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とある恋の懺悔室 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/29(日) 08:26:07.35 ID:Pjn7O8BR0
 『注意』

 このスレは、
 土御門元春「第四次世界大戦……だと? 俺の出番か」http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1326645493/
 御坂『あいつと白いシスターが付き合っちゃったから安価で誰かと付き合う』http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1324480128/
 の前日談です。

 しかし、この二つを読まなくても普通に理解できるので、読まなくても大丈夫です。

 また、このスレは安価ではありません。

 というわけで、よろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1327793167(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/29(日) 08:29:55.04 ID:Pjn7O8BR0








 好きな人がいる。






 心の底から大好きで、誰よりも好きな人がいる。

 いつもいつも背中を追いかけていたけど、決して届くこと無いあの背中。

 誰よりも優しくて、どんな人間でも助けて来た、偉大な背中。

 私はあなたのことが好き。

 だけど――あなたは私のことをどう想ってくれてるんだろう?

 多分、『好き』っていうかんじょうは無いんだろうね。

 だって、あなたは優しいから。

 あなたが誰かを好きになったら、それ以外の人が悲しむものね。

 だから私は身を引きます。

 あなたにとっての最高の家族であり続けても、恋人にはならないことを――こっそりと誓いましょう。

 だから、あなたは幸せになってね。

 私はあなたのことをこっそりと守ります。

 あなたは、私のことを救ってくれたのだから。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/29(日) 08:33:52.39 ID:Pjn7O8BR0

 第一話 〜懺悔室と神父とタバコと〜

 イギリス、ロンドン。

神裂「ステイル、最大主教からの連絡です」

ステイル「む、またあの雌ギツネからか」

神裂「学園都市に生き、アレイスターに定時連絡をしてこい、ということです」

ステイル「はぁ、あのフラスコの住人とまた会わなきゃいけないのか……」

神裂「ま、いってらっしゃい、ステイル」

 そういって、神裂は分厚い書類の束をわたすのだった。

ステイル「それじゃあ行ってくる」

神裂「いってらっしゃい」

 そうい言いながらステイルはタバコに火をつけ、今いる建物から出て行った。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/29(日) 08:41:16.85 ID:Pjn7O8BR0
 学園都市、窓のないビル内部

アレイスター「定時報告ご苦労様だ」

ステイル「全く、電話会談とかで済ませればいいだろうに」

アレイスター「ふふ、世界はいま平和になったからな」

 そんなことを言いながらアレイスターはフラスコの中から貞子のように出てきた。

 そう――世界は今平和になった。

 『英雄』と呼ばれる三人の人間。『幻想殺し』上条当麻。『学園都市最強』一方通行。『世紀末下っ端HAMADURA』浜面仕上。

 この三人の活躍によって、世界の平和を脅かす『フィアンマ』『アレイスター』『グレムリン』などは全て排除され、超能力者も魔術師も平和を謳歌していた。

ステイル「で、なんで貴様はフラスコからニョろりと出てきてるんだ?」

アレイスター「いや、ちょっとステイると飲みにいこうかと」

ステイル「はぁ……言っておくが、ぼくはザルだよ?」

アレイスター「大丈夫だ、私は蟒蛇だからな」

 そう言いながら、ステイルはアレイスターと一緒に飲みにいくこととした。

 考えてみれば不思議なものだ。

 このアレイスターにしろ、この間一緒に食事にいったフィアンマにしろ、元々は殺し会うような仲だったというのに――。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/29(日) 08:49:06.82 ID:Pjn7O8BR0
アレイスター「」

ステイル「まったく、ウォッカをそんながぶ飲みしたらむな焼けがするぞ、と言っておいたのに」

 ステイルは、アイテムの麦野から勧められた居酒屋で頭を抱える。

 アレイスターはたしかに酒には強いが、度の強い酒を飲みすぎることがあるのだから。

店員「あらあら、統括理事長さん。こんな所で酔い潰れて」

ステイル「ああ、悪い。お題はここで酔い潰れている統括理事長にでもつけておいてくれ」

店員「ええ、いいですよ」

 そう言いながら、店員は料金表をアレイスターの懐に入れた。

店員「あなたはもうかえるの?」

ステイル「ああ、そろそろイギリスに帰らないといけないからね」

 そう言いながらステイルはコートをつかみ、居酒屋から出るのだった。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/29(日) 08:51:47.65 ID:Pjn7O8BR0
 そうしてステイルがとぼとぼと外を歩いていると――

ステイル「む?」

 小さな小屋に灯りが付いていた。

 その小屋には『懺悔室』と、小さな文字で書かれていた。

ステイル「懺悔、か」

 そう言いながらステイルは、興味本位で懺悔室の中に入っていくのだった。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/29(日) 09:11:15.85 ID:Pjn7O8BR0
 その懺悔室のなかには小さな椅子が一つだけあり、神父がいる部屋との敷居は『変声板』という、その板を通すと声が変わって聞こえる板があった。

ステイル「なるほど、個人情報保護のための配慮か、なかなか気が効いてるな」

 そういいながらステイルは腰掛ける。

?「汝、自らの罪を告白し、悔い改めなさい」

 板越しにそんな声がきこえる。

 貫禄ある男性の声だった。

ステイル「僕の罪、か」

?「悩みごとでもいいんだよ」

 優しく、父のような温もりを与えてくれる喋り方だった。

ステイル「ああ、そういえば――罪はあるな」

 そう言いながらステイルはタバコを燻らせ、深呼吸をする。

?「罪は告白したほうがいいかも」

 落ち着いた、子供をあやすような言い方。

 ああ――これが長らく感じていなかったぬくもりか。

 そんなことをステイルは思っていた。

ステイル「それじゃあ、僕の罪を聞いてくれるかい?」

?「ああ、いいよ」

 壁の向こう側にいる、自分と同じ職であろう人間はそう言った。

ステイル「僕は――恋をしてしまった」

?「恋?」

 壁の向こう側の神父はたぶん首をかしげているだろう。

ステイル「ああ、僕は神に仕える身でありながらとある人を好きになったんだ」

 そう言い始めたのを契機に、ステイルは語る。

ステイル「はじめは変な子だと思ったよ」

ステイル「だけどそれが徐々に、一緒にいるうちに友人となった」

ステイル「そして、彼女の優しさに触れ、いつの間にか好きになっていた」

ステイル「だけど、彼女には残酷な運命があった」

ステイル「それは君には語れないが、本当に残酷な運命で、僕は彼女を救うことができなかった」

ステイル「いまその彼女は別の気に食わない奴に救われたんだけどね」

ステイル「さて、僕は一体どうすればいいんあろうか?」

 ステイルは壁の向こう側の人間にはいたことにより、幾分か気が楽になった。

 しばらく時間が開き、壁の向こう側の人間がしゃべり始める。

?「あなたが正しいと思うことは何か、それを考えるんだよ」

?「自分が正しいことだと思ったことをしっかりと考えて、どうすれば誰もが幸せになるべきか考えるべきかも」

 ステイルは目を瞑りながら聞く。

 その声とその語り方は、幼い頃子守唄を歌ってくれた父のような安らぎを与えてくれた。

ステイル「そうか、ありがとう、神父よ」

 ステイルはその言葉を聞いて立ち上がる。

ステイル「なら僕は、きみの言葉の通りに考えて、自分の心に結論を出すよ」

 そう言いながら、彼が出した結論はもう出ていた。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/29(日) 09:12:05.61 ID:Pjn7O8BR0














    彼女をあきらめる















 それがステイルが出していた結論だった。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/29(日) 09:18:32.61 ID:Pjn7O8BR0
 彼女の横にはもう『ヒーロー』がいる。だからステイルは陰から彼女の幸せを願うことにしたのだった。

 そして――去りゆく彼の背中に

?「あなたに神の御加護があらんことを」

 そう、壁のむこうの神父は言ってくれたのだった。

ステイル「ありがとう」

 そう言いながら、ステイルは外にでるのだった。

神裂「ステイル、泣いているのですか?」

 扉からでると、そこには神裂火織がいた。

ステイル「ああ、神裂か。少しばかり懺悔をしてね、泣いてしまったんだ」

 ステイルはタバコを薫らせながら言う。

神裂「ふぅん」

 神列はジロジロとステイルを見ながらそう言って、ステイルの肩に手をかける。

神裂「ま、それじゃあ今から飲みにいきませんか?」

ステイル「む、それも悪くはないか」

 こうして、神父と聖人は夜の街へと向かうのだった。

 神父の心にあった朽ち果てた恋心を、彼は振り捨てた。

 そう、彼はやっと『未来』にすすめるようになったのだ。




    第一話 完
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/29(日) 09:19:19.29 ID:Pjn7O8BR0
 というわけで今日はここまでです。

 テーマは『過去との決別』でした。それではまた次回!
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2012/01/29(日) 13:37:18.61 ID:O9BDisxAO
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2012/01/30(月) 08:30:27.23 ID:EJ66DqBAO
おつ〜
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/01/30(月) 16:19:45.88 ID:31uu9W7T0
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/31(火) 00:10:07.33 ID:w6I5FSKM0








 好きな人がいる。






 家族のように信頼している人がいる。

 いつもいつも傷だらけになって帰って来るあなた。

 誰よりも優しくて、どんな人間でも助けて来た、強い心。

 私はあなたのことが好き。

 だけど知ってる?

 私はあなたに傷ついて欲しくないんだよ?

 だって、あなたは私にとっての大事な人だから。

 あなたが傷ついたら、私の心は同じだけ傷つくんだよ。

 だから私は祈ります。

 あなたにとっての最高の家族であり続け、あなたにとっての最高の守護者であることをこっそりと誓います。

 だから、あなたは幸せになってね。

 私はあなたのことをこっそりと守ります。

 あなたは、私のことを救ってくれたのだから。

15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/31(火) 00:10:50.50 ID:w6I5FSKM0

 第二話 〜懺悔室と原子崩しと鮭と〜

 学園都市の外れにある丘の上、そこに一人の女性が立っていた。

麦野「ごめんね……ごめんね……」

 彼女の手には鯖缶が握られていた。

 それを握りつぶし、中身を投げる。







麦野「フレンダ……」






 彼女は自ら殺した者のために涙を流す。

 垣根帝督に関する一連の騒動のとき、彼女は自分の仲間を殺した。

 鯖缶が好きだった自らの友人。

 彼女は月一で鯖缶を亡き友人に供物として捧げていた。

麦野「さて、帰るか」

 そう言いながら麦野はコートを羽織った。
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/31(火) 00:11:32.09 ID:w6I5FSKM0








????「またか」






 帰ろうとすると、後ろから声をかけて来た男がいた。

麦野「あら、浜面じゃない」

 そこにいたのは浜面仕上。

 チンピラみたいな見た目を下ヤンキーである。

 あと世紀末下っ端HAMADURAでもある。

麦野「なに? 私に気でもあるの?」

 麦野はクスリと笑って言う。

 そんなこと無いということも知っているのに。

浜面「ばーか。だーれが滝壺捨ててお前に走るんだよ」

 なんてことを浜面は言う。

 そうだ、この男にはもうすでに愛すべき人がいる。

 滝壺理后。

 麦野と同じくアイテムのメンバーで、ピンクのジャージを着た女の子。
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/31(火) 00:12:13.01 ID:w6I5FSKM0

麦野「そうよね、じゃあなんで?」

 麦野がそういうと、浜面は懐から鯖缶を取り出す。





浜面「お前と同じだよ」



 そう言いながら浜面は鯖缶と、もう一つ――フレメアの写真を地面に置いた。

浜面「フレンダ、駒場さん、あんた達に俺ができんのはこんぐらいだが、どうか天国から俺たちを見守ってくれ」

 そう言いながら浜面は線香を何本か出して、地面に突き刺して火を灯す。

麦野「ああ、いつもここに置いてある鯖缶ってあんたが置いてたんだ」

浜面「ああ、フレンダと駒場さん、いっつも一緒にこうやって置いている」

麦野「ふぅん。私はてっきり絹旗がやってると思ってた」

浜面「お前らは駒場さんとの面識ないだろう?」


麦野「いや、フレメアの写真をフレンダの供物としておいているのかと……」

浜面「あ、ちがうちがう。フレメアは俺たちに引き取られる前は駒場さんが保護してたからな」

麦野「確か舶来って呼ばれてたんだったんだっけ?」

浜面「そうそう、駒場さんネコっかわいがりしててな」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/31(火) 00:12:53.67 ID:w6I5FSKM0







????「なんだァ? 今日は死者を悼む会でもやってンのかァ?」

??「俺達も一緒だろうが」






麦野「」

浜面「」

 麦野と浜面のところに来たのは――垣根帝督と一方通行だった。

麦野「なんでここに?」

 麦野が口を開いて聞く。

垣根「ああ、フレンダは間接的にとは家、俺が殺したようなもんだからな。ちょっとばかり未私が良いこの丘に供養の品でも、と思ってな」

 そういって垣根が出したのは鯖缶だった。

 ちなみに、垣根、麦野、浜面のじゅんで高級鯖缶を持ってきていたりする。

浜面「で、一方通行は?」

 そういうと、一方通行あhぶっきらぼうに言う。

一方通行「ちょっと木原くンと駒場に供養の品でも置いていこうと思ってな」

 そう言いながら一方通行はフレメアの写真とタバコを置く。

浜面「木原くンって……木原数多か」

一方通行「あァ。おれの 育ての親であって、さらに最も憎々しい野郎だよ」

麦野「ふうん、あんたも複雑な家庭で育ってんのね」

 そう言いながら麦野は背伸びをする。

麦野「じゃ、私はそろそろ帰るわ」

浜面「そうだな、俺の早く帰らないと滝壺におこられる」

垣根「あ、そういえば今日は心理定規がシチュー作ってくれるって言ってたな。帰ろ」

一方通行「あァ、打ち止めが腹空かせてるな。帰るか」

浜面&麦野&垣根『セロリ!』

一方通行「あァン? 下っ端に年増にメルヘンよかましだ!」

 そんな感じで四人はバラバラに帰っていくのだった。
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/31(火) 00:13:32.24 ID:w6I5FSKM0



麦野「はぁ」

 彼女は今でも夢を見る。

 フレンダを殺したときの夢を今でも見る。

麦野「む?」

 そんなとき、麦野は『懺悔室』と書いてある小屋を見つけた。

麦野「懺悔室?」

 彼女はその小屋を一瞥して言った。


麦野「なら、せいぜい私の罪でも聞いてもらいましょうかね」


 こうして、麦野沈利は懺悔室の中に入っていくのだった。

?「いらっしゃいませ、だよ」

 麦野が入ったとき聴こえてきた声は、母親のように穏やかな女性の声だった。

 ただ、変声板に寄って声を支えられているので、向こう側にいるのが誰か分からない。

麦野「さて、それじゃあ、あなたは私の罪を聞いてくれるのね?」

 麦野はふてぶてしい態度で言うのだった。

 板の向こうの人物はいう。

?「懺悔をするのは私があなたを救うからではないんだよ。私があなたの苦しみの片棒を担ぎ、あなたが自分で自分を救う手助けをするんだよ」

麦野「ふぅん。神様も手厳しいこと」

 なんて言いながら麦野は語り始める。
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/31(火) 00:14:05.82 ID:w6I5FSKM0

麦野「わたしは多くの人を殺してきた」

麦野「老若男女、分け隔てなく頃してきた本物の化け物、それが私」

麦野「そんな私でも、友人を殺したといういやな思い出があるの」

麦野「今でも後悔する」

麦野「ねえ、あなた。これでも私にに救いがあると思う?」

 麦野はうっすらと涙を流しながら言う。

 心の底から救われたい。そんな想いが麦野の胸にあった。

壁の向こうの人物は言い始める。

?「誰にだって間違いはあるんだよ」

 向こうの人物は淡々と、しかし言い聞かせるように言う。

?「私だって過ちを繰り返してきたんだよ」

?「だけど、私は今こうやって生きている」

?「取り返しのつかない間違いもしたんだよ」

?「でも――周りの人達が救ってくれた」

?「大丈夫、あなたの信じる道を生きなさい」

?「誰かがあなたを必要としている」

 それを聞いて、麦野はほんの少し心が楽になった。

麦野「ありがとう――感謝するわ」

 そういって、彼女は扉を開けて出ていく。

 去り際の彼女の背中に、板の向こうの人物が言った。

?「あなたに神の御加護があらんことを」

 そう、壁の向こうの人物は言った。
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/31(火) 00:14:53.46 ID:w6I5FSKM0


麦野「ふう」

 麦野は夜風を体全身で浴び、ため息をつく。

麦野「さぁて、ちょっとばかり頑張るか」

 そう言いながら彼女は自分の家へと帰っていく。


麦野「フレンダ――私はあんたを忘れない」

麦野「だから、あなたは私を許さないで」

 彼女はそういうのだった。

こうして麦野沈利は過去と向かい合うことにしたのだった
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/01/31(火) 00:15:54.67 ID:w6I5FSKM0
 というわけで今日は此処までです!

 テーマ「は『過去と向き合う』でした。それではまた次回!
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/31(火) 08:15:10.63 ID:/UU0vj9Go
 ( ̄) ̄)         ( ̄) ̄)                             
  \ \\         \ \\                             
    \ \\          \ \\                            
      \ \\           \ \\                           
        \(^o^)            \(^o^)                           
       (   )          (   )    1  乙               
       ///          ///                   
     ///         ///                            
    ///         ///                 
  ///        ///                  
 (_(_)        (_(_)                
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2012/01/31(火) 08:59:05.17 ID:vNVM8WRAO
乙!
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/01/31(火) 17:19:22.38 ID:my7VkLG80

26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/02/01(水) 00:27:13.51 ID:33tNkkDB0
 閑話休題

?「ふぅ」

 懺悔室の板の向こうにいる人物はため息をつく。

?「はぁ……」

 変声板を通してしか声は聞こえないから、その人物が男なのか女なのか若者なのか老人なのかはわからない。

 ただ、そのため息からその人物が何らかの悩みを持っていることだけがわかるのだった。





 他者を救う者に救いはあるのだろうか?
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [saga]:2012/02/01(水) 00:28:29.13 ID:33tNkkDB0
 というわけで今日は投下はこの一レスだけです。

 中の人単体の描写です。

 テーマは『根本』だったりします。

 それでは、また今度〜!

 
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2012/02/03(金) 15:05:29.44 ID:s2hRPBZAO
すいません。
諸々の事情で投下遅くなります。
保守よろしくお願いします!
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2012/02/05(日) 01:09:43.44 ID:7C/1nQJAO
ステイルのその後。




30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2012/02/05(日) 01:12:02.46 ID:7C/1nQJAO
ロンドンでステイルはタバコを蒸かしていた。

ステイル「ふう」

彼は溜息をついて、背伸びをする。







神裂「体に悪いですよ、ステイル」







彼の同僚である神裂火織が、ステイルに声をかける。
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2012/02/05(日) 01:15:59.10 ID:7C/1nQJAO
ステイル「ニコチンとタールのない世界なんて地獄よりも質が悪い」

ステイルがそう言うと、神裂はクスリと笑う。

神裂「やはりあなたは不良神父ですね」

神裂はどこかステイルをからかうように言うのだった。


ステイル「神裂、君も吸ってみるか?」


ステイルはそういいながら神裂にタバコを一本渡す。

神裂「止めておきます。私はタバコが苦手なので」

ステイル「つれないな」

神裂「ええ」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2012/02/05(日) 01:18:51.94 ID:7C/1nQJAO
神裂とステイルはその後他愛のない話をして、別れた。


神裂が居なくなってから、ステイルは一人ゆったりとタバコを吸い、自室に戻る前に、虚空に向かって言った。
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2012/02/05(日) 01:27:58.86 ID:7C/1nQJAO























「さよなら、インデックス」










彼の眼には一縷の涙があった。
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2012/02/05(日) 09:45:31.56 ID:7C/1nQJAO
とりあえず、今回の投下はここまでです。
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2012/03/02(金) 09:47:30.78 ID:zA3YZF4AO
次の日




神裂「ステイル、顔が晴れやかですね」


ステイル「そうか?」


ステイルは一歩踏み出した。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2012/03/02(金) 09:48:54.69 ID:zA3YZF4AO
ステイルのその後、終了です。


ステイルをかっこよく書きたいです(ρ_;)
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) :2012/03/02(金) 10:14:50.54 ID:QSnWbTAM0








 好きな人がいる。






 絶対傷ついてほしくないくらい、誰よりも好きな人がいる。

 みんなを助けて、みんなを守ったその右手。

 あなたを守って、運命を切り開いてきたすばらしい右手。

 私はあなたのことが好き。

 だけど――あなたは私のことをどう想ってくれてるんだろう?

 たぶんただの友達のように扱っているよね。

 だって、あなたは優しいから。

 あなたはみんなを等しく愛して、みんなを等しく守るから。

 だから私は見守ります。

 あなたを傷つけるモノは絶対に許さないと――こっそりと誓いましょう。

 だから、あなたは幸せになってね。

 私はあなたのことをこっそりと守ります。

 あなたは、私のことを救ってくれたのだから。
38 :作者です [sage]:2012/03/09(金) 00:30:54.24 ID:PkgcenEAO
予想以上にインターネット修理が長引く&忙しい故、再開が結構遅れそうですが、必ず完結させるので安心して待っていて下さい。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/04/11(水) 13:39:16.15 ID:JGnO5MKAO
生存報告しときます
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