「挑発に乗るんじゃねーぜ。奴の思い通りだ」

魔王「殺す…殺してやる…」

盗賊「1つ聞きたい!」

オーナー「質問は……まぁ、差し支えのないものなら許可しましょう。はい、どうぞ」

盗賊「貴様は魔物なのか。どうやらこいつの事を知っているようだが」

オーナー「ええ、知っていますとも。元配下の魔物ですし」
919 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/05(木) 01:33:02.98 ID:IPO1qFRM0
オーナー「まぁ、魔王様は私の事など存じておられないでしょうね」

オーナー「頭の方が……少し可哀想な方ですから」

魔王「どういう意味かッ!!」

盗賊(教えない方がこいつの為だろう…)

オーナー「ああ、何も馬鹿だから、といった意味で言ったわけではないのです」

魔王「馬鹿!? 殺すッ!!」

魔剣『ダメだってば〜!』グイグイ

魔王「余の言う事を聞かぬつもりか魔剣ッー!」

魔剣『攻撃したら勇者ちゃんが危なくなるだけなんだよー!?』

オーナー「主人思いで良い剣ですこと。ほほほ…」

魔王「これはただの剣である! 余計な事は申すなよ!」

盗賊「……人間に化けやがって。この魔物野郎」

盗賊「正体明かしたらどうだぜ!?」

オーナー「なぜです。明かしたところで私にも貴方にもメリットはないと思いますけど」

盗賊「癇に障るんだよ! 魔物如きが人間の姿取るなんてな!」

オーナー「では、そちらの魔王様にも同じ事が言えますね」

盗賊「……何?」

オーナー「貴方は彼が魔王様だと分かっていられる様だが、人間の姿を模っている事に今まで疑問を感じなかったのです
かね」

盗賊(い、言われてみれば……こいつ、人間の姿……)

オーナー「お馬鹿さんがまた1人見つかりました。ほほほ…」
920 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/05(木) 01:33:38.97 ID:IPO1qFRM0
盗賊「……」チラ

魔王「今さら疑いの眼差しを向けるまでもなかろうが、盗賊よ」

魔王「そもそもだ。余は元からこの姿のままである」

盗賊「何!? お前魔物なんだろ!」

魔王「勇者だ阿呆ッ!」

盗賊「そういう事言ってるんじゃ…!」

オーナー「ほほほ…。嘘はよくない、魔王様」

盗賊「ウソだぁー!?」

魔王「チッ…」

魔剣『勇者ちゃんはウソなんてつかないよ! いい子だよ!』

オーナー「魔王なんて役につく者が良い子はないでしょう。ただ気取っているだけです」

オーナー「魔王様は悪い子…ね?」

魔王「喧しいッ! 一々癪に障る奴だ!」

盗賊「勇者、やはりお前もこの魔物と同じ様に姿を変えていたのか」

オーナー「ええ、醜悪なそのお姿を貴方がたから隠す為に」

盗賊「貴様には聞いていない!! すっ込んでろ!!」

盗賊「……今さら怒る事でもないんだ、そうなのか?」

魔王「そうだ」
921 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/05(木) 01:34:28.43 ID:IPO1qFRM0
魔王「ていうか普通に考えればわかった事であろうが。貴様、やはり阿呆」

魔王「……勇者として貴様ら人間の前に現れるには元の姿は都合が悪すぎる」

魔王「最初の頃は動き辛くて面倒であったが、今ではもう慣れてしまったわ!」

魔王「他に質問はァー!!」

盗賊「…ない」

盗賊「悪かったな、気が効かなくてよ」

オーナー「お話は済みましたか? では〜」

オーナーが再びパチンッと指を鳴らすと、魔王と盗賊は脱力し、その場に崩れた。

盗賊「か、体が…動かない…っ」

魔王「……」

オーナー「魔王様は本当に弱くなられたものですね。私を見上げる立場となってしまった」

オーナー「さて、失礼しますよ! 〜〜〜〜〜〜……!」

オーナーが呪文を唱えると、2人の中からナニカが排出された。

魔剣『ぼ、僕の勇者ちゃんから何か出てきたー!!』

オーナー「勝手ながらお二人の大切な物を私が今から預からせていただきます」

魔王・盗賊「!」

オーナー「魔王様が大切にしている物。それはご自身」

オーナー「つまり命でございまーす」

魔王「他に見当たる物もないしなァ。自分が大切なのは当たり前である、阿呆め」

盗賊「ほんとに自分勝手なんだな、てめぇはよ…」
922 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/05(木) 01:35:16.95 ID:IPO1qFRM0
オーナー「残るそちらの人間様は……おや、これは」

オーナー「妹でございまーす!」

魔剣『シスコン〜!』

魔王「……ふっ」プー

盗賊「悪いかクソがっ!! 兄として当然だろうが!!」

オーナー「さぁ、これらは私にゲームで勝利した場合お返ししましょう」

オーナー「んー…ですがえっと、そちらの人間様の方」

盗賊「あ……?」

オーナー「貴方様からは別のナニカを頂きましょう。こちらの妹様はダメでした」

盗賊「どういう事だ」

オーナー「既に力の強い何者かに奪われていました。心も、体も」

盗賊「は?」

オーナー「どうも私の力では奪い取る事は不可能のようで。呪いか何かでしょうかね」

魔剣『盗賊ちゃんの妹って前に会った子だよね。呪いってどういう事?』

オーナー「わかりませんね。ま、ダメな物はダメ。他にしましょう」

どすっ

盗賊「うぐっ!?」

オーナー「あら、また人間……僧侶様、でしょうか? その方が大切と」

魔王「予想通りでつまらんな。さっさと始めよ…勝利した暁には貴様を八つ裂きにしてくれる」

魔剣『そんときは任せてー』

盗賊「その前に少し待てよ……」
923 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/05(木) 01:36:18.09 ID:IPO1qFRM0
盗賊「妹が…どうなっている…? 呪いだと?」

盗賊「くそがっっっ……!」

盗賊は無理矢理立ち上がって、オーナーに掴みかかった!

オーナー「貴方までル〜ル違反するおつもりですかね?」

盗賊「意味わかんねぇ事ほざいてんじゃねぇぞッーーー!!」

盗賊の攻撃!


\ ルール違反! 盗賊はペナルティを受けるッ! /


オーナー「ああ、言わんこっちゃない」

盗賊「はぁ、はぁ……」

魔剣『盗賊ちゃん落ち着いてよ〜。そいつ攻撃したって意味ないよ?』

盗賊「わかっている、しかしッ!!」

魔王「魔剣の申す通り、一旦落ち着け」

盗賊「……くそ」

盗賊はオーナーを放した。

オーナー「それが賢明な判断でしょうね。ほほほ…」

オーナー「では、楽しいゲームを始めましょう。貴方がたが負けた場合、大切な物を私のコレクションに加えさせていた
だきます」

オーナー「勝てば、返しましょう。そして王都には何も告げずに無事、カジノから帰して差し上げますとも」

魔王「待て、勝った場合貴様を殺す権利を余に寄越すと付け加えるのだ」

オーナー「面白い。宜しいでしょう」

オーナー「勝ち目はないと思いますがね。ほほほ…」

魔王「余が負けるわけないだろう? 三下程度がでかい口叩くなよー…」

魔剣『そうだそうだー!』

オーナー「その意気やよし! でございます、魔王様」にやにや
924 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/05(木) 01:37:35.58 ID:IPO1qFRM0
ここまで。この話は女性陣あまり絡んでこないかも
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/04/05(木) 01:39:03.22 ID:rSDpVY+AO
乙です
普通の戦闘とはまた違ったワクワク感!
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/05(木) 02:10:17.33 ID:8IeME6GV0
お、今日は早めの投稿乙です
盗賊の妹は嫁に出されたはず…
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/04/05(木) 02:25:58.62 ID:0IYM9VQKo
乙乙!
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]:2012/04/05(木) 03:48:22.78 ID:NpcApNUlo
乙乙乙!
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/05(木) 08:10:38.53 ID:TLnA37BIO
>>926
心も体も盗賊一途ってことでしょ
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/06(金) 14:52:45.39 ID:4WDrq9l50
魔王ちゃんの元の姿が明かされる日も近そう
931 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/09(月) 01:28:30.68 ID:3F4hY8MC0
宿屋 in お風呂


僧侶・女勇者「ふぅ…」カポーン

女勇者「疲れの他に肩こりとか全部取れてってる感じ〜…」

僧侶「ええ、全くです…」

僧侶「まさかお風呂が天然温泉だとは思いませんでしたね」

女勇者「ここって温泉沸きそうな町じゃないと思ってましたけどねぇ〜」

女勇者「まぁ、結果オーライ……」ザブゥ

僧侶「もう上がってしまうのですか? お湯の心地をもっと楽しめばいいのに」

女勇者「向こうの方にも色々入れる所あったじゃないですかぁ。ずっとここに浸かって満足しちゃうの勿体ない!」

僧侶「ああ…なるほど」

女勇者「わーい! ……おおぅ」

女勇者「ここなんて凄そうじゃないですか。今宵もバッチリラブ温泉!」

僧侶「何ですかそれ?」

女勇者「お〜! 入ると肌の艶がよろしくなるそうで! しかものしかも!」

女勇者「さらに女が磨けるらしいですよ」

僧侶「入ると胸が大きくなるとッー!?」

女勇者「そこまでは書いてないけど……」

女勇者「とうっ!」ザブーン
932 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/09(月) 01:29:08.91 ID:3F4hY8MC0
僧侶「こーら、飛び込んだら…!」

女勇者「ぐにゃあぁ〜〜〜……」

僧侶「……?」

女勇者「しゅごぉ……こにょおんひぇん、しゅごぉ……」

僧侶「ど、どうしたんですか? 様子がおかしい」

僧侶「本当にここ入って大丈夫だったのかしら……?」チラ

女勇者「げへ、へへへ……おほほほ……」

僧侶(目に見えて明らかにおかしい!)

僧侶「すぐに上がってください! 変ですよ!」

女勇者「変〜…? 変かぁ…いしししっ……」

僧侶は女勇者を無理矢理温泉から上がらせた。

女勇者「あぁん! ま、まだぁー…入らせてぇ……」

僧侶「絶対変です! ほら、一度上がって部屋で休みましょう!」ぐいぐい

女勇者「ん〜……んん〜っ……!」
933 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/09(月) 01:30:12.93 ID:3F4hY8MC0
部屋


僧侶「よっこい、しょ!」ぽい

女勇者「きゃっ……」ボフン

女勇者「……もっと、優しくしてよぉ。そんなに急がなくても」

女勇者「私は逃げませんからぁ……へへへ」

僧侶「は、はぁ……」

僧侶「なんだか目が妙に潤んでいますね。もう横になってお休みになった方がいいですよ」

僧侶「勇者様と盗賊さんもお風呂へ行ったのかしら?」

女勇者「女勇者ちゃんダーイブ!!」

僧侶「え、ああっ!?」


どすんっ!


僧侶「い、いたっ……いきなり何を!」

女勇者「チュ〜〜〜……」

僧侶「ひぃー!?」

女勇者の攻撃!

女勇者「ん〜〜〜……ぷはぁ…ふふふ」

僧侶「あ、あ、あぁ……な、何て事を……!?」

僧侶「女の人にキスされてしまった……こんな、こんなの……」

僧侶「う…うぅっ…………」ポロポロ

どうやら会心の一撃だったようだ。
934 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/09(月) 01:31:02.94 ID:3F4hY8MC0
女勇者「僧侶さぁん…泣かないでぇ…」ぎゅっ

女勇者は妖艶な雰囲気を放っている。

僧侶「や、やめて……ダメです……」

僧侶「私たち仲間ですし、それに女同士なのに…いやぁ…」

女勇者「チュッチュ」

女勇者の連続攻撃!

僧侶「」ガクガク

女勇者「んぁ……か・わ・い・い」

僧侶(おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいぃ〜〜〜!!?)

僧侶「は、放してぇ! これ以上は本当にダメなんです! お願いっ」

女勇者「いいじゃないですか……ほら、勇者さんたちもいないんだし」

女勇者「それとも、見られていた方が興奮する?」

僧侶「そうじゃなくてー!!」

僧侶(やけに力が強い……! 手を振り払えられない……!)

女勇者「あー、もう我慢の限界!」

女勇者は僧侶をベッドまで運ぶと、押し倒して身に付けた衣類を脱がし始めた!

女勇者「ほいほい!」ヌガシヌガシ、ポイ!

僧侶「きゃああああぁ〜〜〜!?」

女勇者「はぁ、はぁ……へへへ、全部脱がしちゃったぞー……いひひひ…次は」

僧侶「ダメ…ほんと、いやぁ……」


がばぁっ!


僧侶「あっ…――――――――――――――」


2人の夜は長くなりそうだ。
935 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/09(月) 01:32:01.03 ID:3F4hY8MC0
一方、魔王たちは・・・。


オーナー「ゲームは簡単。このトランプを使用して」

オーナー「ポーカーをしましょう」

魔王「何だそれは? 余が知っている遊戯にせよ」

盗賊「ポーカーってのは配られたカードで役を作って競う遊びだぜ」

盗賊「簡単だが奥が深い……。ま、お前には一番向かないゲームってわけだ」

魔王「さり気なくバカにするな、クソ盗賊めが!」

魔剣『勇者ちゃん、攻撃ダメ!』

魔王「あぁ!? 盗賊に対してもいかんのかッ」

オーナー「ええ。攻撃、を許可していませんので」

オーナー「相手に対し傷つける様な行為は全て、この部屋において攻撃とみなされます」

オーナー「ル〜ルを破りたければお好きに。後の事は知りませんがねぇ?」

魔王「ゲス野郎であるッッッ」

魔剣『ホントだよー!』

盗賊(……ルールか。ただの、奴が行った横暴に過ぎんとは思うが)

盗賊(下手な真似は絶対にできない。俺がミスをすれば、その分僧侶ちゃんに危機が迫る)

盗賊(こいつの場合は命。つまり死ぬってワケだが)

盗賊「もし。もしの話だが、仮に勇者が負けて死んだ場合は蘇生する事は可能か」

オーナー「できてはつまらないでしょう。お馬鹿さんですね」

オーナー「私は魔王様の魂を頂くのです。魂無き肉体は蘇生なんて不可」

オーナー「それこそ上手くいったとして、それはアンデッドの類と変わりありませんよ。ほほほ…」
936 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/09(月) 01:32:57.03 ID:3F4hY8MC0
盗賊「だとよ」

魔王「余が負けるとかバカを申すなよォー!」

オーナー「ほほほ…。それでは簡単なル〜ルをご説明させていただきます」

オーナーが指をパチンッと鳴らすと、それぞれの手元にコインが現れた。

オーナー「10枚づつ、コインがありますね。これらを賭け合って、そちらの合計が私より上なら勝ち」

オーナー「少ない、または賭けるコインがなくなった場合は私の勝ちとなります」

魔王「よく分からんからさっさと始めろ」

盗賊「おいっ!?」

オーナー「では…コインを一枚、場へ出して下さい。なに、まずはどの様な遊びか理解していただく為ですよ。出しまし
たか? それではカードを次に配ります…」

さっ、さっ、さっ・・・

盗賊「裏で不正働く様な奴だ。まともにやって勝てる相手だと思うなよ」

魔剣『ここでもズルするってのー?』

魔王「貴様ッ! どうなのだ!」

オーナー「さぁ。私としてはゲームをどう盛り上げるか、それだけですね」

オーナー「どうぞ。カードを拝見していただきたい」

魔王「……ハートが描かれた札が揃っておるが?」

魔剣『きっと勝ちだよ〜』

盗賊「バカ! てめぇの手札をバラしてどうする!?」

魔王「余はこの遊戯を知らんと申したであろう!」

盗賊「あー……ダメかも……」

魔王「はぁ?」

オーナー「ほほほ…。魔王様、それはフラッシュという役になりますね」

魔王「光るのか?」

オーナー「光りませんね」

盗賊「〜……」
937 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/09(月) 01:33:38.83 ID:3F4hY8MC0
オーナー「その役が気に入らなかったり、役が揃っていない場合は」

オーナー「今、手に持つカードをチェンジする事が一度だけ可能でございます」

魔王「ふん、余はこのフラッシュでよい。さっさと勝敗を申せ」

盗賊「待て待て…! 俺がまだよくないぜ!」

魔王「あぁ? さっさとしろ、盗賊」

盗賊(こいつはもう当てにできん……。俺が、俺が頑張らなければ)

しかし、盗賊の手札にはまだワンペアしか揃っていない!

盗賊(勿論、ここはチェンジが妥当。ワンペアは保険で残して)

盗賊「3枚チェンジ」パシッ

オーナー「はい」さっ、さっ、さっ

魔剣『なんか難しそうなゲームだよぉ〜…』

魔王「…そもそも貴様が決めた遊戯で勝負というのが気に食わんのだ」

魔王「次は余に任させろッ」

オーナー「お断りです、魔王様。まだご自分の立場を理解なさられていないようで」

魔王「何ィッ…!」ドンッ

盗賊「落ち着け! いい、勝てばいいんだぜ…勝ちゃあよぉ……」

盗賊「始めな」

オーナー「ほほほ…。それでは!」
938 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/09(月) 01:34:14.37 ID:3F4hY8MC0
盗賊「俺はスリーカード。そして、勇者がフラッシュだぜ」

魔剣『強そうなのいっぱいだから勝ったかも!』

魔王「もう終わりか? 随分とあっけない勝負であった」

盗賊「賭けに出したコインがまだ互いに一枚だぜ…勝っても終わりじゃねぇ」

オーナー「ええ、その通りでございます。さ、私はブタ。役無しでございます」

オーナーはコインを2枚渡した。

魔剣『アイツに残ってるコインはあと8枚! この調子なら楽勝だよね〜!』

盗賊「それを判断するにはまだ早いがな。ゲームは始まったばかりなんだぜ…」

オーナー「その通り! ゲームはどう進行するかわからない。だから、面白い」

魔王「ふん、ぬかしておれよ。貴様が顔面蒼白になって余に許しを請う未来は既に見えておるのだ」

オーナー「さぁ、それはどちらがその立場になるでしょうか…。次です」

オーナー「賭けに出すコインを」

盗賊「……一気に勝負をつけてしまうには、まだ奴の得体が知れなさすぎる」

盗賊「何より、コインのこの少なさ! 慎重に行った方が無難だぜ、勇者」

魔王「面倒だから貴様に任せた。勝手にコインを取って出しといて」

盗賊「そうさせてもらう……」

盗賊(勇者と俺の残りコインを合わせて、現在22枚。余裕はまだある)

盗賊「4枚出させてもらう」

オーナー「あら、小さい人ですねぇ。面白くありません」

オーナー「……ギャンブルは、こうやらなくちゃ!」ドンッ
939 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/09(月) 01:35:31.21 ID:3F4hY8MC0
オーナーは残りのコイン全て、8枚を出した!

盗賊「!!」

魔剣『あーあ、アイツきっとバカだよ! 負ける気満々だぁ』

魔王「つまらん勝負であったなァ…くく!」

オーナー「まだ勝負は着いていませんよ。魔王様」

オーナー「あ、そちらの方。別に負けたら倍で出すようなル〜ルではございません」

盗賊「あぁ…!?」

オーナー「こちらは8枚出しました。つまり、そちらが負けた場合8枚渡してくれれば良いだけですよ。特定の役を作って
も倍無し。ね、安心でしょう?」

盗賊「……まるで子供のカード遊びだな」

オーナー「魔王様に複雑なル〜ルはこれ以上は可哀想だと思いましてねぇ」

魔王「奴が何を申しているかは理解できんが、バカにされた事だけは理解した…」

魔王「さっさと次のカードを配れ! 負かしてくれるわッッッ」

オーナー「はい。それでは…」

さっ、さっ、さっ・・・

盗賊(随分と優しすぎる。だが、ここで仮に奴が勝ったとしたら…残りは14枚)

盗賊(あまりにも単純すぎるが、一気に蹴りを着けるには十分すぎるゲームって事か)

オーナー「では、カードを拝見してください」
940 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/09(月) 01:36:32.25 ID:3F4hY8MC0
魔剣『勇者ちゃーん。次はどんな感じー?』

魔王「あ? 今度は…」

盗賊「だから喋ってバラすな! こっちに見せてくれればいいっ!」

魔王「ふん、盗賊のくせに〜……ほれ」

盗賊「!」

盗賊「お前は…チェンジなしでいい。それでいけ!」

魔王「またかァ? そろそろ余もチェンジとかしてみたいのだ」

盗賊「そんな事して今の役を崩してどうするんだぜ! それがイイんだっ!」

魔剣『盗賊ちゃんがこれでいいって言ってるんだし、いいんじゃない? 勝てるよ〜』

魔王「盗賊の判断が正しいとは思えんがな」

盗賊(いや、正しいに決まっている。こいつが出したルールは単純にそれなりの役を作っておけば安牌だ)

盗賊(だがこいつの引きの良さはいいっ…! フォーカード…十分それなら勝てるぜっ…!)

盗賊「2枚チェンジ!」

オーナー「はい」さっ、さっ

オーナー「そろそろ、宜しいですかな?」

盗賊「ああ。かかってきな…」

オーナー「では〜!」
941 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/09(月) 01:38:10.31 ID:3F4hY8MC0
盗賊「ぶっっっーーー!」

魔剣『どしたの? 勝てた? もう勝った?』

魔王「そうに決まっておろう。ほれ、さっさと貴様のコインを渡せ」

オーナー「いいえ、魔王様。渡して頂くのは貴方様たちの方でございます」

オーナー「きっちり8枚。いただきましょう」

魔王「あぁ!? どういう事か、盗賊!」

盗賊「8枚、渡す……っ!」ドンッ

魔剣『ええぇ〜〜〜!?』

オーナー「ほほほ…。驚く事でもないでしょう? ゲームは何があるかわからないのですから」

盗賊「……よく言うぜ。平然と出せた役かよ、ロイヤルストレートフラッシュが!」

魔王・魔剣「『ん? んー?』」

オーナー「良かったですね。普通なら倍の倍でコインを頂くところですが…」

オーナー「ル〜ルに助けられましたね。あ、それ」ドンッ

オーナーはコイン16枚を場に出した!

盗賊「!?」

オーナー「宣言します。次に私はストレートフラッシュを作って出します」

オーナー「必ずでございます。貴方様方はこれ以上の役を作るか、同じ役を作る事でしか」

オーナー「ゲームを続けられませんので。あしからず」

魔王・魔剣「『……?』」

盗賊「冗談じゃねぇ……!」
942 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/09(月) 01:39:27.78 ID:3F4hY8MC0
ここまで。950レス越えた辺りから次スレの事を考えよう、そうしよう
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/04/09(月) 01:43:24.98 ID:PmwyLRf8o
乙・・・
温泉パートがひたすら気になって、カード勝負なんか目に入らなかった

なんてことはないんだぜ!
なんてことはないんだぜ!!
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/09(月) 02:13:26.95 ID:v7lhVNgi0
インチキ・・・!
インチキ・・・!
極悪非道!!
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/04/09(月) 02:19:50.98 ID:3LqaQtLYo
乙乙!
なんて鬼畜なんだ
イカサマダメ、絶対。
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/04/09(月) 02:27:51.96 ID:K71okg93o
これってさ逆に考えれば良くね?
お疲れ様
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/09(月) 03:10:37.29 ID:yG5NKciS0
乙!
…あの、僧侶ちゃんたちの方も期待しといていいよね?
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/09(月) 04:37:11.40 ID:v17yY/qIO
話には影響しないが、このルールだと全ベットしかないな
それはともかく乙
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/09(月) 07:41:41.69 ID:7DksfrUIO
おつんぽみるく
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 01:01:12.82 ID:cP7cOYyDO
とりあえず温泉に戦士を召喚しようぜ
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 01:27:03.66 ID:/cMaKRII0
>>950
アッー!・・・・・・ではないか。むしろエロ同人展開かね
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 21:20:37.86 ID:d7l7WAwDO
2回戦目、全ベットしたら
相手のコイン不足で
勝ちだったんじゃまいか?
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/04/10(火) 22:51:24.38 ID:kZo/1xvmo
賭場から借りる、と言う手で逃げられるんじゃないか?
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/11(水) 08:40:04.44 ID:Mxkr6P1SO
>>952

いや相手のコイン数までしか賭けられんだろ
955 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/11(水) 23:57:15.42 ID:bDKTBND00
魔王・盗賊、残りコイン数14枚ッ!!

盗賊「奴がイカサマを働くつもりなのか、ただ自信があっての宣言なのかはわからんが」

盗賊「確実に前者に違いねぇぜ…! 気持ちがいいくらい汚ねェ野郎…!」

魔剣『これってこの勝負で2人がなんとかって役を越えなきゃダメって事?』

盗賊「最悪引き分けにするにしてもストレートフラッシュを狙って出すのは容易じゃねぇ」

盗賊(ま、負ける……このままじゃ……僧侶ちゃんが……っ)

オーナー「こちらのコインは既に出した。さぁ、貴方たちも」

オーナー「それとも負け、を認めますか? 良いのですよぉ? 私が勝つ事は決まっていますし」

盗賊「馬鹿にしやがって…」

魔王「どうした。早くカードを配れ」

盗賊「は? お前、何言って」

オーナー「ええ。配りますとも、魔王様。既に賭けコインを提示されている様ですしね…」

盗賊「!」

魔王はコイン14枚、残りコイン全てを賭けた!

オーナー「流石は魔王様でございます」

魔王「誉めても何もでぬぞ」
956 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/11(水) 23:58:18.84 ID:bDKTBND00
魔剣『大丈夫なの〜!?』

盗賊「おい、良く考えろ! そんな勢いでどうにかなる事じゃないんだぞ…!」

魔王「どのみち全てのコインを場に出すしかあるまい。仮に次のゲームで奴に敗北した場合、終わる」

魔王「盗賊貴様、何を怖気づいておる? この程度で動揺していては勝ち目など最初からないである」

盗賊「えっ…?」

魔王「堂々としておればよいのだ。奴を見てみよ、ムカつくが先程から余裕満々の笑みを浮かべてばかり」

オーナー「ほほほ…」

魔王「余は見下される立場ではない。見下す立場でなければならぬ!」

魔王「ならばこちらも余裕満々の笑みで返すだけよ。ふっはっはー!」ニヤニヤ

盗賊「心臓に毛でも生えてやがんのか」

盗賊(……だが、こいつの言う事も一理ある。脅えていては奴の思うがままだ)

盗賊(余裕っ……! 余裕を持つんだ……!)

盗賊「」ピク、ピクピク

魔剣『盗賊ちゃん。顔引きつってる、引きつってる!』

オーナー「……お話は済みましたか? では」

さっ、さっ、さっ・・・

オーナー(ふんッ、相変わらず気に食わない男。だから嫌いだよ、お前だけは)

魔王「どんと来ーいッ!!」ニヤニヤ

オーナー「……」ニコニコ
957 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/11(水) 23:59:28.36 ID:bDKTBND00
オーナー(勝ちは見えている。私の勝ちはね……)

オーナー(だが、魔王は負けェーーーーーーッッッ!!!)

オーナーの手元には、既にストレートフラッシュの役が揃っている!

オーナー(奴らの手に渡るのは精々ワンペア程度。チェンジしたところでツーペア止まり)

オーナー(もしくはブタが出来あがるだろうさ)

オーナー(まさに絶望…! どう足掻こうが、絶望の未来…!)

さっ

オーナー「カードの拝見を」

魔王「うむ」

魔剣『勝てる感じ〜……?』

魔王「盗賊、余の手札を確認するのだ」

盗賊「ああ…」

盗賊「……っ!」

魔王「どうだ?」

盗賊は無言で首を横に振った。

盗賊(予想通りすぎて笑えてくる。俺の手札には来た時点でワンペアが1つでき上がっているが)

魔王「チェンジとやらを試す。文句はあるまい」

盗賊「待て、少し耳貸せ……」

魔王「あー?」
958 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/12(木) 00:00:43.98 ID:6sXC93UV0
盗賊「絶望的な展開でこそ、奴が調子に乗っているはずだぜ」

盗賊「……つまり、油断が生まれる。なんせ自分は余裕の立場なんだから」

魔剣『何が言いたいのぉ?』

盗賊「奴のイカサマにも、どこか穴があるかもしれない……」

オーナー「ありません。完璧でございます。油断の一つもしていませんとも」

盗賊「うっ!?」

魔剣『き、聞いちゃダメだよー!!』

オーナー「ほほほ…」

盗賊「……」

魔王「盗賊よ」

盗賊「何だ…?」

魔王「貴様、結構息が臭い。歯はしっかり磨いておるか? 胃が荒れておるのか?」

盗賊「黙れぇ!!」

盗賊「今はそんな事は関係ないだろーが! 馬鹿か!?」

魔王「馬鹿って申した方が馬鹿である!」

盗賊(あー…やっぱりダメだ、負けるぅ……)
959 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/12(木) 00:02:13.71 ID:6sXC93UV0
魔王「しっかり受け取れ」

魔王は手札を全てオーナーに放り投げた!

盗賊「お、おい!?」

オーナー「むっ…カードは大切に…。私の大切な道具の1つですので…」

魔王「全部変える。さっさとチェンジせよ、髭」

オーナー「……髭とは、私の事で?」

魔王「早く」

魔剣『全部交換してまた揃わなかったらどうするの?』

盗賊「偶然揃ったとしても大した役は期待できん。お前が今噛ましたのは……」

盗賊「自殺行為に等しいぜっ……!」

魔王「余は余が持つ運を信じる事にしたのだ。たった1つ、それだけをなァ!」

オーナー「愚かです、魔王様。これ程とは思いもしませんでしたよ」

オーナー「やはり貴方様は魔王の座に居座る方ではない。ただの馬の骨」

オーナー「いえ、それ以下。屑でございまーす!」

魔王「言ったな……?」

魔剣『あわわわわっ……』

盗賊「攻撃はよせ! 余計な事して自分を追いこんではっ…!」

魔王「では、貴様はその屑にこれから負ける。そうしたら」

魔王「屑以下の存在として、余の記憶に刻み込んでおこうか…」ニヤニヤ

オーナー「……」ニコニコ
960 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/12(木) 00:03:40.12 ID:6sXC93UV0
魔王「くだらん前戯はここまで。さっさとカードを5枚寄越せ」

オーナー「無駄な足掻きを」

オーナー(見なくても結果は知れている。私が勝ち。それで終わり)

オーナー(それにしても、追い込まれて自棄になるとは。魔王、ゲームに向いていない性格ッ!)


す・・・


魔王「おう、そのカードを捲ってみるがよい」

オーナー「……は?」

魔王「余がそのカードに書かれた数字と絵を当てて聞かせてくれる」

魔剣『勇者ちゃん?』

盗賊「いきなりどうしたってんだ…時間稼ぎなんて無意味だぜ…」

オーナー「その通り。くだらないですね」

魔王「よいからさっさと……恐らくは、スペードのK…13か。それである」

オーナー「……」

魔王「どうだ?」

オーナー「お見事でございます。確かにスペードのK。ほほほ…」
961 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/12(木) 00:04:57.25 ID:6sXC93UV0
魔剣『勇者ちゃんすごーい! 当たったんだよー! すごいよぉー!』

魔王「当然であるッ」

オーナー「偶然仰ったカードが当たった程度で良い気になられては困りますよ」

魔王「ほう、偶然? 偶然だと貴様は思うか」

オーナー「は?」


さっ・・・


魔王「このカードはスペードの10」

魔王「盗賊、確認してみるがよい」

盗賊「……」

盗賊「……当たってる、ぜ!」

オーナー(こいつ、何を突然……まさか透視の力などは持ってはいないだろうな)

オーナー「ほほほ…。お見事、お見事」


さっ・・・


魔王「それはスペードのJ。盗賊」

盗賊「正解だ……。どうしたんだ、お前?」

オーナー「……え?」
962 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/12(木) 00:06:29.82 ID:6sXC93UV0
魔剣『三連続大当たりぃ〜!! 勇者ちゃん素敵だよー!』

魔王「喧しいッ」

魔王「……さぁ、残り2枚。早く渡せ」

オーナー(3枚連続でカードを当てるだと? 馬鹿な、まぐれに違いない。まだまぐれの粋だ)

オーナー「まさか、残る2枚のカードも言い当てる気で?」

魔王「早く渡せ。ほら、早く」

オーナー「……」ニコニコ


さっ・・・


魔王「スペードのQ」

盗賊「……まただ」

盗賊「また当たっている! 12だ、確かにスペードの12がッ!」

盗賊「……おい、この流れってまさか。まさか……」

オーナー(!?)

オーナー(ただの…偶然…。違いない…まぐれ…。そんな、確かに奴はカードの束に触れていないのだ…仕込むなんて…
いや…ありえない…ありえないのだ…)

オーナー「ほ、ほほ…。お見事…」

魔王「どうした。顔が引きつっておるぞ?」

魔王「何かマズイ事でも起きたか、髭」

オーナー「……」
963 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/12(木) 00:08:05.23 ID:6sXC93UV0
魔王「最後の一枚を貰おうか」

オーナー「はっ……」ポロッ

オーナーは最後のカードを配る前に落としてしまった。

魔王「残るそれは、スペードのA」

魔王「貴様自らが確認してみせよ。最後の一枚を」

オーナー「……は、は」ス…


オーナー「ハアアァァァァァ〜〜〜〜〜〜ッッッ!!?」


それは、スペードのA! 魔王は全てのカードをバッチリ言い当てたッ!

オーナー「あ…あは…あぁあ…はは……」

盗賊「…マジだ。最後のも当たってる! 全て当たっているぜ!」

魔剣『勇者ちゃんすごい、すごーい!!』

魔王「まぁ、ただ思った物を申しただけだがなァー!」

オーナー「が、が、が……」

魔王「勝負だ、全てのカードは揃い終えた」

盗賊「こっちは勇者のロイヤルストレートフラッシュ! ビギナーズラック…! これで勝負だぜ」

オーナー「……うが?」

オーナーは予告通りのストレートフラッシュだった。

盗賊「見事だな、予告通りだぜ。なぁ?」

盗賊「こっちにメダルを14枚渡しな」

オーナー「……ふざけるな」

魔王「ん〜?」

オーナー「そんなわけが…あってたまるか…これは、ない…ッ」

オーナー「あり得ないッ!! 魔王、貴様イカサマをしたのだなッーーー!!」
964 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/12(木) 00:09:33.46 ID:6sXC93UV0
魔王「ふん、余はルールすら知らんのだぞ。役とやらも」

魔王「それでイカサマが可能か? 決まっておるわ、不可能である」

魔剣『認めろ〜!』

オーナー「イカサマっ……! イカサマぁぁぁっ……!」

盗賊「負け犬の遠吠えってヤツか。まだ勝負は着いてないだろ、次のゲームをしようぜ…」

オーナー「NOッ!! 断じてNO〜〜〜!!」

オーナー「私は貴様のそのカードを認めない! 認めなァーい!」

魔王「貴様が直々に配ってくれたカードであろうが。確認もした筈」

オーナー「そういう問題ではない…! 行くはずがないんだ…そんな役が…できるはずがないのだっ…!!」

盗賊「その発言はてめぇが自らイカサマを働いていたと認めた事になるな?」

オーナー「ぐううぅぅぅ……!?」

盗賊「よぉ、イカサマ野郎。息してるかよ…くっくっく」

魔王「このゲームは余の勝ち! 貴様は屑以下へ近づいたぞ」

魔王「さっさと落ちてくたばってしまえッッッ」

オーナー「ハアアァァァ〜〜〜!?」

オーナー「くたばるのは貴様だ、魔王ッ! 死ねェッー!」

魔剣『勇者ちゃん!』

オーナーの攻撃!


\ルール違反! オーナーはペナルティを受けるッ!/


オーナー「…………えっ?」

魔王「ル〜ルとやらは貴様自身にも適用されるというわけか。マヌケめ」

オーナー「NOォーーーーーーッッッ!!?」
965 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/12(木) 00:11:27.10 ID:6sXC93UV0
今日はここまで。次スレは次回の投下終わり次第立てることにしよう
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/12(木) 00:47:15.05 ID:THSrbOySO
乙です
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/12(木) 01:00:32.69 ID:KicINZf90
すげぇスッキリしたwwwww
968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/04/12(木) 07:24:21.10 ID:b6dH8qhco
さすが魔王さん
某鬼畜王ラン○さんの上前をハネる勢いやでww
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/12(木) 08:00:56.47 ID:vgfMhqxIO
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/12(木) 17:37:45.70 ID:6MHynAJjo
魔法もつかえない魔王が一体なにをしたんだ⁉
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/04/12(木) 19:23:42.12 ID:47qoQ8bC0
1乙!魔剣ちゃん可愛いよ魔剣ちゃん
続き待ってる〜
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/12(木) 19:57:09.08 ID:YTe5vrrIO
魔王は姿変える魔法をずっと使っている→完全に魔法が使えないわけではない
そのうち回復してピンチの時に使えるようになるか回復方法を見つけるさ
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/13(金) 22:29:17.67 ID:BawCHqTc0
微妙にジョジョっぽく感じてしまうのはなんでだろ・・・www
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/04/14(土) 20:09:58.60 ID:0S0BGx4Wo
乙乙!
975 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/15(日) 04:02:54.08 ID:6yhW2miI0
暗黒騎士(全く世話が焼ける。俺に感謝してもらいたいところだが)

暗黒騎士(その分、伯父上が俺を…誉めてくれる…!)

暗黒騎士(しかし偽勇者め。デタラメを答えたりして…俺が手助けしていなければ恥を掻いていたところだぞ…)




暗黒騎士「偽勇者の手助けだと?」

『そう。ちょっと聞いてる限りそいつらに勝ち目なさそうだからね』

『あーちゃんの魔法なら奴らに悟られる事もないっしょ』

暗黒騎士「しかし!」

『いいから。ね? おじさんのお願いよ』

暗黒騎士「うっ……ズルイ……!」

暗黒騎士「……確かに俺の魔法なら感知される事なく結界の中へ干渉できるが」

『でしょう? いいじゃない、インチキにはインチキで対抗しちゃってさ』

暗黒騎士「奴らを勝たせる意味がわかりません……! ここで朽ち果てさせてしまえば」

『いやいや、それじゃあちょっと都合が悪いのよ。ここで消えて貰っちゃ困る』

『魔王にはね』

暗黒騎士「は……?」

『こっちの話さ。気にしないでくれよ』

『とにかく、任せた』ブチッ

暗黒騎士「伯父上…何を…」




暗黒騎士(俺は伯父上が好きだ…好きだが、わからない)

暗黒騎士(何故あの男を気にするんだ?)
976 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/15(日) 04:03:41.83 ID:6yhW2miI0
オーナー「こんなル〜ルは認められない! 許可しないッーーー!!」

盗賊「てめぇが作ったルールだろう。認めな」

オーナー「断じてNOッ!!」

オーナー「……認めん、認めんぞ。私は」

オーナー「このゲームは無しだ…ノーカウント…は、ははは…」

盗賊「あぁっ!?」

魔剣『こいつ何言ってんのー!』

盗賊「ふざけんな! イカサマ野郎!」

オーナー「黙れェ〜〜〜〜〜ッッッ!!!」

オーナーの体が徐々に変体し始めた。

魔王「漸くだな、いつまでその姿で通すつもりかと思っていたところだぞ」

オーナーは よるのていおう だった!

夜の帝王『バアアァー!』

魔剣『あれ、想像してたより……?』

盗賊「そうだな……」

夜の帝王『我が名は夜の帝王。この名は伊達ではないぞ…私は夜を支配するのだ…』

魔王「やはり見覚えないな。こやつ」

夜の帝王『縮めて夜王とでも呼ぶがいい』
977 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/15(日) 04:04:23.49 ID:6yhW2miI0
魔王「さて、正体を晒したところで…倒してしまうとするか」

夜王(夜の帝王)『まだだ! まだゲームは終わっていなァーーーい!!』

魔王「往生際が悪い奴め! 貴様のゲームとやらは懲り懲りである!」

夜王『ふん、お子様ですねぇ。ポーカーは止めだ…またイカサマされてしまうかもしれないし』

魔剣『イカサマしてたのはそっちでしょー! ズルイよそんなの!』

盗賊「ああ、納得がいかないぜ。勝手言ってんじゃねぇ」

夜王『いいですか。ここでは私がル〜ルといっても過言ではない…』

夜王『私が無しと言ったら無し! ノーカン!』

盗賊「この野郎っ…!」

魔王「まぁ、待て。盗賊よ」

盗賊「しかしだなっ!」

魔王「余は奴を地の底まで追い込む事にした。奴のプライドをズタズタに裂いてくれるのだ」

魔王「構わんな? 雑魚よ。貴様のル〜ルに従ってやっているのだ、嫌とは言わせぬぞ」

夜王『ふん、やれるものならやってみなさい』
978 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/15(日) 04:05:04.78 ID:6yhW2miI0
夜王『ただし、地の底へ落ちるのは魔王! 貴方のほうですよ。ほっほっほ…!』

盗賊「すっかり調子戻しやがって……おい、油断だけは禁物だぜ」

盗賊「奴は今かなり慎重になってる。てめぇがさっきどうやってロイヤルストレートを出したか知らんが」

盗賊「次のゲームとやらはどうなるか…」

魔王「どうにかなる。そして余が勝つに決まっておるのだ」

魔剣『だーよねぇ〜』

魔剣『勇者ちゃんがこんなヘンテココウモリに負けるわけないよ』

夜王『それはどうでしょうかね』

夜の帝王が目をカッと見開く! 空間が歪み、真っ暗な大部屋に舞台は移った!


魔王「あ、あ、あ……?」


魔王「暗いッ!!! 暗いぞこの部屋ッ!!!」

魔王「灯りを…灯りを早く灯すのだ!!」

魔剣『大丈夫だよ〜。暗いの怖くないよ、僕が一緒だよ〜、勇者ちゃんー』

魔王「うぎゃあああああぁぁぁぁッッッーーーーーー!!!」

魔剣『〜……』

盗賊「おい、うるせぇぞ! 落ち着け!」

魔王「とととと、盗賊っ…!? 何処だ、何処におるのだ…!?」

夜王『ほほほ…。愉快な光景ですねぇ』
979 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/15(日) 04:05:45.49 ID:6yhW2miI0
盗賊「野郎、遊んでやがるのか…! どこへ消えた!」

夜王『すぐ目の前でございますよ』ずん

盗賊「!?」

夜王『漸く目が慣れてきましたか。どうです、魔王様? この心地が良い闇は』

魔王「」

魔王は落ち着いて返答できるような状態じゃない!

魔剣『お前ずるいよー! 勇者ちゃんが暗いの苦手だからってこんなの!』

夜王『星々の輝きが無ければ、この世界の夜の闇は丁度これぐらいなのです』

夜王『いいでしょう…落ち着くでしょう…夜って…。ねぇ?』ニコニコ

盗賊(あの様子、奴は勇者の弱点を知ってやがるのか。この状態で変なゲームでも始められたら……)

夜王『魔王〜、私はこちらですよ〜……ほーら、手のなる方へ』パンパン

魔王「ふ…ふんッッッ!!!」

魔王の攻撃!

夜王「おマヌケでございますねぇ…」


\ルール違反! 魔王はペナルティを受けるッ!/


盗賊「バカ、何してやがる!?」

夜王『残り1回。ル〜ル違反した場合、わかっていますね…?』

魔王「早く! 灯り!」

夜王「ほほほ…。そうですねぇ、少し遊びが過ぎてしまいました」

大部屋に灯りが灯された!
980 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/15(日) 04:06:17.49 ID:6yhW2miI0
魔王「はぁ、はぁ…………貴様ァ!!」

夜王『闇は楽しめましたかな?』

夜王『あのまま、貴方の自爆を狙ってもこちらとしては良かったのですが』

盗賊「どこまでも汚ねぇ野郎だぜ…!」

魔剣『勇者ちゃんにあやまって!』

夜王『お断りしますよ。ほほほ…』

魔王「絶対殺す……確実に殺してやるである……!」

盗賊「…それで、次のゲームとやらは?」

夜王『ええ。カードは、止めましょう』

夜王『これです』

夜の帝王は大きなサイコロを出した。

盗賊「サイコロ…? それで何をする」

夜王『すごろくでございます』

盗賊「……は?」

夜王『ほほほ…』ニコニコ
981 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/15(日) 04:08:17.18 ID:6yhW2miI0
金持ち屋敷エリア


「なぁにあの人、淫らな恰好しちゃって」「我々の土地に踏み入って欲しくないものだ」

「しかし、どうしてあの様な奴がこのエリアに?」「誰かが連れ込んだ娼婦だろうか」

女戦士「……」

女戦士(父上、母上。変わりはないだろうか)

女戦士(無理を通してこの家を出た身だ。今さら顔を出すわけにもいくまい)

屋敷からは楽しげな声が聞こえてくる。

女戦士「……」

女戦士「ふっ、あの人たちの幸せは私の幸せだろう。私の居場所は消えた」

女戦士(違う。消したのか、私自身で)

女戦士(ならばこの身が真に果てる時まで私は私にできる事を)

女戦士の体は限界に近い。

?「もってあと3日と言ったところだな。愚かな死人め」

女戦士「……」

?「俺の事は知っている筈だ。そうだろう?」

女戦士「さぁ、見覚えのない顔だな。生憎、私には魔力を見極める事も嗅ぎ分ける事もできない」

女戦士「だが魔物の気配程度には気がつける」

女戦士は剣を抜くと?に突きつけてみせた!
982 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/15(日) 04:09:10.48 ID:6yhW2miI0
?「悪いが争いに来たわけではないぞ…。話を少し」

女戦士「得体の知れない者の話には耳を傾けない主義なんだ」

女戦士「人間に姿を変えた魔物という時点で関わりになりたくはない」

3「……ふん、ウザったい人間め。いいか、俺は3だ」

3「貴様の知っての通り、魔物よ」

女戦士「聞き覚えがない名だが」

3「……元三魔官の3だ」

女戦士「二度も言わせないでもらいたい」

3「とにかく俺は3だッ! いいか、話を聞け!」

女戦士「聞くだけなら」

3「や、やっとか……いいか、貴様は既に腐り果てようとしている」

女戦士「ああ、その様だ。それがどうした」

3「まだ貴様も朽ちてしまいたくはないだろう。良い話がある」

3「俺に協力しろ。ただそれだけでお前はまだこの世にいられる」

女戦士「全くもって胡散臭い話だよ、それは」

女戦士「説明が不足し過ぎている。それで協力を求めるのは実に滑稽」

女戦士「馬鹿馬鹿しい」サッ

3「待てぇ! 貴様死にたいのか!」

女戦士「さぁ。既に死んだ身だからな」すたすたすた…

3「は、話が分からない奴だな……」
983 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/15(日) 04:09:53.65 ID:6yhW2miI0
武闘家「ちょっと泥棒ー。まだ用済まないわけー」

3「ええいっ、黙っていろ! 勝手に着いてきた身で我儘言うな!」

3「そもそもお前どうやってこのエリアへ入り込んだ!」

武闘家「お父さんが中にいるって言ったら簡単に入れてくれたわよ」

3「ガキめぇ……」

女戦士(あの魔物、人間の娘を連れて歩いているのか)

女戦士「それはお前の趣味なのか」

3「何っ!?」

武闘家「え、マジ…?」

3「だからお前が勝手に着けてきたんだろッー!」

武闘家「ロリコンー、変態ー、泥棒ー」

3「うぅ……もう嫌……こんな筈じゃなかったのに……」

女戦士「ご愁傷様。私には関係のない事だ」

3「頼む……頼む……! お前がいれば俺は百人力なんだ……!」

3「1を倒すにはお前のその卓越した戦闘センスが必要で……」

武闘家「そんな強いの? このエッチな女が?」

女戦士「腕には自信がある方だな」

武闘家「どうだか! きっと私の足元にすら及ばないわね!」

女戦士「では、試してみようか。お嬢さま」

武闘家「へ?」
984 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/15(日) 04:10:33.95 ID:6yhW2miI0
気がつくと、武闘家は女戦士によって地に伏せられていた!

武闘家「えっ……」

女戦士「これでも手は抜いたつもりだが。どうかな、まだ減らず口を叩くか」

武闘家「こ、こんなか弱い女の子に何マジになって……」

女戦士「個人的にね、生意気なガキというものが嫌いなんだ」ジロリ

武闘家「ひっ!」

女戦士「口は災いの元だ。お嬢さま」

武闘家「あ、あ…………」

3「……やはり、やはりだ」

3「お前が消えてしまうのは惜しい。俺はお前が欲しいぞ!」

女戦士「遠慮しておこう。これ以上魔物と関わり合いにはなりたくない」

武闘家「私もこれ以上こいつと関わり合いたくないわ!!」

女戦士「だそうだ」

3「こいつは関係ない! 俺は諦めんぞ!」

女戦士「あ……」


〜『僕はお前の事を諦めないさ。お前がこっちを向いてくれるまでずっとだ!』〜


女戦士(勇者……?)

3「お前の力が気に入ったんだ! ここで逃すわけにはいかん!」

女戦士「……そうか」
985 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/15(日) 04:11:15.97 ID:6yhW2miI0
武闘家「早く行こうってば!」グイグイ

3「いいや、一歩も動かない……! こいつが首を縦に振ってくれるまで」

武闘家「絶対にそんなのあり得ないから!」

「アイツら何なんだ」「ギャーギャー喚いて。これだから貧民は」

武闘家「ほら、人も見てるんだから!」

3「構わんッ!」

武闘家「バカじゃないのー!?」

女戦士「それには私も同意せざるを得ないな」

女戦士「何を企んでいるかわからないが、私はお前程度に扱える代物ではない」

3「扱わせてもいないくせに適当言うな!」

女戦士「変態……ふふっ」

女戦士「気持ちが変わった。お前たちに着いていこう」

3「おおおォ〜〜〜!!!」

女戦士「ただし、お前を見張るという題目でだ。怪しすぎる」

女戦士「この3日間で見極めてくれようじゃないか」

3「何でもいいっ、俺に着いて来いっーーー!! ははははぁー!」

武闘家「……本気で言ってんの」

女戦士「ああ、君の事も気になるしね」

女戦士「お嬢さま」

武闘家「きぃー! ムカつくー!」
986 : ◆KzQg0Q/KK6 [sagesaga]:2012/04/15(日) 04:24:21.93 ID:6yhW2miI0
ここまで
次スレ立てちゃった。URLからどうぞー!

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1334430808/#footer
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 06:03:06.73 ID:HoVPY3TDO
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 08:36:03.66 ID:IwO2OXy00
乙!次スレも追いかけるぜ
女戦士すき
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/15(日) 17:44:19.30 ID:aPj8h1bjo
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/18(水) 22:24:16.05 ID:jwclbdm80
埋めようか
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/18(水) 22:33:14.82 ID:/gTyC3rDO
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/19(木) 00:11:17.05 ID:Cs9v3+QDO
うめ
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/19(木) 07:53:09.98 ID:rGBIjzfr0
ほい
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/19(木) 07:54:20.46 ID:O+tven2IO
ふむ
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