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裡沙「私、ヒロインになれたかな?」 -
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1 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 01:19:02.98 ID:jkBhzsRB0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1334517123/
←裡沙「もう、隠しヒロインだなんて言わせないもん!」
の続編。
まだ完全に書きあげてないけど、自分に喝を入れるため+宣伝のためにスレをあげた。
アマガミストのみんな、俺に元気を分けてくれ。
今日中にはあげる、みんなとの約束だ。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1336234742
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1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
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【安価スレ】あかるくたのしい傭兵生活 @ 2024/05/04(土) 01:17:50.63 ID:3fwRECJNO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714753070/
モバP「コンマ1桁が0でカオス・マジキチ化する安価SS?」 @ 2024/05/02(木) 12:55:16.10 ID:lZ9SQusw0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714622115/
酸 @ 2024/05/01(水) 23:00:19.57 ID:lK9RWrTc0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714572018/
【進撃の巨人】俺「安価で巨人を駆逐する」 二匹目 @ 2024/05/01(水) 21:08:53.38 ID:iiJDb4My0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714565332/
旅にでんちう @ 2024/05/01(水) 14:47:47.55 ID:KgjR8ljxO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714542467/
【クリスマス・年末・年始】連休暇ならアニソン聴こうぜ・・・【避難所】 @ 2024/04/30(火) 10:03:32.45 ID:GvIXvHlao
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714439011/
VIPでガンダムVSシリーズ避難所【マキオン】 @ 2024/04/30(火) 07:03:33.32 ID:jpWgxnqGo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714428212/
今日も人々に祝福 @ 2024/04/29(月) 23:42:06.06 ID:cZ/b8n+v0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1714401725/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/05/06(日) 02:38:19.14 ID:KlH4e8KDO
支援
3 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 04:01:45.87 ID:jkBhzsRB0
純一「なぁ、裡沙」
裡沙「何? 純一」
純一「今日も、一緒に帰る?」
裡沙「えへへ、もちろん♪」
純一「それはよかった。じゃあ、寄り道してみようか」
裡沙「どこに行くの?」
純一「うーん……それはまだ」
裡沙「私、あなたと一緒ならどこでも、いいよ?」
純一「ん……ありがと」
裡沙「えへへ/// はい、あ〜ん」
純一「あ〜ん♪」
4 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 04:02:23.68 ID:jkBhzsRB0
梅原「……大将。仲睦まじいのはいいことだ。大将が彼女といちゃいちゃするのも、まぁまだいい。だがよぉ……」
薫「あんたら! テラスでいちゃいちゃしないでよ! 公衆の面前でそんなの見せられたら、食事が全部砂糖味になるわっ!」
田中「あ、あはは/// なんというか……おめでとう? 赤飯用意しようか?」
薫「気が早い! てか恵子、冷静になって!」
梅原「……なんだかよぉ、俺、急に『死んでもいいかな』って思うようになっちまったよ」
薫「う、梅原が白い、白いよ!?」
美也「ごめん……後でみっちりきつく言っておくよ」
5 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 04:02:49.38 ID:jkBhzsRB0
純一(僕と裡沙が恋人になってから数日が経った。けれど、傍から見ると、まるで数年一緒にいるカップルに見えるとか)
純一(やっぱり、裡沙が僕のことをよく理解してくれているからなんだろうけど、僕だって頑張っている)
純一(裡沙のことをよく理解する努力もしてるし、お互いに、こうして一緒にいる時間を出来るだけ設けている)
純一(裡沙は、ずっと、それはもうずーっと、僕のことを思い続けてくれたんだ。だとしたら、そんな裡沙に、僕が出来ること……)
純一(やっぱり、一緒にいることぐらいなんだ。でも、それを僕自身も望んでいる)
純一(一緒にいるだけで幸せな気持ちになれる……これまで幸せなことがあるであろうか)
純一(だから……裡沙を、離したくない。こんな気持ち、裡沙と一緒にいることでしか思えないだろうから)
純一(独占欲が強い、と言われれば、その通りである。まったく、これじゃあ依然の彼女のことを悪く言えないな。……まぁ、悪く言う気なんかないけど)
純一(それらもあって、今の裡沙と僕があるのだから)
6 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 04:03:15.96 ID:jkBhzsRB0
裡沙「街はすっかりクリスマスムードだね」
純一「そうだね。心なしか、赤と緑の色を多く見かける気がするよ」
裡沙「後、クリスマスツリーとかもね」
純一「あっ、そうだ。裡沙」
裡沙「どうしたの?」
純一「クリスマス、予定って入ってるのか?」
裡沙「もちろんないよ」
純一「まぁ、予想は出来るか。あはは。……ごほん。裡沙、クリスマス、デートに出かけよう」
裡沙「えへへ/// よろこんで♪」
純一「それはよかった。どこにいこうか? 創設祭もいいし、街にもでかけてみたいね」
裡沙「あなたにおまかせ!」
純一「おっと、これは大仕事を任せられたなぁ」
7 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 04:04:22.36 ID:jkBhzsRB0
裡沙「ここが目的地? ここって……」
純一「うん。……丘の上公園」
裡沙「……」
純一「今の僕は、ここから始まった。全ての偶然が重なって、今の僕がある」
裡沙「……私――」
純一「おっと。あの時、裡沙は僕のことを思って行動したんだろ? 確かに僕はトラウマを抱いたけど、今は大丈夫だよ」
裡沙「純一……」
純一「こうして笑顔でこの場所に来れた。そのことを裡沙に伝えたかったんだ。それに、今の僕には――」
???「もしかして、橘君?」
純一「……え?」
裡沙「その声って……」
8 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 04:05:14.18 ID:jkBhzsRB0
蒔原「すっごーい! 久しぶりの橘君だぁ! ほら、覚えてる? 中学の時一緒だった、蒔原美佳!」
純一「ま、蒔原、さん……。うん、覚えてるよ。三年の時のクラスメイトだった……」
蒔原「覚えててくれたんだぁ! ほんと、卒業式以来だよね! なんだか橘君、昔よりかっこよくなっててびっくりした!」
純一「あ、ああ。ありがとう」
蒔原「なんだか、いっぱい女の子と付き合ったような感じ! あれかな? 橘君、高校ではすけこましだったりして!」
純一「そんなことまったくないよ。蒔原さんも、こう、なんだか、変わった感じだね」
蒔原「中学の時より色っぽくなったでしょ? これで男子どもをメロメロなんだから! ……あれ? その隣の女の子って……もしかして彼女!? すっごーい! 彼女持ちだなんてぇ!」
純一「あ、その……」
裡沙「……」
9 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 04:06:08.40 ID:jkBhzsRB0
蒔原「紹介してくれるかな? ……あれ? でも、どこかで見たような顔だなぁ。高校は違うから……もしかして中学の時にあってたかも? ねぇねぇ、名前教えて――」
裡沙「黙って! 来ないでぇ!」
純一「り、裡沙……」
蒔原「……え?」
裡沙「あなたが……あなたが、そんな風に、いつものらりくらりとしてるから、だから純一は傷つくことになったんだ!」
蒔原「……どういうこと?」
裡沙「二年前のクリスマス。あの日、あなたはくだらない理由で純一を傷つけようとして! あの時は、偶然私がそのことを知ったからいいけど、もし私が動いてなかったら、純一はっ……!」
蒔原「……! その顔、そうだ、あの時、私に伝言を伝えに来た……」
裡沙「覚えてるかな? 上崎裡沙だよ。橘君を晒し者にしようとしたあなた達から、嘘の待ち合わせ場所を伝えて、すれ違いをさせた張本人! でも、あなたがしようとしたことは、もっともっとひどかった! 橘君が振られるところを、他の女子の見世物にするなんて!」
蒔原「……」
裡沙「私のやり方は色々と間違ってた、けれど! 私は、あなたのしようとしたことを絶対に認めない! 橘君の純粋な思いを踏みにじったあなたなんか!」
蒔原「……」
純一(裡沙……僕のために、あれだけ声を張り上げてる。それに、涙もかすかに見えてる……)
10 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 04:06:51.47 ID:jkBhzsRB0
蒔原「……なるほど。だからあの日、橘君は来なかったわけだ。すれ違いってことは、その時は橘君も待ちぼうけってことかな?」
純一「……うん」
蒔原「…………確かにあの日、私は橘君を振る気だった。そのあと、女子のメンバーでパーティに行こうとしてたしね」
純一「……」
蒔原「……でもね。待ち合わせ場所に、その女子のメンバーがいたことは、直後まで知らなかったんだ」
純一「え……?」
蒔原「橘君の気持ちはうれしかったから、ちゃんと振る気ではあった。もちろん、見世物になんかする気はなかったわよ。確かに恋人にはなれないけど、橘君とはいい話相手だったから、その後も友達として付き合う気だったんだ」
裡沙「嘘! そんなの嘘よ! だって、私聞いたし、誘われたんだもん! 『橘君が振られるところを見物してみないか』って! それに、あなたの取り巻きが、あなたとそういう風な話をしているところを、私は見てた!」
11 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 04:07:34.81 ID:jkBhzsRB0
蒔原「……確かに、メンバーから頼まれたね。『橘君が振られる様を、近くで見せてくれ』って。でもあの時、私はしっかりとお断りした。そんなことしたら、橘君と友達でいられなくなるもの」
裡沙「……信じられない。信じることが出来ない」
蒔原「それでもいい。でも、真実はそうだったということだけは覚えていて欲しい。……やっと納得できた。道理で、橘君、あれから私と関わらなくなったわけだよ。私……結構寂しかったんだよ? あの時は1時間ぐらい待ってたしね」
純一「……僕は、それを信じるよ」
裡沙「じゅ、純一……!?」
純一「……昔の蒔原さんの言葉には、こう、重みがあったからね」
蒔原「今は?」
純一「……ふわふわ、浮いてる感じかな?」
12 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 04:08:03.94 ID:jkBhzsRB0
蒔原「いいわね、それ。私のキャッチコピーにしようかしら。あっ、そうだ。だったらさ、今の私と付き合ってみる?」
裡沙「!!」
蒔原「今の橘君だったら、私、恋人でもいいかな? って思えたからさ! どう? 色気たっぷりな私は?」
純一「……丁重にお断りさせてもらうよ」
蒔原「やっぱりかぁ。そうだよね、今のあなたには、そこのかわいらしい彼女がいるものね。私も彼氏がいるし!」
純一「なるほど、道理で色気があるわけだ。……でも、それでも、今の僕には、裡沙以外は考えられないんだ」
裡沙「え……///」
蒔原「ひゅー! お熱いことで」
純一「あの日のことがあって、僕がある。あの日のことがあって、今の蒔原さんがいる。まず、一旦あの日のことは清算しよう。けれど、決して忘れるわけじゃない。恨んでいるわけじゃないんだ。あの日があって、今がある。だからこそ、忘れたくはないんだ」
蒔原「……ほんと、橘君、見ないうちにかっこよくなっちゃって。あーあ、私も輝日東に入ってたら、あなたみたいな人と付き合えてたかなぁ? まぁ、今の彼氏に不満があるわけじゃないんだけどさ」
純一「お互い、それぞれの道があるってことさ。……それじゃあ、元気でね」
蒔原「うん、貴方達も、お幸せに!」
タッタッタ……
13 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 04:08:30.30 ID:jkBhzsRB0
純一(そう。あの日があって、今がある。それを否定するんじゃなく、受け入れることが大事なんだ。あの日があったからこそ――)
純一「裡沙とこうして、一緒に入れることが幸せなんだからさ」
裡沙「じゅ、じゅん、いち///」
純一「……嬉しかったよ。僕のために、まるで自分のことのように怒ってくれてさ」
裡沙「ん///」
純一「でも、蒔原さんが言っていたことは、多分本当だと思うよ」
裡沙「な、なんで、わかるの?」
純一「うん……声の様子が、昔の蒔原さんに戻ってたから、ってことじゃあ納得してくれないかな?」
裡沙「……やっぱり、わからないや。でも……私もうれしかったよ。あんなこと言ってくれるなんて///」
純一「本音を言ったまでさ。……帰ろうか」
裡沙「……うん///」
純一(こうして、手を繋ぎ、お互いに笑顔で顔を見合せながら帰った)
純一(……これで、本当の意味で、あの日のことが清算できた。そんな気がする)
純一(人にも歴史あり、とはよく言ったもので……でも、蒔原さんの祝福は、純粋に嬉しかった)
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/06(日) 16:37:49.77 ID:DKDDw+hAo
なんでわざわざ別スレ立てたの?馬鹿なの?
15 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:20:56.31 ID:jkBhzsRB0
>>15
バカなのは肯定。
別スレにしたのは、前スレの言った通り、長ったらしくgdgdになるから。
16 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:35:57.70 ID:jkBhzsRB0
純一(こうして、僕たちはついに……クリスマスを迎えた)
純一(まぁ、たびたび梅原や美也に『いちゃいちゃしすぎ』と文句を言われていたが……そんなになのか? 僕の感覚がマヒしているのだろうか?)
純一(今の僕の気持ちとしては、彼女が僕のことを思ってくれていた時間の何倍も、一緒に過ごそうとしているだけであって……)
純一(また、彼女が望む幸せを、僕はただ共有しようとしているだけであって……まぁ、要はいちゃいちゃするわけか。なるほど)
純一(……まぁ、いい。そして今は創設祭の日。現在時刻は朝。ここは『今日のことが楽しみで、ドキドキし過ぎて寝不足だよ』とも言ってみたいところだが、残念ながら前日の夜はぐっすりだった)
純一(なんだろうなぁ……裡沙と一緒に過ごすクリスマスに、おそらく『安心』を抱いていたのだと思う。去年のクリスマスは、まさに鬱な気分をごまかすように過ごしていたわけなのだが)
純一(もう、そんな気分で過ごさなくてもいい……そう思うと、なんだか安堵したんだ。彼女と過ごす日々が、裡沙と歩む日々が……とても温かくて)
純一(……後、早く起きた理由がもう一つ。本日の集合時刻は五時、創設祭の開催時刻の直前で、公園で待ち合わせている。……がしかし、彼女のことだ、おそらく何時間も前に公園に来るであろう)
純一(そこでだ! いつも待たせている僕が、今度は裡沙を待ってみようではないか、と思い、こうして健康的な時刻に起床したわけだ)
純一(そうだな……昼食を食べた後に、公園に向かおうとしよう。裡沙、びっくりするだろうな)
17 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:36:26.36 ID:jkBhzsRB0
美也「にぃには……まぁ、おそらくじゃなくても裡沙ちゃんと過ごすんだろうけど。にぃに達は今日、どうする予定なの?」
純一「今日は二人で創設祭を周るよ」
美也「うわぁ……」
純一「……おい、なんで『これはやばいなぁ』って感じのため息を吐いた?」
美也「だってさ、あの砂糖菓子をシロップで煮詰めたような空間を作りながら、なんでしょ? そんなのを見たら、死者が出るよ」
純一「おいおい、そりゃあ言いすぎじゃないか?」
美也「おそらく周りの独り身の男子達から、渇望と嫉妬と悲しみと怨念のまなざしを容赦なく受けることになるから……覚悟してね?」
純一「そんなにか!? そんなになのか!?」
美也「ほんと、変なところで鈍感なんだから……まぁ、こうしてにぃにが楽しくクリスマスを過ごす事は喜ぶべきなんだろうけど」
18 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:37:03.07 ID:jkBhzsRB0
純一(1時半……うん、待ち合わせの3時間半前、予定通りだ。見立てではあと30分ぐらいで来るはず)
純一(裡沙、驚くだろうなぁ。なにせこんなに早くから僕がいる……あれ? あそこのベンチに座ってる人影って……まさか!?)
純一「裡沙!?」
裡沙「ふぇっ!? じゅ、じゅんいち!? どうしたの、まだ待ち合わせの時間より早いのに……」
純一「それはこっちのセリフだよ!? ま、まさか、こんなに早くからスタンバイしてたなんて……何時頃からここに?」
裡沙「さ、さっきだよっ!? ほ、ほんとだよ!?」
純一(裡沙のそばには、おそらく昼食として食べたのであろう肉まんの紙、そして2本のペットボトル……うん、これは朝から待ってたね)
純一「……待ってくれるのはうれしいけどさ。待ち過ぎて、風邪なんか引いたら本末転倒だろ?」
裡沙「うぅ……」
19 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:39:40.49 ID:jkBhzsRB0
純一「……でも、ありがとう。体、冷えてるよね? じゃあ……」
ダキッ
ギュッ……
裡沙「あ……///」
純一「……あったまってきた?」
裡沙「……うん/// あ、このマフラーと手袋、誕生日にプレゼントしたやつだ///」
純一「せっかくだからね。裡沙の気持ちがこもってて、すごくあったかいよ」
裡沙「えへへ///」
純一(その後は、創設祭が始まるまで公園でぬくぬくしていた。マフラーを共用して、お互いに体を寄せ合いながらしゃべっていた)
純一(……公園の前の通行人からは、なんだか微笑ましいまなざしを受けていたいたが、あまり気にはならなかったな)
20 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:40:18.95 ID:jkBhzsRB0
裡沙「うわぁ、おっきいクリスマスツリー!」
純一「うひゃあ、これを準備した委員会の人には賛辞を贈りたいね」
裡沙「ちゃんとモミの木を飾り付けてるんだ、全体の飾り付けなんかも立派だよね。あ、イカ焼きだ」
純一「出店も種類が多くて、今日の夕食には困らないかな。……イカ焼き食べる?」
裡沙「うん!」
21 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:40:49.11 ID:jkBhzsRB0
純一「イカ焼き、たこ焼き、から揚げ、と。さすがにお腹いっぱいだよ。……でも、甘いものが食べたくなる今日この頃」
裡沙「はいっ、じゅんいちの分!」
純一「お、チョコバナナかぁ。なつかしいなぁ」
裡沙「祭りの定番かな、って」
純一「子供のときにはよく食べてたけど、高校生になってからは食べなくなったなぁ」
裡沙「私もそうかも。……はい、あーん」
純一「ん? あーん」
裡沙「え、えへへ///」
純一「じゃあ、はい。あーん」
裡沙「ふぇ? あ、あーん///」
純一「ははっ」
裡沙「……えへへ///」
男子A(リア充爆発しろおおおおおおおお!!)
男子B(なんだ、この気化爆弾が直下したような威力は……!?)
男子C(梨穂子はかわいいなぁ!!!)
梅原「あーあ。被害者が続出してるよ」
22 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:41:54.49 ID:jkBhzsRB0
裡沙「あ、そうそう。そろそろ時間だから、ステージに行こうか♪」
純一「? 確かこの時間って『ベストカップルコンテスト』の時間だけど、裡沙は見る気なの?」
裡沙「えへへ/// そうじゃなくて……じゃじゃーん! 『ベストカップルコンテスト』のエントリー用紙! もちろん私と純一名義だよ!」
純一「え、エントリーって……まさか、出るの!?」
裡沙「うん。さっき遅くなったのはこれが理由なんだ。その……どうしても出てみたくて///」
純一「で、でも、さすがに地域の人がいる前でってのは……気恥ずかしいというか、なんというか……」
裡沙「……だめ?」
純一(こ、これは、伝家の宝刀『うるうるビーム』!? しかも、上目づかいプラスで、核弾頭並の爆発力を秘めている!?)
純一「……だったら、さ。条件がひとつ」
裡沙「ふぇ?」
純一「……出るからには、優勝するぞ!」
裡沙「うん!///」
23 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:42:50.92 ID:jkBhzsRB0
梅原「おいおい、なんだか妙に盛り上がってると思えば……」
薫「なんだか、とても面倒なことになってるわね。てか、地域の人がいる前であんなにいちゃいちゃされちゃたまらないわよ!?」
美也「裡沙ちゃんもまぁ、普段はあまり自分から目立とうとしないのに、いきなりコンテストだなんて……よっぽどにぃにと一緒にクリスマスを過ごすことが嬉しかったんだろうね」
梅原「あいつら、バカップルコンテストなら優勝間違いなしなんだがなぁ」
薫「そうか、今回はベストカップルだからねぇ。一体どんな審査基準なのかしら?」
絢辻「『ベストカップルコンテスト』は、主に三つの審査基準が設けられてるわ」
24 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:43:21.49 ID:jkBhzsRB0
梅原「おぉ! 絢辻さんじゃないですか!」
薫「あれ? 確かクリスマス委員の委員長じゃ……」
絢辻「だからよ。今は全体の身回りと、迷子とかがいないかのパトロールね」
梅原「お疲れ様です」
薫「三つの審査基準?」
絢辻「ええ。一つ目は『息がどれだけ合っているか』。二つ目は『お互いの思い』。三つめは『どれだけ相手が好きか』の三つ。とはいっても、審査員の個人的な判断が大きいかな」
薫「一応ちゃんとした規定ってあったんだ」
絢辻「一応だけどね。それに、優勝したカップルには、『1泊2日温泉ペアチケット』が贈呈されるわ」
梅原「温泉!? そりゃあまた豪華だなぁ」
絢辻「今回は市の協力もあったおかげで、予算が多めだったから」
25 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:43:54.90 ID:jkBhzsRB0
梅原「ふむ、温泉、か……よし、それに俺も出る!」
薫「はぁ!? でも梅原君、相手はどうするの!?」
梅原「家から連れてくる! たっしゃでなぁ!」
薫「え、ちょ!? ……行っちゃった。ここ最近、梅原君何かあって振り切れちゃってるからなぁ」
絢辻「でも、梅原君、家から連れてくるって……」
薫「家……寿司屋の息子だから、まさか寿司のネタの刺身とかを持ってきたりして!」
絢辻「さすがにそれは……」
――その後、薫の言葉はそのままの形で実現することとなる。
26 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:44:31.22 ID:jkBhzsRB0
純一「ま、まさか、刺身と出場するなんて……ははは」
裡沙「う、ウメちゃん、これは……あはは」
純一「まぁ、あいつも真剣だったから、何も言わないけどさ」
司会「それでは、最後のカップルと行きましょう! エントリーナンバー32番、橘純一さん&上崎裡沙さんカップルです!」
裡沙「呼ばれたね///」
裡沙(そうだ。私たちは……カップルなんだよね。えへへ///)
純一「そうだね……行こうか」
ニギッ
ギュッ
裡沙「あ、手を……」
純一「これで緊張することもないでしょ?」ニコッ
裡沙「う、うん///」
裡沙(気付いてくれてたんだ……少し緊張してたこと。うれ、しい///)
27 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:45:01.23 ID:jkBhzsRB0
司会「それでは、まず自己紹介をどうぞ」
純一「は、はい。ええ、輝日東高校2−Aの橘純一です!」
裡沙「に、2−C生徒の、上崎裡沙です」
司会「二人は、どういう経緯で知り合ったのですか?」
裡沙「えーと、今年の冬に――」
純一「小学校3年生の時に、僕の小学校に転校してきたのが裡沙でした。まぁ、本格的に付き合ったのはここ最近の話ですが」
裡沙「あ……///」
28 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:46:06.72 ID:jkBhzsRB0
司会「なるほど! 小学生の頃からお互いを知る仲だったということですか。それでは、次の質問です。二人の仲を言葉にするなら?」
裡沙「こ、言葉に、ですか?」
司会「はい、四字熟語、諺、なんでもかまいませんよ」
裡沙「……相思、相愛……///」
<ひゅーー!
<お熱いねぇ!
司会「いやぁ、お互いを思いやるっていいことですねぇ! 橘さんは?」
純一「そうですね……二人の仲、というわけではないのですが……裡沙はいわば、『運命の人』でしょうかね? 文字通り」
<おおーーーー!!
<いいぞ! もっと言ってやれ!
<父さん! 酔った勢いでステージに向かおうとしないで!
<リア充爆発しろっ!
司会「これはこれは、上崎さんもここまで思われるなんて幸せでしょうね!」
裡沙「あぅぅ/// う、運命の、人///」
29 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:46:42.86 ID:jkBhzsRB0
司会「いやはや、上崎さんが幸せをかみしめているところで、次の質問と行きましょう!
では、この場で『お互いの好きなところ』を教えてください!」
純一「好きなところ……」
裡沙「す、好きなところ///」
裡沙(いっぱいありすぎて、逆に言えないよぉ/// 優しいところとか、笑顔が素敵なところとか、うぅ〜)
純一「全部です」
裡沙「ふぇっ?///」
30 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:48:11.59 ID:jkBhzsRB0
司会「全部、でしょうか?」
純一「言葉としては漠然すぎるかもしれませんけど、全部ですね。僕のために一生懸命なところとか、時々一生懸命すぎるところとか、僕に笑いかけてくる時の笑顔とか、これだって時には積極的になるところとか……」
純一「僕のことをよく知ってくれているところとか、僕のことをもっと知ろうとするところとか、抱きしめた時に『ぴくっ』って体を動かすところなんかも……はい、全部です」
裡沙「じゅ、じゅんいちぃ……///」
司会「これはこれは! 聞いてるこっちが恥ずかしくなるほどのラブコールです!」
<おおおおおおおおおおおおお!!
<リア充爆発すればいいんだぁぁぁ!! うわぁぁぁぁぁ!!
<あっ! 逃げたぞ、追え!
<壁殴り代行始めました
<あ、じゃあお願いするよ
31 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:48:47.80 ID:jkBhzsRB0
裡沙「わ、私は、そんなことを、億さずに言ってくれるあなたの、全部が好きっ! あなたのことをよく知っているはずなのに、私はもっとあなたのことが知りたいの。もっともっと、あなたの好きなところを増やしていきたいから……///」
<おおおおおおお!!
<よしみんな、樹海いこうぜ!
<いいもん。俺のTVの中で、まおねえが待ってるもん
<そこはアスカターンだろ!
<たまには、うどんの子のことも思い出してあげて下さい
32 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:49:11.13 ID:jkBhzsRB0
司会「それではぁ! 最後にお互いへの思いを伝えあいましょう!」
純一「……僕は、裡沙のことを好きだ。それはずっとこれからも変わらない。君が思い続ける時間と同じだけ、ううん、それ以上に、君のことを思い続けるよ」
裡沙「私は……もっともっと、あなたのことが好きになりたい。あなたが大好きでしょうがない。あなたともっと一緒の時間を共有したい。それが、私の願い。……好き///」
ダキッ
ギュゥ……
33 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:49:39.38 ID:jkBhzsRB0
薫「いやぁ……まずは優勝おめでとう、って言いたいところなんだけど。まったく、見ててこっちが顔熱くするっての!」
梅原「惜しかったなぁ、トロ子……」
薫「まだ言うか!」
純一「いやぁ、さすがに恥ずかしいことをいいすぎたなぁって、今は反省してるよ」
薫「ほんっと、反省反省の猛省よ! ……あれ? そういえば愛しのフィアンセは?」
純一「あそこ」
裡沙「うあああああ/// みんなの目の前で、あんなこと言っちゃったぁ/// それに、最後にはつい抱きついちゃったし/// ……いやあああ、恥ずかしぃ///」
薫「悔い改めてるわね。文字通り」
純一「ははは」
薫「んじゃ、時間も時間だし、私たちは帰るわ」
純一「ん? もうそんな時間か」
薫「そゆことー。じゃあね、お幸せにぃ!」
梅原「おうよ、いいバカップル振りだったぜ」
純一「バカップルって……じゃあな。よいお年を」
34 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:50:13.76 ID:jkBhzsRB0
裡沙「ふぅ……」
純一「やっと落ち着いた?」
裡沙「うん。……創設祭も終わるね」
純一「ライトアップも消えたし、もうすぐ片づけに入るね。……楽しかった?」
裡沙「もちろん! ほんと、すっごく、幸せだった///」
純一「ははっ、それはよかったよ」
裡沙「……純一は、楽しかった?」
純一「……もちろん。裡沙と一緒なことが、僕の幸せだから」
裡沙「もう、恥ずかしいことはもう今日は禁止///」
純一「さすがに懲りたかい?」
裡沙「……えへへ///」
純一「やれやれ。……ありがとう、裡沙」
裡沙「へ?」
35 :
VIPにかわりまして橘純一がお送りします
[saga]:2012/05/06(日) 21:50:46.15 ID:jkBhzsRB0
純一「裡沙のおかげで、僕は過去を乗り越えられた。こうして、クリスマスを笑顔で迎えられた。そして、すっごく幸せでいられる。これもどれも、裡沙のおかげだよ」
裡沙「……そんなこと、ない。私も、あなたのおかげで、幸せが体を満たしているんだから」
純一「おいおい、恥ずかしいことは禁止じゃなかったの?」
裡沙「いいの/// 別に意識しなくても、あなたの言葉のひとつひとつが、私の幸せになっていくんだから」
純一「……お礼が、したいな」
裡沙「お礼?」
純一「うん。こうして、幸せを僕に与えてくれた、裡沙へのお礼」
裡沙「お礼、かぁ……だ、だったら、さ」
純一「うん?」
裡沙「……キス、して。あなたの気持ちが込められた、最高のキス」
純一「……もちろん」
裡沙「じゅん、いち……」
純一「裡沙……」
チュッ……
裡沙「……私、こうして過ごすことをずっと夢見てた。今が幸せすぎて、まるで夢みたい」
裡沙「けれど、これは幸せな現実なんだよね。……これからもよろしく、純一」
クリスマス編 END
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