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まど棒(魔法少女まどか☆マギカクロスSS) - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 20:03:20.96 ID:GUmBe6+o0


まどかクロスSS作品です。

この作品は架空です。作品内に登場する一切の人物、組織団体は現実とは関係有りません。


時間的にはアニメ本編終了後2年半後です。

シリアス系なので苦手な人は注意を。

見滝原=現実の群馬県高崎市と考えています。 とは言いつつも舞台はほぼ東京です。

一部現実に存在する地名が登場します。

20:20から投下します。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1356779000
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【クリスマス・年末・年始】連休暇ならアニソン聴こうぜ・・・【避難所】 @ 2024/04/30(火) 10:03:32.45 ID:GvIXvHlao
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714439011/

VIPでガンダムVSシリーズ避難所【マキオン】 @ 2024/04/30(火) 07:03:33.32 ID:jpWgxnqGo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714428212/

今日も人々に祝福 @ 2024/04/29(月) 23:42:06.06 ID:cZ/b8n+v0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1714401725/

ポケモンSS 安価とコンマで目指せポケモンマスター part12 @ 2024/04/29(月) 20:01:59.10 ID:OQox+0Ag0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714388519/

私が書いた文だ 一度読んでみて @ 2024/04/29(月) 13:03:50.96 ID:zomKow9K0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714363430/

私が書いた文はどう? @ 2024/04/29(月) 12:48:33.59 ID:6mJNXBCE0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714362513/

感情から生まれたものたちとの物語【安価】 @ 2024/04/29(月) 10:45:54.36 ID:0XsgiyN10
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714355153/

【安価】タイトルからあらすじを想像して架空の1クールアニメを作る 2024春 @ 2024/04/28(日) 16:37:54.07 ID:PHuiugtM0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714289873/

2 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 20:17:31.42 ID:GUmBe6+oo


ちょいとお待ちを・・・・・
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 20:25:17.32 ID:pokcEzRAO
なにとのクロスでい?
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 20:36:54.41 ID:gP264e1SO
相棒?
5 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 20:46:09.33 ID:GUmBe6+oo



21:00から開始します


6 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 20:58:08.77 ID:GUmBe6+oo


それでは開始します。


7 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 20:58:50.60 ID:GUmBe6+oo



安政七年(1860)三月三日 時の大老井伊掃部頭直弼が桜田門外において、桃の節句の祝いに
江戸城に登城の最中・・・・・


水戸及び薩摩藩脱藩浪士、十数名の襲撃を受け落命・・・・・・・



それよりおよそ・・・・・140と数年が経過した11月末



旧美作国津山藩(松平)藩邸跡地にあるビルのとある一室に、体格の良い男が入室して来た。
彼の仕事場所は、その部屋の一角にありパーテーションで区切られていた。


??「おはようございます」


??「ああ、おはようさん」


ご当地番組で、方言から一発で相手の出身地を当てる、謎のバーのマスターにそっくりな
知り合いと挨拶を交わしつつ、部屋の隅に向かう・・・・・・・・

彼の上司は既に、紅茶を片手に新聞を読んでいた。

8 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 20:59:53.86 ID:GUmBe6+oo


??「おはようございます。」


??「おはようございます。」


??「あれ・・・・・・その新聞は・・・・・」


??「・・・・昨日、自室の整理をしていたら見つかったんです。この記事が掲載された新聞を見つけました。
  記事を書いたのは??さんでしたね・・・・」


??「そうっす。数日間群馬県一の大都市・・・・見滝原市に取材に行っていました。・・・・・
   当時中学2年生の、美樹さやか失踪事件・・・・・・・ごく一般家庭の女子中学生が突如消息不明に、
   他紙も調べていたらしいと、あいつに聞きました。」


??「しかし、彼女の消息や・・・・・事件なのか・・・・それとも・・・・・ただの家出なのかも解らず、
  結局取材も打ち切られたそうですね。」


??「確か、幼馴染の同級生との間に恋愛上のトラブルがあったそうです。そこらまではどのマスコミも掴んだ
   みたいでしたけど。」


9 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:00:55.50 ID:GUmBe6+oo


??「幼馴染の・・・・・・県下でもかなりの資産家の令嬢との間に。どうも、同じ男子同級生・・・・・
   ああ、この子も幼馴染なんですが・・・・・」


??「二人の少女は、同じ男性を好きになってしまった。・・・・・・よくある話ではありますねえ。」


??「・・・さんは、この男子生徒が美樹さやかが消息不明になるまで、数週間入院していたという話は知ってます?」


??「確か、3月に期末試験が終わった後・・・・下校時に車に撥ねられて入院・・・・・
  彼はバイオリン奏者の卵でしたが・・・・・腕に重大な障害が残り・・・・・二度とバイオリンの演奏は出来ないと、
  医者も完全に諦めたそうです。そちらも少し取り上げられてますね。」


??「ある夜絶望的と言われた彼の左腕が、突如動く様になって・・・・・・今は有名私立大付属高校で、
  日夜バイオリン奏者になるべく訓練中・・・・・よくテレビでありますね。『奇跡の復活』とか。」


??「いいえ、よくある話とは全然違いますよ。」


??「え、・・・・・まじっすか?」


10 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:01:51.54 ID:GUmBe6+oo




??「確かに君の言う通り、この手の奇跡の復活話は多いです。しかし、この上条恭介君以外は、
  奇跡が起きても直ぐに完治したり、社会復帰している訳ではありません。」


??「確かに、いきなり使えない左腕が普通に動かせるようになるのはおかしいですね。・・・・・徐々に左腕の
  感覚が、戻ったというのならあると思いますが。」


??「その場合、リハビリや退院後の診療も含め最低数年は必要でしょう。一瞬で完治など・・・・・
   ゲームの回復魔法でもない限り、考えられないですね。」


??「しかし、奇跡が起きたとしても誰かが迷惑を受けた訳じゃありませんし、第一彼の左腕が
 回復したから、美樹さやかが消息不明になった訳じゃありませんし。」


??「確かにそうですね・・・・・・」


??「彼女今どうしているのでしょうかね?もしかして東京で生活していたりして。」


??「うーん・・・・・どうなのでしょうか。」


11 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:02:50.08 ID:GUmBe6+oo




??「彼女の事は、テレビ局も取り上げてましたね。しかし、有力な目撃情報は無しです。
家出なら、何処かで誰かの目には触れるでしょう。サバイバルの達人ならともかく、平凡な女子中学生が
誰の助けも受けずに、一人で生きていくのは困難でしょう。彼女にそのような芸当が可能とは、思えません。」


??「となると、やはり事件に巻き込まれた・・・・・しかし、事件に繋がる目撃証言も何も出なかったそうです。
    何度か、年上の上級生のマンションに遊びに行っていたみたいです。不審な行動じゃないですね。」


??「現代の神隠し・・・・・・○○○さんらしくない見出しですねえ。」


??「編集長の独断らしいですよ。あいつ、数日機嫌悪かったですよ。」


??「・・・・・・・・・現代の神隠しですか」


??「・・・・・・・・・・・・・・」


??「どうしました?僕の顔に何か付いてますか?」

12 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:03:54.05 ID:GUmBe6+oo



??「いつもなら・・・・・『○○君、君は神隠しなどという非現実的な現象が実在すると、そう考えているのですか?』
   とか言われそうな気がして。」


??「なるほど!確かにそうですね。○○君、君は神隠しなどという・・・・・」


??「ちょ、わざわざ言い直さなくても。」


??「おーい二人とも、ちょっと手伝ってくれよ。」


??「はいなんでしょうか?」


13 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:05:50.12 ID:GUmBe6+oo


X-7時間


世界が、鹿目まどかという一人の少女の・・・・



痕跡も、記憶も・・・・・生まれて来たという、全ての痕跡を忘れ去って・・・・・・・


2年と7ヶ月が経ち、世の中がクリスマスと最早外れる事が確実となった、「マヤの200X年12月人類滅亡説・・・・」


と衆議院総選挙の話題で持ちきりになっていた頃・・・・・


山梨県東部の町で、銀髪と、紅い色の髪の魔法少女が魔獣と戦っていた。






14 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:06:52.55 ID:GUmBe6+oo


??「ふーっ、今日の魔獣は久々に強かったぜ。あすみ!そっちはどうだ?」


明日美「こっちも倒したよ・・・・・・また強い魔獣が復活して来たのかな?」


??「いや、見滝原も・・・・東京も最近じゃ魔獣もあまり出なくなって、出ても弱い奴ばかりだったのだけどなー。」


明日美「こっちでも、今日はたまたま強いのが出ただけで・・・・変な事件とか起きてないよ。
     もしかして、富士山噴火の予兆とか・・・・・?」


??「テレビで最近よくやってるよな。何時噴火してもおかしくないとか・・・・
    確か、前の噴火は江戸時代の松平健の時代だよなー。」


明日美「いやいや、違いますって・・・・吉宗公の時代よりも前・・・・・・犬公方と呼ばれた五代将軍
    徳川綱吉公の晩年・・・・・・死ぬ数年前だよ。」


??「生類哀れみの令か、キュウべえの奴も保護されていたのかなあ?」


15 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:07:51.45 ID:GUmBe6+oo

明日美「キュウべえは、確か知り合いの魔法少女の人と、一緒に居るんだよね。」


杏子 「そうだぜ。その魔法法少女と一緒にいる事が多いぜ。時々会うけど・・・
    今は同じ東京に居て、私立の名門女子校にいる筈だ・・・・・何かファンクラブもあるらしいけど・・・・・


   女子高って事は、同姓にもてるって事か・・・・・・ キュウべえに似て、クールだから気が合うんだぜ。」
   でもあいつは数ヶ月前にぷいといなくなったきり、戻ってこないらしいぜ。」


あすみ「その人と居るのが、飽きてしまったのじゃないの?」


杏子「うーん、飽きっぽい感じもする奴だからそうなのかもな。その内また戻って来るだろうぜ。
   日も暮れて来たぜ、魔獣も倒したしそろそろ帰ろうぜ。」


16 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:08:50.09 ID:GUmBe6+oo



ラジオ「 今日は小春日和で、関東甲信越は、昼の最高気温が20度を越した所もありましたが、
      明日は、北日本から強い寒気団が入る為に、北海道及び東北地方及び北陸では
      真冬並みの寒さとなり、東京の最高気温は4度・・・・・・甲府は2℃と予想されます。」


??「明日は寒くなりそうだぜ。」


今日泊めて貰う、あすみの自宅に戻る途中・・・・・二人は、時間潰しに書店に立ち寄った。


??「お、大月の本屋でも人類滅亡説の本が売れ残っているぜ。何が原因だっけ。」


あすみ「それって確か、南米のマヤ族の5125年の長期暦が、丁度今年の12月21日に終わる・・・・
     =人類滅亡と言うやつ・・・・・」


店員 「ところが、今年の夏にマヤの地下遺跡から、地下からマヤカレンダーの続きが発見されて・・・・・
     少なくとも7000年先までは、存在する事が明らかになったからですよ。」


17 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:09:50.57 ID:GUmBe6+oo


店員「人類滅亡を取り扱った本は、急に売れなくなって何処も在庫のですよ。。逆に中米ブームが起きて
   マヤ族の文化を記した本や、メキシコや中米の観光ガイド等はよく売れるようになったんで、
   こっちとしても大助かりです。」


店員の指し示す先には、中南米関係書籍やガイドブックが集められた、特設コーナーが設置されていた。


??「この本は?マヤ文明の壁画が載っているぜ。」


店員「マヤ文明の遺物や遺跡・・・・今年夏に発見された壁画とかが載ってます。この壁画は予言らしいですが。」


??「買うぜ。いくらだい。」


店員「1860円頂戴いたします。2千円お預かりいたします・・・・」


18 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:10:54.62 ID:GUmBe6+oo

帰り道


??「・・・・・・うーーん、何でこんな本買ってしまったんだ。せっかくだから見てみるか・・・・」


ページをめくると、そこには店員の話にあった「予言?」とされる壁画」が、写真付きで掲載されていた。


??「マヤ人の男が、槍や弓を持って狩りをしているぜ。獲物は・・・・・・この壁画はウサギ・・・・こっちはリスか・・・・」

   しかし、狩猟は日常的にやる筈だろ?何で予言とかに使うんだ?」


あすみ「予言じゃなくて、多分その年の豊作や獲物が多く捕れます様に・・・っていう神事みたいなのじゃないかな。
    日本とかでも地方の方じゃよくやるし、ここらの町にもあるよ。」


??「N○Kのニュースでやってたな。何故か村人が綱引きしていたけど。」


あすみ「どちらかが勝つと、豊作か豊漁になるとかだと思うよ。」


??「そうなのか! (それにしてもリスは食えるのか?)」

19 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:12:49.43 ID:GUmBe6+oo



??「明日美の母さんが作ってくれた、ほうとう(山梨の郷土料理)は美味かったぜ。
   さやかにも食べさせてやりたかったな・・・・・。
   さやか、お前が死んでしまって・・・・・もう2年と7ヶ月か・・・・・。」


   美樹さやかは、2年前の3月に事故で腕が動かなくなった、バイオリン奏者である想い人、上条恭介の腕を直す
   願いを適える為に、キュウべえと契約し魔法少女となり・・・・
   その僅か数日後、最強クラスの魔獣との戦いで魔翌力を全て使い果たし、消滅した・・・・・


巴マミ「逝ってしまったわ。円環の理に導かれて・・・・・。」


??「畜生!やっと友達になれたっていうのに!」


午後8時


??「Zzzz・・・・・・ウトウト」


携帯「♪〜♪」


20 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:14:52.56 ID:GUmBe6+oo


??「・・・・ん 電話か・・・・・・相手はマミか・・・・・。」 


マミ「一体どうしたの?さんが、貴女を見かけたと聞いたけど、いきなり旅行なんて。」


??「あれ、『山梨に強い魔獣を倒しに行ってくるぜ!』と置手紙を遺した筈だけどな・・・・・

   しまったここにある!置いて来るのを忘れたぜ。しかしあいつは何処で知ったんだ?」


マミ「反対側の快速から、長野行きの『あずさ』に乗っているのが見えたそうよ。」


??「そんな一瞬で見えたとは、流石は元時を操る魔法少女だな。」


マミ「それで、魔獣は無事倒せたみたいね。怪我は無い?」


??「二人いたら、それほどでもなかったぜ。怪我も無いし。」


マミ「貴女が、進んで助けに行くって事は親戚の人なの?その人も魔法少女?」


??「いや、親戚じゃないぜ。親が死んだ両親の友人なんだ。交際のきっかけを作ったらしいぜ。」

21 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:15:50.49 ID:GUmBe6+oo


巴マミ「ごめんなさい、嫌な事を思い出させてしまったわね。」


??「気にするなだぜ。親父さんがいなかったら、私はこの世に存在しなかった事になるからな。
   まあ感謝しているかな。」

マミ「明日帰って来るの?」

??「バイトしてる神田にある店の隣の住宅解体中見つかった、戦時中のB29の空襲の爆弾の不発弾処理は、
   明日には終わると思うぜ。休みは明日までの予定だぜ。」

マミ「帰ったら、何か美味しい物でも食べに行きましょう。それと聞いて欲しい話があるの。
   彼女も呼んであるわ。」

??「・・・・どうしたんだ。東京でも強い魔獣がまたぞろ出て来たのか?」

マミ「魔獣・・・・・・いいえもっと・・・・・・続きは後日3人であった時にしましょう。今日は疲れていると思うし。」

??「お、おおう。じゃそういう事にしておくぜ。日程や場所が決まったら教えてくれ。じゃあお休みだぜ。」

マミ「お休みなさい、明日は寒くなるらしいから気を付けてね。」

??「んじゃ、切るぜ。」ガチャ


22 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:16:50.42 ID:GUmBe6+oo



                 11月30日    金曜日


                      11:40



23 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:17:52.02 ID:GUmBe6+oo


??「あずさ○号大月発は、1時だからまだ時間あるな。せっかくだから美味い肉でも食って行くか。」


11時40分ごろ レストラン


??「美味いステーキだったぜ。撮影したから、後であいつとマミに自慢してやるぜ。早速あいつにメールだ。」

メール「美味い甲州牛のステーキだぜ、チョー美味だぜ。お前ももっと肉食わないと、何時までも
   大きくならないぜなう・・・・・・と。」


店員「またのご利用をお待ちしております。」 カランコロン


??「おや、あいつから電話だ。何と素早い・・・・・まるで疾風だ・・・・。」


??「何で携帯の電源切っているのよ!さっきから何度電話しても出ないじゃない!」

??「お、何度も電話くれていたのか!ごめんな、電源切っていたみたいだぜ。
   こんなに何度も、電話するとは・・・・まどかって娘から、私に惚れて乗換えかww」

??「今何処にいるの?そこまで殺しに行くわ。」
24 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:18:51.38 ID:GUmBe6+oo




??「冗談だよ。今レストランで昼飯食べて出る所だぜ。」


ほむ「その店に、テレビとかある?!」


??「お、おう。一台あるぜ。うん・・・・そろそろ昼前のニュースの時間か。」


テレビ ttp://www.youtube.com/watch?v=COf2G0-46Mg


キャスター「本日午前6時30分ごろ、東京都新宿区新宿○丁目の路上で、新聞配達の作業員が・・・・・」





??「・・・・・・・・・・・・・嘘・・・・・・・・・・・・・だろ・・・・・・・・・・・・・・」





25 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:19:52.42 ID:GUmBe6+oo




およそ6時間前・・・・・・・・ぞろぞろと捜査車両から降りた、刑事達が犠牲者に対し黙祷を行う。


刑事C「うう、寒いなあ。」


刑事B「まだ高校生くらいか?美人なのに可哀相に・・・・・・・酷い奴がいるものだ。」


刑事A「被害者の身元と、死亡推定時刻は・・・・・?」


鑑識「被害者の女性は、私立○女子高に通う・・・・巴マミさん17歳・・・・・・
    推定時刻は、およそ昨夜12時から1時の間と思われます。死因は、鈍器で後頭部を殴打された事による
    ものと思われます。」


刑事A「とすると、日付が変わったあたりか・・・・・。」


刑事B「家族と学校には連絡したのか?」


所轄「学校は未だです。両親は数年前に交通事故で死亡しています。現在はマンションで
   友人と同居中です。こちらは前日から、どうも何処か旅行に出たみたいです。」


26 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:20:50.93 ID:GUmBe6+oo




所轄「現在は、祖父に当たる○○氏が、一応の保護者と言う事になっています。」


刑事B「財界の有力者じゃないか。」


所轄「若い頃、ある女性と交際していましたが、女性は妊娠した事を隠し、身を引いたそうです。
   その女性は、巴マミの祖母でその後娘を出産・・・・○氏は、数年前まで実の孫がいる事を
   知らなかったみたいですね。」


刑事C「○氏は、若い頃奥さんに先立たれ子供はいないそうです。親族は戦時中の空襲で全滅・・・・
    性格は温厚だが、行動力がある人物で社員からは、故松下氏みたいに慕われていたみたいですね。」


所轄「○氏は、両親を失ったマミを直ちに認知し、保護者となる事を決めたそうです。巴マミは若いですが、
   デザイナーとして、優れた才能を持っていたそうです。現在は未だ修行を兼ねて、バイト中だったみたいです。」


刑事C「マミは、面倒見も良くて・・・・バイトしている店の店員や仲間・・・・
    学校の同級生や、後輩達にかなり慕われていたらしいです。」


刑事A「よく知ってるな よし上原と安倍は○氏に連絡しろ。高橋と原は、バイトしていた店や店員・・・
    後は、被害者の通っていた高校で聞き込みだ。」


27 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:21:50.43 ID:GUmBe6+oo




数時間後


刑事C「朝より寒くなっていませんか・・・・・::」


刑事B「被害者に恨みを持つ人物だらけで、容疑者が多過ぎるっていうのも困るけど・・・
    全く敵がいなくて、被害者が慕われているっても困るなあ。」


刑事A「同級生や、後輩には敵意ある視線でビシバシ・・・・やってられないぜ。
    チッ、また嫌なのがきやがった。」


刑事C「どうかしましたか先輩?」


刑事A「見てみろよ。また呼ばれもしないのに・・・・・・」


コンビA「どうやらかなり難航しているみたいです。何か手伝える事は有りませんか?」


コンビB「寒いから、いい考えがまとまらないんだろ。体を鍛えろよ。」


刑事Aもとい伊丹「余計なお世話だ!特命係の亀山ーー!」


28 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:22:51.64 ID:GUmBe6+oo



亀山薫「うるせー、特命係は余計だって言ってんだろうがーー!!」



http://www.youtube.com/watch?v=iDBQG3yc278(相棒OP)




29 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:23:51.91 ID:GUmBe6+oo




伊丹「残念ですけど、こちらでは収穫は何もありませんよ警部殿。被害者を悪く言う人は一人もいませんよ。」


芹沢「後背や、同級生からも凄く慕われていたみたいです。同居人ともトラブルは・・・・・
    第一、昨日は山梨に旅行に行っていたみたいです。」


伊丹「余計な事話すな。戻って現場で聞き込みだ。変質者や通り魔の可能性もある。被害者が抵抗したので・・・」
   の可能性もな。」

三浦「近頃東京近辺で、女生徒がジュースの空き缶を投げられたりとか、変な事件が起きてるな。
   模倣犯という線もあるか・・・・。嫌な時代だな。」スタスタ


杉下右京「皆さんは、巴マミさんの同級生の方ですか?」


クラスメイトA「もう何度も刑事さん達に話しました。マミさんは、他人に恨まれるような人じゃありません。」


右京「若くして、恵まれた環境にいるマミさんに対して、妬みを持っている方・・・・・そういう人をご存じないでしょうか?」


亀山薫「ファッション業界とかでも、若い頃苦労を重ねようやく名声を得た・・・・・そういう人が巴マミさんの
   事を妬んでいたとしてもおかしくないんだ。誰か、そういう噂を聞いた・・・・とか無いかな?」


30 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:24:50.92 ID:GUmBe6+oo




同級生B「マミちゃんは、数年前両親が事故死してから何年も、一人で暮らしていたんです。そんな彼女が
     幸せになったとして、多少妬む人がいても、殺そうとまで思う人がいるとは思えません。」


後輩「マミ先輩は、面倒見も良くてみんなの憧れです!軽音部の先輩方と同様、大好きな先輩でした!」


右京「ご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ありません。しかし、職務上聞かない訳にもいかないのです。
   皆さんにとって、巴マミさんは・・・・・・・頼れる姉・・・・・そんな感じなのでしょうか?」


後輩「私は、一人っ子なのでよく解らないですが、私にお姉ちゃんがいたらあんな感じなのかな。
   唯先輩と律先輩には、もっと年長者としての自覚を・・・・・・・・あっ部活行かなきゃ。」


薫「彼女に好意を持っていた男性・・・・・・知らないかな。マミさんを好きになってしまう男も必ずいると思う。
   さっきのガラの悪い刑事が、言っていた変質者じゃなくてもストーカーの可能性は無いかな?」


右京「巴マミさんに、男が付き纏っていたとか・・・・無言電話とか、盗撮・・・・・そういう事はありませんでしたか?」


同級生C「好きになる男性はいると思うけど、ストーカーは居ないと思うよ。命が無いかも。」


右京「はい?」

31 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:25:50.42 ID:GUmBe6+oo


同級生C「同居している子が許さないよ。彼女も数年前に、家族を亡くしているんだけど、
     マミちゃんとは、本当の姉妹みたいな感じ。」


同級生B「しっかり者の姉と、やんちゃで可愛い妹・・・・彼女もだいぶ苦労したみたいだけど、ケンカとか
     強そう。ストーカーなんて居たら絶対に許さないと思います。」


薫「こりゃ確かに難しいヤマですね。他に何か気付いた事は無いかな。どんな小さな事でも構わない。」


同級生A「そういえば、10月の連休に4人で箱根に旅行に行ったんです。そこで大人がケンカしていたのを
      止めた事がありました。」


右京「その話、是非詳しくお聞きしたいのですが?」


同級生B「え、ただのケンカですよ。」


薫「観光地だと、つい羽目を外してしまう人が多いんだ。もしそのケンカで、相手が重傷とか死亡・・・・」


右京「加害者の方が、もし・・・・大会社の重役や国会議員・・・・社会的に地位のある方であったら・・・
   どうでしょうか?」

32 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:27:50.91 ID:GUmBe6+oo


薫「もし本当にそんな事があった場合、公になったらその人の地位は破滅してしまう。」


右京「更に、その様な場合実際に目撃者が目撃していない場合でも、被疑者が見られたと勘違いをし
   口封じに犯行に及ぶ・・…という事も考えられるのです。」


同級生C「うーん・・・・でもケンカしていたのは高校生くらいで、その後直ぐに仲直りしていました。」


同級生B「そういえば、11月の始め頃に何かマミちゃん・・・ぼーっと考え事していた事が・・・・ 
     でも、その頃クラスでちょっと風邪流行っていたから・・・・・風邪かも。」


右京「色々お手数をおかけしてすみませんでしたね。」


同級生A「お願いします.絶対に犯人を逮捕して彼女の無念を晴らしてあげて下さい。」


薫「心配するな、必ず捕まえてやるさ。」


33 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:28:51.69 ID:GUmBe6+oo



薫「さて、一旦戻ります右京さん?それとも現場に行きますか?」


右京「現場に行ってみましょう。」スタスタ


??ペコリ スタスタ


右京「・・・・・・・」


薫「どうかしましたか?」


右京「いえ、何でもありません。」

34 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:29:54.75 ID:GUmBe6+oo


現場・・・・・新宿の中規模書店の倉庫入り口・・・・・


右京「貴方が、最後に巴マミさんを目撃された木下さん(書店店員)でしょうか?」


木下「はい。昨晩搬入作業は予定より少し遅れて終わり、夜の11時50分頃に帰りました。現場の道が
   アパートへの、近道なので・・・・・」


薫「その際に、大通りから歩いて来た巴マミさん・・・・えとこれが写真です・・・・を目撃された。」


木下「はい・・・・・間違いありません。確かにこの人です。」


薫「他に、誰か見ませんでしたか・・・・同行者とか。」


木下「携帯で何処かに電話はしていましたが、お一人でしたね。」


薫「この裏通りに、監視カメラが1台ありますね・・・・・」


木下「残念ながら、1週間前から故障中です。」


35 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:30:51.13 ID:GUmBe6+oo




右京「修理とかはなさらなかったのでしょうか?」


木下「もちろん翌日には、修理を依頼しました・・・・・しかし今度は修理会社が故障してしまって。」


薫どういう事?」


木下「早い話が倒産して、社員も皆夜逃げしてしまったんです。」


薫「嫌な世の中だねえー。」


木下「別の所に依頼したそうですが、明日まで無理だと言われたそうです。」


右京「どうもありがとうございました。もし何か気付きましたら、こちらにご連絡下さい。」


薫「どうも被害者は、夜11時50分頃までは、生存していたと見てよさそうですね。
   犯人は、現状近くの監視カメラが故障していた事を、知っていたのでしょうか?


右京「その可能性はありますねえ。現状近くに居住か、職場があり・・・・・土地勘や事情に
   詳しいという可能性もありますね。」


36 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:32:02.23 ID:GUmBe6+oo


警視庁


芹沢「一人目撃者が、見つかって良かったですね。」


三浦「でもねえ、酔っ払いだぞ。遠くからなので現状から急いで立ち去った人・・・・・
    犯人の顔も性別や身長も、覚えてないらしい。」


芹沢「他に人影は無かったらしいですから、単独犯な点だけは間違い無さそうです。」


伊丹「同居人は過去には色々あったが被害者とは、実の姉妹のように仲が良かったのは、やはり間違い無さそうだ。
   山梨県警からの連絡だが、昨晩山梨に居たのは間違いない。裏も取れた、事件とは無関係だな。」


芹沢「昨日の夜8時頃に、彼女の携帯に巴マミ本人から電話。その後9時頃にホシから電話があり、
   誘い出されてみたいですね。」


伊丹「ホシが使用した携帯は、紛失届けが出ていた・・・・・チッ・・・・かなり頭の切れる奴が犯人だな。先ほど公園の
   ゴミ箱から見つかったが、指紋はすっかり消されていた。・・・・・・?」


三浦「どうした?」

伊丹「いや、嫌な気配を感じたが・・・・気のせいか。」


37 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:33:49.31 ID:GUmBe6+oo

特命係室


米沢守「これが、現状で発見された事件に関係有りそうなファッション雑誌のコピーと、妙な宝石細工?です。
   雑誌のこのページに、被害者の指紋と血液反応がありました。」


右京「いつもありがとうございます。」


薫「この小さな、ランプみたいな宝石細工は何だろう?」


米沢「現状に落ちていましたが、割れていました。高価な宝石では無いですね。第一発見者の新聞配達員が
   死体に驚いて、踏んで割ってしまったそうです。しかし、最初から割れていたようだったとも言っていますな。」


右京「被害者の所持品でしょうか。」


米沢「残念ですが、指紋は検出できなかったので・・・・被害者の所持品とは断定できませんな。近くの宝飾店
    の人も知らないと・・・・。」


薫「鈍器を始末したホシが、この雑誌を持ち去ろうとして・・・・人の気配に気付き・・・・巡回中の警官と
   勘違いし、雑誌を残して現場を離れた・・・・・ この指紋は、被害者のメッセージかもしれませんね。」


38 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:34:50.38 ID:GUmBe6+oo


右京「マミさんの指紋があったページですが、俳優さんと女優さんの写真が出ています。
   こちらの男性は、今年の大河ドラマで主人公のライバル役をやられた方ですねえ。」


薫「こちらの女優は、今やっている大奥ドラマで徳川将軍役で出演していますね。」


右京「??将軍は男性ではないのですか?」


米沢「変な疫病で、男子が激減し男と女の立場が逆転したという設定ですな。将軍は女性で大奥には男性。」


杉下「どちらかのドラマに、二人とも出ていたわけでは無いですね。」


薫「そうみたいです。朦朧とした被害者が勘違いをして、指紋が残ったのかもしれないですね。」


米沢「お力になれず申し訳ありません。」


右京「いつも助かっています。どうもありがとうございました。」

39 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:35:57.05 ID:GUmBe6+oo


                  12月2日   日曜日


                       20:00


40 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:37:56.03 ID:GUmBe6+oo


小料理屋「花の里」


たまき「ニュースで見ましたけど、今回の事件かなり大変みたいですね。」


右京「証拠や、目撃証言も少なくかなり大変です。何か嫌な予感がするので、亀山君もお酒は飲まない方が。」


亀山「了解と、・・・・被害者は皆に慕われている、監視カメラは絶賛故障放置中・・・犯人の目撃証言は、
   あまり役に立たない・・・・・。」


たまき「被害者が敵だらけの事件と、敵が全く居ない事件・・・・・やはり後者の方が困難なのかしら?」


右京「容疑者がたくさん居ても、絞り込んで行く事が可能ですが・・・今回の様な事件は、まるで霧の中で
   落とした小銭を探すみたいで、大変困難です。」


亀山「友人達に約束した以上、早く犯人を逮捕してやりたいですね。」


たまき「どうもありがとうございました。」


右京「ご馳走様でした。・・・・おや携帯が・・・・。」


41 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:38:50.32 ID:GUmBe6+oo


角田課長「よっ、暇か?どうも、被害者の巴マミさんの身辺を、嗅ぎ回っていた男が居たらしい。
      相当やばい奴らしいぞ。」


右京「亀山君、直ぐに戻りましょう!」


数時間後捜査一課


伊丹「巴マミの周辺を探っていたのは、私立探偵の岡部だ!かなり裏社会に精通し、危ない橋を渡る事も有るらしい。
   2週間ほど前に、色々嗅ぎ回っていたとの事だ。」


三浦「相当やばい奴みたいですね。婦女暴行の前科もあるとの噂も・・・・・被害者を襲っていた訳では
   無さそうですが、誰かに依頼されて調査を・・・・。」


伊丹「直ぐにこいつを押さえるぞ!」


芹沢「そろそろ奴の事務所です。あのビルか・・・・・・ああ燃えていますね・・・・・。」


伊丹「ふーん、燃えているのか・・・・・・・・・・・・・・。」


3人「ナニィィィィィィーーーーーー!!」


42 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:40:49.07 ID:GUmBe6+oo



岡部=西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ
    「四国連絡特急殺人事件」の登場人物です。


      2代目の風車の弥七親分です。

43 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:41:54.35 ID:GUmBe6+oo




三浦「チッ・・・全部丸焼けか・・・・・先手を打たれたか・・・・・それとも別の奴・・・・。」


芹沢「岡部は居ませんね。拉致でもされて拷問されたか・・・・・上手く逃げ出したのかも。」


伊丹「・・・ん 特カメからの電話か?・・・・・岡部を見つけた・・・・さっさと連れて来いよ!
    何それは不可能・・・・・・その先を聞きたくないぜ。」


薫「残念ながら、既に殺害されている。頭部を複数回殴打されたみたいだ。」


30分後


米沢「被害者は私立探偵岡部氏に間違い無さそうです。凶器は形状から見て、前回と同じ・・・・
   と思われます。複数回殴られそれが死因かと。死亡推定時刻は午後10時頃・・・・。」


薫「発見され、救急車が来た時未だ意識があって、こう呟いて事切れたらしい。」


伊丹「もったいぶらずに早く教えてくださいよ、警部殿。」


右京「『かの』・・・・こう呟いて事切れたそうです。」

44 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:43:56.37 ID:GUmBe6+oo




芹沢「どういう意味でしょうか?意識が混濁して変な事を言っただけでは?」


右京「その可能性も考えられますねえ。被害者を殺害した後に、用意しておいたガソリンを撒いて探偵事務所を
   丸焼けにして証拠隠滅と思えますね。」


伊丹「ここからは、我々の事件です。警部殿達はどうぞお帰り下さい。」


1時間後 24時間営業の牛飯屋


右京「今度の事件、果たして巴マミさんを殺害した犯人の犯行でしょうか?それとも別の・・・・・・
   亀山君はどう考えますか?」


薫「4課の知り合いに、電話を掛けて聞き出したのですが、岡部は命を狙われていた形跡があるそうです。
  『知り過ぎた男』という事で、近くヒットマンが送られる等と言う、噂もあったそうです。」


右京「なるほど、偶然口封じに消されたという線も・・・・・十分にありそうですね。火を付けて証拠を消した・・・・
   考えられますね。さて一旦帰りましょう。亀山君も数時間でも仮眠を取るべきですね。」


薫「では、また午後に・・・・・・。」


45 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:44:50.15 ID:GUmBe6+oo





                  12月3日   月曜日


                      14:00


46 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:45:50.54 ID:GUmBe6+oo




午後2時  特命係室


薫「こんにちはー、右京さん起きてますー?」


右京「充分、仮眠も取って起きました。疲労は捜査の大敵です。」


午後3時


薫「どうやら裏社会に岡部が消されたという線は、無さそうな状況ですね。連中大騒ぎになっているらしいですよ。」


右京「やはり、巴マミさんを殺害した犯人の仕業・・・・その可能性が高くなりましたねえ。むしろ彼らはその人物に
   感謝しているかも知れませんね。」


薫「こんな時に、テレビドラマや小説なら右京さんの携帯が、ピロピロと・・・・・」


携帯「♪」


二人「・・・・・・・・・・・・・・」


47 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:46:51.26 ID:GUmBe6+oo


右京「こちら杉下です・・・・・・・おや木下さん・・・・・・・・。」


木下「さっき、清掃していたら・・・現場の隅の方に宝飾品関係の雑誌が落ちていたんです。捨てようと思って中を見たら、
    血の付いた指紋が・・・・・もしかしたら被害者の方の、指紋かもと思いまして。」


右京「ありがとうございます。今すぐお伺いします。」


4時前


木下「この雑誌は、最新号で事件の直前に入荷したばかりで、発売日は本来なら事件の翌日でした。帰る時に
   ここの台の上に置き忘れて。」


右京「どうもありがとうございました。」


駐車場へ移動中


伊丹「おっと、その証拠品はこちらで受け取らせてもらうぜ。」


薫「チッ、お前かよ。」


48 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:47:50.63 ID:GUmBe6+oo


??「あ、亀やんお久しぶりー!」


??「先日はありがとうございましたー。」


伊丹「・・・・ん・・・・知り合いか?」


ハルヒ「先日、団員のみくるちゃんのカバンをひったくった凶悪犯を、捕まえてヴァルハラ送りにしてもらったの。」


薫「いやいや、逮捕して刑務所に送っただけだって。」


ハルヒ「ピーン そっちの刑事さんが、亀やんが入手した証拠品を、横取りしようとしているのね。」


みくる「そんな、可哀相ですよー。」


ハルヒ「警察内部で、仲間割れしていたらダメじゃないの!犯人に逃げられてしまうじゃない。」


伊丹「後で返すからさ。それで良いだろ。」


49 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:48:50.11 ID:GUmBe6+oo


ハルヒ「みくるちゃん、同じ雑誌買えたの?」


みくる「やっと今日買えました。本当は一昨日の発売の筈なのに・・・・・。」


右京「その話、詳しく聞かせて貰えませんか?」


みくる「・・・・・?女の子が殺された事件と、関係有るんですかー?」


右京「すみませんねえ。変だと思うと知りたくなってしまう性分でして。僕の悪い癖です。」


ハルヒ「この雑誌、本当は昨日発売なんだけど・・・・・何処の書店でも、1日遅れたんだって・・・・」


右京「その様な事は、よくあるのでしょうか?」


薫「右京さん、何度もそんな事していたら出版社の信用無くなりますって。」


右京「配送中のトラックが事故・・・・・いやそれなら、広範囲で起こる事は無いですねえ。
   昨年の大震災の後は、数週間雑誌が店頭に並ぶのが遅れたりしましたが。」


50 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:50:52.90 ID:GUmBe6+oo


みくる「もう直ぐクリスマスだけど、亀山さんは奥さんにプレゼントとか買ったのですか?」


薫「鋭意検討中です。」


ハルヒ「この○ページの宝石とか良さそうね。明るい色で・・・・・」


薫「二人とも、風邪引くなよー。」


右京「どうもありがとうございました。」


 夜7時過ぎ 特命の部屋


伊丹「そらよ、返しに来たぜ。このキャッツアイの宝石の写真のページの指紋は、巴マミの指紋に間違いないとさ。
   じゃあ俺は帰るぜ。」


薫「ありがとうよ。・・・・・・問題は何を意味しているか・・・・・おや課長こんばんわ。」


角田「おや、その雑誌の二人なら数年前に・・・・・民放のドラマで共演しているぞ。」


51 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:51:56.28 ID:GUmBe6+oo





課長「まああまり、知名度のあるドラマじゃないから、知らない人も多そうだけどな。舞台は奈良県で
   新任の男性の高校教師と女子生徒・・・・・という役回りだ。」


薫「そういえば、課長は京都のご出身でしたね。」


課長「親戚が奈良にいてね。吉野の遺跡とかも出るけど、何と言っても奈良を代表するあの動物・・・・・。
   おっと今日はもう先に上がるぜ。」



薫「どうやらやはり、巴マミのメッセージみたいですね。この雑誌は犯人が慌てて隅に放り込んだ
   んですかね?鹿キャット・・・・鹿アイ・・・・・」


右京「この宝石ですが日本では、猫目石と呼ばれますね。鹿猫・・・・・猫鹿・・・・・・・。」





二人「・・・・・・・・・・・・・・鹿・・・・・・・・・・・・・目・・・・・・・・・・・・・・・。」


52 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:52:57.34 ID:GUmBe6+oo




                  12月5日   水曜日


                       12:10


53 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:54:50.74 ID:GUmBe6+oo




??「ここのランチはいつも美味いなあ・・・・・・・ん?誰だ・・・・私に何か用が有るのかい?」


右京「警視庁特命係の杉下と申します。」


薫「同じく亀山です。お聞きしたい事がありまして、お時間よろしいです?」


??「手短に頼むよ。」


薫「数日前に、付近のA書店の裏口で女子高の生徒さんが殺害された事件、ご存知です?」


??「ああ、知っているよ。お昼のニュースで見た・・・・酷い事をする奴が居るな。」


右京「実は、犯行時間の午前0時ごろ・・・・・現場近辺で・・・・・鹿目詢子さん、貴方に似ている方を目撃された
   という通報がございまして。お気を悪くされたかも知れませんが、確認しない訳にもいかないので。」


鹿目詢子「その日・・・・・神戸の方に社の研修で3日ほど研修に行っていたんだ。帰りの新幹線が信号トラブルで1時間
   遅れたから、その日は、何処にも寄らずに家に直行さ。無論その後は熟睡。」


54 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:55:53.77 ID:GUmBe6+oo




薫「現場の書店や、搬入口所に・・・・・これまで行かれた事はありませんか?」


詢子「この書店に入った事は多分一度も無いなあ。会社の近くだけど、デパートの書店の方が、本も多くて
   便利だからな。」


右京「どうもありがとうございました。・・・・後一つだけ・・・・・一応被害者の写真見てもらえます。こちらの二人にお会いした
   事はあるでしょうか?」


詢子「こっちの男は無いね。女子高生の方は、何かの集まりで一度くらい会ってるかもしれないね。」


右京「お食事中、失礼いたしました。」


詢子「おや、刑事さんもその雑誌読んでいるのかい。それとも捜査の証拠品?」


右京「これは、私用で購入した物でして。うっかり持って来てしまいました。」


詢子「その雑誌は、私も時々購読してるよ。奥さんへのプレゼントに良さそうなの、教えます?」


右京「お心遣いありがとうございます。しかし数年前に離婚しておりまして。」


55 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:56:50.37 ID:GUmBe6+oo


詢子「それは、悪い事言ってしまったなあ。」


右京「いえいえお気になさらずに。こちらの亀山君は既婚者です。何か良い宝石の記事でもありましたか。」


   雑誌の中を見ずに説明を始める洵子。


数分後


右京「どうもありがとうございました。」



右京「さて、次の目的地は?」


薫「神田の出版社ですね。」


56 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:57:53.86 ID:GUmBe6+oo


伊丹「昨日3課が逮捕した、常連の窃盗犯が情報の提供を申し出て来た。容疑者が、3週間前に新宿区内で
   住宅地を物色して、潜入していた際に・・・・・殺された岡部と、住宅街の影で仕事の話をしていた女を目撃していた。」


三浦「窃盗犯Aは、岡部は正面から見えたが女は、後姿しか見ていないと供述している。しかし声に聞き覚えがある
   らしい。」


芹沢「Aは、半年前その女性のカバンをひったくろうとしたが、返り討ちに遭い蹴飛ばされている。その時の女性の
  声と、後姿ですが・・・・・今回の目撃した、女性に極めて酷似しているとの事です。」


三浦「奴は、仕返しをしようとして自分で調べていたらしい・・・・・途中ついでに、別人宅に窃盗目的で潜入。
   目的を達し、逃げようとした所怪談から転落し、そのまま御用となった。」


伊丹「女の名前は、鹿目詢子3X歳・・・住所は南新宿・・・・・・・・数年前までは、群馬県見滝原市に居住していた。
   ちなみに、彼女の勤務する、食品会社は・・・・第一の事件・・・・巴マミ殺人事件の現場に近い。
   土地勘もあり、監視カメラの故障や修理会社の倒産も、知っていた可能性が高い。」


芹沢「岡部の死に際の言葉ですが、『かなめ」と『かのめ』を死に際勘違いで間違えた・・・・もしくは、最初から
   女性の名前を、勘違いしていたかのどちらかでは。」


伊丹「巴マミのメッセージも、雑誌Aの『鹿』雑誌Bの猫目石の『目』で、鹿目詢子を示している物と考えられる。
   とりあえず任意で引っ張れ。」


57 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 21:58:50.89 ID:GUmBe6+oo


詢子「ふざけんな、どうして私がこんな取調べを受けなきゃならないんだ!」


三浦「あんたが、岡部と接触しているのを目撃した奴が居るんだ。」


詢子「そいつは、私の顔を直接見ては居ないんだろう!雰囲気が似ているだけの別人じゃないのか!」


伊丹「しかし、半年前そいつはあんたのカバンをひったくろうとして、あんたに返り討ちにされている。声も良く覚えているそうだ。
   もう一度目撃してから、仕返しをしてやろうとあんたの事を調べて居たんだよ。」


詢子「そいつに、半年前大恥をかかせたのは確かだよ。逆恨みで私を陥れようと・・・嘘の目撃情報を
   話したっていう線もあるんじゃないのか。」


芹沢「岡部は、『かの』と言い残して死亡した。貴女の名前を言おうとしたけど、『かな』と間違えて
   『かの』にやられたと言おうとした、つまり貴女の事では無いのですか?」


詢子「私の名前を言い間違えたって言う証拠は無いぜ。岡部って探偵は、かなり裏社会では有名で
   命を狙われていたとか、ニュースでやってた。『どこかのヒットマン』にやられたと、言おうとしたのかもな。
   もしくは、救急隊員の聞き間違いだよ!」


三浦「第一の被害者も、あんたに殺害されたと言うメッセージを残している。」


58 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:00:50.37 ID:GUmBe6+oo


伊丹「雑誌Aの男優と女優は、数年前【『鹿』男あをによし】というドラマで、共演している。
   雑誌Bの猫目石・・・・・この両方のページに、被害者は血の付いた指紋を残している。
   『鹿』と『目』で、あんたの事を指しているんじゃないのか。」


三浦「鹿目さん、数ヶ月前に都内ホテルのイベントで、一度会ってますよね。談笑しているのを目撃されていた
   方が居ます。名刺を渡した筈ですよ、その名刺は彼女の自宅で発見されています。」


詢子「確かに、ちょっと話したのは事実だよ。でもそれ以降一度も会ってないし、電話した事も無いぜ。
   今年は幹部研修とかで、忙しかったからな。マミって子には、気の毒だけど・・・メッセージが
   私のことを指しているとは、限らないだろ。朦朧とした意識で倒れた時に、偶然
   そのページに、手が触れたじゃないのか・・・・」


芹沢「なるほど、それはありますね!」


伊丹「納得してんじゃねえ!」ポカッ


詢子「凶器から私の指紋が見つかったり、私がマミって子を殺害している所を、見た奴が居る訳でもない。
    帰らしてもらうぞ。」スタスタ  


右京「残念ですが、鹿目詢子さん・・・・貴女にお帰り頂く訳には、いかないのですよ。」


59 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:01:53.16 ID:GUmBe6+oo


詢子「つまり、あんたもこいつらと同じ穴の狢って事とだったんだな。」


伊丹「俺達は、捜査一課!その警部は特命係。一緒にしないで下さい。」


右京「鹿目さん、確認したいのですが・・・・先日お会いした際に、この雑誌Bから○ページの宝石を
   亀山君の奥さんへのプレゼントに、紹介してくれましたね。間違いありませんか?」


詢子「ああ間違いないね。私は記憶力には自信があるんだ。落ち着いた色の・・・・・。」


薫「貴女が、この雑誌の内容を知ったのは、事件の翌日以降に書店で購入したから・・・・間違いないですね。」


詢子「ああ、出版社の人と知り合いじゃないからね。当然購入した後さ。最近じゃマンガとかは
   発売前に既に、内容が外に漏れて居たりするらしいけどな。 仮に有ったとしても、数日間
   研修で、神戸にある社の施設に居た私が知る機会は無いね。外部との連絡やネットは禁止。
   もういいだろ、明日も仕事があるから帰るぜ。」


右京「ですから、帰す訳には参りません。詢子さん・・・・・既に僕と亀山君の目の前で・・・・・・・・・
   ご自分の口で、認めておられるじゃありませんか。貴女が、犯行時間・・・・犯行現場におられた
  という事を・・・・・・・・。」


60 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:02:50.23 ID:GUmBe6+oo


三浦「どういう事ですか、警部殿?」


薫「こっちが、現場で見つかった雑誌B-1。こっちがさっき書店で購入して来た同じ雑誌だ。伊丹、彼女が言った
  ページをそれぞれ見てくれ。」


伊丹「何言ってやがる。同じ雑誌の最新号だから同じ内容に決まっているだろ。バカ・・・・・・・・・・・!!」


芹沢「彼女が言ったページだけ、写真が違う!宝石も写っている女優さんも違いますよ!」


三浦「同じ雑誌なのに、何で写真が違うんだ・・・・・・・」


薫「この雑誌の本来の印刷会社は、神田にあるんだ・・・・・本来なら、何の問題も無く出版出来たのだが。」


伊丹「不発弾だ!戦時中にB29が投下した爆弾が、数日前に神田で住宅の解体作業中に・・・・・・」


右京「ただの焼夷弾の不発弾なら、こんな事態にはならなかったでしょう。しかし、発見された爆弾は・・・・
   重量が、4.5トンに及ぶ超大型爆弾・・・・・通称「パンプキン・ボム」だったのです。」


61 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:03:54.14 ID:GUmBe6+oo


薫「これは、原子爆弾そっくりの模擬爆弾だ。事前に搭乗員の訓練も兼ねて、日本各地に投下されていたらしい。
  8月10日頃に神田に投下されて、不発で今まで放置されていたらしい。」


伊丹「広島・長崎の投下後に、何故東京にそんなものが落ちて来るんだ。」


三浦「いや、聞いた事があるぞ。幻の第3の投下計画があったらしい。広島と長崎で日本側が降伏しない場合、
   東京近郊か、近隣の小都市に落として降伏を迫る目的だったらしい。あくまでも噂らしいが。」


右京「幸い、テストだけで終戦となりました。不発弾は、解体される筈が・・・・・戦後の混乱期でうっかり
   解体前なのに、行政のミスで解体済みになってしまったようです。」


芹沢「跡地に立てられたのが、一般住宅でラッキーでしたね。高層マンションやビルだったら工事中に
   大爆発して、周囲数百メートルが消し飛んでいたのでは。」


右京「数日前に発見され、神田の広い範囲が処理作業の為に、数日間避難を余儀なくされました。
   当然、某印刷会社も含まれます。」


薫「慌てて遠くの印刷会社に依頼したが、当然他の出版社の仕事も廻って来てしまった。
  先方から、時間指定をされ急いで編集をする事になり、別の雑誌に使う写真を使ってしまった。」

62 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:04:49.26 ID:GUmBe6+oo


右京「重要でない写真なら、そのままにして出版したかもしれません。しかし、その写真は最新号の目玉となる
   写真と記事でした。当然映っている女優さんは大物です。そのままにして出したら、とんでもない事になります。」


薫「前日の夜11時ごろ、それに気付き即座に出荷停止指示を出した。しかし、出版社の近く・・・・・新宿の一部
  の書店向けの荷物は、もう出てしまった後だった。」


右京「当然の事ですが、書店には発売中止と・・・廃棄処分の要請を行った訳です。しかし、最後に電話を掛けた書店・・・・
   つまり、犯行現場の書店ですが・・・・・『店頭に出すな』とは、要請しましたが・・・・・・・」


伊丹「廃棄処分の要請を、出し忘れてしまったという訳か。だからこの一冊だけ残ってしまったのか。」


薫「夜11時25分頃に、出版社から電話があり・・・・・11時35分に書店に到着・・・・店員の木下さんは、
  雑誌の表紙に、発売中止の紙を貼り付けて店長にその旨をメールして、23時50分頃帰宅。」


三浦「本は、搬入口外に置いたままか。そして、帰る際に犯人に呼び出された・・・被害者を目撃したのか。」


薫「ちなみに、発送されたエラー雑誌は全10冊。現場の店以外の9冊は要請通りに廃棄処分された事が、
  各書店共に、複数の店員や作業員が証言・確認している。」


63 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:05:50.26 ID:GUmBe6+oo


右京「つまり、貴女が言われた宝石の写真が掲載された雑誌は、犯行があった時間、 世界にたった1冊
  しか存在しなかったのです。出版社の人と、書店の作業員や店員の極小数しか知り得ません。
  無論それら全員の通信記録を調べましたが、貴女に連絡した形跡も無い上に、そもそも全員・・・・・
  鹿目詢子さん、貴女と交友のある人物は居なかったのですよ。」


薫「無論、マスコミは一切知らない。警察でも知っていたのは、ついさっきまで俺と右京さんだけだ。
  一般人は絶対に知る事が出来ない、写真を何故あんたが知っているんだ?」


右京「その一冊を、本来情報を知り得ない鹿目詢子さん・・・・貴女が知る事ができる方法は、たった一つしかありません。
   犯行が行われた現場で、犯行が行われた正にその時間、現場で読む以外にはありえないんですよ! 
   どうなんですか、鹿目詢子さん!」


詢子「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


詢子「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハハハハハ・・・・・・余計な事言うんじゃなかったな。・・・・・・・・・・・そう・・・・・・・・・
   私が犯人だ。新幹線で東京に着いた後、拾った携帯で電話を掛けて呼び出して・・・・・・・・
   後は、推理通りだよ・・・・・・・・凶器を始末して戻ってみたら、巴マミがメッセージを残していた。
   雑誌を2冊とも持ち去ろうとしたら、人の気配がして・・・・・巡回中の警官かもと思って・・・・・
   片方の雑誌はその場に捨てて、もう一冊は隅っこに隠して・・・・・・・現場を離れたのさ。」


伊丹「・・・・・・・岡部もあんたが殺したのか?」


64 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:06:55.63 ID:GUmBe6+oo


詢子「ああ、そうだよ・・・・・あいつは、裏社会では顔が知られていたから・・・・・少しは約束を守ると思った。
   しかし、足元を見てお金を強請ってきた。」


三浦「それで、口封じに殺したのか?」


詢子「無論そのつもりだった・・・・・・しかし、あいつは更に私に襲い掛かって来た。気が付いたら、岡部は
   地面に倒れていたよ。」


三浦「岡部の探偵事務所に、放火したのもお前か?」


詢子「いや、それは違う・・・・・・火を付けにに行ったら、もう激しく燃えていた。どこかの放火犯か、それこそ
   岡部を厄介払いしたい奴の仕業じゃ?」


右京「どうも、ビルが老朽化した事による電線の漏電による火災で、火災には事件性は無いと消防署
   が先ほど結論を出したそうです。」


詢子「そうな・・・・・・のか・・・・・・、てっきり他の誰かが火を付けたと思ったけどな・・・・・・・・・・
   ・・・・・・・口は災いの元・・・・・・確かにその通りだな。」


右京「果たして、そうでしょうか?」


65 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:07:53.04 ID:GUmBe6+oo


米沢「指紋認証が終わりました・・・・・・・・。」


薫「殺害に使われた凶器が発見され、あんたが消し忘れた指紋や、被害者の血液反応が発見された。」


詢子「・・・・・・焦って消し忘れがあったか・・・・・・凶器も解らない様に、捨てた筈だったのにな・・・・・考え
   が甘かったか・・・・・・。」


米沢「鑑識の技術と執念を、甘く見ないで欲しいですな。」


右京「さて、鹿目詢子さん。・・・・・・・・貴女は、何故・・・・・・・・被害者を手に掛けたのでしょうか?
   僕は、動機は復讐であると考えています。それも家族か親しい親友・・・・といった。」


薫「しかし、調べてみても・それらしい人物が浮かんで来ない。・・・・・・・・夫の鹿目知久氏と
  息子のタツヤ君は、・・・・・・・・・2年前のクリスマスに交通事故で亡くなっている。相手側の
  過失による事故だが、相手も2週間後に死亡している。他の知人や、親友も復讐を考える様な・・・・
  不幸になった人は一人もいない。どういう事なんだ?」


詢子「・・・・・・・今日は話したくない。気持ちの整理が出来てない・・・・・・・。」


伊丹「今日はここまでとしよう。警部殿、後は我々の仕事です。どうぞお帰りを。」


66 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:09:51.15 ID:GUmBe6+oo


右京「解りました、後はよろしくお願いします。帰りましょう亀山君。」


薫「ま、後は任せるぜ。」


伊丹「年内は、お前の顔を見ない事を祈るぜ。」


詢子「仲が良いな、二人とも?」


二人「どこがだ!」



右京「どうしました、亀山君。気分でも悪いのですか?」


薫「・・・・・どうも何か、嫌な胸騒ぎがするんです。今後何か・・・・・・・とんでもない事が起きそうで・・・・・・。」


右京「実は、僕も何か嫌な予感がします。これ以上真相を明らかに、しない方が良い・・・・・僅かですが、
   心の中で、そう考えてしまった自分が居ます。刑事になって以来、真相を明らかにするのを
   多少躊躇った事はありますが、怖いと僅かでも思ったことは一度もありません・・・・・・。
   今日は、帰って寝ます。」


67 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:11:49.69 ID:GUmBe6+oo





                  12月8日    水曜日


                       10:00



68 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:12:55.92 ID:GUmBe6+oo



内村「それで、被疑者は動機の詳細についてはしゃべったのか?」


伊丹「未だです。動機について杉下警部は、家族か極親しい親友の怨恨・・・・・と考えておられるみたいです。
   詳細は未だ不明のままです。」


中園「あの杉下が、詳細について未だ不明だと?珍しい事もあるな。被疑者のような女性は、あいつの苦手な
   タイプなのか。」


伊丹「被疑者は、詳細については杉下警部に話したい・・・・・・そう主張していますが・・・・・」


中園「これ以上、手柄を立てさせなくても。動機は怨恨だと解っているし、凶器から被疑者の
   指紋や、犠牲者の血液反応や、皮膚片も出たんだ。部長、このまま送検し・・・・・起訴してしまっては。」


内村「・・・昔ならともかく、今は裁判員裁判だ。裁判員に『復讐ってどのような復讐ですか?』と聞かれたらどうする。
   解りませんじゃ通らんぞ。警察はマスコミに叩かれるぞ。」


中園「仕方ないか・・・・・伊丹、特命の二人を連れて行け。」



69 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:14:55.18 ID:GUmBe6+oo


午前中 取調室


薫「あまり寝ていないのか、顔色が悪いぞ・・・・・・。」


詢子「嫌な夢ばかり見て、飛び起きるの繰り返しさ。・・・・・・・犯行を犯す時の夢や・・・・・・警察から夫とタツヤが・・・・・
   交通事故で亡くなったと、・・・・・・・知らせを受けた時の夢・・・・・・。」


右京「それは、未だ貴女が・・・・・・人として、最後の良心を失っていない。・・・・・その証ではないでしょうか?」


詢子「相変わらず口が巧いな。さて、約束だから・・・・・動機の事話すよ。警部の推理通り、家族の復讐さ。」


薫「しかし、あんたの家族は既に2年前に事故死し、死んだ加害者も今回の被害者とは、何の面識も無い・・・・
  それに、旦那さんと息子さん以外の近しい親族も居ない。」


詢子「図書館で調べたんだが、巴マミは数年前に交通事故で両親を失っているんだ。」


薫「確か、家族で伊豆に旅行に向かう途中に、伊豆西岸の国道136号で・・・・大型トラックに衝突されて・・・・・
  彼女だけが助かった。当時はかなり世間を騒がせたそうだな。奇跡の生還とか言われて。」


70 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:15:54.02 ID:GUmBe6+oo




詢子「・・・・・中学時代は、それが原因で孤立し・・・・友人もほとんど離れたらしい。」


右京「その様ですね。高校の同級生に話したら、皆さん大変驚かれていましたよ。」


詢子「クラスでも孤立していたマミは、・・・・・・・・・・私の娘を・・・・・・・引き込もうとしたんだ・・・・・・」


伊丹「非行への道か?・・・・・・・・娘って誰だ・・・・・・・?」


詢子「私の娘・・・・・・・・・鹿目まどか。・・・・・・・一人で、戦い孤独だったマミは・・・・・・まどかを
   危険な魔法少女の道に、誘い込もうとした・・・・・・・。」


詢子「何度も・・・・危険な所に連れ回し、・・・・・・・そして魔女にやられて死んだ!・・・・・まどかと親友の
   さやかちゃんは、心に深い傷を負った。・・・・・・・・ その内に今度はマミを深く尊敬していた、
  さやかちゃんも、魔法少女になり・・・・・・そして・・・・・・絶望し、魔女になり・・・・・まどかは説得したが・・・・・
  通じずに滅び、もっと傷ついた!」


詢子「最後は、恐ろしい魔女から皆を救う為に・・・・・・・魔法少女になり、『過去全ての魔女を消し去りたい』
   と祈り、魔女を打ち消した。・・・・・そして、魔女に殺されたマミは死んでない事になった。でも、
   まどかの事を全部忘れてしまい、幸福になり生きている・・・・・・だから許せなかったんだ!」


右京「はい?」


71 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:17:50.72 ID:GUmBe6+oo


                  登場人物リストです


??  ベテランの魔法少女 武器はまどかから受け継いだ弓矢。元は時を操る能力を所持していた。

??  ベテランの魔法少女 武器は槍

巴マミ 魔法少女 上記の2名より1年年長
美樹さやか 2年前の5月に消息不明になり、現在に至っている。

鹿目洵子 優秀な女性社員 東京居住


鹿目知久 洵子の夫。2年前のクリスマスイブに事故死。


鹿目 タツヤ 洵子の長男。2年前のクリスマスイブに事故死。3歳


明日美   紅い魔法少女の父親の友人の娘で、魔法少女 笑点の水色の人の町に居住。
      オリジナルキャラ。


上条 恭介 バイオリン奏者の卵。美樹さやかの幼馴染。


志筑 仁美恭介の恋人の令嬢。

早乙女 和子 鹿目洵子の古い友人。見滝原の中学教師で、美樹さやか達の担任。


72 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:19:56.15 ID:GUmBe6+oo





杉下右京  警視庁特命係 警部
亀山薫   警視庁特命係 巡査部長


伊丹憲一  警視庁刑事部捜査一課7係 係長
三浦信輔  警視庁刑事部捜査一課7係
芹沢慶二  警視庁刑事部捜査一課7係


米沢守   警視庁刑事部鑑識課
角田六郎  警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第5課長 警視


内村完爾 警視庁刑事部長 警視長
中園照生 警視庁刑事部参事官 警視正


亀山美和子 薫の妻で帝都新聞社会部記者。
宮部たまき  小料理屋「花の里」の女将で、右京さんの別れた奥さん。


小野田公顕  警察庁長官官房室長 警視監 右京さんの元の上司。



73 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:22:51.20 ID:GUmBe6+oo


伊丹「あんた・・・・・・まともじゃないぜ。」


右京「・・・・・・・・・・・・」クルッ


芹沢「こっち向かれても困りますよ。警部に解らないのに、僕等が解るわけ無いじゃありませんか。」


伊丹「自慢すんじゃねえ。」ポカッ


芹沢「・・・・・・・・あ・・・・ご家族を無くされた後に、誰か別の男性と恋に落ち・・・・・・。」


詢子「それは無い。一人だけさ・・・・・・・・。」


右京「魔女とは、ハ○ーポッターシリーズのような人間の魔女でしょうか?」


詢子「化け物さ!人間を襲う事もあるらしいぜ。なんでも魔法少女の成れの果てで・・・・・全てに絶望すると
   魔女になって滅ぶらしい。」


薫「魔法少女・・・・・・・・にはどうやってなるんだ・・・・・・?」


74 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:23:52.38 ID:GUmBe6+oo


詢子「・・・・・・・・契約するのさ・・・・・・・・その際に願い事が一つ適うらしい。」


右京「テストの成績を上げたいとか、強くなりたいとかですか?」


詢子「らしいね。最も他の魔法少女・・・・・がどんな願いを適えたか興味は無い。
   まどかは、最強クラスの魔法少女候補だった。だから・・・・・全ての魔女を消す凄い願い事が出来た。」


右京「要するに、魔法少女とは多感な女子中高生を・・・・願い事と言う・・・・・甘い餌で騙し、
    魔女退治と言う生命の危険を伴う、危険極まり無い事をさせる仕組み。
    もっとも、魔法少女・・・・・・・その様な現実離れした存在が、実在すると仮定してですが。」


詢子「幼馴染の、さやかちゃんは・・・・・・事故で左腕が動かなくなった、上条恭介の腕を治す
   為に契約してしまった。しかし、金持ちのご令嬢に奪われて・・・・絶望して死んだのさ。
   さやかちゃんを救えず、まどかは更に苦しんだ。マミが二人に魔法少女の事を
   話さなければ、二人とも・・・・・・・・。」


薫「美樹さやかは・・・・・確か2年半前の5月くらいに、消息不明になったらしい。美和子(嫁)
  が、一時期取材していたんだけど・・・・・・結局恋人を巡るいざこざで、家出したという現地警察の
  発表以外には何も出て来なくて・・・・・・・・取材も打ち切られた。以後現在に至るまで消息は不明
  らしい。」


75 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:24:51.75 ID:GUmBe6+oo


右京「そして、恐ろしい破壊を行う魔女が襲来し・・・・・町を守り、魔法少女を救う為に・・・・・命と引き換えに、
   魔女を全て消し去り、まどかさんは存在全てが消滅した。逆に、魔女にやられた巴マミさんは、魔女にやられた
   と言う歴史自体が、無かった事になり・・・・・死んでいない事になった・・・・・・。」


薫「しかし、まどかの事を忘れて、幸福に生きているマミの事が許せず、殺害を企てた。
  後悔は無いのか?」


詢子「無いね・・・・・・・・・と言いたいけど。・・・・・・・・・今は何か・・・・・・心に穴が・・・・・・開いているみたいだ。」


伊丹「どうやって、あんたは・・・・魔法少女・・・・・とやらの事を知ったんだ。無論俺は、そんな存在は信じないがな。」


詢子「一月半・・・・ほど前からか・・・・・・夢を見る様になった。・・・・・何かのアニメを見ている・・・・・・そんな感じだった。
   その内に、まどかとのいろんな思い出を思い出して行った。・・・・・これは真実だと思った。」


右京「詢子さん、貴女はこう考えた。・・・・・・これは消えてしまったまどかさんからの、メッセージだ。
   『ママ、私はもっと生きたかった。マミさんが、私の事を忘れて幸せに生きているのが許せない』と。」


詢子「・・・・・・・・その通りだよ・・・・・・・・警部さん。あんた前世は超能力者・・・・・だったりするんじゃないか?」
   それより、何故最初から凶器の指紋を出して来なかったんだ?」


76 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:25:51.47 ID:GUmBe6+oo




右京「・・・・・最後は、詢子さん・・・・・貴女の口で自ら罪を認めて欲しかった。・・・・・・・僕がそう思ったのですよ。」


詢子「・・・・・・・ハハハ・・・・最初から、・・・・・・・勝てる筈・・・・・・・無かったか。・・・・・・・・もし、私が10数年前
   知久さんと結婚しなかったら、こんな事にはならなかったのかな・・・・・?」


薫「それは、俺達にも判る訳無い。考えても被害者が生き返る訳じゃない・・・・・。」


右京「ではこれで失礼します。後は伊丹刑事達にお任せします。」


77 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:27:50.16 ID:GUmBe6+oo



数日後 特命の部屋


薫「どうしました、右京さん?顔が少し・・・・腫れてますよ。ハチにでも刺されましたか?」


右京「・・・・・僕が今現実の世界に居るのか、確認しただけですよ。亀山君も確認したようですねえ。」


薫「はっきり言って、彼女の証言は信用出来ませんよ。・・・・・・・罪を免れる為に、異常者を装っているのでは?」


右京「僕も、信用している訳ではありません。良い所・・・・・4分6分でしょう。無論信じない方が60です。」

薫「・・・・・刑罰を免れる為に狂人を装っている、そう断定すれば楽なんでしょうがね。しかし・・・・・
  狂人を装うなら、もっとマシな嘘を付く。 裁判になったら、裁判員や世論の失笑・・・・・
  いや、間違いなく激しい怒りを買いますよ。どうもそれが不気味で。」


右京「僕が気にしているのも、正にその点なんです。もし、狂人を装い罪を免れるなら、彼女の話は
  飛躍し過ぎていて、逆効果でしかありません。彼女にそれが解らない筈が無いのですが。」


薫「一応一つの話になっている点も、不気味ですね。おっ、米沢じゃないかどうした?」

米沢「こちらの仕事も終わったので、状況をお知らせにきました。」


78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage sage]:2012/12/29(土) 22:28:12.51 ID:6evgBMwj0
はたから見たらただの妄想で人殺した危ない奴にしか見えないな
79 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:28:53.65 ID:GUmBe6+oo


米沢「とりあえず、関係者に当たる事になったようですが・・・・・・・群馬県警本部長は、最初怒ったそうですな。」


薫「気持ち解るよ。俺だってこんなトンデモ話聞かされたら、怒るぜ。」


米澤「被疑者の幼少時からの知り合いで、中学の教師だった女性。
   ああ、今年から少し北の沼田市にある、中学校に転勤されたそうですが・・・・・・。」


右京「何か、有力な証言は聞けたのでしょうか?」


米沢「残念ながら・・・・・彼女は絶句していたそうです。しかし、鹿目容疑者の子供は、亡くなったタツヤ君・・・・
  だけ、・・・・・生きていれば今6歳ですか。・・・・・・・だけなのは間違い無さそうでな。」


薫「確か、その教師が美樹さやかと・・・・幻のまどかの担任教師だったと言っていたが・・・・?」


米沢「美樹さやかさんについては、今でも気に病んでいるようですね。幼馴染との間で恋愛トラブルがあったのは、
  間違いなく、それが原因での家出か。と・・・・・・・しかし、鹿目まどかさんに就いては、記憶は一切無く・・・・
  在籍した記録も、・・・・・市役所の戸籍にも一切存在しなかったそうですな。」


右京「上条と言う若手バイオリニストの方は、何か聞けると良いのですが?」


80 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:29:50.65 ID:GUmBe6+oo


米沢「残念ながら、こちらも芳しい成果は無かったそうですな。上条恭介君と知人の志筑仁美さんに話を聞いたそうですが、
   お二方は美樹さやかさんとの間に、恋愛上のトラブルが存在した事は認めましたが・・・・・鹿目まどかについては
   全く知らず、彼女の母親・・・鹿目容疑者についても、会った事は一度も無いとの事らしいですな。」


薫「あー、やっぱりそうなるわな。」


米沢「しかし、今回の事件・・・・・仮に魔法少女なるシステムが存在するとなると、全く悲劇的な話ですな。
   鑑識課の中に魔法少女物アニメに詳しいのが居ますが、こんな悲劇的なアニメは無いそうです。」


右京「魔法少女アニメ・・・・・・サリーちゃんですか?」


薫「右京さん、それ古過ぎますよ。今は・・・・・・・どうもリリカルな○はや、スマイル!プリ○ュアが有名みたいですね。」


右京「その作品では、仲間や友人が命を落としたり・・・・・する展開はあるのですか?」


米沢「調べてみましたが、仲間同士ケンカしたり・・・・敵に操られたり・・・・と言うことは話の中で、あるようですが・・・・
   基本的に、最後はハッピーエンドで終わるみたいです。」


薫「まあ基本子供向けアニメでしょうから、そんなキツイ事はやれないと思いますが・・・・・・。」


81 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:31:52.32 ID:GUmBe6+oo




右京「魔法少女・・・・・・・まどか☆マギカ・・・・・・・・・・。」


薫「?」


右京「・・・・・・この悲劇的な事件を、名付けて見ました。」


米沢「マギカ・・・・とは、ラテン語で『魔法の』を意味するそうですな。」


薫「知らないの俺だけ?」


82 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:32:51.68 ID:GUmBe6+oo


夜・・・・・・・「花の里」


美和子「薫ちゃーん、教えなさいよーー。事件の真相知ってるんでしょ。被疑者の女性、
    見滝原の出身なんでしょ?美樹さやかさんの失踪事件とも何らかの関わりあるかも。」


薫「だーかーらー、教えられないんだって!緘口令出てるし。被疑者の供述滅茶苦茶なんだって。
  右京さんも、被疑者の発言あんまり信じていないし。」


右京「僕自身も今回の事件については、未だ不明瞭の所があります。どの路被疑者が起訴されて
   裁判が始まれば、公にされます。」


美和子「むー、仕方ない二人の顔を立てて起きますか。」


たまき「じゃ、今日は事件も一段落されたみたいなので・・・・ゆっくりなさってください。」


ニュース「数ヶ月前から、メキシコ南東部で発見されたレリーフの鑑定作業が行われてきましたが、
     発掘された壁画共に発掘された、レリーフ文章の解読がほぼ終了したとの事です。」


右京「おや、この方は・・・・・亀山君の幼馴染の学者さんでは?」


83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage sage]:2012/12/29(土) 22:33:51.07 ID:6evgBMwj0
本当にマミさんは死んだのか?
SGが割れない限り魔法少女は死なないはずだが…
84 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:34:47.71 ID:GUmBe6+oo


薫「ええそうです。少し前に電話で、・・・・解読作業は年明けくらいまでかかると、言ってたんですが・・・・早まったのかな。」


美和子「あの国は、麻薬組織との抗争でかなり荒れているみたいだけど、危険じゃないのかしら。」


薫「遺跡の近くは、でかい銀の鉱山があって儲かっているから、麻薬密売に関わる人はあまりいないらしい。
 それに、外国人や観光客が巻き込まれるケースは余り無いそうだぞ。」


右京「しかし、経済の低迷から大都市では強盗やスリの被害も多いそうです。」


薫「一応アメリカ海兵隊出身の、警備員を雇っているそうですよ。」


85 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:35:53.97 ID:GUmBe6+oo





1時間後店の外


薫「では、今日はこれで。」


右京「今日は冷えますね。風邪など引かないように・・・・・。」


美和子「どうもありがとうございました。・・・・・・・薫ちゃん、事件も解決したしもう1軒飲みに行こうか。」


薫「おっと、酔わせてしゃべらそうと言う魂胆だな。その手は食わないぜ。」


美和子「チエッ、ばれたか。・・・・・携帯の着メロ、・・・・・右京さんのか・・・・。」


右京「亀山君!直ぐに警視庁に戻りますよ!そこのコンビニでミネラルウォーターでも買って、飲んで
   酔いを醒ましてください。僕はタクシーを電話で呼びます!」


薫「な・・・・・・何か緊急事態ですか?」


右京「鹿目洵子さんが・・・・・・・・・東京拘置所で命を絶ったそうです。」


86 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:36:49.62 ID:GUmBe6+oo



米沢「死亡したのは・・・・・・・午後8時20分前後。死因は舌を噛み切ったことによる出血性ショック死。
   5分前の巡回時には異常は、見られず。・・・・・・遺書やメモの類は発見されていません。」


三浦「夕食は、体調不良を理由に採らなかったらしい。その時既に覚悟を決めていたか。」


右京「今日午後から直前の・・・・・・被疑者の様子はどうだったのでしょうか?」


伊丹「じっと・・・・・・壁を見ていたそうですよ。点呼以外では全く会話もせず。覚悟の自殺で決まりですよ。
   戻って来て頂いて恐縮ですが、お帰りになって結構ですよ。」


右京「そうさせて貰いますが、念のために監視カメラの映像を・・・・。」


芹沢「無論調べましたが、不審者の影も形も無かったですよ。」


薫「これで・・・・・・・一応事件は解決。かなり後味が悪いですが。・・・・・被疑者死亡のまま書類送検。
  動機とかは、このまま極秘にされるか・・・・それとも、ある程度は公表するのか?」


伊丹「お偉いさんが、決める事だ。どうなるかは、数日後にゃ解るだろうが。・・・・早く帰れよ・・・・・。」



  
87 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:37:52.35 ID:GUmBe6+oo



                  12月14日   金曜日


                        10:00



88 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:39:53.68 ID:GUmBe6+oo


記者「鹿目容疑者は、数年前まで群馬県見滝原市に居住していたとの事ですが、
   家族を交通事故で亡くした事は、今回の事件において、被疑者に影響を与えているのでしょうか?」


中園「およそ2年前のクリスマスイブです。被疑者は、家族で食事に行く予定でしたが・・・・・仕事のトラブルで
   社を出るのが数分遅れたそうです。事故は・・・・・・正にその数分間に起こりました。被疑者の同僚に
   よると、かなりその事を悔やんでいたようです。」


記者「被疑者は、数ヵ月後に東京本社に引き抜かれていますが?経緯は解っているのでしょうか?」


中園「本社の知人が・・・・・被疑者を呼んだようです。家族を失った被疑者の環境を変える事で、
   少しでも気分が晴れるようにしたそうです。」


中園「被疑者は、家族を失った悲しみを少しでも忘れるべく・・・・・仕事に邁進しました。警官の中にも、
   家族を事故や病気で失ったり、もしくは入院した際に悲しみを押し殺して、犯人の検挙や
   捜査に行く所を何度も目にしています。」


中園「しかし、どんなに仕事に邁進しても・・・・家族を失った事実を変える事は不可能です!
   被疑者も・・・・・・東京の街中で、・・・・・何度も見てしまったのではないでしょうか?・・・・・・」


記者2「幸せそうな家族・・・・・・・そういった情景でしょうか。」


89 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:40:56.16 ID:GUmBe6+oo


中園「そうだと確信します。無論同僚や友人の中にも、幸福な結婚や家族を持った人が幾人もいたでしょう。
   仕事に邁進すれば、するほど・・・・・悲しみは深くなっていたのではないでしょうか。」


中園「もし、家族との関係が冷え切っていたり・・・・・・もしくは、東京へ転居した後に・・・・被疑者の悲しみを癒して
   くれる異性との出会いがあれば、・・・・・今回の事件は起こらなかったかもしれません。」


中園「しかし、深く家族を愛していた被疑者に・・・・・・それは不可能でした。誰か他の人物と・・・・・別の
  幸せな家族を持つ・・・・・それは出来なかったのです!」


記者3「そして、数年後何かのイベントで巴マミさんと出合った・・・・・。」


中園「そこで数分間話したそうですが、巴マミさんは、当然初対面の相手の詳しい家族関係は、恐らくご存知では
  無かったでしょう。・・・・多少無神経な発言があった。・・・・・・のかもしれません。」


中園「無論、先方に悪意などは全く無かったのでしょう。しかし、被疑者の心に・・・・深い悲しみと悔悟に覆われた
  心に、・・・・・・致命的な亀裂を表示させてしまったのではないでしょうか。」


中園「10数年前、知人に・・・・・最初は娘を生みたい・・・・と、何度か言っていたそうです。」


90 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:41:55.17 ID:GUmBe6+oo


中園「被疑者の心の中で、鹿目まどか・・・・・・・あくまでも本人の談ですが、・・・・・・まどかが存在すると
  思い込んだのではないでしょうか?・・・・彼女も事故で死んでしまったと言う妄想に。」


中園「そして、その交通事故は・・・・・・被害者の巴マミさんにより引き起こされたという、狂気に取付かれて
   しまったのです!そして、数ヵ月後ついに憎しみ・・・・・逆恨み・・・・・ですが・・・
  抑えきれなくなった被疑者は、被害者を犯行現場に呼び出し殺害に至った・・・・・・その後
  強請って来た、私立探偵も同様に殺害・・・・・。」


記者「完全に、とんでもない逆恨みじゃありませんか!」


中園「その通りです。如何に家族を失ったと言う事情があるにせよ、断じて許す事は出来ません。
  しかし、被疑者も我々も人間です!感情も無いロボットじゃありません!被疑者と同じような立場
になった時に、何があろうと被疑者のような事にならない・・・・・・そう断言できますか。・・・・・100%ありえないと
 私は断言できません。・・・・・・・・私も二人の子を持つ人の親です・・・・・・。」


中園「被疑者は取り調べの際に、こう供述しました。『毎晩、犯行の時の夢を見て恐怖で飛び起きる。』
特・・・・・杉下警部は、こう言いました。『それは貴女が、未だ人として最後の良心・・・・が未だ残っている証
    ではないでしょうか・・・・』と。その言葉で我を取り戻したのでしょう。覚悟の自殺だと思います。
    非常に穏やかな表情でした。」


幹部「これで記者会見を終わります。」



91 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:42:47.72 ID:GUmBe6+oo


新聞「闇に染まった、家族愛・・・・・悲劇の事件・・・・妄想の娘まどかの逆恨み復讐!」


??「お、落ち着けよ・・・・・気持ちは解るけど。もう、時間止めれ無いんだろ?直ぐに逮捕されちゃうぞ。」


??「安心して、そんな物騒な事は考えていないわ。」


??「そ、そうか。」


??「頭の中で、完全犯罪をシュミレートしていたのよ。あの幹部の行動パターンも考えながら・・・・。」


??「やる気まんまんじゃねーか。」


??「・・・・冗談よ・・・・・まどかから受け継いだ力・・・・・・魔獣以外に遣うつもりは無いわ。」


92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 22:43:01.91 ID:Wz3QpIPD0
まどかスレだと思ったら全力で相棒スレだった。
観たことないからさっぱりわからんwww
93 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:43:49.79 ID:GUmBe6+oo


内村「今回も、君の名演技で丸く収まりそうだよ。ありがとう。」


中園「お役に立てて光栄です。所で、今回被疑者は自殺してしまいました。これを機に特命の二人を・・・・。」


内村「それは無理だ。記者会見で杉下の事を言っただろ。・・・・・報道各社は、それを賞賛と受け止めたらしい。
   報道も好意的だ。第一、今回は家族を失った被疑者が妄想から、狂った犯行に及んでしまった。
   そして、我に返り自殺した。・・・・そういう筋書きである以上、刑事を処分する訳にはいかんよ。」


中園「了解しました。まあ特命の二人には3日ほどの特別休暇と、金一封でも出しておきましょう。」


内村「それは君に任せるよ。・・・・・今日は外は晴れていて・・・・所謂小春日和だが、妙に寒気がするな。
   風邪かな?」


中園「私もです。何処からか殺気めいた気配が。」


??「ホムッ」


94 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:44:50.61 ID:GUmBe6+oo




                  12月14日  金曜日


                       14:30


95 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:46:50.01 ID:GUmBe6+oo


薫「チッ 何が穏やかな表情だ。右京さん、彼女の表情見ましたか?」


右京「ええ、穏やかな表情ではありませんでした。無念の表情・・・・・・というよりは、僕の錯覚かも知れませんが・・
   詐欺師に騙されていた事に気付いた、そんな感じでしたね。」


薫「鹿目容疑者ですが、明日には見滝原の家族の墓地の隣に埋葬されるそうです。・・・・・・・
  一応事件は解決と言う事になるんでしょうか?」


右京「魔法少女云々については、上層部や検察も鹿目容疑者の妄想・・・・で片付けるつもりと思います。
   事件の捜査本部も、今日解散するそうです。」


薫「特別休暇出たから、祖父の十三回忌があるので早速使わせて頂きますか。」


右京「そうですか、僕もせっかくなので美術館巡りでもしてみます。」


携帯「♪」ガチャ


小野田「やあ、杉下。今回の事件大変だったみたいだねえ。ちょっとコーヒーでも飲みに行かないかい。
    ちょっと面白い話があるんだ。」


96 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:47:52.45 ID:GUmBe6+oo


小野田「今回の事件も大変だったみたいだねえ。・・・・・・・所で、実在すると思う・・・・・?」


右京「実在とは、何の事でしょうか?」


小野田「嫌味だねえ・・・・・・魔法少女に決まっているじゃないの。・・・・・で、正直な所・・・・どうなのよ。」


右京「・・・・・半々・・・・いやもっと低いですね。その様な不条理な存在が・・・・・にわかに信じられる話では
   ありません。」


小野田「まあ、それは誰でもそうだろうね。・・・・・鹿目容疑者は幻の娘・・・・・まどかのイラストを描いたそうだね。」


右京「描きましたね、ふわふわの衣装を着ているイラストでした、最近の魔法少女のアニメは、あのような衣装
  で登場するそうですよ。」


小野田「・・・・・・・実はね、一度鹿目容疑者が描いたイラストとそっくりの絵を見た事があるんだよ。」


右京「それは本当ですか?」


小野田「その時は、気に留めなかったんだけどね。・・・・・絵そのものじゃなくて、その絵を撮影した写真さ。」


97 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:49:49.10 ID:GUmBe6+oo




小野田「僕の従兄弟が・・・・・○社の会長だったけど、去年引退したんだ。・・・・・・・今後は人生をエンジョイ
   するとか言ってね。見滝原・・・・・旧鹿目家の直ぐ近くに家があるんだ。去年のクリスマス前に、
   娘さんの結婚式があってね・・・・僕も招待されたんだよ。」


右京「おや、確か鹿目家の近所には既に、事情聴取が行われた筈ではないでしょうか?」


小野田「近所の人達と一緒に、昨日まで沖縄に旅行に行っていたそうだよ。沖縄は、今が一番旅行に向いているん
   じゃないかな?泳ぐのでなければ、温暖で過ごし易いし台風も冬は無いし。」


右京「なるほどそうでしたか、確かに今年の夏は週末ごとに台風の直撃を受け、観光業はかなりの赤字を出した
  と聞いています。」


小野田「結婚式の当日、世間話の中でその写真を見たんだよ。詳しい事情は、当人に聞いた方が良いと思うよ。
   先方には連絡してあげるからさ。」


右京「お心遣い感謝します。」


薫「そうですか、じゃ俺聞きに行って来ますよ。法事からの帰り・・・・・・・3日目の昼過ぎで問題無いです?」


右京「ありがとうございます。では、官房室長に連絡しておきますね。」


98 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:50:49.80 ID:GUmBe6+oo



                  12月17日  月曜日


                       15:25



99 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:51:55.94 ID:GUmBe6+oo


およそ72時間後 午後3時頃


右京「亀山君ですか?・・・・何か有意義な話は聞けたでしょうか?」


薫「残念ながら・・・・・ああ残念と言うのは、逆の意味で残念と言う意味です。」


右京「どうやら、パンドラの箱が開けられようとしているのかも知れません。今日は僕も気分転換に休暇で
  美術館巡りをしていました。何処かで待ち合わせますか?」


薫「時間あるし大丈夫ですよ。『花の里』・・・・・は・・・だめですね。」



右京「美和子さんも確か、偶然ご実家の法事だと君に聞きましたが。・・・・連絡はしましたか?」


薫「北陸は、凄まじい大雪で・・・・・電車も空港も高速バスも全部運行停止・・・・数日は帰れないかもとメールが。
  上越新幹線も3時以降は、全線停止です・・・・・・・東京行きのバス来たんで、一旦切ります。」


右京「では、6時半に・・・・・第一の事件があった書店の前で。」


100 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:52:50.00 ID:GUmBe6+oo



6時半・・・・第一の事件の犯行現場の裏通り 事件の痕跡は既に消えている。


薫「で、小野田官房長の親戚の人に妙に気に入られましてね。・・・・それでこれがその写真のコピーと、イラスト・・・・
 こちらはオリジナルです・・・・・・。」


右京「おや、写真も絵も・・・・・どちらも子供が書いた感じがしますが?」


薫「鹿目洵子さんが、書いたのではありません。」


右京「事故で亡くなった・・・・・鹿目タツヤ君がこの絵を描いたのですね。書かれた日時・・・・大まかで構いません
   解りますか?」


薫「ちょうど2年半前・・・・・・・6月の始め頃・・・・・入梅の少し前だったそうです。」


右京「ご家族が事故死された、およそ半年前ですね。確か美和子さんが、取材していた美樹さやかさんが
   失踪されたのは・・・・・?」


薫「確か、その年の5月中頃・・・・・・およそ半月後ですね。絵は公園の地面にも描いていたそうです。」


右京「タツヤ君は、その絵の少女に・・・・・名前を付けていましたか?」


101 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:53:49.79 ID:GUmBe6+oo


薫「まろか・・・・・・そう発音していたそうです。」


右京「濁音はまだ発音は少し難しいですね。『まどか』と言いたかったのかもしれません。」


薫「最後に絵を描いているのを見た時、10月の終わり・・・・庭の柿の木の柿を届けに行った際には、『まどか』と発音
  していたとの事です。」


右京「家族を失う前です。当然鹿目洵子さんは幸福だった。当時三歳の息子さんと口裏を合わせていた、可能性も
  ありませんね。動機がありません。」


薫「俺も、その話を聞いて居たら背筋に悪寒が・・・・」パラッ


右京「おや、この写真は・・・・最初に見た公園の写真ですね。家族全員で記念撮影ですか。タツヤ君が持っているのは
 『まどか』さんを描いたイラスト・・・・・おや、2枚目にはご家族以外の人が一人・・・・。」


薫「偶然居合わせた女子中学生を、洵子さんが撮影に参加させたようです。この赤いリボンを気に入った様で、
  自分に娘が居たら、絶対同じようなリボンを付けさせたと言って、無茶苦茶ですね。」


右京「彼女らしいじゃありませんか。・・・・・・・・?」


102 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:54:49.85 ID:GUmBe6+oo


薫「この黒髪の長髪の少女、何処かで会っていませんか?」


右京「事件が起きた最初の日に、巴マミさんさんが通っていた高校の廊下で、会っています。」


フラッシュバック


??「・・・・・」


薫「どうしました、右京さん?」



薫「そう言えば、最初タツヤ君が地面に絵を書いていた時、このようなやり取りがあったそうです。」


??「あら、可愛い絵ね」


タツヤ「まろか!」


??「まどかね。うん、そっくりだよ。」


103 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 22:55:58.15 ID:GUmBe6+oo


右京「これは極めて重大な証言です!タツヤ君は『まろか』と発音しているのに、その女子中学生は
   迷わず「まどか」と答えています。」


薫「それに、良く似ていると言う発言!鹿目まどかさんは、全く存在せず・・・・それなのに何故『似ている』
 と言えるんだ? 右京さん、これは会ってみる必要があるのでは?」


右京「そうですね。問題はこの子の学年も住所も名前も、解らない事です。とりあえず高校に電話してみましょう。
   未だ知っている先生が残っていてくれればよいのですが。」


薫「ダメなら、明日直接高校に・・・・。」


??「それには及ばないわ。」


二人「!・・・・・・貴女達は?」


ほむら「暁美ほむら」
杏子「佐倉杏子」


二人「二人が探している・・・魔法少女よ(だぜ)。」


104 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/29(土) 23:00:52.28 ID:GUmBe6+oo



本日はここまでとします。残りは明日21:00から投下します。
ありがとうございました。

マミは一体何を知ってしまったのか。



魔法少女の暗黒の真実が明らかに。


特命係VSラブ師匠




105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage sage]:2012/12/29(土) 23:04:32.60 ID:6evgBMwj0
乙カレー
マミさんが本当に死んだのか怪しいなあ
SGが割れない限りは魔法少女は死なないはずだし
それに死んでたら杏子がもっと荒れ狂ってるはず
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 23:48:02.28 ID:WIfRtSySo
>>105
>>37
> 薫「この小さな、ランプみたいな宝石細工は何だろう?」
>米沢「現状に落ちていましたが、割れていました。
って言ってるからSG割れてるだろ
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage sage]:2012/12/30(日) 00:00:45.56 ID:ZjsiMVkL0
見返してみたらそうだった
マミさんもそうだがまど神も報われないな、おい
…それにしても魔獣でもない一般人に殺されるマミさんェ
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/30(日) 08:55:03.14 ID:mEbV0m64o

面白いけど杏子の口調に違和感
これじゃ東方の魔翌理沙だ
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/30(日) 15:44:00.93 ID:5PSlKVRIO
魔翌理沙っぽい杏子多いなそういや
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/30(日) 16:15:49.00 ID:sUArn7ZCo
杏子のウザさが異常
111 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 20:58:50.23 ID:EjOATjxuo



間もなく開始します。


112 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:00:51.34 ID:EjOATjxuo


薫「あの写真の子ですね。」


右京「ですね。貴女は、巴マミさんの同居人の方ですね?」


杏子「そうだぜ。・・・・・二人ともこの宝石を見た事があるかい?」


右京「これは、巴マミさんの遺体の傍に落ちていた宝石細工ですか?」


薫「尤も、先方のは破壊されて割れていましたがね。この宝石細工は何なんだ?」


ほむら「私達魔法少女の・・・・・全てよ。」


二人「・・・・・・・・」


ほむら「お二人とも、半信半疑・・・・・といった感じね。・・・・良いわ証拠を見せてあげる。
     今解除したわ。・・・・そちらの体格の良い刑事さんに渡すわ。・・・・100メートルほど歩いてもらえるかしら?
    携帯忘れないでね。」


右京「とりあえずやってみましょう。」


113 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:01:50.55 ID:EjOATjxuo




薫「そろそろ100bかな?」


右京「ほむらさんが倒れました!至急戻って下さい!」


薫「まじかよ。」


杏子「慌てるな。ソウルジェムをほむらに近付けてくれ。」


ほむら「・・・・・・うん・・・・どうだったかしら?」


右京「突然倒れ、心肺停止状態でした。とても演技とは思えません。」


薫「魔法少女・・・・実在したんですね。」


右京「ここまで証拠を見せられたら・・・・信じるしかないでしょう。」


114 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:02:55.19 ID:EjOATjxuo


ほむら「私達魔法少女は、契約と同時に魂を抜き取られ・・・このソウルジェムに封じられるの。」


杏子「その代わりに、ソウルジェムが破壊されない限りは不死身だぜ。」


薫「おい、それじゃゾンビにされたようなものじゃねえか!二人とも後悔していないのか?」


杏子「私はあるぜ。アタシが契約した事で、親父は狂い無理心中・・・・・・。」


ほむら「私は無いわ。まどかを守ろうとした事を後悔はしない。」


右京「お二人とも・・・・・・・元に戻る、・・・・・・人に戻る手段は無いのでしょうか?」


杏子「無い。何時の日か戦闘で死ぬか・・・・力を使い果たし、導かれるかだ。さやかみたいに。」


薫「彼女も魔法少女だったのか、そして戦闘で消滅した?」


杏子「それよりもやはり、マミのソウルジェムは砕かれていたか・・・・」


115 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:05:53.66 ID:EjOATjxuo



右京「恐らく鹿目容疑者が破壊したのだと思いますね。」


ほむら「変ね・・・・・一般人の彼女、に破壊できる筈が無いのだけど・・・・・」


薫「そうなの?」


杏子「普段はあたし達から絶対に離れないように自動で、魔法が掛かっているんだ。ほむらはさっき渡す前に
   魔法で解除したんだ。ちなみに他人に見えないように出来る。」


右京「確かに、うっかり電車の中に忘れたら大変な事になりますねえ。」


薫「一般人は破壊できない。・・・・・第一発見者の新聞配達員が、仰天して踏んで壊した・・・・と言う線も無さそうか。」


杏子「魔法少女じゃなくても・・・・・・ある程度の素質がある子なら、奪って何処かに放り投げる事くらいは
  可能だけど、破壊までは無理だ。今は防御を解除してあったから、運べたんだ。」



116 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:06:49.17 ID:EjOATjxuo


薫「二人はどうやって特命係の事を知ったんだ?」


ほむら「私の近所に警察マニアの高校生がいて、彼から聞いたわ。」


杏子「そしてこの3日ほど、そっちのインテリ刑事さんを尾行していたんだ。」


右京「おや、あれは尾行だったのですか?」


杏子「どういう意味だよ?」


右京「尾行の態を成していたのは、初日だけでしたねえ。初日はほむらさんですね?」


ほむら「ええ、私は高校があるし。一日だけ仮病で休んだのよ。」


杏子「後の2日はあたしの担当だ。ちょうどバイト先の店が臨時休業になったからな。」


117 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:07:51.56 ID:EjOATjxuo


右京「杏子さんの尾行ですが、残念ですが殺気が丸出しで直ぐに解りました。」


ほむら「予想通りね。」


杏子「ガーン!」


右京「途中で、お声をお掛けすべきかずいぶん悩みました。」


杏子「ドンマイ」


薫「自分で言うなよ。」


118 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:08:49.91 ID:EjOATjxuo


1時間後マミの家 部屋の中には、杏子が荷造りしたダンボールが多数置かれている。


薫「引っ越すのか?」


杏子「マミの祖父さんが、ずっと居てくれてよいと言ってくれたんだけどな・・・・・やはりマミとの事思い出してしまう
   からさ・・・・・・。」


右京「心中お察しします・・・・・・こんな時に申し訳ないのですが、気になる点があります。ここへ移動中に
  聞いた話と、鹿目洵子容疑者との供述には。若干の食い違いがあります。」


薫「彼女は、鹿目まどかさんは完全に消滅したと言っていた。しかし、二人の話では・・・・魔法少女を見守る
 神様みたいな存在になっている・・・・・それで間違いないか?」


ほむら「このソウルジェムが完全に黒くなった時、その魔法少女はまどかに導かれて、穏やかに消え去るのよ。」


杏子「ほむらによると、まどかが世界を変えるまでは恐ろしい魔女になって、人々を死に追いやる・・・・・
   そして、別の魔法少女に倒されジェムの穢れを取り除く、あるアイテムになる。」


薫「ひでえ仕組みだな。考えた奴をぶん殴ってやりたいよ。」


119 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:09:56.15 ID:EjOATjxuo


ほむら「まどかはとても優しい娘よ。間違ってもマミを恨んだり、母親に犯行をさせたりは絶対にしないわ!」


杏子「第一まどかは、ほむらによると魔法少女を救う以外に、一切介入出来ないそうだ。」


薫「当然夢に出たりも出来ないという事に。まあ彼女の狂気が生んだ幻想・・・・と言う可能性も。」


右京「魔法少女が別の魔法少女を襲って、テリトリーを奪う・・・改編される以前はともかく、改編後は
   起きていない。・・・・・・それもまどかさんの優しさが、魔法少女に影響を与えているのかもしれませんねえ。」


薫「さっきの話では、魔法少女は最初のお願いによって・・・ある一つの系統の魔法を授かる・・・・
 美樹さやかは、想い人のケガを治した・・・・・だから癒しの力を得た。」


右京「暁美ほむらさん・・・・・貴女は、まどかさんを魔法少女にしないと言う約束を守る為に・・・・・
  一人で戦って来たとお伺いしました。貴女の願いは、「まどかさんとの出会いをやり直したい。
  彼女に守られる自分じゃなく、彼女を守る自分になりたい・・・・・・・と。」


右京「時間を止める事は出来ても、それだけでは魔女とやらを倒せないのではありませんか?」


ほむら「流石ね・・・・・・私は逃げるつもりは無いわ・・・・・。」


120 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:10:53.05 ID:EjOATjxuo



ほむら「時間を止めて、事務所や軍事基地から兵器を盗んだりしていたわ・・・・・私の行為で
   多くの人が罷免されたりしている。・・・・・今回の件が終わったら司法の裁きを受ける覚悟はあるわ。」


右京「ほむらさんの行為は、例え親友を守る為であったとしても・・・・・決して許される行為ではありません。
   しかし、それらは全ての改編前の事・・・・今現在、過去に同様の被害事例が一切無い以上、
  ほむらさんを裁く事は出来ません。前世や異世界の罪を裁く法は存在しません。」


右京「しかし、今後例え戦友や・・・・・市民を守る為であったとしても同様の窃盗を行ったら、必ず逮捕します。
  それは忘れないで下さい。」


ほむら「もう私は・・・・・・時を操る能力はもう消えてしまったわ。」


薫「それじゃ丸腰じゃないか!まさか素手で魔獣と戦う無茶をしているのか?」


ほむら「・・・・この弓があるわ・・・・・・本当はまどかの弓よ。」


右京「神々しさがある弓ですねえ。流石は女神が使う弓といった所でしょうか。」


薫「この弓を受け継いだから、ほむらちゃんはまどかさんの記憶や、昔の異世界の記憶が残っているのかも。」


121 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:11:45.74 ID:EjOATjxuo


右京「なるほど・・・・・・・美樹さやかさんが不幸に命を落とされた戦い以降、魔獣の発生件数は激減し・・・・
   魔獣の強さもかなり弱くなった・・・・・・・。」


ほむら「更に私達魔法少女も、魔獣と戦ったりしない限り魔翌力を消耗しなくなった。危険度は激減したわ。」


杏子「だからあたし達も、バイトしたり友達作る余裕も出来たんだ。アタシ達3人は・・・・さやかの想いを守る為に
   定期的に巡回しているけど、戦闘に自信の無い子とかは半分引退の子も多いぜ。」


右京「事件の直前から、数ヶ月前に掛けて・・・・・マミさんや、お二人の周囲で何か異変は有りませんでしたか?
  非現実的な現象でも構いません。」


ほむら「少し前・・・・・・11月の文化の日の休日が終わって数日後・・・・私たち3人はパトロールをしていた。
   電車で一駅離れた所に行ったのだけど、マミは1本先の電車に乗っていた。」


杏子「あたしとほむらは次の電車に乗った。でも信号機のトラブルで20分ほど停止したんだ。
  その後、マミを見付けた時にはもう戦闘は終わっていた。マミは、グリーフシードを持っていた。」


ほむら「マミは、小声でこう言っていたのよ・・・・『そんな、どうしてま・・・・・』・・・・と。」


122 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:13:00.63 ID:EjOATjxuo


杏子「その後マミは、なにがあったのか話してくれなかったんだ。魔獣とは別に偶然その時間に近くのマンションで
  別の事件・・・・・ああ、無論普通の事件だぜ。」


ほむら「殺人じゃないから、警察は捜査していない事件ね。・・・・・偶然それを彼女は目撃してしまい、少しショックを
  受けたと思ってしまいあまり深く考えなかったわ。」


杏子「それに、次の日には普通のマミに戻っていて・・・・・今考えれば、マミはあたし達を不安にしないように
  していたんだ。畜生!もっと早く気付いてやりたかった。」


右京「杏子さん、貴女は事件の日山梨県の大月に行っていたそうですが、魔法少女絡みでしょうか?」


杏子「そうだぜ。死んだ親父の・・・・古い友人の娘が魔法少女なんだ。久々に強い魔獣がでたと聞いて、
  義理で助けに行ったんだ。無事に倒して・・・・・その日はその子の家に泊まる事になったんだ。
  夕食の後・・・・・8時くらいだったか、マミから電話があったんだ・・・・・。」


杏子「魔獣の件を話した後、マミは明日放課後・・・・2人に話があると言った。間違いなく11月の事だと思う。」


薫「実は、その電話の後に・・巴マミさんの携帯に電話があり、彼女は呼び出されて・・・・。」


123 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:13:54.46 ID:EjOATjxuo


杏子「マミはやはり、消滅した筈の魔女を見たんじゃねえのか?新たな魔法少女が契約する時に、魔女
  を復活させる祈りをさせてさ。」


右京「残念ですが・・・・・それは極めて困難だと思いますねえ。」


ほむら「どうして、そう思うの?」


右京「魔女を消す祈りは・・・・・強大な素質を持った、鹿目まどかさんの強い願いにより実現しました。
   逆の事を行うには、必然的にまどかさんを凌駕する素質を持った、魔法少女の候補者が必要です。
   更に当然、何らかの不満を抱いている子ではないと契約は無理でしょう。」


薫「それに、魔女システムは魔法少女にとって、何のメリットも無いんじゃないか?」


右京「亀山君の言う通り、メリットは皆無です。女神まどかさんの救済システムなら、まだしも救いがあります。
   魔法少女は、魔女になる事も無くまどかさんと、他の魔法少女の元に導かれます。
   しかし、魔女システムは悲劇以外の何者でもありません。好き好んでそんな祈りをする新規契約者
   が居るとは思えません。」


杏子「最近プリ○ュアとか大人気だから、アニメ見過ぎな奴や、騙され易い奴なら何とかなりそうだけどな。
   キュウべえも記憶を失っていただろうから、難しそうだな。」


124 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:14:51.38 ID:EjOATjxuo


ほむら「つまり・・・・1 まどかを凌駕する素質 2 現状に対する不満 3 騙され易いか、魔法少女アニメを見て
   影響されている・・・・・・・・・それが魔女システム復活に必要な条件ね。」


薫「2と3はどうにかなりそうだけど、条件1はめちゃくちゃ難しいぞ。」


右京「・・・・・・この辺りは、もう少しよく考える必要がありそうですね。・・・・・ちなみに今は魔獣と魔女は出ていますか?」


杏子「魔女は全く無いし、他の魔法少女の情報も無いぜ。だからマミがちょっと魔女ぽい魔獣を勘違いした・・・・
   と言う可能性もある。魔獣は数日前に1匹倒したぜ。」


右京「そうですか・・・・・・・おやもう8時ですね。これ以上は遅くなりますね。」


薫「今日はこれで解散かな・・・・・・ほむらちゃんの家は遠いのか?送ってやるぜ。」


ほむら「大丈夫よ。偶然だけど直ぐ近くなの。」


125 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:15:51.01 ID:EjOATjxuo



マミの家から・・・・・・駅への道


右京「おや、携帯が鳴っていますよ。」


薫「!・・・・発信者は・・・・・・あいつか。・・・・・この前話した発掘lやってる友人ですよ。」


右京「そうですか、では僕は先に行くので亀山君は、のんびり電話してあげて下さい。」


友人「薫か・・・・・この前電話で話した、マヤ族の石版の解読がつい先ほど終わったんだ。
 幼馴染の薫に、真っ先に教えてやろうと思って電話したんだ。正式な会見は26日かな。」


薫「とりあえずおめでとうと言っておくぜ。そっちは・・・・・熱帯だから12月も暑いのか・・・・・それで、
  あの変な狩猟を描いた、壁画の文字は解明できたのか?ふむふむ・・・・・・・・・・・・・・・
   おいっ!それは本当か!詳しく話してくれ。」


友人「おいおいどうした、いきなり興奮してww・・・面白そうだからとっくり説明してやるぜ。」


薫「助かるぜ・・・・・・右京さんは・・・・だいぶ先に行ってしまったな。・・・・右京さーん!」



126 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:17:51.39 ID:EjOATjxuo


200X年12月20日 組織犯罪対策課 特命係の部屋


右京「杉下です・・・・・・おやほむらさんですか。後でご連絡差し上げようと思っていた所です。」


ほむら「今から出られそう?」


右京「連絡がありましたか?」


ほむら「ええ・・・・新宿の○ビルに来て欲しい。と・・・・テナントが潰れて今は無人のビルです。」


右京「鍵の方は、僕の方で管理会社に頼んで貸して貰いましょう。しかし、今日はこれより組織犯罪対策課
  の皆さんの助っ人に向かうのですよ。丸一日後の夕方4時でどうでしょうか?・・・・・・・・・
  では、先方と杏子さんにご連絡お願いします・・・・・。」


TV「明日は、昼過ぎから夜半に掛けて・・・・発達した低気圧・・・・・今年春先の爆弾低気圧に匹敵する
 大荒れとなると思われます。交通機関の乱れも予想されますので、外出時は注意してください。」


薫「明日は荒れそうだな・・・・・・・。」


127 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:19:56.23 ID:EjOATjxuo



                  12月21日   金曜日


                       15:50


128 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:20:50.56 ID:EjOATjxuo



5分ほど休憩します。


129 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:32:48.38 ID:EjOATjxuo





杏子「お・・・・既に到着か?」


右京「いえ僕達も、つい今しがた到着したのですよ。交通機関が乱れているので、なるべく早く警視庁を抜け出たの
  ですよ。」


ほむら「鍵は無事に借りられたんですね。」


薫「管理会社の社長さんは、昔俺と右京さんで冤罪になりかけたのを救った事があるんだ。
 最後は逃げる真犯人を俺が追いかけて・・・・・・。」


右京「僕の記憶が正しければ、大捕り物じゃなくて・・・・犯人が呆気なく転んで捕まえたじゃありませんか。
  手柄話をするのは良いですが、誇張はあまりよくありませんよ。」


薫「こんな時に、そんな話思い出さないでくださいよ。」



130 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:33:46.85 ID:EjOATjxuo



階段で無人のビルの5階に上がる4人・・・・・


杏子「電気のスイッチは何処かなーーーと。」


薫「残念だけど、今は電気は止めてあるらしいぜ。・・・・・放置してあると漏電の危険もあるからな。」


右京「向こう隣のビルの照明が、入って来るので何とか見えますね。それで良しとしましょう。
  問題は相手の方ですが、魔法少女かその素質を持った方で無いと、見えない点です。
  できれば直接話をしたいのですが・・・・・?」


薫「ずっと二人に通訳をしてもらうのも、大変だろ?」



??「それには及ばないよ・・・・・・・確かに魔法少女か、素質のある子は何もしなくても見えるよ・・・・
   でもそれ以外の人・・・・無論男性も含まれるけど。・・・・・・僕が望めば姿も見えるし、声も聞けるよ。」


杏子「てめえ・・・良い度胸だな・・・・・・串焼きにでもしてやろうか?」


ほむら「あら、キュウべえじゃないの・・・・てっきり何処かで餓死でもしているかと思っていたわ。」


131 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:34:55.21 ID:EjOATjxuo


QB「君達が、警視庁特命係の杉下右京警部と亀山薫刑事だね。・・・・君達が次々と難事件を解決
  している事は、僕達インキュベーターの中でも評判になっているよ。」


右京「おや、宇宙の彼方にまで知られていましたか。」


薫「お前・・・・・・口開けてしゃべれよ。」


QB「亀山薫・・・・・君は面白いね。どうして、口を開けなくてもしゃべれるのに・・・・・・口を開けてしゃべる必要
  があるんだい? そんな間抜けだから犯人に人質にされて、特命係に回されるんだよ。」


薫「へいへい、俺が悪うございました。どうせ俺は、島根の県庁所在地を松山と間違えるバカですよ。」


ほむら「日本の警察の将来が不安だわ。」


右京「単刀直入にお伺いします、今回の連続殺人事件の・・・・・・鹿目洵子さんを操り、巴マミさん・・・・
  私立探偵の岡部氏を殺害・・・・・・真の黒幕は貴方ですか、キュウべえさん?」


QB「そうだよ、僕が黒幕だよ。・・・・・・・・なんて素直に認める訳無いじゃないか。」


132 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:35:50.41 ID:EjOATjxuo


QB「解答が欲しかったら、それなりの『資格』を証明して貰おうかな。暁美ほむら、君達は『魔女システム』
  が復活したとか、ありえない妄想を述べていたね。魔女システムは、まどかの『誇り高い願い』で
  永久に消えた筈だよ。それは君がよく知っている筈だよ。」


薫「てめえ、俺たちの会話を盗聴してたのか!悪趣味な野郎だな。第一盗聴は違法だぞ。」


QB「超能力を使って会話を聞くのは、違法だという条文は無いよ。刑事が六法全書を暗記して
  いないようでは困るね。」


薫「ぐぬぬぬぬぬ」


QB「仮に魔女システムを復活させたのだとしたら、どうやったと言うんだい?まさか、そこらの新規の魔法
少女と契約する時に、『魔女を復活させて欲しい』と願わせた・・・・・等と言わないでくれよ。
 まどかは、凄まじい素質を持っていたからこそ出来たんだろ。まどか級の魔法少女の素質を持つ
  少女がそう簡単に、見つかる訳無いじゃないか。」


杏子「確かにその通りだよな。」


QB「もし正解出来なかったら・・・・・・僕はこの場を立ち去るよ。僕は壁抜けも出来る。・・・・・
 もう二度と会う事もなくなるよ。」


133 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:36:54.50 ID:EjOATjxuo


右京「では、一つだけ確認させて下さい。」


QB「良いよ・・・・何を聞きたいんだい?」


右京「以前は、魔法少女のソウルジェムが完全に絶望で濁って、魔女になる際に・・・大量のエネルギー
を回収していた。しかし、まどかさんによって世界を変えられてからは、魔獣を地道に魔法少女
に倒させ、ちまちま稼がねばならなくなった。この認識で合っていますか?」


QB「会っているよ。おっとヒントはここまでだよ。」


右京「僕は最初ほむらさんからこの話しを聞かされてから、ずっと疑問を感じていたんです。」


杏子「何にだよ?」


右京「キュウべえさん・・・・貴方は、非常に知恵・・・・・悪辣な悪知恵が働く方と思います。先見(予知)の能力も
  あるそうですね。前の世界で、恋人の怪我を治したいという、美樹さやかさんの純粋な想いを
  利用し、魔法少女と言う名の・・・人間ではない存在にし、絶望させ・・・・僅か数日で魔女に・・・・・
  そして、彼女を助けたい佐倉杏子さんの思いを利用し、呆気なく死に追いやった。
  卑劣な所業ですが、真に見事としか言い様がありません。」


134 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:37:49.58 ID:EjOATjxuo


ほむら「何で、キュウべえを誉めているのよ!」


右京「そこまで機智に富んでいる、詐欺師の貴方が・・・・・魔法少女のシステムの根底をひっくり返し、
  著しく、ご自身を不利にするまどかさんの願いを、貴方はあっさりと受け入れたそうですね。
  僕にはその点が、全く納得いかないのですよ。」


薫「予知出来なくても思いつめた彼女の姿を見たら、十分に危険を感じれる筈だな。
  どんな願いも叶う・・・・・逆に考えれば無茶苦茶危険だぞ。」


杏子「でも、こいつは契約の願いを断れないと思うが?」


ほむら「契約の意志の確認と、願い事を言う前なら無視することも可能だと思うけど・・・・。」


右京「ほむらさんにお伺いします。まどかさんは、キュウべえを憎んでいましたか?」


ほむら「私の様に、直接危害を加えたりはしていないけど、許していないのは間違いないと思うわ。」

右京「なるほど・・・・・・では怒りや憎しみから、・・・・・こんな願いをする可能性も有った訳ですね。
  キュウべえさん、貴方達を・・・・・永遠に全部滅ぼしてください・・・・・と。」


135 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:38:56.37 ID:EjOATjxuo


杏子「!・・・・・・・・確かに、あたしがまどかだったらそうしてしまったかも知れないな。」


薫「ほむらちゃんほど、キュウべえを憎んでいなかったのかも知れないな。」


右京「しかし、友人と幼馴染を死に追いやった元凶です。その願いをする危険性は、十分に考えられます。
  僕だったら、とても恐ろしくて一秒でもまどかさんの前には、居る事が出来ませんねえ。」


杏子「おいおい、それじゃ逃げちまうのかよ。」


右京「そうですよ、それが最善の策だと思います。常識的に考えれば。」


ほむら「そんな事をしたら、こいつはまどかを魔女にして膨大なエネルギーを手に入れられなくなるわ。」


右京「果たしてそうでしょうか・・・・・まどかさんは、ほむらさんが彼女をキュウべえの魔の手から守る為に、
   世の理を越え、タイムスリップを繰り返して来た。それが原因で、まどかさんにはありえない量の因果が
  集まり、最強の魔法少女候補になってしまった。」


ほむら「その通りよ。私はまどかを守るつもりが、逆にまどかを危険に晒す結果になってしまった。正に皮肉ね。」


136 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:39:50.34 ID:EjOATjxuo


薫「あれっ!その理屈で行ったら、時間遡行というありえない事をやっている、ほむらちゃんにも
  相当な因果値ってやつが、溜まってしまっている・・・・・・って事にならないか?」


右京「もしあの場から、キュウべえさんがまどかさんを見捨ててこっそり逃げ出したら、どうなっていたでしょうか?」


杏子「うーーーんと・・・・・まどかを救えないと、ほむらは絶望して魔女に。そして直ぐにまどかを消す・・・・・・
   いずれ、別の魔法少女に魔女ほむらも消される。」


右京「そうです、まどかさんの前に姿を見せねば、まどかさんには遠く及ばないにしろ、かなりの絶望エネルギー
  を確実に入手可能です。そして、鹿目まどかさんという危険なジョーカーになりそうな彼女を、消せます。
  更に、ソウルジェムや魔女の真実といった危険な真相を、知ってしまったほむらさんとまどかさんを消し、
  口封じが出来ます。無論自身の手は全く汚さずにです。」


薫「それじゃ、ハイリスクハイリターンどころかかなりのローリスクハイリターンだぞ。俺なら迷わずそうするぜ。」


右京「で、あるにも係わらず貴方は、あっさりとまどかさんの願いを受け入れた。恐らくはまどかさんの
  願いの内容を察知していた筈です。さてその理由は・・・・・?」


137 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:40:50.12 ID:EjOATjxuo


右京「可能性その1 キュウべえさんは、上層部よりまどかさんを魔女にして膨大なエネルギーを、
   回収するように厳しく命じられていた。」


薫「それはありそうだけど、でもまどかちゃんが、エネルギー回収を著しく困難にする願い事をしようと
  しているんですよ。話せば上の方も折れると思いますね。」


右京「可能性2  キュウべえは内心ではまどかさんの願いを叶えてあげようと思った。」


ほむら「ありえないわ。まだ可能性1の方がありえるわね。第一そんな感情があったら、
   今度の事件は起きていないわ。」


右京「可能性その3 キュウべえさんは、まどかさんの願いを正確に予見した上で、願いを受けた。
  何故なら、貴方には確信があった。」


杏子「確信・・・・・まどかの願いを全く恐れていなかったって事か?」


右京「その通りです。キュウべえさんは、既に極めて有効な『保険』を所持していたからです。違いますか?」


138 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:41:52.00 ID:EjOATjxuo


右京「まどかさんの素質と、祈りの力は本当に比類無い物だったのでしょうか?」


ほむら「なっ! 貴方にまどかの何が解ると言うのよ!」


右京「まどかさんを傷付けてしまった事は謝ります。しかし、これは極めて重大な事なのです。
   まどかさんの様な、正義や思いやり・・・優しさ。所謂正のちからと、憎しみや怒り・・・・所謂
   負の力・・・・どちらが人に『行動』をさせる力になってしまうでしょうか?」


薫「うーーん・・・・嬉しい事があった時、破目を外して転んで怪我をしたりはするだろうけど、
 犯罪は起こさないよな。しかし、憎しみや怒りの感情は・・・・直接的に犯罪を引き起こす原因になってしまう。」


杏子「二人は刑事だから、たくさんそういう事件に遭遇してきたんだろうな。でもそれと何の関係が・・・・。」


薫「ほむらちゃんは、魔女の力で自殺させられそうになっていたのを、まどかちゃんに助けられたんだよな。」


ほむら「そうよ、魔法少女になる前は心臓病で、退院した直後で気が弱っていたの。そこを魔女に狙われた。」


右京「そしてまどかさん達と仲良くなり、そして・・・・・・最悪の魔女との戦いに赴いた、まどかさんを失った・・・・」


139 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:42:49.54 ID:EjOATjxuo


ほむら「その場で、キュウべえと契約を行い魔法少女になったわ。まどかとの出会いをやり直す願いで、
   契約したので、時間を操作する能力を授かったわ。」


薫「・・・・・・一体それは何年前・・・・・という事になるんだ?」


ほむら「途中で数えるのを止めたわ。少なくとも数年以上・・・・・になるのは間違いないわね。
   何度もまどかや、魔法少女の死を見て来たわ・・・・・・。」


杏子「ある世界のマミが、絶望のあまりあたし達を襲って来て・・・・あたしとマミが死亡。・・・・
  ワルプルギスの夜は辛うじて倒せたけど、二人の魔翌力は尽き果てていた。
  そこでまどかは一つだけあった、グリーフシードをほむらに使い、自らはほむらの手に掛かる事を望んだ・・・・」


まどか(回想)「ほむらちゃんは、時間を遡れるんだよね?お願いがあるの。キュウベエに騙される前の馬鹿で
   バカな私を助けてあげて欲しいの。」


薫「それから、誰にも助けを求めずずっと孤独に戦って来たのか。」


右京「ほむらさん、貴女と同じ経緯で魔法少女になり、同じ能力を授かり更に、同様の悲劇に遭遇し、
   一人で戦い親友を守る決意をなされた。・・・・・・・まどかさんとほむらさんの様な二人が、
   過去に存在した可能性は無いでしょうか?」


140 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:43:51.50 ID:EjOATjxuo


ほむら「そんなの存在する筈が・・・・・・・・・・・・・・・・・・無いとは、言い切れないわね。
    他に居ても、不思議じゃないわ。」


杏子「その魔法少女も、親友に『キュウべえに騙される前の馬鹿な私を助けて』と言う約束を
   何としても守ろうとしたのか・・・・・」


ほむら「そして、その魔法少女の親友も何度もタイムスリップを繰り返す内に、ありえない量の因果
が集まり、まどかみたいに最強の魔法少女候補になってしまった?」


薫「やはり、『最高の親友』になったんですかね?右京さん、当然結末には違いが・・・・」


右京「まどかさんは、親友であるほむらさんの危機に間に合う事が出来ました。しかし、過去の魔法少女候補の子は
  ・・・・・・ぎりぎりの差で、間に合う事が出来なかった・・・・・・・僕はそう考えています。」


ほむら「それじゃ、私の同じ能力の魔法少女は絶望して魔女に?私もまどかが来るのが、後1分遅かったら
  魔女になっていたわ。」


右京「いいえ、間違いなく魔女にはなっていません。なる寸前で、敵の魔女(ワルプルに相当)の攻撃を受けて
  ソウルジェムを砕かれて、命を落とされたのでしょう。そうでないとそこで終わってしまいます。」


141 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:44:50.13 ID:EjOATjxuo


薫「その子に看取られて・・・・・いや・・・・・多分駆けつけた時には、既に亡くなっていた・・・?」


右京「ほむらさん、貴女は魔女という異形の怪物になり・・・・全てを破壊したい。一度でもそう思ったことはありません
  か?」


ほむら「あるわ・・・・一度だけだけど。まどかから、キュウべえから過去の自分を守って欲しい・・・
    その約束をする、数分前よ。」


右京「全てを捨ててでも、世界とほむらさんを守ろうとしたまどかさん。過去のまどかさん級魔法少女候補の
  子も、全てを捨てて同じように守る決意を固めていたのでしょう。」


杏子「でも、助けに行ったら親友の子は既に・・・・・絶望してしまうのでは。」


右京「希望が深い絶望と憎悪に変わったとしても、何ら不思議ではありません。」


薫「そこで、すかさずそこの外道野郎が『早くしないと死んじゃうよ。さあ直ぐに契約して魔法少女に。』
 と言って契約させようとしたな。」


142 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:45:48.93 ID:EjOATjxuo


ほむら「話が見えてきたわ。キュウべえ、なんて酷い事をするの!親友を失ったその子に・・・・
  貴方を一時期でも仲間だと思っていた、自分を許せない。」


右京「憎悪と絶望で、自分を見失ってしまった少女は、キュウべえさんの悪魔の囁きに乗せられ、
  決して口にしてはならない、絶望の願いを持って、契約・・・・・・・してしまったのでしょう。」


杏子「おい、それってまさか・・・・・先を聞くのが怖い・・・・・・。」


薫「そうか!その子はまどかちゃんとは真逆の願いをしてしまったんだ!」


右京「全ての時間軸の過去・現在・未来において、魔女の存在を永遠の物に!・・・・と。」


QB「!」


143 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:46:49.72 ID:EjOATjxuo


ほむら「確かに警部さんの言う通りかもしれない。でも、まどかの願いで無効化された筈だわ。」


杏子「待てよほむら!過去のほむらタイプの魔法少女の子は、お前よりもっと多く周回しているかも知れないぞ。
   周回数が多かったら、まどかより多くの因果が集まってしまう事になるぜ。」


薫「遥かに凌駕していたら、まどかちゃんの願いは即座に無効化されたのでは?その点はどうなのだろう
  右京さんは、どういう考えで。」


右京「そこは非常に難しい所です。遥かに凌駕していたからこそ、2年半で戻されてしまったとも考えられますし、
  まどかさんの祈りもまた強大だったので、2年半の時間が必要になったとも考えられます。」


杏子「一旦は夜が明けたように、まどかの祈りの世界になったけど・・・・再び絶望の祈りが
  力を回復させ、逆転してしまった・・・・・・・。」


ほむら「11月・・・マミは復活した魔女1号を倒したのね。」


右京「ここからは、僕の推測に過ぎないのですが・・・・マミさんは、ただそこに魔女がいたから倒しただけでは
  無いと考えています。」


144 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:47:54.59 ID:EjOATjxuo


薫「絶望した魔法少女が、魔女に変わる瞬間に遭遇したのか・・・・・?」


右京「僕は更に、恐ろしい暗黒の奇跡が起きたのではないかと。」


杏子「禍々しいぞ。先を聞くのが怖い、落ち着け偶数を数えるんだ。」


右京「おそらく、魔翌力を使い果たした子が円環の理に・・・・・即ちまどかさんに導かれ、穏やかに旅立つ
   瞬間にマミさんは遭遇した。しかし、正に旅たつ瞬間・・・・・・・」


右京「リセットが起きて、その少女は魔女という名の怪物になってしまった・・・・・僕はそう考えています。」



QB「正解・・・・・・・流石だね。その子も後10秒早かったら助かったのに、残念だよ。」


杏子「てめえええーーーーー!」


145 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:48:51.80 ID:EjOATjxuo


杏子「ゲホゲホ マミはそのあと魔女を一人で倒したのか。動揺していただろうに、よく倒せたな。」


ほむら「元の魔法少女の子が弱かったのか、もしくは魔女も復活直後で『病み上がり』の状態だったのかもね。
  それよりも、杏子が数日前に魔獣を倒しているのが気になるわね。」


右京「日没を迎えても、瞬時に夜の暗さになるのではありません。45分程度は必要です。
   それと同じ現象ではないでしょうか。恐らく、リセット時に存在していた魔獣は消滅は
   していないのではないでしょうか。」


杏子「そいつらが、刈り倒されて魔女も元の兇悪さを取り戻す日が、真のキュウべえの勝利の日か。」


QB「その通り、恐らく後2ヶ月だね。安易に魔法少女になった子は大混乱に陥るね。」


薫「最近魔獣が弱くなったり、魔法使わなければソウルジェムが濁らないというのは、
  嵐の前の静けさ・・・というやつだったか。」


ほむら「直接魔獣の出現をまどかが、願った訳ではないから消えないのね。直ぐに魔女だらけにならないから
  魔法少女の対応も遅れる事になるわ。」


146 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:49:47.24 ID:EjOATjxuo


薫「そうだ、その世界に絶望を満たす古の魔法少女はどうなったんだ?やはり凄い魔女にでもなったのか?」


ほむら「どうなったかは不明だけど、この地球でないのは確かね。平行世界か異世界のどこかで、
   その世界は滅亡しているわね。」


杏子「知るはキュウべえばかりなり・・・・・てか?」


QB「異世界じゃないよ、この地球の過去の話さ。せっかくだから、その魔女が何を起こしたか当ててみるかい。」


杏子「解ったぞ!6500万年前だな。」


右京「杏子さん、いかにキュウべえといえど地球では人間以外を契約させるのは、難しいと思いますよ。」


薫「おいてめえ、せめて何世紀か位言えよ!」


QB「14世紀だよ。」


147 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:50:49.86 ID:EjOATjxuo


右京「・・・・・・・黒死病の大流行ですね。」


薫「確か伝染病のペストですよね。クリミア半島から、東ローマ帝国を経由して・・・・・・ベニス商人
  とかが交易の際に持ち込んだそうです。」


ほむら「島根の県庁所在地は知らないのに、よく知ってるわね。」


薫「それは言わないでくれ。今度の事件が起こる数日前に、コンビニに変な都市伝説本があったんです。
  ペストの大流行の速度と、犠牲者の多さは何か呪いとか魔術が原因だと・・・・・よくあるカルト本すね。」


右京「そのカルト本・・・・・・偶然でしょうが当たっている可能性が高そうですね。」


QB「その通りだよ。交易商人がシチリア島の北東の都市メッシーナに持ち込んで、そこから欧州全域に
 広がった。3年ほどで広まったとされているけど、実は僅か4ヶ月ほどなんだ。」


右京「ペストの大流行で、全世界で8000万・・・・欧州の全人口のおよそ6割・・・・2500万人強が命を落としました。
  数ヶ月で広まったのも、犠牲者を増大させたのでしょう。」


148 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:51:50.35 ID:EjOATjxuo


QB「最初東ローマ帝国や、ギリシャや東欧で流行していた時は、確かに普通のペストだったんだ。」


杏子「南イタリアに上陸した直後に、恐ろしい魔女が誕生したわけだな。てめえの事だからどうせ
  狙っていたんだろうけどよ。」


QB「それまでは、ネズミや蚤(交易品の毛皮に付着)が運んでいたんだけど・・・・・。」


薫「それから先は、恐ろしい魔女の力であっという間に各地に運ばれたのか。しかしよく滅亡しなかったな。
  自然に収まったとかか?」


右京「いえ、とても自然に治まるレベルではありませんね。」


ほむら「魔法少女ね。契約時の祈りで病魔を弱らせた・・・・・・いいえ、とても一人の魔法少女で解決できる
  レベルじゃないわね。」


杏子「一時的にその魔法少女の居る町で、少し治まるのが限界じゃね?魔女本体を倒さないと無理だぜ。」


149 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:52:51.70 ID:EjOATjxuo


QB「先の世界大戦の独ソ戦終盤で、優れた装備や優秀な将兵も多いドイツ軍に対し、ソ連軍は
  戦前に多くの優秀な将軍を、大粛清してしまったからドイツ軍にやや劣る面もあった。
  しかし、最終的な勝者はソ連軍だった。」


右京「数の力・・・・・・ソ連軍は質はやや劣りましたが、戦力差(米英からの援助もある)で
  ドイツ軍を撃破しました・・・・・・・魔法少女も数で対抗したと言う事ですね。」


杏子「欧州の人口の6割が死滅する事態だ。滅亡を阻止する為に、大勢の魔法少女がキュウべえ
  と契約して、自分達の故郷を守る為に魔女に立ち向かったんだろうな。」


薫「恐るべき呪いから生還したりした子達だ。体力とか精神力も優れていそうだ。それならとんでもない魔女
  にも勝てるんじゃ。」


ほむら「そしてその魔女は倒されて、やがてペストの流行も終息した・・・・・」


QB「戦いは十数年にも及んだよ。皆必至だったから何故か魔女になる子はほとんど居なかった。
  世紀の終わりごろまでに大流行が一度と、小規模な流行が3度ほどあったけど、これは本物の流行さ。」


150 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:54:00.23 ID:EjOATjxuo


右京「しかし、大勢の魔法少女を組織するとなると、キュウべえさんには困難でしょう。
   恐らく、誰か・・・・恐らく修道女出身の魔法少女を上手く使い、密かに動かしたのでしょう。」


杏子「チッ・・・・・・・教会の力か、当時の教会の力の大きさは親からよく聞いているよ。」


ほむ「地方領主や地方の国王と言っても、威張れるのはせいぜいその周辺だけだからね。」

(当時は英国も複数の王家があり、特にドイツやイタリアは19世紀後半まで、統一政権は存在せず。)


薫「・・・・・教会が・・・・・・魔術みたいな・・・・・異端の力に頼ったらまずいんじゃ?ジャンヌ・ダルクも
  魔女の疑いで火炙りでしょ。まあ緊急避難的なものですけど。」


杏子「グサッ・・・・・」


ほむら「亀山刑事・・・・杏子の前でその話は・・・・・。」


亀山「す・・・すまねえ。」


151 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:54:49.92 ID:EjOATjxuo


杏子「変に気を使うなよ。大事な所だろ・・・・・そうか、それが中世の『魔女裁判』に繋がるのか。」


QB「流石に教会の事は少しは詳しいね。教会やバチカンにとって魔法少女によって、病魔が退けられた
  と言う事は、決してあってはならない事だ。教会は、魔法少女達を消す事にした。」


右京「しかし、魔法少女は如何に教会の力が強くても、容易に倒せる相手ではないと思います。
   貴方がこっそりと教会に手を貸したのでは。」


QB「その通り、『魔女システムを永遠の物にした功績」で母国から武器を与えられたんだ。
  非力な教会の神官でも、ソウルジェムを的確に狙える弓矢や槍さ。それをこっそりと教会にばら撒いた。」


ほむら「現代の対レーダー誘導ミサイルみたいな仕組みね。自分の手を汚さず教会や国の兵士に消させる・・・・
    卑劣な貴方らしいやり方ね。」


QB「半数は倒され・・・・残りの半数は魔女化した。彼女達は、共通の憎悪から一つの巨大な魔女になった。
  ほむら、君が倒そうとした最悪魔女だよ。」


薫「ワルプルギスの昼か」


152 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:55:47.67 ID:EjOATjxuo


ほむら「何で亀山刑事が答えるのよ!それにワルプルギスの夜よ!」


薫「あれ、でもなんで夜なんだ?・・・・・昼間に見滝原市を襲ったんだろ?」


右京「夜と言うのは、死や静寂を与えると言う意味だと思いますよ。」


QB「話が脱線しているよ。言って置くけど時間稼ぎでもしても、僕を倒す事は不可能だよ。スペアはたくさんある。
  まあ続けるよ。ワルプルギスの夜は、その後も自然災害に偽装して、被害を与え続けた。」


杏子「教会は、ワルプルギスの夜の正体にうすうす気付いていたのかもな。だから恐怖心から魔女裁判を
  起こして魔法少女や、その強い素質のある子を消そうとした。・・・・日本とかも被害を受けていそうだな。」


QB「いいや、江戸時代までは日本には無関係だよ。理由は解るかい?」


亀杏「解りません::」


右京「亀山君も・・・・杏子さんも、自国の歴史を知る事は必要だと思いますよ。」


153 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:56:51.96 ID:EjOATjxuo


ほむら「戦国時代にキリスト教が、伝来して一時期は30万人ほどは信者が居たそうね。でも、秀吉や徳川家康
    がどんどん禁教令をきびしくしたから。」


右京「鎖国成立により、キリスト教徒は徹底的に弾圧され、仏教徒に戻るか弾圧で殉教するか・・・・・
   残ったのは極僅かの隠れ信者だけでしょう。ワルプルギスはキリスト教徒深い因縁が・・・・
   つまり、キリスト教を弾圧した日本は彼女達の、憎悪の対象外になった・・・・・という事でしょう。」


薫「なるほど、じゃ明治時代になってキリスト教が認められると、日本人の中にもキリスト教の人が
  徐々に増えて、やがてワルプルギスの夜に目を付けられた。」


QB「割と律儀な感じだよ。今でもキリスト教徒の割合が少ない国はあまり攻撃されないよ。」


154 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:57:50.44 ID:EjOATjxuo


杏子「魔女復活のからくりは解いたんだ。ドヤア さあ、真相を話せよ。カツ丼食わせてやらないぞ。」


ほむら「何で貴女が、どや顔しているのよ。」


右京「取調室でカツ丼・・・・あれはドラマの話です。被疑者へ利益供与する事は禁じられています。」


杏子「そうなのか、警部さん! まあ、こいつに食われたら素材や、生産した人が浮かばれないぜ。」


QB「フッ・・・・そうだよ、鹿目洵子を操って巴マミを消させたのはこの僕さ!」


ほむら「どうして・・・・・・・巴マミを殺害させたの・・・・・・?」


QB「本当は・・・・・・直ぐに消すと言う事は考えていなかった・・・・・」


右京「貴方の事だから、魔女が本格稼動したらその内彼女も魔女になるだろう。その時に、かなり
  エネルギーを回収できる。そう考えていたと僕は考えています。」

QB「その通りだよ、彼女もかなりの熟練だ。でもリセットの瞬間にマミが遭遇し、想定外が起きたんだ。」


155 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:58:45.87 ID:EjOATjxuo


QB「マミは、何らかの現象で改編前の世界の記憶や、魔女復活のからくり・・・・・
  ワルプルギスの夜の秘密・・・・・無論鹿目まどかの事も。」


杏子「ひよこが生まれて最初に見た人を。親だと思い込むみたいな現象か。」


右京「恐らくほむらさんほどではありませんが、これまでの世界でも巴マミさんが、まどかさんの
  極めて近い所に居たことは無関係では無いでしょう。」


薫「うーん、では誰か無関係の魔法少女が遭遇していたら、そんな事は起こらなかったか。」


QB「僕も解らないけどね、多分亀山薫の言う通り、君達とマミ以外の子が目撃していたら何も起きなかっただろうね。
  そうしたら、マミも後・・・・・熟練だから1年半ほどは長生き出来ただろうね。」


薫「巴マミとは、ずいぶん長いこと一緒に居たのだろ!他に言い様があるだろうが!」


ほむら「無駄よ亀山刑事。そいつにそんな感情は全く無いわ。」


156 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 21:59:53.30 ID:EjOATjxuo


右京「全てを知ってしまった巴マミさんは、キュウべえさん・・・・いや全てのインキュベーダーに対し
  不利益となる事をしようと考え出した。そうですね?」


ほむら「昔、まだ周回を始めて直ぐの頃に・・・・巴マミや、美樹さやかに魔女化やキュウべえに騙されている事を
   話した事があるわ。まあ、誰も信じてはくれなかったけどね。」


QB「マミは、魔法少女や僕達インキュベーターに対する危険性を、周囲の子に教えようとしていた。
  それは非常にまずい事態を招くと、インキュベーター統合本部は判断し、僕に対し阻止命令を下した。」


薫「確か、魔法少女候補は大半が中学生だとほむらちゃんに聞いたが・・・・・」


右京「同級生や友人達は高校生ですが、彼女達の中に中学生の姉妹や、親戚の子等も居るでしょう。
  その子達からまず守ろうとしたのでしょう。」


杏子「まあ高校生になってから契約した子も、多少は居るんだけどな。マミは昔と違い、友人や慕っている
  子は多い、近寄り難いほむらと違い皆マミの言う事を聞いたと思う。」


ほむら「余計なお世話よ!・・・・・・・多分、話せばマミの祖父も彼女を助けたでしょう。最悪キュウべえ
  は日本じゃまともに活動できなくなったかもね。」


157 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:00:51.33 ID:EjOATjxuo


QB「早速、計画を立てたよ。最初は新しい魔法少女候補を操るか、願わせようかもしくは
  他の魔法少女の子を使い、上手く誘導しマミを消そうとも考えた。再び世界は元に戻り
  魔法少女が、他の魔法少女を襲いテリトリーを奪う事も可能になった。」


QB「しかし、新規の子はいざとなったら怖気付いて魔法少女にならないかも知れない。他の魔法少女
  に襲わせる手も、世界リセットから日が浅く魔法少女達も、まだ心が荒んではいない。」


右京「巴マミさんはかなりの熟練です。魔法少女同士だと気配を感じられたり、逆に返り討ちに遭う
   危険性もあります。そこで、貴方は別の手段を取る事にした。」


杏子「まどかの母親を催眠術に掛けて、マミを憎ませ襲わせたのか・・・・・・反吐が出るぜ!」


薫「ご家族を失って、悲しみがあったのだろうな。野郎!そこに漬け込みやがったな。家族が健在なら、
  催眠にも掛からなかったかも・・・・・・・・まさか、2年前の事故もてめえの仕業か!」


ほむら「庇いたくないけど、それは違うと思うわ。まどかが世界を変えていた間は記憶も消えていたから。」


薫「確かに、その時は事故を起こす動機も無さそうだな。」


158 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:01:49.97 ID:EjOATjxuo


QB「私立探偵の岡部が死んだのは、多少想定外だったね。まあ、鹿目洵子がやらなくても
  数日以内に裏社会が始末しただろうけどね。」


右京「東京拘置所で洵子さんが死亡した件も、貴方の仕業ですか?」


QB「無論だよ。もう彼女の役目は終わっていたからね。速やかに退場して貰わないと・・・侵入方法は・・・。」


薫「姿が消えた!」


右京「南向きの窓の外に居ます。壁抜けや透明化、短距離の瞬間移動もできるみたいですね。これでは監視カメラや、
  職員の巡回など、何の意味もありません。」


159 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:02:52.82 ID:EjOATjxuo


ほむら「マミのソウルジェムを破壊したのは貴方なの?」


QB「いや、破壊しようと様子を見に行ったら破壊されていたんだ。」


杏子「おい、お前以外に破壊できる筈が・・」


QB「僕も訳が判らないよ。もしかしたら、鹿目まどかの母親だから、何らかの素質があったのかも知れないね。」


右京「可能性としてかなり低いですが、偶然他の魔法少女が巴マミさんのテリトリーを奪おうとして、止めを刺した
   可能性も存在します。リセットが行われているので、まどかさんの祈りでの封印も解けているかと。」


薫「確かにあり得ますが、魔女の復活を知る事は難しいんじゃ?知っていたのは巴マミ位だし・・・・
  魔女化してしまった魔法少女の、戦友が逆恨みで倒した巴マミを恨んだ・・・・・・?」


ほむら「どちらの可能性も、0じゃないにしても説得力に欠けるわね。マミを狙っていたら私や
   杏子に完全に気付かれない事は考えにくいわ。」


QB「その魔女化した子は、昔の杏子みたいに一人で魔法少女をやっていたみたいだよ。」


160 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:03:47.67 ID:EjOATjxuo


ほむら「仲間が居ないとなると、亀山刑事の逆恨み復讐説は成り立たないわね。」


右京「僕のテリトリー奪取説も難しいでしょう。他の魔法少女の襲撃が可能になっていた事は
   状況を見る限り、気付いていた人はいないと考えます。」


薫「半年先くらいなら、誰か気付いて実行していた子が居たかもしれませんがね。やはり鹿目洵子には
  素質があって破壊できた・・・・と考えるしかなさそうですね。」


杏子「・・・・・・・・・・・・・」


右京「杏子さん?どうかなされましたか?」


杏子「・・・・・・大丈夫だ。・・・・キュウべえ、一つ聞いておきたい・・・・・・・・・事がある。前からいつか・・・・
  聞こうと・・・・・思っていた。」


QB「何だい?今日は気分が良いから何でも答えるよ。」


杏子「・・・・・・・数年前・・・・・・・・マミの両親を・・・・・・事故で死なせたのは・・・・・・お前か?」


161 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:04:49.66 ID:EjOATjxuo


QB「直接事故を起こしたり・・・・・例えば双方の車の、タイヤとかブレーキに細工とかはしていないよ。
  しなくとも解っていたんだ。」


右京「予見の能力で、巴マミさんの一家が西伊豆に家族旅行に行く事や、途中で大型トラックと
  衝突する事も予見していた・・・・・」


QB「偶然巴マミを見つけた。彼女はかなりの素質を持っていたんだ。どうやって近付いて契約させようと
  思案していたら、巴マミの運命が見えたんだ。」


薫「事前に彼女に話して、家族も助けるという事も可能じゃないのか?」


QB「それも考えたけど、彼女が信じてくれないかも知れないから止めたよ。予見の画像は僕意外に見えない。
  助けても、魔法少女になる事を断るかもしれない。」


QB「そして、当日・・・・・・家族旅行に出た、巴マミの一家をこっそりと尾行。そして、予見通りに事故が起きたのを
  見て、絶妙なタイミングでマミの前に姿を見せたんだよ。」


162 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:05:47.91 ID:EjOATjxuo


杏子「てめぇええええええええーーーーー ふざけんなーーーー!!」


杏子の蹴りが、インキュベーダーに炸裂! 奥の壁にまでぶっ飛び鈍い音と共に、動かなくなる。



QB「無駄だよ杏子。スペアは無限にあるよ。知っている筈なのにどうして人間は無駄な事をするんだい?
  訳が解らないよ。」


新QBが亀山の頭の上に現れる。


薫「うおっ・・・こら、降りろ!勝手に頭に乗るな。」


QB「僕は日本人の言葉「勿体無い』と言う言葉は良い言葉だと思うよ。エコの時代にぴったりだよ。」


QB「ガツガツガツ・・・・モクモグモグ・・・・・むしゃむしゃ・・・・キュップイ」


163 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:06:51.44 ID:EjOATjxuo


薫「共食いしてやがる。」


右京「あまり直視しない方が良さそうです。背後の壁か窓の外の風雨にでも焦点を合わせておきます。」


QB「念の為に言うけど、僕を倒したり監禁する事は不可能だよ。そういう事を考えているなら
  今すぐ諦めてね。」


右京「・・・・・・・・・・」


薫「野郎!ぶっ飛ばしてやる!」


QB「亀山薫、君は僕の話を聞いていたのかい?全くそんなだから逮捕しようとした犯人に、人質にされたり
  特命係に、島流しにされるんだよ。お笑いだねww」


薫「ぐぬぬぬぬ」


右京「黙りなさい!」


164 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:07:55.14 ID:EjOATjxuo



右京「確かに、亀山君はそそっかしい所があり、怒りっぽい所もあります。しかし、
   僕にとって大切な相棒です。」


右京「悪質な詐術で、多くの少女を騙し苦しめて来た・・・・僕は貴方を絶対に許しません。
  会う事が無ければ、素晴らしい未来を送ったであろう彼女達を平然と死なせて来た
貴方に亀山君の何が分かるというのですか! 恥を知りなさい!」


杏亀「ジーン」


QB「君みたいな人も、激怒する事があるんだね。人間の感情は良く解らないよ・・・・・・・
  魔女になった子達は、宇宙の滅亡を阻止する為に貢献したんだ。
  僕達は、君たち人類に悪意は持っていないよ。ただ、宇宙の滅亡を憂慮し懸命になっているだけだよ。」


ほむら「ギリギリギリギリ」


右京「まだその様な寝言が通じると・・・・・本気で思っているのですか?」


165 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:08:47.27 ID:EjOATjxuo


杏子「お・・・おい寝言って・・・・・そりゃ直ぐには信じられないだろうけど。」


薫「いや・・・・・宇宙の死を免れる為に使われている・・・・・真っ赤な嘘だと言う事です?」


右京「その通り・・・・・・先ほど僕は、まどかさんは恐ろしい願いをする事を、予見で解っていた筈だ
   と言いました。しかし、彼女を操って安全に魔女にする事も本来可能なのですよ。」


ほむら「まどかはそんな脅しには・・・・・・洗脳でもすると言うの?」


右京「ある意味においてはそうです。ほむらさん・・・・・・もしくはご家族を人質にする・・・・・・
  こちらの言いなりにならなければ、命は保証しないよ・・・・・と囁けば良いのです。
  家族想いのまどかさんです。抵抗するのは困難だと思います。」


薫「正体不明な宇宙生物・・・・・例えはったりでも十分脅威では。言いなりにさせて契約させるんじゃ、
  願い事もキュウべえが決められるんじゃ?」


右京「正にその通りです。『ワルプルギスの夜を倒す力が欲しい』・・・・・等と都合が良い契約で、
  安全にまどかさんを魔法少女に出来ます。」


166 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:09:49.68 ID:EjOATjxuo


QB「ふむふむ・・・・それで。」


右京「更に、貴方は非常にマイペースです。強い素質がある子でも、直ぐに契約するのではなく
  丸で契約自体をゲームとして、楽しんでいるかのようです。」


薫「宇宙の滅亡が、間近ならそんなのんびりやってるのは変じゃねえか?まあ1000億年先の話なら
  別だけど。」


右京「鹿目まどかさんは、比類無い素質を持っていた・・・・通常でその様な素質を持っているのは、
一国の王女や、歴史上の偉人のみ・・・・・・逆に考えれば、それらの人物はまどかさんに匹敵する
  素質を持っていたと、言う事になるのではないでしょうか?」


薫「当然その子達も契約して、お前の狙い通り魔女になってエネルギーを奪われてるよな?」


右京「歴史的に見て、女性の英雄や有名や女王は少なくありません・・・・異世界や、平行世界も
  入れるとまどかさん何人分ものエネルギーを手中に収めていると、考えるべきです。
 しかし、貴方達は定期的に魔法少女を契約させ、食虫植物みたいにエネルギーを吸い上げている。」


ほむら「確かに言われてみれば、おかしいわね。必要量既に集まっているなら、もう契約させる必要
  も無さそうだわ。」


167 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:10:47.73 ID:EjOATjxuo


右京「確認ですが、インキュベーターは如何なる感情も一切持たない。間違いありませんか?」


QB「全くその通りだよ。僕達には全く感情は存在しないよ。」


杏子「それなのに、宇宙の寿命とやらだけは気にしているのか。変な話だ。」


右京「その通り、宇宙の寿命を憂慮する・・・・・その為に懸命になる。それらも立派な「感情」ですよ。
  矛盾しているとは思いませんか?」


ほむら「・・・・・・・その仮説が正しいとして、インキュベーダー達は何の目的でエネルギーを集めているの?
   まあ、こいつらのやる事が人類に理解できる筈も無いわね。」


右京「いいえ、僕達人類にとっても日々欠かせぬ物ですよ。」


杏子「気持ちの悪い事言うなよ。怖気が走るぜ。」


右京「これらの恩恵を一切得ていない人・・・・・・・アメリカの平原や、何処かの島で自給自足の生活を送り
   近代文明と隔絶している、奇特な人だけですよ。」


168 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:11:51.97 ID:EjOATjxuo


薫「世捨て人みたいな生活すね。・・・・・・・必要なのは水・・・・・・・・いや、水分無いと死んじゃいますね。」


ほむら「酸素・・・・・・・は無人島でも無いと窒息[ピーーー]。」


右京「杏子さん、貴女がこの部屋に入って最初にしようとしたじゃありませんか?」


3人「電気!!」


杏子「電気無いと食べ物作れないし、売れないぜ!無農薬栽培の野菜でも材料とか、栽培している人の
  生活に電気は欠かせないぜ。」


ほむら「・・・・・・・その為に、定期的に魔法少女のエネルギーが必要に・・・・・・」


QB「驚いたよ、杉下右京!君は天才だ!」


右京「ほめられても全く嬉しくありません。むしろ極めて不愉快です!」


169 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:12:48.21 ID:EjOATjxuo


杏子「あたし達をずっと騙していたのか!」


QB「僕は、エントロピーや熱力学の話はしたけど あれは人間の学者の説を言ってみただけだよ。
  鹿目まどかには、「宇宙の為に(QBの為に)死んでくれる気になったら、いつでも連絡してね。』・・・と。」


どうやらQBは、「ヒストリーチャンネル」の「ザ・ユニバース」を見ていたようです。


薫「てめえの星には、資源が少ないのか?石炭とか、石油・・天然ガスとか・・・ミスリルとか?」


杏子「最後おかしいのが混ざってるよ。」


QB「無論豊富にあって、採掘や精製は地球より進化しているよ。」


薫「じゃあ、それらを使えば良いだろうが!?」


QB「・・・石油とか天然ガスは、採掘や運用にコストがかかるよ。・・・・それに環境面への配慮も必要だし、
  事故を起こしたら影響が大きい資源もある。・・・・・でも、魔法少女システムは遥かに低コストだよ。
  何しろ、勝手に自滅して僕らにエネルギーを献上してもらえるからね。」


170 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:13:45.59 ID:EjOATjxuo


薫「てめえに少しでも、まともな回答を期待した俺が馬鹿だったよ。」


ほむら「・・・・・・・・まどかは今・・・・・・どうなっているの。」


QB「消滅はしていないけど・・・・・・・もう永久に何も出来ないよ!・・・・・・助けた子
  もいるから一人じゃないけどね。」


ほむら「・・・・・・まどかぁ・・・・・ヒック・・・・・まどか・・・・・・。」


右京「先刻貴方を詐欺師と表しましたが、訂正します。」


杏子「・・・・・?・・・・・・・」


右京「インキュベーター貴方は、いや貴方達全ては・・・・・歴史上比類ない悪辣な大量殺人犯です!
  それ以外の何者でもありません!」


171 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:14:51.89 ID:EjOATjxuo


QB「言ってくれるね。刑事ドラマならここで逮捕されて終わりだね。でも、僕達は違うよ。」


薫「俺達を消す気か。彼女たちに手を出すな!」


QB「それは無理だよ・・・・二人は危険だ。・・・・・・実は今小学生の魔法少女候補を何人か見つけているよ。
  かなり素質があるから、願いで佐倉杏子と暁美ほむらの二人には消滅してもらうよ!
  全ての人の記憶から消えて、戸籍とかも消える。最近は良い時代だね、魔法少女アニメが多くてさ。」


QB「特命係の二人は・・・・・・消そうかとも思ったけど、・・・・・本国から記憶とかを抹消するアイテム
  を褒美で貰ったよ。ここ数日の事件に関する記憶を完全かつ・・・・・永久に消すよ。無論他の
  刑事や、一般人の記憶も・・・・・」


右京「具体的には、洵子さんが動機を告白してから・・・・亀山君が見滝原に行って話を聞いた記憶・・
   ・・・杏子さんとほむらさんに会った記憶と、魔法少女に関する諸々・・・・・無論ここでの記憶全て・・・・・。」


QB「その通りだよ。あの大根役者の会見や、それを見聞きした日本人の記憶も消すよ。それにしても
  今から忘れてしまうのに、・・・全く無駄なのに気にするんだね。全く訳がわからないよ。」


右京「何でも気になると調べるのが、僕の悪い癖でしてね。」


172 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:15:48.14 ID:EjOATjxuo


杏子「おいっ!何か無いのか!」


右京「何かとは何でしょうか?」


杏子「対QBの警察の秘密兵器とかだよ!」


右京「残念ながら・・・・・・人類の力だけでは・・・・倒せそうにありませんねえ。」


ほむら「・・・・・・無駄よ杏子。そんな事が可能なら・・・・・・インキュベーターは・・・・・・既に滅んでいるわ・・・・
    ・・・・・さよならまどか・・・・・・・。」


杏子「絶望すんじゃねえ!試合終了だぞ!」


QB「じゃ僕はそろそろ消えようかな。二人とも魔女になってくれても良いよ。エネルギーは有効活用
  してあげるよ。おや・・・・・亀山薫・・・・・袋から何か出してどうするんだい。何か紙に書いて記憶
  消えても良いようにするつもりかい。・・・・・本?その本に僕達全てを消せる秘策でも書いてあるのかいww?」


薫「ああ、書いてあるね。」


173 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:16:55.42 ID:EjOATjxuo




ほむら「その本は・・・・・・・・最近書店で見かけた、マヤ族の遺跡や習慣とかの写真集ね。」


杏子「おおっ!その本持ってるぜ。」


ほむら「興味無さそうなのに、珍しいわね。」


杏子「マミが死ぬ・・・・・・6時間ほど前かな。無性に気になって買ってしまったんだぜ。特にその中の壁画に描かれた
  絵が気になったんだ。何か変な狩猟の絵でさ。」


右京「それはこの3枚ですね。本の写真では見難いので現地に頼んで、原寸大の写真を送信して貰い、
   更に引き伸ばしました。」


ほむら「警部さんのの知り合いが、向こうに居るのかしら?」


薫「俺の幼馴染が、この壁画を見つけたんだぜ。今年の春先らしい。それから今まで古代マヤ語の解読
  をやっていたらしい。」


QB「ただの狩猟の絵・・・・・じゃないか。何故リスやウサギを狩ろうとしているのかは解らないね。」


174 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:17:52.09 ID:EjOATjxuo



右京「これがその写真です・・・・・」



                                                  山
            ○  ○   ○   ○弓   弓矢→  ウサギ         山
太陽         人  人   人   女                        山
地面地面地面地面地面地面地面地面地面地面地面地面地面地面地面地面地面地面地面地面地面地面


175 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:18:46.52 ID:EjOATjxuo


杏子「早朝から狩りに出掛けているのか!昔の人は早起きだったんだな。」


薫「いや、朝じゃねえぞ。この山は・・・・・実際は遺跡から見て東から南東よりにある山らしい。」


ほむら「それじゃ日の出直後じゃなくて・・・・・日没寸前?ちょっとおかしいわね。」


杏子「うん?別に日没寸前に狩りをしちゃいけない事は無いだろ?」


ほむら「昔は、今と違って夜になったら人工的な灯りは何も無いのよ。懐中電灯も照明機材も無いわ。
    星や月明かりだけで狩猟をするのは危険よ。」


右京「お腹を空かせたジャガーの様な、危険な猛獣や毒蛇でも集落に紛れ込んで来たら、
  危険があっても、弓矢で狩るでしょう。しかし・・・・」


薫「素早いリスや猫やウサギ・・・・・食料や畑を食い荒らすくらいでしょうせいぜい。
  しかも、素早いから真っ暗な夜に狙い撃ちするのは難しいすね。」


ほむら「下手をすれば、仲間に当たる危険も大きいわね。」


176 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:19:51.94 ID:EjOATjxuo


杏子「・・・・・おいほむら、先頭で弓を撃っている人だけ女性ぽいぞ。普通狩猟とかは男の
   仕事じゃねえのか?」


ほむら「一概にそうとは言えないけど・・・・・・アマゾネスのような伝承もあるから、女性も狩りに参加する民族が
   いてもおかしくは無いけど、・・・・・やはり大半は男性の仕事の筈よ。・・・・・よく見ると他の男性は
   弓は持っているけど、全部地面に向いていて弓矢も無いわね。」


右京「弓の部分を見比べてください。何かおかしい事に気付きませんか。」


ほむら「・・・・・先頭の女性の弓だけ引き絞る弦(げん)の部分が無い!これじゃ弓を発射は不可能。」


杏子「時間の経過で、弦の部分が消えてしまったようには見えないぞ。最初から描かれていない感じだ。」


ほむら「でも弓矢はちゃんと、獣に向けて向かっているわ。どうやって発射したの?」


右京「本来弓矢が発射できない弓・・・・しかし、弓矢はしっかり飛んでいる・・・・・魔法でも使わない限り
   無理ではないでしょうか?」


177 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:20:48.11 ID:EjOATjxuo


ほむら「そ、それじゃこの女性は・・・・・・魔法少女!」


薫「そうらしい・・・・・・解読した親友の話では・・・・マヤの年若い女性らしいぜ。それと、獣の目の所を見てくれ。
 何か色が落ちた跡に見えないか?」


杏子「本当だ、目の辺りだけかすかに塗料でも使用されていた形跡があるぜ。」


右京が、目の形に切り取られた赤のシールを取り出し貼り付けていく。


薫「元はあの辺りの植物から採取された、赤い染料が使用されていた。今でも工芸品を染色
 したりするのに使用しているらしい。」


右京「恐らく1000年の間に、染料は色が落ちてしまったのでしょう。所で、このリスとウサギ・・・・
   何かに似ていませんか?」


ほむら「・・・・・耳とか尻尾は・・・何となく・・・・・まさか!」


178 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:21:52.16 ID:EjOATjxuo


杏子「この絵はキュウベえを狩る、QB狩りの絵だったのか?」


ほむら「インキュベーターにばれないように、ウサギやリスの絵にしたのね。・・・・・・・
    それなら既に、インキュベーターは滅んでいるのでは?」


薫「多分魔法少女が、至近距離にいないとダメなんじゃ? もしかすると弓しか効果が無いとか。
 それと、もう一つ問題があるんだよなあ。」


ほむら「気になるから早く言いなさいよ。」


右京「5125年に一度しか、その日が廻って来ないからですよ。だからこそ、インキュベーター達も
  恐らく気付かなかったのでしょう。」


QB「5125年wwwwww前回は、キリスト教どころかローマ帝国も存在しないじゃないか。お笑いだね。
  そんな方法があったとは、驚きだけどね。流石は謎めいたマヤ人だね。」


杏子「おい、あたし達はジェムやられない限り、不死身だけど・・・・5125年も生きられないぜ。」


179 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:22:47.41 ID:EjOATjxuo


ほむら「理論的には可能だけど、戦死の他に絶望して魔女になる結末もありえるわ・・・・・・
    所詮・・・・無理だったのよ・・・・・・・マドカァ・・・・・。」


QB「さあほむら、魔女になっておくれよ。せっかくのエネルギーだ。有効に使わせてもらうよ。
  佐倉杏子を消す手間も省けるよ。」


右京「クスッ」


QB「何を笑っているんだい杉下右京?自虐的な笑かい?君らもやはりここで消えてもらう事になりそうだね。
  僕としては・・・・。」


薫「てめえが、アホだから笑っているに決まってるじゃねえか。」


右京「インキュベーダーさん・・・・貴方の事ですから契約のネタを探す為に、世界中のニュースや
新聞等の情報も必ず目にされている筈なのに、お気付きになっていないのでつい笑ってしまいました。」


QB「今日辺りは確か、あのインチキ都市伝説の日だよね。人間は訳が解らないよww
  あんなインチキを信じるなんて。確かに今日はマヤの長期暦が・・・・・・・」


180 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:23:56.67 ID:EjOATjxuo


薫「ようやく気付いたか。」


QB「で、でも明日も何事も無い人類が予見できる・・・・・・・」


ほむら「そ、それじゃ単なる暦の継ぎ目というだけに・・・・?」


右京「違いますよほむらさん。人類全滅亡説・・・・後半は合っているんです。ただし、滅亡するのは地球や
  人類ではありません!・・・・」


薫「クッソ汚い淫獣!てめえの滅亡を示しているんだよ!」


右京「インキュベーダーさんがいる場所の、一日の日の終わりに貴方達を全て滅ぼせるそうです。」


181 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:24:46.20 ID:EjOATjxuo


杏子「一日の終わりって・・・・・まだ7時間もあるぞ!逃げられてしまうぜ!」


QB「ははは・・・・それじゃ逃げるとするね。せいぜい悔しがってね・・・・・・アレ・・・・・・動けないよ。」


薫「マヤ族や、アステカ人とかは太陽を信仰していたらしい。」


ほむら「一日の日の終わる時・・・・・・・・つまり・・・・」


右京「そう日没です・・・・・・・・・・石版にも日没が描かれていました。つまり日没の光も必要・・・
  しかし、外は凄い風ですねえ。」


その時、俄かに風が弱くなった。


薫「風が止んできましたよ・・・・・・・西の外を見てください!ビルの間です!」


杏子「西日がキュウべえを・・・・・・・?」


182 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:25:48.81 ID:EjOATjxuo


ほむら「見て、インキュベーダーが薄汚い色になっていくわ!」


QB「僕達全てのスペアが消えた!」


杏子「何か言い残す事は有るかい?3日ほど覚えていてやるよ。」


QB「((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル チラッ」


薫「そんな目で見るんじゃねえよ。てめえ一人だけ、助かろうというのは虫が良すぎるぜ。」


右京「おや・・・・感情が無いと言っても・・・・恐怖は感じるのでしょうか。多くの少女を騙し死に追いやって
   平然としていたのに、ご自身だけは命乞いをしようとする・・・・・・全く浅ましくて醜く、愚かですねえ。
  誰の事か教えてあげましょう。もちろん貴方の事ですよ、インキュベーターさん。」


ほむら「さあお祈りは終わった?一撃で消してあげるわ。ふふっいい表情ね・・・・・・それが恐怖という感情よ。
  短い間覚えておく事ね。」


183 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:26:53.08 ID:EjOATjxuo


薫「さてどうします。二人を止めます・・・・・?」


右京「殺人罪・・・・・・・これは対象となるのは人間だけです。」


薫「こいつはどう見ても人間じゃないですよね。」


右京「動物なので器物破損罪と、都の動物愛護条例もありますが。」


薫「こいつは動物じゃなくて、精霊みたいなものでは?」


右京「なるほど・・・精霊ですか?」


薫「動物だったら、姿が見えないというのは違うのでは?ほら、カメレオンとか背景に同化して
 獲物を狙ったりするでしょ。でも、絶対に目で見えないわけじゃ無いっす。でも、こいつは
通常誰にも見えない・・・・・精霊とか妖精の類じゃ?」


右京「なるほど・・・・・どうやらほむらさんを止める事は、難しいですねえ。」


184 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:27:49.81 ID:EjOATjxuo


杏子「あたしの槍は、銃刀法違反になりそうだから・・・・ほむら、お前に任せるぜ!
   一発決めてやれ。」


ほむら「承知・・・・・・さあ、インキュベーダー!お別れの時よ、まどかやさやかに詫びながら消えなさい!
   貴方と契約した事だけは・・・・・・感謝するわ。」


パシュッ   シャーーーーー


185 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:28:49.42 ID:EjOATjxuo


ほむら「!弾かれた?」


杏子「ATフィールド?」


薫「おい、QBの様子が・・・・・」


QB「ニャーーニャニャニャニャニャーン。」


薫「猫ですね。」
右京「猫ですねえ。」


ほむら「あっ!逃げたわよ。」


薫「待てやコラ!」


186 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:29:51.61 ID:EjOATjxuo


薫「あの野郎かなり早いぞ!」


ほむら「逃がしたらもう見つけられない!多分明日の朝には、インキュベーダーは復活すると思うわ。」


杏子「まるでチーターだぞ。もうあんな遠くに・・・・表通りに出られたら厄介だぞ!」



QB(まさかこんな事になるなんて。・・・・・・でも、何とか逃げれたよ。あの大通りを越えて向こうの町に逃げよう。
  信号で時間も稼げそうだよ。多分明日の朝には復活できるよ。)


薫達「待てー!」


QB(半日かかるけど僕達の勝ちだよ。君らの事は忘れないよ。インキュベーダー最大の敵として
   語り継ぐよ・・・・・・・ん・・・・・・・・」


キキーッ


QB「きゅっぷぃ」


187 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:30:49.25 ID:EjOATjxuo


東京某所・・・・・新米魔法少女が、魔女に追い詰められていた。


魔法少女「ハアハア・・・・こいつ・・・・素早い!これでどう!」


魔女「シャッ・・・・・フシュルルルル・・・・・」


少女「避けられた!・・・・このっ・・・・」


魔女「ヒュッヒュッ」


バキーン(武器を弾き飛ばされる)


少女「・・・ここが墓場・・・・・先月見た、あの魔法少女の子みたいに魔女になりたくないよ・・・・
   このまま一思いに・・・・。」


188 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:31:46.02 ID:EjOATjxuo



QB母星 サロン


QB1「そろそろ年一度のQB会議が始まる時期だね。」


QB2「魔女システムが復活したので、来年3月頃より発電エネルギーは、徐々に鹿目まどかの改編
  以前の状態に戻って行くでしょう。」


QB3「その英雄QBの到着は何時だい?」


QB1「3日後らしいよ。始末してから・・・・・・?なんだい?あの光は・・・・?」



189 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:32:54.77 ID:EjOATjxuo


覚悟を決め、その魔法処女は目を閉じた・・・・・・数十秒後・・・・・・


少女「あれ・・・・・・・・私まだ生きてる・・・・・・魔女が消えていく。・・・・・・誰か倒してくれたの・・・・・?
   お礼・・・・・言わなきゃ。・・・・・・そ、ソウルジェムが!」


ソウルジェムが浮かび、魔法少女の体内に消えて行く。閃光が走り、少女は再び意識を失った。




数分後(公園のベンチ)


たまき「どうしたの・・・・・・汗びっしょりじゃない、何処か具合でも悪いの・・・・・救急車呼びます?」


少女「むにゃ・・・・・!あれ、私魔女と戦っていたのに・・・・・・結界も無い・・・・・。」


たまき「顔色悪いわよ大丈夫?中学生・・・・・制服も少し埃で汚れているけど、誰かに襲われたの?」


少女「・・・・ええと、何でだろう。誰かに襲われたのでは無いです。良く解らないけど・・・・・下校中に居眠り
  しただけだと。どうもありがとうございました。」


190 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:33:54.98 ID:EjOATjxuo


たまき「そうなの・・・・それじゃ気をつけてお帰りなさいね。」


少女「ありがとうございました。」


(それにしても一体なんで記憶が飛んでいるんだろう。)


数時間後・・・彼女が就寝する時刻にはすっかり魔女や、魔法少女・・・・QBの事も綺麗に忘れてしまった。


191 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:34:54.00 ID:EjOATjxuo


伊丹「やべえ!猫ひき殺してしまった。」


薫「おや動物虐待ですか?捜査一課の伊丹君・・・・・?」


伊丹「無茶言うなよ!あんなチーターみたいに飛び出して来たら避けられるかよ!特亀さんよぉ。」


芹沢「先輩・・・・猫ちゃんの遺体・・・・・放置したら可哀想ですよ・・・・・何処かに埋葬してあげましょうよ。」


伊丹「そ、そうだな・・・・・悪い事してしまったな・・・・・・・・あれ、猫が何処にも・・・・・・。」


右京「おや、何処にも痕跡がありませんねえ。伊丹刑事の勘違い・・・ではないでしょうか?」


伊丹「警部殿・・・・・居たんですか・・・・・・確か衝撃が・・・・・・・」


ほむら「・・・・・・刑事さん達・・・・・向こう側を見て。」


192 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:35:53.20 ID:EjOATjxuo


風に乗り、猫サイズの黒いゴミ袋が転がって行く。中にはコンビニの弁当のゴミと、何故か複数の
 割り箸が見え、ちょうど猫の足みたいに見える。


右京「どうやら、あのゴミ袋を猫と勘違いしたのでしょう。偶然でしょうが、猫の形に見えます。」


芹沢「でも確かに衝撃が・・・・・・・ゴミ袋じゃあんな感じには。」


ゴオッ


薫「また風が強くなって来たぞ、太陽もまた雲に隠れてしまった。強風は夜半まで続きそうだな。」


右京「先ほども、ゴミ袋がぶつかった瞬間に、偶然同じ方向から強い風が、吹いたのではないでしょうか。」


芹沢「なるほどビル風ですか、流石は杉下警部殿ですね。」


伊丹「じゃーな亀山君。寄り道せずに帰れよ。」


193 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:36:51.92 ID:EjOATjxuo


右京「ほむらさん、インキュベーターはどうなりましたか?」


ほむら「伊丹刑事の車に跳ねられて消し飛んだわ。」


薫「顔色が少し悪いぞ。」


ほむら「変ね、少し疲れたのかしら。」


杏子「あたしもだぜ。疲れているのか?・・・・ゴミ袋が逆風で戻って来たぞ。」


右京がゴミ袋をキャッチする。


杏子「なにかつまらねえ事考えているな?」


194 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:37:51.40 ID:EjOATjxuo


右京「中の容器は一つなのに、何故割り箸だけ4組(8本)もあるのか気になりまして。」


杏子「割り箸を落としたんじゃないかな。」


右京「3度も落とすというのは、少し多い気が。」


薫「大食いで、何個も弁当食う人では?でも、割り箸だけは途中で交換した。」


右京「その可能性はありますねえ。しかし、他の弁当の容器はどうしたのでしょうか?」


ほむら「他の社員の、割り箸も一緒に捨てたのでは。」


薫「もうそういう事にしておきましょうよ。」


右京「すみません。変な事が気になってしまう性格でして。」


ほむら「病気ね・・・・・」


195 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:38:55.56 ID:EjOATjxuo


右京「何か言いましたか?・・・・・・・・!!」


杏子「ど、どうしたんだ?」


右京「お二人とも、得物はどうしたのですか?ほむらさんは何時の間に変身を解除したのです?」


ほむら「あのビルに置いて来てしまったのかしら。でも変身解除した覚えは無いのに・・・・。」


薫「おい、二人ともソウルジェムはどうしたんだ!」


二人「ナニィィィィィ!!」


杏子「探さないと死んじゃうぜ。ほむら迂闊に動くなよ、100メートル離れたらアウトだ。」


右京「既にあのビルから、250メートルは離れていますよ。」


ほむら「はい?」


196 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:39:53.02 ID:EjOATjxuo


数日後 特命係室


薫「右京さん、なんでこいつばっちり撮影されちゃっているんです?」


右京「むしろ僕の方が知りたいですねえ。全く期待していなかったのですが。」


角田「よっ暇か・・・・・・裏ビデオの確認か、ご苦労さん。・・・・・・・・・・・あれ、何時頼んだっけ?」


薫「頼まれた覚えは無いです。」


角田「ん・・・・・・何でお前らが裏ビデオに、・・・・・・おいおい、その白いぬいぐるみは何だよ?・・・・
   しかも喋ってるぞ。何か事件の証拠品・・・・玩具会社関連の殺しか?」


薫「いや、違いますよ。むしろ張本人?」


右京「今回の一連の連続殺人事件の、真の黒幕ですよ。」


197 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:40:56.46 ID:EjOATjxuo


警察庁 官房室長室


小野田「天下の杉下右京・・・・・今度は、宇宙の敵インキュベーダーから人類を守る・・・・
    まるで映画みたいじゃないか。」


右京「恐れ入ります。」


小野田「ねえ・・・・この黒髪元魔法少女の子と、一度一緒にお茶でも飲みたいねえ。今度連れて来てよ。」


右京「警察庁の幹部が直接元魔法少女と接触するのは、聊か不味いのではないでしょうか。」


小野田「けちだねえ・・・・・と言いたいけど、実際まずいから止めておくよ。彼女達の存在は秘密
   って事になったから仕方ないね。・・・・・・それと、例の映像を警察庁と警視庁・・・・・・・
  法務大臣に見せた時の、みんなの表情・・・・・・傑作だったよ・・・・・お前にも見せたかったね。」


198 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:41:47.87 ID:EjOATjxuo


何処かの会議室


幹部「何ですか!このふざけた画像は(主にQB)」


幹部2「杉下のジョークじゃないのかね?」


小野田「皆さん、杉下がこんな子供じみたいたずらをすると思います?」


幹部3「いや・・・・・・それは。」


鑑識課責任者が、発言を求めて挙手。


鑑識「真に残念ですが・・・・・その表現が正しいかは解りませんが、この映像に、一切のトリックや
  インチキは存在しません。私の職に誓ってそう断言します。」


一同「・・・・・・・・・・」


法相T「とりあえず、映像を見てみませんか・・・・。」


199 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:42:52.86 ID:EjOATjxuo


幹部1「我々日本人は・・・・・・いや世界中の人が、この忌々しいインキュベーターに、奴隷にされていたのか・・・・。」


幹部2「歴史上どれくらいの少女が、この詐欺師に騙されて命を落としたのだ・・・・・?」


法相T「もう、魔女も魔獣も消滅してしまった。・・・・・・そう考えて良いのですか?小野田官房室長?」


小野田「杉下警部によると、現状完全に消滅し魔法少女も恐らく全てもとの人間に戻った。・・・・・
   しかし、かなりの数の魔法少女が、自分が魔法少女だった事自体・・・・。」


幹部3「忘れてしまったと言うわけですか。・・・・・・そうなると、あまり魔法少女自身に事情聴取
  とかを行うのはまずいですな。魔獣と戦う以上、戦友を亡くしたり酷い目にあった
  りしている人も多いだろうし。」


幹部2「無理に思い出させて、PTSDとか・・・・・自殺とかされたら、警察の威信に傷が付きかねない・・・・。」


200 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:43:52.19 ID:EjOATjxuo


小野田「彼女達は、悪い事をしていた訳じゃないですよね。まあ彼女達の武器が、銃刀法違反に該当する
   可能性はありますが。」


大臣「魔法少女が全て人に戻ったという事は、当然武器とかも消え去ったという事になりますね。
   銃刀法は、現物が無いと立証は困難でしょう。」


幹部1「魔法や超能力自体を規制する法律も無い以上、そっとしておいて上げた方がよさそうですな。」


小野田「まあせいぜい、15年ほど前から現在まで、消息不明になっている10代少女の中で、
未解決事案の中に、密かに魔法少女として消滅した子がいないか調査するくらいでしょう。」


幹部2「それらが判明した中で、誰か無関係の第三者が、誤認逮捕されていないかが問題ですな。
  仮にあった場合、どうやって解決するかが問題では?国民に公表も出来ない以上、
 どう辻褄を合わせるかが問題大ですよ。」


幹部1「事件再調査の結果、被告人以外の関与の可能性大なので、被告人に対する刑の執行停止
   を請求・・・・・・・・するしかないな。」


幹部2「第一、その様な冤罪があるかどうか不明だ。未だ先走らない方が良い。」


201 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:44:53.32 ID:EjOATjxuo


小野田「まあ少し揉めたけどね・・・・・・・それより何か僕に・・・・・隠している事・・・・あるんじゃない?」


右京「何の事でしょうか?」


小野田「とぼけちゃダメだよ。ウサ耳星人が復活して、魔法少女と魔女システムとかが再構築される可能性だよ。
皆将来的に、多少は危険性があると考えていたけど、・・・・・・・・・実際はもう全く皆無なんじゃない?
  黒髪元魔法少女の子に聞いているんじゃない?」


右京「聞かれる事が無かったので。」


小野田「ハハハハハ、杉下お前の方が役者が上だねえ。ウサ耳星人が勝てる訳無いねえ。」


右京「お褒め頂いたと思いましょう。暁美ほむらさんによると、まず考えられないとの事でした。
   彼女は、改編前の世界をただ一人記憶しています。」


小野田「ああ、別に怒ってる訳じゃないよ。何せ、数千年先を考え布石を打って置くようなウサ耳だよ。
   5年とか10年はともかく200年後とかは、もしかしたらあるかもしれないでしょ。」


202 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:45:54.42 ID:EjOATjxuo


右京「確かに、インキュベーターが将来復活する可能性は完全な皆無では、無いでしょう。
   ある程度の、備えは必要だと思います。」


小野田「とりあえず、警視庁長官と警察庁長官・・・・それに法務大臣・・・・内閣総理大臣の秘匿情報として、
   引継ぎ時に情報を伝え、将来に、10代女性の消息不明事件が急増した場合に、至急調査を開始する・・・・・
   事が正式に決定したよ。」


右京「ありがとうございます。」


小野田「例の画像は、他国にも密かに公表する事も決定した。手始めにアメリカ合衆国になるかな。
   一昨日成立した新政権も来月に、訪米を予定しているしね。」


右京「魔法少女達を、政治利用すると仰るのですか?」


小野田「気持ちは解るけどね。世の中は正論だけじゃ成り立たない訳よ。前政権の宇宙人・・・・
    ウサ耳じゃない宇宙人とその後任が、日米関係に亀裂を入れてくれたからね。」


右京「日米関係の改善には、手土産が必要という事ですか。」


203 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:46:52.89 ID:EjOATjxuo


小野田「億が一にも、ウサ耳星人や魔法少女システムが復活したら、各国と連携しなきゃ対抗
   できないでしょ。でもあまり信用できない国には、話せないでしょ。悪用も可能だからね。
    慎重な検討が大前提だけどね。」


右京「確かに、我が国だけで対抗するのは不可能でしょう。止むを得ないですが・・・・。」


小野田「消極的肯定という感じ?総選挙みたいだね。ところで杉下、お前は他にも何か気になっているんじゃない?」


右京「画像の事です。僕も亀山君もほむらさんも、全く期待していなかったのです。しかし、何故か完璧に
  撮影に成功していた点です。」


小野田「皆既日食と同じじゃないかな?」


右京「皆既日食?」


小野田「ほら皆既日食って、太陽が丸い状態から、一瞬で皆既になる訳じゃないよね。」


右京「なるほど、インキュベーターを消せる時間の直前だから何らかのステルスも弱まり、撮影も成功した。」


204 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:47:44.62 ID:EjOATjxuo


小野田「ウサ耳星人は、油断していたから全く気づかなかった・・・・・そんな所かなあ。」


右京「もしかすると、心優しい何処かの女神様が僕達人類を、助けてくれたのかもしれませんよ。」


小野田「杉下、お前も意外とロマンチストだねえ。」


右京「では、これで失礼します。」


小野田「ちょっと早いけど、いいお年を。」


右京「官房室長も、よいお年を。」


205 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:48:50.80 ID:EjOATjxuo


午後4時頃 日比谷公園・・・・・・


アナ「今回、第二次○○内閣において初入閣が決定されました、美国○氏の抱負をお聞かせ願います。」


美国「今回の選挙も、3年前の総選挙同様厳しい戦いでした。見事復活当選できましたのは、単(ひとえ)に、
  有権者の方々のご声援のお陰です。」


アナ「当日は、娘さんのご命日に当たるとお伺いしておりますが?」


美国「10年前、交通事故で命を落とした織莉子の命日です。天国にいる織莉子の為にも、
  大臣の職務を果たし、有権者や国民の皆様の熱い想いに答えたいです。」


ブチッ


タクシー「到着・・・・・と。・・・・今日はそれほど寒くありませんね。」


206 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:49:51.41 ID:EjOATjxuo


ほむら「時間通りね・・・・・。」


薫「本当によかったのか、あの映像を出してしまって?」


杏子「隠す事も出来るけどさ、万一QBが復活でもしたらまずいぜ。恐らくさやかも、マミも・・・・
  まどかも許してくれるさ。」


右京「ほむらさんは、人間に戻られましたが・・・・お体は大事ありませんか?」


薫「昔は心臓病だったんだろ?また元に戻ってしまったりしてないのか?」


ほむら「病院で検査してもらったけど、異常は無かったわ。」


右京「それはよかったですね。おや、ほむらさん・・・まどかさんのリボンはどうされたのですか?」


杏子「本当だ!気分の変化か?」


ほむら「まどかのリボンは、消えたわ。」


207 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:50:47.61 ID:EjOATjxuo


薫「まさか下着ドロにでもやられたか?」


薫はとても嫌な事件を思い出した。右京と二人で連続下着窃盗事件の確認作業を
させられた事があった。被害者が薫を下着泥棒と間違えた事もある・・・・・


杏子「特命係ってそんな事もさせられるのか・・・・・・大変だな。」


ほむら「昨日洗濯して取り込んだのだけど、目の前で消えたのよ。春先の淡雪が溶けるみたいに。」


杏子「・・・・・・・まどかは消滅・・・・・・・・したのか?」


ほむら「まどかのリボンが消える瞬間、まどかの幻が見えた気がしたわ。笑顔だった気がする。」


右京「役目を終えられたと、いう事かも知れません。今回はいわばメインPCを丸ごと消去したのと同じです。
  前回と違い、インキュベーターが復活する可能性は実際限りなく0に近いでしょう。」


薫「彼女も再び復活できたらよかったけど、世の中そんなには甘くないか・・・」


208 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:51:52.03 ID:EjOATjxuo


杏子「そのテキスト集どうしたんだ?・・・・警察・・・・刑事にでもなるのか?」


ほむら「杉下警部が、可能性は限りなく0に近いと言われたけど、完全に0じゃない・・・・。
    もし万一そんな日が来た時、奴らの自由にさせたくないの。」


杏子「踊るの室井さんみたいに上に行くのか。それじゃ私も・・・・刑事に。」


ほむら「お断りよ。」


杏子「即答かよ。」


ほむら「貴女は、青島刑事より遥かに問題起こしそうよ。私は室井さんほど甘くないわ。第一、貴女は
   マミの夢を継いで、ファッションデザイナーになるんでしょ?」


杏子「さっきのは冗談だ。マミの夢は私がかなえてやりたいんだ。」


右京「素晴らしい夢だと思いますよ。」


209 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:52:54.76 ID:EjOATjxuo


ほむら「私達はこれで・・・・いろいろありがとうございました。」


杏子「じゃあな、二人とも年末だから飲みすぎるなよ。」


薫「お前達も風邪引くなよ。」


右京「縁があればまたお会いしましょう。」


数分後


薫「行ってしまいましたね・・・・・・・ところで右京さん、ウサ耳野郎と対峙した時、ほむらちゃんに
  言わなかった事があるんじゃ?」


右京「解りますか?」


薫「何年一緒に特命係やってると思ってるんですか。あの時はまだ魔法少女だったから無理も無いですけどね。」


210 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:53:48.48 ID:EjOATjxuo


右京「鹿目まどかさんは、間違いなくほむらさんが、全てを捨ててでも守ろうとした・・・・
   まどかさんは、優しさと思いやりをもった誇り高い人だと思います。」


薫「彼女が全てを捧げるのに、相応しい子だった。という事すね。」


右京「だからこそ、その優しい心をキュウべえに利用されてしまったのです。」


薫「あの野郎、俺も殴っておくべきだった。」


右京「まどかさんはキュウべえと契約した時に、全てを無かった事にする祈りも可能だったでしょう。」


薫「魔法少女も、魔女も・・・・ウサ耳も全て全部無かった事にですか?」


右京「その通りです亀山君。これもある意味、リセットと言えますね。」


薫「しかし、彼女はその選択はしなかった。」


211 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:54:49.96 ID:EjOATjxuo


右京「何故なら、その選択をした場合魔法少女の祈りも、全て無かった事になります。
   その場合、幸福になれるかもしれないのは、周囲では佐倉杏子さんだけです。」


薫「父親の話を、多くの人に聞いて欲しいという願いですね。それがなかったら、貧乏かもしれないけど
 家族は幸福だったかもしれないすね。その内、理解を示してくれる人が出たかもしれない。」


右京「しかし、マミさんは恐らく家族と共に事故死。」


薫「事故自体は、ウサ耳が起こした訳ではないからですね。ほむらちゃんは、心臓に不安を抱えたまま生活。
 手術は完全に成功していたそうですので、日常生活は問題無さそうだけど、万一再発して病死していた
 可能性もありますね。」


右京「上条恭介君は、医師に『左腕は二度と使えない』と言われ、かなり絶望し憔悴していたそうです。」


薫「絶望して、病院の屋上から身投げといった危険も有ったという事に。」


右京「美樹さやかさんと、仁美さんが支えになり立ち直れた可能性の方が高いですが、
  最悪の場合恭介君が自殺し、彼を慕っていた二人も、後追い自殺していた危険も考えられます。」


212 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:55:53.00 ID:EjOATjxuo


薫「魔法少女が、他人を思い遣って行った祈りが全て無効になってしまう。もしくは、
 巴マミと同じ状況で契約した子は、命を落としてしまう可能性が高い・・・・・・。」


右京「まどかさんは、彼女達のそうした想いを無かった事にする事は、出来なかったのでしょう。」


薫「その場合彼女自身はどうなったのでしょうか?」


右京「最悪魔女になってしまったでしょう。しかし、全て無かった事になると考えると彼女自身は、
  完全に消滅してしまったと思います。」


薫「右京さん、キュウべえの保険・・・・魔女復活、あれはどうなるのでしょうか?」


右京「良い所に気付きました。その場合、100%ではないにせよ魔女システムもキュウべえも
  いずれ復活した可能性は高そうです。」


薫「その場合、もっと早い時期に復活した可能性もありそうすね?」


213 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:56:49.05 ID:EjOATjxuo


右京「2年半近くもかかる事は無かったと思います。」


薫「巴マミは、数年前に両親と共に事故死。ほむらちゃんと杏子ちゃんの二人とは、事件が起きなければ
  まず出会う事も無かった。」


右京「当然魔法少女や、インキュベーターの事も知る事も無かったでしょう。」


薫「別の事件の捜査してたかもしれませんね。あいつからの連絡(メキシコから)を受けても、
何も知らないから、『ふーん凄いな』で終わりそうですね。」


右京「場合によっては、僕と亀山君・・・・それに君の親友や探索隊も消されたかもしれません。
   まどかさん級の魔法少女候補を見つけるよりは、遥かに楽です。」


薫「事件に遭遇した事が、俺たちの見えざる危機から救う事になった・・・・?」


右京「皮肉的な話ですが、そういう事になりますね。」


214 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:57:51.14 ID:EjOATjxuo


薫「まどかちゃんは、ウサ耳の陰謀に気付いていたのですかね?それで、全てを無かった事にする
 祈りは避けた。」


右京「確信は無いにしても、恐らく漠然とした不安や警戒はあったと見て間違いないかと。」


薫「100%不審だったと思いますよ。やはり、その時完全にウサ耳に勝つ方法は無かった。
 そういう事になりますかね。」


右京「いや、勝利云々は別にして、その時点で今後悲劇が起こらないようにする方法・・・・・たった一つだけ考えられます。
  個人的な見解ですが。」


薫「まじっすか?」


右京「ある意味、全てを無かった事にするという点は同じです。」


薫「えっ!それじゃだめなのじゃ?」


右京「魔法少女も、魔女も、インキュベーターも・・・・まどかさん自身も・・・・・全て架空の世界の話
   と言う事にしてしまうのです。」


215 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:58:50.21 ID:EjOATjxuo


薫「つまり、魔法少女もウサ耳もまどかちゃんも、全て・・・・アニメの世界の話にする契約を?」


右京「その通り。タイトルは前述通り、、『魔法少女まどか☆マギカ』とでも付けましょうか。」


薫「もしそうなっていたら、ある日突然まどマギというアニメが存在し、誰もそれに違和感を覚えない。」


右京「まどかさんの家族ですら、彼女の事を忘れてしまった点を見ても、誰一人して指摘した人は
  いないでしょう。その様な契約を彼女が行った並行世界があればですが。
  ある日突然マンガや、アニメの新作告知があっても、誰も違和感に気付かない。」


薫「最近はマンガの原作を持たない、オリジナルアニメも多いそうですよ。アニメが売れたから
 マンガ版が出る作品もあるそうです。」


右京「そうなのですか」


薫「そうなっていれば、悲劇が起きてもそれはアニメの中の事件だから・・・・現実世界には
 何の影響も及ぼさない。無論ウサ耳復活も無い。」


右京「無いでしょう。アニメを見た人がショックを受ける事はありそうですが。」


216 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 22:59:49.84 ID:EjOATjxuo


薫「もし人気が出て、劇場版でも出来た日には・・・プ○キュアの劇場版と同じに、考えて入場した
  親子連れが、途中でショックで退席したりして変に話題になったりして。」


右京「ありそうですねえ。しかし、流石に映倫辺りは年齢制限を付けると思いますが。」


薫「流石にそうなると思いますね。・・・・・・・その場合魔女の永遠を望んだ、過去の魔法少女の子
の祈りは、どうなるのでしょうか・・・・無論、現実世界で魔女が復活するとは思えないですがね。」


右京「あくまでも架空と言う形で、実現するのではないでしょうか。」


薫「俺が言ったアニメや、続編の劇場版で登場するとか。」


右京「もしくはファンの人の中で誰かが、その様な設定で所謂二次創作や同人誌を書く可能性も。」


薫「書いたファンの人は全く自覚症状無し?」


右京「無論無いでしょう。あくまでもご自身がストーリーを思いついたと何の疑念も無く、思うでしょう。」


217 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:00:46.93 ID:EjOATjxuo


薫「再び魔法少女や、魔女システムを現実の世界に戻すのは不可能すね?」


右京「あくまでも架空の世界で起こる事です。誰かが『魔法少女まどかマギカを、現実にしてください』
  と言う設定で二次創作を書いても、現実の世界には戻れません。」


薫「2年半前に、まどかちゃんが勝つ方法も有ったという事になるんですかね。」


右京「あくまでも最初に、僕の個人的な意見と言いました。現実には難しかったと思いますよ。
  例えまどかさんが、考え付いたとしても。」


薫「ウサ耳が、それを許すとも思えませんね。」


右京「理解し難い思考で、動く人達です。可能性皆無では無さそうですが。」


薫「その願いを彼女が考えたら、ウサ耳は逃げ出して以前右京さんが言った、ほむらちゃんを
 魔女にして、エネルギー回収ですね。」


218 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:01:50.43 ID:EjOATjxuo


薫「やはり、あの時点では彼女はあの祈りをする以外には、他の選択は困難だった。」


右京「彼女は、解ってしまったのかも知れません。」


薫「ウサ耳・・・・インキュベーターの企みをですか?」


右京「まどかさんは、ほむらさんに託したのかもしれません。」


薫「自分一人では、インキュベーターを滅ぼし魔法少女を完全に救う事は出来ない。」


右京「ほむらさんが、全てを捨ててでもまどかさんを守ろうとした様に、まどかさんも全てを捨てて
  ほむらさんに託した。」


薫「彼女は魔女システムが戻るまでの間、多くの魔法少女を救った。」


右京「やはりまどかさんとほむらさんは、最高の親友だったと言う事なのでしょう。」


219 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:02:51.99 ID:EjOATjxuo


??「流石は私だね。」


右京「亀山君、何か言いましたか?」


薫「いや、何も。空耳ですよ。」


??「こらっ、美樹さんの事じゃないでしょ?」


薫「空耳じゃ・・・・」
右京「無さそうですね。」


薫「右京さん、時計が止っています!」


右京も「おや、僕の時計も・・・・携帯も何故か圏外です。」


薫「俺のも圏外ですよ。」


右京「向こうの親子を見てください。」


220 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:03:54.88 ID:EjOATjxuo


薫「さっきから親子でキャッチボールを・・・・・・まじかよ、空中でボールが静止してるぞ。」


右京「もう冬休みでしたね。今年は連休を長く取る人も多いそうです。今日は晴天なので、
  親子で遊ぶには最適でしょう。」


薫「いや、問題はそこじゃないでしょ!」


気が付くと二人の前に、3人の魔法少女が立っていた。


??「えっと、私達の姿見えてます?」


右京「問題ありませんよ。」


薫「幻覚じゃなさそうですね。」


??「えっと、こんにちは。」


221 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:04:55.29 ID:EjOATjxuo


右京「鹿目まどかさんですね。僕は、警視庁特命係の杉下と申します。」


薫「同じく特命係の亀山です。貴女が巴マミさん?そして、そちらの剣を持っているのが・・・・・・・どちら様?」


さやか「むかー!こんな美少女剣士魔法少女、美樹さやかちゃんの名前を忘れるなんて!」


薫「すまんすまん、しばらく日くらい疾風怒濤の展開で、度忘れしてしまった。」


さやか「あんな事言ってるよ。まどか、あの人の頭に金ダライ落としてよ。」


まどか「無理だよさやかちゃん。金ダライどころか消しゴムも落とせないよ。」


マミ「もう落ち着かなきゃだめよ。」


まどか「ほむらちゃんや杏子ちゃん・・・・・・それに大勢の魔法少女を助けてもらって、・・・・
   ありがとうございました。」


222 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:05:51.12 ID:EjOATjxuo


右京「僕達は、殺人事件の捜査を行い真実を明らかにしただけです。」


薫「刑事としての仕事をやっただけだ。最初はこんな大事になるとは、思いもしなかったけどな。」


右京「そういえば、もう一つだけ解明されてない事がありました。」


さやか「なにかあった?」


薫「・・・・・巴マミさんのソウルジェムの件ですか?」


右京「巴マミさんのソウルジェムを破壊したのは、マミさん、貴女ご自身ですね。」


巴「うん、そうなの。警部さん私のソウルジェム・・・・黒い色をしていませんでした?」


右京「全体のほとんどが黒く濁っていました。」


薫「隅の方が僅かに、黒く無かった。あれが真っ黒になったら魔女に?」


223 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:06:52.66 ID:EjOATjxuo


マミ「わたしが、鹿目さんを魔法少女の見学をさせなかったら、鹿目さん達は今まで通り
  幸福に生活できたかもと・・・・・・・・。」


まどか「止めてください!私は自分の意思で、マミさんに付いて行ったんです。最後も自分の意思で、
  魔法少女になったんです。例え短い時間であっても絶望した魔法少女を助ける事を、
  自分で決めました。マミさんを恨んだりする気持ちは、1グラムも持ってません。」


マミ「鹿目さんのお母さんの事を思うと、ソウルジェムは破壊したくなかった。でも、そうしないと魔女に・・・
  変身して、寸前で破壊したの。」


右京「そうだったのですか。」


マミ「魔女になったら、多くの人を傷つけてしまうし・・・・・キュウべえに利用されたくも無かった。」


さやか「マミさんに遭わなくても、遅かれ早かれキュウべえにまどかは狙われていただろうし。・・・・
  それよりもさっきまどかに対し、批評してくれたじゃない。お二人さん?」


右京「批判めいた事を言ってしまった事は、謝罪します。」


224 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:07:49.06 ID:EjOATjxuo


さやか「別に怒ってる訳じゃないから、気にしない、気にしない。」


マミ「実は、鹿目さんによると、一つだとある並行世界があるみたいなの。」


薫「それってもしかして?」


さやか「私達がアニメになっている世界なのだ。もちろん誰かの祈りじゃなくて、最初からね。
  見滝原は群馬県高崎市で、杏子の町が県庁所在地で前橋市になっているよ。」


右京「地名も違う点に、興味がありますね。」


まどか「アニメも終わった後、今年の秋に前後編で総集編みたいな映画も作られたみたいです。
   来年に続編が作られるみたい。」


薫「まどかちゃんは、魔法少女になる時に、『全て架空の世界の話にする』って選択肢は考えたのか?」


まどか「一応考えては見たんです。」


225 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:08:46.58 ID:EjOATjxuo


右京「しかし、実行はなさらなかった。やはりインキュベーターが受ける可能性無い。そう考えたのでしょうか?」


まどか「解ってしまったんです。都合の悪い願い事をしようとしたら、逃げてほむらちゃんを魔女にする
   つもりだって事が。」


さやか「流石は私の嫁だっ。」


マミ「変な茶々入れないの。後で鹿目さんと共に見たんだけど、私達が、アニメになっている世界では
  いろんな関連商品が・・・・・その。」


さやか「マンガやPSPのゲームはまだしも・・・・・その・・・・・。」


まどか「他にもいろんな・・・・・・ウェヒヒヒヒ」


さやか「ちょ、まどかが壊れたww」


マミ「この話はここで終了!」


226 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:09:48.11 ID:EjOATjxuo


薫「ほむらちゃんは、まどかちゃんから受け継いだリボンが目の前で、消え去ったと言っていた。
  やはり・・・・・。」


まどか「完全に消滅します。インキュベーターも魔女も、魔法少女も永久に消えた以上、私の役目
   も・・・・・明日の0時に消滅します。」


マミ「私達も鹿目さんと共に。」


さやか「私とマミさんは別の道もあるんだけど、話し合って決めたんだ。杏子の台詞じゃないけど、
    『一人ぼっちは寂しいから』 まどかを一人で消えさせたくは無い。」


右京「怖くは無いのですか?」


まどか「少しは怖いです。前は私の事ちゃんと覚えてくれている人は、ほむらちゃんだけでした。
   でも今度は3人増えました。」


さやか「つまり、4倍になったのだよ。4倍だよ、恐れる事は何も無いさ。」


まどか「ちょ、私の台詞取らないでよ。」


227 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:10:50.86 ID:EjOATjxuo


まどか「じゃ、ここでお別れですね。」


右京「今からほむらさんと、杏子さんに別れを告げに行くのでしょうか?」


マミ「私と美樹さんは、杏子の所に。鹿目さんは暁美さんの所に。」


さやか「恭介来年コンサートに出るんだ。二人も是非見に行ってよ。」


薫「楽しみにしているぜ。」


右京「4人で聴きに行きますよ。」



さやか「最後に、キュウべえに止めを刺した、英雄伊丹刑事の枕元に立ってやろう。」


薫「それは、名案だ是非やってくれww」


228 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:11:47.04 ID:EjOATjxuo


マミ「つまらないことしないの。最後まで世話を焼かせるんだから。」


まどか「では名残惜しいけど、ありがとうございました。」


右京「皆さんの事は忘れませんよ。」


薫「例のコンサートは何時なんだ?早めに予約しなきゃな。」


さやか「来年の10月だよ。」


薫「まだかなり先じゃねえか。」


さやか「亀山刑事の奥さんが、私の事取材してくれてたんだって?よろしく言っておいてよ。」


3人の姿が、淡雪の如く消えていく・・・・・


空中で静止していた親子連れのキャッチボールの球が、動き出し子供のグローブに納まる。


229 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:12:57.73 ID:EjOATjxuo




薫「行っちまいましたね。」
右京「行ってしまいましたねえ。」


右京「時計も動き出しました。」


薫「携帯も通話可能になってます。」


右京「おや、電話ですよ。美和子さんからのようですね。」


薫「・・・・・もしもし、美和子か?」


美和子「今日6時から『花の里」で忘年会だけど、二人とも大丈夫?警視庁に居なかったけど
    何か事件?」


薫「ちょっと解決した事件の関係者に、会っていたんだ。美和子によろしくってさ。」

230 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:13:49.93 ID:EjOATjxuo




美和子「えっ、私の知り合いの人?」


薫「えっ、俺何か言ったか?多分聞き間違いだ。それじゃ6時に『花の里』で。」



右京「それでは、時間も早いですが行きますか。」


薫「了解っす。」


公園の入り口に向けて、歩き去る二人。


231 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:14:24.06 ID:EjOATjxuo




その日11時頃 芹沢の家


携帯「♪」


芹沢「先輩どうしたんですか?事件ですか?」


伊丹「た、助けれくれー」


芹沢「何事ですか?」


伊丹「ゆ、幽霊が俺の部屋にー!美樹さやかの幽霊が俺を見下ろして、笑っているんだ!」


芹沢「はいはい、変な映画の見過ぎですよ。おやすみなさい。」ガチャ


伊丹「こらっ芹沢、切るんじゃねええーー。」


232 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:16:53.26 ID:EjOATjxuo



翌日 警視庁



伊丹「事件起きろ事件起きろ・・・・」


三浦「縁起でもないぞ。」


大晦日本当に、事件が起きて特命係や、捜査一課は某タワーホテルでの事件に
巻き込まれるのであるが、それは別の話である。


233 : ◆3JVlg6.L7I [sage]:2012/12/30(日) 23:18:41.99 ID:EjOATjxuo



これで完結です。


どうもありがとうございました。


年末年始に掛けて再放送も含めて、相棒2時間物が3本も。


では皆さんよいお正月を。


234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/30(日) 23:23:44.90 ID:OnOo9x26o


楽しめた。
脳内再生が容易な右京さんにロジック語らせるのは、良いと思った。
神戸くん編、期待して良いかな。

ただ草生やしたり顔文字は勘弁して欲しいかな。
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/30(日) 23:30:55.23 ID:6N5ERtkF0
QBがあれなのはこういう話に黒幕は必要だし仕方ない

だが杏子がだぜだぜ言ってたのは流石に

まあ、全体的にはとても満足出来た
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/31(月) 00:09:44.72 ID:kO9wmt1fo
ゴミSS乙
もう書くなよ
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/31(月) 00:52:25.22 ID:ATKn53Jpo

小ネタに出してた人か?
まあ細かいこと言えば気になる点はいくつかあるけど、
現実的に考えたら荒唐無稽な話なのにちゃんと相棒の雰囲気で面白かった
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/02(水) 18:50:38.17 ID:8JOq+3JAO
乙。思いもよらないクロス。官房室長とか再生余裕でした。でも詢子さん悲惨すぎるww
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